JP2003528583A - ヘパトーム誘導増殖因子様タンパク質、これらをコードするポリヌクレオチド、および使用方法。 - Google Patents

ヘパトーム誘導増殖因子様タンパク質、これらをコードするポリヌクレオチド、および使用方法。

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JP2003528583A JP2001528581A JP2001528581A JP2003528583A JP 2003528583 A JP2003528583 A JP 2003528583A JP 2001528581 A JP2001528581 A JP 2001528581A JP 2001528581 A JP2001528581 A JP 2001528581A JP 2003528583 A JP2003528583 A JP 2003528583A
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protein
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キャサリン バーゲス,
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ウィリアム ラロッシェル,
ステイシー ミンスコフ,
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キュラジェン コーポレイション
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規の単離されたポリヌクレオチドであるHDGFX、ならびにHDGFXをコードするポリヌクレオチドおよびHDGFXに免疫特異的に結合する抗体、あるいはこのHDGFXポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは抗体の任意の誘導体、改変体、変異体またはフラグメントを提供する。本発明はさらに、広範な病理学的状態の検出および処置、ならびに他の用途に、HDGFXポリペプチド、ポリヌクレオチド、および抗体を使用する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、一般に、新規な核酸およびポリペプチド、そしてより詳細には、増
殖因子に関連するポリペプチドをコードする新規核酸に関する。
【0002】 (発明の背景) ヘパトーム由来増殖因子(HDGF)およびHDGF関連タンパク質(HRP
)は、N末端でよく保存されたアミノ酸配列を有する遺伝子ファミリーに属する
。ヘパトーム由来増殖因子HDGFは、胎児大動脈において高度に発現されるこ
の分泌ヘパリン結合増殖因子の新しいファミリーにおいて同定された最初のメン
バーであった。他のヘパリン結合タンパク質と同様に、HDGFは、線維芽細胞
のマイトジェン活性を有する酸性ポリペプチドである。
【0003】 血管増殖におけるHDGFの生物学的役割は、未知である。しかし、HDGF
は、ヒトアテローム硬化症性頸動脈における平滑筋細胞中の増殖細胞核抗原(P
CNA)と共存し、これは、HDGFの役割が、発生中においておよび血管損傷
に応答して、平滑筋増殖を調節することであることを示唆する。
【0004】 (発明の要旨) 本発明は、ヘパトーム由来増殖因子(HDGF)タンパク質に対して相同性を
有する新規ポリペプチドをコードする核酸の発見に一部基づく。この新規なヘパ
トーム由来増殖因子X(HDGFX)ポリヌクレオチド配列およびこれらの核酸
配列によってコードされるHDGFXポリペプチド、ならびにそれらのフラグメ
ント、ホモログ、アナログおよび誘導体が、本発明において特許請求される。
【0005】 1つの局面において、本発明は、単離されたHDGFX核酸(配列番号1(表
1に示されるような))あるいはそのフラグメント、ホモログ、アナログまたは
誘導体を提供し、この核酸は、HDGFXポリペプチドをコードする。この核酸
は、例えば、表1のアミノ酸配列(配列番号2)を含むポリペプチドに対して、
少なくとも85%同一なポリペプチドをコードする核酸配列を含む。この核酸は
、例えば、ゲノムDNAフラグメントであり得るか、またはそれは、cDNA分
子であり得る。別の局面において、本発明は、表1に示されるHDGFX核酸の
相補体、あるいはそのフラグメント、ホモログ、アナログまたは誘導体を提供す
る。
【0006】 本明細書中に記載される核酸の1以上を含むベクター、およびそれらのベクタ
ーまたは本明細書中に記載される核酸を含む細胞もまた、本発明に含まれる。
【0007】 本発明はまた、上記の任意の核酸分子を含む組換え発現ベクターで形質転換さ
れた宿主細胞に関する。
【0008】 1つの局面において、本発明は、HDGFX核酸および薬学的に受容可能なキ
ャリアまたは希釈剤を含む、薬学的組成物を包含する。さらなる局面において、
本発明は、実質的に精製されたHDGFXポリペプチド(例えば、HDGFX核
酸によってコードされる任意のHDGFXポリペプチド)、ならびにそのフラグ
メント、ホモログ、アナログおよび誘導体を包含する。本発明はまた、HDGF
Xポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤を含む、薬学的
組成物を包含する。
【0009】 さらなる局面において、本発明は、HDGFXポリペプチドに特異的に結合す
る抗体を提供する。抗体は、例えば、モノクローナル抗体またはポリクローナル
抗体であり得、そしてそのフラグメント、ホモログ、アナログおよび誘導体であ
り得る。本発明はまた、HDGFX抗体および薬学的に受容可能なキャリアまた
は希釈剤を含む、薬学的組成物を包含する。本発明はまた、上記の任意の核酸分
子によってコードされるポリペプチド上のエピトープに結合する単離された抗体
に関する。
【0010】 本発明はさらに、上記の任意の核酸分子によってコードされるポリペプチドに
結合する抗体およびネガティブコントロール抗体を備える、キットに関する。
【0011】 本発明はさらに、HDGFXポリペプチドを産生するための方法を提供する。
この方法は、HDGFX核酸(例えば、HDGFX核酸を含むベクター)を含む
細胞を提供する工程、およびこの核酸によってコードされるHDGFXポリペプ
チドを発現するのに十分な条件下でこの細胞を培養する工程を包含する。次いで
、発現されたHDGFXポリペプチドが、この細胞から回収される。好ましくは
、細胞は、内因性HDGFXポリペプチドをほとんど産生しないかまたは全く産
生しない。細胞は、例えば、原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。
【0012】 本発明は、上記に開示される任意の核酸分子によってコードされるポリペプチ
ドに対する、哺乳動物における免疫応答を誘導する方法を提供する。1つの実施
形態において、この方法は、この免疫応答を誘導するのに十分な量のこのポリペ
プチドを哺乳動物に投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法
は、この免疫応答を誘導するのに十分なHDGFXポリペプチドを産生するのに
十分な量の、HDGFXポリペプチドをコードする核酸を、哺乳動物に投与する
工程を包含する。
【0013】 本発明はまた、HDGFXポリペプチドに結合する化合物を同定する方法に関
する。この方法は、このHDGFXポリペプチドに化合物を接触させて、そして
この化合物がこのHDGFXポリペプチドに結合するか否かを決定することによ
る。
【0014】 本発明はさらに、HDGFXポリペプチドの活性を調節する化合物を同定する
方法を提供する。この方法は、HDGFXポリペプチドに化合物を接触させて、
そしてこのHDGFXポリペプチド活性が調節されるか否かを決定することによ
る。
【0015】 本発明はまた、HDGFXポリペプチド活性を調節する化合物に関し、この化
合物は、HDGFXポリペプチドにこの化合物を接触させてそしてこの化合物が
HDGFXポリペプチドの活性を調節するか否かを決定することによって同定さ
れ、この化合物は、HDGFXポリペプチドに結合するか、またはHDGFXポ
リペプチドをコードする核酸分子に結合する。
【0016】 さらなる局面において、本発明は、被験体における組織増殖関連障害(例えば
、腫瘍、再狭窄、乾癬、糖尿病、術後合併症および慢性関節リウマチ)を診断す
る方法を包含する。この方法は、被験体からの核酸サンプル(例えば、RNAま
たはDNA、あるいは両方)を提供する工程、およびこの被験体の核酸サンプル
中のHDGFX核酸の量を測定する工程を包含する。次いで、被験体核酸サンプ
ルにおけるHDGFX核酸の量を、コントロールサンプル中のHDGFX核酸の
量と比較する。コントロールサンプル中のHDGFXの量と比較した、サンプル
中のHDGFX核酸の量の変化は、この被験体が組織増殖関連障害を有すること
を示す。
【0017】 なおさらなる局面において、本発明は、組織増殖関連障害を処置または予防ま
たは遅延する方法を提供する。この方法は、このような処置または予防または遅
延が所望される被験体に、HDGFX核酸、HDGFXポリペプチドまたはHD
GFX抗体を、その被験体における組織増殖関連障害を処置、予防または遅延す
るのに十分な量で投与する工程を包含する。
【0018】 他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用
語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。
本明細書中に記載される方法および材料と類似または等価な方法および材料が、
本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料を以下
に記載する。本明細書中で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の
参考文献は、参考としてそれらの全体が援用される。矛盾する場合は、本明細書
(定義を含む)が優先する(control)。さらに、材料、方法、および実
施例は、例示のみであり、そして限定することを意図されない。
【0019】 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から
明らかである。
【0020】 (発明の詳細な説明) HDGFX(AL033539_Aとも呼ばれる)、新規ヘパトーム由来増殖
因子(「HDGF」)関連ポリペプチド、およびこのポリペプチドをコードする
核酸が、本発明に含まれる。HDGFXポリペプチドまたはそのフラグメントに
特異的に結合する抗体が、本発明に含まれる。本発明はさらに、HDGFX核酸
、ポリペプチドおよび抗体の、フラグメント、ホモログ、アナログおよび誘導体
を含む。
【0021】 ヒトHDGFX遺伝子のDNA配列(880ヌクレオチド;配列番号1)、お
よびそのコードされるアミノ酸配列(配列番号2)を、表1に示す。翻訳された
タンパク質は、ヌクレオチド79〜831にコードされる。HDGFXタンパク
質産物(配列番号2)は、251アミノ酸長である。HDGFXポリペプチドの
推定分子量は、27,233.3ダルトンである。配列番号2のタンパク質は、
0.8800の確実度で核に局在することが、PSORTソフトウェアプログラ
ムによって予測される。
【0022】 クローンHDGFX_Aによってコードされる本発明のタンパク質としては、
本明細書中に記載のORFによってコードされるような、開示された全長タンパ
ク質、ならびに翻訳後修飾の結果としてその全長タンパク質から生じる任意の成
熟タンパク質が挙げられる。従って、本発明のタンパク質は、HDGFX_Aタ
ンパク質の前駆体および任意の活性形態の両方を包含する。
【0023】 ソフトウェアプログラムPSORTおよびSignalPは、HDGFXがシ
グナルペプチドを含まないことを予測する。
【0024】 (表1) ヘパトーム由来増殖因子ホモログのポリヌクレオチド配列(配列番号1)およ
びアミノ酸配列(配列番号2)
【0025】
【表1】 BLASTPプログラムおよびBLASTXプログラムを使用する配列データ
ベースの検索は、このHDGFX_Aタンパク質産物(配列番号2)が、235
残基のウシヘパトーム由来増殖因子関連タンパク質(HRP−3)(TREMB
LNEW−ACC:CAB40348)と、234残基中143残基(61%)
が同一であり、そして234残基中155残基(66%)がポジティブであるこ
とを示す。アライメント結果を表2に示す。
【0026】 (表2:HDGFX 対 HRP−3を示すBLAST結果) (Ouery(問い合わせ)=HDGFX;Sbjct(対照)=HRP−3
(配列番号3))
【0027】
【表2】 HDGFXタンパク質産物(配列番号2)はまた、240残基のヒトヘパトー
ム由来増殖因子(HDGF)タンパク質(SWISSPROT−ACC:P51
858)と、228残基中135残基(59%)が同一であり、そして228残
基中156残基(68%)がポジティブであると見い出された。アライメント結
果を表3、セクションAおよびBに示す。
【0028】 (表3:HDGFX 対 HDGFを示すBLAST結果)
【0029】
【表3】 PRODOMデータベースの検索(0.000001のE値カットオフ)は、
HDGFXポリペプチド配列が、増殖因子のファミリーに相同であることを示し
た(表4、黒色の陰影は同一性を示し、灰色の陰影は保存的置換を示す)。表4
のファミリーメンバー間の相同性の長さおよび複雑性では、これらの配列間の保
存が偶然にのみ生じるという可能性は7e-27未満である。Altschulら
、1997 Nucl.Acids Res.25:3389−3402を参照
のこと。相同であると見い出されたタンパク質としては、マウスHDGF(配列
番号6)(SWISS−PROT:P51859)のアミノ酸10〜117、別
のマウスHDGFRP2(配列番号7)(SWISS−PROT:035540
)のアミノ酸1〜123、ヒトLEDGF(配列番号8)(SWISS−PRO
T:O75475)のアミノ酸1〜127、別のヒトLEDGF(配列番号9)
(SWISS−PROT:O75475)のアミノ酸1〜127、およびマウス
HDGFRP1(配列番号10)(SWISS−PROT:035539)のア
ミノ酸9〜117が挙げられる。
【0030】
【表4】 本発明に従うHDGFX核酸およびそのコードされるポリペプチドは、種々の
適用および状況下で有用である。例えば、HDGFXの核酸およびポリペプチド
は、ヘパトーム由来増殖因子ファミリーのメンバーであるタンパク質を同定する
ために使用され得る。HDGFXの核酸およびポリペプチドはまた、HDGFの
活性または機能を阻害または増強する分子についてスクリーニングするために使
用され得る。詳細には、本発明に従う核酸およびポリペプチドは、例えば、脈管
形成、ニューロン発生または精子形成を調節または阻害する小分子の同定のため
の標的として使用され得る。これらの分子は、哺乳動物(例えば、ヒト)におけ
る癌、神経学的障害または不妊症を処置するために使用され得る。
【0031】 さらに、本発明に従う種々のHDGFXの核酸およびポリペプチドは、ドメイ
ンの存在および先に記載のタンパク質に対する配列関連性に従って、とりわけ、
このタンパク質ファミリーの新規メンバーとして有用である。例えば、このHD
GFX核酸およびそれらのコードされるポリペプチドは、ヘパトーム由来増殖因
子に属するタンパク質に特徴的な構造モチーフを含む。このタンパク質ファミリ
ーに属するタンパク質は、脈管形成の調節および阻害に関連してきた。脈管形成
は、胚形成、創傷治癒および女性の生殖サイクルにおける重要な通常の生理学的
プロセスである。しかし、病理学的プロセスとして、これは、慢性炎症、線維増
殖(fibroproliferative)障害および腫瘍形成において中心
的役割を果たす。従って、本発明に従うHDGFXの核酸およびポリペプチド、
抗体および関連する化合物は、種々の癌、冠状動脈疾患、関節炎および糖尿病性
網膜症に関連する治療的適用において有用である。
【0032】 免疫蛍光データは、HDGFが、ヘパトーム細胞の細胞質に局在し、そして正
常組織および腫瘍細胞株において遍在的に発現されることを示す。例えば、Na
kamuraら、1994 J.Biol.Chem.269:25143−2
5149を参照のこと。従って、代替的実施形態において、HDGFX(本発明
に従うヒトヘパトーム由来増殖因子ホモログを含む)は、合成シグナルペプチド
を有するサイトゾルタンパク質であり得る。Nakamuraらは、HDGFが
、推定核局在シグナルが存在するにも関わらず、線維芽細胞の外側で機能する線
維芽細胞に対するマイトジェン活性を有する、おそらく新規なヘパリン結合タン
パク質であることを示唆する。従って、別の実施形態において、HDGFXは、
ヒトの体内の種々の細胞および組織が応答する新規増殖調節因子として作用し得
る(実施例8を参照のこと)。
【0033】 さらに、本発明のHDGFXの核酸、ポリペプチド、抗体および関連する化合
物は、精子形成を調節するため、平滑筋増殖を刺激するため、およびニューロン
発生を調節するために使用され得る。
【0034】 精製されたHDGFXタンパク質でのインビボ研究(以下の実施例7に示され
るような)は、脾性の髄外造血およびリンパ系過形成の増加を実証する。これは
、例えば、造血および免疫学的関連障害を調節する(例えば、免疫系を刺激する
ことによって)ことによる、血液関連障害の処置における本発明のHDGFXの
核酸、ポリペプチド、抗体および関連する化合物の潜在的な治療的適用および診
断適用を示す。
【0035】 本発明のHDGFX核酸およびポリペプチドについてのさらなる有用性を、本
明細書中に開示する。
【0036】 (HDGFX核酸) 本発明の新規核酸は、HDGFX、HDGFX様ポリペプチドまたは生物学的
に活性なそれらの部分をコードする核酸を含む。これらの核酸には、配列が配列
番号1に提供される核酸、またはそれらのフラグメント、誘導体もしくはホモロ
グがある。さらに、本発明は、配列番号1の変異体核酸もしくは改変体核酸、ま
たはそれらのフラグメントを含み、これらの塩基のいずれかは、そのHDGFX
様活性および生理学的機能を保持するタンパク質をなおコードしつつ、配列番号
1に示される対応する塩基から変更され得る。本発明はさらに、配列番号1の核
酸配列の相補体(そのフラグメント、誘導体、アナログおよびホモログを含む)
を含む。HDGFXの部分の相補鎖の例は、実施例の節においてオリゴヌクレオ
チドプライマーとして示される。本発明はさらに、核酸もしくは核酸フラグメン
ト、またはその相補体(これらの構造は化学修飾を含む)を含む。
【0037】 さらなる核酸は、配列番号2のアミノ酸配列を含むHDGFXポリペプチドを
コードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列を
有するポリペプチドをコードする核酸は、配列番号1の核酸配列またはそのフラ
グメントを含む。
【0038】 さらに、本発明のHDGFX核酸は、配列番号1の変異体核酸もしくは改変体
核酸、またはそのフラグメントを含み、これらの塩基のいずれかは、HDGFX
様活性および生理学的な機能を維持するタンパク質をなおコードしつつ、開示さ
れた配列から変更され得る。本発明はさらに、配列番号1の核酸配列の相補体(
そのフラグメント、誘導体、アナログおよびホモログを含む)をさらに含む。本
発明はさらに、核酸もしくは核酸フラグメント、またはその相補体(これらの構
造は化学修飾を含む)を含む。
【0039】 本発明のHDGFX核酸は、HDGFXポリペプチドの成熟形態をコードし得
る。本明細書中で使用される場合、ポリペプチドの「成熟」形態またはタンパク
質は、天然に存在するポリペプチドまたは前駆体形態またはプロプロテイン(p
roprotein)の生成をいう。天然に存在するポリペプチドまたは前駆体
形態またはプロプロテインとしては、非限定的な例の目的のみとして、対応する
遺伝子によりコードされる全長遺伝子産物が挙げられる。あるいは、これらは、
本明細書中に開示されるオープンリーディングフレームによりコードされるポリ
ペプチド、前駆体またはプロプロテインとして規定され得る。生成物「成熟」形
態は、また非限定的な例の目的として、1以上の天然に存在するプロセシング工
程(これらがこの遺伝子産物が生じる細胞または宿主細胞内で起こる場合)の結
果として生じる。ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」形態に至るこのよう
なプロセシング工程の例としては、オープンリーディングフレームの開始コドン
によりコードされるN末端メチオニン残基の切断、またはシグナルペプチドまた
はリーダー配列のタンパク質分解切断が挙げられる。従って、残基1〜N(残基
1がN末端メチオニンである場合)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク
質から生じる成熟形態は、N末端メチオニンの除去後に残基2〜Nを有する。あ
るいは、残基1〜N(ここで、N末端シグナル配列(残基1〜M)が切断される
)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、残りの
残基M+1〜残基Nを有する。さらに、「成熟」タンパク質またはフラグメント
は、開始メチオニンの除去またはシグナルペプチドの除去よりも切断事象により
生じ得る。さらに、本明細書中で使用される場合、ポリペプチドまたはタンパク
質の「成熟」形態は、タンパク質分解事象ではなく、翻訳後修飾の工程から生じ
得る。このようなさらなるプロセスとしては、非限定的な例として、グリコシル
化、ミリスチル化またはリン酸化が挙げられる。一般に、成熟ポリペプチドまた
はタンパク質は、これらのプロセスの1つのみまたはこれらの任意の組み合わせ
の操作から生じ得る。
【0040】 HDGFXポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号2をコードする
HDGFX mRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとし
ての使用について十分な核酸フラグメント、およびHDGFX核酸分子の増幅ま
たは変異のためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーとしての使用のた
めのフラグメントもまた含まれる。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分
子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例
えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログを使用して作成されるDNAまたはR
NAのアナログ、ならびにそれらの誘導体、フラグメントおよびホモログを含む
ことを意図する。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは二本
鎖DNAである。
【0041】 「プローブ」とは、種々の長さの核酸配列をいい、好ましくは、用途に依存し
て、少なくとも約10ヌクレオチド(nt)、20nt、30nt、50nt、
100nt、500nt、1000nt、または例えば、約6,000ntほど
の大きさの間である。プローブは、同一、類似または相補的な核酸配列の検出に
おいて使用される。より長いプローブは、通常、天然供給源または組換え供給源
から入手され(しかし、これらは、同様に化学合成により調製され得る)、非常
に特異的であり、そしてオリゴマーよりもはるかに遅くハイブリダイズする。プ
ローブは、一本鎖または二本鎖であり得、そしてPCR、メンブレンベースのハ
イブリダイゼーション技術またはELISAのような技術において特異性を有す
るように設計される。
【0042】 「単離された」核酸分子は、この核酸の天然の供給源中に存在するその他の核
酸分子とは異なるものである。単離された核酸分子の例としては、ベクター中に
含まれる組換えDNA分子、異種宿主細胞中に維持される組換えDNA分子、部
分的または実質的に精製された核酸分子、および合成DNAまたはRNA分子が
挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、「単離された」核酸は、こ
の核酸が由来する生物のゲノムDNA中でこの核酸に天然に隣接する配列(すな
わち、この核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まない。例えば
、種々の実施形態で、単離されたHDGFX核酸分子は、この核酸が由来する細
胞のゲノムDNA中でこの核酸に天然で隣接する、約50kb、25kb、5k
b、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌ
クレオチド配列を含み得る。さらに、「単離された」核酸分子、例えば、cDN
A分子は、組換え技術により産生される場合、その他の細胞物質または培養培地
を実質的に含まないか、または化学的に合成される場合、化学物質前駆体もしく
はその他の化学物質を実質的に含まないものであり得る。
【0043】 本発明の核酸分子、例えば、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子
、またはこれらのヌクレオチド配列の任意の相補体は、標準的な分子生物学的技
法および本明細書で提供される配列情報を用いて単離され得る。ハイブリダイゼ
ーションプローブとして、配列番号1の核酸の全部または一部を使用して、HD
GFX核酸配列は、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(
例えば、Sambrookら(編)、MOLECULAR CLONING:A
LABORATORYY MANUAL第2版、Cold Spring H
arbor Laboratory Press、Cold Spring H
arbor、NY、1989;およびAusubelら、(編)、CURREN
T PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Joh
n Wiley&Sons、New York、NY、1993に記載されるよ
うに)を用いて単離され得る。
【0044】 本発明の核酸は、標準的なPCR増幅技法に従って、テンプレートとしてcD
NA、mRNAあるいはゲノムDNA、および適切なオリゴヌクレオチドプライ
マーを用いて増幅され得る。このように増幅された核酸は、適切なベクター中に
クローン化され、そしてDNA配列分析により特徴付けられ得る。さらに、HD
GFXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術、
例えば、自動化DNA合成機を用いることにより調製され得る。
【0045】 本明細書で用いられる場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結され
たヌクレオチド残基をいい、このオリゴヌクレオチドは、PCR反応で用いられ
るに十分な数のヌクレオチド塩基を有する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲ
ノム配列もしくはcDNA配列に基づき得るか、またはそれから設計され得、そ
して特定の細胞もしくは組織において、同一、類似もしくは相補的DNAまたは
RNAを増幅し、確認し、もしくはその存在を示すために用いられる。オリゴヌ
クレオチドは、約10nt、50nt、または100ntの長さ、好ましくは約
15nt〜30ntの長さを有する核酸配列の部分を含む。1つの実施形態では
、100ntより少ない長さの核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、さらに、
配列番号1の少なくとも6個連続するヌクレオチド、またはその相補体を含む。
オリゴヌクレオチドは、化学的に合成され得、そしてプローブとして用いられ得
る。
【0046】 別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1のいずれかに
示されるヌクレオチド配列またはこのヌクレオチド配列の一部分の相補体である
核酸分子を含む。別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、配列番号
1のいずれかに示されるヌクレオチド配列の相補体である核酸分子またはそのヌ
クレオチド配列の一部を含む。配列番号1に示されるヌクレオチド配列に相補的
である核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に十分相補的である
核酸分子であり、配列番号1に示される核酸配列に対しミスマッチがほとんどま
たは全くなく水素結合し得、それによって安定な二本鎖を形成する。
【0047】 本明細書で用いる場合、用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間の
Watson−CrickまたはHoogsteen塩基対形成をいい、そして
用語「結合」は、2つのポリペプチドまたは化合物または関連ポリペプチドまた
は化合物またはその組合せ間の物理的または化学的相互作用を意味する。結合は
、イオン性、非イオン性、ファンデルワールス性、疎水性相互作用などを含む。
物理的相互作用は直接的であるかまたは間接的であり得る。間接的相互作用は、
別のポリペプチドまたは化合物を介するか、またはその効果に起因し得る。直接
的結合は、別のポリペプチドもしくは化合物を介して、またはその効果に起因し
て生じない、その他の実質的な化学的中間体がない相互作用をいう。
【0048】 さらに、本発明の核酸分子は、配列番号1の核酸配列の一部のみ(例えば、プ
ローブまたはプライマーとして使用され得るフラグメント、あるいはHDGFX
の生物学的に活性な部分をコードするフラグメント)を含み得る。本明細書中に
提供される「フラグメント」は、少なくとも6個の(連続する)核酸配列または
少なくとも4個の(連続する)アミノ酸配列(それぞれ、核酸の場合には、特異
的ハイブリダイゼーションを可能にし、またはアミノ酸の場合には、エピトープ
の特異的な認識を可能にするに十分な長さ)の配列として規定され、そして全長
配列未満のせいぜいいくらかの部分である。フラグメントは、選択された核酸配
列またはアミノ酸配列の任意の連続する部分に由来し得る。「誘導体」は、直接
的にかまたは改変もしくは部分的置換によってかのいずれかでネイティブな化合
物から形成される核酸配列またはアミノ酸配列である。「アナログ」は、ネイテ
ィブな化合物に類似する構造を有する(しかし、同一ではない)が、特定の成分
または側鎖に関してそれとは異なる核酸配列またはアミノ酸配列である。アナロ
グは、合成物であり得るか、または進化的に異なる起源に由来し得、そして野生
型と比較して、類似の代謝活性または反対の代謝活性を有し得る。
【0049】 誘導体およびアナログは、以下に記載のように、誘導体またはアナログが、修
飾された核酸またはアミノ酸を含む場合、全長、または全長以外のものであり得
る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体またはアナログとしては、種々の実
施形態において、同一の大きさの核酸またはアミノ酸配列にわたって、または整
列した配列に比較した場合(この整列は、当該分野で公知であるコンピューター
相同性プログラムによって実施される)、少なくとも約70%、80%、85%
、90%、95%、98%、もしくは99%もの同一性(好ましい同一性は、8
0〜99%)で、本発明の核酸もしくはタンパク質に実質的に相同であるか、あ
るいはそのコードする核酸がストリンジェントの、中程度にストリンジェントの
、または低いストリンジェントの条件下で上記のタンパク質をコードする配列の
相補体にハイブリダイズし得る、領域を含む分子が挙げられるが、これらに限定
されない。例えば、Ausubelら、CURRENT PROTOCOLS
IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley & So
ns、New York、NY、1993、および以下を参照のこと。例示的な
プログラムは、Gapプログラム(Wisconsin Sequence A
nalysis Package、Version 8 for UNIX(登
録商標)、Genetics Computer Group、Univers
ity Research Park、Madison、WI)(デフォルト設
定を使用、これは、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv
.Appl.Math.、1981、2:482−489、これらは、その全体
が参考として本明細書中に援用される)を使用する)である。
【0050】 「相同な核酸配列」もしくは「相同なアミノ酸配列」、またはその改変体とは
、上記で考察したように、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルにおける相
同性によって特徴付けられる配列をいう。相同なヌクレオチド配列は、HDGF
Xポリペプチドのアイソフォームをコードする配列をコードする。アイソフォー
ムは、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として、同一の生物の異な
る組織において発現され得る。あるいは、アイソフォームは、異なる遺伝子によ
ってコードされ得る。本発明において、相同なヌクレオチド配列は、ヒト以外の
種(哺乳動物が挙げられるが、これに限定されず、従って、例えば、マウス、ラ
ット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマおよび他の生物が挙げられ得る)のHD
GFXポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。相同なヌクレオチド
配列はまた、天然に生じる対立遺伝子改変体および本明細書に記載されるヌクレ
オチド配列の変異体が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、相同的ヌ
クレオチド配列は、ヒトHDGFXタンパク質をコードするヌクレオチド配列を
含まない。相同核酸配列は、配列番号2のいずれかの保存的アミノ酸置換(以下
を参照のこと)、およびHDGFX活性を有するポリペプチドをコードするこれ
らの核酸配列を含む。HDGFXタンパク質の生物学的活性は以下に記載されて
いる。
【0051】 本明細書中で使用される場合、「同一な」残基は、等価なヌクレオチド塩基ま
たは2つの配列のアラインメントにおけるアミノ酸残基が同じ残基である2つの
配列間の比較におけるこれらの残基に対応する。1つのアラインメント中の2つ
の配列間の比較が、比較における等価な位置における残基が、以下に規定される
同じアミノ酸または保存されたアミノ酸のいずれかであることを示す場合に、残
基は、「類似」または「ポジティブ」として代替的に記載される。
【0052】 ヒトHDGFX遺伝子のクローニングから決定されたヌクレオチド配列は、他
の細胞型(例えば、他の組織由来)におけるHDGFXホモログ、ならびに他の
哺乳動物由来のHDGFXホモログを同定および/またはクローニングする際の
使用のために設計されるプローブおよびプライマーの作製を可能にする。このプ
ローブ/プライマーは、代表的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを
含む。このオリゴヌクレオチドは、代表的には、配列番号1;または配列番号1
のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;あるいは配列番号1の天然に存在する変異
体の少なくとも約12個、約25個、約50個、約100個、約150個、約2
00個、約250個、約300個、約350個または約400個以上の連続する
センス鎖ヌクレオチド配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
ヌクレオチド配列の領域を含む。
【0053】 ヒトHDGFXヌクレオチド配列に基づくプローブは、同じまたは相同なタン
パク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出するために使用され得る。種
々の実施形態において、このプローブはさらに、プローブに付着した標識基を含
み、例えば、この標識基は放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子
であり得る。このようなプローブは、例えば、被験体由来の細胞のサンプル中の
HDGFXをコードする核酸のレベルを測定すること(例えば、HDGFX m
RNAレベルを検出すること、またはゲノムHDGFX遺伝子が変異しているか
または欠失しているか否かを決定すること)によって、HDGFXタンパク質を
誤って発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として使
用され得る。
【0054】 「HDGFXの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」は、本発明のポ
リペプチドの活性に類似するが必ずしも同一ではない活性を示すポリペプチドを
いい、用量依存性の有無に関わらず、特定の生物学的アッセイにおいて測定され
るような成熟形態を含む。「HDGFXポリペプチドの生物学的に活性な部分」
をコードする核酸フラグメントは、以下に記載されるようなHDGFXの生物学
的活性を有するポリペプチドをコードする、配列番号1の一部を単離し、HDG
FXタンパク質のコードされた部分を発現させ(例えば、インビトロでの組換え
発現によって)、そしてHDGFXのコードされた部分の活性を評価することに
よって調製され得る。
【0055】 (HDGFXの改変体) 本発明はさらに、遺伝コードの縮重に起因して、開示されるHDGFXヌクレ
オチド配列とは異なる核酸分子を包含する。従って、これらの核酸は、配列番号
1に示されるヌクレオチド配列によりコードされるのと同じHDGFXタンパク
質をコードする。別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列
番号2のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌク
レオチド配列を有する。
【0056】 配列番号1のいずれかに示されるヒトHDGFXヌクレオチド配列に加えて、
HDGFXのアミノ酸配列における変化に至るDNA配列多型は、集団(例えば
、ヒト集団)内に存在し得ることが、当業者によって理解される。HDGFX遺
伝子中のこのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子のバリエーションに起因し
て、集団内の個体間に存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子
」および「組換え遺伝子」は、HDGFXタンパク質、好ましくは哺乳動物のH
DGFXタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子
をいう。このような天然の対立遺伝子のバリエーションは、代表的には、HDG
FX遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変動性を生じる。天然の対立
遺伝子バリエーションの結果であり、そしてHDGFXの機能的活性を変化させ
ない、HDGFX内の任意および全てのこのようなヌクレオチドのバリエーショ
ンならびに得られるアミノ酸多型は、本発明の範囲内であることが意図される。
【0057】 さらに、他の種由来のHDGFXタンパク質をコードし、従って、配列番号1
のヒト配列とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内に
あることが意図される。本発明のHDGFXのcDNAの天然の対立遺伝子改変
体およびホモログに対応する核酸分子は、本明細書中に開示されるヒトHDGF
X核酸に対するその相同性に基づいて、ストリンジェントハイブリダイゼーショ
ン条件下で、標準的なハイブリダイゼーション技術に従うハイブリダイゼーショ
ンプローブとしてヒトcDNAまたはその一部を用いて単離され得る。
【0058】 別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも6ヌクレオチ
ド長であり、そしてストリンジェントな条件下で配列番号1のヌクレオチド配列
を含む核酸分子にハイブリダイズする。別の実施形態では、この核酸は、少なく
とも10、25、50、100、250、500または750ヌクレオチド長で
ある。別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、コード領域にハイブ
リダイズする。本明細書中で用いられる場合、用語「ストリンジェント条件下で
ハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄に関する条件を記
載することを意図し、この条件下では、互いに最小の程度の類似性を超えるヌク
レオチド配列が代表的には互いにハイブリダイズしたままである。例えば、課さ
れたストリンジェンシーの程度に依存して、互いに少なくとも約60%相同なヌ
クレオチド配列がハイブリダイズし得る。
【0059】 本明細書で用いられる場合、語句「ストリンジェントハイブリダイゼーション
条件」は、その条件下で、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが、
その標的配列にハイブリダイズするが、その他の配列に最適にはハイブリダイズ
しない;より一般的にはプローブに対する特定の程度の類似性未満の配列にハイ
ブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、そ
して異なる状況において異なる。より長い配列は、より短い配列より高い温度で
特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定された
イオン強度およびpHで、特定の配列についての熱融解点(Tm)より約5℃低
く選択される。このTmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡状態
で標的配列にハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度
下)温度である。標的配列は一般に過剰に存在するので、Tmでは、プローブの
50%が平衡状態で占有されている。代表的には、ストリンジェントな条件は、
pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオン未満、代表的には
約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(またはその他の塩)、そして温度は、
短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50
nt)については少なくとも約30℃、そしてより長いプローブ、プライマーお
よびオリゴヌクレオチドについては少なくとも約60℃であるような条件である
。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような、脱安定化剤の添加で
達成され得る。
【0060】 上記のような、ストリンジェント条件は、当業者に公知であり、そしてCUR
RENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,
John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6
.3.6に見出され得る。好ましくは、この条件は、互いに少なくとも約65%
、約70%、約75%、約85%、約90%、約95%、約98%または約99
%同一な配列が、代表的には互いにハイブリダイズしたままであるような条件で
ある。ストリンジェントハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、6×S
SC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.0
2% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500
mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩緩衝液中での65℃でのハイブリダイ
ゼーションである。このハイブリダイゼーションの後に0.2×SSC、0.0
1% BSA中での50℃での1回以上の洗浄が続く。ストリンジェント条件下
で配列番号1の配列にハイブリダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天
然に存在する核酸分子に対応する。本明細書中で使用される場合、「天然に存在
する」核酸分子とは、天然に存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする
)ヌクレオチド配列を有する、RNA分子またはDNA分子をいう。
【0061】 ホモログ(すなわち、ヒト以外の種由来のHDGFXタンパク質をコードする
核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ(paralogs))は、特定
のヒト配列の全てまたは一部をプローブとし、核酸ハイブリダイゼーションおよ
びクローニングに関して当該分野で周知の方法を使用して、低い、中程度の、ま
たは高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションによって入手され得る。
【0062】 第2の実施形態では、配列番号1またはそれらのフラグメント、アナログもし
くは誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子に、中程度のストリンジェンシー
条件下でハイブリダイズする核酸配列が提供される。中程度のストリンジェンシ
ーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、55℃での6×SSC、5×
デンハルト溶液、0.5% SDSおよび100mg/ml変性サケ精子DNA
中でのハイブリダイゼーション、続いて1×SSC、0.1% SDS中での3
7℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る他の中程度のストリンジェンシー
の条件は、当該分野で周知である。例えば、Ausubelら(編),1993
,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOL
OGY,John Wiley & Sons,NYおよびKriegler,
1990,GENE TRANSFER AND EXPRESSION,A
LABORATORY MANUAL,Stockton Press,NYを
参照のこと。
【0063】 第3の実施形態では、配列番号1、またはそれらのフラグメント、アナログも
しくは誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子に、低ストリンジェンシー条件
下でハイブリダイズする核酸が提供される。低ストリンジェンシーハイブリダイ
ゼーション条件の非限定的な例は、35%ホルムアミド、5×SSC、50 m
M Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP
、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100mg/mlの変性サケ
精子DNA、10%(重量/容量)デキストラン硫酸中での40℃でのハイブリ
ダイゼーション、続いて2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4
)、5mM EDTAおよび0.1% SDS中での50℃での1回以上の洗浄
である。用いられ得る他の低ストリンジェンシーの条件は、当該分野で周知であ
る(例えば、種交差ハイブリダイゼーションについて用いられるように)。例え
ば、Ausubelら(編),1993,CURRENT PROTOCOLS
IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & S
ons,NYならびにKriegler,1990,GENE TRANSFE
R AND EXPRESSION,A LABORATORY MANUAL
,Stockton Press,NY;ShiloおよびWeinberg,
1981,Proc Natl Acad Sci USA 78:6789−
6792を参照のこと。
【0064】 (保存的変異) 集団中に存在し得るHDGFXヌクレオチド配列(例えば、遺伝子配列)の天
然に存在する対立遺伝子改変体に加えて、当業者は、変異によって配列番号1の
ヌクレオチド配列に変化が導入され得、それによって、HDGFXタンパク質の
機能的能力を変更することなく、コードされるHDGFXタンパク質のアミノ酸
配列における変化がもたらされることをさらに理解する。例えば、「非必須」ア
ミノ酸残基にてアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換は、配列番号1の配列
において行われ得る。「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を有意に変更す
ることなく、HDGFXポリペプチドの野生型配列由来の変更され得る配列中の
位置における残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要
とされる。例えば、本発明のHDGFXがメンバーであるHDGFXタンパク質
のファミリーのメンバー間で保存されているアミノ酸残基は、特に変更を受け入
れられないと予測される。
【0065】 例えば、本発明に従うHDGFXタンパク質は、代表的にはHDGFXタンパ
ク質ファミリーメンバーにおける保存領域である、少なくとも1つのドメインを
含み得る。このように、これらの保存されたドメインは、変異を受け入れそうに
ない。しかし、他のアミノ酸残基(例えば、HDGFXタンパク質ファミリーの
メンバー間であまり保存されていないアミノ酸残基)は、活性について必須では
ないかもしれず、従ってより変更を受け入れる傾向が強い。
【0066】 本発明の別の局面は、活性に必須ではない配列番号2のアミノ酸配列に関する
アミノ酸残基における変化を含む、HDGFXタンパク質をコードする核酸分子
に関する。1つの実施形態では、単離された核酸分子は、タンパク質をコードす
るヌクレオチド配列を含み、ここで、このタンパク質は、配列番号2のアミノ酸
配列に少なくとも約75%の類似しているアミノ酸配列を含む。好ましくは、こ
の核酸によってコードされるタンパク質は、配列番号2に少なくとも約80%同
一であり、より好ましくは配列番号2に少なくとも約90%、95%、98%、
そして最も好ましくは少なくとも約99%同一である。
【0067】 配列番号2のタンパク質に相同なタンパク質をコードする単離された核酸分子
は、対応するヌクレオチド配列に1以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失
を導入することにより作製され得、その結果、1以上のアミノ酸の置換,付加ま
たは欠失が、コードされるタンパク質に導入される。
【0068】 変異は、標準技術(例えば、部位指向変異誘発およびPCR媒介変異誘発)に
よって配列番号1に導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1以上
の推定非必須アミノ酸残基にて作製される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ
酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される、アミノ酸置換である。
類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で規定されている。
特定のアミノ酸残基は、1以上の分類可能な特徴を有する側鎖を有する。これら
のファミリーとしては、以下が挙げられる:塩基性側鎖を有するアミノ酸(例え
ば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、
アルパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、
グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システ
イン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、
イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、
β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)お
よび芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリ
プトファン、ヒスチジン)。従って、HDGFXポリペプチド中の推定非必須ア
ミノ酸残基は、同じ側鎖のファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。あ
るいは、別の実施形態では、変異は、HDGFXコード配列の全てまたは一部に
沿って(例えば、飽和変異誘発によって)ランダムに導入され得、そして得られ
る変異は、HDGFXポリペプチドの生物学的活性についてスクリーニングされ
て、活性を維持する変異体を同定し得る。配列番号1の変異誘発に続いて、コー
ドされるタンパク質は、当該分野で公知の任意の組換え技術によって発現され得
、そしてこのタンパク質の活性が決定され得る。
【0069】 アミノ酸ファミリーの関連性はまた、側鎖に基づいて決定され得る。置換され
たアミノ酸は、完全に保存された「強い」残基または完全に保存された「弱い」
残基であり得る。保存されたアミノ酸残基の「強い」群は、以下の群のいずれか
であり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、M
ILF、HY、FYW(ここで、単一の文字のアミノ酸コードは、互いに置換さ
れ得るこれらのアミノ酸残基によりグループ化される)。同様に、保存された残
基の「弱い」群は、以下のいずれかで有り得る:CSA、ATV、SAG、ST
NK、STPA、SGND、SNDEQK、NDEQHK、NEQHRK、VL
IM、HFY。
【0070】 (アンチセンスHDGFX核酸) 本発明の別の局面は、HDGFX核酸にハイブリダイズ可能かまたは相補的で
る単離された単離されたアンチセンス核酸分子(例えば、配列番号1またはその
フラグメント、アナログもしくは誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハ
イブリダイズし得るかまたは相補的であり得る、単離されたアンチセンス核酸分
子)に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核
酸に相補的である(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的であるかま
たはmRNA配列に相補的である)ヌクレオチド配列を含む。特定の局面では、
少なくとも約10、25、50、100、250もしくは500ヌクレオチドま
たはHDGFXコード鎖全体、またはそれらの一部のみに相補的な配列を含む、
アンチセンス核酸分子が提供される。配列番号2のHDGFXタンパク質のフラ
グメント、ホモログ、誘導体およびアナログをコードする核酸分子、または配列
番号1のHDGFXの核酸配列に相補的なアンチセンス核酸がさらに提供される
【0071】 1つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、HDGFXポリペプチドをコ
ードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスで
ある。用語「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含む、ヌク
レオチド配列の領域(例えば、配列2のいずれかに対応するHDGFXポリペプ
チドのタンパク質コード領域)をいう。別の実施形態では、このアンチセンス核
酸分子は、HDGFXポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の
「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」とは、コ
ード領域に隣接する、アミノ酸に翻訳されない、5’配列および3’配列をいう
(すなわち、5’非翻訳領域および3’非翻訳領域ともいわれる)。
【0072】 本明細書中に開示されるHDGFXコード鎖配列(例えば、配列番号1)を考
慮すれば、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrickまたは
Hoogsteenの塩基対合の規則に従って設計され得る。アンチセンス核酸
分子は、HDGFX mRNAのコード領域全体に相補的であり得る。あるいは
、アンチセンス核酸分子は、HDGFX mRNAのコード領域または非コード
領域の一部にのみアンチセンスであるオリゴヌクレオチドであり得る。例えば、
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、HDGFX mRNAの翻訳開始部位の周
囲の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約
5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45または
約50ヌクレオチド長であり得る。
【0073】 本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を用いて、化学的合成ま
たは酵素連結反応を用いて構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、
アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、またはこ
の分子の生物学的安定性を増大させるように、もしくはアンチセンス核酸とセン
ス核酸との間で形成される二重鎖の物理的安定性を増大させるように設計された
種々に改変されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る(例えば、ホスホ
ロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが用いられ得る)。
【0074】 アンチセンス核酸を作製するために用いられ得る改変されたヌクレオチドの例
としては以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−
クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセ
チルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシ
メチルアミノメチル2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラ
シル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルクエオシン(galactos
ylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチ
ルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデ
ニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−
アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキ
シアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルクエオシン(mann
osylqueosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−
メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル
−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン(
queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−
チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ
酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオ
ウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(
acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、このアンチセンス核
酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを用いて
生物学的に生成され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、
以下の節にさらに記載される、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である
)。
【0075】 本発明のアンチセンス核酸分子は、代表的には被験体に投与されるか、または
インサイチュで生成され、その結果それらは、HDGFXタンパク質をコードす
る細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするか、または
それに結合し、それによってこのタンパク質の発現を阻害する(例えば、転写お
よび/または翻訳を阻害することによって)。ハイブリダイゼーションは、安定
な二重鎖を形成する従来のヌクレオチド相補性によってか、または例えばDNA
二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんのメジャーグル
ーブ(major groove)における特異的相互作用を介してであり得る
。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例としては、組織部位での直接的
注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的
化するように改変され得、次いで全身に投与される。例えば、全身投与のために
、アンチセンス分子は、それらが選択された細胞表面上に発現されたレセプター
または抗原に特異的に結合するように改変され得る。これは、例えば、そのアン
チセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗
体に連結することによる。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載
されるベクターを用いて細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内
濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIプロモータ
ーまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築物が
、一般的に好ましい。
【0076】 なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー
核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイ
ブリッドを形成する。ここで、通常のβ−ユニットとは対照的に、鎖は、互いに
平行に走行する(Gaultierら(1987)Nucleic Acids
Res 15:6625〜6641)。このアンチセンス核酸分子はまた、2
’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら、(1987)Nucleic
Acids Res 15:6131〜6148)またはキメラRNA−DN
Aアナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett 215:327〜
330)を含み得る。
【0077】 このような改変としては、非制限的な例として、改変塩基、および糖リン酸バ
ックボーンが改変または誘導体化された核酸が挙げられる。これらの改変は、少
なくとも一部は、改変された核酸の化学的安定性を増強するために実施され、そ
の結果、それらは、例えば、被験体での治療的適用におけるアンチセンス結合核
酸として使用され得る。
【0078】 HDGFXリボザイムが、本発明内にまた存在する。リボザイムは、一本鎖核
酸(例えば、HDGFX mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有す
る触媒性RNA分子であり、これらは、その一本鎖核酸に対して相補領域を有す
る。従って、リボザイム(例えば、ハンマーヘッド型リボザイム(Haselh
offおよびGerlach(1988)Nature 334:585〜59
1に記載される))を使用して、HDGFX mRNA転写物を触媒的に切断し
、それによってHDGFX mRNAの翻訳を阻害し得る。HDGFXをコード
する核酸に特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示されるHDGFX核
酸のヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1)に基づいて設計され得る。例え
ば、活性部位のヌクレオチド配列が、HDGFXをコードするmRNA内で切断
されるヌクレオチド配列に相補的である、テトラヒメナL−19 IVS RN
Aの誘導体が構築され得る。例えば、Cechら、米国特許第4,987,07
1号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと。ある
いは、HDGFX mRNAを使用して、RNA分子のプールから、特異的リボ
ヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択し得る。例えば、Bartelら
(1993)Science 261:1411〜1418を参照のこと。
【0079】 あるいは、HDGFX遺伝子発現は、HDGFX遺伝子の調節領域(例えば、
HDGFX遺伝子のプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌク
レオチド配列を標的化し、標的細胞中でHDGFX遺伝子の転写を妨害する三重
らせん構造を形成することによって阻害され得る。一般には、Helene.(
1991)Anticancer Drug Des.6:569〜84;He
leneら(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27〜3
6;およびMaher(1992)Bioassays 14:807〜15を
参照のこと。
【0080】 種々の実施形態において、HDGFXの核酸は、塩基部分、糖部分またはリン
酸骨格で改変され、例えば、その分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは
可溶性を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変して、
ペプチド核酸を生成し得る(Hyrupら(1996)Bioorg Med
Chem 4:5〜23を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「
ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格が偽ペプチド
骨格によって置換され、そして4つの天然の核酸塩基のみが保持されている核酸
模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低いイオン強
度の条件下でDNAおよびRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能
にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、上記のHyrupら(
1996);Perry−O’Keefeら(1996)Proc.Nat.A
cad.Sci.(USA)93:14670〜675において記載されるよう
な標準的固相ペプチド合成プロトコルを用いて行われ得る。
【0081】 HDGFX核酸に基づいたPNAは、治療的適用および診断的適用において使
用され得る。例えば、PNAは、例えば転写または翻訳の停止を誘導することま
たは複製を阻害することによる、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセ
ンスまたは抗遺伝子剤として使用され得る。HDGFX核酸に基づいたPNAは
また、例えばPNA指向性PCRクランピングによる遺伝子における一塩基対変
異の分析において;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)と組み合わせて使用
される場合の人工制限酵素として(Hyrup B.(1996)上記);また
はDNA配列およびハイブリダイゼーションのプローブもしくはプライマーとし
て(Hyrupら(1996)上記;Perry−O’Keefe(1996)
、上記)、使用され得る。
【0082】 さらなる実施形態において、HDGFX核酸のPNAは、例えば、それらの安
定性または細胞性取り込みを増強するために、PNAに脂溶性基または他のヘル
パー基を結合することによって、PNA−DNAキメラの形成によって、または
リポソームもしくは当該分野において公知の薬物送達の他の技術の使用によって
改変され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組合せ得る、この核
酸のPNA−DNAキメラが生成され得る。PNA部分が高い結合親和性および
特異性を提供する一方で、そのようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RN
ase HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用するのを可能に
する。PNA−DNAキメラは、塩基のスタッキング、核塩基間の結合数および
方向を考慮して選択される適切な長さのリンカーを使用して連結され得る(Hy
rup(1996)上記)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup(19
96)上記およびFinnら(1996)Nucl Acids Res 24
:3357〜63において記載されるように行われ得る。例えば、DNA鎖は、
標準的なホスホラミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上で合成され得
、そして改変されたヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリ
チル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイト)が、PNAとD
NAの5’末端との間に使用され得る(Magら(1989)Nucl Aci
d Res 17:5973〜88)。次いで、PNAモノマーが段階様式でカ
ップリングされ、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキ
メラ分子を生成する(Finnら(1996)上記)。あるいは、5’DNAセ
グメントおよび3’PNAセグメントを用いて、キメラ分子が合成され得る。P
etersenら(1975)Bioorg Med Chem Lett 5
:1119〜11124を参照のこと。
【0083】 他の実施形態において、HDGFX核酸またはアンチセンス核酸は、以下のよ
うな他の付属の基を含み得る:ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞レセプタ
ーを標的化するため)、または細胞膜を横切る輸送を容易にする因子(例えば、
Letsingerら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.U
.S.A.86:6553〜6556;Lemaitreら、1987、Pro
c.Natl.Acad.Sci.84:648〜652;PCT公開番号WO
88/09810を参照のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号
WO89/10134を参照のこと)。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブ
リダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krolら、1988、BioTech
niques 6:958〜976を参照のこと)、またはインターカレーター
剤(例えば、Zon,1988、Pharm.Res.5:539〜549を参
照のこと)で改変され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分
子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、ハイブリ
ダイゼーション誘発切断剤など)に結合され得る。
【0084】 (HDGFXポリペプチド) 本発明のHDGFXポリペプチドは、その配列が配列番号2に提供される配列
のタンパク質を含む。本発明はまた、HDGFXポリペプチドの成熟形態および
HDGFXポリペプチドの変異体形態または改変体形態を含む。いくつかの実施
形態において、変異体または改変体HDGFXは、表1に示される対応する残基
からいずれかの残基が変化され得るタンパク質を含むが、なおそのHDGFX様
活性および生理学的機能、またはその機能的フラグメントを維持するタンパク質
をコードする。本発明は、上記の改変体HDGFX核酸によってコードされるペ
プチドを含む。変異体および改変体タンパク質において、20%までまたはそれ
以上の残基がそのように変化され得る。
【0085】 一般に、HDGFX機能を保持するHDGFXポリペプチド改変体は、配列中
の特定位置の残基が他のアミノ酸により置換される任意のHDGFXポリペプチ
ド改変体を含む。HDGFX改変体ポリペプチドはまた、親タンパク質の2つの
残基間にさらなる残基を挿入されるHDGFXポリペプチド、および照会HDG
FXポリペプチド配列(例えば、配列番号2、または配列番号2の成熟形態)か
ら1つ以上の残基を欠失するタンパク質を含む。従って、照会HDGFXポリペ
プチド配列(例えば、配列番号2、または配列番号2の成熟形態)に関する任意
のアミノ酸置換、挿入または欠失が、本発明に包含される。いくつかの実施形態
において、変異体または改変体タンパク質は、照会HDGFX配列に関して、1
以上の置換、挿入、または欠失を含み得る。
【0086】 本発明は、単離されたHDGFXタンパク質、およびその生物学的に活性な部
分、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログを含む。
抗HDGFX抗体を惹起するための免疫原としての使用のために適切なポリペプ
チドフラグメントもまた提供される。1つの実施形態において、ネイティブなH
DGFXタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いる適切な精製スキー
ムによって、細胞または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、
HDGFXタンパク質は、組換えDNA技術によって産生される。組換え発現に
代わるものとして、HDGFXタンパク質またはポリペプチドは、標準的なペプ
チド合成技術を用いて化学合成され得る。
【0087】 「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な
部分は、HDGFXタンパク質の由来する細胞または組織供給源由来の細胞性物
質または他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学合成される場
合に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞性物質を実
質的に含まない」は、HDGFXタンパク質の調製物を含み、この調製物におい
て、HDGFXタンパク質が単離または組換え産生される細胞の細胞性成分から
、このタンパク質は分離されている。1つの実施形態において、用語「細胞性物
質を実質的に含まない」は、非HDGFXタンパク質(本明細書中において「夾
雑タンパク質」とも呼ばれる)を約30%未満(乾燥重量にて)、より好ましく
は非HDGFXタンパク質を約20%未満、なおより好ましくは非HDGFXタ
ンパク質を約10%未満、そして最も好ましくは非HDGFXタンパク質を約5
%未満有する、HDGFXタンパク質の調製物を含む。HDGFXタンパク質ま
たはその生物学的に活性な部分が組換え産生される場合、好ましくは、調製物は
また培養培地を実質的に含まない。すなわち、培養培地は、そのタンパク質調製
物の容量の約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは
約5%未満を示す。
【0088】 用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、タンパク質が
、そのタンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離され
ているHDGFXタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態において、用語「
化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、化学前駆体または非H
DGFXの化学物質を約30%未満(乾燥重量にて)、より好ましくは化学前駆
体または非HDGFXポリペプチドを約20%未満、なおより好ましくは化学前
駆体または非HDGFXポリペプチドを約10%未満、そして最も好ましくは化
学前駆体または非HDGFXポリペプチドを約5%未満有する、HDGFXタン
パク質の調製物を含む。
【0089】 HDGFXタンパク質の生物学的に活性な部分は、全長HDGFXタンパク質
より少ないアミノ酸を含み、そしてHDGFXタンパク質の少なくとも1つの活
性を示す、HDGFXタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2に示され
るアミノ酸配列)に十分に相同なアミノ酸配列、またはHDGFXタンパク質の
アミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。代表的には、生物
学的に活性な部分は、HDGFXタンパク質の少なくとも1つの活性を有するド
メインまたはモチーフを含む。HDGFXタンパク質の生物学的に活性な部分は
、例えば、長さが10、25、50、100またはそれより多いアミノ酸である
ポリペプチドであり得る。
【0090】 本発明のHDGFXの生物学的に活性な部分は、HDGFXタンパク質ファミ
リー間に保存される上記の同定されたドメインの少なくとも1つを含み得る。さ
らに、タンパク質の他の領域が欠失している他の生物学的に活性な部分は、組換
え技術によって調製され得、そしてネイティブなHDGFXタンパク質の機能的
活性のうちの1つ以上について評価され得る。
【0091】 いくつかの実施形態において、HDGFXタンパク質は、配列番号2に実質的
に相同であり、そして以下に詳細に議論されるように、天然の対立遺伝子改変体
または変異誘発に起因してアミノ酸配列が異なるが、配列番号2のタンパク質の
機能的活性を保持する。従って、別の実施形態において、HDGFXタンパク質
は、配列番号2のアミノ酸配列に少なくとも約45%、そしてより好ましくは、
約55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%
または99%でさえ相同なアミノ酸配列を含み、そして、配列番号2のHDGF
Xタンパク質の配列を有する対応するポリペプチドのHDGFXの機能的活性を
保持するタンパク質である。
【0092】 (2つ以上の配列間の相同性の決定) 2つのアミノ酸配列または2つの核酸の相同性の百分率を決定するために、配
列は、至適な比較の目的のために整列される(例えば、ギャップは、配列間の最
適な整列について比較される配列のいずれかに導入され得る)。次いで、対応す
るアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドが
比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ
酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、分子はその位置で相同である(す
なわち、本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「相同性」は、ア
ミノ酸または核酸の「同一性」と等価である)。
【0093】 核酸配列の相同性は、2つの配列間の同一性の程度として決定され得る。相同
性は、当該分野において公知のコンピュータープログラム(例えば、GCGプロ
グラムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェア)を用いて決定され得
る。NeedlemanおよびWunsch 1970 J Mol Biol
48:443〜453を参照のこと。核酸配列比較のための以下の設定(GA
P作製ペナルティー、5.0、およびGAP伸長ペナルティー、0.3)を用い
てGCG GAPソフトウェアを使用すると、上記で言及される類似の核酸配列
のコード領域は、配列番号1に示されるDNA配列のCDS(コード)部分と、
好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98
%、または99%の同一性の程度を示す。配列同一性の程度を決定するための対
応するソフトウェア手順は、当該分野で広範に公知であり、本文脈において使用
され得る。
【0094】 用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列
が、特定の比較領域にわたって、残基毎を基準として同一である程度をいう。用
語「配列同一性のパーセンテージ」は、以下により算出される:この比較領域に
わたって最適に整列された2つの配列を比較すること、両方の配列において同一
の核酸塩基(例えば、核酸の場合にはA、TもしくはU、C、G、またはI)が
存在する位置の数を決定し、一致した位置の数を導くこと、この一致した位置の
数を、比較領域の内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算するこ
と、およびその結果を100で乗算して、配列同一性のパーセンテージを導くこ
と。用語「実質的な同一性」は、本明細書中で使用される場合、ポリヌクレオチ
ド配列の特徴を示し、ここでこのポリヌクレオチドは、比較領域にわたり参照配
列と比較して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の
配列同一性、そして頻繁には90〜95%の配列同一性、より通常には少なくと
も99%の配列同一性を有する配列を含む。用語「陽性(positive)残
基の百分率」は、以下により算出される:その比較領域にわたって最適に整列さ
れた2つの配列を比較すること、同一のアミノ酸および保存的アミノ酸置換が、
上記のように両方の配列において存在する位置の数を決定し、一致した位置の数
を導くこと、この一致した位置の数を、比較領域中の位置の総数(すなわち、ウ
インドウサイズ)で除算すること、およびその結果を100で乗算して、陽性残
基の百分率を導くこと。
【0095】 (キメラHDGFXタンパク質および融合HDGFXタンパク質) 本発明はまた、HDGFXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する
。本明細書中で使用される場合、HDGFX「キメラタンパク質」またはHDG
FX「融合タンパク質」は、非HDGFXポリペプチドに作動可能に連結された
、HDGFXポリペプチドを含む。「HDGFXポリペプチド」は、HDGFX
ポリペプチドに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチド、またはそのフラグ
メント、変異体、もしくは誘導体をいうが、「非HDGFXポリペプチド」は、
HDGFXタンパク質に対して実質的に相同ではないタンパク質(例えば、HD
GFXタンパク質とは異なり、かつ同一でかまたは異なる生物体に由来するタン
パク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。従って、HDG
FX融合タンパク質において、このHDGFXポリペプチドは、HDGFXタン
パク質のすべてまたは一部分に対応し得る。1つの実施形態では、HDGFX融
合タンパク質は、HDGFXタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部
分を含む。別の実施形態では、HDGFX融合タンパク質は、HDGFXタンパ
ク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質において
、用語「作動可能に連結された」は、HDGFXポリペプチドおよび非HDGF
Xポリペプチドが、インフレームで互いに融合されていることを示すことが意図
される。非HDGFXポリペプチドは、HDGFXポリペプチドのN末端または
C末端に融合され得る。
【0096】 例えば、1つの実施形態では、HDGFX融合タンパク質は、第2のタンパク
質の細胞外ドメインに作動可能に連結されたHDGFXポリペプチドを含む。こ
のような融合タンパク質は、HDGFX活性を調節する化合物についてのスクリ
ーニングアッセイでさらに利用され得る(このようなアッセイは、以下に詳細に
記載される)。
【0097】 別の実施形態においては、この融合タンパク質は、GST−HDGFX融合タ
ンパク質であり、ここではHDGFX配列が、GST(すなわち、グルタチオン
S−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合される。このような融合タンパク
質は、組換えHDGFXの精製を容易にし得る。
【0098】 さらに別の実施形態において、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル
配列を含むHDGFXタンパク質である。例えば、ネイティブなHDGFXシグ
ナル配列は除去され得、そして別のタンパク質由来のシグナル配列と置換され得
る。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、HDGFXの発現
および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を介して増加され得る。
【0099】 さらなる実施形態においては、この融合タンパク質は、HDGFX−免疫グロ
ブリン融合タンパク質であり、ここでは1つ以上のドメインを含むHDGFX配
列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合さ
れる。本発明のこのHDGFX−免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成
物中に取り込まれ、そして被験体に投与されて、細胞の表面上でHDGFXリガ
ントとHDGFXタンパク質との間の相互作用を阻害し、それによってインビボ
のHDGFX媒介信号伝達を抑制し得る。1つの例においては、意図される本発
明のHDGFXリガンドは、HDGFXレセプターである。このHDGFX−免
疫グロブリン融合タンパク質を用い、HDGFX同族リガンドの生体利用性に影
響を与え得る。HDGFXリガンド/HDGFX相互作用の阻害は、増殖障害お
よび分化障害の両方の処置、および細胞生存を調節(例えば、促進または阻害)
するために、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のこのHDGFX−免疫
グロブリン融合タンパク質は、被験体中で抗HDGFX抗体を産生するための免
疫原として用いられ得、HDGFXリガンドを精製し、そしてHDGFXリガン
ドとのHDGFXの相互作用を阻害する分子を同定するスクリーニングアッセイ
で用いられ得る。本発明のHDGFXキメラまたは融合タンパク質は、標準的な
組換えDNA技法により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコー
ドするDNAフラグメントを、従来の技法に従って、例えば、連結のための平滑
末端または突出(stagger)末端、適切な末端を提供するための制限酵素
消化、必要に応じて突出(cohesive)末端の充填、所望しない連結を避
けるためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的連結を使用することによ
り、インフレームで一緒に連結する。別の実施形態では、融合遺伝子を、自動化
DNA合成機を含む従来技法により合成し得る。あるいは、遺伝子フラグメント
のPCR増幅を、キメラ遺伝子配列を生成するために引き続きアニールおよび再
増幅され得る、2つの連続遺伝子フラグメント間の相補的オーバハングを生じる
アンカープライマーを用いて実施し得る(例えば、Ausbelら(編)CUR
RENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、
John Wiley&Sons、1992を参照のこと)。さらに、融合成分
(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードした多くの発現ベクターが市販
されている。HDGFXをコードする核酸は、この融合部分がHDGFXタンパ
ク質にインフレーム連結されるように、このような発現ベクター中にクローン化
され得る。
【0100】 (HDGFXアゴニストおよびアンタゴニスト) 本発明はまた、HDGFXアゴニスト(模倣物)として、またはHDGFXア
ンタゴニストとして機能するHDGFXタンパク質の改変体に関する。HDGF
Xタンパク質の改変体、例えば、HDGFXタンパク質の離散した点変異または
短縮型が、変異誘発により生成され得る。HDGFXタンパク質のアゴニストは
、天然に存在する形態のHDGFXタンパク質と実質的に同じ生物学的活性、ま
たはその生物学的活性のサブセットを保持し得る。HDGFXタンパク質のアン
タゴニストは、天然に存在する形態のHDGFXタンパク質の1つ以上の活性を
、例えば、HDGFXタンパク質を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流また
は上流メンバーに競合的に結合することにより阻害し得る。従って、特異的生物
学的効果が、限られた機能の改変体を用いた処理により惹起され得る。1つの実
施形態では、このタンパク質の天然に存在する形態の生物学活性のサブセットを
有する改変体を用いた被験体の処置は、HDGFXタンパク質の天然に存在する
形態を用いた処置に対して被験体におけるより少ない副作用を有する。
【0101】 HDGFXアゴニスト(模倣物)として、またはHDGFXアンタゴニストの
いずれかとして機能するHDGFXタンパク質の改変体は、HDGFXタンパク
質アゴニストまたはアンタゴニスト活性のためのHDGFXタンパク質の変異体
、例えば短縮型変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングするこ
とにより同定され得る。1つの実施形態では、HDGFX改変体の多彩なライブ
ラリーは、核酸レベルのコンビナトリアル変異誘発により生成され、そして多彩
な遺伝子ライブラリーによりコードされる。HDGFX改変体の多彩なライブラ
リーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、潜在的なHDGFX配列
の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、あるいは、その中にHDGFX配
列のセットを含む(例えば、ファージディスプレイのための)より大きな融合タ
ンパク質のセットとして発現可能であるように、遺伝子配列に酵素的に連結する
ことにより産生され得る。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的なHDGFX
改変体のライブラリーを産生するために用いられ得る種々の方法がある。縮重遺
伝子配列の化学的合成は、自動化DNA合成機中で実施され得、次いでこの合成
遺伝子は、適切な発現ベクター中に連結される。遺伝子の縮重セットの使用は、
1つの混合物において、潜在的なHDGFX改変体配列の所望のセットをコード
する配列のすべての供給を可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法
は当該分野で公知である(例えば、Narang(1983)Tetrahed
ron 39:3;Itakuraら(1984)Annu Rev Bioc
hem 53:323;Itakuraら(1984)Science 198
:1056;Ikeら(1983)Nucl Acid Res 11:477
を参照のこと)。
【0102】 (ポリペプチドライブラリー) さらに、HDGFXタンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーを用
いて、HDGFXタンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のた
めの増殖プロモーターフラグメントの多彩な集団を生成し得る。1つの実施形態
では、コード配列フラグメントのライブラリーは、HDGFXコード配列の二本
鎖PCRフラグメントを、1分子あたり約1つのみのニックが生じる条件下、ヌ
クレアーゼで処理すること、二本鎖DNAを変性させること、異なるニック産物
からのセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成するためにこのD
NAを再生すること、S1ヌクレアーゼを用いた処理により再形成された二本鎖
から一本鎖部分を除去すること、および得られるフラグメントライブラリーを発
現ベクター中に連結することにより生成し得る。この方法により、HDGFXタ
ンパク質の種々のサイズのN末端および内部フラグメントをコードする発現ライ
ブラリーが派生し得る。
【0103】 点変異または短縮により作成されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産
物をスクリーニングするため、選択された性質を有する遺伝子産物のcDNAラ
イブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技法が当該分野で公知である
。このような技法を、HDGFXタンパク質のコンビナトリアル変異誘発により
生成された遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適用可能である。大きな
遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための、高スループット分析に適した
最も広く用いられる技法は、代表的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現
ベクター中にクローニングすること、得られるベクターのライブラリーで適切な
細胞を形質転換すること、およびこのコンビナトリアル遺伝子を、所望の活性の
検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする
条件下で発現することを含む。ライブラリー中の機能的変異体の頻度を増大する
新規技法であるリクルーシブエンセブル変異誘発(REM)を、スクリーニング
アッセイと組み合わせて用い、HDGFX改変体を同定し得る(Arkinおよ
びYourvan(1992)PNAS 89:7811−7815;Delg
raveら(1993)Protein Engineering 6:327
−331)。
【0104】 (抗HDGFX抗体) 本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子、および
免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に特異的
に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子)をいう。このような抗体
としては、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、
abフラグメント、Fab'フラグメントおよびF(ab')2フラグメント、ならびに
ab発現ライブラリーが挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、ヒト
由来の抗体分子は、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDの任意のクラ
スに関連し、これらは分子内に存在する重鎖の性質によってお互いに異なる。特
定のクラスは同様にサブクラス(例えば、IgG1、IgG2など)を有する。さ
らに、ヒトにおいては、軽鎖はκ鎖またはλ鎖であり得る。本明細書中で抗体に
対する参照は、ヒト抗体種のすべてのこのようなクラス、サブクラスおよび型に
対する参照を含む。
【0105】 本発明の単離されたタンパク質は、抗原、またはその一部もしくはフラグメン
トとして役立つことが意図され得、そしてさらに、免疫原として使用され、ポリ
クロナール抗体およびモノクロナール抗体の調製のための標準的な技術を用いて
、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成し得る。全長タンパク質が使用され得
るか、あるいは本発明は、免疫原として使用するための抗原の抗原性ペプチドフ
ラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、全長タンパク質のアミ
ノ酸配列(例えば、配列番号2において示されるアミノ酸配列)の少なくとも6
アミノ酸残基を含み、そしてそれらのエピトープを含み、その結果このペプチド
に対して惹起された抗体は、全長タンパク質またはこのエピトープを含む任意の
フラグメントと特定の免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、
少なくとも10アミノ酸残基、または少なくとも15アミノ酸残基、または少な
くとも20アミノ酸残基、または少なくとも30アミノ酸残基を含む。この抗原
性ペプチドにより含まれる好ましいエピトープは、そのペプチド表面上に位置す
るタンパク質の領域であり;通常、これらは親水性領域である。
【0106】 本発明の特定の実施形態では、抗原性ペプチドにより包含される少なくとも1
つのエピトープは、タンパク質の表面上に位置するHDGFXの領域、例えば、
親水性領域である。ヒトHDGFX関連タンパク質配列の疎水性分析は、HDG
FX関連タンパク質のどの領域が特に親水性であるか、そしてそれ故、抗体産生
を標的にするために有用な表面残基をコードするようであるかを示す。抗体産生
を標的にする手段として、親水性および疎水性の領域を示すヒドロパシープロッ
トを、例えば、フーリエ変換を使用してかまたは使用しないかのいずれかで、K
yte DoolittleまたはHopp Woods法を含む、当該分野で
周知の任意の方法により生成し得る。例えば、それらの全体が本明細書に参考と
して援用される、HoppおよびWoods、1981、Proc.Nat.A
cad.Sci.USA 78:3824−3828;KyteおよびDool
ittle 1982、J.Mol.Biol.157:105−142を参照
のこと。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくは
ホモログ内の1つ以上のドメインに対して特異的な抗体はまた、本明細書中で提
供される。
【0107】 本願明細書において開示されるように、配列番号2のHDGFXタンパク質配
列、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログは、これ
らのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成において、免疫原として
利用され得る。本願明細書において用いられる場合、用語「抗体」は、免疫グロ
ブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原
に特異的に結合する(これと免疫反応する)抗原結合部位を含む分子)(例えば
、HDGFX)をいう。このような抗体としては、ポリクローナル抗体、モノク
ローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、FabおよびF(ab')2フラグメント、なら
びにFab発現ライブラリーが挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形
態において、ヒトHDGFXタンパク質に対する抗体が、開示される。当該分野
で公知の種々の手順が、配列番号2のHDGFXタンパク質配列、あるいはそれ
らの誘導体、フラグメント、アナログまたはホモログに対するポリクローナル抗
体またはモノクローナル抗体の産生のために用いられ得る。これらのタンパク質
のいくつかは、以下で議論される。
【0108】 1つの実施形態において、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのた
めの方法は、当該分野内で公知の酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)
および他の免疫学的に媒介された技術を含むが、これに限定されない。特定の実
施形態において、HDGFXタンパク質の特定のドメインに対して特異的である
抗体の選抜は、このようなドメインを所有しているHDGFXタンパク質のフラ
グメントに結合するハイブリドーマの生成により容易にされる。HDGFXタン
パク質(例えば、HGDF(例えば、表3〜4を参照のこと)と比較した場合の
HDGFXタンパク質に特異的なカルボキシル末端残基)、またはそれらの誘導
体、フラグメント、アナログまたはホモログ内の1つ以上のドメインについて特
異的である抗体がまた、本願明細書において提供される。
【0109】 当該分野において公知の種々の手順が、本発明のタンパク質、またはその誘導
体、フラグメント、アナログ、ホモログもしくはオルソログに対して指向される
ポリクロナール抗体またはモノクロナール抗体の産生のために使用され得る(例
えば、Antibodies:A Lamoratory Manual,Ha
rlow E,およびLane D,1998,Cold Spring Ha
rbor Laboratory Press,Cold Spring Ha
rbor、NY(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。これら
の抗体のうちのいくつかは、以下で考察される。
【0110】 (ポリクロナール抗体) ポリクロナール抗体の産生のために、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ
、ヤギ、マウスまたは他の動物)は、ネイティブなタンパク質、その合成改変体
、または前記の誘導体を用いる1以上の注射によって免疫され得る。適切な免疫
原性調製物は、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク
質を提示する化学的に合成されたポリペプチド、または組換え的に発現される免
疫原性タンパク質を含み得る。さらに、このタンパク質は、免疫されている哺乳
動物において免疫原性であることが知られている第2のタンパク質に結合体化さ
れ得る。このような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘ
モシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシンイ
ンヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。この調製物はさらに、アジ
ュバントを含み得る。種々のアジュバントが免疫学的応答を増加させるために使
用され、このようなアジュバントとしては、Freund’s(完全および不完
全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、
リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、
ペプチド、油乳濁液、ジニトロフェノールなど)、ヒトにおいて使用可能なアジ
ュバント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびC
orynebacterium parvum)または類似の免疫刺激剤が挙げ
られるが、これらに限定されない。使用され得るアジュバントのさらなる例とし
ては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロー
スジコリノミコレート)が挙げられる。
【0111】 免疫原性タンパク質に対して指向されるポリクロナール抗体分子は、哺乳動物
から(例えば、血液から)単離され得、そして周知の技術(例えば、プロテイン
AまたはプロテインGを用いるアフィニティクロマトグラフィー(これは、主に
免疫血清のIgG画分を提供する))によってさらに精製され得る。続いて、ま
たは代替的に、求められている免疫グロブリンの標的である特定の抗原またはそ
の抗原のエピトープがカラムに固定され、免疫アフィニティクロマトグラフィー
によって免疫特異的抗体を精製し得る。免疫グロブリンの精製は、例えば、D.
Wilkinson(The Scientist(The Scientis
t,Inc.,Philadelphia PAより発行)、第14巻、第8号
(2000年4月17日)、25〜28頁)によって考察される。
【0112】 (モノクローナル抗体) 本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノク
ローナル抗体組成物」は、独特の軽鎖遺伝子産物および独特の重鎖遺伝子産物か
らなる唯一の分子種の抗体分子を含む抗体分子の集団をいう。特に、モノクロー
ナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、すべての分子の集団に同一である。従
って、MAbは、抗原への独特の結合親和性によって特徴付けられる抗原の特定
のエピトープと免疫反応可能な抗原結合部位を含む。
【0113】 モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(例えば、KohlerおよびM
ilstein,Nature,256:495(1975)に記載されるよう
な方法)を使用して調製され得る。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハム
スター、または他の適切な宿主細胞は、免疫因子で代表的に免疫され、免疫因子
に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生し得るリンパ球を誘発する。
あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫され得る。
【0114】 免疫因子としては、代表的に、タンパク質抗原、そのフラグメントまたはその
融合タンパク質が挙げられる。一般的には、以下のいずれかである:ヒト起源の
細胞が望まれる場合は、末梢血リンパ球が使用され、または非ヒト哺乳動物供給
源が望まれる場合は、脾臓細胞またはリンパ節細胞が使用される。次いで、適切
な融合因子(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して、リンパ球を不死化
細胞株に融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monocl
onal Antibodies:Principles and Pract
ice,Academic Press(1986)第59−103頁)。不死
化細胞株は、通常形質転換された哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシおよびヒト
起源の骨髄腫細胞である。通常ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が使用される
ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、1以上の物質(融合されていない不死化細
胞の増殖も生存も阻害する)を含む適切な培養培地中で培養され得る。例えば、
親の細胞が酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(
HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマからの培養培地は、代
表的にヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(「HAT培地
」)、それらの物質はHGPRT欠失細胞の増殖を阻害する。
【0115】 好ましい不死化細胞株は、効率的に融合する細胞株であり、それらは選択され
た抗体産生細胞の安定な高レベルの抗体の発現を支持し、そしてHAT培地のよ
うな培地に敏感である。より好ましい不死化細胞株はマウス骨髄腫細胞株であり
、それらを、例えば、Salk Institute Cell Distri
bution Center,San Diego,Californiaおよ
びAmerican Type Culture Collection,Ma
nassas,Virginiaから得ることが可能である。ヒト骨髄腫および
マウス−ヒト骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載
される(例えば、Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1
984);Brodeurら、Monoclonal Antibody Pr
oduction Techniques and Application,
Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)第5
1−63頁)。
【0116】 次いで、ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地は、抗原に対するモノクロ
ーナル抗体の存在についてアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞
によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって決定
されるか、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(R
IA)または酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA))によって決定さ
れる。このような技術およびアッセイは、当該分野で公知である。モノクローナ
ル抗体の結合親和性は、例えば、MunsonおよびPollard,Anal
.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード分析によ
って決定され得る。例えば、MunsonおよびPollard 1980 A
nal.Biochem.107:220を参照のこと。標的抗原に対する高い
程度の特異性および高結合親和性を有する抗体を同定することが、目的であり、
モノクローナル抗体の治療学的適用において特に重要である。
【0117】 所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、希釈手順を限定することによって
、クローンをサブクローニングし得、そして標準方法によって増殖し得る(Go
ding,1986)。例えば、この目的のために適切な培養培地としては、D
ulbecco’s Modified Eagle’s Mediumおよび
RPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳
動物内の腹水としてインビボで増殖され得る。
【0118】 サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリ
ン精製手順(例えば、タンパク質Aセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマ
トグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィー
)によって、培養培地または腹水から、単離または精製され得る。
【0119】 モノクローナル抗体はまた、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,81
6,567号に記載される方法)によって作製され得る。本発明のモノクローナ
ル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重
鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプロ
ーブを使用することによって)容易に単離され得、そして配列決定され得る。本
発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ
。一旦単離されると、DNAは、発現ベクターに配置され得、次いでそれらは、
宿主細胞(例えば、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルC
OS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞)に
トランスフェクトされ、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を得る
。DNAはまた、例えば、相同なマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常
ドメインをコードする配列の置換(米国特許第4,816,567号;Morr
ison,Nature 368,812−13(1994))によってか、ま
たは非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列のすべてまたは一部の
配列をコードする免疫グロブリンへの共有結合的な連結によって改変され得る。
このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常領域に置換さ
れ得るか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変領域に置換され得、
キメラ二価の抗体を作製する。
【0120】 (ヒト化抗体) 本発明のタンパク質抗原に対する抗体は、さらにヒト化抗体またはヒト抗体を
含み得る。これらの抗体は、投与された免疫グロブリンに対するヒトの免疫応答
を引き起こさないヒトへの投与に適する。抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロ
ブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらのフラグメント(例えば、Fv、Fab
、Fab’、F(ab’)2または他の抗体の抗原結合配列)であり、それらは
主にヒト免疫グロブリンの配列から構成され、そして非ヒト免疫グロブリンに由
来する最小の配列を含む。ヒト化は、ヒト抗体の対応する配列についてのげっ歯
類CDRまたはCDR配列の置換によって、Winterらの方法(Jones
ら、Nature,31:522−525(1986);Riechmannら
、Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenら
、Science,239:1534−1536(1988))の後に達成され
得る(米国特許第5,225,539号もまた参照のこと)。いくつかの場合に
おいて、ヒト免疫グロブリンのFv骨格(framework)残基は、対応す
る非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、患者の抗体においても、
移入されたCDRまたは骨格配列においても見出されない残基を含み得る。一般
に、ヒト化抗体は、すべての少なくとも1つ、および代表的には2つの可変領域
を実質的に含む。これらの領域内で、すべてのまたは実質的にすべてのCDR領
域は非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、そしてすべてまたは実質的にすべて
の骨格領域はヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の領域に対応する。ヒト化抗
体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、代表的には、ヒト免疫グロブリン
の少なくとも一部を必要に応じて含む(Jonesら、1986;Riecha
mannら、1988;およびPresta、Curr.Op.Struct.
Biol.,2:593−596(1992))。
【0121】 (ヒト抗体) CDRを含む軽鎖および重鎖の両方の全体配列がヒト遺伝子から本質的に生じ
る抗体分子に、十分なヒト抗体は基本的に関連する。このような抗体を、「ヒト
抗体」、または「十分なヒト抗体」と本明細書中で呼ぶ。ヒトモノクローナル抗
体は、トリオーマ(trioma)技術によって調製され得る;ヒトB細胞ハイ
ブリドーマ技術(Kozborら、1983 Immunol Today 4
:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハ
イブリドーマ技術(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIB
ODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss
,Inc.,第77−96頁)。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実行にお
いて使用され得、そしてヒトハイブリドーマの使用によってか(Coteら、1
983.Proc Natl Acad Sci USA 80:2026−2
030を参照のこと)、またはインビトロでのEpstein Barr Vi
rusを用いたヒトB細胞による形質転換によって(Coleら、1985:M
ONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THER
APY,Alan R.Liss,Inc.,第77−96頁を参照のこと)産
生され得る。
【0122】 さらに、ヒト抗体はまた、さらなる技術(ファージディスプレイライブラリー
(HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Biol.,227
:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.,222:58
1(1991))を含む)を使用して産生され得る。同様に、ヒト免疫グロブリ
ン位置をトランスジェニック動物(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が、部
分的または完全に不活化されているマウス)に導入することによって、ヒト抗体
は作製され得る。チャレンジの際にヒト抗体産生が観察され、このことはすべて
の点(遺伝子再配列、アセンブリー、および抗体レパートリーを含む)でヒトに
おいて観察されたものに密接に類似する。このアプローチは、例えば、以下に記
載される:米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第
5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号
;同第5,611,016号、およびMarksら(Bio/Technolo
gy 10、779−783(1992));Lonbergら(Nature
368 856−859(1994));Morrison(Nature
368、812−13(1994));Fishwildら(Nature B
iotechnology 14、845−51(1996));Neuber
ger(Nature Biotechnology 14、826(1996
));ならびにLonbergおよびHuszar(Intern.Rev.I
mmunol.13 65−93(1995))。
【0123】 ヒト抗体は、抗原によるチャレンジに応答して動物の内因性抗体よりもヒト抗
体を十分に産生するように改変されたトランスジェニック非ヒト動物を使用して
、さらに産生され得る(PCT刊行物WO94/02602を参照のこと)。非
ヒト宿主における重免疫グロブリン鎖および軽免疫グロブリン鎖をコードする内
因性遺伝子は、耐えられなくなっており、そしてヒト重鎖および軽鎖免疫グロブ
リンをコードする活性な位置は、宿主のゲノムに挿入される。例えば、要求性ヒ
トDNAセグメントを含む酵母人工染色体を使用して、ヒト遺伝子は組み込まれ
る。次いで、すべての所望の改変を提供する動物を、完全な改変の相補体よりも
より少ない改変の相補体を含む中間トランスジェニック動物を雑種することによ
って子孫として得る。このような非ヒト動物の好ましい実施形態は、マウスであ
り、PCT刊行物WO96/33735およびWO96/34096に開示され
るようにXenomousTMと呼ばれる。この動物は、ヒト免疫グロブリンを十
分に分泌するB細胞を産生する。目的の免疫原を有する免疫後の動物から(例え
ば、ポリクローナル抗体の調製)、あるいは動物由来の不死化されたB細胞(例
えば、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ)から、抗体を直接得るこ
とが可能である。さらに、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺
伝子は、抗体を直接得るために回復され、そして発現され得るか、または抗体の
アナログ(例えば、1本鎖Fv分子)を得るために、さらに改変され得る。
【0124】 内因性免疫グロブリン重鎖の発現を欠く非ヒト宿主(マウスとして例証される
)を作製するための方法の例は、米国特許第5,939,598号に記載される
。それを、以下の工程を包含する方法によって得ることが可能である:位置の再
配列を防ぎ、そして再配列された免疫グロブリン重鎖位置の転写物の形成、およ
び選択マーカーをコードする遺伝子を含む標的ベクターによって影響される欠失
を防ぐために、胚幹細胞における少なくとも1つの内因性重鎖位置由来のJセグ
メント遺伝子を欠失する工程;およびトランスジェニックマウス(その体細胞お
よび生殖細胞は、選択マーカーをコードする遺伝子を含む)を、胚幹細胞から作
製する工程。
【0125】 目的の抗体(例えば、ヒト抗体)を産生する方法は、米国特許第5,916,
771号に開示される。それは以下の工程を包含する:重鎖をコードするヌクレ
オチド配列を含む発現ベクターを、培養中の1つの哺乳動物宿主細胞に導入する
工程、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを、別の哺乳動物
宿主細胞に導入する工程、およびハイブリッド細胞を形成するために2つの細胞
融合する工程。ハイブリッド細胞は、重鎖および軽鎖を含む抗体を発現する。
【0126】 この手順のさらなる改善において、免疫原上の臨床的に関連するエピトープを
同定する方法、および関連するエピトープに高い親和性で免疫特異的に結合する
抗体を選択する相関する方法は、PCT刊行物WO99/53049に開示され
る。
【0127】 (Fabフラグメントおよび単鎖抗体) 本発明に従って、技術は、本発明の抗原性タンパク質に特異的な単鎖抗体の産
生に適用され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。
さらに、方法は、Fab発現ライブラリーの構築に適用され得(例えば、Huse
ら、1989 Science 246:1275−1281を参照のこと)、
タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログまたはホモログについて
の所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的な同
定を可能にする。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含む抗体フラグメン
ト((i)抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab')2フラグメント;
(ii)F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって産生
されたFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤を用いた抗体分子の
処理によって産生されたFabフラグメント、および(iv)Fvフラグメントを
含むが、これらに限定ない)は、当該分野で公知の技術によって産生され得る。
【0128】 (二重特異的抗体) 二重特異的抗体は、モノクローナル抗体(好ましくはヒトモノクローナル抗体
またはヒト化されたモノクローナル抗体)であって、これは少なくとも2つの異
なる抗原に対して結合特異性を有する。この場合において、結合特異性の1つは
、本発明の抗原性タンパク質に対してである。第2の結合標的は、任意の他の抗
原であり、そして有利には細胞表面タンパク質あるいはレセプターまたはレセプ
ターサブユニットである。
【0129】 二重特異的抗体を作製する方法は、当該分野で公知である。伝統的に、二重特
異的抗体の組換え生成は、2つの免疫グロブリンの重鎖/軽鎖の対の同時発現に
基づき、ここでこの2つの重鎖は異なる特異性を有する(Milsteinおよ
びCuello、Nature,305:537−539(1983))。免疫
グロブリンの重鎖および軽鎖のランダムな組み合わせのために、これらのハイブ
リドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を作製し、
このうち1つのみが正確な二重特異的構造を有する。この正確な分子の精製は、
通常アフィニティークロマトグラフィー工程によって達成される。同様の手順は
、1993年5月13日開示のWO93/08829、およびTrauneck
erら、EMBO J.、10:3655−3659(1991)において開示
される。
【0130】 所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫
グロブリン定常領域配列に融合され得る。この融合は、好ましくは免疫グロブリ
ン重鎖定常ドメインを有し、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも部
分を含む。この融合物中の少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部
位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。この免疫グロ
ブリン重鎖融合体、および所望の場合、この免疫グロブリン軽鎖をコードするD
NAは、別々の発現ベクターに挿入され、そして適切な宿主生物体に同時トラン
スフェクトされる。二重特異的抗体の作製のさらなる詳細は、例えば、Sure
shら、Methods in Enzymology,121:210(19
86)を参照のこと。
【0131】 WO96/27011に記載される別のアプローチに従って、抗体分子の対の
間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージ
を最大化するために操作され得る。好ましい界面は、抗体定常領域のCH3領域
の少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ
以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプ
トファン)で置換される。大きな側鎖についての同一または同様のサイズの代償
的な「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン
またはスレオニン)で置換することによって、第2の抗体分子の界面上に生成さ
れる。このことは、ホモダイマーのような他の不必要な最終生成物よりも、ヘテ
ロダイマーの収量を増加するための機構を提供する。
【0132】 二重特異的抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)2 二重特異的抗体)として調製され得る。抗体フラグメントから二重特異的抗体
を作製するための技術は、文献において記載される。例えば、二重特異的抗体は
、化学結合を使用して調製され得る。Brennanら、Science 22
9:81(1985)は、インタクトな抗体がタンパク分解的に切断されてF(
ab’)2フラグメントを作製する手順を記載する。これらのフラグメントは、
ビシナルジチオールを安定化し、そして分子間ジスルフィド形成を阻止するため
に、ジチオール錯化剤ナトリウム亜ヒ酸塩の存在下で還元される。次いで、この
作製されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TBN)誘導体
に変換される。次いで、Fab’−TBN誘導体の1つは、メルカプトエチルア
ミンでの還元によってFab’−チオールに再変換され、そしてこれは等モル量
の他のFab’−TBN誘導体と混合されて二重特異的抗体を形成する。生成さ
れた二重特異的抗体は、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用され得る。
【0133】 さらに、Fab’フラグメントは、E.coliから直接回収され得、そして
化学的にカップリングされて二重特異的抗体を形成する。Shalabyら、J
.Exp.Med.175:217−225(1992)は、完全にヒト化され
た二重特異的抗体F(ab’)2分子の生成を記載する。各Fab’フラグメン
トは、E.coliから別々に分泌され、そしてインビトロの化学的カップリン
グに供され、二重特異的抗体を形成する。従って、形成されたこの二重特異的抗
体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞および正常なヒトT細胞に結合
し得、そしてヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解性活性を
誘因し得る。
【0134】 組換え細胞培養物から直接二重特異的抗体フラグメントを作製し、そして単離
するための種々の技術がまた記載されてきた。例えば、二重特異的抗体は、ロイ
シンジッパーを使用して産生される。Kostelnyら、J.Immunol
.148(5):1547−1553(1992)。FosおよびJunタンパ
ク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体
のFab’部分に結合される。この抗体ホモダイマーは、ヒンジ領域で還元され
てモノマーを形成し、次いで再酸化されて抗体ヘテロダイマーを形成する。この
方法はまた、抗体ホモダイマーの産生のために使用され得る。Hollinge
rら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−64
48(1993)に記載されるこの「ディアボディー(diabody)」技術
は、二重特異的抗体フラグメントを作製するための代替的な機構を提供した。こ
のフラグメントは、短すぎて同じ鎖上の2つのドメインの間を対にできないリン
カーによって軽鎖可変領域(VL)に接続された重鎖可変領域(VH)を含む。従
って、1つのフラグメントのVHおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補
的なVLおよびVHドメインと対になるように強制され、これによって2つの抗原
結合部位が形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用によって二重特異的抗
体フラグメントを作製するための別のストラテジーもまた、報告されてきた。G
ruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこ
と。
【0135】 2つ以上の結合価を有する抗体が意図される。例えば、三重特異的抗体が調製
され得る。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)。
【0136】 例示的な二重特異的抗体は、2つの異なるエピトープに結合し得、このうち少
なくとも1つは、本発明のタンパク質抗原に起源を有する。あるいは、免疫グロ
ブリン分子の抗抗原性アームは、T細胞レセプター分子のような白血球(例えば
、CD2、CD3、CD28、またはB7)、あるいはIgGに対するFcレセ
プター(FcγR)(例えば、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD3
2)およびFcγRIII(CD16))上の標的化分子に結合するアームに、
特定の抗原を発現する細胞に対する細胞の防御機構に焦点を合わせるように結合
され得る。二重特異的抗体はまた、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞傷害
性因子に指向するために使用され得る。これらの抗体は抗原結合アーム、および
細胞傷害性因子または放射性核種キレーター(例えば、EOTUBE、DPTA
、DOTA、またはTETA)に結合するアームを保有する。目的の別の二重特
異的抗体は、本明細書中に記載のタンパク質抗原に結合し、そしてさらに組織因
子(TF)に結合する。
【0137】 (ヘテロ接合体抗体) ヘテロ接合体抗体はまた、本発明の範囲内である。ヘテロ接合体抗体は、2つ
の共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不必要
な細胞に標的化するために(米国特許第4,676,980号)、およびHIV
感染の処置のために(WO91/00360;WO92/200373;EP0
3089)提案されてきた。この抗体(架橋剤を含む抗体を含む)は、インビト
ロで、合成タンパク質化学において公知の方法を使用して調製され得ることが意
図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応の使用またはチオエーテ
ル結合の形成によって構築され得る。この目的のための適切な試薬の例としては
、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート、ならびに
例えば米国特許第4,676,980号において開示される試薬が挙げられる。
【0138】 (エフェクター機能操作) 本発明の抗体を、エフェクター機能について、例えば癌の処置における抗体の
効力を増大するように改変することが望ましくあり得る。例えば、システイン残
基は、Fc領域に導入され得、これによってこの領域における鎖間ジスルフィド
結合の形成を可能にする。従って、作製されるこのホモダイマー抗体は、改良さ
れたインターナリゼーションの可能性および/または増加した補体媒介細胞死滅
、ならびに抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有し得る。Caronら、J.
Exp.Med.、176:1191−1195(1192)およびShope
s、J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照のこ
と。増大した抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolffら、Ca
ncer Research、53:2560−2656(1993)に記載さ
れるヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製され得る。あるいは、抗体は操作され
得、これは二重のFc領域を有し、そしてこれによって増大した補体溶解および
ADCCの可能性を有し得る。Stevensonら、Anti−Cancer
Drug Design,3:219−230(1989)を参照のこと。
【0139】 (免疫接合体) 本発明はまた、細胞傷害性の薬剤(例えば、化学療法剤、毒素(例えば、細菌
、真菌、植物、または動物起源の酵素学的に活性な毒素、あるいはそれらのフラ
グメント)、または放射性同位体(すなわち、放射性接合体))に結合した抗体
を含む免疫接合体に関する。
【0140】 このような免疫接合体の作製において有用な化学療法剤は、上記に記載される
。使用され得る酵素学的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジ
フテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pse
udomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、
モデシン(modeccin)A鎖、α−サルシン、Aleurites fo
rdiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phyto
laca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPA
P−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン(
curcin)、クロチン(crotin)、sepaonaria offi
cinalisインヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mi
togellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノ
マイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およ
びトリコテセン(tricothecen)が挙げられる。種々の放射性核種は
、放射性結合した抗体の作製のために利用可能である。その例としては、212
i、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。
【0141】 抗体および細胞傷害性因子の接合体は、種々の二官能性タンパク質結合因子(
例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネー
ト(SPDP)、イミノチオラン(iminothiolane)(IT)、イ
ミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデート HCL)、
活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば
、グルタルアルデヒド(glutareldehyde))、ビスアジド化合物
(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニ
ウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミ
ン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン2,6−ジイソシアネート)、およ
びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベ
ンゼン))を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta
ら、Science,238:1098(1987)に記載されるように調製さ
れ得る。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレ
ントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への結合
のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。
【0142】 別の実施形態において、腫瘍の前標的化における利用のために、この抗体は、
「レセプター」(例えば、ストレプトアビジン)に結合され得、ここで抗体−レ
セプター接合体は患者に投与され、続いて除去剤を使用して結合していない接合
体が循環から除去され、次いで細胞傷害性因子に次々に結合する「リガンド」(
例えば、アビジン)が投与される。
【0143】 (免疫リポソーム) 本明細書中に開示される抗体はまた、免疫リポソームとして形成され得る。抗
体を含むリポソームは、当該分野で公知の方法(例えば、Epsteinら、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA、82:3688(1985);
Hwangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:403
0(1980);および米国特許第4,485,045号および4,544,5
45号に記される)によって調製される。増強された循環時間を有するリポソー
ムは、米国特許台5,013,556号に記載されている。
【0144】 特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリ、コレステロール、およびPE
G−誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成
物を用いる逆層エバポレーション法によって精製され得る。リポソームは、所定
の穿孔サイズのフィルターを通して押し出され、所望の直径を有するリポソーム
が得られる。本発明の抗体のFab’フラグメントは、Martinら、J.B
iol.Chem.,257:286−288(1982)に記載されるように
ジスルフィド交換反応を介してリポソームに結合体化され得る。化学療法剤(例
えば、ドキソルビシン)は、必要に応じてリポソーム内に含まれる。Gabiz
onら、J.National Cancer Inst.,81(19):1
484(1989)を参照のこと。
【0145】 (本発明のタンパク質に対して特異的な抗体の診断適用) 本発明のタンパク質に特異的な抗体は、タンパク質の局在化および/または定
量化に関連する当該分野で公知の方法(例えば、適切な生理学的試料内のタンパ
ク質のレベルを測定するための使用、診断方法における使用、タンパク質の画像
化での使用など)で使用され得る。所与の実施形態において、タンパク質、また
はその誘導体、フラグメントもしくはホモログに対する抗体(抗原結合ドメイン
を含む)は、薬理学的に活性な化合物(以下を参照のこと)として利用される。
【0146】 本発明のタンパク質に対して特異的な抗体は、標準的な技術(例えば、免疫ア
フィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降)によりタンパク質を単離する
ために使用される。このような抗体は、細胞から天然のタンパク質抗原を精製す
ること、および宿主細胞中で発現する組換え産生抗体を精製することを容易にし
得る。さらに、このような抗体を使用して、抗原タンパク質の存在比および発現
パターンを評価するために抗原タンパク質(例えば、細胞溶解物または細胞上清
中)を検出する。タンパク質に対して特異的な抗体を診断的に使用して、例えば
、所定の処置レジメンの有効性を決定するために、臨床試験手順の一部として組
織中のタンパク質レベルを検出し得る。検出は、検出可能な物質に抗体をカップ
リングする(すなわち、物理学的に連結する)ことによって容易にされ得る。検
出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光性物質、
生体発光性物質、および放射活性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、
ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシ
ダーゼ、またはアセチルクロリンステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族の複
合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが
挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、アンベリフェロン、フルオレセイン、
フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン
フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光性
物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生体発光性物質の例としては、ルシ
フェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ、そして適切な放射性
物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。
【0147】 (抗体の薬学的組成物) 本発明のタンパク質と特異的に結合する抗体および本明細書中に開示されるス
クリーニングアッセイによって同定される他の分子は、薬学的組成物の形態で種
々の障害の処置のために投与され得る。このような組成物を調製する工程に包含
される原理および考察、ならびに成分選択のガイドラインは、以下に提供される
:例えば、Remington:THE SCIENCE AND PRACT
ICE OF PHARMACY 19版(Alfonso R.Gennar
oら編)Mack Pub.Co.,Easton,Pa.1995:DRUG
ABSORPTION ENHANCEMENT:CONCEPTS,POS
SIBLITIES,LIMITATIONS,AND TRENDS,Haw
ood Acacemic Publishers,Langhorne,Pa
.,1994;およびPEPTIDE AND PROTEIN DRUG D
ELIVERY(Advances In Parenteral Scien
ce,第4巻)1991,M.Dekker,New York。
【0148】 抗原タンパク質が細胞内にあり、そして全抗体がインヒビターとして使用され
る場合、抗体を内在化することが好ましい。しかし、リポソームをまた使用して
、抗体または抗体フラグメントを細胞に送達し得る。抗体フラグメントを使用す
る場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最も小さい阻害フラ
グメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質
配列と結合する能力を保持するペプチド分子が設計され得る。このようなペプチ
ドは、化学的に合成され得るかおよび/または組換えDNA技術によって産生さ
れ得る。例えば、Marascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA,90:7889−7893(1993)を参照のこと。本明細書中の処
方物はまた、必要な場合、処理される特定の標識に対して1以上の活性化合物、
好ましくは、互いに不利に影響を及ぼさない相補的活性を有する1以上の活性化
合物を含み得る。あるいは、またはさらに、この組成物は、例えば、細胞障害剤
、サイトカイン、化学療法剤または増殖阻害剤のような機能を強化する薬剤を含
み得る。このような分子は、意図される目的のために有効である量の組合せで適
切に存在する。
【0149】 この活性成分は、例えば、従来の技術または界面重合化(例えば、ヒドロキシ
メチルセルロース(コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミク
ロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)中)また
はゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロ
カプセル(マクロエマルジョン中)によって調製されるマイクロカプセル中に包
理され得る。
【0150】 インビボ投与に使用されるべき処方物は、滅菌されなければならない。これは
、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
【0151】 (抗体治療) 本発明の抗体(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体および
完全ヒト抗体を含む)は、治療剤として使用され得る。このような薬剤は、一般
に被験体の疾患または病理を処置または予防するために使用される。抗体調製(
好ましくは、標的抗原に対して高度な特異性および高度な親和性を有する抗体)
は、被験体に投与され、そして一般に標的との結合に起因して効果を有する。こ
のような効果は、所定の抗体分子と問題の標的分子との間の特異的な相互作用の
性質に依存して、2種類の効果があり得る。第1の場合、抗体の投与は、天然で
結合する内因性リガンドと標的との結合を抑止または阻害し得る。この場合、こ
の抗体は、標的に結合し、そして天然に存在するリガンドの結合部位をマスクし
、ここで、このリガンドはエフェクター分子として役立つ。従って、レセプター
は、リガンドが応答するシグナル伝達経路を媒介する。
【0152】 あるいは、この効果は、この抗体が標的分子上でエフェクター結合部位と結合
することによって生理学的結果を惹起する効果であり得る。この場合、この標的
(疾患または病理において不在または欠損し得る内因性リガンドを有するレセプ
ター)は、代替エフェクターリガンドとして抗体と結合し、レセプターによって
レセプターベースのシグナル伝達事象を開始する。
【0153】 本発明の抗体の治療有効量は、一般に、治療目的を達成するために必要とされ
る量に関連する。上記のように、これは、抗体とその標的抗体との間の結合相互
作用であり得、特定の場合にこの標的の機能を妨害し、そして別の場合に生理学
的応答を促進する。投与されるべき必要量は、さらに、特異的抗原に対する抗体
の結合親和性に依存し、そして投与された抗体が投与される他の被験体の自由体
積から除去される速度にも依存する。本発明の抗体または抗体フラグメントの治
療有効用量の共通の範囲は、非制限例であるが、約0.1mg/kg体重〜約5
0mg/kg体重であり得る。共通の用量頻度は、例えば、1日に2回〜1週間
に1回までの範囲であり得る。
【0154】 (HDGFX組換えベクターおよび宿主細胞) 本発明の別の局面は、HDGFXタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグ
メント、アナログ、もしくはホモログをコードする核酸を含むベクター、好まし
くは発現ベクターに関する。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」は
、これが接続された別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。ベクターの1つの型
は「プラスミド」であり、これはさらなるDNAセグメントが連結し得る環状の
二本鎖DNAループをいう。ベクターの別の型はウイルス性ベクターであり、こ
こでさらなるDNAセグメントはこのウイルス性ゲノムに連結され得る。特定の
ベクターは宿主細胞中で自発的に複製し得、この中に導入される(例えば、細菌
の複製起源を有する細菌ベクターおよびエピソームの哺乳類ベクター)。他のベ
クター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入される際に
宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そしてこれによって宿主のゲノムと同調して複
製される。さらに、特定のベクターは、これが作動可能に連結される遺伝子の発
現を指向し得る。このようなベクターは、本明細書中で「発現ベクター」といわ
れる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラ
スミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は
、このプラスミドはベクターの最も一般的に使用される形態であるため、交換可
能に使用され得る。しかし、本発明は、ウイルス性ベクター(例えば、複製欠損
レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)のような発現ベク
ターのこのような他の形態を含むことを意図し、これは等価な機能を果たす。
【0155】 本発明の組換え発現ベクターは、本発明の核酸を、宿主細胞における核酸の発
現に適切な形態で含み、これはこの組換え発現ベクターが、発現のために使用さ
れる宿主細胞に基づいて選択される1つ以上の調節配列を含むこと意味し、これ
は発現される核酸配列に作動可能に連結される。組換え発現ベクターにおいて、
「作動可能に連結」は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を
可能にする(例えば、このベクターが宿主細胞に導入される場合、インビトロ転
写/翻訳系または宿主細胞において)ような様式で調節配列に連結されることを
意味することを意図する。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーお
よび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを
意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel、GENE EXP
RESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMO
LOGY 185、Academic Press、San Diego、Ca
lif.(1990)に記載されている。調節配列は、多くの型の宿主細胞にお
いてヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列、および特定の宿主細胞のみ
においてヌクレオチド配列の発現を指向する配列(例えば、組織特異的調節配列
)を含む。発現ベクターの設計が形質転換されるべき宿主細胞の選択、所望のタ
ンパク質の発現のレベルなどのような因子に依存し得ることは当業者に理解され
る。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それにより、本明細書に記
載されるような核酸によりコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパ
ク質または融合ペプチドを含む)(例えば、HDGFXタンパク質、HDGFX
タンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を生成し得る。
【0156】 本発明の組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞における、
HDGFX核酸の発現のために設計され得る。例えば、HDGFXは、細菌細胞
(例えば、Escherichia.coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス
発現ベクターを用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現され得る。
適切な宿主細胞は、Goeddel、GENE EXPRESSION TEC
HNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Ac
ademic Press、San Diego、Calif.(1990)に
おいてさらに考察される。あるいは、組換え発現ベクターは、例えば、T7プロ
モーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻
訳され得る。
【0157】 原核生物におけるタンパク質の発現は、最も頻繁には、融合タンパク質または
非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性
プロモーターを含むベクターを有するEscherichia.coliにおい
て実行される。融合ベクターは、そこにコードされるタンパク質に、通常、組換
えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。このような融合ベク
ターは、代表的には、以下の3つの目的のために役立つ:(1)組換えタンパク
質の発現を増加させること;(2)組換えタンパク質の溶解度を増加させること
;および(3)親和性精製においてリガンドとして作用することによって組換え
タンパク質の精製の際に補助すること。しばしば、融合発現ベクターにおいて、
タンパク質分解の切断部位が、融合部分の結合部に導入され、そして融合タンパ
ク質の精製の後に、組換えタンパク質が組換えタンパク質の融合部分から分離さ
れることを可能にする。このような酵素、およびその同族の認識配列は、第Xa
因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼを含む。代表的な融合発現ベクター
としては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合
タンパク質、またはプロテインAを、それぞれ、標的の組換えタンパク質に融合
するpGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith a
nd Johnson(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(
New England Biolabs,Beverly,Mass.)およ
びpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げ
られる。
【0158】 適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例としては、pTrc(Am
rannら(1988)Gene 69:301−315)およびpET 11
d(Studierら、GENE EXPRESSION TECHNOLOG
Y:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic
Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)が
挙げられる。
【0159】 E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大化するための1つのストラ
テジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力が損なわれた宿
主細菌中でタンパク質を発現させることである。例えば、Gottesman,
GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS I
N ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San
Diego,Calif.(1990)119−128を参照のこと。別のスト
ラテジーは、各アミノ酸についての個々のコドンが、E.coliにおいて優先
的に利用されるように、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変更するこ
とである(例えば、Wadaら(1992)Nucl.Acids Res.2
0:2111−2118を参照のこと)。本発明の核酸配列のこのような変更は
、標準的なDNA合成技術によって実行され得る。
【0160】 別の実施形態において、HDGFX発現ベクターは、酵母発現ベクターである
。酵母Saccharomyces.cerivisaeにおける発現のための
ベクターの例には、pYepSec1(Baldariら、(1987)EMB
O J 6:229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskow
itz、(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Sc
hultzら、(1987)Gene 54:113−123)、pYES2(
Invitrogen Corporation,San Diego,Cal
if.)、およびpicZ(InVitrogen Corp.,San Di
ego,Calif.)が挙げられる。
【0161】 あるいは、HDGFX核酸は、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆
虫細胞中で発現され得る。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でタン
パク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリー
ズ(Smithら(1983)Mol Cell Biol 3:2156−2
165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(198
9)Virology 170:31−39)が挙げられる。
【0162】 なお別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用し
て、哺乳動物細胞中で発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8
(Seed(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(
Kaufmanら(1987)EMBO J 6:187−195)が挙げられ
る。哺乳動物細胞中で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、
ウイルスの調節エレメントによって提供される。例えば、一般に使用されるプロ
モーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシ
ミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞の両方のため
の他の適切な発現系については、例えば、Sambrookら、MOLECUL
AR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、C
old Spring Harbor Laboratory,Cold Sp
ring Harbor Laboratory Press,Cold Sp
ring Harbor,N.Y.,1989の第16章および第17章を参照
のこと。
【0163】 別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型(例え
ば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現する)中で優先的に核酸の
発現を指向し得る。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適切
な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(
肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev 1:268−
277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(198
8)Adv Immunol 43:235−275)、特に、T細胞レセプタ
ープロモーター(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO
J 8:729−733)および免疫グロブリン(Banerjiら(198
3)Cell 33:729−740;QueenおよびBaltimore(
1983)Cell 33:741−748)のプロモーター、ニューロン特異
的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;Byrneおよ
びRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(19
85)Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモー
ター(例えば、ミルク乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号およ
び欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。発生的に調節されるプロモ
ーターもまた含まれる(例えば、マウスホックス(murine hox)プロ
モーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249
:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(Campesお
よびTilghman(1989)Genes Dev 3:537−546)
【0164】 本発明はさらに、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発
明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、そのDNA分
子は、HDGFX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(D
NA分子の転写によって)を可能にする様式で調節配列に作動可能に連結される
。種々の細胞型におけるアンチセンスRNA分子の連続的な発現を指向する、ア
ンチセンス方向でクローニングされた核酸に作動可能に連結される調節配列が選
択され得る。例えば、アンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発現、また
は細胞型特異的発現を指向する、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハ
ンサー、または調節配列が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換え
プラスミド、ファージミド、または弱毒化されたウイルスの形態であり得、ここ
ではアンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベ
クターが導入される細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用す
る遺伝子発現の調節の議論については、例えば、Weintraubら、「An
tisense RNA as a molecular tool for
genetic analysis」、Reviews−Trends in
Genetics、第1巻(1)1986を参照のこと。
【0165】 本発明の別の局面は、本発明の組換え発現ベクターが導入された宿主細胞に関
する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で、交換可能
に使用される。このような用語は、特定の対象の細胞をいうのみでなく、そのよ
うな細胞の子孫または潜在的な子孫をいうことが理解される。変異または環境的
影響のいずれかに起因して、特定の改変は次の世代において存在し得るので、こ
のような子孫は、実際、親の細胞と同一でないかもしれないが、なお、本明細書
中で使用されるような用語の範囲内に含まれる。
【0166】 宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、H
DGFXタンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母ま
たは哺乳動物細胞(例えば、ヒトチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)ま
たはCOS細胞)で発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である
【0167】 ベクターDNAは、従来的な形質転換またはトランスフェクション技術を介し
て原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場
合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例
えば、DNA)を宿主細胞中に導入するための当該分野で認識される種々の技術
をいうことを意図し、これらには、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈
殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、また
はエレクトロポレーションが含まれる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェ
クトするための適切な方法は、Sambrookら(MOLECULAR CL
ONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、Cold S
pring Harbor Laboratory,Cold Spring
Harbor Laboratory Press,Cold Spring
Harbor,N.Y.,1989)および他の実験室マニュアルに見出され得
る。
【0168】 哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションについては、使用される発現ベク
ターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞のほんの一部のみが外来
DNAをそのゲノム中に組み込み得ることが知られている。これらの要素を同定
および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコー
ドする遺伝子が、一般的には目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。種々
の選択マーカーには、薬物に対する耐性を付与するマーカー(例えば、G418
、ハイグロマイシン、およびメトトレキセート)が含まれる。選択マーカーをコ
ードする核酸は、増殖プロモーターをコードするベクターと同じベクター上で宿
主細胞に導入され得るか、あるいは別々のベクター上で導入され得る。導入され
た核酸とともに安定にトランスフェクトされる細胞は、薬物選択によって同定さ
れ得る(例えば、選択マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生存するが、他の細胞
は死滅する)。
【0169】 本発明の宿主細胞(例えば、培養中の原核生物宿主細胞および真核生物宿主細
胞)は、HDGFXタンパク質を産生(すなわち、発現)するために使用され得
る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して、HDGFXタンパ
ク質を産生するための方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、
HDGFXタンパク質が産生されるような適切な培地中で、本発明の宿主細胞(
ここに、HDGFXポリペプチドをコードする組換え発現ベクターが導入されて
いる)を培養する工程を包含する。別の実施形態において、この方法はさらに、
培地または宿主細胞からHDGFXを単離する工程を包含する。
【0170】 (トランスジェニック動物) 本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使
用され得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、HDGF
Xコード配列が導入される、受精した卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで
、このような宿主細胞は、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用
され得、ここで外因性のHDGFX配列は、それらのゲノムまたは相同組換え動
物(ここで内因性のHDGFX配列が変更されている)に導入される。このよう
な動物は、HDGFX配列の機能および/または活性を研究するため、およびH
DGFXの活性のモジュレーターを同定および/または評価するために有用であ
る。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」とは、非ヒト動
物、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは、ラットまたはマウスのような
齧歯動物であり、ここでこれらの動物の1つ以上の細胞は、導入遺伝子を含む。
トランスジェニック動物の他の例には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤ
ギ、ニワトリ、両生類などを含む。導入遺伝子は、細胞のゲノムに組み込まれ(
この細胞からトランスジェニック動物が発生する)、そして成熟動物のゲノムに
残存する外因性のDNAであり、それによって、このトランスジェニック動物の
1つ以上の細胞型または組織においてコード遺伝子産物の発現を指向する。本明
細書中で使用される場合、「相同組換え動物」とは、非ヒト動物であり、好まし
くは哺乳動物、より好ましくはマウスであり、ここで、内因性HDGFX遺伝子
は、この内因性の遺伝子と、動物の発生の前に動物の細胞(例えば、動物の胚細
胞)に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えによって、変更されてい
る。
【0171】 本発明のトランスジェニック動物は、HDGFXをコードする核酸を、(受精
した卵母細胞の雄性前核に導入することによって例えば、マイクロインジェクシ
ョン、レトロウイルス感染によって)、およびこの卵母細胞が偽妊娠雌性フォス
ター動物(foster animal)中で発生することを可能にすることに
よって作製され得る。配列番号1のヒトHDGFX DNA配列は、非ヒト動物
のゲノムに導入遺伝子として導入され得る。あるいは、ヒトHDGFX遺伝子の
非ヒトホモログ(例えば、マウスHDGFX遺伝子)は、ヒトHDGFX cD
NAに対するハイブリダイゼーションに基づいて単離され得(上述にさらに記載
される)、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリア
デニル化シグナルもまた導入遺伝子中に含まれ、その導入遺伝子の発現の効率を
増大させ得る。組織特異的調節配列(単数または複数)は、特定の細胞に対して
、HDGFXタンパク質の発現を指向するために、HDGFX導入遺伝子に作動
可能に連結される。胚の操作およびマイクロインジェクションを介するトランス
ジェニック動物(特に、マウスのような動物)を生成するための方法は、当該分
野で従来的になっており、そして例えば、米国特許第4,736,866号;同
第4,870,009号;および同第4,873,191号;ならびにHoga
n 1986、MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO
,Cold Spring Harbor Laboratory Press
,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載されている。同様の
方法は、他のトランスジェニック動物の作製のために使用される。トランスジェ
ニック初代動物は、そのゲノムにおけるHDGFX導入遺伝子の存在および/ま
たはその動物の組織または細胞中のHDGFX mRNAの発現に基づいて同定
され得る。次いで、トランスジェニック初代動物は、導入遺伝子を有するさらな
る動物を繁殖させるために使用され得る。さらに、HDGFXをコードする導入
遺伝子を有するトランスジェニック動物は、さらに、他の導入遺伝子を有する他
のトランスジェニック動物へと繁殖させ得る。
【0172】 相同組換え動物を作製するために、欠失、付加、または置換が導入されて、そ
れによってHDGFX遺伝子が変化(例えば、機能的に破壊)されている、少な
くとも、HDGFX遺伝子の一部を含むベクターを調製する。HDGFX遺伝子
は、ヒト遺伝子(例えば、配列番号1)であり得るが、より好ましくは、ヒトH
DGFX遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、配列番号1のヒトHDGFX
遺伝子のマウスホモログは、マウスゲノムにおいて内因性HDGFX遺伝子を変
更するのに適切な相同組換えベクターを構築するために使用され得る。1つの実
施形態において、そのベクターは、相同組換えに際して、内因性HDGFX遺伝
子が、機能的に破壊される(すなわち、機能的タンパク質をもはやコードしない
;「ノックアウト」ベクターともいわれる)ように設計される。
【0173】 あるいは、このベクターは、相同組換えの際に、内因性HDGFX遺伝子が変
異されるか、あるいはさもなければ、変更されるが、なお機能性タンパク質をコ
ードするように設計される(例えば、上流の調節領域を変更して、それによって
内因性HDGFXタンパク質の発現を変更し得る)。相同組換えベクターにおい
て、HDGFX遺伝子の変更された部分は、HDGFX遺伝子のさらなる核酸に
よって、その5’末端および3’末端で隣接され、相同組換えが、ベクターによ
って運ばれる外因性HDGFXタンパク質と胚幹細胞中の内因性HDGFXタン
パク質との間で起こることを可能にする。さらなる隣接するHDGFXタンパク
質核酸は、内因性遺伝子との首尾よい相同組換えに十分な長さである。代表的に
、数キロベースの隣接するDNA(5’末端および3’末端の両方)が、ベクタ
ーに含まれる。例えば、相同組換えベクターの記載について、Thomasら(
1987)Cell 51:503を参照のこと。このベクターは、胚幹細胞株
に導入され(例えば、エレクトロポレーションによって)、この導入されたHD
GFX遺伝子が、内因性HDGFXタンパク質遺伝子と相同組換えされた細胞が
、選択される(例えば、Liら(1992)Cell 69:915を参照のこ
と)。
【0174】 次いで、この選択された細胞を、動物(例えば、マウス)の胚盤胞へ注入して
、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley(1987)のTERATO
CARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS:
A PRACTICAL APPROACH、Robertson編、IRL、
Oxford 113頁〜152頁を参照のこと。次いで、キメラ胚を、適切な
偽妊娠雌性フォスター動物に移植し得、そしてこの胚を、一定期間置く。それら
の胚芽細胞中に相同組換えDNAを保有する子孫を使用して、動物を繁殖し得、
ここで、この動物の全ての細胞は、導入遺伝子の生殖系列伝達によって、この相
同組換えDNAを含む。相同的組換えベクターおよび相同的組換え動物を構築す
るための方法が、さらに以下に記載される;Bradley(1991)Cur
r.Opin.Biotechnol.2:823−829;PCT国際公開番
号:WO90/11354;WO91/01140;WO92/0968;およ
びWO93/04169。
【0175】 別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された
系を含む、非ヒトトランスジェニック動物が産生され得る。このような系の1つ
の例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。
cre/loxPリコンビナーゼ系の記載については、例えば、Laksoら、
1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−
6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyc
es cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gorma
nら、1991、Science 251:1351−1355を参照のこと)
。cre/loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節するために使用
される場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコード
する導入遺伝子を含む動物が、必要となる。このような動物は、例えば、2種の
トランスジェニック動物(一方は選択されたタンパク質をコードした導入遺伝子
を含み、他方はリコンビナーゼをコードした導入遺伝子を含む)を交配すること
による、「二重の」トランスジェニック動物の構築によって提供され得る。
【0176】 本明細書中に記載されるトランスジェニック非ヒト動物のクローンがまた、W
ilmutら、1997、Nature 385:810−813に記載される
方法に従って、産生され得る。簡単には、トランスジェニック動物由来の細胞(
例えば、体細胞)を、単離および誘導し、増殖サイクルから出し、そしてG0
に入らせ得る。次いで、この静止細胞を、例えば、電気パルスの使用により、静
止細胞が単離される同種動物由来の、摘出された卵母細胞へ融合し得る。次いで
、この再構築された卵母細胞を培養し、これにより、これは桑実胚または未分化
胚芽細胞に発達し、次いで、偽妊娠雌性フォスター動物に移される。この雌性フ
ォスター動物の産生子孫は、この細胞(例えば、体細胞)が単離される動物のク
ローンである。
【0177】 (薬学的組成物) 本発明のHDGFX核酸分子、HDGFXタンパク質、および抗HDGFX抗
体、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、アナログ、およびホモログは、本
明細書中で「活性化合物」といわれる。さらに、本発明のHDGFX核酸分子、
HDGFXタンパク質、および抗HDGFX抗体、ならびにそれらの誘導体、フ
ラグメント、アナログ、およびホモログに結合するか、またはHDGFX核酸分
子、HDGFXタンパク質、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、アナログ
、およびホモログに共通して起因する薬学的アゴニストまたはアンタゴニスト応
答を誘導するかのいずれかである特性を有する低分子量の化合物をまた、本明細
書中で「活性化合物」または「治療剤」と呼ぶ。これらの治療剤は、被験体への
投与に適した薬学的組成物に組み込まれ得る。このような組成物は、代表的に、
核酸分子、タンパク質または抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0178】 本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な
投与に適合した、任意および全ての溶媒、分散液、コーティング、抗菌剤および
抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤(delaying agent)などを含
むことが意図される。適切なキャリアは、当該分野における標準的な参考書であ
る、Remington’s Pharmaceutical Science
sの最新版(本明細書中で参考として援用される)に記載される。このようなキ
ャリアまたは賦形薬の好ましい例としては、水、生理食塩水、フィンガー溶液、
デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンを含むが、これらに限定さ
れない。リポソームおよび非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油)はまた、使用
され得る。薬学的に活性物質である、このような媒体および薬剤の使用は、当該
分野で周知である。この活性化合物と不適合性である任意の従来の媒体または薬
剤の範囲を除いて、組成物におけるその使用は、意図される。補足的な活性化合
物はまた、この組成物に組み込まれ得る。
【0179】 本発明の薬学的組成物は、その意図される投与の経路と適合可能に処方される
。投与経路の例としては、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)、経口(例え
ば、吸入)、経皮的(すなわち、局所的)、粘膜を越えて、および直腸投与が挙
げられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液
としては、以下の成分が挙げられ得る:滅菌賦形薬(注射のための水、生理食塩
水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコ
ールまたは他の合成溶媒);抗菌性剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチ
ルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウム)
;キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));緩衝液(例え
ば、アセテート、シトラートまたはホスフェート);および張度の調整のための
薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。pHは、酸または塩基
(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)を用いて調整され得る。非経口調製物
は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量
バイアルに封入され得る。
【0180】 注射使用に適した薬学的組成物は、滅菌の水溶液(ここで、水溶性)または分
散液および滅菌注射可能な溶液または分散液の即席調製のための滅菌粉末を含む
。静脈内投与について、適切なキャリアには、生理食塩水、静菌性水、Crem
ophor ELTM(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン
酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は
、滅菌性であるべきであり、そして容易な注入性(syringeabilit
y)が存在する程度に流動的であるべきである。これは、製造および保存の条件
下で安定でなければならず、そして、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に
対して維持されるべきである。このキャリアは、例えば、以下を含む溶媒または
分散媒体であり得る:例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロ
ール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならび
にそれらの適切な混合物。適切な流動性が、例えば、レシチンなどのコーティン
グの使用によって、分散に関しては、要求される粒子サイズを維持することによ
って、および界面活性剤を使用することによって維持され得る。微生物の作用の
予防は、種々の抗菌および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フ
ェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの
場合、組成物中に等張剤(例えば、糖、マンニトール(manitol)、ソル
ビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注射
可能組成物の長期の吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、アルミニウムモノス
テアレートおよびゼラチン)を組成物に含ませることによってもたらされ得る。
【0181】 滅菌注射可能溶液は、必要量のこの活性化合物(例えば、HDGFXタンパク
質あるいは抗HDGFX抗体)を、適切な溶媒中に、上記で列挙される成分の1
つまたは組み合わせと共に組み込み、必要な場合、続いて濾過滅菌することによ
って調製され得る。一般的に、分散液は、活性化合物を、基本分散媒体および上
記で列挙される成分から必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクル中へ組み込む
ことによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合にお
いて、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、活性成分およ
び予め滅菌濾過されたその溶液からの任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0182】 経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは
、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へ圧縮され得る。経口治療投
与の目的のために、この活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、そして錠
剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物はまた、
マウスウォッシュ(mouthwash)としての使用のために流体キャリアを
使用して調製され得、ここで、この流体キャリア中のこの化合物は、経口的に適
用され、そして素早く動かされ(スイッシュ)(swish)、そして吐き出さ
れるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュ
バント材料が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、
トローチ剤などが、以下のいずれかの成分または同様の性質を有する化合物を含
み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン)
;賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸
)、Primogel、またはコーンスターチ;滑沢剤(例えば、ステアリン酸
マグネシウムまたはSterotes);グライダント(glidant)(例
えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリ
ン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレ
ンジフレーバー)。
【0183】 吸入による投与について、この化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素
のような気体)を含む圧縮容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器から、エ
アロゾルスプレーの形態で送達される。
【0184】 全身的投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または
経皮投与について、浸透されるバリアに対して適切な浸透剤が、処方において使
用される。このような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして、例
えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体
が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤によって達成され得る。経
皮投与については、この活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤、
軟膏、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。
【0185】 この化合物はまた、直腸送達のための坐剤の使用(例えば、ココアバターおよ
び他のグリセリドのような従来の坐剤ベースと共に)または保持浣腸の形態で調
製され得る。
【0186】 1つの実施形態において、この活性化合物は、身体からの迅速な排出に対して
この化合物を保護するキャリアを用いて調製され(例えば、制御放出処方物)、
これには、移植片およびマイクロカプセル化された送達系が挙げられる。酢酸エ
チレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステ
ル、およびポリ乳酸のような、生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。
このような処方物の調製のための方法は、当該業者には明らかである。これらの
材料はまた、Alza Corporation and Nova Phar
maceuticals,Inc.から商業的に入手可能である。リポソーム懸
濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を含む、感染させた細胞へ標的
化されるリポソームを含む)がまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用さ
れ得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるよう
な、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0187】 徐放性調製物は、調製され得る。徐放性調製物の適切な例としては、抗体を含
有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックス
は、成形された粒子(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態である
。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ
(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール))
、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸のコポ
リマーおよびエチル−L−グルタメート、非分解性エチレン−ビニルアセテート
、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー(例えば、LUPRON DEPOTTM (乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注入可能
なミクロスフェア)、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げら
れる。エチレン−ビニルアセテートおよび乳酸−グリコール酸のようなポリマー
は、100日を超えて分子の放出を可能にする一方で、特定のヒドロゲルは、よ
り短い期間でタンパク質を放出する。
【0188】 投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で、経口組成物ま
たは非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される投
薬単位形態は、処置される被験体のための単位投薬量として適切な、物理的に個
々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連して、所望の治
療的効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単
位形態についての詳細は、この活性化合物の固有の特性、および達成される特定
の治療効果、ならびに個体の処置のためのこのような活性化合物を調合する当該
分野に固有の制限によって決定されるか、あるいはこれらに直接依存する。
【0189】 本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとし
て使用され得る。遺伝子治療ベクターは、被験体へ、任意の複数の経路(例えば
、米国特許第5,703,055号に記載される)に送達され得る。従って、送
達は、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照
のこと)または定位注射(例えば、Chenら(1994)Proc.Natl
.Sci.USA.91:3054−3057を参照のこと)が挙げられる。遺
伝子治療ベクターの薬学的調製物には、受容可能な希釈剤中の遺伝子治療ベクタ
ーが挙げられ得、または遺伝子送達ビヒクルが組み込まれる徐放性マトリックス
を含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが、組換え細胞からインタク
トで産生され得(例えば、レトロウイルスベクター)、この薬学的調製物は、遺
伝子送達系を産生する1以上の細胞を含み得る。
【0190】 薬学的組成物は、投与のための使用説明書をとともに、キット(例えば、容器
、包装、またはディスペンサー)に含まれ得る。
【0191】 ヒトの疾患に関与する症候群を処置するための薬剤の製造において、治療に使
用することはまた、本発明の範囲内であり、この疾患は、HDGFX関連障害か
ら選択され、ここで、この治療は、HDGFXポリペプチド、HDGFX核酸、
および抗HDGFX抗体からなる群から選択される。
【0192】 (本発明のさらなる使用および方法) 種々のHDGFXファミリメンバーは、新脈管形成、精子形成、平滑筋増殖お
よびニューロンの発達を含む。従って、このことは、これらの機能に関連する疾
患を処置または診断する際にHDGFXの役割を示唆する。例えば、種々のHD
GFX癌、冠動脈疾患、関節炎、糖尿病網膜症、不妊症および種々の神経学的疾
患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症および精
神医学的疾患)。
【0193】 腫瘍形成においてHDGFXの潜在的役割は、以下を含み得る:腫瘍の増殖の
自己分泌刺激作用、ホルモンの独立、新脈管形成、転移の進行、化学療法抵抗性
、放射線抵抗性、第2組織部位微小環境に限定された栄養性因子での生存、なら
びに腫瘍細胞マトリクスの分解よび腫瘍細胞の転移(すなわち、腫瘍浸襲)の刺
激作用。
【0194】 本明細書中で記載される核酸分子、タンパク質、タンパク質相同体、および抗
体が、以下の1つ以上の方法において使用され得る:(a)スクリーニングアッ
セイ;(b)検出アッセイ(例えば、染色体マッピング、組織タイピング、法医
学生物学);(c)予測医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、臨床試験
モニタリング、および薬理ゲノミックス);ならびに(d)処置の方法(例えば
、治療および予防)。
【0195】 本発明の単離された核酸分子は、以下にさらに説明されるように、HDGFX
タンパク質(例えば、遺伝子治療用途における宿主細胞中の組換え発現ベクター
)を発現するため、HDGFX mRNA(例えば、生物学的サンプルにおいて
)またはHDGFX遺伝子における遺伝子損傷を検出するため、ならびにHDG
FX活性を調節するために使用され得る。さらに、HDGFXタンパク質は、H
DGFX活性または発現を調節する薬物または化合物をスクリーニングするため
に、ならびにHDGFXタンパク質の不十分なもしくは過剰な産生によって、あ
るいはHDGFX野生型タンパク質と比較して減少したもしくは異常な活性を有
するHDGFXタンパク質形態の産生によって特徴付けられる障害(例えば、増
殖障害または分化障害)を処置するために使用され得る。さらに、本発明の抗H
DGFX抗体が、HDGFXタンパク質を検出して単離するため、およびHDG
FX活性を調節するために使用され得る。
【0196】 本発明は、さらに、上述のスクリーニングアッセイによって同定される新規の
薬剤、および本明細書中で記載されるような処置のためのそれらの使用に関する
【0197】 (スクリーニングアッセイ) 本発明は、調節因子、すなわち、HDGFXタンパク質に結合するか、あるい
は例えば、HDGFX発現またはHDGFX活性に対して刺激効果または阻害効
果を有する、候補物または試験化合物もしくは試験薬剤(例えば、タンパク質、
ポリペプチド、核酸またはポリヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物、低分
子(アゴニストもしくはアンタゴニスト)または他の薬物)を同定するための方
法(本明細書中において「スクリーニングアッセイ」とも称される)を提供する
。HDGFXポリペプチドに結合し得る候補物または試験化合物もしくは試験薬
剤は、以下の分子量を有する:約50Da、100Da、150Da、300D
a、330Da、350Da、400Da、500Da、750Da、1000
Da、1250Da、1500Da、1750Da、2000Da、5000D
a、10,000Da、25,000Da、50,000Da、75,000D
a、100,000Daまたは100,000Da以上。特定の実施形態におい
て、HDGFXポリペプチドと結合する候補物は、約1500Da未満の分子量
を有する。
【0198】 機能的アッセイの詳細は、本明細書中で以下にさらに提供される。記載される
アッセイのいずれか、および薬理学、血液学、内科学、腫瘍学などの当業者に公
知のさらなるアッセイは、治療剤としてそれらの特性について候補物をスクリー
ニングするために使用され得る。記載されるが、本発明の治療剤は、タンパク質
、ポリペプチド、核酸またはポリヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物、低
分子(アゴニストもしくはアンタゴニストを含む)または本明細書中に記載され
る他の薬物を含む。
【0199】 1つの実施形態において、本発明は、HDGFXのタンパク質またはポリペプ
チド、あるいはその生物学的に活性な部分の膜結合形態に結合するか、またはそ
れら膜結合形態の活性を調節する、候補化合物もしくは試験化合物をスクリーニ
ングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、当該分野において
公知のコンビナトリアルライブラリー法における任意の多数のアプローチを使用
して得られ得、これらのライブラリーには、以下が挙げられる:生物学的ライブ
ラリー;空間的にアクセス可能な平行固相もしくは溶液相ライブラリー;逆重畳
を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびア
フィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法。生物学的
ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのア
プローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーもしくは化合物の低分子ライブラ
リーに適用可能である(Lam(1997)Anticancer Drug
Design 12:145)。
【0200】 分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において、例えば以下
に見出され得る:DeWittら(1993)Proc Natl Acad
Sci U.S.A.90:6909;Erbら(1994)Proc Nat
l Acad Sci U.S.A.91:11422;Zuckermann
ら(1994)J Med Chem 37:2678;Choら(1993)
Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew
Chem Int Ed Engl 33:2059;Carellら(19
94)Angew Chem Int Ed Engl 33:2061;およ
びGallopら(1994)J Med Chem 37:1233。
【0201】 化合物のライブラリーは、溶液中で(例えば、Houghten(1992)
Biotechniques 13:412〜421)、あるいはビーズ上(L
am(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor
(1993)Nature 364:555〜556)、細菌(Ladner
米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner 米国特許第5,23
3,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Proc Natl A
cad Sci USA 89:1865〜1869)またはファージ上(Sc
ottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390
;Devlin(1990)Science 249:404〜406;Cwi
rlaら(1990)Proc Natl Acad Sci U.S.A.8
7:6378〜6382;Felici(1991)J Mol Biol 2
22:301〜310;Ladner(上述))において示され得る。
【0202】 1つの実施形態において、アッセイは細胞ベースのアッセイであり、ここで、
膜結合形態のHDGFXタンパク質、またはその生物学的に活性な部分を細胞表
面上に発現する細胞が、試験化合物と接触され、そしてこの試験化合物が、HD
GFXタンパク質に結合する能力が、決定される。例えば、細胞は、哺乳動物起
源または酵母細胞であり得る。この試験化合物がHDGFXタンパク質に結合す
る能力の決定は、例えば、その試験化合物を放射性同位体標識または酵素標識と
カップリングさせて、その結果、この試験化合物のHDGFXタンパク質または
その生物学的に活性な部分に対する結合が、複合体におけるその標識化合物を検
出することによって決定され得ることによって達成され得る。例えば、試験化合
物は、125I、35S、14C、または3Hで直接的または間接的のいずれかで標識さ
れ得、そしてその放射性同位体が、放射線放射の直接の計数により、またはシン
チレーション計数により、検出され得る。あるいは、試験化合物は、例えば、西
洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで
酵素的に標識され得、そしてこの酵素的標識が、適切な基質の生成物への転換を
決定することにより、検出され得る。1つの実施形態において、このアッセイは
、膜結合形態のHDGFXタンパク質、またはその生物学的に活性な部分をその
細胞表面上に発現する細胞を、HDGFXと結合する公知の化合物と接触させて
、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物に試験化合物を接触させ
る工程、ならびにこの試験化合物がHDGFXタンパク質と相互作用する能力を
決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がHDGFXタンパク質と相互
作用する能力を決定する工程が、この試験化合物が、公知の化合物と比較して、
HDGFXまたはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を決定する
工程を包含する。
【0203】 別の実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、これは、
膜結合形態のHDGFXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面
上で発現する細胞を、試験化合物と接触させる工程、ならびにこの試験化合物が
、HDGFXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば
、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物が、H
DGFXポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する能力の
決定は、例えば、HDGFXタンパク質が、HDGFX標的分子に結合またはこ
れら標的分子と相互作用する能力を決定することによって、達成され得る。本明
細書中において使用する場合には、「標的分子」とは、HDGFXタンパク質が
自然に結合または相互作用する分子であり、例えば、HDGFXタンパク質を発
現する細胞表面上の分子、第二の細胞表面上の分子、細胞外環境中の分子、細胞
膜の内部表面と会合する分子、または細胞質分子である。HDGFX標的分子は
、非HDGFX分子あるいは本発明のHDGFXタンパク質またはポリペプチド
である。1つの実施形態において、HDGFX標的分子は、シグナル伝達経路の
構成要素であり、これは、細胞膜を通って細胞内への細胞外シグナル(例えば、
化合物が膜結合HDGFX分子に結合することにより発生するシグナル)の伝達
を促進する。その標的は、例えば、触媒活性を有する第二の細胞内タンパク質、
または下流シグナル分子のHDGFXポリペプチドとの会合を容易にするタンパ
ク質であり得る。
【0204】 HDGFXタンパク質がHDGFX標的分子に結合するかまたはその標的分子
と相互作用する能力の決定は、直接的結合を決定するための上記方法の1つによ
り、達成され得る。1つの実施形態において、HDGFXタンパク質がHDGF
X標的分子に結合するかまたはその標的分子と相互作用する能力の決定は、その
標的分子の活性を決定することにより、達成され得る。例えば、この標的分子の
活性は、その標的の細胞セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジ
アシルグリセロール、IP3など)の誘導を検出すること、適切な基質への標的
の触媒活性/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー
(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動的に連結されたHDGFX
応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出すること、または細胞応答(例えば
、細胞生存度、細胞分化、または細胞増殖)を検出することにより、決定され得
る。
【0205】 なお別の実施形態において、本発明のアッセイは、無細胞アッセイであり、H
DGFXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に試験化合物を接触させる
工程、ならびにその試験化合物がHDGFXタンパク質またはその生物学的に活
性な部分と結合する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物のHDGF
Xタンパク質への結合は、上記のように、直接的または間接的にかのいずれかで
決定され得る。1つの実施形態において、このアッセイは、HDGFXタンパク
質またはその生物学的に活性な部分に、HDGFXに結合する公知の化合物を接
触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物に試験化合物を
接触させる工程、ならびにその試験化合物がHDGFXタンパク質と相互作用す
る能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がHDGFXタンパク
質と相互作用する能力を決定する工程は、この試験化合物が、公知の化合物と比
較して、HDGFXまたはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を
決定する工程を包含する。
【0206】 別の実施形態において、アッセイは、無細胞アッセイであり、HDGFXタン
パク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させる工程、ならび
にその試験化合物がHDGFXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活
性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この
試験化合物がHDGFXポリペプチドの活性を調節する能力の決定は、例えば、
HDGFXタンパク質が、HDGFX標的分子に結合する能力を、直接的結合の
決定のための上記方法の1つによって決定することにより、達成され得る。代替
の実施形態において、この試験化合物がHDGFXポリペプチドの活性を調節す
る能力の決定は、HDGFXタンパク質が、HDGFX標的分子をさらに調節す
る能力を決定することにより、達成され得る。例えば、この標的分子の適切な基
質に対する触媒活性/酵素活性は、上に記載のように決定され得る。
【0207】 なお別の実施形態において、無細胞アッセイは、HDGFXタンパク質または
その生物学的に活性な部分に、HDGFXポリペプチドに結合する公知の化合物
を接触させてアッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物
と接触させる工程、およびこの試験化合物がHDGFXタンパク質と相互作用す
る能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がHDGFXタンパク
質と相互作用する能力の決定は、HDGFXタンパク質が、HDGFX標的分子
と優先的に結合するか、またはその標的分子の活性を優先的に調節する能力を決
定する工程を包含する。
【0208】 本発明の無細胞アッセイは、HDGFXポリペプチドの可溶性形態または膜結
合形態の両方の使用に受け入れられる。膜結合形態のHDGFXポリペプチドを
含む無細胞アッセイの場合には、膜結合形態のHDGFXポリペプチドが溶液中
に維持されるように、可溶化剤を利用することが望ましくあり得る。このような
可溶化剤の例には、非イオン性界面活性剤が挙げられ、例えば、n−オクチルグ
ルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−
N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登
録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登
録商標)、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)n(Isotr
idecypoly(ethylene glycol ether)n)、N
−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、
3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート
(3−(3−cholamidopropyl)dimethylammini
ol−1−propane sulfonate)(CHAPS)、または3−
(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパン
スルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethyl
amminiol−2−hydroxy−1−propane sulfona
te)(CHAPSO)である。
【0209】 HDGFXポリペプチドまたはその標的分子のいずれかを固定して、そのタン
パク質の一方または両方の非複合体化形態からの複合体化形態の分離を促進し、
そしてそのアッセイの自動化に適用させることが、望ましくあり得る。試験化合
物のHDGFXポリペプチドへの結合、または候補化合物の存在下および非存在
下でのHDGFXポリペプチドの標的分子との相互作用は、これらの反応物を収
容するために適切な任意の容器内で、達成され得る。このような容器の例には、
マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。1つの実
施形態において、そのタンパク質の一方または両方がマトリックスに結合するこ
とを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、提供され得る。例えば、
GST−HDGFXポリペプチド融合タンパク質またはGST標的融合タンパク
質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St
.Louis、MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上
に吸着され得、次いで、これらは、試験化合物と合わせられるか、あるいは試験
化合物および非吸着の標的タンパク質またはHDGFXタンパク質のいずれかと
合わせられ、そしてこの混合物が、複合体形成に貢献する条件下(例えば、塩お
よびpHに関して生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーション
に続いて、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、結合して
いないあらゆる成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定し、例えば
、上記のように、複合体を直接的または間接的のいずれかで決定する。あるいは
、複合体がマトリックスから解離され得、そしてHDGFXの結合レベルまたは
活性レベルを、標準的な技術を使用して決定し得る。
【0210】 タンパク質をマトリックス上に固定するための他の技術もまた、本発明のスク
リーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、HDGFXポリペプチドま
たはその標的分子のいずれかが、ビオチンとストレプトアビジンとの結合体化を
利用して固定され得る。ビオチン化されたHDGFXタンパク質または標的分子
は、当該分野において周知の技術を使用して、ビオチンNHS(N−ヒドロキシ
スクシンイミド)から調製され得(例えば、ビオチン化キット、Pierce
Chemicals、Rockford、Ill.)、そしてストレプトアビジ
ン被覆した96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェル
に固定され得る。あるいは、HDGFXタンパク質または標的分子と反応性であ
るが、HDGFXタンパク質のその標的分子への結合を妨害しない抗体が、その
プレートのウェルに誘導体化され得、そして結合していない標的またはHDGF
Xタンパク質が、抗体の結合体化によってウェル内にトラップされ得る。このよ
うな複合体を検出するための方法には、GST固定複合体に関しての上記のもの
に加えて、HDGFXタンパク質または標的分子と反応性の抗体を使用する複合
体の免疫検出、ならびにHDGFXタンパク質または標的分子に関する酵素活性
の検出に依存する酵素結合アッセイが挙げられる。
【0211】 別の実施形態において、HDGFXの発現のモジュレーターは、細胞が候補化
合物と接触され、そして細胞中におけるHDGFXのmRNAまたはタンパク質
の発現が決定される方法で同定される。候補化合物の存在下での、HDGFXの
mRNAまたはタンパク質の発現のレベルは、候補化合物不在下でのHDGFX
のmRNAまたはタンパク質の発現のレベルと比較される。次いで、候補化合物
は、この比較に基づいて、HDGFXの発現のモジュレーターとして同定され得
る。例えば、HDGFXのmRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の存
在下で、その候補化合物が不在下よりも大きい(統計的に有意に大きい)場合、
この候補化合物は、HDGFXのmRNAまたはタンパク質の発現の刺激因子と
して同定される。あるいは、HDGFXのmRNAまたはタンパク質の発現が、
候補化合物の存在下でその候補化合物の不在下よりも小さい(統計的に有意に小
さい)場合、この候補化合物は、HDGFXのmRNAまたはタンパク質の発現
のインヒビターとして同定される。細胞中におけるHDGFXのmRNAまたは
タンパク質の発現のレベルは、HDGFXのmRNAまたはタンパク質を検出す
るための本明細書中に記載される方法によって決定され得る。
【0212】 本発明のなお別の局面において、HDGFXタンパク質は、ツーハイブリッド
アッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおける「ベイト(bait)タン
パク質」として使用され得(例えば、米国特許第5,283,317号;Zer
vosら、(1993)Cell 72:223−232;Maduraら、(
1993)J Biol Chem 268:12046−12054;Bar
telら、(1993)Biotechniques 14:920−924;
Iwabuchiら、(1993)Oncogene 8:1693−1696
;およびBrent WO94/10300を参照のこと)、HDGFXと結合
するかまたは相互作用するタンパク質(「HDGFX結合タンパク質」または「
HDGFX−bp」)、ならびにHDGFXの活性を調節する他のタンパク質を
同定する。このようなHDGFX結合タンパク質はまた、例えば、HDGFX経
路の上流または下流のエレメントとして、HDGFXタンパク質によるシグナル
の伝播に関与するようである。
【0213】 ツーハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ド
メインからなる、大部分の転写因子の調節(modular)性質に基づく。手
短には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を使用する。1つの構築物
において、HDGFXをコードする遺伝子は、公知の転写因子(例えば、GAL
−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。他方の構築物に
おいて、DNA配列のライブラリー由来の、未同定タンパク質(「プレイ(pr
ey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列は、公知の転写因子の活
性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベイト」および「プレイ」タ
ンパク質がインビボで相互作用し得る場合、HDGFX依存複合体を形成して、
転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインが、密接に近接される。こ
の近接は、転写因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結されるレポーター
遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能にする。レポーター遺伝子の発現が検
出され得、そしてこの機能性転写因子を含む細胞コロニーを単離および使用して
、HDGFXと相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を獲得し
得る。
【0214】 スクリーニングはまた、インビボで実施され得る。例えば、1つの実施形態に
おいて、本発明は、試験化合物をHDGFX関連障害の危険性が増加した試験動
物に投与することによる、HDGCX関連障害の活性または潜伏もしくは素因の
モジュレーターをスクリーニングするための方法を含む。いくつかの実施形態に
おいて、試験動物は、HDGCXポリペプチドを組換え的に発現する。化合物の
投与後の試験動物におけるこのポリペプチドの活性が測定され、そして試験動物
におけるこのタンパク質の活性が、このポリペプチドを投与されなかったコント
ロール動物におけるこのポリペプチドの活性と比較される。コントロール動物に
対するこの試験動物におけるこのポリペプチドの活性の変化は、この試験化合物
が、HDGFX関連障害の潜伏または素因のモジュレーターであることを示す。
【0215】 いくつかの実施形態において、試験動物は、試験タンパク質導入遺伝子を発現
するか、または野生型試験動物と比較して増加したレベルでプロモーターの制御
下で導入遺伝子を発現する、組換え試験動物である。好ましくは、プロモーター
は、導入遺伝子のネイティブな遺伝子プロモーターではない。
【0216】 本発明は、さらに、上記スクリーニングアッセイによって同定される新規試薬
および本明細書中に記載される処置のためのこれらの使用に関する。
【0217】 (検出アッセイ) 本明細書中で同定されるcDNA配列の部分またはフラグメント(および対応
する完全遺伝子配列)は、ポリヌクレオチド試薬として多くの方法で使用され得
る。例えば、これらの配列は、(i)それぞれの遺伝子を染色体上にマッピング
し;それによって遺伝病に関連する遺伝子領域を位置決めする;(ii)微小な
生物学的サンプルから個体を同定する(組織型決定);そして(iii)生物学
的サンプルの法医学的同定における補助のために使用され得る。
【0218】 本発明のHDGFX配列はまた、わずかな生物学的サンプルから個体を識別す
るために使用され得る。この技術において、個体のゲノムDNAは、1つ以上の
制限酵素で消化され、そして同定のために独特のバンドを生成するためにサザン
ブロット上でプローブされる。本発明の配列は、RFLP(米国特許第5,27
2,057号に記載の「制限フラグメント長多型」)のためのさらなるDNAマ
ーカーとして有用である。
【0219】 さらに、本発明の配列を用いて、個体のゲノムの選択された部分について実際
の塩基ごとにDNA配列を決定する代替的技術を提供し得る。従って、本明細書
中に記載のHDGFX配列を用いて、配列の5’末端および3’末端から2つの
PCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを使用して、個体
のDNAを増幅し得、引き続いて、配列決定し得る。
【0220】 このように調製された個体由来の対応するDNA配列のパネルは、各個体が、
対立遺伝子差異に起因するこのようなDNA配列の独特のセットを有するので、
唯一の個体識別を提供し得る。本発明の配列は、個体由来および組織由来の配列
のこのような識別を得るために使用され得る。本発明のHDGFX配列は、ヒト
ゲノムの部分を独特に表す。対立遺伝子変異は、これらの配列のコード領域にお
いてある程度生じ、そして非コード領域においてより大きな程度に生じる。個々
のヒト間での対立遺伝子変異は、各500塩基につき約1回の頻度で生じると見
積もられる。対立遺伝子変異の多くは、制限フラグメント長多型(RFLP)を
含む単一ヌクレオチド多型(SNP)に起因する。
【0221】 本明細書中で記載の配列の各々は、ある程度、標準物質(これに対して個体か
らのDNAが識別の目的で比較され得る)として使用され得る。より多くの多型
が非コード領域で生じるので、個体を区別するために、それほど多くの配列が必
要であるわけではない。配列番号1の非コード配列は、上記のように、おそらく
10〜1,000プライマーのパネルを用いてポジティブな個体識別を不自由な
く提供し得る。これらのプライマーは、各々が100塩基の増幅された非コード
配列を生じる。推定コード配列が使用される場合、ポジティブな個体識別に関す
るプライマーのより適切な数は、500〜2,000である。
【0222】 (法医学的生物学におけるHDGFX配列の使用) HDGFXの核酸配列またはポリペプチド配列に基づく、DNAに基づく識別
技術はまた、法医学的生物学において使用され得る。法医学的生物学は、例えば
、犯罪者をポジティブに識別するための手段として、犯罪現場で見いだされた生
物学的証拠の遺伝子型決定を利用する科学分野である。このような識別を行うた
めに、PCR技術を用いて非常に少量の生物学的サンプル(例えば、犯罪現場で
見いだされた毛髪もしくは皮膚のような組織、または血液、唾液もしくは精液の
ような体液)から得られたDNA配列を増幅し得る。次いで、増幅された配列は
標準物質と比較され、それによって、生物学的サンプルの起源の識別を可能にし
得る。
【0223】 本発明の配列を使用して、ヒトゲノムにおける特定の遺伝子座に標的化される
ポリヌクレオチド試薬(例えば、PCRプライマー)を提供し得る。このPCR
プライマーは、例えば、別の「識別マーカー」(すなわち、特定の個体に独特な
別のDNA配列)を提供することにより、DNAベースの法医学的識別の信頼性
を増大し得る。上記のように、実際の塩基配列情報は、制限酵素で生成したフラ
グメントにより形成されるパターンに対する正確な代替手段として識別のために
使用され得る。配列番号1の非コード領域に標的化される配列は、より多くの多
型が非コード領域に生じ、このことにより、この技術を使用して個体を区別する
ことがより容易になるので、この用途のために特に適切である。ポリヌクレオチ
ド試薬の例としては、HDGFX配列またはその部分(例えば、配列番号1の非
コード領域に由来するフラグメント)が挙げられ、この部分は、少なくとも20
塩基、好ましくは少なくとも30塩基の長さを有する。
【0224】 本明細書中に記載のHDGFX配列は、ポリヌクレオチド試薬(例えば、イン
サイチュハイブリダイゼーション技術において使用され得る標識プローブまたは
標識可能プローブ)を提供して、特定の組織(例えば、脳組織など)を同定する
ためにさらに使用され得る。これは、法医学的病理学者に未知の起源の組織が提
示された場合に非常に有用であり得る。このようなHDGFXプローブのパネル
を使用して、種により、および/または起源の型により組織を同定し得る。
【0225】 類似の様式で、これらの試薬(例えば、HDGFXプライマーまたはプローブ
)を用いて、組織培養物を夾雑物質についてスクリーニングし得る(すなわち、
培養物中の異なる型の細胞の混在についてのスクリーニング)。
【0226】 (予測医療) 本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノム学(pharmac
ogenomics)およびモニタリング臨床試験が、予後(予測)の目的に使
用され、これによって個体を予防的に処置する、予測医療の分野に関する。従っ
て、本発明の1つの局面は、HDGFXタンパク質および/または核酸の発現、
ならびにHDGFXの活性を、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、細胞、
組織)の関連で決定し、これによって、個体が、異常なHDGFXの発現または
活性に関連する疾患または障害に罹患するかどうか、あるいは障害を発症するリ
スクがあるかどうかを決定するするための診断アッセイに関する。本発明はまた
、個体が、HDGFXのタンパク質、核酸の発現または活性と関連した障害を発
症するリスクがあるかどうかを決定するための予後的(または予測的)アッセイ
を提供する。例えば、HDGFXの遺伝子における変異が、生物学的サンプルに
おいてアッセイされ得る。このようなアッセイは、予後的または予測的な目的に
使用され得、これによってHDGFXのタンパク質、核酸の発現または活性によ
って特徴付けられるかまたは関連した障害の発病の前に個体を予防的に処置する
【0227】 本発明の別の局面は、個体におけるHDGFXのタンパク質、核酸の発現ある
いはHDGFXの活性を決定するための方法を提供し、これによって、その個体
についての適切な治療的または予防的薬剤(本明細書において「薬理ゲノム学」
とよばれる)を選択する。薬理ゲノム学は、個体の遺伝型(例えば、特定の薬剤
に対して応答する個体の能力を決定するために試験された個体の遺伝型)に基づ
いて個体の治療的または予防的処置のための薬剤(例えば、薬物)の選択を可能
にする。
【0228】 本発明のなお別の局面は、臨床試験におけるHDGFXの発現または活性に対
する薬剤(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングすることに関する。
【0229】 これらおよび他の薬剤は、以下の節でさらに詳細に記載される。
【0230】 (診断アッセイ) 細胞の増殖が役割を果たす他の状態としては、腫瘍、再狭窄、乾癬、デュプュ
イトラン拘縮、糖尿病合併症、カポージ肉腫および慢性関節リウマチが挙げられ
る。
【0231】 HDGFXポリペプチドを使用して、サンプルまたは組織と相互作用するポリ
ペプチドを同定し得る。この方法は、サンプルまたは組織をHDGFXと接触さ
せる工程、HDGFXポリペプチドと、相互作用するポリペプチドとの間で複合
体を形成させる工程、および存在する場合には、この複合体を検出する工程を包
含する。
【0232】 本発明のタンパク質を使用して、このタンパク質を特異的に結合する抗体の産
生を刺激し得る。このような抗体は、サンプル中のタンパク質の発生を検出する
ための免疫診断手順において、使用され得る。本発明のタンパク質を使用して、
細胞の増殖が好ましい状態において、細胞の増殖(growth)および細胞の
増殖(proliferation)を刺激し得る。一例は、例えば、造血およ
び血小板形成、胃腸管の管壁、ならびに毛包に対する化学療法剤の毒性副作用を
阻害することである。これらはまた、例えばアルツハイマー病を含む神経学的障
害における、新たな細胞増殖を刺激するために使用され得る。あるいは、拮抗処
置剤が投与され得、ここで、本発明のHDGFX様タンパク質を特異的に結合す
る抗体が、このタンパク質の特異的増殖誘導効果を阻止する。このような抗体は
、例えば、種々の腫瘍および良性過形成を含む増殖性障害の処置において、有用
であり得る。
【0233】 配列番号1のHDGFX核酸のいずれかの一部分に対応するポリヌクレオチド
またはオリゴヌクレオチドを使用して、対応するORF遺伝子を含むDNAを検
出し得るか、または対応するHDGFX遺伝子もしくはHDGFX様遺伝子の発
現を検出し得る。例えば、表3に見られるように、特定の細胞または組織におい
て発現されるHDGFX核酸を使用して、その特定の細胞型の存在を同定し得る
【0234】 生物学的サンプルにおけるHDGFXポリペプチドの存在または非存在を検出
するための例示的な方法は、試験被験体から生物学的サンプルを得る工程、およ
びその生物学的サンプルをHDGFXタンパク質またはHDGFXタンパク質を
コードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出し得る化合物もしく
は薬剤とを接触させ、その結果、HDGFXポリペプチドの存在が、その生物学
的サンプルにおいて検出される、工程を包含する。HDGFXのmRNAもしく
はゲノムDNAを検出するための薬剤は、HDGFXのmRNAもしくはゲノム
DNAにハイブリダイズし得る、標識された核酸プローブである。この核酸プロ
ーブは、例えば、全長のHDGFX核酸(例えば、配列番号1もしくはその部分
の核酸(例えば、少なくとも、15、30、50、100、250もしくは50
0ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、上記のように、ストリンジェン
トな条件下でHDGFXのmRNAまたはゲノムDNAと特異的にハイブリダイ
ズするに十分である核酸))であり得る。本発明の診断アッセイにおける使用の
ための他の適切なプローブは本明細書において記載されている。
【0235】 HDGFXタンパク質を検出するための薬剤は、HDGFXタンパク質に結合
し得る抗体であり、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、
ポリクローナルであり得るか、またはより好ましくはモノクローナル抗体であり
得る。インタクトな抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(a
b’)2)が使用され得る。用語「標識(された)」とは、プローブまたは抗体
に関して、検出可能な物質をそのプローブもしくは抗体にカップリングさせる(
すなわち、物理的に連結する)ことによって、そのプローブまたは抗体を直接標
識すること、ならびに、直接標識される別の試薬との反応性によって、そのプロ
ーブもしくは抗体の間接的に標識をすることを包含することが意図される。間接
的な標識の例としては、蛍光標識された二次抗体を用いた一次抗体の検出、およ
び蛍光標識されたストレプトアビジンを用いて検出され得るようにDNAプロー
ブのビオチンを用いた末端標識が挙げられる。用語「生物学的サンプル」とは、
被験体から単離された、組織、細胞および生物学的流体ならびに被験体に存在す
る組織、細胞および流体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法
を用いて、HDGFXのmRNA、タンパク質またはゲノムDNAを、生物学的
サンプル中で、インビトロおよびインビボで検出し得る。例えば、HDGFX
mRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーシ
ョンおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。HDGFXタン
パク質の検出のためのインビトロ技術としては、酵素連結免疫吸着アッセイ(E
LISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が挙げられる。HD
GFXゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリ
ダイゼーションが挙げられる。さらに、HDGFXタンパク質の検出のためのイ
ンビボ技術としては、標識された抗HDGFX抗体を被験体に導入することが挙
げられる。例えば、その抗体は、放射性マーカーを用いて標識され得る。この被
験体における放射性マーカーの存在および位置は、標準的な画像化技術によって
検出され得る。
【0236】 1つの実施形態において、この生物学的サンプルは、その試験被験体からのタ
ンパク質分子を含む。あるいは、その生物学的サンプルは、その試験被験体から
のmRNA分子またはその試験被験体からのゲノムDNA分子を含み得る。好ま
しい生物学的サンプルは、被験体から従来の手段によって単離された末梢血白血
球サンプルである。
【0237】 別の実施形態において、本発明の方法はさらに、コントロール被験体からコン
トロール生物学的サンプルを得る工程、そのコントロールサンプルを、HDGF
Xのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAを検出し得る化合物もしくは薬
剤と接触させ、その結果、HDGFXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムD
NAの存在がその生物学的サンプルにおいて検出される、工程、およびそのコン
トロールサンプルにおけるHDGFXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムD
NAの存在と、その試験サンプルにおけるHDGFXのタンパク質、mRNAも
しくはゲノムDNAの存在とを比較する工程を包含する。
【0238】 本発明はまた、生物学的サンプルにおけるHDGFXポリペプチドの存在を検
出するためのキットを包含する。例えば、このキットは、以下を備え得る:生物
学的サンプルにおいてHDGFXのタンパク質またはmRNAを検出し得る、標
識された化合物もしくは薬剤;そのサンプルにおけるHDGFXポリペプチドの
量を決定するための手段;およびそのサンプルにおけるHDGFXポリペプチド
の量を、標準と比較するための手段。この化合物または薬剤は、適切な容器内に
包装され得る。このキットは、さらに、HDGFXタンパク質または核酸を検出
するためにキットを用いるための説明書を備え得る。
【0239】 (予後アッセイ) 本明細書において記載された診断方法をさらに利用して、HDGFXポリペプ
チドの異常発現または異常活性に関連した疾患もしくは障害を有するか、または
その発症の危険にある被験体を同定し得る。例えば、本明細書に記載されるアッ
セイ(例えば、上述の診断アッセイまたは下記のアッセイ)を利用して、HDG
FXのタンパク質、核酸の発現または活性に関連する障害(例えば、増殖性また
は分化性の障害(例えば、過形成、腫瘍、再狭窄、乾癬、アルツハイマー病など
))を有するかまたはその発症の危険にある被験体を同定し得る。あるいは、こ
の予後アッセイを利用して、疾患または障害を有するかまたはその発症の危険に
ある被験体を同定し得る。従って、本発明は、HDGFXの異常発現または異常
活性に関連する疾患もしくは障害を同定するための方法を提供する。ここで、試
験サンプルは、被験体から得られ、そしてHDGFXのタンパク質または核酸(
例えば、mRNA、ゲノムDNA)が検出され、ここで、HDGFXのタンパク
質または核酸の存在は、HDGFXの異常発現または異常活性に関連する疾患ま
たは障害を有するかまたはその発症の危険にある被験体についての診断指標であ
る。本明細書において使用される「試験サンプル」とは、目的の被験体から得ら
れた生物学的サンプルをいう。例えば、試験サンプルは、生物学的流体(例えば
、血清)、細胞サンプル、または組織であり得る。
【0240】 さらに、本明細書に記載される予後アッセイを使用して、被験体に薬剤(例え
ば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核
酸、低分子、または他の薬物候補)を投与してHDGFXの異常発現または異常
活性に関連する疾患または障害を処置され得るか否かを、決定し得る。例えば、
このような方法を使用して、被験体が、増殖性障害、分化性障害、神経膠関連障
害などののような障害のための薬剤を用いて効果的に処置され得るか否かを決定
し得る。従って、本発明は、HDGFXの異常発現または異常活性に関連する障
害についての薬剤を用いて、被験体が有効に処置され得るか否かを決定するため
の方法を提供する。ここで、試験サンプルが得られ、そしてHDGFXのタンパ
ク質または核酸が検出される(例えば、ここで、HDGFXのタンパク質または
核酸の存在は、この薬剤を投与してHDGFXの異常発現または異常活性に関連
する障害を処置され得る被験体についての、診断指標である)。
【0241】 本発明の方法はまた、HDGFX遺伝子における遺伝的損傷を検出し、それに
よって、その損傷遺伝子を有する被験体が、増殖性障害、分化性障害、神経膠関
連障害などについての危険にあるかその障害に罹患しているかを決定するために
も使用され得る。種々の実施形態において、この方法は、その被験体からの細胞
のサンプルにおいて、HDGFXタンパク質をコードする遺伝子の統合性に影響
を与える変更の少なくとも1つによって特徴付けられる遺伝的損傷の存在または
非存在、あるいはHDGFX遺伝子の誤発現を検出する工程を包含する。例えば
、そのような遺伝的損傷は、以下の少なくとも1つの存在を確認することによっ
て検出され得る:(1)HDGFX遺伝子からの1つ以上のヌクレオチドの欠失
;(2)HDGFX遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの付加;(3)HDGF
X遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、(4)HDGFX遺伝子の染色体再
配置;(5)HDGFX遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける
変更、(6)HDGFX遺伝子の異常改変(例えば、ゲノムDNAのメチル化パ
ターンの異常改変)、(7)HDGFX遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の
非野生型スプライシングパターンの存在、(8)HDGFXタンパク質の非野生
型レベル、(9)HDGFX遺伝子の対立遺伝子の欠失、ならびに(10)HD
GFXタンパク質の不適切な翻訳後修飾。本明細書において記載されるように、
当該分野において、HDGFX遺伝子における損傷を検出するために使用され得
る、多数の公知のアッセイ技術が存在する。好ましい生物学的サンプルは、従来
手段によって被験体から単離された末梢血白血球サンプルである。しかし、有核
細胞を含む任意の生物学的サンプルが使用され得、これには、例えば、頬粘膜細
胞が挙げられる。
【0242】 特定の実施形態において、損傷の検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(
例えば、米国特許第4,683,195号および同4,683,202号を参照
のこと)(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)、あるいは、連結
連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら(1988)Scienc
e 241:1077−1080;およびNakazawaら(1994)PN
AS 91:360−364を参照のこと)におけるプローブ/プライマーの使
用を包含する。後者は、HDGFX遺伝子における点変異を検出するために特に
有用であり得る(Abravayaら(1995)Nucl Acids Re
s 23:675−682を参照のこと)。この方法は、患者から細胞のサンプ
ルを収集する工程、核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)をそのサ
ンプルの細胞から単離する工程、HDGFXの遺伝子に特異的にハイブリダイズ
する1つ以上のプライマーとその核酸サンプルとを、HDGFX遺伝子(存在す
る場合)のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で、接触さ
せる工程、ならびに増幅産物の存在もしくは非存在を検出する工程、またはその
増幅産物の大きさを検出する工程およびその大きさをコントロールサンプルと比
較する工程を包含し得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書に記載され
る変異を検出するために使用される技術のいずれかとともに予備的増幅工程とし
て使用されるために所望され得ることが予想される。
【0243】 代替的な増幅方法としては、以下が挙げられる:自己維持配列複製(Guat
elliら、1990、Proc Natl Acad Sci USA 87
:1874−1878)、転写増幅系(Kwoh、ら、1989、Proc N
atl Acad Sci USA 86:1173−1177)、Q−βレプ
リカーゼ(Lizardiら、1988、BioTechnology 6:1
197)、または他の任意の核酸増幅方法、それに続く、当業者に周知な技術を
用いた、その増幅された分子の検出。これらの検出スキームは、そのような核酸
分子が非常に極少数で存在する場合に、そのような核酸分子の検出のために特に
有用である。
【0244】 代替の実施形態において、サンプル細胞からのHDGFX遺伝子における変異
は、制限酵素切断パターンにおける変更によって同定され得る。例えば、サンプ
ルおよびコントロールのDNAが単離され、増幅され(必要に応じて)、1つ以
上の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化され、そしてフラグメント長の大きさ
がゲル電気泳動によって決定され、そして比較される。サンプルDNAとコント
ロールDNAとの間のフラグメント長の大きさにおける差異は、そのサンプルD
NAにおける変異を示す。さらに、配列特異的なリボザイムの使用(例えば、米
国特許第5,493,531号を参照のこと)を使用して、リボザイム切断部位
の発生または喪失によって特異的な変異の存在についてスコア付けし得る。
【0245】 他の実施形態において、本発明のHDGFX核酸における遺伝子変異は、サン
プル核酸およびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、数百また
は数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイに対してハイブリダイ
ズさせることによって同定され得る(Croninら(1996)Human
Mutation 7:244−255;Kozalら(1996)Natur
e Medicine 2:753−759)。例えば、本発明のHDGFXに
おける遺伝子変異は、Croninら(上記)に記載のように光生成DNAプロ
ーブを含む二次元アレイにおいて同定され得る。手短には、プローブの第一ハイ
ブリダイゼーションアレイを用いて、サンプルおよびコントロールにおける長い
ストレッチのDNAにわたって走査し、配列が重複するプローブの線形アレイを
作成することによって、その配列間の塩基変化を同定し得る。この工程は、点変
異の同定を可能にする。この工程に続いて、第二のハイブリダイゼーションアレ
イを用い、これは、検出される全ての改変体または変異体に相補的な、より小さ
な特化されたプローブアレイを用いて、特定の変異の特徴付けを可能にする。各
変異アレイは、一方が野生型遺伝子に対して相補的であり、そして他方が変異遺
伝子に対して相補的である並行プローブセットから構成される。
【0246】 なお別の実施形態において、当該分野で公知の種々の配列決定反応のいずれか
を使用して、HDGFX遺伝子を直接配列決定し得、そしてサンプルのHDGF
X配列と対応する野生型(コントロール)配列とを比較することによって、変異
を検出し得る。配列決定反応の例としては、MaxamおよびGilbert(
1977)PNAS 74:560またはSanger(1977)PNAS
74:5463によって開発された技術に基づくものが挙げられる。診断アッセ
イを実施する場合、種々の自動化配列決定手順のいずれかを利用し得ることもま
た意図される(Naeveら、(1995)Biotechniques 19
:448)。これらには、質量分析法による配列決定法(例えば、PCT国際公
開番号WO 94/16101;Cohenら(1996)Adv Chrom
atogr 36:127−162;およびGriffinら(1993)Ap
pl Biochem Biotechnol 38:147−159を参照の
こと)が含まれる。
【0247】 HDGFX遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、切断薬剤
からの保護を使用して、RNA/RNAもしくはRNA/DNAのヘテロ二重鎖
におけるミスマッチ塩基を検出する方法が挙げられる(Myersら(1985
)Science 230:1242)。一般に、「ミスマッチ切断」の当該分
野の技術は、野生型のHDGFX配列を含む(標識された)RNAまたはDNA
を、組織サンプルから得られた潜在的な変異体RNAまたはDNAとハイブリダ
イズさせることによって形成されるヘテロ二重鎖を提供する工程によって始まる
。この二本鎖の二重鎖を、二重鎖の一本鎖領域(例えば、そのコントロールとサ
ンプルの鎖との間の塩基対ミスマッチに起因して存在するもの)を切断する薬剤
を用いて処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖を、RNaseを用いて処理
し得、そしてDNA/DNAハイブリッドを、そのミスマッチ領域を酵素的に消
化することに対して、S1ヌクレアーゼを用いて処理し得る。他の実施形態にお
いて、DNA/DNAまたはRNA/DNAのいずれかの二重鎖を、ミスマッチ
領域を消化するために、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピ
ペリジンを用いて処理し得る。次いで、そのミスマッチ領域の消化後、得られた
材料を変性ポリアクリルアミドゲル上で、大きさで分離して、変異の部位を決定
する。例えば、Cottonら(1988)Proc Natl Acad S
ci USA 85:4397;Saleebaら(1992)Methods
Enzymol 217:286−295を参照のこと。1つの実施形態にお
いて、コントロールのDNAまたはRNAは、検出のために標識され得る。
【0248】 なお別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、二本鎖DNAにおけるミ
スマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ
修復」酵素)を、細胞のサンプルから得られたHDGFX cDNAにおける点
変異を検出およびマッピングするために規定された系において使用する。例えば
、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチでAを切断し、そしてHe
La細胞からのチミジンDNAグリコシダーゼは、G/TミスマッチでTを切断
する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657〜
1662)。例示的な実施形態に従って、HDGFX配列(例えば、野生型HD
GFX配列)に基づくプローブは、試験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産
物にハイブリダイズされる。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素を用いて処理
され、そしてその切断産物(もしあれば)は、電気泳動プロトコルなどから検出
され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0249】 他の実施形態において、電気泳動の移動度における変化は、HDGFX遺伝子
における変異を同定するために使用される。例えば、一本鎖配座多型(SSCP
)は、変異体と野生型核酸との間の電気泳動の移動度における差異を検出するた
めに使用され得る(Oritaら(1989)Proc Natl Acad
Sci USA:86:2766、またCotton(1993)Mutat
Res 285:125〜144;Hayashi(1992)Genet A
nal Tech Appl 9:73〜79を参照のこと)。サンプルおよび
コントロールHDGFX核酸の一本鎖DNAフラグメントは、変性され、そして
再生される。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従って変化し、電気泳動の移動度
において得られる変化は、1つの塩基変化の検出さえも可能にする。DNAフラ
グメントは、標識され得るか、または標識されたプローブを用いて検出され得る
。アッセイの感度は、二次構造が、配列中の変化に対してより感受的である、(
DNAよりもむしろ)RNAを使用することによって増強され得る。1つの実施
形態において、本発明の方法は、ヘテロ二重鎖分析を利用して、電気泳動の移動
度における変化に基づいて二本鎖のヘテロ二重鎖分子を分離する。例えば、Ke
enら(1991)Trends Genet 7:5を参照のこと。
【0250】 なお別の実施形態において、一定勾配の変性剤を含有するポリアクリルアミド
ゲルにおける変異体または野生型フラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動
(DGGE)を使用してアッセイされる。例えば、Myersら(1985)N
ature 313:495を参照のこと。DGGEが分析の方法として使用さ
れる場合、DNAは、例えば、PCRにより約40bpの高融点GCリッチDN
AのGCクランプを付加することによって、完全には変性されないことを確実す
るように改変される。さらなる実施形態において、温度勾配は、コントロールお
よびサンプルDNAの移動度における差異を同定するために、変性剤勾配の代わ
りに使用される。例えば、RosenbaumおよびReissner(198
7)Biophys Chem 265:12753を参照のこと。
【0251】 点変異を検出するための他の技術の例としては、以下が挙げられるが、これら
に限定されない:選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増
幅、または選択的プライマー伸長。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、
既知の変異が中心的に配置されるように調製され得、次いで、完全なマッチが見
出される場合にのみハイブリダイゼーションを許容する条件下で標的DNAにハ
イブリダイズされる。例えば、Saikiら(1986)Nature 324
:163);Saikiら(1989)Proc Natl Acad Sci
USA 86:6230を参照のこと。このような対立遺伝子特異的オリゴヌ
クレオチドは、このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズ膜に付着され、そして
標識された標的DNAとハイブリダイズされる場合に、PCR増幅された標的D
NAまたは多くの異なる変異にハイブリダイズされる。
【0252】 あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明
と合わせて使用され得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリ
ゴヌクレオチドは、分子の中心において(その結果、増幅は、差次的ハイブリダ
イゼーションに依存する)(Gibbsら(1989)Nucleic Aci
ds Res 17:2437〜2448)か、もしくは適切な条件下でミスマ
ッチが妨げされ得るかまたはポリメラーゼ伸長を減少し得る、1つのプライマー
の3’の最末端で、目的の変異を保有し得る(Prossner(1993)T
ibtech 11:238)。さらに、変異の領域において新規な制限部位を
導入することは、切断に基づく検出を行うために望ましくあり得る。例えば、G
aspariniら(1992)Mol Cell Probes 6:1を参
照のこと。特定の実施形態において、増幅はまた、増幅用Taqリガーゼを使用
して実施され得ることが予測される。例えば、Barany(1991)Pro
c Natl Acad Sci USA 88:189を参照のこと。このよ
うな場合において、連結は、5’配列の3’末端に完全なマッチが存在する場合
にのみ生じ、増幅の存在または非存在を探索することによって、特定の部位で既
知の変異の存在を検出することを可能にする。
【0253】 本明細書中に記載される方法は、例えば、本明細書中に記載れる少なくとも1
つのプローブ核酸または抗体試薬を含む、予めパッケージングされた診断キット
を利用することによって実施され得、これは、例えば、HDGFX遺伝子を含む
疾患または疾病の症状または家族病歴を示す患者を診断するための臨床的設定に
おいて簡便に使用され得る。
【0254】 さらに、本発明のHDGFXが発現される任意の細胞型または組織(好ましく
は、末梢血白血球)は、本明細書中に記載される予後アッセイにおいて利用され
得る。しかし、有核細胞を含む任意の生物学的サンプル(例えば、頬粘膜細胞を
含む)が、使用され得る。
【0255】 (薬理ゲノム学(Pharmacogenomics)) HDGFX活性(例えば、HDGFX遺伝子発現)に対する刺激性または阻害
性の影響を有する因子、すなわちモジュレーターは、本明細書中に記載されるス
クリーニングアッセイによって同定されるように、異常なHDGFX活性に関連
する障害(例えば、神経学的障害、癌関連障害または妊娠性障害)を処置(予防
的または治療的に)するために個体に投与され得る。このような処置と合わせて
、個体の薬理ゲノム学(すなわち、個体の遺伝子型と外来化合物または薬物に対
するその個体の応答との間の関係についての研究)が、考慮され得る。治療剤の
代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量と血中濃度との間の関係を変
更することによって、重篤な毒性および治療の失敗を導き得る。従って、個体の
薬理ゲノム学は、個体の遺伝子型の考慮に基づく予防的または治療的処置のため
に有効な薬剤(例えば、薬物)の選択を許容する。このような薬理ゲノム学は、
さらに、適切な投薬量および治療剤レジメンを決定するために使用され得る。従
って、HDGFXタンパク質の活性、HDGFX核酸の発現、あるいは個体にお
けるHDGFX遺伝子の変異含量が決定されて、それによって個体の治療的また
は予防的処置のために適切な薬剤を選択し得る。
【0256】 薬理ゲノム学は、罹患された人において変更された薬物の性質および異常な作
用に起因する、薬物への応答における臨床的に有意な遺伝性変更を扱う。例えば
、Eichelbaum、1996,Clin Exp Pharmacol
Physiol,23:983〜985およびLinder、1997,Cli
n Chem,43:254〜266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理ゲ
ノム学状態が、区別され得る。遺伝的状態は、薬物が身体に作用する方法を変更
する1つの因子として伝達されるか(変更された薬物作用)、または遺伝的状態
は、身体が薬物に作用する方法を変更する1つの因子として伝達される(変更さ
れた薬物代謝)。これらの薬理ゲノム学状態は、稀な欠損としてか、または多型
としてのいずれかで生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼ(G6PD)欠損は、一般的な遺伝性酵素病であり、この主な臨床的合併症は
、酸化剤薬物(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取
およびソラマメの消費後の溶血である。
【0257】 例示的な実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続
期間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトラ
ンスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素CYP2D6およ
びCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、幾人かの患者が予期される薬物効果
を得ないか、または標準的かつ安全な用量の薬物を摂取した後に過大な薬物応答
および深刻な毒性を示すことに関しての説明を提供した。これらの多型は、集団
において2つの表現型(高い代謝能を持つ人(extensive metab
olizer)(EM)および低い代謝能を持つ人(poor metabol
izer)(PM))で表現される。PMの有病率は、異なる集団の間で異なる
。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型であり、そしていくら
かの変異がPMにおいて同定されており、この全ては機能的CYP2D6の非存
在に至る。CYP2D6およびCYP2C19の低い代謝能を持つ人は、彼らが
標準的な用量を受ける場合に、かなり頻繁に過大な薬物応答および副作用を経験
する。代謝産物が活性な治療的部分である場合、そのCYP2D6形成代謝産物
であるモルヒネによって媒介されるコデインの鎮痛効果について実証されるよう
に、PMは治療的応答を示さない。他の極端なものは、標準的な用量に応答しな
い、いわゆる超迅速な代謝能を持つ人である。最近、超迅速な代謝の基準となる
分子は、CYP2D6遺伝子増幅に起因していることが同定されている。
【0258】 従って、HDGFXのタンパク質の活性、HDGFXの核酸の発現、あるいは
個体におけるHDGFXの遺伝子の変異内容を決定して、それによって、その個
体の治療的または予防的処置のために適切な薬剤を選択し得る。さらに、薬理ゲ
ノム学の研究を使用して、個体の薬物応答性の表現型の同定のために薬物代謝酵
素をコードする多型対立遺伝子の遺伝子型を適用し得る。この知見は、用量また
は薬物選択に適用される場合、有害な反応または治療の失敗を回避し得、従って
、被験体をHDGFXの調節因子(例えば、本明細書中に記載される例示的なス
クリーニングアッセイの1つによって同定される調節因子)を用いて処置する場
合に治療的または予防的効率を増強し得る。
【0259】 (臨床試験中の効果のモニタリング) HDGFXの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を
調節する能力)に対する薬剤(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングす
ることは、基本的な薬物スクリーニングおよび臨床試験に適用され得る。例えば
、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイによって決定される薬
剤の、HDGFXの遺伝子発現、タンパク質レベルを増加する効力、またはHD
GFX活性をアップレギュレートする効力は、減少したHDGFXの遺伝子発現
、タンパク質レベル、またはダウンレギュレートされたHDGFXの活性を示す
被験体の臨床試験においてモニターされ得る。あるいは、スクリーニングアッセ
イによって決定される薬剤の、HDGFXの遺伝子発現、タンパク質レベルを減
少、またはHDGFXの活性をダウンレギュレートする効力は、増加したHDG
FXの遺伝子発現、タンパク質レベル、またはアップレギュレートしたHDGF
Xの活性を示す被験体の臨床試験においてモニターされ得る。このような臨床試
験において、HDGFXの発現または活性、および好ましくは、例えば、増殖ま
たは神経障害に関与するような他の遺伝子が、「リードアウト(読み出し)(r
ead out)」、すなわち、特定の細胞の応答性のマーカーとして使用され
得る。他のHDGFX関連障害としては、例えば、癌、細胞増殖障害、神経学的
障害;および妊娠性障害が挙げられる。
【0260】 例えば、遺伝子(本発明のHDGFXをコードする遺伝子を含む)(これは、
HDGFX活性(例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセ
イにおいて同定される)を調節する薬剤(例えば、化合物、薬物または低分子)
を用いる処置によって、細胞内で調節される)が、同定され得る。従って、細胞
性増殖障害に対する薬剤の効果を研究するために、例えば、臨床試験において、
細胞が単離され得、そしてRNAが調製され得、そしてHDGFXおよびこの障
害に関与する他の遺伝子の発現のレベルについて分析され得る。遺伝子発現のレ
ベル(すなわち、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるように、ノ
ーザンブロット分析もしくはRT−PCRによるか、あるいは産生されるタンパ
ク質の量を測定することによるか、本明細書中に記載されるような方法の1つに
よるか、あるいは遺伝子または他の遺伝子の活性のレベルを測定することによっ
て、定量され得る。この様式で、この遺伝子発現パターンは、この薬剤に対する
細胞の生理学的応答の指標であるマーカーとして作用し得る。従って、この応答
状態は、この薬剤を用いる個体の処置の前、およびこの処置の間の種々の時点で
、決定され得る。
【0261】 1つの実施形態において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニ
スト、タンパク質、ペプチド、核酸、ペプチド模倣物、低分子、または本明細書
中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される他の薬物候補物)を
用いる、被験体の処置の効力をモニタリングするための方法を提供し、これは、
以下の工程を包含する:(i)薬剤の投与の前に、被験体から投与前サンプルを
得る工程;(ii)この投与前サンプルにおいて、HDGFXのタンパク質、m
RNA、またはゲノムDNAの発現のレベルを検出する工程;(iii)この被
験体から1つ以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)この投与後サンプルに
おいて、HDGFXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または
活性のレベルを検出する工程;(v)この投与前サンプルにおけるHDGFXの
タンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを、この
投与後サンプルにおけるHDGFXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDN
Aの発現または活性のレベルと比較する工程;ならびに(vi)それに従って、
この被験体に対する薬剤の投与を変更する工程。例えば、この薬剤の増加した投
与は、検出されるよりも高いレベルにHDGFXの発現または活性を増加するこ
とが(すなわち、この薬剤の効力を増加すること)望ましくあり得る。あるいは
、この薬剤の減少した投与は、検出されるよりも低いレベルにHDGFXの発現
または活性を減少することが(すなわち、この薬剤の効力を減少すること)望ま
しくあり得る。
【0262】 (処置方法) 本発明は、異常なHDGFXの発現または活性に関連する障害の危険性のある
(または感受性)か、またはこの障害を有する被験体を処置する予防的および治
療的の両方の方法を提供する。
【0263】 (その疾患または障害に罹患していない被験体と比較して)増加したレベルま
たは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を拮抗する(
すなわち、低減または阻害する)治療剤を用いて処置され得る。活性を拮抗する
治療剤は、治療的または予防的な様式で、投与され得る。利用され得る治療剤と
しては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)HDGFXのポリ
ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(i
i)HDGFXペプチドに対する抗体;(iii)HDGFXペプチドをコード
する核酸;(iv)相同組換えによってHDGFXポリペプチドの内因性機能を
「ノックアウトする」ために利用される、アンチセンス核酸および「機能不全性
」である(すなわち、HDGFXポリペプチドに対するコード配列のコード配列
内の異種挿入に起因する)核酸の投与、(例えば、Capecchi、1989
、Science 244:1288〜1292を参照のこと);または(v)
HDGFXペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変化させる、調節
因子(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト(本発明のさ
らなるペプチド模倣物または本発明のペプチドに対して特異的な抗体を含む))
【0264】 (その疾患または障害に罹患していない被験体と比較して)減少したレベルま
たは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を増加させる
(すなわち、活性に対するアゴニストである)治療剤を用いて処置され得る。活
性をアップレギュレートする治療剤は、治療的または予防的な様式で、投与され
得る。利用され得る治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されな
い:ポリペプチド、ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもし
くはホモログ;あるいはバイオアベイラビリティーを増加させるアゴニスト。
【0265】 増加したレベルまたは減少したレベルは、ペプチドおよび/またはRNAを定
量することによって、容易に検出され得る。この定量は、患者の組織サンプルを
(例えば、生検組織から)入手し、そしてそのサンプルを、その発現したポリペ
プチド(またはHDGFXポリペプチドをコードするmRNA)のRNAレベル
またはポリペプチドレベル、構造および/または活性をインビトロでアッセイす
ることによる。当該分野において周知の方法としては、以下が挙げられるが、こ
れらに限定されない:イムノアッセイ(例えば、ウェスタンブロット分析、ドデ
シル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動が後に続く免疫
沈降、免疫細胞化学などによる)および/またはmRNAの発現を検出するため
のハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロッ
ト、インサイチュハイブリダイゼーションなど)。
【0266】 1つの局面において、本発明は、被験体において異常なHDGFXの発現また
は活性と関連する疾患または状態を、HDGFXの発現または少なくとも1つの
HDGFX活性を調節する薬剤をこの被験体に投与することによって予防するた
めの方法を提供する。異常なHDGFXの発現または活性によって引き起こされ
るかまたはこれらに起因する、疾患にかかる危険がある被験体は、例えば、本明
細書中に記載の診断アッセイまたは予後アッセイのいずれか、またはそれらの組
み合わせによって、同定され得る。予防薬剤の投与は、疾患または障害が予防さ
れるか、あるいはその進行を遅らせられるように、このHDGFX異常の特徴で
ある症状の発現の前に行い得る。このHDGFX異常の型に依存して、例えば、
HDGFXアゴニスト薬剤またはHDGFXアンタゴニスト薬剤が、その被験体
を処置するために使用され得る。その適切な薬剤は、本明細書中に記載のスクリ
ーニングアッセイに基づいて決定され得る。
【0267】 本発明の別の局面は、治療目的のために、HDGFXの発現または活性を調節
する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞を、その細胞に関するHDGFX
タンパク質活性の活性のうちの1つ以上を調節する薬剤と接触させる工程を包含
する。HDGFXタンパク質活性を調節する薬剤は、核酸またはタンパク質、H
DGFXタンパク質の天然に存在する同族リガンド、ペプチド、HDGFXペプ
チド模倣物、または他の低分子のような、本明細書中に記載されるような薬剤で
あり得る。1つの実施形態において、この薬剤は、HDGFXタンパク質活性の
うちの1つ以上を刺激する。このような刺激薬剤の例としては、その細胞に導入
された、活性なHDGFXタンパク質、およびHDGFXポリペプチドをコード
する核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この薬剤は、HDGFXタ
ンパク質活性のうちの1つ以上を阻害する。このような阻害薬剤の例としては、
アンチセンスHDGFX核酸分子、および抗HDGFX抗体が挙げられる。これ
らの調節方法は、インビトロで(例えば、その薬剤とともにその細胞を培養する
ことによって)、あるいはインビボで(例えば、被験体にその薬剤を投与するこ
とによって)実施され得る。このように、本発明は、HDGFXのタンパク質ま
たは核酸分子の、異常な発現または異常な活性によって特徴付けられる、疾患ま
たは障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、
この方法は、HDGFXの発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレ
ートまたはダウンレギュレートする)薬剤(例えば、本明細書中に記載のスクリ
ーニングアッセイによって同定される薬剤)あるいはそのような薬剤の組み合わ
せを投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、HDGFX
のタンパク質または核酸分子を、低減したかまたは異常な、HDGFXの発現ま
たは活性を補償するための治療として、投与する工程を包含する。
【0268】 本発明はさらに、以下の実施例において例示されるが、これらは、特許請求の
範囲の範囲を限定しない。
【0269】 (実施例) (実施例1.HDGFXの分子クローニング) 予測されたオープンリーディングフレームは、ウシ肝細胞由来の増殖因子関連
タンパク質3(HRP−3)(TREMBLNEW−ACC:CAB40348
)に対してアミノ酸レベルで全体で59%の同一性を有する251アミノ酸長タ
ンパク質をコードする。予測した全長ORFをクローニングし、そして検証した
【0270】 (全長HDGFXのクローニング) オリゴヌクレオチドプライマーを、PCRによって、全長HDGFX遺伝子産
物をコードするDNAセグメントを増幅するために、設計した。順方向プライマ
ーは、インフレームBamHI制限部位およびコンセンサスKozak配列を含
む。逆方向プライマーは、インフレームXhoI制限部位を含む。PCRプライ
マーの配列は、以下である: HDGFX Forw:GGATCCACCATGTCGGCCTACGGCA
TGCCCATGTAC(配列番号11)、および HDGFX Rev:CTCGAGCAGGCTGTCGCGATCTCCGC
CGCC(配列番号12)。
【0271】 PCR反応を、等量のヒト胎児脳、ヒト精巣、ヒト乳房およびヒト骨格筋組織
由来のcDNAを含む、cDNAテンプレートの混合物(総量5ng)、1μM
のHDGFX ForwおよびHDGFX Revプライマーの各々、5μモル
のdNTP(Clontech Laboratories、Palo Alt
o CA)および1マイクロリットルの50×Advantage−HF2ポリ
メラーゼ(Clontech Laboratories、Palo Alto
CA)(50マイクロリットル容量中)を用いて設定した。以下のPCR反応
条件を使用した: a) 96℃ 3分間 b) 96℃ 30秒間変性 c) 70℃ 30秒間、プライマーアニーリング。この温度を次第に1℃/
サイクルずつ低下させた d) 72℃ 1分間伸長 工程(b)〜(d)を10回繰り返す e) 96℃ 30秒間変性 f) 60℃ 30秒間アニーリング g) 72℃ 1分間伸長 工程(e)〜(g)を25回繰り返す h) 72℃ 10分間最終伸長。
【0272】 約750bpのPCR産物を、アガロースゲルでの電気泳動の後に単離し、そ
してpCR2.1ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)
に連結した。クローニングしたインサートを、ベクター特異的なM13正方向プ
ライマー(−40)およびM13逆方向プライマー、ならびに以下の遺伝子特異
的プライマーを使用して、配列決定した: HDGFX S1:GACAAGCCGACCCACGCTGG(配列番号13
)および HDGFX S2:CCAGCGTGGGTCGGCTTGTC(配列番号14
)。
【0273】 これらの配列を、予測したHDGFX全長タンパク質をコードするオープンリ
ーディングフレームとして確かめた。クローニングした配列は、配列番号1の予
測された翻訳産物と100%同一である。このクローンを、pCR2.1−AL
033539−S321−4Cと呼ぶ。
【0274】 (実施例2.哺乳動物発現ベクターpCEP4/V5Hisの構築) このオリゴヌクレオチドプライマー:
【0275】
【化1】 を、発現ベクターpcDNA3.1−V5His(Invitrogen,Ca
rlsbad,CA)由来のフラグメントを増幅するために設計した。このPC
R産物を、XhoIおよびApaIを用いて消化し、そしてXhoI/ApaI
消化されたpSecTag2Bベクター(Invitrogen,Carlsb
ad CA)に連結した。この得られたベクター、pSeqV5Hisの正確な
構造を、DNA配列分析により検証した。このベクターpSeqV5Hisを、
PmeIおよびNheIを用いて消化し、そしてPmeI−NheIフラグメン
トを、BamHI/KlenowおよびNheI処理されたベクターpCEP4
(Invitrogen,Carsbad,CA)に連結した。得られたベクタ
ーを、pCEP4/Secと名付けた。続いて、pcDNA3.1A(Invi
trogen,Carlsbad,CA)由来のKpnIおよびXhoIを単離
し、そしてKpnIおよびXhoI処理されたpCEP4/Secに連結した。
得られたベクター(pCEP4/V5Hisと名付けられた)は、pSecTa
g2Bに本来存在するIgKappa分泌シグナルを欠く。
【0276】 (実施例3.ヒト胚性腎293細胞におけるHDGFXの発現) HDGFX配列を含む0.8kbBamHI−XhoIフラグメントを、pC
R2.1−AL033539−S321−4Cから単離し(実施例1)、そして
BamHI−XhoI消化されたpCEP4/V5His(実施例2)でサブク
ローン化し、発現ベクターpCEP4/V5His−AL033539を生成し
た。pCEP4/V5His−AL033539ベクターを、製造者の指示に従
ってLipofevtaminePlus試薬(Gibco/BRL、Rock
ville,MD)を使用して、293細胞にトランスフェクトした。細胞ペレ
ットおよび上清を、トランスフェクションの72時間後に回収し、そして抗V5
抗体で還元された条件下で、ウェスタンブロットを行うことにより、HDGFX
発現について調べた。図1は、発現されたHDGFXポリペプチドが、約50k
Daの分子量を有することを示し、これは、SeeBlue分子量マーカー(I
nvitrogen,Carsbad,CA)を使用することによって示される
ように、293細胞により分泌される。
【0277】 (実施例4.組み換えE.coli発現ベクターpET(C)の構築) ベクターpBADgIII(Invitrogen Inc.,Carsba
d,CA)を、NcoIおよびPmeI制限酵素を用いて消化し、BglIIお
よびSalIクローニング部位ならびにC末端6×Hisタグを含む150bp
のフラグメントを放出した。プラスミドpET28a(Novagen,Mad
ison,Wisconsin)を、制限酵素XhoIを用いた消化により線状
にし、そしてE.coli DNAポリメラーゼのKlenowフラグメントを
用いて満たした。次いで、制限酵素NcoIを用いて消化した。引き続き、pB
ADgIII由来のNcoI−PmeIフラグメントを、線状にされたpET2
8aに連結し、そして得られたE.coli発現ベクターを、pET(C)と名
付けた。
【0278】 (実施例5.発現ベクターpET(C)を使用した、組み換えE.coliに
おけるHDGFXの発現) HDGFX遺伝子を含むBamHI−XhoIフラグメント(実施例1および
3)を、BamHIおよびXhoI制限酵素を用いて消化したpET(C)ベク
ター(実施例4)に連結した。得られた発現ベクターを、pET(C)−AL0
33539と名付ける。このベクターにおいて、HDGFXを、そのC末端で、
6×Hisタグに融合した。次いで、プラスミドpET(C)−AL03353
9で、E.coli発現宿主BL21(DE3、pLys)(Novagen,
Madison,WI)を形質転換した。HDGFXポリペプチドの発現を、製
造者の指示に従って誘導した。誘導後、細胞全体を回収し、そしてタンパク質を
、抗His抗体(Invitrogen,Carsbad,CA)を使用して、
ウェスタンブロッティングにより分析した。図2は、HDGFXポリペプチドが
、SeeBlue分子量マーカー(Invitrogen,Carsbad,C
A)を使用することにより示されるように、E.coli細胞において、分子量
が約45kDaであるポリペプチドとして発現されたことを示す。
【0279】 (実施例6.HDGFXを用いた処置に対する応答の単球におけるサイトカイ
ン産生) 単球が、製造者の手順に従って、CD14マイクロビーズ(Miltenyi
Biotec)を使用して、新鮮なヒト末梢血単核細胞から単離した。単球を
、10%ウシ胎仔血清(HyClone)を含み、そしてL−グルタミン、ピル
ビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、HEPES、およびβ−メルカプトエタノ
ール(Gibco/BRL、Rockville,MD由来の補充物)で補充さ
れたDMEM培地(Gibco,Rockville MD)で、ウェルあたり
100μlの容量で、96ウェルの平らな底の組織培養処理されたプレートに、
ウェルあたり1×105細胞でプレートした。HDGFXを、実施例3に記載さ
れる馴化培地において、分泌されたタンパク質から精製した。HDGFXまたは
ビヒクルコントロール(20mM Tris−HCl pH7.4;50mM
NaCl)をウェルに添加し、次いで、このサンプルを、10%CO2の組織培
養インキュベーターで37℃、24時間インキュベートした。腫瘍壊死因子α(
TNFα)またはインターロイキン−6(IL−6)産生を、ELISA(Ph
armingen)により細胞上清をアッセイすることにより測定した。
【0280】 この結果を、図3および4において示す。100ng/ml HDGFXを用
いて処理された単球は、23.8ng/ml IL−6および0.66ng/m
l TNFαを産生した。10ng/ml HDGFXで処理された単球は、8
.3ng/ml IL−6を産生したが、TNFα産生を、10ng/ml H
DGFXの処理で検出しなかった。ビヒクルコントロールで処理された単球は、
検出可能なレベルのIL−6またはTNF αを産生しなかった。これらの結果
は、第2の、別個の実験で得られる結果を代表する。
【0281】 (実施例7.マウスにおけるHDGFXの投与のインビボ効果) HDGFXを、実施例3に記載される馴化培地中で、分泌されたタンパク質か
ら精製した。Harlan Labsからの正常雌BALB/cマウスに、7日
間、毎日1回、HDGFX(5mg/kg)またはコントロールビヒクル(10
ml/kg)のip注射を与えた。8日目に、動物に、HDGFX(5mg/k
g)およびBrdU(100mg/kg)を注射し、そして1時間後、イソフル
ランで麻酔し、そして全血球算定(CBC)および臨床化学変化の測定のために
採血した。組織および器官を除去し、そして重さを計り、そして増殖変化の検出
のためのBrdU免疫組織化学を含む組織病理学評価のためにホルマリンに回収
した。この結果を表5に示す。
【0282】 相対的な脾臓重量は、ビヒクルコントロールで処理されたマウスと比較して、
HDGFXで処理されたマウスにおいて68%増大した(0.683=0.04
4グラム(gr)/100gr体重対0.407±0.08gr/100gr体
重)。また、相対的肝臓重量は、ビヒクルコントロールで処理されたマウスと比
較して、HDGFXで処理されたマウスにおいて、11%増大した(4.73±
0.96gr/100gr体重対4.279±0.117gr/100gr体重
)。HDGFXで処理されたマウスは、ビヒクルコントロールで処理されたマウ
スと比較して、骨髄における顆粒球生成の際立った増加を示した(骨髄:赤血球
比3:1対1:1)。HDGFXを用いた処理は、脾性骨髄外造血およびリンパ
球造血の際立った増加を生じた。組織病理学は、好中球細胞および単核細胞炎症
で、膵管に影響する亜急性炎症を示し、そしてBrdU標識は、HDGFXで処
理されたマウスにおける実質において明らかであることを示した。
【0283】
【表5】 *心臓のびまん性(diffuse)鉱化作用 NSL 顕著な病変はない (実施例8.HDGFXの増殖活性) 実施例7における結果は、HDGFXが、膵管上皮の増殖に影響することを示
唆する。従って、HDGFXの増殖効果を、これらの細胞の細胞培養において評
価した。
【0284】 (A.細胞増殖の証明) 膵臓の新鮮な外科的サンプルから得られた、H6c7ヒト膵管上皮(HPDE
)細胞におけるHDGFXの増殖効果を調べた。分泌されたHDGFXを、実施
例3に記載される馴化培地から精製した。
【0285】 1日目:HPDE細胞を、ウシ下垂体抽出物および上皮増殖因子(EGF)(
5ng/ml)で補充されたKSF培地(ケラチノサイト増殖支持培地)におけ
る、6ウェルNunc Tissue Cultureプレートにおいて、約1
0,000/ウェルでプレートした。
【0286】 2日目:この培地を、補充物なしのKSFに変えた。
【0287】 3日目:この培地を、HDGF(EXTRACT;0.5〜5μl/ml培地
)、MOCK(1および5μl/ml)または精製されたHDGF(ng/ml
)で補充したKSF培地に変えた。このときの細胞数は、約1.07×104
ウェルである。HDGF EXTRACTは、HDGFXを含む最小精製馴化培
地に対する名称であり、そしてMOCKは、コントロール馴化培地に関連する。
【0288】 7日目:細胞の数を、Coulter ZM細胞カウンターを使用して数えた
。この結果を、図5において示し、ここで、HDGFXを、HDGFと呼ぶ。図
5における抽出効果は、馴化培地でもたらされ、そしてHDGFXではもたらさ
れないようである。なぜなら、MOCKが、同じ効果を提供するからである。融
合された精製タグを使用して精製されたHDGFX(実施例3)は、有意な増殖
効果を提供する(図5)。
【0289】 (B.高濃度のHDGFにおける増殖の抑制) 節Aにおける実験を、より高い濃度のHDGFを使用することにより、広げた
。全ての群が、3つ組である。
【0290】 1日目:H6c7細胞(P28)を、増殖因子の補充物なしのKSF培地中、
約10,000細胞/ウェルで、6ウェルプレートにプレートした。
【0291】 2日目:この培地を、同じ無補充物KSF培地を補給して維持した。
【0292】 3日目:この培地を、精製されたHDGFの種々の濃度を含む培地に交換した
。HDGFを、コントロール群には添加しなかった。
【0293】 8日目:この細胞を上記のように数えた。この結果を、図6に示した。
【0294】 最も低い濃度(パートAで使用される最も高い濃度と同じである(図5))も
また、適度な程度の増殖を提供した。HDGFの連続的なより高い濃度が、この
増殖を抑制するようである。
【0295】 この実験は、2回繰り返された。第1の実験において、コントロールレベルに
対する増殖およびHDGFの高い濃度の抑制は、見出されなかった。これは、繰
り返される細胞継代における細胞による、応答の欠失に起因すると考えられる。
第2の実験において、約10%の範囲の増殖を、56ng/mlおよび112n
g/mlのHDGFの濃度で観察され、28ng/mlおよび224ng/ml
の濃度は、コントロール(約180,000/ウェル)と区別できない細胞数を
提供し、そして14ng/mlが、コントロールよりわずかに下回る細胞数を有
した。ウシ下垂体抽出物およびEGFの存在下における細胞数は、約270,0
00/ウェルであった。
【0296】 (実施例9.HDGFXによる初期の遺伝子発現のノザンブロット分析) c−mycおよびc−fos発現のノザンブロット分析を、HPDE細胞のサ
ンプルにおいて、種々の時間の期間、HDGF(350ng/ml)を用いてそ
の細胞を処理した後、実施した。この結果を、図7において示す。
【0297】 全ての時点で、GADPHの構成性発現と比較して、HDGFを用いた処理後
、c−myc mRNA発現およびc−fos mRNA発現の上方制御がある
ようである。これは、HDGFによる、c−mycおよびc−fosに特徴的な
、転写初期遺伝子の活性と一致する。
【0298】 (実施例10.HDGFX核酸の定量発現分析) 種々のクローンの定量発現を、Perkin−Elmer Biosyste
ms ABI PRISME(登録商標)7700配列検出システムにおいて実
施されるリアルタイムの定量PCR(TAQMAN(登録商標))により、40
個の正常サンプルおよび54個の腫瘍サンプルにおいて評価した。細胞株を、表
に示す。
【0299】 (表4:HDGFX発現について分析された組織)
【0300】
【表6】 KEY:glio.=グリア細胞;astro.=星状細胞;neuro.=神
経細胞;met.=転移;CNS=中枢神経系 最初に、96RNAサンプルを、βアクチンおよびGAPDHに正規化した。
RNA(約50ng合計または約1ポリA+)を、TAQMAN(登録商標)逆
転写試薬キット(PE Biosystems,Foster City,CA
;cat # N808−0234)およびランダムヘキサマーを、製造者プロ
トコールを使用して、cDNAに変換した。反応を、20μlで実施し、そして
48℃で、30分間インキュベートした。次いで、cDNA(5μl)を、βア
クチンおよびGAPDH TAQMAN(登録商標)アッセイ試薬(それぞれ、
PE Biosystems;cat.#’s 4310881Eおよび431
0884E)ならびにTAQMAN(登録商標)universal PCR
Master Mix(PE Biosystems;cat # 43044
47を、製造者プロトコールに従って使用し、TAQMAN(登録商標)反応の
ために、別個のプレートに移した。反応を、以下のパラメーターを使用して25
μlで実施した:2分、50℃;10分、95℃;15秒、95℃/1分、60
℃(40サイクル)。結果を、所定のサンプルと、δCTのパワーに対して2と
示される最も低いCT値を有するサンプルとの間のRNA濃度の違いを用いて、
対数スケールを使用して、CT値(所定のサンプルが、蛍光の閾値レベルを超え
るサイクル)として記録した。次いで、相対的発現の百分率を、このRNAの違
いの逆数をとり、そして100を掛けることにより得る。βアクチンおよびGA
PDHについて得られる平均のCT値を使用して、RNAサンプルを正規化した
。最も高いCT値を生じたRNAサンプルは、更なる希釈を必要としないが、全
ての他のサンプルを、それらのβ−アクチン/GAPDH平均CT値に従って、
このサンプルに関して希釈した。
【0301】 正規化されたRNA(5μl)を、cDNAに変換し、そして製造者の指示に
従って、One Step RT−PCR Master Mix Reage
nts(PE Biosystems;cat.# 4309169)および遺
伝子特異的プライマーを使用して、TAQMAN(登録商標)を通じて分析する
。プローブおよびプライマーを、インプットとして、クローンHDGFX_Aの
配列を使用して、Perkin Elmer Biosystem’s Pri
mer Express Software package(Apple C
omputer’s Macintosh Power PCに関するバージョ
ンI)に従って、各アッセイについて設計した。デフォルト設定を、反応条件関
して使用して、そして以下のパラメーターを、プライマーを選択する前に設定し
た:プライマー濃度=250nM、プライマー融解温度(Tm)範囲=58℃〜
60℃、プライマー最適Tm=59℃、最大プライマー差異=2℃、プローブは
、5’Gを有さず、プローブTmは、プライマーTmより10℃高くなければなら
ず、アンプリコンサイズは、75bp〜100bpである。選択されるプローブ
およびプライマー(以下を参照のこと)を、Synthegen(Housto
n,TX,USA)により合成した。プローブを、結合していない色素を除去す
るためにHPLCにより2倍に精製して、そしてそれぞれ、プローブの5’末端
および3’末端へのレポーター色素およびクエンチャーの結合を立証するために
、質量分析計により評価した。それらの最終濃度は、正方向プライマーおよび逆
方向プライマーがそれぞれ900nM、ならびにプローブは200nMであった
【0302】 PCR条件:各組織および各細胞株由来の正規化されたRNAを、96ウェル
PCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウェ
ルに、スポットした。2つのプローブを含むPCRカクテル(HDGFX_A特
異的プローブおよびHDGFX_Aプローブで多重化された別の遺伝子特異的プ
ローブ)を、PE Biosystems 7700についての、1×TaqM
anTM PCR Master Mix(5mM MgCl2、dNTP(1:
1:1:2の比の、dA、G、C、U)、0.25U/ml AmpliTaq
GoIdTM(PE Biosystems)、および0.4U/μl RNa
seインヒビター、および0.25U/μl逆転写酵素)を使用して、設定した
。逆転写を、以下のように、48℃で30分間、それに引き続き、増幅/PCR
サイクルで実施した:95℃、10分、次いで、95℃を15秒、60℃を1分
間の40サイクル。
【0303】 (A.プローブセットAg082b)
【0304】
【表7】 クローンHDGFX_Aの発現を、アッセイされる全ての正常組織および癌組
織の、正常精巣(100.0%の相対的発現)および膵臓(9.0%の相対的発
現)においてのみ、プライマー−プローブセットAg082bにより検出する。
【0305】 (B.プローブセットAg082c)
【0306】
【表8】 クローンHDGFX_Aの発現を、アッセイされる全ての正常組織および癌組
織のうち、正常精巣(100.0%の相対的発現)および膵臓(9.7%の相対
的発現)においてのみ、プライマー−プローブセットAg082cにより検出す
る。
【0307】 (等価物) 本発明の特定の実施形態の前述に詳述される説明から、核酸、ポリペプチド、
抗体、検出および処置を含む特定の新規の組成物および方法が記載されているこ
とは明らかである。これらの特定の実施形態は、詳細に本明細書中に開示されて
いるが、これは、例証の目的のための例として開示され、そして前記の添付され
る特許請求の範囲に関して、制限することを意図しない。特に、種々の置換、変
更、および改変が、特許請求の範囲により規定されるような発明の精神および範
囲から逸脱することなく、本発明に対して、当業者にとって慣例的な問題として
作製され得る。実際、本明細書中に記載される改変に加えて、本発明の種々の改
変が、前述の説明および添付の図から当業者に明らかとなる。このような改変は
、添付の特許請求の範囲内にあることを意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、293細胞によって分泌されたHDGFX(AL033539とも呼
ばれる)ポリペプチドのウエスタンブロットである。
【図2】 図2は、E.coli細胞中で発現されたHDGFXポリペプチドのウエスタ
ンブロットである。
【図3】 図3は、腫瘍壊死因子αの分泌によって測定した、HDGFXでの処理に応答
する単球の活性化である。
【図4】 図4は、インターロイキン−6の分泌によって測定した、HDGFXでの処理
に応答する単球の活性化である。
【図5】 図5は、HDGFXでの処理に応答する、ヒト膵管上皮細胞の増殖である。
【図6】 図6は、HDGFXでの処理に応答する、ヒト膵管上皮細胞の増殖である。
【図7】 図7は、HDGFXで処理したヒト膵管上皮細胞におけるc−myc遺伝子お
よびc−fos遺伝子のノーザンブロット分析である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 9/00 4C085 A61P 3/10 15/00 4C086 9/00 17/02 4H045 15/00 17/06 17/02 19/02 17/06 29/00 19/02 101 29/00 35/00 101 C07K 14/47 35/00 16/18 C07K 14/47 C12N 1/15 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A C12Q 1/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ボルドッグ, フェレンチ エル. アメリカ合衆国 コネチカット 06473, ノース ヘイブン, ハートフォード ターンパイク 1687 (72)発明者 ヤン, メイジャ アメリカ合衆国 コネチカット 06533, イースト ライム, キャットバード レーン 6 (72)発明者 ラロッシェル, ウィリアム アメリカ合衆国 コネチカット 06443, マディソン, デヴォンシャー レーン 15 (72)発明者 ミンスコフ, ステイシー アメリカ合衆国 コネチカット 06443, スタムフォード, フェアウェイ ドラ イブ 57 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 CA04 CA09 HA14 HA17 4B063 QA01 QA19 QQ43 QR32 QR55 QS34 4B064 AG01 CA19 CC24 DA01 DA14 4B065 AB01 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 BA01 BA08 BA22 BA23 CA18 CA25 DC50 NA14 ZA362 ZA812 ZA892 ZA962 ZB152 ZB262 ZC352 4C085 AA13 BB11 CC26 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 MA04 NA14 ZA36 ZA81 ZA89 ZA96 ZB15 ZB26 ZC35 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 CA40 DA22 DA75 EA28 EA51 FA74

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HDGFXをコードする単離された核酸分子または該核酸分
    子の相補体であって、該分子は、配列番号2に対して少なくとも85%同一であ
    る配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された
    核酸分子または該核酸分子の相補体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の核酸分子または該核酸分子の相補体であっ
    て、前記ヌクレオチド配列が、配列番号2のポリペプチドをコードする、核酸分
    子または該核酸分子の相補体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の核酸分子または該核酸分子の相補体であっ
    て、該分子は、配列番号1のヒトHDGFXをコードする、核酸分子または該核
    酸分子の相補体。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の単離された核酸分子または該核酸分子の相
    補体であって、該分子が、配列番号1のヌクレオチドの配列を含む核酸分子に相
    補的な核酸配列に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単
    離された核酸分子または該核酸分子の相補体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の単離された核酸分子であって、該分子が、
    配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列において1以上の
    保存的置換を含むアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離された核
    酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の核酸分子のオリゴヌクレオチドまたはその
    相補体であって、該核酸分子は100ヌクレオチド未満の長さであり、そして配
    列番号1の少なくとも6個の連続したヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチド
    またはその相補体。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の核酸分子を含む、核酸ベクター。
  8. 【請求項8】 前記ベクターが発現ベクターである、請求項7に記載の核酸
    ベクター。
  9. 【請求項9】 前記核酸分子に作動可能に連結された調節エレメントをさら
    に含む、請求項7に記載のベクター。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の単離された核酸分子を含む、宿主細胞。
  11. 【請求項11】 単離されたポリペプチドであって、以下: a)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド; b)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのフラグメントであって、
    該フラグメントが、配列番号2の少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む、フ
    ラグメント; c)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの誘導体; d)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのアナログ; e)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモログ;ならびに f)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に存在する対立遺伝
    子改変体であって、該ポリペプチドが、ストリンジェントな条件下で配列番号1
    の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、対立遺伝子改
    変体、 からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも80%同一である、
    単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のポリペプチドであって、ここで該ポリ
    ペプチドまたはそのフラグメントが、以下: a)線維芽細胞増殖因子様活性; b)細胞増殖性活性; c)腫瘍形成活性;および d)神経保護様活性、 からなる群から選択される活性を有する、ポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載のポリペプチドに選択的に結合する抗体
    、ならびに該抗体のフラグメント、ホモログ、アナログ、および誘導体。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載のポリペプチドを産生する方法であって
    、該方法は、前記核酸分子が発現される条件下で、請求項10に記載の宿主細胞
    を培養する工程を包含する、方法。
  15. 【請求項15】 サンプル中において請求項11に記載のポリペプチドの存
    在を検出する方法であって、該サンプルを請求項11に記載のポリペプチドに選
    択的に結合する化合物と接触させる工程、および請求項11に記載のポリペプチ
    ドに結合した化合物が該サンプル中に存在するか否かを決定する工程を包含する
    、方法。
  16. 【請求項16】 サンプル中において請求項1に記載の核酸分子の存在を検
    出する方法であって、該方法は、該サンプルを該核酸分子に選択的に結合する核
    酸プローブまたはプライマーと接触させる工程、および請求項1に記載の核酸分
    子に結合した該核酸プローブまたはプライマーが該サンプル中に存在するか否か
    を決定する工程を包含する、方法。
  17. 【請求項17】 請求項11に記載のポリペプチドの活性を調節する方法で
    あって、該方法は、請求項11に記載のポリペプチドを含む細胞サンプルを、該
    ポリペプチドに結合する化合物と該ポリペプチドの活性を調節するに十分な量で
    接触させる工程を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 障害を処置または予防する方法であって、該障害は、増殖
    性障害、分化性障害、および腫瘍形成障害から選択され、該方法は、このような
    処置または予防が所望される被験体に、以下: a)HDGFXをコードする単離された核酸分子または該核酸分子の相補体で
    あって、該分子は、配列番号2に対して少なくとも85%同一である配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子また
    は該核酸分子の相補体; b)単離されたポリペプチドであって、以下からなる群から選択されるポリペ
    プチドに対して少なくとも80%同一である、単離されたポリペプチド: i)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、 ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのフラグメントであっ
    て、該フラグメントが、配列番号2の少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む
    、フラグメント、 iii)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの誘導体、 iv)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのアナログ、 v)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモログ、および vi)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に存在する対立
    遺伝子改変体であって、該ポリペプチドが、ストリンジェントな条件下で配列番
    号1の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、対立遺伝
    子改変体;ならびに c)工程(b)のポリペプチドに選択的に結合する抗体、ならびに該抗体のフ
    ラグメント、ホモログ、アナログ、および誘導体; からなる群から選択される治療剤の一定量を投与する工程を包含し、ここで、該
    治療剤が、該被験体における増殖性障害、分化性障害、および腫瘍形成障害のう
    ちのいずれか1つを処置または予防するために十分な量で投与される、方法。
  19. 【請求項19】 薬学的組成物であって、以下: a)HDGFXをコードする単離された核酸分子または該核酸分子の相補体で
    あって、該分子は、配列番号2に対して少なくとも85%同一である配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子また
    は該核酸分子の相補体; b)単離されたポリペプチドであって、以下からなる群から選択されるポリペ
    プチドに対して少なくとも80%同一である、単離されたポリペプチド: i)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、 ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのフラグメントであっ
    て、該フラグメントが、配列番号2の少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む
    、フラグメント、 iii)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの誘導体、 iv)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのアナログ、 v)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモログ、および vi)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に存在する対立
    遺伝子改変体であって、該ポリペプチドが、ストリンジェントな条件下で配列番
    号1の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、対立遺伝
    子改変体;ならびに c)工程(b)のポリペプチドに選択的に結合する抗体、ならびに該抗体のフ
    ラグメント、ホモログ、アナログ、および誘導体; からなる群から選択される治療有効量または予防有効量の治療剤、および薬学的
    に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
  20. 【請求項20】 1つ以上の容器に、治療的有効量または予防的有効量の請
    求項19に記載の薬学的組成物を含む、キット。
  21. 【請求項21】 ヒトの疾患に関連する症候群を処置するための医薬の製造
    における治療剤の使用であって、該疾患は、増殖性障害、分化性障害、および腫
    瘍形成障害から選択され、ここで、該治療剤は、以下: a)HDGFXをコードする単離された核酸分子または該核酸分子の相補体で
    あって、該分子は、配列番号2に対して少なくとも85%同一である配列を有す
    るポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子また
    は該核酸分子の相補体; b)単離されたポリペプチドであって、以下からなる群から選択されるポリペ
    プチドに対して少なくとも80%同一である、単離されたポリペプチド: i)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、 ii)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのフラグメントであっ
    て、該フラグメントが、配列番号2の少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む
    、フラグメント、 iii)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの誘導体、 iv)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのアナログ、 v)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモログ、および vi)配列番号2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に存在する対立
    遺伝子改変体であって、該ポリペプチドが、ストリンジェントな条件下で配列番
    号1の核酸分子にハイブリダイズする核酸分子によってコードされる、対立遺伝
    子改変体;ならびに c)工程(b)のポリペプチドに選択的に結合する抗体、ならびに該抗体のフ
    ラグメント、ホモログ、アナログ、および誘導体、 からなる群から選択される、使用。
  22. 【請求項22】 増殖性障害、分化性障害、および腫瘍形成障害のいずれか
    1つに対する活性の調節因子、あるいは潜伏または素因の調節因子をスクリーニ
    ングするための方法であって、該方法は、以下: a)増殖性障害、分化性障害、および腫瘍形成障害のいずれか1つについて危
    険性の増加した試験動物に対して、試験化合物を投与する工程であって、ここで
    、該試験動物は、HDGFXタンパク質を組換え的に発現する、工程; b)該試験動物における該タンパク質の活性の発現を測定する工程; c)該タンパク質を組換え的に発現し、かつ増殖性障害、分化性障害、および
    腫瘍形成障害のいずれか1つについて危険性の増加していないコントロール動物
    において、該タンパク質の活性を測定する工程;ならびに d)該試験動物および該コントロール動物における該タンパク質の発現を比較
    する工程であって、ここで、該コントロール動物に対する該試験動物における該
    タンパク質の活性の変化は、該試験化合物が、増殖性障害、分化性障害、および
    腫瘍形成障害のいずれか1つの潜伏の調節因子であることを示す、工程、 を包含する、方法。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の方法であって、ここで前記試験動物は
    、野生型試験動物と比較して増加したレベルで、試験タンパク質導入遺伝子を発
    現するか、またはプロモーターの制御下で該導入遺伝子を発現する組換え試験動
    物であり、ここで該プロモーターは、該導入遺伝子のネイティブな遺伝子プロモ
    ーターではない、方法。
  24. 【請求項24】 請求項11に記載のHDGFXポリペプチドの変更された
    レベルに関連する疾患の存在または該疾患に対する素因を決定する方法であって
    、該方法は、以下: a)哺乳動物被験体由来のサンプルにおける該ポリペプチドの量を測定する工
    程;および b)工程(a)における該ポリペプチドの量を、コントロールサンプル中に存
    在する該ポリペプチドの量と比較する工程、 を包含し、ここで、該コントロールサンプルと比較した場合の工程(a)におけ
    る該ポリペプチドのレベルの変更が疾患状態を示す、方法。
  25. 【請求項25】 請求項1に記載のHDGFX核酸の変更されたレベルに関
    連する疾患の存在または該疾患に対する素因を決定する方法であって、該方法は
    、以下: a)哺乳動物被験体由来のサンプルにおける該核酸の量を測定する工程;およ
    び b)工程(a)における該核酸の量を、コントロールサンプル中に存在する該
    核酸の量と比較する工程、 を包含し、ここで、該コントロールサンプルと比較した場合の工程(a)におけ
    る該核酸のレベルの変更が疾患状態を示す、方法。
  26. 【請求項26】 哺乳動物における病理学的状態を処置する方法であって、
    該方法は、被験体に、該病理学的状態を軽減する量のポリペプチドを投与する工
    程を包含し、ここで該ポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリ
    ペプチドに対して少なくとも85%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    またはその生物学的に活性なフラグメントである、方法。
  27. 【請求項27】 哺乳動物における病理学的状態を処置する方法であって、
    該方法は、被験体に、該病理学的状態を軽減するのに十分な量の請求項13に記
    載の抗体を投与する工程を包含する、方法。
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