JP2004005118A - ドア操作性評価のためのシミュレーション装置、シミュレーション方法及び制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮想空間においてドアの操作ノブ12を掴んで開閉操作する操作者の手及び腕を多関節アーム13により模擬する物理モデルMを準備し、これにドア側データDd、身体データBd、筋力データMd1等を入力して模擬演算を実行する。この模擬演算によりドアの開閉中の各位置において必要な操作力と多関節アーム13の姿勢とを求め、該多関節アーム13の手先における操作力の適正範囲(可操作力楕円体E)を各関節毎のトルクの適正範囲に関する筋力データに基づいて求める。そして、必要な操作力と適正な操作力の範囲とを比較して、ドアの開閉操作の容易性を判定評価する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアの開閉操作の容易性を評価するための装置、方法及び制御プログラムに関し、特に、試作車等を用いることなく、設計の初期段階で操作性の検証を可能ならしめるシミュレーション(模擬演算)の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般に、車両のボディ設計の領域においては、居住性を確保しながらボディ剛性を高め、さらには空力特性を向上するといった種々の要求について、設計の初期段階からある程度の検証を行うことができるミュレーション技術の適用が行われている。
【0003】
また、近年、コンピュータ技術の急速な進歩に伴い、デザインの領域においても3次元CADを活用して、スケッチからモデリングの一部までを仮想空間にて行うようにしており、このことで、設計の初期段階から造形イメージを容易に具体化できるとともに、トライアンドエラーの繰り返しがスピーディに行えるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、例えば居住性や乗降性のように人間工学を応用する領域では、シミュレーションの適用が進んでいるとは言い難い。これは、快適感や使用感といった感覚が人によって大きく異なり、特に男女差や年齢差、或いは体格による差異が大きいことから、物理モデルによる仮想的な検証を正確に行うことが難しいことに因ると考えられる。
【0005】
特に、ドアの開閉操作については、運転者によるステアリング等の操作とは異なり、子供を含めて全ての乗員により行われる可能性が高い。また、ドアはステアリング等と比較して格段に大きく重いものなので、体格や筋力の相違による影響が大であり、さらに、ドアはその可動範囲が広いことから開閉中の操作者の姿勢変化も大きくなるし、ドアの開閉機構のタイプによって操作者の姿勢が大きく異なることもあり、それら種々の要因がシミュレーションによる検証の精度を低下させる要因となる。
【0006】
また、ドアを開閉する際の手応えに関しては車種による差異も大きい。例えばコンパクトカーの場合には手応えの軽いものが好まれる傾向があり、一方、大型RV車には相応の手応えが求められる。また、高級セダン等の場合には上質感及び安心感が重要になる。つまり、車種によって操作性の評価基準そのものが変化してしまい、このことも、シミュレーションによる正確な検証を困難なものとしている。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シミュレーションの目的を車両用ドアの操作性の評価に限定して、前記のような問題点の解消に工夫を凝らして、老若男女を問わず、車種毎に最適な操作感が得られるようなドアの設計支援装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の解決手段では、コンピュータ装置等を用いてドアを開閉する操作者の姿勢変化等を模擬する演算を行い、この演算結果を、人間の筋負担度合いの適正範囲に関する予め準備したデータと比較して、操作の容易性を評価するようにした。
【0009】
具体的に、請求項1の発明は、車両用ドアの開閉操作の容易性を評価するためのシミュレーション装置を対象とし、ドアを開閉操作する操作者の姿勢変化、及びドアの移動状態を模擬するための物理モデルと、この物理モデルに対して少なくとも前記ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データ、並びにドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データをそれぞれ入力して、模擬演算を行う模擬演算手段と、少なくとも操作者の筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データ及び前記模擬演算手段による模擬演算の結果に基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが前記適正範囲に維持されるかどうか判定する判定演算手段と、この判定演算手段による判定の結果に基づいてドアの開閉操作の容易性に関する評価を出力する評価出力手段とを備える構成とする。
【0010】
前記の構成により、車両用ドアの操作性を評価するときには、シミュレーション装置の模擬演算手段により、少なくともドアや操作者の幾何的なデータとドアの抵抗力のデータとに基づいて模擬演算が行われて、ドアを開閉する操作者の位置や姿勢の変化とドアの移動状態とが仮想の空間座標において数学的に記述される。そして、前記模擬演算により求められる操作者の姿勢やドアの操作に必要な力と当該操作者の筋負担度合いの適正範囲に関するデータとに基づいて、判定演算手段により、ドアの開閉移動中の各位置における操作者の筋負担度合いが適正範囲にあるかどうかの判定がなされ、この判定の結果に基づいて評価出力手段によりドアの開閉操作の容易性に関する評価が出力される。つまり、模擬演算によって求められる操作力を例えば統計的に、或いは実験的に予め求めた筋負担度合いの基準(筋力データ)と比較することによって、適切な操作性の評価が可能となる。
【0011】
ここで、前記筋力データについては、予め車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に、即ち、例えばセダンかスポーツカーかRV車か等の車種タイプに応じて、また、性別や年齢差等の操作者タイプに応じて、それぞれ分けて記憶手段に記憶させておく。そして、前記の判定演算の際には、評価の対象となる車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに関する選択操作入力に応じて前記記憶手段から筋力データを読み出し、このデータに基づいて判定演算を行うようにするのが好ましい(請求項2の発明)。このようにすれば、ドアを開閉する操作者の体格や筋力が大きく異なったり、或いは車種が異なったりして、それぞれ適切な操作力の範囲が大きく相違する場合でも、そのことによらず正確な評価を行うことができる。
【0012】
また、前記物理モデルについても、これをドアの開閉機構のタイプ別に予め記憶手段に記憶させておいて、前記の模擬演算の際に、物理モデル設定手段によりドア開閉機構のタイプに関する選択操作入力に応じて前記記憶手段から読み出して、設定するようにするのが好ましい(請求項3の発明)。すなわち、ドアの開閉機構のタイプとしては縦向きのヒンジ式のもの、横向きのヒンジ式のもの、スライド式のもの等があり、このタイプによって操作者の動作が大きく異なるものとなる。そこで、予めタイプ毎に物理モデルを構築して記憶させておき、これを読み出して設定するようにすることで、模擬演算を簡略化、容易化することができる。
【0013】
さらに、請求項4の発明として、評価出力手段は、ドアの開閉中のドア操作部の軌跡と、その軌跡上の各位置におけるドア操作性の評価とを表示するものとするのが好ましい。こうすれば、ドアの開閉する様子とその途中で操作の容易性が変化する様子とを視覚によって容易に把握することができる。
【0014】
請求項5の発明では、抵抗力データを、ドアの形状、重量、開閉操作の向き、操作点の支点からの距離のうちの少なくとも1つに関するものとする。このことで、ドアの開閉操作における抵抗力、すなわち開閉に必要な操作力を計算により正確に求めることが可能になり、これにより、操作性の評価を正確に行うことができる。
【0015】
請求項6の発明では、物理モデルを、少なくとも操作者の手及び腕を模擬する多関節モデルを有するものとし、筋力データは、前記多関節モデルの各関節毎に、その主要筋の負担度合いが所定範囲になるように該各関節毎の角度に応じて発生トルクの範囲を設定したものとする。
【0016】
このことで、操作者の手及び腕を多関節モデルにより模擬することで、その姿勢や操作力の変化を正確に記述することが可能になる。そうしたときに、一般的に人間の腕の関節には発生し得るトルクが角度に対して強く依存するという特性があるから、ドアの開閉操作のように動作の範囲が大きいときには、当該ドアの開閉に必要な操作力自体が仮に一定であったとしても、動作の途中で操作感が急変する虞れがある。そこで、この発明では、筋力データとして、各関節毎にその角度に応じて発生トルクの適切な範囲を設定することにより、人間の腕の特性を反映させたより正確な模擬演算を行うことができ、これにより、操作性の評価がさらに正確なものとなる。
【0017】
請求項7の発明では、請求項6の発明における筋力データを、操作者の手及び腕を模擬する多関節モデルの各関節毎に、その主要筋の収縮率が略40%以下となるように設定したものとする。こうすることで、操作者の手及び腕の全ての関節において無理な力が加わることがなくなり、適正な操作感が得られる。
【0018】
請求項8の発明では、請求項6の発明において筋力データとして設定された各関節毎の発生トルクの範囲を、所定の操作入力に応じて個別に補正する補正手段を備えるものとする。こうすることで、全ての主要筋の負担の度合いを一律に決定する場合に比べて、きめの細かい評価を行うことができる。
【0019】
請求項9の発明では、請求項6の発明における判定演算手段を、模擬演算手段による演算結果に基づいてドアの開閉中の各位置において操作者に必要とされる操作力を演算する必要操作力演算部と、前記模擬演算手段により演算された手及び腕の姿勢、並びに筋力データに基づいて前記ドアの各位置における手先の操作力の適正範囲を演算する適正操作力演算部と、前記必要な操作力を適正操作力の範囲と比較して、操作者の筋負担度合いが前記適正範囲にあるかどうか判定する比較判定部とを備えるものとする。
【0020】
この構成では、模擬演算手段による模擬演算の結果としてドアの開閉中の各位置におけるドアの幾何的な状態が求められ、この各状態におけるドア側の抵抗力、即ち必要操作力が抵抗力データに基づいて必要操作力演算部により演算される。一方、前記模擬演算の結果に基づいて操作者の手及び腕の姿勢、即ち多関節モデルの各関節毎の角度が求められ、この姿勢のときの手先の操作力の適正範囲が筋力データに基づいて適正操作力演算部により演算される。そして、前記必要操作力と適正操作力の範囲とが比較判定部により比較されることで、操作者の筋負担度合いが適正な範囲にあるかどうかの正確な判定がなされる。
【0021】
請求項10の発明では、請求項6の発明においてドアが車体の上下方向の軸の周りに回動するヒンジ式のものである場合に、模擬演算手段を操作者の肩の位置が車体に対して変化しないという条件下で模擬演算を行うように構成する。このことで、ドアがヒンジ式のものである場合、その開閉操作の容易性は手及び腕の動作だけで十分、正確に評価することができるから、肩の位置を固定して演算を行うことで、計算量を減らして模擬演算を簡略化できる。
【0022】
請求項11の発明では、請求項6においてドアが車体前後方向にスライド移動するスライド式のものである場合に、模擬演算手段を、操作者の肩の位置が前記ドアのスライド移動に応じてそのスライド方向に移動するという条件下で模擬演算を行うように構成する。このことで、前記請求項10の発明と同様に、所要の評価精度を確保しながら、計算量を減らして模擬演算を簡略化できる。
【0023】
請求項12の発明では、前記請求項11の発明におけるドアの操作部が当該ドアのスライド方向に長く、且つ手前に引くことでドアロックを解除するプルハンドルである場合に、幾何的データにおいて、操作者のドアに対する相対位置を、該操作者が閉状態のドアの前記プルハンドルを引き操作するときにその引き操作の方向がドアのスライド方向に対し車体上方から見た平面視で略40度以上且つ50度未満の角度をなすように設定するものとする。
【0024】
すなわち、前記の構成のスライドドアの場合、プルハンドルの最初の操作方向とドア全体の移動方向とが異なることから、ドアに対する操作者の位置や姿勢が大きな影響を与えることになる。具体的に、本願の発明者は、人間工学に基づく実験研究の結果として、操作者が閉状態のスライド式ドアのプルハンドルを最初に引き操作する方向が通常、ドアのスライド方向に対して車体上方から見て略40度以上且つ50度未満の角度となることを見出した。そこで、この発明では、前記の知見に基づいてドア及び操作者の位置関係を設定した幾何的データを用いることで、実際の動作に極めて近い模擬演算を行って、操作性に関する正確な評価を得ることができる。
【0025】
請求項13の発明は、車両用ドアを開閉操作する操作者の姿勢変化とドアの移動状態とをコンピュータ装置により模擬して、当該ドアの開閉操作の容易性を評価するシミュレーション方法を対象とする。そして、前記コンピュータ装置に模擬演算のための物理モデルを設定し、この物理モデルに対して少なくとも、前記ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データと、ドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データとを入力して模擬演算を行うとともに、前記コンピュータ装置に、少なくとも操作者の筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データを入力し、このデータと前記模擬演算の結果とに基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが前記適正範囲に維持されるかどうか判定するようにする。
【0026】
この方法によれば、上述した請求項1の発明と同様に、幾何的データや抵抗力データに基づく模擬演算によって操作者の姿勢とドアの操作力とを逐次、求め、これを予め準備した筋力データと比較することにより、正確な操作性の評価が可能となる。
【0027】
その際、コンピュータ装置の記憶手段に、筋力データを予め車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に記憶させておいて、ドア操作性評価の対象となる車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに関する選択操作を前記コンピュータ装置に対して行い、該コンピュータ装置により前記選択操作入力に対応する筋力データを前記記憶手段から読み出して、このデータと模擬演算の結果とに基づいて操作者の筋負担度合いに関する判定を行うようにするのが好ましい(請求項14の発明)。こうすれば、上述した請求項2の発明と同様に、操作者のタイプや車種のタイプが大きく異なる場合でも、そのことによらず適切な基準に基づいた正確な操作性の評価を行うことができる。
【0028】
請求項15の発明は、車両用ドアの開閉操作の容易性を評価するためのシミュレーション装置の制御プログラムを対象とし、そのシミュレーション装置は、前記ドアを開閉操作する操作者の姿勢変化及びドアの移動状態を模擬するための物理モデルと、操作者の筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データとが記憶された記憶装置を備えるものとする。そして、制御プログラムには、前記物理モデルに対して少なくとも、前記ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データ、並びにドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データをそれぞれ入力して模擬演算を行う模擬演算ステップと、前記記憶手段から筋力データを読み出して、このデータと前記模擬演算ステップにおける模擬演算の結果とに基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが前記適正範囲に維持されるかどうか判定する判定演算ステップと、この判定演算ステップにおける判定の結果に基づいて、ドアの開閉操作の容易性に関する評価を出力する評価出力ステップとを備えるものとする。
【0029】
前記の制御プログラムに従ってシミュレーション装置の制御が行われることで、上述した請求項1の発明と同じ作用効果が得られる。また、前記記憶手段には、筋力データを車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に記憶させておき、判定演算ステップでは、前記車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに関する選択操作の入力に基づいて、これに対応する筋力データを前記記憶手段から読み出し、このデータに基づいて判定演算を行うようにするのが好ましい(請求項16の発明)。こうすれば、上述した請求項2の発明と同じ作用効果が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0031】
(シミュレーション装置の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るドア操作性評価のためのシミュレーション装置Sの全体構成を示す概念図である。この装置Sは、車両用ドアの設計や開発の初期段階でドアの操作性に関して定量的な評価を行うことを目的とするもので、ドアを開閉する操作者の姿勢の変化とドアの移動状態とを数式により記述して、コンピュータ装置1により3次元の仮想空間において模擬する演算(シミュレーション)を行い、その結果に基づいて操作者の筋負担度度合いを判定するようにしたものである。
【0032】
前記コンピュータ装置1は、周知の如く内部にプロセッサ2(以下、CPUという)、ROM3、RAM4等を備えるとともに、例えばハードディスクドライブ(HDD)や光ディスクドライブ(MO)等の記憶装置5と、ブラウン管モニター(CRT)や液晶ディスプレー(LCD)等の表示装置6とが接続され、さらに、図示しないが、プリンタ等の出力装置やオペレータによる入力操作を受け付けるキーボード、マウス等の入力デバイスも接続されている。
【0033】
また、前記記憶装置5には、ドアや操作者の動きを模擬するための演算プログラムとドアの操作性の評価プログラムとが電子的に記憶されるとともに、それらの演算のためのデータとして、少なくとも、ドア側特性データDd、身体データBd、筋力データMd1、筋負担度補正データMd2が記憶されている。そして、プログラムの起動時には、コンピュータ装置1のCPU2により所要のプログラムが記憶装置5から読み出され、RAM4に常駐して実行されることになる。
【0034】
次に、前記の模擬演算の内容について、図2〜4を参照して具体的に説明すると、まず、図2に示すヒンジ式ドアの場合、ドアとその操作者の状態を模擬する物理モデルMは、ドア本体10と、その基端部(図の右側の端部)を図示しない車体側の軸の周りに回動可能に支持するヒンジ11と、ドア本体の表面の所定位置に配置された操作ノブ12と、その操作ノブ12を掴んで操作する操作者(仮想線で示す)の手及び腕を模擬する多関節アーム13とからなる。
【0035】
前記ドア本体10は、所定の厚みを持った平板状の剛体で模擬し、その重量や平面視での形状等の幾何的データは、ドア側特性データDdとして記憶装置5に記憶されている。また、前記ヒンジ11のドア本体10に対する位置や傾き角等のデータ(幾何的データ)、或いはヒンジ11の回動に伴う摩擦抵抗力やバネ力等の抵抗力のデータも前記ドア特性データDdに含まれ、さらに、前記操作ノブ12のドア本体10に対する位置(幾何的データ)やヒンジ11の軸zとの間の距離(幾何的データ、抵抗力データ)もドア特性データDdに含まれている。従って、前記ドア特性データDdを物理モデルMに入力すれば、ドアが開閉されるときの操作ノブ12の軌跡や開閉に必要な操作力(必要操作力)が求められる。
【0036】
一方、前記多関節アーム13は、その先端側から順に手部14、手首関節15、前腕部16、肘関節17、上腕部18及び肩関節19を備えており、そのうちの手首関節15が第1及び第2関節を有し、肘関節が第1及び第2関節を有し、また、肩関節19が第1〜第3関節を有するものである。詳しくは、人間の手首関節15は、2つの回転運動の自由度を持っていて、図3に模式的に示すように、手部14の基端に固定した直交座標X−Y−Zにおいてその手部14の延びる長手方向をXとし、幅方向をYとし、また、厚み方向をZとすると、X軸の回りには回動せず、Y軸の周りには比較的大きな範囲で回動する一方、Z軸の周りには比較的小さな範囲で回動する。
【0037】
このことから、人間の手首関節は2つの回転関節により模擬することができ、前記Y軸周りの回転関節を手首第1関節とし、Z軸周りの回転関節を手首第2関節とすると、手首第1関節の可動範囲は概ね±80°くらいになり、また、手首第2関節の可動範囲は概ね−40°〜+20°くらいになる(図5参照)。同様に、肘関節17も2つの回転関節により模擬することができ、前腕部16の基端に固定した直交座標X−Y−Zにおいて、その前腕部16の延びるX軸の周りに回動する肘部第1関節が概ね−60°〜+80°くらいの可動範囲を有し、また、X軸に直交するY軸の周りの肘部第2関節は概ね−140°〜0°くらいの可動範囲を有するものとなる(図6参照)。
【0038】
さらに、肩関節19は、上腕部18の基端に固定した直交座標X−Y−Zにおいてその全ての軸の周りに回動可能なものであり、肩部第1関節が上腕部18の延びるX軸の周りに概ね−80°〜+80°くらいの可動範囲を有し、肩部第2関節が人体の前後方向に延びるY軸の周りに概ね−45°〜+80°くらいの可動範囲を有し、また、肩部第3関節が上下方向のZ軸の周りに概ね−10°〜+170°くらいの可動範囲を有するものとなる(図7参照)。
【0039】
従って、前記物理モデルMにおいて人間の手及び腕の多関節モデルは、3つのリンクと7つの回転関節とで構成される多関節リンク機構となり、この実施形態では、そのようにモデル化した手部14、前腕部16及び上腕部18のそれぞれに長さ等、身体寸法のデータ(幾何的データ)を入力して、多関節アーム13を構成する。これらの身体寸法のデータは、例えば性別や年齢等の操作者のタイプ毎に予め設定した身体データBdとして記憶装置5に記憶されており、詳しくは後述するが、操作者タイプに関する選択操作がコンピュータ装置1に入力されると、これに応じて前記記憶装置5から読み出されて、前記物理モデルMに入力される。そして、コンピュータ装置1により模擬演算が行われると、ドアの開閉に伴い変化する多関節アーム13の姿勢が数式により記述される。
【0040】
尚、そのような縦向きのヒンジ式ドアの場合には、その開閉操作の容易性は手及び腕の動作を解析するだけで十分、正確に評価することができると考えられるので、人間の胴体の動作は無視し、肩関節19の位置を固定して模擬演算を行うようにすればよい。こうすることで、模擬演算の計算量を減らして簡略化することができる。
【0041】
ところで、そのように数式により記述される多関節アーム13の動作を解析する手法は、既にロボット工学の分野において種々の研究がなされており、一般的に、関節数が多いときにはアーム先端(手先)の位置及び姿勢(方向)の座標を各関節毎の回転角度座標に変換して取り扱う座標変換の技法が用いられる。すなわち、図4に一例を示すように、n個の回転関節リンク機構から構成される一般的な多関節アームAは、リンク機構の各関節に台座側から1,2,…,nと番号を付けて、全ての関節変位θi(i=1,2,…,n)をまとめた関節変位ベクトルをθvec=(θ1,θ2,…,θn)∈Rnと定義し、このθvec(以下、単にθと略記する)を用いてアームAの姿勢を表すことができる。また、アームAの先端の位置及び姿勢からなる手先位置ベクトルrvecは、rvec=(r1,r2,…,rm)∈Rm(0≦m≦6)と表すことができる(以下、単にrと略記する)。尚、m、nは、それぞれ、リンク機構の関節自由度(関節数)と手先の自由度とを表し、Rm、Rnはそれぞれm次、n次のユークリッド空間を表す。
【0042】
そして、一般的に手先位置ベクトルrと関節変位ベクトルθとの関係は非線形になり、
r = f(θ) ・・・(式1)
として表される。ここで、関数f()はθからrへの非線形写像を表しており、θが与えられればrは一義的に決まるが、その逆は成り立たない。また、多関節アームAの手先の速度ベクトルr′と関節速度ベクトルθ′との関係は、前記(式1)を時間に関して微分することで求められ、
r′ = J(θ)θ′ ・・・(式2)
として表される。ただし、J(θ)(以下、単にJと略記する)はrのθに対するヤコビ行列であり、
J = ∂r/∂θ ・・・(式3)
によって与えられる。換言すれば、Jは、θ′をr′に対応付ける変換行列である。
【0043】
また、前記(式2)により、多関節アームAの手先の微小変位δrと関節の微小変位δθとの間には、
δr = Jδθ ・・・(式4)
が成立し、一方、多関節アームAの手先の操作力をベクトルFvec(以下、単にFと略記する)として、この操作力ベクトルFと等価な関節トルクベクトルをτvec∈Rn(以下、単にτと略記する)とすれば、仮想仕事の原理により、
δθTτ = δrTF ・・・(式5)
の関係が成立する(θTやrTの上付き添え字「T」は転置行列を示す)。よって、前記(式4)、(式5)から、関節トルクは、
τ = JTF ・・・(式6)
として与えられる。この式においてFが与えられればτは一義的に決まるが、その逆は成り立たない。
【0044】
以上のように、多関節アームAの手先の操作力Fと関節トルクτとを対応付ける関係式が得られれば、例えば、‖τ‖≦1という関係を満たすような関節トルクによって実現可能な手先の操作力Fの集合は、前記(式6)により、
FTJJTF ≦ 1 ・・・(式7)
として与えられるRm空間の楕円体Eとなる。この楕円体Eは、仮想のm次元空間においてm本の主軸を有する周知の可操作力楕円体であり、その主軸半径の長い方向には簡単に大きな力を発揮することができる一方、主軸半径の短い方向へは大きな力を発揮し難いことを表すものである。
【0045】
前記可操作力楕円体Eを導入することにより、多関節アーム13の各関節トルクに基づいて、その手先によるドアの操作性を定量的に評価することができる。すなわち、例えば、手や腕の筋肉の負担度合いが良い感触を得られるような適正な範囲となるように各関節毎に発生するトルクの範囲を設定し、そのトルクベクトルτと前記(式7)とによって手先の発生し得る力Fの集合(可操作力楕円体E)を求めれば、この可操作力楕円体Eは、人間が良い感触を得られるような適正な操作力(ベクトル)の分布を示すものとなる。尚、ドアを操作する方向は操作性に対して大きな影響を持つが、そのときの手先の向きの影響は小さいと考えて、演算を簡略化するために手先の自由度を3としてもよい(r=(r1,r2,r3))。こうすれば、可操作力楕円体Eは、図2に例示するような3次元空間の楕円体となり、ドアの操作に必要な操作力のベクトルFが前記可操作力楕円体Eに含まれるかどうかによって操作性を判定することができる。
【0046】
ここで、一般的にロボットアームの関節は電動モータ等により回転駆動され、その回転角度に拘わらず一定のトルクを発生するものであるが、人間の腕の場合は、各関節の発生し得るトルクの大きさがそれぞれ関節角度に応じて変化するという角度依存性があり、このため、腕の姿勢が変化すると、そのことによって操作感が変化することがある。すなわち、手先において要求される操作力が同じであっても、例えば肘関節17の発生し得るトルクが小さくなれば、操作者はドアの操作が重くなったように感じるのである。
【0047】
この点について、この実施形態では、前記の如く多関節アーム13によって人間の手及び腕を模擬する際に、ロボットアームの如くアーム13の関節トルクベクトルτを一定値とするのではなく、各関節毎にその角度が変わるのに応じて、人間の腕の特性を反映するように発生トルクの大きさを変化させ、このように変化する関節トルクベクトルτに基づいて、可操作力楕円体Eを求めるようにしている。すなわち、まず、図5〜7に一例を示すように、各関節毎にその角度に応じて適切な状態にて発生し得るトルクの範囲を統計的手法や実験等によって求め、これを筋力データMd1として、記憶装置5に記憶させる。
【0048】
具体的には、図5〜7のグラフは、各々手首、肘及び肩の各関節毎に主要筋の収縮率が所定範囲(図例では略40%以下)になるような発生トルクの上限値を関節角度に対応付けて設定したものであり、それぞれ傾向は異なるが、関節の角度によってトルクの変化する様子が見て取れる。例えば図5(a)に示す手首の第1関節(Y軸周りの回転関節)の場合、筋収縮率が略40%のときに発生するトルクの大きさは関節の可動範囲内において大きく変化しており、図に実線で示す「+」方向、即ち手部14を掌の側に回動させるときと、反対に「−」方向、即ち、手部14をその甲の側に動かすときとの両方で、回動角が零度付近のときにトルクのピークが見られる。つまり、手首第1関節の場合は中立の位置において最も力を出しやすいということが分かる。一方、同図(b)に示す手首第2関節の場合は、「+」方向、「−」方向のいずれの動作についても、逆方向に最大限に回動した位置から戻すときに最も大きなトルクを発生することが分かる。
【0049】
また、例えば図6(a)に示す肘部第1節の場合、図に実線で示す「+」方向、即ち、親指が身体の外側から内側に向かうように手及び前腕部を捻るときには、−40°くらいにピークが見られ、そこから「+」方向に向かって緩やかにトルクが低下している。逆に、図に破線で示すように「−」方向に捻るときには、略0°〜+80°の範囲では大きなトルクを出せる一方で、手が裏返って関節角度が「−」になると、そこから「−」方向に向かってトルクが急激に低下することが分かる。つまり、人間が肘関節の周りに手及び前腕部を捻るときには、その途中でトルクの発生し易さが急変して、操作感が大きく変化することになる。さらに、詳しい説明は省略するが、同図bに示す肘部第2関節や図7(a)〜(c)にそれぞれ示す肩部第1〜第3関節のトルクにもそれぞれ角度依存性がある。
【0050】
尚、前記の筋力データにおいて主要筋の収縮率を略40%以下としているのは、一般的に、関節の主要筋の収縮率が略40%以下のときに、人間が良いと感じる適正な操作感が得られるからである。但し、その収縮率の値は、後述の如く、キーボードによる操作入力によって各関節毎に個別に補正することができるようになっている。
【0051】
そうして、上述の如くコンピュータ装置1によりドアと操作者の動作を模擬する演算を行って、所定時間(例えば0.01秒)毎にドア本体10の位置、操作ノブ12の位置、多関節アーム13の姿勢等を演算し、さらに、ドアの開操作又は閉操作のいずれかに必要な操作力を求めるとともに、前記多関節アーム13の姿勢からその各関節の角度を求め、この角度と前記筋力データとに基づいて手先の可操作力楕円体Eを求める。そして、この可操作力楕円体E、即ち手先の操作力の適正範囲とドアの操作に必要な力とを比較することにより、ドアの開閉操作の容易性を判定する。
【0052】
次に、シミュレーション装置Sによる模擬演算及び判定演算の具体的な手順を図8のフローチャート図に基づいて説明する。このフローは、コンピュータ装置1のCPU2により読み込まれたメインプログラムが実行されることにより、実現される。
【0053】
まず、スタート後のステップS1において、ドアの開閉操作性の評価条件を設定する。すなわち、一般的に、車両用ドアの操作感については男女差や年齢差、或いは体格による差異が大きいので、操作者のタイプによって評価の基準を変更することが好ましい。また、ドアの手応えの評価に関しては車種による差異も大きいので、車種のタイプによっても評価基準を変更することが好ましい。さらに、操作感の評価をよりきめ細かく行おうとすれば、操作者の手や腕の各関節毎の筋負担度合いを一律に(例えば40%以下)設定するのではなく、例えば手首、肘及び肩について個別に設定することが好ましい。そこで、コンピュータ装置1の表示装置6に図9に例示するような画面を表示させて、対話形式でオペレータによる選択操作の入力を受け付けるようにする。
【0054】
すなわち、オペレータは、同図(a)に示す画面上で、男性、女性、シルバー(男女を問わす、年齢が所定値以上の場合)、若年(男女を問わず、年齢が別の所定値以下の場合)のうちから、模擬演算の対象となる操作者のタイプを選択し、続いて、同図(b)に示す画面上で、RV車、スポーツ車、軽自動車、セダンのうちから、模擬演算の対象となる車種タイプを選択する。また、この実施形態のシミュレーション装置Sでは、上述した縦向きヒンジのドアの他に、スライド式ドアや観音開きドア等にも対応し、ドアの開閉機構のタイプ別に異なる物理モデルを予め構築して、各々対応する演算式を模擬演算プログラムにて選択可能としており、この点についてもオペレータにより選択する。すなわち、同図(c)に示すように、オペレータは、表示装置6の画面上で縦向きのヒンジ式ドア、横向きのヒンジ式ドア(例えばハッチバック車のバックドア)、観音開きドア、スライド式ドアのうちから、模擬演算の対象となるドア開閉機構のタイプ(この実施形態では縦向きのヒンジ式ドア)を選択する。
【0055】
さらに、オペレータは、図10に例示するような画面上で、操作者の動作を模擬する多関節モデルにおける各関節毎の主要筋の負担度合い(収縮率)を個別に補正設定する。すなわち、上述の如く、ドアの開閉操作を適正なものとするために、操作性の評価の基準となる筋力データにおいて多関節モデルの主要筋の収縮率は基本的には略40%以下としているが、よりきめの細かい評価を行えるように、筋負担度合いは各関節毎に個別に補正できるようになっている。この補正は、オペレータがキーボードを操作して各関節毎に個別に入力するものであり、図例では、ヒンジ式ドアの開閉操作を行う多関節アーム13(上肢部)において、総合筋負担度は15〜40%であるが、その上限値は手首関節について+5%、肘関節について−10%、また、肩関節については+10%の補正がなされている。この各関節毎の補正値は、1度、設定されると、筋負担度補正データMd2としてコンピュータ装置1の記憶手段5に記憶される。
【0056】
そして、メインフローのステップS2では、記憶装置5からドア側特性データDd、身体側データBd、筋力データMd1、筋負担度補正データMd2を読み込み、続くステップS3では、記憶装置5から模擬演算プログラム、判定演算プログラム等を読み込む。尚、模擬演算プログラムにおいては、前記ステップS1にて選択されたタイプの開閉機構に対応する演算式、即ち物理モデルが設定される。続いて、ステップS4において操作点等の設定を行う。これは、ドア及び多関節アーム13の動作を模擬する模擬演算の初期条件の設定であり、例えば、ドアが閉状態になっているとか、反対に全開状態になっているとか、或いはドアが半開きの状態になっているといった最初の状態によって異なるが、例えば、表示装置6の画面上のアニメーションを見ながら、ドアを操作する操作者の位置及び姿勢が自然なものとなるようにオペレータが視覚的に判断して、設定するようにすればよい。
【0057】
続いて、ステップS5において、物理モデルM、即ち模擬演算プログラムに前記初期条件とドア側特性データDd及び身体側データBdとを入力し、これらのデータに基づいて微小時間後のドアの位置や多関節アーム13の姿勢を逐次、記述する演算を行うことにより、当該ドア及び多関節アーム13の動作を模擬する。その際、多関節アーム13の手先からドアに加えられる操作力は、ドア側の抵抗力に抗してドアを開操作するか又は閉操作するための必要最小限度の力(必要操作力)とすればよい。
【0058】
続いて、ステップS6において、前記模擬演算の結果として求められる多関節アーム13の姿勢から、該多関節アーム13の各関節毎の角度を求め、この角度に対応する適正なトルクの範囲を図5〜7に示すような筋力データから読み出し、この読み出した筋力データと各関節の角度とに基づいて、多関節アーム13の手先における可操作力楕円体Eを求める。こうして、ドアが開閉されるときに操作ノブ12の移動する軌跡上の各位置においてそれぞれ可操作力楕円体E、即ち操作者の手先の操作力の適正な範囲が求められる。
【0059】
そして、ステップS7において、前記の如く求めた可操作力楕円体Eと必要操作力とを比較することで、ドアの開閉中の各位置において必要とされる操作力が適正な範囲にあるかどうか判定する。すなわち、ドアの操作ノブ12の軌跡上の各位置においてそれぞれ必要操作力のベクトルを可操作力楕円体Eの空間座標に変換して、必要操作力のベクトルが可操作力楕円体の内部に含まれているかどうか判定演算する。そして、ステップS8において前記判定の結果をドアの位置、即ち操作ノブ12の位置やそのときの必要操作力等に対応付けたデータとして記憶装置5に記憶する。
【0060】
続いて、ステップS9において、ドアの操作が終了したかどうか判定する。これは、ドア側データDdと前記ステップS4で設定した初期条件と模擬演算の結果とに基づいて、ドアの開操作又は閉操作が終了したかどうか幾何学的に判定し、判定がNOでドアが開閉移動中であれば、前記ステップS5にリターンする一方、判定がYESでドアの操作が終了していれば、ステップS10に進んで、評価結果の出力を行う。この評価結果の出力としては、例えば、ドアの開閉移動中に常に必要操作力のベクトルが可操作力楕円体Eの内部に含まれていれば、ドアを開閉する際の感触が良く、操作性が高いという評価をする一方、必要操作力のベクトルが一部分でも可操作力楕円体Eからはみ出していれば、操作性に問題があるとの評価を下すようにすればよい。
【0061】
また、そのような択一的な評価以外に、例えば図11にヒンジ式ドアの場合の一つの表示例を示し、また、図12に観音開きドアの場合の一つの表示例を示すように、ドアの操作ノブ12とこれを操作する多関節アーム13とをアニメーション表示するようにしてもよい。その観音開きドアの場合の表示例は、自動車のリヤシートの乗員が車室内からドアを開閉する様子を示すものであるが、これを見ると、ドアのヒンジ11や操作ノブ12の位置と操作者の位置との関係が操作性に大きな影響を及ぼすことが直観的に理解できる。そこで、例えば、操作ノブ12の位置を車体前後方向に変化させてそれぞれ模擬演算を行い、必要な操作力と可操作力楕円体Eとの関係を比較することが好ましい。
【0062】
さらに、前記のような表示に留まらず、例えば、必要な操作力のベクトルが可操作力楕円体Eからはみ出したときには、自動的に操作ノブ12の位置を車体後方に所定量、変更するという提言を行うようにしてもよいし、或いはヒンジ11のバネ力を低減して操作力を低下させるという提言を行うようにしてもよい。
【0063】
また、ドアの開閉する様子とその途中で操作性が変化する様子とを互いに対応付けて表示するのが好ましい。例えば、図13にスライド式ドアの場合の表示例を示すように、操作者が全閉状態のドアを開く様子を車体上方から見た平面視でアニメーション表示するとともに、これに対応付けて、当該ドアの移動量と操作力の変化とを示すグラフ、或いはドアの操作部の軌跡とその軌跡上の各位置における操作性の評価等を表示するようにすればよい。このようにすれば、ドアの開閉の途中で操作の容易性が変化する様子が視覚によって容易に把握できるようになる。
【0064】
ところで、スライド式ドアの操作部は、手前に引くことでドアロックを解除するプルハンドルになっていることが多い。この場合にそのプルハンドルがドアのスライド方向に長いものであると、操作者が最初にプルハンドルを引き操作する方向は、車体上方から見た平面視でドアのスライド方向に対し略40度以上且つ50度未満の角度になることが分かった。これは、通常、操作者がドア本体に対し予めその移動する側(車体後方側)に立って、プルハンドルを操作するからである。換言すれば、模擬演算の際に操作者のドアに対する相対位置(幾何的データ)は、該操作者が最初にプルハンドルを操作する方向が前記のものとなるように設定するのが好ましく、こうすることで、実際の操作に近い正確な模擬演算を行って、ドアの操作性に関する正確な評価を得ることができる。尚、プルハンドルの最初の操作方向は、ドアのスライド方向に対して略45度とするのが特に好ましい。
【0065】
また、図14(a)に示すように、仮にプルハンドルPの操作方向がドア本体Dの表面に対して略90度である場合、これを略45度傾いた方向から操作するには、本来の操作力F1よりも大きな操作力F2(F2=F1×√2)が必要になる。これに対し、例えば、同図(b)に示すようにプルハンドルPをドア本体Dに対して略15度傾け、その操作方向をドア本体Dの表面に対し略75度となるようにすれば、このプルハンドルPを略45度傾いた方向から操作する操作力F3は、F3=F1×(2/√3)となり、ドアの操作力を略20%低減することができる。
【0066】
尚、前記スライド式ドアの場合には、上述した縦向きのヒンジ式ドアとは異なり、操作者の肩の位置(多関節アーム13の基端部)をドアのスライド移動に応じて、そのスライド方向に移動させるようにする。こうすれば、模擬演算を簡略化しつつその精度を確保できる。
【0067】
前記図8に示すフローのステップS1により、筋力データMd1として設定された多関節アーム13の各関節毎の発生トルクの範囲をコンピュータ装置1への操作入力に応じて個別に補正する補正手段1aが構成されている。また、ステップS2〜5により、物理モデルMに対してドア側データDdと身体データBdとをそれぞれ入力して模擬演算を行う模擬演算手段1bが構成され、そのうちでも特にステップS3は、ドア開閉機構のタイプに関する選択操作入力に基づいて、記憶装置5から物理モデルMを読み出して設定する物理モデル設定手段1cに対応している。
【0068】
また、前記フローのステップS6〜8により、筋力データMd1及び前記補正手段1aによる筋負担度補正データMd2と、前記模擬演算手段1bによる模擬演算の結果とに基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが適正範囲に維持されるかどうか判定する判定演算手段1dが構成されている。この判定演算手段1dは、模擬演算手段1bによる演算結果に基づいて、ドアの開閉中の各位置において操作者に必要とされる操作力を演算する必要操作力演算部(ステップS5)と、前記模擬演算手段1bにより演算された手及び腕の姿勢と筋力データMd1等に基づいて、前記ドアの各位置における手先の操作力の適正範囲(可操作力楕円体E)を演算する適正操作力演算部(ステップS6)と、前記必要操作力と適正操作力の範囲とを比較して、操作者の筋負担度合いが適正な範囲にあるかどうか判定する比較判定部(ステップS7)とを備えるものである。
【0069】
さらに、前記フローのステップS10により、前記判定演算手段1dによる判定の結果に基づいて、ドアの開閉操作の容易性に関する評価を出力する評価出力手段1eが構成されている。
【0070】
したがって、この実施形態に係るドア操作性評価のためのシミュレーション装置Sによると、ドアを開閉する操作者のタイプや自動車の車種タイプ、或いはドアの開閉機構のタイプを選択して、物理モデルMを用いた模擬演算により操作者の手や腕の姿勢とドアの操作に必要な力とを逐次、求めるとともに、その手や腕による操作力の適正な範囲を予め統計的ないし実験的に求めた筋力データに基づいて求め、それらを比較することにより、ドアの開閉操作の容易性を正確に且つ容易に評価することができる。
【0071】
その際、前記操作力の適正範囲に関するデータが予め車種や操作者のタイプ別に準備されていて、オペレータの選択操作に応じてコンピュータ装置1の記憶装置5から読み出されるようになっているので、操作者の体格や筋力が大きく異なったり、或いは車種のタイプが異なったりしても、そのことによらず正確な評価を行うことができる。
【0072】
また、前記の模擬演算では操作者の手や腕を多関節アーム13により模擬し、判定演算では多関節アーム13の手先の可操作性を可操作力楕円体Eにより定量的に評価するようにしており、しかも、その可操作力楕円体Eの演算に当たっては人間の腕に固有の特性を考慮して、多関節アーム13の各関節毎の発生トルクを関節角度に依存するものとして取り扱うようにしているので、ドアの開閉操作のように動作の範囲が大きい場合でも人間の腕の特性を良く反映させて、正確な判定演算により精度の高い評価を行うことができる。
【0073】
(他の実施形態)
尚、本発明の構成は、前記実施形態のものに限定されることはなく、その他の種々の構成も包含するものである。すなわち、前記実施形態に係るシミュレーション装置Sでは、操作者の手及び腕を多関節アーム13により模擬してその姿勢を求めるとともに、手先の可操作性を可操作力楕円体Eによって判定するようにしているが、必ずしも可操作力楕円体を導入する必要はなく、例えば、手先に要求される操作力(ベクトル)に基づいて多関節アーム13の各関節毎に要求されるトルクの大きさを求め、これが適正な値であるかどうか個々に判定するようにしてもよい。
【0074】
また、操作者の手及び腕だけではなく、身体や下肢部等もモデル化して、ドアの開閉操作に伴う姿勢の変化を身体全体について模擬するようにしてもよい。
【0075】
【発明の効果】
以上、説明したように、本願の請求項1の発明に係るドア操作性評価のためのシミュレーション装置によると、少なくとも、ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データ、並びにドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データをそれぞれ物理モデルに入力して、操作者の姿勢の変化やドアの移動状態を模擬する演算を行い、この演算の結果を予め統計的或いは実験的に求めた筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データと比較することにより、ドアの開閉操作の容易性に関する正確な評価を行うことができる。
【0076】
請求項2の発明によると、筋力データを車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に準備しておいて、判定演算の際に評価の対象となる車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに応じて選択することで、老若男女を問わず、また車種のタイプを問わず、ドアの操作性を正確に評価することができる。
【0077】
請求項3の発明によると、ドアの開閉機構のタイプ別に異なる物理モデルを予め構築しておいて、模擬演算の際に評価の対象となる開閉機構のタイプに応じて設定することで、模擬演算を簡略化、容易化できる。
【0078】
請求項4の発明によると、ドア操作性の評価として開閉中のドア操作部の軌跡とその軌跡上の各位置におけるドア操作性の評価とを表示することで、ドアの開閉途中で変化する操作性について視覚により容易に把握することができる。
【0079】
請求項5の発明によると、ドアの形状、重量等のデータに基づいて操作の抵抗力、即ち必要操作力を正確に求めることができ、このことによっても正確な操作性の評価が行える。
【0080】
請求項6の発明によると、操作者の手や腕を多関節モデルにより模擬することで、その姿勢や操作力の変化を正確に求めることが可能になる。また、その多関節モデルの各関節毎に発生トルクの適切な範囲を関節角度に応じて設定することにより、人間の腕の特性を反映させたより正確な模擬演算を行うことができ、このことによって操作性の評価がさらに正確なものとなる。
【0081】
請求項7の発明によると、各関節の主要筋の収縮率が略40%以下となるように設定することで、関節トルクの適正範囲を適切に設定できる。
【0082】
請求項8の発明によると、予め設定されている各関節毎の適正なトルクの範囲を個別に補正することで、よりきめの細かい評価が可能になる。
【0083】
請求項9の発明によると、ドアの操作性の判定演算の内容が具体化されて、請求項6の発明の効果がより確実なものとなる。
【0084】
請求項10の発明によるとヒンジ式のドアについて、また、請求項11の発明によるとスライド式のドアについて、それぞれ操作性の評価精度を確保しながら、模擬演算を簡略化できる。
【0085】
請求項12の発明によると、スライド式ドアのプルハンドルを最初に引くときの操作方向をドアのスライド方向に対し所定の角度とすることで、実際の動作に極めて近い模擬演算を行って、操作性の正確な評価を得ることができる。
【0086】
請求項13の発明に係るドア操作性評価のためのシミュレーション方法によると、上述した請求項1の発明と同様に、幾何的データや抵抗力データに基づく模擬演算によって操作者の姿勢とドアの操作力とを逐次、求め、これを予め準備した筋力データと比較することにより、正確な操作性の評価が行える。
【0087】
また、請求項14の発明によると、前記請求項13の発明による効果に加えて、上述した請求項2の発明と同様に、操作者のタイプや車種のタイプが大きく異なる場合でも、そのことによらず適切な基準に基づいた正確な操作性の評価を行うことができる。
【0088】
請求項15の発明に係るシミュレーション装置の制御プログラムは、この制御プログラムに従ってドア操作性評価のためのシミュレーション装置の制御が行われることで、上述した請求項1の発明と同じ効果を得ることができる。また、請求項16の発明によると、前記請求項15の発明において上述した請求項2の発明と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置の全体構成図である。
【図2】縦向きのヒンジ式ドアを開閉する操作を模擬する物理モデルの説明図である。
【図3】手及び腕の多関節モデルの構成を示す説明図である。
【図4】一般的な多関節アームの構成を示す説明図である。
【図5】手首の各関節の主要筋の収縮率が略40%以下になるように、その角度に対応付けて発生し得るトルクを実験的に設定した筋力データの説明図である。
【図6】肘の各関節に関する図4相当図である。
【図7】肩の各関節に関する図4相当図である。
【図8】シミュレーションプログラムの流れを示すフローチャート図である。
【図9】(a)操作者のタイプ、(b)車種タイプ、(c)開閉機構タイプをそれぞれ選択する画面の説明図である。
【図10】筋負担度合いの補正データを設定する画面の説明図である。
【図11】操作者がヒンジ式ドアを開く様子を表わす評価結果の表示例を示す図である。
【図12】観音開きドアについての図11相当図である。
【図13】スライド式ドアについての評価結果の表示例を示す図である。
【図14】スライド式ドアのプルハンドルの操作方向と必要な操作力との関係を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
S シミュレーション装置
1 コンピュータ装置
1a 補正手段
1b 模擬演算手段
1c 物理モデル設定手段
1d 判定演算手段
1e 評価出力手段
5 記憶装置(記憶手段)
6 表示装置(出力手段)
10 ドア本体(物理モデル)
11 ヒンジ(物理モデル)
12 操作ノブ(ドア操作部)
13 多関節アーム(物理モデル)
Claims (16)
- 車両用ドアの開閉操作の容易性を評価するためのシミュレーション装置であって、
前記ドアを開閉操作する操作者の姿勢の変化とドアの移動状態とを模擬するための物理モデルと、
前記物理モデルに対して少なくとも、前記ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データと、ドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データとをそれぞれ入力して、模擬演算を行う模擬演算手段と、
少なくとも、操作者の筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データと、前記模擬演算手段による模擬演算の結果とに基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが前記適正範囲に維持されるかどうか判定する判定演算手段と、
前記判定演算手段による判定の結果に基づいて、ドアの開閉操作の容易性に関する評価を出力する評価出力手段とを備えることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項1において、
筋力データを車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に記憶している記憶手段を備え、
判定演算手段は、前記車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに関する選択操作の入力を受けて、これに対応する筋力データを前記記憶手段から読み出し、このデータに基づいて判定演算を行うように構成されていることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項1又は2のいずれかにおいて、
物理モデルをドアの開閉機構のタイプ別に記憶している記憶手段と、
前記ドア開閉機構のタイプに関する選択操作の入力を受けて、これに対応する物理モデルを前記記憶手段から読み出して設定する物理モデル設定手段とを備えることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
評価出力手段は、ドアの開閉中のドア操作部の軌跡と、その軌跡上の各位置における操作性の評価とをそれぞれ表示するものであることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項1において、
抵抗力データは、ドアの形状、重量、開閉操作の向き、操作点の支点からの距離のうちの少なくとも1つに関するものであることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項1において、
物理モデルは、少なくとも操作者の手及び腕を模擬する多関節モデルを有し、
筋力データは、前記多関節モデルの各関節毎に、その主要筋の負担度合いがそれぞれ所定範囲になるように該各関節毎の角度に応じて発生トルクの範囲を設定したものであることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項6において、
筋力データは、操作者の手及び腕を模擬する多関節モデルの各関節毎に、その主要筋の収縮率が略40%以下となるように設定したものであることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項6において、
筋力データとして設定された各関節毎の発生トルクの範囲を、所定の操作入力に応じて個別に補正する補正手段を備えることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項6において、
判定演算手段は、
模擬演算手段による演算結果に基づいて、ドアの開閉中の各位置において操作者に必要とされる操作力を演算する必要操作力演算部と、
前記模擬演算手段により演算された手及び腕の姿勢と筋力データとに基づいて、前記ドアの各位置における手先の操作力の適正範囲を演算する適正操作力演算部と、
前記必要な操作力と適正操作力の範囲とを比較して、操作者の筋負担度合いが前記適正範囲にあるかどうか判定する比較判定部と
を備えることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項6において、
ドアが車体の上下方向の軸の周りに回動するヒンジ式のものであり、
模擬演算手段は、操作者の肩の位置が車体に対して変化しないという条件下で模擬演算を行うように構成されていることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項6において、
ドアが車体前後方向にスライド移動するスライド式のものであり、
模擬演算手段は、操作者の肩の位置が前記ドアのスライド移動に応じてそのスライド方向に移動するという条件下で模擬演算を行うように構成されていることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 請求項11において、
ドアの操作部は、当該ドアのスライド方向に長く、且つ手前に引くことでドアロックを解除するプルハンドルであり、
幾何的データにおいて操作者のドアに対する相対位置は、該操作者が閉状態のドアの前記プルハンドルを引き操作するときに、その引き操作の方向がドアのスライド方向に対し車体上方から見た平面視で略40度以上且つ50度未満の角度をなすように設定されていることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置。 - 車両用ドアを開閉操作する操作者の姿勢変化とドアの移動状態とをコンピュータ装置により模擬して、当該ドアの開閉操作の容易性を評価するシミュレーション方法であって、
前記コンピュータ装置に模擬演算のための物理モデルを設定し、この物理モデルに対して少なくとも、前記ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データと、ドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データとを入力して模擬演算を行うとともに、
前記コンピュータ装置に、少なくとも操作者の筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データを入力し、このデータと前記模擬演算の結果とに基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが前記適正範囲に維持されるかどうか判定することを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション方法。 - 請求項13において、
コンピュータ装置の記憶手段には、筋力データを予め車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に記憶させておいて、
ドア操作性評価の対象となる車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに関する選択操作を前記コンピュータ装置に対して行い、該コンピュータ装置により前記選択操作入力に対応する筋力データを前記記憶手段から読み出して、このデータと模擬演算の結果とに基づいて操作者の筋負担度合いに関する判定を行うことを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション方法。 - 車両用ドアの開閉操作の容易性を評価するためのシミュレーション装置の制御プログラムであって、
前記シミュレーション装置は、前記ドアを開閉操作する操作者の姿勢変化及びドアの移動状態を模擬するための物理モデルと、操作者の筋負担度合いの適正範囲に関する筋力データとが記憶された記憶装置を備えており、
前記物理モデルに対して少なくとも、前記ドア、操作者及びそれら相互の関係についての幾何的データと、ドアの開閉操作の抵抗力に関する抵抗力データとをそれぞれ入力して、模擬演算を行う模擬演算ステップと、
前記記憶手段から筋力データを読み出して、このデータと前記模擬演算ステップにおける模擬演算の結果とに基づいて、ドアを開閉する際に操作者の筋負担度合いが前記適正範囲に維持されるかどうか判定する判定演算ステップと、
前記判定演算ステップにおける判定の結果に基づいて、ドアの開閉操作の容易性に関する評価を出力する評価出力ステップとを備えることを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置の制御プログラム。 - 請求項15において、
記憶手段には、筋力データが車種又は操作者の少なくとも一方のタイプ別に記憶されており、
判定演算ステップでは、前記車種又は操作者の少なくとも一方のタイプに関する選択操作の入力に基づいて、これに対応する筋力データを前記記憶手段から読み出し、このデータに基づいて判定演算を行うことを特徴とするドア操作性評価のためのシミュレーション装置の制御プログラム。
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