JP2003526793A - 質量スペクトルピークの同定 - Google Patents

質量スペクトルピークの同定

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JP2003526793A JP2001566161A JP2001566161A JP2003526793A JP 2003526793 A JP2003526793 A JP 2003526793A JP 2001566161 A JP2001566161 A JP 2001566161A JP 2001566161 A JP2001566161 A JP 2001566161A JP 2003526793 A JP2003526793 A JP 2003526793A
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
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Abstract

(57)【要約】 サンプル分子に関して、実験的に得られた質量スペクトル(262)のモノアイソトピック質量ピークを、相互相関法を用いて決定する。既知のモノアイソトピックピーク位置を有するモデルスペクトル(261)を、サンプル分子に関する知識に基づいて生成する。スペクトル同士の相互位置を選択し、強度IMOD EL,IEXPから相関値のセットを計算する。相互相関解析により、モデル質量スペクトルと実験質量スペクトル間の最良適合を見つけ出す。最良適合は、品質係数の最良値で表される。実験質量スペクトルとの最良適合を示すモデルスペクトルのモノアイソトピックピーク位置を、実験スペクトルのモノアイソトピックピークに最も近いものとして選択する。質量スペクトルの解析部分での電荷状態を知ることで、サンプル分子のモノアイソトピック質量を決定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、質量分析法により得られる質量スペクトルのピークの同定に関し、
より詳しくは、ポリマー、生体分子などの分子のモノアイソトピック質量の決定
方法に関する。
【0002】 (背景技術) 生体分子、ポリマーなどの分子の質量は、質量分析法を用いて決定できる。こ
の方法では、分析用サンプルをイオン化し、質量分光計で解析して、質量の分光
学的なデータセット(通常、質量スペクトルといわれる。)を獲得する。質量ス
ペクトルは、分子の質量に関連する、より詳しくは分子の質量/電荷比に関連す
る強度ピークを示す。
【0003】 質量分析法に関する技術は周知であり、「Mass Spectrometry Principles and
Applications」(E. De Hoffmann, J. Charette, V. Stroobart; John Wiley &
Sons Ltd チチェスター州)や「Mass Spectrometry of Biological Materials
」(B.S. Larsen, C.N. McEvans; Marcel Dekker Inc. ニューヨーク州)など多
くの文献に詳細に記載されている。
【0004】 使用される装置に応じて、得られる質量推定値が分子かイオンのいずれかに関
係することは、指摘しておく必要がある。質量分析計が水素イオンを付加して分
子をイオン化する場合、得られる質量は、電荷を持つ水素イオンの重さだけ低く
みなければならない。しかしながら、説明の簡単化のため、および、こうした事
情は当該分野で周知であるため、以下では用語として「分子」のみを用いる。
【0005】 今日において、個々のピークの位置、すなわち質量/電荷比を決定するための
最も一般的な方法は、おそらく「重心法(centroiding method)」である。この方
法では、質量スペクトルの特定のピークを分離した後、ピークの正勾配での開始
点SP(「低質量端部」)および負勾配での終点EP(「高質量端部」)が決定
される。幾何学的類推を利用して、ピークの頂点は、SPとEPの間の直線より
も上方でのピークエリアの釣合い点を表す、SPとEPの間の質量/電荷値とし
て定義される。
【0006】 小さな質量と大きな質量が混合している場合に適用する際、重心法は、平均質
量およびモノアイソトピック質量であるピーク位置を発生させる。したがって、
特定のピークを生じさせたコンパウンドの同定のために、その値が平均値なのか
モノアイソトピック値なのかを決定するためにさらなる解析を行う必要がある。
【0007】 しかしながら、前述の方法には多くの欠点がある。例えば、重い分子を解析す
る場合、個々のアイソトープのピークは、装置の分解能の限界により重畳(merge
)する。したがって、重心法は平均分子質量を生じさせる。
【0008】 比較的質量の小さな分子を解析する場合、装置の分解能は、重心法を用いてモ
ノアイソトピック質量を決定できる程度であることが多い。そのような分子を用
いて装置および重心法を較正すれば、ピークが分解できないより重い分子を解析
する際に系統誤差が生じる。これが起きるのは、前述のように重い分子に対し重
心法を用いると平均質量が生じるからである。平均質量は、モノアイソトピック
質量と異なり、常にモノアイソトピック質量より大きい。
【0009】 加えて、低濃度では、信号対雑音比が低くなる。したがって、重心法の基礎を
なす開始点SPおよび終点EPを適切に同定することが困難である。
【0010】 さらに、重心法は、測定間隔の低端部と高端部の間の強度曲線の形状に対する
感度に限界がある。
【0011】 しかしながら、多くの状況において、サンプル分子のモノアイソトピック分子
質量、すなわち質量の最も小さなアイソトープのみからなる分子の質量を決定す
ることが重要となっている。前述の理由により、本願で重心法と呼ぶ公知の質量
スペクトル解析法は、分解能の悪いアイソトピックピークを有する質量スペクト
ルに基づいてモノアイソトピック分子質量を決定するのに十分適していない。同
様に、重い分子のピーク自体の分解は行えるが、一方で比較的質量の小さなアイ
ソトープの強度が信号のノイズレベルに近い場合に、重心法は十分適していない
【0012】 英国特許2,333,893A(Brucker)では、未知のイオンを正確に決定す
るのに適した質量分析法に基づく方法が開示されている。この方法は、カーブフ
ィッティング法および数学的最適法を用いて、モデルスペクトルと測定スペクト
ルの間の最良合致を見つけ出す。しかしながら、これは、アイソトピックピーク
の一つの集合に対する未知のm/Z値の問題を扱うものではない。
【0013】 したがって、質量分析法で解析した分子のモノアイソトピック分子質量(分子
の質量/電荷比を含む)を決定するための改良された方法が必要とされている。
【0014】 (本発明の概要) 本発明は、この必要性を満たすことを目的とする。この目的は添付請求項の請
求項1に係る方法により達成される。
【0015】 本発明に係る方法によれば、サンプル分子のモノアイソトピック分子質量/電
荷比を高信頼性で決定できる。
【0016】 モノアイソトピック分子質量/電荷比を決定後、モノアイソトピック質量は、
関連する電荷状態の数を単に乗ずることで得られる。
【0017】 本発明に係る方法の特定の実施形態では、該方法は、電荷状態が未知である場
合に電荷状態を決定する工程を含む。したがって、電荷状態が未知の場合に、モ
ノアイソトピック質量を決定できる。
【0018】 本発明のさらなる応用範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかにされる。し
かしながら、詳細な説明および特定の図面は、本発明の好適な実施形態を示すも
のであるが、例示にすぎない。本発明の発明的思想および範囲内での種々の改変
は、本詳細な説明から当業者にとって明らかである。
【0019】 本発明は、本願の詳細な説明(例示にすぎずしたがって本発明を限定しない添
付図面を含む。)からより完全に理解されるものと考えられる。
【0020】 (好適な実施形態の詳細な説明) 本発明は、質量、特にモノアイソトピック質量を決定するためにサンプル分子
を分析する際に、分子の正確な構成は未知であっても分子の一般的な質量分布を
予想できることが多いという見地に基づいている。
【0021】 本発明によれば、予想質量分布に対応するモデル分子が決定され、すなわち分
子群に対する標準的な原子構成が決定され、本方法とともに用いられる。加えて
、各元素のアイソトープの理論的な分布を決定でき、したがって、モデル分子に
おけるアイソトープの理論的な発生を、モデル分子の提案された質量に基づいて
決定できる。
【0022】 モデル分子の理論的なアイソトープ分布は、推定されたアイソトピックピーク
形状とともに、サンプル分子の実際の質量スペクトルの相互相関解析に用いられ
、これにより、サンプル分子のモノアイソトピック分子質量/電荷比が決定され
る。
【0023】 加えて、本発明に係る方法は、調査した質量スペクトル部分に関連する電荷状
態(Z)が未知の場合に、該電荷状態を決定するのに有用である。電荷状態を決
定すれば、実際のモノアイソトピック質量が計算できる。
【0024】 一般的な状況では、本発明に係る方法を繰り返すことで、任意の未知のパラメ
ータを決定できる。
【0025】 本発明を実施するために、アイソトピックピーク群を記述する連続モデル関数 I(M/Z)=f(M,Z,R,Felements,parameters) が必要である。ここで、 M=モノアイソトピック質量 Z=電気素量数 R=分解能(ピーク幅をピーク位置で割ったもの) Felements=当該分子に対する異なる元素の相対存在量を記述するベクトル このベクトルは全分子に対し普遍であってもよいし、硫黄(S)原子の数のよ
うに特定の何かを探す際には修正してもよい。このベクトルは、分子の種類が違
えば異なる。例えば、たんぱく質とポリエチレングリコールポリマーは異なるベ
クトルを有する。 parameters=他のパラメータ、例えば、ノイズレベルや、これとともに取り扱
う必要がある別のピークセットとの質量差 さらに、離散した点でサンプリングしたディジタル処理スペクトルが必要である
【0026】 次に、本発明に係る方法を図1〜10を参照して説明する。なお、質量分析法
の技術、質量スペクトルのバックグラウンド、電荷状態などは当業者に周知であ
り、本願ではさらには説明しない。同様に、一般的に公知の相互相関技術も既知
とする。
【0027】 説明中、用語「クラスター」は、特定の電荷状態に関連する質量スペクトルの
個々のアイソトピックピークの集合を指すのに用いられる。したがって、濃度、
装置分解能、サンプル純度などに応じて、各クラスターのピークは、多少とも良
好に分解され、質量スペクトルで同定可能である。前述したように、公知の重心
法を用いると、重い分子のクラスターは、悪く分解され、個々のアイソトピック
ピークから構成されるのではなく一つの広いピークのように扱われる。
【0028】 生体分子などの分子の概略的なラージスケール質量スペクトル101を図1に
示す。スペクトルクラスター111,112,113は、同じ分子のものである
が電荷状態が異なったものである。図1の例では、クラスター111は電荷数Z
が+5、クラスター112は電荷数Zが+4、クラスター113は電荷数Zが+
3である。
【0029】 図において、X軸は質量/電荷比m/Zを表し、Y軸は、サンプルを示す質量
分析計の検出信号の強度Iである。なお、図1の質量スペクトルおよび本願に添
付の他の図面は、かなり簡略化、理想化されている。実際には、個々のピークお
よびクラスターでさえ、信号対雑音比が低いなどのいくつかの理由で認識できな
いことがある。
【0030】 クラスターの一つ(クラスター112)を図2に拡大して示す。拡大すると、
セクション112は、いくつかの異なるピーク(例えば、ピーク121,122
,123)に分解される。
【0031】 これらのピークは、分子の元素のアイソトープを表す。第1のピーク121は
、モノアイソトピックピーク、すなわち質量の最も小さなアイソトープの原子の
みからなる分子(例えば、C14,N14,O16など)を表すピークである。
第2のピークは、原子の一つが中性子をさらに一つ有する分子(例えば、C13 が一つ、あるいは、O17が一つ)を表す。以下同様である。したがって、各ク
ラスターのピーク群は、可能な全てのアイソトープ変換の統計的な分布を示す。
【0032】 したがって、モノアイソトピック質量/電荷比の決定は、クラスターの第1の
ピークの同定に相当する。分子のモノアイソトピック質量を得るには、モノアイ
ソトピック質量/電荷比を、対応する電荷状態で乗じる必要がある。
【0033】 しかしながら、実際には、クラスターのピークを分離したり、クラスターの第
1のピークを同定することは非常に困難であることが多い。したがって、本発明
では、サンプル分子に関連するクラスターのモノアイソトピックピークの位置を
決定する方法を提供する。この方法の概略は既に述べたが、以下では詳細に説明
する。
【0034】 本発明によれば、対象となる分子(本願ではサンプル分子という。)の元素の
モデル質量分布、すなわちサンプル分子を構成する元素(例えばC,N,Oなど
)に対する質量百分率が割り当てられる。この質量分布は、サンプル分子の組成
物の一般的な知識に基づいて選択されなければならない。質量分布の予測がより
正確であればあるほど、本方法によるモノアイソトピック質量の決定の信頼性が
高くなる。
【0035】 例えば、生体分子(例えば、ミオグロビン、アルブミン、トリプシン)は、典
型的な「標準的」質量百分率分布がC31%、H49%、N9%、O10%(1
%は種々の元素、たいていはS)で表される。
【0036】 各元素のアイソトープ、すなわち種々の中性子数を有する原子を示す傾向は周
知である。すなわち、多くの原子からあるアイソトープを見つける確率は、例え
ば、拡張(extensive)周期表で直ぐに見つけることができる。したがって、選択
されたサイズの分子における特定のアイソトープの出現を予測することが可能で
ある。
【0037】 したがって、各元素に対し、最も可能性のあるアイソトープ分布を決定するこ
とが可能である。このアイソトープ分布は、分子の総質量の関数である。比較的
小さな質量の分子は、稀なアイソトープを含むと期待するべきでないが、質量が
大きければ大きいほど、原子数が多いために稀なアイソトープを見つける可能性
は高くなる。したがって、サンプル分子の質量の近似は、典型的には、実験的に
得られた質量スペクトルと、既知のまたは仮定した電荷値とに基づいて行われる
べきである。
【0038】 したがって、モデル分子を決定しモデル質量を選択した後、理想化された理論
的質量スペクトルは、アイソトープの発現に関する知識およびマススペクトロメ
トリ解析に対するアイソトープの影響に関する知識に基づいて決定できる。この
一般知識は、当業者にとって周知と考えられるため、本願では説明しない。
【0039】 選択された質量/電荷比に対するこのような理論的な質量スペクトル(それ自
体完全に人工的である)のクラスターを図3に示す。クラスターの第1列221
はクラスターのモノアイソトピックピークを表し、次の列は、モノアイソトピッ
ク分子より中性子が一つ多いサンプル分子を表す。以下同様である(例えば、列
222は、モノアイソトピック分子より中性子が七つ多い分子を表す。)。
【0040】 実際のマススペクトロメトリ解析による実験で得られた質量スペクトルに類似
したモデル質量スペクトルを作成するために、アイソトープを表す列は、図4に
示すようにモデル曲線231でつなぐ必要がある。モデル曲線の基礎をなすアイ
ソトープ列(例えば、図3の列222)を点線で示す。
【0041】 モデル質量スペクトルの作成は、任意の適当なアルゴリズムを用いて行うこと
ができる。例えば、モデル曲線を作るための簡易で有益な方法を、2つのアイソ
トープ列251,253が示された図5と、図6に示す。ガウス曲線252が列
251に割り当てられ、同様の曲線254が列253に割り当てられる。次に、
これらのガウス曲線252,254は合成され、図6に示すようなモデル曲線2
55が作成される。なお、ローレンツ曲線などガウス曲線以外の曲線でもよい。
【0042】 したがって、連続モデル質量スペクトルは、仮定の分子質量および電荷状態両
方に従属し、関数 Itheoretical=fmodel(m,Z) として記述できる。このように、本発明の第1の工程では、モデル質量スペクト
ルItheoretical=fmodel(m,Z)が作成される。このスペクトルは、理論上
の分子に対して予想されるスペクトルを表す。次工程では、モデル質量スペクト
ルと実験質量スペクトルとの間の最良適合を決定する必要がある。これは、モデ
ル質量スペクトルを、実験での質量スペクトルに沿った多数の選択相関位置にお
き、続いてスペクトル同士を比較する相互相関(cross correlation)法により達
成される。これについては以下で説明する。
【0043】 本発明に係るこの工程を説明するにあたって、一つのクラスターについてのみ
、すなわち実験の質量スペクトルの選択された部分について解析が行われると仮
定して説明を簡略化する。但し、同様にして任意の数のクラスターを解析できる
。実験の質量スペクトルの一部のみ、例えば一つのクラスターを解析する場合、
相互相関法を用いて、実験質量スペクトルとモデル質量スペクトルの局地的な最
良適合を同定する。
【0044】 さらに、本段落中、電荷状態Z=1を表すクラスターを解析すると仮定する。
この場合、分子質量(mで表す)は、質量スペクトルのスケールから直接得ら
れる。本発明に係る方法は、既知の電荷状態を持つ別のクラスター(例えばZ=
5)に対し用いられる場合において、正確なモノアイソトピック質量値を得るた
めに結果に電荷状態の数を乗じる必要がある点を除いて同一である。電荷状態が
未知のクラスターの場合については、以下で説明する。
【0045】 このように、前述の記載によれば、モデル質量スペクトルが決定されるととも
に、実験的に得られる質量スペクトルが存在する。質量分析計の性質により、実
験質量スペクトルは、連続的なスペクトルではなく、サンプリングされている。
すなわち、このスペクトルは、質量/電荷比スケールに沿ったサンプリング位置
で得られる測定値系列から構成される。質量/電荷比スケールに沿って隣り合う
サンプリング位置同士は、サンプリング間隔だけ離れている。このサンプリング
間隔は必ずしも一定でない。
【0046】 本発明によれば、通常、多数の相関位置mzcorr(i)が決定される。各相関
位置に対し、品質係数(quality factor)Q(i)が決定される。この品質係数は
、モデルスペクトルがそのモノアイソトピックピークが相関位置と一致するよう
に配置された場合に、実験質量スペクトルとモデルスペクトルの間の適合度を表
すものである。
【0047】 実験質量スペクトルに沿った第1の相関位置、すなわち質量/電荷軸に沿った
第1の値mzcorr(1)が選択される。例えば、この位置は、予想される実際の
モノアイソトピック分子質量よりやや高い質量値に選べばよい。
【0048】 そして、連続する各相関位置mzcorr(i)に対し、ある増分(典型的に、サ
ンプリング間隔のほんの一部、例えばサンプリング間隔の百分の一)でモデルス
ペクトルを次の相関位置に移動させる。各相関位置に対し、実験質量スペクトル
のサンプリング位置でのモデルスペクトルの強度は、連続モデル質量スペクトル
関数を用いて計算される。
【0049】 これら相関位置は、実験質量スペクトルの実際のモノアイソトピックピークが
、最低と最高相関位置の間の範囲内にあるのがもっともらしくなるよう選択され
る。
【0050】 各相関位置mzcorr(i)に対する相互相関品質係数Q(i)の決定は、相関
位置iに対し実験スペクトルとモデル質量スペクトルそれぞれのサンプリング位
置での強度IEXP(i,j)、IMODEL(i,j)に基づいて、実験質量
スペクトルのクラスターの各サンプリング位置に対する比較値q(j)(あるい
はその選択値)を生成し、続いて、相関位置mzcorr(i)に対しこれら比較値
q(j)から品質係数Q(i)を作成することにより行われる。
【0051】 これは、図7,8に示されている。図7では、モノアイソトピックピークを第
1の位置m(i=1)に有する単純化されたモデルスペクトル261が示され
ている。図7にはまた、薄線で示す実験スペクトル262が、明確さのため垂直
方向にずらして示されている。但し、実際には、実験スペクトルは、サンプリン
グ位置263での離散値から構成されている。
【0052】 各サンプリング位置、すなわち各jに対し、対応する強度が、実験スペクトル
およびモデルスペクトルに対し決定される。これは、図7において、値IMOD EL (1,3),IMODEL(1,4),IEXP(1,3),IEXP(1
,4)で例示してある。これらは、相関位置i=1、比較位置3,4に対しての
値である。
【0053】 比較値q(j)を得るための方法は多数挙げられる。簡単且つ有益な方法は、
各比較位置の強度を q(i,j)=IMODEL(i,j)×IEXP(i,j) のように掛け合わせることである。モデル質量スペクトルの相関位置の各比較位
置jに対して比較値を決定した後、前記相関位置iに対し品質係数Q(i)が決
定される。品質係数の目的は、モデル質量スペクトルと実験質量スペクトルの間
の適合を表す値を提供することである。
【0054】 比較値と同様に、品質係数Q(i)の計算方法は多数あるが、現在、好適な方
法は、単に、モデルモノアイソトピックピーク位置iに対して全て(m個)の比
較値q(i,j)の和(m)を計算することである。 このアルゴリズムを用いると、質量スペクトル同士の適合が良好であればQ(i
)値は大きくなり、質量スペクトル同士が互いにずれるほど小さくなる。
【0055】 品質係数を計算するための有益なアルゴリズムの他の例は、χ(「カイ二乗
」係数およびピアソンの積率相関係数である。
【0056】 理論上のモノアイソトピックピークの第1の相関位置i=1に対して品質係数
イQ(1)を決定後、前述したように、理論上のモノアイソトピックピークm (2)に対する第2の位置i=2が選択される。これは図8に示されており、こ
こでは、増分はサンプリング間隔の約半分となっている(前述したように、増分
は極めて小さいのが好適である。)。
【0057】 比較値q(2,j)(これらは、図8に示すように例えばIMODEL(2,
3),IMODEL(2,4),IEXP(2,3),IEXP(2,4)など
、対応する強度レベルから計算される。)からなる新しいセットが計算される。
なお、実験質量スペクトルは質量スケールに関し不変であるから、例えば、I XP (1,3)はIEXP(2,3)と同一である。新しい比較値セットq(2
,j)に基づいて、第2の品質係数Q(2)が計算される。
【0058】 この手順は相関位置i毎に繰り返され、これにより、各相関位置に対する品質
係数が決定される。したがって、品質係数のセットQ(1,...,n)が得られる
。nは、実験質量スペクトルに対する、モデル質量スペクトルの解析された位置
の数を表す。
【0059】 このように、本発明の第2の工程では、品質係数のセットQ(1,...,n)が
決定される。各品質係数は、実験質量スペクトルに対して選択されたモデル質量
スペクトル相対位置での、モデル質量スペクトルと実験質量スペクトルの適合を
示す。
【0060】 品質係数Qは、モデル質量スペクトルと実験質量スペクトルの間の適合を示す
ので、セットの中から、モデル質量スペクトルと実験質量スペクトルの間の最良
適合を示す品質係数を同定することができる。2つの強度を掛け合わせることで
比較値を得る前記実施形態では、最も高い値を有する品質係数が最良適合を表す
【0061】 最良適合を表す品質係数Q(optimal)を決定後、サンプル分子のモノアイソ
トピック質量/電荷比は、該品質係数Q(optimal)に関連するモデル分子のモ
ノアイソトピックピークに対する質量/電荷比として定義される。
【0062】 このように、本発明の第3の工程では、サンプル分子のモノアイソトピック質
量/電荷比が、相関位置iでのモデル質量スペクトルと実験質量スペクトルとの
間の最良適合を表す品質係数Q(i)に対応した、モデルモノアイソトピックピ
ークのモノアイソトピック質量/電荷比として定義される。
【0063】 しかしながら、実験質量スペクトルのクラスターの電荷状態が未知である場合
がある。これが意味することは、例えば、実験スペクトルのあるピークがm/Z
値10000に位置する場合、これが、実際の質量値が30000質量単位で、
Z=3の場合を指す可能性があるが、質量値が50000でZ=5の場合を指す
可能性もあるということである。
【0064】 本発明では、電荷状態、および、その結果として実際のモノアイソトピック分
子質量は、モデル質量スペクトル群(各質量スペクトルは、個々の電荷状態に対
し決定される。)に対し前述の工程を繰り返すことで決定できる。
【0065】 これは図9のブロック図に示されている。この図の一部は、前述の工程を表し
たものである。ブロック図の各ブロックに関し以下説明する。
【0066】 前述したように、実験的に得られた質量スペクトル300は、本発明に係る方
法を実施するのに必要である。
【0067】 301では、電荷状態Zを仮定する。この仮定(例えばZ=1)は実験スペク
トル300に基づいているが、任意の適当な事項を考慮してもよい。
【0068】 302では、前述したように、実験スペクトル300および仮定した電荷状態
301に基づいて、モデル分子質量を決定する。
【0069】 303では、前述したように、統計的なアイソトープ分布を決定する。
【0070】 304では、前述したように、モデル質量スペクトルを作成する。
【0071】 305では、実験質量スペクトル300に対する、モデル質量スペクトルのモ
ノアイソトピックピークの位置を決める。
【0072】 306では、前述したように、モデル質量スペクトルのモノアイソトピックピ
ークの前記位置に対し、スペクトルに沿った比較値のセットq(j)を計算する
【0073】 307では、比較値セットを用いて、前述のようにモデル質量スペクトルのモ
ノアイソトピックピークの現在位置および現在の電荷状態仮定値に対し、品質係
数Qを計算する。
【0074】 308では、解析すべきモデルスペクトルモノアイソトピックピーク位置がさ
らにあるか否かを判断する。モデル質量スペクトルのモノアイソトピックピーク
に対し選択された数の位置だけ、305,306,307の工程を繰り返す。そ
の結果、全ての前記位置を解析し、選択した電荷状態でのモデル質量スペクトル
の各選択位置に対し、品質係数Q(i)を獲得する。
【0075】 309では、選択されたZ値に対する、最良適合品質係数を決定する。品質係
数を計算するために選択したアルゴリズムに基づいて、実験およびモデルスペク
トルの解析した部分同士の最良適合を表す品質係数を決定する。
【0076】 310では、解析すべき電荷状態の仮定値がさらにあるか否かを判断する。実
際のZ値が既知であれば、次工程は、サンプルのモノアイソトピックピークを実
際に決定することである(312)。しかしながら、電荷状態の新しい仮定値毎
に、工程301〜309が繰り返される。新しいZ値は、モデル分子の新しい質
量値を意味し、この新しい質量値は、アイソトープ統計分布に影響を与えるため
、結果としてモデルスペクトルが異なる。
【0077】 このような結果、品質係数のセットが得られる。各品質係数は、選択したZ値
毎の最良適合を表している。
【0078】 311では、各仮定Z値毎の最良適合品質係数の中から、総合的に最適な品質
係数を決定する。図10では、Z値毎にプロットしたQ値のセット320が示さ
れており、Z=3が実際のZ値として最も確からしい例を表している。このよう
に、本発明に係る方法によれば、実験質量スペクトルのセクションに対し、モノ
アイソトピック質量ピークとともに電荷状態を推定できる。
【0079】 312では、実験質量スペクトルのモノアイソトピックピークの位置を決定す
る。前述のように、「最良適合」として決定した品質係数に関連する、モデル質
量スペクトルのモノアイソトピックピークの位置は、実験質量スペクトルのモノ
アイソトピックピークの実際の位置に最も近いものとみなされる。
【0080】 313では、サンプル分子のモノアイソトピック質量を決定する。前述したよ
うに、サンプル分子のモノアイソトピック質量は、実験スペクトルのモノアイソ
トピック質量ピーク位置を決定した電荷状態で乗じること(および、必要であれ
ば、試験装置に特別な較正を行うこと)により計算される。
【0081】 前記工程300〜311で得られた情報を用いることで、モノアイソトピック
ピークおよび電荷状態が決定され、312で、サンプル分子のモノアイソトピッ
ク質量値が計算できる。
【0082】 なお、モデル分子質量を決定する工程302に関して、電荷状態の各仮定値毎
に新しいモデル質量が決定される。また、モデル質量が大きくなると、稀なアイ
ソトープを発見する可能性が高いために、質量スペクトル304は異なる。
【0083】 本発明を実施するために必要な計算は自動化によく適している。すなわち、こ
れらの計算は、汎用コンピュータの専用プログラムで実行することもできれば、
専用装置に組み込んだプログラムにより実行することもできる。
【0084】 以下では、本発明に係る方法のより一般的な説明を行う。前述のアルゴリズム
は、電荷状態が未知のパラメータである特別な場合である。
【0085】 もちろん、他の未知のパラメータ(例えば、ある種のたんぱく質の重要な特徴
である分子中の硫黄原子数)があってもよく、これらの未知のパラメータは、本
発明に係る方法を繰り返すことで決定できる。
【0086】 1.この方法における最も基本的な工程は、ディジタル処理したスペクトルと
同じ点でサンプリングしたモデル関数に関し相互相関を実行することである。こ
れは、適合度を示す相互相関値を与える。この値は、例えば値0.73が一般的
な意味を持つように正規化してもよいし、ノイズレベルなど何か重要なものが正
規化でなくなる場合は正規化しなくてもよい。
【0087】 2.次の工程は、一つのパラメータを変更することである。例えば、電荷状態
(Z)を変える。これを常にしなければならないのは、電荷状態が既知でないか
らである。そして、質量M(および他の従属パラメータ)は、相互相関が計算さ
れるM/Z値と合うように、計算されなければならない。Z=1,2,...,N
を変更して、工程1のように相互相関を実行すれば、適合値ベクトルが得られる
【0088】 3.次の工程は、前のパラメータセッティングの各値に対しさらに一つのパラ
メータを変更する(例えば、相対存在ベクトル(relative abundancy vector)に
おける硫黄数を変更する。)。このようにして、2次元配列の相互相関値が作成
される。
【0089】 4.所望の数のパラメータに関し工程3を繰り返す。N個のパラメータを変更
することで、N次元配列の相互相関値が得られる。
【0090】 5.スペクトルに沿ってサンプリングされた各M/Zに対し前記工程を繰り返
す(したがって、ピーク位置(測定したM/Z)からM=(M/Z)*Mなどの
従属変数を計算したり、他の従属物を計算する。)。また、サンプリング点同士
の間の多数の点に対し繰り返すことで、サンプリング点のみより精度を高くでき
る。
【0091】 6.計算された相互相関を解析し、相互相関最高値としてピークを同定する。こ
の相関値を発生させたパラメータも合わせて同定される。例えば、Z=2、S=
2(硫黄数)がM/Z=1000で相互相関の最高値を与えるならば、ピークは
、電荷数2、硫黄原子数2でM/Z=1000に位置する。
【0092】 7.いくつかのピークが対象となる場合、既に同定されたピークの除去は、い
くつかの方法が可能である。例えば、アイソトピックピークでカバーされる質量
範囲(モデル関数からわかる範囲)をブランクにする。前述の場合、(モデル関
数と比較して)4つの大きなアイソトピックピークが関与する場合、M/Z=9
99.5〜1002の範囲をブランクにする。別の方法は、実際のピークが与え
ると思われる形状を(モデル関数の自動相関を行って)実際のピークが見つけら
れた場合にモデル化し、ピーク高さを最高相関とマッチングさせ、続いて、相関
値配列から除くことである。
【0093】 8.工程7のようにして見つけたピークのさらなる同定を行う。
【0094】 本発明に係る方法を実施するためのシステムを図11に示す。サンプル401
は、質量分析計402で分析される。この質量分析計は、典型的に、一般的な質
量分析計であり、イオン源、質量分離器、検出器、信号処理ユニット、および、
処理信号をディジタル処理して、多数のサンプリング位置での強度として質量ス
ペクトルを出力するためのユニットを備える。図示はしないが、質量分析計から
の出力に基づいて、質量スペクトルのグラフを印字するのが一般的である。
【0095】 解析ユニット403は、質量分析計402からのサンプリングされた出力信号
およびオペレータからの入力を受けるための入力ユニットと、本発明に係る比較
・解析工程を実行するためのハードウェアおよびソフトウェアを有する比較ユニ
ット404と、解析結果を出力するための出力ユニットとを備える。
【0096】 もちろん、システムの各構成要素は、物理的に別個のユニットとして用意して
もよいし、1つまたは2,3のユニット内にまとめられていてもよい。また、装
置を制御するために、本発明に係る方法の一つまたはいくつかの工程を実行する
ためのコンピュータプログラムを有するパーソナルコンピュータを用いてもよい
【0097】 本発明を前述の詳細な説明に関して種々変更できることは明らかである。この
ような変更は、本発明の範囲から外れるものでないと考えられ、当業者にとって
明らかと思われるような修正は、請求項の範囲内に含まれるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 質量スペクトルの概略図。
【図2】 特定の電荷状態に対応した、質量スペクトルのアイソトピックピ
ークのクラスターを示す概略図。
【図3】 本発明に係るモデル分子のアイソトピックピークを示す図。
【図4】 本発明に係るモデル質量スペクトルを示すグラフ。
【図5】 モデル質量スペクトルを得るための本発明に係る方法を示す図。
【図6】 モデル質量スペクトルを得るための本発明に係る方法を示す図。
【図7】 実験スペクトルに対し第1の位置にあるモデルスペクトルに対す
る、本発明に係る比較値の決定工程を示すグラフ。
【図8】 実験スペクトルに対し第2の位置にあるモデルスペクトルに対す
る、本発明に係る比較値の決定工程を示すグラフ。
【図9】 本発明に係る方法の一実施形態を示すフローチャート。
【図10】 各電荷状態仮定値に対して得られる最適品質係数を示すグラフ
【図11】 本発明に係る方法を実施するためのシステムを示す図。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成14年7月24日(2002.7.24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンプル分子を表す実験的に得られた質量スペクトル(30
    0)の少なくとも一部に基づいて、前記実験的に得られた質量スペクトル(30
    0)と前記サンプル分子に対するモデル質量スペクトルを比較することにより、
    前記サンプル分子のモノアイソトピック質量を決定する方法において、 a)以下のi)〜iii)の工程により前記スペクトル同士の最高相関を決定する
    工程と、 i)前記サンプル分子のモノアイソトピック質量および電荷状態(Z)を含む一
    つまたはそれ以上の未知のパラメータに対する値を仮定する工程であって、前記
    パラメータは、前記サンプル分子のモデル質量スペクトルのピーク形状を記述し
    ており、 ii)モデルモノアイソトピック質量ピークの位置を含むモデル質量スペクトルを
    計算する工程(301〜304)であって、前記モデル質量スペクトルは、サン
    プル分子の未知パラメータに関する前記仮定値を表す理論上のモデル分子に対し
    て予想されるスペクトルを表しており、 iii)実験的に得られたスペクトルのm/Z軸に沿って前記モデル質量スペクトル
    を逐次移動させて相互相関法を適用することにより(305〜309)、実験的
    に得られた質量スペクトルとの最良適合を与える、実験質量スペクトルのm/Z
    軸に沿った前記モデル質量スペクトルの位置を決定する工程 選択された回数だけ工程i)〜iii)を繰り返し(310)、各回ごとに、前記未
    知パラメータの修正した仮定値に基づいて修正モデル質量スペクトルを計算し、 b)最高相関を有するモデルスペクトルを選択し、該スペクトルに関連するモ
    ノアイソトピック質量を、サンプル分子の実際のモノアイソトピック質量とする
    工程とを含むことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 前記モデル質量スペクトルの最良適合位置を決定する工程は
    、 実験質量スペクトルの質量/電荷軸に沿って前記モデル質量スペクトルを配置
    する工程(305)と、 実験質量スペクトルのサンプリング位置に対し、前記配置位置での前記モデル
    質量スペクトルの対応する値に基づいて、比較値(q;306)を計算する工程
    と、 前記比較値に基づいて品質係数(Q;307)を作成する工程であって、該品
    質係数は、前記配置位置での実験質量スペクトルと前記モデル質量スペクトルの
    間の適合を表すものと、 実験質量スペクトルの質量/電荷軸に沿った前記モデル質量スペクトルの配置
    位置セットに対し、前記工程(305,306,307)を繰り返し、これによ
    り品質係数のセットを獲得する工程(308)と、 実験質量スペクトルと前記モデル質量スペクトルの間の最良適合を示す品質係
    数(Q)を選択し、前記最良適合品質係数に関連する前記モデル質量スペクトル
    の配置位置を、実験質量スペクトルとの最良適合位置として選択する工程とを含
    むことを特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記未知のパラメータは、モノアイソトピック質量、電荷状
    態、サンプル分子中の元素の相対存在量、ノイズレベル、分解能(ピーク位置で
    ピーク幅を割ったもの)、および他のピークセットとの質量の違いからなる群か
    ら選択されることを特徴とする請求項1または2の方法。
  4. 【請求項4】 電荷状態の各仮定値の最良適合品質係数同士を比較して、総
    合的な最良適合品質係数を決定する工程(311)と、 前記総合的な最良適合品質係数を、実験質量スペクトルの解析部分の電荷状態
    、および、前記モデル質量スペクトルと実験質量スペクトルの間の最良適合の両
    方を表すものとみなし(312)、これにより、サンプル分子のモノアイソトピ
    ック質量の計算を可能にする工程とをさらに含む請求項3の方法。
  5. 【請求項5】 質量分析計(402)および解析ユニット(403)を備え
    、サンプル分子のモノアイソトピック質量ピークを決定するためのシステムにお
    いて、 前記解析ユニットは、実験質量スペクトルを表す信号を受ける入力ユニットと
    、電子回路を有し請求項1〜4のいずれか一つの方法に係る工程の少なくとも一
    つを実行するコンピュータプログラムにより制御される比較ユニット(404)
    と、前記比較ユニットからの信号を出力する出力ユニットとを備えることを特徴
    とするシステム。
  6. 【請求項6】 サンプル分子を表す実験的に得られた質量スペクトルを解析
    し、これにより該サンプル分子のモノアイソトピック質量を決定するための装置
    において、 質量分析計(402)から実験質量スペクトルを表す信号を受ける入力ユニッ
    トと、電子回路を有し請求項1〜4のいずれかの一つの方法に係る工程の少なく
    とも一つを実行するコンピュータプログラムにより制御される比較ユニット(4
    04)と、前記比較ユニットからの信号を出力する出力ユニットとを備えること
    を特徴とする装置。
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