JP2004010775A - ポリプロピレン系樹脂組成物およびインストルメントパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)230℃、21.2Nの荷重におけるMFRが500〜3000g/10分、沸騰p−キシレン可溶分が6.0%以下の結晶性ホモポリプロピレン成分と、(B)135℃デカリン中での[η]が5.0〜10dl/g、エチレン含有量が25〜55%であるエチレン・プロピレン共重合体ゴムを含む結晶性エチレン・プロピレン共重合体成分と、(C)230℃、21.2Nの荷重におけるMFRが0.1g/10分以下、エチレン含有量が60〜80%、CSDが1.0〜2.0であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム成分、(D)無機フィラーを含有するポリプロピレン系樹脂組成物によりインストルメントパネルを成形する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形性に優れ、低い光沢性を有し、外観性能の良好なインストルメントパネル成形品を成形することができるポリプロピレン系樹脂組成物と、このようなポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、無塗装で使用することができるインストルメントパネルに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ポリプロピレン系樹脂は、その加工性、耐薬品性、耐候性、電気特性などに優れていることから、汎用樹脂として自動車部品、家電製品、OA機器をはじめとする各種の分野において、射出成形品、ブロー成形品、真空・圧空成形品、フィルム、シートなどとして幅広く用いられている。
【0003】
ところで自動車の内装部品として、特に剛性と耐衝撃性能が要求されるインストルメントパネルにおいては、通常、ポリプロピレンに補強材としてフィラーを混入して剛性を改善したり、ポリエチレン又はゴム成分、例えばポリイソブチレン、ポリブタジエン、非晶性或いは低結晶性エチレン・プロピレン共重合体ゴムなどを配合して耐衝撃性を改善したりしたポリプロピレン系樹脂組成物が使用されていることが知られている。
【0004】
上記のようなフィラーまたはゴム成分が混入したポリプロピレン系樹脂組成物においては、衝撃強度を向上させるためにポリプロピレン成分あるいはゴム成分の分子量を高くするという方法が一般的である。しかしながらこの方法では射出成形時、特にインストルメントパネル、バンパーなどの大型射出成形品の成形時に溶融樹脂の流動性が低下して、得られる成形品の表面にフローマークやウェルドが発生しやすくなったり、シボ付き成形品においては光沢ムラが発生したりすることがある。このようなフローマークやウェルドが目立つと外観が劣るので、その商品価値が低下するという問題点があった。
【0005】
また、自動車内装部品、とりわけインストルメントパネルにおいては、自動車の運転席の前に位置するため、太陽光の反射が運転の障害とならないように低光沢性の材料特性が要求されるが、材料自体の特性として、光沢性が十分に低いものはこれまで見出されていない。したがって、太陽光などの反射に対処するために、全面或いは部分的(フローマーク部、ウェルド部)に艶消し塗装を施していた。このためコストが高くなるのを免れなかった。
【0006】
一方、ウェルド外観の改善、および低光沢化については分子量分布、緩和時間に特徴を有する結晶性エチレン・プロピレン共重合体を用いる方法(特開平9−71714号公報、特開平9−71691号公報)、フローマーク、光沢ムラについては特定周波数での溶融粘度に特徴を有するエチレン・プロピレン共重合体を用いる方法(特開平9−328526号公報)などが提案されている。しかしながら、これらの技術においてはウェルド外観、フローマークなどの外観性能にある程度の改善は見られるもののまだ充分ではなく、無塗装化が可能なレベルに至っていないのが実状であって、上記のような問題点を解消することが、樹脂製インストルメントパネル、あるいはその材料樹脂における課題となっていた。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、自動車の樹脂製内装部品、特にインストルメントパネルにおける上記課題に着目してなされたものであって、ウェルド、フローマーク(光沢ムラを含む)などの外観性能が良好で、かつ低光沢性を有し、無塗装化が可能なインストルメントパネル用ポリプロピレン系樹脂組成物と、このようなポリプロピレン系樹脂組成物からなる無塗装インストルメントパネルを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、230℃、21.2Nの荷重でのメルトフローレートの範囲に特徴を有するホモポリプロピレン成分(A)と、135℃でのデカリン中での極限粘度およびエチレン含有量に特徴を有するエチレン・プロピレン共重合体ゴムを含む結晶性エチレン・プロピレン共重合体成分(B)と、230℃、21.2Nの荷重のメルトフローレートおよびコモノマー連鎖分布に特徴を有するエチレン・プロピレン共重合体ゴム成分(C)、および無機フィラー(D)とを特定の割合で含有するポリプロピレン系樹脂組成物を見出し、当該樹脂組成物が上記の特性を満足し得ることを確認するに到った。
【0009】
本発明はかかる知見に基づくものであって、本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物は、A)230℃、21.2Nの荷重におけるメルトフローレート(以下、MFRと略記する)が500〜3000(g/10分)、沸騰p−キシレン可溶分が6.0質量%以下の結晶性ホモポリプロピレン:5.0〜30質量%、B)極限粘度(135℃デカリン中)[η]が5.0〜10(dl/g)、エチレン含有量が25〜55質量%であるエチレン・プロピレン共重合体ゴムを10〜60質量%含む結晶性エチレン・プロピレン共重合体:5.0〜84質量%、C)230℃、21.2Nの荷重におけるMFRが0.1(g/10分)以下、エチレン含有量が60〜80質量%、13C−NMRで測定したコモノマー連鎖分布(以下、CSDと略記する)が1.0〜2.0であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム:1.0〜15質量%、およびD)無機フィラー:10〜30質量%を必須成分として含有する構成とし、ポリプロピレン系樹脂組成物におけるこのような構成を前述した課題を解決するための手段としたことを特徴としている。
【0010】
本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物の好適形態としては、JIS K7171に規定される方法(但し、試験速度:2mm/min)により測定した23℃での曲げ弾性率の値が1800(MPa)以上、JIS K7110に規定される方法(但し、Aタイプノッチ付、垂直衝撃)により測定した10℃でのアイゾット衝撃値が10(kJ/m2)以上、JIS K7191に規定される方法(但し、エッジワイズ、アニーリング処理無)により測定した0.45(MPa)の曲げ応力での荷重たわみ温度が100℃以上である構成とし、同じく好適形態としては、シリンダー温度170℃、射出圧力93MPaの射出成形条件において厚み3mmのスパイラルフロー金型での流動長が80cm以上である構成とし、さらに好適形態としては、シリンダー温度210℃、L/D=40のキャピラリ−を用いたキャピラリーレオメーターにおいてせん断速度γ=200s−1におけるダイスウェル比が1.15以上である構成としたことを特徴としている。
【0011】
本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物の他の好適形態は、JIS K7105に規定される方法により測定した入射光と反射光の角度60°の光沢値が30%以下である構成とし、さらに他の好適形態は、D成分がタルクである構成としたことを特徴としている。
【0012】
本発明に係わるインストルメントパネルは、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなることを特徴としており、インストルメントパネルにおけるこのような構成を前述した課題を解決するための手段としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物の成分や、その数値範囲などについて詳細に説明する。
【0014】
(A)結晶性ホモポリプロピレン
(A)成分の結晶性ホモポリプロピレンは、230℃、21.2Nの荷重のMFR(JIS K7210)が500〜3000(g/10分)の範囲内であることが必要であるが、800〜2500(g/10分)、さらには1000〜2000(g/10分)の範囲であることが好ましい。すなわち、MFRが500(g/10分)未満の場合には、樹脂組成物としての流動性が不足し、ウェルド、フローマークなどの外観不良が発生し、3000(g/10分)より大きいと耐衝撃性が低下することになる。逆に、MFRが800〜2500(g/10分)、さらには1000〜2000(g/10分)の範囲であれば、前述の流動性・耐衝撃性のバランスが一層良くなる。また、沸騰p−キシレン可溶分は、6.0質量%以下であって、3.0質量%以下であることがより好ましい。すなわち、当該可溶分が6.0質量%を超えると剛性が得られず、インストルメントパネルとして必要な性能を満たすことができなくなる。逆に、当該可溶分が3.0質量%以下であれば、剛性上さらに有利となる。
【0015】
この結晶性ホモポリプロピレンのMFRの調整方法としては、重合時に水素などの分子量調節剤の量や、重合温度、圧力等の重合条件で調整を行う方法や、特開平8−302105号公報に開示されているように重合後にジアシルパーオキシド、ジアルキルパーオキシド等の有機過酸化物で調整する方法などがある。なお、このMFRの調整は、成形品外観等の観点から先に述べた重合時に調整を行う方法が好ましい。また、この重合による方法に用いられる触媒としては、結晶性アイソタクティックポリプロピレンを与える全ての触媒が使用できるが、中でも特開平3−706号公報、特開平8−170984号公報、または特開平9−20803号公報に開示されているように、チタン触媒成分に複数のエ−テル結合を含有する電子供与体からなる触媒を使用する方法が最も好適である。
【0016】
また、これらの結晶性ホモポリプロピレンは1種類のみに限定されず、2種類以上を併用することもできる。
【0017】
上記の結晶性ホモポリプロピレンの含有量は5.0〜30質量%の範囲が好適である。好ましくは10〜20質量%である。5.0質量%未満だと流動性が十分に得られず、インストルメントパネル製造時にショートショット、フローマーク、ウェルドラインなどの成形品質上の問題が発生する。また、30質量%を超えると衝撃強度が低下する。
【0018】
上記結晶性ホモポリプロピレンの沸騰p−キシレン可溶分は以下のようにして求めたものである。すなわち、沸騰p−キシレンで結晶性ホモポリプロピレン5gをソックスレー抽出し、濾液を20℃で一昼夜放置、その後、濾液にアセトンを加えて析出させ、析出物を濾過、乾燥し、得られたものの重量を測定(W1(g))して次式により算出した。
((W1)/5)×100 (%)
【0019】
(B)結晶性エチレン・プロピレン共重合体
(B)成分の結晶性エチレン・プロピレン共重合体とは、2段階以上の重合工程で製造され、1段目あるいはそれ以降の重合工程で製造される結晶性ホモポリプロピレンと2段目あるいはそれ以降の重合工程で製造されるエチレン・プロピレン共重合体ゴムの混合物を意味する。結晶性ホモポリプロピレンとエチレン・プロピレン共重合体ゴムとが化学結合していても、結晶性ホモポリプロピレンとエチレン・プロピレン共重合体ゴムのブレンド物であっても良い。
【0020】
また上記結晶性エチレン・プロピレン共重合体は、他の不飽和化合物、例えば1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンを含有する3元以上の共重合体であってもよく、また2種類以上の結晶性エチレン・プロピレン共重合体を併用することもできる。
【0021】
本発明で使用する(B)成分、すなわち結晶性エチレン・プロピレン共重合体に含まれるエチレン・プロピレン共重合体ゴムの含有量としては、10〜60質量%の範囲であることを必要とするが、15〜40質量%とすることが好ましい。つまり、エチレン・プロピレン共重合体ゴムの含有量が10質量%よりも少ないと耐衝撃性が充分に発現しなくなるため、後述する(E−b)成分のエラストマー量を多く追添することが必要となる。これは結果的にコスト高になるため現実性が乏しい。また、エチレン・プロピレン共重合体ゴムの含有量が60質量%よりも多いと、べたつき成分が多くなり、(B)成分製造時にファウリング等の製造不良を起こしてしまう傾向がある。逆に、当該ゴム含有量が15〜40質量%であれば、前述の耐衝撃性・製造性のバランスが一層良くなる。
【0022】
そして、このエチレン・プロピレン共重合体ゴムのエチレン含有量は25〜55質量%の範囲であることが必要であるが、好ましくは30〜45質量%、更に好ましくは35〜43質量%である。このエチレン・プロピレン共重合体ゴム中のエチレン含有量が55質量%よりも大きいとエチレン・プロピレン共重合体ゴム成分と第一段階で製造される結晶性ホモポリプロピレンとの相溶性が低下し、衝撃強度の改良効果が乏しくなり、25質量%未満だと相溶性が上がりすぎて表面硬度や曲げ弾性率が低下してしまうことになる。逆に、エチレン含有量が30〜45質量%、更には35〜43質量%であれば、前述の衝撃強度、表面硬度、曲げ弾性率のバランスが一層良くなる。
【0023】
さらに、エチレン・プロピレン共重合体ゴムの135℃デカリン中での極限粘度[η]としては、5.0〜10(dl/g)の範囲であることが必要であるが、5.0〜8.0(dl/g)であることがより好ましい。すなわち、極限粘度[η]が5.0未満だと210℃、L/D=40(Lは使用するオリフィスの長さ、Dはキャピラリーの直径)のキャピラリーを用いたキャピラリーレオメーターの測定においてせん断速度γ=200s−1でのダイスウェルが1.15よりも小さくなる。このことは射出成形時にガスの排出効果を低下させ、結果的に成形品表面にウェルド、シルバーストリークの発生を促し、外観性能を著しく低下させることになる。更に成形品の光沢値が上がるという問題も生ずる。また[η]が10(dl/g)より大きくなると耐衝撃性が著しく低下し、インストルメントパネルとしての要求性能を満たさなくなってしまう。また成形品表面にゲルが発生し、成形品の品質を低下させることにもなる。逆に、[η]が5.0〜8.0(dl/g)であれば、前述の外観性能・耐衝撃性のバランスが一層良好となる。
【0024】
上記の結晶性エチレン・プロピレン共重合体の含有量は5.0〜84質量%の範囲である。好ましくは10〜50質量%である。5.0質量%未満だと組成物中のエチレンプロピレン共重合体ゴムの含有量が少なくなり、耐衝撃性を維持するために後述する(E−b)成分(エラストマー成分)を多量に添加することになる。これはコスト上不利となる。また、84質量%を超えると、A成分の結晶性ホモポリプロピレンの含有量が少なくなって流動性が不足し、インストルメントパネル製造時に成形品質上の問題が発生する。
【0025】
ここで、結晶性エチレン・プロピレン共重合体に含まれるエチレン・プロピレン共重合体ゴムの含有量は、前記(A)成分における沸騰p−キシレン可溶分の測定と同様な方法で求めた。
【0026】
また、エチレン・プロピレン共重合体ゴム中のエチレン含有量は、結晶性エチレン・プロピレン共重合体1gを230℃のプレスでフィルム状に成形し、赤外分光光度計にかけ、得られた赤外線吸収スペクトルのメチル基(−CH3)とメチレン基(−CH2−)の特性吸収の吸光度を用いて、Gardnerの検量線により求めた(I.J.Gardner et al, Rubber Chem and Tech., 44, 1105 (1975))。
【0027】
(C)エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
本発明に用いられる(C)成分、すなわちエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、エチレンおよびα−オレフィンを共重合することにより得られるゴムであって、この共重合体に使用されるα−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、エチリデンノルボルネン、1、4−ヘキサジエン1、9−デカジエン、ビニルノルボルネン等が挙げられる。これらのα−オレフィンは単独でも2種類以上を組み合わせて使用しても良い。これらのα−オレフィン中、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。最も好ましくはプロピレンであり、安価なためコスト上有利である。
【0028】
本発明で使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、チタン系触媒、バナジウム系触媒やメタロセン系触媒等を用いる公知の方法により製造することができる。
【0029】
上記エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムのMFR(230℃、21.2N荷重)は、0.1(g/10分)以下であるが、0.01(g/10分)以下であることがより好ましい。このMFRが0.1(g/10分)よりも大きいと光沢を低下させる効果が充分発現されない。逆に、MFRが0.01(g/10分)以下であれば、光沢低下効果が一層顕著となる。
【0030】
また、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム中のエチレン含有量としては、60〜80質量%、さらには70〜75質量%であることが好ましい。エチレン含有量が60質量%未満(α−オレフィンが40質量%超過)の場合には、該エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムの光沢を低下させる効果が充分に得られず、また80質量%よりも多い(α−オレフィンが20質量%未満)と、該共重合体ゴム中の結晶性ポリエチレン成分の量が増加するため、(A)成分の結晶性ホモポリプロピレンまたは(B)成分の結晶性エチレン・プロピレン共重合体との相溶性が低下し、機械物性、特に耐衝撃性を著しく低下させる。逆に、エチレン含有量が70〜75質量%であれば、前述の光沢低下効果・機械物性のバランスが一層良好となる。
【0031】
また、13C−NMRで測定したCSD(コモノマ−連鎖分布)については、1.0〜2.0の範囲、さらには1.1〜1.7の範囲がより好適である。CSDが1.0未満の場合には、当該共重合体ゴムの組成は交互性が増し、2.0よりも大きいとブロック性が増加する。何れの場合も(A)成分および(B)成分との相溶性が低下し、耐衝撃性改良効果が充分に得られないことになる。逆に、CSDが1.1〜1.7の場合には、前述の耐衝撃性改良効果が一層顕著となる。
【0032】
上記のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムの含有量は1.0〜15質量%が好適である。好ましくは5.0〜10質量%である。1.0質量%未満だと光沢を低下させる効果が充分ではなく、低光沢が特徴である無塗装インストルメントパネルとしての要件を満たさなくなってしまう。また、15質量%を超えるとコスト上不利となる。
【0033】
上記CSDとは、共重合体組成のランダム性を示すパラメータでり、13C−NMRから求められるダイアッド連鎖によるエチレン含量(モル分率;PE)とα−オレフィン含量(モル分率;Pα)との積の2倍をエチレン−α−オレフィン交互連鎖のモル分率(PEα)の二乗で割ったものであり、下記式により求められる。
CSD=((2PE・Pα)/(PEα)2)
【0034】
このPEα、PEおよびPα値は、具体的には以下のようにして求められる。まず、10mmφ試料管に200mgのエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムを1、2、4−トリクロロベンゼンと重水素化ベンゼンの混合溶媒(体積比9:1)2ml中に均一に溶解させ、13C−NMRスペクトルを下記装置および条件にて測定した。
装置:JNM−EX270(日本電子(株)製)
測定温度:120℃
測定周波数:100.50MHz
パルス間隔:3.8sec
積算回数:5,000回
【0035】
そして、PEα、PEおよびPα値は、上記のようにして測定された13C−NMRスペクトルからG.J.Ray et al, Macromolecules, 10, 773(1977), J.C.Randall et al, Macromolecules, 15, 353(1982), J.Polym.Sci., Polym.Phy. Ed., 11, 275(1973), K.Kimura et al, Polymer, 25, 441(1984)らの報告に基いて求めることができる。なお、このCSD値はエチレン−α−オレフィン共重合体組成が完全交互共重合体であると0になり、完全ブロック共重合体であると無限大となり、ランダム共重合体では1.0になる。
【0036】
(D)無機フィラー
本発明においては、無機フィラーとして、タルク、カオリナイト、焼成クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイトなどの天然珪酸又は珪酸塩、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物、酸化亜鉛、亜鉛華、酸化マグネシウムなどの酸化物、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸又は珪酸塩などの粉末状フィラー、マイカなどのフレーク状フィラー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、エレスタダイトなどの繊維状フィラー、ガラスバルーン、フライアッシュバルーンなどのバルーン状フィラーなどを用いることができる。
【0037】
本発明においては、これらの中でもとりわけタルクが好ましく用いられる。特に平均粒径が0.10〜4.0μm、さらには0.20〜3.0μmのタルクが好適に用いられる。平均粒径が0.10μm未満だと混練時に2次凝集を起こし、機械物性を低下させることがある。また、4.0μmよりも大きくても機械物性、特に耐衝撃性を低下させる傾向がある。逆に、平均粒径が0.20〜3.0μmであれば、耐衝撃性等の機械物性が一層良好となる。
【0038】
また、このようなタルクは、平均粒径5.0μm以上の粒子の含有量が10質量%以下、好ましくは8.0質量%以下であることが好ましい。ここでタルクの平均粒径とはJIS Z8820に準拠した液相沈降法で測定された粒度分布測定曲線の累積値が50%となる粒子径のことを意味する。平均粒径5.0μm以上の粒子が10質量%よりも多くなると粗大粒子の量が増加するために機械物性、特に耐衝撃性を低下させてしまう傾向がある。逆に、当該含有量が8.0質量%以下であれば、耐衝撃性等の機械物性が一層良好となる。
【0039】
さらに、このようなタルクの中でも、アスペクト比(縦または横いずれかの長さと厚みの比を示す)の平均値が3.0以上、特に4.0以上のものが、タルクの配向性が高まることによる剛性・耐熱性等の機械物性向上の観点から好ましく用いられる。
【0040】
また、本発明で使用される無機フィラー、特にタルクは無処理であっても予め表面処理されていても良い。この表面処理の例としては、シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、有機チタネート、ポリエチレングリコールなどの表面処理剤を用いる化学的または物理的方法が挙げられる。
【0041】
なお、上記のような無機フィラーは、1種のみを単独で使用することも、2種類以上のフィラーを併用することも可能である。
【0042】
上記の無機フィラーの含有量は10〜30質量%が好適である。10質量%未満だと、上記(A)〜(C)成分のいずれかの含有量を前述の好適な範囲よりも多くするか、もしくは後述する(E−b)成分(エラストマー成分)の添加量を多くせざるを得なくなるので、前述の理由で衝撃強度低下、流動性不足、コスト増大のいずれかを招く。30質量%を超えると、上記(A)〜(C)成分のいずれかの含有量を前述の好適な範囲よりも少なくせざるを得なくなるので、前述の理由で流動性不足、コスト増大、低光沢性不足のいずれかを招く。
【0043】
(E)その他の成分
(E−a)添加剤
本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物は、これまで示した成分(A)〜(D)に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で、核剤、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物などの添加剤を含んでいても良い。
【0044】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などを用いることができる。フェノール系酸化防止剤としては例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ステアリル(3,3−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル−β−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジルチオ)−1,3,5−トリアジン、ジステアリル(4−ヒドロキシ−3−メチル−5−tert−ブチルベンジル)マロネ−ト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(3,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)p−クレゾ−ル]、ビス[3,5−ビス[4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレ−ト、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)ベンジルイソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、2−オクチルチオ−4.6−ジ(4ヒドロキシ−3.5−ジ−tert−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)などのフェノール類および4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)の炭酸オリゴエステル(たとえば重合度2〜10)などの多価フェノール炭酸オリゴエステル類が挙げられる。
【0045】
硫黄系酸化防止剤としては、たとえばジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−などのジアルキルチオジプロピオネートおよびブチル−、オクチル−、ラウリル−、ステアリル−などのアルキルチオプロピオン酸の多価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)のエステル(例えばペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート)が挙げられる。
【0046】
リン系酸化防止剤としては、たとえばトリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル−ジフエニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル・4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)]ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトなどが挙げられる。
【0047】
さらに他の酸化防止剤として6−ヒドロキシクロマン誘導体たとえばα、β、γ、δの各種トコフェロールあるいはこれらの混合物、2−(4−メチル−ペンタ−3−エニル)−6−ヒドロキシクロマンの2,5−ジメチル置換体、2,5,8−トリメチル置換体、2,5,7,8−テトラメチル置換体、2,2,7−トリメチル−5−tert−ブチル−6−ヒドロキシクロマン、2,2,5−トリメチル−7−tert−ブチル−6−ヒドロキシクロマン、2,2,5−トリメチル−6−tert−ブチル−6−ヒドロキシクロマン、2,2−ジメチル−5−tert−ブチル−6−ヒドロキシクロマンなどを用いることもできる。
【0048】
また一般式MxAly(OH)2x+3y−2z(A)z・aH2O(MはMg、CaまたはZNであり、Aは水酸基以外のアニオンであり、x、y、zは正数、aは0または正数である)で示される複化合物、例えばMg6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg6Al2(OH)20CO3・5H2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg10Al2(OH)22(CO3)2・4H2O、Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Zn6Al2(OH)16SO4・4H2O、Mg6Al2(OH)16SO3・4H2O、Mg6Al2(OH)12CO3・3H2Oなどをたとえば塩酸吸収剤として用いることができる。
【0049】
光安定剤としては、たとえば2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン−2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール類、フェニルサリシレート−p−tert−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)Ni塩、[2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノラート)]−N−ブチルアミンNi、(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホン酸モノエチルエステルNi塩などのニッケル化合物類、α−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリル酸メチルなどの置換アクリロニトリル類およびN’−2−エチルフェニル−N−エトキシ−5−tert−ブチルフェニルシュウ酸ジアミド、N−2−エチルフェニル−N’−2−エトキシフェニルシュウ酸ジアミドなどのシュウ酸ジアニリド類、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバシエ−ト、ポリ[{(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ}−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル{4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン]、2−(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジル)エタノールとコハク酸ジメチルとの縮合物などのヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0050】
滑剤としては、たとえばパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの脂肪族炭化水素類、カプリン類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸類またはこれらの金属塩類(たとえばリチウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩)、パルミチルアルコ−ル、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪族アルコール類、カプロン類アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリル酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドなどの脂肪族アミド類、脂肪族とアルコールとのエステル類、フルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、フルオロアルキルスルホン酸金属塩などのフッ素化合物類が挙げられる。
【0051】
上記のような添加剤は、プロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、0.0001重量部〜10重量部の量で用いることができる。本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、上記のような添加剤類を含有することによって、物性バランス、耐久性、塗装性、印刷性、耐傷付き性および成形加工性などが一層向上された成形体を形成することができる。
【0052】
また、本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、上述のように核剤を含有していてもよい。核剤としては、従来知られている種々の核剤が特に制限されることなく用いられるが、中でも下記に挙げる芳香族リン酸エステル塩、ジベンジリデンソルビトールなどの核剤が好ましい。
【0053】
芳香族リン酸エステル塩の具体例としてはナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェ−ト]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2’−チオビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−チオビス−(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス−(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート)、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4’−ジメチル−5,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(4,4’−ジメチル−6,6’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−m−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェ−ト]、バリウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−エチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−i−プロピルフェニル)フォスフェ−ト、ナトリウム−ビス(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェ−ト、マグネシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの組合せを例示することができる。これらのうちではナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0054】
また、ソルビトール系核剤の具体例としては1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−N−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−N−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2−4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの組合せを例示することができる。これらのうちでは、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの組合せが好ましい。
【0055】
さらに核剤としては、芳香族カルボン酸の金属塩、脂肪族カルボン酸の金属塩を用いることができ、具体的には、安息香酸アルミニウム塩、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0056】
またタルクなどの無機化合物を核剤として用いることもできる。上記のような核剤は、プロピレン系樹脂組成物100重量部当り0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部の量で組成物中に含有されていてもよい。
【0057】
上記のような核剤を含有していると、プロピレン重合体組成物の結晶化速度が向上され、結晶化時に結晶粒子を微細化することができるとともに、より高速で成形することができる。
【0058】
(E−b)エラストマー成分
また、本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は本発明の目的を損なわない範囲で、他のエラストマー、他の重合体を含有していても良い。このような他のエラストマーとしては、前記(C)成分以外のオレフィン系エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
【0059】
オレフィン系エラストマーとしては、オレフィンを主成分とする非晶性弾性共重合体が挙げられ、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン共重合エラストマーあるいはこれらと非共役ジエンとの共重合エラストマーなどが挙げられる。
【0060】
この非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0061】
このようなオレフィン系エラストマーとしては、具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体エラストマーなどが挙げられる。
【0062】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン類と共役ジエン化合物のブロック共重合体が挙げられる。このスチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレンおよびこれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
【0063】
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエンおよびこれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0064】
このようなスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的に、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イソプレンジブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・ブタジエンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物を挙げることができる。
【0065】
本発明では、スチレン系化合物から導かれる単位と共役ジエン化合物から導かれる単位の重量比が、10/90〜65/35、好ましくは20/80〜50/50であるスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることが望ましい。なお、このスチレン系熱可塑性エラストマーの分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状またはこれらの組み合わせなどいずれであってもよい。他の重合体としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリ1−ブテンなどのα−オレフィン単独重合体またはα−オレフィン共重合体、α−オレフィンとビニルモノマーとの共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの変性オレフィン重合体、ナイロン、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンオキサイド、石油樹脂、フェノール樹脂などを用いることができる。
【0066】
〔ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法〕
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂組成物は前記の(A)〜(D)および、必要に応じて(E)成分を均一に配合させることによって製造される。その配合方法(混合方法)については特に制限はなく、合成樹脂の分野において一般に行われている方法を適用すれば良い。混合方法としては、一般に行われているヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサーのごとき混合機を使用してドライブレンドする方法ならびにオープンロール、押出混合機、ニーダーおよびバンバリーのごとき混合機を用いて溶融させながら混合させる方法が挙げられる。これらの方法のうち、より一層均一な樹脂組成物を得るにはこれらの混合方法を二種以上併用させることが望ましい。例えば、あらかじめドライブレンドさせた後、その混合物を溶融混合させることが好ましい。ドライブレンドを併用する場合でも、溶融混合させる方法を一種または二種以上併用する場合でも、後述する成形方法によって成形物を製造するにあたり、ペレタイザーを使用してペレットに製造して用いることが特に好ましい。
【0067】
以上の混合方法のうち、溶融混合させる場合でも、後述する成形方法によって成形する場合でも、使用される樹脂が溶融する温度で実施しなければならない。しかし、高い温度で実施すると樹脂が熱分解や劣化を起こすため、一般には160〜350℃(好ましくは、170〜260℃)で実施される。
【0068】
〔インストルメントパネル成形品の製造方法〕
本発明に係わる上記ポリプロピレン系樹脂組成物は、インストルメントパネル用の金型を使用して、公知の射出成形法(射出圧縮成形法、ガス注入射出成形法を含む)で成形することにより、本発明のインストルメントパネルとすることができる。
【0069】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。なお、当該実施例における試験片作製および各物性値の測定は、以下に示す方法に従って行った。
〔1〕樹脂組成物の製造条件
2軸押出し機(KTX−30:神戸製鋼製)を用いて、下記条件にて樹脂組成物を製造した。
<混練条件>
シリンダー温度:180℃
回転数:350rpm
吐出量:30kg/時間
〔2〕物性測定用試験片作製
Funacα100C射出成形機((株)ファナック製)を用い、下記条件にて試験片金型により測定用試験片を作製した。
〔6〕アイゾット衝撃試験
機械切削にてノッチ加工した試験片を用い、JIS K7110に準拠して測定を行った。
〔7〕光沢値(JIS K7105に準拠)
<試験片> 300(縦)×140(横)×3mm(厚み) 鏡面
<試験条件> 入射角60°および反射角60°
〔8〕スパイラル流動長
J100E−P(日本製鋼製)射出成形機を用いて、厚み3mmのスパイラルフロー金型で評価した。成形条件を下記に示す。
<成形条件>
シリンダー温度:170℃
金型温度:40℃
射出圧力:93MPa
冷却時間:20秒
〔9〕フローマーク評価
IS150射出成形機(東芝機械製)を用いて射出成形にて成形した平板を用いて、フローマークの評価を行った。評価は、ゲートからフローマークが発生し始めるまでの位置と目立ち具合の目視評価を求め、それらの積、即ち(フローマーク発生位置)×(目視評価)で行い、この値の大きさで判定した。なお、目立ち易さは下記のように4段階で評価した。
4:フローマークなし、あるいは極めて目立ちにくい
3:フローマーク目立ちにくい
2:フローマークやや目立つ
1:フローマーク目立つ
<成形条件>
シリンダー温度:210℃
金型温度:40℃
射出時間:11秒
冷却時間:20秒
〔10〕ダイスウェル比
Capirograph 1B((株)東洋精機製作所製)を用いて、せん断速度γ=200s−1のオリフィス内径に対するダイスウェル比を下記条件により測定した。
<測定条件>
シリンダー温度:210℃
L(オリフィスの長さ)/D(オリフィスの内径)=40
せん断速度:50〜50,000s−1の間で変化
〔11〕インストルメントパネルの成形
IS2200DE射出成形機((株)東芝機械製)を用いてインストルメントパネル用金型で成形した。成形品は下記〔12〕および〔13〕のインストルメントパネル実用試験に使用した。なお、実用試験〔12〕、〔13〕は特開平11−130924号公報に開示されている方法を採用した。射出成形条件は下記のとおりである。
<成形条件>
シリンダー温度:230℃
ホットランナー温度:200℃
金型温度:30℃
射出時間:15秒
冷却時間:40秒
〔12〕インストルメントパネルの耐熱変形性試験
表面温度が110℃になるように、赤外線ランプによりインストルメントパネルの表面に赤外線を4時間照射した後、3個所の隙間変化を測定した。判定基準は最大変化量が3mm未満を○、3mm以上を×と評価した。
〔13〕インストルメントパネルの衝撃性能試験
FMVSS201、ECE21に基き、直径16.5cm、重さ6.8kgの頭部模型を用い、相対速度24.1km/hで衝撃を加え、頭部模型の減速度の測定と打撃部分の観察を行った。判定基準は減速度が3msecより多く持続して666.4m/sec2以上となることなく、かつ打撃部分の観察において打撃点にシャープエッジが認められない場合を○と判定し、減速度が3msecより多く持続して666.4m/sec2以上であるか、打撃部分の観察において打撃点にシャープエッジが認められた場合を×と判定した。
【0070】
(実施例1)
A成分として表1に示すMFR1500(g/10分)の結晶性ホモポリプロピレン(A−1)20質量%、B成分として表2に示すゴム含量35質量%、ゴム中のエチレン含量40質量%、ゴムの[η]が7.6(dl/g)の結晶性エチレン・プロピレン共重合体(B−1)40質量%、C成分として表3に示すMFR0.02(g/10分)、エチレン含量73質量%、CSD1.2のエチレン・プロピレン共重合体ゴム(C−1)10質量%、D成分として平均粒径2.5μmのタルク(商品名5000SA:林化成製)20質量%、E−b成分としてスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物(商品名クレイトンG1657;クレイトンポリマージャパン製)10質量%の合計100質量%(表4参照)に対して、E−a成分(添加剤)として酸化防止剤0.1重量部(商品名イルガノックスB225:チバガイギー製)、帯電防止剤0.2重量部(商品名 TS−5:花王製)、耐光剤0.2重量部(商品名LA502XP:旭電化製)、滑剤0.1重量部(商品名カルシウムステアレートS:日本油脂製)および核剤0.1重量部(商品名NA11:旭電化製)を加え、これらの混合物をヘンシェルミキサーを用いて600rpm、2分間攪拌混合した後、前述〔1〕の2軸押出し機を用いて混練、造粒して目的のポリプロピレン系樹脂組成物を製造した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
上記の組成物を用いて前述の〔2〕に記載の条件で機械物性測定用試験片を作製、前述の〔4〕、〔5〕および〔6〕に記載の方法に従って物性試験を行った。また前述の〔9〕の成形条件で平板を作製し、〔7〕の光沢値の測定、および〔9〕の外観評価を実施した。更に同組成物のペレットを用いて前述の〔8〕の方法に従ってスパイラル流動長の測定、および〔10〕の方法によりダイスウェル比の測定を行った。また前述の〔11〕の成形条件でインストルメントパネルの作製を行い、同成形品を用いて〔12〕および〔13〕の実性能試験を行った。この結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
(実施例2〜9)
結晶性ホモポリプロピレンとして表1に示したA−1,A−2あるいはA−3、結晶性エチレン・プロピレン共重合体として表2に示したB−1,B−2,B−3あるいはB−4、エチレン・プロピレン共重合体ゴムとして表3に示したC−1,C−2,C−3あるいはC−4を使用して、表4に示した配合比に混合し、これ以外は実施例1と同様の要領により組成物を製造し、同様の評価を行った。その結果を表5に併せて示す。
【0078】
(比較例1〜7)
上記同様に、表1〜3に示した性状の材料を用いて、表4に示した配合比としたこと以外は実施例1と同様にして組成物を製造し、各種評価を行った。この結果を表5に併せて示す。
【0079】
表5の結果から明らかなように、本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物は、流動性に富み、射出成形性や外観性能、機械物性に優れ、光沢性も低いことが判明し、当該ポリプロピレン系樹脂組成物からなるインストルメントパネルについても耐熱性や衝撃強度に優れていることが確認された。これら実施例に対して[η]が低い結晶性エチレン・プロピレン共重合体B−3を用いた比較例1に係わる樹脂組成物においては、ダイスウェル比が低く、外観性能が劣ると共に、光沢値が高く、さらにエチレン含有量が高い結晶性エチレン・プロピレン共重合体B−4を用いた比較例2に係わる樹脂組成物においては、外観性能が劣り、光沢値が高いことに加えて、曲げ弾性率が低く、該樹脂組成物からなるインストルメントパネルも熱変形性に劣ることが判明した。
【0080】
また、MFRが低い結晶性ホモポリプロピレンA−2とMFRが高い結晶性ホモポリプロピレンA−3とを併用した比較例3においては、樹脂組成物の流動性が悪く、外観性能に劣ることが確認され、MFRが高い結晶性ホモポリプロピレンA−3を使用した比較例4の樹脂組成物においては、アイゾット衝撃値が低く、インストルメントパネルとしたときの耐衝撃性に欠ける結果となった。
【0081】
さらに、エチレン含有量が低いエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムC−2を使用した比較例5、エチレン含有量が低く、さらにMFRが高いエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムC−3を使用した比較例6では、共に光沢値が高いことが確認され、エチレン含有量が低く、かつCSDが低いエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムC−4を使用した比較例7に係わる樹脂組成物においては、衝撃値が低下し、当該樹脂組成物からなるインストルメントパネルも耐衝撃性に劣ることが判明した。
【0082】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係わるポリプロピレン系樹脂組成物は、機械的物性、射出成形性に優れ、フローマークやウエルドなどの外観も良好で、光沢値も低いことから、当該樹脂組成物を使用することにより、低光沢性、外観性能を改良することができ、インストルメントパネルの無塗装化を可能にすることができるという極めて優れた効果がもたらされる。
Claims (7)
- A)230℃、21.2Nの荷重におけるメルトフローレートが500〜3000(g/10分)、沸騰p−キシレン可溶分が6.0質量%以下の結晶性ホモポリプロピレン:5.0〜30質量%、
B)極限粘度(135℃デカリン中)[η]が5.0〜10(dl/g)、エチレン含有量が25〜55質量%であるエチレン・プロピレン共重合体ゴムを10〜60質量%含む結晶性エチレン・プロピレン共重合体:5.0〜84質量%、
C)230℃、21.2Nの荷重におけるメルトフローレートが0.1(g/10分)以下、エチレン含有量が60〜80質量%、13C−NMRで測定したコモノマー連鎖分布が1.0〜2.0であるエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム:1.0〜15質量%、および
D)無機フィラー:10〜30質量%
を必須成分として含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。 - JIS K7171に規定される方法により測定した23℃での曲げ弾性率の値が1800(MPa)以上、JIS K7110に規定される方法により測定した10℃でのアイゾット衝撃値が10(kJ/m2)以上、JIS K7191に規定される方法により測定した0.45(MPa)の曲げ応力での荷重たわみ温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- シリンダー温度170℃、射出圧力93MPaの射出成形条件において厚み3mmのスパイラルフロー金型での流動長が80cm以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- シリンダ−温度210℃、L/D=40のキャピラリーを用いたキャピラリーレオメーターにおいてせん断速度γ=200s−1におけるダイスウェル比が1.15以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- JIS K7105に規定される方法により測定した入射光と反射光の角度60°の光沢値が30%以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- D成分がタルクであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いてなることを特徴とするインストルメントパネル。
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