JP2004014464A - ガス放電管の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】傍熱型電極の劣化及びガス放電管の発光効率の低下を極めて効果的に抑制することが可能なガス放電管の駆動方法を提供すること。
【解決手段】駆動電源の投入から所定の時間T2が経過すると、第2切替部70は、第1端子71と第3端子73とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第6端子76とを電気的に接続した状態となり、また、第3切替部80は、第1端子81と第3端子83とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第6端子86とを電気的に接続した状態となる。これにより、ステムピン5(加熱用ヒータ11の一端部11a)間に交流電源55が結合された状態となり、加熱用ヒータ11の放電電流の導入が遮断されることなる。
【選択図】 図7
【解決手段】駆動電源の投入から所定の時間T2が経過すると、第2切替部70は、第1端子71と第3端子73とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第6端子76とを電気的に接続した状態となり、また、第3切替部80は、第1端子81と第3端子83とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第6端子86とを電気的に接続した状態となる。これにより、ステムピン5(加熱用ヒータ11の一端部11a)間に交流電源55が結合された状態となり、加熱用ヒータ11の放電電流の導入が遮断されることなる。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、傍熱型電極を備えたガス放電管の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
傍熱型電極を備えたガス放電管として、たとえば特開平4−357659号公報に開示されたようなものが知られている。特開平4−357659号公報に開示されたガス放電管は、ガスが気密封止された管状の容器と、この容器の両端部にそれぞれ封装された一対のステムピンの先端部に装着された傍熱型電極とを備えており、傍熱型電極のそれぞれは、一端部が一対のステムピンの一方と電気的に接続される加熱用ヒータと、加熱用ヒータの他端部と電気的に接続されると共に、一対のステムピンの他方と電気的に接続され、加熱用ヒータからの熱を受けて電子を放出する電子放射部と、を有している。
【0003】
また、上述したガス放電管には、当該ガス放電管を点灯させるための駆動回路として、一方のステムピン間に交流電源が結合され、他方のステムピン間にスタータ等が結合されている。この駆動回路では、交流電源を投入し、スタータをオンすると、ヒータが加熱され、電子放射部が熱電子の放射可能な状態となる。この間に、スタータがオフすると、放電を開始し、維持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平4−357659号公報に開示されたガス放電管の駆動回路では、加熱用ヒータを介して電子放射部と交流電源とが接続されているので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータは放電電流が導入されて常時通電されることとなり、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となり、電極が劣化する惧れがある、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わり、放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下する、といった問題点を有することになる。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、傍熱型電極の劣化及びガス放電管の発光効率の低下を極めて効果的に抑制することが可能なガス放電管の駆動方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ところで、本発明者等は、放電表面電位を実験因子として、従来の傍熱型電極(傍熱型陰極)との比較を陰極降下電圧(ボックス電位)を中心に着目し、調査研究の結果、以下のような事実を新たに見出した。
【0007】
なお、以後使用する等電位面、等電位界面、ボックス電位と放電形態は、次のように定義する。等電位面とは、電位的に等電位状態となっている放電面が構成された状態をと定義する。等電位界面とは、等電位面に易電子放射物質としての金属酸化物が接触塗布され、ガスと接触した構造と定義する。ボックス電位とは、放電中、陰極近傍の陰極と電気的に絶縁された端子と陰極間に発生する電位と定義する。放電物性の一般用語として使われている陰極降下電圧に近似している値である。イオン電流とは、ガス放電管中のガス分子に電子が衝突することで、ガス分子が電離生成した電離ガスによって発生する電流と定義する。熱電子放出とは、金属の温度を上昇させると、熱運動エネルギが増加し、金属の持つ電子エネルギ障壁(仕事関数)を超えて空間中に電子が飛びだす電子放出のことで、ここでは化学的に不安定な易電子放射物質としての金属酸化物からの電子放出のことである。二次電子放出とは、電離ガスの陰極への衝突時に、陰極から空間中に電子が押し出される電子放出のことである。
【0008】
直流動作でのボックス電位の変化を等電位化の前後で比較してみると、図14に示されるように、ボックス電位の顕著な差を確認した。発明者は、等電位界面モデルを作成し、本現象の調査研究結果の考察を行った。ガス放電での放電形態としては、イオン電流、熱電子放出、二次電子放出の3形態でほぼ言い表すことができ、理論的には、下記のような関係式で表現される。因みに、真空放電での放電形態としては、熱電子放出のみでほぼ言い表すことができ、ガス放電の放電形態とは異なる。
Id =Ii + Ie=Ii(1+ γ)+ Ith …… (1)
Ie =Ith+γIi …… (2)
Vc =Vo+{(1−Ith/Id)}/ {α(γ+Ith/Id)} …… (3)
ショットキー効果関連の式
Ie =Ithexp{(e/kT)sqr(eE/4πεo) …… (4)
Ith=SAT^2*exp(−eφ/kT) …… (5)
Ise=Ith[exp[(e/kT)sqr(eE/4πεo)]−1] ……(6)
ここで、Ii:イオン電流
Ie:エミッション電流
Ith:熱電子電流
Ise:二次電子電流
Id:放電電流
Vc:陰極降下電圧
γ:二次電子放出に関わる係数(利得)
α、Vo:パラメータ
S:電極表面積
A:材料で決定される定数
T:陰極温度
e:電子負荷
φ:仕事関数
k:ボルツマン定数
εo:真空中の誘電率
E:陰極降下部の電界強度
【0009】
次に、ガス放電管におけるイオン電流(Iiに相当)とエミッション電流(電子:Ieに相当)について考察する。電子の静止質量が9.109×10−31kgであるのに対して、元素の中で最も軽い水素でも1.675×10−27kgと電子に比べ格段に重い。更に、電離ガスは陰極に吸寄せられて衝突するのに対して、電子の場合は、陰極から引き離されることから、電離ガスの衝撃力が電子の衝撃力を上回り、電離ガスの陰極に与える損傷は電子に比べて大きい。以上のことからイオン電流の陰極に対する有害性が分かる。一方、ガス放電管の発光および放電現象の観点から見ると、電離ガスが、発光物質として寄与するほか、真空中に比べ、イオン電流に依存して多くの放電電流を空間中に引き出す効用がある。ガス放電管においては、イオン電流の功罪を加味しつつ、陰極に対する影響を最小限に保つことが寿命特性、安定性を図る上で大切である。
【0010】
ボックス電位は、陰極降下電圧に近似し、ガスの励起、電離状態を相対的に示していて、電離ガス発生量の目安となる。ボックス電位が低ければ低いほど、電離ガス生成量は少ないことを意味している。
【0011】
ガス放電での放電形態としては、イオン電流、熱電子放出、二次電子放出の3形態あることは、上述した。熱電子放出は、易電子放射物質としての、バリウム等の金属酸化物を加熱することで起きる。熱電子放出は、放電開始時に、ガス電離を起こし、放電を開始させる役目が有る。放電を開始した後、ガス放電の場合、易電子放射物質としての金属酸化物から放出される熱電子に引き寄せられる形で電離ガスが衝突してくる。その際、電離ガス衝突により、主に電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物の界面上から二次電子放出が起きる。ガス放電の場合、単位面積あたりの放電電流密度が、真空放電に比べ数十倍から数百倍にもなり、全放電電流中の大半が二次電子放出で形成される。
【0012】
二次電子の供給に関し、易電子放射物質としての金属酸化物の電気抵抗率は、電気導体に比べ格段に大きく、易電子放射物質としての金属酸化物単体での供給には限界があり、二次電子の供給の多くは電気導体を介して供給され、易電子放射物質としての金属酸化物との界面上から放出される。電気導体への二次電子の基となる電子供給は、直接外部回路から供給される場合と、易電子放射物質としての金属酸化物との接触面を介して行われる場合がある。電気導体と界面を成さない易電子放射物質としての金属酸化物上からも熱電子放出が起きるが、上述したように、二次電子の供給に関し、易電子放射物質としての金属酸化物単体での供給には限界があり、二次電子放出量は少なく、ガス放電中に占める易電子放射物質としての金属酸化物単体からの放電電流の絶対量はきわめて少ない。以上整理すると、ガス放電における陰極で、主に電子放出を担う場所は、電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物界面である。
【0013】
次に、図14及び図15を参照して、等電位界面モデルに関して説明する。図14は、横軸をヒータ印加電圧(Vf)、つまり陰極への強制加熱量による陰極温度の増減軸とし、縦軸を陰極降下電圧(ボックス電位)(Vc)とした線図(モデル図)である。図15は、横軸を同じくヒータ印加電圧(Vf)とし、縦軸を放電電流(Id)とした線図(モデル図)である。ただし、図15の放電電流(Id)は一定として、縦軸は、熱電子電流、二次電子電流、イオン電流の構成割合(領域分布)を表している。図14の縦軸は、高低を表している。
【0014】
陰極温度の構成要因は、ヒータ印加電圧(Vf)、つまり陰極への強制加熱量の他に、電離ガスの陰極への衝突時に発生する通称、自己加熱量が有り、この合計熱量により決まる。図14左側の陰極温度が低い、つまり強制加熱量が少ない、あるいは放熱面積が大きく、陰極からの損失熱量が多い領域では、熱電子生成量が少なく、これを補う形でイオン電流が支配的になり、陰極降下電圧が電離電圧以上となり、電離ガスの生成を加速している。この領域で、陰極表面の電位分布が不均一である場合は、イオン電流、二次電子電流の集中による局所的な放電(放電位置の偏在)が生じ易く、電離ガス衝撃による陰極表面への損傷が大きく、陰極物質材(易電子放射物質としての金属酸化物)の削り取り(スパッタ)、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)を招き易い。
【0015】
これに対して、図14左側の陰極温度が高い、つまり強制加熱量が多い、あるいは放熱面積が小さく、陰極への蓄熱量が多い領域では、熱電子生成量が過剰となり、これを補う形でイオン電流は減少し、陰極降下電圧が電離電圧以下なる。しかし、陰極温度が上昇し陰極構成物の蒸気圧を高め、蒸発による易電子放射物質としての金属酸化物の消失を招き易い。陰極への熱量の過不足は、上述した理由により好ましくない。動作領域の目安としては、ボックス電位(陰極降下電圧)で言うと、電離電圧近辺での動作が適している。
【0016】
ところで、このモデルの構成要素の中で、重要な要素として、放電面積がある。これは、関係式中の電極表面積(S)と同義とみなせる。先に述べたように、ガス放電では、電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物界面上からの電子放出が、放電主体を成している。これに加え、温度均一性に止まらず、電位的にも均一(等電位)であるか否かによって放電面積は変わる。つまり、放電面積は等電位面の面積、あるいは等電位面部の長さに比例することとなり、等電位面が広い、あるいは長いほど、電極表面積(S:放電面積)が増加し、上記(5)式から、熱電子電流(Ith)の割合が増加し、上記(1)式よりイオン電流量が減少し、イオン電流、二次電子電流は等電位面に分散し、図15のモデルの細線部(等電位化前)はモデルの太線側(等電位化後)に領域分布がシフトすることになり、上記(3)式から図14のボックス電位(陰極降下電圧)が低下する。今回の等電位面と金属酸化物、ガスの等電位界面構造を採用し、熱電子量が増加することで、放電電流中のイオン電流量が減少し、図14のボックス電位が下がる理由を説明できる。
【0017】
以上のことから、ガス放電において、従来の等電位化されていない陰極に比べ、イオン電流量を減少させることで、単位放電面積あたりの電離ガス衝撃を緩和させることができ、その結果、陰極への負荷が軽減し、熱電子放出能の低下が少なく、寿命特性が改善され、これに伴い、放電位置の移動も少なく、安定性の改善を図れることが分かる。
【0018】
次に、等電位面のガス放電管への有効性について、考察する。真空放電での放電形態としては、熱電子放出のみでほぼ言い表すことができ、ガス放電の放電形態とは異なると、先に述べた。真空放電中での放電面積は、熱電子放出面にある易電子放射物質としての金属酸化物により形成された表面積で決まるといえる。従って、熱電子放出のほか、イオン電流、二次電子放出からなる放電形態を有するガス放電管における放電面積構成要素と真空放電中の放電面積構成要素とが異なり、ガス放電における陰極で、主に電子放出を担う場所は、電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物界面であるから、放電面として、電気導体から形成されて電位をほぼ等しくした、等電位面がガス放電において有効であることを見出した。
【0019】
更に、等電位面の形成手段に使う材料をメッシュ状、線状、あるいはリボン状、箔状を含む板状と細線構造とすることで、放熱面となる表面積と、熱伝導部となる体積を極力増やさず、結果的に熱損失量を抑える。金属酸化物と等電位面の接触部を増し、結果的に放電面積を増やす。以上のことから、等電位面の形成手段に使う材料をメッシュ状、線状、あるいは板状と細線構造とすることで、等電位面の効果をより高めることを見出した。
【0020】
従来のように、陰極表面の電位分布が不均一である場合は、発熱量もそれに伴い不均一となるため、熱電子の生成密度も不均一となり、イオン電流、二次電子電流の集中による局所的な放電(放電位置の偏在)が生じることになる。そして、局所的な放電は、陰極物質材(易電子放射物質としての金属酸化物)の削り取り(スパッタ)、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)、つまり熱電子放出能の低下を招き、放電位置が次なる熱電子放出特性のよい位置へと移動する。このように、局所的な熱電子放出劣化を繰り返しながら、陰極表面を劣化させることになる。また、上述した放電位置の移動により、放電自体が不安定になってしまう。
【0021】
かかる調査研究結果も踏まえ、本発明に係るガス放電管の駆動方法は、傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、傍熱型電極は、表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、加熱用ヒータからの熱を受けて電子を放出する電子放射部と、電子放射部の最表面側部分に設けられ、所定長さを有する電気導体と、を有しており、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴としている。
【0022】
本発明に係るガス放電管の駆動方法では、傍熱型電極において、電気導体により電子放射部に等電位面が実効的に形成されるので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きるために放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなり、放電位置における負荷が軽減されることになる。これにより、局所的な放電の発生を抑制でき、傍熱型電極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくでき、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作を実現することができる。
【0023】
また、本発明によれば、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流が加熱用ヒータに導入されるので、傍熱型電極が点灯初期においても予熱される。これにより、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたって高くなって、放電が電極表面に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入が遮断されるので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータが通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0024】
本発明に係るガス放電管の駆動方法は、傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、傍熱型電極は、コイル状に巻き回されたコイル部材と、コイル部材の内側に配設され、その表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、コイル部材に保持される易電子放射物質としての金属酸化物と、コイル部材の内側に当該コイル部材と接触して設けられ、所定長さを有する電気導体と、を有しており、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴としている。
【0025】
本発明に係るガス放電管の駆動方法では、傍熱型電極において、電気導体によりコイル部材の裏面(放電面とは反対側の面)に等電位面が実効的に形成されるので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きて放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなり、放電位置における負荷が軽減されることになる。これにより、局所的な放電の発生を抑制でき、電極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくでき、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作を実現することができる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0026】
また、本発明によれば、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流が加熱用ヒータに導入されるので、傍熱型電極が点灯初期においても予熱される。これにより、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたって高くなって、放電が電極表面に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入が遮断されるので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータが通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0027】
また、加熱用ヒータの一端と電気導体とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間は、加熱用ヒータの他端間に交流電源を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、加熱用ヒータの一端間に交流電源を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することが好ましい。このように構成した場合、点灯開始から所定の期間における放電電流の加熱用ヒータへの導入、及び、所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータへの導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0028】
本発明に係るガス放電管の駆動方法は、傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、傍熱型電極は、マンドレルを有するコイルをコイル状に巻き回して構成した多重コイル部材と、多重コイル部材の内側に配設され、その表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、多重コイル部材に接触するように当該多重コイル部材に保持される易電子放射物質としての金属酸化物と、を有しており、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴としている。
【0029】
本発明に係るガス放電管の駆動方法では、傍熱型電極において、多重コイル部材がマンドレルを有しているので、多重コイル部材の剛性が高くなり、成形を容易に行うことができ、この結果、傍熱型電極の製造が容易となる。また、加工時及び使用時の多重コイル部材の変形を抑制することができる。また、易電子放射物質である金属酸化物がコイル部分の間隔である、ピッチ(心距)間に挟み込まれて保持されることになる。これにより、各ピッチ間の距離は隙間程度に小さいため振動による金属酸化物の脱落を抑制することができる。また、隙間構造のピッチが多数存在するため、多量の金属酸化物を保持でき、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0030】
また、本発明によれば、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流が加熱用ヒータに導入されるので、傍熱型電極が点灯初期においても予熱される。これにより、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたって高くなって、放電が電極表面に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入が遮断されるので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータが通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0031】
また、加熱用ヒータの一端と多重コイル部材とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間は、加熱用ヒータの他端間に交流電源を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、加熱用ヒータの一端間に交流電源を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することが好ましい。このように構成した場合、点灯開始から所定の期間における放電電流の加熱用ヒータへの導入、及び、所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータへの導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0032】
また、点灯開始から所定の期間は、加熱用ヒータの一端間にガス放電管を点灯させるためのスタータを結合し、所定の期間後は、加熱用ヒータの他端間にスタータを結合することが好ましい。
【0033】
また、ガス放電管の点灯に先立って、所定の期間、加熱用ヒータに電流を供給して、当該加熱用ヒータを予熱することが好ましい。このように構成した場合、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたってより一層高くなって、放電が電極表面に更に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのをより一層防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を極めて効果的に抑制することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明によるガス放電管の駆動方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0035】
まず、図1及び図2に基づいて、本実施形態に係るガス放電管DT1を説明する。図1は、本実施形態に係るガス放電管(蛍光ランプ)を示す構成図であり、図2は、本実施形態に係るガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【0036】
ガス放電管DT1は、図1に示されるように、密封容器としての管状バルブ1と、ステムピン(導入線)3,5と、傍熱型電極C1とを備えている。
【0037】
管状バルブ1は、ガラス等の材料からなり、当該管状バルブ1の端部を構成するステム1aを含んでいる。管状バルブ1の内部には、アルゴン等の希ガス、あるいは、アルゴン等の希ガス及び水銀が封入されている。また、管状バルブ1の内壁には図示しない蛍光体が塗布されている。ステムピン3,5は、管状バルブ1の両端において、管状バルブ1のステム1aに立設されており、管軸方向に延在している。傍熱型電極C1は、ステムピン3,5の先端部に装着されて、管状バルブ1内に気密に封着されている。本実施形態において、管状バルブ1の管径はφ30mmであり、傍熱型電極C1間長は200mmに設定されている。
【0038】
傍熱型電極C1は、図2にも示されるように、加熱用ヒータ11と、コイル部材としての二重コイル13と、電気導体としての線状部材15と、易電子放射物質(陰極物質)としての金属酸化物17とを有している。
【0039】
加熱用ヒータ11は、直径0.03〜0.1mm、たとえば0.0632mmのタングステン素線を二重に巻回したフィラメントコイルからなり、このタングステンフィラメントコイルの表面には、電着法等により電気絶縁材料(たとえば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ等)が被覆されて電気絶縁層12が形成されている。なお、電気絶縁層12の代わりに電気絶縁材料(たとえば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ等)の円筒パイプを用い、当該円筒パイプ内に加熱用ヒータ11を挿入して加熱用ヒータ11を絶縁する構成を採用してもよい。ここで、二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17とは、加熱用ヒータ11からの熱を受けて電子を放射する電子放射部を構成している。
【0040】
加熱用ヒータ11の他端部11bは、溶接等により、ステムピン3に電気的に接続されている。なお、加熱用ヒータ11の一端部11aは、後述するように、ステムピン5に電気的に接続されている。
【0041】
二重コイル13は、コイル状に巻き回されたコイルより構成される多重コイルであって、直径0.0913mmのタングステン素線を外径0.3mmの1次マンドレル13aにピッチ0.146mmで巻き回して一次コイル(外周径0.483mm)に形成し、さらにその一次コイルを外径2.0mmの2次マンドレルにピッチ0.58mmで、たとえば8回巻き回して二重コイルに形成したものである。二重コイル13の内側には、加熱用ヒータ11が挿入されて配設されている。
【0042】
二重コイル13は、2次マンドレルを取り除き1次マンドレル13aを残した状態で用いられ、当該1次マンドレル13aを有することになる。この1次マンドレル13aは、たとえばモリブデンからなる。また、二重コイル13は、巻き回された複数のコイル部分が所定の間隔(0.05mm〜0.3mm)を有している。ここで、マンドレルとは、フィラメントコイル作成時に巻径を決める型の役割を果たす芯線のことである。
【0043】
なお、コイル部材としては、二重コイル13を用いる代わりに、三重コイル、あるいは一重コイル等を用いるようにしもよい。また、コイル状の部材を用いる代わりに、メッシュ状の部材を用いるようにしてもよい。このように、コイルあるいはメッシュ状の部材を用いることにより、易電子放射物質としての金属酸化物17を保持する保持手段としての放熱面積を減らすことができる。
【0044】
線状に形成された線状部材15は、導電性を有する剛体(金属導体)で、周期律表のIIIa〜VIIa、VIII、Ib族に属し、具体的にはタングステン、タンタル、モリブデン、レニウム、ニオブ、オスミウム、イリジウム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ロジウム、希土類金属等の高融点金属(融点1000℃以上)の単体金属もしくはこれらの合金からなる。本実施形態においては、タングステン製の線状部材を用いている。線状部材15の直径は、0.1mm程度に設定されている。
【0045】
線状部材15は、所定長さを有しており、二重コイル13の外側に二重コイル13の長手方向にわたって、放電方向に略直交するように配設されている。この線状部材15は、図2に示されるように、二重コイル13の長手方向に沿って二重コイル13の複数のコイル部分に電気的に接触して設けられている。好ましくは、二重コイル13の長手方向での全長にわたって電気的に接触して設けることがよい。この線状部材15は、二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17とを含む電子放射部の最表面側部分に設けられることになる。
【0046】
加熱用ヒータ11の一端部11a、二重コイル13及び線状部材15は、リードロッド16を介して、ステムピン5に電気的に接続されている。なお、線状部材15の本数は、1本に限られることなく、2本以上の複数本であってもよい。また、線状部材15と二重コイル13との各接触点を溶接してもよい。また、線状部材15の代わりに、メッシュ状に形成されたメッシュ状部材(例えば、直径0.03mmのタングステン素線をメッシュ状に編んだもの)や、板状(リボン状、箔状も含む)に形成された板状部材を用いてもよい。
【0047】
傍熱型電極C1は、易電子放射物質としての金属酸化物17を有している。金属酸化物17は、二重コイル13に保持され、線状部材15に接触して設けられている。金属酸化物17及び線状部材15は、金属酸化物17の表面及び線状部材15の表面が放電面となるように、傍熱型電極C2の外側に露出しており、金属酸化物17の表面部分に線状部材15が接触するようになっている。
【0048】
金属酸化物17としては、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)の内のいずれか単体の酸化物、又はこれらの酸化物の混合物、あるいは、主構成要件がバリウム、ストロンチウム、カルシウムの内のいずれか単体の酸化物、又はこれらの酸化物の混合物であり副構成要件がランタン系を含む希土類金属(周期律表のIIIa)である酸化物が用いられる。バリウム、ストロンチウム、カルシウムは、仕事関数が小さく、熱電子を容易に放出することができ、熱電子供給量を増加させることができる。また、副構成要件として希土類金属(周期律表のIIIa)を添加した場合、熱電子供給量を更に増加させることができると共に、耐スパッタ性能を向上することもできる。
【0049】
金属酸化物17は、陰極物質材として金属炭酸塩(たとえば、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム等)の形で塗布され、塗布された金属炭酸塩を真空加熱分解することにより得られる。尚、加熱用ヒータへの通電により真空加熱分解を行う場合、直流加熱分解に比べ交流加熱分解の方が好ましい。このようにして得られた金属酸化物17が最終的に易電子放射物質となる。陰極物質材としての金属炭酸塩は、二重コイル13の内側に加熱用ヒータ11が配設され、二重コイル13の外側に線状部材15が配設されている状態において、線状部材15側から塗布される。なお、金属炭酸塩は、傍熱型電極C1(二重コイル13)の全周を覆うように塗布する必要はなく、線状部材15が設けられている部分のみに塗布するようにしてもよい。
【0050】
加熱用ヒータ11は、図2に示されるように、電気絶縁層12を介して、金属酸化物17に接触している。このため、予熱時に加熱用ヒータ11の熱を確実且つ効率よく金属酸化物17に伝えることができる。また、特公昭62−56628号公報に開示されたガス放電管用傍熱型陰極のように熱良導性の円筒を有するものに比して、放熱面積が少なくなり、熱陰極動作に必要となる熱量の損失を抑制することができる。このため、外部からの電極への熱量供給、強制過熱を必要とせず、自己加熱による熱量のみで電極が動作するよう設計できる。ここで、自己加熱とは、ガス放電管において電極から電子が出る際、放電空間中のイオン化したガス分子が衝突して電気的に中和されるが、ガス分子が電極に衝突する衝撃により、熱が発生することをいう。
【0051】
続いて、図3に基づいて、ガス放電管DT1の点灯装置50を説明する。ガス放電管DT1の点灯装置50は、図3に示されるように、スタータ(始動装置)53、安定器54、交流電源55、第1切替部60、第2切替部70、第3切替部80を有している。スタータ53は、グロー管等を用いることができる。
【0052】
第1切替部60は、第1〜第3端子61〜63と電源入力端子64,65を含んでいる。電源入力端子64,65は、交流電源55に接続されている。第1切替部60は、電源入力端子64,65間に交流電源55からの電力が供給されると、所定の時間T1(たとえば、約10秒)、第1端子61と第2端子62とを電気的に接続した状態となる。そして、この所定の時間T1が経過すると、第1切替部60は、第1端子61と第2端子62との電気的な接続を遮断し、第1端子61と第3端子63とを電気的に接続した状態となる。第1切替部60は、たとえば、RSコンポーネンツ社製単極双投リレー:RS品番329−137を用いることができ、単極双投リレー:RS品番329−137を「オン・パルス」として機能させることで第1切替部60を実現することができる。
【0053】
第2切替部70及び第3切替部80は、第1〜第6端子71〜76,81〜86と電源入力端子77,78,87,88をそれぞれ含んでいる。電源入力端子77,78,87,88は、駆動電源(図示せず)に接続されている。なお、駆動電源の代わりに、放電開始後に発生するガス放電管DT1のランプ電圧を電源供給源としてもよい。
【0054】
第2切替部70は、電源入力端子77,78間に駆動電源からの電力が供給されると、所定の時間T2(たとえば、約20秒)、第1端子71と第2端子72とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第5端子75とを電気的に接続した状態となる。そして、この所定の時間T2が経過すると、第2切替部70は、第1端子71と第2端子72との電気的な接続及び第4端子74と第5端子75との電気的な接続を遮断し、第1端子71と第3端子73とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第6端子76とを電気的に接続した状態となる。
【0055】
第3切替部80も、第2切替部70と同じく、電源入力端子87,88間に駆動電源からの電力が供給されると、所定の時間T2(たとえば、約20秒)、第1端子81と第2端子82とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第5端子85とを電気的に接続した状態となる。そして、この所定の時間T2が経過すると、第3切替部80は、第1端子81と第2端子82との電気的な接続及び第4端子84と第5端子85との電気的な接続を遮断し、第1端子81と第3端子83とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第6端子86とを電気的に接続した状態となる。
【0056】
第2切替部70及び第3切替部80は、たとえば、RSコンポーネンツ社製2極双投リレー:RS品番329−222を用いることができ、2極双投リレー:RS品番329−222を「オン・ディレイ」として機能させることで第2切替部70及び第3切替部80を実現することができる。また、2極双投リレー:RS品番329−222を2体用いる代わりに、4極双投リレー(たとえば、RSコンポーネンツ社製4極双投リレーを1体用いるようにしてもよい。尚、本実施例においてはリレーとして機械式リレーで説明したが、電子式リレーでもよい。
【0057】
第1切替部60の第1端子61は、第3切替部80の第4端子84に電気的に接続されている。第1切替部60の第2端子62は、第2切替部70の第4端子74に電気的に接続されている。第1切替部60の第3端子63は、スタータ53を介して第2切替部70の第4端子74に電気的に接続されている。
【0058】
第2切替部70の第2端子72及び第6端子76は、ステムピン3に電気的に接続されている。第2切替部70の第3端子73及び第5端子75は、ステムピン5に電気的に接続されている。また、第3切替部80の第2端子82及び第6端子86は、ステムピン3に電気的に接続されている。第3切替部80の第3端子83及び第5端子85は、ステムピン5に電気的に接続されている。第2切替部70の第1端子71と第3切替部80の第1端子81との間には、安定器54、交流電源55が結合されている。
【0059】
次に、図4〜図7に基づいて、ガス放電管DT1の点灯装置50の動作(ガス放電管DT1の駆動方法)について説明する。図4は、ガス放電管の点灯装置の動作を説明するためのタイムチャートであり、図5〜図7は、ガス放電管の点灯装置の動作を説明するための図である。図4(c)〜(h)において、「ON」は対応する端子間が電気的に接続された状態にあることを示し、「OFF」は対応する端子間の電気的な接続が遮断された状態にあることを示す。
【0060】
まず、交流電源55が投入されると(図4中、A0の時点)、図5にも示されるように、第1切替部60は、第1端子61と第2端子62とを電気的に接続した状態となり、スタータ53をバイパスした状態となる。そして、駆動電源を投入すると、図5にも示されるように、第2切替部70は、第1端子71と第2端子72とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第5端子75とを電気的に接続した状態となり、また、第3切替部80は、第1端子81と第2端子82とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第5端子85とを電気的に接続した状態となり、ステムピン3間に交流電源55が結合された状態となる。これらにより、交流電源55からそれぞれの加熱用ヒータ11に電力が供給されて、傍熱型電極C1(電子放射部、すなわち二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17)が点灯に先立って予熱される(図4中、A0〜A1の期間)。加熱用ヒータ11への予熱電流は、たとえば0.52A程度に設定される。なお、駆動電源の投入は、後述する点灯動作開始後でもよい。
【0061】
交流電源55の投入から所定の時間T1が経過すると、図6にも示されるように、第1切替部60は、第1端子61と第3端子63とを電気的に接続した状態となり、ステムピン5間にスタータ53が結合された状態となる。これにより、交流電源55からの電力がスタータ53にも供給され、ガス放電管DT1の点灯が開始され、傍熱型電極C1間において放電が始まる(図4中、A1以降の期間)。このとき、第2切替部70及び第3切替部80は、第1端子71,81と第2端子72,82とを電気的に接続した状態及び第4端子74,84と第5端子75,85とを電気的に接続した状態が維持され、ステムピン3(加熱用ヒータ11の他端部11b)間に交流電源55が結合された状態となっており、加熱用ヒータ11に放電電流が導入されることとなる。このときの放電電流は0.42A程度とされ、ガス放電管DT1のランプ管電圧は22V程度とされている。
【0062】
そして、駆動電源の投入から所定の時間T2が経過すると、図7にも示されるように、第2切替部70は、第1端子71と第3端子73とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第6端子76とを電気的に接続した状態となり、また、第3切替部80は、第1端子81と第3端子83とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第6端子86とを電気的に接続した状態となる。これにより、ステムピン5(加熱用ヒータ11の一端部11a)間に交流電源55が結合された状態となり、加熱用ヒータ11の放電電流の導入が遮断されることなる(図4中、A2以降の期間)。このときの放電電流は0.51A程度とされ、ガス放電管DT1のランプ管電圧は31V程度とされている。なお、スタータ53は、ステムピン3(加熱用ヒータ11の他端部11b)間に結合される。
【0063】
なお、ガス放電管DT1においては、一方の傍熱型電極C1が陰極として動作している場合、他方の傍熱型電極C1は陽極として動作する。このように、電源として交流電源55を用いた場合には、傍熱型電極C1は、カソードサイクルとアノードサイクルが繰り返されることになるが、カソードサイクルのときは、放電面積が増えるためイオン電流過多による金属酸化物17のスパッタを防止することができる。また、アノードサイクルのときは、線状部材15が電子収束部としての役割を果たすことになり、受電子面積が大きく、過剰となる温度上昇を防止でき、金属酸化物17の蒸発を抑制することができる。
【0064】
以上のことから、本実施形態では、傍熱型電極C1において、金属酸化物17に接触して線状部材15が設けられ、線状部材15が複数箇所において二重コイル13と電気的に接触することで、線状部材15により等電位面が実効的に形成されるので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きるために放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなり、放電位置における負荷が軽減されることになり、劣化要因である金属酸化物17のスパッタ、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)、つまり熱電子放出能の低下を抑制することができる。この結果、局所的な放電の発生を抑制でき、陰極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0065】
また、傍熱型電極C1にあっては、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくできる。これにより、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作の実現が可能となる。
【0066】
また、電気導体として線状部材15を用いているので、熱電子放出能の低下及び放電位置の移動を抑制し得る構成の電気導体を低コスト且つより一層簡易に実現することができる。また、線状部材15(電気導体)が剛体となるために、加工が容易であると共に、金属酸化物17に密接して設けることができる。
【0067】
また、二重コイル13において、易電子放射物質である金属酸化物17がコイルを形成する線材間の間隔である、ピッチ(心距)間に挟み込まれて保持されることとなる。これにより、各ピッチ間の距離は間隙程度に小さいため振動による金属酸化物17の脱落を抑制することができる。また、二重コイル13のピッチ間に多量の金属酸化物17が保持されることになり、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0068】
また、二重コイル13がマンドレル13aを有しているので、加工時に二重コイル13が変形するのを抑制することができるという更なる効果を奏する。
【0069】
また、本実施形態によれば、ガス放電管DT1を交流電源55を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、放電電流が加熱用ヒータ11に導入されるので、傍熱型電極C1が点灯初期においても予熱される。これにより、電極C1の熱量が当該電極C1表面の全体にわたって高くなって、放電が電極C1表面に分散することとなり、電極C1表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極C1表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C1の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータ11への導入が遮断されるので、ガス放電管DT1の動作中、加熱用ヒータ11が通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極C1がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極C1の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータ11で消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管DT1としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、加熱用ヒータ11の一端部11aと線状部材15とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、加熱用ヒータ11の他端部11b間に交流電源55を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータ11に導入し、上記所定の期間後は、加熱用ヒータ11の一端部11a間に交流電源55を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータ11への導入を遮断している。これにより、点灯開始から上記所定の期間における放電電流の加熱用ヒータ11への導入、及び、上記所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータ11への導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態においては、ガス放電管DT1の点灯に先立って、所定の期間(所定の時間T1が経過するまでの期間)、加熱用ヒータ11に電流を供給して、当該加熱用ヒータ11を予熱している。これにより、傍熱型電極C1の熱量が当該電極C1表面の全体にわたってより一層高くなって、放電が電極C1表面に更に分散することとなり、電極C1表面の狭い領域に放電が集中してしまうのをより一層防ぐことができる。この結果、放電が電極C1表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C1の劣化を極めて効果的に抑制することができる。
【0072】
なお、点灯装置50に接続されるガス放電管は、上述したガス放電管DT1に限られるものではなく、たとえば、図8及び図9に示されるガス放電管DT2、図10及び図11に示されるガス放電管DT3を用いてもよい。
【0073】
まず、図8及び図9に基づいて、ガス放電管DT2を説明する。図8は、ガス放電管を示す構成図であり、図9は、ガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【0074】
ガス放電管DT2は、図8に示されるように、密封容器としての管状バルブ1と、ステムピン3,5と、傍熱型電極C2とを備えている。
【0075】
傍熱型電極C2は、図9にも示されるように、加熱用ヒータ11と、コイル部材としての二重コイル22と、電気導体としての板状部材23と、易電子放射物質(陰極物質)としての金属酸化物17とを有している。ここで、二重コイル22と易電子放射物質としての金属酸化物17とは、加熱用ヒータ11からの熱を受けて電子を放射する電子放射部を構成している。
【0076】
二重コイル22は、コイル状に巻き回されたコイルより構成される多重コイルであって、直径0.091mmのタングステン素線を径0.25mm、ピッチ0.146mmの一次コイルに形成し、さらにその一次コイルで径1.7mm、ピッチ0.6mmの二重コイルに形成したものである。二重コイル22の内側には、加熱用ヒータ11が挿入されて配設されている。なお、コイル部材としては、二重コイル22を用いる代わりに、三重コイル等を用いるようにしもよい。
【0077】
板状に形成された板状部材23は、導電性を有する剛体(金属導体)で、周期律表のIIIa〜VIIa、VIII、Ib族に属し、具体的にはタングステン、タンタル、モリブデン、レニウム、ニオブ、オスミウム、イリジウム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ロジウム、希土類金属等の高融点金属(融点1000℃以上)の単体金属もしくはこれらの合金からなる。本実施形態においては、幅1.5mm、厚さ25.4μmのタングステン製の板状部材を用いている。
【0078】
板状部材23は、二重コイル22の内側(加熱用ヒータ11と二重コイル22との間)に二重コイル22の長手方向にわたって、放電方向に略直交して設けられている。板状部材23は、二重コイル22と電気的に接続された状態にある。また、板状部材23は、二重コイル22の内側において複数のコイル部分に接触しており、二重コイル22と複数個の接点を形成している。
【0079】
加熱用ヒータ11の一端部11a、二重コイル22及び板状部材23は、リードロッド16を介して、ステムピン5に電気的に接続されている。なお、板状部材23を用いる代わりに、メッシュ状に形成されたメッシュ状部材(例えば、直径0.03mmのタングステン素線をメッシュ状に編んだもの)線状に形成された線状部材(たとえば、直径0.1mm程度のタングステン素線)を用いるようにしてもよい。また、板状部材23と二重コイル22との各接触点を溶接してもよい。
【0080】
金属酸化物17は、二重コイル22及び加熱用ヒータ11に保持され、板状部材23に接触して設けられている。金属酸化物17の表面及び二重コイル22の表面が傍熱型電極C2の外側に露出しており、金属酸化物17の表面部分に二重コイル22の表面部分が接触するようになっている。金属酸化物17は、第1実施形態と同様にして、設けられる。
【0081】
加熱用ヒータ11は、電気絶縁層12を介して、金属酸化物17と二重コイル22とに接触している。このため、予熱時に加熱用ヒータ11の熱を確実且つ効率よく金属酸化物17及び二重コイル22に伝えることができる。また、特公昭62−56628号公報に開示されたガス放電管用傍熱型陰極のように熱良導性の円筒を有するものに比して、熱陰極動作に必要となる熱量の損失を抑制することができる。このため、外部からの電極への熱量供給、強制過熱を必要とせず、自己加熱による熱量のみで電極が動作するよう設計できる。
【0082】
以上のように、上述したガス放電管DT2を点灯装置50に接続した場合、ガス放電管DT2を交流電源55を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、放電電流が加熱用ヒータ11に導入されるので、傍熱型電極C2が点灯初期においても予熱される。これにより、電極C2の熱量が当該電極C2表面の全体にわたって高くなって、放電が電極C2表面に分散することとなり、電極C2表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極C2表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C2の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータ11への導入が遮断されるので、ガス放電管DT2の動作中、加熱用ヒータ11が通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極C2がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極C2の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータ11で消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管DT2としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0083】
また、加熱用ヒータ11の一端部11aと板状部材23とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、加熱用ヒータ11の他端部11b間に交流電源55を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータ11に導入し、上記所定の期間後は、加熱用ヒータ11の一端部11a間に交流電源55を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータ11への導入を遮断している。これにより、点灯開始から上記所定の期間における放電電流の加熱用ヒータ11への導入、及び、上記所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータ11への導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0084】
また、傍熱型電極C2において、金属酸化物17に接触するとともに二重コイル22に接触して板状部材23が設けられているので、板状部材23は、二重コイル22の裏面(放電面とは反対側の面)において当該二重コイル22の内側部分とともに等電位面を実効的に形成することになる。すなわち、板状部材23と二重コイル22の内側部分とは、複数の電気配線(導電路)で構成され、かつ単一の方向へ電流が流れるよう規制されることはない。したがって、板状部材23の表面の端々間の電気抵抗は著しく小さく、板状部材23の表面においてはほぼ等電位状態となっており、複数の放電点あるいは放電線からなる放電面の電位はほぼ等しくなる。言い換えると、板状部材23により、放電面に平行な方向に放電電流が流れ得る複数の電気回路が形成、つまり、放電電子(エミッション)の通り路(等電位回路)が複数形成されることとなる。
【0085】
したがって、傍熱型電極C2では、板状部材23と二重コイル22とにより、二重コイル22の裏面(放電面とは反対側の面)において等電位面が実効的に形成されているので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きて放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなって放電位置における負荷が軽減されることになり、劣化要因である金属酸化物17のスパッタ、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)、つまり熱電子放出能の低下を抑制することができる。この結果、局所的な放電の発生を抑制でき、陰極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、放電面積が増加することから、傍熱型電極C2の動作電圧及び発生熱量を低くすることもできる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0086】
また、傍熱型電極C2にあっては、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくできる。これにより、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作の実現が可能となる。
【0087】
また、電気導体として板状部材23を用いているので、熱電子放出能の低下及び放電位置の移動を抑制し得る構成の電気導体を低コスト且つより一層簡易に実現することができる。また、板状部材23(電気導体)が剛体となるために、加工が容易であると共に、金属酸化物17に密接して設けることができる。更に、板状部材23と金属酸化物17とが接触する箇所を容易に多く設けることができる。
【0088】
また、傍熱型電極C2においては、加熱用ヒータ11を核として、その外側に金属酸化物17を保持する二重コイル22を取り巻くように配置し、二重コイル22の内側において金属酸化物17に接触するように板状部材23を配設することにより、二重コイル22の振動抑制効果が働き、金属酸化物17の落下を防ぐことができる。また、二重コイル22のピッチ間に多量の金属酸化物17が保持されることになり、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0089】
次に、図10及び図11に基づいて、ガス放電管DT3を説明する。図10は、ガス放電管を示す構成図であり、図11は、ガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【0090】
ガス放電管DT3は、図10に示されるように、密封容器としての管状バルブ1と、ステムピン3,5と、傍熱型電極C3とを備えている。
【0091】
傍熱型電極C3は、図11にも示されるように、加熱用ヒータ11と、多重コイル部材としての二重コイル13と、易電子放射物質(陰極物質)としての金属酸化物17とを有している。加熱用ヒータ11の一端部11a及び二重コイル13は、ステムピン5に電気的に接続されている。ここで、二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17とは、加熱用ヒータ11からの熱を受けて電子を放射する電子放射部を構成している。
【0092】
金属酸化物17は、二重コイル13及び加熱用ヒータ11に保持されている。金属酸化物17の表面及び二重コイル13の表面が傍熱型電極C3の外側に露出しており、金属酸化物17の表面部分に二重コイル13の表面部分が接触するようになっている。金属酸化物17は、第1実施形態と同様にして、設けられる。
【0093】
加熱用ヒータ11は、電気絶縁層12を介して、金属酸化物17と二重コイル13に接触している。このため、予熱時に加熱用ヒータ11の熱を確実且つ効率よく金属酸化物17及び二重コイル13に伝えることができる。また、特公昭62−56628号公報に開示されたガス放電管用傍熱型陰極のように熱良導性の円筒を有するものに比して、熱陰極動作に必要となる熱量の損失を抑制することができる。このため、外部からの電極への熱量供給、強制過熱を必要とせず、自己加熱による熱量のみで電極が動作するよう設計できる。
【0094】
ところで、多重コイル部材としてマンドレルを有する2重コイルを用い、電源として交流電源を用いた場合には、マンドレルの表面上での熱量の均衡によって放電が保たれる。マンドレルの表面上での放電により電極表面上の発生熱量は放電電流(Id)と比例関係にある。また、マンドレルの断面積(Sm)が大きいと、表面積も増えることになるため熱損失量は増える。以上のことから、電極表面温度(Tc)は、Tc∝Id/Smとの関係を有する。表面電極温度が許容範囲より小さすぎると、陰極動作温度不足となる。このため、放電を持続するように、局所的に温度を上昇させて熱電子を供給しようとして、放電が集中する。この結果、局所過熱による易電子放射物質のスパッタ現象を助長し、電極の劣化を加速させる。一方、表面電極温度が許容範囲より大きすぎると、電極表面全体が過熱状態となり、易電子放射物質の蒸発を助長し、電極の劣化を加速させる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0095】
以上のように、上述したガス放電管DT3を点灯装置50に接続した場合、ガス放電管DT3を交流電源55を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、放電電流が加熱用ヒータ11に導入されるので、傍熱型電極C3が点灯初期においても予熱される。これにより、電極C3の熱量が当該電極C3表面の全体にわたって高くなって、放電が電極C3表面に分散することとなり、電極C3表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極C3表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C3の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータ11への導入が遮断されるので、ガス放電管DT3の動作中、加熱用ヒータ11が通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極C3がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極C3の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータ11で消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管DT3としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0096】
また、加熱用ヒータ11の一端部11aと二重コイル13とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、加熱用ヒータ11の他端部11b間に交流電源55を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータ11に導入し、上記所定の期間後は、加熱用ヒータ11の一端部11a間に交流電源55を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータ11への導入を遮断している。これにより、点灯開始から上記所定の期間における放電電流の加熱用ヒータ11への導入、及び、上記所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータ11への導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0097】
また、傍熱型電極C3では、二重コイル13がマンドレル13aを有しているので、二重コイル13の剛性が高くなり、成形を容易に行うことができ、この結果、傍熱型電極C3の製造が容易となる。また、加工時及び使用時の二重コイル13の変形を抑制することができる。
【0098】
また、傍熱型電極C3では、易電子放射物質である金属酸化物17が二重コイル13のコイル部分の間隔である、ピッチ(心距)間に挟み込まれて保持されることになる。これにより、各ピッチ間の距離は隙間程度に小さいため振動による金属酸化物17の脱落を抑制することができる。また、隙間構造のピッチが多数存在するため、多量の金属酸化物17を保持でき、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0099】
また、二重コイル13に含まれるタングステン素線とマンドレル13aとの間に生じる空間にも金属酸化物17が保持されることになる。このタングステン素線とマンドレル13aとの間に生じる空間に金属酸化物17は、電極動作中の金属酸化物17のスパッタ等により消失する金属酸化物分を有効に補充する機能を有する。タングステン素線とマンドレル13aとの間に生じる空間に金属酸化物17を有効に保持させるためには、上述した一次コイルにおけるコイル部分の間隔が1.0mm以下であることが好ましく、0.01mm〜0.3mmの範囲が更に好ましい。
【0100】
また、本実施形態の点灯装置50は、加熱用ヒータ11を点灯に先立って予熱するための第1切替部60を含んでいるが、必ずしも第1切替部60を設ける必要はなく、点灯に先立って予熱を行わない場合には、図12に示されるように、第2切替部70の第4端子74と第3切替部80の第4端子84間にスタータ53を直接結合してもよい。
【0101】
また、本実施形態の点灯装置50は、図13に示されるように、高周波インバータ回路91(高周波発生器)を介してガス放電管DT1,DT2,DT3を駆動するようにしてもよい。この場合、高周波インバータ回路91と交流電源55との間に、整流回路93及び平滑回路95が結合される。
【0102】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、本実施形態においては、電気導体として高融点金属を用いるようにしているが、導電性を有し融点が陰極の作動温度よりも高い剛体であれば、高融点金属の代わりに厚さの薄い多孔質金属、炭素繊維等を用いるようにしてもよい。また、金属酸化物17の耐スパッタ性向上、放電性能向上のために、タンタル、チタン、ニオブ等の窒化物あるいは炭化物を金属酸化物17の表面、あるいは二重コイル13,22、あるいは線状部材15、板状部材23に付着させるようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態においては、線状部材15の表面が露出するようにしているが、必ずしもこれらを露出させる必要はなく、金属酸化物17に線状部材15が接触しているのであれば、線状部材15の表面が金属酸化物17に覆われていてもよい。また、二重コイル13の表面部分が露出するようにしているが、必ずしもこれを露出させる必要はなく、金属酸化物17に二重コイル13の表面部分が接触しているのであれば、二重コイル13の表面部分が金属酸化物17に覆われていてもよい。なお、二重コイル13の表面部分を露出させることにより、放電性をより向上させることができる。
【0104】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、傍熱型電極の劣化及びガス放電管の発光効率の低下を極めて効果的に抑制することが可能なガス放電管の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るガス放電管を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【図3】実施形態に係るガス放電管の点灯装置を示す構成図である。
【図4】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するためのタイムチャートである。
【図5】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するための図である。
【図6】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するための図である。
【図7】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するための図である。
【図8】実施形態に係るガス放電管の変形例を示す構成図である。
【図9】実施形態に係るガス放電管の変形例に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【図10】実施形態に係るガス放電管の変形例を示す構成図である。
【図11】実施形態に係るガス放電管の変形例に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【図12】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の変形例を示す構成図である。
【図13】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の変形例を示す構成図である。
【図14】ガス放電管における、ヒータ印加電圧と陰極降下電圧(ボックス電位)との関係を示す線図である。
【図15】ガス放電管における、ヒータ印加電圧と放電電流との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1…管状バルブ、1a…ステム、3,5…ステムピン、11…加熱用ヒータ、11a…一端部、11b…他端部、12…電気絶縁層、13…二重コイル、13a…マンドレル、15…線状部材、17…金属酸化物、22…二重コイル、23…板状部材、50…点灯装置、53…スタータ、54…安定器、55…交流電源、60…第1切替部、70…第2切替部、80…第3切替部、C1〜C3…傍熱型電極、DT1〜DT3…ガス放電管。
【発明の属する技術分野】
本発明は、傍熱型電極を備えたガス放電管の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
傍熱型電極を備えたガス放電管として、たとえば特開平4−357659号公報に開示されたようなものが知られている。特開平4−357659号公報に開示されたガス放電管は、ガスが気密封止された管状の容器と、この容器の両端部にそれぞれ封装された一対のステムピンの先端部に装着された傍熱型電極とを備えており、傍熱型電極のそれぞれは、一端部が一対のステムピンの一方と電気的に接続される加熱用ヒータと、加熱用ヒータの他端部と電気的に接続されると共に、一対のステムピンの他方と電気的に接続され、加熱用ヒータからの熱を受けて電子を放出する電子放射部と、を有している。
【0003】
また、上述したガス放電管には、当該ガス放電管を点灯させるための駆動回路として、一方のステムピン間に交流電源が結合され、他方のステムピン間にスタータ等が結合されている。この駆動回路では、交流電源を投入し、スタータをオンすると、ヒータが加熱され、電子放射部が熱電子の放射可能な状態となる。この間に、スタータがオフすると、放電を開始し、維持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平4−357659号公報に開示されたガス放電管の駆動回路では、加熱用ヒータを介して電子放射部と交流電源とが接続されているので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータは放電電流が導入されて常時通電されることとなり、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となり、電極が劣化する惧れがある、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わり、放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下する、といった問題点を有することになる。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、傍熱型電極の劣化及びガス放電管の発光効率の低下を極めて効果的に抑制することが可能なガス放電管の駆動方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ところで、本発明者等は、放電表面電位を実験因子として、従来の傍熱型電極(傍熱型陰極)との比較を陰極降下電圧(ボックス電位)を中心に着目し、調査研究の結果、以下のような事実を新たに見出した。
【0007】
なお、以後使用する等電位面、等電位界面、ボックス電位と放電形態は、次のように定義する。等電位面とは、電位的に等電位状態となっている放電面が構成された状態をと定義する。等電位界面とは、等電位面に易電子放射物質としての金属酸化物が接触塗布され、ガスと接触した構造と定義する。ボックス電位とは、放電中、陰極近傍の陰極と電気的に絶縁された端子と陰極間に発生する電位と定義する。放電物性の一般用語として使われている陰極降下電圧に近似している値である。イオン電流とは、ガス放電管中のガス分子に電子が衝突することで、ガス分子が電離生成した電離ガスによって発生する電流と定義する。熱電子放出とは、金属の温度を上昇させると、熱運動エネルギが増加し、金属の持つ電子エネルギ障壁(仕事関数)を超えて空間中に電子が飛びだす電子放出のことで、ここでは化学的に不安定な易電子放射物質としての金属酸化物からの電子放出のことである。二次電子放出とは、電離ガスの陰極への衝突時に、陰極から空間中に電子が押し出される電子放出のことである。
【0008】
直流動作でのボックス電位の変化を等電位化の前後で比較してみると、図14に示されるように、ボックス電位の顕著な差を確認した。発明者は、等電位界面モデルを作成し、本現象の調査研究結果の考察を行った。ガス放電での放電形態としては、イオン電流、熱電子放出、二次電子放出の3形態でほぼ言い表すことができ、理論的には、下記のような関係式で表現される。因みに、真空放電での放電形態としては、熱電子放出のみでほぼ言い表すことができ、ガス放電の放電形態とは異なる。
Id =Ii + Ie=Ii(1+ γ)+ Ith …… (1)
Ie =Ith+γIi …… (2)
Vc =Vo+{(1−Ith/Id)}/ {α(γ+Ith/Id)} …… (3)
ショットキー効果関連の式
Ie =Ithexp{(e/kT)sqr(eE/4πεo) …… (4)
Ith=SAT^2*exp(−eφ/kT) …… (5)
Ise=Ith[exp[(e/kT)sqr(eE/4πεo)]−1] ……(6)
ここで、Ii:イオン電流
Ie:エミッション電流
Ith:熱電子電流
Ise:二次電子電流
Id:放電電流
Vc:陰極降下電圧
γ:二次電子放出に関わる係数(利得)
α、Vo:パラメータ
S:電極表面積
A:材料で決定される定数
T:陰極温度
e:電子負荷
φ:仕事関数
k:ボルツマン定数
εo:真空中の誘電率
E:陰極降下部の電界強度
【0009】
次に、ガス放電管におけるイオン電流(Iiに相当)とエミッション電流(電子:Ieに相当)について考察する。電子の静止質量が9.109×10−31kgであるのに対して、元素の中で最も軽い水素でも1.675×10−27kgと電子に比べ格段に重い。更に、電離ガスは陰極に吸寄せられて衝突するのに対して、電子の場合は、陰極から引き離されることから、電離ガスの衝撃力が電子の衝撃力を上回り、電離ガスの陰極に与える損傷は電子に比べて大きい。以上のことからイオン電流の陰極に対する有害性が分かる。一方、ガス放電管の発光および放電現象の観点から見ると、電離ガスが、発光物質として寄与するほか、真空中に比べ、イオン電流に依存して多くの放電電流を空間中に引き出す効用がある。ガス放電管においては、イオン電流の功罪を加味しつつ、陰極に対する影響を最小限に保つことが寿命特性、安定性を図る上で大切である。
【0010】
ボックス電位は、陰極降下電圧に近似し、ガスの励起、電離状態を相対的に示していて、電離ガス発生量の目安となる。ボックス電位が低ければ低いほど、電離ガス生成量は少ないことを意味している。
【0011】
ガス放電での放電形態としては、イオン電流、熱電子放出、二次電子放出の3形態あることは、上述した。熱電子放出は、易電子放射物質としての、バリウム等の金属酸化物を加熱することで起きる。熱電子放出は、放電開始時に、ガス電離を起こし、放電を開始させる役目が有る。放電を開始した後、ガス放電の場合、易電子放射物質としての金属酸化物から放出される熱電子に引き寄せられる形で電離ガスが衝突してくる。その際、電離ガス衝突により、主に電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物の界面上から二次電子放出が起きる。ガス放電の場合、単位面積あたりの放電電流密度が、真空放電に比べ数十倍から数百倍にもなり、全放電電流中の大半が二次電子放出で形成される。
【0012】
二次電子の供給に関し、易電子放射物質としての金属酸化物の電気抵抗率は、電気導体に比べ格段に大きく、易電子放射物質としての金属酸化物単体での供給には限界があり、二次電子の供給の多くは電気導体を介して供給され、易電子放射物質としての金属酸化物との界面上から放出される。電気導体への二次電子の基となる電子供給は、直接外部回路から供給される場合と、易電子放射物質としての金属酸化物との接触面を介して行われる場合がある。電気導体と界面を成さない易電子放射物質としての金属酸化物上からも熱電子放出が起きるが、上述したように、二次電子の供給に関し、易電子放射物質としての金属酸化物単体での供給には限界があり、二次電子放出量は少なく、ガス放電中に占める易電子放射物質としての金属酸化物単体からの放電電流の絶対量はきわめて少ない。以上整理すると、ガス放電における陰極で、主に電子放出を担う場所は、電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物界面である。
【0013】
次に、図14及び図15を参照して、等電位界面モデルに関して説明する。図14は、横軸をヒータ印加電圧(Vf)、つまり陰極への強制加熱量による陰極温度の増減軸とし、縦軸を陰極降下電圧(ボックス電位)(Vc)とした線図(モデル図)である。図15は、横軸を同じくヒータ印加電圧(Vf)とし、縦軸を放電電流(Id)とした線図(モデル図)である。ただし、図15の放電電流(Id)は一定として、縦軸は、熱電子電流、二次電子電流、イオン電流の構成割合(領域分布)を表している。図14の縦軸は、高低を表している。
【0014】
陰極温度の構成要因は、ヒータ印加電圧(Vf)、つまり陰極への強制加熱量の他に、電離ガスの陰極への衝突時に発生する通称、自己加熱量が有り、この合計熱量により決まる。図14左側の陰極温度が低い、つまり強制加熱量が少ない、あるいは放熱面積が大きく、陰極からの損失熱量が多い領域では、熱電子生成量が少なく、これを補う形でイオン電流が支配的になり、陰極降下電圧が電離電圧以上となり、電離ガスの生成を加速している。この領域で、陰極表面の電位分布が不均一である場合は、イオン電流、二次電子電流の集中による局所的な放電(放電位置の偏在)が生じ易く、電離ガス衝撃による陰極表面への損傷が大きく、陰極物質材(易電子放射物質としての金属酸化物)の削り取り(スパッタ)、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)を招き易い。
【0015】
これに対して、図14左側の陰極温度が高い、つまり強制加熱量が多い、あるいは放熱面積が小さく、陰極への蓄熱量が多い領域では、熱電子生成量が過剰となり、これを補う形でイオン電流は減少し、陰極降下電圧が電離電圧以下なる。しかし、陰極温度が上昇し陰極構成物の蒸気圧を高め、蒸発による易電子放射物質としての金属酸化物の消失を招き易い。陰極への熱量の過不足は、上述した理由により好ましくない。動作領域の目安としては、ボックス電位(陰極降下電圧)で言うと、電離電圧近辺での動作が適している。
【0016】
ところで、このモデルの構成要素の中で、重要な要素として、放電面積がある。これは、関係式中の電極表面積(S)と同義とみなせる。先に述べたように、ガス放電では、電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物界面上からの電子放出が、放電主体を成している。これに加え、温度均一性に止まらず、電位的にも均一(等電位)であるか否かによって放電面積は変わる。つまり、放電面積は等電位面の面積、あるいは等電位面部の長さに比例することとなり、等電位面が広い、あるいは長いほど、電極表面積(S:放電面積)が増加し、上記(5)式から、熱電子電流(Ith)の割合が増加し、上記(1)式よりイオン電流量が減少し、イオン電流、二次電子電流は等電位面に分散し、図15のモデルの細線部(等電位化前)はモデルの太線側(等電位化後)に領域分布がシフトすることになり、上記(3)式から図14のボックス電位(陰極降下電圧)が低下する。今回の等電位面と金属酸化物、ガスの等電位界面構造を採用し、熱電子量が増加することで、放電電流中のイオン電流量が減少し、図14のボックス電位が下がる理由を説明できる。
【0017】
以上のことから、ガス放電において、従来の等電位化されていない陰極に比べ、イオン電流量を減少させることで、単位放電面積あたりの電離ガス衝撃を緩和させることができ、その結果、陰極への負荷が軽減し、熱電子放出能の低下が少なく、寿命特性が改善され、これに伴い、放電位置の移動も少なく、安定性の改善を図れることが分かる。
【0018】
次に、等電位面のガス放電管への有効性について、考察する。真空放電での放電形態としては、熱電子放出のみでほぼ言い表すことができ、ガス放電の放電形態とは異なると、先に述べた。真空放電中での放電面積は、熱電子放出面にある易電子放射物質としての金属酸化物により形成された表面積で決まるといえる。従って、熱電子放出のほか、イオン電流、二次電子放出からなる放電形態を有するガス放電管における放電面積構成要素と真空放電中の放電面積構成要素とが異なり、ガス放電における陰極で、主に電子放出を担う場所は、電気導体と易電子放射物質としての金属酸化物界面であるから、放電面として、電気導体から形成されて電位をほぼ等しくした、等電位面がガス放電において有効であることを見出した。
【0019】
更に、等電位面の形成手段に使う材料をメッシュ状、線状、あるいはリボン状、箔状を含む板状と細線構造とすることで、放熱面となる表面積と、熱伝導部となる体積を極力増やさず、結果的に熱損失量を抑える。金属酸化物と等電位面の接触部を増し、結果的に放電面積を増やす。以上のことから、等電位面の形成手段に使う材料をメッシュ状、線状、あるいは板状と細線構造とすることで、等電位面の効果をより高めることを見出した。
【0020】
従来のように、陰極表面の電位分布が不均一である場合は、発熱量もそれに伴い不均一となるため、熱電子の生成密度も不均一となり、イオン電流、二次電子電流の集中による局所的な放電(放電位置の偏在)が生じることになる。そして、局所的な放電は、陰極物質材(易電子放射物質としての金属酸化物)の削り取り(スパッタ)、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)、つまり熱電子放出能の低下を招き、放電位置が次なる熱電子放出特性のよい位置へと移動する。このように、局所的な熱電子放出劣化を繰り返しながら、陰極表面を劣化させることになる。また、上述した放電位置の移動により、放電自体が不安定になってしまう。
【0021】
かかる調査研究結果も踏まえ、本発明に係るガス放電管の駆動方法は、傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、傍熱型電極は、表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、加熱用ヒータからの熱を受けて電子を放出する電子放射部と、電子放射部の最表面側部分に設けられ、所定長さを有する電気導体と、を有しており、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴としている。
【0022】
本発明に係るガス放電管の駆動方法では、傍熱型電極において、電気導体により電子放射部に等電位面が実効的に形成されるので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きるために放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなり、放電位置における負荷が軽減されることになる。これにより、局所的な放電の発生を抑制でき、傍熱型電極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくでき、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作を実現することができる。
【0023】
また、本発明によれば、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流が加熱用ヒータに導入されるので、傍熱型電極が点灯初期においても予熱される。これにより、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたって高くなって、放電が電極表面に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入が遮断されるので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータが通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0024】
本発明に係るガス放電管の駆動方法は、傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、傍熱型電極は、コイル状に巻き回されたコイル部材と、コイル部材の内側に配設され、その表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、コイル部材に保持される易電子放射物質としての金属酸化物と、コイル部材の内側に当該コイル部材と接触して設けられ、所定長さを有する電気導体と、を有しており、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴としている。
【0025】
本発明に係るガス放電管の駆動方法では、傍熱型電極において、電気導体によりコイル部材の裏面(放電面とは反対側の面)に等電位面が実効的に形成されるので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きて放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなり、放電位置における負荷が軽減されることになる。これにより、局所的な放電の発生を抑制でき、電極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくでき、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作を実現することができる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0026】
また、本発明によれば、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流が加熱用ヒータに導入されるので、傍熱型電極が点灯初期においても予熱される。これにより、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたって高くなって、放電が電極表面に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入が遮断されるので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータが通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0027】
また、加熱用ヒータの一端と電気導体とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間は、加熱用ヒータの他端間に交流電源を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、加熱用ヒータの一端間に交流電源を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することが好ましい。このように構成した場合、点灯開始から所定の期間における放電電流の加熱用ヒータへの導入、及び、所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータへの導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0028】
本発明に係るガス放電管の駆動方法は、傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、傍熱型電極は、マンドレルを有するコイルをコイル状に巻き回して構成した多重コイル部材と、多重コイル部材の内側に配設され、その表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、多重コイル部材に接触するように当該多重コイル部材に保持される易電子放射物質としての金属酸化物と、を有しており、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴としている。
【0029】
本発明に係るガス放電管の駆動方法では、傍熱型電極において、多重コイル部材がマンドレルを有しているので、多重コイル部材の剛性が高くなり、成形を容易に行うことができ、この結果、傍熱型電極の製造が容易となる。また、加工時及び使用時の多重コイル部材の変形を抑制することができる。また、易電子放射物質である金属酸化物がコイル部分の間隔である、ピッチ(心距)間に挟み込まれて保持されることになる。これにより、各ピッチ間の距離は隙間程度に小さいため振動による金属酸化物の脱落を抑制することができる。また、隙間構造のピッチが多数存在するため、多量の金属酸化物を保持でき、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0030】
また、本発明によれば、ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流が加熱用ヒータに導入されるので、傍熱型電極が点灯初期においても予熱される。これにより、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたって高くなって、放電が電極表面に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータへの導入が遮断されるので、ガス放電管の動作中、加熱用ヒータが通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータで消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0031】
また、加熱用ヒータの一端と多重コイル部材とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間は、加熱用ヒータの他端間に交流電源を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータに導入し、所定の期間後は、加熱用ヒータの一端間に交流電源を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータへの導入を遮断することが好ましい。このように構成した場合、点灯開始から所定の期間における放電電流の加熱用ヒータへの導入、及び、所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータへの導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0032】
また、点灯開始から所定の期間は、加熱用ヒータの一端間にガス放電管を点灯させるためのスタータを結合し、所定の期間後は、加熱用ヒータの他端間にスタータを結合することが好ましい。
【0033】
また、ガス放電管の点灯に先立って、所定の期間、加熱用ヒータに電流を供給して、当該加熱用ヒータを予熱することが好ましい。このように構成した場合、電極の熱量が当該電極表面の全体にわたってより一層高くなって、放電が電極表面に更に分散することとなり、電極表面の狭い領域に放電が集中してしまうのをより一層防ぐことができる。この結果、放電が電極表面の狭い領域に集中することによる電極の劣化を極めて効果的に抑制することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明によるガス放電管の駆動方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0035】
まず、図1及び図2に基づいて、本実施形態に係るガス放電管DT1を説明する。図1は、本実施形態に係るガス放電管(蛍光ランプ)を示す構成図であり、図2は、本実施形態に係るガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【0036】
ガス放電管DT1は、図1に示されるように、密封容器としての管状バルブ1と、ステムピン(導入線)3,5と、傍熱型電極C1とを備えている。
【0037】
管状バルブ1は、ガラス等の材料からなり、当該管状バルブ1の端部を構成するステム1aを含んでいる。管状バルブ1の内部には、アルゴン等の希ガス、あるいは、アルゴン等の希ガス及び水銀が封入されている。また、管状バルブ1の内壁には図示しない蛍光体が塗布されている。ステムピン3,5は、管状バルブ1の両端において、管状バルブ1のステム1aに立設されており、管軸方向に延在している。傍熱型電極C1は、ステムピン3,5の先端部に装着されて、管状バルブ1内に気密に封着されている。本実施形態において、管状バルブ1の管径はφ30mmであり、傍熱型電極C1間長は200mmに設定されている。
【0038】
傍熱型電極C1は、図2にも示されるように、加熱用ヒータ11と、コイル部材としての二重コイル13と、電気導体としての線状部材15と、易電子放射物質(陰極物質)としての金属酸化物17とを有している。
【0039】
加熱用ヒータ11は、直径0.03〜0.1mm、たとえば0.0632mmのタングステン素線を二重に巻回したフィラメントコイルからなり、このタングステンフィラメントコイルの表面には、電着法等により電気絶縁材料(たとえば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ等)が被覆されて電気絶縁層12が形成されている。なお、電気絶縁層12の代わりに電気絶縁材料(たとえば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ等)の円筒パイプを用い、当該円筒パイプ内に加熱用ヒータ11を挿入して加熱用ヒータ11を絶縁する構成を採用してもよい。ここで、二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17とは、加熱用ヒータ11からの熱を受けて電子を放射する電子放射部を構成している。
【0040】
加熱用ヒータ11の他端部11bは、溶接等により、ステムピン3に電気的に接続されている。なお、加熱用ヒータ11の一端部11aは、後述するように、ステムピン5に電気的に接続されている。
【0041】
二重コイル13は、コイル状に巻き回されたコイルより構成される多重コイルであって、直径0.0913mmのタングステン素線を外径0.3mmの1次マンドレル13aにピッチ0.146mmで巻き回して一次コイル(外周径0.483mm)に形成し、さらにその一次コイルを外径2.0mmの2次マンドレルにピッチ0.58mmで、たとえば8回巻き回して二重コイルに形成したものである。二重コイル13の内側には、加熱用ヒータ11が挿入されて配設されている。
【0042】
二重コイル13は、2次マンドレルを取り除き1次マンドレル13aを残した状態で用いられ、当該1次マンドレル13aを有することになる。この1次マンドレル13aは、たとえばモリブデンからなる。また、二重コイル13は、巻き回された複数のコイル部分が所定の間隔(0.05mm〜0.3mm)を有している。ここで、マンドレルとは、フィラメントコイル作成時に巻径を決める型の役割を果たす芯線のことである。
【0043】
なお、コイル部材としては、二重コイル13を用いる代わりに、三重コイル、あるいは一重コイル等を用いるようにしもよい。また、コイル状の部材を用いる代わりに、メッシュ状の部材を用いるようにしてもよい。このように、コイルあるいはメッシュ状の部材を用いることにより、易電子放射物質としての金属酸化物17を保持する保持手段としての放熱面積を減らすことができる。
【0044】
線状に形成された線状部材15は、導電性を有する剛体(金属導体)で、周期律表のIIIa〜VIIa、VIII、Ib族に属し、具体的にはタングステン、タンタル、モリブデン、レニウム、ニオブ、オスミウム、イリジウム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ロジウム、希土類金属等の高融点金属(融点1000℃以上)の単体金属もしくはこれらの合金からなる。本実施形態においては、タングステン製の線状部材を用いている。線状部材15の直径は、0.1mm程度に設定されている。
【0045】
線状部材15は、所定長さを有しており、二重コイル13の外側に二重コイル13の長手方向にわたって、放電方向に略直交するように配設されている。この線状部材15は、図2に示されるように、二重コイル13の長手方向に沿って二重コイル13の複数のコイル部分に電気的に接触して設けられている。好ましくは、二重コイル13の長手方向での全長にわたって電気的に接触して設けることがよい。この線状部材15は、二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17とを含む電子放射部の最表面側部分に設けられることになる。
【0046】
加熱用ヒータ11の一端部11a、二重コイル13及び線状部材15は、リードロッド16を介して、ステムピン5に電気的に接続されている。なお、線状部材15の本数は、1本に限られることなく、2本以上の複数本であってもよい。また、線状部材15と二重コイル13との各接触点を溶接してもよい。また、線状部材15の代わりに、メッシュ状に形成されたメッシュ状部材(例えば、直径0.03mmのタングステン素線をメッシュ状に編んだもの)や、板状(リボン状、箔状も含む)に形成された板状部材を用いてもよい。
【0047】
傍熱型電極C1は、易電子放射物質としての金属酸化物17を有している。金属酸化物17は、二重コイル13に保持され、線状部材15に接触して設けられている。金属酸化物17及び線状部材15は、金属酸化物17の表面及び線状部材15の表面が放電面となるように、傍熱型電極C2の外側に露出しており、金属酸化物17の表面部分に線状部材15が接触するようになっている。
【0048】
金属酸化物17としては、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)の内のいずれか単体の酸化物、又はこれらの酸化物の混合物、あるいは、主構成要件がバリウム、ストロンチウム、カルシウムの内のいずれか単体の酸化物、又はこれらの酸化物の混合物であり副構成要件がランタン系を含む希土類金属(周期律表のIIIa)である酸化物が用いられる。バリウム、ストロンチウム、カルシウムは、仕事関数が小さく、熱電子を容易に放出することができ、熱電子供給量を増加させることができる。また、副構成要件として希土類金属(周期律表のIIIa)を添加した場合、熱電子供給量を更に増加させることができると共に、耐スパッタ性能を向上することもできる。
【0049】
金属酸化物17は、陰極物質材として金属炭酸塩(たとえば、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム等)の形で塗布され、塗布された金属炭酸塩を真空加熱分解することにより得られる。尚、加熱用ヒータへの通電により真空加熱分解を行う場合、直流加熱分解に比べ交流加熱分解の方が好ましい。このようにして得られた金属酸化物17が最終的に易電子放射物質となる。陰極物質材としての金属炭酸塩は、二重コイル13の内側に加熱用ヒータ11が配設され、二重コイル13の外側に線状部材15が配設されている状態において、線状部材15側から塗布される。なお、金属炭酸塩は、傍熱型電極C1(二重コイル13)の全周を覆うように塗布する必要はなく、線状部材15が設けられている部分のみに塗布するようにしてもよい。
【0050】
加熱用ヒータ11は、図2に示されるように、電気絶縁層12を介して、金属酸化物17に接触している。このため、予熱時に加熱用ヒータ11の熱を確実且つ効率よく金属酸化物17に伝えることができる。また、特公昭62−56628号公報に開示されたガス放電管用傍熱型陰極のように熱良導性の円筒を有するものに比して、放熱面積が少なくなり、熱陰極動作に必要となる熱量の損失を抑制することができる。このため、外部からの電極への熱量供給、強制過熱を必要とせず、自己加熱による熱量のみで電極が動作するよう設計できる。ここで、自己加熱とは、ガス放電管において電極から電子が出る際、放電空間中のイオン化したガス分子が衝突して電気的に中和されるが、ガス分子が電極に衝突する衝撃により、熱が発生することをいう。
【0051】
続いて、図3に基づいて、ガス放電管DT1の点灯装置50を説明する。ガス放電管DT1の点灯装置50は、図3に示されるように、スタータ(始動装置)53、安定器54、交流電源55、第1切替部60、第2切替部70、第3切替部80を有している。スタータ53は、グロー管等を用いることができる。
【0052】
第1切替部60は、第1〜第3端子61〜63と電源入力端子64,65を含んでいる。電源入力端子64,65は、交流電源55に接続されている。第1切替部60は、電源入力端子64,65間に交流電源55からの電力が供給されると、所定の時間T1(たとえば、約10秒)、第1端子61と第2端子62とを電気的に接続した状態となる。そして、この所定の時間T1が経過すると、第1切替部60は、第1端子61と第2端子62との電気的な接続を遮断し、第1端子61と第3端子63とを電気的に接続した状態となる。第1切替部60は、たとえば、RSコンポーネンツ社製単極双投リレー:RS品番329−137を用いることができ、単極双投リレー:RS品番329−137を「オン・パルス」として機能させることで第1切替部60を実現することができる。
【0053】
第2切替部70及び第3切替部80は、第1〜第6端子71〜76,81〜86と電源入力端子77,78,87,88をそれぞれ含んでいる。電源入力端子77,78,87,88は、駆動電源(図示せず)に接続されている。なお、駆動電源の代わりに、放電開始後に発生するガス放電管DT1のランプ電圧を電源供給源としてもよい。
【0054】
第2切替部70は、電源入力端子77,78間に駆動電源からの電力が供給されると、所定の時間T2(たとえば、約20秒)、第1端子71と第2端子72とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第5端子75とを電気的に接続した状態となる。そして、この所定の時間T2が経過すると、第2切替部70は、第1端子71と第2端子72との電気的な接続及び第4端子74と第5端子75との電気的な接続を遮断し、第1端子71と第3端子73とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第6端子76とを電気的に接続した状態となる。
【0055】
第3切替部80も、第2切替部70と同じく、電源入力端子87,88間に駆動電源からの電力が供給されると、所定の時間T2(たとえば、約20秒)、第1端子81と第2端子82とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第5端子85とを電気的に接続した状態となる。そして、この所定の時間T2が経過すると、第3切替部80は、第1端子81と第2端子82との電気的な接続及び第4端子84と第5端子85との電気的な接続を遮断し、第1端子81と第3端子83とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第6端子86とを電気的に接続した状態となる。
【0056】
第2切替部70及び第3切替部80は、たとえば、RSコンポーネンツ社製2極双投リレー:RS品番329−222を用いることができ、2極双投リレー:RS品番329−222を「オン・ディレイ」として機能させることで第2切替部70及び第3切替部80を実現することができる。また、2極双投リレー:RS品番329−222を2体用いる代わりに、4極双投リレー(たとえば、RSコンポーネンツ社製4極双投リレーを1体用いるようにしてもよい。尚、本実施例においてはリレーとして機械式リレーで説明したが、電子式リレーでもよい。
【0057】
第1切替部60の第1端子61は、第3切替部80の第4端子84に電気的に接続されている。第1切替部60の第2端子62は、第2切替部70の第4端子74に電気的に接続されている。第1切替部60の第3端子63は、スタータ53を介して第2切替部70の第4端子74に電気的に接続されている。
【0058】
第2切替部70の第2端子72及び第6端子76は、ステムピン3に電気的に接続されている。第2切替部70の第3端子73及び第5端子75は、ステムピン5に電気的に接続されている。また、第3切替部80の第2端子82及び第6端子86は、ステムピン3に電気的に接続されている。第3切替部80の第3端子83及び第5端子85は、ステムピン5に電気的に接続されている。第2切替部70の第1端子71と第3切替部80の第1端子81との間には、安定器54、交流電源55が結合されている。
【0059】
次に、図4〜図7に基づいて、ガス放電管DT1の点灯装置50の動作(ガス放電管DT1の駆動方法)について説明する。図4は、ガス放電管の点灯装置の動作を説明するためのタイムチャートであり、図5〜図7は、ガス放電管の点灯装置の動作を説明するための図である。図4(c)〜(h)において、「ON」は対応する端子間が電気的に接続された状態にあることを示し、「OFF」は対応する端子間の電気的な接続が遮断された状態にあることを示す。
【0060】
まず、交流電源55が投入されると(図4中、A0の時点)、図5にも示されるように、第1切替部60は、第1端子61と第2端子62とを電気的に接続した状態となり、スタータ53をバイパスした状態となる。そして、駆動電源を投入すると、図5にも示されるように、第2切替部70は、第1端子71と第2端子72とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第5端子75とを電気的に接続した状態となり、また、第3切替部80は、第1端子81と第2端子82とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第5端子85とを電気的に接続した状態となり、ステムピン3間に交流電源55が結合された状態となる。これらにより、交流電源55からそれぞれの加熱用ヒータ11に電力が供給されて、傍熱型電極C1(電子放射部、すなわち二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17)が点灯に先立って予熱される(図4中、A0〜A1の期間)。加熱用ヒータ11への予熱電流は、たとえば0.52A程度に設定される。なお、駆動電源の投入は、後述する点灯動作開始後でもよい。
【0061】
交流電源55の投入から所定の時間T1が経過すると、図6にも示されるように、第1切替部60は、第1端子61と第3端子63とを電気的に接続した状態となり、ステムピン5間にスタータ53が結合された状態となる。これにより、交流電源55からの電力がスタータ53にも供給され、ガス放電管DT1の点灯が開始され、傍熱型電極C1間において放電が始まる(図4中、A1以降の期間)。このとき、第2切替部70及び第3切替部80は、第1端子71,81と第2端子72,82とを電気的に接続した状態及び第4端子74,84と第5端子75,85とを電気的に接続した状態が維持され、ステムピン3(加熱用ヒータ11の他端部11b)間に交流電源55が結合された状態となっており、加熱用ヒータ11に放電電流が導入されることとなる。このときの放電電流は0.42A程度とされ、ガス放電管DT1のランプ管電圧は22V程度とされている。
【0062】
そして、駆動電源の投入から所定の時間T2が経過すると、図7にも示されるように、第2切替部70は、第1端子71と第3端子73とを電気的に接続した状態及び第4端子74と第6端子76とを電気的に接続した状態となり、また、第3切替部80は、第1端子81と第3端子83とを電気的に接続した状態及び第4端子84と第6端子86とを電気的に接続した状態となる。これにより、ステムピン5(加熱用ヒータ11の一端部11a)間に交流電源55が結合された状態となり、加熱用ヒータ11の放電電流の導入が遮断されることなる(図4中、A2以降の期間)。このときの放電電流は0.51A程度とされ、ガス放電管DT1のランプ管電圧は31V程度とされている。なお、スタータ53は、ステムピン3(加熱用ヒータ11の他端部11b)間に結合される。
【0063】
なお、ガス放電管DT1においては、一方の傍熱型電極C1が陰極として動作している場合、他方の傍熱型電極C1は陽極として動作する。このように、電源として交流電源55を用いた場合には、傍熱型電極C1は、カソードサイクルとアノードサイクルが繰り返されることになるが、カソードサイクルのときは、放電面積が増えるためイオン電流過多による金属酸化物17のスパッタを防止することができる。また、アノードサイクルのときは、線状部材15が電子収束部としての役割を果たすことになり、受電子面積が大きく、過剰となる温度上昇を防止でき、金属酸化物17の蒸発を抑制することができる。
【0064】
以上のことから、本実施形態では、傍熱型電極C1において、金属酸化物17に接触して線状部材15が設けられ、線状部材15が複数箇所において二重コイル13と電気的に接触することで、線状部材15により等電位面が実効的に形成されるので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きるために放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなり、放電位置における負荷が軽減されることになり、劣化要因である金属酸化物17のスパッタ、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)、つまり熱電子放出能の低下を抑制することができる。この結果、局所的な放電の発生を抑制でき、陰極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0065】
また、傍熱型電極C1にあっては、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくできる。これにより、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作の実現が可能となる。
【0066】
また、電気導体として線状部材15を用いているので、熱電子放出能の低下及び放電位置の移動を抑制し得る構成の電気導体を低コスト且つより一層簡易に実現することができる。また、線状部材15(電気導体)が剛体となるために、加工が容易であると共に、金属酸化物17に密接して設けることができる。
【0067】
また、二重コイル13において、易電子放射物質である金属酸化物17がコイルを形成する線材間の間隔である、ピッチ(心距)間に挟み込まれて保持されることとなる。これにより、各ピッチ間の距離は間隙程度に小さいため振動による金属酸化物17の脱落を抑制することができる。また、二重コイル13のピッチ間に多量の金属酸化物17が保持されることになり、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0068】
また、二重コイル13がマンドレル13aを有しているので、加工時に二重コイル13が変形するのを抑制することができるという更なる効果を奏する。
【0069】
また、本実施形態によれば、ガス放電管DT1を交流電源55を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、放電電流が加熱用ヒータ11に導入されるので、傍熱型電極C1が点灯初期においても予熱される。これにより、電極C1の熱量が当該電極C1表面の全体にわたって高くなって、放電が電極C1表面に分散することとなり、電極C1表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極C1表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C1の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータ11への導入が遮断されるので、ガス放電管DT1の動作中、加熱用ヒータ11が通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極C1がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極C1の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータ11で消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管DT1としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態においては、加熱用ヒータ11の一端部11aと線状部材15とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、加熱用ヒータ11の他端部11b間に交流電源55を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータ11に導入し、上記所定の期間後は、加熱用ヒータ11の一端部11a間に交流電源55を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータ11への導入を遮断している。これにより、点灯開始から上記所定の期間における放電電流の加熱用ヒータ11への導入、及び、上記所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータ11への導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態においては、ガス放電管DT1の点灯に先立って、所定の期間(所定の時間T1が経過するまでの期間)、加熱用ヒータ11に電流を供給して、当該加熱用ヒータ11を予熱している。これにより、傍熱型電極C1の熱量が当該電極C1表面の全体にわたってより一層高くなって、放電が電極C1表面に更に分散することとなり、電極C1表面の狭い領域に放電が集中してしまうのをより一層防ぐことができる。この結果、放電が電極C1表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C1の劣化を極めて効果的に抑制することができる。
【0072】
なお、点灯装置50に接続されるガス放電管は、上述したガス放電管DT1に限られるものではなく、たとえば、図8及び図9に示されるガス放電管DT2、図10及び図11に示されるガス放電管DT3を用いてもよい。
【0073】
まず、図8及び図9に基づいて、ガス放電管DT2を説明する。図8は、ガス放電管を示す構成図であり、図9は、ガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【0074】
ガス放電管DT2は、図8に示されるように、密封容器としての管状バルブ1と、ステムピン3,5と、傍熱型電極C2とを備えている。
【0075】
傍熱型電極C2は、図9にも示されるように、加熱用ヒータ11と、コイル部材としての二重コイル22と、電気導体としての板状部材23と、易電子放射物質(陰極物質)としての金属酸化物17とを有している。ここで、二重コイル22と易電子放射物質としての金属酸化物17とは、加熱用ヒータ11からの熱を受けて電子を放射する電子放射部を構成している。
【0076】
二重コイル22は、コイル状に巻き回されたコイルより構成される多重コイルであって、直径0.091mmのタングステン素線を径0.25mm、ピッチ0.146mmの一次コイルに形成し、さらにその一次コイルで径1.7mm、ピッチ0.6mmの二重コイルに形成したものである。二重コイル22の内側には、加熱用ヒータ11が挿入されて配設されている。なお、コイル部材としては、二重コイル22を用いる代わりに、三重コイル等を用いるようにしもよい。
【0077】
板状に形成された板状部材23は、導電性を有する剛体(金属導体)で、周期律表のIIIa〜VIIa、VIII、Ib族に属し、具体的にはタングステン、タンタル、モリブデン、レニウム、ニオブ、オスミウム、イリジウム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、マンガン、クロム、バナジウム、ロジウム、希土類金属等の高融点金属(融点1000℃以上)の単体金属もしくはこれらの合金からなる。本実施形態においては、幅1.5mm、厚さ25.4μmのタングステン製の板状部材を用いている。
【0078】
板状部材23は、二重コイル22の内側(加熱用ヒータ11と二重コイル22との間)に二重コイル22の長手方向にわたって、放電方向に略直交して設けられている。板状部材23は、二重コイル22と電気的に接続された状態にある。また、板状部材23は、二重コイル22の内側において複数のコイル部分に接触しており、二重コイル22と複数個の接点を形成している。
【0079】
加熱用ヒータ11の一端部11a、二重コイル22及び板状部材23は、リードロッド16を介して、ステムピン5に電気的に接続されている。なお、板状部材23を用いる代わりに、メッシュ状に形成されたメッシュ状部材(例えば、直径0.03mmのタングステン素線をメッシュ状に編んだもの)線状に形成された線状部材(たとえば、直径0.1mm程度のタングステン素線)を用いるようにしてもよい。また、板状部材23と二重コイル22との各接触点を溶接してもよい。
【0080】
金属酸化物17は、二重コイル22及び加熱用ヒータ11に保持され、板状部材23に接触して設けられている。金属酸化物17の表面及び二重コイル22の表面が傍熱型電極C2の外側に露出しており、金属酸化物17の表面部分に二重コイル22の表面部分が接触するようになっている。金属酸化物17は、第1実施形態と同様にして、設けられる。
【0081】
加熱用ヒータ11は、電気絶縁層12を介して、金属酸化物17と二重コイル22とに接触している。このため、予熱時に加熱用ヒータ11の熱を確実且つ効率よく金属酸化物17及び二重コイル22に伝えることができる。また、特公昭62−56628号公報に開示されたガス放電管用傍熱型陰極のように熱良導性の円筒を有するものに比して、熱陰極動作に必要となる熱量の損失を抑制することができる。このため、外部からの電極への熱量供給、強制過熱を必要とせず、自己加熱による熱量のみで電極が動作するよう設計できる。
【0082】
以上のように、上述したガス放電管DT2を点灯装置50に接続した場合、ガス放電管DT2を交流電源55を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、放電電流が加熱用ヒータ11に導入されるので、傍熱型電極C2が点灯初期においても予熱される。これにより、電極C2の熱量が当該電極C2表面の全体にわたって高くなって、放電が電極C2表面に分散することとなり、電極C2表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極C2表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C2の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータ11への導入が遮断されるので、ガス放電管DT2の動作中、加熱用ヒータ11が通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極C2がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極C2の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータ11で消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管DT2としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0083】
また、加熱用ヒータ11の一端部11aと板状部材23とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、加熱用ヒータ11の他端部11b間に交流電源55を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータ11に導入し、上記所定の期間後は、加熱用ヒータ11の一端部11a間に交流電源55を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータ11への導入を遮断している。これにより、点灯開始から上記所定の期間における放電電流の加熱用ヒータ11への導入、及び、上記所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータ11への導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0084】
また、傍熱型電極C2において、金属酸化物17に接触するとともに二重コイル22に接触して板状部材23が設けられているので、板状部材23は、二重コイル22の裏面(放電面とは反対側の面)において当該二重コイル22の内側部分とともに等電位面を実効的に形成することになる。すなわち、板状部材23と二重コイル22の内側部分とは、複数の電気配線(導電路)で構成され、かつ単一の方向へ電流が流れるよう規制されることはない。したがって、板状部材23の表面の端々間の電気抵抗は著しく小さく、板状部材23の表面においてはほぼ等電位状態となっており、複数の放電点あるいは放電線からなる放電面の電位はほぼ等しくなる。言い換えると、板状部材23により、放電面に平行な方向に放電電流が流れ得る複数の電気回路が形成、つまり、放電電子(エミッション)の通り路(等電位回路)が複数形成されることとなる。
【0085】
したがって、傍熱型電極C2では、板状部材23と二重コイル22とにより、二重コイル22の裏面(放電面とは反対側の面)において等電位面が実効的に形成されているので、形成された等電位面の広い領域で熱電子放出が起きて放電面積が増加し、単位面積当りの電子放出量(電子放出密度)が大きくなって放電位置における負荷が軽減されることになり、劣化要因である金属酸化物17のスパッタ、還元金属との酸化による安定化(鉱物化)、つまり熱電子放出能の低下を抑制することができる。この結果、局所的な放電の発生を抑制でき、陰極の長寿命化を図ることができる。また、放電位置の移動も抑制されることになるため、長時間にわたって安定した放電を得ることができる。また、放電面積が増加することから、傍熱型電極C2の動作電圧及び発生熱量を低くすることもできる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0086】
また、傍熱型電極C2にあっては、放電面積が増加したことに関連して、電流密度を若干上げて、負荷をやや増す、つまり、放電電流を増しても、従来のものに比べ損傷を小さくできる。これにより、従来のものとほぼ同一形状で、大放電電流の傍熱型電極を提供でき、パルス動作、大電流動作の実現が可能となる。
【0087】
また、電気導体として板状部材23を用いているので、熱電子放出能の低下及び放電位置の移動を抑制し得る構成の電気導体を低コスト且つより一層簡易に実現することができる。また、板状部材23(電気導体)が剛体となるために、加工が容易であると共に、金属酸化物17に密接して設けることができる。更に、板状部材23と金属酸化物17とが接触する箇所を容易に多く設けることができる。
【0088】
また、傍熱型電極C2においては、加熱用ヒータ11を核として、その外側に金属酸化物17を保持する二重コイル22を取り巻くように配置し、二重コイル22の内側において金属酸化物17に接触するように板状部材23を配設することにより、二重コイル22の振動抑制効果が働き、金属酸化物17の落下を防ぐことができる。また、二重コイル22のピッチ間に多量の金属酸化物17が保持されることになり、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0089】
次に、図10及び図11に基づいて、ガス放電管DT3を説明する。図10は、ガス放電管を示す構成図であり、図11は、ガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【0090】
ガス放電管DT3は、図10に示されるように、密封容器としての管状バルブ1と、ステムピン3,5と、傍熱型電極C3とを備えている。
【0091】
傍熱型電極C3は、図11にも示されるように、加熱用ヒータ11と、多重コイル部材としての二重コイル13と、易電子放射物質(陰極物質)としての金属酸化物17とを有している。加熱用ヒータ11の一端部11a及び二重コイル13は、ステムピン5に電気的に接続されている。ここで、二重コイル13と易電子放射物質としての金属酸化物17とは、加熱用ヒータ11からの熱を受けて電子を放射する電子放射部を構成している。
【0092】
金属酸化物17は、二重コイル13及び加熱用ヒータ11に保持されている。金属酸化物17の表面及び二重コイル13の表面が傍熱型電極C3の外側に露出しており、金属酸化物17の表面部分に二重コイル13の表面部分が接触するようになっている。金属酸化物17は、第1実施形態と同様にして、設けられる。
【0093】
加熱用ヒータ11は、電気絶縁層12を介して、金属酸化物17と二重コイル13に接触している。このため、予熱時に加熱用ヒータ11の熱を確実且つ効率よく金属酸化物17及び二重コイル13に伝えることができる。また、特公昭62−56628号公報に開示されたガス放電管用傍熱型陰極のように熱良導性の円筒を有するものに比して、熱陰極動作に必要となる熱量の損失を抑制することができる。このため、外部からの電極への熱量供給、強制過熱を必要とせず、自己加熱による熱量のみで電極が動作するよう設計できる。
【0094】
ところで、多重コイル部材としてマンドレルを有する2重コイルを用い、電源として交流電源を用いた場合には、マンドレルの表面上での熱量の均衡によって放電が保たれる。マンドレルの表面上での放電により電極表面上の発生熱量は放電電流(Id)と比例関係にある。また、マンドレルの断面積(Sm)が大きいと、表面積も増えることになるため熱損失量は増える。以上のことから、電極表面温度(Tc)は、Tc∝Id/Smとの関係を有する。表面電極温度が許容範囲より小さすぎると、陰極動作温度不足となる。このため、放電を持続するように、局所的に温度を上昇させて熱電子を供給しようとして、放電が集中する。この結果、局所過熱による易電子放射物質のスパッタ現象を助長し、電極の劣化を加速させる。一方、表面電極温度が許容範囲より大きすぎると、電極表面全体が過熱状態となり、易電子放射物質の蒸発を助長し、電極の劣化を加速させる。また、陰極降下電圧も、従来の傍熱型電極に比して、極めて安定したものとなる。
【0095】
以上のように、上述したガス放電管DT3を点灯装置50に接続した場合、ガス放電管DT3を交流電源55を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、放電電流が加熱用ヒータ11に導入されるので、傍熱型電極C3が点灯初期においても予熱される。これにより、電極C3の熱量が当該電極C3表面の全体にわたって高くなって、放電が電極C3表面に分散することとなり、電極C3表面の狭い領域に放電が集中してしまうのを防ぐことができる。この結果、放電が電極C3表面の狭い領域に集中することによる傍熱型電極C3の劣化を抑制することができる。そして、上記所定の期間が経過した後は、放電電流の加熱用ヒータ11への導入が遮断されるので、ガス放電管DT3の動作中、加熱用ヒータ11が通電状態となるのが抑制され、▲1▼傍熱型電極C3がオーバヒート状態となるようなことはなく、傍熱型電極C3の劣化を抑制することができる、▲2▼加熱用ヒータ11で消費される電力が加わるようなことはなく、ガス放電管DT3としての発光効率(照度/入力電力)が低下するのを抑制することができる。
【0096】
また、加熱用ヒータ11の一端部11aと二重コイル13とは電気的に接続されており、点灯開始から所定の期間(所定の時間T1の経過後から所定の時間T2が経過するまでの期間)は、加熱用ヒータ11の他端部11b間に交流電源55を結合することにより、放電電流を加熱用ヒータ11に導入し、上記所定の期間後は、加熱用ヒータ11の一端部11a間に交流電源55を結合することにより、放電電流の加熱用ヒータ11への導入を遮断している。これにより、点灯開始から上記所定の期間における放電電流の加熱用ヒータ11への導入、及び、上記所定の期間後における放電電流の加熱用ヒータ11への導入の遮断を、簡易且つ容易に行うことができる。
【0097】
また、傍熱型電極C3では、二重コイル13がマンドレル13aを有しているので、二重コイル13の剛性が高くなり、成形を容易に行うことができ、この結果、傍熱型電極C3の製造が容易となる。また、加工時及び使用時の二重コイル13の変形を抑制することができる。
【0098】
また、傍熱型電極C3では、易電子放射物質である金属酸化物17が二重コイル13のコイル部分の間隔である、ピッチ(心距)間に挟み込まれて保持されることになる。これにより、各ピッチ間の距離は隙間程度に小さいため振動による金属酸化物17の脱落を抑制することができる。また、隙間構造のピッチが多数存在するため、多量の金属酸化物17を保持でき、放電中の経時劣化に伴う消失金属酸化物分を補充する効果がある。
【0099】
また、二重コイル13に含まれるタングステン素線とマンドレル13aとの間に生じる空間にも金属酸化物17が保持されることになる。このタングステン素線とマンドレル13aとの間に生じる空間に金属酸化物17は、電極動作中の金属酸化物17のスパッタ等により消失する金属酸化物分を有効に補充する機能を有する。タングステン素線とマンドレル13aとの間に生じる空間に金属酸化物17を有効に保持させるためには、上述した一次コイルにおけるコイル部分の間隔が1.0mm以下であることが好ましく、0.01mm〜0.3mmの範囲が更に好ましい。
【0100】
また、本実施形態の点灯装置50は、加熱用ヒータ11を点灯に先立って予熱するための第1切替部60を含んでいるが、必ずしも第1切替部60を設ける必要はなく、点灯に先立って予熱を行わない場合には、図12に示されるように、第2切替部70の第4端子74と第3切替部80の第4端子84間にスタータ53を直接結合してもよい。
【0101】
また、本実施形態の点灯装置50は、図13に示されるように、高周波インバータ回路91(高周波発生器)を介してガス放電管DT1,DT2,DT3を駆動するようにしてもよい。この場合、高周波インバータ回路91と交流電源55との間に、整流回路93及び平滑回路95が結合される。
【0102】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、本実施形態においては、電気導体として高融点金属を用いるようにしているが、導電性を有し融点が陰極の作動温度よりも高い剛体であれば、高融点金属の代わりに厚さの薄い多孔質金属、炭素繊維等を用いるようにしてもよい。また、金属酸化物17の耐スパッタ性向上、放電性能向上のために、タンタル、チタン、ニオブ等の窒化物あるいは炭化物を金属酸化物17の表面、あるいは二重コイル13,22、あるいは線状部材15、板状部材23に付着させるようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態においては、線状部材15の表面が露出するようにしているが、必ずしもこれらを露出させる必要はなく、金属酸化物17に線状部材15が接触しているのであれば、線状部材15の表面が金属酸化物17に覆われていてもよい。また、二重コイル13の表面部分が露出するようにしているが、必ずしもこれを露出させる必要はなく、金属酸化物17に二重コイル13の表面部分が接触しているのであれば、二重コイル13の表面部分が金属酸化物17に覆われていてもよい。なお、二重コイル13の表面部分を露出させることにより、放電性をより向上させることができる。
【0104】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、傍熱型電極の劣化及びガス放電管の発光効率の低下を極めて効果的に抑制することが可能なガス放電管の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るガス放電管を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るガス放電管に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【図3】実施形態に係るガス放電管の点灯装置を示す構成図である。
【図4】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するためのタイムチャートである。
【図5】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するための図である。
【図6】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するための図である。
【図7】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の動作(ガス放電管の駆動方法)を説明するための図である。
【図8】実施形態に係るガス放電管の変形例を示す構成図である。
【図9】実施形態に係るガス放電管の変形例に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【図10】実施形態に係るガス放電管の変形例を示す構成図である。
【図11】実施形態に係るガス放電管の変形例に含まれる傍熱型電極近傍の概略断面図である。
【図12】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の変形例を示す構成図である。
【図13】実施形態に係るガス放電管の点灯装置の変形例を示す構成図である。
【図14】ガス放電管における、ヒータ印加電圧と陰極降下電圧(ボックス電位)との関係を示す線図である。
【図15】ガス放電管における、ヒータ印加電圧と放電電流との関係を示す線図である。
【符号の説明】
1…管状バルブ、1a…ステム、3,5…ステムピン、11…加熱用ヒータ、11a…一端部、11b…他端部、12…電気絶縁層、13…二重コイル、13a…マンドレル、15…線状部材、17…金属酸化物、22…二重コイル、23…板状部材、50…点灯装置、53…スタータ、54…安定器、55…交流電源、60…第1切替部、70…第2切替部、80…第3切替部、C1〜C3…傍熱型電極、DT1〜DT3…ガス放電管。
Claims (7)
- 傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、
前記傍熱型電極は、
表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、
前記加熱用ヒータからの熱を受けて電子を放出する電子放射部と、
前記電子放射部の最表面側部分に設けられ、所定長さを有する電気導体と、を有しており、
前記ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を前記加熱用ヒータに導入し、前記所定の期間後は、前記放電電流の前記加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴とするガス放電管の駆動方法。 - 傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、
前記傍熱型電極は、
コイル状に巻き回されたコイル部材と、
前記コイル部材の内側に配設され、その表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、
前記コイル部材に保持される易電子放射物質としての金属酸化物と、
前記コイル部材の内側に当該コイル部材と接触して設けられ、所定長さを有する電気導体と、を有しており、
前記ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を前記加熱用ヒータに導入し、前記所定の期間後は、前記放電電流の前記加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴とするガス放電管の駆動方法。 - 前記加熱用ヒータの一端と前記電気導体とは電気的に接続されており、
前記点灯開始から所定の期間は、前記加熱用ヒータの他端間に前記交流電源を結合することにより、前記放電電流を前記加熱用ヒータに導入し、
前記所定の期間後は、前記加熱用ヒータの前記一端間に前記交流電源を結合することにより、前記放電電流の前記加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のガス放電管の駆動方法。 - 傍熱型電極を備えたガス放電管を点灯させるガス放電管の駆動方法であって、
前記傍熱型電極は、
マンドレルを有するコイルをコイル状に巻き回して構成した多重コイル部材と、
前記多重コイル部材の内側に配設され、その表面に電気絶縁層が形成された加熱用ヒータと、
前記多重コイル部材に接触するように当該多重コイル部材に保持される易電子放射物質としての金属酸化物と、を有しており、
前記ガス放電管を交流電源を用いて点灯する際に、点灯開始から所定の期間は、放電電流を前記加熱用ヒータに導入し、前記所定の期間後は、前記放電電流の前記加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴とするガス放電管の駆動方法。 - 前記加熱用ヒータの一端と前記多重コイル部材とは電気的に接続されており、
前記点灯開始から所定の期間は、前記加熱用ヒータの他端間に前記交流電源を結合することにより、前記放電電流を前記加熱用ヒータに導入し、
前記所定の期間後は、前記加熱用ヒータの前記一端間に前記交流電源を結合することにより、前記放電電流の前記加熱用ヒータへの導入を遮断することを特徴とする請求項4に記載のガス放電管の駆動方法。 - 前記点灯開始から所定の期間は、前記加熱用ヒータの一端間に前記ガス放電管を点灯させるためのスタータを結合し、
前記所定の期間後は、前記加熱用ヒータの前記他端間に前記スタータを結合することを特徴とする請求項3又は請求項5に記載のガス放電管の駆動方法。 - 前記ガス放電管の点灯に先立って、所定の期間、前記加熱用ヒータに電流を供給して、当該加熱用ヒータを予熱することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載のガス放電管の駆動方法。
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