JP2004006181A - 発光管封止用閉塞体の製造方法、およびその閉塞体を用いた放電ランプ - Google Patents
発光管封止用閉塞体の製造方法、およびその閉塞体を用いた放電ランプ Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】金属導入線9の外周に、成分の異なる複数の焼結体10,11,12,13,14が略同心円状に積層されてなる発光管封止用閉塞体8の製造方法であって、閉塞体8の各層ごとの焼結体成分を含むスラリー16を作製するスラリー作製工程と、金属導入線9と略同形のコア17を最内周用のスラリーにディップし、付着した最内周用のスラリーを乾燥した後、以降最外周用のスラリーまで順次ディップ、乾燥を繰り返して成形体15を作製する成形体作製工程と、コア17を熱分解によって消失させるとともに、成形体15を仮焼結する仮焼結工程と、コア17の消失によってできた空洞部分に金属導入線9を挿入して仮焼結した成形体15を焼結し、金属導入線9と成形体15とを一体化する本焼結工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光管封止用閉塞体の製造方法、およびその閉塞体を用いた放電ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
放電ランプ、特に高圧放電ランプは、一般的に、高温、高圧下でも発光管内に封入された発光物質が漏洩しないように、電極とこの電極に給電するための外部リード線とが発光管内に封着された金属箔を介して接続されている。
【0003】
ところが、この場合、点灯回数の少ないうちは特に問題は生じないものの、点灯回数が増加すると、金属箔と発光管との熱膨張係数の違いから生じる熱応力によって封着した部分にクラックが発生してしまうという問題がある。そして、このクラックによって発光管内の発光物質が管外に漏洩し、ランプ寿命が短命化してしまう。
【0004】
そこで、上記問題を解決するため、発光管の端部を次の閉塞体によって封止する方法が提案されている(特開平5−290810号公報)。
【0005】
この閉塞体は、放電ランプの発光管内の電極に給電するための金属導入線に同心状に複数積層された構造の成形体を設け、この成形体を焼成して得られる。そして、各層の構成成分は、内周側から外周側にいくに従って、金属導入線の成分が少なくなり、逆に発光管の成分が多くなっている。このため、閉塞体の熱膨張係数は、外周側にいくに従って、金属導入線の熱膨張係数に近い値から発光管の熱膨張係数に近い値へと徐々に変化する構造となっている。したがって、発光管内の温度が上昇しても、金属導入線と発光管との間で生じる熱応力を閉塞体の中間層で徐々に緩和でき、上記のようなクラックの発生を防止することができる。
【0006】
このような閉塞体の製造方法としては、各層の構成成分に対応する金属導入線および発光管の各成分の粉末、有機バインダ、有機溶媒および分散剤等からなるスラリーを金属導入線に塗布、乾燥を繰り返して各層を積層し、成形体を作製し、その後にその成形体を焼成する方法や、各スラリーから各層に対応するグリーンシートを製作して、このグリーンシートを金属導入線に順次巻き付け、作製された成形体を焼成する方法等が上記公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記閉塞体を用いる方法には、クラックの発生を防止できる有用な方法でありながら、その閉塞体の品質および生産性に問題があることがわかった。
【0008】
つまり、前者のスラリーを金属導入線に塗布、乾燥して積層する方法では、スラリーの塗布量および塗布位置によって層の厚みが変わり、各層が金属導入線に対して同心円状にならず、寸法および形状面で一定品質の閉塞体が得られ難いことがわかった。
【0009】
一方、後者のグリーンシートを金属導入線に積層する方法では、小径の金属導入線にグリーンシートを均質に巻き付け、さらに金属導入線に巻き付けたグリーンシートの巻き始めと巻き終わりとを、重なりなく、かつ隙間なく合致させることは困難を極めるため、実用性に乏しいと考えられる。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、寸法や形状が安定した高品質な閉塞体を得ることができ、しかも生産性の高い発光管封止用閉塞体の製造方法、およびその閉塞体を用いた放電ランプを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の発光管封止用閉塞体の製造方法は、金属導入線の外周に、成分の異なる複数の焼結体が略同心円状に積層されてなる発光管封止用閉塞体の製造方法であって、前記閉塞体の各層ごとの焼結体成分を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、前記金属導入線と略同形のコアを最内周用のスラリーにディップし、付着した前記最内周用のスラリーを乾燥した後、以降最外周用のスラリーまで順次ディップ、乾燥を繰り返して成形体を作製する成形体作製工程と、前記コアを熱分解によって消失させるとともに、前記成形体を仮焼結する仮焼結工程と、前記コアの消失によってできた空洞部分に前記金属導入線を挿入して仮焼結した前記成形体を焼結し、前記金属導入線と前記成形体とを一体化する本焼結工程とを含む方法を用いている。
【0012】
この方法によれば、コアをスラリーにディップさせているため、スラリーをコアに均一に付着させることができるので、閉塞体の各層の厚みを均一化することができ、寸法および形状を安定化させることができる。また、コアの消失によってできた空洞部分に金属導入線を挿入して仮焼結した成形体を焼結し、金属導入線と成形体とを一体化させているので、金属導入線と成形体とを非常に強固に一体化させることができる。これらの結果、非常に高品質な閉塞体を得ることができる。しかも、コアをスラリーにディップさせているので、スラリーをコアに容易に付着させることができ、またコアを熱分解によって消失させるとともに、成形体を仮焼結し、その後、コアの消失によってできた空洞部分に金属導入線を挿入して仮焼結した成形体を焼結し、金属導入線と成形体とを一体化させているので、金属導入線と成形体とを容易に一体化させることができ、上記した従来の閉塞体の製造方法に比して、生産性を向上させることができる。
【0013】
本発明の請求項2記載の発光管封止用閉塞体の製造方法は、前記成形体作製工程において、前記コアを、その軸心を前記スラリーの液面に対して鉛直にした状態のまま、前記スラリーにディップし、引き上げる方法を用いている。
【0014】
この方法によれば、コアを中心とした同心円状にスラリーを付着させることができ、各層における厚みが一層均一な成形体を得ることができる。
【0015】
本発明の請求項3記載の発光管封止用閉塞体の製造方法は、前記成形体作製工程の後、ディップ時に下方に位置する前記成形体の先端部から前記コアの先端が露出するように、前記成形体の先端部を切断する成形体切断工程を含む方法を用いている。
【0016】
この方法によれば、金属導入線の一部が露出した状態で、金属導入線と成形体とを一体化させることができるので、ランプ製造時に金属導入線の先端に設けられる電極との接続を溶接等の公知の方法によって容易に行うことができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の発光管封止用閉塞体の製造方法は、前記コアが易分解性の有機材料からなる方法を用いている。
【0018】
この方法によれば、コアの除去作業を容易に行うことができるので、生産性を一層向上させることができる。
【0019】
本発明の請求項5記載の発光管封止用閉塞体の製造方法は、前記閉塞体の熱膨張係数は内側の層ほど前記金属導入線の熱膨張係数に近く、外側の層ほど前記発光管の熱膨張係数に近くなるように、前記各々のスラリーに含ませる焼結体成分を変化させる方法を用いている。
【0020】
この方法によれば、閉塞体の熱応力緩和特性を増大させることができる。
【0021】
本発明の請求項6記載の放電ランプは、請求項1〜請求項5のいずれかに記載された製造方法によって製造された発光管封止用閉塞体を用いて発光管が封止されている構成を有している。
【0022】
この構成によれば、寸法および形状が安定した高品質な閉塞体を用いて発光管を封止しているので、発光管の気密性を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
1.放電ランプの構成
図1は、本発明の実施の形態である発光管封止用閉塞体の製造方法によって製造された閉塞体8を用いて発光管4が封止されている高圧水銀ランプ1の構成の一部を示す概観斜視図であり、その内部の構成がわかるように断面図で示している。
【0025】
なお、本実施の形態における高圧水銀ランプ1は左右対称であるため、同図では一方の端部(右側)のみを図示している。
【0026】
高圧水銀ランプ1は、略回転楕円形状の本管部2とこの本管部2の両端部に設けられた側管部3とを有する例えば石英ガラス製の発光管4を備えている。
【0027】
本管部2内には一対の電極5が対向するように配置されている。この電極5は、タングステン製の電極棒6と、この電極棒6の先端部に設けられたタングステン製の電極コイル7とからなる。また、本管部2内には、例えば、発光物質である水銀、始動補助用のアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガス、および沃素、臭素等のハロゲン物質がそれぞれ封入されている。
【0028】
なお、ハロゲン物質は、動作中、電極5から蒸発したタングステンを電極5に戻す、いわゆるハロゲンサイクル作用によって本管部2の内壁の黒化を抑制するために封入されている。
【0029】
側管部3には、発光管4を封止するための略円筒状の閉塞体8が封着されている。
【0030】
なお、閉塞体8の封着は、側管部3内に挿入された後、バーナー、レーザ等の熱源を用いる公知のランプ封止方法によって側管部3の外周部を1700℃〜1900℃に加熱し、その外周部と側管部3の内周部とを閉塞体8の長さ方向に亘って溶着することにより行われる。
【0031】
側管部3における閉塞体8が封着されている部分の縦断面図を図2に示す。
【0032】
図2に示すように、この閉塞体8は、モリブデン製の金属導入線9を中心とし、この金属導入線9の外周に成分の異なる複数、例えば5層の焼結層10,11,12,13,14が略同心円状に積層されてなる。
【0033】
閉塞体8の材料成分は、金属導入線9の原料であるモリブデン成分と、発光管4の成分であるシリカ成分とを含む少なくとも二つ以上からなる。この焼結体10は後述する成形体15を焼結して得られたものである。
【0034】
なお、閉塞体8における各層と、成形体15における各層とを区別するため、閉塞体8の層を以下「焼結層」、また成形体15の層を以下「成形層」とそれぞれいう。
【0035】
閉塞体8の各焼結層10,11,12,13,14は、金属導入線9に近い層ほど、モリブデン成分の含有量が多く、かつシリカ成分の含有量が少なく、逆に側管部3に近い層ほど、シリカ成分の含有量が多く、かつモリブデン成分の含有量が少なくなっている。これにより、閉塞体8の熱応力緩和特性を増大させることができる。
【0036】
金属導入線9は、図1に示すように、その一端部が電極5と溶接等によって電気的に接続され、その他端部が発光管4の外部に導出している。
【0037】
2.閉塞体の製造方法
図3に、本実施の形態である閉塞体8の製造方法を説明するための概略図を示す。
【0038】
2−1.スラリー作製工程
まず、各焼結層10,11,12,13,14に対応する5種類のスラリー16をボールミル等公知の方法で調製する。
【0039】
各スラリー16の成分を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1中、第1スラリーは第1の焼結層10用のスラリー、第2スラリーは第2の焼結層11用のスラリー、第3スラリーは第3の焼結層12用のスラリー、第4スラリーは第4の焼結層13用のスラリー、第5スラリーは第5の焼結層14用のスラリーをそれぞれ示す。
【0042】
なお、スラリー16の作製に使用したモリブデンおよびシリカは微粉末であり、その粒径の大きさは各焼結層10,11,12,13,14の厚み、全焼結層における各焼結層10,11,12,13,14の位置、焼成条件により適宜決定される。
【0043】
有機バインダは、一般的なセラミックス成形用のバインダであればよく、例えば、ポリビニルアルコール、水溶性アクリル、ポリビニルブチラール等が用いられ、本実施の形態ではポリビニルブチラールを使用している。また、有機溶媒には酢酸ブチルを、分散剤にはカルボン酸アンモニウムをそれぞれ使用している。
【0044】
なお、表1に示すように、シリカ成分が増加するに従って、有機溶媒の配合比も増加させている。これは、スラリー16のシリカ成分が増加するとスラリー16の粘度が高くなるので、有機溶媒の配合比を増加させてスラリー16の粘度を調整するためである。スラリー16の粘度を調整するのは、後述するコア17をスラリー16にディップしたときに、コア17に付着するスラリー16量を制御するためである。
【0045】
2−2.成形体作製工程
図3に示すように、ワックスからなる直径0.5mmのコア17を、その軸心をスラリー16の液面に対して鉛直にした状態のままで、まず第1スラリー16にディップさせる。このとき、コア17の所定位置までをスラリー16に浸漬させる。そして、所定の速度、例えば10cm/分で鉛直方向に引き上げる。
【0046】
その後、引き上げたコア17を所定の条件、例えば60℃、3分間乾燥して第1の成形層を形成する。
【0047】
なお、引き上げ速度は、各成形層の厚さやスラリー16の粘度によって適宜決定される。
【0048】
その後、第2から第5までの各スラリー16を用いて、上述と同様の方法で各成形層を順次積層して径方向に構成成分の比率が変化する直径1.3mmの成形体15を作製する。
【0049】
なお、第2から第5までの各スラリー16にコア17をディップさせる際にも、第1の成形層の上端とスラリー16の上面とが一致するように、コア17を各スラリー16にディップさせる。これにより、成形体15の各層の上端面を略直線状に揃えることができる。
【0050】
次に、得られた成形体15の先端(図3において成形体15の下端)を、成形体15の先端からコア17が露出するように、コア17を含めて所定の長さ、例えば15mmだけカッター等によって切断する。
【0051】
なお、成形体15の切断は、その両端をコア17ごと切断して所定長さとなるようにしてもよい。この場合は、成形体15の両端が切断されるため、成形体15の端面を直線状に仕上げることができる。
【0052】
2−3.仮焼結工程
次に、所定長さに切断された成形体15を非酸化性雰囲気中、例えば窒素雰囲気中で、700℃、4時間の熱処理を行うことにより、コア17を消失させるとともに、スラリー16中のバインダを除去し、かつ成形体15を仮焼結する。
【0053】
2−4.本焼結工程
続いて、直径0.45mmの金属導入線9を仮焼結した成形体15中のコア17が消失してできた空洞部分に貫通挿入し、真空中で、1600℃、30分の焼成を電気炉で行うことにより、成形体15を焼結し、金属導入線9と成形体15とを一体化させ、閉塞体8を製造する。
【0054】
なお、焼成には、電気炉以外に、レーザ、放電プラズマ等を熱源として利用した加熱装置を使用してもよい。
【0055】
以上のような本発明の実施の形態にかかる閉塞体8の製造方法によれば、コア17をスラリー16にディップさせているため、スラリー16をコア17に均一に付着させることができるので、閉塞体8の各層の厚みを均一化することができ、寸法および形状を安定化させることができる。また、コア17の消失によってできた空洞部分に金属導入線9を挿入して仮焼結した成形体15を焼結し、金属導入線9と成形体15とを一体化させているので、金属導入線9と成形体15とを非常に強固に一体化させることができる。これらの結果、非常に高品質な閉塞体8を得ることができる。しかも、コア17をスラリー16にディップさせているので、スラリー16をコア17に容易に付着させることができ、またコア17を熱分解によって消失させるとともに、成形体15を仮焼結し、その後、コア17の消失によってできた空洞部分に金属導入線9を挿入して仮焼結した成形体15を焼結し、金属導入線9と成形体15とを一体化させているので、金属導入線9と成形体15とを容易に一体化させることができ、従来の閉塞体の製造方法に比して、生産性を向上させることができる。
【0056】
特に、成形体作製工程において、コア17を、その軸心をスラリー16の液面に対して鉛直にした状態のまま、スラリー16にディップし、引き上げているので、コア17を中心とした同心円状にスラリー16を付着させることができ、各層における厚みが一層均一な成形体15を得ることができる。また、付着したスラリー16は流下しないようにその粘度が最適化されているので、その成形層内における厚みむらをより一層少なくすることができる。
【0057】
なお、各成形層の厚みを変更する場合は、引き上げ速度もしくはスラリー16の粘度を調整すればよい。また、スラリー16の粘度調整は主に有機溶媒の配合比率を増減させることで行うことができる。
【0058】
また、成形体作製工程の後、ディップ時に下方に位置する成形体15の先端部からコア17の先端が露出するように、成形体15の先端部を切断する成形体切断工程を行うことにより、金属導入線9の一部が露出した状態で、金属導入線9と成形体15とを一体焼結させることができるので、ランプ製造時に金属導入線9の先端に設けられる電極5との接続を溶接等の公知の方法によって容易に行うことができる。
【0059】
また、コア17の材料として、易分解性の有機材料を用いているので、コア17の除去作業を容易に行うことができ、生産性を一層向上させることができる。
【0060】
さらに、高圧水銀ランプ1において、上記のような寸法および形状が安定した高品質な閉塞体8を用いて発光管4を封止しているので、発光管4の気密性を向上させることができ、長寿命化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば以下のような変形例を実施することができる。
【0062】
(1)成形体作製工程
上記実施の形態では、成形体15を製作する工程において、コア17を、その軸心を鉛直にした状態のままで、スラリー16内にディップした後に引き上げて、コア17にスラリー16を付着させているが、例えば、コア17を、その軸心を水平にした状態のままで、スラリー16内にディップして、コア17にスラリー16を付着させてもよい。
【0063】
但し、水平状態でコア17をスラリー16から引き上げる場合、付着したスラリー16がコア17から垂下する可能性があるが、例えばコア17を回転させることにより、このような不具合をなくすことができる。
【0064】
また、コア17をスラリー16に水平状態にディップさせる方法において、コア17上に成形層が積層されている場合は、コア17をスラリー16内にディップさせなくても、コア17上の成形層の表面層だけをスラリー16にディップさせるだけでも、スラリー16を成形層に付着させることができる。
【0065】
(2)コア
a)コアの材料
コア17の材料にワックスを用いたが、コアは基本的に、脱バイ工程で分解して空隙層を形成するような易分解性の有機材料であればよく、例えば、でんぷん、紙等も用いることができる。さらに、コア17は、閉塞体8を構成する成分、例えば金属成分を含んでいないが、コア17が脱バイ工程で分解して成形体15内に空隙層を形成できれば、閉塞体8を構成する金属成分の粉末或いは他の金属の粉末を若干含んでもよい。
【0066】
b)コアの径
コア17の径は金属導入線9の径よりも大きく設定されるが、コア17の径と金属導入線9の径の差異は、小さすぎると、焼成時の焼成温度から常温に降温する際に、閉塞体8の内周が金属導入線9に接して径方向に収縮できず、クラックが発生するおそれがあり、逆に大きすぎると、常温に降温したときに閉塞体8と金属導入線9との間に空隙が残ったり、また高圧水銀ランプ1が点灯して発光管4内の温度が上昇したときに、閉塞体8と金属導入線9とが膨張してその間に空隙が発生したりするおそれがある。したがって、コア17の径は、焼成時から常温に降温した際に、閉塞体8の内周側にクラックが発生しない程度で、しかも、高圧水銀ランプ1が点灯して、発光管4、金属導入線9、閉塞体8の温度が上昇したときに、金属導入線9と閉塞体8との間、または閉塞体8内の焼結層間に空隙が生じない程度であればよい。このため、コア17の径は、発光管4、閉塞体8および金属導入線9におけるそれぞれの寸法(直径)および熱膨張係数により、その都度適宜決定する必要がある。
【0067】
(3)閉塞体について
a)閉塞体の材料について
上記実施の形態は、石英ガラス製の発光管4とモリブデン製の金属導入線9とを前提にして、閉塞体8を構成する成分をモリブデンとシリカとの組み合わせ(表1参照)で説明したが、他の組み合わせでもよい。例えば、金属導入線9にタングステンを用いた場合はタングステンとシリカ、また、発光管4に透光性アルミナを用いた場合は、タングステンとアルミナ、モリブデンとアルミナ等の組み合わせにしてもよい。また、金属導入線9の材料と、閉塞体8を構成する材料とを合わせる必要はなく、例えば、金属導入線9にモリブデンを使用し、閉塞体8を構成する成分をタングステンとシリカ、タングステンとアルミナ等にしてもよいし、さらには、閉塞体8を構成する金属成分をタングステンとモリブデンとの二つの材料を混合させたものでもよい。さらに、閉塞体8は、モリブデン、タングステン、シリカ、アルミナ以外の材料により構成することも可能である。このような材料としては、高圧水銀ランプ1が点灯して発光管4内の温度が上昇したときに、この温度下の使用に十分耐えられるものであることは言うまでもない。
【0068】
b)閉塞体の層数について
上記実施の形態では、5層構造の閉塞体8の場合について説明したが、閉塞体8の層構成は、発光管4と金属導入線9との熱膨張係数の違いにより生じる熱応力を緩和させる観点からできるだけ多層構造をとることが好適であると思われる。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発光管封止用閉塞体の製造方法は、寸法や形状が安定した高品質な閉塞体を得ることができ、しかも生産性の高い発光管封止用閉塞体の製造方法を提供することができるものである。
【0070】
また、本発明の放電ランプは、長寿命な放電ランプを提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である高圧水銀ランプの構成を示す概略斜視図
【図2】同じく高圧水銀ランプの発光管の側管部の縦断面図
【図3】同じく高圧水銀ランプに用いられている閉塞体の製造方法を説明するための概略図
【符号の説明】
1 高圧水銀ランプ
2 本管部
3 側管部
4 発光管
5 電極
6 電極棒
7 電極コイル
8 閉塞体
9 金属導入線
10,11,12,13,14 焼結層
15 成形体
16 スラリー
17 コア
Claims (6)
- 金属導入線の外周に、成分の異なる複数の焼結体が略同心円状に積層されてなる発光管封止用閉塞体の製造方法であって、前記閉塞体の各層ごとの焼結体成分を含むスラリーを作製するスラリー作製工程と、前記金属導入線と略同形のコアを最内周用のスラリーにディップし、付着した前記最内周用のスラリーを乾燥した後、以降最外周用のスラリーまで順次ディップ、乾燥を繰り返して成形体を作製する成形体作製工程と、前記コアを熱分解によって消失させるとともに、前記成形体を仮焼結する仮焼結工程と、前記コアの消失によってできた空洞部分に前記金属導入線を挿入して仮焼結した前記成形体を焼結し、前記金属導入線と前記成形体とを一体化する本焼結工程とを含むことを特徴とする発光管封止用閉塞体の製造方法。
- 前記成形体作製工程において、前記コアを、その軸心を前記スラリーの液面に対して鉛直にした状態のまま、前記スラリーにディップし、引き上げることを特徴とする請求項1記載の発光管封止用閉塞体の製造方法。
- 前記成形体作製工程の後、ディップ時に下方に位置する前記成形体の先端部から前記コアの先端が露出するように、前記成形体の先端部を切断する成形体切断工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光管封止用閉塞体の製造方法。
- 前記コアは易分解性の有機材料からなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発光管封止用閉塞体の製造方法。
- 前記閉塞体の熱膨張係数は内側の層ほど前記金属導入線の熱膨張係数に近く、外側の層ほど前記発光管の熱膨張係数に近くなるように、前記各々のスラリーに含ませる焼結体成分を変化させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発光管封止用閉塞体の製造方法。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された製造方法によって製造された発光管封止用閉塞体を用いて発光管が封止されていることを特徴とする放電ランプ。
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