JP2005502368A - アルツハイマー病および関連する神経変性障害のためのf−ボックス蛋白質の診断的および治療的使用 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、被験者における神経変性病の進行の診断、予見、およびモニター方法に関する。更に、神経変性病の治療制御方法および調節剤(modulating agents)のためのスクリーニング方法が提供される。本発明は、薬学的組成物、キット、および組み換え型動物モデルも開示する。
【0002】
神経変性病、特にアルツハイマー病(AD)は、患者の生命を激しく衰弱させる影響を有する。更に、これらの病気は、非常に大きな健康、社会、および経済的負担を与える。ADは、65歳以上の人口の約10%、85歳以上の45%までに影響を及ぼす、最も一般的な年齢に関連する神経変性状態である(近年の報告については、ビッカーズ(Vickers)ら、プログレス・イン・ニューロバイオロジー(Progress in Neurobiology) 2000、60:139-165を参照)。現在、これは、US、ヨーロッパ、および日本において、推定1200万ケースに達する。この状況は、先進国における老人の人口増加(“ベビーブーマーの高齢化”)に伴い、必然的にいっそう悪くなるであろう。ADを患う人々の脳において起こる神経病の特徴は、アミロイド−β蛋白質からなる老人斑、ならびに、異常なフィラメント様構造物の出現および神経原線維のもつれの形成と同時に起こる、深刻な(profound)細胞骨格変化である。ADは、記憶形成における早期欠陥(deficits)に関連し、より高い認知機能の完全な衰退を引き起こす、進行性疾患である。ADの病因の特徴は、特定の脳領域および神経細胞の小集団の変性プロセスに対する選択的な影響の受けやすさ(vulnerability)である。具体的には病気の進行中、側頭葉領域および海馬が、早期に、かつより深刻な影響を受ける。一方、前頭皮質、後頭皮質、および小脳内のニューロンの大部分は、影響を受けないままであり、神経変性から保護されている(テリー(Terry)ら、Annals of Neurology 1981、10:184−192)。
【0003】
現在、ADのための治療法はなく、ADの進行を止める効果的な治療法もなく、高い確率で死の前の(ante-mortem)ADを診断する方法さえない。個人にADの発症の素因をあらかじめ与えるいくつかの危険因子が同定されており、それらの中で、最も顕著なものは、アポリポ蛋白質E(ApoE)のエプシロン4対立遺伝子である。APP、プレセニリン−1、およびプレセニリン−2に対する遺伝子における遺伝的欠陥によって引き起こされると考えられる早期に発症するADの例は稀であるが、遅発型散発性(late-onset sporadic)ADの一般型の病因は、今まで知られていない。神経変性障害の遅い発症および複雑な病因は、治療剤および診断剤の開発への挑戦を難しくする。潜在的な薬剤ターゲットおよび診断マーカーの貯蔵(pool)を増やすことが不可欠である。よって、本発明の目的は、神経変性病の病因への洞察(insight)を提供すること、そして、特に、診断、治療的介入(therapeutic intervention)に有用な化合物の同定、ならびに、これらの病気の治療の開発およびモニターに適した方法、材料、ならびに動物モデルを提供することである。この目的は、本発明の独立項の特徴によって解決された。サブクレームは、好ましい態様を規定する。
【0004】
F−ボックス蛋白質(F-box proteins)は、F−ボックスと呼ばれる、約40個のアミノ酸モチーフを特徴とする蛋白質群を構成する。F−ボックスモチーフは、最初に、サイクリンF蛋白質において認められた(バイ(Bai)ら、セル(Cell) 1996, 86:263-274)。その後の研究において、少なくとも38個のヒトのF−ボックス蛋白質が同定された(キプレオス(Kipreos)およびパガノ(Pagano)、ゲノム・バイオロジー(Genome Biology) 2000、1:3002.1-3002.7; センチアレリ(Cenciarelli)ら、カレント・バイオロジー(Current Biology) 1999、9:1177-1179; ウィンストン(Winston)ら、カレント・バイオロジー(Current Biology) 1999、9:1180-1182)。しばしば、F−ボックス蛋白質は、ロイシンジッパー、ジンクおよびリングフィンガー、サイクリンドメイン、ならびにプロリン−リーチ(proline-reach)領域のような二次モチーフを更に含み得る。機能的には、F−ボックスは、蛋白質−蛋白質相互作用の部位としての役割を果たすペプチドモジュールである。具体例では、F−ボックスドメインは、蛋白質を、Skp1(S期キナーゼ関連蛋白質(S-phase kinase-associated protein)1)との複合体に導入し得る。F−ボックス蛋白質は、ユビキチン−プロテアソーム経路を介した細胞制御蛋白質の分解のコントロールに関連する。ユビキチン−プロテアソーム経路による蛋白質分解は、細胞からの蛋白質の選択的除去の重要な細胞プロセスであり、シグナル伝達、転写および細胞サイクルのコントロールを含む、多くの細胞プロセスにおいて、重要な役割を果たす(ヘルシュコ(Hershko)ら、ネイチャー・メディスン(Nature Medicine) 2000、6:1073-1081; ジョアゼイロ(Joazeiro)およびハンター(Hunter)、サイエンス(Science) 2000、289:2061; ピカート(Pickart)、ネイチャー・セル・バイオロジー(Nature Cell Biology) 2000、2:139-141)。ユビキチン−プロテアソーム経路の重要な特徴は、除去することになっている蛋白質への、酵素複合体によるユビキチンの共有結合(ユビキチン化)である。それにより、ユビキチンタグ(ubiquitin-tagged)蛋白質は、26Sプロテアソームに向けられ、そこで、蛋白質分解される。中枢神経系において、プロテアソームに媒介された蛋白質分解は、ダメージを受けた細胞蛋白質、または異常な折りたたみ構造の細胞蛋白質の分解および除去のために重要である(アルベス−ロドリケス(Alves-Rodrigues)ら、Trends Neurosci 1998、21:516-520)。基質へのユビキチンの結合は、連続的な反応において、一般に三種の酵素を含むユビキチンリガーゼ複合体によって行われる。ユビキチン活性化酵素(E1)は、E1酵素とユビキチンとの間にチオエステル結合を形成することによって、ユビキチンを活性化する。その後、E2種の酵素のメンバー(ユビキチン結合酵素)へのトランスエステル化が行われる。最後に、ユビキチンは、(E3)ユビキチンリガーゼの助けにより、E2酵素から基質蛋白質へ運ばれる。E3ユビキチンリガーゼは、数種の成分からなる。具体的には、F−ボックス蛋白質は、ユビキチン蛋白質リガーゼの4つの成分の1つである(デシャイエス(Deshaies)、Annu Rev Cell Dev Biol 1999、15:435-467)。ユビキチン蛋白質リガーゼ複合体内でのF−ボックス蛋白質の機能は、ユビキチン結合のために基質を特異的に補充することにより、分解プロセスに基質特異性を与えることであり得る。アルツハイマー病におけるC.エレガンス(elegans)F−ボックス蛋白質Sel-10のヒト相同体(homolog)の考えられ得る関連性が、近年開示されている(WO 0075328)。Sel-10は、多数のWD-40リピート(repeats)を特徴とする、F−ボックス蛋白質のサブファミリーに属する。F−ボックス蛋白質のこのサブファミリーは、“Fbw”と呼ばれる(F−ボックス蛋白質のドメイン構造の詳細な議論のために、F−ボックス蛋白質の3つのサブファミリー全体を生じさせる、ウィンストン(Winston)ら、カレント・バイオロジー(Current Biology) 1999、9:1180-1182を参照)。“Fbx”と呼ばれるサブファミリーは、既知の蛋白質相互作用ドメインがない。
【0005】
明らかに区別できるF−ボックス蛋白質のサブファミリーは、N−末端に位置するF−ボックスモチーフのほかに、C−末端ロイシンリッチリピート領域を含む。このF−ボックス蛋白質のサブファミリーのメンバーは、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質(F-box and leucine-rich repeat proteins)、“Fbl”と呼ばれる。ヒトF−ボックスロイシンリピート蛋白質FBL2をコードする遺伝子は、いくつかのグループによって独立に同定された(ハーパー(Harper)およびエレッジ(Elledge)による特許出願, WO9918989; チャイウァー(Chaiur)ら、WO0012679; チャン(Zhang)ら、WO0075184)。ヒトFBL2遺伝子の典型的なヌクレオチド配列は、NCBI ジェンバンク(Genbank) データベースに寄託されている(登録番号: NM_012157 (キュレーテッド(curated)バージョン)、AF176518およびAF174589 (以前のバージョン))。対応するFBL2蛋白質の典型的なアミノ酸配列は、NCBIジェンバンク(Genbank)データベースの登録番号NP_036289(キュレーテッドバージョン)を参照のこと(referenced)。FBL2蛋白質に関するデータベースの更なる登録(entries)は、NCBIジェンバンク(Genbank)登録番号AAF04510およびAAF03128に見られる。ヒトFBL2遺伝子のラット相同体は、アミノ酸配列レベルで、そのヒト対応物に対して高い類似性を示す(イリン(Ilyin)ら、FEBS Lett 1999、459:75-79)。ラットFBL2遺伝子は、偏在的に発現されるが、異なる大人のラット組織の間で異なる量で発現される。3つの異なるサイズのラットmRNA転写物が、ノーザンブロット分析によって示された。小さなサイズの転写物が脾臓、胸腺および精巣において主に発現されたのに対し、高分子量転写物は、骨格筋、心臓および脳において好ましく発現された。ヒト骨肉腫U-2OS細胞において発現されたラットFBL2のGFP融合蛋白質を局部に留め、主に核の近傍の細胞質において病巣(foci)を中断させることができた。
【0006】
今日まで、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、特にFBL2、をコードする遺伝子の発現の調節不全と、神経変性病、特にADの病状との関係を示す実験は開示されていなかった。本発明において開示されているそのような関連は、特に、これらの病気の診断および治療のための新たな方法を提案する。
【0007】
本明細書および請求項において使用される単数形、“a”、“an”、および“the”は、特に断らない限り(unless the context dictates otherwise)、複数形を含む。例えば、“細胞(a cell)”は、複数の細胞も意味する、以下同様。本明細書および請求項において使用される“および/または(and/or)”という語は、この後の前後の語句が、二者択一(alternatives)として、または組み合わせて考えられることを意味する。例えば、“レベルおよび/または活性の決定”という語は、レベルのみ、または活性のみ、またはレベルと活性の両方が決定されることを意味する。本明細書において使用される“レベル”という語は、転写産物、例えばmRNA、または翻訳産物、例えば蛋白質もしくはポリペプチド、の量または濃度の尺度(gage)または指標(measure)を含む意味である。本明細書において使用される“活性”という語は、転写産物もしくは翻訳産物の生物学的効果をもたらす能力の指標、または、生物学的活性分子のレベルのための指標として理解される。“活性”という語は、酵素活性も意味する。本明細書において使用される“レベル”および/または“活性”という語は、更に、遺伝子発現レベルまたは遺伝子活性を意味する。遺伝子発現は、遺伝子産物の生成をもたらす転写および翻訳による、遺伝子に含まれる情報の利用として定義され得る。遺伝子産物は、RNAまたは蛋白質のいずれかを含み、かつ、遺伝子の発現の結果である。遺伝子産物の量は、遺伝子がどの程度活性であるかを測定するために使用され得る。本明細書および請求項において使用される“遺伝子”という語は、コード領域(エキソン)ならびに非コード領域(例えば、プロモーターまたはエンハンサー、イントロン、リーダーおよびトレーラー配列のような非コード制御要素(regulatory elements))の両方を含む。“制御要素”という語は、誘発性および非誘発性プロモーター、エンハンサー、オペレーター、ならびに、遺伝子発現を操作および制御する他の要素を含む。本明細書において使用される“フラグメント”という語は、例えば、選択的スプライシングされた、または短小化された、または別の方法で切断された(otherwise cleaved)転写産物または翻訳産物を含む意味である。本明細書において使用される“誘導体”という語は、変異体(mutant)、またはRNA修正(RNA-edited)、もしくは化学的変性、もしくは別の方法で変更された転写産物、または、変異体、または化学的変性、もしくは別の方法で変更された翻訳産物を意味する。例えば、“誘導体”は、変更されたリン酸化反応、もしくはグリコシル化反応、もしくは脂質付加反応(lipidation)のようなプロセスによって、または、変更されたシグナルペプチド切断、もしくは他の種類の成熟切断によって生成され得る。これらのプロセスは、翻訳後に起こり得る。F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質FBL2のフラグメント、誘導体、または変異体は、FBL2のポリペプチド配列内に含まれる、機能的F−ボックスドメインまたはロイシンリピートモジュールのような他の機能的モジュールを含み得るが、それらに限定されない。本発明および請求項において使用される“モジュレーター(modulator)”という語は、遺伝子、または遺伝子の転写産物、または遺伝子の翻訳産物のレベルおよび/または活性を変化または変更させ得る分子を意味する。好ましくは、“モジュレーター”は、遺伝子の転写産物または翻訳産物の生物学的活性を変化または変更させ得る。前記調節(modulation)は、例えば、酵素活性の増加もしくは減少、結合特性の変化、または、前記遺伝子の翻訳産物の生物学的、機能的、もしくは免疫学的性質の何らかの他の変化もしくは変更であり得る。“薬剤(agent)”、“試薬(reagent)”、または“化合物(compound)”という語は、細胞、組織、体液に、または、何らかの生物学的システム、もしくは試験される何らかのアッセイシステムの関連で(within the context of)、プラスまたはマイナスの生物学的効果を有する、何らかの物質、化学物質、組成物、または抽出物を意味する。それらは、ターゲットのアゴニスト(agonists)、アンタゴニスト(antagonists)、部分アゴニストまたはインバースアゴニストであり得る。そのような薬剤、試薬、または化合物は、核酸、天然もしくは合成ペプチドもしくは蛋白質複合体、または融合蛋白質であり得る。それらは、抗体、有機または無機分子または組成物、小型分子、薬剤、および、上記の薬剤のいずれかの何らかの組み合わせでもあり得る。それらは、試験のために、診断のために、または治療目的のために使用され得る。“オリゴヌクレオチドプライマー”または“プライマー”という語は、相補的塩基対のハイブリダイゼーションによって所定のターゲットポリヌクレオチドにアニールすることができ、かつ、ポリメラーゼによって伸長され得る短い核酸配列を意味する。それらは、特定の配列に特異的であるように選択され得るか、または、それらは、無作為に選択され得る。例えば、それらは、混合物中で可能な配列すべてを開始する(prime)。本明細書において使用されるプライマーの長さは、10ヌクレオチドから80ヌクレオチドまで変わり得る。“プローブ”は、本明細書において記載され、かつ開示される核酸配列の短い核酸配列であるか、または、それらと相補的な配列である。それらは、完全長配列、または、所定の配列のフラグメント、誘導体、イソ型、もしくは変異体を含み得る。“プローブ”とアッセイされる試料との間のハイブリダイゼーション複合体の同定により、その試料内の他の類似配列の存在を検出することができる。本明細書において使用される“変異体(variant)”という語は、本発明において開示されるポリペプチドおよび蛋白質に関して、本発明の未変性(native)ポリペプチドまたは蛋白質のN末端および/もしくはC末端に、ならびに/または、未変性アミノ酸配列内に、1つ以上のアミノ酸が付加ならびに/または置換ならびに/または欠失ならびに/または挿入された、何らかのポリペプチドまたは蛋白質を意味する。更に、“変異体”という語は、何らかの、より短いか、またはより長いタイプのポリペプチドまたは蛋白質を含む。“変異体”は、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、特にFBL2のアミノ酸配列と、少なくとも約80%の配列が一致し、より好ましくは少なくとも約90%の配列が一致し、最も好ましくは少なくとも約95%の配列が一致する配列も含む。“変異体”は、例えば、高度にコンサバティブな(conservative)領域に、コンサバティブなアミノ酸置換を有する蛋白質を含む。本発明の“蛋白質およびポリペプチド”は、FBL2のアミノ酸配列を含む蛋白質の変異体、フラグメント、および化学的誘導体を含む。それらは、自然界から単離され得るか、または、組み換えおよび/もしくは合成手段によって生成され得る蛋白質およびポリペプチドを含み得る。未変性蛋白質またはポリペプチドは、自然発生的な短小化されたか、または分泌された型、自然発生的な変異型(例えばスプライスバリアント)、および自然発生的対立遺伝子変異体を意味する。本発明において、“危険(risk)”、“影響の受けやすさ(susceptibility)”、および“素因(predisposition) ”という語は同等であり、神経変性病、好ましくはアルツハイマー病の発症の確率について使用される。‘AD’という語は、アルツハイマー病を意味する。
【0008】
本発明による神経変性病または神経変性障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ピック病、フロント−テンポラル・デメンチア(fronto-temporal dementia)、進行性核麻痺(progressive nuclear palsy)、大脳皮質基底核変性症、脳血管性痴呆(cerebro-vascular dementia)、多系統萎縮症(multiple system atrophy)、好銀粒痴呆(argyrophilic grain dementia)、および他のタウオパシー(tauopathies)、ならびに、軽度認知障害(mild-cognitive impairment)を含む。神経変性プロセスを含む更なる状態は、例えば、虚血性脳卒中、加齢性黄斑変性症、ナルコレプシー、運動ニューロン疾患、プリオン病、外傷性神経損傷および回復、ならびに多発性硬化症である。
【0009】
1つの態様において、本発明は、被験者における神経変性病の診断もしくは予見方法、または、被験者が前記病気の発症の高い(increased)危険にさらされているかを決定する方法を特徴とする。その方法は、前記被験者からの試料中の(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベル、または活性、または前記レベルと前記活性の両方を決定し、既知の病気または健康な状態を表す対照値と前記レベルおよび/または前記活性を比較し、それにより、前記被験者における前記神経変性病を診断もしくは予見するか、または、前記被験者が、前記神経変性病の発症の高い危険にさらされているかを決定することを含む。
【0010】
本発明は、本発明に開示されている核酸配列、またはそれらのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体に特有のプライマーおよびプローブの構成および使用にも関する。オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、蛍光物質、生物発光物質、磁性物質、または放射性物質によって特異的にラベルされ得る。本発明は、更に、前記特異的オリゴヌクレオチドプライマーを適当な組み合わせで使用する、前記核酸配列、またはそれらのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の検出および生成に関する。当業者に周知の方法であるPCR−分析を前記プライマーの組み合わせによって行い、核酸を含む試料から、前記遺伝子特異的核酸配列を増幅することができる。そのような試料は、健康な被験者または病気の被験者のどちらかから得られ得る。増幅によって特異的核酸生成物が得られるか否か、および、異なる長さのフラグメントが得られるか否かは、神経変性病、特にアルツハイマー病を暗示し得る。よって、本発明は、神経変性病、特にアルツハイマー病に関連し得る、調べられるべき核酸配列を含む所定の試料における遺伝子変異(gene mutations)および単一ヌクレオチド多型の検出に有用な、少なくとも10塩基長から全コード遺伝子配列までの核酸配列、オリゴヌクレオチドプライマー、およびプローブを提供する。この特徴は、好ましくはキットの形式でもあり得る、迅速なDNAに基づく診断テストの開発に有用である。
【0011】
更なる態様において、本発明は、被験者における神経変性病の進行のモニター方法を特徴とする。前記被験者からの試料中の(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベルまたは活性、または前記レベルと前記活性の両方が決定される。前記レベルおよび/または前記活性は、既知の病気または健康な状態を表す対照値と比較される。それにより、前記被験者における前記神経変性病の進行がモニターされる。
【0012】
更なる態様において、本発明は、神経変性病の治療の評価方法であって、前記病気を治療される被験者から得られる試料中の(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベル、または活性、または前記レベルと活性の両方を決定することを含む、前記方法を特徴とする。前記レベル、または前記活性、または前記レベルと前記活性の両方が、既知の病気および健康な状態を表す対照値と比較され、それにより、前記神経変性病の治療が評価される。
【0013】
ここで、およびこの後に記載される、本発明の方法、キット、組み換え型動物、分子、アッセイ、および使用の好ましい態様において、前記神経変性病または神経変性障害はアルツハイマー病であり、前記被験者はアルツハイマー病を患う。
【0014】
本発明において、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする前記遺伝子が、FBL2をコードする遺伝子であること(NCBIジェンバンク(Genbank)登録番号:NM_012157、AF176518、AF174589として参照されるヌクレオチド配列を含む)、および、前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質がFBL2であること(NCBIジェンバンク(Genbank)登録番号:NP_036289として参照されるアミノ酸配列を含む)が特に好ましい。本発明の範囲内で、参照されるヌクレオチドおよびアミノ酸配列は典型的な未変性物であること、ならびに、FBL2をコードする遺伝子、およびその対応する翻訳産物は、前記ヌクレオチドおよびアミノ酸配列のフラグメント、誘導体、および変異体も含むことが理解されるべきである。更に、ヒトF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードするヒト遺伝子のサブファミリーの現在知られているメンバー、および/または、ヒトF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質のサブファミリーのメンバー、および/または、それらのフラグメントを、それらの対応するNCBIジェンバンク(Genbank)/EMBL登録番号の典型的な参照とともに、以下に列挙する:FBL1 (Skp2)、U33761;FLR1、AF142481;FBL3、AF186273、AK001271;FBL3a、AF129532、FBL3b、AF129533;FBL4、AF174590、AF176699、AF199420;FBL5、AF174591、AF176700、AF199355、BC030656;FBL6、AF174592、AF199356;FBL7、AF174593;FBL9、AF176701;FBL10、 AK027692;FBL11、BC001203;マウスFBL8に対するヒト相同体、AK002140; マウスFBL12に対するヒト相同体、AK000195、BC001586、AK027004; 仮定上の43.3 kDa 蛋白質、AL133602;P45SKP2-様蛋白質、AF157323;cDNA FLJ20146、AK000153;cDNA FLJ10576、AK001438;FLJ00115蛋白質、AK024505;cDNA FLJ22888、AK026541;新規蛋白質BA18I14.4、AL121928。
【0015】
本発明は、AD患者の特異的脳領域における、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、特に、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質FBL2をコードする遺伝子の検出、差次的発現(differential expression)、および制御を開示する。その結果、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、およびその対応する遺伝子産物は、ADにおいて典型的に観察される局部的な選択的神経細胞変性において、原因となる役割を有し得る。または、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、およびその対応する遺伝子産物は、残りの生存している神経細胞に神経保護機能を与え得る。これらの開示に基づいて、本発明は、診断的評価および予後、ならびに、神経変性病、特にADに対する素因の同定に有用である。更に、本発明は、そのような病気の治療を受ける被験者の診断的モニター方法を提供する。
【0016】
分析および決定されるべき試料は、脳組織または他の体細胞を含む群から選択されることが好ましい。その試料は、脳脊髄液、または、唾液、尿、血清プラズマもしくは粘液を含む他の体液も含み得る。好ましくは、本発明による、神経変性病の診断、予後、進行のモニター、または治療の評価方法は、肉体外で(ex corpore)行われ得る。そして、そのような方法は、好ましくは、例えば、被験者または患者から除去、回収、または単離された試料、例えば、体液または細胞に関する。
【0017】
更に好ましい態様において、前記参照値は、前記神経変性病を患っていない被験者からの試料中の(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベル、または活性、または前記レベルと前記活性の両方のものである。
【0018】
好ましい態様において、前記被験者からの試料細胞、または組織、または体液中の、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、それらのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベルおよび/または活性の、既知の健康な状態を表す対照値に対する変化は、診断、または予後、または神経変性病、特にアルツハイマー病にかかる危険の増加を示す。
【0019】
好ましい態様において、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする転写産物のレベルの測定は、被験者からの試料において、被験者の試料から抽出されたRNAの逆転写によって得られるcDNAからの前記遺伝子特異的配列を増幅するためのプライマーの組み合わせによる定量的PCR−分析を用いて行われる。前記遺伝子に特異的なプローブによるノーザンブロットも適用され得る。チップに基づくマイクロアレイ技術によって、転写産物を測定することが更に好ましいこともある。これらの技術は、当業者に知られている(サンブロック(Sambrook)およびラッセル(Russell)、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning):ラボラトリー・マニュアル(A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク、2000を参照)。
【0020】
F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、前記翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベルおよび/または活性は、免疫アッセイ、活性アッセイ、および/または結合アッセイを用いて検出され得る。これらのアッセイは、抗蛋白質抗体または抗蛋白質抗体に結合する二次抗体のいずれかに結合する、酵素的、量子色力学的(chromodynamic)、放射性、磁性、または発光ラベルの使用により、前記翻訳産物と抗蛋白質抗体との間の結合の量を測定し得る。また、他の高アフィニティリガンドも使用され得る。使用され得る免疫アッセイは、ELISA類、ウエスタンブロット、および当業者に既知の他の技術を含む(ハーロー(Harlow)およびレーン(Lane)、アンチボディズ(Antibodies):ラボラトリー・マニュアル(A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー。ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク、1999を参照)。これらの検出技術はすべて、マイクロアレイ、蛋白質アレイ、抗体マイクロアレイ、または蛋白質チップに基づく技術の形式でも使用され得る。
【0021】
本発明の1つの態様において、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または前記翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の酵素活性を決定することが好ましいこともある。具体的には、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質とユビキチン結合系との結合により、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、前記翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の酵素活性を、ユビキチン結合酵素活性のためのアッセイにおいて、具体的には、E3ユビキチンリガーゼ活性のためのアッセイにおいて決定することが好ましいこともある。E3ユビキチンリガーゼアッセイは周知である。例えば、そのような活性は、酵母中の再構築されたシステムにおいて、または、精製されたか、もしくは単離されたE1酵素、E2酵素、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/もしくは、前記翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体、ユビキチン、ならびにATP再生システムを含む細胞を含まないシステムにおいて決定され得る(フェルドマン(Feldman)ら、セル(Cell)、1997;91:221、セラス(Sears)ら、J Biol Chem、1998、273:1409;US5976849、WO0175145)。
【0022】
好ましい態様において、前記病気の進行をモニターするために、所定期間(over a period of time)、前記被験者から採取した一連の試料中の(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベル、または活性、または前記レベルと前記活性の両方が比較される。更に好ましい態様において、前記被験者は、1つ以上の前記試料採取前に治療を受ける。更に別の好ましい態様において、前記レベルおよび/または活性は、前記被験者の前記治療前後に決定される。
【0023】
別の態様において、本発明は、被験者における神経変性病、特にADを診断もしくは予見するための、または、被験者が神経変性病、特にADを発症する傾向(propensity)もしくは素因(predisposition)を決定するためのキットを特徴とする。前記キットは、
(a)(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物を選択的に検出する試薬、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物を選択的に検出する試薬、からなる群から選ばれる少なくとも1つの試薬;および
(b)−前記被験者からの試料中のF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の前記転写産物および/または前記翻訳産物のレベル、または活性、または前記レベルと前記活性の両方を検出すること;そして、
−神経変性病、特にADを診断もしくは予見すること、または、前記被験者がそのような病気を発症する傾向もしくは素因を決定すること
により、神経変性病、特にADを、診断もしくは予見するための、または、被験者がそのような病気を発症する傾向もしくは素因を決定するための説明書(instruction)
を含む。ここで、既知の健康な状態を表す対照値と比べて、前記転写産物および/もしくは前記翻訳産物のレベル、もしくは活性、もしくは前記レベルと前記活性の両方が変化すること、または、前記転写産物および/もしくは前記翻訳産物のレベル、もしくは活性、もしくは前記レベルと前記活性の両方が、既知の病気の状態を表す対照値と類似もしくは同一であることは、神経変性病、特にADの診断もしくは予後、または、そのような病気の発症の傾向もしくは素因の増加を示す。本発明によるキットは、神経変性病、特にADの発症の危険にさらされている人々を同定するために、特に有用であり得る。その結果、本発明によるキットは、病気の経過中の非可逆的な(irreversible)ダメージ前に、病気の発症前の早期予防的測定または治療的介入のために、同定された人々に目標を定める(targeting)ための手段として役立ち得る。更に、好ましい態様において、本発明において特徴的なキットは、被験者において、神経変性病、特にADの進行をモニターするために、ならびに、そのような前記被験者の病気の治療(therapeutic treatment)の成功または失敗をモニターするために有用である。
【0024】
別の態様において、本発明は、被験者における神経変性病、特にアルツハイマー病の治療または予防方法であって、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のレベル、または活性、または前記レベルと前記活性の両方に、直接的または間接的に影響を及ぼす薬剤(類)を、治療または予防に効果的な量で、前記被験者へ投与することを含む、前記方法、を特徴とする。前記薬剤は、小型分子を含み得るか、または、それは、ペプチド、オリゴペプチド、もしくはポリペプチドも含み得る。前記ペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドは、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体のアミノ酸配列を有し得る。本発明による、神経変性病、特にADの治療または予防のための薬剤は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドからもなり得る。前記オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、センスまたはアンチセンス方向に(in sense or antisense orientation)、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子のヌクレオチド配列を含み得る。
【0025】
好ましい態様において、その方法は、前記薬剤(類)を投与するための、遺伝子治療および/またはアンチセンス核酸技術のそれ自体既知の方法の適用を含む。一般に、遺伝子治療は、いくつかのアプローチ:変異(mutated)遺伝子の分子置換、新たな遺伝子の添加による治療に有効な蛋白質の合成、および組み換え発現法または薬剤による内因性細胞遺伝子発現の調節、を含む。遺伝子導入技術は詳細に記載されており(例えば、ベーレ(Behr)、Acc Chem Res 1993、26:274-278およびムリガン(Mulligan)、サイエンス(Science)、1993、260: 926-931を参照)、かつ、細胞内へのDNAの機械的マイクロインジェクションのような直接的な遺伝子導入技術、ならびに、生物学的ベクター(例えば組み換え型ウイルス、特にレトロウイルス)、もしくはモデルリポソームを使用する間接的な技術、または、ポリカチオンとのDNA共沈殿によるトランスフェクションに基づく技術、化学的(溶媒、洗浄剤、ポリマー、酵素)もしくは物理的手段(機械的ショック、浸透圧によるショック、熱的ショック、電気的ショック)による細胞膜振動(cell membrane pertubation)を含む。中枢神経系への出生後の遺伝子導入は、詳細に記載されている(例えば、ウォルフ(Wolff)、Curr Opin Neurobiol 1993、3:743-748を参照)。
【0026】
特に、本発明は、アンチセンス核酸治療、即ち、所定の重大な(critical)細胞へのアンチセンス核酸またはそれらの誘導体の導入による、不適当に発現されたか、または不完全な遺伝子のダウンレギュレーション(down-regulation)、によって、神経変性病を治療または予防する方法を特徴とする(例えば、ギレスピー(Gillespie)、DN&P 1992、5:389-395;アグローワル(Agrawal)およびアクター(Akhtar)、Trends Biotechnol 1995、13:197-199;クローク(Crooke)、バイオテクノロジー(Biotechnology) 1992、10:882-6を参照)。ハイブリダイゼーションストラテジーのほかに、病気の情報を運ぶRNAを破壊する、リボザイム、即ち、酵素の役割を果たすRNA分子の適用も記載されている(例えば、バリナガ(Barinaga)、サイエンス(Science) 1993、262:1512-1514を参照)。好ましい態様において、治療されるべき被験者はヒトであり、かつ、治療に有効なアンチセンス核酸またはそれらの誘導体はヒトF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質遺伝子、特にFBL2遺伝子に対するものである。被験者の中枢神経系、特に脳の細胞がそのように治療されることが好ましい。細胞浸透(Cell penetration)は、アンチセンス核酸およびそれらの誘導体の担体粒子への結合のような既知のストラテジー、または上記の技術によって行われ得る。目的の(targeted)治療に有効なオリゴデオキシヌクレオチドを投与するためのストラテジーは、当業者に知られている(例えば、ウィクストロム(Wickstrom)、Trends Biotechnol、1992、10: 281-287を参照)。いくつかの場合には、輸送は単なる局所的適用によって行われ得る。更なるアプローチは、アンチセンスRNAの細胞内発現に関する。このストラテジーでは、ターゲット核酸の領域と相補的なRNAの合成のための組み換え型遺伝子によって、エクスビボ(ex vivo)で細胞を形質転換させる。細胞内で発現したアンチセンスRNAの治療的使用は、遺伝子治療と手法的に(procedurally)類似している。RNA干渉(RNAi)としてさまざまに知られている、近年開発された、二本鎖RNAの使用による遺伝子の細胞内発現の制御方法は、核酸治療のための別の効果的なアプローチであり得る(ハノン(Hannon)、ネイチャー(Nature) 2002、418:244-251)。
【0027】
更に好ましい態様において、その治療方法は、ドナー細胞を、前記被験者の中枢神経系、好ましくは脳へ移植することを含み、または、ドナー細胞は、移植片拒絶を最少化または低減するように処理されていることが好ましい。ここで、前記ドナー細胞は、前記薬剤(類)をコードする少なくとも1つのトランス遺伝子の挿入によって遺伝的に変更されている。前記トランス遺伝子は、ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターによって運ばれ得る。トランス遺伝子は、トランス遺伝子をコードするDNAの非ウイルス的な物理的トランスフェクションによって、特にマイクロインジェクションによって、ドナー細胞内へ挿入され得る。トランス遺伝子の挿入は、エレクトロポレーション、化学的に媒介されたトランスフェクション、特にリン酸カルシウムトランスフェクションまたはリポソーム媒介トランスフェクションによって行うこともできる。
【0028】
好ましい態様において、神経変性病、特にADの治療および予防のための前記薬剤は、被験者の細胞を前記被験者に導入することを含む工程によって、前記被験者、好ましくはヒトに投与され得る治療に有効な蛋白質である。前記被験者の細胞は、前記治療に有効な蛋白質をコードするDNAセグメントを挿入するためにインビトロで処理されていて、インビボで前記被験者において治療に効果的な量の前記治療に有効な蛋白質を発現する。前記DNAセグメントは、ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターによって、インビトロで前記細胞内に挿入され得る。前記薬剤、特に治療に有効な蛋白質は、融合蛋白質の注射または全身投与を含む工程によって前記被験者に更に投与され得る。前記融合蛋白質は、蛋白質形質導入ドメインの前記薬剤との融合である。
【0029】
本発明による治療方法は、前述の細胞および遺伝子治療法のいずれかと組み合わせた、治療的クローニング、移植、ならびに、胚幹細胞または胚細胞(embryonic germ cell)および大人の神経幹細胞を用いた幹細胞治療の適用を含む。幹細胞は、分化全能性または多能性であり得る。それらは、組織特異的でもあり得る。病気の、および/または、ダメージを受けた脳細胞または組織の修復のためのストラテジーは、(i)大人の組織からのドナー細胞の採取を含む。それら細胞の核は、遺伝的材料が取り除かれた未受精卵細胞内へ移植される。胚幹細胞は、体細胞核輸送を受けた細胞の胚胞段階から単離される。その後、分化因子の使用により、特殊化した細胞型、好ましくは神経細胞への幹細胞の方向付けられた(directed)発達が引き起こされる(ランザ(Lanza)ら、ネイチャー・メディスン(Nature Medicine) 1999、9:975-977)。または、病気の、および/または、ダメージを受けた脳細胞または組織の修復のためのストラテジーは、 (ii)インビトロ拡大(expansion)およびその後の移植(grafting and transplantation)のための中枢神経系、もしくは骨髄から単離された大人の幹細胞(間葉幹細胞)の精製、または、(iii)直接、内因性神経幹細胞を増殖、移動、および機能的ニューロンへ分化させることを含む(ピーターソン(Peterson) DA、Curr. Opin. Pharmacol. 2002、2:34-42)。大人の脳の胚中心は、ニューロン損傷または機能障害がないので、大人の神経幹細胞は、ダメージを受けたか、または病気の脳組織を修復するための多くの可能性を有する(コルマン(Colman A)、ドラッグ・ディスカバリー・ワールド(Drug Discovery World) 2001、7:66-71)。
【0030】
好ましい態様において、本発明による治療または予防のための被験者は、ヒト、実験動物、例えば哺乳動物、マウス、ラット、魚、ハエ、蠕虫;家畜または非ヒト霊長類であり得る。実験動物は、神経変性障害のための動物モデル、例えばAD型神経病理学を有するトランスジェニックマウスであり得る。
【0031】
更なる態様において、本発明は、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の活性、またはレベル、または前記活性と前記レベルの両方のモジュレーターを特徴とする。
【0032】
更なる態様において、本発明は、前記モジュレーターおよび好ましくは薬学的担体を含む薬学的組成物を特徴とする。前記担体は、それとともにモジュレーターが投与される希釈剤、アジュバント、 賦形剤、またはビヒクル(vehicle)を意味する。
【0033】
更なる態様において、本発明は、薬学的組成物における使用のための、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の活性、またはレベル、または前記活性と前記レベルの両方のモジュレーターを特徴とする。
【0034】
別の態様において、本発明は、神経変性病、特にADの治療または予防のための薬剤の調製のための、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の活性、またはレベル、または前記活性と前記レベルの両方のモジュレーターの使用を提供する。
【0035】
1つの態様において、本発明は、治療または予防に効果的な量の前記薬学的組成物で満たされた1つ以上の容器を含むキットも提供する。
【0036】
更なる態様において、本発明は、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする外来(non-native)遺伝子配列、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体を含む、組み換え型非ヒト動物を特徴とする。前記組み換え型非ヒト動物の生成は、(i)前記遺伝子配列および選択可能なマーカー配列を含む遺伝子標的構成体の提供、ならびに、(ii)前記標的構成体の非ヒト動物の幹細胞への導入、ならびに、(iii)前記非ヒト動物幹細胞の非ヒト胚への導入、ならびに、(iv)前記胚の偽妊娠非ヒト動物への移植、ならびに、(v)前記胚を所定期間成長させること(develop to term)、ならびに、(vi)そのゲノムが両対立遺伝子中に前記遺伝子配列の一次変異(modification)を含む非ヒト遺伝子組み換え動物の同定、ならびに、(vii)段階(vi)の非ヒト遺伝子組み換え動物を飼育し、そのゲノムが前記内因性遺伝子の一次変異を含む非ヒト遺伝子組み換え動物を得ること、を含む。前記遺伝子は、異所発現されるか(mis-expressed)、または低発現されるか(under-expressed)、または高発現され(over-expressed)、かつ、前記分裂または変更(alteration)により、神経変性病、特にADの症状の発症の素因を示す前記非ヒト動物が得られる。そのような動物の生成および構成のためのストラテジーおよび技術は、当業者に知られている(例えば、カペッチ(Capecchi)、サイエンス(Science)、1989、244:1288-1292およびホガン(Hogan)ら、1994、マウス胚の操作(Manipulating the Mouse Embryo):ラボラトリー・マニュアル(A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨークを参照)。神経変性病、特にADを調査するための動物モデルとして、そのような組み換え型非ヒト動物を利用することが好ましい。
【0037】
好ましい態様において、前記組み換え型非ヒト動物は、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質FBL2をコードする外来遺伝子配列、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体を含む。
【0038】
別の態様において、本発明は、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の神経変性病、特にAD、または関連する病気および機能障害のモジュレーターをスクリーニングするためのアッセイを特徴とする。このスクリーニング方法は、(a)細胞を試験化合物と接触させること、ならびに、(b)(i)〜(iv)に列挙した1つ以上の物質のレベル、または活性、またはレベルと活性の両方を測定すること、ならびに、(c)前記試験化合物と接触させない対照細胞中の前記物質のレベル、または活性、またはレベルと活性の両方を測定すること、ならびに、(d)段階(b)および(c)の細胞中の物質のレベルを比較すること、を含む。ここで、接触させた細胞中の前記物質のレベルおよび/または活性の変化は、試験化合物が、前記病気および機能障害のモジュレーターであることを示す。
【0039】
1つの更なる態様において、本発明は、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の神経変性病、特にAD、または関連する病気および機能障害のモジュレーターのためのスクリーニングアッセイであって、(a)神経変性病または関連する病気もしくは機能障害の症状の発症の素因をあらかじめ与えられるか、または既にそれら症状が発症した試験動物に試験化合物を投与すること、ならびに、(b)(i)〜(iv)に列挙した1つ以上の物質のレベルおよび/または活性を測定すること、ならびに、(c)前記神経変性病の症状の発症の素因をあらかじめ同様に与えられるか、または既にそれら症状を発症し、かつ、そのような試験化合物が投与されなかった対応する(matched)対照動物における前記物質のレベルおよび/または活性を測定すること、ならびに、(d)段階(b)および(c)の動物中の物質のレベルおよび/または活性を比較すること、を含むスクリーニングアッセイを特徴とする。ここで、試験動物中の物質のレベルおよび/または活性の変化は、試験化合物が前記病気および機能障害のモジュレーターであることを示す。
【0040】
好ましい態様において、前記試験動物および/または前記対照動物は、未変性遺伝子転写制御調節要素ではない転写調節要素の制御下で、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、特にFBL2、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体を発現する組み換え型非ヒト動物である。
【0041】
別の態様において、本発明は、(i)上記スクリーニングアッセイの方法によって神経変性病のモジュレーターを同定する段階、および、(ii)モジュレーターを薬学的担体と混合する段階、を含む、薬剤の製造方法を提供する。前記モジュレーターは、他のスクリーニングのアッセイによっても同定され得る。
【0042】
別の態様において、本発明は、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体とリガンドとの間の結合を阻害するための化合物を試験するための、特に複数の化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。前記スクリーニングアッセイは、(i)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物を、複数の容器に添加する段階、ならびに、(ii)前記阻害をスクリーニングされるべき化合物、好ましくは複数の化合物を、前記複数の容器に添加する段階、ならびに、(iii)検出可能なリガンド、好ましくは蛍光によって検出可能なリガンドを、前記容器に添加する段階、ならびに、(iv)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物、および前記化合物、および前記検出可能なリガンドをインキュベートする段階、ならびに、(v)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体に関連する検出可能なリガンドまたは蛍光の量を測定する段階、ならびに、(vi)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体への前記リガンドの結合の、1つ以上の前記化合物による阻害の程度を決定する段階、を含む。蛍光によって検出可能なラベルの利用の代わりに、いくつかの態様では、当業者に既知の何らかの他の検出可能なラベル、例えば、放射性ラベルを使用し、それによりそれを検出することが好ましいこともある。前記方法は、新規化合物の同定のために、ならびに、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体とのリガンドの結合を阻害するそれらの能力が改善されたか、さもなければ最適化された化合物の評価のために有用であり得る。1つの更なる態様において、本発明は、上記阻害結合アッセイの方法により、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の遺伝子産物とリガンドとの間の結合の阻害剤として化合物を同定する段階、および、(ii)その化合物を薬学的担体と混合する段階、を含む、薬剤の製造方法を提供する。前記化合物は、他のタイプのスクリーニングアッセイによっても同定され得る。
【0043】
別の態様において、本発明は、化合物を試験して、好ましくは複数の化合物をスクリーニングして、前記化合物(類)とF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体との結合の程度を決定するアッセイを特徴とする。前記スクリーニングアッセイは、(i)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物を、複数の容器に添加する段階、ならびに、(ii)前記結合をスクリーニングされるべき、検出可能な化合物、好ましくは複数の検出可能な化合物、特に蛍光によって検出可能な化合物を、前記複数の容器に添加する段階、ならびに、(iii)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物、および前記検出可能な化合物、好ましくは前記複数の検出可能な化合物をインキュベートする段階、ならびに、(iv)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体に関連する検出可能な化合物または蛍光の量を測定する段階、ならびに、(v)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体との1つ以上の前記化合物による結合の程度を決定する段階、を含む。このタイプのアッセイでは、蛍光ラベルを使用することが好ましいこともある。しかし、何らかの他のタイプの検出可能なラベルも使用され得る。前記方法は、新規化合物の同定のために、ならびに、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質へ結合するそれらの能力が改善されたか、さもなければ最適化された化合物を評価するために有用であり得る。
【0044】
1つの更なる態様において、本発明は、(i)上記の結合アッセイによって、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質への結合剤として化合物を同定する段階、および、(ii)その化合物を薬学的担体と混合する段階、を含む、薬剤の製造方法を提供する。前記化合物は、他のタイプのスクリーニングアッセイによっても同定され得る。
【0045】
別の態様において、本発明は、本明細書および特許請求の範囲に記載のスクリーニングアッセイによるいずれかの方法によって得られ得る薬剤を提供する。1つの更なる態様において、本発明は、本明細書に記載のスクリーニングアッセイによるいずれかの方法によって得られる薬剤を提供する。
【0046】
本明細書で開示されたすべてのタイプのアッセイにおいて、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質FBL2によって、スクリーニングアッセイを研究し、かつ行うことが好ましい。
【0047】
本発明は、神経変性病、特にアルツハイマー病を検出するための診断用ターゲットとしての使用のための、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体である蛋白質分子を特徴とする。
【0048】
本発明は、神経変性病、特にアルツハイマー病を予防、または治療、または改善する試薬または化合物のためのスクリーニングターゲットとしての使用のための、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体である蛋白質分子を更に特徴とする。
【0049】
本発明は、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体である免疫原に対し特異的に免疫反応性である抗体を特徴とする。免疫原は、前記遺伝子の翻訳産物の免疫原性または抗原性エピトープまたは一部を含み得る。前記翻訳産物の免疫原性または抗原性部はポリペプチドであり、前記ポリペプチドは動物中で抗体応答を誘発し、前記ポリペプチドは、前記抗体と免疫特異的に結合する。抗体の生成方法は、当業者に周知である(ハーロー(Harlow)ら、アンチボディズ(Antibodies)、ラボラトリー・マニュアル(A Laboratory Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨークを参照)。本発明において使用される“抗体”という語は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、組み換え型、抗イディオタイプの、ヒト化、または一本鎖抗体のような、当分野で知られているすべての種類の抗体、ならびに、それらのフラグメントを含む。本発明の抗体は、例えば、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物の検出を含む様々な診断法および治療法において有用である。
【0050】
本発明の好ましい態様において、前記抗体は、前記抗体による前記細胞の免疫細胞化学的染色を含む、被験者からの試料中の細胞の病理的状態の検出のために使用され得る。ここで、既知の健康な状態を示す細胞と比較した、前記細胞における染色度の変化または染色パターンの変化は、前記細胞の病理的状態を示す。好ましくは、病理的状態は、神経変性病、特にADに関する。細胞の免疫細胞化学的染色は、当分野で周知の多くの異なる実験法によって行われ得る。しかし、抗体結合の検出のために、自動化された方法(細胞の染色度の決定、または、細胞の細胞もしくは細胞以下の染色パターン、もしくは、細胞表面上もしくは細胞内の細胞小器官(organelles)および他の細胞以下の構造間のトポロジー分布(topological distribution)の決定が、米国特許6150173号に記載の方法によって行われる)を適用することが好ましいこともある。
【0051】
本発明の他の特徴および利点は、以下の図面の説明および実施例から明らかであるが、それらは説明のためだけのものであって、開示の残りを多少なりとも限定するものではない。
【0052】
図1は、ADにおけるニューロンの欠損および変性の影響を選択的に受けやすい脳領域を示す。第一に、下位の(inferior)側頭葉、嗅内皮質、海馬、および扁桃体が、ADにおいて神経変性プロセスに付される(テリー(Terry)ら、Annals of Neurology 1981、10:184-192)。これらの脳領域は、主に、学習機能および記憶機能の処理に関連する。それに対して、前頭皮質、後頭皮質、および小脳内のニューロンは、大部分が無傷であり、ADにおける神経変性プロセスから守られたままである。AD患者および健康な同等の年齢の(age-matched)対照の人々の前頭皮質(F)および側頭皮質(T)からの脳組織を、本明細書で開示した実施例のために使用した。説明目的のために、正常な健康な脳の像をストレインジ(Strange)による刊行物から得た(ブレインバイオケミストリー・アンド・ブレインディスオーダー(Brain Biochemistry and Brain Disorders)、オクスフォード・ユニバーシティ・プレス(Oxford University Press)、オクスフォード(Oxford)、1992、p.4)。
【0053】
図2は、定量的RT−PCR分析によるFBL2遺伝子の差次的発現の確認を示す。ライトサイクラー(LightCycler)急速加熱サイクリング技術によって、健康な同等の年齢の対照の人々(図2a)およびAD患者(図2b)の前頭皮質(F)および側頭皮質(T)から回収されたRNA試料からのRT−PCR産物の定量を行った。一組の標準的な遺伝子(それらは遺伝子発現レベルの顕著な違いを示さなかった)の組み合わせた平均値に対してデータを標準化した。前記一組の標準的な遺伝子は、リボソーム蛋白質S9、トランスフェリンレセプター、GAPDH、およびベータアクチンに対する遺伝子からなるものであった。図は、その蛍光によって測定された増幅された材料の量に対してサイクル数をプロットすることによる増幅の速度論(kinetics)を示す。反応の対数期の間の正常な対照の人々の前頭皮質および側頭皮質の両方からのFBL2 cDNAの増幅速度論は重複するのに対し、アルツハイマー病では、前頭皮質および側頭皮質から得られた試料に関する曲線は顕著に分離する。このことは、側頭皮質に対して前頭皮質においてFBL2遺伝子発現がアップレギュレート(up-regulation)されることを示す。
【0054】
表1には、4人のAD患者(1.84〜5.44倍)および4人の健康な同等の年齢の対照の人々(0.67〜1.45倍)におけるFBL2遺伝子に関する、側頭皮質に対する前頭皮質における遺伝子発現レベルが記載されている。示した値は、本発明に記載の式による逆数値(reciprocal values)である。
【0055】
実施例I:
アルツハイマー病の患者からの脳組織切開:
AD患者および同等の年齢の対照被験者からの脳組織を、平均して死後5時間以内に回収し、ドライアイス上で直ちに凍結した。その後の診断の病理組織学的確認のために、各組織からの試料片をパラホルムアルデヒド中に固定した。差次的発現分析のための脳領域を同定し(図1参照)、RNA抽出が行われるまで、マイナス80℃で保存した。
【0056】
(i)全mRNAの単離:
製造者のプロトコルに従ってRNeasyキット(キアゲン(Qiagen))を使用することにより、死後の脳組織から全RNAを抽出した。調製したRNAの品質を、標準的な工程従って(サンブロック(Sambrook)およびラッセル(Russell)、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning):ラボラトリー・マニュアル(A Laboratory Manual)、 コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク、2000)、ホルムアルデヒドアガロースゲル電気泳動およびノーザンブロッティングによって決定した。正確なRNA濃度およびRNAの品質も、アジレント(Agilent) 2100 バイオアナライザー(Bioanalyzer)(アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies))を用いて、DNA ラボチップ(LabChip)システムによって決定した。調製したRNAの更なる品質試験、即ち、部分分解およびゲノムDNA汚染の試験のために、特別にデザインされたイントロンGAPDHオリゴヌクレオチド、および参照対照としてゲノムDNAを使用し、製造者(ロシュ(Roche))によって供給されたプロトコルに記載のライトサイクラー(LightCycler)技術によって融解曲線を得た。
【0057】
(iii)サブレッシブサブトラクティブハイブリダイゼーション(suppressive subtractive hybridization)によるcDNA合成および差次的発現遺伝子の同定:この技術は、mRNAの2つの群を比較し、一方の群では発現されるが他方の群では発現されない遺伝子のクローンを提供する。適用した技術は、ディアチェンコ(Diatchenko)らによって詳細に記載された(Proc Natl Acad Sci USA 1996、93:6025-30)。本発明では、AD患者の異なる脳領域から得たmRNA群を比較した。特に、前頭皮質のmRNAを、下位の側頭皮質のmRNAからサブトラクトした(subtracted)。必要な試薬をRNA−セレクトcDNAサブトラクションキット(PCR-Select cDNA subtraction kit)(クロンテック(Clontech))から得て、全段階を製造者のプロトコルに記載のように行った。特に、一本鎖および二本鎖cDNA合成のために、各2μgのmRNAを使用した。RsaI消化およびアダプターライゲーション後、テスターとドライバーとのハイブリダイゼーションを、68℃で8時間(第一ハイブリダイゼーション)および15時間(第二ハイブリダイゼーション)行った。2つのPCR段階を行い、アダプター特異的プライマー(サブトラクションキットに含まれる)および50xアドバンテージポリメラーゼミックス(Advantage Polymerase Mix)(クロンテック(Clontech))を用いて、差次的発現遺伝子を増幅した(第一PCR:94℃および30秒、66℃および30秒、ならびに72℃および1.5分の27サイクル;ネステッド(nested)PCR:94℃および30秒、66℃および30秒、ならびに72℃および1.5分の12サイクル)。RsaI消化、アダプターライゲーション、およびサブトラクティブハイブリダイゼーションの効率を、キットで推奨されているように確認した。サブトラクト(Subtracted)cDNAをpCR−ベクター内に挿入し、E.coli INVaF’細胞(インビトロゲン(Invitrogen))に形質転換した。サブトラクトライブラリーの各cDNAを単離するために、単一のバクテリア形質転換体を、100μlのLB(50μg/mlのアンピシリンを含む)中で、37℃で少なくとも4時間、インキュベートした。10 mM Tris-HCl pH 9.0、1.5 mM MgCl2、50 mM KCl、200μM dNTP、0.5μM アダプター特異的プライマー(サブトラクションキットに含まれる)、1.5単位のTaqポリメラーゼ(ファルマシア・バイオテク(Pharmacia Biotech))、および1μlのバクテリア培養液を含む20μl容量中で、挿入断片をPCR増幅した(95℃および30秒、68℃および3分を30サイクル)。3μlのPCR増幅挿入断片および2μlの0.3N NaOH/15%フィコール(Ficoll)を含む混合物のアリコート(1.5μl)をプラスに帯電したナイロン膜(ロシュ(Roche))上にスポットした。この方法で、その後のハイブリダイゼーションのために、同じ(duplicate)フィルター上に数百のスポットを並べた。ディファレンシャル(differential)スクリーニング段階は、バックグラウンドを最小化するためのサブトラクトライブラリーとそれ自体とのハイブリダイゼーションからなるものであった(ワン(Wang)およびブラウン(Brown)、Proc Natl Acad Sci USA 1991、88:11505-9)。クロンテック(Clontech)サブトラクションキットの説明に従い、プローブは、サブトラクションのネステッドPCR産物からなるものであった。DIG DNA ラベリングキット(Labeling Kit)(ロシュ(Roche))によって、ジゴキシゲニンによるラベリングを行った。DIG イージー(Easy) HYB (ロシュ(Roche))において43℃で一晩、ハイブリダイゼーションを行った。フィルターを、68℃で15分間、2 x SSC / 0.5 % SDS中で2回、 そして、68℃で15分間、0.1 x SSC / 0.5 % SDS中で2回洗浄し、DIG DNA デテクション・キット(Detection Kit)(ロシュ(Roche))の説明に従って、化学発光基質として抗-DIG-AP 接合体(conjugates)およびCDP-Starを使用する検出に付した。ブロットを、室温で数分間、コダック・バイオマックス(Kodak Biomax) MR ケミルミネセント・フィルム(chemiluminescent film)に曝した。当業者に周知の方法を使用して、目的のクローンのヌクレオチド配列を得た。ヌクレオチド配列分析のために、公に入手可能なヌクレオチドおよび蛋白質配列情報(NCBI ジェンバンクおよびEMBL データベース)とともに、ユニバーシティ・オブ・ウィスコンシン・ジェネティクス・コンピューター・グループ(the University of Wisconsin Genetics Computer Group)(GCG)のアライメント、およびホモロジーサーチ、コンピューターアルゴリズムを使用した。
【0058】
(ii)定量的RT−PCRによる差次的発現の確認:
ライトサイクラー(LightCycler)技術(ロシュ(Roche))を使用して、FBL遺伝子の差次的発現のプラスの実証(Positive corroboration)を行った。この技術は、ポリメラーゼチェーン反応のための急速加熱サイクリングならびに増幅中の蛍光シグナルのリアルタイム測定を特徴とし、それにより、エンドポイントアプローチよりむしろ速度論を使用することによって、RT−PCR産物の非常に正確な定量が可能になる。側頭皮質に対する前頭皮質からのFBL2cDNAの割合が決定された(相対的な定量)。第一に、FBL2に特異的なプライマーによるPCRの効率を決定するために検量線を作成した(5’-TACTGGGTGGAGCAGGGTCTT-3’および5’-GGTCCCTGGAGGTGTATATGACA-3’)。ライトサイクラー(Lightcycler)-DNA-マスター(Master)-SYBR-グリーンミックス(Green mix)(Taq DNAポリメラーゼ、反応バッファー、dTTP の代わりにdUTP を含むdNTPミックス(mix)、SYBRグリーン(Green) I 色素、および1 mM MgCl2、ロシュ(Roche)を含む)を含み、 3 mM MgCl2、0.5μM プライマー、0.16μl TaqStart 抗体(クロンテック(Clontech))、および1μlのcDNA希釈物シリーズ(40、20、10、5、および1 ng ヒト全脳cDNA、クロンテック(Clontech))を更に含む20μlの容量中で、PCR増幅(95℃で1秒、56℃で5秒、および72℃で5秒)を行った。融解曲線は、約83℃で、目に見えるプライマー二量体なしに、単一ピークを示した。アガロースゲル電気泳動およびDNAラボチップ(LabChip)分析(アジレント(Agilent) 2100 バイオアナライザー(Bioanalyzer)、アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies))によって、PCR産物の品質およびサイズを決定した。予想サイズ66bpの単一バンドが観察された。
【0059】
同様の方法で、上記のPCRプロトコルを適用し(示した例外とともに)、定量のための対照標準として選択された、一組の対照遺伝子のPCR効率を決定した。本発明では、5つのそのような対照遺伝子の平均値を決定した:(1)サイクロフィリンB、特異的プライマー、5’-ACTGAAGCACTACGGGCCTG-3’および5’-AGCCGTTGGTGTCTTTGCC-3’、を使用(例外:3mMの代わりに、更に1mMのMgCl2を添加した)。融解曲線分析は、約87℃で、目に見えるプライマー二量体なしに、単一ピークを示した。PCR産物のアガロースゲル分析は、予想サイズ(62bp)の1つの単一バンドを示した。(2)リボソーム蛋白質S9(RPS9)、特異的プライマー、5’-GGTCAAATTTACCCTGGCCA-3’および5’- TCTCATCAAGCGTCAGCAGTTC-3’、を使用(例外:3mMの代わりに、更に1mMのMgCl2を添加した)。融解曲線分析は、約85℃で、目に見えるプライマー二量体なしに、単一ピークを示した。PCR産物のアガロースゲル分析は、予想サイズ(62bp)の1つの単一バンドを示した。(3)ベータアクチン、特異的プライマー、5’-TGGAACGGTGAAGGTGACA-3’および5’-GGCAAGGGACTTCCTGTAA-3’、を使用。融解曲線分析は、約87℃で、目に見えるプライマー二量体なしに、単一ピークを示した。PCR産物のアガロースゲル分析は、予想サイズ(142bp)の1つの単一バンドを示した。(4)GAPDH、特異的プライマー、5’-CGTCATGGGTGTGAACCATG-3’および5’-GCTAAGCAGTTGGTGGTGCAG-3’、を使用。融解曲線分析は、約83℃で、目に見えるプライマー二量体なしに、単一ピークを示した。PCR産物のアガロースゲル分析は、予想サイズ(81bp)の1つの単一バンドを示した。(5)トランスフェリンレセプターTRR、特異的プライマー、5’-GTCGCTGGTCAGTTCGTGATT-3’および5’-AGCAGTTGGCTGTTGTACCTCTC-3’、を使用。融解曲線分析は、約83℃で、目に見えるプライマー二量体なしに、単一ピークを示した。PCR産物のアガロースゲル分析は、予想サイズ(80bp)の1つの単一バンドを示した。
【0060】
値の算出のために、最初に、FBL2および5つの対照標準遺伝子について、cDNA濃度の対数を、閾値サイクル数Ctに対してプロットした。すべての遺伝子について、検量線(即ち、直線回帰)の傾きおよび切片を算出した。第二段階において、側頭皮質および前頭皮質からのcDNAを並行に分析し、サイクロフィリンBに対して標準化した。Ct値を測定し、対応する検量線を使用して、全脳cDNAのngに換算した:
【式1】
【0061】
【0062】
側頭および前頭皮質FBL2 cDNAの値を、サイクロフィリンBに対して標準化し、以下の式を使用して割合を算出した:
【式2】
【0063】
【0064】
第三段階において、一組の対照標準遺伝子を並行に分析し、各個人の脳試料について、対照標準遺伝子の発現レベルの側頭と前頭の割合の平均値を決定した。段階2および段階3においてサイクロフィリンBを分析し、そして異なる操作における1つの遺伝子から別の遺伝子への割合を一定に保ったので、1つの単一遺伝子のみに対して標準化する代わりに、一組の対照標準遺伝子の平均値に対して、FBL2を標準化することができた。全ハウスキーピング遺伝子の平均値からのサイクロフィリンBの偏差で上記に示した割合を割ることによって計算を行った。FBL2遺伝子に関する1つのそのような定量的RT−PCR分析の結果を、図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、ADにおけるニューロンの欠損および変性の影響を選択的に受けやすい脳領域を示す。
【図2】図2は、定量的RT−PCR分析によるFBL2遺伝子の差次的発現の確認を示す。
【図3】表1には、4人のAD患者(1.84〜5.44倍)および4人の健康な同等の年齢の対照の人々(0.67〜1.45倍)におけるFBL2遺伝子に関する、側頭皮質に対する前頭皮質における遺伝子発現レベルが記載されている。
Claims (35)
- 被験者における神経変性病の診断もしくは予見方法、または、被験者が前記病気の発症の高い危険にさらされているかを決定する方法であって、前記被験者からの試料中の
(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
のレベルおよび/または活性を決定し、既知の病気または健康な状態を表す対照値と前記レベルおよび/または前記活性を比較し、それにより、前記被験者における前記神経変性病を診断もしくは予見するか、または、前記被験者が、前記神経変性病の発症の高い危険にさらされているかを決定することを含む、前記方法。 - 被験者における神経変性病の進行のモニター方法であって、前記被験者からの試料中の
(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
のレベルおよび/または活性を決定し、既知の病気または健康な状態を表す対照値と前記レベルおよび/または前記活性を比較し、それにより、前記被験者における前記神経変性病の進行をモニターすることを含む、前記方法。 - 神経変性病の治療の評価方法であって、前記病気を治療される被験者からの試料中の
(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
のレベルおよび/または活性を決定し、既知の病気または健康な状態を表す対照値と前記レベルおよび/または前記活性を比較し、それにより、前記神経変性病のための前記治療を評価することを含む、前記方法。 - 前記神経変性病がアルツハイマー病である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子が、FBL2をコードする遺伝子であり、前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物が、FBL2蛋白質である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記試料は、細胞、または組織、または体液、特に脳脊髄液を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記対照値は、前記神経変性病を患っていない被験者からの試料中の
(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
のレベルおよび/または活性のものである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 - 前記被験者からの試料細胞、または組織、または体液、特に脳脊髄液中のF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、それらのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の、既知の健康な状態を表す対照値に対するレベルおよび/または活性の変化が、前記被験者における診断、または予後、またはアルツハイマー病の高い危険性を示す、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 所定期間、前記被験者から採取した一連の試料中の
(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(iii)前記転写もしくは翻訳産物のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
のレベルおよび/または活性を比較することを更に含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。 - 前記被験者が、1つ以上の前記試料採取前に治療を受ける、請求項9に記載の方法。
- 前記レベルおよび/または活性が、前記被験者の前記治療前後に決定される、請求項10に記載の方法。
- 被験者における神経変性病、特にアルツハイマー病を診断もしくは予見するための、または、被験者がそのような病気を発症する傾向もしくは素因を決定するためのキットであって、前記キットは、
(a)(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物を選択的に検出する試薬、および、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物を選択的に検出する試薬、からなる群から選ばれる少なくとも1つの試薬;ならびに
(b)(i)前記被験者からの試料中のF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の前記転写産物および/または前記翻訳産物のレベル、または活性、または前記レベルと前記活性の両方を検出すること;および、(ii)神経変性病、特にアルツハイマー病を診断もしくは予見すること、または、前記被験者がそのような病気を発症する傾向もしくは素因を決定すること、により、神経変性病、特にアルツハイマー病を、診断もしくは予見するための、または、被験者がそのような病気を発症する傾向もしくは素因を決定するための説明書、
を含み、
既知の健康な状態を表す対照値と比べて、前記転写産物および/もしくは前記翻訳産物のレベル、もしくは活性、もしくは前記レベルと前記活性の両方が変化すること;または、前記転写産物および/もしくは前記翻訳産物のレベル、もしくは活性、もしくは前記レベルと前記活性の両方が、既知の病気の状態を表す対照値と類似もしくは同一であることが、神経変性病、特にアルツハイマー病の診断もしくは予後、または、そのような病気の発症の傾向もしくは素因の増加を示す、前記キット。 - 被験者における神経変性病、特にアルツハイマー病の治療または予防方法であって、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の活性および/またはレベルに、直接的または間接的に影響を及ぼす薬剤(類)を、治療または予防に効果的な量で、前記被験者へ投与することを含む、前記方法。
- (i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の活性および/またはレベルのモジュレーター。
- 請求項14に記載のモジュレーターを含む薬学的組成物。
- 薬学的組成物における使用のための、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii) F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の活性および/またはレベルのモジュレーター。
- 神経変性病、特にアルツハイマー病の治療または予防のための薬剤の調製のための、(i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、(iii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体からなる群から選ばれる少なくとも1つの物質の活性および/またはレベルのモジュレーターの使用。
- 1つ以上の容器中に、治療または予防に効果的な量の請求項15に記載の薬学的組成物を含むキット。
- F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする外来遺伝子配列、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体を含む組み換え型非ヒト動物であって、
(i)前記遺伝子配列および選択可能なマーカー配列を含む遺伝子標的構成体の提供、ならびに、
(ii)前記標的構成体の非ヒト動物の幹細胞への導入、ならびに、
(iii)前記非ヒト動物幹細胞の非ヒト胚への導入、ならびに、
(iv)前記胚の偽妊娠非ヒト動物への移植、ならびに、
(v)前記胚を所定期間成長させること、ならびに、
(vi)そのゲノムが両対立遺伝子中に前記遺伝子配列の一次変異を含む非ヒト遺伝子組み換え動物の同定、ならびに、
(vii)段階(vi)の非ヒト遺伝子組み換え動物を飼育し、そのゲノムが前記内因性遺伝子の一次変異を含む非ヒト遺伝子組み換え動物を得ること(但し、前記分裂により、神経変性病または関連する病気もしくは機能障害の症状の発症の素因を示す前記非ヒト動物が得られる)、
によって得ることができる、前記動物。 - 前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子が、FBL2をコードする遺伝子である、請求項19に記載の動物。
- 神経変性病、特にアルツハイマー病を調査するための動物モデルとしての請求項19または20に記載の組み換え型非ヒト動物の使用。
- (i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(iii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(iv)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
からなる群から選ばれる1つ以上の物質の、神経変性病、特にアルツハイマー病、または関連する病気もしくは機能障害のモジュレーターをスクリーニングするためのアッセイであって、前記方法は、
(a)細胞を試験化合物と接触させること;
(b)(i)〜(iv)に列挙した1つ以上の物質の活性および/またはレベルを測定すること;
(c)前記試験化合物と接触させない対照細胞中の(i)〜(iv)に列挙した1つ以上の物質の活性および/またはレベルを測定すること;ならびに、
(d)段階(b)および(c)の細胞中の物質のレベルおよび/または活性を比較すること、
を含み、接触させた細胞中の物質の活性および/またはレベルの変化が、試験化合物が、前記病気または機能障害のモジュレーターであることを示す、前記アッセイ。 - (i)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子、および/または、
(ii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の転写産物、および/または、
(iii)F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、および/または、
(v)(i)〜(iii)のフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体
からなる群から選ばれる1つ以上の物質の、神経変性病、特にアルツハイマー病、または関連する病気もしくは機能障害のモジュレーターのためのスクリーニング方法であって、前記方法は、
(a)(i)〜(iv)に列挙した物質に関して、神経変性病または関連する病気もしくは機能障害の症状の発症の素因をあらかじめ与えられるか、または既にそれら症状が発症した試験動物に試験化合物を投与すること;
(b)(i)〜(iv)に列挙した1つ以上の物質の活性および/またはレベルを測定すること;
(c)(i)〜(iv)に列挙した物質に関して、神経変性病または関連する病気もしくは機能障害の症状の発症の素因をあらかじめ与えられるか、または既にそれら症状を発症し、かつ、そのような試験化合物が投与されなかった、対応する対照動物における、(i)〜(iv)に列挙した1つ以上の物質の活性および/またはレベルを測定すること;
(d)段階(b)および(c)の動物中の物質の活性および/またはレベルを比較すること、を含み、試験動物中の物質の活性および/またはレベルの変化が、試験化合物が前記病気または機能障害のモジュレーターであることを示す、前記方法。 - 前記試験動物および/または前記対照動物は、未変性遺伝子転写制御要素ではない転写制御要素の制御下で、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、特にFBL2、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体を発現する組み換え型動物である、請求項23に記載の方法。
- F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体とリガンドとの間の結合を阻害するための化合物を試験する、好ましくは複数の化合物をスクリーニングする方法であって、
(i)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物を、複数の容器に添加する段階;
(ii)前記結合の阻害をスクリーニングされるべき化合物、好ましくは複数の化合物を、前記複数の容器に添加する段階;
(iii)検出可能なリガンド、特に蛍光によって検出可能なリガンドを、前記容器に添加する段階;
(iv)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物、および前記化合物、好ましくは前記複数の化合物、および前記リガンドをインキュベートする段階;
(v)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体に関連する検出可能なリガンドまたは蛍光の量を測定する段階;ならびに、
(vi)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体への前記リガンドの結合の、1つ以上の前記化合物による阻害の程度を決定する段階
を含む、前記方法。 - 化合物を試験して、好ましくは複数の化合物をスクリーニングして、前記化合物(類)とF−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体との結合の程度を決定する方法であって、
(i)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物を、複数の容器に添加する段階;
(ii)前記結合をスクリーニングされるべき、検出可能な化合物、好ましくは複数の検出可能な化合物、特に蛍光によって検出可能な化合物を、前記複数の容器に添加する段階;
(iii)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体の液体懸濁物、および前記化合物、好ましくは前記複数の化合物をインキュベートする段階;
(iv)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体に関連する検出可能な化合物または蛍光の量を測定する段階;ならびに、
(v)前記F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質、またはその前記フラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体との、1つ以上の前記化合物による結合の程度を決定する段階
を含む、前記方法。 - (i)請求項22〜24のいずれかに記載の方法によって、神経変性病、特にアルツハイマー病のモジュレーターを同定する段階、および、(ii)そのモジュレーターを薬学的担体と混合する段階、を含む薬剤の製造方法。
- 請求項25に記載の方法によって、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質とリガンドとの間の結合の阻害剤として化合物を同定する段階、および、(ii)その化合物を薬学的担体と混合する段階、を含む薬剤の製造方法。
- (i)請求項26に記載の方法によって、F−ボックス蛋白質への結合剤として化合物を同定する段階、および、(ii)その化合物を薬学的担体と混合する段階、を含む薬剤の製造方法。
- 請求項27〜29に記載の方法のいずれかによって得られ得る薬剤。
- 請求項27〜29に記載の方法のいずれかによって得られる薬剤。
- 神経変性病、好ましくはアルツハイマー病を検出するための診断用ターゲットとしての使用のための、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体である蛋白質分子。
- 神経変性病、好ましくはアルツハイマー病を予防、または治療、または改善する試薬または化合物のためのスクリーニングターゲットとしての使用のための、F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体である蛋白質分子。
- F−ボックスロイシンリッチリピート蛋白質をコードする遺伝子の翻訳産物、またはそのフラグメント、もしくは誘導体、もしくは変異体である免疫原に対し特異的に免疫反応性である抗体。
- 被験者からの試料中の細胞の病理的状態の検出のための請求項34に記載の抗体の使用であって、前記抗体による前記細胞の免疫細胞化学的染色を含み、既知の健康な状態を表す細胞と比較した、前記細胞における染色度の変化または染色パターンの変化が、前記細胞の病理的状態を示す、前記使用。
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