JP2003517020A - 線維素溶解プロテイナーゼを局所投与する方法 - Google Patents

線維素溶解プロテイナーゼを局所投与する方法

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Abstract

(57)【要約】 循環血液中のα−マクログロブリンの中和効果を回避しつつ、閉塞性線維素含有血餅を溶解するのに安全かつ有効な量で、ヒト患者に線維素溶解メタロプロテイナーゼを局所血管内投与するための方法を提供している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野 本発明は線維素溶解メタロプロテイナーゼの治療的投与に関し、特にはインビ
ボで局所輸送することによりこのような薬剤を血管血栓に投与して血餅を溶解さ
せる方法に関する。
【0002】 発明の背景 血栓および塞栓などの血餅により生じる血管閉塞は、適時に治療されないと四
肢および生命を脅かしうる深刻な医学的疾患である。血管血餅を治療および除去
するための装置および方法が開発されている。実例としては1984年5月8日
に付与された米国特許4447236(Quinn);1987年9月8日に付
与された米国特許4692139号(Stiles);1988年7月5日に付
与された米国特許4755167号(Thistle他);1992年12月1
日に付与された米国特許5167628号(Boyles);1993年6月2
9日に付与された米国特許5222941号(Don Michael);19
93年10月5日に付与された米国特許5250034号(Appling他)
;1994年12月6日に付与された米国特許5370653号(Cragg)
;1995年1月10日に付与された米国特許5380273号(Dubrul
他);1996年3月12日に付与された米国特許5498236号(Dubr
ul他);1997年5月6日に付与された米国特許5626564号(Zha
n他);1998年1月20日に付与された5709676号(Alt);19
99年2月2日に付与された米国特許5865178号(Yock)およびWO
90/07352(1990年7月12日刊行)を参照。このような方法および
装置は血栓溶解薬または線維素溶解薬を血餅に輸送し、これを溶解するための注
入カテーテルを含む。注入カテーテルは典型的には、血餅中の線維素を分解する
ことができ、したがって効率的に血餅を溶解する酵素的に活性な薬剤と組み合わ
せて使用される。このような酵素は典型的には「血栓溶解」薬または「線維素溶
解」薬と称される。
【0003】 フィブロラーゼ(Fibrolase)はSouthern copperh
ead snake(Agkistrodon contortrix con
tortrix)の毒液から初めて分離された公知の線維素溶解亜鉛メタロプロ
テイナーゼである。Guan他、Archives of Biochemis
try and Biophysics、Volume 289、Number
2、p.197〜207(1991);Randolph他、Protein
Science、Cambridge University Press(1
992)、p.590〜600;1989年7月12日に刊行されたヨーロッパ
特許出願0323722号(Valenzuela他);および1986年9月
9日に付与された米国特許4610879号(Markland他)参照。フィ
ブロラーゼは線維素溶解性であることが示されており、このメタロプロテイナー
ゼはフィブリノゲンAα−鎖に対してタンパク質分解活性を有するが、Bβ−鎖
のタンパク質分解切断能は低く、フィブリノゲンのγ−鎖に対しては活性がない
ことが記載されている;Ahmed他、Haemostasis、Volume
20、p.147〜154(1990)。線維素は血餅の主な成分であるので
、フィブロラーゼの線維素溶解特性は、インビボでの血栓溶解使用のための血餅
溶解薬としてのその可能性を示している;Markland他、Circula
tion、Volume 9、Number5、p.2448〜2456(19
94)および前記のAhmed他参照。
【0004】 Novel Acting Thrombolytic(NAT)はフィブロ
ラーゼの修飾形であり、NATは、SFPQRのN−末端配列を有する201ア
ミノ酸を有するが、天然フィブロラーゼのN−末端配列はEQRFPQRで始ま
り、その長さは203アミノ酸であることにおいて、フィブロラーゼとは異なる
。このアミノ末端の修飾は、生成物の均一性およびロット間の量的変化を生起し
得る環化グルタミン(ピログルタミン酸)の量的変動を起こしうるアミノ酸残基
において、化学反応が生じないようになされている。したがってNATはより安
定な分子とみなすことができる。
【0005】 NATおよびフィブロラーゼは、これらの構造的な差異にも関わらず酵素(線
維素溶解)活性に関しては類似している。生物学的活性が類似していることは、
ManningによりToxicon、Volume 33、p.1189〜1
200(1995)に記載されているように、フィブロラーゼ分子の活性部位は
アミノ酸139〜159であり、三次元空間の予測位置がアミノ末端から離れて
いることを示すデータと一致している。フィブロラーゼおよびNAT分子の活性
部位は、3個のヒスチジン残基により錯体化されている亜鉛原子を含有している
【0006】 毒液由来のフィブロラーゼに関する刊行文献は、フィブリノーゲンに対してL
ys413−Leu414部位において、およびインスリンの酸化β−鎖に対し
てAla14−Leu15部位においてそのタンパク質分解活性を示すことを明
らかにしている(Retzios and Markland、Thrombo
sis Research、Volume 74、p.355〜367(199
4);Pretzer他、Pharmaceutical Research、
Volume 8、p.1103〜1112(1991);およびPretze
r他、Pharmaceutical Research、Volume 9、
p.870〜877(1992))。NATも、同じ切断部位でこれらの基質に
対するタンパク質分解活性を有することが示されている。
【0007】 フィブロラーゼおよびNATなどの線維素溶解メタロプロテイナーゼとは対照
的に、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよび組織プラスミノーゲンアクチベ
ーター(tPA)などの血餅溶解薬は、内因性線維素溶解システムの活性化によ
り血栓溶解を促進するプラスミノーゲンアクチベーターである。特に、プラスミ
ノーゲンアクチベーターは、プラスミノーゲンのプラスミン(セリンプロテアー
ゼ)への変換を触媒する。プラスミンは、アルギニン−リシン結合の所でフィブ
リノゲンおよび線維素を切断することができ、プラスミンの発生を介して、プラ
スミノーゲンアクチベーターは最終的に線維素分解および血餅溶解をもたらす。
現在市販の血栓溶解薬はウロキナーゼ、ストレプトキナーゼまたはtPAなどの
プラスミノーゲンアクチベーターである。
【0008】 フィブロラーゼおよびNATなどの線維素溶解メタロプロテイナーゼは、血栓
溶解薬のプラスミノーゲンアクチベーター群とは異なり、内因性線維素溶解シス
テム(プラスミンへのプラスミノーゲンの変換)には依存していない。したがっ
て、この群の血餅溶解薬はその独特な作用方法によってプラスミノーゲンアクチ
ベーターとは区別することができ、「直接的な」線維素溶解薬と定義される。
【0009】 α−マクログロブリンは、哺乳類血清に存在する有力なプロテイナーゼ阻害
剤であり、血清蛋白質の最も大きなものの1つである(分子量725キロダルト
ンを有する)。プロテイナーゼに対するα−マクログロブリンの特異性は幅広
く、セリン、システイン、アスパラギン酸およびメタロプロテイナーゼ群を含む
。α−マクログロブリン分子は、同一のサブユニットのテトラマーであり、こ
れは半分子の非共有会合を伴い、対でジスルフィド結合している。したがって還
元条件下では、天然α−マクログロブリンはその4個のモノマーサブユニット
に解離しうる。
【0010】 α−マクログロブリンの各サブユニットは、タンパク質分解切断に対して非
常に影響を受けやすい領域を有する(「おとり(bait)」領域)。このおと
り領域のタンパク質分解はα−マクログロブリンに構造変化を引き起こし、こ
の構造変化により、プロテイナーゼがα−マクログロブリン分子構造内に捕ら
えられる。このプロセスは文献では「ハエジゴク(venus fly−tra
p)」相互作用と記載されている。いったんこのプロテイナーゼが捕らえられる
と、このプロテイナーゼは立体的に障害されて、その高分子基質にアクセスでき
ない。
【0011】 加えて、α−マクログロブリンと捕らえられた多くのプロテイナーゼとの間
に共有結合が生じうる。前記のように、プロテイナーゼの捕捉はα−マクログ
ロブリン分子に構造変化を引き起こす。この構造変化によって、α−マクログ
ロブリン分子の内側のチオエステル結合が反応性になり、捕らえられたプロテイ
ナーゼの求核性基(リシンなど)と共有結合を生じうる。こうして全身循環内で
、α−マクログロブリンは効率的に様々なプロテイナーゼを中和することがで
きる。
【0012】 さらに、プロテイナーゼの捕捉によって生じるα−マクログロブリンでの構
造変化は、細網内皮系により認識される形をもたらす。α−マクログロブリン
に捕捉されたプロテイナーゼのクリアランスは、通常、半減期値で分で記載され
、マクロファージ、肝細胞および線維芽細胞で発現される低密度リポタンパク質
(LDL)受容体関連タンパク質を介して生じると考えられている。さらにα −マクログロブリンに関しては、A.J.Barrettにより編集されたMe
thods in Enzymology、Academic Press,I
nc.、Philadelphia(1981)、p.737〜754を参照。
【0013】 α−マクログロブリンはフィブロラーゼ、NATおよび他のプロテイナーゼ
と共に高分子錯体を形成しうる。α−マクログロブリンと共に解離性錯体を形
成しうるいくつかのプロテイナーゼとは異なり、フィブロラーゼおよびNATは
生理的条件下でα−マクログロブリンから解離されえない錯体を形成する線維
素溶解メタロプロテイナーゼの2つの例である。精製されたヒトα−マクログ
ロブリンおよび例えばNATを一緒にインキュベートすると、この錯体の形成が
数秒で始まり、数分以内にほぼ完全に終了する。この現象はインビトロでの錯体
形成が迅速であることを示していて、α−マクログロブリンならびにNATま
たは他の線維素溶解メタロプロテイナーゼとのインビボでの錯体形成のかなりの
迅速さを示唆している。
【0014】 α−マクログロブリンは主要な血漿タンパク質の1つであるが、それにも関
わらず、線維素溶解メタロプロテイナーゼと結合し、それを中和しうる循環中の
α−マクログロブリンの量は限られている。したがってα−マクログロブリ
ン結合能は飽和し得る。α−マクログロブリン結合能を超えてしまうと、未結
合の線維素メタロプロテイナーゼの濃度は、付加的な線維素メタロプロテイナー
ゼが試料に添加されるにつれて、比例して上昇する。
【0015】 患者の全身循環中のα−マクログロブリンの存在は、全身血液循環中でα −マクログロブリンに捕捉されるフィブロラーゼ、NATおよび他の線維素溶解
メタロプロテイナーゼの全身(例えば静脈内)投与に対して攻撃を示す。生来α −マクログロブリンの可飽和レベルをこのような線維素溶解メタロプロテイナ
ーゼの全身投与量が上回らない限り、後者は、効果的に中和され治療目的に無効
となるであろう。
【0016】 ウサギで行われたインビボ研究で、毒液由来のフィブロラーゼの生物学的有効
性が全身静脈内投与により試験された。前記のAhmed他、Haemosta
sis。使用されたフィブロラーゼ用量は3.0キログラムのウサギで1ミリリ
ットル当たり約60マイクログラムの最終血液濃度をもたらすと概算された、1
キログラム当たり3.7ミリグラムである。この量は、おそらくα−マクログ
ロブリンによる血液または血漿中に存在する酵素の不活性化を試験する研究をベ
ースに選択された(p.336および339参照)。
【0017】 別のインビボ研究では、血餅溶解での組換えフィブロラーゼの生物学的効果を
イヌで試験した。前記のMarkland他、Circulation。1キロ
グラム(動物の体重)当たりこの物質4ミリグラムを5分間かけて、予め生じさ
せた血栓付近で、カテーテル装置により左の頚動脈に注入した(p.2450参
照)。ここで再び、おそらくα−マクログロブリンの存在により、フィブロラ
ーゼの不活性化が全身血液循環で生じたことが記載されている(p.2454、
第2欄、最終パラグラフ参照)。
【0018】 これら2つの研究が示すように、生得α−マクログロブリンの可飽和レベル
を超える線維素溶解メタロプロテイナーゼの投与または全身用量によっても(ウ
サギ研究)、血餅の部位に酵素を局所的に輸送して(イヌ研究)全身投与を回避
することによっても、α−マクログロブリンの不活性化効果を克服することが
できる。他方で、輸送が全身的であるかまたは局所的であるかに関わらず、α −マクログロブリンの可飽和レベルを超える線維素溶解メタロプロテイナーゼの
用量は、治療される患者に安全かつ許容されるレベルを上回ることもあり得る。
特に、線維素溶解メタロプロテイナーゼは線維素を分解することができるだけで
はなく、他の構造タンパク質を退化させ、したがってα−マクログロブリンの
可飽和レベルを上回る高い量でインビボに存在する場合には毒性を有しうる。
【0019】 本発明の目的は、インビボで血餅を溶解するために局所投与される線維素溶解
メタロプロテイナーゼを安全かつ生物学的に有効に使用する方法を提供すること
である。
【0020】 発明の概要 簡単に述べると、本発明は、安全で生物学的に有効な量の線維素溶解メタロプ
ロテイナーゼをカテーテル輸送装置などを使用して血餅に局所投与することを含
む、線維素溶解メタロプロテイナーゼによりヒト患者の血餅をインビボで治療す
るための方法である。
【0021】 「安全で生物学的に有効な」量とは、線維素を分解し、血餅(即ち血栓を溶解
を簡単にするために十分な量であるが、治療される患者の循環系中のα−マク
ログロブリンの可飽和レベル(即ち、血管壁を損傷しうるレベル)を著しく超え
ないレベルの量である。典型的にはこの量は、インビトロα−マクログロブリ
ン含有率および結合能に関して研究されたヒト患者からの血液試料を用いて行わ
れた研究から決定されるように、治療されるヒト患者の体重1キログラム当たり
0.025から1.7ミリグラムの範囲である。この研究のインビトロ結果から
、全ての実用目的のためのα−マクログロブリンのインビボでの可飽和レベル
を規定することができ、したがって生物学的有効性に必要な線維素溶解メタロプ
ロテイナーゼの最低レベルだけでなく、よく許容される投与のための最大レベル
を考慮した生物学的有効量の線引きが可能である。この研究は下記の実施例でさ
らに詳述する。
【0022】 本発明の方法は、ヒトの生来の動脈または静脈血管あるいは人工動脈または静
脈グラフトに位置する静止線維素血餅の治療で、インビボ治療使用のために適用
することができる。
【0023】 ここで線維素溶解メタロプロテイナーゼの輸送の形に適用されている用語「局
所的に」または「局所」とは、血餅自体(即ち血栓内)へ直接的に、または血餅
近隣に近くに(血流に関し近位または遠位)したがって血餅により吸収される線
維素溶解メタロプロテアーゼの大部分について充分に近くに、動脈内投与または
静脈内投与することである。
【0024】 用語「カテーテル輸送装置」は、ここでは、液体を注入または排出するか通路
を開放したままにする目的のために、管、血管、通路または体腔に挿入するため
の管状の医療装置を意味する慣用的意味合いである。通常、このような装置は典
型的には、1つまたは複数の内部通路(または「ルーメン」);物質(即ち血餅
溶解薬)をカテーテルボディに導入し、ルーメンを通って流す近傍部分;場合に
よりテーパエンドを有する末端部分;および加えられた圧力に応答して物質をカ
テーテルから出すための、末端部分の末端のところの、またはその付近の複数出
口ポートを備えた延長されたフレキシブルカテーテルを有する。
【0025】 この発明の方法を末梢動脈閉塞(PAO)に関して下にさらに詳述する。PA
Oは、アテローム動脈硬化症による末梢血管疾患にその由来を見出されている。
この症状はアテローム動脈硬化症経過として多年にわたり徐々に進行し、下肢疾
患を伴う患者の約15から20%が危機的虚血性レベルに達する。薬物療法には
限りがあり、主に脂質低下薬または抗血小板薬などの薬剤、喫煙中止プログラム
および身体運動を使用して、予防またはリスク低減を目指している。Jacks
on and Clagett、Chest、Volume 114、p.66
6S〜682S(1998)。
【0026】 末梢血管疾患の臨床症状は肢を脅かす虚血の急性発生または血管疾患のより慢
性的な証拠の存在(即ち、間欠性は行)を含みうる。前記の予防手段の他には、
深刻な生活制限または足を脅かす虚血の徴候まで、慢性PAOは典型的には治療
されない。冒された血管区域および閉塞の範囲に応じて、利用可能な医学的介入
は経皮経管血管形成術、外科的血管再生および血栓溶解を含む。特に閉塞の早期
段階で血餅溶解薬を動脈内注入すると、外科的介入の必要性を回避できることを
研究は示している。急性PAOの治療においてプラスミノーゲンアクチベーター
ウロキナーゼを用いる血栓溶解と外科手術とを比較するロチェスター試験で示さ
れたように(Ouriel他、Journal of Vascular Su
rgery、1994、Volume 19、p.1021〜1030)、研究
の血栓溶解群での患者の約33%が薬剤介入のみで有効に治療され、したがって
更なる侵襲的処置が回避された。対照的に、手術群での患者の98%は、血管内
または外科的処置を受けた。
【0027】 閉塞性血餅に関わる他の医学的障害も本発明の方法により同様に有効に治療す
ることができ、これには、これだけに限らないが急性心筋梗塞、虚血性発作、深
部静脈血栓症および肺動脈塞栓症が含まれる。本発明の方法は、留置カテーテル
および血液透析アクセス移植片などの長期にわたり移植される医学的装置に伴い
生じる血餅を溶解するために使用することもできる。
【0028】 図面の簡単な説明 図1A〜1C。図1Aはバルーンカテーテル誘発損傷および閉塞性血栓形成前
の成体ブタでの頚動脈のベースライン血管造影図である。矢印は、左総頚動脈中
の造影剤の位置および存在を示しており、動脈中の血流が遮られていない(即ち
血管が「開存」しているか、「開存性」を有する)ことを示している。図1Bは
本発明の方法によりNATを投与する前の、同じ動物での第4日で得られた血管
造影図である。矢印は左総頚動脈の位置を示しているが、造影剤は、閉塞性血栓
の存在により動脈中を流れていない。図1Cは「PRO」カテーテル(この装置
の図解に関しては図3参照)を介してNAT30mgを投与した後、2時間後の
血管造影図である。矢印は血管中の造影剤の存在を示しており、左頚動脈に開存
性が回復したことを証明している。最小残留血栓が、動脈のルーメンに見える。
【0029】 図2は血管に血栓溶解薬を局所輸送するために設計されたカテーテル装置の1
タイプを図示している。側面断面図でここでは示されているこの装置は、輸送末
端に「サイドホール」を有し、これを介して、輸液剤(血栓溶解剤)が適用液圧
下に放出される。この図およびこの図に続く図の、全体サイズに対するカテーテ
ル管の直径は、細部をより良く見せるために誇張されている。
【0030】 図3は血管に血栓溶解剤を局所輸送するためのカテーテル装置の別のタイプの
側面断面図である。この装置は「プレッシャレスポンスアウトレット」(PRO
)と称される細いスリットを有し、これは、カテーテル内の液圧が臨界点に達す
ると、輸液が漏れてスリットが開くように、一定の間隔でカテーテル壁まで切ら
れている。この装置は、薬剤注入のパルスを輸送しうるピストン駆動の自動パル
ス注入装置(図示せず、ただしさらに下記で例証)と組み合わせて使用すること
ができる。
【0031】 発明の詳細な説明 本発明の方法はα−マクログロブリンと錯体化しうる線維素溶解メタロプロ
テイナーゼを治療輸送するために適用することができる。天然に生じる場合、こ
のような線維素溶解メタロプロテイナーゼはその天然源から、例えばヘビ毒液か
らのフィブロラーゼから精製することができる。もしくは、その核酸およびアミ
ノ酸配列が公知であるポリペプチド線維素溶解メタロプロテイナーゼは、組換え
発現および精製の慣用の方法を使用して製造することができる。
【0032】 通常、組換え方法は対象の線維素溶解メタロプロテイナーゼをコードするDN
A分子を使用し、これを適正なベクターに挿入して、適切な宿主細胞中で発現さ
せる。このベクターは、使用される特定の宿主細胞中で機能性であるように選択
される。即ちこれは、DNAの発現が生じうるように機構的に宿主細胞と相容性
である。ベクターは5’フランキング配列(「プロモーター」とも称される)お
よび発現されるDNAに作用可能なように連結された他の発現調節エレメント、
さらに他の公知のエレメント、例えば複製エレメント、転写終止エレメント、ド
ナーおよびアクセプタースプライス部位を含む完全イントロン配列、シグナルペ
プチド配列、リボソーム結合部位エレメント、ポリアデニル化配列、コード核酸
を挿入するためのポリリンカー領域ならびに選択マーカーエレメントも含んでよ
い。ベクターは場合により「タグ」配列、即ちポリHisまたは他の小さい免疫
原性配列をコードするポリペプチドコード配列の5’または3’末端に位置する
オリゴヌクレオチド配列も含んでよい。このタグは対象のタンパク質と共に発現
され、宿主細胞からこのポリペプチドを精製するためのアフィニティータグとし
て役立つ。所望の場合には、このタグを後で様々な方法、例えば選択的ペプチダ
ーゼを使用して精製されたポリペプチドから除去することができる。
【0033】 ポリペプチドが宿主細胞から分泌されることが望ましい場合には、合成された
場所から宿主細胞の外へポリペプチドを向わせるためのシグナル配列を使用する
ことができる。典型的には、シグナル配列を核酸配列のコード領域に置くか、コ
ード領域の5’末端に直接置く。多くのシグナル配列が同定されていて、選択さ
れた宿主細胞中で機能性であるものの、いずれもが使用可能である。
【0034】 ベクターが構成され、核酸がベクターの適切な位置に挿入されたら、増幅およ
び/またはポリペプチド発現のために、完成したベクターを適切な宿主細胞に挿
入することができる。宿主細胞は原核性(E.coliなど)または真核性(例
えば酵母菌、昆虫細胞または脊椎細胞など)であってよい。
【0035】 適切な宿主細胞または細胞系はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)ま
たは3T3細胞などの哺乳動物細胞であってよい。適切な哺乳動物宿主細胞の選
択ならびに形質転換、培養、増幅、スクリーニングおよび生成物製造および精製
の方法は公知技術である。他の適切な哺乳動物細胞系はサルCOS−1およびC
OS−7細胞系ならびにCV−1細胞系である。他の代表的な哺乳動物宿主細胞
は霊長類細胞系およびげっ歯類細胞系を含み、形質転換細胞系も含む。正常2倍
体細胞および初代組織のインビトロ培養由来の細胞株のみならず、一次外植片も
適している。候補細胞には、選択遺伝子が遺伝形質的に欠失しているもので有り
得、または優勢に作用している選択遺伝子を有するものであり得る。さらに他の
適切な哺乳動物細胞系は、これに限らないが、HeLa、マウスL−929細胞
、Swiss、Balb−cまたはNIHマウスに由来する3T3系、BHKあ
るいはHaKハムスター細胞系を含む。
【0036】 細菌細胞、例えばE.coliの様々な株ならびに酵母菌の様々な株も宿主細
胞として使用することができる。
【0037】 選択された宿主細胞へのベクターの挿入(「形質転換」または「形質移入」と
も称される)はリン酸カルシウム、エレクトロポレーション、マイクロインジェ
クション、リポフェクションまたはDEAE−デキストラン法などの方法を使用
して行うことができる。選択された方法はある程度、使用される宿主細胞タイプ
との関係で決定される。これらの方法および他の適切な方法は当業者によく知ら
れている。
【0038】 適切な条件下に培養された宿主細胞は対象の線維素溶解メタロプロテイナーゼ
を合成することができる。当業者に良く知られている通常の培地を用いて、宿主
細胞を培養することができる。培地は通常、細胞の成長および生存に必要な全て
の栄養素を含有する。E.coli細胞を培養するために適切な培地は例えば、
Luriaブロス(LB)および/またはTerrificブロス(TB)であ
る。真核細胞を培養するために適切な培地はRPMI1640、MEM、DME
Mであり、これら全てに、特定の細胞系の培養で必要とされる血清および/また
は成長因子を補足することができる。
【0039】 典型的には、形質転換された細胞のみを選択的に成長させるために有効な抗生
物質または他の化合物を、培地へのサプリメントとして添加する。使用すべき化
合物は、細胞をそれで形質転換したプラスミド上に存在する選択マーカーエレメ
ントにより影響される。例えば、選択マーカーエレメントがカナマイシン抵抗性
である場合、培養培地に添加される化合物はカナマイシンである。
【0040】 宿主細胞中で産生されるタンパク質の量は、ウェスタンブロット分析、SDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、非変性ゲル電気泳動、HPLC分離、免疫
沈降法および/またはDNA結合ゲルシフト法などの活性分析法を含む、当分野
で知られている通常の方法を使用して評価することができる。
【0041】 タンパク質がグラム陰性菌以外の宿主細胞から分泌される場合、大部分は細胞
培養培地中で見出される。これが分泌されていない場合、細胞質中に存在する。
細胞内タンパク質では、宿主細胞を典型的には、先ず機械的に破壊する。タンパ
ク質がペリプラズマ領域に在る場合には、ペリプラズム内容物を緩衝溶液に放出
するために機械的破壊または浸透処理を使用することができ、次いでポリペプチ
ドをこの溶液から単離する。その後、溶液からの精製を、様々な技術を使用して
行うことができる。
【0042】 そのカルボキシルまたはアミノ末端にヘキサヒスチジンまたは他の小さいペプ
チドなどのタグを含むようにタンパク質が合成されている場合、これを必ず、ワ
ンステッププロセスでアフィニティカラムに溶液を通過させることにより精製す
る。このカラムマトリックスはタグまたはポリペプチドに対して直接に高いアフ
ィニティを有する(即ちモノクローナル抗体)。ポリペプチドがタグを有さず、
抗体が利用できない場合には、他の良く知られている精製のための方法を使用す
ることができる;例えばイオン交換クロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグ
ラフィー、逆相クロマトグラフィー、HPLC、ゲル溶離と組み合わせた天然ゲ
ル電気泳動および分取等電点電気泳動(「イソプライム(Isoprime)」
装置/技術、Hoefer Scientific)。場合によっては、これら
の技術の2種またはそれ以上を純度を高めるために組み合わせることもできる。
【0043】 本発明の実施を詳述するためにここで使用されるNovel Acting
Thrombolytic(NAT)ポリペプチドは通常、SEQ ID NO
:1の線維素溶解活性なメタロプロテイナーゼを言う。NATポリペプチドは、
SEQ ID NO:2のcDNA分子によりコードされるが、同じポリペプチ
ドをコードする様々な配列のDNA分子を、下記でさらに参照される特定の方法
で発現および製造するために使用することもできる。
【0044】 フィブロラーゼは、科学文献および特許文献中に記載されている;前記参照。
典型的には、本発明の実施で使用されるフィブロラーゼの形は、SEQ IC
NO:4のcDNA分子または同じアミノ酸配列をコードするその変異体により
コードされるSEQ ID NO:3の形である。
【0045】 好ましくは、NATの組換え発現のために酵母発現系を使用する。使用に最も
有利で好ましいものとして、Pichia株、例えばPichia pasto
risを特に挙げることができる。このような系の詳細な記載は米国特許485
5231号(Stroman他)、米国特許4812405号(Lair他)、
米国特許4818700号(Cregg他)、米国特許4885242号(Cr
egg)および米国特許4837148号(Cregg)に見ることができ、こ
れらの開示をここに参照により取込む。このような系でのフィブロラーゼの発現
は典型的には、「成熟型」ポリペプチド(ヌクレオチド784〜1392)に加
えて「プレプロ」配列(ヌクレオチド1〜783)をコードするSEQ ID
NO:5のDNA分子に関する。このような系でのNATの発現は典型的には、
「成熟型」ポロペプチド(ヌクレオチド784〜1386)に加えて、「プレプ
ロ」配列(ヌクレオチド1〜783)をコードするSEQ ID NO:6のD
NA分子を含む。
【0046】 本発明で使用される線維素溶解メタロプロテイナーゼをそれがNAT、フィブ
ロラーゼまたは他の線維素溶解メタロプロテイナーゼであるかに関わらず、薬剤
的に許容される溶液の形で単独で、または付加的な製剤的に許容される成分と共
に投与する。所望の場合にはこのような溶液は、線維素溶解メタロプロテイナー
ゼおよび溶剤(即ち蒸留水または生理食塩水)に加えて、安定剤(タンパク質凝
集あるいは水性媒体中での物理的または化学的分解を防ぐための)、充填剤(バ
ルクを提供するための)、希釈剤、抗菌剤、粘度調節剤、抗酸化剤などの通常の
成分を慣用の量で含有してよい。処方物中に含まれていてよい公知の付形剤には
ポリオール(マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールを含む);糖(グ
ルコースおよびスクロースを含む);ならびにアミノ酸(アラニン、グリシンお
よびグルタミン酸を含む)が含まれる。例えば、Remington’s Ph
armaceutical Sciences、Mack Publishin
g Company、Easton、Pennsylvania参照。
【0047】 望ましくは、製剤組成物を投与前に中性(7.0)またはその付近、通常は約
6.5から約8.0pH(±0.5)であるpHに緩衝する(生体親和性緩衝剤
、例えばクエン酸またはクエン酸塩)。
【0048】 フィブロラーゼまたはNATなどで、線維素溶解メタロプロテイナーゼの金属
イオンが亜鉛である場合、安定剤として水溶性亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛または
酢酸亜鉛)を含むことが好ましい。組成物の長期安定性および貯蔵安定性をさら
に増強するために、溶液を凍結するか、事情に応じて使用前に解かすか、元に戻
す凍結乾燥(フリーズドライ)生成物に変えることも有利である。
【0049】 例として、本発明の方法で使用可能な凍結可能な液体薬用組成物はフィブロラ
ーゼまたはNAT、水溶性亜鉛塩、クエン酸緩衝液、場合により水溶性カルシウ
ムからなる群から選択される付加的安定剤ならびに場合により充填剤(例えばマ
ンニトール)を含む。Tween80(BASF、Gurnee、Illino
is)などの界面活性剤を、凍解安定性を高めるために添加することもできる。
トリス緩衝液(Sigma、St.Louis、Missouri)またはpH
7.0を上回る緩衝能を有する他の緩衝液を、pHをpH7.4またはそれ以上
に安定化させるために添加することもできる。これらの成分の多くは、0.00
1から2.0ミリモル(mM)の範囲または10%(w/v)未満の少量で存在
する。所望のpHを達成するために十分な量で緩衝剤を添加するが、この量は特
定の処方により変動しうる。
【0050】 更なる例として、本発明の方法で使用することができる凍結乾燥可能か、凍結
乾燥された製剤組成物はフィブロラーゼまたはNAT、亜鉛安定剤(例えば前記
のような水溶性亜鉛塩)ならびにクエン酸緩衝液を他の付形剤(例えば、マンニ
トール、グリシンなどの充填剤)と共に、またはそれを伴わずに有する。凍結乾
燥された組成物はさらに、凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)とし
てスクロースまたはトレハロースなどの二糖を含んでよい。Tween80など
の界面活性剤を、線維素溶解メタロプロテイナーゼ(例えば、フィブロラーゼま
たはNAT)を凍結乾燥ストレスに対して保護するために添加することもできる
。pH8.0±0.5の範囲にpKを有する適切な緩衝液(たとえば、Tri
s)を使用して、pHを理想的にはこの範囲に維持する。成分の量は前記による
【0051】 前記のように、本発明の方法を、0.025から1.7mg/kgの範囲の生
物学的に有効な量の線維素溶解メタロプロテイナーゼを局所投与するために使用
する。好ましくは、この量は約0.1から約0.5mg/kgの範囲である。溶
液濃度はしたがって、投与の必要に応じて稀釈して処方する。
【0052】 典型的なケースでは、本発明の方法をカテーテル定方向血栓溶解処置と組み合
わせて実施する。このような処置は、その側壁が薄い、半硬質または軟質生体親
和性材料(例えばポリオレフィン、フルオロポリマーまたは他の不活性ポリマー
)製でよい前滅菌されたカテーテルタイプ薬剤輸送装置の使用を伴う。通常、適
切なカテーテルは装置の長さに亙る少なくとも1つの内部空洞(またはルーメン
)を含む。カテーテルがそれから構成されている材料は、血管壁に損傷をもたら
すこと無く、血管系の内部を通して動かすに十分なほど柔軟であるが、装置の内
部空洞が十分に膨張したまま治療部位までの距離まで延びるに十分に硬い。典型
的には、このようなカテーテル装置はカテーテル直径では2から20のフレンチ
スケールであり(1/3ミリメートル=1フレンチ)、長さでは2から6フィー
トまたはそれ以上である。
【0053】 本発明による血栓溶解投薬の血管内輸送のためのカテーテル装置の例を図2お
よび3に示したが、この実際の適用は下記の実施例に詳述する。しかしながら、
ここで参照する特定の装置を含め(これに限らないが)、この方法に適切な慣用
のカテーテル輸送装置のいずれをも使用することができる。
【0054】 線維素溶解メタロプロテイナーゼの有効用量をカテーテルを介して、拍動性注
入、持続注入、ボーラス投与またはこれら3種全ての組み合わせにより治療の局
所部位に輸送することができる。治療溶液中の線維素溶解メタロプロテイナーゼ
の溶液濃度(即ち濃度)は重要なパラメーターの1つである。特には、下限では
有効性のための線維素溶解メタロプロテイナーゼの最低稀釈(ボーラス投与で特
に重要である)と上限では線維素溶解メタロプロテイナーゼの最大溶解性との間
の範囲を選択するべきである。通常、約0.1から約80mg/mLの範囲の溶
液濃度を使用する。次いでボーラスの用量(または「パルス」輸送の場合の複数
ボーラスの総用量)を、前記の範囲内の有効量の線維素メタロプロテイナーゼを
輸送するために選択する。
【0055】 特異的な実施形態の説明 さらに本発明を次の実施例で詳述するが、これは詳述を目的としたものであっ
て、本発明を記載の実施形態に限定するものではない。これらの実施例中、およ
び本発明の説明を通して、「kg」は試験患者の体重のキログラムを示し、「m
g」はミリグラムを示し、「mL」はミリリットルを示し、「min」は分を示
す。記載の線維素溶解メタロプロテイナーゼ、即ちNovel Acting
Thrombolytic(NAT)は組換え由来であり、前記の方法で製造し
た。
【0056】 実施例1 成体ブタ総頸動脈の亜急性血栓症における血栓溶解 契約研究所(Charles River Laboratories、So
uthbridge、Massachusetts)で、平均体重が75kgの
成体ブタにおける頸動脈の亜急性血栓症のモデルで、NATを検討した。この検
討は、ヒトの末梢動脈閉塞症に関連する血栓症モデルにおいてNATの線維素溶
解活性を確定するために行った。
【0057】 この動物モデルにおいて、バルーン損傷、トロンビンおよび鬱血を組み合わせ
て、頸動脈をその全長(大動脈での基点から頸動脈分岐部までのおよそ20セン
チメートル)に沿って血栓症にした。血栓の大きさは、末梢動脈閉塞症を有する
ヒトにおいて臨床的に見られる血栓の大きさに近い。血栓症に成功した後、動物
を4日間回復させた。広範な繊維素の架橋結合、血栓の再構築、および細胞の浸
透を行わせるために4日間を選択した。特に、このモデルにおける血栓の大きさ
も年齢も、最近発表された、ヒトの末梢動脈閉塞症においてプラスミノーゲン活
性化因子を用いる血栓溶解のTOPAS試験に報告されている虚血性症状の大き
さおよび持続期間の妥当な代表である。例えば、Ouriel他、New En
gland Journal of Medicine、Volume 338
、p.1105〜1111(1998)を参照されたい。
【0058】 簡単には、総頸動脈を蛍光透視法で誘発した直接バルーン損傷によりその全長
に沿って血栓症にすることができる。使用するバルーンは過大寸法でありコンプ
ライアントでない。12気圧までの圧力でバルーンを膨張させて、血管の内膜層
に破砕損傷を引き起こす。バルーンが膨張している間、血管内皮を剥ぎ取るため
に前後に動かす。
【0059】 空気注入法は、極めて損傷性であって、高度な血栓形成性血管表面を引き起こ
し、総頸動脈の全長の全体に渡って繰り返す。全動脈を完全に損傷した後、大動
脈の近接部位にバルーンを引き上げ、膨張させて血管を通る血液の流れを閉塞す
る。閉塞している間、凝血を刺激するためにバルーンカテーテルの末端部分を通
して、ウシのトロンビンを50ユニット注射する。30分間バルーンを膨張させ
たままにしておくと、血管が血栓性閉塞する。30分後、バルーンをしぼませ、
血管が閉塞したことを確かめるために血管造影を行う。これらの方法により、血
管の閉塞は90%以上の確率で成し遂げられた。
【0060】 血栓症にした後、バルーンカテーテル、ガイドカテーテルおよびアクセス鞘を
除去し、4日間動物を回復させる。4日目に、動物を再度麻酔し、閉塞を再確認
し、多数の側面穴のある薬物輸送カテーテル(図2および3参照)を蛍光透視法
の手引きに従って進め、側面穴が血栓内に位置するように配置する。10から3
0mg(または体重換算でおよそ0.1から0.4mg/kg)の範囲に固定し
たNAT用量を用い、図1A〜1Cに示すように、NATでの血栓溶解を血管造
影的に観察した。
【0061】 図1Bに図示するように、血管造影法で評価される順行性血流を回復させるた
めに、NATは効果的である。より定量的にするため、目標血管中の血流は次の
4点法(0から3の範囲)に従って定量的に点数化する。
【0062】 0は、血流なし。
【0063】 1は、対側性(非血栓症)頸動脈の30%未満と見積られる血流。
【0064】 2は、対側性頸動脈の30〜80%と見積られる血流。
【0065】 3は、対側性頸動脈と見分けのつかない血流。
【0066】 図1Bに示したイメージは、3の血流等級として点数化した。この等級は30
mg用量で固定したNAT(75kgブタにおいておよそ0.4mg/kg)を
用いて処理した血栓症血管ではしばしばなる。以下の実施例における表1〜3に
、治療法および連続的な血管撮影から得られた平均血流点数を示す。全ての研究
において、呼吸、体温、心拍数および動脈圧を連続的に監視したところ、NAT
の投与に対して変化が観察されない程度の生理的範囲内であった。
【0067】 実施例2 PROカテーテルおよびパルス−スプレー輸送の選択 末梢動脈閉塞の臨床管理においては、血栓近傍に位置するかまたは血栓中に組
み込んだカテーテルを通して血栓溶解剤を輸送する。図2および3に示すように
、2つのタイプのカテーテルがある。
【0068】 1種である「サイドホール」カテーテル(図2)は、閉鎖末端6の近傍のカテ
ーテル(4)に開けた小さな円形のサイドホール(2)、および近接末端12に
添付した接合リング10中の入口8(線維素溶解性メタロプロテイナーゼ溶液用
)を有する。カテーテル4は、曲げやすく、細長い、生体適合性のポリマーチュ
ーブ物質から構成されており、これは中空で薄壁であって、2から20Fren
ch、および好ましくは3から5Frenchの均一な直径を有する。カテーテ
ルは、サイドホール2を含むカテーテル部分との境界を画する末端6近傍の外面
に、2つの放射線不透過性のマーカー14を含む。実際には、閉塞した動脈また
は静脈中の外科的開口にカテーテルを挿入し、標準の承認済み手段に従って蛍光
透視により観察しながら、末端6が血栓中または近傍に位置するように血管中を
注意深く動かす。蛍光透視イメージで明確に現れるマーカー14は、サイドホー
ル2から放出される輸液が、血栓に直接接触するように、カテーテルの部分を位
置づけるためのガイドとして役立つことができる。そして、入口8に注射器様リ
ザーバ16から穏やかな圧力で、線維素溶解性メタロプロテイナーゼの薬剤溶液
を注射し、末端6にまで運び、血栓中にホール2を通して放出して、繊維素物質
の分解を引き起こす。
【0069】 線維素溶解性メタロプロテイナーゼの注入をこのタイプのカテーテルを用いて
行う場合、ほとんどの線維素溶解薬含有溶液は、近接サイドホール(すなわち、
薬剤入口8に最も近いホール)から漏れる傾向にあり、これは治療部位での薬剤
輸送の均一性には負の効果を有することになる。負の圧力下ではサイドポート2
を通してカテーテル中に血液が逆流する可能性もある。
【0070】 図3に示す中空で薄壁の生体適合性ポリマー物質から構成されてもいる他種の
カテーテルは、閉鎖末端6の近傍に等間隔で曲げやすいカテーテル4にレーザで
切り込まれた極めて薄いスリット2を有する。プレッシャレスポンスアウトレッ
ト(「PRO」)と言われるこのスリットは、カテーテル内の液圧が臨界点に達
して、スリットを同時に膨張させ、それによって一時的に開口しない限り輸液が
漏れ出さないように充分堅固である。血栓部位に装置を位置決めする助けとして
、カテーテルは外部の放射線不透過性マーカー8をも含む。
【0071】 理想的には、この種の「PRO」注入カテーテルは、カテーテル4の近接末端
14に付着された接合リング12中の入口10に、低容量の薬剤輸液を定常パル
スで輸送することができる、自動化したピストン駆動のパルス式注入装置(図示
せず)と共に使用する。パルス輸送する際、カテーテル内の圧力は一時的に上昇
する。これに応じて、プレッシャレスポンスアウトレット(スリット2)が一時
的に開口し、輸液(例えば、線維素溶解性メタロプロテイナーゼの薬剤溶液)を
放出させる。輸液をパルス状に輸送することおよびPROタイプのカテーテルの
理論的利点は、スリットを通ってカテーテルの全長に沿って輸液が均一に輸送さ
れることが、「サイドホール」カテーテル(図2)を通って輸送された輸液は最
小抵抗の経路に従い、記載したように非均一的に近接サイドホールから流れ出す
【0072】 4日齢頸動脈血栓症のブタモデルを、30mgの固定NAT用量(75kgの
ブタにおいておよそ0.4mg/kg)を用いて上述した2種のカテーテルタイ
プの性能を評価するために使用した。結果を表1に要約する。
【0073】
【表1】
【0074】 CM:Cragg−McNamara(商標)バルブのある注入「サイドホー
ル」タイプのカテーテル(Micro Therapeutics,Inc.、
San Clemente、California)。PS:自動パルス注入装
置(PULSE SPRAY INJECTOR Model PST−1、
AngioDynamics,Inc.、Queensbury、New Yo
rk)と共に用いる、プレッシャレスポンスアウトレット(PRO)カテーテル
(UniFuse カテーテル(商標)、AngioDynamics,In
c.、Queensbury、New York)を使用することにより定義さ
れる「パルススプレー」輸送。
【0075】 表1に示すように、パルス−スプレー様式で処置した群における血管造影血流
点数は、30分間血管造影した最初の血流点数より僅かに高く、これは4時間時
点まで維持することが示された。統計的な差異は得られなかったけれども、血管
造影の結果は一般的に優れていると判断された。したがって、パルス−スプレー
輸送と組み合わせたPRO−タイプのカテーテルは、本発明に従う線維素溶解性
メタロプロテイナーゼの好ましい輸送モードである。
【0076】 実施例3 薬剤輸送時間の評価 急性末梢動脈閉塞は、通常ウロキナーゼなどのプラスミノーゲン活性化因子で
処置し、これはしばしば24時間、時には48時間という長期間で輸液として輸
送する。閉塞性血栓を効率的に溶解するために長期間にわたってプラスミン生成
の程度を低く維持するために長期にわたる注入を行う。NATおよびフィブロラ
ーゼのいずれも線維素溶解性メタロプロテイナーゼであるので、このような期間
の長い注入は必要でない。輸送速度が血管造影血餅溶解に影響するかどうかを判
定するため、30mgの固定NAT用量(75kgブタ中およそ0.4mg/k
g)をPROカテーテルおよびパルススプレー装置を用いて輸送した。0.1m
Lのパルス容量を用いて、5mg/mLNAT溶液を6分かけて(1分間に10
パルス)または60分かけて(1分間に1パルス)輸送した。結果を表2に示す
【0077】
【表2】
【0078】 表2に示すように、6分かけて30mgのNATを輸送すると、30分血管造
影で3動物において平均血流点数が2.7であり、これは4時間まで維持された
。対照的に、60分かけてパルス注入により30mgのNATを輸送しても大し
て目立たなかった。これらのデータを統計的に比較してはいないけれども、より
速いパルス投薬としてNATを輸送することが好ましいことをこの結果は示して
いる。
【0079】 実施例4 パルス容量の最適化 パルス−スプレー注入装置は、1パルス当たり0.1から0.5mLのパルス
容量を輸送するようにプログラム可能である。パルス容量がブタモデルにおいて
血管造影結果に何らかの効果があるかどうかを決定するために、パルス容量0.
2mLとパルス容量0.4mLとを比較した。10mg(75kgブタにおいて
0.15mg/kgと同等)の固定用量でNATを輸送した。結果を表3に示す
【0080】
【表3】
【0081】 表3に示すように、30分において平均血管造影点数は、0.4mLパルス容
量群において僅かに高かった。しかしながら、4時間の時点では、群の平均は0
.2mLパルス容量で僅かに高かった。したがって、これらの調査からはあるパ
ルス容量が別のパルス容量より優れているかについて結論を引き出すことはでき
ない。
【0082】 これらNAT処置法はほぼすべて、本発明の輸送方法を用いて末梢動脈閉塞を
処置するために効果的であり、これらの結果は少なくとも血栓溶解剤に対する現
行の好まれる処置であるウロキナーゼなどのプラスミノゲン活性化因子での処置
に匹敵することを、前述の記載および表の結果は示している。
【0083】 この結果は、パルス−スプレー輸送を有するPROカテーテルは、優れた血管
造影結果を提供すると考えられることを示している。これらの調査において動物
の体重(70〜100kg)を考慮すると、30mgの固定用量は、体重換算で
およそ0.3〜0.4mg/kgに相当する。
【0084】 固定NAT用量を10mgに下げると、4時間での群平均血管造影点数が減少
し、若干の動物では開存性が得られなかった。これは、10mgのNAT用量は
このモデルでは生理活性に関して限界用量であると思われることを示している。
これらの調査において動物の体重(70〜100kg)を考慮すると、10mg
の固定用量は、体重換算でおよそ0.1〜0.15mg/kgに相当する。パル
ス容量を0.2mLから0.4mLに変化させても、血管造影開放点数への大き
な影響は見られなかった。
【0085】 実施例5 ヒトにおける安全で十分に許容され生物学的に有効な用量範囲の確立 末梢血管系疾病(PVD)を有する高齢の患者におけるα−マクログロブリ
ンの血清中濃度および生化学活性に関して満足すべき文献は見当たらない。α −マクログロブリン濃度は安全性の重要な決定要因であり、生体内で線維素溶解
性メタロプロテイナーゼの許容度に関連すると考えられるので、血清中α−マ
クログロブリン濃度および線維素溶解性メタロプロテイナーゼ結合能を評価する
ために(試験薬としてNATを用いて)PVD患者に横断疫学的調査を行った。
【0086】 260名の患者を2カ所のセンター(Cleveland Clinic F
oundation、Cleveland、OH、およびRochester
General Hospital、Rochester、NY)に登録した。
人口学的情報および他の患者の特徴を収集し、α−マクログロブリン、(結合
していないNATを検出するHPLCアッセイを用いて個々の患者の血清サンプ
ルを力価測定することによる)NAT結合能および他の血清化学パラメータを測
定するために血清を得た。主な終点は、α−マクログロブリンの血清中濃度と
生体外で中和されるNAT量(血清ミリリットル当たりのミクログラム)との関
係(NAT結合能)を決定することであった。
【0087】 本調査における患者の特徴をPAOにおける血栓溶解に関して発表済みの2つ
の大規模な調査(すなわち、STILEおよびTOPASの調査)での特徴と比
較すると、本調査における患者の集合は、PAOにおける血栓溶解の以前の調査
を代表することが示された。以前の調査の更なる詳細に関しては、それぞれ、A
nnals of Surgery、Volume 220、p.251〜26
6(1994)およびOuriel他、New England Journa
l of Medicine、Volume 338、p.1105〜1111
(1998)を参照のこと。
【0088】 NATに関する推定最大用量(EMD)をNAT結合能およびそれぞれの患者
の血漿量の推定値を用いてそれぞれの患者について計算した。その調査により平
均の患者は、NATと結合し中和するα−マクログロブリンの能力を超えずに
(局所的にまたは全身的に輸送された)1.7mg/kgの用量を受けることが
出来ると予測される。調査結果を下記表4に要約する。
【0089】
【表4】
【0090】 この調査における216検体それぞれについてNATの推定最大用量を計算し
た。この調査での結果を上記にヒストグラムとして示す。ここでは、釣鐘状の分
布が目視検査により観察できる。本調査における平均の患者は、NAT1.7m
g/kg(釣鐘状の分布のピーク)を許容できると推察される。動物調査におい
て投与した用量を参照として示すが(右側)、これは調査集合の99%において
NATの推定最大用量を超えると見ることができる。
【0091】 したがって、本発明に関する0.025から1.7mg/kgの規定範囲は、
患者が、(α−マクログロブリンに関する血漿量およびNAT結合能を基準と
して)循環中遊離のNATが発生せずに安全に受けることができる用量の合理的
な推定値である。
【0092】 結論として、例示した薬理学調査の結果である上記実施例1〜4は、ヒトにお
ける末梢動脈閉塞でしばしば見られる大きさおよび年齢に匹敵する血栓の、血栓
症の動物モデルにおける血餅溶解剤としての線維素溶解性メタロプロテイナーゼ
の生物学的効果を示している。動物モデルで同定された用量は、動物における潜
在的な毒性を考慮または評価せずに得たものである。Ahmed他およびMar
kland他により(上記に)記載されているラビットおよび犬における有効用
量(それぞれ3.7および4.0mg/kg)を、獣医学で線維素溶解性メタロ
プロテイナーゼに用いることができる。しかしながら、ヒトデータの存在を考慮
すると、用量3.7および4.0mg/kgでの投与は、調査集合の99%が過
剰用量である。したがって、発表済みの動物調査は、安全かつ生物学的に有効な
方式で、ヒトの線維素溶解性メタロプロテイナーゼの治療に使用することはでき
ない。他方、実施例5に示したデータは、ヒトでのこのような使用を可能にする
ものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 バルーンカテーテル誘発損傷および閉塞性血栓形成前の成体ブタでの頚動脈の
ベースライン血管造影図である。
【図1B】 本発明の方法によりNATを投与する前の、同じ動物での第4日で得られた血
管造影図である。
【図1C】 「PRO」カテーテル(この装置の図解に関しては図3参照)を介してNAT3
0mgを投与した後、2時間後の血管造影図である。
【図2】 血管に血栓溶解薬を局所輸送するために設計されたカテーテル装置の1タイプ
を示す図である。
【図3】 血管に血栓溶解剤を局所輸送するためのカテーテル装置の別のタイプの側面断
面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C076 AA11 BB40 CC11 4C084 AA02 AA03 BA44 CA62 DC02 MA17 MA65 NA10 NA13 ZA362 ZA542

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 安全で生物学的に有効な量の、製剤学的に許容される溶液中
    の線維素溶解メタロプロテイナーゼをカテーテル輸送手段により血餅に局所投与
    することを含み、上記安全で生物学的に有効な量は、治療されるヒト患者の体重
    1キログラム当たり線維素溶解メタロプロテイナーゼ0.025から1.7ミリ
    グラムの範囲である、血餅のヒト患者を治療処置するための方法。
  2. 【請求項2】 線維素溶解メタロプロテイナーゼの量が体重1キログラム当
    たり約0.1から約0.5ミリグラムの範囲である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 線維素溶解メタロプロテイナーゼを血栓内投与により輸送す
    る請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 線維素溶解メタロプロテイナーゼを血餅のごく近傍に投与す
    る請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 血餅が動脈に位置する請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 末梢動脈閉塞を治療するために使用する請求項5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 血餅が静脈に位置する請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 カテーテル輸送手段が「サイドホール」カテーテル装置を含
    む請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 カテーテル輸送手段が「プレッシャレスポンスアウトレット
    」(PRO)カテーテル輸送装置を含む請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 線維素溶解メタロプロテイナーゼの溶液をパルス−スプレ
    ー注入により投与する請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 1パルス当たり線維素溶解メタロプロテイナーゼ溶液約0
    .1から約0.5ミリリットルのパルス容量を使用する請求項10に記載の方法
  12. 【請求項12】 線維素溶解メタロプロテイナーゼが1ミリリットル当たり
    約0.1から約80ミリグラムの範囲の溶液濃度で存在する請求項1に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 線維素溶解メタロプロテイナーゼがNAT(Novel
    Acting Thrombolytic)である請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 線維素溶解メタロプロテイナーゼがフィブロラーゼである
    請求項1に記載の方法。
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