JP2004016361A - 食器洗浄機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食器洗浄機は、洗浄機本体20と、洗浄槽22と、洗浄機本体20内への洗浄槽22の収容動作によって洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したときから、洗浄槽22を収容完了位置まで自動的に移動させる移動機構(レバー係合部62、レバー78、L字形接続部76、バネ70、バネ端固定部68等)と、洗浄機本体20内への洗浄槽22の収容動作によって洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したときから洗浄槽22に制動力を加えるロータリダンパ82を備えている。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、食器洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】箱状の洗浄機本体と、洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽を備えた食器洗浄機が知られている。
この食器洗浄機では、洗浄機本体から洗浄槽が引出された状態で使用者が洗浄槽内に食器を収容した後、使用者が洗浄槽を洗浄機本体内に押込むことによって洗浄槽を収容完了位置まで移動させる。洗浄槽が収容完了位置まで移動した状態で使用者が所定の操作を行うことによって、洗浄槽内の食器の洗浄動作等が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】使用者による洗浄槽の押込み力は、使用者間でも、あるいは同じ使用者であっても時と場合によって異なる。押込み力が強い場合もあれば、逆に弱い場合もある。
押込み力が強い場合は、洗浄槽の移動速度も速くなる。移動速度の速い洗浄槽が収容完了位置で急激に停止すると、洗浄槽に収容された食器には大きな慣性力が働く。大きな慣性力が食器に働いた場合、食器同士あるいは食器と洗浄槽内の部位が衝突して、食器あるいは洗浄槽内の部位が損傷してしまう可能性がある。
【0004】
また、洗浄槽を洗浄機本体内に押込む際には、洗浄槽側の部材と洗浄機本体の部材が擦れ合う状態が通常は存在する。例えば、食器洗浄機では一般に、洗浄槽の収容完了位置の少し手前から収容完了位置に達する迄の間、洗浄槽の上縁と、洗浄機本体側に設けられた内蓋のシール部材が接触して擦れ合う。洗浄槽の移動速度が速い結果、この擦れ合いが激しくなると、擦れ合った部分の消耗が早くなってしまう。特に、食器洗浄機は洗浄槽内に水を収容して洗浄動作を行うという特質上、水漏れを防止するため、洗浄槽と内蓋の間のシール性が高く要求される。このため、洗浄槽の上縁と内蓋のシール部材の間の消耗はできるだけ少なくしたいという要求が高い。
【0005】
さらに、食器洗浄機では、洗浄槽の背面と洗浄機本体の背面の間に給水ホースや排水ホース等が接続されている構造が一般的である。これらのホース等は、洗浄槽が引出された状態では伸ばされ、洗浄槽が収容された状態では曲げられる。即ち、洗浄槽の押込み動作の際に伸びから曲げという状態の変化を伴う。この場合も洗浄槽の移動速度が速いと、これらのホース等の消耗が激しくなってしまう。
【0006】
一方、使用者による洗浄槽の押込み力が弱い場合には、洗浄槽が収容完了位置まで達せずに、その手前で停止してしまう場合があり得る。食器洗浄機は、洗浄槽が収容完了位置に達した状態でないと洗浄動作等が開始されない構成となっているのが通常である。このため、使用者が洗浄槽を押込んだにもかかわらず、実際には洗浄槽が収容完了位置に達していない場合は、洗浄動作等が行われないという事態が生じる。このように食器洗浄機では、洗浄動作等を行うという特質上、水漏れを防止する等の理由で、洗浄槽が収容完了位置の近くに達している状態では足りず、洗浄槽が収容完了位置にまで達していることが要求される。
【0007】
本発明は、洗浄機本体内への洗浄槽の収容に伴って生じる不都合の少ない食器洗浄機を提供することを目的とする。
具体的には、洗浄機本体への洗浄槽の収容動作によって食器あるいは洗浄槽内の部位が損傷する可能性をできるだけ低くすることを目的とする。また、洗浄槽の収容動作が多数回行われても、食器洗浄機の性能を良好に維持することを目的とする。さらに、使用者による洗浄槽の押込み力が弱かったときでも、洗浄槽が収容完了位置に達していないという事態の発生が少ない食器洗浄機を提供することを目的とする。
本発明は上記した目的の少なくとも1つを達成しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明を具現化した第1の態様の食器洗浄機は、箱状の洗浄機本体と、洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽と、洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達したときから、その位置に達する前よりも大きな制動力を洗浄槽に加える制動手段を備えている(請求項1)。
【0009】
この食器洗浄機は、上記した制動手段を備えているので、洗浄機本体への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達したときから、その位置に達する前の制動力(例えば洗浄機本体のレールと洗浄槽のローラ間の摩擦力)よりも大きな制動力が洗浄槽に加えられる。
よって、例えば使用者が洗浄槽を同じ力で押込んでいる場合は、洗浄槽は、上記所定距離の位置に達したときから、その位置に達する前よりも減速して収容完了位置で停止する。
【0010】
このように、この食器洗浄機は上記した制動手段を備えているので、この制動手段を備えていない場合に比べて、上記所定距離の位置に達したときからの洗浄槽の移動速度を低速にすることができる。
よって、洗浄槽を収容完了位置で緩やかに停止させることができる。このため、食器同士あるいは食器と洗浄槽内の部位が衝突して、食器あるいは洗浄槽内の部位が損傷してしまう可能性を低くすることができる。
また、洗浄槽の収容動作によって洗浄槽側の部材(例えば洗浄槽の上縁)と洗浄機本体側の部材(例えば内蓋に取付けられたシール部材)が擦れ合う状態が存在する場合においても、擦れ合った部分の消耗を少なくすることができる。
さらに、洗浄槽の背面と洗浄機本体の背面の間に給水ホースや排水ホース等が接続されていても、洗浄槽の収容動作に伴ったこれらのホース等の消耗を少なくすることができる。
従って、洗浄槽の収容動作が多数回行われても、食器洗浄機の性能を良好に維持することができる。
このように、本発明によると、洗浄機本体内への洗浄槽の収容に伴って生じる不都合の少ない食器洗浄機が提供される。
【0011】
本発明を具現化した第2の態様の食器洗浄機は、箱状の洗浄機本体と、洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽と、洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達したときから、洗浄槽を収容完了位置まで自動的に移動させる移動手段を備えたている(請求項2)。
【0012】
この食器洗浄機は、上記した移動手段を備えているので、洗浄機本体への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達すると、洗浄槽はその位置から収容完了位置まで自動的に移動する。
よって、使用者による洗浄槽の押込み力が弱く、その押込み力だけでは洗浄槽が収容完了位置まで達しない場合でも、その押込み力によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達していれば、洗浄槽を収容完了位置に確実に到達させることができる。
このように、本発明によると、洗浄機本体内への洗浄槽の収容に伴って生じる不都合の少ない食器洗浄機が提供される。
【0013】
本発明を具現化した第3の態様の食器洗浄機は、箱状の洗浄機本体と、洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽と、洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで第1所定距離の位置に達したときから、洗浄槽を収容完了位置まで自動的に移動させる移動手段と、洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで第2所定距離の位置に達したときから、その位置に達する前よりも大きな制動力を洗浄槽に加える制動手段を備えている(請求項3)。
ここで、「第1所定距離」と「第2所定距離」は等しくてもよいし、あるいは、「第1所定距離」よりも「第2所定距離」の方が長くてもよいし、短くてもよい。
【0014】
この食器洗浄機によると、請求項1の食器洗浄機と請求項2の食器洗浄機の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、第1所定距離の位置に達したときから移動手段により移動している洗浄槽に対しても、第2所定距離の位置からは制動手段による制動力が加えられる。よって、移動手段により移動している洗浄槽に対しても、第2所定距離の位置からの洗浄槽の移動速度を低速にすることができる。
また、使用者による洗浄槽の押込み力が大きく、第1所定距離の位置に達した時点で移動手段によるアシストが不要な程に洗浄槽の移動速度が高速な場合や、第1所定距離の位置に達した以降も使用者が洗浄槽の押込みを継続する場合が当然あり得る。このような場合においても、第2所定距離の位置からは洗浄槽に対し制動手段により制動力が加えられる。よって、このような場合においても、第2所定距離の位置からの洗浄槽の移動速度を低速にすることができる。
【0015】
第2の態様又は第3の態様の食器洗浄機において、前記移動手段は、使用者が洗浄槽を引出す際のエネルギーを蓄積する蓄積手段を有するとともに、その蓄積手段に蓄積されたエネルギーを利用して洗浄槽を収容完了位置まで自動的に移動させるように構成されていることが好ましい(請求項4)。
このように、使用者が洗浄槽を引出す際のエネルギーを利用して洗浄槽を収容完了位置まで移動させるように移動手段を構成することで、洗浄槽を移動させるためのエネルギーを電源等から得なくてもよい。また、使用者が洗浄槽を引出す際のエネルギーを蓄積するようにすることで、エネルギーを消費しているという感覚を使用者にあまり持たせずに、使用者からエネルギーを得ることできる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施例の引出し式食器洗浄機の全体構成を図1〜図4を参照して説明する。図1は、洗浄槽22が洗浄機本体20から引出された状態の概略縦断面図を示す。図2は、洗浄槽22が洗浄機本体20に収容された状態の概略縦断面図を示す。図3は、食器洗浄機の概略平面図を示す。図4は、食器洗浄機の概略横断面図を示す。
【0017】
図1に示すように、食器洗浄機は、洗浄機本体20、洗浄槽22等を備えている。洗浄機本体20は、前面(図1の左側)が開放された箱状になっている。洗浄槽22は、上部が開放された箱状になっている。図4に示すように、洗浄機本体20の内側面には、洗浄槽22の底面の下方に配置されるローラ66が取付けられている。洗浄槽22の外底面には、レール64が取付けられている。このローラ66とレール64は、ローラ66の上面とレール64の中央の底面が接触した状態で係合している。この構成によって、洗浄槽22は洗浄機本体20に対して滑らかにスライド可能となっている。洗浄槽22の前面側には前面扉34が設けられており、これには使用者が力を加える取っ手35が形成されている。使用者がこの取っ手35を用いて洗浄槽22を引出すかあるいは押込むことで、洗浄槽22は図1に示す引出し完了位置と図2に示す収容完了位置の間を水平方向にスライドして移動する。
【0018】
図1と図2に示すように、洗浄機本体20内の上部の位置には、内蓋44が設けられている。図1に示すように、内蓋44は、洗浄槽22が引出し位置にあるときには、洗浄槽22の上縁23よりもわずかに高い位置にある。よって、洗浄槽22のスライドの動きと干渉することはない。内蓋44の下面の周縁には、シール部材45が装着されている。洗浄槽22が洗浄機本体20内に押込まれると、収容完了位置の手前から内蓋44が下降する。この結果、図2に示すように、シール部材45は洗浄槽22の上縁23に擦れ合いながら押付けられる。内蓋44のシール部材45が洗浄槽22の上縁23に押付けられると、洗浄槽22の上部は密閉される。このため、洗浄槽22の外への洗浄水30の漏れが防止される。
【0019】
洗浄槽22内には、食器カゴ32が収容されている。食器カゴ32には各種の食器33が収容されている。食器カゴ32の下方には、複数のノズル穴28aが形成された洗浄ノズル28が設けられている。洗浄ノズル28は、吐出通路26との接合部29を軸として回転可能となっている。
洗浄槽22の背面外方には、洗浄ポンプ24と排水ポンプ25が設けられている。洗浄ポンプ24は、吸込み通路27によって洗浄槽22の底部と連通しているとともに、吐出通路26によって洗浄ノズル28と連通している。排水ポンプ25は、吸込み通路27に連通しているとともに、排水ホース48を介して食器洗浄機の外部と連通している。洗浄槽22の背面に設けられた給水口22cは、給水ホース46を介して食器洗浄機の外部と連通している。
上記した給水ホース46と排水ホース48は屈曲可能となっているため、洗浄槽22の引出し位置と収容位置の間のスライドを妨げない。
【0020】
図3と図4に示すように、洗浄槽22の外底面の後部の両側部にはそれぞれ、ユニット部60が設けられている。また、洗浄機本体20の両方の内側面には、洗浄槽22の引出し方向に直交する方向に対して少し傾斜した方向に伸びるレバー係合部62が取付けられている。このようにレバー係合部62は、後述するレバー78を係合させ易くするため、少し傾斜した方向に伸びている。
【0021】
次に、ユニット部60の構成について図5を参照して説明する。図5はユニット部60周辺の概略平面図の一部を示す。なお、ユニット部60の部材は、洗浄槽22の外底面に設けられているため本来は点線で示すべきものであるが、図示の明瞭化のため、実線で示している。
ユニット部60は、可動ユニット72と、バネ(スプリングバネ)70と、バネ端固定部68と、ロータリダンパ(制動手段)82と、ラックガイド84を備えている。
可動ユニット72は、レバー78と、ラック74と、L字形の接続部76を備えている。レバー78が図5の状態にあるときは、可動ユニット72は洗浄槽22に対して引出し方向に移動可能になっている。これに対し、レバー78が図7のように、図5の状態に対して時計回りに所定角度だけ回転した状態にあるときは、可動ユニット72は洗浄槽22に対して固定されている。即ち、レバー78の回転に連動して、洗浄槽22に対する可動ユニット72の固定・非固定が切換えられる構成となっている。
洗浄機本体20に取り付けられたレバー係合部62、ユニット部60のレバー78、L字形接続部76、バネ70、バネ端固定部68等によって洗浄槽22の移動機構(移動手段)が構成されている。
【0022】
レバー78は略コの字形であり、L字形接続部76の一端にピン80によって接続されている。レバー78はこのピン80を回転中心として、所定角度回転可能となっている。ラック74は引出し方向に伸びる板棒状であり、L字形接続部76の他端に固定されている。ラック74には、引出し方向に伸びる側面に沿って多数の歯群が形成されている。
【0023】
バネ端固定部68と、ラックガイド84と、ロータリダンパ82は、洗浄槽22に常に固定されている。但し、ロータリダンパ82は、回転可能な状態で洗浄槽22に固定されている。バネ70の一端は可動ユニット72のL字形の接続部76に接続されている。バネ70の他端はバネ端固定部68に接続されている。バネ70は洗浄槽22の引出し方向に伸びている。
ラックガイド84は2本設けられており、所定間隔を置いて洗浄槽22の引出し方向に伸びている。2本のラックガイド84間は、ラック74よりも若干幅広になっており、このラックガイド84間の空間にラック74が収容される。ロータリダンパ82の円周面には、全周に亘って多数の歯群が形成されている。ロータリダンパ82と先に述べたラック74は、それぞれに設けられた歯群の一部が互いに噛合うような位置に配置されている。
【0024】
次に、食器洗浄機の洗浄動作を図2を参照して説明する。図2のように洗浄槽22が収容完了位置に収容された状態で洗浄運転が開始されると、洗浄水30が給水ホース46から洗浄槽22内に給水され、洗浄槽22の底部に洗浄水30が溜められる。次いで、洗浄ポンプ24が動き始め、洗浄槽22の底部の洗浄水30が吸込み通路27を通って洗浄ポンプ24に吸込まれて加圧される。加圧された洗浄水30は、吐出通路26を通って洗浄ノズル28に供給される。供給された洗浄水30はノズル穴28aから勢いよく上方に噴出し、食器カゴ32内の食器33を洗浄する。洗浄後の洗浄水30は、再度洗浄槽22の底部に戻る。上記の動作を繰返すことによって、食器33が洗浄される。
洗浄槽22から洗浄水30を排出する場合には、排水ポンプ25が作動して、吸込み通路27を経由して、洗浄水30を洗浄槽22の底部から吸出す。排水ポンプ25によって吸出された洗浄水30は、排水ホース48を通り、食器洗浄機の外部に排出される。
【0025】
次に、洗浄槽22の引出し動作を図5〜図7を参照して説明する。まず、図5に、洗浄槽22が洗浄機本体20内の収容完了位置にある状態を示す。洗浄槽22が収容完了位置にあるときは、洗浄槽22の背面は、洗浄機本体20の背面から距離Aだけ引出し側(手前)の位置にあるものとする。この距離Aの空間には、給水ホース46や排水ホース48等(図1参照)の各種部材が配置されている。図5のように洗浄槽22が収容完了位置にあるときは、レバー78は、レバー係合部62に係合している。この状態ではバネ70の長さは自然長である。
【0026】
図6に示すように、洗浄槽22が収容完了位置から引出し距離Xだけ引出されたとする。洗浄槽22が引出されても、引出し距離XがB(図7参照)よりも小さいときは、可動ユニット72のレバー78はレバー係合部62に係合している。従って、可動ユニット72の絶対的な位置は、洗浄槽22が収容完了位置にあるときと同じである。これに対し、バネ端固定部68は洗浄槽22とともに引出し距離Xだけ引出し側の位置に移動する。よって、バネ端固定部68と可動ユニット72(L字形接続部76)の間に接続されたバネ70は、引出し距離XがBよりも小さいときは、その引出し距離Xの分だけ伸ばされる。
【0027】
図7に示すように、洗浄槽22が収容完了位置から引出し距離Bだけ引出されると、レバー78とレバー係合部62の係合が解かれ、レバー78が所定角度だけ時計回りに回転する。このようにレバー78が所定角度だけ時計回りに回転すると、そのレバー78を含む可動ユニット72は、その位置で洗浄槽22に対して固定される。この結果、バネ70も自然長から長さBだけ伸びた状態が保持される。なお、レバー78が回転するとレバー78を止めるピン80は若干引出し側に移動するため、バネ70の自然長からの伸びは長さBよりも正確には若干短くなるが、説明の便宜のため長さBだけ伸びているものとする。
洗浄槽22が引出し距離Bよりも大きく引出されても、この状態は維持される(図8参照)。即ち、洗浄槽22が収容完了位置から引出し距離B以上引出されている状態では、バネ70には、バネ70を自然長から長さBだけ伸ばすためのエネルギーが蓄積されている。
【0028】
このように、収容完了位置から引出し距離Bまで洗浄槽22を引出すためには、洗浄槽22自体を引出すのに要する力に加えて、バネ70を引張る力と、引出す向きと逆向きに働くダンパ82による制動力に対抗する力を要する。
【0029】
次に、洗浄槽22の押込み動作を図8〜図10を参照して説明する。図8に、洗浄槽22が洗浄機本体20内から大きく引出された状態を示す。この状態では、上記したように、レバー78は所定角度だけ時計回りに回転した状態であり、そのレバー78を含む可動ユニット72は、洗浄槽22に対して固定されている。また、バネ70も自然長から長さBだけ伸びた状態が保持されている。
【0030】
図9に示すように、洗浄槽22を洗浄機本体20内へ押込んだとする。そして、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置まで押込まれると、レバー78はレバー係合部62に当接して所定角度だけ反時計回りに回転する。この結果、レバー78はレバー係合部62に係合する。レバー78が所定角度だけ反時計回りに回転すると、そのレバー78を含む可動ユニット72は、洗浄槽22に固定されていた状態から解放され、洗浄槽22に対して引出し方向に移動可動な状態となる。この結果、バネ70も自然長から長さBだけ強制的に伸ばされた状態から解放される。このため、バネ70は自然長に復帰しようとして縮もうとする。即ち、バネ70は、自己に蓄積されたエネルギーを放出しようとするように働く。
【0031】
バネ70が自然長に復帰しようとする状態において、可動ユニット72のレバー78は、レバー係合部62に係合している。レバー係合部62は洗浄機本体20に固定されている。よって、このように可動ユニット72のレバー78がレバー係合部62に係合している状態では、可動ユニット72は洗浄機本体20に固定された状態になっている。このため、バネ70が自然長に復帰しようとするエネルギーは、バネ端固定部68、ひいては洗浄槽22を収容側(奥側)へ移動させようとするエネルギーとして用いられる。即ち、バネ70が自然長から長さBだけ伸ばされた状態から自然長に縮むことによって、図10に示すように、洗浄槽22は収容完了位置まで距離Bの位置から、収容側に距離Bだけ移動する。この結果、洗浄槽22は収容完了位置に到達する。
【0032】
但し、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達してからは、洗浄槽22の移動速度に比例した制動力がロータリダンパ82によって洗浄槽22に加えられる。即ち、洗浄槽22が大きく引出された位置から、収容完了位置まで距離Bの位置に達するまでは(図8から図9の状態に至るまでは)、ロータリダンパ82とこれに噛合うラック74は等速度で移動しているので、ロータリダンパ82による制動力は生じない。しかし、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達すると、可動ユニット72のレバー78がレバー係合部62に係合することで可動ユニット72の絶対位置が固定される。よって、可動ユニット72のラック74の絶対位置も固定される。一方、洗浄槽22は依然として収容完了位置に向けてある速度で移動する。よって、洗浄槽22に固定されたロータリダンパ82もその速度で移動する。このため、ラック74とロータリダンパ82には速度差が生じる。この結果、そのロータリダンパ82によって、洗浄槽22にその移動速度に比例した制動力が加わる。従って、洗浄槽22は、収容完了位置まで距離Bの位置からは、このようなダンパ82が設けられていない場合に比べて低速で収容完了位置に達する。
【0033】
上記した距離Bの値は、洗浄槽22の引出し方向の長さの1/20以上で1/4以下の値であることが好ましい。
このような値が好ましいのは、収容完了位置までだいぶ手前の位置からダンパ82による制動力が加わると、使用者が洗浄槽22を押込む際の負担が大きくなってしまうからである。その一方、収容完了位置までの距離が非常に短い位置からダンパ82による制動力を加えても、洗浄槽22の移動速度を低速にしにくいからである。
また、洗浄槽22が大きく引出された状態で上記した移動機構によって洗浄槽22が自動的に移動するように構成されていると、使用者が洗浄槽22内に食器を収容等しているときに意図せずに洗浄槽22が収容完了位置まで自動的に移動してしまう事態が起こり得るからである。
【0034】
第1実施例の食器洗浄機は、上記したダンパ82を備えているので、ダンパ等の制動手段を備えていない場合に比べて、上記した距離Bの位置に達したときからの洗浄槽22の移動速度を低速にすることができる。
よって、洗浄槽22を収容完了位置で緩やかに停止させることができる。このため、図1等に示す食器33同士あるいは食器33と食器カゴ32等が衝突して、食器33や食器カゴ32等が損傷してしまう可能性を低くすることができる。また、洗浄槽22の収容動作によって図1等に示す洗浄槽22の上縁23等と洗浄機本体20に設けられた内蓋44に取付けられたシール部材45が擦れ合う状態が存在しても、擦れ合った部分の消耗を少なくすることができる。
さらに、洗浄槽22の背面と洗浄機本体20の背面の間に図1等に示す給水ホース46や排水ホース48等が接続されていても、洗浄槽22の収容動作に伴ったこれらのホース46、48等の消耗を少なくすることができる。
従って、洗浄槽22の収容動作が多数回行われても、食器洗浄機の性能を良好に維持することができる。
【0035】
また、この食器洗浄機は、上記したレバー係合部62、レバー78、L字形接続部76、バネ70、バネ端固定部68等で構成される洗浄槽22の移動機構を備えているので、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達すると、洗浄槽22はその位置から収容完了位置まで自動的に移動する。
よって、使用者による洗浄槽22の押込み力が弱く、その押込み力だけでは洗浄槽22が収容完了位置まで達しない場合でも、その押込み力によって洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達していれば、洗浄槽22を収容完了位置に確実に到達させることができる。
【0036】
また、この食器洗浄機では、上記移動機構のみであれば、その移動機構を構成するバネ70の復帰力によって、距離Bの位置に達したときからの洗浄槽22の移動速度が比較的速くなる。しかし、この食器洗浄機はさらにダンパ82を備えているので、その距離Bの位置からダンパ82による制動力が洗浄槽22に加えられるため、洗浄槽22の移動速度を低速にすることができる。
さらに、使用者による洗浄槽22の押込み力が大きく、距離Bの位置に達した時点で上記移動機構によるアシストが不要な程に洗浄槽22の移動速度が高速な場合や、距離Bの位置に達した以降も使用者が洗浄槽22の押込みを継続する場合が当然あり得る。このような場合においても、距離Bの位置から洗浄槽22に対しダンパ82による制動力が加えられる。よって、このような場合においても、距離Bの位置からの洗浄槽22の移動速度を低速にすることができる。
【0037】
また、この食器洗浄機は、使用者が洗浄槽22を引出す際のエネルギーを蓄積するバネ70を備えている。具体的には、洗浄槽22が距離Bだけ引出されてバネ70が長さBだけ伸ばされると、レバー78が時計回りに回転し、可動ユニット72が洗浄槽22に対して固定され、バネ70が長さBだけ伸ばされた状態を保持するように構成されている。
そして、洗浄槽22が押込まれ、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達するとレバー78が反時計回りに回転し、可動ユニット72の洗浄槽22に対する固定が解かれ、バネ70が自然長に復帰しようエネルギーによって、洗浄槽22を収容完了位置まで自動的に移動させるように構成されている。
このように、使用者が洗浄槽22を引出す際のエネルギーを利用して洗浄槽22を収容完了位置まで移動させるように上記移動機構が構成されているので、洗浄槽22を移動させるためのエネルギーを電源等から得なくてもよい。また、使用者が洗浄槽22を引出す際のエネルギーを蓄積するようにすることで、使用者がエネルギーを消費していることを使用者にあまり意識させずに、使用者からエネルギーを得ることができる。
【0038】
また、上記した移動機構は機械的な機構だけで実現され、電気的な構成を含んでいないので、製造やメンテナンスが比較的容易である。また、ロータリダンパ82と移動機構を含むユニット部60は、洗浄槽22の外底面に設けられている。洗浄槽22の外底面の付近は、洗浄槽22内の水が仮に漏れた場合であっても、その水漏れの影響を受けにくい。よって、このように、洗浄槽22の外底面にユニット部60を設けることで、水が付着することによるロータリダンパ82や移動機構の劣化を防止することができる。
【0039】
さらに、上記したロータリダンパ82と移動機構を備えることで、収容完了位置の手前の距離Bの位置から収容完了位置までの洗浄槽22の動きが非常に滑らかであり、しかも適度な速度で移動させることを可能にした。また、使用者による洗浄槽22の押込み力が強い場合でも、低速の状態で収容完了位置に到達させることができるので、収容完了位置に達したときの衝撃音を従来に比べて大幅に低減することができる。従って、使用していて快適な、高級感のある食器洗浄機を提供することができる。
【0040】
(第2実施例) 図11に、第2実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
この食器洗浄機は、洗浄機本体20の内側面から伸びる板部92と、この板部92に取付けられているとともに洗浄槽22の引出し方向に伸びるダンパ90を備えており、このダンパ90による制動力が洗浄槽22の背面に加わるように構成されている。
【0041】
図11(a)に示すように、使用者によって洗浄槽22が押込まれた結果、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したとする。すると、洗浄槽22の背面にダンパ90の先端面が接触する。この結果、洗浄槽22にはダンパ90によって洗浄槽22を引出す側に力が加えられる。即ち、洗浄槽22には制動力が加えられる。この結果、使用者が例えば同じように力を加えて洗浄槽22を押込んでいたとしても、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したときからは、その位置に達する前に比べて洗浄槽22が減速され、低速の状態で図11(b)に示すように収容完了位置に達する。
【0042】
(第3実施例) 図12に、第3実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
この食器洗浄機は、洗浄機本体20の側面に取付けられたラック96と、洗浄槽22の外底面に取付けられたロータリダンパ94を備えている。ラック96とロータリダンパ94は共に多数の歯群を有する。そして、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達すると、ロータリダンパ94とラック96の歯群の一部が噛合うような位置関係となっている。
【0043】
図12(a)に示すように、使用者によって洗浄槽22が押込まれた結果、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したとする。すると、ロータリダンパ94とラック96の歯群の一部が噛合う。この結果、ラック96が取付けられている洗浄槽22は、ロータリダンパ94によって洗浄槽22を引出す側に力が加えられる。即ち、洗浄槽22には制動力が加えられる。この結果、使用者が例えば同じように力を加えて洗浄槽22を押込んでいたとしても、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したときからは、その位置に達する前に比べて洗浄槽22が減速され、低速の状態で図12(b)に示すように収容完了位置に達する。
【0044】
(第4実施例) 図13に、第4実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
この食器洗浄機では、洗浄機本体20の一方の内側面に発光スイッチ98が取付けられている。その洗浄機本体20の内側面に対向する洗浄槽22の外側面に受光スイッチ100が取付けられている。洗浄槽22の外底面には駆動回路108と、2つのモータ106が取付けられている。駆動回路108には、受光スイッチ100と2つのモータ106が電気的に接続されている。駆動回路108やモータ106には、外部の電源からエネルギーが供給される。洗浄機本体20の両方の内側面にはレール102が取り付けられている。洗浄槽22の両方の外側面にはベルトコンベア式のローラ104が取付けられている。レール102とローラ104は係合している。
【0045】
図13(a)に示すように、使用者によって洗浄槽22が押込まれた結果、洗浄槽22が収容完了位置まで距離Bの位置に達したとする。すると、洗浄機本体20の発光スイッチ98が発する光を洗浄槽22の受光スイッチ100が検出する。この結果、受光スイッチ100がオンする。受光スイッチ100がオンすると、駆動回路108が2つのモータ106の駆動を開始させる。すると、これらのモータ106の駆動力によって、洗浄槽22のベルトコンベア式のローラ104が回転し、洗浄機本体20のレール102に沿って洗浄槽22が収容側に移動する。そして、図13(b)に示すように洗浄槽22が収容完了位置に達するとモータ106の駆動が停止される。
このように、洗浄槽22が収容完了位置まで所定距離の位置に達したときに切換わるスイッチ(上記例では受光スイッチ100)と、そのスイッチが切換わることで駆動を開始するアクチュエータ(上記例ではモータ106)と、そのアクチュエータの駆動力によって洗浄槽22を収容完了位置まで移動させる移動機構(上記例ではローラ104)を備えた構成であってもよい。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(1)上記実施例では、制動手段としてダンパを用いた例について説明したが、制動手段としては、例えばバネ(スプリングバネ、板バネ等)、アクチュエータ(空気圧式、油圧式等)、ゴム等の弾性を有するクッション材等の様々のものを用いることができる。
(2)上記実施例では、移動手段として、第1実施例のように洗浄槽22をバネ70の復帰力によって洗浄機本体20内に引張り込む機構や、第4実施例のようにモータ106の駆動力によって洗浄槽22のローラ104を回転させて洗浄槽22を移動させる機構を用いた例について説明したが、移動手段としては、洗浄槽22を洗浄機本体20内に押込むような機構であってもよいし、電気的に静電引力等で引張り込むような機構等であってもよく、様々なものを用いることができる。
(3)上記実施例では、エネルギー蓄積手段としてスプリングバネ70を用いた例について説明したが、エネルギー蓄積手段としては、例えば板バネを用いたぜんまい式機構等の機械的な機構であってもよいし、コンデンサ等で電気エネルギーとして蓄積する電気的な機構等であってもよい。
【0047】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の食器洗浄機の概略縦断面図を示す(洗浄槽引出し状態)。
【図2】第1実施例の食器洗浄機の概略縦断面図を示す(洗浄槽収容状態)。
【図3】第1実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
【図4】第1実施例の食器洗浄機の概略横断面図を示す。
【図5】第1実施例の食器洗浄機の洗浄槽の引出し動作の説明図を示す(1)。
【図6】第1実施例の食器洗浄機の洗浄槽の引出し動作の説明図を示す(2)。
【図7】第1実施例の食器洗浄機の洗浄槽の引出し動作の説明図を示す(3)。
【図8】第1実施例の食器洗浄機の洗浄槽の押込み動作の説明図を示す(1)。
【図9】第1実施例の食器洗浄機の洗浄槽の押込み動作の説明図を示す(2)。
【図10】第1実施例の食器洗浄機の洗浄槽の押込み動作の説明図を示す(3)。
【図11】第2実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
【図12】第3実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
【図13】第4実施例の食器洗浄機の概略平面図を示す。
【符号の説明】
20:洗浄機本体
22:洗浄槽
60:ユニット部
62:レバー係合部
68:バネ端固定部
70:バネ
72:可動ユニット
74:ラック
76:L字形接続部
78:レバー
80:ピン
82:ロータリダンパ
84:ラックガイド
Claims (4)
- 箱状の洗浄機本体と、
洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽と、
洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達したときから、その位置に達する前よりも大きな制動力を洗浄槽に加える制動手段を備えた食器洗浄機。 - 箱状の洗浄機本体と、
洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽と、洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで所定距離の位置に達したときから、洗浄槽を収容完了位置まで自動的に移動させる移動手段を備えた食器洗浄機。 - 箱状の洗浄機本体と、
洗浄機本体外の位置から洗浄機本体内の収容完了位置に収容可能な洗浄槽と、
洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで第1所定距離の位置に達したときから、洗浄槽を収容完了位置まで自動的に移動させる移動手段と、
洗浄機本体内への洗浄槽の収容動作によって洗浄槽が収容完了位置まで第2所定距離の位置に達したときから、その位置に達する前よりも大きな制動力を洗浄槽に加える制動手段を備えた食器洗浄機。 - 前記移動手段は、使用者が洗浄槽を引出す際のエネルギーを蓄積する蓄積手段を有するとともに、その蓄積手段に蓄積されたエネルギーを利用して洗浄槽を収容完了位置まで自動的に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の食器洗浄機。
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