JP2004011826A - アクチュエータユニット - Google Patents
アクチュエータユニット Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004011826A JP2004011826A JP2002168144A JP2002168144A JP2004011826A JP 2004011826 A JP2004011826 A JP 2004011826A JP 2002168144 A JP2002168144 A JP 2002168144A JP 2002168144 A JP2002168144 A JP 2002168144A JP 2004011826 A JP2004011826 A JP 2004011826A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stator
- actuator
- mover
- contact
- piezoelectric element
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Magnetic Bearings And Hydrostatic Bearings (AREA)
Abstract
【課題】固定子と可動子との相対変位を精密に測定することで、精密な位置決めが可能で、かつ安価に構成できるアクチュエータユニットを提供する。
【解決手段】このアクチュエータユニットは、固定子1と可動子2との相対変位を、接触式センサ3によって測定する。固定子1または可動子2の一方に電磁石等のアクチュエータ4を設置する。接触式センサ3の出力によって、アクチュエータ4の出力を制御する。これにより、固定子1と前記可動子2間の位置決めを行う。
【選択図】 図1
【解決手段】このアクチュエータユニットは、固定子1と可動子2との相対変位を、接触式センサ3によって測定する。固定子1または可動子2の一方に電磁石等のアクチュエータ4を設置する。接触式センサ3の出力によって、アクチュエータ4の出力を制御する。これにより、固定子1と前記可動子2間の位置決めを行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、真空環境等で使用されるアクチュエータユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の搬送用装置の従来例として、日本真空協会から1999年9月20日発行の学会誌(「真空」 第42巻・第9号 816頁から820頁)に記載の磁気浮上スライダユニットがある。図12は、そのスライダユニットの一部破断斜視図を示す。このスライダユニットは3軸制御型磁気軸受装置である。可動子107は浮上用の永久磁石103によって上方向に吸引され、センサ102の出力に基づいて下方向への電磁石101の吸引力を制御することで、浮上、ピッチング、およびローリング方向が制御される。一方、案内方向とヨーイング方向は、浮上用の永久磁石103とレール継鉄104、および電磁石101との吸引力を利用した受動安定手段により支持される。センサ102としては、リラクタンス式センサが採用されている。浮上検出用のセンサターゲット105は、可動子107上の4箇所に置かれ、固定子108側には長形のセンサ102が左右に連続して複数配置される。電磁石101と継鉄106との関係もセンサ102と同様である。これら電磁石101およびセンサ102は、可動子107の進行方向位置に応じて選択的に切り換えることで、可動子107が任意の位置で軸受支持されることが可能とされる。さらに、このスライダユニットを複数接続することで、長距離搬送を行うこともできる。
【0003】
このように、磁気軸受支持では、非接触支持であること、潤滑媒体が不要であることなど、真空中での利用に対しては優位性を発揮する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近では、真空環境でかつ高精度が要求される用途が増えてきており、上記構成の磁気軸受装置では十分に対応できない。すなわち、これまでの磁気軸受装置では、固定子と可動子の浮沈方向の相対位置を測定するために、上述したようにリラクタンス式や渦電流式に代表される非接触型磁気式センサを使用している。このようなセンサの構成上から、刻々と変化するセンサのターゲット面の磁気的な情報および電気的な情報を基にして測定するために、そのターゲット面の磁気的特性(透磁率)および電気的特性(電気伝導率)の影響を受けることになり、これに起因してセンサの分解能の低下を招いていた。
【0005】
さらに、図12に示したスライダユニットの場合には、構成が複雑でコスト増にもなるという問題点も有る。
【0006】
この発明の目的は、固定子と可動子との相対変位を精密に測定することで、可動子の浮上方向の精密な位置決めが可能なアクチュエータユニットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明における第1の発明のアクチュエータユニットは、固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるものである。この明細書において、上記の相対進行運動は、直線的な一方向の進行の他に、往復進行や、正逆または一方向の回転運動を含む意味である。
この構成によると、固定子と可動子間の相対変位を測定するセンサとして接触式センサを用いたため、非接触式センサに比べて高分解能が得られる。そのため測定結果を基に、固定子と可動子間の浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータを制御することによって、可動子を浮沈方向に精度良く位置決めすることができる。
【0008】
前記アクチュエータは、前記固定子または可動子の一方に設置された電磁石であっても良い。その場合、前記接触式センサの出力によって前記電磁石のコイル電流を制御することで、前記電磁石の出力である吸引力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。
【0009】
また、前記アクチュエータは、前記固定子または可動子の一方に設置された圧電素子であっても良い。その場合、前記接触式センサの出力によって前記圧電素子に印加する電圧を制御することで、前記圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。
【0010】
前記可動子は前記固定子に対して相対的に、前記浮沈方向にばね部材によって弾性支持されていても良い。ばね部材で支持した場合、アクチュエータを駆動しない状態でも可動子を浮沈可能に支持できると言った利点が得られる。上記ばね部材は、接触式センサに設けられて接触子を突出付勢するばね部材であっても良い。その場合、接触式センサの接触子を介して可動子が弾性支持される。接触式センサの持つばね部材を利用するため、専用のばね部材が不要で、構成が簡素となり、安価に構成できる。
【0011】
前記接触式センサとアクチュエータとは直列に配置し、接触式センサを介してアクチュエータの作用力が固定子と可動子との間に作用するようしても良い。このように接触式センサとアクチュエータとを直列配置とした場合、相対進行方向にコンパクトな構成とできる。
【0012】
前記アクチュエータおよび接触式センサは、いずれも前記可動子に対して前記浮沈方向の両側に配置しても良い。
このようにアクチュエータを両側に配置した場合、アクチュエータが、吸引力または反発力など、浮沈方向の一方向のみに作用するものであっても、両側のアクチュエータによって、浮沈方向の両側に変位させることができる。このとき、接触式センサが両側に設けられていることで、両側のアクチュエータをそれぞれ精度良く制御することができる。また、可動子の両側に接触式センサが設けられるため、接触式センサの接触子が摩耗しても、両側の接触式センサの摩耗量がほぼ等しければ、この摩耗によるセンサ出力の影響を軽減できると言った優れた点もある。また、可動子の両側に接触式センサが設けられる場合、接触式センサで可動子を支持する構成とした場合に、アクチュエータを駆動しない状態であっても、可動子を挟む両側の接触式センサにより安定して支持することができる。
【0013】
この発明のアクチュエータユニットにおいて、前記相対進行運動を付与する駆動源を設けても良い。この駆動源を設けることで、上記アクチュエータで可動子を位置決めした状態で、前記相対進行運動を行わせることができる。上記駆動源としては、例えばリニア型の電磁モータ、回転型の電磁モータ、および超音波モータ等のモータが使用できる。
【0014】
この発明における第2の発明のアクチュエータユニットは、固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記可動子に前記相対進行運動を与える圧電素子と、この圧電素子を前記固定子または可動子のうちの一方の部材に弾性的に支持するばね部材と、前記圧電素子と直列に配置され前記ばね部材および圧電素子を介して前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるものである。
この構成の場合は、浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータは、相対進行運動の付与用の圧電素子を介して上記作用力を与えるが、この場合も、非接触式センサの高分解能により、可動子の浮沈方向の精密な位置決めが行える。この位置決め状態で、上記圧電素子により可動子に相対進行運動が与えられる。上記ばね部材は、圧電素子の可動子または固定子に対する押し付け力を保持し、上記相対進行運動の確実性を向上させる。なお、前記アクチュエータは、別のばね部材を介して上記一方の部材に支持しても良い。
【0015】
第2の発明において、前記アクチュエータは圧電素子からなるものであって良い。その場合、前記接触式センサの出力によってこの圧電素子に印加する電圧を制御することで、この圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。また、この構成の場合、相対進行運動用の駆動源と浮沈方向に駆動するアクチュエータとが、共に電圧印加により駆動できるため、電気系統を簡単な構成とできる。
【0016】
この発明の第3の発明は、固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記可動子に前記相対進行運動を与える圧電素子と、この圧電素子に直列に固定され前記圧電素子を介して前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、このアクチュエータを前記固定子または可動子の一方の部材に弾性的に支持するばね部材と、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるものである。この構成の場合も、浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータは、相対進行付与用の圧電素子を介して上記作用力を与えるが、この場合も、非接触式センサの高分解能な性能により、可動子の浮沈方向の精密な位置決めが行える。この位置決め状態で、上記圧電素子により可動子に相対進行運動が与えられる。上記ばね部材は、アクチュエータによって作用力を過大に掛け過ぎた場合に撓むことで、アクチュエータユニットを保護する役目を果たす。
【0017】
第3の発明において、前記アクチュエータは圧電素子からなるものであっても良い。その場合、前記接触式センサの出力によってこの圧電素子に印加する電圧を制御することで、この圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。
【0018】
この発明の前記第1ないし第3の発明において、前記接触式センサは、歪みゲージ、圧電素子、圧力センサ、または作動トランスであっても良い。
また、この発明の前記第1ないし第3の発明のアクチュエータユニットは、前記可動子がスピンドル、または直線的に進退するスライダであっても良い。
この発明の前記第1ないし第3の発明において、前記接触式センサの出力による前記アクチュエータの出力の制御は、このアクチュエータユニットに備えられた制御手段で行っても良く、またこのアクチュエータユニットとは別に設けられた制御手段で行うようにしても良い。アクチュエータユニットをこのような用途に使用するものとした場合は、スピンドルまたはスライダの位置決めを精度よく行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。この実施形態は第1の発明に対応する。図1において、このアクチュエータユニットは、固定子1と、この固定子1に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向Zに対する略垂直な方向Pに、固定子1に対する相対進行運動が可能な可動子2と、固定子1と可動子2の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータ4と、固定子1と可動子2との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサ3とを備える。接触式センサ3の出力は、制御手段50に入力され、制御手段50は、上記センサ出力によってアクチュエータ4の出力を制御することで、固定子1と可動子2間の浮沈方向Zの位置決めを行う。アクチュエータ4は、電磁石からなり、ヨーク4aにコイル4bを巻回して構成される。制御手段50は、PID( proportional integral diffrential)コントローラ等からなる。制御手段50は、アクチュエータ4が電磁石である場合、接触式センサ3の出力によって電磁石のコイル4bの電流を制御することで、電磁石の出力である吸引力を変化させ、固定子1と可動子2間の浮沈方向Zの位置決めを行う。なお、アクチュエータ4は、電磁石を用いたが、この他の直動タイプの各種のアクチュエータが使用でき、また固定子1と可動子2の間に浮沈方向の作用力を与えることが可能なものであれば、どのようなものでも良い。
【0020】
接触式センサ3は、種々のものを用いることができるが、この例では図2に縦断面図で示すように差動トランス方式をものを用いている。同図のような差動トランス方式の接触式センサ3を採用することで、サブミクロン単位の変位検出が可能になる。この差動トランス式の接触式センサ3は、筒状のセンサケース5内に固定された1次コイル6および2次コイル7と、センサケース5内に昇降自在に設けられてばね部材9で突出付勢された鉄心8と、この鉄心8に連結されてセンサケース5のスライド穴部10からスライド自在に突出するロッド状の接触子11とからなる。接触子11は、可動子2に押し当てられる。可動子2は、接触子11を介して接触式センサ3内のばね部材9で常に押された状態にあり、アクチュエータ4を駆動しない状態でも、ばね部材9によって支持される。
【0021】
この構成のアクチュエータユニットによると、上記のようにセンサとして接触式センサ3を用いているので、従来例における非接触型磁気式センサで問題となってきたセンサのターゲットをセンサ内部の部材に限定でき、高分解能のセンサとすることができる。このように、固定子1と可動子2との間の相対変位を接触式センサ3によって精密に測定し、この測定結果に基づき、固定子1と可動子2との間に吸引力を作用させるアクチュエータ4を制御するようにしているので、可動子2を浮沈方向Zに精度良く位置決めすることができる。また、接触式センサ3の内部のばね部材9によってアクチュエータ4を駆動しない状態でも可動子2を支持することができると言った利点を有する。そのため、非駆動時の支持専用のばね部材が不要で、アクチュエータユニットを安価に構成できる。
【0022】
図3はこの発明の他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示した第1の実施形態において、可動子2の浮沈方向Zの両側に、それぞれ接触式センサ3,3Aおよびアクチュエータ4,4Aを設置したものである。両側の接触式センサ3A,3およびアクチュエータ4A,4は、可動子2を挟むように設けられ、それぞれ固定子1,1Aに設置される。制御手段50は、可動子2の両側のアクチュエータ4,接触式センサ3の組、およびアクチュエータ4A,接触式センサ3Aの組に対して共通のものとしても良く、また各組毎に個別に設けられたものとしても良い。いずれの場合も、制御手段50は、両側の接触式センサ3,3Aの差動出力を用いるなど、両側の接触式センサ3,3Aの出力を用いてアクチュエータ4,4Aの出力を制御するものとすることが好ましい。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0023】
この構成の場合、両側の接触式センサ3A,3およびアクチュエータ4A,4で挟まれて可動子2が支持され、しかもセンサ3,3Aの昇降ロッド11,11Aはセンサ3,3A内のばね部材9によって常に可動子2に押された状態にあるので、アクチュエータ4,4Aにコイル電流を流さない状態でも、可動子2を安定良く支持することができる。また、可動子2を挟むように上下にセンサ3A,3が配置されることから、センサ3,3Aと可動子2との接触部となる昇降ロッッド11,11Aの先端の摩耗が両側でほぼ等しければ、この摩耗によるセンサ出力の影響を軽減でき、それだけ精度を向上させることができる。
【0024】
図4は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示した第1の実施形態において、可動子2に対する接触式センサ3の接触子11の先端部11aを耐摩耗性材料としたものである。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
可動子2は、浮沈方向Zに略垂直な方向Pに相対進行運動が可能であるため、この相対進行運動によって接触子11の可動子2との接触部分が摩耗する可能性がある。そこで、同図のように接触子11の可動子2との接触部分となる先端部11aを耐摩耗性材料としており、これにより上記摩耗の問題が軽減される。
【0025】
このアクチュエータユニットの場合には、固定子1に対して相対進行方向Pに可動子2が相対進行運動するのに伴い、可動子2に接触する昇降ロッド11の先端部11aが摩耗するのを軽減でき、それだけ精度を向上させることができる。
【0026】
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示した第1の実施形態において、接触式センサ3として歪ゲージを用いている。すなわち、この例の接触式センサ3は、固定子1に設けた支持部材12に、歪ゲージ13を貼り付けたばね部材である板ばね14を片持ち状態に取付けてある。この板ばね14を、接触子15を介して可動子2に押し当てるようにしてある。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0027】
この構成の場合、可動子2が固定子1側に接近すると、接触式センサ3の板ばね14が固定子1側に撓んで可動子2を押し戻そうとし、さらに板ばね14に貼り付けられた歪ゲージ13が同様に撓む。この歪ゲージ13の撓み量を、アンプ60を介して出力することで、固定子1と可動子2との間の相対変位が測定される。このセンサ3の測定出力がPIDコントローラ等からなる制御手段50に入力され、制御手段50の演算によって設定された電流を、固定子1に固定された電磁石からなるアクチュエータ4に流すことによって、固定子1と可動子2との浮沈方向の距離が制御される。
【0028】
このように、固定子1と可動子2との相対変位を計測するセンサは、種々の形式の接触式センサ3が使用できる。図には示さないが、例えば、固定子1に固定されたパイプから可動子2に向けて検出用流体である空気を噴出させ、そのパイプ内の圧力を測定する空気圧センサを接触式センサ3として用いてもよい。この場合、センサ自体は測定物である可動子2と直接に接触しないが、噴出空気を介して接触していると見なせば、接触式センサ3と分類することができる。また、この例では、固定子1と可動子2とはばね要素による連結がないが、空気圧自体をばね要素と見なすこともできる。
【0029】
図6は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、接触式センサ3を介してアクチュエータ24の押し付け方向の作用力が固定子1と可動子2との間に作用するように、接触式センサ3とアクチュエータ24とを直列に、つまり縦並びに配置したものである。この例では、可動子2を挟み込むように、接触式センサ3,3Aを可動子2の両側に配置し、アクチュエータ24は片側のみに配置している。
【0030】
各接触式センサ3,3Aは、図2と共に説明した差動トランス方式のものを採用している。ただし、鉄心8に連結されたロッド18が、ばね部材である板ばね20によって支持される点で図2の例と異なっている。
この例の接触式センサ3は、固定子1に立設された筒状ケース16内の上部に固定された1次コイル6および2次コイル7と、筒状ケース16内に昇降自在に配置された鉄心8と、この鉄心8に連結されて上下に延びるロッド17,18と、前記筒状ケース16内の上部において筒状ケース16に掛け渡され前記ロッド17,18の上下端を支持する上下の板ばね19,20と、前記上側の板ばね19に設けられたローラガイド21と、このローラガイド21に支持され可動子2の表面に押し当てられる接触子であるローラ22とで構成されている。
【0031】
アクチュエータ24は、筒状ケース16内の下部に設置されたアクチュエータ駆動部25と、このアクチュエータ駆動部25によって上下に進退駆動される進退ロッド26とからなり、進退ロッド26の先端は接触式センサ3の下側の板ばね20に当接している。進退ロッド26の上下方向、つまり可動子浮沈方向Zの力ないし変位は、接触式センサ3の鉄心8およびロッド17,18を介して可動子2に伝えられる。
【0032】
対向側の接触式センサ3Aの構成は、上記固定子1に設置された接触式センサ3と同じであり、固定子1Aから可動子2に向けて立設された筒状ケース16A内に、1次コイル6A、2次コイル7A、鉄心8A、上下ロッド17A,18A、板ばね19A,20A、ローラガイド21A、およびローラ22Aを設けて構成されている。可動子2は、下側の接触式センサ3のローラ22と上側の接触式センサ3Aのローラ22Aとで挟まれている。
【0033】
この構成のアクチュエータユニットの場合は、例えば可動子2が固定子1側に接近すると、下側の接触式センサ3の板ばね19,20が固定子1側に撓んで可動子2を押し戻そうとし、このときの鉄心8の変位量がセンサ3の測定出力として取り出される。上側の接触式センサ3Aでも同様の作用によって、測定出力が取り出され、固定子1と可動子2との間の相対変位が測定される。センサ3,3Aの測定出力は、PIDコントローラ等の制御手段(図示せず)に入力され、この制御手段の演算による前記センサ出力に応じた制御がアクチュエータ24で行われる。すなわち、進退ロッド26が昇降変位して可動子2に作用し、これにより可動子2が位置決めされる。
【0034】
このアクチュエータユニットでは、可動子2と接触式センサ3,3Aとの接触子をローラ22,22Aとローラガイド21,21Aとで構成して、ローラ22,22Aの可動子2に対する転がり運動が可能となるようにしているので、その接触による可動子2の摩耗が抑制できる。そのため、このアクチュエータユニットを使用した装置の耐久性を向上させることができる。
【0035】
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は第2の発明に対応する。このアクチュエータユニットは、相対進行駆動手段27,27Aによって、固定子1,1aに対し可動子2に相対進行運動を行わせるものである。相対進行駆動手段27,27Aは、それぞれ第1の圧電素子29,29Aと第2の圧電素子30,30Aを備える。
すなわち、このアクチュエータユニットは、対向配置された一対の固定子1,1Aと、この固定子1,1Aに対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向Zに対する略垂直方向に前記固定子1,1Aに対する相対進行運動が可能な可動子2と、可動子2に相対進行運動を与える圧電素子29,29A,30,30Aと、この圧電素子29,29A,30,30Aを固定子1,1Aに弾性的に支持するばね部材である板ばね31,31Aと、圧電素子29,30と直列に配置されて板ばね31および圧電素子29,30を介して固定子1と可動子2の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータ24と、固定子1,1Aと可動子2との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサ3,3Aとを備える。接触式センサ3,3Aの出力によって、PIDコントローラ等の制御手段(図示せず)によりアクチュエータ34の出力を制御することで、固定子1,1Aと可動子2間の前記浮沈方向Zの位置決めが行われる。
【0036】
接触式センサ3,3Aは、図1および図2に示した第1の実施形態で用いたものと同じであり、ここではその説明を省略する。
相対進行駆動手段27は、固定子1の上に接触式センサ3と横並びに設置された筒状ケース28内の上部に直列に連結された第1および第2の圧電素子29,30と、筒状ケース28内に掛け渡され圧電素子29,30を支持する板ばね31と、第2の圧電素子30の先端に設置され可動子2に押し当てられる接触子32とで構成される。この相対進行駆動手段27はいわゆる超音波モータを構成するものであって、第1および第2の圧電素子29,30に同期させて電圧を印加し、図中に矢印A,Bで示すように各圧電素子29,30を作動させることで、その先端の接触子32に楕円運動を与え、接触子32の可動子2との摩擦により可動子2を相対進行方向Pに相対進行させる。第1および第2の圧電素子29,30へ印加する電圧は、数10kHz以上の高周波とされる。
【0037】
上側の固定子1Aに設置される相対進行駆動手段27Aも、上記した下側の相対進行駆動手段27と同様の構成であり、固定子1Aに立設される筒状ケース28A内に、直列に連結された第1および第2の圧電素子29A,30Aを配置し、その圧電素子29A,30Aを筒状ケース28A内に掛け渡された板ばね31Aで支持すると共に、第2の圧電素子30Aの先端に可動子2に押し当てられる接触子32Aを設けて構成される。可動子2は、上下の接触式センサ3A,3および相対進行駆動手段27A,27に挟まれた状態で支持される。
【0038】
アクチュエータ24は、下側の固定子1の筒状ケース28内の下部に設置される。このアクチュエータ24は、筒状ケース28に掛け渡された板ばね33で支持されるアクチュエータ駆動部34と、この駆動部34によって上下に進退駆動される進退ロッド35とからなり、進退ロッド35の先端は相対進行駆動手段27の板ばね31に当接している。
【0039】
この構成のアクチュエータユニットは、上下の相対進行駆動手段27A,27による上下方向Aおよび左右方向Bの複合運動で接触子32A,32に楕円運動を与えることで、可動子2が相対進行方向Pに移動させられる。可動子2の浮沈方向Zの変位は上下の接触式センサ3A,3で測定される。センサ3,3Aの測定出力は、図示しないPIDコントローラ等の制御手段に入力され、この制御手段の演算による前記センサ出力に応じた制御がアクチュエータ24で行われる。その結果、進退ロッド35が昇降変位して、その変位ないし押し当て力が相対進行駆動手段27の圧電素子29,30および接触子32を介して可動子2に作用し、これにより可動子2が浮沈方向Zに位置決めされる。このとき、アクチュエータ24の押し当て力が過大となった場合に、板ばね33は撓み変形に伴う押し当て力を抑制するように作用して、アクチュエータユニットを保護する役割を果たす。
【0040】
なお、アクチュエータ24の動きは、第1の圧電素子29,29Aの数10kHz以上といった高速の上下運動と異なり、数kHz以下の周波数応答とされる。これにより、相対進行駆動手段27,27Aによる可動子2の相対進行方向Pへの動きに対して、アクチュエータ24の動きが干渉するのを無くすことができる。
また、この実施形態では、アクチュエータ24を下側の固定子1にのみ設置した場合を示したが、上側の固定子1Aにもアクチュエータを設置してもよい。
【0041】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図7に示した実施形態において、固定子1側に設置されるアクチュエータ24に、第3の圧電素子36を用いたものである。第3の圧電素子36は、筒状ケース28内に掛け渡した板ばね33で支持され、先端面に、相対進行駆動手段27の支持用の板ばね31に押し当てられる間座37が設けられている。第3の圧電素子36は、電圧の印加により上下方向A(浮沈方向Z)に動作する。その他の構成は図7の実施形態と同じである。
このアクチュエータユニットの場合は、相対進行駆動手段27,27Aを構成する圧電素子29,29A,30,30Aと、アクチュエータ24を構成する圧電素子36とを、共に電圧印加により駆動できるので、駆動系を簡単に構成できる。
【0042】
このように、固定子1,1Aと可動子2の間に浮沈方向Zの作用力を与えるアクチュエータ24としては、圧電素子に限らず、種々の直動型のアクチュエータを採用することができ、例えば回転モータの動きを直線運動に変換するものでっても、また第1の実施形態のように電磁吸引力を用いたものでもよい。
【0043】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は第3の発明に対応する。このアクチュエータユニットは、図7に示した実施形態において、固定子1側に設置されるアクチュエータ24を、相対進行駆動手段27における第1の圧電素子29とこれを支持する板ばね31との間に第3の圧電素子36を介在させて構成したものである。この場合の第3の圧電素子36も、電圧の印加により上下方向A(浮沈方向Z)に動作する。その他の構成は図7の実施形態と同じである。
アクチュエータ24をこのように構成することにより、図7や図8の実施形態で必要であったアクチュエータ24の保護専用の板ばね33を省略することができる。
【0044】
図10はこの発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは図1および図2に示す第1の実施形態のアクチュエータユニットをスピンドル装置に適用したものである。このスピンドル装置は、固定子である円筒状のスピンドルハウジング41と、このスピンドルハウジング41内に同軸状に配置される可動子であるスピンドル軸42とを備える。スピンドルハウジング41の内周側に、図1に示す接触式センサ3とアクチュエータ4の組み合わせの複数組が、ラジアル用として周方向および軸方向に分配して設置されている。また、スピンドル軸42の一端に設けられているディスク45を囲むスピンドルハウジング41の内壁面には、このディスク45の両面に向けて、ラジアル用と同様の接触式センサ3と電磁石4の組み合わせの複数組が、スラスト用としてディスク45の周方向に分配して設置されている。
このようにスピンドル装置に応用することにより、スピンドルハウジング41に対するスピンドル軸42の径方向位置および軸方向位置を精度良く制御できる。
【0045】
図11はこの発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示す第1の実施形態のものをスライダ装置に適用したものである。このスライダ装置は、固定子である角筒状のガイドレール51と、このガイドレール51に沿って相対進行自在に配置される可動子52とを備える。可動子52には、ガイドレール51のガイド溝53内に挿入される被ガイド体54が下面に突出している。このガイド体54には、図1に示す接触式センサ3とアクチュエータ4とを直列に組み合わせたものの複数組が、ガイドレール51の内壁面に対向するように分配して設置されている。
このようにスライダ装置に適用した場合、ガイドレール51に対する可動子52の上下方向位置および左右方向位置を精度良く制御できる。
【0046】
なお、図10のスピンドル装置や図11のスライダ装置では図示していないが、これらの装置内には、さらに相対進行用のモータを内蔵させることも可能である。また、これらの装置に用いられる接触式センサ3やアクチュエータ4は、図1および図2に示す実施形態のものに限らず、図3〜図9に示した任意の実施形態のものを組み合わせて用いてもよく、これにより種々の位置決め装置を構成することができる。
【0047】
さらに、接触式センサ3およびアクチュエータ4は、図10のスピンドル装置では固定子であるスピンドルハウジング41側に、また図11のスライダ装置では可動子52側にそれぞれ設置したが、固定子に設置するか可動子に設置するかは、装置の用途などによって適宜選択すればよい。
また、この発明とは異なるが、この発明およびこの発明の前記各実施形態において、接触式センサを非接触式センサとしたアクチュエータユニットを構成することも可能である。ただし、接触式センサを介してアクチュエータの作用力を可動子等に与えるものについては、非接触式のセンサの使用は不可である。
【0048】
【発明の効果】
この発明のアクチュエータユニットは、固定子と可動子間の相対変位を接触式センサによって精密に測定し、この測定結果を基に、前記固定子と可動子間に力を作用させるアクチュエータを駆動することによって、可動子を浮沈方向に精度良く位置決めすることができる。
前記可動子を固定子に対して相対的に前記接触式センサによって弾性支持した場合は、アクチュエータの駆動停止状態でも可動子を浮上支持でき、しかもその支持専用のばね部材等が不要で、構成が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図および制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図2】同アクチュエータユニットにおける接触式センサの断面図である。
【図3】この発明の他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図および制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図4】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図5】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図および制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図6】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図7】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図8】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図9】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの縦断面図である。
【図10】
(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図、(B)は(A)のX−X矢視断面図である。
【図11】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの斜視図である。
【図12】
従来例を示す部分破断斜視図である。
【符号の説明】
1,1A…固定子
2…可動子
3,3A…接触式センサ
4,4A…アクチュエータ
9…ばね部材
13…歪ゲージ
24…アクチュエータ
27,27A…相対進行駆動手段
29,29A…第1の圧電素子
30,30A…第2の圧電素子
31,31A…板ばね(ばね部材)
33…板ばね(ばね部材)
36…第3の圧電素子
【発明の属する技術分野】
この発明は、真空環境等で使用されるアクチュエータユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の搬送用装置の従来例として、日本真空協会から1999年9月20日発行の学会誌(「真空」 第42巻・第9号 816頁から820頁)に記載の磁気浮上スライダユニットがある。図12は、そのスライダユニットの一部破断斜視図を示す。このスライダユニットは3軸制御型磁気軸受装置である。可動子107は浮上用の永久磁石103によって上方向に吸引され、センサ102の出力に基づいて下方向への電磁石101の吸引力を制御することで、浮上、ピッチング、およびローリング方向が制御される。一方、案内方向とヨーイング方向は、浮上用の永久磁石103とレール継鉄104、および電磁石101との吸引力を利用した受動安定手段により支持される。センサ102としては、リラクタンス式センサが採用されている。浮上検出用のセンサターゲット105は、可動子107上の4箇所に置かれ、固定子108側には長形のセンサ102が左右に連続して複数配置される。電磁石101と継鉄106との関係もセンサ102と同様である。これら電磁石101およびセンサ102は、可動子107の進行方向位置に応じて選択的に切り換えることで、可動子107が任意の位置で軸受支持されることが可能とされる。さらに、このスライダユニットを複数接続することで、長距離搬送を行うこともできる。
【0003】
このように、磁気軸受支持では、非接触支持であること、潤滑媒体が不要であることなど、真空中での利用に対しては優位性を発揮する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、最近では、真空環境でかつ高精度が要求される用途が増えてきており、上記構成の磁気軸受装置では十分に対応できない。すなわち、これまでの磁気軸受装置では、固定子と可動子の浮沈方向の相対位置を測定するために、上述したようにリラクタンス式や渦電流式に代表される非接触型磁気式センサを使用している。このようなセンサの構成上から、刻々と変化するセンサのターゲット面の磁気的な情報および電気的な情報を基にして測定するために、そのターゲット面の磁気的特性(透磁率)および電気的特性(電気伝導率)の影響を受けることになり、これに起因してセンサの分解能の低下を招いていた。
【0005】
さらに、図12に示したスライダユニットの場合には、構成が複雑でコスト増にもなるという問題点も有る。
【0006】
この発明の目的は、固定子と可動子との相対変位を精密に測定することで、可動子の浮上方向の精密な位置決めが可能なアクチュエータユニットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明における第1の発明のアクチュエータユニットは、固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるものである。この明細書において、上記の相対進行運動は、直線的な一方向の進行の他に、往復進行や、正逆または一方向の回転運動を含む意味である。
この構成によると、固定子と可動子間の相対変位を測定するセンサとして接触式センサを用いたため、非接触式センサに比べて高分解能が得られる。そのため測定結果を基に、固定子と可動子間の浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータを制御することによって、可動子を浮沈方向に精度良く位置決めすることができる。
【0008】
前記アクチュエータは、前記固定子または可動子の一方に設置された電磁石であっても良い。その場合、前記接触式センサの出力によって前記電磁石のコイル電流を制御することで、前記電磁石の出力である吸引力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。
【0009】
また、前記アクチュエータは、前記固定子または可動子の一方に設置された圧電素子であっても良い。その場合、前記接触式センサの出力によって前記圧電素子に印加する電圧を制御することで、前記圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。
【0010】
前記可動子は前記固定子に対して相対的に、前記浮沈方向にばね部材によって弾性支持されていても良い。ばね部材で支持した場合、アクチュエータを駆動しない状態でも可動子を浮沈可能に支持できると言った利点が得られる。上記ばね部材は、接触式センサに設けられて接触子を突出付勢するばね部材であっても良い。その場合、接触式センサの接触子を介して可動子が弾性支持される。接触式センサの持つばね部材を利用するため、専用のばね部材が不要で、構成が簡素となり、安価に構成できる。
【0011】
前記接触式センサとアクチュエータとは直列に配置し、接触式センサを介してアクチュエータの作用力が固定子と可動子との間に作用するようしても良い。このように接触式センサとアクチュエータとを直列配置とした場合、相対進行方向にコンパクトな構成とできる。
【0012】
前記アクチュエータおよび接触式センサは、いずれも前記可動子に対して前記浮沈方向の両側に配置しても良い。
このようにアクチュエータを両側に配置した場合、アクチュエータが、吸引力または反発力など、浮沈方向の一方向のみに作用するものであっても、両側のアクチュエータによって、浮沈方向の両側に変位させることができる。このとき、接触式センサが両側に設けられていることで、両側のアクチュエータをそれぞれ精度良く制御することができる。また、可動子の両側に接触式センサが設けられるため、接触式センサの接触子が摩耗しても、両側の接触式センサの摩耗量がほぼ等しければ、この摩耗によるセンサ出力の影響を軽減できると言った優れた点もある。また、可動子の両側に接触式センサが設けられる場合、接触式センサで可動子を支持する構成とした場合に、アクチュエータを駆動しない状態であっても、可動子を挟む両側の接触式センサにより安定して支持することができる。
【0013】
この発明のアクチュエータユニットにおいて、前記相対進行運動を付与する駆動源を設けても良い。この駆動源を設けることで、上記アクチュエータで可動子を位置決めした状態で、前記相対進行運動を行わせることができる。上記駆動源としては、例えばリニア型の電磁モータ、回転型の電磁モータ、および超音波モータ等のモータが使用できる。
【0014】
この発明における第2の発明のアクチュエータユニットは、固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記可動子に前記相対進行運動を与える圧電素子と、この圧電素子を前記固定子または可動子のうちの一方の部材に弾性的に支持するばね部材と、前記圧電素子と直列に配置され前記ばね部材および圧電素子を介して前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるものである。
この構成の場合は、浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータは、相対進行運動の付与用の圧電素子を介して上記作用力を与えるが、この場合も、非接触式センサの高分解能により、可動子の浮沈方向の精密な位置決めが行える。この位置決め状態で、上記圧電素子により可動子に相対進行運動が与えられる。上記ばね部材は、圧電素子の可動子または固定子に対する押し付け力を保持し、上記相対進行運動の確実性を向上させる。なお、前記アクチュエータは、別のばね部材を介して上記一方の部材に支持しても良い。
【0015】
第2の発明において、前記アクチュエータは圧電素子からなるものであって良い。その場合、前記接触式センサの出力によってこの圧電素子に印加する電圧を制御することで、この圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。また、この構成の場合、相対進行運動用の駆動源と浮沈方向に駆動するアクチュエータとが、共に電圧印加により駆動できるため、電気系統を簡単な構成とできる。
【0016】
この発明の第3の発明は、固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記可動子に前記相対進行運動を与える圧電素子と、この圧電素子に直列に固定され前記圧電素子を介して前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、このアクチュエータを前記固定子または可動子の一方の部材に弾性的に支持するばね部材と、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるものである。この構成の場合も、浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータは、相対進行付与用の圧電素子を介して上記作用力を与えるが、この場合も、非接触式センサの高分解能な性能により、可動子の浮沈方向の精密な位置決めが行える。この位置決め状態で、上記圧電素子により可動子に相対進行運動が与えられる。上記ばね部材は、アクチュエータによって作用力を過大に掛け過ぎた場合に撓むことで、アクチュエータユニットを保護する役目を果たす。
【0017】
第3の発明において、前記アクチュエータは圧電素子からなるものであっても良い。その場合、前記接触式センサの出力によってこの圧電素子に印加する電圧を制御することで、この圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われる。
【0018】
この発明の前記第1ないし第3の発明において、前記接触式センサは、歪みゲージ、圧電素子、圧力センサ、または作動トランスであっても良い。
また、この発明の前記第1ないし第3の発明のアクチュエータユニットは、前記可動子がスピンドル、または直線的に進退するスライダであっても良い。
この発明の前記第1ないし第3の発明において、前記接触式センサの出力による前記アクチュエータの出力の制御は、このアクチュエータユニットに備えられた制御手段で行っても良く、またこのアクチュエータユニットとは別に設けられた制御手段で行うようにしても良い。アクチュエータユニットをこのような用途に使用するものとした場合は、スピンドルまたはスライダの位置決めを精度よく行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。この実施形態は第1の発明に対応する。図1において、このアクチュエータユニットは、固定子1と、この固定子1に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向Zに対する略垂直な方向Pに、固定子1に対する相対進行運動が可能な可動子2と、固定子1と可動子2の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータ4と、固定子1と可動子2との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサ3とを備える。接触式センサ3の出力は、制御手段50に入力され、制御手段50は、上記センサ出力によってアクチュエータ4の出力を制御することで、固定子1と可動子2間の浮沈方向Zの位置決めを行う。アクチュエータ4は、電磁石からなり、ヨーク4aにコイル4bを巻回して構成される。制御手段50は、PID( proportional integral diffrential)コントローラ等からなる。制御手段50は、アクチュエータ4が電磁石である場合、接触式センサ3の出力によって電磁石のコイル4bの電流を制御することで、電磁石の出力である吸引力を変化させ、固定子1と可動子2間の浮沈方向Zの位置決めを行う。なお、アクチュエータ4は、電磁石を用いたが、この他の直動タイプの各種のアクチュエータが使用でき、また固定子1と可動子2の間に浮沈方向の作用力を与えることが可能なものであれば、どのようなものでも良い。
【0020】
接触式センサ3は、種々のものを用いることができるが、この例では図2に縦断面図で示すように差動トランス方式をものを用いている。同図のような差動トランス方式の接触式センサ3を採用することで、サブミクロン単位の変位検出が可能になる。この差動トランス式の接触式センサ3は、筒状のセンサケース5内に固定された1次コイル6および2次コイル7と、センサケース5内に昇降自在に設けられてばね部材9で突出付勢された鉄心8と、この鉄心8に連結されてセンサケース5のスライド穴部10からスライド自在に突出するロッド状の接触子11とからなる。接触子11は、可動子2に押し当てられる。可動子2は、接触子11を介して接触式センサ3内のばね部材9で常に押された状態にあり、アクチュエータ4を駆動しない状態でも、ばね部材9によって支持される。
【0021】
この構成のアクチュエータユニットによると、上記のようにセンサとして接触式センサ3を用いているので、従来例における非接触型磁気式センサで問題となってきたセンサのターゲットをセンサ内部の部材に限定でき、高分解能のセンサとすることができる。このように、固定子1と可動子2との間の相対変位を接触式センサ3によって精密に測定し、この測定結果に基づき、固定子1と可動子2との間に吸引力を作用させるアクチュエータ4を制御するようにしているので、可動子2を浮沈方向Zに精度良く位置決めすることができる。また、接触式センサ3の内部のばね部材9によってアクチュエータ4を駆動しない状態でも可動子2を支持することができると言った利点を有する。そのため、非駆動時の支持専用のばね部材が不要で、アクチュエータユニットを安価に構成できる。
【0022】
図3はこの発明の他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示した第1の実施形態において、可動子2の浮沈方向Zの両側に、それぞれ接触式センサ3,3Aおよびアクチュエータ4,4Aを設置したものである。両側の接触式センサ3A,3およびアクチュエータ4A,4は、可動子2を挟むように設けられ、それぞれ固定子1,1Aに設置される。制御手段50は、可動子2の両側のアクチュエータ4,接触式センサ3の組、およびアクチュエータ4A,接触式センサ3Aの組に対して共通のものとしても良く、また各組毎に個別に設けられたものとしても良い。いずれの場合も、制御手段50は、両側の接触式センサ3,3Aの差動出力を用いるなど、両側の接触式センサ3,3Aの出力を用いてアクチュエータ4,4Aの出力を制御するものとすることが好ましい。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0023】
この構成の場合、両側の接触式センサ3A,3およびアクチュエータ4A,4で挟まれて可動子2が支持され、しかもセンサ3,3Aの昇降ロッド11,11Aはセンサ3,3A内のばね部材9によって常に可動子2に押された状態にあるので、アクチュエータ4,4Aにコイル電流を流さない状態でも、可動子2を安定良く支持することができる。また、可動子2を挟むように上下にセンサ3A,3が配置されることから、センサ3,3Aと可動子2との接触部となる昇降ロッッド11,11Aの先端の摩耗が両側でほぼ等しければ、この摩耗によるセンサ出力の影響を軽減でき、それだけ精度を向上させることができる。
【0024】
図4は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示した第1の実施形態において、可動子2に対する接触式センサ3の接触子11の先端部11aを耐摩耗性材料としたものである。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様である。
可動子2は、浮沈方向Zに略垂直な方向Pに相対進行運動が可能であるため、この相対進行運動によって接触子11の可動子2との接触部分が摩耗する可能性がある。そこで、同図のように接触子11の可動子2との接触部分となる先端部11aを耐摩耗性材料としており、これにより上記摩耗の問題が軽減される。
【0025】
このアクチュエータユニットの場合には、固定子1に対して相対進行方向Pに可動子2が相対進行運動するのに伴い、可動子2に接触する昇降ロッド11の先端部11aが摩耗するのを軽減でき、それだけ精度を向上させることができる。
【0026】
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示した第1の実施形態において、接触式センサ3として歪ゲージを用いている。すなわち、この例の接触式センサ3は、固定子1に設けた支持部材12に、歪ゲージ13を貼り付けたばね部材である板ばね14を片持ち状態に取付けてある。この板ばね14を、接触子15を介して可動子2に押し当てるようにしてある。その他の構成は第1の実施形態と同じである。
【0027】
この構成の場合、可動子2が固定子1側に接近すると、接触式センサ3の板ばね14が固定子1側に撓んで可動子2を押し戻そうとし、さらに板ばね14に貼り付けられた歪ゲージ13が同様に撓む。この歪ゲージ13の撓み量を、アンプ60を介して出力することで、固定子1と可動子2との間の相対変位が測定される。このセンサ3の測定出力がPIDコントローラ等からなる制御手段50に入力され、制御手段50の演算によって設定された電流を、固定子1に固定された電磁石からなるアクチュエータ4に流すことによって、固定子1と可動子2との浮沈方向の距離が制御される。
【0028】
このように、固定子1と可動子2との相対変位を計測するセンサは、種々の形式の接触式センサ3が使用できる。図には示さないが、例えば、固定子1に固定されたパイプから可動子2に向けて検出用流体である空気を噴出させ、そのパイプ内の圧力を測定する空気圧センサを接触式センサ3として用いてもよい。この場合、センサ自体は測定物である可動子2と直接に接触しないが、噴出空気を介して接触していると見なせば、接触式センサ3と分類することができる。また、この例では、固定子1と可動子2とはばね要素による連結がないが、空気圧自体をばね要素と見なすこともできる。
【0029】
図6は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、接触式センサ3を介してアクチュエータ24の押し付け方向の作用力が固定子1と可動子2との間に作用するように、接触式センサ3とアクチュエータ24とを直列に、つまり縦並びに配置したものである。この例では、可動子2を挟み込むように、接触式センサ3,3Aを可動子2の両側に配置し、アクチュエータ24は片側のみに配置している。
【0030】
各接触式センサ3,3Aは、図2と共に説明した差動トランス方式のものを採用している。ただし、鉄心8に連結されたロッド18が、ばね部材である板ばね20によって支持される点で図2の例と異なっている。
この例の接触式センサ3は、固定子1に立設された筒状ケース16内の上部に固定された1次コイル6および2次コイル7と、筒状ケース16内に昇降自在に配置された鉄心8と、この鉄心8に連結されて上下に延びるロッド17,18と、前記筒状ケース16内の上部において筒状ケース16に掛け渡され前記ロッド17,18の上下端を支持する上下の板ばね19,20と、前記上側の板ばね19に設けられたローラガイド21と、このローラガイド21に支持され可動子2の表面に押し当てられる接触子であるローラ22とで構成されている。
【0031】
アクチュエータ24は、筒状ケース16内の下部に設置されたアクチュエータ駆動部25と、このアクチュエータ駆動部25によって上下に進退駆動される進退ロッド26とからなり、進退ロッド26の先端は接触式センサ3の下側の板ばね20に当接している。進退ロッド26の上下方向、つまり可動子浮沈方向Zの力ないし変位は、接触式センサ3の鉄心8およびロッド17,18を介して可動子2に伝えられる。
【0032】
対向側の接触式センサ3Aの構成は、上記固定子1に設置された接触式センサ3と同じであり、固定子1Aから可動子2に向けて立設された筒状ケース16A内に、1次コイル6A、2次コイル7A、鉄心8A、上下ロッド17A,18A、板ばね19A,20A、ローラガイド21A、およびローラ22Aを設けて構成されている。可動子2は、下側の接触式センサ3のローラ22と上側の接触式センサ3Aのローラ22Aとで挟まれている。
【0033】
この構成のアクチュエータユニットの場合は、例えば可動子2が固定子1側に接近すると、下側の接触式センサ3の板ばね19,20が固定子1側に撓んで可動子2を押し戻そうとし、このときの鉄心8の変位量がセンサ3の測定出力として取り出される。上側の接触式センサ3Aでも同様の作用によって、測定出力が取り出され、固定子1と可動子2との間の相対変位が測定される。センサ3,3Aの測定出力は、PIDコントローラ等の制御手段(図示せず)に入力され、この制御手段の演算による前記センサ出力に応じた制御がアクチュエータ24で行われる。すなわち、進退ロッド26が昇降変位して可動子2に作用し、これにより可動子2が位置決めされる。
【0034】
このアクチュエータユニットでは、可動子2と接触式センサ3,3Aとの接触子をローラ22,22Aとローラガイド21,21Aとで構成して、ローラ22,22Aの可動子2に対する転がり運動が可能となるようにしているので、その接触による可動子2の摩耗が抑制できる。そのため、このアクチュエータユニットを使用した装置の耐久性を向上させることができる。
【0035】
図7は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は第2の発明に対応する。このアクチュエータユニットは、相対進行駆動手段27,27Aによって、固定子1,1aに対し可動子2に相対進行運動を行わせるものである。相対進行駆動手段27,27Aは、それぞれ第1の圧電素子29,29Aと第2の圧電素子30,30Aを備える。
すなわち、このアクチュエータユニットは、対向配置された一対の固定子1,1Aと、この固定子1,1Aに対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向Zに対する略垂直方向に前記固定子1,1Aに対する相対進行運動が可能な可動子2と、可動子2に相対進行運動を与える圧電素子29,29A,30,30Aと、この圧電素子29,29A,30,30Aを固定子1,1Aに弾性的に支持するばね部材である板ばね31,31Aと、圧電素子29,30と直列に配置されて板ばね31および圧電素子29,30を介して固定子1と可動子2の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータ24と、固定子1,1Aと可動子2との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサ3,3Aとを備える。接触式センサ3,3Aの出力によって、PIDコントローラ等の制御手段(図示せず)によりアクチュエータ34の出力を制御することで、固定子1,1Aと可動子2間の前記浮沈方向Zの位置決めが行われる。
【0036】
接触式センサ3,3Aは、図1および図2に示した第1の実施形態で用いたものと同じであり、ここではその説明を省略する。
相対進行駆動手段27は、固定子1の上に接触式センサ3と横並びに設置された筒状ケース28内の上部に直列に連結された第1および第2の圧電素子29,30と、筒状ケース28内に掛け渡され圧電素子29,30を支持する板ばね31と、第2の圧電素子30の先端に設置され可動子2に押し当てられる接触子32とで構成される。この相対進行駆動手段27はいわゆる超音波モータを構成するものであって、第1および第2の圧電素子29,30に同期させて電圧を印加し、図中に矢印A,Bで示すように各圧電素子29,30を作動させることで、その先端の接触子32に楕円運動を与え、接触子32の可動子2との摩擦により可動子2を相対進行方向Pに相対進行させる。第1および第2の圧電素子29,30へ印加する電圧は、数10kHz以上の高周波とされる。
【0037】
上側の固定子1Aに設置される相対進行駆動手段27Aも、上記した下側の相対進行駆動手段27と同様の構成であり、固定子1Aに立設される筒状ケース28A内に、直列に連結された第1および第2の圧電素子29A,30Aを配置し、その圧電素子29A,30Aを筒状ケース28A内に掛け渡された板ばね31Aで支持すると共に、第2の圧電素子30Aの先端に可動子2に押し当てられる接触子32Aを設けて構成される。可動子2は、上下の接触式センサ3A,3および相対進行駆動手段27A,27に挟まれた状態で支持される。
【0038】
アクチュエータ24は、下側の固定子1の筒状ケース28内の下部に設置される。このアクチュエータ24は、筒状ケース28に掛け渡された板ばね33で支持されるアクチュエータ駆動部34と、この駆動部34によって上下に進退駆動される進退ロッド35とからなり、進退ロッド35の先端は相対進行駆動手段27の板ばね31に当接している。
【0039】
この構成のアクチュエータユニットは、上下の相対進行駆動手段27A,27による上下方向Aおよび左右方向Bの複合運動で接触子32A,32に楕円運動を与えることで、可動子2が相対進行方向Pに移動させられる。可動子2の浮沈方向Zの変位は上下の接触式センサ3A,3で測定される。センサ3,3Aの測定出力は、図示しないPIDコントローラ等の制御手段に入力され、この制御手段の演算による前記センサ出力に応じた制御がアクチュエータ24で行われる。その結果、進退ロッド35が昇降変位して、その変位ないし押し当て力が相対進行駆動手段27の圧電素子29,30および接触子32を介して可動子2に作用し、これにより可動子2が浮沈方向Zに位置決めされる。このとき、アクチュエータ24の押し当て力が過大となった場合に、板ばね33は撓み変形に伴う押し当て力を抑制するように作用して、アクチュエータユニットを保護する役割を果たす。
【0040】
なお、アクチュエータ24の動きは、第1の圧電素子29,29Aの数10kHz以上といった高速の上下運動と異なり、数kHz以下の周波数応答とされる。これにより、相対進行駆動手段27,27Aによる可動子2の相対進行方向Pへの動きに対して、アクチュエータ24の動きが干渉するのを無くすことができる。
また、この実施形態では、アクチュエータ24を下側の固定子1にのみ設置した場合を示したが、上側の固定子1Aにもアクチュエータを設置してもよい。
【0041】
図8は、この発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図7に示した実施形態において、固定子1側に設置されるアクチュエータ24に、第3の圧電素子36を用いたものである。第3の圧電素子36は、筒状ケース28内に掛け渡した板ばね33で支持され、先端面に、相対進行駆動手段27の支持用の板ばね31に押し当てられる間座37が設けられている。第3の圧電素子36は、電圧の印加により上下方向A(浮沈方向Z)に動作する。その他の構成は図7の実施形態と同じである。
このアクチュエータユニットの場合は、相対進行駆動手段27,27Aを構成する圧電素子29,29A,30,30Aと、アクチュエータ24を構成する圧電素子36とを、共に電圧印加により駆動できるので、駆動系を簡単に構成できる。
【0042】
このように、固定子1,1Aと可動子2の間に浮沈方向Zの作用力を与えるアクチュエータ24としては、圧電素子に限らず、種々の直動型のアクチュエータを採用することができ、例えば回転モータの動きを直線運動に変換するものでっても、また第1の実施形態のように電磁吸引力を用いたものでもよい。
【0043】
図9は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態は第3の発明に対応する。このアクチュエータユニットは、図7に示した実施形態において、固定子1側に設置されるアクチュエータ24を、相対進行駆動手段27における第1の圧電素子29とこれを支持する板ばね31との間に第3の圧電素子36を介在させて構成したものである。この場合の第3の圧電素子36も、電圧の印加により上下方向A(浮沈方向Z)に動作する。その他の構成は図7の実施形態と同じである。
アクチュエータ24をこのように構成することにより、図7や図8の実施形態で必要であったアクチュエータ24の保護専用の板ばね33を省略することができる。
【0044】
図10はこの発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは図1および図2に示す第1の実施形態のアクチュエータユニットをスピンドル装置に適用したものである。このスピンドル装置は、固定子である円筒状のスピンドルハウジング41と、このスピンドルハウジング41内に同軸状に配置される可動子であるスピンドル軸42とを備える。スピンドルハウジング41の内周側に、図1に示す接触式センサ3とアクチュエータ4の組み合わせの複数組が、ラジアル用として周方向および軸方向に分配して設置されている。また、スピンドル軸42の一端に設けられているディスク45を囲むスピンドルハウジング41の内壁面には、このディスク45の両面に向けて、ラジアル用と同様の接触式センサ3と電磁石4の組み合わせの複数組が、スラスト用としてディスク45の周方向に分配して設置されている。
このようにスピンドル装置に応用することにより、スピンドルハウジング41に対するスピンドル軸42の径方向位置および軸方向位置を精度良く制御できる。
【0045】
図11はこの発明のさらに他の実施形態を示す。このアクチュエータユニットは、図1および図2に示す第1の実施形態のものをスライダ装置に適用したものである。このスライダ装置は、固定子である角筒状のガイドレール51と、このガイドレール51に沿って相対進行自在に配置される可動子52とを備える。可動子52には、ガイドレール51のガイド溝53内に挿入される被ガイド体54が下面に突出している。このガイド体54には、図1に示す接触式センサ3とアクチュエータ4とを直列に組み合わせたものの複数組が、ガイドレール51の内壁面に対向するように分配して設置されている。
このようにスライダ装置に適用した場合、ガイドレール51に対する可動子52の上下方向位置および左右方向位置を精度良く制御できる。
【0046】
なお、図10のスピンドル装置や図11のスライダ装置では図示していないが、これらの装置内には、さらに相対進行用のモータを内蔵させることも可能である。また、これらの装置に用いられる接触式センサ3やアクチュエータ4は、図1および図2に示す実施形態のものに限らず、図3〜図9に示した任意の実施形態のものを組み合わせて用いてもよく、これにより種々の位置決め装置を構成することができる。
【0047】
さらに、接触式センサ3およびアクチュエータ4は、図10のスピンドル装置では固定子であるスピンドルハウジング41側に、また図11のスライダ装置では可動子52側にそれぞれ設置したが、固定子に設置するか可動子に設置するかは、装置の用途などによって適宜選択すればよい。
また、この発明とは異なるが、この発明およびこの発明の前記各実施形態において、接触式センサを非接触式センサとしたアクチュエータユニットを構成することも可能である。ただし、接触式センサを介してアクチュエータの作用力を可動子等に与えるものについては、非接触式のセンサの使用は不可である。
【0048】
【発明の効果】
この発明のアクチュエータユニットは、固定子と可動子間の相対変位を接触式センサによって精密に測定し、この測定結果を基に、前記固定子と可動子間に力を作用させるアクチュエータを駆動することによって、可動子を浮沈方向に精度良く位置決めすることができる。
前記可動子を固定子に対して相対的に前記接触式センサによって弾性支持した場合は、アクチュエータの駆動停止状態でも可動子を浮上支持でき、しかもその支持専用のばね部材等が不要で、構成が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図および制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図2】同アクチュエータユニットにおける接触式センサの断面図である。
【図3】この発明の他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図および制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図4】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図5】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図および制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図6】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図7】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図8】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図である。
【図9】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの縦断面図である。
【図10】
(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの断面図、(B)は(A)のX−X矢視断面図である。
【図11】
この発明のさらに他の実施形態にかかるアクチュエータユニットの斜視図である。
【図12】
従来例を示す部分破断斜視図である。
【符号の説明】
1,1A…固定子
2…可動子
3,3A…接触式センサ
4,4A…アクチュエータ
9…ばね部材
13…歪ゲージ
24…アクチュエータ
27,27A…相対進行駆動手段
29,29A…第1の圧電素子
30,30A…第2の圧電素子
31,31A…板ばね(ばね部材)
33…板ばね(ばね部材)
36…第3の圧電素子
Claims (13)
- 固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 請求項1において、前記アクチュエータが前記固定子または可動子の一方に設置された電磁石であり、前記接触式センサの出力によって前記電磁石のコイル電流を制御することで、前記電磁石の出力である吸引力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 請求項1において、前記アクチュエータが前記固定子または可動子の一方に設置された圧電素子であり、前記接触式センサの出力によって前記圧電素子に印加する電圧を制御することで、前記圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、前記可動子が前記固定子に対して相対的に、前記浮沈方向に前記接触式センサによって弾性支持されているアクチュエータユニット。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、接触式センサを介してアクチュエータの作用力が固定子と可動子との間に作用するように、接触式センサとアクチュエータとを直列に配置したアクチュエータユニット。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、前記アクチュエータおよび接触式センサが、いずれも前記可動子に対して前記浮沈方向の両側に配置されているアクチュエータユニット。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、前記相対進行運動を付与する駆動源を設けたアクチュエータユニット。
- 固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記可動子に前記相対進行運動を与える圧電素子と、この圧電素子を前記固定子または可動子のうちの一方の部材に弾性的に支持するばね部材と、前記圧電素子と直列に配置され前記ばね部材および圧電素子を介して前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 請求項8において、前記アクチュエータが圧電素子からなり、前記接触式センサの出力によってこの圧電素子に印加する電圧を制御することで、この圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 固定子と、この固定子に対して相対的に浮沈可能に設けられて浮沈方向に対する略垂直方向に前記固定子に対する相対進行運動が可能な可動子と、前記可動子に前記相対進行運動を与える圧電素子と、この圧電素子に直列に固定され前記圧電素子を介して前記固定子と可動子の間に浮沈方向の作用力を与えるアクチュエータと、このアクチュエータを前記固定子または可動子の一方の部材に弾性的に支持するばね部材と、接触子または検出用流体が接触して固定子と可動子との浮沈方向の相対変位を測定する接触式センサとを備え、前記接触式センサの出力によって、前記アクチュエータの出力を制御することで、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 請求項10において、前記アクチュエータが圧電素子からなり、前記接触式センサの出力によってこの圧電素子に印加する電圧を制御することで、この圧電素子の出力である作用力を変化させ、前記固定子と前記可動子間の前記浮沈方向の位置決めが行われるアクチュエータユニット。
- 請求項1ないし請求項11のいずれかにおいて、前記接触式センサが、歪みゲージ、圧電素子、圧力センサ、または差動トランスであるアクチュエータユニット。
- 請求項1ないし請求項12のいずれかにおいて、前記可動子がスピンドル、または直線的に進退するスライダであるアクチュエータユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002168144A JP2004011826A (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | アクチュエータユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002168144A JP2004011826A (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | アクチュエータユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004011826A true JP2004011826A (ja) | 2004-01-15 |
Family
ID=30435130
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002168144A Pending JP2004011826A (ja) | 2002-06-10 | 2002-06-10 | アクチュエータユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004011826A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008249130A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-10-16 | Railway Technical Res Inst | 高温超電導バルク体を利用した磁気軸受の安定化方法及びその磁気軸受 |
CN114673728A (zh) * | 2020-12-24 | 2022-06-28 | 迈格钠磁动力股份有限公司 | 一种永磁推力悬浮轴承及其控制方法 |
-
2002
- 2002-06-10 JP JP2002168144A patent/JP2004011826A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008249130A (ja) * | 2007-03-08 | 2008-10-16 | Railway Technical Res Inst | 高温超電導バルク体を利用した磁気軸受の安定化方法及びその磁気軸受 |
CN114673728A (zh) * | 2020-12-24 | 2022-06-28 | 迈格钠磁动力股份有限公司 | 一种永磁推力悬浮轴承及其控制方法 |
CN114673728B (zh) * | 2020-12-24 | 2024-01-26 | 迈格钠磁动力股份有限公司 | 一种永磁推力悬浮轴承及其控制方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10661399B2 (en) | Single-drive rigid-flexible coupling precision motion platform and realization method and application thereof | |
JP4702629B2 (ja) | ムービングマグネット形リニアスライダおよびそれを用いた工作機械 | |
JP2008289344A (ja) | リニアモータ | |
JP4753004B2 (ja) | 電磁石ユニット、電磁アクチュエータ、電磁アクチュエータの浮上制御装置、およびステージ装置 | |
US5302873A (en) | Linear pulse motor having a high resolution | |
JP2002315369A (ja) | アクチュエータ、光ファイバ移動体および光スイッチ | |
JP2004011826A (ja) | アクチュエータユニット | |
JPH0265656A (ja) | コアレスリニアモーター | |
JP4403537B2 (ja) | リニアスライド装置 | |
US11231336B2 (en) | Thrust measuring device | |
US6489760B2 (en) | High sensitivity displacement measuring device using linear variable differential transformer | |
JP2008090718A (ja) | 位置決め装置 | |
KR100761690B1 (ko) | 영구자석 이동형 리니어모터와 공기베어링을 이용한 초소형스테이지 장치 | |
JP5272404B2 (ja) | 磁気浮上推進装置 | |
JP2004312956A (ja) | リニアアクチュエータ | |
US20160299028A1 (en) | Probe measuring force adjuster | |
JP2005169523A (ja) | テーブル位置決め装置 | |
JPH02219455A (ja) | リニアモータの支持機構 | |
JP7110048B2 (ja) | 反力キャンセル装置 | |
JP5851210B2 (ja) | 慣性駆動アクチュエータ | |
Sarajlic | Electrostatic microactuators fabricated by vertical trench isolation technology. | |
WO2007116507A1 (ja) | リニアモータ | |
JPH0741992B2 (ja) | 磁気浮上搬送装置 | |
JP3144431B2 (ja) | 精密位置決め装置 | |
JPS63283835A (ja) | リニア移動装置 |