JP2003520761A - Flintポリペプチドの治療用への適用 - Google Patents

Flintポリペプチドの治療用への適用

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JP2003520761A JP2000589204A JP2000589204A JP2003520761A JP 2003520761 A JP2003520761 A JP 2003520761A JP 2000589204 A JP2000589204 A JP 2000589204A JP 2000589204 A JP2000589204 A JP 2000589204A JP 2003520761 A JP2003520761 A JP 2003520761A
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ジェイムズ・アーサー・ポサダ
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Abstract

(57)【要約】 成熟FLINT(mFLINT)は、FasLおよびLIGHTに結合し、そしてFasL-Fas相互作用を阻害する。mFLINTはFasL-Fasが媒介するアポトーシス活性および炎症後活性化を阻害し、これは異常なアポトーシスおよび炎症に関連し得る傷害を処置する際に有用である。本発明は、FLINTおよび成熟FLINTのアミノ酸およびヌクレオチド配列を提供する。mFLINTを利用する治療用組成物および方法もまた、提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 FasL(CD95L及びAPO1Lとも呼ばれる)は種々の型の細胞で発現さ
れており、増殖、分化、免疫調節、炎症反応、細胞毒性、及び、アポトーシスの
ような生物学的反応を生じさせることができる。興味深いことに、TNFRファ
ミリーの受容体FAS/APOのリガンドであるFasL(Sudaら、1993、Cell 7
5:1169〜78)における変異は自己免疫と関連している(Fisherら、1995、Cell 81:
935〜46)のと同時に、FasLの過剰産生は、薬剤起因性肝障害と係っているか
もしれない。FasLは眼、精巣、脳、及び、いくつかの腫瘍の免疫侵入阻止(
immune-privileged)組織で発現されている。また、腎臓、及び、肺、ならびに
活性化された胸腺細胞、脾細胞、及び、Tリンパ球で見出されている。
【0002】 アポトーシスは発生、及び、恒常性の両方において中心的な役割を果たす。発
生中の胚においては形態形成、またはシナプス形成の間、及び、成体の動物にお
いては組織代謝回転(tissue turnover)、または免疫反応の最後において細胞は
、アポトーシスにより死ぬ。アポトーシスの生理的な役割は非常に重要なので、
この過程の逸脱は有害である。例えば、或る脳内ニューロンの予定外のアポトー
シスは、アルツハイマー病、及び、パーキンソン病のような疾患の一因となり、
深刻なDNA損傷を受けた後の、アポトーシスを開始する分裂細胞の欠損はガン
の一因となる。
【0003】 細胞の環境からの生存シグナル、及び、細胞の完全さ(integrity)に対する
内部センサーにより、通常、細胞のアポトーシス機構は抑制される。細胞がその
周囲との接触を失ったり、または、修復不可能な損傷を受けた場合には、細胞は
アポトーシスを開始する。分裂サイクルを進める、または、減ずるという矛盾し
たシグナルを同時に受ける細胞もまた、アポトーシスを引き起こす。個々の細胞
の自殺を積極的に指示することを生物体において可能にするまた別の機構を、哺
乳動物は発達させてきた。この種の「有益な(instructive)」アポトーシスは、
特に免疫系において重要である。特定の「デスリガンド(death ligand)」により
開始されるアポトーシスシグナルを伝達する細胞表面受容体であるデス受容体(d
eath receptor)は、有益な役割のアポトーシスにおいて中心的な役割を果たす。
これらの受容体は、リガンド結合から数秒内でデスカスパーゼを活性化し、数時
間内でアポトーシス性の細胞死を引き起こしうる。
【0004】 デス受容体は、類似のシステインに富む細胞外ドメインによって定義される腫
瘍壊死因子(TNF)受容体遺伝子スーパーファミリーに属する。デス受容体は、
「デスドメイン(death domain)」と呼ばれる相同な細胞質配列をさらに含む。デ
スドメインにより、デス受容体を細胞のアポトーシス機構に携わらせるのを一般
的に可能にするが、場合によってはそれらは、アポトーシスと別個の、または、
それを打ち消す機能を媒介する。
【0005】 Fas(CD95またはApo1とも呼ばれる)は、良く特徴付けられたデス受
容体である。Fas及びFasリガンド(FasL)は、アポトーシスにおいて重
要な役割を果たす。FasLはホモ三量体分子である。各FasLタイマー(tim
er)が、3個のFas分子を結合することが示唆されている。デスドメインは互い
に会合する性質を有するため、Fasの結合は受容体のデスドメインのクラスタ
ー形成(clustering)につながる。次いで、FADD(Fas関連デスドメイン(
Fas associated death domain);Mort1とも呼ばれる)と呼ばれるアダプタ
ータンパク質が、自己のデスドメインを介してクラスター形成した受容体デスド
メインに結合する。また、FADDは、カスパーゼ-8(FLICEまたはMAC
Hとも呼ばれる)の酵素前駆体形体中にタンデムで繰り返されている類似のドメ
インに結合する「デスエフェクタードメイン(death effector domain)」を含む
。FADDの補充の際に、カスパーゼ-8のオリゴマー化は、自己切断による活
性化を進める。次いで、カスパーゼ-8は、カスパーゼ-9等の下流のエフェクタ
ーカスパーゼ-を活性化し、細胞のアポトーシスを行わせる(Ashkenazi A.ら、「
Death Receptors: Signaling and Modulation」Science 281,1305〜1308(1998年
8月))。
【0006】 FasLはTリンパ球でアポトーシスの引き金となるが、また前炎症性(proin
flammatory)でもある。FasLは、多形核白血球(PMN)とも呼ばれる好中球
の活性化を刺激することが示されている(Chen J.ら、Science 282:1714〜17(199
8年))。FasL-Fas結合は、末梢リンパ組織内の自己反応性リンパ球のクロ
ーン消失、及び、自己反応性リンパ球集団の排除に関係しており、従って、免疫
系の恒常性に寄与している。しかしながら、トランスジェニックマウスの筋管、
または膵島でのFasLの発現は、移植片拒絶を促進する顆粒球反応を誘発する
ことが見出された(Allison J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:3943〜47(1997
年4月);Kang S-M.ら、Nature Medicien、第3巻第7号、738〜743(1997年7月))。
【0007】 FasL-Fas受容体結合の効果の少なくとも1つは、恒常性に必要なアポト
ーシスである。しかしながら、リガンド-受容体結合の平衡は、ストレス、疾病
または外傷によりしばしば混乱させられる。無秩序なFasL-Fas結合の負
の影響の1つは、制御の効かなくなった、または、異常なアポトーシスである。
この結合の別の効果は、FasLにより活性化された好中球により引き起こされ
る健常細胞の破壊である。
【0008】 例えば、特定の器官における制御の効かなくなったアポトーシスのより悲惨な
結果の1つは、急性肝不全である。急性肝不全は、肝細胞の大量のアポトーシス
が生じるアポトーシス経路の過剰な活性化および出血性の肝臓変化によって特徴
付られる。急性肝不全は、肝臓を襲うウイルス感染、肝臓を襲う細菌感染、肝炎
、肝細胞の損傷、及び/または、肝細胞が大量のアポトーシスを受ける他の病気
の結果として起こり得る。結果として急性肝不全を起こす感染の1例は、細菌に
より誘導される劇症肝炎である。
【0009】 発明の要旨 本発明は、図1に記載の配列を有する単離された核酸分子、図3に記載の配列
を有する単離された核酸分子、図1に記載の配列を有する単離されたポリペプチ
ド、及び、図3に記載の配列を有する単離されたポリペプチドを包含する。本発
明にはまた、図1に記載の配列を有する導入遺伝子を含むトランスジェニックマ
ウスを含む。
【0010】 本発明の1つの局面は、mFLINTを以下の症状の処置に使用することである;肝
臓の炎症;異常な肝細胞のアポトーシス;敗血症;炎症を伴う障害;肝炎;異常
なアポトーシスの処置;虚血を伴う損傷または障害;血栓崩壊剤および抗血栓剤
(例えば、活性型プロテインC)から選択される群から選ばれる薬剤の使用を含
む、凝固性亢進に伴う損傷または障害;再灌流に関連する損傷または障害;異常
な心筋虚血から生じる心筋細胞への傷害;I型糖尿病;ガン;化学療法剤または
治療的な照射により誘発される正常な周辺組織(骨髄、腸上皮、口腔上皮を含む
)に対する傷害;治療的な照射または化学療法に曝された造血始原細胞(hemato
poietic progenitor cell)に対する損傷;治療的な照射または化学療法に由来
する細胞の損傷(腸上皮細胞、造血始原細胞および抹消血細胞に対する傷害を含
む);無形成性貧血;脊髄形成異常症候群;ならびに汎血球減少症。
【0011】 本発明の別の局面は、造血始原細胞の増殖または分化を促進する際、およびCD
34+細胞の増殖または分化を促進する際に用いるために、mFLINTが提供される。
【0012】 本発明のさらなる局面としては、活性成分としてmFLINTを含む、以下の症状の
処置のために適合されている製剤が挙げられる:急性肝不全;肝臓の炎症;異常
な肝細胞のアポトーシス;敗血症;炎症を伴う障害;肝炎;異常なアポトーシス
の処置;虚血を伴う損傷または障害;血栓崩壊剤および抗血栓剤(例えば、活性
型プロテインC)から選択される群から選ばれる薬剤の使用を伴う、凝固性亢進
に伴う損傷または障害;再灌流に伴う損傷または障害;異常な心筋虚血から生じ
る心筋細胞への傷害;I型糖尿病;ガン;化学療法剤または治療的な照射により
誘発される正常な周辺組織(骨髄、腸上皮、口腔上皮を含む)に対する傷害;治
療的な照射または化学療法に曝された造血始原細胞に対する損傷;治療的な照射
または化学療法に由来する細胞の損傷(腸上皮細胞、造血始原細胞および抹消血
液細胞に対する傷害を含む);無形成性貧血;脊髄形成異常症候群;ならびに汎
血球減少症。
【0013】 本発明のさらに別の局面では、造血始原細胞の増殖または分化を促進するため
、およびCD34+細胞の増殖または分化を促進するために適合されている、活性成
分としてmFLINTを含む製剤が提供される。
【0014】 本発明のさらに他の実施態様としては、以下の症状を処置する際に有用である
医薬の製造におけるmFLINTの使用が挙げられる:急性肝不全;肝臓の炎症;異常
な肝細胞のアポトーシス;敗血症;炎症を伴う障害;肝炎;異常なアポトーシス
の処置;虚血を伴う損傷または障害;血栓崩壊剤および抗血栓剤(例えば、活性
型プロテインC)から選択される群から選ばれる薬剤の使用を含む、凝固性亢進
に伴う損傷または障害;再灌流に伴う損傷または障害;異常な心筋虚血から生じ
る心筋細胞への傷害;I型糖尿病;ガン;化学治療剤または治療的な照射により
誘発される正常な周辺組織(骨髄、腸上皮、口腔上皮を含む)に対する傷害;治
療的な照射または化学療法に曝された造血始原細胞に対する損傷;治療的な照射
または化学療法に由来する細胞の損傷(腸上皮細胞、造血始原細胞および抹消血
液細胞に対する傷害を含む);無形成性貧血;脊髄形成異常症候群;ならびに汎
血球減少症。
【0015】 さらなる局面に従うと、本発明には、造血始原細胞の増殖または分化を促進す
る際、およびCD34+細胞の増殖または分化を促進する際に有用である医薬の製造
における、mFLINTの使用が挙げられる。
【0016】 本発明は、異常な肝細胞のアポトーシスに苦しむ個体を処置する方法であって
、治療的な量のmFLINTタンパク質を該個体に投与することを含む方法を包
含する。本発明はまた、炎症に関連した疾患を患う個体を処置する方法であって
、治療的な量のmFLINTタンパク質を該個体に投与することを含む方法を含
む。さらに、本発明は異常なアポトーシスに苦しむ個体を処置する方法であって
、治療上有効な量のmFLINTタンパク質を上記の個体に投与することを含む
方法を含む。
【0017】 本発明はさらに、肝臓の種々の障害を処置するためのmFLINTの使用を含
む。この点に関し、本発明は急性肝不全を患う個体を処置する方法であって、治
療的な量のmFLINTタンパク質を該個体に投与することを含む方法を包含す
る。本発明はまた、肝臓に炎症を患う個体を処置する方法であって、治療的な量
のmFLINTタンパク質を上記個体に投与することからなる方法を含む。本発
明の別の方法は、肝炎を患う個体を処置するための方法であって、治療上有効な
量のmFLINTタンパク質を該個体に投与することからなる方法を含む。
【0018】 本発明はまた、敗血症を患う個体を処置する方法であって、治療的な量のmF
LINTタンパク質を該個体に投与することからなる方法を包含する。
【0019】 虚血に関連した損傷または障害を患う個体を処置する方法であって、治療上有
効な量のmFLINTタンパク質を上記個体に投与することからなる方法もまた
、本発明に含まれる。このような損傷または障害は、凝固性亢進と関連している
かもしれない。この点に関し、本発明はまた、凝固性亢進と関連した障害を処置
する方法であって、治療上有効な量のmFLINTを、血栓溶解剤または抗血栓
剤と組み合わせて投与することを含む。このような抗血栓剤の1例は、活性化プ
ロテインCである。
【0020】 本発明はまた、再灌流に関連した損傷または障害を患う個体を処置する方法で
あって、治療上有効な量のmFLINTタンパク質を該個体に投与することから
なる方法を含む。
【0021】 本発明はさらに、異常な心筋虚血を患っている個体における心筋細胞の損傷を
予防する方法であって、治療上有効な量のmFLINTタンパク質を該個体に投
与することを含む方法を包含する。
【0022】 I型糖尿病を患う個体を処置する方法であって、治療的な量のmFLINTを
該個体に投与することからなる方法もまた、本発明に含まれる。本発明により包
含されるさらに別の方法は、ガンを患う個体を処置する方法であって、治療上有
効な量のmFLINTタンパク質を該個体に投与することからなる方法である。
【0023】 本発明はまた、化学療法剤または治療的な照射で処置された個体における、該
薬剤または該照射により誘発された正常な周辺組織への傷害を処置する方法であ
って、治療上有効な量のmFLINTを該個体に投与することからなる方法を含
む。このような組織としては、骨髄および腸上皮(口腔上皮を含む)が挙げられ
る。
【0024】 本発明は、治療的な照射または化学療法に曝された造血始原細胞を処置する方
法であって、該細胞にmFLINTを投与することからなる方法を包含する。こ
のような方法は治療的な照射、または、化学療法の有害な影響からの造血始原細
胞の回復を促進する。本発明はまた、造血始原細胞の増殖または分化を促進する
方法であって、該細胞にmFLINTを投与することからなる方法を含む。本発
明はさらに、CD34+細胞の増殖または分化を促進する方法であって、該細胞
にmFLINTを投与することからなる方法を含む。
【0025】 本発明はまた、ガンを処置する方法を包含し、該方法はインビトロで骨髄細胞
をmFLINTで処置し、患者が治療的な照射、または、化学療法の処置を受け
た後、該細胞を該患者に投与することを含む。骨髄細胞は自家組織由来(すなわ
ち、処置される患者由来)のものでありうるか、あるいは外来性(すなわち、患
者以外の個体由来)のものでありうる。
【0026】 本発明はまた、治療的な照射または化学療法を受ける患者における細胞損傷を
処置する方法であって、該照射または化学療法と共に治療的に有効な量のmFL
INTを該患者に投与する方法を包含する。細胞の損傷は、腸上皮細胞、造血始
原細胞または末梢血細胞へのものであり得る。
【0027】 本発明はまた、無形成性貧血、骨髄異形成症候群、または、汎血球減少症状を
処置する方法であって、無形成性貧血を患う患者に治療的に有効な量のmFLI
NTを投与することからなる方法を意図している。
【0028】 本発明はまた、急性呼吸切迫症候群を処置および/または予防する方法に関す
る。
【0029】 本発明はまた、潰瘍性大腸炎を処置および/または予防する方法に関する。
【0030】 本発明はまた、臓器移植の間の虚血性損傷を処置および/または予防する方法
に関する。
【0031】 発明の詳細な説明 Fasリガンドを結合する化合物を同定する方法を用いることにより、本出願
人らは、ヒトFLINTポリペプチドが、FasL-Fas受容体相互作用を崩
壊しうる能力を有することを発見した。本出願人らは、TNFRタンパク質とそ
の対応するリガンドの相互作用が疾病を引き起こすか、または、悪化させる場合
に、そのような相互作用を調節する方法、及び、疾病を予防、若しくは、処置す
る方法を発見した。
【0032】 上述のように、FasL-Fas受容体結合の下流への影響の一つがアポトー
シスであることは、よく立証されている。この経路の異常な活性化を示す条件下
では、多様な障害の病状の一因である制御の効かなくなったアポトーシスが起こ
る。FasL-Fas受容体結合の、さらに別の下流への影響は、好中球の活性
化であり、FasLにより活性化された好中球により細胞が破壊される。
【0033】 最近、腹膜滲出細胞(PEC)において、好中球の浸潤の原因となるIL-1β
のプロセシング、及び、遊離をFasLが誘導することが発見された。特に、Mi
wa K.ら(Nature Medicine、4(11):1287〜1292(1998年11月))は、Fasリガンドを
発現する腫瘍細胞を野生型マウスに接種することにより、異常な好中球浸潤が誘
発され、対照的に、1L-1αβノックアウトマウスでは抑制されることを見出した
。このことは、FasLが炎症において役割を有していることを示す。これはまた、
或る条件下においてはアポトーシス自体が炎症を誘導し得ることを示唆する。さ
らに、ある種の炎症因子が、Fas媒介アポトーシス経路を誘導できることが知
られている。従って、FasLがその病理学的な影響を及ぼす際に、おそらく2
つの異なるが関連している経路を介して作用しているのであろう。
【0034】 本発明者らは、FLINTポリペプチドが、Fas受容体自身より大きくない
としても、少なくとも同じ親和性でFasLに結合することを発見した。Fas
Lに結合した結果、FLINTポリペプチドは、FasLのFas受容体への結
合を妨害することができ、下流の事象を妨げることができる。以下の実施例に示
す種々のインビトロモデル、及び、動物モデルを用い、本発明者らは、FLIN
TポリペプチドがFas媒介される有害な影響を阻害する能力を有することを証
明した。これらのデータからFLINTが、FasL活性のアポトーシス性の局
面、及び、前炎症性の局面の両方に作用し得ることは明らかであり、以下に論ず
る幾つかの疾患、および、傷害状態におけるその使用が示唆される。
【0035】 以下に示すデータは、mFLINTがFasLアポトーシス誘導活性、及び、
前炎症活性の両方を阻害することを示す。FasLをアンタゴナイズすることに
より、mFLINTポリペプチドは、FasLにより活性化された好中球、及び
、FasL-Fas相互作用により直接媒介されたアポトーシス性の損傷の両方
により引き起こされた健常細胞の破壊を調整できる。従って、mFLINTを用
いた本発明の処置方法は、FasLの直接的なアポトーシス効果に伴う障害及び
/または、FasLの前炎症性効果により媒介される損傷の処置並びに予防にお
いて、これらが別個の生理学的な経路を示すかどうかにかかわらず有用である。
【0036】 従って、一般的に特徴付られるように、本発明は、「異常なアポトーシス」、
特にFasリガンド(FasL)、及び、Fas受容体(Fas)結合(FasL-F
as結合とも呼ばれる)により誘導されるアポトーシスにより引き起こされるか
、若しくは、悪化される症状を予防するか、または、処置する方法に関連する。
本発明はまた、前炎症性反応、より詳細にはFasLにより誘導された好中球の
活性化により引き起こされた前炎症性反応により引き起こされた症状を予防、ま
たは、処置する方法に関する。
【0037】 本出願を通じて、見出しは、単に構成上の都合のために用いる。これは本明細
書中に記載の事項を限定すると解釈されるべきではない。
【0038】 I.定義 本出願において以下の定義を用いる。
【0039】 本出願において使用する用語「FLINT」とは、任意の全長FLINTポリペプチドを
意味する。このような全長ポリペプチドには、FLINTポリペプチドの1位〜29位
のアミノ酸であるリーダー配列が含まれる。FLINTの例としては、図1(ヒトFLI
NT)および図2(ヒトFLINT変異体)に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質
が挙げられる。
【0040】 本出願において使用する用語「mFLINT」とは、成熟FLINT、すなわち、リーダ
ー(シグナルとしても知られる)ペプチドを有していないFLINTを意味する。mFL
INTの例としては、図3に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質(リーダーペ
プチドを有さない図1のタンパク質)および図4に記載のアミノ酸配列を有する
タンパク質(1位〜29位を有していない図2に記載のタンパク質)が挙げられ
る。従って、「mFLINT遺伝子」は、mFLINTポリペプチドをコードする核酸である
。図3および4に記載の核酸は、本発明に従うmFLINT遺伝子の例である。
【0041】 FasL、若しくは、Fasの発現または相互作用、及び、それにより生じる
任意のアポトーシスに関しての本明細書中の用語「不適当」、及び、「異常な」
は、通常の発現、相互作用、または、アポトーシスのレベルからのどのような逸
脱をも含むと解釈されるべきである。このような逸脱には、時間的、量的、及び
、質的な異常が含まれる。FasLまたはFasの「発現」は、転写、翻訳、及
び、それに関する事象だけでなく、輸送、及び、細胞表面での有効性/利用しや
すさ等の、活性なFasLまたはFasの有効性を増大させる任意の過程をも意
味する。
【0042】 また、本明細書中で用いる用語「異常なアポトーシス」は、過剰、及び/また
は、不適当なアポトーシスを意味する。典型的な異常なアポトーシスは、物理的
、化学的、または、生物的な傷害を受けた細胞、及び、組織において観察される
。このような障害には、物理的損傷、ウイルス感染、細菌感染、虚血、照射、化
学療法等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0043】 用語「融合タンパク質」は、天然には見出されないハイブリッドタンパク質分
子であって、2つ以上の異なるタンパク質、または、その断片が1つのポリペプ
チド鎖に共有結合された転写融合体、または、酵素融合体を意味する。
【0044】 「宿主細胞」とは、例えば形質転換、若しくは、トランスフェクション等によ
って該宿主細胞に導入されたベクター中に含まれるクローン化遺伝子を伝搬、及
び/または、発現するのに適した任意の真核細胞、または、原核細胞を意味する
【0045】 用語「阻害する」または「阻害」は、一般的に受け入れられている意味を含み
、疾患または症状の進行または重篤度を予め防げる、予防する、抑制する、遅延
させる、停止させるまたは逆転させることを包含する。
【0046】 「単離された核酸化合物」とは、天然での位置と異なる位置にある、構築されて
いるかまたは合成されている任意のRNAまたはDNA配列を意味する。
【0047】 用語「プラスミド」は、染色体外遺伝因子を意味する。本明細書中に開示され
るプラスミドは市販されているか、制限無く公に入手可能であるか、または、公
開されている方法に従って容易に入手可能なプラスミドから構築され得る。
【0048】 「プライマー」とは、例えば核酸化合物の酵素的、または、合成による伸長の
開始基質として機能する核酸断片である。
【0049】 用語「プロモーター」は、例えばDNAからRNAへの転写を指示する核酸配
列を意味する。誘導性プロモーターとは、例えば炭素源、熱、または、金属イオ
ン等の環境シグナルによって制御できるものである。構成性プロモーターは、一
般に一定のレベルで働き、制御できない。
【0050】 本明細書中の「組換えDNAクローニングベクター」は、1つ以上の追加のD
NA部分を組み込み得る、または、組み込んでいるDNA分子を含む、プラスミ
ドまたはファージを含む任意の自律複製因子を指す。
【0051】 本明細書中で用いる用語「組換えDNA発現ベクター」または「発現ベクター
」は、プラスミドまたはファージのような、任意の組換えDNAクローニングベ
クターを意味し、それにはプロモーター及び他の制御因子が存在し、それにより
ポリペプチドをコードする挿入DNAの転写を可能とする。
【0052】 用語「選択的結合」とは、FLINTポリペプチドの、FasLには結合する
がTNFαには結合しない能力を意味する。
【0053】 ペプチドまたはタンパク質に関して用いられる「実質的に純粋な」とは、該ペ
プチドまたはタンパク質が、他のタンパク質分子を含む他の細胞性、及び、非細
胞性分子から分離されていることを意味する。実質的に純粋な調製物は、少なく
とも約85%純粋、好ましくは少なくとも約95%純粋である。本明細書中に記載の
「実質的に純粋な」タンパク質は、例えば、IMACタンパク質精製方法を含む
当業者に周知の多様な技術により調製され得る。
【0054】 本明細書中で用いる用語「処置」または「処置する」とは、疾患、症状または
障害に抗うために、患者を取り扱うあるいは世話することを意味し、これには兆
候または合併症の発症を阻止するためにFLINTを投与してこれらの兆候または合
併症を緩和することも含まれる。
【0055】 本明細書中で用いる用語「ベクター」は、宿主細胞中へ外来性または内在性の
DNAを導入するために用いる核酸化合物を意味する。ベクターは、1つ以上の
タンパク質分子をコードし得るヌクレオチド配列を含む。天然のままの、または
組換え遺伝子操作を受けたプラスミド、コスミド、ウイルス、及び、バクテリオ
ファージが、一般に使用されるベクターの例である。
【0056】 本明細書中に開示、及び、記載される種々の制限酵素は市販されており、反応
条件、補因子、及び、活性についてのその他の必要条件を含む該酵素の使用方法
は当業者に周知である。特定の酵素の反応条件は、製造者の指示に従って行った
【0057】 II.FLINTはFasLおよびLIGHTに結合する FLINTは、TNFRスーパーファミリーの新しく同定されたメンバーであ
る。この受容体のファミリーは、これらに限定されるわけではないが、細胞増殖
、細胞分化、免疫制御、炎症反応、細胞毒性、及び、アポトーシスを含むTNF
リガンドの多様な生物学的効果を媒介する。
【0058】 本発明のFLINTポリペプチドは、細胞外ドメインを含む可溶性の受容体で
ある。FLINTポリペプチドはどのような膜貫通ドメインも含まず、そのため
可溶性である。FLINTはまた、OPG3(オステオプロテグリン(osteoprote
grin)3)、または、TNFRsolと呼ばれてきた。FLINTは、米国特許出
願第60/035,496号を優先権の基礎とするWO98/30694号に論じ
られるTNFR6α、及び、TNFR6β、並びに、EP0861850A1号
に論じられるTR4と密接に関連していると考えられている。
【0059】 以下に示すデータは、mFLINTがインビトロで、FasL、及び、LIG
HTに結合することを示す。示されるように、FasLは炎症反応、及び、アポ
トーシスの誘導を引き起こすことの両方に関連する。LIGHTの生物学的な活
性には、細胞増殖が含まれるが、これに限定されるわけではない。LIGHTは
、活性化T細胞により産生される29kDaのII型膜貫通TNFスーパーファミリ
ーの一員となるタンパク質である(Mauri D.M.、Immunity,8:21(1998年))。Fa
sLと同様に、LIGHTを好中球浸潤、及び、アポトーシスと関連付ける証拠
が存在する(Zhaiら、J.Clin.Investig. 102:1142〜51(1998年))。従って、mF
LINTにより媒介されるLIGHT活性の阻害は、mFLINTにより媒介さ
れるFasLの阻害について以下に記載されるように、特に免疫調節、及び、ガ
ン治療において治療的に有用であることが期待されている。
【0060】 III.FLINT−治療的適用 本発明者らは、mFLINTがインビトロで、ジャーカット細胞のFasL誘
導性アポトーシスを阻害することを発見した。抗-CD3抗体がこれらの細胞を
活性化し、これらの細胞にFasLを発現させ、アポトーシスを行わせるように
する。mFLINTはまた、インビトロで、ジャーカット細胞の抗-CD3誘導
性アポトーシスを、用量依存的に阻害するのに有効であった。
【0061】 mFLINTは、FasLのFasとの不適当、若しくは、異常な相互作用を
妨げるので、本発明は、この相互作用と関連した障害の処置、及び/または、予
防に適用可能である。例えば、FasL及び/若しくはFasの発現、または、
有効性の増加によって、この不適当な相互作用は起こり得る。FasL-Fas
相互作用がアポトーシスを誘導することが知られているので、本発明の方法はさ
らに、不適当、または、異常なアポトーシスにより特徴付られる障害に一般的に
適用される。
【0062】 別の態様において、本発明は、FasL-媒介アポトーシス、及び/若しくは
、前炎症反応、特にFasLにより誘導される好中球の活性化により引き起こさ
れる前炎症反応を含む、FasL-Fas結合により引き起こされるか、または
、悪化される症状を予防、または、処置する方法に関する。
【0063】 例えば、mFLINTはダウン症を処置するのに用いられ得る。ダウン症には
神経細胞の増加したアポトーシスが係っている可能性がある。この点に関して、
Seidiら(Neuroscience Lett.,260:9(1999年))は、Fas関連アポトーシスがダ
ウン症の神経変性の重要な特色であるかも知れないことを示唆する、ダウン症の
成人患者の側頭葉、及び、小脳における上昇したレベルのFasタンパク質の存
在を報告している。それゆえ、ダウン症患者のmFLINTによる処置が有効か
も知れないことが期待される。特に、本発明者らは、mFLINTがFasLを
結合し、Fas-FasL結合を妨げ、そして、アポトーシスを阻害することを
示した。同様に、アポトーシスはアルツハイマー病、及び、他の神経変性疾患と
結び付けられてきた。ダウン症、アルツハイマー病、及び、他の神経変性障害と
関連した増幅されたアポトーシスを、mFLINTの投与が減少させることが期
待される。
【0064】 本発明者らは、種々の疾患、及び、損傷状態を示す多様なモデル系においてm
FLINTを試験した。いくつかの例示的な障害としては、抗体依存性細胞毒性
、ヒト免疫不全ウイルスによる感染、溶血性尿毒症症候群、アレルギー、及び、
気管支肺異形成症が含まれるが、これらに限定されるわけではない。従って、以
下の項目では対応するモデル系における疾患、及び、損傷状態について検討する
【0065】 本発明はまた、FLINT導入遺伝子を含むトランスジェニック動物の製造を
包含する。特に、本発明者らは、測定可能なレベルのmFLINTを産生するト
ランスジェニックマウスを作った。これらのような動物は、以下に詳述する、種
々の障害(例えば、内毒素誘導性ショック、大脳虚血、心臓再灌流傷害、並びに
、治療的な照射、及び、化学療法等のガン治療により誘導された損傷)に対する
mFLINTの効果を評価するために有用である。
【0066】 A.肝臓の損傷および炎症のmFLINTによる処置 FasLは、これらに限定されるわけではないが、肝炎により肝臓で引き起こ
された障害を含む急性肝不全に関連付けられてきた。急性肝炎のマウスモデルで
は、抗-FasL抗体をマウスへに投与することにより、肝細胞のアポトーシス
により誘発される肝不全を引き起こし、動物は数時間内に死んだ(Kondoら、Natu re Medicine 3(4):409〜413(1997年)、及び、Galleら、J.Exp.Med.,182:1223〜1
230(1995年11月)を参照のこと)。
【0067】 Tsujiら(Infect.Immun.,65:1892〜1898(1998年))は、細菌誘発性劇症肝炎のモ
デル系について記述する。以下に詳述するように、この系により肝臓、及び、そ
の他の組織における多様な障害について予想できる。Tsujiらの方法では、マウ
スにプロピオニバクテリウム アクネス(Propionibacterium acnes)を注射し、続
いてリポ多糖(LPS)を注射する。正常なマウスでは、最初の注射により肝臓で
肉芽腫の形成が引き起こされ、第2の注射により大量のアポトーシスが誘導され
、その結果、肝臓障害が起こる。Tsujiらは、この方法を用いてTNFRp55
を肉芽腫形成に、そして、TNFRp55、及び、Fasをアポトーシスに関連
付けた。
【0068】 Tsujiらの動物モデルの改変バージョンを用いて、本出願人らはmFLINT
の投与が、実験動物の生存率を劇的に改善することを発見した。示したように、
本発明により処置、及び/または、予防し得る障害の多くは、FasL-Fas
に関連した病因を共有する。従って、標的となる疾患は一般に、Fasを不適当
に(例えば、時間的、質的、若しくは量的に)発現するか、または、不適当にFa
sLと接触すると同時にFasを発現するようになった組織のいずれかに関連い
ている。これらの疾患の多くは、Fasの不適当なアップレギュレーションに続
く、FasL媒介性のアポトーシス誘導という一般的な病理学モデルに従う。F
as(または、FasL)の不適当な発現は、例えば、特定の炎症関連サイトカイ
ンが発現を誘導しているかもしれない炎症傷害により誘導されているかも知れな
い。
【0069】 例えば、一次単核細胞浸潤により、不適当なFasおよび/またはFasLの
発現を起こし得る、多数のサイトカインの分泌が起こることが知られている。例
えばIL-1、IL-1、及びTNF-が、Fas発現を誘導し得ることが知られ
ている。このFasの増加された発現が、結果として、罹患組織をナチュラルキ
ラー細胞、及び、細胞傷害性T細胞等のFasLを持つエフェクター細胞に対し
感受性にするのかも知れない。FasLを持つエフェクターの、Fasを持つ標
的との接触により、後者のアポトーシスが誘発される。別の言い方をすると、こ
の肝臓傷害モデルは、(a)炎症性傷害、並びに/または、(b)FasL-Fas
媒介性アポトーシス、及び/若しくは、壊死により特徴付けられる特定の疾患の
インビボ代用物である。
【0070】 例えば、自己骨髄移植で非常に一般的である、移植片対宿主病(GVHD)の病
因はこのモデルと一致する。GVHDは、少なくとも一部はFasL媒介性アポ
トーシスにより、宿主組織を破壊する宿主反応性T細胞の存在により起こる。G
VHDは輸入(afferent)、及び、輸出(efferent)と呼ばれる、典型的には2つの
期間に分けられる。輸入期は、宿主抗原の認識およびドナーT細胞の増殖によっ
て特徴付けられる。輸出期では皮膚、肝臓、及び、胃腸管等の組織が炎症を起こ
し、そして単核細胞浸潤、及び、組織学的な傷害により特徴付けられる。事実、
FasL欠損マウスを用いる実験では、GVHDでFasLが肝臓、皮膚、及び
、リンパ器官の傷害の発症に重要な役割を果たすことが示されている。それゆえ
、GVHDは炎症傷害、及び、Fasにより媒介されるアポトーシスの枠組に従
う。
【0071】 橋本甲状腺炎(HT)もこの枠組に適合する。HTは、甲状腺濾胞細胞に対する
自己免疫反応の結果起こる。通常の甲状腺細胞はFasLを産生し、ごくわずか
なレベルでFasを発現する。しかしながら、HTでは、生じた炎症により、活
性化マクロファージによるIL-1の分泌が起こり、次いで、Fasを産生する
よう甲状腺細胞が誘導される。これにより致命的なFasL-Fas自己分泌ル
ープ(autocrine loop)が作動し、アポトーシスに到る。
【0072】 同様に、アテローム性動脈硬化症病変に関連する酸化型低密度リポタンパク質
(OxLDL)は、慢性的な炎症反応を促進する。血管内皮は通常、FasL及び
Fasの両方を発現するが、OxLDLの欠損障害ではアポトーシスを起こさな
い。しかしながら、OxLDLによる処置により、FasL発現は増加され、内
皮細胞はアポトーシスを起こす。
【0073】 慢性腎不全は、尿細管内皮細胞におけるFas発現を誘導することが示されて
いるIL-1、及び、TNFαの分泌と関連する。この障害は、FasL-Fas
のアポトーシス経路を介した管内皮細胞の枯渇によって特徴付けられる。さらに
、細管細胞における同一のサイトカイン媒介性誘導によるFas発現は、急性腎
不全の内毒素ショック(敗血症)モデルでも観察されている。
【0074】 急性肝不全は、肝臓を襲うウイルス感染、肝臓を襲う細菌感染、肝炎、肝細胞
損傷、及び/または、肝細胞が大量のアポトーシスを起こす他の症状で見出され
得る。例えば、Galleら(J.Exp.Med,182:1223〜1230(1995年11月))は、FasL-
Fas媒介性の細胞死が、ヒトにおける肝不全において役割を担っていることを
発見した。Galleらは、FasL-Fas媒介性アポトーシスが、老化した肝細胞
を排除するための機構であることを知った。例えばこれは、脂肪親和性化合物(
例えば、フェノバルビトール)による処置の休止後の肝臓退縮の間、及び、ウイ
ルス感染の間の肝臓再生で発見された。実験を通して彼等は、ウイルス性肝炎の
間、活性化T細胞が肝細胞を攻撃することを見つけた。Fasは、構成的に肝細
胞で発現されている。即ち、活性化により、FasLがT細胞で発現されていた
。肝臓からHBVを除くために、活性化T細胞がB型肝炎(HBV)抗原を発現し
ている肝細胞を殺すのかも知れないと考えられている。
【0075】 Tsujiらの改変モデルを用いて、本発明者らはさらに、mFLINTが敗血症
を処置、及び、予防する際に有用であることを首尾良く示す。敗血症は、血中、
または組織中の1つ以上の病原性生物、または、その毒素の存在によって特徴付
けられる。さらに、敗血症は、サイトカインネットワーク、白血球、並びに、補
体、及び、凝固/繊維素溶解系を含む多数の宿主防護機構の活性化と関連し、そ
して、それらにより媒介される、感染に対する全身性の炎症反応により特徴付け
られる(Mestersら、Blood,88:881(1996年)を参照のこと)。
【0076】 内毒素が組織壊死因子(TNF)を誘導し、次いでそれが炎症反応およびFas
Lの両方を誘導することにより肝不全、及び、死を促進することが知られている
。しかしながら、敗血症の処置においてTNF-に対する抗体を使用する試みは
、一様に失敗した。これはおそらく、TNF-が敗血症の病理への効果とは別に
、それが通常の免疫機能のより包括的なメディエーターであることに起因するよ
うである。さらに、以下の実施例において示すように、TNFの阻害剤は傷害後
の敗血症の処置ではわずかな有用性しか示さないが、それよりも予防においてよ
り有用である。
【0077】 以下の実施例に示すデータにより、mFLINTがTNF阻害剤よりも、動物
敗血症モデルにおいて生存を促進するのに有効であることを確認する。実際、こ
れらのデータは、TNF阻害剤が予防実験(即ち、LPS/ガラクトサミン投与
前)に使用された場合にのみ効果を示すのに対し、mFLINTが処置後のレジ
メにおいても用いられ得ることを示す。これは臨床的に意味のあることである。
なぜならば、患者は内毒素への曝露後、おそらく、実際には入院しているからで
ある。別の言い方をすると、これらのデータはmFLINTが、TNF阻害剤と
は非常に対照的に、予防的、及び、改善レジメの両方において有用であることを
示す。最低でも、これらのデータはmFLINTが、抗-TNFよりも疾患の進
行において遅い時間に投与され得ることを示し、従って、臨床においてTNF阻
害剤で見られた問題が避けられることが期待される。
【0078】 さらに、これらのデータは、mFLINTが少なくとも2つのレベルで治療的
に効果を有することを示す。内毒素は炎症反応、及び、FasLの両方を直接誘
導するTNFを誘導することが知られている。前述のTsujiらのデータは、これ
らが2つの別個の経路であり、その両方が肝不全、及び、死の一因となっている
ことを示す。特に、彼等のFas欠損マウスを用いたデータは、彼等のモデルに
おける損傷の実質的な量がFasと無関係な、TNF依存的な経路により行われ
たことを強く示す。しかしながら、以下に示すデータは、Fas依存経路の阻害
剤であるmFLINTが、Fas依存性であろうとなかろうと、モデル中で誘発
される全ての損傷を抑制し得ることを実証する。従って、それらが異なる経路を
示そうとも、mFLINTは炎症反応、及び、FasLの誘導の両方により媒介
される損傷を抑制できる。
【0079】 さらに、mFLINTが、敗血症を処置するのに有用な他の薬剤と組み合わせ
て有益に使用され得ることも意図される。例えば、米国特許第5,009,889号は、
活性化プロテインC(aPC)が、ヒヒ敗血症モデルを処置するのに有効であるこ
とを示す。このようなモデルを用いて、例えば、mFLINT及びaPCを用い
た適当な組合わせ処置プロトコールを決定することができる。aPCは、敗血症
/敗血症ショックの初期症状である敗血症に伴う散在性の血管内凝固、及び、広
範囲にわたる微小血管内のフィブリンの沈着を予防し得る。
【0080】 従って、mFLINT処置した動物で観察される生存率の改善に基づき、本発
明者らは、以下の疾患の1つ以上がmFLINTで処置され得ると考える:急性
呼吸窮迫症候群(ARDS);甲状腺腫;肝細胞損傷(ウイルス、細菌、ガン、外
傷);単核細胞症;粘液嚢胞(mucocite)(粘膜の炎症);膵炎;歯周病/歯肉炎
;腎不全;付随器官不全(satellite organ failure);全身性炎症反応症候群(S
IRS);手術;血管溢泌(vascular bleeds);血管漏出症候群;全器官移植;多
臓器不全症候群(MODS);冠動脈バイパス移植術;同種移植片拒絶;移植拒絶
;感染(例えば、微生物、肺炎、組織壊死感染、ウイルス);慢性関節リウマチに
おける骨損失;橋本甲状腺炎;C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(
HBV)、エボラウイルス(出血熱)、及び、エプスタイン-バーウイルス(EBV)
を含むウイルス;皮膚炎;乾癬;炎症性腸疾患;潰瘍性大腸炎;クローン病;ア
テローム性動脈硬化症;末期腎不全;並びに、敗血症。
【0081】 より詳細には、本発明は、炎症に関連する障害を処置する方法に関する。当業
者であれば、これらの疾患には、GVHD、橋本甲状腺炎、ARDS、肝細胞損
傷(ウイルス、細菌、ガン、外傷)、粘液嚢胞(粘膜の炎症)、膵炎、歯周病/歯肉
炎、腎不全、付随器官不全、全身性炎症反応症候群(SIRS)、全器官移植、多
臓器不全症候群(MODS)、冠動脈バイパス移植、同種移植片拒絶、移植拒絶、
感染(例えば、微生物、肺炎、組織壊死感染、ウイルス)、慢性関節リウマチ、C
型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、エボラウイルス(出血熱)
、及び、エプスタイン-バーウイルス(EBV)を含むウイルス感染、皮膚炎、炎
症性腸疾病、アテローム性動脈効果症、並びに、敗血症が含まれることを認識す
るであろう。
【0082】 B.mFLINTによる虚血、及び、再灌流の処置 虚血は、多様な毒性の代謝物の蓄積を生じる、組織への血流の減少によって特
徴付けられる。これらの代謝物は壊死、及び/または、アポトーシスによる細胞
死の一因となる。驚くべきことに、組織が再灌流されるとおそらくアポトーシス
性のダメージが増加する。これはおそらく、虚血により誘導された代謝物の血清
成分との反応によりフリーラジカル、及び、その他の毒素が生じるためである。
いずれにしても、アポトーシス性のダメージが、少なくとも一部はFas媒介性
経路により起こることが研究により示された。以下に示す実験では、おそらくF
asLを阻害することにより、mFLINTは虚血/再灌流創傷を妨げるのに用
い得ることが示された。
【0083】 脳卒中、及び、頭部外傷等の大脳虚血に関連する障害の処置、または、予防に
おけるmFLINT組成物の有用性は、以下に示すデータにより確認される。全
卒中(global stroke)の生きたアレチネズミモデルを用いたモデルを示す。大脳
虚血を、総頸動脈の一時的な閉塞により誘発し、続いてmFLINT、または、
コントロールとしての賦形剤で処置した。データは、mFLINTで処置したア
レチネズミが、賦形剤で処置したコントロール群よりも、明らかにより多くの生
存ニューロンを保持していたことを示す。
【0084】 これらのデータは、機能的なFas受容体を欠損するマウスにおける大脳虚血
傷害後の大脳組織の梗塞部の割合を比較し、通常のコントロールと比べて有意に
少ないダメージが見られたという研究結果と一致する(Rosenbaumら、Annals of Neurology ,44(3),441(1998年))。よって、大脳虚血症状を患った患者においてm
FLINTがFas受容体の通常のシグナル伝達過程を妨げ、それにより脳組織
を悪化から保護することが期待される。
【0085】 さらに、Fas媒介性アポトーシスは、心筋梗塞モデルにおける虚血再灌流障
害と関連付けられてきた(Kajsturaら、Laboratory Investigation 74:86〜107(1
996年))。従って、前述のアレチネズミモデルはおそらく、全身性の虚血再灌流
障害を生じることが予測される。これらに基いて、本発明者らは、心筋細胞を用
いたインビトロ分析を行った。詳しくは、虚血心臓組織で見られる低酸素条件を
模倣して、心筋細胞を低酸素条件で8時間培養した後、通常のO2条件下で16時間
培養した。実験結果は、心筋細胞のmFLINTによる処置が、低酸素により誘
導されるアポトーシスに対して細胞を保護することを示した。特に、10μg/m
lのmFLINTによる処置は、低酸素誘導性アポトーシスを90%阻害した。心
筋細胞のFasL誘導性アポトーシスもまた、mFLINTによる処置により阻
害された。
【0086】 前述の観察、及び、データより、本発明者らは以下の疾患の1つ以上が、mF
LINTにより処置され得ると考える:卒中(stroke);脊髄虚血;痙攣/子癇
前症;再灌流傷害;心筋梗塞、その急性、半急性、及び、慢性後遺症ならびに関
連する臨床上の兆候(鬱血性心不全を含む)(しかし、これらに限定されない)
。従って、FLINTは、心筋の保護の促進、及び、代償不全心筋肥大の予防に
有用である。
【0087】 再灌流傷害は、複数の組織中に存在し得、そして腸、火傷、心臓バイパス機構
傷害、肝臓(外傷誘発性)、出血熱(エボラ)、幼児毒性(高O2含量の高酸素保育器
)、四肢破砕肺傷害(limb crush lung injury)/ARDS、臓器移植、複数の外
傷(例えば、自動車事故による)、血管ベッド(vascular bed)の保護、敗血症、通
常示される血管器官不全、及び他の疾患を含む多様な傷害の結果である。これら
の観察はさらに、mFLINTが急性心筋梗塞に続く心筋細胞のアポトーシスの
予防/減衰、並びに、一般に低酸素による心臓、及び、他の組織への傷害を予防
するのに有用であることを示す。
【0088】 採取の準備における臓器保存の場合には、例えば、一旦、ドナーから取り出し
た臓器における虚血再灌流傷害に伴うアポトーシスを防ぐために、mFLINT
は予防上有用である。この使用目的における1つの実施態様では、臓器採取の前
に臓器ドナーにFLINTを投与する。臓器の採取後、FLINTを、臓器用の
適切な輸送/保存培地に添加する。あるいは、患者に移植する前に、採取した臓
器にFLINTを含有する培地を灌流させる。この目的に適した培地は公知であ
る(例えば、EP 0356367 A2(この全てを本明細書中に援用してくみこむ)に開
示されている培地)。また、この方法は、移植手術の前および/または後にFL
INTを用いて移植レシピエントを処置する工程を含む。
【0089】 代表的な方法には、臓器採収の前に臓器ドナーを有効量のmFLINTで予め
処置することに関する。あるいは、続いて採収した器官をmFLINTを含む溶
液で潅流するか、または、この溶液に漬けてもよい。この方法は、例えば腎臓、
心臓、肺、または、他の器官、及び、組織で採用することができる。
【0090】 別の例では、mFLINTは、血栓形成、または、凝固性亢進に伴う虚血再灌
流傷害を処置するのに有用である。従って、mFLINTを血栓溶解剤(例えば
、ウロキナーゼ及びストレプトキナーゼ)ならびに/または、活性化プロテイン
C(aPC)等の抗血栓剤と組合わせて投与してもよい。米国特許第5,350,578号
には、aPCの抗血栓活性が記載されている。そこで開示されるヒヒ動物モデル
は、意図された組合わせ治療の有用な用量レジメを突きとめるのに用いられ得る
。この点に関して、以下の障害が、aPCの添加有りまたは無しで、mFLIN
Tを用いて処置され得ることが期待される:増大された凝固障害の状態により特
徴付けられる痙攣および子癇前症;HELLP(血小板減少症、溶血および不安
定な肝機能が合併した子癇前症);HITS(ヘパリン誘発性血小板減少症);播
種性血管内凝固(DIA);火傷;並びに、手術による血栓塞栓症の合併症。
【0091】 上述のように、アポトーシス傷害の大部分は再灌流の際に誘発されることが研
究により示されている。この傷害は、抗酸化剤によりこの傷害を減少させること
ができるので、少なくとも部分的には酸化的な損傷に起因しているようである。
同様に、抗酸化剤であるビタミンEを、肉の保存剤として使用することができる
こと(これはおそらく、劣化を招く、上記と同一の型の損傷を予防するように作
用する)が見出された。屠殺の数日前にブタにビタミンEを投与することにより
、豚肉の貯蔵寿命を延ばすことが示されている。それゆえ、mFLINTもまた
同様に、組織および臓器を保存するために有用であることが意図される。これは
、特にヒトに消費される器官および肉の貯蔵寿命を延ばすのに有用であろう。
【0092】 C.mFLINTによる造血障害の処置 本出願において議論されるように、mFLINTは、Fas/FasL相互作
用を阻害し、それによりアポトーシスを予防する。以下に議論するように、Fa
s/FasL相互作用は、造血過程に係っている。従って、本出願は骨髄移植、
化学療法、放射線治療、無形成性貧血、及び、骨髄異形成症候群、汎血球減少症
状を含む多様な処置、並びに、障害からの血液学的な回復を促進するためのmF
LINTをベースとした治療方法を意図する。本発明はまた、mFLINTをベ
ースとした、単独、または、他の血液増殖因子と組合わせた骨髄細胞系統の増殖
(expansion)を必要とする任意の臨床症状の処置を包含する。このような増殖因
子には、エリトロポイエチン(EPO)、FLT-3リガンド、トロンボポイエチ
ン(TPO)、幹細胞因子(SCF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)および
顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が挙げられるが、これら
に限定されるわけではない。
【0093】 多数の新生形成性疾患を処置するために、一般的に、自己および異種骨髄移植
が用いられる。自己移植では、処置すべき患者から骨髄細胞を取出し、インビト
ロで培養する。化学療法、及び/または、放射線治療の後に、細胞を患者に再導
入する。異種移植では、第2の個体により骨髄細胞が提供される。このような疾
患を処置するために用いられる化学療法または放射線治療により、骨髄部分、及
び、腸の上皮への損傷による劇的な骨髄抑制が起こり、患者は免疫抑制され微生
物に侵入されやすくなる。典型的には、サイトカインの使用に関連して毒性が存
在し、そして、典型的に、あるサイトカインが全ての系統の回復を増幅するわけ
ではないが、造血サイトカインによる移植骨髄細胞の処置によって、血液の骨髄
、及び、血球系統の回復の促進が示されている(Moore,M.A.S.、Blood 78:1(1991
年);Metcalf,D.,Science 254:529(1991年))。
【0094】 放射線または化学療法が、骨髄細胞および腸上皮細胞のアポトーシスを誘導す
ることが示されている。Fas/FasL経路は、感受性の細胞におけるアポト
ーシスを誘導することが知られている。近年の報告では、Fas/FasLが造
血に関与していることが記載されている。総説については、Nihoら、Current Op inion in Hematology ,5:163(1998年)を参照のこと。FasはCD34+前駆細
胞上で発現されており、これらの細胞はFas刺激によるアポトーシス効果に対
して感受性である(Nagafujiら、Blood,86:883〜889(1995年);Satoら、Br.J.Hae matol. ,97:356(1997年);Yamaneら、Eur.J.Haematol.,58:289(1997年))。さらに
、サイトカインによる造血前駆細胞のインビトロでの増殖は、機能的なFasの
発現をアップレギュレートさせることが示されており、現在では、Fasがイン
ビボの造血恒常性で負の調節因子としての役割を果たしているのかもしれないと
考えられている(Takenakaら、Blood,88:2871(1996年);Stahnkeら、Exp.Hematol . ,26:844(1998年))。
【0095】 1.mFLINTならびに放射線および化学療法 本発明者らは、mFLINTが照射を受けた骨髄前駆細胞(progenitor cell
)の回復を促進することを示した。特にマウスを照射し、骨髄細胞を取り出して
、サイトカインIL-6およびCSFを用いてインビトロで培養した。培養培地
へのmFLINTの添加により、骨髄前駆細胞、即ち赤血球細胞、顆粒球-マク
ロファージ細胞、及び、赤血球単球巨核球細胞の前駆細胞の回復が劇的に増加し
た。本発明者らはまた、mFLINTが、5-フルオロウラシル(5-FU)で処置
したマウスから採収した骨髄細胞の生存を促進することを示した。抗-FasL
抗体もまた、5-FU処置マウスから取られた細胞の生存を増加させた。
【0096】 従って、本発明は、mFLINTの照射防御剤(radioprotective agent)お
よび/または化学防護剤(chemoprotective agent)としての使用を包含する。
mFLINTは、自己または異種移植に先立って骨髄前駆細胞のインビトロでの
増幅および成熟を増幅するのに有用である。mFLINTはまた、患者を放射線
または化学療法により処置した後に、前駆細胞の増殖または成熟を促進させるた
めに有用である。この点で、患者がガン治療(化学療法、及び、放射線治療)で処
置されていた場合に、mFLINTの患者への投与は前駆細胞の増殖、及び、成
熟を促進することが期待される。mFLINTはまた、ガン治療、及び、ガン治
療中の前駆細胞の周期を阻害する骨髄阻害剤により処置された患者における前駆
細胞の増殖および成熟を促進すると期待される。
【0097】 上述のように、サイトカインは、ガン治療を受ける患者の赤血球、並びに、骨
髄細胞系統のインビトロおよびインビボでの増殖を増加させるために用いられる
。本発明者らは、mFLINTがサイトカインで処置された細胞の増殖を促進す
ることを示した。従って、本発明は、骨髄前駆細胞をインビトロおよびインビボ
で増殖させるために、1つ以上のサイトカインと組みあわあせてのmFLINT
の使用を意図する。顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、
化学療法、及び、放射線治療によって起こる骨髄抑制からの回復を促進するため
に使用される。従って、本発明は、骨髄抑制からの回復を促進するための、mF
LINTおよびGM-CSFの組合わせた使用をも包含する。
【0098】 また、本発明者らは、抗-FasL抗体が5-FUで処置された骨髄細胞の回復
を促進することをも示した。従って、本発明は化学療法または放射線治療の後の
骨髄細胞の回復を促進するための抗-FasLの使用を包含する。このような抗
体は、インビトロで、異種移植または自己移植のために骨髄細胞を拡張するため
に使用することができる。また、抗FasL抗体をインビボで投与して、化学療
法、放射線治療、及び/または、骨髄抑制剤の投与により起こる骨髄抑制からの
回復を促進し得る。
【0099】 患者をmFLINTで処置する場合には、全身投与が適当である。本出願中で
用いられるように、mFLINTの化学療法、または、照射と「一緒の」投与に
は、以下の方法に従ったmFLINTの投与が包含される:(1)mFLINTに
よる前処置に続く、照射、または、化学療法;(2)mFLINT、及び、化学療
法、または、放射線治療の同時投与;(3)最初に化学療法または照射、続いてm
FLINTの投与;(4)mFLINTの前処置、続いて化学療法または放射線治
療、続いてmFLINTの投与。本発明は、1つ以上の前述の処置方法における
mFLINTの使用を包含する。
【0100】 2.末梢における血球減少の処置 本発明はまた、無形成性貧血、及び、骨髄異形成症候群等の造血障害と関連し
た、末梢における血球減少の処置を意図する。Fas/FasL媒介アポトーシ
スは、リンパ球生成を抑制することが示されてきた(Yasutomoら、J.Immunol.,15 7 :1981(1996年))。Fasの増加した発現が、無形成性貧血の患者由来の前駆細
胞で観察されている(Young,N.S.,Eur.J.Hematol.,60(増刊):55(1996年))。Fa
sの増加した発現はさらに、骨髄異形成症候群を患う患者の前駆細胞でも観察さ
れている。
【0101】 さらに、Mariaらは、初期赤芽細胞においてFasが迅速にアップレギュレー
トされ、最終成熟を通して高いレベルで発現されることを報告した(Blood 93:79
6(1999年))。Mariaらはまた、未成熟の血液細胞がEPO依存性であり、そして
機能的なFas分子を発現することを報告した。FasLを産生する成熟赤芽細
胞の存在下では、高レベルのEPOに曝されない限り、未成熟細胞はアポトーシ
スを起こす。Mariaらは、Fas/FasL系が、EPOと一緒に赤血球生成恒
常性に寄与することを示唆している。
【0102】 特定の仮説に固執するわけではないが、造血の減少、及び、その結果の血球減
少は、アポトーシスの直接の結果であるかもしれないし、次のFas及びFas
リガンドのアップレギュレートにより媒介されているかも知れない。明細書の別
の個所に記載されるように、mFLINTはFas/FasL結合を阻害して、
アポトーシスを阻害し、そして、mFLINTはまた造血前駆細胞の増殖、及び
、成熟を増幅する。従って、mFLINTの使用は、造血障害によるアポトーシ
スを抑制し、これらの障害と関連した1つ以上の症状を改善へと導くことが期待
される。さらに、未成熟造血細胞はFasL誘導性アポトーシスに感受性である
こと、そして個体は分化した造血細胞を欠損していることから、このような個体
へのmFLINTの投与は、未成熟造血細胞のFasL誘導性アポトーシスを阻
害することにより、これらの成熟欠陥を改善することが期待される。
【0103】 造血障害に罹患した個体の治療は、罹患した個体へのmFLINTの直接の投
与により、または、次いで罹患個体へ移植される骨髄細胞を処理するためのmF
LINTのインビトロでの使用により行われ得る。
【0104】 mFLINTによる治療は、EPO、並びに、造血前駆細胞の増殖および/ま
たは、成熟を促進する他の化合物の投与により増加され得る。サイトカインは、
造血前駆細胞の増殖を刺激することが知られている。従って、本発明には、mF
LINT、並びに、血小板減少、及び、骨髄異形成症候群等の疾病を患う個体の
前駆細胞の増殖および分化を促進する1つ以上のサイトカインとを組合わせた使
用が包含される。
【0105】 3.遺伝子治療 FLINTはまた、遺伝子治療と組合わせても使用し得る。造血前駆細胞が個
人に移植される場合、それらは適当な導入遺伝子によってトランスフェクトされ
、そしてまた、場合により1つ以上のサイトカインと組合わせて、mFLINT
で処理される。細胞の培養に続いて、それらは個体に移植される。このような遺
伝子治療は、所望の性質を血液細胞に与えるのに有用であろう。
【0106】 D.正常な周辺組織のmFLINTによる保護 ガンを処置するのに用いられる化学療法および治療的な照射等、多くの細胞に
損傷を与える治療が、所謂「正常な周辺」組織の傷害、及び、アポトーシスを引
き起こすことが良く知られている。本明細書中の「正常な周辺」組織とは、薬理
学的、放射線学的、または、デバイスを用いた治療によって損傷を受ける非病理
組織のことである。これらの組織には、胃上皮(口腔、食道、胃および腸管を覆
う上皮が含まれる)、肺上皮、血液細胞(リンパ球、単球、T細胞、B細胞、骨髄
細胞、造血前駆細胞、好中球、好酸球、マスト細胞、血小板)、腎臓上皮、及び
、毛包が含まれるが、これらに限定されない。これらの組織の多くが、それらの
構成細胞の迅速な増殖および/または代謝回転によって特徴付けられる。
【0107】 「細胞傷害性」治療には、化学療法(例えば、シスプラチン、ドキソルビシン
、マイトマイシンC、カンプトセシン、並びに、フルオロウラシル、及び、他の
ヌクレオシドアナログ)、治療的な照射、レーザー療法、及び、吸入毒素(ブレオ
マイシン等)の投与が含まれるが、これらに限定されるわけではない。冠動脈か
らの妨害物の物理的な除去のような、デバイスを用いた治療に関連する物理的操
作もまた、正常な周辺組織に傷害を引き起こし得る。これらの細胞傷害性治療は
疾患組織に傷害を与え、殺傷するので有用であるが、上述のように、これらは「
正常な周辺」組織に傷害を与え、アポトーシスを誘導するという望ましくない副
作用を伴う。
【0108】 本明細書中の別の個所において検討するように、mFLINTは、Fas/F
asL相互作用を阻害する。また、mFLINTがインビトロでFasL誘導性
アポトーシスを阻害し、治療的な照射、及び、化学療法に続いてmFLINTが
骨髄細胞の生存を改善することが本明細書中で示された。従って、細胞傷害性治
療により引き起こされた正常な周辺組織への傷害を改善することが本発明の目的
である。
【0109】 照射、及び、化学療法等のガン治療は、腸の上皮細胞におけるアポトーシスを
誘導することが示されている。多くの化学療法剤がアポトーシスを誘発すること
により機能することが知られている(例えば、Micheauら、J.Natl.Can.Inst. 89:
783(1997年)を参照のこと)。照射および化学療法により誘導された骨髄抑制と組
み合わせられたこのアポトーシスは、広範な日和見感染を許す。現在のところ、
化学療法、及び、治療的な照射に伴う腸機能の破壊を処理する効果的な治療は存
在しない。上述のように、サイトカインによる治療は骨髄抑制の回復を促進する
ことが示されてきたが、サイトカインは望ましくない毒性を生じ得る。
【0110】 それゆえ、mFLINTが、照射、及び/または、化学療法によって誘導され
た腸の上皮への傷害を改善することが期待される。特定の仮説に縛られるわけで
はないが、腸の上皮細胞のアポトーシス、及び/または、炎症を阻害することに
より、mFLINTがこの傷害を改善することが期待される。
【0111】 Fas/FasL相互作用は、慢性胃炎に関係してきた。Fas、及び、Fa
sLの発現が、慢性胃炎を患う個体の胃上皮細胞で増加していることが示されて
きた(Rudiら、J.Clin.Invest. 102:1506(1998年)を参照のこと)。Rudiはまた、
ヘリコバクターに感染した胃上皮細胞が増加したレベルのFasL(CD95リ
ガンド)、及び、Fas(CD95受容体)を有し、FasLを抗-APO-1抗体
で阻害することによりヘリコバクター誘導性アポトーシスが減少することを報告
した。従って、mFLINTが、(i)ヘリコバクターによって誘導される胃炎、
並びに上述のような、(ii)化学療法及び照射等の細胞傷害性治療の抑制に有用で
あると考えられる。
【0112】 さらに、高用量の化学療法(HD-CT)を受けている患者は、胃上皮のアポト
ーシス、及び、炎症によって特徴付けられる重篤な粘膜炎の危険がある。Wymeng
aら(Br.J.Cancer 76:1062(1997年))は、HD-CTにより処置された乳ガン患者
の口腔の粘膜炎について研究した。口部洗浄により出てくる生きた上皮細胞の割
合は、HD-CTにより処置された患者で増加し、このことにより上口部の粘膜
層での落屑が示された。さらに、HD-CT患者の口粘膜では、未成熟細胞の割
合がより高かった。
【0113】 その他の正常な周辺組織もまた、mFLINT治療により利益を受けるかも知
れない。例えば、Fas/FasL誘導性アポトーシスは、肺上皮におけるブレ
オマイシン誘導性アポトーシスと係ってきた(Hagimotoら、Am.J.Respir.Cell.Mo l.Biol. 16:91(1997年))。その研究では、ブレオマイシンで処置された肺胞上皮
細胞中では、Fas mRNAがアップレギュレートされ、そして浸潤リンパ球
中におけるFasL mRNAがアップレギュレートされていることが示された
。よって、本出願人らは、mFLINT治療が、細胞傷害性治療によって誘発さ
れた上皮等の肺組織における傷害を緩解し得ることを期待する。
【0114】 E.ガンのmFLINTによる処置 本発明者らは、マウスに黒色腫細胞を注射した場合に生じる腫瘍の体積の減少
を、マウスへのmFLINTの投与が引き起こすことを発見した。このmFLI
NTの効果は、mFLINT/FasL結合、及び、その結果としてのFasL
媒介T細胞アポトーシスの阻害により媒介され得、それによって腫瘍の破壊を容
易にするT細胞媒介免疫応答が起こる。この点については、FasLは黒色腫、
ヒト結腸直腸ガン、肝細胞ガン、星状細胞腫、及び、肺ガンで発現されているこ
とが知られている(O'Connellら、Immunology Today挿入記事*;Chappellら、Can cer Immunol.Immunother. 47:65(1998年))。さらに、大腸ガン細胞株がFasL
を発現し、インビトロでFasL媒介アポトーシスを誘導することによりT細胞
を殺せることが報告されている(O'Connell)。それゆえ、本明細書で観察される
黒色腫腫瘍はFasを発現し、それによりFasを発現する浸潤T細胞のFas
Lにより媒介される死を引き起こしうる。しかしながら、本発明で示された腫瘍
の減少には、その他の機構も原因であるかも知れない。
【0115】 本発明者らにより、腫瘍体積のmFLINT媒介減少について達成された成功
に基づき、他の型のガンもまたmFLINTにより成功裏に処置され得ることが
期待される。これらのガンには、星状細胞腫、大腸ガン、食道ガン、肺ガン、黒
色腫、及び、肝細胞ガンが含まれるが、これらに限定されるわけではない。mF
LINTにより処置され得る他のガンには、膀胱ガン、及び、卵巣ガンが含まれ
る。
【0116】 F.自己免疫疾患のmFLINTによる処置 I型(インシュリン依存性)、及び、II型(非インシュリン依存性)の両方の糖尿
病は、高血糖によって特徴付けられる。本明細書中で使用する用語「高血糖」(
当該分野において周知である)は、健康なヒトにおいて見られるよりも高いレベ
ルの血中グルコースレベルによって特徴付けられる症状を表す。健康なヒトの絶
食血中グルコースレベルは、110mg/dL未満である(真性糖尿病の診断、及び
、分類についての専門家会合(The Expert Committee on the Diagnosis and Cl
assification of Diabetes Mellitus)、Diabetes Care,21(増刊1号),S5〜S19(1
992年))。
【0117】 I型インシュリン依存性糖尿病(IDDM)は、FasL-Fas経路を介した
膵臓(インシュリン産生)β細胞の破壊を伴う慢性自己免疫疾患である。おそらく
、この破壊経路は炎症過程により活性化されている。正常なβ細胞はFasを発
現しないが、傷害を受けている間、これらの細胞でFasが発現される。従って
、おそらく、リンパ球に付随するFasLがこれらのFas+細胞のFasL-F
as相互作用を介した局所的な破壊の原因である。mFLINTがこの経路を中
和するのに有用なのと同じ程度に、これは、IDDMの予防、または、処置に有
用である。
【0118】 多発性硬化症(MS)は、変性炎症性脱髄性疾病である。Fasは、急性、及び
、慢性MSの両方の病変縁の周りに位置する乏突起膠細胞、及び、隣接する白質
で見出されたが、通常の組織ではほとんど見出されないか、または、全く見出さ
れない。Fasの異常な発現は、炎症過程で放出されるサイトカインにより誘導
され得る。さらに、FasLを発現する細胞は、Fas発現アポトーシス性乏突
起膠細胞と同じ場所に位置付けられ、この経路がこの疾患の病理に関与している
ことが示唆された。別の自己免疫疾患である狼瘡もまた、mFLINTにより処
置され得る。
【0119】 G.骨粗鬆症のmFLINTによる処置 以下の実施例中に示されるデータは、mFLINTが骨粗鬆症等の骨損失の障
害を予防、または、処置するために有用であることを示した。mFLINTはま
た、骨再吸収を抑制するために用いることができる。これらのデータは、TNF
Rスーパーファミリーの天然に生じる分泌された一員が、骨の再吸収の調節の役
割を有し(Simonetら、Cell 89:309(1997年)(オステオプロテグリン(OPG)と
呼ばれる)、Tsudaら、Biochem. and Biophys.Res.Commun. 234:137(1997年)(破
骨細胞生成阻害因子(OCIF)と呼ばれる))、骨再吸収する破骨細胞の分化の
阻害剤として実質的に機能するとして報告されたデータと一致する。一貫して、
研究によりFasは骨芽細胞アポトーシスと直接結び付けられてきた(Jilkaら、 J.Bone&Mineral Res. 13:793〜802(1998年);Kawakamiら、J.Bone&Mineral Res . 12:1637〜46(1997年))。
【0120】 急性肺損傷および急性呼吸窮迫症候群 急性肺損傷(ALI)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、診断時に見出され
る低酸素症の重篤度という点でのみ異なる疾患を呈する。診断用に広く許容され
ているパラメーターはPaO2対FiO2の比であり、これによるとARDSの
患者は200mmHg以下の比を示し、他方ALIの患者は300mmHg以下
の値を示す。ARDSは、より重篤な形態のALIを呈する。おそらく、多数の
メディエーターがARDS/ALIの病因に関与しており、なかでも好中球が重
要な役割を果たしている。ARDSの発症において、直接的および間接的の両方
で、多数の沈着(precipitating)因子が関わっている可能性があるが、主な原
因は、敗血症および全身性炎症反応症候群のようであり、これらがおよそ40%
の症例の原因である。ARDSの死亡率は約40%と非常に高く、これらの死亡
のほとんどは最初の2〜3週間以内に生じている。ARDSに対する現在利用可
能な、認可されている薬理学的治療は存在せず、現時点での処置は積極的体力温
存療法(aggressive supportive care)に限定されている。
【0121】 ヒトにおけるARDSは可溶性FasL/Fas相互作用により媒介されてい
るかもしれないという証拠が存在する(Matute-Belloら、J.Immunol.163、2217
〜2225、1999)。FLINTはFasに結合することにより肺胞細胞および/ま
たは上皮細胞のFasL媒介性アポトーシスを阻害し、それにより急性炎症障害
からALIへの進行およびALIからARDSへの進行を阻害または予防するこ
とができる。
【0122】 1つの実施態様において、本発明は、FLINTを用いてALIおよび/また
はARDSを処置することに関し、これはそれらの処置を必要とするヒトに治療
上有効な量のFLINTを投与することを含む。
【0123】 IV.mFLINTの治療用製剤 mFLINTポリペプチド組成物は、各患者の臨床症状(特にmFLINTポ
リペプチド単独の処置による副作用)、mFLINTポリペプチド組成物の送達
部位、投与方法、投与スケジュール、および実施者に既知であるその他の要因を
考慮した、良い治療実務と矛盾がない様式で処方され、そして投薬される。
【0124】 有効量のポリペプチドにより、選択されたTNFRファミリーリガンド(例え
ばFasLまたはLIGHT)の生物活性の統計的に有意な調節が生じる。Fa
sLの生物活性には、これに限定されるわけではないが、アポトーシスが含まれ
る。LIGHTの生物活性には、これに限定されるわけではないが、細胞増殖が
含まれる。LIGHTは、活性化T細胞により産生される29kDaのII型膜貫通T
NFスーパーファミリーの一員のタンパク質である(Mauri d.M.,Immunity,8:21
〜30(1998年1月))。
【0125】 さらに、有効な量はまた、処置される疾患、損傷あるいは障害の有害な症状ま
たは徴候の予防もしくは緩和により決定され得る。従って、本発明の目的におけ
るmFLINTポリペプチドの「治療的に有効な量」は、このような考察により
決定される。mFLINTが免疫モジュレーターであること、そしてそのような
物質で共通に観察されるのはベル型用量応答曲線であることに留意すべきである
。このような現象は当該分野において周知であり、これを考慮して、それに合う
ようにmFLINTの治療的に有効な量を調節することは、臨床医の技術範囲内
である。
【0126】 一般的な計画として、投薬1回毎に非経口的に投与されるmFLINTの医薬
的に有効な量は、患者の体重に対して約1μg/kg/日〜10mg/kg/日の
範囲内であり、より詳細には、2〜8mg/kg、好ましくは2〜4mg/kg、最
も好ましくは2.2mg/kg〜3.3mg/kg、そして、最終的に2.5mg/kg
である。しかしながら、上述のように、これは治療上の裁量による。好ましくは
、この用量は少なくとも0.01mg/kg/日である。
【0127】 連続的に投与する場合、代表的には、約0.1μg/kg/時間〜約50μg/k
g/時間の用量速度で、1日あたり1〜4回の注射によるかまたは例えばミニポン
プを用いた連続的な皮下注入のいずれかにより、mFLINTポリペプチドを投
与する。静脈内バック溶液(intravenous bag solution)もまた用い得る。変化が
観察されるのに必要とされる処置の長さ、及び、処置に続いて反応が起こるまで
の間隔は、おそらく、所望の効果に依存して異なる。
【0128】 本発明のmFLINTを含む医薬組成物は、経口、直腸、頭蓋内、非経口、く
も膜下内、膣内、腹膜内、局所、経皮的(散剤、軟膏、滴剤(drops)、若しくは
経皮パッチにより)、口腔内、または、経口もしくは経鼻スプレーを含む多様な
方法を用いて投与され得るが、これらに限定されるわけではない。「医薬的に許
容され得る担体」により、非毒性の固体、半固体若しくは液体充填剤、賦形剤、
カプセル化材料、または、いずれかの型の製剤助剤が意図される。本明細書中の
「非経口」という用語は、静脈内、筋肉内、腹膜内、胸骨内、皮下、及び、関節
内注射、並びに、注入を含む投与方法を表すが、これらに限定されるわけではな
い。mFLINTを含むインプラントもまた用いることができる。
【0129】 mFLINTポリペプチドはまた、徐放性の系によっても適当に投与される。
徐放性組成物の適当な例には、例えば、フィルム、または、マイクロカプセル等
に成形された物品の形体の半透過性のポリマーマトリックスが含まれる。徐放性
材料には、ポリアクチド(polyactide)(米国特許第3,773,919号、EP第58,481号
)、L-グルタミン酸、及び、γ-エチル-L-グルタミン酸の共重合体(Sidman,U.
ら、Biopolymers 22:547〜556(1983年))、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレ
ート)(R.Langerら、J.Biomed.Mater.Res. 15:167〜277(1981年);R.Langer,Chem .Tech. 12:98〜105(1982年))、エチレンビニルアセテート(R.Langerら、同上)、
または、ポリ-D-(−)-3-ヒドロキシ酪酸(EP第133,988号)が含まれる。また
、徐放性mFLINTポリペプチド組成物としては、リポソームに取り込まれた
mFLINTポリペプチドが挙げられる。mFLINTポリペプチドを含むリポ
ソームは、本質的に公知の方法により調製される(DE第3,218,121号;Epstein
ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 82:3688〜3692(1985年);Hwangら、Proc.Natl.A cad.Sci.(USA) 77:4030〜4034(1980年);EP第52,322号;EP第36,676号;E
P第88,046号;EDP第143,949号;EP第142,641号;日本特願昭58-118008号
;米国特許第4,485,045号、及び、第4,544,545号;並びに、EP第102,324号)
。通常、リポソームは小型(約200〜800オングストローム)の単層状の型であり、
コレステロール当り約30molよりも大きい脂質含量であり、選択された割合は
、最適なTNFRポリペプチド治療に適合されている。
【0130】 非経口投与に関して、1つの実施態様では、mFLINTポリペプチドは一般
に、それを所望の程度の純度で、単位用量の注射可能な形体(溶液、懸濁液、ま
たは、乳剤)中に、医薬的に許容され得る担体、即ち、用いられる用量、及び、
濃度で受容者に非毒性で、製剤中の他の成分と融和性であるものと混合すること
により製剤される。例えば、製剤は好ましくは酸化剤、及び、ポリペプチドに有
害であることが知られる他の化合物を含まない。
【0131】 一般に、mFLINTポリペプチドを、液体担体または微細に分割した固体担
体と、あるいはその両方と、均一かつ完全に接触させることにより製剤を調製す
る。次いで、必要であれば、生成物を所望の製剤に成形する。好ましくは、担体
は、非経口担体であり、より好ましくはレシピエントの血液と等張の溶液である
。このような担体ビヒクルの例には、水、生理食塩水、リンゲル液、及び、ブド
ウ糖溶液が含まれる。固定油(fixed oil)、及び、オレイン酸エチル等の非水
性ビヒクルもまた、リポソームと同様に、本明細書中において有用である。
【0132】 担体は好ましくは、等張性および化学的安定性を上昇させる物資等の添加剤を
少量含む。このような材料は、用いる用量および濃度ではレシピエントに対して
非毒性であり、そしてこれらとしては、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、及
び、他の有機酸、若しくは、それらの塩等の緩衝剤;アスコルビン酸等の抗酸化
剤;例えば、ポリアルギニン若しくはトリペプチド等の低分子量(約10残基より
少ない)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは、免疫グロブリン
等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタ
ミン酸、アスパラギン酸、若しくは、アルギニン等のアミノ酸;単糖、二糖、及
び、セルロース若しくはその誘導体、グルコース、マンノース、若しくは、デキ
ストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;マンニトール若しくは
ソルビトール等の糖アルコール;ナトリウム等の対イオン;並びに/または、ポ
リソルベート、ポリオキサマー(polyoxamer)、若しくはPEG等の非イオン性界
面活性剤が挙げられる。
【0133】 mFLINTは典型的にはこのようなビヒクル中に、約0.1mg/ml〜100m
g/ml、好ましくは1〜10mg/mlの濃度で、約3〜8のpHで製剤される。
前述の或る特定の賦形剤、担体、または、安定剤の使用によりmFLINTポリ
ペプチド塩が形成されることが理解される。
【0134】 治療的投与に用いられるFLINTポリペプチドは無菌でなければならない。
無菌性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)による濾過により容易に行われ
得る。治療用のmFLINTポリペプチド組成物は一般に、静脈注射用の無菌の
出入口を有する容器(例えば、皮下注射針により貫通し得る蓋を有する溶液バッ
ク、または、バイアル)に入れられる。
【0135】 FLINTポリペプチドは通常、例えば、密閉されたアンプル、または、バイ
アルである単位用量、または、複数用量の容器に、水溶液として、あるいは再構
成される凍結乾燥製剤として貯蔵される。凍結乾燥製剤の例として、10mlのバ
イアルに5mlの滅菌濾過した1%(w/v)mFLINTポリペプチド水溶液を満た
し、得られた混合物を凍結乾燥する。注入溶液は、凍結乾燥したmFLINTポ
リペプチドを注射用静菌水を用いて再構成することにより調製される。
【0136】 また、本発明は、1つ以上の本発明の医薬組成物の成分で満たされた1つ以上
の容器を含む医薬的なパック、または、キットを提供する。このような容器は、
医薬または生物学的製品の製造、使用、または、販売を規制する政府機関により
指示される形態での、機関によるヒトへの投与のための製造、使用、または販売
の認可を表す通告を伴い得る。さらに、本発明のポリペプチドは、他の治療的な
化合物と一緒に用いられ得る。
【0137】 V.ポリペプチド製造方法 本発明の1つの実施態様は、mFLINT遺伝子でコードされる実質的に精製
されたポリペプチド、または、mFLINT遺伝子に関する。
【0138】 当業者であれば、本発明のポリペプチドが、固相ペプチド合成、または、組換
え方法を含む当分野において周知の化学的方法等の多数の異なる方法によって合
成され得ることを理解する。どちらの方法も米国特許第4,617,149号に記載され
ている。
【0139】 ポリペプチドの固相化学合成の原理は当該分野において周知であり、この領域
における一般文献に見出され得る。例えば、H.Dugas及びC.Penneyの「BIOORGANI
C CHEMISTRY」(Springer Verlag,New York(1981年))第54〜92頁を参照のこと。
例えば、ペプチドはApplied Biosystemsにより提供されるApplied Biosystems 4
30Aペプチドシンセサイザー(Applied Biosystems,Foster City,CA)、及び、合成
サイクルを用いた固相法により合成され得る。
【0140】 本発明のポリペプチドはまた、クローン化されたFLINT遺伝子を用いた組
換えDNA法によっても製造され得る。高収量が望まれる場合、組換え法が好ま
れる。クローン化された遺伝子の発現は、当業者に周知の多様な適当な宿主細胞
で行われ得る。この目的のため、当業者に周知の任意の適当な手段により、FL
INT遺伝子は宿主細胞中に導入される。クローン化遺伝子の染色体への導入は
本発明の範囲内に含まれるが、適当な染色体外に維持される発現ベクター中にF
LINT遺伝子のコード領域が構成性または誘導性プロモーターに調節可能に結
合されるよう、遺伝子がクローン化されることが好ましい。
【0141】 FLINTポリペプチドの組換え産生の基本的な工程は: a)FLINTをコードする天然、合成、または、半合成DNAを構築し、 b)該DNAを、FLINTポリペプチドを単独、または、融合ポリペプチド
のどちらかとして発現するのに適した方法で発現ベクター中に組み込み、 c)該ベクターを適当な真核または原核宿主細胞中に形質転換するか、または
、他の方法で導入して、組換え宿主細胞を形成し、 d)該組換え宿主細胞を、FLINTポリペプチドを発現するように培養し、
そして、 e)FLINTポリペプチドを当業者に周知の任意の適当な手段により回収し
、そして、実質的に精製する ことである。
【0142】 1.原核及び新核宿主細胞中での組換えFLINTポリペプチドの発現 組換えFLINTポリペプチドの産生には、原核細胞が用いられ得る。例えば
、大腸菌K12株294(ATCC No.31446)は、外来ポリペプチドの原核生物での
発現に特に有用である。大腸菌の他の株、枯草菌等のバチルス、サルモネラ・テ
ィフィムリウム(Salmonella typhimurium)、または、セラチア・マルセサンス(Se rratia marcescans )等の腸内細菌、種々のシュードモナス属、及び、ストレプト
マイセス等の他の細菌もまた、本発明の組換えポリペプチドのクローニング、及
び、発現の宿主細胞として用いられ得る。
【0143】 原核生物で遺伝子を発現させるのに適当なプロモーター配列には、-ラクタマ
ーゼ(例えば、レプリコン、及び、-ラクタマーゼ遺伝子を含む、ベクターpGX
2907(ATCC 39344))、ラクトース系(Changら、Nature(London),275:615(1978
年);Goeddelら、Nature(London),281:544(1979年))、アルカリホスファターゼ
、及び、トリプトファン(trp)プロモーター系の制御下でtrpE融合ポリペ
プチドとしてオープンリーディングフレームの発現を容易にするように設計され
ているtrpプロモーター系(ベクターpATH1(ATCC 37695))が含まれる。t
acプロモーター(pDR540(ATCC-37282)から単離可能)等のハイブリッドプ
ロモーターもまた適当である。一般にそのヌクレオチド配列が公知である他の細
菌プロモーターも、必要とされるいずれかの制限部位を提供するリンカーまたは
アダプターを用いて本発明のポリペプチドをコードするDNAに連結され得る。
細菌系において用るためのプロモーターはまた、所望のポリペプチドをコードす
るDNAに制御可能に連結されたシャイン-ダルガーノ配列を含む。これらの例
は限定ではなく、単なる例示である。
【0144】 本発明のポリペプチドは、直接発現によるか、または、酵素的若しくは化学的
切断により除去し得る他のポリペプチド若しくはペプチドとの翻訳融合体として
目的のポリペプチドを含む融合ポリペプチドとしてのいずれかで合成し得る。組
換え系での特定のペプチドの産生において、融合ポリペプチドとしての発現が寿
命を延長するか、所望のペプチドの収量を増加するか、または、ポリペプチドを
精製するための適切な手段を提供することがしばしば観察される。これは特に、
哺乳動物ポリペプチドを原核細胞宿主中で発現する場合に関連する。ペプチド鎖
の特定の部位でポリペプチドを切断する種々のペプチダーゼ(例えば、エンテロ
キナーゼ、及び、トロンビン)、または、アミノ末端、若しくは、カルボキシ末
端からペプチドを消化する種々のペプチダーゼ(例えば、ジアミノペプチダーゼ)
が公知である。さらに、特定の化学物質(例えば、臭化シアン)は、特定の部位で
ポリペプチド鎖を切断する。当業者は、部位特異的内部切断部位を導入するため
にアミノ酸配列(及び、組換え手段が採用される場合には合成、または、半合成
コード配列)に必要な修飾を理解する。例えば、「PROTEIN PURIFICATION: FROM
MOLECULAR MECHANISMS TO LARGE SCALE PROCESSES」(American Chemical Societ
y, Washington,D.C.(1990年))中のP.Carter「Site Specific Proteolysis of Fu
sion Polypeptides」第13章を参照のこと。
【0145】 原核細胞に加えて、カエル卵母細胞等の種々の両生類発現系、及び、哺乳動物
細胞系を用い得る。特定の宿主細胞の選択は、ある程度、用いられる特定の発現
ベクターに依存する。本発明で用いるのに適する例示的な哺乳動物宿主細胞は、
例えば、HepG-2(ATCC HB 8065)、CV-1(ATCC CCL 70)、LC-MK2(ATCC
CCL 7.1)、3T3(ATCC CCL 92)、CHO-K1(ATCC CCL 61)、HeLa(ATCC
CCL 2)、RPMI8226(ATCC CCL 155)、H4IIEC3(ATCC CCL 1600)、C
127I(ATCC CCL 1616)、HS-Sultan(ATCC CCL 1484)、及び、BHK-
21(ATCC CCL 10)である。
【0146】 哺乳動物宿主細胞を形質転換するのに広く多様なベクターが適当である。例え
ば、pSV2型ベクターは、転写、及び、ポリアデニル化に必要とされるサルウ
イルス40(SV40)ゲノムの部分を含む。挿入された遺伝子の転写をSV40
プロモーターが行う、pSV2-gpt、pSV2-neo、pSV2-dhfr
、pSV2-hyg、及び、pSV2-β-グロビン等のプラスミドpSV2型の
多数のベクターが構築されている。これらのベクターは、アメリカンタイプカル
チャーコレクション(ATCC)(12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland,20852)
、または、National Center for Agricultural Utilization Research(1815 Nor
th University Street,Peoria,Illinois 61604-39999)等の供給源より広く入手
可能である。
【0147】 哺乳動物細胞中での発現に適したプロモーターには、SV40後期プロモータ
ー、例えば、エストロゲン誘導性鶏卵白アルブミン遺伝子、インターフェロン遺
伝子、グルココルチコイド誘導性チロシンアミノトランスフェラーゼ遺伝子等の
真核細胞遺伝子のプロモーター、チミジンキナーゼ遺伝子プロモーター、並びに
、極初期、及び、後期アデノウイルス遺伝子のプロモーターが含まれる。
【0148】 プラスミドpRSVcat(ATCC 37152)は、鶏、及び、他の宿主細胞に感染す
ることの知られているウイルスであるラウス肉腫ウイルスの、長末端反復配列の
部分を含む。この長末端反復配列は、本発明のベクターにおいて用いるのに適当
なプロモーターを含む(H.Gormanら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),79,6777(1982年
))。プラスミドpMSVi(NRRL B-15929)は、マウス、及び、他の宿主細胞に感
染することの知られているウイルスであるマウス肉腫ウイルスの、長末端反復配
列の部分を含む。マウスメタロチオネインプロモーターもまた、真核宿主細胞の
使用についてよく特徴付られており、本発明の使用に適する。このプロモーター
は、本発明の他のプラスミドの構築の出発材料となり得るプラスミドpdBPV
-MMTneo(ATCC 37224)中に存在する。
【0149】 哺乳動物細胞のベクターによるトランスフェクションは、これらに限定される
わけではないが、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム共沈、エレクトポレー
ション等を含む多数の周知の方法により行われ得る。例えは、Maniatisら(上述)
を参照のこと。
【0150】 いくつかのウイルスもまた、適当なベクターとなる。例としては、米国特許第
4,775,624号(この全てを本明細書中に援用して組み込む)に記載されるように
、アデノウイルス、アデノ随伴ウィルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイル
ス、バキュロウイルス、及び、ラウス肉腫ウイルスが含まれる。例えば、組換え
タンパク質を産生するためにバキュロウイルスpFastBac-1(GIBCO/BRL)
を、SF9等の適当な宿主細胞を感染するのに使用し得る。
【0151】 酵母、及び、他の菌類等の真核細胞微生物もまた、適当な宿主細胞である。酵
母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい真核細胞
微生物である。クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、及び
、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)等の他の酵母も適当である。サッカロマ
イセスでの発現のために、例えば、プラスミドYRp7(ATCC-40053)を用い得る
(例えば、L.Stinchcombら、Nature,282,39(1979年);J.Kingsmanら、Gene,7,141
(1979年);S.Tschemperら、Gene,10,157(1980年)を参照のこと)。プラスミドY
Rp7は、trp1栄養要求性突然変異体中で用いるための選択マーカーとなる
TRP1遺伝子を含む。
【0152】 組換え産生されたFLINTポリペプチドの精製 クローン化されたFLINT遺伝子を保有する発現ベクターは、標準的な方法
を用いて適当な宿主細胞中に形質転換、または、トランスフェクトされる。ベク
ターを含む細胞を、組換えFLINTポリペプチドの発現に適した条件下で増殖
させる。例えば、導入遺伝子が誘導性プロモーターの制御下に置かれた場合、適
当な生育条件には、適切な誘導物質が含まれるであろう。組換え産生されたポリ
ペプチドは、形質転換された細胞の細胞抽出物から、いずれかの適当な手段によ
り精製され得る。
【0153】 好ましいポリペプチド精製の工程では、FLINT遺伝子を5'末端で修飾し
てFLINTポリペプチドのアミノ末端に幾つかのヒスチジン残基を組み込む。
この「ヒスチジンタグ」により、米国特許第4,569,794号に記載の「固定化金属
イオンアフィニティークロマトグラフィー」(IMAC)と呼ばれる、1段階ポリ
ペプチド精製方法が可能になる(該特許文献を本明細書中に援用して組み込む)
。IMAC方法により、上述のような、修飾型組換えポリペプチドを発現する細
胞の粗抽出物からの、実質的に純粋な組換えFLINTポリペプチドの迅速な単
離が可能になる。
【0154】 本発明の他の実施態様には、図1、2、3、4をコードする単離された核酸が
含まれる。これらの核酸のいずれをも、化学的な合成方法により製造し得る。核
酸の合成は当該分野において周知である(例えば、E.L.Brown、R.Belagaje、M.J.
Ryan、及び、H.G.Khorana、Methods in Enzymology,68:109〜151(1979年)を参照
のこと)。FLINT、または、mFLINT遺伝子に対応するDNA配列の断
片は、Applied Biosystems, Inc.(850 Lincoln Center Drive,Foster City,CA 9
4404)のモデル380A、または、380BのDNA合成機等の従来型のDNA
合成装置を用いて、ホスホロアミダイト化学により製造し得、その後、断片を全
遺伝子を再構築するように連結させる。あるいは、ホスホトリエステル化学を利
用して本発明において用いる核酸を合成し得る(例えば、Gait,M.J.編「OLIGONUC
LEOTIDE SYNTHESIS, A PRACTICAL APPROACH」(1984年)を参照のこと)。
【0155】 代わりの方法、即ちPCRでは、例えば、図1を含む本明細書中に開示され、
記載されるDNA配列は、多数の出発材料から製造され得る。例えば、FLIN
T遺伝子を発現する組織由来のcDNA調製物(例えば、cDNAライブラリー)
を開始物質として、図1、または、その中のサブ領域に相補的な適当なオリゴヌ
クレオチドプライマーが、米国特許第4,889,818号に記載されるように調製され
る。PCRのための、その他の適当な方法がMichael A.Innisら編の「PCR PROTO
COLS: A GUIDE TO METHOD AND APPLICATIONS」(Academic Press,Inc.(1990年))
に開示されている。
【0156】 本発明のリボ核酸は、上述のポリヌクレオチド合成方法により製造され得るか
、または、例えば、FLINT DNA鋳型を転写するためのRNAポリメラー
ゼを用いて酵素的に合成され得る。本発明のリボ核酸を調製するための最も好ま
しい系では、バクテリオファージT7、または、バクテリオファージSP6のR
NAポリメラーゼを用いる。これらのRNAポリメラーゼは、非常に特異的であ
り、転写されるべき鋳型の5'末端に、バクテリオファージ特異的な配列の挿入
を必要とする(上述のManiatisら、を参照のこと)。この発明はまた、図1〜4と相
補的な核酸、RNA、または、DNAを提供する。
【0157】 2.ベクター 本発明の別の局面は、本発明の核酸を含む組換えDNAクローニングベクター
、及び、発現ベクターに関する。
【0158】 最も適当なクローニングベクターまたは発現ベクターの選択が、制限酵素部位
の有効性、ベクターがトランスフェクト、若しくは、形質転換される宿主細胞の
型、トランスフェクション、若しくは、形質転換の目的(例えば、染色体外因子
としての安定な形質転換、または、宿主染色体への組込み)、容易に分析、若し
くは、選択し得るマーカー (例えば、1つの型、及び、別の型の抗生物質耐性お
よび代謝マーカー)の存否、並びに、宿主細胞中に必要とされる遺伝子のコピー
数等を含む多数の要因に依存することは当業者により容易に理解される。
【0159】 本発明の核酸を運ぶのに適当なベクターには、RNAウイルス、DNAウイル
ス、溶菌バクテリオファージ、溶原性バクテリオファージ、安定なバクテリオフ
ァージ、プラスミド、ウイロイド等が含まれる。最も好ましいベクターは、プラ
スミドである。
【0160】 発現ベクターを調製する場合、例えば、構成性または誘導性プロモーターを使
用すべきか等、考慮すべき多くの変数が存在することを当業者により理解される
。実験者はまた、製造される核酸、または、ポリペプチドの量が、部分的に、発
現系の選択を指図することが理解される。プロモーター配列に関しては、作動可
能に連結された遺伝子の高レベルで、制御可能な発現を可能にするので、誘導性
プロモーターが好ましい。当業者は、炭素源、金属イオン、及び、熱のような多
様な誘導物質に応答する、多数の適当なプロモーターを認識するであろう。発現
ベクターに関して、その他関連して決定されなければならないことには、組換え
ポリペプチドの局在を指示する配列を含むべきかどうかが挙げられる。例えば、
遺伝子のコード領域に先立つシグナルペプチドをコードする配列は、得られるポ
リペプチドの細胞外輸送を指示するのに有用である。
【0161】 本発明はまた、図1〜4を含むポリペプチドを発現しうる組換え宿主細胞を構築
する方法を提供する。この方法は、図1〜4のいずれかに記載された単離されたD
NA配列を含む組換えDNAベクターを宿主細胞中に形質転換、または、他の方
法により導入する方法を含む。
【0162】 好ましい宿主細胞は、外来性導入遺伝子またはポリペプチドの高レベルの発現
に順応され得、該ポリペプチドを膜構造中に導入する、任意の真核細胞である。
発現のためのベクターは、図1〜4の配列のいずれかを含むものである。形質転換
された宿主細胞は、当業者に周知の条件下で、FLINTまたはmFLINTが
発現され、それにより組換えFLINT、または、mFLINTポリペプチドが
組換え宿主細胞中で産生されるように培養される。
【0163】 以下の実施例は、より完全に本発明について説明する。当業者であれば、記載
の特定の試薬、設備、及び、手法が単なる例示であって、どのような意味でも本
発明を限定する目的ではないことを理解しうる。
【0164】 実施例1 mRNAからのFLINT遺伝子のRT-PCR増幅 従来的な方法を用いて、FLINT遺伝子を逆転写酵素PCR(RT-PCR)
により単離する。FLINT遺伝子を発現する組織(例えば、肺)からの総RN
Aを標準的な手法により調製する。第1鎖FLINT cDNA合成を、図1〜4
のいずれかの適当な領域に対して特異的なプライマーと共に、市販のキット(S
uperScriptTMSystem;Life Technologies)を用いて、PCR
により達成する。
【0165】 増幅は、第1鎖cDNA(真空下で乾燥)に以下のものを添加することにより行
われる: 10×合成緩衝液を8μl(200mM Tris-HCl、pH8.4;500mM KCl、25mM MgCl2、1μg/μl BSA);68μl蒸留水;各プライ
マーの10mM溶液をそれぞれ1μl;及び、Taq DNAポリメラーゼ(2〜5U
/μl)を1μl。RNA/cDNAハイブリッドを変性するために、反応系を94
℃で5分間加熱する。次いで、任意の適当な温度循環装置を用いて、15〜30サイ
クルのPCR増幅を行う。増幅したサンプルを、アガロースゲル電気泳動により
分析して適当な大きさの断片についてチェックしうる。
【0166】 実施例2 宿主細胞中でFLINTを発現するためのベクターの製造 大腸菌等の多様な原核宿主細胞中でFLINT、または、その断片を発現する
のに適した発現ベクターは容易に作られる。ベクターは、複製起点(Ori)、形
質転換方法後にベクターを取り込んだ細胞を選択するのに有用なアンピシリン耐
性遺伝子(Amp)、並びに、FLINTコード領域に対して作動可能に連結され
たT7プロモーター、及び、T7ターミネーター配列を含む。プラスミドpET
11A(Novogen,Madison WIより入手)は適当な親プラスミドである。pET11
AはエンドヌクレアーゼNdeI、及び、BamHIを用いた切断により線状化
される。線状化されたpET11Aは、NdeI、及び、BamHI粘着末端を
有し、図1〜4に開示されるFLINT遺伝子のコード領域を含むDNA断片に連
結される。
【0167】 この構築物で用いられるFLINT遺伝子は、コードされるポリペプチド産物
の精製を単純化するために5'末端(コードされたポリペプチドのアミノ末端)を
少し改変し得る。この目的のため、8個のヒスチジン残基をコードするオリゴヌ
クレオチドがATG開始コドンの後ろに挿入される。コードされるポリペプチド
のアミノ末端へのヒスチジン残基の配置は、IMAC1段階ポリペプチド精製方
法を可能にするのに役立つ。
【0168】 実施例3 FLINTポリペプチドの組換え発現、及び、精製 FLINT、または、その断片をコードするオープンリーディングフレーム(
ORF)を保有し、そしてそのORFが発現プロモーターに作動可能に連結され
ている発現ベクターを、大腸菌BL21(DE3)(hsdgal cIts8
57 indSamninlacUV5-T7遺伝子1)中に標準的な方法
を用いて形質転換する。アンピシリンへの耐性について選択した形質転換体を、
無作為に選択し、迅速プラスミド調製物を用いたアガロースゲル電気泳動により
、ベクターの存在について試験する。ベクターを含有するコロニーをLブロス上
で生育し、ベクターに運ばれるORFにコードされるポリペプチド産物を、本質
的には米国特許第4,569,794号に記載されるように、固定化金属イオンアフィニ
ティークロマトグラフィー(IMAC)により精製する。
【0169】 簡潔には、IMACカラムは次のように調製される。金属を有さないキレート
樹脂(例えば、セファロース6B IDA、Pharmacia)を蒸留水で洗浄して保存剤
物質を取り除き、50mMの塩化金属または硫酸金属水溶液を、樹脂の間隙の約75
%が色のついた金属イオンで飽和されるまで添加することにより、適当な金属イ
オン(例えば、Ni(II)、Co(II)、または、Cu(II))をしみ込ませる。これに
よりカラムは、組換えポリペプチド産物を含む粗細胞抽出物を受ける準備ができ
る。
【0170】 未結合のポリペプチド、及び、他の材料を任意の適当な緩衝液(pH7.5)でカ
ラムを洗浄することにより除去した後、結合されたポリペプチドを任意の適当な
緩衝液(pH4.3)により、または、好ましくはイミジゾール(imidizole)含有緩
衝液(pH7.5)で溶出する。
【0171】 実施例4 FLINTmRNAの組織分布 FLINTmRNAの多様なヒト組織における存在をノーザンブロット分析に
より分析した。異なる組織、または、培養細胞の総RNAを標準塩化グアニジン
/フェノール抽出方法により単離し、そしてポリ-A+RNAをオリゴ(dT)-セ
ルロース タイプ7(Pharmacia)を用いて単離した。RNA試料の電気泳動をホル
ムアミド中で行い、続いてZeta-ProbeTMナイロン膜(Bio-Rad,Hercul
es,Calif.)に毛管移行(capillary transfer)させた。図1が、MultiPr
imeTMランダムプライミングキット(Amersham,Arlington Heights,Ill.)を
用いてプローブを製造するための鋳型である。ラベル化反応の効率は、鋳型1μ
g当りおよそ4×1010cpmの組込みであった。ハイブリダイゼーション緩衝液
は、0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS(重量/容量)、1%BSA(重量/容量)
、及び、1mM EDTAを含んでいた。プレハイブリダイゼーションをハイブリ
ダイゼーション緩衝液中、65℃で2時間行い、32P標識プローブを添加し、イン
キュベーションを一晩続けた。フィルターを緩衝液A(40mMリン酸ナトリウム
pH7.2、5%SDS(重量/容量)、0.5%BSA(重量/容量)、及び、1mM E
DTA)中、65℃で1時間、その後、緩衝液B(40mMリン酸ナトリウム、pH7.2
、1%SDS(重量/容量)、及び、1mM EDTA)中、65℃で20分間洗浄した。
フィルターを風乾し、−80℃で反射板(intensifying screen)を用いてKod
ak X-OMAT ARフィルムに露光させた。
【0172】 結果により、胃、脊髄、リンパ節、気管、脾臓、結腸、及び、肺を含む多数の
組織にFLINT mRNAが存在することが示された。
【0173】 実施例5 ポリペプチドに対する抗体の産生 実質的に純粋なポリペプチドまたはその断片を、トランスフェクトまたは形質
転換した細胞から、当分野において周知の任意の方法、または、本明細書中に特
に開示された方法により単離する。最終調製物中のポリペプチド濃度は、例えば
、Amiconフィルターによる濾過により、約1〜5μg/mlのレベルとなる
ように調整される。モノクローナル、または、ポリクローナル抗体は以下のよう
に調製し得る。
【0174】 モノクローナル抗体はマウスハイブリドーマから、Kohler及びMilstein(Natur e ,256,495(1975年))の方法により、または、その改変された方法により調製され
得る。簡潔にいうと、数マイクログラムのポリペプチド、若しくはその断片、ま
たは、その融合ペプチドを、数週間にわたって、マウスに繰り返し接種する。次
いで、マウスを屠殺し、そして脾臓の抗体産生細胞を単離する。脾細胞を、ポリ
エチレングリコールの手法によりマウスミエローマ細胞と融合する。抗体を産生
する融合細胞を、例えば、E.Engvall(Meth.Enzymol.,70,419(1980年))に記載さ
れるELISAのような、任意の適当なイムノアッセイにより同定する。
【0175】 ポリクローナル抗血清は、本明細書中に開示されるポリペプチド、その断片、
または、その融合ポリペプチドで適当な動物を免疫化することを含む、J.Vaituk
aitisら(Clin.Endocrinol.Metab. 33,988(1971年))に記載されるような、周知の
方法によって調製され得る。おそらく、少用量(例えば、ナノグラム量)の抗原を
複数の皮内部位に投与することが、最も信頼できる方法である。
【0176】 実施例6 哺乳動物FLINT-Flag発現ベクターの構築 FLINT発現の確認 (抗体の使用無しで) を容易にするために、「内部リボ
ソーム導入部位」/増強緑色蛍光ポリペプチド(IRES/eGFP)PCR断片
を哺乳動物発現ベクターpGTD(Gerlitz,B.ら、1993、Biochemical Journal 2 95 :131)に導入することにより、ビシストロン性発現ベクター(pIG1-FLI
NTF)を構築した。この新しいpIG1と呼ばれるベクターは、以下の配列標
認点を含む:E1a-応答GBMTプロモーター(D.T.Bergら、BioTechniques 14 :972(1993年);D.T.Bergら、Nucleic Acids Resarch 20:5485(1992年));唯一の Bcl IcDNAクローニング部位;エンセファロマイカーディティス(encepha
lomyocarditis)ウイルス(EMCV)由来のIRES配列;eGFP(Clontech)コ
ード配列(Cormackら、Gene 173:33(1996年));SV40の小型「t」抗原スプラ
イシング部位/ポリアデニル化配列;SV40初期プロモーター、及び、複製起
点;マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)コード配列;並びに、pBR3
22アンピシリン耐性マーカー/複製起点。得られたタンパク質は、C末端にF
lag配列(これは、[FLINT]-DYKDDDDKを生じる)が結合されて
いた。
【0177】 ヒトFLINT配列に基づき、次のプライマーを合成した:
【化1】 後者のリバースプライマーは、Flagエピトープ配列(24〜47位、二重下線)(M
icele,R.M.ら、J.Immunol.Methods 167:279(1994年))を含む。その後、これらの
プライマーを、FLINT cDNAをPCR増幅するために用いた。次いで、
得られた1.3KbのPCR産物を、BclIで消化し(プライマー内に制限部位が
組み込まれている、上記下線)、プラスミドpIG1-FLINTFを製造するた
めに、pIG1の唯一のBclI部位に連結した。ヒトFLINT cDNAの
配向、及び、ヌクレオチド配列を、挿入物の制限消化、及び、二重鎖配列決定に
より確認した。
【0178】 実施例7 哺乳動物FLINT-非Flag発現ベクターの構築 非Flag発現ベクター(pIG1-FLINT)を作製するために、Quic
k Change突然変異誘発キット(Stratagene)を用いて、pIG1-FLIN
TF構築物から8アミノ酸FLAGエピトープをコードする24塩基のDNA配列
を欠失させた。FLAG配列に隣接する19塩基配列と相同な35塩基対のプライマ
ー、及び、その相補鎖を合成し、プラスミドpIG1-FLINTFを鋳型とす
るPCR増幅に用いた。親由来DNAを除くためにPCR反応混合物をDpn
制限エンドヌクレアーゼで消化し、PCR産物をEpicurean XLI-b
lue大腸菌細胞に形質転換した。16個のアンピシリン耐性形質転換体を取り、
プラスミドDNAを制限消化により分析した。16個のうち10個が、24塩基配列の
欠失に一致する結果を与えた。24塩基配列の正確な欠失は、pIG1-FLIN
TのDNA配列決定により確認した。このプラスミド中のFLINTのヌクレオ
チド配列を図1に示す。
【0179】 実施例8 AV12 RGT18トランスフェクト体からの 高産生FLINTクローンの単離 FLINT遺伝子を運ぶ組換えプラスミド(pIG1-FLINT)は、メトト
レキサートに対する耐性をコードする。さらに、構築物は蛍光ポリペプチドGF
Pをコードする遺伝子を、同じ転写物上のFLINT遺伝子の3'に隣接して含
む。高レベルのGFPの発現は、高レベルのFLINT-GFP mRNAの発現
を必要とするので、高い蛍光を有するクローンは、より高レベルでFLINTを
生産する可能性を有するであろう。AV12 RGT18細胞をトランスフェク
トするのに、pIG1-FLINT、及び、pIG1-FLINTFを用いた。25
0nMのメトトレキサートに耐性な細胞を選択し、プールした。耐性なクローン
のプールを蛍光細胞分析分離装置(FACS)に付し、全体の上位5%内の蛍光値
を有する細胞をプールに、細胞1個毎に分類した。高い蛍光のプールを、3連続分
類サイクルに付した。2回目、及び、3回目のサイクルからのプール、及び、個々
のクローンを、SDS-PAGEによりFLINT産生について分析した。クマ
シー染色から、最も高レベルのFLINTを発現すると判断されたプールまたは
クローンを、スケールアップし、そしてFLINTの精製に利用した。このプラ
スミドを用いて産生されたmFLINTと呼ばれる成熟FLINTタンパク質の
アミノ酸配列を図3に示す。
【0180】 実施例9 mFLINTポリペプチドの大規模精製 まず安定クローンである安定なpIG1-FLINT-含有AV12 RGT1
8細胞を数個の10リットルスピナー中で増殖させることにより、mFLINTの
大規模産生を行った。コンフルーエンシーに達した後、細胞をさらに2〜3日培
養して最大量のFLINTを培地中に分泌させた。mFLINTを含む培地を0.
1%CHAPSに調整し、Amicon ProFlux M12接線濾過系(tang
ential filtration system)中で350mlに濃縮した。濃縮した培地を19,000rp
m(43,000×g)で15分間遠心し、SP-5PW TSK-GELカラム(21.5mm×
15cm;TosoHaas)に流速8ml/分で通した。吸光度(280nm)がベースライン
に戻るまで、カラムを緩衝液A(20mM MOPS,0.1%CHAPS,pH6.5)で
洗浄し、結合したポリペプチドを85分にわたり0.1M〜0.3M NaCl(緩衝液A
中)で展開する線形濃度勾配により溶出した。mFLINTを含む画分をプール
し、緩衝液B(50mM Tris、0.1%CHAPS、0.3M NaCl、pH7.0)
で平衡化した(7.5mm×7.5cm)ヘパリン-5PW TSK-GELカラムにかけ
た。60分にわたり0.3M〜1.0M NaCl(緩衝液B中)で展開する線形濃度勾配
により、結合したポリペプチドを溶出した。mFLINTを含む画分をプールし
、0.1%TFA/H2Oで平衡化した1cm×15cmのVydac C4カラムにか
けた。0〜100%CH3CN/0.1%TFAの線形勾配で、結合したmFLINTを
溶出した。mFLINTを含む画分をSDS-PAGEで分析し、95%よりも純
粋であることを見つけ、8mM NaPO4、0.5M NaCl、10%グリセロール
、pH7.4で透析した。mFLINTのN末端配列を精製したポリペプチドで確
認した。質量分光分析、及び、エンドグリコシダーゼ-F消化により、mFLI
NTがグリコシル化されていることが示される。
【0181】 実施例10 A.FLINT-Flag、及び、FLINT発現ベクターの構築 研究のための十分な組換えタンパク質を製造するため、バキュロウイルス感染
細胞中でFlagタグ化FLINT、及び、天然の型のヒトFLINTを発現さ
せた。ヒトFLINT cDNAは、発現のため次のように処理した。FLIN
TのFLAGタグ化型をコードするcDNAを含むpIG3(pIG1の誘導体
;Gerlitz,B.及びGrinnell,B.W.、未発表データ)発現ベクターをXbaIで切断
し、処理して平滑末端とした。次いで、ベクターをSalIで切断した。得られ
た、コード領域を含む918塩基対の断片をゲル精製し、BamHIで消化し、末
端を平滑化した後、SalIで消化したバキュロウイルスベクターpFastB
ac-1(GIBCO/BRL)中に連結し、プラスミドpBacOPG3Flagを生成
した。この構築物は全長分子(シグナルペプチドを構成する、29個のNH2-末端
アミノ酸を含む)、及び、タンパク質のCOOH-末端のFLAGタグを発現する
ように設計された。発現は、バキュロウイルスポリへドリンプロモーターの制御
下にあった。
【0182】 天然型のタンパク質を発現するベクターの構築のため、pCDNA3.1(+/
−)(Invitrogenより購入)中に予めサブクローニングした全長タンパク質をコー
ドする920塩基対のXbaI/HindIII cDNA断片を、XbaI、及び、
HindIIIで切断した。断片をゲル精製し、XbaI、及び、HindIIIで消
化したバキュロウイルスベクターpFastBac-1(GIBCO/BRL)中に連結し
、プラスミドpBacOPG3を生成した。
【0183】 B.バキュロウイルスの産出、及び、タンパク質の産生 pBacOPG3Flag、及び、pBacOPG3の2つのベクターを別々
に、2つの組換えバキュロウイルス(vBacOPG3Flag、及び、vBac
OPG3)を産出するために、販売者(GIBCO/BRL)が記述するように用いた。各
ウイルスを別々に、タンパク質産生のためSF-9細胞を感染するために用いた
。組換えタンパク質を、感染させたSF-9細胞から回収した上清中で、ウェス
タンブロット、及び、クマシー染色分析により測定した。
【0184】 実施例11 mFLINTのFasLとの相互作用を検出するためのFasリガンド結合実験 市販のTRAIL、及び、FasLである公知のTNFリガンドのmFLIN
Tとの相互作用を調べるために、ドットブロット実験を行った。
【0185】 TRAIL(RnD Systems)、及び、FasL(Kamiya Biomedical Company)をニ
トロセルロース紙にスポットし、精製したmFLINT-Flagと一緒にイン
キュベートした。mFLINTを洗い去り、結合したmFLINTを抗Flag
抗体を用いて検出した。OPG2Fc、及び、mFLINT-Flagの両方が
過剰発現し、上記実施例に従って精製した。続いて、濾紙をPBS中の5%脱脂
乳を用いて室温で、30分間ブロックした。その後、ニトロセルロース紙をFas
L-Mycを含む細胞溶解物と混合し、さらに、室温で1時間、回転装置上でイン
キュベートした。2回目および3回目のインキュベーションを抗-myc抗体およ
び抗-マウスIgG-HRPと一緒に、、それぞれ、1時間および30分間行った。
mycエピトープを含むポリペプチドを、mFLINTがFasLに特異的に結
合したことを示すX線フィルム上の化学発光により検出した。TNF、TNF、
TRAIL、CD40L、または、TRANCEについては、はっきりと感知で
きる結合は検出されなかった。
【0186】 インビトロでのFas-Fasリガンド相互作用のために、まず基底値実験を
行った。特に記載しない限り、全ての洗浄工程はTBST(SIGMAからのTwee
n20を加えたトリス緩衝化生理食塩水)を用いて、3〜6回行った。
【0187】 ELISAプレート上に、mrecFas(100ng)を吸着させた。その後、
プレートを0.1%ゼラチンを加えたTBSTでブロックした。それから、1マイク
ログラム/mlのM2 Abs(KodakのScientific Imaging System部門より入手
した抗flag抗体)を含む0.1%溶液を加えたTBSTに、hFasリガンド(
Flagタグ化)を最大濃度300ng、最小1ngの異なる濃度で添加した。プレ
ートを6回洗浄した後、抗-マウス-Abs-HRP(3000培希釈、Bio-Rad)をウェ
ルに添加した。3回洗浄した後、基質としてABTSを用いた可視化酵素反応を
行った。特に記載しないかぎり、Molecular Devices Corp.(Menlo Park,Califor
nia)から市販されているELISA読み取り機を使用した。
【0188】 以下のデータを回収した:
【表1】
【0189】 即時生体分子相互作用分析を用いて、FLINT-FasL結合を確認し、結
合の特異性(例えば、動力学、特異性、親和性、協同性、相対的結合パターン、
濃度)を決定することができる。この技術は、リアルタイムで生体分子の相互作
用をいずれかの反応体を標識化することなく試験する能力を有する。詳細には、
それは光学現象表面プラズモン共鳴を利用し、検出は生物特異的界面(biospeci
fic interface)における巨大分子の質量濃度の変化に依存する。動力学的情報
が容易に得られるように、相互作用をリアルタイムで追跡する。多くの場合、成
分を予め精製することなく研究を行うことができる。
【0190】 測定は、BiaCore2000機器を用いて達成される。チップ、固定化及
び保守キット、並びに、緩衝液を伴う機器は、Biacore AB,Rapsgatan 7,S-754 5
0 Uppsala,Swedenから得られる。FasLはKamiya Biomedical Company(910 In
dustry Drive,Seattle,WA 98188)から、グアニジンイソチオシアネート溶液はGi
bcoBRLから得られ、そしてmFLINTは実施例8及び9のように調製される。
【0191】 mFLINTを含む溶液をのせた、固定化したFasLを用いた実験。この実
験では、FasL-FLINT相互作用のKDは1.13×10-7であり、その値は1.62
×10-7であったFasを結合したFasLよりも低い。これは、FasLが三量
体であり、ここではFasL単量体が結合されたという事実により説明される。
さらなる実験では、三量体の形成を許す、FasLと溶液中で結合したFLIN
Tを用いた。これらの実験におけるFLINT-FasLについて得られたKD
、2桁良かった(即ち、KDは2桁低かった)。この観察は、FLINTがFasと
、FasL結合について効果的に競合するであろうことを示し、これは同様に、
以下に詳述される実験で観察された治療的な利点を説明する。
【0192】 FLINTはFas-Fasリガンド相互作用を阻害する 上述のように、mrecFas(100ng)をELISAプレート上に吸着させ
た。再びプレートをTBST、及び、0.1%ゼラチンでブロックした。その後、1
マイクログラム/mlのM2Absを含む0.1%溶液を加えたTBST中の、異
なるmFLINT濃度(最大濃度300ngから1ngまで)の存在下で、hFASリ
ガンド(Flagタグ化、各点で30ng)を各ウェルに添加した。前述のように、
プレートの洗浄後、抗-マウス-Abs-HRP(3000培希釈,Bio-Rad)をウェルに
添加した。洗浄後、基質としてABSTを用いた可視化酵素反応を行った。デー
タを以下の表に示す。
【表2】
【0193】 Fasリガンドは異なる親和性でFas、及び、mFLINTと結合する FLINT、及び、Fas(各100ng)をELISAプレート上に吸着させた
。1マイクログラム/mlのM2Absを含む0.1%溶液を加えたTBST中に、
最大濃度300ngから1ngまでの異なる濃度で、hFASリガンド(Flagタ
グ化)を添加した。プレートの洗浄後、抗-マウス-Abs-HRP(1:3000希釈,B
io-Rad)をウェルに添加した。洗浄後、基質としてABTSを用いた可視化酵素
反応を行った。以下の表にそのデータを示す。
【表3】
【0194】 実施例12 抗-CD3誘導性ジャーカットアポトーシスに対するmFLINTの効果の測定 非組織処理した24ウェルプレート(Decton Dickinson,Mansfield,MA)を、PB
S中1μg/mlの抗-CD3(Farmingen)0.5mlで、37℃で90分間コートした
。プレートを1度、PBSで洗浄した。1mlの1×106細胞/mlを各ウェルに以
下の処置と一緒に、または、無しで入れた:10μM DEVD-cmk、1μg O
PG2-Fc、1または2μgのmFLINT+1μgの抗-FasL Ab。mFL
INTは実施例8および9に従い作製した。
【0195】 細胞を一晩、37℃のインキュベーターで培養し、その後、Annexin V、及び、
PI染色で染色した。アポトーシスは、フローサイトメーター(FACS)により
分析した。細胞のアポトーシスは、Annexin Vによる陽性染色により示された。
【表4】
【0196】 実施例13 組換えFasL誘導性ジャーカット細胞アポトーシス に対するmFLINTの効果の測定 1×106細胞/mlを1ミリリットルを、24ウェル組織培養プレートの各ウェル
に添加し、次の試薬で処置した:可溶性FasL(200ng)、FasL+1μg
mFLINT、FasL+1μg OPG2-Fc、Trail(200ng)、Tra
il+1μg mFLINT。細胞を一晩、37℃で培養した後、アネキシンV及び
PIで染色した。細胞のアポトーシスは、フローサイトメーター(FACS)によ
り分析した。mFLINTは実施例8および9に従って作製した。
【表5】
【0197】 実施例14 抗-CD3誘導性ジャーカット細胞アポトーシスに対する mFLINTの用量依存的な効果の測定 各ウェルに異なる量のmFLINTが添加されるという点以外は、実施例13
に記載のプレートコーティング、及び、細胞処置と同じ工程を行った。mFLI
NTは実施例8、及び、9に従って作製した。以下の表は添加量を示す:
【表6】
【0198】 実施例15 マウスT細胞ハイブリドーマ細胞(LTT細胞)を用いたヒトmFLINT のマウスFasl媒介性アポトーシスに対する効果の測定(Annexin V分析) FLINTは実施例8および9に従って作製した。LTT、2、14、11細
胞(LTT細胞)(Glasebrook、Eur.J.Immunol. 17:1561〜65(1987年)を参照のこ
と)をこのAnnexin V分析で用いた。1日目に、96ウェルプレートを抗-CD3(2
C11)の系列希釈液でコートした。2日目に、各ウェル当り培地50μl中100,00
0個のLTT細胞を、対照ウェルに対しては50μlの培地と共に、そして: 第1群.可溶性Fas(sFas)(FasFc、マウス)を最終濃度1μg/ mlで、 第2群.mFLINT(ヒト)を最終濃度1μg/mlで、 第3群.抗-FasL(マウス)を最終濃度1μg/mlで、 を含む50μlの培地と添加した。 その後、これらを一晩、37℃で、5%のCO2中で培養した。
【0199】 翌日(3日目)、細胞を各ウェルから回収し、洗浄し、フローサイトメトリー分
析の後、Annexin V及びPIで標識化した。
【表7】
【0200】 実施例16 マウスT細胞ハイブリドーマ細胞(LTT細胞)を用いたマウスFasl媒介性 アポトーシスに対するヒトmFLINTの効果の測定(細胞傷害性分析) 1日目と2日目とは、実施例16と同じ工程を行った。3日目に、20μlのMT
S溶液(Promega)を細胞に添加し、その後、37℃で2時間培養した。プレート読み
取り機を用い、波長490nmにおける吸光度を集めた。
【表8】
【0201】 実施例17 LIGHT結合実験 LIGHT、及び、mFLINTの間のドットブロット結合を確認するため、
293細胞をLIGHT発現構築物で、一晩一時的にトランスフェクトした。翌
日、細胞を分離し、氷上でmFLINT-Flagと一緒にインキュベートした
。続いて、Flagエピトープを蛍光色素と複合体化した抗-Flagで検出し
、mFLINTと特異的結合した細胞群をフローサイトメーターで検出した。対
照としては、ベクターでトランスフェクトした細胞を用いた。結合が特異的であ
ることを確認するため、10倍過剰量の非タグ化mFLINTとの競合分析を行っ
た。
【0202】 より具体的には、上述のように6ウェルディッシュの細胞をトランスフェクト
した。ベクター、及び、m-LIGHT発現細胞の両方を与えた。P100ピペ
ッターで勢い良くピペッティングすることにより、細胞をプレートから剥がした
。その後、0.1%のPBS/BSA中で、細胞を以下a〜dに示す組合わせの1つ
に暴露した。 a.20nMのGST/flag、mFLINT/flag、または、HVE
M; b.20nMのFLINT/flag+200nMのGST/flag、mFL
INT、または、HVEM; c.20nMのFLINT/flag+HVEM+200nMの抗-ヒトFASリ
ガンド; d.1g/mlの抗-ヒトFASリガンド-ビオチン
【0203】 細胞を氷上で30分間インキュベートし、0.1%のPBS/BSAで洗浄した。
その後、細胞を1g/mlの抗-ヒトIgG-ビオチン(HVEMの検出のため)、
または、2μg/mlのM2-ビオチン(flag複合体の検出のため)のどちらか
に暴露した。細胞を氷上で30分間インキュベートし、0.1%のPBS/BSAで
洗浄した。その後、細胞を1:1000希釈で、ストレプトアビジン Alexa48
8(SIGMA)に曝露した。再び、細胞を氷上で30分間インキュベートし、0.1%のP
BS/BSAで洗浄した。結合を測定するため、細胞をFACSORTフローサ
イトメーター(Decton Dickinson)を用いて分析した。
【0204】 フローサイトメーターを用いた細胞表面結合分析により、LIGHT発現細胞
がmFLINT-Flagで染色されたものが用いられた場合にのみ、ピークが
移動することが確認された(データ示さず)。mFLINT-Flagで染色した
場合に、コントロール細胞では移動は見られなかった。細胞を非タグ化mFLI
NTの10倍の過剰量とプレインキュベーションして、mFLINT-Flagの
全結合部位を予め塞いでしまった場合には、移動したピークは完全に基底値ピー
クに戻った。
【0205】 実施例18 肝傷害の処置のためのmFLINTのインビボ試験 マウスを使用し、Tsuji H.ら(Infection and Immunity,65(5):1892〜1898(199
7年))に記載の方法を改変して用いて肝傷害のモデルを誘発した。mFLINT
は、実施例8及び9に従って作製した。
【0206】 具体的には、本発明のポリペプチドの急性炎症、及び、アポトーシスに対する
活性を、以下の方法を用いて決定した。簡単に言うと、各実験グループについて
BALB/cマウス(Harlan)に、100μlのPBS(GIBCO-BRL)中の6mgのD(+
)−ガラクトサミン(Sigma,39F-0539)と、100μlのPBS中の3μgの大腸菌0
26:B6のリポ多糖B(LPS)(Difco,3920-25-2)とを静脈注射(尾部側静脈)し
た。ガラクトサミンの静脈への投与5分後に、LPSを静脈注射により投与した
。LPSで刺激した後、0、2、4、6時間目に各々、動物にmFLINT(200μg
)、ハムスターIgG(500μg、Cappel,30926)、マウスTNF,TN3-19.1
2に対するmAb(500μg、Sheehan K.C.F.ら(J.Immunol.,142:3884(1989年)))
、及び、抗-マウスFasリガンド(500μg、PharMingen,MO24301)を腹膜内注射
した。マウスの生存率をLPS注射の24時間、及び、48時間後に測定した。
【0207】 200μgのmFLINTポリペプチド(FLINT)の腹膜内注射後に、3μgの
LPSで刺激したマウスでは、動物生存率で明確な効果があった。mFLINT
が刺激の2時間後に投与された場合、動物のうち100%が生存し;刺激の4時間後
では、動物のうち73%が生存し;刺激の6時間後では、動物のうち60%が生存し
た。対照的に、刺激の4時間後における抗-TNFαの投与では、10%の動物しか
保護されなかった。
【0208】 図5では、LPS/GalNでの刺激前および刺激後に、200μgのmFLI
NTおよび他の分子を用いて静脈内投与した際の効果を比較する。LPS/Ga
lNの2時間前に投与した場合、抗-TNF、及び、mFLINT処置の両方が、
マウスの100%の生存につながった。抗-FasLで処置されたマウスの80%が生
き残り、そして、IgGで処置されたマウスの約30%が生き残った。
【0209】 対照的に、LPS/GalNの4時間後に抗-TNFが投与された場合、48時間
後には、10%より少ない動物が生き残った。驚くべきことに、LPS/GalN
処置の4時間後にmFLINTで処置された場合、80%の動物が生き残った。L
PS/GalN処置の4時間後における抗-FasLの投与もまた、80%の生存に
つながった。IgGは、生存に関しては本質的には何の効果も有さず、約2%の
動物が生き残っただけであった。よって、mFLINTは疾患の後期における処
置で有効である。
【0210】 図6では、LPS及びGalNによる刺激の2時間前に、400μgのmFLIN
Tをマウスに腹膜内投与した場合、LPS/GalN投与の48時間後に、100%
の動物が生きていた。LPS/GalN刺激の2時間前に、400μgの抗-TNF
を腹膜内に与えた場合、48時間後には約95%の動物が生き残った。対照的に、m
FLINTで処置されたなかった動物の20%しか、48時間後まで生き残らなかっ
た。LPS/GalNの2時間前のIgGの投与は、生存率を30%まで上昇させ
たに過ぎない。
【0211】 図6は、mFLINTの用量を50μgに減らしても、防護効果があることを示
す。LPS/GalN投与の48時間後、未処置の動物の0%の生存に対し、48時
間後まで約70%の動物が生き残った。
【0212】 図7は、100gのmFLINTの生存に対する効果が、腹膜内、または、静脈
内に与えられようと、LPS/GalN投与の12時間前、または、2時間前に与
えられようと同じであることを示す。LPS/GalN投与の4時間後にmFL
INTが与えられた場合、静脈内投与では100%の生存となり、腹膜内投与は80
%の生存となった。この図はまた、LPS/GalN静脈内投与4時間後の用量
/反応の関係を示す。50μgで80%が生存し、10μgで40%が生存し、5μgで2
0%が生存し、そして、1μgではたったの2%しか生存しなかった。
【0213】 実施例19 この実施例は、脳卒中、頭部外傷、及び、他の類似の障害に臨床的に関連する
大脳虚血の処置における、mFLINTの有用性を示す。
【0214】 成体雄性アレチネズミ(体重70〜80g、Charles River Laboratories,Wilmingt
on,MA)を、40mg/kgのペントバルビタールナトリウム(ネンブタール)の腹膜
内注射により、そして、麻酔の外科用水準を維持するのに必要な場合には、さら
に10mg/kgの腹膜内注射で麻酔した。体温を37℃に保つため、動物をサーモ
スタットで調節された電気毛布に載せた。頸部の腹側表面をさらして毛を剃り、
2%のヨウ素溶液で皮膚を拭いた。
【0215】 手術前の準備後、正中切開を行い皮膚を開いた。総頸動脈(CCA)をクランプ
するために胸骨舌骨筋を裂いて露出させ、そして分離した。滅菌した動脈瘤バサ
ミ(0.15mmの刃、締め力約10gm)をCCAの左右両方の滅菌クリップアプライ
ヤーにより5分間固定した。その後、クランプを除き、動脈が開放されているこ
とを視覚的に確認した。頸の傷は、外科的縫合により閉じた。
【0216】 大脳虚血処置の直後であり、かつアレチネズミがまだ意識不明の間に、頭の背
側を剃り、2%のヨウ素溶液で皮膚を拭いた。外科的麻酔下、アレチネズミの頭
を定位機器(SA)によって安定な位置に固定し、頭蓋を曝すために正中切開を行
った。SAのヴェルニエール(vernier)スケールに従い、ブレグマから横へ1m
m、後方へ1mmの位置で、直径0.5mmのドリル刃を備えた歯科用ドリルにより
頭骨を薄くした。薄くした領域を、27ゲージの短い太針を備えたマイクロシリン
ジで刺し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中mFLINT(0.63mg/ml、
5μl)をボーラス注射するために3mmの深さに挿入した。mFLINTは実施
例8および9に従って作製した。
【0217】 ボーラス注射後、アレチネズミの肩の皮膚の下に貯蔵機を配置した、Alze
t浸透ポンプ(Alza Corp.,Palo Alto,CA)に接続した脳点滴アセンブリの点滴カ
ニューレ(長さ3mm)に、シリンジ針を交換した。点滴カニューレを、歯科用セ
メントを用いて頭蓋表面に固定した。創傷を外科的縫合により閉じた。mFLI
NT溶液(0.63mg/ml)、または、PBSを含むAlzet浸透ポンプにより
、1μl/時間の速度で3日間、連続的に送達した。アレチネズミは5日間生存さ
せた(手術日を0日目とした)。
【0218】 生存5日目に、アレチネズミをCO2チャンバーで屠殺した。生理食塩水での3
分間の経心臓灌流、およびホルムアルデヒドでの2分間の経心臓灌流を行うため
に開胸した。当該分野で一般に採用されている標準的な方法に従う組織学的処理
のため、脳を取り出した。ブレグマのおよそ1.7mm後方から頭頂部分を得た。
クレシルバイオレットで染色した後、両半球の背側CA1領域(長さ0.5mm)に
沿った無傷の海馬ニューロンの細胞計測定量のため、この切片を顕微鏡により倍
率40×で観察した。データはスチューデントのt検定、及び、ウィルコキソン順
位検定によって分析した。
【0219】 その結果、mFLINTがビヒクルと比べて、神経細胞の生存に有意な効果を
有し(t検定でp=0.0039;ウィルコキソン順位和でp=0.0037)、正常対照群と
区別ができなかった。
【0220】 実施例20
【表9】
【0221】 実験のため、ドナーの腫瘍の汁から、B16メラノーマ細胞の単一の細胞懸濁
液を調製した。0日目に、Taconic Farmsからの雄性C57B1マウスの後脚に、
腫瘍細胞(2×106)を皮下移植した。4日目に処置を始めた。mFLINT、また
は、OPG2を、4〜13日目に日に1回、総数10回の尾部静脈への静脈注射により
投与した。mFLINTは実施例8および9に従って作製した。実験の概観を上
に示す。
【0222】 腫瘍の反応は、カリパス(caliper)測定により決定した、4、8、11、17、21
、25、30及び34日目の腫瘍の二次元での腫瘍容量測定によりモニターした。腫瘍
容量は、半楕円として計算した。上述のスケジュールと同様に動物の体重を計っ
た。
【0223】 対照腫瘍は、17.4±0.3日目に500mm3、21.1±0.3日目に1000mm3の容量に
達した。mFLINTで処置した動物の腫瘍は、19.3±0.3日目に500mm3、23.
0±0.4日目に1000mm3の量に達した。OPG2で処置した動物の腫瘍は、18.5
±0.4日目に500mm3、22.2±0.4日目に1000mm3の量に達した。よって、mF
LINTにより生じた腫瘍生長の遅延は1.8日であり、OPG2により生じた腫
瘍生長の遅延は1.1日であった。これらのデータは、図8に図示する。図8に示
すように、mFLINT処置マウスにおける20日後の腫瘍容量はおよそ730mm3 であったが、対照マウスにおける腫瘍容量はおよそ1000mm3であった。動物の
体重減少により示される、mFLINTまたはOPG2投与による毒性の示唆は
無かった。
【0224】 実施例21 6週齢の30匹のNODマウスを、Jackson研究所(Bar Harbor,Maine)より購入す
る。マウスは3匹ずつ檻に入れ、自由に餌(Purina5001)、及び、水を
取れるようにする。1週間順化させた後、マウスの尾を切って出血させ、血中グ
ルコース、及び、血清インシュリンを測定する。血中グルコースは麻酔無しの尾
の切断により、PrecisionG血中グルコース分析機(Medisense Inc.,Be
dford,MA)を用いて測定する。血清インシュリンは、RIAキット(Linco Inc.,S
t.Louis,MO.)により測定する。その後、マウスを任意に3つの群、即ち、コント
ロール群、mFLINT注射群、及び、OPG2注射群に分ける。マウスを群に
割り当てた後、週に1回、体重、及び血中グルコースを測定する。明白な糖尿病
の徴候(血中グルコース>200mg%;約14週齢)の発症時を開始時として、PB
Sに希釈したmFLINT(50μg/日)、または、OPG2(50μg/日)をマウ
スに1日に1回、腹膜内へ注射する。対照マウスに、当容量のPBSを注射する
。注射の2週間後、吸入麻酔(二酸化炭素)によりマウスを麻酔し、グルコース、
及び、インシュリンの測定のために血液を、心臓穿刺により採取した。さらに、
膵臓をAnimal Studies Support Teamが回収し、続いてβ細胞の完全性に関して
の組織化学分析(ヘマトキシリン及びエオシン)、及び、インシュリンに関しての
免疫組織化学染色(George Sanduskys研究所)のため、亜鉛-ホルマリン中で24時
間固定する。mFLINTは実施例8および9に従って作製する。
【0225】 実施例22 この実施例は、虚血再灌流傷害を模倣するインビトロモデルにおけるアポトー
シスを、mFLINTが阻害することを示す。これらのデータは、mFLINT
が、このような傷害を予防、及び、処置するのに有用であることを示す。
【0226】 心室心筋細胞を1〜3日齢の新生児ラットの心臓からトリプシン消化により単離
し、非心筋細胞はプレプレーティングにより除いた。初代培養系を無血清培地中
で、特別にコーティングした96ウェルプレートにプレーティングした。
【0227】 グルコース無し、及び、酸素無し(5%CO2及び95%N2)で、8時間、培養物を
インキュベートすることにより、低酸素症を誘導した。再灌流は、グルコース含
有培地中で、通常の酸素条件下で16時間インキュベートすることにより模倣した
。このインキュベーションの終わりに、心筋細胞のアポトーシスを細胞質ヌクレ
オソーム関連DNA ELISA法により測定した。被検試料をmFLINT(2
μg/ml、または、5μg/ml)と、そして、対照試料を市販のカスパーゼ阻
害剤であるZ-YVAD-fmk(50M)とインキュベートした。2連での実験によ
り、低酸素症/再灌流誘導性アポトーシスの実質的に完全に阻害されることが示
された。mFLINTは実施例8及び9に従って作製した。
【0228】 これらのデータを確認し、観察された阻害がFasにより媒介されたものであ
ったかを確認するために、心筋細胞のアポトーシスを可溶性FasLと一緒にイ
ンキュベートすることにより誘導し、上述のようにアポトーシスを測定した。こ
れらの実験で、アポトーシスは抗-Fas中和抗体(1μg/ml)、または、mF
LINT(10μg/ml)のどちらかにより阻害された。これらの実験により、m
FLINTがアポトーシスを阻害していること、そして少なくとも部分的には、
FasL-Fasアポトーシス経路を阻害することにより阻害が行われているこ
とが示された。
【0229】 実施例23 マウス破骨細胞分化分析 Takahashiら(Endocrinology 123:2600(1988年))の共培養方法を、Galvinら(En docrinology ,137:2457(1996年))に記載されるように改変し、種々の薬剤の破骨
細胞分化への影響を研究するのに用いた。mFLINTを、実施例8及び9に従
って作製した。
【0230】 雄性Balb/Cマウス(4〜8週齢)をCO2で安楽死させ、大腿骨を取り、大
腿骨から骨髄を増殖培地で洗い出した。骨髄細胞を500×gでの6分間の遠心によ
りペレット化させ、増殖培地(5%の熱非働化胎仔ウシ血清、及び、1%の抗生物
質抗糸状菌溶液を加えたRPMI 1640)中に再懸濁した。骨髄集団(5×104
細胞/cm2)を、骨髄細胞の添加2時間前にBALC細胞(新生児マウスの頭蓋
冠由来の安定なセルライン、1.5×10細胞/cm)をプレーティングした組織培
養ディッシュに播種した。細胞を7日間、加湿インキュベーター中で、37℃で5%
のCO2と一緒に培養し、3日目と5日目に培地を交換した。培養物を0、3、及び
、5日目に、10-8M 1,25-(OH)23有りで、または、無しで処理した。さら
に、細胞を、mFLINT遺伝子(図1)でトランスフェクトした細胞の順化培地
から精製した分泌mFLINTタンパク質有りで、または、無しで処理した。7
日間の培養に続いて、24ウェルのクラスターディッシュ中の細胞をホルマリン(3
.7%で10分間)で固定した後、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)で、Gra
ves,L及びJilka RL(J.Cell Physiology 145:102(1990年))により記載される改変
方法を用いて染色した。破骨細胞(3個以上の核を含むTRAP-陽性細胞)の数
を定量した。以下の表に結果を報告する。
【表10】 a―各値は、6個のウェルの平均、及び、標準誤差を表す 対照群と比較してp<0.05
【0231】 実施例24 ブタ破骨細胞分化分析 新生仔ブタ(1〜5日齢)をCO2で安楽死させ、外肢を70%エタノールで洗浄し
て軟組織を取り除き、上腕骨、橈骨、尺骨、大腿骨、脛骨、及び、腓骨を摘出し
た。長骨を、氷冷したカルシウムおよびマグネシウムを含まないハンクスの平衡
塩類溶液(CMF-HBSS、Gibco BRL)中に入れ、軟組織を全て取り除いた。骨
を長軸方向に分割し、骨内膜表面を解体して骨髄および小柱骨の両方を取り出し
た。激しく振盪して小柱骨粒子および骨髄細胞の懸濁物を攪拌し、200mmの篩
にかけた後、100mmの篩にかけた。細胞を4℃、500×gで、10分間遠心し、ペ
レットをCMF-HBSS中に再懸濁した後、Ficoll-Paque勾配(Pha
rmacia,Piscataway,NJ)で分離した。勾配からの単核細胞画分をCMF-HBSS
中で2回洗浄し、35mmの篩にかけた。細胞をa-MEM(pH7.2、8.3mM N
aHCO3を含むように改変したもの(Gibco BRL,Grand Island,NY))、10%の熱
非働化ウシ胎仔血清(FBS,Hyclone,Logan,UT)、及び、2%の抗生物質/抗真菌
溶液(Gibco BRL,Grand Island,NY)からなる増殖培地に懸濁し、1×106細胞/c
2の密度で組織培養ディッシュに播種した。典型的な骨髄細胞収量は1〜2×109 細胞/動物の間であり、動物の大きさにより異なった。細胞を、5%CO2を用い
て、加湿インキュベーター中で37℃で培養した。24〜48時間後、非接着細胞を取
り除き、10-8M 1,25-(OH)23(Biomol,Plymouth Meeting,PA)、及び、m
FLINTタンパク質(実施例8、及び、9のように得た)を含むか、または、含
まないかのいずれかの増殖培地中に、7.5×105細胞/cm2の密度で24ウェルの
クラスターディッシュに植えた。1,25-(OH)23およびmFLINTを含む
か、または、含まない増殖培地を用いて、48〜72時間毎に培地を交換しながら、
10日目まで細胞を培養した。5日間の培養の後に、細胞をホルマリンで固定(3.7
%で10分間)した後、実施例6のように、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRA
P)で染色した。破骨細胞(3個以上の核を含むTRAP陽性細胞)の数を定量し
た。以下の表に結果を報告する。
【表11】 a―各値は、6個のウェルの平均および標準誤差を表す 対照群と比較したp<0.05
【0232】 実施例25 mFLINによるインビトロ処置 FLINTを実施例8及び9に従って作製し、以下の実験において用いた。
【0233】 A―照射マウスからの骨髄細胞 mFLINTが、造血サイトカインでのインビトロ増殖を行わせることにより
、照射からマウス造血前駆細胞の回復を促進し得るかどうかを測定するため、こ
の実験を設計した。マウスに3mgの5-フルオロ-ウラシルを腹膜内注射し、4日
後に大腿骨を取り、骨髄(BM)細胞を単離するために洗い流した。24ウェルトレ
イの各ウェルに、1×106BM細胞を3連で、Iscoves改変ダルベッコ培地(IMD
M)+10%FBS中に播種し、3日間、mFLINT(1μg/ml)の存在下また
は非存在下で、サイトカイン幹細胞因子(SCF)、及び、IL-6で刺激した。
3日間、インビトロで増殖させた後、5×103細胞を3連でCFU分析のためにプ
レーティングした。
【0234】 mFLINTと共に培養した骨髄細胞は、mFLINTを用いて処理しなかっ
た細胞と比較して、CFUの数が有意に増加していた。図9は、CFUコロニー
/3×106刺激BM細胞を示す。これらの結果は、mFLINTが前駆細胞をアポ
トーシスから保護し、そして、コロニーを形成することができる生存細胞の数を
増加させることを示唆する。図は、以下のコロニー形成単位に関する結果を示す
―赤血球細胞(CFU-E)(対照―15,000コロニー;mFLINT処理―33,000コ
ロニー)(p<0.003)―顆粒球マクロファージ細胞(CFU-GM)(対照―8,000;
mFLINT処理―15,000)(p<0.039);そして始原顆粒球赤血球単球巨核球細
胞(CFU-GEMM)(対照―750;mFLINT処理―3,000)(p<0.007)。p値
は、スチューデントのT検定により計算されるように、有意な相違を示す。
【0235】 B―化学療法剤で処置されたマウスからの骨髄細胞 この実験は、mFLINT、または、抗-FasL抗体が、化学療法剤に曝さ
れたマウス造血前駆細胞の回復を、造血サイトカインでインビトロで増殖させた
後に促進し得ることを示すために設計した。5-FU処置したマウス由来の2×1
06骨髄細胞を、24ウェルトレイの各ウェルにIMDM培地+10%FBS中で3連
で播種し、SCF及びIL-6、並びに、以下の化合物の1つ用いて3日間刺激
した: 1)mFLINT(1μg/ml) 2)抗-FasL(1μg/ml) 3)FasL(0.15μg/ml) 4)対照―添加物なし
【0236】 サイトカインを用いてインビトロで3日間増殖させた後、生存細胞を計測し、
CFU分析を行うのに用いた。もしmFLINT、または、抗-FasL抗体が
前駆細胞をアポトーシスから保護するのであれば、これらの群でのCFU分析に
関してはより多数のコロニーが期待される。結果を図10に示す。この結果は骨
髄細胞数(×1000)を示す。値は、対照細胞:3,300;FasL処理細胞:3,000;
抗-FasL処理細胞:4,200;mFLINT処理細胞:4,900。
【0237】 C―CD34+細胞 この実験は、mFLINT、または、抗-FasL抗体が精製ヒトCD34+
前駆細胞で、前駆細胞の回復を促進できるかどうかを決定するために設計した。
精製したヒトCD34+細胞(1×106/ml)を、mFLINT、若しくは、抗-
FasL抗体有り、または、無しで100U/mlのヒトIL-6、及び、100ng
/mlのヒトSCFで3日間、インビトロで前駆細胞を刺激して増殖させた。増
殖および処理に続いて細胞を数え、CFU分析を行う。
【0238】 実施例26 トランスジェニックFLINTマウス A―トランスジェニックマウスの調製 この実施例は、FLINTを発現するトランスジェニックマウスの構築を示す
。これらの動物は有意なレベルでFLINTを発現し、さらに、有害な作用は示
さず、このことによりFLINTが好ましい毒性プロフィールを有することが示
された。これらの動物はまた、上述の症状に有用なさらなる処置プロトコルを決
める際に有用である。
【0239】 導入遺伝子の構築。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーを合成し、上述のプラスミドpIG
1-FLINTFから、融合型FLINT-FLAG DNA配列を増幅するのに
用いた。以下の5'プライマー;
【化2】 BglII制限部位を含み、そして以下の3'プライマー;
【化3】 は、SpeI制限酵素部位を含んでいた。これらを、全FLINT、及び、FL
AGコード領域を増幅するために用いた。増幅された1.1kbの断片をプラスミ
ドpMTmcs2のマルチクローニングサイトに連結し、プラスミドpMTmc
s2-FLINT(6.7kb)を作製した(Foxら、Eur.J.Pharmacol. 308:195(1996
年)を参照のこと)。
【0240】 FLINT遺伝子断片を、pMTmcs2-FLINTからBglII、及び、
SpeI消化により切り出し、ゲル精製した。その後、この断片をクレノー酵素
により平滑化し、J.David Gladstone大学のJohn Taylor氏により提供されたプラ
スミドpLIV.7のクレノーで平滑化したMluI部位に連結した(Fanら、Pro c.Nat'l.Acad.Sci.USA 91:8724(1994年)を参照のこと)。得られたプラスミドp
LIV7-FLINTはまた、apoE遺伝子プロモーター/5'フランキング領
域、及び、「肝臓制御領域」(HCR)と呼ばれる肝細胞エンハンサー配列を含む
。胚へのマイクロインジェクションのため、ApoE遺伝子プロモーター-FL
INT/FLAG-HCR融合遺伝子を包含する7.0kbのDNA断片を、プラス
ミドpLIV7-FLINTから、SalI及びSpeIの消化により切り出し
、ゲル電気泳動、及び、ガラスビーズ抽出により精製した。
【0241】 トランスジェニック動物の開発。 トランスジェニックマウスを、例えば、Hogan,B.ら(「MANIPULATING THE MOUS
E EMBRYO: A LABORATORY MANUAL」Cold Spring Harbor Laboratory(Cold Spring
Harbor,NY)1986年)に記載され、Fox及びSolter(Molec.Cell.Biol. 8:5470(1988
年))により改変された、確立されている技術を用いて作った。簡単にいうと、A
poE遺伝子プロモーター-FLINT-HCR融合遺伝子を包含する7.0kbの
DNA断片を、FVB/N株の新しく受精させた1細胞段階の胚(接合子)の雄性
前核中にマイクロインジェクションした。胚をインビトロで一晩培養して、2細
胞段階に成長させた。その後、2細胞胚を偽妊娠させたCD-1株マウスの卵管
に移植し、分娩日まで生育させた。新生仔マウス中の導入遺伝子の存在について
試験するために、各動物からつま先の小片を取り、プロテイナーゼKで消化して
核酸を遊離させた。続いて、この試料の抽出物をヒトFLINT特異的プライマ
ーを用いるPCR分析に供して、導入遺伝子を含むマウスを同定した。5匹の確立(
founder)トランスジェニックマウスが、FLINT導入遺伝子を含むと同定し
、6494、7262,7353、7653、及び、7659と命名した。これ
らの確立マウス各々を、安定なトランスジェニックの系統を作るために繁殖させ
た。
【0242】 6494系統を導入遺伝子発現、及び、病理について詳細に特徴付けた。広範
な組織発現が6494系統で、ノーザンブロット、RT-PCR(TaqMan)、ウェ
スタンブロット、及び、免疫組織化学分析により検出され、肝臓、及び、腎臓で
最も高かった。高レベルのFLINTタンパク質が、ELISA分析により64
94系統のマウスの循環器系で検出された;確立体レベル=490ng/ml;
後代レベルは285〜1360ng/ml(n=6)の範囲にわたった。内因性のFLIN
Tはこれらの分析では検出されなかった。6494後代の5〜8週齢のものでは、
顕著な組織病理学的な知見は見出されなかった。予備的血液化学分析により、ト
リグリセリドレベルが6494マウスで上昇しているかもしれないことが示唆さ
れた。動物には、観察可能な異常は無かった。
【0243】 B―照射からのマウスの防護 この実験は、トランスジェニックFLINTマウスが放射線の不利な効果から
防護されているかどうかを評価するために設計された。18匹のトランスジェニッ
ク、及び、18匹の非トランスジェニックマウスを致死的に、850cGyで照射す
る。各群の18匹中の8匹に、骨髄移植をしない。これらの8匹のマウスのうち、5
匹を放射物により誘導される死のコントロールとして使用し、3匹を照射3日後に
おける腸粘膜、及び、骨髄成分の組織分析に用いた。
【0244】 正常非トランスジェニックドナーから3×104骨髄細胞を、各群あたり残りの1
0匹のマウスに移植する。照射により肝臓は傷害を受けないので、FLINTト
ランスジェニックマウスは、全体としては依然としてFLINTタンパク質を産
生できるはずである。この骨髄細胞投与は、典型的には明細書中に記載されるよ
うに照射された野生型動物の30日目における約50%の生存につながる。移植後7
、15、21、及び、30日目において50〜100μlの血液を尾からの出血により得、
末梢血の回復をモニターするために血液学分析を行う(n=各グループ当り10匹
のマウス;総数20匹)。血液学分析には、白血球細胞数(WBC)、赤血球数(RB
C)、ヘマトクリット、並びに、血中のリンパ球、好中球、好酸球、血小板、マ
スト細胞、及び、単球数を測定するための血液塗抹顕微鏡法を含む。マウスの生
存、及び、末梢血細胞の回復を測定する。
【0245】 FLINTが、増殖前駆細胞のアポトーシスを阻害し、及び/または、放射物
により誘導された傷害からの腸内上皮の回復を促進するので、2つのグループの
間で、生存、消化管上皮および骨髄の組織、並びに、末梢血細胞の回復について
差異があることが期待される。
【0246】 C―化学療法からのマウスの保護 この実験は、FLINT、及び、GM-CSF投与を組合わせることによる、
半致死的照射、及び、化学療法により誘導された骨髄抑制による前駆細胞の回復
に対する効果を決定するために設計された。特に、この実験では、化学療法、及
び、半致死的照射の組合わせからの白血球細胞の回復が、トランスジェニックF
LINTマウスで改善されているかどうかを試験する。このような化学療法のレ
ジメの1例は、カルボプラチンによる処置である。
【0247】 15匹のトランスジェニック、及び、15匹のコントロールマウスへのカルボプラ
チン(1.2mg/マウス)の単回腹膜内注射に続いて、500cGYの照射を4時間行
う。このレジメにより、長期血小板減少症、及び、重篤な貧血を伴う重篤な骨髄
抑制が誘導される(Leonardら、Blood,83:1499(1994年))。照射24時間後から始め
て、12日間にわたって毎日、WBC数の回復を改善するために10μg/kg体重
の組換えマウスrmGM-CSFを腹膜内注射する(Mayerら、J.Inf.Disease 163 :584(1991年);Gamba-Vitaloら、Blood Cells 17:193(1991年))。7日毎に、30日
目まで血液を尾からの出血により集め、完全な血液学的分析を行う。血液分析に
は、白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット、並びに、血中のリ
ンパ球、好中球、好酸球、血小板、マスト細胞、及び、単球数を測定するための
血液塗抹顕微鏡法が含まれる。12日目、及び、20日目に、各グループから3匹の
マウスを屠殺する。これらのマウスから、脾細胞充実性、及び、骨髄細胞充実性
を分析する。また、骨髄細胞をプールし、前駆細胞含量を試験するためにCFU
分析を行うのに用いる。
【0248】 D―前駆細胞の末梢遊走に対するFLINTの効果 この実験は、前駆細胞の末梢遊走を試験する試験のために設計された。前駆細
胞の末梢遊走を試験するためFLINTトランスジェニック、及び、対照マウス
を3mgの5-FUを腹膜内に処置し、そして、4日後に、骨髄細胞から単離され
たCFU分析を行うか、または、3日間にわたって毎日100ngのGM-CSFを
腹膜内投与し、続いて骨髄細胞充実性、及び、前駆細胞含量をCFU分析により
決定する。移植の方法は、上述の実施例Bに記載される。遺伝子治療への適用は
、上述のように、レトロウイルスによる形質導入のためのインビボまたはインビ
トロのいずれかでのサイトカインによる刺激に続いて前駆細胞の回復を促進する
ことであろう。
【0249】 実施例27 ALI患者を処置するためのFLINTの使用 意識不明の年齢55歳の男性が救急病棟にいる。彼の家族は、彼が過去2,3日
間、外来で気管支炎の処置を受けており、抗生物質処置にもかかわらず悪化して
しまったことを述べた。彼は関連する病歴を有しておらず、彼の薬歴は第3世代
経口セファロスポリンのみであった。身体検査により、低血圧、頻呼吸および頻
脈を伴う機能が低下したチアノーゼ男性であること、そして肺浮腫と一致する両
側肺のうっ血を有していることが示されている。うっ血性心不全の証拠はない。
検査により、(PaO2/FiO2に基いて)低酸素血症および心肥大は伴わない両側
肺の浸潤を示し、これらは急性肺損傷と一致する。この履歴に基いて、肺損傷は
市中感染性肺炎の直接的な結果であり、そして患者は、最も最近の12時間以内で
はALIに関する低酸素血症判断基準を満たしていると結論付けた。換気測定と
しては、PEEPの使用および最低(low)一回換気量が挙げられる。適切な酸素化
を行った直後に、ERでFLINTでの処置を静脈内ボーラス注入(2.5mg/kg)
で開始し、続いて連続注入を0.1mg/分で行う。FLINTおよび積極的体力温存
測定(aggressive supportive measure)(例えば、陽性換気、静脈内体液、血
圧および栄養補助)を4日間、ICUで続け、この時点でFLINTを中止した。
3日間目を越えると、患者は回復し始め、そして8日目には管状器官を取り外し
た。彼は平穏無事に回復し、退院6ヶ月後には、血中ガスおよび肺活量測定によ
り示される肺疾患の後遺症を有していなかった。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトFLINTのアミノ酸、及び、ヌクレオチド配列を一緒に示
す。
【図2】 ヒトFLINTのアミノ酸、及び、ヌクレオチド配列を一緒に示
す。
【図3】 ヒトmFLINTのアミノ酸、及び、ヌクレオチド配列を一緒に
示す。
【図4】 ヒトmFLINTのアミノ酸、及び、ヌクレオチド配列を一緒に
示す。
【図5】 LPS投与後の異なる時点での動物敗血症モデルにおけるmFL
INTの性能と他の薬剤の性能を比較する。
【図6】 左図は、動物敗血症モデルにおいて、mFLINTを抗-TNF
と比較する実験を示す。右図は、同じモデルにおいて、より低用量のmFLIN
Tを抗-TNFに対して比較する。
【図7】 動物敗血症モデルにおいて、mFLINT、及び、抗-TNFの
静脈内送達、及び、腹腔内送達を比較する実験を示す。
【図8】 mFLINTを用いた処置による、B16黒色腫腫瘍の体積の減
少を示す。
【図9】 照射に続く骨髄幹細胞のmFLINTによる回復を示す。
【図10】 5-フルオロウラシルを用いた処置に続く、骨髄前駆細胞のm
FLINTにより促進された回復を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 37/02 37/02 A61K 37/02 // C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (31)優先権主張番号 60/172,239 (32)優先日 平成11年10月20日(1999.10.20) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ジェイムズ・アーサー・ポサダ アメリカ合衆国46032インディアナ州カー メル、インバネス・ブールバード3575番 (72)発明者 ダニエル・ウィアダ アメリカ合衆国46140インディアナ州グリ ーンフィールド、サウス・ブランディワイ ン・トレイル2606番 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 CA07 DA02 DA03 EA02 EA04 FA02 GA11 HA01 HA17 4C084 AA02 AA03 AA07 BA01 BA08 BA23 CA53 CA59 NA14 ZA402 ZA592 ZA662 ZA972 ZB072 ZB262

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 急性呼吸窮迫症候群を処置する際に用いるためのmFLIN
    T。
  2. 【請求項2】 潰瘍性大腸炎を処置する際に用いるためのmFLINT。
  3. 【請求項3】 潰瘍性大腸炎を予防する際に用いるためのmFLINT。
  4. 【請求項4】 臓器移植の間の虚血性傷害を予防する際に用いるためのmF
    LINT。
  5. 【請求項5】 移植の間の臓器保存に用いるためのmFLINT。
  6. 【請求項6】 急性呼吸切迫症候群の処置のために適合されている、活性成
    分としてmFLINTを含む製剤。
  7. 【請求項7】 潰瘍性大腸炎の処置のために適合されている、活性成分とし
    てmFLINTを含む製剤。
  8. 【請求項8】 潰瘍性大腸炎の予防のために適合されている、活性成分とし
    てmFLINTを含む製剤。
  9. 【請求項9】 臓器移植の間の虚血性傷害の予防のために適合されている、
    活性成分としてmFLINTを含む製剤。
  10. 【請求項10】 急性呼吸切迫症候群の処置の際に有用である医薬の製造に
    おける、mFLINTの使用。
  11. 【請求項11】 潰瘍性大腸炎の処置の際に有用である医薬の製造における
    、mFLINTの使用。
  12. 【請求項12】 潰瘍性大腸炎の予防の際に有用である医薬の製造における
    、mFLINTの使用。
  13. 【請求項13】 治療上有効な量のmFLINTを、急性呼吸切迫症候群の
    処置を必要としている哺乳動物に投与する工程を含む、急性呼吸切迫症候群の治
    療方法。
  14. 【請求項14】 治療上有効な量のmFLINTを、潰瘍性大腸炎の処置を
    必要としている哺乳動物に投与する工程を含む、急性呼吸切迫症候群の治療方法
  15. 【請求項15】 治療上有効な量のmFLINTを、潰瘍性大腸炎の予防を
    必要としている哺乳動物に投与する工程を含む、急性呼吸切迫症候群の予防方法
  16. 【請求項16】 臓器の浸潤および保存のための、mFLINTを含む液体
    媒体。
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