JP2004004686A - 投写型表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ライトバルブの画像形成領域の周囲に形成すべきマージンを小さくでき、明るい投写画像を形成できる投写型表示装置を実現すること。
【解決手段】投写型表示装置の光源ランプユニット8からの出射光は、インテグレータ光学系923を介して各色の液晶ライトバルブ925R,G,Bを照明する。導光系927を構成する3つのレンズ953、973、953のうち、少なくとも1つの取り付け位置を微調整することにより、照明領域の形成位置を、液晶ライトバルブの画像形成領を包含した位置となるように調整できる。従って、照明領域の形成位置にずれが発生することを想定して、画像形成領域の周囲の大きなマージンを確保しておく必要がない。この結果、照明光の利用効率を高め、明るい投写画像を形成できる。
【選択図】  図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの出射光に対して液晶ライトバルブ等の変調手段を用いて画像信号に応じた変調を施し、変調後の光束を投写レンズを介してスクリーン上に拡大投写する投写型表示装置に関するものである。さらに詳しくは、本発明はこの形式の投写型表示装置において、液晶ライトバルブ等の変調手段の画像形成領域を適切な状態で照明可能な構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ライトバルブを用いて画像信号に対応した変調光束を形成して当該変調光束をスクリーン上に拡大投写する構成の投写型表示装置は、例えば、特開平3−111806号公報に開示されている。この公報に開示されている投写型表示装置は、図14に示すように、光源からの光で変調手段である液晶ライトバルブ925の画像形成領域を均一に照明するために、2枚のレンズ板921、922を備えたインテグレータ光学系923を備えている。
【0003】
図14において、光源ランプユニット8から出射される単一光束は、第1のレンズ板921を構成するレンズ921aにより複数の中間光束に分離され、第2のレンズ板922を構成するレンズ922aを介して液晶ライトバルブ925上に重畳される。
【0004】
ここで、図14に示したような投写型表示装置においては、液晶ライトバルブ925の画像形成領域を正確に照明できないと、投写面上に投写された画像の明るさが低下したり、あるいは投写された画像の縁に影ができる等の弊害が発生する。そこで、図15に示すように、液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aには、液晶ライトバルブ925やインテグレータ光学系923を構成するレンズ板921、922の位置決め精度、各レンズ板を構成するレンズ921a、922aの焦点距離等の誤差、光路上に配置される他の光学要素の位置決め精度等を考慮して、その周囲に一定のマージンMが確保されている。すなわち、液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aは、光源からの出射光による照明領域Bに対して一回り小さなサイズに設定されており、上に挙げたような各構成要素の位置決め精度等に起因して照明領域Bが上下あるいは左右にずれたとしても、画像形成領域Aが照明領域Bからはみださないようになっている。そして、このような構造により、投写画像の縁に影ができたり、投写画像の明るさが低下したりするといった弊害を回避している。上に挙げたような各構成要素の位置決め等の誤差に広く対応できるようにするには、マージンMを大きくとれば良いことになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、投写画像を明るくするためには、液晶ライトバルブ925を照明している光の利用効率を高める必要がある。しかしながら、上述したように、構成要素の位置決め等の誤差に広く対応できるようにマージンMを大きく設定すると、その分光の利用効率が低減してしまい、投写画像も暗くなってしまう。従って、この点からは、液晶ライトバブルの表示領域の周囲に形成するマージンの幅はなるべく狭くすることが望ましい。しかし、マージンを狭くすると、上記のように、液晶ライトバルブの画像形成領域に対して、照明領域が外れてしまい、投写画像の縁に影ができるおそれが高まる。
【0006】
本発明の課題は、液晶ライトバルブの画像形成領域の周囲に形成されるマージンを小さくして、なおかつ投写画像の縁に影を作ることなく投写画像の明るさを高めることの可能な投写型表示装置を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の投写型表示装置は、光源と、前記光源から射出された光束を各色の光束に分解する色分離光学系と、前記色合成光学系によって合成された変調光束を投写面上に拡大投写する投写手段と、前記色分離光学系と前記複数の変調手段のうち少なくとも一の変調手段との間の光路中に配置された3つの集光レンズと、を有する投写型表示装置であって、前記3つの集光レンズのうち少なくとも1つの取り付け位置が調整可能となっていることを特徴とする。
【0008】
本発明の投写型表示装置において、前記光源と前記変調手段との間の光路上には、前記光源から射出された光束を複数の中間光束に分割する複数のレンズを備えた第1のレンズ板並びに複数の集光レンズを備えた第2のレンズ板が配置されていることが好ましい。
【0009】
また、このとき、前記第1および第2のレンズ板のうちの少なくとも一方のレンズ板は、光軸に交わる方向に取り付け位置が調整可能となっていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の投写型表示装置において、前記中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離し、前記P偏光光束、S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光光束の偏光方向と揃えて出射する偏光変換装置を備えていることが好ましい。
【0011】
また、このとき、前記偏光変換装置と前記第2のレンズ板とは一体化されてなることが好ましい。
【0012】
本発明は、上記の構成により、変調手段を照射する照明光の利用効率を高めることができ、投写画像を明るくすることができる。また、変調手段の画像形成領域の周囲に形成したマージンを小さくしても、当該画像形成領域が照明領域内に位置するように、変調手段に対する照明領域の位置を微調整できるので、これらの双方の領域のずれが原因となって投写画像の縁に影ができる等といった弊害も発生しない。
【0013】
ここで、投写型表示装置の光学系においては、前記光源から前記変調手段に到る光路上に、光路を折り曲げるための反射手段が配置されている場合がある。この場合、当該反射手段の取り付け角度に誤差があると、それが原因となって、変調手段の画像形成領域に対して照明領域がずれてしまうおそれがある。従って、このような位置に配置されている反射手段の取り付け角度も、入射光軸に対して調整可能とすることが望ましい。
【0014】
また、本発明の投写型表示装置の上記構成は、カラー画像を投写可能な投写型表示装置に対しても同様に適用できる。すなわち、光源からの出射光を各色の光束に分解する色分離光学系と、前記色分離光学系により分離された前記各色の光束に対して変調を施す複数の前記変調手段と、前記複数の変調手段によりそれぞれ変調された前記各色の光束を合成する色合成光学系とをさらに有し、前記色合成光学系により合成された変調光束を前記投写手段を介して投写面上に拡大投写するようになっている投写型表示装置に対しても本発明を同様に適用できる。
【0015】
このようなカラー画像を投写可能な投写型表示装置では、前記色分離光学系と前記複数の変調手段のうち少なくとも一の変調手段との間の光路中にさらに反射手段が配置される場合がある。この場合、この反射手段の取り付け角度によっては照明領域のずれが発生する恐れがあるため、この反射手段の取り付け角度も入射光軸に対して調整可能としておくことが望ましい。
【0016】
変調手段と最も近い位置に配置されている反射手段の取り付け角度を調整できるようにしておけば、装置の構成上、あるいは変調手段に対する照明領域の位置調整の精度上最も有利である。
【0017】
なお、変調手段として反射型の変調手段を用い、色分離光学系と色合成光学系とを同一の光学系で構成すれば、光路長を短くすることができ、投写型表示装置の小型化が可能となる。
【0018】
また、偏光変換装置を用いることにより、どちらの偏光光束も無駄なく用いることが可能となるため、明るい投写画像を得ることが可能となる。また、第2のレンズ板によって中間光束を偏光変換装置に効率良く導くことが可能となるので、この点からもより明るい投写画像を得ることが可能となる。
【0019】
ここで、第2のレンズ板と偏光変換装置を一体化すれば、これらの光学要素間における光損失を低減することが可能であり、より一層光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0020】
なお、本発明の投写型表示装置において、第1のレンズ板および第2のレンズ板のうち少なくとも一方の取り付け位置を光軸に交わる方向に調整可能とするためには、そのための調整機構を設ければ良い。この調整機構としては、例えば、前記第1のレンズ板を光軸に直交する第1の方向に調整する第1の調整機構と、前記第2のレンズ板を前記光軸および前記第1の方向に直交する第2の方向に調整する第2の調整機構とを備えた構成が考えられる。
【0021】
レンズ板の取り付け位置を所定の方向に調整するための調整機構としては、レンズ板の第1の側面側に設けられ、前記レンズ板の第1の側面を押圧するばねと、前記第1の側面と対向する第2の側面側に設けられ、この第2の側面を押圧するねじとを備えた構成を採用できる。このような調整機構によれば、ねじをきつくしたり、緩めたりするだけでレンズ板を所定の方向に移動させることができ、当該レンズ板の取り付け位置を容易に調整できる。
【0022】
ばねとねじを用いた調整機構において、ばねとして板ばねを用いると共に、ねじによってレンズ板の第2の側面のほぼ中心部を押圧するようにすれば、少ない部材で均一にレンズ板の移動を行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した投写型表示装置を説明する。なお、以下の説明では、互いに直交する3つの方向をX、Y、Zとし、Zを光の進行方向とする。
【0024】
(全体構成)
図1には本例の投写型表示装置の外観を示してある。本例の投写型表示装置1000は、光源からの出射光をインテグレータ光学系および色分離光学系を介して赤、青、緑の各色光束として取り出し、これらの各色の光束を各色に対応して配置された液晶ライトバルブに導いてカラー画像信号に応じて変調し、変調後の各色の光束を色合成光学系によって再合成した後に、投写レンズを介してスクリーン上に拡大投写する構成のものである。
【0025】
図1に示すように、投写型表示装置1000は直方体形状をした外装ケース2を有しており、この外装ケース2は、基本的には、アッパーケース3と、ロアーケース4と、装置前面を規定しているフロントケース5から構成されている。フロントケース5の中央からは投写レンズユニット6の先端側の部分が突出している。
【0026】
図2には、投写型表示装置1000の外装ケース2の内部における各構成部分の配置関係を示してある。この図に示すように、外装ケース2の内部において、その後端側には電源ユニット7が配置されている。これよりも装置前側に隣接した位置には、光源ランプユニット8が配置されている。また、光学ユニット9も配置されている。光学ユニット9の前側の中央には、投写レンズユニット6の基端側が位置している。
【0027】
一方、光学ユニット9の一方の側には、装置前後方向に向けて入出力インターフェース回路が搭載されたインターフェース基板11が配置され、これに平行に、ビデオ信号処理回路が搭載されたビデオ基板12が配置されている。さらに、光源ランプユニット8、光学ユニット9の上側には、装置駆動制御用の制御基板13が配置されている。装置前端側の左右の角には、それぞれスピーカー14R、14Lが配置されている。
【0028】
光学ユニット9の上面側の中央には冷却用の吸気ファン15Aが配置され、光学ユニット9の底面側の中央には冷却用循環流形成用の循環用ファン15Bが配置されている。また、光源ランプユニット8の裏面側である装置側面には排気ファン16が配置されている。そして、電源ユニット7における基板11、12の端に面する位置には、吸気ファン15Aからの冷却用空気流を電源ユニット7内に吸引するための補助冷却ファン17が配置されている。
【0029】
さらに、電源ユニット7の直上には、その装置左側の位置に、フロッピーディスク駆動ユニット(FDD)18が配置されている。
【0030】
(光学ユニットおよび光学系)
図3には、光学ユニット9および投写レンズユニット6の部分を取り出して示してある。この図に示すように、光学ユニット9は、その色合成手段を構成しているプリズムユニット910以外の光学素子が、上下のライトガイド901、902の間に上下から挟まれた状態に保持された構成となっている。これらの上ライトガイド901、下ライトガイド902は、それぞれ、アッパーケース3およびロアーケース4の側に固定ねじにより固定されている。また、これらの上下のライトガイド901、902は、プリズムユニット910の側に同じく固定ねじによって固定されている。プリズムユニット910は、ダイキャスト板である厚手のヘッド板903の裏面側に固定ねじよって固定されている。このヘッド板903の前面には、投写レンズユニット6の基端側が同じく固定ねじによって固定されている。
【0031】
図4には、光学ユニット9に組み込まれている光学系の概略構成を示してある。この図を参照して、光学ユニット9に組み込まれている光学系について説明する。本例の光学系は、上記の光源ランプユニット8の構成要素である放電ランプ81と、均一照明光学素子である第1のレンズ板921および第2のレンズ板922から構成されるインテグレータ光学系923とを備えている。また、このインテグレータ光学系923から出射される白色光束Wを、赤、緑、青の各色光束R、G、Bに分離する色分離光学系924と、各色光束を変調するライトバルブとしての3枚の液晶ライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された色光束を再合成する色合成光学系としてのプリズムユニット910と、合成された光束をスクリーン100の表面に拡大投写する投写レンズユニット6を備えている。さらに、色分離光学系924によって分離された各色光束のうち、青色光束Bを対応する液晶ライトバルブ925Bに導く導光系927を備えている。
【0032】
放電ランプ81としては、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。均一照明光学系923は、反射ミラー931を備えており、インテグレータ光学系923からの出射光の中心光軸1aを装置前方に向けて直角に折り曲げるようにしている。このミラー931を挟み、第1および第2のレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。
【0033】
放電ランプ81からの出射光は、リフレクター82の反射面821によって反射されて平行光として第1のレンズ板921を照射し、この第1のレンズ板921を介して第2のレンズ板922を構成している各レンズの入射面上にそれぞれ2次光源像として投写され、当該第2のレンズ板922からの出射光を用いて被照明対象物が照明されることになる。すなわち、各液晶ライトバルブ925、925G、925Bの画像形成領域が照明される。
【0034】
色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。白色光束Wは、まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、そこに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射されて、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。
【0035】
赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束の出射部944からプリズムユニット910の側に出射される。ミラー941において反射された青および緑の光束B、Gは、緑反射ダイクロイックミラー942において、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束の出射部945からプリズムユニット910の側に出射される。このミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束の出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、インレグレータ光学系923の白色光束の出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離が全て等しくなるように設定されている。
【0036】
色分離光学系924の赤色光束、および緑色光束の出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した各色光束は、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。
【0037】
このように平行化された赤色および緑色の光束R、Gは液晶ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらのライトバルブは、不図示の駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。このような駆動手段は公知の手段をそのまま使用することができる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応する液晶ライトバルブ925Bに導かれて、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。本例のライトバルブは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものを使用できる。
【0038】
導光系927は、集光レンズ953と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの間に配置した中間レンズ973と、液晶パネル925Bの手前側に配置した集光レンズ954から構成される。各色光束の光路長、すなわち、インテグレータ光学系の白色光束の出射部から各液晶ライトバルブ925R、925G、925Bまでの距離は青色光束Bの場合が最も長いため、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、青色光束の光量損失を抑制することができる。
【0039】
次に、各液晶ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束は、色合成光学系910に入射され、ここで合成される。本例では、前述のようにダイクロイックプリズムからなるプリズムユニット910を用いて色合成光学系を構成している。ここで再合成されたカラー画像は、投写レンズユニット6を介して、所定の位置にあるスクリーン100の表面に拡大投写される。
【0040】
(液晶ライトバルブの照明領域調整機構)
本例の投写型表示装置1においては、図4に示すように、インテグレータ光学系923による液晶ライトバルブ925上の照明領域が、液晶ライトバルブの画像形成領域に対して上下(±Y方向)または左右(±X方向)に微小調整可能となっている。
【0041】
図5(A)には、インテグレータ光学系923による液晶ライトバルブ925上の照明領域Bと、液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aとの関係を模式的に示してある。一般に、スクリーン100の投写領域が長方形であるので、それに対応して、液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aも長方形となっている。均一照明光学系923による照明領域B(図において想像線で示す領域)もそれに沿った形状とされている。
【0042】
前述したように、液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aは、照明領域Bよりも一回り小さなサイズに設定されている。換言すると、表示領域Aの周囲には所定の幅のマージンをとってある。マージンをとることによって、インテグレータ光学系923の各レンズ板921、922等の光学部品の位置決め誤差等に起因して照明領域の形成位置が変動しても、常に、照明領域Bの中に画像形成領域Aが包含されるようになっている。
【0043】
本例では、各レンズ板921、922は、図において矢印で示すように、位置調整機構により光軸1aに垂直な平面に沿って上下または左右に取り付け位置を微調整可能となっている。位置調整機構としては、板バネと位置調整ねじを備えたものが考えられる。
【0044】
図6(A)および(B)には、レンズ板921の取り付け位置を左右に微調整する機構の一例を断面図を用いて示してある。図6(B)は図6(A)のS−S断面図である。これらの図に示すように、位置調整機構700は、上下のライトガイド901、902に設けられている。上下のライトガイド901、902によって、光軸1aに垂直な平面に沿って上下方向に延びる左右一対の垂直壁711、712と、これらの垂直壁711、712の下端を繋ぐ底壁713と、これらの垂直壁711、712の上端を繋ぐ上壁714が形成され、各壁711〜714によって囲われた部分にレンズ板921が配置されている。レンズ板921は、その下端が底壁713に設けられた保持溝715に挿入されている。また、レンズ板921の下部分は、底壁713にねじ716を介して設置された固定ばね717によって、上部分は、上壁714にねじ718を介して設置された固定ばね719によって、光路上流側(−Z方向)に向かって押しつけられている。レンズ板921の上部分は上壁714に設けられた凸部710に当接している。よって、レンズ板921は、上下の取り付け位置が規定されている状態にある。一方、レンズ板921は、アライメントばね720を介して一方の垂直壁711によって支持されている。また、レンズ板921は、他方の垂直壁712に設けられた調整ねじ721によって一方の垂直壁711に向かって押されている。このため、調整ねじ716のねじ込み量を調整することにより、レンズ板921の取り付け位置を左右(±X方向)にのみ移動させることができる。
【0045】
従って、例えば、図5(B)に示すように、照明領域Bが液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aに対して横方向にずれて、画像形成領域Aの一部が照明されないような場合には、調整ねじ721をきつくしたり、緩めたりして、レンズ板921の取り付け位置を左右に微調整することにより、照明領域Bの位置を横方向にずらして、図5(C)に示すように、照明領域Bの中に画像形成領域Aを包含させた状態にすることができる。
【0046】
なお、本例では、くの字上の板ばねからなるアライメントばね720を用い、調整ねじ721をレンズ板921の垂直壁712側の側面のほぼ中心部を押圧するように配置してある。よって、少ない部材で均一にレンズ板921の移動を行うことができるようになっている。
【0047】
一方、レンズ板922の取り付け位置を上下(±Y方向)に微調整する機構としては、図6(A)、(B)において、垂直壁711、712に設けた調整ねじ721、アライメントばね720の代わりに、上壁714、下壁713にこれらと同様に調整ねじおよびアライメントばねを設けることにより容易に実現できるため、その詳細な説明は省略する。
【0048】
なお、本例では、レンズ板821、822の取り付け位置を微調整した後、上ライトガイド901に設けられた接着剤注入孔904a、904b、905a、905b(図3参照)から接着剤を注入して、これらを固定するようにしている。このような固定は必ずしも必要ではないが、外部からの衝撃によるレンズ板921、922の取り付け位置のずれを確実に防止するのに有効である。
【0049】
また、調整ねじとアライメントばねを用いた位置調整機構として、上下のライトガイド901、902に対して直に調整ねじやアライメントばねを設けずに、別構成のレンズホルダーを採用することも勿論可能である。
【0050】
さらに、左右(±X方向)の微調整は、液晶ライトバルブ925G上の画像形成領域Aの周辺部の照度を測定することにより、自動または手動で行うことができる。図5(B)に示す状態では、照明領域Bが左側にずれており、液晶ライトバルブ925G上の画像形成領域Aの右隅の照度が低くなっている。このような照明領域Bのずれを調整するためには、画像形成領域Aの左右の照度P1、P2が一定の値になるまでレンズ板921の取り付け位置を左右(±X方向)にずらしていけば良い。但し、この調整方法は、予め一定値を設定しておく必要があるので、光量の少ない光源に変更した場合には対応し難い。
【0051】
そこで、画像形成領域Aの左右の照度P1、P2が等しくなるまでレンズ板921の取り付け位置を左右にずらすようにすれば、予め一定値を設定しておく必要がないので、光量の少ない光源に変更した場合でも容易に対応できる。また、画像形成領域Aの左右の照度P1、P2の加算値が最大となるまでレンズ板921の取り付け位置を左右にずらすようにしても、予め一定値を設定しておく必要がないので、光量の少ない光源に変更した場合でも容易に対応できる。
【0052】
なお、左右(±X方向)の微調整は、液晶ライトバルブ925G上の画像形成領域Aの周辺部の照度を測定する方法の代わりに、液晶ライトバルブ925Gを照明光が透過する状態にしておき、その像をスクリーン100上に投写した場合の投写画像の周辺部の照度を測定することにより、自動または手動で行うこともできる。
【0053】
図5(B)に示す状態でスクリーン100に投写すると、図5(D)に示すように、投写画像B’は、本来画像が投写されるはずの領域A’の左隅には投写されない。このため、この左隅の部分の照度が低くなる。このため、本来画像が投写されるはずの領域A’の左右の照度Q1、Q2を測定して、前述した液晶ライトバルブ925G上での照度測定による微調整と同様な方法によって微調整することができる。すなわち、照度Q1、Q2が一定の値になるまでレンズ板921の取り付け位置を左右にずらしたり、照度Q1、Q2が等しくなるまでレンズ板921の取り付け位置を左右にずらしたり、さらには照度Q1、Q2の加算値が最大になるまでレンズ板921の取り付け位置を左右にずらせば良い。なお、前述したように、照度Q1、Q2が等しくなる、または照度Q1、Q2の加算値が最大になるまでレンズ板921の取り付け位置を左右にずらすようにすれば、光量の少ない光源に変更した場合にも容易に対応できる。
【0054】
次に、上下方向(±Y方向)の微調整は、画像形成領域Aの上下の照度、あるいは投写画像の上下の照度を測定することにより、自動または手動で行うことができる。上下方向の調整の場合でも、左右の微調整の場合と同様に、2箇所の照度が一定の値となるまでレンズ板922の上下方向の取り付け位置をずらしていけば良い。また、2箇所の照度が等しくなる、または2箇所の照度の加算値が最大になるまでレンズ板922の取り付け位置を上下にずらすようにすれば、光量の少ない光源に変更した場合でも容易に対応できる。
【0055】
なお、液晶ライトバルブ925Gの代わりに、他の液晶ライトバルブ925R、925Bを基準としてインテグレータ光学系923の微調整を行っても良い。
【0056】
微調整を行う際、第1のレンズ板921と第2のレンズ板922とを同時に動かしても良いが、まず第1のレンズ板921を左右に動かして左右方向の微調整を行い、次に第2のレンズ板922を上下に動かして上下方向の微調整を行うというように、順次取り付け位置を微調整する方法を採っても良い。但し、上下方向の微調整を先に行い、左右の微調整を後で行っても同様な調整ができるのは勿論である。
【0057】
上に述べた例では、第1のレンズ板921を左右方向に、第2のレンズ板922を上下方向に微調整可能としているが、この方向は逆であっても良く、また、第1および第2のレンズ板921、922の一方の側のみの取り付け位置を微調整可能としても良い。さらに、第1および第2のレンズ板921、922の取り付け位置を、光軸に交わる任意の方向に調整可能としても良い。このように任意方向の調整を可能とすれば、後に説明する図7に示したような照明領域Bのひずみをも解消するすることができ、照明の均一性を向上させることが可能となる。これらの調整形態としては、例えば、以下に示す4通りの組み合わせを挙げることができる。
【0058】
Figure 2004004686
【0059】
このように、インテグレータ光学系の取り付け位置を微調整可能とすることにより、従来のように、照明領域のずれを予め考慮して、液晶ライトバルブの画像形成領域Aの周囲に広幅のマージンを設定しておく必要が無い。従って、画像形成領域Aの周囲に形成すべきマージンは極めて少なくて済むので、照明光の利用効率を高めて、投写画像の明るさを高めることができる。
【0060】
すなわち、マージンを少なくしても、各レンズ板921、922の取り付け位置を微調整することにより、図5(B)に示すように画像形成領域Aの一部が照明領域Bから外れてしまう事態を解消できる。従って、投写画像の縁に影が出来てしまう等といった弊害も発生しない。
【0061】
さらに、インテグレータ光学系923による照明領域Bが液晶ライトバルブの画像形成領域Aに対してずれてしまう要因として、各色の光束の光路上に配置された反射ミラーの反射面の取り付け角度誤差も挙げることができる。反射ミラーの反射面の取り付け角度は、光軸に対して45°であるが、この角度がずれると、図5(B)に示すように画像形成領域Aの一部が照明領域Bからずれてしまう場合がある。さらに、図7(A)、(B)に示しすように照明領域Bにひずみが生じてしまい、照明領域Bの左側の照度と右側の照度とが不均一になってしまうため、インテグレータ光学系923を用いたメリットが失われてしまうことにもなりかねない。
【0062】
特に、本例の投写型表示装置1000においては、液晶ライトバルブ925Gを基準にインテグレータ光学系923の微調整を行っているが、このとき、図4に示されているミラー943、972、971の反射面の取り付け角度が光軸に対して45°でないと液晶ライトバルブ925R、925Bの画像形成領域に対してそれぞれの照明領域がずれてしまう。また、集光レンズ953、中間レンズ973の取り付け位置が所定の位置に配置されなかった場合にも、液晶ライトバルブ925Bの画像形成領域に対して照明領域がずれてしまう。
【0063】
そこで、本例の投写型表示装置1000においては、上述したインテグレータ光学系923の微調整に加え、図4に示されている赤色光束Rを液晶ライトバルブ925Rの側に向けて反射するミラー943、青色光束Bを液晶ライトバルブ925Bの側に向けて反射するミラー972の反射面の角度を、入射光軸および反射光軸を含む平面に垂直な軸線の回り(図4矢印方向)に、入射光軸に対して微調整できるようにしている。この反射ミラーの取り付け角度調整機構としては、上述したインテグレータ光学系923の位置調整機構と同様な板ばねと角度調整ねじによるものが考えられる。
【0064】
図8(A)〜(C)には、反射ミラー972の取り付け角度を微調整する機構の一例を示してある。図8(A)は反射ミラー972を保持するホルダー板740の説明図、図8((B)は反射ミラー972の取り付け角度の微調整機構を上ライトガイド901の側から見た図、図8(C)は図8(B)におけるT−T断面部から反射ミラー972の取り付け角度の微調整機構を見た図である。これら図に示すように、角度調整機構730は、ホルダー板740を有し、このホルダー板740に設けられた保持部746a、746bによって反射ミラー972の下部がその反射面とは反対側の面から保持されている。また、反射ミラー972の上部は、クリップ748によってホルダー板740に固定されている。このホルダー板740の表面の中央部分には上下方向に延びる軸部741が形成されている。
【0065】
この軸部741は下ライトガイド902によって回転可能に支持されている。従って、反射ミラー972は、ホルダー板740を介して軸部741の軸線1bの回りを所定量のみ回転することができる。また、ホルダー板740の一方の側方部分には、ばねホルダー744が設けられており、アライメントばね742の第1の支点部742aはこのばねホルダー744に差し込まれる。アライメントばね742の支点部742b、742cは下ライトガイド902に設けられた支持部749に当接している。従って、ホルダー板740は、アライメントばね742を介して下ライトガイド902に対して支持されている。さらに、ホルダー板740のばねホルダー744は、下ライトガイド902に対してねじ771によって固定された板770に設けられた調整ねじ743によって図中矢印Gの方向に押されている。従って、下ライトガイド902に設けられたねじ操作部902aから治具を挿入して、調整ねじ743のねじ込み量を増やすと、ホルダー板740は、その側方部分が調整ねじ743によってG方向に押されるので、図8(B)に矢印R1で示す方向に軸部741の軸線1b回りに旋回する。これにより、反射ミラー972に入射する光の入射角が大きくなるように、反射ミラー972の反射面の角度を変えることができる。逆に、調整ねじ743のねじ込み量を減らすと、ホルダー板740は、その側方部分がアライメントばね742によって−G方向に引き寄せられるので、図8(B)に矢印R2で示す方向に軸部741の軸線1b回りに旋回する。これにより、反射ミラー972に入射する光の入射角度が小さくなるように、反射ミラー972の反射面の角度を変えることができる。換言すれば、調整ねじ743のねじ込み量を調整することにより、入射光軸および反射光軸を含む平面に垂直な軸線回りに、反射ミラー972の反射面の角度を調整することができる。なお、その他の反射ミラーの反射面の角度を調整する機構としても、上記と同様の機構を当然に採用できる。
【0066】
なお、本例では、反射ミラー943、972の取り付け角度を微調整した後、上ライトガイド901に設けられた接着剤注入孔906a、906b、907a、907b(図3参照)から接着剤を注入して、これらを固定するようにしている。
このような固定は必ずしも必要ではないが、外部からの衝撃による反射ミラー943、972のずれを確実に防止するのに有効である。
【0067】
さらに、この微調整は、液晶ライトバルブ925Rまたは925B上の画像形成領域の周辺部の照度を測定することにより自動、または手動で行うことが可能である。前述したレンズ板の微調整と同様に、画像形成領域Aの左右の照度P1、P2が一定の値となるまで各反射ミラー943、972の取り付け角度をずらしていけば良い。また、光量の少ない光源に変更した場合に対応できるようにするためには、画像形成領域Aの左右の照度P1、P2が等しくなる、あるいは、画像形成領域Aの左右の照度P1、P2の加算値が最大となるまで各反射ミラー943、972の取り付け角度をずらすようにすれば良い。
【0068】
なお、各反射ミラー943、972の微調整は、レンズ板の微調整と同様に、液晶ライトバルブ925Rまたは925B上の画像形成領域Aの周辺部の照度を測定する代わりに、液晶ライトバルブ925Rまたは925Bを照明光が透過する状態にしておき、その像をスクリーン100上に投写した場合の投写画像の周辺部の照度を測定することにより、自動または手動で行うこともできる。すなわち、図7(A)または(B)に示す状態でスクリーン100に投写すると、投写画像の左右の照度が不均一になるので、投写画像の左右の照度を測定して、画像形成領域Aの照度測定の場合と同様に、左右の照度が一定の値となる、または左右の照度が等しくなる、あるいは左右の照度の加算値が最大になるまで各反射ミラー943、972の取り付け角度をずらせば良い。
【0069】
微調整を行う際、反射ミラー943と972とを同時に動かしても良いが、まず液晶ライトバルブ925Rによる投写画像あるいは画像形成領域を基準として反射ミラー943を動かして角度調整を行い、次に液晶ライトバルブ925Bによる投写画像あるいは画像形成領域を基準として反射ミラー972を動かして角度調整を行うというように、順次取り付け角度を微調整する方法を採っても良い。
【0070】
本例では、液晶ライトバルブ925R、925Bに最も近い反射ミラー943と972の取り付け角度を微調整可能としているが、さらに、他の光学要素である青反射ダイクロイックミラー941、緑反射ダイクロイックミラー942、入射側反射ミラー971の一部、または全部の取り付け角度を微調整可能としても良いし、反射ミラー943と972のかわりにこれら他の光学要素の一部、または全部の取り付け角度を微調整可能としても良い。また、反射ミラー972の代わりに、中間レンズ973、または、集光レンズ953の位置を調整可能としても良い。しかしながら、本例のように、液晶ライトバルブ925R、925Bと最も近い位置に配置された反射ミラー943、972の取り付け角度を微調整可能とするのが構成上、あるいは位置調整の精度上最も有利である。
【0071】
このように反射ミラー943、972を微調整可能とすることにより、従来のように、照明領域のずれを予め考慮して液晶ライトバルブの画像形成領域Aの周囲に広幅のマージンを設定しておく必要が無い。従って、画像形成領域Aの周囲に形成すべきマージンは極めて少なくて済むので、照明光の利用効率を高めることが可能となり、投写画像の明るさを高めることができる。
【0072】
また、マージンを少なくしても、反射ミラー943、972の取り付け角度を微調整することにより、図7(A)、(B)に示すように画像形成領域Aの一部が照明領域Bから外れてしまうという事態を解消することができ、投写画像の縁に影ができてしまうといった弊害も発生しない。
【0073】
さらに、反射ミラー943、972を微調整可能とすることにより、照明領域Bのひずみをなくすことができるため、インテグレータ光学系923による均一な照明が可能であるというメリットを最大限に活用することができ、明るさが極めて均一な投写画像を得ることが可能となる。
【0074】
なお、上述したような反射ミラー等の光学要素の角度調整機構は、インテグレータ光学系923を用いない投写型表示装置においても有効である。
【0075】
(その他の実施の形態1)
本発明を適用した別の構成の投写型表示装置の一例を説明する。本例の投写型表示装置2000の光学系は、インテグレータ光学系と特殊な形状の偏光ビームスプリッタを備えた偏光照明装置を有する構成となっている。尚、本例において、前述した投写型表示装置1000と同様の構成については、図1〜図8で用いたものと同じ参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図9は、本例の投写型表示装置2000の光学系の要部を示した概略構成図であり、XZ平面における構成を示している。本例の投写型表示装置2000は、偏光照明装置1、白色光束を3色の色光に分離する色光分離手段、それぞれの色光を表示情報に基づいて変調し表示画像を形成する3枚の透過型の液晶装置、3色の色光を合成しカラー画像を形成する色光合成手段、そのカラー画像を投写表示する投写光学系とから大略構成されている。
【0077】
偏光照明装置1は、ランダムな偏光光束を一方向に出射する光源部10を備え、この光源部10から出射されたランダムな偏光光束は、偏光変換装置20によりほぼ一種類の偏光光束に変換される。
【0078】
光源部10は、光源ランプ101と、放物面リフレクター102から大略構成されており、光源ランプから放射された光は、放物面リフレクター102によって一方向に反射され、略平行な光束となって偏光変換装置20に入射される。ここで、光源部10の光源光軸Rがシステム光軸Lに対して一定の距離DだけX方向に平行シフトした状態となるように、光源部10は配置されている。
【0079】
次に、偏光変換装置20は、第1の光学要素200と、第2の光学要素300とから構成されている。
【0080】
第1の光学要素200は、前述した投写型表示装置1000の第1のレンズ板921に相当するものであり、XY平面における断面が矩形状の複数の光束分割レンズ201がマトリクス状に配列して構成されている。光源光軸Rは第1の光学要素200の中心に来るように配置されている。第1の光学要素200に入射した光は、光束分割レンズ201により複数の中間光束202に分割され、同時に光束分割レンズの集光作用により、システム光軸Lと垂直な平面内(図9ではXY平面)の中間光束が収束する位置に光束分割レンズの数と同数の集光像を形成する。尚、光束分割レンズ201のXY平面上における断面形状は液晶ライトバルブの画像形成領域の形状と相似形をなすように設定される。本例では、XY平面上でX方向に長い長方形の画像形成領域を想定しているため、光束分割レンズ201のXY平面上における断面形状も長方形である。
【0081】
第2の光学要素300は、集光レンズアレイ310、偏光分離ユニットアレイ320、選択位相差板380及び結合レンズ390から大略構成される複合体であり、第1の光学要素200による集光像が形成される位置の近傍の、システム光軸Lに対して垂直な平面内(図9ではXY平面)に配置される。尚、第1の光学要素200に入射する光束の平行性が極めて良い場合には、第2の光学要素から集光レンズアレイ310を省略した構成としても良い。この第2の光学要素300は、中間光束202のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離した後、一方の偏光光束の偏光方向と他方の偏光光束の偏光方向とを揃え、偏光方向がほぼ揃ったそれぞれの光束を一ヶ所の照明領域に導くような機能を有している。
【0082】
集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200とほぼ同様な構成となっている。即ち、集光レンズアレイ310は、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201と同数の集光レンズ311をマトリクス状に配列したものであり、それぞれの中間光束を偏光分離ユニットアレイ320の特定の場所に集光しながら導く機能を有している。従って、第1の光学要素200により形成された中間光束202の特性に合わせて、また、偏光分離ユニットアレイ320に入射する光はその主光線の傾きがシステム光軸Lと平行であることが理想的である点を考慮して、各集光レンズのレンズ特性は各々最適化されることが望ましい。但し、一般的には、光学系の低コスト化及び設計の容易さを考慮して、第1の光学要素200と全く同じものを集光レンズアレイ310として用いるか、或いは、光束分割レンズ201とXY平面での形状が相似形である集光レンズを用いて構成した集光レンズアレイを用いてもよいことから、本例の場合には、第1の光学要素200を集光レンズアレイ310として用いている。尚、集光レンズアレイ310は偏光分離ユニットアレイ320から離れた位置(第1の光学要素200に近い側)に配置してもよい。
【0083】
偏光分離ユニットアレイ320は、図10(A)、(B)に示すように、複数の偏光分離ユニット330がマトリクス状に配列した構成をなしている。偏光分離ユニット330の配列の仕方は、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201のレンズ特性及びそれらの配列の仕方に対応している。本例においては、全て同じレンズ特性を有する同心系の光束分割レンズ201を用いて、それらの光束分割レンズを直交マトリクス状に配列することで第1の光学要素200を構成しているため、偏光分離ユニットアレイ320も全て同じ偏光分離ユニット330を全て同じ向きに直交マトリックス状に配列することにより構成されている。尚、Y方向に列ぶ同一列の偏光分離ユニットが全て同じ偏光分離ユニットである場合には、Y方向に細長い偏光分離ユニットをX方向に配列して構成した偏光分離ユニットアレイ320を用いた方が、偏光分離ユニット間の界面における光損失を低減できると共に偏光分離ユニットアレイの製造コストを低減できるという点で有利である。
【0084】
偏光分離ユニット330は内部に一対の偏光分離面331と反射面332を備えた四角柱状の構造体であり、偏光分離ユニットに入射する中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離する作用を有している。偏光分離ユニット330のXY平面上における断面形状は、光束分割レンズ201のXY平面上における断面形状と相似形をなしており、即ち、横長の長方形である。従って、偏光分離面331と反射面332とは横方向(X方向)に並ぶように配置されている。ここで、偏光分離面331と反射面332とは、偏光分離面331がシステム光軸Lに対して約45度の傾きをなし、且つ、反射面332が偏光分離面と平行な状態をなし、さらに、偏光分離面331をXY平面上に投影した面積(後述するP出射面333の面積に等しい)と反射面332をXY平面上に投影した面積(後述するS出射面334の面積に等しい)とが等しくなるように配置されている。従って、本例では、偏光分離面331が存在する領域のXY平面上での横幅Wpと反射面332が存在する領域のXY平面上での横幅Wmとは等しくなるように設定されている。尚、一般的に、偏光分離面331は誘電体多層膜で、また、反射面332は誘電体多層膜或いはアルミニウム膜で形成することができる。
【0085】
偏光分離ユニット330に入射した光は、偏光分離面331において、進行方向を変えずに偏光分離面331を通過するP偏光光束335と、偏光分離面331で反射され隣接する反射面332の方向に進行方向を変えるS偏光光束336とに分離される。P偏光光束335はそのままP出射面333を経て偏光分離ユニットから出射され、S偏光光束336は再び反射面332で進行方向を変え、P偏光光束335とほぼ平行な状態となって、S出射面334を経て偏光分離ユニットから出射される。従って、偏光分離ユニット330に入射したランダムな偏光光束は偏光分離ユニットにより偏光方向が異なるP偏光光束335とS偏光光束336の二種類の偏光光束に分離され、偏光分離ユニットの異なる場所(P出射面333とS出射面334)からほぼ同じ方向に向けて出射される。偏光分離ユニットは上記の様な作用を有することから、それぞれの偏光分離ユニット330の偏光分離面331が存在する領域にそれぞれの中間光束202を導く必要があり、そのため、偏光分離ユニット内の偏光分離面の中央部に中間光束が入射するように、それぞれの偏光分離ユニット330とそれぞれの集光レンズ311の位置関係やそれぞれの集光レンズ311のレンズ特性は設定されている。特に、本例の場合には、それぞれの偏光分離ユニット330内の偏光分離面331の中央部にそれぞれの集光レンズの中心軸が来るように配置するため、集光レンズアレイ310は、偏光分離ユニットの横幅Wの1/4に相当する距離だけ、偏光分離ユニットアレイ320に対してX方向にずらした状態で配置されている。
【0086】
再び、図9に基づいて説明する。
偏光分離ユニットアレイ320の出射面の側には、λ/2位相差板が規則的に配置された選択位相差板380が設置されている。即ち、偏光分離ユニットアレイ320を構成する偏光分離ユニット330のP出射面333の部分にのみλ/2位相差板が配置され、S出射面334の部分にはλ/2位相差板は設置されていない。この様なλ/2位相差板の配置状態により、偏光分離ユニット330から出射されたP偏光光束は、λ/2位相差板を通過する際に偏光方向の回転作用を受けS偏光光束へと変換される。一方、S出射面334から出射されたS偏光光束はλ/2位相差板を通過しないので、偏光方向は変化せず、S偏光光束のまま選択位相差板380を通過する。以上をまとめると、偏光分離ユニットアレイ320と選択位相差板380により、偏光方向がランダムな中間光束は一種類の偏光光束(この場合はS偏光光束)に変換されたことになる。
【0087】
選択位相差板380の出射面の側には、結合レンズ390が配置されており、選択位相差板380によりS偏光光束に揃えられた光束は、結合レンズ390により各液晶装置の照明領域へと導かれ、照明領域上で重畳結合される。この結合レンズ390は、前述した投写型表示装置1000における第2のレンズ板922に相当する。ここで、結合レンズ390は1つのレンズ体である必要はなく、第1の光学要素200や、前述した投写型表示装置1000における第2のレンズ板922のように、複数のレンズの集合体であってもよい。
【0088】
第2の光学要素300の機能をまとめると、第1の光学要素200により分割された中間光束202(つまり、光束分割レンズ201により切り出されたイメージ面)は、第2の光学要素300により照明領域上で重畳結合される。これと同時に、途中の偏光分離ユニットアレイ320により、ランダムな偏光光束である中間光束は偏光方向が異なる二種類の偏光光束に空間的に分離され、選択位相差板380を通過する際にほぼ一種類の偏光光束に変換される。従って、液晶ライトバルブの画像形成領域は殆ど一種類の偏光光束でほぼ均一に照明されることになる。
【0089】
以上説明したように、本例の偏光照明装置1によれば、光源部10から出射されたランダムな偏光光束を、第1の光学要素200と第2の光学要素300により構成される偏光変換装置20により、ほぼ一種類の偏光光束に変換すると共に、その偏光方向の揃った光束により液晶ライトバルブの画像形成領域をほぼ均一に照明できるという効果を有する。また、偏光光束の発生過程においては光損失を殆ど伴わないため、光源部から出射される光の殆どすべてを液晶ライトバルブの画像形成領域へと導くことができ、従って、光の利用効率が極めて高いという特徴を有する。
【0090】
尚、本例では、第2の光学要素300を構成する集光レンズアレイ310、偏光分離ユニットアレイ320、選択位相差板380、結合レンズ390は光学的に一体化されており、それらの界面において発生する光損失を低減し、光利用効率を一層高める効果を発揮している。
【0091】
さらに、横長の長方形である画像形成領域の形状に合わせて、第1の光学要素200を構成する光束分割レンズ201を横長の長方形とし、同時に、偏光分離ユニットアレイ320から出射される二種類の偏光光束を横方向(X方向)に分離する形態としている。このため、横長の長方形である画像形成領域を照明する場合でも、光量を無駄にすることなく、照明効率(光利用効率)を高めることができる。
【0092】
一般に、偏光方向がランダムな光束をP偏光光束とS偏光光束とに単純に分離すると、分離後の光束全体の幅は2倍に拡がり、それに応じて光学系も大型化してしまう。しかし、本発明の偏光照明装置1では、第1の光学要素200により微小な複数の集光像を形成し、それらの形成過程で生じた光の存在しない空間を上手く利用し、その空間に偏光分離ユニット330の反射面332を配置することにより、2つの偏光光束に分離することに起因して生じる光束の横方向への幅の広がりを吸収しているので、光束全体の幅は広がらず、小型の光学系を実現できるという特徴がある。
【0093】
このように偏光照明装置1を採用した投写型表示装置2000では、一種類の偏光光束を変調するタイプの液晶装置が用いられている。従って、従来の照明装置を用いてランダムな偏光光束を液晶装置に導くと、ランダムな偏光光束のうちの約半分の光は、偏光板((図示せず)で吸収されて熱に変わってしまうので、光の利用効率が悪いと共に、偏光板の発熱を抑える大型で騒音の大きな冷却装置が必要であるという問題点があった。しかし、本例の投写型表示装置2000では、かかる問題点が大幅に改善されている。
【0094】
即ち、本例の投写型表示装置2000では、偏光照明装置1において、一方の偏光光束、例えばP偏光光束のみに対して、λ/2位相差板によって偏光面の回転作用を与え、他方の偏光光束、例えばS偏光光束と偏光方向が揃った状態とする。それ故、偏光方向の揃ったほぼ一種類の偏光光束が3ヶ所の液晶ライトバルブ925R、925G、925Bに導かれるので、偏光板による光吸収は非常に少なく、従って、光の利用効率が向上し、明るい投写画像を得ることができる。
【0095】
さらに、偏光照明装置1では、第2の光学要素300において、2種類の偏光光束を横方向(X方向)に空間的に分離している。従って、光量を無駄にすることがなく、横長の長方形である液晶装置を照明するのに都合がよい。
【0096】
なお、本例の偏光照明装置1では、偏光変換光学要素を組み入れているにもかかわらず、偏光分離ユニットアレイ320を出射する光束の幅の広がりが抑えられている。このことは、液晶装置を照明する際に、大きな角度を伴って液晶装置に入射する光が殆どないことを意味している。従って、Fナンバーの小さな極めて大口径の投写レンズを用いなくても明るい投写画像を実現でき、その結果、小型の投写型表示装置を実現できる。
【0097】
さて、このように構成した本例の投写型表示装置2000においても、その偏光照明装置1に含まれる第1の光学要素200、および第2の光学要素300のうち少なくとも一方の取り付け位置を、光軸Lに直交する方向に調整可能としておけば、偏光照明装置1による各液晶ライトバルブ925R、925G、925Bの照明領域を前後左右に微調整できるので、各液晶装置の画像形成領域を常に照明領域内に位置させることができる。
【0098】
ここで、第2の光学要素300の取り付け位置を上下(±Y方向)に微調整する機構の一例を説明する。図11(A)、(B)には、その取り付け位置を上下に微調整する機構の一例を断面図を用いて示してある。図11(B)は図11(A)のV−V断面図である。これらの図に示すように、位置調整機構750は、上下に設けられている。上下のライトガイド901、902によって、光軸1aに垂直な平面に沿って上下方向に延びる左右一対の垂直壁761、762と、これらの垂直壁761、762の下端を繋ぐ底壁763と、これらの垂直壁761、762の上端を繋ぐ上壁764とが形成され、各壁761〜764によって囲われた部分に第2の光学要素300が配置されている。第2の光学要素300は、一方の垂直壁761との間に設置された固定ばね769によって他方の垂直壁762に対して押しつけられており、左右(±X方向)の取り付け位置が規定されている。また、第2の光学要素300は、その下端が底壁763に設けられた保持溝768に挿入されている。また、第2の光学要素300の下部分は、底壁713にねじ781を介して固定された固定ばね783によって、上部分は、上壁764にねじ780を介して固定された固定ばね782によって、光路上流側(−Z方向)に向かって押しつけられている。さらに、第2の光学要素300の上端は、上壁764に設けられた凸部767に当接している。よって、第2の光学要素300は、Z方向の取り付け位置が規定された状態にある。
【0099】
一方、第2の光学要素300は、アライメントばね765を介して底壁763に対して支持され、上壁764に設けられた調整ねじ766によって下方(+Y方向)に向かって押されている。従って、調整ねじ766のねじ込み量を調整することにより、第2の光学要素300を上下(±Y方向)に移動させることができる。従って、照明領域Bが液晶ライトバルブ925の画像形成領域Aに対して縦方向にずれて、画像形成領域Aの一部が照明されないような場合には、調整ねじ766をきつくしたり、緩めたりして、第2の光学要素300の取り付け位置を上下に微調整することにより、照明領域Bの位置を縦方向にずらして、照明領域Bの中に画像形成領域Aを包含させた状態にすることができる。
【0100】
その後、第2の光学要素300は、上ライトガイド901に設けられた接着剤注入孔908a、908bから接着剤を注入することにより固定される。このような固定は必ずしも必要ではないが、外部からの衝撃による第2の光学要素300の位置ずれを確実に防止するために有効である。
【0101】
なお、第1の光学要素200、あるいは第2の光学要素300の取り付け位置を左右(±X方向)に微調整する機構としては、図6に示したような左右の方向に調整ねじおよびアライメントばねが設けられた位置調整機構を用いることにより容易に実現できる。
【0102】
また、調整ねじとアライメントばねを用いた位置調整機構として、上下のライトガイド901、902に対して直に調整ねじやアライメントばねを設けずに、別構成のレンズホルダーを採用することも勿論可能である。
【0103】
さらに、本例においても、上記の各光学素子の位置調整機構、その調整方法、照明領域の調整により得られる作用効果等は前述した投写型表示装置1000における場合と同様である。
【0104】
すなわち、本例の投写型表示装置2000においては、第1の光学要素200、第2の光学要素300の取り付け位置を微調整可能とすることにより、従来のように、照明領域のずれを予め考慮して、液晶装置の画像形成領域の周囲に広幅のマージンを設定しておく必要が無い。従って、画像形成領域の周囲に形成すべきマージンは極めて少なくて済むので、照明光の利用効率を高めて、投写画像の明るさを高めることができる。
【0105】
また、マージンを少なくしても、上記の各光学素子の取り付け位置を微調整することにより、液晶装置の画像形成領域の一部が偏光照明装置による照明領域から外れてしまう事態を解消できる。従って、投写画像の縁に影が出来てしまう等といった弊害も発生しない。
【0106】
なお、本例では、第2の光学要素300を構成する集光レンズアレイ310、偏光分離ユニット320、選択位相差板380、結合レンズ390が光学的に一体化されており、これらの境界面における光損失を低減するようになっているが、これらは必ずしも一体化する必要はない。これらを一体化しない場合には、集光レンズ310の位置を調整するだけでも照明領域の形成位置を調整することが可能である。
【0107】
ここで、本例の投写型表示装置2000においても、偏光照明装置1による液晶装置の照明領域が当該液晶装置の画像形成領域に対してずれてしまう要因として、各色の光束の光路上に配置された反射ミラーの反射面の取り付け角度誤差も挙げることができる。反射ミラーの反射面の取り付け角度は、光軸に対して45°であるが、この角度がずれると、図7(A)、(B)に示したように照明領域にひずみが生じてしまい、結果として照明領域が液晶装置の画像形成領域からはみだしてしまうこととなる。また、このように照明領域にひずみが生じている場合は、照明領域の左側の照度と右側の照明とが不均一になってしまうため、偏光照明装置1を用いたメリットが失われてしまうことにもなりかねない。
【0108】
そこで、本例の投写型表示装置2000においても、上述した偏光照明装置1を構成している各光学素子の微調整に加え、各色の光束の光路上に配置された反射ミラー943、972の反射面の角度を、入射光軸および反射光軸を含む平面に垂直な軸線の回り(図9矢印方向)に、入射光軸に対して微調整できるようにすれば良い。また、反射ミラー971、972の間に配置されているリレーレンズ973の取り付け位置を上下左右に調整するようにしても良い。なお、反射ミラーの反射面の角度を調整する機構の一例としては、図8を参照に説明した取り付け角度調整機構がある。
【0109】
(その他の実施の形態2)
先に述べた2つの例においては、液晶ライトバルブ925R、925G、925Bとして透過型の液晶ライトバルブを用いているが、これらの代わりに反射型の液晶装置を採用した投写型表示装置についても本発明は同様に適用することができる。そこで、先に述べた投写型表示装置2000における透過型の液晶ライトバルブの代わりに反射型のライトバルブを採用した投写型表示装置の一例を説明する。本例の投写型表示装置3000において、前述した投写型表示装置2000と同様の構成部分については、図9〜図11で用いたものと同じ参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0110】
図12は、本例の投写型表示装置3000の要部を平面的に見た概略構成図である。この図12は、第2の光学要素300の中心を通るXZ平面における断面図である。
【0111】
偏光ビームスプリッタ400は、図12のXY平面に対してほぼ45°の角度にS偏光の光束を反射し、かつP偏光の光束を透過させるS偏光光束反射面401を有するプリズムで構成されている。第2の光学要素300から出射される光束は、ほぼ1種類の偏光方向に変換された光束となっているため、ほぼすべての光束が偏光ビームスプリッタ400によって反射あるいは透過されることとなる。本例では、第2の光学要素300から出射される光束はS偏光光束であり、このS偏光光束はS偏光光束反射面401によって90度折り曲げられてダイクロイック膜がX字状に貼りあわされたプリズムユニット500に入射され、ここでR、G、Bの3色の成分に分離される。分離されたそれぞれの成分光は、ダイクロイックプリズム500の3辺に沿って配置された反射型液晶装置600R、600G、600Bに入射される。反射型液晶装置600R、600G、600Bに入射された光束は、反射型液晶装置600R、600G、600Bにより変調される。
【0112】
図13に、反射型液晶装置600R、600G、600Bの一例を示す。反射型液晶装置600R、600G、600Bは、マトリクス状に配置された画素のそれぞれにTFTスイッチング素子が接続されたアクティブマトリックス型液晶装置であり、一対の基板610、630間に液晶層620が挟持された構造となっている。基板610はシリコンからなり、その一部にソース611、ドレイン616が形成されている。また、基板610上には、アルミ層からなるソース電極612及びドレイン電極617、二酸化珪素層613からなるチャネル、シリコン層614及びタンタル層615とからなるゲート電極、層間絶縁膜618、アルミ層からなる反射画素電極619が形成され、ドレイン電極617と反射画素電極619とはコンタクトホールHを介して電気的に接続されている。反射画素電極619は不透明であるため、ゲート電極、ソース電極612、ドレイン電極617の上に層間絶縁膜618を介して積層することができる。隣り合う画素電極619間の距離Xはかなり小さくすることが可能であるため、開口率を大きく取ることができ、投写画像を明るくすることが可能である。なお、本例においては、ドレイン616、二酸化珪素層613´、シリコン層614´、タンタル層615´から構成される保持容量を設けている。
【0113】
一方、対向する基板630には、液晶層620側の面にITOからなる対向電極631が形成されており、他方の面には反射防止層632が形成されている。本例において、液晶層620としては、電圧無印加(OFF)時には液晶分子621が垂直に配向しており、電圧印加(ON)時には液晶分子621が90度ねじれるスーパーホメオトロピック配向のものを用いている。よって、図4に示したように、電圧無印加(OFF)時に偏光ビームスプリッタ400から反射型液晶装置600R、600G、600Bに入射されたS偏光光束はその偏光方向を変えること無く反射型液晶装置600R、600G、600Bから偏光ビームスプリッタ400へ戻されるため、S偏光光束反射面401によって反射されて投写レンズユニット6の方へ到達することはない。一方、電圧印加(ON)時に偏光ビームスプリッタ400から反射型液晶装置600R、600G、600Bに入射されたS偏光光束は、液晶分子621のねじれによりその偏光方向が変えられてP偏光光束となり、S偏光光束反射面401を透過した後、投写レンズユニット6を介してスクリーン100に投写されることとなる。
【0114】
再び図12に基づいて説明する。反射型液晶装置600R、600G、600Bによって変調された光束は、プリズムユニット500によって合成され、偏光ビームスプリッタ400、投写レンズユニット6を介してスクリーン100に投写されることとなる。
【0115】
本例の投写型表示装置3000においても、偏光照明装置1の偏光変換装置20を構成している第1の光学要素200、第2の光学要素300の取り付け位置を、光軸に直交する方向に上下左右に移動可能にしておくことにより、この偏光照明装置1による液晶装置の照明領域を適切な位置および形状となるように調整できる。なお、これらの位置調整可能な光学素子の調整機構、調整方法、調整によって得られる作用効果は、上記の投写型表示装置2000における場合と同様である。
【0116】
また、本例の投写型表示装置3000は、照明領域の調整以外の点についても、前に述べた2つの投写型表示装置と同様の効果が得られる上、次のような効果を得ることができる。すなわち、色分離手段と色合成手段とを同一のプリズムユニットにて構成しているため、光路長をきわめて短くすることができる。また、液晶装置の開口率も大きいため、光の損失を最大限に防ぐことが可能となる。よって、大口径の投写レンズを用いなくともきわめて明るい投写画像を得ることが可能となる。さらに、第1の光学要素、第2の光学要素を用いたことにより、明るさが均一で照度にムラのない偏光光束を照明光として得ることが可能となるため、表示面、並びに投写画面全体に渡ってきわめて均一であり、かつきわめて明るい投写画像を得ることが可能となる。
【0117】
なお、反射型の変調手段として、本例では反射型液晶装置600R、600G、600Bをあげているが、液晶装置以外の反射型の変調手段を用いることも当然可能であり、その構造、その各構成要素の材料、並びに液晶層620の動作モードについては上述の例に限られるものではない。
【0118】
さらに、偏光ビームスプリッタ400を構成しているプリズム402とプリズムユニット500を構成しているプリズム501を一体のプリズムで構成すれば、これらの境界における光損失を防ぐことが可能となり、より光の利用効率を高めることが可能となる。
【0119】
(その他の実施の形態3)
以上述べてきた3つの例では、カラー画像を投写表示可能な投写型表示装置における光学要素の微調整機構について説明したが、このような微調整機構はモノクロ画像を投写する形態の投写表示装置に対しても同様に適用できる。
【0120】
また、光学系の配置に関しても上述の例に限られるものではなく、これらの配置を変更しても本発明の効力が失われるものではない。
【0121】
さらには、投写型表示装置としては、本例で説明したスクリーンの観察面側から画像を投写する前面投写型表示装置の他に、スクリーンの観察面とは反対側から画像を投写する背面投写型のものがある。本発明は、当然にこの背面投写型のものにも適用可能である。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の投写型表示装置においては、色分離光学系と複数の変調手段のうち少なくとも一の変調手段との間の光路中に配置された3つの集光レンズを有する投写型表示装置において、導光系を構成する3つの集光レンズのうち少なくとも1つの取り付け位置が調整可能となっている。従って、変調手段を照明する照明光による照明領域の形成位置をに微調整できるので、照明領域の形成位置が変調手段の画像形成領域を包含する位置となるように設定できる。
【0123】
従って、照明領域が変調手段の画像形成領域からずれることを想定して大きなマージンを画像形成領域の周囲に形成しておく必要がない。このため、照明光の利用効率を高め、投写画像の明るさを改善できる。また、画像形成領域を包含する位置となるように照明光による照明領域を形成できるので、投写画像の縁に影ができる等といった弊害も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した投写型表示装置の外観形状を示す図である。
【図2】(A)は投写型表示装置の内部構成を示す概略平面構成図、(B)はその概略断面構成図である。
【図3】光学ユニットと投写レンズユニットの部分を取り出して示す概略平面構成図である。
【図4】光学ユニットに組み込まれている光学系を示す概略構成図である。
【図5】インテグレータ光学系による照明領域と液晶ライトバルブの表示領域の関係を示す模式図である。
【図6】(A)および(B)は、それぞれレンズ板の取り付け位置を左右に微調整する機構を示す概略断面構成図である。
【図7】反射手段の反射面によるインテグレータ光学系の照明領域の形状の変化を示すための説明図である。
【図8】反射ミラーの取り付け角度を微調整する機構を示す図であり、(A)はホルダー板の説明図、(B)は微調整機構の平面図、(C)は微調整機構の断面図である。
【図9】本発明を適用したな投写型表示装置の光学系の別の例を示す概略平面構成図である。
【図10】(A)は図7の偏光分離ユニットアレイを示す斜視図、(B)は当該偏光分離ユニットアレイによる偏光光束の分離動作を示すための説明図である。
【図11】(A)および(B)は、第2の光学要素の取り付け位置を左右に微調整する機構を示す概略断面構成図である。
【図12】本発明を適用した投写型表示装置の光学系の更に別の例を示す概略平面構成図である。
【図13】図9の反射型の液晶装置の動作を示す説明図である。
【図14】インテグレータ光学系を備えた一般的な投写型表示装置の光学系の概略構成図である。
【図15】液晶ライトバルブ上の照明領域と画像形成領域との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 偏光照明装置
1a 中心光軸
1b 軸線
2 外装ケース
3 アッパーケース
4 ロアーケース
5 フロントケース
6 投写レンズユニット
7 電源ユニット
8 光源ランプユニット
9 光学ユニット
10 光源部
11 インターフェース基板
12 ビデオ基板
13 制御基板
14R、14L スピーカー
15A 吸気ファン
15B 循環用ファン
16 排気ファン
17 補助冷却ファン
18 フロッピーディスクユニット
20 偏光発生装置
81 放電ランプ
82 リフレクター
100 スクリーン(投写面)
101 光源ランプ
102 放物線リフレクター
200 第1の光学要素
201 光束分割レンズ
202 中間光束
300 第2の光学要素
310 集光レンズアレイ
311 集光レンズ
320 偏光分離ユニットアレイ
330 偏光分離ユニット
331 偏光分離面
332 反射面
333 P出射面
334 S出射面
335 P偏光光束
336 S偏光光束
380 選択位相差板
390 結合レンズ(重畳結合手段)
400 偏光ビームスプリッタ
401 S偏光光束反射面
402 プリズム
500 プリズムユニット
501 プリズム
600R、600G、600B 反射型液晶装置(変調手段)
610、630 基板
611 ソース
612 ソース電極
613、613’ 二酸化珪素層
614、614’ シリコン層
615、615’ タンタル層
616 ドレイン
617 ドレイン電極
618 層間絶縁膜
619 反射画素電極
620 液晶層
631 対向電極
632 反射防止層
700 位置調整機構
710 凸部
711、712 垂直壁
713 底壁
714 上壁
715 保持溝
716、718 ねじ
717、719 固定ばね
720 アライメントばね
721 調整ねじ
730 角度調整機構
740 ホルダー板
741 軸部
742 アライメントばね
742a、742b、742c 支点部
743 調整ねじ
744 ばねホルダー
745a、745b ばね支持部
746a、746b 保持部
748 クリップ
749 支持部
750 位置調整機構
760 レンズホルダー
761、762 垂直壁
763 底壁
764 上壁
765 アライメントばね
766 調整ねじ
767 凸部
768 保持溝
769 固定ばね
770 板
771 ねじ
780、781 ねじ
782、783 固定ばね
821 反射面
901 上ライトガイド
902 下ライトガイド
902a ねじ操作部
903 ヘッド板
904a、904b、905a、905b、906a、906b、907a、907b、908a、908b 接着剤注入孔
910 プリズムユニット
921 第1のレンズ板
922 第2のレンズ板
921a、922a レンズ
923 インテグレータ光学系
924 色分離光学系、
925、925R、925G、925B 液晶ライトバルブ(変調手段)
927 導光系
931 反射ミラー
941 青緑反射ダイクロイックミラー
942 緑反射ダイクロイックミラー
943 反射ミラー(反射手段)
944 赤色光束の出射部
945 緑色光束の出射部
946 青色光束の出射部
951、952、953、954 集光レンズ
971 入射側反射ミラー
972 出射側反射ミラー(反射手段)
973 中間レンズ
1000、2000、3000 投写型表示装置

Claims (5)

  1. 光源と、
    前記光源から射出された光束を各色の光束に分解する色分離光学系と、
    前記色合成光学系によって合成された変調光束を投写面上に拡大投写する投写手段と、
    前記色分離光学系と前記複数の変調手段のうち少なくとも一の変調手段との間の光路中に配置された3つの集光レンズと、を有する投写型表示装置であって、
    前記3つの集光レンズのうち少なくとも1つの取り付け位置が調整可能となっていることを特徴とする投写型表示装置。
  2. 請求項1において、
    前記光源と前記変調手段との間の光路上には、前記光源から射出された光束を複数の中間光束に分割する複数のレンズを備えた第1のレンズ板並びに複数の集光レンズを備えた第2のレンズ板が配置されていることを特徴とする投写型表示装置。
  3. 請求項2において、
    前記第1および第2のレンズ板のうちの少なくとも一方のレンズ板は、光軸に交わる方向に取り付け位置が調整可能となっていることを特徴とする投写型表示装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    さらに、前記中間光束のそれぞれをP偏光光束とS偏光光束とに空間的に分離し、前記P偏光光束、S偏光光束のうちいずれか一方の偏光方向を他方の偏光光束の偏光方向と揃えて出射する偏光変換装置を備えていることを特徴とする投写型表示装置。
  5. 請求項4において、
    前記偏光変換装置と前記第2のレンズ板とは一体化されてなることを特徴とする投写型表示装置。
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