JP2003526692A - ポリヌクレオチド組成物 - Google Patents

ポリヌクレオチド組成物

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JP2003526692A
JP2003526692A JP2000504868A JP2000504868A JP2003526692A JP 2003526692 A JP2003526692 A JP 2003526692A JP 2000504868 A JP2000504868 A JP 2000504868A JP 2000504868 A JP2000504868 A JP 2000504868A JP 2003526692 A JP2003526692 A JP 2003526692A
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カバノフ,アレキサンダー,ヴィ.
アラコフ,ヴァレリー,ワイ.
ヴィノグラドフ,セルゲイ,ヴィ.
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サプラテック ファーマ インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 ポリ核酸を安定化するため、およびポリ核酸が細胞膜を通過しかつ細胞内部で機能する能力を増加するための組成物。1つの態様においては、本発明は、ポリヌクレオチドとある種のポリエーテルブロックコポリマーとのポリヌクレオチド複合体を提供する。ポリヌクレオチド複合体はさらに、ポリカチオンポリマー、並びに適当なターゲティング分子および界面活性剤を含むことができる。本発明はまた、ポリヌクレオチドと、ポリエーテルブロックおよびポリカチオンブロックを含むブロックコポリマーとのポリヌクレオチド複合体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、出願番号08/912,968(1998年、8月1日出願)の一部継続出願であり、
この出願はまた出願番号08/342,209(1994年11月18日出願、現米国特許第5,656,
611号)の一部継続出願である。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、ポリ(核酸)ポリマー(例えばRNAもしくはDNAポリマー)および、
共有結合または非共有結合によってアルキルエーテルのブロックコポリマーと結
合したポリカチオンの組成物に関する。この複合体は、核酸を細胞中に送達する
ためのビヒクルとして使用するのによく適している。
【0003】 (発明の背景) 遺伝病、細胞の突然変異(突然変異を引き起こすかまたは増加させる癌を含む
)およびウィルス感染を治療するために、アンチセンスポリ(核酸)を使用する
ことは広く注目されている。この治療手段は、1つの態様では、治療しようとす
る疾患状態を引き起こすことに関連すると考えられるタンパク質をコードするmR
NAの「センス」鎖へ結合し、それによって不要なタンパク質へのmRNAの翻訳を止
めるかまたは阻止することによって働くと考えられる。別の態様では、DNAをア
ンチセンスポリヌクレオチドの結合の標的とし(3重らせんを形成)、例えば転
写を阻止する。Helene, Anti-Cancer Drug Design, 6:569 (1991)を参照。結合
対象のmRNAの配列が分かれば、Watson-Crick 塩基対合規則により、センス鎖と
結合するアンチセンス分子が設計でき、DNA二重らせんに類似の二本鎖構造を形
成することができる。遺伝子調節:Biology of Antisense RNA and DNA, Erikso
n and lxzant, eds., Raven Press, New York, 1991; Helene, Anti-Cancer Dru
g Design, 6:569 (1991); Crooke, Anti-Cancer Drug Design, 6:609 (1991)。
この技術を完全に活用することに対する深刻な障害は、標的とされるmRNAの翻訳
またはDNAの機能を有効に妨げるのに十分なアンチセンス分子を細胞中へ効率よ
く導入するという問題である。
【0004】 この問題を克服するのに使用されてきた1つの方法は、アンチセンスポリ核酸
分子の5'または3'末端を疎水性置換基で共有結合によって修飾することである。
これらの修飾された核酸は一般に、より高い効率で細胞内部へ入る。例えば、Ka
banov ら、FEBS Lett., 259:327 (1990); Boutorin ら、FEBS Lett., 23:1382-1
390, 1989; Shea ら、Nucleic Acids Res., 18:3777-3783 (1990)を参照。さら
に、アンチセンス分子のリン酸主鎖を修飾して負の電荷を除去したり(例えば、
Agrisら、Biochemistry, 25:6268 (1986); Cazenave およびHelene, Antisense
Nucleic Acids and Proteins: Fundamentals and Applications, Mol and Van d
er Krol, eds., p.47以降、Marcel Dekker, New York, (1991)を参照)、プリン
もしくはピリミジン塩基を修飾したりしている(例えば、Antisense Nucleic Ac
ids and Proteins: Fundamentals and Applications, Mol and Van der Krol, e
ds., p.47以降、Marcel Dekker, New York, (1991);Milliganら、Gene Therapy
For Neoplastic Diseases, Huber and Laso, eds., p.228以降、New York Acad
emy of Science, New York (1994)を参照)。細胞侵入に対する障害を克服する
他の試みとしては、低コピー数で細胞中に挿入することができるが、細胞内にあ
るときには、細胞機構に指令して多量のアンチセンスポリ核酸分子を合成するこ
とができる発現ベクター中にアンチセンスポリ(核酸)配列を組み込むことが挙
げられる。例えば、Farhoodら、Ann, N.Y. Acad. Sci., 716:23 (1994)を参照。
この方法は、アンチセンス配列が組込まれた発現部位を有する組換えウィルスの
使用を含む。例えば、Boris-LawrieおよびTemin, Ann. N.Y. Acad. Sci., 716:5
9 (1994)を参照。他には、アンチセンス分子または他の核酸分子上の負の電荷を
ポリカチオンで中和することによって、膜透過性を増加させる試みがなされてい
る。例えば、Kabanovら、Soviet Scientific Reviews, Vol.11, Part 2 (1992);
30 Kabanovら、Bioconjugate Chemistry 4:448 (1993); WuおよびWu, Biochemi
stry, 27:887-892 (1988); Behrら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6982-6
986 (1989)参照。急速なクリアランス分解および低い生物学的利用能のため、ポ
リヌクレオチドを全身投与することについては問題があった。幾つかの場合には
、特定の標的細胞に対して身体の特定の部位にポリヌクレオチド分子をターゲテ
ィングすることが望ましい。また、生物学的関門(例えば血液脳関門)を通過す
る移送が十分でないかまたは低いため、この関門を通過して標的へポリヌクレオ
チドが移送されることは少ないか、または不可能である。さらに、経口もしくは
直腸を介しての生物学的利用能が低いことに関する問題は、そのようなポリヌク
レオチド(オリゴヌクレオチドを含む)の投与を著しく妨げる。
【0005】 もちろん、アンチセンスポリ核酸分子は、細胞膜に対する透過性を有効に高め
ることのできるポリ核酸分子のタイプだけではない。組換えタンパク質発現系を
作製するためには、発現を指令する核酸は、膜を通過して所望のタンパク質を産
生する真核細胞もしくは原核細胞へと移送されなければならない。遺伝子治療の
場合には、医療従事者は、生物の1種またはそれ以上の細胞型に、細胞から失わ
れたタンパク質の合成を指令することができるかまたはより多量に発現された場
合には細胞または生物に有用であるDNAベクターを組み込むことを試みる。細胞
に新しいタンパク質、リボザイムまたはより多量のタンパク質もしくはリボザイ
ムを産生させるDNAを導入するための方法は、「トランスフェクション」法と呼
ばれる。一般に、Neoplastic Diseases, Huber およびLazo, eds., New York Ac
ademy of Science, New York (1994); Feigner, Adv. Drug Deliv. Rev., 5:163
(1990); McLachlinら、Progr. Nucl. Acids Res. Mol. Biol., 38:91 (1990);
Karlsson, S. Blood, 78:2481 (1991); EinerhandおよびValerio, Curr. Top Mi
crobiol. Immunol., 177:217-235 (1992); Makdisiら、Prog. Liver Dis., 10:1
(1992); LitzingerおよびHuang, Biochim. Biophys. Acta, 11 13:201 (1992);
Morsyら、J.A.M.A., 270:2338 (1993); Dorudiら、British J. Surgery, 80:56
6 (1993)を参照。
【0006】 多くの上記した、アンチセンス核酸により細胞侵入を高める方法は、一般に、
種々のポリ(核酸)を細胞に組み込む、適用可能な方法である。他の一般的な方
法としては、核酸のリン酸カルシウム沈殿および標的細胞とのインキュベーショ
ン(GrahamおよびVan der Eb, Virology, 52:456, 1983)、核酸、DEAE-デキス
トランおよび細胞の同時インキュベーション(SompayracおよびDanna, Proc. Na
tl. Acad. Sci., 12:7575, 1981)、核酸の存在下での細胞のエレクトロポレー
ション(Pofterら、Proc. Natl. Acad. Sci., 81:7161-7165, 1984)、核酸をウ
ィルス外被に組み込んでトランスフェクション・ビヒクルを作製する方法(Gitm
anら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82:7309-7313, 1985)並びにリポソー
ムに封入した核酸を用いて細胞をインキュベートする方法(WangおよびHuang, P
roc. Natl. Acad. Sci., 84:7851-7855, 1987)が挙げられる。
【0007】 核酸を細胞に送達する際の他の問題は、核酸、特にリボ核酸のヌクレアーゼ活
性に対する著しい感度である。この問題は、アンチ-センスオリゴヌクレオチド
としてリボ核酸を使用する試みと特に密接な関係があった。したがって、ヌクレ
アーゼ活性から核酸を保護する方法が望ましい。
【0008】 (発明の概要) 本発明は、ポリ(核酸)ポリマー(例えばRNAもしくはDNAポリマー)および、
共有結合または非共有結合によってアルキルエーテルのブロックコポリマーと結
合したポリカチオンの組成物に関する。好ましい実施態様においては、ポリ(核
酸)はポリカチオンと複合する。核酸は複合体により安定化され、複合体形態で
は、細胞膜を通過する透過性が増加した。したがって、この複合体は、核酸を細
胞中に送達するためのビヒクルとして使用するのによく適している。
【0009】 (発明の詳細な説明) かくして本発明は、ポリ(核酸)ポリマー(例えばRNAもしくはDNAポリマー)
および、(共有結合または非共有結合によって)カチオンブロックコポリマーと
結合したポリカチオンの組成物に関する。
【0010】 (ブロックコポリマーの構造) ブロックコポリマーは、最も簡単には、少なくとも2種の異なるポリマーセグ
メントのコンジュゲートとして定義される(Tirrel, M.、Interactions of Surf
actants with Polymers and Proteins、Goddard E.D. および Ananthapandmanab
han, K.P. (eds.), CRC Press, Boca Raton, Ann Arbor, London, Tokyo, pp.59
-122,1992)。幾つかのブロックコポリマー構造を以下に示す。
【0011】
【化6】
【0012】 最も簡単なブロックコポリマー構造は、末端で結合してA-Bタイプのジブロッ
クを与える2つのセグメントを含む。3つ以上のセグメントが末端でコンジュゲ
ートすると、A-B-Aタイプのトリブロック、A-B-A-B-タイプのマルチブロック、
またはマルチセグメントA-B-C-構造が得られる。1個または数個の繰り返し単位
が異なるポリマーセグメントに結合したブロックコポリマーの主鎖を定義できれ
ば、コポリマーは、例えばA(B)nタイプのグラフト構造を有する。より複雑な構
造としては、例えば、1つの中心に結合した3つ以上のポリマーセグメントを有
する(AB)nまたはAnBmの星型ブロックが挙げられる。
【0013】 本発明によれば、これらの構造のすべてが、 (a)ポリヌクレオチドと結合する
少なくとも1つのポリカチオンセグメント(「結合セグメント」)および(b)ブ
ロックコポリマーとポリヌクレオチドとの間に形成される複合体を可溶化する少
なくとも1つの水溶性セグメント(「可溶化セグメント」)を含むのであれば、
ポリヌクレオチド送達のために有用であり得る。
【0014】 本発明によれば、結合セグメントおよび可溶化セグメントは、互いに独立して
、線状ポリマー、ランダムに分岐したポリマー、ブロックコポリマー、グラフト
コポリマー、星型ポリマー、星型ブロックコポリマー、デンドリマー(dendrimer
)であることができ、また、限定するわけではないが、先に挙げた構造の組み合
わせを含む他の構造を有することができる。本発明の場合には、これらの構造は
すべて、「ブロックコポリマー」と総称する。
【0015】 結合セグメントおよび可溶化セグメントの重合度は、約3〜約10,000である。
より好ましくは、重合度は約5〜約2,000であり、さらに好ましくは約20〜約1,00
0である。結合セグメントおよび可溶化セグメントの分子量は、約600〜約500,00
0である。より好ましくは、分子量は約1,000〜約100,000であり、さらに好まし
くは約2,000〜約50,000である。
【0016】 本発明の式XVIII〜XXIIIはジブロックおよびトリブロックである。同時に、式
XVIIのポリエーテルの末端へポリカチオンセグメントをコンジュゲートさせると
、星型ブロック(例えば(ABC)4タイプ)が得られる。さらに、(以下の)実施例
13〜15のポリスペルミンは分岐している。そのようなポリカチオンをポリ(エチ
レンオキシド)で修飾すると、グラフト化ブロックコポリマーと星型ブロックと
の混合物が得られる。
【0017】 1つの実施態様においては、ポリ(核酸)はポリカチオンと複合化される。核
酸は複合体により安定化され、複合体形態では、細胞膜を通過する透過性が増大
する。したがって、複合体は、核酸を細胞中に送達するためのビヒクルとして使
用するのによく適している。
【0018】 好ましい第1の実施態様においては、ブロックコポリマーは、以下の式のポリ
マーからなる群より選択される:
【0019】
【化7】
【0020】 (式中、AおよびA'は、Aタイプ線状ポリマーセグメントであり、BおよびB'は
、Bタイプ線状ポリマーセグメントであり、R1、R2、R3およびR4は、式(I)、(II)
もしくは(III)のブロックコポリマーであるかまたは水素であり、Lは結合基であ
り、ただし、R1、R2、R3またはR4のうちの2つ以下が水素である)。別の好まし
い第1の実施態様においては、ポリヌクレオチド組成物はさらに、複数のカチオ
ン性繰り返し単位を含むポリカチオンポリマーを含む。
【0021】 本組成物は、ポリヌクレオチドを細胞中に導入するための有効なビヒクルを提
供する。したがって、本発明はまた、本発明の第1の実施態様のポリヌクレオチ
ド組成物を用いて、ポリ(核酸)を細胞中に挿入する方法に関する。
【0022】 第2の実施態様において、本発明は、 (a)ポリヌクレオチドまたはその誘導体;および (b)ポリエーテルセグメントおよびポリカチオンセグメントを有するブロック
コポリマーであって、ポリエーテルセグメントは少なくともAタイプセグメント
を含み、ポリカチオンセグメントは複数のカチオン性繰り返し単位を含む前記ブ
ロックコポリマー を含むポリヌクレオチド組成物を提供する。
【0023】 好ましい第2の実施態様においては、コポリマーは以下の式のポリマーを含む
【0024】
【化8】
【0025】 (式中、A、A'およびBは前記と同じであり、RおよびR'は、複数のカチオン性
繰り返し単位を含むポリマーセグメントであり、セグメント中の各カチオン性繰
り返し単位は、セグメント中の別の単位と同一でも異なっていてもよい)。この
実施態様のポリマーは、「ポリエーテル/ポリカチオン」ポリマーと呼ぶことが
できる。RおよびR'セグメントは、「Rタイプ」ポリマーセグメントまたはブロッ
クと呼ぶことができる。
【0026】 第2の実施態様のポリヌクレオチド組成物は、ポリヌクレオチドを細胞中に導
入するための有効なビヒクルを提供する。
【0027】 したがって、本発明はまた、本発明の第2の実施態様の組成物を用いて、ポリ
(核酸)を細胞中に挿入する方法に関する。
【0028】 第3の実施態様において、本発明は、ポリヌクレオチドセグメントと、ポリヌ
クレオチドの5'および3'末端の一方または両方に結合したポリエーテルセグメン
トとを含むポリヌクレオチド誘導体とを含むポリヌクレオチド組成物であって、
ポリエーテルがAタイプポリエーテルセグメントを含むものを提供する。
【0029】 好ましい第3の実施態様においては、誘導体は、次の式のブロックコポリマー
を含む:
【0030】
【化9】
【0031】 (式中、pNは5'から3'方向のポリヌクレオチドを表し、A、A'およびBは前記し
たポリエーテルセグメントである)。別の好ましい第3の実施態様においては、
ポリヌクレオチド複合体はポリカチオンポリマーを含む。
【0032】 式(I)、(II)、(III)もしくは(IV)のポリマーはまた、互いに混合することがで
き、または式(V-aもしくはb)、(VI-aもしくはb)、 (VII-aもしくはb)および (VI
II-aもしくはb)のポリマーの1種以上と、および/または式(IX-a、b、cもしく
はd)、(X-a、b、c、d、eもしくはf)、(XI)、(XII)または(XIII)のポリヌクレオ
チド誘導体と、追加的にもしくは代替的に混合して、ポリ(核酸)を細胞内部に
送達するための有効なビヒクルを提供することができる。
【0033】 第3の実施態様のポリヌクレオチド組成物は、ポリヌクレオチドを細胞中に導
入するための有効なビヒクルを提供する。したがって、本発明はまた、本発明の
第3の実施態様の組成物を用いて、ポリ(核酸)を細胞中に挿入する方法に関す
る。
【0034】 本発明の第4の実施態様は、ポリマー、ポリエーテルセグメントおよび、複数
の式-NH-R0(式中、R0は、置換されていてもよい2〜6個の炭素原子を有する直
鎖脂肪族基である)のカチオン性繰り返し単位を含むポリカチオンセグメントを
含み、該ポリエーテルセグメントが少なくとも1個のAタイプもしくはBタイプの
セグメントを含むポリエーテルポリカチオンコポリマーに関する。好ましい第4
の実施態様においては、ポリカチオンポリマーは、以下の式に従うポリマーを含
む:
【0035】
【化10】
【0036】 [式中、A、A'およびBは前記と同じであり、RおよびR'は、複数の式-NH-R0-(
R0は、置換されていてもよい2〜6個の炭素原子を有する直鎖脂肪族基である)
のカチオン性繰り返し単位を含むポリマーセグメントである]。Rタイプセグメ
ント中の各-NH-R0-繰り返し単位は、セグメント中の別の-NH-R0-繰り返し単位と
同一でも異なっていてもよい。好ましい第4の実施態様はさらに、ポリヌクレオ
チドまたは誘導体を含む。
【0037】 第5の実施態様において、本発明は、複数の以下の式の繰り返し単位を含むポ
リカチオンポリマーを提供する:
【0038】
【化11】
【0039】 式中、R8は: (1)-(CH2)n-CH(R13)-[式中、nは0〜約5の整数であり、R13は水素、3〜8個の炭
素原子を有するシクロアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルキルまたは(CH2 )mR14であり、式中、mは0〜約12の整数であり、R14は6〜20個の炭素原子を有す
る親油性の置換基である]; (2)3〜8個の環形成炭素原子を有する炭素環式基[この基は、例えばシクロアル
キルもしくは芳香族基であることができ、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、
1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミ
ノ、各アルキルが独立して1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ、アミノ
、スルホニル、ヒドロキシ、カルボキシ、フルオロもしくはクロロ置換基を含む
ことができる];または (3) 3〜8個の環形成原子を有する複素環式基[この基は、ヘテロシクロアルキル
もしくはヘテロ芳香族基を含むことができ、酸素、窒素、硫黄およびその混合物
からなる群より選択されるヘテロ原子1〜4個を含むことができ、かつ1〜6個の
炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ、1〜6個の炭
素原子を有するアルキルアミノ、各アルキルが独立して1〜6個の炭素原子を有す
るジアルキルアミノ、アミノ、スルホニル、ヒドロキシ、カルボキシ、フルオロ
もしくはクロロ置換基を含むことができる] である。
【0040】 R9は、1〜12個の炭素原子を有する直鎖脂肪族基であり、R10、R11およびR12
は独立して、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。R9は好ましく
は2〜10個、より好ましくは3〜8個の炭素原子を含む。R14は好ましくは、挿入基
(intercalating group)を含み、それは、好ましくはアクリジンもしくは臭化エ
チジウム基である。ポリマー中に含まれるこのような繰り返し単位の数は好まし
くは約3〜50であり、より好ましくは5〜20である。このポリマー構造は、R-タイ
プセグメントまたはポリカチオンポリマーとして本発明の他の実施態様に組み込
むことができる。このポリマーの末端は、脂質置換基で修飾できる。この実施態
様のポリマーを合成するのに使用されるモノマーは、以下に述べるDNA合成機に
供給されるモノマーとして使用するのに適している。かくして、このポリマーは
非常に特異的に合成することができる。さらに、ポリヌクレオチド配列、ポリエ
ーテルブロックおよび親油性置換基のさらなる導入を、ポリヌクレオチド合成に
ついて開発された改良型自動化を用いて行うことができる。第5の実施態様はま
た、ポリカチオンポリマーを合成するこの方法を包含する。
【0041】 なお別の実施態様においては、本発明は、複数の共有結合ポリマーセグメント
を有するポリマーに関するものであり、該セグメントは、 (a) 少なくとも1つのポリカチオンセグメントであって、このセグメントは、少
なくとも3つのアミノアルキレンモノマーを含むカチオンホモポリマー、コポリ
マーもしくはブロックコポリマーであり、該モノマーは、 (i)少なくとも1つの、式:
【0042】
【化12】
【0043】 の第3級アミノモノマーおよび該第3級アミノモノマーの第4級塩、並びに (ii)少なくとも1つの、式
【0044】
【化13】
【0045】 の第2級アミノモノマー並びに該第2級アミノモノマーの酸付加物および第4級
塩 から成る群より選択されるものである [式中、R1は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはB
モノマーであり;R2およびR3のそれぞれは、他と独立して、同一または異なる式
【0046】
【化14】
【0047】 の直鎖もしくは分岐鎖アルカンジイル基であり(式中、zは2〜8の値を有する)
;R4は、ジェミナルに(geminally)結合した炭素原子の1つの結合を満たす水素
であり;R5は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはB
モノマーであり;R6は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、Aモノマー
もしくはBモノマーであり;R7は、式:
【0048】
【化15】
【0049】 の直鎖もしくは分岐鎖アルカンジイル基であり(式中、zは2〜8の値を有する)
;およびR8は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはB
モノマーである];並びに (b)約5〜約400個のモノマー単位を有する少なくとも1の直鎖もしくは分岐鎖の
ポリエーテルセグメントであって、該ポリエーテルセグメントが、 (i)第1のアルキレンオキシモノマー-OCnH2n-からなるホモポリマー、または (ii)該第1のアルキレンオキシモノマーと、第2の異なるアルキレンオキシモ
ノマー-OCmH2m-とのコポリマーもしくはブロックコポリマー[式中、nは2または
3の値を有し、mは2〜4の値を有する]である を含むものである。
【0050】 好ましいポリカチオンセグメントとしては、限定するわけではないが、ポリア
ミン(例えば、スペルミン、ポリスペルミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピ
レンイミン、ポリブチレンイミン、ポリペンチレンイミン、ポリヘキシレンイミ
ンおよびこれらのコポリマー)、第3級アミンと第2級アミンとのコポリマー、
部分的にまたは完全に第4級化されたアミン、ポリビニルピリジン、およびこれ
らのポリカチオンセグメントの第4級アンモニウム塩が挙げられる。好ましいポ
リカチオンセグメントはまた、脂肪族、複素環式もしくは芳香族のイオン(ionen
)を含むことができる(Rembaumら、Polymer letters, 1968, 6;159; Tsutsui, T
., In Development in ionic polymers-2, Wilson A.D. and Prosser, H.J.(eds
.) Applied Science Publishers, London, New York, Vol.2, pp.167-187, 1986
)。特に好ましいポリカチオンセグメントは、複数の、式-N-R0のカチオン性繰
り返し単位を含み、ここで、R0は、置換されていてもよい2〜6個の炭素原子を有
する直鎖脂肪族基である。ポリカチオンセグメント中の各-N-R0-繰り返し単位は
、セグメント中の別の-N-R0-繰り返し単位と同一でも異なっていてもよい。
【0051】 本発明のコポリマー中のポリカチオンセグメントは分岐していてもよい。例え
ば、ポリスペルミンに基づくコポリマーは分岐している。これらのコポリマーの
カチオンセグメントは、1,4-ジブロモブタンとN-(3-アミノプロピル)-1,3-プロ
パンジアミンの縮合により合成される。この反応では、第1級、第2級および第
3級アミンを有する、高度に分岐したポリマー生成物が生じる。
【0052】 分枝したポリカチオンの例としては、少なくとも2個の窒素原子を含むポリア
ミンと、少なくとも2個のハロゲン原子(臭素または塩素を含む)を含むハロゲン
化アルキルとの縮合反応の生成物があげられる。特に、分枝ポリカチオンは多重
縮合の結果生成される。この反応の例としてはN-(3-アミノプロピル)-1,3-プロ
パンジアミンと1,4-ジブロモブタンとでポリスペルミンを生成する反応がある。
【0053】 分枝ポリカチオンの別の例としては、下記の化学式で表されるポリエチレンイ
ミンがあげられる。
【0054】
【化16】
【0055】 さらに、例えばポリアミドアミンまたは種々の世代(すなわち分子量)のポリプ
ロピレンイミンなどの陽イオン性デンドリマー(dendrimer)(Tomaliaら, Angew.
Chem., Int. Ed. Engl. 1990, 29,138)を、遺伝子送達のためのブロックコポリ
マーのポリカチオンセグメントとして用いることができる。
【0056】 また別の実施形態においては、本発明は共有結合で結合させたポリマーセグメ
ントを複数有するポリマーに関するものであり、そのセグメントは次のものから
なる: (a)少なくとも1個のポリカチオンセグメントであってそれは陽イオン性のホモ
ポリマーもしくはコポリマーでそのコポリマーは少なくとも3個の陽イオン性ア
ミノ酸、もしくは3個のアミノアルキレンモノマーからなり、そのモノマーは次
のものからなる群から選択される: (i)下記の化学式を有する少なくとも1個の第3級アミノモノマー
【0057】
【化17】
【0058】 および該第3級アミノモノマーの第4級塩、ならびに(ii)下記の化学式を有する
少なくとも1個の第2級アミノモノマー:
【0059】
【化18】
【0060】 および該第2級アミノモノマーの酸付加物および第4級塩であって、上記の化学
式において: R1は水素、2ないし8個の炭素原子を有するアルキル、Aモノマー、もしくはBモ
ノマーであり;R2およびR3はそれぞれ独立して、下記の化学式を有する直鎖また
は分枝鎖のアルカンジイル基の同一のものもしくは異なるものであり:
【0061】
【化19】
【0062】 この化学式においてzは2ないし8の値を取り;R4は描かれた一対の炭素原子の
結合のうちの1つの結合を満たす水素であり;R5は水素、2ない8個の炭素原子を
有するアルキル、Aモノマー、もしくはBモノマーであり;R6は水素、2ない8個の
炭素原子を有するアルキル、Aモノマー、もしくはBモノマーであり;R7は下記の
化学式を有する直鎖もしくは分枝鎖アルカンジイル基であり:
【0063】
【化20】
【0064】 この化学式においてzは2ないし8の値を取り;R8は水素、2ないし8個の炭素原
子を有するアルキル、Aモノマー、もしくはBモノマーであり;ならびに、(b)少
なくとも1個の水溶性非イオン性ポリマーセグメント、である。これには、少な
くとも3個の同一もしくは異なる繰り返しユニットでそのユニット中に酸素もし
くは窒素からなる群から選択される少なくとも1個の原子を含むものからなる非
イオン性ポリマーセグメントを少なくとも1個含有する。
【0065】 この実施形態においてはポリカチオンは結合セグメントとして働き、一方非イ
オン性ポリマーは脂質親和性セグメントとして働く。
【0066】 この実施形態において好ましいポリカチオンセグメントは前述の実施形態にお
いて好ましいポリカチオンと同じである。これらの好ましいポリカチオンセグメ
ントとしてはポリアミン(例えばスペルミン、ポリスペルミン、ポリエチレンイ
ミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリペンチレンイミン、ポ
リヘキシレンイミン、およびそれらのコポリマー)、第3級アミンおよび第2級ア
ミンのコポリマー、部分的にもしくは完全に4級化したアミン、ポリビニルピリ
ジン、および該ポリカチオンセグメントの第4級アンモニウム塩が挙げられるが
それらに限定されない。
【0067】 非イオン性ポリマーセグメントは毒性がなく免疫原性もない水溶性ポリマーを
含むことが好ましい。非イオン性ポリマーセグメントとして好ましいものは、少
なくとも1個の水溶性非イオン性ポリマーセグメントであって、それはホモポリ
マーもしくは、アクリルアミド、グリセロール、ビニルアルコール、ビニルピロ
リドン、ビニルピリジン、ビニルピリジン N-オキシド、オキサゾリン、もしく
はアクロイルモルホリン、及びそれらの誘導体からなる群から選択されたモノマ
ーを少なくとも1個含むコポリマーである。これには例えばポリアクリルアミド
、ポリグリセロール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニ
ルピリジン N-オキシド、ビニルピリジン N-オキシドとビニルピリジンのコポリ
マー、ポリオキサゾリン、ポリアクロイルモルホリン、もしくはそれらの誘導体
を含む。ビニルモノマーの重合生成物を含む非イオン性セグメントも好ましく、
そのようなものとしては下記の非イオン性ポリマーセグメント及びそれらの誘導
体があげられるがそれらに限定されない:
【0068】
【化21】
【0069】 上記の化学式においてmの値は3ないし約10,000である。 本発明の範囲内には、これらのポリマー及び適当なターゲティング分子を含む
組成物が含まれる。また、本発明の範囲内には、ポリマー、ポリヌクレオチド、
及び界面活性剤を含む組成物も含まれる。また、本発明は、少なくとも1個のポ
リヌクレオチドセグメント及び少なくとも1個のポリエーテルセグメントを含む
コポリマーで、該ポリエーテルセグメントがオキシエチレン及びオキシプロピレ
ンを含むものにも関する。
【0070】 本発明の組成物は多種類の治療に用いることができる。例えば、前記組成物は
、遺伝子置換もしくは切除療法、および遺伝子付加療法を含む遺伝子治療に用い
ることができる(B. Huber, Gene therapy for neoplastic diseases; BE Huber
とJS Lazo編, The New York Academy of Sciences, NY, 米国ニューヨーク州, 1
994, pp.6-11)。また、細胞の核および/または細胞質内にある遺伝子を標的とす
るアンチセンス療法ではそれらの遺伝子を阻害する(SteinとCheng, Science 261
:1004, 1993; De Mesmaekerら, Acc. Chem. Res. 28:366, 1995)。アプタマー核
酸薬剤は細胞内および細胞外のどちらであってもタンパク質、ペプチド、および
小分子を標的とする。EllingtonとSzostak, Nature(London), 346, 818, 1990を
参照せよ。核内の二重らせんDNAを標的とするために抗原核酸化合物を用いるこ
とができる。HeleneとTolume, Biochem. Biophys. Acta 1049:99, 1990を参照せ
よ。触媒活性を持つポリヌクレオチドは核内および/または細胞質内のmRNAを標
的とする(Cech, Curr. Opp. Struct. Biol. 2:605, 1992)。
【0071】 置換、阻害、および/または付加される遺伝子の例としては、アデノシンデア
ミナーゼ、腫瘍壊死因子、細胞増殖因子、第IX因子、インターフェロン(α-、β
-、およびγ-インターフェロンなど)、インターロイキン(インターロイキン2, 4
, 6および12など)、HLA-B7、HSV-TK、CFTR、HIV-1、β-2ミクログロブリン、レ
トロウイルス遺伝子(gag, pol, env, tax, およびrexなど)、サイトメガロウイ
ルス、ヘルペスウイルス遺伝子(I型およびII型単純ヘルペスウイルス遺伝子ICP2
7/UL54, ICP22/US1, ICP/IE175, プロテインキナーゼおよびエキソヌクレアーゼ
/UL13, プロテインキナーゼ/US3, リボヌクレアーゼレダクターゼICP6/UL39, 前
初期(IE) mRNA IE3/IE175/ICP4, IE4/ICP22/US1, IE5/ICP47, IE110, DNAポリメ
ラーゼ/UL30, UL13など)、ヒト多剤耐性遺伝子(mdrlなど)、癌遺伝子(H-c-ras,
c-myb, c-myb, bcl-2, bcr/ablなど)、腫瘍抑制遺伝子p53、ヒトMHC遺伝子(クラ
ス1 MHCなど)、免疫グロブリン(IgG, IgM, IgE, IgAなど)、ヘモグロビンα-お
よびβ-鎖、酵素(炭酸脱水素酵素、トリオースホスフェートイソメラーゼ、GTP-
シクロヒドロラーゼ I、フェニルアラニンヒドロラーゼ、サルコシンデヒドロゲ
ナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナー
ゼ)、ジソトロフィン(dysotrophin)、フィブロネクチン、アポリポプロテインE
、嚢胞性繊維症膜コンダクタンスタンパク質、c-src タンパク質、V(D)J 組換え
活性化タンパク質、免疫原、ペプチドおよびタンパク質抗原(「DNA ワクチン」)等
が含まれるがそれらに限定されない。
【0072】 本発明の組成物を用いて遺伝病を治療することもできる。そのような疾病とし
ては、関節リウマチ、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、α-地中海貧血症、β-
地中海貧血症、炭酸脱水素酵素II欠損症候群、トリオースホスフェートイソメ
ラーゼ欠損症候群、テトラヒドロビオプテリン欠損性高フェニルアラニン血症、
古典的フェニルケトン尿症、ドゥシェンヌ型筋ジストロフィーなどの筋ジストロ
フィー、高サルコシン血症、腺腫様腸ポリポージス、アデノシンデアミナーゼ欠
損症、悪性黒色腫、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ欠損症候群、
動脈硬化および高コレステロール血症、ゴーシェ病、嚢胞性線維症、骨粗鬆症、
増殖性自然発生腫瘍、TおよびB細胞免疫不全症、高コレステロール、慢性関節リ
ウマチを含む関節炎、緑内障、アルコール依存症等が挙げられるがそれらに限定
されない。
【0073】 また、本組成物は、癌(例えば乳癌、膵臓癌、胃癌、前立腺癌、結腸直腸癌、
肺癌、卵巣癌など)、リンパ腫(例えばホジキンおよび非ホジキンリンパ腫など)
、黒色腫および悪性黒色腫、進行癌を有する血友病B、腎細胞癌、神経膠芽腫、
星状細胞腫、神経膠腫、AMLおよびCML等を含むがそれらに限定されない新生物疾
患に用いることもできる。
【0074】 さらに、本組成物は(i)卒中、ドゥシェンヌ型筋ジストロフィーに伴う心筋症
、心筋虚血、再閉塞等の疾患などを含むがそれらに限定されない心血管疾患、(i
i)肝炎、HIV感染およびAIDS、ヘルペス、CMVおよびCMV網膜炎などの併発疾患な
どの感染性疾患、(iii)腎移植拒絶反応などの移植関連障害の治療に使用するこ
とができ、ならびに(iv)本組成物は、黒色腫ワクチン、HIVワクチン、マラリア
、結核等を含むがそれらに限定されないワクチン療法および免疫に有用である。
【0075】標的細胞 標的となる細胞はex vivoおよび/またはin vivoのものであってよく、Tおよび
Bリンパ球、原発性CML、腫瘍浸潤リンパ球、腫瘍細胞、白血病細胞(HL-60, ML-3
, KG-1など)、皮膚線維芽細胞、筋芽細胞、一次ニューロンを含む中枢神経系細
胞、肝細胞、癌(膀胱癌T24, ヒト結腸直腸癌Caco2など)、黒色腫、CD34+リンパ
球、NK細胞、マクロファージ、血液幹細胞、神経芽細胞腫(LAN-5など)、神経膠
腫、リンパ腫(バーキットリンパ腫ST486, JD38など)、T細胞ハイブリドーマ、一
次平滑筋などの筋細胞等を含む。
【0076】 本出願(1994年11月18日)の親出願と同時に出願されたものは「ポリマーを結合
させた生物学的薬剤」と題した第08/342,079号であった。その出願で開示された
全内容を本明細書に参照によって組み入れるものとする。
【0077】 化学式(I)-(XIII)の親水性(A-タイプ)セグメントもしくは疎水性(B-タイプ)セ
グメントの重合度は好ましくは約5ないし約400の間でありうる。より好ましくは
、重合度は約5ないし約200の間、さらに好ましくは約5ないし約80の間である。R
-タイプのポリカチオンセグメントの重合度は好ましくは約2ないし約300の間で
ありうる。より好ましくは重合度は約5ないし約180の間であり、さらに好ましく
は約5ないし約60の間である。ポリカチオンポリマーの重合度は好ましくは約10
ないし約10,000でありうる。より好ましくは重合度は約10ないし約1,000の間で
あり、さらに好ましくは約10ないし約100の間である。
【0078】 A-タイプ、B-タイプおよびR-タイプセグメントを構成する繰り返しユニットは
通常は約30および約500の間、好ましくは約30ないし約100の間の、さらに好まし
くは約30ないし約60の間の分子量を有する。通常、A-タイプもしくはB-タイプセ
グメントのそれぞれにおいて、繰り返しユニット間の結合の少なくとも約80%が
エーテル結合であり、好ましくは少なくとも約90%がエーテル結合であり、さら
に好ましくは少なくとも約95%がエーテル結合である。エーテル結合は、本出願
の目的に用いるためには、グリコシド結合(すなわち糖結合)をも含む。しかし、
ある態様においては単純なエーテル結合が好ましい。
【0079】 化学式(IX)から(XIII)のポリヌクレオチド成分(pN)は好ましくは約5ないし約1
,000,000塩基からなり、より好ましくは約5ないし約100,000塩基からなり、さら
に好ましくは約10ないし約10,000塩基からなる。
【0080】 ポリカチオンセグメントは数個の陽性にイオン化しうる基を有し、生理学的pH
では正味の(net)陽性の電荷を有する。化学式(V)-(VIII)のポリエーテル/ポリカ
チオンポリマーはまた、ポリカチオン性ポリマーとして働くこともできる。好ま
しくはポリカチオンセグメントは生理学的pHで少なくとも約3の陽性電荷を有し
、より好ましくは約6、さらに好ましくは約12である。また、生理学的pHで電荷
間の距離が約2オングストロームから約10オングストロームで陽性電荷を示して
いるポリマーもしくはセグメントが好ましい。エチレンイミン、アミノプロピレ
ン、アミノブチレン、アミノペンチレン、およびアミノヘキシレン繰り返しユニ
ット、もしくはこれらの基の少なくとも2個の混合物によってできる距離が最も
好ましい。(NCH2CH2)、(NCH2CH2CH2)、(NCH2CH2CH2CH2)、(NCH2CH2CH2CH2CH2)、
および(NCH2CH2CH2CH2CH2CH2)繰り返しユニット、もしくはそれらの混合物を用
いたポリカチオンセグメントが好ましい。
【0081】 -N-R0-繰り返しユニットを有するポリカチオンセグメントも好ましい。R0は好
ましくはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンもしくはヘキシレンであ
り、それらは修飾することができる。好ましい実施形態においては、繰り返しユ
ニットの少なくとも1つにおいてR0は臭化エチジウム基などのDNA 挿入基を含む
。そのような挿入基はそのポリマーの核酸に対する親和性を増大させることがで
きる。R0を置換するものとして好ましいものは、1-6個の炭素原子のアルキル、
ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルでそのアルキルは1-6個の炭素原子を有するも
の、1-6個の炭素原子を有するアルコキシ、2-7個の炭素原子を有するアルキルカ
ルボニル基、アルコキシカルボニルでそのアルコキシは1-6個の炭素原子を有す
るもの、アルコキシカルボニルアルキルでそのアルコキシおよびアルキルはそれ
ぞれ独立に1-6個の炭素原子を有するもの、アルキルカルボキシアルキルで各ア
ルキル基が1-6個の炭素原子を有するもの、アミノアルキルでそのアルキル基が1
-6個の炭素原子を有するもの、アルキルアミノもしくはジアルキルアミノでその
各アルキル基が独立に1-6個の炭素原子を有するもの、モノもしくはジアルキル
アミノアルキルでその各アルキルが独立に1-6個の炭素原子を有するもの、クロ
ロ、クロロアルキルでそのアルキルが1-6個の炭素原子を有するもの、フルオロ
、フルオロアルキルでそのアルキルが1-6個の炭素原子を有するもの、シアノ、
もしくはシアノアルキルでそのアルキルが1-6個の炭素原子を有するもの、また
はカルボキシル基を有するものが好ましい。R0はエチレン、プロピレンもしくは
ブチレンがより好ましい。
【0082】 本発明の第1の実施形態に従って作られるポリマーは下記の化学式を有するブ
ロックコポリマーによって例示される:
【0083】
【化22】
【0084】 上記の化学式においてx, y, z, iおよびjは約5ないし約400の値を取り、好ま
しくは約5ないし約200であり、より好ましくは約5ないし約80であり、上記の化
学式において各R1、R2のペアは一方が水素で他方がメチル基である。
【0085】 化学式(XIV)から(XVI)は簡略化されすぎており、実際にはBセグメント内のイ
ソプロピレンラジカルの方向はランダムとなる。このランダムな方向性は化学式
(XVII)に示しており、こちらの方がより完全なものである。このようなポリ(オ
キシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)化合物については、Santon, Am. Perfum
er Cosmet., 72(4):54-58(1958); Schmolka, Loc. cit. 82(7):25(1967); Schic
k, Non-ionic Surfactants, pp.300-371(Dekker, 米国ニューヨーク州, 1967)に
よって述べられている。そのような化合物は、「ポロキサマー(poloxamers)」「
プルロニック(pluronics)」および「シンペロニック(synperonics)」などの一般
的な販売名で多数市販されている。B-A-Bの式に含まれるプルロニックポリマー
はしばしば「逆行」プルロニック、「プルロニックR」もしくは「メロキサポー
ル」と呼ばれる。化学式(XVII)の「ポリオキサミン」ポリマーはBASF(Wyandotte
, 米国ミシガン州)からTetronicTMという販売名で入手できる。化学式(XVII)に
示したポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンセグメントの順番は逆にする
ことができ、それはTetronic RTMという販売名でこれもBASFから市販されている
。Schmolka, J. Am. Oil Soc. 59:110(1979)を参照せよ。また、ポリオキシプロ
ピレン-ポリオキシエチレンブロックコポリマーは、エチレンオキサイドとプロ
ピレンオキサイドの繰り返しユニットのランダムな混合物を含む親水性セグメン
トを用いてデザインすることもできる。そのセグメントの親水性特性を維持する
ために、エチレンオキサイドが多くを占めるようにする。同様に、疎水性セグメ
ントはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの繰り返しユニットの混合物
でありうる。そのようなブロックコポリマーはBASFからPluradotTMという販売名
で市販されている。
【0086】 化学式(XVII)のプルロニックにジアミンを結合させたものも、下記の化学式の
ジアミンを結合させたポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンポリマーのフ
ァミリーの一員となりうる:
【0087】
【化23】
【0088】 上記の式で点線は2位の窒素から伸びるポリエーテルの対称性のコピーがある
ことを示し、R*は、2ないし6個の炭素を有するアルキレン、5ないし8個の炭素を
有するシクロアルキレン、もしくはフェニレンであり、そのR1およびR2は、(a)
双方とも水素、または(b)一方が水素で他方がメチル、のいずれかであり、R3
よびR4は、(a)双方とも水素、または(b)一方が水素で他方がメチル、のいずれか
であり、R3およびR4の双方とも水素の場合には、R5およびR6のうちの一方が水
素で他方がメチルであり、もしR3およびR4のうちの一方がメチルの場合には、R5 およびR6は双方とも水素である。
【0089】 当業者であれば、本明細書中に記載した議論から、本発明の実施を例えばポリ
(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)化合物に限定したとしても、上に例
示した化学式が限定しすぎたものであることが理解されるであろう。従って、第
1のセグメントを形成するユニットがエチレンオキサイドのみからなるものであ
る必要はない。同様に、B-タイプのセグメントが全てプロピレンオキサイドユニ
ットのみからなる必要もない。そのかわりに、セグメントは化学式(XIV)-(XVII)
に示したモノマー以外のモノマーも、第1の実施形態のパラメーターが維持され
る限りは取り込むことができる。従って、例示のうちで最も単純なものにおいて
は、セグメントA中の少なくとも1個のモノマーが前述のように側鎖基の1つで置
換されうるものである。
【0090】 別の態様においては、本発明は化学式(I)-(XIII)のうちの少なくとも1つのブ
ロックコポリマーを含むポリヌクレオチド複合体に関するものであり、その複合
体中ではA-タイプおよびB-タイプのセグメントは本質的には化学式-O-R9の繰り
返しユニットから作られるものであり、そのR9は: (1) -(CH2)n-CH(R6)であって、そのnは0から約5の整数であり、R6は水素、3-8
個の炭素原子を有するシクロアルキル、1-6個の炭素原子を有するアルキル、フ
ェニル、アルキルフェニルでそのアルキルが1-6個の炭素原子を有するもの、ヒ
ドロキシ、ヒドロキシアルキルでそのアルキルは1-6個の炭素原子を有するもの
、1-6個の炭素原子を有するアルコキシ、2-7個の炭素原子を有するアルキルカル
ボニル基、アルコキシカルボニルでそのアルコキシは1-6個の炭素原子を有する
もの、アルコキシカルボニルアルキルでそのアルコキシおよびアルキルはそれぞ
れ独立に1-6個の炭素原子を有するもの、アルキルカルボキシアルキルで各アル
キル基が1-6個の炭素原子を有するもの、アミノアルキルでそのアルキル基が1-6
個の炭素原子を有するもの、アルキルアミノもしくはジアルキルアミノでその各
アルキル基が独立に1-6個の炭素原子を有するもの、モノもしくはジアルキルア
ミノアルキルでその各アルキルが独立に1-6個の炭素原子を有するもの、クロロ
、クロロアルキルでそのアルキルが1-6個の炭素原子を有するもの、フルオロ、
フルオロアルキルでそのアルキルが1-6個の炭素原子を有するもの、シアノ、も
しくはシアノアルキルでそのアルキルが1-6個の炭素原子もしくはカルボキシル
を有するもの;(2) 3-8個の環状炭素原子を有する炭素環基でその基は例えばシ
クロアルキルもしくは芳香基であるものであって、それらとして1-6個の炭素原
子を有するアルキル、1-6個の炭素原子を有するアルコキシ、1-6個の炭素原子を
有するアルキルアミノ、ジアルキルアミノであって各アルキルが独立に1-6個の
炭素原子を有するもの、アミノ、スルホニル、ヒドロキシ、カルボキシ、フルオ
ロ、もしくはクロロに置換したものを含みうるもの、または(3)複素環基で3-8個
の環状炭素原子を有し、それはヘテロシクロアルキルもしくはヘテロ芳香基を含
み、酸素、窒素、イオウ、およびそれらの混合物からなる群から選択されたヘテ
ロ原子を1-4個含み、1-6個の炭素原子を有するアルキル、1-6個の炭素原子を有
するアルコキシ、1-6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、ジアルキルアミノ
であって各アルキルが独立に1-6個の炭素原子を有するもの、アミノ、スルホニ
ル、ヒドロキシ、カルボキシ、フルオロ、もしくはクロロに置換したものを含む
【0091】 nは1ないし3個の整数であることが好ましい。R5からなる炭素環もしくは複素
環基は、4-7個の環状原子を有することが好ましく、5-6個がより好ましい。複素
環には1-2個のヘテロ原子が含まれることが好ましく、1個のヘテロ原子が含まれ
ることがより好ましい。複素環は炭水化物もしくは炭水化物類似体であることが
好ましい。当業者であればこれらのポリマーを作るために必要なモノマーが合成
により入手しうることがわかるであろう。いくつかの場合では、モノマーの重合
には、当業者であれば理解しうることであるが、適切な保護基が必要となる。一
般的には、A-タイプおよびB-タイプのセグメントは少なくとも約80%が-OR5-繰り
返しユニットからなっており、より好ましくは少なくとも約90%、さらに好まし
くは少なくとも約95%である。
【0092】 別の態様においては、本発明は化学式(I)-(XIII)のうちの1つのブロックコポ
リマーを含むポリヌクレオチド複合体に関するものであり、その化学式ではA-タ
イプおよびB-タイプのセグメントは本質的には化学式-O-R5の繰り返しユニット
からなり、そこではR5はC2からC8の アルキル基である。
【0093】 本組成物の核酸成分としては広範囲の核酸分子を用いることができる。それら
としては天然および合成のDNAもしくはRNA分子および共有結合によって修飾(親
油性基、光誘発架橋基、アルキル化基、有機金属基、挿入基、親油基、ビオチン
、蛍光および放射性基、およびリン酸骨格を修飾する基を取り込むために)され
た核酸分子が挙げられる。そのような核酸分子としては、とりわけ、アンチセン
ス核酸分子、遺伝子をコードするDNA(通常は適当なプロモーター配列を含んでい
る)、リボザイム、アプタマー、抗原核酸、オリゴヌクレオチド -アノマー、エ
チルホスホトリエステル類似体、アルキルホスホメイト、ホスホロチオネイト、
およびホスホロジチオネイトオリゴヌクレオチド等を用いうる。事実、核酸成分
は、細胞内に高効率で輸送されて有益な作用をあらわす、もしくは分解過程に対
して安定化される、もしくは動物に投与した後の生物体内での分布を向上させる
ようないかなる核酸であってもよい。
【0094】 化学式(V)-(VIII)で示される有用なポリマーの例としては、次の化学式に示す
ポリ(オキシエチレン)-ポリ-L-リジン)ジブロックコポリマーがある:
【0095】
【化24】
【0096】 上記の化学式でiは約5ないし約100の整数で、jは約4ないし約100の整数である
。第2の例としては次の化学式のポリ(オキシエチレン)-ポリ-(L-アラニン-L-リ
ジン) ジブロックコポリマーがある:
【0097】
【化25】
【0098】 上記の化学式でiは約5ないし約100の整数で、jは約4ないし約100の整数であ
る。第3の例としては次の化学式のポリ(オキシエチレン)-ポリ(プロピレンイミ
ン/ブチレンイミン)ジブロックコポリマーがある:
【0099】
【化26】
【0100】 上記の化学式でiは約5ないし約200の整数で、jは約1ないし約10の整数である
。第4の例としては次の化学式のポリ(オキシエチレン)-ポリ(N-エチル-4-ビニル
ピリジニウムブロマイド)("pOE-pEVP-Br")がある:
【0101】
【化27】
【0102】 上記の化学式でiは約5ないし約100の整数で、jは約10ないし約500の整数であ
る。また別の例としては次の化学式のポリマーがある:
【0103】
【化28】
【0104】 上記の化学式でiは約10ないし約200の整数で、jは約1ないし約8の整数で、kは
約10ないし約200の整数である。また別の例としては次の化学式のポリマーがあ
る:
【0105】
【化29】
【0106】 上記の化学式で「G」は-(NH(CH2)3)3-CH2NH2-からなり、iおよびjは化学式(XVII
I)で定義したとおりであり、mは約1ないし約8の整数である。
【0107】 本発明で用いられるブロックコポリマーは典型的には、ある環境のもとでは、
直径約10nmないし約100nmのミセルもしくはミセル様凝集物を形成する。ミセル
は水性溶液中で両親媒性物質の非極性部分の微小相の分離によって形成される、
ある特定の両親媒性分子の超分子複合体である。ミセルは両親媒性物質の濃度が
、ある定められた温度において、その両親媒性物質に特徴的な臨界ミセル形成濃
度("CMC")に達したときに形成される。そのようなミセルには通常約10ないし約3
00個のブロックコポリマーが含まれている。ブロックコポリマーの親水性および
疎水性部分の大きさを変えることにより、生理学的条件でミセルを形成するコポ
リマーの傾向は変わりうる。ミセルは、Bブロックの水に不溶性の繰り返しユニ
ットおよび電荷を中和させた核酸から形成される密度の高いコア部分と、Aセグ
メントによって形成される親水性の殻とを有する。ミセルは溶液中で並進および
回転の自由度を有し、ミセルを含有する溶液は水と同様に粘度が低い。ミセル形
成は典型的には約0.001から5%(W/V)のコポリマーの濃度で起こる。一般的には、
ポリカチオンポリマーおよびポリ核酸の濃度はポリヌクレオチド組成物中のコポ
リマー濃度より低く、好ましくは少なくとも10分の1低く、より好ましくは少な
くとも50分の1低い。
【0108】 本発明で用いられるブロックコポリマーのうちのいくつかは、高濃度ではゲル
を形成する。これらのゲルは、コポリマー分子の並進および回転の自由度が、コ
ポリマー分子間の相互作用の連続的ネットワークによって顕著に制限されている
ような粘性の高い系である。ゲルでは、Bセグメント繰り返しユニットの微小分
別(segregation)は起こっている可能性もそうでない可能性もある。ゲル形成を
避けるために、ポリマーの濃度(ブロックコポリマーおよびポリエーテル/ポリカ
チオンポリマーの双方について)は好ましくは約15%(W/V)未満であり、より好ま
しくは約10%未満、さらに好ましくは約5%未満である。本発明の第1の実施形態に
おいてはゲル形成を避けることがより好ましい。
【0109】 ポリヌクレオチド組成物が陽イオン成分を含む場合には、陽イオンはポリヌク
レオチドのリン酸基と会合し、リン酸基の電荷が中和されることによりポリヌク
レオチド成分がより疎水性となる。その中和は好ましくはR-タイプのポリマーセ
グメントもしくはポリカチオン性ポリマー上の陽イオンによって行われる。しか
し、リン酸の電荷は化学修飾もしくはN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ-N,N'-3-メチ
ルアンモニウムクロリド]などの疎水性陽イオンとの会合によっても中和しうる
。水溶液中では電荷が中和されたポリヌクレオチドは超分子のミセル様粒子の形
成に関与すると考えられており、「ポリヌクレオチド複合体」と名付けられてい
る。その複合体の疎水性のコアは電荷が中和されたポリヌクレオチドおよびB-タ
イプセグメントからなっている。親水性の殻はA-タイプのセグメントからなって
いる。その複合体の大きさは通常は直径約10nmないし約100nmの間で変動する。
いくつかのコンテクストでは、その複合体を取り込まれなかった成分から単離す
ることが実際的である。このことは、例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーで行
うことができる。
【0110】 ポリヌクレオチド組成物の成分比は、組成物中のポリヌクレオチドの効果的な
膜透過性を最適化するための重要な要素である。この比は比率φとして示すこと
ができ、それは生理学的pHでのその組成物中の陽性荷電の基と陰性荷電の基との
比である。φが1未満の場合は、その複合体のポリヌクレオチドに中和されてい
ないリン酸塩が含まれている。中和されていない電荷の近傍のポリヌクレオチド
部分はポリヌクレオチド複合体の殻の一部と考えられる。これに対して、φが1
を超える場合にはポリカチオン性ポリマーもしくはR-タイプセグメントは中和さ
れていない電荷を有し、中和されない部分はその複合体の殻の一部分を形成する
ように折りたたまれる。通常はφは約0(陽イオン性の基がない場合)から約100ま
での値を取るが、好ましくはφは約0.01から約50の間の範囲であり、より好まし
くは、約0.1から約20の間である。φの値は、膜を通過する輸送の効率を増大さ
せるため、およびその組成物がポリヌクレオチド複合体を含む場合にはその複合
体の安定性を増大させるために変えることができる。φの値の変動はまた、その
複合体の動物への投与後の生物体内分布に影響を及ぼす。最適なφは、とりわけ
、(1)そのポリヌクレオチド組成物が用いられるコンテクスト、(2)用いられる特
定のポリマーおよびオリゴヌクレオチド、(3)標的となる細胞もしくは組織、な
らびに(4)投与方法によって異なる。
【0111】 本発明のポリヌクレオチド組成物中に、ターゲティング分子を、非共有結合性
の会合もしくは共有結合性のコンジュゲーションによって取り込むことは、場合
によっては望ましい。例えば、Kabanovら, J. Controlled Release, 22:141(199
2)、(この論文内容は本明細書中に参照によって取り込む)を参照せよ。「ターゲ
ティング分子」という用語は、結合、輸送、蓄積、滞留時間、バイオアベイラビ
リティーを増強させるかもしくは本発明のポリヌクレオチドあるいはポリヌクレ
オチド組成物の体内もしくは細胞内での生物学的活性を修飾するような分子、原
子もしくはイオンのいかなるものも意味する。ターゲティング分子は、抗体、抗
体のフラグメント、もしくはキメラ抗体分子を含むことがしばしばあり、典型的
には特定の細胞表面抗原に対して特異性を有する。ターゲティング分子としては
、例えば、細胞表面の受容体と特異的に相互作用するホルモン、もしくは細胞表
面の受容体を有する薬剤も用いうる。例えば、糖脂質は多糖受容体を標的として
作用する。また、ターゲティング分子は、例えば酵素、レクチン、および多糖な
どであってもよい。葉酸およびその誘導体などの低分子量リガンドも、本発明の
コンテクストにおいて有用である。また、ターゲティング分子としては、ポリヌ
クレオチド、ポリペプチド、ペプチド様物質、多糖を含む炭水化物、それらの誘
導体もしくはその他の化学物質で化学的および生物学的組み合わせの手法で得ら
れたものであってもよい。ターゲティング分子は、細胞内部の部位特異的な輸送
(とりわけエンドソームのコンパートメントから出て細胞質へ、もしくは核への
輸送)を行うような例えばSoukchareunら, Bioconjugate Chem., 6, 43(1995)、
もしくはArarら, Bioconjugate Chem., 6, 43(1995)によって述べられているフ
ゾジェニック(fusogenic)ペプチド、核型ペプチド、もしくはその他の生物特異
的な基を用いることによって、本発明のポリヌクレオチド組成物の細胞内輸送、
例えば核への輸送を容易にするために用いることができる。
【0112】 ポリヌクレオチド、本発明のブロックコポリマー、および適当なターゲティン
グ分子を含む組成物は本発明の範囲に含まれる。ターゲティング分子は、陽イオ
ン性および非イオン性ポリマーセグメントを含む本明細書中に示したブロックコ
ポリマーのポリマーセグメント(もしくはそれらのポリヌクレオチド複合体)のい
かなるものとも共有結合で結合しうるものである。例えば、ターゲティング分子
は、非イオン性セグメントの自由末端もしくはペンダント(pendant)基と結合し
うる。そのようなターゲティング分子は、ポリマーセグメントの末端もしくはペ
ンダント(pendant) -OH末端基、およびポリマーセグメントの末端もしくはペン
ダント(pendant) -NH2基、またはポリマーセグメン末端またはペンダント(penda
nt) -COOH末端基、または類似のものと結合することができる。
【0113】 いくつかの場合においてはターゲティング分子をリガンド-受容体構築物を通
して取り込むことが望ましく、そこでは: (i)リガンド分子は、受容体分子と特異的に結合することのできる化学物質(例
えば分子、原子、もしくはイオン)であり;(ii)受容体分子は、リガンド分子と
特異的に結合することのできる化学物質であり;または (iii)リガンド分子、受
容体分子(もしくはその双方)はブロックコポリマー(もしくはそのポリヌクレオ
チド複合体)、ターゲティング分子、もしくはその双方の中に取り込まれている
。このことは非共有結合性の会合か、もしくは共有結合でのコンジュゲーション
によって、(i)ターゲティング分子およびブロックコポリマー(もしくはそのポリ
ヌクレオチド複合体)を、それに付着させようとするリガンドおよび受容体分子
と混合し、または(ii)フリーのリガンドもしくは受容体のいずれか(もしくはそ
の双方)をターゲティング分子およびブロックコポリマー(もしくはそのポリヌク
レオチド複合体)の混合物中に添加することによって、そのターゲティング分子
がリガンド-受容体結合を通してブロックコポリマー(もしくはそのポリヌクレオ
チド複合体)に付着するようになる。そのような構築物の例としてはビオチンを
リガンドとしアビジンもしくはストレプトアビジンを受容体として用いた構築物
が含まれる。例えばビオチンもしくはその誘導体は共有結合で本発明のブロック
コポリマー(もしくはそのポリヌクレオチド複合体)と結合することができ、アビ
ジン(もしくはストレプトアビジン)は共有結合でターゲティング分子と結合する
ことができる。また別に、ビオチンはブロックコポリマー(もしくはそのポリヌ
クレオチド複合体)およびターゲティング分子の双方と結合することができ、後
者はアビジンを通して結合させることができ、そのアビジンは4個のビオチン結
合中心を有する。さらに、本発明のポリヌクレオチド組成物中にターゲティング
分子を取り込むために、ビオチンおよびアビジンを含む別の複合体構築物を用い
ることができる。ある特定の実施形態においては、本発明は、少なくとも1個の
ポリカチオン性もしくは非イオン性ポリマーセグメントもしくはポリカチオン性
および非イオン性のポリマーセグメントの双方に結合させたビオチン分子もしく
はその誘導体を有するブロックコポリマー(もしくはそのポリヌクレオチド複合
体)を提供する。当業者であれば、本明細書中で行った議論から、本発明の実施
を例えばビオチン-アビジンもしくはビオチン-ストレプトアビジン構築物または
類似の構築物に限定した場合にも、本発明に沿って望ましい特性を有するリガン
ド-受容体構築物をデザインするために用いることのできる方法が多数あること
が理解されるであろう。そのような構築物は、例えば、ポリヌクレオチド、ポリ
ペプチド、ペプチド様物質、多糖を含む炭水化物、それらの誘導体、もしくは化
学的、生物学的手法の組み合わせによって得られたその他の化学物質であるリガ
ンドおよび/または受容体を含みうる。
【0114】 また、本発明のポリヌクレオチド組成物と会合しうるターゲティング分子は細
胞の部位および疎水性基との親和性を持つターゲティング基をも有しうる。その
ようなターゲティング分子によって体内での部位特異的な輸送および認識が提供
される。ターゲティング分子は自発的にポリヌクレオチド複合体と会合し、疎水
性基を通して「固定(anchored)」される。これらのターゲティング付加物は典型的
には最終組成のポリマー中約1%以下からなる。ターゲティング分子中では疎水性
基は、とりわけ、脂肪アシル(fatty acyl)基などの脂質基とすることができる。
また別に、疎水性基はイオン性もしくは非イオン性のホモポリマー、コポリマー
、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、デンドリマー(dendrimer)、また
は別の天然もしくは合成のポリマーとすることができる。
【0115】 ターゲティング分子中では疎水性基は、とりわけ、脂肪族アシル基などの脂質
基とすることができる。また別にそれはブロックコポリマーもしくは別の天然合
成ポリマーとすることができる。ターゲティング分子のターゲティング基はしば
しば抗体、典型的には特定の細胞表面抗原に対して特異性を有する抗体からなる
。また、それは例えば細胞表面の受容体と特異的な相互作用を行うホルモン、も
しくは細胞表面受容体を有する薬剤であってもよい。例えば糖脂質は多糖受容体
を標的として働きうる。ターゲティング分子が、ここで示したR-タイプのポリマ
ーセグメントを含むポリマーセグメントのいかなるもの、およびポリカチオン性
ポリマーに付着しうることは特記すべきである。例えば、ターゲティング分子は
、本発明のブロックコポリマーのポリエーテルセグメントの自由末端基に共有結
合で付着しうる。そのようなターゲティング分子は、化学式XVIII、XIX、XX、お
よびXXIのポリマーの-OH末端基、ならびに化学式XVIII(好ましくは末端リジン残
基の -アミノ基)、XX、もしくはXXIIIのポリマーの-NH2末端基、または化学式X
VIIIおよびXIXのポリマーの-COOH末端基に共有結合で付着しうる。ターゲティン
グ分子は、例えばSoukchareunら, Bioconjugate Chem., 6, 43, 1995もしくはAr
arら, Bioconjugate Chem., 6, 43, 1995によって述べられているターゲティン
グ分子としてのフゾジェニック(fusogenic)ペプチド、核型ペプチド、もしくは
細胞中への部位指向性輸送を提供するその他の生物特異的な基を用いて、ポリヌ
クレオチド組成物の細胞内への輸送、例えば核への輸送を容易にするために用い
ることができる(特に、核内体のコンパートメントから出て細胞質中へ、もしく
は核への送達)。
【0116】 本発明の組成物のポリヌクレオチド成分はいかなるポリヌクレオチドであって
もよいが、好ましくは少なくとも3個の、より好ましくは少なくとも5個の塩基を
有するポリヌクレオチドである。さらに好ましいのは少なくとも10個の塩基を有
することである。適当なポリヌクレオチドとしては、ウイルスゲノムおよびウイ
ルス(ウイルスの殻の脂質もしくはタンパク質を含む)が含まれる。これには、レ
トロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスを
含むがそれらに限定されないウイルスベクターが含まれる。本発明で用いうるそ
の他の適当なウイルスベクターについては当業者であれば明らかであろう。"ポ
リ(核酸)"および"ポリヌクレオチド"という用語はここでは相互に交換可能なも
のとして用いられている。オリゴヌクレオチドはDNAおよびRNAがそうであるのと
同様、ポリヌクレオチドである。
【0117】 ポリヌクレオチド誘導体とは、1つ以上の部分(moiety)を有し、その部分が、(
i)開裂、不活化、もしくはそうでなければ形質転換されたものでその結果として
生じる物質がポリヌクレオチドとして機能しうるようなものであるか、または(i
i)その部分が、その誘導体がポリヌクレオチドとして機能することを妨害しない
ものである。
【0118】 ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイドコポリマーについては、
ブロックコポリマーの親水性/疎水性、およびミセル形成性は、ある程度までは
比率nの値と関連している。比率nは次のように定義される:
【0119】
【式1】 n=(|B|/|A|) x (b/a)=(|B|/|A|) x 1.32
【0120】 上記の数式で|A|および|B|はそれぞれ、コポリマーの疎水性および親水性
セグメント中の繰り返しユニットの数であり、bおよびaはそれぞれの繰り返しユ
ニットの分子量である。nの値は典型的には約0.2と約9.0の間であり、より好ま
しくは約0.2と約1.5の間である。ブロックコポリマーの混合物が用いられる場合
には、nは、成分ポリマーの重量部に基づいた平均を有する、寄与する各コポリ
マーについてのnの加重平均である。ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオ
キサイドコポリマー以外のコポリマーが用いられる場合には、そのクラスのポリ
マーの1つのメンバーの疎水性/親水性の性質と、そのクラスの別のメンバーの性
質とを関連づけるための同様なアプローチを開発しうる。
【0121】界面活性剤を含有するポリヌクレオチド組成物 本発明はポリヌクレオチド、陽イオン性コポリマー、および適当な界面活性剤
からなる組成物をも含む。その界面活性剤は、(i)陽イオン性(各種のトランスフ
ェクションカクテルにおいて用いられるものを含む)、(ii)非イオン性(例えばプ
ルロニックもしくはテトロニック)、または(iii)両性イオン性(ベタインおよび
リン脂質を含む)とすべきである。これらの界面活性剤は複合体の溶解性を増大
させ、その組成物の生物学的活性を増大させる。
【0122】 陽イオン性界面活性剤としては第1アミン、第2級アミン、第3級アミン(例えば
N,N',N'-ポリオキシエチレン(10)-N-tallow-1,3-ジアミノプロパン)、第4級アミ
ン塩(例えば臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化ヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウム、混合臭化アルキル-トリメチルアンモニウム、臭化テトラデシ
ルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化
ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルヘキサデシルア
ンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウムメトキシド、臭化セチルジメチル
エチルアンモニウム、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化メチルベ
ンゼトニウム、塩化デカメトニウム、メチル混合塩化トリアルキルアンモニウム
、塩化メチルトリオクチルアンモニウムなど)、塩化N,N-ジメチル-N-[2-(2-メチ
ル-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノキシ]-エトキシ)エチル]-ベンゼン
メタナミニウム(DEBDA)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化N-[1-(2,3-
ジオレイロキシ)-プロピル]-N,N,N,-トリメチルアンモニウム、1,2-ジアシル-3-
(トリメチルアンモニオ)プロパン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル
、ジステアロイル、ジオレオイル)、1,2-ジアシル-3-(ジメチルアンモニオ)プロ
パン(アシル基=ジミリストイル、ジパルミトイル、ジステアロイル、ジオレオ
イル)、1,2-ジオレオイル-3-(4'-トリメチル-アンモニオ)ブタノイル-sn-グリ
セロール、1,2-ジオレオイル-3-スクシニル-sn-グリセロールコリンエステル、
コレステリル(4'-トリメチルアンモニオ)ブタノエイト、N-アルキルピリジニウ
ム塩(例えば臭化セチルピリジニウムおよび塩化セチルピリジニウム)、N-アルキ
ルピペリジニウム塩、2価陽イオン性ボーラ型(dicationic bolaform) 電解質(C1 2 Me6;C12Bu6)、ジアルキルグリセチルホスホリルコリン、リゾレシチン、L-α
ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、コレステロールヘミスクシネー
トコリンエステル、リポポリアミン(例えばジオクタデシルアミドグリシルスペ
ルミン(DOGS)、ジパルミトイルホスファチジルエタノール-アミドスペルミン(DP
PES)、リポポリ-L(もしくはD)-リジン(LPLL, LPDL)、ポリ(L(もしくはD)-リジン
をコンジュゲートさせたN-グルタリルホスファチジルエタノールアミン、ペンダ
ント(pendant)アミノ基を有するジドデシルグルタミン酸エステル(C12GluPhC
N)、ペンダント(pendant)アミノ基を有するジテトラデシルグルタミン酸エ
ステル(C14GluCN)、コレステロールの陽イオン性誘導体(例えばコレステ
リル-3β-オキシスクシナミドエチレントリメチルアンモニウム塩、コレステリ
ル-3β-オキシスクシナミドエチレンジメチルアミン、コレステリル-3β-カルボ
キシアミドエチレントリメチルアンモニウム塩、コレステリル-3β-カルボキシ
アミドエチレンジメチルアミン、3β[N-(N',N'-ジメチルアミノエタン-カルボモ
イル]コレステロール)が挙げられるがそれらに限定されない。
【0123】 非イオン性界面活性剤としては、n-アルキルフェニルポリオキシエチレンエー
テル、n-アルキルポリオキシエチレンエーテル(例えばTritonTM)、ソルビタン
エステル(例えばSpanTM)、ポリグリコールエーテル界面活性剤(TergitolTM)
、ポリオキシエチレンソルビタン(例えばTweenTM)、ポリソルベート、ポリオ
キシエチル化グリコールモノエーテル(例えばBrijTM、ポリオキシエチレン 9
ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン 10 エーテル、ポリオキシエチレン 10
トリデシルエーテル)、ルブロール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイ
ドのコポリマー(例えばPluronicTM、Pluronic RTM、TetronicTM、Plurado
tTM)、アルキルアリルポリエーテルアルコール(TyloxapolTM)、パーフルオ
ロアルキルポリオキシル化アミド、N,N-ビス[3-D-グルコナミドプロピル]コラミ
ド、デカノイル-N-メチルグルカミド、n-デシル α-D-グルコピラノジド、n-デ
シルβ-D-グルコピラノジド、n-デシル β-D-マルトピラノジド、n-ドデシル β
-D-グルコピラノジド、n-ウンデシル β-D-グルコピラノジド、n-ヘプチル β-D
-グルコピラノジド、n-ヘプチル β-D-チオグルコピラノジド、n-ヘキシル β-D
-グルコピラノジド、n-ノナノイル β-D-グルコピラノジド 1-モノオレイル-ra
c-グリセロール、ノナノイル-N-メチルグルカミド、n-ドデシル α-D-マルトシ
ド、n-ドデシル β-D-マルトシド、N,N-ビス[3-グルコナミドプロピル]デオキシ
コラミド、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジギトニン、ヘプタノ
イル-N-メチル-グルカミド、オクタノイル-N-メチルグルカミド、n-オクチル β
-D-グルコピラノジド、n-オクチル α-D-グルコピラノジド、n-オクチル β-D-
チオガラクトピラノジド、n-オクチル β-D-チオグルコピラノジドが挙げられる
がそれらに限定されない。
【0124】 両イオン性界面活性剤としては、ベタイン(RRRN R'CO , RRR
R'は炭化水素鎖でRは最長である)、スルホベタイン(RRRNR'SO )
、リン脂質(例えばジアルキルホスファチジルコリン)、3-[(3-コラミドプロピル
)-ジメチルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸塩、3-[(3-コラミ
ドプロピル)-ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸塩、N-デシル-N,N-ジ
メチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸塩、N-ドデシル-N,N-ジメチル-3-ア
ンモニオ-1-プロパンスルホン酸塩、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニ
オ-1-プロパンスルホン酸塩、N-オクタデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プ
ロパンスルホン酸塩、N-オクチル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスル
ホン酸塩、N-テトラデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホン酸
塩、およびジアルキルホスファチジルエタノールアミンが挙げられるがそれらに
限定されない。
【0125】 本発明のポリヌクレオチド組成物は、経口、局所、直腸内、膣内、エアロゾル
を用いて肺へ、または非経口的に例えば筋肉内、皮下、腹腔内もしくは静脈内に
投与することができる。そのポリヌクレオチド組成物は単独で、または標準的な
製薬方法に従って製薬上許容される担体もしくは添加剤と組み合わせて投与する
ことができる。経口投与するためには、ポリヌクレオチド組成物を、錠剤、カプ
セル剤、ロゼンジ、トローチ、粉末剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶性溶液
および懸濁液、ならびに類似のものの形で用いることができる。錠剤の場合には
用いうる担体としては、乳糖、クエン酸ナトリウムおよびリン酸塩が挙げられる
。デンプンなどの各種の崩壊補助剤、およびステアリン酸マグネシウム、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの滑沢剤が通常錠剤中に用いられる。カプ
セル剤型での経口投与のための希釈剤として有用なものは乳糖及び高分子量ポリ
エチレングリコールである。経口使用のために水性懸濁液が必要とされる場合に
はポリヌクレオチド組成物は乳化剤および懸濁剤と配合することができる。所望
により、甘味剤および/または着香料を添加することができる。非経口的投与で
は、通常はコンジュゲートの無菌溶液が調製され、溶液のpHは適切な値に調節さ
れ緩衝作用を付される。静注用には、溶液の総濃度をその製剤が等張となるよう
に調節しなければならない。眼への投与には軟膏もしくは滴下可能な液体を、ア
プリケーターもしくは点眼容器などの当業界では既知の眼科用投与システムによ
って投与することができる。そのような組成物とは、ヒアルロン酸、コンドロイ
チン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、もしくはポリ(ビニルアルコ
ール)などの粘液様物質、ソルビン酸、EDTA、もしくは塩化ベンジルクロニウム
などの保存剤、および通常量の溶剤および/または担体を含有させることができ
る。肺への投与には、溶剤および/または担体はエアロゾル形成の可能な適切な
もののうちから選択される。
【0126】 下記の実施例は本発明の本質をさらに典型的に示そうとするものであって、本
発明の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本発明の範囲は添付されてい
る請求事項によってのみ定義される。
【0127】
【実施例】 実施例1 トランスフェクション効率 - 第1の実施形態の複合体 本実験はプラスミドpβ-Galを、マウス乳腺腫瘍細胞系NIH 3T3細胞中に導入し
ようとするものである。プラスミドpβ-GalはプラスミドpUC19(Institute of Ge
ne Biology, Russian Academy of Sciencesより入手可能)中に真核細胞転写ユニ
ットおよび大腸菌(E.coli)β-ガラクトシダーゼのハイブリッドを組み込んだも
のからなる。このプラスミドを用いて、細胞の取り込み効率の測定は、処理され
た細胞から抽出可能なβ-ガラクトシダーゼ活性を測定することによって行うこ
とができる。用いたコポリマーは化学式(XIV)のトリブロックコポリマーでその
式のx+zは51で、yは39であった(以後“プルロニックA"と呼ぶ)。用いたポリカチ
オンはポリ(N-エチル-4-ビニルピリジニウムブロミド)("pEVP-Br")である。pβ-
Gal(スーパーコイルが多くを占めるもの)の10μg/ml溶液は、10mg/mlのプルロニ
ック A および45μg/mlのpEVP-Brを含有するPBS溶液で調製した。これらの量は
ポリカチオンの塩基性基とプラスミドのリン酸基の比が約10となるように計算し
た。プルロニック A のDNAに対する比は約104である。このストック液を除菌ろ
過し、一部を無血清のダルベッコの修飾イーグル培地Dulbecco's Modified Eagl
e's Medium("DMEM")で10倍希釈し、pβ-Gal濃度が1μg/mlとなるようにした。こ
の溶液は“プルロニック A トランスフェクション培地“とした。
【0128】 NIH 3T3細胞は37℃、5%COの雰囲気下で、2mMグルタミンおよび10%ウシ胎児
血清("FCS")を含有するDMEM培地を用いて単層培養で増殖させた。単層培養で増
殖させた細胞を掻き取り、新鮮な培地で3回洗うことによりトランスフェクショ
ンプロセス用に調製した。
【0129】 本発明の方法で形質転換を行うための、洗浄した細胞のアリコートを、プルロ
ニック A トランスフェクション培地中に106個/mlの細胞濃度となるように懸濁
した。懸濁した細胞を37℃で2時間、5%CO雰囲気下でインキュベートした。細
胞を新鮮な培地で洗い、再度プレーティングした。
【0130】 リン酸カルシウム沈殿でトランスフェクトするための細胞のアリコートを取り
、米国ウイスコンシン州MadisonのPromega社がその説明書Profection Mammalian
Transfection Systems, Technical Manual, 1990で推奨しているやり方でトラ
ンスフェクトした。特定して述べれば、pβ-Galを0.25M CaCl2と混合した。その
混合物を同量の2x HBS(Hanks Buffer Salt, GIBCO, Grand Island, 米国ニュー
ヨーク州から入手可能)と混合してpβ-Galを1μg/ml含有する混合物を調製した
。この不透明な混合物を室温で10分間インキュベートし、細胞にアプライした。
懸濁した細胞を37℃で2時間、5%CO雰囲気下でインキュベートした。次いで細
胞を新鮮な培地で洗い、再度プレーティングした。
【0131】 細胞は、再度10%FCS含有のDMEM培地中で48時間インキュベートした。このイン
キュベーションの途中で培地は16時間目に新鮮な培地と置き換えた。48時間のイ
ンキュベーション終了後、各インキュベーションで得た細胞を掻き取ることによ
って集め、PBSで洗い、100μlの0.2M Tris-HCl(pH 7.4)中に再懸濁した。細胞を
数回の凍結/融解を行って溶解し、6,000 x/gを超える速度で遠心した。各溶解物
の管から上清50μlを取り、0.1 mM 4-メチル-ウンベリフェリル-β-D-ガラクト
シダーゼ(基質)、0.1 M リン酸ナトリウム(pH 7.4)の溶液50μlと混合した。各
混合液を37℃で20分インキュベートして、含まれているβ-ガラクトシダーゼが
全て基質と反応するようにさせた。50μlの0.4 M グリシンpH10.5を添加してβ-
ガラクトシダーゼ反応を停止させた。β-ガラクトシダーゼ活性はメチルベリフ
ェロンの存在で示し、それは蛍光分光分析で測定することができる(λex=365nm
, λ=450nm)。結果は下記のとおりであった:
【0132】
【表1】 処理 酵素の相対活性±SEM(n=4) プルロニック A 320±42 リン酸カルシウム沈殿 17±5
【0133】 実施例2 トランスフェクション効率-第1の実施形態の複合体 これらの実験においては、MDCK細胞(イヌ腎臓由来)でのトランスフェクション
の効率を調べた。ここでもpβ-Galをインディケーターのポリペプチドとした。
ポリヌクレオチドのポリカチオン成分はN-エチル-4-ビニルピリジニウムブロマ
イドとN-セチル-4-ビニルピリジニウムブロミドのコポリマーで、モノマーがモ
ル比でそれぞれ97:3で取り込まれているものからなっている(以後"pEVP-co-pCVP
-Br"と呼ぶ)。ブロックコポリマーは化学式(XIV)のトリブロックコポリマーから
なっており、そこではx+zは18でyは23であった(以後"プルロニック B"と呼ぶ)。
1 μg/mlのpβ-Gal、3 μg/mlのPEVPco-PCVP-Br、および1%(w/v)プルロニック B
からなるプルロニック Bトランスフェクション溶液を実施例1と同様に調製した
。ポリカチオン塩基性基とヌクレオチドリン酸との比は約7であった。プルロニ
ック Bとpβ-Galとの重量比は約5 x 103であった。
【0134】 MDCK細胞を90mmのプレート上に1プレートあたり8-105個となるようにプレーテ
ィングし、血清含有増殖培地で一晩インキュベートした。血清含有培地を無血清
培地と置き換え、細胞を5%CO雰囲気下で37℃で24時間インキュベートした。ポ
リヌクレオチド複合体で処理される細胞については、培地を5mlのプルロニック
Bトランスフェクション溶液で置き換えた。細胞を5%CO雰囲気下で穏和に揺り
動かしつつ37℃でインキュベートした。対照の実験では、細胞をポリヌクレオチ
ド複合体でトランスフェクトさせ、次いで培地を5mlのプルロニック Bトランス
フェクション溶液に置き換えた。細胞を5%CO雰囲気下で穏和に揺り動かしつつ
37℃で2時間インキュベートした。対照実験では細胞は上述の方法に従って(この
実験では懸濁した細胞ではなくプレートした細胞をトランスフェクトしたことを
除いて)、リン酸カルシウム法でトランスフェクトした。
【0135】 プルロニック Bトランスフェクション溶液、もしくはリン酸カルシウムで処理
した後、細胞を新鮮な培地で5-6回洗った。次いで細胞を、10%FCS含有のDMEM中
で、5%CO雰囲気下で37℃で48時間インキュベートした。このインキュベーショ
ンの最初の16時間が経過した後に培地を置き換えた。インキュベーション後、細
胞をPBSで洗い、トリプシンを用いてプレートから遊離させ、再度PBSで洗い、β
-ガラクトシダーゼを実施例1に記載した方法で測定した。結果は下記のとおりで
あった:
【0136】
【表2】 処理 β-ガラクトシダーゼの相対活性±SEM(n=4) プルロニック B 910±45 リン酸カルシウム沈殿 81±17
【0137】 実施例3 トランスフェクション実験-第1の実施形態の複合体 これらの実験ではチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を用いてトランスフ
ェクションの効率を調べた。ポリヌクレオチド複合体のポリヌクレオチド成分は
pβ-Galとした。ポリカチオン成分はpEVPBrからなる。ブロックコポリマーは化
学式(XVII)のオクタブロックコポリマーからなり、その式でiは10に等しく、jは
12に等しい(以後"プルロニック C"はBASFから入手可能である)。 1 μg/mlのpβ
-Gal、4 μg/mlのpEVP-Br、および1%(w/v)プルロニック Cからなるプルロニック
Cトランスフェクション溶液を実施例1と同様に調製した。塩基性基とヌクレオ
チドリン酸との比は10であった。プルロニック Cとpβ-Galとの重量比は103であ
った。トランスフェクションのプロトコールは実施例2で用いたものと同様とし
た。結果は下記のとおりであった。
【0138】
【表3】 処理 β-ガラクトシダーゼの相対活性±SEM(n=4) プルロニック B 910±45 リン酸カルシウム沈殿 81±17
【0139】 実施例4 細菌の形質転換-第2の実施形態の複合体 これらの実験では枯草菌(Bucillus Subtilis)のMC5株を用いて形質転換効率を
調べた。ポリヌクレオチド複合体のポリヌクレオチド成分はプラスミドpBC16で
、これはテトラサイクリン耐性をコードするプラスミドである。化学式(VI)に示
すブロックコポリマーを用いた。このブロックコポリマーは化学式(XXI)のポリ(
オキシエチレン)-ポリ(N-エチル-4-ビニルピリジウムブロミド)であり、その式
でiは44、jは20である。第2の実施形態のポリヌクレオチド複合体のストック溶
液は上述のトランスフェクション溶液と同じやり方で調製した。コポリマー塩基
性基とDNAリン酸の溶液中での比は0.2であった。細菌を形質転換用培地(Spizize
n, F.N.A.S., U.S.A. 44:1072(1958)を参照せよ)であるSpizizen 11中に懸濁し
、細胞のアリコートを各種の濃度のポリヌクレオチド複合体もしくは遊離pBC16
中でインキュベートした。細胞は複合体もしくは遊離DNAと37℃で1時間インキュ
ベートした。インキュベーションの後、細胞を10mg/mlのテトラサイクリンを含
有する寒天培地上にプレーティングした。各実験条件で産生されたテトラサイク
リン耐性コロニー数で測定した結果は下記のとおりである:
【0140】
【表4】 DNA 濃度(ng/ml) 形質転換(106 クローン/ng DNA) ポリヌクレオチド複合体 遊離ポリヌクレオチド 5 300(±15) 0 10 450(±22) 3(±1) 20 400(±26) 3(±4) 50 220(±17) 20(±5)
【0141】 実施例5 ヌクレアーゼからの防御 この実施例では、プラスミドpTZ19と化学式(XXI)(ポリ(オキシエチレン)-ポリ
(N-エチル-4-ビニルピリジニウムブロミド、その式でiは44でjは20のもの)のジ
ブロックコポリマーとの複合体を形成させた。PBSで溶解させたポリヌクレオチ
ド複合体の溶液は、約4μg/mlのプラスミドおよび20μg/mlのジブロックコポリ
マーを含有していた。これらの量でポリカチオンブロック中の塩基性基とDNAリ
ン酸基との比が5となった。対照のインキュベーションでは、同量の遊離プラス
ミドをバッファー中に溶解した。PVUIIヌクレアーゼを、遊離DNAもしくはポリヌ
クレオチド複合体を含有する溶液サンプルに添加し、種々の消化時間後に未消化
の環状プラスミドDNAの量をポリアクリルアミドゲル電気泳動で測定した。Kaban
ovら, Biopolymers, 31:1437-1443(1991)を参照せよ。結果は下記に示すとおり
であった:
【0142】
【表5】 インキュベーション時間 環状DNA(開始時に対する%) 複合体 遊離DNA 0 100 100 5 100 20 10 100 8 30 100 4 60 100 1 180 100 0 600 100 0
【0143】 実施例6 オリゴヌクレオチドの安定化 この実施例では、HIV-1のtat遺伝子の転写開始部位に相補的なオリゴヌクレオ
チド("anti-tat", GGCTCCATTTCTTGCTCからなる)を含む複合体を、化学式(XIX)(
ポリオキシエチレン-ポリ(L-アラニン-L-リジン)、その式でiは44でjは8である)
のジブロックコポリマーを用いて調製した。オリゴヌクレオチド複合体はPBSバ
ッファー(pH 7.0)中に0.75 OD260/μl オリゴヌクレオチドの濃度で調製した
。ポリカチオンイミノおよびアミノ基のポリヌクレオチドリン酸基に対する比は
約50であった。混合物を室温で1時間インキュベートして複合体を形成させた。
次いで、セファデクスG25で0.05 M NaClを溶出液として用いてゲルろ過クロマト
グラフィーで複合体を精製した。その結果得られた複合体溶液は0.11 OD260/
μlオリゴヌクレオチドの濃度を示した。比較用溶液として複合体化していない
オリゴヌクレオチドを調製した。マウス血漿(10μl)のアリコートを同量のオリ
ゴヌクレオチド複合体溶液もしくは遊離オリゴヌクレオチド溶液と混合した。サ
ンプルを37℃で種々の時間インキュベートした。オリゴヌクレオチドと血漿中の
酵素との反応を停止させるためにサンプルを水で希釈し、フェノール:クロロホ
ルム(1:1)の水を飽和させた混合物で抽出した。抽出液の水相を単離し、そこに
含まれるオリゴヌクレオチドを3%過塩素酸リチウムで沈殿させた。沈殿をアセト
ンで洗い、100μlの水に溶解させた。未分解のオリゴヌクレオチドの存在をC18-
Silasorbカラム(4x90mm, Gilson, フランス)および0.05 Mトリエチルアンモニウ
ムアセテート(pH 7.0)中にアセトニトリルをグラディエントさせたものを溶出液
として用いて高性能液体クロマトグラフィーで調べた。結果は下記のとおりであ
る:
【0144】
【表6】 インキュベーション時間 未分解オリゴヌクレオチド(%) 複合体 遊離オリゴヌクレオチド 0 100 100 3時間 88 28 6時間 70 17 24時間 36 0
【0145】 実施例7 オリゴヌクレオチドの安定化 この実施例では実施例6で述べたオリゴヌクレオチドの、化学式(XX)(ポリオキ
シエチレン-ポリプロピレンイミン/ブチレンイミン、この式でiは44でjは4-8で
ある)のジブロックコポリマーと複合体化した場合の安定性について調べた。実
施例6で用いた方法と同じ方法を、オリゴヌクレオチド濃度が約0.13 OD 260/
μlであったことを除いては、この実施例でも適用した。結果は下記のとおりで
ある:
【0146】
【表7】インキュベーション時間 未分解オリゴヌクレオチド(%) 複合体 遊離オリゴヌクレオチド 0 100 100 3時間 70 28 6時間 57 17 24時間 28 0
【0147】 実施例8 アンチセンスの細胞への取り込み効率 この実験では、MDR1遺伝子産物をコードするmRNAの422-438の位置に相補的な1
7個のオリゴヌクレオチド配列CCTTCAAGATCCATCCCからなるアンチセンス分子であ
る"anti-MDR"のSKVLB細胞中における多剤耐性を逆行させる有効性について調べ
た。SKVLB細胞は卵巣癌細胞系から由来する多剤耐性細胞である。MDR1遺伝子はS
KVLB細胞中の多剤耐性の原因となっているものとして同定されている。Endicott
とLing, Ann. Rev. Biochem., 58:137(1989)。特に、本発明のポリヌクレオチド
複合体中のanti-MDRオリゴヌクレオチドの効率とそれが遊離の状態にあるときの
それとを比較した。対照としては、上述のanti-tatオリゴヌクレオチドの遊離の
ものと複合体型とを用いた。化学式(XX)(ポリオキシエチレン-ポリプロピレンイ
ミン/ブチレンイミン、この式でiは44でjは9-10である)のジブロックコポリマー
を用いてポリオリゴヌクレオチド複合体を形成させた。複合体は実施例6に記載
の方法で調製した。複合体中もしくは遊離状態のオリゴヌクレオチド濃度は0.17
OD260/μlであった。コポリマーは、ポリカチオンセグメントのイミノおよ
びアミノ基のオリゴヌクレオチドのリン酸基に対する濃度の比が10となるのに十
分なだけ存在していた。
【0148】 SKVLB細胞を5%CO雰囲気下で37℃で3日間、遊離のもしくは複合体型オリゴヌ
クレオチド(オリゴヌクレオチド含量に基づくと20μMの濃度で)の存在下でイン
キュベートした。遊離のもしくは複合体のオリゴヌクレオチドを含む新鮮な培地
を12時間毎に添加した。
【0149】 上述の処理を施された細胞についてダウノマイシンの細胞障害性(IC50)を、Al
leyら, Cancer Res., 48:589-601の方法を用いて測定した。結果は下記のとおり
であった:
【0150】
【表8】細胞の処理 ダウノマイシン IC50(ng/ml)(n=4) 対照(非処理細胞) 8.0 抗MDR複合体 0.3 抗tat複合体 8.2 遊離の抗MDR 2.1 遊離の抗tat 7.9
【0151】 実施例9 ヘルペスウイルスを阻害するようにデザインされたアンチセンスオリゴヌクレオ チド この実験では、共有結合によって5'末端をウンデシルリン酸置換で、3'末端を
アクリジン基で修飾された12個連結のオリゴヌクレオチドを用いた。このオリゴ
ヌクレオチドの修飾はCho-Chungら, Biochemistry Int., 25:767-773(1991)によ
って述べられている。用いたオリゴヌクレオチド配列CGTTCCTCCTGUは、単純ヘル
ペスウイルス1("HSV-1")の983-994の位置のスプライシング部位に相補的である
。対照として、インフルエンザウイルスによって産生されるRNAに対して相補的
な同等に修飾された配列(AGCAAAAGCAGG)を用いた。オリゴヌクレオチドは複合体
もしくは遊離の状態のいずれかでHSV-1感染細胞にアプライした。複合体を用い
た場合には化学式(XIX)(ポリオキシエチレン-ポリ(L-アラニン-L-リジン)、この
式でiは44でjは8である)のジブロックコポリマーを用いて複合体を形成させた。
オリゴヌクレオチド複合体は実施例6に記載の方法で形成させた。
【0152】 アフリカンマーモセットの腎細胞("Vero"細胞)に、HSV-1ウイルス(L2株、Muse
um of Virus Strains, D.I. Ivanovskii, Inst. of Virol., ロシア連邦より入
手)をVinogradofら, BBRC, 203:959(1994)によって記載された方法に従って感染
させた。感染した細胞はPBSで洗った。洗浄後、10%のウシ胎児血清および遊離も
しくは複合体のオリゴヌクレオチドを含有する新鮮なRPMI-L640培地を細胞に添
加した。細胞を5%CO雰囲気下で37℃で24時間インキュベートした。細胞培地の
HSV-1感染性は、Virology, A Practical Approach, Mahy編, IRL Press, 米国ワ
シントンDC., 1985に記載のパッチ形成法を用いて測定した。種々の濃度のオリ
ゴヌクレオチドを用いて得た結果は下記のとおりであった:
【0153】
【表9】 オリゴヌクレオチド処理 HSV-1 感染タイター(CPE50/ml)(n=7) 濃度 0.2μM 1.0μM 5.0μM 対照(非処理感染細胞) 1.0(±0.5)x10 1.0(±0.5)x10 1.0(±0.5)x10 抗HSV複合体 1.4(±0.2)x10 0.5(±0.3)x10 0 抗インフルエンザ複合体 1.0(±0.6)x10 0.7(±0.1)x10 0.8(±0.2)x10
遊離の抗HSV 0.9(±0.4)x10 2.3(±0.7)x10 1.6(±0.4)x10
遊離の抗インフルエンザ1.1(±0.4)x10 0.9(±0.2)x10 0.6(±0.3)x10
【0154】 実施例10 ヘルペスウイルスを阻害するようにデザインされたアンチセンスオリゴヌクレオ チド 特に記さない限りは本実施例では実施例9で用いた方法と同じ方法を用いた。
用いた細胞は、チャイニーズハムスターの腎細胞系のBHK細胞である。複合体型
のオリゴヌクレオチドを用いた場合には、その複合体は化学式(XVII)(ポリオキ
シエチレン-ポリ-L-リジン、この式でiは44、jは30である)のジブロックコポリ
マーを用い、実施例6に記載の方法を用いて形成させた。複合体のストック溶液
の濃度は0.09 OD260/μlであった。ポリカチオンセグメントのイミノおよび
アミノ基のオリゴヌクレオチドのリン酸基に対する比は10であった。オリゴヌク
レオチドの複合体型もしくは遊離のものを細胞に3.0μMの濃度でアプライした。
結果は下記のとおりであった:
【0155】
【表10】 細胞の処理 HSV-1感染タイター(CPE50/ml) n=7 対照(非処理感染細胞) 10(±3)x10 抗HSV複合体 8(±6) 抗インフルエンザ複合体 13(±4)x10 遊離の抗HSV 50(±14)x10 遊離の抗インフルエンザ 9(±2)x10
【0156】 実施例11 HSVのin vivoでの阻害 化学式(XVII)(ポリオキシエチレン-ポリ-L-リジン、この式でiは44、jは30で
ある)のブロックコポリマーならびに抗HSVおよび抗インフルエンザオリゴヌクレ
オチドの間でポリヌクレオチド複合体を実施例9に概説した方法を用いて形成さ
せた。複合体のストック溶液の濃度は0.9 OD260/μlであった。ポリカチオン
セグメントのイミノおよびアミノ基のオリゴヌクレオチドのリン酸基に対する比
は10であった。
【0157】 近交系白色マウス(体重:6-7g)に、HSV-1(Belorussian Res. Inst. of Epidem
iol. & Microbiol., Minskより入手したC1株)を30μlのウイルス懸濁液(タイタ
ー:10−7LD50/ml)として腹腔内注射することにより感染させた。 抗HSV複合体、抗インフルエンザ複合体、遊離の抗HSV、遊離の抗インフルエン
ザのいずれかを指定したマウスの尾静脈へ感染後2, 12, 24, 48, もしくは72時
間後の各時点に注射(10μl)した。結果は下記のとおりであった:
【0158】
【表11】 生存動物数/1群動物数 マウスの治療 実験1 実験2 実験3 生存率% 対照(感染マウス) 1/9 1/10 2/10 13.7 抗HSV複合体 8/9 6/10 7/10 73.0 抗インフルエンザ複合体 2/10 0/10 1/10 10.0 遊離の抗HSV 1/10 1/10 0/10 7.0 遊離の抗インフルエンザ 0/9 1/10 0/10 7.0
【0159】 実施例12 ポリヌクレオチド複合体の血漿中の寿命 HIV-1 tat遺伝子の転写開始部位に相補的な32P標識17量体(GGCTCCATTTCTTGC
TC)を本実施例に用いた。オリゴヌクレオチドはそのBoutorinら, Bioconjugate
Chemistry, 2:350-356(1990)が記載した方法に従ってその5'末端をコレステロー
ルで修飾した。化学式(XX)(ポリオキシエチレン-ポリ(プロピレンイミン/ブチレ
ンイミン)、この式でiは44でjは9-10である)のブロックコポリマーを用いてオリ
ゴヌクレオチドのポリヌクレオチドコンジュゲートを形成させた。複合体のスト
ック溶液(PBS中に溶解)の濃度は0.18 OD260/μlであった。ポリカチオンセグ
メントのイミノおよびアミノ基のオリゴヌクレオチドのリン酸基に対する比は50
であった。
【0160】 雄のC57/Bl/6マウス(体重:20-24g;Russian Research Center of Molecular Di
agnostics and Therapy, モスクワから入手)は、50μlの抗HIVコンジュゲートも
しくは遊離の抗HIVを0.18 OD260/μlでPBS中に溶解したものの静脈内注射を
受けた。注射後定められた時間に血液サンプルを尾静脈から採取し、動物を屠殺
した。血液もしくは組織サンプル中の放射活性物質の量を液体シンチレーション
カウンターで測定した(適切な可溶化の後)。結果は下記のとおりであった:
【0161】
【表12】 注射後 血漿中レベル 肝臓でのレベル 肝臓でのレベル時間(分) (注射量に対する%) (注射量に対する%) (注射量に対する% ) 抗HIVコンジュゲート 遊離抗HIV 調製品A 調製品B 0 100 100 0 0 5 95 58 3 7 10 91 40 5 19 15 84 33 7 26 20 79 27 9 30 30 75 20 10 35
【0162】 実施例13 カチオンブロックコポリマー合成 1,4-ジブロモブタン(5.4g, 25mmol、Aldrich Co.(Milwaukee, WI)から入手)
を、1,4-ジオキサン100mlに溶解したN-(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミ
ン(6.55g、50mmol、Aldrich Co.から入手)の溶液に加えた。この反応混合物を
20℃で16時間攪拌した。この反応生成物は臭化水素酸塩として溶液から自然沈降
する。この沈降した第1中間物を集めて、2回、10%トリエチルアミンを含むメタ
ノール溶液にしてから回転蒸発により乾燥した。この蒸発操作は実質的な量の臭
化物塩を除去するために効果的であった。この第1中間物を、1,4-ジオキサン50m
lに溶解し、1,4-ジブロモブタン2.7g(12.5mmol)と反応させた。再び、反応を1
6時間、20℃で進めて、生じた第2中間物を回収し、上記のように乾燥した。
【0163】 第2中間物を、酢酸でpH7-8に中和し、ゲル濾過によりSepahdex G-25上で水性
溶出液を使って精製した。それぞれ1060、700および500の見かけ分子量を有する
3つの主なポリイミン画分を得た。
【0164】 ポリ(オキシエチレングリコール)(1.5g, M.W. 1500、Flukaより入手)を1,4-
ジオキサン8mlに溶解し、N,N'- カルボニルイミダゾール(Aldrich)0.17g(1 mm
ol)と、20℃で3時間反応させた。反応混合物を2部分に分けた。それぞれの部分
を、1060または700 MWのいずれかのポリイミン画分10%(w/v)ならびに0.01 N NaO
Hを含む溶液4mlと混合した。該混合物を16時間、20℃で攪拌した。この混合物か
ら、式(XX)および各種のMW範囲のブロックコポリマーを、ゲル濾過により単離
した。
【0165】 実施例14 カチオンブロックコポリマー合成 メトキシ-ポリ(エチレングリコール)のスクシニミジル炭酸塩(MW 5000、Shea
rwater Polymers, Inc., USA)0.5gを1,4-ジオキサンに溶解した。このジオキサ
ン溶液を、上記1060 MWのポリイミンポリマー0.2gならびに0.01 N NaOHを含む水
溶液に加えた。この反応混合物を20℃で16時間攪拌した。式(XXII)のポリマー
を、反応混合物からゲル濾過により単離した。
【0166】 実施例15 カチオンブロックコポリマー合成 ポリ(オキシエチレングリコール)(MW 8000,Fluka)1.5gを1,4-ジオキサン8ml
に溶解した。N,N'- カルボニルイミダゾール(Aldrich Co.)0.34g(2 mmol)を、
該溶液に加えて、3時間、20℃で反応させた。その後、0.01 N NaOHおよび実施例
13に記載した500 MW ポリイミンポリマー15%(w/v)を含む水溶液8mlを、第1反応
混合物に加えた。生じた混合物を16時間、20℃で攪拌して反応させた。式(XXII
I)のポリマーを、第2反応混合物からゲル濾過により単離した。
【0167】 実施例16 オリゴヌクレオチドとのコンジュゲート合成 ヘルペスシンプレックスウイルス1型(「HSV-1」)の初期mRNAのスプライシン
グ部位(ウイルスゲノム上の位置983-994)に相補的な12量体オリゴヌクレオチ
ド、5'-CGTTCCTCCTGU(「オリゴA」)を、380B-02 DNAシンセサイザー(Applied
Biosystems, CA)を使って合成した。該シンセサイザーでは、ホスホルアミダ
イト化学および8分間の合成サイクルを用いた。サイクル条件および粗産物の調
製はアプライド・バイオシステム社(Applied Biosystems)の推奨に従って行っ
た。該合成から得た粗オリゴAを、1M LiCl溶液(0.5ml)からアセトン(2ml)によっ
て沈降させた。該沈降物を、トリエチルアンモニウムアセテートバッファーに溶
解して、逆相高性能液体クロマトグラフィーによりSilasorb C18カラム(9X250
mm, Gilson, France)を用いて20 mM TEAAバッファー(pH 8.5)中のアセトニト
リル勾配で展開して精製した。
【0168】 精製したオリゴAの3'末端を、過ヨウ素酸塩で酸化してアルデヒドを作製し、
還元アルキル化によりヘキサメチレンジアミンリンカーとコンジュゲートさせて
アミン誘導体を作製した。チェチュンら(Che-Chungら, Biochem Intemat., 25:
767 (1991));ヴィノグラドフら(Vinogradovら, BBRC, 203:959 (1994))を参
照すること。「プルロニックA(Pluronic A)」、式(XIV)(X=25, y+38, z=25
)のブロックコポリマーを同様に酸化して、末端アルデヒドを作製した。該アミ
ン誘導体(1mg)を、0.1Mホウ酸塩バッファー(pH 9.0)100μlに溶解し、2mgの
プルロニックA誘導体と混合した。ナトリウムシアノボロハイドライド1.5mgを、
アミンとアルデヒド基間に形成されるシッフ(Schiff's)塩基を還元するために
該混合物に加えた。この反応を12時間、4℃で進めた。この反応の重合生成物を
、ゲル濾過クロマトグラフィーにより、Sepahdex LH-20を用いて溶出液として90
%イソプロパノール水溶液を用いて単離した。こうして得た結合物を、以後、「
オリゴAコンジュゲート(Oligo A conjugate)」と称する。
【0169】 実施例17 ウイルス生産に対するオリゴAコンジュゲートの効果 オリゴAおよびオリゴAコンジュゲートを、別々にRPMI 1640培地(ICN Biomedi
cals Inc., Costa Mesa, CA)に溶解して最終濃度0.2mM(オリゴヌクレオチド吸
収基準で)とした。その後、これらのストック溶液を0.22μmフィルターを通し
て濾過し、存在しうる細菌または真菌汚染を除去した。
【0170】 ベロ(Vero)細胞の単層を、1時間、37℃、血清を含まないRPMI 1640中で、色
々な濃度のオリゴAまたはオリゴAコンジュゲートと一緒にインキュベートした。
その後、オリゴヌクレオチドに曝しておいた該単層を、HSV-1、株L2(Museum of
Virus Strains of the D.I. Ivanovskii Institute of Virology, Russian Aca
demy of Sciences, ロシア連邦、から入手)の培養細胞当り1プラーク形成単位
で感染させた。この感染方法はヴィノグラドフら(Vinogradovら, BBRC, 203:95
9 (1994))により記載されている。ウイルスおよびオリゴヌクレオチドに8時間
曝露後、細胞の培地を10%FCSを含む新鮮培地により置き換えた。無効(ineffect
ive)インキュベーション後、22および39時間に細胞から培地を回収し、回収し
た培地のウイルス力価を、マヒ編の文献(Virology, A Practical Approach(ウ
イルス学、実際的手法), Mahy, 編., IRL Press, Oxford Univ. Press, Washin
gon, DC, 1985)に記載されたように測定した。その結果は次の通りであった:
【0171】
【表13】 サンプル濃度 オリゴヌクレオチド HSV-1の感染力価(PFU/ml) (mM) 濃度(mM) 感染後22時間 感染後39時間 対照(オリゴヌクレ 0 5 x 106 1 x 107 オチドなしの細胞) オリゴA 10 3 x 106 5 x 106 5 5 x 106 1 x 107 2 5 x 106 1 x 107 1 5 x 106 1 x 107 オリゴAコンジュゲート 10 0 0 5 0 5 x 102 2 1 x 103 7 x 103 1 5 x 104 3 x 106
【0172】 実施例18 ホスホネートモノマーの合成 無水ピリジン(Aldrich)50ml中に溶解したブタンジオール-1,3(Merck)40mm
olを、4,4'-ジメトキシトリチルクロライド(Sigma)20mmolと1.5時間、20℃で
反応させた。反応を、薄層クロマトグラフィーを使いシリカゲルプレート(Merc
k)上にクロロホルム:メタノール(95:5)で展開してモニターした。生成物のR
fは0.6であった。反応混合物を重炭酸ナトリウム8%水溶液200mlに加え、生成物
をクロロホルムで抽出した。クロロホルム抽出物を減圧で蒸発し、得られた油状
第1中間物を次の合成段階で使用した。
【0173】 第1中間物の12mmolを、ジイソプロピルエチルアミン(Aldrich)3.14ml(18mm
ol)を含む無水1,4-ジオキサン30mlに溶解した。無水1,4-ジオキサン10mlに溶解
したサリチルクロロホスファイト(Sigma)18mmolを、不活性のアルゴン雰囲気
下で小量のジイソプロピエチルアミン中に加えた。該反応混合物を1時間、20℃
でインキュベートした。反応を上記のように薄層クロマトグラフィーによりモニ
ターした。生成物のRfは0.05であった。10mlの水を反応混合物に加えた。30分後
、溶媒を蒸発させた。該生成物をクロロホルム100mlに溶解し、得られた溶液を
、(1)重炭酸ナトリウム8%水溶液100ml、(2)0.2Mトリエチルアンモニウムアセレ
ート(pH7.2)100ml、および(3)水100mlで、段階的に洗浄した。有機溶媒を蒸発
し、ホスホネートモノマーを含む油状残留物を、クロマトグラフィーによりシリ
カゲル上で、(1)クロロホルム、(2)クロロホルム中の3%メタノール、および(3)
クロロホルム中の6%メタノールの勾配を段階的に使って精製した。モノマー収率
は4.1g(=7.3mmol、63%)であった。該生成物は、構造:
【0174】
【化30】
【0175】 (式中、DMTはジメトキシトリチル基を表す)を有し、「ホスホネートモノマーA
」と名付けることができる。
【0176】 実施例19 ポリカチオンBDPの合成 無水ピリジン:アセトニトリル混合物(1:1)中のホスホネートモノマーAの0.0
5M溶液をDNAシンセセーター(model 380-B02, Applied Biosystems, CA)の位置
6に置いた。アセトニトリル:ピリジン混合物(95:5)中のアダマントイルクロ
ライド(Sigma)2%溶液を縮合剤として使った。合成は、H-ホスホネートサイク
ルについて修正したプログラム(SinhaおよびStriepeke In Oligonucleotides a
nd Analogues: A practical Approach, Eckstein編. IRL Press, Oxford, New Y
ork-Tokyo, p.185, 1991に収載)を使って実施し、そして合成完了後、DMT基を
保存した。標準CPG-500固体支持体上に固定したアデノシン(4μmol)をポリマ
ー合成中の第1ユニットとして使った(Vinogradovら, BBRC, 203:959 (1994))
。シンセサイザーは、ホスホネートモノマーA反復ユニットをアデノシンモノマ
ーに加えるようにプログラムした。全合成工程の後に、固定した基質上のH-ホス
ホネート基を、無水ピリジン:CCl4(5:1)混合物0.6ml中にヘキサメチレンジアミ
ン(Sigma)104mgを含む溶液を加えて15分間、20℃で酸化し、その後、該キャリ
ヤーをピリジン:アセトニトリル混合物(1:1)で洗浄した。
【0177】 脱ブロッキングおよびキャップ除去は、アンモノリシス(ammmonolysis)により
達成した(Oligonucleotides and Analogues. A practical Approach(オリゴヌ
クレオチドと類似体:実際的手法), Eckstein編. IRL Press, Oxford, New Yor
k-Tokyo, 1991)。生成物は、HPLCにより、Silasorb C,, column(9 X 250mm. Gi
lson, France)を使って、アセトニトリル勾配(0-80%)で精製した。ジメトキシ
トリチル化生成物を含むピークを集め、溶媒を蒸発して残留物を80%酢酸で(20
分間)処理した。酢酸を蒸発し、ポリカチオンを再びHPLCにより精製した。15量
体の収率(ホスホネートモノマーAで計量)は50%(2.2μmol)であった。これに
より式Aによるポリマーが作製された。該ポリマーを、以後「BDP」と呼称する。
【0178】 実施例20 ジブロックコポリマー、ポリオキシエチレン-BDPの固相合成 ジメトキシトリチル-ポリエチレンオキシド-H-ホスホネートを、ブタンジオー
ル-1,3の代りにポリエチレングリコール(1500 M.W.、Flukaより入手)を使って
、実施例18に記載のように合成した。該BDPポリカチオンを、鎖成長の最終段階
にジメトキシトリチル-ポリエチレンオキシド-H-ホスホネートを最終構築ブロッ
クとして導入することを除いて実施例19に記載のように、合成した。該ブロック
コポリマーのH-ホスホネート基を、ヘキサメチレンジアミンの代りにテトラメチ
レンジアミン(Sigma)を使って実施例19に記載のように酸化して、ジアミンと
主鎖ホスフェート間にホスホンアミド結合を形成させた。
【0179】 実施例21 オリゴヌクレオチド-BDPジブロックコポリマーの固相合成 A. 12量体オリゴヌクレオチド、5'-GGTTCCTCCTGU(ヘルペスシンプレックス
ウイルス1型(HSV-1)の初期mRNAのスプライシング部位に相補的なオリゴA、Vin
ogradovら, BBRC, 203, 959 (1994))およびBDPポリマーを含んでなる、ジブロ
ックコポリマーをDNAシンセセーターで合成した。最初に、BDPポリマーを、支持
体から取除かないことを除くと実施例19に記載したように合成した。その後、オ
リゴヌクレオチド鎖を、ヴィノグラドフら(Vinogradovら, BBRC, 203, 959 (19
94))が記載した標準のホスホロアミダイト化学を使って、固相支持体に連結し
たBDPポリカチオンポリマー上に、段階的に合成した。ジブロックコポリマーのH
‐ホスホネート基を、ヘキサメチレンジアミンの代りにテタメチレンジアミン(
Sigma)を使って実施例19に記載の通り酸化した。
【0180】 実施例22 ウイルス成長に対するオリゴヌクレオチド-BDPジブロックコポリマーの効果 本実験は、(1)実施例21のオリゴヌクレオチド-BDPコポリマーを使ったことお
よび(2)オリゴヌクレオチド-BDPコポリマー(コンジュゲート)の1つの濃度(4,
4M)を使ったことを除くと実施例17に記載のとおり正確に実施した。
【0181】
【表14】 サンプル 39時間後のウイルス力価 対照(オリゴヌクレオチドなし) 500 x 104 非修飾オリゴA 500 x 104 ジブロック 5 x 104
【0182】 実施例23 分岐ポリイミンポリカチオンの合成 A. ポリイミンポリカチオン(「ポリスペルミン(polyspermine)」)は、実施
例13に記載したようにN-(3‐アミノプロピル)-1,3‐プロパンジアミンと1,4-ジ
ブロモブタンの段階的ポリ縮合によって取得し、ポリ(エチレングリコール)とコ
ンジュゲートしないで使用した。
【0183】 B. Aで合成したポリイミンポリカチオンを塩化ダンシルにより修飾して蛍光
ダンシル標識物質を取得し、薄層クロマトグラフィーにより精製し、そして、該
混合物の主成分(ほとんどのバッチで75%を超える)を、陽電荷モードのエレク
トロスプレー(electrospray)質量分析計により分析した。その結果を、塩化ダン
シルで修飾したN-(3‐アミノプロピル)-1,3‐プロパンジアミンに対して得た質
量スペクトルと比較した。ダンシル標識したN-(3‐アミノプロピル)-1,3‐プロ
パンジアミンは、M+1、M+2、M+3およびM+4(667.6, 668.5, 669.6および670.5)
の4モードのピークを与えた。ポリ縮合生成物のスペクトルに、2つの型の多モー
ドピーク:MおよびM+54を観察した。Mピークに対して、それぞれ598.5および119
5.6に等しいM/2H+およびM/H+をもつ2つの明瞭な群が観察された。この分子量は
、12窒素原子をもつ線形ポリカチオン(1221)に非常に近かった。1249.8および
652.5のM+54ピークは、CH2CH2CH2CH2架橋をもつポリカチオンに対応する。
【0184】 C. 1H-NMRスペクトルを、Aで合成しDMSOに溶解したポリイミンポリカチオン
のサンプルに対して得た。シグナルの3群が、1.40-1.80 ppm(Ha)、1.80-2.20 pp
m(Hb)および2.35-2.80 ppm(Hc)に観察された。HaはCH2CH2CH2CH2プロトンに関係
し、HbはCH2CH2CH2プロトンに関係し、Hcは-NHCH2およびプロトンに関係した。
これらの3群に対する共鳴シグナルの積分は、1.00:0.75:1.20に等しいHa:Hb:Hc
の比を与えた。12窒素原子をもつ線形ポリカチオンに対する理論比は、1.00:1.3
3:3.67である。Hb:HaおよびHc:Ha比の増加は、第一級、第二級および第三級アミ
ンの混合物からなる分岐構造の存在を示唆した。
【0185】 D. A項で合成したポリイミンポリカチオンの第一級アミノ基の濃度を、ウェ
イジールら(Weigeleら, J. Amer. Chem. Soc., 1972, 94:5927)が記載したフ
ルオレスカミン(fluorescamine)法により定量した。ポリ縮合生成物の第一級、
第二級、および第三級アミノ基の全体量を、電位差滴定を使って定量した。第一
級、第二級および第三級アミノ基の全体量の第一級アミノ基に対する比は2.7に
等しかった。質量分光分析計を使って定量した縮合生成物の分子量によると、こ
の実験結果は相当な分岐すなわち第三級アミンの存在を示唆した。
【0186】 実施例24 線形ポリイミンポリカチオンの合成 線形ポリイミンポリカチオン型を、アジズら(Azizら, J. Pharmac. Exper. T
herapeutics, 1995, 274:181)が記載した修正還元アミノ化法を使って、ナトリ
ウムシアノボロハイドライドの存在下でジアミノアルキルとビスアルデヒドの縮
合によって、合成した。マロンアルデヒドビス(ジメチルアセタール)0.33gを0
.5 N HClの10ml中に加え、1時間、20℃で攪拌して遊離ビスアルデヒドを得た。N
,N'‐ビス[3-アミノプロピル]-1,4-ブタンジアミン1.27gをこの溶液に加えて、p
Hを5.0に調製した。該混合物を1時間、37℃で保持し、その後、それにN,N'-ビス
[3‐アミノプロピル]-ブタジアミン1.27gを加え、そしてpHを炭酸ナトリウム溶
液を使って7.0に調製した。該反応混合物をナトリウムシアノボロハイドライド0
.26gで処理し、そして、さらに1時間、37℃で放置した。最終的に微黄色の溶液
を、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、10%メタノール中のSephadex G-25カラ
ム上で脱塩し、ニンヒドリン試験で第一級アミノ基を示す最初の高分子量画分を
凍結乾燥した。これにより、次のポリイミンポリカチオン:
【0187】
【化31】 H[NH(CH2)3NH(CH2)4NH(CH2)3]xNH2
【0188】 0.43gを得た。
【0189】 実施例25 カチオンブロックコポリマーの合成 ポリ(エチレングリコール)のメチルエステル mw. 5000 Mw(Sigma)1.5gを、
無水アセトニトリル10ml中の1,1'-カルボニルジイミダゾール0.25gにより、3時
間、室温で活性化した。溶媒を減圧で蒸発し、残留物を水に再溶解し、カットオ
フ3500DaのMembra‐Cel MD-25-03.5膜を通して、水に対して透析した。脱塩溶液
を減圧で濃縮し、それを使って2倍過剰のポリ-L-リシン、Mw. 4000とメタノール
水溶液中、16‐24時間、室温での反応を行なった。得られたコンジュゲートを、
ゲル浸透カラムクロマトグラフィーによりSephadex-50(細)(Pharmacia)上、水
中で、そしてその後、逆相クロマトグラフィーによりセミ分取(semi-preparativ
e)カラム(Vydac C18 5u, 10mm x 25cm)上、アセトニトリル濃度勾配で精製し
た。収率は70%であった。アミノ基含量をフルオレスカミン法により測定し全窒
素含量を元素分析により定量して、コンジュゲートの純度を評価した。通常、重
量分析基準で約75‐90%であった。
【0190】 実施例26 カチオンブロックコポリマーの合成 実施例25の方法に従って、ただし2倍過剰のポリ-L-リシンを同過剰量のポリエ
チレンイミン、(NHCH2CH2)x[N(CH2CH2)CH2CH2]y,Mw. 2000 (Aldrich Co.)により
置き換えて、カチオンジブロックコポリマー:
【0191】
【化32】 CH3O(CH2CH2O)114C(O)(NHCH2CH2)x[N(CH2CH2)CH2CH2]y
【0192】 の0.4gが得られた。
【0193】 実施例27 グラフトコポリマーの合成 A. ポリ(エチレングリコール), mw 8000(Aldrich Co.)24g(3mmol)を、無水ピ
リジンとの減圧での共蒸発により乾燥し、そして、無水アセトニトリル50ml中に
溶解した。その後、無水ピリジン30ml中の4,4'-ジメトキシトリチルクロライド0
.51g(1.5mmol)を、この溶液に連続攪拌しながら30分間で滴下した。該混合物を
さらに2時間室温で静置し、その後、溶媒を減圧で蒸発させた。残留物をジクロ
ロメタン50mlに溶解し、5%重炭酸ナトリウム(2 x 30ml)で抽出し、シリカゲルカ
ラム(3x45 cm, 40-60 μm)上にかけた。ジクロロメタン-メタノール溶液による
段階的溶出により、微黄色のポリ(エチレングリコール)のモノ-4,4'-ジメトキシ
トリチル誘導体が収率約75‐85%で分離された。反応の副産物(10‐15%収率)は
、ポリ(エチレングリコール)のビス-4,4'-ジメトキシトリチル誘導体であった。
【0194】 B. A.で得たポリ(エチレングリコール)のモノ-4,4'-ジメトキシトリチル誘導
体1.5gを、無水アセトニトリル10ml中の1,1'-カルボニルジイミダゾール0.25gに
より、3時間、室温で活性化した。溶媒を減圧で蒸発させ、残留物を水中に再溶
解し、カットオフ3500DaのMembra‐Cel MD-25-03.5膜を通して、水に対して透析
した。脱塩溶液を減圧で濃縮し、その後、ポリ-L-リシン、Mw. 19000とメタノー
ル水溶液中で、24時間、室温で、ポリ(エチレングリコール)対ポリ-L-リシンの
遊離アミノ基比0.7:1.0で反応させた。得られたコンジュゲートを、ゲル浸透カ
ラムクロマトグラフィーによりSephadex-50(細)(Pharmacia)上、水中で、そし
てその後、逆相クロマトグラフィーによりセミ分取カラム(Vydac C18 5u, 10mm
x 25cm)上、アセトニトリル濃度勾配で精製した。これにより、グラフトポリ
リシンコポリマーを収率35%で得られ、フルオレスカミン法による定量では、遊
離アミノ基の50%がポリ(エチレングリコール)により置換されていた。
【0195】 実施例28 グラフトコポリマーの合成 A. ポリ(エチレングリコール), mw 8000(Aldrich Co.)24g(3mmol)を、無水ピ
リジンとの共蒸発により減圧で乾燥し、50mlの無水アセトニトリルに溶解した。
その後、無水ピリジン30ml中の4,4'-ジメトキシトリチルクロライド0.51g(1.5mm
ol)を、この溶液に連続攪拌しながら30分間で滴下して加えた。混合物をさらに2
時間室温で静置し、その後、溶媒を減圧で蒸発させた。残留物をジクロロメタン
50mlに溶解し、5%重炭酸ナトリウム(2 x 30ml)で抽出し、シリカゲルカラム(3x4
5 cm, 40-60 μm)上にかけた。ジクロロメタン-メタノール溶液による段階的溶
出により、微黄色のポリ(エチレングリコール)のモノ-4,4'-ジメトキシトリチル
誘導体が収率約75‐85%で分離された。反応の副産物(10‐15%収率)は、ポリ(
エチレングリコール)のビス-4,4'-ジメトキシトリチル誘導体であった。
【0196】 B. A.で得たポリ(エチレングリコール)のモノ-4,4'-ジメトキシトリチル誘導
体1.5gを、10mlの無水アセトニトリル中の1,1'-カルボニルジイミダゾール0.25g
により、3時間、室温で活性化した。溶媒を減圧で蒸発させ、残留物を水中に再
溶解し、カットオフ3500DaのMembra‐Cel MD-25-03.5膜を通して、水に対して透
析した。脱塩溶液を減圧で濃縮し、その後、ポリエチレンイミン(Mw. 25,000)と
メタノール水溶液中で、24時間、室温で、ポリ(エチレングリコール)対ポリエチ
レンイミンの遊離アミノ基比0.7:1.0で反応させた。得られたコンジュゲートを
、ゲル浸透カラムクロマトグラフィーにより、Sephadex-50(細)(Pharmacia)上
、水中で、そしてその後、逆相クロマトグラフィーによりセミ分取カラム(Vyda
c C18 5μm, 10mm x 25cm)上、アセトニトリル濃度勾配で精製した。これによ
り、グラフトポリエチレンイミンブロックコポリマーが収率85%で得られ、ウェ
イジールら(Weigeleら, J. Amer. Chem. Soc., 1972, 94:5927)が記載したフ
ルオレスカミン法による定量では、遊離アミノ基の45%がポリ(エチレングリコー
ル)により置換されていた。
【0197】 実施例29 グラフトコポリマーの合成 実施例28の方法に従い、ただし活性化ポリ(エチレングリコール)対ポリエチレ
ンイミンの遊離アミノ基モル比0.3:1.0を使って、グラフトポリエチレンイミン
コポリマーが80%収率で得られ、遊離アミノ基の24%はポリ(エチレングリコール)
により置換されていた。
【0198】 実施例30 カチオンブロックコポリマーの合成 実施例26に従い、ただし過剰のポリエチレングリコール、mw 5,000を6.0gのポ
リエチレングリコール、mw 20,000のにより置き換えて、カチオンブロックコポ
リマー:
【0199】
【化33】 CH3O(CH2CH2O)456C(O)(NHCH2CH2)x[N(CH2CH2)CH2CH2]y
【0200】 6.0gを得た。
【0201】 実施例31 カチオンブロックコポリマーの合成 A. 実施例26に従い、ただしポリエチレングリコール、Mw 5,000の1.5gをポリ
エチレングリコール、Mw. 5,000(Aldrich Co.)2.4gにより置き換え、ポリエチ
レンイミンおよびポリ(エチレングリコール)鎖セグメントを有するカチオンブロ
ックコポリマー1.2gを得た。
【0202】 B. このブロックコポリマーの分子量を、静止光散乱法(static light scatt
ering method)により、15角度で作動しHe-Neレーザー(632.8nm)を備えたDAWN多
角度レーザー光電計(Wyatt Technology, Santa Barbara, CA)を使って測定し
た。ブロックコポリマーのサンプルを、カットオフ3500Daの膜を通して、4.5 x
10-3g/ml NaClに対して透析し、その後、直接、光散乱実験に使ったフローセル
中に濾過した。重量平均分子量を4つの測定値に基いて計算した。セル定数をNaC
lの色々な濃度で較正して決定した。比屈折率増分(dn/dc)を、Wyatt/Optilab
903 干渉屈折計を使って632.8 nmで測定した。得られたサンプルの分子量は16,0
00であり、このポリマーがほぼ1つのポリエチレンイミンセグメントと2つのポリ
エチレングリコールセグメントを有することが示唆された。
【0203】 C. コポリマーの合成サンプル中の第一級アミノ基数を、ウェイジールら(We
igeleら, J. Amer. Chem. Soc., 1972, 94:5927)が記載した修正方法を使って
定量した。20mMホウ酸ナトリウム,pH 9.5(100uM以下のアミノ基濃度)中のサンプ
ル1.5mlへ、アセトン中のフルオレスカミン溶液(0.024%, Sigma)0.25mlを加え、
5分間、ボルテックス(vortex)攪拌した。測定は、Shimadzu分光蛍光光度計で行
い、励起波長384nmでおよび430-510nm発光波長範囲で実施した。発光475nmでの
吸光定数(Extinction coefficient)を測定して、1.58 x 106M-1を得た。第一
級アミノ基の比含有量(specific amount)は0.69mmol/gであった。
【0204】 実施例32 グラフトコポリマーの合成 実施例28の方法に従い、ただしポリ(エチレングリコール)24gを同量のPluroni
c L61(BASF Co.)により置き換え、かつ活性化Pluronic L61対ポリエチレンイ
ミンの遊離アミノ基モル比0.3:1.0を使って、グラフトポリエチレンイミンコポ
リマーが22%の収率で得られ、遊離アミノ基の8%はPluronic L61で置換されて
いた。
【0205】 実施例33 グラフトコポリマーの合成 実施例28の方法に従い、ただしポリ(エチレングリコール)24gを同量のPluroni
c P85により置き換え、かつ活性化Pluronic P85対ポリエチレンイミンの遊離ア
ミノ基のモル比0.3:1.0を使って、グラフトポリエチレンイミンコポリマーが70
%の収率で得られ、ポリエチレンイミンの遊離アミノ基の11%がPluronic P85で
置換されていた。
【0206】 実施例34 グラフトコポリマーの合成 実施例28の方法に従い、ただしポリ(エチレングリコール)24gを同量のPluroni
c L123(BASF Co.)により置き換え、かつ活性化Pluronic L123対ポリエチレン
イミンの遊離アミノ基モル比0.3:1.0を使って、グラフトポリエチレンイミンコ
ポリマーが30%の収率で得られ、遊離アミノ基の9%がPluronic L123で置換され
ていた。
【0207】 実施例35 グラフトコポリマーの合成 実施例28の方法に従い、ただしポリ(エチレングリコール)24gを同量のPluroni
c F38(BASF Co.)により置き換え、かつ活性化Pluronic F38対ポリエチレンイ
ミンの遊離アミノ基モル比0.3:1.0を使って、グラフトポリエチレンイミンコポ
リマーが40%の収率で得られ、遊離アミノ基の9%がPluronic F38で置換されて
いた。
【0208】 実施例36 マルチグラフトコポリマーの合成 実施例28の方法に従い、ただしポリエチレンイミンを実施例35で得たPluronic L123(BASF Co.)で修飾したポリエチレンイミンにより置き換え、かつ活性化
ポリ(エチレングリコール)対修飾ポリエチレンイミンの遊離アミノ基モル比0.4:
1.0を使って、グラフトポリエチレンイミンコポリマーが20%の収率で得られ、
その遊離アミノ基の9%がPluronic L123で、かつ基の30%がポリ(エチレングリコ
ール)で置換されていた。
【0209】 実施例37 オリゴヌクレオチドとの複合体 A. モデルのホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチドPS-dT20を
、ABI 291 DNAシンセサイザー(Applied Biosystems, San Diego, CA)を使い、
標準プロトコルに従って合成した。アンモニア脱保護後、該オリゴヌクレオチド
を2回エタノールにより沈降し、その後、精製せずに使った。
【0210】 B. PS-dT20と実施例28で得たポリエチレンイミン-ポリ(エチレングリコール
)ブロックコポリマーとの間の複合体を、ブロックコポリマーの第一級アミノ基
対PS-dT20のリン酸塩チャージ(charge)比を1.0になるようにしてこれらのポ
リマーの水溶液を10mMリン酸バッファー、pH 7.4中で混合することによって得た
。全ての溶液は、2回蒸留した水を使って調製し、孔径0.22μMのMillipore膜を
通して繰返し濾過した。
【0211】 C. Bで合成した複合体の電気泳動移動度(EPM)および粒子径を測定した。EP
M測定は、レーザー波長635nmで操作した15mV固相レーザーの「ZetaPlus」ゼータ
電位分析計(Brookhaven Instrument Co.)を使い、25℃、電界強度15-18 V/cm
で実施した。粒子のゼータ電位は、スモルコフスキー(Smoluchowski)式を使っ
てEPM値から計算した。有効流体力学直径は、多角度オプションを備えた光子相
関分光計(photon correlation spectroscopy)により、同計器を使って測定し
た。サイズ測定は、25℃、90°の角度で実施した。このサンプルのゼータ電位は
ゼロに近く、粒子が電気的中性であることを示唆した。粒子の平均径は35nmであ
った。
【0212】 実施例38 ヌクレアーゼ消化に対する安定性 実施例37で得たPS-dT20とポリエチレンイミン-ポリ(エチレングリコール)ブ
ロックコポリマーとの間の複合体の100μgを、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(Cr
otalus adamanteus由来のホスホジエステラーゼI、0.024 ユニット/mg;Sigma)
1mgにより、2および18時間、37℃で処理した。反応混合物を、消化したPS-dT20
についてゲル浸透HPLCにより分析した。この複合体のPS-dT20の消化は5%未満で
あった。対照的に、同じ酵素濃度で同じ時間処理した遊離PS-dT20は完全に消化
された。
【0213】 実施例39 Caco-2の単層中のオリゴヌクレオチドの蓄積 A. 5'-アミノヘキシルPS-dT20オリゴヌクレオチドを、ABI 291 DNAシンセサ
イザー(Applied Biosystems, San Diego, CA)を使い、標準プロトコルによっ
て合成した。アンモニア脱保護後、該オリゴヌクレオチドを2回エタノールによ
り沈降し、その後、精製せずに使った。5'-アミノヘキシルPS-dT20を、製造者
プロトコルに従い、蛍光イソチオシアネート(Sigma)との反応により標識した
。蛍光標識PS-オリゴヌクレオチドを、未反応蛍光体からPharmacia PD-10サイズ
排除を使って分離した。
【0214】 B. 蛍光標識PS-dT20とポリエチレンイミン-ポリ(エチレングリコール)ブロ
ックコポリマーとの間の複合体を、実施例37に記載したように、ただしPS-dT20
の代りに蛍光標識PS-dT20を使って合成した。
【0215】 C. ヒト結直腸癌に起源するCaco-2細胞(Foghら, J. Natl. Cancer Inst., 5
9:221-226, 1977)はボルシャルト(Borchardt R.T., The University of Kansa
s, Lawrence, Kansas)から好意により提供された。該細胞を、アーターソン(A
rtursson, J. Pharm. Sci., 79:476-482, 1990)が記載したように、90%空気お
よび10%CO2の雰囲気で、10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、1%非必須アミノ
酸、ベンジルペニシリン(100 U/ml)およびストレプトマイシン(10ug/ml)を含有
するダルベッコ修正イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)
)中に維持した。全ての組織培地は、ギブコ・ライフ・テクノロジー社(Gibco
Life Technologies, Inc.(Grand Island, NY))から入手した。細胞を、コラー
ゲンをコートしたポリカーボネートフィルターチャンバーインサート(Transwel
l, Costar Brand Tissue Culture Products, Contd.; 孔サイズ 0.4um; 直径24.
5 mm)上で増殖させた。250,000細胞を各インサートに添加し、継代数(passage
number)32-45の細胞を使った。細胞は、2日毎に給餌し14日まで増殖し分化さ
せた後、その単層を次の吸収実験に使用した。
【0216】 D.Caco-2細胞単層を、30分間、37℃で、塩化ナトリウム(122 mM)、重炭酸ナトリ
ウム(25 mM)、グルコース(10 mM)、HEPES(10 mM)、塩化カリウム(3mM)、硫酸マ
グネシウム(1.2 mM)、塩化カルシウム(1.4 mM)および二塩基性リン酸カリウム(0
.4 mM)を含有するアッセイバッファーを使ってプレインキュベートした。その後
、アッセイバッファーを除去し、そして該細胞を、アッセイバッファー中の50μ
M蛍光標識PS-オリゴヌクレオチドまたはその複合体に、90分間、37℃で曝した。
その後、染料溶液を除去し、細胞単層を3回氷冷PBSで洗浄した。その後、細胞を
1.0% Triton X-100に溶解し、そして、アリコート(25 μl)を除去してShimadzu
RF5000 分光蛍光光度計を使ってλex=488nm、λem=520nmで細胞蛍光を測定した
。Pierce BCA法を使うタンパク質定量のためのサンプルも採取した。細胞により
吸収された蛍光標識PS-dT20の量は、次の通りであった:
【0217】
【表15】 サンプル オリゴヌクレオチドの細胞蓄積 nmol/mg タンパク質 遊離蛍光標識PS-dT20 0.14±0.03 複合体 0.5±0.01
【0218】 この結果は、ポリヌクレオチドのブロックコポリマーとの複合体中の組込みは
、ポリヌクレオチドの細胞蓄積を3倍以上増加させることを示す。
【0219】 実施例40 Caco-2単層を横断するオリゴヌクレオチドの輸送 A.フィルター増殖したCaco-2を使って、完全成熟後すなわちプレーティング後14
日由来のオリゴヌクレオチドの浸透性を研究した。フィルターをウエルからそっ
と外して、クラウン・バイオ・サイエンティフィック社(Crown Bio Scientific
, Inc., Somerville, N.J.)のサイド-バイ-サイド(Side-Bi-Side)拡散細胞中
に置いて、37℃±0.1℃に維持した。このシステムは医薬の経口バイオアベイラ
ビリティの評価のためにヒト腸管上皮のin vivoモデルとして使用される。(Pau
lettiら, Pharm. Res., 14: 11-17, 1977)。細胞単層を、30分間、37℃で、10%
熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、1%非必須アミノ酸、ベンジルペニシリン(100
U/ml)およびストレプトマイシン(10ug/ml)を含有するアッセイバッファーでプ
レインキュベートし、ドナーおよびレセプターチャンバー(3ml)の両方に加え
た。プレインキュベーション後、レセプター容器のアッセイバッファーを新鮮な
ものと置き換え、ドナー容器のアッセイバッファーは50μMの蛍光標識PS-オリゴ
ヌクレオチドまたはその複合体を含むアッセイバッファーにより置き換えた。単
層の整合性を説明するために、ドナー容器中のローダミン123溶液は、デュポン
社(DuPont Corp., Boston, MA)から入手したH3-標識マニトール、パラ細胞マ
ーカー(Dawson, J. Membrane Biol., 77: 213-233, 1977)も含有させた。120
分に、レセプターチャンバーの溶液を除去してShimadzu RF5000 分光蛍光光度計
(λex=488nm、λem=520nm)を使って蛍光標識PSオリゴヌクレオチドを定量し、
そして液体シンチレーションカウンタ(Hewlett Packard Instruments)を使っ
てH3-標識マニトールを測定した。レセプターチャンバー内の溶液をに集めた後
、ただちに、新鮮アッセイバッファー3mlをこのチャンバーに加えた。Caco-2細
胞単層を横断する蛍光標識PSオリゴヌクレオチド(またはマニトール)の輸送を
、レセプターチャンバーに蓄積した全蛍光標識PSオリゴヌクレオチド(またはマ
ニトール)のドナーチャンバーの蛍光標識PSオリゴヌクレオチド(またはマニト
ール)初期量に対するパーセントとして表現した。少なくとも3つの異なる膜を
、それぞれの膜の多時点での各医薬組成について研究した。結果は次の通りであ
った。
【0220】
【表16】 サンプル PS-dT20輸送、% マニトール輸送、% 遊離蛍光標識PS-dT20 0.001±0.0005 4.0±0.1 複合体 0.075±0.005 4.2±0.02
【0221】 この結果は、複合体中のポリヌクレオチドのブロックコポリマーとの組込みは
、Cano-2単層を横断するこのポリヌクレオチドの輸送を7倍以上増加させ、しか
もパラ細胞マーカーの輸送は影響を受けないことを示す。
【0222】 実施例41 ポリビニルピロリドン-ポリエチレンイミンコンジュゲートの合成 A. カルボキシ末端ポリビニルピロリドンをトーシリンら(Torchilinら, J.
Pharm. Sci. 84:1049, 1995)が記載した方法を使って取得した。ポリビニルピ
ロリドンを、イソプロポキシエタノール中の50%wt.N-ビニルピロリドン(Sigma
)の1%wt.2,2'-アゾイソブチロニトリル(Sigma)を開始剤とする連鎖移動フリ
ーラジカル重合(chain transfer free radical polymerization)により合成し
た。得たポリマーのMWは、粘度測定およびSephadex G25によるゲル浸透クロマト
グラフィーにより測定で約6000であった。ポリビニルピロリドンの末端OH基を、
該OH基を4-ニトロフェニルクロロホルメート(4-nitrophenyl chlorophormate)
で活性化してCOOH基に変換し、続いてサルトルら(Sartoreら, J. Bioact. Comp
at. Polym. 9:411 (1994))が記載したように、グリシンとカップリングさせた
【0223】 B. 乾燥ジオキサン酸30ml中に溶解した、A項で得たカルボキシ末端ポリビニ
ルピロリドン6グラム(1mmol)を、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド0.2g
で3時間、室温で処理し、その後、ポリエチレンイミン、Mw.25,000(Aldrich Co
.)2.5g(0.1mmol)と15時間、室温で反応させた。その後、反応混合物を、3日間
、Spectra/Por膜を使って水に対して透析し、その後、高圧液体クロマトグラフ
ィーにより、Silasorb C18カラムを使いアセトニトリル勾配で精製した。ポリビ
ニルピロリドン-ポリエチレンイミンコンジュゲート3gを得た。
【0224】 実施例42 ポリアクリロイルモルホリン-ポリエチレンイミンコンジュゲートの合成 A. カルボキシ末端ポリアクリロイルモルホリンを、トーシリンら(Torchili
nら, J. Pharm. Sci. 84:1049, 1995)が記載した方法を使って得た。該モノマ
ーを、モルホリン(Aldrich)のアクリロイルクロライド(Aldrich)によるアシ
ル化により合成し、その後、水中で1%wt. 2,2'-アゾイソブチロニトリル(Sigma
)を開始剤とし、2-メルカプト酢酸を連鎖移動剤として重合した(Ranucciら, M
acromol. Chem. Phys., 195:3469, 1994)。得たポリマーの分子量(MW)は、粘
度測定およびSephadex G25によるゲル浸透クロマトグラフィーで定量して約8,00
0であった。
【0225】 B. 実施例40の方法に従い、ただしB項のカルボキシ末端ポリビニルピロリド
ン6gをカルボキシ末端ポリアクリロイルモルホリン16gに置き換えて、ポリアク
リロイルモルホリン-ポリエチレンイミンコンジュゲート4gを得た。
【0226】 実施例43 ポリアクリルアミド-ポリエチレンイミンコンジュゲートの合成 A. カルボキシ末端ポリアクリルアミドを、トーシリンら(Torchilinら, Bio
chim. Biophys. Acta., 1195:181, 1994)が記載した方法を使って取得した。ア
クリルアミド(Aldrich)の10重量パーセントをジオキサン中で、1% wt. 2,2'-
アゾイソブチロニトリル(Sigma)を開始剤とし、2-メルカプト酢酸を連鎖移動
剤として重合した。得たポリマーのMWは、粘度測定およびSephadex G25によるゲ
ル浸透クロマトグラフィーで定量して約5000であった。
【0227】 B. 実施例40の方法に従い、ただしB項のカルボキシ末端ポリビニルピロリド
ン6gをカルボキシ末端ポリアクリルアミド25gに置き換えて、ポリアクリルアミ
ド-ポリエチレンイミンコンジュゲート10gを得た。
【0228】 実施例44 ポリビニルトリアゾール-ポリエチレンイミンコンジュゲートの合成 実施例42の方法に従い、ただしA項のアクリルアミドモノマーをビニルトリア
ゾールモノマーに置き換えて、ポリビニルトリアゾール-ポリエチレンイミンコ
ンジュゲートの9.2gを得た。
【0229】 実施例45 ポリビニルアルコール-グラフト-ポリエチレンイミンコポリマーの合成 ポリビニルアルコール、mw. 100,000(Aldrich)20gを、無水アセトニトリル3
0ml中の1,1'-カルボニルジイミダゾール30mlにより4時間、室温で活性化した。
溶媒を減圧で蒸発し、残留物を水中に再溶解し、Membra‐Cel MD-25-03.5膜を通
して水に対して透析した。脱塩溶液を減圧で濃縮し、ポリエチレンイミン、mw.
2000の5gと、メタノール水溶液中で30時間、室温で反応させた。得たコンジュゲ
ートを、ゲル浸透カラムクロマトグラフィーによりSephadex-50(細)(Pharmacia
)上で精製した。ポリビニルアルコール-グラフト-ポリエチレンイミンコポリマ
ー16.5gを得た。
【0230】 実施例46 モノアミノ-ポリ(エチレングリコール)の合成 A. アルドリッチ社(Aldrich, St Louis, MO)から入手したポリ(エチレング
リコール)、MW 8,000を、4,4'-ジメトキシトリチル(DMT)クロライド(Sigma,
St Louis, MO)を使って、1つの末端ヒドロキシル基だけ修飾した。簡単に説明
すると、PEGの16g(2 mmol)を無水ピリジン(3 x 50ml)と共蒸発して減圧で乾燥し
、該溶媒100ml中に溶解した。その後、無水ピリジン10ml中の4,4'‐ジメトキシ
トリチルクロライド0.34g(1mmol)をこの溶液に滴状で30分間滴下し、一夜、25℃
で攪拌しながら放置した。モノトリチル化ポリマーを、易分解性(fast moving)
ビス置換副産物および未反応初期化合物から、分取カラムクロマトグラフィーに
よりシリカゲル(Selecto Scientific, Norcross, GA)、粒径32-63μm上で、ジ
クロメタン中のメタノールによる段階溶出を使って分離した。モノDMT置換ポリ(
エチレングリコール)(DMT-PEG)を含有する画分を集めて、溶媒を減圧で除去し
た。DMT-PEGを40%の収率で得た。
【0231】 B. モノアミノ-ポリ(エチレングリコール)(N-PEG)を調製するため、DMT-PE
G(0.18 mmol)1.5gを2回、減圧で無水アセトニトリル(10ml)と共蒸発し、そして
、ポリエーテルセグメントとポリカチオンセグメントを含むビオチン-ポリ(エチ
レングリコール)-ポリエチレニマー(polyethylenymer)34μgが結合した過剰量の
1,1'-カルボニイン(carbonyin)により処理した。さらに他の様態では、本発明は
、ポリエーテルポリマーセグメントに付着させるために5'または3'末端を共有結
合で修飾したポリヌクレオチド10を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/16 A61P 31/16 4C086 31/22 31/22 4C087 C08G 65/333 C08G 65/333 4J002 C08L 71/02 C08L 71/02 4J005 C12N 7/00 C12N 7/00 4J031 15/09 C07H 21/04 B // C07H 21/04 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 アラコフ,ヴァレリー,ワイ. カナダ国 エイチ9エックス 3ビー6, ケベック州,ダルフェ,サニー エイクレ ス バイエ 22 (72)発明者 ヴィノグラドフ,セルゲイ,ヴィ. アメリカ合衆国 68117 ネブラスカ州, オマハ,サウス 48番 ストリート 4504 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 CA01 CA02 CA11 CA20 DA02 DA03 DA07 EA04 GA11 GA18 GA19 HA17 4B065 AA01Y AA19X AA26Y AA90X AA93X AA99Y AB01 AC14 AC20 BA01 CA44 4C057 BB02 BB05 DD01 MM02 MM04 MM05 MM09 4C076 AA11 AA36 BB01 BB11 EE06 EE09 EE13 FF63 FF68 4C084 AA13 CA56 CA59 NA13 ZA552 ZA892 ZA962 ZB152 ZB262 4C086 AA01 EA16 NA13 ZA55 ZA89 ZA96 ZB15 ZB26 4C087 AA01 BC83 ZB33 ZC78 4J002 CH051 FD316 GB00 GB04 4J005 AA11 4J031 CC05 CD14

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の共有結合ポリマーセグメントを有するポリマーであっ
    て、該セグメントが、 (a) 少なくとも1つのポリカチオンセグメントであって、このセグメントは、少
    なくとも3つのカチオン性アミノ酸もしくは少なくとも3つのアミノアルキレン
    モノマーを含むカチオンホモポリマーもしくはコポリマーであり、該モノマーは
    、 (i)少なくとも1つの、式: 【化1】 の第3級アミノモノマーおよび該第3級アミノモノマーの第4級塩、並びに (ii)少なくとも1つの、式: 【化2】 の第2級アミノモノマー並びに該第2級アミノモノマーの酸付加物および第4級
    塩 から成る群より選択されるものである [式中、 R1は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはBモノマ
    ーであり; R2およびR3のそれぞれは、他と独立して、同一または異なる式: 【化3】 の直鎖もしくは分岐鎖アルカンジイル基であり(式中、zは2〜8の値を有する)
    ; R4は、ジェミナルに結合した炭素原子の1つの結合を満たす水素であり; R5は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはBモノマ
    ーであり; R6は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはBモノマ
    ーであり; R7は、式: 【化4】 の直鎖もしくは分岐鎖アルカンジイル基であり(式中、zは2〜8の値を有する)
    ;および R8は、水素、2〜8個の炭素原子を有するアルキル、AモノマーもしくはBモノマ
    ーである];並びに (b)少なくとも1の水溶性非イオン性ポリマーセグメント を含んでなる前記ポリマー。
  2. 【請求項2】 該水溶性非イオン性ポリマーセグメントが、アクリルアミド
    、グリセロール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニ
    ルピリジンN-オキシド、オキサゾリンまたはアクロイルモルホリン、およびそれ
    らの誘導体から成る群より選択されるモノマーの少なくとも1種からなるホモポ
    リマーもしくはコポリマーである、請求項1記載のポリマー。
  3. 【請求項3】 該水溶性非イオン性ポリマーが、次式: 【化5】 [式中、mは3〜約10,000の値を有する] を有する、請求項1記載のポリマー。
  4. 【請求項4】 該水溶性非イオン性ポリマーセグメントが、約5〜約400のモ
    ノマー単位を有する少なくとも1つの直鎖もしくは分岐鎖のポリエーテルセグメ
    ントを含んでなり、該ポリエーテルセグメントが、 (i)第1のアルキレンオキシモノマー-OCnH2n-からなるホモポリマー、または (ii)該第1のアルキレンオキシモノマーと、第2の異なるアルキレンオキシモ
    ノマー-OCmH2m-とのコポリマーもしくはブロックコポリマー[式中、nは2または
    3の値を有し、mは2〜4の値を有する] である、請求項1記載のポリマー。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のポリマーおよびポリヌクレオチドを含む組成
    物。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリマーおよびターゲティング分子を含む組
    成物。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリマー、ポリヌクレオチドおよび界面活性
    剤を含む組成物。
  8. 【請求項8】 該界面活性剤が、カチオン性、非イオン性または両イオン性
    である請求項4記載の組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のポリマーおよびウィルスを含む組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のポリマー並びに少なくとも1つのリガンド
    および受容体を含む組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1記載のポリマー並びに少なくとも1つのビオチン
    、アビジンおよびストレプトアビジンを含む組成物。
  12. 【請求項12】 治療を必要とする哺乳動物を治療する方法であって、該哺
    乳動物に有効量の請求項1記載のポリマーを投与することを含んでなる前記方法
  13. 【請求項13】 少なくとも1つのポリヌクレオチドセグメントおよび少な
    くとも1つのポリエーテルセグメントを含むコポリマーであって、該ポリエーテ
    ルセグメントが、オキシエチレンおよびオキシプロピレンを含んでなる前記コポ
    リマー。
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