JP2004003955A - 放射線像変換パネル - Google Patents

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岩渕 康夫
Hiroshi Matsumoto
松本 宏志
Yuichi Hosoi
細井 雄一
Makoto Kashiwatani
柏谷 誠
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Abstract

【課題】放射線像変換パネルを、放射線に対して高感度で、粒状性がよく、鮮鋭度の高い画質を得ることができるものとする。
【解決手段】支持体11の全面に多数の凸部11aを設け、この支持体11上に、凸部11aのそれぞれを起点に1つずつ、層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造13aを気相堆積法によって形成することによって、層表面が凸部11aから伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造13aのみで形成されている輝尽性蛍光体層13を形成する。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルに関し、詳しくは気相堆積法によって形成された輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放射線写真法に代わる方法として、たとえば特開昭55−12145号に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線をパネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読取りを終えたパネルは、残存する画像の消去が行なわれた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用される。
【0003】
この放射線像変換方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像変換方法では放射線像変換パネルを繰返し使用するので資源保護、経済効率の面からも有利である。このように放射線像変換方法は非常に有利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感度であってかつ良好な画質(鮮鋭度、粒状性など)を与えるものであることが望まれる。
【0004】
一般に、輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルは輝尽性蛍光体と結合剤(結着剤)とを含む分散液を、支持体あるいは保護層上に塗布・乾燥して作成されるため輝尽性蛍光体の充填密度が低く、放射線感度を充分高くするには輝尽性蛍光体層の層厚を厚くする必要がある。また、放射線像変換方法における画像の粒状性は、放射線量子数の場所的ゆらぎ(量子モトル)あるいは放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層の構造的乱れ(構造モトル)等によって決定されるので、輝尽性蛍光体層の層厚が薄いと、輝尽性蛍光体層に吸収される放射線量子数が減少して量子モトルが増加したり、構造的乱れが顕在化して構造モトルが増加したりするなど画質の低下を生ずる。このため、放射線感度および画像の粒状性を向上させるためには輝尽性蛍光体層の層厚は厚い必要がある。
【0005】
一方、これに対し放射線像変換方法における画像の鮮鋭性は、放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層の層厚が薄いほど高い傾向にあり、鮮鋭性の向上のためには輝尽性蛍光体層の薄層化が必要である。
【0006】
すなわち、従来の輝尽性蛍光体と結合剤から形成される輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルは、放射線に対する感度および画像の粒状性と、画像の鮮鋭性とが輝尽性蛍光体層の層厚に対してまったく逆の傾向を示すので、放射線像変換パネルは放射線に対する感度および粒状性と鮮鋭性間との間において、ある程度の相互犠牲によって作成されているのが実状である。このため、従来の放射線像変換パネルでは、輝尽性蛍光体粒子による輝尽励起光の散乱、拡散が大きいため、輝尽性蛍光体層厚の増大と共に急激に画像の鮮鋭性が低下し、感度および鮮鋭度が共に良好な放射線像変換パネルを得ることは容易なことではない。
【0007】
このような問題を解決するために結合剤を含有しない輝尽性蛍光体層からなる放射線像変換パネルが提案されている。これによれば、輝尽性蛍光体層が結合剤を含有しないので、輝尽性蛍光体の充填率が格段に向上するとともに、輝尽性蛍光体層中での輝尽励起光及び輝尽性発光光の指向性を従来に比較して向上させることができるので、放射線像変換パネルに対する感度および画像の粒状性を向上させながら、同時に画像の鮮鋭性も期待することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような結合剤を含有しない輝尽性蛍光体層からなる放射線像変換パネルにおいても、感度、粒状性を維持しながら、さらに優れた鮮鋭度の画質が得られる放射線像変換パネルが求められている。このような観点から、特許第2080977号には、輝尽性蛍光体層が、支持体上の表面に設けられた矩形状凹凸が交互に配置された凹凸パターンに基づく、結晶的に不連続な微細柱状結晶のブロック構造からなる放射線像変換パネルが記載されている。この放射線像変換パネルは、輝尽性蛍光体層が光学的に独立した微細柱状ブロック構造を有するので、柱状ブロックから輝尽励起光、発光光が外に散逸せず、画像の鮮鋭性をある程度向上することができると考えられる。
【0009】
画像の鮮鋭度が放射線像変換パネル中の輝尽励起光、発光光のパネル内での広がりに依存するのは、次のような理由によって説明される。すなわち、放射線像変換パネルに蓄積された放射線画像情報は時系列化されて取り出されるので、ある時間に照射された輝尽励起光による輝尽発光は望ましくは全て採光され、その時間に輝尽励起光が照射されていたパネル上のある画素からの出力として記録されるが、もし輝尽励起光がパネル内で散乱等により広がり、照射画素の外側に存在する輝尽性蛍光体をも励起してしまうと、照射画素からの出力としてその画素よりも広い領域からの出力が記録されてしまうことになるからである。
【0010】
上記の特許第2080977号に記載の放射線像変換パネルは、輝尽励起光、発光光が柱状ブロックから外に散逸しない点において、このような柱状ブロック構造を有していない放射線像変換パネルに比べて鮮鋭度は向上するものの、この柱状ブロックは、図6に示すように、支持体61上に設けられた輝尽性蛍光体層62は、平均粒径が10μm〜400μmの凹凸パターンに基づき成長したものであるため、この柱状ブロック内65、すなわち平均粒径が10μm〜400μmの柱状ブロック65内は、複数の柱状構造65aの集合体となっているため、柱状構造65aの1本1本の独立性が小さく、ブロック65内においては輝尽励起光、発光光が散逸することになり、期待するほどの鮮鋭度を得ることはできない。加えて、輝尽性蛍光体層の表面には支持体上の凹凸パターンがそのまま残存することとなり、画質(粒状性)劣化の要因となる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、放射線に対して高感度で、粒状性がよく、鮮鋭度の高い画質を得ることができる放射線像変換パネルを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線像変換パネルは、支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、前記支持体が多数の凸部を全面に有し、前記輝尽性蛍光体層が、気相堆積法によって前記凸部のそれぞれを起点に1つずつ形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造からなり、前記輝尽性蛍光体層の表面が前記凸部から伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造のみで形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
支持体上に形成されている多数の凸部は、1個の凸部に対して最近接の凸部が4個または6個(最密)規則正しく並んでいることが好ましいが、平均的にむらなく並んでいればランダムに配列されていても差し支えない。また、凸部の形状は、凸部の上部に支持体と平行な面を有していれば特に限定されるものではなく、円柱型、多角柱型、あるいは円錐台や多角錘台など、様々な形状を選択することができる。
【0014】
凸部の最大径、高さおよび凸部同士の間隔は、凸部のそれぞれを起点に気相堆積法によって形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造が1つずつ形成され、輝尽性蛍光体層の表面が凸部から伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造のみで形成されるように調整されることが好ましい。ここで、最大径とは、凸部の形状が円柱型の場合にはその最大径を、凸部の形状が多角柱型の場合にはその対角線を、円錐台や多角錘台の場合は、支持体と平行な面の最大径を意味する。具体的には、凸部の最大径、高さおよび凸部同士の間隔は、いずれも0.2〜40μmの範囲であることが好ましく、0.5〜10μmの範囲であることがより好ましい。凸部の形状や、凸部の最大径、高さなどのサイズは均一であることが好ましいが、ばらつきがあっても差し支えない。
【0015】
前記輝尽性蛍光体層の輝尽励起光入射側とは反対側には反射層を有することがより好ましい。
【0016】
前記支持体はガラス基板とすることができ、この場合には、前記多数の凸部はウエットエッチング法により形成されたものとすることができる。
【0017】
前記凸部のピッチは3μm以上、10μm以下であり、かつ該凸部の大きさは1μm以上、7μm以下であることが好ましく、また、この凸部の高さは1μm以上、5μm以下であることが好ましい。なお、前記凸部のピッチおよび凸部の高さは、一定の値であることがより好ましい。
【0018】
前記ガラス基板の面積は、0.05m以上とすることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の放射線像変換パネルは、多数の凸部が全面に形成された支持体上に、凸部のそれぞれを起点に気相堆積法によって形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造が1つずつ形成され、輝尽性蛍光体層の表面がこの凸部から伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造のみで形成される輝尽性蛍光体層を有するので、輝尽励起光あるいは輝尽発光光の層厚み方向への指向性を与えることができるとともに、鮮鋭度を格段に向上させることが可能となる。
【0020】
すなわち、輝尽性蛍光体層は、支持体上に設けられたそれぞれの凸部を起点に1つずつ形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造からなり、輝尽性蛍光体層の表面はこの凸部から伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造のみで形成されるため、1つの凸部を起点に形成された柱状構造と、これに隣接する他の凸部を起点に形成された柱状構造との境界には明確な界面が存在し、林立する柱状構造同士は互いに光学的に独立した構造となる。従って、輝尽性蛍光体層は輝尽性蛍光体の柱状構造単位でクラックが形成されることになる。
【0021】
このように柱状構造間に形成される光学的に独立した細かいクラックは、輝尽励起光あるいは輝尽発光光の層厚み方向に指向性を与える。すなわち、光学的に互いに独立な柱状構造構造を有する輝尽性蛍光体層に輝尽励起光が層表面の柱状構造断面から入射すると、励起光は柱状構造構造の光誘導効果により柱状構造内面で反射を繰り返しながら外に散逸することなく柱状構造の底まで到達し、吸収されるかあるいは反射されて再び柱状構造内面で反射しながら柱状構造の柱方向に出ることになり、また、この柱状構造は、画像を形成する画素よりも小さいために、画像の鮮鋭性は著しく増大されることになる。
【0022】
なお、輝尽性蛍光体層の輝尽励起光入射側とは反対側には反射層を設けることにより、さらに画像の鮮鋭度を向上させることができる。
【0023】
また、上記支持体をガラス基板とし、多数の凸部をウエットエッチング法により形成されたものとすれば、上記凸部を含めた支持体全体の耐熱性を高くすることができるとともに、凸部を形成する領域が広くなっても互いに隣り合う凸部間の境界が明確になるように凸部を正確に形成することができる。すなわち、耐熱性を有するガラス部材からなる多数の微細な凸部が広い領域に亘って正確に形成されたガラス基板の実現により、各凸部に対応した個別の柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層の形成が可能となり、各凸部を起点に形成された個々の柱状結晶に対応する画素分解能で放射線像を示す輝尽発光光を蓄積性蛍光体層から発生させることができる。これにより、鮮鋭性を低下させることなく大きなサイズの放射線像を取得することができる。
【0024】
また、凸部のピッチを3μm以上、10μm以下とし、かつ該凸部の大きさを1μm以上、7μm以下とすれば、このピッチに応じて柱状結晶、すなわち放射線像を示す画素を形成することができ、これにより、放射線像の鮮鋭性の低下を抑制することができる。さらに、凸部の高さを1μm以上、5μm以下とすれば、各凸部上により確実に個別の柱状結晶を形成することができる。
【0025】
さらに、ガラス基板の面積を、0.05m以上とすれば、他の加工方式では難しい、耐熱性を有する凸部を基板上に正確に加工する顕著な効果を奏することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す放射線像変換パネルの模式断面図である。
図1に示す放射線像変換パネル10は、支持体11−反射層12−輝尽性蛍光体層13−保護層14の順に積層された層構成である。詳細には、全面に多数の凸部11aが形成された支持体11上に反射層12が積層され、反射層12が形成されたそれぞれの凸部11aを起点に、気相堆積法によって形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造13aが1つずつ形成してなる輝尽性蛍光体層13を有し、さらに輝尽性蛍光体層13上に保護層14を積層してなる。
【0027】
それぞれの凸部11aから気相堆積法によって形成された多数の輝尽性蛍光体の柱状構造13aは、それぞれが独立して輝尽性蛍光体層の層厚方向に伸びるため、柱状構造13a同士は互いに結晶が独立し、柱状構造13a間にはクラックが入ることとなる。すなわち、柱状構造からなる輝尽性蛍光体層13には輝尽性蛍光体の結晶単位でクラックが形成されることになる。これによって、輝尽性励起光、発光光の指向性を高め、光の横の広がりを抑えることができるとともに、鮮鋭度を向上させることができる。
【0028】
凸部11aから気相堆積法によって輝尽性蛍光体の柱状構造13aを成長させる際には、凹部11bの部分にも輝尽性蛍光体の単結晶が成長すると考えられるが、凹部11bからの成長よりも凸部11aの上面に生じた単結晶の横方向の成長により凹部11bの上方が閉じる方が早く、凹部11bから成長する輝尽性蛍光体の結晶は輝尽性蛍光体層13の表面には到達することがない。このため、輝尽性蛍光体層13の表面は、凸部11aから成長した輝尽性蛍光体の柱状構造13aのみで構成されるため、画質への悪影響がない。また、基板の凸部11aの1つに柱状構造1個が対応するため、柱状構造の柱径を任意に制御することができる。さらに、柱状構造のそれぞれが基板の凸パターンの1つずつに対応してしっかりと密着するため、蛍光体層と基板の密着性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の第1の実施の形態の放射線像変換パネルは、図2に示すように、輝尽性蛍光体層23を形成する1本1本の柱状構造23aの上部が丸みを持った凸形状となっていてもよい。このように上部が凸形状となっていることによって、凸形状がレンズ効果を発揮し、輝尽発光光の取出し効率を向上させることが可能となる。
【0030】
なお、図1および図2に示す柱状構造は凸部の上面のみから成長したものを示しているが、図3に示すように、柱状構造33aが凸部31aの角を取り囲むように側面からも成長していてもよい。
【0031】
なお、図では、反射層12が支持体11の凸部11aおよび凹部11bの上面にのみ設けられているように記載してあるが、凸部11aの側面にも積層されていることがより好ましい。また、図では、反射層が輝尽性蛍光体層表面に直接設けられている場合を示しているが、反射層と輝尽性蛍光体層との接着性を高めるための下塗層(下引層)を介して設けられてもよい。
【0032】
支持体上の凸部の最大径、高さおよび凸部同士の間隔は、凸部のそれぞれを起点に気相堆積法によって形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造が1つずつ形成され、輝尽性蛍光体層の表面が凸部から伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造のみで形成されるように調整されることが好ましく、このような凸部の最大径の臨界サイズは、選択される輝尽性蛍光体の種類、輝尽性蛍光体を設けるための気相堆積法の種類、その条件によって微妙に異なるため一概には言えないが、例えば、アルカリハライド蛍光体を蒸着法によって気相堆積させる条件においては40μm未満であることが好ましい。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等を用いることができ、具体的にはセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、耐熱ガラス(パイレックス(R)等)等のガラス板、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート、クロムシート等の金属シートあるいは金属酸化物の被覆層を有する金属シートが好ましい。支持体の膜厚は選択する支持体の材質等によって異なるが、ガラスあるいは金属基板の場合には、100μm〜5mmの範囲であることが好ましく、200μm〜2mmの範囲であることがより好ましい。
【0034】
このような支持体上の凸型ドット形状は、公知の方法によって設けることができ、例えば、支持体そのものをエンボッシュやエッチングにより凸型ドット形状としてもよいし、光、熱、薬品などで支持体に固着硬化する樹脂を素材とするインクを用いて、グラビア法あるいはシルク法などによって印刷した後、乾燥、硬化処理を行う印刷法あるいは写真蝕刻法などによって形成することができる。写真蝕刻法の場合であれば、まず、光に対し不透明部分の島状のパターンを有するマスクをナイロン系感光性樹脂の表面に密着させ、感光波長域250nm〜400nmの波長を含む紫外線で照射し、露光後にこの感光性樹脂を現像する。この現像によって感光性樹脂の非露出部が流され、露光部が凸部として残ることとなる。なお、マスクを感光性樹脂表面に密着させずに、レンズ光学系を用いて露光する方式を用いてもよい。
【0035】
本発明の第1の実施の形態に用いられる反射層は、輝尽性蛍光体層の輝尽励起光入射側表面とは反対側の表面に設けられる。反射層としては、界面において光学的密度が異り(屈折率が異り)かつ滑面であれば本発明の第1の実施の形態に適用することができるが、輝尽励起光及び/または輝尽発光のそれぞれの波長領域の光に対して50%以上、より好ましくは70%以上の平均反射率(なお、この反射率は積分球型分光光度計で求めることができる。)を有するものが好ましく、例えば金属滑面、セラミック面を有する層とすることが好ましい。
【0036】
金属滑面は蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーテイング法、メッキ法などで支持体表面に形成してもよいし、金属箔をラミネートしてもよい。金属の蒸着法等の気相堆積法は反射層の形成が容易であり、また支持体上表面の凹凸の形状に影響されることなく、反射層の形成が可能なのでより好ましい。使用される金属としてはアルミニウム、銀、クロム、ニッケル、白金、ロジウム、錫等が好ましい。
【0037】
なお、反射層は、多層反射膜(例えばSiO2 /TiO2 )であってもよいし、金属膜と保護層(例えばSiO2 )、増反射層(例えばMgF/CeO2 やSiO2 /TiO2 )を組み合わせたものであってもよい。
【0038】
反射層にセラミックあるいは金属シートを用いる場合には、反射層に支持体を兼用させる形態とすることもでき、この場合には、反射層兼用支持体上の反射層側に凸型ドット形状を設け、その上に輝尽性蛍光体を気相堆積すればよい。この場合、上述の保護層、増反射層を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明の第1の実施の形態の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体としては、例えば、
米国特許第3,859,527号明細書に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、ThO:Er、およびLaS:Eu,Sm、
【0040】
特開昭55−12142号に記載されている ZnS:Cu,Pb、BaO・xAl:Eu(ただし、0.8≦x≦10)、および、MIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはMg,Ca,Sr,Zn,Cd、またはBaであり、AはCe,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,BiまたはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、
【0041】
特開昭55−12144号に記載されている LnOX:xA(ただし、LnはLa,Y,Gd、およびLuのうちの少なくとも一種、XはClおよびBrのうちの少なくとも一種、AはCeおよびTbのうちの少なくとも一種、そして、xは、0<x<0.1である)、
【0042】
特開昭55−12145号に記載されている(Ba1−X,M2+ )FX:yA(ただし、M2+はMg,Ca,Sr,Zn、およびCdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびErのうちの少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)、
【0043】
特開昭57−148285号に記載されている下記いづれかの、一般式xM(PO・NX:yAまたは一般式 M(PO・yA(式中、M及びNはそれぞれMg,Ca,Sr,Ba,Zn及びCdのうち少なくとも1種、XはF,Cl,Br及びIのうち少なくとも1種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Sb,Tl,Mn及びSnのうち少なくとも1種を表わす。また、x及びyは0<x≦6、0≦y≦1なる条件を満たす数である。)で表わされる蛍光体、下記いづれかの一般式nReX・mAX′:xEu、一般式nReX・mAX′:xEu,ySm(式中、ReはLa,Gd,Y,Luのうち少なくとも1種、Aはアルカリ土類金属、Ba,Sr,Caのうち少なくとも1種、X及びX′はF、Cl,Brのうち少なくとも1種を表わす。また、x及びyは、1×10−4<x<3×10−1、1×10−4<y<1×10−1なる条件を満たす数であり、n/mは1×10−3<n/m<7×10−1なる条件を満たす。)で表わされる蛍光体、及び一般式 MX・aMIIX′・bMIIIX″:cA(但し、MはLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属であり、MIIはBe,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cd,Cu及びNiから選ばれる少なくとも1種の二価金属である。MIIIはSc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga及びInから選ばれる少なくとも1種の三価金属である。X,X′及びX″はF,Cl,Br及びIから選ばれる少なくとも1種のハロゲンである。AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,Gd,Lu,Sm,Y,Tl,Na,Ag,Cu,Bi及びMgから選ばれる少なくとも1種の金属である。またaは、0≦a<0.5の範囲の数値であり、bは0≦b<0.5の範囲の数値であり、cは0<c≦0.2の範囲の数値である。)で表わされるアルカリハライド蛍光体、
【0044】
特開昭56−116777号に記載されている(Ba1−X,MII )F・aBaX:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aはジルコニウムおよびスカンジウムのうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ 0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10−6≦y≦2×10−1、および0<z≦10−2である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0045】
特開昭58−69281号に記載されている MIIIOX:xCe(ただし、MIIIはPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのいずれか一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0046】
特開昭58−206678号に記載されているBa1−XX/2X/2FX:yEu2+(ただし、MはLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表わし;Lは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属を表わし;Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表わし;そして、xは10−2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
【0047】
特開昭59−75200号に記載されている MIIFX・aMX′・bM′IIX″・cMIII・xA:yEu2+(ただし、MIIはBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;M′IIはBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MIII はAl,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′,X″および Xは、F,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そして、aは0≦a≦2、bは0≦b≦10−2、cは0≦c≦10−2、かつa+b+c≧10−6  であり;xは0<x≦0.5、yは0<y≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、
などをあげることができる。
【0048】
特にアルカリハライド蛍光体は、蒸着・スパッタリング等の方法で輝尽性蛍光体層を形成させやすく好ましい。但し、本発明の第1の実施の形態の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体は、前述の蛍光体に限られるものではなく、放射線を照射した後、輝尽励起光を照射した場合に輝尽発光を示す蛍光体であればいかなる蛍光体であってもよい。なお、輝尽性蛍光体層は、上記の輝尽性蛍光体を単独で用いても、また適宜組み合わせて用いてもよい。
【0049】
輝尽性蛍光体の気相堆積法としては、蒸着法、抵抗加熱法、スパッタ法、化学蒸着(CVD)法などの公知の方法を用いることができる。ここでは、電子蒸着法により形成する場合を例にとって説明する。
【0050】
電子蒸着法は、抵抗加熱法などと比較して、蒸発源を局所的に加熱して瞬時に蒸発させるので、蒸発速度を制御しやすく、また蒸発源として仕込んだ蛍光体もしくはその原料の組成と形成された蛍光体層中の蛍光体の組成との不一致を小さくすることができるという利点がある。
【0051】
多元蒸着(共蒸着)により蛍光体層を形成する場合には、まず蒸発源として、上記輝尽性蛍光体の母体(MX)成分を含むものと付活剤(A)成分を含むものとからなる少なくとも2個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸着速度を各々制御することができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする輝尽性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は2個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて3個以上としてもよい。
【0052】
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化合物となりうる2以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物が用いられる。
【0053】
付活剤AがEuである場合には、付活剤成分のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比が70%以上であることが好ましい。一般に、Eu化合物にはEu2+とEu3+ が混合して含まれているが、所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。Eu化合物はEuBrであることが好ましく、その場合に、xは2.0≦x≦2.3の範囲内の数値であることが好ましい。xは2.0であることが望ましいが、2.0に近づけようとすると酸素が混入しやすくなる。よって、実際には、xは2.2付近でBrの比率が比較的高い状態が安定している。
【0054】
蒸発源は、突沸防止などの点からその含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理したり、あるいは窒素雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、蛍光体成分の融点以上の温度で数十分から数時間加熱することにより行うことができる。
【0055】
蒸発源の相対密度は、80%以上98%以下であることが好ましく、90%以上96%以下であることがより好ましい。蒸発源が相対密度の低い粉体状態であると、蒸着の際に粉体が飛散するなどの不都合が生じたり、蒸発源の表面から均一に蒸発しないで蒸着膜の膜厚が不均一となったりする。よって、安定した蒸着を実現するためには蒸発源の密度がある程度高いことが望ましい。上記相対密度とするには、一般に、粉体を20MPa以上の圧力で加圧成形したり、あるいは融点以上の温度で加熱溶融して、タブレット(錠剤)の形状にする。但し、蒸発源は必ずしもタブレット形状である必要はない。
【0056】
また、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、アルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外のアルカリ土類金属)の含有量が1ppm以下であることが望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物の含有量の少ない原料を使用することによって調整することができる。これによって、不純物の混入が少ない蒸着膜を形成することができるとともに、そのような蒸着膜は発光量を増加させることができる。
【0057】
上記の蒸発源および基板を蒸着装置内に設置し、装置内を排気して、1×10−5Pa〜1×10−2Pa程度の真空度とする。このとき、真空度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガスなどの不活性ガスを導入してもよい。また、必要に応じてO2 、H2 等の反応性ガスを導入してもよい。また、装置内の雰囲気中の水分圧を、ディフュージョンポンプとコールドトラップの組み合わせなどを用いることにより、7.0×10−3Pa以下にすることが好ましい。
【0058】
次に、2つの電子銃から電子線をそれぞれ発生させて、各蒸発源に照射する。このとき、電子線の加速電圧を1.5kV以上5.0kV以下に設定することが好ましい。電子線の照射により、蒸発源である輝尽性蛍光体の母体成分や付活剤成分などは加熱されて蒸発、飛散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとともに基板表面に堆積する。この際に、各電子線の加速電圧などを調整することにより、各蒸発源の蒸発速度を制御することができる。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、0.05μm/分〜300μm/分であることが好ましい。堆積速度が0.05μm/分未満の場合には、本発明の第1の実施の形態の放射線像変換パネルの生産性が低く好ましくない。また堆積速度が300μm/分を越える場合には堆積速度のコントロールがむずかしくなる。なお、電子線の照射を複数回に分けて行って2つ以上の蒸着膜を形成することもできる。さらに、蒸着の際に必要に応じて被蒸着物(基板)を冷却または加熱してもよい。
【0059】
蒸着終了後、得られた蒸着膜を加熱処理(アニール処理)する。加熱処理は、例えば50℃〜600℃の範囲の温度、窒素雰囲気下(少量の酸素または水素を含んでいてもよい)で数時間かけて行う。
【0060】
一元蒸着(疑似一元蒸着)の場合には、蒸発流に垂直な方向(基板に平行な方向)に上記蛍光体母体成分と付活剤成分とを分離して含む1個の蒸発源を用意することが好ましい。そして蒸着に際しては、1つの電子線を用いて、蒸発源の母体成分領域および付活剤成分領域各々に電子線を照射する時間(滞在時間)を制御することにより、均一な組成の輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を形成することができる。
【0061】
あるいは、蒸発源として輝尽性蛍光体自体を用いる一元蒸着であってもよく、その場合にも、上述のようにして含水量を0.5重量%以下と調整したものを用いる。また、蒸発源の蛍光体はアルカリ金属不純物の含有量が10ppm以下であり、アルカリ土類金属不純物の含有量が1ppm以下であることが好ましい。
【0062】
また、上記輝尽性蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体の母体のみからなる蒸着膜を形成してもよい。これによって、よりいっそう柱状構造の良好な蒸着膜を得ることができる。なお、蛍光体からなる蒸着膜中の付活剤などの添加物は、特に蒸着時の加熱および/または蒸着後の加熱処理によって、蛍光体母体からなる蒸着膜中に拡散するために、両者の境界は必ずしも明確ではない。
【0063】
このようにして、所望のアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体の柱状構造が厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。
【0064】
蛍光体層は、結合剤を含有せず、上記アルカリ金属ハロゲン化物係輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽性蛍光体の柱状構造と柱状構造の間には空隙が存在する。輝尽性蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、気相堆積層の実施手段や条件などによって異なるが、10〜1000μmの範囲であることが好ましく、20〜800μmの範囲であることがより好ましい。輝尽性蛍光体層の層厚を10μm未満にした場合には放射線吸収率が極端に低下して放射線感度が悪くなり、画像の粒状性が劣化するばかりか、輝尽性蛍光体層が透明となり易く、輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での横方向への広がりが著しく増大し、画像の鮮鋭性が劣化する傾向にあるので好ましくない。
【0065】
本発明の第1の実施の形態の放射線像変換パネルにおいては、輝尽性蛍光体層の反射層が設けられる面とは反対側の面に、輝尽性蛍光体層を物理的にあるいは化学的に保護するための保護層が設けられてもよい。この保護層は、保護層用塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成してもよいし、あるいはあらかじめ別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上に接着してもよい。保護層の材料としては酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、塩化ビニリデン、ナイロン等の通常の保護層用材料が用いられる。また、この保護層は蒸着法、スパッタリング法等により、SiC、SiO2 、SiN、Al3 、などの無機物質を積層して形成してもよい。
【0066】
また、保護層中には、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナなどの光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末などの滑り剤、およびポリイソシアネートなどの架橋剤といった各種の添加剤が分散含有されていてもよい。これらの保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には0.1μm〜20μm程度が、ガラスなどの無機化合物の場合には100〜1000μmの範囲が好ましい。
【0067】
保護層の表面には、さらに、保護層の耐汚染性を高めるためのフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調整したフッ素樹脂溶液を保護層の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させ、さらに放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm〜20μmの範囲が好ましい。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を適宜用いることができる。特に、架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
【0068】
上述のようにして、本発明の第1の実施の形態の放射線像変換パネルを得ることができるが、パネルの構成は、公知のバリエーションを含むものであってもよい。例えば、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、上記の少なくともいずれかの層を、励起光を吸収して輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色してもよい。
以下に、本発明の第1の実施の形態に関し、実施例により具体的に説明する。
【0069】
【実施例】
(実施例1)
(CsBr蒸発源の作製)
CsBr粉末75gをジルコニア製粉末成形用ダイス(内径:35mm)に入れ、粉末金型プレス成形機(テーブルプレスTB−5型、エヌピーエーシステム(株)製)にて50MPaの圧力で加圧し、タブレット(直径:35mm、厚み:20mm)に成形した。このとき、CsBr粉末にかかった圧力は約40MPaであった。次に、このタブレットに真空乾燥機にて温度200℃で2時間の真空乾燥処理を施した。得られたタブレットの密度は3.9g/cm、含水量は0.3重量%であった。
【0070】
(EuBrx 蒸発源の作製)
EuBr(x=2.2)粉末25gをジルコニア製粉末成形用ダイス(内径:25mm)に入れ、粉末金型プレス成形機にて50MPaの圧力で加圧し、タブレット(直径:25mm、厚み:10mm)に成形した。このとき、EuBrx 粉末にかかった圧力は約80MPaであった。次に、このタブレットに真空乾燥機にて温度200℃で2時間の真空乾燥処理を施した。得られたタブレットの密度は5.1g/cm、含水量は0.5重量%であった。
【0071】
(放射線像変換パネルの作製)
支持体としてガラス基板(厚さ0.7mm)の表面に、柱径2μm、高さ2μm、柱の間隔1μmの円柱形状の凸ドットパターンをフッ素系反応ガスによるドライエッチング方式により形成した。凸ドットパターン上に、反射層としてEB蒸着によって100nm厚でAl層を設け、さらに増反射層として、Al層上に100nm厚でMgF2 層を形成し、さらにその上に、100nm厚でCeO2 層を形成した。次に、この反射層を設けたガラス基板を蒸着器中に設置し、蒸着器内の所定の位置にEuBrx タブレットおよびCsBrタブレットを配置し、蒸着器を排気して1×10−3Paの真空度とした。続いて、基板の蒸着面の反対側に位置したシーズヒータからなる加熱源で、基板を300℃に加熱した。蒸着源のそれぞれに電子銃により電子線を照射して、CsBr:Eu輝尽性蛍光体(層厚400μm、面積10cm×10cm)を堆積させた。この際、各々の電子銃のエミッション電流を調整することによって、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃度比が0.003/1となるように調整した。乾燥雰囲気下、蒸着器中を大気圧に戻し、基板を取り出した。
【0072】
次に、この基板をガス導入可能な真空加熱装置に入れ、ロータリーポンプを用いて約1Paまで真空に引いて蒸着膜に吸着している水分等を除去した後、窒素ガス雰囲気中、200℃の温度で2時間蒸着膜を熱処理した。真空下で基板を冷却し、充分に温度が下がった状態で装置から基板を取り出した。基板上には、CsBr:Eu輝尽性蛍光体の柱状構造が密に林立した構造の蛍光体層が形成された。これによって、基板に設けられた円柱のそれぞれに太さ3μm、長さ400μmの柱状構造が形成された輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルが作製された。
【0073】
(実施例2〜実施例7)
基板上に形成されパターンの形状、柱径、高さ、間隔、反射層の構成、製膜法を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0074】
(比較例1)
基板上に、凸パターン形状、反射層をともに形成しなかった以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0075】
(比較例2)
基板上に、凸パターン形状を形成しなかった以外は実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0076】
(比較例3)
基板上に形成されパターンの形状、柱径、高さ、間隔、反射層の構成、製膜法を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして放射線像変換パネルを作製した。
【0077】
【表1】
Figure 2004003955
上記の放射線像変換パネルについて、目視観察により蛍光体層の亀裂(数ミリ間隔の不規則なもの)の程度を、粘着テープにより密着性の程度を評価した。柱状性については日本電子(株)製走査型電子顕微鏡JSM−5400により観察した。放射線像変換パネルの感度については、管電圧80kVpのX線を100mR照射したのち、波長660nmの半導体レーザを励起光量20J/m  となる強度、時間照射し、その際の発光をハンドパスフィルタ(B−410)を通して光電子増倍管で電気信号に変換し、その強度を比較した。鮮鋭性は、放射線像変換パネル上に鉛板を置き、管電圧80kVpのX線を100mR照射したのち、鉛板をはずして波長660nmの半導体レーザを搭載した読取装置にて画像を読み取り、鉛板あり/なしのエッジプロファイルを相対比較し判定した。以上の結果を表2に示す。また、実施例2の放射線像変換パネルの上面、断面上部、断面下部のSEM写真を図4に、比較例3の放射線像変換パネルの断面上部のSEM写真を図5に示す。
【0078】
【表2】
Figure 2004003955
表2及び図4に示すSEM写真から明らかなように、上記放射線像変換パネルは、基板に設けた凸パターン1個に対して1本の柱状構造が成長しており、それぞれの柱状構造は明確な界面で分離されており、その柱径は均一であった。また、蛍光体層の亀裂もなく密着性に優れ、感度が高く、鮮鋭性も極めて良好であった。
【0079】
一方、基板上に凸パターン形状および反射層をともに設けなかった比較例1では、輝尽性蛍光体層に亀裂が発生し、また輝尽性蛍光体層と反射層との密着性、感度、鮮鋭度ともに悪かった。また、比較例2は、実施例1において、基板上に凸パターン形状を設けなかった点においてのみ相違するものであるが、実施例1に比較して輝尽性蛍光体層の密着性、感度、鮮鋭度ともに劣っていた。比較例3は、基板パターンの柱径を50μmと大きくした以外の条件は実施例7と同じであったが、基板上の凸パターンの柱径より細く、図5に示すSEM写真から明らかなように、不均一な柱状構造の集合体となっており、蛍光体層表面には基板表面と同じ形のパターン構造が残り、感度、鮮鋭度ともに実施例7に比較して劣っていた。
【0080】
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0081】
放射線像変換パネルのサイズは撮影の内容により異なるが、例えば胸部撮影用放射線像変換パネルとして要求される検出部面積は450mm×450mmであり、そのためには、蓄積性蛍光体の柱状結晶を形成する起点となる多数の微細な凸部が広い領域に亘って正確に形成された大きなサイズの基板が必要となる。
【0082】
しかしながら、例えば、ネガレジスト法により、基板上の広い領域(例えば、450mm×450mm)に多数の微細な凸部(例えば、凸部のピッチが5μm、凸部の高さが3μm)を形成しようとすると、加工上の都合、すなわち、加工レンジに対する分解能の限界により、互いに隣り合う凸部間の境界が不明瞭となって各凸部上に正確に蓄積性蛍光体の柱状結晶を形成することが難しく、各凸部に対応した画素分解能を持つ放射線像を取得可能な放射線像変換パネルの実現が困難である。また、例えば、ポジレジスト法を使用して基板上の広い領域に多数の微細な凸部を形成しようとしても、広い領域に亘って多数の微細な凸部を正確に形成することはできるものの、凸部を構成するレジスト(感光材料)の耐熱性が低く、蓄積性蛍光体の柱状結晶を形成するときに加えられる熱によってレジストからなる凸部が変形してしまい、各凸部上に正確に蓄積性蛍光体の柱状結晶を形成することが難しく、上記ネガレジスト法の場合と同様に各凸部に対応した画素分解能を持つ放射線像を取得可能な放射線像変換パネルの実現が困難である。そのため、基板上の広い領域に耐熱性を有する多数の微細な凸部を正確に形成できるようにし、これにより、鮮鋭性を低下させることなく大きなサイズの放射線像を取得することができる放射線像変換パネルを形成することが課題となる。
【0083】
本発明者は上記課題に対して、蓄積性蛍光体層を構成する蓄積性蛍光体からなる柱状結晶の起点となる凸部の加工方法に注目し、種々の凸部の加工方式を検討した結果、耐熱性を有し、基板上の広い領域であっても多数の微細な凸部を正確に加工することができる加工方式を見出し、これにより、基板上の広い領域に形成された多数の各凸部に対応させて柱状結晶を正確に形成することができるとの知見を得、かかる知見に基づいて本発明の第2の実施の形態における放射線像変換パネルの構成を得るに至ったものである。
【0084】
本発明の第2の実施の形態における放射線像変換パネルによれば、支持体をガラス基板とし、多数の凸部をウエットエッチング法により形成されたものとすることにより、上記形成された凸部を含めた支持体全体の耐熱性を高くするとともに、凸部を形成する領域を広くすることができる。これにより、基板上の広い領域に精度高く形成された多数の各凸部に対応させて柱状結晶を正確に形成することができる。
【0085】
以下、本発明の第2の実施の形態について、図面を用いて説明する。図7は本発明の実施の形態による放射線像変換パネルの概略構成を示す断面図、図8はガラス基板の原材料となるガラス板材を示す断面図、図9はガラス板材上にポジレジストを均一に塗布した様子を示す断面図、図10は塗布されたポジレジストにフォトマスクのマスクパターンを露光した様子を示す断面図、図11は現像によりポジレジスト中の露光部分を除去した様子を示す断面図、図12はマスク部分にポジレジストが残されたガラス板材にエッチング処理を施した様子を示す断面図、図13はガラス板材上に残されたポジレジストを除去して得られたガラス基板を示す断面図である。
【0086】
図7に示すように、本発明の実施の形態による放射線像変換パネル100は、ガラス基板10と、このガラス基板10上に形成された蓄積性蛍光体の柱状結晶21からなる蓄積性蛍光体層20とを備えている。
【0087】
ガラス基板10は、蓄積性蛍光体層20の側に、ウエットエッチング法により多数の微細な凸部13が形成されている。上記凸部のピッチは3μm以上、10μm以下、かつ上記凸部の大きさは1μm以上、7μm以下であり、凸部13の高さ、すなわち凹部12と凸部13との高さの差は1μm以上、5μm以下である。また、ガラス基板10の面積は0.05m以上である。
【0088】
以下、放射線像変換パネルの加工方法について具体的に説明する。
【0089】
1、ガラス基板の作成
ガラス基板の作成工程は、▲1▼ガラス板材洗浄、▲2▼ポジレジスト塗布、▲3▼プレベーキング、▲4▼露光▲5▼現像リンス、▲6▼ポストベーキング、▲7▼ウエットエッチング、および▲8▼ポジレジスト除去工程からなり、それぞれの工程を以下に説明する。
【0090】
▲1▼ガラス板材の洗浄
ガラス基板の原材料となるガラス板材50Aはソーダガラスからなり、その大きさは縦450mm、横450mm、厚さ1mmで、胸部の放射線像の取得が可能な寸法である(図8参照)。ガラス板材50Aから表面のゴミや水分を除去した後、このガラス板材50Aを、アセトンやメタノールなどの有機溶液やいくつかの薬液からなる洗浄液を用いてウェット洗浄(アルカリ洗浄)し、純水で洗い流して付着した上記洗浄液を除去し乾燥させた。
【0091】
▲2▼レジスト塗布
次に、ガラス板材50Aをスピンコーターに乗せて高速回転させながら、有機溶剤で溶かしたマスクパターンを焼き付ける感光材料(ポジレジスト)[東京応化工業:OFPR]を滴下し、このガラス板材50A上にポジレジスト52Aを均一に塗布した(図9参照)。
【0092】
なお、感光材料の塗布方法としてはスピンコート、ドクターブレードコート、ロールコート、ナイフコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート法などを利用することができる。また、感光材料にはポジ・ネガの2種類のレジストあり、目的に応じてどちらを使用しても良い。代表的なポジレジストはノボラック系樹脂と感光剤からなり、代表的なネガレジストは光重合開始剤とバインダーからなる。
【0093】
▲3▼プリベーク
ポジレジスト52Aが塗布されたガラス板材50Aを100℃で10分間加熱しポジレジスト52Aをガラス板材50Aに密着させた。
【0094】
なお、このプリベークは、レジストに含まれる有機溶剤を蒸発させてレジストを基板に密着させる工程である。塗布されるレジストの種類にもよるが、一般的なプリベークは、100℃前後の温度で数分〜数十分間加熱を行なう。
【0095】
▲4▼露光
フォトマスク54の上方から露光用の光を照射し、このフォトマスク54を透過した光Lによりフォトマスク54のマスクパターンをポジレジスト52Aに露光した(図10参照)。
【0096】
露光用のフォトマスク54には、マスクとなるφ5μmの遮光部分がピッチ10μmで縦横に並ぶマスクパターンを有するものを使用した。なお、一般的な露光法として、コンタクト露光法、プロキシミティ露光法、結像系を使った露光法があり、露光面積、フォトマスクの使用回数、微細構造サイズ等により使い分ける。ここでは、露光をプロキシミティ露光で行い、露光量は200J/cmとした。
【0097】
▲5▼現像・リンス
露光されたポジレジスト52Aをアルカリ現像液を用いて現像し、ポジレジスト52中の露光された部分を除去し上記マスクパターンに対応した凹凸部形状を有するポジレジスト52Bを得た(図11参照)。現像後、ポジレジスト52Bが密着されたガラス板材50Aを純水にて1分洗浄した。
【0098】
なお、現像には、レジストの種類毎に異なる現像液が用いられ、ネガレジストでは現像により露光部分のレジストが除去され、ポジレジストでは現像により非露光部分のレジストが除去される。
【0099】
▲6▼ポストベーク
その後、ガラス板材50A上のポジレジスト52Bを200℃で5分間加熱して焼き締めた。すなわち、ポストべークを行った。ポストべークは、後述するウエットエッチングの工程においてマスクとして機能させるポジレジスト52Bの耐性を向上させる工程である。
【0100】
なお、このポストベークは、レジストの種類にもよるが一般的に100℃〜250℃の温度で数分〜数十分間行なわれる。
【0101】
▲7▼ウエットエッチング
フォトマスク54でマスクされた部分に残されたポジレジスト52Bが密着しているガラス板材50Aに対して、フッ化水素酸を用いて1分間ウエットエッチング処理を施した。その後、ウエットエッチング処理が施され表面に凸部51が形成されたガラス材料50B(図12参照)を純水でリンスし乾燥させた。
【0102】
なお、ウエットエッチングは、現像処理後にガラス材料50A上のポジレジスト52Bの密着領域以外の領域を浸食する処理であり、基板となる材料がガラスの揚合にはフッ化水素酸が代表的なエッチング液となるが、エッチング速度を制御するためにフッ化水素酸にNHFなどを混合することもある。ウエットエッチングの処理方式にはエッチング槽(石英やテフロン(登録商標)製)に薬液を貯め、そこにガラス板材を浸漬してエッチングを行うディップ方式、ガラス板材を支持台に乗せ回転させながら薬液を吹き付けてエッチングを行うスピンエッジ方式がある。
【0103】
▲8▼レジスト除去
上記ウエットエッチング処理が施され凸部が形成されたガラス板材50Bを有機溶剤等からなるレジスト剥離液中に浸してガラス板材50B上に残ったポジレジスト52Bを除去し、その後、このガラス板材50Bを純水でリンスし乾燥して、φ5μmの凸部がピッチ10μmで縦横に並ぶ上記マスクパターンに対応した多数の微細な凸部が形成されたガラス基板のサンプルを得た(図13参照)。すなわち、ガラス基板のサンプルとして得られたガラス板材50Bが図7に示すガラス基板10となる。
【0104】
上記ガラス基板のサンプルは、図14の電子顕微鏡による写真に示すように、ガラス基板上に凸部が正確に、すなわち、互いに隣り合う凸部間の境界が明確になるように形成されていることがわかる。
【0105】
2、ガラス基板上への蓄積性蛍光体層の形成
上記工程によって得られた多数の微細な凸部が形成されたガラス基板上へCsBr:Euを蒸着することにより蓄積性蛍光体の柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層を形成した。
【0106】
まず始めに、上記ガラス基板をアルカリ洗浄した。
【0107】
次に、純水洗浄およびIPA洗浄を施した合成石英基板を用意し、ガラス基板の凸部が形成された側とは反対側を合成石英基板に密着させ接合して、ガラス基板と合成石英基板とを一体化させた。そして、一体化された合成石英基板とガラス基板とを、ガラス基板の凸部が鉛直方向の下を向くようにして蒸着装置の蒸着チャンバー内の基板ホルダーに設置した。
【0108】
つづいて、蒸着源となるCsBrタブレット及びEuBrxタブレットを、蒸着チャンバー内に設置されたガラス基板の下方の所定位置に配置した。
【0109】
ここで、蒸着チャンバー内を排気し1×10−3Paの真空度とした。真空排気装置には、ロータリーポンプ、メカニカルブースター、ターボ分子ポンプを用いた。真空排気装置としては、一般に知られているクライオポンプ、ディフニージョンポンプなどを用いても良い。
【0110】
次に、シーズヒータからなる加熟源で蒸着チャンバー内に設置されたガラス基板を300℃に加熱し、上記蒸着源に対して加速電圧4.0kVの電子線を電子銃で照射し、ガラス基板の凸部上に10μm/分の堆積速度でCsBrとEuBrxとを共蒸着させて蓄積性蛍光体の柱状結晶を気相堆積させた。
【0111】
その結果、図15の電子顕微鏡による写真に示すように、ガラス基板の凸部を有する面に対して垂直方向に林立した柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層(層厚100μm)が各凸部を起点として形成された。さらに、上記形成された蓄積性蛍光体層に発光特性改良のための加熱処理(加熱温度は200℃)を施して、蓄積性蛍光体の柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層がガラス基板上に形成された放射線像変換パネルを得た。なお、この加熱処理は100℃から300℃の間の温度で行なわれる。
【0112】
3、作成された放射線像変換パネルの性能評価
上記CsBr:Euの柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層を有する放射線像変換パネルを使用して放射線像を取得したときの鮮鋭性をCTFチャートを用いて評価した結果、この放射線像変換パネルで良好な鮮鋭性を持つ放射線像を取得することができることが解った。
【0113】
ここで、ウエットエッチング法により基板上に多数の微細な凸部を形成する場合と、他の加工方式で基板上に多数の微細な凸部を加工する場合との比較を表1に示す。
【0114】
【表3】
Figure 2004003955
表3からわかるように、ネガレジスト法、陽極酸化法、エンボス法、および無機微粒子塗布法では、多数の微細な凸部を所望の形状に形成することが困難である。ポジレジスト法では加工した凸部の耐熱性が低く、凸部上に蓄積性蛍光体の柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層を形成することが困難である。また、ネガレジスト法では広い領域への加工において加工精度が低下し、加工領域の全面に多数の微細な凸部を所定の精度で形成することが困難である。
【0115】
なお、凸部のピッチは必ずしも3μm以上、10μm以下にする場合に限らず、また、凸部の高さは必ずしも1μm以上、5μm以下にする場合に限らない。
【0116】
また、ガラス基板の寸法は0.05m以上の場合に限らず、どのような寸法のガラス基板に対しても上記ウエットエットエッチング法を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す放射線像変換パネルの模式断面図
【図2】輝尽性蛍光体層を形成する柱状構造例を示す放射線像変換パネルの模式断面図
【図3】輝尽性蛍光体層を形成する柱状構造例を示す放射線像変換パネルの模式断面図
【図4】実施例2の放射線像変換パネルの上面、断面上部、断面下部のSEM写真
【図5】比較例3の放射線像変換パネルの断面上部のSEM写真
【図6】従来の放射線像変換パネルの模式断面図
【図7】本発明の第2の実施の形態による放射線像変換パネルの概略構成を示す断面図
【図8】ガラス基板の原材料となるガラス板材を示す断面図
【図9】ガラス板材上にポジレジストを均一に塗布した様子を示す断面図
【図10】ポジレジストにフォトマスクのマスクパターンを露光した様子を示す断面図
【図11】現像によりポジレジスト中の露光部分を除去した様子を示す断面図
【図12】マスク部分にポジレジストが残されたガラス板材にエッチング処理を施した様子を示す断面図
【図13】ガラス板材上に残されたポジレジストを除去して得られたガラス基板を示す断面図
【図14】ガラス基板上の多数の微細な凸部を示す電子顕微鏡写真
【図15】林立した柱状結晶からなる蓄積性蛍光体層を示す電子顕微鏡写真
【符号の説明】
10  放射線像変換パネル
11  支持体
11a 凸部
11b 凹部
12  反射層
13  輝尽性蛍光体層
13a 柱状構造

Claims (8)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルであって、前記支持体が多数の凸部を全面に有し、前記輝尽性蛍光体層が、気相堆積法によって前記凸部のそれぞれを起点に1つずつ形成された層厚方向に伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造からなり、前記輝尽性蛍光体層の表面が前記凸部から伸びた輝尽性蛍光体の柱状構造のみで形成されていることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 前記凸部の最大径、前記凸部の高さおよび前記凸部同士の間隔がいずれも0.2〜40μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の放射線像変換パネル。
  3. 前記凸部の最大径、前記凸部の高さおよび前記凸部同士の間隔がいずれも0.5〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の放射線像変換パネル。
  4. 前記輝尽性蛍光体層の輝尽励起光入射側とは反対側に反射層を有することを特徴とする請求項1、2および3記載の放射線像変換パネル。
  5. 前記支持体がガラス基板であり、前記多数の凸部がウエットエッチング法により形成されたものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
  6. 前記凸部のピッチが3μm以上、10μm以下であり、かつ該凸部の大きさが1μm以上、7μm以下であることを特徴とする請求項5記載の放射線像変換パネル。
  7. 前記凸部の高さが1μm以上、5μm以下であることを特徴とする請求項5または6記載の放射線像変換パネル。
  8. 前記ガラス基板の面積が、0.05m以上であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載の放射線像変換パネル。
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