JP2004004475A - ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀乳剤の製造方法 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤およびハロゲン化銀乳剤の製造方法 Download PDF

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Tetsuro Mitsui
三ツ井 哲朗
Katsuhisa Ozeki
大関 勝久
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Abstract

【課題】高濃度の平板状ハロゲン化銀乳剤を高効率に製造することができるハロゲン化銀微粒子乳剤を提供する。
【解決手段】数平均円相当径が10nm以下で、円相当径の変動係数が30%以下であるハロゲン化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀微粒子のモル濃度が0.5mol/l以上であるハロゲン化銀微粒子乳剤。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、より薄いハロゲン化銀平板粒子を高効率に製造する際に有効な、ハロゲン化銀微粒子乳剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光素子としてのハロゲン化銀粒子においては、受光面積を大きくすることを目的として平板ハロゲン化銀粒子が広く用いられている。この平板ハロゲン化銀粒子の受光効率を上げるためには、平板粒子の厚さがより薄いほど好ましい。ハロゲン化銀粒子の調製は、大きく分けて成長の核となる粒子を形成する核形成と成長の2つの工程がある。核形成は種々の攪拌装置をもつ反応容器中に直接水溶性銀溶液やハロゲン化アルカリ水溶液を添加する方法が用いられる。核となる粒子の成長についても広く上記のイオン添加法が行われているが、この方法では該平板粒子が銀イオンまたはハロゲン化物イオンの添加口近傍の高飽和領域を通過するため、平板粒子の厚さが増加する弊害が生じる。この対策として、反応容器とは別の外部混合器中に水溶性銀溶液、ハロゲン化アルカリ水溶液および分散媒水溶液を添加して調製したハロゲン化銀微粒子を反応容器内に添加してオストワルド熟成により溶解し、該平板粒子を低過飽和状態で成長させる製造方法がこれまで特公平7−23218号 [特許文献1] 、特開平10−43570号 [特許文献2] など幾つかの文献に記載されている。
【0003】
該微粒子乳剤の特徴については、特公平7−23218 号[特許文献3] などにおいてサイズの記載がなされ、かつ単分散が好ましいことが開示されている。しかし、これらの文献においては、微粒子の溶け残りが無い状態で、かつ高効率に薄い平板粒子を調製するために該微粒子乳剤の満たすべき条件が明確でない。この点に関して、高濃度にすることにより単位容積当りの銀量を増大させ、かつ小サイズ、単分散な微粒子を用いることにより微粒子の残存を生じさせない条件として、微粒子乳剤の特性値を明確にした本発明の内容と異なる。
【0004】
微粒子乳剤の調製は、通常の場合、攪拌機を備えた反応容器内に銀イオンを含む溶液とハロゲン化物イオンを含む溶液を添加して行われる。この際、初期の添加によって核形成が起こり、その後の添加によって結晶成長が行われ、結果微粒子が形成される事となる。
本発明のハロゲン化銀粒子乳剤は、高濃度で、かつサイズも小さく単分散であることを特徴としている。本発明の微粒子乳剤調製のために攪拌器に求められる機能の一つは、瞬間的に、ミクロに均一混合することである。攪拌方法には、例えば特開平7−219092号 [特許文献4] 、特開平8−171156号 [特許文献5] 、特開平4−283741号 [特許文献6] 、特公平8−22739号[特許文献7] に記載されているような様々な方法がある。しかし、このような方法で微粒子調製を行う場合、いずれの攪拌方法を用いても、反応容器内を液が循環するために核形成と核成長が並行して起こり、単分散な微粒子を生成することが困難である。そのため、反応容器中では、できるだけ短時間で添加液を完全に混合し、生成した微粒子を出来るだけ速く混合器から排出することが望まれる。混合に長時間を要したり、添加液が外部混合器内部を循環することは好ましくない。
【0005】
前述の反応容器として様々な形式のものを用いることが出来る。米国特許第5,250,403号明細書 [特許文献8] や特開平10−43570 号[特許文献9] では、小容量の混合器の中で攪拌羽根によって混合を行う。しかし、このような方法は容器内で添加液が混合器内部を循環する。
【0006】
特開平4−139440号 [特許文献10] や特表平6−507255号 [特許文献11] では、機械的攪拌を伴わずに混合を行うため、添加液の循環は存在しない。しかし、これらの方法では、強力な攪拌が存在しないために混合力が不十分である。米国特許第5,104,786号明細書 [特許文献12] あるいは特開平11−38539号 [特許文献13] ではパイプ中で2液を混合する方法が開示している。この場合にも添加液の循環は生じないが、一定方向に流れるいわゆるプラグフロウであるため、混合は高速流に伴う乱流の発生に頼らざるを得ない。プラグフロウで十分な乱流を発生するためには非常に高速な流れを持続する必要があり、困難を伴う。
機械的攪拌を伴わずに十分な混合力を保つために、添加液を直線状の噴流としてその運動エネルギーによって混合を行う方法がある。特開平8−334848号[特許文献14] にはそのような噴流の運動エネルギーを利用するハロゲン化銀写真乳剤の製造方法が開示されている。しかし、該特許はシングルジェット法によるハロゲン化銀写真乳剤の製造方法に関するものであり、添加液の内部循環時間が大きい。さらにここで用いられている運動エネルギーでは反応容器全体の混合を行うには不十分なため、機械的攪拌が併用されている。
【0007】
銀塩水溶液とハロゲン化物水溶液の少なくとも一方を高い流速を持つ直線状の噴流とし、前記二種類の溶液を短時間内に混合してハロゲン化銀粒子を連続的に生成することが特開2000−338620号 [特許文献15] あるいは特開2001−290231号 [特許文献16] に開示されている。しかし高い流速を利用しても、ミクロな混合にとっては不十分であり、さらなる改良が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−23218号公報
【特許文献2】
特開平10−43570号
【特許文献3】
特公平7−23218公報
【特許文献4】
特開平7−219092号公報
【特許文献5】
特開平8−171156号公報
【特許文献6】
特開平4−283741号公報
【特許文献7】
特公平8−22739号公報
【特許文献8】
米国特許第5,250,403号明細書
【特許文献9】
特開平10−43570号公報
【特許文献10】
特開平4−139440号公報
【特許文献11】
特表平6−507255号公報
【特許文献12】
米国特許第5,104,786号明細書
【特許文献13】
特開平11−38539号公報
【特許文献14】
特開平8−334848号公報
【特許文献15】
特開2000−338620号公報
【特許文献16】
特開2001−290231号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
連続的に微粒子を添加してハロゲン化銀平板乳剤を製造する方法において、高濃度の平板乳剤を高効率に製造することができるハロゲン化銀微粒子乳剤を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1) 数平均円相当径が10nm以下で、円相当径の変動係数が30%以下であるハロゲン化銀微粒子(集団)を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀微粒子のモル濃度が0.5mol/l以上であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)。
(2) 該ハロゲン化銀微粒子の双晶粒子数の比率が15%以下であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)。
(3) 前記ハロゲン化銀微粒子の数平均円相当径が10nm以下、好ましくは8nm以下、より好ましくは6nm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)。
(4) ハロゲン化銀微粒子の円相当径の変動係数が25%以下、好ましくは15%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)。
(5) 銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を混合して、(1)〜(4)に記載のハロゲン化銀乳剤を製造する方法であって、該銀塩水溶液と該ハロゲン化物塩水溶液の少なくとも一方が、噴流で混合器に導入され、該噴流が減速する領域を混合器内に有し、該噴流の速度が減速領域への侵入時の1/10に減速する以前に、他方の溶液が該噴流中に導入されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)の製造方法。上記の方法において、他方の溶液、及び噴流が形成される部分の温度は0℃以上20℃以下であることが好ましい。
(6) 少なくとも二つの溶液を混合する混合器を用いて(1)〜(4)に記載のハロゲン化銀乳剤を製造する方法であって、第一液は噴流として混合器に導入され、第二液は該噴流の渦粘性が最大になる以前に混合器に導入されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)の製造方法。上記の方法において、第二液、及び噴流が形成される部分の温度は0℃以上20℃以下であることが好ましい。
(7) 平板状ハロゲン化銀乳剤の製造工程において、(1)〜(6)記載のハロゲン化銀乳剤(ハロゲン化銀微粒子乳剤)を添加することを特徴とする平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明で製造されるハロゲン化銀乳剤について説明する。
本発明中に記載される平板状ハロゲン化銀粒子(以後平板粒子とも呼ぶ)とは、2つの対向する平行な(111)主表面、もしくは(100)主表面を有するハロゲン化銀粒子を言う。本発明において記載されている平板粒子は1枚の双晶面あるいは2枚以上の平行な双晶面を有するか、もしくはらせん転位を有する。双晶面とは(111)面の両側ですべての格子点のイオンが鏡像関係にある場合にこの(111)面のことをいい、らせん転位とは、それを中心として格子点のイオンにらせん状の周期性が生じている転位線をいう。この平板粒子は、粒子を主表面に対して垂直方向から見た時、三角形状、四角形状、六角形状もしくはこれらが丸みを帯びた円形状をしている。平板粒子は、その円相当径と厚さにより特徴づけられ、円相当径/厚さの比(アスペクト比)の平均が2以上の粒子であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、厚さ(平均)は0.1μm以下が好ましく、0.01以上0.05μm以下がより好ましい。円相当径および厚さの変動係数は小さいほど好ましい。特に、円相当径の変動係数は、30%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明のハロゲン化銀微粒子を含むハロゲン化銀乳剤(この明細書では「ハロゲン化銀微粒子乳剤」または「微粒子乳剤」と呼ぶことあり)について説明する。本発明のハロゲン化銀微粒子乳剤は、主に微粒子添加法によるハロゲン化銀平板粒子の調製に用いることを主たる目的としているが、成長前の核として用いることもできるし、X線感材用感光素子としてなど、他の用途に用いることもできる。微粒子添加法による平板粒子調製において、添加する微粒子のサイズが大きい場合、サイズが大きいほど平衡溶解度が低くなるため、該微粒子は溶解せずに残存しやすい。これは、微粒子を添加する速度、すなわち単位時間当りの添加銀量を少なくする事により解消できる場合もあるが、製造に要する時間が長くなるため非効率である。また、添加する微粒子の分布が多分散な場合、添加後、サイズ差の大きい微粒子間で熟成が起こり、結果大きな微粒子が存在する事となり、該微粒子が溶解せずに残存する現象が起こる場合がある。このため、添加する微粒子は、適切に小さく、単分散である必要がある。
【0013】
また、製造時間を短くし高効率で平板粒子を調製するためには、単位時間当りの添加銀量を多くすることが望ましい。しかし、微粒子添加法において、単位時間当りの添加銀量を多くすると残存微粒子を生じやすく、この傾向は微粒子サイズが大きいほど顕著である。残存微粒子が生じる場合、添加する速度を遅くする、あるいは添加微粒子乳剤の濃度を薄くするなどして添加銀量を少なくする施策が考えられるが、その場合、製造時間の長時間化、あるいは総添加液量の増大を引き起こすため、生産効率を上げられない。高効率を達成するためには、微粒子乳剤は高濃度で、かつ溶け残りがないよう微粒子サイズが適切に小さい必要がある。
【0014】
よって、高効率に薄い平板粒子を調製するためには、高濃度で、適切に小サイズで、かつ単分散な微粒子乳剤が必要となる。本発明のハロゲン化銀微粒子乳剤に含まれるハロゲン化銀微粒子のモル濃度は0.5mol/l以上(好ましくは10mol/l 以下) であり、好ましくは1mol/l以上10mol/l 以下である。また、本発明のハロゲン化銀微粒子の数平均円相当径は10nm以下( 好ましくは1nm 以上) であり、好ましくは8nm以下であり、より好ましくは6nm以下である。また、該ハロゲン化銀微粒子の円相当径の変動係数30%以下であり、好ましくは25%以下である。
【0015】
また、微粒子乳剤中に双晶を有する微粒子が多く含まれる場合、該微粒子は残存しやすくなる。このため、平板粒子を成長させる用途として用いる場合、全微粒子中の双晶粒子数の比率は小さい方が望ましい。本発明において好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0016】
ハロゲン化銀微粒子及び平板粒子の円相当径は直接法電子顕微鏡観察から求めることができ、同等の投影面積を有する円の直径として求める。微粒子の場合、微粒子であるため熟成などによりサイズが大きくなりやすいために、添加される微粒子の観察は熟成抑制剤または成長抑制剤で粒子変化を止めた後、観察する。もしくは添加されるハロゲン化銀微粒子を直ちに電子顕微鏡観察用メッシュ上に乗せ、直ちに水分を除去して観察する。マイナス100℃以下の温度で電子顕微鏡観察することによりハロゲン化銀微粒子観察が容易になる。1000粒子以上について円相当径を求め、数平均円相当径と円相当径の変動係数を求めることができる。また、ハロゲン化銀微粒子の双晶粒子数の比率は、微粒子乳剤を40℃以下、好ましくは35℃以下の温度で、新核発生なしに高過飽和条件下で明確な粒子形状を示す所まで成長させ、該粒子のレプリカの透過型電子顕微鏡写真像を観察することにより求めることができる。詳細は特開平2−146033号の記載を参考にする事ができる。
【0017】
ハロゲン化銀微粒子乳剤のハロゲン組成は、臭化銀、沃臭化銀、塩化銀、塩臭化銀、沃化銀、塩沃化銀および塩沃臭化銀から選択されるが、好ましくは沃化銀含量1〜5モル%の沃臭化銀である。
【0018】
本発明の微粒子乳剤に使用される分散媒には、ゼラチンが好ましく用いられる。このときゼラチンは生成するハロゲン化銀粒子中の双晶発生確率に大きな影響を与えるため、好ましいゼラチン水溶液濃度は、生成する微粒子ハロゲン化銀粒子の使用目的によって異なる。平板状ハロゲン化銀粒子調製を行う際の核としてハロゲン化銀微粒子を利用する場合、平行二重双晶核あるいはらせん転位が必要なため、所望の双晶発生確率が達成されるようにゼラチン水溶液濃度を調節することが必要である。銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液が混合されたときに銀1gあたりのゼラチン量が0.03g以上0.4g以下となるようにゼラチン濃度を選ぶことが好ましく、0.3g以下にすることがさらに好ましい。また、成長に利用する場合には、添加したハロゲン化銀粒子が速やかに溶解することが好ましい。そのため、双晶核が少ない方が好ましく、ゼラチン水溶液濃度は高い方が好ましい。ゼラチン水溶液濃度は添加される硝酸銀1gに対して0.2g以上、1g以下、ゼラチンが添加される濃度にすることが好ましく、0.3g以上にすることがさらに好ましく、0.4g以上にすることが最も好ましい。
【0019】
本発明の微粒子乳剤により平板粒子を成長させる場合、ハロゲン化銀粒子と共に添加されるゼラチンが平板状ハロゲン化銀粒子の厚さに影響を及ぼす。反応容器に保持されている平板粒子の厚さへの影響はゼラチンの化学修飾によって様々に変化させることができる。薄い平板状ハロゲン化銀粒子を得るために、酸化処理、フタル化処理、コハク化処理、トリメリット化処理ゼラチンを好ましく用いることができる。
【0020】
本発明の微粒子乳剤を添加する事により、ハロゲン化銀平板粒子を調製する事ができる。この時、予め該微粒子乳剤を何らかの混合器で調製し、該混合器内で経時させた後もしくは何らかの容器に収納した後に改めてハロゲン化銀平板粒子が調製される反応容器内に添加してもよいし、平板粒子が調製される反応容器の外部に設置された混合器において本発明の微粒子乳剤を添加直前調製して、調製後直ちに該反応容器内に添加しても良い。ここで添加直前調製とは、反応容器の外部にある混合器中に水溶性銀溶液、ハロゲン化アルカリ水溶液および分散媒水溶液を添加して好ましくは反応容器中に添加する10分前以内、より好ましくは添加する1分前以内、さらに好ましくは添加する10秒前以内に本発明の微粒子乳剤を調製することを意味する。経時により微粒子間の熟成が生じるため、微粒子の添加方法は微粒子を直前調製し平板成長が行われる反応容器内に添加する方が好ましい。本発明の微粒子乳剤を用いて調製されるハロゲン化銀平板粒子のハロゲン組成は、沃臭化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀いずれでも良い。本発明の微粒子乳剤を反応容器に添加してオストワルド熟成によって粒子成長を行う際、反応容器内の乳剤の温度は40℃以上が好ましく、更に60℃以上、さらに70℃以上、100℃以下が好ましい。
【0021】
以下、本発明の微粒子乳剤を好ましく調製しうる、本発明中の混合器について説明する。
【0022】
物質は、いわゆる流れ(以後、平均流という)と平均流とは方向の異なる渦(以後、渦流という)の二つの要因によって混合される。微少領域において高い攪拌効率を得るためには、渦流による混合を行う必要がある。先行技術で述べた、たとえば米国特許第5,104,786号明細書に開示されているような従来法を用い、流速により渦流を発生させる場合、レイノルズ数が数万の装置を用いたとしても混合が十分とはいえない。ところが本発明では、流速を短時間に減少させることで、流体の運動エネルギーを平均流から渦流へと変換することができ、攪拌混合効率が大きく高められることが見いだされた。したがって、本発明によるハロゲン化銀粒子調製装置は、速度の大きな噴流(第一液)を短時間に減速せしめる構造を有し、且つ噴流の速度が減少する以前に混合されるべき液(第二液)が噴流と接することを可能とする第二液の導入口有する。
速度の大きな噴流は、小サイズ径を有する導入口から、10m/sec以上、好ましくは10m/sec以上360m/sec以下、特に好ましくは30m/sec以上100m/sec以下の流速で減速領域に導入される。噴流の速度は大きいほど減速時の渦流発生も大きく混合に有利であるため、従来技術では噴流の速度は高いほど望ましいとされていた。しかしながら、大きな噴流速度を発生させるためには高圧を発生させる必要があった。本発明の効果は、噴流の減速領域への入射速度が比較的小さい場合にも高い混合効率が得られる点に特徴を有する。そのため、製造上の負荷が大きく低減する。
渦流発生のための減速領域とは、噴流導入口の直径Ijよりも大きな断面積Imを有することで噴流の減速を可能とする領域である。Im/Ijは2以上が好ましく10以上1000以下が特に好ましい。
噴流の導入口は一つであっても複数(n個)であっても良いが、Im/n×Ijは上記範囲にあることが好ましい。また、複数の噴流が減速する際に生じる渦流は、お互いに重なりあうことが好ましい。渦流の重なりにより混合が促進されるためである。
噴流の導入口の形状は円形であってもスリット状であっても良い。
【0023】
第二液の導入口の位置は重要である。噴流の進行方向をZ方向とし、噴流のZ方向の速度をVz、噴流が減速領域へ侵入した速度をVz0とする。この際、第二液の導入口の中心は、Z方向において、Vzが以下の範囲にある必要がある。
(1/10)Vz0<Vz<Vz0
第二液は噴流の突出口直前に設けてもよい。
噴流の流速は、たとえばマーカーとなる物体を流体中に混入させて、その動きを光学的に検出して求めることができる。また、近年、数値流体解析技術が進歩しており、流体の運動方程式を有限差分法を用いて解くことによっても求めることができる。
【0024】
第二液の添加口は一つであっても複数であっても良いが、その流量は噴流の減速を妨げないものであることが望まれる。好ましい対応と比較を図1に示した。Aの従来法では、導入口(1)および(2)よりそれぞれ第一液および第二液が導入されるが導入後のパイプ径3が小さく流速は減少しない。このため十分な攪拌効果が得られない。Bの本発明では噴流の導入口(1)より噴流が導入され、その後減速領域(3)で急速に減速される。この際、第二液は減速以前に導入口(2)より導入され、減速時に発生する高い渦流効果により、十分混合される。
【0025】
高い流速を持つ噴流による混合を行う場合、該噴流の高い運動エネルギーは直進流から渦流に変換されるのみならず、熱エネルギーにも変換される。このため、混合液の温度が上昇する。本発明においては、より微細な粒子を形成する事を指向するが、温度の上昇はハロゲン化銀の溶解度の上昇を来たし、粒子サイズを大きくする事になる。この望ましくない温度上昇を防ぐ為には、添加液の温度を予め低くしておく事が望ましい。添加液(銀塩水溶液及び/又はハロゲン化物塩水溶液で、前記(5)の他方の溶液、前記(6)の第二液等)の温度は、20℃以下(好ましくは0℃以上)が好ましく、10℃以下がさらに好ましく、5℃以下が最も好ましい。また噴流が形成される部分を冷却する事が好ましい。好ましくは20℃以下、より好ましくは5℃以下にする事が好ましい。
【0026】
本発明のハロゲン化物塩水溶液は、通常、臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、沃化カリウム、沃化ナトリウムおよびそれらの混合物の水溶液が用いられる。
【0027】
本発明の銀塩(好ましくは硝酸銀)水溶液とハロゲン化物塩水溶液の少なくとも一方に保護コロイドとしてゼラチンが含まれることが好ましい。ゼラチンは生成するハロゲン化銀粒子サイズ及びハロゲン化銀粒子中の双晶発生確率に大きな影響を与えるため、好ましいゼラチン水溶液濃度は、生成する微粒子ハロゲン化銀粒子の使用目的によって異なる。
【0028】
ゼラチンの濃度を高くし過ぎると、ゼラチン水溶液の粘度が増加し添加が困難になる。酵素分解などの手法でゼラチンの低子量を小さくすることにより、粘度を低下させることができる。ゼラチンの分子量は1000以上、10万以下であることが好ましく、1000以上、5万以下であることがさらに好ましく、1000以上3万以下であることが最も好ましい。
【0029】
銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液の混合は短時間に行うことが好ましい。混合器内での混合時間は0.5秒以下であることが好ましく、0.1秒以下であることが最も好ましい。また、本発明の方法においては、混合器内で銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液が衝突した後、生成したハロゲン化銀微粒子が反応容器のハロゲン化銀乳剤と出会うまでの時間(以後ΔTと記載する)は任意に調節することができる。この時間は混合器である細管の直径と添加される水溶液の流量によって簡単に計算する事ができる。ΔTの間に、形成した微粒子を熟成することにより、所望の粒子サイズにすることが可能である。微粒子サイズを最小にする必要がある場合には、ΔTは1秒以内が好ましく、0.5秒以内がさらに好ましい。
【0030】
銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液の混合の際、機械的攪拌を伴わないことが好ましい。機械的攪拌を伴うと、循環が起こらない混合を実現する事が困難となる。また、0.1秒以下のような短い混合時間の場合、機械的攪拌では十分な混合を行うことが困難である。
【0031】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例−1)
本発明の乳剤製造方法について詳しく説明する。
(乳剤aの調製)
KBr1.02g、平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン4.8gを含む水溶液1347mLを35℃に保ち撹拌した。AgNO(1.1g)水溶液37.7mlとKBr(1.02g)と平均分子量20000の低分子量酸化処理ゼラチン(0.42g)を含む水溶液60.0mlを52秒間に渡り添加した。75℃昇温後、KBr(2.07g)を含む水溶液20.3mlを添加した後、平均分子量100000の琥珀化ゼラチン18.1gを含む水溶液147mlを添加した後、カテコ−ルヂスルホン酸ナトリウム塩を13.6g含む水溶液226mlを添加した。その後、粒子成長として、AgNO(153.7g)水溶液876.1ml(第一液)と等モルのKBrと分子量15000の低分子量酸化処理ゼラチン(92.2g)水溶液(KI3モル%含む)(第二液)を図1に示した混合器に導入して調製したハロゲン化銀微粒子を連続的に反応容器に添加した。該微粒子の調製に際しては、図1の(1)より24℃とした第一液を減速領域(3)に噴流として導入し、減速領域入射時における噴流のZ方向への流速は36m/secとした。導入口(1)の内径は0.13mmである。導入口(2)aからは20℃とした第二液を導入した。導入口(2)aの内径は1.3mmであり、第二液の導入速度は0.35m/sであった。減速領域は直径4mmの円筒形状を有しており、排出口は直径2.0mmである。有限差分法を用いた数値流体解析(アールフロウ社製、解析コードR−FLOWを使用)により、導入口(2)a、及び減速領域(2)bおよび(2)cの位置(Z座標)における噴流速度のZ成分を調べた。その結果、(2)aの位置では29m/sec、(2)bの位置では、4.5m/sec、(2)cの位置では0.3m/secであった。また、渦粘性は(2)bと(2)cの間で最大であった。反応容器中の銀電位はKBr溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径は8nm、円相当径の変動係数は29%、双晶粒子数比率は14%であり、微粒子乳剤中のハロゲン化銀モル濃度は0.51mol/lであった。このようにして調製した本乳剤aは円相当径の変動係数が29%であり、数平均円相当径1.7μm、数平均厚み0.048μmの平板粒子であり、乳剤中に微粒子の溶け残りは見られなかった。
【0033】
(乳剤bの調製)
乳剤aの調製において、成長部分を以下のように変更した以外はほぼ同様にして乳剤bを調製した。
粒子成長としてAgNO(153.7g)水溶液876.1mlと等モルのKBrと分子量15000の低分子量酸化処理ゼラチン(92.2g)水溶液(KI3モル%含む)を図2に示した密閉型攪拌槽の槽壁を貫通する回転軸をもたず、磁気カップリングで連結される攪拌羽根を逆向きに回転する混合器に添加して調製したハロゲン化銀微粒子を連続的に反応容器に添加した。銀電位はKBr溶液を別途添加して、飽和カロメル電極に対して0mVに保った。添加した微粒子の数平均円相当径は16nm、円相当径の変動係数は35%、双晶粒子数比率は17%であり、微粒子乳剤中のハロゲン化銀モル濃度は0.93mol/lであった。このようにして調製した本乳剤aは円相当径の変動係数が33%であり、数平均円相当径1.8μm、数平均厚み0.044μmの平板粒子であったが、乳剤中に微粒子の溶け残りが見られた。
乳剤a、bの特性値を表−1に示す。表−1の結果から明らかなように本発明の製造方法により微粒子残存なく薄平板を調製することが可能となった。
【0034】
【表1】
Figure 2004004475
【0035】
【発明の効果】
本発明により、薄平板粒子ハロゲン化銀乳剤を高効率で調製できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】実施例中乳剤bの実施形態である装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
(1) 第一液導入口
(2) 第二液導入口
(3) 減速領域
(4) 排出口
30 撹拌装置
31、32、33 液供給口
34 液排出口
35 撹拌槽
36 槽本体
37 シールプレート
38、39 撹拌羽根
40、41 外部磁石
42、43 モーター
44 回転中心軸線
45 両面2極型磁石
46 左右2極型磁石
L 磁力線

Claims (5)

  1. 数平均円相当径が10nm以下で、円相当径の変動係数が30%以下であるハロゲン化銀微粒子を含有するハロゲン化銀乳剤において、該ハロゲン化銀微粒子のモル濃度が0.5mol/l以上であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤。
  2. 該ハロゲン化銀微粒子の双晶粒子数の比率が15%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀乳剤。
  3. 銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を混合して、請求項1または2に記載のハロゲン化銀乳剤を製造する方法であって、該銀塩水溶液と該ハロゲン化物塩水溶液の少なくとも一方が、噴流で混合器に導入され、該噴流が減速する領域を混合器内に有し、該噴流の速度が減速領域への侵入時の1/10に減速する以前に、他方の溶液が該噴流中に導入されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  4. 少なくとも二つの溶液を混合する混合器を用いて請求項1または2に記載のハロゲン化銀乳剤を製造する方法であって、第一液は噴流として混合器に導入され、第二液は該噴流の渦粘性が最大になる以前に混合器に導入されることを特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法。
  5. 平板状ハロゲン化銀乳剤の製造工程において、前記請求項1または2記載のハロゲン化銀乳剤を添加することを特徴とする平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法。
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