JP2004020358A - 構造体に埋設された鉄筋等の埋設物の径の算出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本願発明は、断面略円形の埋設物の形状を精度良く測定することのできる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本願発明は、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出方法であって、構造体の表面上を測定機100を走行させつつ、該測定機100によって構造体の表面からレーダ波を送信して、その反射波を受信し、測定機100の走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径rを推定することを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】本願発明は、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出方法であって、構造体の表面上を測定機100を走行させつつ、該測定機100によって構造体の表面からレーダ波を送信して、その反射波を受信し、測定機100の走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径rを推定することを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、埋設物データを測定する方法に関し、より詳しくは、鉄筋や鉄管等の略円筒形状の金属製埋設物の径を測定するのに適したものである。
【0002】
【背景技術及び現状の問題点】
我が国において戦後から高度成長期にかけて整備されてきたインフラ・ストラクチャーは、ほぼ充足し、今後はそれらの維持・補修が大きな問題となってきている。そこで、構造体たるコンクリートの内部の詳細な状態を把握する事が必要となるが、現在の技術では、埋設物たる鉄筋の有無は判断できても、その鉄筋径まで測定する方法がなかった。本発明者らは、コンクリート内に埋め込まれた埋設物、特に鉄筋や鉄管の形状をレーダ探査機による画像データから推定するための理論の構築・実証を研究対象とした。
【0003】
この種、埋設物の検査にあっては、計器により劣化・損傷が疑われるコンクリート、および鋼構造物の損傷度・位置を調査する方法として、超音波法・レーダ法(電磁波)・弾性波法などが提案されている。しかし、これらの方法には、実用上、次のような問題があり、要求に合わせて限定的に使われている。
【0004】
一つの問題としては推定精度があげられる。
つまり、劣化・損傷が疑われる箇所の表面等に計器を設置し、計測することにより、画像データが得られるが、このレーダ画像は、一つの物体が何重にも写る多重画像で、しかも、円形のものが三日月状となる等、実際と異なる形状が表示される。したがって、レーダ画像のみから鉄筋の形状・配置を正確に推定することが困難である。そのため、ハンマーによる打音を作業者が聞き、その作業者の感覚で判定する方法などが実用的な方法として、しばしば利用されている。しかし、これも劣化・損傷の位置・深さや程度を正確に定量的に推定する技術としては不十分であり、また、ある程度の可能な範囲であっても、その作業者の熟練度に頼るものである。
【0005】
また、航空機や人口衛星による地球観測(リモートセンシング)に用いられる衛星データの解析法である「合成開口法」を適用することも考えられる。この合成開口法は、リモートセンシングにおいて、電磁波(マイクロ波)による画像データを人間の視覚に近い形に再構成するために用いられているものである。
そのため、埋設物のレーダ探査画像を人間の視覚に近い形に再構成するためには、衛星画像データも埋設物の画像データも共に電磁波データである点を考慮すれば、埋設物のレーダ探査に「合成開口法」が適用できる可能性は十分考えられる。しかし、両者の間には測定対象に関して大きな相違がある。すなわち、衛星画像データの解析においては衛星とほぼ直角に向き合う地球の表面形状が解析対象であるのに対して、埋設物の場合には解析対象が埋設物の断面形状である。つまり、断面形状と直角に向き合う方向からではなく、断面形状とほぼ平行な方向から断面形状を捉えなければならず、その推定は容易ではない。
実際に合成開口法の埋設物の形状探査への適用性を検討しても、合成開口法により地中に埋設された管の上側の一部分の形状が再生されるが、その曲率は現実のものとは異なっている。
【0006】
また、佐藤等は埋設物の形状推定法を提案し、その方法を用いて、土槽に埋設されたアルミニウム管の形状推定を行い、その適用性について検討している。
その結果によると、地中に埋設された管の上側の一部分の形状が再生されるが、その曲率は現実のものとは異なっている(地下探査レーダを用いた埋設物体の形状推定とその問題、第3回地下電磁計測ワークショップ論文集、pp.73―79,1995.7.参照)。
【0007】
また、小藪等はレーダ計測データを用いて、コンクリートに埋設された多くの鉄筋の配置を3次元的に表示するプログラムを開発した。
このプログラムを用いて得られるのは鉄筋の平面的な配置と各鉄筋の深度であり、鉄筋径は不明である(埋設管・コンクリート配管の3次元可視化ソフトウェアの開発、配管技術、pp.75−77, 2000.3.参照)。
【0008】
以上、現在までの研究の結果、埋設物の平面的な配置、および埋設物の深度に関しては推定法が考えらているが、それに対して、レーダ画像からの鉄筋径の推定に関しては、現在のところ確立された方法はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、鉄筋径の推定を主な対象として研究したものであり、本願発明は、断面略円形の埋設物の形状を精度良く測定することのできる方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本願発明はなされているものであって、本願請求項1記載の発明に係る算出方法は、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出方法であって、構造体の表面上を測定機を走行させつつ、該測定機によって構造体の表面からレーダ波を送信して、その反射波を受信し、測定機の走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする。
【0011】
また、本願請求項2記載の発明に係る算出方法は、中央演算処理装置等からなる処理部が、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径を算出する方法であって、前記処理部は、構造体の表面上を走行しつつ送信したレーダ波の反射波を受信した測定機から、走行距離x及びその反射波のデータを受け取り、この走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする。
【0012】
また、本願請求項7記載の発明に係る算出装置は、コンクリート等の構造体の表面上を走行する際に構造体に向けてレーダ波を送信する送信部、該送信部からの反射波を受信する受信部、及び、該受信部によって受信した反射波のデータを処理する処理部を備え、処理部が、構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出する算出装置において、前記処理部は、測定機の走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本願請求項8記載の発明に係る算出装置は、構造体の表面上を走行しつつ構造体に向けてレーダ波を送信して、その反射波を受信する測定機に接続可能であり、該測定機から走行距離と反射波のデータを受け取り、構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径を処理部によって算出する算出装置であって、前記処理部は、走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが細大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本願請求項13記載の発明に係る算出用プログラムは、構造体の表面上を走行しつつ構造体に向けてレーダ波を送信して、受信した反射波のデータに基づいて、処理部に対して、埋設物の径を推定する処理を行わせるように設けられている算出用プログラムであって、前記処理部が、走行距離x、及び、その反射波のデータを受け取り、走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする埋設部の径の算出用プログラム。
【0015】
また、本願請求項18記載の発明に係る記録媒体は、上記請求項11に記載のプログラムが記録されていることを特徴とする。
【0016】
上記本願発明の構成によれば、測定機が構造体の表面上を走行しつつ受信したレーダ波の反射波に基づいて、埋設物の径を推定することができる。つまり、走行距離xとその反射波が最大となる位置yとの両者の関係を曲線近似して、その曲線のパラメータに基づいて埋設物の径を推定することができる。なお、ここで、径rの推定にあたっては、複数の実験データを採取して、その実験データにニューラルネットワーク理論を適用し、学習の結果得られるニューラルネットワークルールを用いて、あるいは、そのルールの曲線近似式や、この曲線近似式のパラメータからの未知数としての径rの算出式(推定式)、或いは、パラメータ・径r及びその他の要因(例えばかぶり深さ)の関係を得ることによって可能である。
【0017】
さらに、本願発明にあっては、曲線近似に際しては、ルート関数曲線等の種々の曲線に近似させることも可能であるが、請求項3、9、又は14記載のように、放物線曲線に近似させることが好ましく、実験結果から推定精度が高まることが分かっている。
【0018】
また、請求項3、9、又は14記載の構成を採用した場合には、請求項4、10又は15記載のように、曲線近似により得られた放物線曲線の関数の走行距離xの二次の係数aをパラメータとして、このパラメータから埋設物の径を推定することが好ましい。
さらに、請求項5、11又は16記載のように、この係数aを、埋設物の径である未知数rの多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径を推定することが可能である。この場合の推定式としては、ワイブル分布式、対数関数、双曲線式等を採用することも考えられるが、上記のように多項式からなる推定式を用いる場合に最も好ましい結果が得られた。
また、請求項6、12又は17記載のように、この係数aから、ニューラルネットワーク理論における学習の結果得られたニューラルネットワークルールに基づいて、埋設物の径を推定することも可能である。例えば、複数の実験データを採取して、その実験データにニューラルネットワーク理論における「学習」を適用することによりニューラルネットワークルールを得ることができる。ニューラルネットワークルールは実験データのうち、パラメータaと径r、及びその他の要因(例えばかぶり深さ)の間の関係を表すものである。一度、「学習」によりニューラルネットワークルールが得られていれば、以後、埋設物の径が未知の場合にレーダー測定データにそのルールを適用することにより、埋設物の径を推定することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本実施形態においては、構造体としてのコンクリートの内部に存在する埋設部たる鉄筋の径及びかぶり深さ(埋設深度)を算出するために用いられるものについて説明する。
【0020】
図1は、本願発明の一実施形態に用いられる測定機の概略を説明するための概略的な側面図である。
この測定機100は、装置本体内に、検査対象に向けてレーダ波を送信する送信部110と、その送信部110からのレーダ波の反射波を受信する受信部120と、受信部120によって受信した反射波のデータを処理する処理部(図示省略)とが内蔵されている。また、該測定機100は、測定したデータ等が記憶される記憶部(図示省略)を有しており、測定されたデータは、該記憶部に記憶されることになる。より詳述すると、この測定機100は、送信部110が、一定の走行距離ごとにレーダ波を検査対象に送信し、その反射波を受信部120が受信して、記憶部に、送信部110がレーダ送信した際の位置(走行距離x)と、その走行距離xにおける反射波(受信のタイミング及び振幅)とが順次記憶されるように設けられている。
また、図示例においては、送信部110及び受信部120は、装置本体の下方に設けられており、送信部110が下方に向けてレーダ波を送信して、この反射波を受信部120が受信するように設けられている。なお、図示例にあっては、送信部110は、測定機100の進行方向前方に配され、受信部120は後方に配されている。
ここで、測定機100としては、例えば、日本無線株式会社製のハンディサーチNJJ−85を用いることができる。
なお、レーダ波が送信されてから受信部120により受信されるまでの時間と、その時の振幅とが、反射波として測定される。ただし、測定データを画像として表わすために、以後の処理では、「距離=時間×速度」という関係を利用して、この時間を位置(距離)に換算して用いられる。
【0021】
また、該測定機100には、測定した反射波と、その走行距離xとのデータを送出する出力部(図示省略)が設けられており、後述するパーソナルコンピュータ(算出装置200)に上記データを送出するように設定されている。
なお、本実施形態においては、後述するように、鉄筋の径の推定を、測定機100とは別体の算出装置200により行なっているが、例えば、測定機100の処理部により径の推定を行うように設けることも本願発明の意図する範囲内である。
【0022】
図2は、同実施形態の全体構成を説明するための説明図である。
ここで、図中200は、コンクリート内部の断面略円形の鉄筋の径やかぶり深さを算出するための算出装置であり、該算出装置200は、中央演算処理装置等からなり各種処理を行う処理部210と、前記測定機100の出力部からのデータを受信可能な受信部(図示省略)とを有するものであり、この処理部210は、算出用プログラムが読み込まれると、測定機200からの走行距離及び反射波のデータに基づいて、その鉄筋の径やかぶり深さ(構造物の表面から埋設物までの距離)を算出するように設けられている。
【0023】
ここで、本実施形態においては、プログラムを読み込んだ処理部210は、受け取った反射波のデータをもとに、測定機の各走行距離xにおける推定対象の鉄筋の画像の位置yを求め、そして、この走行距離xと位置yとの関係について曲線近似(放物線曲線近似)を行うとともに、この曲線近似の式の二次の係数a(パラメータ)を算出して、さらに、この二次の係数aを、鉄筋の径である未知数rの多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径rを算出(推定)することになる。
【0024】
上記処理部210の各処理について詳述すると、まず、処理部210は、推定対象の鉄筋の画像の位置yを求めるに際しては、各走行距離xにおける反射波の強さが最大となる位置yを抽出する。具体的には、測定機100の各走行距離xにおける反射波のうち最大振幅の時間を上記位置y(鉄筋における反射波による波)と判定するように設けられている。
【0025】
なお、ここで、各走行距離xの箇所における鉄筋から測定機までの距離Lは、距離x、鉄筋の径r、及び、かぶり深さdとの間に以下の関係を有する(図4参照)。
【数1】
この「数式1」は、図4における幾何学的な位置関係にピタゴラスの定理を適用して得られるものである。
そして、実験結果より、上記距離Lとレーダ画面の位置yとの関係は、後述するように、非線形であると考えられ、このため、それらの関係を二次の多項式で表すと、
【数2】
であり、さらに、「数式2」に「数式1」を代入し、整理すると、
【数3】
が得られる。
【0026】
そして、処理部210は、上述のように抽出された走行距離x及び位置yとの関係に基づいて、曲線としての放物線曲線(数式3)に近似するように設けられている。また、処理部210は、このように、近似した放物線の各係数a,b,cを算出するように設けられている。
【0027】
ここで、鉄筋径rの算出については、この走行距離xの二次の係数であるパラメータaが、重要な要素であると考えられ、学習の結果得たニューラルネットワークルールに基づいて、このパラメータaから、埋設物の径を推定することができる。この推定方法としては、一つは、推定式からの算出方法があり、係数aと鉄筋径rとの間には、次式(鉄筋径rの多項式)が成立すると考えられる。
【数4】
なお、この係数、p,q,s,t,u,v,wについては、ニューラルネットワークルールに曲線近似を適用することにより、決定することができる。
【0028】
そして、処理部は、放物線曲線の関数の係数aから、上記未知数であるrの多項式を算出して、その鉄筋径rを算出するように設けられている。
【0029】
なお、上述のような理論は、以下のように導き出されたものである。
つまり、まず、上記理論を導き出すために、発明者らは、砂の入った容器に六種類の鉄筋(φ9,16,22,25,32,38)をそれぞれかぶり深さを変えて設置した。そして、鉄筋設置後、砂をかぶせ、砂の表面からバイブレーターで締め固めを行い、全てのケースがほぼ同一、かつ均一な締固め度になるよう注意を払った。締め固め後、砂の表面を金ごてで均し、その上にアクリル板で蓋をした(アクリル板を上面に載置した)。そして、レーダ測定機を鉄筋と直角な交差方向へアクリル版上で移動させて、計測を行った。なお、レーダ測定機として既述のハンディサーチNJJ−85を使用した。
そして、レーダ計測は、測定機を鉄筋と直角に交差する方向へアクリル板上を移動させて、行ったが、計測位置は、鉄筋の延長線上の三カ所である。六種類の鉄筋(φ9,16,22,25,32,38)について、かぶり深さを変えて実験を行った。
【0030】
そして、上記のような各実験結果について、各走行距離xにおける位置yを抽出した。つまり、図3に示す中において、黒丸印で表示した点がピックアップされた尾根位置点群である。後述するデータ解析はこの尾根位置点群のデータを用いて行われている。なお、図3は、鉄筋の直径が38mmであり、かぶり実測値が63mmで砂を既述のようにかぶせた実験例である。
【0031】
また、同図に表示されている大きな楕円は鉄筋の形状・位置を表している。実際の鉄筋は円形であるが、図3の表示の縦横比は1:1でないため、鉄筋が楕円形で表示されている。このように楕円形の鉄筋表示が可能なのは、図3の実験において、鉄筋の径・かぶり深さが予めわかっているからである。それに対して、実際の現場で鉄筋のレーダ計測を実施した場合、ピクセル値のコンター表示までは得られるが、鉄筋位置や形状は不明なので、鉄筋表示はそのままでは不可能である。そのため、実際の現場データについて鉄筋表示を行うためには、ピクセル値のコンターデータを解析し、鉄筋の径・かぶり深さを推定する必要がある。
【0032】
また、実際の鉄筋は円形であるにもかかわらず、上述のようなレーダ画像において、鉄筋の影像が弓状に写る原因は次のように考えられる。
図4は、鉄筋が埋め込まれたコンクリートの表面を電磁波(レーダ波)を発生しながら測定機100が移動する概要を示している。測定機100から発射された電磁波は鉄筋部分で反射し、再び測定機100に戻り、それが画像として記録される。したがって、レーダ画像上の鉄筋の位置は距離Lと深い関係にあると考えられる。
ここで、図4において、ピタゴラスの定理を適用すれば、既述の「数式1」が得られる。
つまり、Lの軌跡は、図4に示すような曲線となる。これがレーダ画像に表れる鉄筋の形状が円にはならず、図4に示すような弓状になる主要な原因であると考えられる。
【0033】
Lは測定機と鉄筋との距離であるが、それに相当するレーダ画像上の距離をyとし、このLとyとの関係が線形であると仮定すると、次式が得られる。
【数5】
【数6】
ここに、a、b、cはパラメータである。「数式6」を以後、ルート関数と呼ぶ。ルート関数の軌跡は図5のような曲線となり、図4の弓状軌跡の形状と近似している。
ルート関数(数式6)は「数式5」におけるyとLとの関係が線形(Linear)であるとして、誘導されたものである。次に、この関係が非線形であると仮定して、yとLとの関係が二次の多項式関数の場合についても検討する。すなわち、既述の「数式2」及び「数式3」である。
以後、「数式3」を放物線関数と呼ぶ。放物線関数(数式3)の軌跡は図6のような曲線となり、図3の弓状軌跡の形状と近似している。また、図6に示すように、放物線関数のパラメータ(係数)a,b,cは図上の形状・位置と有意な関係にある。すなわち、cはy座標の最小値に、bはその時(y座標が最小値を取る際)のx座標に対応し、aは曲線の勾配に対応している。
【0034】
前述のように、図3に示されている黒丸印はコンターの尾根状の最も高い箇所の点(振幅が最大となる位置)をピックアップしたものである。このデータに対して、前述の「数式3」及び「数式6」のそれぞれに曲線近似を行う。すなわち、黒丸印のデータと仮定した曲線式の値との二乗誤差の合計を目的関数とし、目的関数が最小となるようにパラメータを決定する。図7は「数式6」の曲線(ルート関数)による近似結果である。
ここで、曲線が1/2しか表示されていないのは、曲線が左右対称であるため、曲線の中心位置で折り返して表示しているためである。
図8は同様に、「数式3」の曲線(放物線)による近似結果である。
【0035】
この、図7及び図8のような曲線近似が全てのケース(実験結果)について行われた。これらの図からもわかるように、曲線の近似に関してこの段階では放物線関数とルート関数との優劣は付け難い(但し、後述するように、ルート関数は放物線関数に劣ると考えられる)。
【0036】
曲線近似式として、放物線関数とルート関数との二つを候補として挙げたが、その精度につき、まず放物線関数の場合について検討する。
【0037】
前記した放物線関数(数式3)には三つのパラメータa,b,cが含まれ、それらのうち、cはかぶり深さ、bは鉄筋の平面的位置に関係があることは曲線の性質上明らかである。残りのパラメータaについては鉄筋径とかぶり深さのどちらか、または両方に関係があるかは明らかではない。
【0038】
一般的に、未知の鉄筋が埋設されたコンクリートでレーダ測定を行う場合、鉄筋の平面的位置とかぶり深さ(埋設深度)は後述するように推定できる。残された問題としては、いかにして鉄筋径rを推定(算出)するかである。その鉄筋径rは「数式3」に含まれるパラメータのうち、特にaに関係すると考えられる。そこで、パラメータaと鉄筋径rとの関係式、または、それにかぶり深さdも関係する場合にはかぶり深さも含めた関係式が明らかになれば、レーダ測定データにその関係式を適用することにより、コンクリートに埋設された未知の鉄筋径rを推定することができる。
この関係式の解明にニューラルネットワーク理論が用いられた。
図9はニューラルネットワークの解析モデルを表している。図に示すように、入力は鉄筋径とかぶり深さ、出力は「数式3」のパラメータaである。中間層(ニューロン)は1〜3層の場合について、試算を行ったが、中間層の総数を変化させても、大きな違いが見られず、その中でも2層の場合がより良好な応答を示したので、中間層は2層とされた。
図10はニューラルネットルールの誘導フローを示し、図10に示すような全実験データを用いたニューラルネットワークの学習過程の結果、得られたニューラルネットワーク・ルールを3次元図化表示したものが図11である。この図11には、x軸、y軸に入力、z軸に「数式3」のパラメータaをとって表示している。
【0039】
この図11の関係を用いると、各実験結果(鉄筋径及びかぶり深さが既知である実験結果)に対して「数式3」のパラメータaを推定することができる。また、一方、実験結果からそれに対応する「数式3」のパラメータaを求めることもできる。前者を推定値として横軸に、後者を実測値として縦軸にとりプロットしたものが、図12である。図12の直線は、1:1の勾配ラインであり、実測値に誤差が含まれず、かつ推定精度が高い場合には、この勾配ライン付近にプロットが集中する。
ここで、この放物線関数の場合のパラメータaは、ルート関数の場合の「数式6」のパラメータaに相当する。そして、この「数式6」のパラメータaについても、上記と同様にニューラルネットワークルールのもと、図12に相当する関係を求めたものが、図13である。図13の直線は、1:1の勾配ラインである。
このように、図13においては、勾配ラインから各プロット点がかなり離れており、放物線関数に比して、推定精度が低いと考えられる。
【0040】
この推定精度の比較を定量的に行うために、AICを用いる。AIC(赤池情報量規準,Akaike‘s Information Criterion)は、モデル式の優劣評価に利用できることは広く知られており、AICが小さいほど良いモデルと判定される。そこで、図12及び図13について、AICを算定する。ただし、両者では比較する値のオーダーが相違している。そこで、まず「数式7」を用いてデータの正規化を行い、その後に、AICを算定した。なお、「数式7」において、xsは 正規化後のデータ値、μはxの平均、σはxの標準偏差である。
【数7】
【0041】
上記AICの算定結果は、図12の場合、AIC=392で、図13の場合には、AIC=407となり、放物線関数の場合の方が精度が高いと判定できた。よって、放物線関数のほうがルート関数よりも近似式として適していると考えられる。
【0042】
さらに、ニューラルネットワーク・ルール(図11)を理論式に表すことにより、理論式のみで鉄筋径を推定する方法について検討する。図11によると、パラメータaに特に関係するのは鉄筋径であると考えられ、そこで、図11の関係に曲線近似を適用することにより、鉄筋径とパラメータaの関係式を誘導する。
曲線近似に用いる曲線式として、以下の四つの式を設定する。
ワイブル分布式
【数8】
対数関数
【数9】
双曲線式
【数10】
多項式
【数4】
図14は、図11の関係に対して曲線近似を実施した結果である。また、図15はこの図11における推定精度をAICで評価したものである。図15によると、多項式(数式4)による場合の精度が他の式と比べて、最も高いことがわかる。したがって、「数式4」が鉄筋径の推定式として、最も適していると考えられる。また、この「数式4」の各係数については、本実験の場合によれば、p=−1.88×10−9、q=2.79×10− 7、s=−1.68×10− 5、t=5.21×10− 4、u=−8.61×10− 3、v=7.00×10− 2、w=−1.91×10− 1であった。
【0043】
また、本実施形態にあっては、処理部210は、鉄筋のかぶり深さを算出(推定)するが、この算出の方法は、具体的には以下のように考えられている。
【0044】
まず、レーダ画像上のn個のピクセルを電磁波が通過する時間tnは次式で表せる。
【数11】
ここに、Nはレーダ画像データの深度方向を構成するピクセル数、tNは画像データの深度方向全部(N個)の通過時間である。ちなみに、今回の実験で用いたレーダ測定機の場合、これらの値はN =143、tN=3×10−9 秒である。
一方、電磁波が物質内を透過する速度Vは次式で与えられる。
【数12】
ここに、αは物質の比誘電率である。
「数式11」および「数式12」よりn個のピクセル分に相当する距離yは次式で算定することができる。
【数13】
ところで、かぶり深さを算定する上で考慮しておかなければならないことがもう一つある。すなわち、通常、レーダ測定機は送信アンテナと受信アンテナを装備しており、送信アンテナから出た電磁波は図1に示すように鉄筋表面で反射して受信アンテナに届く。したがって、かぶり深さを算定するためには、両アンテナ間の距離eの影響を考慮した距離の補正が必要である。
以上の点を考慮し、物質表面から鉄筋中心までの距離dは次式で算定できる。
【数14】
ここに、e は送信アンテナと受信アンテナ間の距離の半分であり、本実施形態の測定機にあっては2cmである。
つまり、レーダ画像データを用いて、かぶり深さを算定するためには、「数式13」→「数式14」の順に計算を行えば良いことになる。
【0045】
なお、処理部210の上記各処理は、記憶手段に記憶されたプログラムに基づいてなされ、このプログラムに基づいて処理部は、埋設物の径の推定及びかぶり深さの算出の処理を行うように設けられている。
【0046】
本実施形態の算出装置は、上述の構成からなるが、次に、本実施形態の算出方法について概説する。
【0047】
構造体の表面で車輪を転動させつつ、測定機100を走行せしめ、一定距離ごとに、送信部110から検査対象にレーダ波を送信して、受信部120によって反射波を受信する。
【0048】
そして、上記のように受信された反射波のデータは、測定機100において、受信部120から処理部に送られ、処理部は、反射波のデータを処理して、記憶手段に記憶させておく。ここで、記憶手段には、各走行距離と、その走行距離における反射波のデータ(時間及び振幅)とが関連づけられて記憶されている。
【0049】
そして、測定機100は、算出装置200からの要求に応じて、記憶手段から抽出した走行距離及び反射波のデータを出力部から出力して、算出装置200に供給されることになる。
【0050】
このデータを受け取った算出装置200(の処理部210)は、まず、各走行距離における最大振幅の位置を抽出する。
【0051】
そして、算出装置200(の処理部210)は、この走行距離xと位置yとの関係を、放物線曲線に近似する。また、算出装置200(の処理部210)は、近似した放物線の関数のパラメータaを算出して、そのパラメータaを鉄筋径rの多項式からなる推定式に代入して、鉄筋径rを算出(推定)する。
また、算出装置200(の処理部210)は、前記測定機100からのデータをもとに鉄筋のかぶり深さをも算出する。
このように推定(算出)された結果について、処理部210は、記憶手段に記憶させたり、表示部に表示させたり、印刷手段により印刷させることができる。
【0052】
なお、本願発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の意図する範囲内で適宜設計変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、測定機によって測定したデータを算出装置が受け取り、算出装置が鉄筋径及びかぶり深さを算出するものについて説明したが、本願発明はこれに限定されず、例えば、測定機(の処理部)が上記算出を行うものも本願発明の意図する範囲内である。
【0054】
また、上記実施形態では、パラメータaを鉄筋径rの推定式(数式4)に代入して、鉄筋径rを算出するものについて説明したが、例えば、数種の実験データによる学習の結果、図11のようなニューラルネットワークルールが得られているので、このニューラルネットワークルールに基づいてパラメータaから鉄筋径rを推定する方法(及び処理部による処理)を採用することも可能である。具体的には、レーダ測定データである図3の黒丸印の点を「数式3」で曲線近似することにより、パラメータaを得て、このパラメータaとかぶり深さとから図11に示すニューラルネットワークルールに基づいて鉄筋径rを推定することも可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本願発明は、走行距離とその反射波の強さが最大となる位置との両者の関係を曲線近似して、その曲線のパラメータに基づいて埋設物の径を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態において用いられる測定機の概略的側面図である。
【図2】同実施形態の算出装置に関する全体構成図である。
【図3】同実施形態において、一つの実験の結果得られたレーダ画像である。
【図4】鉄筋が埋め込まれた構造体の表面を電磁波を送信しながら測定機が移動する様子を表した説明図である。
【図5】ルート関数の図である。
【図6】放物線関数の図である。
【図7】ルート関数による曲線近似の例を示す。
【図8】放物線関数による曲線近似の例を示す。
【図9】ニューラルネットワークの解析モデルの説明図である。
【図10】ニューラルネットルールの誘導フローを示す。
【図11】放物線関数に基づいて導出されたニューラルネットワークルールを示す。
【図12】放物線関数の係数aの推定精度を検証するための表である。
【図13】ルート関数の係数aの推定精度を検証するための表である。
【図14】ニューラルネットルールの曲線近似結果である。
【図15】ニューラルネットルールの曲線近似結果に関するAICの比較結果である。
【符号の説明】
100 測定機
110 送信部
120 受信部
200 算出装置
210 処理部
【発明の属する技術分野】
本願発明は、埋設物データを測定する方法に関し、より詳しくは、鉄筋や鉄管等の略円筒形状の金属製埋設物の径を測定するのに適したものである。
【0002】
【背景技術及び現状の問題点】
我が国において戦後から高度成長期にかけて整備されてきたインフラ・ストラクチャーは、ほぼ充足し、今後はそれらの維持・補修が大きな問題となってきている。そこで、構造体たるコンクリートの内部の詳細な状態を把握する事が必要となるが、現在の技術では、埋設物たる鉄筋の有無は判断できても、その鉄筋径まで測定する方法がなかった。本発明者らは、コンクリート内に埋め込まれた埋設物、特に鉄筋や鉄管の形状をレーダ探査機による画像データから推定するための理論の構築・実証を研究対象とした。
【0003】
この種、埋設物の検査にあっては、計器により劣化・損傷が疑われるコンクリート、および鋼構造物の損傷度・位置を調査する方法として、超音波法・レーダ法(電磁波)・弾性波法などが提案されている。しかし、これらの方法には、実用上、次のような問題があり、要求に合わせて限定的に使われている。
【0004】
一つの問題としては推定精度があげられる。
つまり、劣化・損傷が疑われる箇所の表面等に計器を設置し、計測することにより、画像データが得られるが、このレーダ画像は、一つの物体が何重にも写る多重画像で、しかも、円形のものが三日月状となる等、実際と異なる形状が表示される。したがって、レーダ画像のみから鉄筋の形状・配置を正確に推定することが困難である。そのため、ハンマーによる打音を作業者が聞き、その作業者の感覚で判定する方法などが実用的な方法として、しばしば利用されている。しかし、これも劣化・損傷の位置・深さや程度を正確に定量的に推定する技術としては不十分であり、また、ある程度の可能な範囲であっても、その作業者の熟練度に頼るものである。
【0005】
また、航空機や人口衛星による地球観測(リモートセンシング)に用いられる衛星データの解析法である「合成開口法」を適用することも考えられる。この合成開口法は、リモートセンシングにおいて、電磁波(マイクロ波)による画像データを人間の視覚に近い形に再構成するために用いられているものである。
そのため、埋設物のレーダ探査画像を人間の視覚に近い形に再構成するためには、衛星画像データも埋設物の画像データも共に電磁波データである点を考慮すれば、埋設物のレーダ探査に「合成開口法」が適用できる可能性は十分考えられる。しかし、両者の間には測定対象に関して大きな相違がある。すなわち、衛星画像データの解析においては衛星とほぼ直角に向き合う地球の表面形状が解析対象であるのに対して、埋設物の場合には解析対象が埋設物の断面形状である。つまり、断面形状と直角に向き合う方向からではなく、断面形状とほぼ平行な方向から断面形状を捉えなければならず、その推定は容易ではない。
実際に合成開口法の埋設物の形状探査への適用性を検討しても、合成開口法により地中に埋設された管の上側の一部分の形状が再生されるが、その曲率は現実のものとは異なっている。
【0006】
また、佐藤等は埋設物の形状推定法を提案し、その方法を用いて、土槽に埋設されたアルミニウム管の形状推定を行い、その適用性について検討している。
その結果によると、地中に埋設された管の上側の一部分の形状が再生されるが、その曲率は現実のものとは異なっている(地下探査レーダを用いた埋設物体の形状推定とその問題、第3回地下電磁計測ワークショップ論文集、pp.73―79,1995.7.参照)。
【0007】
また、小藪等はレーダ計測データを用いて、コンクリートに埋設された多くの鉄筋の配置を3次元的に表示するプログラムを開発した。
このプログラムを用いて得られるのは鉄筋の平面的な配置と各鉄筋の深度であり、鉄筋径は不明である(埋設管・コンクリート配管の3次元可視化ソフトウェアの開発、配管技術、pp.75−77, 2000.3.参照)。
【0008】
以上、現在までの研究の結果、埋設物の平面的な配置、および埋設物の深度に関しては推定法が考えらているが、それに対して、レーダ画像からの鉄筋径の推定に関しては、現在のところ確立された方法はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、鉄筋径の推定を主な対象として研究したものであり、本願発明は、断面略円形の埋設物の形状を精度良く測定することのできる方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本願発明はなされているものであって、本願請求項1記載の発明に係る算出方法は、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出方法であって、構造体の表面上を測定機を走行させつつ、該測定機によって構造体の表面からレーダ波を送信して、その反射波を受信し、測定機の走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする。
【0011】
また、本願請求項2記載の発明に係る算出方法は、中央演算処理装置等からなる処理部が、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径を算出する方法であって、前記処理部は、構造体の表面上を走行しつつ送信したレーダ波の反射波を受信した測定機から、走行距離x及びその反射波のデータを受け取り、この走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする。
【0012】
また、本願請求項7記載の発明に係る算出装置は、コンクリート等の構造体の表面上を走行する際に構造体に向けてレーダ波を送信する送信部、該送信部からの反射波を受信する受信部、及び、該受信部によって受信した反射波のデータを処理する処理部を備え、処理部が、構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出する算出装置において、前記処理部は、測定機の走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本願請求項8記載の発明に係る算出装置は、構造体の表面上を走行しつつ構造体に向けてレーダ波を送信して、その反射波を受信する測定機に接続可能であり、該測定機から走行距離と反射波のデータを受け取り、構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径を処理部によって算出する算出装置であって、前記処理部は、走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが細大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、本願請求項13記載の発明に係る算出用プログラムは、構造体の表面上を走行しつつ構造体に向けてレーダ波を送信して、受信した反射波のデータに基づいて、処理部に対して、埋設物の径を推定する処理を行わせるように設けられている算出用プログラムであって、前記処理部が、走行距離x、及び、その反射波のデータを受け取り、走行距離x、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置yを抽出し、この走行距離xと位置yとを曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする埋設部の径の算出用プログラム。
【0015】
また、本願請求項18記載の発明に係る記録媒体は、上記請求項11に記載のプログラムが記録されていることを特徴とする。
【0016】
上記本願発明の構成によれば、測定機が構造体の表面上を走行しつつ受信したレーダ波の反射波に基づいて、埋設物の径を推定することができる。つまり、走行距離xとその反射波が最大となる位置yとの両者の関係を曲線近似して、その曲線のパラメータに基づいて埋設物の径を推定することができる。なお、ここで、径rの推定にあたっては、複数の実験データを採取して、その実験データにニューラルネットワーク理論を適用し、学習の結果得られるニューラルネットワークルールを用いて、あるいは、そのルールの曲線近似式や、この曲線近似式のパラメータからの未知数としての径rの算出式(推定式)、或いは、パラメータ・径r及びその他の要因(例えばかぶり深さ)の関係を得ることによって可能である。
【0017】
さらに、本願発明にあっては、曲線近似に際しては、ルート関数曲線等の種々の曲線に近似させることも可能であるが、請求項3、9、又は14記載のように、放物線曲線に近似させることが好ましく、実験結果から推定精度が高まることが分かっている。
【0018】
また、請求項3、9、又は14記載の構成を採用した場合には、請求項4、10又は15記載のように、曲線近似により得られた放物線曲線の関数の走行距離xの二次の係数aをパラメータとして、このパラメータから埋設物の径を推定することが好ましい。
さらに、請求項5、11又は16記載のように、この係数aを、埋設物の径である未知数rの多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径を推定することが可能である。この場合の推定式としては、ワイブル分布式、対数関数、双曲線式等を採用することも考えられるが、上記のように多項式からなる推定式を用いる場合に最も好ましい結果が得られた。
また、請求項6、12又は17記載のように、この係数aから、ニューラルネットワーク理論における学習の結果得られたニューラルネットワークルールに基づいて、埋設物の径を推定することも可能である。例えば、複数の実験データを採取して、その実験データにニューラルネットワーク理論における「学習」を適用することによりニューラルネットワークルールを得ることができる。ニューラルネットワークルールは実験データのうち、パラメータaと径r、及びその他の要因(例えばかぶり深さ)の間の関係を表すものである。一度、「学習」によりニューラルネットワークルールが得られていれば、以後、埋設物の径が未知の場合にレーダー測定データにそのルールを適用することにより、埋設物の径を推定することが可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本実施形態においては、構造体としてのコンクリートの内部に存在する埋設部たる鉄筋の径及びかぶり深さ(埋設深度)を算出するために用いられるものについて説明する。
【0020】
図1は、本願発明の一実施形態に用いられる測定機の概略を説明するための概略的な側面図である。
この測定機100は、装置本体内に、検査対象に向けてレーダ波を送信する送信部110と、その送信部110からのレーダ波の反射波を受信する受信部120と、受信部120によって受信した反射波のデータを処理する処理部(図示省略)とが内蔵されている。また、該測定機100は、測定したデータ等が記憶される記憶部(図示省略)を有しており、測定されたデータは、該記憶部に記憶されることになる。より詳述すると、この測定機100は、送信部110が、一定の走行距離ごとにレーダ波を検査対象に送信し、その反射波を受信部120が受信して、記憶部に、送信部110がレーダ送信した際の位置(走行距離x)と、その走行距離xにおける反射波(受信のタイミング及び振幅)とが順次記憶されるように設けられている。
また、図示例においては、送信部110及び受信部120は、装置本体の下方に設けられており、送信部110が下方に向けてレーダ波を送信して、この反射波を受信部120が受信するように設けられている。なお、図示例にあっては、送信部110は、測定機100の進行方向前方に配され、受信部120は後方に配されている。
ここで、測定機100としては、例えば、日本無線株式会社製のハンディサーチNJJ−85を用いることができる。
なお、レーダ波が送信されてから受信部120により受信されるまでの時間と、その時の振幅とが、反射波として測定される。ただし、測定データを画像として表わすために、以後の処理では、「距離=時間×速度」という関係を利用して、この時間を位置(距離)に換算して用いられる。
【0021】
また、該測定機100には、測定した反射波と、その走行距離xとのデータを送出する出力部(図示省略)が設けられており、後述するパーソナルコンピュータ(算出装置200)に上記データを送出するように設定されている。
なお、本実施形態においては、後述するように、鉄筋の径の推定を、測定機100とは別体の算出装置200により行なっているが、例えば、測定機100の処理部により径の推定を行うように設けることも本願発明の意図する範囲内である。
【0022】
図2は、同実施形態の全体構成を説明するための説明図である。
ここで、図中200は、コンクリート内部の断面略円形の鉄筋の径やかぶり深さを算出するための算出装置であり、該算出装置200は、中央演算処理装置等からなり各種処理を行う処理部210と、前記測定機100の出力部からのデータを受信可能な受信部(図示省略)とを有するものであり、この処理部210は、算出用プログラムが読み込まれると、測定機200からの走行距離及び反射波のデータに基づいて、その鉄筋の径やかぶり深さ(構造物の表面から埋設物までの距離)を算出するように設けられている。
【0023】
ここで、本実施形態においては、プログラムを読み込んだ処理部210は、受け取った反射波のデータをもとに、測定機の各走行距離xにおける推定対象の鉄筋の画像の位置yを求め、そして、この走行距離xと位置yとの関係について曲線近似(放物線曲線近似)を行うとともに、この曲線近似の式の二次の係数a(パラメータ)を算出して、さらに、この二次の係数aを、鉄筋の径である未知数rの多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径rを算出(推定)することになる。
【0024】
上記処理部210の各処理について詳述すると、まず、処理部210は、推定対象の鉄筋の画像の位置yを求めるに際しては、各走行距離xにおける反射波の強さが最大となる位置yを抽出する。具体的には、測定機100の各走行距離xにおける反射波のうち最大振幅の時間を上記位置y(鉄筋における反射波による波)と判定するように設けられている。
【0025】
なお、ここで、各走行距離xの箇所における鉄筋から測定機までの距離Lは、距離x、鉄筋の径r、及び、かぶり深さdとの間に以下の関係を有する(図4参照)。
【数1】
この「数式1」は、図4における幾何学的な位置関係にピタゴラスの定理を適用して得られるものである。
そして、実験結果より、上記距離Lとレーダ画面の位置yとの関係は、後述するように、非線形であると考えられ、このため、それらの関係を二次の多項式で表すと、
【数2】
であり、さらに、「数式2」に「数式1」を代入し、整理すると、
【数3】
が得られる。
【0026】
そして、処理部210は、上述のように抽出された走行距離x及び位置yとの関係に基づいて、曲線としての放物線曲線(数式3)に近似するように設けられている。また、処理部210は、このように、近似した放物線の各係数a,b,cを算出するように設けられている。
【0027】
ここで、鉄筋径rの算出については、この走行距離xの二次の係数であるパラメータaが、重要な要素であると考えられ、学習の結果得たニューラルネットワークルールに基づいて、このパラメータaから、埋設物の径を推定することができる。この推定方法としては、一つは、推定式からの算出方法があり、係数aと鉄筋径rとの間には、次式(鉄筋径rの多項式)が成立すると考えられる。
【数4】
なお、この係数、p,q,s,t,u,v,wについては、ニューラルネットワークルールに曲線近似を適用することにより、決定することができる。
【0028】
そして、処理部は、放物線曲線の関数の係数aから、上記未知数であるrの多項式を算出して、その鉄筋径rを算出するように設けられている。
【0029】
なお、上述のような理論は、以下のように導き出されたものである。
つまり、まず、上記理論を導き出すために、発明者らは、砂の入った容器に六種類の鉄筋(φ9,16,22,25,32,38)をそれぞれかぶり深さを変えて設置した。そして、鉄筋設置後、砂をかぶせ、砂の表面からバイブレーターで締め固めを行い、全てのケースがほぼ同一、かつ均一な締固め度になるよう注意を払った。締め固め後、砂の表面を金ごてで均し、その上にアクリル板で蓋をした(アクリル板を上面に載置した)。そして、レーダ測定機を鉄筋と直角な交差方向へアクリル版上で移動させて、計測を行った。なお、レーダ測定機として既述のハンディサーチNJJ−85を使用した。
そして、レーダ計測は、測定機を鉄筋と直角に交差する方向へアクリル板上を移動させて、行ったが、計測位置は、鉄筋の延長線上の三カ所である。六種類の鉄筋(φ9,16,22,25,32,38)について、かぶり深さを変えて実験を行った。
【0030】
そして、上記のような各実験結果について、各走行距離xにおける位置yを抽出した。つまり、図3に示す中において、黒丸印で表示した点がピックアップされた尾根位置点群である。後述するデータ解析はこの尾根位置点群のデータを用いて行われている。なお、図3は、鉄筋の直径が38mmであり、かぶり実測値が63mmで砂を既述のようにかぶせた実験例である。
【0031】
また、同図に表示されている大きな楕円は鉄筋の形状・位置を表している。実際の鉄筋は円形であるが、図3の表示の縦横比は1:1でないため、鉄筋が楕円形で表示されている。このように楕円形の鉄筋表示が可能なのは、図3の実験において、鉄筋の径・かぶり深さが予めわかっているからである。それに対して、実際の現場で鉄筋のレーダ計測を実施した場合、ピクセル値のコンター表示までは得られるが、鉄筋位置や形状は不明なので、鉄筋表示はそのままでは不可能である。そのため、実際の現場データについて鉄筋表示を行うためには、ピクセル値のコンターデータを解析し、鉄筋の径・かぶり深さを推定する必要がある。
【0032】
また、実際の鉄筋は円形であるにもかかわらず、上述のようなレーダ画像において、鉄筋の影像が弓状に写る原因は次のように考えられる。
図4は、鉄筋が埋め込まれたコンクリートの表面を電磁波(レーダ波)を発生しながら測定機100が移動する概要を示している。測定機100から発射された電磁波は鉄筋部分で反射し、再び測定機100に戻り、それが画像として記録される。したがって、レーダ画像上の鉄筋の位置は距離Lと深い関係にあると考えられる。
ここで、図4において、ピタゴラスの定理を適用すれば、既述の「数式1」が得られる。
つまり、Lの軌跡は、図4に示すような曲線となる。これがレーダ画像に表れる鉄筋の形状が円にはならず、図4に示すような弓状になる主要な原因であると考えられる。
【0033】
Lは測定機と鉄筋との距離であるが、それに相当するレーダ画像上の距離をyとし、このLとyとの関係が線形であると仮定すると、次式が得られる。
【数5】
【数6】
ここに、a、b、cはパラメータである。「数式6」を以後、ルート関数と呼ぶ。ルート関数の軌跡は図5のような曲線となり、図4の弓状軌跡の形状と近似している。
ルート関数(数式6)は「数式5」におけるyとLとの関係が線形(Linear)であるとして、誘導されたものである。次に、この関係が非線形であると仮定して、yとLとの関係が二次の多項式関数の場合についても検討する。すなわち、既述の「数式2」及び「数式3」である。
以後、「数式3」を放物線関数と呼ぶ。放物線関数(数式3)の軌跡は図6のような曲線となり、図3の弓状軌跡の形状と近似している。また、図6に示すように、放物線関数のパラメータ(係数)a,b,cは図上の形状・位置と有意な関係にある。すなわち、cはy座標の最小値に、bはその時(y座標が最小値を取る際)のx座標に対応し、aは曲線の勾配に対応している。
【0034】
前述のように、図3に示されている黒丸印はコンターの尾根状の最も高い箇所の点(振幅が最大となる位置)をピックアップしたものである。このデータに対して、前述の「数式3」及び「数式6」のそれぞれに曲線近似を行う。すなわち、黒丸印のデータと仮定した曲線式の値との二乗誤差の合計を目的関数とし、目的関数が最小となるようにパラメータを決定する。図7は「数式6」の曲線(ルート関数)による近似結果である。
ここで、曲線が1/2しか表示されていないのは、曲線が左右対称であるため、曲線の中心位置で折り返して表示しているためである。
図8は同様に、「数式3」の曲線(放物線)による近似結果である。
【0035】
この、図7及び図8のような曲線近似が全てのケース(実験結果)について行われた。これらの図からもわかるように、曲線の近似に関してこの段階では放物線関数とルート関数との優劣は付け難い(但し、後述するように、ルート関数は放物線関数に劣ると考えられる)。
【0036】
曲線近似式として、放物線関数とルート関数との二つを候補として挙げたが、その精度につき、まず放物線関数の場合について検討する。
【0037】
前記した放物線関数(数式3)には三つのパラメータa,b,cが含まれ、それらのうち、cはかぶり深さ、bは鉄筋の平面的位置に関係があることは曲線の性質上明らかである。残りのパラメータaについては鉄筋径とかぶり深さのどちらか、または両方に関係があるかは明らかではない。
【0038】
一般的に、未知の鉄筋が埋設されたコンクリートでレーダ測定を行う場合、鉄筋の平面的位置とかぶり深さ(埋設深度)は後述するように推定できる。残された問題としては、いかにして鉄筋径rを推定(算出)するかである。その鉄筋径rは「数式3」に含まれるパラメータのうち、特にaに関係すると考えられる。そこで、パラメータaと鉄筋径rとの関係式、または、それにかぶり深さdも関係する場合にはかぶり深さも含めた関係式が明らかになれば、レーダ測定データにその関係式を適用することにより、コンクリートに埋設された未知の鉄筋径rを推定することができる。
この関係式の解明にニューラルネットワーク理論が用いられた。
図9はニューラルネットワークの解析モデルを表している。図に示すように、入力は鉄筋径とかぶり深さ、出力は「数式3」のパラメータaである。中間層(ニューロン)は1〜3層の場合について、試算を行ったが、中間層の総数を変化させても、大きな違いが見られず、その中でも2層の場合がより良好な応答を示したので、中間層は2層とされた。
図10はニューラルネットルールの誘導フローを示し、図10に示すような全実験データを用いたニューラルネットワークの学習過程の結果、得られたニューラルネットワーク・ルールを3次元図化表示したものが図11である。この図11には、x軸、y軸に入力、z軸に「数式3」のパラメータaをとって表示している。
【0039】
この図11の関係を用いると、各実験結果(鉄筋径及びかぶり深さが既知である実験結果)に対して「数式3」のパラメータaを推定することができる。また、一方、実験結果からそれに対応する「数式3」のパラメータaを求めることもできる。前者を推定値として横軸に、後者を実測値として縦軸にとりプロットしたものが、図12である。図12の直線は、1:1の勾配ラインであり、実測値に誤差が含まれず、かつ推定精度が高い場合には、この勾配ライン付近にプロットが集中する。
ここで、この放物線関数の場合のパラメータaは、ルート関数の場合の「数式6」のパラメータaに相当する。そして、この「数式6」のパラメータaについても、上記と同様にニューラルネットワークルールのもと、図12に相当する関係を求めたものが、図13である。図13の直線は、1:1の勾配ラインである。
このように、図13においては、勾配ラインから各プロット点がかなり離れており、放物線関数に比して、推定精度が低いと考えられる。
【0040】
この推定精度の比較を定量的に行うために、AICを用いる。AIC(赤池情報量規準,Akaike‘s Information Criterion)は、モデル式の優劣評価に利用できることは広く知られており、AICが小さいほど良いモデルと判定される。そこで、図12及び図13について、AICを算定する。ただし、両者では比較する値のオーダーが相違している。そこで、まず「数式7」を用いてデータの正規化を行い、その後に、AICを算定した。なお、「数式7」において、xsは 正規化後のデータ値、μはxの平均、σはxの標準偏差である。
【数7】
【0041】
上記AICの算定結果は、図12の場合、AIC=392で、図13の場合には、AIC=407となり、放物線関数の場合の方が精度が高いと判定できた。よって、放物線関数のほうがルート関数よりも近似式として適していると考えられる。
【0042】
さらに、ニューラルネットワーク・ルール(図11)を理論式に表すことにより、理論式のみで鉄筋径を推定する方法について検討する。図11によると、パラメータaに特に関係するのは鉄筋径であると考えられ、そこで、図11の関係に曲線近似を適用することにより、鉄筋径とパラメータaの関係式を誘導する。
曲線近似に用いる曲線式として、以下の四つの式を設定する。
ワイブル分布式
【数8】
対数関数
【数9】
双曲線式
【数10】
多項式
【数4】
図14は、図11の関係に対して曲線近似を実施した結果である。また、図15はこの図11における推定精度をAICで評価したものである。図15によると、多項式(数式4)による場合の精度が他の式と比べて、最も高いことがわかる。したがって、「数式4」が鉄筋径の推定式として、最も適していると考えられる。また、この「数式4」の各係数については、本実験の場合によれば、p=−1.88×10−9、q=2.79×10− 7、s=−1.68×10− 5、t=5.21×10− 4、u=−8.61×10− 3、v=7.00×10− 2、w=−1.91×10− 1であった。
【0043】
また、本実施形態にあっては、処理部210は、鉄筋のかぶり深さを算出(推定)するが、この算出の方法は、具体的には以下のように考えられている。
【0044】
まず、レーダ画像上のn個のピクセルを電磁波が通過する時間tnは次式で表せる。
【数11】
ここに、Nはレーダ画像データの深度方向を構成するピクセル数、tNは画像データの深度方向全部(N個)の通過時間である。ちなみに、今回の実験で用いたレーダ測定機の場合、これらの値はN =143、tN=3×10−9 秒である。
一方、電磁波が物質内を透過する速度Vは次式で与えられる。
【数12】
ここに、αは物質の比誘電率である。
「数式11」および「数式12」よりn個のピクセル分に相当する距離yは次式で算定することができる。
【数13】
ところで、かぶり深さを算定する上で考慮しておかなければならないことがもう一つある。すなわち、通常、レーダ測定機は送信アンテナと受信アンテナを装備しており、送信アンテナから出た電磁波は図1に示すように鉄筋表面で反射して受信アンテナに届く。したがって、かぶり深さを算定するためには、両アンテナ間の距離eの影響を考慮した距離の補正が必要である。
以上の点を考慮し、物質表面から鉄筋中心までの距離dは次式で算定できる。
【数14】
ここに、e は送信アンテナと受信アンテナ間の距離の半分であり、本実施形態の測定機にあっては2cmである。
つまり、レーダ画像データを用いて、かぶり深さを算定するためには、「数式13」→「数式14」の順に計算を行えば良いことになる。
【0045】
なお、処理部210の上記各処理は、記憶手段に記憶されたプログラムに基づいてなされ、このプログラムに基づいて処理部は、埋設物の径の推定及びかぶり深さの算出の処理を行うように設けられている。
【0046】
本実施形態の算出装置は、上述の構成からなるが、次に、本実施形態の算出方法について概説する。
【0047】
構造体の表面で車輪を転動させつつ、測定機100を走行せしめ、一定距離ごとに、送信部110から検査対象にレーダ波を送信して、受信部120によって反射波を受信する。
【0048】
そして、上記のように受信された反射波のデータは、測定機100において、受信部120から処理部に送られ、処理部は、反射波のデータを処理して、記憶手段に記憶させておく。ここで、記憶手段には、各走行距離と、その走行距離における反射波のデータ(時間及び振幅)とが関連づけられて記憶されている。
【0049】
そして、測定機100は、算出装置200からの要求に応じて、記憶手段から抽出した走行距離及び反射波のデータを出力部から出力して、算出装置200に供給されることになる。
【0050】
このデータを受け取った算出装置200(の処理部210)は、まず、各走行距離における最大振幅の位置を抽出する。
【0051】
そして、算出装置200(の処理部210)は、この走行距離xと位置yとの関係を、放物線曲線に近似する。また、算出装置200(の処理部210)は、近似した放物線の関数のパラメータaを算出して、そのパラメータaを鉄筋径rの多項式からなる推定式に代入して、鉄筋径rを算出(推定)する。
また、算出装置200(の処理部210)は、前記測定機100からのデータをもとに鉄筋のかぶり深さをも算出する。
このように推定(算出)された結果について、処理部210は、記憶手段に記憶させたり、表示部に表示させたり、印刷手段により印刷させることができる。
【0052】
なお、本願発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の意図する範囲内で適宜設計変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、測定機によって測定したデータを算出装置が受け取り、算出装置が鉄筋径及びかぶり深さを算出するものについて説明したが、本願発明はこれに限定されず、例えば、測定機(の処理部)が上記算出を行うものも本願発明の意図する範囲内である。
【0054】
また、上記実施形態では、パラメータaを鉄筋径rの推定式(数式4)に代入して、鉄筋径rを算出するものについて説明したが、例えば、数種の実験データによる学習の結果、図11のようなニューラルネットワークルールが得られているので、このニューラルネットワークルールに基づいてパラメータaから鉄筋径rを推定する方法(及び処理部による処理)を採用することも可能である。具体的には、レーダ測定データである図3の黒丸印の点を「数式3」で曲線近似することにより、パラメータaを得て、このパラメータaとかぶり深さとから図11に示すニューラルネットワークルールに基づいて鉄筋径rを推定することも可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、本願発明は、走行距離とその反射波の強さが最大となる位置との両者の関係を曲線近似して、その曲線のパラメータに基づいて埋設物の径を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態において用いられる測定機の概略的側面図である。
【図2】同実施形態の算出装置に関する全体構成図である。
【図3】同実施形態において、一つの実験の結果得られたレーダ画像である。
【図4】鉄筋が埋め込まれた構造体の表面を電磁波を送信しながら測定機が移動する様子を表した説明図である。
【図5】ルート関数の図である。
【図6】放物線関数の図である。
【図7】ルート関数による曲線近似の例を示す。
【図8】放物線関数による曲線近似の例を示す。
【図9】ニューラルネットワークの解析モデルの説明図である。
【図10】ニューラルネットルールの誘導フローを示す。
【図11】放物線関数に基づいて導出されたニューラルネットワークルールを示す。
【図12】放物線関数の係数aの推定精度を検証するための表である。
【図13】ルート関数の係数aの推定精度を検証するための表である。
【図14】ニューラルネットルールの曲線近似結果である。
【図15】ニューラルネットルールの曲線近似結果に関するAICの比較結果である。
【符号の説明】
100 測定機
110 送信部
120 受信部
200 算出装置
210 処理部
Claims (18)
- コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出方法であって、
構造体の表面上を測定機を走行させつつ、該測定機によって構造体の表面からレーダ波を送信して、その反射波を受信し、
測定機の走行距離(x)、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置(y)を抽出し、
この走行距離(x)と位置(y)との関係を曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出方法。 - 中央演算処理装置等からなる処理部が、コンクリート等の構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径を算出する方法であって、
前記処理部は、
構造体の表面上を走行しつつ送信されたレーダ波の反射波を受信した測定機から、走行距離(x)及びその反射波のデータを受け取り、
この走行距離(x)、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置(y)を抽出し、
この走行距離(x)と位置(y)との関係を曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出方法。 - 請求項1又は2記載の算出方法であって、
前記曲線近似に際しては、放物線曲線に近似させることを特徴とする
埋設物の径の算出方法。 - 請求項3記載の算出方法であって、
前記曲線近似により得られた放物線曲線の関数の走行距離(x)の二次の係数(a)をパラメータとして、このパラメータから埋設物の径を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出方法。 - 請求項4記載の算出方法であって、
前記係数(a)を、埋設物の径である未知数(r)の多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径(r)を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出方法。 - 請求項4記載の算出方法であって、
前記係数(a)から、ニューラルネットワーク理論における学習の結果得られたニューラルネットワークルールに基づいて、埋設物の径を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出方法。 - コンクリート等の構造体の表面上を走行する際に構造体に向けてレーダ波を送信する送信部、該送信部からの反射波を受信する受信部、及び、該受信部によって受信した反射波のデータを処理する処理部を備え、処理部が、構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径の算出する算出装置であって、
前記処理部は、
測定機の走行距離(x)、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置(y)を抽出し、
この走行距離(x)と位置(y)との関係を曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出装置。 - 構造体の表面上を走行しつつ構造体に向けてレーダ波を送信して、その反射波を受信する測定機に接続可能であり、該測定機から走行距離(x)と反射波のデータを受け取り、構造体に埋設されている鉄筋等の断面略円形の埋設物の径を処理部によって算出する算出装置であって、
前記処理部は、
前記測定機の走行距離(x)、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置(y)を抽出し、
この走行距離(x)と位置(y)との関係を曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出装置。 - 請求項7又は8記載の算出装置であって、
前記処理部は、曲線近似に際しては、放物線曲線に近似させるように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出装置。 - 請求項9記載の算出装置であって、
前記処理部は、曲線近似により得られた放物線曲線の関数の走行距離(x)の二次の係数(a)をパラメータとして、このパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出装置。 - 請求項10記載の算出装置であって、
前記処理部は、前記係数(a)を、埋設物の径である未知数(r)の多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径(r)を推定するように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出装置。 - 請求項10記載の算出装置であって、
前記処理部は、前記係数(a)から、ニューラルネットワーク理論における学習の結果得られたニューラルネットワークルールに基づいて、埋設物の径を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出装置。 - 構造体の表面上を走行しつつ構造体に向けてレーダ波を送信して、受信した反射波のデータに基づいて、処理部に対して、埋設物の径を推定する処理を行わせるように設けられている算出用プログラムであって、
前記処理部が、
走行距離(x)、及び、その反射波のデータを受け取り、走行距離(x)、及び、それぞれの走行距離における各反射波の強さが最大となる位置(y)を抽出し、
この走行距離(x)と位置(y)との関係を曲線近似して、その曲線のパラメータから埋設物の径を推定する
ように設けられていることを特徴とする
埋設部の径の算出用プログラム。 - 請求項13記載の算出用プログラムであって、
前記処理部が、曲線近似に際して、放物線曲線に近似させるように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出用プログラム。 - 請求項14記載の算出用プログラムであって、
前記処理部が、曲線近似により得られた放物線曲線の関数の走行距離(x)の二次の係数(a)をパラメータとして、このパラメータから埋設物の径を推定するように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の測定プログラム。 - 請求項15記載の算出用プログラムであって、
前記処理部が、前記係数(a)を、埋設物の径である未知数(r)の多項式からなる推定式に代入して、前記埋設物の径(r)を推定するように設けられていることを特徴とする
埋設物の径の算出用プログラム。 - 請求項15記載の算出用プログラムであって、
前記処理部が、前記係数(a)から、ニューラルネットワーク理論における学習の結果得られたニューラルネットワークルールに基づいて、埋設物の径を推定することを特徴とする
埋設物の径の算出用プログラム。 - 請求項13乃至17の何れかに記載のプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
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