JP2004017539A - 加速度センサ及びそれを用いた記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】モータのトルクリプルによるキャリッジの加速度を検出し、画像品質を向上させる。
【解決手段】操作量8は加速度次元の値となり、変換器2により、モータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換される。モータ3を動かすための電圧値、電流値、PWMデューティ等の次元の値が操作量9となる。狭帯域加速度センサ5は、モータのトルクリプルと同一の固有振動数を有しており、キャリッジの加速度値11の検出を行う。検出された加速度値11は、減算器12により操作量8から減算され、加速度フィードバック制御系を構成する。キャリッジは、モータ3の回転により駆動され、制御対象に備えられたエンコーダ6、狭帯域加速度センサ5により制御対象4の状態が計測される。この状態もモータ制御にフィードバックされる。
【選択図】図1
【解決手段】操作量8は加速度次元の値となり、変換器2により、モータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換される。モータ3を動かすための電圧値、電流値、PWMデューティ等の次元の値が操作量9となる。狭帯域加速度センサ5は、モータのトルクリプルと同一の固有振動数を有しており、キャリッジの加速度値11の検出を行う。検出された加速度値11は、減算器12により操作量8から減算され、加速度フィードバック制御系を構成する。キャリッジは、モータ3の回転により駆動され、制御対象に備えられたエンコーダ6、狭帯域加速度センサ5により制御対象4の状態が計測される。この状態もモータ制御にフィードバックされる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、例えば特定の周波数のモータ等のトルク変動等による加速度を検出する加速度センサと、それを利用したフアクシミリ、複写機、プリンタ、デジタル複合機等の記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインクジェットプリンタ等の画像出力装置においては、写真画質印字を実現しうる高画質、高精細な画像出力が求められ、このためには高速、高精度の駆動機構系の構築が必要不可欠となる。そのため、駆動系のメカ構成においては、ステッピングモータによるオープンループ制御から、サーボモータとエンコーダを用いたクローズドループ制御による制御が主流となってきている。
【0003】
クローズドループ制御系の例を示したものが図2となる。制御対象4の位置、あるいは速度情報10をエンコーダ6から検出する。補償器1は、指令値7と、位置、あるいは速度情報10との偏差量に対してPID演算等を行い操作量8を出力する。操作量8はモータ3に対する操作量9に変換器2により変換され、操作量9によりモータ3が回転し、制御対象4が駆動するというのが一般的である。
【0004】
上記の様な制御系を、記録媒体に対して水平方向にキャリッジを移動させてインクの吐出を行うシリアル方式のインクジェット記録装置のキャリッジ駆動系に用いる場合を考える。
【0005】
キャリッジの位置情報を検出するエンコーダ6のカウント値が位置、速度情報10の検出値となる。インクジェット記録装置におけるキャリッジの駆動源としてはモータ3が用いられる。補償器1は、エンコーダ6の検出値になる位置、速度情報10と、加速、定速、減速と変化する位置、あるいは速度の指令値7との偏差量に対してPID(比例+積分+微分制御動作)演算を行い操作量8を出力する。この補償器演算は記録装置の組み込みCPUにおいてソフトウェアにて処理され、演算処理は一定の時間間隔で行われる。操作量8は、モータに印加する電圧、電流値、あるいはPWMのデューティ等の操作量9に変換器2で変換されてモータドライバ回路に入力される。モータ3は操作量に応じて回転し、制御対象4に相当するキャリッジを駆動することになる。
【0006】
なお、PID制御における出力と入力との関係は高周波成分を無視すると次のように与えられる。
Y/X=±P(I/s+1+Ds)/(bI/s+1+Ds/a)
ここで、a>1,0≦b≪1であり、aは微分動作利得、bは比例利得/定常利得、Dは微分動作の時定数、Iは積分動作速度、Pは比例利得、sは複素変数、Xは入力の変換(すなわちエンコーダ6による検出値)、Yは出力の変換を表す。
【0007】
記録媒体に印字を行うにあたり、キャリッジを往復運動させることになる。一連の動きには加速領域、減速領域、定速領域があり、印字を行うのはキャリッジを一定速に保つ定速領域である。印字精度は定速領域におけるキャリッジの移動速度の変動幅を如何に抑えるかで左右される。定速領域におけるキャリッジの変動幅を抑えるための手段が制御系におけるキャリッジ駆動の安定性、追従性の向上をもたらす。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】
インクジェット記録装置におけるキャリッジの移動速度の変動現象から色ズレ等が起こることにより、画質の劣化が生じることになる。よって印字の高精度化については、印字領域におけるキャリッジの移動速度の変動率の減少が重要となる。
【0009】
キャリッジの移動速度の変動要因として考えられるのは、制御系の追従性自体の不足や、モータのトルクリプルにおける回転ムラ等である。前述の制御系の追従性不足に関しては、補償器におけるゲインパラメータの調整などで解決することが可能である。しかし、モータのトルクリプルに起因する回転むらに関しては、簡単にその影響を取り除くことはできない。
【0010】
モータのトルクリプルは、補償器演算が終わり、操作量がモータに対して出力され、モータが駆動された際に突発的な外乱として入る。これによりモータに回転むらが生じる。これがキャリッジの移動速度の変動を引き起こす。
【0011】
キャリッジの移動速度の変動があると、画素密度が一様でなくなり、カラープレーンごとに記録するカラープリンタの場合には、トルクリプルの発生により色ずれ等の現象が生じる。このような画素密度の局部的な不均一あるいは色ずれは、記録媒体に記録された画像においては縦のスジ状の模様として表れ、画質の劣化が起きる。
【0012】
図2の制御系において、フィードバックされる値としてはエンコーダ6で検出された情報がある。インクジェット記録装置のキャリッジ制御系の構成にあたり、一般的なリニアエンコーダは300dpiのスリットのものを4呈倍した1200dpi相当の分解能を持ったものである。エンコーダは大抵が位置情報を取り出すもので、速度情報は位置情報から導かれている。そのために速度情報の精度もエンコーダに依存することになる。前述した分解能程度のリニアエンコーダにより検知される位置あるいは速度情報においては、モータトルクリプルに起因するキャリッジの移動速度の突発的変動は検出誤差範囲とみなせる大きさのものである。そのため、リニアエンコーダで検出した情報から明らかにトルクリプルとみなせる変化をとらえるのは難しい。
【0013】
加えて、トルクリプルの周波数によっては補償器の演算周期では処理が間に合わない状態も考えられる。上述したPID制御における入出力の関係式は高周波成分を無視したものである。そのため、発生したトルクリプルの周波数が高ければ、そのトルクリプルは制御に反映されないこととなる。
【0014】
以上の観点から、従来のエンコーダ+モータの組み合わせを用いたハードウェア構成における制御系では、トルクリプル起因の突発的なキャリッジ移動速度の変動の補正は難しく、新しいシステム構成における制御系の構築が必要といえる。
【0015】
インクジェット記録装置のキャリッジにおける制御系の構成にあたり、例えば、特開2000−201499の記録装置および記録方法においては、キャリッジの状態検出にあたり加速度センサを用いており、加速度センサの出力値と設定値との比較からキャリッジの状態判定を行いエラー処理を判定を行うといった発明がある。加速度センサを用いることで、加速度の生データを取り出すことが可能となり、エンコーダのみの計測に比べはるかに詳細なキャリッジの状態計測が可能となる。しかし、一般的な加速度センサではコストが高いこともあり、コンシューマ向けの製品に簡単に搭載できるものではなく、実現には難しい事が考えられる。また、トルクリプルの周波数によっては、加速度センサで加速度を正確に検出できない場合もありえる。
【0016】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、モータのトルクリプルに起因するキャリッジ移動速度の変動を正確に検出し、それを制御するための構成を製品レベルで実現可能とすることで、画像品質を改善できる加速度センサおよびそれを用いた記録装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は次のような構成を備える。
【0018】
シリアル方式の記録装置であって、
キャリッジの位置および速度情報と目標値との比較値について補償演算を行って操作量を出力する補償器と、
特定の周波数帯域における加速度情報を検出する狭帯域加速度検出手段と、
前記補償器により出力される操作量を、前記狭帯域加速度検出手段により検出された加速度情報に基づいて補正する加速度制御手段とを具備する。
【0019】
更に好ましくは、前記狭帯域加速度検出手段は、キャリッジを駆動するモータのトルクリプルの特定の次数に係わる周波数帯域の加速度情報を検出する。
【0020】
更に好ましくは、前記補償器の演算をソフトウェアにて行い、加速度情報における内部ループの演算はハードウェアで実現される。
【0021】
更に好ましくは、前記キャリッジには記録ヘッドが搭載され、該記録ヘッドははインクを吐出して記録を行うインクジェットである。
【0022】
あるいは、本発明は、一方の端部が制御対象に固定され、他方の端部におもりが取りつけられるとともに、振動減衰手段が設けられた弾性体と、
前記おもりの加速度を検出する加速度検出手段とを備え、
前記おもり及び減衰手段が取りつけられた弾性体は、前記制御対象の特定の運動の周波数とほぼ同一の固有振動数を有することを特徴とする加速度センサにある。
【0023】
あるいは、本発明は、上記加速度センサを、その前記制御対象として、印刷ヘッドを搭載したキャリッジに固定し、
前記キャリッジの駆動モータに生じるトルクリプルによる前記キャリッジの加速を前記特定の運動として、その周波数とほぼ同一の固有振動数を前記弾性体に持たせ、
前記加速度センサにより検出された前記キャリッジの加速度を相殺するよう前記駆動モータを制御する制御手段を備えることを特徴とする記録装置にある。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
図3は、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系を示す。キャリッジ151はシャフト20に沿って往復運動をする直同系の駆動機構で、キャリッジ151にはエンコーダ受光部157とベルトホルダー151aが付いている。156はエンコーダとなる。駆動モータ152についたプーリー153とプーリー154の間に張られたベルト155がモータ152の回転により駆動され、ベルトホルダー151aにてベルト155に固定されたキャリッジ151が往復運動(図中A,Bの方向)を行うことになる。プーリー154は図中Cの方向に一定のテンションがかかることによりベルト155の張力を保つことになる。
【0026】
図3のキャリッジ駆動系が、図1の制御系により駆動される。図3のキャリッジ151が図1の制御対象4に相当し、図3ンおエンコーダ157は図1のエンコーダ6に相当する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態における主要部を表したブロック図である。指令値7は、制御対象4であるキャリッジ151を意図する状態で動かすためにプリンタの制御部から入力される信号であり、位置および速度次元の値が入力されることになる。補償器1は、指令値7とエンコーダ6より検出される位置情報および速度情報10との偏差量を求め、PID演算などの演算処理を行い、操作量8を出力する。
【0028】
操作量8は加速度次元の値となり、変換器2により、モータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換される。変換された、モータ3を動かすための電圧値、電流値、PWMデューティ等の次元の値が操作量9となる。
【0029】
すなわち、操作量8は、指令値7により与えられるキャリッジの位置および速度と、エンコーダにより検出される位置および速度との差を補償するためにキャリッジに与えるべき加速度であり、操作量9は、操作量8で示される加速度を実現するための、モータ3の駆動信号ということになる。ただし、本実施形態に係る制御系においては、操作量8に対して更に補正が加えられる。
【0030】
狭帯域加速度センサ5は、制御対象であるキャリッジの加速度値11の検出を行う。検出された加速度値11は、減算器12により操作量8から減算され、加速度フィードバック制御系を構成することになる。もちろんそれぞれの加速度の符号は同一方向を正として定義されている。
【0031】
制御対象4であるキャリッジは、モータ3の回転により駆動され、制御対象に備えられたエンコーダ6、狭帯域加速度センサ5により制御対象4の状態が計測される。
【0032】
図4は、狭帯域加速度センサ5をキャリッジ151に取り付けた状態を示す。図4のキャリッジ駆動方向(太矢印)が図3の矢印A,Bの方向に相当し、印字のための往復運動を行うことになる。狭帯域加速度センサ5においては、特定方向の加速度情報を、特定周波数帯域において検出することで装置構成の簡易化を図るものである。そこで、キャリッジ151の駆動方向(図4太矢印)にそった加速度を検出できるように狭帯域加速度センサ5がキャリッジ151に取り付けられ、狭帯域加速度センサ5はキャリッジ駆動方向の加速度を検出することになる。
【0033】
狭帯域加速度センサ5はバネ等の単純な構成のもので実現できる。図4に示しように、加速度センサ5は、バネの一端をキャリッジに固定し、もう一方の自由端に質量が取りつけられている。また、バネの振動を減衰させる要素として粘性係数が与えらる。このようなバネマス系の1自由度の力学方程式は式1で表すことができる。
【0034】
M d2x/dt2 + C dx/dt + Kx = 0 (式1)
ここで、Mは質量、Cは粘性係数、Kはバネ係数である。式1に対しての加振力が、キャリッジ駆動においての狭帯域加速度センサ5に伝達する力となる。
【0035】
図5は、式1で表される1自由度系の周波数応答の例である。狭帯域加速度センサ5は固有の共振周波数を有しており、この共振周波数を中心として、加速度センサ5の出力は、印加される周波数の振動に対して鋭いピークを形成する。この共振周波数は、質量M,粘性係数C,バネ定数Kの値により決定される。M,C,Kの3値を調整して共振周波数を計測したいトルクリプルの周波数帯域に合わせることで、出力加速度信号のゲインを上げることになり、効率よく、ある特定の周波数領域における加速度信号を取り出す狭帯域加速度センサが構成できる。
【0036】
なお、加速度は、バネの自由端に取りつけられた質量に圧電素子を取りつけ、その圧電素子から信号を取り出すことにより検出される。もちろん、式1における質量にはその圧電素子の質量も含まれる。この圧電素子は、図4のキャリッジの駆動方向すなわちバネの伸縮方向についての加速度を検出できるように取りつけられている。
【0037】
キャリッジが指定された位置まで動くような指令が出た場合には、加速、定速、減速区間を経て目的位置まで到達することになる。補償器1に入る指令値7はそれぞれの区間に適応した位置、あるいは速度値が入力されることになる。キャリッジ151が指令値7に対して十分に追従するように、補償器1により演算が行われて操作量8が出力される。この演算は、図2に示す従来の構成においてされていたと同様の要領で行えばよい。
【0038】
その操作量8に対してさらに加速度フィードバック演算が行われ、モータ3に操作量9が入力され、キャリッジが駆動を行うことになる。この際に、補償器1の演算はCPUにより処理され、割り込み等により特定の時間間隔で演算処理が行われることになる。そして加速度フィードバック演算はハードウェア側にて処理を行い、トルクリプルの変化を打ち消すように操作量の調整を行う。ソフトウェアとハードウェア両方における制御手段を実行することで、トルクリプルの影響を打ち消す制御系の構成を行うことが可能となる。
【0039】
以上のように、本実施形態においては、加速度センサを、その固有周波数をトルクリプルの周波数と一致させる構成としたことで、従来の構成では検出が困難であったトルクリプルによる加速度も高精度に検出でき、検出した加速度をフィードバックして、トルクリプルに起因する加速度をうち消すようにモータを制御できる。それによりトルクリプルの発生に応じてキャリッジの駆動を制御でき、画像の劣化を抑制することができる。
【0040】
さらに、本発明に係る加速度センサは、トルクリプルとの共振を利用するために安価な部品を用いて構成できる。
【0041】
<実施形態の変形例>
(1)図6は、実施形態の変形例にかかる主要部を表したブロック図である。図1とは、加速度センサのフィードバックがモータ3に対する操作量について行われる点において相違している。
【0042】
指令値7は、制御対象4であるキャリッジ151を意図する状態で動かすためにプリンタの制御部から入力される信号であり、位置および速度次元の値が入力されることになる。補償器1は、指令値7とエンコーダ6より検出される位置情報および速度情報10との偏差量を求め、PID演算などの演算処理を行い、操作量8を出力する。
【0043】
操作量8は加速度次元の値となり、変換器2aにより、モータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換される。変換された、モータ3を動かすための電圧値、電流値、PWMデューティ等の次元の値が操作量9となる。
【0044】
すなわち、操作量8は、指令値7により与えられるキャリッジの位置および速度と、エンコーダにより検出される位置および速度との差を補償するためにキャリッジに与えるべき加速度であり、操作量9は、操作量8で示される加速度を実現するための、モータ3の駆動信号ということになる。ただし、本変形例においては、操作量9に対して更に補正が加えられる。
【0045】
狭帯域加速度センサ5は、制御対象であるキャリッジの加速度値11の検出を行う。検出された加速度値11は、変換器2aと同様の機能を有する変換器2bによりモータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換され、その信号によってモータ3が駆動される。
(2)加速度の検出は、バネの自由端に取りつけられた質量の、キャリッジに対する変位を一定周期で測定することによっても実現できる。測定される変位の基点は、バネの伸縮量が0変位の検出のためにはリニアエンコーダを用いることができる。加速度は1自由度系の式1から求められ、操作量8、操作量9などに入力されることになる。このリニアエンコーダは、キャリッジの走査幅全体にわたる図3に示すエンコーダ156に比して非常に小さいものであるので、低コスト構成することができる。また、トルクリプルとの共振周波数を固有周波数として調整されているために、トルクリプル発生時の質量Mの変位を大きくとることができ、トルクリプルに起因する加速度を高精度に検出できる。
(3)また、上記狭帯域加速度センサを用いた加速度フィードバック演算の処理については、CPUの処理速度が十分に高く、割り込み間隔がトルクリプル周波数に対して十分に許容できる範囲にある場合には、補償器の演算に加え、操作量に対する加速度フィードバック演算もCPUを用いたソフトウェア側で同時に行ってしまう手段も考えられる。
(4)加えて、上記狭帯域加速度センサを用いた加速度フィードバック演算の処理について、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系において、トルクリプル以外での問題となる周波数帯域での挙動変化に対してでも狭帯域加速度センサを用いた加速度フィードバック演算機構により、キャリッジ変動幅の抑制が可能と考えられる。
【0046】
以上説明したとおり、本発明によれば、一般コンシューマレベル向けの製品に、狭帯域加速度センサを用いた制御対象の加速度情報に基づくフィードバック制御系を構成することから、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系において問題となるモータのトルクリプルに起因したキャリッジ変動などを押さえることを可能とする制御系を構成して、印字における色ズレ等の現象を回避することにより、高精度な印字を行うことが出来るようになる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、狭帯域加速度センサを用いた制御対象の加速度情報に基づくフィードバック制御系を構成することから、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系において問題となるモータのトルクリプルに起因したキャリッジ変動などを押さえることを可能とする制御系を構成して、印字における色ズレ等の現象を回避することにより、高精度な印字を行うことが出来るようになる。
【0048】
また、加速度センサを安価に構成でき、一般コンシューマレベル向けの製品に搭載可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】狭帯域加速度センサを用いたフィードバック制御系のブロック図である。
【図2】クローズドループ制御系のブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系図である。
【図4】狭帯域加速度センサのキャリッジ搭載図である。
【図5】狭帯域加速度センサの周波数応答図である。
【図6】狭帯域加速度センサを用いたもうひとつのフィードバック制御系のブロック図である。
【符号の説明】
1 補償器
2 変換器
3 モータ
4 制御対象
5 狭帯域加速度センサ
6 エンコーダ
7 指令値
8 操作量
9 操作量
10 位置、速度値
11 加速度値
20 シャフト
151 キャリッジ
151a ベルトホルダー
152 モータ
153 プーリー
154 プーリー
155 ベルト
156 エンコーダ
157 エンコーダ受光部
【発明の属する分野】
本発明は、例えば特定の周波数のモータ等のトルク変動等による加速度を検出する加速度センサと、それを利用したフアクシミリ、複写機、プリンタ、デジタル複合機等の記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインクジェットプリンタ等の画像出力装置においては、写真画質印字を実現しうる高画質、高精細な画像出力が求められ、このためには高速、高精度の駆動機構系の構築が必要不可欠となる。そのため、駆動系のメカ構成においては、ステッピングモータによるオープンループ制御から、サーボモータとエンコーダを用いたクローズドループ制御による制御が主流となってきている。
【0003】
クローズドループ制御系の例を示したものが図2となる。制御対象4の位置、あるいは速度情報10をエンコーダ6から検出する。補償器1は、指令値7と、位置、あるいは速度情報10との偏差量に対してPID演算等を行い操作量8を出力する。操作量8はモータ3に対する操作量9に変換器2により変換され、操作量9によりモータ3が回転し、制御対象4が駆動するというのが一般的である。
【0004】
上記の様な制御系を、記録媒体に対して水平方向にキャリッジを移動させてインクの吐出を行うシリアル方式のインクジェット記録装置のキャリッジ駆動系に用いる場合を考える。
【0005】
キャリッジの位置情報を検出するエンコーダ6のカウント値が位置、速度情報10の検出値となる。インクジェット記録装置におけるキャリッジの駆動源としてはモータ3が用いられる。補償器1は、エンコーダ6の検出値になる位置、速度情報10と、加速、定速、減速と変化する位置、あるいは速度の指令値7との偏差量に対してPID(比例+積分+微分制御動作)演算を行い操作量8を出力する。この補償器演算は記録装置の組み込みCPUにおいてソフトウェアにて処理され、演算処理は一定の時間間隔で行われる。操作量8は、モータに印加する電圧、電流値、あるいはPWMのデューティ等の操作量9に変換器2で変換されてモータドライバ回路に入力される。モータ3は操作量に応じて回転し、制御対象4に相当するキャリッジを駆動することになる。
【0006】
なお、PID制御における出力と入力との関係は高周波成分を無視すると次のように与えられる。
Y/X=±P(I/s+1+Ds)/(bI/s+1+Ds/a)
ここで、a>1,0≦b≪1であり、aは微分動作利得、bは比例利得/定常利得、Dは微分動作の時定数、Iは積分動作速度、Pは比例利得、sは複素変数、Xは入力の変換(すなわちエンコーダ6による検出値)、Yは出力の変換を表す。
【0007】
記録媒体に印字を行うにあたり、キャリッジを往復運動させることになる。一連の動きには加速領域、減速領域、定速領域があり、印字を行うのはキャリッジを一定速に保つ定速領域である。印字精度は定速領域におけるキャリッジの移動速度の変動幅を如何に抑えるかで左右される。定速領域におけるキャリッジの変動幅を抑えるための手段が制御系におけるキャリッジ駆動の安定性、追従性の向上をもたらす。
【0008】
【発明が解決しょうとする課題】
インクジェット記録装置におけるキャリッジの移動速度の変動現象から色ズレ等が起こることにより、画質の劣化が生じることになる。よって印字の高精度化については、印字領域におけるキャリッジの移動速度の変動率の減少が重要となる。
【0009】
キャリッジの移動速度の変動要因として考えられるのは、制御系の追従性自体の不足や、モータのトルクリプルにおける回転ムラ等である。前述の制御系の追従性不足に関しては、補償器におけるゲインパラメータの調整などで解決することが可能である。しかし、モータのトルクリプルに起因する回転むらに関しては、簡単にその影響を取り除くことはできない。
【0010】
モータのトルクリプルは、補償器演算が終わり、操作量がモータに対して出力され、モータが駆動された際に突発的な外乱として入る。これによりモータに回転むらが生じる。これがキャリッジの移動速度の変動を引き起こす。
【0011】
キャリッジの移動速度の変動があると、画素密度が一様でなくなり、カラープレーンごとに記録するカラープリンタの場合には、トルクリプルの発生により色ずれ等の現象が生じる。このような画素密度の局部的な不均一あるいは色ずれは、記録媒体に記録された画像においては縦のスジ状の模様として表れ、画質の劣化が起きる。
【0012】
図2の制御系において、フィードバックされる値としてはエンコーダ6で検出された情報がある。インクジェット記録装置のキャリッジ制御系の構成にあたり、一般的なリニアエンコーダは300dpiのスリットのものを4呈倍した1200dpi相当の分解能を持ったものである。エンコーダは大抵が位置情報を取り出すもので、速度情報は位置情報から導かれている。そのために速度情報の精度もエンコーダに依存することになる。前述した分解能程度のリニアエンコーダにより検知される位置あるいは速度情報においては、モータトルクリプルに起因するキャリッジの移動速度の突発的変動は検出誤差範囲とみなせる大きさのものである。そのため、リニアエンコーダで検出した情報から明らかにトルクリプルとみなせる変化をとらえるのは難しい。
【0013】
加えて、トルクリプルの周波数によっては補償器の演算周期では処理が間に合わない状態も考えられる。上述したPID制御における入出力の関係式は高周波成分を無視したものである。そのため、発生したトルクリプルの周波数が高ければ、そのトルクリプルは制御に反映されないこととなる。
【0014】
以上の観点から、従来のエンコーダ+モータの組み合わせを用いたハードウェア構成における制御系では、トルクリプル起因の突発的なキャリッジ移動速度の変動の補正は難しく、新しいシステム構成における制御系の構築が必要といえる。
【0015】
インクジェット記録装置のキャリッジにおける制御系の構成にあたり、例えば、特開2000−201499の記録装置および記録方法においては、キャリッジの状態検出にあたり加速度センサを用いており、加速度センサの出力値と設定値との比較からキャリッジの状態判定を行いエラー処理を判定を行うといった発明がある。加速度センサを用いることで、加速度の生データを取り出すことが可能となり、エンコーダのみの計測に比べはるかに詳細なキャリッジの状態計測が可能となる。しかし、一般的な加速度センサではコストが高いこともあり、コンシューマ向けの製品に簡単に搭載できるものではなく、実現には難しい事が考えられる。また、トルクリプルの周波数によっては、加速度センサで加速度を正確に検出できない場合もありえる。
【0016】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、モータのトルクリプルに起因するキャリッジ移動速度の変動を正確に検出し、それを制御するための構成を製品レベルで実現可能とすることで、画像品質を改善できる加速度センサおよびそれを用いた記録装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は次のような構成を備える。
【0018】
シリアル方式の記録装置であって、
キャリッジの位置および速度情報と目標値との比較値について補償演算を行って操作量を出力する補償器と、
特定の周波数帯域における加速度情報を検出する狭帯域加速度検出手段と、
前記補償器により出力される操作量を、前記狭帯域加速度検出手段により検出された加速度情報に基づいて補正する加速度制御手段とを具備する。
【0019】
更に好ましくは、前記狭帯域加速度検出手段は、キャリッジを駆動するモータのトルクリプルの特定の次数に係わる周波数帯域の加速度情報を検出する。
【0020】
更に好ましくは、前記補償器の演算をソフトウェアにて行い、加速度情報における内部ループの演算はハードウェアで実現される。
【0021】
更に好ましくは、前記キャリッジには記録ヘッドが搭載され、該記録ヘッドははインクを吐出して記録を行うインクジェットである。
【0022】
あるいは、本発明は、一方の端部が制御対象に固定され、他方の端部におもりが取りつけられるとともに、振動減衰手段が設けられた弾性体と、
前記おもりの加速度を検出する加速度検出手段とを備え、
前記おもり及び減衰手段が取りつけられた弾性体は、前記制御対象の特定の運動の周波数とほぼ同一の固有振動数を有することを特徴とする加速度センサにある。
【0023】
あるいは、本発明は、上記加速度センサを、その前記制御対象として、印刷ヘッドを搭載したキャリッジに固定し、
前記キャリッジの駆動モータに生じるトルクリプルによる前記キャリッジの加速を前記特定の運動として、その周波数とほぼ同一の固有振動数を前記弾性体に持たせ、
前記加速度センサにより検出された前記キャリッジの加速度を相殺するよう前記駆動モータを制御する制御手段を備えることを特徴とする記録装置にある。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
図3は、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系を示す。キャリッジ151はシャフト20に沿って往復運動をする直同系の駆動機構で、キャリッジ151にはエンコーダ受光部157とベルトホルダー151aが付いている。156はエンコーダとなる。駆動モータ152についたプーリー153とプーリー154の間に張られたベルト155がモータ152の回転により駆動され、ベルトホルダー151aにてベルト155に固定されたキャリッジ151が往復運動(図中A,Bの方向)を行うことになる。プーリー154は図中Cの方向に一定のテンションがかかることによりベルト155の張力を保つことになる。
【0026】
図3のキャリッジ駆動系が、図1の制御系により駆動される。図3のキャリッジ151が図1の制御対象4に相当し、図3ンおエンコーダ157は図1のエンコーダ6に相当する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態における主要部を表したブロック図である。指令値7は、制御対象4であるキャリッジ151を意図する状態で動かすためにプリンタの制御部から入力される信号であり、位置および速度次元の値が入力されることになる。補償器1は、指令値7とエンコーダ6より検出される位置情報および速度情報10との偏差量を求め、PID演算などの演算処理を行い、操作量8を出力する。
【0028】
操作量8は加速度次元の値となり、変換器2により、モータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換される。変換された、モータ3を動かすための電圧値、電流値、PWMデューティ等の次元の値が操作量9となる。
【0029】
すなわち、操作量8は、指令値7により与えられるキャリッジの位置および速度と、エンコーダにより検出される位置および速度との差を補償するためにキャリッジに与えるべき加速度であり、操作量9は、操作量8で示される加速度を実現するための、モータ3の駆動信号ということになる。ただし、本実施形態に係る制御系においては、操作量8に対して更に補正が加えられる。
【0030】
狭帯域加速度センサ5は、制御対象であるキャリッジの加速度値11の検出を行う。検出された加速度値11は、減算器12により操作量8から減算され、加速度フィードバック制御系を構成することになる。もちろんそれぞれの加速度の符号は同一方向を正として定義されている。
【0031】
制御対象4であるキャリッジは、モータ3の回転により駆動され、制御対象に備えられたエンコーダ6、狭帯域加速度センサ5により制御対象4の状態が計測される。
【0032】
図4は、狭帯域加速度センサ5をキャリッジ151に取り付けた状態を示す。図4のキャリッジ駆動方向(太矢印)が図3の矢印A,Bの方向に相当し、印字のための往復運動を行うことになる。狭帯域加速度センサ5においては、特定方向の加速度情報を、特定周波数帯域において検出することで装置構成の簡易化を図るものである。そこで、キャリッジ151の駆動方向(図4太矢印)にそった加速度を検出できるように狭帯域加速度センサ5がキャリッジ151に取り付けられ、狭帯域加速度センサ5はキャリッジ駆動方向の加速度を検出することになる。
【0033】
狭帯域加速度センサ5はバネ等の単純な構成のもので実現できる。図4に示しように、加速度センサ5は、バネの一端をキャリッジに固定し、もう一方の自由端に質量が取りつけられている。また、バネの振動を減衰させる要素として粘性係数が与えらる。このようなバネマス系の1自由度の力学方程式は式1で表すことができる。
【0034】
M d2x/dt2 + C dx/dt + Kx = 0 (式1)
ここで、Mは質量、Cは粘性係数、Kはバネ係数である。式1に対しての加振力が、キャリッジ駆動においての狭帯域加速度センサ5に伝達する力となる。
【0035】
図5は、式1で表される1自由度系の周波数応答の例である。狭帯域加速度センサ5は固有の共振周波数を有しており、この共振周波数を中心として、加速度センサ5の出力は、印加される周波数の振動に対して鋭いピークを形成する。この共振周波数は、質量M,粘性係数C,バネ定数Kの値により決定される。M,C,Kの3値を調整して共振周波数を計測したいトルクリプルの周波数帯域に合わせることで、出力加速度信号のゲインを上げることになり、効率よく、ある特定の周波数領域における加速度信号を取り出す狭帯域加速度センサが構成できる。
【0036】
なお、加速度は、バネの自由端に取りつけられた質量に圧電素子を取りつけ、その圧電素子から信号を取り出すことにより検出される。もちろん、式1における質量にはその圧電素子の質量も含まれる。この圧電素子は、図4のキャリッジの駆動方向すなわちバネの伸縮方向についての加速度を検出できるように取りつけられている。
【0037】
キャリッジが指定された位置まで動くような指令が出た場合には、加速、定速、減速区間を経て目的位置まで到達することになる。補償器1に入る指令値7はそれぞれの区間に適応した位置、あるいは速度値が入力されることになる。キャリッジ151が指令値7に対して十分に追従するように、補償器1により演算が行われて操作量8が出力される。この演算は、図2に示す従来の構成においてされていたと同様の要領で行えばよい。
【0038】
その操作量8に対してさらに加速度フィードバック演算が行われ、モータ3に操作量9が入力され、キャリッジが駆動を行うことになる。この際に、補償器1の演算はCPUにより処理され、割り込み等により特定の時間間隔で演算処理が行われることになる。そして加速度フィードバック演算はハードウェア側にて処理を行い、トルクリプルの変化を打ち消すように操作量の調整を行う。ソフトウェアとハードウェア両方における制御手段を実行することで、トルクリプルの影響を打ち消す制御系の構成を行うことが可能となる。
【0039】
以上のように、本実施形態においては、加速度センサを、その固有周波数をトルクリプルの周波数と一致させる構成としたことで、従来の構成では検出が困難であったトルクリプルによる加速度も高精度に検出でき、検出した加速度をフィードバックして、トルクリプルに起因する加速度をうち消すようにモータを制御できる。それによりトルクリプルの発生に応じてキャリッジの駆動を制御でき、画像の劣化を抑制することができる。
【0040】
さらに、本発明に係る加速度センサは、トルクリプルとの共振を利用するために安価な部品を用いて構成できる。
【0041】
<実施形態の変形例>
(1)図6は、実施形態の変形例にかかる主要部を表したブロック図である。図1とは、加速度センサのフィードバックがモータ3に対する操作量について行われる点において相違している。
【0042】
指令値7は、制御対象4であるキャリッジ151を意図する状態で動かすためにプリンタの制御部から入力される信号であり、位置および速度次元の値が入力されることになる。補償器1は、指令値7とエンコーダ6より検出される位置情報および速度情報10との偏差量を求め、PID演算などの演算処理を行い、操作量8を出力する。
【0043】
操作量8は加速度次元の値となり、変換器2aにより、モータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換される。変換された、モータ3を動かすための電圧値、電流値、PWMデューティ等の次元の値が操作量9となる。
【0044】
すなわち、操作量8は、指令値7により与えられるキャリッジの位置および速度と、エンコーダにより検出される位置および速度との差を補償するためにキャリッジに与えるべき加速度であり、操作量9は、操作量8で示される加速度を実現するための、モータ3の駆動信号ということになる。ただし、本変形例においては、操作量9に対して更に補正が加えられる。
【0045】
狭帯域加速度センサ5は、制御対象であるキャリッジの加速度値11の検出を行う。検出された加速度値11は、変換器2aと同様の機能を有する変換器2bによりモータ3を動かすための値、例えば電圧値、電流値、PWMデューティなどの値に変換され、その信号によってモータ3が駆動される。
(2)加速度の検出は、バネの自由端に取りつけられた質量の、キャリッジに対する変位を一定周期で測定することによっても実現できる。測定される変位の基点は、バネの伸縮量が0変位の検出のためにはリニアエンコーダを用いることができる。加速度は1自由度系の式1から求められ、操作量8、操作量9などに入力されることになる。このリニアエンコーダは、キャリッジの走査幅全体にわたる図3に示すエンコーダ156に比して非常に小さいものであるので、低コスト構成することができる。また、トルクリプルとの共振周波数を固有周波数として調整されているために、トルクリプル発生時の質量Mの変位を大きくとることができ、トルクリプルに起因する加速度を高精度に検出できる。
(3)また、上記狭帯域加速度センサを用いた加速度フィードバック演算の処理については、CPUの処理速度が十分に高く、割り込み間隔がトルクリプル周波数に対して十分に許容できる範囲にある場合には、補償器の演算に加え、操作量に対する加速度フィードバック演算もCPUを用いたソフトウェア側で同時に行ってしまう手段も考えられる。
(4)加えて、上記狭帯域加速度センサを用いた加速度フィードバック演算の処理について、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系において、トルクリプル以外での問題となる周波数帯域での挙動変化に対してでも狭帯域加速度センサを用いた加速度フィードバック演算機構により、キャリッジ変動幅の抑制が可能と考えられる。
【0046】
以上説明したとおり、本発明によれば、一般コンシューマレベル向けの製品に、狭帯域加速度センサを用いた制御対象の加速度情報に基づくフィードバック制御系を構成することから、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系において問題となるモータのトルクリプルに起因したキャリッジ変動などを押さえることを可能とする制御系を構成して、印字における色ズレ等の現象を回避することにより、高精度な印字を行うことが出来るようになる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、狭帯域加速度センサを用いた制御対象の加速度情報に基づくフィードバック制御系を構成することから、インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系において問題となるモータのトルクリプルに起因したキャリッジ変動などを押さえることを可能とする制御系を構成して、印字における色ズレ等の現象を回避することにより、高精度な印字を行うことが出来るようになる。
【0048】
また、加速度センサを安価に構成でき、一般コンシューマレベル向けの製品に搭載可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】狭帯域加速度センサを用いたフィードバック制御系のブロック図である。
【図2】クローズドループ制御系のブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置のキャリッジ駆動系図である。
【図4】狭帯域加速度センサのキャリッジ搭載図である。
【図5】狭帯域加速度センサの周波数応答図である。
【図6】狭帯域加速度センサを用いたもうひとつのフィードバック制御系のブロック図である。
【符号の説明】
1 補償器
2 変換器
3 モータ
4 制御対象
5 狭帯域加速度センサ
6 エンコーダ
7 指令値
8 操作量
9 操作量
10 位置、速度値
11 加速度値
20 シャフト
151 キャリッジ
151a ベルトホルダー
152 モータ
153 プーリー
154 プーリー
155 ベルト
156 エンコーダ
157 エンコーダ受光部
Claims (7)
- シリアル方式の記録装置であって、
キャリッジの位置および速度情報と目標値との比較値について補償演算を行って操作量を出力する補償器と、
特定の周波数帯域における加速度情報を検出する狭帯域加速度検出手段と、
前記補償器により出力される操作量を、前記狭帯域加速度検出手段により検出された加速度情報に基づいて補正する加速度制御手段と
を具備することを特徴とする記録装置。 - 前記狭帯域加速度検出手段は、キャリッジを駆動するモータのトルクリプルの特定の次数に係わる周波数帯域の加速度情報を検出する手段であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記補償器の演算をソフトウェアにて行い、加速度情報における内部ループの演算はハードウェアで実現されることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 前記キャリッジには記録ヘッドが搭載され、該記録ヘッドははインクを吐出して記録を行うインクジェットであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 一方の端部が制御対象に固定され、他方の端部におもりが取りつけられるとともに、振動減衰手段が設けられた弾性体と、
前記おもりの加速度を検出する加速度検出手段とを備え、
前記おもり及び減衰手段が取りつけられた弾性体は、前記制御対象の特定の運動の周波数とほぼ同一の固有振動数を有することを特徴とする加速度センサ。 - 請求項5記載の加速度センサを、その前記制御対象として、印刷ヘッドを搭載したキャリッジに固定し、
前記キャリッジの駆動モータに生じるトルクリプルによる前記キャリッジの加速を前記特定の運動として、その周波数とほぼ同一の固有振動数を前記弾性体に持たせ、
前記加速度センサにより検出された前記キャリッジの加速度を相殺するよう前記駆動モータを制御する制御手段を備えることを特徴とする記録装置。 - シリアル方式の記録装置の制御方法であって、
キャリッジの位置および速度情報と目標値との比較値について補償演算を行って操作量を出力し、
キャリッジを駆動するモータのトルクリプルの周波数帯域における前記キャリッジの加速度情報を検出し、
前記操作量を、前記加速度情報に基づいて補正することを特徴とする記録装置の制御方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007151352A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-14 | Mitsubishi Electric Corp | モータのトルクリプル測定方法、測定装置、トルクリプル抑制方法およびその抑制方法を適用したモータ駆動装置 |
JP2009192522A (ja) * | 2008-01-17 | 2009-08-27 | Railway Technical Res Inst | 高精度加速度測定装置 |
JP2015212053A (ja) * | 2014-05-02 | 2015-11-26 | キヤノン株式会社 | 記録装置及びモータの制御方法 |
-
2002
- 2002-06-18 JP JP2002177639A patent/JP2004017539A/ja not_active Withdrawn
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JP2009192522A (ja) * | 2008-01-17 | 2009-08-27 | Railway Technical Res Inst | 高精度加速度測定装置 |
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