JP2003512008A - 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ - Google Patents

治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ

Info

Publication number
JP2003512008A
JP2003512008A JP2000567666A JP2000567666A JP2003512008A JP 2003512008 A JP2003512008 A JP 2003512008A JP 2000567666 A JP2000567666 A JP 2000567666A JP 2000567666 A JP2000567666 A JP 2000567666A JP 2003512008 A JP2003512008 A JP 2003512008A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fbp
seq
protein
gene
skp2
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000567666A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4143263B2 (ja
Inventor
チャウアー、ダー、シャーン
パガノ、マイケル
ラトレス、エスター
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New York University NYU
Original Assignee
New York University NYU
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by New York University NYU filed Critical New York University NYU
Publication of JP2003512008A publication Critical patent/JP2003512008A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4143263B2 publication Critical patent/JP4143263B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/93Ligases (6)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/88Lyases (4.)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; AVICULTURE; APICULTURE; PISCICULTURE; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2217/00Genetically modified animals
    • A01K2217/05Animals comprising random inserted nucleic acids (transgenic)

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ユビキチンリガーゼの新規の基質ターゲッティングサブユニットをコードするヌクレオチドの発見、同定および特徴づけに関する。本発明は、ユビキチンリガーゼの新規の基質ターゲッティングサブユニット、すなわち、FBP1、FBP2、FBP3、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、およびFBP25をコードするヌクレオチド、トランスジェニックマウス、ノックアウトマウス、宿主細胞発現系、ならびに本発明のヌクレオチドによりコードされるタンパク質を包含する。本発明は、新規の基質ターゲッティングサブユニットを用いて、増殖性および分化性疾患(例えば、癌、主要な日和見感染症、免疫疾患、特定の心血管疾患、炎症疾患)を治療するための潜在的治療薬(例えば、小分子、化合物、新規ユビキチンリガーゼの誘導体および類似体)を同定するスクリーニングアッセイに関する。本発明はさらに、増殖性疾患を治療するためにユビキチンリガーゼおよびそれらの基質をターゲッティングするように設計された治療プロトコルならびに医薬組成物を包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1.はじめに 本発明は、ユビキチンリガーゼの新規な基質ターゲティングサブユニットをコ
ードするヌクレオチド配列の発見、同定および特徴づけに関する。本発明は、ユ
ビキチンリガーゼの新規な基質ターゲティングサブユニット、即ち、FBP1、FBP2
、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14
、FBP15、FBP17、FBP18、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、およびFBP25をコードす
るヌクレオチド配列を含む核酸分子、トランスジェニックマウス、ノックアウト
マウス、宿主細胞発現系、並びに本発明のヌクレオチドによってコードされるタ
ンパク質を包含する。本発明は、癌、主要な日和見感染症、免疫疾患、特定の心
血管疾患および炎症疾患といった増殖性および分化性疾患を治療するための、新
規なユビキチンリガーゼの活性をモジュレートする潜在的治療薬(例えば、小分
子、化合物または新規ユビキチンリガーゼの誘導体および類似体)を同定するス
クリーニングアッセイに関する。本発明はさらに、増殖性疾患を治療するために
ユビキチンリガーゼおよびその基質をターゲティングするように設計された治療
プロトコルおよび医薬組成物を包含する。
【0002】2.発明の背景 2.1 細胞周期調節タンパク質 真核細胞の細胞周期は、セリン/トレオニンプロテインキナーゼのファミリー
によって調節される。セリン/トレオニンプロテインキナーゼは、その活性にサ
イクリンと呼ばれる調節サブユニットとの会合を必要とするため、サイクリン依
存性キナーゼ(Cdk)と呼ばれている(HunterおよびPines, 1994, Cell 79:573)。C
dkは、各種の抗増殖性シグナルに応答して細胞周期の停止を仲介するCdk阻害剤(
Cki)とも会合する。これまでに、配列相同性に基づいて、Ckiの2つのファミリ
ー、即ち、p21、p27およびp57を含むCip/Kipファミリー並びにp15、p16、p18お
よびp20を含むInkファミリーが哺乳動物細胞で同定されている(SherrおよびRobe
rts, 1999, Genes & Dev. 13:1501)。
【0003】2.2 ユビキチン経路 ユビキチン介在型タンパク質分解は、p27、p53、p300、サイクリン、E2F、STA
T-1、c-Myc、c-Jun、EGF受容体、IκBα、NFκBおよびβ-カテニンを含む多くの
細胞性調節タンパク質の定時破壊を制御する非リソソーム性タンパク質分解の重
要な経路である(Pagano, 1997, FASEB J. 11:1067の総説を参照されたい)。ユビ
キチンは、進化上高度に保存された76個のアミノ酸からなるポリペプチドであり
、全ての真核細胞中に豊富に存在する。ユビキチン経路では、ポリユビキチン鎖
が標的基質へ共有結合した後、多機能性プロテアソーム複合体によって該標的が
分解される(最近の総説についてはPagano,前出を参照されたい)。タンパク質の
ユビキチン化を調節する多くの過程が公知である。まず、ユビキチン活性化酵素
(E1)がユビキチンと高エネルギーチオエステルを形成し、次いで多くのユビキチ
ン結合酵素(UbcまたはE2)のうちの1つの反応性システイン残基へ転移される。最
終的に、ユビキチンは、ユビキチンリガーゼ(E3)タンパク質を必要とする場合も
必要としない場合もある反応において、標的タンパク質に含まれる反応性リシン
残基のε-アミノ基へ転移される。数多くのユビキチンリガーゼが高レベルの基
質特異性を確保している。
【0004】2.3 ユビキチン経路およびF-boxタンパク質によるG1期の調節 数種の生物においてなされた遺伝学的および生化学的研究では、細胞周期のG1
期がユビキチン経路によって調節されることが判明している。サイクリン、Cki
および他のG1調節タンパク質のタンパク質分解は、酵母中では、ユビキチン結合
酵素Ubc3(Cdc34とも呼ばれる)によって制御され、3つのサブユニット(Cdc53、S
kp1および数多くのF-boxタンパク質のうちのいずれか1つ)から形成されるE3ユ
ビキチンリガーゼによっても制御される(E. Pattonら, 1998, TIG. 14:6の総説
を参照されたい)。F-boxタンパク質(FBP)は、サイクリンFで最初に同定された
モチーフ(F-box)を含むためこのように呼ばれており、Skp1との相互作用に必要
である(Baiら, 1996, Cell 86:263)。さらに、F-boxタンパク質はまた、WD-40ド
メインまたはロイシンリッチリピート(LRR)タンパク質-タンパク質相互作用ドメ
インのいずれかを含む。Cdc53(Cul Aとも呼ばれる)およびSkp1は、異なるF-box
タンパク質をそれぞれ含有する少なくとも3つの異なるE3の形成に関与している
と考えられる。これらのリガーゼは、Skp1、Cul AおよびF-boxタンパク質からな
る類似のタンパク質モジュールであり、SCFと呼ばれている。リガーゼとその基
質との相互作用は、F-boxサブユニットを介して起こる。S. cerevisiaeにおいて
これまでに同定されている3つのSCFは以下の通りである:SCFCdc4(CkiであるSi
c1およびFar1、複製因子Cdc6、および転写アクチベーターGcn4を、F-boxタンパ
ク質Cdc4を介して基質として動員)、SCFGrr1(G1サイクリンCln1およびCln2をF-b
oxタンパク質GRR1を介して基質として動員)、並びにSCFMet30(G1サイクリンCln3
をF-boxタンパク質MET30を介して基質として動員;最近の総説についてはPagano
およびPatton,前出を参照されたい)。
【0005】 ヒトCki p27の細胞内レベルは分解によって主に調節され、p27の分解はユビキ
チン系によって制御されることが知られている(Paganoら, 1995, Science 269:6
82)。同様に、他のG1ヒト調節タンパク質(サイクリンE、サイクリンD1、p21、E
2F、β-カテニン)の分解もユビキチン経路によって制御される(M. Pagano,前出
の総説を参照されたい)。しかしながら、G1制御タンパク質の分解に関与する特
異的な酵素は未だ同定されていない。
【0006】 S. cerevisiaeのcul Aに相同な6個の遺伝子(CUL1、2、3、4a、4bおよび5)か
らなるファミリーが、ESTデータベースを検索することで同定されている(Kipreo
sら, 1996, Cell 85:829)。ヒトSkp1およびF-boxタンパク質Skp2(5つのLRRを含
む)は、in vivoでサイクリンAと会合する2つのタンパク質として同定されてお
り、そのためS期キナーゼ会合タンパク質1および2と呼ばれている(Zhangら,
1995, Cell 82:915)。
【0007】2.4 癌および他の増殖性疾患におけるユビキチン経路の調節解除(deregulation ) 細胞が急速に増殖すると癌が発症する。細胞増殖は、正および負のシグナルの
正味のバランスによって決定される。正のシグナルの方が強い場合、または負の
シグナルが存在しない場合には、細胞は急速に増殖して癌が発症する。
【0008】 通常、細胞は、どのようなタンパク質の量も厳密に制御しており、過剰なタン
パク質または不要なタンパク質を排除している。そのために、細胞は、不要なタ
ンパク質をユビキチンと呼ばれる長鎖分子によって特異的に標識している。これ
らの分子はその後、プロテアソームと呼ばれる複合体によって認識および破壊さ
れる。しかしながら、腫瘍中ではこのような機構の全てが正しく進行せず、正の
シグナル(発癌性タンパク質)を過剰に蓄積させてしまうか、負の調節因子(腫瘍
抑制タンパク質)の異常分解を引き起こしている。従って、腫瘍抑制タンパク質
の不在下または過剰な発癌性タンパク質の存在下では、細胞は絶えず増殖を続け
、腫瘍を形成する(Ciechanover, 1998, EMBO J. 17:7151; Spataro, 1998, Br.
J. Cancer 77:448の総説を参照されたい)。例えば、p53腫瘍抑制因子(J. Brown
およびM. Pagano, 1997, Biochim. Biophys. Acta1332:1の総説を参照)、推定オ
ンコジーンβ-カテニン(Peifer, 1997, Science 275:1752の総説を参照)並びにC
ki p27(Ciechanover,前出; Spataro,前出; Lloyd, 1999, Am. J. Pathol. 154:3
13の総説を参照)の異常なユビキチン介在型分解は腫瘍発生と相関しており、腫
瘍中ではユビキチン化酵素をコードする一部の遺伝子に突然変異が生じている可
能性があるとの仮説が開かれている。
【0009】 最初の証拠からは、ヒトF-boxタンパク質が、その相同体が酵母中でG1調節タ
ンパク質をユビキチン化することから、G1調節タンパク質のユビキチン化に関わ
っていることが明らかになっている(下記参照)。特定の腫瘍中では細胞周期調節
タンパク質の分解が抑制されていないことが観察されており、調節解除されたユ
ビキチンリガーゼが細胞周期調節因子の分解の変化に関わっている可能性がある
。十分に解明されている例はユビキチンリガーゼMdm2の調節解除であり、過剰に
発現することでその基質(腫瘍抑制因子p53)のレベルを低下させてしまっている
【0010】3.発明の概要 本発明は、新規F-boxタンパク質、並びに増殖性および分化性疾患を治療する
ために新規F-boxタンパク質および該タンパク質と基質との相互作用をターゲテ
ィングするように設計された治療プロトコルおよび医薬組成物に関する。本発明
はまた、新規F-boxタンパク質の基質を同定するスクリーニングアッセイ、並び
に新規ユビキチンリガーゼおよびその基質との相互作用をモジュレートまたはタ
ーゲティングする薬剤を同定するスクリーニングアッセイに関する。本発明はさ
らに、既知のF-boxタンパク質の新規な基質(例えば、既知F-boxタンパク質Skp2
の2つの新規な基質E2Fおよびp27)の同定に基づくスクリーニングアッセイに関
する。本発明のスクリーニングアッセイを使用して、増殖性または分化性疾患、
およびF-boxタンパク質の発現レベルまたは酵素活性レベルに関連する他の疾患
を治療するための潜在的な治療薬を同定することが可能である。
【0011】 本発明は、本発明者らによる、F-boxモチーフを有する新規ユビキチンガーゼ
をコードするヌクレオチド配列を含む核酸の発見、同定および特徴づけに一部基
づくものである。本明細書中に記載する、ユビキチンリガーゼ複合体の26個の新
規な基質ターゲティングサブユニットFBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、
FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16
、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25を、
まず、ユビキチンリガーゼ複合体の成分との相互作用に基づいて同定し(FBP1、F
BP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6およびFBP7の場合)、また、これらのタンパク質
とDNAデータベースに含まれるヌクレオチド配列との配列比較によって同定した(
FBP3b、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP1
7、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25の場合)。ユ
ビキチンリガーゼ複合体のこれらの新規な基質ターゲティングサブユニットは、
それぞれF-boxモチーフを含み、このモチーフを介してユビキチンリガーゼ複合
体の他の成分と相互作用する。さらに、これらのFBPには、基質との相互作用に
関与すると考えられるWD-40ドメインとLRRを含むものもあり、また、FBP中では
未だ同定されていないが、ロイシンジッパー、リングフィンガー(ring finger)
、へリックス・ループ・へリックスモチーフ、プロリンリッチモチーフおよびSH
2ドメイン等のタンパク質-タンパク質相互作用モジュールを含む可能性があるも
のもある。本発明はまた、本発明者らによる、FBP特異的基質p27およびβ-カテ
ニンの発見および同定、並びに新規FBP基質の同定方法に一部基づくものである
。また、新規F-boxタンパク質をコードする遺伝子の一部についてはマッピング
を行い、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、鼻咽頭癌、小細胞肺癌、胃肝細胞癌(gastric
hepatocarcinoma)、バーキットリンパ腫および副甲状腺腫において高頻度で変
化する染色体部位に位置することを見出した。最後に、本発明はまた、本発明者
らによる、FBPタンパク質の野生型またはドミナントネガティブ体を発現するト
ランスジェニックマウスの作製、およびFBPノックアウトマウスの作製にも一部
基づくものである。
【0012】 本発明は、以下のヌクレオチド配列、このようなヌクレオチド配列を発現する
宿主細胞、およびこのようなヌクレオチド配列の発現産物を包含する:(a)ヒト
ヌクレオチドを含む哺乳動物のFBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、
FBP7、FBP8、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP17、FBP18、FBP20、FBP2
1、FBP22、FBP23およびFBP25をコードするヌクレオチド配列ならびにその遺伝子
産物、(b)ユビキチンリガーゼ複合体の新規な基質ターゲティングサブユニット
の一部をコードするヌクレオチド、およびこのようなヌクレオチド配列によって
特定されるポリペプチド産物(例えば、F-boxモチーフ、基質結合ドメイン、WD-4
0ドメインおよびロイシンリッチリピート等が挙げられるが、これらに限定され
ない)、(c)ドメインの全てまたは一部が欠失または変化している新規ユビキチン
リガーゼの突然変異体をコードするヌクレオチド、およびこのようなヌクレオチ
ド配列によって特定されるポリペプチド産物、(d)新規ユビキチンリガーゼを含
む融合タンパク質または別のポリペプチドに融合したそのドメインの1つをコー
ドするヌクレオチド。
【0013】 本発明はさらに、ユビキチンリガーゼ複合体の新規な基質ターゲティングサブ
ユニットのアゴニストおよびアンタゴニスト、例えば、小分子、大分子、天然の
F-box結合タンパク質と競合する突然変異体、および抗体、並びにユビキチンリ
ガーゼの遺伝子発現の阻害に使用し得るヌクレオチド配列(例えば、アンチセン
スおよびリボザイム分子、遺伝子調節もしくは置換構築物)またはユビキチンリ
ガーゼの遺伝子発現の増強に使用し得るヌクレオチド配列(例えば、ユビキチン
リガーゼ遺伝子を強力なプロモーター系の制御下に置く発現構築物)、およびユ
ビキチンリガーゼ・トランスジーンを発現するトランスジェニック動物または新
規ユビキチンリガーゼを発現しないノックアウト動物を包含する。
【0014】 さらに、本発明は、ユビキチンリガーゼ活性をモジュレートする(即ち、アゴ
ニストまたはアンタゴニストとして作用する)化合物を同定するための、ユビキ
チンリガーゼ複合体の新規な基質ターゲティングサブユニットの遺伝子および/
または遺伝子産物の使用方法に関する。このような化合物を薬剤として使用し、
増殖性または分化性疾患(例えば、癌)を制御することができる。特に、本発明は
、β-カテニンとFBP1との相互作用またはp27とSkp2との相互作用を阻害する方法
を包含する。実際に、これらの相互作用を阻止し得る薬剤を使用して、細胞増殖
および/または細胞成長をモジュレートすることが可能である。
【0015】 さらに、本発明は、増殖性または分化性疾患に対する潜在的治療薬として、新
規リガーゼの活性をモジュレートする、ユビキチンリガーゼ複合体の新規な基質
ターゲティングサブユニットの誘導体および類似体を同定するスクリーニング方
法を包含する。本発明は、ユビキチンリガーゼ複合体の新規成分(FBP1、FBP2、F
BP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FB
P13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP2
3、FBP24およびFBP25またはこれらの誘導体、断片もしくはドメイン、例えば、F
-boxモチーフを含む)と相互作用するタンパク質をスクリーニングする方法を提
供する。本発明によれば、該スクリーニング方法では、タンパク質-タンパク質
相互作用を同定する既知のアッセイ、例えば、ファージ展示アッセイまたは酵母
ツーハイブリッドアッセイ系またはこれらの改変アッセイを利用することが可能
である。
【0016】 さらに、本発明は、FBP遺伝子配列および/またはFBP遺伝子産物配列を、増殖
性疾患といったFBP関連疾患の診断評価、遺伝子検査および/または予後に利用
する方法に関する。例えば、本発明は、増殖性疾患といったFBP関連疾患を診断
する方法に関し、このような方法は、患者由来のサンプルにおけるFBP遺伝子発
現を測定するか、または、このような疾患の有無もしくは発症と相関するFBP突
然変異を、このような疾患を示すことが疑われる哺乳動物のゲノム中に検出する
ことを含んでなるものである。特に、本発明は、被験体(例えば、ヒト患者)が、
(i)図3〜図28のA部に示されているタンパク質またはその相同体をコードするF
BP遺伝子の突然変異、(ii)FBP遺伝子の発現ミス、(iii)FBPタンパク質の発現ミ
スのうちの1つ以上を特徴とする疾患に罹患している危険性を判定する方法を包
含する。
【0017】 本発明を、ユビキチンリガーゼ複合体の新規な基質ターゲティングサブユニッ
トの同定および特徴づけを示す実施例によって説明する。本発明の実施例にはさ
らに、(i)FBP1とβ-カテニンとの特異的相互作用、並びに(ii)既知のFBPであるS
Kp2と細胞周期調節タンパク質E2Fおよびp27との特異的相互作用の同定を示す。
これらの相互作用によって、β-カテニンがFBP1の特異的な基質であり、一方、E
2Fおよびp27がSkp2の基質であることが示唆される。実際に、本発明の実施例か
らは、β-カテニンがFBP1の特異的な基質であり、p27がSkp2の基質であることが
明らかである。新規なFBPと相互作用するタンパク質の同定は、本明細書に記載
の方法を用いて、または別のアプローチによって行うことができる。
【0018】3.1 定義 本明細書において用語「F-boxモチーフ」とは、F-box含有タンパク質とSkp1と
の相互作用に必要であるとして同定された約40個のアミノ酸のストレッチをいう
。F-boxモチーフに共通の配列が、Baiら、1996, Cell 86:263-274に記載されて
おり、この全体を参照により本明細に組み入れる。
【0019】 本明細書において用語「F-boxタンパク質」(FBP)とは、F-boxモチーフを含
むペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をいう。
【0020】 FBPはユビキチンリガーゼ複合体の基質-標的化サブユニットであるが、本明細
書において用語「ユビキチンリガーゼ」とはF-boxモチーフを含みSkp1と相互作
用するペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をいう。
【0021】 本明細書において用語「FBP遺伝子産物と機能的に等価」とは、内因性FBP遺伝
子産物の生物学的活性を少なくとも1つ示す遺伝子産物をいう。例えば、機能的
に等価のFBP遺伝子産物としては、Skp1と相互作用してユビキチンリガーゼ複合
体と会合することができるものがある。このようなユビキチンリガーゼ複合体は
、サイクリンまたはckiタンパク質などの特定の細胞周期調節タンパク質をユビ
キチン化しうる。
【0022】 本明細書において用語「標的化する」とは、遺伝子発現、酵素活性、または他
の細胞因子との相互作用を阻害、ブロックまたは妨げることを意味する。
【0023】 本明細書において用語「治療薬」とは、増殖性疾患または関連疾患を軽減する
か、またはそのような疾患の治療を補助する分子、化合物または療法(treatment
)のいずれかをいう。
【0024】 本明細書において用語「WD-40ドメイン」、「ロイシンリッチリピート」、「
ロイシンジッパー」、「リングフィンガー」、「ヘリックス-ループ-ヘリックス
モチーフ」、「プロリンリッチモチーフ」および「SH2ドメイン」とは、タンパ
ク質-タンパク質相互作用の媒介に関与する可能性のあるドメインをいう。「WD-
40ドメイン」とは、トリプトファンおよびアスパラギン酸残基に富み、3量体Gタ
ンパク質のβサブユニットに共通に見られる40アミノ酸リピートの共通配列をい
う(Neerら、1994, Nature 371:297-300および該文献中の引用文献を参照:これ
らの全体を参照により本明細書に組み入れる)。「LRR」または「ロイシンリッチ
リピート」はロイシンに富んだ配列であり、また、タンパク質-タンパク質相互
作用の媒介に関与することが知られている(KobeおよびDeisenhofer, 1994, Tre
nds. Biochem. Sci. 19:415-421を参照;該文献は参照によりその全体を本明細
書に組み入れる)。「ロイシンジッパー」ドメインとは、7残基ごとにロイシン
残基を有するアミノ酸のストレッチを含んでなるドメインであり、転写因子の大
きなファミリーに存在するものをいう(Landshultzら、1988, Science 240:1759
-64; Sudolら、1996, Trends Biochem. 21:1-3およびKochら、1991, Science 25
2:668-74を参照)。
【0025】4.図面の説明 (図面の説明については下記を参照のこと)5.詳細な説明 本発明は、新規F-boxタンパク質、およびF-boxタンパク質の新規基質に関する
。本発明は、新規F-boxタンパク質の基質を同定するように設計された並びにF-b
oxタンパク質およびそれらの基質の相互作用および/または活性をモジュレーシ
ョンする小分子および化合物を同定するように設計されたスクリーニングアッセ
イに関する。
【0026】 本発明は、新規F-boxタンパク質の基質を同定するための及び潜在的治療剤を
同定するためのスクリーニングアッセイに関する。本発明は更に、新規および公
知の両方のF-boxタンパク質の新規基質の同定に基づくスクリーニングアッセイ
に関する。本発明のスクリーニングアッセイは、増殖性疾患の治療用に新規ユビ
キチンリガーゼを標的化する及び対応基質との相互作用を標的化するように設計
されたプロトコールで及び医薬組成物として使用しうる潜在的治療剤を同定する
ために用いることができる。1つの特定の実施形態においては、本発明は、本出
願人らにより同定された新規基質β-カテニン、p27およびE2FとFBPとの相互作用
を標的化するスクリーニングアッセイおよび潜在的治療剤に関する。
【0027】 本発明は更に、該新規F-boxタンパク質をコードするヌクレオチド、タンパク
質およびペプチドの用途、ならびに新規ユビキチンリガーゼに対する抗体(これ
は、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用しうる)、ユビキチン
リガーゼの活性または発現を抑制するアンタゴニスト、またはユビキチンリガー
ゼ活性を活性化する若しくはその発現を増強するアゴニストを含む。また、該新
規ユビキチンリガーゼおよびタンパク質をコードするヌクレオチドは、それらの
活性を調節または模擬し従って癌および腫瘍形成の治療において潜在的に有効な
化合物の同定に有用である。
【0028】 特に、以下の小節に記載する発明は、該新規ユビキチンリガーゼの機能的ドメ
イン(例えば、F-boxモチーフ、基質結合ドメインおよびロイシンリッチリピー
ト)に対応するFBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FB
P9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19
、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25ポリペプチドまたはペプチド
、突然変異型、末端切断型または欠失型(例えば、その1以上の機能的ドメイン
または部分が欠失しているもの)、ユビキチンリガーゼ融合タンパク質、そのよ
うな産物をコードするヌクレオチド配列、ならびにそのようなユビキチンリガー
ゼ産物を産生しうる宿主細胞発現系を含む。
【0029】 本発明は、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FB7P、FBP8、FBP9
、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、
FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25またはそれらの誘導体、断片も
しくは類似体を含む該ユビキチンリガーゼ複合体の新規成分と相互作用するペプ
チドおよびタンパク質に関するスクリーニング方法を提供する。好ましくは、該
スクリーニング方法は、後記で更に詳しく説明する酵母ツーハイブリッドアッセ
イ系またはその変法である。当技術分野で公知の任意の方法、例えば、後記の改
変された酵母ツーハイブリッドアッセイ系、複合体中のタンパク質に結合する抗
体による免疫沈降およびそれに続く該免疫沈降タンパク質のサイズ分画による分
析(例えば、変性または非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるもの)、
ウエスタン分析、非変性ゲル電気泳動などにより、タンパク質の誘導体(例えば
、断片)および類似体を、結合相手に対する結合に関してアッセイすることがで
きる。
【0030】 本発明は、該新規ユビキチンリガーゼの活性をモジュレーションする物質を同
定するためのスクリーニングアッセイに関する。本発明は、該新規ユビキチンリ
ガーゼの活性をモジュレーションする小分子、化合物、組換えタンパク質、ペプ
チド、核酸、抗体などをスクリーニングして増殖性または分化性疾患の治療用の
潜在的治療剤を同定するためのin vivoおよびin vitroの両方のアッセイを含む
。1つの実施形態においては、本発明は、該新規ユビキチンリガーゼと相互作用
するタンパク質に関するスクリーニング方法を提供する。
【0031】 本発明はまた、抗体および抗イディオタイプ抗体、アンタゴニストおよびアゴ
ニスト、ならびに該ユビキチンリガーゼ遺伝子の発現を抑制する化合物またはヌ
クレオチド構築物(転写因子インヒビター、アンチセンスおよびリボザイム分子
または遺伝子もしくは調節配列置換構築物)あるいは該ユビキチンリガーゼの発
現を促進する化合物またはヌクレオチド構築物(例えば、ユビキチンリガーゼコ
ード配列がプロモーター、プロモーター/エンハンサーなどの発現制御要素に機
能しうる形で連結された発現構築物)を含む。本発明はまた、ヒト形態(または
その突然変異体)を発現するように又は動物の内因性ユビキチンリガーゼの発現
を抑制もしくは「ノックアウト」するように遺伝子操作された宿主細胞および動
物に関する。
【0032】 最後に、ユビキチンリガーゼタンパク質産物および融合タンパク質産物 [すな
わち、該タンパク質の融合体、または該タンパク質のドメイン(例えば、F-box
モチーフ)]、抗体および抗イディオタイプ抗体(Fabフラグメントを含む)、ア
ンタゴニストまたはアゴニスト(ユビキチン化経路をモジュレーションする化合
物を含む)を、増殖性または分化性疾患の治療に使用することができる。したが
って、本発明はまた、癌および腫瘍形成を治療するための医薬製剤および方法を
含む。
【0033】 本発明の種々の態様を以下の小節において更に詳しく説明する。
【0034】5.1 FBP遺伝子 本発明は、7個の新規ヌクレオチド配列およびそれらの断片、FBP1、FBP2、FBP
3a、FBP4、FBP5、FBP6およびFBP7、核酸 [それらの遺伝子産物とSkp1(ユビキチ
ンリガーゼ複合体の成分)との相互作用により同定された新規遺伝子であるもの
]を含む核酸分子を提供する。本発明は更に、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4
、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP17、FBP1
8、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25のヌクレオチド配列(同定
されたFBP遺伝子の核酸配列を本明細書中に記載する)を含む14個の新規核酸分
子を提供する。
【0035】 本明細書で用いる「FBP遺伝子」は以下を意味する: (a)図3(配列番号1)に示すFBP1のDNA配列、図4(配列番号3)に示すFBP2の
DNA配列、図5(配列番号5)に示すFBP3aのDNA配列、図6(配列番号23)に示すFB
P3bのDNA配列、図7(配列番号7)に示すFBP4のDNA配列、図8(配列番号9)に示
すFBP5のDNA配列、図9(配列番号11)に示すFBP6のDNA配列、図10(配列番号13
)に示すFBP7のDNA配列、図11(配列番号25)に示すFBP8のDNA配列、図12(配列
番号27)に示すFBP9のDNA配列、図13(配列番号29)に示すFBP10のDNA配列、図1
4(配列番号31)に示すFBP11のDNA配列、図15(配列番号33)に示すFBP12のDNA
配列、図16(配列番号35)に示すFBP13のDNA配列、図17(配列番号37)に示すFB
P14のDNA配列、図18(配列番号39)に示すFBP15のDNA配列、図19(配列番号41)
に示すFBP16のDNA配列、図20(配列番号43)に示すFBP17のDNA配列、図21(配列
番号45)に示すFBP18のDNA配列、図22(配列番号47)に示すFBP19のDNA配列、図
23(配列番号49)に示すFBP20のDNA配列、図24(配列番号51)に示すFBP21のDNA
配列、図25(配列番号53)に示すFBP22のDNA配列、図26(配列番号55)に示すFB
P23のDNA配列、図27(配列番号57)に示すFBP24のDNA配列、図28(配列番号59)
に示すFBP25のDNA配列を含有する核酸分子; (b)図3A(配列番号2)に示すFBP1のアミノ酸配列、図4A(配列番号4)に示
すFBP2のアミノ酸配列、図5A(配列番号6)に示すFBP3aのアミノ酸配列、図6A(
配列番号24)に示すFBP3bのアミノ酸配列、図7A(配列番号8)に示すFBP4のアミ
ノ酸配列、図8A(配列番号10)に示すFBP5のアミノ酸配列または図9A(配列番号
12)に示すFBP6のアミノ酸配列、図10(配列番号14)に示すFBP7のアミノ酸配列
、図11(配列番号26)に示すFBP8のアミノ酸配列、図12(配列番号28)に示すFB
P9のアミノ酸配列、図13(配列番号30)に示すFBP10のアミノ酸配列、図14(配
列番号32)に示すFBP11のアミノ酸配列、図15(配列番号34)に示すFBP12のアミ
ノ酸配列、図16(配列番号36)に示すFBP13のアミノ酸配列、図17(配列番号38
)に示すFBP14のアミノ酸配列、図18(配列番号40)に示すFBP15のアミノ酸配列
、図19(配列番号42)に示すFBP16のアミノ酸配列、図20(配列番号44)に示すF
BP17のアミノ酸配列、図21(配列番号46)に示すFBP18のアミノ酸配列、図22(
配列番号48)に示すFBP19のアミノ酸配列、図23(配列番号50)に示すFBP20のア
ミノ酸配列、図24(配列番号52)に示すFBP21のアミノ酸配列、図25(配列番号5
4)に示すFBP22のアミノ酸配列、図26(配列番号56)に示すFBP23のアミノ酸配
列、図27(配列番号58)に示すFBP24のアミノ酸配列、図28(配列番号60)に示
すFBP25のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードする任意のDNA配列; (c)配列番号2、4、6、8、10、12または14あるいは図15中のアミノ酸配列の
いずれかをコードするDNA配列の相補体に、高度にストリンジェントな条件(例
えば、0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中、65℃に
おけるフィルター結合DNAに対するハイブリダイゼーション、および0.1 x SSC/0
.1% SDS中、68℃での洗浄)(Ausubel. F.M.ら編, 1989, Current Protocols i
n Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., and John
Wiley & sons, Inc., New Yorkのp.2.10.3)下でハイブリダイズする任意のDN
A配列;および/または (d)配列番号2、4、6、8、10、12または14あるいは図15中のアミノ酸配列の
いずれかをコードするDNA配列の相補体に、それほどストリンジェントでない条
件(例えば、中等度にストリンジェントな条件、例えば、0.2 x SSC/0.1% SDS
中、42℃での洗浄)(Ausubel. F.M.ら編, 1989, 前掲)下でハイブリダイズし
、FBP遺伝子産物と機能的に等価な遺伝子産物をコードする任意のDNA配列。
【0036】 本発明のFBP遺伝子配列は、他の哺乳動物F-boxタンパク質、Skp2、エロンガン
A、サイクリンF、マウスMd6をコードする既に記載されている遺伝子(Pagano, 1
997, 前掲; Zhangら, 1995, 前掲; Baiら, 1996, 前掲; Skowyaら, 1997, 前掲
を参照されたい)を含まないと理解される。さらに、本発明の核酸分子は、GenB
ank受託番号AC002428、AI457595、AI105408、H66467、T47217、H38755、THC2746
84、AI750732、AA976979、AI571815、T57296、Z44228、Z45230、N42405、AA0180
63、AI751015、AI400663、T74432、AA402415、AI826000、AI590138、AF174602、
Z45775、AF174599、THC288870、AI017603、AF174598、THC260994、AI475671、AA
768343、AF174595、THC240016、N70417、T10511、AF174603、EST04915、AA14742
9、AI192344、AF174594、AI147207、AI279712、AA593015、AA644633、AA335703
、N26196、AF174604、AF053356、AF174606、AA836036、AA853045、AI479142、AA
772788、AA039454、AA397652、AA463756、AA007384、AA749085、AI640599、THC2
53263、AB020647、THC295423、AA434109、AA370939、AA215393、THC271423、AF0
52097、THC288182、AL049953、CAB37981、AL022395、AL031178、THC197682およ
びTHC205131中のヌクレオチド配列だけからなる核酸分子を含まないと理解され
る。
【0037】 本発明のFBP配列は、真核性ゲノム、好ましくは哺乳動物ゲノム、より好まし
くはヒトまたはマウスゲノムに由来する。したがって、本発明のヌクレオチド配
列は、酵母ゲノムに由来するものを含まない。特定の実施形態においては、本発
明のヌクレオチドは、F-boxモチーフを含有しSkp1に結合する遺伝子産物をコー
ドする、配列番号1、3、5、7、9、11もしくは13または図14に示すDNA配列に高度
にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする哺乳動物ゲノムに由来する任
意のDNA配列を含む。特定の実施形態においては、本発明のヌクレオチドは、F-b
oxモチーフとWD-40、ロイシンリッチ領域、ロイシンジッパーモチーフまたは他
のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインを含む群から選ばれる別のドメイン
とを含有しSkp-1に結合する遺伝子産物をコードする、配列番号1、3、5、7、9、
11もしくは13に高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする哺乳動物
ゲノムに由来する任意のDNA配列を含み、少なくとも300または400ヌクレオチド
長である。
【0038】 FBP配列には、例えば、真核性ゲノムDNA(cDNA)またはcDNA配列が含まれうる
。したがって、ある与えられたアミノ酸配列をコードする核酸に言及する場合に
は、該核酸は、cDNA分子である必要がないばかりでなく、例えば、その与えられ
たアミノ酸配列をコードするようにプロセシングされるmRNA種が転写されるcDNA
配列を意味することもあると理解されるべきである。
【0039】 本発明で用いるFBP遺伝子はまた、DNA配列(a)〜(d)の縮重変異体を意味し
うる。
【0040】 本発明はまた、前段落のDNA配列(a)〜(d)にハイブリダイズし従って該DNA
配列の相補体である哺乳動物核酸に由来する核酸分子(好ましくはDNA分子)を
含む。そのようなハイブリダイゼーション条件は、前記のとおり高度にストリン
ジェントであるか、またはそれほど高度にはストリンジェントでない。該核酸分
子がデオキシオリゴヌクレオチド(「オリゴ」)である場合には、高度にストリ
ンジェントな条件は、例えば、6xSSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃(14
塩基のオリゴの場合)、48℃(17塩基のオリゴの場合)、55℃(20塩基のオリゴ
の場合)および60℃(23塩基のオリゴの場合)での洗浄を意味しうる。これらの
核酸分子は、例えば、FBP遺伝子の調節において(FBP遺伝子核酸配列の増幅反応
におけるプライマーのために及び/又はそのようなプライマーとして)有用なFB
P遺伝子アンチセンス分子をコードするか又はそのような分子として作用しうる
。FBP遺伝子の調節に関しては、そのような技術は、例えば、癌に関連した細胞
増殖を阻止するためにFBP調節経路を調節するのに用いることができる。さらに
そのような配列は、FBP遺伝子の調節に同様に有用なリボザイムおよび/または
三重らせん配列の一部として使用することができる。さらにまた、そのような分
子は、例えば、FBP関連疾患(例えば、増殖性または分化性疾患、例えば、腫瘍
形成または癌)を引き起こす原因となる特定のFBP対立遺伝子の存在を検出しう
る診断方法の成分として使用することができる。
【0041】 本発明はまた、 (a)前記のFBPコード配列および/またはそれらの相補体(すなわちアンチセ
ンス)のいずれかを含有するDNAベクター、 (b)前記のFBPコード配列の発現を指令する調節要素に機能しうる形で連結さ
れた該コード配列のいずれかを含有するDNA発現ベクター、 (c)宿主細胞内での前記のFBPコード配列の発現を指令する調節要素に機能し
うる形で連結された該コード配列のいずれかを含有する遺伝的に操作された宿主
細胞を含む。
【0042】 本発明で用いる調節要素には、誘導および非誘導プロモーター、エンハンサー
、オペレーター、および発現を駆動し調節する当業者に公知の他の要素が含まれ
るが、これらに限定されるものではない。そのような調節要素には、サイトメガ
ロウイルスhCMV前初期遺伝子、SVアデノウイルスの初期または後期プロモーター
、lac系、trp系、TAC系、TRC系、ファージAの主要オペレーターおよびプロモー
ター領域、Fd外皮タンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロ
モーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、および酵母接合因子のプロモー
ターが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0043】 本発明は更に、本明細書中に開示するDNA配列のいずれかの断片を含む。
【0044】 1つの実施形態においては、本発明のFBP遺伝子配列は哺乳動物遺伝子配列であ
り、ヒト配列が好ましい。
【0045】 さらにもう1つの実施形態においては、本発明のFBP遺伝子配列は、図2、4〜9
または15に示すアミノ酸配列に対応するポリペプチド部分(すなわち、それらの
アミノ酸配列に対してアミノ酸配列類似性を示すポリペプチド部分)を含有する
FBP遺伝子産物をコードする遺伝子配列であり、該対応部分は、FBP遺伝子産物の
全長にわたり平均して、示されている配列に対して約50%以上の同一性を示す。
【0046】 特定の実施形態においては、F-boxをコードする核酸は、配列番号1、3、5、23
、7、9、11、13、15、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、
51、53、55、57または59のcDNA配列、それぞれ図3B、4B、5B、6B、7B、8B、9B、
10B、11B、12B、13B、14B、15B、16B、17B、18B、19B、20B、21B、22B、23B、24
B、25B、26B、27Bまたは28Bのヌクレオチド配列もしくはそれらのコード領域、
またはF-boxタンパク質(例えば、配列番号2、4、6、24、8、10、12、14、26、2
8、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、68または60の
配列を有する又はそれぞれ図3A、4A、5A、6A、7A、8A、9A、10A、11A、12A、13A
、14A、15A、16A、17A、18A、19A、20A、21A、22A、23A、24A、25A、26A、27Aま
たは28Aに示すとおりのタンパク質)をコードする核酸を含む。
【0047】 本発明は更に、本発明のFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6またはFBP7を
コードするヌクレオチド配列(それぞれ配列番号1、3、5、7、9、11および13)
のヌクレオチド断片を提供する。そのような断片は、FBP遺伝子配列の少なくと
も8ヌクレオチド(すなわち、ハイブリダイズ可能な部分)よりなる。他の実施
形態においては、該核酸は、F-box配列の(連続した)少なくとも25ヌクレオチ
ド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチドまたは200ヌクレオチ
ド、あるいは完全長F-boxコード配列よりなる。もう1つの実施形態においては、
該核酸は、35、200または500ヌクレオチド長より小さい。核酸は一本鎖または二
本鎖でありうる。本発明はまた、前記配列にハイブリダイズ可能な又は相補的な
核酸に関する。特定の態様においては、F-box遺伝子の少なくとも10、25、50、1
00もしくは200ヌクレオチドまたは全コード領域に相補的な配列を含む核酸を提
供する。
【0048】 本発明は更に、核酸のヒトゲノムヌクレオチド配列に関する。特定の実施形態
においては、F-boxをコードする核酸は、または配列番号1、3、5、7、9、11もし
くは13のゲノム配列またはそれらのコード領域、またはFBPタンパク質(例えば
、配列番号2、4、6、8、10、12または14の配列を有するタンパク質)をコードす
る核酸を含む。本発明は、FBP遺伝子配列の少なくとも8ヌクレオチド(すなわち
、ハイブリダイズ可能な部分)よりなる精製された核酸を提供する。他の実施形
態においては、該核酸は、FBP遺伝子配列の(連続した)少なくとも25ヌクレオ
チド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチドまたは200ヌクレオ
チド、あるいは完全長FBP遺伝子コード配列よりなる。もう1つの実施形態におい
ては、該核酸は、35、200または500ヌクレオチド長より小さい。核酸は一本鎖ま
たは二本鎖でありうる。本発明はまた、前記配列にハイブリダイズ可能な又は相
補的な核酸に関する。特定の態様においては、FBP遺伝子配列の少なくとも10、2
5、50、100もしくは200ヌクレオチドまたは全コード領域に相補的な配列を含む
核酸を提供する。
【0049】 本明細書に開示するFBP遺伝子配列と共に用いる当技術分野でよく知られた分
子生物学的技術により、本明細書に開示するヒトFBPヌクレオチド配列に加えて
、他のFBP遺伝子配列を同定し容易に単離することが、過度な実験を行うことな
く可能である。例えば、配列番号1、3、5、7、9、11または13に開示するものと
同一または異なる遺伝子座の追加的なヒトFBP遺伝子配列を容易に単離すること
ができる。例えば、FBP遺伝子産物のドメインの1以上に対してかなりの相同性を
有する及びFBP遺伝子産物と機能的に等価な遺伝子産物をコードするタンパク質
をコードするヒトゲノム内の他の遺伝的または物理的位置に、遺伝子が存在しう
る。さらに、他の種において存在する相同FBP遺伝子配列を同定し、容易に単離
することができる。
【0050】 本発明のFBPヌクレオチド配列には更に、配列番号1、3、5、7、9、11または13
のFBPヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドに対して少なくとも30%、3
5%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、9
5%、98%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコー
ドするヌクレオチド配列が含まれる。
【0051】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性(%)を決定するためには、それ
らの配列を最適な比較目的のために整列(アライメント)させる(例えば、第2
のアミノまたは核酸配列に対する最適なアライメントのために第1アミノ酸また
は核酸配列の配列内にギャップを導入することができる)。ついで、対応するア
ミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを
比較する。第1配列内の位置が、第2配列内の対応位置と同じアミノ酸残基または
ヌクレオチドにより占められている場合には、それらの分子はその位置において
同一である。それらの2つの配列の間の同一性(%)は、それらの配列により共
有される同一位置の数の関数である [すなわち、同一性(%)=(同一重複位置
の数/重複位置の合計数)x 100]。1つの実施形態においては、それらの2つの配
列は同じ長さである。
【0052】 また、2つの配列間の同一性(%)の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達
成されうる。2つの配列の比較に用いる数学的アルゴリズムの好ましい非限定的
具体例としては、KarlinおよびAltschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9
0:5873-5877に記載のとおりに修飾されたKarlinおよびAltschul, 1990, Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムが挙げられる。そのようなア
ルゴリズムは、Altschulら, 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLASTおよびX
BLASTプログラムに組込まれる。本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を
得るために、NBLASTプログラム(スコア = 100、語長 = 12)でBLASTヌクレオチ
ド検索を行うことができる。本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得
るために、XBLASTプログラム(スコア = 50、語長 = 3)でBLASTタンパク質検索
を行うことができる。比較のためにギャップを含むアライメントを得るためには
、Altschulら, 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のとおりにGappe
d BLASTを用いることができる。あるいは、分子間の遠縁関係を検出する反復検
索を行うために、PSI-Blastを使用することができる(Altschulら, 1997, 前掲
)。BLAST、Gapped BLASTおよびBSI-Blastプログラムを使用する場合には、それ
ぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォールトパラメーター
を用いることができる(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。2つの
配列の比較に用いる数学的アルゴリズムのもう1つの好ましい非限定的具体例と
しては、KarlinおよびAltschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5
877に記載のとおりに修飾されたKarlinおよびAltschul, 1990, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムが挙げられる。そのようなアルゴリズ
ムは、Altschulら, 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLASTおよびXBLASTプ
ログラムに組込まれる。本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るため
に、NBLASTプログラム(スコア = 100、語長 = 12)でBLASTヌクレオチド検索を
行うことができる。本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために
、XBLASTプログラム(スコア = 50、語長 = 3)でBLASTタンパク質検索を行うこ
とができる。比較のためにギャップを含むアライメントを得るためには、Altsch
ulら, 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のとおりにGapped BLAST
を用いることができる。あるいは、分子間の遠縁関係を検出する反復検索を行う
ために、PSI-Blastを使用することができる(Altschulら, 1997, 前掲)。BLAST
、Gapped BLASTおよびBSI-Blastプログラムを使用する場合には、それぞれのプ
ログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォールトパラメーターを用いる
ことができる(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。2つの配列の比
較に用いる数学的アルゴリズムのもう1つの好ましい非限定的具体例としては、M
yersおよびMiller, 1988, CABIOS 4:11-17のアルゴリズムが挙げられる。そのよ
うなアルゴリズムは、GCG配列アライメントソフトウェアパッケージの一部であ
るALIGNプログラム(バージョン2.0)内に組込まれる。アミノ酸配列を比較する
ためにALIGNプログラムを使用する場合には、PAM120重量残余表(weight residu
e table)、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーを使用
することができる。
【0053】 2つの配列間の同一性(%)は、ギャップを許容する又は許容しない前記と同
様の技術を用いて決定することができる。同一性(%)を計算する場合には、典
型的には、厳密なマッチだけを計数する。
【0054】 本明細書に開示する配列と同じ遺伝的または物理的位置に存在するFBP遺伝子
配列の同定および単離に関しては、そのような配列は、例えば、標準的な配列決
定および細菌人工染色体(BAC)技術を用いて容易に得ることができる。
【0055】 ヒトまたは他の種(例えば、マウス)におけるFBP遺伝子ホモログのクローニ
ングに関しては、本明細書に開示されている単離されたFBP遺伝子配列を標識し
、それを使用して、関心のある生物(例えば、マウス)に由来する適当な細胞ま
たは組織(例えば、脳組識)から得られたmRNAから構築されたcDNAライブラリー
をスクリーニングすることができる。該cDNAライブラリーが、該標識配列が由来
する生物型とは異なる生物に由来する場合には、用いるハイブリダイゼーション
条件は、より低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件であるべき
である。
【0056】 あるいは、同様に適当なストリンジェンシーの条件を用いて、関心のある生物
に由来するゲノムライブラリーをスクリーニングするために、該標識断片を使用
することができる。低いストリンジェンシーの条件は、当業者によく知られてお
り、該ライブラリーおよび該標識配列が由来する具体的な生物に応じて、予測可
能に様々なものとなろう。そのような条件に関する指針については、例えば、Sa
mbrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spri
ng Harbor Press, N.Y.; およびAusbelら, 前掲を参照されたい。さらに、本明
細書に開示する任意のFBP遺伝子産物内のアミノ酸配列に基づき設計された2つの
縮重オリゴヌクレオチドプライマープールを使用するPCRを行うことにより、FBP
遺伝子ホモログを、例えばヒト核酸から単離することができる。
【0057】 該PCR産物をサブクローニングし配列決定して、該増幅配列がFBP遺伝子核酸配
列の配列を表すことを確認することができる。ついで該PCR断片を使用して、種
々の方法により完全長cDNAクローンを単離することができる。例えば、該増幅断
片を標識し、バクテリオファージDNAライブラリーのスクリーニングに使用する
ことができる。あるいは、該標識断片を使用して、ゲノムライブラリーのスクリ
ーニングによりゲノムクローンを単離することができる。
【0058】 また、完全長cDNA配列を単離するために、PCR技術を用いることができる。例
えば、適当な細胞源または組織源(すなわち、FBP遺伝子を発現することが知ら
れている又はその疑いがあるもの、例えば、生検により又は死後に得られた血液
サンプルまたは脳組識サンプル)から、標準的な方法に従いRNAを単離すること
ができる。第1鎖合成の開始のために該増幅断片の最も5'側の末端に特異的なオ
リゴヌクレオチドプライマーを使用して、RNA上で逆転写反応を行うことができ
る。ついで、得られたRNA/DNAハイブリッドを、標準的なターミナルトランスフ
ェラーゼ反応を用いてグアニンで「尾部伸長(tailed)」させ、該ハイブリッド
をRNアーゼHで消化し、ついでポリ-Cプライマーで第2鎖合成を開始させることが
できる。このようにして、該増幅断片の上流のcDNA配列を容易に単離することが
できる。用いることができるクローニング方法の総説としては、例えば、Sambro
okら(前掲)を参照されたい。
【0059】 さらにFBP遺伝子配列を使用して、突然変異FBP遺伝子対立遺伝子を同定するこ
とができる。例えば腫瘍形成に関与する又は癌を引き起こす増殖性または分化性
疾患などのFBP遺伝子疾患の症状に寄与する遺伝子型を有することが知られてい
る又はそのように提案されている個体から、そのような突然変異対立遺伝子を単
離することができる。ついで突然変異対立遺伝子および突然変異対立遺伝子産物
を、後記の治療、診断および予後系において使用することができる。また、例え
ば腫瘍形成に関与する又は癌を引き起こす増殖性または分化性疾患などのFBP疾
患に関連している可能性があるFBP遺伝子調節(例えば、プロモーター)の欠損
を検出するために、そのようなFBP遺伝子配列を使用することができる。
【0060】 一本鎖高次構造多型(SSCP)突然変異検出技術、サザンブロットおよび/また
はPCR増幅技術により、FBP対立遺伝子を同定することができる。プライマーは、
プロモーター領域を含む全FBP配列の重複領域を増幅するように常套手段により
設計することができる。1つの実施形態においては、第1コード領域が突然変異に
関してスキャンされうるようエキソン-イントロン境界を包含するようにプライ
マーを設計する。正常および罹患個体のリンパ球から単離したゲノムDNAを、PCR
鋳型として使用する。一本鎖高次構造多型(SSCP)突然変異検出技術により及び
/又は配列決定により、正常および罹患個体由来のPCR産物を比較する。SSCP分
析は以下のとおりに行うことができる。2.5M dNTP(Pharmacia)、10mM Tris-HC
l(pH8.8)、50mM KCl、1mM MgCl2、0.01%ゼラチン(最終濃度)中、10pmolの
各プライマー、0.5UのTaq DNAポリメラーゼ(Promega)、1 Ciの[32P]dCTP(NEN
; 比活性3000Ci/mmol)を加えて、100ngのゲノムDNAを10 lの反応において増幅
する。変性(94℃)、アニーリング(プライマーの融解温度に応じて56℃〜64℃
)および伸長(72℃)の30サイクルをサーマルサイクラー(MJ Research, Bosto
n, MA, USA)内で行い、ついで72℃で7分間の最終伸長を行った。2μlの該反応
混合物を0.1% SDS、10mM EDTA中で希釈し、ついで20mM NaOHを含有する配列決
定停止溶液と1:1で混合した。サンプルを95℃で5分間加熱し、氷上で3分間冷却
し、ついで3 lを、5%(v/v)グリセロールを含有する6%アクリルアミド/TBEゲル
上にローディングする。ゲルを室温で8Wで12〜15分間移動させる。増感スクリー
ン付きの-70℃のフィルムに種々の時間にわたりさらすことにより、オートラジ
オグラフィーを行う。ついで突然変異FBP遺伝子産物の機能の喪失または改変を
引き起こす突然変異を確認することができる。
【0061】 あるいは、突然変異FBP遺伝子のcDNAを、例えばPCRを用いて単離することがで
きる。この場合、突然変異FBP対立遺伝子を保持すると推定される個体において
発現されることが知られている又はその疑いのある組織から単離したmRNAにオリ
ゴ-dTオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、新たな鎖を逆転写酵素で伸長
させることにより、第1 cDNA鎖を合成することができる。ついで、正常遺伝子の
5'末端に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを使用して、該cDNAの
第2鎖を合成する。ついで、これらの2つのプライマーを使用して、該産物をPCR
により合成し、適当なベクター内にクローニングし、DNA配列分析に付す(当業
者によく知られた方法により行うことができる)。突然変異FBP対立遺伝子のDNA
配列を正常FBP対立遺伝子のDNA配列と比較することにより、該突然変異DFBP遺伝
子産物の機能の喪失または改変を引き起こす突然変異を確認することができる。
【0062】 あるいは、突然変異FBP対立遺伝子を保持する疑いのある又はそれを保持する
ことが知られている個体から得られたDNAを使用して、ゲノムライブライーを構
築することができる。あるいは、突然変異FBP対立遺伝子を発現することが知ら
れている又はその疑いのある組織由来のRNAを使用して、cDNAライブラリーを構
築することができる。ついで、損なわれていないFBP遺伝子またはその任意の適
当な断片を標識し、そのようなライブラリー中の対応突然変異FBP対立遺伝子を
同定するためのプローブとして使用することができる。ついで、当業者によく知
られた方法に従い、該突然変異FBP遺伝子配列を含有するクローンを精製し、配
列分析に付すことができる。
【0063】 また、例えば、突然変異FBP対立遺伝子を保持する疑いのある又はそれを保持
することが知られている個体において該突然変異FBP対立遺伝子を発現すること
が知られている又はその疑いのある組織から単離したRNAから合成したcDNAを使
用して、発現ライブラリーを構築することができる。このようにして、突然変異
していると推定される組織により産生された遺伝子産物を発現させ、後記第5.3
節に記載のとおりに正常なFBP遺伝子産物に対して産生させた抗体と共に標準的
な抗体スクリーニング技術を用いてスクリーニングすることができる(スクリー
ニング技術に関しては、例えば、HarlowおよびLane編, 1988, "Antibodies: A L
aboratory Manual", Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harborを参照さ
れたい)。
【0064】 FBPタンパク質の誘導体および類似体をコードする核酸ならびにアンチセンス
核酸を、前記方法により単離することができる。本発明で用いる「F-boxタンパ
ク質の断片または部分をコードする核酸」は、FBPの列挙されている断片または
部分だけをコードする核酸を意味し、連続配列としてのFBPタンパク質のその他
の連続的部分を意味しないと解釈されるものとする。
【0065】 同一または異なる種の他のFBP遺伝子核酸の間で保存された(すなわちそれに
相同な)領域を含むFBP遺伝子核酸の断片も提供する。1以上のFBPドメインをコ
ードする核酸を、前記方法により単離することができる。
【0066】 FBP突然変異が、(例えば、ミスセンスまたはフレームシフト突然変異の結果
として)変化した機能を有する発現遺伝子産物を与える場合、抗FBP遺伝子産物
抗体のポリクローナルセットは該突然変異FBP遺伝子産物と交差反応すると考え
られる。そのような標識抗体との反応により検出されたライブラリークローンを
精製し、配列分析に付すことができる(当業者によく知られた方法に従い行うこ
とができる)。
【0067】5.2 FBP遺伝子のタンパク質およびポリペプチド 図1および2に記載の並びに図3〜28のB部に記載のアミノ酸配列は、FBP遺伝子
産物を表す。FBP1遺伝子産物(本明細書中では「FBP1タンパク質」と称されるこ
とがある)には、前記第5.1節に記載のFBP1遺伝子配列にコードされる遺伝子産
物が含まれる。同様に、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、
FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP
19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25遺伝子産物(本明細書中で
はFBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、
FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FB
P22、FBP23、FBP24およびFBP25タンパク質と称される)には、FBP2、FBP3、FBP4
、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15
、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP
25遺伝子にコードされる遺伝子産物が含まれる。本発明においては、FBP遺伝子
産物をコードする核酸配列は、哺乳動物ゲノムを含む真核性ゲノムに由来する。
好ましい実施形態においては、FBP遺伝子産物をコードする核酸配列はヒトまた
はマウスゲノムに由来する。
【0068】 FBP遺伝子産物またはそのペプチド断片は、種々の用途のために製造すること
ができる。例えば、抗体の産生のために、あるいは診断および予後アッセイにお
いて、あるいはユビキチン化経路に関与しそれにより細胞周期調節および増殖性
疾患に関与する他の細胞または細胞外遺伝子産物の同定のために、そのような遺
伝子産物またはそのペプチド断片を使用することができる。
【0069】 また、本発明のFBP遺伝子産物には、機能的に等価な(定義に関しては第5.1節
を参照されたい)遺伝子産物に相当するタンパク質が含まれうる。本発明のFBP
遺伝子産物は、既に同定されている哺乳動物F-boxタンパク質Skp2、サイクリンF
、エロンガンAまたはマウスMd6(Pagano, 1997, 前掲; Zhangら, 1995, 前掲; B
aiら, 1996, 前掲; Skowyraら, 1997, 前掲を参照されたい)を含まない。
【0070】 機能的に等価なFBP遺伝子産物は、前記第5.1節に記載されているFBP遺伝子配
列にコードされるアミノ酸配列内の及び/又はそれに隣接するアミノ酸残基にお
ける欠失(内部欠失を含む)、付加(融合タンパク質を与える付加を含む)また
は置換を含有していてもよいが、それらは、機能的に等価なFBP遺伝子産物を与
える点で「サイレント」な変化を与えるものである。アミノ酸の置換は、関与す
る残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性における
類似性に基づいて行うことができる。例えば、無極性(疎水性)アミノ酸には、
アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、ト
リプトファンおよびメチオニンが含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、
セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが
含まれる。正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシンおよびヒ
スチジンが含まれる。負に荷電した(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およ
びグルタミン酸が含まれる。
【0071】 あるいは、機能を変化させたい場合には、改変したFBP遺伝子産物が産生され
るように、欠失または非同類的な改変を設計することができる。そのような改変
は、例えば、FBP遺伝子産物の生物学的機能の1以上を改変しうる。さらに、その
ような改変は、選択した宿主細胞内での発現、大規模化に、より適したFBP遺伝
子産物を産生するように選択することができる。例えば、ジスルフィド架橋を除
去するために、システイン残基を欠失させたり又は別のアミノ酸残基で置換する
ことができる。
【0072】 FBP遺伝子産物、そのペプチド断片およびその融合タンパク質は、当技術分野
においてよく知られた手法を用いる組換えDNA技術により製造することができる
。したがって、FBP遺伝子配列を含有する核酸を発現させることによる本発明のF
BP遺伝子ポリペプチド、ペプチド、融合ペプチドおよび融合ポリペプチドの製造
方法を、本明細書に記載する。FBP遺伝子産物コード配列と適当な転写・翻訳制
御シグナルとを含有する発現ベクターを構築するためには、当業者によく知られ
た方法を用いることができる。これらの方法には、例えば、in vitro組換えDNA
技術、合成技術およびin vivo遺伝子組換えが含まれる。例えば、Sambrookら(
前掲)およびAusubelら(前掲)に記載の技術を参照されたい。あるいは、FBP遺
伝子産物配列をコードしうるRNAを、例えば合成装置を使用して化学的に合成す
ることができる。例えば、"Oligonucleotide Synthesis", 1984, Gait編, IRL P
ress, Oxfordに記載の技術を参照されたい。
【0073】 本発明のFBP遺伝子コード配列を発現させるためには、種々の宿主-発現ベクタ
ー系を使用することができる。そのような宿主-発現系は、関心のあるコード配
列の産生およびそれに続く精製をもたらしうる運搬体を表すが、適当なヌクレオ
チドコード配列で形質転換またはトランスフェクトされると本発明のFBP遺伝子
産物をin situで示しうる細胞をも表す。これらには、FBP遺伝子産物コード配列
を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発
現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌(E. coli)、枯草菌(B. su
btilis))などの微生物;FBP遺伝子産物コード配列を含有する組換え酵母発現
ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);FBP遺伝子
産物コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイ
ルス)に感染した昆虫細胞系;FBP遺伝子産物コード配列を含有する組換えウイ
ルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザ
イクウイルス、TMV)に感染した又はFBP遺伝子産物コード配列を含有する組換え
プラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系
;あるいは哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネイ
ンプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノ
ウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する
組換え発現構築物を保持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、3T
3)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0074】 細菌系においては、発現されるFBP遺伝子産物に関して意図される用途に応じ
て、多数の発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、そのようなタ
ンパク質を大量生産したい場合には(例えば、FBPタンパク質の医薬組成物用、
あるいはFBPタンパク質に対する抗体の産生用)、容易に精製される高レベルの
融合タンパク質産物の発現を指令するベクターが望ましいかもしれない。そのよ
うなベクターには、大腸菌(E. coli)発現ベクターpUR278(Rutherら, 1983, E
MBO J. 2, 1791)(このベクターにおいては、FBP遺伝子産物コード配列を、lac
Zコード領域に対してインフレームでベクター内に個々に連結して、融合タンパ
ク質が産生されるようにすることができる);pIN(InouyeおよびInouye, 1985,
Nucleic Acids Res. 13, 3101-3109; Van HeekeおよびSchuster, 1989, J. Bio
l. Chem. 264, 5503-5509)などが含まれるが、これらに限定されるものではな
い。また、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質とし
て外来ポリペプチドを発現させるために、pGEXベクターを使用することができる
。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン-アガロー
スビーズに対する吸着およびそれに続く遊離グルタチオンの存在下での溶出によ
り溶解細胞から容易に精製されうる。pGEXベクターは、該クローン化標的遺伝子
産物がGST部分から遊離されるようにトロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断
部位を含むように設計する。
【0075】 昆虫系においては、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を
ベクターとして使用して、外来遺伝子を発現させる。該ウイルスはSpodoptera f
rugiperda細胞内で増殖する。FBP遺伝子コード配列を該ウイルスの非必須領域(
例えば、ポリヘドリン遺伝子)内に個々にクローニングし、AcNPVプロモーター
(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置することができる。FBP
遺伝子コード配列の挿入に成功すれば、ポリヘドリン遺伝子の不活性化および非
包埋(non-occluded)組換えウイルス(すなわち、ポリヘドリン遺伝子にコード
されるタンパク質性外皮を欠くウイルス)の産生がもたらされるであろう。つい
でこれらの組換えウイルスを使用して、Spodoptera frugiperda細胞に感染させ
、該細胞内で該挿入遺伝子を発現させる(例えば、Smithら, 1983, J. Virol. 4
6, 584; Smith, 米国特許第4,215,051号を参照されたい)。
【0076】 哺乳動物宿主細胞においては、いくつかのウイルスに基づく発現系を用いるこ
とができる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合には、関心のある
FBP遺伝子コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プ
ロモーターおよび三成分リーダー配列)に連結することができる。ついでこのキ
メラ遺伝子を、in vitroまたはin vivo組換えによりアデノウイルスゲノム内に
挿入することができる。該ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1または
E3)内への挿入によって、感染宿主内でFBP遺伝子産物を発現しうる生存可能な
組換えウイルスが生じるであろう(例えば、LoganおよびShenk, 1984, Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659を参照されたい)。また、挿入されたFBP遺伝
子産物コード配列の効率的な翻訳のためには、特異的な開始シグナルも必要かも
しれない。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。
完全なFBP遺伝子(それ自身の開始コドンおよび隣接配列を含む)を適当な発現
ベクター内に挿入する場合には、追加的な翻訳制御シグナルは不要かもしれない
。しかしながら、FBP遺伝子コード配列の一部だけを挿入する場合には、外因性
翻訳制御シグナル(これは恐らくATG開始コドンを含むであろう)を準備しなけ
ればならない。さらに、インサート全体の翻訳が保証されるよう、該開始コドン
は所望のコード配列のリーディングフレームと一致しなければならない。これら
の外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の種々の
起源に由来するものであってもよい。適当な転写エンハンサーエレメント、転写
ターミネーターなどを含有させることにより、発現効率を増加させることができ
る(Bittnerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:516-544を参照されたい)。
【0077】 また、所望の特定の様態で挿入配列の発現をモジュレートする又は該遺伝子産
物を修飾しプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産
物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切
断)は、該タンパク質の機能に重要かもしれない。種々の宿主細胞は、タンパク
質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾に特徴的かつ特異的なメカ
ニズムを有する。発現される外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングが
保証されるよう、適当な細胞系または宿主系を選択することができる。この目的
には、一次転写産物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリ
ン酸化のための細胞組織を有する真核生物宿主細胞を使用することができる。そ
のような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3
およびWI38が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0078】 組換えタンパク質の長期にわたる高収率生産のためには、安定な発現が好まし
い。例えば、FBP遺伝子産物を安定に発現する細胞系を遺伝子操作することがで
きる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用する代わりに、適当な発
現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネ
ーター、ポリアデニル化部位など)で制御されるDNA、および選択マーカーを用
いて宿主細胞を形質転換し得る。外来DNAの導入後、遺伝子操作された細胞を富
化培地中で1〜2日間増殖させ、ついで選択培地への交換を行う。該組換えプラス
ミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞が該プラスミドをそ
の染色体内に安定に組込むこと及び細胞増殖巣を形成するまで増殖することを可
能にする。そしてそれをクローニングし、細胞系にまで増殖させることができる
。この方法は、FBP遺伝子産物を発現する細胞系を遺伝子操作するために有利に
用いることができる。そのような遺伝子操作された細胞系は、FBP遺伝子産物の
内因性活性に影響を及ぼす化合物のスクリーニングおよび評価において特に有用
かもしれない。
【0079】 限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら
, 1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェ
ラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48, 2
026)およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら, 1980, Cell
22, 817)遺伝子を含むいくつかの選択系を、それぞれtk-、hgprt-またはaprt-
細胞において使用することができる。また、以下の遺伝子に関する選択の基礎と
して、代謝拮抗物質耐性を利用することができる:メトトレキセートに対する耐
性を付与するdhfr(Wiglerら,, 1980, Natl. Acad. Sci. USA 77, 3367; O'Hare
ら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 1527)、ミコフェノール酸に対す
る耐性を付与するgpt(MulliganおよびBerg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 78, 2072)、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Colberre-G
arapinら, 1981, J. Mol. Biol. 150, 1)、およびハイグロマイシンに対する耐
性を付与するhygro(Santerreら, 1984, Gene 30, 147)。
【0080】 あるいは、発現される融合タンパク質に特異的な抗体を使用することにより、
任意の融合タンパク質を容易に精製することができる。例えば、Janknechtらが
記載している系は、ヒト細胞系内で発現された非変性融合タンパク質の簡便な精
製を可能にする(Janknechtら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 8972-8
976)。この系においては、関心のある遺伝子をワクシニア組換えプラスミド内
にサブクローニングして、該遺伝子のオープンリーディングフレームを、6個の
ヒスチジン残基よりなるアミノ末端タグに翻訳的に融合させる。組換えワクシニ
アウイルスに感染した細胞からの抽出物をNi2+ニトリロ酢酸-アガロースカラム
上にローディングし、ヒスチジンタグ標識タンパク質をイミダゾール含有バッフ
ァーで選択的に溶出させる。
【0081】 また、FBP遺伝子産物をトランスジェニック動物内で発現させることも可能で
ある。任意の種の動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、小型ブタ
(micro-pig)、ヤギ、ヒツジならびにヒトではない霊長類、例えばヒヒ、サル
およびチンパンジーを含むが、これらに限定されるものではない)を用いて、FB
Pトランスジェニック動物を作出することができる。本明細書で用いる「トラン
スジェニック」なる語は、異なる種由来のFBP遺伝子配列を発現する動物(例え
ば、ヒトFBP配列を発現するマウス)、ならびに内因性(すなわち、同じ種の)F
BP配列を過剰発現するように遺伝子操作された動物、またはもはや内因性FBP遺
伝子配列を発現しないように遺伝子操作された動物(すなわち、「ノックアウト
」動物)、およびそれらの子孫を指す。
【0082】 特に、本発明は、FBP1ノックアウトマウスに関する。本発明はまた、F-boxド
メインが欠失したヒト突然変異FBP1およびSkp2遺伝子配列を発現するように遺伝
子操作されたマウスに加えて、ヒト野生型FBP1およびSkp2遺伝子配列を発現する
トランスジェニックマウスに関する。トランスジェニック動物のファウンダー(
始祖)系を得るために動物内にFBP遺伝子トランスジーンを導入するためには、
当技術分野で公知の任意の技術を用いることができる。そのような技術には、前
核マイクロインジェクション(HoppeおよびWagner, 1989, 米国特許第4,873,191
号)、生殖細胞系内へのレトロウイルス媒介遺伝子導入(Van der Puttenら, 19
85, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-6152)、胚性幹細胞における遺伝子
ターゲッティング(Thompsonら, 1989, Cell 56, 313-321)、胚のエレクトロポ
レーション(Lo, 1983, Mol. Cell. Biol. 3, 1803-1814)、および精子媒介遺
伝子導入(Lavitranoら, 1989, Cell 57, 717-723)が含まれるが、これらに限
定されるものではない(そのような技術の総説としては、Gordon, 1989, Transg
enic Animals, Intl. Rev. Cytol. 115, 171-229を参照されたい)。
【0083】 FBPトランスジーンを含有するトランスジェニック動物クローンを製造するた
めには、当技術分野で公知の任意の技術、例えば、静止するよう誘導された培養
された胚、胎児または成体の細胞由来の核の除核卵母細胞内への核導入(Campbe
llら, 1996, Nature 380, 64-66; Wilmutら, Nature 385, 810-813)を用いるこ
とができる。
【0084】 本発明は、全ての細胞内にFBPトランスジーンを保有するトランスジェニック
動物、および全てではないがいくつかの細胞内に該トランスジーンを保有する動
物(すなわち、モザイク動物)を提供する。該トランスジーンは、単一のトラン
スジーンとして又はコンカテマー(例えば、頭頭型タンデム(head-to-head tand
em)または頭尾型タンデム(head-to-tail tandem))として組込まれうる。また、
例えばLaskoら(Laskoら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6232-6236)
の教示に従い、該トランスジーンを特定の細胞型内に選択的に導入し、該細胞型
内で活性化させることができる。そのような細胞型特異的活性化に必要な調節配
列は、関心のある特定の細胞型に左右されるが、当業者には明らかであろう。FB
Pトランスジーンの組織特異的発現を指令するために使用しうる調節配列の具体
例には、膵臓腺房細胞内で活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら, 1984
, Cell 38:639-646; Ornitzら, 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol.
50:399-409; MacDonald, 1987, Hepatology 7:42S-51S)、膵臓β細胞内で活性
なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122)、リンパ
球様細胞内で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら, 1984, Cell
38:647-658; Adamsら, 1985, Nature 318:533-538; Alexanderら, 1987, Mol.
Cell. Biol. 7:1436-1444)、肝臓内で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinke
rtら, 1987, Genes and Devel. 1:268-276)、肝臓内で活性なαフェトプロテイ
ン遺伝子制御領域(Krumlaufら, 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648; Hammer
ら, 1987, Science 235:53-58)、肝臓内で活性なα1-抗トリプシン遺伝子制御
領域(Kelseyら, 1987, Genes and Devel. 1:161-171)、骨髄性細胞内で活性な
βグロビン遺伝子制御領域(Magramら, 1985, Nature 315:338-340; Kolliasら,
1986, Cell 46:89-94)、脳内の稀突起神経膠細胞内で活性なミエリン塩基性タ
ンパク質遺伝子制御領域(Readheadら, 1987, Cell 48:703-712)、骨格筋内で
活性なミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Shani, 1985, Nature 314:283-286)、
ならびに視床下部内で活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Ma
sonら, 1986, Science 234:1372-1378)が含まれるが、これらに限定されるもの
ではない。哺乳動物細胞内で増殖するウイルスのゲノムから単離したプロモータ
ー(例えば、ワクシニアウイルス7.5K、SV40、HSV、アデノウイルスMLP、MMTV、
LTRおよびCMVプロモーター)、および組換えDNAまたは合成技術により作成され
たプロモーターを使用することができる。
【0085】 FBP遺伝子トランスジーンを内因性FBP遺伝子の染色体部位内に組込むことを望
む場合には、遺伝子ターゲッティングが好ましい。簡単に説明すると、そのよう
な技術を利用しようとする場合には、内因性FBP遺伝子に相同ないくつかのヌク
レオチド配列を含有するベクターを、染色体配列との相同組換えを介した組換え
、および該内因性FBP遺伝子のヌクレオチド配列の機能の破壊のために設計する
。また、例えばGuらの教示(Guら, 1994, Science 265, 103-106)に従い、該ト
ランスジーンを特定の細胞型内に選択的に導入して、その細胞型内のみにおいて
該内因性FBP遺伝子を不活性化することができる。そのような細胞型に特異的な
不活性化に必要な調節配列は、関心のある特定の細胞型に左右されるが、当業者
には明らかであろう。
【0086】 トランスジェニック動物を作出したら、標準的な技術を用いて組換えFBP遺伝
子の発現をアッセイすることができる。該トランスジーンの組込みが生じたか否
かをアッセイするために、サザンブロット分析またはPCR技術により初期スクリ
ーニングを行って動物組織を分析し得る。また、該トランスジェニック動物の組
織内での該トランスジーンのmRNA発現のレベルを、該動物から得た組織サンプル
のノーザンブロット分析、in situハイブリダイゼーション分析およびRT-PCR(
逆転写酵素PCR)を含む(これらに限定されるものではない)技術を用いて評価
することができる。また、FBP遺伝子を発現する組織のサンプルを、該FBPトラン
スジーン産物に特異的な抗体を使用して免疫組織化学的に評価することができる
【0087】 組織特異的トランスジーンを保持するトランスジェニックマウスを使用して、
該無傷動物におけるFBP遺伝子発現の作用を試験することができる。1つの実施形
態においては、乳腺内にヒトFBP1トランスジーンを保持するトランスジェニック
マウスを使用して、マウスの乳房の発達および腫瘍形成におけるFBPの役割を評
価することができる。他の実施形態においては、ヒトFBP1ドミナントネガティブ
突然変異体(F-box欠失体)を乳腺内で過剰発現するトランスジェニックマウス
を作出することができる。特定の実施形態においては、例えば、MMTV LTRプロモ
ーター(マウス乳癌ウイルス長末端反復配列)を使用して、乳腺内の該トランス
ジーンの組込みを指令することができる。MMTV LTRプロモーターの配列をFBP1遺
伝子の最初のATGの上流にあるヌクレオチド配列に融合させることにより、MMTV/
FBP1融合遺伝子を構築することができる。また、SV40ポリアデニル化領域を、FB
P1コード領域の下流にある配列に融合させることができる。トランスジェニック
マウスは、当技術分野で公知の方法(Gordon, 1989, Transgenic Animals, Intl
. Rev. Cytol. 115, 171-229)により作出する。簡単に説明すると、未熟B6D2F1
雌マウスを過剰排卵させ、CD-1雄マウスと交配させる。翌朝、該雌マウスを膣栓
の存在に関して検査し、受精卵を回収し、それにプラスミドベクターをマイクロ
インジェクションする。約2000個の該物質のコピーを各前核内にマイクロインジ
ェクションする。脾臓からのDNAの抽出およびMMTV/FBP1をプローブとして使用す
るサザンハイブリダイゼーションにより、始祖動物のスクリーニングを行う。尾
部DNAのPCRにより、子孫のスクリーニングを行う。トランスジェニック系統を確
立したら、種々の器官においてノーザンブロットおよびRT-PCR分析により該トラ
ンスジーンの発現パターンを判定して、それを後の病理学的変化と相関させる。
【0088】 ついで、得られたトランスジェニック動物を、腫瘍形成におけるFBP遺伝子の
役割に関して検査することができる。1つの実施形態においては、例えば、乳癌
モデルとして使用するために、FBPトランスジーンを構築することができる。そ
のようなマウスにおけるFBP1遺伝子の過剰発現はβ-カテニンのユビキチン化お
よび分解を増加させ、腫瘍抑制表現型を与えると予想される。逆に、FBP1欠失突
然変異体の過剰発現は、β-カテニンの安定化をもたらし、乳腺上皮の増殖を誘
導すると予想される。例えば第5.4節、第5.5節および第7節に記載のアッセイに
より、雌および雄の両方のトランスジェニックマウスにおいて、これらの表現型
を試験することができる。
【0089】 他の特定の実施形態においては、FBP1トランスジーンをTリンパ球内で発現す
るトランスジェニックマウスを作出する。この実施形態においては、CD4陽性お
よび陰性の両方のT細胞内での発現を駆動するCD2プロモーターを、FBP遺伝子(
例えば、野生型および突然変異FBP1遺伝子)の最初のATGの上流に位置する配列
に融合させることにより、CD2/FBP1融合遺伝子を構築する。また、該構築物は、
FBP遺伝子の下流にSV40ポリアデニル化領域を含有しうる。前記のとおり、トラ
ンスジェニックマウスの作出および試験の後、FBPトランスジーンの発現を検査
する。該トランスジーンを胸腺および脾臓内で発現させる。野生型FBP1の過剰発
現は或る表現型を与えると予想される。例えば、FBP1トランスジェニックマウス
の予想される可能な表現型には、IKBαの分解の増加、NFKBの活性化の増加、ま
たは細胞増殖の増加が含まれる。逆に、F-boxドメインを欠くドミナントネガテ
ィブ突然変異体FBP1の過剰発現は反対の作用(例えば、IKBαの安定性の増加、N
FKBの活性化の減少、または細胞増殖の減少)を及ぼすと予想されうる。そのよ
うなトランスジェニック表現型は、例えば第5.4節および第5.5節に記載のアッセ
イにより試験することができる。
【0090】 他の特定の実施形態においては、トランスジェニックマウスのTリンパ球内でS
KP2遺伝子を発現させる。逆に、F-box欠失形態は、ドミナントネガティブ体とし
て作用し、p27を安定化し、T細胞活性化を抑制する。CD2/SKP2融合遺伝子の構築
およびトランスジェニックマウスの製造は、CD2/FBP融合遺伝子に関して前記し
たとおりである。ただし、この場合、FBP1 cDNAの代わりに、CD2プロモーターに
より制御される野生型および突然変異SKP2 cDNAを使用する。始祖およびそれら
の子孫を、SKP2トランスジーンおよび突然変異SKP2トランスジーンの存在および
発現に関して分析する。脾臓および胸腺内の該トランスジーンの発現を、ノーザ
ンブロットおよびRT-PCRにより分析する。
【0091】 他の特定の実施形態においては、マウスのFBP1遺伝子座の不活性化によりトラ
ンスジェニックマウスを構築する。相同組換えによるマウスのFBP1遺伝子座の不
活性化は、以下の4つの段階を含む:1)FBP1に関するターゲッティングベクター
の構築、2)ES +/-細胞の作製、3)ノックアウトマウスの製造、および4)表現
型の特性決定。マウスFBP1遺伝子を同定し単離するために、129 SVマウスゲノム
ファージライブラリーを使用する。バクテリオファージを適当な密度で平板培養
する。アガロースディッシュの表面上にナイロンメンブレンを穏やかに重層する
ことにより、プラークのパターンのインプリントを得ることができる。該プラー
クパターンの厳密なレプリカにおける毛細管作用により、バクテリオファージ粒
子およびDNAを該フィルターにトランスファーする。変性後、該DNAをベーキング
により該フィルターに結合させ、ついで32P-標識FBP1 cDNAとハイブリダイズさ
せる。過剰なプローブを洗い落とし、ついで該フィルターをオートラジオグラフ
ィーに暴露する。該フィルムを元の寒天プレートと整列させることにより同定し
たハイブリダイズプラークを、純粋なプラーク調製物を得るための二次および三
次スクリーニング用に拾う。この方法を用いて、関心のある領域(例えば、F-bo
xをコードする領域)に及ぶ陽性ファージを単離する。PCR、サザンハイブリダイ
ゼーション、制限マッピング、サブクローニングおよびDNA配列決定を用いて、
野生型FBP1遺伝子の部分構造を決定することができる。
【0092】 相同組換えによりFbp1遺伝子座を不活性化するために、Fbp1遺伝子座内のエキ
ソン3がアンチセンス配向で選択マーカー(例えば、neoR遺伝子)により置換さ
れた遺伝子ターゲッティングベクターを構築することができる。エキソン3は、F
bp1とSkp1との相互作用に重要であることが知られているF-boxモチーフをコード
する。該ターゲッティング構築物は、選択マーカー遺伝子の両端に位置する相同
な短いアームおよび長いアームを有する。該ベクターアームの一方は、効率的な
増幅が保証されるように比較的短い(2kb)。なぜなら、相同組換えESクローン
はPCRによりスクリーニングされるからである。もう一方のアームは、相同組換
えの頻度を最大にするように>6kbである。該ベクターの長い相同性アームの末端
に含まれるチミジンキナーゼ(tk)遺伝子は、該ターゲッティングベクターをラ
ンダムに組込むESクローンに対する追加的な陰性選択マーカー(ガンシクロビル
を使用する)を提供する。線状DNAを使用すると相同組換えが頻繁に生じるため
、ES細胞のトランスフェクションの前に該ターゲッティングベクターを線状化す
る。胚性幹細胞クローンのエレクトロポレーションおよび二重薬物選択の後、PC
Rおよびサザン分析を用いて、相同組換えがFBP1遺伝子座で生じたか否かを判定
する。PCRによるスクリーニングが有利である。なぜなら、この方法では、サザ
ン分析の場合より多数のコロニーを分析することができるからである。また、PC
Rスクリーニングは陰性クローンの迅速な排除を可能にし、そのため、組換え体
の同定を行う間の全クローンの供給およびそれに続く凍結を回避できる。相同組
換えの検出のためのこのPCR方法は、該ターゲッティング構築物に特異的である
が該内因性遺伝子座内に存在しない配列(例えば、ネオマイシン遺伝子または他
の選択マーカーの配列)に一方のプライマーがアニーリングし、そして該構築物
の外部であるが該内因性遺伝子座の内部の領域に他方のプライマーがアニーリン
グするように選択したプライマー対の使用に基づく。相同組換え事象(相同な短
いアームおよび相同な長いアームの両方におけるもの)が生じたこと、および該
組換え中に遺伝子重複事象が全く生じなかったことを確認するために、サザン分
析を用いる。
【0093】 そのようなFBP1ノックアウトマウスを使用して、細胞調節および増殖の制御に
おけるFbp1の役割を試験することができる。1つの実施形態においては、Fbp1を
欠損するそのようなマウスの表現型は、細胞過形成および増大した腫瘍形成であ
る。もう1つの実施形態においては、FBP1ヌルマウス表現型には、β-カテニン活
性の増加、β-カテニンの安定化、細胞増殖の増加、IK-Baの蓄積、NF-KB活性の
減少、免疫応答不全、炎症または細胞死もしくはアポトーシス活性の増加が含ま
れるが、これらに限定されるものではない。あるいは、FBP1遺伝子の欠失は胚の
致死を引き起こし得る。この場合、FBP1対立遺伝子におけるヘテロ接合マウスを
、前記アッセイを用いて試験することができ、ヌルFBPマウスの胚を、前記アッ
セイを用いて試験することができる。
【0094】 また、FBPトランスジーンを保持するトランスジェニックマウスを使用して、F
BP遺伝子の発現および/またはFBP1遺伝子もしくは遺伝子産物の合成もしくは活
性をモジュレートしうる化合物に関してスクリーニングすることができる。その
ような化合物およびスクリーニング方法は記載されている。
【0095】5.3 F-boxタンパク質およびそれらの誘導体に対する抗体の作製 本発明では、F-boxモチーフ、その断片もしくは他の誘導体またはその類似体
を免疫原として使用して、そのような免疫原に免疫特異的に結合する抗体を作製
することができる。そのような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル
抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、FabフラグメントおよびFab発現ライブラリーが
含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態においては、ヒ
トFBPタンパク質に対する抗体を製造する。他の実施形態においては、FBPのドメ
イン(例えば、F-boxドメインまたは基質結合ドメイン)に対する抗体を製造す
る。
【0096】 FBPもしくは誘導体または類似体に対するポリクローナル抗体の製造には、当
技術分野で公知の種々の方法を用いることができる。特定の実施形態においては
、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、F
BP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP
21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25の配列、またはそれらの部分配列によりコ
ードされるFBPのエピトープに対するウサギポリクローナル抗体を得ることがで
きる(Pagano, M., 1995, "From peptide to purified antibody", Cell Cycle:
Materials and Methods, M. Pagano編, Spring-Verlag. 217-281)。抗体の製
造のために、天然FBPまたはその合成体もしくは誘導体(例えば、断片)の注射
により種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、これらに限定さ
れるものではない)を免疫することができる。免疫応答を増強するために、宿主
種に応じて種々のアジュバントを使用することができる。そのようなアジュバン
トには、フロイント(完全および不完全)、無機ゲル(例えば、水酸化アルミニ
ウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール、ポ
リアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニト
ロフェノールおよび潜在的に有用なヒトアジュバント、例えばBCG(カルメット
−ゲラン杆菌(bacille Calmette-Guerin))およびコリネバクテリウム・パルバ
ム(Corynebacterium parvum)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0097】 FBP配列またはその類似体に対するモノクローナル抗体の製造には、培養物中
の連続的継代細胞系による抗体分子の産生をもたらす任意の技術を用いることが
できる。例えば、KohlerおよびMilstein(1975, Nature 256:495-497)により最
初に開発されたハイブリドーマ技術、ならびにトリオーマ技術、ヒトB細胞ハイ
ブリドーマ技術(Kozborら, 1983, Immunology Today 4:72)およびヒトモノク
ローナル抗体を産生させるためのEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら, 1985, Mono
clonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)が
挙げられる。本発明のさらなる実施形態においては、最近の技術(PCT/US90/025
45)を用いて無菌動物においてモノクローナル抗体を製造することができる。本
発明によると、ヒト抗体を使用することが可能であり、ヒトハイブリドーマを使
用することにより(Coteら, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:2026-20
30)、あるいはヒトB細胞をEBVウイルスによりin vitroで形質転換することによ
り(Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss
, pp.77-96)、ヒト抗体を得ることができる。実際、本発明では、FBPに特異的
なマウス抗体分子に由来する遺伝子と適当な生物学的活性のヒト抗体分子に由来
する遺伝子とを一緒にスプライシングさせることによる「キメラ抗体」の製造用
に開発された技術(Morrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:685
1-6855; Neubergerら, 1984, Nature 312:604-608; Takedaら, 1985, Nature 31
4:452-454)を用いることができる。そのような抗体は本発明の範囲内である。
【0098】 本発明によると、一本鎖抗体の製造に関して記載されている技術(米国特許第
4,946,778号)を、FBP特異的一本鎖抗体の製造に適合することができる。本発明
のさらなる実施形態においては、FBP、誘導体または類似体に対する所望の特異
性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ簡便な同定を可能にするF
ab発現ライブラリーの構築に関して記載されている技術(Huseら, 1989, Scienc
e 246:1275-1281)を用いる。
【0099】 抗体分子のイディオタイプを含有する抗体フラグメントを、公知技術により産
生させることができる。例えば、そのようなフラグメントには、該抗体分子のペ
プシン消化により産生されうるF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントのジ
スルフィド架橋を還元することにより産生されうるFab'フラグメント;該抗体分
子をパパインおよび還元剤で処理することにより産生されうるFabフラグメント
;およびFvフラグメントが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0100】 抗体の製造においては、当技術分野で公知の技術、例えばELISA(酵素結合免
疫吸着アッセイ)により、所望の抗体に関するスクリーニングを行うことができ
る。例えば、FBPの特異的ドメインを認識する抗体を選択するために、そのよう
なドメインを含有するFBP断片に結合する産物に関して、産生したハイブリドー
マをアッセイすることができる。第1 FBP相同体には特異的に結合するが異なるF
BP相同体には特異的に結合しない抗体を選択する場合には、第1 FBP相同体に対
する陽性結合と、第2 FBP相同体に対する結合の欠如とに基づいて、選択を行う
ことができる。
【0101】 FBPのドメイン(例えば、F-boxモチーフ)に特異的な抗体も提供する。
【0102】 前記の抗体は、本発明のFBP配列の局在化および活性に関する当技術分野で公
知の方法、例えば、これらのタンパク質のイメージング、適当な生理的サンプル
中のそのレベルの測定などのための方法、診断方法などにおいて使用することが
できる。
【0103】 本発明の他の実施形態(後記を参照されたい)においては、該結合ドメインを
含有する抗FBP抗体およびそのフラグメントを治療剤として使用する。
【0104】5.4 F-boxタンパク質と相互作用する及び/又はそれらの酵素活性を妨害する薬 物の同定のためのスクリーニングアッセイ FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、F
BP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP
21、FBP22、FBP23、FBP24およびFBP25を含むユビキチンリガーゼ複合体の新規成
分は、細胞タンパク質と相互作用して、細胞増殖を調節する。本発明の1つの態
様は、該新規ユビキチンリガーゼと相互作用するポリペプチドもしくはペプチド
または他の化合物(例えば、ユビキチンリガーゼ活性の潜在的基質)を同定する
ために該新規成分の断片、誘導体および類似体をアッセイおよびスクリーニング
するための方法を提供する。本発明はまた、該新規FBPと他のサブユニットまた
は多数のユビキチンリガーゼ複合体(例えば、Skp1)またはユビキチン化酵素(
該新規FBPと相互作用するもの)との相互作用をモジュレートまたは抑制する化
合物を同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。
【0105】 さらに他の実施形態においては、該新規ユビキチンリガーゼまたは該ユビキチ
ンリガーゼ複合体の公知成分(例えば、Skp1)と、新規または公知基質との相互
作用を抑制またはモジュレートするポリペプチドまたはペプチドまたは他の化合
物を同定するために、本発明のアッセイを用いることができる。1つの具体例に
おいては(これに限定されるものではない)、公知ユビキチンリガーゼ成分Skp2
とその新規基質p27との相互作用を妨害するペプチドまたはタンパク質を同定す
るために、本明細書に記載のスクリーニングアッセイを用いることができる。他
の例においては、FBP1とその新規基質β-カテニンとの相互作用を妨害する化合
物を、該スクリーニングアッセイを用いて同定する。他の例においては、Skp2と
別の推定基質E2Fとの相互作用を妨害する化合物を、該スクリーニングアッセイ
を用いて同定する。更に他の例においては、FBP1と別の推定基質IKBαとの相互
作用を妨害する化合物を、該スクリーニングアッセイを用いて同定する。
【0106】 さらに他の実施形態においては、該新規FBPの酵素アクチベーターを抑制また
は活性化するポリペプチドまたはペプチドを同定するために、本発明のアッセイ
を用いることができる。
【0107】5.4.1 タンパク質-タンパク質相互作用についてのアッセイ 本発明のユビキチンリガーゼ複合体の新規成分と相互作用するタンパク質誘導
体、類似体および断片を、酵母ツーハイブリッドアッセイ系(FieldsおよびSong
, 1989, Nature 340:245-246ならびに米国特許第5,283,173号)により同定する
ことができる。該相互作用は酵母内でスクリーニングされるため、この系内で検
出される分子間タンパク質相互作用は、哺乳動物細胞内の条件を模擬した生理学
的条件下で生じる(Chienら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88:9578-9
581)。
【0108】 改良された酵母ツーハイブリッド系による相互作用タンパク質の同定は、転写
調節因子の再構成(該転写調節因子の半分にそれぞれが融合した2つのタンパク
質の相互作用によるもの)に依存して転写されるレポーター遺伝子の発現の検出
に基づく。「ベイト(bait)」(すなわち、本発明のユビキチンリガーゼ複合体の
新規成分またはその誘導体もしくは類似体)および「プレイ(prey)」(該ベイト
と相互作用する能力に関して試験すべきタンパク質)タンパク質を、それぞれDN
A結合ドメインに対する及び転写調節ドメインに対する(またはその逆)融合タ
ンパク質として発現させる。種々の特定の実施形態においては、該プレイは、少
なくとも約50、約100、約500、約1,000、約5,000、約10,000または約50,000のコ
ンプレキシティーを有するか、あるいは約25〜約100,000、約100〜約100,000、
約50,000〜約100,000、または約100,000〜約500,000の範囲内のコンプレキシテ
ィーを有する。例えば、該プレイ集団は、あるタンパク質の突然変異体をコード
する1つ以上の核酸(例えば、ヌクレオチド配列内の部位特異的突然変異誘発ま
たは別の突然変異作製方法により作製されるもの)であってもよい。好ましくは
、該プレイ集団は、DNA(例えば、cDNAもしくはゲノムDNAまたは合成により製造
されたDNA)によりコードされるタンパク質である。例えば、mRNA由来のcDNAの
集団の未特性決定サンプルからのcDNA配列を含むキメラ遺伝子から、該集団を発
現させることができる。
【0109】 特定の実施形態においては、ランダムペプチドを発現する組換え生物学的ライ
ブラリーをプレイ核酸源として使用することができる。
【0110】 一般に、該ベイトおよびプレイ集団のタンパク質は、予備選択された配列に隣
接する各タンパク質を含む(好ましくはキメラコード配列の組換え発現による)
融合(キメラ)タンパク質として提供される。一方の集団において、予備選択配
列はDNA結合ドメインである。該DNA結合ドメインは、プロモーター内のDNA配列
を特異的に認識する限りあらゆるDNA結合ドメインであってよい。例えば、該DNA
結合ドメインは、転写アクチベーターまたはインヒビターのものである。他方の
集団においては、予備選択配列は、転写アクチベーターまたはインヒビターのそ
れぞれアクチベーターまたはインヒビタードメインである。該調節ドメイン単独
(タンパク質配列との融合体ではない)および該DNA結合ドメイン単独(タンパ
ク質配列との融合体ではない)は、好ましくは、検出可能な形では相互作用しな
い(該アッセイにおける偽陽性を避けるためである)。該アッセイ系は更に、転
写アクチベーター(またはインヒビター)のDNA結合ドメインの結合部位を含有
するプロモーターに機能しうる形で連結されたレポーター遺伝子を含む。したが
って、本発明のこの方法においては、プレイ融合タンパク質に対するユビキチン
リガーゼ融合タンパク質の結合は、該レポーター遺伝子の発現を活性化(または
抑制)する転写アクチベーター(またはインヒビター)の再構成をもたらす。
【0111】 該レポーター遺伝子ヌクレオチド配列に機能しうる形で連結されたプロモータ
ーは、該ヌクレオチド配列の天然または非天然プロモーターであってよく、該融
合タンパク質のDNA結合ドメイン部分により認識されるDNA結合部位は、該プロモ
ーターに固有のものであっても(該プロモーターが、通常、そのような結合部位
を含有する場合)、固有でないものであってもよい。
【0112】 あるいは、所望の遺伝子の転写活性化結合部位を欠失させ、GAL4結合部位で置
換することができる(Bartelら, 1993, BioTechniques 14:920-924; Chasmanら,
1989, Mol. Cell. Biol. 9:4746-4749)。該レポーター遺伝子は、好ましくは
、特異的相互作用の存在に応答して細胞内でオンまたはオフとなるように転写ア
クチベーターにより調節されて発現される検出可能または選択可能なマーカーを
コードする配列を含有する。好ましくは、転写アクチベーターのバックグラウン
ドレベルの不存在下(例えば、突然変異体である細胞内、または転写アクチベー
ターを欠損する細胞内)で、該アッセイを行うことができる。
【0113】 該アッセイにおいて使用する活性化ドメインおよびDNA結合ドメインは、多種
多様な転写アクチベータータンパク質に由来するものであってもよい。ただし、
これらの転写アクチベーターは、分離可能な結合ドメインおよび転写活性化ドメ
インを有していなければならない。例えば、S.セレビシエ(S. cerevisiae)のGAL
4タンパク質(Maら, 1987, Cell 48:847-853)、S.セレビシエ(S. cerevisiae)
のGCN4タンパク質(Hope & Struhl, 1986, Cell 46:885-894)、S.セレビシエ(
S. cerevisiae)のARD1タンパク質(Thukralら, 1989, Mol. Cell. Biol. 9:2360
-2369)、およびヒトエストロゲン受容体(Kumarら, 1987, Cell 51:941-951)
は、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ドメインを有する。該融合タンパ
ク質において用いられるDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、同一の転写
アクチベーターに由来する必要はない。特定の実施形態においては、GAL4または
LEXA DNA結合ドメインを使用する。他の特定の実施形態においては、GAL4または
単純ヘルペスウイルスVP16(Triezenbergら, 1988, Genes Dev. 2:730-742)活
性化ドメインを使用する。特定の実施形態においては、GAL4のアミノ酸1〜147(
Maら, 1987, Cell 48:847-853; Ptashneら, 1990, Nature 346:329-331)がDNA
結合ドメインであり、VP16のアミノ酸411〜455(Triezenbergら, 1988, Genes D
ev. 2:730-742; Cressら, 1991, Science 251:87-90)が活性化ドメインを含む
【0114】 好ましい実施形態においては、酵母転写因子GAL4がタンパク質-タンパク質相
互作用により再構成され、該宿主株はGAL4に関する突然変異体である。他の実施
形態においては、DNA結合ドメインがAce1Nおよび/または活性化ドメインがAce1
(それぞれ、Ace1タンパク質のDNA結合ドメインおよび活性化ドメイン)である
。Ace1は、二価銅の存在下でCUP1オペロンからの転写を活性化する酵母タンパク
質である。CUP1は、銅をキレート化するメタロチオネインをコードし、CUP1タン
パク質の発現は、それが生じなければ宿主細胞に対し毒性である銅の存在下での
増殖を可能にする。また、レポーター遺伝子は、再構成されたAce1N転写アクチ
ベーターの結合に際して酵素β-ガラクトシダーゼ(これは通常の色素産生アッ
セイにより検出可能である)を発現するCUP1-lacZ融合体であってもよい(Chaud
huriら, 1995, FEBS Letters 357:221-226を参照されたい)。他の特定の実施形
態においては、ヒトエストロゲン受容体のDNA結合ドメインを使用し、レポータ
ー遺伝子は、1個または3個のエストロゲン受容体応答エレメントにより駆動され
る(Le Douarinら, 1995, Nucl. Acids. Res. 23:876-878)。DNA結合ドメイン
および転写アクチベーター/インヒビタードメインはそれぞれ、好ましくは、該
融合タンパク質を発現させようとする細胞内で機能的である核局在化シグナル(
Ylikomiら, 1992, EMBO J. 11:3681-3694, DingwallおよびLaskey, 1991, TIBS
16:479-481を参照されたい)を有する。
【0115】 コードされるタンパク質の単離を促進するために、融合構築物は更に、アフィ
ニティータグ、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼもしくはマルトース
結合タンパク質または利用可能な抗体のエピトープをコードする配列を、アフィ
ニティー精製(例えば、それぞれグルタチオン、マルトース、または該エピトー
プに特異的な特定の抗体に対する結合)用に含有していてもよい(Allenら, 199
5, TIBS 20:511-516)。他の実施形態においては、該融合構築物は更に、細菌細
胞内での融合タンパク質の組換え生産用の細菌プロモーター配列を含む。
【0116】 相互作用アッセイが行われる宿主細胞は、レポーター遺伝子の転写が起こり、
そしてそれを検出しうる任意の原核性または真核性細胞であってよく、哺乳動物
(例えば、サル、マウス、ラット、ヒト、ウシ)細胞、ニワトリ、細菌または昆
虫細胞を含み(これらに限定されるものではない)、好ましくは酵母細胞である
。結合ドメイン融合タンパク質、転写活性化ドメイン融合タンパク質およびレポ
ーター遺伝子産物をコードしそれらを発現しうる発現構築物は、該発現構築物を
含有する細胞の接合により又は細胞融合、形質転換、エレクトロポレーション、
マイクロインジェクションなどにより、宿主細胞内に与えられる。
【0117】 酵母内での2つの融合タンパク質集団の発現のための種々のベクターおよび宿
主株が公知であり、使用可能である(例えば、米国特許第5,1468,614号; Bartel
ら, 1993, "Using the two-hybrid system to detect protein-protein interac
tions", Cellular Interactions in Development, Hartley編, Practical Appro
ach Series xviii, IRL Press at Oxford University Press, New York, NY, pp
.153-179; FieldsおよびSternglanz, 1994, Trends In Genetics 10:286-292を
参照されたい)。
【0118】 内因性レポーター遺伝子活性を欠損していない場合には、該レポーター遺伝子
において変異している細胞を公知方法により選択したり、あるいは該細胞を公知
の遺伝子破壊方法により標的レポーター遺伝子において突然変異させた後、該レ
ポーター遺伝子を導入することができる(Rothstein, 1983, Meth. Enzymol. 10
1:202-211)。
【0119】 特定の実施形態においては、種々の融合タンパク質集団をコードするプラスミ
ドを、1以上のレポーター遺伝子を含有する単一の宿主細胞(例えば、一倍体酵
母細胞)内に共形質転換により同時に導入して、タンパク質-タンパク質相互作
用に関するアッセイを行うことができる。あるいは、好ましくは、それらの2つ
の融合タンパク質集団を、接合(例えば、酵母細胞の場合)または細胞融合(例
えば、哺乳動物細胞の場合)により、単一の細胞内に導入する。接合型アッセイ
においては、それぞれ結合ドメイン融合発現構築物(好ましくはプラスミド)と
活性化(またはインヒビター)ドメイン融合発現構築物(好ましくはプラスミド
)とを用いて形質転換された反対の接合型の一倍体酵母細胞の接合が、両方の構
築物を同じ二倍体細胞内に送達するであろう。酵母株の接合型は、HO遺伝子によ
る形質転換により遺伝子操作することができる(HerskowitzおよびJensen, 1991
, Meth. Enzymol. 194:132-146)。
【0120】 好ましい実施形態においては、2つの異なる型の宿主細胞である酵母サッカロ
ミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)a型株およびα型株を使用し
て、酵母相互作用接合アッセイを行う。該宿主細胞は、好ましくは、少なくとも
2つのレポーター遺伝子(それらは各々、例えば転写アクチベーターのDNA結合ド
メインに対する1以上の結合部位を有する)を含有する。該アクチベータードメ
インおよびDNA結合ドメインは、それらの2つの対応するタンパク質集団から生成
したキメラタンパク質の各部分である。宿主細胞の1つの株(例えば、a株)は、
ヌクレオチド配列のライブラリーとGAL4などの転写アクチベーターのDNA結合ド
メインとの融合体を含有する。この宿主細胞の組において発現されたハイブリッ
ドタンパク質は、該レポーター遺伝子構築物内のプロモーターまたはエンハンサ
ー領域内のDNA結合部位を認識しうる。第2の酵母宿主細胞組(例えば、α株)は
、転写アクチベーターの活性化ドメインに融合したDNA配列のライブラリーの融
合体をコードするヌクレオチド配列を含有する。
【0121】 他の実施形態においては、該融合構築物を相同組換えにより酵母染色体内に直
接導入する。これらの目的のための相同組換えは、酵母の栄養増殖に必須ではな
い酵母配列(例えば、MER2、MER1、ZIPI、REC102またはME14遺伝子)により媒介
される。
【0122】 また、バクテリオファージベクターを使用して、DNA結合ドメインおよび/ま
たは活性化ドメイン融合タンパク質を発現させることができる。ライブラリーは
、一般には、プラスミドベクターからの場合よりバクテリオファージベクターか
らの場合の方が、より迅速かつ簡便に調製されうる。
【0123】 特定の実施形態においては、本発明は、1以上のタンパク質-タンパク質相互作
用を検出する方法を提供する。該方法は、(a)本発明の新規ユビキチンリガー
ゼ成分またはその誘導体もしくは類似体を、酵母細胞(第1接合型のものであり
、本発明の新規ユビキチンリガーゼ成分の配列とDNA結合ドメインとを含有する
第1融合タンパク質を含む)の第1集団内で組換え的に発現させ [前記の酵母細胞
の第1集団は、該DNA結合ドメインにより認識される1つ以上のDNA結合部位により
駆動されるプロモーターに機能しうる形で連結された第1ヌクレオチド配列を含
有し、第1融合タンパク質と第2融合タンパク質(該第2融合タンパク質は転写活
性化ドメインを含む)との相互作用が第1ヌクレオチド配列の転写の増加をもた
らす]、(b)第1ヌクレオチド配列の前記転写の増加が第2融合タンパク質の不存
在下で生じる第1集団内の酵母細胞を排除するために陰性選択を行い、(c)複数
の第2融合タンパク質(各第2融合タンパク質はタンパク質の断片、誘導体または
類似体の配列と転写アクチベーターの活性化ドメインとを含み、該活性化ドメイ
ンは、前記の各第2融合タンパク質において同一である)を、第1接合型とは異な
る第2接合型の酵母細胞の第2集団内で組換え的に発現させ、(d)前記の酵母細
胞の第1集団を前記の酵母細胞の第2集団と接合させて、二倍体酵母細胞の第3集
団を生成させ(二倍体酵母細胞の第3集団は、該DNA結合ドメインにより認識され
るDNA結合部位により駆動されるプロモーターに機能しうる形で連結された第2ヌ
クレオチド配列を含有し、第1融合タンパク質と第2融合タンパク質との相互作用
が第2ヌクレオチド配列の転写の増加を引き起こし、第1および第2ヌクレオチド
配列は同一または異なっていてもよい)、そして(e)第1および/または第2ヌ
クレオチド配列の前記の転写の増加を検出して、第1融合タンパク質と第2融合タ
ンパク質との相互作用を検出することを含む。
【0124】5.4.2 F-boxタンパク質と、潜在的基質などの既知のタンパク質との相互作用を 同定するアッセイ サイクリンファミリーメンバーやCki抑制タンパク質などの細胞周期調節タン
パク質の細胞内の量はユビキチン経路により調節されている。哺乳動物の細胞周
期調節のユビキチン化に関与する酵素は知られていない。酵母では、SCF複合体
は細胞周期調節因子のユビキチンリガーゼを示す。本発明の新規F-boxタンパク
質などのユビキチンリガーゼ複合体のF-box成分は、ユビキチンリガーゼ複合体
の標的の特異性を決定する。そこで本発明は、F-boxタンパク質核酸、タンパク
質または誘導体への特異的な結合について既知の分子を、結合を誘導するような
条件下でスクリーニングするアッセイを提供し、それによりFBPタンパク質に特
異的に結合する分子が同定される。
【0125】 特定の実施形態において、本発明はF-boxタンパク質であるFBP1とCul1/Skp1複
合体との相互作用、およびそれがβ-カテニンの安定性を調節するのに果たす役
割を調べる方法を提供する。タンパク質間の相互作用は、第8節の実験において
詳しく記載されたように、これらのタンパク質に特異的な抗体を用いてin vivo
およびin vitroで検出しうる。
【0126】 その他の特定の実施形態において、本発明は、F-boxタンパク質であるSkp2と
細胞周期の進行に関与する転写因子であるE2F-1との相互作用を検出する方法を
提供する。昆虫細胞をSkp2およびE2F-1を共発現するバキュロウイルスにより感
染させ、細胞抽出物を調製してタンパク質−タンパク質相互作用に関して分析し
うる。第7節で詳細に記載されたように、このアッセイはSkp2などの既知のF-bo
xタンパク質に対する潜在的な標的(E2Fなど)を同定するのに用いられて成功し
ている。このアッセイを用いて、Skp2のその他の標的、ならびに新規なF-boxタ
ンパク質の標的も同定しうる。
【0127】 その他の特定の実施形態において、Skp2と細胞周期調節サイクリン依存性キナ
ーゼ(Cdk)インヒビターであるp27との相互作用を検出する方法が提供される。Sk
p2とp27との相互作用を、p27のような細胞周期調節因子との相互作用を含むSkp2
活性のモジュレーターを同定するためにターゲッティングし得る。P27などのSkp
2特異的基質のユビキチン化は、Skp2活性をモジュレートする試験化合物の能力
を測定する手段として用いうる。本発明のスクリーニングアッセイのその他の実
施形態において、第9節に記載の免疫枯渇アッセイ(immunodepletion assay)
を用いて、Skp2/p27相互作用のモジュレーターを同定しうる。特に第9節では、
p27を基質として用いて、in vitroでユビキチン化活性を検出する方法を記載し
ており、それはp27のSkp2依存性ユビキチン化のモジュレーターを同定するため
にも用いうる。本発明のスクリーニングアッセイのその他の実施形態において、
第5.7.1.節に記載のように、アンチセンスオリゴヌクレオチドをSkp2活性のイン
ヒビターとして用いうる。p27のユビキチン化/分解、およびSkp2/p27相互作用
について同定されたそのようなモジュレーターは、抗癌治療において有用であり
うる。
【0128】 本発明は、ユビキチンリガーゼ活性化の成分の1つとして新規F-boxタンパク
質(またはその断片)を有するユビキチンリガーゼ複合体を、ユビキチン化の潜
在的基質として既知の細胞周期調節分子を用いてスクリーニングする方法を更に
提供する。例えばFBP核酸を発現するように遺伝子操作された細胞を用いて、推
定ユビキチン−リガーゼ基質分子も発現する細胞中に、野生型またはドミナント
ネガティブ突然変異体のどちらかのFBPタンパク質を組換え的に生産しうる。本
発明の新規FBPの基質となりうる候補は、IKBα、β-カテニン、myc、E2F-1、p27
、p21、サイクリンA、サイクリンB、cycD1、サイクリンEおよびp53などの潜在的
基質が含まれるが、これらに限定されない。次にその抽出物を使用して、F-box
タンパク質とそれらの基質との結合を試験したり(ウェスタンブロットイムノア
ッセイによる)、FBPの存在により潜在的基質のレベルが増加または減少するか
どうかを試験し得る。
【0129】5.5 F-boxタンパク質の活性をモジュレートする化合物を同定するアッセイ 本発明は、以下の小節に記載のin vitroおよびin vivoアッセイ系に関し、そ
れを用いて既知のFBPと、新規基質およびユビキチンリガーゼ複合体の新規成分
との相互作用をモジュレートする化合物または組成物を同定しうる。本発明のス
クリーニングアッセイは、新規なFBPと、それらの同定された基質およびユビキ
チンリガーゼ複合体の成分との相互作用をモジュレートする化合物または組成物
を同定するためにも用いうる。
【0130】 FBPの発現および活性を破壊または調節する能力について、潜在的試薬をスク
リーニングする方法は、新規なFBP、該FBPとユビキチンリガーゼ複合体のその他
の成分との相互作用、ならびに既知FBPおよび潜在的基質に関する本出願人の発
見に基づいて設計しうる。例えば候補となりうる化合物は、FBPとSkp1の相互作
用、またはSkp2とE2F-1、Skp2とp27、またはFBP1/Cul1/Skp1複合体とβ-カテニ
ンとの特異的相互作用をモジュレートする能力についてスクリーニングされうる
。原則的に、当業者に既知の方法の多くは、本発明のアッセイの設計に容易に適
合しうるものである。
【0131】 本発明のスクリーニングアッセイは、FBPの発現および活性のモジュレーター
を同定する、高効率スクリーニングおよびアッセイも包含する。本実施形態に従
って、以下に記載の系はキットに調合することができる。その目的で、FBP、な
らびにユビキチンリガーゼ複合体およびユビキチン化の経路の成分を発現する細
胞、またはその細胞溶解物は、バイアル、チューブ、マイクロタイターウェルプ
レート、ビンなど、多様な容器に充填しうる。その他の試薬(例えば、陽性対照
サンプル、陰性対照サンプル、バッファー、細胞培養培地など)は別の容器に入
れてキットと共に提供しうる。
【0132】 本発明は、FBP遺伝子およびその遺伝子産物に結合するか、そうでなければ直
接相互作用するタンパク質およびその他の化合物の同定に有用なスクリーニング
方法を提供する。スクリーニング方法は当技術分野でよく知られている(例えば
1996年10月31日発行のPCT国際公開番号WO 96/34099号を参照。これはその全文を
参照により本明細書中に組み入れる。)該タンパク質および化合物は、同定され
た遺伝子およびタンパク質とin vivoで相互作用して医薬的および治療的な介入
の新たなターゲットを提供しうる内因性細胞成分、ならびに結合能力を有するた
めに医薬剤の候補となりうる組換え、合成、その他には外因性化合物を含む。こ
のように、一連の実施形態において、細胞溶解物または組織のホモジェネートを
、正常なまたは突然変異体のFBP遺伝子およびFBPタンパク質の1つに結合するタ
ンパク質またはその他の化合物についてスクリーニングしうる。
【0133】 あるいは、任意の天然に存在するおよび/または合成による多様な外因性化合
物(例えば、小分子またはペプチドのライブラリーなど)を結合能力ついてスク
リーニングしてもよい。これらの方法はすべて、FBPタンパク質または断片を試
験化合物と混合し、結合が起こるように時間を置いて、結合した複合体について
アッセイするというステップを含む。そのような方法はすべて、実質的に純粋な
FBPタンパク質、実質的に純粋な機能的ドメインの断片、融合タンパク質、抗体
、およびそれらの作成方法および使用方法についての本発明の開示により可能と
なる。
【0134】5.5.1. F-boxタンパク質アゴニストおよびアンタゴニストについてのアッセイ FBP核酸、F-boxタンパク質および誘導体をスクリーニングアッセイに用いて、
FBP核酸、タンパク質または誘導体に特異的に結合し、それゆえFBPのアゴニスト
またはアンタゴニストとしての潜在的用途を有する分子、特に細胞増殖に影響を
及ぼす分子を検出しうる。好ましい実施形態において、そのようなアッセイをお
こなって、抗癌剤または薬剤開発のリード化合物として潜在的有用性を有する分
子をスクリーニングする。従って本発明は、FBP核酸、タンパク質、または誘導
体に特異的に結合する分子を検出するアッセイを提供する。例えば、FBP核酸を
発現する組換え細胞を用いて、これらのアッセイにおいてFBPタンパク質を組換
え的に生産し、FBPタンパク質に結合する分子についてスクリーニングしうる。
同様の方法を用いて、FBP誘導体または核酸に結合する分子についてスクリーニ
ングしうる。以上のことを行うために用いうる方法は、当技術分野で一般的に知
られている。本発明のアッセイは、まず小規模(すなわち試験管で)最適化した
後、高効率のアッセイに拡大しうる。本発明のスクリーニングアッセイは、細胞
溶解物または精製成分を用いてin vitro、すなわち試験管で行いうる。本発明の
スクリーニングアッセイは、培養物中の無傷細胞および動物モデルにおいても行
いうる。本発明に従って、本明細書に記載されたようにFBPの活性をin vitroで
モジュレートすることが示されている試験化合物を、培養細胞および動物モデル
などのin vivoで更にアッセイして、該試験化合物がin vivoでも同様の作用を有
するか否か、また該試験化合物が細胞周期の進行、正/負のレギュレーターの蓄
積または分解、細胞増殖などに及ぼす作用を判定する。
【0135】 本発明に従って、スクリーニングアッセイを、新規なF-boxタンパク質の活性
のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する分子を検出するように設計し
うる。本発明のこの態様に従って、試験化合物をアッセイ系に添加して、新規FB
Pの活性、すなわち基質のユビキチン化、ユビキチンリガーゼ複合体のその他の
成分との相互作用などに及ぼす影響を測定しうる。これらのアッセイは、該試験
化合物の存在下および不在下の両方において実施するものとする。
【0136】 本発明に従って、試験化合物の存在下または不在下での新規FBPのユビキチン
化活性は、ユビキチン化経路の精製成分を用いてin vitroで測定してもよいし、
または組織培養細胞もしくは組織サンプルから得られた粗細胞抽出物を用いて測
定してもよい。本発明の態様のその他の実施形態において、スクリーニングは、
ウサギ網状赤血球溶解液(RRL)系などのin vitro翻訳系に試験薬物を添加した後
、確立されている分析法を行うことによって実施し得る。その他の代替法として
、上述の方法によって互いに相互作用することが測定された、精製された成分ま
たは部分的に精製された成分を、試験薬物を添加して/添加せずに、それらの相
互作用が自然に起こるような条件下に置いて、既に確立されている相互作用を分
析する手順で該試験薬物の影響を評価しうる。このアプローチにおいては、精製
された成分または部分的に精製された成分を、ユビキチンリガーゼ複合体および
ユビキチン経路の成分を発現する細胞の抽出物の画分化により調製するか、また
はクローン化遺伝子、cDNAまたはその断片の発現により得ることができ、その後
発現された物質は場合により精製してもよい。
【0137】 in vitroの選択方法が広範囲であるなかで、数種類の方法が試験薬物のスクリ
ーニングに特に有利および/または有用であると思われる。それらは、2個以上
のユビキチンリガーゼ複合体成分の結合相互作用または標的となる基質との相互
作用を測定する方法、相互作用する成分の1つである酵素の活性を測定する方法
、ならびに「レポーター」タンパク質、すなわち1種の成分の制御下に置かれた
酵素またはその他の検出もしくは選択可能なタンパク質の活性または発現を測定
する方法などであるが、それらに限定されない。
【0138】 2個以上の成分同士の結合相互作用は、多様な方法で測定しうる。1つのアプ
ローチとしては、容易に検出できる標識で成分の1種を標識し、それをその他の
成分(1種または複数種)と共に、それらが自然に相互作用するような条件下に
おいて、結合した標識成分を未結合標識成分から分離するステップを行い、その
後結合成分の量を測定することである。結合反応での試験薬物の影響は、該薬物
の存在下で結合する標識成分の量と、該薬物の不在下で結合する量とを比較する
ことにより測定しうる。
【0139】 その他の実施形態において、スクリーニングは、ライブラリーメンバーと固相
に固定されたFBPタンパク質(または核酸もしくは誘導体)とを接触させ、該タ
ンパク質(または核酸もしくは誘導体)に結合するライブラリーメンバーを回収
することにより行いうる。「パニング(panning)」技術という、このようなス
クリーニング方法の例が、Parmley & Smith, 1988, Gene 73:305-318; Fowlkes
ら, 1992, BioTechniques 13:422-427; PCT公開番号 WO 94/18318号; および先
に引用した文献において例示として記載されている。
【0140】 その他の実施形態において、相互作用するタンパク質またはペプチドを酵母に
おいて選択するツーハイブリッド系(Fields & Song, 1989, Nature 340:245-24
6; Chienら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9578-9582)を用いて、FBP
タンパク質または誘導体に特異的に結合する分子を同定しうる。
【0141】 あるいは試験方法は、標的基質のユビキチン化などの酵素活性の測定法に依存
してもよい。新規FBPの基質が同定されるか、または既知FBPの新規な推定基質(
Skp2、E2Fおよびp27の新規基質など)が同定されたら、これらの成分を、ユビキ
チンリガーゼ複合体のユビキチンリガーゼ活性に対する試験化合物の作用を判定
するためのアッセイで使用することが可能である。
【0142】 一実施形態においては、スクリーニングアッセイは、試験化合物の存在下およ
び不在下において精製系と共に実施し得る。精製された基質を、試験化合物の存
在下または不在下において、精製されたユビキチンリガーゼ複合体、ユビキチン
結合酵素、ユビキチン活性化酵素、およびユビキチンと共にインキュベートする
。基質のユビキチン化はイムノアッセイにより分析する(Paganoら、1995, Scie
nce 269: 682-685参照)。簡単に説明すると、50mM Tris pH7.5、5mM MgCl2、2m
M ATPγ-S、0.1mM DTT、および5μMビオチニル化ユビキチン中に50〜200ngのタ
ンパク質を含む反応溶液中で基質のユビキチン化をin vitroで実施し得る。全反
応溶液(30μl)を試験化合物の存在下または不在下で25℃にて最高3時間インキ
ュベートし、次に分析のために8%SDSゲルまたは4〜20%の勾配ゲル上にローディ
ングする。該ゲルを泳動させ、タンパク質を電気泳動によりニトロセルロースに
トランスファーする。基質のユビキチン化はイムノブロッティングにより検出し
得る。ユビキチン化基質は、エクストラアビジン(Extravidin)‐HRP(Sigma)を
用いて、または基質特異的抗体、およびECL検出系(NEN)を用いることにより可
視化し得る。
【0143】 他の実施形態においては、基質のユビキチン化を、試験化合物の存在下および
不在下にて無傷の培養細胞または動物モデルにおいてアッセイし得る。例えば、
試験化合物を動物モデル、または動物組織サンプルから得た粗抽出物、に直接投
与して、試験化合物の存在下および不在下における基質のユビキチン化を測定し
得る。これらのアッセイについて、試験化合物を添加する宿主細胞を遺伝子工学
的に操作して、ユビキチンリガーゼ経路および標的基質のFBP成分を発現させ得
る。その場合の発現は、一過性、誘導性もしくは構成的、または安定であり得る
。本発明のスクリーニング方法のために、多種多様な宿主細胞を使用することが
でき、それには、限定するものではないが、組織培養細胞、哺乳動物細胞、酵母
細胞、および細菌が含まれる。各細胞種はそれぞれ利点と欠点を有する。ヒト組
織細胞の一次培養物などの哺乳動物細胞は、本発明のアッセイを行うのに好まし
い細胞種でありうるが、これらの細胞種は培養が困難な場合がある。細菌および
酵母は比較的容易に培養を行うことができるが、哺乳動物細胞とは異なった形で
タンパク質をプロセシングする。このユビキチン化アッセイは以下の通りに実施
し得る。まず、ヒトもしくは動物組織由来の抽出物を調製する。ユビキチン化酵
素を維持している動物組織サンプルを調製するために、1gの組織を切断し、Brin
kmann Polytronホモジナイザー(PT 3000, Westbury, NY)を使用して15,000rpm
にて1mlの2つの氷冷蒸留水中でホモジネートしうる。そのサンプルを3回凍結・
解凍する。その溶解物を4℃にて45分間、Beckman JA-20.1ローター(Beckman In
struments, Palo Alto, CA)において15,000rpmにて回転させる。上清を回収し
、-80℃にて凍結する。この全抽出物の調製方法はユビキチン化酵素を維持する
(Lodaら、1997, Nature Medicine 3: 231-234、その全文を参照により本明細書
に組み入れる)。
【0144】 精製された組換え基質をアッセイ系に添加し、30μlのユビキチン化ミックス
(100μgのタンパク質組織ホモジネート、50mM Tris-HCl(pH8.0)、5mM MgCl2
および1mM DTT、2mM ATP、10mMクレアチンホスホキナーゼ、10mMクレアチンリン
酸、および5μMビオチニル化ユビキチンを含む)中、37℃にて種々の時間でイン
キュベートする。次に基質を抗体またはアフィニティークロマトグラフィーによ
り再度精製する。基質のユビキチン化は、該基質に特異的な抗体またはエクスト
ラアビジン−HRPを用いたイムノアッセイにより測定する。
【0145】 さらにショウジョウバエ(Drosophila)を、FBPと表現型的に相互作用する遺
伝子を検出するためのモデル系として使用し得る。例えば、ショウジョウバエ(
Drosophila)の眼におけるFBPの過剰発現により小さく不完全な眼となる。該ハ
エゲノムの突然変異誘発を行い、次に突然変異誘発により小さく不完全な眼の表
現型が抑制もしくは増強されたハエを選択し得る。このようなハエの突然変異遺
伝子はFBPと相互作用/結合するタンパク質をコードすると考えられる。上述の
方法により同定された活性化合物を培養細胞および/もしくは動物モデルにおい
て試験し、in vivoにおけるFBP活性(例えば、細胞増殖、基質の蓄積に対する作
用など)のブロッキング作用を試験する。
【0146】 他の種々の実施形態において、スクリーニングは一般的に知られている多くの
方法のうちの1つにより達成し得る。例えば、ペプチドライブラリーのスクリー
ニングを開示している以下の参照文献を参照のこと:ParmleyおよびSmith, 1989
, Adv. Exp. Med. Biol. 251: 215-218;ScottおよびSmith, 1990, Science 249
: 386-390;Fowlkesら、1992, BioTechniques 13: 422-427;Oldenburgら、1992
, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 5393-5397;Yuら、1994, Cell 76: 933-945
;Staudtら、1988, Science 241: 577-580;Bockら、1992, Nature 355: 564-56
6;Tuerkら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 6988-6992;Ellingtonら
、1992, Nature 355: 850-852;米国特許第5,096,815号、米国特許第5,223,409
号、および米国特許第5,198,346号(いずれもLadnerら);RebarおよびPabo, 19
93, Science 263: 671-673;ならびにPCR公開番号WO94/18318号。
【0147】 化合物、ペプチド、および小分子をスクリーニングアッセイで使用して、候補
アゴニストおよびアンタゴニストを同定し得る。一実施形態においては、ペプチ
ドライブラリーを使用して、本発明のFBPのアゴニストまたはアンタゴニストに
ついてスクリーニングし得る。ランダムもしくはコンビナトリアル・ペプチドも
しくは非ペプチドライブラリーなどの多様なライブラリーをFBPと特異的に結合
する分子についてスクリーニングしてもよい。例えば、化学的に合成されたライ
ブラリー、組換えライブラリー(ファージディスプレイライブラリーなど)、お
よびin vitro翻訳系ライブラリーを利用し得る、多くのライブラリーが当技術分
野で公知である。
【0148】 化学的に合成されたライブラリーの例は、以下に示す文献に記載されている:
Fodorら、1991, Science 251: 767-773;Houghtenら、1991, Nature 354: 84-86
;Lamら、1991, Nature 354: 82-84;Medynski、1994, Bio/Technology 12: 709
-710;Gallopら、1994, J. Medicinal Chemistry 37(9): 1233-1251;Ohlmeyer
ら、1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10922-10926;Erbら、1994, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422-11426;Houghtenら、1992, Biotechniques 1
3: 412;Jayawickremeら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 1614-1618;
Salmonら、1993, Proc. Natl. Acd. Sci. USA 90: 11708-11712;PCT公開番号WO
93/20242号、ならびにBrennerおよびLerner, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 89: 5381-5383。
【0149】 ファージディスプレイライブラリーの例は、以下に示す文献に記載されている
:ScottおよびSmith, 1990, Science 249: 386-390;Devlinら、1990, Science,
249: 404-406;Christianら、1992, J. Mol. Biol. 227: 711-718;Lenstra, 1
992, J. Immunol. Meth. 152: 149-157;Kayら、1993, Gene 128: 59-65;なら
びにPCT公開番号WO94/18318号(1994年8月18日公開)。
【0150】 in vitro翻訳系ライブラリーには、限定されるものではないが、以下に記載さ
れるものが含まれる:PCT公開番号WO91/05058号(1991年4月18日公開)、および
Mattheakisら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 9022-9026。
【0151】 非ペプチドライブラリーの例としては、ベンゾジアゼピンライブラリー(例え
ばBuninら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 4708-4712参照)が使用に
適し得る。ペプトイドライブラリー(Simonら、1992, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 89: 9367-9371)もまた使用し得る。使用し得るライブラリーの他の例とし
ては、ペプチド中のアミド官能基をペルメチル化し、化学的に変化させたコンビ
ナトリアルライブラリーを作製することについて、Ostreshら(1994, Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 91: 11138-11142)により記載されている。
【0152】5.5.2 F-boxタンパク質と他のタンパク質との相互作用をモジュレートする化合 物の同定についてのアッセイ 第5.4節に詳述したように、基質もしくは相互作用タンパク質を同定したら、
次に、かかるタンパク質とF-boxタンパク質との相互作用のモジュレーターにつ
いてアッセイすることができる。本発明は、かかる相互作用のアゴニストおよび
アンタゴニストの検出方法を提供する。
【0153】 一実施形態において、本発明は第7節および図10にて同定されるF-boxタンパク
質であるSkp2とE2F-1との間の相互作用のモジュレーター(インヒビターもしく
はアゴニストなど)を同定するための方法を包含する。かかる方法には、モジュ
レーター活性についてのin vivoおよびin vitroアッセイが含まれる。例えば、i
n vivoアッセイにおいては、昆虫細胞を、Skp2およびE2F-1、ならびにSkp2/E2F-
1相互作用の潜在的なモジュレーターを共発現するバキュロウイルス(複数種)
により共感染させ得る。本発明のスクリーニング方法は、上述の第5.5.1節に記
載のSkp2の酵素活性を阻害する試験化合物の能力を測定するin vitroアッセイを
包含する。第7節に詳述し、図10に示すように、細胞抽出物を調製し、タンパク
質−タンパク質相互作用についてゲル電気泳動により分析し、そしてイムノブロ
ッティングにより検出し得る。あるいは、in vitroタンパク質−タンパク質相互
作用アッセイを使用してもよい。精製された組換えSkp2、E2F-1、および推定ア
ゴニストもしくはアンタゴニスト分子を、結合が起こり得る条件下にて、例えば
37℃にて30分間、一緒にインキュベートする。タンパク質−タンパク質複合体の
形成は、本明細書の第7節に記載のようなゲル分析により検出し得る。このアッ
セイを使用して、既知FBP(Skp2など)と新規基質との相互作用のモジュレータ
ーを同定し得る。
【0154】 他の実施形態においては、本発明は、F-boxタンパク質/Skp1相互作用のモジ
ュレーターの同定方法を提供する。かかるアゴニストおよびアンタゴニストはin
vivoもしくはin vitroにおいて同定し得る。例えば、F-boxタンパク質/Skp1相
互作用のモジュレーターを同定するin vitroアッセイにおいて、精製されたSkp1
および新規なFBPを、結合が起こり得る条件下にて、例えば37℃にて30分間、一
緒にインキュベートする。並行反応においては、上述の第5.5.1節に記載の潜在
的なアゴニストもしくはアンタゴニストを、boxタンパク質/Skp1インキュベー
ションの前、もしくはその間に添加する。タンパク質−タンパク質相互作用は、
本明細書の第7節に記載のようなゲル分析により検出し得る。FBP活性のモジュレ
ーターおよびFBPと他のタンパク質との相互作用のモジュレーターは、本明細書
の第5.7節に記載の方法を用いて治療薬として使用し得る。
【0155】 これらのアッセイは、以下に記載するin vitroアッセイを含む、本明細書に記
載のスクリーニング方法のいずれかを利用して実施し得る。スクリーニングは、
試験薬剤をユビキチン経路の成分を発現する無傷細胞に添加し、続いて目的の成
分を既に確立されている任意の方法で試験することによって実施する。あるいは
、スクリーニングは、試験薬剤をin vitro翻訳反応に添加し、続いて確立された
分析法を行うことにより実施してもよい。他の代替法としては、上述の方法によ
り互いに相互作用すると判定された、精製もしくは部分精製成分を、それらの間
の相互作用が通常起こり得る条件下に配置し、試験薬剤を添加するおよび添加し
ないで、相互作用を分析するための既に確立されている方法を使用して試験薬剤
の影響を評価してもよい。このアプローチにおいては、精製もしくは部分精製成
分を、ユビキチンリガーゼ複合体および経路の成分を発現する細胞の抽出物を分
画することにより調製してもよいし、あるいはクローン化遺伝子もしくはcDNAま
たはその断片の発現により得てもよく、その後場合により発現物質の精製を行っ
てもよい。
【0156】 幅広いカテゴリーのin vitro選択方法の中で、いくつかのタイプの方法が試験
薬剤のスクリーニングに対して特に都合よくおよび/かつ有用であると考えられ
る。これらの方法には、限定するものではないが、ユビキチンリガーゼ複合体の
2種以上の成分間の結合相互作用または標的基質との相互作用を測定する方法、
相互作用成分の1種である酵素の活性を測定する方法、ならびに「レポーター」
タンパク質(すなわち、上記1種の成分の制御下に置かれている、酵素または検
出可能もしくは選択可能な他のタンパク質)の活性もしくは発現を測定する方法
、が含まれる。
【0157】 2種以上の成分間の結合相互作用は、種々の方法で測定し得る。一つのアプロ
ーチでは、容易に検出可能な標識により成分のうちの1種を標識し、それらが通
常相互作用する条件下で他の成分と共に配置し、結合した標識成分を未結合標識
成分から分離する分離ステップを行い、続いて結合した成分の量を測定する。結
合反応中に含まれる試験薬剤の作用は、該薬剤の存在下で結合する標識成分量を
その不在下で結合する量と比較することにより判定し得る。
【0158】 このタイプの方法における分離ステップは種々の方法で達成し得る。一つのア
プローチにおいて、標識成分の結合パートナー(1種もしくは複数)を固相上に
固定化してから結合反応を行うことができ、そしてその結合反応の後に未結合標
識成分を固相の洗浄により除去し得る。固相への結合パートナーの結合は、当業
者に公知の種々の方法で達成することができ、限定するものではないが、化学的
架橋、プラスチック表面への非特異的付着、固相に結合させた抗体との相互作用
、結合パートナーに結合させたリガンド(ビオチンなど)と、固相に結合させた
リガンド結合タンパク質(アビジンもしくはストレプトアビジンなど)との相互
作用などが含まれる。
【0159】 あるいは、溶液中で標識成分がその結合パートナーと相互作用可能になった後
で分離ステップを行ってもよい。標識成分とその結合パートナーとのサイズの相
違によってこのような分離が可能になる場合には、結合反応の生成物を、未結合
標識成分の通過は可能だが、その結合パートナーもしくはパートナーと結合した
標識成分は通過できない細孔を有するウルトラフィルターを通過させることによ
り、精製を達成し得る。精製はまた、標識成分の結合パートナーを溶液から捕捉
することのできる任意の試薬、例えば、結合パートナーに対する抗体、結合パー
トナーに既に結合させたリガンドと相互作用することができるリガンド結合タン
パク質などを用いて達成してもよい。
【0160】5.6 F-boxタンパク質、誘導体およびモジュレーターの診断的使用のための方法 および組成物 細胞周期調節物質は腫瘍遺伝子の産物(サイクリン、β-カテニンなど)また
は腫瘍抑制遺伝子の産物(cki、p53など)である。従って、ユビキチンリガーゼ
複合体の部分であるFBPは、腫瘍遺伝子または腫瘍抑制遺伝子の産物(これらの
遺伝子産物に応じてこれら産物は細胞周期調節タンパク質の細胞発生量を調節す
る)であり得る。
【0161】 FBPタンパク質、その類似体、誘導体および部分配列、FBP核酸(およびこれら
に相補性の配列)、抗FBP抗体は診断における用途を有する。FBPおよびFBP核酸
をアッセイに用いて、腫瘍発生、癌腫、腺種などを含む増殖性または分化性障害
を検出、予知または診断することができる。本発明の新規なFBP核酸は、核型異
常およびヘテロ接合性の損失に関連する染色体部位に位置している。本発明のFB
P1核酸は、染色体位置10q24にマッピングされ、位置決めされ、その損失がヒト
前立腺腫瘍および小細胞胚癌(SCLC)の10%において実証されており、腫瘍抑制
遺伝子がこの位置に存在することを示唆した。加えて、7%までの小児急性T細
胞白血病は、t(10;14)(q24;q11)またはt(7;10)(q35;q24)の何れかである切断点
としての10q24を伴う転座を随伴する。9q34領域(そこにFBP2が位置する)は、
ヒト卵巣癌および膀胱癌におけるヘテロ接合性の損失(LOH)の部位であることが
示されている。本発明のFBP2核酸は、ヒト卵巣癌および膀胱癌におけるヘテロ接
合性の損失(LOH)の部位であることが示されている染色体位置9q34にマッピング
され、位置決めされる。本発明のFBP3核酸は、ヒトSCLCの約75%においてヘテ
ロ接合性の損失を有する推定上の腫瘍抑制遺伝子を含有することが知られている
領域である染色体位置13q22にマッピングされ、位置決めされる。本発明のFBP4
核酸は、ヒト乳癌および鼻咽頭癌を含む様々な腫瘍における核型異常の部位であ
ることが知られている染色体位置5p12にマッピングされ、位置決めされる。本発
明のFBP5核酸は、ヒト卵巣癌、乳癌、胃癌、肝臓癌、バーキットリンパ腫、神経
膠腫および上皮小体腺腫におけるヘテロ接合性損失の部位であることが知られて
いる領域である染色体位置6q25-26にマッピングされ、位置決めされる。本発明
のFBP7核酸は、乳癌および結腸癌における転移期への進行および上皮小体腺腫に
おけるヘテロ接合性損失に関連する腫瘍抑制遺伝子を含有する領域である染色体
位置15q15にマッピングされ、位置決めされる。
【0162】 本発明の分子を免疫アッセイのようなアッセイに用いて、FBP発現に影響を与
える様々な状態、疾患および障害を検出、予知、診断または監視することができ
、あるいはそれらの治療を監視することができる。特に、このような免疫アッセ
イは、患者から誘導されたサンプルを免疫特異的結合が起こり得るような条件下
で抗FBP抗体と接触させ、該抗体による免疫特異的結合の量を検出または測定す
ることを含む方法によって行われる。特定の態様において、組織切片における抗
体のこのような結合を用いて、異常FBP局在化またはFBPの異常レベル(例えば低
または非存在)を検出することができる。特定の実施形態において、FBPに対す
る抗体を用いて患者の組織または血清サンプルをFBPの存在についてアッセイす
ることができ、この場合、FBPの異常レベルは疾患状態の指標である。「異常レ
ベル」とは、その身体の部分からまたは障害を持たない被験者からの類似するサ
ンプル中に存在するレベルまたは該サンプル中に存在することを示す標準レベル
に対して上昇または低下したレベルを意味する。
【0163】 使用できる免疫アッセイとしては、いくつか挙げるとすると、ウェスターンブ
ロット、免疫組織化学的放射線免疫アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセ
イ)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈殿アッセイ、沈降素反応、ゲル拡
散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集素アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放
射性測定アッセイ、蛍光免疫アッセイ、プロテインA免役アッセイのような技術
を用いる競合的または非競合的アッセイ系があるが、これらに限定されるもので
はない。
【0164】 FBP遺伝子および相補的配列を含む関連する核酸配列および部分配列もまた、
ハイブリダイゼーションアッセイに用いることができる。FBP核酸配列および約
8以上のヌクレオチドを含むその部分配列を、ハイブリダイゼーションプローブ
として使用できる。ハイブリダイゼーションアッセイを用いて、上記のようにFB
P発現および/または活性の異常変化に関連する状態、障害または疾患状態を検
出、予知、診断または監視することができる。特に、このようなハイブリダイゼ
ーションアッセイは、核酸を含有するサンプルをハイブリダイゼーションが起こ
り得るような条件下でFBP DNAまたはRNAにハイブリダイズできる核酸プローブと
接触させ、生じたハイブリダイゼーションを検出または測定することを含む方法
によって行われる。
【0165】 特定の実施形態において、FBPタンパク質、FBP RNAまたはFBP機能活性(例え
ばユビキチンリガーゼターゲット結合活性、F-boxドメイン結合活性、ユビキチ
ンリガーゼ活性など)のレベルの低下を検出することにより、あるいはFBP発現
または活性の低下を引き起こすFBP RNA、DNAまたはFBPタンパク質の突然変異(
例えばFBP核酸の転座、FBP遺伝子またはタンパク質の切断、野生型FBPに対する
ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の変化など)を検出することにより、細胞の過
剰増殖を伴う疾患および障害を診断することができ、あるいはそれらの疑わしい
存在をスクリーニングすることができ、あるいはこのような障害を発生させる素
質を検出することができる。このような疾患および障害としては、以下の5.7.3
の節に記載するものが挙げられるが、それらに限定されるものではない。例とし
て、FBPタンパク質のレベルは免役アッセイにより検出でき、FBP RNAのレベルは
ハイブリダイゼーションアッセイ(例えばノーザンブロット、in situハイブリ
ダイゼーション)により検出でき、FBP活性はin vivoまたはin vitroで形成され
たE3ユビキチンリガーゼ複合体におけるユビキチンリガーゼ活性を測定すること
によりアッセイでき、F-boxドメイン結合活性は当該技術分野で一般的に知られ
ている結合アッセイによりSkp1タンパク質への結合を測定することによりアッセ
イでき、FBP核酸における転座、欠失および点突然変異はサザンブロッティング
、FISH、RFLP分析、SSCP、FBP遺伝子の少なくとも大部分にわたる断片を好まし
く生成させるプライマーを用いるPCR、患者から得られたFBPゲノムDNAまたはcDN
Aの配列決定などにより検出できる。
【0166】 好ましい実施形態において、患者のサンプル中のFBP mRNAまたはタンパク質レ
ベルが検出または測定され、この場合、レベルの低下は該患者が悪性または過剰
増殖性障害を有すること、またはこれを生じる素質を有することを示し;これら
のレベルの低下は、その身体の部分からの、または場合によっては悪性または過
剰増殖性障害を持たない被験者からの類似のサンプル中に存在するレベルに対す
るものである。
【0167】 別の特定の実施形態において、FBPタンパク質、FBP RNAまたはFBP機能活性(
例えばユビキチンリガーゼ活性、Skp1結合活性など)のレベルの上昇を検出する
ことにより、あるいはFBPの発現または活性の上昇を引き起こすFBP RNA、DNAま
たはタンパク質の突然変異(例えばFBP核酸の転座、その遺伝子またはタンパク
質の切断、野生型FBPに対するヌクレオチドまたはアミノ酸配列の変化など)を
検出することにより、細胞増殖の欠乏を伴う疾患および障害または細胞増殖の治
療が望まれる疾患および障害が診断され、またはそれらの疑わしい存在をスクリ
ーニングすることができ、そのような障害を発生させる素質を検出できる。この
ような疾患および障害としては、以下の5.7.3節に記載するものが挙げられるが
、それらに限定されるものではない。例として、FBPタンパク質のレベル、FBP R
NAのレベル、ユビキチンリガーゼ活性、FBP結合活性、および転座または点突然
変異の存在を上記のように決定することができる。
【0168】 特定の実施形態において、患者のサンプル中のFBP mRNAまたはタンパク質のレ
ベルが検出または測定され、この場合、レベルの上昇は、該患者が発育不全また
は退行性もしくは低増殖性障害を有すること、またはこれを生じる素質を有する
ことを示し;これらのレベルの上昇は、身体の部分からの、または場合によって
は発育不全、退行性障害または低増殖性障害を持たない被験者からの類似のサン
プル中に存在するレベルに対するものである。
【0169】 1個またはそれ以上の容器内に、抗FBP抗体、および場合により該抗体に対す
る標識された結合パートナーを含む、診断用キットも提供される。あるいは、該
抗FBP抗体を(検出可能なマーカー、例えば化学発光性、酵素的、蛍光性または
放射性部分で)標識することができる。1個またはそれ以上の容器内に、FBP RN
Aにハイブリダイズすることができる核酸プローブを含むキットも提供される。
特定の実施形態において、キットは、1個またはそれ以上の容器内に、適切な反
応条件下でFBP核酸の少なくとも一部の増幅[例えばポリメラーゼ連鎖反応(例え
ばInnisら, 1990, PCR Protocols, Academic Press, Inc., San Diego, CA参照)
、リガーゼ連鎖反応(EP 320,308参照)、Qレプリカーゼの使用、環状プローブ反
応または当該技術分野で公知の他の方法による]を開始させることが可能な1対
のプライマー(例えばそれぞれ6〜30ヌクレオチドの大きさの範囲にある)を
含むことができる。キットは場合により、例えば標準またはコントロールとして
使用するための、所定量の精製FBPタンパク質または核酸を、容器内にさらに含
むことができる。
【0170】5.7 F-boxタンパク質、誘導体およびモジュレーターの治療的使用のためめの方 法および組成物 以下に、F-boxタンパク質を増殖性障害の治療に使用するための方法および組
成物を説明する。FBP活性を活性化または向上させる化合物により腫瘍遺伝子疾
患の症状を改善することができ、これにより増殖性障害および癌を改善すること
ができる。
【0171】 ある場合に、FBPの活性を上昇または増強させる化合物および方法を用いて、
増殖および腫瘍遺伝子疾患の症状を治療することができる。このようなケースは
、例えば少なくとも一部はFBP遺伝子発現レベルの低下またはFBP遺伝子産物活性
の異常レベルによってもたらされる増殖性障害を伴うことがある。例えば、ユビ
キチンリガーゼ複合体(その基質はサイクリンファミリーのメンバーのような正
の細胞周期調節物質である)のFBP成分の活性低下または発現不足は、細胞増殖
の増加を生じさせるであろう。このように、遺伝子発現レベルおよび/またはこ
のようなFBP遺伝子産物活性の増大は、増殖性疾患症状の改善をもたらすであろ
う。
【0172】 別の場合、FBPの活性を上昇または増強させる化合物を用いて、FBP基質分子の
ような、細胞周期の制御に関連する他の遺伝子および遺伝子産物の発現または活
性の欠乏に起因する増殖および腫瘍遺伝子疾患の症状を治療することができる。
例えば、サイクリンファミリーのメンバーのような正の細胞周期ポジティブ分子
の発現または活性の上昇はその過剰活性を生じさせ、これによって細胞増殖の上
昇がもたらされ得る。ユビキチンリガーゼ複合体(その基質はこのような正の細
胞周期調節物質である)のFBP成分の発現または活性を上昇させる化合物は、こ
の欠陥分子のユビキチン化をもたらし、これによってその分解の増加を生じさせ
るであろう。このような欠陥に起因する疾患の症状は、その障害をFBP活性の上
昇により補う化合物によって改善することができる。FBP遺伝子発現レベルおよ
び遺伝子産物活性レベルを上昇させる技術は、以下の5.7節で論じられる。
【0173】 あるいは、FBP活性を低下または不活性化する化合物および方法を治療的に用
いて、増殖および腫瘍遺伝子疾患の症状を改善することができる。例えば、増殖
性疾患は、少なくとも一部は、FBP遺伝子の過剰活性をもたらす欠陥のあるFBP遺
伝子または遺伝子産物によって引き起こされうる。このような欠陥のある遺伝子
産物がユビキチンリガーゼ複合体(そのターゲットは細胞周期阻害分子である)
の成分、例えばCkiである場合、過剰活性なFBPは細胞周期阻害分子のレベルの低
下、従って細胞増殖の上昇をもたらすであろう。このような場合、FBP機能を低
下または不活性化させる化合物および方法を用いて該疾患の症状を治療すること
ができる。
【0174】 別の場合、FBP基質分子のような、FBPの活性を低下させる化合物および方法を
用いて、細胞周期制御に関連する他の遺伝子および遺伝子産物の発現または活性
の欠乏に起因する障害を治療することができる。例えば、細胞周期の負の調節分
子、例えばCkiの発現または活性の欠乏は、その過少活性をもたらし、従って細
胞増殖の上昇をもたらすことができる。FBP成分(その基質はこのような分子で
ある)のレベルおよび/または活性の低下はユビキチン化を低下させ、従ってこ
のような欠陥分子のレベルを上昇させるであろう。従って、このようなFBP分子
の発現および/または活性の低下を目的とする化合物および方法を、欠陥遺伝子
または遺伝子産物を補うことによる疾患症状の治療に使用できるであろう。
【0175】 ターゲット遺伝子発現レベルまたはターゲット遺伝子産物活性レベルを低下さ
せる技術は、以下の5.7節で論じられる。
【0176】5.7.1 阻害性アンチセンス、リボザイムおよび三重ヘリックス分子ならびに同
定されたアゴニストおよびアンタゴニストの治療的使用 別の実施形態において、ある種のFBP障害、例えば腫瘍形成または癌を引き起
こす増殖性または分化性障害は、周知のアンチセンス、遺伝子「ノックアウト」
リボザイムおよび/または三重ヘリックス法と共にFBP遺伝子配列を用いてFBP遺
伝子発現のレベルおよび/またはFBP遺伝子産物活性を低下させてFBP遺伝子発現
レベルを低下させることによって改善することができる。FBP遺伝子の活性、発
現または合成をモジュレートする能力(癌のようなFBP障害の症状を回復させる
能力を含む)を示し得る化合物の中で優れているものは、アンチセンス、リボザ
イムおよび三重ヘリックス分子である。このような分子は、損なわれていないタ
ーゲット遺伝子活性、または適切ならば突然変異ターゲット遺伝子活性のいずれ
かを低下または阻害するように設計することができる。このような分子を調製お
よび使用する技術は当業者に周知である。例えば、アンチセンスターゲッティン
グSKP2 mRNAは、以下のX節(図X)で説明するようにSKP2基質p27を安定化させ
る。
【0177】 アンチセンスRNAおよびDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイズさせ、タンパク
質の翻訳を阻止することによりmRNAの翻訳を直接遮断するように作用する。アン
チセンス法は、ターゲット遺伝子mRNAに相補的であるオリゴヌクレオチドの設計
を必要とする。これらのアンチセンスオリゴヌクレオチドは相補的な標的遺伝子
mRNA転写物に結合して翻訳を阻止するであろう。絶対的な相補性は好ましいが、
必須ではない。
【0178】 本明細書において、RNAの一部に「相補的な」配列とは、そのRNAとハイブリダ
イズして安定な2本鎖分子を形成できるのに充分な相補性を有する配列を意味し
;従って二重鎖アンチセンス核酸の場合、2本鎖DNAの1本鎖を試験することが
でき、あるいは3本鎖形成をアッセイすることができる。ハイブリダイズする能
力はアンチセンス核酸の相補性の程度および長さの双方に依存するであろう。一
般的に、ハイブリダイズする核酸が長いほどRNAとの塩基ミスマッチが多くなり
得るが、依然として安定な2本鎖(場合によっては3本鎖)を形成する。当業者
は、標準的な手順を用いてハイブリダイズした複合体の融点を決定することによ
り、許容されるミスマッチ度を確認できる。
【0179】 一つの実施形態において、FBP遺伝子の非コード領域に相補性のオリゴヌクレ
オチドをアンチセンス法に用いて、内因性FBP mRNAの翻訳を阻害できる。アンチ
センス核酸は、少なくとも7ヌクレオチドの長さであるべきであり、6〜約50
ヌクレオチドの範囲のオリゴヌクレオチドであることが好ましい。特定の態様に
おいて、オリゴヌクレオチドは少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌ
クレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドで
ある。
【0180】 本発明の実施形態において、図2および4〜9に示すように、F-boxモチーフ
をコードする核酸に相補性のオリゴヌクレオチド。
【0181】 ターゲット配列の選択とは無関係に、in vitro研究を最初に行って、アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を阻害する能力を定量することが好ましい
。これらの研究には、オリゴヌクレオチドのアンチセンス遺伝子阻害と非特異的
な生物学的効果とを区別するコントロールを利用することが好ましい。これらの
試験によりターゲットRNAまたはタンパク質のレベルと内部コントロールRNAまた
はタンパク質のレベルとを比較することも好ましい。加えて、アンチセンスオリ
ゴヌクレオチドを用いて得られた結果をコントロールオリゴヌクレオチドを用い
て得られた結果と比較することが考慮される。コントロールオリゴヌクレオチド
は試験オリゴヌクレオチドとほぼ同じ長さのものであること、およびオリゴヌク
レオチドのヌクレオチド配列は、アンチセンス配列との差がターゲット配列への
特異的ハイブリダイゼーションの防止に必要であるよりも大きくないことが好ま
しい。
【0182】 オリゴヌクレオチドはDNAもしくはRNA、またはそれらのキメラ混合物または誘
導体もしくは改変バージョン、1本鎖または2本鎖であり得る。オリゴヌクレオ
チドを塩基部分、糖部分またはリン酸塩バックボーンで修飾して、例えばその分
子、ハイブリダイゼーションなどの安定性を改善することができる。オリゴヌク
レオチドは、他の付属基、例えばペプチド(例えばin vivoで宿主細胞受容体を
ターゲッティングするため)、または細胞膜を通過する輸送を容易にする物質(
例えばLetsingerら, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86, 6553-6556; Le
maitreら, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. 84, 648-652; PCT公開番号WO88/0981
0、1988年12月15日公開参照)、または血液−脳関門(例えばPCT公開番号WO89/1
0134、1988年4月25日公開参照)、ハイブリダイゼーション誘発開裂剤(例えばK
rolら, 1988, BioTechniques 6, 958-976参照)、または介在物質(例えばZon,
1988, Pharm. Res. 5, 539-549参照)を含むことができる。この目的のために、
オリゴヌクレオチドを別の分子、例えばペプチド、ハイブリダイゼーション誘発
架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発開裂剤などにコンジュゲートさせ
ることができる。
【0183】 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾された塩基部分を
含むことができ、この塩基部分は、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-
クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチル
シトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミ
ノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒド
ロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルア
デニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチ
ルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-ア
デニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノエチルウラシル、5-メトキシアミノ
メチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5-メトキシカルボキシ
メチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニ
ン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイドウ
ラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウ
ラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエ
ステル、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3
-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6-ジアミノプリンを含む
群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0184】 アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、アラビノース、2-フルオロアラビノ
ース、キシルロースおよびヘキソースからなる群から選択される少なくとも1種
の修飾糖部分を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0185】 また別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチ
オエート(S-ODN)、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホ
ルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホト
リエステルおよびホルムアセタールまたはこれらの類似体からなる群から選択さ
れる少なくとも1種の修飾ホスフェートバックボーンを含む。
【0186】 また別の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはアノマーオリ
ゴヌクレオチドである。アノマーオリゴヌクレオチドは、相補RNAと特異的2本
鎖ハイブリッドを形成し、このハイブリッドでは通常の単位とは異なり、各スト
ランドが互いに平行に並んでいる(Gautierら, 1987, Nucl. Acids Res. 15, 662
5-6641)。このオリゴヌクレオチドは2-0-メチルリボヌクレオチド(Inoueら, 198
7, Nucl. Acids Res. 15, 6131-6148)、またはキメラRNA-DNA類似体(Inoueら, 1
987, FEBS Lett. 215, 327-330)である。
【0187】 本発明のオリゴヌクレオチドは当該技術分野で公知の標準的方法により、例え
ば自動DNAシンセサイザー(Biosearch, Applied Biosystemsなどから市販されて
いるようなもの)を用いて合成できる。例として、ホスホロチオエートオリゴヌ
クレオチドはSteinら (1988, Nucl. Acids Res. 16, 3209) の方法により合成す
ることができ、メチルチオホスホネートオリゴヌクレオチドは制御された孔質ガ
ラス重合体支持体(Sarinら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85, 7448-7
451)などを使用して調製することができる。
【0188】 領域配列をコードするターゲット遺伝子に相補性のアンチセンスヌクレオチド
を使用できるであろうが、転写された非翻訳領域に相補性のものが最も好ましい
【0189】 本発明の一つの実施形態において、特定のターゲットmRNAがアンチセンスホス
ホロチオエートオリゴヌクレオチド(S-ODN)とハイブリダイズした後でそれらがR
NAse Hで消化されるので、遺伝子発現のダウンレギュレーションが達成される。
どのアンチセンスS-ODNがより成功するかを推測するための法則はないので、最
良の戦略は完全に経験的であり、幾つかのS-ODNを試してみることからなる。ア
ンチセンスホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(S-ODN)を、問題のmRNAの特
定領域をターゲットするように設計する。アンチセンスS-ODNのごちゃ混ぜの配
列からなるコントロールS-ODNもまた、同一のヌクレオチド含有量を保証し、か
つ、もしかして核酸含有量に寄与うる相違を最小限にするように設計する。全て
のS-ODNはOligos Etc. (Wilsonville, OR)により合成されうる。研究目的のアッ
セイまたはex vivo遺伝子療法プロトコルのような培養細胞に適用する場合、ア
ンチセンス分子の有効性を試験するために、細胞を100mmの組織培養プレート上
で60〜80%コンフルエンスになるまで増殖させ、PBSですすぎ、8mlのOpti-
MEM、52.8リットルのリポフェクチンおよび最終濃度200nMのS-ODNからなるリポ
フェクション混合物を重層する。リポフェクションはリポフェクチン試薬および
Opti-MEM (Gibco BRL)を用いて行われる。細胞をリポフェクションミックスの存
在下に5時間インキュベートする。インキュベーションに続いて、培地を完全DM
EMと交換する。リポフェクション後、種々の時点で細胞を収穫し、ウェスタンブ
ロットによりタンパク質レベルを分析する。
【0190】 アンチセンス分子は、ターゲット遺伝子を発現する細胞、すなわちin vivoで
直接に被験者に、またはex vivo遺伝子療法プロトコルのような培養中の細胞を
標的にすべきである。多数の方法がアンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達する
ために開発されており;例えばアンチセンス分子を組織部位に直接注射すること
ができ、または所望の細胞を標的にするように設計された改変アンチセンス分子
(例えばターゲット細胞表面上で発現される受容体または抗原に特異的に結合す
るペプチドまたは抗体に結合されたアンチセンス)を全身的に投与することがで
きる。
【0191】 しかしながら、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに充分なアンチセンスの細胞内
濃度を得ることはしばしば困難である。従って、好ましいアプローチでは、アン
チセンスオリゴヌクレオチドが強いpol IIIまたはpol IIプロモーターの制御下
に置かれた組み換えDNA構築物が利用される。このような構築物を用いてターゲ
ット細胞を患者にトランスフェクトすることで、内因性ターゲット遺伝子転写物
と相補性塩基対を形成するのに十分な量の1本鎖RNAの転写が生じ、これによっ
てターゲット遺伝子mRNAの翻訳が阻止される。例えば、ベクターを、例えばそれ
が細胞によって取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を指令するように導入する
ことができる。このようなベクターはエピソームに留まることができ、またはそ
れが転写されて所望のアンチセンスRNAを生成させる限り、染色体的に組み込ま
れるようになることができる。このようなベクターは、当該技術分野で標準的な
組み換えDNA技術の方法により構築することができる。ベクターは、哺乳動物細
胞中での複製および発現に用いられる、当該技術分野で公知のプラスミド、ウイ
ルスまたはその他であってよい。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、
哺乳動物、好ましくはヒトの細胞中で作用する当該技術分野で公知の任意のプロ
モーターによるものであってよい。このようなプロモーターは誘導性または構成
的であってよい。このようなプロモーターとしては、SV40初期プロモーター領域
(BernoistおよびChambon, 1981, Nature 290, 304-310)、ラウスニワトリ肉腫の
3長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22, 787-797)、
ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. S
ci. U.S.A. 78, 1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,
1982, Nature 296, 39-42)などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。任意の型のプラスミド、コスミド、YACまたはウイルスベクターを用いて、
組織部位に直接導入できる組み換えDNA構築物を調製することができる。あるい
は、所望の組織に選択的に感染するウイルスベクターを用いることができ、この
場合投与は別の経路で(例えば全身的に)行ってもよい。
【0192】 また、ターゲット遺伝子mRNA転写物を触媒的に開裂するように設計されたリボ
ザイム分子を用いて、ターゲット遺伝子mRNAの翻訳、従ってターゲット遺伝子産
物の発現を阻止することができる(例えばPCT国際公開WO90/11364、1990年10月4
日公開;247節、1222-1225参照)。本発明の実施形態において、FBP遺伝子にハ
イブリダイズするオリゴヌクレオチドは、図2および4〜9に示すように、F-bo
xモチーフをコードする核酸に相補性であるように設計される。
【0193】 リボザイム分子は、RNAの特異的開列を触媒できる酵素的RNA分子である。(概
説についてはRossi, 1994, Current Biology 4, 467-471参照)。リボザイム作
用の機構は、相補的ターゲットRNAへのリボザイム分子の配列特異的ハイブリダ
イゼーション、次いで内部核溶解的開裂イベントを伴う。リボザイム分子の組成
はターゲット遺伝子mRNAに相補的な1個またはそれ以上の配列を含む必要があり
、mRNA開裂の原因である周知の触媒的配列を含む必要がある。この配列について
は、例えば米国特許弟5,093,246号を参照のこと。これはその全体が参照により
本明細書に組み入れられる。
【0194】 mRNAを部位特異的認識配列で開裂させるリボザイムを用いてターゲット遺伝子
mRNAを破壊することができるが、ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。
ハンマーヘッドリボザイムは、ターゲットmRNAと相補的塩基対を形成する隣接領
域によって規定される位置でmRNAを開裂させる。唯一の必要条件は、ターゲット
mRNAが2つの塩基の次の配列:5’-UG-3’を有することである。ハンマーヘッド
リボザイムの構築および生成は当該技術分野で周知であり、Myers, 1995, Molec
ular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, VCH Publ
ishers, New York(特に第833頁の図4参照)およびHaseloff & Gerlach, 1988,
Nature, 334, 585-591(これはその全体が参照により本明細書に組み入れられ
る)にさらに充分に説明されている。
【0195】 好ましくは、リボザイムは、開裂認識部位がターゲット遺伝子mRNAの5’末端
付近に位置するように、すなわち有効性を高め、かつ非機能性mRNA転写物の細胞
内蓄積を最小限にするように遺伝子工学的に操作される。
【0196】 本発明のリボザイムはまた、RNAエンドリボヌクレアーゼ(以下、「Cech型リ
ボザイム」)、例えばテトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)
(IVSまたはL-19 IVS RNAとして知られている)中に自然に存在するもの、およ
びThomas Cechおよび共同研究者(Zaugら, 1984, Science, 224, 574-578; Zaug
およびCech, 1986, Science 231, 470-475; Zaugら, 1986, Nature, 324, 429-4
33; University Patents Inc.による公開国際特許出願番号WO88/04300; Been &
Cech, 1986, Cell, 47, 207-216)により広範囲にわたって説明されているものを
含む。Cech型リボザイムは、ターゲットRNA配列にハイブリダイズし、その後で
ターゲットRNAの開裂が生じる8塩基対活性部位を有する。本発明は、ターゲッ
ト遺伝子中に存在する8塩基対活性部位配列をターゲットする、これらのCech型
リボザイムを包含する。
【0197】 アンチセンス法におけるように、リボザイムは修飾オリゴヌクレオチド(安定
性改善、ターゲッティングなどのため)から構成されていてよく、ターゲット遺
伝子をin vivoで発現する細胞に送達されるべきである。好ましい送達方法は、
強い構成性pol IIIまたはpol IIプロモーターの制御下にリボザイムを「コード
する」DNAを用いることを含み、それによってトランスフェクトされた細胞は、
内因性ターゲット遺伝子メッセージを破壊し、翻訳を阻止するのに充分な量のリ
ボザイムを生成することになる。アンチセンス分子と異なりリボザイムは触媒的
であるので、有効であるためにはより低い細胞内濃度が要求される。
【0198】 内因性ターゲット遺伝子発現はまた、標的化相同的組換えを用いてターゲット
遺伝子またはそのプロモーターを不活性化または「ノックアウト」することによ
り減少させることができる(例えばSmithiesら, 1985, Nature 317, 230-234; T
homas & Capecchi, 1987, Cell 51, 503-512; Thompsonら, 1989, Cell 5, 313-
321参照;これらの各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)。
例えば、内因性ターゲット遺伝子(ターゲット遺伝子のコード領域または調節領
域の何れか)に相同なDNAが隣接した突然変異非機能性ターゲット遺伝子(また
は全く無関係なDNA配列)を、選択マーカーおよび/または負の選択マーカーと
共にまたはそれなしで用いて、in vivoでターゲット遺伝子を発現する細胞をト
ランスフェクトすることができる。標的化相同性組換えによるDNA構築物の挿入
は、ターゲット遺伝子の不活性化をもたらす。このような手法は特にES(胚幹)
細胞への改変に適しており、これを用いて不活性ターゲット遺伝子を有する動物
子孫を生じさせることができる(例えばThomas & Capecchi, 1987およびThompso
n, 1989、上記、参照)。しかしながら、組み換えDNA構築物が、適切なウイルス
ベクターを用いてin vivoで必要な部位に直接に投与されるか、または該部位を
標的とすることを条件として、この手法をヒトへの使用に適合させることができ
る。
【0199】 あるいは、ターゲット遺伝子の調節領域(すなわちターゲット遺伝子プロモー
ターおよび/またはエンハンサー)に相補性のデオキシリボヌクレオチド配列を
ターゲッティングして、身体におけるターゲット細胞中のターゲット遺伝子の転
写を阻止する三重ヘリックス構造を形成させることにより、内因性ターゲット遺
伝子発現を減少させることができる。(一般的に、Helene, 1991, Anticancer D
rug Des., 6(6), 569-584; Heleneら, 1992, Ann. N.Y. Acad. Sci., 660, 27-3
6; およびMaher, 1992, Bioassays 14(12), 807-815参照。) 転写を阻止するための三重ヘリックスの形成に用いるべき核酸分子は、1本鎖
であり、デオキシリボヌクレオチドから構成されるべきである。これらのオリゴ
ヌクレオチドの塩基組成はHoogsteenの塩基対合則(これは一般的に、2本鎖の
一方の鎖上に存在すべきプリンまたはピリミジンの何れかの相当大きいストレッ
チを必要とする)により三重ヘリックスの形成を促進するように設計される必要
がある。ヌクレオチド配列は、ピリミジンに基づくものであってよく、これは、
生成する三重ヘリックスの3本の会合した鎖を横切るTATおよびCGC+トリプレッ
トを生じさせるであろう。ピリミジン富化分子は、2本鎖のうちの1本鎖のプリ
ン富化領域に対し、この鎖と平行方向の塩基相補性を提供する。加えて、プリン
に富んだ核酸分子、例えばG残基のストレッチを有するものを選択することがで
きる。これらの分子は、GC対に富んだDNA2本鎖分子と三重ヘリックスを形成す
るであろう。この場合、プリン残基の大半は、標的2本鎖のうちの1本鎖に位置
し、3本鎖中の3本の鎖を横切るGGCトリプレットを生成させる。
【0200】 あるいは、いわゆる「スイッチバック」核酸分子を作り出すことにより、三重
ヘリックスを形成するためにターゲッティングされ得る可能性のある配列を増加
させてもよい。スイッチバック分子は、交互に5’-3’、3’-5’様式で合成され
、その結果、それらは2本鎖の最初の1本の鎖と塩基対合し、次いでもう一方の
鎖と塩基対合することになり、2本鎖分子の一方の鎖上に存在すべきプリンまた
はピリミジンの何れかの相当大きなストレッチの必要性が排除される。
【0201】 本明細書に記載したアンチセンス、リボザイムおよび/または三重ヘリックス
分子を突然変異遺伝子発現の阻害に利用する場合、この技術は、正常なターゲッ
ト遺伝子対立遺伝子により産生されるmRNAの転写(3重ヘリックス)および/ま
たは翻訳(アンチセンス、リボザイム)を非常に効率的に低下または阻害するの
で、正常なターゲット遺伝子産物の存在濃度が正常な表現型のために必要である
よりも低くてもよいという可能性が生じうる。したがって、このような場合、タ
ーゲット遺伝子活性の実質的に正常なレベルの維持を保証するため、正常なター
ゲット遺伝子活性を示すターゲット遺伝子ポリペプチドをコードして発現する核
酸分子であって、利用されるどのようなアンチセンス、リボザイムまたは三重ヘ
リックス治療に対しても感受性をもつ配列を含まない核酸分子を、以下の5.7.2
節に記載するような遺伝子療法により細胞内に導入できる。あるいは、ターゲッ
ト遺伝子が細胞外タンパク質をコードする場合、ターゲット遺伝子活性の必要レ
ベルを維持するために、正常なターゲット遺伝子タンパク質を共に投与すること
が好ましい。
【0202】 本発明のアンチセンスRNAおよびDNA、リボザイムならびに三重ヘリックス分子
は、上記のようにDNAおよびRNA分子の合成のための当該技術分野で公知の任意の
方法により合成できる。これらの方法としては、例えば固相ホスホラミダイト(p
hosphoramidite)化学合成のような当該技術分野で周知の、オリゴデオキシリボ
ヌクレオチドおよびオリゴリボヌクレオチドを化学的に合成する技術が挙げられ
る。あるいは、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitroおよびin v
ivo転写によりRNA分子を生成させることができる。このようなDNA配列は、T7ま
たはSP6ポリメラーゼプロモーターのような好適なRNAポリメラーゼプロモーター
を組み込む広範囲のベクター中に導入することができる。あるいは、用いられる
プロモーターに応じてアンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するアンチ
センスcDNA構築物を、細胞系に安定して導入することができる。
【0203】5.7.2 遺伝子交換療法 正常なFBP遺伝子発現および/またはFBP遺伝子産物活性のレベルの上昇に関し
て、5.1節に記載したFBP遺伝子核酸配列を、例えば癌のような増殖性障害の治療
に利用することができる。このような治療は、例えば遺伝子交換療法の形態で施
すことができる。詳細には、正常FBP遺伝子、または正常FBP遺伝子機能を示すFB
P遺伝子産物の産生を指令するFBP遺伝子の一部の1つまたはそれ以上のコピーを
、ベクターを用いて患者の適切な細胞中に挿入できる。このようなベクターとし
ては、細胞中にDNAを導入する他の粒子、例えばリポソームに加えて、アデノウ
イルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0204】 全ての組織で発現されるFBP遺伝子、または好ましくは脳内で発現されるFBP1
遺伝子のような選択的に発現されるFBP遺伝子に関し、このような遺伝子交換療
法は、FBP遺伝子配列を患者のこれら細胞型に送達可能であるべきである。従っ
て、一つの実施形態において、当業者に周知の技術(例えばPCT公開番号WO89/10
134、1988年4月25日公開)を用いて、FBP遺伝子配列が血液脳関門を容易に通過
できるようにし、またこれらの配列を脳内細胞に送達することができるようにす
る。血液脳関門を通過できる送達に関して、例えば上記のようなウイルスベクタ
ーが好ましい。
【0205】 別の実施形態において、送達の技術は、このようなFBP遺伝子配列を、該FBP遺
伝子配列が発現されることになる細胞の部位に直接投与することを含む。
【0206】 FBP遺伝子発現および/またはFBP遺伝子産物活性の全体的なレベルを上昇させ
るために使用できる追加の方法は、適切なFBP発現性細胞、好ましくは自己細胞
を、FBP障害の症状を改善するのに充分な数の位置および回数で患者に導入する
ことを含む。このような細胞は組換え細胞であっても非組換え細胞であってもよ
い。
【0207】 患者内でのFBP遺伝子発現の全体的レベルを上昇させるために投与できる細胞
の中には、FBP遺伝子を正常に発現する細胞がある。
【0208】 あるいは、細胞、好ましくは自己細胞を遺伝子工学的に操作して、FBP遺伝子
配列を発現させることができ、次いで患者の、FBP障害または増殖性もしくは分
化性障害、例えば癌および腫瘍形成の症状の改善のために適切な位置に導入でき
る。あるいは、損なわれていないFBP遺伝子を発現する、MHCマッチ個体由来の細
胞を使用することができ、このような細胞としては、例えば脳細胞が挙げられる
。FBP遺伝子配列の発現は、適切な遺伝子調節配列によって制御され、必要な細
胞型でのこのような発現を可能にする。このような遺伝子調節配列は当業者に周
知である。このような細胞に基づく遺伝子療法技術は当業者に周知であり、例え
ばAnderson、米国特許弟5,399,349号が参照される。
【0209】 投与されるべき細胞が非自己細胞である場合、導入された細胞に対する宿主免
疫反応の発生を防ぐ周知の技術を用いて、これらの細胞を投与できる。例えば、
隣接した細胞外環境との成分の交換を可能にするが、導入された細胞を宿主免疫
系によって認識させないカプセル封入形態で、これらの細胞を投与することがで
きる。
【0210】 加えて、FBP遺伝子産物活性をモジュレートすることのできる化合物、例えば
上記5.5節で説明したような技術により同定されたものを、当業者に周知の標準
的技術を用いて投与することができる。投与されるべき化合物が脳細胞との相互
作用を伴う場合、投与技術は血液脳関門の通過を可能にする周知の技術を含むべ
きである。
【0211】5.7.3 増殖性細胞障害のターゲッティング ユビキチンリガーゼ活性に関連する特定の増殖性および腫瘍形成性疾患に関し
て、本発明の方法により治療または予防できる疾患としては、以下のものが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない:ヒト肉腫および癌腫、例えば線維
肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、血管肉腫、内皮肉
腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮細胞肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、
平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌腫、膵臓癌腫、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平
上皮細胞癌腫、基底細胞癌腫、腺癌、汗腺癌腫、皮脂腺癌腫、乳頭状癌、乳頭状
腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、上顎癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨
毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィムス腫、子宮頚部癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞
肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣
細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴覚神経腫、突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫
、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫;白血病、例えば急性リンパ球性白血病、および
急性骨髄球性白血病、(骨髄芽球性、前骨髄芽球性、骨髄骨球性、単球性および
赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病および慢性リンパ球性
白血病);および真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病
)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム・マクログロブリン血症およびH鎖病。
【0212】 細胞増殖の欠乏を伴う疾患または障害、あるいは細胞増殖が治療または予防の
ために望まれ、FBP機能の阻害により治療または予防できる疾患または障害とし
ては、例えば創傷の治癒を促進するため、あるいは退行、病変または損傷した組
織などの再生を促進するための、退行性障害、発育不全、低増殖性障害、身体的
外傷、病変および創傷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0213】5.8 医薬製剤及び投与方法 FBP遺伝子発現又は遺伝子産物活性に影響を与えると判定された化合物を、細
胞増殖性疾患の治療又は軽減のために治療上有効量で患者に投与することができ
る。治療上有効量とは、そのような疾患の症状の軽減をもたらすのに十分な化合
物の量をいう。
【0214】5.8.1 有効量 そのような化合物の毒性及び治療有効性は、細胞培養物又は実験動物において
標準的製薬学的手法を用いて、例えば、LD50(集団の50%を致死させる用量)及
びED50(集団の50%で治療上有効量)を決定することによって判定することがで
きる。毒性作用と治療作用との間の用量比が治療指数であり、比LD50/ED50で表
せる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を用い
ることもできるが、感染していない細胞に対して起こりうるダメージを最小化し
、それによって副作用を低減するために、そのような化合物を作用組織部位へ標
的化する送達系を設計する配慮を行うべきである。
【0215】 細胞培養アッセイ及び動物研究から得たデータは、ヒトで用いるための投薬量
の範囲を決定するのに使用できる。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、
毒性が殆どないか又は全くないED50を含む循環濃度の範囲内である。投薬量は、
採用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲内で変動しうる。本
発明の方法で用いる任意の化合物について、治療上有効量は、最初に細胞培養ア
ッセイから概算できる。細胞培養で決定されるIC50(すなわち、最大限の半分の
症状抑制を達成する被験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するよう
に、用量を動物モデルで決定できる。そのような情報は、ヒトでの有用な用量を
より正確に決定するのに使用できる。血漿中の濃度は、例えば、高速液体クロマ
トグラフィーによって測定できる。
【0216】5.8.2 製剤化及び使用 本発明に従って用いるための医薬組成物は、1以上の生理学的に許容可能な担
体又は賦形剤を用いて従来の方法で製剤化できる。
【0217】 従って、前記化合物並びにそれらの生理学的に許容可能な塩及び溶媒和物は、
(口又は鼻のいずれかを通した)吸入、又は経口、バッカル、非経口若しくは直
腸投与による投与用に製剤化できる。
【0218】 経口投与については、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、予めゼラチン
化されたトウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース);充填剤(例えば、乳糖、微結晶セルロース又はリン酸水素カル
シウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);
崩壊剤(例えば、かたくり粉又は澱粉グリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(
例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬的に許容可能な賦形剤を用いる従
来の手段によって製造される錠剤又はカプセル剤の剤形をとりうる。錠剤は、当
業界で周知の方法で被覆してもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、液剤、
シロップ剤又は懸濁剤の剤形をとるか、又は使用の前に水又は他の好適なビヒク
ルと共に構成するための乾燥製品として提供されうる。そのような液体製剤は、
懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は食用硬化油脂
);乳化剤(例えば、レクチン又はアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、
アーモンド油、油状エステル、エチルアルコール又は分画食用油脂);及び保存
剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはp−ヒドロキシ安息香酸プロ
ピル又はソルビン酸)などの医薬的に許容可能な添加物と共に従来手段によって
製造できる。製剤は、適当なバッファー塩類、香味剤、着色剤及び甘味剤を含ん
でいてもよい。
【0219】 経口投与用製剤は、活性化合物を制御放出するように適当に製剤化することが
できる。
【0220】 バッカル投与については、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤又はロゼ
ンジ剤の剤形をとりうる。
【0221】 吸入による投与については、本発明による使用のための化合物は、適当な噴霧
剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ
テトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適当な気体)を用いた加圧パック又
はネブライザーからのエアゾールスプレー供与の剤形で便利に送達される。加圧
エアゾールの場合、投薬単位は、定量された量を送達するためのバルブを設ける
ことによって決定できる。吸入器で用いる、例えば、ゼラチンのカプセル及びカ
ートリッジは、化合物及び乳糖又は澱粉などの適当な粉末基剤からなる粉末混合
物を含めて製剤化できる。
【0222】 化合物は、注射、例えば、ボーラス注射又は継続的輸液による非経口投与用に
製剤化できる。注射用製剤は、保存剤が添加された単位剤形(例えば、アンプル
中又は複数用量容器中)で提供できる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸
濁剤、液剤又は乳剤などの剤形をとり、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤な
どの製剤化薬剤を含むことができる。あるいは、有効成分は、使用前に適当なビ
ヒクル(例えば、滅菌された病原菌を含まない水)と共に構成するための粉末剤
形にできる。
【0223】 化合物は、例えば、カカオ脂又は他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を含む
、座剤又は保持浣腸剤などの直腸用組成物に製剤化できる。
【0224】 上記の製剤の他に、化合物は、デポ製剤として製剤化することもできる。その
ような長期に作用する製剤は、埋め込み(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉内
注射によって投与できる。従って、例えば、化合物は、適当な重合性若しくは疎
水性材料(例えば、許容可能なオイル中の乳剤として)又はイオン交換樹脂と共
に製剤化できるか、又は徐々に溶解する誘導体(例えば、徐々に溶解する塩)と
して製剤化できる。
【0225】 組成物は、所望ならば、有効成分を含む1以上の単位剤形を入れることができ
るパック又はディスペンサー装置で提供できる。パックは、例えば、ブリスター
パックなどの、金属フォイル又はプラスチックフォイルからなっているものでも
よい。パック又はディスペンサー装置には、投与用の指示書が添付されていても
よい。
【0226】6. 実施例:新規なユビキチンリガーゼF-boxタンパク質及び遺伝子の同定及び
特徴付け 下記研究は、ユビキチン化経路に対する新規な特異的基質を集める働きをしう
る新規F-boxタンパク質を同定するために行った。幾つかの生物に関する研究は
、幾つかのFBP類が重要な細胞性調節タンパク質(例えば、サイクリン、cdk阻害
剤、β−カテニン、IKBaなど)の制御された分解に決定的な役割を果たすことを
示した。これらのFBP類は、3つの基本的サブユニット(すなわち、(S.セレビシ
エでCdc53と呼ばれ、ヒトでCul1と呼ばれる)クリン(cullin)サブユニット;S
kp1;及び多くのFBP類の1つ)によって形成されるユビキチンタンパク質SCFリ
ガーゼのサブユニットである。SCFリガーゼは、ユビキチン結合酵素(Ubc3又はU
bc4のいずれか)を、異なるFBP類によって集められる特異的基質に標的化させる
。概略的には、Ubcは、クリンサブユニットによってリガーゼに結合され、基質
はFBPサブユニットと相互作用する。FBP類は、クリンサブユニットに直接結合で
きるけれども、クリンのN末端とFBPのF-boxと同時に結合できる、第4のサブユニ
ット、Skp1の存在が、複合体を安定化する。従って、ユビキチンリガーゼ複合体
の基質特異性は、F-boxサブユニットによって与えられる。
【0227】6.1 新規F-box遺伝子の同定及び特徴付けに用いられる材料及び方法 酵母ツーハイブリッドスクリーニング F-boxタンパク質をコードするヒト遺伝子をクローニングするために、改変さ
れた酵母ツーハイブリッド系(Vidalら, 1996, Proc. Nat. Acad. Sci., 93:103
15-20;Vidalら, 1996 Proc. Nat. Acad. Sci., 93:10321-26)を用いて、Skp1
と結合するタンパク質を同定した。この改変系は、3つの異なるGal4結合部位プ
ロモーターから発現される3つのリポーター遺伝子をうまく利用し、それによっ
て、擬陽性相互作用の数を減らす。この複数リポーター遺伝子アッセイは、真の
相互作用の同定を促進する。
【0228】 ヒトSkp1を、新規F-boxタンパク質及びCdc4の推定されるヒトホモログなどのS
kp1と相互作用するタンパク質を探索するためのbaitとして用いた。それぞれ酵
母GAL4のDNA結合ドメイン(DB, aa 1-147)及び転写活性化ドメイン(AD, aa 76
8-881)をコードし、選択マーカーとしてLEU2及びTRP1を含む、プラスミドpPC97
-CYH2及びpPC86を用いた(Chevray及びNathans, 1992, Proc. Nat. Acad. Sci.,
89:5789-93;前記Vidalら)。
【0229】 下記のPCR産物の相同的組み換えによって、Skp1とDBとの間のイン-フレーム(i
n-flame)融合物を得た。下記2つのオリゴヌクレオチドを設計し、Gene Link Inc
.社から精製されたプライマーとして入手した: (配列番号81)。5'プライマーは、skp1遺伝子の5'配列と隣接するpPC97-CYH2
プラスミド(下線付き)のDB中に位置する配列に対応する。3'プライマーは、sk
p1遺伝子の3'配列と隣接するpPC97-CYH2プラスミド(下線付き)のポリリンカー
のそばに位置する配列に対応する。これらのプライマーを以下の成分を含むPCR
反応物中に用いた:100 ngのDNA鋳型(skp1 pETプラスミド)、1μMの各プライ
マー、0.2 mM dNTP、2 mM MgCl2、10 mM KCl、20 mMトリス塩酸 pH 8.0、0.1%
トリトンX-100、6 mM (NH4)2SO4、10μg/mlヌクレアーゼフリーBSA、1単位のPfu
DNAポリメラーゼ(94℃で4分、50℃で1分、72℃で10分で28サイクル)。約100
ngのPCR産物を、Bg1II及びSalIで予め消化した100 ngのpPC97-CYH2プラスミドの
存在下又は不存在下で、酵母細胞(MaV103株;Vidalら, 1996, Proc. Natl. Aca
d. Sci. U.S.A. 93:10315-10320;Vidalら, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S
.A. 93:10321-10326)中へ形質転換した。相同的組み換えの結果として、skp1の
cDNAによって相同的に組み換えられたpPC97-CYH2プラスミドを含む酵母細胞のみ
が、ロイシン不存在下で増殖した。6個のコロニーを単離し、報告されたように
(前記Vidalら)Skp1の発現を免疫ブロッティングすることによって分析した。
対照コロニー以外の、6個のコロニー全部が、我々のアフィニティー精製した抗S
kp1抗体によって認識されるMr36,000融合タンパク質を発現した。
【0230】 ADドメイン下流のフレームにcDNA断片をクローニングすることによってAD融合
物を作製し、構築物を配列決定、免疫ブロット法、及びSkp1との相互作用によっ
て確認した。pPC86-Skp2s(pPC86)は、pPC86-Skp2、及びpPC86-Skp2-CT(Skp2
のaa 181-435)を含む。Skp2はSkp1の既知の相互作用体(Zhangら, 1995, Cell,
82:915-25)なので、前者の融合物は、我々の陽性対照を示し;後者の融合物は
Skp1との相互作用に必要なF-boxを欠いているので、これを陰性対照として用い
た。
【0231】 DB-Skp1融合物を有するMaV103株を、標準酢酸リチウム法を用いて、pPC86中の
活性化T細胞cDNAライブラリー(Alala2;Huら, Genes & Dev. 11:2701-14)によ
って形質転換した。形質転換体を、先ず合成完全(SC)-Leu-Trpプレート上にプレ
ーティングし、次いで二日後に、20 mMの3−アミノトリアゾール(3-AT)を含む
(SC)-Leu-Trp-Hisプレート上にレプリカを載せた。さらに3〜4日間インキュベー
トして増殖させた酵母コロニーを一次陽性として拾い上げ、さらに3種のリポー
ターアッセイで試験した:i)20 mM 3-ATを補充したSC-Leu-Trp-Hisプレート上で
の増殖;ii)ガラクトシダーゼ活性;及びiii)逆選択法として、0.2%の5−フル
オロオロト酸を含むSC-Leu-Trpプレート上でのURA3活性化。スクリーニングされ
た3×106個の酵母形質転換体のうち、ADプラスミドは、3種全てのアッセイ後に
陽性コロニーとして選択された15個からレスキューされた。MaV103細胞を、レス
キューされたADプラスミドとDBskp1融合物、又はレスキューされたADプラスミド
と対照としてcDNAインサートを含まないpPC97-CYH2ベクターのいずれかによって
再度形質転換した。3種のリポーターアッセイ全てで繰り返し陽性であると試験
されたクローン由来の11個のADプラスミド(非常に強い相互作用体)、及び3種
のリポーターアッセイの全てではなくそのうちの幾つかで陽性であったクローン
由来の4種の追加のADプラスミド(強い相互作用体)を回収し、自動ABI373DNAシ
ーケンシングシステムによって配列決定した。
【0232】完全長のFBP類のクローニング FBP4及びFBP5をコードする2つのクローンは、完全長であると思われるが、FBP
1、FBP2、FBP3及びFBP7をコードする4種の他のcDNAの完全長クローンを、製造
業者の指示書に従ってMarathon-Ready cDNAライブラリー(Clonthec社製、カタ
ログNo. 7406, 7445, 7402)を用いたRACEによって得た。FBP6をコードする完全
長クローンは得られなかった。完全長クローンに対する基準は、以下のうちの少
なくとも2つを含む:i)既知のF-boxタンパク質に関係する配列を与えるORFの同
定;ii)推定されるメチオニン開始コドンでのコンセンサスKozak翻訳開始配列の
存在;iii)推定される開始コドンの上流ではなく、同じリーディングフレーム中
での停止コドンの同定;iv)3種の異なるcDNAライブラリーを用いるRACEによって
クローンのサイズをさらに増加できないこと。
【0233】酵母抽出物由来のタンパク質の免疫ブロット法による分析 酵母細胞を中間対数増殖期まで増殖させ、回収し、洗浄し、約109細胞/mlの
細胞密度でバッファー(50 mMトリス、pH8.0、20%グリセロール、1 mM EDTA、0
.1%トリトンX-100、5 mM MgCl2、10 mMβ−メルカプトエタノール、1 mM PMSF
、1 mg/mlロイペプチン、 1 mg/mlペプスタチン)中に再懸濁した。ガラスビー
ズ存在下で40℃で10分間激しく攪拌することによって細胞を破壊した。12,000 r
pm、40℃で15分間遠心分離することによって破片をペレット化した。約50 gのタ
ンパク質を上記の免疫ブロット法にかけた(前記Vidalら, 1996a;前記Vidalら,
1996b)。
【0234】タンパク質モチーフのDNAデータベース検索及び分析 FBP遺伝子との相同性を有するEST(発現された配列タグ)を、BLAST、PSI-BLA
ST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)及びTGIシーケンス・サーチ(TGI S
equence Search)(http://www.tigr.org/cgi-bin/BlastSearch/blast_tig.cgi
)を用いて同定した。少なくとも100 bps中95%を超えてオーバーラップしたEST
類をSequencher 3.0を用いて新規な連続的ORF中にアセンブルした。プロファイ
ルスキャン・サーバー(ProfileScan Server)(http://www.isrec.isb-sib.ch/
software/PFSCAN_form.html)、ブロックス・サーチャー(BLOCKS Sercher)(h
ttp://www.blocks.fhere.org/blocks_search.html)及びIMBジェナ(IMB Jena)
(http://genome.imb-jena.de/cgi-bin/GDEWWW/menu.cgi)によって、タンパク
質ドメインを同定した。
【0235】F-box突然変異体の構築 リーディング・フレームを保存する適当な制限酵素で削除することによって、
デルタ−F-box突然変異体[(ΔF)FBP1、残基32-179;(ΔF)FBP2、残基60-101;(
ΔF)FBP3a、残基40-76;(ΔF)FBP4、残基55-98]を得た。BspEI及びXbaI制限酵素
によってDNA断片(ヌクレオチド338-997)を除去し、それをヌクレオチド457-99
7を含むPCR断片で置換することによって(ΔF)Skp2突然変異体を得た。最終構築
物は残基113-152を欠損したタンパク質をコードしていた。QuikChange 部位指定
突然変異誘発キット(Stratagene社製)のポリメラーゼ連鎖反応を用いたオリゴ
ヌクレオチド指定突然変異誘発によってロイシン51〜アラニンFBP3a突然変異体[
FBP3a(L51A)]及びトリプトファン76〜アラニンFBP3a突然変異体[FBP3a(W76A)]を
作製した。全ての突然変異体の全体を配列決定した。
【0236】組み換えタンパク質 以下のヒトタンパク質をコードするcDNA断片:Flagタグ付きFBP1、Flagタグ付
き(ΔF)FBP1、Flagタグ付きFBP3a、Skp2、HAタグ付きCul1、HAタグ付きCul2、
β−カテニン、Hisタグ付きサイクリンD1、Skp1、Hisタグ付きSkp1、Hisタグ付
きエロンジン(Elongin)Cを、バキュロウイルス発現ベクターpBacpak-8(Clone
tech社製)中に挿入し、バキュロゴールド(BaculoGold)トランスフェクション
キット(Pharmingen社製)を用いて線状化されたバキュロウイルスDNAを有するS
f9細胞中にコトランスフェクションした。組み換えウイルスを用いて、5B細胞を
感染させ、上記の免疫ブロット法によってそれらのコードされたタンパク質の発
現をアッセイした。製造業者の指示書に従ってニッケル−アガロース(Invitrog
en社製)によってHis-タンパク質を精製した。
【0237】抗体 以下のアミノ酸ペプチド:(C)DGEKDTYSYLA(配列番号82)をウサギ及びマウス
に注射することによって抗Cul1抗体を生産した。このペプチドは、ヒトCul1のカ
ルボキシ末端に対応しているが、他のクリンでは保存されていない。以下のアミ
ノ酸ペプチド:(C)ESSFSLNMNFSSKRTKFKITTSMQ(配列番号83)をウサギに注射す
ることによって抗Cul2抗体を生産した。このペプチドは、ヒトCul2のカルボキシ
末端から87個のアミノ酸に位置づけられるが、他のクリンでは保存されていない
。ヒトSkp1のカルボキシ末端に対応する、ペプチド(C)EEAQVRKENQW(配列番号84
)をウサギに注射することによって抗Skp1抗体を生産した。このペプチドをキー
ホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させるために、システイン残基(C)
を付加した。抗体は全て、記載(Pagano, M.編, 1995,「ペプチドから精製抗体
まで(From Peptide to Purified Antibody)」, Cell Cycle: Materials and M
ethods中, Spring-Verlag社発行, 217-281)のように、生産し、アフィニティー
精製(AP)し、特徴付けした。簡単にいえば、その配列が高い抗原指数(高い親
水性、良好な表面確率、良好な柔軟性、及び良好な二次構造)を示すペプチドを
選択した。ウサギ及びマウスに、完全フロイントアジュバントと混合されたペプ
チド−KLHを注射した。続いて、35S−メチオニン標識HeLa抽出物の免疫沈降によ
って、有意な免疫反応性が検出されるまで、2週間毎に、それらに不完全フロイ
ントアジュバント中ペプチドを注射した。これらの抗血清は、ヒト抽出物及び組
み換えタンパク質を含む抽出物の両方で予測されたサイズのバンドを認識した。
【0238】 Zymed Inc.社と共同でUbc3に対するモノクローナル抗体(Mab)を生産し、特
徴付けした。サイクリンBに対するMab(カタログNo. sc-245)は、Santa Cruz社
から入手し;p21(カタログNo. C24420)及びp27(カタログNo. K25020)に対す
るMabはTransduction lab.社から入手した。(Mabs)サイクリンE、(Faha, 199
3, J. of Virology 67:2456);ヒトp27、Skp2、Cdk2に対するAPウサギ抗体(Pa
gano, 1992, EMBO J. 11:761)、及びサイクリンA(Pagano, 1992, EMBO J. 11:
761)、及びホスホ部位p27特異的抗体は、入手したか又は標準方法によって生産
した。明示している場合は、N末端Skp2ペプチドに対するAPヤギ抗体(Santa Cru
z社製、カタログNo.sc-1567)を用いた。ラット抗HA抗体は、Boehringer Mannhe
im社(カタログNo.1867423)から入手し、ウサギ抗HA抗体は、Santa Cruz社(カ
タログNo.sc-805)から入手し、マウス抗Flag抗体はKodak社(カタログNo.IB130
10)から入手し、ウサギ抗Flag抗体は、Zymed社(カタログNo.71-5400)から入
手し、抗Skp1及び抗β−カテニンマウス抗体は、Transduction Laboratories社
(それぞれ、カタログNo.C19220及びP46020)から入手した。ヒトサイクリンD1
に対するMab(クローンAM29、カタログNo.33-2500)の製造、精製及び特徴付け
を、Zymed Inc.社と共同で行った。ヒトサイクリンD1に対する抗血清は、記載の
ように製造した(Ohtsuboら, 1995, Mol Cel Biol, 15:2612-2624)。
【0239】抽出調製物及び細胞同調化 細胞溶解バッファー中に1μmのオカダ酸を存在させること以外は前記(Pagano
, 1993, J. Cell Biol. 121:101)と同様にタンパク質抽出を行った。ヒト肺線
維芽細胞IMR-90を、48時間の血清飢餓培養によってG0/G1で同調させ、血清を再
添加することによって再度刺激して細胞周期を再開させた。HeLa細胞を記載され
た(Pagano, 1992, EMBO J. 11:761)ように有糸分裂シェイクオフによって同調
させた。フローサイトメトリーによって同調をモニターした。in vitroでのユビ
キチン化及び分解アッセイについては、48時間のロバスタチン処理によってG1 H
eLa細胞を得て、下記のようにタンパク質抽出を行った。
【0240】免疫沈降法及び免疫ブロッテイング法 3〜5倍量の標準細胞溶解バッファー(Paganoら, 1992, Science 255, 1144-11
47)を添加することによって細胞抽出物を調製し、免疫沈降法の条件は記載(Je
nkins及びXiong, 1995;Paganoら, 1992a Science 255, 1144-1147)のとおりで
あった。記載(Tamら, 1994 Oncogene 9, 2663)のようにウエット・ブロッティ
ングによって、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜(Novex社製)に移し
た。フィルターを、製造業者の指示書に従って化学発光(DuPont-NEN社製)検出
システムを用いた免疫ブロッティング法にかけた。
【0241】in vitroでのユビキチン化アッセイのためのタンパク質抽出 対数的に増殖しているHeLa-S3細胞を、6×105細胞/mlの密度で回収した。約4
mlのHeLa S3細胞ペレットを、20 mMトリス塩酸(pH7.2)、2 mM DTT、0.25 mM
EDTA、10μg/mlロイペプチン、及び10μg/mlペプスタチンからなる氷冷されたバ
ッファー6ml中に懸濁した。この懸濁液を、使用前に十分にすすいで氷上で冷却
した細胞用窒素破壊ボンベ(Parr, Moline, IL社製、カタログNo.4639)に移し
た。ボンベのチャンバーを窒素タンクにつなぎ、ゆっくりと圧力を1000 psiまで
もっていった。チャンバーを同圧力下で30分間氷上に放置し、次いで圧力をゆっ
くりと緩めた。材料をエッペンドルフチューブに移し、10,000 gのマイクロ遠心
分離機中で10分間遠心分離した。上清(S-10)を、より少量のサンプルに分割し
、−800℃で凍結した。
【0242】in vitroでのユビキチン化 記載(Lyapina, 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:7451)のようにユビ
キチン化アッセイを行った。簡単にいえば、抗Flag抗体によって免疫沈降された
Flagタグ付きFBPを含む免疫ビーズを、精製された組み換えヒトE1及びE2酵素(U
bc2、Ubc3又はUbc4)と共に、ビオチン化ユビキチンを含む反応混合物に添加し
た。次いで、HRP−ストレプトアビジンによってブロッティングすることによっ
てサンプルを分析した。E1及びE2酵素並びにビオチン化ユビキチンは記載(Paga
no, 1995, Science 269:682)のように製造した。
【0243】一時的トランスフェクション 以下のヒトタンパク質をコードするcDNA断片を、そのC末端にFlagタグをイン-
フレームで有する哺乳動物発現ベクターpcDNA3(Invitrogen社製)中に挿入した
。細胞を、製造業者の指示書に従ってFuGENEトランスフェクション試薬(Boehri
nger社製、カタログNo.1-814-443)によってトランスフェクションした。
【0244】免疫蛍光法 カバーガラス上で単層増殖しているトランスフェクションされた細胞を、PBS
ですすぎ、4℃で10分間PBS中4%パラホルムアルデヒドで固定し、次いで、PBS中
0.25%トリトンX-100を用いて10分間透過化処理した。他の固定化プロトコール
は、それに遜色のない結果を与えた。記載(Pagano, 1994, Genes & Dev., 8:16
27)のように1μg/mlウサギ抗Flag抗体を用いて免疫蛍光染色を行った。
【0245】ノーザンブロット分析 Clontech 社から入手したヒト複合組織mRNAを用いてノーザンブロットを行っ
た。無作為プライマーDNA標識キット(Gibco BRL社製)を用いて[アルファ−32P
]dCTP(Amersham Inc.社製)によってプローブを放射標識した(2×106 cpm/ml
)。55-60℃で0.2×SSC、0.1%SDSで洗浄を行った。FBP1及びFBP3aプローブは、
2種のHindIII制限断片(それぞれ、ヌクレオチド1-571及び1-450)であり、FBP2
、FBP4、及びFBP1プローブは、それらそれぞれの完全長cDNAであり、β−ACTIN
プローブはClontech 社から入手した。
【0246】蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH) ツーハイブリッドスクリーニングから得られたcDNAプローブによるλFIX II胎
盤ヒトゲノムライブラリー(Stratagene社製)の高ストリンジェンシースクリー
ニング(65℃、0.2×SSC、0.1%SDSで洗浄)によってゲノムクローンを単離した
。高ストリンジェンシーサザンハイブリダイゼーション及び部分的配列分析によ
ってファージクローンを確認した。精製された全体ファージDNAを標識し、記載
(M. Pagano編, 1994, 「細胞周期:材料及び方法」中, 29)のようにFISHを行
った。
【0247】6.2 結果 6.2.1 新規F-boxタンパク質及びそれらのin vivo活性の特徴付け 酵母ツーハイブリッドシステムの改良バージョンを用いてヒトSkp1の相互作用
体を探索した。baitとしてGal4 DB-Skp1融合タンパク質を有するMaV103酵母株を
、preyとしてGal4 AD融合タンパク質を発現する活性化T細胞cDNAライブラリーに
よって形質転換した。初期選択及び再形質転換工程の後、3種の異なるリポータ
ーアッセイを用いてヒトSkp1と特異的に相互作用する13種の陽性クローンを得た
。配列分析後、この13種のレスキューされたcDNAが、全てFBP類をコードする7種
の異なるオープンリーディングフレームに由来することを見出した。これらの新
規なFBP類を以下のように命名した:図3に示されるFBP1(配列番号1);図4に示
されるFBP2(配列番号3);図5に示されるFBP3a(配列番号5);図7に示されるF
BP4(配列番号7);図8に示されるFBP5(配列番号9);図9に示されるFBP6(配
列番号11);図10に示されるFBP7(配列番号13)。7種のFBP類の1つであるFBP1
(配列番号1)は、我々のスクリーニングが進行中に他の研究者らによっても同
定された(Margottinら, 1998, Molecular Cell, 1:565-74)。
【0248】 National Center for Biotechnology Information及びThe Institute for Gen
omic Researchを通じて利用可能なデータベースで、BLASTプログラムを用いてF-
boxを含むと予測されるヒトタンパク質を検索した。これらの予測されるヒトFBP
類由来のF-boxモチーフのアラインメントを図1に示す。上記に開示されたF-box
由来のヌクレオチド配列と、利用可能な配列(ジェンバンク受託番号: およびTHC205131)をアラインすることによって19種のこれまで特徴付けされて
いないヒトFBP類を同定した。
【0249】 このように同定された19種のこれまで特徴付けされていないFBPヌクレオチド
配列を以下のように命名した:図6に示されるFBP3b(配列番号23);図11に示さ
れるFBP8(配列番号25);図12に示されるFBP9(配列番号27);図13に示される
FBP10(配列番号29);図14に示されるFBP11(配列番号31);図15に示されるFB
P12(配列番号33);図16に示されるFBP13(配列番号35);図17に示されるFBP1
4(配列番号37);図18に示されるFBP15(配列番号39);図19に示されるFBP16
(配列番号41);図20に示されるFBP17(配列番号43);図21に示されるFBP18(
配列番号45);図22に示されるFBP19(配列番号47);図23に示されるFBP20(配
列番号49);図24に示されるFBP21(配列番号51);図25に示されるFBP22(配列
番号53);図26に示されるFBP23(配列番号55);図27に示されるFBP24(配列番
号57);及び図28に示されるFBP25(配列番号59)。これらの予測されるヒトFBP
類由来のF-boxモチーフのアラインメントを図1Aに示す。これらの配列のうち、
同定された14種のFBPヌクレオチド配列(すなわち、FBP3b(配列番号23)、FBP8
(配列番号25)、FBP11(配列番号31)、FBP12(配列番号33)、FBP13(配列番
号35)、FBP14(配列番号37)、FBP15(配列番号39)、FBP17(配列番号43)、F
BP18(配列番号45)、FBP20(配列番号49)、FBP21(配列番号51)、FBP22(配
列番号53)、FBP23(配列番号55)、及びFBP25(配列番号59))は、これまでア
センブルされたことがなく(assembled)、新規な核酸分子を示した。残りの5種
の配列(すなわち、FBP9(配列番号27)、FBP10(配列番号29)、FBP16(配列番
号41)、FBP19(配列番号47)、及びFBP24(配列番号57))は、すでにアセンブ
ルされており、データベースに開示されているが、F-boxタンパク質としてこれ
まで認識されなかった。
【0250】 ヒトFBP類のコンピューター分析は、幾つかの興味深い特徴を明らかにした(
図2のFBP類の略図を参照されたい)。3種のFBP類がWD-40ドメインを含み;幾つ
かのFBP類がLRR類を含み、6種のFBP類が、ロイシンジッパー、リングフィンガー
、ヘリックス−ループ−ヘリックスドメイン、プロリンリッチモチーフ及びSH2
ドメインなどの、FBP類中で同定されたことがない他の潜在的なタンパク質−タ
ンパク質相互作用モジュールを含んでいる。
【0251】 ヒトFBPファミリーの例として、幾つかのFBP類のさらに詳細な特徴付けを行っ
た。新規FBP類とヒトSkp1との間の相互作用の特異性を確認するために、8種のin
vivo翻訳されたFBP類を、ニッケル−アガロースビーズに予め結合されたHisタ
グ付きSkp1への結合を試験した。対照として、ただ一つの既知のヒトSkp1ホモロ
グであるエロンジンCを用いた。7種のFBP類全ては、His−Skp1ビーズに結合でき
るが、Hisタグ付きエロンジンCビーズには結合できない(図29)。Hisタグ付き
エロンジンCビーズに結合する少量のFBP類は、ニッケル−アガロースビーズに結
合された非関連タンパク質(Hisタグ付きp27)を、プルダウン(pull-down)ア
ッセイで用いる場合にも存在するので、これは非特異的結合を示していると思わ
れる(例として、図29のレーン12を参照されたい)。
【0252】 F-box欠損突然変異体(ΔF)FBP1、(ΔF)FBP2、(ΔF)FBP3a、及びF-boxの保存さ
れたアミノ酸残基中に単一点突然変異を含む突然変異体、FBP3a(L51A)及びFBP3a
(W76A)を構築した。F-boxを欠損した突然変異体及び点突然変異を有する突然
変異体は、Skp1に結合するそれらの能力を失っており(図29)、ヒトFBP類は、S
kp1に特異的に結合するためにはそれらのF-boxの完全性が必要であることが確認
された。
【0253】 FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4及びFBP7が、in vivoでヒトSkp1及びCul1と相互作用
するか否か(Skp2は相互作用することが知られている)を判定するために、Flag
タグ付き-FBP1、-(ΔF)FBP1、-FBP2、-(ΔF)FBP2、-FBP3a、-(ΔF)FBP3a、-FBP4
及び-FBP7をHeLa細胞中で発現させ、それから細胞抽出物を作成し、抗Flag抗体
による免疫沈降法にかけた。Cul1、Cul2(もう一つのヒトクリン)、及びSkp1に
対する特異的抗体による免疫ブロット法で検出されるように、抗Flag抗体は、Cu
l1及びSkp1と共沈するが、野生型FBP類を発現する細胞からの抽出物中にもっぱ
ら存在するCul2とは共沈しない(図29及びデータは示さない)。これらのデータ
は、酵母の場合と同様に、ヒトSkp1/クリン複合体は多くのFBP類の足場(scaff
old)を形成することを示す。
【0254】 FBP類がSkp1/Cul1複合体と結合することは、FBP類がユビキチン連結活性と関
係している可能性と一致している。この可能性を試験するため、Flagタグ付きFB
PをヒトSkp1及びCul1と共にHeLa細胞中で発現させた。抽出物を、抗Flag抗体に
よる免疫沈降法に付し、ヒトユビキチン活性化酵素(E1)及びヒトUbcの存在下
でユビキチンリガーゼ活性をアッセイした。試験した全ての野生型FBP類は、ユ
ビキチン化タンパク質の高分子量スメア特徴をつくり出すユビキチンリガーゼ活
性と関係していたが、FBP突然変異体類では関係していなかった(図30)。リガ
ーゼ活性は、N−エチルマレイミド(NEM)感受性であり(図30、レーン2)、Ubc
4及びE1の両者の存在を必要とした。ヒトUbc3を用いてUbc4による結果と同様の
結果が得られたが、Ubc2は、これらのSCFのユビキチンリガーゼ活性を維持でき
なかった(図30、レーン12、13)。
【0255】 間接的免疫蛍光法を用いて、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4及びFBP7の細胞小器官
の分布を、ヒト細胞で研究した。Flagタグ付加型のこれらのタンパク質を、HeLa
、U2OS及び293T細胞中で発現させ、抗Flag抗体による免疫蛍光染色に付した。FB
P1、FBP4及びFBP7は、細胞質中及び核中の両方に分布していることが見出された
が、FBP2は、主に細胞質中で、FBP3aは主に核中で検出された。図32は、例とし
て、HeLa細胞中で観察されたFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4の細胞小器官局在を示し
ている。(ΔF)FBP1、(ΔF)FBP2、(ΔF)FBP3a突然変異体の局在は、それぞれの
野生型タンパク質の局在と同じであり(図323)、このことはF-box及びF-box依
存性のSkp1への結合が、FBP類の細胞小器官局在を決定しないことを示す。免疫
蛍光染色法は、生化学的細胞小器官分画法の結果と一致していた。
【0256】6.2.2 新規のユビキチンリガーゼ遺伝子転写産物のノーザンブロット分析 複数の正常ヒト組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格、筋肉、腎臓、膵臓、
脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、大腸、末梢血白血球、図33を参照せよ
)から得たポリ(A)+mRNAについてRNAブロット分析を行った。FBP1 mRNA転写産物
(約7kbの大きなバンドと約3.5および約2.5kbの2つの小さなバンド)が試験に供し
た16種のヒト組織の全てで発現されていたが、脳および精巣ではより優勢であっ
た。精巣は、小さい方のFBP1 mRNA型を7kb型より多くはないかもしれないが同等
の量で発現していた唯一の組織であった。FBP2転写産物(〜7.7kbおよび〜2.4kb)
は試験した全ての組織で発現されていたが、FBP2転写物どうしの比率は組織によ
っていくらか差異が認められた。約4kbのFBP3a転写産物は試験した全ての組織に
存在し、より小さな約3kbと2kbの2種のFBP3a型は、特に精巣で、より長時間露光
させることによって目視できるようになった。約4.8kbのFBP4転写産物は試験し
た正常ヒト組織の全てで認められたが、心臓と膵臓では特に豊富であった。最後
に、新たなFBPの発現パターンを、mRNA種(〜4kbの大きなバンドおよび〜8.5kbの
小さなバンド)は全ての組織で認められるが特に胎盤で豊富なFBP1の発現パター
ンと比較した。
【0257】6.2.3 ヒトFBP遺伝子の染色体上の位置 ある種の腫瘍では細胞性調節タンパク質(例えば、p53、p27、β-カテニン)の
分解が抑制されていないことが観察されており、これは調節を解除されたユビキ
チンリガーゼがこの変化した分解においてある役割を果たしているという仮説を
示唆するものである(A. Ciechanover, 1998, Embo. J. 17:7151に総説されてい
る)。例としてよく理解されているものはMDM2の分解であり、このMDM2は、ユビ
キチンリガーゼ(これはその過剰発現がその基質である癌抑制因子p53を不安定
化するものである)をコードする癌原遺伝子である(BrownとPagano, 1997, Bioc
him. Biophys. Acta, 1332:1, 1998に総説されている)。ヒトFBP遺伝子の染色体
位置をマップするため、およびこれらの位置が腫瘍または遺伝性疾患で変化して
いるとして知られている遺伝子座と合致していないか決定するために、蛍光in s
itu ハイブリダイゼーション法(FISH)を用いた。FBP1遺伝子がマップされ、それ
は10q24(図34A)に位置づけられ、FBP2は9q34(図34B)、FBP3aは13q22(図34C)、FB
P4は5p12(図34D)、FBP5は6q25-26(図34E)に位置づけられた。FBP遺伝子(特にFBP
1、FBP3a、およびFBP5)は、腫瘍で高頻度に変化を受けている染色体上の遺伝子
座にある(参照および詳細はOnline Mendelian Inheritance in Manデータベース
、http://www3.ncbi.nlm.nih.gov/omim/を参照せよ)。とりわけ、10q24(FBP1が
位置する)の欠失がヒト前立腺癌および小細胞肺癌(SCLC)の約10%に認められ、こ
のことはこの位置における腫瘍抑制遺伝子の存在を示唆している。さらに、急性
T細胞白血病の小児の7%もが10q24を限界点t(10;14)(q24;q11)またはt(7;10)(q3
5;q24)のいずれか、として含む転座を伴っている。まれではあるが、9q34領域(F
BP2が位置する)が、ヒト卵巣癌および膀胱癌において異型接合の欠失(LOH)の部
位であることが示されている。LOHはその領域でも観察される。最後に、6q25-26
(FBP5が位置する)はヒトの卵巣癌、乳癌、および胃癌、肝癌、バーキットリンパ
腫、および副甲状腺腫において異型接合の欠失の部位であることが示されている
【0258】7. 実施例:FBP1はβ-カテニンの安定性を調節する β-カテニンのタンパク分解作用の調節が解除されることは悪性腫瘍化と関連
している。アフリカツメガエル(Xenopus Slimb)およびショウジョウバエ FBP1は
Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路をネガティブに調節する(JiangとStruhl, 199
8, 前掲;MarikawaとElinson, 1998)。ユビキチンリガーゼ複合体はその基質と
物理的に会合するので、本実施例における研究はFBP1がβ-カテニンと相互作用
しうるかを決定するためにデザインした。その結果、FBP1はin vivoでのβ-カテ
ニンの安定性を調節する新規のユビキチンリガーゼ複合体を形成することが示さ
れた。従って、β-カテニンをユビキチン化する新規のユビキチンリガーゼ複合
体の構成成分としてのFBP1の同定によって、本発明の方法を用いるアゴニスト、
アンタゴニスト、リガンド、および新規の基質のスクリーニングに用いることの
できる新規の標的が提供される。これらのアッセイで同定される分子は癌および
増殖性疾患に対する治療用薬剤として有用なものとなる可能性がある。
【0259】7.1 FBP1機能の同定のための材料と方法 組換えタンパク質、F-box変異体の構築、抗体、一過性トランスフェクション、
免疫沈降、イムノブロッティング、細胞培養、および抽出物の調製 方法の詳細は上述の第6.1節に記載されている。
【0260】7.2 結果 7.2.1 ヒトFBP1はβ-カテニンと相互作用する FlagをタグづけしたFBP1およびβ-カテニンウイルスを用いて昆虫細胞に同時
感染させ、抽出物を免疫沈降法、次いでイムノブロッティングによって分析した
。β-カテニンは抗Flag抗体によって同時免疫沈降したが(図35A)、このことはイ
ンタクトな細胞中ではβ-カテニンとFBP1が物理的に相互作用することを示して
いる。酵母FBP Cdc4とその基質Sic 1との結合がSkp1の存在によって安定化され
ることが示されている(Skowyraら, 1997, Cell, 91, 202-219)。ヒトSkp 1の同
時発現はFBP1とβ-カテニンの相互作用の強度に影響を与えなかった。FBP1/β-
カテニン相互作用の特異性を試験するために、細胞をヒトサイクリンD1とFBP1ウ
イルスで同時感染させた。このサイクリンの選択は、ヒトサイクリンD1がSkp2ユ
ビキチンリガーゼ複合体と複合体を形成することができることによったものであ
る(Skp1-Cul1-Skp2; Yuら, 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:11324-9)
。FBP1/β-カテニン複合体の形成を示すために用いたものと同じ条件下で、サイ
クリンD1はFlagをタグづけしたFBP1と同時免疫沈降させることはできず、抗サイ
クリンD1抗体はFBP1を同時免疫沈降させることもできなかった(図35B、レーン1-
3)。Skp1(図35B、レーン4-6)またはCdk4をFBP1およびサイクリンD1と同時発現さ
せてもサイクリンD1とFBP1との会合を刺激しなかった。
【0261】 次いでHAをタグづけしたβ-カテニンおよびFlagをタグづけしたFBP1(野生型ま
たは変異型)を担う哺乳動物発現プラスミドをヒト293細胞中に同時トランスフェ
クションさせた。β-カテニンは、野生型または(ΔF)FBP1変異体のいずれかと同
時発現させると抗Flag免疫沈降物中に検出され(図35C、レーン4-6)、このことは
ヒト細胞中のβ-カテニンとFBP1の間に形成された複合体の存在を確認するもの
である。
【0262】7.2.2 F-boxを欠失させたFBP1変異体はin vivoでβ-カテニンを安定化する (ΔF)FBP1のβ-カテニンとの会合は、(ΔF)FBP1がin vivoで一方ではSkp1/Cul
1複合体と結合し得ないことにより、他方ではβ-カテニン結合能を保持し続ける
ことによってドミナントネガティブ変異体として作用する可能性を示唆している
。HAをタグづけしたβ-カテニンはFlagをタグづけした(ΔF)FBP1と、または別の
F-box欠失FBPである(ΔF)FBP2と同時発現させた。FBP2もSkp1相互作用剤につい
ての我々のスクリーニングで得られたものであり;FBP1と同様に、いくつかのWD
-40ドメインを含んでいる。(ΔF)FBP1の存在によってβ-カテニンのより多量の
蓄積が特異的に起こる(図36A)。この蓄積がβ-カテニンの安定性の増大によるも
のかを決定するために、我々はパルスチェイス分析を用いてβ-カテニンの半減
期を測定した。ヒト293細胞を、HAをタグづけしたβ-カテニン単独でまたは野生
型もしくは変異型FBP1と組み合わせてトランスフェクトした。野生型のFpb1がβ
-カテニンの分解にほとんど影響がなかったのに対し、F-boxを欠失させた変異体
はβ-カテニンの半減期を1時間から4時間へと延長した(図36B)。
【0263】 FBP1はまた、HIV-1 Vpuタンパク質によって誘導されるCD4の分解にも関与して
いる(Margottinら, 前掲)。VpuはFBP1をCD4に補給し、(ΔF)FBP1はVpu介在CD4調
節を阻害することが示されている。さらに、FBP1-ユビキチンリガーゼ複合体もI
KBαaの安定性を制御する(Yaronら, 1998, Nature, 396:590)。従って、FBP1と
β-カテニン、Vpuタンパク質、CD4、およびIKBαaとの間の相互作用は、本発明
の方法を用いるアゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、および新規基質のスク
リーニングに用いることのできる標的となる可能性がある。
【0264】8. 実施例:FBP Skp2の基質としてp27を同定する方法 哺乳動物のG1 サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)インヒビターp27の分解は細胞
の休止状態から増殖状態への移行に必要である。p27のユビキチン化と分解はp27
のサイクリン/Cdk複合体によるリン酸化に依存している。S期に入るために不可
欠なF-boxタンパク質であるSkp2はp27をリン酸化依存性の様式で特異的に認識す
る。さらに、in vivoとin vitroの双方において、Skp2はリン酸化されたp27のユ
ビキチン化および分解を行なう機構の律速成分である。従って、p27の分解は、
マイトジェン刺激後のSkp2およびサイクリン双方の蓄積によって2重に制御され
ている。
【0265】 本実施例は、Skp2とp27のin vitroでの相互作用を同定するために用いた新規
アッセイ法を開示するものである。第1に、p27を基質として用いて行うin vitro
ユビキチン化アッセイについて記載する。第2に、抗Skp2抗体を用いて細胞抽出
物からSkp2を枯渇させ、p27ユビキチンリガーゼ活性への影響をアッセイする。
精製Skp2をその免疫枯渇させた抽出物に戻し入れ、p27ユビキチン化および分解
を復活させる。またドミナントネガティブ変異体でありp27のユビキチン化およ
び分解を妨害する(ΔF)Skp2の使用をも開示する。
【0266】 本明細書に記載のアッセイ法は細胞増殖を阻害する化合物の試験に用いること
ができる。それらのアッセイ法は第5.5節に記載の分子、化合物、ペプチド、ま
たはその他の作用剤の存在または不在の条件下で行うことができる。相互作用ま
たはユビキチン化活性を、増強または阻害のどちらかを行う作用剤は、最終産物
の形成の増加又は減少によって同定することができる。そのような作用剤を、例
えば、Skp2により調節されるp27のユビキチン化および分解をin vivoで阻害する
ために用いることができる。これらのアッセイによって同定された分子は癌およ
び増殖性疾患に対する治療薬となりうる潜在的有用性がある。
【0267】 ドミナントネガティブ変異体、例えば変異体(ΔF)Skp2、およびSKP2 mRNAを標
的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドはp27のユビキチン化および分解を妨
害し、癌に対する遺伝子治療に用いることができる。本明細書に記載のアッセイ
法はまた、新規FBPタンパク質の新規基質の同定、ならびに新規ユビキチンリガ
ーゼ複合体-基質相互作用および活性のモジュレーターの同定にも用いることが
できる。
【0268】8.1 Skp2基質としてのp27を同定するための材料と方法 in vitroユビキチン化アッセイのためのタンパク質の抽出 約4mLのHeLa S3細胞ペレットを、20mM Tris-HCl(pH7.2)、2mM DTT、0.25mM ED
TA、10μg/mLのロイペプチン、および10μg/mLのペプスタチンからなる6mLの氷
冷バッファー中で懸濁した。その懸濁液を、十分に洗い使用前に氷上で冷却した
細胞窒素-破壊ボンベ(cell nitrogen-disruption bomb)(Parr, Moline, 米国イ
リノイ州, カタログ#4639)に移した。そのボンベのチャンバーを窒素タンクと接
続し圧を緩徐に1000psiまで上げた。そのチャンバーを同じ圧で氷上に30分間置
き、次いで圧を徐々に下げた。材料をエッペンドルフ試験管に移し、微量遠心機
で10,000gで10分間遠心した。上清(S-10)をより少量のサンプルに分け、−80℃
で凍結した。細胞窒素破壊ボンベ抽出物の使用に基づくこの抽出物調製法は、in
vitroでp27をユビキチン化する活性を、これまでに報告されている方法(Pagano
ら, 1995, Science 269:682-685)よりも良く保持している。
【0269】試薬と抗体 ユビキチンアルデヒド(Hershko & Rose, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.
A. 84:1829-33)、メチルユビキチン(Hershko & Heller, 1985, Biochim. Biophy
s. Res. Commun. 128:1079-86)、およびp13ビーズ(Brizuelaら, 1987, EMBO J.
6:3507-3514)は文献記載のとおり調製した。β,γ-イミドアデノシン-50-三リン
酸(AMP-PNP)、スタウロスポリン、ヘキソキナーゼ、およびデオキシグルコース
はSigmaから;ロバスタチンはMerckから;フラボピリドールはHoechst Marion R
ousselから入手した。ホスホ部位p27特異的抗体はZymed Inc.と共同して、187位
にホスホトレオニン(T)を持つヒトp27のカルボキシ末端に対応するホスホペプ
チドNAGSVEQTPKKPGLRRRQT(配列番号85)をウサギに注射することによって作製
した。次いで血清から、ホスホ-および非ホスホ-ペプチドクロマトグラフィーの
双方を用いる2ラウンドのアフィニティークロマトグラフィーで抗体を精製した
。その他の抗体は全て第6.1節に記載されている。
【0270】免疫枯渇アッセイ 免疫枯渇アッセイには、3μLのSkp2抗血清を15μLのAffi-Prep Protein-Aビー
ズ(BioRad)に4℃で90分間吸着させた。そのビーズを洗い、次いで40μLのHeLa抽
出物(タンパク質の量は約400μg)と混合(4℃、2時間)した。ビーズを遠心で除去
し、上清を0.45μMicrospinフィルター(Millipore)でろ過した。免疫沈降および
イムノブロットは報告されているとおりに行った(M. Paganoら, 1995, 前掲)。
精製GST-Skp2に対するウサギポリクローナル抗体を、Zymed Inc.(カタログ#51-1
900)と共同して、報告されているとおりに作製し、アフィニティー精製(AP)した
(M. Pagano, Cell Cycle-Materials and Methods, M. Pagano編, (Springer, NY
, 1995), 第24章中の記載;E. HarlowとD. Lane, Using antibodies, A Laborat
ory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1998
中の記載)。ヒトCul1およびサイクリンEに対するモノクローナル抗体(Mab)(Faha
ら, 1993, J. of Virology 67:2456);ヒトp27、Skp1(Latresら, 1999, Oncoge
ne 18:849)、Cdk2(Paganoら, 1992, Science 255:1144)に対するAPウサギ抗体、
およびホスホ部位p27特異的抗体。サイクリンBに対するMabはSanta Cruz(カタロ
グ#sc-245)から;p21に対するMab(カタログ#C24420)およびp27に対するMab(カタ
ログ#K25020)はTransduction Labから;抗Flagウサギ抗体はZymed(カタログ#71-
5400)から入手した。N末端Skp2ペプチドに対するAPヤギ抗体(Santa Cruz, カタ
ログ#sc-1567)を用いた。
【0271】Skp2 F-box変異体の構築 (ΔF)Skp2変異体はBspEIおよびXbaI制限酵素でDNA断片(ヌクレオチド338-997)
を除去し、それをヌクレオチド457-997を含むPCR断片で置換して得た。最終構築
物は残基113-152を欠くタンパク質をコードしていた。
【0272】組換えタンパク質 下記のヒトタンパク質をコードするcDNA断片:FlagタグづけしたFBP1、Flagタ
グづけした(ΔF)FBP1、FlagタグづけしたFBP3a、Skp2、HAタグづけしたCul1、HA
タグづけしたCul2、β-カテニン、HisタグづけしたサイクリンD1、Skp1、Hisタ
グづけしたSkp1、HisタグづけしたエロンゲンCをバキュロウイルス発現ベクター
pBacpak-8(Clonetech)中に挿入し、直鎖化したバキュロウイルスDNAとともにBac
uloGoldトランスフェクションキット(Pharmingen)を用いてSf9細胞中に同時トラ
ンスフェクションした。HisタグづけしたヒトサイクリンEおよびHAタグづけした
Cdk2を発現しているバキュロウイルスはD. Morgan(Desai, 1992, Molecular Bio
logy of the Cell 3:571)によって供給されたものである。組換えウイルスを用
いて5B細胞を感染させ、そのウイルスがコードするタンパク質の発現を上述のイ
ムノブロッティングによってアッセイした。Hisタンパク質はニッケル-アガロー
ス(Invitrogen)で製造者の説明書に従って精製した。適切なバキュロウイルスの
同時発現によって異なる複合体を形成し、Skp1とサイクリンEの5'のHisタグを用
いてニッケル-アガロースクロマトグラフィーで精製した。特に断らない限りは
、組換えタンパク質は下記の量でインキュベーションに添加した:サイクリンE/
Cdk2, 約0.5 pmol;Skp1, 約0.5pmol;Skp2, 約0.1pmol;FBP1, 約0.1pmol;FBP3
a, 約0.1pmol;Cul1, 約0.1pmol。精製調製物中のSkp1/Skp2、Skp1/FBP1、Skp1/
FBP3aおよびSkp1/Cul1の重量モル比は約5であった。
【0273】抽出物の調製と細胞の同調、一過性トランスフェクション、免疫沈降およびイム ノブロッティング 方法は上述の第6.1節に記載されているとおりに行った。
【0274】8.2 結果 8.2.1 p27 in vitro ユビキチン化アッセイ 例示としてのin vitroユビキチン化アッセイにおいては、対数増殖期のHeLa-S
3細胞を6 x 10個/mLの密度で集めた。報告されている方法で細胞を70μMロバ
スタチンと48時間処理することによってG1期で停止させる(O'Connor & Jackman,
1995, Cell Cycle-Materials and Methods, M. Pagano編, Springer, NY, 第6
章中の記載)。1μLのin vitroで翻訳された[35S]p27を10μLのユビキチン化混液
中で30℃で種々の時間(0-75分)インキュベートするが、その混液は:40mM Tris
pH7.6、5mM MgCl、1mM DTT、10% グリセロール、1μM ユビキチンアルデヒ
ド、1mg/mL メチルユビキチン、10mM クレアチンリン酸、0.1mg/mL クレアチン
ホスホキナーゼ、0.5mM ATP、1μM オカダ酸、20-30μg HeLa細胞抽出物を含む
ものである。p27からユビキチンの鎖を排除してしまうイソペプチダーゼを阻害
するために、ユビキチンアルデヒドをユビキチン化反応液中に添加することがで
きる。メチルユビキチンの添加は細胞抽出物中に存在するユビキチンと競合し、
p27ユビキチン鎖を終結させる。そのような鎖は高分子量スメア(なすりつけたよ
うに尾を引くバンド)の代わりに別個のバンドとして出現する。これらのより短
いポリユビキチン鎖はプロテアソームに対してのアフィニティーがより低く、従
ってより安定である。反応をβ-メルカプトエタノールを含有するLaemmliサンプ
ルバッファーで停止させ、産物を変性条件下でプロテインゲル上で分析すること
ができる。
【0275】 ポリユビキチン化p27はオートラジオグラフィーで同定される。p27分解アッセ
イは、(i)メチル化ユビキチンおよびユビキチンアルデヒドが除かれていたこと
;(ii)HeLa抽出物の濃度が約7μg/mLであること;(iii)抽出物が低張での溶解に
よって調製されるものであること(Paganoら, 1995, Science 269:682)、を除い
ては同様の方法で行われ、この方法は窒素ボンベ破壊法よりもプロテアソーム活
性をよく保存する。メチルユビキチンの不在下では、p27のユビキチン化活性の
代わりにp27分解活性を測定することができる。
【0276】 これらのサンプルはp27に対する抗体で免疫沈降し、次いで抗ユビキチン抗体
で免疫沈降し、8% SDSゲルにかける。このアッセイによって見出される高分子量
の分子種はユビキチン化されたものである。対照として、13個のリシンの全てを
欠くp27変異体を用いた。このp27変異体はユビキチン化されず、8% SDSゲル上で
はより大きい分子量の位置に動く。
【0277】8.2.2 p27-Skp2相互作用アッセイおよびp27-Skp2免疫枯渇アッセイ Skp1/cullin複合体への酵母およびヒトFBPによる特異的基質の補給はリン酸化
依存性である。従って、IκBα由来のペプチドとβ-カテニンはFBP1に特異的に
結合し、それはリン酸化依存的である(Yaron、 1998、 Nature 396:590; Winsto
nら、 1999、 Genes Dev. 13:270)。187の位置にホスホトレオニンを持つp27ホ
スホペプチドについてそのヒトFBPに対する結合能をアッセイした。そのFBPは、
Skp2およびFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6、およびFBP7を含むもので、
上記の第6節に記載のとおり、Skp1をバイト(bait)として用いる2-ハイブリッド
スクリーニングを用いることによって単離されたものである。これらのFBPのう
ちの4種は、基質相互作用ドメインとなりうるもの、例えばFBP1およびFBP2ではW
D-40ドメイン、Skp2およびFBP3aではロイシンリッチリピートなどを含んでいる
。ホスホ-p27ペプチドはセファロースビーズに固定化し、これらの7種のin vitr
oで翻訳されたFBPとともにインキュベートした(図37A)。1種のFBP、Skp2のみが
ホスホ-T187 p27ペプチドと結合することができた。次いで、p27ペプチド(リン
酸化したものまたはリン酸化していないもののいずれか)に連結されたビーズ、
または無関係のホスホペプチドをHeLa細胞抽出物とともにインキュベートした。
安定的にビーズと会合しているタンパク質を、イムノブロッティングによって試
験した。Skp2およびその会合タンパク質、Skp1およびCul1、はホスホ-p27ペプチ
ドには結合するが、対照ペプチドには結合しないタンパク質として容易に検出さ
れた (図37B)。
【0278】 p27のSkp2への会合をさらに調べるために、in vitroで翻訳されたp27を、Skp1
/Skp2複合体、サイクリンE/Cdk2複合体、または双方の複合体の組み合わせのい
ずれかとともに、p27がサイクリンE/Cdk2によってT187でリン酸化される条件下
でインキュベートした(Montagnoli、 A.ら、 1999、 Genes & Dev. 13:1181)。
次いで、サンプルを抗-Skp2抗体で免疫沈降させた。p27はサイクリンE/Cdk2複合
体の存在下でSkp2のみにより共免疫沈降された(図37C)。注目すべきことに、同
じ条件下でT187をアラニンに変えたp27変異体であるp27(T187A)は抗-Skp2抗体で
は共免疫沈降しなかった。最後に、本発明者らはSkp2およびp27のin vivoでの会
合を試験した。HeLa細胞およびIMR90ヒト2倍体線維芽細胞抽出物を、Skp2に対す
る2種の異なる抗体で免疫沈降させ、次いでイムノブロッティングを行った。p27
とCul1はSkp2免疫沈降物において特異的に検されたが、サイクリンD1およびサイ
クリンB1は検出されなかった(図38)。重要なことは、ホスホ-T187部位p27特異的
抗体を用いて本発明者らはSkp2結合p27がT187の位置でリン酸化されていること
を示したことである(図38、レーン2、下のパネル)。さらに、抗-ペプチドp27抗
体はSkp2を特異的に共免疫沈降した。これらの結果は、p27とSkp2との安定な相
互作用が高度に特異的であり、p27のT187の位置でのリン酸化に依存しているこ
とを示している。
【0279】 p27の細胞サイクル段階特異的ユビキチン化および分解をそのまま再現する、p
27ユビキチン化を調べる無細胞アッセイが開発されている(Montagnoliら、 上述
の文献)。このアッセイを用いると、p27-ユビキチン連結活性は、非同調的に増
殖させた細胞からの抽出物中ではG1-停止細胞からの抽出物に比べて高かった(図
39A、レーン2および4)。これまでの知見(Montagnoli、 A.ら、 上述の文献)と合
致して、サイクリンE/Cdk2の添加はp27のユビキチン化を双方のタイプの抽出物
中で刺激した(図39A、レーン3および5)。しかし、この刺激はG1-停止細胞からの
抽出物中では増殖期の細胞からの抽出物中と比べてはるかに低く、このことはサ
イクリンE/Cdk2に加えてp27-ユビキチン連結系の他の何らかの構成成分がG1での
律速要素となっていることを示唆している。この構成成分はSkp2であろうと考え
られるが、それは他のSCFサブユニットとは対称的にSkp2のレベルがG1細胞から
の抽出物中では非同調細胞からの抽出物中より低く、それがp27のレベルと逆相
関しているからである(図39Bおよび43)。このことから、Skp2がp27ユビキチンリ
ガーゼ活性の律速成分であるかどうか決定するために試験した。組換え精製Skp1
/Skp2複合体のみをG1抽出物に添加してもp27ユビキチン化を有意には刺激しなか
った(図39A、レーン6)。これに対して、Skp1/Skp2複合体およびサイクリンE/Cdk
2複合体を組み合わせて添加するとG1抽出物中でのp27ユビキチン化が強く刺激さ
れた(図39A、レーン7)。同様に、Skp1/Skp2およびサイクリンE/Cdk2を組み合わ
せて添加すると、分解アッセイで測定したときp27のタンパク分解作用が強く刺
激された(図39A、レーン13-16)。これらの実験に用いられたSkp1/Skp2複合体は
、バキュロウイルスのHisをタグ付けしたSkp1およびSkp2を同時発現している昆
虫細胞から単離したものであるので(そして、ニッケル-アガロースクロマトグラ
フィーで同時精製したものである)、His-Skp1と同時精製された昆虫由来のF-box
タンパク質が、G1抽出物中でのp27ユビキチン化の刺激に関与している可能性が
ある。この可能性は、同様な量のHisをタグ付けしたSkp1(昆虫細胞中にてSkp2の
不在下で発現され、同じ方法で精製されたものである)の添加ではサイクリンE/C
dk2の存在下でp27ユビキチン化が刺激されないことを示すことによって排除する
ことができる(図39A、レーン8)。さらに、本発明者らはFBP1およびFBP3aのいず
れもがG1抽出物中でのp27ユビキチン連結の刺激においてSkp2にとって替わるこ
とができないことを見出した(図39A、レーン9-12)。G1抽出物中でのSkp1/Skp2お
よびサイクリンE/Cdk2を組み合わせた添加によるp27-ユビキチン化の刺激は、野
生型p27を用いた場合にのみ観察されうるものでp27(T187A)変異体では観察され
ず(レーン17-20)、このことはp27のT187でのリン酸化はSkp2が媒介するp27のユ
ビキチン化に必要であることを示している。これらの知見は、サイクリンE/Cdk2
複合体およびSkp1/Skp2複合体の双方がG1期におけるp27ユビキチン化および分解
のための律速要素であることを示している。
【0280】 p27ユビキチン連結におけるSkp2の必要性をさらに調べるために、非同調性増
殖細胞の抽出物からSkp2に対する抗体を用いた免疫枯渇法によってSkp2を特異的
に除去した。免疫枯渇法で大部分のSkp2はこれらの抽出物から効率的に除去され
、p27-ユビキチン連結活性(図40A、レーン4)ならびにp27分解活性の顕著な低減
が生じた。この効果は下記の観察結果によって示されるとおり特異的なものであ
った:(i) あらかじめ免疫した血清を用いた同様の処理ではp27-ユビキチン化は
阻害されなかった(図40A、レーン3);(ii) 抗-Skp2抗体を組換えGST-Skp2ととも
にあらかじめインキュベーションすると、抽出物からのp27-ユビキチン化活性の
免疫枯渇を防ぐが(レーン5)、対照のタンパク質では防がなかった(レーン4);(i
ii) Skp2を枯渇させた抽出物中でのp27-ユビキチン化活性はHis-Skp1/Skp2複合
体の添加によって回復するが(図40B、レーン3)、His-Skp1(レーン2)、His-Skp1/
Cul1複合体(レーン4)、またはHis-Skp1/FBP1では回復しなかった。
【0281】 次いで本発明者らはSkp2をHeLa抽出物から免疫沈降させ、この免疫沈降物がp2
7ユビキチン化活性を含んでいるか試験した。抗-Skp2ビーズはサイクリンE/Cdk2
の存在下でp27ユビキチン化を誘導し得たが、あらかじめ免疫した(PI)血清を用
いて作製した免疫沈降物では誘導し得なかった(図40C、レーン2および3)。精製
組換えE1ユビキチン活性化酵素、および精製組換えUbc3の添加ではSkp2免疫沈降
物のp27ユビキチン化を保持する能力を顕著に増大させることはなく(図40C、レ
ーン5)、それはおそらくp27のin vitroでの翻訳に用いられたウサギ網赤血球溶
解物中にそれらのタンパク質が双方とも存在するためであろう。
【0282】8.2.3 F-boxを欠失させたSkp2変異体はin vivoでp27を安定化する Skp2はin vivoでのユビキチンが媒介するp27の分解をも標的とする。F-boxを
欠失させたFBP1変異体である(ΔF)FBP1はin vivoで支配的な陰性変異体として作
用し、これはおそらくF-boxがなければSkp1/Cul1複合体と結合することができな
いが、その基質との結合能は保持されるからであろう。従って、ひとたび細胞内
で発現されれば、(ΔF)FBP1はβ-カテニンおよびIKBαをマスクしそれらの安定
化をもたらす。F-boxを欠失させたSkp2変異体である(ΔF)Skp2を構築した。p27
は、マウス細胞中で単独でまたは(ΔF)Skp2もしくは(ΔF)FBP1と共に発現させた
(図41を参照せよ)。(ΔF)Skp2の存在によって、p27がより多量に蓄積された。こ
の蓄積がp27の安定性の増大によるものであるか調べるために、p27の半減期をパ
ルスチェイス分析(詳細は上述の第8節を参照せよ)を用いて測定した。(ΔF)Skp2
はp27の半減期を1時間未満から約3時間へと延長した。これらの実験ではトラン
スフェクションの効率は約10%であるので、(ΔF)Skp2は同時発現されたヒト外因
性p27の安定性のみに影響を及ぼし、マウス内因性p27の安定性には影響しなかっ
た。
【0283】8.2.4 Skp2アンチセンス実験 Skp2レベルの減少が内因性p27の量に影響を及ぼすか調べるためにSkp2 mRNAを
アンチセンスオリゴヌクレオチドで標的化した。2種の異なるアンセンスオリゴ
はSkp2タンパク質レベルの減少を誘導したが、対照のオリゴデオキシヌクレオチ
ドでは減少は誘導されなかった(図42)。Skp2の減少と同時に、内因性p27タンパ
ク質レベルの顕著な増加が見られた。ヒドロキシ尿素またはアフィジコリン処理
によってG1/S移行をブロックされた細胞中でも同様な結果が得られた(レーン9-1
6)。従って、Skp2アンチセンスオリゴのp27に対する効果は、Skp2レベルの減少
によって可能となるG1におけるブロックの2次的結果ではなかった。
【0284】 アンチセンス実験はYu、 1998、 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:11324に
記載のとおり行った。簡潔に記せば、ホスホロチオエート骨格およびC-5 プロピ
ンピリミジンを含んでいる4種のオリゴデオキシヌクレオチドを合成した(Yale大
学のKeck Biotechnology Resource Laboratory):(1) 5'-CCTGGGGGATGTTCTCA -3
' (配列番号86) (ヒトSkp2 cDNA ヌクレオチド180-196のアンチセンス方向);(2
) 5'-GGCTTCCGGGCATTTAG-3'(配列番号87)[(1)をスクランブルした対照];(3) 5'
-catctggcacgattcca-3'(配列番号88)(Skp2 cDNAヌクレオチド1137-1153のアンチ
センス方向);(4) 5'-CCGCTCATCGTATGACA-3'(配列番号89)[(3)をスクランブルし
た対照]。オリゴヌクレオチドはCytofectin GS(Glen Research)を製造者の使用
説明書に従って用いてHeLa細胞中に移送した。次いでその細胞をトランスフェク
ションの16時間から18時間後に回収した。
【0285】9. 実施例:FBPと細胞周期調節タンパク質(例えばSkp2とE2F)との相互作用を同 定するためのアッセイ 下記の研究は公知のFBP、Skp2の、新規の基質を同定するために行った。
【0286】 図44に示すとおり、E2F-1はSkp2と物理的に会合するが、p53およびサイクリン
Bを含むアッセイしたユビキチン経路の他の基質は会合しなかった。Skp2とE2F-1
(レーン1、4、および5)、またはSkp2とヘキサヒスチジンp53(His-p53)(レーン2
、6、7、10、および11)、またはSkp2とHis-サイクリンB(レーン3、8、9、12、お
よび13)を同時発現しているバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞の抽出物は
、Skp2に対する抗血清で直接的にイムノブロットするか(レーン1-3)、またはま
ずSkp2に対する抗血清でイムノブロットするか(レーン1-3)もしくはまず指示さ
れた抗体で免疫沈降させ、次いでSkp2に対する抗血清でイムノブロットを行った
(レーン4-13)。免疫沈降に用いた抗体は:正常精製マウス免疫グロブリン(IgG)(
レーン4、6、10、および12)、精製マウスモノクローナル抗-E2F-1抗体(KH-95、
Santa Cruzから入手)(レーン5)、精製マウスモノクローナル抗-p53抗体(DO-1、O
ncogene Scienceから入手)(レーン7)、精製ウサギIgG(レーン8)、精製ウサギポ
リクローナル抗-サイクリンB抗体(レーン9)、精製マウスモノクローナル抗-His
抗体(クローン34660、Quiagenから入手)(レーン11および13)である。
【0287】 図44Bに示すとおり、Skp2は物理的にE2F-1と会合するが、ユビキチン経路の他
の基質(p53およびサイクリンB)とは会合しない。Skp2とE2F-1(レーン1-3)、また
はSkp2とHis-p53(レーン4-6)、またはSkp2とHis-サイクリンB(レーン7-9)を同時
発現しているバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞抽出物は、指示されたタン
パク質に対する抗体で直接的にイムノブロットするか(レーン1、4、および7)、
またはまず指示された抗血清で免疫沈降させ次いで指示されたタンパク質に対す
る抗体でイムノブロットした(レーン2、3、5、6、8、および9)。免疫沈降に用い
る抗血清は、抗-Skp2血清(レーン2、5、および8)、ならびに正常ウサギ血清(NRS
)(レーン3、6、および9)である。
【0288】 図44Cに示すとおり、E2F-1はSkp2と物理的に会合するが、別のF-boxタンパク
質(FBP1)とは会合しない。Skp2とE2F-1(レーン1、3、および4)、またはFlagをタ
グ付けしたFBP1とE2F-1(レーン2、5、および6)を同時発現しているバキュロウイ
ルスを感染させた昆虫細胞抽出物はマウスモノクローナル抗-E2F-1抗体で直接的
にイムノブロットするか(レーン1と2)、またはまず指示された抗体で免疫沈降を
行い、次いでマウスモノクローナル抗-E2F-1抗体でイムノブロットした(レーン3
-6)。免疫沈降に用いられた抗体は、抗-Skp2血清(レーン3)、NRS(レーン4)、精
製ウサギポリクローナル抗-Flag(レーン5)、精製ウサギIgG(レーン6)である。
【0289】 本実施例に用いた方法論はいかなるFBPの新規基質の同定にも適用することが
でき、そのようなFBPとしては、限定はされないがFBP1、 FBP2、 FBP3a、 FB
P3b、 FBP4、 FBP5、 FBP6、 FBP7、 FBP8、 FBP9、 FBP10、 FBP11、
FBP12、 FBP13、 FBP14、 FBP15、 FBP16、 FBP17、 FBP18、 FBP19、
FBP20、 FBP21、 FBP22、 FBP23、 FBP24、 およびFBP25などの本発明の
FBPが含まれる。
【0290】 本発明は記載の特定の実施形態によってその範囲を限定すべきではなく、それ
らの実施形態は本発明の個々の態様の単なる例示であり、機能的に同等な方法お
よび構成成分は本発明の範囲に包含される。本明細書に記載のものに加えて行い
うる本発明の各種の改変は、前述の記載および添付の図面から当業者には明白な
ものとなろう。そのような改変は添付の特許請求の範囲内にあることを意図した
ものである。
【0291】 本明細書に引用した参照文献の全てを参照により本明細書に組み込むこととす
る。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトF-boxタンパク質FBP1(配列番号15)、FBP2(配列番号16)、FBP3a(配列番
号17)、FBP3b(配列番号78)、FBP4(配列番号18)、FBP5(配列番号19)、FBP6(
配列番号20)、FBP7(配列番号21)、Skp2(配列番号22)、FBP8(配列番号61)、FB
P9(配列番号62)、FBP10(配列番号63)、FBP11(配列番号64)、FBP12(配列番号
65)、FBP13(配列番号79)、FBP14(配列番号66)、FBP15(配列番号67)、FBP16(
配列番号68)、FBP17(配列番号69)、FBP18(配列番号70)、FBP19(配列番号71)
、FBP20(配列番号72)、FBP21(配列番号73)、FBP22(配列番号74)、FBP23(配
列番号75)、FBP24(配列番号76)、FBP25(配列番号77)における保存されたF-box
モチーフアミノ酸残基のアライメントである。既知のFBP、Skp2のF-boxと、2ハ
イブリッドスクリーニング(ポンド記号で示す)またはBLASTサーチ(クロスで
示す)によって同定されたFBPのF-boxとのアライメントをClustal W法(Mac Vec
tor(登録商標))を用いて行い、手動で再調整した。少なくとも15種類のF-box
において同一の残基を濃い灰色で、似通っている残基を薄い灰色で影をつけてい
る。アステリスク1つは、ポリAテイルが後に続く終止コドンがcDNA中に存在する
ことを示す。一方、潜在的全長クローンにはアステリスク2つを付している。図
の下に付したアステリスクはFBP3aにおいて変異したアミノ酸残基を示す(図29
参照)。
【図2】 FBPを模式的に示したものである。ヒトFBPにおける推定のタンパク質-タンパ
ク質相互作用ドメインを示す(説明のためのキーボックスを参照されたい)。2
ハイブリッドスクリーニングによって同定されたFBPにポンド記号を付し、BLAST
サーチよって同定されたFBPにクロスを付している。ダブルスラッシュは、対応
するcDNAが5'末端で不完全であることを示し、アステリスクはポリAテイルが後
に続く終止コドンがcDNA中に存在することを示す。
【図3】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP1(配列番号2)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号1)を示す。
【図4】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP2(配列番号4)のアミノ酸配列を示す。Bは、対
応するcDNA(配列番号3)を示す。
【図5】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP3a(配列番号6)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号5)を示す。
【図6】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP3b(配列番号24)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号23)を示す。
【図7】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP4(配列番号8)のアミノ酸配列を示す。Bは、対
応するcDNA(配列番号7)を示す。
【図8】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP5(配列番号10)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号9)を示す。
【図9】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP6(配列番号12)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号11)を示す。
【図10】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP7(配列番号14)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号13)を示す。
【図11】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP8(配列番号26)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号25)を示す。
【図12】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP9(配列番号28)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号27)を示す。
【図13】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP10(配列番号30)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号29)を示す。
【図14】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP11(配列番号32)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号31)を示す。
【図15】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP12(配列番号34)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号33)を示す。
【図16】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP13(配列番号36)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号35)を示す。
【図17】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP14(配列番号38)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号37)を示す。
【図18】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP15(配列番号40)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号39)を示す。
【図19】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP16(配列番号42)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号41)を示す。
【図20】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP17(配列番号44)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号43)を示す。
【図21】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP18(配列番号46)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号45)を示す。
【図22】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP19(配列番号48)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号47)を示す。
【図23】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP20(配列番号50)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号49)を示す。
【図24】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP21(配列番号52)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号51)を示す。
【図25】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP22(配列番号54)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号53)を示す。
【図26】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP23(配列番号56)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号55)を示す。
【図27】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP24(配列番号58)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号57)を示す。
【図28】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP25(配列番号60)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号59)を示す。
【図29】 FBPは、そのF-boxを介してSkp1と特異的に相互作用する。FBPのcDNA(野生型
および変異型)は、35S-メチオニンの存在下、in vitro(IVT)で転写および翻訳さ
れた。同量のIVTタンパク質(各レーンの一番上に示す)を、Hisタグを付したSk
p1(レーン1、3、4、6〜10、12、15、17、19および21)、Hisタグを付したエロン
ギン C(レーン2、5、11、14、16、18、19および22)またはHisタグを付したp27(
レーン12)のいずれかを予め結合させたニッケル-アガロースビーズを用いるヒス
チジン-タグプルダウンアッセイに付した。結合したIVTタンパク質をSDS-PAGEお
よびオートラジオグラフィーによって分析した。パネル左側の矢印は、示したFB
Pを指している。タンパク質標準品の見かけの分子量をパネルの右側に示す。
【図30】 FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4およびFBP7は、in vivoで内因性Skp1およびCullを有
する新規SCFを生成する。HeLa細胞を、FBP1(レーン1)、(ΔF)FBP1(レーン2)、FB
P4(レーン3)、FBP7(レーン5)、FBP2(レーン7)、(ΔF)FBP2(レーン8)、FBP3a(レ
ーン9)、(ΔF)FBP3a(レーン10)のFlag-タグ付けしたものをコードする哺乳動物
発現プラスミドで、または空ベクター(レーン4および6)でトランスフェクトし
た。細胞を溶解し、抽出物をウサギ抗-Flag抗体による免疫沈降に付した(レー
ン1〜8)。次に免疫沈降物を、示したように、マウス抗-Cullモノクローナル抗体
、ウサギ抗-Skp1ポリクローナル抗体またはウサギ抗-Cul2ポリクローナル抗体を
用いてイムノブロッティングした。トランスフェクトされていないHeLa細胞から
の抽出物25μgを含む最後のレーン(レーン9)は、マーカーとして使用される組
換えCull、Skp1またはCul2タンパク質を含む。酵母cullin Cdc53および哺乳動物
Cul4aについて既に記載されているように、CullおよびCul2に対する抗体で検出
された、より移動度の小さいバンドは、ユビキチン様分子のこれら二つのcullin
への共有結合によって生じた可能性が高い。
【図31】 ユビキチンリガーゼ活性に関連するFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4およびFBP7。HeL
a細胞を、ヒトSkp1、CullならびにFlagでタグ付けしたFBP1(レーン3)、(ΔF)FBP
1(レーン4)、FBP2(レーン2および5)、(ΔF)FBP2(レーン6)、FBP7(レーン7)、FBP
3a(レーン8および13)、(ΔF)FBP3a(レーン9)、無関係のフラグでタグ付けしたタ
ンパク質(Irf3、レーン10)およびFBP4(レーン11および12)をコードする哺乳動
物発現プラスミド、または空ベクター(レーン1)でトランスフェクトした。細胞
を溶解し、抽出物をウサギ抗-Flag抗体による免疫沈降に付した。免疫沈降物を
、精製した組換えE1およびUbc4(レーン1〜11)またはUbc2(レーン12および13)な
らびにビオチン化したユビキチンを含む反応混合物の存在下でインキュベートし
た。レーン2における反応にはNEMも含まれていた。ユビキチン化したタンパク
質をHRP-ストレプトアビジンを用いたブロッティングによって可視化した。パネ
ル左側の括弧は、該反応において産生したユビキチン化タンパク質のスメアを記
したものである。アステリスクは、煮沸に耐性のあるE1とコンジュゲート形成し
たユビキチンを示す。
【図32】 図32は、FBPの細胞内局在性を示す。HeLa細胞を、Flagタグを付したバージ
ョンのFBP1(a-b)、FBP2(c-d)、FBP3a(e-f)、FBP4(g-h)、(DF)FBP2(i-j)、または
(ΔF)FBP3a(k-l)をコードする哺乳動物発現プラスミドでトランスフェクトした
。24時間後、細胞を免疫蛍光に供し、ウサギ抗Flag抗体でFBPを(a,c,e,g,i,k)、
ビスベンズイミドで核を(b,d,f,h,j,l)それぞれ染色した。
【図33】 ヒト組織におけるFBP転写物の量を示す。異なるヒト組織に由来する、電気泳
動的に分画されたポリ(A)+ mRNAを含む膜を、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、SKP2、
およびβ-アクチンのcDNAから調製した特異的プローブとハイブリダイズさせた
。図の左側の矢印は、本文中で記述された主要な転写物を指す。
【図34】 図34A-Eは、FBP遺伝子のFISH局在性を示す。ゲノムプローブを含む精製ファ
ージDNAをジゴキシゲニンdUTPでラベルし、Cy3-結合抗体で検出した。ゲノムプ
ローブ遺伝子座(赤)に対応するシグナルが、DAPI-アクチノマイシンD染色正常ヒ
ト染色体(青-白)に対してみられた。パネルAは、FBP1の10q24への局在を、パネ
ルBは、FBP2の9q34への局在を、パネルCはFBP3aの13q22への局在を、パネルDはF
BP4の5p12への局在を、そして、パネルEはFBP5の6q25-26への局在を示す。矢印
は、FBP-特異的FISHシグナルを指す。
【図35】 図35A-Cは、FBP1のβ-カテニンとの会合を示す。A.β-カテニンを、単独で(
レーン1)またはFlagタグを付したFBP1と共に(レーン2)、発現するバキュロウイ
ルス感染昆虫細胞をウサギ抗-Flag抗体(rα-Flag)により免疫沈降(IP)させ、続
いて抗-Flag(mα-Flag)および抗β-カテニンマウス抗体でイムノブロッティング
を、指示通りに行った。レーン3およびレーン4は、感染昆虫細胞由来の抽出物25
μgを含むものを同じ抗体でイムノブロットした。B. Skp1の非存在下(レーン1〜
3)または存在下(レーン4〜6)で、サイクリンD1、Flag-FBP1を発現するバキュロ
ウイルス感染昆虫細胞由来の抽出物を、正常ウサギIgG(r-IgG、レーン1および4)
、ウサギ抗-Flag抗体(rα-Flag、レーン2および5)、またはウサギ抗-サイクリン
D1抗体(rα-D1、レーン3および6)で免疫沈降した。免疫沈降物を抗-Flag(mα-Fl
ag)およびサイクリンD1(mα-D1)マウス抗体により、指示通りにイムノブロット
した。最後のレーンは、感染昆虫細胞由来の代表的な抽出物25μgを含むものを
同じ抗体でイムノブロットした。C.293細胞を、HAタグを付したβ-カテニンをコ
ードする哺乳動物発現プラスミドを、単独で、あるいはFlagタグを付したFBP1ま
たはFlagタグを付した(ΔF)FBP1のいずれかと組み合わせて、トランスフェクト
した。細胞を溶解し、抽出物をウサギ抗-Flag抗体で免疫沈降に供し(rα-Flag、
レーン4〜6)、ラット抗HA(α-HA)およびマウス抗Flag(mα-Flag)抗体で指示通り
にイムノブロットした。最初の3つのレーンは、トランスフェクトした293細胞由
来の抽出物25μgを含むものを、同じ抗体でイムノブロットした。高レベルのβ-
カテニン発現ベクターをトランスフェクトし、β-カテニンのFBP1および(ΔF)FB
P1との会合を、β-カテニンレベルとは独立に決定した。
【図36】 図36A-Bは、ドミナントネガティブ(ΔF)FBP1変異体によるβ-カテニンの安
定化を示す。A. ヒト293細胞を、HAタグを付したβ-カテニンをコードする哺乳
動物発現プラスミドを、単独でまたはFlagタグを付したFBP1またはFlagタグを付
した(ΔF)FBP2のいずれかと組み合わせて、トランスフェクトした。細胞を溶解
し、抽出物をラット抗HAおよびラット抗Flag(rα-Flag)抗体で指示通りにイムノ
ブロットした。B. β-カテニンの代謝回転速度のパルス追跡分析である。HAタグ
を付したβ-カテニンを、空のベクター、FBP1、または(ΔF)FBP1と組み合わせて
、293細胞に共トランスフェクトした。24時間後、細胞を35S-メチオニンで30分
間標識し、指示した時間にわたり追跡した。抽出物を、続いて、ラット抗HA抗体
での免疫沈降に供した。
【図37】 図37A〜Cは、リン酸化p27のSkp2への結合を示す。A. in vitroで翻訳した[3
5S]FBPを、ホスホペプチドNAGSVEQT*PKKPGLRRRQT(位置187にホスホスレオニン(T * )を有するヒトp27のカルボキシ末端に相当)に結合したビーズとの結合反応に使
用したものを示すパネルである。ビーズをRIPAバッファーで洗浄し、結合したタ
ンパク質を溶出して、電気泳動およびオートラジオグラフィーに供した(上のパ
ネル)。下のパネル:用いたin vitroで翻訳した[35S]FBPの10%量。B. HeLa細胞
抽出物をホスホp27ペプチド(レーン2)、非リン酸化以外は同一のp27ペプチド(レ
ーン1)、または対照ホスホペプチドAEIGVGAY*GTVYKARDPHS(位置17のホスホチロ
シン(Y*)を有するヒトCdk4のアミノ末端ペプチドに相当)(レーン3)に結合したビ
ーズとともにインキュベートした。ビーズをRIPAで洗浄し、結合したタンパク質
を、各パネルの左側に指示したタンパク質に対する抗体でイムノブロットした。
HeLa抽出物の一部(25μg)を対照として使用した(レーン4)。Cul1においてより遅
く移動したバンドは、他のcullin 48に関して既に記述されたように、ユビキチ
ン様分子の共有結合により生じることが考えられる。C. 1μlのin vitroで翻訳
した[35S]野生型p27(WT、レーン1〜4)またはp27(T187A)変異体(T187A、レーン5
〜6)を、30℃で10μlのキナーゼバッファー中で30分間インキュベートした。指
示した点で、〜2.5pmolの組換え精製サイクリンE/Cdk2、または〜1pmolのSkp2(S
kp1/Skp2複合体中)を添加した。続いてサンプルを、Skp2に対する抗体が共有結
合された6μlのプロテイン-Aビーズとともにインキュベートした。ビーズをRIPA
バッファーで洗浄し、結合したタンパク質を電気泳動とオートラジオグラフィー
に供した。レーン1〜6:Skp2結合タンパク質;レーン7および8:用いたin vivoで
翻訳した[35S]タンパク質の7.5%量。
【図38】 in vivoでのSpk2のp27への結合を示す。HeLa細胞からの抽出物(レーン1〜2お
よび5〜6)、またはIMR90線維芽細胞(レーン9〜10)を、Skp2に対する種々のアフ
ィニティー精製(AP)抗体または精製した対照IgG画分にて免疫沈降した。抽出物
を、レーン1:ヤギIgG(G-IgG)にて;レーン2:N-末端Skp2ペプチドに対するAPヤ
ギ抗体(G-α-Skp2)にて;レーン5および9:ウサギIgG(R-IgG)にて;レーン6およ
び10;Skp2に対するAPウサギ抗体(R-α-Skp2)にて、免疫沈降した。免疫沈降物
を、各パネルの左側に指示したタンパク質に対する抗体にてイムノブロットした
。下のパネルのレーン1〜4は、p27リン酸化部位特異的抗体と共にイムノブロッ
トした。レーン3、7、および11は細胞抽出物を25μg含み、レーン4、8および12
は、マーカーとして使用される関連組換えタンパク質を含む。いくつかのマーカ
ーの移動度が異なるのは、組換えタンパク質上にタグが存在するためである。
【図39】 図39は、Skp2およびサイクリンE/CDK2複合体が、G1抽出物のp27ユビキチン
化における律速段階となることを示す。A. in vitroでのp27の、連結(レーン1〜
12および17〜20)および分解(13〜16)を、同調していない増殖(Asyn.ext.、レー
ン2〜3)またはG1停止(G1 ext.,レーン4〜20)のHeLa細胞からの抽出物に対して行
った。レーン1は抽出物を含まない。精製組換えタンパク質を指示通りに添加し
た。野生型p27(レーン1〜18)またはp27(T187A)変異体(T187A、レーン19〜20)を
用いて反応させた。レーン1〜8、9〜12、および17〜20は、3つの別々に行った実
験で得られたものである。パネルの左側のカッコは、ポリユビキチン化p27に対
応する>27,000バンドのラダーを示す。*印は、大部分のサンプルに存在する非
特異的バンドを示す。B. 同調していないHeLa細胞(レーン1)またはG1停止したHe
La細胞(レーン2)から得た抽出物中の、Skp2およびp27のレベルのイムノブロット
分析を示す。
【図40】 図40A〜Cは、Skp2がp27ユビキチンライゲーション活性に必要であることを
を示す。A. 免疫デプリーション(immunodepletion)を示す。同調していないHeLa
細胞からの抽出物を無処理で(レーン2)、または免疫前の血清で(レーン3)、2μg
の精製GSTと共にプレインキュベーションした抗Skp2抗体で(レーン4)、または2
μgの精製GSTSkp2と共にプレインキュベーションした抗Skp2抗体で(レーン5)、
免疫デプリーションを行った。レーン1は抽出物を含まない。サンプル(30μgの
タンパク質)を、サイクリンE/Cdk2の存在下でのp27ユビキチン化についてアッセ
イした。パネルの左側のカッコは、ポリユビキチン化p27に対応する>27,000バン
ドのラダーを示す。*印は、全てのサンプルに存在する非特異的バンドを示す。
B. 再構築を示す。Skp2を免疫デプリーションしたサンプル中でのp27ユビキチン
化活性の回復を、指示した精製タンパク質を添加して試験した。全てのサンプル
は、30μgのSkp2を免疫デプリーションした抽出物(Skp2-depl.ext.)およびサイ
クリンE/Cdk2を含んでいた。C. 免疫精製を示す。同調していないHeLa細胞をウ
サギ抗-Skp2抗体(レーン3および5)または免疫前の血清(PI、レーン2および4)で
免疫沈降させた。全抽出物(レーン1)および免疫ビーズ(レーン2〜5)に、p27、精
製組換えサイクリンE/Cdk2およびユビキチン化反応混合物を添加した。レーン4
および5のサンプルに精製組換えE1およびUbc3を添加した。全てのサンプルをp27
のユビキチン化に関してアッセイした。
【図41】 図41A〜Bは、in vivoでのp27の分解におけるSkp2の役割を示す。A. in vivo
でのドミナントネガティブ(ΔF)Skp2変異体によるp27の安定化を示す。NIH-3T3
細胞に、ヒトp27をコードする哺乳動物発現プラスミドを、単独で(レーン2)、ま
たはp27と(ΔF)Skp2(レーン3)または(ΔF)FBP1(レーン4)のいずれかと組み合わ
せて、トランスフェクトした。レーン1:トランスフェクトしなかった細胞を示
す。細胞を溶解させ、抽出物をp27、Skp2またはFlag(Flagタグを付した(ΔF)FBP
1検出用)に対する抗体でのイムノブロットに供した。外因性ヒトp27タンパク質
は内因性マウスp27よりも遅く移動した。B. p27の代謝回転速度のパルス追跡分
析を示す。空のベクター、または(ΔF)Skp2と組み合わせて、ヒトp27を、NIH-3T
3細胞にトランスフェクトした。24時間後、細胞を[35S]-メチオニンで20分間標
識し、指示した時間にわたり追跡した。続いて抽出物を、マウス抗-p27抗体での
免疫沈降に付した。
【図42】 図42は、SKP2 mRNAを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる細
胞内p27の安定化を示す。HeLa細胞を16〜18時間、SKP2 mRNAの2種類の異なる領
域を標的とした2種類の異なるアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS)で
処理した。レーン2、6、12および16:N末端SKP2領域(NT)を標的としたAS;レー
ン4および8:C末端SKP2領域(CT)を標的としたAS;レーン1、3、5、7、11および1
5:対照オリゴヌクレオチド対(Ctrl)。レーン1〜4および5〜8は2つの別の実験に
由来する。レーン11〜12および15〜16:HeLa細胞を、ヒドロキシ尿素またはアフ
ィジコリン処理のいずれかでそれぞれ24時間処理し、G1/Sで停止させた。続いて
細胞をオリゴデオキシヌクレオチドでトランスフェクトし、12時間後に(細胞が
再びG1に入る前に)溶解し、Skp2(上のパネル)およびp27(下のパネル)でイムノ
ブロットした。レーン9および13:トランスフェクトしていないHeLa細胞;レー
ン10および14:トランスフェクトした細胞と同様の薬剤で処理したトランスフェ
クトしていない細胞。
【図43】 図43A〜Cは、p27分解過程におけるSkp2の作用のタイミングを示す。IMR90線
維芽細胞を、血清除去によりG0/G1で同調し、血清で再活性化し、指示した間隔
でサンプリングした。タンパク質抽出物を、指示したタンパク質に対する抗体を
使用してイムノブロットにより分析した。Skp2二量体(doublet)はリン酸化によ
り生成すると考えられる。なぜなら、該二量体は、オカダ酸(okadaic acid)の存
在下で細胞を溶解した時のみ、12.5%のゲルを使用すると、必ず観察されたから
である。B.ノコダゾール(nocodazole)を使用して有糸分裂を阻止したHeLa細胞を
取り出し、新鮮な培地中に放出し、指示した間隔でサンプリングした。タンパク
質抽出物を、指示したタンパク質に対する抗体を使用してイムノブロットにより
分析した。C. G1(ノコダゾール阻止から解放して3時間後) (レーン1)およびS-期
(ノコダゾール阻止から解放して12時間後)(レーン2)のHeLa細胞から得た抽出物
を、抗-p27抗体(上の2つのパネル)を使用して、または抗-Skp2抗体(下の3つのパ
ネル)を使用して免疫沈降し、指示したタンパク質に対する抗体を使用してイム
ノブロットした。
【図44】 図44A〜Cは、Skp2/E2Fの相互作用アッセイのウエスタンブロット分析を示す
。これらの実験は、第8節の実施例において詳述する。
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトF-boxタンパク質FBP1(配列番号15)、FBP2(配列番号16)、FBP3a(配列番
号17)、FBP3b(配列番号78)、FBP4(配列番号18)、FBP5(配列番号19)、FBP6(
配列番号20)、FBP7(配列番号21)、Skp2(配列番号22)、FBP8(配列番号61)、FB
P9(配列番号62)、FBP10(配列番号63)、FBP11(配列番号64)、FBP12(配列番号
65)、FBP13(配列番号79)、FBP14(配列番号66)、FBP15(配列番号67)、FBP16(
配列番号68)、FBP17(配列番号69)、FBP18(配列番号70)、FBP19(配列番号71)
、FBP20(配列番号72)、FBP21(配列番号73)、FBP22(配列番号74)、FBP23(配
列番号75)、FBP24(配列番号76)、FBP25(配列番号77)における保存されたF-box
モチーフアミノ酸残基のアライメントである。既知のFBP、Skp2のF-boxと、2ハ
イブリッドスクリーニング(ポンド記号で示す)またはBLASTサーチ(クロスで
示す)によって同定されたFBPのF-boxとのアライメントをClustal W法(Mac Vec
tor(登録商標))を用いて行い、手動で再調整した。少なくとも15種類のF-box
において同一の残基を濃い灰色で、似通っている残基を薄い灰色で影をつけてい
る。アステリスク1つは、ポリAテイルが後に続く終止コドンがcDNA中に存在する
ことを示す。一方、潜在的全長クローンにはアステリスク2つを付している。図
の下に付したアステリスクはFBP3aにおいて変異したアミノ酸残基を示す(図29
参照)。
【図2】 FBPを模式的に示したものである。ヒトFBPにおける推定のタンパク質-タンパ
ク質相互作用ドメインを示す(説明のためのキーボックスを参照されたい)。2
ハイブリッドスクリーニングによって同定されたFBPにポンド記号を付し、BLAST
サーチよって同定されたFBPにクロスを付している。ダブルスラッシュは、対応
するcDNAが5'末端で不完全であることを示し、アステリスクはポリAテイルが後
に続く終止コドンがcDNA中に存在することを示す。
【図3】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP1(配列番号2)のアミノ酸配列を示す。B〜D
、対応するcDNA(配列番号1)を示す。
【図4】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP2(配列番号4)のアミノ酸配列を示す。BとC
、対応するcDNA(配列番号3)を示す。
【図5】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP3a(配列番号6)のアミノ酸配列を示す。BとC
、対応するcDNA(配列番号5)を示す。
【図6】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP3b(配列番号24)のアミノ酸配列を示す。BとC
は、対応するcDNA(配列番号23)を示す。
【図7】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP4(配列番号8)のアミノ酸配列を示す。BとC
、対応するcDNA(配列番号7)を示す。
【図8】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP5(配列番号10)のアミノ酸配列を示す。BとC
、対応するcDNA(配列番号9)を示す。
【図9】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP6(配列番号12)のアミノ酸配列を示す。BとC
、対応するcDNA(配列番号11)を示す。
【図10】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP7(配列番号14)のアミノ酸配列を示す。BとC
、対応するcDNA(配列番号13)を示す。
【図11】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP8(配列番号26)のアミノ酸配列を示す。B〜D
、対応するcDNA(配列番号25)を示す。
【図12】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP9(配列番号28)のアミノ酸配列を示す。B〜D
、対応するcDNA(配列番号27)を示す。
【図13】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP10(配列番号30)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号29)を示す。
【図14】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP11(配列番号32)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号31)を示す。
【図15】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP12(配列番号34)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号33)を示す。
【図16】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP13(配列番号36)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号35)を示す。
【図17】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP14(配列番号38)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号37)を示す。
【図18】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP15(配列番号40)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号39)を示す。
【図19】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP16(配列番号42)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号41)を示す。
【図20】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP17(配列番号44)のアミノ酸配列を示す。BとC
は、対応するcDNA(配列番号43)を示す。
【図21】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP18(配列番号46)のアミノ酸配列を示す。BとC
は、対応するcDNA(配列番号45)を示す。
【図22】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP19(配列番号48)のアミノ酸配列を示す。B〜D
は、対応するcDNA(配列番号47)を示す。
【図23】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP20(配列番号50)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号49)を示す。
【図24】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP21(配列番号52)のアミノ酸配列を示す。BとC
は、対応するcDNA(配列番号51)を示す。
【図25】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP22(配列番号54)のアミノ酸配列を示す。BとC
は、対応するcDNA(配列番号53)を示す。
【図26】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP23(配列番号56)のアミノ酸配列を示す。BとC
は、対応するcDNA(配列番号55)を示す。
【図27】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP24(配列番号58)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号57)を示す。
【図28】 Aは、ヒトF-boxタンパク質FBP25(配列番号60)のアミノ酸配列を示す。Bは、
対応するcDNA(配列番号59)を示す。
【図29】 FBPは、そのF-boxを介してSkp1と特異的に相互作用する。FBPのcDNA(野生型
および変異型)は、35S-メチオニンの存在下、in vitro(IVT)で転写および翻訳さ
れた。同量のIVTタンパク質(各レーンの一番上に示す)を、Hisタグを付したSk
p1(レーン1、3、4、6〜10、12、15、17、19および21)、Hisタグを付したエロン
ギン C(レーン2、5、11、14、16、18、19および22)またはHisタグを付したp27(
レーン12)のいずれかを予め結合させたニッケル-アガロースビーズを用いるヒス
チジン-タグプルダウンアッセイに付した。結合したIVTタンパク質をSDS-PAGEお
よびオートラジオグラフィーによって分析した。パネル左側の矢印は、示したFB
Pを指している。タンパク質標準品の見かけの分子量をパネルの右側に示す。
【図30】 FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4およびFBP7は、in vivoで内因性Skp1およびCullを有
する新規SCFを生成する。HeLa細胞を、FBP1(レーン1)、(ΔF)FBP1(レーン2)、FB
P4(レーン3)、FBP7(レーン5)、FBP2(レーン7)、(ΔF)FBP2(レーン8)、FBP3a(レ
ーン9)、(ΔF)FBP3a(レーン10)のFlag-タグ付けしたものをコードする哺乳動物
発現プラスミドで、または空ベクター(レーン4および6)でトランスフェクトし
た。細胞を溶解し、抽出物をウサギ抗-Flag抗体による免疫沈降に付した(レー
ン1〜8)。次に免疫沈降物を、示したように、マウス抗-Cullモノクローナル抗体
、ウサギ抗-Skp1ポリクローナル抗体またはウサギ抗-Cul2ポリクローナル抗体を
用いてイムノブロッティングした。トランスフェクトされていないHeLa細胞から
の抽出物25μgを含む最後のレーン(レーン9)は、マーカーとして使用される組
換えCull、Skp1またはCul2タンパク質を含む。酵母cullin Cdc53および哺乳動物
Cul4aについて既に記載されているように、CullおよびCul2に対する抗体で検出
された、より移動度の小さいバンドは、ユビキチン様分子のこれら二つのcullin
への共有結合によって生じた可能性が高い。
【図31】 ユビキチンリガーゼ活性に関連するFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4およびFBP7。HeL
a細胞を、ヒトSkp1、CullならびにFlagでタグ付けしたFBP1(レーン3)、(ΔF)FBP
1(レーン4)、FBP2(レーン2および5)、(ΔF)FBP2(レーン6)、FBP7(レーン7)、FBP
3a(レーン8および13)、(ΔF)FBP3a(レーン9)、無関係のフラグでタグ付けしたタ
ンパク質(Irf3、レーン10)およびFBP4(レーン11および12)をコードする哺乳動
物発現プラスミド、または空ベクター(レーン1)でトランスフェクトした。細胞
を溶解し、抽出物をウサギ抗-Flag抗体による免疫沈降に付した。免疫沈降物を
、精製した組換えE1およびUbc4(レーン1〜11)またはUbc2(レーン12および13)な
らびにビオチン化したユビキチンを含む反応混合物の存在下でインキュベートし
た。レーン2における反応にはNEMも含まれていた。ユビキチン化したタンパク
質をHRP-ストレプトアビジンを用いたブロッティングによって可視化した。パネ
ル左側の括弧は、該反応において産生したユビキチン化タンパク質のスメアを記
したものである。アステリスクは、煮沸に耐性のあるE1とコンジュゲート形成し
たユビキチンを示す。
【図32】 図32は、FBPの細胞内局在性を示す。HeLa細胞を、Flagタグを付したバージ
ョンのFBP1(a-b)、FBP2(c-d)、FBP3a(e-f)、FBP4(g-h)、(DF)FBP2(i-j)、または
(ΔF)FBP3a(k-l)をコードする哺乳動物発現プラスミドでトランスフェクトした
。24時間後、細胞を免疫蛍光に供し、ウサギ抗Flag抗体でFBPを(a,c,e,g,i,k)、
ビスベンズイミドで核を(b,d,f,h,j,l)それぞれ染色した。
【図33】 ヒト組織におけるFBP転写物の量を示す。異なるヒト組織に由来する、電気泳
動的に分画されたポリ(A)+ mRNAを含む膜を、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、SKP2、
およびβ-アクチンのcDNAから調製した特異的プローブとハイブリダイズさせた
。図の左側の矢印は、本文中で記述された主要な転写物を指す。
【図34】 図34A-Eは、FBP遺伝子のFISH局在性を示す。ゲノムプローブを含む精製ファ
ージDNAをジゴキシゲニンdUTPでラベルし、Cy3-結合抗体で検出した。ゲノムプ
ローブ遺伝子座(赤)に対応するシグナルが、DAPI-アクチノマイシンD染色正常ヒ
ト染色体(青-白)に対してみられた。パネルAは、FBP1の10q24への局在を、パネ
ルBは、FBP2の9q34への局在を、パネルCはFBP3aの13q22への局在を、パネルDはF
BP4の5p12への局在を、そして、パネルEはFBP5の6q25-26への局在を示す。矢印
は、FBP-特異的FISHシグナルを指す。
【図35】 図35A-Cは、FBP1のβ-カテニンとの会合を示す。A.β-カテニンを、単独で(
レーン1)またはFlagタグを付したFBP1と共に(レーン2)、発現するバキュロウイ
ルス感染昆虫細胞をウサギ抗-Flag抗体(rα-Flag)により免疫沈降(IP)させ、続
いて抗-Flag(mα-Flag)および抗β-カテニンマウス抗体でイムノブロッティング
を、指示通りに行った。レーン3およびレーン4は、感染昆虫細胞由来の抽出物25
μgを含むものを同じ抗体でイムノブロットした。B. Skp1の非存在下(レーン1〜
3)または存在下(レーン4〜6)で、サイクリンD1、Flag-FBP1を発現するバキュロ
ウイルス感染昆虫細胞由来の抽出物を、正常ウサギIgG(r-IgG、レーン1および4)
、ウサギ抗-Flag抗体(rα-Flag、レーン2および5)、またはウサギ抗-サイクリン
D1抗体(rα-D1、レーン3および6)で免疫沈降した。免疫沈降物を抗-Flag(mα-Fl
ag)およびサイクリンD1(mα-D1)マウス抗体により、指示通りにイムノブロット
した。最後のレーンは、感染昆虫細胞由来の代表的な抽出物25μgを含むものを
同じ抗体でイムノブロットした。C.293細胞を、HAタグを付したβ-カテニンをコ
ードする哺乳動物発現プラスミドを、単独で、あるいはFlagタグを付したFBP1ま
たはFlagタグを付した(ΔF)FBP1のいずれかと組み合わせて、トランスフェクト
した。細胞を溶解し、抽出物をウサギ抗-Flag抗体で免疫沈降に供し(rα-Flag、
レーン4〜6)、ラット抗HA(α-HA)およびマウス抗Flag(mα-Flag)抗体で指示通り
にイムノブロットした。最初の3つのレーンは、トランスフェクトした293細胞由
来の抽出物25μgを含むものを、同じ抗体でイムノブロットした。高レベルのβ-
カテニン発現ベクターをトランスフェクトし、β-カテニンのFBP1および(ΔF)FB
P1との会合を、β-カテニンレベルとは独立に決定した。
【図36】 図36A-Bは、ドミナントネガティブ(ΔF)FBP1変異体によるβ-カテニンの安
定化を示す。A. ヒト293細胞を、HAタグを付したβ-カテニンをコードする哺乳
動物発現プラスミドを、単独でまたはFlagタグを付したFBP1またはFlagタグを付
した(ΔF)FBP2のいずれかと組み合わせて、トランスフェクトした。細胞を溶解
し、抽出物をラット抗HAおよびラット抗Flag(rα-Flag)抗体で指示通りにイムノ
ブロットした。B. β-カテニンの代謝回転速度のパルス追跡分析である。HAタグ
を付したβ-カテニンを、空のベクター、FBP1、または(ΔF)FBP1と組み合わせて
、293細胞に共トランスフェクトした。24時間後、細胞を35S-メチオニンで30分
間標識し、指示した時間にわたり追跡した。抽出物を、続いて、ラット抗HA抗体
での免疫沈降に供した。
【図37】 図37A〜Cは、リン酸化p27のSkp2への結合を示す。A. in vitroで翻訳した[3
5S]FBPを、ホスホペプチドNAGSVEQT*PKKPGLRRRQT(位置187にホスホスレオニン(T * )を有するヒトp27のカルボキシ末端に相当)に結合したビーズとの結合反応に使
用したものを示すパネルである。ビーズをRIPAバッファーで洗浄し、結合したタ
ンパク質を溶出して、電気泳動およびオートラジオグラフィーに供した(上のパ
ネル)。下のパネル:用いたin vitroで翻訳した[35S]FBPの10%量。B. HeLa細胞
抽出物をホスホp27ペプチド(レーン2)、非リン酸化以外は同一のp27ペプチド(レ
ーン1)、または対照ホスホペプチドAEIGVGAY*GTVYKARDPHS(位置17のホスホチロ
シン(Y*)を有するヒトCdk4のアミノ末端ペプチドに相当)(レーン3)に結合したビ
ーズとともにインキュベートした。ビーズをRIPAで洗浄し、結合したタンパク質
を、各パネルの左側に指示したタンパク質に対する抗体でイムノブロットした。
HeLa抽出物の一部(25μg)を対照として使用した(レーン4)。Cul1においてより遅
く移動したバンドは、他のcullin 48に関して既に記述されたように、ユビキチ
ン様分子の共有結合により生じることが考えられる。C. 1μlのin vitroで翻訳
した[35S]野生型p27(WT、レーン1〜4)またはp27(T187A)変異体(T187A、レーン5
〜6)を、30℃で10μlのキナーゼバッファー中で30分間インキュベートした。指
示した点で、〜2.5pmolの組換え精製サイクリンE/Cdk2、または〜1pmolのSkp2(S
kp1/Skp2複合体中)を添加した。続いてサンプルを、Skp2に対する抗体が共有結
合された6μlのプロテイン-Aビーズとともにインキュベートした。ビーズをRIPA
バッファーで洗浄し、結合したタンパク質を電気泳動とオートラジオグラフィー
に供した。レーン1〜6:Skp2結合タンパク質;レーン7および8:用いたin vivoで
翻訳した[35S]タンパク質の7.5%量。
【図38】 in vivoでのSpk2のp27への結合を示す。HeLa細胞からの抽出物(レーン1〜2お
よび5〜6)、またはIMR90線維芽細胞(レーン9〜10)を、Skp2に対する種々のアフ
ィニティー精製(AP)抗体または精製した対照IgG画分にて免疫沈降した。抽出物
を、レーン1:ヤギIgG(G-IgG)にて;レーン2:N-末端Skp2ペプチドに対するAPヤ
ギ抗体(G-α-Skp2)にて;レーン5および9:ウサギIgG(R-IgG)にて;レーン6およ
び10;Skp2に対するAPウサギ抗体(R-α-Skp2)にて、免疫沈降した。免疫沈降物
を、各パネルの左側に指示したタンパク質に対する抗体にてイムノブロットした
。下のパネルのレーン1〜4は、p27リン酸化部位特異的抗体と共にイムノブロッ
トした。レーン3、7、および11は細胞抽出物を25μg含み、レーン4、8および12
は、マーカーとして使用される関連組換えタンパク質を含む。いくつかのマーカ
ーの移動度が異なるのは、組換えタンパク質上にタグが存在するためである。
【図39】 図39は、Skp2およびサイクリンE/CDK2複合体が、G1抽出物のp27ユビキチン
化における律速段階となることを示す。A. in vitroでのp27の、連結(レーン1〜
12および17〜20)および分解(13〜16)を、同調していない増殖(Asyn.ext.、レー
ン2〜3)またはG1停止(G1 ext.,レーン4〜20)のHeLa細胞からの抽出物に対して行
った。レーン1は抽出物を含まない。精製組換えタンパク質を指示通りに添加し
た。野生型p27(レーン1〜18)またはp27(T187A)変異体(T187A、レーン19〜20)を
用いて反応させた。レーン1〜8、9〜12、および17〜20は、3つの別々に行った実
験で得られたものである。パネルの左側のカッコは、ポリユビキチン化p27に対
応する>27,000バンドのラダーを示す。*印は、大部分のサンプルに存在する非
特異的バンドを示す。B. 同調していないHeLa細胞(レーン1)またはG1停止したHe
La細胞(レーン2)から得た抽出物中の、Skp2およびp27のレベルのイムノブロット
分析を示す。
【図40】 図40A〜Cは、Skp2がp27ユビキチンライゲーション活性に必要であることを
を示す。A. 免疫デプリーション(immunodepletion)を示す。同調していないHeLa
細胞からの抽出物を無処理で(レーン2)、または免疫前の血清で(レーン3)、2μg
の精製GSTと共にプレインキュベーションした抗Skp2抗体で(レーン4)、または2
μgの精製GSTSkp2と共にプレインキュベーションした抗Skp2抗体で(レーン5)、
免疫デプリーションを行った。レーン1は抽出物を含まない。サンプル(30μgの
タンパク質)を、サイクリンE/Cdk2の存在下でのp27ユビキチン化についてアッセ
イした。パネルの左側のカッコは、ポリユビキチン化p27に対応する>27,000バン
ドのラダーを示す。*印は、全てのサンプルに存在する非特異的バンドを示す。
B. 再構築を示す。Skp2を免疫デプリーションしたサンプル中でのp27ユビキチン
化活性の回復を、指示した精製タンパク質を添加して試験した。全てのサンプル
は、30μgのSkp2を免疫デプリーションした抽出物(Skp2-depl.ext.)およびサイ
クリンE/Cdk2を含んでいた。C. 免疫精製を示す。同調していないHeLa細胞をウ
サギ抗-Skp2抗体(レーン3および5)または免疫前の血清(PI、レーン2および4)で
免疫沈降させた。全抽出物(レーン1)および免疫ビーズ(レーン2〜5)に、p27、精
製組換えサイクリンE/Cdk2およびユビキチン化反応混合物を添加した。レーン4
および5のサンプルに精製組換えE1およびUbc3を添加した。全てのサンプルをp27
のユビキチン化に関してアッセイした。
【図41】 図41A〜Bは、in vivoでのp27の分解におけるSkp2の役割を示す。A. in vivo
でのドミナントネガティブ(ΔF)Skp2変異体によるp27の安定化を示す。NIH-3T3
細胞に、ヒトp27をコードする哺乳動物発現プラスミドを、単独で(レーン2)、ま
たはp27と(ΔF)Skp2(レーン3)または(ΔF)FBP1(レーン4)のいずれかと組み合わ
せて、トランスフェクトした。レーン1:トランスフェクトしなかった細胞を示
す。細胞を溶解させ、抽出物をp27、Skp2またはFlag(Flagタグを付した(ΔF)FBP
1検出用)に対する抗体でのイムノブロットに供した。外因性ヒトp27タンパク質
は内因性マウスp27よりも遅く移動した。B. p27の代謝回転速度のパルス追跡分
析を示す。空のベクター、または(ΔF)Skp2と組み合わせて、ヒトp27を、NIH-3T
3細胞にトランスフェクトした。24時間後、細胞を[35S]-メチオニンで20分間標
識し、指示した時間にわたり追跡した。続いて抽出物を、マウス抗-p27抗体での
免疫沈降に付した。
【図42】 図42は、SKP2 mRNAを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる細
胞内p27の安定化を示す。HeLa細胞を16〜18時間、SKP2 mRNAの2種類の異なる領
域を標的とした2種類の異なるアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS)で
処理した。レーン2、6、12および16:N末端SKP2領域(NT)を標的としたAS;レー
ン4および8:C末端SKP2領域(CT)を標的としたAS;レーン1、3、5、7、11および1
5:対照オリゴヌクレオチド対(Ctrl)。レーン1〜4および5〜8は2つの別の実験に
由来する。レーン11〜12および15〜16:HeLa細胞を、ヒドロキシ尿素またはアフ
ィジコリン処理のいずれかでそれぞれ24時間処理し、G1/Sで停止させた。続いて
細胞をオリゴデオキシヌクレオチドでトランスフェクトし、12時間後に(細胞が
再びG1に入る前に)溶解し、Skp2(上のパネル)およびp27(下のパネル)でイムノ
ブロットした。レーン9および13:トランスフェクトしていないHeLa細胞;レー
ン10および14:トランスフェクトした細胞と同様の薬剤で処理したトランスフェ
クトしていない細胞。
【図43】 図43A〜Cは、p27分解過程におけるSkp2の作用のタイミングを示す。IMR90線
維芽細胞を、血清除去によりG0/G1で同調し、血清で再活性化し、指示した間隔
でサンプリングした。タンパク質抽出物を、指示したタンパク質に対する抗体を
使用してイムノブロットにより分析した。Skp2二量体(doublet)はリン酸化によ
り生成すると考えられる。なぜなら、該二量体は、オカダ酸(okadaic acid)の存
在下で細胞を溶解した時のみ、12.5%のゲルを使用すると、必ず観察されたから
である。B.ノコダゾール(nocodazole)を使用して有糸分裂を阻止したHeLa細胞を
取り出し、新鮮な培地中に放出し、指示した間隔でサンプリングした。タンパク
質抽出物を、指示したタンパク質に対する抗体を使用してイムノブロットにより
分析した。C. G1(ノコダゾール阻止から解放して3時間後) (レーン1)およびS-期
(ノコダゾール阻止から解放して12時間後)(レーン2)のHeLa細胞から得た抽出物
を、抗-p27抗体(上の2つのパネル)を使用して、または抗-Skp2抗体(下の3つのパ
ネル)を使用して免疫沈降し、指示したタンパク質に対する抗体を使用してイム
ノブロットした。
【図44】 図44A〜Cは、Skp2/E2Fの相互作用アッセイのウエスタンブロット分析を示す
。これらの実験は、第8節の実施例において詳述する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C07K 16/40 4B065 C07K 16/40 C12N 1/15 4C084 C12N 1/15 1/19 4C086 1/19 1/21 4H045 1/21 9/00 5/10 C12Q 1/02 9/00 1/25 C12Q 1/02 1/68 A 1/25 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 T G01N 33/15 Z 33/50 C12P 21/08 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A B (31)優先権主張番号 60/124,449 (32)優先日 平成11年3月15日(1999.3.15) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 パガノ、マイケル アメリカ合衆国 10012 ニューヨーク州、 ニューヨーク、ワン ワシントン スクエ ア ヴィレッジ、アパートメント 3エヌ (72)発明者 ラトレス、エスター アメリカ合衆国 10016 ニューヨーク州、 ニューヨーク、ファースト アベニュー 550 Fターム(参考) 2G045 AA40 DA12 DA13 DA36 FB03 4B024 AA01 AA11 AA12 BA07 BA43 CA04 CA07 CA09 CA11 DA02 DA05 DA11 EA04 FA02 GA03 GA11 HA01 HA03 HA12 HA15 4B050 CC01 CC03 CC04 CC05 DD07 FF14 LL01 LL03 4B063 QA01 QA08 QA19 QQ01 QQ13 QQ40 QQ42 QR08 QR33 QR42 QR56 QR58 QR60 QR62 QR72 QR76 QR80 QS05 QS25 QS33 QS34 QS36 QX02 QX07 4B064 AG01 AG27 CA10 CA20 CC24 DA14 4B065 AA01X AA57X AA87X AB01 AB04 BA02 BA08 BA24 CA25 CA27 CA44 CA46 4C084 AA13 AA17 NA14 ZB26 4C086 AA01 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB26 4H045 AA11 CA40 DA76 EA50 FA72 FA74

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号4、6、8、10、12、14、24、26、28、30、32、34
    、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58または60のアミノ酸配列を
    含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸分
    子。
  2. 【請求項2】 F-boxタンパク質またはその断片をコードする単離された核
    酸分子であって、 a) 高度にストリンジェントな条件下で配列番号3、5、7、9、11または13
    のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、かつ b) Cdc4、Grr1、Met30、Skp2、サイクリンF、エロンガンAまたはマウスMd6
    からなる既知のF-boxタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含まない、ヌ
    クレオチド配列を有する、前記核酸分子。
  3. 【請求項3】 哺乳動物ゲノムに由来するものであり、 a) 高度にストリンジェントな条件下で配列番号3、5、7、9、11または13
    のヌクレオチド配列にハイブリダイズし、かつ b) F-boxモチーフを含みかつSkp1と結合する遺伝子産物をコードする、 単離された核酸配列。
  4. 【請求項4】 配列番号23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45
    、47、49、51、53、55、57または59のヌクレオチド配列を有する、F-boxタンパ
    ク質をコードする単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載のヌクレオチド配列を含有す
    るヌクレオチドベクター。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3または4記載のヌクレオチド配列を、宿主
    細胞内で該ヌクレオチド配列の発現を制御するヌクレオチド調節配列に機能的に
    結合された状態で含有する発現ベクター。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3または4記載のヌクレオチド配列を、宿主
    細胞内で該ヌクレオチド配列の発現を制御するヌクレオチド調節配列に機能的に
    結合された状態で含有する、遺伝子操作された宿主細胞。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3または4記載の核酸を含むトランスジーン
    をもつ細胞を含有するトランスジェニック動物。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3または4記載のヌクレオチド配列を含む遺
    伝子座が不活化された動物。
  10. 【請求項10】 配列番号4、6、8、10、12、14、24、26、28、30、32、
    34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58または60のアミノ酸配列
    を有する、単離されたF-boxタンパク質。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のポリペプチドと免疫特異的に結合する抗
    体。
  12. 【請求項12】 患者サンプルにおけるFBP遺伝子発現を測定することを含
    んでなる、増殖性および分化性関連疾患の診断方法。
  13. 【請求項13】 増殖性および分化性疾患の治療に有用な化合物をスクリー
    ニングする方法であって、化合物を、配列番号2、4、6、8、10、12、14、24
    、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58また
    は60のアミノ酸配列を有するF-boxタンパク質またはその断片を発現している細
    胞およびその基質に接触させ、F-boxタンパク質活性の変化を検出することを含
    んでなる、前記方法。
  14. 【請求項14】 F-boxタンパク質活性の変化が、F-boxタンパク質と1種以
    上のタンパク質との相互作用における変化を検出することにより検出される、請
    求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 1種以上のタンパク質のうちの1種がF-boxタンパク質の
    基質である、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 1種以上のタンパク質のうちの少なくとも1種がユビキチ
    ン経路の成分である、請求項13記載の方法。
  17. 【請求項17】 1種以上のタンパク質のうちの1種がSkp1である、請求項
    13記載の方法。
  18. 【請求項18】 F-boxタンパク質がFbp1であり、基質がβ-カテニンまたは
    IKBαである、請求項13記載の方法。
  19. 【請求項19】 F-boxタンパク質活性の変化が、前記基質のユビキチン化
    または分解における変化を検出することにより検出される、請求項13記載の方
    法。
  20. 【請求項20】 増殖性および分化性疾患の治療に有用な化合物をスクリー
    ニングする方法であって、化合物を、Skp2を発現している細胞または細胞抽出物
    およびp27とE2Fのうちの1種以上に接触させ、Skp2活性の変化を検出することを
    含んでなる、前記方法。
  21. 【請求項21】 Skp2活性の変化が、Skp2とp27およびE2Fとの相互作用にお
    ける変化を検出することにより検出される、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 Skp2活性の変化が、p27またはE2Fのユビキチン化または分
    解における変化を検出することにより検出される、請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 哺乳動物の増殖性または分化性疾患を治療する方法であっ
    て、哺乳動物に、該疾患の症状が軽減されるようにFBP遺伝子または遺伝子産物
    の合成、発現または活性をモジュレートする化合物を投与することを含んでなる
    、前記方法。
  24. 【請求項24】 前記疾患が乳癌である、請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記疾患が卵巣癌である、請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記疾患が前立腺癌である、請求項23記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記疾患が小細胞肺癌である、請求項23記載の方法。
JP2000567666A 1998-08-28 1999-08-27 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ Expired - Fee Related JP4143263B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US9835598P 1998-08-28 1998-08-28
US60/098,355 1998-08-28
US11856899P 1999-02-03 1999-02-03
US60/118,568 1999-02-03
US12444999P 1999-03-15 1999-03-15
US60/124,449 1999-03-15
PCT/US1999/019560 WO2000012679A1 (en) 1998-08-28 1999-08-27 Novel ubiquitin ligases as therapeutic targets

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007191280A Division JP2007275076A (ja) 1998-08-28 2007-07-23 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003512008A true JP2003512008A (ja) 2003-04-02
JP4143263B2 JP4143263B2 (ja) 2008-09-03

Family

ID=27378584

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000567666A Expired - Fee Related JP4143263B2 (ja) 1998-08-28 1999-08-27 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ
JP2007191280A Pending JP2007275076A (ja) 1998-08-28 2007-07-23 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ
JP2008295879A Pending JP2009100746A (ja) 1998-08-28 2008-11-19 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ

Family Applications After (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007191280A Pending JP2007275076A (ja) 1998-08-28 2007-07-23 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ
JP2008295879A Pending JP2009100746A (ja) 1998-08-28 2008-11-19 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ

Country Status (7)

Country Link
US (3) US6720181B1 (ja)
EP (1) EP1108008A4 (ja)
JP (3) JP4143263B2 (ja)
AU (2) AU767507B2 (ja)
CA (1) CA2341064A1 (ja)
NZ (1) NZ510312A (ja)
WO (1) WO2000012679A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008517278A (ja) * 2004-10-15 2008-05-22 シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー p27のユビキチン化アッセイ及びその使用方法

Families Citing this family (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060088846A1 (en) * 1998-08-28 2006-04-27 Michele Pagano Methods to identify compounds useful for the treatment of proliferative and differentiative disorders
AU2001230560A1 (en) * 2000-02-01 2001-08-14 Taisho Pharmaceutical Co. Ltd. Novel gene tig104alpha and protein tig104alpha encoded thereby
WO2002011672A2 (en) * 2000-08-07 2002-02-14 Deltagen, Inc. Transgenic mice containing ubiquitin protein ligase e3 gene disruptions
CN1345732A (zh) * 2000-09-22 2002-04-24 上海博德基因开发有限公司 一种新的多肽——f-盒蛋白44.33和编码这种多肽的多核苷酸
AU2002240889A1 (en) * 2000-12-18 2002-07-01 Hybrigenics Proteins that interact with betatrcp
AU2002243477B2 (en) * 2001-01-05 2007-12-20 New York University Methods to identify compounds useful for the treatment of proliferative and differentiative disorders
US7033790B2 (en) 2001-04-03 2006-04-25 Curagen Corporation Proteins and nucleic acids encoding same
AU2002312018A1 (en) * 2001-05-24 2002-12-03 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Modulation of cell division by an early mitotic inhibitor protein
FR2828208A1 (fr) * 2001-08-01 2003-02-07 Cytomics Systems Acides nucleiques codant de nouvelles proteines a boite f, leurs utilisations en diagnostic et en therapie
JP2005502368A (ja) * 2001-09-07 2005-01-27 エヴォテック ニューロサイエンシス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング アルツハイマー病および関連する神経変性障害のためのf−ボックス蛋白質の診断的および治療的使用
IL162062A0 (en) * 2001-11-19 2005-11-20 Proteologics Inc Methods for identifying and validating potential drug targets
US7037936B2 (en) 2002-06-17 2006-05-02 Signal Pharmaceuticals, Llc. Compounds useful for the treatment of cancer, compositions thereof and methods therewith
GB0218970D0 (en) * 2002-08-14 2002-09-25 Creative Peptides Sweden Ab Fragments of Insulin c-peptide
US7736846B2 (en) * 2002-08-30 2010-06-15 Rigel Pharmaceuticals, Inc. Methods of assaying for modulators of the inflammatory process using components of the ubiquitin ligation cascade
US20050049214A1 (en) * 2003-01-15 2005-03-03 Chiron Corporation Inhibition of E3-ubiquitin ligase HAKAI for treatment of proliferative disorders
GB0309116D0 (en) * 2003-04-22 2003-05-28 Univ London Target for cancer therapy and drug discovery
WO2006078431A2 (en) * 2004-12-22 2006-07-27 The University Of Iowa Research Foundation Compositions and methods related to modified retroviral vectors for restricted, site specific integration
EP1857119B1 (en) * 2005-02-07 2011-11-23 Takeda Pharmaceutical Company Limited Screening for a compound promoting binding between fbl2 and amyloid precursor protein or its c-terminal fragments alpha and beta
US20110206689A1 (en) * 2010-01-21 2011-08-25 Dana-Farber Cancer Institute, Inc. Molecular Determinants Associated With Prostate Cancer And Methods Of Use Thereof
US10988759B2 (en) 2016-01-15 2021-04-27 University Of Washington High throughput protein-protein interaction screening in yeast liquid culture
EP4150073A1 (en) * 2020-05-11 2023-03-22 A-Alpha Bio, Inc. High-throughput screening methods to identify small molecule targets
CN115768889A (zh) 2020-06-01 2023-03-07 A-阿尔法生物股份有限公司 表征和工程化蛋白质-蛋白质相互作用的方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4873191A (en) * 1981-06-12 1989-10-10 Ohio University Genetic transformation of zygotes
US4987071A (en) * 1986-12-03 1991-01-22 University Patents, Inc. RNA ribozyme polymerases, dephosphorylases, restriction endoribonucleases and methods
FR2643657B1 (fr) * 1989-02-20 1994-08-12 Toyoda Automatic Loom Works Tissu tridimensionnel et procede pour sa fabrication
US5519003A (en) * 1994-02-01 1996-05-21 Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University WD-40-derived peptides and uses thereof
US5981702A (en) * 1995-09-21 1999-11-09 Cold Spring Harbor Laboratory Cyclin/CDK associated proteins, and uses related thereto
US6964868B1 (en) * 1998-01-28 2005-11-15 Nuvelo, Inc. Human genes and gene expression products II
AU4077099A (en) * 1998-05-13 1999-11-29 Incyte Pharmaceuticals, Inc. Cell signaling proteins

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008517278A (ja) * 2004-10-15 2008-05-22 シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー p27のユビキチン化アッセイ及びその使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
AU2004200599A1 (en) 2004-03-11
AU2004200599C1 (en) 2008-09-25
WO2000012679A1 (en) 2000-03-09
US20050251871A1 (en) 2005-11-10
CA2341064A1 (en) 2000-03-09
EP1108008A4 (en) 2004-12-08
JP2007275076A (ja) 2007-10-25
AU767507B2 (en) 2003-11-13
US6720181B1 (en) 2004-04-13
AU2004200599B2 (en) 2007-10-04
EP1108008A1 (en) 2001-06-20
JP2009100746A (ja) 2009-05-14
JP4143263B2 (ja) 2008-09-03
US20100212033A1 (en) 2010-08-19
AU5586999A (en) 2000-03-21
NZ510312A (en) 2004-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4143263B2 (ja) 治療ターゲットとしての新規ユビキチンリガーゼ
US20050214879A1 (en) Novel ubiquitin ligases as therapeutic targets
JP2010501167A (ja) ニューレグリンの下流タンパク質であるニューキナーゼ
JP2003502046A (ja) 新規ヒト環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ
AU2002243477A1 (en) Methods to identify compounds useful for the treatment of proliferative and differentiative disorders
US20150044228A1 (en) Methods to identify compounds useful for the treatment of proliferative and differentiative disorders
WO2000008153A9 (en) Arf-p19, a novel regulator of the mammalian cell cycle
JP2003517821A (ja) 2786、ヒトアミノペプチダーゼ
US20090292004A1 (en) Methods to identify compounds useful for the treatment of proliferative and differentiative disorders
JP2002539833A (ja) カリンレギュレーターroc1およびroc2をコードする単離dna、それらによってコードされた単離タンパク質、ならびにそれらの利用法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060124

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20060418

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20060515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070123

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070417

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070424

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080520

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080616

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110620

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees