JP2004004782A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サブフィールドを用いた画像表示装置において、動画疑似輪郭の抑制と、良好な階調表示とが両立する画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像信号の中から階調に傾斜があり、かつ動きのある領域を検出し、その領域の動きの大きさや方向および階調の傾斜の大きさや方向に応じて、画像信号の所定の階調を別の階調に補正し、動画擬似輪郭の原因となる中間非点灯サブフィールドを分散させることにより、動画擬似輪郭を抑制した画像表示を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)等のサブフィールドを用いた画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にPDP等、サブフィールドを用いて階調表示を行う画像表示装置では、動画部分において、いわゆる動画疑似輪郭と呼ばれるノイズ状の画質劣化が観測される場合があった。動画疑似輪郭は、階調値の連続的な変化に対しサブフィールドの点灯パターンが不連続に変化することが原因となっている。この動画疑似輪郭は、たとえばサブフィールドの数を増加すると改善されることが知られているが、サブフィールドの数を増やすと点灯のための時間が少なくなり必要な輝度が得られないという課題があった。
【0003】
このため、サブフィールドの数をあまり増やさずに、動きのある領域でサブフィールドの組み合わせを制限して動画擬似輪郭を抑えるという試みがある(たとえば、特許文献1参照)。この従来の画像表示装置は、画像の動きのある部分では、表示に使用する階調を制限して動画疑似輪郭の発生しにくい階調の組み合わせで画像を表示し、階調数の低下に伴う画質劣化を補うためにディザ処理を用いた疑似的な階調を追加して、一定の階調性をも確保しようとするものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−276100号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の画像表示装置においては、動画疑似輪郭の抑制効果を上げるために階調をさらに制限すると、これを補うためのディザ処理に用いられるパターンが目立ちやすくなり、実質的に表現できる階調数が低下するという課題があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、動画疑似輪郭の抑制と良好な階調表示とが両立する画像表示装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために本発明の画像表示装置は、画像信号の中から階調に傾斜があり、かつ動きのある領域を検出し、その領域の動きの大きさや方向および階調の傾斜の大きさや方向に応じて、画像信号の所定の階調を別の階調に補正し、動画擬似輪郭の原因となる中間非点灯サブフィールドを分散させることにより、動画擬似輪郭を抑制した画像表示を行うことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
すなわち、請求項1に記載の発明は、1フィールドを複数のサブフィールドで構成し各サブフィールドを点灯または非点灯制御することにより多階調表示する画像表示装置において、画像信号の所定の階調を別の階調に補正することができる階調補正手段を備え、階調補正手段は所定の階調のおのおのに対して設定された複数の補正階調の中から1つを選択することを特徴とする画像表示装置である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、複数の補正階調のうち少なくとも1つは、補正前の階調に対する最大の輝度重みをもつ点灯サブフィールドよりも小さい輝度重みをもつ非点灯サブフィールドの中で輝度重みが最大のサブフィールドを点灯させる階調を含むことを特徴とする画像表示装置である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2において、複数の補正階調の平均値が補正前の階調に等しいことを特徴とする画像表示装置である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、1フィールドを複数のサブフィールドで構成し各サブフィールドを点灯または非点灯制御することにより多階調表示する画像表示装置において、画像信号の中から階調値に傾斜のある領域を検出する傾斜検出手段と、画像信号の中から動きのある領域を検出する動き検出手段と、傾斜検出手段および動き検出手段が検出した領域に対する画像信号の階調を補正する階調補正手段とを備えた画像表示装置である。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4において、1フィールドを複数のサブフィールドで構成し各サブフィールドを点灯または非点灯制御することにより多階調表示する画像表示装置において、画像信号の中から階調値に傾斜のある領域とその傾斜の大きさおよび方向とを検出する傾斜検出手段と、画像信号の中から動きのある領域とその動きの大きさおよび方向とを検出する動き検出手段と画像信号の所定の階調を別の階調に補正することができる階調補正手段とを備え、階調補正手段は傾斜の大きさと傾斜の方向および動きの大きさと動きの方向にもとづいて、補正を行うべき所定の階調と、補正を行うべき所定の階調に対して設定されるべき複数の補正階調とのいずれか、あるいは両方を決定することを特徴とする記載の画像表示装置である。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5において、傾斜のある領域が階調の高い方向に移動する場合に補正を行うべき階調の数は、傾斜のある領域が階調の低い方向に移動する場合に補正を行うべき階調の数よりも少ないことを特徴とする画像表示装置である。
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における画像表示装置の回路ブロック図である。傾斜検出手段21は画像信号10にもとづき画像の中から階調に傾斜のある領域(以下、傾斜階調領域と略記する)を検出する。動き検出手段31は画像信号10にもとづき画像の中から動きのある領域を検出する。補正領域検出手段41は傾斜検出手段21の出力と動き検出手段31の出力との論理積を求めることにより、動きのある傾斜階調領域を補正領域として検出する。階調補正手段61は画像信号10に補正値を加算することにより画像信号10の所定の階調を別の階調に補正する。
【0016】
また、画像信号選択手段71は、動きのある傾斜階調領域では階調補正手段61の出力を選択し、それ以外の領域では画像信号10を選択する。サブフィールド符号化手段80は画像信号選択手段71の出力をサブフィールド信号に変換し、プラズマディスプレイ90に供給する。
【0017】
図2は本発明の実施の形態1における画像表示装置の階調補正手段61の回路ブロック図である。補正値発生手段612は画像信号の各階調に対してそれぞれ2つの補正値−mおよび+mを発生する。補正値切替手段613は2つの補正値を画素単位、ライン単位で交互に、あるいはランダムに切り替える。加算手段614は、補正値切替手段613の出力と画像信号とを加算することで画像信号の所定の信号を補正階調に変換し、補正画像信号として出力する。なお、補正値は−mと+mの値をもつので、これらを加算した補正階調の平均値は補正前の階調に等しく、また、これら補正値は補正値切替手段613によって画素単位、ライン単位で交互に、あるいはランダムに切り替えられるため、補正画像信号の平均値は補正によって変化しない。
【0018】
減算手段615は、補正前の画像信号と補正画像信号との差を計算し、この差信号を所定の遅延手段616で遅延した後、加算手段617を用いて入力信号に加算する。このような帰還型の回路構成を階調補正手段として用いると、周辺の画素を含めた平均的な階調値を補正前の階調値に近づけることができ、階調補正に伴う階調の誤差を擬似的に補正することができる。
【0019】
次に、実施の形態1における画像表示装置の動作について説明する。本実施の形態においては、1フィールドを12のサブフィールド(SF1、SF2、・・・、SF12)に分割し、各サブフィールドはそれぞれ(1、2、4、8、12、20、24、28、32、36、40、48)の輝度重みをもつものとする。
【0020】
図3は表示階調と、その階調を表現するために点灯させるサブフィールドの組み合わせを示した図である。ここで「●」で示したサブフィールドは点灯させるサブフィールドである。なお、図を見やすくするために、下位2ビットの輝度重みをもつサブフィールド(SF1、SF2)は省略した。図3(a)は階調値が「0」〜「127」まで、図3(b)は階調値が「128」〜「255」の範囲を示す。
【0021】
通常、入力画像信号に対してはこのサブフィールドの組み合わせにしたがって階調表示を行う。しかし、動きのある傾斜階調領域に対してこの組み合わせをそのまま用いると強い動画擬似輪郭が発生する場合がある。
【0022】
本発明者らは、動画疑似輪郭について検討を行った結果、1フィールドを構成するサブフィールドのうち、最大の輝度重みをもつ点灯サブフィールドよりも小さい輝度重みをもつ非点灯サブフィールド(以下、中間非点灯サブフィールドと略記する)が、階調の傾斜や動きの組み合わせによって発生する動画疑似輪郭の原因となることを見出した。特に中間非点灯サブフィールドの中でも最大の輝度重みをもつもの(以下、最大中間非点灯サブフィールドと略記する)が動画擬似輪郭の主要な原因となっている。以下に、動きのある傾斜階調領域に対して動画疑似輪郭が発生する理由について説明する。
【0023】
図4は、動きのある傾斜階調領域に対して動画疑似輪郭が発生する理由を説明するための図である。ここで、図4(a)に示すように、たとえば階調値が約「164」〜「184」の範囲で左側が暗く右に行くにつれて明るくなるような傾斜階調領域が左方向に移動する画像について考える。図4(b)は上記の傾斜階調領域をサブフィールドに展開した図であり、横軸は水平方向の画面位置に対応し縦軸は時間経過に対応する。ここでは図を見やすくするため6つのサブフィールド(SF6、SF7、・・・、SF11)についてのみ図示した。図4中のハッチングは非点灯サブフィールドを示している。傾斜階調領域が静止している場合であれば矢印Cに示すように人間の視線も画面上に静止するため本来の階調を認識することができる。しかし傾斜階調領域が左方向に移動すると視線も左方向に移動することになり、その結果、矢印Aで示したところでは視線が最大中間非点灯サブフィールドを追う形となり、傾斜階調領域の中に非常に暗い暗線を認識することになる。なお、図3の矢印Aは、図4の矢印Aと同じ視線の動きを表すものである。
【0024】
このように、傾斜階調領域内の中間非点灯サブフィールドを追う速度で視線が移動した場合に強い動画擬似輪郭が発生することがわかる。上記の例においては、階調値が「164」〜「184」まで増加する間にSF6からSF11までが経過するような速度で視線が動くと最大中間非点灯サブフィールドを連続して認識し、動画擬似輪郭として暗線が現われることがわかる。
【0025】
逆に、画面内の傾斜階調領域の位置と傾斜の程度およびその動き量がわかれば動画擬似輪郭の発生する領域をあらかじめ予想することができる。
【0026】
図5は、本発明の実施の形態1における階調補正手段61の補正パターンを示す図であり、図5(a)は補正前の階調値と点灯サブフィールド、図5(b)は補正後の階調値と点灯サブフィールドとの関係を示している。説明の簡単のために、図5は「168」〜「207」の間の階調についてのみ図示している。階調補正手段61は階調を補正することによって補正前の最大中間非点灯サブフィールドを点灯させ、代わりにその前後のサブフィールドを1/2の確率で非点灯サブフィールドとしている。すなわち、補正階調として補正前の階調の最大中間非点灯サブフィールド(最大の輝度重みをもつ点灯サブフィールドよりも小さい輝度重みをもつ非点灯サブフィールドの中で輝度重みが最大のサブフィールド)を点灯させる階調を選ぶことにより、動画擬似輪郭の原因となる最大中間非点灯サブフィールドをその前後のサブフィールドに分散させるという動作を行う。たとえば階調「168」の信号に対しては、−m=−4、+m=4の補正値を加算して階調「164」と階調「172」の2つの補正階調に変換し、画素単位、ライン単位で交互に切り替えて出力する。このとき、元の階調「168」は補正階調「164」と「172」のいずれかに補正されるが、それぞれの補正確率が1/2であるので、平均値としては元の階調「168」が保たれている。
【0027】
図5(c)は、実施の形態1における画像表示装置の各階調に対する各サブフィールドの平均の点灯確率を示す図である。各欄の数値は補正後の点灯確率であり、ここで「1」、「1/2」はそれぞれ点灯確率1、1/2を表し、空欄は点灯確率0を表している。たとえば、階調「168」の信号に対して、補正前の最大中間非点灯サブフィールドはSF10でありその点灯確率は0であったが、補正後の中間非点灯サブフィールドはSF9とSF11に分散され、かつそれらの点灯確率も1/2となるため、補正領域の動画擬似輪郭も分散されて画像表示品質が向上する。
【0028】
このように、動画疑似輪郭は、階調値の傾斜とその動きとから決まる特定の領域で中間非点灯サブフィールドが多く存在したり、輝度重みの大きい最大中間非点灯サブフィールドが存在することが原因で発生する。したがって、本実施の形態1では、階調値の傾斜とその動きにより補正領域を抽出し、この領域において動画疑似輪郭の発生原因となる中間非点灯サブフィールド、特に最大中間非点灯サブフィールドを周囲のサブフィールドに分散させる階調補正を行っているので、動画疑似輪郭を効果的に抑制することができる。
【0029】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における画像表示装置は、動画擬似輪郭の原因となる中間非点灯サブフィールドをその前後のサブフィールドに分散させるという点では実施の形態1における画像表示装置と同様である。しかし、実施の形態1と異なる点は、階調補正手段が最大中間非点灯サブフィールドを実施の形態1におけるよりも広範囲に分散させ、かつそれらサブフィールドの点灯確率を高くした点である。
【0030】
図6は本発明の実施の形態2における画像表示装置の階調補正手段62の回路ブロック図である。実施の形態1と異なる点は、補正値発生手段622が各階調に対してそれぞれ4つの補正値、−m2、−m1、+m1、+m2を発生し、補正値切替手段623はこれら4つの補正値を、画素単位、ライン単位で交互に、またはランダムに切り替えるようにしたことである。
【0031】
なお、実施の形態2における画像表示装置の回路ブロック図は、図1の階調補正手段61を図6に示した階調補正手段62に置き換えたものである。
【0032】
図7は、本発明の実施の形態2における階調補正手段62の補正パターンを示す図であり、図7(a)は補正前の階調値と点灯サブフィールド、図7(b)は補正後の階調値と点灯サブフィールドの関係を示している。なお、図7には「168」〜「207」の間の階調に対する点灯サブフィールドの組み合わせのみを図示している。
【0033】
たとえば階調値「168」の信号に対しては、−m2=−12、−m1=−4、+m1=4、+m2=12の補正値を加算して、階調「156」、「164」、「172」、「180」の4つの補正階調に変換し、画素単位、ライン単位で交互にまたはランダムに切り替えて出力される。この場合も補正階調の平均値としては元の階調が保たれている。
【0034】
図7(c)は、実施の形態2における画像表示装置の各階調に対する各サブフィールドの平均の点灯確率を示す図である。各欄の数値は補正後の点灯確率であり、ここで「1」、「3/4」、「1/2」、「1/4」、はそれぞれ点灯確率1、3/4、1/2、1/4を表し、空欄は点灯確率0を表している。たとえば、階調「168」の信号に対する補正前の中間非点灯サブフィールドはSF10でありその点灯確率は0であったが、補正後の中間非点灯サブフィールドはSF4、SF7、SF9、SF11に分散され、かつそれらの点灯確率もそれぞれ3/4、3/4、3/4、1/2となるため、動きのある傾斜階調領域の動画擬似輪郭も広範囲に分散されて画像表示品質が向上する。
【0035】
このように本実施の形態は、動画擬似輪郭の原因となる中間非点灯サブフィールドの分散させる範囲をより広範囲とし、かつそれらサブフィールドの点灯確率を高くしたので、動画擬似輪郭の抑制効果を実施の形態1に比べて大きくすることができる。
【0036】
(実施の形態3)
実施の形態3における画像表示装置は、動画擬似輪郭の原因となる中間非点灯サブフィールドをその前後のサブフィールドに分散させるという点では実施の形態1における画像表示装置と同様である。しかし、実施の形態1と異なる点は、補正を行う所定の階調を、輝度重みの大きい中間非点灯サブフィールドが存在する階調、あるいは輝度重みが最大の点灯サブフィールドが切り替わる階調の近傍に限定して階調の補正を行った点である。
【0037】
図8は、本発明の実施の形態3における階調補正手段の補正パターンを示す図であり、図8(a)は補正前の階調値と点灯サブフィールド、図8(b)は補正後の階調値と点灯サブフィールドの関係を示している。なお、図8には「156」〜「219」の間の階調に対する点灯サブフィールドの組み合わせのみを図示している。
【0038】
図8(a)に示すように、たとえば階調「168」には輝度重みの大きい最大中間非点灯サブフィールドSF10が存在し、同時にこの階調以上の階調では輝度重み最大の点灯サブフィールドがSF10からSF11に切り替わっている。また、階調「208」には輝度重みの大きい最大中間非点灯サブフィールドSF11が存在し、同時にこの階調を境にして輝度重み最大の点灯サブフィールドがSF11からSF12に切り替わっている。実施の形態3においてはこれらの階調の近傍としてこれらの階調を含む4つの欄の階調のみで階調補正を行っている。すなわち図8(b)に示すように、階調「160」〜「175」、「200」〜「215」においては階調補正を行うが、階調「176」〜「199」においては階調補正を行わない。
【0039】
図8(c)は、実施の形態3における画像表示装置の各階調に対する各サブフィールドの平均の点灯確率を示す図である。最大中間非点灯サブフィールドの輝度重みが大きいため強い動画擬似輪郭が発生しやすい階調「168」〜「171」、「208」〜「211」の近傍では最大中間非点灯サブフィールドが分散され、かつそれらの点灯確率も上がるが、最大中間非点灯サブフィールドの輝度重みが比較的小さい階調「176」〜「199」においては補正値加算を行わないので、過度の階調補正を避けることができる。
【0040】
このように実施の形態3の画像表示装置においては、輝度重みの大きい最大中間非点灯サブフィールドをもつ階調の近傍に限定して階調補正を行うため、比較的緩やかな補正を施したい場合、あるいは過度の補正を避けたい場合に有効な方法である。
【0041】
なお、実施の形態3における画像表示装置の階調補正手段は、専用の回路構成を用いて実現してもよいが、図2に示した回路ブロック図の構成と同一とし、階調補正を行わない階調に対して、−m=0、+m=0とおくことで実現してもよい。
【0042】
(実施の形態4)
実施の形態4における画像表示装置は、輝度重みの大きい中間非点灯サブフィールドが存在する階調、あるいは輝度重みが最大の点灯サブフィールドが切り替わる階調の近傍に限定して階調補正を行う点では実施の形態3と同じである。しかし実施の形態3と異なる点は、階調補正手段が最大中間非点灯サブフィールドを実施の形態3におけるよりも広範囲に分散させ、かつこれらサブフィールドの点灯率を高くし、動画擬似輪郭の抑制効果を大きくした点である。
【0043】
図9は本発明の実施の形態4における階調補正手段の補正パターンを示す図であり、図9(a)は補正前の階調値と点灯サブフィールド、図9(b)は補正後の階調値と点灯サブフィールドとの関係を示している。
【0044】
この場合は階調「168」と「208」とを含む3つの欄の階調で補正を行っているが、ここでは補正値として−m2、−m1、+m1、+m2の4つの値を用いて、1つの階調を4つの補正階調に分散している。図9(c)はこのときの各階調に対する各サブフィールドの平均の点灯確率を示す図である。図8(c)と比較して、中間非点灯サブフィールドおよび最大輝度重み点灯サブフィールドがより広範囲に分散されていることがわかる。また、階調「176」〜「199」に対しては階調の補正は行わない。
【0045】
なお、実施の形態4における画像表示装置の階調補正手段は、専用の回路構成を用いて実現してもよいが、図6に示した回路ブロック図の構成と同一とし、階調補正を行わない階調に対して、−m2=0、−m1=0、+m1=0、+m2=0とおくことで実現してもよい。
【0046】
(実施の形態5)
図10は本発明の実施の形態5における画像表示装置の回路ブロック図である。実施の形態5の傾斜検出手段25は傾斜の有無だけではなく傾斜の程度とその方向をも検出し、動き検出手段35は動きの有無だけではなくその大きさと方向をも検出する。補正領域検出手段45は傾斜の大きさと方向および動きの大きさと方向にもとづいて補正の必要な領域、すなわち補正領域を検出する。補正パターン決定手段55は傾斜の大きさと方向および動きの大きさと方向にもとづいて補正パターンを決定する。そして階調補正手段65は複数の補正パターンをもちそれらを切り替える。画像信号選択手段75は、補正領域では補正画像信号を選択し、それ以外の領域では画像信号10を選択する。実施の形態5においては、実施の形態1〜4で用いた4つの補正パターン、すなわち、図5、図7、図8、図9に示した補正パターンを、傾斜の大きさと方向および動きの大きさと方向にもとづいて切り替える。
【0047】
ここで用いられる4つの補正パターンそれぞれの特徴について再度説明する。図5に示した補正パターン(以下、パターン1と略記する)は、中間非点灯サブフィールドをもつ階調に対して、その最大中間非点灯サブフィールドを周囲のサブフィールドに分散させる階調補正を行う。図7に示した補正パターン(以下、パターン2と略記する)は、パターン1と同じ階調を補正するが、分散させる範囲がより広範囲であるため動画擬似輪郭の抑制効果がパターン1よりも大きい。図8に示した補正パターン(以下、パターン3と略記する)は、輝度重みが大きい最大中間非点灯サブフィールド、あるいは最大点灯サブフィールドが切り替わる階調の近傍で最大中間非点灯サブフィールド、あるいは最大点灯サブフィールドを分散させる階調補正を行う。図9に示した補正パターン(以下、パターン4と略記する)は、パターン3と同じ階調を補正するが、分散させる範囲がより広範囲であるため動画擬似輪郭の抑制効果がパターン3よりも大きい。
【0048】
図11は本発明の実施の形態5において、補正パターン決定手段55が決定する補正パターンと傾斜の大きさおよび動きの方向との関係を示した図である。階調値の傾斜が小さく低階調方向へ移動している場合にはパターン1を、階調値の傾斜が大きく低階調方向へ移動している場合にはパターン2を、階調値の傾斜が小さく高階調方向へ移動している場合にはパターン3を、階調値の傾斜が大きく高階調方向へ移動している場合にはパターン4にそれぞれ決定する。なお、階調値の傾斜が非常に小さい場合には動画擬似輪郭が殆ど発生せず、また階調値の傾斜が非常に大きい場合には動画擬似輪郭がたとえ発生していても違和感のある画像として認識されることがない。また、動きが非常に小さい場合にも動画擬似輪郭は認識されにくい。したがって図11にはこれらの場合については記載していない。
【0049】
次に、動画擬似輪郭と傾斜の方向および動きの方向との関係について説明し、補正パターンを決定する方法について説明する。
【0050】
図4に示したように、たとえば階調値が約「164」〜「184」の範囲で左側が暗く右に行くにつれて明るくなるような傾斜領域が左方向に移動する場合は、傾斜領域の中に非常に暗い暗線が現われることを述べた。これは図3において矢印Aで示したように、視線が傾斜領域を追って左方向に移動する際、最大中間非点灯サブフィールドを追うためであった。したがって傾斜階調領域が低階調方向へ移動する場合には、最大中間非点灯サブフィールドを分散させる補正、すなわちパターン1、あるいはパターン2の補正が必要となる。そして階調値の傾斜が大きい場合には動画擬似輪郭の抑制効果の大きいパターン2に決定する。
【0051】
一方、図4(a)に示した傾斜領域が右方向に移動した場合について考えると、視線も傾斜領域を追って右方向に移動するため暗い暗線は認識されない。しかし、図3において矢印Bで示したように輝度重みの大きい中間非点灯サブフィールドが存在する階調、あるいは輝度重みが最大の点灯サブフィールドが切り替わる階調部分で輝度の高い明線が認識されることがわかる。したがってこの場合にはこの階調の近傍でのみ階調補正を行い明線を分散させることが望ましい。したがってこのように傾斜階調領域が高階調方向へ移動する場合には、輝度重みの大きい最大中間非点灯サブフィールドが存在する階調、あるいは輝度重みが最大の点灯サブフィールドが切り替わる階調の近傍に限定した補正、すなわちパターン3、あるいはパターン4で十分である。そして階調値の傾斜が大きい場合には動画擬似輪郭の抑制効果の大きいパターン4に決定する。
【0052】
以上のように実施の形態5においては、階調の傾斜の大きさと動きの方向とによって動画疑似輪郭の見え方が異なることに着目し、動画擬似輪郭の発生しやすい領域を特定し、また動画擬似輪郭の大きさ、あるいはその特性に応じて最適な補正を行うものである。そのため、動画部分に過剰な補正を行うことなく動画擬似輪郭を効果的に抑制するとともに、動画擬似輪郭の発生しない領域については階調を制限することがない。したがって、動画部分についても静止画部分についても、ともに良好な画像表示が可能となる。
【0053】
なお、本発明の実施の形態1〜5における画像表示装置として、図1、図2、図6、図10に示す回路構成について説明したが、中間非点灯サブフィールドを分散させる補正パターンが実現できる回路構成であればこれに限定するものではない。図12は本発明の実施の形態1〜5における画像表示装置の他の回路ブロック図の一例である。
【0054】
階調補正手段100は複数の階調変換テーブルから構成され、画像信号10の階調をいずれかの階調変換テーブルを用いて補正階調に変換する。傾斜検出手段20は画像信号10の中から傾斜階調領域を検出するとともに傾斜の大きさとその方向を検出する。動き検出手段30は画像信号10の中から動きのある領域を検出するとともにその大きさと方向を検出する。変換テーブル決定手段40は傾斜検出手段20の出力と動き検出手段30の出力とにもとづき、階調補正手段100が用いるべき階調変換テーブルを決定する。
【0055】
この回路構成を、たとえば実施の形態1における画像表示装置の回路構成として用いる場合には、階調補正手段100に3つの階調変換テーブルをもち、それぞれの階調変換テーブルは、入力画像信号の階調に対して−mを加算した階調、+mを加算した階調、補正値を加算しない階調を出力するように設定し、補正領域では−mあるいは+mを加算した階調変換テーブルを、補正領域外では補正値を加算しないテーブルを用いて階調変換を行うことで実現できる。
【0056】
また、実施の形態5における画像表示装置の回路構成として用いる場合には、4つの補正パターンに伴う12種類のテーブルと補正しないテーブルの合計13種類の階調変換テーブルを切り替えて用いることで実現できる。
【0057】
なお、実施の形態1〜5においては、図3に示したサブフィールド構成について説明したが、サブフィールドの数やその輝度重み等、別のサブフィールド構成を用いる場合であっても、中間非点灯サブフィールドを分散させる階調補正を行うことにより同様の動画疑似輪郭の抑制効果を得ることができる。
【0058】
また、動き検出手段としては、必ずしも動きベクトルを求める必要はなく、画像信号のとき間差分と階調値の傾斜にもとづく簡易的な方法で代用してもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明の画像表示装置によれば、動画擬似輪郭の発生しやすい領域を特定し、その領域内で最適な補正を行うため、実質的な階調を低下させることなく、動画擬似輪郭の抑制と良好な階調表示とが両立する画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における画像表示装置の回路ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における画像表示装置の階調補正手段の回路ブロック図
【図3】本発明の実施の形態1〜5における画像表示装置の表示階調とその階調を表現するために点灯させるサブフィールドの組み合わせを示した図
【図4】動きのある傾斜階調領域に対して動画疑似輪郭が発生する理由を説明するための図
【図5】本発明の実施の形態1における階調補正手段の補正パターンを示す図
【図6】本発明の実施の形態2における画像表示装置の階調補正手段の回路ブロック図
【図7】本発明の実施の形態2における階調補正手段の補正パターンを示す図
【図8】本発明の実施の形態3における階調補正手段の補正パターンを示す図
【図9】本発明の実施の形態4における階調補正手段の補正パターンを示す図
【図10】本発明の実施の形態5における画像表示装置の回路ブロック図
【図11】本発明の実施の形態5における補正パターン決定手段が決定する補正パターンと傾斜の大きさおよび動きの方向との関係を示した図
【図12】本発明の実施の形態1〜5における画像表示装置の他の回路ブロック図
【符号の説明】
10 画像信号
20,21,25 傾斜検出手段
30,31,35 動き検出手段
40 変換テーブル決定手段
41,45 補正領域検出手段
55 補正パターン決定手段
61,62,65,100 階調補正手段
71,75 画像信号選択手段
80 サブフィールド符号化手段
90 プラズマディスプレイ
612,622 補正値発生手段
613,623 補正値切替手段
614,617 加算手段
615 減算手段
616 遅延手段

Claims (6)

  1. 1フィールドを複数のサブフィールドで構成し各サブフィールドを点灯または非点灯制御することにより多階調表示する画像表示装置において、画像信号の所定の階調を別の階調に補正することができる階調補正手段を備え、前記階調補正手段は前記所定の階調のおのおのに対して設定された複数の補正階調の中から1つを選択することを特徴とする画像表示装置。
  2. 前記複数の補正階調のうち少なくとも1つは、補正前の階調に対する最大の輝度重みをもつ点灯サブフィールドよりも小さい輝度重みをもつ非点灯サブフィールドの中で輝度重みが最大のサブフィールドを点灯させる階調を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記複数の補正階調の平均値が補正前の階調に等しいことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 1フィールドを複数のサブフィールドで構成し各サブフィールドを点灯または非点灯制御することにより多階調表示する画像表示装置において、
    画像信号の中から階調値に傾斜のある領域を検出する傾斜検出手段と、
    画像信号の中から動きのある領域を検出する動き検出手段と、
    前記傾斜検出手段および前記動き検出手段が検出した領域に対する画像信号の階調を補正する階調補正手段とを備えた画像表示装置。
  5. 1フィールドを複数のサブフィールドで構成し各サブフィールドを点灯または非点灯制御することにより多階調表示する画像表示装置において、
    画像信号の中から階調値に傾斜のある領域と前記傾斜のある領域の傾斜の大きさおよび方向とを検出する傾斜検出手段と、
    画像信号の中から動きのある領域と前記動きのある領域の動きの大きさおよび方向とを検出する動き検出手段と画像信号の所定の階調を別の階調に補正することができる階調補正手段とを備え、
    前記階調補正手段は前記傾斜の大きさと傾斜の方向および前記動きの大きさと動きの方向にもとづいて、補正を行うべき前記所定の階調と、補正を行うべき前記所定の階調に対して設定されるべき前記複数の補正階調とのいずれか、あるいは両方を決定することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像表示装置。
  6. 前記傾斜のある領域が階調の高い方向に移動する場合に補正を行うべき前記所定の階調の数は、前記傾斜のある領域が階調の低い方向に移動する場合に補正を行うべき前記所定の階調の数よりも少ないことを特徴とする請求項5記載の画像表示装置。
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