JP2003528051A - ニューロペプチドyレベルの減少によって誘導される体重減少 - Google Patents

ニューロペプチドyレベルの減少によって誘導される体重減少

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JP2003528051A JP2001559278A JP2001559278A JP2003528051A JP 2003528051 A JP2003528051 A JP 2003528051A JP 2001559278 A JP2001559278 A JP 2001559278A JP 2001559278 A JP2001559278 A JP 2001559278A JP 2003528051 A JP2003528051 A JP 2003528051A
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ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、動物に、ニューロペプチドY(NPY)の発現および/または分泌を減少させる化合物を投与することによって、動物において、体重減少を誘導する方法を提供する。この効果は、直接、間接的に、または体液性に達成されてもよい。好ましくは、この化合物の投与は、動物におけるマロニルCoAレベルを増加させる効果を有する。本発明にしたがって投与される化合物は、置換α−メチレン−β−カルボキシル−γ−ブチロラクトンを含む脂肪酸シンターゼ(FAS)の阻害剤、またはマロニル補酵素Aデカルボキシラーゼ(MCD)の阻害剤であってもよい。好ましくは、該化合物は、NPYの発現および/または分泌の量および/または期間を、やせた動物で観察されるレベル以下に減少させるのに十分な量で投与される。別の好ましい態様において、投与は、発現および/または分泌を、摂食した動物または飽食した動物で観察されるレベルに減少させるだろうし;より好ましくは、投与は、NPYレベルを、摂食した動物のものより低く減少させるであろう。特定の態様において、本発明は、動物において摂食行動を阻害する化合物を投与することによって、動物において、体重減少を誘導する方法を提供する。該方法は、ホルモン・レプチンの発現が欠損している動物またはレプチンの作用に耐性である動物において、体重減少を誘導するのに特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明を導いた研究は、一部、米国国立衛生研究所の助成金番号DK0923
、DK14575、およびDC02979、並びに陸軍省の助成金によって、援
助された。米国政府は、本発明に特定の権利を保持する。発明の背景 発明の分野 本発明は、動物において、体重減少を誘導する方法に関する。部分的に、本発
明は、動物において、ニューロペプチドYのレベルを調節することによって、脂
肪細胞質量を減少させる方法に関する。
【0002】 関連技術の概説 体脂肪質量は、脂肪質量および摂食状態を監視して、そして摂食およびエネル
ギー利用を制御する、複雑な一群のフィードバック経路によって、調節される。
もともと、Kennedy(Kennedy, G., 1953 “ラットに
おける食物摂取の視床下部調節における蓄積脂肪の役割,” Proc. Ro
yal Soc. London(Biol), 140:579−592)に
よって示された、脂肪定常モデルによれば、脂肪組織、腸および肝臓および膵臓
からの末梢シグナルが、視床下部のニューロンに作用し、エネルギー恒常性を調
節する。関与するいくつかの制御経路が、最近、同定されている。
【0003】 摂食および体脂肪蓄積の最もよく知られる末梢シグナルには、レプチン、イン
スリン、および腸満腹ペプチドが含まれる。主に脂肪細胞によって産生されるサ
イトカイン関連ホルモンであるレプチンは、脂肪質量に比例して放出される。こ
のように、レプチンは、末梢でも、そして視床下部の摂食調節中枢においても、
脂肪質量のシグナルとして作用し、摂食を阻害し、そして体重減少を促進する(
Hwang, C.ら, 1997, “脂肪細胞分化およびレプチン発現,” Annual Review of Cell & Development
al Biology, 13:231−259)。レプチンレベルはまた、摂
食によっても上昇し、体脂肪蓄積と共に摂食状態を反映する。ob/obマウス
(Coleman, D.L., 1978, “肥満および糖尿病:マウスに
おいて2つの突然変異遺伝子が引き起こす糖尿病−肥満症候群,” Diabe
tologia, 14:141−148)および特定のヒト個体(Monta
gue, C.ら, 1977, “先天性レプチン欠損は、重症の早発性肥満
と関連する,” Nature, 387(6636):903−908)で観
察されるような、レプチンの欠如は、顕著な早発性肥満を導く。膵臓ベータ細胞
によって産生されるインスリンもまた、体脂肪蓄積に比例して、そして摂食に反
応して産生される。インスリンは、末梢ではエネルギー貯蔵を促進するよう作用
するが、視床下部では、レプチンと同様の方式で作用し、摂食を阻害し、そして
増加したエネルギー利用を促進する(Chavez, M.ら, 1996,
“ラットにおける中枢インスリンおよび多量養素摂取,” Am J Phys
iol, 271:R727−731)。腸ペプチド(例えばボンベシンおよび
コレシストキニン)は、摂食に反応して放出され、そして食事量のシグナルとし
て作用する(Laburthe, M.ら, 1994, “腸制御ペプチド受
容体,” Baill Clin Endocinol Metab., 8:
77−110)。体液経路によって作用するインスリンおよびレプチンと異なり
、これらのシグナルは、主に、副交感末梢神経系(すなわち迷走神経)の求心性
感覚ニューロンによって脳に運ばれる。他の摂食状態の腹部シグナルが同様に伝
達される。
【0004】 脳における摂食およびエネルギー利用の制御は、主に、視床下部の摂食シグナ
ルの統合を通じて調節される。制御神経伝達物質/ニューロペプチドの別個の2
群は、個体のエネルギー状態に応じて、協調して相互制御される。低レプチンレ
ベルなどによってシグナル伝達される、エネルギー欠乏の条件下では、摂食を刺
激し、そしてエネルギー利用を減少させる同化シグナルが活性化され、一方、摂
食を阻害し、そしてエネルギー利用を増加させる異化シグナルが下方制御される
。逆に、エネルギー過剰の条件下では、同化シグナルが下方制御され、一方、異
化シグナルが上方制御される(Loftus, T., 1999, “脂肪恒
常性の調節における脂肪細胞−中枢神経系制御ループ,” Sem. Cell
. Dev. Biol., 10(1):11−18)。
【0005】 最もよく知られる同化シグナルは、ニューロペプチドY(NPY)である。こ
のニューロペプチドは、絶食に反応して視床下部で産生され(Schwartz
, M.ら, 1998, “lacZレポーター遺伝子の発現によって明らか
になった、in vivoの視床下部ニューロペプチドY遺伝子転写に対する、
絶食およびレプチン欠損の影響,” Endocrinology, 139(
5):2629−2635)、そして摂食を強く刺激する(O’Shea, D
.ら, 1997, “ラットにおいてニューロペプチドYが誘導する摂食は、
新規受容体によって仲介される,” Endocrinology, 138(
1):196−202)。摂食阻害性異化シグナルのいくつかは、その作用機構
の中に、NPYシグナル伝達の阻害を含む。他の異化シグナルには、α−MSH
受容体(以下を参照されたい)をアンタゴナイズする、アグーチ関連ペプチド(
AGRP)(Shutter, G.M.ら, 1997, “アグーチ関連新
規遺伝子、ARTの視床下部発現は、肥満および糖尿病突然変異マウスにおいて
、上方制御されている,” Genes and Development,
11:593−602)、メラニン凝集ホルモン(MCH)(Ludwig,
D.ら, 1998, “メラニン凝集ホルモン:視床下部において機能するメ
ラノコルチン・アンタゴニスト,” Am. J. Physiol., 27
4:(E627−633))、並びにヒポクレチン1および2としても知られる
オレキシンAおよびB(Sakurai, T.ら, 1998, “オレキシ
ンおよびオレキシン受容体:摂食行動を制御する視床下部ニューロペプチドおよ
びGタンパク質カップリング受容体のファミリー,” Cell, 92(4)
:573−585)が含まれる。
【0006】 異化シグナルの中で、最も中心的なのは、α−メラニン細胞刺激ホルモン(α
−MSH)である。このペプチドは、エネルギー過剰に反応して上昇し、そして
摂食を阻害し、そして異化活性を促進する。α−MSH MC4受容体が欠失し
たマウスは、肥満を発展させる(Huszar, D.ら, 1997, “メ
ラノコルチン−4受容体の標的化破壊は肥満を生じる,” Cell, 88(
1):131−141)。同様に、アグーチまたはAGRPなどのこの受容体の
アンタゴニストを過剰発現するマウスもまた、遅発性肥満を発展させる(Gra
ham M., S.J.ら, 1997, “トランスジェニックマウスにお
いて、Agrtの過剰発現は、肥満を導く,” Nat. Genetics, 17:273−274)。2つのさらなる視床下部シグナル、コカインおよび
アンフェタミン制御転写物(CART)(Lambert, P., 1998
, “摂食の中枢調節におけるCARTペプチドおよびニューロペプチドYとの
相互作用,” Synapse, 29(4):293−298)、並びにコル
チコトロピン放出ホルモン(CRH)(Raberら、1997)は、高レベル
のレプチンなどの摂食シグナルに反応し、そして摂食を阻害する。脳において、
摂食シグナルを阻害することが知られる他のシグナルには、ニューロテンシン(
Sahu, A., 1998, “ガラニン(GAL)、メラニン凝集ホルモ
ン(MCH)、ニューロテンシン(NT)、プロオピオメラノコルチン(POM
C)およびニューロペプチドY(NPY)が、視床下部において、レプチンシグ
ナル伝達の標的であることを示唆する証拠,” Endocrinology,
139(2):795−798)、グルカゴン様ペプチド(Turton,
M.ら, 1996, “摂食の中枢制御におけるグルカゴン様ペプチド−1の
役割,” Nature, 379(6560):69−72)およびセロトニ
ン(Currie, P.ら, 1997, “特定の視床下部内の5−HT(
2A/2C)受容体の刺激,” Neuroreport, 8(17):37
59−3762)が含まれる。セロトニンは、摂食障害で観察される食欲抑制に
結び付けられており、そして最近使用中止された体重減少療法、フェンフェン(
phen fen)の標的である。
【0007】 C−75は、本明細書に援用される、米国特許第5,981,575号に開示
されるように、脂肪酸シンターゼ(FAS)の特異的阻害剤である。FASは、
ヒトおよび他の動物における脂肪酸合成の主な生合成酵素の1つである(Wak
il, 1989, “脂肪酸シンターゼ、熟達した多機能酵素,” Bioc
hemistry, 28:4523−4530)。BALB/cマウスへのC
−75の投与は、24時間以内に総体重の10−20%の損失を導き、これは数
日間続き、その総期間は用量に応じる。この期間後、体重は正常に戻り、動物に
明らかな長期の影響はない。
【0008】 過剰な体重は、先進国において、主な健康上の問題であり、米国人口の50%
以上に影響を及ぼし(Mustら, 1999, J. Amer. Med.
Assoc., 282:1523)、そして有病率および重症度両方が増加
しつつある。この異常は、他の障害の中でも、II型糖尿病、心臓血管および脳
血管疾患の増加したリスクに関連すると共に、有意に増加した死亡率に関連する
(Mustら、1999)。この健康上の問題の度合いおよびいくつかの体重減
少療法に関連する最近の困難は、体重減少療法に対する新規アプローチの必要性
を強調する。発明の概要 摂食行動を阻害することによって、体重減少を促進するのが本発明の目的であ
る。この目的および他の目的は、1以上の以下の態様によって満たされる。
【0009】 1つの態様において、本発明は、動物において、体重減少を誘導する方法であ
って、動物に、ニューロペプチドY(NPY)の発現および/または分泌を、直
接または体液性に減少させる化合物を投与することを含む、前記方法を提供する
。好ましくは、この化合物の投与は、動物において、マロニルCoAレベルを増
加させる影響を有する。本発明にしたがって投与される化合物は、置換α−メチ
レン−β−カルボキシル−γ−ブチロラクトンを含む脂肪酸シンターゼ(FAS
)の阻害剤、またはマロニル補酵素Aデカルボキシラーゼ(MCD)の阻害剤で
あってもよい。好ましくは、化合物は、NPYの発現および/または分泌の量お
よび/または期間を、やせた動物で観察されるレベル以下に減少させるのに十分
な量で投与される。別の好ましい態様において、投与は、発現および/または分
泌を、摂食した動物または飽食した動物で観察されるレベルに減少させるだろう
し;より好ましくは、投与は、NPYレベルを、摂食した動物のものより低く減
少させるであろう。
【0010】 特定の態様において、本発明は、動物において摂食行動を阻害する化合物を投
与することによって、動物において、体重減少を誘導する方法を提供する。該方
法は、ホルモン・レプチンの発現が欠損している動物またはレプチンの作用に耐
性である動物において、体重減少を誘導するのに特に有用である。
【0011】 別の態様において、本発明は、その発現が、体重減少の調節と関連している遺
伝子を同定するスクリーニング法を提供する。この方法は、体重減少剤で処置さ
れた動物の組織で発現されたmRNA種を、対照動物の対応する組織で発現され
たmRNA種に比較することを含む。好ましくは、処置動物は、FAS阻害剤で
処置され、より好ましくは、FAS阻害剤は、C−75などの置換α−メチレン
−β−カルボキシル−γ−ブチロラクトンである。この方法の好ましい態様にお
いて、発現されたmRNAは、視床下部組織で発現されたmRNAである。処置
および対照動物間のmRNA発現を比較することによって、体重減少剤により、
その発現が上方制御されるかまたは下方制御される遺伝子と関連するmRNA種
を同定することが可能である。
【0012】 同化および異化シグナルの組み合わせは、摂食状態に関する体の知覚を調節す
る。これらのシグナルの調節を改変することによって、個体の食餌状態にかかわ
らず、摂食した状態または絶食した状態の知覚を生成することが可能である。同
化シグナルを阻害し、そして異化シグナルを活性化することにより、摂食の抑制
を通じてだけでなく、体重減少に通常付随する、代謝速度の低下と対照的に、正
常速度の代謝を維持することによって、体重減少を誘導することが可能である。
【0013】 α−メチレン−β−カルボキシ−γ−ブチロラクトン、C−75などのFAS
阻害剤が、主に摂食を阻害することによって、体重減少を誘導することが発見さ
れた(実施例1)。十分な用量で、C−75は、すべての摂食行動を完全に遮断
するであろう。さらに、観察された体重減少は、薬剤処置動物の強いられた摂食
によって、大部分、逆転させることが可能である。C−75は、視床下部におい
て、食欲促進(prophagic)シグナル、ニューロペプチドYの発現を阻
害し、そしてマロニル−CoAによって仲介されるようである、レプチン独立方
式で、作用した。
【0014】 代謝速度に対する影響もある可能性がある。C−75処置は、総食物制限のみ
よりも、より大きい体重減少を導く(実施例2を参照されたい)。哺乳動物にお
ける絶食に対する正常反応は、エネルギーを維持するため、代謝速度を減少させ
ることである。摂食した状態を体にシグナル伝達する剤は、摂食を阻害するだけ
でなく、上昇した代謝速度を維持し、摂食欠如のみよりも、より大きい体重減少
を生じる。代謝速度のこの上昇はまた、摂食のみによる体重減少の不完全な逆転
も説明する可能性がある。態様の詳細な説明 摂食調節における代謝の役割は、よく確立されている。グルコース(Gros
smanら, 1997, Physiol. Behav., 61:169
)または脂肪酸(Scharrer, 1999, Nutrition, 1
5:704)などの生理学的燃料の注入は、摂食を阻害することが長く知られて
きている。さらに、非代謝性グルコース類似体である2−デオキシグルコースの
ICV投与後に観察されるように(Grossmanら、1997)、これらの
基質の代謝拮抗剤はまた、摂食の刺激を導く。肝臓において、脂肪酸酸化の阻害
剤が、増加した摂食を導くような、脂質代謝の改変による摂食調節の先例もある
(Scharrer、1999)。しかし、FASの阻害は、添加される生理学
的燃料の非存在下で、摂食阻害シグナルを誘導する点で、これらの他の代謝性摂
食調節機構と異なる。
【0015】 摂食阻害および脂肪酸合成間のつながりは、過剰な生理学的燃料が、エネルギ
ー貯蔵へと運ばれる、エネルギー過剰中にのみ、脂肪酸合成が起こるという事実
と一致する。よく性質決定された制御機構が記載されてきており、この機構を通
じて、脂肪酸合成が脂肪酸酸化を制御する(Rasmussenら, 1999
, Ann. Rev. Nutri., 19:463)。このパラダイムに
おいて、FASの基質であるマロニル−CoAは、脂肪酸合成中に上昇し、そし
てカルニチン・パルミトイル・トランスフェラーゼが仲介するミトコンドリアへ
の脂肪酸取り込みを阻害する。この制御機構は、脂肪酸合成および脂肪酸酸化が
同時に起こるのを妨げる。脂肪酸合成と関連する上昇したマロニル−CoA(本
明細書に援用される、米国特許出願60/164,765“癌細胞を選択的に殺
す手段としての、細胞マロニル−CoAレベルの調節”を参照されたい)は、同
様に、摂食調節と関連する可能性がある。
【0016】 脂肪酸合成の阻害自体が、摂食阻害を導く可能性はありそうにない。脂肪酸合
成経路においてFASに先行する酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(
ACC)の阻害剤、TOFA(Halvorsonら, 1984, Lipi
ds, 19:851)の投与を伴う先の研究は、脂肪酸合成の阻害を導いたが
、摂食を阻害しなかった(Malewiakら, 1985, Metabol
ism, 34:604)。TOFA投与は、マロニル−CoA産生を遮断する
と期待され、そしてしたがって、摂食を阻害すると期待されないであろう。対照
的に、C−75によるFASの阻害は、マロニル−CoAレベルの劇的な上昇を
導き(米国特許出願60/164,765を参照されたい)、これは、活性脂肪
酸合成を、そしてしたがって摂食した状態を模倣する可能性がある。
【0017】 脂肪酸合成は、脂肪酸合成中、マロニル−CoAレベルを上昇させることを介
して、脂肪酸酸化を制御し、これは、カルニチン・パルミトイル・トランスフェ
ラーゼ−1が仲介するミトコンドリアへの脂肪酸取り込みの阻害を生じる。これ
は、シグナル伝達に役割を果たす可能性がある分子である、細胞質長鎖脂肪アシ
ル−CoAおよびジアシルグリセロールの上昇を生じ、マロニル−CoAレベル
が、生理学的燃料の利用可能性のシグナルとして作用するという提唱を導く。
【0018】 脂肪酸酸化による摂食調節は、視床下部調節と独立の過程で、副交感感覚ニュ
ーロンによって仲介される(Scharrer、1999)ため、FAS阻害が
NPYシグナル伝達の抑制を導く機構は、脂肪酸酸化による摂食調節の機構と、
関連していることはありそうもない。こうした感覚ニューロンはまた、腸満腹ペ
プチドによる、そしてレプチンによるシグナル伝達において、役割を果たすとも
報告されてきている(Niijima 1998, J. Auton. Ne
rv. Syst., 73:19)。腸ペプチドもまた、典型的には、減少し
た食事量を導くが、食物摂取または体重の全体的な減少を導かないため、この影
響の仲介因子ではありそうもない(Westら, 1984, Am. J.
Physiol., 246:R776)。しかし、求心性末梢ニューロンによ
る、摂食に対するFASの影響の仲介は、これらのニューロンが、脂肪酸合成の
主要な部位、特に肝臓および脂肪組織を神経支配するため、こうした摂食シグナ
ルのありうる機構でありつづけている。
【0019】 FAS、ACC、およびMCDの実質的な発現は:弓状核、小脳、脳幹、海馬
、および皮質などの脳内の選択的神経細胞集団で観察されてきている。ニューロ
ンは、有意なレベルの脂肪酸合成を行うと考えられていないため、これらの酵素
がどのような役割を果たすのかは明確でない;しかし、これらのニューロンは、
C−75またはセルレニンの存在下で、マロニル−CoAの上昇を経る機構を持
つ。[5−3H]−C−75を用いた研究によって、該薬剤が脳に進入すること
が示される。したがって、これらの阻害剤は、脳に直接作用し、弓状核自体のニ
ューロンにおいて、または弓状核のニューロンに作用するニューロンにおいて、
摂食中枢を調節する可能性がある。トリプトファン・ヒドロキシラーゼ阻害剤、
パラ−クロロ−フェニルアラニンでの前処理によって、セロトニンを枯渇させた
動物においてC−75が有効であること(Yangら, 1995, Am.
J. Physiol., 268:E389)は、神経伝達物質がこの影響の
仲介因子であることに反対の議論を提供する。
【0020】 あるいは、FAS標的組織から視床下部へのシグナルは、体液性シグナルによ
って仲介される可能性がある。このFAS関連シグナルは、既知の摂食阻害ホル
モン、レプチンおよびインスリン、並びに炎症誘発性サイトカイン、腫瘍壊死因
子−αおよびインターロイキン−1βの全身放出とは独立であるようである。ま
た、このシグナルは、合成糖質コルチコイド、デキサメタゾンの投与によって逆
転されない。処置マウスのすべての主要な臓器の剖検および組織学的解析は、不
都合な病理をまったく明らかにせず、そして血漿アラニン・アミノトランスフェ
ラーゼ活性は未変化であった。さらに、C−75が誘導する体重減少が、IL−
1rおよびTNFαr1a受容体を欠くマウスで観察され、体重減少が炎症反応
に仲介されないことが示唆された。
【0021】 NPYに加え、いくつかの他の制御分子が視床下部で組み合わされ、摂食を調
節する(Loftus、1999)。これらのシグナルの発現は、摂食状態およ
び体脂肪蓄積に応じ、NPYと協同で(例えばアグーチ関連ペプチド)、または
NPYと対抗して(例えばα−メラニン細胞刺激ホルモン)、協調的に制御され
る。C−75によるNPYの調節はまた、これらの共制御分子にも及ぶ可能性が
ある。
【0022】 マロニル−CoAに関して提唱される1つの役割は、ベータ細胞において栄養
素に刺激されるインスリン分泌の仲介である。視床下部において摂食を制御する
グルコース感覚性ニューロンは、グルコキナーゼおよびATP感受性カリウムチ
ャネルの発現を含む多くの特徴を、ベータ細胞と共有する(20)。本明細書に
報告されるデータは、マロニル−CoAが、視床下部ニューロンにおいて、燃料
状態をシグナル伝達する可能性があるという予測を支持する。
【0023】 肥満関連疾患の漸増と共に、脂肪平衡の調節機構が、より重要な健康上の問題
点となってきている。総合すると、本研究は、摂食調節におけるFASの役割の
証拠を提供する。FASの2つの別個の阻害剤、C−75およびセルレニンによ
って立証されるように、この酵素は、食欲および体重の調節の潜在的な療法標的
を代表する。
【0024】 体重減少剤 本発明にしたがった体重減少剤は、ニューロペプチドY発現および/または分
泌に干渉し、そして摂食活性を遮断するかまたは減少させる剤である。候補剤は
、その剤を動物に投与し、そして処置動物の脳におけるNPYレベルを測定する
ことによって(例えばマウス脳に関して、実施例2に記載されるように)、また
は視床下部培養におけるNPY発現を測定することによって(例えば、本明細書
に援用される、Loudesら(1999), “視床下部ドーパミン作動性ニ
ューロンの別個の集団は、脳由来神経栄養因子(BNDF)およびニューロトロ
フィン−2(NT3)に異なる反応を示す” European Journa
l of Neuroscience, 11:617−624;Loudes
ら(2000), “脳由来神経栄養因子は、視床下部培養において、ソマトス
タチンニューロンの分化を増進するが、ニューロトロフィン−3はしない,”
Neuroendocrinology, 72(3):144−53の培養法
を参照されたい)、NPY発現を減少させる能力に関して、試験することが可能
である。代替または追加試験として、体重減少剤を、試験動物に脳室内注射し、
そして試験動物の摂食行動を監視することが可能である(実施例2を参照された
い)。本発明の好ましい体重減少剤は、摂食行動を阻害すると予測されるであろ
う。
【0025】 FAS阻害剤は、本発明にしたがった体重減少剤として好ましい;より好まし
いのは、ニューロペプチドYの発現および/または分泌の減少を誘導するFAS
阻害剤である。療法化合物は、好ましくは、少なくとも匹敵する濃度で、他の細
胞活性にいかなる有意な(直接の)影響も与えずに、FAS活性を阻害し、そし
て/またはマロニルCoAのレベルを上昇させる化合物である。マロニルCoA
を増加させるのに適した化合物は、本明細書に援用される米国特許出願60/1
64,749、60/164,765、および60/164,768に記載され
るように得ることが可能である。特に好ましい療法化合物は、少なくとも匹敵す
る濃度で、他の細胞活性にいかなる有意な(直接の)影響も与えずに、動物細胞
において、FAS活性を直接減少させる化合物である。上に論じられるように、
FAS活性を減少させる化合物は、一般的に、マロニルCoAのレベルを増加さ
せる傾向があるであろう。
【0026】 FAS阻害剤 非常に多様な化合物が、脂肪酸シンターゼ(FAS)を阻害することが示され
てきており、そして本発明での使用に適したFAS阻害剤の選択は、当該技術分
野の一般的当業者の技術範囲内である。FASを阻害する化合物は、化合物が脂
肪酸シンターゼ活性を阻害する能力を、精製酵素を用いて試験することによって
、同定することが可能である。脂肪酸シンターゼ活性は、NADPHの酸化に基
づいて分光光度的に、あるいは放射標識アセチルまたはマロニル−CoAの取り
込みを測定することによって放射能的に、測定することが可能である(Dils
ら, Methods Enzymol., 35:74−83)。FAS阻害
剤は、米国特許第5,759,837号に例示されており、そして好ましいFA
S阻害剤、α−メチレン−β−カルボキシ−γ−ブチロラクトンを合成する方法
は、米国特許第5,981,575号に記載されており、これらの特許はどちら
も、本明細書に援用される。
【0027】 適切なFAS阻害剤は、どちらも本明細書に援用される、米国特許第5,98
1,575号の実施例7に、そして米国特許第5,759,837号に例示され
る単純な試験によって同定することが可能である。一般的に、この試験は、FA
S阻害剤、典型的にはセルレニンが、細胞傷害性である、腫瘍細胞株を用いる。
こうした細胞株には、SKBR−3、ZR−75−1、および好ましくはHL6
0が含まれる。適切なFAS阻害剤は、こうした細胞株の増殖を阻害するであろ
うが、細胞は、FAS酵素の産物(脂肪酸)の外因性供給によって救出される。
細胞増殖を、外因性脂肪酸(例えばパルミテートまたはオレエート)の存在下お
よび非存在下で測定する場合、特異的FAS阻害剤による阻害は、脂肪酸によっ
て軽減される。
【0028】 あるいは、適切なFAS阻害剤は、高い療法指数によって特徴付けられる可能
性がある。阻害剤は、細胞培養において、脂肪酸合成を50%阻害するのに必要
な濃度(IC50またはID50)によって特徴付けることが可能である。高い療法
指数を持つFAS阻害剤は、外因性脂肪酸の存在下での細胞増殖の阻害のIC50 より低い濃度で、(IC50によって測定されるように)脂肪酸合成を阻害するで
あろう。これらの2つの細胞活性に対する影響がより大きい相違を示す阻害剤が
、より好ましい。脂肪酸合成の好ましい阻害剤は、外因性脂肪酸の存在下での細
胞増殖に関して測定されるその阻害剤のIC50より、少なくとも1対数低い、よ
り好ましくは、少なくとも2対数低い、そしてさらにより好ましくは、少なくと
も3対数低い、脂肪酸合成活性のIC50を有するであろう。
【0029】 療法 本発明にしたがったヒト療法は、減少した細胞内脂肪貯蔵および脂肪細胞質量
の減少を導くであろう。これは、表に列挙される第一のおよび/または第二の影
響を有すると期待することが可能である。本発明にしたがった化合物での処置は
、肝脂肪の減少を導くであろうし、そしてこれは次に、アルコール依存症患者に
おける肝硬変の割合または発生率の減少を導く可能性がある(例えば、本明細書
に援用される、French, 1989, Clinical Bioche
mistry, 22:41−9;Clementsら, 1995, Am.
J. Respir. Crit. Care Med., 151:780
−784を参照されたい)。同様に、脂肪肝の個体(例えばII型糖尿病または
肥満個体)は、肝脂肪を減少させる(肝生検によって検出可能)、本発明の剤の
投与から利益を得る可能性がある。増加したインスリン反応性は、減少した脂肪
細胞質量の直接の結果である。減少した脂肪細胞質量は、動脈疾患、脳卒中など
のリスクを減少させるであろう。上昇した低密度リポタンパク質(LDL)を持
つ患者において、この方法を用いて、LDLレベルを減少させることが可能であ
る。したがって、本発明の方法は、特に、体重過剰の個体、糖尿病患者、および
アルコール依存症患者に適用可能である。該方法は、一般的に、肥満およびその
合併症を治療する計画の一部として有用である。例えば、肥満個体は、変形性関
節症になりやすく、そして本発明の方法は、該疾患の影響を減少させるか、また
は開始を遅らせる可能性がある。
【0030】 表 減少した細胞内脂肪貯蔵および脂肪細胞質量の減少の影響 −筋肉減少を伴わない体重減少 −肝脂肪の減少 −増加したインスリン反応性(特にII型真性糖尿病において) −減少した血圧 −減少した動脈疾患 −内毒素仲介肝臓損傷を含む、脂肪変化と関連した肝臓損傷に対する減少した
感受性 体重減少を誘導するための本発明の方法は、脊椎動物を含む動物、特に哺乳動
物に適用可能である。特に意図される動物には、家禽、ブタ、ウシ、ヒツジなど
の食物動物、および筋肉質量の減少を伴わない脂肪集積の減少が、獣医学的な健
康上のまたは経済的理由のために望ましい可能性がある他の動物が含まれる。同
様に、FAS阻害剤などの本方法にしたがった療法化合物は、本発明の方法にし
たがって、獣医学的健康上の理由のため、特に本発明の医学的療法使用のために
、本明細書に提供される理由と類似の理由のため、イヌ、ネコ、ウマおよび他の
動物に投与することが可能である。本方法にしたがった化合物の投薬プロトコル
は、標準的な獣医薬理学的原理を考慮して、医学的方法から、そして本明細書に
提供されるin vitroおよびin vivoデータから、多様な動物に適
応させることが可能である。一般的に、本方法は、授乳中の動物には適用されな
いであろう。
【0031】 本発明にしたがった処置は、本発明にしたがった化合物(例えばα−メチレン
−β−カルボキシ−γ−ブチロラクトンなどのFAS阻害剤)を処置被験者に投
与することを伴う。本発明の化合物のいずれかを含む薬剤組成物は、選択された
薬剤および疾患によって、必要とされるように、非経口(皮下、筋内、静脈内、
腹腔内、胸膜内、膀胱内(intravesicularly)またはクモ膜下
腔内)、局所、経口、直腸、または鼻経路によって、投与することが可能である
【0032】 本発明にしたがった療法化合物は、好ましくは、化合物および薬学的に許容し
うるキャリアーを含む薬剤組成物中に処方される。療法化合物は、リポソーム中
に、または投与のためエアロゾル型で処方されてもよい。薬学的に許容しうるキ
ャリアー中の活性剤の濃度は、溶解度に応じるであろう。特定の処方または適用
に用いられる用量は、特定の種類の疾患の必要条件およびキャリアー成分の特徴
および能力によって課せられる制約によって決定されるであろう。薬剤組成物は
、他の構成要素が、療法が無効になるほど、本発明にしたがった化合物の有効性
を減少させない限り、他の構成要素を含んでもよい。薬学的に許容しうるキャリ
アーは公知であり、そして薬学業の当業者は、特定の投与経路に適したキャリア
ーを容易に選択することが可能である(例えば“Remington’s Ph
armaceutical Sciences,” Mack Publish
ing Co., ペンシルバニア州イーストン, 1985を参照されたい)
【0033】 用量および療法期間は、薬剤の療法指数、疾患の種類、患者の年齢、患者の体
重、および毒性の許容度を含む、多様な要因に応じるであろう。用量は、一般的
に、約1ngから約100μg/ml、好ましくは約10ng/mlから約10
μg/mlの血清濃度を達成するよう選択されるであろう。好ましくは、初期用
量レベルは、療法指数を決定するのに用いられるものなどのin vitroモ
デル、およびin vivoモデル、並びに臨床試験で、有効であることが示さ
れた、最大許容レベルまでの外界濃度を達成する能力に基づいて、選択されるで
あろう。典型的な用量は、血液中、100ng/mlにほぼ等しい。標準的臨床
法には、化学療法を個々の患者にあつらえ、そして療法剤の全身濃度を、定期的
に監視することが好ましい。特定の薬剤の用量および特定の患者のための療法の
期間は、上記の要因を考慮して、標準的薬理学的アプローチを用い、熟練した臨
床医によって、決定することが可能である。治療に対する反応は、本発明にした
がった化合物の血液または体液レベルの解析、化合物の活性または適切な組織中
のそのレベルの測定、あるいは患者の疾患状態の監視によって監視することが可
能である。熟練した臨床医は、これらの測定によって明らかとなる、治療に対す
る反応に基づいて、用量および療法期間を調整するであろう。
【0034】 好ましくは、FAS阻害剤などの本発明の療法化合物は、ニューロペプチドY
の分泌を調節するのに必要なレベルに基づいて投与する。特に、当業者は、被験
者におけるNPYレベルが、正常摂食に続くレベル以下になるように、被験者に
FAS阻害剤を投与するよう奨励される。摂食後に観察されるレベル以下に有効
NPYレベルを維持すると、摂食行動が阻害され、そしてこれは体重減少および
脂肪組織質量減少を導くであろう。
【0035】 上述の組成物は、別の療法物質と組み合わせるか、または共にまたは協調して
用いることが可能である。脂肪酸合成阻害剤、または阻害剤の相乗的組み合わせ
は、もちろん、処置される動物を殺すであろうレベルより低いレベル(用量およ
び療法期間に基づく)で投与されるであろう。好ましくは、投与は、生命維持に
必要な臓器を不可逆的に損傷しないレベルのものであろうし、また、肝機能、腎
機能、心肺機能、胃腸機能、尿生殖器機能、外皮機能、筋骨格機能、または神経
機能の永続的な減少を導かないであろう。一方、続いて再生されるであろうある
程度の細胞(例えば子宮内膜細胞)を殺すレベルでの阻害剤の投与は、必ずしも
排除されない。
【0036】 体重調節に関与する経路の重要な構成要素としてニューロペプチドYを同定し
たのに加え、本発明はまた、その発現が体重減少の調節と関連する他の遺伝子を
同定するスクリーニング法も提供する。こうしたスクリーニングは、体重減少剤
で処置した動物の組織で発現されたmRNA種を、対照動物の対応する組織で発
現されたmRNA種に比較することによって、行うことが可能である。処置動物
の選択された組織から総mRNAを得る方法を、内因性NPYで処置したマウス
に関して、実施例2に記載する。当業者は、例えばヒトゲノムプロジェクトから
、既知の技術を適応させることによって、処置および対照条件下で発現されたm
RNAを得て、そして比較するのに適した他の方法を、容易に提供することが可
能である。さらに、サブトラクション抑制ハイブリダイゼーション、マイクロア
レイまたはチップ技術を用いて、異なって発現されるmRNAに関して、スクリ
ーニングすることが可能である(本明細書に援用される、Lockhartら(
2000), “ゲノミクス、遺伝子発現およびDNAアレイ” Nature
405:827−836もまた参照されたい)。本方法の好ましい態様におい
て、発現されたmRNAは、対照および処置視床下部組織で発現されたmRNA
である。C−75などの置換α−メチレン−β−カルボキシル−γ−ブチロラク
トンである体重減少剤が、本方法にしたがった比較のための、動物の処置の好ま
しい剤である。処置および対照動物間のmRNA発現を比較することによって、
体重減少剤により、その発現が上方制御されるかまたは下方制御される遺伝子と
関連するmRNA種を同定することが可能である。
【0037】
【実施例】
本発明のより完全な理解を容易にするため、いくつかの実験を以下に提供する
。しかし、本発明の範囲は、これらの実施例に開示される特定の態様に限定され
ず、これらは例示のみを目的とする。
【0038】 実施例1 FASおよび脂肪酸合成の阻害剤 図1.1(パネルA)は、C−75およびセルレニンの化学構造を示す。これ
らの化合物の阻害効果を、BALB/cマウスに対して立証した。
【0039】 メスBALB/cマウスを、200μl RPMI中の0.6mgのC−75
、またはビヒクル対照IPで処置した(群あたり3匹)。3時間後、動物を殺し
、そしておよそ5mgの脂肪組織を[U−14C]−アセテートで標識し、脂質を
抽出して、そしてカウントした(A. Rashidら, Am. J. Pa
thol. 150(1997))。結果を図1.1(パネルB)に示す。C−
75は、ビヒクル対照に比較して、脂肪酸合成を顕著に阻害した。値は、平均+
/−SEMを示す(*P<0.5)。
【0040】 オスBALB/cマウス(群あたり4匹)に、経口胃管栄養法によって、2g
/kgのデキストロースを与えた。15分後、マウスに20mg/kg C−7
5またはRPMIビヒクルをIP注射した。処置1時間後、肝臓を迅速に除去し
、液体窒素中で凍結して、そして微粉砕し、HClO4抽出して、そしてマロニ
ル−CoAに関してアッセイした(J.D. McGarry, M.J. S
tark, D.W. Foster., J. Biol. Chem 25
3, 8291(1978))。結果を図1.1(パネルC)に示す。C−75
をマウスに腹腔内注射すると、脂肪酸への14C−アセテート取り込みが95%減
少し、そしてFASの主な基質である、肝臓マロニル−CoAのレベルが110
%増加する。パネルBおよびCに記載される実験は、2回繰り返した。
【0041】 実施例1A マウスにおける体重および食物摂取に対するC−75の影響 マウスにおける摂食行動および体重に対するC−75処置の影響は、迅速かつ
劇的である。単回処置は、24時間以内に総体重の20%と同程度に多い減少を
導く(図1.2A)。この体重減少は、用量依存方式で起こり、そして用量と共
に増加する期間、持続する。すべての場合で、処置動物は、薬剤の影響が散逸し
た後、失った体重を回復し、持続した消耗が誘導されることに反対の議論を提供
する。処置は、マウスによく許容され、唯一の明らかな影響は、過剰な体重減少
である。処置マウス由来の組織の組織学的解析は、不都合な病理の徴候をまった
く明らかにしなかった(未提示)。
【0042】 オスBALB/cマウス、19−22gの体重を測定し、単回腹腔内(I.P
.)注射によって処置し、そして代謝ケージ中で飼育した。体重(図1.2A)
および食物摂取(図1.2B)を24時間間隔で監視した。図1.2Aは、+/
−SEMで現した、C−75 7.5(△)、15(○)または30(□)mg
/kgあるいはRPMIビヒクル(●)で処置したマウスにおける最初の体重か
らの平均変化を示す。図1.2Bは、RPMIビヒクル(黒い棒)または15m
g/kgのC−75(灰色の棒)で処置したマウスの、処置後、1日あたりの総
食物摂取を示す。
【0043】 脂肪酸合成の阻害剤は、新規脂肪酸合成の阻害によってトリグリセリド集積を
妨げ、そしてこの方式で体重に影響を与えると期待されるであろう。実際、C−
75は、細胞培養中の3T3−L1脂肪細胞による細胞質トリグリセリド集積を
顕著に減少させる(未提示)。しかし、C−75が誘導する劇的な体重減少は、
脂肪酸/トリグリセリド生合成の遮断によって説明不能である。むしろ、C−7
5処置に反応して観察される体重減少は、主に、摂食阻害から生じる。脂肪質量
の減少は、絶食で観察されるものに典型的な除脂肪体重の減少を伴った。15m
g/kg体重の投与は、最初の24時間に渡って、90%より多い食物摂取の減
少を導いた(図1.2B)。その後、摂食行動は、薬剤効果が散逸するにつれて
、48−72時間の期間に渡って、漸進性に正常に戻った。C−75が誘導する
体重減少における摂食阻害の役割は、薬剤処置動物に摂食を強いると、観察され
た体重減少が大部分、逆転するという研究によって、確認された。
【0044】 摂食阻害と協調して、水摂取に中程度の減少があり、これは尿排出の同様の減
少に反映された(未提示)。水摂取の直接の阻害よりもむしろ、これは、食餌中
の塩および他の溶質の減少した摂取から生じる、浸透圧平衡の変化と一致する。
しかし、観察された体重減少のある程度の構成要素が水のためである可能性があ
る。
【0045】 実施例2 摂食した状態および絶食した状態におけるC−75による摂食制御 :NPYの役割 体重減少が、摂食の抑制に完全に起因しうるかどうかを決定するため、摂食を
完全に抑制する用量のC−75での処置を、絶食と比較した。絶食およびC−7
5はどちらも、対照に比較して、有意な体重減少を導いた;しかし、多くの実験
では、C−75処置マウスは、絶食動物よりも多くの体重を失った(図2A)。
絶食への正常反応は、エネルギー利用を減少させ、エネルギー貯蔵の枯渇を制限
することである(Loftus、1999)。C−75処置が、「知覚される摂
食した状態」を生じるのであれば、摂食の阻害と共に正常の代謝速度の維持が可
能になる可能性がある。
【0046】 オスBALB/cマウス、19−21gの体重をあらかじめ測定し、そしてビ
ヒクルまたは30mg/kg C−75で処置し、そして食物への自由な接近を
可能にするか、または食物へのすべての接近を拒んだ(絶食)。24時間後、マ
ウスの体重を測定した。平均+/−SEM(n=7)として現した、最初の体重
からの変化を図2Aに示す。C−75処置マウスは、絶食動物より、45%多く
、体重を失った。
【0047】 体重の調節は、体脂肪蓄積および摂食状態を監視し、そして摂食およびエネル
ギー利用を制御する、協調した一群のニューロペプチドによって、視床下部で統
合される。この過程の中枢制御因子は、ニューロペプチドY(NPY)である(
Loftus, 1999, Sem. Cell. Dev. Biol.,
10:11)。弓状核において、NPYレベルは、絶食状態で増加し(Sch
wartzら, 1998, Endocrinology, 139:262
9)、摂食の強力な刺激として作用する(O’Sheaら, 1997, En
docrinology, 138:196−202)。C−75が視床下部に
おけるNPY制御を改変する可能性があるかどうかを確かめるため、図2Aに示
される摂食したマウス、絶食したマウス、およびC−75処置マウスの脳から顕
微解剖した視床下部組織のノーザンブロット解析によって、NPY発現を調べた
【0048】 図2Aのマウス脳から視床下部領域を顕微解剖し、そして総RNAを単離した
。RNAは、NPYおよびS26(装填対照)に関して、ランダムプライミング
プローブ(Feinbergら, 1983, Anal. Biochem.
, 132:6)を用いたノーザンブロット解析に供した。P. Chomcz
ynskiおよびN. Sacchi, Anal. Biochem. 16
2, 156(1987)に記載されるように、総RNAに関して組織を抽出し
た。15μgの総RNAを、T. Brown, K. Mackey, Cu
rrent Protocols in Molecular Biology
中, F. Ausubelら監修(John Wiley and Sons
, ニューヨーク, 1997)pp.4.9.1−4.9.16に記載される
ように、ノーザンブロット解析に供した。予測されるように、絶食は、NPY
mRNA発現を顕著に上方制御した(図2B)。しかし、C−75処置マウスに
おける視床下部NPY mRNAのレベルは、摂食した対照のものよりさらに低
かったが、これらのマウスは食べてはおらず、そして絶食状態に相当した。これ
は、C−75が、少なくとも部分的に、食欲促進NPYシグナルを遮断すること
によって、摂食を阻害することを示唆する。
【0049】 この知見を確認するため、C−75が誘導する摂食阻害をNPYが逆転させる
能力を調べた。I.P.注射によって、マウスを30mg/kgのC−75で前
処置した。4時間後、マウスを吸入メトフェーン(metofane)によって
麻酔し、そして500ng NPY(2.5μl総体積)または人工的CSFビ
ヒクルの直接脳室内注射を与えた。マウスを代謝ケージに入れ、そして18時間
に渡って、摂食行動に関して観察し、そして食物摂取に関して監視した。結果を
図2Cに示す。C−75/NPY処置マウスによる1時間以内の総食物摂取は、
NPYのみで処置したマウスによるものと同様であり、そしてC−75処置マウ
スによるものより9倍多かった。
【0050】 ビヒクルまたはC−75いずれかで前処置したマウスへのNPY 500ng
の脳室内(ICV)注射は、迅速に、貪欲な摂食を導いたが、ビヒクルのICV
注射は、摂食にいかなる影響も持たなかった。NPYのこの用量の摂食効果は、
1時間未満以内に完全に鎮静したが、これは、C−75処置マウスにおいて、総
食物摂取を実質的に上昇させるのに十分であった(図2C)。これらの結果は、
ノーザンブロット解析から予期されるように、NPYの下流の摂食調節経路が、
C−75処置マウスで損なわれていないこと、およびC−75がNPY放出の上
流で作用することを両方とも確認する。
【0051】 摂食に対するC−75の影響はまた、上方制御されたNPYレベルを示し、そ
して貪欲に摂食する、絶食マウスでも調べた。マウスを24時間絶食させ、貪欲
な摂食を誘導した。最初の摂食間隔(食物提示および摂食開始間の秒で現した時
間)を、未処置マウス(処置前)で測定した。その後、マウスを30mg/kg C−75またはRPMIビヒクルのI.P.注射によって処置し、そして注射
20、40および60分後に、摂食間隔を測定した。結果を図2Dに示す。摂食
が1000秒以内に開始されない場合、観察を終わらせた(実験切り捨て値)。
時間は、平均+/−SEM(n=4)を現す。
【0052】 処置前、すべての動物は、食物を提供された3分以内に貪欲に摂食した。しか
し、C−75処置の20分以内では、マウスは、摂食へのすべての興味を失い、
一方、ビヒクル処置マウスは、食物提示の3分以内に摂食を開始しつづけた(図
2D)。これらの動物が、そのNPYメッセージレベルを既に上方制御している
という事実によって、C−75は、NPY放出に対して、または摂食行動の他の
制御因子に対して、さらなる作用を有するに違いないことが示される。
【0053】 実施例3 C−75作用のレプチン独立性およびob/obマウスの処置 摂食調節において、NPY機能を調節する主なシグナルの1つは、レプチンで
ある。このホルモンは、摂食した状態で上昇し、そしてC−75処置で観察され
るのと同様の方式で、NPY産生および摂食を阻害する(Schwartzら, 1996, Diabetes, 45:531)。レプチンは、その主な産
生部位、白色脂肪組織(Zhangら, 1994, Nature, 372
:425)が、脂肪酸合成の部位であり、そして高レベルのFASを発現するた
め、魅力的な候補である。NPYのC−75制御を仲介するシグナルとして、増
加したレプチン放出に関して試験するため、血清レプチンレベルを、摂食した(
光周期の終期)マウス、絶食したマウス、およびC−75処置マウスで評価した
。RPMIビヒクル(○)または30mg/kg C−75(■)I.P.で処
置し、そして24時間、自由に摂食させるか、あるいは絶食させた(●)BAL
B/Cマウスの体重を測定し、断頭し、そして放血させた。血清レプチンレベル
は、QuantikineネズミレプチンELISA(R&D Systems
)を用いて測定し、そして総体重に対してプロットした(図3A)。上昇よりむ
しろ、レプチンレベルの減少が観察された。この減少は、C−75処置から生じ
る、体重、おそらく体脂肪の減少と相関する(図3A)。これは、体重減少中の
レプチンレベルの正常制御と一致し(Bodenら, 1996, J. Cl
in. Endocrinol. Metab., 81:3419)、そして
レプチンが、C−75シグナルを仲介しないことを示す。同一動物由来の白色脂
肪組織におけるレプチンメッセージレベルのノーザンブロット解析(上述のよう
に行われる)は、この観察を支持する(データ未提示)。
【0054】 レプチン独立機構によって、C−75は、機能するレプチンを発現しないob
/obマウスの肥満を減少させるのに有効であるはずであると示唆された(Sc
hwartzら、1996)。これは、C−75処置動物の体重において実質的
な減少を導く2週間の処置過程に渡って確認され、一方、ビヒクル処置マウスは
、体重を獲得しつづけた(図3B)。オスob/ob(C57BL/6O1aH
sd−Lepob、Harlan)マウスを、RPMIビヒクル(○)または22
mg/kg C−75(●)I.P.で3日ごとに処置し、そして体重を監視し
、体重の変化を平均+/−SEMとして現す。この効果の度合いは、代表的なC
−75および対照処置ob/obマウスの視診によって、容易に明らかである(
処置終了時点(14日)での図3Bの代表的なビヒクルおよびC−75処置マウ
スを示す、図3Cを参照されたい)。
【0055】 C−75処置は、体重減少を導いただけでなく、ob/obマウスの極度の肥
満から生じる、多くの病理学的結果も正した。ビヒクルおよびC−75処置マウ
ス(図3B)由来の肝臓試料を、ホルマリンで固定し、そしてパラフィン包埋し
た。組織切片(4μm)をヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。C−75
処置動物由来の肝臓の組織学的検査は、対照ob/obマウスで観察される肝腫
大および脂肪肝の顕著な減少を示した(図3D、スケールバー=50μ)。白色
脂肪組織の解析は、平均脂肪細胞サイズの劇的な減少を立証した(未提示)。脂
肪酸合成のこれらの主な組織においてさえ、動物の慢性処置から生じる組織学的
な異常の証拠はまったくなかった。C−75が、レプチン独立機構を通じて作用
するという観察は、肥満個体の大部分が、レプチンの影響に比較的耐性であるよ
うであるため、特に有望である(Caroら, 1996, Lancet,
348:159)。
【0056】 実施例4 C−75処置は、ob/obマウスの高血糖を正す 肥満に加え、ob/obマウスはまた、血液グルコースの有意な上昇を伴う顕
性糖尿病も発展させる。C−75は、ビヒクル処置マウスで観察される高血糖を
正し、平均血清グルコースをほぼ3倍減少させた(図4A)。オスob/obマ
ウス(n=3)を、C−75またはビヒクルで2週間処置し(図3BおよびC)
、そして年齢がマッチした未処置C57BL/6jマウス(+/+)と比較した
。野生型マウスの24時間IP処置は、絶食に起因しうるもの以上に、血清グル
コースに対して影響を持たなかった。C−75での正常マウスの急性処置が、摂
食の阻害から生じるもの以外に、血清に影響を持たなかったため、血液グルコー
スの正常化は、ob/obマウスにおける顕著な体重減少から生じた(図4B)
。オスBALB/cマウス(n=7)を24時間絶食させるか、あるいは30m
g/kg C−75またはRPMIビヒクルをIP注射し、そして24時間、食
物への自由な接近を許した。どちらの場合でも、死亡時点で血清を収集し、そし
てグルコースに関してアッセイした:Ref LabTM GLU(Medica
l Analysis Systems, Inc.、カリフォルニア州カマリ
ロ)。これらのデータは、肥満のヒトの75%以上が、レプチンの影響に耐性で
あるようであるため、レプチンからC−75が独立であることの重要性を強調す
る。どちらのパネルも2つの実験の典型である。
【0057】 実施例5 マロニルCoAによる摂食の制御 図5Aは、マロニル−CoAを介したFASの阻害剤による、摂食制御のモデ
ルを示す。このモデルは、FAS阻害剤による摂食阻害が、ACCの阻害剤によ
って減弱されるはずであると予測する。これを試験するため、マウスを、ACC
阻害剤、TOFA、またはビヒクルのICV注射によって前処置し、そしてIP
投与されたC−75が摂食を阻害する能力を調べた。BALB/cマウスをメト
フェーンで麻酔し、そして2μgのTOFAまたはDMSOビヒクルをICV注
射した。2時間の回復後、マウスに15mg C−75/kgまたはRPMIビ
ヒクルをIP注射し、そして2時間に渡って、総食物摂取を監視した。TOFA
は、C−75処置マウスにおいて、食物摂取を大部分回復し(図5B)、これは
、マロニル−CoAが摂食阻害を仲介するという仮説を支持した。さらに、マウ
スを麻酔し、そして2μlのRPMIあるいは2.5または5μg/μlのC−
75をICV注射し、そして2(影)および4(黒)時間に渡って、食物摂取を
監視した。中枢投与TOFAの有効性は、作用が中枢(CNS)機構であること
に賛成の議論を提供する。C−75のICV投与は、摂食を82%阻害し(図5
C)、これはC−75が中枢標的に作用することを支持した。図5(B)および
(C)は、それぞれN=3の3つの実験(総数9)からの結果を組み合わせてい
る。
【0058】 実施例6 マロニルCoA代謝の免疫組織化学的位置決定 酵素類、脂肪酸シンターゼ、アセチル−CoAカルボキシラーゼ・アルファア
イソフォーム、およびマロニル−CoAデカルボキシラーゼに特異的な抗体を用
いて、神経組織中の各酵素の存在を検出することが可能である。脂肪酸シンター
ゼ、アセチル−CoAカルボキシラーゼ・アルファアイソフォーム、およびマロ
ニル−CoAデカルボキシラーゼはすべて、これらの抗体を用いた、標準的免疫
組織化学的検出法によると、マウス視床下部の弓状核に共局在する。弓状核は、
視床下部において、食欲調節に重要である。
【0059】 理解を明白にする目的で、前述の発明は、特定の態様と組み合わせて、例示お
よび例のために、ある程度詳細に記載されているが、本発明が関連する当該技術
分野の当業者には、他の側面、利点および修飾が明らかであろう。前述の説明お
よび実施例は、例示することを意図するが、本発明の範囲を限定することを意図
しない。臨床医学、生理学、薬理学、および/または関連分野の当業者に明らか
な、本発明を実施するための上述の様式の改変は、本発明の範囲内であると意図
され、本発明の範囲は、付随する請求項によってのみ、限定される。
【0060】 本明細書に言及されるすべての刊行物および特許出願は、本発明が関連する当
該技術分野の当業者のレベルを示す。すべての刊行物および特許出願は、個々の
刊行物または特許出願が、具体的に、そして個々に、本明細書に援用されると示
されるのと同一の度合いに、本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1.1は、セルレニンおよびC−75の構造(パネルA)と共
に、対照およびC−75処置マウスにおける、脂肪酸合成(パネルB)および肝
臓マロニル−CoAレベル(パネルC)を示す。 図1.2は、C−75またはRPMIビヒクルで処置したマウスの体重(パネ
ルA)および食物摂取(パネルB)を示す。
【図2】 図2は、絶食マウスに比較した、C−75処置を受けたまたは受
けないマウスを示す。パネルは、(A)体重および(B)ニューロペプチドY
mRNAを示す。図2Cは、NPYの脳室内投与によるC−75の摂食阻害効果
の逆転を示し、したがって、動物が、NPYを作成することを妨げられなければ
、NPYに反応することが可能であることを立証する。パネルDは、摂食間隔に
対するC−75の影響を示す。
【図3】 図3は、ob/ob(レプチン欠損)マウスにおける、C−75
の影響のレプチン独立性を示す。多様なパネルは、(A)レプチンレベル、(B
)体重変化、(C)代表的個体、および(D)対照および処置肝臓の顕微鏡写真
を示す。
【図4】 図4は、(A)ob/obマウスおよび(B)野生型マウスにお
ける血清グルコースに対するC−75の影響を示す。
【図5】 図5(A)は、マロニル−CoAを介したFASの阻害剤による
摂食制御のモデルを示す。パネルBは、ACCおよびFASの阻害剤の相互作用
を示す。パネルCは、C−75の脳室内注射の影響を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z // C07D 307/68 C07D 307/68 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 タウンセンド,クレイグ・エイ アメリカ合衆国メリーランド州21212,ボ ルティモア,ミッドハースト・ロード 116 (72)発明者 ロネット,ガブリエル アメリカ合衆国メリーランド州21209,ル ーサーヴィル,ブロードウェイ・ロード 1211 (72)発明者 レーン,エム・ダニエル アメリカ合衆国メリーランド州21209,ボ ルティモア,ロックスベリー・プレイス 5607 (72)発明者 クハジュダ,フランシス・ピー アメリカ合衆国メリーランド州21209,ル ーサーヴィル,ブロードウェイ・ロード 1211 Fターム(参考) 2G045 AA29 DA14 GC07 4B063 QA01 QA19 QQ02 QQ38 QQ53 QR32 QR56 QS32 QS39 4C037 MA10 4C084 AA17 NA14 ZA701 ZA702 ZC022 ZC202 ZC332 4C086 AA01 AA02 BA17 MA01 MA04 NA14 ZA70 ZC02 ZC20 ZC33 【要約の続き】 物を投与することによって、動物において、体重減少を 誘導する方法を提供する。該方法は、ホルモン・レプチ ンの発現が欠損している動物またはレプチンの作用に耐 性である動物において、体重減少を誘導するのに特に有 用である。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物において、体重減少を誘導する方法であって、動物に
    、ニューロペプチドY(NPY)の発現および/または分泌を減少させる化合物
    を投与することを含む、前記方法。
  2. 【請求項2】 化合物の投与が、動物において、マロニルCoAレベルを
    増加させる、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 化合物が脂肪酸シンターゼ(FAS)の阻害剤であり、そ
    してNPYの発現および/または分泌を減少させるのに十分な量で投与される、
    請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 化合物が、置換α−メチレン−β−カルボキシル−γ−ブ
    チロラクトンである、請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 化合物がマロニル補酵素Aデカルボキシラーゼ(MCD)
    の阻害剤である、請求項1の方法。
  6. 【請求項6】 化合物が、NPYの発現を、少なくとも、摂食した動物で
    観察されるレベルに減少させるのに十分な量で投与される、請求項1から5のい
    ずれか1つの方法。
  7. 【請求項7】 NPYの発現および/または分泌が、FASを発現する細
    胞で減少する、請求項1から5のいずれか1つの方法。
  8. 【請求項8】 化合物の投与が、動物において、摂食行動を阻害する、請
    求項1の方法。
  9. 【請求項9】 動物のレプチン発現が欠損しているか、または動物がレプ
    チンに耐性である、請求項1の方法。
  10. 【請求項10】 体重減少剤を同定するのを補助するスクリーニング法で
    あって、動物または視床下部培養に候補化合物を投与し;そしてニューロペプチ
    ドYの発現または分泌を監視することを含む、前記方法。
  11. 【請求項11】 処置動物を、減少した摂食頻度または強度に関して監視
    する、請求項10記載のスクリーニング法。
  12. 【請求項12】 候補化合物が、注射によって動物に投与される、請求項
    10記載の方法。
  13. 【請求項13】 化合物が、腹腔内または脳室内投与される、請求項12
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 候補化合物が、酵素、脂肪酸シンターゼの阻害剤である
    、請求項10−13のいずれか1つ記載の方法。
  15. 【請求項15】 その発現が、体重減少の調節と関連している遺伝子を同
    定するスクリーニング法であって、 動物に体重減少剤を投与し;そして 体重減少剤で処置された動物で発現されたmRNA種を、対照動物で発現された
    mRNA種に比較することを含み、 異なって発現されたmRNA種が、体重減少の調節と関連している、前記方法。
  16. 【請求項16】 体重減少剤が、C−75などの置換α−メチレン−β−
    カルボキシル−γ−ブチロラクトンである、請求項15の方法。
  17. 【請求項17】 発現されたmRNA種の比較が、視床下部mRNAに限
    定される、請求項15の方法。
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