JP2004017738A - 表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気クロムメッキに近く、しかもいぶし銀のような落ちついた、しっとりとした高級感のある外観を有し、優れた耐食性、耐延性(クラック性)をもつ、表面を光輝化処理した金属または樹脂材料およびその光輝化処理方法の提供。
【解決手段】表面10aに微少な凹凸11が形成された軽合金製ホイール10と、前記軽合金製ホイール10の表面10aに形成された樹脂塗膜12と、前記樹脂塗膜12上にの上に形成されたクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜14と、前記薄膜14上に保護層として形成された透明樹脂塗膜16とを有する、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールであって、前記樹脂塗膜12が、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用いて熱硬化反応をさせて、形成された厚みが10〜40μmの樹脂塗膜である表面が光輝処理された軽合金製ホイール。
【選択図】 図1
【解決手段】表面10aに微少な凹凸11が形成された軽合金製ホイール10と、前記軽合金製ホイール10の表面10aに形成された樹脂塗膜12と、前記樹脂塗膜12上にの上に形成されたクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜14と、前記薄膜14上に保護層として形成された透明樹脂塗膜16とを有する、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールであって、前記樹脂塗膜12が、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用いて熱硬化反応をさせて、形成された厚みが10〜40μmの樹脂塗膜である表面が光輝処理された軽合金製ホイール。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽合金製ホイール(たとえば、アルミホイール)として使用に耐える、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミホイール等の軽合金製ホイールの表面を光輝化処理するために、電気クロムメッキ法が一般に用いられてきた。この方法により、高い反射率や高級感がある外観が得られた。
しかるに、電気メッキ法は排水処理などの環境対策が必要なため、最近、電気メッキ法に代わる方法が各種検討されている。また、鋳物材に電気メッキを形成するには研磨工程が複雑になりコストが上がり、性能が不十分であるという問題もある。
自動車用アルミホイールを電気メッキ法によらないで光輝化処理するために、塗膜中にアルミ粒やアルミフレークを混入させメッキ調外観を得る方法も用いられているが、この方法では反射率は低く、電気メッキに代わる表面処理ではない。
そこで、上記方法を改良した方法が、特開昭62−13565号公報、特公平6−73937号公報や特開平9−290213号公報や特開平10−130822号公報で提案されている。
特開昭62−13565号公報では表面に着色ベースコート層を設け、該着色ベースコート層上に膜厚が約20〜250オングストロームの金属薄膜を真空メッキした着色真空メッキ樹脂製品が開示されている。ここで、この金属薄膜はベースコート層の色が透けて見えるように、その厚さが設定されている。これはクロムメッキ色に近似させるために行っていると開示されている。
また、特公平6−73937号公報ではアルミニウムホイール等の金属表面にショットブラスト加工した後に、当該加工面に粉体塗装して下地処理を施し、中間層としてアンダーコートした後に、クロムのスパッタリングをしてトップコートするようにした金属表面処理方法が開示されている。このときのスパッタリングの膜厚は450〜500オングストロームであると開示されている。
また、特開平9−290213号公報ではアルミ合金ホイールの素地に、黒系統の色をもつかクリアーの樹脂層と所定の色をもつベースコートとの何れか少なくとも一つを含む下地層、厚さが0.04〜1.1μmのアルミニウムの乾式メッキ層、樹脂のクリアートップコート層を順に形成したものである。この構成で、下地層の所定の色が金属または金属化合物の層(薄い膜)を透過してくるので、金属材の素地の色(例えばアルミ)が消え、一般的に好まれる所定の色(例えば黒系統、メッキ色)を出すことができ高級感がある外観が得られる。ここで黒系統の色の透過を可能とするために、厚さが0.04〜1.1μmのアルミニウムと膜厚を限定していると開示されている。
さらに、特開平10−130822号公報では鍛造アルミニウムホイールを型堀し、当該加工面に粉体塗装し、アンダーコート、スパッタリング、その後トップコートを行い鏡面仕上げを形成する。前処理としてクロメート処理を行い、ポリエステル系、アクリル系およびエポキシ系樹脂の粉体塗装を静電塗装する。その後、アンダーコートとしてウレタン・アクリル・エポキシ系樹脂を塗装する。次いでスパッタリング装置でアルミニウムを1000オングストームの膜厚に形成する。次にトップコートとしてウレタン系・アクリル系・エポキシ系樹脂を使用して塗膜形成することが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭62−13565号公報では、製品の平面部にはクロムメッキ外観に近い外観が得られる金属薄膜を形成すると、側面部には平面部の1/2、1/3の膜厚しか形成されない(真空工法では側面まで回り込んで膜が形成されない)。膜が極端に薄くなった場合、下地の色(黒色)が強く出てしまい、全体を見た場合、黒ずんだ外観になる。また、量産した場合、製品間、製品の部位での膜厚分布が生じ安定した色調がだせないという欠点がある。
また、特公平6−73937号公報では金属薄膜にクロムを用いるとあるが、クロム薄膜は膜応力が強く、500オングストローム以上形成するとクラックが入る。また、トップコートの乾燥もごく低温で乾燥しないと、下地樹脂層の伸びにクロムが追従できずクラックが入ってしまう。よってクロムを薄くつけ、低温で反応するトップコートを用いることになる。よって、自動車のボデイ塗装に使用されているアクリルもしくはポリエステル・メラミン塗料のような140℃以上の熱架橋する塗料は用いることはできない。
さらに、クロム薄膜を乾式メッキで形成すると、成膜中の酸素、窒素、アルゴンガスなどの影響で色が黒ずむこととなり、反射率は約30〜40%で電気メッキの60%と比較すると低い。また、低温で形成されたトップコートは塗膜強度は低く、外装アルミホイールとして電気メッキと同様の性能が出ないという致命的欠点がある。またクロムを使用することでアルミホイールをリサイクルするときに異種金属が混じることで、リサイクルできないという問題もある。
特開平9−290213号公報では、金属膜を通して下地アンダーコートの色を出すことは前記の理由で現実的でない。また膜厚が0.04〜1.1μmと規定されているが、膜厚が1000オングストロームを超えると透過率は1%以下になり、下地が透けてこない。また0.5μmを超えると、成膜時間が長期になり、真空チャンバー内の酸素、窒素、アルゴンガスが膜中に取り込まれ外観が曇ってくるという欠点がある。
特開平10−130822号公報では反射面にアルミニウムの薄膜を用いており、アルミニウム金属は安価であり、反射率が高いという利点があるが、白っぽくなり高級感に欠けるという外観上の欠点がある。
またアルミ薄膜は活性で大気に触れると酸化膜を形成する。この酸化膜が塗装との密着性の観点から見ると悪く、酸化被膜の成長に伴い塗膜密着性は低下する。また、水分を含む環境下では酸化物ではなく、水酸化物被膜を形成する。塗膜の乾燥、加熱により容易にアルミには酸化膜が形成されるが、塗装後、塗膜には透水性があるため塗膜を通過してきた水分と反応して、塗膜下で水和反応(水分子と結合)を起こし、腐食、塗膜剥離にいたる可能性がある。
このような性質の金属薄膜を使用していると、トップコートが健全な時は大きな問題は発生しないが、悪路、海岸地帯での使用、凍結防止のため塩を散布する地帯、高温多湿地帯での使用、さらに飛び石などでホイールのトップコートに傷が入った場合、アルミニウムが外部環境に触れたときから腐食が始まる。実際、トップコートなしでは40〜60℃の温水に浸すと水和反応により24〜100Hで膜は溶解する。またキャス試験(JIS H 8502)ではトップコートを塗布していても60H以上の試験ではトップコートを通じてアルミニウム薄膜が溶解する。このような性能では走行中の実車で飛び石や清掃中の傷などが付いた場合、その傷から腐食が進行する。いったん進行するとアンダーコートが露出し、本来の光輝面が損なわれるだけでなく、金属が溶解するとアンダーコートとトップコートの密着がなくなり膨れが発生する。さらに、そこを基点としてホイール本体の錆び、割れに発展することが考えられる。すくなくとも耐環境性に乏しい金属薄膜を使用するかぎり、外観だけクロムメッキに近づいても、性能は電気メッキよりかなり低下するという致命的欠陥がある。
加えて、これらの従来例に共通する問題点として、電気クロムメッキに近い外観を得られるものの、耐食性、耐延性(クラック性)の点で、実用上十分満足が得られるものが実現できなかった。
更には、最近では、鏡面的な光輝面はいたるところ満ちあふれているため、光沢を抑えてより落ちついた、高級感のある、いわゆる大人の光輝感を備えた軽合金製ホイールの実現を求める需要も多くなってきている。
また、当然のことながら、これらの光輝仕様のホイールの多くは、図4に示すように下地処理としてまずアルミホイール1の表面1aに、比較的膜厚の粉体塗装被膜2を施して表面の凹凸を隠し平坦な表面にする。次にこの表面にドライプレーテング等によってめっき層3を形成、この上に透明樹脂膜4が形成される作業が行われる。この中で、粉体被膜2の形成はコスト高の要因をつくっていた。本発明の目的は、電気クロムメッキに近い外観で、いわゆるいぶし銀のような落ちついた高級感を有し、優れた耐食性、耐延性(クラック性)をもち、電気クロムメッキを超える性能を有する表面光輝化処理ができ、かつ排水処理の必要がない乾式メッキ法で、得ることができる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法を低価格で提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、これらの問題点を解決すべく様々な試みを行った結果、発想の転換を行い、意識的に自動車用軽合金製ホイールの表面に微細な凹凸を形成し、この微少な凹凸を生かすことにより、従来にない光沢は抑えられるが、梨地状がはっきりし、しっとりとした高級感のある輝きをもつ光輝仕様の軽合金製ホイールを実現させることができた。
上記目的を達成する本発明は、つぎの通りである。
(1) 表面に微少な凹凸が形成された自動車用軽合金製ホイールと、前記軽合金製ホイールの表面に形成された樹脂塗膜と、前記樹脂塗膜の上に形成されたクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜と、前記薄膜の上に保護層として形成された透明樹脂保護膜とを有する表面が光輝化処理された自動車用軽合金製ホイールであって、前記樹脂塗膜が、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用いて熱硬化反応させて形成された膜厚が10〜40μmである表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
(2) 表面に形成された凹凸の高さは、0.01〜0.3mmである(1)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
(3) 前記軽合金製ホイールがアルミ鋳造ホイールである(1)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
(4) 軽合金製ホイールの表面に微少な凹凸を形成し、前記微少な凹凸が形成された軽合金製ホイールの表面に樹脂塗膜を形成し、その上にクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜を形成し、その上に保護層として透明樹脂保護膜を形成する、軽合金製ホイールを光輝化処理する方法であって、
表面の防錆を高めるためにクロメート処理又はノンクロメート処理で化成被膜を形成し、前記樹脂塗膜はチタン合金との密着性を向上させるために、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用い、その他溶剤、添加剤からなり、膜厚を10〜40μmで形成した後、130〜160℃で乾燥し熱硬化反応させる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(5) 軽合金製ホイールがアルミホイールである(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法
(6) アクリル樹脂又はポリエステル樹脂と、メラミン樹脂の比率はアクリル樹脂又はポリエステル樹脂の方が多く、ミラミン樹脂を1とした場合、重量比で2.0〜2.5の比率にした樹脂塗膜を形成する(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(7) 上記樹脂塗膜上に形成するチタン合金の薄膜と密着を良くするためにエポキシ樹脂を、アクリル樹脂又はポリエステル樹脂に10〜20重量%添加する(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(8) チタン合金はチタン含有量が15〜50重量%である(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(9) チタン合金はアルミニウムの含有量が50〜85重量%である(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(10) チタン合金の薄膜の膜厚は0.02〜0.2μmである(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(11) チタン合金薄膜は、スパッタリング法で形成する(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(12) チタン合金薄膜の結晶構造はアモルフアスである(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(13) 前記透明保護膜はアクリル樹脂を主剤とし架橋剤としてメラミン樹脂を使用し、膜厚は20〜30μmに形成し、140〜160℃で熱硬化反応させた(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
【0005】
本発明の光輝処理された軽合金製ホイール(アルミホイール)では、 まず、最初に軽合金製ホイールの表面に微少な凹凸を形成する。次に、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂・メラミン樹脂からなる樹脂塗膜が形成される。膜厚は10〜40μmである。軽合金製ホイールは防錆効果を高めるためにクロメート処理またはノンクロメート処理などの化成皮膜が表面に形成される。
次に樹脂塗膜上にアルミ・チタン合金が形成され、さらに、アクリル・メラミン樹脂からなる透明保護膜が膜厚10〜40μmで形成される。金属薄膜と保護膜の間には密着を向上させるエポキシ樹脂のプライマーを塗布する。
本発明で使用するアルミ・チタン合金は、チタンの含有量が15〜50重量%、アルミの含有量が50〜80重量%である。
金属薄膜はスパッタリング法で形成し、成膜時には特に軽合金製ホイールを加熱することなく薄膜がアモルフアス構造になるようにする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1、図2、図3を参照して本発明の実施例を説明する。
まず、図1〜図3に示すように鋳造又は鍛造等で製作された軽合金製ホイール10(本実施例ではアルミホイール。)の少なくとも意匠面f(ホイールにタイヤをセットした後、車両にホイールを取り付けた場合に、表側から見える部分)にショットピーニング等により微少な凹凸11を形成する。凹凸11の高さH (凹部の一番低い部分と凸の一番高い部分との差)は0.01〜0.3mm、望ましくは0.05〜0.1mmである。これ以外の範囲、例えば図2のように大きな凹凸では光輝性は高くなるがいぶし銀的高級感のある落ちついた光輝面は得られない。
ショトピーニング用のショットの径は0.4mm前後のものを用いる。
a)下地処理および樹脂塗膜
軽合金製ホイール10が高い防錆効果が望まれるときはクロメート又はノンクロメートなどの化成皮膜を形成する。軽合金製ホイール10の表面10a上に形成される樹脂塗膜12はアルミホイールの表面の微少な凹凸11の性状を生かしながら表面を平滑にしクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜14に高い反射率をもたせる。軽合金製ホイール10からのガス発生を抑制すること、軽合金製ホイール10およびアルミ・チタン合金の薄膜14との密着が良いことが必要である。
【0007】
樹脂塗膜12は、アクリル系かポリエステル系がよい。塗膜の反応形態として熱架橋させ、強固な皮膜を形成させるため架橋材としてメラミン樹脂を用いる。塗料の構成としてアクリル又はポリエステル樹脂にメラミン樹脂をプレンドし、塗装できるように溶剤で希釈する。アクリルもしくはポリエステル樹脂(主剤)とメラミン樹脂(架橋剤)の比率は主剤/架橋剤=2.0〜2.5の範囲にするのが望ましい。これはその上に形成するチタン・アルミ合金と樹脂塗膜12を強固に密着させるには主剤と架橋剤を1:1にして反応させるのでなく、主剤の方を多くして官能基を過剰にさせその反応基とアルミ・チタン合金とを反応させ接合させる。
この比率が1.9以下になると薄膜と反応する官能基が減じ、温水試験などで樹脂塗膜12とチタン合金の薄膜14間で剥離する。また、比率を2.5より高めていくと未反応主剤が多くなり硬化低下や耐候性が低下する。
樹脂塗膜12の膜厚は、10〜40μmに形成する。10μm以下では美しい平面が出ないし、40μmを超えると垂れ、わきなどの塗膜欠陥が発生しやすくなる。
次に、130〜160℃で30〜60分乾燥させる。焼き付け温度、時間が不十分だと透明樹脂保護膜を16を乾燥中に伸び縮みでチタン・アルミ合金にクラックが入ったり、虹色変色がおきる。乾燥温度が高すぎるとオーバーベイクになり塗膜の官能基が減り、密着不良が起こることがある。
【0008】
チタン合金の第一層として、エポキシ樹脂に防錆顔料が2〜5重量%入り、溶剤で希釈されたプライマーを1〜10μmに塗布するのが望ましい。これはチタン合金と透明樹脂保護膜16との密着をより強固にするために接着剤として使用する。1μm以下では連続膜が形成されず、10μmより厚いと耐水、耐湿試験で吸水して白化する。
【0009】
次にアルミ・チタン合金を保護する透明樹脂保護膜16としてアクリル樹脂を主剤とし架橋剤としてメラミン樹脂を用いる。アクリル樹脂(主剤)とメラミン樹脂(架橋剤)の比率は主剤/架橋剤=2.2〜2.5の範囲にするのが望ましい。この比率が2.1以下になると薄膜と反応する官能基が減じ、温水試験などで樹脂塗膜12とチタン合金の薄膜14間で剥離する。また比率を2.5より高めていくと未反応主剤が多くなり硬度低下や耐候性が低下する。
プライマーと透明樹脂保護膜16が塗布されてから140℃で30〜60分乾燥し熱硬化させる。140℃以下で乾燥すると未反応部分ができプライマーが吸水して白化する。膜厚は5〜40μmが望ましい。5μm以下では平滑にならないし摩耗特性が悪くなる。40μm以上では樹脂塗膜12と同様で垂れ、わきなどの塗膜欠陥が発生する。
【0010】
b)金属薄膜
樹脂塗膜の上に形成するチタン合金の薄膜のチタン含有量は15〜50重量%が望ましい。
表1に、以下にチタン量と表面反射率を分光光度計(日立製作所)で測定したデータを示す。
【0011】
【表1】
【0012】
表1から、電気クロムに近い反射率を有するのはチタン含有量が15〜50重量%であると判断される。
透明樹脂保護膜16をコーティングしないで耐食試験(キャス試験)を実施した結果を表2、表3、表4に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
上記結果から、チタン合金のアルミ含有量は15〜50重量%が望ましい。
【0016】
【表4】
【0017】
チタン合金の薄膜14の膜厚は平面部で0.03〜0.2μmが適当である。膜厚が0.03μmより薄いと下地(樹脂塗膜)が透けて見え、白っぽい外 になり高い反射率が得られない。膜厚が0.2μmを超えると樹脂塗膜の伸び(薄膜の約10倍)に薄膜の伸びが追従できず膜に割れが入ったり、膜の応力が高くなり膜に割れが入る。
チタン合金の薄膜の膜厚は0.5μm以上では膜厚を上げても反射率に変化はなく、無意味な厚膜を形成することは成膜時間が延びランニングコストの増加、生産時間の長期化になりコストアップになる。
【0018】
チタン合金の薄膜形成方法はスパッタリング法が好ましい。スパッタリング方式はDCマグネトロンもしくはRFマグネトロンのどちらでも良い。スパッタ法は真空中でアルゴンイオンをターゲットにぶつけてエネルギーを与え、該ターゲットを構成する原子を飛び出させて対象物に付着させる。熱で蒸気化して飛ばす方法でないので蒸気圧による成分の変動が少なく、ターゲット組成とほぼ同じ組成の膜が得られる。さらにアルミとチタンのターゲットをそれぞれ配置し同時に成膜することで、アルミ・チタン合金を得る成膜法も可能である。合金比率の調整はそれぞれのターゲットの投入電流を調整することで可能となる。
ターゲットは溶解法や焼結法で作製する。さらにアルミ・チタン合金薄膜の結晶性はアモルフアスが望ましい。結晶化すると耐食性の低下と金属間化合物を形成し耐クラック性が低下する可能性がある。作製時には基板、作製物を加温しない、もしくは作製物の温度が70℃を越えることがないように注意することが望ましい。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕
アルミニウム合金鋳物AC4C材(Al−Si−Mg系)10cm角、厚み3mmを基材1に用いた。この基材1は鋳物材なので表面は100〜200μmの凹凸がある。
次に、このアルミニウム合金鋳物に、ショトピーニング加工を施して0.01〜0.3mmの微少な凹凸を形成する。ショットピーニングの粒径は0.4mm前後が望ましい。
次に、クロメート処理で基材に化成皮膜を形成し、基材の耐食性を向上させた。
次にポリエステル・メラミン樹脂の樹脂塗膜を12をエアースプレーガンで30μm形成し、140℃で30分乾燥した。このとき樹脂塗膜12はポリエステル樹脂:メラミン樹脂=2.18:1の比率で調合され、ポリエステル樹脂の16重量%のエポキシ樹脂が添加されたものを用いた。
次にチタンを20重量%含みその他アルミニウムである、アルミ・チタン合金を焼結法で作製したターゲットを用い、直流マグネトロンスパッタリングで金属膜を形成した。成膜条件は5×10−5Torrまで排気し、アルゴンガスを1.5×10−3Torrになるまで導入した。ターゲットと基板間距離は107mm、基板回転数9rpm、ターゲット電流3A(電圧650V)で2分間コーティングし、膜厚が約0.07μmの被膜を得た。
次にエポキシ樹脂が主成分のプライマーをエアースプレーガンで5μm形成した。その上にアクリル・メラミン樹脂の透明樹脂保護膜16をエアースプレーガンで25μm形成し、140℃で約30分乾燥した。このとき透明樹脂保護膜16はアクリル樹脂:メラミン樹脂=2.31:1の比率である。これに紫外線吸収剤などの添加剤が若干添加してある。上記のように作製した表面処理の外観はクラックや割れがなく電気クロムメッキと同様な色調を持っている。
このサンプルを主に電気メッキ規格で評価した結果を表5に示す。
【0020】
【表5】
【0021】
以上のように電気メッキの規格に合格し、外観、性能とも満足した。
【0022】
〔実施例2〕
スパッタするチタン・アルミ合金ターゲットのチタン含有量を30重量%、その他は実施例1と同様で試料作製し、評価試験を行った。外観は電気黒色クロムメッキ色である。クラック、割れなく作製でき、実施例1の試験を実施し全て合格した。
【0023】
〔実施例3〕
スパッタするチタン・アルミ合金ターゲットのチタン含有量を40重量%、その他は実施例1と同様で試料作製し、評価試験を行った。外観は電気黒色クロムメッキ色である。クラック、割れなく作製でき、実施例1の試験を実施し全て合格した。
【0024】
〔実施例4〕
アルミニウム合金鋳物AC4C材(Al−Si−Mg系) で作製された直径15インチのアルミホイールの表面に実施例1の処理を行った。スパッタするチタン・アルミ合金ターゲットのチタン含有量を15、20、30、40、50重量%と5種類作製した。その他は実施例1と同様で試料作製し、評価試験を行った。外観は明るい電気メッキ外観から黒色クロムメッキ色まで作製できた。クラック、割れなく作製でき、実施例1の試験を実施し全て合格した。
【0025】
実施例1の試験を実施し全てで合格した。
【0026】
〔比較例1〕
樹脂塗膜12のポリエステル:メラミン=1.85:1にしてその他実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験で促進耐候試験後の密着試験で0/100だった。
〔比較例2〕
金属薄膜の形成の際にアルミニウム薄膜を膜厚を0.08μmに形成した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験でクロスカットを入れてキャス試験を実施した結果、12H後にクロスカット部から幅5mmの金属溶解が起こった。
〔比較例3〕
金属薄膜の形成の際にアルミニウム薄膜を膜厚を0.08μmに形成した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験でクロスカットを入れて60℃温水試験を実施した。36H後に、クロスカット部からアルミの溶解が起こった。
〔比較例4〕
金属薄膜の形成の際にニクロム、ステンレス等のクロム合金薄膜を0.05μmに形成した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。トップコート乾燥後の外観はクラックが入っていた。
〔比較例5〕
透明樹脂保護膜16にアクリル・シリコン系の塗料を用い20〜30μm塗装し70℃、1H乾燥した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験を実施した結果、アルカリ薬品試験でトップコートが溶解した。耐候試験後の外観は白亜化した。
〔比較例6〕
透明樹脂保護膜16にアクリル・ウレタン系の2液の塗料を用い20〜30μm塗装し70℃、1H乾燥した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験を実施した結果、鉛筆硬度試験でB硬度であった。
〔比較例7〕
透明樹脂保護膜16にエポキシ系の塗料を用い20〜30μm塗装し70℃、1H乾燥した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験を実施した結果、促進耐候試験300Hで表面がガサガサに荒れ、さらに白亜化し光輝性が失われていた。
〔比較例8〕
チタン・アルミ合金薄膜の上にプライマーを塗布しないでアクリル・メラミンのトップコートを形成し、評価試験を行った。60℃温水試験で90/100の密着であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール(アルミホイール)およびその光輝化処理方法によれば、つぎの効果が得られる。
意識的に軽合金製自動車用ホイールの表面に微細な凹凸を形成し、この微少な凹凸を生かすことにより、電気クロムメッキに近い外観で、光沢は抑えられるが、従来にない梨地状がはっきりし、いわゆるいぶし銀のようなしっとりとして、落ち着きがあり又、高級感のある輝きをもつ光輝仕様の軽合金製ホイールを、優れた耐食性、耐延性(クラック性)をもち、電気クロムメッキを超える性能を有する表面光輝化処理ができ、かつ排水処理の必要がない乾式メッキ法で、得ることができる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法を低価格で提供することができる。クロムを使用していないので環境にやさしく、チタンとアルミという生体にも安全でリサイクル性にも優れている。
各種評価試験も合格し、耐食性において十分に電気クロムと同様の性能を有している表面処理を提供できた。この性能は従来、電気メッキで表面処理していた部品の代替となり、他への応用展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光輝化処理方法によって光輝化された、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの表面近傍の一部断面図である。
【図2】比較例の軽合金製ホイールの一部の断面図である。
【図3】ホイールの全体断面図である。
【図4】従来の軽合金製ホイールの一部の断面図である。
【符号の説明】
10 軽合金製ホイール
10a ホイールの表面
11 凹凸
12 樹脂塗膜
14 チタン合金の薄膜
16 透明樹脂保護膜
H 凹凸の高さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽合金製ホイール(たとえば、アルミホイール)として使用に耐える、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミホイール等の軽合金製ホイールの表面を光輝化処理するために、電気クロムメッキ法が一般に用いられてきた。この方法により、高い反射率や高級感がある外観が得られた。
しかるに、電気メッキ法は排水処理などの環境対策が必要なため、最近、電気メッキ法に代わる方法が各種検討されている。また、鋳物材に電気メッキを形成するには研磨工程が複雑になりコストが上がり、性能が不十分であるという問題もある。
自動車用アルミホイールを電気メッキ法によらないで光輝化処理するために、塗膜中にアルミ粒やアルミフレークを混入させメッキ調外観を得る方法も用いられているが、この方法では反射率は低く、電気メッキに代わる表面処理ではない。
そこで、上記方法を改良した方法が、特開昭62−13565号公報、特公平6−73937号公報や特開平9−290213号公報や特開平10−130822号公報で提案されている。
特開昭62−13565号公報では表面に着色ベースコート層を設け、該着色ベースコート層上に膜厚が約20〜250オングストロームの金属薄膜を真空メッキした着色真空メッキ樹脂製品が開示されている。ここで、この金属薄膜はベースコート層の色が透けて見えるように、その厚さが設定されている。これはクロムメッキ色に近似させるために行っていると開示されている。
また、特公平6−73937号公報ではアルミニウムホイール等の金属表面にショットブラスト加工した後に、当該加工面に粉体塗装して下地処理を施し、中間層としてアンダーコートした後に、クロムのスパッタリングをしてトップコートするようにした金属表面処理方法が開示されている。このときのスパッタリングの膜厚は450〜500オングストロームであると開示されている。
また、特開平9−290213号公報ではアルミ合金ホイールの素地に、黒系統の色をもつかクリアーの樹脂層と所定の色をもつベースコートとの何れか少なくとも一つを含む下地層、厚さが0.04〜1.1μmのアルミニウムの乾式メッキ層、樹脂のクリアートップコート層を順に形成したものである。この構成で、下地層の所定の色が金属または金属化合物の層(薄い膜)を透過してくるので、金属材の素地の色(例えばアルミ)が消え、一般的に好まれる所定の色(例えば黒系統、メッキ色)を出すことができ高級感がある外観が得られる。ここで黒系統の色の透過を可能とするために、厚さが0.04〜1.1μmのアルミニウムと膜厚を限定していると開示されている。
さらに、特開平10−130822号公報では鍛造アルミニウムホイールを型堀し、当該加工面に粉体塗装し、アンダーコート、スパッタリング、その後トップコートを行い鏡面仕上げを形成する。前処理としてクロメート処理を行い、ポリエステル系、アクリル系およびエポキシ系樹脂の粉体塗装を静電塗装する。その後、アンダーコートとしてウレタン・アクリル・エポキシ系樹脂を塗装する。次いでスパッタリング装置でアルミニウムを1000オングストームの膜厚に形成する。次にトップコートとしてウレタン系・アクリル系・エポキシ系樹脂を使用して塗膜形成することが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開昭62−13565号公報では、製品の平面部にはクロムメッキ外観に近い外観が得られる金属薄膜を形成すると、側面部には平面部の1/2、1/3の膜厚しか形成されない(真空工法では側面まで回り込んで膜が形成されない)。膜が極端に薄くなった場合、下地の色(黒色)が強く出てしまい、全体を見た場合、黒ずんだ外観になる。また、量産した場合、製品間、製品の部位での膜厚分布が生じ安定した色調がだせないという欠点がある。
また、特公平6−73937号公報では金属薄膜にクロムを用いるとあるが、クロム薄膜は膜応力が強く、500オングストローム以上形成するとクラックが入る。また、トップコートの乾燥もごく低温で乾燥しないと、下地樹脂層の伸びにクロムが追従できずクラックが入ってしまう。よってクロムを薄くつけ、低温で反応するトップコートを用いることになる。よって、自動車のボデイ塗装に使用されているアクリルもしくはポリエステル・メラミン塗料のような140℃以上の熱架橋する塗料は用いることはできない。
さらに、クロム薄膜を乾式メッキで形成すると、成膜中の酸素、窒素、アルゴンガスなどの影響で色が黒ずむこととなり、反射率は約30〜40%で電気メッキの60%と比較すると低い。また、低温で形成されたトップコートは塗膜強度は低く、外装アルミホイールとして電気メッキと同様の性能が出ないという致命的欠点がある。またクロムを使用することでアルミホイールをリサイクルするときに異種金属が混じることで、リサイクルできないという問題もある。
特開平9−290213号公報では、金属膜を通して下地アンダーコートの色を出すことは前記の理由で現実的でない。また膜厚が0.04〜1.1μmと規定されているが、膜厚が1000オングストロームを超えると透過率は1%以下になり、下地が透けてこない。また0.5μmを超えると、成膜時間が長期になり、真空チャンバー内の酸素、窒素、アルゴンガスが膜中に取り込まれ外観が曇ってくるという欠点がある。
特開平10−130822号公報では反射面にアルミニウムの薄膜を用いており、アルミニウム金属は安価であり、反射率が高いという利点があるが、白っぽくなり高級感に欠けるという外観上の欠点がある。
またアルミ薄膜は活性で大気に触れると酸化膜を形成する。この酸化膜が塗装との密着性の観点から見ると悪く、酸化被膜の成長に伴い塗膜密着性は低下する。また、水分を含む環境下では酸化物ではなく、水酸化物被膜を形成する。塗膜の乾燥、加熱により容易にアルミには酸化膜が形成されるが、塗装後、塗膜には透水性があるため塗膜を通過してきた水分と反応して、塗膜下で水和反応(水分子と結合)を起こし、腐食、塗膜剥離にいたる可能性がある。
このような性質の金属薄膜を使用していると、トップコートが健全な時は大きな問題は発生しないが、悪路、海岸地帯での使用、凍結防止のため塩を散布する地帯、高温多湿地帯での使用、さらに飛び石などでホイールのトップコートに傷が入った場合、アルミニウムが外部環境に触れたときから腐食が始まる。実際、トップコートなしでは40〜60℃の温水に浸すと水和反応により24〜100Hで膜は溶解する。またキャス試験(JIS H 8502)ではトップコートを塗布していても60H以上の試験ではトップコートを通じてアルミニウム薄膜が溶解する。このような性能では走行中の実車で飛び石や清掃中の傷などが付いた場合、その傷から腐食が進行する。いったん進行するとアンダーコートが露出し、本来の光輝面が損なわれるだけでなく、金属が溶解するとアンダーコートとトップコートの密着がなくなり膨れが発生する。さらに、そこを基点としてホイール本体の錆び、割れに発展することが考えられる。すくなくとも耐環境性に乏しい金属薄膜を使用するかぎり、外観だけクロムメッキに近づいても、性能は電気メッキよりかなり低下するという致命的欠陥がある。
加えて、これらの従来例に共通する問題点として、電気クロムメッキに近い外観を得られるものの、耐食性、耐延性(クラック性)の点で、実用上十分満足が得られるものが実現できなかった。
更には、最近では、鏡面的な光輝面はいたるところ満ちあふれているため、光沢を抑えてより落ちついた、高級感のある、いわゆる大人の光輝感を備えた軽合金製ホイールの実現を求める需要も多くなってきている。
また、当然のことながら、これらの光輝仕様のホイールの多くは、図4に示すように下地処理としてまずアルミホイール1の表面1aに、比較的膜厚の粉体塗装被膜2を施して表面の凹凸を隠し平坦な表面にする。次にこの表面にドライプレーテング等によってめっき層3を形成、この上に透明樹脂膜4が形成される作業が行われる。この中で、粉体被膜2の形成はコスト高の要因をつくっていた。本発明の目的は、電気クロムメッキに近い外観で、いわゆるいぶし銀のような落ちついた高級感を有し、優れた耐食性、耐延性(クラック性)をもち、電気クロムメッキを超える性能を有する表面光輝化処理ができ、かつ排水処理の必要がない乾式メッキ法で、得ることができる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法を低価格で提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、これらの問題点を解決すべく様々な試みを行った結果、発想の転換を行い、意識的に自動車用軽合金製ホイールの表面に微細な凹凸を形成し、この微少な凹凸を生かすことにより、従来にない光沢は抑えられるが、梨地状がはっきりし、しっとりとした高級感のある輝きをもつ光輝仕様の軽合金製ホイールを実現させることができた。
上記目的を達成する本発明は、つぎの通りである。
(1) 表面に微少な凹凸が形成された自動車用軽合金製ホイールと、前記軽合金製ホイールの表面に形成された樹脂塗膜と、前記樹脂塗膜の上に形成されたクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜と、前記薄膜の上に保護層として形成された透明樹脂保護膜とを有する表面が光輝化処理された自動車用軽合金製ホイールであって、前記樹脂塗膜が、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用いて熱硬化反応させて形成された膜厚が10〜40μmである表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
(2) 表面に形成された凹凸の高さは、0.01〜0.3mmである(1)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
(3) 前記軽合金製ホイールがアルミ鋳造ホイールである(1)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
(4) 軽合金製ホイールの表面に微少な凹凸を形成し、前記微少な凹凸が形成された軽合金製ホイールの表面に樹脂塗膜を形成し、その上にクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜を形成し、その上に保護層として透明樹脂保護膜を形成する、軽合金製ホイールを光輝化処理する方法であって、
表面の防錆を高めるためにクロメート処理又はノンクロメート処理で化成被膜を形成し、前記樹脂塗膜はチタン合金との密着性を向上させるために、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用い、その他溶剤、添加剤からなり、膜厚を10〜40μmで形成した後、130〜160℃で乾燥し熱硬化反応させる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(5) 軽合金製ホイールがアルミホイールである(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法
(6) アクリル樹脂又はポリエステル樹脂と、メラミン樹脂の比率はアクリル樹脂又はポリエステル樹脂の方が多く、ミラミン樹脂を1とした場合、重量比で2.0〜2.5の比率にした樹脂塗膜を形成する(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(7) 上記樹脂塗膜上に形成するチタン合金の薄膜と密着を良くするためにエポキシ樹脂を、アクリル樹脂又はポリエステル樹脂に10〜20重量%添加する(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(8) チタン合金はチタン含有量が15〜50重量%である(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(9) チタン合金はアルミニウムの含有量が50〜85重量%である(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(10) チタン合金の薄膜の膜厚は0.02〜0.2μmである(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(11) チタン合金薄膜は、スパッタリング法で形成する(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(12) チタン合金薄膜の結晶構造はアモルフアスである(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
(13) 前記透明保護膜はアクリル樹脂を主剤とし架橋剤としてメラミン樹脂を使用し、膜厚は20〜30μmに形成し、140〜160℃で熱硬化反応させた(4)記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
【0005】
本発明の光輝処理された軽合金製ホイール(アルミホイール)では、 まず、最初に軽合金製ホイールの表面に微少な凹凸を形成する。次に、アクリル樹脂またはポリエステル樹脂・メラミン樹脂からなる樹脂塗膜が形成される。膜厚は10〜40μmである。軽合金製ホイールは防錆効果を高めるためにクロメート処理またはノンクロメート処理などの化成皮膜が表面に形成される。
次に樹脂塗膜上にアルミ・チタン合金が形成され、さらに、アクリル・メラミン樹脂からなる透明保護膜が膜厚10〜40μmで形成される。金属薄膜と保護膜の間には密着を向上させるエポキシ樹脂のプライマーを塗布する。
本発明で使用するアルミ・チタン合金は、チタンの含有量が15〜50重量%、アルミの含有量が50〜80重量%である。
金属薄膜はスパッタリング法で形成し、成膜時には特に軽合金製ホイールを加熱することなく薄膜がアモルフアス構造になるようにする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1、図2、図3を参照して本発明の実施例を説明する。
まず、図1〜図3に示すように鋳造又は鍛造等で製作された軽合金製ホイール10(本実施例ではアルミホイール。)の少なくとも意匠面f(ホイールにタイヤをセットした後、車両にホイールを取り付けた場合に、表側から見える部分)にショットピーニング等により微少な凹凸11を形成する。凹凸11の高さH (凹部の一番低い部分と凸の一番高い部分との差)は0.01〜0.3mm、望ましくは0.05〜0.1mmである。これ以外の範囲、例えば図2のように大きな凹凸では光輝性は高くなるがいぶし銀的高級感のある落ちついた光輝面は得られない。
ショトピーニング用のショットの径は0.4mm前後のものを用いる。
a)下地処理および樹脂塗膜
軽合金製ホイール10が高い防錆効果が望まれるときはクロメート又はノンクロメートなどの化成皮膜を形成する。軽合金製ホイール10の表面10a上に形成される樹脂塗膜12はアルミホイールの表面の微少な凹凸11の性状を生かしながら表面を平滑にしクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜14に高い反射率をもたせる。軽合金製ホイール10からのガス発生を抑制すること、軽合金製ホイール10およびアルミ・チタン合金の薄膜14との密着が良いことが必要である。
【0007】
樹脂塗膜12は、アクリル系かポリエステル系がよい。塗膜の反応形態として熱架橋させ、強固な皮膜を形成させるため架橋材としてメラミン樹脂を用いる。塗料の構成としてアクリル又はポリエステル樹脂にメラミン樹脂をプレンドし、塗装できるように溶剤で希釈する。アクリルもしくはポリエステル樹脂(主剤)とメラミン樹脂(架橋剤)の比率は主剤/架橋剤=2.0〜2.5の範囲にするのが望ましい。これはその上に形成するチタン・アルミ合金と樹脂塗膜12を強固に密着させるには主剤と架橋剤を1:1にして反応させるのでなく、主剤の方を多くして官能基を過剰にさせその反応基とアルミ・チタン合金とを反応させ接合させる。
この比率が1.9以下になると薄膜と反応する官能基が減じ、温水試験などで樹脂塗膜12とチタン合金の薄膜14間で剥離する。また、比率を2.5より高めていくと未反応主剤が多くなり硬化低下や耐候性が低下する。
樹脂塗膜12の膜厚は、10〜40μmに形成する。10μm以下では美しい平面が出ないし、40μmを超えると垂れ、わきなどの塗膜欠陥が発生しやすくなる。
次に、130〜160℃で30〜60分乾燥させる。焼き付け温度、時間が不十分だと透明樹脂保護膜を16を乾燥中に伸び縮みでチタン・アルミ合金にクラックが入ったり、虹色変色がおきる。乾燥温度が高すぎるとオーバーベイクになり塗膜の官能基が減り、密着不良が起こることがある。
【0008】
チタン合金の第一層として、エポキシ樹脂に防錆顔料が2〜5重量%入り、溶剤で希釈されたプライマーを1〜10μmに塗布するのが望ましい。これはチタン合金と透明樹脂保護膜16との密着をより強固にするために接着剤として使用する。1μm以下では連続膜が形成されず、10μmより厚いと耐水、耐湿試験で吸水して白化する。
【0009】
次にアルミ・チタン合金を保護する透明樹脂保護膜16としてアクリル樹脂を主剤とし架橋剤としてメラミン樹脂を用いる。アクリル樹脂(主剤)とメラミン樹脂(架橋剤)の比率は主剤/架橋剤=2.2〜2.5の範囲にするのが望ましい。この比率が2.1以下になると薄膜と反応する官能基が減じ、温水試験などで樹脂塗膜12とチタン合金の薄膜14間で剥離する。また比率を2.5より高めていくと未反応主剤が多くなり硬度低下や耐候性が低下する。
プライマーと透明樹脂保護膜16が塗布されてから140℃で30〜60分乾燥し熱硬化させる。140℃以下で乾燥すると未反応部分ができプライマーが吸水して白化する。膜厚は5〜40μmが望ましい。5μm以下では平滑にならないし摩耗特性が悪くなる。40μm以上では樹脂塗膜12と同様で垂れ、わきなどの塗膜欠陥が発生する。
【0010】
b)金属薄膜
樹脂塗膜の上に形成するチタン合金の薄膜のチタン含有量は15〜50重量%が望ましい。
表1に、以下にチタン量と表面反射率を分光光度計(日立製作所)で測定したデータを示す。
【0011】
【表1】
【0012】
表1から、電気クロムに近い反射率を有するのはチタン含有量が15〜50重量%であると判断される。
透明樹脂保護膜16をコーティングしないで耐食試験(キャス試験)を実施した結果を表2、表3、表4に示す。
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
上記結果から、チタン合金のアルミ含有量は15〜50重量%が望ましい。
【0016】
【表4】
【0017】
チタン合金の薄膜14の膜厚は平面部で0.03〜0.2μmが適当である。膜厚が0.03μmより薄いと下地(樹脂塗膜)が透けて見え、白っぽい外 になり高い反射率が得られない。膜厚が0.2μmを超えると樹脂塗膜の伸び(薄膜の約10倍)に薄膜の伸びが追従できず膜に割れが入ったり、膜の応力が高くなり膜に割れが入る。
チタン合金の薄膜の膜厚は0.5μm以上では膜厚を上げても反射率に変化はなく、無意味な厚膜を形成することは成膜時間が延びランニングコストの増加、生産時間の長期化になりコストアップになる。
【0018】
チタン合金の薄膜形成方法はスパッタリング法が好ましい。スパッタリング方式はDCマグネトロンもしくはRFマグネトロンのどちらでも良い。スパッタ法は真空中でアルゴンイオンをターゲットにぶつけてエネルギーを与え、該ターゲットを構成する原子を飛び出させて対象物に付着させる。熱で蒸気化して飛ばす方法でないので蒸気圧による成分の変動が少なく、ターゲット組成とほぼ同じ組成の膜が得られる。さらにアルミとチタンのターゲットをそれぞれ配置し同時に成膜することで、アルミ・チタン合金を得る成膜法も可能である。合金比率の調整はそれぞれのターゲットの投入電流を調整することで可能となる。
ターゲットは溶解法や焼結法で作製する。さらにアルミ・チタン合金薄膜の結晶性はアモルフアスが望ましい。結晶化すると耐食性の低下と金属間化合物を形成し耐クラック性が低下する可能性がある。作製時には基板、作製物を加温しない、もしくは作製物の温度が70℃を越えることがないように注意することが望ましい。
【0019】
【実施例】
〔実施例1〕
アルミニウム合金鋳物AC4C材(Al−Si−Mg系)10cm角、厚み3mmを基材1に用いた。この基材1は鋳物材なので表面は100〜200μmの凹凸がある。
次に、このアルミニウム合金鋳物に、ショトピーニング加工を施して0.01〜0.3mmの微少な凹凸を形成する。ショットピーニングの粒径は0.4mm前後が望ましい。
次に、クロメート処理で基材に化成皮膜を形成し、基材の耐食性を向上させた。
次にポリエステル・メラミン樹脂の樹脂塗膜を12をエアースプレーガンで30μm形成し、140℃で30分乾燥した。このとき樹脂塗膜12はポリエステル樹脂:メラミン樹脂=2.18:1の比率で調合され、ポリエステル樹脂の16重量%のエポキシ樹脂が添加されたものを用いた。
次にチタンを20重量%含みその他アルミニウムである、アルミ・チタン合金を焼結法で作製したターゲットを用い、直流マグネトロンスパッタリングで金属膜を形成した。成膜条件は5×10−5Torrまで排気し、アルゴンガスを1.5×10−3Torrになるまで導入した。ターゲットと基板間距離は107mm、基板回転数9rpm、ターゲット電流3A(電圧650V)で2分間コーティングし、膜厚が約0.07μmの被膜を得た。
次にエポキシ樹脂が主成分のプライマーをエアースプレーガンで5μm形成した。その上にアクリル・メラミン樹脂の透明樹脂保護膜16をエアースプレーガンで25μm形成し、140℃で約30分乾燥した。このとき透明樹脂保護膜16はアクリル樹脂:メラミン樹脂=2.31:1の比率である。これに紫外線吸収剤などの添加剤が若干添加してある。上記のように作製した表面処理の外観はクラックや割れがなく電気クロムメッキと同様な色調を持っている。
このサンプルを主に電気メッキ規格で評価した結果を表5に示す。
【0020】
【表5】
【0021】
以上のように電気メッキの規格に合格し、外観、性能とも満足した。
【0022】
〔実施例2〕
スパッタするチタン・アルミ合金ターゲットのチタン含有量を30重量%、その他は実施例1と同様で試料作製し、評価試験を行った。外観は電気黒色クロムメッキ色である。クラック、割れなく作製でき、実施例1の試験を実施し全て合格した。
【0023】
〔実施例3〕
スパッタするチタン・アルミ合金ターゲットのチタン含有量を40重量%、その他は実施例1と同様で試料作製し、評価試験を行った。外観は電気黒色クロムメッキ色である。クラック、割れなく作製でき、実施例1の試験を実施し全て合格した。
【0024】
〔実施例4〕
アルミニウム合金鋳物AC4C材(Al−Si−Mg系) で作製された直径15インチのアルミホイールの表面に実施例1の処理を行った。スパッタするチタン・アルミ合金ターゲットのチタン含有量を15、20、30、40、50重量%と5種類作製した。その他は実施例1と同様で試料作製し、評価試験を行った。外観は明るい電気メッキ外観から黒色クロムメッキ色まで作製できた。クラック、割れなく作製でき、実施例1の試験を実施し全て合格した。
【0025】
実施例1の試験を実施し全てで合格した。
【0026】
〔比較例1〕
樹脂塗膜12のポリエステル:メラミン=1.85:1にしてその他実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験で促進耐候試験後の密着試験で0/100だった。
〔比較例2〕
金属薄膜の形成の際にアルミニウム薄膜を膜厚を0.08μmに形成した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験でクロスカットを入れてキャス試験を実施した結果、12H後にクロスカット部から幅5mmの金属溶解が起こった。
〔比較例3〕
金属薄膜の形成の際にアルミニウム薄膜を膜厚を0.08μmに形成した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験でクロスカットを入れて60℃温水試験を実施した。36H後に、クロスカット部からアルミの溶解が起こった。
〔比較例4〕
金属薄膜の形成の際にニクロム、ステンレス等のクロム合金薄膜を0.05μmに形成した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。トップコート乾燥後の外観はクラックが入っていた。
〔比較例5〕
透明樹脂保護膜16にアクリル・シリコン系の塗料を用い20〜30μm塗装し70℃、1H乾燥した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験を実施した結果、アルカリ薬品試験でトップコートが溶解した。耐候試験後の外観は白亜化した。
〔比較例6〕
透明樹脂保護膜16にアクリル・ウレタン系の2液の塗料を用い20〜30μm塗装し70℃、1H乾燥した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験を実施した結果、鉛筆硬度試験でB硬度であった。
〔比較例7〕
透明樹脂保護膜16にエポキシ系の塗料を用い20〜30μm塗装し70℃、1H乾燥した以外は実施例1と同様にして光輝化処理した。評価試験を実施した結果、促進耐候試験300Hで表面がガサガサに荒れ、さらに白亜化し光輝性が失われていた。
〔比較例8〕
チタン・アルミ合金薄膜の上にプライマーを塗布しないでアクリル・メラミンのトップコートを形成し、評価試験を行った。60℃温水試験で90/100の密着であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール(アルミホイール)およびその光輝化処理方法によれば、つぎの効果が得られる。
意識的に軽合金製自動車用ホイールの表面に微細な凹凸を形成し、この微少な凹凸を生かすことにより、電気クロムメッキに近い外観で、光沢は抑えられるが、従来にない梨地状がはっきりし、いわゆるいぶし銀のようなしっとりとして、落ち着きがあり又、高級感のある輝きをもつ光輝仕様の軽合金製ホイールを、優れた耐食性、耐延性(クラック性)をもち、電気クロムメッキを超える性能を有する表面光輝化処理ができ、かつ排水処理の必要がない乾式メッキ法で、得ることができる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法を低価格で提供することができる。クロムを使用していないので環境にやさしく、チタンとアルミという生体にも安全でリサイクル性にも優れている。
各種評価試験も合格し、耐食性において十分に電気クロムと同様の性能を有している表面処理を提供できた。この性能は従来、電気メッキで表面処理していた部品の代替となり、他への応用展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光輝化処理方法によって光輝化された、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの表面近傍の一部断面図である。
【図2】比較例の軽合金製ホイールの一部の断面図である。
【図3】ホイールの全体断面図である。
【図4】従来の軽合金製ホイールの一部の断面図である。
【符号の説明】
10 軽合金製ホイール
10a ホイールの表面
11 凹凸
12 樹脂塗膜
14 チタン合金の薄膜
16 透明樹脂保護膜
H 凹凸の高さ
Claims (13)
- 表面に微少な凹凸が形成された自動車用軽合金製ホイールと、前記軽合金製ホイールの表面に形成された樹脂塗膜と、前記樹脂塗膜の上に形成されたクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜と、前記薄膜の上に保護層として形成された透明樹脂保護膜とを有する表面が光輝化処理された自動車用軽合金製ホイールであって、前記樹脂塗膜が、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用いて熱硬化反応させて形成された膜厚が10〜40μmである表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
- 表面に形成された凹凸の高さは、0.01〜0.3mmである請求項1記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
- 前記軽合金製ホイールがアルミ鋳造ホイールである請求項1記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイール。
- 軽合金製ホイールの表面に微少な凹凸を形成し、前記微少な凹凸が形成された軽合金製ホイールの表面に樹脂塗膜を形成し、その上にクロムメッキ外観を有するチタン合金の薄膜を形成し、その上に保護層として透明樹脂保護膜を形成する、軽合金製ホイールを光輝化処理する方法であって、
表面の防錆を高めるためにクロメート処理又はノンクロメート処理で化成被膜を形成し、前記樹脂塗膜はチタン合金との密着性を向上させるために、有色顔料を添加したアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を主剤とし、架橋剤としてメラミン樹脂を用い、その他溶剤、添加剤からなり、膜厚を10〜40μmで形成した後、130〜160℃で乾燥し熱硬化反応させる、表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。 - 軽合金製ホイールがアルミホイールである請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法
- アクリル樹脂又はポリエステル樹脂と、メラミン樹脂の比率はアクリル樹脂又はポリエステル樹脂の方が多く、ミラミン樹脂を1とした場合、重量比で2.0〜2.5の比率にした樹脂塗膜を形成する請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- 上記樹脂塗膜上に形成するチタン合金の薄膜と密着を良くするためにエポキシ樹脂を、アクリル樹脂又はポリエステル樹脂に10〜20重量%添加する請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- チタン合金はチタン含有量が15〜50重量%である請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- チタン合金はアルミニウムの含有量が50〜85重量%である請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- チタン合金の薄膜の膜厚は0.02〜0.2μmである請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- チタン合金薄膜は、スパッタリング法で形成する請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- チタン合金薄膜の結晶構造はアモルフアスである請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
- 前記透明保護膜はアクリル樹脂を主剤とし架橋剤としてメラミン樹脂を使用し、膜厚は20〜30μmに形成し、140〜160℃で熱硬化反応させた請求項4記載の表面が光輝化処理された軽合金製ホイールの光輝化処理方法。
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---|---|---|---|
JP2002173850A JP2004017738A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法 |
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JP2002173850A JP2004017738A (ja) | 2002-06-14 | 2002-06-14 | 表面が光輝化処理された軽合金製ホイールおよびその光輝化処理方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8484825B2 (en) | 2007-12-19 | 2013-07-16 | Honda Motor Co., Ltd. | Method of producing an aluminum base part |
JP2016094043A (ja) * | 2014-11-12 | 2016-05-26 | 株式会社スーパースター | 自動車用ホイールの装飾方法 |
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2002
- 2002-06-14 JP JP2002173850A patent/JP2004017738A/ja active Pending
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