JP2004001046A - 荷電性粒子、接合材料、電子回路基板及びそれらの製造方法 - Google Patents

荷電性粒子、接合材料、電子回路基板及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子部品と、基板に形成された配線パターンとを接合するのに適した接合材料を提供する。
【解決手段】250℃以下の融点を有する金属材料から成る平均粒径0.1〜20μmの金属粒子1と、金属粒子1を被覆する、ガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、かつ重量平均分子量が250〜1250である樹脂からなる樹脂層2を含む荷電性粒子10を、配線パターンが形成されている基体に、電子写真法で印刷して、接合パターンを形成する。電子部品を接合パターンと接触させて配置し、電子部品が配置された基体を、加熱して金属材料を溶融させる。その後、基体を放冷又は冷却して、金属材料を凝縮させることにより、電子部品を基体に接合する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路基板を作製するための電子部品実装プロセスにおいて、配線パターンと電子部品とを接合するための、より詳細には電気的及び物理的(又は機械的、以下同様)に接合するために使用される新規な接合材料及びその製造方法に関する。また、本発明は、そのような接合材料を用いる接合パターンの形成方法、電子回路基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器等に用いられている電子回路基板の製造プロセスにおいて、電子部品を基板に実装するため、より詳細には、電子部品の所定の箇所(例えば電極、リード、端子、ターミナル)と、基板に形成された配線パターンの所定の箇所(例えばランド)とを電気的及び物理的に接合するために用いる方法として、リフローはんだ付けがある。リフローはんだ付けは、概略的には、基板に形成された配線パターンのランドの上にはんだを含む接合材料を供給し、その後、電子部品をランド上に適切に配置し、基板を熱処理することにより電子部品の電極と配線パターンとをはんだ付けするものである。
リフローはんだ付けにおいては、従来、接合材料としてクリームはんだが用いられており、接合材料であるクリームはんだを基板上に形成された配線パターンのランド上に供給するために、スクリーン印刷法が用いられている。
【0003】
スクリーン印刷法について以下に説明する。
基板上のランドに対応するように所定の形状の開口部が所定の箇所に設けられた厚さ80〜150μmのメタルマスク(又はスクリーン版)を、その開口部が基板上のランドと合わさるように基板と接触させて配置する。基板上に配置したメタルマスク上の一端部にクリームはんだを供給する。スキージを基板面に対して平行移動させ、メタルマスク上のクリームはんだをならすことによりメタルマスクの開口部に充填する。この後、メタルマスク、クリームはんだを基板から除去する。そのとき、開口部に充填されたクリームはんだはメタルマスクを通り抜けて(板抜け)基板上の配線パターンに設けられたランドに残留する。
スクリーン印刷に用いられるクリームはんだは、Sn及びPbを主成分とする10〜40μmのはんだ粉末、ロジン、活性剤及び溶剤からなるフラックスとが混合されて成る。
【0004】
このメタルマスクを用いる従来のスクリーン印刷法は、0603部品(0.6mm×0.3mmサイズ部品)やさらに0402部品(0.4mm×0.2mmサイズ部品)等を実装するための微小なランドの上に接合材料であるクリームはんだを供給して、微細な接合パターンを形成するには十分満足できるものではない。微小なランド上に接合材料を形成するためにはメタルマスクの開口部を小さくする必要があり、そのため、クリームはんだが板抜けしにくくなる。板抜けさせるためには、クリームはんだの粘度を下げる、メタルマスクの厚みを薄くする等の対策が必要となる。
しかし、微小なランド上の接合材料は電子部品の物理的固定の役割も担っているため、所定量以上の厚みが必要となる。
【0005】
粘度の低いクリームはんだを用いた場合は、ダレやにじみが発生し必要な厚みを得ることができない。また、メタルマスクを薄くした場合は、スキージにより圧力をかけて移動させるため、メタルマスクの開口部と微小なランドパターンとの間にずれが発生する。(スキージ移動方向に引きずられる)
また、このスクリーン印刷は、同一品種を大量生産する場合に適しているが、形成すべき接合パターンに合わせて、即ち品種毎にメタルマスクを準備する必要がある。また印刷工程において品種毎にメタルマスクを切り替えなければならない。
【0006】
上記問題を解決するために、本発明者は乾式電子写真システムで接合パターンを形成することを見出し先に出願した(特願2001−271887)。この場合に用いるトナーとしては、はんだ粒子をポリエチレンで直接重合により被覆した(はんだ表面に触媒を担持しエチレンモノマーを重合することで被覆する)ものが最適であった。このポリエチレン樹脂被覆された荷電性粒子は、微小なランドに電子写真方式で接合パターンを形成することについては優れた特性を有していた。しかし、電子部品が実装された基板を加熱しポリエチレン及びはんだが溶融する温度以上にした場合、ポリエチレンの溶融粘度が200℃で800Pa・s程度と高く、被覆しているポリエチレン樹脂が溶融時も形状を維持してしまいはんだ付けが困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、電子部品と、基板に形成された配線パターンとを接合するのに適した樹脂被膜金属粒子、接合材料及びそれらの製造方法を提供することである。また、本発明の目的は、かかる接合材料を用いて、基体に接合パターンを形成する接合パターン形成方法を提供することである。さらに、かかる接合材料を用いて電子部品が基体に接合された電子回路基板及びその製造方法を提供することである。
本発明者は鋭意研究を重ね、溶融、分解性能や還元性能が優れている樹脂層を形成した場合に良好な溶融状態が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる、250℃以下の融点を有する金属材料から成る平均粒径0.1〜20μmの金属粒子と、金属粒子を被覆する、ガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、かつ重量平均分子量が250〜1250である樹脂からなる樹脂層を含む荷電性粒子が提供される。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、上記の荷電性粒子と外添剤からなる、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料が提供される。
【0010】
本発明の第三の態様によれば、250℃以下の融点を有する金属材料から成る平均粒径0.1〜20μmの金属粒子の表面に、ガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、かつ重量平均分子量が250〜1250である樹脂を、浸漬法又はスプレードライ法により被覆することを含む、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法が提供される。
【0011】
本発明の第四の態様によれば、上記の荷電性粒子と外添剤とを混合することを含む、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料の製造方法が提供される。
【0012】
本発明の第五の態様によれば、上記の荷電性粒子を用いた接合材料又は上記の接合材料を、配線パターンが形成された基体上に、電子写真法により印刷して、接合材料からなる接合パターンを基体上に形成することを含む、配線パターンと電子部品とを接合するための接合パターン形成方法が提供される。
【0013】
本発明の第六の態様によれば、上記の荷電性粒子を用いた接合材料又は上記の接合材料によって、電子部品が基体に接合されてなる電子回路基板が提供される。
【0014】
本発明の第七の態様によれば、上記の接合パターン形成方法により形成された接合パターンに、電子部品を接合パターンと接触するようにして配置し、電子部品が配置された基体を加熱して、荷電性粒子中に含まれる金属材料を溶融させ、その後、基体を放冷又は冷却して金属材料を凝縮させることにより、電子部品を基体に接合することを含む電子回路基板の製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
荷電性粒子及びその製造方法
本実施形態は荷電性粒子及びその製造方法に関する。本実施形態において「荷電性粒子」を「接合材料」の意味でも用いるものとし、以下の実施形態についても同様とする。
図1は、本実施形態における荷電性粒子の概略模式図である。
図1に示すように、荷電性粒子10は、金属材料からなる金属粒子1と、金属粒子1を被覆するガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、重量平均分子量が250〜1000からなる樹脂の樹脂層2を含む。
金属粒子1は、250℃以下の融点、例えば約180〜230℃の融点を有する金属材料から成る。このように比較的低融点の金属材料を用いているので、荷電性粒子を基体に印刷した後、これを熱処理して、金属粒子を構成する金属材料を溶融し、再び凝固させることにより、金属材料を介して電子部品を基体に電気的及び物理的に接合することができる。このような低融点の金属材料としては、いわゆるはんだ材料を用いることができる。はんだ材料は、鉛を含んでいても、鉛を含まなくてもよいが、環境に対する影響を考慮すれば鉛フリー系のはんだを用いることが好ましい。
【0016】
金属材料の例として、Sn−Pb系材料があり、Sn−Pb材料やSn−Pb材料にAg及び/又はBiを添加した材料もある。またPbを含まない材料として、Sn−Ag系材料、Sn−Cu系材料、Sn−Zn系材料、Sn−Bi系材料、Sn−In系材料がある。さらに、これらの材料にBi、Cu、In、Niを添加した材料も用いることができる。ここで「〜系材料」とは、その材料系についての共晶組成及びその近傍の組成を有し、該共晶組成から大幅にずれない程度に微量の他成分を含む材料をさし、「〜材料」とは、実質的にその構成元素のみから成る材料をさすものとする。
【0017】
具体的には、以下の材料がある。
Sn−Pb材料ならびにSn−Pb材料にAg元素及びBi元素の少なくとも1種の元素を添加してなる材料を含むSn−Pb系材料、
Sn−Ag材料ならびにSn−Ag材料にBi元素、Cu元素及びIn元素の少なくとも1種の元素を添加してなる材料を含むSn−Ag系材料、
Sn−Cu材料ならびにSn−Cu材料にNi元素を添加してなる材料を含むSn−Cu系材料、
Sn−Zn材料ならびにSn−Zn材料にBi元素を添加してなる材料を含むSn−Zn系材料、
Sn−Bi材料ならびにSn−Bi材料にCu元素及びIn元素の少なくとも1種の元素を添加してなる材料を含むSn−Bi系材料、ならびに
Sn−In材料を含むSn−In系材料
【0018】
金属粒子1の平均粒径は0.1〜20μmの範囲から選択される。金属粒子の粒径が0.1μmより小さい場合、樹脂被覆時に凝集しやすくなり、また後処理工程での粉砕も困難になる。さらに、電子写真法で印刷する場合にも、十分な現像量が得られない、帯電が不均一でかぶりが発生する等の問題がある。一方、20μmよりも大きくなった場合、現像剤としての帯電安定性がなくなるばかりか、印刷時に高精細な画像が得られなくなる。金属粒子1の形状は球形、楕円形、不定形等と特に制限はないが、電子写真法での印刷精度、印刷時の充填効率(嵩密度)から考慮して、球形が好ましい。
【0019】
このような金属粒子1は、例えばアトマイズ法を用い、必要に応じて分級すれば得られる。しかし、本発明はこの方法に限定されず他の任意の方法によって製造され得る。
【0020】
樹脂層2は、ガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、かつ重量平均分子量が250〜1000からなる樹脂で構成され、これらの物性を満たす限り特に限定はない。
ガラス転移点が0℃より低いと、ブロッキングにより凝集することがあり、90℃より高いと、樹脂層が脆弱になることがある。
ガラス転移点は好ましくは30℃〜90℃であり、より好ましく50℃〜80℃である。
なお、ガラス転移点は熱分析法(TG−DTA)により測定できる。
【0021】
酸価が100KOHmg/gより低くても、250KOHmg/gより高くても、配線パターンと電子部品の接合強度が低くなる。
酸価は好ましくは120〜200であり、より好ましくは150〜190である。
なお、酸価は滴定法により測定できる。
【0022】
重量平均分子量が250より小さいと、樹脂皮膜の強度が低下し、1000より大きいと、金属材料の溶融を妨げる可能性がある。
重量平均分子量は好ましくは300〜900であり、より好ましくは400〜800である。
なお、重量平均分子量はGPC法により測定できる。
【0023】
このような樹脂として、例えば、ロジン樹脂や松脂を単独に、あるいは必要に応じて2種以上の樹脂種を混合して用いることができる。特に好ましくは、ロジン樹脂を単独で用いる。ロジン樹脂は、溶融、分解性能や還元性能が優れていて、金属粒子(はんだ)の溶融を促進する。従って、印刷時の絶縁帯電性を保持しつつ、溶融をも促進する優れた機能を発揮する。また、比較的低温で熱分解するため、金属粒子同士の接触を妨げることもない。
【0024】
このような樹脂層2を形成する方法は、特に限定されず、これら樹脂を溶解する有機溶媒に溶解した後にスプレードライ法や浸漬法によるコート法や、樹脂粉末を金属粒子表面に静電付着させた後に機械的及び熱的に処理を行なう方法等を用いることができる。
樹脂層2を形成するとき、さらに、荷電性粒子10を製造するとき、好ましくは、金属粒子の酸化を防ぐために、非酸素雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で形成又は製造する。
【0025】
荷電性粒子10の絶縁性は、樹脂層2の量(厚み)を増やすことによって高めることができる。電子写真法によって印刷するためには、絶縁性は高い方が好ましいが、樹脂を増やしすぎた場合に現像剤としての流動性が低下する等の問題が発生するほか、加熱後の電子部品と基体上の配線パターンとの導通が得られにくくなる等の問題が発生する。
従って、金属粒子1を構成する金属材料と樹脂層2を構成する樹脂との重量割合は、印刷特性が得られつつ、電子部品と基体上の配線パターンとの接合に支障を与えない程度で選択される。また、樹脂量が極端に増えた場合には、製造時に樹脂の溶解に支障をきたす可能性が高く、コート時に凝集が発生しやすくなる。
【0026】
具体的には、荷電性粒子10における金属粒子の重量で90〜99.5重量%程度が好ましく、さらに95〜99重量%がより好ましい。樹脂の重量割合は、荷電性粒子の重量から金属材料の重量を引いた値となるため、10〜0.5重量%程度が好ましく、さらに好ましくは5〜1重量%となる。
【0027】
上記の範囲において、樹脂の重量割合が10重量%を超えると電子部品と基体上の配線パターンとの接合を、絶縁性である樹脂が妨げる可能性が高くなる。荷電性粒子を構成する金属材料に対して、樹脂はより低い温度で軟化、溶融し基体上を流れ、分解するが、重量比が多い場合は電子部品の周辺あるいははんだ表面に残留する確率が高くなり問題となる。また、被覆時の溶液粘度が高くなりすぎて、スプレーコート時に目詰まり等の問題が発生する。
また、樹脂の重量割合が0.5重量%を下回ると、金属材料の被覆が不完全となり露出部分が発生する可能性がある。金属材料表面が露出した場合、絶縁性が不十分となり帯電性能は悪化、印刷時の画像劣化が生じる。
【0028】
このように荷電性粒子の絶縁性は重要であり、その抵抗値は、例えば、約5cmの電極面積を有し、互いに接続された一対の電極間に荷電性粒子の厚みが0.5cmとなる粒子層を形成し、電極間に1〜500Vの電圧を印加した時に流れる電流値を測定することで得られる。本実施形態における荷電性粒子の測定では、全て電流計の測定限界である1pA以下であった。
【0029】
以上、本実施形態の荷電性粒子(接合材料)及びその製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されず、任意の他の成分、例えばシリカ粒子、チタニア粒子等の外添剤、帯電制御剤(CCA:Charge Control Agent)等と混合しても良い。
また、荷電性粒子を基体上に電子写真法を用いて印刷する際、任意なキャリアを準備し、分級処理混合しても良い。
【0030】
(実施形態2)
接合パターン形成方法及びそのための装置
本実施形態は、実施形態1にて説明した荷電性粒子(接合材料)を基体上に電子写真法により印刷して、荷電性粒子からなる接合パターンを基体上に形成する方法及びその装置に関する。
図2は本実施形態に用いる接合パターン形成装置の概略図である。
図2に示すように、本実施形態の接合パターン形成装置20においては、電子写真法において一般的に用いられるシステムを用いることができる。一般的な感光体ドラム21、初期化装置24、帯電器25、光照射装置26、荷電性粒子27を感光体ドラム21に供給する荷電性粒子供給装置28とが配置されている。基体29の下部には荷電性粒子27を感光体ドラム21から基体29に転写する転写装置30が配置されている。これらはそれぞれ制御装置36に接続されており、全体として印刷機構を形成している。
感光体ドラム21は、矢印31の方向に回転する。配線パターンが形成された基体29は、転写装置30と感光体ドラム21との間で矢印32で示す向きで搬送され、感光体ドラム21上の接合材料27が基体29の配線パターンに対応する位置に、感光体ドラム21と並進しながら転写(印刷)されて、矢印33の方向に取り出される。その結果、所望の位置に接合パターンが形成される。
【0031】
この接合パターン形成装置20は、実施形態1の荷電性粒子27とキャリアとを混合して現像剤とする2成分現像方式であるが、特にそのシステムにこだわらず、1成分現像方式やジャンピング現像方式等を用いることができる。しかし、荷電性粒子の帯電に有利な2成分現像方式を選択することが望ましい。
2成分現像方式で用いられるキャリアは特に限定されず、フェライト系、マグネタイト系、鉄粉系等システムとの組み合わせにより選択される。キャリアと荷電性粒子との混合割合は、例えば5〜400重量%であり、より好ましくは10〜40重量%である。この割合は、荷電性粒子に用いられる金属材料の比重や粒径により最適値が変化するが、キャリア表面にほぼ均一に付着する程度の量が好ましい。
【0032】
基体上に形成されたランドに正確に接合材料を供給する方法として、カメラ、センサー、スキャナー等の読み取り機器を用いて位置精度を得る方法を用いることができる。これらの機器により光学的にランドの位置情報を得た後、予め印刷情報(濃淡や位置)が格納されている機器(コンピュータ等)からの情報により印刷を行なうことができる。
【0033】
また、本発明の荷電性粒子(接合材料)は、本実施形態の接合パターン形成方法及び接合パターン形成装置に限らず、電子写真方式を利用する他の適切なシステムを用いることができる。例えば、市販のプリンタやコピー機等を用いてもよい。
【0034】
(実施形態3)
電子回路基板及びその製造法
本実施形態は、実施形態1にて説明した荷電性粒子を用いて電子部品が基板に接合された電子回路基板及びその製造方法に関する。
本実施形態の電子回路基板の製造方法は、実施形態2の接合パターン形成方法を含む。本実施形態では、電子部品が接合される基体として、配線パターンが形成された回路用基板を用いる。
【0035】
まず、実施形態2で説明した接合パターン形成法及び接合パターン形成装置により、実施形態1の荷電性粒子(接合材料)を基体である回路基板上に電子写真法を用いて印刷する。次いで、回路用基板上の配線パターンの所定箇所上に形成された荷電性粒子が、電子部品の所定の箇所(例えばリード)と少なくとも部分的に接触するようにして電子部品を配置する。これにより得られた回路用基板を熱処理して、荷電性粒子中の金属粒子の融点以上、例えば200〜230℃の温度にて加熱する。このような熱処理には一般的なリフロー装置を用い得る。
【0036】
図1における樹脂層2を形成する樹脂は、一般的に金属材料の融点よりも低い温度で溶融する。そのため、回路用基板を加熱すると、樹脂層、金属粒子の順で段階的に溶融する。樹脂は相分離すると共に、ある程度の温度域で分解する。熱処理後、回路用基板を冷却(放冷)した場合、溶融状態の金属材料がこのままの状態で凝固する。樹脂の一部が金属材料表面を被覆する形となる場合もあるが、大部分の樹脂は加熱時に分解する。凝固した金属材料により電子部品が基体に接合する。
【0037】
また、本実施形態において基体として回路用基板を用いたが、これに限定されず回路が形成されるような基板であり、電子部品を接合する必要があるいずれの形態にも用い得る。例えば、紙フェノール系基板、ガラスエポキシ系基板、ポリイミド系基板、セラミック系基板、金属系基板、ポリエチレンテレフタレート系基板等に配線パターンが形成された回路用基板及び多層積層基板等に本発明を用いることができる。
【0038】
上記のような基体に形成される配線パターンは、例えば銅、金、アルミニウム及びはんだ材料からなってよく、配線パターンは任意の適切な幅、例えば100μmの幅を有し得る。
【0039】
この実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)微細な接合パターン(例えば、0.1〜0.5mmφ程度)を所望の厚み(例えば、0.02〜0.1mm程度)で形成できる。
(2)接合パターンの変更が容易である。
(3)加熱時に、樹脂層が溶融して熱分解するので、中にある金属材料が接触し易い。
(4)樹脂層の還元性能が優れているため、荷電性粒子(接合材料)の酸化を防ぐことができる。
【0040】
【実施例】
以下に示すように、本発明の実施例1〜3ならびに比較例1〜2において種々の荷電性粒子を製造し、この荷電性粒子を用いて接合材料を得て、接合材料からなる接合パターンを基体上に形成して各材料の印刷特性について評価した。
【0041】
(実施例1)
容量500mlのビーカーにトルエン溶媒250mlとロジン樹脂(荒川化学工業社製、KE−604)(ガラス転移点75℃、酸価230KOHmg/g、重量平均分子量350)20gを加え、十分に攪拌して溶解した。
次に、万能混合攪拌機(ダルトン社製、5DMV−01−r)に、金属粒子としてSn−37Pb組成(37wt%のPb及び63wt%のSnからなる組成)を有するはんだ材料からなり、融点が183℃である平均粒径10μmのはんだ粉末OH63 DS10(三井金属鉱業社製)約1kgを入れ、さらに先にトルエン溶媒にロジン樹脂を溶解したトルエン溶液の全量を加え、温水で加熱、攪拌しながらトルエン溶媒を減圧除去した。加熱攪拌は、はんだの酸化を抑制するため、窒素雰囲気下で行なった。
処理後の粉末を万能混合攪拌機から取出し、ハイブリダイザー(奈良機械社製)を用いて解砕した。解砕後、目開き53μmの振動篩にかけ、さらに被覆、解砕時に混入した樹脂破片を除去するため気流分級処理を施し荷電性粒子Aを得た。ハイブリダイザー及び気流分級処理に関しても、はんだの酸化を抑制する目的から窒素を配管して窒素雰囲気下で実施した。
得られた荷電性粒子Aは、均一に灰色を呈しており、TGA(熱天秤)により測定した結果、はんだ材料と樹脂の比率は、約98:2であった。
【0042】
(実施例2)
実施例1において、用いるロジン樹脂をKE−604からシルベタック295(荒川化学工業社製)(ガラス転移点85℃、酸価170KOHmg/g、重量平均分子量760)に変えた以外は同様に行ない荷電性粒子Bを得た。
【0043】
(実施例3)
実施例1において、用いるロジン樹脂をKE−604からKR−85(荒川化学工業社製)(ガラス転移点58℃、酸価150KOHmg/g、重量平均分子量480)に変えた以外は同様に行ない荷電性粒子Cを得た。
【0044】
(比較例1)
アルゴン置換したオートクレーブに、金属粒子としてSn−37Pb組成を有するはんだ材料、融点183℃で平均粒径10μmのOH63 DS10(三井金属鉱業社製)250gを入れ減圧乾燥した。
その後、脱水ヘキサンと有機アルミニウム化合物としてジエチルアルミニウムクロリドとチタン含有触媒成分を添加した後、攪拌、懸濁溶液を調製した。その後、90℃まで昇温し、エチレンガス及び分子量を制御するための水素とエチレンガスを導入してポリエチレンが重合被覆されたはんだ粉を得た。
さらにハイブリダイザー(奈良機械社製)を用いて解砕、平滑化処理後、目開き53μmの振動篩にかけ、さらに被覆、解砕時に混入した樹脂破片を除去するため気流分級処理を施し荷電性粒子Dを得た。このときのポリエチレン樹脂のGPCによる重量平均分子量は12万であった。
【0045】
(比較例2)
実施例1において、トルエン溶媒及びトルエン溶媒250mlに加える樹脂種を、アセトン溶媒250mlとアクリル系樹脂(旭化成社製、デルベット560)20gに変えた以外は同様に行ない荷電性粒子Eを得た。
【0046】
(評価)
上記の実施例1〜3ならびに比較例1〜2で得られた荷電性粒子A〜Eのそれぞれに外添剤を添加して、電子写真法で用いられるところのトナーに相当する接合材料A〜Eを調製した。また、キャリアと混合して現像剤A〜Eを得た。ここで、外添剤には、表面が疎水化処理された粒径が10nm〜40nmのシリカ粒子を用い、キャリアには、表面をアクリル系樹脂で被覆された粒径が30〜80μmのフェライト系キャリアを用いた。外添剤は、荷電性粒子100重量部に対して0〜0.7重量部混合した。また、キャリアは、接合材料20重量部に対して100重量部混合した。
【0047】
上記方法で得られた現像剤A〜Eを、市販のプリンタ(FS600、京セラ社製)に、通常の現像剤と入れ替えてセットし、紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、銅箔等に印刷した。この印刷結果で、パターン形成可能か、印刷精度(かぶりの有無、細線再現性、印刷ベタ部の反射率での濃度)等を評価した。
パターン形成とは、線及びベタ部が欠落等無く印刷されているかを評価する。かぶりは非印刷領域に接合材料が飛散しているかを評価するもので、具体的には印刷領域と非印刷領域の濃度を反射濃度計で測定した。
細線再現性は、光学顕微鏡を用い、100μm幅の線を印刷した場合の断線の有無、ラインエッジの直線性を評価した。
濃度はマクベスによる反射率測定の実測値で評価した。
評価の基準は、それぞれ実用可能なレベルは○、一部問題のあるレベルは△、実用不可能なレベルは×で評価した。
【0048】
溶融特性については、接合材料を銅箔上に印刷した後、窒素雰囲気下、230℃の電気炉(真空乾燥機)に入れ、数分間加熱した後の溶融状態で評価した。光学顕微鏡で観察した場合に、粉体のまま存在しているときは×、全体に対して50%の印刷部分のはんだが溶融しているときは△、全体に対して80%以上の印刷部分が溶融しているときは○とした。はんだの溶融は、粉体として残らず互いにくっつき合っている溶融状態を指し、粉体(球形)が維持されていないことを基準とした。
【0049】
【表1】
Figure 2004001046
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、電子部品と、基板に形成された配線パターンとを接合するのに適した荷電性粒子、接合材料及びそれらの製造方法を提供できる。また、本発明によれば、かかる接合材料を用いて、基体に接合パターンを形成する接合パターン形成方法を提供できる。さらに、本発明によれば、かかる接合材料を用いて電子部品が基体に接合された電子回路基板及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における荷電性粒子の概略模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いる接合パターン形成装置の概略模式図である。
【符号の説明】
1 金属粒子
2 樹脂層
10 荷電性粒子
27 接合材料
29 基体

Claims (10)

  1. 基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる、
    250℃以下の融点を有する金属材料から成る平均粒径0.1〜20μmの金属粒子と、
    ガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、かつ重量平均分子量が250〜1250である樹脂からなる樹脂層を含む荷電性粒子。
  2. 前記樹脂がロジン樹脂である請求項1記載の荷電性粒子。
  3. 前記金属粒子が、
    Sn−Pb材料ならびにSn−Pb材料にAg元素及びBi元素の少なくとも1種の元素を添加してなる材料を含むSn−Pb系材料、
    Sn−Ag材料ならびにSn−Ag材料にBi元素、Cu元素及びIn元素の少なくとも1種の元素を添加してなる材料を含むSn−Ag系材料、
    Sn−Cu材料ならびにSn−Cu材料にNi元素を添加してなる材料を含むSn−Cu系材料、
    Sn−Zn材料ならびにSn−Zn材料にBi元素を添加してなる材料を含むSn−Zn系材料、
    Sn−Bi材料ならびにSn−Bi材料にCu元素及びIn元素の少なくとも1種の元素を添加してなる材料を含むSn−Bi系材料、ならびに
    Sn−In材料を含むSn−In系材料からなる群から選択される材料からなる請求項1又は2記載の荷電性粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の荷電性粒子と外添剤からなる、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料。
  5. 250℃以下の融点を有する金属材料から成る平均粒径0.1〜20μmの金属粒子の表面に、ガラス転移点が0〜90℃であり、酸価が100〜250KOHmg/gであり、かつ重量平均分子量が250〜1250である樹脂を、浸漬法又はスプレードライ法により被覆することを含む、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料に用いられる荷電性粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか記載の荷電性粒子と外添剤とを混合することを含む、基体に形成された配線パターンと電子部品とを接合するための接合材料の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか記載の荷電性粒子を用いた接合材料又は請求項4記載の接合材料を、配線パターンが形成された基体上に、電子写真法により印刷して、前記接合材料からなる接合パターンを前記基体上に形成することを含む、配線パターンと電子部品とを接合するための接合パターン形成方法。
  8. 前記基体から位置データを読み取ることをさらに含み、前記電子写真法による印刷で形成される接合パターンが、前記読み取られた位置データに基づき決定される請求項7記載の接合パターン形成方法。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載の荷電性粒子を用いた接合材料又は請求項4に記載の接合材料によって、電子部品が基体に接合されてなる電子回路基板。
  10. 請求項7又は8記載の接合パターン形成方法により形成された接合パターンに、電子部品を前記接合パターンと接触するようにして配置し、
    前記電子部品が配置された基体を加熱して、前記荷電性粒子中に含まれる金属材料を溶融させ、
    その後、前記基体を放冷又は冷却して前記金属材料を凝縮させることにより、前記電子部品を前記基体に接合することを含む電子回路基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015164106A (ja) * 2014-02-28 2015-09-10 株式会社日本触媒 複合粒子
US20210240095A1 (en) * 2018-11-01 2021-08-05 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Electrophotographic ink compositions

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