【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性フィルムに関するものである。更に詳しくは、口金スジ等の欠点のない非常に厚み均一性の高い熱可塑性樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性フィルムにとって、厚み均一性は重要な基本品質の一つである。
例えば、ポリエステルを例にたとえると、ポリエステルフィルムはその優れた特性のため、磁気記録媒体用ベースフィルム、コンデンサフィルムなどの電気絶縁用途、プリンタリボンなどのOA用途、熱により穿孔して印刷する感熱孔版印刷用原紙など、様々な用途で用いられているが、これらの用途では年々フィルムの厚みについて高度な高度な寸法精度が要求されてきつつある。
【0003】
例えば、プリンタリボン分野では、フルカラー化の流れに伴い、印刷のより一層の高精細化が求められており、印字むらの低減が必要となっている。ベースフィルムに厚み斑が存在すると、実際のインクリボンとなった際、印字ヘッドからの熱伝導量がベースフィルムの厚み斑によって異なることとなり、印字むらの原因となることから、部素フィルムであるポリエステルフィルムの厚み斑低減が求められている。また、厚み斑が悪化すると、フィルム厚みに起因する物性むらとなり、製品の品質の悪化につながる。また、直接製品の品質に関わらない場合でも、フィルムを製品に加工する際のトラブルや、ロール状に巻き取る際の巻き姿悪化、ひいてはそのため加工製品の品質悪化を招くことになり、好ましくない。
【0004】
ここで、熱可塑性樹脂フィルムに成型する方法は、一般に、押出機により樹脂を溶融し、フィルターなどを経由して異物を除去してから、成型するフィルムの形態に合わせたスリットを持ったダイ(口金)より吐出し、内部に冷却媒体を通した回転ロール(冷却ドラム)上に連続的に成型する。この際に、樹脂膜を冷却ドラムに密着させるために、静電気力を付与することもしばしば行われている。更に、フィルムの強度を増やすために、得られたキャストフィルムをフィルムの長手方向や幅方向に延伸することも一般的に行われている。
【0005】
ここで、フィルムに厚みむらが生じる原因としては、溶融押出して冷却ドラム上にシート状に押し出す際の吐出量の変動、ダイと冷却ドラム間(L−D間)のまだ溶融状態にある樹脂膜の膜振動、溶融樹脂を冷却ドラムに密着させる際の密着力不足による着地位置の変動、冷却ドラムの回転むらなどが挙げられる。また、配向フィルムとする場合には、更に、縦延伸(長手方向の延伸)の際のロール温度むらや回転むら、また、横延伸(横方向の延伸)の際のテンター内の温度むらや風速むらなどがある。
【0006】
そこで、従来から厚み斑改善のために種々の方法が提案されている。
【0007】
例えば、溶融樹脂を冷却固化するキャスティングドラムの回転むらを抑える方法(特開昭55−93420号公報)や、口金リップと冷却ドラムとの間における膜振動を抑えるために熱可塑性樹脂の押出温度を下げて、樹脂の溶融粘度を高める方法(特開平7−323464号)も提案されているが、いまだ、効果が十分でない。
【0008】
また、熱可塑性樹脂フィルムの厚み斑を良化するには、口金から吐出された溶融押出シートを急冷固化する工程であるキャスト工程での厚み斑発生を低減することが効果的であり、この際のドラフト比を低減することが効果的であることは知られている(特開平10−217315号公報)。しかしながら、ドラフト比を低減するため、口金リップ間隔を狭くすると、口金スジと呼ばれるスジ状の欠点が発生し、品質の低下につながるばかりか、ひどい場合には大きな欠点となり製品として採用できず、生産性の低下にもつながる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようにフィルムの厚み斑を改善する要求は強く、そのために種々の改善方法が提案されてきたが、その効果はまだ十分でなく、フィルムの厚み斑に対するトラブルが依然絶えることがない。
【0010】
本発明は、フィルムの厚み斑を低減しつつ、品質良好で生産性を維持した熱可塑性フィルムを製造するための製造法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂溶融体を口金からシート状に押し出し、静電荷を付与する静電印加キャスト法にて冷却ドラム上に密着せしめ、シートを冷却、固化して成型するに際し、該口金のドラフト比が1〜15であり、かつ該口金と冷却ドラムの位置関係で定められる口金前方角度が次式(1)を満足することを特徴とするフィルム製造方法に関する。
【0012】
0°<口金前方角度<90° ・・・(1)
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造法の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明は、熱可塑性樹脂溶融体を口金からシート状に押し出し、冷却ドラムに密着させて、冷却、固化してシート状に成型するに際して、該口金のドラフト比(=口金リップ間隔/押出されたシート厚み)が1〜15であり、かつ該口金と冷却ドラムの位置関係で定められる口金前方角度5が次式(1)を満足する必要がある。また、静電荷を付与する静電印加キャスト法を用いて、冷却ドラム上に熱可塑性樹脂溶融体を密着させることが肝要である。
【0015】
0°<口金前方角度<90° ・・・(1)
本発明においては、口金のドラフト比を1〜15、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜8にするものである。口金のドラフト比が1未満であると、厚み斑が大きくなり、ドラフト比が15を超えると、白スジと呼ばれるスジ状欠点が発生しやすくなる。
【0016】
本発明の静電荷を付与する静電印加キャスト法時の帯電印加電圧を好ましくは5〜15kv、より好ましくは5〜10kvにすることにより、厚み斑が少なく、表面欠点の少ない高品質なフィルムを得ることができるようになる。
【0017】
本発明の静電印加キャスト法に用いる電極は、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状のものを用いるのが好ましい。
【0018】
本発明においては、口金リップLと冷却ドラムDとの距離4を好ましくは10〜50mm、より好ましくは10〜40mmすることにより、厚み斑が少なく、表面欠点の少ない高品質なフィルムを得ることができるようになる。
【0019】
本発明においては、口金と冷却ドラムの位置関係で定められる口金前方角度を0°を超え90°未満に設定するものである。口金前方角度が0°であると、すなわち、口金位置を冷却ドラム中心の真上に設置すると厚み斑の発生しやすくなったり、口金スジが発生しやすくなる問題がある。一方、口金前方角度が90°以上であると口金の設置がしにくい、吐出フィルムのハンドリングがしにくいなど工程上の問題がある。
【0020】
図1は本発明のフィルムの製造工程の一例を示す側面図である。本発明において、口金2と冷却ドラム1の位置関係で定められる口金前方角度5とは、図1により説明すれば、冷却ドラム中心から立ち上がる垂直線を基準として、冷却ドラム中心と口金2のリップ3とを結ぶ直線が前記垂直線となす角度をいう。
【0021】
本発明において示される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニルスルフィド、およびそれらの混合体・変性体などから選ばれた樹脂が代表的なものであり、特にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましいものである。
【0022】
ここでいうポリエステルとは、分子主鎖中にエステル結合を有する高分子化合物であり、通常、ジオールとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成されることが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合物を利用してもよい。ジオール化合物の代表的なものとしては、HO(CH2)nOHで表されるエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコール、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有ジオールなどであり、それらの単独または混合体などである。
【0023】
ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などである。ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途で用いられ、効果が高い。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。
【0024】
本発明において用いるポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートの場合には、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコール及び必要により共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法等により製造することができる。更に極限粘度を増大させ、環状3量体やアセトアルデヒド含量等を低下させるために固相重合を行ってもよい。前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応も、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0025】
代表的なポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)およびこれらの共重合体などを挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合体が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が好ましい。
【0026】
これらの高分子化合物の繰替し単位は、好ましくは80以上、より好ましくは120以上であるのがよい。
【0027】
また、本発明において、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン7、ポリメタ/パラキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド/イソフタラミドおよびそれらの関連共重合体、混合体などから選ばれたポリアミド化合物などがある。本発明の場合、中でも、ナイロン6およびその共重合体、ナイロン66およびその共重合体が好ましいポリアミドである。さらに、これらのポリアミドに柔軟ナイロンや、結晶化し難いナイロン化合物を添加しておくと、キャストでの結晶化防止や、得られた品質の低温柔軟性などを付与できるので好ましい。
【0028】
また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、メチルペンテンポリマー(MPP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、酢酸ビニルポリマー(EVA)、およびそれらの各種共重合体などを用いることができる。
【0029】
これらの本発明に用いる熱可塑性樹脂には必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、離型剤などを本発明の目的を損わない範囲で添加することができる。
【0030】
次に、本発明におけるキャストシートの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いた例として、より具体的に示すが特にこれに限定されるわけではない。
【0031】
原料としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を準備し、これを乾燥して脱水した後、溶融押出機に供給し、原料中の異物を除去するために、溶融樹脂を適宜なフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網等で濾過しながら成型用の口金から押出し成形するのである。
【0032】
この時、口金から溶融ポリマーを押出す時のドラフト比を本発明範囲内にし、口金位置を冷却ドラム頂上から回転方向に本発明の範囲内で前方方向にして、口金リップと冷却ドラムとの距離(LD間)を10〜50mmにして、更に5〜15kv程度に帯電印加したワイヤー電極で冷却ドラムに密着させてキャストシートを得る。
【0033】
このようにして得られたキャストシートは、必要に応じて延伸しても構わない。
【0034】
延伸方法については、キャストシートを樹脂組成物のガラス転移温度以上で長手方向または横方向の一方向に延伸する方法、長手方向に延伸した後、横方向に延伸する方法、横方向に延伸した後、縦方向に延伸する方法、あるいは、長手方向、横方向を同時に延伸する方法、また、長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回数組み合わせて行う方法等により延伸フィルムを得る。この延伸フィルムには熱処理を行う。帯電防止剤含有塗布層を設ける場合は、上記方法により延伸フィルムを得た後に、オフラインでコーティングする方法や長手方向に延伸した後、横方向に延伸する逐次二軸延伸法において、長手方向に延伸した直後に最表層側にコロナ放電処理を行い、帯電防止剤をコーティングするインラインコーティング方式を用いることができる。
[特性の測定方法]
次に本発明で使用した測定法について以下に述べる。
(1)厚み斑
キャストフィルムを下記条件で逐次二軸延伸した後に偏光赤外水分計(倉敷紡績(株)製)を使用して測定して、下記のように判定した。
【0035】
厚み斑が15%以下のものを◎、また、厚み斑が15%〜20%のものを○、厚み斑が20%以上のものを×とした。
【0036】
逐次二軸延伸条件
長手方向延伸条件:延伸温度90℃、延伸倍率3.5倍
横方向延伸条件:延伸温度95℃、延伸倍率3.7倍
熱処理温度:230℃
(2)口金スジ
厚み200μmの偏光フィルム2枚をクロスニコルにセットし、(1)の条件により製膜し始めてから10時間後の逐次二軸延伸フィルムをA4サイズにカットしてその間にセットして目視により観察を行った。判定基準は次の通りである。
【0037】
○:実用上問題なし
×:実用上問題あり
【0038】
【実施例】
実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1〜7
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)(固有粘度[η]=0.65、融点Tmは265℃、添加剤として平均粒径0.25μmの酸化珪素粒子を0.1wt含有)を用いた。該PET樹脂の含水率が50ppm以下になるように乾燥した後、押出機に供給して285℃で溶融した後に、10μmカットの繊維燒結金属フィルターを通過させて濾過し、口金から押出した。この溶融フィルムにワイヤー状の電極から8KVの静電荷を印加させながら、40m/分の速度で直径600mmのキャストドラム上に密着させて冷却した。この時の口金前方角度、口金リップ間隙、ドラフト比、LD間は表1に示す通りである。
【0039】
【表1】
こうして得られたキャストフィルムの厚みは100μmであった。この時の厚み斑、表面欠点評価結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
比較例1〜3
実施例1において、口金位置を冷却ドラム中心の真上に設置して、口金前方角度を0°とした以外は、同様にしてキャストフィルムを得た。得られたキャストフィルムの厚みは100μmであった。この時の厚み斑、表面欠点評価結果を表2に併せて示す。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、表面欠点のないキャストシートを製造することができる。更にキャストの高速安定化などにより、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルム製造工程の一例を示す側面図。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermoplastic film. More specifically, the present invention relates to a thermoplastic resin film having extremely high uniformity of thickness without defects such as a die line.
[0002]
[Prior art]
For thermoplastic films, thickness uniformity is one of the important basic qualities.
For example, if polyester is used as an example, polyester film has excellent properties, and therefore, it has excellent properties, such as a base film for a magnetic recording medium, an electrical insulation application such as a capacitor film, an OA application such as a printer ribbon, and a heat-sensitive stencil which is printed by perforating with heat. Although it is used in various applications such as printing base paper, in these applications, a high and high dimensional accuracy of the film thickness is required year by year.
[0003]
For example, in the field of printer ribbons, further high-definition printing is required along with the trend toward full-color printing, and it is necessary to reduce printing unevenness. If there is unevenness in the thickness of the base film, when the actual ink ribbon is formed, the amount of heat conduction from the print head will vary depending on the unevenness of the thickness of the base film, which may cause uneven printing. There is a demand for a reduction in unevenness in thickness of a polyester film. In addition, when the unevenness in thickness is deteriorated, physical property unevenness due to the film thickness is caused, which leads to deterioration in product quality. Further, even if it is not directly related to the quality of the product, troubles in processing the film into a product, deterioration of the winding shape when winding into a roll, and further deterioration of the quality of the processed product are undesirably caused.
[0004]
Here, the method of molding into a thermoplastic resin film is generally performed by melting a resin by an extruder, removing foreign matter via a filter or the like, and then forming a die ( The liquid is discharged from a die and continuously formed on a rotating roll (cooling drum) through which a cooling medium passes. At this time, an electrostatic force is often applied to bring the resin film into close contact with the cooling drum. Further, in order to increase the strength of the film, the obtained cast film is generally stretched in the longitudinal direction and the width direction of the film.
[0005]
Here, the cause of the uneven thickness of the film is caused by a change in the discharge amount when the sheet is melt-extruded and extruded into a sheet on a cooling drum, or a resin film still in a molten state between the die and the cooling drum (between L and D). Of the film, vibration of the landing position due to insufficient adhesion when the molten resin is brought into close contact with the cooling drum, and uneven rotation of the cooling drum. In the case of using an oriented film, the roll temperature and rotation unevenness during longitudinal stretching (longitudinal stretching) and the temperature unevenness and wind speed in the tenter during transverse stretching (horizontal stretching) are further increased. There is unevenness.
[0006]
Therefore, various methods have been conventionally proposed for improving thickness unevenness.
[0007]
For example, a method of suppressing the rotation unevenness of a casting drum for cooling and solidifying a molten resin (Japanese Patent Application Laid-Open No. 55-93420), and a method of controlling the extrusion temperature of a thermoplastic resin in order to suppress film vibration between a die lip and a cooling drum. A method of lowering the melt viscosity of the resin (Japanese Patent Application Laid-Open No. Hei 7-323664) has been proposed, but the effect is still insufficient.
[0008]
In addition, in order to improve the thickness unevenness of the thermoplastic resin film, it is effective to reduce the occurrence of thickness unevenness in a casting step, which is a step of rapidly cooling and solidifying a molten extruded sheet discharged from a die. It is known that reducing the draft ratio is effective (JP-A-10-217315). However, if the lip interval is narrowed to reduce the draft ratio, a streak-shaped defect called a streak occurs, which not only leads to a decrease in quality, but also becomes a serious defect in severe cases, and cannot be adopted as a product. It also leads to a decline in sex.
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, there is a strong demand for improving the thickness unevenness of the film, and various improvement methods have been proposed for that purpose, but the effect is still insufficient, and troubles with the film thickness unevenness are still present.
[0010]
An object of the present invention is to provide a production method for producing a thermoplastic film having good quality and maintaining productivity while reducing unevenness in thickness of the film.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In view of the above problems, the present inventors have conducted intensive studies, and extruded a thermoplastic resin melt from a die into a sheet shape, brought it into close contact with a cooling drum by an electrostatic application cast method for imparting an electrostatic charge, and cooled the sheet. A film having a draft ratio of 1 to 15 when solidified and molded, and a forward angle of the die defined by a positional relationship between the die and the cooling drum satisfies the following expression (1): It relates to a manufacturing method.
[0012]
0 ° <base forward angle <90 ° (1)
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the method for producing a thermoplastic resin film of the present invention will be described in detail.
[0014]
According to the present invention, when a thermoplastic resin melt is extruded from a die into a sheet shape, brought into close contact with a cooling drum, cooled, solidified and formed into a sheet shape, the draft ratio of the die (= the die lip interval / extruded). Sheet thickness) is 1 to 15, and the die front angle 5 determined by the positional relationship between the die and the cooling drum needs to satisfy the following expression (1). It is also important that the thermoplastic resin melt be brought into close contact with the cooling drum by using an electrostatic application casting method for imparting an electrostatic charge.
[0015]
0 ° <base forward angle <90 ° (1)
In the present invention, the draft ratio of the die is 1 to 15, preferably 2 to 10, and more preferably 2 to 8. When the draft ratio of the die is less than 1, unevenness in thickness increases, and when the draft ratio exceeds 15, a streak-like defect called a white streak tends to occur.
[0016]
By setting the charge application voltage at the time of the electrostatic application cast method of imparting an electrostatic charge of the present invention to preferably 5 to 15 kv, more preferably 5 to 10 kv, a high-quality film with less thickness unevenness and less surface defects can be obtained. You can get it.
[0017]
It is preferable to use a wire-shaped, tape-shaped, needle-shaped or knife-shaped electrode for the electrostatic application casting method of the present invention.
[0018]
In the present invention, by setting the distance 4 between the base lip L and the cooling drum D to preferably 10 to 50 mm, more preferably 10 to 40 mm, it is possible to obtain a high-quality film with little unevenness in thickness and few surface defects. become able to.
[0019]
In the present invention, the front angle of the base determined by the positional relationship between the base and the cooling drum is set to be more than 0 ° and less than 90 °. If the front angle of the base is 0 °, that is, if the base is located just above the center of the cooling drum, there is a problem that unevenness in thickness is easily generated or streaks are easily generated. On the other hand, when the front angle of the base is 90 ° or more, there are problems in the process such as difficulty in setting the base and difficulty in handling the discharge film.
[0020]
FIG. 1 is a side view showing an example of the production process of the film of the present invention. In the present invention, the die front angle 5 determined by the positional relationship between the die 2 and the cooling drum 1 will be described with reference to FIG. 1 with reference to the vertical line rising from the center of the cooling drum and the lip 3 of the die 2 and the die 2. And the angle formed by the straight line connecting to the vertical line.
[0021]
The thermoplastic resin represented in the present invention is, for example, a resin selected from polyester, polyamide, polyolefin, polyphenyl sulfide, and a mixture / modified product thereof, and the like.Particularly, polyester resin, polyamide resin Is preferred.
[0022]
The polyester referred to here is a polymer compound having an ester bond in a molecular main chain, and is usually often synthesized by a polycondensation reaction between a diol and a dicarboxylic acid, but is typically represented by hydroxybenzoic acid. A compound that self-condenses, such as a hydroxycarboxylic acid, may be used. Representative examples of the diol compound include ethylene glycol, propylene glycol, butylene glycol, hexene glycol represented by HO (CH 2 ) nOH, diethylene glycol, polyethylene glycol, ethylene oxide adduct, propylene oxide adduct and the like. And singly or a mixture thereof.
[0023]
Representative examples of the dicarboxylic acid compound include phthalic acid, isophthalic acid, terephthalic acid, naphthalenedicarboxylic acid, succinic acid, adipic acid, pimelic acid, suberic acid, azelaic acid, sebacic acid, dimer acid, maleic acid, and fumaric acid. And mixtures thereof. Polyethylene terephthalate, polybutylene terephthalate, polyethylene-2,6-naphthalate, poly-1,4-cyclohexane dimethylene terephthalate and the like can be used. In particular, polyethylene terephthalate is inexpensive, so that it is used in a wide variety of applications and is highly effective. Further, these resins may be homo resins, copolymers or blends.
[0024]
When the polyester film used in the present invention is polyethylene terephthalate, it can be produced by a conventionally known production method. That is, terephthalic acid and ethylene glycol and, if necessary, a copolymerization component are directly reacted to distill off water and esterify the mixture, followed by polycondensation under reduced pressure, or dimethyl terephthalate and ethylene glycol as necessary. And then subjecting the copolymerization components to reaction to remove the methyl alcohol and subject it to transesterification, followed by a transesterification method in which polycondensation is performed under reduced pressure. Solid-state polymerization may be performed to further increase the intrinsic viscosity and reduce the content of the cyclic trimer and acetaldehyde. The melt polycondensation reaction may be performed in a batch reactor or a continuous reactor. In any of these methods, the melt polycondensation reaction may be performed in one stage or may be performed in multiple stages. The solid-state polymerization reaction can be carried out in a batch system or a continuous system, similarly to the melt polycondensation reaction. The melt polycondensation and the solid phase polymerization may be performed continuously or may be performed separately.
[0025]
Representative polyester resins include, for example, polyethylene terephthalate (PET), polybutylene terephthalate (PBT), polyethylene naphthalate (PEN), polycyclohexane dimethylene terephthalate (PCT), and copolymers thereof. Among them, polyethylene terephthalate (PET), polyethylene naphthalate (PEN) and a copolymer thereof are preferable, and polyethylene terephthalate and a copolymer thereof are particularly preferable.
[0026]
The repeating unit of these polymer compounds is preferably 80 or more, more preferably 120 or more.
[0027]
In the present invention, the polyamide resin is a polymer compound having an amide bond in the main chain, and typical examples thereof include nylon 6, nylon 66, nylon 610, nylon 12, nylon 11, nylon 7, Examples include polyamide compounds selected from polymeta / paraxylylene adipamide, polyhexamethylene terephthalamide / isophthalamide and their related copolymers and mixtures. In the case of the present invention, among them, nylon 6 and its copolymer, nylon 66 and its copolymer are preferred polyamides. Further, it is preferable to add a flexible nylon or a hardly crystallizable nylon compound to these polyamides because crystallization can be prevented by casting, and the obtained quality can be imparted with low-temperature flexibility.
[0028]
As the polyolefin resin, polyethylene (PE), polypropylene (PP), methylpentene polymer (MPP), ethylene vinyl alcohol (EVOH), vinyl acetate polymer (EVA), and various copolymers thereof can be used. it can.
[0029]
These thermoplastic resins used in the present invention may include a coloring agent, an ultraviolet absorber, an antioxidant, an antistatic agent, a lubricant, a nucleating agent, a release agent, and the like, as needed, within a range that does not impair the purpose of the present invention. Can be added.
[0030]
Next, the method for producing a cast sheet in the present invention will be described more specifically as an example using a polyethylene terephthalate (PET) resin, but is not particularly limited thereto.
[0031]
A polyethylene terephthalate (PET) resin is prepared as a raw material, which is dried and dehydrated, and then supplied to a melt extruder. In order to remove foreign substances in the raw material, the molten resin is filtered with an appropriate filter such as a sintered metal. It is extruded from a molding die while being filtered through a porous ceramic, sand, a wire mesh or the like.
[0032]
At this time, the draft ratio at the time of extruding the molten polymer from the die is within the range of the present invention, and the position of the die is set in the rotation direction from the top of the cooling drum to the forward direction within the range of the present invention, and the distance between the die lip and the cooling drum is changed. (Between LDs) is set to 10 to 50 mm, and furthermore, the cast electrode is brought into close contact with the cooling drum with a wire electrode charged to about 5 to 15 kv to obtain a cast sheet.
[0033]
The cast sheet thus obtained may be stretched if necessary.
[0034]
For the stretching method, a method in which the cast sheet is stretched in one direction in the longitudinal or transverse direction at a temperature equal to or higher than the glass transition temperature of the resin composition, a method in which the film is stretched in the longitudinal direction, a method in which the film is stretched in the transverse direction, A stretched film is obtained by a method of stretching in the longitudinal direction, a method of stretching in the longitudinal direction and the transverse direction simultaneously, or a method of combining the stretching in the longitudinal direction and the stretching in the width direction a plurality of times. This stretched film is subjected to a heat treatment. When the antistatic agent-containing coating layer is provided, after obtaining a stretched film by the above method, in the method of coating off-line or after stretching in the longitudinal direction, in the sequential biaxial stretching method of stretching in the transverse direction, stretching in the longitudinal direction Immediately after this, an inline coating method in which a corona discharge treatment is performed on the outermost layer side and an antistatic agent is coated can be used.
[Method of measuring characteristics]
Next, the measuring method used in the present invention will be described below.
(1) The thickness uneven cast film was sequentially biaxially stretched under the following conditions, and then measured using a polarizing infrared moisture meter (manufactured by Kurashiki Boseki Co., Ltd.), and determined as follows.
[0035]
Those with a thickness unevenness of 15% or less were evaluated as ◎, those with a thickness unevenness of 15% to 20% were evaluated as ○, and those with a thickness unevenness of 20% or more were evaluated as x.
[0036]
Sequential biaxial stretching conditions Longitudinal stretching conditions: stretching temperature 90 ° C., stretching ratio 3.5 times Transverse stretching conditions: stretching temperature 95 ° C., stretching ratio 3.7 times Heat treatment temperature: 230 ° C.
(2) Two polarizing films each having a 200 μm thick die are set in a cross Nicol state, and the sequential biaxially stretched film 10 hours after the start of film formation under the conditions of (1) is cut into A4 size and set in the meantime. Observation was performed visually. The criteria are as follows.
[0037]
:: No problem in practical use ×: There is a problem in practical use
【Example】
The present invention will be described in more detail with reference to Examples and Comparative Examples.
Examples 1 to 7
As the thermoplastic resin, polyethylene terephthalate (PET) (intrinsic viscosity [η] = 0.65, melting point Tm: 265 ° C., and 0.1 wt.% Silicon oxide particles having an average particle size of 0.25 μm as an additive) was used. The PET resin was dried so as to have a water content of 50 ppm or less, fed to an extruder, melted at 285 ° C., filtered through a 10 μm cut fiber sintered metal filter, and extruded from a die. While applying an electrostatic charge of 8 KV to the molten film from a wire-like electrode, the film was cooled on a cast drum having a diameter of 600 mm at a speed of 40 m / min. At this time, the front angle of the base, the lip gap of the base, the draft ratio, and the distance between LDs are as shown in Table 1.
[0039]
[Table 1]
The thickness of the cast film thus obtained was 100 μm. Table 2 shows the thickness unevenness and surface defect evaluation results at this time.
[0040]
[Table 2]
Comparative Examples 1-3
A cast film was obtained in the same manner as in Example 1, except that the position of the die was set right above the center of the cooling drum and the front angle of the die was set to 0 °. The thickness of the obtained cast film was 100 μm. Table 2 also shows the results of evaluation of thickness unevenness and surface defects at this time.
[0041]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, a cast sheet having no surface defects can be manufactured. Furthermore, productivity can be improved by high-speed stabilization of the cast and the like.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side view showing an example of a film manufacturing process of the present invention.