JP2003530191A - 動的な心臓血管監視装置 - Google Patents

動的な心臓血管監視装置

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JP2003530191A JP2001575905A JP2001575905A JP2003530191A JP 2003530191 A JP2003530191 A JP 2003530191A JP 2001575905 A JP2001575905 A JP 2001575905A JP 2001575905 A JP2001575905 A JP 2001575905A JP 2003530191 A JP2003530191 A JP 2003530191A
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エイチ・ハーバート・ピール,Iii
英一 稲田
昌幸 篠田
フランクリン・ティファニー・ドッジ
シャオ・チャオ
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サウスウエスト・リサーチ・インスティチュート
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Abstract

(57)【要約】 方法及び装置は、末梢血圧波形データから、数学モデルを使って大動脈血圧波形を再現し、検証する。上記モデルは、人間から得た測定値から導かれる経験的モデルを有する心臓血管系に脈波伝播解析モデルを組み合わせるものである。ある患者の大動脈血圧の再現に用いられる場合、そのモデルはその患者および患者の心臓血管系に影響する生理学的状態に適合させられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療上の診断および監視システムに関する。より詳細には、特定の
患者に適合するモデルを使って、大動脈血圧波形を再現する装置と方法に関する
【0002】
【従来の技術およびその課題】
動脈血圧と心拍数は、心臓血管の機能を評価および監視するため、および、心
臓血管に対して悪く作用する現象を同定するために、医療関係者が用いる主要な
変数である。そのような現象としては、頻脈、徐脈、不整脈、出血、心筋の虚血
などがある。理想としては、医療関係者は、全身に血液を流すための一次的な駆
動力である大動脈の起始部の血圧を、連続的に監視したいのである。図1に図示
するように、血圧は、心臓1の収縮によって作り出され、心臓1は血液を上行大
動脈2に駆出する。大動脈2は、血液を全身の大きな動脈に分配し、それらの動
脈は、続いて連続的に、酸素や栄養分を生体組織に運ぶための毛細血管に血液を
運ぶより小さな血管に分岐していく。これらの分岐した血管の一つに左鎖骨下動
脈3があり、左鎖骨下動脈3は上腕にある上腕動脈4に血液を供給する。その上
腕動脈は橈骨動脈5と尺骨動脈6とに分岐し、それら橈骨動脈5と尺骨動脈6と
は手において再び結合し、手では、5つの指動脈7が指の小さい動脈や毛細血管
8に放射状に分かれる。
【0003】 診断のために大動脈2にカテーテルを挿入することが許されている非常に特別
な場合を除いて、血圧測定は、心臓からある程度離れた距離に位置する動脈にお
いて行われる。最も一般的な血圧監視場所は、図1に示すように、上腕動脈、橈
骨動脈、および指である。
【0004】 様々な患者監視装置が患者の血圧を監視するために開発されている。患者監視
は通常、順序だった方法によって操作され、心電図(ECG)測定、カフを使った周
期的な非侵襲血圧測定(NIBP)、経皮的な血中酸素飽和度(SpO2)の測定、連続的な
直接血圧測定(Aライン)、また、監視装置によっては、トノメータを使った非侵
襲な連続血圧測定、を行い、解析し、表示する装置を含んでいる。
【0005】 NIBPモニタ装置は、周期的に血圧を測定し、最高血圧値(SBP)、平均動脈血圧(
MBP)、および最低血圧(DBP)の数値を出力する。連続的な血圧測定が必要な場合
には、流体で満たされたカテーテルを外部の圧力変換装置に接続して血圧を連続
的に監視する。カテーテルは、通常、橈骨動脈などの末梢血管に挿入される。連
続的な血圧監視は、たとえば橈骨動脈などの末梢血管において非侵襲的に圧力を
監視するトノメーターを用いることによっても可能である。(参照:ケンモツ・
オー(Kenmotsu, O.)、エム・ウエダ(M. Ueda)、エイチ・オオツカ(H. Otsuka)、
ティー・ヤマムラ(T. Yamamura)、ディー・シィ・ウィンター(D. C. Winter)、
およびジェー・ティー・エカール(J. T. Eckerle),”非侵襲動脈トノメトリー、
麻酔中の連続的な血圧監視”アネシージオロジー(Anesthesiology), 1991, Vo
l. 75, pp 333-340(参照として組み入れられているものも含む))以下の文献
には、腕や足の末梢血管における血圧を連続的に測定および記録できる別の方法
も報告されている。(参照:メイヤー−サベレック・ダブリュー(Meyer-Sabelle
k, W.)、シュルテ・ケー・エル(Schulte, K.L.)、およびゴーツェン・アール(Go
tzen, R.), ”歩行中の非侵襲的な血圧監視:技術的可能性と問題点”ジャーナ
ル・オブ・ハイパーテンション(Journal of Hypertension)、1990, Vol. 8 (S
uppl. 6), pp S3-S10、およびニールソン・ピー・イー(Nielson, P.E.)、および
ラスムッセン・エス・エム(Rasmussen, S.M.),”閉塞性動脈病変の兆候のない糖
尿病患者に対する指、足首、つま先におけるひずみ計技術による最高血圧の間接
測定”ダイアベトロージア(Diabetologia), 1973, Vol. 9, pp 25-29(参照と
して組み入れられているものも含む))。
【0006】 しかし、末梢動脈における実際の血圧は、大動脈起始部における血圧とは異な
ることが良く知られている。(参照:マクドナルド・ディー・エー(MacDonald,
D.A.), ”動脈中の血流”ロンドン、エドワード・アーノルド(Edward Arnold)、
1960、およびオーローク(O’Rourke)、マイケル・エフ(Michael F.)、レイモン
ド・ピー・ケリー(Raymond P. Kelly)、およびアルベルト・ピー・アボリオ(Alb
erto P. Avolio) ”動脈の拍動”フィラデルフィアおよびロンドン、リーおよび
フェビガー(Lea & Febiger), 1992(両文献に参照として組み入れられているも
のも含む))。
【0007】 血液が大動脈から大きな動脈を通って、より小さな径の動脈である大動脈や橈
骨動脈の分岐管へと通過するにつれて、MBPはわずかに減少する。図1に示され
るように、脈圧の振幅は、大動脈から橈骨動脈までは増加し、その後、減少する
。(参照:ファン・ワイ・シー(Fung, Y. C.),”生物動力学:血液循環” スピ
ンガー−バーラグ(Spinger-Verlag)、ニューヨーク、ベルリン、ハイデルベルグ
、東京、1984, p.134, (参照として組み入れられているものも含む))。脈圧
の増加または増幅は、通常、平均血圧における小さな圧力低下よりも大きいので
、その結果、最高(最大)血圧は増加し、最低(最小)血圧は小さな減少となる
。さらに、動脈波の形は、大動脈から末梢へと通過するにつれて変化する。その
結果、末梢部位において測定された血圧は、大動脈起始部における圧力を正確に
は表していない。これらの増幅や波形の変形は、たくさんの研究者により広く研
究され報告されている。これらの変化は、血管の本質的な性質、それぞれの動脈
の末端インピーダンス、および分岐点において生じる波の反射によって引き起こ
される。(参照:テイラー・エム・ジー(Taylor, M. G.) 拍動する血流中の”動
脈中の脈波伝播および心臓血管システムの設計”アティンガー・イー・オー(Att
inger, E. O.)、マクグロウ・ヒル(McGraw Hill)編、ニューヨーク, 1964, pp 3
43-367,(参照として組み入れられているものも含む))。
【0008】 脈波が伝播するにつれて変化する動脈脈波を同定するためにのモデルの研究は
、3つの方法によって行われてきた。
【0009】 第1の従来の方法は、血管径の物理構造の数学的記述によって発展してきた。
それらのモデルは、様々な複雑性を有する血管の集合体を採用し(参照:テイラ
ー・エム・ジー(Taylor, M.G.) ”不規則に分岐した弾性血管の集合体の入力イ
ンピーダンス” バイオフィジカルジャーナル(Biophysical Journal), Vol. 6,
1966, pp 29-51 、およびアボリオ・エー・ピー(Avolio, A. P.) ”人間の動脈
系の多数に分岐したモデル”メディカル・アンド・バイオロジカルエンジニアリ
ング・アンド・コンピューティング(Medical & Biological Engineering & Comp
uting)、Vol. 18, Nov. 1980, pp 709-718(参照として組み入れられているもの
も含む))、また、一まとめとされたパラメータを持つモデルを採用している。
(参照:テイラー・エム・ジー(Taylor, M. G.) ”粘弾性管壁を有する管中に
おける流体振動の伝播の実験的決定;必要な電気的類似体の特徴解析とともに”
フィジックス・イン・メディシン・アンド・バイオロジー(Physics in Medicine
and Biology), Vol. 4, 1959, pp 62-82、およびオカシオ(Ocasio), ウェンデ
ル・シー(Wendell C.), デビッド・アール・リグネイ(David R. Rigney), ケビ
ン・ピー・クラーク(Kevin P. Clark), およびロジャー・ジー・マーク(Roger G
. Mark), ”bpshape_wk4:血圧波形を解析するための生理学上もモデルを提供す
るコンピュータープログラム”コンピューター・メソッド・アンド・プログラム
ズ・イン・バイオメディシン(Computer Methods and Programs in Biomedicine)
, Vol. 39 (1993) pp. 169-194,(両文献に参照として組み入れられているもの
も含む))。この場合には、心臓血管系(たとえば、血管の容積、生体組織の弾
性など)の測定は、そのモデル式の係数を発展させるために用いられていた。そ
のモデル式を使うと、末梢動脈における大動脈脈波の特徴を用いて大動脈起始部
における動脈脈波をモデル化する手法によって、心臓血管系の特徴を決定するこ
とができる。
【0010】 しかしながら、上記手法は、血管系が複雑であり、また知らなければならない
パラメータが多いために、非常に限定的である。もっとも問題なのは、心臓血管
系が非線形でありその物理的特性が測定時の患者の心理的状態に依存して変化す
ることである。
【0011】 第2の従来の手法は、血管系の主要な抵抗または反応要素を表す一まとまりの
パラメータ要素を用いる手法である。(参照:Strano, Joseph J., Walter Welk
owitz, and Sylvan Fich, ”犬およびニワトリにおける動脈の生体内での血圧伝
播関数の測定および利用”電気電子技術者学会(IEEE)の生体工学の会報, Vol.
BME-19, No. 4, July 1972. pp 261-270(参照として組み入れられているもの
も含む))この手法は、関心のある部分がより詳細に得られ、かつ、相対的に少
ない要素で血管系の多くの部分を表すことができる。そのため、動脈および末梢
の血圧データは、ある数の曲線の当てはめ手法による一まとまりのパラメータま
たは定数の決定に使用される。この手法は、系の主要な要素に関連する情報(た
とえばパラメータなど)や系の特定の部分に関心がある場合に有用である。
【0012】 第3の手法は、本質的に、動脈系を、入力信号としての大動脈血圧波形と出力
信号としての末梢血圧波形とを有するブラックボックスとするモデルである。ブ
ラックボックスを用いる手法の入出力モデルは、動脈系の生理学的知識が必要な
いという利点がある。さらに、ブラックボックスモデルの手法は、モデル化され
た系が本質的に線型であるとの仮定が要求される。それ故、線型性を有するとの
仮定は、系をどちらの方向にもモデル化することが可能である。すなわち、末梢
の脈圧が入力であり大動脈脈圧が出力であると仮定することもできるし、その逆
も可能である。
【0013】 いくつかの数学的手法が、ブラックボックスの機能を記述する経験的モデルを
発展させるために用いられてきた。最も一般的な手法は、フーリエ変換法を使っ
て周波数領域における系の伝達関数を計算する方法である。この手法は、電子技
術の解析において広く用いられており、多くの患者の動脈脈波の伝播に適用され
てきた。(参照:たとえば、ラサンス・エイチ・エー・ジェー(Lasance, H.A.J.
)、ケー・エイチ・ウェッセリング(K.H. Wesseling)、シー・エー・アスコープ(
C. A. Ascoop)、”心拍出量の決定による末梢脈波の概略分析” 中間報告5, Ins
t. Med. Phys., ダ コスタケード(Da Costakade) 45, ユトレヒト、オランダ、
1976 、および1993年11月23日にオーローク(O’Rourke)に交付されたアメリカ合
衆国特許5,265,011(参照として組み入れられているものも含む))。
【0014】 フーリエ変換法を使う方法の一つが、アメリカ合衆国特許5,265,011に記載さ
れている。この特許では、大動脈と橈骨動脈の脈波形を、多くの患者から得てい
る。この場合には、フーリエ変換法を使って、それぞれの患者に対して、大動脈
から橈骨動脈までの伝達関数が計算される。次に、変換の全てが、サンプルとな
った被験者の大動脈から橈骨動脈までの平均的な変換を得るために平均化される
。その一般的な変換は、測定された橈骨動脈脈波が逆変換の入力となり、大動脈
脈波が逆変換の出力となるように、逆にされる。逆変換は、次に、橈骨動脈波形
から大動脈波形を推定するモデルを得るために、再び、時間領域に変換される。
【0015】 ブラックボックスの手法と同様の入出力モデルが、時間領域において自己回帰
手法を使って開発されている。(参照:チェン(Chen)、チェン−ヒュアン(Chen-
Huan)ら、”橈骨動脈圧の数学的変換による中心大動脈圧波形の推定:一般化さ
れた伝達関数の検定” サーキュレーション(Circulation), Vol. 95. No. 7, Ap
ril 1, 1997, pp. 1827-1836(参照として組み入れられているものも含む))上
記手法では、多くの患者から得られた大動脈圧と橈骨動脈圧のデータを用いて、
大動脈から橈骨動脈までの波形の伝播の時間領域モデルが決定される。それぞれ
のデルは周波数領域に変換され、アメリカ合衆国特許5,265,011に記載されてい
るように、変換によって得られた伝達関数は、平均化される。平均化された伝達
関数は、次に、逆にされ、さらに、橈骨動脈波形から大動脈波形を推定する線型
の式を得るために、再度、時間領域に変換させられる。
【0016】 個人の大動脈から橈骨動脈までのモデルを計算するために、時間領域において
自己回帰手法を使うことも、従来から知られている。(参照:ホリ(Hori),チオ
リ(Chiori)ら、”非侵襲橈骨トノメトリーから大動脈血圧波形の推定;FFTとARX
モデルの検証”電気電子技術者学会の医学と生物学の会報, 1997(参照として組
み入れられているものも含む))しかしながら、ホリ(Hori)らは、平均的な橈骨
動脈から大動脈までのモデルを得るために、時間領域において平均および逆変換
を行っている。
【0017】 自己回帰モデルは、ヒヒでの橈骨動脈波形から大動脈波形を再現する方法とし
て開発された。(参照:チャオ(Zhao)、ピール(Peel)、エドガー(Edgar)、およ
びイナダ(Inada)、”大動脈血圧波形の再現のための直接および間接自己回帰モ
デルの比較”(要約)生体医用工学学会の1998年年会の会報、クリーブランド、
オハイオ、10月、1998、(参照として組み入れられているものも含む))これら
のモデルは、橈骨動脈の血圧がモデルの入力として使われ、大動脈の血圧が出力
として使われている以前のモデルとは異なっている。この手法は、大動脈から橈
骨動脈へのモデルを橈骨動脈から大動脈へのモデルに変換する際に生じる誤差の
導入を回避している。さらに、そのモデル化は、多くの患者からの信号を連結す
ることによって構築された橈骨動脈および大動脈の合成信号を用いている。
【0018】 これらの経験的な手法では、本質的に、標本集団を構成する患者における脈波
伝播の特徴の平均を表すモデルが得られる。10人の患者の集団から得た平均の
伝達関数の例を図2に示す。患者の数が多く、患者が全体の集団を表していると
きには、そのモデルは、全部ではないが、ほとんどの人々にとって適合する正確
な波形を再現できると仮定されている。しかしながら、これは間違いである。
【0019】 図3は、図2に示す平均の伝達関数を算出するために用いられた10人の患者
のそれぞれの伝達関数を示す。ただちに分かるように、患者間には、強度よび位
相の両方において大きな違いがある。結果として、母集団の平均とは異なる患者
に対して平均化されたモデルを使うと、再現性の低い大動脈圧が得られてしまう
。さらに、患者間の通常の変動は、推定血圧において医学的に重大な誤りを引き
起こすほどに大きい。(参照:ピール(Peel)、チャオ(Zhao)、エドガー(Edgar)
、およびイナダ(Inada)、”自己回帰モデルを使った大動脈波形の再現の実現可
能性”(要約)、生体医用工学学会の1998年年会の会報、クリーブランド、オハ
イオ、10月;カラマノウグル(Karamanoglu)、ムスタファ(Mustafa)およびマイケ
ル・ピー・フェネリー(Micheal P. Fenely)、”指脈波からの人の上行大動脈脈
波のオンライン合成” ハイパーテンション(Hypertension)、Vol. 30, No. 6, 1
997年12月、pp 1416-1424;およびスタージオプロス(Stergiopulos)、ニコス(Ni
kos)、ベレンド・イー・ウェスターホフ(Berend E. Westerhof)、およびニコ・
ウェスターホフ(Nico Westerhof)、”末梢から大動脈への圧変換の生理学的基礎
:モデルに基づく研究” Am. J. Physiol. (Hert Circ. Physiol. 43), H1386-1
392, 1998(参照として組み入れられているものも含む))さらに、この手法は
患者の生理的な状態に影響を受けるので、同じ患者における心臓血管の状態の変
化は、さらに重大な誤差を生じ得る。平均的な大動脈圧の再現モデルに存在する
この本質的な不正確さは、そのモデルの医学的な利用を非常に制限している。
【0020】 患者間の違いは、患者間の通常の生理学的な相違(たとえば、年齢、血管の特
性など)と、患者間の解剖学上の相違(たとえば、身長、体重、性別など)に起
因している。さらに、ある一人の患者の伝達関数は、その患者の心臓血管系の状
態が異なることによって変化し得る。ある特定の患者において、違いは、病気や
、薬物治療の導入、精神的緊張、および他の多くの要素によって生じうる患者の
生理学的な状態(たとえば血管運動の状態、心拍数、末梢抵抗など)の変化に起
因している。
【0021】 中心大動脈圧をより正確に推定するための一つの手法は、特定の患者に適合さ
せられた脈波伝播経路の数学的モデルを使うことである。この手法に従った一つ
の一般的な方法は、部分的に個別化されたモデルである。そのモデルは、脈波伝
播経路を、末端がウィンドケッセルインピーダンスで終了している粘弾性管の線
形結合からなる脈波伝播経路と仮定された音響学的線型モデルを用いる。(参照
:カラマノウグル・エム(Karamanoglu, M.)およびフェネリー・エム(Feneley, M
.)、”指脈波からの人の上行大動脈脈波のオンライン合成”、ハイパーテンショ
ン(Hypertension)、Vol. 30, No. 6, 1997年12月、pp 1416-1424(参照として組
み入れられているものも含む))そのモデルは、まず、指カフ血圧監視装置によ
って測定された指の脈圧と頸動脈圧とを数学的に関連させている。大動脈圧は、
続いて、推定された頸動脈圧から推定される。指から頸動脈へのモデルのパラメ
ータは、手に持って使用するトノメータによって指血圧と頸動脈血圧を同時測定
して推定される。大動脈圧は、多くの人から得られた、大動脈から頸動脈への脈
波伝播経路の平均伝達関数を用い、推定された頸動脈圧から推定される。
【0022】 個別の大動脈波形を再現するモデルの第2の従来の手法は、大動脈圧を末梢血
管系のある点における圧力と流速に関連させる一本の直線状かつテーパ状の管を
用いる。(参照:スタージオプロス(Stergiopulos)、ニコス(Nikos)、ベレンド
・イー・ウェスターホフ(Berend E. Westerhof)、およびニコ・ウェスターホフ(
Nico Westerhof)、”末梢から大動脈への圧変換の生理学的基礎:モデルに基づ
く研究” Am. J. Physiol. (Hert Circ. Physiol. 43)(参照として組み入れら
れているものも含む))そのモデルは、進行波および反射波の伝達関数を推定し
ており、テーパ状の管のモデルにおけるパラメータを末梢における血圧と流速の
同時測定から推定することによって調整される。しかしながら、そのモデルは、
伝播経路中に大きな分岐(たとえば上腕動脈の橈骨動脈と尺骨動脈への分岐点)
のない場所での適用に限られる。この制限は単純な理由からであり、多くの末梢
部位を仮定しない一本の管のモデルだからである。最後に、このモデルは、循環
系のモデルによって作られた模擬的な大動脈と末梢の波形によって評価されてい
るにすぎない。
【0023】 経験的な一般的モデルと、個別化され解析的モデルは、モデルの構成や用いら
れる圧力の測定において違いがあるけれども、すべて心臓血管系は線型であると
仮定している。血管系における波の伝播は非線形であるので、それらのモデルは
、心臓血管系の限られた範囲内でのみよく機能する。さらに、測定のうちのいく
つか(特に手に持って使用するトノメータおよび流速測定)は、連続的に患者を
監視する場合に、臨床上便利な手法ではない。最後に、そして最も重要なことは
、それらのモデルは、血管系の特徴が粗雑に決定されているので、限界がある。
すなわち、前記モデルを特定の患者に対して個別化しようとする従来の方法は、
大動脈と末梢の測定部位において測定した、たった2つの圧力から、伝播経路を
特定しようとしているのである。
【0024】 線型のモデルで末梢動脈における波の伝播をモデル化した従来の手法の共通の
特徴は、線型性を仮定していること、すなわち、心臓血管系が線型系として正確
にモデル化されていること、および一定の状態を仮定していること、すなわち時
間や患者が変わっても動脈系は不変であると仮定していることである。線型性の
仮定は、圧力の変動する範囲が小さい場合には一般に有効である。一定の状態で
あるとの仮定は、心臓血管系の状態についての仮定が患者や時間によって変わら
ないのであれば、有効である。しかし、一般的には、これらの仮定は、生理学的
な系では当てはまらないと考えられている。
【0025】 心臓血管系における非線形の最も大きな原因は、血管壁の弾性とコンプライア
ンスの、瞬間の血圧と血管運動の状態に対する依存性である。(参照:カラハン
・エフ・ジェー(Callaghan, F.J.)、エル・エー・ゲッデズ(L.A. Geddes)、シー
・エフ・バッズ(C.F. Babbs)、およびジェー・ディー・ボーランド(J.D. Bourla
nd)、”脈波速度と動脈の弾性との関係” メディカル・アンド・バイオロジカル
エンジニアリング・アンド・コンピューティング(Med. & Biol. Eng. & Comput.
), 1986, Vol. 24, pp 248-254(参照として組み入れられているものも含む))
血管壁の弾性は、年齢の関数もであり、おそらくは性別の関数でもある。減衰は
、一般には管壁の粘性損失および流体の粘性に起因するが、血管壁の周囲の生体
組織の粘着すなわち結合によっても影響される。周囲の生体組織は、また、血管
壁の弾性に対する弾性および慣性要素にも影響する。これらの要素は、体の形態
や筋肉の状態に大いに依存する。管のモデルにおける抵抗成分は、一定であると
仮定されている。しかし、流体系における圧力の低下は、流速の二乗の関数であ
り、心臓の1サイクルの間に血流は大きく変化するので、流体系における圧力の
低下は一拍分の脈拍周期の間の抵抗の変化を引き起こす。
【0026】 さらに、動脈血管系の構造が非線型の原因となっている。動脈血管系は、多く
の一般的なモデルで仮定されている単純な一本の管ではなく、管が連続的に分岐
する系である。太い動脈血管は、それぞれ、一次動脈が2つあるいは3つの分岐
血管に分かれた二次動脈を伴っている。原則的に、娘血管、すなわち主要な分岐
点で分岐することによって生じた二次的な分岐管は、親血管よりも直径が小さい
。しかしながら、複数の娘血管の断面積を合計すると、親血管の断面積よりも大
きくなる。
【0027】 主たる分岐における主要な効果は、進行側のインピーダンスと、反対側のイン
ピーダンスとが大きく異なることである。それ故、主たる分岐点において反射が
生じる。これらの主たる分岐点の間には、親血管よりも断面積がずっと小さい多
くの副次的な分岐管が存在する。体の位置が変わることによって血管は大いに曲
げられ、また、一つあるいはそれ以上の血管を部分的にまたは完全に塞ぐので、
患者の動脈血管系の幾何学的形状は、体の位置の変化によって変わり得る。さら
に、分岐の幾何学的位置は患者間で大いに変化する。
【0028】発明の要約 一定であるとの仮定は、大動脈血圧を再現する従来のモデルの最大の欠点であ
る。これは、心臓血管系が、非常に動的であり、患者の変動する要求に適合する
ために多くの制御機構を持っているからである。これらの制御機構は、心拍数や
心拍出量を変化させるだけでなく、大小の血管の物理的な特性も変化させる。血
管の変化は、脈波伝播速度、血管抵抗および脈波伝播経路の末梢インピーダンス
に影響する。血管の制御機構は、投薬、疾病の処置、多量の出血にも反応する。
そのため、大動脈圧の再現は、患者に適合し、且つ、患者の状態の変化に順応す
るモデルが必要となる。これには、患者の心臓血管の状態の監視と、再現モデル
を心臓血管の状態の変化に適合させる仕組みが必要となる。本発明は、そのよう
な適合や順応が可能な大動脈圧再現モデルを提供する。
【0029】 末梢血管の圧力から大動脈圧を推定する従来のモデルは、患者間の変化と患者
の時間による変化のために、ある程度、不十分ながらよい結果をもたらすにすぎ
ない。従来の大動脈圧を再現する手法のこれらの欠点は、本発明によって解決さ
れる。
【0030】 発明の好ましい実施例では、他の生理学的な測定がAラインやトノメータによ
る連続的な血圧監視とともに行われている。たとえば、上記好ましい実施例では
、ECG、NIBP、オキシメータが使用されている。具体的には、ECGは、大動脈起始
部から生じる各血圧脈波の開始に対する参照時間を提供する。NIBP監視のための
閉塞用カフは脈波計にも使われ、圧力が一定の低い圧力に維持されているときに
は、上腕血圧波形を検出する。パルスオキシメータは、それらの測定装置の一部
であり、指において連続的に血圧波形の容積脈波測定を行う。従来の線型モデル
の欠点は、ECG、NIBP監視装置の閉塞用カフ、およびパルスオキシメータにより
得られる測定値を用いることにより解消される。
【0031】 従って、本発明は、複数の数学的モデルを使って末梢血圧波形のデータから大
動脈圧波形を再現し検証する手法および装置に関する。これらの数学的モデルは
、心臓血管系における脈波伝播の解析的なモデルを、多くの人の患者から得られ
た測定値から導かれる経験的モデル、およびモデル化された個々の患者から導か
れる経験的モデルと結びつける 。ある患者の大動脈圧の再現に用いられる場合
、上記数学的モデルは、患者の心臓血管系に関与する測定値に基づいて、患者お
よび患者の生理学的状態に適合させられる。
【0032】 大動脈波形を再現する一つの経験的なモデルは、多くの患者の測定値から得ら
れる。その経験的モデルは、各患者における脈波伝播の特徴値およびその他の情
報を用いて正規化されることによって、各患者に適合させられる。次に、患者毎
に正規化された経験的モデルは、結合させられて一つの集合的且つ平均的な正規
化されたモデルとなる。正規化は、血管系の数学的記述、および心臓血管系の個
々の変化、非均一性、非線型性の原因となる測定値を使って行われる。特定の患
者の心臓血管系の再現に使われるときには、前記一般的且つ正規化されたモデル
は、特定の患者について行われた測定値を用いて調整される。再現された大動脈
波形は、その大動脈波形を使って血管系のある部位における波形を再現し、その
再現した波形とその部位で測定した波形とを比較することにより、検証される。
【0033】
【発明の好適な実施の形態】
本発明の装置および手法は、カフの下に位置する動脈の容積変化によってカフ
内において生じる圧脈波が2つまたはそれ以上のカフ圧において、1つまたはそ
れ以上の心拍周期にわたり、連続的に測定される必要がある。
【0034】 大動脈圧の再現は、心臓血管系の他の部位において測定された圧力に対する大
動脈圧の数学的関係を必要とする。たとえば、好適な実施例では、上腕動脈、橈
骨動脈、指骨(指)動脈の血圧が、特定の末梢血圧として使用される。しかしな
がら、それらの血圧の使用が好ましいということは、本発明の範囲を限定するも
のではなく、本手法は、枝分かれした他の動脈に対しても適用できる。大動脈圧
の橈骨動脈圧に対する数学的関係は、以下の式で表される。 Pa(t-τar)=f(Pr(t),Pb(tc),Pr(tc),Pf(tc),τabaraf,C(I))+Pr(t-τar ) (1) ここで、Pa(t-τar)=瞬間の再現された血圧、 Pr(t)=瞬間の橈骨動脈圧、 Pb(tc)=キャリブレーション時の上腕血圧、 Pr(tc)=キャリブレーション時の橈骨動脈圧、 Pf(tc)=キャリブレーション時の指血圧、 tc=関数fのキャリブレーション時間、 τar=大動脈から橈骨動脈へ脈波が伝播する時間、 τab=大動脈から上腕動脈へ脈波が伝播する時間、 τaf=大動脈から指動脈へ脈波が伝播する時間、 C(I)=患者番号Iを含む一組の患者の特徴値、 Pr(t-τar)=平均橈骨動脈圧
【0035】 関数fは、全体の大動脈血圧を推定するために平均橈骨動脈圧に加えられる大
動脈圧波形を再現する。関数fは、大動脈から橈骨動脈への血圧脈波の伝播を記
述する線型モデルからなる。その線型モデルは、まず、心臓血管系を表すために
作成され、次に、本明細書で述べているように、各患者に適合させられる。
【0036】 上記線型モデルは、最初は、系の物理的な要素を記述したモデルと仮定される
ことによって作成される。図2および図3に示される平均伝達関数および個人の
伝達関数から分かるように、典型的な大動脈から橈骨動脈への伝達関数は、大動
脈から測定部位までの血管内の脈波伝播時間に対応するたくさんの共鳴から成っ
ている。ピークの数は、系内の共鳴部位の数を示している。図2および図3に示
されるように、2つ、ある場合には、3つの共鳴が、伝達関数を決定づける。
【0037】 抵抗(R)、コンプライアンス(C)およびイナータンス(L)から成る伝送回路モデ
ルは、この種の挙動をする。弾性管では、抵抗、コンプライアンスおよびイナー
タンスが、以下の式によって、血管および血管壁の組織の物理的特性と関連づけ
られる(参照:ストラノ(Strano)、ジョセフ・ジェー(Joseph J.)、ウォルター
・ウェルコウィッツ(Walter Welkowitz)、およびシルバン・フィック(Sylvan Fi
ch)、”犬およびニワトリの動脈の生体内における血圧伝達関数の測定と用法”
電気電子技術者学会 生体医用工学会報, Vol. BME-19, No. 4, July, 1972, p.
269(参照として組み入れられているものも含む)):
【数1】 ここで、
【数2】
【0038】 心臓血管の機構を解析する一連のパラメータにおいて4つ目の重要な関係は、
脈波の伝播速度である。固体中や、波の速度が媒質の特性に支配されるような硬
い管内の非圧縮性流体中の波の伝播と異なり、弾性的な血管においては、脈波の
伝播速度(c)は、血管壁の物理的特性に支配される。この依存性は、最初は、187
8年にモエン(Moens)とコルテウェグ(Korteweg)によって記述され、多くの形をと
る。
【数3】 ここで、 Δt=管内の距離lを脈波が伝播する時間、 f=管の固有振動数、 ω=波の角固有振動数、 λ=管の末端に依存する管の波長
【0039】 これらの関係の意味を以下に説明する。 血管特性を模した回路が複数結合されて、図4に示される電気回路となる。そ
れ故、図4は、心臓血管系における脈波伝播の線型モデルを提供する。回路中の
それぞれの要素および抵抗−インダクタンス−キャパシタンス(RLC)閉回路は、
大動脈−上腕動脈−橈骨動脈−指動脈の血流系に相当する。その回路において、
インダクタンスLab、抵抗Rab、キャパシタンスCabからなる最初の閉回路は、大
動脈から上腕動脈までの血管に相当する。インダクタンスLabはこれらの血管を
流れる血液の容積の慣性に相当し、抵抗Rabは血管と血液の粘性−粘弾性抵抗に
相当し、キャパシタンスCabは血管の物理的コンプライアンスに相当し、RL要素
間を流れる電流が血流の容積の割合に相当する。
【0040】 その他のRLC閉回路は、上腕動脈から橈骨動脈までの血管および橈骨動脈から
指動脈までの血管を表す。抵抗RTは血管系の末梢抵抗を表す。通常、抵抗Rab,Rb r およびRrfは、個々にもそして全体でもRTよりもずっと小さい。生体の残りのイ
ンピーダンスに相当する部分は、全身のインピーダンスと書かれた要素によって
表されている。電圧Paは大動脈における血圧に相当する。この圧力は、全身の系
および上腕の血管の両方に当てはまる。電圧Pfは、指先で測定された血圧に相当
する。Cabを横切る電圧は上腕血圧Pbに相当し、Cbrを横切る電圧は手首で測定さ
れた血圧Prに相当し、Crfを横切る電圧(Pfと同じ電圧)は指で測定された血圧
に相当する。
【0041】 図5もまた、心臓血管系における脈波伝播の線型モデルである。しかしながら
、図5は、血圧カフの影響もモデル化している。図5は、上腕血管を締め付け、
それによって、血液が上腕よりも末端側へ流れるのを阻止する血圧カフを表すRC
閉回路を含んでいる。カフが完全に膨張させられると、抵抗Rcは事実上無限大と
なって回路の下流要素へ血流が流れるのを阻止する。カフ圧が解放されると、抵
抗は事実上ゼロとなる。キャパシタンスCcはカフとそれに結合された配管の物理
的コンプライアンスを表し、回路にははっきりとは現れていないが、カフ圧が解
放され、または、非常に低いときは、その物理的コンプライアンスは血流に影響
を与えないほどに非常に大きい(1/Cc≒0)と仮定される。
【0042】 図6は、心臓血管系における脈波伝播を記述するための第3の線型モデルを示
している。図5のモデルと同様に、このモデルにも血圧カフに相当する要素が含
まれている。図6のモデルでは、心臓血管系の任意の部位における圧力が、入力
圧力と伝達関数の積とを掛けることにより計算できる。血圧カフに相当する要素
は、そのモデルの特定の患者に対する適用を見越して使われる。伝達関数Hs,Hab ,Hc,HbrおよびHrfは、図4に示されている電気回路の要素によって表現され得る
【0043】 大動脈から指への伝達関数Haf(f)は、図6には示されていないが、指における
末梢抵抗RTを横切る圧力を大動脈における圧力に関連させる周波数領域の電気回
路から導き出される。
【数4】
【0044】 伝達関数Haf(f)は以下に示される。
【数5】 ここで、fはヘルツを単位とする周波数であり、j=√(-1)、A,B,C,D,E,FおよびG
は電子回路パラメータの組み合わせである。周波数領域変数(2jπf)は時間領域
における時間導関数に等しい。A,B,C,D,E,FおよびGは、共鳴周波数ωabbrrf (ここでω=2πfはラジアン/秒などによって表現される角周波数である)お
よび全体の回路における3つのRLC閉回路の減衰係数ζabbrrfのみを含む
二次的な式で表現することもできる。これらの式は、Rab,RbrおよびRrfが無視で
きるほどに小さい場合、以下のように記述できる。
【数6】
【0045】 これらの関係は、一組の電気回路パラメータの6つの異なる組み合わせ、すな
わち、LabCab,LbrCbr,LrfCrf,LbrCab,LrfCbrおよびRTCrfを含んでいる。
【0046】 それぞれの伝達関数は、見かけ上は、RLC閉回路の要素からなるグループと等
しいが、それぞれの伝達関数は、以下に示す式の二次伝達関数によって表現でき
る。
【数7】 ここで、ω0は固有角振動数であり、ζは伝達関数部分の減衰の実行値である。
この表現により、大動脈から指への(すなわち患者の腕の)伝達関数は、脈波伝
播経路の3つの区間に対する二次伝達関数(Sab(f),Sbr(f),Srf(f))の積として
記述できるようになる。 すなわち、
【数8】 式9で与えられる伝達関数の定義を使うと、式10は以下の式に書き直すことが
できる。
【数9】 または、
【数10】 この式は、式7と同一である。しかしながら、係数は、以下に示す3つの共鳴
周波数と3つの減衰係数から成る。
【数11】
【0047】 この伝達関数の強度は図7に図示されている。この図は大動脈から指への伝達
関数Haf(f)を示し、共鳴周波数がfab=5.8Hz, fbr=11.0Hz, frf=16.0Hzに設定さ
れ、ζab=0.3, ζbr=0.3, ζrf=0.4の減衰係数を有している。このHaf(f)は、抵
抗RTが低く、それ故、減衰が増加する場合に相当する。
【0048】 図8は、fab=5.8Hz, fbr=11.0Hz, frf=16.0Hz, ζab=0.3, ζbr=0.3, ζrf=0.
4であるときの通常の末梢抵抗の場合を示している。伝達関数Haf(f)は、5.9Hzに
著しい共鳴を示し、11.0Hzに小さい共鳴を示すが、16.0Hzには共鳴は見られない
。図7および図8に示す伝達関数は、図3に示す経験的に導かれた個人個人の伝
達関数の例と本質的に同一である。また、二次表現Saf(f)もHaf(f)と同一である
。これは、図8において、2つの曲線が互いに重なっていることにより示される
【0049】 これらの関係の相互の構成を比較すると分かるように、回路パラメータ1/RTCr f は全減衰係数の合計2ζω0に相当する。さらに、パラメータ1/LCは、固有振動
数ω0の二乗に相当する。しかしながら、その他の係数は、3つのRLC部分の相互
の結合とそれぞれの部分の有効減衰係数への末梢抵抗の影響のために、項単位で
は等しくない。相互の結合の影響は、測定点間の伝達関数を精査すると、もっと
もよく理解できる。
【0050】橈骨から指への伝達関数 : 橈骨の測定部位と指の測定部位との間の測定された伝達関数Hrf(f)は式13a
および式13bによって与えられる。
【数12】 または、
【数13】 ここで、
【数14】
【0051】 fbr=11.0Hz, frf=16Hz, ζbr=0.15, ζrf=0.3の場合のこの伝達関数の強度は
図9に示されている。図9および式13bに示されるように、橈骨から指への伝
達関数Hrf(f)は単純な二次の系である。この伝達関数は、橈骨と指の血圧波形の
同時測定値から直接計算される。しかしながら、減衰定数は系全体の全減衰定数
の合計であり、また、Srf(f)に対する減衰定数とはわずかに異なっている。
【0052】上腕から橈骨への伝達関数 : 同様に、上腕の測定部位と橈骨の測定部位との間の系に対する伝達関数Hbr(f)
は、固有振動数と減衰係数に関しては図4に示される電子回路から導かれる。そ
の伝達関数Hbr(f)は式15によって与えられる。
【数15】 ここで、
【数16】
【0053】 fbr=11.0Hz, frf=16Hz, ζbr=0.15, ζrf=0.3の場合の伝達関数の強度は図1
0に示されている。この伝達関数は、上腕動脈の血圧波形と橈骨動脈の血圧波形
が同時に測定され、記録されれば、一人の患者に対して計算することができる。
式15に示されるように、上腕から橈骨への伝達関数は、全減衰定数Z1に加えて
、上腕部分のパラメータおよび橈骨部分のパラメータの関数でもある。図からは
判断が困難であるが、図10には、橈骨から指への二次伝達関数Sbrほどには滑
らかな指数関数状に下降しないHbrの強度が示されている。この挙動は、他の心
臓血管系の複数の部位における減衰の影響、および、Hbrが2次の系を4次の系
で割ったものを使って計算されていることに起因する。
【0054】大動脈から上腕への伝達関数 : 測定された伝達関数Hab(f)は以下で与えられる:
【数17】 Hab(f)の強度は図11に示される。腕の他の部位における減衰と固有振動数の
影響、およびその影響の4次と6次の式を使った計算結果は、伝達関数の第2の
ピークに見られる。また、二次式Sab(f)が比較のために示されている。
【0055】 しかしながら、患者の大動脈圧波形Pa(f)を測定することができないので、こ
の伝達関数は、直接計算することができない。しかし、閉塞用のカフが完全に膨
張させられて上腕の圧力が測定されると、図5に示されるように、大動脈と測定
部位との間の血管が無限大のインピーダンス(R=∞、HC(f)=0)によって実際上
区切られ、その間の血管が”閉じた”音響的導波管に相当するようになる。この
場合の大動脈から上腕への回路の伝達関数の強度が図12に示されている。この
回路の伝達関数は以下の通りである。
【数18】
【0056】 式19および図12に示されるように、下流の共鳴の影響は削除され、大動脈
から上腕までの部位のみが共鳴周波数と減衰に影響している。
【0057】 大動脈から上腕までの血管の共鳴周波数fab、あるいは電気回路の等価な変数Lab Cabは、ECGのR波と上腕部位における圧力の立ち上がり時点との間の脈波伝播
時間Δtabを測定することによって決定できる。それ故、固有振動数は、fab=cababとすることによって直接得られる。ここで、cabは脈波の速度であり、λab は大動脈からカフ装着部位までの脈波の伝播の波長である。cab=lab/Δtabであ
り、labは血管の長さであり、閉管の境界条件のためにλab=4labであるので、固
有振動数は1/4Δtabである。カフが解放されると、大動脈から上腕までの血管が
上腕の他の血管と連結される;脈波伝播時間はカフが膨張させられているときと
同じであるが、その区間の血管の末端インピーダンスは、大きいけれども、事実
上無限大ではない。それ故、大動脈からカフ装着部位までの間の圧脈波伝播の有
効波長は、結合の結果、4labよりもわずかに小さくなる。結合されているときと
結合されていないときの固有振動数の違いは無視できるので、結果として、固有
振動数ωabは本質的に同じである。
【0058】 結果として、大動脈から上腕への脈波伝播経路においては、患者から測定でき
ない変数は減衰係数ζabのみである。そこで、その減衰係数を間接的に測定する
ための幾つかの方法を以下に説明する。
【0059】 大動脈から上腕への伝達関数に対する他の式も線型モデルに関連する。測定さ
れた大動脈から指への伝達関数の特性方程式がその系の二次表現から導かれるも
のと等しいことを思い出すと、式18も以下のように表現できる。
【数19】 または、
【数20】
【0060】橈骨動脈から大動脈への伝達関数 : 上記関係が与えられると、系の任意の中間位置における圧力から、大動脈にお
ける圧力に関連する逆伝達関数が導かれる。橈骨動脈から大動脈への伝達関数か
ら得られる幾つかの逆伝達関数のうちの一つを使い、橈骨動脈における圧力を測
定することによって、大動脈圧は決定できる。
【数21】
【0061】 橈骨動脈から大動脈への逆伝達関数の強度は図13に示されている。前記各区
間の伝達関数と同様に、大動脈から上腕への伝達関数は、下流部位の変数に依存
する。このことは、強度の図示において第2のピークが存在することによって示
される。
【0062】個人の橈骨動脈血圧から大動脈血圧を再現するモデルの構築 : 前に説明したように、心臓血管系において直接測定できない唯一の変数は、大
動脈から上腕までの区間の減衰係数である。それ故、個人の伝達関数の構築は、
大動脈から上腕までの伝播経路の減衰を見つける装置を決定することに置き換え
られる。これは、多くの異なる手法により達成できる。
【0063】 上記多くの手法には、全て、多くの共通したステップがある。たとえば、全て
の手法が、上腕カフが膨張させられた状態における、心臓からカフまでの脈波伝
播時間の測定を含んでいる。さらに、全ての手法が、上腕カフが最低血圧よりも
十分に低い圧力で膨張させられている状態において、上腕、橈骨、および指にお
ける圧波形を測定している。全ての手法は、伝達関数Hrb(f)およびHfr(f)、また
はそれらと等価な時間領域における関数を計算している。全ての手法は、遅延時
間の逆数(すなわち、1/Δtbrおよび1/Δtrf)から固有振動数ωbrおよびωrf
決定し、カフが完全に膨張させられたときに、Hba(f)の固有振動数ωabを遅延時
間の逆数1/Δtabから決定している。最後に、全ての手法において、有効減衰係
数ζbrおよびζrfは、強度が限られている低周波数に対するピーク強度の比から
決定され、その比はそれぞれのピークの約1/2ζである。
【0064】 伝播経路の大動脈から上腕までの区間の減衰を決定するための最初の好ましい
手法では、橈骨から大動脈への伝達関数Hra(f)は、測定された逆伝達関数Hrb(f)
と、経験的に導かれ正規化された逆伝達関数が特定の患者に適合させられた逆伝
達関数Eba(fn)とを用いて構築される。伝達関数Hrb(f)は、患者の上腕と橈骨の
波形を用いて計算される。
【0065】 正規化された伝達関数Eba(fn)は、多くの患者の制御された研究において集め
られたデータを用いる、図14に示される手法によって得られる。これらの研究
では、大動脈圧測定は上腕、橈骨、指の脈波波形と同時に得られる。この方法は
、ステップS10において開始し、制御はステップS20へと進む。ステップS
20では、ある患者が多くの患者の代表として選択され、そして制御はステップ
S30へ進む。ステップS30では、その患者の性別、年齢、身長および体重が
記憶され、ステップS40へ進む。ステップS40では、血圧カフが完全に膨張
させられた状態において、ECG、大動脈血圧波形、上腕血圧波形の同時測定が行
われる。この測定は、変数eecg(t),Pa(t),Pb(t)に対するデータを提供する。次
いで、制御はステップS50へ進む。
【0066】 ステップS50では、変数eecg(t),Pa(t),Pb(t),Pr(t)およびPf(f)にデータを
提供するために、血圧カフが最低血圧以下の圧力に膨張させられた状態で、ECG
、大動脈、上腕、橈骨、指の脈波形の同時測定が行われ、制御はステップS60
へ進む。ステップS60では、eecg(t),Pa(t),Pb(t),Pr(t)およびPf(f)に値を提
供するために、ステップS50で供給されたデータから平均信号レベルが取り除
かれる。続いて、ステップS70では、血圧カフが完全に膨張させられた状態に
おいて、ECGから上腕までの伝播時間Δtecg-b、大動脈から上腕までの伝播時間
Δtabの測定が行われ、前駆出時間が計算される。すなわち、前駆出時間は、大
動脈弁の解放によって引き起こされる大動脈の血圧脈波の開始に先だって生じる
活動的でない遅延時間であり、PEP=Δtecg-b-Δtabである。制御は次にステップ
S80に進み、カフが低いカフ圧で膨張させられた状態で、大動脈から上腕まで
の伝播時間Δtab、大動脈から橈骨までの伝播時間Δtar、大動脈から指までの伝
播時間Δtafが計算される。次に、ステップS90では、変数Pb(t-Δtab),Pr(t-
Δtar),Pf(t-Δtaf)にデータを供給して、上腕、橈骨および指の波形が、大動脈
波形と同時に生じるように移動させられる。そのデータを使って、ステップS1
00では、橈骨から大動脈への伝達関数Hra(f)=Pa(f)/Pr(f)、橈骨から上腕への
伝達関数Hrb(f)=Pb(f)/Pr(f)、および指から橈骨への伝達関数Hfr(f)=Pr(f)/Pf(
f)、の計算が行われる。制御は次にステップS110に進み、伝達関数Hra(f)、
Hrb(f)およびHfr(f)が一定の直流レベルを持つように変更させられる。制御は次
にステップS120に進む。
【0067】 ステップS120では、橈骨から大動脈への伝達関数Hra(f)を、橈骨から上腕
への伝達関数Hrb(f)および指から橈骨への伝達関数Hfr(f)で割ることによって、
i番目の患者に対して正規化された伝達関数Eba-i(f)が得られ、制御はステップ
S130へ進む。ステップS130では、正規化された上腕から大動脈への伝達
関数Eba-i(f)が、血圧カフが完全に膨張させられた時に得られた大動脈から上腕
への遅延時間(すなわち固有振動数fab)を用いて正規化(標準化)される。そ
して、制御は次にステップS140に進む。
【0068】 ステップS140では、患者集団内の全ての患者がステップS20で選択され
、ステップS30−S130で解析されたかどうかが決定される。全ての患者が
選択され且つ解析されていれば、制御はステップS150に進み、全ての患者の
正規化された伝達関数の平均が計算され、ステップS160に進む。一方、集団
内に選択および解析がされていない患者がいれば、制御はステップS20に戻り
、他の患者が選択され且つ解析される。ステップS160では、前駆出時間の回
帰式PEP=R(Δtab、性別、年齢、身長、体重、血圧(BP)、心拍数(HR))が計算され
、制御はステップS170に進む。ステップS170では、制御は、個人の橈骨
から大動脈血圧を再現するモデルを構築する中心的な手法へ戻る。
【0069】 それ故、図14の方法を使うと、逆伝達関数Hra(f)、Hrb(f)、Hfr(f)は個々の
患者に対して計算される。正規化された伝達関数は、次に、以下の関係式を使っ
て計算される。
【数22】 正規化された伝達関数から、末梢の抵抗とコンプライアンスに対して正規化され
た伝達関数が以下のように定義できる。
【数23】 上記式は、次に、カフが膨張させられた状態での大動脈から上腕までの伝播時間
によって測定された固有振動数ωabによって正規化され、患者の正規化された上
腕から大動脈への伝達関数が得られる。
【数24】
【0070】 大きな典型的な集団に対して正規化された上腕から大動脈への伝達関数は、次
に、平均化されて、一般的な正規化された上腕から大動脈への伝達関数とされる
【0071】 図15は、正規化された一般的な逆伝達関数と一般的な大動脈血圧再現モデル
を、特定の患者に適合するように修正するための本発明の第1の好ましい方法を
示している。図15に示されるように、正規化された上腕伝達関数を特定の患者
に適合させることは、本質的に前述の計算処理を逆にすることにより達成される
【0072】 上記適合処理は、ステップS210において開始され、制御はステップS22
0へ進む。ステップS220では、特定の患者に関連する情報(たとえば、性別
、年齢、身長、体重など)が決定される。続いて、制御はステップS230に進
み、血圧カフが完全に膨張させられた状態で、ECGおよび上腕波形(eecg(t),Pa(t
),Pb(t))が同時に測定される。制御は続いてステップS240に進む。ステップ
S240では、カフ圧が最低血圧よりも低い状態で、ECG、上腕、橈骨および指
の脈波波形の同時測定が行われ(eecg(t),Pb(t),Pr(t),Pf(f))、ステップS2
50へ進む。ステップS250では、変数eecg(t),Pb(t),Pr(t),Pf(f)にデータ
を提供するために、平均信号レベルが取り除かれ、且つ、平均大動脈血圧(MBP)
および心拍数(HR)が決定される。そして、制御はステップS260へ進む。
【0073】 ステップS260では、血圧カフが膨張させられた状態でECGから上腕までの
伝播時間(Δtecg-b)が測定され、前駆出時間(PEP=Regr(Δtab、MBP、HR、性別、
年齢、身長、体重)が計算され、大動脈から上腕への伝播時間(Δtab=Δtecg-b -PEP)が計算される。制御は次にステップS270に進み、上腕から橈骨への伝
播時間(Δtbr)および橈骨から指への伝播時間(Δtrf)が、低いカフ圧において測
定される。制御は次にステップS280に進む。ステップS280では、変数Pb (t-Δtab),Pr(t-Δtar),Pf(f-Δtaf)にデータを供給して、橈骨および指の波形
が上腕波形と同時に生じるように移動させられる。そのデータを使って、ステッ
プS290では、橈骨から上腕への伝達関数Hrb(f)=Pb(f)/Pr(f)、および指から
橈骨への伝達関数Hfr(f)=Pr(f)/Pf(f)が計算される。制御は次にステップS30
0に進み、伝達関数Hrb(f)およびHfr(f)が一定の直流レベルを持つように変更さ
せられる。制御は次にステップS310に進む。
【0074】 ステップS310では、上腕から大動脈への伝達関数Eba-i(f)が、血圧カフが
完全に膨張させられたときに得られた大動脈から上腕までの遅延時間(すなわち
固有振動数ωab)を使って正規化される。制御は次にステップS320へ進む。
ステップS320では、個人の橈骨から大動脈への伝達関数Hra(f)を得るために
、周波数の関数とされた上腕から大動脈への伝達関数Eba-i(f)に橈骨から上腕へ
の伝達関数Hrb(f)および指から橈骨への伝達関数Hfr(f)が掛けられる。制御は次
にステップS330へ進み、上記個人の橈骨から大動脈への伝達関数が、時間領
域の式pa(t)=f(pr(t))に変換され、制御は次にステップS340へ進む。ステッ
プS340では、推定された大動脈平均血圧が橈骨から大動脈への伝達関数に対
する時間領域の式に加えられ(Pa(t)=pa(t)+MBP)、制御はステップS350へ
進む。ステップS350では、個人の橈骨から大動脈血圧を再現するモデルを構
築する中心的な手法へ戻る。
【0075】 大動脈から上腕までの区間の伝播経路の減衰を決定するこの第1の好ましい手
法は、大動脈から上腕血管までの伝播経路の情報を含んでいる経験的に導かれた
モデルに基づいている利点がある。その情報には、分岐、分岐点における減衰、
およびその他の血流力学的要素の鋭敏な影響が含まれている。そのような情報は
、図4に基づいて前述した、単純な物理的モデルから導かれる従来の線型モデル
には含まれていない。
【0076】 しかしながら、生理学的な情報は、モデルの決定に用いられた被験者の集団に
ついて平均化される。その結果、患者間の通常の変動が大動脈血圧を再現する際
の不正確さに影響する。この手法のさらなる欠点は、正規化されたモデルは、伝
達関数のそれぞれの周波数要素の強度および位相を表す非常に多くの人のデータ
の蓄積を必要とする。しかし、この欠点は、たくさんの曲線適合技術のうちのど
れかを使い、正規化された伝達関数を経験的な関数に適合させることによって得
られた式として表現することによって、克服される。しかしながら、この第1の
好ましい手法は、曲線適合技術による本質的な平滑化によって、経験的な変換に
含まれている幾つかの情報を失ってしまっている。
【0077】 大動脈から上腕血管までの伝播経路の減衰を決定する第2の好ましい手法では
、ある患者に対して式22eで記述される橈骨から大動脈への逆変換モデルが、
その患者の橈骨から指への伝達関数Hrf(f)およびその患者に対して構築された二
次伝達関数を使って構築される。図16に示されるように、上記手法が開始する
と、ステップS410において制御が始まり、制御は次にステップS420へ進
む。ステップS420では、ある患者が多くの患者の代表として選択され、制御
はステップS430へ進む。ステップS430では、その患者の性別、年齢、身
長、体重が記憶され、そして制御はステップS440へ進む。ステップS440
では、血圧カフが完全に膨張させられた状態で、ECG、大動脈波形、上腕波形の
同時測定が行われる。この測定は、変数eecg(t),Pa(t),Pb(t)にデータを提供す
る。続いて、制御はステップS450へ進む。
【0078】 ステップS450では、変数eecg(t),Pa(t),Pb(t),Pr(t)およびPf(f)にデータ
を提供するために、血圧カフが最低血圧以下の一定の圧力に膨張させられた状態
で、ECG、大動脈、上腕、橈骨、指の脈波形の同時測定が行われる。一定のカフ
圧のレベルは、上腕における血流がほとんど減少させられないように、最低血圧
よりも十分に低くなるように選択される。そのようなレベルは、橈骨脈波の振幅
を監視することによって決定され、橈骨脈波の信号がほとんど一定となった後、
カフ圧が一定に保持される。制御は次にステップS460に進む。ステップS4
60では、eecg(t),Pa(t),Pb(t),Pr(t)およびPf(f)に値を供給するために、ステ
ップS450において供給されたデータから平均信号レベルが取り除かれ、制御
はステップS470に進む。続いて、血圧カフが完全に膨張させられた状態にお
いて、ECGから上腕までの伝播時間Δtecg-b、大動脈から上腕までの伝播時間Δtab の測定が行われ、前駆出時間すなわちPEP=Δtecg-b-Δtabが計算される。制御
は次にステップS480に進み、カフが低いカフ圧で膨張させられた状態で、大
動脈から上腕までの伝播時間Δtab、大動脈から橈骨までの伝播時間Δtar、大動
脈から指までの伝播時間Δtafが計算される。次に、ステップS490では、変
数Pb(t-Δtab),Pr(t-Δtar),Pf(f-Δtaf)にデータを供給することにより、上腕
、橈骨および指の波形が、大動脈波形と同時に生じるように移動させられる。そ
のデータを使って、ステップS500では、橈骨から大動脈への伝達関数Hra(f)
=Pa(f)/Pr(f)、および橈骨から指への伝達関数Hrf(f)=Pf(f)/Pr(f)の計算が行わ
れる。制御は次にステップS510に進み、伝達関数Hra(f)およびHrf(f)が一定
の直流レベルを持つように変更させられる。制御は次にステップS520に進む
【0079】 ステップS520では、固有振動数ωabbrおよびωrfが計算され、減衰係
数ζabbrおよびζrfが測定される。上腕から橈骨および橈骨から指の区間の
二次伝達関数に対する固有振動数および減衰係数は、測定された伝達関数Hrf(f)
およびHbr(f)から得られる。共鳴周波数は、近似的な固有振動数すなわち区間の
有効減衰係数を推定するのに用いられるピーク強度発生時の周波数として選択さ
れる。大動脈から上腕までの区間の固有角振動数は、閉塞用のカフが最高血圧以
上の圧に膨張させられたときの、大動脈から上腕までの伝播時間から計算される
。大動脈から上腕までの区間の減衰係数のパラメータは、大動脈から上腕までの
減衰定数を上腕から橈骨および橈骨から指までの減衰定数と関連させる回帰式を
使って得られる。
【0080】 制御は次にステップS530に進む。ステップS530では、上腕から橈骨、
および橈骨から指までの区間の二次伝達関数モデルSbrおよびSrfが構築される。
制御は次にステップS540へ進み、上腕から大動脈への二次伝達関数Sab-i=Hr f (f)/(Sbr(f)*Sfr(f)*Hra(f))が構築される。上腕から橈骨および橈骨から指ま
での区間の二次式の変数は、前述したように、その区間の測定された伝達関数か
ら得られる。制御は次にステップS550へ進む。ステップS550では、大動
脈から橈骨への二次伝達関数から得られる大動脈から上腕への有効減衰係数が、
個人個人に対して測定され、制御はステップS560へ進む。
【0081】 ステップS560では、患者集団内の全ての患者がステップS420で選択さ
れ、ステップS430−S550で解析されたかどうかが決定される。集団内の
ある患者が選択および解析されていない場合には、さらに患者を選択し且つ解析
するために制御はステップS420に戻る。一方、全ての患者が選択され且つ解
析されていれば、制御はステップS570に進む。
【0082】 そして、適切な数の患者からデータを集めることに続いて、その患者集団に対
して、大動脈から上腕までの区間の減衰定数ζω0を上腕から橈骨および橈骨か
ら指までの区間の減衰定数と関連させる回帰式が計算される。固有角振動数ωab =1/(Δtab)はカフが完全に膨張させられたときに測定され、その測定された固有
角振動数は、式が以下の形となるようにして、その患者の固有振動数として用い
られる。
【数25】 ここで、A,BおよびCは回帰式の係数である。
【0083】 それ故、ステップS570では、大動脈から上腕への有効減衰定数が、上腕か
ら橈骨および橈骨から指の固有振動数および見かけ上の減衰係数および平均血圧
の関数、すなわち、ωabζab=Regr(ωbr-iζbr-irf-iζrf-i,MBPi)として計
算される。制御は次にステップS580へ進む。
【0084】 ステップS580では、全ての患者に対して正規化された伝達関数の、前駆出
時間回帰式PEP=Regr(Δtab,MBP,HR,性別,年齢,身長,体重)の平均が計算される
。その回帰式は、図16に示されるように、多くの患者の制御された研究におい
て集められた大動脈、上腕、橈骨および指の血圧波形データの解析から得られた
減衰定数から導かれる。この研究では、大動脈圧の測定値は、上腕、橈骨および
指の波形と同時に得られる。大動脈から上腕までの有効減衰係数は、式22eの
変形によって得られる。
【数26】 制御は次にステップS590に進む。ステップS590では、制御は、個人の橈
骨から大動脈の血圧を再現するモデルを構築する中心的な手法へ戻る。
【0085】 図17は、正規化された一般的な逆伝達関数および一般的な大動脈血圧再現モ
デルを特定の患者に適合するように修正するための第2の好ましい手法を示す。
図15に示した手法に関連して説明したように、特定の患者に対して正規化され
た上腕伝達関数を適合させることは、図17に示されるように、本質的に、計算
処理を逆に実行することによって達成される。上記適合処理は、ステップS61
0において開始され、制御はステップS620へ進む。ステップS620では、
特定の患者に関連する情報(たとえば、性別、年齢、身長、体重など)が決定さ
れる。続いて、制御はステップS630に進み、血圧カフが完全に膨張させられ
た状態で、ECGおよび上腕波形(eecg(t),Pa(t),Pb(t))が同時に測定される。制御
は続いてステップS640に進む。ステップS640では、カフ圧が最低血圧よ
りも低い状態で、ECG、上腕、橈骨および指の脈波波形の同時測定が行われ(eec g (t),Pb(t),Pr(t),Pf(f))、ステップS650へ進む。ステップS650では、
変数eecg(t),Pb(t),Pr(t),Pf(f)にデータを提供するために、平均信号レベルが
取り除かれ、且つ、平均大動脈血圧(MBP)および心拍数(HR)が決定される。そし
て、制御はステップS660へ進む。
【0086】 ステップS660では、血圧カフが膨張させられた状態でECGから上腕までの
伝播時間Δtecg-bが測定され、前駆出時間(PEP=Regr(Δtab、MBP、HR、性別、年
齢、身長、体重)が計算され、大動脈から上腕への伝播時間Δtab=Δtecg-b-PEP
が計算される。前述のように、脈波伝播時間Δtab,Δtbr,Δtrfおよび伝達関数Hrf (f)およびHbr(f)は、ECGと、上腕、橈骨および指の脈波波形から得られる。制
御は次にステップS670に進み、上腕から橈骨への伝播時間Δtbrおよび橈骨
から指への伝播時間Δtrfが、最低血圧より低いカフ圧において測定される。制
御は次にステップS680に進む。ステップS680では、変数Pb(t-Δtab),Pr (t-Δtar),Pf(f-Δtaf)に対してデータを供給することにより、橈骨および指の
波形が上腕波形と同時に生じるように移動させられる。そのデータを使って、ス
テップS690では、橈骨から上腕への伝達関数Hrb(f)=Pb(f)/Pr(f)、および指
から橈骨への伝達関数Hfr(f)=Pr(f)/Pf(f)が計算される。制御は次にステップS
700に進み、伝達関数Hrb(f)およびHfr(f)が一定の直流レベルを持つように変
更させられる。制御は次にステップS710に進む。
【0087】 ステップS710では、共鳴周波数および上腕から橈骨および橈骨から指まで
の区間の減衰係数fbr,frfbrrfが測定され、制御はステップS720へ進
む。Hrf(f)およびHbr(f)および大動脈から上腕までの脈波伝播時間から決定され
る減衰定数は、回帰方程式26を使って、大動脈から上腕までの減衰定数を推定
するのに使用される。ステップS720では、大動脈から上腕までの固有振動数
fab=1/(8πΔtab)が計算され、制御はステップS730へ進む。ステップS73
0では、大動脈から上腕への減衰係数ζab-i=Regr(ωbr-ibr-irf-irf- I ,MBPi)/ωab-iが計算され、制御はステップS740へ進む。ステップS740
では、大動脈から上腕への二次伝達関数モデルSab、上腕から橈骨への二次伝達
関数モデルSbr、橈骨から指への二次伝達関数モデルSrfが構築され、制御はステ
ップS750へ進む。
【0088】 ステップS750では、個人の橈骨から大動脈への伝達関数Hra(f)を得るため
に、個人の橈骨から大動脈への伝達関数Hra-i=Hrf(f)/Sab(f)Sbr(f)Srf(f))およ
び指から橈骨への伝達関数Hrf(f)が構築される。橈骨から大動脈への伝達関数Hr a (f)を構築するために、それぞれの部分の二次モデルが構築され、さらに、式2
2eで定義された式のように、橈骨から指への伝達関数Hrf(f)と組み合わされる
。制御はステップS760に進み、個人の橈骨から大動脈への伝達関数が時間領
域の式pa(t)=f(pr(t))に変換され、制御はステップS770に進む。このように
、橈骨動脈波形から大動脈波形を再現するための橈骨から大動脈へのモデルを作
り出すために、橈骨から大動脈への伝達関数は、時間領域に変換される。ステッ
プS770では、推定された大動脈平均血圧が、橈骨から大動脈への伝達関数の
時間領域の式に加えられ(Pa(t)=pa(t)+MBP)、制御はステップS780へ進む
。ステップS780では、制御は、個人の橈骨から大動脈血圧を再現するモデル
を構築する中心的な手法へ戻る。
【0089】 正規化された一般的な逆伝達関数と一般的な大動脈血圧再現モデルを特定の患
者に適合するように修正するためのこの第2の好ましい手法は、大動脈から上腕
までの減衰定数を推定するための少数の係数が含まれる一つの回帰式を使うだけ
でよいという利点がある。大動脈血圧を構築するモデルを構築するためのその他
の全ての情報は、キャリブレーション時期の患者から得られる。このモデルの欠
点は、大動脈から橈骨への脈波伝播に対して線型モデルを仮定していることであ
る。
【0090】 大動脈から上腕までの区間の伝播経路の減衰を決定する第3の好ましい手法で
は、経験的な伝達関数が上腕または橈骨の脈波波形を使って推定される。その推
定された上腕から橈骨への二次伝達関数は以下の式によって表現される。
【数27】 ここで、
【数28】
【0091】 伝達関数の変数は、副最適化または/および拡張された最小自乗法を使って得
られる。上記最小自乗法は、たとえば、以下を参照。ビリングス・エス・エー(B
illings, S.A.)およびブーン・ダブリュ・エス・エフ(Voon, W.S.F.) (1984) ”
非線型系に対する最小自乗変数の推定” Int. J. Systems Sci., Vol. 15, No.
6, pp. 601-615(参照として組み入れられているものも含む)。この方法では、
推定された伝達関数は以下の形をとる。
【数29】 ここで、e(f)はホワイトノイズである。式の両辺に、右辺の第1項の分母を掛
けると、次の式が得られる。
【数30】 その式を整理すると以下の式になる。
【数31】 単純化のために、Hbr(F)をy、2jπfをxとすると、以下の式になる。
【数32】 さらに単純化すると、
【数33】 ここで、
【数34】
【0092】 (拡張形および/または副最適化)最小自乗法は、次に、出力y、誤差e^およ
び変数θ^1,θ^2,θ^3,θ^4およびθ^5を推定するために使用される。なお、e^,
θ^1,θ^2,θ^3,θ^4,θ^5は、
【数35】 を意味する。 図18に示されるように、本手法は、ステップS810において開始し、制御
はステップS820へ進む。ステップ820では、通常の最小自乗法が用いられ
、式36を用いてθ^1,θ^2,θ^3,θ^4およびθ^5を推定する。制御は次にステ
ップS830へ進む。ステップS830では、θ6、θ7およびθ8が以下の関係
を用いて推定される。
【数36】
【0093】 制御はステップS840へ進み、誤差eが以下の式を使って推定される。
【数37】 次に、制御はステップS850へ進み、出力yが次のようにして推定される。
【数38】 それ故、ステップS850では、通常の最小自乗法が次の式に対して使用され
る。
【数39】
【0094】 制御は次にステップS860に進み、推定されたパラメータが収束しているか
どうかが決定される。推定されたパラメータが収束していない場合には、制御は
ステップS820へ戻り、推定されたパラメータが収束するまでステップS82
0−S860が繰り返される。一方、推定されたパラメータが収束している場合
、制御はステップS870へ進む。
【0095】 ステップS870では、上腕から橈骨および橈骨から指の区間の変数が式29
および30に代入され、それによって大動脈から上腕への変数が決定されること
によって、共鳴周波数ωabおよび減衰係数ζabが決定される。制御は次にS88
0へ進む。脈波伝播経路の全てのパラメータが得られているので、ステップS8
80では、橈骨から大動脈への伝達関数が式22eを使って構築される。制御は
、ステップS890に進み、本手法は終了する。
【0096】 大動脈から上腕までの区間の伝播経路の減衰を決定するこの第3の好ましい手
法は、他の患者から得る事前の知識を必要としない利点がある。この第3の手法
の欠点は、全ての区間の脈波伝播経路を、イナータンスとコンプライアンスと一
つの末端抵抗の線型結合によって表していることにある。
【0097】再現モデルの最適化 : 上腕から大動脈までの区間の脈波伝播経路の減衰を決定するそれぞれのモデル
化手法は、脈波の伝播が線型の工程を経ると仮定している。しかしながら、前述
したように、この仮定は平均血圧の限られた範囲および脈波の伝播が一方向のみ
であるときにのみ正確である。範囲が限られていることの問題を解決する最も単
純な方法は、再現モデルを周期的に再校正することにより最適化することである
。特に、橈骨から大動脈へのモデルは、心臓血管系の状態が大きく変化した場合
には必ず再校正されなければならない。重大な心臓血管系の状態の変化は、平均
血圧、血管運動神経の状態、末梢抵抗の変化によって生じる。
【0098】 平均血圧に基づく再校正の開始は、平均橈骨動脈圧を連続的に監視することに
よって可能となる。この連続的な監視は、事実上全ての患者の監視において利用
できる機能である。再校正を開始するための基準は、患者の制御された研究から
決定される。その基準における閾値は、理想的な大動脈波形の正確性および校正
点からの平均血圧の変化の関数として決定される統計的な誤差に基づいている。
その再校正の閾値は、使用されるモデル、再現過程、使用される装置および信号
に対して固有である。
【0099】 連続的に平均橈骨動脈圧を監視する装置は従来から存在するが、神経系や血液
制御機構によって引き起こされる動脈の血管運動神経の状態の変化を決定するた
めには、心臓血管系の状態の変化を監視する装置も必要である。この心臓血管系
の状態を監視する装置は、心臓から橈骨または指の脈波測定部位までの伝播時間
によって決定される脈波伝播速度を監視する。この測定には、従来から多くの手
法が知られている(たとえば以下を参照。レーン(Lane), ジェームス ディー
(James D.), グリーンスタッド(Greenstadt), リサ(Lisa), シャピロ(Sh
apiro), デビッド(David), およびルビンステイン(Rubinstein), エドゥア
ルド(Eduardo.)”脈波通過時間および血圧:集中的な解析”サイコフィシオロ
ジー(Psychophysiology), 1983, Vol. 20, No. 1, pp. 45-49, また多数の
特許参照、たとえば、アメリカ合衆国特許5,743,856(1998年、4月28日オカ(Ok
a)らに発行)、また、参照としてそこに組み入れられているものも含む))。
そして、モデルの再校正を開始するための閾値の基準は、制御された患者の研究
から経験的に決定され、正確な範囲に特定される。
【0100】 末梢抵抗監視装置は、心臓血管系の変化を示す末梢抵抗の変化を決定する。末
梢抵抗の監視を実行するためには幾つかの設計が実施可能であるが、最も簡単な
機構は、末梢波形の強度を監視することである。末梢抵抗の変化は、通常、平均
血圧の変化を生じさせるだけでなく、その変化に相当する脈波の強度の変化も生
じさせる。しかしながら、圧受容器の反応は、脈波強度や平均血圧におけるこれ
らの変化を補うことができる。
【0101】 より正確な末梢抵抗監視装置は、橈骨および指の圧波形を使って系の全減衰を
連続的に監視する。前述したように、橈骨から指への伝達関数のピーク強度は、
系の全減衰に依存し、その結果、系の全減衰は主に、動脈血管の末梢抵抗に依存
する。それ故、橈骨から指への伝達関数のピーク値、またはより計算的な有効パ
ワースペクトルは、末梢抵抗の変化に対して変化する特性を監視するために使用
される。
【0102】 全ての再校正のための閾値に関して、再校正を開始するために十分な強度の変
化は、理想的な大動脈再現手法および理想的な望ましい正確な範囲を使った制御
された患者の研究から経験的に決定されなければならない。
【0103】 モデルの決定において為される一つの主要な単純化のための仮定は、大きな血
管の抵抗要素が、動脈血管の末梢抵抗に比較すると無視できるほど小さいという
仮定である。しかしながら、この仮定は、末梢抵抗が非常に低い場合には維持で
きない。これは、大きく減衰する患者の伝達関数の強度によって証明され、図3
に示されるように、ゼロに近い周波数における強度が1以下であることから分か
る。末梢抵抗が低いときは、大動脈と橈骨の測定部位との間で重大な抵抗の損失
が生じる。抵抗損失は、伝播する脈波の全ての周波数要素において生じ、橈骨動
脈脈波の強度は全体的に減少する。
【0104】 しかしながら、減衰係数に対する抵抗損失の割合は、それらの存在を補正する
機構を提供する。この補正は、上腕から大動脈、橈骨から上腕、指から橈骨への
伝達関数の減衰係数に基づく乗法的補正定数を作る数学的関係を適用することに
よって、決定される。この適用は、患者の制御された研究により集められたデー
タから得られた多重回帰式を適用した形式をとり得る。
【0105】 多重回帰式およびその係数は、前述の大動脈再現手法と同一の具体化手法を使
った制御された患者の研究から経験的に決定される。減衰係数は、ある特定の患
者に対して使用された特別なモデル構築過程から決定される。その減衰係数は、
補正定数を得るために経験的に決定された補正式とともに用いられる。次に、再
現された大動脈圧波形に、表示されおよび使用される前に、補正定数が乗じられ
、補正された波形が得られる。
【0106】 最終的には、前述した好ましい手法のいずれかによって得られた橈骨から大動
脈へのモデルは、測定された伝達関数およびその測定された伝達関数から推定さ
れた上腕伝達関数の結合である。サンプリング速度の実際上の制限、信号のノイ
ズ、計算による誤差、およびその他の要素は、上腕から大動脈への伝達関数に使
用される測定された変数に複数の誤差を生じさせる。これら複数の誤差は、橈骨
から大動脈へのモデルおよび最終的な大動脈圧の推定値と結合させられるときに
、一つに混合される。それ故、これらの原因から生じる誤差を最小にするために
橈骨から大動脈へのモデルを調整するアダプタが必要となる。
【0107】 誤差を最小にすることは、再現された波形の誤差を評価し、その誤差を小さく
するようにそのモデルを調整することによって行われる。上腕から大動脈までの
区間では誤差の原因が組み合わせられるので、その区間のモデルによって再現さ
れた波形において、誤差は最も顕著になる。
【0108】 上腕から大動脈へのモデルの推定、および橈骨から大動脈へのモデルを作るた
めの、そのモデルと測定された指から橈骨、橈骨から上腕への伝達関数との結合
に続いて、大動脈から上腕へのモデルが構築される。上腕から大動脈への伝達関
数を逆にするか、または、推定された固有振動数ωabおよび減衰係数ζabを使っ
て時間領域での大動脈から上腕へのモデルを構築することによって、大動脈から
上腕へのモデルは構築される。
【0109】 上腕圧波形が測定されている間の一拍またはそれ以上の拍数の間の大動脈波形
を再現するために、橈骨動脈圧波形の信号が橈骨から大動脈へのモデルに通され
る。再現された大動脈波形は、次に、上腕波形を再現するために、推定された大
動脈から上腕へのモデルに入力信号として用いられる。この方法は、推定された
上腕から大動脈へのモデルに何らかの誤差を含ませてしまうことに注意する必要
がある。再現された上腕波形は、次に、再現された誤差の推定値を決定するため
に、測定された上腕波形と比較される。誤差が許容範囲内でない場合、上腕部分
の減衰係数が調整され、処理が繰り返される。これを、残存誤差が許容できるよ
うになるか、または、最小誤差が決定されるまで続ける。
【0110】 図19は、推定された固有振動数および減衰を使って時間領域の大動脈から上
腕へのモデルを構築するための好ましい手法を示している。この手法において、
ステップS900は信号の同時測定であり、たとえば、大動脈血圧脈波の開始を
示すECG信号や、上腕動脈、橈骨動脈、指先など、モデル化された系のそれぞれ
の区間の連結部位における血圧脈波形などを測定する。その測定は、閉塞カフを
使う非侵襲血圧測定の間に行われる。2度のオシロメトリック血圧測定の間に、
一拍またはそれ以上の拍数のECG、上腕、橈骨、指の血圧波形の数値が記録され
、パルス変換器の周波数応答特性に応じて補正され、波形が記憶装置に記録され
る。
【0111】 図21に示されるように、閉塞カフが最高血圧よりも十分に高い最大圧力に膨
張させられた後に、最初の測定が行われる。最大圧力に到達した後、カフ圧はし
ばらくの期間一定レベルに維持される。その期間は、一拍またはそれ以上の完全
な心拍を十分に含み、心拍によって生じた末梢血圧脈波を検出するのに十分とな
る期間である。カフ圧は次に、上腕血圧が測定される間、制御された方法で減少
させられる。カフ圧は、次に、カフの下に存在する動脈血管に対する制限が最小
となる圧力である、最低血圧よりも十分に低い圧力まで低下させられる。そして
、脈波伝播経路の全ての位置において一拍またはそれ以上の拍数を収集するため
に、この低い圧力で再度保持される。一連のカフ血圧測定におけるこの期間の時
期は図21に示されている。
【0112】 図19に示すように、固有振動数および減衰を使った時間領域の大動脈から上
腕までのモデルの構築に対する好ましい手法は、ステップS910へ進み、平均
信号レベルが測定された信号から取り除かれる。制御は次にステップS920へ
進み、脈波間の伝播による遅延時間が取り除かれることによって血圧脈波が揃え
られる。ステップS920の一部として、それぞれの動脈区間に対する脈波伝播
時間(Δt)が決定される。制御は、次にステップ930へ進み、伝播時間が固
有振動数(ω)を計算するために使用される。次に、ステップS940では、監
視していた患者の一般的な上腕から大動脈への伝達関数を決定するために、大動
脈から上腕までの区間の固有振動数が使用される。そして制御はステップS95
0へ進む。
【0113】 ステップS950では、入力として指の圧力波形が使用され、出力として橈骨
動脈の圧力波形が使用されて、指から橈骨への伝達関数が計算される。制御は次
にステップ960へ進み、橈骨動脈圧が入力として使用され、上腕動脈圧が出力
として使用されて、橈骨から上腕への伝達関数が計算される。ステップS950
および960の結果は、ステップS960の最後に記憶される。制御は次にステ
ップS970へ進み、指から橈骨および橈骨から上腕への伝達関数が使用され、
前述した図15または図17に示した手法のいずれかによって、上腕から大動脈
への伝達関数の全減衰が推定される。制御は次にステップS980へ進む。ステ
ップS980では、推定された上腕から大動脈への伝達関数が逆にされて、大動
脈から上腕への伝達関数が推定され、制御はステップS990へ進む。
【0114】 ステップS990では、測定された上腕から橈骨への伝達関数と、推定された
上腕から大動脈への伝達関数とを掛けることにより、橈骨から大動脈への伝達関
数が構築される。制御はステップS1000に進み、時間領域の式gra(t)を得る
ために、Gra(ω)が変換される。ステップS1010では、時間領域の式gab(t)
を得るためにGab(ω)が変換され、制御はステップS1020へ進む。ステップ
S1020では、時間領域の式gra(t)が使用されて、上腕脈波モデルの時間依存
性要素である、線型と仮定されたPb(t)モデルが構築される。制御は次にステッ
プ1040へ進み、大動脈再現モデルpa(t)を構築するために使用された橈骨動
脈を使って、計算により、大動脈波形が再現される。制御は次にステップS10
50へ進む。ステップS1050では、上腕脈波再現モデルpb(t)の入力として
、再現された大動脈圧波形を用いて、計算により上腕圧波形が再現される。手法
は次にステップS1060へ進む。ステップS1060では、再現された大動脈
波形が表示され、制御はステップS1070へ進む。ステップS1070では、
再現された上腕波形が表示される。制御は次にステップS1080へ進む。ステ
ップS1080では、推定された上腕波形が、測定された上腕波形と比較され、
その違いが、たとえば誤差の二乗平均の平方根のような波形の正確性の良度指数
と比較される。比較の結果、波形が正確であるとみなせない場合には、制御はス
テップS1090へ進む。ステップS1090では、ステップS970で使用さ
れた上腕から大動脈への減衰係数が調整され、ステップS980−S1050に
おいてモデルが再度構築される。
【0115】 最適化過程は、良度指数が得られるまで、すなわち、測定された上腕波形と再
現された上腕波形との間の最小誤差が得られるまで続けられる。最適化過程が完
了して、ステップS1080の上腕波形が正確であるとき、橈骨動脈波から大動
脈波形を再現するモデルは使用可能となり、制御はステップS1110へ進む。
ステップS1110は、個人の橈骨から大動脈へのモデルを決定する過程が終了
する。
【0116】 図20は、図19で構築された個人の橈骨から大動脈の血圧を再現するモデル
を使う代表的な手法を示している。この代表的な手法では、ステップS1200
は信号の同時測定であり、たとえば、大動脈血圧脈波の開始を示すECG信号や、
橈骨動脈および指先における血圧脈波波形などを測定する。制御は次にステップ
S1210に進み、平均信号レベルが測定された信号から取り除かれる。制御は
次にステップS1220に進む。ステップS1220では、それぞれの動脈区間
に対する脈波伝播時間Δtが決定される。制御は次にステップS1230へ進む
。ステップS1230では、橈骨動脈圧波形を入力として、指の血圧を出力とし
て用い、橈骨から指への伝達関数が計算される。制御は次にステップS1240
へ進む。ステップS1240では、大動脈波形の再現が計算される。制御は次に
ステップS1250へ進む。ステップS1250では、平均大動脈圧が推定され
る。制御は次にステップS1260へ進む。ステップS1260では、患者の生
理学的状態が評価される。制御は次にステップS1270へ進み、平均大動脈圧
の推定値が再現された大動脈圧波形に加えられて、連続的に測定される橈骨動脈
血圧から連続的に大動脈血圧を再現するためのモデルが完成される。制御は次に
ステップS1280へ進み、警告が表示される。制御はステップS1290へ進
み、再現された大動脈波形が表示される。
【0117】 本発明の好ましい実施例は、患者の健康状態を監視するために医療において広
く用いられている従来の生理学的な監視装置によって得られる情報を使用する。
しかしながら、これらの生理学的な監視装置および情報は、図22に示されるよ
うに、有効な新しい方法で大動脈圧を再現するために、多くの特有の手法および
装置と結びつけられる。本発明で使用される患者監視装置を構成する装置には、
患者の情報を入力する装置28、心電計29、QRS複合体の同定検出器30、脈
波遅延時間計算装置31、心拍数計算装置32、指脈波監視装置33、橈骨(ま
たは尺骨)血圧監視装置34、および上腕血圧監視装置35が含まれる。
【0118】 患者情報入力装置28は、性別、年齢、身長、体重およびその他の情報などの
患者のデータを、手動または自動で入力する機構を備える。本発明に特有の用途
に適合する従来の全ての方法を使用することができ、たとえば、キーボード、タ
ッチパッド、スイッチ、音声認識システムなどを使用することができる。心電計
29は、心臓の電気的な活性の波形を連続的に検出し表示する多くの装置のいず
れも使用することができる。QRS複合体の計算検出器30は、心臓の心室の収縮
の開始時点を決定する。脈波遅延時間計算装置31は、心臓の心室の収縮を基準
とする各血圧脈波の開始時間を決定する。これらの装置は、心電図のR波から各
測定部位に血圧脈波が到達するまでの時間を測定する。これらの時間は記憶され
、患者の脈波伝播の特徴を決定し、波形再現モデルを調整するために後で使用さ
れる。
【0119】 心拍数計算装置32は、逐次得られる心拍の時期と以前の心拍の時期を使って
心拍数を計算する。指脈波監視装置33は、指において血圧波形を連続的に測定
する。上記圧脈波監視装置は、たとえば、膨張カフおよび歪みゲージ、光電子装
置、指の血液容積の変化を連続的に測定する電気インピーダンス測定手法などの
プレチスモグラフの形式をとることができる。指の動脈に挿入される形式の圧力
変換器または流体で満たされた管によって指の動脈に接続される形式の圧力変換
器のような装置も、指における血圧波形の連続的な測定に使用することができる
【0120】 橈骨(または尺骨)血圧監視装置34は、橈骨動脈または橈骨と指血圧の測定
部位との間の別の部位において、連続的に血圧波形を測定する。橈骨血圧監視装
置34は、トノメータ下の動脈における圧力を連続的に監視する偏平なトノメー
タを使用することができる。橈骨動脈に挿入される形式の圧力変換器または流体
で満たされた管によって橈骨動脈に接続される形式の圧力変換器のような装置も
、橈骨動脈における血圧波形の連続的な測定に使用することができる。橈骨血圧
監視装置34は、膨張カフ、光電子装置、橈骨動脈の血液容積の変化を連続的に
測定する電気インピーダンス測定手法などのプレチスモグラフであってもよい。
【0121】 上腕血圧監視装置35は、血圧および上腕血圧波形を、連続的または断続的に
測定する。上腕血圧監視装置35は、まず、最高血圧、平均血圧および最低血圧
を測定する。上腕血圧監視装置35は、上腕動脈に挿入された圧力変換器または
流体で満たされた管により上腕動脈に連結された圧力変換器を用いることができ
る。または、上腕血圧監視装置35は、加圧されるカフと、血圧測定のための多
くの脈波検出技術のうちの一つとを使用するNIBP監視装置であってもよい。また
は、患者の生体内の動脈上の皮膚に対して押圧させられる圧力検出装置、生体内
の前記動脈に電磁気エネルギーを導入することにより、その動脈の容積変化を測
定する電気インピーダンス測定装置または超音波装置のような、血圧脈波を測定
するための分離した装置が組み合わされた装置であってもよい。
【0122】 図示してはいないが、その装置には、前述の生理学的な監視装置29、33、
34、35、および図19に示した手法によって再現された大動脈波形および血
圧値を、制御、処理、記録、表示および伝達するための演算装置および表示器を
備えている。その装置および本発明の手法に使用される演算装置には、コンピュ
ータ、マイクロプロセッサ、離散演算回路などの多くの電子計算機を使用するこ
とができる。記録装置には、電子的または磁気的な記憶装置、記録媒体、紙、そ
の他の情報の記憶に適したものを使用することができる。表示器には、波形や目
で見て判断するための数値情報を表示または印刷する多くの電子装置を使用する
ことができる。
【0123】 上記装置および方法にも、全ての患者監視においては使用できないけれども、
従来から知られ且つ理解されている多くの装置や手法を用いる。たとえば、図2
2に示されるように、本発明は、測定値検定装置36、指血圧波形補正装置37
、橈骨血圧波形補正装置38、および上腕血圧波形補正装置39を用いることが
できる。
【0124】 測定値検定装置36は、前述の監視装置29、33、34、35によって得ら
れる生理学的信号が、得られており、且つ、それらが目的に対して適切な特性で
あるかどうかを判断する。測定値検定装置36は、前述の生理学的監視装置29
、33、34、35のそれぞれの出力を、予め決定されている特徴や信号の種類
毎の特性と比較する。この比較は、テンプレートや信号特徴値の知られている範
囲を用いて行われる。ノイズレベルは決定され、ノイズレベルの限界の最大値と
比較される。
【0125】 指血圧波形補正装置37、橈骨血圧波形補正装置38、上腕血圧波形補正装置
39は、各監視装置29、33、34、35を用いて導かれた波形のスペクトル
分布における歪みや変化を取り除く。上記波形補正装置37、38、39は、前
記監視装置の伝達関数の逆伝達関数を持っているフィルタを使った広く知られた
方法を用いる。その使用されるフィルタは、使用される特定の監視装置(たとえ
ば29、33、34、35)に対して予め決定されている。それらのフィルタは
、患者監視装置の固定記憶装置内に記憶される。
【0126】 たとえば、橈骨血圧監視装置34は、図23に示される二次の減衰系よって厳
密に近似された伝達関数を持っている流体で満たされた管で橈骨動脈に接続され
ている圧力変換器を使うことができる。この応答は、変換器の共鳴周波数に近い
血圧波形の周波数要素を強める。圧力変換器の周波数応答によって生じた歪みを
補正するために用いられるフィルタは、その圧力変換器の伝達関数と逆の伝達関
数を持っている。そのような伝達関数の例が図24に示されている。圧力変換器
によって生じた歪みを補正するために逆フィルタを用いることに加えて、波形補
正装置37、38、39は、それぞれ、不要な高周波数ノイズを除去するための
ローパスフィルタを持っているので、補正された各信号は、同じ全バンド幅を持
っている。
【0127】 本発明において患者監視に使用される一般的でない構成要素は、指−橈骨解析
装置40、橈骨−上腕波形解析装置41、上腕波形解析装置42、脈波伝播情報
記憶装置43、患者特定装置44、大動脈波形モデル適用装置45、大動脈血圧
波形再現装置46、大動脈波形解析装置47、大動脈血圧波形表示器48、平均
血圧補正装置49、大動脈血圧表示器50、上腕波形モデル適用装置51、上腕
血圧波形再現装置52、上腕波形比較装置53、および上腕血圧表示器54であ
る。
【0128】 指−橈骨解析装置40は、パルスオキシメータの波形と橈骨動脈圧波形とから
、指から橈骨動脈への伝達関数を計算する。橈骨−上腕波形解析装置41は、橈
骨および上腕の圧脈波形から、橈骨から上腕への伝達関数を計算する。上腕波形
解析装置42は、膨張カフが完全に膨張させられている時に、大動脈から上腕へ
の脈波伝播時間を決定する。上腕波形解析装置42は、ECGから上腕への遅延時
間から、患者の現在の血圧、心拍数、および形態学に基づく心臓の前駆出時間を
補正する。
【0129】 脈波伝播情報記憶装置43は、電子的、磁気的、または電磁的記憶回路、およ
び予め決定された情報を永久的に記憶する媒体を備えている。本発明で使用され
る情報記憶装置は、電子的、磁気的記憶装置であり、任意の大きさのチップ、デ
ィスク、テープを含むが、特にこれらには限定されない。永久的な情報記憶装置
に記憶される情報には、大動脈波形を再現するために使用される一般化された数
学的式(モデル)、脈波の伝播を患者の特徴(たとえば性別、年齢、身長、体重
)に関連させるための式、波形補正装置37、38、39のフィルタ係数、使用
者に対して表示するための説明を含んでいる。
【0130】 患者特定装置44は、患者を特定するために、患者についての情報、患者に行
われた測定値、上腕、橈骨、指の波形の解析から導かれた情報、脈波伝播の蓄積
された情報を結合するための論理的な規則と式を含んでいる。この情報を使って
、患者特定装置44は、大動脈血圧を再現するために使用される適当なモデル、
および橈骨動脈波形から大動脈波形を再現するためおよび再現された大動脈波形
から上腕波形を推定するための一般化されたモデルの数学式の修正方法を選択す
る。
【0131】 大動脈波形モデル適用装置45は、一般化された橈骨から大動脈への血圧モデ
ルを、監視している特定の患者に適合するように修正する。大動脈血圧再現装置
46は、連続的に大動脈血圧を描出するために、個人の橈骨から大動脈への血圧
再現モデルおよび連続的な橈骨血圧信号を使用する。大動脈波形解析装置47は
、再現された大動脈血圧波形を解析し、各脈波から最高、平均、最低圧力値を抽
出する。その値は医学的適用に対して適当な方法で平均化される。その血圧値は
、予め設定され、または使用者が設定した警報閾値と比較され、大動脈血圧が予
め設定された範囲外となっているかどうかが決定される。
【0132】 大動脈血圧波形表示器48は、患者監視装置の仕様および処理にとって適切な
方法で、再現された大動脈血圧波形を患者監視情報表示器へ伝送する。平均血圧
補正装置49は、大動脈から橈骨までの圧力低下を補正するために、測定された
橈骨血圧を調整する。大動脈血圧表示器50は、患者監視装置の仕様および処理
にとって適切な方法で、血圧レベルを図示されていない患者監視情報表示器へ伝
送する。この伝送される情報には、大動脈血圧が許容された範囲外となるほど変
化したときの警報音または表示も含まれる。上腕波形モデル適用装置51は、図
15、図17およびそれに対応する文章において記述した適用手法を用いて、一
般化された大動脈から上腕への血圧モデルを修正して、監視される特定の患者に
適合させる。
【0133】 上腕波形血圧再現装置52は、個人に対して修正された大動脈から上腕血圧を
再現するモデルおよび連続的に再現された大動脈血圧信号を用いて、連続的に上
腕血圧を描出して、それを上腕波形比較装置53へ供給する。上腕波形比較装置
53は、再現された上腕血圧と上腕血圧監視装置35により測定された実際の上
腕血圧とを比較する。再現された大動脈血圧の推定誤差は、この比較過程により
上腕波形比較装置53により得られる。上腕血圧波形表示器54および上腕血圧
表示器57は、患者監視装置の仕様および処理にとって適切な方法で、再現され
た大動脈血圧の誤差、および実際の上腕血圧波形と再現された上腕血圧波形を患
者監視情報表示器へ伝送する。
【0134】 装置制御装置55は、装置28−54を機能的にそれぞれ結合させるものであ
り、また補助装置56を含み、上述したように、大動脈血圧の測定値を再現する
ために互いに協働して機能させるために、装置28−54を制御する。
【0135】 大動脈血圧を再現する好ましい手法は、図25に示されている。その好ましい
手法は、患者監視に関連するステップを含まない。その手法は、患者監視過程に
対して連続的または平行な処理として実行される。
【0136】 処理はステップS1100において開始した後、制御はステップS1110に
進み、装置および処理が初期化される。制御は次にステップS1120へ進む。
ステップS1120では、説明が示され、患者に関する情報および使用される測
定装置に関する情報が要求される。患者情報には、たとえば、患者の性別、年齢
、身長および体重が含まれる。測定装置に関する情報には、たとえば、上腕血圧
測定の種類(NIBP、直接圧力変換など)、カフサイズ、NIBPであるときは管の長
さ、カフ管または上腕圧力変換器の流体で満たされたカテーテルの長さ、橈骨動
脈の測定の種類(トノメータ、直接圧力変換など)、直接測定であるときは橈骨
圧力変換器の流体で満たされたカテーテルの長さ、指の圧力測定の種類(光プレ
チスモグラフ、カフプレチスモグラフ、直接圧力変換など)、およびカフまたは
圧力変換器の流体で満たされたカテーテルの長さなどを含む。
【0137】 必要な情報が入力されると、制御はステップS1130へ進み、大動脈波形を
再現するために必要な情報およびデータの利用可能性が決定される。制御は次に
ステップS1140へ進む。ステップS1140では、データの利用可能性の状
態が確認される。データが利用可能でなければ、制御はステップS1150へ進
み、不足であることが使用者に示され、制御はステップS1130へ戻る。
【0138】 一方、大動脈波形を再現するために必要な全ての情報およびデータが利用可能
であれば、制御はステップS1160へ進む。ステップS1160では、患者監
視装置の全体が大動脈再現モデルの処理におけるキャリブレーション処理を開始
する状態にあるかどうかが決定される。患者監視装置のキャリブレーションに対
する準備ができていない場合には、制御はステップS1130へ戻る。大動脈再
現方法を校正する準備ができている場合には、制御はステップS1170へ進む
【0139】 ステップS1170では、幾つかの知られているオシロメトリック方式の血圧
測定方法のどれかによって、上腕血圧が測定される。オシロメトリック方式の血
圧測定が行われる間に、ECG、上腕、橈骨および指の血圧波形が一拍またはそれ
以上の拍数の間、同時に採取され、それらが記録、補正、記憶される。
【0140】 図21に示されるように、最初の採取時期は、閉塞カフが最高血圧よりも十分
に高い最大圧力まで膨張させられた後である。最大圧力に到達した後、カフ圧は
一定の期間一定のレベルに維持される。上記期間は、一拍またはそれ以上の完全
な心拍を十分に含み、一拍またはそれ以上の心拍によって生じた血圧脈波を検出
するのに十分となる期間である。カフ圧は、次に、従来の非侵襲血圧測定方法を
用いて上腕血圧が測定される間、制御された方法で減少させられる。血圧測定の
完了に続いて、カフ圧が、カフ下の動脈血管への制限が最小となる最低血圧より
も十分に低い圧力まで低下させられる。そして、一拍またはそれ以上の完全な心
拍を十分に含み、脈波伝播経路の全ての位置において一拍またはそれ以上の心拍
によって生じた血圧脈波を検出するのに十分な期間、カフ圧はこの低い圧力で再
度一定に維持される。一連のカフ血圧測定におけるこの期間の時期は図21に示
されている。
【0141】 ステップS1170におけるNIBPの測定および波形データの収集に続いて、制
御はステップS1180へ進む。ステップS1180では、収集された波形が解
析され、橈骨から指への伝達関数および橈骨から上腕への伝達関数が計算される
。制御は次にステップS1190へ進む。
【0142】 ステップS1190では、ステップS1170で収集された波形データが修正
され、患者を特定するために、波形情報が患者情報および脈波伝播情報と結びつ
けられる。次に、橈骨から大動脈および大動脈から上腕への再現モデルが、監視
されている患者に適合するように調整される。
【0143】 ステップS1190が完了すると、ステップS1200では、ステップS11
70においてキャリブレーションの間に集められたデータの一部を使って、大動
脈波形が再現される。再現された大動脈波形は、次に、上腕血圧波形を再現する
ために上腕波形再現モデルに通される。次に、キャリブレーション期間中に測定
された上腕血圧と、再現された大動脈波形から再現された上腕血圧との間の誤差
が計算される。制御は次にステップS1210へ進む。
【0144】 ステップS1210では、患者の心拍数および測定された血圧が表示される。
測定された上腕血圧波形は、再現された上腕波形および再現された波形の推定誤
差ととともに表示される。また、再現された大動脈圧波形も表示される。そして
制御は次にステップS1220へ進む。
【0145】 ステップS1220では、再現された上腕波形の誤差が、良度指数と比較され
る。上記誤差が大きすぎる場合には、制御はステップS1230へ進み、使用者
に対してメッセージが表示される。使用者が、波形を再校正しようと思う場合に
は、ステップS1320において信号を送信するためのスイッチを押すことによ
って、再校正の指示を与える。上腕波形の誤差が性能係数よりも小さい場合、一
連のキャリブレーション処理は完了し、処理は大動脈波形の再現を開始するステ
ップS1240へ進む。
【0146】 大動脈血圧再現処理は、患者監視装置のデータ採取装置により一組の橈骨動脈
圧データが得られるまで待機させらる。上記データが得られたかどうかの判断は
、ステップS1240において、新しいデータを周期的に点検する処理によって
行われる。一組の新しいデータが利用可能となると、処理はステップS1250
へ進み、大動脈血圧再現処理のために必要な全てのデータが利用可能であるかが
点検される。いずれかのデータが不足している場合には、ステップS1260に
おいて、警報音またはメッセージが表示されることにより使用者に注意が促され
る。使用者に注意が促された後、制御はステップS1130へ戻り、データが再
度利用可能となるまで待機させられる。すべてのデータが利用可能となると、ス
テップS1140−S1210のキャリブレーション処理が繰り返される。
【0147】 ステップS1250において、大動脈波形再現のために必要な全てのデータが
利用可能であれば、ステップS1270において、大動脈血圧が再現され、その
再現された波形が以前に再現された血圧データの最後に加えられ、且つ表示され
る。そして制御は次にステップS1280へ進み、再現された大動脈圧のデータ
が、新しい一組のデータの間に今の心臓の一周期が完了したかどうかが決定され
る。次の血圧脈波の開始が見つからない場合には、制御はステップS1240へ
戻り、次の一組のデータが得られるまで待機させられる。
【0148】 次の脈波の開始が検出された場合、制御はステップS1290へ進み、最新の
完全な大動脈血圧脈波が解析され、その新しい脈波の血圧値が計算される。ステ
ップS1290では、その新しい血圧値が、特定の患者監視への適用に整合する
平均値やその他の統計値を得るためにそれ以前の脈波のパラメータと結合させら
れる。
【0149】 制御は次にステップS1300へ進み、大動脈血圧値が予め設定された警告範
囲を超えているかが判断される。その値が許容範囲を超えている場合には、制御
はステップS1310へ進んで、警告が表示されてから、ステップS1320へ
進む。他方の場合には、制御は直接ステップS1320へ進む。ステップS13
20では、さらに校正が要求されているかどうかが判断される。再校正の条件に
は、予め決定された再校正の周期、使用者が開始させた校正、血圧の過剰な変化
、信号の劣化が含まれる。校正が必要とされる場合には、制御はステップS11
30へ戻る。
【0150】 校正が必要ない場合には、制御はステップ1330へ進み、使用者が大動脈血
圧処理を停止させる要求をしたかどうかが判断される。停止指令が出されていな
い場合には、制御はステップS1240へ戻り、次の処理のための一組のデータ
が得られるまで待機する。停止指令が検出された場合には、制御はステップS1
340へ進み、大動脈血圧再現処理は終了させられる。
【0151】 本発明を、上述の実施例に基づいて略述したが、多くの代替手段、修正、変形
が当業者には可能である。従って、前述の本発明の好ましい実施例は、例示であ
り、その実施例に制限されない。次に定義されるクレームで定義される本発明の
趣旨および目的を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 心臓の収縮によって作り出される血圧を示す図である。
【図2】 10人の患者の集団から得た平均伝達関数の代表的な図を示す。
【図3】 図2に示した平均伝達関数を得るために用いた10人の患者のそれぞれの伝達
関数を示す。
【図4】 血管と同等の特性をもつものが結合された電子回路を示す図である。
【図5】 上腕の血管を締め付けるために用いられたる血圧カフを表すRC閉回路を含む生
体を模した電子回路を示す図である。
【図6】 血圧を伴った腕の心臓血管系の伝達関数モデルを示す図である。
【図7】 高い減衰に対する大動脈から指への伝達関数の強度を示す図である。
【図8】 低い減衰を有する大動脈から指への伝達関数の強度を示す図である。
【図9】 低い減衰の場合(実線)の橈骨から指への伝達関数の強度と、橈骨から指まで
の動脈の二次伝達関数を示す図である。
【図10】 低い減衰の場合(実線)の上腕から橈骨への伝達関数の強度と、同じ上腕から
橈骨までの動脈の二次伝達関数を示す図である。
【図11】 低い減衰の場合(実線)の大動脈から上腕への伝達関数の強度と、同じ大動脈
から上腕までの動脈の二次伝達関数を示す図である。
【図12】 低い減衰の場合にカフが膨張させられたときの大動脈から上腕への伝達関数の
強度を示す図である。
【図13】 低い減衰の場合に対する橈骨から大動脈への伝達関数を示す図である。
【図14】 正規化された一般的な逆伝達関数と一般的な大動脈血圧再現モデルを開発する
ための第1の好ましい手法を示す図である。
【図15】 正規化された一般的な逆伝達関数と一般的な大動脈血圧再現モデルを特定の患
者に適合させるための第1の好ましい手法を示す図である。
【図16】 正規化された一般的な逆伝達関数と一般的な大動脈血圧再現モデルを開発する
ための二番目の好ましい手法を示す図である。
【図17】 正規化された一般的な逆伝達関数と一般的な大動脈血圧再現モデルを特定の患
者に適合させるための二番目の好ましい手法を示す図である。
【図18】 出力と、誤差と、関連するパラメータを推定するために使われる好ましい最小
自乗法を示す図である。
【図19】 個人の橈骨から大動脈への血圧再現モデルを構築する過程を示す図である。
【図20】 個人の橈骨から大動脈への血圧再現モデルを用いる過程を示す図である。
【図21】 測定値Δtabと上腕波形の測定に使用するカフ圧の時間変化を示す図である。
【図22】 大動脈波形再現装置のブロック図である。
【図23】 流体で満たされたカテーテルによって動脈に連結された圧力変換器の周波数応
答を示す図である。
【図24】 圧力変換器と流体で満たされたカテーテルによって測定された波形を修正する
ために用いられるフィルターの周波数応答を示す図である。
【図25】 本発明の大動脈血圧再現手法の全体的な過程を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フランクリン・ティファニー・ドッジ アメリカ合衆国 テキサス州 78216 サ ン・アントニオ リッジ・ブラフ 302 (72)発明者 シャオ・チャオ アメリカ合衆国 ワシントン州 98034 カークランド #4 NE130レーン 10009 Fターム(参考) 4C017 AA08 AA09 AA19 AB01 AB02 AB03 AC01 AC26 AD01 BC07 BC11 BC14

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者の大動脈血圧波形を再現する方法であって、 脈波が前記患者の大動脈起始部から生じるときに、ECGを使って各血圧脈波の
    開始の参照時間を測定し、 血圧が一定の低いレベルに保持されているときに、血圧波形を得るために、プ
    レチスモグラフを使って上腕血圧波形を測定し、 トノメータまたは動脈内の血圧センサを使って、連続的に橈骨または尺骨血圧
    波形を測定し、 少なくとも一つのパルスオキシメータを使って、連続的に前記患者の指の容積
    血圧波形を測定し、 大動脈波形再現モデルに心臓血管系の脈波伝播の解析モデルを組み合わせた数
    学モデルを使って大動脈血圧波形を再現し、 動的な、患者に固有の大動脈波形を再現するために、前記数学モデルを、繰り
    返し、前記患者、および前記ECG、前記プレチスモグラフおよび前記少なくとも
    一つのパルスオキシメータの測定に基づく前記患者の生理学的状態に適合させる
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法において、前記プレチスモグラフはNIBP監視装置
    の閉塞用のカフである。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法において、経験的な大動脈波形再現モデルは、多
    くの患者の測定値から得られるものである。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法において、前記経験的な大動脈波形再現モデルを
    正規化し、患者の波形伝播特徴値およびその他の情報を使うことによって大動脈
    血圧波形を再現する方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の方法において、前記大動脈血圧波形の再現に、前記経
    験的な大動脈波形再現モデルの正規化に続いて、正規化された複数の経験的なモ
    デルを組み合わせて一つの集団の平均正規化モデルとすることを含む方法。
  6. 【請求項6】 請求項4の方法において、正規化は、人の血管系の数学的記述お
    よび個々の患者の変化、非均一性、心臓血管系の非線型性の原因となる測定値を
    使う方法である。
  7. 【請求項7】 請求項1の方法において、前記患者の血管系の第1の部位におけ
    る波形を再現するための、動的、かつ患者固有の再構築された大動脈波形モデル
    を使い、該再現された波形と第1の部位で測定された波形とを比較することによ
    り、動的、患者固有の再構築された大動脈波形モデルを検証することを含む方法
  8. 【請求項8】 第2の部位での血圧測定値を使って第1の部位において血圧を推
    定する患者監視装置であって、 前記患者監視装置の演算を制御する装置制御機構と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、血圧脈波の伝播についてのデータを蓄え
    る第1のデータ記憶装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、使用者が患者および測定装置についての
    情報を与える第1の伝達装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、第1の血圧測定値を得るために前記第2
    部位において連続的に血圧を測定する第1の血圧脈波測定装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1のデータ記憶装置に記憶された
    データを使い、前記第1の部位における血圧を推定するために、前記第1の血圧
    測定値を使って第1の数学的関係を構築する第1の計算装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1の血圧測定値から平均圧力を除
    去することによって、第2の血圧測定値を得る第1の血圧測定値修正装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1の部位における推定された血圧
    と前記第2の血圧測定値とを比較する第1の血圧測定値比較装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1の血圧測定装置、第1の計算装
    置、第1の血圧測定値修正装置、および第1の血圧測定値比較装置の結果を、使
    用者または第2のデータ記憶装置へ伝える第2の伝達装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、血圧脈波の開始を検出する収縮期検出装
    置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、第1の血圧測定値から削除された平均圧
    を、前記第1の部位において推定された血圧と再結合させるために保持する第3
    のデータ記憶装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、心臓と前記第2の部位との間の血管系の
    経路における血流を一時的に制限する動脈閉塞装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記動脈閉塞装置の装着部位またはそれ
    に近い部位における第3の血圧測定値またはそれに代わる値を測定する第2の血
    圧脈波測定装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、血圧脈波の伝播経路の終端またはそれに
    近い第3の部位における第4の血圧測定値またはそれに代わる値を測定する第3
    の血圧脈波測定装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第3の血圧脈波測定装置の周波数応
    答特性によって生じる測定中の変動を取り除くことにより、前記第4の血圧測定
    値を修正する第2の血圧測定値修正装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、心臓の拍動によって生じた血圧脈波が前
    記心臓から前記第1、第3および第4の血圧測定部位へ伝わるのに必要な時間、
    および血圧脈波が前記第1、第3および第4の脈波測定部位間を伝わるのに必要
    な時間を測定する脈波伝播時間決定装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1のデータ記憶装置、前記第1の
    血圧測定値比較装置、前記収縮期検出装置、前記第1、第2、第3のデータ記憶
    装置、前記動脈閉塞装置、前記第1の血圧測定値修正装置、前記第1および第2
    の血圧測定装置、および前記脈波伝播時間決定装置のいずれかからの情報を使っ
    い、前記血圧測定装置により測定された血圧と前記第1の部位における血圧との
    間の計算的な関係を構築する第2の計算装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1の部位における血圧の推定値を
    用いて、前記第2または第3の部位における第2の推定血圧値を決定する第3の
    計算装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第3の部位において測定された血圧
    から前記第3の部位における血圧を連続的に推定する第4の計算装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記第1の数学的関係が正確であるかど
    うかを示す測定値を得るために、連続的に、前記第3の部位において測定された
    血圧と、前記第3の部位において推定された血圧および前記第1の部位と前記第
    3の部位との間の伝播時間とを比較する第2の血圧測定値比較装置と、 機能的に前記装置制御機構と結合し、前記装置が推定する前記第1の部位にお
    ける血圧の正確性を向上させるために、前記第1の数学的関係を調整する最適化
    装置と、を含む。
  9. 【請求項9】 請求項8の装置において、 機能的に前記装置制御機構および前記第1の血圧測定装置と結合し、前記第1
    の血圧測定装置の周波数応答特性によって生じる第1の血圧測定値に含まれる変
    動を取り除くことにより、前記第1の血圧測定値を修正する第2の血圧測定値修
    正装置と、 機能的に前記装置制御機構および前記第3の血圧測定装置と結合し、前記第2
    の血圧測定装置の周波数応答特性により生じる前記第3の血圧測定値に含まれる
    変動を取り除くことにより、前記第3の血圧測定値を修正する第3の血圧測定値
    修正装置とをさらに含む。
  10. 【請求項10】 請求項8の装置において、前記収縮期検出装置は、前記心臓の
    電気的活動を測定する装置、および得られた脈波開始時間と前記心臓の大動脈弁
    の解放時間との間の期間に関する心拍数、血圧、患者特徴値の公知の経験的な関
    係を使って、脈波の開始時間を決定する。
  11. 【請求項11】 請求項8の患者監視装置において、前記収縮期検出装置は、前
    記心臓の電気的活動および前記心臓の弁が閉じるときに生じる音を測定する装置
    、および脈波の開始時間と前記心臓の音との間の時間に基づいて前記心臓の大動
    脈弁の解放を決定する装置を使って、得られた脈波の開始時間を決定する。
  12. 【請求項12】 請求項8の装置において、前記第1、第2および第3の血圧測
    定装置のいずれかが連続的な血圧測定装置であって、 動脈に直接的に挿入される圧力変換器、 流体で満たされた管またはカテーテルにより動脈の内部に接続された圧力変換
    器、 および、生体内の動脈の圧力を間接的に測定するトノメータ、 のいずれか一つから成る。
  13. 【請求項13】 請求項8の装置において、前記第1の血圧脈波測定装置は、 前記第1の血圧測定値に含まれる血圧情報の周波数よりも低い周波数を遮断す
    るハイパスフィルタ、または、前記第1の血圧測定装置により測定された血圧値
    から経験的に導かれる式を使って、前記第1の血圧脈波測定値を平均血圧として
    計算する装置である。
  14. 【請求項14】 請求項8の装置において、前記動脈閉塞装置および前記第2の
    血圧脈波測定装置が結合された装置は、 前記患者の肢の周囲に巻回される空気が充填されるカフ、カフ圧測定装置、カ
    フ脈波測定装置、および監視制御装置からなる非侵襲自動血圧監視装置、 または、加圧され、流体で満たされた閉塞用カフ、圧力制御装置、および、前
    記患者の生体内の動脈上の皮膚に対して押圧させられる圧力検出装置、生体内の
    前記動脈に電磁気エネルギーを導入することにより、その動脈の容積変化を測定
    する電気インピーダンス測定装置または超音波装置のような、血圧脈波を測定す
    るための分離した装置が組み合わされた装置 のいずれかからなる。
  15. 【請求項15】 請求項8の装置において、前記第3の血圧脈波測定装置は、直
    接または間接的に、血圧脈波の圧力に比例する測定値を持つ血圧波形の形を測定
    する装置である。
  16. 【請求項16】 請求項8の装置において、前記第3の血圧脈波測定装置は、直
    接または間接的に血圧波形の形を測定する装置であって、該第3の血圧脈波測定
    装置は、 血圧脈波によって生じる指の動脈の容積変化を連続的に測定するパルスオキシ
    メータ、 指の血圧変化を連続的に監視する指カフ血圧監視装置、 または、膨張させられるカフまたは電気的インピーダンスおよびひずみ計を使
    って、血圧脈波によって生じる指動脈の容積変化を連続的に測定する指プレチス
    モグラフの一つ、 を含む装置である。
  17. 【請求項17】 請求項8の装置において、前記第1の計算装置は、 前記第2の部位において前記閉塞用カフが最高血圧以上の圧力まで膨張させら
    れたときの大動脈から上腕までの脈波伝播時間から、脈波伝播経路の大動脈から
    上腕までの圧力区間の固有振動数を計算する第1の構成装置と、 測定された橈骨と指の脈波波形、および指から橈骨までの区間の脈波伝播経路
    を記述する数学的関係から、橈骨から指までの脈波伝播の特徴値を決定する第2
    の構成装置と、 測定された上腕と橈骨の脈波波形、および橈骨から上腕までの区間の脈波伝播
    経路を記述する数学的関係から、上腕から橈骨までの脈波伝播の特徴値を決定す
    る第3の構成装置と、 前記大動脈から上腕までの固有振動数、および前記指から橈骨および橈骨から
    上腕までの区間の脈波伝播の特徴値から、上腕から大動脈までの区間の脈波伝播
    経路の減衰係数を推定する第4の構成装置と、 前記大動脈から上腕までの区間の固有振動数および前記大動脈から上腕までの
    区間の推定された減衰係数を使って、上腕から大動脈までの区間の伝播経路Sの
    数学的関係を構築する第5の構成装置と、 橈骨から大動脈までの脈波伝播の関係を作るために、前記上腕から大動脈まで
    の数学的関係および前記橈骨から上腕までの数学的関係を組み合わせる第6の構
    成装置と、 前記大動脈から上腕までの区間の固有振動数および推定された大動脈から上腕
    までの減衰係数を使って、大動脈から上腕までの区間の伝播経路の数学的関係を
    構築する第7の構成装置と、 前記橈骨から大動脈への脈波伝播の関係を、橈骨圧脈波波形の測定値から大動
    脈の圧脈波波形を推定する時間領域の数学的関係に変換する第8の構成装置と、 前記大動脈から上腕までの脈波伝播の関係を、推定された大動脈圧波形から上
    腕圧を推定する時間領域の数学的関係に変換する第9の構成装置と を含む。
  18. 【請求項18】 請求項17の装置において、前記第2の計算装置は、 前記橈骨から大動脈への脈波伝播の関係を使い、前記第1の血圧測定装置によ
    って測定された少なくとも一つの圧力測定値から大動脈圧波形を推定する第10
    の構成装置と、 前記脈波伝播経路の個々の区間の減衰係数と、前記大動脈から前記第1の血圧
    測定部位までの平均圧力低下とを関連づける数学的関係を使って、記憶された前
    記第1の血圧測定値の平均圧を修正する第11の構成装置と、 前記第11の構成回路により得られた前記修正された平均圧を、一連の推定さ
    れた大動脈圧に加える計算機と、 前記推定された大動脈圧を前記推定された収縮期に同期させる同期装置と、 前記推定された大動脈圧を視覚による評価に適した態様で表示する第1の表示
    装置と、 最高血圧、平均血圧、最低血圧および収縮期の間の圧力の変化速度を含む前記
    推定された大動脈血圧変数を決定し、表示する第12の構成装置と を含む。
  19. 【請求項19】 請求項18の装置において、前記第3の計算装置は、 前記大動脈から上腕への関係を使って、大動脈圧波形の推定値から得られた上
    腕波形と時間において対応する前記上腕血圧波形の推定値を計算する第13の構
    成装置と、 前記推定された上腕波形の最小値と前記測定された上腕波形の最小値とが同期
    するように、前記推定された上腕波形と前記測定された上腕波形との相対的時間
    差を調整する第14の構成装置と、 前記推定された上腕波形および測定された上腕波形を、視覚による評価のため
    に表示し且つ記憶する第2の表示装置と を含む。
  20. 【請求項20】 請求項19の装置において、前記第4の計算装置は、 測定された橈骨波形および前記橈骨から指への伝播の関係を使って、指血圧波
    形の推定値を連続的に計算する第15の構成装置と、 推定された指血圧波形の最小値と測定された指血圧波形の最小値とが同期する
    ように、測定された指の血圧波形に対する推定された指の血圧波形の相対的な時
    間差を調整する第16の構成装置と を含む。
  21. 【請求項21】 請求項20の装置において、前記第1の血圧測定値比較装置は
    、 推定された大動脈血圧の誤差の最悪の場合の推定値として、推定された大動脈
    血圧の誤差を得るために、前記大動脈から上腕への関係を使って、前記大動脈血
    圧波形の推定値から得られる上腕波形と時間において対応する上腕血圧波形の推
    定値を計算する第17の構成装置と、 波形の忠実度の尺度として二乗根誤差を得るために、測定された上腕波形と推
    定された上腕波形との差の二乗平均平方根を計算する第18の構成装置と、 視覚による評価のために、前記推定された大動脈血圧誤差および二乗平均平方
    根誤差を表示する第3の表示装置と、 前記推定された大動脈血圧誤差および二乗平均平方根誤差を、前記第1、第2
    または第3のデータ記憶装置に記憶されている予め決定されている限界値と比較
    する第19の構成装置と、 前記第19の構成装置による比較に基づいて、前記使用者に、前記推定された
    大動脈圧の正確性が予め決定されている限界値を超えていることを知らせる第1
    の指示装置と、 前記橈骨から大動脈への血圧再現装置の再校正を開始する第1の再校正開始装
    置と を含む。
  22. 【請求項22】 請求項21の装置において、前記第2の血圧測定値比較装置は
    、 前記患者の心臓血管系の状態の第1指標として、測定された指の血圧脈波波形
    の強度と、推定された指の血圧脈波波形の強度との差を計算する第20の構成装
    置と、 前記患者の心臓血管系の状態の第2指標として、測定された指の血圧脈波波形
    と推定された指の血圧脈波波形との間の差の二乗平均平方根を計算する第21の
    構成装置と、 前記大動脈血圧再現装置の校正時期に決定された、前記指血圧脈波波形強度の
    平均差と、前記差の二乗平均平方根を記憶する第22の構成装置と、 最新の指血圧脈波波形強度の平均差および/または最新の校正時から記憶され
    ている値に対する差の二乗平均平方根を、前記第1、第2および第3のデータ記
    憶装置の少なくとも一つに記憶されている一組の限界値と比較する第23の構成
    装置と、 前記第23の構成装置による比較に基づいて、前記使用者に、推定された大動
    脈圧の正確性が予め決定されている限界値を超えていることを知らせる第2の指
    示装置と、 前記橈骨から大動脈への血圧再現装置の再校正を開始する第2の再校正開始装
    置と を含む。
  23. 【請求項23】 請求項22の装置において、前記最適化装置は、 前記推定された上腕圧波形と測定された上腕波形との間の前記平均強度差およ
    び差の二乗平均平方根を、前記第1、第2または第3のデータ記憶装置の少なく
    とも一つに記憶され予め決定されている正確性の標準値と比較する第24の構成
    装置と、 前記上腕波形と大動脈波形との間の前記平均強度差または差の二乗平均平方根
    が、前記正確性の標準値に適合しない場合に、前記上腕から大動脈への数学的関
    係を調整する第25の構成装置と、 前記橈骨から大動脈および大動脈から上腕への数学的関係を再構築し、前記大
    動脈血圧および上腕血圧波形を再計算する第26の構成装置と、 前記上腕波形と大動脈波形との間の前記平均強度さおよび差の二乗平均平方根
    が前記予め決定された正確性の標準値に適合するか、または、最小誤差が得られ
    るまで、前記第24の構成装置、第25の構成装置および第26の構成装置を制
    御する制御装置と、 前記使用者に、前記推定された大動脈圧の正確性が前記予め決定されている限
    界値を超えていることを知らせる第3の指示装置と を含む。
  24. 【請求項24】 特定の患者に適合させられ、大動脈圧を推定する数学的関係を
    構築する方法であって、 3つの二次伝達関数がそれぞれ血圧脈波の伝播経路の一部を表しており、且つ
    、前記患者の橈骨および指の血圧脈波波形の測定値に対する多くの解析によって
    その患者に対して決定されたパラメータをそれぞれ含む二次伝達関数によって、
    前記患者の橈骨および指の血圧波形の測定値から計算された橈骨から指への伝達
    関数を割ることによって得られる橈骨から大動脈への伝達関数を逆変換して得ら
    れる時間領域の式を適用する方法。
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