JP2004016508A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【課題】コマンド出力実行中に電力供給が停止し、再開後にコマンドの受信側で制御コマンドの受信規則に反する状態で、受信側での重複したコマンド処理が行われないようにする。
【解決手段】遊技者が所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって遊技の進行を制御するCPU56からのコマンドにもとづき遊技機に設けられた電気部品を制御する払出制御用CPU371を備え、CPU56はコマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止したときに送信中であったコマンドを再度送信するコマンド再送信手段56aを有し、払出制御用CPU371はコマンド再送信手段56aから再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部とを比較する比較手段371aの比較結果に応じて再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部が一致する場合に一方を破棄する破棄手段371bを備える。
【選択図】 図52
【解決手段】遊技者が所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって遊技の進行を制御するCPU56からのコマンドにもとづき遊技機に設けられた電気部品を制御する払出制御用CPU371を備え、CPU56はコマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止したときに送信中であったコマンドを再度送信するコマンド再送信手段56aを有し、払出制御用CPU371はコマンド再送信手段56aから再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部とを比較する比較手段371aの比較結果に応じて再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部が一致する場合に一方を破棄する破棄手段371bを備える。
【選択図】 図52
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技者が所定の遊技を行うことが可能なパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、表示状態が変化可能な可変表示部が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることや、賞球払出の条件が成立しやすくなる状態になることである。
【0004】
パチンコ遊技機では、特別図柄を表示する可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。
【0005】
また、可変表示装置において最終停止図柄(例えば左右中図柄のうち中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して、特定表示態様と一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入れ替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これらの状態をリーチ状態という。)において行われる演出をリーチ演出という。また、リーチ演出を含む可変表示をリーチ可変表示という。リーチ状態において、変動パターンを通常状態における変動パターンとは異なるパターンにすることによって、遊技の興趣が高められている。そして、可変表示装置に可変表示される図柄の表示結果がリーチ状態となる条件を満たさない場合には「はずれ」となり、可変表示状態は終了する。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0006】
遊技機における遊技進行はマイクロコンピュータ等による遊技制御手段によって制御される。可変表示部に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、マイクロコンピュータの指示に応じて画像データを生成して可変表示部側に転送するビデオディスプレイプロセッサ(VDP)とによって制御されるが、マイクロコンピュータのプログラム容量は大きい。
【0007】
従って、プログラム容量に制限のある遊技制御手段のマイクロコンピュータで可変表示部に表示される識別情報等を制御することはできず、遊技制御手段のマイクロコンピュータとは別の表示制御用のマイクロコンピュータ等による表示制御手段を搭載した図柄制御基板が設置される。遊技の進行を制御する遊技制御手段は、表示制御手段に対して表示制御のためのコマンドを送信する必要がある。
【0008】
賞球払出の制御を行う払出制御手段が、遊技制御手段が搭載されている主基板とは別の払出制御基板に搭載されている場合、遊技の進行は主基板に搭載された遊技制御手段によって制御されるので、入賞にもとづく賞球個数は、遊技制御手段によって決定され、払出制御基板に送信される。一方、遊技媒体の貸し出しは、遊技の進行とは無関係であるから、一般に、遊技制御手段を介さず払出制御手段によって制御される。
【0009】
以上のように、遊技機には、遊技制御手段の他に種々の制御手段が搭載されている。そして、遊技の進行を制御する遊技制御手段は、遊技状況に応じて動作指示を示す各コマンドを、各制御基板に搭載された各制御手段に送信する。以下、遊技制御手段その他の制御手段を電気部品制御手段といい、電気部品制御手段が搭載された基板を電気部品制御基板ということがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、各電気部品制御手段はマイクロコンピュータを含んだ構成とされる。すなわち、ROM等にプログラムが格納され、制御上一時的に発生するデータや制御進行に伴って変化するデータがRAMに格納される。すると、遊技機に停電等による電力供給停止状態が発生すると、RAM内のデータは失われてしまう。よって、停電等からの復旧時には、最初の状態(例えば、遊技店においてその日最初に遊技機に電源投入されたときの状態)に戻さざるを得ないので、遊技者に不利益がもたらされる可能性がある。例えば、大当たり遊技中において電力供給停止状態が発生し遊技機が最初の状態に戻ってしまうのでは、遊技者は大当たりの発生にもとづく利益を享受することができなくなってしまう。
【0011】
遊技者に対して上記のような不利益がもたらされないようにするために、遊技機への電力供給が停止したときに、払出制御手段における所定の情報を電源バックアップするように構成された遊技機がある。例えば、遊技機への電力供給が停止したときに、電源電圧値の低下に伴なって発生される所定の信号に応じて遊技制御を中断し、そのときの遊技状態を、遊技機に対する電力供給停止中でも電源バックアップされている記憶手段(バックアップ記憶手段)に保存し、電力供給が完全に停止するのを待つように制御することによって、電気部品制御手段における所定の情報を電源バックアップするようにすればよい。そのような遊技機では、遊技機への電力供給が停止した後に、電力供給が復旧すると、払出制御手段は電源バックアップされている情報にもとづいて遊技を再開することができる。
【0012】
しかし、コマンドを出力するための処理が実行されているときに電力供給が停止したような場合には、コマンドが送信されたか否かに関する正確な情報をバックアップ記憶手段に保存することは困難であるので、電力供給再開時に正確な制御状態に復旧しないおそれがある。例えば、受信側の電気部品制御手段でまだ受信されていないコマンドがあるのにもかかわらず、電力供給再開後にそのコマンドが送信されない事態が起こり得る。従って、コマンドの種類によっては、例えば払い出されるはずの遊技媒体が払い出されないなど、遊技者に対して不利益を与えてしまうおそれがある。また、電力供給再開後にコマンドを再送するようにするだけでは、例えば受信側である電気部品制御手段でコマンドが受信された直後に電力供給が停止した場合には、送信側である遊技制御手段で、コマンドの受信が確認できず、同じコマンドを再送する事態も生じ、制御コマンドの受信規則に反する状態で、受信側での重複したコマンド処理が行われる場合がある。
【0013】
そこで、本発明は、コマンドの出力にかかわる処理の実行中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給再開後に確実にそのコマンドを送信することができ、遊技者に不利益がもたらされることを防止することができる遊技機を提供するとともに、コマンドの受信側で制御コマンドの受信規則に反する状態で、受信側での重複したコマンド処理が行われないようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、遊技者が所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、遊技の進行を制御する遊技制御手段(例えば、CPU56)と、遊技制御手段からのコマンドにもとづき、遊技機に設けられた電気部品を制御する電気部品制御手段(例えば払出制御用CPU371を含む払出制御手段、表示制御用CPUを含む表示制御手段、ランプ制御用CPUを含むランプ制御手段、音制御用CPUを含む音制御手段)と、遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶内容を保持することが可能な変動データ記憶手段(例えば、電源バックアップされたRAM55)とを備え、前記遊技制御手段および電気部品制御手段は、電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、前記変動データ記憶手段に記憶保持された記憶内容にもとづいて電力供給停止前の制御状態に復旧させる復旧処理を実行可能であり、前記遊技制御手段は、コマンドの送信に関連する処理(例えば、図33に示すコマンド送信処理、図32に示すコマンドセット処理)の実行中に電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、電力供給が停止したときに送信中であったコマンド(例えば、MODEデータ、EXTデータ)を再度送信する(例えば、状態復旧処理においてステップS88で変更された復帰アドレスに復帰することで、コマンドの送信に関連する処理を再度実行する。)コマンド再送信手段(図52の56a)を有し、電気部品制御手段は、コマンド再送信手段から再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に最後に受信しているコマンドとを比較する(例えば、図47(B)のバッファ1とバッファ2とに保存されているMODEデータを比較する。)比較手段(図52の371a)と、比較手段による比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドとが互いに一致する場合にこれらのうち一方を破棄する(例えば、図47(B)のコマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータを破棄する。)破棄手段(図52の371b)とを備えることを特徴とする。
【0015】
変動データ記憶手段の記憶内容には、コマンドの送信に関連する処理の実行状態を示す状態フラグ(例えば、コマンド送信中フラグ)が含まれ、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後の状態フラグにもとづいてコマンドを再度送信するようにしている。
【0016】
変動データ記憶手段の記憶内容には電力供給が停止したときに実行していた処理を示すプログラムアドレスデータ(例えば、スタック領域に保存されている復帰する処理を示すアドレスデータ)が含まれ、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後のプログラムアドレスデータにもとづいてコマンドを再度送信してもよい。
【0017】
コマンドは複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータ(例えば、MODEデータとEXTデータ)からなり、コマンド再送信手段は送信中だったコマンドデータ(例えば、MODEデータ)のみを再度送信するようにしている。
【0018】
コマンドは、複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータからなり、比較手段はいずれか一つのコマンドデータ(例えば、MODEデータ)相互を比較するようにしている。
【0019】
遊技制御手段は、コマンド再送信手段によってコマンドを再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、電気部品制御手段は、復旧指定コマンドを受信したことに応じて遊技機に設けられた電気部品の制御を再開する。
【0020】
電気部品制御手段は、識別情報の可変表示を行う可変表示装置の制御を行う表示制御手段であり、遊技制御手段および前記表示制御手段は、識別情報の可変表示の実行期間を管理するタイマをそれぞれ備え、前記遊技制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを送信したことに応じて再開し、前記表示制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを受信したことに応じて再開する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、例えば画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。
【0022】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
【0023】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0024】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別図柄表示装置)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。可変表示装置9の下方には、始動入賞口14が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0025】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。また、可変表示装置9の下部には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つのLEDによる特別図柄始動記憶表示器(以下、始動記憶表示器という。)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、始動記憶表示器18は点灯するLEDを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
【0026】
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当たりとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32に入った入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
【0027】
遊技盤6には、複数の入賞口29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。各入賞口29,30,33,39は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する始動入賞口14や、大入賞口も、入賞領域を構成する。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0028】
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。上記のように、本例のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0029】
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を打球供給皿3の近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ150、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。
【0030】
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
【0031】
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0032】
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
【0033】
打球がゲート32に入賞すると、普通図柄表示器10において普通図柄が可変表示される状態になる。また、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。すなわち、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であったり、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
【0034】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3および図4を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。図4は、各種部材が取り付けられた機構板を遊技機背面側から見た背面図である。
【0035】
図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、始動記憶表示器18および普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。
【0036】
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)34が設置されている。
【0037】
さらに、各基板(主基板31や払出制御基板37等)に含まれる記憶内容保持手段(例えば、電力供給停止時にもその内容を保持可能なバックアップRAM)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921が搭載されたスイッチ基板190が設けられている。スイッチ基板190には、クリアスイッチ921と、主基板31等の他の基板と接続されるコネクタ922が設けられている。
【0038】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レール39を通り、図4に示されるように、カーブ樋186を経て賞球ケース40Aで覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチ187は遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レール39における上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
【0039】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、ついには遊技球が連絡口45に到達した後さらに遊技球が払い出されると、遊技球は、余剰球通路46を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、感知レバー47が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ48を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ48がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
【0040】
図4に示すように、球払出装置の側方には、カーブ樋186から遊技機下部の排出口192に至る球抜き通路191が形成されている。球抜き通路191の上部には球抜きレバー193が設けられ、球抜きレバー193が遊技店員等によって操作されると、誘導レール39から球抜き通路191への遊技球通路が形成され、貯留タンク38内に貯留されている遊技球は、排出口192から遊技機外に排出される。
【0041】
図5は、球払出装置97の構成例を示す分解斜視図である。この例では、賞球ケース40Aとしての3つのケース140,141,142の内部に球払出装置97が形成されている。ケース140,141の上部には、球切れスイッチ187の下部の球通路と連通する穴170,171が設けられ、遊技球は、穴170,171から球払出装置97に流入する。
【0042】
球払出装置97は駆動源となる払出モータ(例えばステッピングモータ)289を含む。払出モータ289の回転力は、払出モータ289の回転軸に嵌合しているギア290に伝えられ、さらに、ギア290と噛み合うギア291に伝えられる。ギア291の中心軸には、凹部を有するスプロケット292が嵌合している。穴170,171から流入した遊技球は、スプロケット292の凹部によって、スプロケット292の下方の球通路293に1個ずつ落下させられる。
【0043】
球通路293には遊技球の流下路を切り替えるための振分部材311が設けられている。振分部材311はソレノイド310によって駆動され、賞球払出時には、球通路293における一方の流下路を遊技球が流下するように倒れ、球貸し時には球通路293における他方の流下路を遊技球が流下するように倒れる。なお、払出モータ289およびソレノイド310は、払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPUによって制御される。また、払出制御用CPUは、主基板31に搭載されている遊技制御用のCPUからの指令に応じて払出モータ289およびソレノイド310を制御する。
【0044】
賞球払出時に選択される流下路の下方には球払出装置によって払い出された遊技球を検出する賞球センサ(賞球カウントスイッチ)301Aが設けられ、球貸し時に選択される流下路の下方には球払出装置によって払い出された遊技球を検出する球貸しセンサ(球貸しカウントスイッチ)301Bが設けられている。賞球カウントスイッチ301Aの検出信号と球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号は払出制御基板37の払出制御用CPUに入力される。払出制御用CPUは、それらの検出信号にもとづいて、実際に払い出された遊技球の個数を計数する。
【0045】
なお、ギア291の周辺部には、払出モータ位置センサを形成する突起部が形成されている。突起部は、ギア291の回転すなわち払出モータ289の回転に伴って発光体(図示せず)からの光を、払出モータ位置センサの受光部(図示せず)に対して透過させたり遮蔽したりする。払出制御用CPUは、受光部からの検出信号によって払出モータ289の位置を認識することができる。
【0046】
また、球払出装置は、賞球払出と球貸しとを共に行うように構成されていてもよいが、賞球払出を行う球払出装置と球貸しを行う球払出装置が別個に設けられていてもよい。さらに、例えばスプロケットの回転方向を変えて賞球払出と球貸しとを分けるように構成されていてもよいし、本実施の形態において例示する球払出装置97以外のどのような構造の球払出装置を用いても、本発明を適用することができる。
【0047】
図6は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図6には、払出制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および図柄制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301Aおよびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
【0048】
なお、図6には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路58を介して基本回路53に伝達される。また、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301A等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。特に、入賞検出を行う始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの各スイッチは、入賞検出手段でもある。なお、入賞検出手段は、複数の入賞口に別個に入賞したそれぞれの遊技球をまとめて検出するものであってもよい。また、ゲートスイッチ32aのような通過ゲートであっても、賞球の払い出しが行われるものであれば、通過ゲートへ遊技球が進入することが入賞となり、通過ゲートに設けられているスイッチ(例えばゲートスイッチ32a)が入賞検出手段となる。
【0049】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
【0050】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
【0051】
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55の一部または全部が、電源基板910において作成されるバックアップ電源よってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。
【0052】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0053】
なお、この実施の形態では、ランプ制御基板35に搭載されているランプ制御手段が、遊技盤に設けられている始動記憶表示器18、普通図柄始動記憶表示器41および装飾ランプ25の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52の表示制御を行う。また、特別図柄を可変表示する可変表示装置9および普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10の表示制御は、図柄制御基板80に搭載されている表示制御手段によって行われる。
【0054】
図7は、払出制御基板37および球払出装置97の構成要素などの払出に関連する構成要素を示すブロック図である。図7に示すように、満タンスイッチ48からの検出信号は、中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。また、球切れスイッチ187からの検出信号も、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。
【0055】
主基板31のCPU56は、球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していると、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを送出する。払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを受信すると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は球払出処理を停止する。
【0056】
さらに、賞球カウントスイッチ301Aからの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力されるとともに、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。賞球カウントスイッチ301Aは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された賞球払出球を検出する。
【0057】
入賞があると、払出制御基板37には、主基板31の出力ポート(ポート0,1)570,571から賞球個数を示す払出制御コマンドが入力される。出力ポート(出力ポート1)571は8ビットのデータを出力し、出力ポート570は1ビットのINT信号を出力する。賞球個数を示す払出制御コマンドは、入力バッファ回路373Aを介してI/Oポート372aに入力される。INT信号は、入力バッファ回路373Bを介して払出制御用CPU371の割込端子に入力されている。払出制御用CPU371は、I/Oポート372aを介して払出制御コマンドを入力し、払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動して賞球払出を行う。なお、この実施の形態では、払出制御用CPU371は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
【0058】
また、主基板31において、出力ポート570,571の外側にバッファ回路620,68Aが設けられている。バッファ回路620,68Aとして、例えば、汎用のCMOS−ICである74HC250,74HC14が用いられる。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、払出制御基板37から主基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、バッファ回路620,68Aの出力側にノイズフィルタを設けてもよい。
【0059】
払出制御用CPU371は、出力ポート372cを介して、貸し球数を示す球貸し個数信号をターミナル基板160に出力する。さらに、出力ポート372dを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。
【0060】
さらに、払出制御基板37の入力ポート372bには、中継基板72を介して、球貸しカウントスイッチ301B、および払出モータ289の回転位置を検出するための払出モータ位置センサからの検出信号が入力される。球貸しカウントスイッチ301Bは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された貸し球を検出する。払出制御基板37からの払出モータ289への駆動信号は、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に伝えられ、振分ソレノイド310への駆動信号は、出力ポート372eおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における振分ソレノイド310に伝えられる。また、クリアスイッチ921の出力も、入力ポート372bに入力される。
【0061】
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、端数表示スイッチ152、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、球貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。
【0062】
残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が払出制御基板37を介して与えられる。また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が払出制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と払出制御基板37の間では、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート372bおよび出力ポート372eを介してやりとりされる。
【0063】
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。また、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、VL信号を出力する。払出制御用CPU371は、VL信号の入力状態により接続状態/未接続状態を判定する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRQ信号を出力する。
【0064】
そして、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち上げ、カードユニット50からのBRQ信号の立ち下がりを検出すると、払出モータ289を駆動し、所定個の貸し球を遊技者に払い出す。このとき、振分ソレノイド310は駆動状態とされている。すなわち、球振分部材311を球貸し側に向ける。そして、払出が完了したら、払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち下げる。その後、カードユニット50からのBRDY信号がオン状態でなければ、賞球払出制御を実行する。
【0065】
以上のように、カードユニット50からの信号は全て払出制御基板37に入力される構成になっている。従って、球貸し制御に関して、カードユニット50から主基板31に信号が入力されることはなく、主基板31の基本回路53にカードユニット50の側から不正に信号が入力される余地はない。また、カードユニット50で用いられる電源電圧AC24Vは払出制御基板37から供給される。
【0066】
この実施の形態では、電源基板910から払出制御基板37に対して電源断信号も入力される。電源断信号は、払出制御用CPU371のマスク不能割込(NMI)端子に入力される。さらに、払出制御基板37に存在するRAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)の少なくとも一部は、電源基板910において作成されるバックアップ電源によって、バックアップされている。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAMの少なくとも一部の内容は保存される。
【0067】
なお、この実施の形態では、カードユニット50が遊技機とは別体として遊技機に隣接して設置されている場合を例にするが、カードユニット50は遊技機と一体化されていてもよい。また、コイン投入に応じてその金額に応じた遊技球が貸し出されるような場合でも本発明を適用できる。
【0068】
図8は、電源基板910の一構成例を示すブロック図である。電源基板910は、主基板31、図柄制御基板80、音制御基板70、ランプ制御基板35および払出制御基板37等の電気部品制御基板と独立して設置され、遊技機内の各電気部品制御基板および機構部品が使用する電圧を生成する。この例では、AC24V、VSL(DC+30V)、DC+21V、DC+12VおよびDC+5Vを生成する。また、バックアップ電源すなわち記憶保持手段となるコンデンサ916は、DC+5Vすなわち各基板上のIC等を駆動する電源のラインから充電される。なお、VSLは、整流回路912において、整流素子でAC24Vを整流昇圧することによって生成される。VSLは、ソレノイド駆動電源となる。
【0069】
トランス911は、交流電源からの交流電圧を24Vに変換する。AC24V電圧は、コネクタ915に出力される。また、整流回路912は、AC24Vから+30Vの直流電圧を生成し、DC−DCコンバータ913およびコネクタ915に出力する。DC−DCコンバータ913は、1つまたは複数のコンバータIC922(図8では1つのみを示す。)を有し、VSLにもとづいて+21V、+12Vおよび+5Vを生成してコネクタ915に出力する。コンバータIC922の入力側には、比較的大容量のコンデンサ923が接続されている。従って、外部からの遊技機に対する電力供給が停止したときに、+30V、+12V、+5V等の直流電圧は、比較的緩やかに低下する。コネクタ915は例えば中継基板に接続され、中継基板から各電気部品制御基板および機構部品に必要な電圧の電力が供給される。
【0070】
ただし、電源基板910に各電気部品制御基板に至る各コネクタを設け、電源基板910から、中継基板を介さずにそれぞれの基板に至る各電圧を供給するようにしてもよい。また、図8には1つのコネクタ915が代表して示されているが、コネクタは、各電気部品制御基板対応に設けられている。
【0071】
DC−DCコンバータ913からの+5Vラインは分岐してバックアップ+5Vラインを形成する。バックアップ+5Vラインとグラウンドレベルとの間には大容量のコンデンサ916が接続されている。コンデンサ916は、遊技機に対する電力供給が停止したときの電気部品制御基板のバックアップRAM(電源バックアップされているRAMすなわち電力供給停止時にも記憶内容保持状態となりうるバックアップ記憶手段)に対して記憶状態を保持できるように電力を供給するバックアップ電源となる。また、+5Vラインとバックアップ+5Vラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。なお、この実施の形態では、バックアップ用の+5Vは、主基板31および払出制御基板37に供給される。
【0072】
また、電源基板910には、電源監視回路としての電源監視用IC902が搭載されている。電源監視用IC902は、VSL電圧を導入し、VSL電圧を監視することによって遊技機への電力供給停止の発生を検出する。具体的には、VSL電圧が所定値(この例では+22V)以下になったら、電力供給の停止が生ずるとして電源断信号を出力する。なお、監視対象の電源電圧は、各電気部品制御基板に搭載されている回路素子の電源電圧(この例では+5V)よりも高い電圧であることが好ましい。この例では、交流から直流に変換された直後の電圧であるVSLが用いられている。電源監視用IC902からの電源断信号は、主基板31や払出制御基板37等に供給される。
【0073】
電源監視用IC902が電力供給の停止を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、各電気部品制御基板上のCPUが暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、電源監視用IC902が、CPU等の回路素子を駆動するための電圧(この例では+5V)よりも高く、また、交流から直流に変換された直後の電圧を監視するように構成されているので、CPUが必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。さらに、監視電圧としてVSL(+30V)を用いる場合には、遊技機の各種スイッチに供給される電圧が+12Vであることから、電源瞬断時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる。すなわち、+30V電源の電圧を監視すると、+30V作成の以降に作られる+12Vが落ち始める以前の段階でそれの低下を検出できる。
【0074】
+12V電源の電圧が低下するとスイッチ出力がオン状態を呈するようになるが、+12Vより早く低下する+30V電源電圧を監視して電力供給の停止を認識すれば、スイッチ出力がオン状態を呈する前に電力供給回復待ちの状態に入ってスイッチ出力を検出しない状態となることができる。
【0075】
また、電源監視用IC902は、電気部品制御基板とは別個の電源基板910に搭載されているので、電源監視回路から複数の電気部品制御基板に電源断信号を供給することができる。電源断信号を必要とする電気部品制御基板が幾つあっても電源監視手段は1つ設けられていればよいので、各電気部品制御基板における各電気部品制御手段が後述する復旧制御を行っても、遊技機のコストはさほど上昇しない。
【0076】
なお、図8に示された構成では、電源監視用IC902の検出信号(電源断信号)は、バッファ回路918,919を介してそれぞれの電気部品制御基板(例えば主基板31と払出制御基板37)に伝達されるが、例えば、1つの検出信号を中継基板に伝達し、中継基板から各電気部品制御基板に同じ信号を分配する構成でもよい。また、電源断信号を必要とする基板数に応じたバッファ回路を設けてもよい。さらに、主基板31と払出制御基板37とに出力される電源断信号について、電源断信号を出力することになる電源監視回路の監視電圧を異ならせてもよい。
【0077】
図9は、主基板31におけるCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。図9に示すように、電源基板910の電源監視回路(電源監視手段;第1の電源監視手段)からの電源断信号が、CPU56のマスク不能割込端子(XNMI端子)に接続されている。従って、CPU56は、マスク不能割込(NMI)処理によって遊技機への電力供給の停止の発生を確認することができる。
【0078】
図9には、システムリセット回路65も示されている。リセットIC651は、電源投入時に、外付けのコンデンサの容量で決まる所定時間だけ出力をローレベルとし、所定時間が経過すると出力をハイレベルにする。すなわち、リセット信号をハイレベルに立ち上げてCPU56を動作可能状態にする。また、リセットIC651は、電源監視回路が監視する電源電圧と等しい電源電圧であるVSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値(電源監視回路が電源断信号を出力する電源電圧値よりも低い値)以下になると出力をローレベルにする。従って、CPU56は、電源監視回路からの電源断信号に応じて所定の電力供給停止時処理を行った後、システムリセットされる(すなわち、システムの最初の状態に戻される)。
【0079】
図9に示すように、リセットIC651からのリセット信号は、NAND回路947に入力されるとともに、反転回路(NOT回路)944を介してカウンタIC941のクリア端子に入力される。カウンタIC941は、クリア端子への入力がローレベルになると、発振器943からのクロック信号をカウントする。そして、カウンタIC941のQ5出力がNOT回路945,946を介してNAND回路947に入力される。また、カウンタIC941のQ6出力は、フリップフロップ(FF)942のクロック端子に入力される。フリップフロップ942のD入力はハイレベルに固定され、Q出力は論理和回路(OR回路)949に入力される。OR回路949の他方の入力には、NAND回路947の出力がNOT回路948を介して導入される。そして、OR回路949の出力がCPU56のリセット端子に接続されている。このような構成によれば、電源投入時に、CPU56のリセット端子に2回のリセット信号(ローレベル信号)が与えられるので、CPU56は、確実に動作を開始する。
【0080】
そして、例えば、電源監視回路の検出電圧(電源断信号を出力することになる電圧)を+22Vとし、リセット信号をローレベルにするための検出電圧を+9Vとする。そのように構成した場合には、電源監視回路とシステムリセット回路65とが、同一の電源VSLの電圧を監視するので、電圧監視回路が電源断信号を出力するタイミングとシステムリセット回路65がシステムリセット信号を出力するタイミングの差を所望の所定期間に確実に設定することができる。所望の所定期間とは、電源監視回路からの電源断信号に応じて電力供給停止時処理を開始してから電力供給停止時処理が確実に完了するまでの期間である。
【0081】
なお、電源監視回路とシステムリセット回路65とが監視する電源の電圧は異なっていてもよい。また、システムリセット回路65は、第2の電源監視手段に相当する。
【0082】
CPU56等の駆動電源である+5V電源から電力が供給されていない間、RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源によってバックアップされ、遊技機に対する電力供給が停止しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、システムリセット回路65からリセット信号が発せられるので、CPU56は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップRAMに保存されているので、停電等からの復旧時に停電等の発生時の遊技状態に復旧させることができる。
【0083】
なお、図9に示す構成では、電源投入時にCPU56のリセット端子に2回のリセット信号(ローレベル信号)が与えられるが、リセット信号の立ち上がりタイミングが1回しかなくても確実にリセット解除されるCPUを使用する場合には、符号941〜949で示された回路素子は不要である。その場合、リセットIC651の出力がそのままCPU56のリセット端子に接続される。
【0084】
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。PIOは、PB0〜PB3の4ビットおよびPA0〜PA7の1バイトのポートを有する。PB0〜PB3およびPA0〜PA7のポートは、入力/出力いずれにも設定できる。
【0085】
図10および図11は、この実施の形態における出力ポートの割り当てを示す説明図である。図10に示すように、出力ポート0は各電気部品制御基板に送出される制御コマンドのINT信号の出力ポートである。また、払出制御基板37に送出される払出制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート1から出力され、図柄制御基板80に送出される表示制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート2から出力され、ランプ制御基板35に送出されるランプ制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート3から出力される。そして、図11に示すように、音制御基板70に送出される音制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート4から出力される。
【0086】
また、出力ポート5から、情報出力回路64を介して情報端子板34やターミナル基板160に至る各種情報出力用信号すなわち制御に関わる情報の出力データが出力される。そして、出力ポート6から、可変入賞球装置15を開閉するためのソレノイド16、大入賞口の開閉板2を開閉するためのソレノイド21、および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aに対する駆動信号が出力される。
【0087】
図11に示すように、払出制御基板37、図柄制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対して出力される各INT信号(払出制御信号INT、表示制御信号INT、ランプ制御信号INTおよび音声制御信号INT)を出力する出力ポート(出力ポート0)と、払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7および音声制御信号CD0〜CD7を出力する出力ポート(出力ポート1〜4)とは、別ポートである。
【0088】
従って、INT信号を出力する際に、誤って払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7および音声制御信号CD0〜CD7を変化させてしまう可能性が低減する。また、払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7または音声制御信号CD0〜CD7を出力する際に、誤ってINT信号を変化させてしまう可能性が低減する。その結果、主基板31の遊技制御手段から各電気部品制御基板に対するコマンドは、より確実に送出されることになる。さらに、各INT信号は、全て出力ポート0から出力されるように構成されているので、遊技制御手段のINT信号出力処理の負担が軽減される。
【0089】
次に遊技機の動作について説明する。図12は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
【0090】
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
【0091】
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CTCは、2本の外部クロック/タイマトリガ入力CLK/TRG2,3と2本のタイマ出力ZC/TO0,1を備えている。
【0092】
この実施の形態で用いられているCPU56には、マスク可能な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU56は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
【0093】
割込モード0:割込要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPUの内部データバス上に送出する。よって、CPU56は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU56は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行う必要がある。
【0094】
割込モード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
【0095】
割込モード2:CPU56の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行うときに割込ベクタを送出する機能を有している。
【0096】
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU56は割込モード2に設定される。
【0097】
次いで、CPU56は、入力ポート1を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート1では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである。また、例えば、遊技店員は、クリアスイッチ921をオン状態にしながら遊技機に対する電力供給を開始することによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。
【0098】
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような保護処理が行われていた場合をバックアップありとする。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。
【0099】
この実施の形態では、バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。この例では、図13に示すように、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
【00100】
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
【0101】
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0102】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と表示制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
【0103】
このように、バックアップフラグとチェックサム等のチェックデータとを用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認することによって、遊技状態を電力供給停止時の状態に正確に戻すことができる。すなわち、バックアップRAM領域のデータにもとづく状態復旧処理の確実性が向上する。なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
【0104】
また、バックアップフラグの状態によって「バックアップあり」が確認されなかった場合には、後述する遊技状態復旧処理を行うことなく後述する初期化処理を行うようにしているので、バックアップデータが存在しないのにもかかわらず遊技状態復旧処理が実行されてしまうことを防止することができ、初期化処理によって制御状態を初期状態に戻すことが可能となる。
【0105】
さらに、チェックデータを用いたチェック結果が正常でなかった場合には、後述する遊技状態復旧処理を行うことなく後述する初期化処理を行うようにしているので、電力供給停止時とは異なる内容となってしまっているバックアップデータにもとづいて遊技状態復旧処理が実行されてしまうことを防止することができ、初期化処理によって制御状態を初期状態に戻すことが可能となる。
【0106】
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS11)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う(ステップS12)。さらに、球払出装置97からの払出が可能であることを指示する払出許可状態指定コマンド(以下、払出可能状態指定コマンドという。)を払出制御基板37に対して送信する処理を行う(ステップS13)。また、他のサブ基板(ランプ制御基板35、音制御基板70、図柄制御基板80)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド(図柄制御基板80に対して)や賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド(ランプ制御基板35に対して)等がある。
【0107】
初期化処理では、払出制御基板37に対して常に払出可能状態指定コマンドが送信される。仮に、遊技機の状態が球払出装置97からの払出が可能でない状態であったとしても、直後に実行される遊技制御処理において、その旨が検出され、払出が可能でない状態であることを指示する払出禁止状態指定コマンド(以下、払出停止状態指定コマンドという。)が送信されるので問題はない。なお、払出可能状態指定コマンドおよび他のサブ基板に対する初期化コマンドの送信処理において、例えば、各コマンドが設定されているテーブル(ROM領域)のアドレスをポインタにセットし、後述するコマンドセット処理(図35参照)のような処理ルーチンをコールすればよい。
【0108】
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0109】
初期化処理の実行(ステップS11〜S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0110】
なお、表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされるのは、表示用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行されることから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS17の処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS17の処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
【0111】
図14は、遊技状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。遊技状態復旧処理において、CPU56は、まず、スタックポインタの復帰処理を行う(ステップS81)。スタックポインタの値は、後で詳述する電力供給停止時処理において、所定のRAMエリア(電源バックアップされている作業領域におけるスタックポインタ退避バッファ)に退避している。よって、ステップS81では、そのRAMエリアの値をスタックポインタに設定することによって復帰させる。なお、復帰されたスタックポインタが指す領域(すなわちスタック領域)には、電力供給が停止したときのレジスタ値やプログラムカウンタ(PC)の値が退避している。
【0112】
次いで、CPU56は、払出停止状態であったか否か確認する(ステップS82)。払出停止状態であったか否かは、電源バックアップされているRAMエリアに保存されている所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど)における払出状態データとしての払出停止フラグによって確認される。払出停止状態であった場合には、払出制御基板37に搭載されている払出制御手段に対して、払出の停止を指示する払出制御コマンド(払出停止状態指定コマンド)を送信する(ステップS83)。払出停止状態でなかった場合には、払出制御手段に対して払出が可能であることを指示する払出制御コマンド(払出可能状態指定コマンド)を送信する(ステップS84)。
【0113】
補給球の不足や余剰球受皿4の満タンについて払出制御手段は認識できないので、遊技制御手段から通知しないと、停電等からの復旧時に、補給球の不足や余剰球受皿4の満タンであるにもかかわらず遊技球の払出処理を開始してしまうおそれがある。しかし、この実施の形態では、遊技状態復旧処理において、払出の停止を指示する払出制御コマンドまたは払出が可能であること指示する払出制御コマンドが送信されるので、払出制御手段が、補給球の不足や余剰球受皿4の満タンであるにもかかわらず遊技球の払出処理を開始してしまうことはない。
【0114】
なお、ここでは、遊技媒体の払い出しが可能であるか否かを判定する払出状態判定手段(遊技制御手段の一部)が払出可能でないことを検出したら、原因の如何に関わらず、1種類の払出停止状態指定コマンド(すなわち、本例では、払出停止状態指定コマンドは、払い出しを禁止する複数種類の条件のうちのどの条件が成立した場合であっても、共通して用いられるコマンドとされている。)が送信されるようにしたが、原因別のコマンド(この例では、補給球の不足を示すコマンドと下皿満タンを示すコマンド)に分けて送信してもよい。さらに、遊技球の払出が可能でない場合に、遊技の継続を禁止するために遊技球の発射を禁止することを指示するコマンドを払出制御基板37に対して送信してもよい。払出制御基板37に搭載された払出制御手段は、遊技球の発射を禁止することを指示するコマンドを受信したら、打球発射装置の駆動を停止する。また、遊技球の払出が可能でない場合に、遊技制御手段が発射制御手段に対して、直接、遊技球の発射を禁止することを指示する信号を与えてもよい。また、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信した場合に、打球発射装置の駆動を停止するようにしてもよい。
【0115】
また、CPU56は、電力供給が停止したときの可変表示装置9における特別図柄の表示状態に応じて、その表示状態を復旧させるための表示制御コマンドを送信する(ステップS85)。
【0116】
次いで、CPU56は、コマンド送信中フラグがオンしているか否か確認する(ステップS86)。すなわち、電源供給が停止したときにコマンドの送信中であったか否かを確認する。コマンド送信中フラグは、電源バックアップされているRAMエリアの所定の領域に保存されている。なお、コマンド送信中フラグは、後述するコマンド送信処理(図33参照)にて、コマンドの送信処理の実行中にセットされ、コマンドの送信処理を終えたときにリセットされるフラグである。コマンド送信中フラグがオンであれば、CPU56は、コマンド送信中フラグをリセットする(ステップS87)。そして、CPU56は、スタック領域における復帰アドレス(NMIによる電力供給停止時処理によって退避されたアドレス)を示す値を、後述するコマンド送信処理の最初のアドレスを示す値にセットする(ステップS88)。
【0117】
その後、CPU56は、バックアップフラグをクリアする(ステップS91)すなわち、前回の電力供給停止時に所定の記憶保護処理が実行されたことを示すフラグをリセットする。よって、制御状態の復旧後に不必要な情報が残存しないようにすることができる。また、スタック領域から各種レジスタの退避値を読み出して、各種レジスタ(IXレジスタ、HLレジスタ、DEレジスタ、BCレジスタ)に設定する(ステップS92)。すなわち、レジスタ復元処理を行う。なお、各レジスタが復元させる毎に、スタックポインタの値が減らされる。すなわち、スタックポインタの値が、スタック領域の1つ前のアドレスを指すように更新される。そして、パリティフラグがオンしていない場合には割込許可状態にする(ステップS93,S94)。最後に、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタック領域から復元する(ステップS95)。
【0118】
そして、RET命令が実行される。RET命令が実行されるときには、CPU56は、スタックポインタが指す領域に格納されているデータをプログラムカウンタに設定することによってプログラムのリターン動作を実現する。ただし、ここでのリターン先は、遊技状態復旧処理をコールした部分ではない。なぜなら、ステップS81においてスタックポインタの復帰処理がなされ、ステップS92でレジスタの復元処理が終了した後では、スタック領域を指すスタックポインタは、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行されていたプログラムのアドレスが退避している領域を指している。すなわち、復帰されたスタックポインタが指すスタック領域に格納されているリターンアドレスは、プログラムにおける前回の電力供給停止時にNMIが発生したアドレスである。従って、ステップS95の次のRET命令によって、電力供給停止時にNMIが発生したアドレスにリターンする。
【0119】
なお、ステップS88にてスタック領域における復帰アドレスを示す値がコマンド送信処理の最初のアドレスを示す値に変更されていた場合には、ステップS92でレジスタの復元処理が終了した後では、スタック領域を指すスタックポインタは、ステップS88にて書き換えられたコマンド送信処理のプログラムの最初を示すアドレスが退避している領域を指していることになる。従って、ステップS95の次のRET命令によって、コマンド送信処理が開始されるときのアドレスにリターンする。
【0120】
すなわち、本例では、スタック領域に退避されていたアドレスデータ(プログラムアドレスデータ)にもとづいて復旧制御が実行されている。
【0121】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS20)を行った後、図15に示すステップS21〜S32の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0122】
次いで、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS22)。
【0123】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU56は、さらに、表示用乱数および初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS24,S25)。
【0124】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0125】
次いで、CPU56は、特別図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS28)。また、普通図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS29)。
【0126】
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。
【0127】
また、CPU56は、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う(ステップS31)。可変入賞球装置15または開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16,21,21Aを駆動する。
【0128】
そして、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS32)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371は、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS33)、割込許可状態に設定する(ステップS34)。
【0129】
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0130】
図16,図17は、電源基板910からの電源断信号に応じて実行されるマスク不能割込処理(電力供給停止時処理)の処理例を示すフローチャートである。マスク不能割込が発生すると、CPU56に内蔵されている割込制御機構は、マスク不能割込発生時に実行されていたプログラムのアドレス(具体的には実行完了後の次のアドレス)を、スタックポインタが指すスタック領域に退避させるとともに、スタックポインタの値を増やす。すなわち、スタックポインタの値がスタック領域の次のアドレスを指すように更新する。
【0131】
電力供給停止時処理において、CPU56は、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタックポインタが指すスタック領域に退避する(ステップS51)。このとき、スタックポインタの値が、スタック領域の次のアドレスを指すように更新される。また、割込フラグをパリティフラグにコピーする(ステップS52)。パリティフラグはバックアップRAM領域に形成されている。割込フラグは、割込許可状態であるのか割込禁止状態であるのかを示すフラグであって、CPU56が内蔵する制御レジスタ中にある。割込フラグのオン状態が割込禁止状態であることを示す。上述したように、パリティフラグは遊技状態復旧処理で参照される。そして、遊技状態復旧処理において、パリティフラグがオン状態であれば、割込許可状態には設定されない。
【0132】
また、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタおよびIXレジスタをスタックポインタが指すスタック領域に退避する(ステップS54〜57)。この段階で、スタック領域には、マスク不能割込発生時に実行されていたプログラムのアドレス、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタおよびIXレジスタの各値が順に格納されたことになる。なお、各レジスタが退避される毎に、スタックポインタの値が、スタック領域の次のアドレスを指すように更新される。また、スタックポインタの値を作業領域における所定の領域(スタックポインタ退避バッファ)に退避する(ステップS58)。
【0133】
次に、バックアップあり指定値(この例では「55H」)をバックアップフラグにストアする。バックアップフラグはバックアップRAM領域に形成されている。次いで、パリティデータを作成する(ステップS60〜S67)。すなわち、まず、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし(ステップS60)、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする(ステップS61)。また、チェックサム算出回数をセットする(ステップS62)。
【0134】
そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する(ステップS63)。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに(ステップS64)、ポインタの値を1増やし(ステップS65)、チェックサム算出回数の値を1減算する(ステップS66)。ステップS63〜S66の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される(ステップS67)。
【0135】
チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転する(ステップS68)。そして、反転後のデータをチェックサムデータエリアにストアする(ステップS69)。このデータが、電源投入時にチェックされるパリティデータとなる。次いで、RAMアクセスレジスタにアクセス禁止値を設定する(ステップS70)。以後、内蔵RAM55のアクセスができなくなる。従って、電圧低下に伴ってプログラムの暴走が生じても、RAMの記憶内容が破壊されるようなことはない。
【0136】
さらに、CPU56は、クリアデータ(00)を適当なレジスタにセットし(ステップS71)、処理数(この例では「7」)を別のレジスタにセットする(ステップS72)。また、出力ポート0のアドレスをIOポインタに設定する(ステップS73)。IOポインタとして、さらに別のレジスタが用いられる。
【0137】
そして、IOポインタが指すアドレスにクリアデータをセットするとともに(ステップS74)、IOポインタの値を1増やし(ステップS75)、処理数の値を1減算する(ステップS77)。ステップS74〜S76の処理が、処理数の値が0になるまで繰り返される。その結果、全ての出力ポート0〜6(図10および図11参照)にクリアデータが設定される。図10および図11に示すように、この例では、「1」がオン状態であり、クリアデータである「00」が各出力ポートにセットされるので、全ての出力ポートがオフ状態になる。従って、出力信号がクリアされる。すなわち、電気部品制御手段に送信される各制御コマンドの出力状態(出力ポート0〜4の状態)、外部出力される制御状態に関連する信号の状態(出力ポート5の状態)、および可変入賞装置等の電気部品を駆動する電気的駆動源(この例ではソレノイド)に対する駆動信号の状態(出力ポート6の状態)は、全てクリアされる。
【0138】
従って、遊技状態を保存するための処理(この例では、チェックサムの生成およびRAMアクセス防止)が実行された後、各出力ポートは直ちにオフ状態になる。なお、この実施の形態では、遊技制御処理において用いられるデータが格納されるRAM領域は全て電源バックアップされている。従って、その内容が正しく保存されているか否かを示すチェックサムの生成処理、およびその内容を書き換えないようにするためのRAMアクセス防止処理が、遊技状態を保存するための処理に相当する。また、各出力ポートをオフ状態にすることによって、電気部品の作動を停止させるためのクリア信号を出力する処理が実行されたことになる。
【0139】
遊技状態を保存するための処理が実行された後、直ちに各出力ポートがオフ状態になるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。つまり、パチンコ遊技機のように可変入賞球装置を有している遊技機において、実装の関係上、可変入賞球装置における可変入賞口の位置と入賞を検出する入賞口スイッチの設置位置とを、ある程度離さざるを得ない。出力ポート、特に可変入賞球装置を開放状態にするための信号が出力される出力ポートを直ちにオフ状態にしないと、電力供給停止時に、可変入賞口に入賞したにもかかわらず、電力供給停止時処理の実行が開始されて入賞口スイッチの検出がなされない状況が起こりうる。その場合、可変入賞口に入賞があったことは保存されない。すなわち、実際に生じている遊技状態(入賞があったこと)と保存される遊技状態とが整合しない。しかし、この実施の形態では、出力ポートがクリアされて可変入賞球装置が閉じられるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。
【0140】
また、電気部品の駆動が不能になる状態になる前に実行される電力供給停止時処理の際に、出力ポートをクリアすることができるので、電気部品の駆動が不能になる状態となる前に遊技制御手段によって制御される各電気部品を、適切な動作停止状態にすることができる。例えば、開放中の大入賞口を閉成させ、また開放中の可変入賞球装置15を閉成させるなど、電気部品についての作動を停止させたあとに電気部品の駆動が不能になる状態とすることができる。従って、適切な停止状態で電力供給の復旧を待つことが可能となる。そして、出力ポートに対するクリア処理が完了すると、CPU56は、待機状態(ループ状態)に入る。従って、システムリセットされるまで、何もしない状態になる。
【0141】
なお、この実施の形態では、NMIに応じて電力供給停止時処理が実行されたが、電源断信号をCPU56のマスク可能端子に接続し、マスク可能割込処理によって電力供給停止時処理を実行してもよい。また、電源断信号を入力ポートに入力し、入力ポートのチェック結果に応じて電力供給停止時処理を実行してもよい。
【0142】
図18は、チェックサム作成方法の一例を説明するための説明図である。ただし、図18に示す例では、簡単のために、バックアップRAM領域のデータのサイズを3バイトとする。電源電圧低下にもとづく電力供給停止時処理において、図18に示すように、チェックサムデータとして初期データ(この例では00(H))が設定される。次に、「00(H)」と「F0(H)」の排他的論理和がとられ、その結果と「16(H)」の排他的論理和がとられる。さらに、その結果と「DF(H)」の排他的論理和がとられる。そして、その結果(この例では「39(H)」)を論理反転して得られた値(この例では「C6(H)」)がチェックサムバッファに設定される。
【0143】
なお、図18では、説明を容易にするために、論理反転前のデータ「39(H)」がチェックサムバッファに格納されている様子が示されている。なお、初期データとしての00(H)はステップS60で設定されるチェックサムデータに対するクリアデータに応じた値であるが、実際には、00(H)との排他的論理和は演算前と後とで値が変わらないので、00(H)との排他的論理和演算を行わなくてもよい。
【0144】
また、遊技機への電力供給開始時にはパリティチェックOKか否かの判断が行われるが(図12におけるステップS9)、その判断では、電力供給停止時処理におけるパリティデータの作成処理(ステップS71〜S77)と同様の処理が行われ、処理結果すなわち演算結果がチェックサムバッファの内容と一致したらパリティチェックOKと判定される。
【0145】
また、この実施の形態では、作業領域のデータにもとづいてチェックサムが生成されているが、スタック領域のデータも含めてチェックサムを生成するようにしてもよい。何れのデータにもとづいて生成する場合であっても、RAM領域に格納されているデータを用いて算出処理等が行われるので、チェックサムを容易かつ短時間で生成することが可能となる。
【0146】
さらに、この実施の形態では、電力供給開始時に、電力供給停止時処理における処理と同じ処理によってチェックサムを生成し、生成されたチェックサムとバックアップRAMに保存されていたチェックサムとを比較したが、他の方法を用いてもよい。例えば、バックアップRAMに保存されていたチェックサムを初期値として、電力供給停止時処理において演算対象となった各データについて演算を行い、演算結果が所定値(例えば00(H))と一致したらパリティチェックOKと判定するようにしてもよい。また、パリティチェックのためのチェックデータはチェックサムに限られず、バックアップRAMの内容が正当に保存されているかを判定できるものであれば、他のチェックデータを用いてもよい。
【0147】
図19は、遊技機への電力供給停止時の電源電圧低下やNMI信号(=電源断信号:電力供給停止時信号)の様子を示すタイミング図である。遊技機に対する電力供給が停止すると、最も高い直流電源電圧であるVSLの電圧値は徐々に低下する。そして、この例では、+22Vにまで低下すると、電源基板910に搭載されている電源監視用IC902から電源断信号が出力される(ローレベルになる)。
【0148】
電源断信号は、電気部品制御基板(この実施の形態では主基板31および払出制御基板37)に導入され、CPU56および払出制御用CPU371のNMI端子に入力される。CPU56および払出制御用CPU371は、NMI処理によって、所定の電力供給停止時処理を実行する。
【0149】
VSLの電圧値がさらに低下して所定値(この例では+9V)にまで低下すると、主基板31や払出制御基板37に搭載されているシステムリセット回路の出力がローレベルになり、CPU56および払出制御用CPU371がシステムリセット状態になる。なお、CPU56および払出制御用CPU371は、システムリセット状態とされる前に、電力供給停止時処理を完了している。
【0150】
VSLの電圧値がさらに低下してVcc(各種回路を駆動するための+5V)を生成することが可能な電圧を下回ると、各基板において各回路が動作できない状態となる。しかし、少なくとも主基板31や払出制御基板37では、電力供給停止時処理が実行され、CPU56および払出制御用CPU371がシステムリセット状態とされている。
【0151】
以上のように、この実施の形態では、電源監視回路は、遊技機で使用される直流電圧のうちで最も高い電源VSLの電圧を監視して、その電源の電圧が所定値を下回ったら電圧低下信号(電源断検出信号)を発生する。図19に示すように、電源断信号が出力されるタイミングでは、IC駆動電圧は、まだ各種回路素子を十分駆動できる電圧値になっている。従って、IC駆動電圧で動作する主基板31のCPU56が所定の電力供給停止時処理を行うための動作時間が確保されている。
【0152】
なお、ここでは、電源監視回路は、遊技機で使用される直流電圧のうちで最も高い電源VSLの電圧を監視したが、電源断信号を発生するタイミングが、IC駆動電圧で動作する電気部品制御手段が所定の電力供給停止時処理を行うための動作時間が確保されるようなタイミングであれば、監視対象電圧は、最も高い電源VSLの電圧でなくてもよい。すなわち、少なくともIC駆動電圧よりも高い電圧を監視すれば、電気部品制御手段が所定の電力供給停止時処理を行うための動作時間が確保されるようなタイミングで電源断信号を発生することができる。
【0153】
その場合、上述したように、監視対象電圧は、電力供給停止時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる電圧であることが好ましい。すなわち、遊技機の各種スイッチに供給される電圧(スイッチ電圧)が+12Vであることから、+12V電源電圧が落ち始める以前の段階で、電圧低下を検出できることが好ましい。よって、少なくともスイッチ電圧よりも高い電圧を監視することが好ましい。
【0154】
次に、メイン処理におけるスイッチ処理(ステップS21)の具体例を説明する。この実施の形態では、各スイッチの検出信号のオン状態が所定時間継続すると、確かにスイッチがオンしたと判定されスイッチオンに対応した処理が開始される。所定時間を計測するために、スイッチタイマが用いられる。スイッチタイマは、バックアップRAM領域に形成された1バイトのカウンタであり、検出信号がオン状態を示している場合に2ms毎に+1される。図20に示すように、スイッチタイマは検出信号の数N(クリアスイッチ921の検出信号を除く)だけ設けられている。この実施の形態ではN=13である。また、RAM55において、各スイッチタイマのアドレスは、入力ポートのビット配列順と同じ順序で並んでいる。
【0155】
図21は、遊技制御処理におけるステップS21のスイッチ処理の処理例を示すフローチャートである。なお、スイッチ処理は、図15に示すように遊技制御処理において最初に実行される。スイッチ処理において、CPU56は、まず、入力ポート0に入力されているデータを入力する(ステップS101)。次いで、処理数として「8」を設定し(ステップS102)、入賞口スイッチ33aのためのスイッチタイマのアドレスをポインタにセットする(ステップS103)。そして、スイッチチェック処理サブルーチンをコールする(ステップS104)。
【0156】
図22は、スイッチチェック処理サブルーチンを示すフローチャートである。スイッチチェック処理サブルーチンにおいて、CPU56は、ポート入力データ、この場合には入力ポート0からの入力データを「比較値」として設定する(ステップS121)。また、クリアデータ(00)をセットする(ステップS122)。そして、ポインタ(スイッチタイマのアドレスが設定されている)が指すスイッチタイマをロードするとともに(ステップS123)、比較値を右(上位ビットから下位ビットへの方向)にシフトする(ステップS124)。比較値には入力ポート0のデータ設定されている。そして、この場合には、入賞口スイッチ33aの検出信号がキャリーフラグに押し出される。
【0157】
キャリーフラグの値が「1」であれば(ステップS125)、すなわち入賞口スイッチ33aの検出信号がオン状態であれば、スイッチタイマの値を1加算する(ステップS127)。加算後の値が0でなければ加算値をスイッチタイマに戻す(ステップS128,S129)。加算後の値が0になった場合には加算値をスイッチタイマに戻さない。すなわち、スイッチタイマの値が既に最大値(255)に達している場合には、それよりも値を増やさない。
【0158】
キャリーフラグの値が「0」であれば、すなわち入賞口スイッチ33aの検出信号がオフ状態であれば、スイッチタイマにクリアデータをセットする(ステップS126)。すなわち、スイッチがオフ状態であれば、スイッチタイマの値が0に戻る。
【0159】
その後、CPU56は、ポインタ(スイッチタイマのアドレス)を1加算するとともに(ステップS130)、処理数を1減算する(ステップS131)。処理数が0になっていなければステップS122に戻る。そして、ステップS122〜S132の処理が繰り返される。
【0160】
ステップS122〜S132の処理は、処理数分すなわち8回繰り返され、その間に、入力ポート0の8ビットに入力されるスイッチの検出信号について、順次、オン状態かオフ状態か否かのチェック処理が行われ、オン状態であれば、対応するスイッチタイマの値が1増やされる。
【0161】
CPU56は、スイッチ処理のステップS105において、入力ポート1に入力されているデータを入力する。次いで、処理数として「4」を設定し(ステップS106)、賞球カウントスイッチ301Aのためのスイッチタイマのアドレスをポインタにセットする(ステップS107)。そして、スイッチチェック処理サブルーチンをコールする(ステップS108)。
【0162】
スイッチチェック処理サブルーチンでは、上述した処理が実行されるので、ステップS122〜S132の処理が、処理数分すなわち4回繰り返され、その間に、入力ポート1の4ビットに入力されるスイッチの検出信号について、順次、オン状態かオフ状態か否かのチェック処理が行われ、オン状態であれば、対応するスイッチタイマの値が1増やされる。
【0163】
なお、この実施の形態では、遊技制御処理が2ms毎に起動されるので、スイッチ処理も2msに1回実行される。従って、スイッチタイマは、2ms毎に+1される。
【0164】
図23〜図25は、遊技制御処理におけるステップS32の賞球処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態では、賞球処理では、賞球払出の対象となる入賞口スイッチ33a,39a,29a,30a、カウントスイッチ23および始動口スイッチ14aが確実にオンしたか否か判定されるとともに、オンしたら賞球個数を示す払出制御コマンドが払出制御基板37に送出されるように制御し、また、満タンスイッチ48および球切れスイッチ187が確実にオンしたか否か判定されるとともに、オンしたら所定の払出制御コマンドが払出制御基板37に送出されるように制御する等の処理が行われる。
【0165】
賞球処理において、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「1」を設定し(ステップS150)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「9」を設定する(ステップS151)。入力判定値テーブル(図27参照)のオフセット「1」は、入力判定値テーブルの2番目のデータ「50」を使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「9」は満タンスイッチ48に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS152)。
【0166】
入力判定値テーブルとは、各スイッチについて、連続何回のオンが検出されたら確かにスイッチがオンしたと判定するための判定値が設定されているROM領域である。入力判定値テーブルの構成例は図27に示されている。図27に示すように、入力判定値テーブルには、上から順に、すなわちアドレス値が小さい領域から順に、「2」、「50」、「250」、「30」、「250」、「1」の判定値が設定されている。また、スイッチオンチェックルーチンでは、入力判定値テーブルの先頭アドレスとオフセット値とで決まるアドレスに設定されている判定値と、スイッチタイマの先頭アドレスとオフセット値とで決まるスイッチタイマの値とが比較され、一致した場合には、例えばスイッチオンフラグがセットされる。
【0167】
スイッチオンチェックルーチンの一例が図26に示されている。スイッチオンチェックルーチンにおいて、満タンスイッチ48に対応するスイッチタイマの値が満タンスイッチオン判定値「50」に一致していればスイッチオンフラグがセットされるので(ステップS153)、満タンフラグがセットされる(ステップS154)。なお、図23には明示されていないが、満タンスイッチ48に対応したスイッチタイマの値が0になると、満タンフラグはリセットされる。
【0168】
また、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「2」を設定し(ステップS156)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「0A(H)」を設定する(ステップS157)。入力判定値テーブルのオフセット「2」は、入力判定値テーブルの3番目のデータ「250」を使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「0A(H)」は球切れスイッチ187に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS158)。
【0169】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、球切れスイッチ187に対応するスイッチタイマの値が球切れスイッチオン判定値「250」に一致していればスイッチオンフラグがセットされるので(ステップS159)、球切れフラグがセットされる(ステップS160)。なお、図23には明示されていないが、球切れスイッチ187に対応したスイッチオフタイマが用意され、その値が50になると、球切れフラグはリセットされる。
【0170】
そして、CPU56は、払出停止状態であるか否か確認する(ステップS201)。払出停止状態は、払出制御基板37に対して払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドである払出停止状態指定コマンドを送出した後の状態であり、具体的には、作業領域における払出停止フラグがセットされている状態である。払出停止状態でなければ、上述した球切れ状態フラグまたは満タンフラグがオンになったか否かを確認する(ステップS202)。
【0171】
いずれかがオン状態に変化したときには、払出停止状態フラグをセットするとともに(ステップS203)、払出停止状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS204)、コマンドセット処理をコールする(ステップS205)。ステップS204では、払出停止状態指定コマンドの払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。払出停止状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、払出制御コマンドの1バイト目のデータ、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。なお、ステップS202において、いずれか一方のフラグが既にオン状態であったときに他方のフラグがオン状態になったときには、ステップS203〜ステップS205の処理は行われない。
【0172】
また、払出停止状態であれば、球切れ状態フラグおよび満タンフラグがともにオフ状態になったか否かを確認する(ステップS206)。ともにオフ状態となったとき(後述する解除条件が成立したとき)には、払出停止フラグをリセットするとともに(ステップS207)、払出可能状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS208)、コマンドセット処理をコールする(ステップS209)。ステップS208では、払出可能状態指定コマンドの払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。払出可能状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、払出制御コマンドの1バイト目のデータ、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。
【0173】
なお、解除条件は、払出停止状態を解除するための条件であり、払出停止状態を維持する必要がなくなったときに成立する条件である。本例では、解除条件は、払出停止状態とされているときに、余剰球受皿4が満タン状態でなく、かつ、球切れ状態でもない状態でない状態となったこととされている。
【0174】
さらに、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS221)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「0」を設定する(ステップS222)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「0」は入賞口スイッチ33aに対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。また、繰り返し数として「4」をセットする(ステップS223)。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS224)。
【0175】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、CPU56は、入力判定値テーブル(図27参照)の先頭アドレスを設定する(ステップS281)。そして、そのアドレスにオフセットを加算し(ステップS282)、加算後のアドレスからスイッチオン判定値をロードする(ステップS283)。
【0176】
次いで、CPU56は、スイッチタイマの先頭アドレスを設定し(ステップS284)、そのアドレスにオフセットを加算し(ステップS285)、加算後のアドレスからスイッチタイマの値をロードする(ステップS286)。各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、各スイッチに対応したスイッチタイマの値がロードされる。
【0177】
そして、CPU56は、ロードしたスイッチタイマの値とスイッチオン判定値とを比較する(ステップS287)。それらが一致すれば、スイッチオンフラグをセットする(ステップ128)。
【0178】
この場合には、スイッチオンチェックルーチンにおいて、入賞口スイッチ33aに対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS225)。そして、スイッチチェックオンルーチンは、スイッチタイマのアドレスのオフセットが更新されつつ(ステップS230)、最初に設定された繰り返し数分だけ実行されるので(ステップS228,S229)、結局、入賞口スイッチ33a,39a,29a,30aについて、対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」と比較されることになる。
【0179】
スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「10」をリングバッファに設定する(ステップS226)。そして、総賞球数格納バッファの格納値に10を加算する(ステップS227)。なお、リングバッファにデータを書き込んだときには、書込ポインタをインクリメントし、リングバッファの最後の領域にデータを書き込まれたときには、書込ポインタを、リングバッファの最初の領域を指すように更新する。
【0180】
総賞球数格納バッファは、払出制御手段に対して指示した賞球個数の累積値(ただし、払い出しがなされると減算される)が格納されるバッファであり、バックアップRAMに形成されている。なお、この実施の形態では、リングバッファにデータを書き込んだ時点で総賞球数格納バッファの格納値に対する加算処理が行われるが、払い出すべき賞球個数を指示する払出制御コマンドを出力ポートに出力した時点で総賞球数格納バッファの格納値に対する、出力する払出制御コマンドに対応した賞球数の加算処理を行ってもよい。
【0181】
次に、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS231)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「5」を設定する(ステップS232)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「5」は始動口スイッチ14aに対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS233)。
【0182】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、始動口スイッチ14aに対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS234)。スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「6」をリングバッファに設定する(ステップS235)。また、総賞球数格納バッファの格納値に6を加算する(ステップS236)。
【0183】
次いで、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS241)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「6」を設定する(ステップS242)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「6」はカウントスイッチ23に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS243)。
【0184】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、カウントスイッチ23に対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS244)。スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「15」をリングバッファに設定する(ステップS245)。また、総賞球数格納バッファの格納値に15を加算する(ステップS246)。
【0185】
そして、リングバッファにデータが存在する場合には(ステップS247)、読出ポインタが指すリングバッファの内容を送信バッファにセットするとともに(ステップS248)、読出ポインタの値を更新(リングバッファの次の領域を指すように更新)し(ステップS249)、賞球個数に関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS250)、コマンドセット処理をコールする(ステップS251)。コマンドセット処理の動作については後で詳しく説明する。
【0186】
ステップS250では、賞球個数に関する払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。賞球個数に関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ(01(H))、払出制御コマンドの1バイト目のデータ(F0(H))、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。ただし、2バイト目のデータとして「80(H)」が設定されている。
【0187】
以上のように、遊技制御手段から払出制御基板37に賞球個数を指示する払出制御コマンドを出力しようとするときに、賞球個数に関するコマンド送信テーブルのアドレス設定と送信バッファの設定とが行われる。そして、コマンドセット処理によって、賞球個数に関するコマンド送信テーブルと送信バッファの設定内容とにもとづいて払出制御コマンドが払出制御基板37に送出される。なお、ステップS247において、書込ポインタと読出ポインタとの差によってデータがあるか否か確認することができるが、リングバッファ内の未処理のデータ個数を示すカウンタを設け、カウント値によってデータがあるか否か確認するようにしてもよい。
【0188】
そして、総賞球数格納バッファの内容が0でない場合、すなわち、まだ賞球残がある場合には、CPU56は、賞球払出中フラグをオンする(ステップS252,S253)。
【0189】
また、CPU56は、賞球払出中フラグがオンしているときには(ステップS254)、球払出装置97から実際に払い出された賞球個数を監視して総賞球数格納バッファの格納値を減算する賞球個数減算処理を行う(ステップS255)。なお、賞球払出中フラグがオンからオフに変化したときには、ランプ制御基板35に対して、賞球ランプ51の点灯を指示するランプ制御コマンドが送出される。
【0190】
なお、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信すると、賞球としての球払出と球貸しとしての球払出とをともに停止させる。また、払出可能状態指定コマンドを受信すると、賞球としての球払出と球貸しとしての球払出とをともに可能な状態とする。しかし、遊技制御手段から払出制御手段に対して、賞球としての球払出を停止または再開させる払出制御コマンドと、球貸しとしての球払出を停止または再開させる払出制御コマンドとを、別の制御コマンドとして送信するようにしてもよい。
【0191】
また、この実施の形態では、払出停止中であっても(ステップS201,S206)、ステップS221〜S251の処理が実行される。すなわち、遊技制御手段は、払出停止状態であっても、賞球個数を指示するための払出制御コマンドを送出することができる。すなわち、賞球個数を指示するためのコマンドが、払出停止状態であっても払出制御手段に伝達され、払出停止状態が解除されたときに、早めに賞球払出を開始することができる。また、遊技制御手段において、払出停止状態における入賞にもとづく賞球個数を記憶するための大きな記憶領域は必要とされない。
【0192】
さらに、この実施の形態では、遊技媒体の払出状況とは無関係に、ステップS221〜S251の処理が実行される。すなわち、遊技制御手段は、前回までに指定した賞球個数の払い出しが完了しているか否かに関わらず、新たな賞球個数を指示するための払出制御コマンドを送信することができる。よって、遊技制御手段の払い出しに関する処理負担を軽減させることができるとともに、賞球の払出処理を迅速に行うことができる。
【0193】
次に、遊技制御手段から各電気部品制御手段に対する制御コマンドの送出方式について説明しておく。遊技制御手段から他の電気部品制御基板(サブ基板)に制御コマンドを出力しようとするときに、コマンド送信テーブルの先頭アドレスの設定が行われる。図28(A)は、コマンド送信テーブルの一構成例を示す説明図である。1つのコマンド送信テーブルは3バイトで構成され、1バイト目にはINTデータが設定される。また、2バイト目のコマンドデータ1には、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが設定される。そして、3バイト目のコマンドデータ2には、制御コマンドの2バイト目のEXTデータが設定される。
【0194】
なお、EXTデータそのものがコマンドデータ2の領域に設定されてもよいが、コマンドデータ2には、EXTデータが格納されているテーブルのアドレスを指定するためのデータが設定されるようにしてもよい。例えば、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)が0であれば、コマンドデータ2にEXTデータそのものが設定されていることを示す。そのようなEXTデータはビット7が0であるデータである。この実施の形態では、ワークエリア参照ビットが1であれば、EXTデータとして、送信バッファの内容を使用することを示す。なお、ワークエリア参照ビットが1であれば、他の7ビットが、EXTデータが格納されているテーブルのアドレスを指定するためのオフセットであることを示すように構成することもできる。
【0195】
図28(B)INTデータの一構成例を示す説明図である。INTデータにおけるビット0は、払出制御基板37に払出制御コマンドを送出すべきか否かを示す。ビット0が「1」であるならば、払出制御コマンドを送出すべきことを示す。従って、CPU56は、例えば賞球処理(メイン処理のステップS32)において、INTデータに「01(H)」を設定する。また、INTデータにおけるビット1は、図柄出制御基板80に表示制御コマンドを送出すべきか否かを示す。ビット1が「1」であるならば、表示制御コマンドを送出すべきことを示す。従って、CPU56は、例えば特別図柄コマンド制御処理(メイン処理のステップS28)において、INTデータに「02(H)」を設定する。
【0196】
INTデータのビット2,3は、それぞれ、ランプ制御コマンド、音制御コマンドを送出すべきか否かを示すビットであり、CPU56は、それらのコマンドを送出すべきタイミングになったら、特別図柄プロセス処理等で、ポインタが指しているコマンド送信テーブルに、INTデータ、コマンドデータ1およびコマンドデータ2を設定する。それらのコマンドを送出するときには、INTデータの該当ビットが「1」に設定され、コマンドデータ1およびコマンドデータ2にMODEデータおよびEXTデータが設定される。
【0197】
この実施の形態では、払出制御コマンドについて、図28(C)に示すように、リングバッファおよび送信バッファが用意されている。そして、賞球処理において、賞球払出条件が成立すると、成立した条件に応じた賞球個数が順次リングバッファに設定される。また、賞球個数に関する払出制御コマンド送出する際に、リングバッファから1個のデータが送信バッファに転送される。なお、図28(C)に示す例では、リングバッファには、12個分の払出制御コマンドに相当するデータが格納可能になっている。すなわち、12個のバッファがある。なお、リングバッファにおけるバッファの数は、賞球を発生させる入賞口の数に対応した数であればよい。同時入賞が発生した場合でも、それぞれの入賞にもとづく払出制御コマンドのデータの格納が可能だからである。
【0198】
図29は、主基板31から他の電気部品制御基板に送出される制御コマンドのコマンド形態の一例を示す説明図である。この実施の形態では、制御コマンドは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」とされる。このように、電気部品制御基板へのコマンドとなる制御コマンドは、複数のデータで構成され、先頭ビットによってそれぞれを区別可能な態様になっている。なお、図29に示されたコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい。ただし、1バイトで構成される制御コマンドを用いる場合には、受信側基板でのノイズによる誤受信を防止するため、INT信号の出力線を複数設ける構成とし、その全てがハイレベルとなっているときに受信側基板にてコマンドの受信処理が実行されるなどの構成をとることが望ましい。また、図29では払出制御基板37に送出される払出制御コマンドを例示するが、他の電気部品制御基板に送出される制御コマンドも同一構成である。
【0199】
図30は、各電気部品制御手段に対する制御コマンドを構成する8ビットの制御信号CD0〜CD7とINT信号との関係を示すタイミング図である。図30に示すように、MODEまたはEXTのデータが出力ポート(出力ポート1〜出力ポート4のうちのいずれか)に出力されてから、Aで示される期間が経過すると、CPU56は、データ出力を示す信号であるINT信号をハイレベル(オンデータ)にする。また、そこからBで示される期間が経過するとINT信号をローレベル(オフデータ)にする。さらに、次に送出すべきデータがある場合には、すなわち、MODEデータ送出後では、Cで示される期間をおいてから2バイト目のデータを出力ポートに送出する。2バイト目のデータに関して、A,Bの期間は、1バイト目の場合と同様である。このように、取込信号はMODEおよびEXTのデータのそれぞれについて出力される。
【0200】
Aの期間は、CPU56が、コマンドの送出準備の期間すなわちバッファに送出コマンドを設定する処理に要する期間であるとともに、制御信号線におけるデータの安定化のための期間である。すなわち、制御信号線において制御信号CD0〜CD7が出力された後、所定期間(Aの期間:オフ出力期間の一部)経過後に、取込信号としてのINT信号が出力される。また、Bの期間(オン出力期間)は、INT信号安定化のための期間である。そして、Cの期間(オフ出力期間の一部)は、電気部品制御手段が確実にデータを取り込めるように設定されている期間である。B,Cの期間では、信号線上のデータは変化しない。すなわち、B,Cの期間が経過するまでデータ出力が維持される。
【0201】
この実施の形態では、払出制御基板37への払出制御コマンド、図柄制御基板80への表示制御コマンド、ランプ制御基板35へのランプ制御コマンドおよび音制御基板70への音制御コマンドは、同一のコマンド送信処理ルーチン(共通モジュール)を用いて送出される。そこで、B,Cの期間すなわち1バイト目に関するINT信号が立ち上がってから2バイト目のデータが送出開始されるまでの期間は、コマンド受信処理に最も時間がかかる電気部品制御手段における受信処理時間よりも長くなるように設定される。
【0202】
なお、各電気部品制御手段は、INT信号が立ち上がったことを検知して、例えば割込処理によって1バイトのデータの取り込み処理を開始する。
【0203】
B,Cの期間が、コマンド受信処理に最も時間がかかる電気部品制御手段における受信処理時間よりも長いので、遊技制御手段が、各電気部品制御手段に対するコマンド送出処理を共通モジュールで制御しても、いずれの電気部品制御手段でも遊技制御手段からの制御コマンドを確実に受信することができる。
【0204】
CPU56は、INT信号出力処理を実行した後に所定期間が経過すると次のデータを送出できる状態になるが、その所定期間(B,Cの期間)は、INT信号出力処理の前にデータを送出してからINT信号を出力開始するまでの期間(Aの期間)よりも長い。上述したように、Aの期間はコマンドの信号線における安定化期間であり、B,Cの期間は受信側がデータを取り込むのに要する時間を確保するための期間である。従って、Aの期間をB,Cの期間よりも短くすることによって、受信側の電気部品制御手段が確実にコマンドを受信できる状態になるという効果を得ることができるとともに、1つのコマンドの送出完了に要する期間が短縮される効果もある。
【0205】
図31は、払出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。本例では、払出制御を実行するために、複数種類の払出制御コマンドが用いられる。図31に示された例において、MODE=FF(H),EXT=00(H)のコマンドFF00(H)は、払出が可能であることを指示する払出制御コマンド(払出可能状態指定コマンド)である。MODE=FF(H),EXT=01(H)のコマンドFF01(H)は、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンド(払出停止状態指定コマンド)である。また、MODE=F0(H)のコマンドF0XX(H)は、賞球個数を指定する払出制御コマンド(払出個数指定コマンド)である。EXTである「XX」が払出個数を示す。
【0206】
払出制御手段は、主基板31の遊技制御手段からFF01(H)の払出制御コマンドを受信すると賞球払出および球貸しを停止する状態となり、FF00(H)の払出制御コマンドを受信すると賞球払出および球貸しができる状態になる。また、賞球個数を指定する払出制御コマンドを受信すると、受信したコマンドで指定された個数に応じた賞球払出制御を行う。
【0207】
なお、払出制御コマンドは、払出制御手段が認識可能に1回だけ送出される。認識可能とは、この例では、INT信号のレベルが変化することであり、認識可能に1回だけ送出されるとは、この例では、払出制御信号の1バイト目および2バイト目のそれぞれに応じてINT信号が1回だけパルス状(矩形波状)に出力されることである。
【0208】
各電気部品制御基板への制御コマンドを、対応する出力ポート(出力ポート1〜4)に出力する際に、出力ポート0のビット0〜3のうちのいずれかのビットが所定期間「1」(ハイレベル)になるのであるが、INTデータにおけるビット配列と出力ポート0におけるビット配列とは対応している。従って、各電気部品制御基板に制御コマンドを送出する際に、INTデータにもとづいて、容易にINT信号の出力を行うことができる。
【0209】
図32は、コマンドセット処理(ステップS205,S209,S251)の処理例を示すフローチャートである。コマンドセット処理は、コマンド出力処理とINT信号出力処理とを含む処理である。コマンドセット処理において、CPU56は、まず、コマンド送信テーブルのアドレス(送信信号指示手段としてのポインタの内容)をスタック等に退避する(ステップS331)。そして、ポインタが指していたコマンド送信テーブルのINTデータを引数1にロードする(ステップS332)。引数1は、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。また、コマンド送信テーブルを指すアドレスを+1する(ステップS333)。従って、コマンド送信テーブルを指すアドレスは、コマンドデータ1のアドレスに一致する。
【0210】
そこで、CPU56は、コマンドデータ1を読み出して引数2に設定する(ステップS334)。引数2も、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。そして、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS335)。
【0211】
図33は、コマンド送信処理ルーチンを示すフローチャートである。コマンド送信処理ルーチンにおいて、CPU56は、コマンド送信中フラグをオンしたあと(ステップS350)、引数1に設定されているデータすなわちINTデータを、比較値として決められているワークエリアに設定する(ステップS351)。なお、コマンド送信中フラグは、コマンド送信処理中であるか否かを示すフラグであって、RAM55の所定の領域に記憶されている。次いで、CPU56は、送信回数=4を、処理数として決められているワークエリアに設定する(ステップS352)。そして、払出制御信号を出力するためのポート1のアドレスをIOアドレスにセットする(ステップS353)。この実施の形態では、ポート1のアドレスは、払出制御信号を出力するための出力ポートのアドレスである。また、ポート2〜4のアドレスが、表示制御信号、ランプ制御信号、音声制御信号を出力するための出力ポートのアドレスである。
【0212】
次に、CPU56は、比較値を1ビット右にシフトする(ステップS354)。シフト処理の結果、キャリービットが1になったか否か確認する(ステップS355)。キャリービットが1になったということは、INTデータにおける最も右側のビットが「1」であったことを意味する。この実施の形態では4回のシフト処理が行われるのであるが、例えば、払出制御コマンドを送出すべきことが指定されているときには、最初のシフト処理でキャリービットが1になる。
【0213】
キャリービットが1になった場合には、引数2に設定されているデータ、この場合にはコマンドデータ1(すなわちMODEデータ)を、IOアドレスとして設定されているアドレスに出力する(ステップS356)。最初のシフト処理が行われたときにはIOアドレスにポート1のアドレスが設定されているので、そのときに、払出制御コマンドのMODEデータがポート1に出力される。
【0214】
次いで、CPU56は、IOアドレスを1加算するとともに(ステップS357)、処理数を1減算する(ステップS358)。加算前にポート1を示していた場合には、IOアドレスに対する加算処理によって、IOアドレスにはポート2のアドレスが設定される。ポート2は、表示制御コマンドを出力するためのポートである。そして、CPU56は、処理数の値を確認し(ステップS359)、値が0になっていなければ、ステップS354に戻る。ステップS354で再度シフト処理が行われる。
【0215】
2回目のシフト処理ではINTデータにおけるビット1の値が押し出され、ビット1の値に応じてキャリーフラグが「1」または「0」になる。従って、表示制御コマンドを送出すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。同様に、3回目および4回目のシフト処理によって、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送出すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。このように、それぞれのシフト処理が行われるときに、IOアドレスには、シフト処理によってチェックされる制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に対応したIOアドレスが設定されている。
【0216】
よって、キャリーフラグが「1」になったときには、対応する出力ポート(ポート1〜ポート4)に制御コマンドが送出される。すなわち、1つの共通モジュールで、各電気部品制御手段に対する制御コマンドの送出処理を行うことができる。
【0217】
また、このように、シフト処理のみによってどの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきかが判定されるので、いずれの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきか判定する処理が簡略化されている。
【0218】
次に、CPU56は、シフト処理開始前のINTデータが格納されている引数1の内容を読み出し(ステップS360)、読み出したデータをポート0に出力する(ステップS361)。この実施の形態では、ポート0のアドレスは、各制御信号についてのINT信号を出力するためのポートであり、ポート0のビット0〜4が、それぞれ、払出制御INT信号、表示制御INT信号、ランプ制御INT信号、音制御INT信号を出力するためのポートである。INTデータでは、ステップS351〜S359の処理で出力された制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に応じたINT信号の出力ビットに対応したビットが「1」になっている。従って、ポート1〜ポート4のいずれかに出力された制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に対応したINT信号がハイレベルになる。
【0219】
次いで、CPU56は、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS363,S364)。この処理は、図30に示されたBの期間を設定するための処理である。ウェイトカウンタの値が0になると、クリアデータ(00)を設定して(ステップS365)、そのデータをポート0に出力する(ステップS366)。よって、INT信号はローレベルになる。また、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS368,S369)。この処理は、図30に示されたCの期間を設定するための処理である。ただし、実際のCの期間は、ステップS367〜S369で作成される時間に、その後の処理時間(この時点でMODEデータが出力されている場合にはEXTデータを出力するまでに要する制御にかかる時間)が加算された期間となる。このように、Cの期間が設定されることによって、連続してコマンドが送出される場合であっても、一のコマンドの出力完了後、次にコマンドの送出が開始されるまでに所定期間がおかれることになり、コマンドを受信する電気部品制御手段の側で、容易に連続するコマンドの区切りを識別することができ、各コマンドは確実に受信される。
【0220】
従って、ステップS367でウェイトカウンタに設定される値は、Cの期間が、制御コマンド受信対象となる全ての電気部品制御手段が確実にコマンド受信処理を行うのに十分な期間になるような値である。また、ウェイトカウンタに設定される値は、Cの期間が、ステップS357〜S359の処理に要する時間(Aの期間に相当)よりも長くなるような値である。なお、Aの期間をより長くしたい場合には、Aの期間を作成するためのウェイト処理(例えば、ウェイトカウンタに所定値を設定し、ウェイトカウンタの値が0になるまで減算を行う処理)を行う。
【0221】
そして、ウェイトカウンタの値が0になると(ステップS369のY)、CPU56は、コマンド送信中フラグをオフする(ステップS370)。
【0222】
以上のようにして、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが送出される。そこで、CPU56は、図32に示すステップS336で、コマンド送信テーブルを指す値を1加算する。従って、3バイト目のコマンドデータ2の領域が指定される。CPU56は、指し示されたコマンドデータ2の内容を引数2にロードする(ステップS337)。また、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)の値が「0」であるか否か確認する(ステップS339)。0でなければ、送信バッファの内容を引数2にロードする(ステップS341)。なお、ワークエリア参照ビットの値が「1」であるときに拡張データを使用するように構成されている場合には、コマンド拡張データアドレステーブルの先頭アドレスをポインタにセットし、そのポインタにコマンドデータ2のビット6〜ビット0の値を加算してアドレスを算出する。そして、そのアドレスが指すエリアのデータを引数2にロードする。
【0223】
送信バッファには賞球個数を特定可能なデータが設定されているので、引数2にそのデータが設定される。なお、ワークエリア参照ビットの値が「1」であるときに拡張データを使用するように構成されている場合には、コマンド拡張データアドレステーブルには、電気部品制御手段に送出されうるEXTデータが順次設定される。よって、ワークエリア参照ビットの値が「1」であれば、コマンドデータ2の内容に応じたコマンド拡張データアドレステーブル内のEXTデータが引数2にロードされる。
【0224】
次に、CPU56は、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS342)。従って、MODEデータの送出の場合と同様のタイミングでEXTデータが送出される。
【0225】
以上のようにして、2バイト構成の制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)が、対応する電気部品制御手段に送信される。電気部品制御手段ではINT信号の立ち上がりを検出すると制御コマンドの取り込み処理を開始するのであるが、各電気部品制御手段でのコマンド受信処理が完了したあとに終了するように設定されるウエイト期間(ステップS367〜ステップS369の処理によって特定される期間:Cの期間の一部)が経過するまでは新たな信号を出力しないようにしているので、いずれの電気部品制御手段についても、取り込み処理が完了する前に遊技制御手段からの新たな信号が信号線に出力されることはない。すなわち、各電気部品制御手段において、確実なコマンド受信処理が行われる。なお、各電気部品制御手段は、INT信号の立ち下がりで制御コマンドの取り込み処理を開始してもよい。また、INT信号の極性を図30に示された場合と逆にしてもよい。
【0226】
また、この実施の形態では、賞球処理において、賞球払出条件が成立すると賞球個数を特定可能なデータが、同時に複数のデータを格納可能なリングバッファに格納され、賞球個数を指定する払出制御コマンドを送出する際に、読出ポインタが指しているリングバッファの領域のデータが送信バッファに転送される。従って、同時に複数の賞球払出条件の成立があっても、それらの条件成立にもとづく賞球個数を特定可能なデータがリングバッファに保存されるので、各条件成立にもとづくコマンド出力処理は問題なく実行される。
【0227】
さらに、この実施の形態では、1回の賞球処理内で払出停止状態指定コマンドまたは払出可能状態指定コマンドと賞球個数を示すコマンドとの双方を送出することができる。すなわち、2ms毎に起動される1回の制御期間内において、複数のコマンドを送出することができる。また、この実施の形態では、各制御手段への制御コマンド(表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド、払出制御コマンド)毎に、それぞれ複数のリングバッファが用意されているので、例えば、表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドのリングバッファに制御コマンドを特定可能なデータが設定されている場合には、1回のコマンド制御処理で複数の表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送出するように構成することも可能である。すなわち、同時に(遊技制御処理すなわち2msタイマ割込処理の起動周期での意味)、複数の制御コマンドを送出することができる。遊技演出の進行上、それらの制御コマンドの送出タイミングは同時に発生するので、このように構成されているのは便利である。ただし、払出制御コマンドは、遊技演出の進行とは無関係に発生するので、一般には、表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドと同時に送出されることはない。
【0228】
図34は、主基板31におけるコマンドの出力に関する処理と、払出制御基板37などのコマンド受信側の基板におけるコマンドの受信に関する処理(例えば、後述するコマンド受信割込処理:図46参照)との処理タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図34に示すように、コマンド受信側の基板におけるMODEデータとEXTデータの受信に関する処理は、本例では、それぞれ、INT信号の立ち上がりとともに開始され、少なくともコマンド送信中フラグがオフ状態となる前に終了する。
【0229】
図34に示すように、MODEデータの送信に関する処理(図33に示した処理)が開始したときから終了するまでの期間(a〜dの期間)は、コマンド送信中フラグがオン状態となっている。従って、a〜dの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、CPU56は、遊技状態復旧処理にて上述したステップS88の処理を実行するので、MODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行することになる。
【0230】
MODEデータの送信に関する処理が開始したときから、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられるまでの期間(a〜bの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されていた制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、a〜bの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、MODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信されることは回避され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0231】
また、MODEデータの送信に関する処理において、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられたときから、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了するまでの期間(b〜cの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されている未送信の制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンドの受信側の基板はコマンドの受信処理の途中から制御を開始することとなるが、主基板31のコマンド出力ポートには正常なデータがないので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、b〜cの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、MODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0232】
さらに、MODEデータの送信に関する処理において、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了してから、コマンド送信中フラグがオフするまでの期間(c〜dの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンドの受信側の基板ではコマンドの受信処理が完了しているが、主基板31においてはコマンドの受信処理が完了したことが確認されていない。すなわち、c〜dの期間中は、主基板は、b〜cの期間中であるのかc〜dの期間中であるのかを確実に判定することはできない。従って、c〜dの期間中に電力供給が停止した場合には、b〜cの期間中に電力供給が停止したのである可能性が否定できないので、上述したように受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうおそれがある。本例では、c〜dの期間中に電力供給が停止した場合にも、b〜cの期間中に電力供給が停止した場合と同様に、その後に電力供給が再開すると、上述したようにMODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0233】
また、図34に示すように、EXTデータの送信に関する処理(図33に示した処理)が開始したときから終了するまでの期間(e〜hの期間)は、コマンド送信中フラグがオン状態となっている。従って、e〜fの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、CPU56は、遊技状態復旧処理にて上述したステップS88の処理を実行するので、EXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行することになる。
【0234】
EXTデータの送信に関する処理が開始したときから、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられるまでの期間(e〜fの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されていた制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、e〜fの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、EXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信されることは回避され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0235】
また、EXTデータの送信に関する処理において、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられてから、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了するまでの期間(f〜gの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されている未送信の制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンドの受信側の基板はコマンドの受信処理の途中から制御を開始することとなるが、主基板31のコマンド出力ポートには正常なデータがないので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、f〜gの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、EXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0236】
さらに、EXTデータの送信に関する処理において、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了してから、送信中フラグがオフするまでの期間(g〜hの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンドの受信側の基板ではコマンドの受信処理が完了しているが、主基板31においてはコマンドの受信処理が完了したことが確認されていない。すなわち、g〜hの期間中は、主基板は、f〜gの期間中であるのかg〜hの期間中であるのかを確実に判定することはできない。従って、g〜hの期間中に電力供給が停止した場合には、f〜gの期間中に電力供給が停止したのである可能性が否定できないので、上述したように受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうおそれがある。本例では、g〜hの期間中に電力供給が停止した場合にも、f〜gの期間中に電力供給が停止した場合と同様に、その後に電力供給が再開すると、上述したようにEXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0237】
図35は、賞球個数減算処理の一例を示すフローチャートである。賞球個数減算処理において、CPU56は、まず、総賞球数格納バッファの格納値をロードする(ステップS381)。そして、格納値が0であるか否か確認する(ステップS382)。0であれば処理を終了する。
【0238】
0でなければ、賞球カウントスイッチ用のスイッチタイマをロードし(ステップS383)、ロード値とオン判定値(この場合は「2」)とを比較する(ステップS384)。一致したら(ステップS385)、賞球カウントスイッチ301Aが確かにオンしたとして、すなわち、確かに1個の遊技球が球払出装置97から払い出されたとして、総賞球数格納バッファの格納値を1減算する(ステップS386)。
【0239】
また、賞球情報カウンタの値を+1する(ステップS387)。そして、賞球情報カウンタの値が10以上であれば(ステップS388)、賞球情報出力カウンタの値を+1するとともに(ステップS389)、賞球情報カウンタの値を−10する(ステップS390)。なお、賞球情報出力カウンタの値は、図15に示された遊技制御処理における情報出力処理(ステップS30)で参照され、その値が1以上であれば、賞球信号(出力ポート5のビット7:図10参照)として1パルスが出力される。よって、この実施の形態では、10個の遊技球が賞球として払い出される度に、1つの賞球信号が遊技機外部に出力される。
【0240】
そして、総賞球数格納バッファの格納値が0になったら(ステップS391)、賞球払出中フラグをクリアし(ステップS392)、賞球残数がないことを報知するために、ランプ制御コマンド用のコマンド送信テーブルに賞球ランプ51の消灯を示すランプ制御コマンドを設定した後(ステップS393)、ランプ制御コマンドの送出処理を実行する(ステップS394)。
【0241】
次に、遊技制御手段以外の電気部品制御手段の例として、払出制御手段について説明する。
【0242】
図36は、払出制御用CPU371周りの一構成例を示すブロック図である。図36に示すように、電源基板910の電源監視回路(電源監視手段)からの電源断信号が、バッファ回路960を介して払出制御用CPU371のマスク不能割込端子(XNMI端子)に接続されている。従って、払出制御用CPU371は、マスク不能割込処理によって遊技機への電力供給停止の発生を確認することができる。
【0243】
払出制御用CPU371のCLK/TRG2端子には、主基板31からのINT信号が接続されている。CLK/TRG2端子にクロック信号が入力されると、払出制御用CPU371に内蔵されているタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値がダウンカウントされる。そして、レジスタ値が0になると割込が発生する。従って、タイマカウンタレジスタCLK/TRG2の初期値を「1」に設定しておけば、INT信号の入力に応じて割込が発生することになる。
【0244】
払出制御基板37には、システムリセット回路975も搭載されているが、この実施の形態では、システムリセット回路975におけるリセットIC976は、電源投入時に、外付けのコンデンサに容量で決まる所定時間だけ出力をローレベルとし、所定時間が経過すると出力をハイレベルにする。また、リセットIC976は、VSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値(例えば+9V)以下になると出力をローレベルにする。従って、遊技機への電力供給停止時には、リセットIC976からの信号がローレベルになることによって払出制御用CPU371がシステムリセットされる。
【0245】
リセットIC976が電力供給停止を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、払出制御用CPU371が暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、リセットIC976が、払出制御用CPU371が必要とする電圧(この例では+5V)よりも高い電圧を監視するように構成されているので、払出制御用CPU371が必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。なお、システムリセット回路975は、第2の電源監視手段に相当する。
【0246】
+5V電源から電力が供給されていない間、払出制御用CPU371の内蔵RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源がバックアップ端子に接続されることによってバックアップされ、停電等の遊技機に対する電力供給停止が発生しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、システムリセット回路975からリセット信号が発せられるので、払出制御用CPU371は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップされているので、停電等からの復旧時には停電発生時の払出制御状態に復旧させることができる。
【0247】
なお、図36に示された構成では、システムリセット回路975は、電源投入時に、コンデンサの容量で決まる期間のローレベルを出力し、その後ハイレベルを出力する。すなわち、リセット解除タイミングは1回だけである。しかし、図9に示された主基板31の場合と同様に、複数回のリセット解除タイミングが発生するような回路構成を用いてもよい。
【0248】
図37は、この実施の形態における出力ポートの割り当てを示す説明図である。図37に示すように、出力ポートC(アドレス00H)は、払出モータ289に出力される駆動信号等の出力ポートである。また、出力ポートD(アドレス01H)は、7セグメントLEDであるエラー表示LED374に出力される表示制御信号の出力ポートである。そして、出力ポートE(アドレス02H)は、振分ソレノイド310に出力される駆動信号、およびカードユニット50に対するEXS信号とPRDY信号とを出力するための出力ポートである。
【0249】
図38は、この実施の形態における入力ポートのビット割り当てを示す説明図である。図38に示すように、入力ポートA(アドレス06H)は、主基板31から送出された払出制御コマンドの8ビットの払出制御信号を取り込むための入力ポートである。また、入力ポートB(アドレス07H)のビット0〜1には、それぞれ、賞球カウントスイッチ301Aおよび球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号が入力される。ビット2〜5には、カードユニット50からのBRDY信号、BRQ信号、VL信号およびクリアスイッチ921の検出信号が入力される。
【0250】
図39は、払出制御手段(払出制御用CPU371およびROM,RAM等の周辺回路)のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、払出制御用CPU371は、まず、必要な初期設定を行う。すなわち、払出制御用CPU371は、まず、割込禁止に設定する(ステップS701)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS702)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS703)。また、払出制御用CPU371は、内蔵デバイスレジスタの初期化を行い(ステップS704)、CTCおよびPIOの初期化(ステップS705)を行った後に、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS706)。
【0251】
この実施の形態では、内蔵CTCのうちの一つのチャネルがタイマモードで使用される。従って、ステップS704の内蔵デバイスレジスタの設定処理およびステップS705の処理において、使用するチャネルをタイマモードに設定するためのレジスタ設定、割込発生を許可するためのレジスタ設定および割込ベクタを設定するためのレジスタ設定が行われる。そして、そのチャネルによる割込がタイマ割込として用いられる。タイマ割込を例えば2ms毎に発生させたい場合は、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0252】
なお、タイマモードに設定されたチャネル(この実施の形態ではチャネル3)に設定される割込ベクタは、タイマ割込処理の先頭アドレスに相当するものである。具体的は、Iレジスタに設定された値と割込ベクタとでタイマ割込処理の先頭アドレスが特定される。タイマ割込処理では、払出制御処理が実行される。
【0253】
また、内蔵CTCのうちの他の一つのチャネル(この実施の形態ではチャネル2)が、遊技制御手段からの払出制御コマンド受信のための割込発生用のチャネルとして用いられ、そのチャネルがカウンタモードで使用される。従って、ステップS704の内蔵デバイスレジスタの設定処理およびステップS705の処理において、使用するチャネルをカウンタモードに設定するためのレジスタ設定、割込発生を許可するためのレジスタ設定および割込ベクタを設定するためのレジスタ設定が行われる。
【0254】
カウンタモードに設定されたチャネル(チャネル2)に設定される割込ベクタは、後述するコマンド受信割込処理の先頭アドレスに相当するものである。具体的は、Iレジスタに設定された値と割込ベクタとでコマンド受信割込処理の先頭アドレスが特定される。
【0255】
この実施の形態では、払出制御用CPU371でも割込モード2が設定される。従って、内蔵CTCのカウントアップにもとづく割込処理を使用することができる。また、CTCが送出した割込ベクタに応じた割込処理開始アドレスを設定することができる。
【0256】
CTCのチャネル2(CH2)のカウントアップにもとづく割込は、上述したタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が「0」になったときに発生する割込である。従って、例えばステップS705において、特定レジスタとしてのタイマカウンタレジスタCLK/TRG2に初期値「1」が設定される。さらに、CLK/TRG2端子に入力される信号の立ち上がりまたは立ち下がりで特定レジスタとしてのタイマカウンタレジスタCLK/TRG2のカウント値が−1されるのであるが、所定の特定レジスタの設定によって、立ち上がり/立ち下がりの選択を行うことができる。この実施の形態では、CLK/TRG2端子に入力される信号の立ち上がりで、タイマカウンタレジスタCLK/TRG2のカウント値が−1されるような設定が行われる。
【0257】
また、CTCのチャネル3(CH3)のカウントアップにもとづく割込は、CPUの内部クロック(システムクロック)をカウントダウンしてレジスタ値が「0」になったら発生する割込であり、後述する2msタイマ割込として用いられる。具体的には、CPU371の動作クロックを分周したクロックがCTCに与えられ、クロックの入力によってレジスタの値が減算され、レジスタの値が0になるとタイマ割込が発生する。例えば、CH3のレジスタ値はシステムクロックの1/256周期で減算される。分周したクロックにもとづいて減算が行われるので、レジスタの初期値は大きくならない。ステップS705において、CH3のレジスタには、初期値として2msに相当する値が設定される。
【0258】
CTCのCH2のカウントアップにもとづく割込は、CH3のカウントアップにもとづく割込よりも優先順位が高い。従って、同時にカウントアップが生じた場合に、CH2のカウントアップにもとづく割込、すなわち、コマンド受信割込処理の実行契機となる割込の方が優先される。
【0259】
次いで、払出制御用CPU371は、入力ポートB(図38参照)を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS707)。その確認においてオンを検出した場合には、払出制御用CPU371は、通常の初期化処理を実行する(ステップS711〜ステップS713)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート372では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである。また、払出制御手段においては、ステップS707の判定を行わなくてもよい。
【0260】
なお、払出制御用CPU371も、主基板31のCPU56と同様に、スイッチの検出信号のオン判定を行う場合には、例えば、オン状態が少なくとも2ms(2ms毎に起動される処理の1回目の処理における検出直前に検出信号がオンした場合)継続しないとスイッチオンとは見なさないが、クリアスイッチ921のオン検出の場合には、1回のオン判定でオン/オフが判定される。すなわち、操作手段としてのクリアスイッチ921が所定の操作状態であるか否かを払出制御用CPU371が判定するための初期化要求検出判定期間は、遊技媒体検出手段としての賞球カウントスイッチ等が遊技媒体を検出したことを判定するための遊技媒体検出判定期間とは異なる期間とされている。
【0261】
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、払出制御用CPU371は、払出制御用のバックアップRAM領域にバックアップデータが存在しているか否かの確認を行う(ステップS708)。例えば、主基板31のCPU56の処理と同様に、遊技機への電力供給停止時にセットされるバックアップフラグがセット状態になっているか否かによって、バックアップデータが存在しているか否か確認する。バックアップフラグがセット状態になっている場合には、バックアップデータありと判断する。
【0262】
バックアップありを確認したら、払出制御用CPU371は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う。不測の停電等の電力供給の停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されていたはずであるから、チェック結果は正常になる。チェック結果が正常でない場合には、内部状態を電力供給の停止時の状態に戻すことができないので、不足の停電等からの復旧時ではなく電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0263】
チェック結果が正常であれば(ステップS709)、払出制御用CPU371は、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すための払出状態復旧処理を行う(ステップS710)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の指すアドレスに復帰する。
【0264】
初期化処理では、払出制御用CPU371は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS711)。そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるように払出制御用CPU371に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS712)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。そして、初期設定処理のステップS701において割込禁止とされているので、初期化処理を終える前に割込が許可される(ステップS713)。
【0265】
この実施の形態では、払出制御用CPU371の内蔵CTCが繰り返しタイマ割込を発生するように設定される。この実施の形態では、繰り返し周期は2msに設定される。そして、タイマ割込が発生すると、図40に示すように、タイマ割込があったことを示すタイマ割込フラグがセットされる(ステップS772)。そして、メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされたことが検出されたら(ステップS714)、タイマ割込フラグがリセットされるとともに(ステップS751)、払出制御処理(ステップS751〜S760)が実行される。
【0266】
なお、タイマ割込では、図40に示すように、最初に割込許可状態に設定される(ステップS771)。よって、タイマ割込処理中では割込許可状態になり、INT信号の入力にもとづく払出制御コマンド受信処理を優先して実行することができる。
【0267】
払出制御処理において、払出制御用CPU371は、まず、入力ポート372bに入力される賞球カウントスイッチ301Aや球貸しカウントスイッチ301B等のスイッチがオンしたか否かを判定する(スイッチ処理:ステップS752)。
【0268】
次に、払出制御用CPU371は、主基板31から払出停止状態指定コマンドを受信していたら払出停止状態に設定し、払出可能状態指定コマンドを受信していたら払出停止状態の解除を行う(払出停止状態設定処理:ステップS753)。また、受信した払出制御コマンドを解析し、解析結果に応じた処理を実行する(コマンド解析実行処理:ステップS754)。さらに、プリペイドカードユニット制御処理を行う(ステップS755)。
【0269】
次いで、払出制御用CPU371は、球貸し要求に応じて貸し球を払い出す制御を行う(ステップS756)。このとき、払出制御用CPU371は、振分ソレノイド310によって球振分部材311を球貸し側に設定する。
【0270】
さらに、払出制御用CPU371は、総合個数記憶に格納された個数の賞球を払い出す賞球制御処理を行う(ステップS757)。このとき、払出制御用CPU371は、振分ソレノイド310によって球振分部材311を賞球側に設定する。そして、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に対して駆動信号を出力し、所定の回転数分払出モータ289を回転させる払出モータ制御処理を行う(ステップS758)。
【0271】
なお、この実施の形態では、払出モータ289としてステッピングモータが用いられ、それらを制御するために1−2相励磁方式が用いられる。従って、具体的には、払出モータ制御処理において、8種類の励磁パターンデータが繰り返し払出モータ289に出力される。また、この実施の形態では、各励磁パターンデータが4msずつ出力される。
【0272】
次いで、エラー検出処理が行われ、その結果に応じてエラー表示LED374に所定の表示を行う(エラー処理:ステップS759)。また、遊技機外部に出力される球貸し個数信号を出力する処理等を行う(出力処理:ステップS760)。
【0273】
なお、図37に示す出力ポートCは、払出制御処理における払出モータ制御処理(ステップS758)でアクセスされる。また、出力ポートDは、払出制御処理におけるエラー処理(ステップS759)でアクセスされる。そして、出力ポートEは、払出制御処理における球貸し制御処理(ステップS756)および賞球制御処理(ステップS757)でアクセスされる。
【0274】
図41は、ステップS710の払出状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。払出状態復旧処理において、払出制御用CPU371は、まず、スタックポインタの復帰処理を行う(ステップS731)。スタックポインタの値は、後述する電力供給停止時処理において、所定のRAMエリア(電源バックアップされている)に退避している。よって、ステップS731では、そのRAMエリアの値をスタックポインタに設定することによって復帰させる。なお、復帰されたスタックポインタが指す領域(すなわちスタック領域)には、電力供給が停止したときのレジスタ値やプログラムカウンタ(PC)の値が退避している。
【0275】
次いで、払出制御用CPU371は、バックアップフラグをクリアする(ステップS732)すなわち、前回の電力供給停止時に所定の記憶保護処理が実行されたことを示すフラグをリセットする。また、スタック領域から各種レジスタの退避値を読み出して、各種レジスタに設定する(ステップS733)。すなわち、レジスタ復元処理を行う。さらに、払出状態復旧処理が実行されたことを示す復旧フラグをオンする(ステップS734)。復旧フラグは、払出状態復旧処理が実行されたあと未だ制御コマンドを受信していないことを示すフラグである。そして、パリティフラグがオンしていない場合には割込許可状態にする(ステップS735,S736)。最後に、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタック領域から復元する(ステップS737)。
【0276】
そして、RET命令が実行されるのであるが、ここでのリターン先は、払出状態復旧処理をコールした部分ではない。なぜなら、ステップS731においてスタックポインタの復帰処理がなされ、復帰されたスタックポインタが指すスタック領域に格納されているリターンアドレスは、プログラムにおける前回の電力供給停止時にNMIが発生したアドレスである。従って、ステップS737の次のRET命令によって、電力供給停止時にNMIが発生したアドレスにリターンする。すなわち、スタック領域に退避されていたアドレスにもとづいて復旧制御が実行されている。
【0277】
図42および図43は、電源基板910からの電源断信号に応じて実行されるマスク不能割込処理(NMI処理:電力供給停止時処理)の処理例を示すフローチャートである。
【0278】
電力供給停止時処理において、払出制御用CPU371は、AFレジスタを所定のバックアップRAM領域に退避する(ステップS801)。また、割込フラグをパリティフラグにコピーする(ステップS802)。パリティフラグはバックアップRAM領域に形成されている。割込フラグは、割込許可状態であるのか割込禁止状態であるのかを示すフラグであって、払出制御用CPU371が内蔵する制御レジスタ中にある。割込フラグのオン状態が割込禁止状態であることを示す。上述したように、パリティフラグは遊技状態復旧処理で参照される。そして、払出状態復旧処理において、パリティフラグがオン状態であれば、割込許可状態には設定されない。
【0279】
また、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタ、IXレジスタおよびスタックポインタをバックアップRAM領域に退避する(ステップS804〜808)。
【0280】
次に、バックアップあり指定値(この例では「55H」)をバックアップフラグにストアする。バックアップフラグはバックアップRAM領域に形成されている。次いで、主基板31のCPU56の処理と同様の処理を行ってパリティデータを作成しバックアップRAM領域に保存する(ステップS810〜S819)。そして、RAMアクセスレジスタにアクセス禁止値を設定する(ステップS820)。以後、内蔵RAMのアクセスができなくなる。
【0281】
さらに、払出制御用CPU371は、クリアデータ(00)を適当なレジスタにセットし(ステップS821)、処理数(この例では「3」)を別のレジスタにセットする(ステップS822)。また、出力ポートCのアドレス(この例では「00H」)をIOポインタに設定する(ステップS823)。IOポインタとして、さらに別のレジスタが用いられる。
【0282】
そして、IOポインタが指すアドレスにクリアデータをセットするとともに(ステップS824)、IOポインタの値を1増やし(ステップS825)、処理数の値を1減算する(ステップS827)。ステップS824〜S826の処理が、処理数の値が0になるまで繰り返される。その結果、全ての出力ポートC〜E(図37参照)にクリアデータが設定される。図37に示すように、この例では、「1」がオン状態であり、クリアデータである「00」が各出力ポートにセットされるので、全ての出力ポートがオフ状態になる。
【0283】
従って、制御状態を保存するための処理(この例では、チェックサムの生成およびRAMアクセス防止)が実行された後、各出力ポートは直ちにオフ状態になる。従って、その内容が正しく保存されているか否かを示すチェックサムの生成処理、およびその内容を書き換えないようにするためのRAMアクセス防止処理が、払出制御状態を保存するための処理に相当する。
【0284】
制御状態を保存するための処理が実行された後、直ちに各出力ポートがオフ状態になるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。また、電気部品の駆動が不能なる状態になる前に電力供給停止処理の際に出力ポートをクリアすることができるので、電気部品の駆動が不能なる状態となる前に払出制御手段により制御される各電気部品を、適切な動作停止状態にすることができる。例えば、駆動状態にある払出モータ289の作動を停止させるなど電気部品についての作動を停止させたあとに電気部品の駆動が不能なる状態とすることができる。従って、適切な停止状態で電力供給の復旧を待つことができる。
【0285】
出力ポートに対するクリア処理が完了すると、払出制御用CPU371は、待機状態(ループ状態)に入る。従って、システムリセットされるまで、何もしない状態になる。
【0286】
図44は、払出制御用CPU371が内蔵するRAMの使用例を示す説明図である。この例では、バックアップRAM領域に、総合個数記憶(例えば2バイト)と貸し球個数記憶とがそれぞれ形成されている。総合個数記憶は、主基板31の側から指示された賞球払出個数の総数を記憶するものである。貸し球個数記憶は、未払出の球貸し個数を記憶するものである。なお、バックアップRAM領域には、上記の遊技球の個数に関する情報を記憶する領域に限られず、例えば、後述する払出停止中フラグ、賞球経路エラーフラグなどのエラー状態を示すフラグ、バックアップフラグなどの各種のフラグを記憶する領域や、受信コマンドバッファなどの各種のバッファなどを記憶する領域なども形成されている。また、払出制御処理において用いられるデータが格納されるRAM領域は全て電源バックアップされるようにしてもよい。
【0287】
そして、払出制御用CPU371は、例えば、賞球制御処理(ステップS757)において、遊技制御手段から賞球個数を示す払出制御コマンドを受信すると、指示された個数分だけ総合個数記憶に内容を増加する。また、球貸し制御処理(ステップS756)において、カードユニット50から球貸し要求の信号を受信する毎に1単位(例えば25個)の個数分だけ貸し球個数記憶に内容を増加する。さらに、払出制御用CPU371は、賞球制御処理において賞球カウントスイッチ301Aが1個の賞球払出を検出すると総合個数記憶の値を1減らし、球貸し制御処理において球貸しカウントスイッチ301Bが1個の貸し球払出を検出すると貸し球個数記憶の値を1減らす。
【0288】
従って、未払出の賞球個数と貸し球個数とが、所定期間はその内容を保持可能なバックアップRAM領域に記憶されることになる。よって、停電等の不測の電力供給停止が生じても、所定期間内に電力供給が復旧すれば、バックアップRAM領域の記憶内容にもとづいて賞球処理および球貸し処理を再開することができる。すなわち、遊技機への電力供給が停止しても、電力供給が再開すれば、電力供給停止時の未払出の賞球個数と貸し球個数とにもとづいて払い出しが行われ、遊技者に与えられる不利益を低減することができる。
【0289】
図45は、主基板31から受信した払出制御コマンドを格納するための受信バッファの一構成例を示す説明図である。この例では、2バイト構成の払出制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式の受信バッファが用いられる。従って、受信バッファは、受信コマンドバッファ1〜12の12バイトの領域で構成される。そして、受信したコマンドをどの領域に格納するのかを示すコマンド受信個数カウンタが用いられる。コマンド受信個数カウンタは、0〜11の値をとる。
【0290】
図46は、割込処理による払出制御コマンド受信処理を示すフローチャートである。主基板31からの払出制御用のINT信号は払出制御用CPU371のCLK/TRG2端子に入力されている。よって、主基板31からのINT信号が立ち上がると、払出制御用CPU371に割込がかかり、図46に示す払出制御コマンドの受信処理が開始される。なお、払出制御用CPU371は、割込が発生すると、ソフトウェアで割込許可にしない限り、マスク可能割込がさらに生ずることはないような構造のCPUである。
【0291】
なお、ここでは払出制御手段のコマンド受信処理について説明するが、表示制御手段、ランプ制御手段および音制御手段でも、同様のコマンド受信処理が実行されている。また、この実施の形態では、CLK/TRG2端子の入力が立ち上がるとタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が−1されるような初期設定を行ったが、すなわち、INT信号の立ち上がりで割込が発生するような初期設定を行ったが、CLK/TRG2端子の入力が立ち下がるとタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が−1されるような初期設定を行ってもよい。換言すれば、INT信号の立ち下がりで割込が発生するような初期設定を行ってもよい。
【0292】
すなわち、取込信号としてのパルス状(矩形波状)のINT信号のレベル変化タイミング(エッジ)で割込が発生するように構成すれば、エッジは立ち上がりエッジであっても立ち下がりエッジであってもよい。いずれにせよ、取込信号としてのパルス状(矩形波状)のINT信号のレベル変化タイミング(エッジ)で割込が発生するように構成される。このようにすることで、コマンドの取込が指示された段階でいち早くコマンド受信を行うことが可能になる。また、Aの期間(図30)が経過するまでINT信号の出力が待機されるので、INT信号の出力時に、制御信号CD0〜CD7のライン上のコマンドデータの出力状態は安定している。よって、払出制御手段において、払出制御コマンドは良好に受信される。
【0293】
払出制御コマンドの受信処理において、払出制御用CPU371は、まず、各レジスタをスタックに退避する(ステップS850)。次いで、払出制御コマンドデータの入力に割り当てられている入力ポート372a(図7参照)からデータを読み込む(ステップS851)。
【0294】
次いで、復旧フラグがオン状態であるか否か確認する(ステップS861)。復旧フラグがオン状態であれば、払出状態復旧処理が実行されたあとに未だ制御コマンドを受信していない状態であることを意味する。なお、この例では、初期設定コマンドを受信したときには、復旧フラグの状態を確認しないものとする。復旧フラグがオン状態であれば、払出制御用CPU371は、復旧フラグをオフ状態とし(ステップS862)、ステップS851にて読み込んだデータと、前回の電力供給が停止する前に最後に受信したデータとを比較する(ステップS863)。なお、前回の電力供給が停止する前に最後に受信したデータは、後述する最終受信データ格納エリアに格納されているデータである。ステップS851にて読み込んだデータと、最終受信データ格納エリアに格納されているデータとが一致していた場合には、いずれか一方のデータが廃棄される。
【0295】
復旧フラグがオン状態でなければ、または、復旧フラグがオン状態であるときであっても各処理を終えれば、払出制御用CPU371は、ステップS851にて読み込んだデータが2バイト構成の払出制御コマンドのうちの1バイト目であるか否か確認する(ステップS852)。1バイト目であるか否かは、受信したコマンドの先頭ビットが「1」であるか否かによって確認される。先頭ビットが「1」であるのは、2バイト構成である払出制御コマンドのうちのMODEバイト(1バイト目)のはずである(図29参照)。そこで、払出制御用CPU371は、先頭ビットが「1」であれば、有効な1バイト目を受信したとして、受信したコマンドを受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタが示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS853)。
【0296】
払出制御コマンドのうちの1バイト目でなければ、1バイト目を既に受信したか否か確認する(ステップS854)。既に受信したか否かは、受信バッファ(受信コマンドバッファ)に有効なデータが設定されているか否かによって確認される。
【0297】
1バイト目を既に受信している場合には、受信した1バイトのうちの先頭ビットが「0」であるか否か確認する。そして、先頭ビットが「0」であれば、有効な2バイト目を受信したとして、受信したコマンドを、受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタ+1が示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS855)。先頭ビットが「0」であるのは、2バイト構成である払出制御コマンドのうちのEXTバイト(2バイト目)のはずである(図29参照)。なお、ステップS854における確認結果が1バイト目を既に受信したである場合には、2バイト目として受信したデータのうちの先頭ビットが「0」でなければ処理を終了する。なお、ステップS854で「N」と判断された場合には、ステップS856の処理が行われないので、次に受信したコマンドは、今回受信したコマンドが格納されるはずであったバッファ領域に格納される。
【0298】
ステップS855において、2バイト目のコマンドデータを格納すると、コマンド受信個数カウンタに2を加算する(ステップS856)。そして、コマンド受信カウンタが12以上であるか否か確認し(ステップS857)、12以上であればコマンド受信個数カウンタをクリアする(ステップS858)。さらに、S851で読み出した受信データを、バックアップRAM領域に設けられている最終受信データ格納エリアに格納し、最終受信データ格納エリアの保存データを更新する(ステップS865)。なお、S851で読み出した受信データが初期設定コマンドのデータである場合には、ステップS865の処理は実行されない。その後、退避されていたレジスタを復帰し(ステップS859)、最後に割込許可に設定する(ステップS859)。
【0299】
コマンド受信割込処理中は割込禁止状態になっている。上述したように、2msタイマ割込処理中は割込許可状態になっているので、2msタイマ割込中にコマンド受信割込が発生した場合には、コマンド受信割込処理が優先して実行される。また、コマンド受信割込処理中に2msタイマ割込が発生しても、その割込処理は待たされる。このように、この実施の形態では、主基板31からのコマンド受信処理の処理優先度が高くなっている。また、コマンド受信処理中には他の割込処理が実行されないので、コマンド受信処理に要する最長時間は決まる。コマンド受信処理中に他の割込処理が実行可能であるように構成したのでは、コマンド受信処理に要する最長の時間を見積もることは困難である。コマンド受信処理に要する最長時間が決まるので、遊技制御手段のコマンド送出処理におけるCの期間(図30参照)をどの程度にすればよいのかを正確に判断することができる。さらに具体的には、コマンド受信処理に要する最長時間が決まるので、ステップS367にてセットするウエイトカウンタの値をどの程度にすればよいのかを正確に判断することができる。
【0300】
また、払出制御コマンドは2バイト構成であって、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)とは、受信側で直ちに区別可能に構成されている。すなわち、先頭ビットによって、MODEとしてのデータを受信したのかEXTとしてのデータを受信したのかを、受信側において直ちに検出できる。よって、上述したように、適正なデータを受信したのか否かを容易に判定することができる。
【0301】
次に、コマンド送信に関する処理の実行中に電力供給が停止し、その後の電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態について説明する。
【0302】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図47(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたMODEデータと、と、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ3に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ4に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0303】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図47(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたMODEデータをコマンドと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータを受信バッファ4に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0304】
次に、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図47(C)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ2に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ3に保存し、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ4に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたEXTデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ2に保存されているEXTデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ5に保存されるはずであったEXTデータを破棄するようにすればよい。このように、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合には、電力供給が再開したあとに再送されたEXTデータは破棄されるので、制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信されていることになる。
【0305】
最後に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。本例では電力供給が再開した場合に初期設定コマンドが送信されるので、制御コマンドの取りこぼしを防止するため、EXTデータの受信中に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合には、MODEデータから再送する構成とするのが好ましい。この場合、例えば、ステップS335のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグと、ステップS342のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグとを別個のフラグとし、ステップS342のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグがオン状態であるときに電力供給が停止して、その後に電力供給が再開した場合には、ステップS88にてスタック領域における復帰アドレスを示す値を、コマンドセット処理(図32参照)の最初のアドレスを示す値に変更するようにすればよい。
【0306】
EXTデータの受信中に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合にMODEデータから再送する処理を行う構成とした場合には、図47(D)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ2に保存されているEXTデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されたMODEデータを破棄するようにすればよい。そして、遊技制御処理にて再送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ4に保存し、遊技制御処理にて再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに、取りこぼしが発生することなく制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0307】
なお、上記のように、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合にMODEデータから再送する構成とすると、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合についても、MODEデータから再送する構成となる。従って、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合に、制御コマンドが重複受信されることを防止するために、図34に示したg〜hの期間をできるだけ短い期間となるように、ステップS362やステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することが望ましい。理想的には、コマンド受信処理の完了時と、コマンド送信中フラグがオフ状態とするときとが同一となるように、ステップS362やステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整する。
【0308】
以上説明したように、遊技制御手段(例えば、CPU56)が、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理:図33参照)の実行中に遊技機への電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合には、コマンドの送信に関連する処理を所定のタイミング(例えば、コマンド送信処理の最初)から再度実行し、電力供給が停止したときに送信中のコマンドがあった場合には、当該、コマンドの少なくとも一部(MODEデータ、EXTデータ、あるいは制御コマンド)を再送する構成としたので、コマンドの出力にかかわる処理の実行中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給再開後にそのコマンドを確実に送信することができる。
【0309】
例えば、払出手段からの遊技媒体の払出数を特定可能な払出制御コマンドを再送する構成とした場合には、たとえ遊技制御手段(例えば、CPU56)による払出制御コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理:図33参照)の実行中に電力供給が停止した場合であっても、払出制御コマンドは確実に送信されるので、遊技媒体の付与が確実に行なわれ、遊技者に不利益を及ぼしてしまうことを防止することができる。
【0310】
また、上述したように、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理)は、コマンドの出力に用いられるコマンド出力ポートにデータを出力する処理(例えば、ステップS356)を含み、コマンドの送信に関連する処理を再度実行する所定のタイミングは、コマンド出力ポートにデータを出力する処理の前(例えば、コマンド送信処理の最初)であるように構成されているので、コマンド出力ポートにデータを出力する処理が確実に実行されることが保証される。
【0311】
また、上述したように、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理)を再度実行する所定のタイミングは、コマンドの送信に関連する処理の最初であるように構成されているので、コマンドの送信に関連する処理が確実に実行されることが保証され、コマンドを確実に送信することができる。
【0312】
また、上述したように、コマンドが複数のデータ(MODEデータとEXTデータ)によって構成され、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理)を再度実行する所定のタイミングは、複数のデータにおける1のデータを送信する処理の最初であるように構成されているので、コマンドを構成するデータを送信する処理が保証され、コマンドを確実に送信することができる。
【0313】
また、上述したように、電力供給が開始したときに、コマンド送信中フラグがオン状態であった場合には、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止されたものと判定するように構成されているので、電力供給が停止されたときの制御状態を容易に判定することができる。
【0314】
また、上述したように、コマンド受信側基板のCPU(例えば、払出制御用CPU371)が、遊技制御手段からのコマンドを所定の記憶領域(例えば、コマンド受信バッファ)に保存するコマンド受信処理(図46参照)を実行し、遊技制御手段がコマンドの送信を行ってコマンドの送信に関連する処理を終了するタイミング(例えば、コマンド送信中フラグがオフ状態となるタイミング)が、コマンド受信側基板のCPUが当該コマンドの保存を行ってコマンド受信処理が完了するタイミングよりも遅いタイミングとされるように構成されているので、コマンド受信側基板のCPUによってコマンドが確実に受信されるようにすることができる。
【0315】
また、上述したように、コマンド受信側基板のCPUが、遊技制御手段からのコマンドをコマンド受信バッファに保存するコマンド受信処理(例えば、図46に示すコマンド受信割込処理)を実行し、遊技制御手段がコマンドの送信を行ってコマンド送信処理を終了するタイミング(例えば、コマンド送信処理が終了するタイミング)は、電気部品制御手段が当該コマンドの保存を行ってコマンド受信処理が完了するタイミング(例えば、コマンド受信割込処理が完了するタイミング)よりも遅いタイミングとされるように構成されているので、コマンド受信側基板のCPUによってコマンドが受信されることが保証される。
【0316】
また、上述したように、コマンド受信側基板のCPUが、取り込み信号(例えば、INT信号)の入力に応じてコマンド受信処理を実行し、遊技制御手段は、取り込み信号の出力後にコマンド受信処理の終了を担保する期間(例えば、ステップS362〜ステップS364や、ステップS367〜ステップS369の処理が実行されている期間)を設けた構成とされているので、コマンド受信側基板のCPUによるコマンドの受信処理の実行タイミングを把握することができ、コマンド受信側基板のCPUによってコマンドが確実に受信されるようにすることができる。
【0317】
なお、上述した実施の形態では、遊技状態復旧処理にて初期設定コマンドを送信する構成(ステップS82〜ステップS85)としていたが、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成としてもよい。この場合、ステップS86にてコマンド送信中フラグがオンでないと判断された場合に、ステップS82〜ステップS85の処理を行うようにすればよい。
【0318】
図48は、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合に、電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態を示す説明図である。なお、遊技状態復旧処理において初期設定コマンドを常に送信しない構成とされていてもよい。
【0319】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0320】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存する。また、再送信されてきたEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0321】
次に、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(C)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ2に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたコマンドのEXTデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ2に保存されているEXTデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ3に保存されるはずであったEXTデータを破棄するようにすればよい。このように、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合には、電力供給が再開したあとに再送されたEXTデータは破棄されるので、制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信されることになる。
【0322】
最後に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(D)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたEXTデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、遊技制御処理にて再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ2に上書き保存する。従って、この例では、EXTデータの受信中に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合についても、制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0323】
上記のように、少なくとも再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合には、ステップS335のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグと、ステップS342のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグとを別個のフラグとするなどの構成をとることなく、制御コマンドの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信されるようにすることができる。また、少なくとも再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合には、制御コマンドを構成するコマンドデータ(MODEデータまたはEXTデータ)のみが常に再送されるようにすることができ、コマンド送信側および受信側の処理負担を軽減させることができる。
【0324】
また、上述した実施の形態では、遊技状態復旧処理にて、コマンド送信中フラグの状態を確認することでコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成としていたが(ステップS86)、スタック領域に退避している復帰アドレス(NMIによる電力供給停止時処理によって退避されたアドレス)を示す値を確認することで、コマンドの再送を行うか否かの判断を行うようにしてもよい。図49は、スタック領域に退避している復帰アドレスを示す値に応じてコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成とした場合における遊技状態復旧処理である。この例では、ステップS86aにて、スタック領域における復帰アドレスを示す値が、コマンド送信処理のアドレスを示す値であるか否か確認する。すなわち、復帰アドレスを示す値が、コマンド送信処理が実行されているときに用いられる何れかのアドレスを示す値であるか否かを確認する。コマンド送信処理のアドレスを示す値であれば、コマンド送信処理の実行中に電力供給が停止したことになるので、上述したステップS88の処理が実行され、ステップS95の次のRET命令によってコマンド送信処理が開始されるときのアドレスにリターンするようになる。
【0325】
このように、スタック領域における復帰アドレスを示す値がコマンドの送信に関連する処理の実行中に用いられるアドレスを示す値であるか否か確認することで、コマンドの再送を行うか否かの判断を行う場合には、コマンドの送信に関連する処理の実行中に用いられるアドレスが他の処理で用いられないようにしておけば、確実な判定がなされるようになる。すなわち、コマンドの送信に関連する処理が専用のモジュールで実行されるように構成しておけば、スタック領域に退避している復帰アドレスを示す値によって、電力供給が停止した際にコマンドの送信に関連する処理が実行されていたか否かを確実に判定することができるようになる。なお、コマンドの送信に関連する処理を実行する専用のモジュールは、複数のモジュールによって構成するようにしてもよい。この場合、例えば、コマンドの送信に関連する処理の一部をそれぞれ実行する複数種類の専用のモジュールを設けて、これら複数のモジュールによってコマンドの送信に関連する処理を実行する専用のモジュールが構成されるようにすればよい。
【0326】
上記のように、スタック領域における復帰アドレスを示す値に応じてコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成とした場合には、スタック領域における復帰アドレスを示す値にもとづいてコマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止されたか否かを判定することができるので、新たなフラグを必要とすることなくRAM55の必要容量の削減となり、また、上述した実施の形態と同様の効果を得ることもできる。
【0327】
また、スタック領域における復帰アドレスを示す値に応じてコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成とする場合に、例えば、コマンドの送信に関連する処理のうち、コマンドの取りこぼしなどの弊害を確実に防止する必要性が高い処理についてだけ専用のモジュール(プログラムモジュール)によって行うようにしてもよい。このようにすれば、弊害を確実に防止する必要性が高い処理の実行中に電力供給が停止した場合には、電力供給再開後に確実にコマンドが再送されるので、防止の必要性が高い弊害を確実に防ぐことができる。コマンドの取りこぼしなどの弊害を確実に防止する必要性が高い処理には、例えば払出制御コマンドの送信に関連する処理などの、コマンドの取りこぼしによって遊技者に不利益を及ぼしてしまう処理などが該当する。例えば、払出制御コマンドの送信に関連する処理を実行するための専用のモジュールを設けた構成とすれば、遊技者に付与する遊技媒体数を指定する払出制御コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止した場合には、電力供給の再開後に確実に払出制御コマンドの送信に関連する処理が再度実行されるので、遊技媒体の付与が確実に行なわれるようになり、遊技者に不利益を及ぼすことが回避される。
【0328】
また、上述した実施の形態では、コマンド送信処理の実行中に電力供給が停止した場合に、その後の電力供給開始時にコマンドを再送する処理を行う構成としていたが、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合に、コマンドセット処理を再度実行してコマンドを再送する処理を行う構成としてもよい。この場合、例えばコマンドセット処理(図32参照)の最初(ステップS331の前)にコマンド送信中フラグをオンし、最後(ステップS342の後)にコマンド送信中フラグをオフするようにするとともに、遊技状態復旧処理のステップS88にてスタック領域に退避している復帰アドレスにコマンドセット処理の最初のアドレスを示す値をセットするようにすればよい。また、例えば、上述した他の例におけるステップS86a(図49参照)にて、スタック領域に退避している復帰アドレスを示す値がコマンドセット処理の実行中に用いられるアドレスの何れかを示す値であるか否かを確認し、コマンドセット処理が実行されているときに用いられるアドレスの何れかを示す値であった場合に、ステップS88にて復帰アドレスの値をコマンドセット処理の最初のアドレスを示す値にセットするようにすればよい。
【0329】
上記のように、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合に、再度コマンドセット処理を再度実行してコマンドを再送する処理を行う構成とした場合には、電力供給が開始したあとにMODEデータおよびEXTデータが送信されるので、上述した実施の形態と同様に、制御コマンドを確実に送信し、受信側の基板に取り込ませるようにすることができるようになる。
【0330】
上記の例では、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止したあと電力供給が開始すると、MODEデータおよびEXTデータが送信される。図50は、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止したあとの電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態を示す説明図である。
【0331】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図50(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ3に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ4に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0332】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図50(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ4に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0333】
次に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図50(C)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1のMODEデータを破棄するようにすればよい。遊技制御処理にて再送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ4に保存し、再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、EXTデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0334】
なお、この例では、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合には、制御コマンドがMODEデータから再送されることとなる。従って、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合に、制御コマンドが重複受信されることを防止するために、図34に示したg〜hの期間ができるだけ短い期間となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することが望ましい。理想的には、コマンド受信処理の完了時と、コマンド送信中フラグがオフ状態とするときとが同一となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整する。
【0335】
上記のように、遊技制御手段(例えば、CPU56)が、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンドセット処理:図32参照)の実行中に遊技機への電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合には、コマンドの送信に関連する処理を所定のタイミング(例えば、コマンドセット処理の最初)から再度実行し、電力供給が停止したときに送信中のコマンドがあった場合には、当該、コマンドの少なくとも一部(MODEデータ、あるいは制御コマンド)を再送する構成としたので、コマンドの出力にかかわる処理の実行中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給再開後にそのコマンドを確実に送信することができる。また、コマンド受信側基板で制御コマンドが重複受信されることを防止しているので、電力供給が再開したあとに制御コマンドが正常に受信されるようにすることができる。
【0336】
なお、上記の例では、遊技状態復旧処理にて初期設定コマンドを送信する構成(ステップS82〜ステップS85)としていたが、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成としてもよい。この場合、ステップS86aにてコマンド送信中フラグがオンでないと判断された場合に、ステップS82〜ステップS85の処理を行うようにすればよい。
【0337】
図51は、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合に、電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態を示す説明図である。
【0338】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図51(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存し、遊技制御処理にて送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、その後に電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0339】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図51(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存し、遊技制御処理にて送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0340】
次に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図51(C)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されたMODEデータを破棄するようにすればよい。そして、遊技制御処理にて再送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存し、遊技制御処理にて再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。従って、EXTデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0341】
なお、上記のような再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合についても、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合には、制御コマンドがMODEデータから再送されることとなる。従って、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合に、制御コマンドが重複受信されることを防止するために、図34に示したg〜hの期間ができるだけ短い期間となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することが望ましい。理想的には、コマンド受信処理の完了時と、コマンド送信中フラグがオフ状態とするときとが同一となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整する。
【0342】
また、上述した各実施の形態では、制御コマンドがMODEデータとEXTデータとで構成されていたが、制御コマンドは3以上のデータによって構成されていてもよく、1のデータによって構成されていてもよい。また、制御コマンドは、上述したように、2バイト構成に限られない。
【0343】
また、上述した各実施の形態では、INT信号の受信に応じてコマンドの受信処理(図46参照)が実行される構成としていたが、INT信号が用いられることなくコマンド受信処理を実行する構成とされていてもよい。この場合、例えば、コマンド受信側の各電気部品制御基板が、所定期間毎にコマンド入力ポート(例えば、図38に示す入力ポートA)を監視するようにし、ポートの状態に応じてコマンド受信処理を実行する構成とすればよい。
【0344】
また、上述した各実施の形態では、コマンドを複数の信号線を用いて伝送する構成としていたが、コマンドをシリアル信号によって構成し、1の信号線を用いたシリアル伝送を行うように構成されていてもよい。
【0345】
なお、上述した各実施の形態においては詳しく説明していなかったが、コマンド受信処理(図46参照)の実行中に電力供給が停止し、その後に電力供給が開始すると、コマンド受信側基板のCPUは、コマンド受信処理を再開するが、復旧時には、入力ポート(例えば、図38に示す入力ポートA)の内容が正規のコマンド形式とはなっていない。従って、電力供給が開始して再開したコマンド受信処理において、ステップS851で読み込んだデータは、規則外のデータと判定されるので(ステップS851aのN)、受信コマンドバッファに格納されない。その後、コマンド受信側基板のCPUは、状態復旧した主基板31によって再送されてきたコマンドを受信する処理(図46参照)を行う。
【0346】
また、上述した各実施の形態では、ステップS362(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値と、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値とを調整することで、コマンド受信側の基板でのコマンド受信処理(図46参照)の実行期間を確保する構成としていたが、何れか一方で設定されるウエイトカウンタの値によってコマンド受信処理の実行期間を確保するようにしてもよい。例えば、INT信号が立ち上げられたあとの立下りに従ってコマンド受信処理が開始される場合(例えば、ステップS336の処理の実行に応じてコマンド受信処理が開始される場合)には、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することでウエイト期間を調整し、コマンド受信処理の実行期間を確保するようにすればよい。
【0347】
また、上記の各実施の形態では、遊技制御以外の電気部品制御手段として、主として、電気部品としての球払出装置97等を制御する払出制御手段を例にした。それは、払出制御コマンドの送受信処理に不備があると、払い出されるべき遊技球が払い出されないという事態を招くおそれがあり、遊技者の不利益に直結するため、かかる事態を招くことを回避することが可能な実施の形態を示すためのである。しかし、他の制御コマンドの送受信処理に不備があった場合にも遊技者に対して不利益を及ぼす可能性があり、またコマンドの送受信処理に不備があった場合に遊技演出が円滑に実行されない事態を招くおそれもあるため、それらの問題を解消するために、本発明が適用される電気部品制御手段が、払出制御手段以外の他の制御手段であるとしてもよい。例えば、電気部品としての可変表示装置9等の制御を行う表示制御手段(表示制御基板80に搭載される表示制御用CPU)、電気部品としての各種ランプやLEDなどの発光手段の制御を行う発光体制御手段(ランプ制御基板35に搭載されるランプ制御用CPU)、電気部品としてのスピーカ27等の制御を行う音制御手段(音制御基板70に搭載される音制御用CPU)に対して本発明を適用することができる。すなわち、それらの電気部品制御手段が、遊技制御手段からのコマンドにもとづいて電気部品の制御を行うものであれば、本発明を適用することができる。また、音、ランプ、表示等の制御を行う演出制御手段が設けられている場合に、演出制御手段に対して本発明を適用することもできる。
【0348】
なお、上述した実施の形態では、バックアップRAMに電力を供給するバックアップ電源が電源基板910において作成される構成としていたが、バックアップ電源は、主基板31や払出制御基板31において作成されるようにしてもよい。また、他の電気部品制御基板35,70,80が電源バックアップ可能な構成とされている場合に、その電気部品制御基板35,70,80においてバックアップ電源を作成する構成としてもよい。
【0349】
なお、上述した各実施の形態において、「モジュール」とは、例えば、所定の単位の処理を実行するものとして他の部分と識別可能なコンピュータプログラム(プログラムモジュール)や回路部品を意味する。
【0350】
さらに、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、主として、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、遊技制御手段からのコマンドにもとづいて電気部品の制御を行うものであれば、本発明を適用できる。また、パチンコ遊技機に限られず、スロット機等においても本発明を適用することができる。
【0351】
図52は、図47(A)〜図47(D)等に示すデータの破棄を行うためのCPU56と電気部品制御手段である払出制御用CPU371等(他には表示制御用CPUを含む表示制御手段、ランプ制御用CPUを含むランプ制御手段、音制御用CPUを含む音制御手段等)とRAM55との模式的構成を示すブロック図である。
【0352】
図52には、CPU56に、コマンドの送信に関連する処理(例えば、図33に示すコマンド送信処理、図32に示すコマンドセット処理)の実行中に電力供給が停止した場合に、電力供給が再開したときに電力供給が停止したときに送信中であったコマンドの少なくとも一部(例えば、MODEデータ、EXTデータ)を再度送信する(例えば、状態復旧処理においてステップS88で変更された復帰アドレスに復帰することで、コマンドの送信に関連する処理を再度実行する。)コマンド再送信手段56aを備え、払出制御用CPU371等にコマンド再送信手段56aから再度送信されたコマンドの少なくとも一部と電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部とを比較する(例えば、図47(B)のバッファ1とバッファ2とに保存されているMODEデータを比較する。)比較手段371aと、比較手段371aの比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部が一致する場合にこれらのうち一方を破棄する(例えば、図47(B)のコマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータを破棄する。)破棄手段371bとを備え、RAM55にコマンド送信中フラグやスタック領域に保存されている復帰する処理を示すアドレスデータなどが格納されている様子を示している。
【0353】
コマンド再送信手段56aは、図47(A)〜図47(D)等に示すように、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止した場合に、電力供給が再開したときに電力供給が停止したときに送信中であったコマンドの少なくとも一部(例えば、MODEデータ、EXTデータ)を再度送信する(図47では、MODEデータ、EXTデータの双方を再度送信している。)。ちなみに、コマンド再送信手段56aは、RAM55に格納されている送信中フラグやアドレスデータを電力供給が再開した後に参照して、MODEデータ等を再度送信している。
【0354】
払出制御用CPU371等では、例えば図47(B)の場合には、コマンド再送信手段56aから再度送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。また前述したようにコマンド受信バッファ1には電力供給の停止前に受信しているMODEデータが保存されているので、比較手段371aによってコマンド受信バッファ1,2に保存されているMODEデータを比較する。比較手段371aの比較の結果、これらのMODEデータが一致するので、コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータを破棄手段371bによって破棄する。ここでは、比較手段371aはMODEデータ相互を比較するようにしている。
【0355】
同様に、図47(C)の場合にも、バッファ4,5に保存されているEXTデータが一致するので、コマンド受信バッファ5に保存されているEXTデータを破棄する。なお、図47(A),図47(D)の場合には、隣接するコマンド受信バッファに保存されているデータが一致しないため、データの破棄は行わない。
【0356】
また、本実施形態では、CPU56から表示制御基板80(図6)側に対して、図柄変動の指示の際に「変動指定コマンド」を送り、「右図柄指定コマンド」を送り、「左図柄指定コマンド」を送り、「中図柄指定コマンド」を送り、「図柄確定コマンド」を送り、…、のように、同じコマンドが連続して送信されないようにしているので、表示制御基板80側では連続して送信されてきたコマンドの少なくとも一部を比較手段101aによって相互を比較すれば、重複したコマンドを受信したかどうかを判別できる。よって、比較結果にもとづいて破棄手段101bによってコマンドの破棄を行えばよい。
【0357】
一方、CPU56から払い出し制御用CPU371に対しては、「15個の遊技球払い出しコマンド」を送り、「15個の遊技球払い出しコマンド」を送り、「5個の遊技球払い出しコマンド」を送り、…、のように、同じコマンドが連続して送信される場合があり、このままでは重複したコマンドを受信したかどうかを判別できないので、同じコマンドには各々に固有の符号(例えば「15個の遊技球払い出しコマンド1」、「15個の遊技球払い出しコマンド2」のような通し番号。)を付し、重複したコマンドを受信したかどうかを判別できるようにするとよい。
【0358】
なお、本実施の形態では電力供給停止後、電力供給開始後に行われる図14に示した遊技状態復旧処理は、コマンド再送信手段によるコマンドの再送信処理に先立って行われるが、実施の態様によってはコマンド再送信手段によってコマンドの少なくとも一部を再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、電気部品制御手段は、復旧指定コマンドを受信したことに応じて遊技機に設けられた電気部品の制御を再開するようにすることもできる。具体的には図14に示した遊技状態復旧処理において、コマンド送信中フラグがオンしているか否か確認し(ステップS86)、コマンド送信中フラグがオンであれば、コマンド送信中フラグをリセットし(ステップS87)、スタックポインタが、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行されていたコマンドセット処理のリターン先のアドレスが格納されているスタック領域を指すように、スタックポインタの値を増やしておく。次いで、コマンドセット処理をコールして、コマンド送信バッファに格納されているコマンドを再度送信する。さらに、復旧指定コマンドを送信する。なお、この例では、ステップS88の処理は実行されない。この例では、復旧指定コマンドは、遊技状態復旧処理にて単に送信される。この場合、遊技状態復旧処理の最後のリターン命令によって、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行していたコマンドセット処理をコールした部分にリターンする。また図41のステップS710の払出状態復旧処理の一例を示すフローチャートにおいて払出状態復旧処理が実行されたことを示す復旧フラグをオンし(ステップS734)、割込許可状態にすると共に復旧指定コマンドの受信待ち状態とする。すなわち、復旧指定コマンドを受信するまではRET命令が実行されない様にする。
【0359】
図53はかかる態様を示し、CPU56は、コマンド再送信手段56aによってコマンドの少なくとも一部を再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信する復旧指定コマンド送信手段56bを備えており、復旧指定コマンド送信手段56bからの送信をトリガとして遊技の進行の制御を再開している。さらに、払出制御用CPU371等は、復旧指定コマンド送信手段56bから送信された復旧指定コマンドを受信する復旧指定コマンド受信手段371cを備えており、復旧指定コマンド受信手段371cでの復旧指定コマンドの受信をトリガとして遊技機に設けられた電気部品の制御を再開するようにしている。よって、遊技制御手段と払出制御手段とを同期させて制御を再開させることができる。
【0360】
特に図53に示す態様ではCPU56と、表示制御用CPUを含む表示制御手段80とにそれぞれ備えている、可変表示部に表示される識別情報の可変表示期間を管理するタイマ56c,80aは、電力供給の停止時に更新が停止するので、CPU56と表示制御手段80’とが各々自己のタイマ56c、80aの更新を復旧指定コマンド送信手段56b,復旧指定コマンド受信手段80bでの復旧指定コマンドの送信或いは受信をトリガとして再開するようにする。よって、遊技制御手段と表示制御手段とを同期させて制御を再開させることができる。
【0361】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、遊技制御手段および電気部品制御手段は、電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、前記変動データ記憶手段に記憶保持された記憶内容にもとづいて電力供給停止前の制御状態に復旧させる復旧処理を実行可能であり、遊技制御手段は、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、電力供給が再開したときに電力供給が停止したときに送信中であったコマンドを再度送信するコマンド再送信手段を有し、電気部品制御手段は、コマンド再送信手段から再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に最後に受信しているコマンドとを比較する比較手段と、比較手段による比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドとが互いに一致する場合にこれらのうち一方を破棄する破棄手段とを備えるので、遊技制御手段側に制御負荷をかけずに、電気部品制御手段側で同じコマンドによる処理を行わないようにすることができる。
【0362】
請求項2記載の発明では、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後の状態フラグにもとづいてコマンドを再度送信するので、コマンド送信中に電力供給が停止したか否かを容易に判定することができ、コマンドを再度送信する制御の負担を軽減することができる。
【0363】
請求項3記載の発明では、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後のプログラムアドレスデータにもとづいてコマンドを再度送信するので、通常の遊技制御に用いられるプログラムアドレスデータを流用してコマンド送信中に停止したか否かを判断でき、新たな記憶領域を備える必要がない。
【0364】
請求項4記載の発明では、コマンド再送信手段は複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータの中で送信中だったコマンドデータのみを再度送信するので既に送信済みであり、再送信が不要なコマンドデータの再送信が避けられ再送信手段の処理負担を軽減することができる。
【0365】
請求項5記載の発明では、比較手段は複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータのいずれか一つのコマンドデータ相互を比較するようにしているので、コマンドデータ全ての比較が避けられ、比較手段の処理負担を少なくできる。
【0366】
請求項6記載の発明では、遊技制御手段は復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、電気部品制御手段は復旧指定コマンドの受信をトリガとして遊技機に設けられた電気部品の制御を再開するので、各手段での制御進行の同期を図ることができる。
【0367】
請求項7記載の発明では、遊技制御手段および前記表示制御手段は、識別情報の可変表示の実行期間を管理するタイマをそれぞれ備え、遊技制御手段は電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを送信したことに応じて再開し、表示制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを受信したことに応じて再開するので、可変表示期間の認識の同期を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】ガラス扉枠を取り外した状態での遊技盤の前面を示す正面図である。
【図3】遊技機を裏面から見た背面図である。
【図4】各種部材が取り付けられた機構板を遊技機背面側から見た背面図である。
【図5】球払出装置の構成例を示す分解斜視図である。
【図6】遊技制御基板(主基板)の回路構成例を示すブロック図である。
【図7】払出制御基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図8】電源基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図9】電源監視および電源バックアップのためのCPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図10】出力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図11】出力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図12】主基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図13】バックアップフラグと遊技状態復旧処理を実行するか否かとの関係の一例を示す説明図である。
【図14】遊技状態復旧処理を示すフローチャートである。
【図15】2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図16】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図17】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図18】チェックサム作成方法の一例を説明するための説明図である。
【図19】遊技機への電力供給停止時の電源低下やNMI信号の様子を示すタイミング図である。
【図20】RAMにおけるスイッチタイマの形成例を示す説明図である。
【図21】スイッチ処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】スイッチチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】賞球処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】賞球処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】賞球処理の一例を示すフローチャートである。
【図26】スイッチオンチェック処理を示すフローチャートである。
【図27】入力判定値テーブルの構成例を示す説明図である。
【図28】コマンド送信テーブル等の一構成例を示す説明図である。
【図29】制御コマンドのコマンド形態の一例を示す説明図である。
【図30】制御コマンドを構成する8ビットの制御信号とINT信号との関係を示すタイミング図である。
【図31】払出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。
【図32】コマンドセット処理の処理例を示すフローチャートである。
【図33】コマンド送信処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図34】コマンド送信に関連する処理とコマンド受信処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図35】賞球個数減算処理の一例を示すフローチャートである。
【図36】電源監視および電源バックアップのための払出制御用CPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図37】出力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図38】入力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図39】払出制御基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図40】2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図41】払出状態復旧処理を示すフローチャートである。
【図42】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図43】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図44】払出制御手段におけるRAMの一構成例を示す説明図である。
【図45】受信コマンドバッファの一構成例を示す説明図である。
【図46】払出制御用CPUのコマンド受信処理の例を示すフローチャートである。
【図47】コマンド受信状態の例を示す説明図である。
【図48】初期設定コマンドが送信されない場合のコマンド受信状態の例を示す説明図である。
【図49】遊技状態復旧処理の他の例を示すフローチャートである。
【図50】コマンド受信状態の他の例を示す説明図である。
【図51】初期設定コマンドが送信されない場合のコマンド受信状態の他の例を示す説明図である。
【図52】遊技状態復旧処理時の動作の説明図である。
【図53】遊技状態復旧処理時の動作の他の説明図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機
31 主基板
37 払出制御基板
53 基本回路
55 RAM(変動データ記憶手段)
56 CPU
371 払出制御用CPU
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技者が所定の遊技を行うことが可能なパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技媒体が入賞すると、所定個の賞球が遊技者に払い出されるものがある。さらに、表示状態が変化可能な可変表示部が設けられ、可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様となった場合に所定の遊技価値を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
なお、遊技価値とは、遊技機の遊技領域に設けられた可変入賞球装置の状態が打球が入賞しやすい遊技者にとって有利な状態になることや、遊技者にとって有利な状態となるための権利を発生させたりすることや、賞球払出の条件が成立しやすくなる状態になることである。
【0004】
パチンコ遊技機では、特別図柄を表示する可変表示部の表示結果があらかじめ定められた特定表示態様の組合せとなることを、通常、「大当り」という。大当りが発生すると、例えば、大入賞口が所定回数開放して打球が入賞しやすい大当り遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。そして、大入賞口の開放回数は、所定回数(例えば16ラウンド)に固定されている。なお、各開放について開放時間(例えば29.5秒)が決められ、入賞数が所定個に達しなくても開放時間が経過すると大入賞口は閉成する。また、大入賞口が閉成した時点で所定の条件(例えば、大入賞口内に設けられているVゾーンへの入賞)が成立していない場合には、大当り遊技状態は終了する。
【0005】
また、可変表示装置において最終停止図柄(例えば左右中図柄のうち中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して、特定表示態様と一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入れ替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これらの状態をリーチ状態という。)において行われる演出をリーチ演出という。また、リーチ演出を含む可変表示をリーチ可変表示という。リーチ状態において、変動パターンを通常状態における変動パターンとは異なるパターンにすることによって、遊技の興趣が高められている。そして、可変表示装置に可変表示される図柄の表示結果がリーチ状態となる条件を満たさない場合には「はずれ」となり、可変表示状態は終了する。遊技者は、大当りをいかにして発生させるかを楽しみつつ遊技を行う。
【0006】
遊技機における遊技進行はマイクロコンピュータ等による遊技制御手段によって制御される。可変表示部に表示される識別情報、キャラクタ画像および背景画像は、マイクロコンピュータの指示に応じて画像データを生成して可変表示部側に転送するビデオディスプレイプロセッサ(VDP)とによって制御されるが、マイクロコンピュータのプログラム容量は大きい。
【0007】
従って、プログラム容量に制限のある遊技制御手段のマイクロコンピュータで可変表示部に表示される識別情報等を制御することはできず、遊技制御手段のマイクロコンピュータとは別の表示制御用のマイクロコンピュータ等による表示制御手段を搭載した図柄制御基板が設置される。遊技の進行を制御する遊技制御手段は、表示制御手段に対して表示制御のためのコマンドを送信する必要がある。
【0008】
賞球払出の制御を行う払出制御手段が、遊技制御手段が搭載されている主基板とは別の払出制御基板に搭載されている場合、遊技の進行は主基板に搭載された遊技制御手段によって制御されるので、入賞にもとづく賞球個数は、遊技制御手段によって決定され、払出制御基板に送信される。一方、遊技媒体の貸し出しは、遊技の進行とは無関係であるから、一般に、遊技制御手段を介さず払出制御手段によって制御される。
【0009】
以上のように、遊技機には、遊技制御手段の他に種々の制御手段が搭載されている。そして、遊技の進行を制御する遊技制御手段は、遊技状況に応じて動作指示を示す各コマンドを、各制御基板に搭載された各制御手段に送信する。以下、遊技制御手段その他の制御手段を電気部品制御手段といい、電気部品制御手段が搭載された基板を電気部品制御基板ということがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、各電気部品制御手段はマイクロコンピュータを含んだ構成とされる。すなわち、ROM等にプログラムが格納され、制御上一時的に発生するデータや制御進行に伴って変化するデータがRAMに格納される。すると、遊技機に停電等による電力供給停止状態が発生すると、RAM内のデータは失われてしまう。よって、停電等からの復旧時には、最初の状態(例えば、遊技店においてその日最初に遊技機に電源投入されたときの状態)に戻さざるを得ないので、遊技者に不利益がもたらされる可能性がある。例えば、大当たり遊技中において電力供給停止状態が発生し遊技機が最初の状態に戻ってしまうのでは、遊技者は大当たりの発生にもとづく利益を享受することができなくなってしまう。
【0011】
遊技者に対して上記のような不利益がもたらされないようにするために、遊技機への電力供給が停止したときに、払出制御手段における所定の情報を電源バックアップするように構成された遊技機がある。例えば、遊技機への電力供給が停止したときに、電源電圧値の低下に伴なって発生される所定の信号に応じて遊技制御を中断し、そのときの遊技状態を、遊技機に対する電力供給停止中でも電源バックアップされている記憶手段(バックアップ記憶手段)に保存し、電力供給が完全に停止するのを待つように制御することによって、電気部品制御手段における所定の情報を電源バックアップするようにすればよい。そのような遊技機では、遊技機への電力供給が停止した後に、電力供給が復旧すると、払出制御手段は電源バックアップされている情報にもとづいて遊技を再開することができる。
【0012】
しかし、コマンドを出力するための処理が実行されているときに電力供給が停止したような場合には、コマンドが送信されたか否かに関する正確な情報をバックアップ記憶手段に保存することは困難であるので、電力供給再開時に正確な制御状態に復旧しないおそれがある。例えば、受信側の電気部品制御手段でまだ受信されていないコマンドがあるのにもかかわらず、電力供給再開後にそのコマンドが送信されない事態が起こり得る。従って、コマンドの種類によっては、例えば払い出されるはずの遊技媒体が払い出されないなど、遊技者に対して不利益を与えてしまうおそれがある。また、電力供給再開後にコマンドを再送するようにするだけでは、例えば受信側である電気部品制御手段でコマンドが受信された直後に電力供給が停止した場合には、送信側である遊技制御手段で、コマンドの受信が確認できず、同じコマンドを再送する事態も生じ、制御コマンドの受信規則に反する状態で、受信側での重複したコマンド処理が行われる場合がある。
【0013】
そこで、本発明は、コマンドの出力にかかわる処理の実行中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給再開後に確実にそのコマンドを送信することができ、遊技者に不利益がもたらされることを防止することができる遊技機を提供するとともに、コマンドの受信側で制御コマンドの受信規則に反する状態で、受信側での重複したコマンド処理が行われないようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明による遊技機は、遊技者が所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、遊技の進行を制御する遊技制御手段(例えば、CPU56)と、遊技制御手段からのコマンドにもとづき、遊技機に設けられた電気部品を制御する電気部品制御手段(例えば払出制御用CPU371を含む払出制御手段、表示制御用CPUを含む表示制御手段、ランプ制御用CPUを含むランプ制御手段、音制御用CPUを含む音制御手段)と、遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶内容を保持することが可能な変動データ記憶手段(例えば、電源バックアップされたRAM55)とを備え、前記遊技制御手段および電気部品制御手段は、電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、前記変動データ記憶手段に記憶保持された記憶内容にもとづいて電力供給停止前の制御状態に復旧させる復旧処理を実行可能であり、前記遊技制御手段は、コマンドの送信に関連する処理(例えば、図33に示すコマンド送信処理、図32に示すコマンドセット処理)の実行中に電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、電力供給が停止したときに送信中であったコマンド(例えば、MODEデータ、EXTデータ)を再度送信する(例えば、状態復旧処理においてステップS88で変更された復帰アドレスに復帰することで、コマンドの送信に関連する処理を再度実行する。)コマンド再送信手段(図52の56a)を有し、電気部品制御手段は、コマンド再送信手段から再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に最後に受信しているコマンドとを比較する(例えば、図47(B)のバッファ1とバッファ2とに保存されているMODEデータを比較する。)比較手段(図52の371a)と、比較手段による比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドとが互いに一致する場合にこれらのうち一方を破棄する(例えば、図47(B)のコマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータを破棄する。)破棄手段(図52の371b)とを備えることを特徴とする。
【0015】
変動データ記憶手段の記憶内容には、コマンドの送信に関連する処理の実行状態を示す状態フラグ(例えば、コマンド送信中フラグ)が含まれ、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後の状態フラグにもとづいてコマンドを再度送信するようにしている。
【0016】
変動データ記憶手段の記憶内容には電力供給が停止したときに実行していた処理を示すプログラムアドレスデータ(例えば、スタック領域に保存されている復帰する処理を示すアドレスデータ)が含まれ、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後のプログラムアドレスデータにもとづいてコマンドを再度送信してもよい。
【0017】
コマンドは複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータ(例えば、MODEデータとEXTデータ)からなり、コマンド再送信手段は送信中だったコマンドデータ(例えば、MODEデータ)のみを再度送信するようにしている。
【0018】
コマンドは、複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータからなり、比較手段はいずれか一つのコマンドデータ(例えば、MODEデータ)相互を比較するようにしている。
【0019】
遊技制御手段は、コマンド再送信手段によってコマンドを再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、電気部品制御手段は、復旧指定コマンドを受信したことに応じて遊技機に設けられた電気部品の制御を再開する。
【0020】
電気部品制御手段は、識別情報の可変表示を行う可変表示装置の制御を行う表示制御手段であり、遊技制御手段および前記表示制御手段は、識別情報の可変表示の実行期間を管理するタイマをそれぞれ備え、前記遊技制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを送信したことに応じて再開し、前記表示制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを受信したことに応じて再開する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機を正面からみた正面図、図2は遊技盤の前面を示す正面図である。なお、以下の実施の形態では、パチンコ遊技機を例に説明を行うが、本発明による遊技機はパチンコ遊技機に限られず、例えば画像式の遊技機やスロット機に適用することもできる。
【0022】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取り付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取り付けられる機構板と、それらに取り付けられる種々の部品(後述する遊技盤を除く。)とを含む構造体である。
【0023】
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4と打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取り付けられている。なお、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0024】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが識別情報としての図柄を可変表示する複数の可変表示部を含む可変表示装置(特別図柄表示装置)9が設けられている。可変表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。可変表示装置9の下方には、始動入賞口14が設けられている。始動入賞口14に入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、始動口スイッチ14aによって検出される。また、始動入賞口14の下部には開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられている。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。
【0025】
可変入賞球装置15の下部には、特定遊技状態(大当り状態)においてソレノイド21によって開状態とされる開閉板20が設けられている。開閉板20は大入賞口を開閉する手段である。開閉板20から遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域)に入った入賞球はV入賞スイッチ22で検出され、開閉板20からの入賞球はカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aも設けられている。また、可変表示装置9の下部には、始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち始動記憶数を表示する4つのLEDによる特別図柄始動記憶表示器(以下、始動記憶表示器という。)18が設けられている。有効始動入賞がある毎に、始動記憶表示器18は点灯するLEDを1増やす。そして、可変表示装置9の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
【0026】
ゲート32に遊技球が入賞しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に右側のランプが点灯すれば当たりとなる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32に入った入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄始動記憶表示器41が設けられている。ゲート32への入賞がある毎に、普通図柄始動記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
【0027】
遊技盤6には、複数の入賞口29,30,33,39が設けられ、遊技球の入賞口29,30,33への入賞は、それぞれ入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aによって検出される。各入賞口29,30,33,39は、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、遊技媒体を受け入れて入賞を許容する始動入賞口14や、大入賞口も、入賞領域を構成する。遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾ランプ25が設けられ、下部には、入賞しなかった打球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾用LEDは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0028】
そして、この例では、左枠ランプ28bの近傍に、賞球残数があるときに点灯する賞球ランプ51が設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ52が設けられている。上記のように、本例のパチンコ遊技機1には、発光体としてのランプやLEDが各所に設けられている。さらに、図1には、パチンコ遊技機1に隣接して設置され、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするカードユニット50も示されている。
【0029】
カードユニット50には、使用可能状態であるか否かを示す使用可表示ランプ151、カード内に記録された残額情報に端数(100円未満の数)が存在する場合にその端数を打球供給皿3の近傍に設けられる度数表示LEDに表示させるための端数表示スイッチ150、カードユニット50がいずれの側のパチンコ遊技機1に対応しているのかを示す連結台方向表示器153、カードユニット50内にカードが投入されていることを示すカード投入表示ランプ154、記録媒体としてのカードが挿入されるカード挿入口155、およびカード挿入口155の裏面に設けられているカードリーダライタの機構を点検する場合にカードユニット50を解放するためのカードユニット錠156が設けられている。
【0030】
打球発射装置から発射された遊技球は、打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。打球が始動入賞口14に入り始動口スイッチ14aで検出されると、図柄の可変表示を開始できる状態であれば、可変表示装置9において特別図柄が可変表示(変動)を始める。図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、始動記憶数を1増やす。
【0031】
可変表示装置9における特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄の組み合わせが大当り図柄(特定表示結果)であると、大当り遊技状態に移行する。すなわち、開閉板20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)の打球が入賞するまで開放する。そして、開閉板20の開放中に打球がV入賞領域に入賞しV入賞スイッチ22で検出されると、継続権が発生し開閉板20の開放が再度行われる。継続権の発生は、所定回数(例えば15ラウンド)許容される。
【0032】
停止時の可変表示装置9における特別図柄の組み合わせが確率変動を伴う大当り図柄(確変図柄)の組み合わせである場合には、次に大当りとなる確率が高くなる。すなわち、確変状態という遊技者にとってさらに有利な状態となる。
【0033】
打球がゲート32に入賞すると、普通図柄表示器10において普通図柄が可変表示される状態になる。また、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)である場合に、可変入賞球装置15が所定時間だけ開状態になる。さらに、確変状態では、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数が高められる。すなわち、可変入賞球装置15の開放時間と開放回数は、普通図柄の停止図柄が当り図柄であったり、特別図柄の停止図柄が確変図柄である場合等に高められ、遊技者にとって不利な状態から有利な状態に変化する。なお、開放回数が高められることは、閉状態から開状態になることも含む概念である。
【0034】
次に、パチンコ遊技機1の裏面の構造について図3および図4を参照して説明する。図3は、遊技機を裏面から見た背面図である。図4は、各種部材が取り付けられた機構板を遊技機背面側から見た背面図である。
【0035】
図3に示すように、遊技機裏面側では、可変表示装置9を制御する図柄制御基板80を含む可変表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31が設置されている。また、球払出制御を行う払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37が設置されている。さらに、遊技盤6に設けられている各種装飾LED、始動記憶表示器18および普通図柄始動記憶表示器41、装飾ランプ25、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52を点灯制御するランプ制御手段が搭載されたランプ制御基板35、スピーカ27からの音発生を制御する音制御手段が搭載された音制御基板70も設けられている。また、また、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5Vを作成する電源回路が搭載された電源基板910や発射制御基板91が設けられている。
【0036】
遊技機裏面において、上方には、各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板160が設置されている。ターミナル基板160には、少なくとも、球切れ検出スイッチの出力を導入して外部出力するための球切れ用端子、賞球個数信号を外部出力するための賞球用端子および球貸し個数信号を外部出力するための球貸し用端子が設けられている。また、中央付近には、主基板31からの各種情報を遊技機外部に出力するための各端子を備えた情報端子基板(情報出力基板)34が設置されている。
【0037】
さらに、各基板(主基板31や払出制御基板37等)に含まれる記憶内容保持手段(例えば、電力供給停止時にもその内容を保持可能なバックアップRAM)に記憶されたバックアップデータをクリアするための操作手段としてのクリアスイッチ921が搭載されたスイッチ基板190が設けられている。スイッチ基板190には、クリアスイッチ921と、主基板31等の他の基板と接続されるコネクタ922が設けられている。
【0038】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レール39を通り、図4に示されるように、カーブ樋186を経て賞球ケース40Aで覆われた球払出装置に至る。球払出装置の上部には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ187が設けられている。球切れスイッチ187が球切れを検出すると、球払出装置の払出動作が停止する。球切れスイッチ187は遊技球通路内の遊技球の有無を検出するスイッチであるが、貯留タンク38内の補給球の不足を検出する球切れ検出スイッチ167も誘導レール39における上流部分(貯留タンク38に近接する部分)に設けられている。球切れ検出スイッチ167が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構から遊技機に対して遊技球の補給が行われる。
【0039】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払い出されて打球供給皿3が満杯になり、ついには遊技球が連絡口45に到達した後さらに遊技球が払い出されると、遊技球は、余剰球通路46を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払い出されると、感知レバー47が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ48を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチ48がオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに発射装置の駆動も停止する。
【0040】
図4に示すように、球払出装置の側方には、カーブ樋186から遊技機下部の排出口192に至る球抜き通路191が形成されている。球抜き通路191の上部には球抜きレバー193が設けられ、球抜きレバー193が遊技店員等によって操作されると、誘導レール39から球抜き通路191への遊技球通路が形成され、貯留タンク38内に貯留されている遊技球は、排出口192から遊技機外に排出される。
【0041】
図5は、球払出装置97の構成例を示す分解斜視図である。この例では、賞球ケース40Aとしての3つのケース140,141,142の内部に球払出装置97が形成されている。ケース140,141の上部には、球切れスイッチ187の下部の球通路と連通する穴170,171が設けられ、遊技球は、穴170,171から球払出装置97に流入する。
【0042】
球払出装置97は駆動源となる払出モータ(例えばステッピングモータ)289を含む。払出モータ289の回転力は、払出モータ289の回転軸に嵌合しているギア290に伝えられ、さらに、ギア290と噛み合うギア291に伝えられる。ギア291の中心軸には、凹部を有するスプロケット292が嵌合している。穴170,171から流入した遊技球は、スプロケット292の凹部によって、スプロケット292の下方の球通路293に1個ずつ落下させられる。
【0043】
球通路293には遊技球の流下路を切り替えるための振分部材311が設けられている。振分部材311はソレノイド310によって駆動され、賞球払出時には、球通路293における一方の流下路を遊技球が流下するように倒れ、球貸し時には球通路293における他方の流下路を遊技球が流下するように倒れる。なお、払出モータ289およびソレノイド310は、払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPUによって制御される。また、払出制御用CPUは、主基板31に搭載されている遊技制御用のCPUからの指令に応じて払出モータ289およびソレノイド310を制御する。
【0044】
賞球払出時に選択される流下路の下方には球払出装置によって払い出された遊技球を検出する賞球センサ(賞球カウントスイッチ)301Aが設けられ、球貸し時に選択される流下路の下方には球払出装置によって払い出された遊技球を検出する球貸しセンサ(球貸しカウントスイッチ)301Bが設けられている。賞球カウントスイッチ301Aの検出信号と球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号は払出制御基板37の払出制御用CPUに入力される。払出制御用CPUは、それらの検出信号にもとづいて、実際に払い出された遊技球の個数を計数する。
【0045】
なお、ギア291の周辺部には、払出モータ位置センサを形成する突起部が形成されている。突起部は、ギア291の回転すなわち払出モータ289の回転に伴って発光体(図示せず)からの光を、払出モータ位置センサの受光部(図示せず)に対して透過させたり遮蔽したりする。払出制御用CPUは、受光部からの検出信号によって払出モータ289の位置を認識することができる。
【0046】
また、球払出装置は、賞球払出と球貸しとを共に行うように構成されていてもよいが、賞球払出を行う球払出装置と球貸しを行う球払出装置が別個に設けられていてもよい。さらに、例えばスプロケットの回転方向を変えて賞球払出と球貸しとを分けるように構成されていてもよいし、本実施の形態において例示する球払出装置97以外のどのような構造の球払出装置を用いても、本発明を適用することができる。
【0047】
図6は、主基板31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図6には、払出制御基板37、ランプ制御基板35、音制御基板70、発射制御基板91および図柄制御基板80も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路53と、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301Aおよびクリアスイッチ921からの信号を基本回路53に与えるスイッチ回路58と、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、開閉板20を開閉するソレノイド21および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aを基本回路53からの指令に従って駆動するソレノイド回路59とが搭載されている。
【0048】
なお、図6には示されていないが、カウントスイッチ短絡信号もスイッチ回路58を介して基本回路53に伝達される。また、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、V入賞スイッチ22、カウントスイッチ23、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a、満タンスイッチ48、球切れスイッチ187、賞球カウントスイッチ301A等のスイッチは、センサと称されているものでもよい。すなわち、遊技球を検出できる遊技媒体検出手段(この例では遊技球検出手段)であれば、その名称を問わない。特に、入賞検出を行う始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23、および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの各スイッチは、入賞検出手段でもある。なお、入賞検出手段は、複数の入賞口に別個に入賞したそれぞれの遊技球をまとめて検出するものであってもよい。また、ゲートスイッチ32aのような通過ゲートであっても、賞球の払い出しが行われるものであれば、通過ゲートへ遊技球が進入することが入賞となり、通過ゲートに設けられているスイッチ(例えばゲートスイッチ32a)が入賞検出手段となる。
【0049】
また、基本回路53から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示装置9における図柄の可変表示開始に利用された始動入賞球の個数を示す有効始動情報、確率変動が生じたことを示す確変情報等の情報出力信号をホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64が搭載されている。
【0050】
基本回路53は、ゲーム制御用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する手段)としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施の形態では、ROM54,RAM55はCPU56に内蔵されている。すなわち、CPU56は、1チップマイクロコンピュータである。なお、1チップマイクロコンピュータは、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
【0051】
また、RAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)55の一部または全部が、電源基板910において作成されるバックアップ電源よってバックアップされているバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。
【0052】
遊技球を打撃して発射する打球発射装置は発射制御基板91上の回路によって制御される駆動モータ94で駆動される。そして、駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。すなわち、発射制御基板91上の回路によって、操作ノブ5の操作量に応じた速度で打球が発射されるように制御される。
【0053】
なお、この実施の形態では、ランプ制御基板35に搭載されているランプ制御手段が、遊技盤に設けられている始動記憶表示器18、普通図柄始動記憶表示器41および装飾ランプ25の表示制御を行うとともに、枠側に設けられている天枠ランプ28a、左枠ランプ28b、右枠ランプ28c、賞球ランプ51および球切れランプ52の表示制御を行う。また、特別図柄を可変表示する可変表示装置9および普通図柄を可変表示する普通図柄表示器10の表示制御は、図柄制御基板80に搭載されている表示制御手段によって行われる。
【0054】
図7は、払出制御基板37および球払出装置97の構成要素などの払出に関連する構成要素を示すブロック図である。図7に示すように、満タンスイッチ48からの検出信号は、中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。また、球切れスイッチ187からの検出信号も、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力される。
【0055】
主基板31のCPU56は、球切れスイッチ187からの検出信号が球切れ状態を示しているか、または、満タンスイッチ48からの検出信号が満タン状態を示していると、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを送出する。払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドを受信すると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は球払出処理を停止する。
【0056】
さらに、賞球カウントスイッチ301Aからの検出信号は、中継基板72および中継基板71を介して主基板31のI/Oポート部57に入力されるとともに、中継基板72を介して払出制御基板37の入力ポート372bに入力される。賞球カウントスイッチ301Aは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された賞球払出球を検出する。
【0057】
入賞があると、払出制御基板37には、主基板31の出力ポート(ポート0,1)570,571から賞球個数を示す払出制御コマンドが入力される。出力ポート(出力ポート1)571は8ビットのデータを出力し、出力ポート570は1ビットのINT信号を出力する。賞球個数を示す払出制御コマンドは、入力バッファ回路373Aを介してI/Oポート372aに入力される。INT信号は、入力バッファ回路373Bを介して払出制御用CPU371の割込端子に入力されている。払出制御用CPU371は、I/Oポート372aを介して払出制御コマンドを入力し、払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動して賞球払出を行う。なお、この実施の形態では、払出制御用CPU371は、1チップマイクロコンピュータであり、少なくともRAMが内蔵されている。
【0058】
また、主基板31において、出力ポート570,571の外側にバッファ回路620,68Aが設けられている。バッファ回路620,68Aとして、例えば、汎用のCMOS−ICである74HC250,74HC14が用いられる。このような構成によれば、外部から主基板31の内部に入力される信号が阻止されるので、払出制御基板37から主基板31に信号が与えられる可能性がある信号ラインをさらに確実になくすことができる。なお、バッファ回路620,68Aの出力側にノイズフィルタを設けてもよい。
【0059】
払出制御用CPU371は、出力ポート372cを介して、貸し球数を示す球貸し個数信号をターミナル基板160に出力する。さらに、出力ポート372dを介して、エラー表示用LED374にエラー信号を出力する。
【0060】
さらに、払出制御基板37の入力ポート372bには、中継基板72を介して、球貸しカウントスイッチ301B、および払出モータ289の回転位置を検出するための払出モータ位置センサからの検出信号が入力される。球貸しカウントスイッチ301Bは、球払出装置97の払出機構部分に設けられ、実際に払い出された貸し球を検出する。払出制御基板37からの払出モータ289への駆動信号は、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に伝えられ、振分ソレノイド310への駆動信号は、出力ポート372eおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における振分ソレノイド310に伝えられる。また、クリアスイッチ921の出力も、入力ポート372bに入力される。
【0061】
カードユニット50には、カードユニット制御用マイクロコンピュータが搭載されている。また、カードユニット50には、端数表示スイッチ152、連結台方向表示器153、カード投入表示ランプ154およびカード挿入口155が設けられている(図1参照)。残高表示基板74には、打球供給皿3の近傍に設けられている度数表示LED、球貸しスイッチおよび返却スイッチが接続される。
【0062】
残高表示基板74からカードユニット50には、遊技者の操作に応じて、球貸しスイッチ信号および返却スイッチ信号が払出制御基板37を介して与えられる。また、カードユニット50から残高表示基板74には、プリペイドカードの残高を示すカード残高表示信号および球貸し可表示信号が払出制御基板37を介して与えられる。カードユニット50と払出制御基板37の間では、接続信号(VL信号)、ユニット操作信号(BRDY信号)、球貸し要求信号(BRQ信号)、球貸し完了信号(EXS信号)およびパチンコ機動作信号(PRDY信号)が入力ポート372bおよび出力ポート372eを介してやりとりされる。
【0063】
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50にPRDY信号を出力する。また、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、VL信号を出力する。払出制御用CPU371は、VL信号の入力状態により接続状態/未接続状態を判定する。カードユニット50においてカードが受け付けられ、球貸しスイッチが操作され球貸しスイッチ信号が入力されると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRDY信号を出力する。この時点から所定の遅延時間が経過すると、カードユニット制御用マイクロコンピュータは、払出制御基板37にBRQ信号を出力する。
【0064】
そして、払出制御基板37の払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち上げ、カードユニット50からのBRQ信号の立ち下がりを検出すると、払出モータ289を駆動し、所定個の貸し球を遊技者に払い出す。このとき、振分ソレノイド310は駆動状態とされている。すなわち、球振分部材311を球貸し側に向ける。そして、払出が完了したら、払出制御用CPU371は、カードユニット50に対するEXS信号を立ち下げる。その後、カードユニット50からのBRDY信号がオン状態でなければ、賞球払出制御を実行する。
【0065】
以上のように、カードユニット50からの信号は全て払出制御基板37に入力される構成になっている。従って、球貸し制御に関して、カードユニット50から主基板31に信号が入力されることはなく、主基板31の基本回路53にカードユニット50の側から不正に信号が入力される余地はない。また、カードユニット50で用いられる電源電圧AC24Vは払出制御基板37から供給される。
【0066】
この実施の形態では、電源基板910から払出制御基板37に対して電源断信号も入力される。電源断信号は、払出制御用CPU371のマスク不能割込(NMI)端子に入力される。さらに、払出制御基板37に存在するRAM(CPU内蔵RAMであってもよい。)の少なくとも一部は、電源基板910において作成されるバックアップ電源によって、バックアップされている。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間は、RAMの少なくとも一部の内容は保存される。
【0067】
なお、この実施の形態では、カードユニット50が遊技機とは別体として遊技機に隣接して設置されている場合を例にするが、カードユニット50は遊技機と一体化されていてもよい。また、コイン投入に応じてその金額に応じた遊技球が貸し出されるような場合でも本発明を適用できる。
【0068】
図8は、電源基板910の一構成例を示すブロック図である。電源基板910は、主基板31、図柄制御基板80、音制御基板70、ランプ制御基板35および払出制御基板37等の電気部品制御基板と独立して設置され、遊技機内の各電気部品制御基板および機構部品が使用する電圧を生成する。この例では、AC24V、VSL(DC+30V)、DC+21V、DC+12VおよびDC+5Vを生成する。また、バックアップ電源すなわち記憶保持手段となるコンデンサ916は、DC+5Vすなわち各基板上のIC等を駆動する電源のラインから充電される。なお、VSLは、整流回路912において、整流素子でAC24Vを整流昇圧することによって生成される。VSLは、ソレノイド駆動電源となる。
【0069】
トランス911は、交流電源からの交流電圧を24Vに変換する。AC24V電圧は、コネクタ915に出力される。また、整流回路912は、AC24Vから+30Vの直流電圧を生成し、DC−DCコンバータ913およびコネクタ915に出力する。DC−DCコンバータ913は、1つまたは複数のコンバータIC922(図8では1つのみを示す。)を有し、VSLにもとづいて+21V、+12Vおよび+5Vを生成してコネクタ915に出力する。コンバータIC922の入力側には、比較的大容量のコンデンサ923が接続されている。従って、外部からの遊技機に対する電力供給が停止したときに、+30V、+12V、+5V等の直流電圧は、比較的緩やかに低下する。コネクタ915は例えば中継基板に接続され、中継基板から各電気部品制御基板および機構部品に必要な電圧の電力が供給される。
【0070】
ただし、電源基板910に各電気部品制御基板に至る各コネクタを設け、電源基板910から、中継基板を介さずにそれぞれの基板に至る各電圧を供給するようにしてもよい。また、図8には1つのコネクタ915が代表して示されているが、コネクタは、各電気部品制御基板対応に設けられている。
【0071】
DC−DCコンバータ913からの+5Vラインは分岐してバックアップ+5Vラインを形成する。バックアップ+5Vラインとグラウンドレベルとの間には大容量のコンデンサ916が接続されている。コンデンサ916は、遊技機に対する電力供給が停止したときの電気部品制御基板のバックアップRAM(電源バックアップされているRAMすなわち電力供給停止時にも記憶内容保持状態となりうるバックアップ記憶手段)に対して記憶状態を保持できるように電力を供給するバックアップ電源となる。また、+5Vラインとバックアップ+5Vラインとの間に、逆流防止用のダイオード917が挿入される。なお、この実施の形態では、バックアップ用の+5Vは、主基板31および払出制御基板37に供給される。
【0072】
また、電源基板910には、電源監視回路としての電源監視用IC902が搭載されている。電源監視用IC902は、VSL電圧を導入し、VSL電圧を監視することによって遊技機への電力供給停止の発生を検出する。具体的には、VSL電圧が所定値(この例では+22V)以下になったら、電力供給の停止が生ずるとして電源断信号を出力する。なお、監視対象の電源電圧は、各電気部品制御基板に搭載されている回路素子の電源電圧(この例では+5V)よりも高い電圧であることが好ましい。この例では、交流から直流に変換された直後の電圧であるVSLが用いられている。電源監視用IC902からの電源断信号は、主基板31や払出制御基板37等に供給される。
【0073】
電源監視用IC902が電力供給の停止を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、各電気部品制御基板上のCPUが暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、電源監視用IC902が、CPU等の回路素子を駆動するための電圧(この例では+5V)よりも高く、また、交流から直流に変換された直後の電圧を監視するように構成されているので、CPUが必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。さらに、監視電圧としてVSL(+30V)を用いる場合には、遊技機の各種スイッチに供給される電圧が+12Vであることから、電源瞬断時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる。すなわち、+30V電源の電圧を監視すると、+30V作成の以降に作られる+12Vが落ち始める以前の段階でそれの低下を検出できる。
【0074】
+12V電源の電圧が低下するとスイッチ出力がオン状態を呈するようになるが、+12Vより早く低下する+30V電源電圧を監視して電力供給の停止を認識すれば、スイッチ出力がオン状態を呈する前に電力供給回復待ちの状態に入ってスイッチ出力を検出しない状態となることができる。
【0075】
また、電源監視用IC902は、電気部品制御基板とは別個の電源基板910に搭載されているので、電源監視回路から複数の電気部品制御基板に電源断信号を供給することができる。電源断信号を必要とする電気部品制御基板が幾つあっても電源監視手段は1つ設けられていればよいので、各電気部品制御基板における各電気部品制御手段が後述する復旧制御を行っても、遊技機のコストはさほど上昇しない。
【0076】
なお、図8に示された構成では、電源監視用IC902の検出信号(電源断信号)は、バッファ回路918,919を介してそれぞれの電気部品制御基板(例えば主基板31と払出制御基板37)に伝達されるが、例えば、1つの検出信号を中継基板に伝達し、中継基板から各電気部品制御基板に同じ信号を分配する構成でもよい。また、電源断信号を必要とする基板数に応じたバッファ回路を設けてもよい。さらに、主基板31と払出制御基板37とに出力される電源断信号について、電源断信号を出力することになる電源監視回路の監視電圧を異ならせてもよい。
【0077】
図9は、主基板31におけるCPU56周りの一構成例を示すブロック図である。図9に示すように、電源基板910の電源監視回路(電源監視手段;第1の電源監視手段)からの電源断信号が、CPU56のマスク不能割込端子(XNMI端子)に接続されている。従って、CPU56は、マスク不能割込(NMI)処理によって遊技機への電力供給の停止の発生を確認することができる。
【0078】
図9には、システムリセット回路65も示されている。リセットIC651は、電源投入時に、外付けのコンデンサの容量で決まる所定時間だけ出力をローレベルとし、所定時間が経過すると出力をハイレベルにする。すなわち、リセット信号をハイレベルに立ち上げてCPU56を動作可能状態にする。また、リセットIC651は、電源監視回路が監視する電源電圧と等しい電源電圧であるVSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値(電源監視回路が電源断信号を出力する電源電圧値よりも低い値)以下になると出力をローレベルにする。従って、CPU56は、電源監視回路からの電源断信号に応じて所定の電力供給停止時処理を行った後、システムリセットされる(すなわち、システムの最初の状態に戻される)。
【0079】
図9に示すように、リセットIC651からのリセット信号は、NAND回路947に入力されるとともに、反転回路(NOT回路)944を介してカウンタIC941のクリア端子に入力される。カウンタIC941は、クリア端子への入力がローレベルになると、発振器943からのクロック信号をカウントする。そして、カウンタIC941のQ5出力がNOT回路945,946を介してNAND回路947に入力される。また、カウンタIC941のQ6出力は、フリップフロップ(FF)942のクロック端子に入力される。フリップフロップ942のD入力はハイレベルに固定され、Q出力は論理和回路(OR回路)949に入力される。OR回路949の他方の入力には、NAND回路947の出力がNOT回路948を介して導入される。そして、OR回路949の出力がCPU56のリセット端子に接続されている。このような構成によれば、電源投入時に、CPU56のリセット端子に2回のリセット信号(ローレベル信号)が与えられるので、CPU56は、確実に動作を開始する。
【0080】
そして、例えば、電源監視回路の検出電圧(電源断信号を出力することになる電圧)を+22Vとし、リセット信号をローレベルにするための検出電圧を+9Vとする。そのように構成した場合には、電源監視回路とシステムリセット回路65とが、同一の電源VSLの電圧を監視するので、電圧監視回路が電源断信号を出力するタイミングとシステムリセット回路65がシステムリセット信号を出力するタイミングの差を所望の所定期間に確実に設定することができる。所望の所定期間とは、電源監視回路からの電源断信号に応じて電力供給停止時処理を開始してから電力供給停止時処理が確実に完了するまでの期間である。
【0081】
なお、電源監視回路とシステムリセット回路65とが監視する電源の電圧は異なっていてもよい。また、システムリセット回路65は、第2の電源監視手段に相当する。
【0082】
CPU56等の駆動電源である+5V電源から電力が供給されていない間、RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源によってバックアップされ、遊技機に対する電力供給が停止しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、システムリセット回路65からリセット信号が発せられるので、CPU56は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップRAMに保存されているので、停電等からの復旧時に停電等の発生時の遊技状態に復旧させることができる。
【0083】
なお、図9に示す構成では、電源投入時にCPU56のリセット端子に2回のリセット信号(ローレベル信号)が与えられるが、リセット信号の立ち上がりタイミングが1回しかなくても確実にリセット解除されるCPUを使用する場合には、符号941〜949で示された回路素子は不要である。その場合、リセットIC651の出力がそのままCPU56のリセット端子に接続される。
【0084】
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。PIOは、PB0〜PB3の4ビットおよびPA0〜PA7の1バイトのポートを有する。PB0〜PB3およびPA0〜PA7のポートは、入力/出力いずれにも設定できる。
【0085】
図10および図11は、この実施の形態における出力ポートの割り当てを示す説明図である。図10に示すように、出力ポート0は各電気部品制御基板に送出される制御コマンドのINT信号の出力ポートである。また、払出制御基板37に送出される払出制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート1から出力され、図柄制御基板80に送出される表示制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート2から出力され、ランプ制御基板35に送出されるランプ制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート3から出力される。そして、図11に示すように、音制御基板70に送出される音制御コマンドの8ビットのデータは出力ポート4から出力される。
【0086】
また、出力ポート5から、情報出力回路64を介して情報端子板34やターミナル基板160に至る各種情報出力用信号すなわち制御に関わる情報の出力データが出力される。そして、出力ポート6から、可変入賞球装置15を開閉するためのソレノイド16、大入賞口の開閉板2を開閉するためのソレノイド21、および大入賞口内の経路を切り換えるためのソレノイド21Aに対する駆動信号が出力される。
【0087】
図11に示すように、払出制御基板37、図柄制御基板80、ランプ制御基板35および音制御基板70に対して出力される各INT信号(払出制御信号INT、表示制御信号INT、ランプ制御信号INTおよび音声制御信号INT)を出力する出力ポート(出力ポート0)と、払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7および音声制御信号CD0〜CD7を出力する出力ポート(出力ポート1〜4)とは、別ポートである。
【0088】
従って、INT信号を出力する際に、誤って払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7および音声制御信号CD0〜CD7を変化させてしまう可能性が低減する。また、払出制御信号CD0〜CD7、表示制御信号CD0〜CD7、ランプ制御信号CD0〜CD7または音声制御信号CD0〜CD7を出力する際に、誤ってINT信号を変化させてしまう可能性が低減する。その結果、主基板31の遊技制御手段から各電気部品制御基板に対するコマンドは、より確実に送出されることになる。さらに、各INT信号は、全て出力ポート0から出力されるように構成されているので、遊技制御手段のINT信号出力処理の負担が軽減される。
【0089】
次に遊技機の動作について説明する。図12は、主基板31における遊技制御手段(CPU56およびROM,RAM等の周辺回路)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され、リセット端子の入力レベルがハイレベルになると、CPU56は、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
【0090】
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスレジスタの初期化を行う(ステップS4)。また、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化(ステップS5)を行った後、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS6)。
【0091】
この実施の形態で用いられるCPU56は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)も内蔵している。また、CTCは、2本の外部クロック/タイマトリガ入力CLK/TRG2,3と2本のタイマ出力ZC/TO0,1を備えている。
【0092】
この実施の形態で用いられているCPU56には、マスク可能な割込のモードとして以下の3種類のモードが用意されている。なお、マスク可能な割込が発生すると、CPU56は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
【0093】
割込モード0:割込要求を行った内蔵デバイスがRST命令(1バイト)またはCALL命令(3バイト)をCPUの内部データバス上に送出する。よって、CPU56は、RST命令に対応したアドレスまたはCALL命令で指定されるアドレスの命令を実行する。リセット時に、CPU56は自動的に割込モード0になる。よって、割込モード1または割込モード2に設定したい場合には、初期設定処理において、割込モード1または割込モード2に設定するための処理を行う必要がある。
【0094】
割込モード1:割込が受け付けられると、常に0038(h)番地に飛ぶモードである。
【0095】
割込モード2:CPU56の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。すなわち、割込番地は、上位アドレスが特定レジスタの値とされ下位アドレスが割込ベクタとされた2バイトで示されるアドレスである。従って、任意の(飛び飛びではあるが)偶数番地に割込処理を設置することができる。各内蔵デバイスは割込要求を行うときに割込ベクタを送出する機能を有している。
【0096】
よって、割込モード2に設定されると、各内蔵デバイスからの割込要求を容易に処理することが可能になり、また、プログラムにおける任意の位置に割込処理を設置することが可能になる。さらに、割込モード1とは異なり、割込発生要因毎のそれぞれの割込処理を用意しておくことも容易である。上述したように、この実施の形態では、初期設定処理のステップS2において、CPU56は割込モード2に設定される。
【0097】
次いで、CPU56は、入力ポート1を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS7)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理を実行する(ステップS11〜ステップS15)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート1では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである。また、例えば、遊技店員は、クリアスイッチ921をオン状態にしながら遊技機に対する電力供給を開始することによって、容易に初期化処理を実行させることができる。すなわち、RAMクリア等を行うことができる。
【0098】
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS8)。この実施の形態では、電力供給の停止が生じた場合には、バックアップRAM領域のデータを保護するための処理が行われている。そのような保護処理が行われていた場合をバックアップありとする。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。
【0099】
この実施の形態では、バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。この例では、図13に示すように、バックアップフラグ領域に「55H」が設定されていればバックアップあり(オン状態)を意味し、「55H」以外の値が設定されていればバックアップなし(オフ状態)を意味する。
【00100】
バックアップありを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップS9)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象となるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムとする。
【0101】
電力供給停止時処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはバックアップRAM領域に保存されている。ステップS9では、算出したチェックサムと保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0102】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と表示制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理を行う(ステップS10)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の退避値がPCに設定され、そのアドレスに復帰する。
【0103】
このように、バックアップフラグとチェックサム等のチェックデータとを用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認することによって、遊技状態を電力供給停止時の状態に正確に戻すことができる。すなわち、バックアップRAM領域のデータにもとづく状態復旧処理の確実性が向上する。なお、この実施の形態では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否かを確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
【0104】
また、バックアップフラグの状態によって「バックアップあり」が確認されなかった場合には、後述する遊技状態復旧処理を行うことなく後述する初期化処理を行うようにしているので、バックアップデータが存在しないのにもかかわらず遊技状態復旧処理が実行されてしまうことを防止することができ、初期化処理によって制御状態を初期状態に戻すことが可能となる。
【0105】
さらに、チェックデータを用いたチェック結果が正常でなかった場合には、後述する遊技状態復旧処理を行うことなく後述する初期化処理を行うようにしているので、電力供給停止時とは異なる内容となってしまっているバックアップデータにもとづいて遊技状態復旧処理が実行されてしまうことを防止することができ、初期化処理によって制御状態を初期状態に戻すことが可能となる。
【0106】
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS11)。また、所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグ)に初期値を設定する作業領域設定処理を行う(ステップS12)。さらに、球払出装置97からの払出が可能であることを指示する払出許可状態指定コマンド(以下、払出可能状態指定コマンドという。)を払出制御基板37に対して送信する処理を行う(ステップS13)。また、他のサブ基板(ランプ制御基板35、音制御基板70、図柄制御基板80)を初期化するための初期化コマンドを各サブ基板に送信する処理を実行する(ステップS14)。初期化コマンドとして、可変表示装置9に表示される初期図柄を示すコマンド(図柄制御基板80に対して)や賞球ランプ51および球切れランプ52の消灯を指示するコマンド(ランプ制御基板35に対して)等がある。
【0107】
初期化処理では、払出制御基板37に対して常に払出可能状態指定コマンドが送信される。仮に、遊技機の状態が球払出装置97からの払出が可能でない状態であったとしても、直後に実行される遊技制御処理において、その旨が検出され、払出が可能でない状態であることを指示する払出禁止状態指定コマンド(以下、払出停止状態指定コマンドという。)が送信されるので問題はない。なお、払出可能状態指定コマンドおよび他のサブ基板に対する初期化コマンドの送信処理において、例えば、各コマンドが設定されているテーブル(ROM領域)のアドレスをポインタにセットし、後述するコマンドセット処理(図35参照)のような処理ルーチンをコールすればよい。
【0108】
そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるようにCPU56に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS15)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0109】
初期化処理の実行(ステップS11〜S15)が完了すると、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)が繰り返し実行される。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされ(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態とされる(ステップS19)。表示用乱数とは、可変表示装置9に表示される図柄を決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、大当りとするか否かを決定するための乱数を発生するためのカウンタ(大当り決定用乱数発生カウンタ)等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技制御処理において、大当り決定用乱数発生カウンタのカウント値が1周すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0110】
なお、表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態とされるのは、表示用乱数更新処理が後述するタイマ割込処理でも実行されることから、タイマ割込処理における処理と競合してしまうのを避けるためである。すなわち、ステップS17の処理中にタイマ割込が発生してタイマ割込処理中で表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新してしまったのでは、カウント値の連続性が損なわれる場合がある。しかし、ステップS17の処理中では割込禁止状態にしておけば、そのような不都合が生ずることはない。
【0111】
図14は、遊技状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。遊技状態復旧処理において、CPU56は、まず、スタックポインタの復帰処理を行う(ステップS81)。スタックポインタの値は、後で詳述する電力供給停止時処理において、所定のRAMエリア(電源バックアップされている作業領域におけるスタックポインタ退避バッファ)に退避している。よって、ステップS81では、そのRAMエリアの値をスタックポインタに設定することによって復帰させる。なお、復帰されたスタックポインタが指す領域(すなわちスタック領域)には、電力供給が停止したときのレジスタ値やプログラムカウンタ(PC)の値が退避している。
【0112】
次いで、CPU56は、払出停止状態であったか否か確認する(ステップS82)。払出停止状態であったか否かは、電源バックアップされているRAMエリアに保存されている所定の作業領域(例えば、普通図柄判定用乱数カウンタ、普通図柄判定用バッファ、特別図柄左中右図柄バッファ、特別図柄プロセスフラグ、払出コマンド格納ポインタ、賞球中フラグ、球切れフラグ、払出停止フラグなど)における払出状態データとしての払出停止フラグによって確認される。払出停止状態であった場合には、払出制御基板37に搭載されている払出制御手段に対して、払出の停止を指示する払出制御コマンド(払出停止状態指定コマンド)を送信する(ステップS83)。払出停止状態でなかった場合には、払出制御手段に対して払出が可能であることを指示する払出制御コマンド(払出可能状態指定コマンド)を送信する(ステップS84)。
【0113】
補給球の不足や余剰球受皿4の満タンについて払出制御手段は認識できないので、遊技制御手段から通知しないと、停電等からの復旧時に、補給球の不足や余剰球受皿4の満タンであるにもかかわらず遊技球の払出処理を開始してしまうおそれがある。しかし、この実施の形態では、遊技状態復旧処理において、払出の停止を指示する払出制御コマンドまたは払出が可能であること指示する払出制御コマンドが送信されるので、払出制御手段が、補給球の不足や余剰球受皿4の満タンであるにもかかわらず遊技球の払出処理を開始してしまうことはない。
【0114】
なお、ここでは、遊技媒体の払い出しが可能であるか否かを判定する払出状態判定手段(遊技制御手段の一部)が払出可能でないことを検出したら、原因の如何に関わらず、1種類の払出停止状態指定コマンド(すなわち、本例では、払出停止状態指定コマンドは、払い出しを禁止する複数種類の条件のうちのどの条件が成立した場合であっても、共通して用いられるコマンドとされている。)が送信されるようにしたが、原因別のコマンド(この例では、補給球の不足を示すコマンドと下皿満タンを示すコマンド)に分けて送信してもよい。さらに、遊技球の払出が可能でない場合に、遊技の継続を禁止するために遊技球の発射を禁止することを指示するコマンドを払出制御基板37に対して送信してもよい。払出制御基板37に搭載された払出制御手段は、遊技球の発射を禁止することを指示するコマンドを受信したら、打球発射装置の駆動を停止する。また、遊技球の払出が可能でない場合に、遊技制御手段が発射制御手段に対して、直接、遊技球の発射を禁止することを指示する信号を与えてもよい。また、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信した場合に、打球発射装置の駆動を停止するようにしてもよい。
【0115】
また、CPU56は、電力供給が停止したときの可変表示装置9における特別図柄の表示状態に応じて、その表示状態を復旧させるための表示制御コマンドを送信する(ステップS85)。
【0116】
次いで、CPU56は、コマンド送信中フラグがオンしているか否か確認する(ステップS86)。すなわち、電源供給が停止したときにコマンドの送信中であったか否かを確認する。コマンド送信中フラグは、電源バックアップされているRAMエリアの所定の領域に保存されている。なお、コマンド送信中フラグは、後述するコマンド送信処理(図33参照)にて、コマンドの送信処理の実行中にセットされ、コマンドの送信処理を終えたときにリセットされるフラグである。コマンド送信中フラグがオンであれば、CPU56は、コマンド送信中フラグをリセットする(ステップS87)。そして、CPU56は、スタック領域における復帰アドレス(NMIによる電力供給停止時処理によって退避されたアドレス)を示す値を、後述するコマンド送信処理の最初のアドレスを示す値にセットする(ステップS88)。
【0117】
その後、CPU56は、バックアップフラグをクリアする(ステップS91)すなわち、前回の電力供給停止時に所定の記憶保護処理が実行されたことを示すフラグをリセットする。よって、制御状態の復旧後に不必要な情報が残存しないようにすることができる。また、スタック領域から各種レジスタの退避値を読み出して、各種レジスタ(IXレジスタ、HLレジスタ、DEレジスタ、BCレジスタ)に設定する(ステップS92)。すなわち、レジスタ復元処理を行う。なお、各レジスタが復元させる毎に、スタックポインタの値が減らされる。すなわち、スタックポインタの値が、スタック領域の1つ前のアドレスを指すように更新される。そして、パリティフラグがオンしていない場合には割込許可状態にする(ステップS93,S94)。最後に、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタック領域から復元する(ステップS95)。
【0118】
そして、RET命令が実行される。RET命令が実行されるときには、CPU56は、スタックポインタが指す領域に格納されているデータをプログラムカウンタに設定することによってプログラムのリターン動作を実現する。ただし、ここでのリターン先は、遊技状態復旧処理をコールした部分ではない。なぜなら、ステップS81においてスタックポインタの復帰処理がなされ、ステップS92でレジスタの復元処理が終了した後では、スタック領域を指すスタックポインタは、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行されていたプログラムのアドレスが退避している領域を指している。すなわち、復帰されたスタックポインタが指すスタック領域に格納されているリターンアドレスは、プログラムにおける前回の電力供給停止時にNMIが発生したアドレスである。従って、ステップS95の次のRET命令によって、電力供給停止時にNMIが発生したアドレスにリターンする。
【0119】
なお、ステップS88にてスタック領域における復帰アドレスを示す値がコマンド送信処理の最初のアドレスを示す値に変更されていた場合には、ステップS92でレジスタの復元処理が終了した後では、スタック領域を指すスタックポインタは、ステップS88にて書き換えられたコマンド送信処理のプログラムの最初を示すアドレスが退避している領域を指していることになる。従って、ステップS95の次のRET命令によって、コマンド送信処理が開始されるときのアドレスにリターンする。
【0120】
すなわち、本例では、スタック領域に退避されていたアドレスデータ(プログラムアドレスデータ)にもとづいて復旧制御が実行されている。
【0121】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、レジスタの退避処理(ステップS20)を行った後、図15に示すステップS21〜S32の遊技制御処理を実行する。遊技制御処理において、CPU56は、まず、スイッチ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23および入賞口スイッチ29a,30a,33a,39a等のスイッチの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0122】
次いで、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断処理が行われ、その結果に応じて必要ならば警報が発せられる(エラー処理:ステップS22)。
【0123】
次に、遊技制御に用いられる大当り判定用の乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS23)。CPU56は、さらに、表示用乱数および初期値用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(ステップS24,S25)。
【0124】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス制御では、遊技状態に応じてパチンコ遊技機1を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。また、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
【0125】
次いで、CPU56は、特別図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(特別図柄コマンド制御処理:ステップS28)。また、普通図柄に関する表示制御コマンドをRAM55の所定の領域に設定して表示制御コマンドを送出する処理を行う(普通図柄コマンド制御処理:ステップS29)。
【0126】
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS30)。
【0127】
また、CPU56は、所定の条件が成立したときにソレノイド回路59に駆動指令を行う(ステップS31)。可変入賞球装置15または開閉板20を開状態または閉状態としたり、大入賞口内の遊技球通路を切り替えたりするために、ソレノイド回路59は、駆動指令に応じてソレノイド16,21,21Aを駆動する。
【0128】
そして、CPU56は、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS32)。具体的には、入賞口スイッチ29a,30a,33a,39aがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に賞球個数を示す払出制御コマンドを出力する。払出制御基板37に搭載されている払出制御用CPU371は、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。その後、レジスタの内容を復帰させ(ステップS33)、割込許可状態に設定する(ステップS34)。
【0129】
以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、この実施の形態では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0130】
図16,図17は、電源基板910からの電源断信号に応じて実行されるマスク不能割込処理(電力供給停止時処理)の処理例を示すフローチャートである。マスク不能割込が発生すると、CPU56に内蔵されている割込制御機構は、マスク不能割込発生時に実行されていたプログラムのアドレス(具体的には実行完了後の次のアドレス)を、スタックポインタが指すスタック領域に退避させるとともに、スタックポインタの値を増やす。すなわち、スタックポインタの値がスタック領域の次のアドレスを指すように更新する。
【0131】
電力供給停止時処理において、CPU56は、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタックポインタが指すスタック領域に退避する(ステップS51)。このとき、スタックポインタの値が、スタック領域の次のアドレスを指すように更新される。また、割込フラグをパリティフラグにコピーする(ステップS52)。パリティフラグはバックアップRAM領域に形成されている。割込フラグは、割込許可状態であるのか割込禁止状態であるのかを示すフラグであって、CPU56が内蔵する制御レジスタ中にある。割込フラグのオン状態が割込禁止状態であることを示す。上述したように、パリティフラグは遊技状態復旧処理で参照される。そして、遊技状態復旧処理において、パリティフラグがオン状態であれば、割込許可状態には設定されない。
【0132】
また、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタおよびIXレジスタをスタックポインタが指すスタック領域に退避する(ステップS54〜57)。この段階で、スタック領域には、マスク不能割込発生時に実行されていたプログラムのアドレス、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタおよびIXレジスタの各値が順に格納されたことになる。なお、各レジスタが退避される毎に、スタックポインタの値が、スタック領域の次のアドレスを指すように更新される。また、スタックポインタの値を作業領域における所定の領域(スタックポインタ退避バッファ)に退避する(ステップS58)。
【0133】
次に、バックアップあり指定値(この例では「55H」)をバックアップフラグにストアする。バックアップフラグはバックアップRAM領域に形成されている。次いで、パリティデータを作成する(ステップS60〜S67)。すなわち、まず、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし(ステップS60)、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする(ステップS61)。また、チェックサム算出回数をセットする(ステップS62)。
【0134】
そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する(ステップS63)。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに(ステップS64)、ポインタの値を1増やし(ステップS65)、チェックサム算出回数の値を1減算する(ステップS66)。ステップS63〜S66の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される(ステップS67)。
【0135】
チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU56は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転する(ステップS68)。そして、反転後のデータをチェックサムデータエリアにストアする(ステップS69)。このデータが、電源投入時にチェックされるパリティデータとなる。次いで、RAMアクセスレジスタにアクセス禁止値を設定する(ステップS70)。以後、内蔵RAM55のアクセスができなくなる。従って、電圧低下に伴ってプログラムの暴走が生じても、RAMの記憶内容が破壊されるようなことはない。
【0136】
さらに、CPU56は、クリアデータ(00)を適当なレジスタにセットし(ステップS71)、処理数(この例では「7」)を別のレジスタにセットする(ステップS72)。また、出力ポート0のアドレスをIOポインタに設定する(ステップS73)。IOポインタとして、さらに別のレジスタが用いられる。
【0137】
そして、IOポインタが指すアドレスにクリアデータをセットするとともに(ステップS74)、IOポインタの値を1増やし(ステップS75)、処理数の値を1減算する(ステップS77)。ステップS74〜S76の処理が、処理数の値が0になるまで繰り返される。その結果、全ての出力ポート0〜6(図10および図11参照)にクリアデータが設定される。図10および図11に示すように、この例では、「1」がオン状態であり、クリアデータである「00」が各出力ポートにセットされるので、全ての出力ポートがオフ状態になる。従って、出力信号がクリアされる。すなわち、電気部品制御手段に送信される各制御コマンドの出力状態(出力ポート0〜4の状態)、外部出力される制御状態に関連する信号の状態(出力ポート5の状態)、および可変入賞装置等の電気部品を駆動する電気的駆動源(この例ではソレノイド)に対する駆動信号の状態(出力ポート6の状態)は、全てクリアされる。
【0138】
従って、遊技状態を保存するための処理(この例では、チェックサムの生成およびRAMアクセス防止)が実行された後、各出力ポートは直ちにオフ状態になる。なお、この実施の形態では、遊技制御処理において用いられるデータが格納されるRAM領域は全て電源バックアップされている。従って、その内容が正しく保存されているか否かを示すチェックサムの生成処理、およびその内容を書き換えないようにするためのRAMアクセス防止処理が、遊技状態を保存するための処理に相当する。また、各出力ポートをオフ状態にすることによって、電気部品の作動を停止させるためのクリア信号を出力する処理が実行されたことになる。
【0139】
遊技状態を保存するための処理が実行された後、直ちに各出力ポートがオフ状態になるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。つまり、パチンコ遊技機のように可変入賞球装置を有している遊技機において、実装の関係上、可変入賞球装置における可変入賞口の位置と入賞を検出する入賞口スイッチの設置位置とを、ある程度離さざるを得ない。出力ポート、特に可変入賞球装置を開放状態にするための信号が出力される出力ポートを直ちにオフ状態にしないと、電力供給停止時に、可変入賞口に入賞したにもかかわらず、電力供給停止時処理の実行が開始されて入賞口スイッチの検出がなされない状況が起こりうる。その場合、可変入賞口に入賞があったことは保存されない。すなわち、実際に生じている遊技状態(入賞があったこと)と保存される遊技状態とが整合しない。しかし、この実施の形態では、出力ポートがクリアされて可変入賞球装置が閉じられるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。
【0140】
また、電気部品の駆動が不能になる状態になる前に実行される電力供給停止時処理の際に、出力ポートをクリアすることができるので、電気部品の駆動が不能になる状態となる前に遊技制御手段によって制御される各電気部品を、適切な動作停止状態にすることができる。例えば、開放中の大入賞口を閉成させ、また開放中の可変入賞球装置15を閉成させるなど、電気部品についての作動を停止させたあとに電気部品の駆動が不能になる状態とすることができる。従って、適切な停止状態で電力供給の復旧を待つことが可能となる。そして、出力ポートに対するクリア処理が完了すると、CPU56は、待機状態(ループ状態)に入る。従って、システムリセットされるまで、何もしない状態になる。
【0141】
なお、この実施の形態では、NMIに応じて電力供給停止時処理が実行されたが、電源断信号をCPU56のマスク可能端子に接続し、マスク可能割込処理によって電力供給停止時処理を実行してもよい。また、電源断信号を入力ポートに入力し、入力ポートのチェック結果に応じて電力供給停止時処理を実行してもよい。
【0142】
図18は、チェックサム作成方法の一例を説明するための説明図である。ただし、図18に示す例では、簡単のために、バックアップRAM領域のデータのサイズを3バイトとする。電源電圧低下にもとづく電力供給停止時処理において、図18に示すように、チェックサムデータとして初期データ(この例では00(H))が設定される。次に、「00(H)」と「F0(H)」の排他的論理和がとられ、その結果と「16(H)」の排他的論理和がとられる。さらに、その結果と「DF(H)」の排他的論理和がとられる。そして、その結果(この例では「39(H)」)を論理反転して得られた値(この例では「C6(H)」)がチェックサムバッファに設定される。
【0143】
なお、図18では、説明を容易にするために、論理反転前のデータ「39(H)」がチェックサムバッファに格納されている様子が示されている。なお、初期データとしての00(H)はステップS60で設定されるチェックサムデータに対するクリアデータに応じた値であるが、実際には、00(H)との排他的論理和は演算前と後とで値が変わらないので、00(H)との排他的論理和演算を行わなくてもよい。
【0144】
また、遊技機への電力供給開始時にはパリティチェックOKか否かの判断が行われるが(図12におけるステップS9)、その判断では、電力供給停止時処理におけるパリティデータの作成処理(ステップS71〜S77)と同様の処理が行われ、処理結果すなわち演算結果がチェックサムバッファの内容と一致したらパリティチェックOKと判定される。
【0145】
また、この実施の形態では、作業領域のデータにもとづいてチェックサムが生成されているが、スタック領域のデータも含めてチェックサムを生成するようにしてもよい。何れのデータにもとづいて生成する場合であっても、RAM領域に格納されているデータを用いて算出処理等が行われるので、チェックサムを容易かつ短時間で生成することが可能となる。
【0146】
さらに、この実施の形態では、電力供給開始時に、電力供給停止時処理における処理と同じ処理によってチェックサムを生成し、生成されたチェックサムとバックアップRAMに保存されていたチェックサムとを比較したが、他の方法を用いてもよい。例えば、バックアップRAMに保存されていたチェックサムを初期値として、電力供給停止時処理において演算対象となった各データについて演算を行い、演算結果が所定値(例えば00(H))と一致したらパリティチェックOKと判定するようにしてもよい。また、パリティチェックのためのチェックデータはチェックサムに限られず、バックアップRAMの内容が正当に保存されているかを判定できるものであれば、他のチェックデータを用いてもよい。
【0147】
図19は、遊技機への電力供給停止時の電源電圧低下やNMI信号(=電源断信号:電力供給停止時信号)の様子を示すタイミング図である。遊技機に対する電力供給が停止すると、最も高い直流電源電圧であるVSLの電圧値は徐々に低下する。そして、この例では、+22Vにまで低下すると、電源基板910に搭載されている電源監視用IC902から電源断信号が出力される(ローレベルになる)。
【0148】
電源断信号は、電気部品制御基板(この実施の形態では主基板31および払出制御基板37)に導入され、CPU56および払出制御用CPU371のNMI端子に入力される。CPU56および払出制御用CPU371は、NMI処理によって、所定の電力供給停止時処理を実行する。
【0149】
VSLの電圧値がさらに低下して所定値(この例では+9V)にまで低下すると、主基板31や払出制御基板37に搭載されているシステムリセット回路の出力がローレベルになり、CPU56および払出制御用CPU371がシステムリセット状態になる。なお、CPU56および払出制御用CPU371は、システムリセット状態とされる前に、電力供給停止時処理を完了している。
【0150】
VSLの電圧値がさらに低下してVcc(各種回路を駆動するための+5V)を生成することが可能な電圧を下回ると、各基板において各回路が動作できない状態となる。しかし、少なくとも主基板31や払出制御基板37では、電力供給停止時処理が実行され、CPU56および払出制御用CPU371がシステムリセット状態とされている。
【0151】
以上のように、この実施の形態では、電源監視回路は、遊技機で使用される直流電圧のうちで最も高い電源VSLの電圧を監視して、その電源の電圧が所定値を下回ったら電圧低下信号(電源断検出信号)を発生する。図19に示すように、電源断信号が出力されるタイミングでは、IC駆動電圧は、まだ各種回路素子を十分駆動できる電圧値になっている。従って、IC駆動電圧で動作する主基板31のCPU56が所定の電力供給停止時処理を行うための動作時間が確保されている。
【0152】
なお、ここでは、電源監視回路は、遊技機で使用される直流電圧のうちで最も高い電源VSLの電圧を監視したが、電源断信号を発生するタイミングが、IC駆動電圧で動作する電気部品制御手段が所定の電力供給停止時処理を行うための動作時間が確保されるようなタイミングであれば、監視対象電圧は、最も高い電源VSLの電圧でなくてもよい。すなわち、少なくともIC駆動電圧よりも高い電圧を監視すれば、電気部品制御手段が所定の電力供給停止時処理を行うための動作時間が確保されるようなタイミングで電源断信号を発生することができる。
【0153】
その場合、上述したように、監視対象電圧は、電力供給停止時のスイッチオン誤検出の防止も期待できる電圧であることが好ましい。すなわち、遊技機の各種スイッチに供給される電圧(スイッチ電圧)が+12Vであることから、+12V電源電圧が落ち始める以前の段階で、電圧低下を検出できることが好ましい。よって、少なくともスイッチ電圧よりも高い電圧を監視することが好ましい。
【0154】
次に、メイン処理におけるスイッチ処理(ステップS21)の具体例を説明する。この実施の形態では、各スイッチの検出信号のオン状態が所定時間継続すると、確かにスイッチがオンしたと判定されスイッチオンに対応した処理が開始される。所定時間を計測するために、スイッチタイマが用いられる。スイッチタイマは、バックアップRAM領域に形成された1バイトのカウンタであり、検出信号がオン状態を示している場合に2ms毎に+1される。図20に示すように、スイッチタイマは検出信号の数N(クリアスイッチ921の検出信号を除く)だけ設けられている。この実施の形態ではN=13である。また、RAM55において、各スイッチタイマのアドレスは、入力ポートのビット配列順と同じ順序で並んでいる。
【0155】
図21は、遊技制御処理におけるステップS21のスイッチ処理の処理例を示すフローチャートである。なお、スイッチ処理は、図15に示すように遊技制御処理において最初に実行される。スイッチ処理において、CPU56は、まず、入力ポート0に入力されているデータを入力する(ステップS101)。次いで、処理数として「8」を設定し(ステップS102)、入賞口スイッチ33aのためのスイッチタイマのアドレスをポインタにセットする(ステップS103)。そして、スイッチチェック処理サブルーチンをコールする(ステップS104)。
【0156】
図22は、スイッチチェック処理サブルーチンを示すフローチャートである。スイッチチェック処理サブルーチンにおいて、CPU56は、ポート入力データ、この場合には入力ポート0からの入力データを「比較値」として設定する(ステップS121)。また、クリアデータ(00)をセットする(ステップS122)。そして、ポインタ(スイッチタイマのアドレスが設定されている)が指すスイッチタイマをロードするとともに(ステップS123)、比較値を右(上位ビットから下位ビットへの方向)にシフトする(ステップS124)。比較値には入力ポート0のデータ設定されている。そして、この場合には、入賞口スイッチ33aの検出信号がキャリーフラグに押し出される。
【0157】
キャリーフラグの値が「1」であれば(ステップS125)、すなわち入賞口スイッチ33aの検出信号がオン状態であれば、スイッチタイマの値を1加算する(ステップS127)。加算後の値が0でなければ加算値をスイッチタイマに戻す(ステップS128,S129)。加算後の値が0になった場合には加算値をスイッチタイマに戻さない。すなわち、スイッチタイマの値が既に最大値(255)に達している場合には、それよりも値を増やさない。
【0158】
キャリーフラグの値が「0」であれば、すなわち入賞口スイッチ33aの検出信号がオフ状態であれば、スイッチタイマにクリアデータをセットする(ステップS126)。すなわち、スイッチがオフ状態であれば、スイッチタイマの値が0に戻る。
【0159】
その後、CPU56は、ポインタ(スイッチタイマのアドレス)を1加算するとともに(ステップS130)、処理数を1減算する(ステップS131)。処理数が0になっていなければステップS122に戻る。そして、ステップS122〜S132の処理が繰り返される。
【0160】
ステップS122〜S132の処理は、処理数分すなわち8回繰り返され、その間に、入力ポート0の8ビットに入力されるスイッチの検出信号について、順次、オン状態かオフ状態か否かのチェック処理が行われ、オン状態であれば、対応するスイッチタイマの値が1増やされる。
【0161】
CPU56は、スイッチ処理のステップS105において、入力ポート1に入力されているデータを入力する。次いで、処理数として「4」を設定し(ステップS106)、賞球カウントスイッチ301Aのためのスイッチタイマのアドレスをポインタにセットする(ステップS107)。そして、スイッチチェック処理サブルーチンをコールする(ステップS108)。
【0162】
スイッチチェック処理サブルーチンでは、上述した処理が実行されるので、ステップS122〜S132の処理が、処理数分すなわち4回繰り返され、その間に、入力ポート1の4ビットに入力されるスイッチの検出信号について、順次、オン状態かオフ状態か否かのチェック処理が行われ、オン状態であれば、対応するスイッチタイマの値が1増やされる。
【0163】
なお、この実施の形態では、遊技制御処理が2ms毎に起動されるので、スイッチ処理も2msに1回実行される。従って、スイッチタイマは、2ms毎に+1される。
【0164】
図23〜図25は、遊技制御処理におけるステップS32の賞球処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態では、賞球処理では、賞球払出の対象となる入賞口スイッチ33a,39a,29a,30a、カウントスイッチ23および始動口スイッチ14aが確実にオンしたか否か判定されるとともに、オンしたら賞球個数を示す払出制御コマンドが払出制御基板37に送出されるように制御し、また、満タンスイッチ48および球切れスイッチ187が確実にオンしたか否か判定されるとともに、オンしたら所定の払出制御コマンドが払出制御基板37に送出されるように制御する等の処理が行われる。
【0165】
賞球処理において、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「1」を設定し(ステップS150)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「9」を設定する(ステップS151)。入力判定値テーブル(図27参照)のオフセット「1」は、入力判定値テーブルの2番目のデータ「50」を使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「9」は満タンスイッチ48に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS152)。
【0166】
入力判定値テーブルとは、各スイッチについて、連続何回のオンが検出されたら確かにスイッチがオンしたと判定するための判定値が設定されているROM領域である。入力判定値テーブルの構成例は図27に示されている。図27に示すように、入力判定値テーブルには、上から順に、すなわちアドレス値が小さい領域から順に、「2」、「50」、「250」、「30」、「250」、「1」の判定値が設定されている。また、スイッチオンチェックルーチンでは、入力判定値テーブルの先頭アドレスとオフセット値とで決まるアドレスに設定されている判定値と、スイッチタイマの先頭アドレスとオフセット値とで決まるスイッチタイマの値とが比較され、一致した場合には、例えばスイッチオンフラグがセットされる。
【0167】
スイッチオンチェックルーチンの一例が図26に示されている。スイッチオンチェックルーチンにおいて、満タンスイッチ48に対応するスイッチタイマの値が満タンスイッチオン判定値「50」に一致していればスイッチオンフラグがセットされるので(ステップS153)、満タンフラグがセットされる(ステップS154)。なお、図23には明示されていないが、満タンスイッチ48に対応したスイッチタイマの値が0になると、満タンフラグはリセットされる。
【0168】
また、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「2」を設定し(ステップS156)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「0A(H)」を設定する(ステップS157)。入力判定値テーブルのオフセット「2」は、入力判定値テーブルの3番目のデータ「250」を使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「0A(H)」は球切れスイッチ187に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS158)。
【0169】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、球切れスイッチ187に対応するスイッチタイマの値が球切れスイッチオン判定値「250」に一致していればスイッチオンフラグがセットされるので(ステップS159)、球切れフラグがセットされる(ステップS160)。なお、図23には明示されていないが、球切れスイッチ187に対応したスイッチオフタイマが用意され、その値が50になると、球切れフラグはリセットされる。
【0170】
そして、CPU56は、払出停止状態であるか否か確認する(ステップS201)。払出停止状態は、払出制御基板37に対して払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンドである払出停止状態指定コマンドを送出した後の状態であり、具体的には、作業領域における払出停止フラグがセットされている状態である。払出停止状態でなければ、上述した球切れ状態フラグまたは満タンフラグがオンになったか否かを確認する(ステップS202)。
【0171】
いずれかがオン状態に変化したときには、払出停止状態フラグをセットするとともに(ステップS203)、払出停止状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS204)、コマンドセット処理をコールする(ステップS205)。ステップS204では、払出停止状態指定コマンドの払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。払出停止状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、払出制御コマンドの1バイト目のデータ、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。なお、ステップS202において、いずれか一方のフラグが既にオン状態であったときに他方のフラグがオン状態になったときには、ステップS203〜ステップS205の処理は行われない。
【0172】
また、払出停止状態であれば、球切れ状態フラグおよび満タンフラグがともにオフ状態になったか否かを確認する(ステップS206)。ともにオフ状態となったとき(後述する解除条件が成立したとき)には、払出停止フラグをリセットするとともに(ステップS207)、払出可能状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS208)、コマンドセット処理をコールする(ステップS209)。ステップS208では、払出可能状態指定コマンドの払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。払出可能状態指定コマンドに関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ、払出制御コマンドの1バイト目のデータ、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。
【0173】
なお、解除条件は、払出停止状態を解除するための条件であり、払出停止状態を維持する必要がなくなったときに成立する条件である。本例では、解除条件は、払出停止状態とされているときに、余剰球受皿4が満タン状態でなく、かつ、球切れ状態でもない状態でない状態となったこととされている。
【0174】
さらに、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS221)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「0」を設定する(ステップS222)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「0」は入賞口スイッチ33aに対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。また、繰り返し数として「4」をセットする(ステップS223)。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS224)。
【0175】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、CPU56は、入力判定値テーブル(図27参照)の先頭アドレスを設定する(ステップS281)。そして、そのアドレスにオフセットを加算し(ステップS282)、加算後のアドレスからスイッチオン判定値をロードする(ステップS283)。
【0176】
次いで、CPU56は、スイッチタイマの先頭アドレスを設定し(ステップS284)、そのアドレスにオフセットを加算し(ステップS285)、加算後のアドレスからスイッチタイマの値をロードする(ステップS286)。各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでいるので、各スイッチに対応したスイッチタイマの値がロードされる。
【0177】
そして、CPU56は、ロードしたスイッチタイマの値とスイッチオン判定値とを比較する(ステップS287)。それらが一致すれば、スイッチオンフラグをセットする(ステップ128)。
【0178】
この場合には、スイッチオンチェックルーチンにおいて、入賞口スイッチ33aに対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS225)。そして、スイッチチェックオンルーチンは、スイッチタイマのアドレスのオフセットが更新されつつ(ステップS230)、最初に設定された繰り返し数分だけ実行されるので(ステップS228,S229)、結局、入賞口スイッチ33a,39a,29a,30aについて、対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」と比較されることになる。
【0179】
スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「10」をリングバッファに設定する(ステップS226)。そして、総賞球数格納バッファの格納値に10を加算する(ステップS227)。なお、リングバッファにデータを書き込んだときには、書込ポインタをインクリメントし、リングバッファの最後の領域にデータを書き込まれたときには、書込ポインタを、リングバッファの最初の領域を指すように更新する。
【0180】
総賞球数格納バッファは、払出制御手段に対して指示した賞球個数の累積値(ただし、払い出しがなされると減算される)が格納されるバッファであり、バックアップRAMに形成されている。なお、この実施の形態では、リングバッファにデータを書き込んだ時点で総賞球数格納バッファの格納値に対する加算処理が行われるが、払い出すべき賞球個数を指示する払出制御コマンドを出力ポートに出力した時点で総賞球数格納バッファの格納値に対する、出力する払出制御コマンドに対応した賞球数の加算処理を行ってもよい。
【0181】
次に、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS231)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「5」を設定する(ステップS232)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「5」は始動口スイッチ14aに対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS233)。
【0182】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、始動口スイッチ14aに対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS234)。スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「6」をリングバッファに設定する(ステップS235)。また、総賞球数格納バッファの格納値に6を加算する(ステップS236)。
【0183】
次いで、CPU56は、入力判定値テーブルのオフセットとして「0」を設定し(ステップS241)、スイッチタイマのアドレスのオフセットとして「6」を設定する(ステップS242)。入力判定値テーブルのオフセット「0」は、入力判定値テーブルの最初のデータを使用することを意味する。また、各スイッチタイマは上述したように入力ポートのビット順と同順に並んでおり、この例では、スイッチタイマのアドレスのオフセット「6」はカウントスイッチ23に対応したスイッチタイマが指定されることを意味する。そして、スイッチオンチェックルーチンがコールされる(ステップS243)。
【0184】
スイッチオンチェックルーチンにおいて、カウントスイッチ23に対応するスイッチタイマの値がスイッチオン判定値「2」に一致していればスイッチオンフラグがセットされる(ステップS244)。スイッチオンフラグがセットされたら、払い出すべき賞球個数としての「15」をリングバッファに設定する(ステップS245)。また、総賞球数格納バッファの格納値に15を加算する(ステップS246)。
【0185】
そして、リングバッファにデータが存在する場合には(ステップS247)、読出ポインタが指すリングバッファの内容を送信バッファにセットするとともに(ステップS248)、読出ポインタの値を更新(リングバッファの次の領域を指すように更新)し(ステップS249)、賞球個数に関するコマンド送信テーブルをセットし(ステップS250)、コマンドセット処理をコールする(ステップS251)。コマンドセット処理の動作については後で詳しく説明する。
【0186】
ステップS250では、賞球個数に関する払出制御コマンドが格納されているコマンド送信テーブル(ROM)の先頭アドレスが、コマンド送信テーブルのアドレスとして設定される。賞球個数に関するコマンド送信テーブルには、後述するINTデータ(01(H))、払出制御コマンドの1バイト目のデータ(F0(H))、および払出制御コマンドの2バイト目のデータが設定されている。ただし、2バイト目のデータとして「80(H)」が設定されている。
【0187】
以上のように、遊技制御手段から払出制御基板37に賞球個数を指示する払出制御コマンドを出力しようとするときに、賞球個数に関するコマンド送信テーブルのアドレス設定と送信バッファの設定とが行われる。そして、コマンドセット処理によって、賞球個数に関するコマンド送信テーブルと送信バッファの設定内容とにもとづいて払出制御コマンドが払出制御基板37に送出される。なお、ステップS247において、書込ポインタと読出ポインタとの差によってデータがあるか否か確認することができるが、リングバッファ内の未処理のデータ個数を示すカウンタを設け、カウント値によってデータがあるか否か確認するようにしてもよい。
【0188】
そして、総賞球数格納バッファの内容が0でない場合、すなわち、まだ賞球残がある場合には、CPU56は、賞球払出中フラグをオンする(ステップS252,S253)。
【0189】
また、CPU56は、賞球払出中フラグがオンしているときには(ステップS254)、球払出装置97から実際に払い出された賞球個数を監視して総賞球数格納バッファの格納値を減算する賞球個数減算処理を行う(ステップS255)。なお、賞球払出中フラグがオンからオフに変化したときには、ランプ制御基板35に対して、賞球ランプ51の点灯を指示するランプ制御コマンドが送出される。
【0190】
なお、払出制御手段は、払出停止状態指定コマンドを受信すると、賞球としての球払出と球貸しとしての球払出とをともに停止させる。また、払出可能状態指定コマンドを受信すると、賞球としての球払出と球貸しとしての球払出とをともに可能な状態とする。しかし、遊技制御手段から払出制御手段に対して、賞球としての球払出を停止または再開させる払出制御コマンドと、球貸しとしての球払出を停止または再開させる払出制御コマンドとを、別の制御コマンドとして送信するようにしてもよい。
【0191】
また、この実施の形態では、払出停止中であっても(ステップS201,S206)、ステップS221〜S251の処理が実行される。すなわち、遊技制御手段は、払出停止状態であっても、賞球個数を指示するための払出制御コマンドを送出することができる。すなわち、賞球個数を指示するためのコマンドが、払出停止状態であっても払出制御手段に伝達され、払出停止状態が解除されたときに、早めに賞球払出を開始することができる。また、遊技制御手段において、払出停止状態における入賞にもとづく賞球個数を記憶するための大きな記憶領域は必要とされない。
【0192】
さらに、この実施の形態では、遊技媒体の払出状況とは無関係に、ステップS221〜S251の処理が実行される。すなわち、遊技制御手段は、前回までに指定した賞球個数の払い出しが完了しているか否かに関わらず、新たな賞球個数を指示するための払出制御コマンドを送信することができる。よって、遊技制御手段の払い出しに関する処理負担を軽減させることができるとともに、賞球の払出処理を迅速に行うことができる。
【0193】
次に、遊技制御手段から各電気部品制御手段に対する制御コマンドの送出方式について説明しておく。遊技制御手段から他の電気部品制御基板(サブ基板)に制御コマンドを出力しようとするときに、コマンド送信テーブルの先頭アドレスの設定が行われる。図28(A)は、コマンド送信テーブルの一構成例を示す説明図である。1つのコマンド送信テーブルは3バイトで構成され、1バイト目にはINTデータが設定される。また、2バイト目のコマンドデータ1には、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが設定される。そして、3バイト目のコマンドデータ2には、制御コマンドの2バイト目のEXTデータが設定される。
【0194】
なお、EXTデータそのものがコマンドデータ2の領域に設定されてもよいが、コマンドデータ2には、EXTデータが格納されているテーブルのアドレスを指定するためのデータが設定されるようにしてもよい。例えば、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)が0であれば、コマンドデータ2にEXTデータそのものが設定されていることを示す。そのようなEXTデータはビット7が0であるデータである。この実施の形態では、ワークエリア参照ビットが1であれば、EXTデータとして、送信バッファの内容を使用することを示す。なお、ワークエリア参照ビットが1であれば、他の7ビットが、EXTデータが格納されているテーブルのアドレスを指定するためのオフセットであることを示すように構成することもできる。
【0195】
図28(B)INTデータの一構成例を示す説明図である。INTデータにおけるビット0は、払出制御基板37に払出制御コマンドを送出すべきか否かを示す。ビット0が「1」であるならば、払出制御コマンドを送出すべきことを示す。従って、CPU56は、例えば賞球処理(メイン処理のステップS32)において、INTデータに「01(H)」を設定する。また、INTデータにおけるビット1は、図柄出制御基板80に表示制御コマンドを送出すべきか否かを示す。ビット1が「1」であるならば、表示制御コマンドを送出すべきことを示す。従って、CPU56は、例えば特別図柄コマンド制御処理(メイン処理のステップS28)において、INTデータに「02(H)」を設定する。
【0196】
INTデータのビット2,3は、それぞれ、ランプ制御コマンド、音制御コマンドを送出すべきか否かを示すビットであり、CPU56は、それらのコマンドを送出すべきタイミングになったら、特別図柄プロセス処理等で、ポインタが指しているコマンド送信テーブルに、INTデータ、コマンドデータ1およびコマンドデータ2を設定する。それらのコマンドを送出するときには、INTデータの該当ビットが「1」に設定され、コマンドデータ1およびコマンドデータ2にMODEデータおよびEXTデータが設定される。
【0197】
この実施の形態では、払出制御コマンドについて、図28(C)に示すように、リングバッファおよび送信バッファが用意されている。そして、賞球処理において、賞球払出条件が成立すると、成立した条件に応じた賞球個数が順次リングバッファに設定される。また、賞球個数に関する払出制御コマンド送出する際に、リングバッファから1個のデータが送信バッファに転送される。なお、図28(C)に示す例では、リングバッファには、12個分の払出制御コマンドに相当するデータが格納可能になっている。すなわち、12個のバッファがある。なお、リングバッファにおけるバッファの数は、賞球を発生させる入賞口の数に対応した数であればよい。同時入賞が発生した場合でも、それぞれの入賞にもとづく払出制御コマンドのデータの格納が可能だからである。
【0198】
図29は、主基板31から他の電気部品制御基板に送出される制御コマンドのコマンド形態の一例を示す説明図である。この実施の形態では、制御コマンドは2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を表し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「0」とされる。このように、電気部品制御基板へのコマンドとなる制御コマンドは、複数のデータで構成され、先頭ビットによってそれぞれを区別可能な態様になっている。なお、図29に示されたコマンド形態は一例であって他のコマンド形態を用いてもよい。例えば、1バイトや3バイト以上で構成される制御コマンドを用いてもよい。ただし、1バイトで構成される制御コマンドを用いる場合には、受信側基板でのノイズによる誤受信を防止するため、INT信号の出力線を複数設ける構成とし、その全てがハイレベルとなっているときに受信側基板にてコマンドの受信処理が実行されるなどの構成をとることが望ましい。また、図29では払出制御基板37に送出される払出制御コマンドを例示するが、他の電気部品制御基板に送出される制御コマンドも同一構成である。
【0199】
図30は、各電気部品制御手段に対する制御コマンドを構成する8ビットの制御信号CD0〜CD7とINT信号との関係を示すタイミング図である。図30に示すように、MODEまたはEXTのデータが出力ポート(出力ポート1〜出力ポート4のうちのいずれか)に出力されてから、Aで示される期間が経過すると、CPU56は、データ出力を示す信号であるINT信号をハイレベル(オンデータ)にする。また、そこからBで示される期間が経過するとINT信号をローレベル(オフデータ)にする。さらに、次に送出すべきデータがある場合には、すなわち、MODEデータ送出後では、Cで示される期間をおいてから2バイト目のデータを出力ポートに送出する。2バイト目のデータに関して、A,Bの期間は、1バイト目の場合と同様である。このように、取込信号はMODEおよびEXTのデータのそれぞれについて出力される。
【0200】
Aの期間は、CPU56が、コマンドの送出準備の期間すなわちバッファに送出コマンドを設定する処理に要する期間であるとともに、制御信号線におけるデータの安定化のための期間である。すなわち、制御信号線において制御信号CD0〜CD7が出力された後、所定期間(Aの期間:オフ出力期間の一部)経過後に、取込信号としてのINT信号が出力される。また、Bの期間(オン出力期間)は、INT信号安定化のための期間である。そして、Cの期間(オフ出力期間の一部)は、電気部品制御手段が確実にデータを取り込めるように設定されている期間である。B,Cの期間では、信号線上のデータは変化しない。すなわち、B,Cの期間が経過するまでデータ出力が維持される。
【0201】
この実施の形態では、払出制御基板37への払出制御コマンド、図柄制御基板80への表示制御コマンド、ランプ制御基板35へのランプ制御コマンドおよび音制御基板70への音制御コマンドは、同一のコマンド送信処理ルーチン(共通モジュール)を用いて送出される。そこで、B,Cの期間すなわち1バイト目に関するINT信号が立ち上がってから2バイト目のデータが送出開始されるまでの期間は、コマンド受信処理に最も時間がかかる電気部品制御手段における受信処理時間よりも長くなるように設定される。
【0202】
なお、各電気部品制御手段は、INT信号が立ち上がったことを検知して、例えば割込処理によって1バイトのデータの取り込み処理を開始する。
【0203】
B,Cの期間が、コマンド受信処理に最も時間がかかる電気部品制御手段における受信処理時間よりも長いので、遊技制御手段が、各電気部品制御手段に対するコマンド送出処理を共通モジュールで制御しても、いずれの電気部品制御手段でも遊技制御手段からの制御コマンドを確実に受信することができる。
【0204】
CPU56は、INT信号出力処理を実行した後に所定期間が経過すると次のデータを送出できる状態になるが、その所定期間(B,Cの期間)は、INT信号出力処理の前にデータを送出してからINT信号を出力開始するまでの期間(Aの期間)よりも長い。上述したように、Aの期間はコマンドの信号線における安定化期間であり、B,Cの期間は受信側がデータを取り込むのに要する時間を確保するための期間である。従って、Aの期間をB,Cの期間よりも短くすることによって、受信側の電気部品制御手段が確実にコマンドを受信できる状態になるという効果を得ることができるとともに、1つのコマンドの送出完了に要する期間が短縮される効果もある。
【0205】
図31は、払出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。本例では、払出制御を実行するために、複数種類の払出制御コマンドが用いられる。図31に示された例において、MODE=FF(H),EXT=00(H)のコマンドFF00(H)は、払出が可能であることを指示する払出制御コマンド(払出可能状態指定コマンド)である。MODE=FF(H),EXT=01(H)のコマンドFF01(H)は、払出を停止すべき状態であることを指示する払出制御コマンド(払出停止状態指定コマンド)である。また、MODE=F0(H)のコマンドF0XX(H)は、賞球個数を指定する払出制御コマンド(払出個数指定コマンド)である。EXTである「XX」が払出個数を示す。
【0206】
払出制御手段は、主基板31の遊技制御手段からFF01(H)の払出制御コマンドを受信すると賞球払出および球貸しを停止する状態となり、FF00(H)の払出制御コマンドを受信すると賞球払出および球貸しができる状態になる。また、賞球個数を指定する払出制御コマンドを受信すると、受信したコマンドで指定された個数に応じた賞球払出制御を行う。
【0207】
なお、払出制御コマンドは、払出制御手段が認識可能に1回だけ送出される。認識可能とは、この例では、INT信号のレベルが変化することであり、認識可能に1回だけ送出されるとは、この例では、払出制御信号の1バイト目および2バイト目のそれぞれに応じてINT信号が1回だけパルス状(矩形波状)に出力されることである。
【0208】
各電気部品制御基板への制御コマンドを、対応する出力ポート(出力ポート1〜4)に出力する際に、出力ポート0のビット0〜3のうちのいずれかのビットが所定期間「1」(ハイレベル)になるのであるが、INTデータにおけるビット配列と出力ポート0におけるビット配列とは対応している。従って、各電気部品制御基板に制御コマンドを送出する際に、INTデータにもとづいて、容易にINT信号の出力を行うことができる。
【0209】
図32は、コマンドセット処理(ステップS205,S209,S251)の処理例を示すフローチャートである。コマンドセット処理は、コマンド出力処理とINT信号出力処理とを含む処理である。コマンドセット処理において、CPU56は、まず、コマンド送信テーブルのアドレス(送信信号指示手段としてのポインタの内容)をスタック等に退避する(ステップS331)。そして、ポインタが指していたコマンド送信テーブルのINTデータを引数1にロードする(ステップS332)。引数1は、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。また、コマンド送信テーブルを指すアドレスを+1する(ステップS333)。従って、コマンド送信テーブルを指すアドレスは、コマンドデータ1のアドレスに一致する。
【0210】
そこで、CPU56は、コマンドデータ1を読み出して引数2に設定する(ステップS334)。引数2も、後述するコマンド送信処理に対する入力情報になる。そして、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS335)。
【0211】
図33は、コマンド送信処理ルーチンを示すフローチャートである。コマンド送信処理ルーチンにおいて、CPU56は、コマンド送信中フラグをオンしたあと(ステップS350)、引数1に設定されているデータすなわちINTデータを、比較値として決められているワークエリアに設定する(ステップS351)。なお、コマンド送信中フラグは、コマンド送信処理中であるか否かを示すフラグであって、RAM55の所定の領域に記憶されている。次いで、CPU56は、送信回数=4を、処理数として決められているワークエリアに設定する(ステップS352)。そして、払出制御信号を出力するためのポート1のアドレスをIOアドレスにセットする(ステップS353)。この実施の形態では、ポート1のアドレスは、払出制御信号を出力するための出力ポートのアドレスである。また、ポート2〜4のアドレスが、表示制御信号、ランプ制御信号、音声制御信号を出力するための出力ポートのアドレスである。
【0212】
次に、CPU56は、比較値を1ビット右にシフトする(ステップS354)。シフト処理の結果、キャリービットが1になったか否か確認する(ステップS355)。キャリービットが1になったということは、INTデータにおける最も右側のビットが「1」であったことを意味する。この実施の形態では4回のシフト処理が行われるのであるが、例えば、払出制御コマンドを送出すべきことが指定されているときには、最初のシフト処理でキャリービットが1になる。
【0213】
キャリービットが1になった場合には、引数2に設定されているデータ、この場合にはコマンドデータ1(すなわちMODEデータ)を、IOアドレスとして設定されているアドレスに出力する(ステップS356)。最初のシフト処理が行われたときにはIOアドレスにポート1のアドレスが設定されているので、そのときに、払出制御コマンドのMODEデータがポート1に出力される。
【0214】
次いで、CPU56は、IOアドレスを1加算するとともに(ステップS357)、処理数を1減算する(ステップS358)。加算前にポート1を示していた場合には、IOアドレスに対する加算処理によって、IOアドレスにはポート2のアドレスが設定される。ポート2は、表示制御コマンドを出力するためのポートである。そして、CPU56は、処理数の値を確認し(ステップS359)、値が0になっていなければ、ステップS354に戻る。ステップS354で再度シフト処理が行われる。
【0215】
2回目のシフト処理ではINTデータにおけるビット1の値が押し出され、ビット1の値に応じてキャリーフラグが「1」または「0」になる。従って、表示制御コマンドを送出すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。同様に、3回目および4回目のシフト処理によって、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送出すべきことが指定されているか否かのチェックが行われる。このように、それぞれのシフト処理が行われるときに、IOアドレスには、シフト処理によってチェックされる制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に対応したIOアドレスが設定されている。
【0216】
よって、キャリーフラグが「1」になったときには、対応する出力ポート(ポート1〜ポート4)に制御コマンドが送出される。すなわち、1つの共通モジュールで、各電気部品制御手段に対する制御コマンドの送出処理を行うことができる。
【0217】
また、このように、シフト処理のみによってどの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきかが判定されるので、いずれの電気部品制御手段に対して制御コマンドを出力すべきか判定する処理が簡略化されている。
【0218】
次に、CPU56は、シフト処理開始前のINTデータが格納されている引数1の内容を読み出し(ステップS360)、読み出したデータをポート0に出力する(ステップS361)。この実施の形態では、ポート0のアドレスは、各制御信号についてのINT信号を出力するためのポートであり、ポート0のビット0〜4が、それぞれ、払出制御INT信号、表示制御INT信号、ランプ制御INT信号、音制御INT信号を出力するためのポートである。INTデータでは、ステップS351〜S359の処理で出力された制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に応じたINT信号の出力ビットに対応したビットが「1」になっている。従って、ポート1〜ポート4のいずれかに出力された制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)に対応したINT信号がハイレベルになる。
【0219】
次いで、CPU56は、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS363,S364)。この処理は、図30に示されたBの期間を設定するための処理である。ウェイトカウンタの値が0になると、クリアデータ(00)を設定して(ステップS365)、そのデータをポート0に出力する(ステップS366)。よって、INT信号はローレベルになる。また、ウェイトカウンタに所定値を設定し(ステップS362)、その値が0になるまで1ずつ減算する(ステップS368,S369)。この処理は、図30に示されたCの期間を設定するための処理である。ただし、実際のCの期間は、ステップS367〜S369で作成される時間に、その後の処理時間(この時点でMODEデータが出力されている場合にはEXTデータを出力するまでに要する制御にかかる時間)が加算された期間となる。このように、Cの期間が設定されることによって、連続してコマンドが送出される場合であっても、一のコマンドの出力完了後、次にコマンドの送出が開始されるまでに所定期間がおかれることになり、コマンドを受信する電気部品制御手段の側で、容易に連続するコマンドの区切りを識別することができ、各コマンドは確実に受信される。
【0220】
従って、ステップS367でウェイトカウンタに設定される値は、Cの期間が、制御コマンド受信対象となる全ての電気部品制御手段が確実にコマンド受信処理を行うのに十分な期間になるような値である。また、ウェイトカウンタに設定される値は、Cの期間が、ステップS357〜S359の処理に要する時間(Aの期間に相当)よりも長くなるような値である。なお、Aの期間をより長くしたい場合には、Aの期間を作成するためのウェイト処理(例えば、ウェイトカウンタに所定値を設定し、ウェイトカウンタの値が0になるまで減算を行う処理)を行う。
【0221】
そして、ウェイトカウンタの値が0になると(ステップS369のY)、CPU56は、コマンド送信中フラグをオフする(ステップS370)。
【0222】
以上のようにして、制御コマンドの1バイト目のMODEデータが送出される。そこで、CPU56は、図32に示すステップS336で、コマンド送信テーブルを指す値を1加算する。従って、3バイト目のコマンドデータ2の領域が指定される。CPU56は、指し示されたコマンドデータ2の内容を引数2にロードする(ステップS337)。また、コマンドデータ2のビット7(ワークエリア参照ビット)の値が「0」であるか否か確認する(ステップS339)。0でなければ、送信バッファの内容を引数2にロードする(ステップS341)。なお、ワークエリア参照ビットの値が「1」であるときに拡張データを使用するように構成されている場合には、コマンド拡張データアドレステーブルの先頭アドレスをポインタにセットし、そのポインタにコマンドデータ2のビット6〜ビット0の値を加算してアドレスを算出する。そして、そのアドレスが指すエリアのデータを引数2にロードする。
【0223】
送信バッファには賞球個数を特定可能なデータが設定されているので、引数2にそのデータが設定される。なお、ワークエリア参照ビットの値が「1」であるときに拡張データを使用するように構成されている場合には、コマンド拡張データアドレステーブルには、電気部品制御手段に送出されうるEXTデータが順次設定される。よって、ワークエリア参照ビットの値が「1」であれば、コマンドデータ2の内容に応じたコマンド拡張データアドレステーブル内のEXTデータが引数2にロードされる。
【0224】
次に、CPU56は、コマンド送信処理ルーチンをコールする(ステップS342)。従って、MODEデータの送出の場合と同様のタイミングでEXTデータが送出される。
【0225】
以上のようにして、2バイト構成の制御コマンド(払出制御コマンド、表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド)が、対応する電気部品制御手段に送信される。電気部品制御手段ではINT信号の立ち上がりを検出すると制御コマンドの取り込み処理を開始するのであるが、各電気部品制御手段でのコマンド受信処理が完了したあとに終了するように設定されるウエイト期間(ステップS367〜ステップS369の処理によって特定される期間:Cの期間の一部)が経過するまでは新たな信号を出力しないようにしているので、いずれの電気部品制御手段についても、取り込み処理が完了する前に遊技制御手段からの新たな信号が信号線に出力されることはない。すなわち、各電気部品制御手段において、確実なコマンド受信処理が行われる。なお、各電気部品制御手段は、INT信号の立ち下がりで制御コマンドの取り込み処理を開始してもよい。また、INT信号の極性を図30に示された場合と逆にしてもよい。
【0226】
また、この実施の形態では、賞球処理において、賞球払出条件が成立すると賞球個数を特定可能なデータが、同時に複数のデータを格納可能なリングバッファに格納され、賞球個数を指定する払出制御コマンドを送出する際に、読出ポインタが指しているリングバッファの領域のデータが送信バッファに転送される。従って、同時に複数の賞球払出条件の成立があっても、それらの条件成立にもとづく賞球個数を特定可能なデータがリングバッファに保存されるので、各条件成立にもとづくコマンド出力処理は問題なく実行される。
【0227】
さらに、この実施の形態では、1回の賞球処理内で払出停止状態指定コマンドまたは払出可能状態指定コマンドと賞球個数を示すコマンドとの双方を送出することができる。すなわち、2ms毎に起動される1回の制御期間内において、複数のコマンドを送出することができる。また、この実施の形態では、各制御手段への制御コマンド(表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、音制御コマンド、払出制御コマンド)毎に、それぞれ複数のリングバッファが用意されているので、例えば、表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドのリングバッファに制御コマンドを特定可能なデータが設定されている場合には、1回のコマンド制御処理で複数の表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドを送出するように構成することも可能である。すなわち、同時に(遊技制御処理すなわち2msタイマ割込処理の起動周期での意味)、複数の制御コマンドを送出することができる。遊技演出の進行上、それらの制御コマンドの送出タイミングは同時に発生するので、このように構成されているのは便利である。ただし、払出制御コマンドは、遊技演出の進行とは無関係に発生するので、一般には、表示制御コマンド、ランプ制御コマンドおよび音制御コマンドと同時に送出されることはない。
【0228】
図34は、主基板31におけるコマンドの出力に関する処理と、払出制御基板37などのコマンド受信側の基板におけるコマンドの受信に関する処理(例えば、後述するコマンド受信割込処理:図46参照)との処理タイミングの一例を示すタイミングチャートである。図34に示すように、コマンド受信側の基板におけるMODEデータとEXTデータの受信に関する処理は、本例では、それぞれ、INT信号の立ち上がりとともに開始され、少なくともコマンド送信中フラグがオフ状態となる前に終了する。
【0229】
図34に示すように、MODEデータの送信に関する処理(図33に示した処理)が開始したときから終了するまでの期間(a〜dの期間)は、コマンド送信中フラグがオン状態となっている。従って、a〜dの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、CPU56は、遊技状態復旧処理にて上述したステップS88の処理を実行するので、MODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行することになる。
【0230】
MODEデータの送信に関する処理が開始したときから、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられるまでの期間(a〜bの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されていた制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、a〜bの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、MODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信されることは回避され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0231】
また、MODEデータの送信に関する処理において、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられたときから、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了するまでの期間(b〜cの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されている未送信の制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンドの受信側の基板はコマンドの受信処理の途中から制御を開始することとなるが、主基板31のコマンド出力ポートには正常なデータがないので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、b〜cの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、MODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0232】
さらに、MODEデータの送信に関する処理において、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了してから、コマンド送信中フラグがオフするまでの期間(c〜dの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンドの受信側の基板ではコマンドの受信処理が完了しているが、主基板31においてはコマンドの受信処理が完了したことが確認されていない。すなわち、c〜dの期間中は、主基板は、b〜cの期間中であるのかc〜dの期間中であるのかを確実に判定することはできない。従って、c〜dの期間中に電力供給が停止した場合には、b〜cの期間中に電力供給が停止したのである可能性が否定できないので、上述したように受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうおそれがある。本例では、c〜dの期間中に電力供給が停止した場合にも、b〜cの期間中に電力供給が停止した場合と同様に、その後に電力供給が再開すると、上述したようにMODEデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0233】
また、図34に示すように、EXTデータの送信に関する処理(図33に示した処理)が開始したときから終了するまでの期間(e〜hの期間)は、コマンド送信中フラグがオン状態となっている。従って、e〜fの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、CPU56は、遊技状態復旧処理にて上述したステップS88の処理を実行するので、EXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行することになる。
【0234】
EXTデータの送信に関する処理が開始したときから、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられるまでの期間(e〜fの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されていた制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、e〜fの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、EXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、コマンド出力ポートに正常なデータがないままINTデータが送信されることは回避され、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0235】
また、EXTデータの送信に関する処理において、送信される制御信号に応じたINT信号がハイレベルに立ち上げられてから、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了するまでの期間(f〜gの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンド出力ポートに設定されている未送信の制御コマンドは電源断処理によってクリアされる。従って、その後に電力供給が開始したときに、電力供給が停止したときから制御が再開されると、コマンドの受信側の基板はコマンドの受信処理の途中から制御を開始することとなるが、主基板31のコマンド出力ポートには正常なデータがないので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまう。本例では、f〜gの期間中に電力供給が停止した場合には、その後に電力供給が再開すると、上述したように、EXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0236】
さらに、EXTデータの送信に関する処理において、コマンド受信側の基板におけるコマンドの受信処理が完了してから、送信中フラグがオフするまでの期間(g〜hの期間)中に電力供給が停止した場合には、コマンドの受信側の基板ではコマンドの受信処理が完了しているが、主基板31においてはコマンドの受信処理が完了したことが確認されていない。すなわち、g〜hの期間中は、主基板は、f〜gの期間中であるのかg〜hの期間中であるのかを確実に判定することはできない。従って、g〜hの期間中に電力供給が停止した場合には、f〜gの期間中に電力供給が停止したのである可能性が否定できないので、上述したように受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうおそれがある。本例では、g〜hの期間中に電力供給が停止した場合にも、f〜gの期間中に電力供給が停止した場合と同様に、その後に電力供給が再開すると、上述したようにEXTデータの送信に関する処理を最初から再度実行するので、受信側の基板で不正常なデータが受信されてしまうことは防止される。
【0237】
図35は、賞球個数減算処理の一例を示すフローチャートである。賞球個数減算処理において、CPU56は、まず、総賞球数格納バッファの格納値をロードする(ステップS381)。そして、格納値が0であるか否か確認する(ステップS382)。0であれば処理を終了する。
【0238】
0でなければ、賞球カウントスイッチ用のスイッチタイマをロードし(ステップS383)、ロード値とオン判定値(この場合は「2」)とを比較する(ステップS384)。一致したら(ステップS385)、賞球カウントスイッチ301Aが確かにオンしたとして、すなわち、確かに1個の遊技球が球払出装置97から払い出されたとして、総賞球数格納バッファの格納値を1減算する(ステップS386)。
【0239】
また、賞球情報カウンタの値を+1する(ステップS387)。そして、賞球情報カウンタの値が10以上であれば(ステップS388)、賞球情報出力カウンタの値を+1するとともに(ステップS389)、賞球情報カウンタの値を−10する(ステップS390)。なお、賞球情報出力カウンタの値は、図15に示された遊技制御処理における情報出力処理(ステップS30)で参照され、その値が1以上であれば、賞球信号(出力ポート5のビット7:図10参照)として1パルスが出力される。よって、この実施の形態では、10個の遊技球が賞球として払い出される度に、1つの賞球信号が遊技機外部に出力される。
【0240】
そして、総賞球数格納バッファの格納値が0になったら(ステップS391)、賞球払出中フラグをクリアし(ステップS392)、賞球残数がないことを報知するために、ランプ制御コマンド用のコマンド送信テーブルに賞球ランプ51の消灯を示すランプ制御コマンドを設定した後(ステップS393)、ランプ制御コマンドの送出処理を実行する(ステップS394)。
【0241】
次に、遊技制御手段以外の電気部品制御手段の例として、払出制御手段について説明する。
【0242】
図36は、払出制御用CPU371周りの一構成例を示すブロック図である。図36に示すように、電源基板910の電源監視回路(電源監視手段)からの電源断信号が、バッファ回路960を介して払出制御用CPU371のマスク不能割込端子(XNMI端子)に接続されている。従って、払出制御用CPU371は、マスク不能割込処理によって遊技機への電力供給停止の発生を確認することができる。
【0243】
払出制御用CPU371のCLK/TRG2端子には、主基板31からのINT信号が接続されている。CLK/TRG2端子にクロック信号が入力されると、払出制御用CPU371に内蔵されているタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値がダウンカウントされる。そして、レジスタ値が0になると割込が発生する。従って、タイマカウンタレジスタCLK/TRG2の初期値を「1」に設定しておけば、INT信号の入力に応じて割込が発生することになる。
【0244】
払出制御基板37には、システムリセット回路975も搭載されているが、この実施の形態では、システムリセット回路975におけるリセットIC976は、電源投入時に、外付けのコンデンサに容量で決まる所定時間だけ出力をローレベルとし、所定時間が経過すると出力をハイレベルにする。また、リセットIC976は、VSLの電源電圧を監視して電圧値が所定値(例えば+9V)以下になると出力をローレベルにする。従って、遊技機への電力供給停止時には、リセットIC976からの信号がローレベルになることによって払出制御用CPU371がシステムリセットされる。
【0245】
リセットIC976が電力供給停止を検知するための所定値は、通常時の電圧より低いが、払出制御用CPU371が暫くの間動作しうる程度の電圧である。また、リセットIC976が、払出制御用CPU371が必要とする電圧(この例では+5V)よりも高い電圧を監視するように構成されているので、払出制御用CPU371が必要とする電圧に対して監視範囲を広げることができる。従って、より精密な監視を行うことができる。なお、システムリセット回路975は、第2の電源監視手段に相当する。
【0246】
+5V電源から電力が供給されていない間、払出制御用CPU371の内蔵RAMの少なくとも一部は、電源基板から供給されるバックアップ電源がバックアップ端子に接続されることによってバックアップされ、停電等の遊技機に対する電力供給停止が発生しても内容は保存される。そして、+5V電源が復旧すると、システムリセット回路975からリセット信号が発せられるので、払出制御用CPU371は、通常の動作状態に復帰する。そのとき、必要なデータがバックアップされているので、停電等からの復旧時には停電発生時の払出制御状態に復旧させることができる。
【0247】
なお、図36に示された構成では、システムリセット回路975は、電源投入時に、コンデンサの容量で決まる期間のローレベルを出力し、その後ハイレベルを出力する。すなわち、リセット解除タイミングは1回だけである。しかし、図9に示された主基板31の場合と同様に、複数回のリセット解除タイミングが発生するような回路構成を用いてもよい。
【0248】
図37は、この実施の形態における出力ポートの割り当てを示す説明図である。図37に示すように、出力ポートC(アドレス00H)は、払出モータ289に出力される駆動信号等の出力ポートである。また、出力ポートD(アドレス01H)は、7セグメントLEDであるエラー表示LED374に出力される表示制御信号の出力ポートである。そして、出力ポートE(アドレス02H)は、振分ソレノイド310に出力される駆動信号、およびカードユニット50に対するEXS信号とPRDY信号とを出力するための出力ポートである。
【0249】
図38は、この実施の形態における入力ポートのビット割り当てを示す説明図である。図38に示すように、入力ポートA(アドレス06H)は、主基板31から送出された払出制御コマンドの8ビットの払出制御信号を取り込むための入力ポートである。また、入力ポートB(アドレス07H)のビット0〜1には、それぞれ、賞球カウントスイッチ301Aおよび球貸しカウントスイッチ301Bの検出信号が入力される。ビット2〜5には、カードユニット50からのBRDY信号、BRQ信号、VL信号およびクリアスイッチ921の検出信号が入力される。
【0250】
図39は、払出制御手段(払出制御用CPU371およびROM,RAM等の周辺回路)のメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理では、払出制御用CPU371は、まず、必要な初期設定を行う。すなわち、払出制御用CPU371は、まず、割込禁止に設定する(ステップS701)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS702)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS703)。また、払出制御用CPU371は、内蔵デバイスレジスタの初期化を行い(ステップS704)、CTCおよびPIOの初期化(ステップS705)を行った後に、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS706)。
【0251】
この実施の形態では、内蔵CTCのうちの一つのチャネルがタイマモードで使用される。従って、ステップS704の内蔵デバイスレジスタの設定処理およびステップS705の処理において、使用するチャネルをタイマモードに設定するためのレジスタ設定、割込発生を許可するためのレジスタ設定および割込ベクタを設定するためのレジスタ設定が行われる。そして、そのチャネルによる割込がタイマ割込として用いられる。タイマ割込を例えば2ms毎に発生させたい場合は、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。
【0252】
なお、タイマモードに設定されたチャネル(この実施の形態ではチャネル3)に設定される割込ベクタは、タイマ割込処理の先頭アドレスに相当するものである。具体的は、Iレジスタに設定された値と割込ベクタとでタイマ割込処理の先頭アドレスが特定される。タイマ割込処理では、払出制御処理が実行される。
【0253】
また、内蔵CTCのうちの他の一つのチャネル(この実施の形態ではチャネル2)が、遊技制御手段からの払出制御コマンド受信のための割込発生用のチャネルとして用いられ、そのチャネルがカウンタモードで使用される。従って、ステップS704の内蔵デバイスレジスタの設定処理およびステップS705の処理において、使用するチャネルをカウンタモードに設定するためのレジスタ設定、割込発生を許可するためのレジスタ設定および割込ベクタを設定するためのレジスタ設定が行われる。
【0254】
カウンタモードに設定されたチャネル(チャネル2)に設定される割込ベクタは、後述するコマンド受信割込処理の先頭アドレスに相当するものである。具体的は、Iレジスタに設定された値と割込ベクタとでコマンド受信割込処理の先頭アドレスが特定される。
【0255】
この実施の形態では、払出制御用CPU371でも割込モード2が設定される。従って、内蔵CTCのカウントアップにもとづく割込処理を使用することができる。また、CTCが送出した割込ベクタに応じた割込処理開始アドレスを設定することができる。
【0256】
CTCのチャネル2(CH2)のカウントアップにもとづく割込は、上述したタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が「0」になったときに発生する割込である。従って、例えばステップS705において、特定レジスタとしてのタイマカウンタレジスタCLK/TRG2に初期値「1」が設定される。さらに、CLK/TRG2端子に入力される信号の立ち上がりまたは立ち下がりで特定レジスタとしてのタイマカウンタレジスタCLK/TRG2のカウント値が−1されるのであるが、所定の特定レジスタの設定によって、立ち上がり/立ち下がりの選択を行うことができる。この実施の形態では、CLK/TRG2端子に入力される信号の立ち上がりで、タイマカウンタレジスタCLK/TRG2のカウント値が−1されるような設定が行われる。
【0257】
また、CTCのチャネル3(CH3)のカウントアップにもとづく割込は、CPUの内部クロック(システムクロック)をカウントダウンしてレジスタ値が「0」になったら発生する割込であり、後述する2msタイマ割込として用いられる。具体的には、CPU371の動作クロックを分周したクロックがCTCに与えられ、クロックの入力によってレジスタの値が減算され、レジスタの値が0になるとタイマ割込が発生する。例えば、CH3のレジスタ値はシステムクロックの1/256周期で減算される。分周したクロックにもとづいて減算が行われるので、レジスタの初期値は大きくならない。ステップS705において、CH3のレジスタには、初期値として2msに相当する値が設定される。
【0258】
CTCのCH2のカウントアップにもとづく割込は、CH3のカウントアップにもとづく割込よりも優先順位が高い。従って、同時にカウントアップが生じた場合に、CH2のカウントアップにもとづく割込、すなわち、コマンド受信割込処理の実行契機となる割込の方が優先される。
【0259】
次いで、払出制御用CPU371は、入力ポートB(図38参照)を介して入力されるクリアスイッチ921の出力信号の状態を1回だけ確認する(ステップS707)。その確認においてオンを検出した場合には、払出制御用CPU371は、通常の初期化処理を実行する(ステップS711〜ステップS713)。クリアスイッチ921がオンである場合(押下されている場合)には、ローレベルのクリアスイッチ信号が出力されている。なお、入力ポート372では、クリアスイッチ信号のオン状態はハイレベルである。また、払出制御手段においては、ステップS707の判定を行わなくてもよい。
【0260】
なお、払出制御用CPU371も、主基板31のCPU56と同様に、スイッチの検出信号のオン判定を行う場合には、例えば、オン状態が少なくとも2ms(2ms毎に起動される処理の1回目の処理における検出直前に検出信号がオンした場合)継続しないとスイッチオンとは見なさないが、クリアスイッチ921のオン検出の場合には、1回のオン判定でオン/オフが判定される。すなわち、操作手段としてのクリアスイッチ921が所定の操作状態であるか否かを払出制御用CPU371が判定するための初期化要求検出判定期間は、遊技媒体検出手段としての賞球カウントスイッチ等が遊技媒体を検出したことを判定するための遊技媒体検出判定期間とは異なる期間とされている。
【0261】
クリアスイッチ921がオンの状態でない場合には、払出制御用CPU371は、払出制御用のバックアップRAM領域にバックアップデータが存在しているか否かの確認を行う(ステップS708)。例えば、主基板31のCPU56の処理と同様に、遊技機への電力供給停止時にセットされるバックアップフラグがセット状態になっているか否かによって、バックアップデータが存在しているか否か確認する。バックアップフラグがセット状態になっている場合には、バックアップデータありと判断する。
【0262】
バックアップありを確認したら、払出制御用CPU371は、バックアップRAM領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う。不測の停電等の電力供給の停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されていたはずであるから、チェック結果は正常になる。チェック結果が正常でない場合には、内部状態を電力供給の停止時の状態に戻すことができないので、不足の停電等からの復旧時ではなく電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0263】
チェック結果が正常であれば(ステップS709)、払出制御用CPU371は、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すための払出状態復旧処理を行う(ステップS710)。そして、バックアップRAM領域に保存されていたPC(プログラムカウンタ)の指すアドレスに復帰する。
【0264】
初期化処理では、払出制御用CPU371は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS711)。そして、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるように払出制御用CPU371に設けられているCTCのレジスタの設定が行われる(ステップS712)。すなわち、初期値として2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。そして、初期設定処理のステップS701において割込禁止とされているので、初期化処理を終える前に割込が許可される(ステップS713)。
【0265】
この実施の形態では、払出制御用CPU371の内蔵CTCが繰り返しタイマ割込を発生するように設定される。この実施の形態では、繰り返し周期は2msに設定される。そして、タイマ割込が発生すると、図40に示すように、タイマ割込があったことを示すタイマ割込フラグがセットされる(ステップS772)。そして、メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされたことが検出されたら(ステップS714)、タイマ割込フラグがリセットされるとともに(ステップS751)、払出制御処理(ステップS751〜S760)が実行される。
【0266】
なお、タイマ割込では、図40に示すように、最初に割込許可状態に設定される(ステップS771)。よって、タイマ割込処理中では割込許可状態になり、INT信号の入力にもとづく払出制御コマンド受信処理を優先して実行することができる。
【0267】
払出制御処理において、払出制御用CPU371は、まず、入力ポート372bに入力される賞球カウントスイッチ301Aや球貸しカウントスイッチ301B等のスイッチがオンしたか否かを判定する(スイッチ処理:ステップS752)。
【0268】
次に、払出制御用CPU371は、主基板31から払出停止状態指定コマンドを受信していたら払出停止状態に設定し、払出可能状態指定コマンドを受信していたら払出停止状態の解除を行う(払出停止状態設定処理:ステップS753)。また、受信した払出制御コマンドを解析し、解析結果に応じた処理を実行する(コマンド解析実行処理:ステップS754)。さらに、プリペイドカードユニット制御処理を行う(ステップS755)。
【0269】
次いで、払出制御用CPU371は、球貸し要求に応じて貸し球を払い出す制御を行う(ステップS756)。このとき、払出制御用CPU371は、振分ソレノイド310によって球振分部材311を球貸し側に設定する。
【0270】
さらに、払出制御用CPU371は、総合個数記憶に格納された個数の賞球を払い出す賞球制御処理を行う(ステップS757)。このとき、払出制御用CPU371は、振分ソレノイド310によって球振分部材311を賞球側に設定する。そして、出力ポート372cおよび中継基板72を介して球払出装置97の払出機構部分における払出モータ289に対して駆動信号を出力し、所定の回転数分払出モータ289を回転させる払出モータ制御処理を行う(ステップS758)。
【0271】
なお、この実施の形態では、払出モータ289としてステッピングモータが用いられ、それらを制御するために1−2相励磁方式が用いられる。従って、具体的には、払出モータ制御処理において、8種類の励磁パターンデータが繰り返し払出モータ289に出力される。また、この実施の形態では、各励磁パターンデータが4msずつ出力される。
【0272】
次いで、エラー検出処理が行われ、その結果に応じてエラー表示LED374に所定の表示を行う(エラー処理:ステップS759)。また、遊技機外部に出力される球貸し個数信号を出力する処理等を行う(出力処理:ステップS760)。
【0273】
なお、図37に示す出力ポートCは、払出制御処理における払出モータ制御処理(ステップS758)でアクセスされる。また、出力ポートDは、払出制御処理におけるエラー処理(ステップS759)でアクセスされる。そして、出力ポートEは、払出制御処理における球貸し制御処理(ステップS756)および賞球制御処理(ステップS757)でアクセスされる。
【0274】
図41は、ステップS710の払出状態復旧処理の一例を示すフローチャートである。払出状態復旧処理において、払出制御用CPU371は、まず、スタックポインタの復帰処理を行う(ステップS731)。スタックポインタの値は、後述する電力供給停止時処理において、所定のRAMエリア(電源バックアップされている)に退避している。よって、ステップS731では、そのRAMエリアの値をスタックポインタに設定することによって復帰させる。なお、復帰されたスタックポインタが指す領域(すなわちスタック領域)には、電力供給が停止したときのレジスタ値やプログラムカウンタ(PC)の値が退避している。
【0275】
次いで、払出制御用CPU371は、バックアップフラグをクリアする(ステップS732)すなわち、前回の電力供給停止時に所定の記憶保護処理が実行されたことを示すフラグをリセットする。また、スタック領域から各種レジスタの退避値を読み出して、各種レジスタに設定する(ステップS733)。すなわち、レジスタ復元処理を行う。さらに、払出状態復旧処理が実行されたことを示す復旧フラグをオンする(ステップS734)。復旧フラグは、払出状態復旧処理が実行されたあと未だ制御コマンドを受信していないことを示すフラグである。そして、パリティフラグがオンしていない場合には割込許可状態にする(ステップS735,S736)。最後に、AFレジスタ(アキュミュレータとフラグのレジスタ)をスタック領域から復元する(ステップS737)。
【0276】
そして、RET命令が実行されるのであるが、ここでのリターン先は、払出状態復旧処理をコールした部分ではない。なぜなら、ステップS731においてスタックポインタの復帰処理がなされ、復帰されたスタックポインタが指すスタック領域に格納されているリターンアドレスは、プログラムにおける前回の電力供給停止時にNMIが発生したアドレスである。従って、ステップS737の次のRET命令によって、電力供給停止時にNMIが発生したアドレスにリターンする。すなわち、スタック領域に退避されていたアドレスにもとづいて復旧制御が実行されている。
【0277】
図42および図43は、電源基板910からの電源断信号に応じて実行されるマスク不能割込処理(NMI処理:電力供給停止時処理)の処理例を示すフローチャートである。
【0278】
電力供給停止時処理において、払出制御用CPU371は、AFレジスタを所定のバックアップRAM領域に退避する(ステップS801)。また、割込フラグをパリティフラグにコピーする(ステップS802)。パリティフラグはバックアップRAM領域に形成されている。割込フラグは、割込許可状態であるのか割込禁止状態であるのかを示すフラグであって、払出制御用CPU371が内蔵する制御レジスタ中にある。割込フラグのオン状態が割込禁止状態であることを示す。上述したように、パリティフラグは遊技状態復旧処理で参照される。そして、払出状態復旧処理において、パリティフラグがオン状態であれば、割込許可状態には設定されない。
【0279】
また、BCレジスタ、DEレジスタ、HLレジスタ、IXレジスタおよびスタックポインタをバックアップRAM領域に退避する(ステップS804〜808)。
【0280】
次に、バックアップあり指定値(この例では「55H」)をバックアップフラグにストアする。バックアップフラグはバックアップRAM領域に形成されている。次いで、主基板31のCPU56の処理と同様の処理を行ってパリティデータを作成しバックアップRAM領域に保存する(ステップS810〜S819)。そして、RAMアクセスレジスタにアクセス禁止値を設定する(ステップS820)。以後、内蔵RAMのアクセスができなくなる。
【0281】
さらに、払出制御用CPU371は、クリアデータ(00)を適当なレジスタにセットし(ステップS821)、処理数(この例では「3」)を別のレジスタにセットする(ステップS822)。また、出力ポートCのアドレス(この例では「00H」)をIOポインタに設定する(ステップS823)。IOポインタとして、さらに別のレジスタが用いられる。
【0282】
そして、IOポインタが指すアドレスにクリアデータをセットするとともに(ステップS824)、IOポインタの値を1増やし(ステップS825)、処理数の値を1減算する(ステップS827)。ステップS824〜S826の処理が、処理数の値が0になるまで繰り返される。その結果、全ての出力ポートC〜E(図37参照)にクリアデータが設定される。図37に示すように、この例では、「1」がオン状態であり、クリアデータである「00」が各出力ポートにセットされるので、全ての出力ポートがオフ状態になる。
【0283】
従って、制御状態を保存するための処理(この例では、チェックサムの生成およびRAMアクセス防止)が実行された後、各出力ポートは直ちにオフ状態になる。従って、その内容が正しく保存されているか否かを示すチェックサムの生成処理、およびその内容を書き換えないようにするためのRAMアクセス防止処理が、払出制御状態を保存するための処理に相当する。
【0284】
制御状態を保存するための処理が実行された後、直ちに各出力ポートがオフ状態になるので、保存される遊技状態と整合しない状況が発生することは確実に防止される。また、電気部品の駆動が不能なる状態になる前に電力供給停止処理の際に出力ポートをクリアすることができるので、電気部品の駆動が不能なる状態となる前に払出制御手段により制御される各電気部品を、適切な動作停止状態にすることができる。例えば、駆動状態にある払出モータ289の作動を停止させるなど電気部品についての作動を停止させたあとに電気部品の駆動が不能なる状態とすることができる。従って、適切な停止状態で電力供給の復旧を待つことができる。
【0285】
出力ポートに対するクリア処理が完了すると、払出制御用CPU371は、待機状態(ループ状態)に入る。従って、システムリセットされるまで、何もしない状態になる。
【0286】
図44は、払出制御用CPU371が内蔵するRAMの使用例を示す説明図である。この例では、バックアップRAM領域に、総合個数記憶(例えば2バイト)と貸し球個数記憶とがそれぞれ形成されている。総合個数記憶は、主基板31の側から指示された賞球払出個数の総数を記憶するものである。貸し球個数記憶は、未払出の球貸し個数を記憶するものである。なお、バックアップRAM領域には、上記の遊技球の個数に関する情報を記憶する領域に限られず、例えば、後述する払出停止中フラグ、賞球経路エラーフラグなどのエラー状態を示すフラグ、バックアップフラグなどの各種のフラグを記憶する領域や、受信コマンドバッファなどの各種のバッファなどを記憶する領域なども形成されている。また、払出制御処理において用いられるデータが格納されるRAM領域は全て電源バックアップされるようにしてもよい。
【0287】
そして、払出制御用CPU371は、例えば、賞球制御処理(ステップS757)において、遊技制御手段から賞球個数を示す払出制御コマンドを受信すると、指示された個数分だけ総合個数記憶に内容を増加する。また、球貸し制御処理(ステップS756)において、カードユニット50から球貸し要求の信号を受信する毎に1単位(例えば25個)の個数分だけ貸し球個数記憶に内容を増加する。さらに、払出制御用CPU371は、賞球制御処理において賞球カウントスイッチ301Aが1個の賞球払出を検出すると総合個数記憶の値を1減らし、球貸し制御処理において球貸しカウントスイッチ301Bが1個の貸し球払出を検出すると貸し球個数記憶の値を1減らす。
【0288】
従って、未払出の賞球個数と貸し球個数とが、所定期間はその内容を保持可能なバックアップRAM領域に記憶されることになる。よって、停電等の不測の電力供給停止が生じても、所定期間内に電力供給が復旧すれば、バックアップRAM領域の記憶内容にもとづいて賞球処理および球貸し処理を再開することができる。すなわち、遊技機への電力供給が停止しても、電力供給が再開すれば、電力供給停止時の未払出の賞球個数と貸し球個数とにもとづいて払い出しが行われ、遊技者に与えられる不利益を低減することができる。
【0289】
図45は、主基板31から受信した払出制御コマンドを格納するための受信バッファの一構成例を示す説明図である。この例では、2バイト構成の払出制御コマンドを6個格納可能なリングバッファ形式の受信バッファが用いられる。従って、受信バッファは、受信コマンドバッファ1〜12の12バイトの領域で構成される。そして、受信したコマンドをどの領域に格納するのかを示すコマンド受信個数カウンタが用いられる。コマンド受信個数カウンタは、0〜11の値をとる。
【0290】
図46は、割込処理による払出制御コマンド受信処理を示すフローチャートである。主基板31からの払出制御用のINT信号は払出制御用CPU371のCLK/TRG2端子に入力されている。よって、主基板31からのINT信号が立ち上がると、払出制御用CPU371に割込がかかり、図46に示す払出制御コマンドの受信処理が開始される。なお、払出制御用CPU371は、割込が発生すると、ソフトウェアで割込許可にしない限り、マスク可能割込がさらに生ずることはないような構造のCPUである。
【0291】
なお、ここでは払出制御手段のコマンド受信処理について説明するが、表示制御手段、ランプ制御手段および音制御手段でも、同様のコマンド受信処理が実行されている。また、この実施の形態では、CLK/TRG2端子の入力が立ち上がるとタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が−1されるような初期設定を行ったが、すなわち、INT信号の立ち上がりで割込が発生するような初期設定を行ったが、CLK/TRG2端子の入力が立ち下がるとタイマカウンタレジスタCLK/TRG2の値が−1されるような初期設定を行ってもよい。換言すれば、INT信号の立ち下がりで割込が発生するような初期設定を行ってもよい。
【0292】
すなわち、取込信号としてのパルス状(矩形波状)のINT信号のレベル変化タイミング(エッジ)で割込が発生するように構成すれば、エッジは立ち上がりエッジであっても立ち下がりエッジであってもよい。いずれにせよ、取込信号としてのパルス状(矩形波状)のINT信号のレベル変化タイミング(エッジ)で割込が発生するように構成される。このようにすることで、コマンドの取込が指示された段階でいち早くコマンド受信を行うことが可能になる。また、Aの期間(図30)が経過するまでINT信号の出力が待機されるので、INT信号の出力時に、制御信号CD0〜CD7のライン上のコマンドデータの出力状態は安定している。よって、払出制御手段において、払出制御コマンドは良好に受信される。
【0293】
払出制御コマンドの受信処理において、払出制御用CPU371は、まず、各レジスタをスタックに退避する(ステップS850)。次いで、払出制御コマンドデータの入力に割り当てられている入力ポート372a(図7参照)からデータを読み込む(ステップS851)。
【0294】
次いで、復旧フラグがオン状態であるか否か確認する(ステップS861)。復旧フラグがオン状態であれば、払出状態復旧処理が実行されたあとに未だ制御コマンドを受信していない状態であることを意味する。なお、この例では、初期設定コマンドを受信したときには、復旧フラグの状態を確認しないものとする。復旧フラグがオン状態であれば、払出制御用CPU371は、復旧フラグをオフ状態とし(ステップS862)、ステップS851にて読み込んだデータと、前回の電力供給が停止する前に最後に受信したデータとを比較する(ステップS863)。なお、前回の電力供給が停止する前に最後に受信したデータは、後述する最終受信データ格納エリアに格納されているデータである。ステップS851にて読み込んだデータと、最終受信データ格納エリアに格納されているデータとが一致していた場合には、いずれか一方のデータが廃棄される。
【0295】
復旧フラグがオン状態でなければ、または、復旧フラグがオン状態であるときであっても各処理を終えれば、払出制御用CPU371は、ステップS851にて読み込んだデータが2バイト構成の払出制御コマンドのうちの1バイト目であるか否か確認する(ステップS852)。1バイト目であるか否かは、受信したコマンドの先頭ビットが「1」であるか否かによって確認される。先頭ビットが「1」であるのは、2バイト構成である払出制御コマンドのうちのMODEバイト(1バイト目)のはずである(図29参照)。そこで、払出制御用CPU371は、先頭ビットが「1」であれば、有効な1バイト目を受信したとして、受信したコマンドを受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタが示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS853)。
【0296】
払出制御コマンドのうちの1バイト目でなければ、1バイト目を既に受信したか否か確認する(ステップS854)。既に受信したか否かは、受信バッファ(受信コマンドバッファ)に有効なデータが設定されているか否かによって確認される。
【0297】
1バイト目を既に受信している場合には、受信した1バイトのうちの先頭ビットが「0」であるか否か確認する。そして、先頭ビットが「0」であれば、有効な2バイト目を受信したとして、受信したコマンドを、受信バッファ領域におけるコマンド受信個数カウンタ+1が示す受信コマンドバッファに格納する(ステップS855)。先頭ビットが「0」であるのは、2バイト構成である払出制御コマンドのうちのEXTバイト(2バイト目)のはずである(図29参照)。なお、ステップS854における確認結果が1バイト目を既に受信したである場合には、2バイト目として受信したデータのうちの先頭ビットが「0」でなければ処理を終了する。なお、ステップS854で「N」と判断された場合には、ステップS856の処理が行われないので、次に受信したコマンドは、今回受信したコマンドが格納されるはずであったバッファ領域に格納される。
【0298】
ステップS855において、2バイト目のコマンドデータを格納すると、コマンド受信個数カウンタに2を加算する(ステップS856)。そして、コマンド受信カウンタが12以上であるか否か確認し(ステップS857)、12以上であればコマンド受信個数カウンタをクリアする(ステップS858)。さらに、S851で読み出した受信データを、バックアップRAM領域に設けられている最終受信データ格納エリアに格納し、最終受信データ格納エリアの保存データを更新する(ステップS865)。なお、S851で読み出した受信データが初期設定コマンドのデータである場合には、ステップS865の処理は実行されない。その後、退避されていたレジスタを復帰し(ステップS859)、最後に割込許可に設定する(ステップS859)。
【0299】
コマンド受信割込処理中は割込禁止状態になっている。上述したように、2msタイマ割込処理中は割込許可状態になっているので、2msタイマ割込中にコマンド受信割込が発生した場合には、コマンド受信割込処理が優先して実行される。また、コマンド受信割込処理中に2msタイマ割込が発生しても、その割込処理は待たされる。このように、この実施の形態では、主基板31からのコマンド受信処理の処理優先度が高くなっている。また、コマンド受信処理中には他の割込処理が実行されないので、コマンド受信処理に要する最長時間は決まる。コマンド受信処理中に他の割込処理が実行可能であるように構成したのでは、コマンド受信処理に要する最長の時間を見積もることは困難である。コマンド受信処理に要する最長時間が決まるので、遊技制御手段のコマンド送出処理におけるCの期間(図30参照)をどの程度にすればよいのかを正確に判断することができる。さらに具体的には、コマンド受信処理に要する最長時間が決まるので、ステップS367にてセットするウエイトカウンタの値をどの程度にすればよいのかを正確に判断することができる。
【0300】
また、払出制御コマンドは2バイト構成であって、1バイト目(MODE)と2バイト目(EXT)とは、受信側で直ちに区別可能に構成されている。すなわち、先頭ビットによって、MODEとしてのデータを受信したのかEXTとしてのデータを受信したのかを、受信側において直ちに検出できる。よって、上述したように、適正なデータを受信したのか否かを容易に判定することができる。
【0301】
次に、コマンド送信に関する処理の実行中に電力供給が停止し、その後の電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態について説明する。
【0302】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図47(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたMODEデータと、と、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ3に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ4に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0303】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図47(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたMODEデータをコマンドと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータを受信バッファ4に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0304】
次に、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図47(C)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ2に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ3に保存し、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ4に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたEXTデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ2に保存されているEXTデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ5に保存されるはずであったEXTデータを破棄するようにすればよい。このように、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合には、電力供給が再開したあとに再送されたEXTデータは破棄されるので、制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信されていることになる。
【0305】
最後に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。本例では電力供給が再開した場合に初期設定コマンドが送信されるので、制御コマンドの取りこぼしを防止するため、EXTデータの受信中に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合には、MODEデータから再送する構成とするのが好ましい。この場合、例えば、ステップS335のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグと、ステップS342のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグとを別個のフラグとし、ステップS342のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグがオン状態であるときに電力供給が停止して、その後に電力供給が再開した場合には、ステップS88にてスタック領域における復帰アドレスを示す値を、コマンドセット処理(図32参照)の最初のアドレスを示す値に変更するようにすればよい。
【0306】
EXTデータの受信中に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合にMODEデータから再送する処理を行う構成とした場合には、図47(D)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ2に保存されているEXTデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されたMODEデータを破棄するようにすればよい。そして、遊技制御処理にて再送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ4に保存し、遊技制御処理にて再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに、取りこぼしが発生することなく制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0307】
なお、上記のように、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合にMODEデータから再送する構成とすると、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合についても、MODEデータから再送する構成となる。従って、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合に、制御コマンドが重複受信されることを防止するために、図34に示したg〜hの期間をできるだけ短い期間となるように、ステップS362やステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することが望ましい。理想的には、コマンド受信処理の完了時と、コマンド送信中フラグがオフ状態とするときとが同一となるように、ステップS362やステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整する。
【0308】
以上説明したように、遊技制御手段(例えば、CPU56)が、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理:図33参照)の実行中に遊技機への電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合には、コマンドの送信に関連する処理を所定のタイミング(例えば、コマンド送信処理の最初)から再度実行し、電力供給が停止したときに送信中のコマンドがあった場合には、当該、コマンドの少なくとも一部(MODEデータ、EXTデータ、あるいは制御コマンド)を再送する構成としたので、コマンドの出力にかかわる処理の実行中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給再開後にそのコマンドを確実に送信することができる。
【0309】
例えば、払出手段からの遊技媒体の払出数を特定可能な払出制御コマンドを再送する構成とした場合には、たとえ遊技制御手段(例えば、CPU56)による払出制御コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理:図33参照)の実行中に電力供給が停止した場合であっても、払出制御コマンドは確実に送信されるので、遊技媒体の付与が確実に行なわれ、遊技者に不利益を及ぼしてしまうことを防止することができる。
【0310】
また、上述したように、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理)は、コマンドの出力に用いられるコマンド出力ポートにデータを出力する処理(例えば、ステップS356)を含み、コマンドの送信に関連する処理を再度実行する所定のタイミングは、コマンド出力ポートにデータを出力する処理の前(例えば、コマンド送信処理の最初)であるように構成されているので、コマンド出力ポートにデータを出力する処理が確実に実行されることが保証される。
【0311】
また、上述したように、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理)を再度実行する所定のタイミングは、コマンドの送信に関連する処理の最初であるように構成されているので、コマンドの送信に関連する処理が確実に実行されることが保証され、コマンドを確実に送信することができる。
【0312】
また、上述したように、コマンドが複数のデータ(MODEデータとEXTデータ)によって構成され、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンド送信処理)を再度実行する所定のタイミングは、複数のデータにおける1のデータを送信する処理の最初であるように構成されているので、コマンドを構成するデータを送信する処理が保証され、コマンドを確実に送信することができる。
【0313】
また、上述したように、電力供給が開始したときに、コマンド送信中フラグがオン状態であった場合には、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止されたものと判定するように構成されているので、電力供給が停止されたときの制御状態を容易に判定することができる。
【0314】
また、上述したように、コマンド受信側基板のCPU(例えば、払出制御用CPU371)が、遊技制御手段からのコマンドを所定の記憶領域(例えば、コマンド受信バッファ)に保存するコマンド受信処理(図46参照)を実行し、遊技制御手段がコマンドの送信を行ってコマンドの送信に関連する処理を終了するタイミング(例えば、コマンド送信中フラグがオフ状態となるタイミング)が、コマンド受信側基板のCPUが当該コマンドの保存を行ってコマンド受信処理が完了するタイミングよりも遅いタイミングとされるように構成されているので、コマンド受信側基板のCPUによってコマンドが確実に受信されるようにすることができる。
【0315】
また、上述したように、コマンド受信側基板のCPUが、遊技制御手段からのコマンドをコマンド受信バッファに保存するコマンド受信処理(例えば、図46に示すコマンド受信割込処理)を実行し、遊技制御手段がコマンドの送信を行ってコマンド送信処理を終了するタイミング(例えば、コマンド送信処理が終了するタイミング)は、電気部品制御手段が当該コマンドの保存を行ってコマンド受信処理が完了するタイミング(例えば、コマンド受信割込処理が完了するタイミング)よりも遅いタイミングとされるように構成されているので、コマンド受信側基板のCPUによってコマンドが受信されることが保証される。
【0316】
また、上述したように、コマンド受信側基板のCPUが、取り込み信号(例えば、INT信号)の入力に応じてコマンド受信処理を実行し、遊技制御手段は、取り込み信号の出力後にコマンド受信処理の終了を担保する期間(例えば、ステップS362〜ステップS364や、ステップS367〜ステップS369の処理が実行されている期間)を設けた構成とされているので、コマンド受信側基板のCPUによるコマンドの受信処理の実行タイミングを把握することができ、コマンド受信側基板のCPUによってコマンドが確実に受信されるようにすることができる。
【0317】
なお、上述した実施の形態では、遊技状態復旧処理にて初期設定コマンドを送信する構成(ステップS82〜ステップS85)としていたが、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成としてもよい。この場合、ステップS86にてコマンド送信中フラグがオンでないと判断された場合に、ステップS82〜ステップS85の処理を行うようにすればよい。
【0318】
図48は、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合に、電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態を示す説明図である。なお、遊技状態復旧処理において初期設定コマンドを常に送信しない構成とされていてもよい。
【0319】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0320】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存する。また、再送信されてきたEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0321】
次に、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(C)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ2に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されてきたコマンドのEXTデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ2に保存されているEXTデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ3に保存されるはずであったEXTデータを破棄するようにすればよい。このように、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合には、電力供給が再開したあとに再送されたEXTデータは破棄されるので、制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信されることになる。
【0322】
最後に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図48(D)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたEXTデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、遊技制御処理にて再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ2に上書き保存する。従って、この例では、EXTデータの受信中に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合についても、制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0323】
上記のように、少なくとも再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合には、ステップS335のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグと、ステップS342のコマンド送信処理によって用いられるコマンド送信中フラグとを別個のフラグとするなどの構成をとることなく、制御コマンドの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信されるようにすることができる。また、少なくとも再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合には、制御コマンドを構成するコマンドデータ(MODEデータまたはEXTデータ)のみが常に再送されるようにすることができ、コマンド送信側および受信側の処理負担を軽減させることができる。
【0324】
また、上述した実施の形態では、遊技状態復旧処理にて、コマンド送信中フラグの状態を確認することでコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成としていたが(ステップS86)、スタック領域に退避している復帰アドレス(NMIによる電力供給停止時処理によって退避されたアドレス)を示す値を確認することで、コマンドの再送を行うか否かの判断を行うようにしてもよい。図49は、スタック領域に退避している復帰アドレスを示す値に応じてコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成とした場合における遊技状態復旧処理である。この例では、ステップS86aにて、スタック領域における復帰アドレスを示す値が、コマンド送信処理のアドレスを示す値であるか否か確認する。すなわち、復帰アドレスを示す値が、コマンド送信処理が実行されているときに用いられる何れかのアドレスを示す値であるか否かを確認する。コマンド送信処理のアドレスを示す値であれば、コマンド送信処理の実行中に電力供給が停止したことになるので、上述したステップS88の処理が実行され、ステップS95の次のRET命令によってコマンド送信処理が開始されるときのアドレスにリターンするようになる。
【0325】
このように、スタック領域における復帰アドレスを示す値がコマンドの送信に関連する処理の実行中に用いられるアドレスを示す値であるか否か確認することで、コマンドの再送を行うか否かの判断を行う場合には、コマンドの送信に関連する処理の実行中に用いられるアドレスが他の処理で用いられないようにしておけば、確実な判定がなされるようになる。すなわち、コマンドの送信に関連する処理が専用のモジュールで実行されるように構成しておけば、スタック領域に退避している復帰アドレスを示す値によって、電力供給が停止した際にコマンドの送信に関連する処理が実行されていたか否かを確実に判定することができるようになる。なお、コマンドの送信に関連する処理を実行する専用のモジュールは、複数のモジュールによって構成するようにしてもよい。この場合、例えば、コマンドの送信に関連する処理の一部をそれぞれ実行する複数種類の専用のモジュールを設けて、これら複数のモジュールによってコマンドの送信に関連する処理を実行する専用のモジュールが構成されるようにすればよい。
【0326】
上記のように、スタック領域における復帰アドレスを示す値に応じてコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成とした場合には、スタック領域における復帰アドレスを示す値にもとづいてコマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止されたか否かを判定することができるので、新たなフラグを必要とすることなくRAM55の必要容量の削減となり、また、上述した実施の形態と同様の効果を得ることもできる。
【0327】
また、スタック領域における復帰アドレスを示す値に応じてコマンドの再送を行うか否かの判断を行う構成とする場合に、例えば、コマンドの送信に関連する処理のうち、コマンドの取りこぼしなどの弊害を確実に防止する必要性が高い処理についてだけ専用のモジュール(プログラムモジュール)によって行うようにしてもよい。このようにすれば、弊害を確実に防止する必要性が高い処理の実行中に電力供給が停止した場合には、電力供給再開後に確実にコマンドが再送されるので、防止の必要性が高い弊害を確実に防ぐことができる。コマンドの取りこぼしなどの弊害を確実に防止する必要性が高い処理には、例えば払出制御コマンドの送信に関連する処理などの、コマンドの取りこぼしによって遊技者に不利益を及ぼしてしまう処理などが該当する。例えば、払出制御コマンドの送信に関連する処理を実行するための専用のモジュールを設けた構成とすれば、遊技者に付与する遊技媒体数を指定する払出制御コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止した場合には、電力供給の再開後に確実に払出制御コマンドの送信に関連する処理が再度実行されるので、遊技媒体の付与が確実に行なわれるようになり、遊技者に不利益を及ぼすことが回避される。
【0328】
また、上述した実施の形態では、コマンド送信処理の実行中に電力供給が停止した場合に、その後の電力供給開始時にコマンドを再送する処理を行う構成としていたが、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合に、コマンドセット処理を再度実行してコマンドを再送する処理を行う構成としてもよい。この場合、例えばコマンドセット処理(図32参照)の最初(ステップS331の前)にコマンド送信中フラグをオンし、最後(ステップS342の後)にコマンド送信中フラグをオフするようにするとともに、遊技状態復旧処理のステップS88にてスタック領域に退避している復帰アドレスにコマンドセット処理の最初のアドレスを示す値をセットするようにすればよい。また、例えば、上述した他の例におけるステップS86a(図49参照)にて、スタック領域に退避している復帰アドレスを示す値がコマンドセット処理の実行中に用いられるアドレスの何れかを示す値であるか否かを確認し、コマンドセット処理が実行されているときに用いられるアドレスの何れかを示す値であった場合に、ステップS88にて復帰アドレスの値をコマンドセット処理の最初のアドレスを示す値にセットするようにすればよい。
【0329】
上記のように、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合に、再度コマンドセット処理を再度実行してコマンドを再送する処理を行う構成とした場合には、電力供給が開始したあとにMODEデータおよびEXTデータが送信されるので、上述した実施の形態と同様に、制御コマンドを確実に送信し、受信側の基板に取り込ませるようにすることができるようになる。
【0330】
上記の例では、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止したあと電力供給が開始すると、MODEデータおよびEXTデータが送信される。図50は、コマンドセット処理の実行中に電力供給が停止したあとの電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態を示す説明図である。
【0331】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図50(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ3に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ4に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0332】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図50(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ4に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0333】
次に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図50(C)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、受信した初期設定コマンド(この例では、ステップS83またはステップS84にて送信されるコマンド)のMODEデータをコマンド受信バッファ2に上書き保存する。また、受信した初期設定コマンドのEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。その後、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1のMODEデータを破棄するようにすればよい。遊技制御処理にて再送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ4に保存し、再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ5に保存する。従って、EXTデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドがコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0334】
なお、この例では、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合には、制御コマンドがMODEデータから再送されることとなる。従って、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合に、制御コマンドが重複受信されることを防止するために、図34に示したg〜hの期間ができるだけ短い期間となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することが望ましい。理想的には、コマンド受信処理の完了時と、コマンド送信中フラグがオフ状態とするときとが同一となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整する。
【0335】
上記のように、遊技制御手段(例えば、CPU56)が、コマンドの送信に関連する処理(例えば、コマンドセット処理:図32参照)の実行中に遊技機への電力供給が停止し、その後に電力供給が開始した場合には、コマンドの送信に関連する処理を所定のタイミング(例えば、コマンドセット処理の最初)から再度実行し、電力供給が停止したときに送信中のコマンドがあった場合には、当該、コマンドの少なくとも一部(MODEデータ、あるいは制御コマンド)を再送する構成としたので、コマンドの出力にかかわる処理の実行中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給再開後にそのコマンドを確実に送信することができる。また、コマンド受信側基板で制御コマンドが重複受信されることを防止しているので、電力供給が再開したあとに制御コマンドが正常に受信されるようにすることができる。
【0336】
なお、上記の例では、遊技状態復旧処理にて初期設定コマンドを送信する構成(ステップS82〜ステップS85)としていたが、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成としてもよい。この場合、ステップS86aにてコマンド送信中フラグがオンでないと判断された場合に、ステップS82〜ステップS85の処理を行うようにすればよい。
【0337】
図51は、再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合に、電力供給開始時に再送されたコマンドを受信するコマンド受信側基板(例えば、払出制御基板37)での受信状態を示す説明図である。
【0338】
まず、MODEデータの受信中(図34に示したb〜cの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図51(A)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1に記憶する処理を行っていたMODEデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ12に保存されている、あるいは保存されていたデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが不一致となるため、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ1に上書き保存し、遊技制御処理にて送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ2に保存する。従って、MODEデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、その後に電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0339】
次に、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したc〜dの期間中)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図51(B)に示すように、コマンド受信側基板は、MODEデータを例えばコマンド受信バッファ1に保存し終えた状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されているデータを破棄するようにすればよい。そして、再送信されてきたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存し、遊技制御処理にて送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。従って、MODEデータの受信を終了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0340】
次に、EXTデータの受信中(図34に示したf〜gの期間中)に電力供給が停止したあとに電力供給が再開した場合について説明する。この場合、図51(C)に示すように、コマンド受信側基板は、例えばコマンド受信バッファ1にMODEデータを保存したあと、コマンド受信バッファ2に記憶する処理を行っていたEXTデータを完全に取り込んでいない状態で電力供給が停止した状態となる。その後、電力供給が再開すると、コマンド受信側基板では、コマンド受信バッファの内容が復元される。次いで、主基板31の遊技制御処理にて再送信されたMODEデータと、電力供給の停止前の最終受信データ格納エリアに格納されているデータ(コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータのはずである)とを比較する。ここでは、これらが一致することとなるため、両者のいずれか一方を破棄する。この場合、MODEデータとEXTデータとの順番があらかじめ定められている順番となるように、コマンド受信バッファ1に保存されたMODEデータを破棄するようにすればよい。そして、遊技制御処理にて再送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存し、遊技制御処理にて再送信されたEXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。従って、EXTデータの受信中に電力供給が停止した場合であっても、電力供給が再開したあとに制御コマンドはコマンド受信側基板で正常に受信される。
【0341】
なお、上記のような再送するコマンドデータが存在するときには初期設定コマンドを送信しない構成とした場合についても、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前(図34に示したg〜hの期間)に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合には、制御コマンドがMODEデータから再送されることとなる。従って、EXTデータの受信を完了したあとコマンド送信中フラグがオフ状態とされる前に電力供給が停止し、その後に電力供給が再開した場合に、制御コマンドが重複受信されることを防止するために、図34に示したg〜hの期間ができるだけ短い期間となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することが望ましい。理想的には、コマンド受信処理の完了時と、コマンド送信中フラグがオフ状態とするときとが同一となるように、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整する。
【0342】
また、上述した各実施の形態では、制御コマンドがMODEデータとEXTデータとで構成されていたが、制御コマンドは3以上のデータによって構成されていてもよく、1のデータによって構成されていてもよい。また、制御コマンドは、上述したように、2バイト構成に限られない。
【0343】
また、上述した各実施の形態では、INT信号の受信に応じてコマンドの受信処理(図46参照)が実行される構成としていたが、INT信号が用いられることなくコマンド受信処理を実行する構成とされていてもよい。この場合、例えば、コマンド受信側の各電気部品制御基板が、所定期間毎にコマンド入力ポート(例えば、図38に示す入力ポートA)を監視するようにし、ポートの状態に応じてコマンド受信処理を実行する構成とすればよい。
【0344】
また、上述した各実施の形態では、コマンドを複数の信号線を用いて伝送する構成としていたが、コマンドをシリアル信号によって構成し、1の信号線を用いたシリアル伝送を行うように構成されていてもよい。
【0345】
なお、上述した各実施の形態においては詳しく説明していなかったが、コマンド受信処理(図46参照)の実行中に電力供給が停止し、その後に電力供給が開始すると、コマンド受信側基板のCPUは、コマンド受信処理を再開するが、復旧時には、入力ポート(例えば、図38に示す入力ポートA)の内容が正規のコマンド形式とはなっていない。従って、電力供給が開始して再開したコマンド受信処理において、ステップS851で読み込んだデータは、規則外のデータと判定されるので(ステップS851aのN)、受信コマンドバッファに格納されない。その後、コマンド受信側基板のCPUは、状態復旧した主基板31によって再送されてきたコマンドを受信する処理(図46参照)を行う。
【0346】
また、上述した各実施の形態では、ステップS362(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値と、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値とを調整することで、コマンド受信側の基板でのコマンド受信処理(図46参照)の実行期間を確保する構成としていたが、何れか一方で設定されるウエイトカウンタの値によってコマンド受信処理の実行期間を確保するようにしてもよい。例えば、INT信号が立ち上げられたあとの立下りに従ってコマンド受信処理が開始される場合(例えば、ステップS336の処理の実行に応じてコマンド受信処理が開始される場合)には、ステップS367(図33参照)で設定されるウエイトカウンタの値を調整することでウエイト期間を調整し、コマンド受信処理の実行期間を確保するようにすればよい。
【0347】
また、上記の各実施の形態では、遊技制御以外の電気部品制御手段として、主として、電気部品としての球払出装置97等を制御する払出制御手段を例にした。それは、払出制御コマンドの送受信処理に不備があると、払い出されるべき遊技球が払い出されないという事態を招くおそれがあり、遊技者の不利益に直結するため、かかる事態を招くことを回避することが可能な実施の形態を示すためのである。しかし、他の制御コマンドの送受信処理に不備があった場合にも遊技者に対して不利益を及ぼす可能性があり、またコマンドの送受信処理に不備があった場合に遊技演出が円滑に実行されない事態を招くおそれもあるため、それらの問題を解消するために、本発明が適用される電気部品制御手段が、払出制御手段以外の他の制御手段であるとしてもよい。例えば、電気部品としての可変表示装置9等の制御を行う表示制御手段(表示制御基板80に搭載される表示制御用CPU)、電気部品としての各種ランプやLEDなどの発光手段の制御を行う発光体制御手段(ランプ制御基板35に搭載されるランプ制御用CPU)、電気部品としてのスピーカ27等の制御を行う音制御手段(音制御基板70に搭載される音制御用CPU)に対して本発明を適用することができる。すなわち、それらの電気部品制御手段が、遊技制御手段からのコマンドにもとづいて電気部品の制御を行うものであれば、本発明を適用することができる。また、音、ランプ、表示等の制御を行う演出制御手段が設けられている場合に、演出制御手段に対して本発明を適用することもできる。
【0348】
なお、上述した実施の形態では、バックアップRAMに電力を供給するバックアップ電源が電源基板910において作成される構成としていたが、バックアップ電源は、主基板31や払出制御基板31において作成されるようにしてもよい。また、他の電気部品制御基板35,70,80が電源バックアップ可能な構成とされている場合に、その電気部品制御基板35,70,80においてバックアップ電源を作成する構成としてもよい。
【0349】
なお、上述した各実施の形態において、「モジュール」とは、例えば、所定の単位の処理を実行するものとして他の部分と識別可能なコンピュータプログラム(プログラムモジュール)や回路部品を意味する。
【0350】
さらに、上記の各実施の形態のパチンコ遊技機1は、主として、始動入賞にもとづいて可変表示装置9に可変表示される特別図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第1種パチンコ遊技機であったが、始動入賞にもとづいて開放する電動役物の所定領域への入賞があると所定の遊技価値が遊技者に付与可能になる第2種パチンコ遊技機や、始動入賞にもとづいて可変表示される図柄の停止図柄が所定の図柄の組み合わせになると開放する所定の電動役物への入賞があると所定の権利が発生または継続する第3種パチンコ遊技機であっても、遊技制御手段からのコマンドにもとづいて電気部品の制御を行うものであれば、本発明を適用できる。また、パチンコ遊技機に限られず、スロット機等においても本発明を適用することができる。
【0351】
図52は、図47(A)〜図47(D)等に示すデータの破棄を行うためのCPU56と電気部品制御手段である払出制御用CPU371等(他には表示制御用CPUを含む表示制御手段、ランプ制御用CPUを含むランプ制御手段、音制御用CPUを含む音制御手段等)とRAM55との模式的構成を示すブロック図である。
【0352】
図52には、CPU56に、コマンドの送信に関連する処理(例えば、図33に示すコマンド送信処理、図32に示すコマンドセット処理)の実行中に電力供給が停止した場合に、電力供給が再開したときに電力供給が停止したときに送信中であったコマンドの少なくとも一部(例えば、MODEデータ、EXTデータ)を再度送信する(例えば、状態復旧処理においてステップS88で変更された復帰アドレスに復帰することで、コマンドの送信に関連する処理を再度実行する。)コマンド再送信手段56aを備え、払出制御用CPU371等にコマンド再送信手段56aから再度送信されたコマンドの少なくとも一部と電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部とを比較する(例えば、図47(B)のバッファ1とバッファ2とに保存されているMODEデータを比較する。)比較手段371aと、比較手段371aの比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドの一部が一致する場合にこれらのうち一方を破棄する(例えば、図47(B)のコマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータを破棄する。)破棄手段371bとを備え、RAM55にコマンド送信中フラグやスタック領域に保存されている復帰する処理を示すアドレスデータなどが格納されている様子を示している。
【0353】
コマンド再送信手段56aは、図47(A)〜図47(D)等に示すように、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止した場合に、電力供給が再開したときに電力供給が停止したときに送信中であったコマンドの少なくとも一部(例えば、MODEデータ、EXTデータ)を再度送信する(図47では、MODEデータ、EXTデータの双方を再度送信している。)。ちなみに、コマンド再送信手段56aは、RAM55に格納されている送信中フラグやアドレスデータを電力供給が再開した後に参照して、MODEデータ等を再度送信している。
【0354】
払出制御用CPU371等では、例えば図47(B)の場合には、コマンド再送信手段56aから再度送信されたMODEデータをコマンド受信バッファ2に保存し、EXTデータをコマンド受信バッファ3に保存する。また前述したようにコマンド受信バッファ1には電力供給の停止前に受信しているMODEデータが保存されているので、比較手段371aによってコマンド受信バッファ1,2に保存されているMODEデータを比較する。比較手段371aの比較の結果、これらのMODEデータが一致するので、コマンド受信バッファ1に保存されているMODEデータを破棄手段371bによって破棄する。ここでは、比較手段371aはMODEデータ相互を比較するようにしている。
【0355】
同様に、図47(C)の場合にも、バッファ4,5に保存されているEXTデータが一致するので、コマンド受信バッファ5に保存されているEXTデータを破棄する。なお、図47(A),図47(D)の場合には、隣接するコマンド受信バッファに保存されているデータが一致しないため、データの破棄は行わない。
【0356】
また、本実施形態では、CPU56から表示制御基板80(図6)側に対して、図柄変動の指示の際に「変動指定コマンド」を送り、「右図柄指定コマンド」を送り、「左図柄指定コマンド」を送り、「中図柄指定コマンド」を送り、「図柄確定コマンド」を送り、…、のように、同じコマンドが連続して送信されないようにしているので、表示制御基板80側では連続して送信されてきたコマンドの少なくとも一部を比較手段101aによって相互を比較すれば、重複したコマンドを受信したかどうかを判別できる。よって、比較結果にもとづいて破棄手段101bによってコマンドの破棄を行えばよい。
【0357】
一方、CPU56から払い出し制御用CPU371に対しては、「15個の遊技球払い出しコマンド」を送り、「15個の遊技球払い出しコマンド」を送り、「5個の遊技球払い出しコマンド」を送り、…、のように、同じコマンドが連続して送信される場合があり、このままでは重複したコマンドを受信したかどうかを判別できないので、同じコマンドには各々に固有の符号(例えば「15個の遊技球払い出しコマンド1」、「15個の遊技球払い出しコマンド2」のような通し番号。)を付し、重複したコマンドを受信したかどうかを判別できるようにするとよい。
【0358】
なお、本実施の形態では電力供給停止後、電力供給開始後に行われる図14に示した遊技状態復旧処理は、コマンド再送信手段によるコマンドの再送信処理に先立って行われるが、実施の態様によってはコマンド再送信手段によってコマンドの少なくとも一部を再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、電気部品制御手段は、復旧指定コマンドを受信したことに応じて遊技機に設けられた電気部品の制御を再開するようにすることもできる。具体的には図14に示した遊技状態復旧処理において、コマンド送信中フラグがオンしているか否か確認し(ステップS86)、コマンド送信中フラグがオンであれば、コマンド送信中フラグをリセットし(ステップS87)、スタックポインタが、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行されていたコマンドセット処理のリターン先のアドレスが格納されているスタック領域を指すように、スタックポインタの値を増やしておく。次いで、コマンドセット処理をコールして、コマンド送信バッファに格納されているコマンドを再度送信する。さらに、復旧指定コマンドを送信する。なお、この例では、ステップS88の処理は実行されない。この例では、復旧指定コマンドは、遊技状態復旧処理にて単に送信される。この場合、遊技状態復旧処理の最後のリターン命令によって、NMIによる電力供給停止時処理が開始されたときに実行していたコマンドセット処理をコールした部分にリターンする。また図41のステップS710の払出状態復旧処理の一例を示すフローチャートにおいて払出状態復旧処理が実行されたことを示す復旧フラグをオンし(ステップS734)、割込許可状態にすると共に復旧指定コマンドの受信待ち状態とする。すなわち、復旧指定コマンドを受信するまではRET命令が実行されない様にする。
【0359】
図53はかかる態様を示し、CPU56は、コマンド再送信手段56aによってコマンドの少なくとも一部を再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信する復旧指定コマンド送信手段56bを備えており、復旧指定コマンド送信手段56bからの送信をトリガとして遊技の進行の制御を再開している。さらに、払出制御用CPU371等は、復旧指定コマンド送信手段56bから送信された復旧指定コマンドを受信する復旧指定コマンド受信手段371cを備えており、復旧指定コマンド受信手段371cでの復旧指定コマンドの受信をトリガとして遊技機に設けられた電気部品の制御を再開するようにしている。よって、遊技制御手段と払出制御手段とを同期させて制御を再開させることができる。
【0360】
特に図53に示す態様ではCPU56と、表示制御用CPUを含む表示制御手段80とにそれぞれ備えている、可変表示部に表示される識別情報の可変表示期間を管理するタイマ56c,80aは、電力供給の停止時に更新が停止するので、CPU56と表示制御手段80’とが各々自己のタイマ56c、80aの更新を復旧指定コマンド送信手段56b,復旧指定コマンド受信手段80bでの復旧指定コマンドの送信或いは受信をトリガとして再開するようにする。よって、遊技制御手段と表示制御手段とを同期させて制御を再開させることができる。
【0361】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、遊技制御手段および電気部品制御手段は、電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、前記変動データ記憶手段に記憶保持された記憶内容にもとづいて電力供給停止前の制御状態に復旧させる復旧処理を実行可能であり、遊技制御手段は、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、電力供給が再開したときに電力供給が停止したときに送信中であったコマンドを再度送信するコマンド再送信手段を有し、電気部品制御手段は、コマンド再送信手段から再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に最後に受信しているコマンドとを比較する比較手段と、比較手段による比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドとが互いに一致する場合にこれらのうち一方を破棄する破棄手段とを備えるので、遊技制御手段側に制御負荷をかけずに、電気部品制御手段側で同じコマンドによる処理を行わないようにすることができる。
【0362】
請求項2記載の発明では、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後の状態フラグにもとづいてコマンドを再度送信するので、コマンド送信中に電力供給が停止したか否かを容易に判定することができ、コマンドを再度送信する制御の負担を軽減することができる。
【0363】
請求項3記載の発明では、コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後のプログラムアドレスデータにもとづいてコマンドを再度送信するので、通常の遊技制御に用いられるプログラムアドレスデータを流用してコマンド送信中に停止したか否かを判断でき、新たな記憶領域を備える必要がない。
【0364】
請求項4記載の発明では、コマンド再送信手段は複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータの中で送信中だったコマンドデータのみを再度送信するので既に送信済みであり、再送信が不要なコマンドデータの再送信が避けられ再送信手段の処理負担を軽減することができる。
【0365】
請求項5記載の発明では、比較手段は複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータのいずれか一つのコマンドデータ相互を比較するようにしているので、コマンドデータ全ての比較が避けられ、比較手段の処理負担を少なくできる。
【0366】
請求項6記載の発明では、遊技制御手段は復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、電気部品制御手段は復旧指定コマンドの受信をトリガとして遊技機に設けられた電気部品の制御を再開するので、各手段での制御進行の同期を図ることができる。
【0367】
請求項7記載の発明では、遊技制御手段および前記表示制御手段は、識別情報の可変表示の実行期間を管理するタイマをそれぞれ備え、遊技制御手段は電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを送信したことに応じて再開し、表示制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを受信したことに応じて再開するので、可変表示期間の認識の同期を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチンコ遊技機を正面からみた正面図である。
【図2】ガラス扉枠を取り外した状態での遊技盤の前面を示す正面図である。
【図3】遊技機を裏面から見た背面図である。
【図4】各種部材が取り付けられた機構板を遊技機背面側から見た背面図である。
【図5】球払出装置の構成例を示す分解斜視図である。
【図6】遊技制御基板(主基板)の回路構成例を示すブロック図である。
【図7】払出制御基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図8】電源基板の回路構成例を示すブロック図である。
【図9】電源監視および電源バックアップのためのCPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図10】出力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図11】出力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図12】主基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図13】バックアップフラグと遊技状態復旧処理を実行するか否かとの関係の一例を示す説明図である。
【図14】遊技状態復旧処理を示すフローチャートである。
【図15】2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図16】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図17】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図18】チェックサム作成方法の一例を説明するための説明図である。
【図19】遊技機への電力供給停止時の電源低下やNMI信号の様子を示すタイミング図である。
【図20】RAMにおけるスイッチタイマの形成例を示す説明図である。
【図21】スイッチ処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】スイッチチェック処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】賞球処理の一例を示すフローチャートである。
【図24】賞球処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】賞球処理の一例を示すフローチャートである。
【図26】スイッチオンチェック処理を示すフローチャートである。
【図27】入力判定値テーブルの構成例を示す説明図である。
【図28】コマンド送信テーブル等の一構成例を示す説明図である。
【図29】制御コマンドのコマンド形態の一例を示す説明図である。
【図30】制御コマンドを構成する8ビットの制御信号とINT信号との関係を示すタイミング図である。
【図31】払出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。
【図32】コマンドセット処理の処理例を示すフローチャートである。
【図33】コマンド送信処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図34】コマンド送信に関連する処理とコマンド受信処理の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図35】賞球個数減算処理の一例を示すフローチャートである。
【図36】電源監視および電源バックアップのための払出制御用CPU周りの一構成例を示すブロック図である。
【図37】出力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図38】入力ポートのビット割り当ての一例を示す説明図である。
【図39】払出制御基板におけるCPUが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図40】2msタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図41】払出状態復旧処理を示すフローチャートである。
【図42】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図43】マスク不能割込処理(電力供給停止時処理)を示すフローチャートである。
【図44】払出制御手段におけるRAMの一構成例を示す説明図である。
【図45】受信コマンドバッファの一構成例を示す説明図である。
【図46】払出制御用CPUのコマンド受信処理の例を示すフローチャートである。
【図47】コマンド受信状態の例を示す説明図である。
【図48】初期設定コマンドが送信されない場合のコマンド受信状態の例を示す説明図である。
【図49】遊技状態復旧処理の他の例を示すフローチャートである。
【図50】コマンド受信状態の他の例を示す説明図である。
【図51】初期設定コマンドが送信されない場合のコマンド受信状態の他の例を示す説明図である。
【図52】遊技状態復旧処理時の動作の説明図である。
【図53】遊技状態復旧処理時の動作の他の説明図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機
31 主基板
37 払出制御基板
53 基本回路
55 RAM(変動データ記憶手段)
56 CPU
371 払出制御用CPU
Claims (7)
- 遊技者が所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、
遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段からのコマンドにもとづき、遊技機に設けられた電気部品を制御する電気部品制御手段と、
遊技機への電力供給が停止しても所定期間は記憶内容を保持することが可能な変動データ記憶手段とを備え、
前記遊技制御手段および電気部品制御手段は、電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、前記変動データ記憶手段に記憶保持された記憶内容にもとづいて電力供給停止前の制御状態に復旧させる復旧処理が実行可能であり、
前記遊技制御手段は、コマンドの送信に関連する処理の実行中に電力供給が停止し、再び電力供給が開始した場合に、電力供給が停止したときに送信中であったコマンドを再度送信するコマンド再送信手段を有し、
前記電気部品制御手段は、前記コマンド再送信手段から再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に最後に受信しているコマンドとを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、再度送信されたコマンドと電力供給の停止前に受信しているコマンドとが互いに一致する場合にこれらのうち一方を破棄する破棄手段とを備えることを特徴とする遊技機。 - 変動データ記憶手段の記憶内容には、コマンドの送信に関連する処理の実行状態を示す状態フラグが含まれ、
コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後の前記状態フラグにもとづいてコマンドを再度送信する
請求項1記載の遊技機。 - 変動データ記憶手段の記憶内容には電力供給が停止したときに実行していた処理を示すプログラムアドレスデータが含まれ、
コマンド再送信手段は、電力供給が再開した後の前記プログラムアドレスデータにもとづいてコマンドを再度送信する
請求項1記載の遊技機。 - コマンドは複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータからなり、コマンド再送信手段は送信中だったコマンドデータのみを再度送信する請求項1から請求項3のいずれかに記載の遊技機。
- コマンドは複数段階に分けて送信される複数のコマンドデータからなり、比較手段はいずれか一つのコマンドデータ相互を比較する請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機。
- 遊技制御手段は、コマンド再送信手段によってコマンドを再度送信した後に、電力供給が再開したことを示す復旧指定コマンドを送信したことに応じて遊技の進行の制御を再開し、
電気部品制御手段は、復旧指定コマンドを受信したことに応じて遊技機に設けられた電気部品の制御を再開する
請求項1から請求項5のいずれかに記載の遊技機。 - 電気部品制御手段は、識別情報の可変表示を行う可変表示装置の制御を行う表示制御手段であり、
遊技制御手段および前記表示制御手段は、識別情報の可変表示の実行期間を管理するタイマをそれぞれ備え、
前記遊技制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを送信したことに応じて再開し、
前記表示制御手段は、電力供給の停止時に更新を停止した自己のタイマの更新処理を、復旧指定コマンドを受信したことに応じて再開する
請求項6記載の遊技機。
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