JP6145537B1 - 金属製のプレス成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】三次元印刷機器を用いて立体的に造形された樹脂製成形型を用いて、ひび割れ、反り、キズ及び成形型跡のない同形同大の複数の金属製の成形体を樹脂製成形型を構造上損傷させることなく簡便にかつ安価に得る。また金属製の成形体が帯磁せず、工業的に成形体の外観表面にシボ模様を付与して成形体の外観の見栄えを良くする。【解決手段】本発明の金属製のプレス成形体は、上型及び下型がともに三次元印刷機器を用いて立体的に造形された樹脂製成形型であって、被加工材が厚さが0.1〜6.0mmの範囲内の金属板であって、上型及び下型のそれぞれの最深部の厚さが少なくとも5mmである。好ましくは、樹脂製成形型が光積層造形法により造形され、上型及び前記下型の各光硬化性組成物の積層方向が上型の上下動方向に直角であって、スライドの下死点位置をその基準設定位置より0.5〜2.0mm下方に補正して被加工材をプレス成形する。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元印刷機器(いわゆる三次元プリンター、3Dプリンター又は三次元造形機等と言われるもの)で作られた樹脂製成形型を用いて金属製のプレス成形体を製造する方法に関する。
プレス成形法は、一般的に、平坦な金属シートの被加工材を金型の間に挟み込み、強い力を伴った上下動により被加工材を金型表面に押し付けて金型と同じ最終形状を作り出す方法である。プレス成形では、所望の最終形状が被加工材の塑性変形によって作り出され、切削のような器具を使用しない。このため、プレス加工は他の機械加工と比較して、生産性が高いことから大量生産に向いている。この金型には、一般に耐摩耗性、耐衝撃性、耐チッピング性等の耐久性が要求され、超硬合金、鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼などの工具鋼が使用される(例えば特許文献1、2参照。)。
特開2005−152961号公報(段落[0002]、段落[0004]) 特開2004−306119号公報(段落[0023])
しかしながら、従来の工具鋼を使用した金型で複雑な形状の金属製のプレス成形体を製造する場合、金型の材質、被加工材の材質、被加工材の厚さ等に起因して、所望の形状と寸法の成形体にならなかったり、成形体にひび割れやキズが発生するなどのプレス成形性に劣ることがあった。この不具合を解消するために、例えば、金型の表面にステンレス溶接肉盛を行うか、或いは金型表面を機械加工、電解加工、ワイヤー放電加工等を行う必要があった。特に従来の金型で絞り加工や曲げ加工をする場合、成形性とキズを防止するために、プレス時に油を使用するか、金型表面に化学蒸着(CVD)処理加工や物理蒸着(PVD)処理加工などのコーティング処理を施していた。こうした事情から、一般的に、プレス成形法は、金属製の成形型である金型を作製するのに多大の製作日数と製作コストを要し、量産品を製造する前段階で、このプレス成形法により試作品を製造することが製作日数と製作コストの観点からできなかった。また工具鋼の厚み以上にダイハイトを下げることができず、成形体の厚み以上の圧力をかけられないという理由により、成形体に反りが発生することがあり、プレス成形後に金型から取り出したプレス成形体の反りをなくすための修正工程を必要としていた。
また、従来の工具鋼を使用した金型でプレス加工を続け、プレス加工品がある数量を超えると、金型が磁気化し、被加工材が磁性体の場合、プレス成形体が磁気を帯びる問題があった。磁気を帯びると性能を損なう電子製品の筐体や機材にプレス成形体を使用する場合には、予め帯磁したプレス成形体を脱磁しておく必要があり、煩わしかった。
更に、一般的にプレス成形体の外観の装飾性や意匠性(以下、見栄えという。)を向上したり、滑り防止のために、プレス成形体の外観表面にシボ(皺)模様を形成することが知られているが、プレス成形体が金属製である場合、使用する工具鋼の上型又は下型の表面に転写用シボをマシニング等の切削機で機械加工して形成することが極めて難しいため、工業的に金属製のプレス成形体の表面にシボ模様を付与することが期待されていた。
本発明の第1の目的は、三次元印刷機器を用いて立体的に造形された樹脂製成形型を用いて、ひび割れ、反り、キズ及び成形型跡のない金属製のプレス成形体を簡便にかつ安価に製造する方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、成形体を繰り返し製造しても樹脂製成形型を構造上損傷させることなく同形同大の複数の形状の金属製のプレス成形体を製造する方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、金属製のプレス成形体を電子部品用のプレス加工品として用いる場合にも、脱磁する必要のない金属製のプレス成形体を製造する方法を提供することにある。本発明の第4の目的は、成形体の外観表面にシボ模様を付与して成形体の外観の見栄えを良くする金属製のプレス成形体を工業的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、金属製の成形型である金型に代わって、三次元印刷機器を用いて所定の厚さを有する樹脂製成形型を作り、被加工材の厚さを所定の厚さに選定して、プレス成形を繰り返し行えば、成形性に優れ、所定の寸法通りに金属製のプレス成形体を製造できること、及び多量のプレス加工品を製造しても帯磁しない金属製のプレス成形体を製造できること、更に金属製の成形体の外観表面にシボ模様を付与できることに着目し、本発明に到達した。
本発明の第1の観点は、プレス装置の上下動するスライドに取付けられた上型とボルスタに固定された下型の間に被加工材を配置し、前記上型を前記下型に押し付けて前記被加工材をプレス成形することによりプレス成形体を製造する方法において、前記上型及び前記下型がともに三次元印刷機器を用いて立体的に造形された樹脂製成形型であって、前記被加工材の厚さが0.1〜6.0mmの範囲内の金属板であって、前記樹脂製成形型からなる前記上型及び前記下型のそれぞれの最深部における前記上型及び前記下型の各厚さが少なくとも5mmであることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記樹脂製成形型が光積層造形法により光硬化性組成物を積層して立体的に造形され、かつ前記樹脂製成形型からなる前記上型及び前記下型の各光硬化性組成物の積層方向が前記上型の上下動方向に直角であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、上死点位置と下死点位置との間を上下動する前記スライドの前記下死点位置をその基準設定位置より0.5〜2.0mm下方に補正して前記被加工材をプレス成形することを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点のうち、いずれか1つの観点に基づく発明であって、前記樹脂製成形型の前記上型又は前記下型のいずれか一方又は双方の型表面に三次元印刷機器を用いて転写用シボが造形されたことを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第4の観点の金属製のプレス成形体の製造方法に用いる樹脂製成形型である。
本発明の第1の観点の金属製のプレス成形体の製造方法では、三次元印刷機器で作られた樹脂製成形型を用いてプレス成形体を製造するため、従来機械加工、電解加工、ワイヤー放電加工で製作していた高価な金型と比較して、簡便にかつ安価に成形体を製造できる。特に三次元印刷機器では、求められる製品の形状が複雑かつ微細であってもその形状に忠実かつ精密に合致させて樹脂製成形型の形状を作り出すことができる。この結果、被加工材の厚さが0.1〜6.0mmの範囲内の金属板であって、上型及び下型の各最深部における厚さが少なくとも5mmあれば、樹脂製成形型がプレス時に弾性変形し、脱圧後に原型に復帰するため、樹脂製成形型を構造上損傷させずに、繰り返し成形を行うことができ、同形同大の数個から500個程度の数のプレス成形体をひび割れ、反り、キズ及び成形型の型跡なしで製造することができる。これにより玩具、日用雑貨品、自動車部品、電気部品などの試作品用又は量産品用のプレス成形体を手軽に製造することができる。樹脂製成形型を用いて多量のプレス加工品を製造した場合でも、成形型自体が樹脂製であって帯磁しないため、金属製のプレス成形体を帯磁させることなく製造することができる。これにより、金属製のプレス成形体を電子部品の筐体や機材に用いる場合にも、脱磁する必要がない。
本発明の第2の観点の金属製のプレス成形体の製造方法では、上型のプレス時に、樹脂弾性により、上型及び下型が積層方向である水平方向に延伸し、上型と下型で形成されるキャビティ内に被加工材をより隙間なく塑性変形させる。またプレス時には積層硬化により成形体の接触面が通常の樹脂よりも固くなっているため、従来の工具鋼を磨いて仕上げたとき以上の滑り又は油を使用したとき以上の滑りを生じ、被加工材をより良く塑性変形させる。この結果、求められる製品の形状が複雑かつ微細であってもプレス成形体をその形状により忠実かつより精密に合致させて製造することができる。
本発明の第3の観点の金属製のプレス成形体の製造方法では、スライドの下死点位置をその基準設定位置より0.5〜2.0mm下方に補正することにより、上型が下型に押し込まれ、上型と下型で形成されるキャビティ内に被加工材をより一層確実に隙間なく塑性変形させることができ、求められる製品の形状が複雑かつ微細であってもプレス成形体をその形状により一層忠実かつより一層精密に合致させて製造することができるとともに、プレス成形後に樹脂製成形型から取り出した金属製のプレス成形体に反りを生じさせず、プレス成形後の反りを解消するための修正加工を必要としない。
本発明の第4の観点の金属製のプレス成形体の製造方法では、三次元印刷機器により転写用シボが上型又は下型のいずれか一方又は双方の型表面に造形されるため、成形体の外観表面にシボ模様を付与して成形体の外観の見栄えを良くしたり、或いは成形体に滑り止めを施した金属製のプレス成形体を工業的に製造することができる。
本発明の第5の観点の樹脂製成形型によれば、工業的にかつ簡便に金属製のプレス成形体の表面にシボ模様を付与することができる。
本発明の実施形態に係る金属製のプレス成形体を製造する装置の構成図である。図1(a)はスライド及び上型が上死点位置で静止した状態を示し、図1(b)はスライド及び上型が下死点位置に到達した状態を示す。 本発明の実施形態に係る下型を製造するための光積層造形法を示す概略断面図である。図2(a)は所定の形状を有する第一の硬化薄層を形成する状態を示し、図2(b)はテーブルを僅かに下方に移動させて第二の硬化薄層を形成する状態を示し、図2(c)は所定の立体形状を有する光造形物である下型を形成する状態を示す。 本発明の別の実施形態に係る光積層造形法で作られた樹脂製成形型の図である。図3(a)は下型の平面図であり、図3(b)は上型の平面図であり、図3(c)はプレス時の上型及び下型の図3(a)のA−A線断面図である。
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
先ず、本発明の実施形態に係る金属製のプレス成形体を製造する装置(以下、プレス装置という。)について説明する。 図1に示すように、本実施形態に係るプレス装置10は、駆動モータからの回転エネルギーを蓄えるフライホイール11と、クランクシャフト12と、このクランクシャフト12にフライホイール11の回転力を伝達・遮断するクラッチ13と、クランクシャフト12の回転運動を直線運動に変化するコネクティングロッド14と、コネクティングロッド14の直線運動に伴い上死点位置と下死点位置の間で直線運動するスライド16とを備える。クランクシャフト12は、回転軸12aと、この回転軸12aに連結され回転軸12aに対して偏心した偏心軸12bとを有する。コネクティングロッド14は、ジョイント15を介して、偏心軸12bをスライド16に連結する。コネクティングロッド14は、偏心軸12bに対して回転可能に連結されている。
本実施形態におけるプレス装置10は、更にスライド16の両側面に設けられ上下方向に直線運動するようにスライド16を規制するフレーム17と、スライド16の下面に取り付けられた上型18と、この上型18に対向して下方に配置された下型19と、下型19が固定されるボルスタ20とを備える。
本実施形態の上型18及び下型19はともに樹脂製成形型であって、三次元印刷機器を用いて立体的に造形される。本実施形態では、光造形物である樹脂製成形型13は、光積層造形法で代表される光学的立体造形法により製造される。図2(a)〜(c)は、上記下型19を光積層造形法で造形する工程を示す。予め下型19に相当する造形物の三次元データを取得し、そのデータを計算上で等間隔で輪切りにしスライスデータとして記憶しておく。図2(a)に示すように、液状の光硬化性組成物21を収容した容器22液槽内に、液面23からわずかな距離だけ下方の地点に上面が位置するように、鉛直方向に移動可能なテーブル24を配置する。液状の光硬化性組成物は、(メタ)アクリル系モノマーなどのラジカル重合性化合物、エポキシ化合物などのカチオン重合化合物を含む重合性モノマー及び光重合開始剤などを含有する。テーブル24を配置した後、このテーブル24上の液状の光硬化性組成物24の薄層に、紫外線レーザ装置26から紫外線レーザ光27を上記記憶したデータに基づいた所定のパターンで走査して、所定の形状を有する第一の硬化薄層19aを形成させる。次いで、図2(b)に示すように、テーブル24の位置を僅かな距離だけ下方に移動させることによって、第一の硬化薄層19aの上に液状の光硬化性組成物24の薄層を形成させた後、この薄層に紫外線レーザ光27を上記記憶したデータに基づいた所定のパターンで走査して、所定の形状を有する第二の硬化薄層19bを形成させる。以後、同様の操作を繰り返して、最終的に、図2(c)に示すように、複数の硬化薄層19a、19b、・・・、19xの集合体である所定の立体形状を有する光造形物である下型19を得る。図示しないが、上型18も下型19と同様の方法で作製される。
図2(c)から明らかなように、この実施形態では、上型も下型も各光硬化性組成物が図1(a)に示すように、上型18の上下動方向に直角の水平方向になるように積層される。なお、図示しないが、各光硬化性組成物の積層方向を上型及び下型がともに上型の上下動方向と同一の垂直方向にしてもよい。図1(a)に示すこの実施形態のように、上型18及び下型19がともに各光硬化性組成物の積層方向を上型の上下動方向に直角の水平方向にする方が、上型のプレス時に、樹脂弾性により、上型及び下型が積層方向である水平方向に延伸し、上型と下型で形成されるキャビティ内に被加工材を隙間なく塑性変形させることができる。即ち、プレス時には積層硬化により成形体の接触面が通常の樹脂よりも固くなっているため、従来の工具鋼を磨いて仕上げたとき以上の滑り又は油を使用したとき以上の滑りを生じ、被加工材をより良く塑性変形させる。この結果、求められる製品の形状が複雑かつ微細であっても金属製のプレス成形体をその形状により忠実かつより精密に合致させて製造することができる。
図1(a)の一点鎖線で囲んだ拡大図に示すように、本実施形態の上型18及び下型19のそれぞれの最深部における上型及び下型の厚さd、dは、上型、下型のサイズ、型表面における凹凸の数、光硬化性組成物の種類、光硬化後の樹脂の硬度、弾力性等に応じて変化するが、少なくとも5mmは必要である。前記厚さが5mm未満である場合、樹脂製成形型からなる上型及び下型がプレス時に破損することがあり、その場合、所望の金属製のプレス成形体を製造することができない。好ましい最深部における上型及び下型の厚さd、dは、10mm以上500mm以下である。上限値を500mm以下にするのは、これ以上厚くしても、樹脂製成形型の耐久性は不変であり、光硬化性組成物材料の浪費を防ぐためである。
なお、本発明の金属製のプレス成形体は、上記のモータの回転運動をクランクシャフトに伝えて直線運動に変える機械式プレス装置に限らず油圧をかけてスライドを動作させる油圧式プレス装置により成形してもよい。また機械式プレス装置は、上記のクランクプレスに限らず、クランクレスプレス、ナックルプレス、スクリュープレス、シェービングプレス、ウェッジプレス、カム式プレス、リンクプレス、サーボプレス等の各種プレス装置を含む。また本発明の造形物である樹脂製成形型からなる上型及び下型は、上記の光積層造形法に限らず、三次元プリンターによる、アクリル系光硬化樹脂を使用したインクジェット紫外線硬化方式のものや、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)を使用した熱溶解積層方式のものや、パウダーを使用した粉末固着方式のもので製造してもよい。図3は三次元プリンターによる紫外線硬化樹脂により作製した別の実施形態の上型、下型である。
また、上述した所定の形状として、三次元印刷機器により、樹脂製成形型の上型又は下型のいずれか一方又は双方の型表面に転写用シボを形成するように、上記型表面部分に相応する硬化薄層を形成することもできる。ここで、シボとは、皮革、梨地、木目、岩目、砂目、布地、幾何学などの細かい凹凸形状の模様をいう。
図1(a)の一点鎖線で囲んだ拡大図に示すように、本実施形態の被加工材Wは0.1〜6.0mmの範囲内の厚さtを有する金属板である。金属板としては、アルミニウム板、スチール板、ステンレス板、銅板等が例示される。この厚さは金属の材質、成形体のサイズ、要求される成形体の凹凸度に応じて決められる。被加工材Wが0.1mm未満であると、三次元印刷機器が補償する精度に適合せず寸法通りに成形することができない。また6.0mmを超えると樹脂製成形型に割れが発生する等の不具合がある。好ましい被加工材Wの厚さは0.5〜4.0mmである。
次に、上記プレス装置10を用いて金属製のプレス成形体を製造する方法を説明する。図1(a)に示す、スライド16及び上型18が上死点位置で静止している状態で、被加工材Wを上型18と下型19の間に挟み込む。次いで、クラッチ13をフライホイール11に接続し、フライホイールの回転力を回転軸12aに伝達する。これによりクランクシャフト12の回転軸12a及び偏心軸12bが回転し、これに応じてスライド16及び上型18は上下方向に直線運動する。スライド16及び上型18が図1(b)に示す、下死点基準位置に到達すると、上型18により被加工材Wが下型19の表面に押し付けられ、被加工材Wが上型18と下型19とによりプレス成形され、金属製のプレス成形体Pが得られる。この実施形態では、上型18のプレス時に、樹脂弾性により、上型18及び下型19が積層方向である水平方向に延伸し、上型18と下型19で形成されるキャビティ内に被加工材Wをより隙間なく塑性変形させる。この結果、求められる製品の形状が複雑かつ微細であっても金属製のプレス成形体Pをその形状により忠実かつより精密に合致させて製造することができる。
ここで、樹脂製成形型の弾性程度に応じて、スライド16の下死点位置をその基準設定位置より0.5〜2.0mm下方に補正しておくことが好ましい。こうすることにより、スライド16が下死点位置に到達したときに、上型18が下型19に押し込まれ、上型18と下型19で形成されるキャビティ内に被加工材Wをより一層確実に隙間なく塑性変形させることができ、求められる製品の形状が複雑かつ微細であっても金属製のプレス成形体Pをその形状により一層忠実かつより一層精密に合致させて製造することができるとともに、プレス成形後に樹脂製成形型から取り出した金属製のプレス成形体Pに反りを生じさせず、プレス成形後の反りを解消するための修正加工を必要としない。
図1(b)に示すプレス成形後、スライド16を上昇させ、上型18と下型19の間から金属製のプレス成形体Pを取り出す。上記操作を繰り返しても、樹脂製成形型からなる上型18及び下型19は、弾性変形可能な範囲内の応力を受けるだけであるため、構造上損傷しない。この結果、この操作を繰り返すことにより、複数の同形同大の金属製のプレス成形体を製造することができる。
また、三次元印刷機器により、樹脂製成形型の上型又は下型のいずれか一方又は双方の型表面に微細な転写用シボが形成された上型と下型でプレス成形すれば、この樹脂製成形型を用いて工業的にかつ簡便に金属製のプレス成形体の表面にシボ模様を付与することができる。これにより、金属製のプレス成形体の外観の見栄えを向上させたり、或いは金属製のプレス成形体に滑り止めの機能を付与することができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1〜4>
三次元印刷機器である三次元プリンターでそれぞれ造形した紫外線硬化樹脂からなる上型及び下型を用意した。上型の最深部の厚さは29mm、下型の最深部の厚さは11mmであった。この上型をプレス装置のスライドの下面に取付け、この下型を上型に対向してブレス装置のボルスタに固定した。表1に示す4種類の材質の厚さ0.5mmの被加工材をこれらの上型と下型の間に挟み込んでプレス成形した。このときのスライドの下死点位置をその基準設定位置より表4に示す値だけ下方に補正した。
<実施例5〜8>
最深部の厚さが19mmの上型及び最深部の厚さが21mmの下型を用いた以外、実施例1〜4と同様に表1に示す4種類の材質の厚さ0.5mmの被加工材を同一のプレス装置を用いてこれらの上型と下型でプレス成形した。このときのスライドの下死点位置をその基準設定位置より表4に示す値だけ下方に補正した。
<実施例9〜12>
実施例1〜4と同様に三次元プリンターでそれぞれ作製された、最深部の厚さが5mmの上型及び最深部の厚さが15mmの下型を用い、表1に示す4種類の材質の厚さ0.1mmの被加工材を同一のプレス装置を用いてこれらの上型と下型でプレス成形した。このときのスライドの下死点位置はその基準設定位置のままで下方に補正しなかった。
<実施例13〜21>
実施例1〜4と同様に三次元プリンターでそれぞれ作製された、最深部の厚さが110mmの上型及び最深部の厚さが50mmの下型を用い、表1に示す材質と厚さを有する被加工材を同一のプレス装置を用いてこれらの上型と下型でプレス成形した。このときのスライドの下死点位置をその基準設定位置より表4に示す値だけ下方に補正した。
<比較例1>
実施例1〜4と同様に三次元プリンターでそれぞれ作製された、最深部の厚さが29mmの上型及び最深部の厚さが11mmの下型を用い、アルミニウム製の厚さ0.08mmの被加工材を同一のプレス装置を用いてこれらの上型と下型でプレス成形した。このときのスライドの下死点位置はその基準設定位置のままで下方に補正しなかった。
<比較例2>
厚さ6.1mmのアルミニウム製の被加工材を用いた以外、比較例1と同様にプレス成形した。このときのスライドの下死点位置はその基準設定位置のままで下方に補正しなかった。
<比較例3>
実施例1〜4と同様に三次元プリンターでそれぞれ作製された、最深部の厚さが4mmの上型及び最深部の厚さが50mmの下型を用い、アルミニウム製の厚さ0.1mmの被加工材を同一のプレス装置を用いてこれらの上型と下型でプレス成形した。このときのスライドの下死点位置はその基準設定位置より0.5mm下方に補正した。
<比較結果その1(プレス評価と型の破損有無)>
実施例1〜21及び比較例1〜3でプレス成形した成形体について、ひび割れ、キズ、成形型の型跡及び反りの有無を目視により判定した。また成形体が所定の寸法通りにプレス成形されているかノギス・ハイトゲージ・マイクロメータにより判定した。更に上型及び下型の破損の有無を目視により判定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0006145537
Figure 0006145537
表1及び表2から明らかなように、比較例1では被加工材の厚さが0.08mmと薄過ぎるため、金属製のプレス成形体が寸法通りに成形ができず、また成形型の型跡が残った。また比較例2では被加工材の厚さが6.1mmと厚過ぎるため、下型に破損が見られた。更に比較例3では上型の最深部が4mmと小さ過ぎたため、上型に破損が見られた。これに対して実施例1〜21は、三次元プリンターでそれぞれ作製された紫外線硬化樹脂からなる上型及び下型を用いたにもかかわらず、被加工材の厚さが0.1〜6.0mmの範囲内にあって、上型又は下型の各最深部における厚さが少なくとも5mmであれば、プレス成形した成形体には、ひび割れ、キズ、成形型の型跡及び反りはなく、また成形体は所定の寸法通りにプレス成形されていた。更に上型及び下型には破損は見られなかった。
<比較結果その2(量産性評価)>
実施例1と同一の上型及び下型を実施例1と同一のプレス装置に取付け、このプレス装置を用いて、実施例1と同一のアルミニウム製の500枚の被加工材を繰り返しプレス成形した。500回のプレス成形後、上型と下型について、ひび割れ、キズ、欠けなどを目視により検査した。また500枚のアルミニウム製のプレス成形体のひび割れ、キズ、成形型の型跡及び反りの有無を目視により判定した。また成形体が所定の寸法通りにプレス成形されているノギス・ハイトゲージ・マイクロメータにより判定した。その結果、500回プレス成形後の上型及び下型は、最初のプレス成形後と同一の外観を有し、ひび割れ、キズ、欠けは全く無かった。このことは、500枚目のアルミニウム製のプレス成形体が最初にプレスした成形体と同形同大で、上型、下型と同様にひび割れ、キズ、型跡が皆無であったことからも実証された。
<比較結果その3(帯磁性評価)>
実施例1と同一の上型及び下型を実施例1と同一のプレス装置に取付け、このプレス装置を用いて、スチール製の100枚の被加工材を繰り返しプレス成形した。100回プレス成形した後、100枚の被加工材すべてを鉄板に接触させたところ、すべて鉄板に吸着せず、すべての被加工材が帯磁していなかった。一方、実施例1とほぼ同形同大のダイス鋼SKD11の上型及び下型を実施例1と同一のプレス装置に取付け、このプレス装置を用いて、上記と同一のスチール製の100枚の被加工材を繰り返しプレス成形した。76回プレス成形した後、すべての76枚の被加工材を鉄板に接触させたところ、プレス加工回数が50回未満の被加工材は鉄板に吸着しなかったが、50回以上の被加工材は鉄板に吸着し、被加工材が帯磁していた。
10 金属製のプレス成形体を製造する装置(プレス装置)
11 フライホイール
12 クラッチ
13 クランクシャフト
14 コネクティングロッド
15 ジョイント
16 スライド
17 フレーム
18 上型
19 下型
20 ボルスタ
本発明の金属製のプレス成形体の製造方法は、玩具、日用雑貨品、自動車部品、電気部品などの試作品用の成形体、又は磁気が性能に悪影響を及ぼす電子部品用のプレス加工品、或いはシボ模様を形成した成形体を簡便にかつ安価に製造するのに用いられる。

Claims (5)

  1. プレス装置の上下動するスライドに取付けられた上型とボルスタに固定された下型の間に被加工材を配置し、前記上型を前記下型に押し付けて前記被加工材をプレス成形することによりプレス成形体を製造する方法において、
    前記上型及び前記下型がともに三次元印刷機器を用いて立体的に造形された樹脂製成形型であって、
    前記被加工材が厚さが0.1〜6.0mmの範囲内の金属板であって、
    前記樹脂製成形型からなる前記上型及び前記下型のそれぞれの最深部における前記上型及び前記下型の各厚さが少なくとも5mmである
    ことを特徴とする金属製のプレス成形体の製造方法。
  2. 前記樹脂製成形型が光積層造形法により光硬化性組成物を積層して立体的に造形され、かつ前記樹脂製成形型からなる前記上型及び前記下型の各光硬化性組成物の積層方向が前記上型の上下動方向に直角である請求項1記載の金属製のプレス成形体の製造方法。
  3. 上死点位置と下死点位置との間を上下動する前記スライドの前記下死点位置をその基準設定位置より0.5〜2.0mm下方に補正して前記被加工材をプレス成形する請求項1又は2記載の金属製のプレス成形体の製造方法。
  4. 前記樹脂製成形型の前記上型又は前記下型のいずれか一方又は双方の型表面に三次元印刷機器を用いて転写用シボが造形された請求項1ないし3いずれか1項に記載の金属製のプレス成形体の製造方法。
  5. 請求項4記載の金属製のプレス成形体の製造方法に用いる樹脂製成形型。
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