JP2004009823A - 可変ピッチ翼及びスラスタ - Google Patents
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Abstract
【課題】チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することを課題とする。
【解決手段】翼長方向に分割されたボス側分割翼14及びチップ側分割翼15と、これらのピッチ角度をそれぞれ独自の角度に設定するピッチ角度制御装置16とを備えた可変ピッチ翼13を採用した。また、この可変ピッチ翼13を備えたスラスタ10を採用した。
【選択図】 図1
【解決手段】翼長方向に分割されたボス側分割翼14及びチップ側分割翼15と、これらのピッチ角度をそれぞれ独自の角度に設定するピッチ角度制御装置16とを備えた可変ピッチ翼13を採用した。また、この可変ピッチ翼13を備えたスラスタ10を採用した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶のスラスタや水流発生装置などに用いて好適な、可変ピッチ翼と、これを用いたスラスタとに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば大型船舶では、その推進機構とは別に、その船体を岸に対して接近または離間させるための推進機構であるスラスタを備えている。この種の従来のスラスタの一例を、図4を参照して説明する。なお、同図は、スラスタの回転軸線CLを含む断面図を示している。
【0003】
同図に示すスラスタ1は、図示されない駆動機構と、該駆動機構により回転駆動されるプロペラ軸2と、該プロペラ軸2の先端に一体に接続されたプロペラボス3と、該プロペラボス3の周囲に、前記回転軸線CLを中心として互いに等角度間隔をおいて取り付けられた、複数枚のプロペラ羽根4と、これらプロペラ羽根4のピッチ角度を調整するピッチ角度調整機構5とを備えて構成されている。
【0004】
そして、このスラスタ1によれば、ピッチ角度調整機構5によるピッチ角度の切り替え又はプロペラ軸2の正逆回転の切り替えにより、その推進方向を、回転軸線CL方向に沿った一方向または他方向(同図の紙面左右方向)に切り替えることができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような推進方向の切り替え機能を持つためには、前記一方向及び他方向の推進力を等しくする必要があるため、前記各プロペラ羽根4としては、いわゆる平板翼が用いられている。平板翼は、一方向に進むための最適な推進効率を求めるねじり翼とは異なり、一方向の推進のみに最適化させた形状をとることができないため、キャビテーションの問題を回避するのが困難となっている。
【0006】
すなわち、図5の二点差線に示すように、ねじり翼の場合は、その翼ピッチ(翼のピッチ角度に、ボスからの距離寸法をかけた値。周速に比例する。)が、翼の外周縁側であるチップ側で小さくなるように、翼形状がねじられている。これに対し、平坦翼では、同図の実線に示すように、ボスからチップに向かって直線的に翼ピッチが大きくなるため、チップ側の大きな翼ピッチが原因となってキャビテーションを発生させる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載の可変ピッチ翼は、翼長方向に分割された複数枚の分割翼と、これら分割翼のピッチ角度をそれぞれ独自の角度に設定する角度設定手段とを備えていることを特徴とする。
上記請求項1に記載の可変ピッチ翼によれば、角度設定手段の操作により、翼長方向の外周側であるチップ側の分割翼を、これよりも内周側に位置する分割翼よりも小さいピッチ角度に調整することができる。
【0009】
請求項2に記載の可変ピッチ翼は、請求項1に記載の可変ピッチ翼において、前記角度設定手段が、前記各分割翼間を接続し、これら分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構と、該歯車機構を駆動する駆動部とを備えていることを特徴とする。
上記請求項2に記載の可変ピッチ翼によれば、駆動部を起動させると、各分割翼が、歯車機構によって予め設定されたピッチ角度比をもって、それらのピッチ角度を変更する。このときの駆動機構としては、各分割翼毎に備える必要はなく、共通の駆動機構で全ての分割翼のピッチ角度を調整することができる。
【0010】
請求項3に記載の可変ピッチ翼は、請求項1または請求項2に記載の可変ピッチ翼において、前記角度設定手段が、該可変ピッチ翼の推進方向を切り替える際に、前記各分割翼のピッチ角度を、前記推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定することを特徴とする。
上記請求項3に記載の可変ピッチ翼によれば、その推進方向の一方向と他方向における推進力を、均等にすることができるようになる。
【0011】
請求項4に記載のスラスタは、回転軸線の周囲に配置された複数枚の翼と、これら翼を前記回転軸線回りに回転させる回転駆動機構とを備えたスラスタにおいて、前記各翼として、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可変ピッチ翼を用いることを特徴とする。
上記請求項4に記載のスラスタによれば、翼先端側のキャビテーションの発生を極めて低減させることができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の可変ピッチ翼を備えたスラスタの一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれに限定解釈されるものでないことは勿論である。なお、以下の説明においては、本実施形態のスラスタを、船舶に備えられ、接岸または離岸の際に用いられるスラスタに適用した場合を例に説明する。しかしながら、本発明の可変ピッチ翼は、この船舶用のスラストに限定されることなく、水流を形成する流体発生装置など、キャビテーションの低減が望まれるその他の流体装置に適用することが可能である。
【0013】
図1及び図2に示すように本実施形態のスラスタ10は、図示されない回転駆動機構と、該回転駆動機構により回転軸線CL1回りに回転駆動されるプロペラ軸11と、該プロペラ軸11の先端に一体に接続されたプロペラボス12と、該プロペラボス12の周囲に、回転軸線CL1を中心として互いに等角度間隔をおいて取り付けられた、複数枚の可変ピッチ翼13(翼)を備えて構成されている。
【0014】
前記回転駆動機構は、このスラスタ10によって形成される水流が流れる流路(スラスタトンネル)の外部に配置されており、そのシャフトが、前記プロペラ軸11に対し、傘歯車を介して垂直に連結されている。
前記プロペラ軸11は、前記プロペラボス12に接続されており、前記回転駆動機構の駆動力を伝達することが可能となっている。
【0015】
前記各可変ピッチ翼13は、その翼長方向に2分割された2枚の分割翼であるボス側分割翼14及びチップ側分割翼15と、これらボス側分割翼14及びチップ側分割翼15それぞれのピッチ角度を、それぞれ独自の角度に設定するピッチ角度制御装置16(角度設定手段)とを備えて構成されている。
【0016】
ボス側分割翼14は、前記翼長方向のプロペラボス12側に配置され、また、チップ側分割翼15は、前記翼長方向のチップ側に配置されており、共通のピッチ角度中心軸線CL2を有している。
ボス側分割翼14には、ピッチ角度中心軸線CL2と同軸の貫通孔14aが形成されており、この貫通孔14a内に、チップ側分割翼15のピッチ角度変更ロッド15aが同軸に挿入されている。そして、これらボス側分割翼14及びチップ側分割翼15は、互いの翼表面を一致させることにより、一枚の平板翼を形成できるようになっている。
【0017】
ピッチ角度制御装置16は、ボス側分割翼14の翼根側に一体に固定されたクランクピンリング17と、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15間を接続し、これら分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構18と、該歯車機構18を駆動する駆動部19とを備えて構成されている。クランクピンリング17の内部には、前記ピッチ角度中心軸線CL2と同軸をなす、円柱形状の空間である歯車室17aが形成されている。
【0018】
歯車機構18は、歯車室17a内に対し、前記ピッチ角度中心軸線CL2と同軸に固定された中心歯車18aと、該中心歯車18aの周囲に、螺合した状態で複数配置された周回歯車18bと、これら周回歯車18bの周囲を覆うように螺合するリング状歯車18cとを備えた減速機構である。
リング状歯車18cには、歯車室17a内に挿通されたピッチ角度変更ロッド15aの一端が、同軸かつ一体に固定されている。
【0019】
クランクピンリング17は、プロペラボス12の周囲に対して、前記ピッチ角度中心軸線CL2回りに回動可能に取り付けられている。また、このクランクピンリング17の、前記回転軸線CL1に近い側の端面には、ピッチ角度中心軸線CL2から偏心した偏心軸線CL3を有するクランクピン17bが突出形成されている。
【0020】
前記駆動部19は、前記プロペラボス12内に形成された油圧シリンダ室12a内に挿入されたピストン19aと、該ピストン19aに対してピストン棒19bを介して一体に固定されたピストンブロック19cとを備えて構成されている。
ピストンブロック19cの周面には、前記回転軸線CL1に直交する方向にスライド溝19c1が形成されており、このスライド溝19c1の内部に、滑り金19c2がスライド可能に嵌合されている。そして、この滑り金19c1の中央に形成された貫通孔には、前記クランクピン17bが挿入接続されている。
【0021】
以上説明の構成を有するスラスタ1によれば、各可変ピッチ翼13のピッチ角度を、ピッチ角度制御装置16により適切に調整した後、前記回転駆動機構の駆動力によってプロペラ軸11を回転軸線CL1周りに回転させることで、推進力を発生させる。
また、ピッチ角度制御装置16によるピッチ角度の切り替え、又はプロペラ軸11の正逆回転の切り替えにより、その推進方向を、回転軸線CL1方向に沿った一方向または他方向(図2の紙面左右方向)に切り替えることができるようになっている。
【0022】
そして、本実施形態のスラスタ10は、従来構造のものに比較してキャビテーションの発生を低減することが可能な構造となっている。
すなわち、シリンダ室12a内の一方側12a1もしくは他方側12a2に油圧を供給することにより、ピストン19aが回転軸線CL1に沿ってスライド移動する。すると、ピストンブロック19cが、ピストン棒19bを介してピストンブロック19cを回転軸線CL1に沿ってスライド移動させる。これにより、クランクピンリング17が、ピッチ角度中心軸線CL2を中心として回動する。すると、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15が、歯車機構18によって設定されたピッチ角度比をもって回動する。
【0023】
この時、歯車機構18の歯車比によって、ボス側分割翼14のピッチ角度よりも、チップ側分割翼15のピッチ角度の方が大きくなるように設定されているので、図2に示すように、チップ側のピッチ角度を、ボス側のピッチ角度よりも小さくすることができる。これにより、ボス側よりもチップ側の翼回動を小さくすることができるので、図3に示すように、チップ側分割翼15の翼ピッチ(ピッチ角度に、プロペラボス12の中心軸線からの距離寸法をかけたもの。)の値を、従来の1枚構造に比較して小さくできるようになる。
【0024】
なお、ピッチ角度制御装置16は、そのシリンダ室12a内の一方側12a1または他方側12a2のどちらに油圧供給を行うかによって、スラスタ10の推進方向を切り替えることができる。しかも、この時のボス側分割翼14及びチップ側分割翼15のピッチ角度は、推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定されている。これにより、回転軸線CL1に沿った一方向の推進力と他方向の推進力とが等しく、しかも、どちらの方向に進む際も、チップ側分割翼15の翼ピッチを従来に比較して小さくすることができる。
【0025】
以上説明の本実施形態の可変ピッチ翼11を備えたスラスタ10によれば、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15からなる二分割翼構造と、ピッチ角度制御装置16を備えた構成を採用したことにより、翼長方向の外周側であるチップ側分割翼15を、これよりも内周側に位置するボス側分割翼14よりも小さいピッチ角度に調整することができるようになるので、チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することが可能となる。
【0026】
また、本実施形態の可変ピッチ翼11によれば、ピッチ角度制御装置16が、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15間のピッチ角度の比を決定する歯車機構18と、該歯車機構18を駆動する駆動部19とを備える構成を採用したことにより、各ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15毎に駆動部を備える場合に比較して、その部品点数を少なくすることができるので、コンパクト化と低コスト化が達成可能となる。
【0027】
なお、上記実施形態では、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15間のピッチ角度の比を決定する装置として、歯車機構18を採用したが、これに限らず、その他の制御機構を採用しても良い。
【0028】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の可変ピッチ翼によれば、複数枚の分割翼と角度設定手段を備えた構成を採用したことにより、翼長方向の外周側であるチップ側の分割翼を、これよりも内周側に位置する分割翼よりも小さいピッチ角度に調整することができるようになるので、チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することが可能となる。
【0029】
また、請求項2に記載の可変ピッチ翼によれば、前記角度設定手段が、各分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構と、該歯車機構を駆動する駆動部とを備える構成を採用したことにより、その部品点数を少なくすることができるので、コンパクト化と低コスト化が達成可能となる。
【0030】
また、請求項3に記載の可変ピッチ翼によれば、角度設定手段が、各分割翼のピッチ角度を、推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定する構成を採用したことにより、平板翼を用いるスラスタに適用することが可能となる。
【0031】
本発明の請求項4に記載のスラスタによれば、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可変ピッチ翼を用いることにより、キャビテーションの発生を極めて低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変ピッチ翼を備えたスラスタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同スラスタを示す図であって、その回転軸線を含む断面で見た場合の断面図である。
【図3】同スラスタの可変ピッチ翼の翼ピッチ分布を示すグラフであって、横軸が翼ピッチ、縦軸が翼の長手方向位置を示している。
【図4】従来のスラスタを説明するための説明図である。
【図5】同スラスタに備えられている翼の翼ピッチ分布を示すグラフであって、横軸が翼ピッチ、縦軸が翼の長手方向位置を示している。
【符号の説明】
10・・・スラスタ
13・・・可変ピッチ翼
14・・・ボス側分割翼(分割翼)
15・・・チップ側分割翼(分割翼)
16・・・ピッチ角度制御装置(角度設定手段)
18・・・歯車機構
19・・・駆動部
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶のスラスタや水流発生装置などに用いて好適な、可変ピッチ翼と、これを用いたスラスタとに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば大型船舶では、その推進機構とは別に、その船体を岸に対して接近または離間させるための推進機構であるスラスタを備えている。この種の従来のスラスタの一例を、図4を参照して説明する。なお、同図は、スラスタの回転軸線CLを含む断面図を示している。
【0003】
同図に示すスラスタ1は、図示されない駆動機構と、該駆動機構により回転駆動されるプロペラ軸2と、該プロペラ軸2の先端に一体に接続されたプロペラボス3と、該プロペラボス3の周囲に、前記回転軸線CLを中心として互いに等角度間隔をおいて取り付けられた、複数枚のプロペラ羽根4と、これらプロペラ羽根4のピッチ角度を調整するピッチ角度調整機構5とを備えて構成されている。
【0004】
そして、このスラスタ1によれば、ピッチ角度調整機構5によるピッチ角度の切り替え又はプロペラ軸2の正逆回転の切り替えにより、その推進方向を、回転軸線CL方向に沿った一方向または他方向(同図の紙面左右方向)に切り替えることができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような推進方向の切り替え機能を持つためには、前記一方向及び他方向の推進力を等しくする必要があるため、前記各プロペラ羽根4としては、いわゆる平板翼が用いられている。平板翼は、一方向に進むための最適な推進効率を求めるねじり翼とは異なり、一方向の推進のみに最適化させた形状をとることができないため、キャビテーションの問題を回避するのが困難となっている。
【0006】
すなわち、図5の二点差線に示すように、ねじり翼の場合は、その翼ピッチ(翼のピッチ角度に、ボスからの距離寸法をかけた値。周速に比例する。)が、翼の外周縁側であるチップ側で小さくなるように、翼形状がねじられている。これに対し、平坦翼では、同図の実線に示すように、ボスからチップに向かって直線的に翼ピッチが大きくなるため、チップ側の大きな翼ピッチが原因となってキャビテーションを発生させる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載の可変ピッチ翼は、翼長方向に分割された複数枚の分割翼と、これら分割翼のピッチ角度をそれぞれ独自の角度に設定する角度設定手段とを備えていることを特徴とする。
上記請求項1に記載の可変ピッチ翼によれば、角度設定手段の操作により、翼長方向の外周側であるチップ側の分割翼を、これよりも内周側に位置する分割翼よりも小さいピッチ角度に調整することができる。
【0009】
請求項2に記載の可変ピッチ翼は、請求項1に記載の可変ピッチ翼において、前記角度設定手段が、前記各分割翼間を接続し、これら分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構と、該歯車機構を駆動する駆動部とを備えていることを特徴とする。
上記請求項2に記載の可変ピッチ翼によれば、駆動部を起動させると、各分割翼が、歯車機構によって予め設定されたピッチ角度比をもって、それらのピッチ角度を変更する。このときの駆動機構としては、各分割翼毎に備える必要はなく、共通の駆動機構で全ての分割翼のピッチ角度を調整することができる。
【0010】
請求項3に記載の可変ピッチ翼は、請求項1または請求項2に記載の可変ピッチ翼において、前記角度設定手段が、該可変ピッチ翼の推進方向を切り替える際に、前記各分割翼のピッチ角度を、前記推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定することを特徴とする。
上記請求項3に記載の可変ピッチ翼によれば、その推進方向の一方向と他方向における推進力を、均等にすることができるようになる。
【0011】
請求項4に記載のスラスタは、回転軸線の周囲に配置された複数枚の翼と、これら翼を前記回転軸線回りに回転させる回転駆動機構とを備えたスラスタにおいて、前記各翼として、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可変ピッチ翼を用いることを特徴とする。
上記請求項4に記載のスラスタによれば、翼先端側のキャビテーションの発生を極めて低減させることができるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の可変ピッチ翼を備えたスラスタの一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれに限定解釈されるものでないことは勿論である。なお、以下の説明においては、本実施形態のスラスタを、船舶に備えられ、接岸または離岸の際に用いられるスラスタに適用した場合を例に説明する。しかしながら、本発明の可変ピッチ翼は、この船舶用のスラストに限定されることなく、水流を形成する流体発生装置など、キャビテーションの低減が望まれるその他の流体装置に適用することが可能である。
【0013】
図1及び図2に示すように本実施形態のスラスタ10は、図示されない回転駆動機構と、該回転駆動機構により回転軸線CL1回りに回転駆動されるプロペラ軸11と、該プロペラ軸11の先端に一体に接続されたプロペラボス12と、該プロペラボス12の周囲に、回転軸線CL1を中心として互いに等角度間隔をおいて取り付けられた、複数枚の可変ピッチ翼13(翼)を備えて構成されている。
【0014】
前記回転駆動機構は、このスラスタ10によって形成される水流が流れる流路(スラスタトンネル)の外部に配置されており、そのシャフトが、前記プロペラ軸11に対し、傘歯車を介して垂直に連結されている。
前記プロペラ軸11は、前記プロペラボス12に接続されており、前記回転駆動機構の駆動力を伝達することが可能となっている。
【0015】
前記各可変ピッチ翼13は、その翼長方向に2分割された2枚の分割翼であるボス側分割翼14及びチップ側分割翼15と、これらボス側分割翼14及びチップ側分割翼15それぞれのピッチ角度を、それぞれ独自の角度に設定するピッチ角度制御装置16(角度設定手段)とを備えて構成されている。
【0016】
ボス側分割翼14は、前記翼長方向のプロペラボス12側に配置され、また、チップ側分割翼15は、前記翼長方向のチップ側に配置されており、共通のピッチ角度中心軸線CL2を有している。
ボス側分割翼14には、ピッチ角度中心軸線CL2と同軸の貫通孔14aが形成されており、この貫通孔14a内に、チップ側分割翼15のピッチ角度変更ロッド15aが同軸に挿入されている。そして、これらボス側分割翼14及びチップ側分割翼15は、互いの翼表面を一致させることにより、一枚の平板翼を形成できるようになっている。
【0017】
ピッチ角度制御装置16は、ボス側分割翼14の翼根側に一体に固定されたクランクピンリング17と、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15間を接続し、これら分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構18と、該歯車機構18を駆動する駆動部19とを備えて構成されている。クランクピンリング17の内部には、前記ピッチ角度中心軸線CL2と同軸をなす、円柱形状の空間である歯車室17aが形成されている。
【0018】
歯車機構18は、歯車室17a内に対し、前記ピッチ角度中心軸線CL2と同軸に固定された中心歯車18aと、該中心歯車18aの周囲に、螺合した状態で複数配置された周回歯車18bと、これら周回歯車18bの周囲を覆うように螺合するリング状歯車18cとを備えた減速機構である。
リング状歯車18cには、歯車室17a内に挿通されたピッチ角度変更ロッド15aの一端が、同軸かつ一体に固定されている。
【0019】
クランクピンリング17は、プロペラボス12の周囲に対して、前記ピッチ角度中心軸線CL2回りに回動可能に取り付けられている。また、このクランクピンリング17の、前記回転軸線CL1に近い側の端面には、ピッチ角度中心軸線CL2から偏心した偏心軸線CL3を有するクランクピン17bが突出形成されている。
【0020】
前記駆動部19は、前記プロペラボス12内に形成された油圧シリンダ室12a内に挿入されたピストン19aと、該ピストン19aに対してピストン棒19bを介して一体に固定されたピストンブロック19cとを備えて構成されている。
ピストンブロック19cの周面には、前記回転軸線CL1に直交する方向にスライド溝19c1が形成されており、このスライド溝19c1の内部に、滑り金19c2がスライド可能に嵌合されている。そして、この滑り金19c1の中央に形成された貫通孔には、前記クランクピン17bが挿入接続されている。
【0021】
以上説明の構成を有するスラスタ1によれば、各可変ピッチ翼13のピッチ角度を、ピッチ角度制御装置16により適切に調整した後、前記回転駆動機構の駆動力によってプロペラ軸11を回転軸線CL1周りに回転させることで、推進力を発生させる。
また、ピッチ角度制御装置16によるピッチ角度の切り替え、又はプロペラ軸11の正逆回転の切り替えにより、その推進方向を、回転軸線CL1方向に沿った一方向または他方向(図2の紙面左右方向)に切り替えることができるようになっている。
【0022】
そして、本実施形態のスラスタ10は、従来構造のものに比較してキャビテーションの発生を低減することが可能な構造となっている。
すなわち、シリンダ室12a内の一方側12a1もしくは他方側12a2に油圧を供給することにより、ピストン19aが回転軸線CL1に沿ってスライド移動する。すると、ピストンブロック19cが、ピストン棒19bを介してピストンブロック19cを回転軸線CL1に沿ってスライド移動させる。これにより、クランクピンリング17が、ピッチ角度中心軸線CL2を中心として回動する。すると、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15が、歯車機構18によって設定されたピッチ角度比をもって回動する。
【0023】
この時、歯車機構18の歯車比によって、ボス側分割翼14のピッチ角度よりも、チップ側分割翼15のピッチ角度の方が大きくなるように設定されているので、図2に示すように、チップ側のピッチ角度を、ボス側のピッチ角度よりも小さくすることができる。これにより、ボス側よりもチップ側の翼回動を小さくすることができるので、図3に示すように、チップ側分割翼15の翼ピッチ(ピッチ角度に、プロペラボス12の中心軸線からの距離寸法をかけたもの。)の値を、従来の1枚構造に比較して小さくできるようになる。
【0024】
なお、ピッチ角度制御装置16は、そのシリンダ室12a内の一方側12a1または他方側12a2のどちらに油圧供給を行うかによって、スラスタ10の推進方向を切り替えることができる。しかも、この時のボス側分割翼14及びチップ側分割翼15のピッチ角度は、推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定されている。これにより、回転軸線CL1に沿った一方向の推進力と他方向の推進力とが等しく、しかも、どちらの方向に進む際も、チップ側分割翼15の翼ピッチを従来に比較して小さくすることができる。
【0025】
以上説明の本実施形態の可変ピッチ翼11を備えたスラスタ10によれば、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15からなる二分割翼構造と、ピッチ角度制御装置16を備えた構成を採用したことにより、翼長方向の外周側であるチップ側分割翼15を、これよりも内周側に位置するボス側分割翼14よりも小さいピッチ角度に調整することができるようになるので、チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することが可能となる。
【0026】
また、本実施形態の可変ピッチ翼11によれば、ピッチ角度制御装置16が、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15間のピッチ角度の比を決定する歯車機構18と、該歯車機構18を駆動する駆動部19とを備える構成を採用したことにより、各ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15毎に駆動部を備える場合に比較して、その部品点数を少なくすることができるので、コンパクト化と低コスト化が達成可能となる。
【0027】
なお、上記実施形態では、ボス側分割翼14及びチップ側分割翼15間のピッチ角度の比を決定する装置として、歯車機構18を採用したが、これに限らず、その他の制御機構を採用しても良い。
【0028】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の可変ピッチ翼によれば、複数枚の分割翼と角度設定手段を備えた構成を採用したことにより、翼長方向の外周側であるチップ側の分割翼を、これよりも内周側に位置する分割翼よりも小さいピッチ角度に調整することができるようになるので、チップ側の翼ピッチが大きいことに起因するキャビテーションの発生を防止することが可能となる。
【0029】
また、請求項2に記載の可変ピッチ翼によれば、前記角度設定手段が、各分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構と、該歯車機構を駆動する駆動部とを備える構成を採用したことにより、その部品点数を少なくすることができるので、コンパクト化と低コスト化が達成可能となる。
【0030】
また、請求項3に記載の可変ピッチ翼によれば、角度設定手段が、各分割翼のピッチ角度を、推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定する構成を採用したことにより、平板翼を用いるスラスタに適用することが可能となる。
【0031】
本発明の請求項4に記載のスラスタによれば、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可変ピッチ翼を用いることにより、キャビテーションの発生を極めて低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可変ピッチ翼を備えたスラスタの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同スラスタを示す図であって、その回転軸線を含む断面で見た場合の断面図である。
【図3】同スラスタの可変ピッチ翼の翼ピッチ分布を示すグラフであって、横軸が翼ピッチ、縦軸が翼の長手方向位置を示している。
【図4】従来のスラスタを説明するための説明図である。
【図5】同スラスタに備えられている翼の翼ピッチ分布を示すグラフであって、横軸が翼ピッチ、縦軸が翼の長手方向位置を示している。
【符号の説明】
10・・・スラスタ
13・・・可変ピッチ翼
14・・・ボス側分割翼(分割翼)
15・・・チップ側分割翼(分割翼)
16・・・ピッチ角度制御装置(角度設定手段)
18・・・歯車機構
19・・・駆動部
Claims (4)
- 翼長方向に分割された複数枚の分割翼と、これら分割翼のピッチ角度をそれぞれ独自の角度に設定する角度設定手段とを備えていることを特徴とする可変ピッチ翼。
- 請求項1に記載の可変ピッチ翼において、
前記角度設定手段は、前記各分割翼間を接続し、これら分割翼間のピッチ角度の比を決定する歯車機構と、該歯車機構を駆動する駆動部とを備えていることを特徴とする可変ピッチ翼。 - 請求項1または請求項2に記載の可変ピッチ翼において、
前記角度設定手段は、該可変ピッチ翼の推進方向を切り替える際に、前記各分割翼のピッチ角度を、前記推進方向の一方向及び他方向間で対象となるように設定することを特徴とする可変ピッチ翼。 - 回転軸線の周囲に配置された複数枚の翼と、これら翼を前記回転軸線回りに回転させる回転駆動機構とを備えたスラスタにおいて、
前記各翼として、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の可変ピッチ翼を用いることを特徴とするスラスタ。
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JP2002164173A JP2004009823A (ja) | 2002-06-05 | 2002-06-05 | 可変ピッチ翼及びスラスタ |
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ID=30432393
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- 2002-06-05 JP JP2002164173A patent/JP2004009823A/ja not_active Withdrawn
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