JP2004002215A - スフィンゴ脂質誘導体の製造方法 - Google Patents

スフィンゴ脂質誘導体の製造方法 Download PDF

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Motonari Shibaue
芝上 基成
Toshiyuki Takagi
高木 俊之
Michiko Mori
森 美千子
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Abstract

【課題】高収率かつ高純度でスフィンゴ脂質誘導体を人工的に合成し得る工業的に有利なスフィンゴ脂質誘導体の製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(II)で示される化合物にトリイソプロビルシリル基を有する化合物を導入してその第2級水酸基が保護された一般式(III)で示される化合物を得、ついでこの化合物にリン含有化合物又は糖含有化合物を反応させて、一般式(IV)で示される化合物を得、ついでこの化合物の第2級水酸基を脱保護して一般式(I)で示されるスフィンゴ脂質誘導体を得る。
Figure 2004002215

【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬、化粧品等として有用なスフィンゴ脂質誘導体の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スフィンゴ脂質誘導体は、抗腫瘍剤、抗インフルエンザ剤等の医薬、保湿剤、育毛剤等の化粧品、農薬、工業薬品などに幅広く用いられている重要な化合物である。
このようなスフィンゴ脂質誘導体は一般に牛脳から抽出することにより得られていたが、最近の狂牛病(BSE)の発症が社会的に問題となってからは、このような牛脳からの抽出法は好ましいものではなく、人工的な製造方法が強く要請されているのが現状である。
【0003】
従来、スフィンゴ脂質誘導体の人工的合成法としては、セリンもしくはセリン誘導体を出発原料とするスフィンゴミエリンの合成法の開発が主として行われ、特に、スフィンゴミエリンの中間体であるガーナーアルデヒド、スフィンゴシン、セラミドなどの合成に関してはほぼ合成経路が確立される至っている(Chem.Phys.Lipids,1999,3)。
【0004】
しかし、中間体であるスフィンゴシン、セラミドからのスフィンゴミエリンへの合成経路における高収率の製造方法がまだ確立されていない。
【0005】
たとえば、Slotteらの報告した「Biochemistry,1991,10746.」には、下記反応工程式によりスフィンゴミエリンが得られるとされているが、その全収率は極めて低く工業的に満足すべき収率ではなく、また純度も不十分なものであった。
【化7】
Figure 2004002215
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来技術の実状に鑑みなされたものであって、その目的は、高収率かつ高純度でスフィンゴ脂質誘導体を人工的に合成し得る工業的に有利なスフィンゴ脂質誘導体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題について鋭意研究を重ねた結果、特定な保護基を用いることにより高収率・高純度でスフィンゴ脂質誘導体が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(II)で示される化合物にトリイソプロピルシリル基を有する化合物を反応させてその第2級水酸基が保護された下記一般式(III)で示される化合物を得、ついでこの化合物にリン含有化合物又は糖含有化合物を反応させて、下記一般式(IV)で示される化合物を得、ついでこの化合物の第2級水酸基を脱保護して下記一般式(I)で示されるスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
【化8】
Figure 2004002215
(I)
(式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Rは、リン含有化合物の残基又は糖含有化合物の残基を表す。)
【化9】
Figure 2004002215
(II)
(式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。)
【化10】
Figure 2004002215
(III)
(式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
【化11】
Figure 2004002215
(IV)
(式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Rは、リン含有化合物の残基又は糖含有化合物の残基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
(2) 上記一般式(II)で示される化合物の第1級水酸基をあらかじめ保護して下記一般式(IIa)で示される化合物を得、次いでこの化合物の第2級水酸基をトリイソプロピルシリル基で保護して下記一般式(IIb)で示される化合物を得た後、この化合物の第1級水酸基を脱保護して上記一般式(II)で示される化合物を得る工程を含むことを特徴とする上記(1)に記載のスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
【化12】
Figure 2004002215
(IIa)
(式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Zは第1級水酸基の保護基を表す。)
【化13】
Figure 2004002215
(IIb)
(式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Zは第1級水酸基の保護基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の目的生成物であるスフィンゴ脂質誘導体は、下記一般式(I)で表すことができる。
【化14】
Figure 2004002215
(式中の各記号は前記と同じ。)
【0009】
上記一般式におけるRとRは、具体的には、炭素数50以下好ましくは炭素数20以下の直鎖状または分岐状の未置換のアルキル基または未置換のアルケニル基を表し、またこれらのアルキル基及びアルケニル基は、ハロゲン、酸素、窒素、珪素、硫黄、燐、金属から選ばれる原子で置換されていてもよい。
【0010】
未置換の直鎖状アルキルとしては、たとえばメチル基、エチル基、nープロピル基、nーブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等が挙げられ、未置換の直鎖状アルケニル基としては、たとえばエチレン基、nープロペン基、nーブテン基、n−ペンテン基、n−ヘキセン基、ヘプテン基、オクテン基、ノネン基、デセン基、ウンデセン基、ドデセン基、テトラデセン基、ヘキサデセン基、オクタデセン基、エイコセン基等を挙げることができる。
【0011】
また、未置換の分岐状のアルキル基または置換アルケニル基を例示すれば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピレン基、イソブテン基、sec−ブテン基、t−ブテン基、イソペンテン基、2−メチルブテン基、1−メチルブテン基、イソヘキセン基、3−メチルペンテン基、2−メチルペンテン基、1−メチルペンテン基、イソオクテン基、2−エチルヘキセン基のような基を挙げることができる。本発明で好ましく使用されるのは、炭素数1〜36、更に好ましくは炭素数3〜24、更に好ましく炭素数6〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルケニル基である。
【0012】
更に、本発明のアルキル基及びアルケニル基は、前記したように、ハロゲン、酸素、窒素、珪素、硫黄、燐、金属から選ばれる原子で置換されていてもよい。
【0013】
ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、ヨウ素、臭素から選ばれる原子が挙げられ、金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、ホウ素、アルミニウム、チタン、錫、鉄などが挙げられる。
【0014】
3 はリン含有化合物の残基又は糖含有化合物の残基の少なくとも一種の基を示すが、これらの基は単独でも他の化合物の組み合わせからなる複合基であってもよい。
【0015】
リン含有化合物としては、リン酸、ホスホコリン、ホスホエタノールアミン、の他ホスホセリンなどのアミノ酸類や核酸を含む化合物が例示される。
アミノ酸類として具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、オルニチン、アルギニン、ヒスチジン、ヒドロキシリジン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、トリコロミン酸、イボテン酸、キスカリン酸、カナバニン、カイニン酸、ドモイ酸、1−アミノシクロプロパンカルボン酸、2−(メチレンシクロプロピル)グリシン、ヒポグリシンA、3−シアノアラニン、アベナ酸、ムギネ酸、ミモシン、レボドパ、β−ヒドロキシ−γ−メチルフルタミン酸、5−ヒドロキシトリプトファン、パントテン酸、ラミニン、ベタシアニンなどが例示される。また、タウリンなどスルホン酸基を有するアミン類なども挙げられる。通常、これらのアミノ酸の水酸基もしくはアミノ基を介してリン酸に結合している。
【0016】
糖含有化合物としては特に制限はないが、通常は単糖類、二糖、三糖およびオリゴ糖類である。単糖類としてペントース、ヘキソース、デオキシヘキソース、ヘプトース、アミノ糖が挙げられ、具体的にはアラビノース、リボース、キシロース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラムノース、フコース、ジギトキソース、チマロース、オレアンドロース、ジギタロース、アピオース、ハマメロース、ストレプトース、セドヘプチュロース、コリオース、グルコサミン、ガラクトサミン、2−デオキシ−2−メチルアミノグルコースなどが例示される。オリゴ糖類として非還元性オリゴ糖、還元性オリゴ糖が挙げられ、具体的にはショ糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース、乳糖、セルビオース、麦芽糖、ゲンチオビオースなどが例示される。これらの糖は、通常、還元末端のアノマー位を介して結合することができる。
【0017】
以上のような本発明のスフィンゴ脂質誘導体(I)は、上記一般式(II)で示される化合物にトリイソプロピルシリル基(TIPS)を導入してその第2級水酸基が保護された上記一般式(III)で示される化合物を得、ついでこの化合物にリン含有化合物、糖含有化合物、アミノ酸及び核酸から選ばれた少なくとも一種の化合物を反応させて、上記上記一般式(IV)で示される化合物を得、ついでこの化合物の第2級水酸基を脱保護することにより合成される。
ここで、上記一般式(II)で示される化合物から上記一般式(III)で示される化合物を得る場合に、上記一般式(II)で示される化合物の第1級水酸基をあらかじめ保護して上記一般式(IIa)で示される化合物を得、次いでこの化合物の第2級水酸基をトリイソプロピルシリル基(TIPS)で保護して上記一般式(IIb)で示される化合物を合成し、しかる後この化合物の第1級水酸基を脱保護して上記一般式(III)で示される化合物を得る工程を経ることが好ましい。
【0018】
本発明のスフィンゴ脂質誘導体の好ましい合成態様を反応工程式で示すと以下のようになる
【化15】
Figure 2004002215
(式中の各記号は前記と同じ)
【0019】
以下、この反応工程を詳細に説明する。
まず、一般式(II)で示される化合物の第1級水酸基をその保護基(Z)で保護して一般式(IIa)で示される化合物を合成する。第1級水酸基の保護基を与える化合物としては、ベンゾイルクロリドもしくはベンゾイルブロマイド、パラメトキシベンゾイルクロリド、無水酢酸、アセチルクロライド、クロロアセチルクロライド、トリクロロアセチルクロライド、メトキシアセチルクロライド、フェノキシアセチルクロライド、パラフェニルベンゾイルクロライド等が使用されるが、酸および塩基への耐性および立体的障害による導入方法の観点からみてベンゾイルクロリドもしくはベンゾイルブロマイドを用いることが好ましい。
また、この合成反応の溶媒としては、ピリジン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの溶媒を用いられ、必要じ応じ、さらにトリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジンなどの塩基を添加しておくことが望ましい。反応温度は、通常、−78℃〜150℃、好ましくは、−40℃〜100℃の範囲である。
【0020】
つぎに、一般式(IIa)で示される化合物の第2級水酸基をトリイソプロピルシリル基(TIPS)で保護した後、第1級水酸基を脱保護して一般式(III)で示される化合物を合成する。
上記トリイソプロピルシリル基(TIPS)を導入するには、例えば、塩化トリイソプロピルシリル、トリイソプロピルシリルトリフラートなどが用いられる。また、溶媒としては、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが用いられる。また必要に応じ、イミダゾール、2,6−ルチジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジンなどの塩基を添加することが好ましい。反応温度は、通常、−78℃〜150℃、好ましくは−45℃〜100℃の範囲である。
第1級水酸基の脱保護は、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの塩基を用いることが好ましく、また溶媒としては、メタノール、エタノール、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが用いられる。反応温度は、通常、−78℃〜150℃、好ましくは−30℃〜80℃の範囲である。
【0021】
ついで、得られた一般式(III)で示される化合物に、リン含有化合物又は糖含有化合物を反応させて第1級水酸基にR基が導入された一般式(IV)で示される化合物を合成する。
この反応は、通常、トリフルオロメタンスルホン酸、シルバートリフラート、トリメチルシリルトリフラートなどのルイス酸もしくは、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジンなどの塩基を用いることが好ましく、また溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトニトリル、イソプロパノール、1,4−ジオキサン、トルエン、ベンゼン、エーテル、テトラヒドロフランなどが用いられる。反応温度は、通常、−78℃〜100℃、好ましくは−78℃〜30℃の範囲である。
【0022】
つぎに、一般式(IV)で示される化合物の第2級水酸基を脱保護することにより一般式(I)で示されるスフィンゴ脂質誘導体を高収率で得ることができる。
この反応は、テトラブチルオンモニウムフルオライド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン酸、塩酸、フッ化水素のピリジン塩などを用いることが望ましく、溶媒として、水、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが用いられる。反応温度は、通常、―78℃〜100℃、好ましくは、−60℃〜60℃の範囲である。
【0023】
前記合成工程で、最も重要なことは、出発原料である前記一般式(II)で示される第2級水酸基の保護基としてトリイソプロピルシリル基(TIPS)を用いる必要がある点である。一般に、水酸基の保護基としては、テトラヒドロピラニル基(THP)、各種のシリル基などが広く知られており、前記した「Biochemistry,1991,10746.」においても、前記反応におけ原料の第2級水酸基の保護基として前者のテトラヒドロピラニル基(THP)を用いる実験例が記載されているが、その全収率は27%程度である。これに対して、保護基としてトリイソプロピルシリル基(TIPS)を用いた、本発明方法においては全収率で41.5%という、前記文献値の1.5倍強の値で所望のスフィンゴ脂質誘導体を純度良いキラルなものとして得ることができる。一般に、水酸基の保護基としてこれらの基が同様な作用効果を呈するものとされている点を斟酌すると、両者の収率の格段の相違は当業者の常識を越えた驚くべき知見といえよう。
本発明方法が、上記のような顕著な作用効果を奏する理由は現時点では定かではないが、トリイソプロピルシリル基(TIPS)がテロラヒドロピラニル基(THP)に比べ、基質の分解および副反応の抑制効果能に優れると共に立体を制御し、化合物の安定化を発現するためと考えられる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明につき実施例を挙げて説明するが、その要旨を越えない限り以下に限定されるものではない。
【0025】
実施例[パルミトイルスフィンゴミエリンへの合成]
以下の反応工程式にしたがってパルミトイルスフィンゴミエリン(化合物5)を合成した。
【化16】
Figure 2004002215
(式中、Bzはベンジル基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
【0026】
[化合物1の合成]
化合物1は下記文献を参考に合成した。
Helv.Chim.Acta.,1988,354、J.Med.Chem.,1999,2687、Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,179
【0027】
[化合物2の合成]
窒素気流下、前記で得た化合物1のピリジン:クロロホルム混合溶液(1:1)に、氷冷下、1.3当量の塩化ベンゾイルを滴下した後、0.5当量のジメチルアミノピリジンを加えた。同温にて30分間撹拌後、室温にて一晩撹拌した。氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄した。分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、溶媒を減圧下にて留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物2を収率70%で得た。
【0028】
[化合物3の合成]
窒素気流下、前記で得た化合物2の無水テトラヒドロフラン溶液に、氷冷下、2,6−ルチジンを加えた後、トリイソプロピルシリルトリフラートを滴下した。同温で30分間撹拌した後、室温で2時間撹拌した。氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄した。分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、溶媒を減圧下にて留去し、化合物3を定量的に得た。
【0029】
生成物は、H−NMRスペクトルにより同定した。
【0030】
H−NMR(TMS、CDCl):8.00(2H、dd、J=8.2、1.2Hz)、7.54(1H、tt、J=7.6、1.2Hz)、7.41(2H、t、J=7.6Hz)、5.81(1H、d、J=8.5Hz)、5.72(1H、dt、J=15.5、6.7Hz)、5.51(1H、dd、J=15.5、7.3Hz)、Hz)、4.55(1H、m)、4.46(1H、m)、4.41−4.37(2H、m)、2.21(2H、td、J=7.3、3.0Hz)、2.05−2.01(2H、m)、1.56−1.52(2H、m)、1.38−1.13(46H、m)、1.09−1.00(18H、m)、0.87(6H、t、J=7.0Hz)。
【0031】
[化合物4の合成]
前記で得た化合物3のメタノール:クロロホルム混合溶液(1:1)に、氷冷下、2当量の無水炭酸カリウムを加え、室温にて一晩撹拌した。氷冷下、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄した。分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、溶媒を減圧下にて留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、化合物4を収率91%で得た。
【0032】
生成物は、H−NMRスペクトルにより同定した。
【0033】
H−NMR(TMS、CDCl):6.27(1H、d、J=7.0Hz)、5.71(1H、dt、J=15.5、7.0Hz)、5.47(1H、dd、J=15.5、7.3Hz)、4.51(1H、dd、J=7.3、3.0Hz)、3.99−3.91(1H、m)、3.85−3.78(1H、m)、3.60−3.52(2H、m)、2.19(2H、m)、2.04−2.02(2H、m)、1.61(2H、m)、1.39−1.20(46H、m)、1.08−1.02(18H、m)、0.86(6H、t、J=6.7Hz)。
【0034】
[化合物5の合成]
窒素気流下、1.5当量の2−ブロモエチルジクロロホスフェートの無水ジエチルエーテル溶液に、氷冷下、当量のトリエチルアミン、前記で得た化合物4の無水ジエチルエーテル溶液を滴下した。同温にて3.5時間撹拌した後、0.5N塩化カリウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで希釈し1時間撹拌した。ジエチルエーテルで抽出した後、水、飽和食塩水の順で洗浄した。分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した後、溶媒を減圧下にて留去した。得られた残渣をクロロホルム:イソプロピルアルコール:アセトニトリル(3:3:5)に溶解させ、30%トリメチルアミン水溶液を加えて、50℃にて4時間撹拌した。冷後、減圧下にて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、化合物5を収率74%で得た。
【0035】
生成物はH−NMRスペクトルにより同定した。
【0036】
H−NMR(CDCl、TMS): 6.27(1H、d、J=7.3Hz)、5.71(1H、dt、J=15.5、6.7Hz)、5.47(1H、dd、J=15.5、7.3Hz)、4.51(1H、dd、J=7.3、3.0Hz)、3.98−3.93(1H、m)、3.85−3.79(1H、m)、3.60−3.52(2H、m)、2.19(2H、m、J=7.0Hz)、2.02(2H、m)、1.61(2H、m)、1.39−1.18(46H、m)、1.08−0.99(18H、m)、0.86(6H、J=7.0Hz)。
【0037】
[化合物6の合成]
前記で得た化合物5の無水テトラヒドロフラン溶液に氷冷下、2当量のテトラn−ブチルアンモニウムフルオリド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を加え、室温にて4時間撹拌した。反応溶液を減圧下にて濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)で精製し、化合物6を収率88%で得た。全収率41.5%。
【0038】
生成物はH−NMRスペクトルにより同定した。
【0039】
1H−NMR(CDCl−CDOD、TMS):7.19(1H、d、J=8.3Hz)、5.64(1H、dt、J=15.2、6.7Hz)、5.40(1H、dd、J=15.2、7.6Hz)、4.30−4.16(2H、bs)4.10(1H、m)、4.00(1H、m)、3.92−3.81(2H、m)、3.20(9H、s)、1.95(2H、dd、J=14.6、7.0Hz)、1.56−1.48(2H、m)、1.32−1.17(46H、m)、0.84(6H、t、6.7Hz)。
【0040】
比較例
実施例において、第2級水酸基の保護基としてトリイソプロピルシリル基(TIPS)の代わりにテトラヒドロピラニル基(THP)を用いた以外は実施例と同様にしてパルミトイルスフィンゴミエリンを合成した。その全収率は25〜27%であった。
【発明の効果】
本発明によれば、高収率かつ高純度でスフィンゴ脂質誘導体を人工的に合成し得る工業的に有利なスフィンゴ脂質誘導体の製造方法が提供される。
本発明方法で得られるスフィンゴ脂質誘導体は、抗腫瘍剤、抗インフルエンザ剤等の医薬、保湿剤、育毛剤等の化粧品、農薬、工業薬品などに幅広く用いられる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(II)で示される化合物とトリイソプロピルシリル基を有する化合物を反応させてその第2級水酸基が保護された下記一般式(III)で示される化合物を得、ついでこの化合物にリン含有化合物又は糖含有化合物を反応させて、下記一般式(IV)で示される化合物を得、ついでこの化合物の第2級水酸基を脱保護して下記一般式(I)で示されるスフィンゴ脂質誘導体を得ることを特徴とするスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
    Figure 2004002215
    (I)
    (式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一でも、異なっていてもよい。Rは、リン含有化合物の残基又は糖含有化合物の残基を表す。)
    Figure 2004002215
    (II)
    (式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。)
    Figure 2004002215
    (III)
    (式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
    Figure 2004002215
    (IV)
    (式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Rは、リン含有化合物の残基又は糖含有化合物の残基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
  2. 上記一般式(II)で示される化合物の第1級水酸基をあらかじめ保護して下記一般式(IIa)で示される化合物を得、次いでこの化合物の第2級水酸基をトリイソプロピルシリル基で保護して下記一般式(IIb)で示される化合物を得た後、この化合物の第1級水酸基を脱保護して上記一般式(III)で示される化合物得る工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のスフィンゴ脂質誘導体の製造方法。
    Figure 2004002215
    (IIa)
    (式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Zは第1級水酸基の保護基を表す。)
    Figure 2004002215
    (IIb)
    (式中、RとRは、置換されていてもよい、アルキル基又はアルケニル基であり、RとRは、同一であっても、異なっていてもよい。Zは第1級水酸基の保護基を、TIPSはトリイソプロピルシリル基を表す。)
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