JP2004020805A - 画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents

画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ Download PDF

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吉沢 英男
Tomoe Kitani
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Abstract

【課題】トリフェニルアミン構造を有する感光体と、芳香族揮発性化合物を含有するトナーを用い、高温高湿の環境下で長期間プリントしても、感光体の感光層が劣化せず、高画質の画像が安定して得られる画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジの提供。
【解決手段】電子写真感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器、転写器を配置した画像形成装置において、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用いることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速で大量にプリントを行っても、長期間にわたり高画質な画像を得るためには、高速で繰り返し使用しても良好な電位特性を示す電子写真感光体と、低温定着が可能で且つ高画質の画像が得られるトナーを用いることが必要で、且つ、電子写真感光体及びトナーを有する現像剤が長期間、画像形成装置内に放置されても劣化しないということが必須である。
【0003】
現在市場で代表的に用いられている電子写真方式の画像形成装置は、帯電器、画像露光装置、現像器、転写器、定着器、必要に応じクリーニング器を有する。
【0004】
従来一般的に用いられている帯電器としては、コロナ帯電器が最もよく知られており、高速でも安定した帯電を行えるという利点を有する。しかし、コロナ帯電器は高電圧を印加しなければならないため、イオン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素化合物等を多量に発生する。それらの発生物は、電子写真感光体(以後感光体とも云う)を劣化させたり、人体に悪影響を及ぼす等の問題点を有している。
【0005】
そこで、最近ではコロナ帯電器を利用しない接触帯電方式を利用することが検討されている。具体的には帯電部材である帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシ、磁気ブラシ等に電圧を印加して、被帯電体である感光体に接触させ、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。このような接触帯電方式を用いればコロナ帯電器を用いた非接触帯電方式と比較して低電圧化がはかれ、感光体を劣化させるオゾンの発生量も減少させることができる。しかしながら接触帯電方式の問題として、感光体に帯電ローラ等が直接接触し、感光体の表面を擦過したり常時接触していることから、感光体の感光層に膜剥がれや、クラックが発生し、画像欠陥を引き起こしやすい。特に高温高湿(例えば、30℃、80%RHの環境)等の厳しい条件下でこれらの問題が発生しやすい。
【0006】
又、カラーコピア、カラープリンタの画像形成においては、複数の感光体にそれぞれ単色画像を形成し、それを転写体に転写してカラー画像を形成する画像形成装置は、高速でプリントが得られる観点から注目されている。
【0007】
その中で、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する感光体は、高速応答性に優れ、良好な特性を示している。
【0008】
ところが、高画質の画像が得られるトナーとして最近注目を集めている重合トナーと前記トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する感光体とを組み合わせて使用し、高温高湿下で大量にプリントを行うと、画像欠陥が発生するという問題が発生している。状況を確認したところ、感光体の感光層に多数のクラックが発生しており、特に多量のプリントをした後、停止した状態で長期間(例えば、一週間)放置すると、帯電器、転写器、クリーニングブレード等の部材が接触していた感光体の場所でクラックの発生が顕著であった。
【0009】
発生原因について検討したところ、トナー中に含んでいる揮発成分の中で、特に揮発性芳香族化合物が多量に含有している場合、感光体に悪影響を与えることを見出した。具体的には、熱定着で芳香族揮発性化合物が揮発して感光層に付着し、帯電器、転写器、クリーニングブレード等が圧接している場所で画像欠陥となるクラックを発生、或いは、トナー自身から芳香族揮発性化合物がにじみ出し、感光層を汚染してクラックを発生させることを見出した。
【0010】
クラックの発生は、トナー中の揮発性芳香族化合物と親和性の高い構造を有する電荷輸送性化合物を感光層に含有していると特に顕著で、高感度の電荷輸送性化合物を用いた感光体で特に問題が発生したと予想される。
【0011】
特に近年のプリンタ、コピア、カラープリンタ等では、コンパクト化にともない排風量が抑制されており、熱定着時にトナー中から揮発したガスが機内に滞留しやすくなったことで問題がさらに顕在化したと考えられる。
【0012】
高画質の画像が得られやすい重合トナーと呼ばれる一群のトナーは、モノマー重合工程からトナー粒子を形成する工程まで、樹脂を乾燥状態に放置することなく一気に形成することが特徴である。そのため、用いた原材料(溶媒、モノマー等)、原材料中の不純物或いは反応副生成物等をトナー中に取り込みやすい。その結果、長期保存時、あるいは熱定着時に、用いた原材料、原材料中の不純物或いは反応副生成物等中の芳香族揮発性化合物が画像形成装置内に充満しやすくなっている。
【0013】
クラックの発生は、感光体に当接する部材の加重が小さければ感光体に過度な応力が加わらないため発生しにくいが、帯電条件やクリーニング条件を確保するため、過剰に帯電ローラやクリーニングブレードの加重を加えると、より激しく発生する。
【0014】
当該クラックが発生した部分は、クラックが発生する以前でも露光部電位が徐々に上昇し、部分カブリが発生しやすくなっている。
【0015】
現時点では、帯電器、転写器、或いはクリーニングブレードが直接感光体に接触(当接)している画像形成装置に、高感度が得られるトリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を用いた感光体と、高画質の画像が得られ且つ低温定着性に優れたトナーとを装填し、高温高湿(例えば、30℃、80%RH)の条件下で大量(例えば、1万枚)のプリントを行った後、高温高湿下に長時間(例えば、一週間)放置すると、感光体の感光層が劣化(例えば、露光部の電位上昇、クラックの発生等)し、その部分が画像欠陥となり、長期間にわたり良好な高画質の画像が得られていないのが現状である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、トリフェニルアミン構造を有する感光体と、芳香族揮発性化合物を含有するトナーを用い、高温高湿の環境下で長期間プリントしても、感光体の感光層が劣化せず、高画質の画像が安定して得られる画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は下記構成を採ることにより達成される。
【0018】
1.少なくとも電子写真感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器、転写器を配置し、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写器により転写体へ転写して画像を形成する画像形成装置において、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用いることを特徴とする画像形成装置。
【0019】
2.前記トリフェニルアミン構造が、前記一般式(1)であることを特徴とする前記1項に記載の画像形成装置。
(式中、R及びR′は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換、未置換のアルキル基又は置換、未置換のアルコキシ基を表し、R、R′R及びR′は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換、未置換のアルキル基、置換、未置換のアリル基、置換、未置換のアルケニル基、置換、未置換のアルコキシ基又は置換アミノ基を表し、m及びnはそれぞれ0、1又は2を表す。)
3.前記帯電器又は転写器のいずれか一方が、前記電子写真感光体と接触(圧接)しており、該帯電器又は転写器の部材中にウレタン構造を有する化合物を含有していることを特徴とする前記1又は2項に記載の画像形成装置。
【0020】
4.トナー像を転写した前記転写体を、加熱部材により、トナー像を転写体上に熱定着を行う定着器を有し、該定着器の設定温度が135〜160℃であることを特徴とする前記1〜3項の何れか1項に記載の画像形成装置。
【0021】
5.少なくとも帯電、露光、現像の各手段を経て、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写手段により転写体へ転写して画像を形成する画像形成方法において、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用いることを特徴とする画像形成方法。
【0022】
6.少なくとも電子写真感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器を配置し、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写器により転写体へ転写して画像を形成する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用い、帯電器、露光装置、現像器、転写器のいずれか1つとを一体に有しており、且つ、画像形成装置に出し入れ自由に設計されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0023】
本発明者らは、鋭意検討した結果、少なくとも感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器、転写器を配置し、感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写器により転写体へ転写して画像を形成する画像形成装置において、トリフェニルアミン構造を有する化合物を含有する感光体と、トナー中に芳香族揮発性化合物を有するトナーを用いて画像を形成する場合、トナー中の芳香族揮発性化合物の量が重要であることを見出した。
【0024】
具体的には、トナー中の芳香族揮発性化合物の量が、ヘッドスペース法により測定したときに5〜30ppmであるトナーを用いると、前記の画像形装置を用い大量のプリントを行った後、長期間放置しても感光層が劣化しないことを見いだした。
【0025】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明に係る感光体は、トリフェニルアミン構造を有する化合物を電荷輸送性化合物として含有していることを特徴としている。
【0026】
トリフェニルアミン構造を有する化合物は、前記一般式(1)であることを特徴としている。
【0027】
一般式(1)中、R及びR′は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換、未置換のアルキル基又は置換、未置換のアルコキシ基を表し、R、R′R及びR′は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換、未置換のアルキル基、置換、未置換のアリル基、置換、未置換のアルケニル基、置換、未置換のアルコキシ基又は置換アミノ基を表し、m及びnはそれぞれ0、1又は2を表す。
【0028】
本発明に係るトリフェニルアミン構造を有する化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0029】
【化2】
Figure 2004020805
【0030】
【化3】
Figure 2004020805
【0031】
本発明に係るトリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物は、負帯電機能分離型感光体、単層感光体或いは逆層構成等の感光体に用いることができ、特に感光体の種類に限定されるものではない。
【0032】
本発明に係るトナーは、トナー中に芳香族揮発性化合物を5〜30ppm含有していることを特徴としている。
【0033】
ヘッドスペース法によりトナー中から検出できる芳香族揮発性化合物とは、後に述べるヘッドスペースガスクロマトグラフ測定法で、ピークを有する化合物の内、分子内に芳香族を有する化合物を云う。含有量はトルエンのピーク面積VS濃度比を基準として、0.2ppm以上のピーク面積を有する全芳香族揮発性化合物を合計して算出した値である。
【0034】
具体的には、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、メチルスチレン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0035】
これらの芳香族揮発性化合物は、トナー重合時の原材料、原材料中の不純物、トナー重合時の副生成物等がトナー中に取り込まれたものであると考えられる。
【0036】
トナー中の全芳香族揮発性化合物の量は、5〜30ppmであるが、好ましくは8〜25ppmである。量が5ppm未満のトナーは、トナーの生産に時間がかかり生産性が悪く問題が有り、30ppmを越えるトナーは、画像形成装置内に放置或いは熱定着時にトナー中から揮発する芳香族揮発性化合物の量が多くなり、感光層を劣化させ好ましくない。
【0037】
本発明において、トナー中の芳香族揮発性化合物の定量方法としては、特に制限はなく、公知の化学分析手段を適宜選択して測定することができるが、以下にその一例を示す。
【0038】
本発明に係る芳香族揮発性化合物の定量方法として、ヘッドスペース方式のガスクロマトグラフにより、内部標準法等の通常のガスクロマトグラフで使用される検出方法を使用して測定することができる。この方法とはトナーを開閉容器中に封入し、熱定着器の設定温度程度に加温し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入して揮発成分量を測定するとともに、MS(質量分析)も行うものである。
【0039】
以下に、ヘッドスペースガスクロマトグラフによる測定法を詳細に説明する。
〈ヘッドスペースガスクロマトグラフ測定方法〉
1.試料の採取
20mlヘッドスペース用バイアルに0.8gの試料を採取する。試料量は、0.01gまで秤量する(単位質量あたりの面積を算出するのに必要)。専用クリンパーを用いてバイアルをセプタムを用いてシールする。
【0040】
2.試料の加温
170℃の恒温槽に試料を立てた状態で入れ、30分間加温する。
【0041】
3.ガスクロマトグラフ分離条件の設定
質量比で15%になるようにシリコンオイルSE−30でコーティングした担体を内径3mm、長さ3mのカラムに充填したものを分離カラムとして用いる。該分離カラムをガスクロマトグラフに装着し、Heをキャリアとして、50ml/分で流す。分離カラムの温度を40℃にし、15℃/分で260℃まで昇温させながら測定する。260℃到達後5分間保持する。
【0042】
4.試料の導入
バイアルビンを恒温槽から取り出し、直ちにガスタイトシリンジで試料から発生したガス1mlを採取し、これを上記分離カラムに注入する。
【0043】
5.計算
芳香族炭化水素化合物のは、下記機材、下記条件で、n−ヘキサンからn−ヘプタデカンの間で検出される化合物の中で、スチレン30ppmのピーク面積の5%以上の面積を有する化合物ピークについて、トルエンの濃度とピーク面積比で各ピークの総面積を濃度に換算して算出した。
【0044】
6.機材
(1)ヘッドスペース条件
ヘッドスペース装置
ヒューレットパッカード株式会社製HP7694「Head Space Sampler」
温度条件
トランスファーライン:200℃
ループ温度:200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
(2)GC/MS条件
GC:ヒューレットパッカード株式会社製HP5890
MS:ヒューレットパッカード株式会社製HP5971
カラム:HP−624 30m×0.25mm
オーブン温度:40℃(3min)−15℃/min−260℃
測定モード:SIM
次に、本発明で用いる感光体の構成及びその製造方法の一例について説明する。
【0045】
本発明で用いる感光体は、導電性支持体の上に、中間層、感光層を設けた構成のものが好ましく、さらにその上に保護層を設けたものでもよい。
【0046】
(1)導電性支持体
感光体に用いる導電性基体としては円筒状の導電性支持体が用いられる。該円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できることが必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0047】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗10Ωcm以下が好ましい。
【0048】
(2)中間層
感光体に用いる中間層は導電性支持体と前記感光層との接着性改良、或いは該導電性支持体からの電荷注入を防止するために、該導電性支持体と前記感光層の間に設けられるが、該中間層の材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位の中の2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。これら樹脂の中で繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さくできる樹脂としてはポリアミド樹脂が好ましい。又、これら樹脂を用いた中間層の膜厚は0.01〜2.0μmが好ましい。
【0049】
又、最も好ましく用いられる中間層は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の有機金属化合物を熱硬化させた硬化性金属樹脂を用いた中間層が挙げられる。硬化性金属樹脂を用いた中間層の膜厚は、0.01〜2.0μmが好ましい。
【0050】
又、別の好ましい中間層としては酸化チタンとバインダー樹脂を含有し、酸化チタンをバインダー樹脂溶液中に分散、塗布したものが挙げられる。酸化チタンを用いた中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましい。
【0051】
(3)感光層
感光体の感光層構成は、前中間層の上に電荷発生機能と電荷輸送機能を1つの層に持たせた単層構造の感光層構成でも良いが、より好ましくは感光層の機能を電荷発生層と電荷輸送層に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層の構成を取ることが好ましい。正帯電用の感光体では前記層構成の順が負帯電用感光体の場合の逆となる。これらの中で最も好ましい感光層構成は前記機能分離構造を有する負帯電用感光体構成である。
【0052】
以下に機能分離負帯電用感光体の感光層構成について説明する。
《電荷発生層》
電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成する。
【0053】
電荷発生物質は、公知のフタロシアニン化合物を用いることができる。好ましくはチタニルフタロシアニン化合物及びヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物である。更にはチタニルフタロシアニンのY型、A型(β型)等、Cu−Kα特性X線(波長1.54Å)に対するブラッグ角2θの主要ピークが特徴的なチタニルフタロシアニン化合物が良い。これらオキシチタニルフタロシアニンについては特開平10−69107号公報に記載されている。又、これらの電荷発生物質は単独で使用しても、2種以上例えばY型とA型を混合して使用しても良く、多環キノン例えばペリレン顔料と混合して用いても良い。
【0054】
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることが出来、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の中で、2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0055】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布層を乾燥して作製することが好ましい。
【0056】
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0057】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用出来るがこれらに限定されるものではない。
【0058】
電荷発生層を形成する塗布機としては浸漬塗布機、リングコーター等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0059】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500質量部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μmである。
【0060】
《電荷輸送層》
電荷輸送層は、電荷輸送性化合物とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送性化合物をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0061】
電荷輸送性化合物は、前記一般式(1)のトリフェニルアミン構造を有するものであり、これらを2種以上混合して使用してもよい。
【0062】
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることが出来、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはポリカーボネートのBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等がクラック、耐摩耗性、帯電特性の点で好ましい。
【0063】
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送性化合物を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布層を乾燥して作製することが好ましい。
【0064】
上記バインダー樹脂と電荷輸送性化合物を溶解するための溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0065】
バインダー樹脂に対する電荷輸送性化合物の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送性化合物10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部である。
【0066】
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送性化合物の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは10〜100μmで、さらに好ましくは15〜40μmである。
【0067】
更に電荷輸送層中には酸化防止剤(AO剤)、電子受容性物質(EA剤)、安定剤等を添加しても良い。AO剤については特願平11−200135号、EA剤は特開昭50−137543号公報、特開昭58−76483号公報に記載のものが良い。
【0068】
(4)保護層
耐久性をアップする為に、電荷輸送層上に保護層を設けても良い。特開平9−190004号、特開平10−095787号、特開2000−171990の各公報に記載のシロキサン系樹脂を用いた保護層は耐摩耗性を改良し、好ましい。
【0069】
上記では好ましい感光体の層構成を例示したが、上記以外の層構成でも良い。次に、本発明で用いるトナーの構成及びその製造方法の一例について説明する。
【0070】
本発明で用いるトナーは、重合性単量体を水系媒体中で重合する製造方法が好ましいが、この製造方法は、重合性単量体を懸濁重合法により重合して樹脂粒子を調製し、あるいは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるいはミニエマルジョン重合を行って微粒の樹脂粒子を調製し、必要に応じて荷電制御性樹脂粒子を添加した後、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造するものである。
【0071】
(1)懸濁重合法
本発明で用いるトナーを製造する方法の一例としては、重合性単量体中に荷電制御性樹脂を溶解させ、着色剤や必要に応じて離型剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、攪拌機構が後述の攪拌翼である反応装置(攪拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。なお、ここで「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0072】
(2)乳化重合法
また、本発明で用いるトナーを製造するその他の方法として樹脂粒子を水系媒体中で塩析/融着させて調製する方法が好ましい。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号、同6−329947号、同9−15904号に示す方法等を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂及び着色剤等より構成される微粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中に、これらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明で用いるトナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0073】
本発明で用いるトナーの製造方法においては、重合性単量体に結晶性物質を溶かした後、重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる方法が好ましく用いられる。重合性単量体に結晶性物質を溶かすとき、結晶性物質を溶解させて溶かしても、溶融して溶かしてもよい。
【0074】
また、本発明で用いるトナーの製造方法としては、多段重合法によって得られる複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる工程が好ましく用いられる。ここで、多段重合法について以下に説明する。
【0075】
《多段重合法により得られる複合樹脂粒子の製造方法》
多段重合法を用いる場合、以下に示す工程より構成されることが好ましい。
【0076】
1:多段重合工程
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程
3:トナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
から構成される。
【0077】
以下、各工程について、詳細に説明する。
〈多段重合工程〉
多段重合工程とは、オフセット発生防止したトナーを得るべく樹脂粒子の分子量分布を拡大させるために行う重合方法である。すなわち、1つの樹脂粒子において異なる分子量分布を有する相を形成するために重合反応を多段階に分けて行うものであって、得られた樹脂粒子がその粒子の中心より表層に向かって分子量勾配を形成させる様に意図して行うものである。例えば、はじめに高分子量の樹脂粒子分散液を得た後、新たに重合性単量体と連鎖移動剤を加えることによってて低分子量の表層を形成する方法が採られている。
【0078】
製造の安定性及び得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。以下に、多段重合法の代表例である二段重合法及び三段重合法について説明する。この様な多段階重合反応によって得られたトナーでは破砕強度の観点から表層程低分子量のものが好ましい。
【0079】
〈二段重合法〉
二段重合法とは、結晶性物質を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0080】
この方法を具体的に説明すると、先ず、結晶性物質を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第一段重合)することにより、結晶性物質を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
【0081】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第二段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0082】
〈三段重合法〉
三段重合法とは、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、結晶性物質を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。本発明で用いるトナーでは上記の様な複合樹脂粒子として存在するものである。
【0083】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第一段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、結晶性物質を単量体に溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第二段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、結晶性物質を含有する樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0084】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第三段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、中間層を組み入れることにより、結晶性物質を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0085】
本発明で用いるトナーの製造方法の1態様においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つの特徴である。すなわち、結晶性物質を含有する樹脂粒子(核粒子)又は被覆層(中間層)を形成する際に、結晶性物質を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
【0086】
本発明に用いられる水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0087】
結晶性物質を含有する樹脂粒子又は被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、結晶性物質を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、ここでは「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
【0088】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた結晶性物質が脱離が少なく、形成される樹脂粒子又は被覆層内に十分な量の結晶性物質を導入することができる。
【0089】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するロータを備えた攪拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmが好ましく、更に好ましくは50〜1000nmであり、特にに好ましくは30〜300nmである。
【0090】
分散粒子径に分布を持たせることで、トナー中における結晶性物質の相分離構造、すなわちフェレ水平径、形状係数及びこれらの変動係数を制御してもよい。
【0091】
なお、結晶性物質を含有する樹脂粒子又は被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)又は被覆層であって、結晶性物質を含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0092】
この重合工程で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0093】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
【0094】
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲が好ましい。
本発明で用いるトナーは、樹脂及び着色粒子の表面に、塩析/融着法によって樹脂粒子を融着させて樹脂層を形成させて得られるものであるが、このことについて以下に説明する。
【0095】
〈塩析/融着工程〉
この塩析/融着工程は、前記多段重合工程によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
【0096】
塩析/融着とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、又は、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させることが好ましい。
【0097】
この塩析/融着工程では、複合樹脂粒子及び着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0098】
〈熟成工程〉
熟成工程は、塩析/融着工程に後続する工程であり、樹脂粒子の融着後も温度を結晶性物質の融点近傍、好ましくは融点±20℃に保ち、一定の強度で攪拌を継続することにより、結晶性物質を相分離させる工程である。この工程において結晶性物質のフェレ水平径、形状係数及びこれらの変動係数を制御することが可能である。
【0099】
また、凝集剤に用いる2価(3価)の金属元素と後述する凝集停止剤として加える1価の金属元素の合計値が350〜35000ppmであることが好ましい。トナー中の金属イオン残存量の測定は、蛍光X線分析装置「システム3270型」(理学電気工業株式会社製)を用いて、凝集剤として用いられる金属塩の金属種(例えば、塩化カルシウムに由来するカルシウム等)から発する蛍光X線強度を測定することによって求めることができる。具体的な測定法としては、凝集剤金属塩の含有割合が既知のトナーを複数用意し、各トナー5gをペレット化し、凝集剤金属塩の含有割合(質量ppm)と、当該金属塩の金属種からの蛍光X線強度(ピーク強度)との関係(検量線)を測定する。次いで、凝集剤金属塩の含有割合を測定すべきトナー(試料)を同様にペレット化し、凝集剤金属塩の金属種からの蛍光X線強度を測定し、含有割合すなわち「トナー中の金属イオン残存量」を求めることができる。
【0100】
〈濾過・洗浄工程〉
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0101】
〈乾燥工程〉
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理し、トナー中の全芳香族揮発性化合物の量を5〜30ppmにコントロールする工程である。
【0102】
この工程で使用される乾燥機としては、減圧スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができるが、減圧可能な静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機及び攪拌式乾燥機等を使用することが好ましい。
【0103】
乾燥時の減圧度、乾燥温度及び乾燥時間は特に限定されないが、減圧度は1kPa程度、温度はトナーのTg以下が好ましい。乾燥時間は、あまり長いと生産性が悪くなり問題となる。
【0104】
又、揮発性溶媒等で、揮発性芳香族化合物を洗浄して、トナー中の全芳香族揮発性化合物の量を5〜30ppmにコントロールする手段も有効である
なお、乾燥処理されたトナー粒子が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。解砕処理する装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等を使用することができる。
【0105】
本発明に用いるトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
【0106】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
【0107】
また、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
【0108】
更に、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性及び巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像が得られる。
【0109】
次に、トナー製造工程で用いる各構成因子について、詳細に説明する。
(重合性単量体)
本発明に係るトナーの樹脂(バインダー)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有するモノマーを少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0110】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0111】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0112】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体及びその誘導体が挙げられる。
【0113】
アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0114】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0115】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0116】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0117】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0118】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0119】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0120】
(a)の−COO基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、及びこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0121】
(b)の−SOH基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0122】
(4)塩基性極性基を有するモノマー
塩基性極性基を有するモノマーとしては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有するモノマーとして好ましい。
【0123】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0124】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0125】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0126】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0127】
(重合開始剤)
本発明で用いるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0128】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温又はそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0129】
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0130】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0131】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0132】
これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は他の目的で使用してもよい。
【0133】
(凝集剤)
本発明で用いる凝集剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0134】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0135】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0136】
臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著 高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0137】
ここでは金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0138】
凝集剤としての金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0139】
(着色剤)
本発明で用いるトナーは、上記の複合樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着して得られる。
【0140】
本発明で用いるトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0141】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0142】
これらの無機顔料は所望に応じて単独又は複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0143】
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0144】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0145】
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0146】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0147】
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0148】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0149】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独又は複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0150】
本発明に係るトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素株式会社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達株式会社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素株式会社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0151】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0152】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0153】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0154】
(離型剤)
本発明で用いるトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
【0155】
本発明で用いるトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0156】
−(OCO−R
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R、Rは、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。Rは、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0157】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0158】
【化4】
Figure 2004020805
【0159】
【化5】
Figure 2004020805
【0160】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0161】
本発明に係るトナーでは、ミニエマルジョン重合法により樹脂粒子中に上記離型剤を内包させ、トナー粒子とともに塩析、融着させて調製することが好ましい。
【0162】
(荷電制御剤)
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を添加することができる。具体的には、荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0163】
荷電制御剤は、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0164】
(外添剤)
本発明で用いるトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0165】
外添剤として使用できる無機微粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子等を好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水性であることが好ましい。
【0166】
シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル株式会社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト株式会社製のHVK−2150、H−200、キャボット株式会社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0167】
チタン微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル株式会社製の市販品T−805、T−604、テイカ株式会社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン株式会社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産株式会社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0168】
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル株式会社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業株式会社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0169】
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
【0170】
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0171】
外添剤の添加量としては、トナーに対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
【0172】
〈外添剤の添加工程〉
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程である。
【0173】
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0174】
(トナー粒子)
本発明で用いるトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、トナーの製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
【0175】
個数平均粒径が3〜10μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0176】
トナーの個数平均粒径は、レーザー回折式粒径測定装置「コールターカウンターTA−II」、「コールターマルチサイザーSLAD1100」(島津製作所株式会社製)等を用いて測定することができる。
【0177】
ここでは「コールターマルチサイザーSLAD1100」を用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機株式会社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記「コールターマルチサイザーSLAD1100」におけるアパーチャーとしては、100μmのものを用いて、2μm以上(例えば2〜40μm)のトナーの体積分布を測定して粒度分布及び平均粒径を算出した。
【0178】
次に、本発明で用いるトナーを用いた現像剤の構成及びその製造方法の一例について説明する
本発明に係るトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0179】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0180】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0181】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック株式会社製)により測定することができる。
【0182】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0183】
本発明の画像形成装置は、感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器、転写器、必要に応じクリーニング器が配置されている。
【0184】
これらの中で、感光体に直接接触して使用されている、帯電器、転写器、クリーニング器のクリーニングブレードについて、その構成及び製造方法の一例を説明するがこれらに限定されるものではない。
【0185】
(1)帯電器
感光体表面に接触(圧接)して帯電する帯電器としては、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシ、磁気ブラシ等を用いることができるが、これらの中では帯電ローラ、或いは磁気ブラシが好ましく用いられる。即ち、帯電の均一性が得られやすい帯電ローラ或いは磁気ブラシが良い。以下、帯電ローラ及び磁気ブラシについて説明する。
【0186】
《帯電ローラ》
帯電ローラによる帯電は、直流電圧をローラに印加する直流帯電方式、交流電圧をローラに印加する誘導帯電方式のいずれでもよい。
【0187】
誘導帯電方式で印加される電圧の周波数fは任意のものが用いられるが、ストロービングすなわち縞模様を防止するために、導電性弾性ローラと感光体の相対速度に応じて適当な周波数を選択できる。該相対速度は導電性弾性ローラと感光体との接触領域の大きさによって決めることができる。
【0188】
導電性弾性ローラは芯金の外周に導電性弾性部材よりなる層(単に導電性弾性層、導電性ゴム層ともいう)を被覆したものである。
【0189】
前記導電性ゴム層に用いることのできるゴム組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独で又は2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0190】
導電性を付与するために、これらのゴム組成物に導電性付与剤を配合して使用する。適当な導電性付与剤としては、公知のカーボンブラック(ファーネス系カーボンブラック又はケツチエンブラック)、酸化錫等の金属粉が挙げられる。導電性付与剤の使用量はゴム組成物全量に対して5〜50質量部である。
【0191】
ゴム組成物には、ゴム基材、発泡剤、導電性付与剤以外に必要に応じて、ゴム用薬品、ゴム添加剤を配合して導電性発泡ゴム組成物とすることもできる。ゴム用薬品、ゴム添加剤としては、硫黄、パーオキサイド等の加硫剤、亜鉛華、ステアリン酸等の加硫促進助剤、スルフェンアミド系、チラウム系、チアゾール系、グラニジン系等の加硫促進剤、アミン系、フェノール系、硫黄系、リン系等の老化防止剤、又は酸化防止剤、紫外線吸収剤、オゾン劣化防止剤、粘着付与剤等を使用することができ、さらに各種の補強剤、摩擦係数調整剤、シリカ、タルク、クレイ等の無機充填剤も任意に選択し使用し得る。これらの導電性ゴム層は10〜10Ω・cmの範囲の直流体積抵抗率を有することが好ましい。
【0192】
更にこれら導電性弾性層の外側には、感光体表面に残留したトナー等の帯電部材への付着を防止する目的で、離型性被覆層を設けてもよい。該被覆層又は弾性層からのオイルの浸みだしの防止をはかると共に弾性層の抵抗ムラをキャンセルし、抵抗の均一化をはかる、帯電ローラの表面を保護する、帯電ローラの硬度を調整する、等の機能を果たしている。被覆層は上記物性を満足するものであれば、いずれのものでも良く、単一の層でも複数の層でも良い。材料としてはヒドリンゴム、ウレタンゴム、ナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂が挙げられる。
【0193】
又、被覆層の厚みは100〜1000μmであることが好ましく、抵抗値は10〜10Ω・cmであることが好ましい。また、表層に近づくにつれ抵抗値は大きくなっていることが好ましい。抵抗を調整する方法としては、被覆層にカーボンブラック、金属及び金属酸化物等の導電性物質を含有させること等が挙げられる。
【0194】
帯電ローラの表面粗さRzを調整するには帯電ローラの表面層(導電性弾性層又は被覆層)に粉体を含有させることが好ましい。本発明で用いる粒体は、無機物あるいは有機物のいずれでもよいが、無機物の場合、シリカ粉末が特に好ましい。有機物の場合、たとえばウレタン樹脂粒子、ナイロン粒子、シリコーンゴム粒子、エポキシ樹脂粒子等が挙げられるがこれらの中ではウレタン微粒子が好ましい。これらの粒子は単独で又は2種以上混合して用いられる。適当な粒体は表面層の表面粗さRzを0.05〜10.0μmの範囲に調整できる物質を選べばよいが、粒体の粒子径が1〜20μmの範囲にあると所望の表面粗さの範囲が達成されやすい。
【0195】
粉体の表面層中の配合割合は、樹脂100質量部に対して5〜20質量部の割合で配合し、分散することが好ましい。
【0196】
帯電ローラは、たとえば次のようにして製造することができる。すなわち、まず円筒状成形空間を有する成形型内に、金属製の回転軸(芯金)を入れ成形型内に導電性弾性体層形成材料を充填し、加硫を行うことにより回転軸の外周面に導電性弾性体層を形成する。次いで、導電性弾性体層の形成された回転軸を成形型から取出す。一方、ウレタン樹脂等の材と、粒体、導電付与剤その他の添加剤を配合し、この配合物をボールミル等を用いて混合、撹拌し表面層形成材料混合物を調製する。そしてこの混合物をディップ法、ロールコート法、スプレーコーティング法等によって前記導電性弾性体層の形成された回転軸表面に均一な厚みに塗工して乾燥し、加熱硬化することにより2層構造の帯電ローラを製造することができる。
【0197】
このようにして得られる帯電ローラは、その最外層である表面層の表面の粗さRzが0.05〜10.0μmに形成される。
【0198】
《磁気ブラシ》
次に、帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子について説明する。
【0199】
一般に帯電用磁気ブラシを形成する磁気粒子の体積平均粒径が大きいと、(イ)帯電用磁気粒子搬送体(搬送担体)上に形成される磁気ブラシの穂の状態が粗いために、電界による振動を与えながら帯電しても、磁気ブラシにムラが現れ易く、帯電ムラの問題が起こる。この問題を解消するには、磁気粒子の体積平均粒径を小さくすればよく、実験の結果、体積平均粒径が200μm以下でその効果が現れ始め、特に150μm以下になると、実質的に磁気ブラシの穂の粗に伴う問題が生じなくなる。しかし、粒子が細か過ぎると帯電時に感光体ドラム3面に付着するようになったり、飛散し易くなったりする。これらの現象は、粒子に作用する磁界の強さ、それによる粒子の磁化の強さにも関係するが、一般的には、粒子の体積平均粒径が20μm以下に顕著に現れるようになる。
【0200】
以上から、磁気粒子の粒径は体積平均粒径が20〜200μmであり、且つ該磁気粒子の個数平均粒径の1/2倍以下の粒径を有する磁気粒子を30個数%以下とすることが好ましい。なお、磁化の強さは3.7×10−2〜13×10−2ewb・m/gのものが好ましく用いられる。
【0201】
このような磁気粒子は、磁性体として従来の二成分現像剤の磁性キャリヤ粒子におけると同様の、鉄、クロム、ニッケル、コバルト等の金属、あるいはそれらの化合物や合金、例えば四三酸化鉄、γ−酸化第二鉄、二酸化クロム、酸化マンガン、フェライト、マンガン−銅系合金、と云った強磁性体の粒子、又はそれら磁性体粒子の表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン変性樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂で被覆するか、あるいは、磁性体微粒子を分散して含有した樹脂で作るかして得られた粒子を従来公知の平均粒径選別手段で粒径選別することによって得られる。
【0202】
図1は、接触式の磁気ブラシの一例を示す構成図である。
図1によれば、帯電器としての磁気ブラシ120は回転する感光体ドラム3と対向し、感光体ドラム3との近接部(帯電部T)において同方向(反時計方向)に回転される帯電用磁気粒子搬送体としての、例えばアルミ材やステンレス材を用いた円筒状の帯電スリーブ120aと、該帯電スリーブ120aの内部に設けられるN、S極よりなる磁石体121と、該磁石体121により帯電スリーブ120aの外周面上に形成され感光体ドラム3を帯電する磁気粒子からなる磁気ブラシと、磁石体121のN−N磁極部において該帯電スリーブ120a上の磁気ブラシを掻取るスクレーパ123と、磁気ブラシ120内の磁気粒子を撹拌或いは磁気粒子供給時に使用済み磁気粒子を磁気ブラシ120の排出口125より溢れさせて排出する撹拌スクリュウ124と、磁気ブラシの穂立ち規制板126とにより構成される。帯電スリーブ120aは磁石体121に対し回動可能になっていて、感光体ドラム3との対向位置で感光体ドラム3の移動方向と同方向(反時計方向)に0.1〜1.0倍の周速度で回転させられるのが好ましい。また帯電スリーブ120aは、帯電バイアス電圧を印加し得る導電性の搬送担体が用いられるが、特に、表面に粒子層が形成される導電性の帯電スリーブ120aの内部に複数の磁極を有する磁石体121が設けられている構造のものが好ましく用いられる。このような搬送担体においては、磁石体121との相対的な回転によって、導電性の帯電スリーブ120aの表面に形成される磁気粒子層が波状に起伏して移動するようになるから、新しい磁気粒子が次々と供給され、帯電スリーブ120a表面の磁気粒子層に多少の層厚の不均一があっても、その影響は上記波状の起伏によって実際上問題とならないように十分カバーされる。帯電スリーブ120aの表面は磁気粒子の安定な均一搬送のために表面の平均粗さを5.0〜30μmとすることが好ましい、平滑であると搬送は十分に行えなく、粗すぎると表面の凸部から過電流が流れ、どちらにしても帯電ムラが生じ易い。上記の表面粗さとするにはサンドブラスト処理が好ましく用いられる。また、帯電スリーブ120aの外径は5.0〜20mmが好ましい。これにより、帯電に必要な接触領域を確保する。接触領域が必要以上に大きいと帯電電流が過大となるし、小さいと帯電ムラが生じ易い。また上記のように小径とした場合、遠心力により磁気粒子が飛散あるいは感光体ドラム3に付着し易いために、帯電スリーブ120aの線速度は感光体ドラム3の移動速度と殆ど同じか、それよりも遅いことが好ましい。
【0203】
また、帯電スリーブ120a上に形成する磁気粒子層の厚さは、規制手段によって十分に掻き落されて均一な層となる厚さであることが好ましい。帯電領域において帯電スリーブ120aの表面上の磁気粒子の存在量が多すぎると磁気粒子の振動が十分に行われず感光体の摩耗や帯電ムラを起こすとともに過電流が流れ易く、帯電スリーブ120aの駆動トルクが大きくなるという欠点がある。反対に磁気粒子の帯電領域における帯電スリーブ120a上の存在量が少な過ぎると感光体ドラム3への接触に不完全な部分を生じ磁気粒子の感光体ドラム3上への付着や帯電ムラを起こすことになる。
【0204】
帯電器としての磁気ブラシ120には、直流(DC)バイアスE3に必要により交流(AC)バイアスAC3が重畳される帯電バイアス、例えば直流バイアスE3としてトナーと同極性(本実施形態においてはマイナス極性)の−100〜−500Vが、また交流バイアスAC3として周波数1〜5kHz、電圧300〜500Vp−pの帯電バイアスが印加される帯電スリーブ120aにより、感光体ドラム3の周面が接触、摺擦されて感光体ドラム3が帯電される。帯電スリーブ120aと感光体ドラム3との間には前記交流バイアスAC3の電圧印加による振動電界が形成されているので、磁気ブラシを経て感光体ドラム上への電荷の注入が円滑に行われて一様に高速な帯電が行われる。
【0205】
感光体ドラム3を帯電した帯電スリーブ120a上の磁気ブラシは、磁石体121に設けられるN−N磁極部において、スクレーパ123により帯電スリーブ120a上より落下され帯電スリーブ120aとの近接部において帯電スリーブ120aと逆方向(反時計方向)に回転する撹拌スクリュウ124により撹拌された後、再度磁気ブラシ形成され帯電部Tに搬送される。
【0206】
(2)転写器
感光体表面と接触(圧接)して用いる転写器としては、転写ローラ、転写ベルト等を用いることができる。以下、転写ローラについて説明する。
【0207】
転写ローラは、転写回転体として弾性ゴム層を有する転写ローラを用い、これを感光体や中間転写体に接触(圧接)させて転写ニップを形成し、転写ローラに印加された転写バイアスの作用で像担持体上のトナーを記録材や中間転写体へ転写するものである。
【0208】
転写ローラは、一般的に金属製芯金上にカーボン、イオン導電性フィラー等により抵抗を調整しその抵抗値を1×10〜1×1010Ωとした導電性ゴム弾性体層、あるいはその発泡体ゴム弾性体層を形成した硬度20〜70度(アスカーC)の弾性ローラを用いる。ゴム弾性体層に用いることができる組成物としては、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらのゴムは、単独で又は2種以上の混合ゴムとして使用することができる。
【0209】
(3)クリーニングブレード
感光体表面に接触(当接)して用いるクリーニングとしては、クリーニングブレード、クリーニングブラシ等を用いることができる。これらの中ではクリーニングブレードが好ましく用いられる。以下クリーニングブレードのクリーニングについて説明する。
【0210】
クリーニング器はクリーニングブレードが支持部材に取り付けられ、クリーニングブレードのエッジ部が感光体表面に定められた加重で当接されている。該クリーニングブレードの材質としてはゴム弾性体が用いられ、その組成物としてはウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができるが、これらの内ではウレタンゴムが他のゴムに比して摩耗特性が優れている点で特に好ましい。例えば、特開昭59−30574号に記載のポリカプロラクトンエステルとポリイソシアネートとを反応硬化せしめて得られるウレタンゴム等が好ましい。
【0211】
これらのウレタンゴムは、他のゴムに比べ、クラックを促進する不純物の含有量が少なく、特に高温、高湿の条件で放置したときに効果的である。
【0212】
一方、支持部材は板状の金属部材やプラスチック部材で構成される。金属部材としてはステンレス鋼板、アルミ板、或いは制震鋼板等が好ましい。
【0213】
次に、本発明の画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジについて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0214】
図2は、帯電ローラを適用した画像形成装置の一例を示す構成図である。
この画像形成装置は、静電潜像形成のために帯電ローラを感光体ドラムに接触させて帯電し、又トナーの転写紙への転写のための転写器に転写ローラを用いて、この転写ローラを直接或いは転写紙を挟んで感光体ドラムに接触させることによりオゾンの発生を回避させた態様のものである。
【0215】
図2(a)において帯電ローラ4によって帯電された感光体ドラム3上に静電潜像が形成される。そして、この静電潜像は、感光体ドラム3に近接して配置された現像器16の現像剤担持体である現像スリーブによってトナー像に顕像化される。そして、転写前の除電ランプ5によって感光体ドラム3の電荷が除電された後、トナー像は、給紙カセットから搬送ローラ8によって搬送されてきた転写体(転写紙)18に、転写ローラ6によりトナーと逆極性の電荷が付与され、この逆極性の電荷の静電気力により転写体18にトナーが転写される。トナー転写後の転写体18は、感光体ドラム3から分離された後、搬送ベルト7によって定着装置へ送られ、加熱ローラと押圧ローラによってトナー像が転写体18に定着される。
【0216】
前記帯電ローラ4(及び転写ローラ6)には電源9(10)からDC及びAC成分から成るバイアス電圧が印加され、オゾン発生量が極めて少ない状態で感光体ドラム3への帯電及びトナー像の転写紙18への転写が行なわれる。前記バイアス電圧は通常±500〜1000VのDCバイアスとこれに重畳して100Hz〜10KHz、200〜3500Vp−pのACバイアスとからなる。
【0217】
前記帯電ローラ4及び転写ローラ6は感光体ドラム3への圧接下に従動又は強制回転される。
【0218】
前記感光体ドラム3への圧接は0.1〜1.0N/cmとされローラの回転は感光体ドラム3の周速の1〜8倍とされる。
【0219】
図2(b)に示すように前記帯電ローラ4(及び転写ローラ6)は芯金20と、その外周に設けられた導電性弾性部材であるクロルプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム層又はそれらのスポンジ層21から成り、好ましくは最外層に0.01〜1μm厚の離型性弗素系樹脂又はシリコーン樹脂層から成る保護層22を設けて構成される。
【0220】
転写後の感光体ドラム3はクリーニング器11のクリーニングブレード12の当接によりクリーニングされ次の画像形成に供えられる。
【0221】
画像形成装置としては、感光体と、帯電ローラ、現像器、転写ローラ、クリーニング器等の構成要素の何れかとをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在(出し入れ可能)な単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて装填する構成に形成しても良い。
【0222】
図3は、磁気ブラシを適用した画像形成装置の一例を示す断面図である。
図3において3は感光体ドラム(感光体)で、接地されて時計方向に駆動回転される。152は磁気ブラシで、感光体ドラム3周面に対し一様な帯電を与えられる。この磁気ブラシ152による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部151による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0223】
感光体への一様帯電ののち像露光器153により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器153は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー531、fθレンズ等を経て反射ミラー532により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0224】
その静電潜像は次いで現像器16で現像される。感光体ドラム3周縁にはトナーとキャリアとから成る現像剤を内蔵した現像器16が設けられていて、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブによって現像が行われる。現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム3と現像スリーブの間に直流バイアス、必要に応じて交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。また、現像剤は感光体に対して接触あるいは非接触の状態で現像される。
【0225】
転写体18は画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ157の回転作動により転写域へと給紙される。
【0226】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム3の周面に転写ローラ6が圧接され、給紙された転写体18を挟着して転写を行う。
【0227】
次いで転写体18は転写ローラとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)159によって除電がなされ、感光体ドラム3の周面により分離して定着装置160に搬送され、熱ローラ601と圧着ローラ602の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラー161を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラ6及び分離ブラシ159は転写体18の通過後感光体ドラム3の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0228】
一方転写体18を分離した後の感光体ドラム3は、クリーニング器11のクリーニングブレード12の当接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部151による除電と帯電器152による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。
【0229】
尚、70は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器を一体化されている着脱自在(出し入れ可能)なプロセスカートリッジである。
【0230】
画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在(出し入れ可能)に形成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在(出し入れ可能)の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0231】
本発明の画像形成装置は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0232】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0233】
1.感光体
《感光体1の作製》
引き抜き加工により得られた円筒状アルミニウム基体上に、下記中間層塗布液を調製、塗布して、乾燥膜厚0.5μmの中間層を形成した。
【0234】
〈中間層塗布液〉
ポリアミド樹脂「アミランCM−8000」(東レ株式会社製) 60g
メタノール                      1600ml
1−ブタノール                     400ml
次に、下記組成物を、サンドミルを用いて10時間分散して下記電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0235】
〈電荷発生層塗布液〉
Y型チタニルフタロシアニン                 60g
シリコーン樹脂溶液                    700g
「KR5240」15%キシレン−ブタノール溶液(信越化学株式会社製)
2−ブタノン                     2000ml
最後に、下記組成物を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、「感光体1」を作製した。
【0236】
〈電荷輸送層塗布液〉
電荷輸送性化合物「化合物(1−5)」           200g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート            300g
「ユーピロンZ300」(三菱ガス化学株式会社製)
テトラヒドロフラン                  2000ml
トルエン                        200ml
《感光体2の作製》
「感光体1」の電荷輸送性化合物「化合物(1−5)」を「化合物(1−6)」に変更した以外は、「感光体1」と同様にして、「感光体2」を作製した。
【0237】
《感光体3の作製》
「感光体1」の電荷輸送性化合物「化合物(1−5)」を「化合物(2)」に変更した以外は、「感光体1」と同様にして、「感光体3」を作製した。
【0238】
【化6】
Figure 2004020805
【0239】
《感光体4の作製》
「感光体1」の電荷輸送性化合物「化合物(1−5)」を「化合物(3)」に変更した以外は、「感光体1」と同様にして、「感光体4」を作製した
【0240】
【化7】
Figure 2004020805
【0241】
《感光体5の作製》
「感光体1」の電荷輸送性化合物「化合物(1−5)」を「化合物(4)」に変更した以外は、「感光体1」と同様にして、「感光体5」を作製した
【0242】
【化8】
Figure 2004020805
【0243】
2.トナー
《トナー1の作製》
(ラテックス1の調製)
ノニオン界面活性剤「アンタロックス」(ANTAROX:商品名)1.7質量%、カチオン界面活性剤「サニゾールB」(SANIZOL B:商品名)1.8質量%、ドデカンチオール、四臭化炭素及びカチオン開始剤(2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジハイドロクロライド)を含む水中に樹脂粒子30質量%(この樹脂はスチレン、ブチルアクリレート及び3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドとから作られた。)を含む「ラテックス1」を以下のようにして調製した。
【0244】
機械的攪拌機を備えた1リットルの反応容器に、スチレンを328g、ブチルアクリレートを72g、ドデカンチオールを12g、四臭化炭素を4g、3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを16g、水を500g、「アンタロックス」(ANTAROX:商品名)を8.6g、「サニゾールB」(SANIZOL B:商品名)を9g及び2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジハイドロクロライドを13.5g、を入れた。得られた混合物を窒素雰囲気下で6時間70℃に加熱した。
【0245】
(着色粒子1の調製)
「PVファーストブルー」(PV FASTBLUE:商品名)5質量%、(スチレン−ブチルアクリレート−3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)95質量%から成る「着色粒子1」を以下のように調製した。
【0246】
機械的攪拌機を備えた1リットルのフラスコに前記の「ラテックス1」を300g加えた。この混合物を攪拌しながら、リトマスpH紙で測定してpHが約10になるまで1%の水酸化カリウム水溶液を一滴づつ加えた。この混合物を25℃で3時間攪拌した。別の300mlの金属ビーカーに、「PVファーストブルー」(PV FASTBLUE:商品名)を15g、「ネオゲンR」(NEOGENR:商品名)(アニオン界面活性剤)を1.2g及び水100gを加え、この顔料をポリトロンを使用して8000回転/分で5分間分散し、「顔料分散液1」を調製した。次に、この「顔料分散液1」を「ラテックス1」を含有する1リットルのフラスコに入れ、100gの水を加えた。粒子の凝集が起こり、フラスコの混合物を25℃で2000回転/分で2分間均質化した。次に、この混合物を1時間かけて約60℃まで加熱し、25gの水に0.5gの「サニゾールB」(SANIZOL B:商品名)を含む溶液を加えた。この混合物を2時間かけて96℃まで加熱し、さらに3時間加熱し続け、この混合物を約25℃の室温に冷却し、濾過し、水(約16リットル)で十分に洗浄した後、1kPaに減圧した乾燥機中に入れ、30℃の温度で10時間乾燥を行い「着色粒子1」を調製した。
【0247】
(トナー1の作製)
上記で調製した「着色粒子1」100gに外添剤として、平均粒径0.05μmの疎水性シリカ8gを添加し、ミキサーにより外添処理を行い、「トナー1」を作製した。
【0248】
《トナー2の作製》
(着色剤分散液2の調製)
下記化合物(5)のマゼンタ顔料40gに脱塩水160g、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩5gを添加しサンドグラインダーミルで5時間分散処理して平均粒径0.18μmの「着色剤分散液2」を調製した。
【0249】
【化9】
Figure 2004020805
【0250】
(結着樹脂乳化液2の調製)
反応器に固形分30%のエステルワックスエマルジョン2.2kg、脱塩水26kgを入れ90℃に昇温し、ドデシルベンゼンスルホン酸塩6g、スチレン5kg、n−ブチルアクリレート1.3kg、アクリル酸186g、ジビニルベンゼン(55%品)25g、トリクロロブロロメタン31g、8%過酸化水素水溶液656g、8%アスコルビン酸水溶液656gを添加した。90℃にて7時間反応を継続し、Mp52,800、Mw112,400であるスチレンアクリルポリマーからなる「結着樹脂乳化液2」を調製した。
【0251】
(帯電制御剤分散液2の調製)
4,4’−メチレンビス(2−(N−(4−クロロフェニル)アミド)−3−ヒドロキシナフタレン)40gに脱塩水160g、分散剤としてアルキルナフタレンスルフォン酸塩8gを添加し、サンドグラインダーミルで3時間分散処理して「帯電制御剤分散液2」を調製した。
【0252】
(着色粒子2の調製)
「結着樹脂乳化液2」300gに「着色剤分散液2」19g、「帯電制御剤分散液2」1.8gを混合攪拌した。攪拌を継続しながらこの中に0.5%Al(SO79gを加え60℃に昇温し攪拌を継続した。ドデシルベンゼンスルホン酸塩2gを添加し98℃に昇温し7時間攪拌を継続した。得られた粒子を吸引濾過、水洗を繰り返した後、1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、30℃の温度で10時間乾燥して「着色粒子2」60gを調製した。得られた粒子をコールターカウンターを用いて粒径を測定したところ、体積平均径は7.6μmであった。
【0253】
(トナー2の作製)
「着色粒子2」100gに対して、外添剤として疎水性の表面処理をしたシリカ微粒子を1g添加し、混合攪拌して外添処理を行い、「トナー2」を作製した。
【0254】
《トナー3の作製》
(水系分散媒体3の調製)
イオン交換水710質量部に、0.1モル/リットルのNaPO水溶液450質量部を投入して60℃に加温した後、「クリアミキサー」(エム・テクニック株式会社製)を用いて3,500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リットルのCaCl水溶液を68質量部添加し、分散安定化剤であるCa(POが微細に分散されている「水系分散媒体3」を調製した。
【0255】
(着色剤分散液3の調製)
一方、分散質系としては、先ず、下記処方のうち、グラフト化カーボンブラック、サリチル酸金属化合物とスチレン単量体100質量部を「アトライター」(三井三池化工機株式会社製)を用い3時間分散し、「着色剤分散液3」を調製した。
【0256】
(重合性単量体組成物3の調製)
次に、この着色剤分散液に、下記処方の残りのすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、「重合性単量体組成物3」を調製した。
【0257】
スチレン単量体                     165質量部
n−ブチルアクリレート                  35質量部
グラフト化カーボンブラック                15質量部
飽和ポリエステル                     15質量部
サリチル酸金属化合物                    2質量部
化合物(6)                       25質量部
(DSCにおけるピーク温度=59.4℃、ビッカース 硬度1.5)
【0258】
【化10】
Figure 2004020805
【0259】
(湿潤着色粒子3の調製)
上記で得られた「重合性単量体組成物3」を、前記で調製した水系分散媒体中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速攪拌機からプロペラ攪拌羽根に攪拌機を変え、内温を80℃に昇温させ、50回転/分で重合を10時間継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、分散安定剤であるCa(POを溶解させた後、濾過、水洗を行って、含水率20%の湿潤状態の「湿潤着色粒子3」を得た。
【0260】
(着色粒子3の調製)
上記で得られた「湿潤着色粒子3」を解砕後、連続瞬間気流乾燥機「フラッシュドライヤーFJD−4」(セイシン企業株式会社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件としては、90℃の空気を線速度16.5m/秒で吹き込み、「湿潤着色粒子3」を20kg/hrで連続的に供給し一次乾燥を行った。このような一次の乾燥が終了した後の粒子の含水率を測定したところ、0.1%であった。又、この時点での粒子に残留している重合性単量体の量を測定した結果、重合性単量体の含有量は、680ppmであった。この粒子を、1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、45℃の温度で20時間乾燥を行い、「着色粒子3」を調製した。
【0261】
(トナー3の作製)
次に、取り出した「着色粒子3」30kgと、外添剤として、平均粒径0.05μmの酸化チタン240gを添加し、「ナウターミキサ」(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて外添剤処理を行い、「トナー3」を作製した。
【0262】
《トナー4の作製》
(ラテックス(4HML)の調製)
〈1:核粒子の調製(第1段重合)〉
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤A(C1021(OCHCHOSONa)4.0gをイオン交換水3040gに溶解した界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温した。
【0263】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10.0gをイオン交換水400gに溶解した開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン528g、n−ブチルアクリレート204g、メタクリル酸68.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル24.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(4H)」とする。
【0264】
〈2:中間層の形成(第2段重合)〉
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン95.0g、n−ブチルアクリレート36.0g、メタクリル酸9.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル0.59gからなる単量体混合液に、離型剤として例示化合物19)を77g添加し、90℃で加温、溶解して「単量体溶液4」を調製した。
【0265】
次いで、上記アニオン系界面活性剤Aの1.0gを、イオン交換水1560mlに溶解した界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記「ラテックス(4H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、上記調製した「単量体溶液4」を8時間混合分散し、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む乳化液を調製した。
【0266】
次いで、この乳化液に重合開始剤(KPS)5.0gをイオン交換水200mlに溶解した開始剤溶液とイオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第2段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(4HM)」とする。
【0267】
上記「ラテックス(4HM)」を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
【0268】
〈3:外層の形成(第3段重合)〉
上記調製した「ラテックス(4HM)」に、重合開始剤(KPS)6.8gをイオン交換水265mlに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン249g、n−ブチルアクリレート88.2g、メタクリル酸19.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル7.45gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、中間層に離型剤として例示化合物19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(4HML)」とする。
【0269】
(ラテックス(4L)の調製)
攪拌装置を取り付けたフラスコ内に、重合開始剤(KPS)14.8gをイオン交換水400mlに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、スチレン600g、n−ブチルアクリレート190g、メタクリル酸30.0g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル20.8gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ラテックス(低分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(4L)」とする。
【0270】
この「ラテックス(4L)」を構成する樹脂粒子は、11,000に分子量ピークを有するものであり、またこの樹脂粒子の質量平均粒径は128nmであった。
【0271】
(着色剤分散液4の調製)
アニオン系界面活性剤Aの90.0gを、イオン交換水1600mlに攪拌、溶解した。この溶液を攪拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット株式会社製)400gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液4」という。)を調製した。この「着色剤分散液4」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、質量平均粒子径で110nmであった。
【0272】
(着色粒子4の調製)
〈凝集・融着工程〉
前記調製した「ラテックス(4L)」を420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、上記調製した「着色剤分散液4」200gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9.0に調整した。
【0273】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物の12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この水溶液を60分間かけて90℃まで昇温し、粒子の成長を開始した。その状態で、「コールターカウンターTA−II」(コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.0μmになった時点で、停止剤として塩化ナトリウムの40.2gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、熟成処理として、液温度98℃にて2時間にわたり加熱攪拌することにより融着を継続させた。その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却した。
【0274】
〈シェリング工程〉
上記により、凝集・融着を行った粒子に、前記調製した「ラテックス(4L)」96gを添加し、3時間に亘り加熱、攪拌を継続し、「ラテックス(4HML)」の凝集粒子表面に「ラテックス(4L)」をシェリングさせた。次いで、塩化ナトリウム40.2gを添加し、8℃/分の降温条件で30℃まで冷却し、次いで、塩酸を添加してpHを2.0に調整して、攪拌を停止した。
【0275】
以上のようにしてシェリングした融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水
で繰り返し洗浄した。
【0276】
〈乾燥工程〉
その後、1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、40℃の温度で20時間乾燥を行い、「着色粒子4」を調製した。
【0277】
(トナー4の作製)
上記で調製した「着色粒子4」に、外添剤として疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1.0質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーを用い外添処理して、「トナー4」を作製した。
【0278】
《トナー5の作製》
「トナー1」で実施した乾燥条件(1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、30℃の温度で10時間乾燥)を、変更(常圧乾燥機に入れ、30℃の温度で10時間乾燥)した以外は「トナー1」と同様にして「トナー5」を作製した。
【0279】
《トナー6の作製》
「トナー3」で実施した乾燥条件(1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、45℃の温度で20時間乾燥)を、変更(常圧乾燥機に入れ、30℃の温度で5時間乾燥)した以外は「トナー3」と同様にして「トナー6」を作製した。
【0280】
《トナー7の作製》
「トナー4」で実施した乾燥工程(1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、40℃の温度で20時間乾燥)を、変更(1kPaに減圧された乾燥機に入れ、45℃の温度で60時間乾燥)した以外は「トナー4」と同様にして「トナー7」を作製した。
【0281】
《トナー8の作製》
「トナー2」で実施した乾燥工程(1kPaに減圧された減圧乾燥機に入れ、30℃の温度で10時間乾燥)を、変更(1kPaに減圧された乾燥機に入れ、30℃の温度で5時間乾燥)した以外は「トナー2」と同様にして「トナー8」を作製した。
【0282】
(トナー中の芳香族揮発性化合物の定量)
前記のヘッドスペースガスクロマトグラフ測定方法にしたがって、「トナー1〜8」中の芳香族揮発性化合物の定量を行った。
【0283】
「トナー1〜4」中の芳香族揮発性化合物の量は、本発明に係る値(5〜30ppm)の範囲内であったが、「トナー5〜8」中に含有される芳香族揮発性化合物の量は、本発明に係る値の範囲外であった。
【0284】
表1に各トナーの乾燥条件及び全芳香族揮発性化合物の量を示す。
【0285】
【表1】
Figure 2004020805
【0286】
3.現像剤の作製
次いで、上記で作製した各トナーに対して、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、それぞれトナー濃度が6%の「現像剤1〜8」を作製した。
【0287】
4.評価機
画像形成して評価するのに用いた評価機は、ウレタン部材からなるクリーニングブレードを用い、コロナ帯電器をウレタン部材からなる帯電ローラに変更、コロナ転写器をウレタン部材からなる転写ローラに変更、表面電位を測定できる様に電位計を装備した「コニカ7065」(コニカ株式会社製)の改造機1と、コロナ帯電器を磁気ブラシに変更、コロナ転写器をウレタン部材からなる転写ローラに変更、クリーニングブレードの除去、表面電位を測定できる様に電位計を装備した「コニカ7065」(コニカ株式会社製)の改造機2を用いた。
【0288】
表2に、感光体No.、トナーNo.、現像剤No.、評価機、クリーニングブレードの加重、定着ローラの設定温度を示す。
【0289】
【表2】
Figure 2004020805
【0290】
5.評価
以上のように設定した「コニカ7065」の改造機1と「コニカ7065」の改造機2を用い、各改造機に装備した電位計により未露光部電位(VH)と露光部電位(VL)の測定とプリントの画像濃度を測定した後、高温高湿度(30℃、80%RH)の環境下で64g/mの転写紙を用いて1万枚のプリントを行った。1万枚のプリント終了後に再び未露光部電位(VH)、露光部電位(VL)の測定とプリントの画像濃度の測定を行った。
【0291】
さらに、1万枚プリントが終了した「コニカ7065」の改造機1、「コニカ7065」の改造機2を高温高湿度(30℃、80%RH)の環境下に1週間放置後、未露光部電位(VH)と露光部電位(VL)の測定と感光体表面の状態を目視にて観察を行った。その後プリントを行い、得られたプリント画像の画像品質を目視にて評価した。尚、画像濃度は、マクベス反射濃度計「RD−918」(マクベス株式会社製)を用いて測定した。
【0292】
評価結果を表3に示す。
画像濃度評価基準
画像濃度1.40以上    特に良好で実用上問題無し
画像濃度1.30〜1.39 良好で実用上問題なし
画像濃度1.20〜1.29 やや濃度が薄いが実用上問題なし
画像濃度1.19以下    濃度薄く実用上問題有り
【0293】
【表3】
Figure 2004020805
【0294】
表3より明らかなように、本発明に係るトリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を用いた感光体と、芳香族揮発性化合物をトナー中に5〜30ppm含有するトナーとを用いた「評価1、2、4、5」は、1万枚のプリント後、高温高湿の環境下に1週間放置しても表面電位及び感光体表面状態に変化が無く、且つプリント画像品質、画像濃度も良好であった。
【0295】
一方、本発明に係るトリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を用いない感光体と、芳香族揮発性化合物がトナー中に5ppm未満、或いは30ppmを越える量を含有するトナーを用いた「評価3、6〜9」は、1万枚のプリント後、高温高湿の環境下に1週間放置すると、表面電位、感光体表面状態、プリント画像品質、画像濃度の何れかに問題が発生し実用上問題であった。
【0296】
【発明の効果】
実施例で実証したように、本発明の画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジは、トリフェニルアミン構造を有する感光体と、芳香族揮発性化合物を含有するトナーを用い、高温高湿の環境下で長期間プリントしても、感光体の感光層が劣化せず、高画質の画像が安定して得られる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触式の磁気ブラシの一例を示す構成図である。
【図2】帯電ローラを適用した画像形成装置の一例を示す構成図である。
【図3】磁気ブラシを適用した画像形成装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
3 感光体ドラム(感光体)
4 帯電ローラ
6 転写ローラ
11 クリーニング器
12 クリーニングブレード
16 現像器
18 転写体(転写紙)
152 磁気ブラシ
160 定着装置

Claims (6)

  1. 少なくとも電子写真感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器、転写器を配置し、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写器により転写体へ転写して画像を形成する画像形成装置において、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用いることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記トリフェニルアミン構造が、下記一般式(1)であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    Figure 2004020805
    (式中、R及びR′は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換、未置換のアルキル基又は置換、未置換のアルコキシ基を表し、R、R′R及びR′は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換、未置換のアルキル基、置換、未置換のアリル基、置換、未置換のアルケニル基、置換、未置換のアルコキシ基又は置換アミノ基を表し、m及びnはそれぞれ0、1又は2を表す。)
  3. 前記帯電器又は転写器のいずれか一方が、前記電子写真感光体と接触(圧接)しており、該帯電器又は転写器の部材中にウレタン構造を有する化合物を含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. トナー像を転写した前記転写体を、加熱部材により、トナー像を転写体上に熱定着を行う定着器を有し、該定着器の設定温度が135〜160℃であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 少なくとも帯電、露光、現像の各手段を経て、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写手段により転写体へ転写して画像を形成する画像形成方法において、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用いることを特徴とする画像形成方法。
  6. 少なくとも電子写真感光体周囲に、帯電器、露光装置、現像器を配置し、電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成し、該トナー像を転写器により転写体へ転写して画像を形成する画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジにおいて、トリフェニルアミン構造を有する電荷輸送性化合物を含有する電子写真感光体と、ヘッドスペース法により揮発性成分を測定したときにトナー中の全芳香族揮発性化合物の量が5〜30ppmであるトナーとを用い、帯電器、露光装置、現像器、転写器のいずれか1つとを一体に有しており、且つ、画像形成装置に出し入れ自由に設計されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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