JP2004010416A - 光線遮蔽用ガラスコーティング剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】赤外線を有効に遮蔽し、ガラスに均一に塗りやすく、乾燥性にすぐれ、形成されたコーティング膜によりガラス面が雲ったり、ゆがんだりするなどの影響がない光線遮蔽用ガラスコーティング剤を提供すること。
【解決手段】コーティング剤の全質量に対して0.1〜10質量%の赤外線吸収剤、コーティング剤の全質量に対して0.1〜20質量%のカチオン性ポリマー、前記赤外線吸収剤100質量部に対して0.001〜1.0質量部のアニオン系界面活性剤、コーティング剤の全質量に対して10〜90質量%のアルコール系溶媒、及びコーティング剤の全質量に対して5〜70質量%の水を含有する光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
【解決手段】コーティング剤の全質量に対して0.1〜10質量%の赤外線吸収剤、コーティング剤の全質量に対して0.1〜20質量%のカチオン性ポリマー、前記赤外線吸収剤100質量部に対して0.001〜1.0質量部のアニオン系界面活性剤、コーティング剤の全質量に対して10〜90質量%のアルコール系溶媒、及びコーティング剤の全質量に対して5〜70質量%の水を含有する光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や住宅建築等の窓ガラスに適した光線遮蔽用ガラスコーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、赤外線を吸収遮断するガラスの製法としては、リン酸ガラスまたはホウ酸ガラスに数質量%の鉄分を加え、溶融して鉄の還元状態を作成したり、普通の板ガラスにFe2+分を多くして製造する方法が知られている。しかしながらこれらの方法は、高温で処理する必要があるため、必要な時に簡単な処理が出来ないこと、さらに夏場の暑い日によく経験される自動車内の温度上昇を和らげるのに充分な赤外線吸収効果を有するガラスを得るのが難しい等の問題がある。
【0003】
こうした問題点を解決するための方法として、特開平08−165444号には、赤外線吸収用金属酸化物を常温乾燥型ポリマー溶液に配合した、ガラスに塗布して使用するタイプのガラス用光線遮蔽剤が開示されている。しかし、このガラス用光線遮蔽剤は、該特許の実施例1〜4に記述されているように全体量に対し80〜90質量%という多量の水分を含んでいるために、塗布した場合乾燥しにくく、さらに自動車や一般建築のガラス面の様に傾斜がある場合には塗布した液が乾燥前にたれ落ちるなどの問題がある。
さらに特開平09−208863号には、複数の赤外線吸収剤を使用したコーティング組成物が開示されているが、実施例で示されているようにトルエンやメチルエチルケトンなどの有機溶媒を使用しているため自動車や建築用の窓ガラスに塗布するには適さない。また使用されている樹脂もポリオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂あるいはアクリル系樹脂であるため、容易に拭き取ることが出来ない等の問題があり、ガラスに塗布するには適さない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、光線、特に赤外線を有効に遮蔽し、ガラスに均一に塗りやすく、乾燥性にすぐれ、形成されたコーティング膜によりガラス面が雲ったり、ゆがんだりするなどの影響がない光線遮蔽用ガラスコーティング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる従来技術の欠点、課題を改良すべく鋭意検討した結果、赤外線吸収剤、特に赤外線吸収性金属酸化物の微粒子を均一に分散すること、液の粘性を特定の範囲でコントロールすること、さらに、アルコール系溶媒の含有量を特定の範囲にコントロールすることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、赤外線吸収剤、アニオン系界面活性剤、カチオン性ポリマー、アルコール系溶媒、及び水を含有してなる光線遮蔽用ガラスコーティング剤を提供するものである。
本発明の好ましい実施態様は、コーティング剤の全質量に対して0.1〜10質量%の赤外線吸収剤、コーティング剤の全質量に対して0.1〜20質量%のカチオン性ポリマー、前記赤外線吸収剤100質量部に対して0.001〜1.0質量部のアニオン系界面活性剤、コーティング剤の全質量に対して10〜90質量%のアルコール系溶媒、及びコーティング剤の全質量に対して5〜70質量%の水を含有する光線遮蔽用ガラスコーティング剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に使用する赤外線吸収剤は、赤外線を吸収する性質を有するものであれば良く特に限定されないが、例えば、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、インジウムドープ酸化錫(ITO)、酸化バナジウム(VO)等の金属酸化物、及びイモニウム系、アミニウム系、ポリメチン系、アントラキノン系の赤外線吸収剤が好適に使用できる。これらのうち金属酸化物が特に好ましい。
本発明の光線遮蔽用ガラスコーティング剤中の赤外線吸収剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満では赤外線吸収効果が劣り、10質量%を超えるとコストが高くなるばかりか、ガラスに塗布した場合コーティング膜が曇り易くなる等の弊害が生じる。
また上記赤外線吸収剤として金属酸化物を用いる場合、その粒子径は100nm以下であることが好ましい。粒子径が100nmを超えるとコーティング膜が曇る等の弊害が生じる。
【0006】
本発明に使用するカチオン性ポリマーは水溶性であることが好ましく、このような水溶性ポリマーとしては、塩化ジメチルジアリルアンモニウムポリオキシエチレン、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸の共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドの共重合体、カチオン化ポリビニルピロリドン、カチオン化デキストリン、カチオン化グアーガム、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化ポリペプチド、キトサン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらのうち、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、カチオン化ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンが特に好ましい。
本発明のコーティング剤中のカチオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.05〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満ではコーティング膜が均一に形成しにくくなり、20質量%を超えるとコストが高くなるばかりか、ガラスに塗布した場合、膜厚を均一に塗布することが難しい為、ガラス面がゆがむ等の弊害が生じる。
【0007】
本発明に使用するアニオン系界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうちアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
本発明のコーティング剤中のアニオン系界面活性剤の含有量は、赤外線吸収剤に対しては好ましくは0.1〜100質量%であり、さらに好ましくは1.0〜50質量%である。0.1質量%未満では赤外線吸収剤(金属酸化物)の微粒子が液中で凝集しやすくなり、100質量%を超えるとガラスに塗布した場合、曇りを生じる等の弊害が生じる。
【0008】
本発明に使用するアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらのうちエタノール、プロパノールが特に好適である。
本発明のコーティング剤中、アルコール系溶媒の含有量は、好ましくは10〜95質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。10質量%未満ではガラスにコーティング液を塗布した時の乾燥性が悪くなり作業性に問題があり、95質量%を超えるとコーティング液の粘度が低下し液がたれてしまうことや、さらにカチオン性ポリマーが凝集する等の弊害が生じる。
【0009】
本発明のコーティング剤中、水の含有量は、5〜70質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。5質量%未満ではカチオン性ポリマーが凝集し易くなる等の問題があり、70質量%を超えるとコーティング被膜が乾燥しにくくなる等の弊害が生じる。
【0010】
本発明のコーティング剤に、任意成分として使用される紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうちベンゾフェノン系紫外線吸収剤が特に好適である。本発明のコーティング剤中、紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1.0質量%が適当である。
【0011】
さらに必要に応じて、上記記載以外の溶剤、界面活性剤、増粘剤、成膜助剤、着色剤などが使用できる。上記記載のカチオン化ポリマーの被膜により副次効果としてガラスが曇りにくくなったり、結露が防止しやすい等の効果も生じる。
本発明のコーティング剤の粘度は、好ましくは0.01〜1.0Pa.sであり、さらに好ましくは0.02〜0.2Pa.sである。粘度が0.01Pa.s未満では液が垂れ易くなる等の問題が生じ、また、粘度が1.0Pa.sを超えると液のレベリング性が著しく劣るため好ましくない。
本発明の光線遮蔽ガラスコーティング剤の塗布には、従来から知られている一般的な方法、例えば、スプレー塗布、刷毛塗り、スポンジや布での塗布、ローラー塗布などの方法が適用できる。塗布後、乾燥させて、光線遮蔽コーティング被膜を形成することが出来る。塗布量は特に限定されないが0.001g/cm2〜0.1g/cm2で目的の光線遮蔽効果を有する被膜を形成することができる。
【0012】
【実施例】
本発明について実施例によりさらに詳細に説する。
実施例1
カチオン化ポリビニルアルコール(カチオン化PVA)(C−506:クラレ製)の粉体5質量部を水に溶かして20質量%溶液を調製する。次にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライポンLS−250;ライオン製)0.1質量部をよくかき混ぜて溶解する。次にエタノール59.9質量部を添加してポリマー液を溶解する。次にATO(アンチモンドープ酸化錫15質量%エタノール分散液)15質量部を添加してよく攪拌し、光線遮蔽用ガラスコーティング剤を調製した。このときの粘度は0.02Pa.sであった。
【0013】
実施例2〜9
実施例1と同様の手順で表1に示した成分と添加量で光線遮蔽用ガラスコーティング液を調製した。
【0014】
比較例1:実施例1と同様の手順でアニオン系界面活性剤を添加しなかった。
比較例2:実施例2と同様の手順でアルコール成分を水で置き換えた。
比較例3:実施例5と同様の手順でカチオン化セルロースをカルボキシメチルセルロースに置き換えた。
比較例4:実施例1と同様の手順でカチオン化PVAをポリビニルアルコールに置き換えた。
【0015】
上記ガラスコーティング剤の性能試験は次の方法で行った。
<評価方法>
調製した液をスライドガラス(7.5×2.5cm、厚み1mm)にスポンジを用いて0.1g均一に塗布した。その後室温条件(20〜25℃、湿度40〜60%)で自然に乾燥させてコーティング被膜を形成した。
赤外線透過率
上記コーティング被膜形成スライドガラスの赤外線波長2000nmにおける透過率を分光光度計を用いて測定した。透過率は小さいほど性能が良い。
乾燥性
乾燥のしやすさを次の基準で評価した。
○:5分未満で完全に乾燥する
△:5分以上〜10分未満で乾燥する
×:10分以上で乾燥する
被膜形成後のガラスへの影響度
◎:未処理の場合と同等で全く影響なし
○:僅かに曇るが実用上支障なし
△:やや曇りやゆがみあり
×:曇り、ゆがみが著しい
結果を表1及び表2にまとめて示す。成分量の単位は質量部である。
【0016】
【発明の効果】
本発明のコーティング剤は、ガラスに均一に塗りやすく、乾燥性にすぐれ、コーティング膜によりガラス面が曇ったり、ゆがんだりなどの影響がない。また、被膜を形成したガラスは赤外線を有効に遮蔽する。
【0017】
【表1】
【0018】
ATO:アンチモント゛ーフ゜酸化錫 15質量%エタノール溶液
ITO:インシ゛ウムト゛ーフ゜酸化錫 15質量%エタノール溶液
VO :酸化ハ゛ナシ゛ウム 15質量%エタノール溶液
カチオン化PVA: カチオン化ホ゜リヒ゛ニルアルコール(C−318: クラレ製)20%水溶液
ホ゜リエチレニミン: P−1000:日本触媒製 10%水溶液
ホ゜リヒ゛ニルヒ゜ロリト゛ン: K−30: アイエスヒ゜ーシ゛ャハ゜ン製 10%水溶液
カチオン化セルロース1: ホ゜イス゛C−80M;花王製 2%水溶液
カチオン化セルロース2: カチナールHC−200 ;東邦化学製 3%水溶液
AES−TEA: ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン(エマール20T:花王製)
AS−TEA: アルキル硫酸トリエタノールアミン(エマールTD:花王製)
KAS−Na:直鎖アルキルヘ゛ンセ゛ンスルホン酸Na(ライホ゜ンLS−250:ライオン製)
紫外線吸収剤:2,4−シ゛ヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン
【0019】
【表2】
【0020】
CMC:カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学製)3%水溶液
PVA:ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール500:純正化学製)20%水溶液
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や住宅建築等の窓ガラスに適した光線遮蔽用ガラスコーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
従来、赤外線を吸収遮断するガラスの製法としては、リン酸ガラスまたはホウ酸ガラスに数質量%の鉄分を加え、溶融して鉄の還元状態を作成したり、普通の板ガラスにFe2+分を多くして製造する方法が知られている。しかしながらこれらの方法は、高温で処理する必要があるため、必要な時に簡単な処理が出来ないこと、さらに夏場の暑い日によく経験される自動車内の温度上昇を和らげるのに充分な赤外線吸収効果を有するガラスを得るのが難しい等の問題がある。
【0003】
こうした問題点を解決するための方法として、特開平08−165444号には、赤外線吸収用金属酸化物を常温乾燥型ポリマー溶液に配合した、ガラスに塗布して使用するタイプのガラス用光線遮蔽剤が開示されている。しかし、このガラス用光線遮蔽剤は、該特許の実施例1〜4に記述されているように全体量に対し80〜90質量%という多量の水分を含んでいるために、塗布した場合乾燥しにくく、さらに自動車や一般建築のガラス面の様に傾斜がある場合には塗布した液が乾燥前にたれ落ちるなどの問題がある。
さらに特開平09−208863号には、複数の赤外線吸収剤を使用したコーティング組成物が開示されているが、実施例で示されているようにトルエンやメチルエチルケトンなどの有機溶媒を使用しているため自動車や建築用の窓ガラスに塗布するには適さない。また使用されている樹脂もポリオレフィン系樹脂やポリエステル樹脂あるいはアクリル系樹脂であるため、容易に拭き取ることが出来ない等の問題があり、ガラスに塗布するには適さない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、光線、特に赤外線を有効に遮蔽し、ガラスに均一に塗りやすく、乾燥性にすぐれ、形成されたコーティング膜によりガラス面が雲ったり、ゆがんだりするなどの影響がない光線遮蔽用ガラスコーティング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる従来技術の欠点、課題を改良すべく鋭意検討した結果、赤外線吸収剤、特に赤外線吸収性金属酸化物の微粒子を均一に分散すること、液の粘性を特定の範囲でコントロールすること、さらに、アルコール系溶媒の含有量を特定の範囲にコントロールすることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、赤外線吸収剤、アニオン系界面活性剤、カチオン性ポリマー、アルコール系溶媒、及び水を含有してなる光線遮蔽用ガラスコーティング剤を提供するものである。
本発明の好ましい実施態様は、コーティング剤の全質量に対して0.1〜10質量%の赤外線吸収剤、コーティング剤の全質量に対して0.1〜20質量%のカチオン性ポリマー、前記赤外線吸収剤100質量部に対して0.001〜1.0質量部のアニオン系界面活性剤、コーティング剤の全質量に対して10〜90質量%のアルコール系溶媒、及びコーティング剤の全質量に対して5〜70質量%の水を含有する光線遮蔽用ガラスコーティング剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に使用する赤外線吸収剤は、赤外線を吸収する性質を有するものであれば良く特に限定されないが、例えば、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、インジウムドープ酸化錫(ITO)、酸化バナジウム(VO)等の金属酸化物、及びイモニウム系、アミニウム系、ポリメチン系、アントラキノン系の赤外線吸収剤が好適に使用できる。これらのうち金属酸化物が特に好ましい。
本発明の光線遮蔽用ガラスコーティング剤中の赤外線吸収剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%未満では赤外線吸収効果が劣り、10質量%を超えるとコストが高くなるばかりか、ガラスに塗布した場合コーティング膜が曇り易くなる等の弊害が生じる。
また上記赤外線吸収剤として金属酸化物を用いる場合、その粒子径は100nm以下であることが好ましい。粒子径が100nmを超えるとコーティング膜が曇る等の弊害が生じる。
【0006】
本発明に使用するカチオン性ポリマーは水溶性であることが好ましく、このような水溶性ポリマーとしては、塩化ジメチルジアリルアンモニウムポリオキシエチレン、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸の共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリルアミドの共重合体、カチオン化ポリビニルピロリドン、カチオン化デキストリン、カチオン化グアーガム、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化ポリペプチド、キトサン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらのうち、カチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、カチオン化ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンが特に好ましい。
本発明のコーティング剤中のカチオン性ポリマーの含有量は、好ましくは0.05〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満ではコーティング膜が均一に形成しにくくなり、20質量%を超えるとコストが高くなるばかりか、ガラスに塗布した場合、膜厚を均一に塗布することが難しい為、ガラス面がゆがむ等の弊害が生じる。
【0007】
本発明に使用するアニオン系界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうちアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
本発明のコーティング剤中のアニオン系界面活性剤の含有量は、赤外線吸収剤に対しては好ましくは0.1〜100質量%であり、さらに好ましくは1.0〜50質量%である。0.1質量%未満では赤外線吸収剤(金属酸化物)の微粒子が液中で凝集しやすくなり、100質量%を超えるとガラスに塗布した場合、曇りを生じる等の弊害が生じる。
【0008】
本発明に使用するアルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらのうちエタノール、プロパノールが特に好適である。
本発明のコーティング剤中、アルコール系溶媒の含有量は、好ましくは10〜95質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。10質量%未満ではガラスにコーティング液を塗布した時の乾燥性が悪くなり作業性に問題があり、95質量%を超えるとコーティング液の粘度が低下し液がたれてしまうことや、さらにカチオン性ポリマーが凝集する等の弊害が生じる。
【0009】
本発明のコーティング剤中、水の含有量は、5〜70質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。5質量%未満ではカチオン性ポリマーが凝集し易くなる等の問題があり、70質量%を超えるとコーティング被膜が乾燥しにくくなる等の弊害が生じる。
【0010】
本発明のコーティング剤に、任意成分として使用される紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらのうちベンゾフェノン系紫外線吸収剤が特に好適である。本発明のコーティング剤中、紫外線吸収剤の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1.0質量%が適当である。
【0011】
さらに必要に応じて、上記記載以外の溶剤、界面活性剤、増粘剤、成膜助剤、着色剤などが使用できる。上記記載のカチオン化ポリマーの被膜により副次効果としてガラスが曇りにくくなったり、結露が防止しやすい等の効果も生じる。
本発明のコーティング剤の粘度は、好ましくは0.01〜1.0Pa.sであり、さらに好ましくは0.02〜0.2Pa.sである。粘度が0.01Pa.s未満では液が垂れ易くなる等の問題が生じ、また、粘度が1.0Pa.sを超えると液のレベリング性が著しく劣るため好ましくない。
本発明の光線遮蔽ガラスコーティング剤の塗布には、従来から知られている一般的な方法、例えば、スプレー塗布、刷毛塗り、スポンジや布での塗布、ローラー塗布などの方法が適用できる。塗布後、乾燥させて、光線遮蔽コーティング被膜を形成することが出来る。塗布量は特に限定されないが0.001g/cm2〜0.1g/cm2で目的の光線遮蔽効果を有する被膜を形成することができる。
【0012】
【実施例】
本発明について実施例によりさらに詳細に説する。
実施例1
カチオン化ポリビニルアルコール(カチオン化PVA)(C−506:クラレ製)の粉体5質量部を水に溶かして20質量%溶液を調製する。次にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ライポンLS−250;ライオン製)0.1質量部をよくかき混ぜて溶解する。次にエタノール59.9質量部を添加してポリマー液を溶解する。次にATO(アンチモンドープ酸化錫15質量%エタノール分散液)15質量部を添加してよく攪拌し、光線遮蔽用ガラスコーティング剤を調製した。このときの粘度は0.02Pa.sであった。
【0013】
実施例2〜9
実施例1と同様の手順で表1に示した成分と添加量で光線遮蔽用ガラスコーティング液を調製した。
【0014】
比較例1:実施例1と同様の手順でアニオン系界面活性剤を添加しなかった。
比較例2:実施例2と同様の手順でアルコール成分を水で置き換えた。
比較例3:実施例5と同様の手順でカチオン化セルロースをカルボキシメチルセルロースに置き換えた。
比較例4:実施例1と同様の手順でカチオン化PVAをポリビニルアルコールに置き換えた。
【0015】
上記ガラスコーティング剤の性能試験は次の方法で行った。
<評価方法>
調製した液をスライドガラス(7.5×2.5cm、厚み1mm)にスポンジを用いて0.1g均一に塗布した。その後室温条件(20〜25℃、湿度40〜60%)で自然に乾燥させてコーティング被膜を形成した。
赤外線透過率
上記コーティング被膜形成スライドガラスの赤外線波長2000nmにおける透過率を分光光度計を用いて測定した。透過率は小さいほど性能が良い。
乾燥性
乾燥のしやすさを次の基準で評価した。
○:5分未満で完全に乾燥する
△:5分以上〜10分未満で乾燥する
×:10分以上で乾燥する
被膜形成後のガラスへの影響度
◎:未処理の場合と同等で全く影響なし
○:僅かに曇るが実用上支障なし
△:やや曇りやゆがみあり
×:曇り、ゆがみが著しい
結果を表1及び表2にまとめて示す。成分量の単位は質量部である。
【0016】
【発明の効果】
本発明のコーティング剤は、ガラスに均一に塗りやすく、乾燥性にすぐれ、コーティング膜によりガラス面が曇ったり、ゆがんだりなどの影響がない。また、被膜を形成したガラスは赤外線を有効に遮蔽する。
【0017】
【表1】
【0018】
ATO:アンチモント゛ーフ゜酸化錫 15質量%エタノール溶液
ITO:インシ゛ウムト゛ーフ゜酸化錫 15質量%エタノール溶液
VO :酸化ハ゛ナシ゛ウム 15質量%エタノール溶液
カチオン化PVA: カチオン化ホ゜リヒ゛ニルアルコール(C−318: クラレ製)20%水溶液
ホ゜リエチレニミン: P−1000:日本触媒製 10%水溶液
ホ゜リヒ゛ニルヒ゜ロリト゛ン: K−30: アイエスヒ゜ーシ゛ャハ゜ン製 10%水溶液
カチオン化セルロース1: ホ゜イス゛C−80M;花王製 2%水溶液
カチオン化セルロース2: カチナールHC−200 ;東邦化学製 3%水溶液
AES−TEA: ホ゜リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン(エマール20T:花王製)
AS−TEA: アルキル硫酸トリエタノールアミン(エマールTD:花王製)
KAS−Na:直鎖アルキルヘ゛ンセ゛ンスルホン酸Na(ライホ゜ンLS−250:ライオン製)
紫外線吸収剤:2,4−シ゛ヒト゛ロキシヘ゛ンソ゛フェノン
【0019】
【表2】
【0020】
CMC:カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学製)3%水溶液
PVA:ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール500:純正化学製)20%水溶液
Claims (6)
- 赤外線吸収剤、カチオン性ポリマー、アニオン系界面活性剤、アルコール系溶媒、及び水を含有してなる光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
- コーティング剤の全質量に対して0.1〜10質量%の赤外線吸収剤、コーティング剤の全質量に対して0.1〜20質量%のカチオン性ポリマー、前記赤外線吸収剤100質量部に対して0.001〜1.0質量部のアニオン系界面活性剤、コーティング剤の全質量に対して10〜90質量%のアルコール系溶媒、及びコーティング剤の全質量に対して5〜70質量%の水を含有する請求項1記載の光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
- 赤外線吸収剤が、金属酸化物である請求項1又は2記載の光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
- カチオン化ポリマーがカチオン化ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、及びカチオン化ポリビニルピロリドンからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項記載の光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
- さらに紫外線吸収剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
- 粘度が0.01〜1.0Pa.sであること請求項1〜5のいずれか1項記載の光線遮蔽用ガラスコーティング剤。
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JP2002165272A JP2004010416A (ja) | 2002-06-06 | 2002-06-06 | 光線遮蔽用ガラスコーティング剤 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008247623A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-16 | Toppan Printing Co Ltd | 熱線遮断ガラス |
JP2009191136A (ja) * | 2008-02-13 | 2009-08-27 | Nicca Chemical Co Ltd | 紫外線吸収剤組成物およびそれを用いて加工された耐光性材料 |
WO2013115633A1 (es) * | 2012-01-31 | 2013-08-08 | Vazquez Constantino Enrique Alberto | Pintura con la capacidad de absorber los rayos infrarrojos a través de una película de nanopartículas |
-
2002
- 2002-06-06 JP JP2002165272A patent/JP2004010416A/ja active Pending
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