JP2004009090A - プレス成型装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビルの内・外装パネル,天井パネル等に用いる金属パネルを生産するためのローコストなプレス成型機を提供する。
【解決手段】シート状の成型物を一対のプレス型4a,4bを用いて成型するプレス成型装置であって、一対のプレスロールの間に樹脂製のプレス型を配し、プレスロール1a,1bを回転駆動で移動・往復することにより局部的且つ段階的に型全面を成型することで、高意匠な大型の金属パネルを安価で成型することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】シート状の成型物を一対のプレス型4a,4bを用いて成型するプレス成型装置であって、一対のプレスロールの間に樹脂製のプレス型を配し、プレスロール1a,1bを回転駆動で移動・往復することにより局部的且つ段階的に型全面を成型することで、高意匠な大型の金属パネルを安価で成型することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はビルの内・外装用パネル材、天井材、等を生産するための金属薄板のプレス成型に用いる、プレス装置・プレス型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】従来ビルの内・外装パネルは厚みが0.3mm〜4mmの金属板(ステンレス,アルミ,カラー鋼板等)の4隅を箱状に折り曲げ、パネル状に仕上げた後、裏面に断熱処理を施し、ビルの下地(ファスナー)に取り付けている。一般的にパネル表面はフラットのものが多く、パネル表面に深い凹凸模様の意匠を持つパネルはダイキャスト法で生産され高級施工に限られていた。
【0004】内・外装パネル表面に凹凸模様をつける方法は5種類ある。 1.プレス成型 2.ダイキャスト法、3.タレットパンチ法(NC制御の油圧プレス装置で50mm×50mmのパターン柄を連続的に模様付け。)、4.エンボス成形法(2本の凹凸模様ロールの間に金属板を通板し模様付け。)、5.エッチング法その他(金属表面を腐食させて模様付け、その他ヘアーラインなどの特殊研磨による模様付け等がある。)
【0005】1.プレス成型は油圧式プレス装置,もしくは機械式プレス装置で型枠(ダイセット)に囲まれ強固に位置決めされた、金属製プレス金型を用いプレス成形していた。
【0006】従来技術では金属製の金型加工に時間がかかるためパネルのサイズが大型化し、パネルの柄が深く、高意匠になるほど型費用が高額になりロット数の比較的小さな
ビル工事に新しい型をおこすことは困難であった。
【0007】大型パネルの意匠性の高い柄をプレス成型でシャープに表現するには面圧100kg/平方センチメートルが必要で、大型のプレス装置無しでは成型できない。大型プレス装置は極めて高額で,ランニングコストもかかるため,大型プレス機でプレスするのは極めて困難であった。
【0008】従来のプレス金型は上下型ともに金属の表面で一度に金属薄板をプレスするため、模様が深くなるほど成型物表面の破れ、傷、塗装面の剥離が問題になるため高意匠の成型ができなかった。
【0009】ダイキャスト法は特に意匠性の高い高級パネル施工で使用されていた。しかしコストが高く,また非常に重いため高層ビル、ビル改築では使用が困難であった。また鋳造型に溶融した金属を流し込む本工法ではパネルの大きさ(900mm×900mmが最大サイズ)に制限があった。
【0010】タレットパンチによる模様付けは、50mm×50mmの模様パターンサイズが最大限度で意匠に変化を持たせるのが困難であった。
【0011】エンボス成形による模様付けは厚板成形の場合模様深さに限度があり(0.5mmから1mm程度、成形品材料肉厚の1/2以下)また切り板を成形する小ロット生産に向かない。また模様を深くすることで成形後の板のばたつきが発生しパネル製作で要求される平面性が確保できない問題がある。
【0012】エッチング,研磨では模様深さが、深くて数十ミクロンオーダーで意匠表現が限られ、市場から飽きられている。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
外装パネルの標準的な最大のサイズである4m×2mの板(0.3mmから1mm厚の金属板)に細かい凹凸模様(深さ最大10mm)をプレス成形でシャープに転写しようとすると面圧を100kg/平方センチメートルかけなければならず8000トンの油圧プレス装置が必要になる。専用機を製作すれば数億円の費用となり、中小企業からなる金属工事業者の投資できる金額ではない。
【0014】内・外装パネルを生産する金属工事業者各社が自社で所有でき内外装パネルの小ロット生産が可能な安価で、高性能なプレス装置の提供が望まれている。
【0015】ビルの高層化、ビルの改装等でパネルの軽量化が求められている。カーテンウオールに模様の凹凸をつけることで、内・外装パネルの剛性が増し、材料の厚みを薄くすることが可能となる。軽量化と同時に材料費のコストダウンが可能となる技術が求められている。
【0016】ローコストでの内・外装パネルの意匠性向上が求められている。成型品肉厚を減らすことでシャープなプレス成型が可能となりダイキャスト品と同等以上の意匠表現が可能となる技術が強く求められている。
【0017】内・外装パネルの成型に用いるプレス型のコストダウン,納期短縮が大きな課題である。
【0018】現状プレス金型表面が両面金属であるために、近年注目されている光触媒塗装、セラミック塗装,プリントフィルムラミネート鋼板等のプレス成形で成型品表面に傷がつき高意匠な深い模様のプレス成型が不可能である。
【0019】本発明は上記の問題を解決するもので、その目的とするところは超大型、軽量、高剛性、高意匠、低コスト、高品質の内・外装パネルを生産するプレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】上記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって、対向する一対のプレスロール1a,1b、とプレスロールの上下間隔を位置決めする位置制御装置2a,2b,前記プレスロールを回転駆動させるモーター3a,3b,前記プレスロールの間に位置するプレス型4a,4b,を備えたプレス成型装置である。
【0021】このように構成すると、シート状成型物6は一対のプレスロール 1a,1b、の間に位置する、凸模様プレス型4aと凹模様プレス型4bとの間で成型される。
【0022】請求項2記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって、前記プレス成型装置においてシート状の成形物を一対のプレス型を対向するプレスロールの間で局所的に加圧し、同時にプレスロールを回転駆動させるモーター3a,3b,によりプレス型長手全長にわたり移動させ全面をプレス成形するプレス装置である。
【0023】このように構成すると、シート状成型物6は一対の凸模様プレス型4aと、凹模様プレス型4bとの間でプレスロール 1a,1b,により局所的に成型されると同時にプレス型長手全長にわたり移動し最終的に全面が成型される。
【0024】請求項3記載の発明は図1のごとくシート状の成型物6を一対のプレス型4a,4bを用いて成型するプレス装置であって、プレス1工程が終了するごとにプレスロール 1a,1bの間隔を狭めることで段階的に深絞りのプレス成型をおこなうプレス成型装置である。
【0025】このように構成すると、シート状の成型物6は一対のプレス型4a、4b,との間で破れることなく,且つ均一な肉厚で段階的に深絞り成型される。
【0026】請求項4記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって前記プレス装置におけるプレス型4a,4b,の型表面に、常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂で製作された型を備える。
【0027】このように構成すると、成型物は型表面が硬質合成樹脂層により形成された一対の凸模様プレス型4aと、凹模様プレス型4bとの間で表面に傷、破れ、塗装面剥離をおこさずに深い模様に成型される。また硬質合成樹脂が適度に弾性変形することでプレスロール 1a,1b,の圧力がプレス型4a,4b,を介してシート状の成型物に伝わりやすくなりシャープな成型品が得られる。
【0028】請求項5記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって前記プレス装置におけるプレス型一方の表面に、常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂で製作された型を用い、もう一方の型に金属製の型を備える。
【0029】このように構成すると、成型物表面が、硬質合成樹脂層により形成された凸模様プレス型4aと面し、成型物裏面は金属製の凹模様プレス型4bに面し、プレス型4a,4b、の間で成型されることで剛性のある厚肉のシート状成型物の場合にも深いシャープな模様に成型され、且つ成型物表面には傷、破れ、塗装面剥離をおこすことが無い。
【0030】請求項6記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であってプレスロール 1a,1b,の両側に配置されたレベラー装置5a,5bを配置し、プレス成型すると同時にプレス型4a,4b、をレベラ−装置に通過させる。
【0031】このように構成すると、シート状成型物6が型の中にセットされた状態でレベラー装置を通過することで成型時に発生するシート状成型物6の反りをレベラー効果で消すことができる。型の中にセットされた状態でレベラー装置を通過するため成型品の凹凸模様がつぶされることは無い。
【0032】請求項7記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であってプレスロール 1a,1b,の上下間隔の位置制御をする位置制御装置2a,2b,を用いてプレス型4a,4b、の間に配置されたシート状の成型物6にプレスロール 1a,1b,を介し,断続的且つ局所的に加圧せしめる。
【0033】このように構成すると、シート状成型物6が型の中にセットされた状態でプレスロール 1a,1b,から断続的且つ局所的に圧縮応力を受けるため請求項7記載のレベラー装置を通過することと同等の効果を発生し成型物の反りを防止することが可能となる。特に請求項5記載の片側のプレス型を樹脂製プレス型,もう一方のプレス型に金属製プレス型を使用するケースではレベラーを通過することが困難であるために本発明は有効である。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、従来の高コストな大型プレス装置、金属製プレス金型を用いることなく簡易な位置決め制御装置と回転駆動モーターを有するプレスロールを用いたプレス装置で樹脂製プレス型を移動・往復しながら局所的且つ段階的にプレス成型することで大型、軽量、低コスト、高剛性、高意匠で平面性が高い、ひずみの少ない内外装パネルの製作が可能になった。
【0035】請求項2記載の発明は、局所的にプレスをしながら移動する機構であるためロールプレス装置を従来のプレス成型機と比較するとイニシャルコスト、ランニングコストが下がるとともに、省エネルギー、省スペースを同時に実現できた。
【0036】請求項3記載の発明による成型物の深絞り成型のよる高意匠化で内外装パネルの剛性が向上し成型材料の薄肉化が可能となり、パネルの軽量化、コストダウンが一気に両立できた。
【0037】更に、深い絞り成型を段階的に行うため残留応力による歪が少なく、プレス成型による肉厚のばらつきが少ない均質な成型品が得られた。
【0038】また請求項4より、型表面に硬質合成樹脂を用いるため近年注目されている光触媒塗装、セラミック塗装,プリントフィルムラミネート鋼板等のプレス成形で成型品表面に傷がつかず,錆びのクレームの心配がなくなった。
【0039】更に本プレス装置に使用するプレス型表面は鉄と同等の耐久性,耐摩耗性を兼ね備えた硬質合成樹脂を用いる為、鉄を削るのと比較し約10倍以上のスピードで切削できる。よって型のコストが鉄製プレス型の1/2〜1/4になるためビル1棟ごとに意匠を変えることがコスト的に可能となる。また小規模なビルのリフォームにも適応できるようになった。
【0040】請求項5より片側のプレス型に金属製のプレス型を用いることで肉厚のシート状成型物でもシャープな模様を転写することが可能となった。
【0041】内・外装パネルの表面側に樹脂製のプレス型を配置することで,表面の傷,破れの発生は無い。
【0042】請求項6よりプレスロール 1a,1b,の両側にレベラー装置を設けることで成型と同時にレベラー効果が得られ、成型品の反りが皆無になった。
【0043】シート状の成型物が型の中にセットされた状態でレベラーにかけられるので成型物の凹凸模様がレベラーでつぶされることが無い。
【0044】請求項7よりプレス成型装置において プレス型4a,4b,及びプレス型の間に配置されたシート状成型物6、を位置決め駆動装置2a,2b,によりプレスロール 1a、1b、 を介し、断続的且つ局所的に加圧することでレベラーと同じ効果を得ることができた。
【0045】樹脂製プレス型と金属製プレス型の組み合わせで成型するときにレベラーを通すのは困難であるためレベラーと同じ効果の得られる本発明は大変効果的である。
【発明の実施の形態】
【0046】図2、図3はこの発明の第1の実施の形態によるプレス装置の成型工程について示した図である。
【0047】先ず、樹脂製のプレス型4a、4bを製作する。型の製作方法は本発明の発明者が取得した特許第3294243号、「プレス成型装置及び樹脂製プレス型の製造方法」 に基づき製作を行う。
【0048】材料は常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂を用いる。一例としてバンティコ社のウレオール樹脂を用いるが前記物性を満足していれば他の樹脂でもかまわない。
【0049】まず型のサイズに合わせて型枠を製作する。ウレオール樹脂の主剤・硬化剤を所定量計量後攪拌・脱泡し型枠に樹脂を注型、50度で24時間以上加熱硬化後脱型する。樹脂のブロックは上型・下型用各1個製作する。
【0050】マシニングセンターに樹脂ブロックをセットし、樹脂製プレス型の上型、下型をそれぞれ削りだす。ウレオール樹脂の加工は高速回転、高速送りで切削する。
【0051】エンドミルはテーパーボールエンドミルを用いる。細かい模様であれば先端Rを0.3mmから0.5mm、荒い模様であれば先端R1mmから5mm程度の刃物が適している。刃物の材質は超硬合金で耐摩耗性に優れたコーティング処理を施したものが好ましい。
【0052】マシニングセンターの回転数は10000R.P.M.から30000R.P.M.とし刃物の送り速度は1000mm/minから10000mm/minで切削する。
【0053】通常の金属の切削とは異なり切り粉の量が多いため切り粉の排出を考慮したエンドミルを用いる必要がある。具体的には切削表面を平滑にするために樹脂加工に適したすくい角の大きな、鋭利な刃物を使用する。樹脂の切削は切削抵抗が低いため刃物が欠けることは無い。
【0054】回転数が高いため切り粉の排出が間に合わないと樹脂が溶融し、エンドミルにからみつきエンドミルの破損、折損の原因となるため切削時には摩擦熱による溶融防止のためエンドミルに潤滑油を高圧で吹き付ける方法、もしくは液体窒素等低温の気体を噴霧することで防止する。
【0055】成型時の型の転写性を上げるためにプレス型上型4aを樹脂製、下型4bを金属製のプレス型にする場合、下型の材質を快削鋼、鋳鉄、ジュラルミン、低融点亜鉛合金(ZAS,ZAPRC)炭素鋼、低炭素鋼 等を用いることができる。
【0056】加工後の金型成型面に硬質クロムメッキ、高硬度無電解メッキ等の表面処理を施すことで成型性、特に材料の滑り込みを良くすることが可能となり傷の防止に役立つ、また型表面の耐摩耗性を向上させることができる。
【0057】まず図2―(1)のとおり 上下型4a,4b,を型開き位置に移動させバキュウムパットで 上型4a を吸い上げる。
【0058】下型4b の中にシート状の成型物 6 をセットする。成型材料の材質はステンレス、銅、アルミ、塗装鋼板、機能性鋼板等が用いられ、成型材料の厚みは0.2mmから2mm程度のものが多く用いられる。
【0059】図2―(2)のとおり上型4a をかぶせる。
【0060】図2―(3)のとおり型をプレス基準位置まで移動する。通常プレス型端部から100mm内側にプレスロール 1a,1b、の軸心が位置する。
【0061】図2―(4)のとおり位置制御装置2a,2b、で上プレスロール1a、の位置を上型4aに接触するまで下降させ基準高さとし、そこから更に2mm降下させる。
【0062】図2―(5)のとおりプレスロール 1a,1b、を駆動モーター3a,3b、で駆動し型を局部的にプレスしながら左から右に型を移動させる。模様深さ8mmに対して25パーセントの2mmの成型が完了する。
【0063】図3―(6)のとおり引き続いてさらに上プレスロール 1aを2mm降下させたのち、ロールプレスを反対方向に回転駆動し、型を右から左に移動させる。模様深さ8mmに対し50%の4mmが成型できる。
【0064】図3―(7)のとおり上プレスロール 1aを更に2mm降下させ型を左から右に移動させる。模様深さ6mmまでの成型が行われることとなる。
【0065】図3―(8)のとおり続いて上プレスロール位置を更に2mm降下させ最終成型深さ8mmの位置にセットし型を右から左に移動させる。これにより模様深さ8mmのロールプレス成型が完了する。
【0066】図3―(9)のとおり型開き位置まで型を移動させる。
【0067】図3―(10)のとおりバキュームパットで上型を開き成型品を取り出す。以上で一連の成型が完了する。
【0068】シート状成型物6の肉厚が厚い場合、もしくは剛性が高く上下型樹脂製プレス型では模様の転写性が上がらない場合は上型4aを樹脂製プレス型,下型4bを金属製プレス型の組み合わせで成型することにより成型転写性が極めて向上する。
【0069】上型4aが樹脂製で弾性変形するため剛性の有る下型4bに形状が沿いやすく成型物6を下型4bに均等な力で押し付ける効果があるためである。
【0070】図4―(1)から図5―(10) はこの発明の第2の実施形態によるプレス装置の成型工程について示した図である。請求項6の発明を実施したものである。
【0071】第1の実施の形態と全く同様の成型方法で成型を行うが、成型時にプレスロール 1a,1b,の両側にレベラー装置5a,5b、をセットし成型と同時にレベラーを型ごと通過させる。
【0072】レベラ―装置は上下左右に各4本セットされており上下のロール位置は1/2ピッチすらした千鳥状に配置されている。
【0073】下レベラ―5bの上面高さは下プレスロール1bと同じ高さの設定になっており,上レベラ―装置5aの高さはは上プレスロール 1aの高さより若干低く設定されている。
【0074】成型と同時にレベラ―装置を通過することで成型時に発生する不均一な応力分布が緩和され反りが無くなる。成型時に残留応力よりも強い圧縮,引っ張りの繰返し応力をレベラーを通過することで受けるためである。
【0075】図6−(1) はこの発明の第3の実施形態によるプレス装置の成型工程について示した図である。請求項7の発明を実施したものである。
【0076】第1の実施形態の成型が完了後 図6―(1)のごとく 位置制御装置2a,2b、を用いて断続的且つ局所的に圧縮応力をかけながらプレス型4a,4b、を型の長手方向全長にわたり進めさせる。圧縮をかける範囲はプレス型の端部から200mmピッチで100mmの間隔ごとに面圧100kg/平方センチメートルに相当する圧力をプレスロール 1aの両端軸受け部にかける。往路と復路で位相を1/2ピッチずらすことで、1往復で全面が圧力を受けるようにプレス成型機を制御する。図6−(2)に往路における型の圧力分布,図6―(3)に復路における型の圧力分布を示す。
【0077】樹脂製のプレス型を用いることで繰返し応力を任意のエリアに加えることができる為,結果としてレベラ―を用いることなくレベラ―と同じ効果を得ることが可能となった。
【0078】請求項7における発明を実施したもので、シート状成型物6の肉厚が厚い場合、合成が高く上下型樹脂製プレス型では模様の転写性が上がらないケースで上型を樹脂製プレス型,下型を金属製プレス型の組み合わせで成型する場合にレベラーを通すのが困難であるため本発明が大変有効である。
【実施例】
【0079】実施例1として2000×1000mmのパネルを成型するプレス型上下型を請求項4の構成である樹脂製上下プレス型の組み合わせに従い、上下プレス型をそれぞれ機械加工により製作した。最大模様深さは6mmの設定で加工した。柄はレンガ模様である。
【0080】成型材料は2000×1000、厚み0.4mmの深絞り用ガルバニュウム鋼板を用いた。
【0081】プレスロール 1a,1b、の直径は400mm、回転数は毎分15回転、(送り速度=18.8m/分)に設定した。
【0082】模様深さ6mmを1段階当りのプレス量を2mmの3段階でプレス成型を行った。成型の方法は前記第1の実施形態のとおりである。
【0083】実施例2として実施例1と同条件で成型完了後、転写性を目視で判断したところ型に対して模様の付きが甘かったため、さらに2mm 上プレスロールを 降下させ,更に1往復した。
【0084】上下型とも樹脂性のプレス型であるため弾性力による反力で強力にプレス効果が現れ、模様の付きが改善された。
【0085】実施例3として成型後型より成型物6を取り出したところ、成型物には反りが発生しており反り量を測定した。
【0086】反り量の測定の方法は基準となる定盤の上に反りの発生した成型物6を置き成型物端部の定盤からの最大高さを測定した。長手方向の反り量をX,幅方向の反り量をYとする。測定結果は長手方向の最大の反り量X=30mmであった。幅方向の反りY=10mmの反りが認められた。
【0087】実施例4として成型後反りを無くすために第2の実施形態にあるところのレベラーを使用した成型を実施した。レベラーは片側上下各4ロールを配した4スタンド(4段レベラ−)を用いた。
【0088】レベラーの直径はφ150mmでレベラーのロール間のピッチは200mmである。上下のレベラーの取り付け位置は1/2ピッチずれている。
【0089】上レベラーの位置を上プレスロールの高さより2mmおろした。
【0090】第2の実施形態でレベラーを通して2往復させたところ上下型樹脂製で柔軟性を持つためレベラー効果があらわれ、反り量 X=30mmが3mm、Y=15が1.5mmとなりレベラー効果で反り量が1/10に減少することが確認できた。
【0091】成型と同時にレベラー装置をとおるため成型物に残留する引っ張り応力と圧縮応力以上のプラスマイナスの応力が繰り返し均一にかかる。よって成型物の反りの原因である残留応力の偏在が緩和された。スペース上の問題でレベラ−が少なくとも片方だけの場合でも通過回数により効果が得られるため特に問題なく同様のレベラ−効果が得られた。
【0092】実施例5として転写性の向上のために上型を樹脂製に、下型を金属製にし第1の実施形態と同じ条件で成型を行った。転写性は明らかに改善された。下型の金属の材質は炭素鋼55Cを用いた。
【0093】実施例6では実施例で5において、反りが発生したため、第3の実施形態で成型テストを行った。
【0094】位置決め制御装置2a,2bに内蔵されている油圧シリンダーを用いて断続的、局所的に上プレスロール 1aで加圧した。加圧の圧力分布のパターンは往路は図6―(2),復路は図6−(3)で実施した。
【0095】位置決め制御装置2a,2b,に内蔵される油圧シリンダー容量は片側30トンの出力でプレスロールにかかる加圧力は合計60トンとなる。
【0096】プレスロールの面長は1000mm、樹脂製プレス型に接触する最大幅を60mmとするとプレスロールとプレス型の接触面積は600平方センチメートルとなりプレス形接触面にかかる面圧は約100kg/平方センチメートルになる。
【0097】下プレスロール1bの回転角度を下プレスロールの側面に設置されたエンコーダーで角度を読取ることで図6―(1),図6―(2)の圧力分布になるよう油圧のサーボバルブをコントロールする。加圧のタイミングをエンコーダーから入る信号をプログラムコントローラーで制御・調整することで圧力分布の幅,ピッチ・位相を容易に変更することが可能になる。上型が樹脂製であるため上型を介して成型物6に対し繰り返しの断続的・局部的な圧縮応力が加わり反り防止に対する大きな効果が認められた。型の側面にリニアスケールを配置することでより一層高い位置決め精度を得ることが出来た。
【0098】実施例7として図7の形状のテスト型を製作し第1の実施形態と同条件で成型を行ったところ皺のないきれいな曲面の深絞り成型品が得られた。成型物は厚み0.3mmのステンレスである。図7−(3)、(4)は成型品の図を示す。このことより本発明の応用範囲が建材のパネルだけでなく自動車の外板ボディー,流し台のシンク、タンクの鏡板、家電製品では炊飯器の釜やホットプレートの鉄板など多種にわたる分野での応用の可能性があることが確認できた。
【0099】実施例8として実施例1で型を往復する際、上プレスロール用駆動モーター3aを用いず、下プレスロールの駆動モーター3bのみで型の移動を試みたところ問題なく型の移動が行えた。量産機での上プレスロール用駆動モーター3aの廃止の可能性が確認できた。駆動モーターの数量を減らすことでコストダウンが図れた。
【0100】実施例9として、実施例8における上プレスロール用駆動モーターを廃止することによる型が往復する際のプレスロールと型の摩擦力の不足を補うために、下プレスロール両端面にピニオンギア,下型裏面に前記ピニオンギアに合致するラックギアを装着することで型、とプレスロールの摩擦力不足を補った。ラックギア,ピニオンギアの組み合わせにより型の直進性が確実なものになりまた,スリップがなくなることにより実施例6による油圧によるレベラ−装置の圧力分布の制御の精度が高まった。ラックギア,ピニオンギアのモジュールはm
=8を用いた。
【0101】実施例10として実施例9におけるラックギアを樹脂製のプレス型下型の裏面長手方向全長且つ、幅方向の端面両サイドに2ヶ所装着する際、装着部と型の模様面の距離を50mm間隔を空け、且つ50mmの間は型の厚みを通常の型厚の1/4にあたる5mmとした。それにより、レベラ−を通過する際レベラ−ロール幅を模様面と同じ幅にすることでラックギアを装着していても模様面の部分のみ,レベラ−で変形するがラックギアには応力が伝わらないことがわかった。
【比較例】
【0102】第1の比較例として本発明で開発したプレス成型装置で実施例1と同じ条件で各種材料を成型し転写率,反り量X,Y,皺の発生を確認した結果を表1に示した。
転写率の測定は先ず成型前に非接触3次元測定器で製品形状の下型4b、の表面を1mmメッシュで測定し、基準形状とし、各成型物を同様の条件でデジタイジングし双方のデータをコンピューター上でマッチングし転写率を測定した。
表1より肉厚が厚くなるほど転写率が悪くなり,また材料の剛性があがるほど同じく転写率が低下することがわかった。
【0103】第2の比較例としてガルバニュウム鋼板を用い実施例と同じ条件で成型終了後更に繰り返しプレスロールの1,2,の間隔は一定で繰り返し型を往復させることで転写性が向上するかを比較した。
テスト2―1は実施例1で成型が完了した状態。実施例2−2から2−5は成型完了後型を成型時と同じ条件でプレスロールを更に通過させたかで条件を変更した。
【0104】表2よりプレスロール通過回数3回までは転写性が向上し、3回以上は転写性には影響せず安定状態に入ることが判明した。
【0105】第3の比較例として成型終了後に更にプレスロールを下降させ転写性を上げるテストを実施した。成型条件は実施例1の成型後に表3のとおりプレスロールを降下させた。
【0106】成型材料は比較例1で転写率が低かったCU材料,厚み0.8mmを用いた。
【0107】表3よりテストNO.3−1は実施例1の条件で成型の終了したブランク状態で転写率が67パーセントであった。
【0108】テストNO.3−2で1mm、NO.3−3で1.5mm降下して約10%の転写率向上に効果が認められたがNO.3−4で2mm降下の78パーセント以上に上げることはできなかった。
【0109】成型時のCU材の成型応力が樹脂製のプレス型の弾性変形応力を上回ったためプレス型が変形をしたのが原因である。
【0110】第4の比較例として実施例1の条件で0.4mmのガルバニュウム鋼板を用いて,請求項6にあるところの成型と同時にレベラ―をとおすテストを実施した。プレス型は上下とも樹脂製プレス型にて成型を実施した。表4にレベラ―の通過回数と反りの量を示した。
【0111】テストNO.2−1はレベラ―を上げて成型をしたレベラー無しのブランクテストである。第2の比較例よりレベラー通過回数は2回で充分なレベラー効果が得られることが判明した。
【0112】第5の比較例として請求項7のプレスロール加圧によるレベラー効果の確認を実施した結果を表5に示す。
【0113】成型材料はガルバニュウム 鋼板肉厚0.4mmである。
【0114】実施例1の条件で成型を終了後位置決め制御装置3,4,で型を加圧しながらプレスロールを通過させた。
【0115】テストNO.5−1は実施例1で成型が完了した状態のブランクである。
【0116】表5より加圧力が大きいほど、通過回数が多いほどレベラー効果が大きいことが確認できた。
【0117】
【表1】成型材料と模様の転写率
【0118】
【表2】成型回数と模様の転写率
【0119】
【表3】成型終了後更にプレスロールを下ろすことで転写性を上げるテストの結果
【0120】
【表4】レベラ―を通す回数と反り量の関係
【0121】
【表5】請求項7のプレスロール加圧によるレベラー効果を確認したテスト結果
【0122】
【図面の簡単な説明】
【図1】
(1)本発明の基本構造図を示す図である。
(2)本発明の基本構想図で図1−(1)で示したV−Vから見た図である。
【図2】本発明の実施例を示す図である。
(1)型を開けて成型物をセットする方法を示す図である。
(2)型を閉じた図である。
(3)プレス基準位置に型を移動した図である。
(4)プレスロールを基準位置に下ろし更に2mmおろした図である。
(5)プレスロールを駆動し型を左から右に送りながら成型をした図である。
【図3】本発明の実施例を示す図である。
(6)プレスロールを更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(7)プレスロールを更に2mm下ろし型を左から右に移動させ成型した図である。
(8)プレスロールを更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(9)成型が完了しプレスロールを原点まで上昇させ、型開き位置まで型を移動した図である。
(10)上型を開き成型物を取り出している図である。
【図4】本発明の別な実施例を示す図である。
(1)型を開けて成型物をセットする方法を示す図である。
(2)型を閉じた図である。
(3)プレス基準位置に型を移動した図である。
(4)プレスロールとレベラ−装置を基準位置に下ろし更に2mmおろした図である。
(5)プレスロールを駆動し型を左から右に送りながら成型をした図である。
【図5】本発明の別な実施例を示す図である。
(6)プレスロールとレベラ−装置を更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(7)プレスロールとレベラ−装置を更に2mm下ろし型を左から右に移動させ成型した図である。
(8)プレスロールとレベラ−装置を更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(9) 成型が完了しプレスロールとレベラ−を原点まで上昇させ、型開き位置まで型を移動した図である。
(10)上型を開き成型物を取り出している図である。
【図6】本発明の別な実施例を示す図である。
(1)請求項7における位置制御装置2a,2bによるレベラ−効果の実施を示す図である。
(2)往路のプレス型にかかる圧力分布を示した図である。
(3)復路のプレス型にかかる圧力分布を示した図である。
【図7】本発明の別な実施例を示す図である。
(1)実施例7に用いた深絞り用テスト型平面図。
(2) (1)VI−VI断面から見た図。
(3)実施例7により成型された成型物。
(4)成型物をVII−VII断面から見た図。
【符号の説明】
1a. 上プレスロール
1b. 下プレスロール
2a. 位置制御装置
2b. 位置制御装置
3a. 上プレスロールの回転駆動用モーター
3b. 下プレスロールの回転駆動用モーター
4a. プレス型上型
4b. プレス型下型
5a. 上レベラー装置
5b. 下レベラー装置
6.シート状成型物
7a. 上型押えロール
7b. 下型押えロール
【発明が属する技術分野】
本発明はビルの内・外装用パネル材、天井材、等を生産するための金属薄板のプレス成型に用いる、プレス装置・プレス型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】従来ビルの内・外装パネルは厚みが0.3mm〜4mmの金属板(ステンレス,アルミ,カラー鋼板等)の4隅を箱状に折り曲げ、パネル状に仕上げた後、裏面に断熱処理を施し、ビルの下地(ファスナー)に取り付けている。一般的にパネル表面はフラットのものが多く、パネル表面に深い凹凸模様の意匠を持つパネルはダイキャスト法で生産され高級施工に限られていた。
【0004】内・外装パネル表面に凹凸模様をつける方法は5種類ある。 1.プレス成型 2.ダイキャスト法、3.タレットパンチ法(NC制御の油圧プレス装置で50mm×50mmのパターン柄を連続的に模様付け。)、4.エンボス成形法(2本の凹凸模様ロールの間に金属板を通板し模様付け。)、5.エッチング法その他(金属表面を腐食させて模様付け、その他ヘアーラインなどの特殊研磨による模様付け等がある。)
【0005】1.プレス成型は油圧式プレス装置,もしくは機械式プレス装置で型枠(ダイセット)に囲まれ強固に位置決めされた、金属製プレス金型を用いプレス成形していた。
【0006】従来技術では金属製の金型加工に時間がかかるためパネルのサイズが大型化し、パネルの柄が深く、高意匠になるほど型費用が高額になりロット数の比較的小さな
ビル工事に新しい型をおこすことは困難であった。
【0007】大型パネルの意匠性の高い柄をプレス成型でシャープに表現するには面圧100kg/平方センチメートルが必要で、大型のプレス装置無しでは成型できない。大型プレス装置は極めて高額で,ランニングコストもかかるため,大型プレス機でプレスするのは極めて困難であった。
【0008】従来のプレス金型は上下型ともに金属の表面で一度に金属薄板をプレスするため、模様が深くなるほど成型物表面の破れ、傷、塗装面の剥離が問題になるため高意匠の成型ができなかった。
【0009】ダイキャスト法は特に意匠性の高い高級パネル施工で使用されていた。しかしコストが高く,また非常に重いため高層ビル、ビル改築では使用が困難であった。また鋳造型に溶融した金属を流し込む本工法ではパネルの大きさ(900mm×900mmが最大サイズ)に制限があった。
【0010】タレットパンチによる模様付けは、50mm×50mmの模様パターンサイズが最大限度で意匠に変化を持たせるのが困難であった。
【0011】エンボス成形による模様付けは厚板成形の場合模様深さに限度があり(0.5mmから1mm程度、成形品材料肉厚の1/2以下)また切り板を成形する小ロット生産に向かない。また模様を深くすることで成形後の板のばたつきが発生しパネル製作で要求される平面性が確保できない問題がある。
【0012】エッチング,研磨では模様深さが、深くて数十ミクロンオーダーで意匠表現が限られ、市場から飽きられている。
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
外装パネルの標準的な最大のサイズである4m×2mの板(0.3mmから1mm厚の金属板)に細かい凹凸模様(深さ最大10mm)をプレス成形でシャープに転写しようとすると面圧を100kg/平方センチメートルかけなければならず8000トンの油圧プレス装置が必要になる。専用機を製作すれば数億円の費用となり、中小企業からなる金属工事業者の投資できる金額ではない。
【0014】内・外装パネルを生産する金属工事業者各社が自社で所有でき内外装パネルの小ロット生産が可能な安価で、高性能なプレス装置の提供が望まれている。
【0015】ビルの高層化、ビルの改装等でパネルの軽量化が求められている。カーテンウオールに模様の凹凸をつけることで、内・外装パネルの剛性が増し、材料の厚みを薄くすることが可能となる。軽量化と同時に材料費のコストダウンが可能となる技術が求められている。
【0016】ローコストでの内・外装パネルの意匠性向上が求められている。成型品肉厚を減らすことでシャープなプレス成型が可能となりダイキャスト品と同等以上の意匠表現が可能となる技術が強く求められている。
【0017】内・外装パネルの成型に用いるプレス型のコストダウン,納期短縮が大きな課題である。
【0018】現状プレス金型表面が両面金属であるために、近年注目されている光触媒塗装、セラミック塗装,プリントフィルムラミネート鋼板等のプレス成形で成型品表面に傷がつき高意匠な深い模様のプレス成型が不可能である。
【0019】本発明は上記の問題を解決するもので、その目的とするところは超大型、軽量、高剛性、高意匠、低コスト、高品質の内・外装パネルを生産するプレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】上記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって、対向する一対のプレスロール1a,1b、とプレスロールの上下間隔を位置決めする位置制御装置2a,2b,前記プレスロールを回転駆動させるモーター3a,3b,前記プレスロールの間に位置するプレス型4a,4b,を備えたプレス成型装置である。
【0021】このように構成すると、シート状成型物6は一対のプレスロール 1a,1b、の間に位置する、凸模様プレス型4aと凹模様プレス型4bとの間で成型される。
【0022】請求項2記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって、前記プレス成型装置においてシート状の成形物を一対のプレス型を対向するプレスロールの間で局所的に加圧し、同時にプレスロールを回転駆動させるモーター3a,3b,によりプレス型長手全長にわたり移動させ全面をプレス成形するプレス装置である。
【0023】このように構成すると、シート状成型物6は一対の凸模様プレス型4aと、凹模様プレス型4bとの間でプレスロール 1a,1b,により局所的に成型されると同時にプレス型長手全長にわたり移動し最終的に全面が成型される。
【0024】請求項3記載の発明は図1のごとくシート状の成型物6を一対のプレス型4a,4bを用いて成型するプレス装置であって、プレス1工程が終了するごとにプレスロール 1a,1bの間隔を狭めることで段階的に深絞りのプレス成型をおこなうプレス成型装置である。
【0025】このように構成すると、シート状の成型物6は一対のプレス型4a、4b,との間で破れることなく,且つ均一な肉厚で段階的に深絞り成型される。
【0026】請求項4記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって前記プレス装置におけるプレス型4a,4b,の型表面に、常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂で製作された型を備える。
【0027】このように構成すると、成型物は型表面が硬質合成樹脂層により形成された一対の凸模様プレス型4aと、凹模様プレス型4bとの間で表面に傷、破れ、塗装面剥離をおこさずに深い模様に成型される。また硬質合成樹脂が適度に弾性変形することでプレスロール 1a,1b,の圧力がプレス型4a,4b,を介してシート状の成型物に伝わりやすくなりシャープな成型品が得られる。
【0028】請求項5記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって前記プレス装置におけるプレス型一方の表面に、常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂で製作された型を用い、もう一方の型に金属製の型を備える。
【0029】このように構成すると、成型物表面が、硬質合成樹脂層により形成された凸模様プレス型4aと面し、成型物裏面は金属製の凹模様プレス型4bに面し、プレス型4a,4b、の間で成型されることで剛性のある厚肉のシート状成型物の場合にも深いシャープな模様に成型され、且つ成型物表面には傷、破れ、塗装面剥離をおこすことが無い。
【0030】請求項6記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であってプレスロール 1a,1b,の両側に配置されたレベラー装置5a,5bを配置し、プレス成型すると同時にプレス型4a,4b、をレベラ−装置に通過させる。
【0031】このように構成すると、シート状成型物6が型の中にセットされた状態でレベラー装置を通過することで成型時に発生するシート状成型物6の反りをレベラー効果で消すことができる。型の中にセットされた状態でレベラー装置を通過するため成型品の凹凸模様がつぶされることは無い。
【0032】請求項7記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であってプレスロール 1a,1b,の上下間隔の位置制御をする位置制御装置2a,2b,を用いてプレス型4a,4b、の間に配置されたシート状の成型物6にプレスロール 1a,1b,を介し,断続的且つ局所的に加圧せしめる。
【0033】このように構成すると、シート状成型物6が型の中にセットされた状態でプレスロール 1a,1b,から断続的且つ局所的に圧縮応力を受けるため請求項7記載のレベラー装置を通過することと同等の効果を発生し成型物の反りを防止することが可能となる。特に請求項5記載の片側のプレス型を樹脂製プレス型,もう一方のプレス型に金属製プレス型を使用するケースではレベラーを通過することが困難であるために本発明は有効である。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、従来の高コストな大型プレス装置、金属製プレス金型を用いることなく簡易な位置決め制御装置と回転駆動モーターを有するプレスロールを用いたプレス装置で樹脂製プレス型を移動・往復しながら局所的且つ段階的にプレス成型することで大型、軽量、低コスト、高剛性、高意匠で平面性が高い、ひずみの少ない内外装パネルの製作が可能になった。
【0035】請求項2記載の発明は、局所的にプレスをしながら移動する機構であるためロールプレス装置を従来のプレス成型機と比較するとイニシャルコスト、ランニングコストが下がるとともに、省エネルギー、省スペースを同時に実現できた。
【0036】請求項3記載の発明による成型物の深絞り成型のよる高意匠化で内外装パネルの剛性が向上し成型材料の薄肉化が可能となり、パネルの軽量化、コストダウンが一気に両立できた。
【0037】更に、深い絞り成型を段階的に行うため残留応力による歪が少なく、プレス成型による肉厚のばらつきが少ない均質な成型品が得られた。
【0038】また請求項4より、型表面に硬質合成樹脂を用いるため近年注目されている光触媒塗装、セラミック塗装,プリントフィルムラミネート鋼板等のプレス成形で成型品表面に傷がつかず,錆びのクレームの心配がなくなった。
【0039】更に本プレス装置に使用するプレス型表面は鉄と同等の耐久性,耐摩耗性を兼ね備えた硬質合成樹脂を用いる為、鉄を削るのと比較し約10倍以上のスピードで切削できる。よって型のコストが鉄製プレス型の1/2〜1/4になるためビル1棟ごとに意匠を変えることがコスト的に可能となる。また小規模なビルのリフォームにも適応できるようになった。
【0040】請求項5より片側のプレス型に金属製のプレス型を用いることで肉厚のシート状成型物でもシャープな模様を転写することが可能となった。
【0041】内・外装パネルの表面側に樹脂製のプレス型を配置することで,表面の傷,破れの発生は無い。
【0042】請求項6よりプレスロール 1a,1b,の両側にレベラー装置を設けることで成型と同時にレベラー効果が得られ、成型品の反りが皆無になった。
【0043】シート状の成型物が型の中にセットされた状態でレベラーにかけられるので成型物の凹凸模様がレベラーでつぶされることが無い。
【0044】請求項7よりプレス成型装置において プレス型4a,4b,及びプレス型の間に配置されたシート状成型物6、を位置決め駆動装置2a,2b,によりプレスロール 1a、1b、 を介し、断続的且つ局所的に加圧することでレベラーと同じ効果を得ることができた。
【0045】樹脂製プレス型と金属製プレス型の組み合わせで成型するときにレベラーを通すのは困難であるためレベラーと同じ効果の得られる本発明は大変効果的である。
【発明の実施の形態】
【0046】図2、図3はこの発明の第1の実施の形態によるプレス装置の成型工程について示した図である。
【0047】先ず、樹脂製のプレス型4a、4bを製作する。型の製作方法は本発明の発明者が取得した特許第3294243号、「プレス成型装置及び樹脂製プレス型の製造方法」 に基づき製作を行う。
【0048】材料は常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂を用いる。一例としてバンティコ社のウレオール樹脂を用いるが前記物性を満足していれば他の樹脂でもかまわない。
【0049】まず型のサイズに合わせて型枠を製作する。ウレオール樹脂の主剤・硬化剤を所定量計量後攪拌・脱泡し型枠に樹脂を注型、50度で24時間以上加熱硬化後脱型する。樹脂のブロックは上型・下型用各1個製作する。
【0050】マシニングセンターに樹脂ブロックをセットし、樹脂製プレス型の上型、下型をそれぞれ削りだす。ウレオール樹脂の加工は高速回転、高速送りで切削する。
【0051】エンドミルはテーパーボールエンドミルを用いる。細かい模様であれば先端Rを0.3mmから0.5mm、荒い模様であれば先端R1mmから5mm程度の刃物が適している。刃物の材質は超硬合金で耐摩耗性に優れたコーティング処理を施したものが好ましい。
【0052】マシニングセンターの回転数は10000R.P.M.から30000R.P.M.とし刃物の送り速度は1000mm/minから10000mm/minで切削する。
【0053】通常の金属の切削とは異なり切り粉の量が多いため切り粉の排出を考慮したエンドミルを用いる必要がある。具体的には切削表面を平滑にするために樹脂加工に適したすくい角の大きな、鋭利な刃物を使用する。樹脂の切削は切削抵抗が低いため刃物が欠けることは無い。
【0054】回転数が高いため切り粉の排出が間に合わないと樹脂が溶融し、エンドミルにからみつきエンドミルの破損、折損の原因となるため切削時には摩擦熱による溶融防止のためエンドミルに潤滑油を高圧で吹き付ける方法、もしくは液体窒素等低温の気体を噴霧することで防止する。
【0055】成型時の型の転写性を上げるためにプレス型上型4aを樹脂製、下型4bを金属製のプレス型にする場合、下型の材質を快削鋼、鋳鉄、ジュラルミン、低融点亜鉛合金(ZAS,ZAPRC)炭素鋼、低炭素鋼 等を用いることができる。
【0056】加工後の金型成型面に硬質クロムメッキ、高硬度無電解メッキ等の表面処理を施すことで成型性、特に材料の滑り込みを良くすることが可能となり傷の防止に役立つ、また型表面の耐摩耗性を向上させることができる。
【0057】まず図2―(1)のとおり 上下型4a,4b,を型開き位置に移動させバキュウムパットで 上型4a を吸い上げる。
【0058】下型4b の中にシート状の成型物 6 をセットする。成型材料の材質はステンレス、銅、アルミ、塗装鋼板、機能性鋼板等が用いられ、成型材料の厚みは0.2mmから2mm程度のものが多く用いられる。
【0059】図2―(2)のとおり上型4a をかぶせる。
【0060】図2―(3)のとおり型をプレス基準位置まで移動する。通常プレス型端部から100mm内側にプレスロール 1a,1b、の軸心が位置する。
【0061】図2―(4)のとおり位置制御装置2a,2b、で上プレスロール1a、の位置を上型4aに接触するまで下降させ基準高さとし、そこから更に2mm降下させる。
【0062】図2―(5)のとおりプレスロール 1a,1b、を駆動モーター3a,3b、で駆動し型を局部的にプレスしながら左から右に型を移動させる。模様深さ8mmに対して25パーセントの2mmの成型が完了する。
【0063】図3―(6)のとおり引き続いてさらに上プレスロール 1aを2mm降下させたのち、ロールプレスを反対方向に回転駆動し、型を右から左に移動させる。模様深さ8mmに対し50%の4mmが成型できる。
【0064】図3―(7)のとおり上プレスロール 1aを更に2mm降下させ型を左から右に移動させる。模様深さ6mmまでの成型が行われることとなる。
【0065】図3―(8)のとおり続いて上プレスロール位置を更に2mm降下させ最終成型深さ8mmの位置にセットし型を右から左に移動させる。これにより模様深さ8mmのロールプレス成型が完了する。
【0066】図3―(9)のとおり型開き位置まで型を移動させる。
【0067】図3―(10)のとおりバキュームパットで上型を開き成型品を取り出す。以上で一連の成型が完了する。
【0068】シート状成型物6の肉厚が厚い場合、もしくは剛性が高く上下型樹脂製プレス型では模様の転写性が上がらない場合は上型4aを樹脂製プレス型,下型4bを金属製プレス型の組み合わせで成型することにより成型転写性が極めて向上する。
【0069】上型4aが樹脂製で弾性変形するため剛性の有る下型4bに形状が沿いやすく成型物6を下型4bに均等な力で押し付ける効果があるためである。
【0070】図4―(1)から図5―(10) はこの発明の第2の実施形態によるプレス装置の成型工程について示した図である。請求項6の発明を実施したものである。
【0071】第1の実施の形態と全く同様の成型方法で成型を行うが、成型時にプレスロール 1a,1b,の両側にレベラー装置5a,5b、をセットし成型と同時にレベラーを型ごと通過させる。
【0072】レベラ―装置は上下左右に各4本セットされており上下のロール位置は1/2ピッチすらした千鳥状に配置されている。
【0073】下レベラ―5bの上面高さは下プレスロール1bと同じ高さの設定になっており,上レベラ―装置5aの高さはは上プレスロール 1aの高さより若干低く設定されている。
【0074】成型と同時にレベラ―装置を通過することで成型時に発生する不均一な応力分布が緩和され反りが無くなる。成型時に残留応力よりも強い圧縮,引っ張りの繰返し応力をレベラーを通過することで受けるためである。
【0075】図6−(1) はこの発明の第3の実施形態によるプレス装置の成型工程について示した図である。請求項7の発明を実施したものである。
【0076】第1の実施形態の成型が完了後 図6―(1)のごとく 位置制御装置2a,2b、を用いて断続的且つ局所的に圧縮応力をかけながらプレス型4a,4b、を型の長手方向全長にわたり進めさせる。圧縮をかける範囲はプレス型の端部から200mmピッチで100mmの間隔ごとに面圧100kg/平方センチメートルに相当する圧力をプレスロール 1aの両端軸受け部にかける。往路と復路で位相を1/2ピッチずらすことで、1往復で全面が圧力を受けるようにプレス成型機を制御する。図6−(2)に往路における型の圧力分布,図6―(3)に復路における型の圧力分布を示す。
【0077】樹脂製のプレス型を用いることで繰返し応力を任意のエリアに加えることができる為,結果としてレベラ―を用いることなくレベラ―と同じ効果を得ることが可能となった。
【0078】請求項7における発明を実施したもので、シート状成型物6の肉厚が厚い場合、合成が高く上下型樹脂製プレス型では模様の転写性が上がらないケースで上型を樹脂製プレス型,下型を金属製プレス型の組み合わせで成型する場合にレベラーを通すのが困難であるため本発明が大変有効である。
【実施例】
【0079】実施例1として2000×1000mmのパネルを成型するプレス型上下型を請求項4の構成である樹脂製上下プレス型の組み合わせに従い、上下プレス型をそれぞれ機械加工により製作した。最大模様深さは6mmの設定で加工した。柄はレンガ模様である。
【0080】成型材料は2000×1000、厚み0.4mmの深絞り用ガルバニュウム鋼板を用いた。
【0081】プレスロール 1a,1b、の直径は400mm、回転数は毎分15回転、(送り速度=18.8m/分)に設定した。
【0082】模様深さ6mmを1段階当りのプレス量を2mmの3段階でプレス成型を行った。成型の方法は前記第1の実施形態のとおりである。
【0083】実施例2として実施例1と同条件で成型完了後、転写性を目視で判断したところ型に対して模様の付きが甘かったため、さらに2mm 上プレスロールを 降下させ,更に1往復した。
【0084】上下型とも樹脂性のプレス型であるため弾性力による反力で強力にプレス効果が現れ、模様の付きが改善された。
【0085】実施例3として成型後型より成型物6を取り出したところ、成型物には反りが発生しており反り量を測定した。
【0086】反り量の測定の方法は基準となる定盤の上に反りの発生した成型物6を置き成型物端部の定盤からの最大高さを測定した。長手方向の反り量をX,幅方向の反り量をYとする。測定結果は長手方向の最大の反り量X=30mmであった。幅方向の反りY=10mmの反りが認められた。
【0087】実施例4として成型後反りを無くすために第2の実施形態にあるところのレベラーを使用した成型を実施した。レベラーは片側上下各4ロールを配した4スタンド(4段レベラ−)を用いた。
【0088】レベラーの直径はφ150mmでレベラーのロール間のピッチは200mmである。上下のレベラーの取り付け位置は1/2ピッチずれている。
【0089】上レベラーの位置を上プレスロールの高さより2mmおろした。
【0090】第2の実施形態でレベラーを通して2往復させたところ上下型樹脂製で柔軟性を持つためレベラー効果があらわれ、反り量 X=30mmが3mm、Y=15が1.5mmとなりレベラー効果で反り量が1/10に減少することが確認できた。
【0091】成型と同時にレベラー装置をとおるため成型物に残留する引っ張り応力と圧縮応力以上のプラスマイナスの応力が繰り返し均一にかかる。よって成型物の反りの原因である残留応力の偏在が緩和された。スペース上の問題でレベラ−が少なくとも片方だけの場合でも通過回数により効果が得られるため特に問題なく同様のレベラ−効果が得られた。
【0092】実施例5として転写性の向上のために上型を樹脂製に、下型を金属製にし第1の実施形態と同じ条件で成型を行った。転写性は明らかに改善された。下型の金属の材質は炭素鋼55Cを用いた。
【0093】実施例6では実施例で5において、反りが発生したため、第3の実施形態で成型テストを行った。
【0094】位置決め制御装置2a,2bに内蔵されている油圧シリンダーを用いて断続的、局所的に上プレスロール 1aで加圧した。加圧の圧力分布のパターンは往路は図6―(2),復路は図6−(3)で実施した。
【0095】位置決め制御装置2a,2b,に内蔵される油圧シリンダー容量は片側30トンの出力でプレスロールにかかる加圧力は合計60トンとなる。
【0096】プレスロールの面長は1000mm、樹脂製プレス型に接触する最大幅を60mmとするとプレスロールとプレス型の接触面積は600平方センチメートルとなりプレス形接触面にかかる面圧は約100kg/平方センチメートルになる。
【0097】下プレスロール1bの回転角度を下プレスロールの側面に設置されたエンコーダーで角度を読取ることで図6―(1),図6―(2)の圧力分布になるよう油圧のサーボバルブをコントロールする。加圧のタイミングをエンコーダーから入る信号をプログラムコントローラーで制御・調整することで圧力分布の幅,ピッチ・位相を容易に変更することが可能になる。上型が樹脂製であるため上型を介して成型物6に対し繰り返しの断続的・局部的な圧縮応力が加わり反り防止に対する大きな効果が認められた。型の側面にリニアスケールを配置することでより一層高い位置決め精度を得ることが出来た。
【0098】実施例7として図7の形状のテスト型を製作し第1の実施形態と同条件で成型を行ったところ皺のないきれいな曲面の深絞り成型品が得られた。成型物は厚み0.3mmのステンレスである。図7−(3)、(4)は成型品の図を示す。このことより本発明の応用範囲が建材のパネルだけでなく自動車の外板ボディー,流し台のシンク、タンクの鏡板、家電製品では炊飯器の釜やホットプレートの鉄板など多種にわたる分野での応用の可能性があることが確認できた。
【0099】実施例8として実施例1で型を往復する際、上プレスロール用駆動モーター3aを用いず、下プレスロールの駆動モーター3bのみで型の移動を試みたところ問題なく型の移動が行えた。量産機での上プレスロール用駆動モーター3aの廃止の可能性が確認できた。駆動モーターの数量を減らすことでコストダウンが図れた。
【0100】実施例9として、実施例8における上プレスロール用駆動モーターを廃止することによる型が往復する際のプレスロールと型の摩擦力の不足を補うために、下プレスロール両端面にピニオンギア,下型裏面に前記ピニオンギアに合致するラックギアを装着することで型、とプレスロールの摩擦力不足を補った。ラックギア,ピニオンギアの組み合わせにより型の直進性が確実なものになりまた,スリップがなくなることにより実施例6による油圧によるレベラ−装置の圧力分布の制御の精度が高まった。ラックギア,ピニオンギアのモジュールはm
=8を用いた。
【0101】実施例10として実施例9におけるラックギアを樹脂製のプレス型下型の裏面長手方向全長且つ、幅方向の端面両サイドに2ヶ所装着する際、装着部と型の模様面の距離を50mm間隔を空け、且つ50mmの間は型の厚みを通常の型厚の1/4にあたる5mmとした。それにより、レベラ−を通過する際レベラ−ロール幅を模様面と同じ幅にすることでラックギアを装着していても模様面の部分のみ,レベラ−で変形するがラックギアには応力が伝わらないことがわかった。
【比較例】
【0102】第1の比較例として本発明で開発したプレス成型装置で実施例1と同じ条件で各種材料を成型し転写率,反り量X,Y,皺の発生を確認した結果を表1に示した。
転写率の測定は先ず成型前に非接触3次元測定器で製品形状の下型4b、の表面を1mmメッシュで測定し、基準形状とし、各成型物を同様の条件でデジタイジングし双方のデータをコンピューター上でマッチングし転写率を測定した。
表1より肉厚が厚くなるほど転写率が悪くなり,また材料の剛性があがるほど同じく転写率が低下することがわかった。
【0103】第2の比較例としてガルバニュウム鋼板を用い実施例と同じ条件で成型終了後更に繰り返しプレスロールの1,2,の間隔は一定で繰り返し型を往復させることで転写性が向上するかを比較した。
テスト2―1は実施例1で成型が完了した状態。実施例2−2から2−5は成型完了後型を成型時と同じ条件でプレスロールを更に通過させたかで条件を変更した。
【0104】表2よりプレスロール通過回数3回までは転写性が向上し、3回以上は転写性には影響せず安定状態に入ることが判明した。
【0105】第3の比較例として成型終了後に更にプレスロールを下降させ転写性を上げるテストを実施した。成型条件は実施例1の成型後に表3のとおりプレスロールを降下させた。
【0106】成型材料は比較例1で転写率が低かったCU材料,厚み0.8mmを用いた。
【0107】表3よりテストNO.3−1は実施例1の条件で成型の終了したブランク状態で転写率が67パーセントであった。
【0108】テストNO.3−2で1mm、NO.3−3で1.5mm降下して約10%の転写率向上に効果が認められたがNO.3−4で2mm降下の78パーセント以上に上げることはできなかった。
【0109】成型時のCU材の成型応力が樹脂製のプレス型の弾性変形応力を上回ったためプレス型が変形をしたのが原因である。
【0110】第4の比較例として実施例1の条件で0.4mmのガルバニュウム鋼板を用いて,請求項6にあるところの成型と同時にレベラ―をとおすテストを実施した。プレス型は上下とも樹脂製プレス型にて成型を実施した。表4にレベラ―の通過回数と反りの量を示した。
【0111】テストNO.2−1はレベラ―を上げて成型をしたレベラー無しのブランクテストである。第2の比較例よりレベラー通過回数は2回で充分なレベラー効果が得られることが判明した。
【0112】第5の比較例として請求項7のプレスロール加圧によるレベラー効果の確認を実施した結果を表5に示す。
【0113】成型材料はガルバニュウム 鋼板肉厚0.4mmである。
【0114】実施例1の条件で成型を終了後位置決め制御装置3,4,で型を加圧しながらプレスロールを通過させた。
【0115】テストNO.5−1は実施例1で成型が完了した状態のブランクである。
【0116】表5より加圧力が大きいほど、通過回数が多いほどレベラー効果が大きいことが確認できた。
【0117】
【表1】成型材料と模様の転写率
【0118】
【表2】成型回数と模様の転写率
【0119】
【表3】成型終了後更にプレスロールを下ろすことで転写性を上げるテストの結果
【0120】
【表4】レベラ―を通す回数と反り量の関係
【0121】
【表5】請求項7のプレスロール加圧によるレベラー効果を確認したテスト結果
【0122】
【図面の簡単な説明】
【図1】
(1)本発明の基本構造図を示す図である。
(2)本発明の基本構想図で図1−(1)で示したV−Vから見た図である。
【図2】本発明の実施例を示す図である。
(1)型を開けて成型物をセットする方法を示す図である。
(2)型を閉じた図である。
(3)プレス基準位置に型を移動した図である。
(4)プレスロールを基準位置に下ろし更に2mmおろした図である。
(5)プレスロールを駆動し型を左から右に送りながら成型をした図である。
【図3】本発明の実施例を示す図である。
(6)プレスロールを更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(7)プレスロールを更に2mm下ろし型を左から右に移動させ成型した図である。
(8)プレスロールを更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(9)成型が完了しプレスロールを原点まで上昇させ、型開き位置まで型を移動した図である。
(10)上型を開き成型物を取り出している図である。
【図4】本発明の別な実施例を示す図である。
(1)型を開けて成型物をセットする方法を示す図である。
(2)型を閉じた図である。
(3)プレス基準位置に型を移動した図である。
(4)プレスロールとレベラ−装置を基準位置に下ろし更に2mmおろした図である。
(5)プレスロールを駆動し型を左から右に送りながら成型をした図である。
【図5】本発明の別な実施例を示す図である。
(6)プレスロールとレベラ−装置を更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(7)プレスロールとレベラ−装置を更に2mm下ろし型を左から右に移動させ成型した図である。
(8)プレスロールとレベラ−装置を更に2mm下ろし型を右から左に移動させ成型した図である。
(9) 成型が完了しプレスロールとレベラ−を原点まで上昇させ、型開き位置まで型を移動した図である。
(10)上型を開き成型物を取り出している図である。
【図6】本発明の別な実施例を示す図である。
(1)請求項7における位置制御装置2a,2bによるレベラ−効果の実施を示す図である。
(2)往路のプレス型にかかる圧力分布を示した図である。
(3)復路のプレス型にかかる圧力分布を示した図である。
【図7】本発明の別な実施例を示す図である。
(1)実施例7に用いた深絞り用テスト型平面図。
(2) (1)VI−VI断面から見た図。
(3)実施例7により成型された成型物。
(4)成型物をVII−VII断面から見た図。
【符号の説明】
1a. 上プレスロール
1b. 下プレスロール
2a. 位置制御装置
2b. 位置制御装置
3a. 上プレスロールの回転駆動用モーター
3b. 下プレスロールの回転駆動用モーター
4a. プレス型上型
4b. プレス型下型
5a. 上レベラー装置
5b. 下レベラー装置
6.シート状成型物
7a. 上型押えロール
7b. 下型押えロール
【0020】上記の目的を達成するために請求項1記載の発明は、図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であって、対向する一対のプレスロール1a,1b、とプレスロールの上下間隔を位置決めする位置制御装置2a,2b,前記プレスロールを回転駆動させるモーター3a,3b,前記プレスロールの間に位置するプレス型4a,4b,前記プレスロールの両側において成型と同時にプレス型4a、4bが通過することができるように配置されたレベラー装置5a,5bを備えたプレス成型装置である。
【0030】請求項6記載の発明は図1のごとくシート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス装置であってプレスロール 1a,1b,の両側において成型と同時にプレス型4a、4bが通過することができるようにレベラー装置5a,5bを配置し、プレス成型すると同時にプレス型4a,4b、をレベラ−装置に通過させる。
【0042】請求項6よりプレスロール 1a,1b,の両側において成型と同時にプレス型4a、4bが通過することができるように配置されたレベラー装置5a,5bを設けることで成型と同時にレベラー効果が得られ、成型品の反りが皆無になった。
Claims (7)
- シート状の成型物を一対のプレス型を用いて成型するプレス成型装置であって、
図1のごとく 対向する一対のプレスロール 1a,1b, 前記プレスロールの上下間隔の位置決めをする位置制御装置 2a,2b, 前記プレスロールを回転駆動させるモーター 3a,3b, 前記プレスロール1aと1bの間に対向するように配置された凸模様プレス型4a、凹模様プレス型4b, 前記プレスロールの両側に配置されたレベラー装置5a,5b,により構成されたプレス成型装置。 - 前記プレス成型装置において図1のごとく プレス型4a,4b,の間にシート状の成形物6を配置し、対向するプレスロール 1a と 1bの間で、プレス型4a、4bとプレスロール1a、1bが接触する部分のみを局所的に加圧すると同時に、プレスロール1a、1bに直結された回転駆動モーター3a,3b,で 型を長手方向の全長にわたり移動させ、連続的に型全面をプレス成形せしめることを特徴とするプレス成型装置。
- 前記プレス成型装置において、型全面のプレス成型の工程が完了するごとに、位置制御装置2a,2b、により プレスロール 1a,1b,の間隔を狭め、段階的にプレス成型せしめることを特徴とするプレス成型装置。
- 前記プレス成型装置において プレス型4a,4b, に常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO
866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度、及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂で製作された型を用いることを 特徴とするプレス成型装置。 - 前記プレス成型装置において プレス型4a,4b, の一方の型に、常温で硬化する樹脂であって、加熱硬化後のショアーD硬度(ISO866)が65から70程度、破断にいたる伸びが100〜150%程度、及び樹脂厚さ10mmで加圧したときに10%の変形で1.5〜3.0kg/平方ミリメートルの圧縮応力となる合成樹脂で製作された型を用い、 他方の型に金属製の型を用いることを特徴とするプレス成型装置。
- 前記プレス成型装置において プレス型 4a,4b, プレス型の間に配置されたシート状成型物 6、 をプレスロール 1a,1b, によりプレス成型すると同時に、レベラー装置 5a,5b、 を通過せしめることを特徴とするプレス成型装置。
- 前記プレス成型装置において プレス型4a,4b,及びプレス型の間に配置された シート状成型物 6、を 位置制御装置 2a,2b, により プレスロール 1a、1b、 を介し、断続的且つ局所的に加圧せしめることを特徴とするプレス成型装置。
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