JP2004007673A - 誘導性負荷駆動装置及び該誘導性負荷駆動装置で駆動されるytoを備えた信号解析装置 - Google Patents

誘導性負荷駆動装置及び該誘導性負荷駆動装置で駆動されるytoを備えた信号解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、誘導性負荷を駆動する十分に高い電圧を発生させ且つ卓越した立ち上がり時間特性を示すと共に、低雑音、広帯域、高周波、及びその他のシステム要求に応じた特性が得られる誘導性負荷駆動装置及び該誘導性負荷駆動装置で駆動されるYTOを備えた信号解析装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様による装置は、高周波駆動部と低周波駆動部と合成回路(トランス)とを備えて、誘導性負荷を駆動する回路に係る。入力信号に含まれる高周波成分と低周波成分を、それぞれ高周波駆動部と低周波駆動部が駆動する。合成回路(トランス)は、高周波駆動部と低周波駆動部の出力を受領し、高周波成分を増幅する。合成回路(トランス)の出力信号が誘導性負荷を高速に駆動する。本発明に係る誘導性負荷高速駆動装置は、システム要求に応じて、低周波での低雑音性、高電圧抑制のための帯域制限、交流と直流とで異なるオープンループゲインなどの特性を提供する。
【選択図】  図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は誘導性負荷駆動装置に係り、特に、YTO/YTF等における誘導性負荷を高速で駆動する電流駆動回路を備えてなる誘導性負荷駆動装置及び該誘導性負荷駆動装置で駆動されるYTOを備えた信号解析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電流駆動回路および他の駆動回路が一般に知られていると共に、多くの応用分野で使用されている。
【0003】
図1は、従来技術における基本的な電流駆動回路100を示している。この電流駆動回路100は信号入力端105を有し、この信号入力端105は増幅器115の正相入力端および抵抗(R1)110の一端に接続されている。この抵抗100の他端は接地されている。増幅器115の出力端は駆動抵抗120の一端に接続されている。該抵抗120の他端はトランジスタ125のベースに接続されている。
【0004】
増幅器115の逆相入力端はトランジスタ125のエミッタおよび電流検出抵抗140の一端に接続されている。該抵抗140の他端は接地されている。電圧源130は誘導性負荷135の一端に接続されている。該誘導性負荷135の他端はトランジスタ125のコレクタに接続されている。
【0005】
ここで、誘導性負荷135とは、例えば、磁場発生用のコイル等を対象としているもので、具体的には、イットリウム、鉄、ガーネット(YIG)を応用したYIG同調発振器(YIG Tuned Oscillator:YTO)やYTF等を含むものとする。
【0006】
動作において、電流駆動回路100のトランジスタ125が電流を誘導性負荷135を介して流している。信号入力端105は入力電圧vi を増幅器115の正相入力端および抵抗(R1)110へ印加している。増幅器115の逆相入力端の電圧は、増幅器115の正相入力端に印加される電圧とほぼ等しい。トランジスタ125のエミッタの電圧は増幅器115の逆相入力端に印加され、さらに増幅器がトランジスタ125のベースの電圧を設定している。
【0007】
一つの実施の態様においては、トランジスタ125のベースの電圧が、エミッタの電圧よりも約0.7ボルト高い。トランジスタ125が活性状態にある動作を想定すると、入力信号vi が低い電圧であるとき、電位差が抵抗120に加えられ、そこにベース電流iB を生じる。トランジスタ125のベースにベース電流iB が生じたとき、コレクタには電流iC が生じ、それはトランジスタの定数をαとして、i=B ((1−α)/α)*iC で表される。このコレクタ電流iC が誘導性負荷135を駆動する。入力信号vi が高くなるにつれて、抵抗120の電位差が増大して、電流iB が増加する。これにより誘導性負荷135を介して流れる電流iC が増大する。
【0008】
従来使用されている他のタイプの電流駆動回路として、電流プッシュプル駆動回路がある。図3は基本的電流プッシュプル駆動回路300を示している。入力信号端は抵抗130および駆動増幅器315の正相入力端に接続されている。増幅器315の出力は抵抗320の一端および誘導性負荷330に供給されている。駆動増幅器315の逆相入力端は、抵抗320の他端、誘導性負荷330および電流検出抵抗325の一端に接続されている。この電流検出抵抗325の他端は接地されている。
【0009】
動作において、信号入力端305は入力電圧vi を抵抗310および増幅器315の正相入力端へ印加している。増幅器315の出力は、抵抗310一端および誘導性負荷330の一端に印加されている。増幅器315の逆相入力端の電圧は、増幅器315の正相入力端に印加される電圧とほぼ同じである。増幅器315の逆相入力端の電圧は、電流検出抵抗325の一端に印加されている。電流検出抵抗325の電位差は、抵抗325に接地方向への電流を生じ、抵抗320を介して抵抗325へ向かう方向の電流を生じる。抵抗320および325の抵抗値は適宜に選ばれて、入力信号が上昇または下降するときに抵抗320の電流が抵抗325の電流よりそれぞれ大になり又は小になっている。
【0010】
入力信号vi が低いときには、抵抗320の電位差が抵抗320の中に端子340の方向に向かう電流を生じる。これにより、抵抗320の電流が、電流検出抵抗325の電流より小となる。結果として、電流が誘導性負荷330を介して端子340に向かってプッシュされる。
【0011】
入力信号vi が高いときには、抵抗320の電位差がさきの場合よりも大となり、端子340から遠ざかる方向に向かう抵抗325の中の電流よりも大となる。結果として、電流が誘導性負荷330を介して端子340から遠ざかる方向に向かってプルされる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図2は、図1の電流駆動回路100の電流特性200を示すとともに、駆動回路100の幾つかの欠点を表している。図2に示すように、電流駆動回路100の立ち上がり時間は遅く、また回復時間遅い。増幅器130に供給する電圧を増大することによって、より早い立ちあがり時間が達成されが、供給電圧の増大は駆動回路の効率悪化を招来してしまう。また、図2の電流特性200は、大きな負のスパイク電圧特性を表している。かかる電流駆動回路100の大きな負のスパイク電圧は、容量やダイオードを用いてそれを消去しないと駆動トランジスタを損傷しかねない。
【0013】
図4は、図3の電流プッシュプル駆動回路300の電流特性(電圧特性)400を示している。この電流特性(電圧特性)400は、前述した図1の駆動回路100の電流特性(図3参照)より改善されている。負のスパイク電圧特性は駆動回路300のプッシュプル特性により低減されている。誘導性負荷に対するプッシュプル動作が、誘導性負荷の中に蓄積されるエネルギーの幾分かを取り去っている。それでもまだ駆動回路300は、図4に示したような遅い立ち上がり時間特性を有している。
【0014】
供給電圧を増大することによって駆動回路300の立ち上がり時間特性を改善することができるが、それは駆動回路の効率悪化を招来してしまうと共に、効率が悪くなるため、放熱板など冷却のための素子を追加する必要が生じる。
【0015】
そこで、誘導性負荷を駆動する十分に高い電圧を発生させ且つ卓越した立ち上がり時間特性を示す誘導性負荷の駆動回路が求められている。さらに、また、低雑音、広帯域、高周波、およびその他のシステム要求に応じた特性を提供する駆動回路が求められている。
【0016】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、誘導性負荷を駆動する十分に高い電圧を発生させ且つ卓越した立ち上がり時間特性を示すと共に、低雑音、広帯域、高周波、およびその他のシステム要求に応じた特性が得られる誘導性負荷駆動装置及び該誘導性負荷駆動装置で駆動されるYTOを備えた信号解析装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る誘導性負荷駆動装置は、高周波駆動部と低周波駆動部と合成回路とを備えている。入力信号に含まれる高周波成分と低周波成分を、それぞれ高周波駆動部と低周波駆動部が駆動する。合成回路は、高周波駆動部と低周波駆動部の出力を合成する。本発明に係る一つの実施の態様において、合成回路は、高周波成分を増幅する。合成回路により高い電圧が発生して誘導性負荷を高速に駆動する。
【0018】
本発明に係る高速誘導性負荷駆動装置は、システム要求に応じて、低周波での低雑音性、終端負荷における帯域制限、交流と直流とで異なるオープンループゲインなどの特性を提供する。
【0019】
高い周波数で動作させる増幅器、例えば、4kHz以上の増幅器は、一般に、増幅器の回路の中では低い抵抗が用いられる。低い抵抗を用いるためにオープンループゲインが低く電流精度が低下している。通常、高速な増幅器には大きな電流を流す必要や低めの抵抗を使う必要があり、一般的には悪い雑音特性を伴う。このように高速性と増幅器の性能はトレードオフとなってしまう。
【0020】
本発明は、異なる構成の二つの増幅部を形成することにより上記のトレードオフを解消するものである。すなわち、誘導性負荷の用途では高速性と低雑音性は一度に求められないので、高増幅率、低雑音、低速の増幅部を低周波駆動部に用い、他方で中増幅率、中雑音、高速の増幅部を高周波駆動部に用いる。その結果、本発明は高性能の誘導性負荷駆動装置を実現することができる。
【0021】
具体的には、本発明の第1の態様によると、上記課題を解決するために、
高い電圧レベルと低い電圧レベルとを含み、それらの一方から他方へ急速に切り換えられる形態でなる入力信号を受領する受信部(505)と、
前記受信部からの前記入力信号の高周波成分を受取って、対応する高周波駆動信号を出力する高周波駆動部(520)と、
前記受信部からの前記入力信号の低周波成分を受取って、対応する低周波駆動信号を出力する低周波駆動部(530)と、
前記高周波駆動部からの前記高周波駆動信号が一端に印加される1次コイルと、該1次コイルより多い巻数とされ、前記低周波駆動部からの前記低周波駆動信号が一端に印加される2次コイルとを有するトランス(540)とを具備し、
前記トランスの1次コイルの他端は接地され、前記トランスの2次コイルの他端は誘導性負荷(550)に接続されることにより、前記誘導性負荷に前記1次コイルに加えられた電圧の前記2次コイルの巻数倍(N)の電圧が同相で加算されて供給されることを特徴とする誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0022】
また、本発明の第2の態様によると、上記課題を解決するために、
前記高周波駆動部が、高域通過瀘波器(522,524)と、該高域通過瀘波器からの出力を受領する増幅器(526)とを備えていることを特徴とする第1の態様に記載の誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0023】
また、本発明の第3の態様によると、上記課題を解決するために、
前記高域通過瀘波器が、高域通過RC瀘波器であることを特徴とする第2の態様に記載の誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0024】
また、本発明の第4の態様によると、上記課題を解決するために、
前記低周波駆動部が、低域通過瀘波器(532)と、該低域通過瀘波器からの出力を受領する増幅器(534)とを備えていることを特徴とする第1の態様に記載の誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0025】
また、本発明の第5の態様によると、上記課題を解決するために、
高い電圧レベルと低い電圧レベルとを含み、それらの一方から他方へ急速に切り換えられる形態でなる入力信号を受領する受信部(505)と、
前記受信部からの前記入力信号の高周波成分を受取って、対応する高周波駆動信号を出力する高周波駆動部(520)と、
前記受信部からの前記入力信号の低周波成分を受取って、対応する低周波駆動信号を出力する低周波駆動部(530)と、
前記高周波駆動部からの前記高周波駆動信号が印加される1次コイルと、該1次コイルより多い巻数とされ、前記低周波駆動部からの前記低周波駆動信号が一端に印加される2次コイルとを有するトランス(540)とを具備し、
前記高周波駆動部が、
前記トランスの1次コイルの第1の端子に第1の高周波出力を提供する非反転増幅器(526)に結合した第1のRC高域通過瀘波器(522,524)と、前記トランスの1次コイルの第2の端子に第2の高周波出力を提供する反転増幅器(930)に結合した第2のRC高域通過瀘波器(910,920)とを備え、
前記第2の高周波出力が前記第1の高周波出力に対し180度の位相差を有しているとともに、
前記トランスの2次コイルの他端が誘導性負荷(550)に接続されることにより、
前記誘導性負荷に前記1次コイルに加えられた電圧の前記2次コイルの巻数倍(N)の電圧が同相で加算されて供給されることをを特徴とする誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0026】
また、本発明の第6の態様によると、上記課題を解決するために、
前記入力信号を受領して前記高周波駆動部及び低周波駆動部に結合する出力信号を出力する増幅器(515)と、
前記増幅器の出力端と入力端との間に接続され、前記誘導性負荷に印加される電圧を制限する帯域幅制限部(1010,1020,1030)を備えることを特徴とする第5の態様に記載の誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0027】
また、本発明の第7の態様によると、上記課題を解決するために、
負荷を駆動する装置であって、
電圧を有する信号を受領して増幅出力信号を出力する増幅器(515)と、
前記増幅出力信号を受領して高域通過信号を出力する高域通過瀘波器(522,524)および該高域通過信号を受領して高周波出力を出す高周波増幅器(526)とを備えた高周波駆動部(520)と、
前記増幅出力信号を受領して低域通過信号を出力する低域通過瀘波器(532)および該低域通過信号を受領して低周波出力を出す低周波増幅器(534)とを備えた低周波駆動部(530)と、
前記低周波出力をその2次コイルに結合し、前記高周波出力をその1次コイルに結合し、結合出力信号を負荷(550)に出力するトランス(540)と、
を備えたことを特徴とする誘導性負荷駆動装置が提供される。
【0028】
また、本発明の第8の態様によると、上記課題を解決するために、
所定の発振周波数を有する信号を発振するYTO(5a)を有し、入力信号を受信し、その入力信号と前記YTOからの所定の発振周波数を有する信号とをミキシングして中間周波数信号を取り出して、前記入力信号を所望周波数範囲に渡って解析するためのYTOを備えた信号解析装置(3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,16,17)において、
第1または第5の態様に記載の誘導性負荷駆動装置で駆動される前記誘導性負荷としてのYTOを備えたことを特徴とする信号解析装置が提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】
図5は、本発明の一実施の態様に係る電流駆動回路500を示している。図5に示すように、この電流駆動回路500は、抵抗510および増幅器515の正相入力端に接続された入力信号端505を備える。増幅器515の出力端は高周波駆動部520と低周波駆動部530とに接続されている。高周波駆動部520と低周波駆動部530の出力端はそれぞれ結合回路540に接続されている。
【0030】
結合回路540からの出力が誘導性負荷550を駆動する。誘導性負荷550は電流検出抵抗560および増幅器515の逆相入力端に結合されている。電流検出抵抗560の他端は接地されている。
【0031】
動作において、信号入力端が入力信号vi を抵抗510および増幅器515の正相入力端に印加される。増幅器515で増幅された出力信号が、高周波駆動部520と低周波駆動部530とに印加される。一つの実施の形態においては、増幅器515で増幅された出力信号には、異なる周波数成分のスペクトラムが含まれている。このスペクトラム中の低周波成分は低周波増幅器によって処理され且つスペクトラム中の高周波成分は高周波増幅器によって処理されるように互いに瀘波器によって阻止される。すなわち、入力信号に含まれる高周波成分と低周波成分とは、それぞれ高周波駆動部520と低周波駆動部530によって処理される。
【0032】
高周波駆動部520は入力信号vi の高周波成分を駆動する。信号がほとんど高周波成分であるとき、これらの60〜90%の信号は高周波駆動部520により処理されることになる。一つの実施の形態においては、高周波駆動部520は入力信号vi より所望の高周波成分を分離するため高域通過瀘波器又は帯域通過瀘波器を備える。他の実施の形態においては、高周波駆動部520は低域通過瀘波器と負帰還回路を用いる増幅器を備える。さらに高周波駆動部520は必要により、高周波成分を増幅する増幅器を備える。このような高周波駆動部520は高周波成分を結合回路540に出力する。
【0033】
低周波駆動部530は入力信号vi の低周波成分を駆動する。一つの実施の形態においては、もし入力信号vi が低い立ち上がり時間を有するときには、ほとんどの信号が低周波駆動部530により処理されることになる。この低周波駆動部530は低域通過瀘波器又は回路構成によって他の瀘波器を備えることがある。一般には、低周波駆動部530は低域通過的な特性を有しており、入力信号から所望の直流又は低周波成分を取り出す。さらに、低周波駆動部530は必要により、低周波成分を増幅する増幅器を備える。このような低周波駆動部530は低周波成分を結合回路540に出力する。この結合回路540は、高周波駆動部520と低周波駆動部530の出力を結合し、誘導性負荷550を駆動するための良好な波形の出力電圧を持つ出力信号である駆動信号を提供する。
【0034】
そして、結合回路540の出力電圧と電流検出抵抗560の電圧との差によって定まる電流が誘導性負荷550に発生する。
【0035】
本発明の一つの実施の態様に係る、低周波駆動部、高周波駆動部および結合回路を有する電流駆動回路600を図6に示す。図6において、高周波駆動部520は、コンデンサ522、抵抗524および増幅器526を備えている。図示の実施の態様においては、コンデンサ522および抵抗524は、DC以上の一定の周波数成分の高域信号を通過させることができる帯域回路として高域又は帯域RC瀘波器として作動する。別の実施の態様においては、帯域瀘波器は、1kHz〜4kHzの間の周波数成分を通過させて増幅器534へ送ることができる。当業者は、特定の回路要求によって帯域幅が変化することを理解するであろう。
本発明の範囲は、上記高周波駆動部の帯域幅によって限定されない。
【0036】
上記帯域回路は、上記高域信号を増幅器526の正相入力端へ供給する。該増幅器526は、システム要求によって、上記信号を図示のように増幅する、あるいは、該信号のための緩衝器として作動する非反転増幅器として構成することができる。
【0037】
低周波駆動部530は、抵抗532および増幅器534を備える。この増幅器534は、誘導性負荷550、542(トランス)と共に、低域通過回路として作動する。
【0038】
一般に、誘導性負荷を流れる電流の急速な変化は、増幅器534への高電圧供給を要する。増幅器534への限定された電源供給は、誘導性負荷への電流供給に影響を及ぼす。限定された電源供給によって高周波成分を増幅器に印加しても、該電源供給よりも高い電圧は生じない。すなわち、オームの法則(V=IR)から、帯域幅の限定は、誘導性負荷のインダクタンス値および電源電圧によって決定される。従って、増幅器への入力信号が一定の値を越えると、周波数応答は失われる。この特性は低域通過瀘波器応答である。一般に、増幅器534、526の帯域幅は、システムのクロスオーバ周波数よりも広い。誘導性負荷が増幅器出力に設けられている場合には、周波数応答は広くならない。
【0039】
そして、低周波駆動部530の低域通過信号は、増幅器534の正相入力端に印加される。この増幅器534は、図6におけるシステム要求により、図示のように該信号を増幅する、あるいは該信号に対する緩衝器として作動する非反転増幅器として構成することができる。
【0040】
図6に示す本発明の実施の態様によれば、上記高周波駆動部520および低周波駆動部530の出力は、トランス542を用いて結合される。図6において、低周波駆動部530は、信号を上記トランス542の2次コイルへ印加する。上記高周波駆動部520は、信号を上記トランス542の1次コイルへ印加する。
図6に示す実施の態様においては、上記トランス542の1次コイルは、2次コイルよりも多い巻数を有する。上記トランス542は、上記信号を結合するように作動し、かつ図示の巻数比N:1に従って高周波成分を増幅する。
【0041】
誘導性負荷550に印加される、結合回路540における電圧VLOADは、次式で示される。
【0042】
LOAD=VLD+VPC+VI 
ただし、VLDは、上記低周波駆動部530の出力電圧であり、VPCは、上記2次コイルにおける電圧上昇分(または減少分)であり、VI は、上記トランス540の2次側から誘導された電圧である。
【0043】
上記2次コイルにおける電圧増加分は、VPC=L(diLD/dt)で表わされ、ここでLは上記コイルのインダクタンスであり、iLDは上記低周波駆動部530の出力電流を示す。
【0044】
誘導電圧VI は、VI =M(diHD/dt)で表わされ、Mは、上記トランスの相互インダクタンスを示し、iHDは、上記トランスの1次コイルに印加される、上記高周波駆動部520からの出力電流を示す。相互インダクタンスMは、上記システムの要求に従って選定される変圧比から得られる。この場合、上記トランス540は、5:1、10:1、20:1あるいはその他の変圧比を有してもよい。
【0045】
上記変圧比は、本発明に従って、上記システムの要求により動的に変化させることができる。低変圧比の場合、低電流および低速で作動する。高変圧比のトランスの場合、より迅速に、あるいはより高周波数帯域で作動するが、大電流を要する。上記誘導性負荷駆動装置が実装されているシステムにより、異なる変圧比が用いられる。このようないくつかの実施例は、これによって本発明の範囲内とみなされる。
【0046】
誘導性負荷550を介して誘導される電流は、負荷電圧と電流センサ電圧との差によって決定される。図示のように、電流検出抵抗560は、誘導性負荷550の一端と接地端との間に接続されている。上記負荷電圧は、上述したようにトランス542によって決定することができる。電流駆動回路600の電流センサ電圧は、電流検出抵抗560を介した誘導性負荷電流によって決定される。
【0047】
図6の回路の利点は、高周波駆動部520の増幅器526を、高出力電圧増幅器を用いることなく、大電流を駆動するのに使用できるという点である。増幅器526は、トランス542を駆動することのみに必要であり、また低電源電圧で作動する。
【0048】
前述したような高周波駆動部520の増幅器526と比較して、低周波駆動部530の増幅器534は、中電流および中電圧の増幅器である。この増幅器534は、大電流を必要としないため、低雑音特性を有するように選定することができる。この増幅器534の性能は、位相ロックループにおいて重要なDCおよび低周波性能を決定する。
【0049】
図7に、図6の電流駆動回路の電流特性700を示す。この電流特性700は、従来の電流駆動回路100、300の電流特性200、400よりも、立ち上がり時間、負のスパイク電圧および回復時間特性の全てが向上している点で、従来のシステムよりも改善されているのが分かる。
【0050】
本発明の誘導性負荷駆動装置の他の利点は、常時、大電流を必要としない点である。上記トランス542の1次側は、電流によって駆動される。上記トランス542の2次側に高電圧を生成するために、短時間、大電流が用いられる。大電流は、コイル電流が急速に変化しているときにのみ必要とされる。
【0051】
本発明の一つの実施の態様においては、入力信号はバースト波形でもよい。すなわち、バーストが信号内に現れる際、短時間のみに、大電流が必要とされる。
一つの実施の態様においては、電力を蓄積するために、および高周波増幅器へ電流を供給するために、コンデンサを用いることができる。従って、電源供給は、平均電流負荷を駆動することのみを要する。本発明のこの実施の態様においては、大電流電源供給は必要とされない。
【0052】
図6の回路は、異なるシステムの要求に合わせるために、多くの構成に変更することができる。多くの可能な構成のうちのいくつかの実例を図8乃至図11に示す。
【0053】
図8に、本発明の一つの実施の態様に係る、低雑音を要するシステムのための電流駆動回路800を示す。誘導性負荷に伝えられる雑音のほとんどは、高周波駆動部520からのものである。この高周波駆動部520によって伝えられる雑音を低減するために、スイッチを用いることができる。
【0054】
図8に示すように、高周波駆動部520および結合回路540内に、スイッチ820、830を設けることができる。高域通過駆動部520のスイッチ820が閉位置にあるときには、増幅器526の正相入力端とアースとの間に短絡が生じている。このスイッチ820によって生じる短絡により、高周波信号の重要な成分が増幅器526に印加されることが防止される。結合回路540のスイッチ830が閉位置にあるときには、増幅器534の出力と誘導性負荷550との間に短絡が生じている。このスイッチ830によって生じる短絡により、高域通過駆動回路からの出力信号の重要な成分が低域通過駆動回路と結合されることが防止される。
【0055】
これらのスイッチ820、830が閉じている場合には、高周波信号が伝達され、上記誘導性負荷550に伝わる雑音のほとんどは、高周波成分からのものである。すなわち、スイッチ820、830のいずれか又は両方が閉じている場合には、高周波成分の一部および対応する雑音成分のみが誘導性負荷550へプッシュされる。これにより、上記回路を低雑音で作動させることができる。一つの実施の態様においては、入力信号が低周波エネルギを有する場合、スイッチ820又は830のうちの少なくとも一つが閉じられる。
【0056】
より有効な高周波駆動部のためのいくつかの駆動回路アプリケーションを構成することができる。これは、多重低電圧増幅器を、本発明の高周波駆動部の部品に用いることによって達成できる。
【0057】
図9に、本発明の一つの実施の態様に係る、より有効な高周波駆動部の部品を用いた電流駆動回路900を示す。図9の電流駆動回路900は、コンデンサ910、抵抗920、増幅器930および抵抗940を追加したことを除いては、図6の電流駆動回路600と同等である。コンデンサ910および抵抗920は、高域通過RC瀘波器として作動する。高周波信号は、上記RC高域通過瀘波器から増幅器930の反転入力端に供給される。増幅器930の非反転入力端は接地されている。上記反転型の増幅器930の出力は、該増幅器930の反転入力端に接続されている抵抗940と、トランス542の1次コイルの一端とに接続されている。
【0058】
図9においては、上記トランス542の1次コイルの周りにバランス端子負荷回路を実装することによって、高周波駆動部520においてより有効な駆動性が達成される。上記2次コイルの一端は、非反転型の増幅器526の出力に結合されている。2次コイルの他端は、反転型の増幅器930の出力に接続されている。増幅器930、526の出力は、2次コイル端子において互いに180°位相がずれている。その結果、このような一つの増幅器のみが用いられている場合に、上記2次コイル端子の両端に印加される電圧の大きさの約2倍の電圧差が、上記2つの増幅器を用いて、トランス542の2次コイルの両端に設定される。
【0059】
ある駆動システムは、周波数帯域制限回路を必要とし、すなわち、該制限回路から利益を得るようにしてもよい。帯域制限回路は、高電圧およびサージ電圧を抑制するように作動する。
【0060】
図10に、周波数帯域制限回路を実装する、本発明の一つの実施の態様に係る電流駆動回路1000を示す。抵抗1030の一端は、増幅器515の出力に接続されている。抵抗1030の他端は、増幅器515の逆相入力端に接続されている。コンデンサ1010および抵抗1020は、直列に接続されている。コンデンサ1010の他端は、増幅器515の出力に結合されている。抵抗1020の他端は、増幅器515の逆相入力端に結合されている。抵抗1040は、上記増幅器515の逆相入力端と電流検出抵抗560との間に結合されている。電流検出抵抗560の電圧は、誘導性負荷電流によって決定され、かつ抵抗1030、1040を用いてDC信号入力中に限定できる。AC信号入力中、電流検出抵抗560の電圧は、抵抗1030および1040、さらに抵抗1020およびコンデンサ1010によって決定される。
【0061】
動作において、周波数帯域制限回路は、低域通過瀘波器として作動する。上記周波数帯域制限回路は、所望のカットオフ周波数を越える信号を上記駆動回路に入力しない。一つの実施の態様においては、上記所望のカットオフ周波数は、約10kHz又は20kHzである。しかし、当業者は、回路1000のフィルタ特性を特定のシステムの要求に合わせるように調節できることを理解するであろう。
【0062】
本発明の電流駆動回路は、低周波駆動部および高周波駆動部に対して異なるクローズドループゲインを実施するように構成することができる。異なるクローズドループゲインは、発振を防ぐ利得位相マージンを実施するため、および駆動回路の安定性を確立するために用いることができる。電流駆動回路に対してクローズドループゲインを実施するには多くの方法がある。
【0063】
異なるクローズドループゲインを有する高周波駆動部520および低周波駆動部530の回路構成は、図11の本発明の一つの実施の態様に係る電流駆動回路1100において示されている。この電流駆動回路1100の高周波駆動部520に対するクローズドループゲインは、VOH=VIH(1+R8/R7)で表わされ、VOHは、高周波駆動増幅器526に対する出力電圧を示し、VIHは、高周波駆動増幅器526に対する入力電圧を示す。
【0064】
電流駆動回路1100の低周波駆動部530に対するクローズドループゲインは、VOL=VIL(1+R10/R9)で表わされ、VOLは、低周波駆動増幅器534に対する出力電圧を示し、VILは、低周波駆動増幅器534に対する入力電圧を示す。
【0065】
抵抗R7、R8、R9及びR10の値を調節することにより、クローズドループゲインを、低周波駆動増幅器534又は高周波駆動増幅器526のいずれに対しても調節することができる。高周波駆動増幅器526及び低周波駆動増幅器534のオープンループゲインは、特定の増幅回路構成によって決定することができ、またアプリケーション間で異なる。
【0066】
本発明に係る、誘導性負荷を高速駆動する駆動回路は、高周波駆動部及び低周波駆動部と合成回路とを備える。高周波成分及び低周波成分は、入力信号から得られる。分離された低周波成分及び高周波成分は、それぞれ低周波駆動部及び高周波駆動部によって駆動される。低周波駆動部及び高周波駆動部の出力は、合成回路によって合成される。本発明の一つの実施の態様においては、高周波成分は、上記合成回路によって合成されると共に増幅される。この合成信号は、誘導性負荷を高速で駆動する高電圧信号を生成する。
【0067】
本発明の駆動回路は、システム要求に応じて、低周波数での低雑音性、終端負荷における帯域制限、交流と直流とで異なるオープンループゲインなどの特性を実現できるように構成することができる。
【0068】
図8乃至図11に回路構成の特定の実施例を示したが、基本的な発明の応用範囲はそれらの実施例に限定されない。図5に示す本発明の基本的な概念は、多くの回路のデザイン及び仕様を満たすように応用及び変更することができる。本発明による誘導性負荷駆動装置の範囲は、図8乃至図11の示されるアプリケーションに限定されない。
【0069】
本発明の誘導性負荷駆動装置は、いくつかの応用範囲において用いることができる。例えば、該誘導性負荷駆動装置は、周波数スペクトルアナライザ等の電子測定機器に実装することができる。しかし、該誘導性負荷駆動装置は、回路又は機器が低電圧、高速度及び高効率の誘導性負荷駆動回路を用い、誘導性負荷が駆動される該回路又は機器に実装することができる。より大きな回路、機器及びシステムに本発明の誘導性負荷駆動装置を用いることは、本発明の本来の主旨に含まれる。
【0070】
図12は、本発明の誘導性負荷駆動装置でYTOを駆動する信号解析装置の全体構成を示すブロック図である。
【0071】
こういった信号解析装置には、周波数変換部に局部発振器としてのYTOが使用される。このYTOは、YIGなどの磁気素子を用いて高周波の信号を発振出力する。
【0072】
この信号解析装置の適用としては、スペクトラムアナライザや送信機テスタがある。図示の例は、スペクトラムアナライザであり、入力信号の所定周波数範囲のスペクトルから高調波検出、変調精度、変調歪、隣接チャンネルの漏洩などを解析し、表示器上などに出力する解析処理を行う。
【0073】
入力端子1を介して入力された高周波の被試験信号aは減衰器2で予め定められた規定レベルに調整されて、周波数変換部3へ入力される。周波数変換部3へ入力された高周波の被試験信号aは信号混合器4で局部発振器5からの局部発振信号bと混合されて、中間周波数を有する中間周波数信号に変換される。
【0074】
この中間周波数信号はBPF(ハンドパスフィルタ)6で帯域制限された後、再度、別の信号混合器7で局部発振器8からの局部発振信号b1 と混合されて最終の中間周波数信号cとしてこの周波数変換部3から出力される。
【0075】
周波数変換部3の局部発振器5の発振周波数は掃引制御手段9によって、パネル等から設定された所定の周波数範囲に亘って掃引される。その結果、周波数変換部3から出力される中間周波数信号cの周波数fI も掃引動作に同期して変化する。
【0076】
周波数変換部3から出力された周波数が低減された中間周波数信号cは次のRBWフィルタ10へ入力される。このRBWフィルタ10は、不要な周波数成分を除き、必要な中間周波数信号のみを選択するバンドパスフィルタ(帯域可変フィルタ)を有している。
【0077】
このバンドパスフィルタの周波数特性の通過中心周波数fC におけるピークレベルから3dB低下した時点におけるバンド幅(RBW)は、このスペクトラムアナライザにおける周波数分解能を表すことになる。
【0078】
周波数変換部3から出力される中間周波数信号cの周波数fI は掃引動作に同期して変化するので、RBWフィルタ10から1掃引期間(掃引周期)内において時間経過と共に出力される出力信号は、掃引受信して中間周波数信号cに変換された被試験信号の各周波数成分における時系列波形となる。
【0079】
RBWフィルタ10からの出力信号は増幅器11でゲイン調整された後に、LOG変換器12で対数変換される。信号レベルがdB単位に変換された出力信号は次の検波器13で検波される。その結果、掃引期間内に検波された信号は、掃引された周波数における時系列波形の大きさを示す。
【0080】
したがって、横軸を周波数、縦軸を振幅とすれば、周波数スペクトラム波形となる。
【0081】
この検波器13から出力された周波数スペクトラム波形を示す信号は次のVBWフィルタ14へ入力される。このVBWフィルタ14はスペクトラムアナライザの前面パネルに取付けられた表示器17に最終的に表示される周波数スペクトラム波形の高周波成分(雑音成分)を除去するLPF(ローパスフィルタ)で構成されている。
【0082】
このVBWフィルタ14から出力されたアナログの周波数スペクトラム波形はピーク検出器にて各時間軸位置におけるピーク値が検出され、包絡線検波された状態の最終的な周波数スペクトラム波形が得られる。この最終的な周波数スペクトラム波形を示す信号は次のA/D変換器16でデジタルデータに変換される。デジタルデータに変換された周波数スペクトラム波形は前述した表示器17に表示される。
【0083】
よって、被測定信号aの周波数スペクトラム波形が表示器17に表示出力される。
【0084】
図13は、本発明の要部である誘導性負荷駆動装置で駆動されたYTO5aを示す回路図である。
【0085】
YTO5aは、周波数変換部3の局部発振器5の一部を構成し、掃引部9aと制御部9bは掃引制御手段9を構成している。
【0086】
誘導性負荷駆動装置5bは、YTO5aの端子Aの一端に接続され制御電流を可変制御する。この誘導性負荷駆動装置5bには、掃引部9aからノコギリ状の掃引信号が入力され、YTO5aの発振周波数を所定の周波数範囲で掃引するようYTO5aを電流制御する。また、制御部(CPU)9bから掃引開始周波数fsの入力時には、対応する電流となるよう電流制御する。
【0087】
これにより、発振周波数がを可変制御される。したがって、前記ノコギリ状の掃引信号が高速で切り替わっても、それに追従してYTOの発信周波数を切り替えられる。この周波数の可変により信号解析装置では信号の解析処理(例えば、所定周波数範囲のスペクトルから高調波検出などを行い、表示器上などに出力する。
【0088】
本発明を詳細に記載してきたが、これは、単に当業者にどのように本発明を実施して使用するかを述べたに過ぎない。追加的な変更例も、前述した特許請求の範囲及び以下に示す付記1乃至43によって定義される本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
そして、上述したような実施の形態で示した本明細書には、特許請求の範囲に示した請求項1乃至請求項8以外にも、以下に付記1乃至付記43として示すような発明が含まれている。
【0090】
(付記1) 誘導性負荷を駆動する装置であって、
高周波成分と低周波成分を含む入力信号を受領する受信部と、
入力信号の高周波成分を処理して高周波出力を出す高周波駆動部と、
入力信号の低周波成分を処理して低周波出力を出す低周波駆動部と、
高周波出力と低周波出力とを結合して結合出力信号を出す結合部と、
を備えた装置。
【0091】
(付記2) 前記結合部が前記結合信号により負荷を駆動することを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0092】
(付記3) 前記負荷が誘導性負荷であることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0093】
(付記4) 前記負荷が電流検出素子に接続されていることを特徴とする(付記2)記載の装置。
【0094】
(付記5) 前記高周波駆動部が、高域通過瀘波器と、該高域通過瀘波器からの出力を受領する増幅器とを備えていることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0095】
(付記6) 前記高域通過瀘波器が、高域通過RC瀘波器であることを特徴とする(付記2)記載の装置。
【0096】
(付記7) 前記高域通過瀘波器が、約1kHzから4kHzの周波数成分を通す動作が可能であることを特徴とする(付記2)記載の装置。
【0097】
(付記8) 前記低周波駆動部が、低域通過瀘波器と、該低域通過瀘波器からの出力を受領する増幅器とを備えていることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0098】
(付記9) 前記結合部が、前記高周波出力に結合した第1のコイルと、前記低周波出力に結合した第2のコイルとを備えていることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0099】
(付記10) 前記高周波駆動部が、前記高周波成分の振幅を低減させ且つ該高周波成分の中に存在する雑音を低減させる動作が可能である雑音低減器を備えることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0100】
(付記11) 前記雑音低減器が前記高周波成分を接地に短絡させる動作が可能であるスイッチを備えることを特徴とする(付記10)記載の装置。
【0101】
(付記12) 前記結合部が、前記高周波成分の振幅を低減させ且つ前記結合出力信号の中の高周波成分の中に存在する雑音を低減させる動作が可能である雑音低減器を備えることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0102】
(付記13) 前記雑音低減器が前記低周波駆動部の出力を接地に短絡させる動作が可能であるスイッチを備えることを特徴とする(付記13)記載の装置。
【0103】
(付記14) 前記高周波駆動部が、
主コイルの第1の端子に第1の高周波出力を提供する非反転増幅器に結合した第1のRC高域通過瀘波器と、
前記主コイルの第2の端子に第2の高周波出力を提供する反転増幅器に結合した第2のRC高域通過瀘波器とを備え、
前記第2の高周波出力が前記第1の高周波出力に対し180度の位相差を有していることを特徴とする(付記8)記載の装置。
【0104】
(付記15) 前記入力信号を受領して前記高周波駆動部及び低周波駆動部に結合する出力信号を出力する増幅器と、
前記増幅器の出力端と入力端に接続され、前記誘導性負荷に印加される電圧を制限する帯域幅制限部を備えることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0105】
(付記16) 前記高周波駆動部が前記高周波成分にオープンゲインを提供する第1の利得回路と、
前記低周波駆動部が前記低周波成分にオープンゲインを提供する第2の利得回路とを備えることを特徴とする(付記1)記載の装置。
【0106】
(付記17) 負荷を駆動する装置であって、
電圧を有する信号を受領して増幅出力信号を出力する増幅器と、
前記増幅出力信号を受領して高域通過信号を出力する高域通過瀘波器および該高域通過信号を受領して高周波出力を出す高周波増幅器とを備えた高周波駆動部と、
前記増幅出力信号を受領して低域通過信号を出力する低域通過瀘波器および該低域通過信号を受領して低周波出力を出す低周波増幅器とを備えた低周波駆動部と、
前記低周波出力をその2次コイルに結合し、前記高周波出力をその1次コイルに結合し、結合出力信号を出力するトランスと、
を備えたことを特徴とする装置。
【0107】
(付記18) 前記結合出力が誘導性負荷を駆動することを特徴とする(付記17)記載の装置。
【0108】
(付記19) 負荷を駆動する方法であって、
高周波成分と低周波成分を含む入力信号を受領し、
前記高周波成分から得られた高周波駆動信号を出力し、
前記低周波成分から得られた低周波駆動信号を出力し、、
前記高周波駆動信号および前記低周波駆動信号により負荷を駆動することを特徴とする方法。
【0109】
(付記20) 負荷を駆動することが誘導性負荷を駆動することを含むことを特徴とする(付記19)記載の方法。
【0110】
(付記21) 高周波駆動信号を出力することが、
前記入力信号を受領し、
前記入力信号から高周波成分を得、
前記高周波成分を増幅器によって処理し、
前記増幅器から高周波駆動信号を出力することを特徴とする(付記19)記載の方法。
【0111】
(付記22) 前記入力信号から高周波成分を得ることが、高域通過瀘波器によって前記入力信号を処理することを含むことを特徴とする(付記21)記載の方法。
【0112】
(付記23) 前記増幅器が、緩衝器として作動するように構成されていることを特徴とする(付記21)記載の方法。
【0113】
(付記24) 低周波駆動信号を出力することが、
前記入力信号を受領し、
前記入力信号から低周波成分を得、
前記低周波成分を増幅器によって処理し、
前記増幅器から低周波駆動信号を出力することを特徴とする(付記20)記載の方法。
【0114】
(付記25) 前記入力信号から低周波成分を得ることが、低域通過瀘波器によって前記入力信号を処理することを含むことを特徴とする(付記24)記載の方法。
【0115】
(付記26) 前記増幅器が、緩衝器として作動するように構成されていることを特徴とする(付記24)記載の方法。
【0116】
(付記27) 誘導性負荷を前記高周波駆動信号および前記低周波駆動信号により駆動することが、
相互インダクタンス比を有するトランスを設け、
前記トランスの2次コイルの一端上の低周波駆動信号を受領し、
前記トランスの1次コイル上の高周波駆動信号を受領し、
結合出力信号を、前記2次コイルの2次端子に結合された負荷に供給することとを含み、前記結合出力信号が、前記相互インダクタンス比および前記低周波駆動信号によって乗算された前記高周波駆動信号の合計からなることを特徴とする(付記19)記載の方
法。
【0117】
(付記28) 前記負荷が誘導性負荷であることを特徴とする(付記27)記載の方法。
【0118】
(付記29) 前記誘導性負荷に結合された電流検出素子を設けることをさらに備えることを特徴とする(付記19)記載の方法。
【0119】
(付記30) 高周波駆動信号を出力することが、雑音信号を低減することを含み、該雑音信号が、前記増幅器により処理された前記高周波信号内に存在することを特徴とする(付記19)記載の方法。
【0120】
(付記31) 前記雑音信号を低減することが、前記高周波成分を接地する短絡を生じることを含むことを特徴とする(付記30)記載の方法。
【0121】
(付記32) 前記結合信号を供給することが、前記高周波駆動信号内の雑音信号を低減することを含むことを特徴とする(付記27)記載の方法。
【0122】
(付記33) 前記雑音信号を低減することが、前記低周波駆動信号を前記負荷に接続する短絡を生成することを含むことを特徴とする(付記32)記載の方法。
【0123】
(付記34) 前記トランスの2次コイル上の高周波駆動信号を受領することが、
第1の高周波駆動信号を前記1次コイルの第1の端部に供給し、
第2の高周波駆動信号を前記1次コイルの第2の端部に供給することとを含み、
前記第1の高周波駆動信号が、前記第2の高周波駆動信号に対し180度の位相差を有していることを特徴とする(付記27)記載の方法。
【0124】
(付記35) 前記誘導性負荷に印加する電圧を制限することをさらに含むことを特徴とする(付記19)記載の方法。
【0125】
(付記36) 前記誘導性負荷に印加する電圧を制限することが、前記誘導性負荷に印加する帯域幅を制限する低域通過瀘波器を設けることを含むことを特徴とする(付記35)記載の方法。
【0126】
(付記37) 増幅器で前記高周波成分を処理することが、第1のオープンループゲインを前記高周波成分に付加することを特徴とする(付記19)記載の方法。
【0127】
(付記38) 増幅器で前記高周波成分を処理することが、第1のオープンループゲインを有する利得回路を設けることを含むことを特徴とする(付記21)記載の方法。
【0128】
(付記39) 増幅器で前記低周波成分を処理することが、第2のオープンループゲインを有する利得回路を設けることを含むことを特徴とする(付記24)記載の方法。
【0129】
(付記40) 誘導性負荷を駆動する方法であって、
入力信号を受領し、
前記入力信号を増幅し、
前記入力信号から低周波成分を分離し、
前記低周波成分をトランスの2次コイルに加え、
前記入力信号から高周波成分を分離し、
前記高周波成分を前記トランスの1次コイルに加え、
前記トランスにおいて前記高周波成分と前記低周波成分とを結合し駆動信号を生成し、
前記駆動信号で負荷を駆動する、
ことを具備する方法。
【0130】
(付記41) 信号を測定する装置であって、
電圧を有する信号を受領して増幅出力信号を出力する増幅器と、
高域通過応答特性を有し前記増幅出力信号を受領して高周波駆動信号を出力する高周波駆動部と、
低域通過応答特性を有し前記増幅出力信号を受領して低周波駆動信号を出力する低周波駆動部と、
前記低周波駆動信号をその2次コイルに結合し、前記高周波駆動信号をその1次コイルに結合し、結合出力信号を出力するトランスと、
を具備する装置。
【0131】
(付記42) 前記高周波駆動部が、
増幅出力信号を受領して瀘波出力信号を出力する高域通過瀘波器と、
前記瀘波出力信号を受領して高周波駆動信号を出力する高周波増幅器とを含むことを特徴とする(付記41)記載の装置。
【0132】
(付記43) 前記低周波駆動部が、
増幅出力信号を受領して瀘波出力信号を出力する低域通過瀘波器と、
前記瀘波出力信号を受領して低周波駆動信号を出力する低周波増幅器とを含むことを特徴とする(付記41)記載の装置。
【0133】
【発明の効果】
従って、以上説明したように、本発明によれば、誘導性負荷を駆動する十分に高い電圧を発生させ且つ卓越した立ち上がり時間特性を示すと共に、低雑音、広帯域、高周波、およびその他のシステム要求に応じた特性が得られる誘導性負荷駆動装置及び該誘導性負荷駆動装置で駆動されるYTOを備えた信号解析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来技術による典型的な誘導性負荷に対する電流駆動回路を示す図である。
【図2】図2は、図1の電流駆動回路の電流特性を示す図である。
【図3】図3は、従来技術による典型的な誘導性負荷に対する電流プッシュプル駆動回路を示す図である。
【図4】図4は、図3の電流プッシュプル駆動回路の電流特性を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一つの実施の態様に係る電流駆動回路を示す図である。
【図6】図6は、本発明の一つの実施の態様に係る高周波成分駆動部と低周波成分駆動部を備えた電流駆動回路を示す図である。
【図7】図7は、図6の電流駆動回路の電流特性を示す図である。
【図8】図8は、本発明の一つの実施の態様に係る低雑音の電流駆動回路を示す図である。
【図9】図9は、本発明の一つの実施の態様に係る電圧利用率を高めた電流駆動回路を示す図である。
【図10】図10は、本発明の一つの実施の態様に係る周波数帯域制限を備えた電流駆動回路を示す図である。
【図11】図11は、本発明の一つの実施の態様に係る駆動回路1100において異なるクローズドループゲインを有する高周波駆動部520および低周波駆動部530の回路構成を示す図である。
【図12】図12は、本発明の誘導性負荷駆動装置で駆動されたYTOを備えた信号解析装置の全体構成を示す示す図である。
【図13】図13は、誘導性負荷回路で駆動されるYTOを示す回路図である。
【符号の説明】
3…周波数変換部、
5…局部発信器、
5a…YTO、
5b…誘導性負荷駆動装置、
9…掃引制御手段、
9a…掃引部、
9b…制御部、
500…電流駆動回路、
510…抵抗、
515…増幅器、
505…入力信号端、
520…高周波駆動部、
530…低周波駆動部、
540…結合回路、
550…誘導性負荷、
560…電流検出抵抗、
600…電流駆動回路、
522…コンデンサ、
524…抵抗、
526…増幅器、
534…増幅器、
532…抵抗、
542…トランス(誘導性負荷)、
800…駆動回路、
820、830…スイッチ、
900…電流駆動回路、
910…コンデンサ、
920…抵抗、
930…増幅器、
940…抵抗、
1000…駆動回路、
1030…抵抗、
1010…コンデンサ、
1020…抵抗、
1040…抵抗、
1100…駆動回路、
R8、R7…抵抗、
R10、R9…抵抗。

Claims (8)

  1. 高い電圧レベルと低い電圧レベルとを含み、それらの一方から他方へ急速に切り換えられる形態でなる入力信号を受領する受信部と、
    前記受信部からの前記入力信号の高周波成分を受取って、対応する高周波駆動信号を出力する高周波駆動部と、
    前記受信部からの前記入力信号の低周波成分を受取って、対応する低周波駆動信号を出力する低周波駆動部と、
    前記高周波駆動部からの前記高周波駆動信号が一端に印加される1次コイルと、該1次コイルより多い巻数とされ、前記低周波駆動部からの前記低周波駆動信号が一端に印加される2次コイルとを有するトランスとを具備し、
    前記トランスの前記1次コイルの他端は接地され、前記トランスの前記2次コイルの他端は誘導性負荷に接続されることにより、前記誘導性負荷に前記1次コイルに加えられた電圧の前記2次コイルの巻数倍の電圧が同相で加算されて供給されることを特徴とする誘導性負荷駆動装置。
  2. 前記高周波駆動部が、高域通過瀘波器と、該高域通過瀘波器からの出力を受領する増幅器とを備えていることを特徴とする請求項1記載の誘導性負荷駆動装置。
  3. 前記高域通過瀘波器が、高域通過RC瀘波器であることを特徴とする請求項2記載の誘導性負荷駆動装置。
  4. 前記低周波駆動部が、低域通過瀘波器と、該低域通過瀘波器からの出力を受領する増幅器とを備えていることを特徴とする請求項1記載の誘導性負荷駆動装置。
  5. 高い電圧レベルと低い電圧レベルとを含み、それらの一方から他方へ急速に切り換えられる形態でなる入力信号を受領する受信部と、
    前記受信部からの前記入力信号の高周波成分を受取って、対応する高周波駆動信号を出力する高周波駆動部と、
    前記受信部からの前記入力信号の低周波成分を受取って、対応する低周波駆動信号を出力する低周波駆動部と、
    前記高周波駆動部からの前記高周波駆動信号が印加される1次コイルと、該1次コイルより多い巻数とされ、前記低周波駆動部からの前記低周波駆動信号が一端に印加される2次コイルとを有するトランスとを具備し、
    前記高周波駆動部が、
    前記1次コイルの第1の端子に第1の高周波出力を提供する非反転増幅器に結合した第1のRC高域通過瀘波器と、
    前記1次コイルの第2の端子に第2の高周波出力を提供する反転増幅器に結合した第2のRC高域通過瀘波器とを備え、
    前記第2の高周波出力が前記第1の高周波出力に対し180度の位相差を有しているとともに、
    前記トランスの前記2次コイルの他端が誘導性負荷に接続されることにより、前記誘導性負荷に前記1次コイルに加えられた電圧の前記2次コイルの巻数倍の電圧が同相で加算されて供給されることを特徴とする誘導性負荷駆動装置。
  6. 前記入力信号を受領して前記高周波駆動部及び低周波駆動部に結合する出力信号を出力する増幅器と、
    前記増幅器の出力端と入力端との間に接続され、前記誘導性負荷に印加される電圧を制限する帯域幅制限部を備えることを特徴とする請求項5記載の誘導性負荷駆動装置。
  7. 負荷を駆動する装置であって、
    電圧を有する信号を受領して増幅出力信号を出力する増幅器と、
    前記増幅出力信号を受領して高域通過信号を出力する高域通過瀘波器および該高域通過信号を受領して高周波出力を出す高周波増幅器とを備えた高周波駆動部と、
    前記増幅出力信号を受領して低域通過信号を出力する低域通過瀘波器および該低域通過信号を受領して低周波出力を出す低周波増幅器とを備えた低周波駆動部と、
    前記低周波出力をその2次コイルに結合し、前記高周波出力をその1次コイルに結合し、結合出力信号を負荷に出力するトランスと、
    を備えたことを特徴とする誘導性負荷駆動装置。
  8. 所定の発振周波数を有する信号を発振するYTOを有し、入力信号を受信し、その入力信号と前記YTOからの所定の発振周波数を有する信号とをミキシングして中間周波数信号を取り出して、前記入力信号を所望周波数範囲に渡って解析するためのYTOを備えた信号解析装置において、
    請求項1または請求項5記載の誘導性負荷駆動装置で駆動される前記誘導性負荷としてのYTOを備えたことを特徴とする信号解析装置。
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