JP2004014976A - 孔版 - Google Patents

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Noritaka Oyama
大山 紀隆
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Abstract

【課題】孔版裏面への樹脂裏回りを減少させ得る孔版を提供する。
【解決手段】基板上に搭載された半導体素子に封止樹脂を孔版印刷するための孔版であって、孔版1の表側面に、一方向に延びるリブ5を形成した。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子に印刷により樹脂封止するのに用いられる孔版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の孔版印刷として、半導体素子の封止エリアに対応する位置に開口部を形成した孔版を用い、基板上に搭載された半導体素子を樹脂封止する孔版印刷法が知られている。
【0003】
そして、この種の孔版印刷法では、樹脂の刷り込み時に孔版の裏側へ樹脂が回り込むのを防止するとともに、孔版が基板から離れる際の樹脂の糸引き現象(樹脂の一部が孔版に粘着し、その粘弾性によって糸を引くように延びる現象)を低減するために、図4に示すように、孔版20裏面の開口部21周縁に、基板22と線接触するように環状突起部23を形成し、更にその外側を裏面側から凹部24を形成した孔版による印刷法方が知られている(例えば、特開平1−270325号公報、特開平2−205390号公報)。
【0004】
しかしながら、上記の環状突起部23を形成した孔版20を用いて、常圧もしくは真空下で印刷封止を繰り返し行う場合においては、未だ、封止形状が安定しない不具合が生じる場合がある。その結果、一回印刷を行った後、孔版裏面に付着した樹脂をその都度掃除して取り除き、清浄な状態で次の印刷を行っている。このような裏拭き工程は、時間のロスになる以外に、樹脂中への異物(異成分)混入による品質への悪影響、更に廃棄物の増大による環境問題にも影響する。
【0005】
斯かる裏拭きの問題を解決するために、種々の孔版印刷技術が提案されている。
【0006】
例えば、特開2000−49177号公報では、版孔周囲に形成した環状突起部の全周の少なくとも一部にクリアランスを設け、封止樹脂の孔版への裏周りを防止しようというものである(以下、第1従来技術という。)。
【0007】
また、特開平10−284829号公報に記載のものは半田ペーストの印刷方法であるが、該公報には、基板をクランプするサイドクランプに真空吸引手段を備えさせて、該手段によりメタルマスクを吸着させる孔版印刷方法及び装置が開示されている(以下、第2従来技術という。)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記第1、第2従来技術によってもなお、封止樹脂の孔版への裏周りを防止するには十分ではなかった。
【0009】
上記第1従来技術のように環状突起部全周の少なくとも一部にクリアランスを設けた場合には、そのクリアランスを通じて、却って孔版裏面への樹脂の裏周りを加速し、数回どころか1回の印刷においても封止形状が乱れてしまうことが判明した。
【0010】
また、上記第2従来技術では、基板の厚みにバラツキがあり、サイドクランプの厚みは、基板の厚みの最小厚みに設定しなければ、サイドクランプの上面よりも基板表面が沈んでしまい、孔版との接触のもとに印刷を行うことができない場合が生じる。従って、孔版と基板を接触状態で印刷を行うには、サイドクランプと孔版との間に基板のバラツキの範囲で隙間を生じていることが多くなり、このような状態で真空吸着を行っても、真空漏れを生じ、このことが原因で、開口部に供給された樹脂を開口部の外側へ吸引してしまうことがある。更に強引に孔版を吸着させるときには、孔版を変形させ、結果として開口部下面周縁と基板表面との非接触状態を形成してしまう場合がある。
【0011】
そこで、本発明は、繰り返し印刷を行う場合において、孔版裏面への樹脂裏回りを減少させ得る孔版を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明等者は、上記したように繰り返し連続して印刷を行った場合に、封止形状が安定しない原因について鋭意研究した結果、下記の2つの原因を突き止めた。
【0013】
先ず、第1に、孔版は、一般的に、半導体素子封止樹脂の高さ程度の厚みとするため、0.05〜3mm程度の薄いステンレス板で形成されており、それ自体が変形し易く、孔版版孔部裏面(基板側の面)の周縁環状突起部と基板表面との間に部分的に隙間が生じており、ここに樹脂が浸入し、糸切れ後に多量の樹脂が残存し、次回の印刷時(基板との接触時)に環状突起部の裏側へ回り込み、基板側に転写され、封止形状の乱れを引き起こす。
【0014】
第2に、例えば、印刷後にスキージを上昇させる際に、スキージに付着している樹脂の粘着性ために孔版を持ち上げようとする作用が働く。そのような作用が働くと、周縁突起部は基板表面から一時的に離脱し、それによって生じる隙間に樹脂が入り込み、再び外部からの力がなくなった時点で孔版が元の位置に戻り、前記隙間に入り込んだ樹脂が前記周縁突起部に押し潰されて当該周縁突起部の下部に付着し、或いは裏側へはみ出される。そのような樹脂が付着した状態で、次の印刷を行うと、周縁突起部の下部及び/或いは裏面に付着していた樹脂が基板上に付着し、封止形状を乱れさせる。この状態で更に印刷を繰り返すと、次第に樹脂のはみ出す量が増し、封止形状を益々大きく変化させる。また、真空下での孔版印刷においては、周縁突起部と基板との隙間が小さく、雰囲気の圧力変動時において、時間的な差が生じるために、瞬間的に圧力差が生じ、孔版が上方に跳ね上がる現象が起こる。さらに、スキージ印刷の際に、孔版のスキージによって押圧されている部位以外の部位に反りが生じる等して周縁突起部と基板表面との間に隙間を生じることもある。
【0015】
そこで、本発明に係る孔版は、基板上に搭載された半導体素子に封止樹脂を孔版印刷するための孔版であって、前記孔版の表側面に、一方向に延びるリブを形成し、斯かるリブによって、孔版の剛性を高めることにより、孔版の変形を抑え、孔版と基板との間の隙間が生じることを防止して、封止樹脂の裏回りを減少させ又は無くすものである。
【0016】
上記孔版の裏面の版孔周囲に、前記基板面に接し得る環状突起部を形成するようにその外周側に環状溝を形成し、前記環状突起部の少なくとも下面に、樹脂をはじく撥樹脂層を形成し、それによって環状突起部の下面及び裏側面に樹脂の付着を防止することが好ましい。
【0017】
また、前記環状突起部の少なくとも下面の前記撥樹脂層を、弾性を有する樹脂層としておけば、基板の厚みにバラツキがあっても、撥樹脂層が弾性変形することにより、そのバラツキを吸収することができる。
【0018】
さらに、前記環状溝から前記孔版の基板接触領域外側に連通する連通溝を形成しておけば、周囲の圧力変化によっても版孔内の影響を受けない。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態について以下に図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において同様の構成部分については同符号を付した。
【0020】
図1は、スキージと共に本発明第1実施形態の孔版を一部断面で示す斜視図である。図1に示す孔版1は、封止樹脂が刷り込まれる版孔2の周囲に、環状突起部3を形成するようにその周囲に環状溝4が形成されている点は従来と同様であり、孔版1の表側面即ちスキージを当てる側の面に、一方向に延びるリブ5が形成されている点が従来と異なる。
【0021】
リブ5は、版孔2の近傍に形成することが好ましく、一つの孔版1に、平行に複数本を形成することができる。この場合に使用するスキージ6は、図に示すように、基板との当接面が凹凸形状を有し、その凹部にリブ5が嵌まるようになっている。
【0022】
スキージ6は、リブ5が延びる方向に移動させられる。一般には、スキージ6は印刷装置の図外のスキージホルダーに取り付けられ、自動的に往復動するから、この場合、孔版1は、スキージ6が移動する方向とリブ5が延びる方向とが一致するように、図外の印刷装置にセットされる。
【0023】
また、リブ5は、図外の版枠(フレーム)と一体形成されるか、或いは堅固に固定又は固着されていることが好ましい。そうすることによって、リブ5が頑丈な版枠と一体化され、孔版1は、リブ5の延びる一方向だけでなく、その方向に垂直な方向への剛性をも高め得る。
【0024】
リブ5は、一枚の厚手の鋼板を切削加工するか、或いは、凹部や貫通孔を形成した複数の金属板を張り合わせることによって作製することができる。
【0025】
このようなリブ5を形成することによって、リブ5が孔版全体の剛性を高め、孔版1の撓みや反りを防止することができ、孔版1と印刷されるべき基板との間に隙間が生じて該隙間に封止樹脂が浸入することを防止できる。
【0026】
また、孔版1は、図2に示すように、環状突起部3の下面3aと版孔2に対して裏側面3bとに、封止樹脂をはじく撥樹脂層7を形成することが好ましい。撥樹脂層7としては、フッ素系樹脂層、シリコーン樹脂層を例示することができ、撥樹脂層7を形成する方法としては、例えば、フッ素系樹脂をコーティングする方法、フッ素含有金属をメッキ処理する方法、シリコーン系或いはフッ素系の剥離剤を塗布し乾燥固化させる方法を例示することができる。
【0027】
このような撥樹脂層7が形成された孔版1を用いて孔版印刷を行った場合、孔版1が基板から離れる際の糸引き現象は、版孔2の内壁面にのみ限定され、糸切れの後、孔版1に粘着して残存する樹脂は、次回の印刷時には環状突起部3と基板表面との間で圧迫されて環状突起部3より外側へ押し出されることがなくなると共に、撥樹脂層7では樹脂がはじかれるが故に、環状突起部3の下面と基板表面との間に多少の隙間が生じても環状突起部3の下面に回り込んで環状溝4にまで滲み出すことがなくなる。
【0028】
撥樹脂層7のうち少なくとも環状突起部3の下面に形成された撥樹脂層は、樹脂をはじく性質に加えて弾性を有することが好ましい。弾性を有する撥樹脂層としては、例えば、フッ素或いはシリコーンが配合された紫外線硬化型のフレキシブル樹脂もしくはフレキシブルフィルム、フレキシブルシート等を塗布又は貼り付け、環状突起部3の下面にのみ紫外線を照射することにより得ることができる。なお、撥樹脂層7の下面に限定せず、裏面側も含めて弾性を有するものとしても良い。
【0029】
このように環状突起部3の下面に施された撥樹脂層が弾性を有するものであれば、孔版印刷の際に、環状突起部3と基板との間に多少の隙間があったとしても、弾性を有する撥樹脂層が、シールの働きをするため、その隙間を塞いで密着させることができ、樹脂が版孔2の外側へ浸出するのを防止できるとともに、孔版離反時においても樹脂をはじくので環状突起部3の下面及び裏面への付着を防止して、次回の印刷時の基板との接触時において樹脂が環状突起部3の外側である環状溝4にはみ出ることを防止する。
【0030】
次に本発明に係る孔版の第2実施形態について、以下に図3を参照して説明する。図3は、孔版の裏面図である。孔版印刷は、減圧雰囲気中で行うことが知られているが、減圧雰囲気で孔版印刷を行うと、環状突起部3の外周に形成された環状溝4が、基板との接触状態において密閉状態となり、減圧と大気圧との間の圧力変動に瞬時に対応できず、孔版を基板から押し上げたり、或いは、孔版を基板に吸着させる不具合を生じることがあり、これら回避するため、図3に示す孔版は、孔版1の裏面において、環状溝4から孔版1の基板接触領域10外側に連通する連通溝8を形成している。
【0031】
この連通溝8を設けることによって、環状溝4が基板10と接触している状態で雰囲気圧力が変動しても、環状溝4と基板接触領域外側とが連通溝8によって連通しているので、上記のように孔版を吸着させる等の不具合を生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る孔版の一実施形態を一部断面で示す斜視図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る孔版の第2実施形態を部分的に示す裏面図である。
【図4】従来の孔版を半導体素子搭載基板と共に部分的に拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 孔版
2 版孔
3 環状突起部
4 環状溝
5 リブ
6 スキージ
7 撥樹脂層
8 連通溝
10 基板接触領域

Claims (5)

  1. 基板上に搭載された半導体素子に封止樹脂を孔版印刷するための孔版であって、前記孔版の表側面に、一方向に延びるリブが形成されていることを特徴とする孔版。
  2. 前記孔版の裏面の版孔周囲に、前記基板面に接し得る環状突起部を形成するようにその外周側に環状溝を形成し、前記環状突起部の少なくとも下面に、樹脂をはじく撥樹脂層を形成したことを特徴とする請求項1記載の孔版。
  3. 前記環状突起部の前記版孔に対して裏側面に、樹脂をはじく撥樹脂層を形成したことを特徴とする請求項2に記載の孔版。
  4. 前記撥樹脂層が、弾性を有していることを特徴とする請求項2に記載の孔版。
  5. 前記環状溝から前記孔版の基板接触領域外側に連通する連通溝を、該孔版の裏側面に形成したことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の孔版。
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