JP2004013442A - 有限要素法を利用した解析方法とそのためのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない計算時間で精度のよい解析結果が得られる有限要素法を利用した解析方法を提供する。
【解決手段】この解析方法は、メッシュ生成ステップS11、解析計算ステップS12、差分算出ステップS13、メッシュ再生成領域特定ステップS14〜S17、メッシュ再生成ステップS18を含む。差分算出ステップS13では、節点ごとの解析計算結果に基づいて、隣接する2節点における解析計算結果の差分を算出する。メッシュ再生成領域特定ステップS14〜S17では、差分と物理量の許容値とを比較して、差分が物理量の許容値よりも大きくなる2節点の組み合わせを抽出し、それら2節点が含まれる小領域をメッシュ再生成すべき領域として特定する。メッシュ再生成ステップS18では、特定された小領域についてより細かい有限要素に自動分割し、より小さいサイズのメッシュを再生成する。
【選択図】 図3
【解決手段】この解析方法は、メッシュ生成ステップS11、解析計算ステップS12、差分算出ステップS13、メッシュ再生成領域特定ステップS14〜S17、メッシュ再生成ステップS18を含む。差分算出ステップS13では、節点ごとの解析計算結果に基づいて、隣接する2節点における解析計算結果の差分を算出する。メッシュ再生成領域特定ステップS14〜S17では、差分と物理量の許容値とを比較して、差分が物理量の許容値よりも大きくなる2節点の組み合わせを抽出し、それら2節点が含まれる小領域をメッシュ再生成すべき領域として特定する。メッシュ再生成ステップS18では、特定された小領域についてより細かい有限要素に自動分割し、より小さいサイズのメッシュを再生成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有限要素法を利用した解析方法と、そのためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】機械部品などの複雑な形状をした物体の強度を評価する場合、コンピュータによって有限要素法(FEM:Finite Element Method)を実行して解析することがよく行われる。有限要素法では、解析対象物体の形状を「要素」と呼ばれる多角形または多面体の小部分に分割し、その一つ一つに対して等価なモデルを作り、これらモデル群から物体全体の方程式を組み立てることによって解析対象物体に生じる物理量を解析計算する。最も普及している数値解析法である。
【0003】
有限要素法を利用して強度評価をする際には、前処理として、解析対象物体の形状を有限要素に自動分割して所定サイズのメッシュを生成するステップ(メッシュ生成ステップ)が実施される。そして、生成されたメッシュに基いて、応力や歪み等の物理量を解析計算(例えば各要素に加わる応力とそれに基づく要素の変形の関係を求める計算等)するステップが実施され、最後に解析結果が表示されるようになっている。解析計算ステップを実行することによって、メッシュを構成する節点ごとに、応力や歪み等の物理量が計算される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動分割によって生成されるメッシュのサイズが粗いと、計算精度が低くなって精度のよい解析結果を得ることができない。反対にメッシュのサイズが細かいと、解析計算に時間がかかり、解析結果を得るのが遅れてしまう。
そのために現状では、メッシュのサイズを粗くしておいて解析計算を実行し、そのメッシュサイズでは必要な解析結果が得られないことが判明したときに、より小さなサイズのメッシュを再生成してもう一度解析計算を実行している。
従来の技術では、より小さなサイズのメッシュの再生成処理を、全領域について一律に実行していることから、計算に要する時間が非常に長く、信頼できる解析結果を得るまでに長時間を要するという問題があった。
そこで本発明では、短い計算時間で信頼できる解析結果を得ることができる解析方法とそのためのプログラムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明の解析方法は、解析対象物体の形状を有限要素に自動分割することによって所定サイズのメッシュを生成するメッシュ生成ステップと、生成されたメッシュに基いて解析対象物体に生じる物理量の解析計算を行う解析計算ステップと、メッシュを構成する節点ごとに計算される物理量から隣接する2節点で計算された物理量の差分を算出する差分算出ステップと、算出された差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するメッシュ再生成領域特定ステップと、特定されたメッシュ領域をより細かな有限要素に自動分割することによってより小さなサイズのメッシュを再生成するメッシュ再生成ステップとを含むことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
本方法では、2節点で計算される物理量の差分に着目して、細かなメッシュに再生成する必要のある領域を抽出する。即ち、2節点で計算される物理量の差分が小さければ、必要な解析精度に対して充分に細かなメッシュが採用されていると判定できるのに対し、2節点で計算される物理量の差分が大きければ、必要な解析精度に対してメッシュが粗すぎると判定できることから、メッシュが粗すぎて必要な解析精度が得られない領域のみを抽出する。
本方法では、メッシュが粗すぎて必要な解析精度が得られない領域のみを細かなメッシュに再生成することから、再生成後の総メッシュ数の増大が少なくてすむ。従来技術では、メッシュが粗すぎて必要な解析精度が得られない場合には、全領域を一律に細かなメッシュに再生成することから、再生成後の総メッシュ数が著しく増大してしまう。
本発明では、必要な解析精度を得るために細かなメッシュに区画する必要がある領域のみを細かく再生成し、不必要な領域まで細かく再生成しないために、トータルでの計算量を格段に減らすことができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0007】
この場合、コンピュータをプログラムすることによって上記ステップを順次実行させることが望ましい(請求項3)。
【0008】
差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対が存在しないという条件を満すまで、前記した解析計算ステップと、差分算出ステップと、特定ステップと、再生成ステップを繰り返して実行することが望ましい(請求項2)。
請求項2の方法によると、差分が所定の許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満すまで、言い換えると、メッシュが粗すぎて必要な解析精度を得られなくしているメッシュがなくなるまで、細かなメッシュに再生成されていく。
【0009】
【発明の実施の形態】後記する本発明の実施例の主要な特徴を記載する。
(形態1)抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するステップでは、抽出した2節点の対を含む隣接する複数のメッシュ領域のうちの片側のメッシュ領域のみをメッシュ再生成領域として特定する。
形態1によると、必要精度が得られる最小メッシュ数で再計算される可能性があり、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
(形態2)抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するステップでは、抽出した2節点の対を含む隣接する複数のメッシュ領域の双方をメッシュ再生成領域として特定する。
形態2によると、必要な再生成処理回数を最小とすることができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施例の有限要素法を利用した解析方法を実施するための装置(即ち解析装置)であるコンピュータ2を示すものである。このコンピュータ2は、本体4、形状モデルや有限要素モデル等を表示するためのディスプレイ装置6、形状モデル作成時の寸法入力等に用いるキーボード装置8、及び補助入力装置(マウス)10を備えている。本体4内には、中央処理装置(CPU)4aの他、図示しないメモリ部等が収容されている。
【0011】
図2は、解析装置であるコンピュータ2によって解析する対象となる物体12の一例を示す部分概略図である。この物体12は逆L字状であって、垂直方向に延びる柱部14と、その柱部14の上端から水平方向(図2では右方向)に延びる腕部16とを有している。同図に矢印にて概念的に示すように、この物体12の腕部16の先端部上面側には、上方から下方に向かう荷重が繰り返し均等に作用する条件で利用される。
【0012】
図3は、解析装置であるコンピュータ2が行う解析処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ2の有するメモリ部内には所定の解析処理プログラムが格納されており、CPU4aはこのプログラムの内容を順次実行する。
【0013】
解析処理に先立って、キーボード装置8等を用いて数値データを入力すること等により、コンピュータ2上に物体12の形状モデルを設定しておく。このような形状モデルはディスプレイ装置6上に表示される。また、同じくキーボード装置8等を用いて、あらかじめ解析のための諸条件(例えば荷重条件や解析対象物体12の材料特性等)を入力・設定しておく。
【0014】
ステップS11においてCPU4aは、メモリ部に記憶していたメッシュ自動生成プログラムに従って、解析対象物体12の形状を有限要素に自動分割する(メッシュ生成ステップ)。ここでは説明の便宜のために2次元モデルを考えるとともに、1辺が所定長さの三角形メッシュに分割するものとする。その結果、図4(a)に概略的に示すように、多数の三角形の有限要素からなる所定サイズのメッシュが自動形成される。第1回目のメッシュ生成時には、メッシュサイズを必要以上に細かく設定せず、比較的大きめに設定しておくことがよい。なお、腕部16の下面に沿った1つの直線上に位置するいくつかの節点には、説明の便宜上、腕部16の基端部から先端部に向けて順番にA,B,C,D,E,F,Gの記号を付してある。この場合においては、構造上、節点C,D,Eのある箇所(屈曲部)が一般的に応力集中部位となる。なお、この段階でディスプレイ装置6上にメッシュを表示させるようにしてもよい。
【0015】
ステップS12においてCPU4aは、メモリ部に記憶していた解析計算プログラムに従って、所定の解析計算を実行する(解析計算ステップ)。具体的には、前記解析のための諸条件や与えられた境界条件に応じて、全ての節点における応力等を計算するとともに各節点における疲労寿命を計算する。
【0016】
ステップS13においてCPU4aは、メッシュを構成する節点ごとに計算された物理量(この場合応力と疲労寿命)に基づいて、隣接する2節点における解析計算結果の差分(隣接する2節点での応力解析結果の差の絶対値)を算出する(差分算出ステップ)。前記6つの節点A〜Gを例にとると、節点Aに作用する応力と節点Bに作用する応力の差の絶対値(差分1)、節点Bに作用する応力と節点Cに作用する応力の差の絶対値(差分2)、節点Cに作用する応力と節点Dに作用する応力の差の絶対値(差分3)、節点Dに作用する応力と節点Eに作用する応力の差の絶対値(差分4)、節点Eに作用する応力と節点Fに作用する応力の差の絶対値(差分5)、節点Fに作用する応力と節点Gに作用する応力の差の絶対値(差分6)の値をそれぞれ算出する。
【0017】
図4(b)は、上記差分1〜6を示すグラフであり、縦軸は応力の大きさを表している。このグラフからみても、応力集中部位に相当する差分3,差分4,差分5の値が、他のメッシュでの差分の値に比べて大きいことがわかる。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、隣接する2節点の応力解析結果の差分の関する情報を、グラフ等を用いて表示させるようにしてもよい。
【0018】
ステップS14においてCPU4aは、オペレータが予め設定しておいた差分の許容値をメモリ部から読み出すとともに、その許容値と上記差分1〜6とを個々に比較する(比較ステップ)。
【0019】
ステップS15においてCPU4aは、上記差分1〜6が前記許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満たしているか否かを判定する(判定ステップ)。満たしていると判定した場合には後述するステップS19に移行し、満たしていないと判定した場合にはステップS16に移行する。
【0020】
ステップS16においてCPU4aは、上記差分1〜6が前記許容値よりも大きくなるような2節点の対の抽出を行う(抽出ステップ)。ここでは、差分3に対応する節点CとDの対、差分4に対応する節点DとEの対と、差分5に対応する節点EとFの対が抽出される。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、抽出された2節点の対を、例えば着色する等して表示させるようにしてもよい。
【0021】
ステップS17においてCPU4aは、上記抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成すべき領域として特定する(メッシュ再生成領域特定ステップ)。本実施例では、上記抽出した2節点の対を含む2つのメッシュ領域のうちの片側のメッシュ領域のみをメッシュ再生成領域として特定する。
図4(a)に示されるように、差分3に対応する節点CとDの対に関しては、片側の三角形の有限要素T1のみが特定される。差分4に対応する節点DとEの対に関しては、片側の三角形の有限要素T2のみが特定される。差分5に対応する節点EとFの対に関しては、片側の三角形の有限要素T3のみが特定される。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、特定された有限要素T1〜T3を例えば着色したり線種を変更したりする等して他のものと区別して表示させるようにしてもよい。
【0022】
ステップS18においてCPU4aは、上述したメッシュ自動分割プログラムに従い、前ステップにおいて特定されたメッシュ領域についてより細かい有限要素に自動分割する(メッシュ再生成ステップ)。これにより有限要素T1,T2,T3がさらに小さく分割される結果、当該領域についてはいっそう小さいサイズのメッシュが再生成される。
これを図5(a)を用いて具体的に説明すると、例えば、節点Cと節点Dを2頂点として成り立っている三角形の有限要素T1については、まず本ステップにおいて、節点CとDとの中間に新たに節点C1を設定する。次いで、節点CとD以外の頂点と、新たな節点C1との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T1を半分の大きさの有限要素に分割する。同様に、三角形の有限要素T2については、節点DとEとの中間に新たに節点D1を設定する。次いで、節点DとE以外の頂点と、新たな節点D1との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T2を半分の大きさの有限要素に分割する。同様に、三角形の有限要素T3については、節点EとFとの中間に新たに節点E1を設定する。次いで、節点EとF以外の頂点と、新たな節点E1との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T3を半分の大きさの有限要素に分割する。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、新たに生成されたメッシュを表示させるようにしてもよい。
【0023】
ここでCPU4aは、ステップS12に戻って再び全ての節点における応力と疲労寿命等を計算した後、ステップS13に移行して差分の算出を行う。この場合において具体的には、節点Cに作用する応力と節点C1に作用する応力の差の絶対値である差分3a、節点C1に作用する応力と節点Dに作用する応力の差の絶対値である差分3b、節点Dに作用する応力と節点D1に作用する応力の差の絶対値である差分4a、節点D1に作用する応力と節点Eに作用する応力の差の絶対値である差分4b、節点Eに作用する応力と節点E1に作用する応力の差の絶対値である差分5a、節点E1に作用する応力と節点Fに作用する応力の差の絶対値である差分5b、の値をそれぞれ算出するようにする。
なお図5(b)は、上記の差分1,差分2,差分3a,差分3b,差分4a,差分4b,差分5a,差分5b,差分6を示すグラフであり、縦軸は応力の大きさを表している。このグラフによれば、差分4aの値のみが依然として他の節点間の差分に比べて大きいことがわかる。
【0024】
CPU4aは、ステップS14に移行して許容値と上記差分1〜6とを個々に比較するとともに、ステップS15に移行して差分1〜6が前記許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満たしているか否かを判定する。ここでは、かかる条件を満たすものとして、差分4aに対応する節点DとD1の対があるため、ステップS16では当該対が抽出される。
【0025】
CPU4aはステップS17に移行して、上記抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成すべき領域として特定する。即ち、図5(a)に示されるように、差分4aに対応する節点DとD1の対に対して、三角形の有限要素T4を特定する。
【0026】
ステップS18においてCPU4aは、上述したメッシュ自動分割プログラムに従って、前ステップにおいて特定されたメッシュ領域についてより細かい有限要素に自動分割する。これにより三角形の有限要素T4がさらに小さく分割される結果、当該領域についてはいっそう小さいサイズのメッシュが再生成される。これを図6(a)を用いて具体的に説明すると、節点Dと節点D1を2頂点として成り立っている三角形の有限要素T4について、まず本ステップでは、節点DとD1との中間に新たな節点D11を設定する。次いで、節点D及びD1以外の頂点と、新たな節点D11との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T4を半分の大きさの有限要素に分割する。
【0027】
ここでCPU4aは、ステップS12に戻って再び全ての節点における応力と疲労寿命等を計算した後、ステップS13に移行して差分算出を行う。この場合具体的には、節点Dに作用する応力と節点D11に作用する応力の差の絶対値である差分4aaと、節点D11に作用する応力と節点D1に作用する応力の差の絶対値である差分4ab、の値をそれぞれ算出するようにする。
図6(b)は、上記差分4aaと差分4abを示すグラフであり、縦軸は応力の大きさを表している。このグラフによれば、差分4aaと差分4abの値が他の節点間の差分に比べてそれほど大きくならないことがわかる。
【0028】
CPU4aは、ステップS14に移行して許容値と上記差分4aaと差分4abとを個々に比較するとともに、ステップS15に移行して差分4aa,差分4abが前記許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満たしているか否かを判定する。ここでは、かかる条件を満たすものが全く存在しなくなるので、CPU4aはこの時点でようやくステップS19に移行することとなる。
【0029】
ステップS19においてCPU4aは、解析結果をディスプレイ装置6上に表示する等といった所定の後処理を実行する。そしてCPU4aは一連の処理を終了する。
【0030】
さて上記のように構成された本実施例の有限要素法を利用した解析方法とそのためのプログラムによると、以下のような作用効果を得ることができる。
本実施例の有限要素法を利用した解析方法は、上記のとおり、メッシュ生成ステップ、解析計算ステップ、差分算出ステップ、メッシュ再生成領域特定ステップ及びメッシュ再生成ステップを含むものであり、特定のメッシュ領域についてより細かいサイズのメッシュの再生成を行うことをその特徴としている。従ってこの方法によれば、メッシュの再生成を全領域について一律に行ってしまう従来技術に比べて、第2回目以降に解析計算を行う有限要素数を格段に減らすことができ、その分無駄な計算を行わなくて済むようになる。トータルでの計算量を格段に減らすことができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0031】
また本実施例では、上記各ステップをプログラムによってコンピュータに順次実行させるようにしているため、対話入力等といったオペレータの端末作業の量を減らすことができる。よって、計算の自動化・省力化をいっそう進めることができ、さらなる計算時間の短縮化を達成することができる。
【0032】
また、メッシュ再生成領域特定ステップでは、所定のプログラムによって、差分と許容値とを比較する比較ステップと、差分が許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満しているか否かを判定する判定ステップと、前記条件を満たしていないと判定した場合に、差分が許容値よりも大きくなるような2節点の対を抽出する抽出ステップと、抽出した2節点の対が含まれるメッシュ領域を微細メッシュに再生成すべき領域として特定する特定ステップとを順次実行するようになっている。
従って、メッシュ再生成領域特定ステップに関して言えば、オペレータによる端末作業を完全に排除することができ、さらなる自動化・省力化を推進することができる。
【0033】
さらに本実施例では、差分が許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満すまで、抽出ステップ、特定ステップ、メッシュ再生成ステップ、解析計算ステップ、差分算出ステップ、比較ステップ及び判定ステップを繰り返し行うようにしている。即ち、大きな計算誤差を発生させる大きなメッシュがなくなるまで、段階的に細かいメッシュを再生成し、このメッシュに基づいて解析計算を繰り返し行うようにしている。よって、精度のよい解析結果を確実に得ることができる。
【0034】
また本実施例では、抽出した2節点の対につき、その対を含む複数の隣接する有限要素のうちの片側のメッシュ領域のみ特定するようにしている。そのため、第2回目以降に解析計算を行う有限要素数を必要最小限に抑えることができ、その分無駄な計算を全く行わなくて済むようになる。トータルでの計算量を格段かつ確実に減らすことができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、解析対象となる物体の形状モデルが図7のようなものである場合、以下のようにしてメッシュ再生成を行うようにしてもよい。図7では、各節点にH,I,J,K,L,M,N,O,Pの符号を付してある。ここでは、前述の判定ステップを行った結果、H−J,I−J,P−J,L−J,K−Jの対に関して差の絶対値が許容値よりも大きく、5つの対が抽出されるものと仮定する。
この場合、メッシュ再生成ステップを経ると、図8のような状態になる。即ち節点HとJの中点である新しい節点hjとKとの間に線分を引き、節点IとJの中点である新しい節点ijとHとの間に線分を引き、節点PとJの中点である新しい節点jpとIとの間に線分を引き、節点LとJの中点である新しい節点jlとPとの間に線分を引き、節点KとJの中点である新しい節点jkとLとの間に線分を引くことにより、これら三角形の有限要素をそれぞれ半分の大きさに分割する。
これに続いて、新しい節点間hi−ij間、ij−jp間、jp−jl間、jl−jk間、jk−hi間に線分を引くことにより、図9のような状態とする。
【0036】
あるいは、メッシュ再生成後において、新たに分割されてできた有限要素のアスペクト比が所定値よりも大きい場合、アスペクト比が所定値以下になるまでその有限要素を分割してから、解析計算を行わせるようにしてもよい。
メッシュ再生成時においては、上記実施例と異なる手法により有限要素の分割を行うようにしてもよい。即ち、有限要素を1/2に分割するのではなく、1/3や1/4に分割してもよい。
解析対象となる物体12の形状モデルを、三角形以外の多角形(例えば四角形等)に分割したり、あるいは多面体(例えば四面体、六面体等)に分割したりする場合に、本発明を適用してもよい。
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の有限要素法を利用した解析方法を実施するためのコンピュータの概略図を示す。
【図2】コンピュータによる解析処理の対象となる物体の一例の部分概略図を示す。
【図3】コンピュータが行う一連の解析処理手順のフローチャートを示す。
【図4】(a)は物体の形状モデルを有限要素に分割して得たメッシュの一例の概略図を示し、(b)はそのメッシュにおける特定の節点での差分のグラフを示す。
【図5】(a)は小領域をさらに小さい有限要素に分割して得たメッシュの一例の概略図を示し、(b)はそのメッシュにおける特定の節点での差分のグラフを示す。
【図6】(a)は小領域をさらに小さい有限要素に分割して得たメッシュの一例の概略図を示し、(b)はそのメッシュにおける特定の節点での差分のグラフを示す。
【図7】別の実施例における物体の形状モデルを有限要素に分割する手順の一例の概略図を示す。
【図8】別の実施例における物体の形状モデルを有限要素に分割する手順の一例の概略図を示す。
【図9】別の実施例における物体の形状モデルを有限要素に分割する手順の一例の概略図を示す。
【符号の説明】
2:コンピュータ
4a:中央処理装置(CPU)
12:解析対象となる物体
A,B,C,C1,D,D1,D11,E,E1,F,G,H,I,J,K,L,M,N,O,P,hi,ij,jp,jl,jk:節点
T1,T2,T3,T4:メッシュ再生成すべき領域
S11:メッシュ生成ステップ
S12:解析計算ステップ
S13:差分算出ステップ
S14:比較ステップ
S15:判定ステップ
S16:抽出ステップ
S17:特定ステップ
S18:メッシュ再生成ステップ
【発明の属する技術分野】本発明は、有限要素法を利用した解析方法と、そのためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】機械部品などの複雑な形状をした物体の強度を評価する場合、コンピュータによって有限要素法(FEM:Finite Element Method)を実行して解析することがよく行われる。有限要素法では、解析対象物体の形状を「要素」と呼ばれる多角形または多面体の小部分に分割し、その一つ一つに対して等価なモデルを作り、これらモデル群から物体全体の方程式を組み立てることによって解析対象物体に生じる物理量を解析計算する。最も普及している数値解析法である。
【0003】
有限要素法を利用して強度評価をする際には、前処理として、解析対象物体の形状を有限要素に自動分割して所定サイズのメッシュを生成するステップ(メッシュ生成ステップ)が実施される。そして、生成されたメッシュに基いて、応力や歪み等の物理量を解析計算(例えば各要素に加わる応力とそれに基づく要素の変形の関係を求める計算等)するステップが実施され、最後に解析結果が表示されるようになっている。解析計算ステップを実行することによって、メッシュを構成する節点ごとに、応力や歪み等の物理量が計算される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動分割によって生成されるメッシュのサイズが粗いと、計算精度が低くなって精度のよい解析結果を得ることができない。反対にメッシュのサイズが細かいと、解析計算に時間がかかり、解析結果を得るのが遅れてしまう。
そのために現状では、メッシュのサイズを粗くしておいて解析計算を実行し、そのメッシュサイズでは必要な解析結果が得られないことが判明したときに、より小さなサイズのメッシュを再生成してもう一度解析計算を実行している。
従来の技術では、より小さなサイズのメッシュの再生成処理を、全領域について一律に実行していることから、計算に要する時間が非常に長く、信頼できる解析結果を得るまでに長時間を要するという問題があった。
そこで本発明では、短い計算時間で信頼できる解析結果を得ることができる解析方法とそのためのプログラムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明の解析方法は、解析対象物体の形状を有限要素に自動分割することによって所定サイズのメッシュを生成するメッシュ生成ステップと、生成されたメッシュに基いて解析対象物体に生じる物理量の解析計算を行う解析計算ステップと、メッシュを構成する節点ごとに計算される物理量から隣接する2節点で計算された物理量の差分を算出する差分算出ステップと、算出された差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するメッシュ再生成領域特定ステップと、特定されたメッシュ領域をより細かな有限要素に自動分割することによってより小さなサイズのメッシュを再生成するメッシュ再生成ステップとを含むことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
本方法では、2節点で計算される物理量の差分に着目して、細かなメッシュに再生成する必要のある領域を抽出する。即ち、2節点で計算される物理量の差分が小さければ、必要な解析精度に対して充分に細かなメッシュが採用されていると判定できるのに対し、2節点で計算される物理量の差分が大きければ、必要な解析精度に対してメッシュが粗すぎると判定できることから、メッシュが粗すぎて必要な解析精度が得られない領域のみを抽出する。
本方法では、メッシュが粗すぎて必要な解析精度が得られない領域のみを細かなメッシュに再生成することから、再生成後の総メッシュ数の増大が少なくてすむ。従来技術では、メッシュが粗すぎて必要な解析精度が得られない場合には、全領域を一律に細かなメッシュに再生成することから、再生成後の総メッシュ数が著しく増大してしまう。
本発明では、必要な解析精度を得るために細かなメッシュに区画する必要がある領域のみを細かく再生成し、不必要な領域まで細かく再生成しないために、トータルでの計算量を格段に減らすことができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0007】
この場合、コンピュータをプログラムすることによって上記ステップを順次実行させることが望ましい(請求項3)。
【0008】
差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対が存在しないという条件を満すまで、前記した解析計算ステップと、差分算出ステップと、特定ステップと、再生成ステップを繰り返して実行することが望ましい(請求項2)。
請求項2の方法によると、差分が所定の許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満すまで、言い換えると、メッシュが粗すぎて必要な解析精度を得られなくしているメッシュがなくなるまで、細かなメッシュに再生成されていく。
【0009】
【発明の実施の形態】後記する本発明の実施例の主要な特徴を記載する。
(形態1)抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するステップでは、抽出した2節点の対を含む隣接する複数のメッシュ領域のうちの片側のメッシュ領域のみをメッシュ再生成領域として特定する。
形態1によると、必要精度が得られる最小メッシュ数で再計算される可能性があり、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
(形態2)抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するステップでは、抽出した2節点の対を含む隣接する複数のメッシュ領域の双方をメッシュ再生成領域として特定する。
形態2によると、必要な再生成処理回数を最小とすることができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施例の有限要素法を利用した解析方法を実施するための装置(即ち解析装置)であるコンピュータ2を示すものである。このコンピュータ2は、本体4、形状モデルや有限要素モデル等を表示するためのディスプレイ装置6、形状モデル作成時の寸法入力等に用いるキーボード装置8、及び補助入力装置(マウス)10を備えている。本体4内には、中央処理装置(CPU)4aの他、図示しないメモリ部等が収容されている。
【0011】
図2は、解析装置であるコンピュータ2によって解析する対象となる物体12の一例を示す部分概略図である。この物体12は逆L字状であって、垂直方向に延びる柱部14と、その柱部14の上端から水平方向(図2では右方向)に延びる腕部16とを有している。同図に矢印にて概念的に示すように、この物体12の腕部16の先端部上面側には、上方から下方に向かう荷重が繰り返し均等に作用する条件で利用される。
【0012】
図3は、解析装置であるコンピュータ2が行う解析処理手順を示すフローチャートである。コンピュータ2の有するメモリ部内には所定の解析処理プログラムが格納されており、CPU4aはこのプログラムの内容を順次実行する。
【0013】
解析処理に先立って、キーボード装置8等を用いて数値データを入力すること等により、コンピュータ2上に物体12の形状モデルを設定しておく。このような形状モデルはディスプレイ装置6上に表示される。また、同じくキーボード装置8等を用いて、あらかじめ解析のための諸条件(例えば荷重条件や解析対象物体12の材料特性等)を入力・設定しておく。
【0014】
ステップS11においてCPU4aは、メモリ部に記憶していたメッシュ自動生成プログラムに従って、解析対象物体12の形状を有限要素に自動分割する(メッシュ生成ステップ)。ここでは説明の便宜のために2次元モデルを考えるとともに、1辺が所定長さの三角形メッシュに分割するものとする。その結果、図4(a)に概略的に示すように、多数の三角形の有限要素からなる所定サイズのメッシュが自動形成される。第1回目のメッシュ生成時には、メッシュサイズを必要以上に細かく設定せず、比較的大きめに設定しておくことがよい。なお、腕部16の下面に沿った1つの直線上に位置するいくつかの節点には、説明の便宜上、腕部16の基端部から先端部に向けて順番にA,B,C,D,E,F,Gの記号を付してある。この場合においては、構造上、節点C,D,Eのある箇所(屈曲部)が一般的に応力集中部位となる。なお、この段階でディスプレイ装置6上にメッシュを表示させるようにしてもよい。
【0015】
ステップS12においてCPU4aは、メモリ部に記憶していた解析計算プログラムに従って、所定の解析計算を実行する(解析計算ステップ)。具体的には、前記解析のための諸条件や与えられた境界条件に応じて、全ての節点における応力等を計算するとともに各節点における疲労寿命を計算する。
【0016】
ステップS13においてCPU4aは、メッシュを構成する節点ごとに計算された物理量(この場合応力と疲労寿命)に基づいて、隣接する2節点における解析計算結果の差分(隣接する2節点での応力解析結果の差の絶対値)を算出する(差分算出ステップ)。前記6つの節点A〜Gを例にとると、節点Aに作用する応力と節点Bに作用する応力の差の絶対値(差分1)、節点Bに作用する応力と節点Cに作用する応力の差の絶対値(差分2)、節点Cに作用する応力と節点Dに作用する応力の差の絶対値(差分3)、節点Dに作用する応力と節点Eに作用する応力の差の絶対値(差分4)、節点Eに作用する応力と節点Fに作用する応力の差の絶対値(差分5)、節点Fに作用する応力と節点Gに作用する応力の差の絶対値(差分6)の値をそれぞれ算出する。
【0017】
図4(b)は、上記差分1〜6を示すグラフであり、縦軸は応力の大きさを表している。このグラフからみても、応力集中部位に相当する差分3,差分4,差分5の値が、他のメッシュでの差分の値に比べて大きいことがわかる。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、隣接する2節点の応力解析結果の差分の関する情報を、グラフ等を用いて表示させるようにしてもよい。
【0018】
ステップS14においてCPU4aは、オペレータが予め設定しておいた差分の許容値をメモリ部から読み出すとともに、その許容値と上記差分1〜6とを個々に比較する(比較ステップ)。
【0019】
ステップS15においてCPU4aは、上記差分1〜6が前記許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満たしているか否かを判定する(判定ステップ)。満たしていると判定した場合には後述するステップS19に移行し、満たしていないと判定した場合にはステップS16に移行する。
【0020】
ステップS16においてCPU4aは、上記差分1〜6が前記許容値よりも大きくなるような2節点の対の抽出を行う(抽出ステップ)。ここでは、差分3に対応する節点CとDの対、差分4に対応する節点DとEの対と、差分5に対応する節点EとFの対が抽出される。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、抽出された2節点の対を、例えば着色する等して表示させるようにしてもよい。
【0021】
ステップS17においてCPU4aは、上記抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成すべき領域として特定する(メッシュ再生成領域特定ステップ)。本実施例では、上記抽出した2節点の対を含む2つのメッシュ領域のうちの片側のメッシュ領域のみをメッシュ再生成領域として特定する。
図4(a)に示されるように、差分3に対応する節点CとDの対に関しては、片側の三角形の有限要素T1のみが特定される。差分4に対応する節点DとEの対に関しては、片側の三角形の有限要素T2のみが特定される。差分5に対応する節点EとFの対に関しては、片側の三角形の有限要素T3のみが特定される。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、特定された有限要素T1〜T3を例えば着色したり線種を変更したりする等して他のものと区別して表示させるようにしてもよい。
【0022】
ステップS18においてCPU4aは、上述したメッシュ自動分割プログラムに従い、前ステップにおいて特定されたメッシュ領域についてより細かい有限要素に自動分割する(メッシュ再生成ステップ)。これにより有限要素T1,T2,T3がさらに小さく分割される結果、当該領域についてはいっそう小さいサイズのメッシュが再生成される。
これを図5(a)を用いて具体的に説明すると、例えば、節点Cと節点Dを2頂点として成り立っている三角形の有限要素T1については、まず本ステップにおいて、節点CとDとの中間に新たに節点C1を設定する。次いで、節点CとD以外の頂点と、新たな節点C1との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T1を半分の大きさの有限要素に分割する。同様に、三角形の有限要素T2については、節点DとEとの中間に新たに節点D1を設定する。次いで、節点DとE以外の頂点と、新たな節点D1との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T2を半分の大きさの有限要素に分割する。同様に、三角形の有限要素T3については、節点EとFとの中間に新たに節点E1を設定する。次いで、節点EとF以外の頂点と、新たな節点E1との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T3を半分の大きさの有限要素に分割する。
なおこの段階で、ディスプレイ装置6上に、新たに生成されたメッシュを表示させるようにしてもよい。
【0023】
ここでCPU4aは、ステップS12に戻って再び全ての節点における応力と疲労寿命等を計算した後、ステップS13に移行して差分の算出を行う。この場合において具体的には、節点Cに作用する応力と節点C1に作用する応力の差の絶対値である差分3a、節点C1に作用する応力と節点Dに作用する応力の差の絶対値である差分3b、節点Dに作用する応力と節点D1に作用する応力の差の絶対値である差分4a、節点D1に作用する応力と節点Eに作用する応力の差の絶対値である差分4b、節点Eに作用する応力と節点E1に作用する応力の差の絶対値である差分5a、節点E1に作用する応力と節点Fに作用する応力の差の絶対値である差分5b、の値をそれぞれ算出するようにする。
なお図5(b)は、上記の差分1,差分2,差分3a,差分3b,差分4a,差分4b,差分5a,差分5b,差分6を示すグラフであり、縦軸は応力の大きさを表している。このグラフによれば、差分4aの値のみが依然として他の節点間の差分に比べて大きいことがわかる。
【0024】
CPU4aは、ステップS14に移行して許容値と上記差分1〜6とを個々に比較するとともに、ステップS15に移行して差分1〜6が前記許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満たしているか否かを判定する。ここでは、かかる条件を満たすものとして、差分4aに対応する節点DとD1の対があるため、ステップS16では当該対が抽出される。
【0025】
CPU4aはステップS17に移行して、上記抽出した2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成すべき領域として特定する。即ち、図5(a)に示されるように、差分4aに対応する節点DとD1の対に対して、三角形の有限要素T4を特定する。
【0026】
ステップS18においてCPU4aは、上述したメッシュ自動分割プログラムに従って、前ステップにおいて特定されたメッシュ領域についてより細かい有限要素に自動分割する。これにより三角形の有限要素T4がさらに小さく分割される結果、当該領域についてはいっそう小さいサイズのメッシュが再生成される。これを図6(a)を用いて具体的に説明すると、節点Dと節点D1を2頂点として成り立っている三角形の有限要素T4について、まず本ステップでは、節点DとD1との中間に新たな節点D11を設定する。次いで、節点D及びD1以外の頂点と、新たな節点D11との間に線分を引くことによって、三角形の有限要素T4を半分の大きさの有限要素に分割する。
【0027】
ここでCPU4aは、ステップS12に戻って再び全ての節点における応力と疲労寿命等を計算した後、ステップS13に移行して差分算出を行う。この場合具体的には、節点Dに作用する応力と節点D11に作用する応力の差の絶対値である差分4aaと、節点D11に作用する応力と節点D1に作用する応力の差の絶対値である差分4ab、の値をそれぞれ算出するようにする。
図6(b)は、上記差分4aaと差分4abを示すグラフであり、縦軸は応力の大きさを表している。このグラフによれば、差分4aaと差分4abの値が他の節点間の差分に比べてそれほど大きくならないことがわかる。
【0028】
CPU4aは、ステップS14に移行して許容値と上記差分4aaと差分4abとを個々に比較するとともに、ステップS15に移行して差分4aa,差分4abが前記許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満たしているか否かを判定する。ここでは、かかる条件を満たすものが全く存在しなくなるので、CPU4aはこの時点でようやくステップS19に移行することとなる。
【0029】
ステップS19においてCPU4aは、解析結果をディスプレイ装置6上に表示する等といった所定の後処理を実行する。そしてCPU4aは一連の処理を終了する。
【0030】
さて上記のように構成された本実施例の有限要素法を利用した解析方法とそのためのプログラムによると、以下のような作用効果を得ることができる。
本実施例の有限要素法を利用した解析方法は、上記のとおり、メッシュ生成ステップ、解析計算ステップ、差分算出ステップ、メッシュ再生成領域特定ステップ及びメッシュ再生成ステップを含むものであり、特定のメッシュ領域についてより細かいサイズのメッシュの再生成を行うことをその特徴としている。従ってこの方法によれば、メッシュの再生成を全領域について一律に行ってしまう従来技術に比べて、第2回目以降に解析計算を行う有限要素数を格段に減らすことができ、その分無駄な計算を行わなくて済むようになる。トータルでの計算量を格段に減らすことができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0031】
また本実施例では、上記各ステップをプログラムによってコンピュータに順次実行させるようにしているため、対話入力等といったオペレータの端末作業の量を減らすことができる。よって、計算の自動化・省力化をいっそう進めることができ、さらなる計算時間の短縮化を達成することができる。
【0032】
また、メッシュ再生成領域特定ステップでは、所定のプログラムによって、差分と許容値とを比較する比較ステップと、差分が許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満しているか否かを判定する判定ステップと、前記条件を満たしていないと判定した場合に、差分が許容値よりも大きくなるような2節点の対を抽出する抽出ステップと、抽出した2節点の対が含まれるメッシュ領域を微細メッシュに再生成すべき領域として特定する特定ステップとを順次実行するようになっている。
従って、メッシュ再生成領域特定ステップに関して言えば、オペレータによる端末作業を完全に排除することができ、さらなる自動化・省力化を推進することができる。
【0033】
さらに本実施例では、差分が許容値よりも大きくなるような2節点の対が存在しないという条件を満すまで、抽出ステップ、特定ステップ、メッシュ再生成ステップ、解析計算ステップ、差分算出ステップ、比較ステップ及び判定ステップを繰り返し行うようにしている。即ち、大きな計算誤差を発生させる大きなメッシュがなくなるまで、段階的に細かいメッシュを再生成し、このメッシュに基づいて解析計算を繰り返し行うようにしている。よって、精度のよい解析結果を確実に得ることができる。
【0034】
また本実施例では、抽出した2節点の対につき、その対を含む複数の隣接する有限要素のうちの片側のメッシュ領域のみ特定するようにしている。そのため、第2回目以降に解析計算を行う有限要素数を必要最小限に抑えることができ、その分無駄な計算を全く行わなくて済むようになる。トータルでの計算量を格段かつ確実に減らすことができ、少ない計算時間で精度のよい解析結果を得ることができる。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、解析対象となる物体の形状モデルが図7のようなものである場合、以下のようにしてメッシュ再生成を行うようにしてもよい。図7では、各節点にH,I,J,K,L,M,N,O,Pの符号を付してある。ここでは、前述の判定ステップを行った結果、H−J,I−J,P−J,L−J,K−Jの対に関して差の絶対値が許容値よりも大きく、5つの対が抽出されるものと仮定する。
この場合、メッシュ再生成ステップを経ると、図8のような状態になる。即ち節点HとJの中点である新しい節点hjとKとの間に線分を引き、節点IとJの中点である新しい節点ijとHとの間に線分を引き、節点PとJの中点である新しい節点jpとIとの間に線分を引き、節点LとJの中点である新しい節点jlとPとの間に線分を引き、節点KとJの中点である新しい節点jkとLとの間に線分を引くことにより、これら三角形の有限要素をそれぞれ半分の大きさに分割する。
これに続いて、新しい節点間hi−ij間、ij−jp間、jp−jl間、jl−jk間、jk−hi間に線分を引くことにより、図9のような状態とする。
【0036】
あるいは、メッシュ再生成後において、新たに分割されてできた有限要素のアスペクト比が所定値よりも大きい場合、アスペクト比が所定値以下になるまでその有限要素を分割してから、解析計算を行わせるようにしてもよい。
メッシュ再生成時においては、上記実施例と異なる手法により有限要素の分割を行うようにしてもよい。即ち、有限要素を1/2に分割するのではなく、1/3や1/4に分割してもよい。
解析対象となる物体12の形状モデルを、三角形以外の多角形(例えば四角形等)に分割したり、あるいは多面体(例えば四面体、六面体等)に分割したりする場合に、本発明を適用してもよい。
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の有限要素法を利用した解析方法を実施するためのコンピュータの概略図を示す。
【図2】コンピュータによる解析処理の対象となる物体の一例の部分概略図を示す。
【図3】コンピュータが行う一連の解析処理手順のフローチャートを示す。
【図4】(a)は物体の形状モデルを有限要素に分割して得たメッシュの一例の概略図を示し、(b)はそのメッシュにおける特定の節点での差分のグラフを示す。
【図5】(a)は小領域をさらに小さい有限要素に分割して得たメッシュの一例の概略図を示し、(b)はそのメッシュにおける特定の節点での差分のグラフを示す。
【図6】(a)は小領域をさらに小さい有限要素に分割して得たメッシュの一例の概略図を示し、(b)はそのメッシュにおける特定の節点での差分のグラフを示す。
【図7】別の実施例における物体の形状モデルを有限要素に分割する手順の一例の概略図を示す。
【図8】別の実施例における物体の形状モデルを有限要素に分割する手順の一例の概略図を示す。
【図9】別の実施例における物体の形状モデルを有限要素に分割する手順の一例の概略図を示す。
【符号の説明】
2:コンピュータ
4a:中央処理装置(CPU)
12:解析対象となる物体
A,B,C,C1,D,D1,D11,E,E1,F,G,H,I,J,K,L,M,N,O,P,hi,ij,jp,jl,jk:節点
T1,T2,T3,T4:メッシュ再生成すべき領域
S11:メッシュ生成ステップ
S12:解析計算ステップ
S13:差分算出ステップ
S14:比較ステップ
S15:判定ステップ
S16:抽出ステップ
S17:特定ステップ
S18:メッシュ再生成ステップ
Claims (3)
- 解析対象物体の形状を有限要素に自動分割することによって所定サイズのメッシュを生成するメッシュ生成ステップと、生成されたメッシュに基いて解析対象物体に生じる物理量の解析計算を行う解析計算ステップと、メッシュを構成する節点ごとに計算される物理量から隣接する2節点で計算された物理量の差分を算出する差分算出ステップと、算出された差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するメッシュ再生成領域特定ステップと、特定されたメッシュ領域をより細かな有限要素に自動分割することによってより小さなサイズのメッシュを再生成するメッシュ再生成ステップとを含むことを特徴とする有限要素法を利用した解析方法。
- 差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対が存在しないという条件を満すまで、前記の解析計算ステップと、差分算出ステップと、特定ステップと、再生成ステップを繰り返して実行することを特徴とする請求項1に記載の解析方法。
- 有限要素法による計算を行うコンピュータに、解析対象物体の形状を有限要素に自動分割することによって所定サイズのメッシュを生成するメッシュ生成ステップと、生成されたメッシュに基いて解析対象物体に生じる物理量の解析計算を行う解析計算ステップと、メッシュを構成する節点ごとに計算される物理量から隣接する2節点で計算された物理量の差分を算出する差分算出ステップと、算出された差分が所定の許容値よりも大きくなる2節点の対を含むメッシュ領域を微細メッシュに再生成するべき領域として特定するメッシュ再生成領域特定ステップと、特定されたメッシュ領域をより細かな有限要素に自動分割することによってより小さなサイズのメッシュを再生成するメッシュ再生成ステップとを順次実行させることを特徴とするプログラム。
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2002
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