JP2003525029A - 哺乳動物接着性プロテアーゼペプチド - Google Patents

哺乳動物接着性プロテアーゼペプチド

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オー. シェパード,ポール
バインドゥア,ナンド
ディー. ビショップ,ポール
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ザイモジェネティクス,インコーポレイティド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ジスインテグリンプロテアーゼの新規なメンバーであるMAPPのポリヌクレオチドおよびポリペプチド分子、およびそれらの変異型に関する。ポリペプチド、およびそれらをコードするポリヌクレオチドは細胞−細胞の相互作用をモジュレートし、デリバリーおよび療法において使用することができる。また、本発明は、MAPPポリペプチドに対する抗体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 ジスインテグリンは、種々の細胞、例えば、血小板、繊維芽細胞、腫瘍、内皮
、筋、ニューロン、骨、および精子細胞の表面上の、インテグリンを包含する、
細胞表面分子に結合することが示された。ジスインテグリンは、細胞−マトリッ
クスおよび細胞−細胞の相互作用を研究するための、独特な、潜在的に有効なツ
ールである。さらに、ジスインテグリンは、ある種の腫瘍細胞の抗接着性、抗移
動性、および抗血管形成活性を有するために、抗血栓および抗転移因子の開発に
おいて有効である。 ジスインテグリンドメインを有するタンパク質のファミリーは、ADAM(Aジス
インテグリンおよびメタロプロテアーゼ)、MDC(メタロプロテアーゼ/ジスイ
ンテグリン/システインに富んだ)およびSVMP(ヘビ毒液メタロプロテアーゼ)
を包含する。
【0002】 ADAMの概観については、下記の文献を参照のこと:WolfsbergおよびWhite、De
velopmental Biology、180:389−401、1996。ADAMは、独立の機能的単位とし
て、ならびにヘテロダイマー複合体におけるこのファミリーの他のメンバーと組
合わせて存在することが示された。このファミリーのあるものメンバーは、選択
的スプライシングから生ずることがある多重イソ型を有する。ADAMタンパク質は
、それらの細胞外ドメインにおいて接着性機能ならびに抗接着性機能を有するこ
とが示された。ADAMファミリーのいくつかのメンバーは非常に特異的組織分布を
有するが、他のものは広く分布されている。このファミリーのすべてが、それら
の遺伝的構造に共通のドメインにより表される潜在的機能のすべてを発現できる
わけではない。
【0003】 ADAMは、プロペプチドドメイン、メタロプロテアーゼ様ドメイン、ジスインテ
グリン様ドメイン、システインに富んだドメイン、FGF様ドメイン、および細胞
質ドメインを有することにより特徴づけられる。 このファミリーのプロトタイプの例はADAM12である。ADAM12は、またメルトリ
ンとして知られており、トランケートイソ型、ならびに全長のイソ型を有し、筋
細胞の融合および分化に関係づけられる(Gilpin他、J. Biol. Chem. 273:1
57−166、1998)。融合に関係する他のADAMはADAM1およびADAM2であり、これら
はヘテロダイマー(フェルチリン(fertilin))を形成し、精子/卵の融合に関
係する(WolfsbergおよびWhite、前掲)。
【0004】 SVMPは3つのクラスにより表される(P−I、P−II、およびP−III)。すべての
3つのクラスはプロペプチドドメインおよびメタロプロテアーゼドメインを含有
する。P−IIおよびP−IIIクラスはまたジスインテグリンドメインを含有し、そ
してP−IIIクラスはシステインに富んだドメインをさらに含有する。これらのド
メインは配列がADAMの中に見出される配列に類似する。SVMPファミリーのいくつ
かのメンバーは、保存された「RGD」アミノ酸配列を有する。このトリペプチド
はヘアピンループを形成することが示され、そのコンフォメーションは活性化さ
れた血小板に対するフィブリノゲンの結合を崩壊することができる。
【0005】 この「RGD」配列はP−II SVMP中のRSE、MVD、MSE、およびKGDにより置換され
、そしてP−III SVMP中のMSEC(配列番号14)、RSEC(配列番号15)、IDDC(配
列番号16)、およびRDDC(配列番号17)(カルボキシ末端のシステイン残基をも
つトリペプチド)により置換されることができる。こうして、これらの配列はP
−IIおよびP−III SVMPにおけるインテグリンの結合に関係づけることができる
。 SVMPのプロトタイプの例はジャラルハギンであり、これはジスインテグリンド
メインを介して血小板a2サブユニット(GPIa)に結合し、次いでb1サブユニット
(GPIIA)のタンパク質分解により血小板凝集を仲介する(HuangおよびLiu、J.
Taxicol−Toxin Reviews 16:135−161、1997)。
【0006】 メタロプロテアーゼ/ジスインテグリン/システインに富んだファミリーのタ
ンパク質は、受精および筋細胞融合、原形質膜からのTNFa解放、細胞内タンパク
質切断、およびニューロン発生の本質的機能における役割を包含する、多様な仕
事に関係する。また、このファミリーは、前述したように、メタロプロテアーゼ
、ジスインテグリンおよびシステインに富んだドメインにより特徴づけられる。
【0007】 療法上有効であることが示されたタンパク質のDPファミリーのメンバーは下記
のものを包含する:エプチフィバチド(IntegrilinR、COR Therapeutics,Inc.
およびKey Pharmaceuticals,Inc.製)、これは急性冠状動脈症候群の抗凝固剤
として有効である、およびコントルトロスタチン、これはβ1インテグリン仲介
ヒト転移性黒色腫細胞接着を抑制し、実験的転移をブロックし(Trikha、M. 他
、Cancer Research 54:4993−4998、1994)そして血小板凝集を阻害する(Cl
ark,E. A. 他、J. Biol. Chem. 269(35):21940−21943、1994)。 本発明は、ジスインテグリンプロテアーゼの新規なメンバーおよび関係する組
成物を提供し、これらの使用は本明細書における教示から当業者にとって明らか
となるであろう。
【0008】 発明の要約 1つの面において、本発明は、配列番号2の残基475〜488を含んでなる単離され
たポリペプチド分子を提供する。ある態様において、単離されたポリペプチド分
子は1つのアミノ酸置換を有する。他の態様において、単離されたポリペプチド
分子は2つのアミノ酸置換を有する。他の態様において、単離されたポリペプチ
ド分子は配列番号2の残基420〜495に対応する。
【0009】 他の態様において、ポリペプチド分子は下記のポリペプチド分子から成る群か
ら選択される:a)配列番号2の残基208〜495を含んでなるポリペプチド分子; b)配列番号2の残基31〜495を含んでなるポリペプチド分子; c)配列番号2の残基1〜495を含んでなるポリペプチド分子; d)配列番号2の残基1〜802を含んでなるポリペプチド分子; e)配列番号4の残基1〜812を含んでなるポリペプチド分子。
【0010】 他の態様において、本発明は、ポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
レオチドを提供する。他の態様において、本発明は、配列番号2の残基475〜488
を含んでなる単離されたポリペプチド分子を提供し、ここで配列番号2または配
列番号4の少なくとも9つの隣接アミノ酸残基はペプチド結合またはポリペプチド
リンカーを介して第2ポリペプチドに作用可能に連鎖されており、第2ポリペプチ
ドはマルトース結合性タンパク質、免疫グロブリン定常領域、およびポリヒスチ
ジンタグから成る群から選択される。
【0011】 他の面において、単離されたポリペプチド分子を提供し、ここでポリペプチド
分子は下記のものから成る群から選択される: a)配列番号2の残基208〜410を含んでなるポリペプチド分子; b)配列番号2の残基497〜802を含んでなるポリペプチド分子; c)配列番号2の残基31〜200を含んでなるポリペプチド分子; d)配列番号4の残基497〜701を含んでなるポリペプチド分子; e)配列番号4の残基702〜724を含んでなるポリペプチド分子; f)配列番号4の残基725〜812を含んでなるポリペプチド分子; g)配列番号2の残基208〜495を含んでなるポリペプチド分子; h)配列番号2の残基31〜495を含んでなるポリペプチド分子; i)配列番号2の残基1〜495を含んでなるポリペプチド分子;
【0012】 j)配列番号2の残基208〜802を含んでなるポリペプチド分子; k)配列番号2の残基31〜802を含んでなるポリペプチド分子; l)配列番号2の残基1〜802を含んでなるポリペプチド分子; m)配列番号4の残基420〜812を含んでなるポリペプチド分子; n)配列番号4の残基204〜812を含んでなるポリペプチド分子; o)配列番号4の残基31〜812を含んでなるポリペプチド分子; p)配列番号4の残基1〜812を含んでなるポリペプチド分子; q)配列番号4の残基725〜812を含んでなるポリペプチド分子; r)配列番号4の残基497〜724を含んでなるポリペプチド分子; s)配列番号4の残基420〜724を含んでなるポリペプチド分子; t)配列番号4の残基208〜724を含んでなるポリペプチド分子; u)配列番号4の残基31〜724を含んでなるポリペプチド分子;および v)配列番号4の残基1〜724を含んでなるポリペプチド分子。
【0013】 ある態様において、下記の作用可能に連鎖された因子を含んでなる発現ベクタ
ーが提供される: 転写プロモーター; ポリペプチドをコードするDNAセグメント;および 転写ターミネーター。 ある態様において、DNAセグメントは親和標識をコードする。他の態様におい
て、発現ベクターを培養された細胞の中に導入し、この細胞はDNAセグメントに
よりコードされるポリペプチドを発現する。それ以上の態様において、本発明は
、細胞を培養し、これにより細胞はDNAセグメントによりコードされるポリペプ
チドを発現し、そしてポリペプチドを回収する、ことを含んでなるポリペプチド
を産生する方法を提供する。他の態様において、本発明はこの方法により産生さ
れたポリペプチドを提供する。
【0014】 他の態様において、単離されたポリペプチド分子、およびそれらをコードする
ポリヌクレオチド分子が提供され、ここでポリペプチド分子はアミノ酸の隣接配
列を含んでなり、アミノ酸の隣接配列は下記の配列から成る群から選択される:
すべてが配列番号2の残基3〜10;残基153〜162;残基143〜168;残基179〜188;
残基196〜211;残基225〜236;残基263〜274;残基284〜297;残基430〜439;残
基550〜561;残基637〜650;残基712〜719;残基754〜763;および残基781〜802
、およびすべてが配列番号4の残基679〜700;
【0015】 残基735〜756;残基748〜756;残基775〜792;および残基797〜806;およびす
べてが配列番号2の残基82〜100;残基109〜123;残基145〜167;残基179〜188;
残基195〜211;残基223〜238;残基262〜274;残基286〜297;残基390〜398;残
基430〜439;残基520〜537;残基550〜561;残基636〜649;残基712〜719;残基
753〜765;および残基残基781〜802;およびすべてが配列番号4の残基662〜671
;残基678〜699;残基729〜759;および残基769〜807。
【0016】 他の態様において、本発明は、下記の工程を含んでなる、前述の方法により製
造されたポリペプチドに対する抗体を産生する方法を提供する:ポリペプチドを
動物に接種し、これによりポリペプチドは動物において免疫応答を誘発して抗体
を産生させ;そして動物から抗体を回収する。他の態様において、この方法によ
り産生された抗体は配列番号2または4のポリペプチドに結合する。他の態様にお
いて、本発明は、配列番号2の残基475〜488を含んでなるポリペプチドに特異的
に結合する抗体を提供する。
【0017】 他の態様において、本発明は、下記のポリペプチドから成る群から選択される
ポリペプチドと細胞を組合わせ、これにより細胞をポリペプチドと接触するよう
にさせることによって細胞−細胞の相互作用をモジュレートする方法を提供する
: a)配列番号2の残基475〜488を含んでなるポリペプチド; b)配列番号2の残基420〜495を含んでなるポリペプチド; c)配列番号2の残基208〜410を含んでなるポリペプチド; d)配列番号2の残基497〜802を含んでなるポリペプチド; e)配列番号2の残基31〜200を含んでなるポリペプチド; f)配列番号4の残基497〜701を含んでなるポリペプチド; g)配列番号4の残基702〜724を含んでなるポリペプチド;および h)配列番号4の残基725〜812を含んでなるポリペプチド。
【0018】 ある態様において、細胞を下記の組織から成る群から選択される組織から誘導
する:a)精巣からの組織;b)卵巣からの組織;c)脊髄からの組織;d)前立腺
からの組織;e)小腸からの組織;およびf)結腸からの組織。
【0019】 他の面において、本発明は、配列番号2の残基208〜410を含んでなる、単離さ
れたポリペプチドを提供する。他の態様において、このポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドが提供される。 1つの面において、本発明は、下記のポリペプチド分子から成る群から選択さ
れる単離されたポリペプチド分子を提供する:配列番号2の14アミノ酸の隣接配
列を含んでなるポリペプチド;およびb)配列番号4の14アミノ酸の隣接配列を含
んでなるポリペプチド。ある態様において、ポリペプチド分子は78〜305アミノ
酸長さである。
【0020】 他の態様において、本発明は、下記のポリペプチド分子から成る群から選択さ
れる単離されたポリペプチド分子を提供する: 配列番号2の残基31〜200を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号2の残基208〜410を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号2の残基475〜488を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号2の残基420〜495を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号2の残基497〜802を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号2の残基31〜802を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号2の残基208〜495を含んでなるポリペプチド分子;
【0021】 配列番号2の残基208〜802を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基497〜701を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基702〜724を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基725〜812を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基204〜701を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基204〜724を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基31〜812を含んでなるポリペプチド分子; 配列番号4の残基1〜812を含んでなるポリペプチド分子;および 配列番号2の残基1〜802を含んでなるポリペプチド分子。
【0022】 他の面において、本発明は、配列番号2の14アミノ酸の隣接配列を含んでなる
ポリペプチド分子をコードする単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。他
の態様において、ポリペプチド分子は配列番号2の残基475〜488を含んでなる。
他の態様において、ポリペプチド分子は78〜305アミノ酸長さである。
【0023】 他の面において、本発明は、第1ポリペプチドセグメントと第2ポリペプチドセ
グメントとを含んでなる融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチ
ド分子を提供し、ここで第1ポリペプチドセグメントはプロテアーゼドメインを
含んでなり、第2ポリペプチドセグメントは配列番号2の残基419〜495の14アミノ
酸の隣接配列を含んでなり、そして第1ポリペプチドセグメントは第2ポリペプチ
ドセグメントに対してアミノ末端に位置する。他の態様において、プロテアーゼ
ドメインは下記のドメインから成る群から選択される:ジスインテグリンプロテ
アーゼのメンバーであるプロテアーゼドメイン;および配列番号2の残基208〜41
0に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくと
も97%の同一性を有するプロテアーゼドメイン。
【0024】 他の面において、本発明は、第1ポリペプチドセグメントと第2ポリペプチドセ
グメントとを含んでなる融合タンパク質をコードする単離されたポリヌクレオチ
ド分子を提供し、ここで第1ポリペプチドセグメントは配列番号2の残基208〜410
の14アミノ酸の第1隣接配列を含んでなり、第2ポリペプチドセグメントはジスイ
ンテグリンドメインを含んでなり、そして第1ポリペプチドセグメントは第2ポリ
ペプチドセグメントに対してアミノ末端に位置する。他の態様において、ジスイ
ンテグリンドメインは下記のドメインから成る群から選択される:ジスインテグ
リンプロテアーゼのメンバーであるジスインテグリンドメイン;および配列番号
2の残基420〜495に対して少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、
または少なくとも97%の同一性を有するジスインテグリンドメイン。
【0025】 他の面において、本発明は、ポリペプチド分子をコードする単離されたポリヌ
クレオチド分子を提供し、ここでポリヌクレオチド分子は下記のポリヌクレオチ
ドから成る群から選択される:配列番号2の残基208〜410に対して少なくとも80
%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の同一性を有する
ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチド分子;および配列番号2の残基2
08〜410に対して相補的であるポリヌクレオチド分子。
【0026】 他の面において、単離されたポリヌクレオチド分子は下記のポリヌクレオチド
分子から成る群から選択される:配列番号2の残基31〜207に対して少なくとも80
%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の同一性を有する
ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチド分子;および配列番号2の残基3
1〜207に対して相補的であるポリヌクレオチド分子。
【0027】 他の面において、単離されたポリヌクレオチド分子は下記のポリヌクレオチド
分子から成る群から選択される:配列番号2の残基1〜802に対して少なくとも80
%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%の同一性を有する
ポリペプチド分子をコードするポリヌクレオチド分子;配列番号2の残基1〜812
に対して少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド分子をコードするポリヌ
クレオチド分子;および配列番号2の残基1〜802に対して相補的であるポリヌク
レオチド分子。 本発明のこれらおよび他の面は、本発明の下記の詳細な説明および添付図面を
参照すると、明らかとなるであろう。
【0028】 発明の詳細な説明 本発明を詳細に説明する前に、下記の用語を定義することは本発明の理解の助
けとなるであろう: 用語「親和標識」は、本明細書において、第2ポリペプチドの精製または検出
を提供するか、あるいはマトリックスへの第2ポリペプチドの結合部位を提供す
るために、第2ペプチドに結合させることができるポリペプチドのセグメントを
表すために使用される。原理的には、抗体または他の特異的結合因子が利用可能
な任意のペプチドまたはタンパク質を親和標識として使用することができる。
【0029】 親和標識は下記のものを包含する:ポリヒスチジントラクト、プロテインA(N
ilsson他、EMBO J. 4:1075、1985;Nilsson他、Methods Enzymol. 198:3
、1991)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(SmithおよびJohnson、Gene 67
:31、1988)、Glu−Glu親和標識(Grussenmeyer他、Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 82:7952−4、1985)、サブスタンスP、FlagTMペプチド(Hopp他、Biot
echnology 6:1204−1210、1988)、ストレプトアビジン結合性ペプチド、マル
トース結合性タンパク質(Guan他、Gene 67:21−30、1987)、セルロース結合
性タンパク質、チオレドキシ、ユビクイチン、T7ポリメラーゼ、または他の抗原
エピトープまたは結合ドメイン。
【0030】 一般に、Ford他、Protein Expression and Purification 2:95−107、19
91、参照。親和標識をコードするDNAおよび他の試薬は、商業的供給会社から入
手可能である(例えば、Pharmacia Biotech、ニュージャージイ州ピスカタウェ
イ;Eastman Kodak、コネチカット州ニューヘブン)。 用語「アミノ末端」または「カルボキシル末端」は、本明細書において、ポリ
ペプチド内の位置を表すために使用される。この関係が許す場合、これらの用語
は近接性または相対的位置を表すためにポリペプチドの特定の配列または部分を
参照して使用される。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシル
末端に位置するある種の配列は参照配列のカルボキシル末端に対して近接して位
置するが、完全なポリペプチドのカルボキシル末端に必ずしも存在しない。
【0031】 用語「ポリヌクレオチド分子の補体」は、相補的塩基配列を有しかつ参照配列
に比較して逆の向きを有するポリヌクレオチド分子である。例えば、配列5' AT
GCACGGG 3'は5' CCCGTGCAT 3'に対して相補的である。 用語「に対応する」は、配列中のアミノ酸残基の位置に適用するとき、配列を
最適に整列させたとき、複数の配列中の対応する位置を意味する。 用語「縮重ヌクレオチド配列」は、1またはそれ以上の縮重コドンを含むヌク
レオチド配列(ポリペプチドをコードする参照ポリヌクレオチド分子に比較して
)を表す。縮重コドンはヌクレオチドの異なるトリプレットを含有するが、同一
アミノ酸残基をコードする(すなわち、GAUおよびGACのトリプレットの各々はAs
pをコードする)。
【0032】 用語「発現ベクター」は、問題のポリペプチドの転写を提供する追加のセグメ
ントに作用可能に連鎖された、問題のポリペプチドをコードするセグメントから
なる、線状または円形のDNA分子を表すために使用される。このような追加のセ
グメントは、プロモーターおよびターミネーターの配列を包含し、そして、また
、1またはそれ以上の複製起点、1またはそれ以上の選択可能なマーカー、エンハ
ンサー、ポリアデニル化シグナル、およびその他を包含することができる。発現
ベクターは、一般に、プラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、あるいは双
方の因子を含有することができる。
【0033】 用語「単離された」は、ポリヌクレオチドに適用されるとき、ポリヌクレオチ
ドがその自然の遺伝的環境から取出され、こうして他の余分のまたは望ましくな
いコーディング配列を含まず、そして遺伝子操作されたタンパク質の産生系内で
使用するために適当な形態であることを表す。このような単離された分子はそれ
らの自然の環境から分離されたものであり、そしてcDNAおよびゲノムのクローン
を包含する。本発明の単離されたDNA分子は、それらが通常アソシエートする他
の遺伝子を含まないが、天然に存在する5'および3'の非翻訳領域、例えば、プロ
モーターおよびターミネーターを包むことができる。アソシエートされた領域の
同定は当業者にとって明らかであろう(例えば、DynanおよびTijan、Nature 31
6:774−78、1985、参照)。
【0034】 「単離された」ポリペプチドまたはタンパク質は、その自然環境、例えば、血
液および動物の組織、以外の条件において見出されるポリペプチドまたはタンパ
ク質である。好ましい形態において、単離されたポリペプチドは他のポリペプチ
ド、特に動物由来の他のポリペプチドを実質的に含まない。高度に精製された形
態、すなわち、95%より大きい純度、より好ましくは99%より大きい純度のポリ
ペプチドを提供することが好ましい。この関係において使用するとき、用語「単
離された」は別の物理的形態、例えば、二量体、あるいはグリコシル化または誘
導化された形態の同一ポリペプチドの存在を排除しない。
【0035】 用語「作用可能に連鎖された」は、2またはそれ以上の実在物がそれらの意図
する目的のために協力して機能するように、それらが一緒に結合されていること
を意味する。DNAセグメントについて言及するとき、この句は、例えば、コーデ
ィング配列が正しいリーディングフレームで結合され、そして転写がプロモータ
ーにおいて開始し、1またはそれ以上のコーディングセグメントを通してターミ
ネーターに進行することを示す。ポリペプチドについて言及するおき、「作用可
能に連鎖された」は共有結合(例えば、ジサルファイド結合により)および非共
有結合(例えば、水素結合、疎水性相互作用、または塩架橋相互作用により)の
両方で結合された配列を包含し、ここで配列の1またはそれ以上の所望の機能は
保持される。
【0036】 用語「オーソログ」または「種の相同体」は、異なる種からのポリペプチドま
たはタンパク質の機能的対応物である、1つの種から得られたポリペプチドまた
はタンパク質を表す。オーソログ間の配列の差は種形成の結果である。
【0037】 「ポリヌクレオチド」は、5'→3'末端の方向に読んだ、デオキシリボヌクレオ
チドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖のポリマーである。ポリ
ヌクレオチドはRNAおよびDNAを包含し、天然源から単離され、in vitroで合成
されるか、あるいは天然の分子と合成の分子との組合わせから製造することがで
きる。ポリヌクレオチドのサイズは、塩基対(略号「bp」)、ヌクレオチド(「
nt」)、またはキロ塩基(「kb」)として表される。
【0038】 この関係が許す場合、後者の2つの用語は一本鎖または二本鎖であるポリヌク
レオチドを記載することができる。この用語を二本鎖の分子に適用するとき、そ
れは全体の長さを表すために使用され、そして用語「塩基対」に等しいと理解さ
れるであろう。当業者は認識するように、二本鎖ポリヌクレオチドの2つの鎖は
わずかに長さが異なることがあり、そして酵素切断の結果その末端は食い違うこ
とがある;こうして、二本鎖ポリヌクレオチド内のすべてのヌクレオチドは対合
していなことがある。このような不対末端は一般に20ヌクレオチド長さを越えな
い。
【0039】 「ポリペプチド」は、自然にまたは合成的に生産されたかどうかにかかわらず
、ペプチド結合により結合されたアミノ酸残基のポリマーである。約10アミノ酸
残基より小さいポリペプチドは普通に「ペプチド」と呼ばれる。 用語「プロモーター」は、本明細書において、RNAポリメラーゼの結合を提供
しかつ転写を開始させるDNA配列を含有する遺伝子の部分を表す、この分野にお
いて認識されている意味において使用される。プロモーター配列は普通に、しか
し常にではないが、遺伝子の5'非コーディング領域の中に見出される。
【0040】 「タンパク質」は、1またはそれ以上のポリペプチド鎖を含んでなる高分子で
ある。タンパク質は、また、非ペプチド成分、例えば、炭水化物基を含んでなる
ことができる。炭水化物および他の非ペプチド置換基は、タンパク質が産生され
る細胞により、タンパク質に付加されることがあり、そして細胞のタイプととも
に変化するであろう。タンパク質は、本明細書において、アミノ酸バックボーン
構造により定義される;置換基、例えば、炭水化物基は一般に特定されないが、
それにもかかわらず、存在することができる。
【0041】 用語「レセプター」は、生物活性分子(すなわち、リガンド)に結合し、細胞
上のリガンドの作用を伝達する、細胞関連タンパク質を表す。膜に結合したレセ
プターは、細胞外リガンド結合性ドメインと、典型的にはシグナルトランスダク
ションに関係する細胞内エフェクタードメインとからなる、多ペプチド構造によ
り特徴づけられる。レセプターへのリガンドの結合は、エフェクタードメインと
、細胞中の1またはそれ以上の他の分子との間の相互作用を引き起こす、レセプ
ターにおけるコンフォメーションの変化を生ずる。この相互作用は、引き続いて
、細胞の代謝の変更に導く。
【0042】 レセプター−リガンドの相互作用に関係する代謝事象は、遺伝子の転写、リン
酸化、脱リン酸化、サイクル的AMP産生の増加、細胞のカルシウムの移動化、膜
脂質の移動化、細胞の接着、イノシトール脂質の加水分解、およびリン脂質の加
水分解を包含する。一般に、レセプターは、膜結合、細胞質ゾルまたは核レセプ
ター;モノマーのレセプター(例えば、甲状腺刺激ホルモンのレセプター、ベー
タ−アドレナリン作動性レセプター)またはマルチマーのレセプター(例えば、
PDGFレセプター、成長ホルモンレセプター、IL−3レセプター、GM−CSFレセプタ
ー、G−CSFレセプター、エリトロポイエチンレセプターおよびIL−6レセプター
)であることができる。
【0043】 用語「分泌シグナル配列」は、ポリペプチド(「分泌ペプチド」)をコードす
るDNA配列を表し、それは、より大きいポリペプチドの1成分として、より大きい
ポリペプチドが合成される細胞の分泌経路を通してそのポリペプチドを向ける。
通常、より大きいポリペプチドは、分泌経路を通る移行の間に切断されて、分泌
ペプチドを除去する。
【0044】 「セグメント」は、特定した属性を有するより大きい分子(例えば、ポリヌク
レオチドまたはポリペプチド)の一部分である。例えば、特定したポリペプチド
をコードするDNAセグメントは、5'→3'方向に読んだとき、特定したポリペプチ
ドのアミノ酸配列をコードする、より大きいDNA分子の部分、例えば、プラスミ
ドまたはプラスミドフラグメントである。
【0045】 用語「スプライス変異型」は、本明細書において、遺伝子から転写されたRNA
の別の形態を表すために使用される。スプライス変異型は転写されたRNA分子内
の、あるいはそれ程普通ではないが別々に転写されたRNA分子の間の、オールタ
ネイトスプライス部位の使用により自然に発生し、そして同一遺伝子から転写さ
れたいくつかのmRNAを生ずることがある。スプライス変異型は、変更されたアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。また、スプライス変
異型という用語は、本明細書において、ある遺伝子から転写されたmRNAのスプラ
イス変異型によりコードされるタンパク質を表すために使用される。
【0046】 不正確な分析法(例えば、ゲル電気泳動)により決定されたポリマーの分子量
および長さは、近似値であると理解されるであろう。このような値を「約」Xま
たは「ほぼ」Xとして表すとき、Xの記載する値は±10%の正確さであると理解さ
れるであろう。 本明細書において引用するすべての参考文献は、それらの全体において引用す
ることによって本明細書の一部とされる。
【0047】 本発明は、新規なcDNA配列(配列番号1および3)およびジスインテグリン様フ
ァミリーのメンバー(ADAM、SVMPおよびMDC;本明細書においてジスインテグリ
ンプロテアーゼ、または「DP」と呼ぶ)に対して相同性を有する対応するポリペ
プチドの発見に基づく。例えば、下記の文献を参照のこと:Blobel、C.P.、Cell
90:589−592、1997、およびWolfsbergおよびWhite、Developmental Biology
、180:389−401、1996。ジスインテグリンは、例えば、抗凝固、受精、筋細胞
融合、および神経発生に関係づけることができる。本発明のポリヌクレオチドお
よびポリペプチドは、哺乳動物接着プロテアーゼポリペプチド(MAPP)と表示さ
れ、また、本明細書において「zdint2」命名する。 DPのいくつかのメンバーのドメイン構造の論考は、本発明をいっそう詳細に説
明することを促進するであろう。分泌ペプチドは前述した通りである。
【0048】 ポリペプチドドメインは通常メタロプロテアーゼドメインに対してアミノ末端
であり、そしてメタロプロテアーゼドメインのインヒビターとして作用すること
ができ(多分を介してシステイン−スイッチのメカニズムを介して)、こうして
メタロプロテアーゼドメインはある種の環境において活性化される。この阻害は
メタロプロテアーゼドメインの活性部位をブロックすることによることができる
。 プロテアーゼドメインは活性または不活性であることができる。
【0049】 ジスインテグリンファミリーのいくつかのメンバーは、システインに富んだド
メイン中の「システイン−スイッチ」により調節できる、「活性」亜鉛触媒部位
を有する。「活性」プロテアーゼドメインを有するファミリーメンバーの例はAD
AM1およびADAM10であり、これらは、それぞれ、ミエリン鞘塩基性タンパク質の
精子/卵の融合および分解に関係する。このような触媒部位をもたないこのファ
ミリーのメンバー、例えば、ADAM11を包含し、これは腫瘍抑制に関係づけること
ができる。不活性化プロテアーゼドメインを有することが知られている他のタン
パク質ファミリーはセリンプロテアーゼである。
【0050】 接着(ジスインテグリン)ドメインは、ジスインテグリンの特異性に依存して
、多数の細胞の表面上に位置することができるインテグリンまたは細胞表面レセ
プターと結合する。このジスインテグリンドメイン内の予測された結合部位は、
しばしば約13〜14アミノ酸を含んでなるアミノ酸ループである。Wolfsbergおよ
びWhite、前掲、参照。フォルディング時のこの配列のコンフォメーションは、
その先端にアミノ酸配列を提示するヘアピンループを生ずる。この配列はしばし
ば「RGD」であるが、種々の他のアミノ酸残基により置換されることができる(W
olfsbergおよびWhite、前掲、およびJia、J. Biol. Chem. 272:13194-13102
、1977)。
【0051】 これらの配列の多様性は下記の事実を反映する:1)ジスインテグリンドメイ
ンのすべてがインテグリンのリガンド(または他の細胞表面レセプター)として
働くわけではない;2)異なる配列をもつジスインテグリンドメインは異なるタ
イプのインテグリンまたは細胞表面レセプターに結合する;または3)ジスイン
テグリンループの重要な部分はその構造であり、その配列ではなく、こうして、
ジスインテグリンドメインの特別のクラスのインテグリンまたはレセプターは多
数のジスインテグリン結合性ループ配列を認識することができる。ジスインテグ
リンドメインは、結合GPIIb/IIIa(フィブロネクチンレセプター)および/ま
たはGPIa/IIa(コラーゲンレセプター)による血小板凝集の阻害を包含する、
細胞−細胞の相互作用に関係することが示された。
【0052】 多数のジスインテグリンファミリーのメンバーは、融合ドメイン、すなわち、
約23アミノ酸の比較的疎水性のドメインを有する。このドメインはいくつかのAD
AMファミリーのメンバー内に存在し、細胞−細胞融合、特に精子/卵融合、およ
び筋細胞融合に関係することが示された。 システインに富んだドメインはDPファミリーのメンバーにおいて変化し、イン
テグリンに対するインテグリン結合領域の構造的提示に関係すると考えられる。
このファミリーのジスインテグリン様メンバーについて、システインに富んだド
メインはまたポリペプチドの二次構造のコンフォメーション、特にジスインテグ
リンドメインとシステインドメインとの間のジサルファイド結合のために必要で
あることがある。
【0053】 多数のDPファミリーのメンバーはトランスメンブランドメインを有し、これは
ポリペプチドを細胞膜に定着させる作用をする。膜定着DPは「タンパク質エクト
ドメインシェディング」と呼ぶプロセスに関係づけることができ、ここでメタロ
プロテアーゼドメインは他のタンパク質の1またはそれ以上の細胞外ドメインを
切断する。これらの場合において、メタロプロテアーゼは、フェルトリン(ADAM
1および2)またはTACE(ADAM17)の場合におけるように、細胞表面それ自体上で
活性であることができるか、あるいはメタロプロテアーゼは、KUZおよびADAM10
について記載されたように、二次経路において細胞内で作用することができる(
それぞれ、Blobel、C.P.、前掲;およびLammich、S. 他、Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 96:3922−3927、1999)。
【0054】 これらの膜定着メタロプロテアーゼはそれらの遺伝子が転写される組織におい
て活性であるようであり、この場合においてそれらは同一細胞表面に結合した他
のタンパク質上でシスで作用することができ、他の細胞表面に結合したタンパク
質上で、または膜結合していない他のタンパク質上でトランスで作用することが
できる。さらに、膜アンカーそれ自体は切断されて、体中の他の部位において活
性であることができるメタロプロテアーゼ/ジスインテグリンの可溶性形態を生
ずることができる。
【0055】 ジスインテグリンファミリーのメンバーの細胞質、またはシグナリング、ドメ
インはリン酸化のための長さおよび部位が保存される傾向がある。しかしながら
、それを越えると、それらはアミノ酸組成においてユニークである傾向がある。
いくつかのジスインテグリンファミリーのメンバーは、Ab1のSH3ドメイン、Src
、および/またはSrc関係SH3ドメインに結合することによってシグナリングする
ことができる。
【0056】 MAPP推定アミノ酸配列(配列番号2および4)の検査すると、2つの変異型を同
定することができた。第1変異型は下記のドメインを有する:分泌ペプチドドメ
イン、配列番号2の残基1で開始し、残基24、25、26、27、28、29または30で終わ
る;推定上のペプチドドメイン、配列番号2の残基28、29、30または31で開始し
、残基200、203、205または207で終わる;プロテアーゼドメイン、配列番号2の2
04または208で開始し、残基410または419で終わる;ジスインテグリンドメイン
、配列番号2の419または420で開始し、残基495または496で終わる;およびシス
テインに富んだドメイン、配列番号2の496または497で開始し、残基802で終わる
。アミノ酸配列DCDは、配列番号2の残基481〜483に対応し、DPのいくつかの他の
メンバーの「RGD結合性ループ」に類似する。プロテアーゼドメイン内に、配列
番号2の残基345〜残基356の活性亜鉛触媒部位が存在する。
【0057】 第2変異型はシグナル、推定上のプロペプチド、メタロプロテアーゼ、および
ジスインテグリンのドメインを第1変異型と共有する。第2変異型のポリヌクレオ
チド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、配列番号3および4に示す。第2
変異型のポリペプチド配列は、システインに富んだドメインにおいて開始する第
1変異型(配列番号2)の配列から分岐する。こうして、それは配列番号2または4
の残基1〜661からの第1変異型のポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列
を有する。さらに、第2変異型はトランスメンブランドメインおよび細胞質ドメ
インを有する。システインに富んだドメインは、配列番号4の496または497で開
始し、残基701で終わる。トランスメンブランドメインは、配列番号4の702で開
始し、残基724で終わる。細胞質ドメインは、配列番号4の725で開始し、残基812
で終わる。
【0058】 ヒト多組織ブロット(CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォルニア州パロ
アルト)を使用してノザンブロット技術によりMAPPの組織分布の分析を実行し、
そして精巣、卵巣、前立腺、小腸、および結腸において強いシグナル、および胃
、甲状腺、脊髄、リンパ節、および気管において弱いシグナルを有する約4.4kb
の単一の転写物が得られた。また、多組織ノザン上に、2つの転写物、約4.0kbお
よび約4.4kbが存在し、それらの両方は心臓組織において中程度のシグナルであ
った。RNAマスタードットブロットは多数の組織において弱いシグナルを示し、
脊髄、心臓、大動脈、結腸、膀胱、小腸、子宮、前立腺、胃、精巣、卵巣、乳腺
、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤において強いシグナルが示された。
【0059】 DPファミリーのいくつかのメンバーは選択的にスプライスされたイソ型を有す
る。こうして、zdint2の第1変異型(配列番号2)および第2変異型(配列番号4)
は同一の選択的にスプライスされた産物である。また、DPにおいて選択的スプラ
イシングの1例である他のタンパク質はメルトリンaとして知られている。この分
子のトランケート型は、ポリペプチドドメインおよびメタロプロテアーゼドメイ
ンを欠如し、in vivoにおける異所的筋肉形成に関連するが、in vitroにおい
て、この遺伝子を発現する細胞は付近の子孫細胞に作用する増殖因子を産生する
ことを示す。
【0060】 本発明は、本明細書に開示するMAPPポリペプチドをコードする、DNAおよびRNA
分子を包含する、ポリヌクレオチド分子を提供する。当業者は容易に認識するよ
うに、遺伝暗号のデジェネラシーにかんがみて、これらのポリヌクレオチド分子
の間でかなりの配列の変動が可能である。配列番号5は、配列番号2のMAPPポリペ
プチドをコードするすべてのDNAを包含する縮重DNA配列である。配列番号6は、
配列番号4のMAPPポリペプチドをコードするすべてのDNAを包含する縮重DNA配列
である。
【0061】 当業者は認識するように、配列番号5および6の縮重配列は、また、UをTで置換
することによって配列番号2または4をコードするすべてのRNA配列を提供する。
こうして、配列番号5のヌクレオチド1〜ヌクレオチド2406を含んでなる、および
配列番号6のヌクレオチド1〜ヌクレオチド2439を含んでなる、MAPPポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド、およびそれらのRNA同等物は本発明に包含され
る。縮重ヌクレオチド位置を表すために配列番号5および6内で使用した1文字コ
ードを表1に記載する。「解」はコード文字により表されるヌクレオチドである
。「相補体」は1またはそれ以上の相補的ヌクレオチドのコードである。例えば
、コードYはCまたはTを表し、そしてその相補体RはAまたはGを表し、AはTに対し
て相補的であり、そしてGはCに対して相補的である。
【0062】
【表1】 所定のアミノ酸についてすべての可能なコドンを包含する、配列番号5および6
において使用する縮重コドンを表2に記載する。
【0063】
【表2】
【0064】 当業者は認識するように、各アミノ酸をコードするすべての可能なコドンを代
表する縮重コドンを決定するとき、多少の不明確さが導入される。例えば、セリ
ンの縮重コドン(WSN)は、ある環境において、アルギニン(AGR)をコードする
ことができ、そしてアルギニンの縮重コドン(MGN)は、ある環境において、セ
リン(AGY)をコードすることができる。同様な関係がフェニルアラニンおよび
ロイシンをコードするコドンの間に存在する。したがって、縮重配列に包含され
る、いくつかのポリヌクレオチドは変異型アミノ酸配列をコードすることができ
るが、当業者は、配列番号2のアミノ酸配列を参照することによって、このよう
な変異型配列を容易に同定することができる。変異型配列は、本明細書において
記載するように、機能性について容易に試験することができる。
【0065】 また、当業者は認識するように、異なる種は「優先的コドンの使用」を示すこ
とができる。特定の種の優先的コドンを、この分野において知られている種々の
技術により、本発明のポリヌクレオチドの中に導入することができる。組換えDN
Aの中への優先的コドンの導入は、例えば、特定の細胞のタイプまたは種内のタ
ンパク質の翻訳を効率よくすることによって、タンパク質の産生を増強すること
ができる。したがって、配列番号5および6に開示されている縮重コドンの配列は
、この分野において普通に使用されかつ本明細書において開示する、種々の細胞
のタイプおよび種におけるポリヌクレオチドの発現を最適化するための鋳型とし
て働く。優先的コドンを含有する配列を、本明細書において開示するように、種
々の種における発現について試験し、発現のために最適化し、そして機能性につ
いて試験することができる。
【0066】 本発明の好ましい態様において、単離されたポリヌクレオチドは配列番号1ま
たは3の同様なサイズの領域、またはそれらに対して相補的である配列に対して
ストリンジェント条件下にハイブリダイゼーションするであろう。ポリヌクレオ
チドのハイブリダイゼーションは、この分野においてよく知られており、そして
多数の用途に広く使用されている、例えば、下記の文献を参照のこと:Sambrook
他、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harb
or、NY、1989;Ausubel他、編、Current Protocols in Molecular Biology
、John Wiley and Sons,Inc.、NY、1987;BergerおよびKimmel、編、Guide
to Molecular Cloning Techniques、Methods in Enzymology、Vol. 152
、1987およびWetmur、Cri. Rev. Biochem. Mol. Biol. 26:227−59、1990
。ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、二重らせんハイブリッドを形
成する単一の標準相補的配列の能力を利用する。このようなハイブリッドは、DN
A−DNA、RNA−RNAおよびDNA−RNAを包含する。
【0067】 例示として、50%のホルムアミド、5×SSC(1×SSC:0.15Mの塩化ナトリウム
および15mMのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7. 6)、5×
デンハルト溶液(100×デンハルト溶液:2%(w/v)のフィコール400、2%(w/v
)のポリビニルピロリドン、および2%(w/v)のウシ血清アルブミン)、10%の
デキストラン硫酸、および20μg/mlの変性、剪断サケ精子DNAを含んでなる溶液
中で、変異型MAPPポリペプチドをコードする核酸分子を、配列番号1または3のヌ
クレオチド配列(またはその補体)を有する核酸分子と42℃において一夜ハイブ
リダイゼーションさせることができる。
【0068】 当業者はこれらのハイブリダイゼーション条件の変更を案出することができる
。例えば、より高い温度、例えば、約65℃において、ホルムアミドを含有しない
溶液中で、ハイブリダイゼーション混合物をインキュベートすることができる。
そのうえ、プレミックスハイブリダイゼーション溶液は入手可能であり(例えば
、ExpressHybTMハイブリダイゼーション溶液、CLONTECH Laboratories,Inc.)
そしてハイブリダイゼーションを製造業者の使用説明書に従い実施することがで
きる。
【0069】 ハイブリダイゼーション後、核酸分子をストリンジェント条件下に、または高
度にストリンジェントな条件下に洗浄して非ハイブリダイゼーション核酸分子を
除去する。典型的なストリンジェント洗浄条件は、0.5×〜2×SSCおよび0.1%の
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の溶液中の55〜65℃における洗浄を包含する。
すなわち、変異型MAPPポリペプチドをコードする核酸分子は配列番号1または3の
ヌクレオチド配列(またはその補体)を有する核酸分子とストリンジェント洗浄
条件下にハイブリダイゼーションし、ここで洗浄ストリンジェントは55〜65℃に
おける0.5×〜2×SSCおよび0.1%のSDSに等しく、55℃における0.5×SSCおよび0
.1%のSDS、または65℃における2×SSCおよび0.1%のSDSを包含する。当業者は
、例えば、洗浄溶液中のSSCをSSPEと置換することによって、同等条件を容易に
案出することができる。
【0070】 本発明は、また、2つの基準を使用して同定できる、MAPPの変異型核酸分子を
包含する:配列番号2および4のアミノ酸配列をもつコードされたポリペプチドの
間の類似性の決定(後述する)、および前述したような、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイ。このようなMAPP変異型は下記の核酸分子を包含する:(1)ストリ
ンジェント洗浄条件下に配列番号1または3のヌクレオチド配列(またはその補体
)を有する核酸分子とハイブリダイゼーションする核酸分子、ここで洗浄ストリ
ンジェンシイは55〜65℃における0.5×〜2×SSC、0.1%のSDSに等しい、および
(2)配列番号2または4のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましい少な
くとも90%、より好ましくは少なくとも95%のまたは95%より大きい配列の同一
性を有するポリペプチドをコードする核酸分子。
【0071】 あるいは、MAPP変異型は、(1)高度にストリンジェントの洗浄条件下に配列
番号1または3のヌクレオチド配列(またはその補体)を有する核酸分子とハイブ
リダイゼーションする核酸分子、ここで洗浄ストリンジェンシイは50〜65℃にお
ける0.1×〜0.2×SSC、0.1%のSDSに等しい、および(2)配列番号2または4のア
ミノ酸配列に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましく
は少なくとも95%のまたは95%より大きい配列の同一性を有するポリペプチドを
コードする核酸分子、として特徴づけることができる。
【0072】 新しいファミリーのメンバーを同定するツールとして、MAPPのジスインテグリ
ンドメイン中の高度に保存されたアミノ酸を使用することができる。例えば、逆
転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を使用して、種々の組織源または細胞
系統から得られたRNAからの保存されたジスインテグリンドメインをコードする
配列を増幅することができる。特に、MAPP配列から設計された高度に縮重のプラ
イマーはこの目的に有用である。
【0073】 前述したように、本発明の単離されたポリヌクレオチドはDNAおよびRNAを包含
する。DNAおよびRNAを調製する方法はこの分野において知られている。一般に、
RNAは大量のMAPP RNAを産生する組織または細胞から単離される。このような組
織および細胞はノザンブロッティングにより同定され(Thomas、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 77:5201、1980)、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄
、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤
を包含する。
【0074】 全RNAはグアニジンイソチオシアネート抽出を使用し、次いでCsCl勾配中の遠
心により単離することによって調製することができる(Chirgwin他、Biochemist
ry 18:52−94、1979)。ポリ(A)+RNAは全RNAからAvivおよびLeder(Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 69:1408−12、1972)の方法を使用して調製される
。相補的DNA(cDNA)はポリ(A)+RNAから既知方法を使用して調製される。別法
において、ゲノムDNAを単離することができる。次いでMAPPポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドを、例えば、ハイブリダイゼーションまたはPCRにより
、同定し、同定される。
【0075】 MAPPポリペプチドを全長のクローンは慣用クローニング手順により得ることが
できる。相補的DNA(cDNA)クローンは好ましいが、ある用途(例えば、トラン
スジェニック動物における発現)のためにゲノムクローンを使用するか、あるい
は少なくとも1つのゲノムイントロンを含むようにcDNAクローンを修飾すること
が好ましいことがある。cDNAおよびゲノムクローンを調製する方法はこの分野に
おいてよく知られており、当業者のレベルの範囲内であり、そしてライブラリー
のプロービングまたはプライミングのために本明細書に記載する配列、またはそ
の一部分を使用することを包含する。発現ライブラリーをMAPPに対する抗体また
は他の特異的結合相手でプロービングすることができる。
【0076】 また、本明細書に開示するMAPPポリヌクレオチド配列をプローブまたはプライ
マーとして使用して、MAPP遺伝子の5'非コーディング領域をクローニングするこ
とができる。ノザンブロットによりMAPPについて観測される転写特異的発現にか
んがみて、この遺伝子領域は精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大
動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤において特
異的発現を提供することが期待される。こうして、MAPP遺伝子からのプロモータ
ー因子を使用して、例えば、遺伝子治療で処置されたトランスジェニック動物ま
たは患者における、異種遺伝子の特異的発現を指令することができるであろう。
【0077】 また、5'フランキング配列は、米国特許第5,641,670号に開示されているよう
に、「遺伝子活性化」によりMAPPタンパク質の産生を促進する。簡単に述べると
、少なくともターゲット配列、調節配列、エクソン、または不対スプライスドナ
ー部位を含んでなるDNA構築物をMAPP遺伝子座の中に導入することによって、細
胞における内因的MAPP遺伝子の発現は変更される。ターゲッティング配列はMAPP
5'非コーディング配列であり、これは構築物と内因的MAPP遺伝子座との相同的組
換えを可能とし、これにより構築物内の配列は内因的MAPPコーディング領域と作
用可能に連鎖するようになる。このようにして、内因的MAPPプロモーターを他の
調節配列と置換するか、あるいはそれらで補充して、増強された、組織特異的、
そうでなければ調節された配列を提供する。
【0078】 また、本発明のポリヌクレオチドはDNA合成法を使用して合成することができ
る。現在選択される方法はホスホルアミダイト法である。化学的に合成された二
本鎖DNAが用途、例えば、遺伝子または遺伝子フラグメントの合成に必要とされ
る場合、各相補的鎖は別々につくられる。短い遺伝子(60〜80bp)の製造は技術
的に簡単であり、相補的鎖を合成し、次いでそれらをアニーリングすることによ
って達成することができる。
【0079】 しかしながら、より大きい遺伝子(>300bp)の製造について、化学的DNA合成
間の各サイクルのカップリング効率はめったに100%とならないので、特別の戦
略を開発しなくてはならない。この問題を克服するために、合成遺伝子(二本鎖
)を20〜100ヌクレオチド長さの一本鎖フラグメントからモジュール形態で組立
てる。下記の文献を参照のこと:GlickおよびPasternak、Molecular Biology,
Principles and Applications of Recombinant DNA、(ASM Press、ワシ
ントンD.C.1994);Itakura他、Ann. Rev. Biochem. 53:323−356(1984
)およびClimie他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:633−7、1990。
【0080】 本発明は、さらに、他の種からの対応物のポリペプチドおよびポリヌクレオチ
ド(オーソログ)を提供する。これらの種は下記のものを包含するが、これらに
限定されない:哺乳動物、トリ、両生類、爬虫類、魚類、昆虫および他の脊椎動
物および無脊椎動物。特に興味あるものは、他の哺乳動物種、例えば、ネズミ、
ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、および他の霊長類のポリペプチドから
のMAPPポリペプチドである。ヒトMAPPのオーソログは、本発明により提供される
情報および組成物を慣用のクローニング技術と組み合わせて使用して、クローニ
ングすることができる。
【0081】 例えば、本明細書において開示するように、MAPPを発現する組織および細胞タ
イプから得られるmRNAを使用して、cDNAをクローニングすることができる。この
ような組織は、例えば、精巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱
、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤を包含するであろう。
本明細書において開示する配列から設計されたプローブでノザンブロットをプロ
ービングすることによって、mRNAの適当な源を同定することができる。次いで、
陽性の組織または細胞系統のmRNAからライブラリーを調製することができる。
【0082】 次いで、種々の方法、例えば、完全なまたは部分的ヒトcDNAで、または開示し
た配列をベースとする1またはそれ以上の組の縮重プローブでプロービングする
ことによって、MAPPをコードするcDNAを単離することができる。また、本明細書
に開示する代表的ヒトMAPP配列から設計したプライマーを使用するポリメラーゼ
連鎖反応、またはPCR(Mullis、米国特許第4,683,202号)により、cDNAをクロー
ニングすることができる。追加の方法において、cDNAライブラリーを使用して宿
主細胞を形質転換またはトランスフェクトすることができ、そしてMAPPポリペプ
チドに対する抗体で問題のcDNAの発現を検出することができる。また、ゲノムの
クローンの単離に同様な技術を適用することができる。
【0083】 当業者は認識するように、配列番号1および3に開示する配列はヒトMAPPの単一
の対立遺伝子を表し、そして対立遺伝子変異型およびオールタネイトスプライシ
ングが起こることが期待される。この配列の対立遺伝子変異型は、標準手順に従
い、異なる個体からのcDNAまたはゲノムのライブラリーをプロービングすること
によって、クローニングすることができる。配列番号1および3に示すヌクレオチ
ド配列の対立遺伝子変異型は、サイレント突然変異体含有するものおよび突然変
異がアミノ酸配列を変化させるものを包含し、配列番号2および4の対立遺伝子変
異型であるタンパク質と同様に、本発明の範囲内に入る。
【0084】 交互にスプライスされたmRNAから発生したcDNA分子は、MAPPポリペプチドの性
質を保持し、このようなcDNAおよびmRNAによりコードされるポリペプチドと同様
に、本発明の範囲内に入る。これらの配列の対立遺伝子変異型およびスプライス
変異型は、この分野において知られている標準手順に従い、異なる個体または組
織からのcDNAまたはゲノムのライブラリーをプロービングすることによって、ク
ローニングすることができる。前述したように、配列番号1および配列番号3のポ
リヌクレオチドは同一の選択的にスプライスされた変異型である。
【0085】 本発明は、また、配列番号2および4のポリペプチドおよびそれらのオーソログ
に実質的に類似する単離されたMAPPポリペプチドを提供する。このようなポリペ
プチドは、配列番号2および4のポリペプチドおよびそれらのオーソログに対して
好ましくは少なくとも90%の同一性、より好ましくは95%またはそれ以上の同一
性を有するであろう。本発明は、また、ジスインテグリンループドメイン、配列
番号2および4の残基475〜478に対して少なくとも93%、好ましくは95%または95
%より大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを包含
する。
【0086】 配列の同一性の百分率は慣用法により決定される。例えば、下記の文献を参照
のこと:Altschul他、Bull. Math. Bio. 48:603、1986およびHenikoffおよ
びHenikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915−9、1992。簡単に述
べると、表3(アミノ酸は標準1文字コードにより示されている)に示すようにHe
nikoffおよびHenikoff(前掲)の10のギャップオープニングペナルティー、1の
ギャップエクステンションペナルティー、および「ブロサム(blosum)62」スコ
アリングマトリックスを使用して、2つのアミノ酸配列を整列させて整列スコア
を最適化する。
【0087】 次いで同一性百分率を次のように計算する:
【数1】
【0088】
【表3】
【0089】 ポリヌクレオチド分子の配列同一性は前述した比を使用する同様な方法により
決定される。 当業者は認識するように、2つのアミノ酸配列を整列するために有効な多数の
確立されたアルゴリズムが存在する。PearsonおよびLipmanの「FASTA」類似性の
検索アルゴリズムは、本明細書に開示するアミノ酸配列および推定上の変異型MA
PPのアミノ酸配列が共有する同一性のレベルを検査する、適当なタンパク質整列
法である。FASTAアルゴリズムは下記の文献に記載されている:PearsonおよびLi
pman、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444(1988)およびPearson、Met
h. Enzymol. 183:63(1990)。
【0090】 簡単に述べると、まず、保存的アミノ酸の置換、挿入、または欠失を考慮しな
いで、問題の配列(例えば、配列番号2)、および同一性の最高密度(ktup変数
が1である場合)または同一性の対(ktup=2である場合)を有する試験配列が共
有する領域を同定することによって、FASTAは配列の類似性を特性決定する。次
いで、アミノ酸置換マトリックスを使用してすべての対合アミノ酸の類似性を比
較することによって、同一性の最高密度をもつ10領域を再スコアリングし、そし
て最高スコアに寄与する残基のみを含むように、領域の末端を「トリミング」す
る。
【0091】 「カットオフ」値(配列の長さおよびktup値に基づいて前もって決定した式に
より計算される)より大きいスコアをもつ、いくつかの領域が存在する場合、ト
リミングした最初の領域を検査して、領域を結合してギャップをもつ近似整列を
形成できるかどうかを決定する。最後に、アミノ酸配列の挿入または欠失を可能
とする、Needleman−Wunsch−Sellersアルゴリズムの変法(NeedlemanおよびWun
sch、J. Mol. Biol. 48:444(1970);Sellers、SIAM J. Appl. Math.
26:787(1974))を使用して、2つのアミノ酸配列の最高のスコアリング領域を
整列させる。
【0092】 FASTA分析のための例示的パラメーターは次の通りである:ktup=1,ギャップ
オープニングペナルティー=10、ギャップエクステンションペナルティー=1、
および置換マトリックス=BLOSUM62。Pearson、Meth. Enzymol. 183:63(199
0)の付録2に説明されているように、スコアリングマトリックスファイル(「SM
ATRIX」)を変更することによって、これらのパラメーターをFASTAプログラムの
中に導入することができる。
【0093】 また、上に開示した比を使用して核酸分子の配列の同一性を決定するために、
FASTAを使用することができる。ヌクレオチド配列を比較するために、ktup値は1
〜6、好ましくは4〜6の範囲であることができる。
【0094】 本発明は、配列番号2および4のアミノ酸配列と比較して、1またはそれ以上の
保存的アミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする核酸分子を包含する。BL
OSUM62表は、関係するタンパク質の500より多いグループの高度に保存された領
域を表す、タンパク質配列のセグメントの約2,000の局所的多重整列から誘導さ
れたアミノ酸置換マトリックスである(HenikoffおよびHenikoff、Proc. Natl'
l. Acad. Sci. USA、89:10915(1992))。
【0095】 したがって、本発明のアミノ酸配列の中に導入することができる保存的アミノ
酸置換を定めるために、BLOSUM62置換頻度を使用することができる。本明細書に
おいて使用するとき、言語「保存的アミノ酸置換」は−1より大きいBLOSUM62値
により表される置換を意味する。例えば、置換が0、1、2、または3のBLOSUM62値
により特徴づけられる場合、アミノ酸置換は保存的である。好ましい保存的アミ
ノ酸置換は少なくとも1(例えば、1、2または3)のBLOSUM62値により特徴づけら
れるが、より好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも2(例えば、2または3)
のBLOSUM62値により特徴づけられる。
【0096】 配列番号1および3に記載するヌクレオチドをヌクレオチドで置換することによ
って、MAPP遺伝子における保存的アミノ酸変化を導入することができる。このよ
うな「保存的アミノ酸」の変異型は、例えば、オリゴヌクレオチド特異的突然変
異誘発、リンカー−走査突然変異誘発、ポリメラーゼ連鎖反応を使用する突然変
異誘発、およびその他により得ることができる(下記の文献を参照のこと:Ausu
bel(1995)pp. 8−10〜8−22;およびMcPherson(編者)、Directed Mutagen
esis:A Practical Approach(IRL Press 1991))。
【0097】 細胞−細胞の相互作用を促進するこのような変異型の能力は、標準方法、例え
ば、本明細書に記載するアッセイを使用して決定することができる。あるいは、
抗MAPP抗体に特異的に結合する能力により、変異型MAPPポリペプチドを同定する
ことができる。本発明のMAPP分子の活性を改良する追加のアミノ酸置換は、アラ
ニンによる残基482(Cys)の置換を包含する。
【0098】 本発明のポリペプチドにおける必須アミノ酸は、この分野において知られてい
る手順、例えば、部位特異的突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発に従
い同定することができる(CunninghamおよびWells、Science 244:1081−5、19
89;Bass他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4498−502、1991)。後者
の技術において、単一のアラニンの突然変異を分子中のすべての残基において導
入し、そして、後述するように、生ずる突然変異体分子を生物学的活性について
試験して、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定する。
【0099】 また、Hilton他、J. Biol. Chem. 271:4699−708、1996参照。また、ジス
インテグリン−インテグリン、またはプロテアーゼの相互作用は、また、構造の
物理的分析により決定することができ、例えば、核磁気共鳴、結晶学、電子回折
またはフォトアフィニティー標識化のような技術と、推定上の接触部位のアミノ
酸の突然変異との組み合わせにより決定することができる。例えば、下記の文献
を参照のこと:de Vos他、Science 255:306−12、1992;Smith他、J. Mol.
Biol. 224:899−904、1992;Wlodaver他、FEBS Lett. 309:59−64、1992
。必須アミノ酸の同定は、また、関係するポリペプチドとの相同性から推定する
ことができる。
【0100】 既知突然変異誘発およびスクリーニングの方法、例えば、下記の文献に記載さ
れている方法を使用して、多重アミノ酸置換を行い、試験することができる:Re
idhaar−OlsonおよびSauer、Science 241:53−7、1988またはBowieおよびSaue
r、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:2152−6、1989。簡単に述べると、こ
れらの著者らはポリペプチド中の2またはそれ以上の位置を同時にランダム化し
、機能的ポリペプチドについて選択し、次いで突然変異化ポリペプチドを配列決
定して、各位置における許容可能な置換のスペクトルを決定する方法を開示して
いる。使用できる他の方法は下記の方法を包含する:ファージディスプレイ(例
えば、Lowman他、Biochem. 30:10832−7、1991;Ladner他、米国特許第5,223,
409号;Huse、WIPO公開WO 92/06204)および領域特異的突然変異誘発(Derbys
hire他、Gene 46:145、1986;Ner他、DNA 7:127、1988)。
【0101】 また、開示したMAPP DNAおよびポリペプチド配列の変異型を、下記の文献に
開示されているように、DNAシャフリングにより発生させることができる:Stemm
er、Nature 370:389−91、1994;Stemmer、Proc. Natl. Acad. Sci. USA
91:10747−51、1994およびWIPO公開WO 97/20078。簡単に述べると、親DNA
をランダムフラグメント化し、次いでPCRによりリアセンブリーして、ランダム
に導入された点突然変異を生じさせることによって、in vitro相同的組換えに
より変異型DNA分子を発生させる。
【0102】 親DNA分子のファミリー、例えば、対立遺伝子変異型または異なる種からのDNA
分子を使用して、追加の可変性をプロセスの中に導入することによって、この技
術を変更することができる。所望の活性について選択またはスクリーニングし、
次いで突然変異誘発およびアッセイをさらに反復して、所望の突然変異を選択す
ると同時に有害な変化に対して選択することによって、配列を急速に「進化」さ
せる。
【0103】 本明細書に開示する突然変異誘発法を大きい処理量の自動化スクリーニング法
と組合わせて、宿主細胞においてクローニングされ、突然変異化されたポリペプ
チドの活性を検出することができる。活性ポリペプチド(例えば、ジスインテグ
リン−細胞表面結合またはプロテアーゼ活性)をコードする突然変異化DNA分子
を宿主細胞から回収し、現代的装置を使用して急速に配列決定することができる
。これらの方法は、問題のポリペプチドにおける個々のアミノ酸残基の重要性の
急速な決定を可能とし、未知構造のポリペプチドに適用することができる。
【0104】 変異型MAPP遺伝子の特定のヌクレオチド配列を無視して、この遺伝子はその細
胞−細胞の相互作用により、または抗MAPP抗体に特異的に結合する能力により特
徴づけられるポリペプチドをコードする。さらに詳しくは、変異型MAPP遺伝子は
、本明細書に記載するヒトMAPP遺伝子によりコードされるポリペプチドの活性の
少なくとも50%の、好ましくは70、80、または90%より大きい活性を示すポリペ
プチドをコードする。
【0105】 変異型MAPPポリペプチドまたは実質的に相同性のMAPPポリペプチドは、1また
はそれ以上のアミノ酸置換、欠失または付加を有するとして特性決定される。こ
れらの変化は小さい特質を有する、すなわち、ポリペプチドのフォルディングま
たは活性に有意に影響を与えない保存的アミノ酸置換および他の置換;典型的に
は1〜約30アミノ酸の、小さい欠失;およびアミノ末端またはカルボキシル末端
のエクステンション、例えば、アミノ末端のメチオニン残基、約20〜25残基まで
の小さいリンカーペプチド、または親和標識である。
【0106】 こうして本発明は、配列番号2または4の対応する領域に対して少なくとも85%
、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%またはそれ以上同一である配
列を含んでなる、775〜2000アミノ酸残基のポリペプチドを包含する。親和標識
を含んでなるポリペプチドは、MAPPポリペプチドと親和標識との間にタンパク質
分解的切断部位をさらに含むことができる。好ましいこのような部位は、トロン
ビン切断部位および因子Xa切断部位を包含する。
【0107】 変異型および融合タンパク質を包含する、任意のMAPPポリペプチドについて、
当業者は上記表1および2に記載される情報を使用して、その変異型をコードする
、完全に縮重のポリヌクレオチド配列を容易に発生させることができる。そのう
え、当業者は標準ソフトウェアを使用して、本明細書に記載するヌクレオチドお
よびアミノ酸配列をベースとするMAPP変異型を案出することができる。したがっ
て、本発明は、下記の配列の少なくとも1つを提供するデータ構造でコードされ
たコンピューターで読取り可能な媒体を包含する:配列番号1、配列番号2、配列
番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6。
【0108】 コンピューターで読取り可能な媒体の適当な形態は、磁気媒体および光学的に
読取り可能な媒体を包含する。磁気媒体の例は、ハードまたは固定ドライブ、ラ
ンダムアクセスメモリー(RAM)チップ、フロッピー(登録商標)ディスク、デ
ィジタル線状テープ(DLT)、ディスクカシェ、およびZIPディスクを包含する。
光学的に読取り可能な媒体は、コンパクトディスク(例えば、CD−読出し専用メ
モリー(ROM)、CD−再書込み可能な(RW)、およびCD−再記録可能な)、およ
びディジタル多角的/ビデオディスク(DVD)(例えば、DVD−ROM、DVD−RAM、
およびDVD+RW)により例示される。
【0109】 さらに、本発明は、種々のポリペプチド融合物および1またはそれ以上のポリ
ペプチド融合物を含んでなる関係するマルチマータンパク質を提供する。例えば
、ジスインテグリンポリペプチドは、米国特許第5,155,027号および米国特許第5
,567,584号に開示されているように、二量化タンパク質に対する融合物として調
製することができる。これに関して好ましい二量化タンパク質は、他のジスイン
テグリンポリペプチドドメイン、ジスインテグリンポリペプチドドメインのフラ
グメント、またはタンパク質のジスインテグリンプロテアーゼファミリーの他の
メンバー、例えば、MDC、SVMP、およびADAMを含んでなるポリペプチドを包含す
る。これらのジスインテグリンプロテアーゼドメインの融合物、ジスインテグリ
ンプロテアーゼドメインのフラグメントの融合物、または他のジスインテグリン
プロテアーゼとの融合物を遺伝子操作された細胞において発現させて、種々のマ
ルチマーのジスインテグリン様アナローグを産生することができる。
【0110】 融合タンパク質はこの分野において知られている方法により融合タンパク質の
各成分を調製し、それらを化学的に結合することによって調製することができる
。あるいは、融合タンパク質の両方の成分を適切なリーディングフレームでコー
ドするポリヌクレオチドを既知技術により発生させ、本明細書に記載する方法に
より発現させることができる。例えば、生物学的機能を提供する1またはそれ以
上のドメインの一部分またはすべてを、他のファミリーのメンバー、例えば、AD
AM、MDC、およびSVMPからの1またはそれ以上の機能的同等なドメインと、本発明
のMAPP間で交換することができる。
【0111】 このようなドメイン下記のものを包含するが、これらに限定されない:保存さ
れたモチーフ、例えば、分泌シグナル配列、プロペプチド、プロテアーゼ、「RG
D」または「DCD」配列を包含する、ジスインテグリンおよびジスインテグリンル
ープドメイン、システイン、トランスメンブラン、およびシグナリングドメイン
。このような融合タンパク質は、構築された融合物に依存して、本発明のポリペ
プチドまたは他の既知ジスインテグリン様ファミリーのタンパク質(例えば、AD
AM、MDC、およびSVMP)と同一であるか、あるいはそれらに類似する、生物学的
プロファイルを有することが期待される。そのうえ、このような融合タンパク質
は本明細書に開示するように他の性質を示すことができる。
【0112】 そのうえ、この分野において記載されている方法に従い、本発明のMAPPの領域
またはドメインを他のジスインテグリンおよびジスインテグリン様分子(例えば
、ADAM、MDC、およびSVMP)、または異種タンパク質と組合わせて使用して、ポ
リペプチド融合物、またはハイブリッドMAPPタンパク質を構築する(Sambrook他
、前掲、Picard、Cur. Opin. Biology、5:511−5、1994、およびその中の参
考文献)。これらの方法は問題のポリペプチド中のより大きいまたはドメインの
生物学的重要性の決定を可能とする。このようなハイブリッドは反応速度、結合
を変更し、基質特異的を拘束または拡張するか、あるいはポリペプチドの組織お
よび細胞の局在化を変更し、そして未知構造物のポリペプチドに適用することが
できる。
【0113】 補助ドメインをMAPPポリペプチドに融合して、それらを特定細胞、組織、また
は高分子(例えば、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀
胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤)にターゲッティン
グすることができる。例えば、プロテアーゼポリペプチドドメイン、またはプロ
テアーゼポリペプチドフラグメントまたはタンパク質を、ターゲット細胞上のイ
ンテグリンポリペプチドまたはインテグリン様ポリペプチドに特異的に結合する
ジスインテグリンポリペプチドのドメインまたはフラグメントに融合することに
よって、それを前もって決定した細胞タイプにターゲッティングすることができ
るであろう。
【0114】 このようにして、ポリペプチド、ポリペプチドフラグメントおよびタンパク質
を療法的または診断的目的でターゲッティングすることができる。このようなジ
スインテグリンまたはプロテアーゼポリペプチドのフラグメントまたはフラグメ
ントは、2またはそれ以上の部分、例えば、精製のための親和標識およびターゲ
ッティングジスインテグリンドメインに融合させることができる。また、ポリペ
プチド融合物は、特にドメイン間に、1またはそれ以上の切断部位を含むことが
できる。下記の文献を参照のこと:Tuan他、Connective Tissue Research 34
:1−9、1996。
【0115】 本発明のポリペプチド融合物は一般に約1,500以下のアミノ酸残基、好ましく
は約1,200残基、より好ましくは約1,000残基以下を含有し、多くの場合において
かなり小さいであろう。例えば、MAPPポリペプチドの残基を大腸菌(E. coli)
β−ガラクトシダーゼ(1,021残基;Casadaban他、J. Bacteriol. 143:971−
980、1980参照)、10残基のスペーサー、および4残基因子Xa切断部位に対して融
合させることができる。第2例において、MAPPポリペプチドの残基をマルトース
結合性タンパク質(ほぼ370残基)、4残基の切断部位、および6残基のポリヒス
チジンタグに対して融合させることができる。
【0116】 宿主細胞からのMAPPポリペプチドの輸出を指令するために、分泌ペプチド、例
えば、t−PA二次ペプチドまたはMAPP分泌ペプチドをコードする第2DNAに、MAPP
DNAを連鎖させる。分泌されたポリペプチドの精製を促進するために、C末端の
エクステンション、例えば、ポリヒスチジンタグ、サブスタンスP、Flagペプチ
ド(Hopp他、Bio/Technology 6:1204−1210、1988;Eastman Kodak Compan
y、コネチカット州ニューヘブン、から入手可能である)、マルトース結合性タ
ンパク質、または抗体または他の特異的結合性因子が入手可能である他のポリペ
プチドまたはペプチドをMAPPポリペプチドに対して融合させることができる。
【0117】 本発明は、また、MAPPポリペプチドの「機能的フラグメント」およびこのよう
な機能的フラグメントをコードする核酸分子を包含する。核酸分子の日常的欠失
分析を実施して、MAPPポリペプチドをコードする核酸分子の機能的フラグメント
を得ることができる。例示として、配列番号1または3のヌクレオチド配列を有す
るDNA分子をBal31ヌクレアーゼで消化して1系列のネステッド欠失を得ることが
できる。次いでフラグメントを発現ベクターの中に適切なリーディングフレーム
で挿入し、発現されたポリペプチドを単離し、細胞−細胞の相互作用について、
または抗MAPP抗体に結合する能力について試験する。エクソヌクレアーゼ消化に
対する1つの別法は、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発を使用して欠失ま
たは停止コドンを導入して、所望のフラグメントの産生を特定することである。
あるいは、MAPP遺伝子の特定のフラグメントをポリメラーゼ連鎖反応により合成
することができる。
【0118】 機能的ドメインを同定する標準的方法はこの分野においてよく知られている。
例えば、インターフェロンの一方または双方の末端におけるトランケーションに
ついての研究は、HorisbergerおよびDi Marco、Pharmac. Ther. 66:507(19
95)において要約されている。そのうえ、タンパク質機能を分析する標準技術は
、例えば、下記の文献に記載されている:Treuter他、Mol. Gen. Genet. 240
:113(1993)、Content他、″Expression and preliminary deletion anal
ysis of the 42 kDa 2−5A synthetase induced by human interfero
n,″Biological Interferon Systems,Proceedings of ISIR−TNO Meetin
g on Interferon Systemss、Cantell(編者)、pp. 65−72(Nijhoff 1987
)、Herschman、″The EGF Receptor,″Control of Animal Cell Prolif
eratin、Vol. 1、Boynton他、(編者)、pp. 169−199(Academic Press 19
85)、Coumailleau他、J. Biol. Chem. 270:29270(1995);Fukunaga他、J
. Biol. Chem. 270:25291(1995);Yamaguchi他、Biochem. Pharmacol.
50:1295(1995)、およびMeisel他、Plant Molec. Biol. 30:1(1996)。
【0119】 本発明は、また、配列番号2および4のアミノ酸配列と比較して、アミノ酸変化
を有するMAPP遺伝子の機能的フラグメントを包含する。変異型MAPP遺伝子は、前
述したように、配列番号1、2、3および4のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列
との同一性のレベルを決定することによって、構造に基づいて同定することがで
きる。構造に基づいて変異型を同定する別のアプローチは、潜在的変異型MAPP遺
伝子をコードする核酸分子が、前述したように、配列番号1および3のヌクレオチ
ド配列を有する核酸分子にハイブリダイゼーションすることができるかどうかを
決定することである。
【0120】 本明細書において論ずる方法を使用して、配列番号2または4または野生型MAPP
タンパク質のジスインテグリンおよび/またはメタロプロテアーゼ活性を保持す
る、種々のポリペプチドフラグメントまたは変異型を当業者は同定および/また
は調製することができる。このようなポリペプチドは、例えば、分泌ドメイン、
ポリペプチドドメイン、プロテアーゼドメイン、ジスインテグリンドメイン、ジ
スインテグリンループ(天然または合成)、トランスメンブランおよび細胞内ド
メインの一部分またはすべて(細胞内シグナリングに関係するアミノ酸を包含す
る);融合ドメイン;親和標識;およびその他からの追加のアミノ酸を含むこと
ができる。
【0121】 本発明は、また、本明細書に記載するMAPPポリペプチドのエピトープを支持す
る部分を含んでなるポリペプチドフラグメントまたはペプチドを提供する。この
ようなフラグメントまたはペプチドは「免疫原性エピトープ」を含むことができ
る。免疫原性エピトープは、全体のタンパク質を免疫原として使用するとき、抗
体の応答を誘発するタンパク質の部分である。免疫原性エピトープを支持するペ
プチドは標準方法により同定することができる(例えば、Geysen他、Proc. Nat' l . Acad. Sci. USA 81:3998(1983)参照)。
【0122】 対照的に、ポリペプチドのフラグメントまたはペプチドは、抗体が特異的に結
合するタンパク質分子の領域である、「抗原エピトープ」を含むことができる。
ある種のエピトープはアミノ酸の線状または隣接ストレッチから成り、そしてこ
のようなエピトープの抗原性は変性因子により崩壊されない。タンパク質のエピ
トープを模擬できる、比較的短い合成ペプチドを使用して、タンパク質に対する
抗体の産生を刺激することができることはこの分野において知られている(例え
ば、Sutcliffe他、Science 219:660(1983)参照)。したがって、本発明の抗
原性エピトープを支持するペプチドおよびポリペプチドは、本明細書に記載する
ポリペプチドに結合する抗体を発生させるために有用である。
【0123】 エピトープを支持するペプチドおよびポリペプチドは、配列番号2および4の少
なくとも4〜10アミノ酸、好ましくは少なくとも10〜15アミノ酸、より好ましく
は15〜30アミノ酸を含有することが好ましい。このようなエピトープを支持する
ペプチドおよびポリペプチドは、本明細書に記載するように、MAPPポリペプチド
をフラグメント化するか、あるいは化学的ペプチド合成により製造することがで
きる。そのうえ、エピトープはランダムペプチドライブラリーのファージディス
プレイにより選択できる(例えば、下記の文献を参照のこと:LaneおよびStephe
n、Curr. Opin. Immunol. 5:268(1993)、およびCortese他、Curr. Opin. Bi
otechnol. 7:616(1996))。
【0124】 エピトープを同定し、そしてエピトープを含んでなる小さいペプチドから抗体
を産生する標準方法は、例えば、下記の文献に記載されている:Mole、"Epitope
Mapping"、Methods in Molecular Biology、Vol. 10、Manson(編)、pp.
105−16(The Humana Press,Inc. 1992)、Price、"Production and Cha
racterization of Synthetic Peptide−Derived Antibodies"、Monoclonal
Antibodies:Production,Engineering,and Clinical Application、Ritte
rおよびLadyman(編者)、pp. 60−84(Cambridge University Press 1995)
、およびColigan他(編者)、Current Protocols in Imunology、pp. 9. 3.
1−9. 3. 5およびpp. 9. 4. 1−9. 4. 11(John Wiley & Sons 1997)。
【0125】 例示として、Jameson−Wolf法、JamesonおよびWolf、CABIOS 4:181(1988)
に従い、のLASERGENE(DNASTAR;ウイスコンシン州マディソン)のPROTEANプロ
グラム(バージョン3.14)により実行することによって、MAPP中の潜在的抗原部
位を同定した。デフォルトパラメーターをこの解析において使用した。
【0126】 この解析の結果により、下記のアミノ酸残基から成るペプチドは抗原ペプチド
であることが示された:配列番号2の残基3〜10;配列番号2の残基55〜64;配列
番号2の残基96〜102;配列番号2の残基153〜162;配列番号2の残基153〜168;配
列番号2の残基143〜168;配列番号2の残基179〜188;配列番号2の残基177〜189
;配列番号2の残基196〜211;配列番号2の残基225〜236;配列番号2の残基263〜
274;配列番号2の残基284〜297;配列番号2の残基288〜297;配列番号2の残基31
8〜334;配列番号2の残基354〜360;配列番号2の残基365〜371;配列番号2の残
基388〜393;配列番号2の残基397〜403;配列番号2の残基407〜413;配列番号2
の残基428〜441;配列番号2の残基430〜439;
【0127】 配列番号2の残基449〜463;配列番号2の残基478〜484;配列番号2の残基489〜
497;配列番号2の残基503〜510;配列番号2の残基533〜539;配列番号2の残基54
7〜562;配列番号2の残基550〜561;配列番号2の残基566〜573;配列番号2の残
基577〜584;配列番号2の残基599〜606;配列番号2の残基626〜633;配列番号2
の残基637〜646;配列番号2の残基637〜650;配列番号2の残基712〜719;配列番
号2の残基754〜763;および配列番号2の残基781〜802;配列番号2の残基783〜80
2;および配列番号4の残基679〜700;配列番号4の残基735〜756;配列番号4の残
基735〜759;配列番号4の残基748〜756;配列番号4の残基775〜792;および配列
番号4のから成るペプチド。
【0128】 MAPPポリペプチドは、また、MAPPエピトープ、ペプチドまたはポリペプチドに
結合する抗体の製造に使用することができる。MAPPポリペプチドまたはそのフラ
グメントは、動物に接種し、免疫応答を誘発するための抗原(免疫原)として働
く。当業者は認識するように、抗原性、エピトープ支持ポリペプチドはMAPPポリ
ペプチド(例えば、配列識別NO:2および4)の少なくとも6、好ましくは少なく
とも9、より好ましくは少なくとも15〜約30の隣接アミノ酸残基の配列を含有す
る。
【0129】 MAPPポリペプチドのより大きい部分、すなわち、30〜10残基からアミノ酸配列
の全長までを含んでなるポリペプチドが包含される。本明細書において記載する
ように、抗原または免疫原性エピトープは、また、結合させた標識、アジュバン
トおよび担体を含むことができる。適当な抗原は、配列番号2のアミノ酸番号204
〜アミノ酸番号802、またはその隣接9〜850アミノ酸のフラグメントによりコー
ドされるMAPPポリペプチドを包含する。適当な抗原は、また、配列番号4のアミ
ノ酸番号204〜アミノ酸番号812、またはその隣接9〜860アミノ酸のフラグメント
によりコードされるMAPPポリペプチドを包含する。
【0130】 他の適当な抗原は、配列番号2の残基1〜残基24、25、26、27、28、29、または
30;配列番号2の残基28、29、30、または31〜残基200、203、205、または207;
配列番号2の残基204または208〜残基410または419;配列番号2の残基419または4
20〜残基495または496;配列番号2の残基496〜497〜残基802;配列番号4の残基4
96または497〜残基701;配列番号4の残基702〜残基724;および配列番号4の残基
725〜残基812。抗原として使用するために好ましいペプチドは、親水性ペプチド
、例えば、疎水性プロット(図面参照)から当業者が予測するものである。
【0131】 MAPP親水性ペプチドは、下記のアミノ酸配列から成る群から選択されるアミノ
酸配列を含んでなるペプチドを包含する:配列番号2の残基1〜10;配列番号2の
残基45〜55;配列番号4の82〜88;配列番号2の残基82〜100;配列番号2の残基94
〜100;配列番号2の残基109〜123;配列番号2の残基145〜167;配列番号2の残基
179〜188;配列番号2の残基195〜211;配列番号2の残基223〜238;配列番号2の
残基262〜274;配列番号2の残基286〜297;配列番号2の残基390〜398;配列番号
2の残基430〜439;配列番号2の残基520〜537;配列番号2の残基550〜561;配列
番号2の残基636〜649;配列番号2の残基712〜719;配列番号2の残基753〜765;
および配列番号2の残基781〜802;配列番号4の残基693〜699;配列番号4の残基6
62〜671;配列番号4の残基678〜699;配列番号4の残基729〜759;配列番号4の残
基769〜807。
【0132】 これらの抗原を接種することによって発生した免疫応答からの抗体を、本明細
書において記載するように単離し、精製することができる。ポリクローナル抗体
およびモノクローナル抗体を製造し、単離する方法は、この分野においてよく知
られている。例えば、下記の文献を参照のこと:Current Protocols in Imun
ology、Cooligan、他(編)、National Institutes of Health、John Wiley
& Sons, Inc.、1995;Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory M
anual、第2版、Cold Spring Harbor、NY、1989;およびHurrel、J. G. R.
編、Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications、CR
C Press,Inc.、フロリダ州ボカレイトン、1982。
【0133】 当業者にとって容易に明らかなように、種々の温血動物、例えば、ウマ、雌牛
、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、およびラットにMAPPポリペ
プチドまたはそのフラグメントを接種することによって、ポリクローナル抗体を
発生させることができる。アジュバント、例えば、明礬(水酸化アルミニウム)
またはフロインド完全アジュバントまたはフロインド不完全アジュバントを使用
して、MAPPポリペプチドの免疫原性を増加させることができる。
【0134】 免疫化に有用なポリペプチドは、また、融合ポリペプチド、例えば、MAPPまた
はその一部分と免疫グロブリンポリペプチドまたはマルトース結合性タンパク質
との融合物を包含する。ポリペプチドの免疫原は全長の分子またはその一部分で
あることができる。ポリペプチドの一部分が「ハプテン様」である場合、このよ
うな一部分は好都合には免疫化のために高分子の担体(例えば、キーホールリン
ペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)または破傷風トキソイ
ド)に結合させることができる。
【0135】 本明細書において使用するとき、用語「抗体」はポリクローナル抗体、アフィ
ニティー精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および抗原結合
性フラグメント、例えば、F(ab')2およびFabタンパク質分解性フラグメントを
包含する。遺伝子操作された無傷の抗体またはフラグメント、例えば、キメラ抗
体、Fvフラグメント、一本鎖抗体およびその他、ならびに合成抗原結合性ペプチ
ドおよびポリペプチドもまた包含される。
【0136】 非ヒトCDRをヒトフレームワークおよび定常領域上にグラフト化するか、ある
いは全体の非ヒト可変ドメインを組込む(必要に応じて暴露した残基を置換する
ことによって、前記ドメインをヒト様表面で「クローキング(cloaking)」する
、ここで「ベニヤ化された」抗体が生ずる)ことによって、非ヒト抗体をヒト化
することができる。いくつかの例において、ヒト化抗体はヒト可変領域のフレー
ムワーク内に非ヒト残基を保持して、適切な結合特性を増強することができる。
抗体をヒト化することによって、生物学的半減期を増加することができ、そして
ヒトへの投与のときの悪い免疫反応の可能性が減少する。
【0137】 本発明において有効な抗体を発生させまたは選択する別の技術は、MAPPタンパ
ク質またはペプチドに対するリンパ球のin vitro暴露、およびファージまたは
同様なベクター中の抗体表示ライブラリーの選択(例えば、固定化または標識化
されたMAPPタンパク質またはペプチドの使用による)を包含する。潜在的MAPPポ
リペプチド結合性ドメインを有するポリペプチドをコードする遺伝子は、ファー
ジ(ファージディスプレイ)または細菌、例えば、大腸菌(E. coli)上に表示
されたランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって得るこ
とができる。
【0138】 ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、多数の方法、例えば、ランダ
ム突然変異誘発およびランダムヌクレオチド合成により得ることができる。タン
パク質またはポリペプチド、例えば、リガンドまたはレセプター、生物学的また
は合成高分子、または有機または無機の物質であることができる既知のターゲッ
トと相互作用するペプチドについてスクリーニングするために、これらのランダ
ムペプチドディスプレイライブラリーを使用することができる。
【0139】 使用可能なランダムペプチドディスプレイライブラリーをつくりかつスクリー
ニングする技術はこの分野において知られており(Ladner他、米国特許第5,223,
409号;Ladner他、米国特許第4,946,778号;Ladner他、米国特許第5,403,484号
およびLadner他、米国特許第5,571,698号)そしてランダムペプチドディスプレ
イライブラリーおよびこのようなライブラリーをスクリーニングするためのキッ
トは、例えば、CLONTECH(カリフォルニア州パロアルト)、Invitrogen Inc.(
カリフォルニア州サンディエゴ)、New England Biolabs,Inc.(マサチュセ
ッツ州ベバーリイ)およびPharmacia LKB Biotechnology,Inc.(ニュージャ
ージイ州ピスカタウェイ)から商業的に入手可能である。本明細書に開示する配
列を使用してランダムペプチドディスプレイライブラリーをスクリーニングして
、MAPPに結合するタンパク質を同定することができる。
【0140】 MAPPポリペプチドと相互作用する、これらの「結合性ポリペプチド」は、細胞
を標識化するために;アフィニティー精製により相同体ポリペプチドを単離する
ために使用することができる;それらは薬剤、トキシン、放射性核種およびその
他に直接的または間接的に複合化することができる。また、これらの結合性タン
パク質は、分析方法、例えば、発現ライブラリーをスクリーニングしそして活性
を中和するために使用することができる。
【0141】 結合性タンパク質は、また、本明細書に開示するポリペプチドの循環レベルを
測定し;根元的病理学または疾患のマーカーとして可溶性ポリペプチドを検出ま
たは定量する診断アッセイに使用することができる。これらの結合性タンパク質
は、in vitroおよびin vivoにおけるMAPPの結合およびシグナルトランスダク
ションをブロックするMAPP「アンタゴニスト」として作用することができる。こ
れらの抗MAPP結合性タンパク質は、一般に、例えば、血小板凝集、アポトーシス
、神経発生、筋発生、免疫学的認識、腫瘍形成、および細胞−細胞の相互作用を
モジュレートするために有効であろう。
【0142】 抗体は、それらが対照(非MAPP)ポリペプチドに対する結合アフィニティーよ
りも少なくとも10倍大きい結合活性(MAPPポリペプチド、ペプチドまたはエピト
ープに対して)の限界レベルを示す場合、特異的に結合すると決定される。抗体
の結合アフィニティーは、当業者により、例えば、スキャッチャード分析(Scat
chard、G.、Ann. NY Acad. Sci. 51:660−672、1949)により容易に測定す
ることができる。
【0143】 この分野において知られている種々のアッセイを利用して、MAPPタンパク質ま
たはペプチドに特異的に結合する抗体を検出することができる。典型的なアッセ
イは、Antibodies:A Laboratory Manual、HarlowおよびLane(編)、Cold S
pring Harbor Laboratory Press、1988、に詳細に記載されている。このよう
なアッセイの代表的な例は下記のものを包含する:並流免疫電気泳動、ラジオイ
ムノアッセイ、放射線免疫沈降、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ドットブ
ロットまたはウェスタンブロットアッセイ、阻害または競合アッセイ、およびサ
ンドイッチアッセイ。さらに、抗体を野生型/突然変異のMAPPタンパク質または
ポリペプチドに対する結合についてスクリーニングすることができる。
【0144】 MAPPを発現する細胞の標識化;アフィニティー精製によるMAPPの単離;MAPPポ
リペプチドの循環レベルを測定する診断アッセイ;根元的な病理学または疾患の
マーカーとしての可溶性MAPPタンパク質の検出または定量;FACSを使用する分析
方法;発現ライブラリーのスクリーニング;抗イディオタイプ抗体の発生;のた
めに、そして中和性抗体;またはin vitroおよびin vivoにおいてMAPPをブロ
ックするアンタゴニスト;として、MAPPに対する抗体を使用することができる。
【0145】 適当な直接的タグまたは標識は、放射性核種、酵素、基質、コファクター、イ
ンヒビター、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子およびその他を包含す
る;間接的タグまたは標識は、ビオチン−アビジンまたは他の補体/抗補体の対
を中間体として使用することを特徴とする。本発明における抗体は、また、薬剤
、トキシン、放射性核種およびその他と直接的または間接的に複合化することが
でき、そしてこれらの複合体はin vivoの診断または療法の用途において使用す
ることができる。そのうえ、MAPPに対する抗体またはそのフラグメントをアッセ
イ、例えば、ウェスタンブロットまたはこの分野において知られている他のアッ
セイにおいて使用することができる。
【0146】 本発明における抗体またはポリペプチドは、また、薬剤、トキシン、放射性核
種およびその他と直接的または間接的に複合化することができ、そしてこれらの
複合体はin vivoの診断または療法の用途において使用することができる。例え
ば、本発明のポリペプチドまたは抗体を使用して、対応する抗相補的分子(例え
ば、それぞれレセプターまたは抗原)を発現する組織または器官を同定または治
療することができる。さらに詳しくは、MAPPポリペプチドまたは抗MAPP抗体、ま
たはそれらの生物活性フラグメントまたは部分を検出可能なまたは細胞障害性分
子にカップリングさせ、そして抗相補的分子を発現する細胞、組織または器官を
有する哺乳動物に送達すことができる。
【0147】 適当な検出可能な分子をポリペプチドまたは抗体に直接的または間接的に結合
させることができ、そしてこのような分子は放射性核種、酵素、基質、コファク
ター、インヒビター、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子、およびその
他を包含する。適当な細胞障害分子をポリペプチドまたは抗体に直接的または間
接的に結合させることができ、そしてこのような分子は細菌または植物のトキシ
ン(例えば、ジフテリアトキシン、シュードモナス・エキソトキシン(Pseudomo
nas exotoxin)、リシン、アブリンおよびその他)、ならびに治療用放射性核
種、例えば、ヨウ素−131、レニウム−188またはイットリウム−90(ポリペプチ
ドまたは抗体に直接的に結合されているか、あるいは、例えば、キレート化部分
の手段により間接的に結合されている)を包含する。
【0148】 また、ポリペプチドまたは抗体を細胞障害性薬剤、例えば、アドリアマイシン
に結合させることができる。検出可能なまたは細胞障害性分子の間接的結合のた
めに、検出可能なまたは細胞障害性分子を補体/抗補体の対の1メンバーに結合
することができ、ここで他方のメンバーをポリペプチドまたは抗体の部分に結合
させる。これらの目的に対して、ビオチン/ストレプトアビジンは典型的な補体
/抗補体の対である。
【0149】 他の態様において、ポリペプチド−トキシン融合タンパク質または抗体−トキ
シン融合タンパク質を、ターゲッテッド細胞または組織の阻害または切除のため
に(例えば、癌細胞または組織を処置するために)使用することができる。ある
いは、ジスインテグリンドメインのみを含む融合タンパク質は、検出可能な分子
、細胞障害性分子または相補的分子を問題の細胞または組織タイプに向けるため
に適当である。同様に、MAPPに対応するインテグリンは検出可能なまたは細胞障
害性分子ニ複合化し、一般的な抗相補的−検出可能な/細胞障害性分子の複合体
の細胞/組織特異的デリバリーのための一般的なターゲッティングベヒクルを提
供することができる。
【0150】 他の態様において、MAPP−サイトカイン融合タンパク質または抗体−サイトカ
イン融合タンパク質は、ターゲット組織(例えば、精巣、卵巣、前立腺、小腸、
結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、
および胎盤)のin vivo死滅を増強するために使用することができる。MAPPポリ
ペプチドまたは抗MAPP抗体は、これらの器官からの超増殖性組織をターゲットす
るする(一般に、Hornick他、Blood 89:4437−47、1977、参照)。
【0151】 彼らが記載する融合タンパク質は、サイトカインを所望の作用部位にターゲッ
ティングし、これによりサイトカインの局所濃度を増加させることができる。適
当なMAPPポリペプチドまたは抗MAPP抗体は、望ましくない細胞または組織(例え
ば、腫瘍または白血病)をターゲットし、そして融合サイトカインはエフェクタ
ー細胞による標的細胞の溶解を改良する。この目的に適当なサイトカインは、例
えば、インターロイキン2および顆粒球−マクロファージのコロニー刺激因子(G
M−CSF)を包含する。
【0152】 なお他の態様において、MAPPポリペプチドまたは抗MAPP抗体が血管の細胞また
は組織をターゲットとする場合、このようなポリペプチドまたは抗体を放射性核
種、特にベータ放射放射性核種と複合化して再狭窄を減少することができる。こ
のような療法的アプローチは放射線治療を投与する臨床医により少ない危険を付
与する。例えば、要求される放射線線量が送達されるまで、イリジウム−192含
浸リボンを患者のステンテッド血管の中に配置すると、プラシーボリボンを与え
られた対照マウスよりも血管中で組織の成長は減少し、管腔直径はより大きいこ
とが示された。さらに、血管再生およびステント血栓症は処置グループにおいて
有意により低かった。本明細書において記載するように、放射性核種を含有する
生物学的に活性な複合体のターゲッティングを使用して、同様な結果が予測され
た。
【0153】 本明細書に記載する生物学的に活性なポリペプチドまたは抗体は、静脈内、動
脈内または導管内に送達すことができるか、あるいは意図する作用部位に局所的
に導入することができる。 全長のポリペプチド、生物学的に活性なフラグメントおよび融合タンパク質を
包含する、本発明のMAPPポリペプチドを、慣用の技術に従い、遺伝子操作された
宿主細胞において製造することができる。適当な宿主細胞は、外因的DNAで形質
転換またはトランスフェクトすることができ、培養により増殖させることができ
る細胞のタイプであり、そして細菌、真菌細胞、および培養された高等真核細胞
を包含する。
【0154】 真核細胞、特に多細胞生物の培養された細胞は好ましい。クローニングされた
DNA分子を操作し、外因的DNAを種々の宿主細胞の中に導入する技術は、下記の文
献に記載されている:Sambrook他、Molecular Cloning:A Laboratory Manua
l、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor
、NY、1989、およびAusubel他編、Current Protocols in Molecular Biolog
y、John Wiley and Sons,Inc.、NY、1987。
【0155】 一般に、MAPPポリペプチドをコードするDNA配列は、発現ベクター内に一般に
転写プロモーターおよびターミネーターを包含する、その発現のための必要な他
の遺伝因子に作用可能に連鎖される。また、ベクターは1またはそれ以上の選択
可能なマーカーおよび1またはそれ以上の複製起点を普通に含有するが、当業者
は認識するように、ある種の系内で選択可能なマーカーを別々のベクター上に提
供し、そして宿主細胞のゲノム中の組込みにより外因的DNAの複製を得ることが
できる。プロモーター、ターミネーター、選択可能なマーカー、ベクターおよび
他の因子の選択は、当業者のレベル内の日常的設計事項である。多数のこのよう
な因子は文献に記載されており、そして商業的供給会社から入手可能である。
【0156】 MAPPポリペプチドを宿主細胞の分泌経路の中に向けるために、分泌シグナル配
列(また、リーダー配列、プレプロ配列または前配列として知られている)を発
現ベクターの中に準備する。分泌シグナル配列はMAPPのそれであることができる
か、あるいは他の分泌されたタンパク質(例えば、t−PA)から誘導するか、あ
るいは新規に合成することができる。分泌シグナル配列をMAPP DNA配列に作用
可能に連鎖して、すなわち、2つの配列を正しいリーディングフレームで結合し
て、新しく合成されたポリペプチドを宿主細胞の分泌経路の中に向けるように位
置させる。分泌シグナル配列は普通に問題のポリペプチドをコードするDNA配列
に対して5'に配置されるが、ある種の分泌シグナル配列は問題のDNA配列の中の
どこかに位置決定することができる(例えば、Welch他、米国特許第5,037,743号
;Holland他、米国特許第5,143,830号、参照)。
【0157】 本発明の自然分泌シグナル配列を使用して、他のポリペプチドを分泌経路の中
に向けることができる。本発明は、このような融合ポリペプチドを提供する。MA
PPポリペプチドから誘導された分泌シグナル配列が他のポリペプチドに作用可能
に連鎖された、シグナル融合ポリペプチドを、この分野において知られておりか
つ本明細書に開示されている方法により、作ることができる。好ましくは、本発
明の融合ポリペプチドの中に含有される分泌シグナル配列を追加のペプチドに対
してアミノ末端的に融合させて、追加のペプチドを分泌経路の中に向ける。この
ような構築物はこの分野において知られている多数の用途を有する。例えば、こ
れらの新規な分泌シグナル配列の融合構築物は、例えば、常態で分泌されないタ
ンパク質の活性成分、例えば、レセプターの分泌を指令することができる。この
ような融合物をin vivoまたはin vitroにおいて使用して、ペプチドを分泌経
路を通して向けることができる。
【0158】 あるいは、MAPPのプロテアーゼドメインを異種配列で置換して異なるプロテア
ーゼドメインを提供することができる。この場合において、融合タンパク質を分
泌させ、MAPPのジスインテグリンドメインはプロテアーゼドメインを前述の特異
的組織に向けることができる。この置換されたプロテアーゼドメインをDPタンパ
ク質ファミリーにより表されるプロテアーゼドメインから、または他の既知プロ
テアーゼからのドメインから選択することができる。
【0159】 同様に、MAPPタンパク質のジスインテグリンドメインを異種配列で置換して、
異なるジスインテグリンドメインを提供することができる。再び、融合タンパク
質を分泌させ、置換されたジスインテグリンドメインはMAPPのプロテアーゼドメ
インを特異的組織にターゲットすることができる。置換されたジスインテグリン
ドメインはDPタンパク質ファミリーのジスインテグリンドメインから選択するこ
とができる。これらの場合において、融合タンパク質を可溶性であるか、あるい
は膜アンカードタンパク質であることができる。
【0160】 培養された哺乳動物細胞は、本発明において適当な宿主である。外因的DNAを
哺乳動物の宿主細胞の中に導入する方法は下記の方法を包含する:リン酸カルシ
ウム仲介トランスフェクション(Wigler他、Cell 14:725、1978;Corsaroおよ
びPearson、Somatic Cell Genetics 7:603、1981;GrahamおよびVan der
Eb、Virology 52:456、1973)、エレクトロポレーション(Neumann他、EMBO
J. 1:841−845、1982)、DEAE−デキストリン仲介トランスフェクション(Aus
ubel他、ibid.)、およびリポソーム仲介トランスフェクション(Hawley−Nelso
n他、Focus 15:73、1993;Ciccarone他、Focus 15:80、1993)、およびウイ
ルスベクター(MillerおよびRosman、BioTechniques 7:980−90、1989;Wang
およびFiner、Nature Med. 2:714−716、1996)。
【0161】 培養された哺乳動物細胞における組換えポリペプチドの産生は、例えば、下記
の特許文献に記載されている:Levinson他、米国特許第4,713,339号;Hagen他、
米国特許第4,784,950号;Palmiter他、米国特許第4,579,821号;およびRingold
、米国特許第4,656,134号。適当な培養された哺乳動物細胞は下記のものを包含
する:COS−1(ATCC No. CRL 1650)、COS−7(ATCC No. CRL 1651)、BH
K(ATCC No. CRL 1632)、BHK570(ATCC No. CRL 10314)、293(ATCC N
o. CRL 1573;Graham他、J. Gen. Virol. 36:59−72、1977)およびチャ
イニーズハムスター卵巣(例えば、CHO−K1;ATCC No. CRL 61)細胞系統。
【0162】 追加の適当な細胞系統はこの分野において知られており、そして公衆の寄託機
関、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type
Culture Collection)(マリイランド州ロックビレ)から入手可能である。
一般に、強い転写プロモーター、例えば、SV−40またはサイトメガロウイルスか
らのプロモーターは好ましい。例えば、米国特許第4,956,288号参照。他の適当
なプロモーターは、メタロチオネイン遺伝子からプロモーター(米国特許第4,57
9,821号および米国特許第4,601,978号)およびアデノウイルスの主要な後期プロ
モーターを包含する。
【0163】 薬剤選択を一般に使用して、外来DNAが挿入された、培養された哺乳動物細胞
について選択する。このような細胞は普通に「トランスフェクタント」と呼ばれ
る。選択因子の存在において培養され、問題の遺伝子をそれらの子孫に移行させ
ることができる細胞は、「安定なトランスフェクタント」と呼ばれる。好ましい
選択可能なマーカーは、抗生物質のネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝
子である。選択はネオマイシン型薬剤、例えば、G−418またはその他の存在にお
いて実施される。また、選択系を使用して、問題の遺伝子の発現レベルを増加す
ることができる、「増幅」と呼ぶ方法。
【0164】 低いレベルの選択因子の存在においてトランスフェクタントを培養し、次いで
選択因子の量を増加して、導入された遺伝子の産物を高いレベルで産生する細胞
について選択することによって、増幅は実施される。好ましい増幅可能な選択可
能なマーカーは、メトトレキセートに対する耐性を付与する、ジヒドロフォレー
トリダクターゼである。他の薬剤耐性遺伝子(例えば、ヒグロマイシン耐性、多
薬剤耐性、プロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)を使用することもできる
。FACSソーティングまたは磁気ビーズ分離技術のような手段により、変更された
表現型を導入するオールタネイティブマーカー、例えば、緑色蛍光タンパク質、
または細胞表面のタンパク質、例えば、CD4、CD8、クラスIのMHC、胎盤アルカリ
性ホスファターゼを使用して、非トランスフェクト細胞からトランスフェクトさ
れた細胞を選別することができる。
【0165】 植物細胞、昆虫細胞およびトリの細胞を包含する、他の高等真核細胞を宿主細
胞として使用することもできる。植物細胞中で遺伝子を発現するのためのベクタ
ーとしてアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を使
用することは、Sinkar他、J. Biosci.(Bangalore)11:47−58、1987、におい
て概観されている。昆虫細胞の形質転換およびその中の外来ポリペプチドの産生
は、Guarino他、米国特許第5,162,222号およびWIPO公開WO 94/06463号に記載さ
れている。オートグラファト・カリフォルニカ(Autographa californica)核
多角体病ウイルス(AcNPV)から普通に誘導される、組換えバキュロウイルスで
、昆虫細胞を感染させることができる。
【0166】 下記の文献を参照のこと:King、L. A. およびPossee、R. D.、The Bacul
ovirus Expression System:A Laboratory Guide、London、Chapman & Ha
ll;O'Reilly、D. R.他、Baculovirus Expression Vectors:A Laboratory
Manual、New York、Oxford University Press、1994;およびRichardson、
C. D. 編、Baculovirus Expression Protocols、 Methods in Molecular
Biology、Totowa、NJ、Humana Press、1995。組換えMAPPバキュロウイルスを
作る第2の方法は、Luckowが記載するトランスポゾンをベースとする系を利用す
る(Luckow、V. A.、他、J. Virol. 67:4566−79、1993)。
【0167】 この系は、転移ベクターを利用し、Bac−to−Bacキット(Life Technologies
、マリイランド州ロックビレ)で販売されている。この系は転移ベクター、pFas
tBac1TM(Life Technologies)を利用し、ここでpFastBac1TMは「バクミド(ba
cmid)」と呼ばれる大きいプラスミドとして大腸菌(E. coli)の中に維持され
たバキュロウイルスのゲノムの中にMAPPポリペプチドをコードするDNAを動かす
ために、Tn7トランスポゾンを含有する。pFastBac1TM転移ベクターは、AcNPVポ
リヘドリンプロモーターを利用して、問題の遺伝子、この場合においてMAPP、の
発現を推進する。
【0168】 しかしながら、pFastBac1TMはかなりな程度に修飾可能である。ポリヘドリン
プロモーターを除去し、バキュロウイルスをベースとするタンパク質プロモータ
ー(また、Pcor、p6.9またはMPプロモーターとして知られている)で置換し、こ
こでこのプロモーターは以前にバキュロウイルスの感染において発現され、そし
て分泌されたタンパク質の発現に好都合であることが示されている。下記の文献
を参照のこと:Hill−Perkins、M. S. およびPossee、R. D.、J. Gen. Vir
ol. 71:971−6、1990;Bonning、B. C.、他、J. Gen. Virol. 75:1551−
6、1994;および、Chazenbalk、G. D.、およびRapoport、B.、J. Biol. Chem
. 270:1543−9、1995。
【0169】 このような転移ベクター構築物において、基本的タンパク質プロモーターの短
いまたは長いバージョンを使用することができる。そのうえ、自然MAPP分泌シグ
ナル配列を昆虫タンパク質から誘導された分泌シグナル配列で置換する、転移ベ
クターを構築することができる。例えば、エクジステロイドグルコシルトランス
フェラーゼ(EGT)、蜜蜂のメリチン(Invitrogen、カリフォルニア州カールス
バッド)、またはバキュロウイルスgp67(PharMingen、カリフォルニア州サンデ
ィエゴ)からの分泌シグナル配列を構築物において使用して、自然MAPP分泌シグ
ナル配列を置換することができる。さらに、転移ベクターは、発現されたMAPPポ
リペプチドのC末端またはN末端におけるエピトープ標識、例えば、Glu−Gluエピ
トープ標識をコードするDNAとのインフレーム融合物を含むことができる(Gruss
enmeyer、T.、他、Proc. Natl. Acad. Sci. 82:7952−4、1985)。
【0170】 この分野において知られている技術を使用して、MAPPを含有する転移ベクター
を大腸菌(E. coli)の中に形質転換し、そして組換えバキュロウイルスを示す
中断されたlacZ遺伝子を含有するバクミドについてスクリーニングする。組換え
バキュロウイルスのゲノムを含有するバクミドDNAを普通の技術に従い単離し、
そしてスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞、例えば、
Sf9細胞をトランスフェクトする。MAPPを発現する組換えベクターを引き続いて
生成させる。この分野において普通に使用されている方法により、組換えウイル
スの系統を作る。
【0171】 宿主細胞、典型的にはヨトウガ、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera
frugiperda)から誘導された細胞系統を感染させるために、組換えウイルスを使
用する。一般に、下記の文献を参照のこと:GlickおよびPasternak、Molecular
Biotechnology:Principle and Applications of Recombinant DNA、ASM
Press、Washington、D. C.、1994。他の適当な細胞系統は、トリコデルマ・
ニ(Trichoderma ni)から誘導されたHigh FiveOTM細胞系統(Invitrogen)で
ある(米国特許第5,300,435号)。商業的に入手可能な無血清培地を使用して、
細胞を増殖させかつ維持する。
【0172】 適当な培地はSf9細胞についてSf900 IITM(Life Technologies)またはESF
921TM(Expression System);およびトリコデルマ・ニ(T.ni)細胞につい
てEx−cellO450TM(JRH Bioscience、カンサス州レネクサ)またはExpress Fi
veOTM(Life Technologies)である。細胞をほぼ2〜5×105細胞の接種密度から
1〜2×106細胞の密度に増殖させ、この時組換えウイルスの系統を0.1〜10、より
典型的には約3の感染の多重度で添加する。使用する手順は一般に入手可能な実
験室のマニュアルに記載されている(King、L. A. およびPossee、R. D.、前
掲;O'Reilly、D. R.、他、前掲;Richardson、C. D.、前掲)。本明細書に記
載する方法に従い、上清からのMAPPポリペプチドの引き続く精製を実施すること
ができる。
【0173】 酵母細胞を包含する真菌細胞を本発明において使用することもできる。これに
関して特に興味ある酵母種は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces c
erevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、およびピキア・メタ
ノリカ(Pichia metanolica)を包含する。外因的DNAでサッカロミセス・セレ
ビシエ(S. cerevisiae)を形質転換し、それから組換えポリペプチドを生産す
る方法は、例えば、下記の特許文献に記載されている:Kawasaki、米国特許第4,
599,311号;Kawasaki他、米国特許第4,931,373号;Brake、米国特許第4,870,008
号;Welch他、米国特許第5,037,743号;およびMurry他、米国特許第4,845,075号
【0174】 選択可能なマーカーにより決定された表現型、普通の薬剤耐性または特定の栄
養(例えば、ロイシン)の非存在において増殖する能力により、形質転換された
細胞を選択する。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
において使用するために好ましいベクター系は、Kawasaki他(米国特許第4,931,
373号)により開示されているPOT1ベクター系であり、これによりグルコースを
含有する培地中の増殖により形質転換細胞を選択することができる。酵母におい
て使用するために適当なプロモーターおよびターミネーターは、解糖酵素遺伝子
(例えば、Kawasaki、米国特許第4,599,311号;Ingsman他、米国特許第4,615,97
4号;およびBitter、米国特許第4,977,092号、参照)およびアルコールデヒドロ
ゲナーゼ遺伝子からのものを包含する。
【0175】 また、米国特許第4,990,446号;米国特許第5,063,154号;米国特許第5,139,93
6号および米国特許第4,661,454号、参照。ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenul
a polymorpha)、シゾサッカラロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pomb
e)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマ
イセス・フラギリス(Kluyveromyces frgilis)、ウスチラゴ・マイディス(Us
tilago maydis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノ
リカ(Pichia metanolica)、ピキア・グイレルモンディイ(Pichia guillerm
ondii)およびカンジダ・マルトサ(Candida maltosa)を包含する、他の酵母
のための形質転換系はこの分野において知られている。
【0176】 例えば、Gleeson他、J. Gen. Microbiol. 132:3459−3465、1986およびCr
egg、米国特許第4,882,279号、参照。McKnight他、米国特許第4,935,349号の方
法に従い、アスペルギルス(Aspergillus)細胞を利用することができる。アク
レモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)は、Sumino他、米国特
許第5,162,228号に開示されている。ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換
する方法は、Lambowitz、米国特許第4,486,533号に開示されている。組換えタン
パク質の生産のための宿主としてピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)を
使用することは、米国特許第5,716,808号、米国特許第5,736,383号、米国特許第
5,854,039号、および米国特許第5,888,768号に開示されている。
【0177】 細菌大腸菌(Escherichia coli)、バシラス(Bacillus)および他の属の株
を包含する、原核宿主細胞は、また、本発明において有用である。これらの宿主
を形質転換し、その中にクローニングされた外来DNA配列を発現する技術はこの
分野においてよく知られている(例えば、Sambrook他、前掲、参照)。大腸菌(
E. coli)のような細菌においてMAPPポリペプチドを発現させるとき、ポリペプ
チドを、典型的には不溶性粒子として、細胞質の中に保持させることができるか
、あるいは細菌の分泌配列によりペリプラスミック空間の中に向けることができ
る。
【0178】 前者の場合において、細胞を溶解し、粒子を回収し、例えば、グアニジンイソ
チオシアネートまたは尿素を使用して、変性する。次いで変性されたポリペプチ
ドをリフォルディングさせ、変性物の希釈により、例えば、尿素の溶液および還
元されたグルタチオンおよび酸化されたグルタチオンとの組合わせに対する透析
、および引き続く緩衝化生理食塩水に対する透析により、二量体化させることが
できる。後者の場合において、細胞を崩壊させて(例えば、超音波処理または浸
透圧ショックにより)ペリプラスミック空間の内容物を解放し、これにより変性
およびリフォルディングの必要性を排除することによって、ポリペプチドをペリ
プラスミック空間から可溶性の、機能的形態で回収することができる。
【0179】 形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を、慣用手順に従い、栄養素
および選択した宿主細胞の成長に必要な他の成分を含有する培地中で培養する。
規定された培地および複合培地を包含する、種々の適当な培地は、この分野にお
いて知られており、そして一般に炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミンおよ
び無機質を含む。培地は、また、必要に応じて、成長因子または血清のような成
分を含有することができる。一般に、外因的に添加されたDNAを含有する細胞に
ついて成長培地を選択する。この選択は、例えば、薬剤選択または必須栄養素の
欠如により実施され、必須栄養素は発現ベクター上に担体されるか、あるいは宿
主細胞の中に共トランスフェクトされた選択可能なマーカーにより補足される。
【0180】 炭素、窒素および微量栄養素の適切な源を含む培地中で約25℃〜35℃の温度に
おいて、ピキア・メタノリカ(P. metanolica)細胞を培養する。慣用の手段、
例えば、小さいフラスコの震盪または発酵槽のスパージにより、液体培地を十分
にエアレーションする。ピキア・メタノリカ(P. metanolica)のために好まし
い培地は、YEPD(2%のD−グルコース、2%のBactoTMペプトン(Difco Laborat
ories、ミシガン州デトロイト)、1%のBactoTM酵母エキス(Difco Laboratori
es)、0.004%のアデニンおよび0.006%のL−ロイシン)である。
【0181】 本発明のタンパク質は、また、天然に存在しないアミノ酸残基を含むことがで
きる。天然に存在しないアミノ酸は、限定されずに、下記のものを包含する:ト
ランス−3−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、シス−4−ヒドロキシプロ
リン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−トレオニ
ン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシ
ステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカ
ルボン酸、デヒドロプロリン、3−および4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプ
ロリン、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェ
ニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、および4−フルオロフェニルアラニン
【0182】 天然に存在しないアミノ酸残基をタンパク質の中に組込む、いくつかの方法は
この分野において知られている。例えば、化学的にアミノアシル化されたサプレ
ッサーtRNAを使用してナンセンス突然変異を抑制する、in vitro系を使用する
ことができる。アミノ酸を合成し、tRNAをアミノアシル化する方法はこの分野に
おいて知られている。大腸菌(E. coli)S30抽出物および商業的に入手可能な
酵素および他の試薬を含んでなる、無細胞系において、ナンセンス突然変異を含
有するプラスミドの転写および翻訳は実施される。
【0183】 タンパク質をクロマトグラフィーにより精製する。例えば、下記の文献を参照
のこと:Robertson他、J. Am. Chem. Soc. 113:2722、1991;Ellman他、Me
thods Enzymol. 202:301、1991;Chung他、Science 259:806−9、1993;お
よびChung他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10145−9、1993。第2の方
法において、突然変異されたmRNAおよび化学的にアミノアシル化されたサプレッ
サーtRNAのマイクロインジェクションにより、キセノプス・オオサイト(Xenopu
s oocytes)中で翻訳を実施する(Turcatti他、J. Biol. Chem. 271:19991
−1、1996)。
【0184】 第3の方法において、置換すべき天然のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン
)の非存在においてかつ所望の天然に存在しない1またはそれ以上のアミノ酸(
例えば、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニ
ルアラニンまたは4−フルオロフェニルアラニン)の存在下に、大腸菌(E. col
i)細胞を培養する。天然に存在しないアミノ酸をその天然の対応物の代わりに
タンパク質の中に組込む。Koide他、Biochem. 33:7470−6、1994、参照。in
vitro化学的修飾により、天然に存在するアミノ酸残基を天然に存在しない種に
変換することができる。化学的修飾を部位特異的突然変異誘発と組合わせて、置
換の範囲をさらに拡張することができる(WynnおよびRichards、Protein Sci.
2:395−403、1993)。
【0185】 制限された数の非保存的アミノ酸、遺伝暗号によりコードされないアミノ酸、
天然に存在しないアミノ酸、および非天然のアミノ酸をMAPPアミノ酸残基と置換
することができる。 本発明のポリペプチドを好ましくは≧80%の純度、より好ましくは≧90の純度
、なおより好ましくは≧95の純度に精製し、そして汚染性高分子、特に他のタン
パク質および核酸に関して99.9%より高い特定であり、かつ感染因子および発熱
因子を含まない、製剤学に純粋な状態は特に好ましい。好ましくは、精製された
ポリペプチドは他のポリペプチド、特に動物由来の他のポリペプチドを実質的に
含まない。
【0186】 発現されたMAPPタンパク質(キメラポリペプチドおよびマルチマーのタンパク
質を包含する)を慣用タンパク質精製法、典型的には技術の組合わせにより精製
する。一般に、下記の文献を参照のこと:Affinity Chromatography:Principl
es & Methods、Pharmacia LKB Biotechnology、スイス国ウップサラ、1988
;およびScopes、Protein Purification:Principles and Practice、Spring
er−Verlag、New York、1994。ポリヒスチジン親和標識(典型的には約6ヒスチ
ジン残基)をニッケルキレート残基上のクロマトグラフィーにより精製する。例
えば、下記の文献を参照のこと:Houchuli他、Bio/Technol. 6:1321−1325、
1988。glu−gluタグを含んでなるタンパク質は、慣用手順に従いイムノアフィニ
ティークロマトグラフィーにより精製することができる。例えば、Grussenmeyer
他、前掲、参照。マルトース結合性タンパク質融合物を、この分野において知ら
れている方法に従いアミラーゼカラム上で精製する。
【0187】 本発明のポリペプチドは、下記の手順下記のものを包含するが、これらに限定
されない手順の組合わせにより単離することができる:アニオンおよびカチオン
交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびアフィニティ
ークロマトグラフィー。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフ
ィーを使用して、ポリヒスチジン標識を含んでなるを包含する、ヒスチジンに富
んだタンパク質を精製することができる。簡単に述べると、ゲルにまず2価の金
属イオンを負荷してキレート化剤を形成する(Sulkowsiki、Trends in Bioche
m. 3:1−7、1985)。
【0188】 使用する金属イオンに依存して、異なるアフィニティーを有するこのメトキシ
にヒスチジンに富んだタンパク質を吸着させ、競合溶離によるか、あるいはpHを
低下させるか、あるいは強いキレート化剤を使用することによって溶離する。他
の精製法は、レクチンアフィニティークロマトグラフィーおよびイオン交換クロ
マトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製を包含する(Methods in
Enzymol.、Vol.182、″Guide to Protein Purification″、M. Deutscher
(編)、Academic Press、サンディエゴ、1990、pp. 529−39)。本発明の追
加の態様の範囲内において、問題のポリペプチドと親和標識(例えば、マルトー
ス結合タンパク質、免疫グロブリンドメイン)との融合物を構築して、精製を促
進することができる。
【0189】 MAPPポリペプチドは、また、この分野において知られている方法、例えば、独
占的固相合成、部分的固相法、フラグメント縮合反応または古典的溶液合成法に
従い化学的合成により製造することができる。例えば、下記の文献を参照のこと
:Merrifield,J. Am. Chem. Soc. 85:2149、1963;Stewart他、Solid Ph
ase Peptide Synthesis(第2版)、Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロッ
クフォード;BayerおよびRapp、Chem. Pept. Prot. 3:3、1986;およびAthe
rton他、Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach、IRL P
ress、Oxford、1989。より小さいポリペプチドの製造のために、in vitro合成
は特に好都合である。
【0190】 この分野において知られている方法を使用して、MAPPタンパク質をモノマーま
たはマルチマーとして調製し;グリコシル化するか、あるいはグリコシル化せず
;ペギル化するか、あるいはペギル化せず;そして初期メチオニンアミノ酸残基
を含むか、あるいは含まないことができる。
【0191】 ジスインテグリンループ(配列番号2の残基475〜残基488)は、脊髄、心臓、
大動脈、結腸、膀胱、小腸、子宮、前立腺、胃、精巣、卵巣、乳腺、虫垂、肺、
気管、胎児肺、および胎盤の疾患のアッセイおよび治療において使用するために
特に重要である。これらの目的のために、ジスインテグリンループのペプチド合
成は末端のシステイン残基を含み、こうして、配列番号2の残基475〜配列番号2
の残基488であろう。このペプチドは線状ペプチドまたはジサルファイド結合ペ
プチドとして合成することができる。残基間のジサルファイド結合を有するペプ
チドは475、482であることができ、そして488は特に重要である。ペプチド合成
およびジサルファイド結合の追加の説明については、Jia、L. G.、前掲、参照
【0192】 MAPPポリペプチドの活性は、種々のアッセイを使用して測定することができる
。このようなアッセイは、例えば、細胞−細胞の相互作用;タンパク質分解;細
胞外マトリックスの形成または改造;およびジスインテグリンファミリーのメン
バーまたはインテグリン/ジスインテグリン相互作用、例えば、アポトーシスに
関連する他の生物学的機能;または分化を測定する。血小板凝集の変化は特に重
要である。血小板凝集を測定するアッセイはこの分野においてよく知られている
。一般的言及については、Dennis、PNAS 87:2471−2475、1989、参照。
【0193】 本発明の、選択的にスプライスされたペプチドを包含する、タンパク質は、脊
髄、心臓、大動脈、結腸、膀胱、小腸、子宮、前立腺、胃、精巣、卵巣、乳腺、
虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤における単離において、あるいは他の分子
(増殖因子、サイトカイン、およびその他)と組み合わせて腫瘍抑制、配偶子成
熟、免疫学的認識、および成長および分化の研究に有用である。MAPPの選択的ス
プライシングは細胞タイプに特異的であることがあり、特異的組織に対して活性
を与える。
【0194】 問題の他のアッセイは、筋細胞またはミオサイトの増殖、分化、発生および/
または電子的カップリングの変化を測定または検出する。さらに、繊維芽細胞、
筋芽細胞、神経細胞、白血球、免疫細胞、配偶子細胞または、一般に、増殖特質
をもつ細胞、および腫瘍細胞の細胞−細胞の相互作用に対するMAPPポリペプチド
の作用は測定するために重要であろう。なお他のアッセイはプロテアーゼ活性お
よびアポトーシスの変化を検査する。
【0195】 本発明の分子の活性は、例えば、成体心臓における組織特異性に基づく心臓細
胞の新生または過形成(すなわち、増殖)を測定する、種々のアッセイを使用し
て測定することができる。本発明のポリペプチドに関連すると思われる追加の活
性は、内皮細胞、心筋細胞、繊維芽細胞、骨格筋細胞の直接的または他の増殖因
子を通す間接的増殖;内皮細胞、繊維芽細胞および/または食作用細胞の化学走
性因子;卵子形成因子;および間葉幹細胞および前駆体集団を拡大する因子とし
ての作用を包含する。
【0196】 培養した心臓細胞を使用するか、あるいはin vivoにおいて特許請求の範囲に
記載する発明の分子を適当な動物モデルに投与することによって、増殖を測定す
ることができる。一般に、増殖作用は細胞数の増加として観測され、したがって
、アポトーシス、ならびに有糸分裂誘発の阻害を包含することができる。培養さ
れた細胞は、一次培養からの心臓繊維芽細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、ヒト臍静
脈内皮細胞を包含する。確立された細胞系統は下記のものを包含する:NIH 3T3
繊維芽細胞(ATCC No. CRL−1658)、CHH−1チュム(chum)心臓細胞(ATCC
No. CRL−1680)、H9c2ラット心筋細胞(ATCC No. CRL−1446)、シオノギ乳
癌腫細胞(Tanaka他、Proc. Natl. Acad. Sci. 89:8928−8932、1992)お
よびLNCap.FGC腺癌細胞(ATCC No. CRL−1740)。
【0197】 細胞増殖を測定するアッセイはこの分野においてよく知られている。例えば、
増殖を測定するアッセイは下記のようなアッセイを包含する:中性赤色色素に対
する化学感受性(Cavanugh他、Investigational New Drug 8:347−354、199
0)、放射能標識化ヌクレオチドの組込み(Cook他、Analytical Biochem. 179
:1−7、1989)、増殖する細胞のDNA中の5−ブロモ−2'−デオキシウリジン(Br
dU)の組込み(Porstmann他、J. Immunol. Methods 82:169−179、1985)、
およびテトラゾリウム塩の使用(Mosmann、J. Immunol. Methods 65:55−63
、1983;Alley他、Cancer Res. 48:589−601、1988;Marshall他、Growth R
eg. 5:69−84、1995;およびScudiero他、Cancer Res. 48:4827−4833、19
88)。
【0198】 MAPPポリペプチドがin vivoにおいて化学走性であるかどうかを決定するため
に、MAPPポリペプチドを皮内または腹腔内注射により投与することができる。系
譜特異的細胞表面のマーカーおよび蛍光免疫サイトメトリーを使用するか、ある
いは免疫組織化学的方法により、注射部位に蓄積した白血球を特性決定すること
ができる(Jose、J. Exp. Med. 179:881−87、1994)。また、骨髄から末梢
血の中への特異的白血球集団の解放をMAPP注射後に測定することもできる。
【0199】 分化は漸進的、動力学的プロセスであり、多能性幹細胞で開始し、末端的に分
化した細胞で終わる。系列に対して拘束されないで再生することができる多能性
幹細胞は、細胞系列に対する拘束がなされるとき、分化マーカーの組を発現する
。多能性細胞は、細胞が成熟に向かって細胞系列の経路を進行するとき、発現さ
れ続けるか、あるいは続けることがない、1組の分化マーカーを発現する。成熟
細胞によりもっぱら発現される分化マーカーは、通常機能的特性であり、例えば
、細胞産物、細胞産物を産生する酵素、およびレセプター様相補的分子である。
細胞集団の分化段階は、細胞集団の中に存在するマーカーの同定によりモニター
される。
【0200】 例えば、筋細胞、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞、線維芽細胞および網状細胞
は共通の間葉幹細胞に由来すると考えられる(Owen他、Ciba Fdn. Symp. 136
:42−46、1988)。間葉幹細胞についてのマーカーはよく同定されてきていない
(Owen他、J. of Cell Sci. 87:731−738、1987)ので、同定は通常子孫お
よび成熟細胞段階においてなされる。初期段階の心筋細胞子孫細胞(しばしば心
臓筋細胞幹細胞と呼ばれる)の存在は、成体心臓組織において、推測されてきて
いるが、証明されてきていない。本発明の新規なポリペプチドは、in vivoおよ
びex vivoの両方において、間葉幹細胞および筋細胞または心筋細胞子孫細胞を
単離する研究のために有用であろう。
【0201】 末端分化または脱分化に向かって経路を下る特異的細胞型を刺激する因子は、
共通の前駆体または幹細胞に由来する全細胞集団に影響を与えることを示唆する
証拠が存在する。こうして、MAPPポリペプチドは、精巣、卵巣、前立腺、小腸、
結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、
および胎盤の内分泌および外分泌細胞の阻害または増殖を刺激することができる
。本発明の分子は、心筋細胞を増殖または分化を刺激するが、共通の前駆体/幹
細胞に対する影響のために、脂肪細胞の増殖または分化を阻害する。本発明の新
規なポリペプチドは、神経および上皮幹細胞および精巣、卵巣、前立腺、小腸、
結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、
および胎盤を、in vivoおよびex vivoの両方において、研究するために有効で
ある。
【0202】 分化を測定するアッセイは、例えば、組織の段階特異的発現に関連する細胞マ
ーカー、酵素活性、機能的活性または形態学的変化を測定することを包含する(
Watt、FASEB 5:281−284、1991;Francis、Differentiation 57:63−75、19
94;Raes、Adv. Anim. Cell Biol. Technol. Bioprocesses、161−171、19
89。
【0203】 本発明のMAPPポリペプチドを使用して、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊
髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎
盤における増殖または分化を研究することができる。このような本発明の方法は
、一般に、これらの組織に由来する細胞をMAPPポリペプチド、そのモノクローナ
ル抗体、アゴニストまたはアンタゴニストの存在および非存在下にインキュベー
トし、細胞の増殖または分化の変化を観測することを含んでなる。これらの組織
からの細胞系統は、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(
American Type Culture Collection)(バージニア州マナサス)から商業的
に入手可能である。
【0204】 本発明の、選択的にスプライスされたペプチドを包含する、タンパク質は、細
胞−細胞の相互作用、受精、発生、免疫認識、成長制御、および配偶子成熟を研
究するために有効である。MAPPの分子、変異型、およびフラグメントは、精巣、
卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂
、肺、気管、胎児肺、および胎盤における単離において、あるいは他の分子(増
殖因子、サイトカイン、およびその他)と組み合わせて適用することができる。
【0205】 本発明のタンパク質は治療剤のデリバリーに有効であり、このような治療剤は
プロテアーゼ、ラジオヌクレオチド、化学療法剤、および小分子を包含するが、
これらに限定されない。これらの治療剤の効果はin vitroにおいて培養した細
胞を使用して、ex vivoにおいて組織スライスについて、またはin vivoにおい
て特許請求した発明の分子を適当な動物モデルに投与することによって測定する
ことができる。本発明のタンパク質をアッセイする別のin vivoアプローチはウ
イルスデリバリーシステムを包含する。この目的に典型的なウイルスは、アデノ
ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ワクシニアウイルス、およびア
デノ関連ウイルス(AAV)を包含する。
【0206】 アデノウイルスは、二本鎖DNAウイルスであり、現在異種核酸の送達のために
最良に研究されている遺伝子転移ベクターである(概観については、下記の文献
を参照のこと:T. C. Becker他、Mol. Cell. Biol. 43:161−89、1994;
およびJ. T. DouglasおよびD. T. Curiel、Science and Medicine 4:44
−53、1997)。アデノウイルス系はいくつかの利点を提供する:アデノウイルス
は(i)比較的大きいDNAインサートを収容することができる;(ii)高い力価に
増殖することができる;(iii)広い範囲の哺乳動物細胞型を感染することがで
きる;そして(iv)異なるプロモーターを含有する多数の異なる入手可能なベク
ターロモーターとともに使用することができる。
【0207】 また、アデノウイルスは血流中で安定であるので、静脈内注射により投与でき
る。アデノウイルスゲノムの一部分を欠失させることによって、異種DNAの大き
いインサート(7kbまで)を収容することができる。直接的結合によるか、ある
いは共トランスフェクトされたプラスミドを使用する相同的組換えにより、これ
らのインサートはウイルスDNAの中に組込まれる。典型的な系において、必須E1
遺伝子はウイルスベクターから欠失されており、そしてE1遺伝子が宿主細胞(ヒ
ト293細胞系統は典型である)により提供されないかぎり、ウイルスは複製しな
いであろう。
【0208】 無傷の動物に静脈内投与されるとき、アデノウイルスは肝臓を主としてターゲ
ットする。アデノウイルスデリバリーシステムがE1遺伝子の欠失を有する場合、
ウイルスは宿主細胞中で複製することができない。しかしながら、宿主細胞の組
織(例えば、肝臓)は異種タンパク質を発現しかつプロセスするであろう(そし
て、分泌シグナル配列が存在する場合、分泌する)。分泌されたタンパク質は高
度に血管化した肝臓中の循環の中に入り、感染した動物に対する作用を測定する
ことができる。
【0209】 そのうえ、ウイルス遺伝子の種々の欠失を含有するアデノウイルスベクターを
使用して、ベクターに対する免疫応答を排除することを試みることができる。こ
のようなアデノウイルスはE1が欠失されており、さらにE2AまたはE4の欠失を含
有する(Lusky、M. 他、J. Virol. 72:2022−2032、1998;Raper、S. E.
他、Human Gene Therapy 9:671−679、1998)。さらに、E2bの欠失は免疫応
答を減少させると報告されている(Amalfitano、A. 他、J. Virol. 72:926
−933、1998)。
【0210】 そのうえ、全体のアデノウイルスゲノムを欠失することによって、異種DNAの
非常に大きいインサートを収容することができる。すべてのウイルス遺伝子が欠
失されているいわゆる「グートレス(gutless)」アデノウイルスの発生は、異
種DNAの大きいインサートの挿入のために特に好都合である。概観については、
下記の文献を参照のこと:Yeh、P.およびPerricaudet、M.、FASEB J. 11:615
−623、1997。
【0211】 また、アデノウイルス系をタンパク質のin vitro産生のために使用すること
ができる。細胞が急速に分裂しない条件下にアデノウイルス感染非293細胞を培
養することによって、細胞は延長した時間の間タンパク質を産生することができ
る。例えば、BHK細胞を細胞ファクトリー中でコンフルエンスに成長させ、次い
で問題の分泌されたタンパク質をコードするアデノウイルスベクターに対して暴
露させる。次いで細胞を無血清条件下に成長させ、これにより感染した細胞は有
意な細胞分裂なしに数週間生き残ることができる。
【0212】 あるいは、アデノウイルスベクターが感染した293S細胞を比較的高い細胞密度
において懸濁培養で成長させて、有意な量のタンパク質を産生することができる
(Garnier他、Cytotechnol. 15:145−55、1994参照)。いずれのプロトコルを
使用しても、発現され、分泌された異種タンパク質を細胞培養の上清から反復し
て単離することができる。感染した293S細胞産生プロトコルにおいて、非分泌タ
ンパク質をまた効果的に得ることができる。
【0213】 可溶性または細胞表面のタンパク質として、MAPPポリペプチドまたはMAPPが結
合するペプチドの活性はシリコンをベースとするバイオセンサーミクロフィジオ
メーターにより測定できる。このバイオセンサーミクロフィジオメーターは細胞
表面タンパク質の相互作用に関連する細胞外酸性化速度またはタンパク質外分泌
を測定し、引き続いて生理学的細胞応答を測定する。典型的な装置はCytosensor TM (Molecular Devices、カリフォルニア州サニーヴェイル製)である。種々の
細胞応答、例えば、細胞増殖、イオン輸送、エネルギー産生、炎症性応答、調節
およびレセプターの活性化、およびその他をこの方法により測定することができ
る。
【0214】 例えば、下記の文献を参照のこと:McConnell、H. M. 他、Science 257:1
906−1912、1992;Pitchford、S. 他、Meth. Enzymol. 228:84−108、1997
;Arimilli、S. 他、J. Immunol. Meth. 212:49−59、1998;Van Liefde
、I. 他、Eur. J. Pharmacol. 346:87−95、1998。付着性または非付着性
真核細胞または原核細胞をアッセイするために、ミクロフィジオメーターを使用
することができる。細胞培地中の細胞外酸性化の変化を経時的に測定することに
よって、ミクロフィジオメーターは、MAPPポリペプチド、それらのアゴニストお
よびアンタゴニストを包含する種々の刺激因子に対する細胞の応答を直接測定す
る。
【0215】 好ましくは、ミクロフィジオメーターを使用して、MAPPポリペプチドに対して
応答しない対照真核細胞に比較して、MAPPポリペプチド応答性真核細胞の応答を
測定する。MAPPポリペプチド応答性真核細胞は、MAPPのポリヌクレオチドがその
中にトランスフェクトされ、MAPPに対して応答性である細胞をつくる細胞;また
は自然にMAPPに対して応答性である細胞を含んでなる。MAPPに対して暴露しない
対照に関係して、MAPPポリペプチドに対して暴露した細胞の応答の変化により測
定した差は、MAPP仲介細胞応答の直接的測定値である。そのうえ、MAPP仲介細胞
応答を種々の刺激因子下に測定することができる。
【0216】 本発明は、MAPPポリペプチドに対して応答性である細胞を準備し、被検化合物
の非存在下に細胞の第1部分を培養し、被検化合物の存在下に細胞の第2部分を培
養し、そして細胞の第1部分に比較して細胞の第2部分の細胞の応答の変化を検出
することを含んでなる、MAPPタンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストを同
定する方法を提供する。細胞の応答の変化は、細胞外酸性化速度の測定可能な特
徴として示される。そのうえ、MAPPポリペプチドの存在下および被検化合物の非
存在下における細胞の第3部分を培養することは、MAPP応答性細胞のための陽性
対照、および被検化合物のアゴニスト活性とMAPPポリペプチドのそれとを比較す
るための対照を提供する。被検化合物の存在および非存在下にMAPPタンパク質に
対して細胞を暴露することによってMAPPのアンタゴニストを同定することができ
、それによりMAPP刺激活性の減少は被検化合物におけるアゴニスト活性を示す。
【0217】 そのうえ、MAPPを使用して、MAPP刺激経路に対して応答性する細胞、組織、ま
たは細胞系統を同定することができる。前述のミクロフィジオメーターを使用し
て、ジスインテグリン応答性細胞、例えば、本発明のMAPPに対して応答性である
細胞を急速に同定することができる。細胞をMAPPポリペプチドの存在または非存
在下に培養することができる。MAPPの存在下に細胞外酸性化の測定可能な変化を
誘発する細胞は、MAPPに対して応答性である。前述したように、このような細胞
系統を使用して、インテグリン、MAPPポリペプチドのアンタゴニストおよびアゴ
ニストを同定することができる。同様な方法を使用して、MAPPを発現する細胞を
使用して、MAPPシグナリング経路を刺激する細胞を同定することができる。
【0218】 このMAPP発現について観測された組織分布(精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸
、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、およ
び胎盤)にかんがみて、アゴニスト(天然のジスインテグリンおよびプロテアー
ゼドメイン、ならびに天然または合成のジスインテグリンループペプチドを包含
する)およびアンタゴニストはin vitroおよびin vivoの双方の用途において
多数の潜在的能力を有する。MAPPのアゴニストとして同定された化合物は、in
vitroまたはin vivoにおける細胞−細胞の相互作用、筋形成、アポトーシス、
神経発生、腫瘍の増殖および抑制、細胞外基質タンパク質、虚血再灌流および炎
症の修復および改造を研究するために有効である。
【0219】 例えば、MAPPおよびアゴニスト化合物は規定された細胞培地の成分として有用
であり、そして単独で、あるいは他のサイトカインおよびホルモンと組み合わせ
て使用して、細胞培養において普通に使用される血清を置換することができる。
こうして、アゴニストは培養において骨髄およびリンパ球系の細胞の増殖および
/または発生を特異的に促進するために有効である。小分子を包含する、MAPPポ
リペプチドおよびMAPPアゴニストは、例えば、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸
、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、およ
び胎盤の拡大、分化、および/または細胞−細胞の相互作用のための、研究因子
として有効である。MAPPポリペプチドをこれらの細胞タイプのための組織培養培
地に添加する。
【0220】 また、アンタゴニストは補体/抗補体の対間の相互作用部位に関連する細胞−
細胞の相互作用部位を特性決定するための研究試薬として有効である。MAPP活性
のインヒビター(MAPPアンタゴニスト)は、抗MAPP抗体および可溶性MAPPポリペ
プチド(例えば、配列番号2)ならびに他のペプチドおよび非ペプチド因子(リ
ボザイムを包含する)を包含する。
【0221】 また、MAPPはその活性のインヒビター(アンタゴニスト)を同定するために使
用できる。被験化合物を本明細書に開示するアッセイに添加して、MAPP活性を阻
害する化合物を同定する。本明細書に開示するアッセイに加えて、ジスインテグ
リン/インテグリンの結合またはMAPP依存的細胞応答の刺激/阻害を測定するよ
うに設計された種々のアッセイにおいて、試料をMAPP活性の阻害について試験す
ることができる。例えば、MAPP刺激細胞経路に対して応答性であるリポーター遺
伝子構築物で、MAPP応答性細胞系統をトランスフェクトすることができる。この
タイプのリポーター遺伝子構築物はこの分野において知られており、そしてアッ
セイ可能なタンパク質、例えば、ルシフェラーゼ、または代謝物質、例えば、環
状AMPをコードする遺伝子に作用可能に連鎖されたDNA応答因子を一般に含んでな
る。
【0222】 DNA応答因子は下記のものを包含するが、これらに限定されない:環状AMP応答
因子(CRE)、ホルモン応答因子(HRE)、インスリン応答因子(IRE)(Nasrin
他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5273−7、1990)および血清応答因
子(SRE)(Shaw他、Cell 56:563−72、1989)。環状AMP応答因子は下記の文
献において概観されている:Roestler他、J. Biol. Chem. 263(19):9063
−6、1988、およびHabener、Molec. Endocrinol. 4(8):1087−94、1990。
ホルモン応答因子は下記の文献において概観されている:Beato、Cell 56:335
−44、1989。最も期待できそうなリポーター遺伝子構築物はジスインテグリンを
含有し、このジスインテグリンは、インテグリンに結合すると、例えば、SREリ
ポーターを通して、細胞内にシグナリングするであろう。
【0223】 候補化合物、溶液、混合物または抽出物をターゲット細胞に対するMAPP活性を
阻害する能力について試験する。これはリポーター遺伝子の発現のMAPP刺激の減
少により証明される。このタイプのアッセイは、細胞表面のタンパク質、すなわ
ち、インテグリン、または相補的/抗相補的対の抗相補的メンバーに対するMAPP
の結合をブロックする化合物、ならびに補体/抗補体の結合に引き続く細胞経路
におけるプロセスをブロックする化合物を検出するであろう。
【0224】 別法において、検出可能な標識(例えば、125I、ビオチン、セイヨウワサビペ
ルオキシダーゼ、FITC、およびその他)で標識化したMAPPを使用して、インテグ
リンに対するMAPPの結合の直接的ブロッキングについて、化合物または他の試料
を試験することができる。このタイプのアッセイにおいて、インテグリンへの標
識化MAPPの結合を阻害する被験試料の能力は阻害活性を指示し、これは二次アッ
セイにより確証することができる。結合アッセイにおいて使用するインテグリン
は、細胞のインテグリン、可溶性インテグリンまたは単離され、固定化されたイ
ンテグリンであることができる。
【0225】 MAPPのDCDインテグリン結合成分を含んでなるアミノ酸配列(配列番号2の残基
481〜483)は、「RGD」、インテグリン結合ループに対して類似し、また、イン
ヒビターとして使用することができる。このようなインヒビターは、そのフォル
ディング構造の特質により、その天然に存在するインテグリン以外のインテグリ
ンに結合するであろう。このようなインヒビターにおける特定の重要性は、血小
板の凝集、配偶子の成熟、または免疫学的応答を仲介することである。結合およ
び阻害を測定するアッセイはこの分野において知られている。
【0226】 また、MAPPポリペプチド、それらのアゴニストまたはアンタゴニストは、例え
ば、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、
乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤の組織における、創傷の治癒を促進
するために療法上有効であろう。本発明のMAPPポリペプチド、アゴニストまたは
アンタゴニストにおけるこの能力の存在を確認するために、このようなMAPPポリ
ペプチド、アゴニストまたはアンタゴニストをこの分野において知られている手
順に従い創傷治癒を促進する能力に関して評価する。所望ならば、これに関する
MAPPポリペプチドの性能を増殖因子、例えば、EGF、NGF、TGF−α,TGF−β、イ
ンスリン、IGF−I、IGF−II、繊維芽細胞増殖因子(FGF)およびその他と比較す
る。さらに、MAPPポリペプチドまたはそれらのアゴニストまたはアンタゴニスト
を1またはそれ以上の増殖因子と組合わせて評価して相乗作用を同定することが
できる。
【0227】 また、MAPPリガンド結合性ポリペプチドをリガンドの精製に使用することがで
きる。ポリペプチドを、使用条件下に安定である、固体支持体、例えば、アガロ
ース、架橋アガロース、ガラス、セルロース樹脂、シリカをベースとする樹脂、
ポリスチレン、架橋ポリアクリルアミド樹脂、およびその他の材料のビーズ上に
固定化する。固体支持体にポリペプチドを結合する方法はこの分野において知ら
れており、そしてアミン化学、臭化シアン活性化、N−ヒドロキシスクシンイミ
ド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化およびヒドラジド活性化を
包含する。得られる媒質は一般にカラムの形態に形造られ、そしてインテグリン
を含有する流体をカラムに1回またはそれ以上の回数通過させて、インテグリン
をインテグリン結合性ループポリペプチドに結合させる。次いで塩濃度の変化、
カオトロープ剤(グアニジンHCl)、またはインテグリンまたはレセプターの結
合を崩壊させるpHを使用して、インテグリンを溶離する。
【0228】 リガンド結合性レセプター(または抗体、補体/抗補体の対の一方のメンバー
または他の細胞表面結合性タンパク質)またはその結合性フラグメント、および
商業的に入手可能なバイオセンサー計装(BIAcoreTM、Pharmacia Biosensor、
ニュージャージイ州ピスカタウェイ)を使用するアッセイシステムを好都合に用
いることができる。このようなレセプター、抗体、補体/抗補体の対のメンバー
またはフラグメントをレセプターのチップ表面上に固定化する。
【0229】 この計装の使用は、Karlsson、J. Immunol. Methods 145:229−40、1991
およびCunninghamおよびWells、J. Mol. Biol. 234:554−63、1993、に開示
されている。レセプター、抗体、メンバーまたはフラグメントを、アミンまたは
スルフヒドリルの化学を使用して、フローセル内の金薄膜に結合させたデキスト
ラン繊維に共有結合させる。試験試料をセルに通過させる。インテグリン、エピ
トープ、または補体/抗補体の反対のメンバーが試料の中に存在する場合、それ
はそれぞれ固定化されたインテグリン、抗体またはメンバーに結合し、媒質の屈
折率を変化させ、これは金薄膜表面のプラズモンの共鳴の変化として検出される
。このシステムは、オンおよびオフの割合の測定(これから結合アフィニティー
を計算することができる)および結合の化学量論的評価を可能とする。
【0230】 ジスインテグリンポリペプチドに結合するインテグリンポリペプチドおよび他
のレセプターポリペプチドを、また、この分野において知られている他のアッセ
イシステムにおいて使用することができる。このようなシステムは、結合アフィ
ニティーを測定するスキャッチャード分析(Scatchard、Ann. NY Acad. Sci.
51:660−72、1949、参照)および比色アッセイ(Cunningham他、Science 25
3:545−48、1991;Cunningham他、Science 245:821−25、1991、参照)を包
含する。
【0231】 「可溶性タンパク質」は細胞膜に結合しないタンパク質である。可溶性タンパ
ク質は、トランスメンブランドメインおよび細胞質ドメインを欠如する、最も普
通にリガンド結合性ポリペプチドである。可溶性タンパク質は追加のアミノ酸残
基、例えば、か、あるいはペプチドを基質に結合させる部位を提供するポリペプ
チドの精製を提供する親和標識、または免疫グロブリンの定常領域の配列を含ん
でなることができる。多数の細胞表面のタンパク質は、タンパク質分解により産
生されるか、あるいは選択的にスプライスされたmRNAから翻訳された、天然に存
在する、可溶性対応物を有する。タンパク質は、それぞれ、膜定着またはシグナ
ルトランスダクションを提供するために十分なこれらのセグメントの部分を欠如
するとき、タンパク質はトランスメンブランおよび細胞内ポリペプチドのセグメ
ントを実質的に含まないと言われる。
【0232】 MAPPポリペプチド、例えば、配列番号2のポリペプチドの可溶性形態は、MAPP
ポリペプチドに対するアンタゴニストまたはMAPPポリペプチドのアゴニストとし
て作用することができ、そして精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、
大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤における
MAPPの作用をモジュレートするために有効であろう。こうして、トランスメンブ
ランドメインを含有しないMAPPポリペプチドのイソ型(すなわち、配列番号2の
ポリペプチド)は可溶性であり、MAPP活性のアゴニストまたはアンタゴニストと
して作用することができる。この特質を有するポリペプチドは膜に定着されない
ので、それらはそれらが発現される組織から離れた部位において作用することが
できる。こうして、MAPPポリペプチドの可溶性形態の活性は、その膜定着対応物
よりもいっそう広く拡大することができる。両方のイソ型はin vitroおよびin
vivoにおける本発明の効果を研究するとき有用であろう。
【0233】 本発明の分子は、インテグリン、または細胞−細胞の相互作用に関係する補体
/抗補体の対のメンバーを同定し、単離するために使用することができる。例え
ば、本発明のタンパク質およびペプチドをカラム上に固定化し、そして膜調製物
をカラム上に展開することができる(Immobilized Affinity Ligand Techniq
ues、Hermanson他、編、Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ、199
2、pp. 195−202)。タンパク質およびペプチドを放射線標識化する(Methods
in Enzymol.、vol. 182、″Guide to Protein Purification″、M. Deu
tscher、編、Acad. Press、サンディエゴ、1990、721−37)か、あるいはフォ
トアフィニティー標識化し(Brunner他、Ann. Rev. Biochem. 62:483−514
、1993およびFedan他、Biochem. Pharmacol. 33:1167−80、1984)そして特
異的細胞表面タンパク質を同定することができる。
【0234】 本発明の分子は、虚血事象後の修復および改造、免疫学的認識のモジュレーシ
ョン、配偶子の成熟、および/または血小板の凝集において有効であろう。本発
明のポリペプチド、核酸および/または抗体は、脳または心臓組織における梗塞
、および/または血小板凝集に関連する障害の治療において使用することができ
る。本発明の分子は、タンパク質分解、アポトーシス、神経発生、筋形成、細胞
接着、細胞融合、およびシグナリングをモジュレートし、または多様な組織、例
えば、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃
、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤における病理学的症状の発生を治
療または予防するために使用することができる。
【0235】 特に、ある種の疾患はこのような診断、治療または予防が可能である。本発明
の分子を使用して、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀
胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤におけるニューロン
および筋細胞の阻害および増殖をモジュレートすることができる。MAPPポリペプ
チドを使用する診断、治療または予防が可能である疾患は、例えば、アルツハイ
マー病、腫瘍形成、多発性硬化症、うっ血性心不全、虚血性再灌流または梗塞、
および変性疾患を包含する。
【0236】 さらに、ポリペプチドドメインは、残基31〜200を含んでなり、一般に、他のD
Pファミリーのメンバーならびに他のプロテアーゼのプロテアーゼ活性のモジュ
レーターとして使用することができる。ポリペプチドおよびそれらをコードする
ポリヌクレオチドは、可溶性分子としてまたはこのようなプロテアーゼを調節す
る融合産物として使用することができる。
【0237】 MAPPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、MAPP活性を増加または阻
害させようとする遺伝子治療において有用である。哺乳動物が突然変異したMAPP
遺伝子をもつか、あるいはMAPP遺伝子をもたない場合、MAPP遺伝子を哺乳動物の
細胞の中に導入することができる。1つの態様において、MAPPポリペプチドをコ
ードする遺伝子をin vivoにおいてウイルスベクターの中に導入する。このよう
なベクターは、弱毒化または欠陥DNAウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス
(HSV)、肺炎ウイルス、EBウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイ
ルス(AAV)、およびその他を包含するが、これらに限定されない。欠陥ウイル
スは、ウイルス遺伝子を完全にまたはほとんど完全に欠如し、このようなウイル
スは好ましい。欠陥ウイルスは、細胞の中に導入された後、感染性ではない。
【0238】 欠陥ウイルスベクターを使用すると、ベクターが他の細胞を感染することがで
きるということを無視して、特定の局在化区域における細胞への投与が可能とな
る。特定のベクターの例は下記のものを包含するが、これらに限定されない:欠
陥単純ヘルペスウイルス1(HSV1)のベクター(Kaplitt他、Molec. Cell. Neu
rosci. 2:320−30、1991);弱毒化アデノウイルス、例えば、Stratford−Per
ricaudet他、J. Clin. Invest. 90:626−30、1992、に記載されているベク
ター;および欠陥アデノ関連ウイルスのベクター(Samulski他、J. Virol. 61
:3096−101、1987;Samulski他、J. Virol. 63:3822−8、1989)。
【0239】 他の態様において、MAPP遺伝子を、例えば、下記の文献に記載されているよう
に、レトロウイルスのベクターの中に導入することができる:Anderson他、米国
特許第5,399,346号;Mann他、Cell 33:153、1983;Temin他、米国特許第4,650
,764号;Temin他、米国特許第4,980,289号;Markowitz他、J. Virol. 62:112
0、1988;Temin他、米国特許第5,124,263号;Dougherty他、国際特許公開No.WO
95/07358、公開、1995年3月16日;およびKuo他、Blood 82:845、1993。あ
るいは、ベクターはリポソームを使用するin vivoにおけるリポフェクションに
より導入することができる。合成カチオン性脂質を使用して、マーカーをコード
する遺伝子のin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製すること
ができる(Felgner他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7、1987;
Mackey他、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8027−31、1988)。
【0240】 in vivoにおいて特定の器官の中に外因的遺伝子を導入するためにリポフェク
ションを使用することは、ある種の特定の利点を有する。リポソームを特定の細
胞にターゲッティングする分子は、利益の1つの領域を表す。さらに詳しくは、
特定の細胞にトランスフェクションを向けることは利益の1つの領域を表す。例
えば、特定の細胞のタイプにトランスフェクションを向けることは、細胞の異種
性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎臓、および脳において特に好都合であ
る。脂質をターゲッティングの目的で他の分子に化学的にカップリングさせるこ
とができる。ターゲッテッドペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝達物質)
、タンパク質、例えば、抗体、または非ペプチドをリポソームに化学的にカップ
リングさせる。
【0241】 同様に、MAPPポリペプチド(配列番号1または配列番号3)を使用して、特定の
組織、例えば、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、
子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤をターゲッティングする
ことができる。体からターゲット細胞を除去すること;裸DNAプラスミドとして
ベクターを導入すること;次いで形質転換された細胞を体の中に再導入すること
が可能である。この分野において知られている方法、例えば、トランスフェクシ
ョン、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、トランスダクショ
ン、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈澱法、遺伝子ガンの使用
またはDNAベクターのトランスポーターの使用により、遺伝子治療のための裸DNA
ベクターは所望の宿主細胞の中に導入することができる。例えば、下記の文献を
参照のこと:Wu他、J. Biol. Chem. 267:963−7、1992;Wu他、J. Biol.
Chem. 263:14621−4、1988。
【0242】 アンチセンスおよびリボザイムの方法を包含する、種々の技術を使用して、MA
PP遺伝子の転写および翻訳を阻害すること、例えば、in vivoにおける細胞増殖
を阻害することができる。MAPPをコードするmRNAに結合しかつこのようなmRNAの
翻訳を阻害するように、MAPPをコードするポリヌクレオチドのセグメント(例え
ば、配列番号1または3に記載するようなポリヌクレオチド)に対して相補的であ
るポリヌクレオチドを設計する。このようなアンチセンスポリヌクレオチドを使
用して、細胞培養物または被検体におけるMAPPポリペプチドをコードする遺伝子
の発現を阻害する。
【0243】 また、MAPP遺伝子を発現するように操作されたマウス(「トランスジェニック
マウス」と呼ぶ)、およびMAPP遺伝子機能の完全な非存在を示すマウス(「ノッ
クアウトマウス」と呼ぶ)を発生させることもできる(Snouwaert他、Science
257:1083、1992;Lowell他、Nature 366:740−42、1993;Capecchi、M. R.
、Science 244:1288−1292、1989;Palmiter、R. D. 他、Annu. Rev. Gen
et. 20:465−499、1986)。例えば、偏在的にまたは組織特異的または組織制
限的プロモーター下に、MAPPを過剰に発現するをトランスジェニックマウスを使
用して、過剰発現が表現型を引き起こすかどうか決定することができる。
【0244】 例えば、野生型MAPPポリペプチド、そのペプチドフラグメントまたは突然変異
体の過剰発現は正常の細胞プロセスを変更し、組織を同定する表現型を生じ、こ
こでMAPPの発現は機能的に関係づけられ、MAPP、そのアゴニストまたはアンタゴ
ニストの療法上のターゲットを示すことができる。例えば、操作するために好ま
しいトランスジェニックマウスは、可溶性MAPPポリペプチド(配列番号2のほぼ
アミノ酸28〜802)を過剰に発現するものである。そのうえ、このような過剰発
現は、ヒト疾患に対して類似性を示す表現型を生ずることがある。同様に、ノッ
クアウトMAPPマウスを使用して、MAPPがin vivoにおいて絶対的に必要であるか
どうか決定することができる。
【0245】 ノックアウトマウスの表現型は、MAPPアンタゴニスト、例えば、本明細書に記
載するものが有することができるin vivo作用を示す。ヒトMAPP cDNAを使用し
て、ネズミMAPP mRNA、cDNAおよびゲノムDNAを単離することができ、引き続い
てこれらを使用してノックアウトマウスを発生させる。これらのマウス用いてMA
PP遺伝子およびin vivo系においてこれによりコードされるタンパク質を研究す
ることができ、そしてこれらのマウスは対応するヒト疾患のためのin vivoモデ
ルとして使用することができる。そのうえ、本明細書に記載するMAPPに対して向
けられたMAPPアンチセンスポリヌクレオチドまたはリボザイムのトランスジェニ
ックマウスの発現を、前述のトランスジェニックマウスと同様に使用することが
できる。
【0246】 MAPPポリペプチド、それらの変異型、およびフラグメントは、例えば、受精、
配偶子成熟、免疫、凝固、外傷に関係する障害、および、一般に、上皮の障害を
包含する、細胞−細胞の相互作用に関連する障害についての代替療法として有効
することがある。
【0247】 組織形態形成のそれほど広く認識されていない決定因子は細胞再配列のプロセ
スである:細胞運動性および細胞−細胞の接着の両方は形態形成的細胞再配列に
おいて重要な役割を演ずるようである。細胞は急速に破壊し、多分同時に付近の
細胞と急速に接触することができる必要がない。Gumbiner、B. M.、Cell 69:
385−387、1992、参照。精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈
、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤において分泌さ
れたタンパク質として、MAPPはこれらの組織および他の組織における細胞間再配
列においてある役割を演ずることができる。
【0248】 MAPP遺伝子は、欠陥MAPP遺伝子を有するヒトを同定するプローブとして有効で
あることがある。精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱
、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤におけるMAPPポリペプ
チドの強い発現は、MAPPポリヌクレオチドまたはポリペプチドをこれらの組織に
おける異常な成長の指示である測定するとき、使用することができる。こうして
、MAPPのポリヌクレオチドおよびポリペプチド、およびそれらに対する突然変異
体は、これらの組織における癌の診断インジケーターとして使用することができ
る。
【0249】 本発明のポリペプチドは細胞接着および転移におけるその役割を研究するとき
有用であり、そして転移、特に精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、
大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤の腫瘍の
転移の防止において有効である。同様に、MAPPのポリヌクレオチドおよびポリペ
プチドは、腫瘍または悪性組織におけるそれらの欠陥対応物の代わりに使用する
ことができる。
【0250】 MAPPポリペプチドは、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈
、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および胎盤において発現さ
れる。こうして、本発明のMAPPポリペプチドの医薬組成物は、精巣、卵巣、前立
腺、小腸、結腸、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管
、胎児肺、および胎盤の病理学的調節または発現に関連する障害の予防または治
療において有効である。
【0251】 精巣、前立腺および卵巣におけるMAPPの強い発現およびフェルチリン(fertil
in)のそれに対するMAPPのジスインテグリンループ(すなわち、配列番号2の残
基475〜488)の類似性は、MAPPポリペプチドおよびポリヌクレオチドの再生にお
ける役割を示唆する。こうして、in vitroにおける精子−卵の融合を研究する
ためにMAPPを使用することができる。このようなアッセイは、例えば、下記の文
献に記載されている:Myles、D. G.、他、PNAS 91:4195−4198、199、および
Almeida、E. A.、他、Cell 81:1095−1104、1995)。 本発明のポリヌクレオチドは、また、調節可能なプロモーターと組み合わせて
使用することができ、こうしてタンパク質の送達量の調節が可能である。
【0252】 配列番号2のMAPPポリヌクレオチドを染色体20p13にマッピングされた。こうし
て、本発明は、また、診断用途において使用される試薬を提供する。例えば、MA
PP遺伝子、MAPP DNAまたはRNAまたはそれらのサブ配列を使用して、MAPP遺伝子
が染色体20p13上に存在するかどうか、または突然変異が起こったかどうかを決
定することができる。MAPP遺伝子座における検出可能な染色体異常は下記のもの
を包含するが、これらに限定されない:異数性、遺伝子コピー数の変化、挿入、
欠失、制限部位の変化および再配列。このような異常は、本発明のポリヌクレオ
チドを使用して、分子遺伝学的技術、例えば、制限フラグメント長さの多形性(
RFLP)分析、PCR技術を使用する短い縦列反復(STR)分析、およびこの分野にお
いて知られている他の遺伝学的結合分析技術に従い検出することができる(Samb
rook他、前掲;Ausubel他、前掲;Marian、Chest 108:255−65、1995)。
【0253】 MAPP遺伝子は染色体20、20p13に局在化される。この領域に局在化された症候
群の1つは、心臓における肺性弁狭窄および末梢動脈狭窄により特徴づけられる
。この範囲にマッピングされる他の症候群は次の通りである:角膜内皮ジストロ
フィー1および2(それぞれ、OMIMエントリー121700および21770)、これらは視
覚障害および角膜曇りを生ずる;左心室心筋の非緊密化(OMIMエントリー604169
)、これは心臓奇形(「スポンジ状心筋」)である;およびハレルフォルデン−
スパッツ病(OMIMエントリー234200、また、脳鉄蓄積を伴う神経変性として知ら
れている)、これは全身性失調症、オロマンドディブラー・インボルブメント(
oromandibular involvement)、挙動変化および引き続く痴呆、および網膜変性
および/または両眼萎縮のための視覚障害。こうして、これらの疾患をいっそう
詳述に研究するためには、染色体20のこの領域の同定およびマッピングを必要と
する。MAPPポリヌクレオチドまたはそれらのフラグメントを使用して、染色体20
のこの領域(20p13)を同定することができる。
【0254】 薬学的に使用するために、本発明のタンパク質は、経口的、経直腸的、非経口
的(特に静脈内または皮下)、肋間に、膣内、腹腔内、局所的(粉末、軟膏、点
滴剤または経皮的パッチとして)、頬に、または胸または鼻の吸入剤として投与
することができる。静脈内投与は、1〜数時間の典型的な期間にわたる、ボーラ
ス注射または注入によるであろう。一般に、医薬処方物はMAPPタンパク質と、薬
学上許容されるビヒクル、例えば、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、水中の5%
デキストロースまたはその他との組合わせを包含するであろう。処方物は、さら
に、1または2以上の賦形剤、保存剤、可溶化剤、緩衝化剤、バイアル表面上のタ
ンパク質の損失を防止するためのアルブミン、およびその他を含むことができる
【0255】 処方法はこの分野においてよく知られており、そして、例えば、下記の文献に
開示されている:Remington、The Science and Practice of Pharmacy、Ge
nnaro、編、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン、第19版
、1995。治療的投与量は一般に0.1〜100μg/kgの患者体重/日、好ましくは0.5
〜20mg/kg/日の範囲であり、正確な投与量は、承認された標準に従い、治療す
べき症状の特質および苛酷性、患者の体質、およびその他を考慮して、臨床医に
より決定される。投与量の決定は当業者のレベルの範囲内である。タンパク質は
、急性治療のために、1週またはそれより短い期間にわたって、しばしば1〜3日
の期間にわたって投与することができるか、あるいは慢性的治療において、数カ
月または数年間にわたって使用することができる。
【0256】 一般に、MAPPの治療的に有効な量は、細胞外基質の改造、瘢痕組織の形成、腫
瘍抑制、血小板凝集、アポトーシス、筋形成、精巣、卵巣、前立腺、小腸、結腸
、脊髄、心臓、大動脈、膀胱、子宮、胃、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、およ
び胎盤の組織において臨床的に有意な変化を産生するために十分な量である。同
様に、MAPPの治療的に有効な量は、脊髄、結腸、前立腺、胃、卵巣、膵臓、下垂
体、副腎、唾液腺、乳腺、肝臓、小腸、脾臓、胸腺、末梢白血球、リンパ節、骨
髄、肺、気管、胎盤、胎児脾臓および胎児肺において臨床的に有意な変化を産生
するために十分な量である。
【0257】 下記の非限定的実施例により、本発明をさらに例示する。 実施例 以上から理解されるように、本発明の態様を例示の目的で記載したが、本発明
の精神および範囲から逸脱しないで種々の変更が可能である。したがって、本発
明は、添付された特許請求の範囲による以外、限定されない。
【0258】 実施例1EST配列のエクステンション 部分的配列のデータベースを検索することによって、本発明の新規なMAPPポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドが最初に同定された。この検索によりcD
NAクローンが同定され、そのインサートは不完全であることが決定された。プラ
イマーZC18,604(配列番号18)およびZC18,605(配列番号19)および下記のサー
マルサイクラー条件を使用して、配列されたヒト下垂体cDNAプラスミドライブラ
リーのポリメラーゼ連鎖反応によるスクリーニングにより、250クローンの陽性
プールが同定された:1サイクル、94℃、2分間;次いで35サイクル、94℃、10秒
間、62℃、20秒間、72℃、30秒間;次いで1サイクル、72℃、7分間;次いで4℃
の保持。
【0259】 クローンの陽性プールをコンピテントDH10B大腸菌(E. coli)細胞(Gibco
BRL、マリイランド州ロックビレ)の中に製造業者の指示に従いエレクトロポレ
ートした。Hybond−Nフィルター(Amersham、英国)を製造業者の指示に従い使
用して、コロニーのリフトを実行した。陽性クローンをオートラジオグラフィー
により同定した:プライマーZC17,993(配列番号7)およびZC17,994(配列番号8
)および前述のサーマルサイクラー条件を使用するPCRにより、ヌクレオチド184
7〜1987に対応する140ヌクレオチドのプローブを発生させた。
【0260】 PCRフラグメントをゲル精製し(Qiagen IIゲル抽出キット、Qiagen、カリフ
ォルニア州チャツワース)、放射能標識化し(Rediprime II標識化システム、A
mersham、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)、そして精製した(NucTrapR
ローブ精製カラム、Stratagene、カリフォルニア州ラジョラ)、すべては製造業
者の指示に従った。このプローブをフィルターに対して55℃において一夜ハイブ
リダイゼーションした。ストリンジェンシイおよび洗浄条件は次の通りであった
:ExpressHybハイブリダイゼーション溶液(CLONTECH Laboratories,Inc.、カ
リフォルニア州パロアルト)をプレハイブリダイゼーションならびにハイブリダ
イゼーションのために使用した。
【0261】 フィルターを2×SSCおよび0.1%SDS中で室温において洗浄し、次いでSSCおよ
びSDSの同一条件下に65℃において洗浄し、次いで0.1×SSCおよび0.1%SDS中で6
5℃において洗浄した。オートラジオグラフをフィルターから作り、陽性クロー
ンを同定し、プラスミドを配列決定した。配列の分析により、もとの部分的配列
についてのドメインの配列が確証され、配列は配列番号1のヌクレオチド639〜ヌ
クレオチド3431を含むように伸長された。
【0262】 配列された胎児脳ライブラリーおよびプライマーZC20,646(配列番号20)およ
びZC20,634(配列番号21)、および前述のサーマルサイクラー条件を使用するPC
Rにより、cDNAプラスミドの追加のプールが同定された。鋳型としてこの陽性プ
ール、プライマーZC20,633(配列番号22)、およびベクタープライマーZC13,006
(配列番号23)を使用するRACE PCRにより、MAPPのアミノ末端に対応するcDNA
を増幅した。
【0263】 サーマルサイクラー条件は次の通りであった:1サイクル、94℃、2分間;次い
で5サイクル、94℃、10秒間、68℃、2分間;次いで35サイクル、94℃、10秒間、
62℃、20秒間、72℃、2分間;次いで1サイクル、72℃、7分間;次いで4℃の保持
。PCRフラグメントをゲル精製し(Qiagen IIゲル抽出キット、Qiagen、カリフ
ォルニア州チャツワース)、そしてPCRフラグメントの配列はMAPPポリヌクレオ
チド配列を確証し、MAPP配列のアミノ末端を延長した。しかしながら、PCRフラ
グメントの配列はまたイントロン配列を含有した。
【0264】 新しく設計した内部のプライマーZC21,076(配列番号24)およびZC20,633(配
列番号25)、鋳型としてヒト前立腺cDNA(Clontech Marathon cDNAプロトコル
を使用して調製した、CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォルニア州パロア
ルト)、下記のサーマルサイクラー条件を使用して、追加のPCRを実行した:1サ
イクル、94℃、2分間;次いで5サイクル、94℃、15秒間、70℃、40秒間;次いで
35サイクル、94℃、15秒間、65℃、20秒間、72℃、40秒間;次いで1サイクル、7
2℃、7分間;次いで4℃の保持。前述したように、PCRフラグメントをゲル精製し
、配列決定した。イントロンを排除し、MAPPポリヌクレオチド配列をアミノ末端
において配列番号2のヌクレオチド80に延長した。
【0265】 ヒト前立腺MarathonR cDNA(CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォルニ
ア州パロアルト)、内部プライマーZC21,074(配列番号26)、およびMarathonR
cDNA、API(配列番号9)とともに提供されるプライマーを使用するPCRにより
、配列のアミノ末端をさらに解明した。サーマルサイクラー条件は次の通りであ
った:1サイクル、94℃、2分間;次いで5サイクル、94℃、15秒間、70℃、45秒
間;次いで35サイクル、94℃、15秒間、65℃、20秒間、72℃、45秒間;次いで1
サイクル、72℃、7分間;次いで4℃の保持。このPCR生成物の希釈物を「ネステ
ッド」PCRにおいて鋳型として使用し、ここで新しい内部プライマーZC21,075(
配列番号27)、およびMarathonR cDNA、APII(配列番号10)とともに提供され
る他のプライマーを使用した。
【0266】 サーマルサイクラー条件は次の通りであった:1サイクル、94℃、2分間;次い
で5サイクル、94℃、15秒間、74℃、30秒間;次いで15サイクル、94℃、15秒間
、66℃、30秒間、72℃、30秒間;次いで1サイクル、72℃、7分間;次いで4℃の
保持。この反応生成物をエレクトロポレートし、Qiagen IIゲル抽出キットを使
用して主生成物を抽出した。PCRフラグメントを商業的に入手可能なベクターpCR
2.1(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)の中にサブクローニング
した。陽性クローンを配列決定し、MAPPポリヌクレオチド配列のアミノ末端をさ
らに解明した。こうして、MAPPのこの変異型の最後ポリヌクレオチド配列を配列
番号1に示す。翻訳されたポリペプチド配列を配列番号2に示す。
【0267】 タンパク質のDPファミリーの選択的にスプライスされたイソ型が存在すること
が知られているので、MAPPの他の変異型を同定するためにプライマーZC17,994(
配列番号8)およびZC18,262(配列番号11)を使用して追加のPCRを実施した。ヒ
ト脊髄MarathonRcDNA(CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォルニア州パロ
アルト)を鋳型として使用した。生ずるPCR生成物を前述したようにゲル精製し
、配列決定した。配列分析はMAPPの変異型を示した。このクローンのためのポリ
ヌクレオチド配列を配列番号3に示し、そしてポリペプチド配列を配列番号4に示
す。
【0268】 実施例2組織分布 ヒト多重組織およびマスター分布(CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォ
ルニア州パロアルト)を使用してノザンブロッティング技術により、組織分布の
分析を実行した。プローブの発生、ハイブリダイゼーションおよび洗浄ストリン
ジェンシイは実施例1に記載するものに類似した。約4.4kbの強いシグナルが前立
腺、精巣、卵巣、小腸および結腸において見られ、弱いシグナルが胃、甲状腺、
脊髄、リンパ節、および気管において見られた。
【0269】 2つの中程度の強度の転写物サイズが心臓において約4.0kbおよび約4.4kbに見
られた。8ハウスキーピング遺伝子に正規化された種々の組織からのRNAを含有す
るマスタードットブロットを、また前述したように、プロービングし、ハイブリ
ダイゼーションさせた。低いレベルの発現がマスタードットブロット上のすべて
の組織において見られ、高いレベルの発現が脊髄、脊髄、心臓、大動脈、結腸、
膀胱、子宮、前立腺、胃、精巣、卵巣、乳腺、虫垂、肺、気管、胎児肺、および
胎盤において見られた。
【0270】 実施例3タンパク質精製 N末端およびC末端のEEタグを有するMAPPの精製条件: Glu−Gluタグをコードするポリヌクレオチドに作用可能に連鎖された、配列番
号1のDNA配列またはその一部分を含有する発現ベクターを使用して、大腸菌(E.
coli)、ピキア(Pichia)、CHOおよびBHK細胞をトランスフェクトした。MAPP
タンパク質は大腸菌(E. coli)、ピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)
、および/またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)のコンディショニングさ
れた培地において発現され、そしてMAPPタンパク質はコンディショニングされた
培地において発現される。
【0271】 大腸菌(E. coli)およびピキア(Pichia)において発現されるMAPPについて
、精製前に培地を濃縮しない。特記しない限り、すべての操作は4℃において実
施する。BHK細胞からのコンディショニングした培地の全25リットルを4インチ、
0.2mMのミリポア(Millpore)(マサチュセッツ州ベッドフォード)OptiCapカプ
セルフィルターおよび0.2mMのGelman(ミシガン州アンアーバー)Supercap 50
に継続的に通過させて滅菌する。次いで3000kDaカットオフAmicon(マサチュセ
ッツ州ベッドフォード)S10Y3膜を装備するMillipore ProFlux A30接線流濃縮
器を使用して、この物質を約1.3リットルに濃縮する。前述したように、濃縮さ
れた物質を再びGelmanフィルターで滅菌濾過する。
【0272】 プロテアーゼインヒビターの混合物をコンディショニングし濃縮した培地に2.
5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA、Sigma Chemical Co.、ミゾリー州セン
トルイス)、0.001mMのロイペプチン(Boehringer−Mannheim、インジアナ州イ
ンジアナポリス)、0.001mMのペプスタチン(Boehringer−Mannheim)および0.4
mMのPefabloc(Boehringer−Mannheim)の最終濃度に添加する。後述するように
調製した、抗EE Sepharoseの50,0mlの試料を添加し、この混合物をWheaton(ニ
ュージャージイ州ミリヴィレ)ローラー培養装置上で4℃において18.0時間おだ
やかに撹拌する。
【0273】 次いでこの混合物を5.0×20.0cmのEcono−Column(Bio−Rad Laboratories、
カリフォルニア州ハーキュレス)の中に入れ、ゲルを30カラム体積のリン酸塩緩
衝液(PBS)で洗浄する。非保持貫流画分を廃棄する。いったん280nMにおける流
出液の吸収が0.05より小さくなると、カラムを通る流れはゼロに減少し、2.0カ
ラム体積の0.2mg/mlのEEペプチド(AnaSpec、カリフォルニア州サンジョーズ)
を含有するPBSで抗EE Sepharoseゲルを洗浄する。使用するペプチドは配列GluT
yrMetProValAspを有する。4℃において1.0時間後、流れを回復させ、溶離された
タンパク質を収集する。この画分をペプチド溶出液と呼ぶ。次いで抗EE Sephar
oseゲルを2.0カラム体積の0.1Mのグリシン、pH2.5で洗浄し、グリシン洗浄液を
別々に収集する。グリシン溶離画分のpHを小さい体積の10×PBSの添加により7.0
に調節し、必要に応じて、将来の分析のために4℃において貯蔵する。
【0274】 15,000分子量カットオフ膜濃縮器(Millipore、マサチュセッツ州ベッドフォ
ード)を製造業者の使用説明書に従いを使用して、ペプチド溶出液を5.0mlに濃
縮する。次いでBioCad Sprint HPLC(PerSeptive BioSystems、マサチュセッ
ツ州ファーミンガム)を使用してPBS中で平衡化した1.5×50cmのSephadex G−5
0(Pharmingen、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)上で1.0ml/分の流速で、
濃縮されたペプチド溶出液をクロマトグラフィーにかけることによって遊離ペプ
チドから分離する。2mlの画分を収集し、280nMにおける吸収をモニターする。28
0nMにおいて吸収し、カラムのボイド体積付近で溶離する第1ピークを収集する。
この画分は純粋なMAPP NEEまたはMAPP CEEである。純粋な物質を前述したよう
に濃縮し、SDS−PAGEおよび抗EE抗体を使用するウェスタンブロッティングによ
り分析し、アリコートを取り、標準的手順に従い−80℃において貯蔵する。
【0275】 抗EE Sepharoseの調製: 500mlのNalgene 0.45ミクロンのフィルターユニットを使用して100mlの0.02
%のアジ化ナトリウムを含有するPBSで、100mlベッド体積のプロテインG−Sepha
rose(Pharmingen、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)を3回洗浄する。ゲル
を6.0体積の200mMのトリエタノールアミン、pH8.2(TEA、Sigma、ミゾリー州セ
ントルイス)で洗浄し、等しい体積の900mgの抗体を含有するEE抗体溶液を添加
する。4℃において一夜インキュベートした後、前述したように5体積の200mMのT
EAで樹脂を洗浄することによって、非結合抗体を除去する。
【0276】 樹脂を2体積のTEAの中に再懸濁させ、適当な容器に移し、TEA中に溶解したジ
メチルピリミデート−2HCl(Pierce、イリノイ州ロックフォード)を36mg/mlの
ゲルの最終濃度に添加する。ゲルを室温において45分間揺動させ、前述したよう
にフィルターユニットを使用して液体を除去する。次いで室温において10分間5
体積の200mlのTEA中の20mMのエタノールアミンとインキュベートすることによっ
て、ゲル上の非特異的部位をブロックする。次いで5体積の0.02%のアジ化ナト
リウムを含有するPBSでゲルを洗浄し、4℃においてこの溶液中で貯蔵する。
【0277】 非タッグドMAPPの精製: 配列番号1のDNA配列またはその一部分を含有する発現ベクターで、大腸菌(E.
coli)、ピキア(Pichia)、CHOおよびBHK細胞をトランスフェクトする。大腸
菌(E. coli)、ピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)、チャイニーズハ
ムスター卵巣(CHO)およびベイビーハムスター腎(BHK)細胞のコンディショニ
ングされた培地中で発現されたタンパク質のために、後述する手順を使用する。
しかしながら、大腸菌(E. coli)およびピキア(Pichia)中で発現されたMAPP
について、精製前に培地を濃縮しない。特記しない限り、すべての操作は4℃に
おいて実施する。BHK細胞からのコンディショニングした培地の全25リットルを4
インチ、0.2mMのミリポア(Millpore)(マサチュセッツ州ベッドフォード)Opt
iCapカプセルフィルターおよび0.2mMのGelman(ミシガン州アンアーバー)Super
cap 50に継続的に通過させて滅菌する。
【0278】 次いで3000kDaカットオフAmicon(マサチュセッツ州ベッドフォード)S10Y3膜
を装備するMillipore ProFlux A30接線流濃縮器を使用して、この物質を約1.3
リットルに濃縮する。前述したように、濃縮された物質を再びGelmanフィルター
で滅菌濾過する。プロテアーゼインヒビターの混合物をコンディショニングし濃
縮した培地に2.5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA、Sigma Chemical Co.、
ミゾリー州セントルイス)、0.001mMのロイペプチン(Boehringer−Mannheim、
インジアナ州インジアナポリス)、0.001mMのペプスタチン(Boehringer−Mannh
eim)および0.4mMのPefabloc(Boehringer−Mannheim)の最終濃度に添加する。
【0279】 クロタルス・ビリヅス(Crotalus viridus)およびクロタルス・アトロクス
(Crotalus atrox)毒液からメタロプロテアーゼ/ジスインテグリンの精製に
使用するために、下に概説する手順を採用する(Liu他、Toxicol. 33:1289−1
298、1995;Shimokawa他、Arch. Biochem. Biophys. 343:35−43、1997)。
アニオンおよびカチオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィ
ー、およびアフィニティークロマトグラフィーを包含するが、これらに限定され
ない手順の組合わせを使用して非タッグドMAPPを精製する。
【0280】 BioCad Sprint HPLC(PerSeptive BioSystems、マサチュセッツ州ファーミ
ンガム)を使用して、10mMのホウ酸塩緩衝液、pH9.0、0.1MのNaCl、および2.0mM
のCaCl2で、コンディショニングし濃縮された培地を1/10に希釈する。この物質
を3.5×20cmのPoros HQ(PerSeptive BioSystems、マサチュセッツ州ファーミ
ンガム)カラム上に5ml/分で送る。カラムを負荷緩衝液で洗浄し、流出液の吸
収が0.05より低くなったとき、カラムを0.1M〜1.0MのNaClの直線勾配で展開する
。SDS−PAGEおよび抗MAPP抗体を使用するウェスタンブロッティングにより、MAP
Pを含有する画分を同定する。
【0281】 MAPPを含有する画分を一緒にプールし、YM−10膜を装備するAmicon撹拌セル濃
縮器で濃縮する。次いでPoros HQプールを10mMのリン酸ナトリウム、pH7.0中で
平衡化したSephadex G−75カラム上のクロマトグラフィーにかける。前述した
ように、MAPPを含有する画分を同定し、一緒にプールし、BioCad Sprint HPLC
を使用して1.0×5cmのPoros HAヒドロキシアパタイトカラムに1.0ml/分で適用
する。カラムを負荷緩衝液で洗浄し、10mM〜500mMのリン酸ナトリウムの直線勾
配で展開する。純粋なMAPPを含有する画分を、前述したように、SDS−PAGEおよ
びウェスタンブロッティングにより同定する。前述したように、精製した物質の
アリコートを取り、貯蔵する。
【0282】 実施例4MAPPの染色体帰属 スタンフォードG3放射線ハイブリッドマッピングパネル(Research Genetics
,Inc.、アラバマ州ハンツヴィレ)の商業的に入手可能なバージョンを使用して
、MAPPは染色体20にマッピングされた。スタンフォードG3 RHパネルは、全ヒト
ゲノムの83放射線ハイブリッドクローンの各々からのPCRable DNA、+2つの対
照DNA(RMドナーおよびA3レシピエント)を含有する。公衆に入手可能なWWWサー
バー(http://shgc-www.stanford.edu)はマーカーの染色体局在化を示す。
【0283】 「スタンフォードG3 RHパネル」を使用するMAPPのマッピングのために、20μ
lの反応物をPCRable 96ウェルのマイクロタイタープレート(Stratagene、カリ
フォルニア州ラジョラ)中で構成し、RoboCycler Gradient 96サーマルサイク
ラー(Stratagene)において使用した。85PCR反応物の各々は、2μlの10×KlenT
aq PCR反応緩衝液(CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォルニア州パロア
ルト)、1.6μlのdNTP混合物(2.5mlの各々、PERKIN−ELMER、フォスターシティ
ー、カリフォルニア州)、1μlのセンスプライマーZC22,481(配列番号12)、1
μlのアンチセンスプライマーZC22,482(配列番号13)、2μlのRediLoad(Resea
rch Genetics,Inc.、アラバマ州ハンツヴィレ)、0.4μlの50×Advantage Kl
enTaqポリメラーゼ混合物(CLONTECH Laboratories,Inc.、カリフォルニア州
パロアルト)、個々のハイブリッドクローンまたは対照からの25ngのDNAおよび
全体積を20μlとするddH2Oから成っていた。
【0284】 反応物上に等しい量の鉱油をオーバーレイし、シールした。PCRサイクラー条
件は次の通りであった:1サイクルの94℃における5分の変性、35サイクルの94℃
における45秒の変性、70℃における45秒のアニーリングおよび72℃における1分1
5秒のエクステンション、次いで最後の1サイクルの72℃における7分のエクステ
ンション。反応物を2%アガロースゲル(Life Technologies、マリイランド州
ガイサースバーグ)上の電気泳動により分離する。
【0285】 >10のLODスコアおよびフレームワークマーカーSHGC−11829からの7cR_10000
の距離における、前記マーカーへのMAPPの連鎖が結果により示された。取り囲む
マーカーを使用すると、統合されたLDB染色体2020上の20p13領域の中にMAPPは位
置決定される(The Genetic Location Database、University of Southham
pton、WWWサーバー:http://cedar,genetics.soton.ac.uk/public_html/)。
【0286】 実施例5ペプチドの合成 モデル431Aペプチド合成装置(Applied Biosystems/Perkin Elmer、フォス
ターシティー、カリフォルニア州)を使用する固相ペプチド合成法により、配列
番号2のアミノ酸残基475(Cys)〜アミノ酸残基488(Cys)に対応するペプチド
を合成する。Fmoc−グルタミン樹脂(0.63mmol/g;Advanced Chemtech、ケン
タッキー州ルイスヴィレ)を初期支持樹脂として使用する。1mmolのアミノ酸カ
ートリッジ(Anaspec,Inc.、カリフォルニア州サンジョーズ)を合成に使用す
る。2(1−Hベンゾトリアゾル−y−イル1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキ
サフルオロホスフェート(HBTU)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾル(HOBt)、2
m N,N−ジイソルプロピルエチルアミン、N−メチルピロリドン、ジクロロメタ
ン(すべてApplied Biosystems/Perkin Elmer)およびピペリジン(Aldrich
Chemical Co.、ミゾリー州セントルイス)の混合物を合成試薬として使用す
る。
【0287】 ペプチド比較ソフトウェア(Peptides International、ケンタッキー州ルイ
スヴィレ)を使用して、zdint−2ペプチドの合成のための凝集可能性および困難
性のレベルを予測する。単一のカップリングプログラムを製造業者の使用説明書
に従い使用して、合成を実行する。 標準TFA切断手順に従い固相からペプチドを切断する(ペプチド切断マニュア
ルに従う、Applied Biosystems/Perkin Elmer)。C18、10μmの半調製用カラ
ム(Vydac、カリフォルニア州ヘスペリアル)を使用するRP−HPLCにより、ペプ
チドの精製を実施する。カラムから溶離された画分を収集し、エレクトロスプレ
ー質量分析により正しい質量および純度について分析する。溶離した物質のプー
ルを収集する。純粋である場合、プールを組合わせ、凍結し、凍結乾燥する。
【0288】 実施例6MAPPの抗凝固活性 1段階凝固アッセイにおいて、対照として野生型MAPPを使用して、凝固を阻止
するMAPPタンパク質の能力を測定する。5mg/mlのビタミンKを含有する測定中で
培養した細胞から、本質的に前述したように、組換えタンパク質を調製する。変
化する量のMAPPまたは組換え野生型MAPPを、50mMのTris pH7.5、0.1%のBSA中
で100mlに希釈する。
【0289】 混合物を100mlのMAPP欠乏血漿および200mlのトロンボプラスチン(Dade、フロ
リダ州マイアミ;ウサギ脳トロンボプラスチンおよび11.8mMのCa++を含有する)
とインキュベートする。凝固アッセイを自動化凝固タイマー(MLA Electra 80
0、Medical Laboratory Automation Inc.、NY)中で、凝固アッセイを実行し
、正常のプールしたヒト血漿(1単位/mlのMAPP活性を含有すると仮定する;健
康なドナーからクエン酸塩処理した血清をプールすることによって調製する)の
1:5〜1:640希釈物を使用して構築した標準曲線を使用して、凝固時間をMAPP活
性に変換する。 MAPP活性は対照試料を越えた凝固時間の減少として見られる。
【0290】 実施例7MAPPを使用する血小板蓄積の阻害 非ヒト霊長類における機械的損傷による動脈血栓部位における血小板蓄積を阻
害する能力について、MAPPを分析する。本質的に下記の文献に記載されているよ
うにして、大動脈の動脈血管内膜切除のモデルをヒヒにおいて利用する:Lumsde
n他、Blood 81:1762−1770(1993)。1〜2cmの長さのヒヒ大動脈の切片を除去
し、反転させ、切削して動脈の内膜および中膜のほぼ50%を除去する。動脈をそ
の正しい向きに復帰させ、両端にカニューレを取り付け、ヒヒにおいて体外シャ
ントの中に入れ、これにより機械的に損傷された動脈をシャントを介してヒヒの
血液に対して暴露する。循環する血液に対してシャントを開く直前に、11In標識
化自家血小板を動物の中に静脈内注射する。損傷した動脈の部位における血小板
の蓄積レベルを、実時間ガンマカメラ映像法により決定する。
【0291】 シャントの開口直前に投与しる、MAPPまたは生理食塩水対照のボーラス注射を
使用して、血小板蓄積の阻害についてMAPPを評価する。損傷した動脈を60分間連
続的に測定する。 MAPP活性は血小板蓄積の阻害として見られる。 以上から理解されるように、本発明の態様を例示の目的で記載したが、本発明
の精神および範囲から逸脱しないで種々の変更が可能である。したがって、本発
明は、添付された特許請求の範囲による以外、限定されない。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 16/40 C12N 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 9/64 1/21 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A 9/64 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 バインドゥア,ナンド アメリカ合衆国,ワシントン 98026,エ ドモンズ,フィフティーセブンス プレイ ス ウエスト 13919 (72)発明者 ビショップ,ポール ディー. アメリカ合衆国,ワシントン 98024,フ ォール シティ,サウスイースト エイス ストリート 28425 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA14 CA04 CA09 DA02 DA06 DA12 HA14 HA17 4B050 CC03 DD11 FF11 FF12 FF14 LL01 4B065 AA26X AA77X AA91X AA93Y AB01 BA03 CA33 CA44 4C084 AA02 AA07 BA19 BA20 BA22 BA44 CA53 CA62 DA01 DA27 NA14 ZA542 ZA892 ZB262 ZC022 4C085 AA03 AA25 BB01 BB07 CC32 DD62 EE01 4H045 AA11 DA75 FA74

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2の残基475〜488を含んでなる単離されたポリペプ
    チド分子。
  2. 【請求項2】 ポリペプチド分子が下記のポリペプチド分子から成る群から
    選択される、単離されたポリペプチド分子: b) 配列番号2の残基208〜495を含んでなるポリペプチド分子; c) 配列番号2の残基31〜495を含んでなるポリペプチド分子; d) 配列番号2の残基1〜495を含んでなるポリペプチド分子; e) 配列番号2の残基1〜802を含んでなるポリペプチド分子; f) 配列番号4の残基1〜812を含んでなるポリペプチド分子; (a) 配列番号2の残基208〜410を含んでなるポリペプチド分子; (b) 配列番号2の残基497〜802を含んでなるポリペプチド分子; (c) 配列番号2の残基31〜200を含んでなるポリペプチド分子; (d) 配列番号4の残基497〜701を含んでなるポリペプチド分子; (e) 配列番号4の残基702〜724を含んでなるポリペプチド分子;および (f) 配列番号4の残基725〜812を含んでなるポリペプチド分子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリペプチドをコードする単離され
    たポリヌクレオチド分子。
  4. 【請求項4】 下記の作用可能に連鎖された因子を含んでなる発現ベクター
    : a) 転写プロモーター; b) 請求項3に記載のポリペプチドをコードするDNAセグメント;および c) 転写ターミネーター。
  5. 【請求項5】 DNAセグメントによりコードされるポリペプチドを発現する
    、請求項4に記載の発現ベクターが導入された培養された細胞。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の細胞を培養し、前記細胞はDNAセグメントに
    よりコードされるポリペプチドを発現し、そしてポリペプチドを回収することを
    含んでなるポリペプチドを産生する方法。
  7. 【請求項7】 下記の工程を含んでなる請求項6に記載の方法により製造さ
    れたポリペプチドに対する抗体を産生する方法: 請求項1または2に記載のポリペプチドを動物に接種し、これによりポリペプチ
    ドは動物において免疫応答を誘発して抗体を産生させ;そして 動物から抗体を回収する。
  8. 【請求項8】 配列番号2または4のポリペプチドに結合する、請求項7に記
    載の方法により産生された抗体。
  9. 【請求項9】 下記のポリペプチドから成る群から選択されるポリペプチド
    と細胞とを一緒にすることによって細胞−細胞の相互作用をモジュレートする方
    法: a) 配列番号2の残基475〜488を含んでなるポリペプチド; b) 配列番号2の残基420〜495を含んでなるポリペプチド; c) 配列番号2の残基208〜410を含んでなるポリペプチド; d) 配列番号2の残基497〜802を含んでなるポリペプチド; e) 配列番号2の残基31〜200を含んでなるポリペプチド; f) 配列番号4の残基497〜701を含んでなるポリペプチド; g) 配列番号4の残基702〜724を含んでなるポリペプチド;および h) 配列番号4の残基725〜812を含んでなるポリペプチド。
  10. 【請求項10】 細胞を下記の組織から成る群から選択される組織に由来す
    る細胞の細胞−細胞の相互作用をモジュレートする請求項18に記載の方法: a) 精巣からの組織; b) 卵巣からの組織; c) 脊髄からの組織; d) 前立腺からの組織; e) 小腸からの組織;および f) 結腸からの組織。
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