JP2004019869A - 流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体の流れや重力による影響を極力回避して、火災発生時などに流体の流れを所望通りに抑制できる流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器。
【解決手段】加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材5が、流体の流れ近傍で流れを阻害しない状態に配置され、熱膨張部材5の膨張方向を規制する膨張規制部材10が設けられて、熱膨張部材5の膨張を流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導する流体流通抑制構造と、その流体流通抑制構造を備えて流体が通流する流体管Pの内面に装着可能な装着手段9が設けられている流体流通抑制具と、その流体流通抑制構造が流体の通流箇所に設けられている流体機器。
【選択図】 図4
【解決手段】加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材5が、流体の流れ近傍で流れを阻害しない状態に配置され、熱膨張部材5の膨張方向を規制する膨張規制部材10が設けられて、熱膨張部材5の膨張を流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導する流体流通抑制構造と、その流体流通抑制構造を備えて流体が通流する流体管Pの内面に装着可能な装着手段9が設けられている流体流通抑制具と、その流体流通抑制構造が流体の通流箇所に設けられている流体機器。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料ガスなどの流体供給システムにおいて、火災発生時などに流体の流れを抑制または遮断するために使用されるもので、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置されている流体流通抑制構造と、その流体流通抑制構造を備えた流体流通抑制具および流体機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような流体制御構造としては、従来、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材を円筒形などの各種の形状にして流体管の一例であるガス管の内部に配設するものが知られている(例えば、特開2001−252366号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載のものを含めて、従来では、熱膨張部材を流体管の内部などに単に配設するに過ぎなかったので、つまり、熱膨張部材は、その形状を保持することなく無秩序に膨張するので、結果的に、流体の流れや重力の影響などを受けて膨張するのであるが、この流体の流れや重力の影響などにつき特別な配慮が払われていなかったので、下記のような問題点があった。
例えば、水平に配置した流体管内に円筒状の熱膨張部材を配設した場合であれば、熱膨張部材は、流体の流れによる影響を受けて下流側へ向けて膨張することになる。また、垂直に配置した流体管においては、重力の影響により下方側へ向けて膨張し、さらに、その垂直の流体管内を上方から下方へ向けて流体が流れている場合には、重力と流体の流れによる影響を受けて一層顕著に下方側へ膨張し、場合によっては、膨張後の熱膨張部材の一部が千切れて下方へ飛散する可能性もあり、いずれにしても、熱膨張部材の体積増大を効率よく流体流通抑制のために機能させるのがむずかしく、所望通りの流体流通抑制効果を再現性よく得るのが困難であった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、流体の流れや重力による影響を極力回避して、火災発生時などにおいて、流体の流れを所望通りに抑制することのできる流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、図2〜図13に例示するごとく、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材5が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置され、前記流体の流れを許容し、かつ、前記熱膨張部材5の膨張方向を規制する難燃性または不燃性の膨張規制部材10が設けられて、前記熱膨張部材5の加熱による膨張を前記流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導するように構成されているところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置されているので、熱膨張部材が流体の流れを妨げることはない。
そして、流体の流れを許容し、かつ、熱膨張部材の膨張方向を規制する難燃性または不燃性の膨張規制部材が設けられて、熱膨張部材の加熱による膨張を流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導するように構成されているので、熱膨張部材の膨張に際して、たとえ膨張方向が流体の流れや重力により大きな影響を受ける場合であっても、膨張規制部材によって熱膨張部材の膨張方向を適切な方向へ矯正することができる。
したがって、通常時には、流体の円滑な流れが確保され、火災発生時などには、たとえ少ない量の熱膨張部材であっても、その熱膨張部材を有効に使用して、流体の流れを所望通りに抑制することができる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、図2〜図4に例示するごとく、前記膨張規制部材10が、前記流体の透過を許容し、熱膨張部材5の通過を妨げる部材、例えば、ネット状体7や、網目、メッシュ、格子状体などで構成されて、前記流体の流れを横断するように配設されているところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、膨張規制部材が、例えば、ネット状体で構成されているので、通常時には、流体がネット状体を通って円滑に流れ、熱膨張部材の膨張に際しては、流体の流れを横断しているネット状体が、膨張後の熱膨張部材を受け止めて流体の流れを確実に抑制することになる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、図5〜図7に例示するごとく、前記膨張規制部材10が、前記流体の流れの周囲に位置してその内周部にフランジ11aを有する環状体11で構成されて、その環状体11における前記フランジ11aの外側に前記熱膨張部材5が配設されているところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、膨張規制部材が、流体の流れの周囲に位置してその内周部にフランジを有する環状体で構成されているので、通常時には、流体が環状体の中心開口部を通って円滑に流れ、熱膨張部材の膨張に際しては、環状体のフランジが、膨張後の熱膨張部材を流体の流れ抑制方向側へ誘導して流体の流れを確実に抑制することになる。
【0011】
請求項4の発明の特徴構成は、図8〜図12に例示するごとく、前記膨張規制部材10が、前記流体の流れの周囲に位置する変形可能な環状の袋状体13で構成されて、その環状の袋状体13内に前記熱膨張部材5が収納されているところにある。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成によれば、膨張規制部材が、流体の流れの周囲に位置する変形可能な環状の袋状体で構成されているので、通常時には、流体が環状の袋状体の中心開口部を通って円滑に流れ、熱膨張部材の膨張に際しては、熱膨張部材がその変形可能な袋状体内で膨張するので、膨張後の熱膨張部材が袋状体内に残留して流体の流れを確実に抑制することになる。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、図2〜図13に例示するごとく、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造を備え、かつ、流体が通流する流体管Pの内面に装着可能な装着手段9が設けられている流体流通抑制具にある。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造を備えた流体流通抑制具であって、流体が通流する流体管の内面に装着可能な装着手段が設けられているので、新たに製作する流体管に対しては勿論のこと、既設の流体管などに対しても、その装着手段を使用して流体流通抑制具を流体管内面へ簡単、確実に装着することができる。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、図14に例示するごとく、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造が、流体の通流箇所に設けられている流体機器2にある。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造が、流体の通流箇所に設けられている流体機器であるから、流体機器の取り換えや新規取り付けに伴って、上述した流体流通抑制構造が自動的に装着されることになり、特に既設の配管系においては、配管そのものに手を加えることなく流体流通抑制構造を簡単に組み込むことができる。
【0017】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明による流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、燃料用のガスや液体の供給システム、あるいは、水道の供給システムなどにおいて使用されるもので、例えば、戸建て住宅のガス供給システムであれば、図1に示すように、地中の埋設管MPから開閉弁1を有する分岐ガス管P1が分岐されて、ガスメータ2のガス流入管3に接続されている。ガスメータ2のガス流出管4には、室外用ガス管P2が接続され、さらに、その室外用ガス管P2から室内用ガス管P3が分岐されて、コンロやストーブなどの各種のガス器具に燃料用のガスを供給するように構成されている。
本発明による流体流通抑制構造および流体流通抑制具は、このようなガス供給システムにおいて、例えば、分岐ガス管P1、室外用ガス管P2、あるいは、室内用ガス管P3などの内部に配設されるものである。
【0019】
第1の実施形態では、流体としてのガスの流れを抑制する熱膨張部材として、例えば、クロロプレンゴムなどの難燃性ゴムを主材とし、加熱により膨張するグラファイト系の無機膨張剤や耐熱性向上のためのケイ酸アルミニウムなどが混入されて造られた熱膨張ゴムが使用され、図2および図3に示すように、その熱膨張ゴム5が、円筒状に形成されて、金属板などの難燃性または不燃性材料からなる円筒体6の内側に収納配置されている。
円筒体6の両開口部には、金属などの難燃性または不燃性材料からなり、ガスの透過を許容し、熱膨張ゴム5の通過を妨げる部材としてのネット状体7、あるいは、網目、メッシュ、格子状体などが張設され、さらに、円筒体6の周部には、複数の切欠き舌片8が外側へ突出するように折り曲げられて流体流通制御具が構成されている。
【0020】
この流体流通制御具を流体の通流する流通管の一例であるガス管の内面へ装着するには、図4に示すように、円筒体6の外径をガス管Pの内径よりも多少小径に形成しておいて、切欠き舌片8の付け根部側からガス管P内に挿入する。すると、複数の切欠き舌片8が縮径側に変形し、その反力でガス管Pの内面を弾性的に押圧してガス管Pの内面に装着保持される。
すなわち、この実施形態では、円筒体6と切欠き舌片8が、熱膨張ゴム5とネット状体7を保持してガス管Pの内面に装着するための装着手段9として機能して、熱膨張ゴム5とネット状体7からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面に装着保持するように構成され、ガス管P内面への装着状態において、ガスは、図4の(イ)に示すように、円筒状の熱膨張ゴム5の中心開口部とネット状体7を通って、例えば、図中矢印で示す流れ方向Fに沿って通流することになる。
なお、装着手段9としては、上述した切欠き舌片8以外にも、各種の弾性部材を使用して構成することができる。
【0021】
そして、火災などの発生により熱膨張ゴム5が、例えば、250℃程度に加熱されると、熱膨張ゴム5は急速に膨張して、その体積が約10倍程度にまで膨れあがる。
その際、円筒体6の開口部に張設されたネット状体7が、円筒体6外方への膨張を阻止するので、熱膨張ゴム5は、図4の(ロ)に示すように、そのほとんどが円筒体6の内部で膨張してガスの流れを閉止するとともに、その一部が切欠き舌片8の開口部から漏出してガス管P内面と円筒体6外面との間を封止する。
すなわち、第1の実施形態では、ネット状体7が、ガスの流れを許容し、かつ、熱膨張ゴム5の膨張方向を規制して、加熱による膨張をガスの流れ抑制方向側へ積極的に誘導する膨張規制部材10として機能することになる。
【0022】
なお、この第1の実施形態では、円筒体6の両開口部にネット状体7を張設した例を示したが、いずれか一方の開口部にのみネット状体7を張設して実施することもできる。
例えば、図4に示すように、ガスの流れ方向Fが上方から下方へ向いている場合には、円筒体6の下方開口部にのみネット状体7を張設して実施することができ、逆に、ガスの流れ方向Fが下方から上方へ向いている場合にも、膨張後における熱膨張ゴム5が、重力によって下方へ垂下するため、円筒体6の下方開口部にのみネット状体7を張設して実施することができ、さらに、ガスの流れ方向Fが横方向の場合には、流れ方向Fの下流側に位置する開口部にのみネット状体7を張設して実施することができる。
また、切欠き舌片8を備えた円筒体6を使用せず、つまり、ガス管P内面への装着手段9をなくして、熱膨張ゴム5とネット状体7からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することもできる。
【0023】
第2の実施形態では、図5および図6に示すように、上述した熱膨張ゴム5が、リング状に形成されて、金属板などの難燃性または不燃性材料からなる上下一対の円形環状体11に収納配置されている。
円形環状体11は、膨張規制部材10として機能するもので、その内周部に形成された円形のフランジ11aと、フランジ11aの先端部に形成された円形の戻り11bを一体的に有し、各熱膨張ゴム5が、そのフランジ11aの外側で、かつ、戻り11bの内側に配設されている。
そして、両円形環状体11が、フランジ11a先端の戻り11b側を互いに対向させた状態で、難燃性または不燃性材料からなるロッドやネットなどの連結部材12により互いに連結されて流体流通制御具が構成されている。
【0024】
この第2の実施形態では、各熱膨張ゴム5が円形環状体11のフランジ11aに弾性的に外嵌され、かつ、熱膨張ゴム5の外径がガス管Pの内径よりも多少大径に形成されて、図7の(イ)に示すように、ガス管Pに弾性的に内嵌されて装着保持されている。
すなわち、熱膨張ゴム5自体が、熱膨張ゴム5と円形環状体11を保持してガス管Pの内面に装着するための装着手段9として機能して、熱膨張ゴム5と円形環状体11からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面に装着保持するように構成され、ガス管P内面への装着状態において、ガスは、円形環状体11の中心開口部を通って、例えば、図中矢印で示す流れ方向Fに沿って通流することになる。
【0025】
そして、熱膨張ゴム5の加熱による膨張に際しては、フランジ11aを有する円形環状体11が、熱膨張ゴム5の膨張方向を規制してガスの流れ抑制方向側へ積極的に誘導するので、熱膨張ゴム5は、図7の(ロ)に示すように、そのほとんどが両円形環状体11の間で膨張してガスの流れを閉止する。
なお、この第2の実施形態でも、ガスの流れ方向Fが上方から下方へ向いている場合、あるいは、下方から上方へ向いている場合には、下方に位置する熱膨張ゴム5と円形環状体11のみ、つまり、一対の熱膨張ゴム5と円形環状体11のみを使用して実施することができ、ガスの流れ方向Fが横方向の場合も同様である。また、熱膨張ゴム5と円形環状体11からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することもできる。
【0026】
第3の実施形態では、図8および図9に示すように、上述した熱膨張ゴム5が、円筒状に形成されて、金属線編組チューブ、ガラスやシリカ、アルミナなどのセラミック繊維編組チューブ、あるいは、カーボンファイバー製やセラミックファイバー製のフェルトチューブなどの難燃性または不燃性材料からなる弾性変形可能な環状の袋状体13内に収納されている。
環状の袋状体13は、膨張規制部材10として機能するもので、例えば、ガラス繊維編組チューブを適当な長さに切断し、その両端を外側に折り曲げることにより円筒状の熱膨張ゴム5を包み込んでいる。
そして、そのチューブの両端には、外側へ拡径可能な金属製のバックアップリング14が取り付けられて、熱膨張ゴム5の外側に位置されている。
【0027】
この第3の実施形態では、バックアップリング14が装着手段9として機能し、バックアップリング14を縮径してガス管P内に挿入することにより、熱膨張ゴム5と袋状体13が、図10の(イ)に示すように、バックアップリング14の拡径によりガス管Pの内面に弾性的に装着保持されるように構成されている。ガス管P内面への装着状態において、ガスは、袋状体13と熱膨張ゴム5の中心開口部を通って、例えば、図中矢印で示す流れ方向Fに沿って通流する。そして、熱膨張ゴム5の膨張に際しては、図10の(ロ)に示すように、熱膨張ゴム5が、袋状体13を弾性変形させながら、その袋状体13内で膨張してガスの流れを閉止するのであり、袋状体13としては、膨張後の熱膨張ゴム5がほとんど通過不可能な密閉状のものであっても、ある程度の通過を許容するネット状のものであっても良い。
【0028】
図11は第3の実施形態の変形例を示すもので、この変形例では、例えば、ガラス繊維編組チューブを適当な長さに切断して形成した袋状体13の外側に円筒状の熱膨張ゴム5が位置され、先のパックアップリング14に代えて、拡径可能な金属製の拡径ばね15が使用されている。
この図11に示す変形例では、拡径ばね15が装着手段9として機能し、拡径ばね15を縮径してガス管P内に挿入することにより、熱膨張ゴム5と袋状体13が、図11の(イ)に示すように、拡径ばね15によりガス管Pの内面に弾性的に装着保持され、ガスは、袋状体13と熱膨張ゴム5の中心開口部を通って通流し、熱膨張ゴム5の膨張に際しては、図11の(ロ)に示すように、熱膨張ゴム5が、袋状体13を弾性変形させながら、その袋状体13内で膨張してガスの流れを閉止する。
【0029】
図12は第3の実施形態の別の変形例を示すもので、この別の変形例では、袋状体13が、例えば、ガラス繊維編組チューブを適当な長さに切断して形成され、その両端を外側に折り曲げて円筒状の熱膨張ゴム5を包み込むとともに、チューブの両端が互いに重複するように折り畳まれている。
この図12に示す別の変形例では、円筒状の熱膨張ゴム5の外径がガス管Pの内径よりも多少大径に形成されて、図12の(イ)に示すように、ガス管Pに弾性的に内嵌されて装着保持されている。したがって、熱膨張ゴム5自体が装着手段9として機能し、ガスは、袋状体13と熱膨張ゴム5の中心開口部を通って通流し、熱膨張ゴム5の膨張に際しては、図12の(ロ)に示すように、熱膨張ゴム5が、袋状体13を弾性変形させ、同時に、重複するように折り畳まれた両端を互いに引き離しながら、その袋状体13内で膨張してガスの流れを閉止する。
【0030】
なお、図12に示す別の変形例において、袋状体13の折り畳み方を変えて、例えば、プリーツ形状を持たせることによって、通常時においては、円環状に折り畳んだ袋状体13がガスの流れの周囲に位置し、熱膨張ゴム5の膨張に伴って、その折り畳んだ袋状体13がガスの流れを横断する方向に膨れるように構成することもでき、その場合には、殊更、袋状体13を弾性変形可能な材料で構成する必要はなく、例えば、金属製の箔などで構成することもできる。
さらに、袋状体13は熱膨張ゴム5の外側を完全に被覆する必要はなく、被覆されていない個所が存在していてもよい。要するに、膨張後の熱膨張ゴム5の飛散、落下を抑制できれば、いかなる構成であっても採用可能である。
また、これら第3の実施形態においても、熱膨張ゴム5と袋状体13からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することができる。
【0031】
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例とも言うべきもので、図13に示すように、第1の実施形態と同様、円筒状に形成された熱膨張ゴム5が使用され、その熱膨張ゴム5が、金属板などの難燃性または不燃性材料からなる円筒体6の内側に収納配置され、円筒体5の周部には、装着手段9として機能する複数の切欠き舌片8が設けられ、さらに、熱膨張ゴム5の下流側には、第1の実施形態と同じネット状体7が配設されている。
ただし、第4の実施形態では、ネット状体7が円筒状に形成されて、円筒体5の内周面に強固に取り付けられ、さらに、その円筒状のネット状体7には、加熱により縮径する形状記憶合金や加熱により収縮する熱収縮チューブなどで構成された熱収縮部材16が外嵌されてネット状体7に取り付けられている。
【0032】
この第4の実施形態では、図13の(イ)に示すように、ガス管Pの内面に装着した状態で、ガスが円筒状の熱膨張ゴム5とネット状体7の中心開口部を通って通流し、火災などの発生により熱収縮部材16が120℃程度に加熱されると、熱収縮部材16は急速に収縮し、その熱収縮に伴って、ネット状体7は、図13の(ロ)に示すように、ガス流れの横断方向側へ引き寄せられる。
その後、250℃程度で熱膨張ゴム5が膨張するので、熱膨張ゴム5は、その膨張がネット状体7によりガスの流れ抑制方向側へ誘導されてガスの流れを閉止するのであり、第4の実施形態では、円筒状のネット状体7と熱収縮部材16が膨張規制部材10として機能することになる。
なお、この第4の実施形態においても、熱収縮部材16が外嵌されたネット状体7と熱膨張ゴム5からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することができる。
【0033】
以上、本発明による流体流通抑制構造および流体流通抑制具をガス供給システムにおける分岐ガス管P1、室外用ガス管P2、あるいは、室内用ガス管P3に適用した例を示したが、流体機器としてのガス機器、例えば、図1に示したガスメータ2や開閉弁1をはじめとして、ガスコンロ、食器洗浄機、床暖房装置などのような各種のガス機器に適用することもできる。
例えば、図1に示したガスメータ2であれば、図14に示すように、ガスメータ2の流入管3内に第1〜第4の実施形態による流体流通抑制構造または流体流通抑制具のひとつ(図中、Aで示す)を設けるのである。このようにガス機器に組み込むことにより、ガス機器の取り換え時や新規取り付け時などにおいて、既設のガス管P1,P2,P3に手を加えることなく取り付けることができる。
なお、ガス機器への組み込みに際しては、ガスの流入部近くに組み込むのが望ましいが、ガス機器内でのガス通流箇所であれば、いかなる箇所にも組み込むことができ、図14に示すガスメータ2であれば、流出管4に組み込むこともできる。
【0034】
〔別実施形態〕
(1)これまでの実施形態では、燃料用のガスを例にして説明したが、本発明による流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器の対象は、特にガスに限るものではなく、燃料用などの各種の液体や水道水など、あらゆる流体を対象として広い範囲にわたって適用することができ、また、流体の流れを抑制するのが目的であり、したがって、必ずしも流体の流れを完全に阻止する必要はない。
【0035】
(2)これまでの実施形態で示した膨張規制部材10については、難燃性または不燃性の材料以外にも、例えば、耐熱性の材料を使用して構成することができる。しかし、膨張規制部材10は、熱膨張ゴム5の膨張方向を規制するためのものであるから、熱膨張ゴム5の膨張時に所定の機能を果たせば十分であり、したがって、熱膨張ゴム5が膨張して流体の流れを抑制した後において、焼失あるいは融解するような材料により構成することもできる。
また、これまでの実施形態では、熱膨張部材5の一例として熱膨張ゴムを示したが、熱膨張ゴム以外にも、例えば、熱膨張性セラミックファイバー複合体や感熱発泡剤を含有した難燃パテなどの熱膨張機能を有する各種の材料を使用して構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス供給システムの概略斜視図
【図2】第1の実施形態による流体流通抑制具の斜視図
【図3】第1の実施形態による流体流通抑制具の断面図
【図4】第1の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図5】第2の実施形態による流体流通抑制具の斜視図
【図6】第2の実施形態による流体流通抑制具の断面図
【図7】第2の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図8】第3の実施形態による流体流通抑制具の斜視図
【図9】第3の実施形態による流体流通抑制具の断面図
【図10】第3の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図11】第3の実施形態の変形例による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図12】第3の実施形態の別の変形例による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図13】第4の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図14】ガスメータの斜視図
【符号の説明】
2 流体機器
5 熱膨張部材
7 ネット状体
9 装着手段
10 膨張規制部材
11 環状体
11a 環状体のフランジ
13 袋状体
P 流体管
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料ガスなどの流体供給システムにおいて、火災発生時などに流体の流れを抑制または遮断するために使用されるもので、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置されている流体流通抑制構造と、その流体流通抑制構造を備えた流体流通抑制具および流体機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような流体制御構造としては、従来、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材を円筒形などの各種の形状にして流体管の一例であるガス管の内部に配設するものが知られている(例えば、特開2001−252366号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に記載のものを含めて、従来では、熱膨張部材を流体管の内部などに単に配設するに過ぎなかったので、つまり、熱膨張部材は、その形状を保持することなく無秩序に膨張するので、結果的に、流体の流れや重力の影響などを受けて膨張するのであるが、この流体の流れや重力の影響などにつき特別な配慮が払われていなかったので、下記のような問題点があった。
例えば、水平に配置した流体管内に円筒状の熱膨張部材を配設した場合であれば、熱膨張部材は、流体の流れによる影響を受けて下流側へ向けて膨張することになる。また、垂直に配置した流体管においては、重力の影響により下方側へ向けて膨張し、さらに、その垂直の流体管内を上方から下方へ向けて流体が流れている場合には、重力と流体の流れによる影響を受けて一層顕著に下方側へ膨張し、場合によっては、膨張後の熱膨張部材の一部が千切れて下方へ飛散する可能性もあり、いずれにしても、熱膨張部材の体積増大を効率よく流体流通抑制のために機能させるのがむずかしく、所望通りの流体流通抑制効果を再現性よく得るのが困難であった。
【0004】
本発明は、このような従来の問題点に着目したもので、その目的は、流体の流れや重力による影響を極力回避して、火災発生時などにおいて、流体の流れを所望通りに抑制することのできる流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の特徴構成は、図2〜図13に例示するごとく、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材5が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置され、前記流体の流れを許容し、かつ、前記熱膨張部材5の膨張方向を規制する難燃性または不燃性の膨張規制部材10が設けられて、前記熱膨張部材5の加熱による膨張を前記流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導するように構成されているところにある。
【0006】
請求項1の発明の特徴構成によれば、加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置されているので、熱膨張部材が流体の流れを妨げることはない。
そして、流体の流れを許容し、かつ、熱膨張部材の膨張方向を規制する難燃性または不燃性の膨張規制部材が設けられて、熱膨張部材の加熱による膨張を流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導するように構成されているので、熱膨張部材の膨張に際して、たとえ膨張方向が流体の流れや重力により大きな影響を受ける場合であっても、膨張規制部材によって熱膨張部材の膨張方向を適切な方向へ矯正することができる。
したがって、通常時には、流体の円滑な流れが確保され、火災発生時などには、たとえ少ない量の熱膨張部材であっても、その熱膨張部材を有効に使用して、流体の流れを所望通りに抑制することができる。
【0007】
請求項2の発明の特徴構成は、図2〜図4に例示するごとく、前記膨張規制部材10が、前記流体の透過を許容し、熱膨張部材5の通過を妨げる部材、例えば、ネット状体7や、網目、メッシュ、格子状体などで構成されて、前記流体の流れを横断するように配設されているところにある。
【0008】
請求項2の発明の特徴構成によれば、膨張規制部材が、例えば、ネット状体で構成されているので、通常時には、流体がネット状体を通って円滑に流れ、熱膨張部材の膨張に際しては、流体の流れを横断しているネット状体が、膨張後の熱膨張部材を受け止めて流体の流れを確実に抑制することになる。
【0009】
請求項3の発明の特徴構成は、図5〜図7に例示するごとく、前記膨張規制部材10が、前記流体の流れの周囲に位置してその内周部にフランジ11aを有する環状体11で構成されて、その環状体11における前記フランジ11aの外側に前記熱膨張部材5が配設されているところにある。
【0010】
請求項3の発明の特徴構成によれば、膨張規制部材が、流体の流れの周囲に位置してその内周部にフランジを有する環状体で構成されているので、通常時には、流体が環状体の中心開口部を通って円滑に流れ、熱膨張部材の膨張に際しては、環状体のフランジが、膨張後の熱膨張部材を流体の流れ抑制方向側へ誘導して流体の流れを確実に抑制することになる。
【0011】
請求項4の発明の特徴構成は、図8〜図12に例示するごとく、前記膨張規制部材10が、前記流体の流れの周囲に位置する変形可能な環状の袋状体13で構成されて、その環状の袋状体13内に前記熱膨張部材5が収納されているところにある。
【0012】
請求項4の発明の特徴構成によれば、膨張規制部材が、流体の流れの周囲に位置する変形可能な環状の袋状体で構成されているので、通常時には、流体が環状の袋状体の中心開口部を通って円滑に流れ、熱膨張部材の膨張に際しては、熱膨張部材がその変形可能な袋状体内で膨張するので、膨張後の熱膨張部材が袋状体内に残留して流体の流れを確実に抑制することになる。
【0013】
請求項5の発明の特徴構成は、図2〜図13に例示するごとく、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造を備え、かつ、流体が通流する流体管Pの内面に装着可能な装着手段9が設けられている流体流通抑制具にある。
【0014】
請求項5の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造を備えた流体流通抑制具であって、流体が通流する流体管の内面に装着可能な装着手段が設けられているので、新たに製作する流体管に対しては勿論のこと、既設の流体管などに対しても、その装着手段を使用して流体流通抑制具を流体管内面へ簡単、確実に装着することができる。
【0015】
請求項6の発明の特徴構成は、図14に例示するごとく、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造が、流体の通流箇所に設けられている流体機器2にある。
【0016】
請求項6の発明の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造が、流体の通流箇所に設けられている流体機器であるから、流体機器の取り換えや新規取り付けに伴って、上述した流体流通抑制構造が自動的に装着されることになり、特に既設の配管系においては、配管そのものに手を加えることなく流体流通抑制構造を簡単に組み込むことができる。
【0017】
なお、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明による流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、燃料用のガスや液体の供給システム、あるいは、水道の供給システムなどにおいて使用されるもので、例えば、戸建て住宅のガス供給システムであれば、図1に示すように、地中の埋設管MPから開閉弁1を有する分岐ガス管P1が分岐されて、ガスメータ2のガス流入管3に接続されている。ガスメータ2のガス流出管4には、室外用ガス管P2が接続され、さらに、その室外用ガス管P2から室内用ガス管P3が分岐されて、コンロやストーブなどの各種のガス器具に燃料用のガスを供給するように構成されている。
本発明による流体流通抑制構造および流体流通抑制具は、このようなガス供給システムにおいて、例えば、分岐ガス管P1、室外用ガス管P2、あるいは、室内用ガス管P3などの内部に配設されるものである。
【0019】
第1の実施形態では、流体としてのガスの流れを抑制する熱膨張部材として、例えば、クロロプレンゴムなどの難燃性ゴムを主材とし、加熱により膨張するグラファイト系の無機膨張剤や耐熱性向上のためのケイ酸アルミニウムなどが混入されて造られた熱膨張ゴムが使用され、図2および図3に示すように、その熱膨張ゴム5が、円筒状に形成されて、金属板などの難燃性または不燃性材料からなる円筒体6の内側に収納配置されている。
円筒体6の両開口部には、金属などの難燃性または不燃性材料からなり、ガスの透過を許容し、熱膨張ゴム5の通過を妨げる部材としてのネット状体7、あるいは、網目、メッシュ、格子状体などが張設され、さらに、円筒体6の周部には、複数の切欠き舌片8が外側へ突出するように折り曲げられて流体流通制御具が構成されている。
【0020】
この流体流通制御具を流体の通流する流通管の一例であるガス管の内面へ装着するには、図4に示すように、円筒体6の外径をガス管Pの内径よりも多少小径に形成しておいて、切欠き舌片8の付け根部側からガス管P内に挿入する。すると、複数の切欠き舌片8が縮径側に変形し、その反力でガス管Pの内面を弾性的に押圧してガス管Pの内面に装着保持される。
すなわち、この実施形態では、円筒体6と切欠き舌片8が、熱膨張ゴム5とネット状体7を保持してガス管Pの内面に装着するための装着手段9として機能して、熱膨張ゴム5とネット状体7からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面に装着保持するように構成され、ガス管P内面への装着状態において、ガスは、図4の(イ)に示すように、円筒状の熱膨張ゴム5の中心開口部とネット状体7を通って、例えば、図中矢印で示す流れ方向Fに沿って通流することになる。
なお、装着手段9としては、上述した切欠き舌片8以外にも、各種の弾性部材を使用して構成することができる。
【0021】
そして、火災などの発生により熱膨張ゴム5が、例えば、250℃程度に加熱されると、熱膨張ゴム5は急速に膨張して、その体積が約10倍程度にまで膨れあがる。
その際、円筒体6の開口部に張設されたネット状体7が、円筒体6外方への膨張を阻止するので、熱膨張ゴム5は、図4の(ロ)に示すように、そのほとんどが円筒体6の内部で膨張してガスの流れを閉止するとともに、その一部が切欠き舌片8の開口部から漏出してガス管P内面と円筒体6外面との間を封止する。
すなわち、第1の実施形態では、ネット状体7が、ガスの流れを許容し、かつ、熱膨張ゴム5の膨張方向を規制して、加熱による膨張をガスの流れ抑制方向側へ積極的に誘導する膨張規制部材10として機能することになる。
【0022】
なお、この第1の実施形態では、円筒体6の両開口部にネット状体7を張設した例を示したが、いずれか一方の開口部にのみネット状体7を張設して実施することもできる。
例えば、図4に示すように、ガスの流れ方向Fが上方から下方へ向いている場合には、円筒体6の下方開口部にのみネット状体7を張設して実施することができ、逆に、ガスの流れ方向Fが下方から上方へ向いている場合にも、膨張後における熱膨張ゴム5が、重力によって下方へ垂下するため、円筒体6の下方開口部にのみネット状体7を張設して実施することができ、さらに、ガスの流れ方向Fが横方向の場合には、流れ方向Fの下流側に位置する開口部にのみネット状体7を張設して実施することができる。
また、切欠き舌片8を備えた円筒体6を使用せず、つまり、ガス管P内面への装着手段9をなくして、熱膨張ゴム5とネット状体7からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することもできる。
【0023】
第2の実施形態では、図5および図6に示すように、上述した熱膨張ゴム5が、リング状に形成されて、金属板などの難燃性または不燃性材料からなる上下一対の円形環状体11に収納配置されている。
円形環状体11は、膨張規制部材10として機能するもので、その内周部に形成された円形のフランジ11aと、フランジ11aの先端部に形成された円形の戻り11bを一体的に有し、各熱膨張ゴム5が、そのフランジ11aの外側で、かつ、戻り11bの内側に配設されている。
そして、両円形環状体11が、フランジ11a先端の戻り11b側を互いに対向させた状態で、難燃性または不燃性材料からなるロッドやネットなどの連結部材12により互いに連結されて流体流通制御具が構成されている。
【0024】
この第2の実施形態では、各熱膨張ゴム5が円形環状体11のフランジ11aに弾性的に外嵌され、かつ、熱膨張ゴム5の外径がガス管Pの内径よりも多少大径に形成されて、図7の(イ)に示すように、ガス管Pに弾性的に内嵌されて装着保持されている。
すなわち、熱膨張ゴム5自体が、熱膨張ゴム5と円形環状体11を保持してガス管Pの内面に装着するための装着手段9として機能して、熱膨張ゴム5と円形環状体11からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面に装着保持するように構成され、ガス管P内面への装着状態において、ガスは、円形環状体11の中心開口部を通って、例えば、図中矢印で示す流れ方向Fに沿って通流することになる。
【0025】
そして、熱膨張ゴム5の加熱による膨張に際しては、フランジ11aを有する円形環状体11が、熱膨張ゴム5の膨張方向を規制してガスの流れ抑制方向側へ積極的に誘導するので、熱膨張ゴム5は、図7の(ロ)に示すように、そのほとんどが両円形環状体11の間で膨張してガスの流れを閉止する。
なお、この第2の実施形態でも、ガスの流れ方向Fが上方から下方へ向いている場合、あるいは、下方から上方へ向いている場合には、下方に位置する熱膨張ゴム5と円形環状体11のみ、つまり、一対の熱膨張ゴム5と円形環状体11のみを使用して実施することができ、ガスの流れ方向Fが横方向の場合も同様である。また、熱膨張ゴム5と円形環状体11からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することもできる。
【0026】
第3の実施形態では、図8および図9に示すように、上述した熱膨張ゴム5が、円筒状に形成されて、金属線編組チューブ、ガラスやシリカ、アルミナなどのセラミック繊維編組チューブ、あるいは、カーボンファイバー製やセラミックファイバー製のフェルトチューブなどの難燃性または不燃性材料からなる弾性変形可能な環状の袋状体13内に収納されている。
環状の袋状体13は、膨張規制部材10として機能するもので、例えば、ガラス繊維編組チューブを適当な長さに切断し、その両端を外側に折り曲げることにより円筒状の熱膨張ゴム5を包み込んでいる。
そして、そのチューブの両端には、外側へ拡径可能な金属製のバックアップリング14が取り付けられて、熱膨張ゴム5の外側に位置されている。
【0027】
この第3の実施形態では、バックアップリング14が装着手段9として機能し、バックアップリング14を縮径してガス管P内に挿入することにより、熱膨張ゴム5と袋状体13が、図10の(イ)に示すように、バックアップリング14の拡径によりガス管Pの内面に弾性的に装着保持されるように構成されている。ガス管P内面への装着状態において、ガスは、袋状体13と熱膨張ゴム5の中心開口部を通って、例えば、図中矢印で示す流れ方向Fに沿って通流する。そして、熱膨張ゴム5の膨張に際しては、図10の(ロ)に示すように、熱膨張ゴム5が、袋状体13を弾性変形させながら、その袋状体13内で膨張してガスの流れを閉止するのであり、袋状体13としては、膨張後の熱膨張ゴム5がほとんど通過不可能な密閉状のものであっても、ある程度の通過を許容するネット状のものであっても良い。
【0028】
図11は第3の実施形態の変形例を示すもので、この変形例では、例えば、ガラス繊維編組チューブを適当な長さに切断して形成した袋状体13の外側に円筒状の熱膨張ゴム5が位置され、先のパックアップリング14に代えて、拡径可能な金属製の拡径ばね15が使用されている。
この図11に示す変形例では、拡径ばね15が装着手段9として機能し、拡径ばね15を縮径してガス管P内に挿入することにより、熱膨張ゴム5と袋状体13が、図11の(イ)に示すように、拡径ばね15によりガス管Pの内面に弾性的に装着保持され、ガスは、袋状体13と熱膨張ゴム5の中心開口部を通って通流し、熱膨張ゴム5の膨張に際しては、図11の(ロ)に示すように、熱膨張ゴム5が、袋状体13を弾性変形させながら、その袋状体13内で膨張してガスの流れを閉止する。
【0029】
図12は第3の実施形態の別の変形例を示すもので、この別の変形例では、袋状体13が、例えば、ガラス繊維編組チューブを適当な長さに切断して形成され、その両端を外側に折り曲げて円筒状の熱膨張ゴム5を包み込むとともに、チューブの両端が互いに重複するように折り畳まれている。
この図12に示す別の変形例では、円筒状の熱膨張ゴム5の外径がガス管Pの内径よりも多少大径に形成されて、図12の(イ)に示すように、ガス管Pに弾性的に内嵌されて装着保持されている。したがって、熱膨張ゴム5自体が装着手段9として機能し、ガスは、袋状体13と熱膨張ゴム5の中心開口部を通って通流し、熱膨張ゴム5の膨張に際しては、図12の(ロ)に示すように、熱膨張ゴム5が、袋状体13を弾性変形させ、同時に、重複するように折り畳まれた両端を互いに引き離しながら、その袋状体13内で膨張してガスの流れを閉止する。
【0030】
なお、図12に示す別の変形例において、袋状体13の折り畳み方を変えて、例えば、プリーツ形状を持たせることによって、通常時においては、円環状に折り畳んだ袋状体13がガスの流れの周囲に位置し、熱膨張ゴム5の膨張に伴って、その折り畳んだ袋状体13がガスの流れを横断する方向に膨れるように構成することもでき、その場合には、殊更、袋状体13を弾性変形可能な材料で構成する必要はなく、例えば、金属製の箔などで構成することもできる。
さらに、袋状体13は熱膨張ゴム5の外側を完全に被覆する必要はなく、被覆されていない個所が存在していてもよい。要するに、膨張後の熱膨張ゴム5の飛散、落下を抑制できれば、いかなる構成であっても採用可能である。
また、これら第3の実施形態においても、熱膨張ゴム5と袋状体13からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することができる。
【0031】
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例とも言うべきもので、図13に示すように、第1の実施形態と同様、円筒状に形成された熱膨張ゴム5が使用され、その熱膨張ゴム5が、金属板などの難燃性または不燃性材料からなる円筒体6の内側に収納配置され、円筒体5の周部には、装着手段9として機能する複数の切欠き舌片8が設けられ、さらに、熱膨張ゴム5の下流側には、第1の実施形態と同じネット状体7が配設されている。
ただし、第4の実施形態では、ネット状体7が円筒状に形成されて、円筒体5の内周面に強固に取り付けられ、さらに、その円筒状のネット状体7には、加熱により縮径する形状記憶合金や加熱により収縮する熱収縮チューブなどで構成された熱収縮部材16が外嵌されてネット状体7に取り付けられている。
【0032】
この第4の実施形態では、図13の(イ)に示すように、ガス管Pの内面に装着した状態で、ガスが円筒状の熱膨張ゴム5とネット状体7の中心開口部を通って通流し、火災などの発生により熱収縮部材16が120℃程度に加熱されると、熱収縮部材16は急速に収縮し、その熱収縮に伴って、ネット状体7は、図13の(ロ)に示すように、ガス流れの横断方向側へ引き寄せられる。
その後、250℃程度で熱膨張ゴム5が膨張するので、熱膨張ゴム5は、その膨張がネット状体7によりガスの流れ抑制方向側へ誘導されてガスの流れを閉止するのであり、第4の実施形態では、円筒状のネット状体7と熱収縮部材16が膨張規制部材10として機能することになる。
なお、この第4の実施形態においても、熱収縮部材16が外嵌されたネット状体7と熱膨張ゴム5からなる流体流通抑制構造をガス管Pの内面へ直接取り付けて実施することができる。
【0033】
以上、本発明による流体流通抑制構造および流体流通抑制具をガス供給システムにおける分岐ガス管P1、室外用ガス管P2、あるいは、室内用ガス管P3に適用した例を示したが、流体機器としてのガス機器、例えば、図1に示したガスメータ2や開閉弁1をはじめとして、ガスコンロ、食器洗浄機、床暖房装置などのような各種のガス機器に適用することもできる。
例えば、図1に示したガスメータ2であれば、図14に示すように、ガスメータ2の流入管3内に第1〜第4の実施形態による流体流通抑制構造または流体流通抑制具のひとつ(図中、Aで示す)を設けるのである。このようにガス機器に組み込むことにより、ガス機器の取り換え時や新規取り付け時などにおいて、既設のガス管P1,P2,P3に手を加えることなく取り付けることができる。
なお、ガス機器への組み込みに際しては、ガスの流入部近くに組み込むのが望ましいが、ガス機器内でのガス通流箇所であれば、いかなる箇所にも組み込むことができ、図14に示すガスメータ2であれば、流出管4に組み込むこともできる。
【0034】
〔別実施形態〕
(1)これまでの実施形態では、燃料用のガスを例にして説明したが、本発明による流体流通抑制構造、流体流通抑制具、および、流体機器の対象は、特にガスに限るものではなく、燃料用などの各種の液体や水道水など、あらゆる流体を対象として広い範囲にわたって適用することができ、また、流体の流れを抑制するのが目的であり、したがって、必ずしも流体の流れを完全に阻止する必要はない。
【0035】
(2)これまでの実施形態で示した膨張規制部材10については、難燃性または不燃性の材料以外にも、例えば、耐熱性の材料を使用して構成することができる。しかし、膨張規制部材10は、熱膨張ゴム5の膨張方向を規制するためのものであるから、熱膨張ゴム5の膨張時に所定の機能を果たせば十分であり、したがって、熱膨張ゴム5が膨張して流体の流れを抑制した後において、焼失あるいは融解するような材料により構成することもできる。
また、これまでの実施形態では、熱膨張部材5の一例として熱膨張ゴムを示したが、熱膨張ゴム以外にも、例えば、熱膨張性セラミックファイバー複合体や感熱発泡剤を含有した難燃パテなどの熱膨張機能を有する各種の材料を使用して構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガス供給システムの概略斜視図
【図2】第1の実施形態による流体流通抑制具の斜視図
【図3】第1の実施形態による流体流通抑制具の断面図
【図4】第1の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図5】第2の実施形態による流体流通抑制具の斜視図
【図6】第2の実施形態による流体流通抑制具の断面図
【図7】第2の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図8】第3の実施形態による流体流通抑制具の斜視図
【図9】第3の実施形態による流体流通抑制具の断面図
【図10】第3の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図11】第3の実施形態の変形例による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図12】第3の実施形態の別の変形例による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図13】第4の実施形態による流体流通抑制具の作用を示す断面図
【図14】ガスメータの斜視図
【符号の説明】
2 流体機器
5 熱膨張部材
7 ネット状体
9 装着手段
10 膨張規制部材
11 環状体
11a 環状体のフランジ
13 袋状体
P 流体管
Claims (6)
- 加熱により膨張して流体の流れを抑制する熱膨張部材が、流体の流れ近傍で、その流れを阻害しない状態に配置され、前記流体の流れを許容し、かつ、前記熱膨張部材の膨張方向を規制する難燃性または不燃性の膨張規制部材が設けられて、前記熱膨張部材の加熱による膨張を前記流体の流れ抑制方向側へ積極的に誘導するように構成されている流体流通抑制構造。
- 前記膨張規制部材が、前記流体の透過を許容し、熱膨張部材の通過を妨げる部材で構成されて、前記流体の流れを横断するように配設されている請求項1に記載の流体流通抑制構造。
- 前記膨張規制部材が、前記流体の流れの周囲に位置してその内周部にフランジを有する環状体で構成されて、その環状体における前記フランジの外側に前記熱膨張部材が配設されている請求項1に記載の流体流通抑制構造。
- 前記膨張規制部材が、前記流体の流れの周囲に位置する変形可能な環状の袋状体で構成されて、その環状の袋状体内に前記熱膨張部材が収納されている請求項1に記載の流体流通抑制構造。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造を備え、かつ、流体が通流する流体管の内面に装着可能な装着手段が設けられている流体流通抑制具。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体流通抑制構造が、流体の通流箇所に設けられている流体機器。
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Cited By (3)
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CN103307604A (zh) * | 2013-06-18 | 2013-09-18 | 嘉兴职业技术学院 | 一种沼气燃烧防回火保护装置 |
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2002
- 2002-06-19 JP JP2002178688A patent/JP2004019869A/ja active Pending
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