JP2004009257A - ピーニング処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液体にショットが混入されたスラリと加圧エアとを混合して噴射材9とし、この噴射材9をノズル1の噴射口2から噴射して該噴射材9中のショットをワーク3に衝突せしめることで該ワーク3の表面の機械的性質を変化させるピーニング処理方法において、ノズル1とワーク3とを相対的に移動せしめることで、該ワーク3の表面の所定部位に前記噴射材9を噴射する方法を採用し、更に、前記ノズル1として、前記噴射口2が前記ノズル1とワーク3との相対移動方向と直交する方向に巾の広いスリット状の噴射口2であり、噴射材9が該スリット状の噴射口2の全域から平行流で噴射される構成のノズル1を採用したものである。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピーニング処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
金属製のワークに行う処理として、ノズルの噴射口からワークの表面にショットと呼ばれる多数の玉(必ずしも球形である必要はない)を高速度で噴射して多数の該ショットをワークの表面に衝突せしめ、この多数のショットの衝突によって該ワークの表面を梨子地模様とし、これによりワークの表面硬度を増加したり、疲労寿命を向上したり、耐摩耗性を向上したり、流体抵抗を減少したりするピーニング処理(ショットピーニング等とも呼ばれる)が提案されている。
【0003】
このピーニング処理においては、ショットの衝突エネルギがある程度以上高いこと(衝突エネルギが低いと、ピーニング処理において重要な、ワークの表面付近の圧縮残留応力の増加や最大残留応力が発生する深さが不十分となり、ピーニング処理による効果が低くなる。)、ワークの表面に可及的に均一にショットを衝突させること(不均一であると、当然ながら、ワークの表面硬度等がムラとなる。)が重要である。
【0004】
また、このピーニング処理には、ショットを単に加圧エアで噴射する所謂ドライブラスト法と、ショットを水と混合したスラリの状態とし、このスラリを加圧エアで噴射する所謂ウエットブラスト法との二種類があり、後者の方が、ショットの飛散が少なくて作業管理が容易であったり、加圧エアがスラリの膜で覆われた状態となる為に該加圧エアの膨張による加速がショットに良好に作用して衝突エネルギが高くなる等の利点がある。
【0005】
ところで、従来のピーニング処理は、図1に図示したように、ノズルとして噴射口22が円形の所謂丸ノズル21を採用し、この丸ノズル21をワーク23に対して移動せしめることで、該丸ノズル21の噴射口22から噴射されるショット(スラリ)がワーク23の表面全面に衝突するように行われている。
【0006】
また、丸ノズル21が一本だけであると、当然ながら広い面積を処理する際に時間がかかる。従って、この丸ノズル21は複数本が並設されたノズルユニットの状態(例えば、三本の丸ノズル21が並設された状態)で使用されることもある。
【0007】
しかし、この従来の丸ノズル21を用いるピーニング処理方法には下記の欠点がある。
【0008】
丸ノズル21の噴射口22は、ある程度広い面積にショットを衝突させることができるように所定径以上に設定されている。従って、噴射口22が所定径以上であるから、該噴射口22から噴射されるショットは直進性が高くなく、図1(a)に図示したように放射状に拡散されてワーク23に衝突する。
【0009】
このように放射状に拡散されたショットは、図1(b)のように、ワーク23の表面において略円形に衝突する。従って、ワーク23に対して丸ノズル21を移動せしめつつピーニング処理を行うと(図1(b)においてノズル1の移動方向は符号26で図示。)、ワーク23の表面において、図1中符号24で示す領域付近では、移動方向における巾が長い為、その分、ショットが長時間に亙って衝突することになり、一方、図1中符号25で示す領域付近(丸ノズル21の移動方向と直交する方向の端部付近)では、移動方向における巾が短い為、その分、ショットが短時間しか衝突せず、よって、ワーク23へのショットの衝突数が場所によって異なることにより、ピーニング処理が不均一となる。
【0010】
更に、丸ノズル21の場合、加圧エアの膨張作用によってショットが噴射口22の周壁側に偏り(ドーナツ化現象と呼ばれている。)、これにより、ワーク23の表面にショットがドーナツ状に衝突し、やはりピーニング処理が不均一となる。
【0011】
更に、前記拡散により、噴射口22の中心付近と、この周囲とで、噴射口22からワーク23の表面までの距離が異なる為、必然的に衝突エネルギも異なってしまい、これによってもピーニング処理が不均一となってしまう。
【0012】
この為、例えば、噴射口22とワーク23との距離を長く確保し、ショットの衝突エネルギの差(比率)を可及的に少なくする方法も採用されるが、この場合、当然ながら、処理スペースを広く確保する必要が生じてしまう。
【0013】
また、少ない数しかショットが衝突しない部分に隣接する丸ノズル21から噴射されるショットを衝突する方法が採用されているが、この方法は、結局は同じ部分を二本の丸ノズル21を用いてピーニング処理する方法であり、非常に効率が悪い。
【0014】
更に、この方法の場合、二本の丸ノズル21から噴射されるショット同志が衝突してワークに衝突する際の衝突エネルギが低下してしまう為、ピーニング処理が不均一になり易く、且つ、ショットの噴射エネルギをロスしてしまっている。
【0015】
また、このショットの直進性を向上させて拡散を防止する為、丸ノズル21中のショットの噴射経路を長くする方法も考えられるが、この場合、丸ノズル21が大型化するという問題点や、噴射経路の内壁とショットとの摩擦抵抗によってショットの噴射速度が低下し、必然的に前記衝突エネルギが低下するという問題点が発生する。
【0016】
本発明は、上記問題点を解決するもので、繰り返した実験の結果、巾の広い噴射口を有するノズルを採用することにより、極めて効率的に且つ均一にピーニング処理を行えることを確認して確立した技術である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0018】
液体にショットが混入されたスラリと加圧エアとを混合して噴射材9とし、この噴射材9をノズル1の噴射口2から噴射して該噴射材9中のショットをワーク3に衝突せしめることで該ワーク3の表面の機械的性質を変化させるピーニング処理方法において、ノズル1とワーク3とを相対的に移動せしめることで、該ワーク3の表面の所定部位に前記噴射材9を噴射する方法を採用し、更に、前記ノズル1として、前記噴射口2が前記ノズル1とワーク3との相対移動方向と直交する方向に巾の広いスリット状の噴射口2であり、噴射材9が該スリット状の噴射口2の全域から平行流で噴射される構成のノズル1を採用したことを特徴とするピーニング処理方法に係るものである。
【0019】
また、請求項1記載のピーニング処理方法において、前記ノズル1として、スリット状の噴射口2の全域から噴射材9が均一に噴射されるノズル1を採用したことを特徴とするピーニング処理方法に係るものである。
【0020】
また、請求項1,2いずれか1項に記載のピーニング処理方法において、前記噴射材9は、可及的にワーク3の表面の法線方向から噴射されることを特徴とするピーニング処理方法に係るものである。
【0021】
【発明の作用及び効果】
ノズル1とワーク3とを相対的に移動せしめることで、該ワーク3の表面の所定部位に噴射材9(ショットが混入された液体と加圧エアとの混合物)を噴射する方法を採用し、更に、前記ノズル1として前記相対移動方向に直交する方向に巾の広いスリット状噴射口2から噴射材9を噴射し、且つ、該噴射材9をスリット状の噴射口2の全域から平行流で噴射する構成のノズル1を採用したピーニング処理の実験を行ったところ、極めて短時間でワーク3の表面にショットを均一に衝突せしめられることが確認された(ピーニングの状態を測定する測定装置により確認している。)。
【0022】
これは、噴射口2が前記相対移動方向と直交する方向に巾の広いスリット状の噴射口2である為、丸ノズルと異なり、前記相対移動方向と直交する方向においてワーク3の表面にショットが均一に衝突し、更に、スリット状の噴射口2の全域から平行流で噴射材9が噴射される為、この点においても、該噴射材9中のショットがワーク3の表面に均一に衝突し、よって、同じ部分に何度もノズルの噴射口を向けてショットを衝突させたりする必要が無いからであると考えられる。
【0023】
このショットの有効利用率を計算してみたところ、約80%という極めて高い有効利用率でショットがワーク3の表面に有効に衝突していた。
【0024】
また、ショットの有効利用率が高いから、当然ながらショットの噴射エネルギを節約することができる。更に、ピーニング時間を短縮して余分なショットの噴射を防止することはでき、これにより、ショットの衝突数が多過ぎて表面硬度が低下したりする状態(オーバーピーニング)となることを確実に回避することができる。
【0025】
本発明は上述のようにするから、極めて効率的に且つ均一にピーニング処理を行える実用性に秀れたピーニング処理方法となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図2〜4は本発明の一実施例を図示したものであり、以下に説明する。
【0027】
本実施例は、液体(水)にショット(例えば、ガラス玉)が混入されたスラリと加圧エアとを混合して噴射材9とし、この噴射材9をノズル1の噴射口から噴射して該噴射材9中のショットをワーク3(例えば、航空機用エンジンのフィン)に衝突せしめることで該ワーク3の表面の機械的性質を変化させるピーニング処理方法において、ノズル1とワーク3とを相対的に移動せしめること(例えば、ノズル1に対してワーク3を移動せしめたり、ワーク3に対してノズル1を移動せしめたりすること)で、該ワーク3の表面の所定部位に前記噴射材9を噴射する方法を採用し、更に、前記ノズル1として、前記噴射口2が前記ノズル1とワーク3との相対移動方向と直交する方向に巾の広いスリット状の噴射口2であり、噴射材9が該スリット状の噴射口2の全域から平行流で噴射される構成のノズル1を採用したものである。
【0028】
ワーク3は、回転治具5に立設状態で保持せしめられている。
【0029】
この回転治具5の回転により、ワーク3は立設状態のまま回転する。
【0030】
ノズル1は、前記ワーク3に対して前後上下左右に移動するように構成されている。このノズル1の移動及び前記回転治具5の回転によってワーク3の表面全面にショットを噴射できる。
【0031】
また、ノズル1は、前記ワーク3に対して任意に傾斜し、この傾斜によって可及的にワーク3のショット被噴射面の法線方向からショット(噴射材9)を噴射できるように構成されている。
【0032】
この回転治具5の回転、及び、ノズル3の移動や傾斜は、ワーク3に対するショットの噴射が適正に行われるようにNC制御(数値制御)によって集中制御される。また、この回転治具5の回転、及び、ノズル3の移動や傾斜は、ノズル1のスリット状の噴射口2からワーク3の表面までの距離が略一定に保たれるように行われる。
【0033】
また、ノズル1は、スリット状の噴射口2の全域からショットを均一に噴射するように構成されている。
【0034】
また、ノズル1には、前記スラリと前記加圧エアとを混合する混合部(図示省略)が内装されている。この混合部からスリット状の噴射口2までの間には、ショット(スラリ)の噴射方向が可及的に直線状となる所定長さのガイド噴射経路6が設けられている。
【0035】
スリット状の噴射口2の巾は、可及的に短時間でワーク3の所定部位(ピーニング処理を施したい部位)の全面にショットを噴射できる巾に設定されている。また、スリット状の噴射口2の巾は、ワーク3の巾を超える巾であっても良い。
【0036】
図中、符号7はスラリ供給部、8は加圧空気供給部である。
【0037】
以下、本実施例の各実験結果について説明する。
【0038】
実験例1
ノズル1は、巾100mm、長さ2.5mmのスリット状噴射口2を有するものを用いた。
【0039】
ショットは、粒径150乃至90μm程度のガラス玉(商品名「M−10」ポッターズ・バロティーニ(株)社製)を用いた。
【0040】
このショットは水と混合したスラリの状態で扱った。スラリ中におけるショットの濃度は40%(体積)に設定した。
【0041】
加圧空気のポンプ圧力は0.3MPa、スラリ流量は10リットル/minに夫々設定し、0.4MPaの圧力でショットがワーク3に噴射されるようにした。
【0042】
この条件で繰り返し実験を行ったところ、インティンシティが2.1mmで100%カバーレージの状態(ワーク3の表面(加工面)の全てにショットが均一に一回ずつ衝突した状態)を200mm/sのピーニング処理速度で実現できることが確認された(インティンシティ測定器の測定による。)。
【0043】
ところで、スラリ中のショットが図4(a)のように矩形体中において整列していると考え、且つ、ショットの平均粒径が120μmであると仮定すると、1秒間に流れるスラリ量Qsは、1分間のスラリ流量/60秒=10(リットル)/60(秒)=0.166(リットル)=166(cm3/秒)であり、1秒間に噴射されるショットの数nは、Qs×ショットの濃度/ショットの体積(立方体として換算)=166(cm3/秒)×40(%)/(120(μm))3=38425926(個/秒)、即ち、約4000万個/秒となる。
【0044】
一方、この100%カバーレージの状態のワーク3の表面を顕微鏡で観察すると、平均径約25μmの衝突痕が確認された(図4(b)参照)。
【0045】
一個のショットが25μmの衝突痕を形成できると考えると、38425926個/秒のショットが巾100mmのワーク3の表面全面に衝突痕を形成できる長さは、(ショットの数/(100(mm)/衝突痕の径))/衝突痕の長さ=(38425926(個/秒)/(100(mm)/25(μm)))=240(mm/秒)である。即ち、理論上、ショットの100%が均一にワーク3の表面に衝突できるとすれば、1秒間に巾100mmのワーク3を240mmにわたってピーニング処理できることになる(ピーニング処理速度Vs=240mm/s。図4(c)参照。)。
【0046】
上記の実験例1によれば、実測のピーニング処理速度は200mm/sである。この数値は、理論上のピーニング処理速度Vs=240mm/sの約83%であり、従って、本実施例は、ショットが極めて高効率でワーク3に衝突せしめられることが確認されたといえる。
【0047】
これに対し、従来の丸ノズル21を用いる方法では、前述の通り、丸ノズル21の移動方向と直交する方向の端部(図1中符号25)においてはショットが短時間しか衝突しないこと、加圧エアの膨張作用によってショットが丸ノズル21の噴射口22の周壁側に偏ること(ドーナツ化現象)、ショット(噴射材)の拡散により、噴射口22の中心付近と、この周囲とで、噴射口22からワーク23の表面までの距離が異なって且つ衝突エネルギも異なってしまうこと、等の理由により、ワーク23に衝突する有効ショットの数は極めて少ないと考えられる。
【0048】
実験例2
長さ80mm×巾2mm×厚さ1mm、硬度HV45のSUS板(ワーク)にピーニング処理を施し、このSUS板の反り量(インティンシティ)をダイヤルゲージで測定し、本実施例(表中巾広ガンと記載した。)と従来の丸ノズルで行う方法(表中丸ガンと記載した。)とで比較した。
【0049】
巾広ガンは、巾60mm長さ×2.5mmのスリット状噴射口を有するものを使用し、丸ガンは内径12.7mmの円形噴射口を有するものを使用した。
【0050】
ワークに対するノズル(ガン)の移動速度とショットを含むスラリを噴射する為のエアー圧とを異ならせて繰り返し実験を行った。
【0051】
実験結果を下記表1及び表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
例えば、1.0秒でインティンシティ2.1mm且つカバーレージ100%(インティンシティの変動がピーニング処理の継続によっても10%以内となる条件)となる為には、巾広ガンではエアー圧0.25MPaを必要とし、丸ガンではエアー圧0.45MPaを必要とした。
【0055】
即ち、実験例2によれば、本実施例は低エアー圧(低出力)であってもピーニング処理を有効に行えること、即ち、高効率でピーニング処理を行えることが確認された。
【0056】
ところで、この実験例2の結果から、本実施例と従来の方法との効率を比較する。
【0057】
この比較は、インティンシティ及び処理速度が略同等で、カバーレージ100%の条件、即ち、表1,2中の○印で比較した。
【0058】
本実施例の処理条件は下記の通りである。
【0059】
エアー圧力 0.25MPa
エアー消費量 2030Nl/min
スラリー流量 6.8L/min
処理有効巾 50mm
従来の方法の処理条件は下記の通りである。
【0060】
エアー圧力 0.45MPa
エアー消費量 860Nl/min
スラリー流量 27.8L/min
処理有効巾 8mm
尚、インティンシティは約2.1mm、処理速度は70mm/secで略同等である。
【0061】
仮に、処理時間の比較は、巾広ガンによる処理面積/丸ガンの処理面積=(70(mm/sec)×50(mm))/(70(mm/sec)×8(mm))=6.25で、巾広ガン、即ち、本実施例の方が6.25倍速い。
【0062】
この処理時間で処理に必要なエアー量を比較すると、6.25:1=2030(Nl/min):860(Nl/min)であるから、本実施例の方が2.65倍も処理に必要なエアー量が少なく、よって、本実施例は加圧エアを効率的に使用しているといえる。
【0063】
また、処理時間で処理に必要なショット量(スラリー中におけるショット濃度は同じ)を比較すると、6.25:1=6.8(L/min):27.8(L/min)であるから、本実施例は従来の方法の25.6分の1しかショット量を必要とせず、よって、本実施例はショットを極めて効率的に使用しているといえる。
【0064】
以上、実験例2によれば、本実施例は、加圧エアの圧力が低くても処理速度が速く、更に、加圧エア及びショット(スラリ)を極めて効率的に使用できることが確認された。
【0065】
実験例3
実験例2と同様の実験であるが、ワークの各部における反り量を測定した。
【0066】
また、ショットを含むスラリを噴射する為のエアー圧は、巾広ガンと丸ガンとで略同じだけワークを反らせられるように設定した。
【0067】
また、ワークに対するノズルの移動速度を可変して繰り返し実験を行った。
【0068】
実験結果を下記表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
丸ガン(従来)は移動方向の直交する方向の左右両側部(周縁部)と中央部とで加工量が大きく異なるが、巾広ガン(本実施例)は移動方向と直交する方向の左右両側と移動方向の中央部との加工量の差が小さく、しかも、均一な区間が非常に広いことが確認された。
【0071】
即ち、実験例3によれば、本実施例が均一なピーニング処理を達成できること、特にワークを面処理する場合に非常に有効であることが確認された。
【0072】
尚、従来の丸ガンによる方法では、加工量が足りない移動方向と直交する方向の左右両側部を更にピーニング処理する必要があるが、この左右両側部の加工量と中央部の加工量とが同じくなるようにショット(噴射材9)を噴射することは大変厄介である。
【0073】
実験例4
エアー圧力を異ならせてワークにピーニング処理を行い、表面粗さを測定した。
【0074】
巾広ガンは、実験例2と同様のものを使用した。丸ガンは、実験例2と同様のもの(表中丸ガン1/2と記載した。)と、内径9.7mmの円形噴射口を有するもの(表中丸ガン3/8と記載した。)との二種類を使用した。
【0075】
また、噴射口とワークとの距離は、均一にピーニング処理を行える最小距離(予備実験の結果確認)とした。
【0076】
実験結果を下記表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
巾広ガンでは、エアー圧力の上昇に略比例して表面粗さが粗くなるのに対し、丸ガンではエアー圧力の上昇がある程度以上になると表面粗さの粗さの上昇が鈍化することが確認された。
【0079】
即ち、実験例4によれば、本実施例では、エアー圧力が高くても効率的にピーニング処理を行え、よって、高速度,高効率でピーニング処理を行えることが確認された。
【0080】
尚、従来の丸ガンによる方法では、エアー圧力が高い場合にエネルギロスが大きくなり、高速度,高効率のピーニング処理は困難となる。
【0081】
以上の各実験例によれば、本実施例が、エネルギ効率及びショット効率に秀れ、ワークにピーニング処理を極めて均一に行うことができ、結果的に処理スピードが高いことが確認された。
【0082】
本実施例は上述のようにするから、噴射する噴射材9中のショットを極めて高効率でワーク3に衝突させることができ、これによりピーニング処理時間を短縮したり、ショットを噴射するエネルギを省エネ化したりすることができる実用性に秀れたピーニング処理方法となる。
【0083】
また、ショット(噴射材9)を過剰に噴射することがなくなるから、ピーニングのやり過ぎによるワーク3の脆性破壊等(オーバーピーニング。カバーレージ600程度で発生するおそれがある。)は確実に防止される。
【0084】
また、ショットが有効的にワーク3に衝突するから、ショット同志が衝突することによる該ショットの摩耗は防止され、これによりショットの長寿命化を達成することができる。
【0085】
また、スリット状の噴射口2からショットが平行流で且つ均一に噴射されるから、複数の丸ノズルを並設した場合と異なり、ノズル1の巾方向においてショットの噴射ムラは無く、よって、当然ながらワーク3の表面を均一にピーニング処理することができる。
【0086】
また、ノズル1とワーク3との双方を移動してピーニング処理を行う方法であるから、ノズル1とワーク3との位置関係を迅速に適正な位置関係に設定することができ、この点においてもピーニング処理を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の説明斜視図である。
【図2】本実施例の説明斜視図である。
【図3】本実施例の説明側断面図である。
【図4】実験例1でショットの有効利用度合いを説明する為の理論図である。
【符号の説明】
1 ノズル
2 噴射口
3 ワーク
9 噴射材
Claims (3)
- 液体にショットが混入されたスラリと加圧エアとを混合して噴射材とし、この噴射材をノズルの噴射口から噴射して該噴射材中のショットをワークに衝突せしめることで該ワークの表面の機械的性質を変化させるピーニング処理方法において、ノズルとワークとを相対的に移動せしめることで、該ワークの表面の所定部位に前記噴射材を噴射する方法を採用し、更に、前記ノズルとして、前記噴射口が前記ノズルとワークとの相対移動方向と直交する方向に巾の広いスリット状の噴射口であり、噴射材が該スリット状の噴射口の全域から平行流で噴射される構成のノズルを採用したことを特徴とするピーニング処理方法。
- 請求項1記載のピーニング処理方法において、前記ノズルとして、スリット状の噴射口の全域から噴射材が均一に噴射されるノズルを採用したことを特徴とするピーニング処理方法。
- 請求項1,2いずれか1項に記載のピーニング処理方法において、前記噴射材は、可及的にワークの表面の法線方向から噴射されることを特徴とするピーニング処理方法。
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