JP2004001668A - 自動車のフロア構造及びこのフロア構造を有する自動車 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フロアがフロアトンネル部11、サイドフレーム13、サイドシル12、クロスメンバ7,8,15,16により複数のエリアS1〜S4に区画され、エリアS1〜S3のフロアパネルの面剛性を剛性調整部20,21,22,23,25により調整し、それらフロアパネルについては、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの固有振動数が240〜260Hzとなるようにする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体フロアパネルの構造及びこの車体フロアパネルを有する自動車に関し、特に、ロードノイズの原因となる所定周波数帯域の振動入力に対して音響放射効率の低い特定モードの振動を励起させるようにしたものである
。
【従来の技術】
自動車の走行中のタイヤの空洞共鳴やサスペンションの共振等に起因する車室内の騒音、すなわち、ロードノイズが問題になっている。一般に、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズのピークは200〜300Hzの範囲の所定周波数帯域に現れ、サスペンションの共振によるロードノイズのピークは160Hz付近に現れる。そこで、従来よりロードノイズの音源の一つであるフロアパネルを中心として車体各部に種々の防振、防音対策が施されている。
【0002】
例えば、フロアパネルにビードを多数形成したり、パネル厚を大きくすることでその面剛性を高め、そのことによってその固有振動数を300Hzよりも高い高帯域にずらすことがなされている。つまり、フロアパネルが上記サスペンションの共振による160Hz付近やタイヤの空洞共鳴周波数帯域で共振しないようにして、ロードノイズを低減するというものである。この手法の場合、今度は高音域の振動が問題になるので、フロアパネルに高周波音を吸収するための吸音材を貼る等の対策が必要とされる。
【0003】
しかし、吸音材を多用すると材料コストが高くなるとともに、車体の重量が増大するという問題が生じる。
【0004】
これに対し、本願発明者らは、振動するパネルからの放射音がその振動モードによって大きく変化することに着目し、ロードノイズの問題となる所定の周波数帯域において音響放射効率の低い振動モードが励起されるように、フロアパネルの形状や拘束条件等を設定することを提案している。この提案内容は特開平9−202269号公報に記載されている。
【0005】
すなわち、略正方形のパネルの縦横にそれぞれ励起される定在波の腹の数をそれぞれn,mとして、「n×m=偶数」の振動モードになると、当該パネル内で隣り合う逆位相の部分からの放射音が互いに打ち消し合って、低減されることになる。図5(b)に示すように、特に「2×2モード」の振動モードのときに音響放射効率が最も低くなる。
【0006】
そこで、前記公報に記載の車体パネルの放射音低減構造では、車体フロアパネルにおけるフロアトンネルの左右両側にそれぞれ略正方形状の領域(振動モード調整領域)を設定して、この領域の振動モードが「2×2モード」となるように、パネルの面剛性分布を調整している。このようにすれば、タイヤの空洞共鳴やサスペンションの共振等による所定周波数帯域の振動が入力して、フロアパネルが共振しても、そのことによるロードノイズを十分に抑制して、車室内の静粛性を向上できるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如く、ロードノイズの原因となる振動数帯域は大略決まったものであり、この帯域の振動入力に対して「2×2モード」の振動が励起されるような領域を設定するには、フロアパネルに面積の広いフラット面を確保しなければならない。
【0008】
しかしながら、一般に、車体フロアパネルには車体前後方向に延びるフロアトンネル部が形成され、また、サイドフレーム、サイドシル、さらにはクロスメンバ等の強度メンバが結合されている。これらは、自動車のボディ剛性を確保して操縦安定性を高めるとともに、衝突時の乗員の保護性能を高めるという観点で極めて重要なものであるから、それらの寸法、形状やレイアウトはあまり大きく変更することができない。このため、前記「2×2モード」の振動を励起させるフロアパネル構造を自動車の車体に適用しようとしても、実際には広いフラット面を確保することができず実現が難しい。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車の車体フロアパネルにおけるフロアトンネル部やサイドフレーム等のレイアウトを生かしつつ、該フロアパネル内に振動モード調整エリアを設定して、ボディ剛性や安全性の確保と、振動モードの調整によるロードノイズの低減とを両立することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、フロアトンネル部や各種強度メンバで区画されたフロアパネルの車体前後方向に長いエリアを、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生するようにし、その2×1モードの固有振動数を上記タイヤの空洞共鳴によるロードノイズの低減に有効となるように調整した。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明は、自動車のフロアが、車幅中央部を車体前後方向に延びるフロアトンネル部と、該車幅の両側部を車体前後方向に延びる左右のサイドシルと、該フロアトンネル部と左右のサイドシルとの中間部を車体前後方向に延びるサイドフレームと、車幅方向に延びるクロスメンバとによって複数のエリアに区画された自動車のフロア構造であって、
上記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が240〜260Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造としたことを特徴とする。
【0012】
この発明では、フロアパネルに外部から240〜260Hzの振動が入力されると、上記振動モードを調整したフロアパネルでは2×1モードの振動を生ずる。すなわち、当該フロアパネルでは、車体前後方向に隣接する2つの部分が互いに逆位相かつ同振幅で振動することになるので、音響放射効率が極めて低くなり、もって240〜260Hzのロードノイズを大幅に低減することができる。
【0013】
また、上記振動モード調整フロアパネルは、その周囲が上記フロアトンネル部、サイドフレーム等の強度メンバ(エリア区画メンバ)によって拘束されているので、独立した振動系を形成し易く、狙い通りの2×1の振動モードを励起させる上で有利になっている。
【0014】
また、上記振動モード調整フロアパネルは、車体前後方向に延びるフロアトンネル部、サイドフレーム及びサイドシルと、それらに交差して車幅方向に延びるクロスメンバとによって効果的に補強され、よって、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を十分に確保することができる。
【0015】
つまり、この発明は、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めるための車体フロア補強構造を生かしつつ、それら補強部材(強度メンバ)によって区画されるエリアを利用して、2×1モードの振動により、240〜260Hzのロードノイズを大幅に低減することができるフロアパネル構造を形成するようにしたものである。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルは、その剛性が部分的に高められて上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生するように調整されていることを特徴とする。
【0017】
すなわち、上記エリアのフロアパネル全体をフラットパネル形状とする場合でも、その板厚を大きくして剛性を高くすれば、上記固有振動数を240〜260Hzに調整することができる。しかし、それでは車体の重量増を招き、特に、フロアを構成するパネル全体を1枚の板材からプレス成形する場合には、車体の重量が大幅に増大してしまう。
【0018】
そこで、本発明は、上記振動モード調整フロアパネルの剛性を部分的に高めるという手法を採用したものであり、従って、全体の板厚を高める必要がないから、車体重量の大きな増大を招くことなく、ロードノイズの低減を図ることができるようになる。また、当該フロアパネルの剛性を部分的に高めるという手法であるから、フロアパネルの設計において上記固有振動数を所期の値に調整することが容易である。剛性を部分的に高める手段としては、例えば、当該フロアパネルに部分的に凹部又は凸部を形成する、或いは部分的に板厚を大きくする、或いは部分的に別部材を結合するというものがある。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルは、上記2×1モードの振動を生ずるように車体前後方向に並ぶ2つの面剛性が高くなった剛性調整部を備えるとともに、該各剛性調整部の周囲がフラットとなるように形成されていることを特徴とする。
【0020】
従って、当該フロアパネルは、面剛性が高くなった2つの剛性調整部の中心が腹となって2×1モードの振動を生ずることになる。また、剛性調整部の周囲が剛性の低いフラットに形成されていて、このフラット部分が上下に柔軟に変形するから、当該エリアのフロアパネルとその周囲のエリア区画メンバや他のエリアのフロアパネルとの間で振動が連成することが防止され、上記2×1モードの振動を生じさせる上で有利になっている。また、2つの剛性調整部の中間部も剛性の低いフラットに形成されることになるから、この中間フラット部が節となってその前側の部位と後側の部位とが互いに逆位相で振動し易くなる。つまり、上記2×1モードの振動を生じ易くなる。
【0021】
この場合、例えば、剛性調整部とその周囲のフラット部とは同じ板厚にし、剛性調整部全体を下方へ窪んだ凹曲面又は上方へ突出した凸曲面にすればよい。また、この凹曲面又は凸曲面にビードを設けてさらに剛性を高める方向に調整することができる。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルは、上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生する略長方形状パネル部を備えていることを特徴とする。
【0023】
すなわち、上記2×1モードの振動は長方形状のパネルであるときに生じ易い。そこで、本発明では、当該フロアパネルに、外部から振動が与えられたときに2×1モードで振動する略長方形状のパネル部(領域)を形成し、このパネル部の上記2×1モードでの固有振動数を240〜260Hzとなるようにしたものである。
【0024】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルは、非長方形状であり、
上記非長方形状フロアパネルの周辺部に他の部分よりも面剛性が高くなった剛性調整部が設けられ、これによって該非長方形状フロアパネルに上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生する略長方形状パネル部が形成されていることを特徴とする。
【0025】
すなわち、上記エリアのフロアパネルが非長方形状であれば、上記2×1モードの振動を生じ難くなる。これに対して、フロアトンネル部、サイドシル、その他のエリア区画メンバの形状や配置を変更して該エリアのフロアパネルを上記2×1モードの振動を生じ易い形状にすることも考えられる。しかし、その場合は、車体を効果的に補強して、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を十分に確保することが難しくなる。
【0026】
そこで、本発明では、当該フロアパネルの周辺部の少なくとも一部に剛性調整部を設け、この剛性調整部によって当該フロアパネルの振動領域を規制することにより、上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生する略長方形状パネル部を形成するようにしたものである。
【0027】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルには、上記略長方形状パネル部の横辺と縦辺との比が略1:2となるように、該フロアパネルの振動する領域を規制する剛性調整部が設けられていることを特徴とする。
【0028】
すなわち、上記2×1モードの振動は横辺と縦辺との比が略1:2の長方形状のパネルで生じ易い。そこで、本発明では、上記フロアパネルに剛性調整部を設けて、横辺と縦辺との比が略1:2の長方形状のパネル部(2×1モードの振動領域)を形成するようにしたものである。
【0029】
この場合、当該フロアパネルの形状が長方形状であるか非長方形状を問わない。当該フロアパネルの形状が長方形状である場合でも、その長方形の横辺と縦辺の比が略1:2になっていないときは、当該フロアパネルの周辺部に剛性調整部を設けることによって横辺と縦辺との比が略1:2の長方形状のパネル部を形成することになる。
【0030】
請求項7に係る発明は、請求項4に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルの周辺部には、上記略長方形状パネル部と上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム及びクロスメンバのうちの少なくとも1つとの間で振動が連成することを抑制する剛性調整部が設けられていることを特徴とする。
【0031】
すなわち、上記振動モード調整フロアパネルと、エリア区画メンバであるフロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバとは互いに別個の振動系を構成し、また、上記振動モード調整フロアパネルと他のエリアのフロアパネルとも互いに別個の振動系を構成している。しかし、これらフロアパネル及びエリア区画メンバは、各々の振動系を構成する要素同士が互いに連続し或いはその要素同士が互いに結合しているから、振動の連成を生じ易い。
【0032】
そこで、本発明では、振動モード調整フロアパネルの周辺部に、上記略長方形状パネル部とエリア区画メンバとの間で振動が連成することを抑制する剛性調整部を設け、そのことによって当該パネル部で固有振動数が240〜260Hzである上記2×1モードの定在波振動が確実に生ずるようにしたものである。
【0033】
この発明の利点は、当該フロアパネルにおける周辺部(2×1モード振動領域の外側のスペース)を上記連成防止用の剛性調整部の形成に有効に利用できることにある。
【0034】
すなわち、上記振動モード調整フロアパネルに上記2×1モードの振動を生ずるような略長方形状(特に横辺と縦辺の比が略1:2)の振動領域を確保するようにした場合、当該フロアパネルの周辺部に余分なスペースを生ずることが多い。このスペースは、単に余分なだけでなく、2×1モードの振動に不利になる。これに対して、余分なスペースを生じないように上記エリア区画メンバを配置することは車体強度確保等の面から一般には難しい。この問題が、本発明によれば、上記連成振動防止用の剛性調整部を設けることによって解決され、しかも、スペースの有効利用が図れるものである。
【0035】
この場合の剛性調整部は、当該エリアの面剛性を上記振動領域(略長方形状パネル部)の周縁において不連続に変化させることによって形成することができる。例えば、上記2×1モード振動の波の進行方向(なお、この場合は、定在波であるから、波長と振幅の等しい2つの波が互いに逆方向に進む状態となっている。)に直交して車体前後方向又は車幅方向に延びる構造ビード(断面U字状、断面V字状等の突条)をプレス成形によって形成すればよい。
【0036】
その場合、当該エリアは上記構造ビードを境として折れ曲がり易くなる、つまり、この構造ビードを境とする折り曲げについては曲げ剛性が低くなり、上記振動領域側とその外側(上記エリア区画メンバ)側との間では振動が伝わり難くなる。よって、上記振動の連成が避けられるものである。
【0037】
請求項8に係る発明は、請求項5乃至請求項7のいずれか一に記載されている自動車のフロア構造において、
上記フロアのパネルは、上記フロアトンネル部を含めて上記左右のサイドシル間の全幅が1枚金属板からプレス成形によって形成されており、
上記剛性調整部は車幅方向に延びる構造ビードとして上記パネルに形成されていることを特徴とする。
【0038】
すなわち、上記フロアトンネル部を含めてフロアのパネルの全幅を1枚の金属板からプレス成形する場合、フロアトンネル部は基本的には張出し成形になり、そのとき材料が車幅方向に流れることになる。
【0039】
そこで、本発明では、上記剛性調整部を車幅方向に延びる構造ビードとし、プレス成形時の材料の塑性流れが円滑になるようにしたものである。つまり、この剛性調整部が車体前後方向に延びる構造ビードであれば、該ビード部分がプレス成形時の材料の塑性流れを阻害し、成形不良を生じ易くなるが、車幅方向に延びる構造ビードとすることにより、プレス成形性が阻害されないようにしたものである。
【0040】
上記振動モード調整フロアパネルが非長方形状であるときに、該フロアパネルに略長方形状パネル部を形成すべくその振動領域の幅(車幅方向の寸法)を規制する場合は、車幅方向に延びる複数の構造ビードを車体前後方向に間隔をおいて並べればよい。特に、これらビードの上記振動領域側の端の位置を車体前後方向に直線状に並ぶように揃えると、車体前後方向に長い長方形状パネル部(2×1モード振動領域)を形成することができる。
【0041】
例えば、フロアトンネル部に隣接するエリアのフロアパネルを振動モード調整フロアパネルとする場合、該フロアパネルからフロアトンネルに跨るように車幅方向に延びる複数のビード前後方向に間隔をおいて設けて、その端部を上記2×1モード振動領域の境界線上に位置付けるようにすればよい。
【0042】
請求項9に係る発明は、自動車のフロアが、車幅中央部を車体前後方向に延びるフロアトンネル部と、該車幅の両側部を車体前後方向に延びる左右のサイドシルと、該フロアトンネル部と左右のサイドシルとの中間部を車体前後方向に延びるサイドフレームと、車幅方向に延びるクロスメンバとによって複数のエリアに区画され、
上記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が当該自動車のタイヤの空洞共鳴周波数に略一致するように振動モードを調整したフロアパネル構造としたことを特徴とする。
【0043】
従って、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めるための車体フロア補強構造を生かしつつ、それら補強部材(強度メンバ)によって区画されるエリアを利用して、2×1モードの振動により、タイヤの空洞共鳴に起因するロードノイズを大幅に低減することができる。
【0044】
請求項10に係る発明は、自動車のフロアが、車幅中央部を車体前後方向に延びるフロアトンネル部と、該車幅の両側部を車体前後方向に延びる左右のサイドシルと、該フロアトンネル部と左右のサイドシルとの中間部を車体前後方向に延びるサイドフレームと、車幅方向に延びるクロスメンバとによって複数のエリアに区画され、
上記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が200〜300Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造としたことを特徴とする。
【0045】
すなわち、自動車のタイヤの空洞共鳴周波数は、自動車に装着されるタイヤの種類(例えば、タイヤ幅、タイヤの直径、扁平率、空気圧)、当該自動車の車速、並びに雰囲気温度によって異なってくるが、一般には200〜300Hzの範囲に存する。よって、本発明では、上記2×1モードの固有振動数が200〜300Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造を採用したものである。これにより、上記タイヤの空洞共鳴によるロードノイズの低減を図ることができる。
【0046】
なお、請求項9,10においても、その振動モードの調整には、請求項2〜8の手段を採用することができる。
【0047】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルは、自動車のフロントシート下の上記フロアトンネル部と上記サイドフレームとの間に設定されていることを特徴とする。
【0048】
この構成では、振動モード調整フロアパネルがフロントシートの下に配置されているから、このフロントシートに座る乗員に対する下方からのロードノイズが効果的に低減される。また、当該フロアパネルはフロントシート下に隠れるから、該フロントシートに座る乗員の足に対して2×1モードの振動が伝達することが避けられる。また、逆に、当該フロアパネルの2×1モードでの振動が乗員の足によって妨げられることがなくなり、放射音の低減に有利になる。
【0049】
請求項12に係る発明は、請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載されている自動車のフロア構造において、
上記振動モード調整フロアパネルは、上記サイドフレームの両側に形成されていることを特徴とする。
【0050】
従って、サイドフレーム両側の車体前後方向に長いエリアを有効に利用して放射音の低減を図ることができる。
【0051】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか一に記載されている自動車のフロア構造において、
上記複数のエリアのうちフロアパネルを上記振動モード調整フロアパネル構造としたエリアを除く他のエリアのフロアパネルは、固有振動数が300Hzよりも高くなるように剛性が調整されていることを特徴とする。
【0052】
すなわち、上記複数のエリアの全てを振動モード調整フロアパネル構造とすることもできるが、補強部材のレイアウト等の関係で有効な2×1モードの振動を生じさせることが難しいエリアを生ずることがある。そこで、そのようなエリアのフロアパネルについては固有振動数が300Hzよりも高くなるように剛性を調整し、300Hz以下の外部振動に対する共振を避け、放射音の低減を図ったものである。
【0053】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至請求項13のいずれか一つに記載されているフロア構造を備えた自動車であって、
フロントサスペンションがダブルウィッシュボーン形式であることを特徴とする。
【0054】
上述の如く、振動モード調整フロアパネルは、200〜300Hzの振動が入力したときの放射音低減効果が高いが、自動車ではサスペンションの共振によるロードノイズのピークが160Hz付近に現れる。このロードノイズは、マクファーソン・ストラット形式(以下、単にストラット形式という。)で顕著になる。それは、この形式の場合、上端が車体に連結されているダンパの下端がナックル・スピンドルにリジットに連結されていて、走行時にはナックル・スピンドルから前後・左右の振れがダンパを介して車体に伝わり易いためである。
【0055】
そこで、本発明は、フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン形式としたものである。この形式の場合、ナックル・スピンドルの上下両端にアッパアーム及びロアアームがボールジョイントで連結され、ダンパの下端はアッパアーム又はロアアームにボールジョイントで連結されている。従って、ナックル・スピンドルからアッパアーム又はロアアーム介してダンパに入る前後・左右の揺れは該ダンパがその上端の車体取付部を支点として揺動することによって吸収され、車体には伝わりにくい。このため、本発明によれば、上述の200〜300Hz付近のロードノイズが振動モード調整フロアパネルの2×1モードの振動によって抑制される一方、160Hz付近のロードノイズも低くなり、車室内の静粛性向上に有利になる。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明によれば、自動車のフロアをフロアトンネル部、左右のサイドシル、サイドフレーム及びクロスメンバによって複数のエリアに区画し、この複数のエリアのうちの少なくとも1つエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が240〜260Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造としたから、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めるための車体補強構造を生かしつつ、フロアの240〜260Hzにおける音響放射効率を極めて低くすることができ、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズを大幅に低下させることができる。
【0057】
請求項2に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルの剛性を部分的に高めて上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生するようにしたから、車体の大きな重量増を招くことなく、上記ロードノイズを大幅に低下させることができる。
【0058】
請求項3に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルに車体前後方向に並ぶ2つの剛性調整部を設け、この各剛性調整部の周囲をフラットに形成したから、エリア区画メンバや他のエリアのフロアパネルとの間で振動の連成を生ずることを避けながら上記2×1モードの振動を確実に生じさせる上で有利になる。
【0059】
請求項4に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルに上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生する略長方形状パネル部を形成するようにしたから、所期の2×1モードの振動を生じさせる上で有利になる。
【0060】
請求項5に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルが非長方形状であるときに、該フロアパネルにおける周辺部の少なくとも一部に他の部分よりも面剛性が高くなった剛性調整部を設けて上記略長方形状パネル部を形成するようにしたから、フロアトンネル部、その他のエリア区画メンバの形状や配置を変更することなく、上記2×1モードの振動を生じさせるようにすることができ、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めながら、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズを大幅に低下させる上で有利になる。
【0061】
請求項6に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルに剛性調整部を設けて、横辺と縦辺との比が略1:2の長方形状パネル部を形成するようにしたから、フロアトンネル部、その他のエリア区画メンバの形状や配置を変更することなく、上記2×1モードの振動を効率良く生じさせるようにすることができ、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めながら、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズを大幅に低下させる上で有利になる。
【0062】
請求項7に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルにおける周辺部に、上記略長方形状パネル部と上記エリア区画メンバとの間で振動が連成することを抑制する剛性調整部を設けたから、エリア区画メンバの形状や配置を変更することなく、当該フロアパネルのスペースを有効に利用して、当該フロアパネルの2×1モード振動が他の振動系によって影響されることを排除することができ、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めながら、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズを大幅に低下させる上で有利になる。
【0063】
請求項8に係る発明によれば、上記剛性調整部を車幅方向に延びる構造ビードによって形成したから、上記フロアトンネル部を含めて左右のサイドシル間に亘るフロア全幅を1枚の金属板からのプレス成形によって形成する上で有利になる。
【0064】
請求項9に係る発明によれば、自動車のフロアをフロアトンネル部、左右のサイドシル、サイドフレーム及びクロスメンバによって複数のエリアに区画し、この複数のエリアのうちの少なくとも1つエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が当該自動車のタイヤの空洞共鳴周波数に略一致するように振動モードを調整されたフロアパネル構造としたから、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めるための車体フロア補強構造を生かしつつ、タイヤの空洞共鳴に起因するロードノイズを大幅に低減することができる。
【0065】
請求項10に係る発明によれば、自動車のフロアをフロアトンネル部、左右のサイドシル、サイドフレーム及びクロスメンバによって複数のエリアに区画し、この複数のエリアのうちの少なくとも1つエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が200〜300Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造としたから、自動車のボディ剛性や乗員保護性能を高めるための車体フロア補強構造を生かしつつ、タイヤの空洞共鳴に起因するロードノイズを大幅に低減することができる。
【0066】
請求項11に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルをフロントシート下のフロアトンネル部とサイドフレームとの間に配置したから、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズを効果的に低減させながら、自動車の側面衝突に対する乗員の保護を図る上で有利になる。
【0067】
請求項12に係る発明によれば、上記振動モード調整フロアパネルをサイドフレームの両側に配置したから、該サイドフレーム両側の車体前後方向に長いエリアを有効に利用して放射音の低減を図ることができる。
【0068】
請求項13に係る発明によれば、上記複数のエリアのうちフロアパネルを上記振動モード調整フロアパネル構造としたエリアを除く他のエリアのフロアパネルは、固有振動数が300Hzよりも高くなるように剛性を調整したから、300Hz以下の外部振動に対して、上記振動モード調整フロアパネルでは2×1モードの振動で放射音の低減を図りながら、他のエリアでは当該外部振動に対するフロアパネルの共振を避け、放射音の低減を図ることができる。
【0069】
請求項14に係る発明によれば、フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン形式としたから、タイヤの空洞共鳴によるロードノイズの低減を図りながら、サスペンションの共振によるロードノイズの低減を図ることができる。
【0070】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0071】
図1は、本発明に係る放射音低減構造をフロアに適用した自動車のアンダーボディBを示し、この自動車のアンダーボディBは、車室の床部分を構成するフロントフロアパネル1と、このフロントフロアパネル1の車体後方の一段、高い位置に配設され、図示しないリヤシートが配置されるセンタフロアパネル2と、さらにそのセンタフロアパネル2よりも車体後方の一段、高い位置に配設されて、荷室の床部分を構成するリヤフロアパネル3とを備えている。また、前記フロントフロアパネル1の車体前側の端縁部には、車室とエンジンルームとを仕切るダッシュパネル4の下端縁部がスポット溶接等により接合されており、さらに、該ダッシュパネル4の前方には、エンジンルームの左右両側を囲むように一対のフロントサイドフレーム5,5とフェンダエプロン6,6とが設けられている。
【0072】
前記ダッシュパネル4の下側の部分は、下端側に向かうほど車体後方に位置するように傾斜する傾斜部4aとされ、この傾斜部4aにおける車幅方向の略中央位置には、フロントフロアパネル1のフロアトンネル部11に対応するように、下方に開口する凹部が形成されている。また、前記一対のフロントサイドフレーム5,5は、それぞれ前記ダッシュパネル4の下端縁部から傾斜部4aに沿って前方斜め上方に向かって延び、その傾斜部4aの上縁付近でダッシュパネル4から離れて、そこからは略水平に車体前方に向かって延びている。この各フロントサイドフレーム5は、詳しくは図示しないが、車体前側の部分が、断面コ字状の2つの鋼板製部材を左右両側から組み合わせて、略矩形の閉断面を有する四角柱状にしたものであり、一方、各フロントサイドフレーム5の車体後側の部分は、図2にも示すように、断面コ字状の鋼板製部材をダッシュパネル4の傾斜部4aに下方から重ね合わせて、略矩形の閉断面構造としたものである。
【0073】
前記ダッシュパネル4の傾斜部4aには、前記フロントサイドフレーム5の左右両側を挟むようにして下方から補強部材が取り付けられている。すなわち、図2に示すように、各フロントサイドフレーム5の車体外方側(図の左側)には、略L字状断面を有するトルクボックスメンバ7,7(図2には一方のみを示す)が配設されていて、この各トルクボックスメンバ7の車体内方側フランジ7aがフロントサイドフレーム5に接合されるとともに、車体前側フランジ7bがダッシュパネル4の傾斜部4aに接合されていて、この傾斜部4aとトルクボックス7とにより車幅方向に延びる閉断面構造が構成されている。
【0074】
また、左右一対のフロントサイドフレーム5,5の中間に挟まれるようにダッシュロワクロスメンバ8が配設されている。このダッシュロワクロスメンバ8は、略L字状断面を有する左右両側の部材9,9とそれらを連結する中間部材10とを組み合わせてなり、左右両側の部材9,9の車体外方側フランジ9a,9aがそれぞれフロントサイドフレーム5,5に接合されるとともに、中間部材10の車体前側フランジ10aがダッシュパネル4の傾斜部4aに接合されていて、この傾斜部4aとダッシュロワクロスメンバ8とにより車幅方向に延びる閉断面構造が構成されている。
【0075】
上記トルクボックス7,7及びダッシュロアクロスメンバ8を以下では便宜上No.1クロスメンバという。
【0076】
前記フロントフロアパネル1は、図3にも示すように、所定厚(例えば、厚さ0.65〜0.7mm)の鋼板をプレス成形してなり、車幅方向の略中央位置において上方に膨出するフロアトンネル部11が車体前後方向に延びるように一体成形されたものである。また、フロントフロアパネル1の車幅方向の両端側には、それぞれ、自動車のサイドボディ(図示せず)が取り付けられるようになっていて、このサイドボディの下端縁部を車体前後方向に延びる閉断面構造のサイドシル12,12(仮想線で示す)がスポット溶接等によりフロントフロアパネル1に接合される。すなわち、上記フロントフロアパネル1は、上記フロアトンネル部11を含めて上記左右のサイドシル12,12間の全幅が1枚の金属板からプレス成形によって形成されている。
【0077】
さらに、前記フロアトンネル部11と各サイドシル12,12との中間には、それぞれ車体前後方向に延びるようにフロアサイドフレーム13,13が設けられている。この各フロアサイドフレーム13は、前記フロントサイドフレーム5の後側の部分と同様に、断面コ字状の鋼板製部材をフロントフロアパネル1の底面に下方から重ね合わせて、略矩形の閉断面を構成したものである。図4に示すように、当該閉断面積を確保するために、フロントフロアパネル1のフロントサイドフレーム5に対応する部位には上方に突出する凸部14が形成され、この凸部14は該フロントフロアパネル1前縁部から車体前後方向の中央位置よりも後方の所定箇所まで前後方向に延びている。また、各フロアサイドフレーム13,13の前端部はそれぞれフロントサイドフレーム5,5の後端部に接続されている。
【0078】
つまり、前記フロントフロアパネル1には、車体前後方向の補強構造として、中央のフロアトンネル部11と左右両端側のサイドシル12,12とに加えて、フロアトンネル部11とサイドシル12との間の略中央にフロアサイドフレーム13及び凸部14が配設されており、これにより、自動車のボディの曲げ剛性やねじり剛性を十分に確保できるとともに、特に自動車の正面衝突時における車室の変形を最小限に抑えて、乗員を確実に保護することができる。
【0079】
一方、車幅方向の補強構造としては、前記したように、フロントフロアパネル1の前縁部を補強するNo.1クロスメンバ(トルクボックスメンバ7及びダッシュロワクロスメンバ8)がある。これに加えて、フロントフロアパネル1の車体前後方向略中央位置においてフロアトンネル部11を跨ぐようにして車幅方向に延びるNo.2クロスメンバ15と、フロントフロアパネル1の後端縁部においてセンタフロアパネル2との継ぎ目に沿って車幅方向に延びるNo.3クロスメンバ16とが配設されている。前記No.2クロスメンバ15は、下向きに開放するコ字状断面の部材をフロントフロアパネル1の上面に接合したもので、車幅方向の略中央部がフロアトンネル部11の形状に対応するように上方に屈曲している一方、左右両端部はそれぞれサイドシル12,12に接合されるようになっている。
【0080】
さらに、前記No.2クロスメンバ15とNo.3クロスメンバ16との間には、フロントシートの取付座を兼用する補強部材17が配設されている。すなわち、図1には左側のフロントシート18のみを示すが、このフロントシート18は、No.2クロスメンバ15の上方からやや車体後方にずれて配置されるようになっていて、そのシートクッションの後端部付近に対応する位置に、フロアサイドフレーム13からサイドシル12に亘るように車幅方向に延びる補強部材17が架設されている。そして、図示しないが、シートクッションの前側の2つの取付部材がNo.2クロスメンバ15に締結されるとともに、後側の2つの取付部材の一方が前記補強部材17に締結され、また、他方はフロアトンネル部11に締結される。このように、フロントシートの下方に配設した補強部材17によって、自動車の側面衝突に対するフロントシート乗員の保護性能が高められている。
【0081】
以上の構成により、上記フロントフロアパネル1によって構成されるフロアは、各々車体前後方向に延びるフロアトンネル部11、フロアサイドフレーム13,13(凸部14,14)及びサイドシル12,12、並びに、各々車幅方向に延びる各クロスメンバ7,8,15,16によって略長方形状の若しくは長方形状に近い形状の8つのエリアに区画されている。
【0082】
そうして、本願発明の特徴は、上記8つのエリアのうちの6つのエリアS1〜S3のフロアパネルを、それぞれ、所定周波数帯域(240〜260Hz)の振動入力、特に略250Hzの振動入力に対して音響放射効率の低い特定の振動モードが励起される振動モード調整フロアパネル構造にしたことにある(以下、前記エリアS1〜S3を振動モード調整エリアともいう)。上記8つのエリアのうちの残り2つのエリアS4のフロアパネルは固有振動数が300Hz以上となるようにその剛性が調整されている。
【0083】
ここで、音響放射効率の低い振動モードについては、従来例の公報(特開平9−202269号)に詳しく説明されている。要するに、矩形状の領域の縦横にそれぞれ励起される定在波の腹の数をそれぞれn,mとしたときに、図5に一例を示すように、「n×m=偶数」であれば、当該パネル内で隣接する逆相の部分からの放射音が互いに打ち消し合って、音響放射エネルギが大幅に低下することになる。
【0084】
すなわち、同図(a)に示す「2×1=2」の振動モードでは、パネル内の2つの部分が逆位相かつ同振幅で振動し、放射音同士が打ち消し合う。また、同図(b)に示す「2×2=4」の振動モードでは、パネル内の4つの部分からの放射音が互いに打ち消し合うことになり、このときに音響放射効率が最小となる。
【0085】
そして、この実施形態では、上述の如くアンダボディBの剛性を確保するために車体前後方向及び車幅方向にそれぞれ配置したフレームやクロスメンバ等の補強構造のレイアウトを生かしつつ、フロントフロアパネル1上の車体前後方向に長いエリアS1〜S3の各フロアパネルに、それぞれ、車体前後方向の定在波の腹が2つでかつ車幅方向の定在波の腹が1つとなる2×1モードの振動を励起させるようにしている。
【0086】
より具体的には、前記図3に示すように、第1エリアS1,S1は、フロアトンネル部11の左右両側においてそれぞれフロアサイドフレーム13(及び凸部14)、サイドシル12、トルクボックスメンバ7及びNo.2クロスメンバ15により区画されている。そして、この第1エリアS1,S1のフロアパネルは、それらエリア区画メンバによって周縁が拘束されている。
【0087】
第2エリアS2,S2は、前記第1エリアS1,S1の車体内方寄りに位置し、フロアトンネル部11、フロアサイドフレーム13(及び凸部14)、ダッシュロワクロスメンバ8及びNo.2クロスメンバ15により区画されている。そして、この第2エリアS2,S2のフロアパネルは、それらエリア区画メンバによって周縁が拘束されている。
【0088】
第3エリアS3,S3は、前記第2エリアS2,S2の車体後方に位置し、フロアトンネル部11、フロアサイドフレーム13(及び凸部14)、NO.2クロスメンバ15及びNo.3クロスメンバ16により区画されている。そして、この第3エリアS3,S3のフロアパネルは、それらエリア区画メンバによって周縁が拘束されている。この第3エリアS3,S3の車体外方には、上述の如くフロアサイドフレーム13からサイドシル12に亘る補強部材17が架設されている。
【0089】
そうして、前記各エリアS1〜S3のフロアパネルには、それぞれ、上記2×1モードの固有振動数が略250Hzとなるようにその面剛性を調整すべく、略円形の2つの剛性調整部20,21が車体前後方向に並んで形成されている。
【0090】
剛性調整部20,21は、互いに略同じ形状のものであり、当該エリアのフロアパネルの前部及び後部を略円形の凹曲面状に下方へ窪ませて(又は略円形の凸曲面状に上方へ突出させて)形成されている。また、各エリアにおけるフロアパネルの各剛性調整部20,21の周囲はフラットに形成されている。つまり、各剛性調整部20,21は周囲をフラット面で囲まれ、この両剛性調整部20,21間にもフラット面が形成されている。なお、各剛性調整部20,21には面剛性の調整と滑り止めとを兼ねた凹凸ラインが略十字状に現れている。
【0091】
すなわち、前記のようにパネルに凹部等を形成して局部剛性を高めるようにした場合、図6に示すように窪みdを深くするほど局部剛性が高くなって、固有振動数(共振周波数)が高くなる傾向があり、反対に窪みdを浅くすれば、局部剛性が低下して固有振動数も低下する。従って、上記剛性調整部20,21の形状を適宜、変更することで、前記所定周波数帯域の振動入力に対して確実に2×1モードの振動を励起させることができ、これにより、当該エリアにおいて相隣る逆位相の部分からの放射音を互いに打ち消し合わせて(放射音のキャンセレーション)、音響放射効率を極めて低くすることができるのである。
【0092】
ところで、そのような共振現象において各エリアのフロアパネルの振動と他のエリアのフロアパネル又はエリア区画メンバ(フロアトンネル部11、フロアサイドフレーム13、凸部14、サイドシル12、各クロスメンバ7,8,15,16)の振動とが連成すると、前記の放射音のキャンセレーションが不十分なものとなり、放射音の低減効果が損なわれる虞れがある。従って、振動の連成が抑制されるようにすることが好ましい。
【0093】
また、上記2×1モードの振動を起こすためには各エリアS1〜S3のフロアパネルに略長方形状のパネル部(振動領域)、特に横辺と縦辺との比が略1:2である長方形状のパネル部、例えば、横辺の長さが150mm、縦辺の長さが300mmである長方形状の、ないしは横辺の長さが200mm、縦辺の長さが400mmである長方形状の振動領域を形成することが好ましい。
【0094】
そこで、第1エリアS1のフロアパネルには、その前側縁部をトルクボックスメンバ7に沿って車幅方向に延びる構造ビード22(剛性調整部)が形成されているとともに、後側縁部をNo.2クロスメンバ15に沿って車幅方向に延びる構造ビード23(剛性調整部)が形成されている。また、第1エリアS1のフロアパネルの車幅方向の側縁部については、車体外方側がサイドシル12により、また、車体内方側がフロアサイドフレーム13によりそれぞれ拘束されている。特に、車体内方側についてはフロントフロアパネル1に上方に突出する凸部14が設けられているので、この部分では面剛性が非常に大きく変化することになる。
【0095】
従って、第1エリアS1のフロアパネルは、構造ビード22,23、サイドシル12及びフロアサイドフレーム13(及び凸部14)によって振動する領域が略長方形状となるように規制されている、つまり略長方形状パネル部が形成されていることになる。この場合、構造ビード22,23は、当該エリアS1のフロアパネルに上記略長方形状パネル部を形成する働きをしているとともに、このパネル部とクロスメンバ7,15との間で振動が連成することを防止する働きをしている。つまり、当該エリアに車幅方向に延びる構造ビード22,23を設けると、該エリアのフロアパネルはこのビード部分を折れ線として曲がり易くなるから、上記振動の連成を防止する上で有利になるものである。
【0096】
さらに、上記略円形の剛性調整部20,21と、構造ビード22,23、サイドシル12及びフロアサイドフレーム13(凸部14)との間には、所定幅(例えば10mmくらい)のフラット部(低剛性部)が残されており、このことで、上記略長方形状パネル部とその周囲の他の振動系との間で振動が連成することが防止され、理想的な2×1モードの振動を励起させることができる。すなわち、略円形の剛性調整部20,21が、当該略長方形状パネル部周縁の剛性の不連続に変化する部分に接近し過ぎると、そのことによって所定モードの振動の励起が阻害されるが、上記フラット部があるために理想的な2×1モードの振動を励起させる上で有利になっている。
【0097】
尚、第1エリアS1には、水抜きのための孔部24が設けられているが、これは、当該エリアS1におけるパネルの振動モードに悪影響を及ぼさないように配置されている。
【0098】
第2エリアS2のフロアパネルは、エリア区画メンバの一つであるフロアトンネル部11の裾幅の変化のために、第1エリアS1とは違って、エリア前部の幅が後部の幅よりも広い非長方形状に形成されている。そこで、この非長方形状フロアパネルに略長方形状パネル部(図3に2点鎖線で示す2×1モード振動領域R)が形成されるように、エリア前部の車体内方側には他の部分よりも面剛性が高くなった剛性調整部が設けられている。
【0099】
すなわち、当該剛性調整部は、フロアトンネル部11の側面と当該エリアS2のフロアパネルとに跨るように車幅方向に延び且つ前後に間隔をおいて設けられた複数のビード25,25,…によって構成されている。そうして、このビード25,25,…の車体外方側の端の位置は、当該エリアS2を車体前後方向に直線状に延びるライン(鎖線で示す振動領域Rのフロアトンネル部側のライン)上に並ぶように揃えられている。このラインは、当該エリアS2の後部におけるフロアトンネル部11の裾の位置を通っている。
【0100】
従って、当該エリアS2のフロアパネルは、フロアサイドフレーム13(凸部14)と、ビード25,25,…と、このビード群後方のフロアトンネル部11の裾とによってその振動領域Rの幅(車幅方向の寸法)が車体前後方向の全長に亘って略一定となるように規制されていることになる。
【0101】
また、第2エリアS2のフロアパネル前後両縁部には、第1エリアS1と同様に、それぞれNo.2クロスメンバ15及びNo.3クロスメンバ16に沿って車幅方向に延びる構造ビード22,23が形成されている。この構造ビード22,23は、当該エリアS2の振動領域Rの長さを規制しているとともに、他の振動系との間で振動が連成することを防止している。
【0102】
そうして、上記第2エリアS2の、上記略円形の剛性調整部20,21と、構造ビード22,23,25、フロアトンネル部11及びフロアサイドフレーム13(凸部14)との間には、第1エリアS1と同様に所定幅(例えば10mmくらい)のフラット部(低剛性部)が残されている。
【0103】
さらに、前記第3エリアS3のフロアパネルについても、フロアトンネル部11との境界部に前記第2エリアS2と同様に車幅方向に延びる複数のビード25,25が形成されている一方、車体外方側はフロアサイドフレーム13によりしっかりと拘束されている。また、第3エリアS3のフロアパネルの前縁部はNo.2クロスメンバ15によって拘束されるとともに、フロントフロアパネル1に形成された段差部26(剛性変更部)により面剛性が不連続に変化するようになっており、一方、後縁部はNo.3クロスメンバ16によってしっかりと拘束されている。加えて、この第3エリアS3においても、略円形の剛性調整部20,21とエリア境界部との間には所定幅(例え10mmくらい)のフラット部(低剛性部)が残されている。
【0104】
また、第3エリアS3のフロアパネルは、フロントシート18の下に配置されている。すなわち、車体上下方向から見て、第3エリアS3の少なくとも車体前側の境界部がフロントシート18と重なるように配置されている。また、この第3エリアS3にも水抜きのための孔部27が設けられているが、この孔部27もパネルの振動モードに悪影響を及ぼさないように配置されている。
【0105】
したがって、この実施形態に係る車体フロアパネルの放射音低減構造によると、フロアトンネル部11、サイドシル12及びフロアサイドフレーム13、並びにクロスメンバ7,8,15,16によって区画された第1〜第3エリアS1〜S3のフロアパネルを、その面剛性の調整によって2×1モードの固有振動数が略250Hzである振動モード調整パネル構造としたので、車体の補強性を損なうことなく、タイヤの空洞共鳴によるフロントフロアパネル1からの放射音を極めて低くして、ロードノイズを大幅に低減できる。
【0106】
しかも、前記第1〜第3エリアS1〜S3のフロアパネル周辺部にビード22,23,25や段差部26を設けて、略長方形状の振動領域を形成し、また、他の振動系との間で振動が連成することを防止したので、狙い通りの2×1モードの振動を確実に励起させることができる。
【0107】
図7は上述の振動モード調整フロアパネルを有する本発明パネルと、そのような振動モード調整フロアパネルを備えないフラットパネルとについて、音響放射特性を比較したテスト結果を示す。なお、本発明パネルは、図3に示すフロントフロアパネル1の破線Aで囲む部分を切り取ったものである。テストは、各パネルの周縁を全周にわたって単純拘束し、各パネルに適宜の振動数で加振力Fを与えて音響放射パワーPを測定するというものである。
【0108】
同図によれば、本発明パネルでは、振動数250Hzにおいて音響放射パワーがフラットパネルに比べて大きく低下している。この結果から、本発明パネルの振動モード調整エリアでは、2×1モードの振動が250Hz付近で生じていることを理解することができる。
【0109】
また、第4エリアS4のフロアパネルについては、その固有振動数が300Hz以上になるようにその面剛性を調整したので、タイヤの空洞共鳴による250Hz前後の外部振動に対する共振が避けられ、放射音が低減する。
【0110】
つまり、この発明によれば、フロアパネルを十分に補強して自動車のボディ剛性や乗員保護性能を確保しながら、その補強構造に係るレイアウトを生かして、フロントフロアパネル1上に振動モード調整エリアS1〜S3を設定することで、車室内の静粛性を大幅に向上することができるものである。
【0111】
(サスペンションについて)
図8(a)は、本実施形態に係る自動車のフロントサスペンションを概略図で示すものである。すなわち、このサスペンションは、ダブルウィッシュボーン形式のものであり、前輪31のナックル・スピンドル32の上下両端にアッパアーム33及びロアアーム34がボールジョイント36,36で連結され、ダンパ35の下端はロアアーム34にボールジョイント36で連結されている。なお、ダンパ35の上端は車体のタイヤハウスに連結されている。
【0112】
図8(b)は、上記ダブルウィッシュボーン形式との比較のために示すストラット形式のサスペンションを示す概略図である。前輪31のナックル・スピンドル32の下端にサスペンションアーム33がボールジョイント36で連結され、ダンパ35の下端はナックル・スピンドル32の上端にリジット(結合部を黒丸で表している。)に結合されている。なお、ダンパ35の上端は車体のタイヤハウスに連結されている。
【0113】
上記図8(a),(b)から明らかなように、ストラット形式の場合、ダンパ35の下端がナックル・スピンドル32にリジットに連結されているから、走行時にはナックル・スピンドル32から前後・左右の振れがダンパ35を介して車体に伝わり易い。これに対して、ダブルウィッシュボーン形式の場合、ダンパ35の下端はロアアーム34にボールジョイント36で連結されているから、ナックル・スピンドル32からロアアーム34を介してダンパ35に入る前後・左右の揺れは該ダンパ35がその上端の車体取付部を支点として揺動することによって吸収され、車体には伝わりにくい。
【0114】
従って、このように本実施形態の場合は、フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン形式としたから、サスペンションの共振による160Hz付近のロードノイズも低くなり、車室内の静粛性向上に有利になる。
【0115】
(他の実施形態)
本願発明の構成は前記実施形態のものに限定されず、それ以外の種々の構成をも包含するものである。すなわち、フロントフロアパネル1に設定した振動モード調整エリアS1〜S3において、その固有振動数の調整のための設けた剛性調整部20,21は、その一方を凹曲面とし、他方を凸曲面とすることができるが、その両方を共に凹曲面として、或いはその両方を凸曲面としてもよい。
【0116】
また、上記エリアS1〜S3には、凹曲面や凸曲面に代えて、ビードや凸条を設けることによっても、固有振動数を調整することができる。
【0117】
さらに、前記の凹曲面、凸曲面、或いは構造ビード等によってパネルの面剛性分布を変更するのではなく、パネルに別の部材を貼り付けて局所的に面密度分布を変更することによっても、共振周波数を調整することができる。
【0118】
さらにまた、パネルに制振材を添付することにより他の振動モードを抑制することもロードノイズの低減に効果があり、この場合にはパネルの振動レベルそのものが低下して、放射音量が全体的に小さくなるので、このことによっても車室内の静粛性が向上する。
【0119】
また、前記実施形態では、第1〜第3のエリアS1〜S3のフロアパネルを振動モード調整フロアパネル構造としているが、これに限らず、エリアS1〜S3のうちのいずれか1つのみ、又は任意の2つのみについて振動モード調整フロアパネル構造を採用するようにしてもよい。或いは、反対に、第1〜第3のエリアS1〜S3だけでなく、第4エリアS4にも振動モード調整フロアパネル構造を採用するようにしてもよい。
【0120】
さらに、前記実施形態では、第1〜第3のエリアS1〜S3を、いずれも、タイヤの空洞共鳴に起因する250Hz付近の振動に対して2×1の振動モードとなるようにしているが、これに限らず、前記エリアS1〜S3のいずれかのフロアパネルはその固有振動数を別の周波数帯域に合わせるようにしてもよい。例えば、第1及び第2のエリアS1,S2の2×1モードの固有振動数を250Hz付近となるようにし、第3エリアS3については別の周波数帯域に合わせるというように、各エリアにおいて2×1の振動モードを励起させる振動の周波数帯域を別々に設定するようにしてもよい。
【0121】
また、前記実施形態では、2×1モードの振動を生ずるフロアパネルの固有振動数を250Hz付近に調整したが、200〜300Hzの範囲における他の振動数帯域に調整してもよく、或いは、当該自動車の頻繁に利用される車速域と装着されるタイヤの種類とによって定まるタイヤの空洞共鳴周波数に略一致するように調整してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車のアンダボディの斜視図である。
【図2】ダッシュパネルに取り付けられるトルクボックスメンバ及びダッシュロワクロスメンバの斜視図である。
【図3】フロントフロアパネルの拡大斜視図である。
【図4】サイドフレームの構成を示す図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】振動モード調整領域における放射音のキャンセレーションの概念図である。
【図6】パネルに形成した凹部の深さと共振周波数との関係を示すグラフ図である。
【図7】本発明パネルとフラットパネルとの音響放射特性を比較したグラフ図である。
【図8】ダブルウィッシュボーン形式及びサスペンションとストラット形式のサスペンションの概略図である。
【符号の説明】
S1〜S3 振動モード調整エリア(フロアパネル)
1 フロントフロアパネル
4 ダッシュパネル
7 トルクボックスメンバ(クロスメンバ)
8 ダッシュロワクロスメンバ
11 フロアトンネル部
12 サイドシル
13 サイドフレーム
15 No.2クロスメンバ(剛性部材)
16 No.3クロスメンバ(剛性部材)
17 補強部材
20,21 剛性調整部
22,23,25 構造ビード(剛性調整部)
26 段差部(剛性変更部)
Claims (14)
- 自動車のフロアが、車幅中央部を車体前後方向に延びるフロアトンネル部と、該車幅の両側部を車体前後方向に延びる左右のサイドシルと、該フロアトンネル部と左右のサイドシルとの中間部を車体前後方向に延びるサイドフレームと、車幅方向に延びるクロスメンバとによって複数のエリアに区画され、
上記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が240〜260Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造としたことを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項1において、
上記振動モード調整フロアパネルは、その剛性が部分的に高められて上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生するように調整されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項2において、
上記振動モード調整フロアパネルは、上記2×1モードの振動を生ずるように車体前後方向に並ぶ2つの面剛性が高くなった剛性調整部を備えるとともに、該各剛性調整部の周囲がフラットとなるようにフロアパネルが形成されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項2において、
上記振動モード調整フロアパネルは、上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生する略長方形状パネル部を備えていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項4において、
上記振動モード調整フロアパネルは、非長方形状であり、
上記非長方形状フロアパネルの周辺部に他の部分よりも面剛性が高くなった剛性調整部が設けられ、これによって該非長方形状フロアパネルに上記2×1モードの定在波振動が240〜260Hzで発生する略長方形状パネル部が形成されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項4において、
上記振動モード調整フロアパネルには、上記略長方形状パネル部の横辺と縦辺との比が略1:2となるように、該フロアパネルの振動する領域を規制する剛性調整部が設けられていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項4において、
上記振動モード調整フロアパネルの周辺部には、上記略長方形状パネル部と上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム及びクロスメンバのうちの少なくとも1つとの間で振動が連成することを抑制する剛性調整部が設けられていることを特徴とする自動車のフロアパネル。 - 請求項5乃至請求項7のいずれか一つにおいて、
上記フロアのパネルは、上記フロアトンネル部を含めて上記左右のサイドシル間の全幅が1枚金属板からプレス成形によって形成されており、
上記剛性調整部は車幅方向に延びる構造ビードとして上記パネルに形成されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 自動車のフロアが、車幅中央部を車体前後方向に延びるフロアトンネル部と、該車幅の両側部を車体前後方向に延びる左右のサイドシルと、該フロアトンネル部と左右のサイドシルとの中間部を車体前後方向に延びるサイドフレームと、車幅方向に延びるクロスメンバとによって複数のエリアに区画され、
上記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が当該自動車のタイヤの空洞共鳴周波数に略一致するように振動モードを調整したフロアパネル構造としたことを特徴とする自動車のフロア構造。 - 自動車のフロアが、車幅中央部を車体前後方向に延びるフロアトンネル部と、該車幅の両側部を車体前後方向に延びる左右のサイドシルと、該フロアトンネル部と左右のサイドシルとの中間部を車体前後方向に延びるサイドフレームと、車幅方向に延びるクロスメンバとによって複数のエリアに区画され、
上記複数のエリアのうちの少なくとも1つのエリアのフロアパネルを、周囲が上記フロアトンネル部、サイドシル、サイドフレーム又はクロスメンバによって拘束され、車体前後方向では2つの腹を生じ車幅方向では1つの腹を生ずる2×1モードの振動が発生し該2×1モードの固有振動数が200〜300Hzとなるように振動モードを調整したフロアパネル構造としたことを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項1乃至請求項10のいずれか一つにおいて、
上記振動モード調整フロアパネルは、自動車のフロントシート下の上記フロアトンネル部と上記サイドフレームとの間に設定されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項1乃至請求項10のいずれか一つにおいて、
上記振動モード調整フロアパネルは、上記サイドフレームの両側に形成されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項1乃至請求項12のいずれか一つにおいて、
上記複数のエリアのうちフロアパネルを上記振動モード調整フロアパネル構造としたエリアを除く他のエリアのフロアパネルは、固有振動数が300Hzよりも高くなるように剛性が調整されていることを特徴とする自動車のフロア構造。 - 請求項1乃至請求項13のいずれか一つに記載されているフロア構造を備えた自動車であって、
フロントサスペンションがダブルウィッシュボーン形式であることを特徴とする自動車。
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