JP2003510024A - プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビター - Google Patents

プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビター

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビター(PPIM)と、PPIMを同定しコードするポリヌクレオチドとを提供する。本発明はまた、発現ベクター、宿主細胞、抗体、アゴニスト及びアンタゴニストを提供する。更に、本発明は、PPIMの発現に関連する疾患を診断、治療または予防する方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、プロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビターの核酸配列及びアミノ
酸配列に関し、細胞増殖異常及び自己免疫/炎症性疾患の診断、治療並びに予防
におけるこれらの配列の利用に関する。
【0002】 (発明の背景) タンパク質分解プロセシングは、正常な細胞成長、分化、リモデリング及びホ
メオスタシスの必須構成要素である。細胞内でのペプチド結合の切断は、前駆タ
ンパク質の活性形態への成熟、標的タンパク質からのシグナル配列の除去、正し
く折り畳まれなかったタンパク質の分解及び細胞内でのペプチドの制御された代
謝回転に必要である。プロテアーゼは、アポトーシス、炎症及び胚発生中の組織
リモデリング、傷の治癒及び正常な成長に関与する。プロテアーゼは、宿主内で
の細菌、寄生虫及びウイルスの侵入及び複製の必要成分である。哺乳動物プロテ
アーゼの4つの主要カテゴリーは、活性部位構造、作用のメカニズム及び全体の
3次元構造に基づき同定されてきた(Beynon, R. J. and J. S. Bond (1994) Pr oteolytic Enzymes: A Practical Approach , Oxford University Press, New Yo
rk NY, pp. 1-5を参照)。
【0003】 セリンプロテアーゼ(SP)は、消化酵素、トリプシン及びキモトリプシンと、
補体カスケード及び血液凝固カスケードの成分と、細胞外マトリックスの高分子
の分解及び代謝回転を制御する酵素とを含むタンパク質分解酵素の大ファミリー
である。SPは、タンパク質の切断のために活性触媒部位に見られるセリン残基の
存在により、そのように名付けられた。全てのSPの活性部位は、前述のセリン、
アスパラギン酸及びヒスチジン残基を含む3連構造の残基から構成される。SPは
、広範囲の基質特異性を有しており、基質特異性に基づきSPをサブファミリーに
細分することが可能である。主要なサブファミリーには、アルギニンまたはリジ
ンを切断するトリパーゼ(trypase)、アスパラギン酸を切断するアスパーゼ(a
spase)、フェニルアラニンまたはロイシンを切断するキマーゼ、メチオニンを
切断するメターゼ(metase)及びセリンを切断するセラーゼ(serase)がある。
Clpプロテアーゼは、ATPを結合して加水分解する調節サブユニットによってその
活性が調節されるので、セリンプロテアーゼファミリーのメンバーである。Clp
プロテアーゼは、初めは植物の葉緑体において見つけられたが、原核細胞にも真
核細胞にも広く行きわたっていると信じられている(Maurizi, M. R. ら (1990)
J. Biol. Chem. 2665: 12546-12552)。細菌性Clp調節サブユニットの哺乳動物
の相同体であるSKD3は、最近マウスにおいて同定された(Perier, F. ら (1995)
Gene 152: 157-163)。
【0004】 システインプロテアーゼは、多様な前駆タンパク質のプロセシングから細胞内
分解までの範囲に及ぶ細胞プロセスに関与している。哺乳動物のシステインプロ
テアーゼには、リソソームのカテプシンと、サイトゾルのカルシウムにより活性
化されるプロテアーゼであるカルパインとがある。特に注目すべきは、炎症の部
位に移動する単核細胞、マクロファージ及び免疫系のその他の細胞によりシステ
インプロテアーゼが産出され、その保護的役割において種々の分子を分泌して損
傷した組織を修復することである。これらの細胞は、同一分子を過剰産生し、或
る種の疾患において組織の破壊を引き起こし得る。リウマチ様関節炎等の自己免
疫疾患において、システインプロテアーゼであるカテプシンCの分泌は、コラー
ゲン、ラミニン、エラスチン及び骨の細胞外マトリックスに見られるその他の構
造タンパク質を分解する。リソソームのプロテアーゼのカテプシンファミリーに
は、システインプロテアーゼ、カテプシンB、H、K、L、O2、S、アスパルチルプ
ロテアーゼ、カテプシンD及びGがある。エンドソームのプロテアーゼファミリー
の様々なメンバーは、異なって発現される。カテプシンDなどのように広範な組
織に分布するものもあるが、カテプシンLなどのように単核細胞、マクロファー
ジ及び免疫系のその他の細胞にしか見られないものもある。
【0005】 アスパラギン酸プロテアーゼには、細菌のペニシロペプシン、哺乳動物のペプ
シン、レニン、キモシン及び或る種の真菌プロテアーゼがある。アスパラギン酸
プロテアーゼの特徴的な活性部位残基は、1対のアスパラギン酸残基であり、例
えばペニシロペプシンのAsp33及びAsp213である。アスパラギン酸プロテアーゼ
は、活性に対する至適pHが2〜3であるため、酸プロテアーゼとも呼ばれる。こ
のpH範囲では、1つのアスパラギン酸残基がイオン化され、その他は中性である
。アスパラギン酸プロテアーゼの強力なインヒビターはヘキサペプチドペプスタ
チンであり、これは遷移状態では正常な基質に似ている。
【0006】 カルボキシペプチダーゼA及びBは、メタロプロテアーゼファミリーの主要哺乳
動物の代表的なものである。カルボキシペプチダーゼA及びBは共に、同様な構造
及び活性部位構造のエキソペプチダーゼである。キモトリプシンのようなカルボ
キシペプチダーゼAは、疎水性のC末端芳香族及び脂肪族の側鎖を好むが、カル
ボキシペプチダーゼBは塩基性のアルギニン及びリジン残基に向けられる。活性
部位成分には亜鉛が含まれ、これはタンパク質中で2つのグルタミン酸及び1つ
の前駆体残基を協調する。
【0007】 ユビキチンプロテアーゼは、真核細胞及び幾つかの細菌における細胞タンパク
質の分解のための主要経路であるユビキチン結合系(UCS)に関連している。UCS
は、異常タンパク質の排除を媒介し、遺伝子転写及び細胞周期進行などの細胞プ
ロセスを制御する重要な調節タンパク質の半減期を調整する。UCS経路では、分
解のためにターゲッティングされたタンパク質は、小熱安定タンパク質であるユ
ビキチンに結合される。広く存在する(ubiquinated)タンパク質は、大きな多
サブユニットタンパク分解酵素複合体であるプロテアソームにより認識及び分解
され、ユビキチンはユビキチンプロテアーゼにより再利用のために放出される。
UCSは、分裂周期キナーゼ、腫瘍性タンパク質、p53などの腫瘍抑制遺伝子、ウイ
ルスタンパク質、シグナル伝達に関連する細胞表面受容体、伝達制御因子及び突
然変異または損傷したタンパク質の分解に結びつけられる(Ciechanover, A. (1
994) Cell 79:13-21)。マウスの原型癌遺伝子Unpは、それが過剰発現するとNIH
3T3細胞の発癌性形質転換につながるような核ユビキチンプロテアーゼをコード
し、この遺伝子のヒト相同体は肺の小細胞腫瘍及び腺癌において一貫して増加す
る(Gray, D. A. (1995) Oncogene 10: 2179-2183)。
【0008】 プロテアーゼインヒビター及びプロテアーゼ活性のその他の制御因子は、プロ
テアーゼの活性及び効果を制御する。プロテアーゼインヒビターは、タンパク分
解疾患の動物モデルにおいて病原を制御することが示されてきた(Murphy, G. (
1991) Agents Actions Suppl. 35: 69-76)。システインプロテアーゼの低分子
量インヒビターである低レベルのシスタチンは、腫瘍の悪性進行と関連がある(
Calkins, C. ら (1995) Biol. Biochem. Hoppe Seyler 376: 71-80)。
【0009】 血漿インターαトリプシン(inter-αtrypsin)インヒビターファミリー分子
は、少なくとも5種類の異なる糖タンパク質の240 kDa血漿タンパク質複合体を
含むセリンプロテアーゼインヒビター(serpin)である。これらの糖タンパク質
には、H1、H2、H3、H4及びLと名付けられた4つの重(H)鎖及び1つの30 kDa軽
(L)鎖が含まれ、各々独立に合成されて前駆タンパク質からタンパク分解性に
処理される(Daveau, M. ら. (1998) Arch. Biochem. Biophys. 350: 315-323、
Salier, J. P. ら (1992) Mamm. Genome 2: 233-239)。血漿インターαトリプ
シンインヒビター軽鎖は、全ての脊椎動物に存在するように見えるKunitz型トリ
プシンインヒビターとの配列類似性を有する(Salier, J. P. (1990) TrendsBio
chem. Sci. 15: 435-439)。Kunitz型トリプシンインヒビターの例としては、組
織因子誘導凝固を制御する組織因子経路インヒビター、血清凝固XIa因子を制御
するプロテアーゼネキシン2などがある(Broze, G. J. (1995) Annu. Rev. Med.
46: 103-112、Wagner, S. L. ら. (1993) Brain Res. 626: 90-98)。長鎖前駆
体は、シグナルペプチド配列及び成熟鎖をコードする。その他の血漿インターα
トリプシンインヒビター重鎖については、ヒト及びげっ歯類において記述されて
きた(Bourguignon, J. ら. (1993) Eur. J. Biochem. 212: 771-776、Salier,
1992, 前出、Salier, J. P. (1996) Biochem. J. 315: 1-9)。ラット血漿イン
ターαトリプシンインヒビター遺伝子の発現は、in vivoの炎症により制御され
る。遺伝子はラットの肝臓で優性に発現されるが、H2及びH3 mRNAは、脳、腸及
び胃にも存在する(前出のDaveau)。
【0010】 カリスタチン(Kallistatin)は、セリンプロテアーゼインヒビターファミリ
ーのメンバーである。カリスタチンは、特異的且つ共有結合的に組織カリクレイ
ンに結合した複合体を形成する。これは、キニノーゲンを切断して血管作動性キ
ニンを放出することが可能なセリンプロテイナーゼである。組織カリクレイン−
キニン系の成分には、組織カリクレイン、カリスタチン、キニノーゲン、キニン
、ブラジキニンB1及びB2受容体、キニナーゼがある(Chao, J. and L. Chao (19
95) Biol. Chem. Hoppe Seyler 376: 705-713)。
【0011】 プロテアーゼ及びプロテアーゼ抑制分子は、フォンウィルブランド因子A3型(
vWFA3)モチーフの潜在的金属結合部位、グリシン−アミノ酸−セリン−アミノ
酸−セリンなどのタンパク質間相互作用を決定するアミノ酸配列モチーフを含み
得る。このモチーフは、インテグリンCR3及びLFA-1の相同的な1型ドメインにお
けるリガンド相互作用にも必要とされる(Huizinga, E. G. (1997) Structure 5
: 1147-1156)。
【0012】 プロテアーゼインヒビターは、プロテアーゼの活性及び効果の制御に主要な役
割を果たす。プロテアーゼインヒビターは、タンパク分解疾患の動物モデル及び
HIVの処理において病原を制御することが示されてきた(Murphy, G. (1991) Age
nts Actions Suppl. 35: 69-76、Pakyz, A. and D. Israel (1997) J. Am. Phar
m. Assoc. (Wash.) NS37: 543-551)。
【0013】 新たなプロテアーゼ及びプロテアーゼ インヒビター及びそれらをコードする
ポリヌクレオチドの発見は、細胞増殖異常及び自己免疫/炎症性疾患の診断、治
療並びに予防において有用である新たな組成を提供することにより、当分野にお
ける要求を満たす。
【0014】 (発明の概要) 本発明は、集合的には「PPIM」、個別には「PPIM-1」、「PPIM-2」、「PPIM-3」、「P
PIM-4」、「PPIM-5」、「PPIM-6」、「PPIM-7」、「PPIM-8」、「PPIM-9」、「PPIM-10」、「PP
IM-11」、「PPIM-12」、「PPIM-13」、「PPIM-14」、「PPIM-15」、「PPIM-16」、「PPIM-17」
、「PPIM-18」、「PPIM-19」、「PPIM-20」、「PPIM-21」、「PPIM-22」、「PPIM-23」、「PPI
M-24」、「PPIM-25」、「PPIM-26」及び「PPIM-27」と呼ばれるような実質上精製された
ポリペプチドであるプロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビターに特徴がある。
或る実施態様において本発明は、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択
したアミノ酸配列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸
配列と少なくとも90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号
1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(
d)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片
を含む、実質上単離されたポリペプチドを提供する。一実施態様では、配列番号
1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列を含む実質上単離されたポリペ
プチドを提供する。
【0015】 また、本発明は(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドをコードするような実質上単離されたポリヌクレオチドを提供する。一実施
態様では、ポリヌクレオチドは配列番号1乃至27を有する群から選択したポリ
ペプチドをコードする。別の実施態様では、ポリヌクレオチドは配列番号28乃
至54を有する群から選択される。
【0016】 本発明は更に、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドをコードするような実質上単離されたポリヌクレオチドと機能的に結合した
プロモーター配列を有する組換えポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では
、本発明は組換えポリヌクレオチドを用いて形質転換した細胞を提供する。別の
実施態様では、本発明は組換えポリヌクレオチドを含む遺伝形質転換体を提供す
る。
【0017】 また、本発明は(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含む実質上単
離されたポリペプチドを製造する方法を提供する。製造方法は、(a)組換えポ
リヌクレオチドを用いて形質転換した細胞をポリペプチドの発現に適した条件下
で培養する過程と、(b)そのように発現したポリペプチドを受容する過程とを
有し、組換えポリヌクレオチドはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに
機能的に結合したプロモーター配列を有する。
【0018】 本発明は更に、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドに特異結合するような実質上単離された抗体を提供する。
【0019】 本発明は更に、(a)配列番号28乃至54を有する群から選択したポリヌク
レオチド配列、(b)配列番号28乃至54を有する群から選択したポリヌクレ
オチド配列と少なくとも70%の相同性を有する天然のポリヌクレオチド配列、
(c)(a)に相補的なポリヌクレオチド配列、(d)(b)に相補的なポリヌ
クレオチド配列、または(e)(a)〜(d)のRNA等価物を含む実質上単離さ
れたポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では、ポリヌクレオチドは少なく
とも60の連続したヌクレオチドを有する。
【0020】 本発明は更に、サンプル中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法を提供する
。ここで、標的ポリヌクレオチドは(a)配列番号28乃至54を有する群から
選択したポリヌクレオチド配列、(b)配列番号28乃至54を有する群から選
択したポリヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を有する天然のポリヌ
クレオチド配列、(c)(a)に相補的なポリヌクレオチド配列、(d)(b)
に相補的なポリヌクレオチド配列、または(e)(a)〜(d)のRNA等価物を
含む実質上単離されたポリヌクレオチドを提供する。検出方法は、(a)サンプ
ル中の標的ポリヌクレオチドに相補的な配列からなる少なくとも20の連続した
ヌクレオチドを含むプローブを用いて該サンプルをハイブリダイズする過程と、
(b)ハイブリダイゼーション複合体の存在・不存在を検出し、複合体が存在す
る場合にはオプションでその量を検出する過程からなり、プローブと標的ポリヌ
クレオチドの間にハイブリダイゼーション複合体が形成されるような条件下で、
プローブは標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。一実施態様で
は、プローブは少なくとも60の連続したヌクレオチドを含む。
【0021】 本発明はまた、サンプル中の標的ポリヌクレオチドを検出する方法を提供する
。ここで、標的ポリヌクレオチドは(a)配列番号28乃至54を有する群から
選択したポリヌクレオチド配列、(b)配列番号28乃至54を有する群から選
択したポリヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を有する天然のポリヌ
クレオチド配列、(c)(a)に相補的なポリヌクレオチド配列、(d)(b)
に相補的なポリヌクレオチド配列、または(e)(a)〜(d)のRNA等価物を
含む実質上単離されたポリヌクレオチドを提供する。検出方法は、(a)ポリメ
ラーゼ連鎖反応増幅を用いて標的ポリヌクレオチドまたはその断片を増幅する過
程と、(b)標的ポリヌクレオチドまたはその断片の存在・不存在を検出し、該
標的ポリヌクレオチドまたはその断片が存在する場合にはオプションでその量を
検出する過程を含む。
【0022】 本発明は更に、有効量のポリペプチドと薬剤として許容できる賦形剤とを含む
成分を提供する。有効量のポリペプチドは、(a)配列番号1乃至27を有する
群から選択したアミノ酸配列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択し
たアミノ酸配列と少なくとも90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c
)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片
、または(d)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫
抗原性断片を含む。一実施態様では、成分は配列番号1乃至27を有する群から
選択したアミノ酸配列を含む。更に本発明は、機能性PPIMの発現低下に関連する
疾患又は病状を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に対し
て成分を投与する過程を有する方法を提供する。
【0023】 本発明はまた、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドのアゴニストとしての有効性を確認するために化合物をスクリーニングする
方法を提供する。スクリーニング方法は、(a)ポリペプチドを有するサンプル
を化合物に曝す過程と、(b)サンプル中のアゴニスト活性を検出する過程とを
含む。一実施態様では、本発明は機能性PPIMの発現低下に関連する疾患又は病状
を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して成分を投与
する過程を含む方法を提供する。
【0024】 本発明は更に、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドのアンタゴニストとしての有効性を確認するために化合物をスクリーニング
する方法を提供する。スクリーニング方法は、(a)ポリペプチドを含むサンプ
ルを化合物に曝す過程と、(b)サンプル中のアンタゴニスト活性を検出する過
程とを含む。一実施態様で本発明は、この方法によって同定したアンタゴニスト
化合物と薬剤として許容できる賦形剤とを含む成分を提供する。別の実施態様で
は、機能性PPIMの過剰発現に関連する疾患又は病状を治療する方法であって、そ
のような治療を必要とする患者に対して成分を投与する過程を含む方法を提供す
る。
【0025】 本発明は更に、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドに特異結合する化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニン
グ方法は、(a)ポリペプチドを適切な条件下で少なくとも1つの試験化合物に
結合させる過程と、(b)試験化合物とのポリペプチドの結合を検出し、それに
よってポリペプチドに特異結合する化合物を同定する過程とを含む。
【0026】 本発明は更に、(a)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配
列、(b)配列番号1乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列と少なくと
も90%の相同性を有する天然のアミノ酸配列、(c)配列番号1乃至27を有
する群から選択したアミノ酸配列の生物学的活性断片、または(d)配列番号1
乃至27を有する群から選択したアミノ酸配列の免疫抗原性断片を含むポリペプ
チドの活性を調節する化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニ
ング方法は、(a)ポリペプチドの活性が許容された条件下で、ポリペプチドを
少なくとも1つの試験化合物に結合させる過程と、(b)ポリペプチドの活性を
試験化合物の存在下で算定する過程と、(c)試験化合物の存在下でのポリペプ
チドの活性を試験化合物の不存在下でのポリペプチドの活性と比較する過程とを
含み、試験化合物の存在下でのポリペプチドの活性の変化は、ポリペプチドの活
性を調節する化合物を標示する。
【0027】 本発明は更に、標的ポリヌクレオチドの変異発現の有効性を確認するために化
合物をスクリーニングする方法を提供する。標的ポリヌクレオチドは、配列番号
28乃至54を有する群から選択した配列を含む。スクリーニング方法は、(a
)標的ポリヌクレオチドを含むサンプルを化合物に曝す過程と、(b)標的ポリ
ヌクレオチドの変異発現を検出する過程とを含む。
【0028】 本発明は更に、試験化合物の毒性を評価する方法を提供する。毒性評価方法は
、(a)核酸を含む生物学的サンプルを試験化合物で処理する過程と、(b)(
i)配列番号28乃至54を有する群から選択したポリヌクレオチド配列、(ii
)配列番号28乃至54を有する群から選択したポリヌクレオチド配列と少なく
とも70%の相同性を有する天然のポリヌクレオチド配列、(iii)(i)に相補
的なポリヌクレオチド配列、(iv)(ii)に相補的なポリヌクレオチド配列、ま
たは(v)(i)〜(iv)のRNA等価物を有する群から選択したポリヌクレオチド
配列を有するポリヌクレオチドの少なくとも20の連続したヌクレオチドを含む
プローブを用いて処理生物学的サンプルの核酸をハイブリダイズする過程とから
なる。ハイブリダイゼーションは、生物学的サンプルにおいて前記プローブと標
的ポリヌクレオチドの間に固有のハイブリダイゼーション複合体が形成されるよ
うな条件下で発生し、前記標的ポリヌクレオチドには、(i)配列番号28乃至
54を有する群から選択したポリヌクレオチド配列、(ii)配列番号28乃至5
4を有する群から選択したポリヌクレオチド配列と少なくとも70%の相同性を
有する天然のポリヌクレオチド配列、(iii)(i)に相補的なポリヌクレオチド
配列、(iv)(ii)に相補的なポリヌクレオチド配列、及び(v)(i)〜(iv)
のRNA等価物が含まれる。或いは、標的ポリヌクレオチドは、上記ポリヌクレオ
チド配列の断片と、(c)ハイブリダイゼーション複合体の量を定量する過程と
、(d)処理生物学的サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の量を非処理
生物学的サンプル中のハイブリダイゼーション複合体と比較する過程とを有し、
処理生物学的サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の量の差は試験化合物
の毒性を示す。
【0029】 (発明を実施するための形態) 本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列及び方法について説明するが、その前
に、説明した特定の装置、材料及び方法に本発明が限定されるものではなく、改
変し得ることを理解されたい。また、ここで使用する専門用語は特定の実施例を
説明する目的で用いたものに過ぎず、特許請求の範囲にのみ限定される本発明の
範囲を限定することを意図したものではないことも併せて理解されたい。
【0030】 請求の範囲及び明細書中で用いている単数形の「或る」及び「その(この)」
の表記は、文脈から明らかにそうでないとされる場合を除いて複数のものを指す
場合もあることに注意しなければならない。従って、例えば「或る宿主細胞」と
記されている場合にはそのような宿主細胞が複数あることもあり、「或る抗体」
と記されている場合には単数または複数の抗体、及び、当業者に公知の抗体の等
価物等についても言及しているのである。
【0031】 本明細書中で用いる全ての専門用語及び科学用語は、特に定義されている場合
を除き、当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書で説
明するものと類似あるいは同等の任意の装置、材料及び方法を用いて本発明の実
施または試験を行うことができるが、ここでは好適な装置、材料、方法について
説明する。本発明で言及する全ての刊行物は、刊行物中で報告されていて且つ本
発明に関係があるであろう細胞、プロトコル、試薬及びベクターについて説明及
び開示する目的で引用しているものである。本明細書のいかなる開示内容も、本
発明が先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられ
ていないことを認めるものではない。
【0032】 定義 「PPIM」は、実質上精製されたPPIMのアミノ酸配列であって、任意の種、特に
ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及びヒトを含む哺乳動物の種から得たもので
、任意の天然物、合成物、半合成物或いは組換え物を起源とするものを指す。
【0033】 「アゴニスト」の語は、PPIMの生物学的活性を強化または擬態する分子を指す
。アゴニストの例として、タンパク質、核酸、糖質、小分子その他の任意の化合
物や成分を挙げることができるが、これらはPPIMと直接相互作用することによっ
て、或いはPPIMが関与する生物学的経路の構成エレメントに作用することによっ
て、PPIMの活性を調節する。
【0034】 「対立遺伝子変異体」は、PPIMをコードする遺伝子の別の形態である。対立遺
伝子変異体は、核酸配列における少なくとも1の突然変異から作製し得る。また
、変異RNAまたはポリペプチドからも作製し得る。ポリペプチドの構造または機
能は、変異することもしないこともある。遺伝子は、天然の対立遺伝子変異体を
全く有しないか、1若しくは数個の天然の対立遺伝子変異体を有し得る。一般に
対立遺伝子変異体を生じさせる通常の突然変異性変化は、ヌクレオチドの自然欠
失、付加または置換に帰するものである。これら各変化は、単独或いは他の変化
と共に、所定の配列内で1若しくは数回生じ得る。
【0035】 PPIMをコードする「変異(altered)」核酸配列は、種々のヌクレオチドを欠失
、挿入または置換する核酸配列を有し、PPIMと同一またはPPIMの機能的特徴を少
なくとも1つ有するポリペプチドを産出する。この定義に含まれるのは、PPIMを
コードするポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易
に検出可能或いは検出困難な多型現象と、PPIMをコードするポリヌクレオチド配
列のための正常な染色体遺伝子座以外の遺伝子座に占めるような、対立遺伝子変
異体に対する不適切或いは不測のハイブリダイゼーションである。コードされた
タンパク質も「変異」し得るものであり、サイレント変化を生ぜしめて結果的に
機能的に等価なPPIMとなるようなアミノ酸残基の欠失、挿入または置換を含み得
る。計画的アミノ酸置換は、PPIMの生物学的または免疫学的活性が保持される限
りにおいて、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/または両親媒性
特性の類似性に基づき行い得る。例えば、負に帯電したアミノ酸にはアスパラギ
ン酸及びグルタミン酸があり、正に帯電したアミノ酸にはリジン及びアルギニン
がある。親水性値が近似している非荷電極性側鎖を有するアミノ酸には、アスパ
ラギンとグルタミン、セリンとスレオニンがある。親水性値が近似している非荷
電側鎖を有するアミノ酸には、ロイシンとイソロイシンとバリン、グリシンとア
ラニン、フェニルアラニンとチロシンがある。
【0036】 「アミノ酸」または「アミノ酸配列」の語は、オリゴペプチド、ペプチド、ポ
リペプチド若しくはタンパク質の配列またはその断片を指し、天然または合成分
子を指す。ここで、「アミノ酸配列」は天然のタンパク質分子のアミノ酸配列を
指すものであり、「アミノ酸配列」及び類似の語は、アミノ酸配列を、列挙した
タンパク質分子に会合する完全な本来のアミノ酸配列に限定しようとするもので
はない。
【0037】 「増幅」は、核酸配列の追加複製に関連する。増幅は通常、当業者によく知ら
れたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いて行う。
【0038】 「アンタゴニスト」の語は、PPIMの生物学的活性を阻害或いは弱める分子を指
す。アンタゴニストとしては、抗体などのタンパク質、核酸、糖質、小分子また
はその他の任意の化合物や成分を挙げることができるが、これらはPPIMと直接相
互作用することによって、或いはPPIMが関与する生物学的経路の構成エレメント
に作用することによって、PPIMの活性を調節する。
【0039】 「抗体」の語は、無損傷免疫グロブリンやその断片、例えばFa、F(ab')2 及びF
v断片を指すが、これらはエピトープの決定基と結合することができる。PPIMポ
リペプチドを結合する抗体は、無損傷ポリペプチドを用いるか或いは免疫抗原と
して感心のある小ペプチドを含む断片を用いるかして調製することができる。動
物(マウス、ラット、ウサギ等)を免疫化するために用いるポリペプチドまたは
オリゴペプチドは、翻訳または化学合成されたRNAに由来し得るもので、好みに
応じて担体タンパク質に接合することも可能である。通常用いられる担体であっ
てペプチドと化学結合するものは、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン及び
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等がある。結合ペプチドは、動物を
免疫化するために用いる。
【0040】 「抗原決定基」の語は、特定の抗体と接触している分子の領域(即ちエピトー
プ)を指す。タンパク質またはタンパク質断片を用いて宿主動物を免疫化する場
合、タンパク質の多数の領域が、抗原決定基(タンパク質の特定の領域または3
次元構造)に特異結合する抗体の産生を誘導し得る。抗原決定基は、抗体に結合
するための無損傷抗原(即ち免疫応答を誘導するために用いられる免疫原)と競
合し得る。
【0041】 「アンチセンス」の語は、特定の核酸配列の「センス」鎖(コーディング鎖)
と塩基対を形成することが可能な任意の成分を指す。アンチセンス成分には、DN
Aや、RNAや、ペプチド核酸(PNA)や、ホスホロチオ酸、メチルホスホン酸また
はベンジルホスホン酸等の修飾されたバックボーン連鎖を有するオリゴヌクレオ
チドや、2'-メトキシエチル糖または2'-メトキシエトキシ糖等の修飾された糖類
を有するオリゴヌクレオチドや、或いは5-メチルシトシン、2'-デオキシウラシ
ルまたは7-デアザ-2'-デオキシグアノシン等の修飾された塩基を有するオリゴヌ
クレオチドがある。アンチセンス分子は、化学合成または転写を含む任意の方法
で製造することができる。相補的アンチセンス分子は、ひとたび細胞に導入され
たら、細胞が形成した天然の核酸配列と塩基対を形成し、転写または翻訳を妨害
する二重鎖を形成する。「負」若しくは「マイナス(−)」の語がアンチセンス
鎖を、「正」若しくは「プラス(+)」がセンス鎖を指すことがある。
【0042】 「生物学的に活性」の語は、天然分子の構造的機能、調節機能または生化学的
機能を有するタンパク質を指す。同様に「免疫学的に活性」は、天然、組換えま
たは合成のPPIM、或いはその任意のオリゴペプチドの能力であって、適切な動物
または細胞において特定の免疫反応を誘導して特定の抗体と結合し得る能力を指
す。
【0043】 「相補(的)」または「相補性」の語は、塩基対形成によりアニールする2つの
一本鎖分子間の関係を説明する。例として、「5'A-G-T3'」とその相補配列「3'T
-C-A5'」がある。
【0044】 「所与のポリヌクレオチド配列からなる成分」及び「所与のアミノ酸配列から
なる成分」は、大まかに所与のポリヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を有す
る任意の成分を指す。この成分には、乾燥製剤または水溶液が含まれ得る。PPIM
またはPPIM断片をコードするポリヌクレオチドからなる成分は、ハイブリダイゼ
ーションプローブとして利用することができる。このプローブは凍結乾燥状態で
保存し得るものであり、糖質等の安定化剤と会合し得る。ハイブリダイゼーショ
ンにおいては、塩(例えばNaCl)、洗浄剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム;SD
S)及びその他の構成エレメント(例えばデンハート液、脱脂粉乳、サケの精子
のDNA等)を含む水溶液中にプローブを分散させることができる。
【0045】 「コンセンサス配列」は、不必要な塩基を分離するために再配列し、XL-PCRキ
ット(PE Biosystems, Foster City CA)を用いて5'方向及び/または3'方向
に伸長させ、更に再配列した核酸配列を指す。或いは、断片アセンブルのコンピ
ュータプログラムを用いて、1若しくは数個のIncyteクローンの、場合によって
は1若しくは数個のパブリックドメインESTの、オーバーラップした配列から組
み立てた核酸配列を指す。コンピュータプログラムの例としては、GELVIEW断片
アセンブルシステム(GCG, Madison WI)やPhrap(University of Washington,
Seattle WA)が挙げられる。伸長及びアセンブルを共に行ってコンセンサス配列
を決定する配列もある。
【0046】 「保存的アミノ酸置換」は、置換がなされた時に元のタンパク質の特性を殆ど
損なわないような置換、即ち、タンパク質の構造と特に機能が保存され、そのよ
うな置換による大きな変化がない置換を指す。下表は、タンパク質中で元のアミ
ノ酸と置換され得るアミノ酸と、保存的アミノ酸置換と認められるアミノ酸を示
している。 元の残基 保存的な置換 Ala Gly, Set Arg His, Lys Asn Asp, Gln, His Asp Asn, Glu Cys Ala, Ser Gln Asn, Glu, His Glu Asp, Gln, His Gly Ala His Asn, Arg, Gln, Glu Ile Leu, Val Leu Ile, Val Lys Arg, Gln, Glu Met Leu, Ile Phe His, Met, Leu, Trp, Tyr Ser Cys, Thr Thr Ser, Val Trp Phe, Tyr Tyr His, Phe, Trp Val Ile, Leu, Thr 保存的アミノ酸置換では通常、(a)置換領域におけるポリペプチドのバック
ボーン構造、例えばβシートやα螺旋構造、(b)置換部位における分子の電荷
または疎水性、及び/または(c)側鎖の大部分を保持する。
【0047】 「欠失」は、結果的に1若しくは数個のアミノ酸またはヌクレオチドが失われ
てなくなるようなアミノ酸またはヌクレオチド配列における変化を指す。
【0048】 「誘導体」の語は、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の化学修飾
を指す。例えば、アルキル基、アシル基、ヒドロキシル基またはアミノ基による
水素の置換は、ポリヌクレオチド配列の化学修飾に含まれ得る。ポリヌクレオチ
ド誘導体は、天然分子の生物学的または免疫学的機能を少なくとも1つは保持し
ているポリペプチドをコードする。ポリペプチド誘導体は、グリコシル化、ポリ
エチレングリコール化(pegylation)、或いは任意の同様なプロセスであって誘
導起源のポリペプチドから少なくとも1つの生物学的若しくは免疫学的機能を保
持しているプロセスによって、修飾されたポリペプチドである。
【0049】 「検出可能な標識」は、測定可能な信号を生成することができ、ポリヌクレオ
チドまたはポリペプチドに共有結合または非共有結合するようなレポーター分子
または酵素を指す。
【0050】 「断片」は、PPIMまたはPPIMをコードするポリヌクレオチドの固有部分であっ
て、親配列と同一配列であるが親配列よりも長さが短い配列を指す。断片は、画
定された配列の全長から1ヌクレオチド/アミノ酸残基を差し引いた長さよりも
短い長さを有し得る。例えば或る断片は、5〜1000の連続したヌクレオチド
またはアミノ酸残基を有し得る。プローブ、プライマー、抗原、治療用分子とし
て、或いはその他の目的のために用いられる断片は、少なくとも5、10、15
、16、20、25、30、40、50、60、75、100、150、250
若しくは少なくとも500の連続したヌクレオチド或いはアミノ酸残基長さとし
得る。断片は、分子の特定領域から優先的に選択し得る。例えば、ポリペプチド
断片は、所定の配列に示すような最初の250または500アミノ酸(またはポ
リペプチドの最初の25%または50%)から選択された或る長さの連続したア
ミノ酸を有し得る。これらの長さは明らかに例として挙げているものであり、本
発明の実施例では、配列表、表及び図面を含む明細書に裏付けされた任意の長さ
であってよい。
【0051】 配列番号28乃至54の断片には、固有のポリヌクレオチド配列領域が含まれ
る。この領域は、配列番号28乃至54を特異的に同定するものであり、例えば
同一ゲノム中の配列番号28乃至54以外の配列とは異なるものである。配列番
号28乃至54の断片は、例えば、ハイブリダイゼーション及び増幅技術におい
て、或いは関連するポリヌクレオチド配列から配列番号28乃至54を区別する
類似の方法において有用である。配列番号28乃至54の断片の正確な長さ及び
断片に対応する配列番号28乃至54の領域は、断片に対する意図した目的に基
づき当業者が慣例的に決定することが可能である。
【0052】 配列番号1乃至27の断片は、配列番号28乃至54の断片によってコードさ
れる。配列番号1乃至27の断片には、配列番号1乃至27を特異的に同定する
固有のアミノ酸配列領域が含まれている。例えば、配列番号1乃至27の断片は
、配列番号1乃至27を特異認識する抗体を産出するための免疫抗原性ペプチド
として有用である。配列番号1乃至27の断片及び断片に対応する配列番号1乃
至27の領域の正確な長さは、断片に対する意図した目的に基づき当業者が慣例
的に決定することが可能である。
【0053】 「完全長」ポリヌクレオチド配列とは、少なくとも1つの翻訳開始コドン(例
えばメチオニン)、オープンリーディングフレーム及び翻訳終止コドンを有する
配列である。「完全長」ポリヌクレオチド配列は、「完全長」ポリペプチド配列
をコードする。
【0054】 「相同性」の語は、配列類似性即ち2つ以上のポリヌクレオチド配列または2
つ以上のポリペプチド配列の配列間で互換可能な配列同一性である。
【0055】 ポリヌクレオチド配列に適用される「一致率」または「一致%」の語は、標準
化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされた少なくとも2つ以上のポリ
ヌクレオチド配列間で一致する残基の割合を意味する。このようなアルゴリズム
は、両配列間のアラインメントを最適化するために比較する配列において、標準
化された再現性のある方法でギャップを挿入するので、2つの配列をより有意に
比較できる。
【0056】 ポリヌクレオチド配列間の一致率は、MEGALIGN version 3.12e配列アラインメ
ントプログラムに組込まれているようなCLUSTAL Vアルゴリズムのデフォルトパ
ラメータを用いて決定できる。このプログラムはLASERGENEソフトウェアパッケ
ージの一部であり、一式の分子生物学分析プログラム(DNASTAR, Madison WI)
である。CLUSTAL Vについては、Higgins, D.G. and P.M. Sharp (1989) CABIOS
5:151-153及びHiggins, D.G. ら (1992) CABIOS 8:189-191の文献に記載されて
いる。ポリヌクレオチド配列の対をなすアラインメントの場合、デフォルトパラ
メータは、Ktuple=2、gap penalty=5、window=4、「diagonals saved」=4と設定
する。デフォルトとして「重みづけされた」残基の重みづけ表を選択する。CLUS
TAL Vは、アラインメントされたポリヌクレオチド配列対間の「類似率」として
一致率を報告する。
【0057】 或いは、通常用いられ且つ無料で入手可能な配列比較アルゴリズム一式が米国
国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のBasic Local Alignment Search
Tool(BLAST)から提供されている(Altschul, S.F. ら (1990) J. Mol. Biol.
215:403-410)。このアルゴリズムは、メリーランド州ベセスダにあるNCBIを含
めた幾つかの情報源から入手可能であり、インターネット(http://www.ncbi.nl
m.nih.gov/BLAST/)上でも入手可能である。BLASTソフトウェア一式には様々な
配列分析プログラムが含まれており、既知のポリヌクレオチド配列を種々のデー
タベースから得た別のポリヌクレオチド配列とアラインメントする「blastn」も
その1つである。その他にも、2つのヌクレオチド配列を対で直接比較するため
に用いる「BLAST 2 Sequences」と称されるツールも利用可能である。「BLAST 2
Sequences」は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlにアクセスして
対話形式で利用することが可能である。「BLAST 2 Sequences」ツールは、blast
n と blastp(後述)の両者に用いることができる。BLASTプログラムは、一般的
には、ギャップ及びデフォルト設定に設定された他のパラメータと共に用いる。
例えば、2つのヌクレオチド配列を比較するために、デフォルトパラメータとし
て設定された「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12(2000年4月21日)を
用いてblastnを実行してもよい。デフォルトパラメータの設定例を以下に示す。
【0058】 Matrix: BLOSUM62 Reward for match: 1 Penalty for mismatch: −2 Open Gap: 5 及び Extension Gap: 2 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 11 Filter: on 一致率は、完全に画定された(例えば特定の配列番号で画定された)配列長さ
と比較して測定し得る。或いは、より短い長さ、例えばより大きな画定された配
列から得られた断片(例えば少なくとも20、30、40、50、70、100
または200の連続したヌクレオチドの断片)の長さと比較して一致率を測定し
てもよい。ここに挙げた長さは単なる例示的なものに過ぎず、表、図及び配列リ
ストを含めた本明細書に記載された配列に裏付けられた任意の配列長さの断片を
用いて、一致率を測定し得る長さを説明し得ることを理解されたい。
【0059】 高度の一致率を示さない核酸配列が、それにもかかわらず遺伝子コードの縮重
が原因で類似のアミノ酸配列をコードする場合がある。この縮重を利用して核酸
配列内で変化を生じさせて、全ての核酸配列が実質上同一のタンパク質をコード
するような多数の核酸配列を生成し得ることを理解されたい。
【0060】 ポリペプチド配列に適用される「一致率」または「一致%」の語は、標準化さ
れたアルゴリズムを用いてアラインメントされた少なくとも2以上のポリペプチ
ド配列間で一致する残基の割合を意味する。ポリペプチド配列アラインメントの
方法は公知である。保存的アミノ酸置換を考慮するアラインメント方法もある。
既に詳述したこのような保存的置換は通常、置換部位の酸性度及び疎水性を保存
するので、ポリペプチドの構造を(従って機能も)保存する。
【0061】 ポリペプチド配列間の一致率は、MEGALIGN version 3.12e配列アラインメント
プログラムに組込まれているようなCLUSTAL Vアルゴリズムのデフォルトのパラ
メータを用いて決定できる(既に説明したのでそれを参照されたい)。CLUSTAL
Vを用いて、ポリぺプチド配列を2つ1組でアラインメントする際のデフォルト
パラメータは、Ktuple=1、gap penalty=3、window=5、「diagonals saved」=5と
設定する。デフォルトの残基重み付け表としてPAM250マトリクスを選択する。ポ
リヌクレオチドアラインメントと同様に、CLUSTAL Vは、アラインメントされた
ポリペプチド配列対間の「類似率」として一致率を報告する。
【0062】 或いは、NCBI BLASTソフトウェア一式を用いてもよい。例えばポリペプチド配
列を2つ1組で比較をする場合、デフォルトパラメータとして設定されたblastp
と共に「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12(2000年4月21日)を使用し
てもよい。デフォルトパラメータの設定例を以下に示す。
【0063】 Matrix: BLOSUM62 Open Gap: 11 及び Extension Gap: 1 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 3 Filter: on 一致率は、完全に画定された(例えば特定の配列番号で画定された)ポリペプ
チド配列の長さと比較して測定し得る。一致率は、配列或いは、より短い長さ、
例えばより大きな画定されたポリペプチド配列から得られた断片(例えば少なく
とも15、20、30、40、50、70または150の連続した残基の断片)
の長さと比較して一致率を測定してもよい。ここに挙げた長さは単なる例示的な
ものに過ぎず、表、図及び配列リストを含めた本明細書に記載された配列に裏付
けられた任意の配列長さの断片を用いて、或る長さであってその長さに対して一
致率を測定し得る長さを説明し得ることを理解されたい。
【0064】 「ヒト人工染色体」(HAC)は直鎖状の小染色体であり、6kb〜10Mbのサイ
ズのDNA配列を含み、安定した有糸分裂染色体の分離及び維持に必要な全てのエ
レメントが含まれている。
【0065】 「ヒト化抗体」の語は、非抗体結合領域におけるアミノ酸配列はヒト抗体によ
り近づくように変異させた抗体分子であって、本来の結合能力はそのまま保持し
ているような抗体分子を指す。
【0066】 「ハイブリダイゼーション」は、所定のハイブリダイゼーション条件下で塩基
対を形成することによって、一本鎖ポリヌクレオチドが相補的鎖とアニーリング
するプロセスを指す。特異的ハイブリダイゼーションは、2つの核酸配列が高い
相同性を共有することを示すものである。特異的ハイブリダイゼーション複合体
は許容されるアニーリング条件下で形成され、「洗浄」ステップ後もハイブリダ
イズされたままである。洗浄ステップは、ハイブリダイゼーションプロセスのス
トリンジェンシーを決定する際に特に重要であり、更にストリンジェントな条件
では、非特異結合(即ち完全には一致しない核酸鎖間の対の結合)が減少する。
核酸配列のアニーリングに対する許容条件は、当分野における当業者が慣例的に
決定する。許容条件はハイブリダイゼーション実験の間は一定でよいが、洗浄条
件は所望のストリンジェンシーを得るように、従ってハイブリダイゼーション特
異性も得るように実験中に変更することができる。アニーリング許容条件は、例
えば約6×SSC、約1%(w/v)のSDS及び約100μg/mlの変性サケ精子DNAの存
在下で温度68℃において成立する。
【0067】 一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、或る程度、洗浄ス
テップを実行する温度を基準にして表すことができる。このような洗浄温度は通
常、所定のイオン強度及びpHにおける特異配列の融点(Tm)より約5〜20℃低
くなるように選択する。このTmは、所定のイオン強度及びpHの下で、完全に一致
するプローブに標的配列の50%がハイブリダイズする温度である。Tmを計算す
る式及び核酸のハイブリダイゼーション条件はよく知られており、Sambrook ら
(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, 1-3巻, Cold Spring
Harbor Press, Plainview NYに記載されており、特に2巻の9章を参照されたい
【0068】 本発明のポリヌクレオチド間のハイブリダイゼーションに対する高ストリンジ
ェンシー条件には、約0.2×SSC及び約1%のSDS存在下で約68℃において1
時間の洗浄条件が含まれる。或いは、65℃、60℃、55℃または42℃の温
度で行ってもよい。SSC濃度は、約0.1%のSDS存在下で、約0.1〜2×SSCの
範囲で変化し得る。通常は、遮断剤を用いて非特異ハイブリダイゼーションを阻
止する。このような遮断剤には、例えば、約100〜200μg/mlの変性サケ精
子DNAがある。特定条件下で、例えばRNAとDNAのハイブリダイゼーションに有機
溶剤、例えば約35〜50%v/vの濃度のホルムアミドを用いることもできる。
洗浄条件の有用なバリエーションは、当業者には自明であろう。ハイブリダイゼ
ーションは、特に高ストリンジェント条件下では、ヌクレオチド間の進化的な類
似性を示唆し得る。このような類似性は、ヌクレオチド及びヌクレオチドにコー
ドされるポリペプチドに対する類似の役割を強く示唆している。
【0069】 「ハイブリダイゼーション複合体」の語は、相補的塩基対間の水素結合の形成
力によって2つの核酸配列間に形成された複合体を指す。ハイブリダイゼーショ
ン複合体は、溶解状態で形成し得る(C0tまたはR0t解析等)。或いは、一方の核
酸配列が溶解状態で存在し、もう一方の核酸配列が固体支持体(例えば紙、膜、
フィルタ、チップ、ピンまたはガラススライド、或いは他の適切な基質であって
細胞若しくはその核酸が固定される基質)に固定されているような2つの核酸配
列間に形成され得る。
【0070】 「挿入」及び「付加」の語は、1若しくは数個のアミノ酸残基またはヌクレオ
チド配列を各々付加するようなアミノ酸またはヌクレオチド配列における変化を
指す。
【0071】 「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫異常症、伝染性疾患または遺伝性疾患に関
連する症状を指し得る。これらの症状は、細胞及び全身の防御系に作用し得る種
々の因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、その他のシグナル伝達分子の発現
によって特徴づけることができる。
【0072】 「免疫抗原性断片」とは、哺乳動物等の生命体に導入されると免疫応答を誘発
し得るようなPPIMのポリペプチドまたはオリゴペプチド断片である。「免疫抗原
性断片」の語には、本明細書中で開示したような或いは当分野で既知であるよう
な任意の抗体産出方法において有用なPPIMの任意のポリペプチドまたはオリゴペ
プチド断片も含まれる。
【0073】 「マイクロアレイ」の語は、基質上の複数のポリヌクレオチド、ポリペプチド
またはその他の化合物の構成を指す。
【0074】 「エレメント」または「アレイエレメント」の語は、マイクロアレイの環境に
おいて、基質の表面上に配置されたハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドを指
す。
【0075】 「調節(する)」の語は、PPIMの活性の変化を指す。調節することによって例え
ば、PPIMのタンパク質活性、結合特性その他の生物学的、機能的または免疫学的
特性が増大または低下し得る。
【0076】 「核酸」及び「核酸配列」の語は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリ
ヌクレオチドまたはこれらの断片を指す。「核酸」及び「核酸配列」の語は、ゲ
ノム起源または合成起源のDNAまたはRNAであって一本鎖または二本鎖であるか或
いはセンス鎖またはアンチセンス鎖を表し得るようなDNAまたはRNAや、ペプチド
核酸(PNA)や、任意のDNA様またはRNA様物質を指すこともある。
【0077】 「機能的に結合した」は、第1核酸配列が第2核酸配列と機能的な関係がある
ように配置された状態を指す。例えば、プロモーターがコード配列の転写または
発現に影響を及ぼす場合には、そのプロモーターはそのコード配列に機能的に結
合している。同一のリーディングフレーム内で2つのタンパク質コード領域を結
合する必要がある場合、一般に、機能的に結合したDNA配列は非常に近接するか
、或いは連続し得る。
【0078】 「ペプチド核酸」(PNA)は、アンチセンス分子または抗遺伝子物質であって
、リジンを末端とするアミノ酸残基のペプチドバックボーンに結合した、少なく
とも約5ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドからなるものを指す。末端の
リジンは、成分に溶解性を与える。PNAは、相補的一本鎖DNAまたはRNAに優先的
に結合して転写の拡張を停止するものであり、ポリエチレングリコール化して細
胞におけるPNAの寿命を延長し得る。
【0079】 PPIMの「翻訳後修飾」は、脂質化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ラ
セミ化、タンパク分解性分割及びその他の当分野で既知の修飾を含み得る。これ
らのプロセスは、合成的または生化学的に発生し得る。生化学的修飾は、PPIMの
酵素環境に依存し、細胞タイプによって変化し得る。
【0080】 「プローブ」は、PPIM、PPIMの相補配列またはこれらの断片をコードする核酸
配列を指し、同一核酸配列、対立遺伝子核酸配列または関連する核酸配列の検出
に用いられる。プローブは、単離されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオ
チドであって、検出可能な標識またはレポーター分子に結合したものである。典
型的な標識には、放射性アイソトープ、リガンド、化学発光試薬及び酵素がある
。「プライマー」は、短い核酸、通常はDNAオリゴヌクレオチドであり、相補的
塩基対を形成することで標的ポリヌクレオチドにアニーリングされ得る。プライ
マーは次に、DNAポリメラーゼ酵素によって標的DNA鎖に延在し得る。プライマー
対は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による核酸配列の増幅(及び同定)
に用い得る。
【0081】 本発明に用いるようなプローブ及びプライマーは通常、既知の配列の少なくと
も15の連続したヌクレオチドを含んでいる。特異性を高めるために長めのプロ
ーブ及びプライマー、例えば開示した核酸配列の少なくとも20、25、30、
40、50、60、70、80、90、100または少なくとも150の連続し
たヌクレオチドからなるようなプローブ及びプライマーを用いてもよい。これよ
りもかなり長いプローブ及びプライマーもある。表、図面及び配列リストを含む
本明細書に裏付けされた任意の長さのヌクレオチドを用いることができるものと
理解されたい。
【0082】 プローブ及びプライマーの調製及び使用方法については、Sambrook, J. ら (1
989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, 1-3巻, Cold Spring H
arbor Press, Plainview NY、Ausubel, F.M. ら, (1987) Current Protocols in Molecular Biology , Greene Pubi. Assoc. & Wiley-Intersciences, New York
NY、Innisら (1990) PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications Ac
ademic Press, San Diego CA等を参照されたい。PCRプライマー対は、その目的
のためのコンピュータプログラム、例えばPrimer(Version 0.5, 1991, Whitehe
ad Institute for Biomedical Research, Cambridge MA)を用いるなどして既知
の配列から得ることができる。
【0083】 プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドは、そのような目的のために当分
野でよく知られているソフトウェアを用いて選択する。例えばOLIGO 4.06ソフト
ウェアは、各100ヌクレオチドまでのPCRプライマー対の選択に有用であり、
オリゴヌクレオチド及び最大5,000までの大きめのポリヌクレオチドであっ
て32キロベースまでのインプットポリヌクレオチド配列から得たものを分析す
るのにも有用である。類似のプライマー選択プログラムには、拡張能力のための
追加機能が組込まれている。例えば、PrimOUプライマー選択プログラム(テキサ
ス州ダラスにあるテキサス大学南西部医療センターのゲノムセンターから一般向
けに入手可能)は、メガベース配列から特定のプライマーを選択することが可能
であり、従ってゲノム全体の範囲でプライマーを設計するのに有用である。Prim
er3プライマー選択プログラム(マサチューセッツ州ケンブリッジのWhitehead I
nstitute/MITゲノム研究センターから一般向けに入手可能)ではユーザーが「
ミスプライミング・ライブラリ」をインプットすることができ、ここでプライマ
ー結合部位として避けたい配列はユーザーが指定する。Primer3は特に、マイク
ロアレイのためのオリゴヌクレオチドの選択に有用である(後二者のプライマー
選択プログラムのソースコードは、各自のソースから得てユーザー固有のニーズ
を満たすように変更してもよい)。PrimerGenプログラム(英国ケンブリッジ市
の英国ヒトゲノムマッピングプロジェクト-リソースセンターから一般向けに入
手可能)は、多数の配列アラインメントに基づいてプライマーを設計し、それに
よって、アラインメントされた核酸配列の最大保存領域または最小保存領域の何
れかとハイブリダイズするようなプライマーの選択を可能にする。従って、この
プログラムは、固有であって保存されたオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチ
ドの断片の同定に有用である。上記選択方法のいずれかによって同定したオリゴ
ヌクレオチド及びポリヌクレオチドの断片は、ハイブリダイゼーション技術にお
いて、例えばPCRまたはシークエンシングプライマーとして、マイクロアレイエ
レメントとして、或いは核酸のサンプルにおいて完全または部分的相補的ポリヌ
クレオチドを同定する特異プローブとして有用である。オリゴヌクレオチドの選
択方法は、上記の方法に限定されるものではない。
【0084】 「組換え核酸」は天然配列ではない配列であるか或いは人為的に組み合わせな
ければ離隔しているような配列の2以上のセグメントを人為的に組み合わせて産
出した配列を有する配列である。この人為的組合せはしばしば化学合成によって
達成するが、より一般的には核酸の単離セグメントの人為的操作によって、例え
ば前出のSambrookらの文献に記載されているような遺伝子工学的手法によって達
成する。組換え核酸の語は、単に核酸の一部を付加、置換または欠失した変異核
酸も含む。しばしば組換え核酸には、プロモーター配列に機能的に結合した核酸
配列が含まれる。このような組換え核酸は、ベクターの不可欠なエレメントであ
って例えばある細胞を形質転換するために用いられるようなものであり得る。
【0085】 或いはこのような組換え核酸は、ウイルスベクターの不可欠なエレメントであ
って例えばワクシニアウイルスに基づくものであり得る。ワクシニアウイルスは
組換え核酸が発現される哺乳動物のワクチン接種に用いるもので、哺乳動物の防
御免疫応答を誘導する。
【0086】 「調節エレメント」は、通常は遺伝子の非翻訳領域に由来する核酸配列であり
、エンハンサー、プロモーター、イントロン及び5'及び3'の非翻訳領域(UTR
)を含む。調節エレメントは、転写、翻訳またはRNA安定性を調節する宿主また
はウイルスタンパク質と相互作用する。
【0087】 「レポーター分子」とは、核酸、アミノ酸または抗体を標識するのに用いられ
る化学的または生化学的成分である。レポーター分子には、放射性核種、酵素、
蛍光剤、化学発光剤、発色剤、基質、補助因子、阻害因子、磁気粒子及びその他
の当分野で既知の成分がある。
【0088】 DNA配列に関する「RNA等価物」は、発生した窒素塩基チミンが全てウラシルに
置換されていることと、糖のバックボーンがデオキシリボースではなくリボース
から構成されていることを除いて、参照DNA配列と同一のヌクレオチド線形配列
から構成されている。
【0089】 「サンプル」の語は、その最も広い意味で用いられる。PPIMをコードする核酸
若しくはその断片、またはPPIM自体を含む疑いのあるサンプルは、体液、細胞か
ら単離された細胞、染色体、細胞小器官または膜からの抽出物、細胞、溶解して
いるか基質に結合しているゲノムDNA、RNAまたはcDNA、組織、組織プリント等か
ら構成され得る。
【0090】 「特異結合」または「特異的に結合する」の語は、タンパク質またはペプチド
と、アゴニスト、抗体、アンタゴニスト、小分子、任意の天然成分または合成結
合成分との間の相互作用を指す。この相互作用は、タンパク質の特定の構造(例
えば抗原決定基即ちエピトープ)であって結合分子が認識するものが存在するか
否かに依存していることを意味している。例えば、抗体がエピトープ「A」に対
して特異的であれば、エピトープA即ち遊離の非標識A及び抗体を含む反応にお
いて、遊離の非標識Aを含むポリヌクレオチドの存在が、抗体に結合する標識A
の量を低減させることになる。
【0091】 「実質上精製された」の語は、自然環境から取り除かれ、或いは単離または分
離された核酸またはアミノ酸配列であって、自然に会合するその他の構成エレメ
ントの少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%、最も好ましいのは
少なくとも約90%が遊離しているものを指す。
【0092】 「置換」は、1若しくは数個のアミノ酸またはヌクレオチドを各々別のアミノ
酸またはヌクレオチドに置換することを意味する。
【0093】 「基質」は、任意の好適な固体または半固体の支持体を指すものであって、膜
、フィルタ、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁性非磁性ビーズ、ゲル
、管、プレート、ポリマー、微細粒子、毛管が含まれる。基質は、壁、溝、ピン
、チャネル、孔等、様々な表面形態を有することができ、基質表面にはポリヌク
レオチドやポリペプチドが結合する。
【0094】 「転写イメージ」は、所与の時間、条件での固有の細胞タイプまたは組織によ
る遺伝子発現の集合的パターンを指す。
【0095】 「形質転換」は、外来性のDNAが宿主細胞に入り込み、宿主細胞を変化させる
プロセスを表す。形質転換は、当分野で知られている種々の方法に従って自然条
件または人工条件下で生じ得るものであり、外来性の核酸配列を原核または真核
宿主細胞に挿入する任意の既知の方法を基にし得る。形質転換の方法は、形質転
換する宿主細胞の種類によって選択する。限定するものではないが形質転換方法
には、ウイルス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、熱ショック、リ
ポフェクション及び微粒子照射を用いる方法がある。「形質転換された」細胞の
語には、限られた時間内に挿入されたDNAやRNAを発現するような一時的に形質転
換された細胞のみならず、安定的に形質転換された細胞であってその中に挿入さ
れたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主の染色体の一部として
複製可能であるものも含まれる。
【0096】 本明細書中で用いられる「遺伝形質転換体」とは任意の有機体であり、限定す
るものではないが動植物を含み、有機体の1若しくは数個の細胞が、ヒトの関与
によって、例えば当分野でよく知られている形質転換技術によって導入された異
種核酸を有する。核酸の細胞への導入は、直接または間接的に、細胞の前駆物質
に導入することによって、計画的な遺伝子操作によって、例えば微量注射法によ
って或いは組換えウイルスの導入によって行う。遺伝子操作の語は、古典的な交
雑育種或いはin vitro受精を指すものではなく、組換えDNA分子の導入を指すも
のである。本発明に基づいて予期される遺伝形質転換体には、バクテリア、シア
ノバクテリア、真菌及び動植物がある。本発明の単離されたDNAは、当分野で知
られている方法、例えば感染、形質移入、形質転換またはトランス接合によって
宿主に導入することができる。本発明のDNAをこのような有機体に移入する技術
はよく知られており、前出のSambrook ら (1989) 等の参考文献に与えられてい
る。
【0097】 特定の核酸配列の「変異体」は、核酸配列1本全部の長さに対して特定の核酸
配列と少なくとも40%の配列相同性を有する核酸配列であると定義する。その
際、デフォルトパラメータに設定した「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0
.9(1999年5月7日)と共にblastnを用いる。このような核酸対は、所定の長さに
対して、例えば少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、
95%、98%またはそれ以上の相同性を示し得る。或る変異体は、例えば「対
立遺伝子」変異体(前述)、「スプライス」変異体、「種」変異体または「多型
」変異体として説明し得る。スプライス変異体は参照分子とかなりの相同性を有
し得るが、mRNAプロセッシング中のエキソンの交互スプライシングによって通常
多数の或いは僅かな数のポリヌクレオチドを有することになる。対応するポリペ
プチドは、追加機能ドメインを有するか或いは参照分子に存在するドメインが欠
落していることがある。種変異体は、種相互に異なるポリヌクレオチド配列であ
る。結果的に生じるポリペプチドは通常、相互にかなりのアミノ酸相同性を有す
る。多型変異体は、与えられた種の個体間で特定の遺伝子のポリヌクレオチド配
列が異なる。また、多型変異体は、1つのヌクレオチド塩基によってポリヌクレ
オチド配列が変化する「一塩基多型」(SNP)を含み得る。SNPの存在は、例えば
特定の個体群、病状または病状性向を示し得る。
【0098】 特定のポリペプチド配列の「変異体」は、ポリペプチド配列の1本の長さ全体
で特定のポリペプチド配列に対して少なくとも40%の相同性を有するポリペプ
チド配列として画定される。ここで、デフォルトパラメータに設定した「BLAST
2 Sequences」ツールVersion 2.0.9(1999年5月7日)を用いてblastpを実行する
。このようなポリペプチド対は、所定の長さに対して、例えば少なくとも50%
、60%、70%、80%、90%、95%、98%またはそれ以上の相同性を
示し得る。
【0099】 発明 本発明は、新規なプロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビター(PPIM)、PPIM
をコードするポリヌクレオチド、及び、細胞増殖異常及び自己免疫/炎症性疾患
の診断、治療並びに予防にこれらの配列を利用する方法の発見に基づくものであ
る。
【0100】 表1は、PPIMをコードする完全長のヌクレオチド配列の構築に用いたIncyteク
ローンを示す。列1及び列2は、ポリペプチド及びポリヌクレオチドの配列番号
(SEQ ID NO)を各々示している。列3はIncyteクローンのクローンIDを示して
おり、各PPIMをコードする核酸はここで同定されたものである。列4はcDNAライ
ブラリを示しており、列3のクローンはここから単離したものである。列5は、
Incyteクローン及びこれに対応するcDNAライブラリを示している。cDNAライブラ
リが示されていないIncyteクローンは、プールされているcDNAライブラリから得
られたものである。列5のIncyteクローンを用いて各PPIMのコンセンサスヌクレ
オチド配列を構築した。列5のIncyteクローンは、ハイブリダイゼーション技術
における断片として有用である。
【0101】 表2の列は、本発明の各ポリペプチドの様々な特性を示している。列1は配列
番号(SEQ ID NO)を、列2は各ポリペプチド中のアミノ酸残基の数を、列3は
潜在的リン酸化部位を、列4は潜在的グリコシル化部位を、列5はサイン(sign
ature)配列及びモチーフを有するアミノ酸残基を、列6はBLAST分析によって同
定された相同配列、列7は分析方法と場合によってはその分析方法が利用できる
検索可能なデータベースを示している。列7の分析方法を用いて、配列相同性及
びタンパク質モチーフから各ポリペプチドの特徴付けを行った。
【0102】 表3の列は、組織特異性と、PPIMをコードするヌクレオチド配列に関係がある
疾患、障害または症状とを示している。表3の列1はヌクレオチドの配列番号を
、列2は列1のヌクレオチド配列の断片を示している。これらの断片は、例えば
配列番号28乃至54を同定し、配列番号28乃至54と関連するポリヌクレオ
チド配列とを区別するためのハイブリダイゼーションまたは増幅の技術において
有用である。配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列
番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番
号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号
44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号4
9、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54
から選択された断片によりコードされるポリヌクレオチドは、例えば免疫抗原性
ペプチドとして有用である。列3は、PPIMを発現する組織カテゴリーを組織全体
に対するPPIM発現割合として示している。列4は、PPIMを発現する組織に関連す
る疾患、障害または症状を、PPIMを発現する組織全体に対する割合として示して
いる。列5は、各cDNAライブラリをサブクローニングするために用いたベクター
を示している。配列番号28の胃腸組織での発現は特筆すべきである。配列番号
51の組織特異発現は特筆すべきである。配列番号51を発現する組織の83%
以上は胃腸組織、特に肝臓に由来する。
【0103】 表4の列では、cDNAライブラリの作製に用いた組織の説明を示している。PPIM
をコードするcDNAのクローンは、このcDNAライブラリから単離したものである。
列1は、ヌクレオチドの配列番号を、列2はクローン単離源であるcDNAライブラ
リを、列3は列2のcDNAライブラリに関連する組織の採取源その他の書誌的情報
を示している。
【0104】 配列番号30は、78.4〜90.6センチモルガンの間隔内で染色体9にマッ
ピングする。この間隔には、細胞増殖に関連する遺伝子も含まれる。
【0105】 配列番号37は、116.6〜118.9センチモルガンの間隔内で染色体12
にマッピングする。この間隔には、神経疾患に関連する遺伝子も含まれる。
【0106】 配列番号47は、99.2〜105.2センチモルガンの間隔内で染色体12に
マッピングする。この間隔には、心血管疾患に関連する遺伝子も含まれる。
【0107】 本発明には、PPIMの変異体も含まれる。好適なPPIMの変異体のアミノ酸配列は
、PPIMアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、または約95%もの一致
率を有し、PPIMの機能的若しくは構造的特徴を少なくとも1つ有するような変異
体である。
【0108】 本発明には、PPIMをコードするポリヌクレオチドも含まれる。一実施例では、
本発明には、PPIMをコードする配列番号28乃至54を含む群から選択された配
列を有するポリヌクレオチド配列が含まれている。配列表に示したような配列番
号28乃至54のポリヌクレオチド配列は、配列表に示されているように等価RN
A配列と同等の価値を有しているが、窒素塩基チミンの出現はウラシルに置換さ
れ、糖のバックボーンはデオキシリボースではなくシリボースから構成されてい
る。
【0109】 本発明には、PPIMをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列も含まれる。
具体的には、そのようなポリヌクレオチド配列の変異配列は、PPIMをコードする
ポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%、或いは少なくとも約85%、また
は少なくとも約95%もの一致率を有する。本発明の或る実施態様では、配列番
号28乃至54からなる群から選択されたアミノ酸配列と少なくとも約70%、
或いは少なくとも約85%、または少なくとも約95%もの一致率を有するよう
な配列番号28乃至54からなる群から選択された配列を有するポリヌクレオチ
ド配列の変異配列を含む。上記の任意のポリヌクレオチドの変異体は、PPIMの機
能的若しくは構造的特徴を少なくとも1つ有するアミノ酸配列をコードし得る。
【0110】 当業者であれば、遺伝暗号の縮重の結果、PPIMをコードする多数のポリヌクレ
オチド配列(既知の遺伝子または天然の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最低限
の類似性しか有しないポリヌクレオチド配列もある)を産出し得ることは理解で
きよう。従って本発明には、可能コドン選択に基づく組合せの選択によって産出
し得るようなありとあらゆる可能性のあるポリヌクレオチド配列変異体を網羅し
得る。これらの組合せは、天然のPPIMのポリヌクレオチド配列に適用されるよう
な標準トリプレット遺伝暗号を基に作られるものであり、このような変異は全て
明確に開示されているものと考えられる。
【0111】 PPIM及びその変異体をコードするヌクレオチド配列は通常、好適に選択された
ストリンジェントな条件下で天然のPPIMのヌクレオチド配列とハイブリダイズ可
能であるが、PPIMまたはその誘導体であって実質上異なるコドンの使用法がある
もの、例えば天然に存在しないコドンの封入があるものをコードするヌクレオチ
ド配列を作り出すことは有益であろう。宿主が特定のコドンを利用する頻度に基
づいて、特定の真核又は原核宿主に発生するペプチドの発現率を高めるようにコ
ドンを選択することが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えることなく
PPIM及びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質上変更する別の理由に
は、天然の配列から作製される転写物より好ましい、例えば半減期が長いなどの
特性を有するRNA転写物の作製がある。
【0112】 本発明には、PPIM、PPIM誘導体及びこれらの断片をコードするDNA配列または
それらの断片を完全に合成化学によって作製することも含まれる。作製後、当分
野でよく知られている試薬を用いて、この合成配列を任意の様々な入手可能な発
現ベクター及び細胞系中に挿入し得る。更に、合成化学を用いてPPIMまたはその
任意の断片をコードする配列に突然変異を誘導し得る。
【0113】 更に本発明には、種々のストリンジェントな条件下で、請求項に記載のポリヌ
クレオチド配列、特に配列番号28乃至54で示される配列及びそれらの断片に
ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド配列も含まれる(Wahl, G.M. and S.L.
Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399-407、Kimmel. A.R. (1987) Methods
Enzymol. 152:507-511.等を参照)。アニーリング条件及び洗浄条件を含めたハ
イブリダイゼーション条件は、「定義」の項に記載されている。
【0114】 DNAシークエンシングの方法は当分野でよく知られており、DNAシークエンシン
グ方法を用いて本発明の任意の実施例を実施し得る。DNAシークエンシング方法
には酵素を用いることができ、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SEQUEN
ASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(PE Biosystems, Fos
ter City CA)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech, Pisc
ataway NJ)を用いることができる。或いは、例えばELONGASE増幅システム(Lif
e Technologies, Gaithersburg MD)において見られるように、ポリメラーゼと
校正エキソヌクレアーゼを併用することができる。好適には、MICROLAB2200液体
転移システム(Hamilton, Reno, NV)、PTC200サーマルサイクラー(MJ Researc
h, Watertown MA)及びABI CATALYST 800サーマルサイクラー(PE Biosystems)
等の装置を用いて配列の準備を自動化する。次に、ABI 373 或いは 377 DNAシー
クエンシングシステム(PE Biosystems)、MEGABACE 1000 DNAシークエンシング
システム(Molecular Dynamics, Sunnyvale CA)または当分野でよく知られてい
る他の方法を用いてシークエンシングを行う。結果として得られた配列を当分野
でよく知られている種々のアルゴリズムを用いて分析する。(Ausubel, F.M. (1
997) Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York N
Y, unit 7.7、Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wi
ley VCH, New York NY, pp. 856-853.等を参照)。
【0115】 PPIMをコードする核酸配列を、部分的ヌクレオチド配列を利用し且つ当分野で
よく知られているPCR法をベースにした種々の方法を用いて伸長させ、プロモー
ター及び調節要素等の上流配列を検出することができる。例えば、使用し得る方
法の1つである制限部位PCR法は、ユニバーサルプライマー及びネステッドプラ
イマーを用いてクローニングベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する
方法である(Sarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322等を参照)。別
の方法に逆PCR法があり、これは広範な方向に伸長させたプライマーを用いて環
状化した鋳型から未知の配列を増幅する方法である。鋳型は、既知のゲノム遺伝
子座及びその周辺の配列からなる制限断片から得る(Triglia, T.ら (1988) Nuc
leic Acids Res 16:8186等を参照)。第3の方法としてキャプチャPCR法があり
、これはヒト及び酵母菌人工染色体DNAの既知の配列に隣接するDNA断片をPCR増
幅する方法に関与している(Lagerstrom, M.ら(1991) PCR Methods Applic 1:11
1-119等を参照)。この方法では、PCRを行う前に多重制限酵素の消化及び連結反
応を用いて未知の配列領域内に組換え二本鎖配列を挿入することが可能である。
また、未知の配列を検索するために用い得る別の方法については当分野で知られ
ている。(Parker, J.D.ら (1991) Nucleic Acids Res. 19:3055-3060等を参照
)。更に、PCR、ネステッドプライマー及びプロモーターファインダーライブラ
リ(Clontech, Palo Alto CA)を用いてゲノムDNAをウォーキングすることがで
きる。この手順は、ライブラリをスクリーニングする必要がなく、イントロン/
エキソン接合部を見つけるのに有用である。全てのPCRベースの方法に対して、
市販されているソフトウェア、例えばOLIGO 4.06プライマー分析ソフトウェア(
National Biosciences, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムを用いて、
長さが約22〜30ヌクレオチド、GC含有率が約50%以上、温度約68℃〜7
2℃で鋳型に対してアニーリングするようにプライマーを設計し得る。
【0116】 完全長cDNAをスクリーニングする際は、より大きなcDNAを含むようにサイズ選
択したライブラリを用いるのが好ましい。更に、ランダムに初回抗原刺激を受け
たライブラリは、しばしば遺伝子の5'領域を有する配列を含み、オリゴd(T)ラ
イブラリが完全長cDNAを作製できない状況に対して好適である。ゲノムライブラ
リは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用となり得る。
【0117】 市販されているキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングま
たはPCR産物のサイズを分析し、またはそのヌクレオチド配列を確認することが
できる。具体的には、キャピラリーシークエンシングは、電気泳動による分離の
ための流動性ポリマーと、4つの異なるヌクレオチドに特異的であるような、レ
ーザで活性化される蛍光色素と、放出された波長の検出に用いるCCDカメラとを
有し得る。出力/光の強度は、適切なソフトウェア(PE Biosystems社のGENOTYP
ER、SEQUENCE NAVIGATOR等)を用いて電気信号に変換し得る。サンプルのロード
からコンピュータ分析及び電子データ表示までの全プロセスがコンピュータ制御
可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しない
ようなDNA小断片のシークエンシングに特に適している。
【0118】 本発明の別の実施例では、PPIMをコードするポリヌクレオチド配列またはその
断片を、適切な宿主細胞内でPPIM、PPIMの断片またはその機能的等価物を発現さ
せるような組換えDNA分子内でクローニングし得る。遺伝暗号固有の宿重に起因
して実質的同一或いは機能的等価のアミノ酸配列をコードするような別のDNA配
列を作製し、PPIMの発現に利用し得る。
【0119】 種々の目的(限定するものではないが遺伝子産物のクローニング、プロセッシ
ング、発現の調節を含む)のために、PPIMコード化配列を変えるための、当分野
で通常知られている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組み換えること
が可能である。遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのランダムなフラグメン
テーション及びPCR再アセンブリによるDNAシャッフリングを用い、ヌクレオチド
配列を組み換えることが可能である。例えば、オリゴヌクレオチド媒介定方向突
然変異誘導を利用して、新規な制限部位の生成、グリコシル化パターンの変更、
コドン優先の変更、スプライス変異体の生成等を行う突然変異を導入し得る。
【0120】 本発明のヌクレオチドは、MolecularBreeding(Maxygen Inc., Santa Clara C
A、米国特許第5,837,458号、Chang, C.-C.ら (1999) Nat. Biotechnol. 17:793-
797、Christians, F.C.ら (1999) Nat. Biotechnol. 17:259-264、Crameri, A.
ら (1996) Nat. Biotechnol. 14:315-319 に記載)等のDNAシャッフリング技術
の対象となり、PPIMの生物学的特性、例えば生物活性、酵素力、或いは他の分子
や化合物との結合力等を変更または向上させ得る。DNAシャッフリングは、遺伝
子断片のPCR媒介再組換えを用いて遺伝子変異体のライブラリを生成するプロセ
スである。ライブラリはその後、その遺伝子変異体を所望の特性に同定するよう
な選択またはスクリーニングにかける。次にこれらの好適な変異体をプールし、
更に反復してDNAシャッフリング及び選択/スクリーニングを行ってもよい。こ
のように、遺伝の多様性は「人為的」品種改良及び急速な分子の進化を経て創生
される。例えば、ランダムポイント突然変異を有する単一の遺伝子の断片を再結
合し、スクリーニングし、その後所望の特性が最適化されるまでシャッフリング
することができる。或いは、所定の遺伝子を同種または異種のいずれかから得た
同一遺伝子ファミリーの相同遺伝子と再結合し、それによって天然に存在する複
数の遺伝子の遺伝多様性を、指図された制御可能な方法で最大化させることがで
きる。
【0121】 別の実施例によれば、当分野でよく知られている化学的方法を用いて、PPIMを
コードする配列の全部或いは一部を合成し得る(Caruthers. M.H.ら (1980) Nuc
leic. Acids Symp. Ser 7:215-223、Horn, T.ら (1980) Nucleic. Acids Symp.
Ser. 7:225-232等を参照)。或いは、化学的方法を用いてPPIMそれ自体またはそ
の断片を合成し得る。例えば、種々の液相または固相技術を用いてペプチド合成
を行うことができる(Creighton, T. (1984) Proteins, Structures and Molecu lar Properties , WH Freeman, New York NY, pp. 55-60、Roberge, J.Y. ら (19
95) Science 269:202-204等を参照)。自動合成はABI 431Aペプチドシンセサイ
ザ(Perkin Elmer)を用いて達成し得る。更にPPIMのアミノ酸配列またはその任
意の一部は、直接合成する間及び/または他のタンパク質から得た配列またはそ
の任意の一部と結合する間に変更し、変異型ポリペプチドを生成し得る。
【0122】 ペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーを用いて実質上精製し得る(
Chiez, R.M.and F.Z. Regnier (1990) Methods Enzymol. 182:392-421等を参照
)。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析またはシークエンシングによって確認
することができる(前出のCreighton, pp.28-53等を参照)。
【0123】 生物学的に活性なPPIMを発現するために、PPIMをコードするヌクレオチド配列
またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入することができる。好適な発現ベ
クターとは即ち好適な宿主内で挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調
節に必要な要素を含むベクターである。必要な要素には、ベクター及びPPIMをコ
ードするポリヌクレオチド配列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型プ
ロモーター、5'及び3'の非翻訳領域などの調節配列がある。このような要素は
、長さ及び特異性が様々である。固有開始シグナルを用いて、PPIMをコードする
配列をより効果的に翻訳することが可能もある。このようなシグナルには、ATG
開始コドンと、コザック配列などの近傍の配列が含まれる。PPIMをコードする配
列及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合
は、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくなるであろう。しか
しながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された場合は、インフレ
ームのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発現ベクターに含まれ
るようにすべきである。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、様々な天然物及び
合成物を起源とし得る。発現の効率は、用いられる特定の宿主細胞系に好適なエ
ンハンサーを包含することによって高めることができる(Scharf, D. ら (1994)
Results Probl. Cell Differ. 20:125-162.等を参照)。
【0124】 当業者によく知られている方法を用いて、PPIMをコードする配列と、好適な転
写及び翻訳調節要素とを含む発現ベクターを構築し得る。この方法には、in vit ro 組換えDNA技術、合成技術及びin vivo遺伝子組換え技術がある(Sambrook, J.
ら (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pr
ess, Plainview NYの4, 8, 16-17章、Ausubel, F.M. ら. (1995) Current Proto cols in Molecular Biology , John Wiley & Sons, New York NYの9, 13, 16章等
を参照)。
【0125】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、PPIMをコードする配列を保持及び発
現し得る。限定するものではないがこのような発現ベクター/宿主系には、組換
えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換
させた細菌や、酵母菌発現ベクターで形質転換させた酵母菌や、ウイルス発現ベ
クター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベク
ター(例えばカリフラワーモザイクウイルスCaMVまたはタバコモザイクウイルス
TMV)または細菌発現ベクター(例えばTiまたはpBR322プラスミド)で形質転換
させた植物細胞系、動物細胞系などの微生物等がある(前出のSambrook、前出の
Ausubel、Van Heeke, G. and S.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-
5509、Bitter, G.A.ら (1987) Methods Enzymol. 153:516-544; Scorer、C.A.
ら (1994) Bio/Technology 12:18 1-184; Engelhard、E.K. ら (1994) Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227、Sandig, V. ら (1996) Hum. Gene Ther. 7:
1937-1945、タカマツ, N. (1987) EMBOJ. 6:307-311、Coruzzi, G. ら (1984) E
MBOJ. 3:1671-1680、Broglie, R. ら (1984) Science 224:838-843、Winter, J.
ら (1991) Results Probl. Cell Differ. 17:85-105、『マグローヒル科学技術
年鑑』(The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology) (1992) McGraw
Hill New York NY, pp.191-196、Logan, J. and T. Shenk (1984) Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 81:3655-3659、Harrington, J.J. ら (1997) Nat. Genet. 15:
345-355等を参照)。レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスまた
はワクシニアウイルス由来の発現ベクターまたは種々の細菌性プラスミド由来の
発現ベクターを用いて、ポリヌクレオチド配列を標的器官、組織または細胞集団
へ輸送することができる(Di Nicola, M. ら (1998) Cancer Gen. Ther. 5(6):3
50-356、Yu, M. ら (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(13):6340-6344、Bu
ller, R.M. ら (1985) Nature 317(6040):813-815; McGregor, D.P. ら (1994)
Mol. Immunol. 31(3):219-226、Verma, I.M. and N. Somia (1997) Nature 389:
239-242等を参照)。本発明は、使用する宿主細胞によって限定されるものでは
ない。
【0126】 細菌系では、PPIMをコードするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて多数
のクローニングベクター及び発現ベクターを選択し得る。例えば、PPIMをコード
するポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニング及び増殖
には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはPSPORT1プラスミド(Li
fe Technologies)などの多機能大腸菌ベクターを用いることができる。PPIMを
コードする配列の、ベクターの多数のクローニング部位への連結反応によって、
lacZ遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌を同定するため
の比色スクリーニング法が可能となる。更にこれらのベクターは、クローニング
された配列におけるin vitro転写、ジデオキシのシークエンシング、ヘルパーフ
ァージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失の生成にも有用であろう(Van He
eke, G. and S.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509.等を参照)
。多量のPPIMが必要な場合、例えば抗体を生成する場合などには、PPIMの発現を
ハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力な誘導性のT5または
T7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用し得る。
【0127】 酵母の発現系を使用してPPIMの産物を生成し得る。α因子、アルコールオキシ
ダーゼ、PGHプロモーター等の構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多数の
ベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastorisに使用
可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質を分泌或いは細
胞内への保持のいずれかに誘導し、安定した増殖のために外来配列の宿主ゲノム
への組込みを可能にする(前出のAusubel (1995)、前出のBitter、前出のScorer
等を参照)。
【0128】 植物系を使用してPPIMを発現することも可能である。PPIMをコードする配列の
転写は、ウイルスプロモーター、例えば単独或いはTMV(タカマツ, N. (1987) E
MBO J 6:307-311)由来のオメガリーダー配列と組み合わせて用いられるようなC
aMV由来の35S及び19Sプロモーターによって促進される。或いは、RUBISCOの小サ
ブユニット等の植物プロモーターまたは熱ショックプロモーターを用いてもよい
(前出のCoruzzi、前出のBroglie、前出のWinter等を参照)。これらの構成物は
、直接DNA形質転換または病原体を媒介とする形質移入によって、植物細胞内に
導入可能である(『マグローヒル科学技術年鑑』(The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology ) (1992) McGraw Hill New York NY, pp.191-196等を
参照)。
【0129】 哺乳動物細胞においては、多数のウイルスベースの発現系を利用し得る。発現
ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合、PPIMをコードする配列は、後発プ
ロモーター及び3連リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体に連
結反応され得る。可欠E1またはE3領域へウイルスのゲノムを挿入し、宿主細胞で
PPIMを発現する感染ウイルスを得ることが可能である(Logan, J.and T. Shenk
(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659等を参照)。更に、ラウス肉腫ウ
イルス(RSV)エンハンサー等の転写エンハンサーを用いて、哺乳動物宿主細胞
における発現を増大させ得る。SV40またはEBVをベースにしたベクターを用いて
タンパク質を高レベルで発現させることもできる。
【0130】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドに含まれ且つプラスミドから発
現するものより大きなDNAの断片を輸送することもできる。治療目的のために約
6kb〜10MbのHACを作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミ
ノポリマーまたはベシクル)で供給する(Harrington. J.J. ら (1997) Nat Gen
et.15:345-355.等を参照)。
【0131】 長期にわたり哺乳動物系内で組換えタンパク質を産出するためには、株化細胞
内でのPPIMの安定発現が望ましい。例えば、発現ベクターであって複製及び/ま
たは内在性発現因子のウイルス起源を含むものと、同一或いは別のベクター上の
選択可能マーカー遺伝子とを用いて、PPIMをコードする配列を細胞株に形質転換
することが可能である。ベクターの導入後、選択培地に移す前に強化培地で約1
〜2日間細胞を増殖させることができる。選択可能マーカーの目的は選択培地へ
の抵抗性を与えることであり、選択可能マーカーが存在することにより、導入さ
れた配列をうまく発現するような細胞の成長及び回収が可能となる。安定的に形
質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適した組織培養技術を用いて
増殖可能である。
【0132】 任意の数の選択系を用いて、形質転換細胞株を回収できる。限定するものでは
ないがこのような選択系には、tk単純細胞のために用いられるヘルペスウイル
スチミジンキナーゼ遺伝子と、apr細胞のために用いられるアデニンホスホリ
ボシルトランスフェラーゼ遺伝子がある(Wigler, M. ら (1977) Cell 11:223-2
32、Lowy, I. ら (1980) Cell 22:817-823等を参照)。また、選択の基礎として
代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を用いることができる。例えばdh
frはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグリコシッドネオマイ
シン及びG-418に対する耐性を与え、alsはクロルスルフロンに対する耐性を、pa
tはホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を各々与える
(Wigler, M. ら (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:3567-3570、Colbere-
Garapin, F. ら (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14 等を参照)。この他の選択可
能遺伝子、例えば、代謝のための細胞要求を変えるtrpB及びhisDは、文献に記載
されている(Hartman, S.C.and R.C. Mulligan (1988) Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 85:8047-8051等を参照)。可視マーカー、例えばアニトシアニン、緑色蛍
光タンパク質(GFP;Clontech)、βグルクロニダーゼ及びその基質βグルクロ
ニド、またはルシフェラーゼ及びその基質ルシフェリン等を用いてもよい。これ
らのマーカーを用いて、トランスフォーマントを特定するだけでなく、特定のベ
クター系に起因する一過性或いは安定したタンパク質発現を定量することが可能
である(Rhodes, C.A. (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131等を参照)。
【0133】 マーカー遺伝子発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在が示唆されて
も、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、PPIMをコー
ドする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入された場合、PPIMをコードする配列を
含む形質転換細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により同定することが可能であ
る。または単一プロモーター制御下で、PPIMをコードする配列とタンデムにマー
カー遺伝子を配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー遺
伝子の発現は通常、タンデム遺伝子の発現も示す。
【0134】 通常は、当業者によく知られている種々の方法を用いて、PPIMをコードする核
酸配列を含み且つPPIMを発現する宿主細胞を同定することが可能である。限定す
るものではないが当業者によく知られている方法には、DNA-DNA或いはDNA-RNAハ
イブリダイゼーション、PCR法、核酸或いはタンパク質の検出及び/または定量
を行うための膜系、溶液ベース或いはチップベースの技術を含むタンパク質バイ
オアッセイまたはイムノアッセイ技術がある。
【0135】 特異的ポリクローナル抗体または特異的モノクローナル抗体を用いてPPIMの発
現の検出及び計測を行うための免疫学的方法は、当分野で公知である。このよう
な技術の例としては、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラ
ジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)などが挙げられる。P
PIM上の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部
位モノクローナルベースのイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immun
oassay)が好ましいが、競合結合アッセイも用いることもできる。これらのアッ
セイ及びこれ以外のアッセイは、当分野で公知である(Hampton. R. ら (1990) Serological Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Paul. MN, Sect.
IV、Coligan, J. E. ら (1997) Current Protocols in Immunology, Greene Pub
. Associates and Wiley-Interscience, New York NY、Pound, J.D. (1998) Imm unochemical Protocols , Humans Press, Totowa NJ等を参照)。
【0136】 多岐にわたる標識方法及び結合方法が当業者に既知であり、これらの方法は様
々な核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイに用い得る。PPIMをコードするポリヌ
クレオチドに関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーショ
ンプローブ或いはPCRプローブを産出する方法には、オリゴ標識化、ニックトラ
ンスレーション、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR法が
ある。或いは、PPIMをコードする配列またはその任意の断片を、mRNAプローブを
産出するためのベクターにクローニングすることも可能である。このようなベク
ターは、当分野において知られており、市販もされており、T7、T3またはSP6等
の好適なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加えて、in vitroでRNA
プローブの合成に用いることができる。このような方法は、例えばAmersham Pha
rmacia Biotech、Promega(Madison WI)、U.S. Biochemical等から市販されて
いる種々のキットを用いて実行することができる。検出を容易にするために用い
得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、補助因子、インヒビター、磁
気粒子のほか、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、発色剤等がある。
【0137】 PPIMをコードするヌクレオチド配列を用いて形質転換した宿主細胞は、細胞培
地からのタンパク質の回収及び発現に適した条件下で培養し得る。形質転換細胞
から製造されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用される配列
、ベクター、或いはその両者に依存する。当業者であれば理解し得るように、PP
IMをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、原核細胞膜または真核
細胞膜を透過するPPIMの直接分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計し得
る。
【0138】 更に、宿主細胞株の選択は、挿入した配列の発現を調節する能力または発現し
たタンパク質を所望の形に処理する能力によって行い得る。限定するものではな
いがこのようなポリペプチドの修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコ
シル化、リン酸化、脂質化及びアシル化がある。タンパク質の「プレプロ」また
は「プロ」形を切断するような翻訳後処理を利用して、タンパク質のターゲティ
ング、折りたたみ及び/または活性を特定することも可能である。翻訳後の活性
のための固有の細胞装置及び特徴のある機構を有する種々の宿主細胞(例えばCH
O、HeLa、MDCK、MEK293、WI38等)は、American Type Culture Collection(ATC
C, Bethesda, VA)から入手可能であり、外来タンパク質の正しい修飾及び処理
を確実にするように選択し得る。
【0139】 本発明の別の実施例では、PPIMをコードする天然の核酸配列、修飾核酸配列ま
たは組換え核酸配列を、上記任意の宿主系において融合タンパク質の翻訳をもた
らす異種配列に連結反応させることができる。例えば、市販されている抗体を用
いて認識可能な異種部分を含むキメラPPIMタンパク質は、PPIM活性阻害剤に対す
るペプチドライブラリのスクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部
分及び異種ペプチド部分も、市販されている親和性基質を用いて融合タンパク質
の精製を促進し得る。限定されるものではないがこのような部分には、グルタチ
オンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、チオレ
ドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6-His、FLAG、c-myc、
赤血球凝集素(HA)がある。GSTは固定化グルタチオン上で、MBPはマルトース上
で、Trxはフェニルアルシンオキシド上で、CBPはカルモジュリン上で、そして6-
Hisは金属キレート樹脂上で、同族の融合タンパク質の精製を可能にする。FLAG
、c-myc及び赤血球凝集素(HA)は、これらのエピトープ標識を特異的に認識す
る市販されているモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用いて、融合タ
ンパク質の免疫親和性精製を可能にする。また、融合タンパク質を遺伝子操作し
、PPIMが精製後に異種部分から切断され得るように、PPIMコード配列と異種タン
パク質配列の間にタンパク質分解切断部位を含めることもできる。融合タンパク
質の発現及び精製方法は、前出のAusubel (1995) 10章に記載されている。市販
されている種々のキットを用いて融合タンパク質の発現及び精製を促進すること
もできる。
【0140】 本発明の更に別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚
芽抽出系(Promega)を用いて、放射能標識したPPIMの合成がin vitroで可能で
ある。これらの系は、T7、T3またはSP6プロモーターと機能的に結合したタンパ
ク質コード配列の転写及び翻訳を結合する。翻訳は、例えば35Sメチオニンのよ
うな放射能標識したアミノ酸前駆体の存在下で起こる。
【0141】 本発明のPPIMまたはその断片を用いて、PPIMに特異結合する化合物をスクリー
ニングし得る。少なくとも1個から複数個の試験化合物を用いて、PPIMへの特異
結合をスクリーニングし得る。試験化合物の例としては、抗体、オリゴヌクレオ
チド、タンパク質(例えば受容体)または小分子が挙げられる。
【0142】 一実施例では、このように同定された化合物は、例えばリガンドまたはその断
片などのPPIMの天然リガンド、天然の基質、構造的または機能的な擬態性または
自然結合パートナーに密接に関連している(Coligan, J.E. ら (1991) Current Protocols in Immunology 1 (2) の5章等を参照)。同様にして化合物は、PPIM
が結合する天然受容体に関連し得るか或いは例えばリガンド結合部位などの少な
くとも受容体の断片に密接に関連し得る。いずれの場合にも、化合物は既知の技
術を用いて合理的にデザインし得る。一実施例では、このような化合物に対する
スクリーニングは、分泌タンパク質としてまたは細胞膜上のいずれかでPPIMを発
現する好適な細胞の生成に関与している。好適な細胞には、哺乳動物、酵母、シ
ョウジョウバエまたは大腸菌からの細胞がある。PPIMを発現する細胞またはPPIM
を含有する細胞膜断片を試験化合物と接触させ、PPIMまたは化合物のいずれかの
結合、刺激または阻害を分析する。
【0143】 アッセイは、試験化合物をポリペプチドに単純に試験結合し得る。ここで、結
合は、フルオロフォア、放射性同位体、酵素抱合体またはその他の検出可能な標
識により検出される。例えば、アッセイは少なくとも1つの試験化合物を溶液中
でPPIMと結合するか固体支持体に固定するかのいずれかのステップ及びPPIMの化
合物への結合を検出するステップを有し得る。或いはアッセイは、標識された競
争相手の存在下で試験化合物の結合を検出または測定し得る。更にアッセイは、
細胞遊離製剤、化学ライブラリまたは天然の生成混合物を用いて実行することが
でき、試験化合物は、溶液中で遊離させるか固体支持体に固定し得る。
【0144】 本発明のPPIMまたはその断片を用いて、PPIMの活性を調整する化合物をスクリ
ーニングし得る。このような化合物には、アゴニスト、アンタゴニスト、或るい
は部分的または逆アゴニスト等がある。一実施例においては、PPIMが少なくとも
1つの試験化合物と結合しているような、PPIMの活性を許容する条件下でアッセ
イが実行され、試験化合物存在下でのPPIMの活性が試験化合物不存在下でのPPIM
の活性と比較される。試験化合物存在下でのPPIMの活性の変化は、PPIMの活性を
調整する化合物を示す。或いは、試験化合物はPPIMの活性に適した条件下で活性
に適した条件下でPPIMを含むin vitroまたは細胞遊離系と結合し、アッセイが実
行される。これらアッセイのいずれかにおいて、PPIMの活性を調整する試験化合
物は間接的にそのようにすることができ、試験化合物と直接接触する必要がなく
なる。少なくとも1個から複数個の試験化合物をスクリーニングし得る。
【0145】 別の実施例では、PPIMまたはその哺乳類同族体をコードするポリヌクレオチド
は、胚幹(ES)細胞において相同的組換えを用いて動物モデル系内で「ノックア
ウト」される。このような技術は当技術分野において公知であり、ヒト疾病の動
物モデルの生成に有用である(米国特許第5,175,383号及び第5,767,337号等を参
照)。例えば129/SvJ株化細胞等のマウスES細胞は、初期のマウス胎仔に由来し
、培養液中で成長する。ES細胞は、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝
子等のマーカー遺伝子により分裂させた対象遺伝子(gene of interest)を含む
ベクターを用いて形質転換される(neo: Capecchi, M.R. (1989) Science 244:1
288-1292)。ベクターは、相同的組換えにより宿主ゲノムの対応する領域に統合
される。或いは、組織特異的または発達段階特異的な様式で対象遺伝子をノック
アウトするCre-loxP系を用いて相同的組換えが発生する(Marth, J.D. (1996) C
lin. Invest. 97:1999-2002; Wagner, K.U. ら (1997) Nucleic Acids Res. 25:
4323-43 30)。形質転換されたES細胞を同定し、例えばC57BL/6マウス系統から
採取したマウス細胞胚盤胞に微量注入する。胚盤胞を偽妊娠種雌に外科的に導入
し、結果として得られるキメラ子孫の遺伝形質を決め、これを繁殖させてヘテロ
接合性系統またはホモ接合性系統を生成する。このようにして産出した遺伝子導
入動物は、潜在的治療薬または毒性薬剤を用いて試験し得る。
【0146】 PPIMをコードするポリヌクレオチドは、ヒト胚盤胞由来のES細胞におけるin v itro でも操作し得る。ヒトES細胞は、内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞タイプを
含む少なくとも8つの別々の細胞系統に分化する可能性を有する。この細胞系統
は、例えば神経細胞、造血系統及び心筋細胞に分化する(Thomson, J.A. ら (19
98) Science 282:1145-1147)。
【0147】 PPIMをコードするポリヌクレオチドは、モデルヒト疾病への「ノックイン」ヒ
ト化動物(ブタ)または遺伝子導入動物(マウスまたはラット)も生成し得る。
ノックイン技術を用いて、PPIMをコードするポリヌクレオチドの或る領域を動物
ES細胞に注入し、注入された配列は動物細胞ゲノムに統合する。形質転換された
細胞を胞胚に注入し、胞胚を上記のように移植する。ヒトの疾病の治療に関する
情報を得るために、遺伝子導入子孫または近交系について研究し、強力な医薬品
を用いて遺伝子導入子孫または近交系を処理する。或いは、PPIMを過剰発現させ
るべく例えばPPIMを乳内に分泌するなどして同系交配させた哺乳動物は、タンパ
ク質の簡便な源としても役立ち得る(Janne, J. ら (1998) Biotechnol. Annu.
Rev. 4:55-74)。
【0148】 治療 PPIMの領域とプロテアーゼ及びプロテアーゼインヒビター間には、化学的及び
構造的類似性、例えば配列及びモチーフとの関連における類似性が存在する。更
にPPIMの発現は、造血/炎症系、神経系、胃腸系及び生殖系の癌に密接に関連し
ている。従ってPPIMは、免疫系疾患、生殖障害、神経系疾患及び細胞シグナル伝
達障害において或る役割を果たすものと考えられる。PPIMの発現または活性の増
大に関連する疾患の治療においては、PPIMの発現または活性を低下させることが
望ましい。また、PPIMの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては
、PPIMの発現または活性を増大させることが望ましい。
【0149】 従って、或る実施例において、PPIMの発現または活性の低下に関連した疾患の
治療または予防のために、患者にPPIMまたはその断片や誘導体を投与することが
可能である。限定するものではないがこのような疾患の例として細胞増殖異常が
含まれ、その中には日光性角化症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、滑液
包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグ
ロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症と、腺癌、白血病、リンパ腫
、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌を含む癌、具体的には副腎、膀胱、骨、骨髄、
脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、
膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、子
宮の癌等が含まれ、また及び自己免疫/炎症性疾患も含まれ、その中には後天性
免疫不全症候群(AIDS)、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直
性脊椎炎、アミロイド症、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム性動脈硬化症、自
己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫多発性内分泌腺障害症(AP
ECED)、気管支炎、滑液包炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮
膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、胎児赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸
球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好
酸球増加症、過敏性大腸症候群、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、多発性
硬化症、重症筋無力症、心筋または心膜の炎症、骨髄線維症、変形性関節症、骨
粗しょう症、膵炎、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェーグレン
症候群、全身性アナフィラキシー、全身性紅斑性狼瘡、全身性硬化症、血小板減
少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、ウェルナー症候群、癌の合併症、血液
透析、体外循環、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、原虫感染、
寄生虫性感染、及び外傷が含まれる。
【0150】 別の実施例では、PPIMまたはその断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に
投与して、限定するものではないが上記した疾患を含むPPIMの発現または活性の
低下に関連した疾患を治療または予防することも可能である。
【0151】 更に別の実施例では、実質的に精製されたPPIMを含む成分を好適な医薬用担体
と共に患者に投与して、限定するものではないが上記した疾患を含むPPIMの発現
または活性の低下に関連した疾患を治療または予防することも可能である。
【0152】 更に別の実施例では、PPIMの活性を調節するアゴニストを患者に投与して、限
定するものではないが上記した疾患を含むPPIMの発現または活性の低下に関連し
た疾患を治療または予防することも可能である。
【0153】 更に別の実施例では、患者にPPIMのアンタゴニストを投与して、PPIMの発現ま
たは活性の増大に関連した疾患を治療または予防することが可能である。限定す
るものではないがこのような疾患の例には、上記した免疫系疾患、生殖障害、神
経系疾患及び細胞シグナル伝達障害がある。一実施態様においては、アンタゴニ
ストとして直接的に、或いはPPIMを発現する細胞または組織に薬剤を輸送するタ
ーゲティングまたは輸送機構として間接的にPPIMと特異結合する抗体を用いるこ
とができる。
【0154】 別の実施例では、PPIMをコードするポリヌクレオチドの相補体を発現するベク
ターを患者に投与して、限定するものではないが上記した疾患を含むPPIMの発現
または活性の増大に関連した疾患を治療または予防することも可能である。
【0155】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補配列またはベクターを、別の好適な治療薬と組み合わせて投与するこ
ともできる。併用療法で用いる好適な治療薬は、当業者が従来の医薬原理に従っ
てを選択し得る。治療薬と組み合わせることにより、上記した種々の疾患の治療
または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いることにより少量の各薬
剤で医薬効果をあげることが可能となり、それによって副作用の可能性を低減し
得る。
【0156】 PPIMのアンタゴニストは、当分野で一般的に知られている方法を用いて製造し
得る。具体的には、精製されたPPIMを用いて抗体を作るか、治療薬のライブラリ
をスクリーニングして、PPIMと特異結合するものを同定することが可能である。
PPIMの抗体も、当分野で一般的に知られている方法を用いて製造することが可能
である。限定するものではないがこのような抗体には、ポリクローナル抗体、モ
ノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片及びFab発現ライブラリに
よって作られた断片が含まれ得る。中和抗体(即ち二量体の形成を阻害する抗体
)は通常、治療用に好適である。
【0157】 抗体を産生するために、PPIM、またはPPIMの任意の断片またはオリゴペプチド
であって免疫抗原性の特性を有するものを注入することによって、ヤギ、ウサギ
、ラット、マウス、ヒト、その他を含む種々の宿主を免疫化することができる。
宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる
。限定するものではないがこのようなアジュバントには、フロイントアジュバン
トと、水酸化アルミニウム等のミネラルゲルアジュバントと、リゾレシチン、プ
ルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペッ
トヘモシニアン、ジニトロフェノール等の洗浄剤とがある。ヒトに用いられるア
ジュバントの中では、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリネバクテリウム
‐パルヴムが特に好ましい。
【0158】 PPIMに対する抗体を誘導するために用いるオリゴペプチド、ペプチドまたは断
片は、少なくとも約5アミノ酸からなり、一般的には少なくとも約10アミノ酸
からなるアミノ酸配列を有するものが好ましい。これらのオリゴペプチド、ペプ
チドまたは断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であり且つ小
さな天然の分子の全アミノ酸配列を含むことが望ましい。PPIMアミノ酸の短い伸
長部を別のタンパク質(例えばKLH)の配列と融合し、キメラ分子に対する抗体
を産生し得る。
【0159】 PPIMに対するモノクローナル抗体は、抗体分子を産生する任意の技術を用いて
、培地内の連続した細胞株によって作製し得る。限定するものではないがこのよ
うな技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術及びEBV-ハ
イブリドーマ技術がある(Kohler, G. ら. (1975) Nature 256:495-497、Kozbor
, D. ら (1985) .J. Immunol. Methods 81:31-42、Cote, R.J. ら (1983) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030、Cole, S.P. ら (1984) Mol. Cell Biol.
62:109-120等を参照)。
【0160】 更に、「キメラ抗体」を作製するために開発した技術、例えば好適な抗原特異
性及び生物学的活性を有する分子を得るためのマウス抗体遺伝子のヒト抗体遺伝
子へのスプライシングを用いることが可能である(Morrison, S.L.ら. (1984) P
roc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855、Neuberger, M.S.ら (1984) Nature
312:604-608、タケダ, S.ら (1985) Nature 314:452-454等を参照)。或いは、
一本鎖抗体を産生するために説明された技術を適用し、当分野で知られている方
法を用いて、PPIM特異性一本鎖抗体を産生し得る。関連特異性を有するがイディ
オタイプ組成が異なるような抗体を、ランダムな組合せの免疫グロブリンライブ
ラリからチェーンシャッフリングによって産生することもできる(Burton D.R.
(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10134-10137等を参照)。
【0161】 抗体の産生は、リンパ球集団におけるin vivo産生の誘導によって、或いは免
疫グロブリンライブラリのスクリーニングまたは文献に開示されているような高
特異結合試薬のパネルのスクリーニングによっても行い得る(Orlandi, R. ら (
1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 3833-3837、Winter, G. ら (1991) Nat
ure 349:293-299等を参照)。
【0162】 PPIMのための特異結合部位を有する抗体断片を産生することもできる。例えば
、限定するものではないがこのような断片には、抗体分子のペプシン消化によっ
て作製されるF(ab')2 断片と、F(ab')2 断片のジスルフィド架橋を減らすことに
よって作製されるFab断片とがある。或いは、Fab発現ライブラリを作製すること
によって、モノクローナルFab断片を所望の特異性と迅速且つ容易に同定するこ
とが可能となる(Huse, W.D. ら (1989) Science 256:1275-1281等を参照)。
【0163】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定することができる。確立された特異性を有するポリクローナル抗体または
モノクローナル抗体の何れかを用いる免疫放射線アッセイまたは競合結合アッセ
イに対する数々のプロトコルは、当分野において公知である。このようなイムノ
アッセイは通常、PPIMとその特異性抗体間の複合体形成の計測に関与している。
2つの非干渉性PPIMエピトープに反応するモノクローナル抗体を用いるような、
2部位モノクローナルベースのイムノアッセイが一般に利用されるが、競合結合
アッセイを利用してもよい(前出のPound)。
【0164】 ラジオイムノアッセイ技術と共に様々な方法、例えばスキャッチャード分析を
用いて、PPIMに対する抗体の親和性を評価し得る。親和性は結合定数Kaで表す。
Kaは、平衡状態においてPPIM抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル
濃度で除した値であると定義する。ポリクローナル抗体は多様なPPIMエピトープ
に対する親和性が不均一であり、ポリクローナル抗体試薬のために決定したKaは
、PPIM抗体の平均親和性または結合活性を表す。モノクローナル抗体は特定のPP
IMエピトープに対して単一特異的であり、モノクローナル抗体試薬のために決定
したKaは、親和性の真の測定値を表す。Ka値が約109〜1012 L/molの範囲に
あるような高親和性抗体試薬は、PPIM抗体複合体が激しい操作に耐えなければな
らないイムノアッセイに用いるのが好ましい。Ka値が約106〜107 L/molの範
囲にあるような低親和性抗体試薬は、PPIMが抗体から最終的に活性化状態で解離
する必要がある免疫精製及び類似の処理に用いるのが好ましい(Catty, D. (198
8) Antibodies, Volume I: A Practical Approach, IRL Press, Washington, DC
、Liddell, J. E.and Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Ant ibodies , John Wiley & Sons, New York NY)。
【0165】 ポリクローナル抗体試薬の抗体価及び結合活性を更に評価して、或る下流の適
用例に対するこのような試薬の品質及び適性を決定することができる。例えば、
少なくとも1〜2mg/ml、好ましくは5〜10mg/mlの特異抗体を含むポリクロー
ナル抗体試薬は、PPIM抗体複合体を沈殿させる必要がある処理において通常用い
られる。抗体の特異性、抗体価、結合活性、様々な適用例における抗体の品質や
使用に対する指針については、一般に入手可能である(前出のCatty、同Coligan
らの文献等を参照)。
【0166】 本発明の別の実施例では、PPIMをコードするポリヌクレオチド、PPIMの任意の
断片またはその相補配列を治療目的で使用することができる。ある実施形態では
、PPIMをコードする遺伝子のコード領域または調節領域に相補的な配列またはア
ンチセンス分子(DNA、RNA、PNAまたは修飾されたオリゴヌクレオチド)により
遺伝子発現の修飾を達成することができる。このような技術は既に当分野ではよ
く知られており、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断
片を、PPIMをコードする配列のコード領域または制御領域に延在する様々な位置
から設計することが可能である(Agrawal, S., ed. (1996) Antisense Therapeu tics , Humana Press Inc., Totawa NJ等を参照)。
【0167】 治療に用いる場合、アンチセンス配列を好適な標的細胞に導入するのに好適な
任意の遺伝子送達系を用いることができる。アンチセンス配列は、転写時に標的
タンパク質をコードする細胞配列の少なくとも一部に相補的な配列を発現する発
現プラスミドの形で細胞内に輸送することが可能である(Slater, J.E. ら (199
8) J. Allergy Clin. Immunol. 102(3):469-475、Scanlon, K.J. ら (1995)9(13
):1288-1296.等を参照)。アンチセンス配列はまた、例えばレトロウイルスやア
デノ関連ウイルスベクター等のウイルスベクターを用いて細胞内に導入すること
もできる(Miller, A.D. (1990) Blood 76:271、前出のAusubel、Uckert, W. an
d W. Walther (1994) Pharmacol. Ther. 63(3):323-347等を参照)。その他の遺
伝輸送機構には、リポソーム系、人工的なウイルスエンベロープ及び当分野で公
知のその他の系が含まれる(Rossi, J.J. (1995) Br. Med. Bull. 51(1):217-22
5; Boado、R.J.ら (1998) J. Pharm. Sci. 87(11):1308-1315、Morris, M.C. ら
(1997) Nucleic Acids Res. 25(14):2730-2736. 等を参照)。
【0168】 本発明の別の実施例では、PPIMをコードするポリヌクレオチドを、体細胞若し
くは生殖細胞遺伝子治療に用いることが可能である。遺伝子治療を行うことによ
り、(i)遺伝子欠損症(例えばX染色体鎖遺伝(Cavazzana-Calvo, M. ら (200
0) Science 288:669-672)により特徴付けられる重度の複合型免疫欠損(SCID)-X
1の場合)、先天性アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症に関連する重度の複合
型免疫欠損(Blaese, R.M. ら (1995) Science 270:475-480、Bordignon, C. ら
(1995) Science 270:470-475)、嚢胞性繊維症(Zabner, J. ら (1993) Cell 7
5:207-216: Crystal、R.G. ら (1995) Hum. Gene Therapy 6:643-666、Crystal
, R.G. ら. (1995) Hum. Gene Therapy 6:667-703)、サラセミア(thalassamia
)、家族性高コレステロール血症、第VIII因子若しくは第IX因子欠損に起因する
血友病(Crystal, 35 R.G. (1995) Science 270:404-410、Verma, I.M. and So
mia. N. (1997) Nature 389:239-242)を治療し、(ii)条件的致死性遺伝子産
物を発現させ(例えば制御不能な細胞増殖に起因する癌の場合)、(iii)細胞
内の寄生虫(例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)(Baltimore, D. (1988) Nature
335:395-396、Poescbla, E. ら (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:1139
5-11399)、B型若しくはC型肝炎ウイルス(HBV、HCV)、カンジダアルビカンス
及びブラジルパラコクシジオイデス等の真菌寄生虫、並びに熱帯熱マラリア原虫
及びトリパノソーマ‐クルージ等の原虫寄生体に対する防御機能を有するタンパ
ク質を発現させることができる。PPIMの発現若しくは調節に必要な遺伝子の欠損
が疾患を発生させる場合、形質導入した細胞の好適な集団からPPIMを発現するこ
とにより、遺伝子欠損に起因する症状の発現を緩和し得る。
【0169】 本発明の更なる実施例では、PPIMをコードする哺乳動物発現ベクターを作製し
、これらのベクターを機械的手段によってPPIM欠損細胞に導入することによって
、PPIMの欠損による疾患や異常症を治療する。in vivo或いはex vitroの細胞に
用いる機械的導入技術には、(i)個々の細胞内への直接的なDNA微量注射法、(
ii)バリスティック金粒子輸送(ballistic gold particle delivery)、(iii
)リポソーム媒介形質移入、(iv)受容体媒介遺伝子導入、及び(v)DNAトラン
スポソンの使用(Morgan, R.A. and W.F. Anderson (1993) Annu. Rev. Biochem
. 62:191-217、Ivics, Z. (1997) Cell 91:501-510、Boulay, J-L. and H. Reci
pon (1998) Curr. Opin. Biotechnol. 9:445-450)がある。
【0170】 PPIMの発現に影響を及ぼし得る発現ベクターには、限定するものではないがPC
DNA 3.1、EPITAG、PRCCMV2、PREP、PVAXベクター(Invitrogen, Carlsbad CA)
、PCMV-SCRIPT、PCMV-TAG、PEGSH/PERV(Stratagene, La Jolla CA)及びPTET-O
FF、PTET-ON、PTRE2、PTRE2-LUC、PTK-HYG(Clontech, Palo Alto CA)がある。
PPIMは、(i)恒常的に活性なプロモーター(例えばサイトメガロウイルス(CMV
)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、SV40ウイルス、チミジンキナーゼ(TK)また
はβアクチン遺伝子)、(ii)誘導性プロモーター(例えばテトラサイクリン調節
性プロモーター(Gossen, M. and H. Bujard (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. U
.S.A. 89:5547-5551、Gossen, M. ら (1995) Science 268:1766-1769、Rossi, F
.M.V. and H.M. Blau (1998) Curr. Opin. Biotechnol. 9:451-456)、市販のIn
vitrogen社のT-REXプラスミドに含まれる)、エクジソン誘導性プロモーター(I
nvitrogen社のプラスミドPVGRXR及びPINDから得られる)、FK506/ラパマイシン
誘導性プロモーターまたはRU486/ミフェプリストーン誘導性プロモーター(前
出のRossi, F.M.V. and H.M. Blau)、または(iii)正常個体由来の、PPIMをコ
ードする内在性遺伝子の天然のプロモーター若しくは組織特異的プロモーターを
用いて、発現させることができる。
【0171】 市販のリポソーム形質転換キット(例えばInvitrogen社から入手可能なPerFec
t Lipid Transfection Kit)を用いれば、当業者は経験にそれほど頼らないでも
ポリヌクレオチドを培養中の標的細胞に導入することが可能になる。別の実施例
では、リン酸カルシウム法(Graham. F.L. and A.J. Eb (1973) Virology 52:45
6-467)若しくは電気穿孔法(Neumann, B. ら (1982) EMBO J. 1:841-845)を用
いて形質転換を行う。初代細胞にDNAを導入するためには、標準化された哺乳動
物の形質移入プロトコルの修飾が必要である。
【0172】 本発明の別の実施例では、PPIMの発現に関連する遺伝子欠損によって起こる疾
患や異常症は、(i)レトロウイルス末端反復配列(LTR)プロモーターまたは独
立プロモーターの制御下でPPIMをコードするポリヌクレオチドと、(ii)好適な
RNAパッケージングシグナルと、(iii)追加レトロウイルス・シス作用性RNA配
列及び効率的なベクターの増殖に必要なコード配列を伴うRev応答性エレメント
(RRE)とからなるレトロウイルスベクターを作製して治療することができる。
レトロウイルスベクター(例えばPFB及びPFBNEO)は、Stratagene社から市販さ
れており、刊行データ(Riviere, I. ら. (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.
A. 92:6733-6737)に基づいている。上記データを引用することをもって本明細
書の一部とする。ベクターは、好適なベクター産生細胞系(VPCL)において増殖
され、VPCLは、標的細胞上の受容体に対する向性を有するエンベロープ遺伝子ま
たはVSVg等の乱交雑エンベロープタンパク質を発現する(Armentano, D. ら (19
87) J. Virol. 61:1647-1650、Bender, M.A. ら (1987) J. Virol. 61:1639-164
6、Adam, M.A. and A.D. Miller (1988) J. Virol. 62:3802-3806、Dull, T. ら
(1998) J. Virol. 72:8463-8471、Zufferey, R. ら (1998) J. Virol. 72:9873
-9880)。Riggに付与された米国特許第5,910,434号("Method for obtaining re
trovirus packaging cell lines producing high transducing efficiency retr
oviral supernatant")は、レトロウイルスパッケージング細胞系を得るための
方法について開示しており、これを引用することをもって本明細書の一部とする
。レトロウイルスベクターの増殖、細胞集団(例えばCD4+ T細胞)の形質導入
、及び形質導入した細胞の患者への戻しは、遺伝子治療の分野では当業者に公知
の方法であり、多数の文献に記載されている(Ranga, U. ら. (1997) J. Virol.
71:7020-7029、Bauer, G. ら (1997) Blood 89:2259-2267、Bonyhadi, M.L. (1
997) J. Virol. 71:4707-4716、Ranga, U. ら (1998) Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 95:1201-1206、Su, L. (1997) Blood 89:2283-2290)。
【0173】 別の実施例では、アデノウイルス系遺伝子治療の輸送系を用いて、PPIMの発現
に関連する1若しくは複数の遺伝子異常を有するような細胞にPPIMをコードする
ポリヌクレオチドを輸送する。アデノウイルス系ベクターの作製及びパッケージ
ングについては、当業者に公知である。複製欠損型アデノウイルスベクターは、
免疫調節タンパク質をコードする遺伝子を膵臓の無損傷の膵島内に導入するため
に可変性であることが証明された(Csete, M.E. ら. (1995) Transplantation 2
7:263-268)。使用できる可能性のあるアデノウイルスベクターは、Armentanoに
付与された米国特許第5,707,618号("Adenovirus vectors for gene therapy")
に記載されており、引用することをもって本明細書の一部とする。アデノウイル
スベクターについては、Antinozzi, P.A. ら (1999) Annu. Rev. Nutr. 19:511-
544 及び Verma, I.M. and N. Somia (1997) Nature 18:389:239-242も参照され
たい。両文献は、引用することをもって本明細書の一部とする。
【0174】 更に別の実施例では、ヘルペス系遺伝子治療の輸送系を用いて、PPIMの発現に
関連する1若しくは複数の遺伝子異常を有する標的細胞にPPIMをコードするポリ
ヌクレオチドを輸送する。HSVが向性を有するような中枢神経系の細胞にPPIMを
導入する際には、単純ヘルペスウイルス(HSV)系のベクターの使用は特に役立
つ。ヘルペス系ベクターの作製及びパッケージングは、当業者に公知である。複
製適格性単純ヘルペスウイルス(HSV)1型系のベクターは、レポーター遺伝子を
霊長類の眼に輸送するために用いられてきた(Liu, X. ら (1999) Exp. Eye Res
.169:385-395)。HSV-1ウイルスベクターの作製についても、DeLucaに付与され
た米国特許第5,804,413号("Herpes simplex virus swains for gene transfer"
)に開示されており、該特許の引用をもって本明細書の一部とする。米国特許第
5,804,413号には、ヒト遺伝子治療を含む目的のために好適なプロモーターの制
御下において細胞に導入される少なくとも1つの内在性遺伝子を有するゲノムを
含む組換えHSV d92についての記載がある。上記特許はまた、ICP4、ICP27及びIC
P22のために除去される組換えHSV系統の作製及び使用について開示している。HS
Vベクターについては、Goins, W.F. ら (1999) J. Virol. 73:519-532 及び Xu,
H. ら (1994) Dev. Biol. 163:152-161も参照されたい。両文献は、引用をもっ
て本明細書の一部とする。クローン化ヘルペスウイルス配列の操作、巨大ヘルペ
スウイルスのゲノムの異なった部分を含む多数のプラスミドを形質移入した後の
組換えウイルスの継代、ヘルペスウイルスの成長及び増殖、並びにヘルペスウイ
ルスの細胞への感染は、当業者に公知の技術である。
【0175】 別の実施例では、アルファウイルス(正の一本鎖RNAウイルス)ベクターを用
いてPPIMをコードするポリヌクレオチドを標的細胞に輸送する。プロトタイプの
アルファウイルスであるセムリキ森林熱ウイルス(SFV)の生物学的研究が広範
に行われており、遺伝子導入ベクターがSFVゲノムに基づいていることが分かっ
た(Garoff, H. and K.-J. Li (1998) Cun. Opin. Biotech. 9:464-469)。アル
ファウイルスのRNAを複製中に、通常はウイルスカプシドタンパク質をコードす
るサブゲノムRNAが産出される。このサブゲノムRNAは、完全長のゲノムRNAより
高いレベルに複製されるため、酵素活性(例えばプロテアーゼ及びポリメラーゼ
)を有するウイルスタンパク質に比べてカプシドタンパク質が過剰産生される。
同様に、PPIMに対するコード配列をカプシドコード領域のアルファウイルスゲノ
ムに導入することにより、ベクター導入細胞において多数のPPIMコードRNAが産
生され、高レベルのPPIMが合成される。通常はアルファウイルスの感染が数日以
内での細胞溶解に関係する一方で、シンドビスウイルス(SIN)の変異体を有す
るハムスター正常腎臓細胞(BHK-21)の持続的な感染を確立する能力は、アルフ
ァウイルスの溶解複製を遺伝子治療に適用できるように好適に変更可能であるこ
とを示唆している(Dryga, S.A. ら. (1997) Virology 228 :74-83)。アルファ
ウイルスの宿主の範囲が広いことにより、様々な細胞タイプへのPPIMの導入が可
能になる。或る集団におけるサブセットの細胞の特定形質導入は、形質導入前に
細胞の選別を必要とし得る。アルファウイルスの感染性cDNAクローンの処置方法
、アルファウイルスのcDNA及びRNAの形質移入方法及びアルファウイルスの感染
方法は、当業者に公知である。
【0176】 例えば開始部位から数えて約−10と約+10の間にある転写開始部位に由来
するオリゴヌクレオチドを用いて遺伝子発現を阻害することも可能である。同様
に、三重らせん塩基対の形成方法を用いて阻害が可能となる。三重らせん塩基対
形成は、ポリメラーゼ、転写因子または調節分子の結合のために十分に開くよう
な二重らせんの能力を阻害するので、三重らせん塩基対形成は有用である。三重
らせんDNAを用いる最近の治療の進歩については文献に記載がある(Gee, J.E.
ら (1994) in: Huber, B.E.and B.I. Carr, Molecular and Immunologic Approa ches , Futura Publishing Co., Mt. Kisco, NY, pp.163-177等を参照)。相補配
列またはアンチセンス分子もまた、転写物がリボソームに結合するのを阻止する
ことによってmRNAの翻訳を阻止するべく設計することができる。
【0177】 リボザイムは、酵素性RNA分子であり、RNAの特異的切断を触媒するために用い
得る。リボザイム作用のメカニズムは、ヌクレオチド鎖切断に先立つ相補的標的
RNAへのリボザイム分子の配列特異性ハイブリダイゼーションに関与している。
例えば、組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子は、PPIMをコードする配列
のヌクレオチド鎖切断を特異的且つ効果的に触媒する。
【0178】 任意の潜在的RNAターゲット内の特異的リボザイム切断部位は、GUA、GUU、GUC
配列を含めたリボザイム切断部位に対する標的分子をスキャンすることによって
先ず同定される。一度同定されると、オリゴヌクレオチドを機能不全にするよう
な2次構造の特徴に対して切断部位を含む標的遺伝子の領域に対応する15〜2
0リボヌクレオチドの短いRNA配列を、評価することが可能になる。候補標的の
適合性の評価も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相補的オリゴヌクレオ
チドとのハイブリダイゼーションの実施容易性をテストすることによって行うこ
とができる。
【0179】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、核酸分子合成のために当分野
でよく知られている任意の方法を用いて作製し得る。任意の方法には、固相ホス
ホラミダイト化合物等のオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法がある。或
いは、HRIPをコードするDNA配列のin vitro及びin vivo転写によってRNA分子を
産出し得る。このようなDNA配列は、T7やSP6等の好適なRNAポリメラーゼプロモ
ーターを用いて多様なベクター内に組み入れることが可能である。或いは、相補
的RNAを構成的或いは誘導的に合成するようなこれらcDNA産物を、細胞系、細胞
または組織内に導入することができる。
【0180】 細胞内の安定性を高め、半減期を長くするためにRNA分子を修飾し得る。限定
するものではないが可能な修飾には、分子の5'末端及び/または3'末端におい
てフランキング配列を追加したり、分子の主鎖内においてホスホジエステラーゼ
結合ではなくホスホロチオネートまたは2' Oメチルを使用したりすることが含ま
れる。この概念は、PNAの産出に固有のものであり、これら全ての分子に拡大す
ることができる。それには、内在性エンドヌクレアーゼによって容易には認識さ
れないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、及びウリジンにアセチル−、メ
チル−、チオ−及び同様の修飾をしたものに加えて、非従来型塩基、例えばイノ
シン、クエオシン(queosine)、ワイブトシン(wybutosine)等を包含すること
による。
【0181】 本発明の追加実施例には、PPIMをコードするポリヌクレオチドの変異発現に有
効な化合物をスクリーニングする方法が含まれる。限定するものではないが特異
ポリヌクレオチドの変異発現に有効な化合物には、オリゴヌクレオチド、アンチ
センスオリゴヌクレオチド、三重らせん形成オリゴヌクレオチド、転写因子その
他のポリペプチド転写制御因子、及び特異ポリヌクレオチド配列と相互作用し得
る非高分子化学的実体がある。有効な化合物は、ポリヌクレオチド発現のインヒ
ビターまたはエンハンサーのいずれかとして作用することによりポリヌクレオチ
ド発現を変異し得る。従って、PPIMの発現または活性の増加に関連する疾病の治
療においては、PPIMをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に阻害する化
合物が治療上有益であり、PPIMの発現または活性の低下に関連する疾病の治療に
おいては、PPIMをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に促進する化合物
が治療上有益であり得る。
【0182】 特異ポリヌクレオチドの変異発現における有効性に対して、少なくとも1個か
ら複数個の試験化合物をスクリーニングし得る。試験化合物は、当分野で通常知
られている任意の方法により得られる。このような方法には、ポリヌクレオチド
の発現を変異させる場合と、既存の、市販のまたは専売の、天然または非天然の
化合物ライブラリから選択する場合と、標的ポリヌクレオチドの化学的及び/ま
たは構造的特性に基づく化合物を合理的にデザインする場合と、組合せ的にまた
は無作為に生成した化合物のライブラリから選択する場合に有効であることが知
られているような化合物の化学修飾がある。PPIMをコードするポリヌクレオチド
を含むサンプルは、少なくとも1つの試験化合物に曝され、このように得られる
。サンプルには例えば、無傷細胞、透過化処理した細胞、in vitro細胞遊離また
は再構成された生化学系を有し得る。PPIMをコードするポリヌクレオチドの発現
における変化は、当分野で通常知られている任意の方法でアッセイする。通常、
PPIMをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的なヌクレオチド配列を有する
プローブを用いたハイブリダイゼーションにより、特異ヌクレオチドの発現を検
出する。ハイブリダイゼーション量を定量し、それによって1若しくは複数の試
験化合物に曝露される及び曝露されないポリヌクレオチドの発現の比較に対する
基礎を形成し得る。試験化合物に曝露されるポリヌクレオチドの発現における変
化の検出は、ポリヌクレオチドの発現を変異する際に試験化合物が有効であるこ
とを示している。特異ポリヌクレオチドの変異発現に有効な化合物に対して、例
えば分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)遺伝子発現系(Atkins, D. ら (19
99) 米国特許第5,932,435号、Arndt, G.M. ら (2000) Nucleic Acids Res. 28:E
15)またはHeLa細胞等のヒト細胞系(Clarke, M.L. ら (2000) Biochem. Biophy
s. Res. Commun. 268:8-13)を用いてスクリーニングを実行する。本発明の特定
の実施例は、特異的ポリヌクレオチド配列に対するアンチセンス活性のためのオ
リゴヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核
酸、修飾オリゴヌクレオチド)の組合せライブラリをスクリーニングすることに
関与している(Bruice, T.W. ら (1997) の米国特許第5,686,242号、Bruice, T.
W. ら (2000) の米国特許第6,022,691号)。
【0183】 ベクターを細胞または組織に導入する多数の方法が利用可能であり、in vivo
in vitro及びex vivoの使用に対して同程度に適している。ex vivo治療の場合
、ベクターを患者から採取した肝細胞内に導入し、クローニング増殖して同一患
者に自家移植で戻すことができる。トランスフェクション、リボソーム注入また
はポリカチオンアミノポリマーによる輸送は、当分野でよく知られている方法を
用いて実行することができる(Goldman, C.K. ら (1997) Nat. Biotechnol. 15:
462-466.等を参照)。
【0184】 上記の治療方法はいずれも、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ
、サル等の哺乳動物を含めて治療が必要な全ての対象に適用できる。
【0185】 本発明の追加実施例は、通常薬剤として許容できる賦形剤で処方される活性成
分を有する成分の投与に関連する。賦形剤には例えば、セルロース、ゴム及びタ
ンパク質がある。様々な処方が通常知られており、詳細はRemington's Pharmace utical Sciences (Maack Publishing, Easton PA)の最新版に記載されている。
このような成分は、PPIM、PPIMに対する抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニス
ト、またはPPIMインヒビターから構成し得る。
【0186】 本発明に用いられる成分は、任意の数の経路によって投与することができ、限
定するものではないが経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ
膜下腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下または
直腸がある。
【0187】 肺から投与する成分は、液状または乾燥粉末状で調製し得る。このような成分
は通常、患者が吸入する直前にエアロゾル化する。小分子(例えば伝統的な低分
子重量有機薬)の場合には、速効製剤のエアロゾル輸送は当分野で公知である。
高分子(例えばより大きなペプチド及びタンパク質)の場合には、当該分野にお
いて肺の肺胞領域を介しての肺輸送が最近向上したことにより、インスリン等の
薬剤を実質的に血液循環へ輸送することが可能になった(Patton, J.S. らの米
国特許第5,997,848号等を参照)。肺輸送は、針注射なしに投与する点で優れて
おり、潜在的に有毒な浸透エンハンサーの必要性をなくす。
【0188】 本発明での使用に適した成分には、所定の目的を達成するために必要なだけの
量の活性成分を含有する成分が含まれる。有効投与量の決定は、当業者の能力の
範囲内で行う。
【0189】 成分の特殊形状は、PPIMまたはその断片を含む高分子を直接細胞内輸送するた
めに調製される。例えば、細胞不透過性高分子を含むリポソーム製剤は、細胞融
合及び高分子の細胞内輸送を促進し得る。或いは、PPIMまたはその断片をHIV Ta
t-1タンパク質から陽イオンN末端部に結合することもできる。このようにして生
成された融合タンパク質は、マウスモデル系の脳を含む全ての組織の細胞に形質
導入することがわかっている(Schwarze, S.R. ら (1999) Science 285:1569-15
72)。
【0190】 任意の化合物に対して、細胞培養アッセイ、例えば新生物性細胞の細胞培養ア
ッセイにおいて、或いは、動物モデル、例えばマウス、ウサギ、イヌまたはブタ
等において、先ず治療の有効投与量を推定することができる。動物モデルはまた
、好適な濃度範囲及び投与経路を決定するためにも用い得る。このような情報を
用いて、次にヒトに対する有益な投与量及び投与経路を決定することができる。
【0191】 治療上の有効投与量は、症状や容態を回復させるような活性成分量を参考にす
る。そのような活性成分の例としては、PPIMまたはその断片、PPIMの抗体、PPIM
のアゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビターがある。薬用有効度及び毒性
は、細胞培養または動物実験における標準的な薬剤手法によって、例えばED50
集団の50%の医薬的有効量)またはLD50(集団の50%の致死量)を測定する
などして決定することができる。毒性効果の治療効果に対する投与量の比は、治
療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示すよう
な成分が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒト
に用いるための投与量の範囲を調剤するのに用いられる。このような組成物が含
まれる投与量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50を含むような血中濃度の範
囲にあることが好ましい。用いられる投与形態、患者の感受性及び投与の経路に
よって、投与量はこの範囲内で様々に変わる。
【0192】 正確な投与量は、治療が必要な被験者に関する要素を考慮して、現場の医者が
決定することになる。効果的なレベルの活性成分を与え、或いは所望の効果を維
持するべく、投与量及び投与を調節する。被験者に関する要素としては、疾患の
重症度、患者の通常の健康状態、患者の年齢、体重及び性別、投与の時間及び頻
度、薬剤の配合、反応感受性及び治療に対する応答等を考慮する。作用期間が長
い成分は、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって3〜4日毎に1度、
1週間に1度、或いは2週間に1度の間隔で投与し得る。
【0193】 通常の投与量は、投与の経路にもよるが約0.1〜100,000μgであり、
合計で約1gまでとする。特定の投与量及び輸送方法に関するガイダンスは文献
に記載されており、現場の医者は通常それを利用することができる。当業者は、
タンパク質またはインヒビターに対する処方とは異なる、ヌクレオチドに対する
処方を利用することになる。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの輸
送は、特定の細胞、状態、位置等に特異的なものとなる。
【0194】 診断 別の実施例では、PPIMの発現によって特徴付けられる疾患の診断のために、或
いはPPIMやPPIMのアゴニスト、アンタゴニストまたは阻害剤で治療を受けている
患者をモニターするためのアッセイにおいて、PPIMを特異的に結合する抗体が用
いられることがある。診断目的に有用な抗体は、上記の治療の箇所で記載した方
法と同じ方法で調合される。PPIMの診断アッセイには、抗体及び標識を利用して
ヒトの体液において或いは細胞や組織のエキスにおいてPPIMを検出する方法が含
まれる。抗体は、修飾して或いは修飾しないで使用し、レポーター分子の共有結
合性或いは非共有結合性の接着によって標識化し得る。多様なレポーター分子が
当分野で知られており、それらを用いることができる。幾つかのレポーター分子
については上記した。
【0195】 PPIMを測定するための様々なプロトコル、例えばELISA、RIA、FACS等が当分野
において知られており、PPIM発現の修正レベル或いは異常レベルを診断する基準
を提供する。複合体の形成に適した条件下でヒト対象等の正常な哺乳動物対象か
ら採取した体液または細胞とPPIMに対する抗体とを結合させることにより、PPIM
発現の正常値または標準値が決定される。標準複合体形成量は、種々の方法、例
えば測光法で定量できる。対象内で発現したPPIMの量、制御、検体からの病変サ
ンプルを標準値と比較する。標準値と対象との偏差が疾患を診断するパラメータ
となる。
【0196】 別の実施例によれば、PPIMをコードするポリヌクレオチドを診断目的に用いる
こともできる。用いられることができるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオ
チド配列、相補的RNA及びDNA分子、そしてPNAが含まれる。ポリヌクレオチドは
、検体におけるPPIMの発現が疾患と相関し得るような該検体における遺伝子発現
の検出及び定量に用いることができる。診断アッセイは、PPIMの不在、存在及び
過剰発現を測定するために、そして治療インターベンション中にPPIMレベルの調
製をモニターするために用いることができる。
【0197】 一実施形態では、PPIMをコードする核酸配列を同定するために、PPIMまたは密
接に関連している分子をコードする、ゲノム配列を含むポリヌクレオチド配列を
検出可能なPCRプローブとのハイブリダイゼーションを用いることができる。プ
ローブが、5'調節領域のような高特異領域を有するにせよ、保存されたモチー
フのような低特異領域を有するにせよ、PPIM、突然変異体または関連配列をコー
ドする天然の配列しか同定しないのかどうかは、プローブの特異性及びハイブリ
ダイゼーション或いは増幅のストリンジェンシーが決定することになる。
【0198】 プローブは、関連する配列の検出にも用いることができ、その配列はPPIMをコ
ードする任意の配列と少なくとも50%の相同性をも有し得る。本発明のハイブ
リダイゼーションプローブはDNAまたはRNAとすることができ、配列番号28乃至
54の配列、或いはPPIM遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含
むゲノム配列に由来し得る。
【0199】 PPIMをコードするDNAに対する特異的ハイブリダイゼーションプローブを作製
する手段には、PPIMまたはPPIM誘導体をコードするポリヌクレオチド配列を、mR
NAプローブを作製するためのベクターにクローニングする方法が含まれる。mRNA
プローブ作製のためのベクターは、当業者に知られており、市販されており、好
適なRNAポリメラーゼ及び好適な標識されたヌクレオチドを加えることによって
in vitroでRNAプローブを合成するために用いられ得る。ハイブリダイゼーシ
ョンプローブは、種々のレポーターの集団によって標識され得る。レポーター集
団の例としては、32Pまたは35S等の放射性核種、或いはアビジン/ビオチン結合
系を介してプローブに結合されたアルカリホスファターゼ等の酵素標識などが挙
げられる。
【0200】 PPIMをコードするポリヌクレオチド配列は、PPIMの発現に関係する疾患の診断
の為に用い得る。限定するものではないがこのような疾患の例として限定するも
のではないがこのような疾患の例として細胞増殖異常が含まれ、その中には日光
性角化症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、滑液包炎、硬変、肝炎、混合
型結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症
、乾癬、原発性血小板血症と、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫
、奇形癌を含む癌、具体的には副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、
神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、
前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、子宮の癌等が含まれ、また
及び自己免疫/炎症性疾患も含まれ、その中には後天性免疫不全症候群(AIDS)
、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症
、貧血、動脈硬化、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自
己免疫性甲状腺炎、自己免疫多発性内分泌腺障害症(APECED)、気管支炎、滑液
包炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病
、肺気腫、胎児赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチ
ャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性大腸
症候群、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、多発性硬化症、重症筋無力症、
心筋または心膜の炎症、骨髄線維症、変形性関節症、骨粗しょう症、膵炎、ライ
ター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィ
ラキシー、全身性紅斑性狼瘡、全身性硬化症、血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸
炎、ブドウ膜炎、ウェルナー症候群、癌の合併症、血液透析、体外循環、ウイル
ス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、原虫感染、寄生虫性感染、及び外傷
が含まれる。PPIMをコードするポリヌクレオチド配列は、サザン法、ノーザン法
、ドットブロット法やその他の膜ベースの技術と、PCR法と、ディップスティッ
ク(dipstick)、ピン及びマルチフォーマットELISA様アッセイと、変異PPIMの
発現を検出するために患者から採取した体液または組織を利用するマイクロアレ
イとにおいて使用し得る。このような定性方法または定量方法は、当分野で公知
である。
【0201】 或る形態では、関連する疾患、特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて
、PPIMをコードするヌクレオチド配列が有用であり得る。PPIMをコードするヌク
レオチド配列は標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション複合体の形
成に好適な条件下で、患者から採取した体液または組織のサンプルに添加するこ
とができる。好適なインキュベーション期間が経過したらサンプルを洗浄し、シ
グナルを定量して標準値と比較する。患者サンプルのシグナル量が制御サンプル
と比べて著しく変化している場合は、サンプル内のPPIMをコードするヌクレオチ
ド配列の変異レベルは関連する疾患の存在を示している。このようなアッセイは
、動物実験、臨床試験における特定の治療効果を推定するため、或いは個々の患
者の治療をモニターするために用いることもできる。
【0202】 PPIMの発現に関連する疾患の診断基準を提供するために、発現のための正常あ
るいは標準概要を確立する。これは、ハイブリダイゼーション或いは増幅に好適
な条件下で、動物或いはヒトの正常な対象から抽出した体液或いは細胞を、PPIM
をコードする配列またはその断片と結合させることにより達成され得る。実質的
に精製されたポリヌクレオチドを既知量用いて行った実験から得た値を正常な対
象から得た値と比較することにより、標準ハイブリダイゼーションを定量するこ
とができる。このようにして得た標準値は、疾患の徴候を示す患者から得たサン
プルから得た値と比較することができる。標準値からの偏差を用いて疾患の存在
を証明する。
【0203】 疾患の存在が証明されて治療プロトコルが開始されると、患者の発現レベルが
正常な被検者に観察されるレベルに近づき始めたかどうかを測定するため、ハイ
ブリダイゼーションアッセイを通常ベースで繰り返し得る。連続アッセイから得
られた結果を用いて、数日から数ヶ月の期間にわたる治療の効果を示し得る。
【0204】 癌に関しては、個体からの生体組織における異常な量の転写物(過少発現また
は過剰発現)の存在は、疾患の発生素質を示したり、実際に臨床的症状が現れる
前に疾患を検出する方法を提供したりし得る。この種のより明確な診断により、
医療の専門家が予防方法または積極的な治療法を早くから利用し、それによって
癌の発生または更なる進行を防止することが可能となる。
【0205】 PPIMをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドを診断上追加的に利
用することは、PCRの利用に関与し得る。これらのオリゴマーは、化学的に合成
するか、酵素により生産するか、或いはin vitroで産出し得る。オリゴマーは、
好ましくはPPIMをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはPPIMをコードする
ポリヌクレオチドと相補的ポリヌクレオチドの断片を含み、最適条件下で特定の
遺伝子や条件を識別するべく利用される。また、オリゴマーは、やや緩いストリ
ンジェント条件下で、密接に関連しているDNA或いはRNA配列の検出または定量の
ため用いることが可能である。
【0206】 或る態様において、PPIMをコードするポリヌクレオチド配列由来のオリゴヌク
レオチドプライマーを用いて一塩基多型(SNP)を検出し得る。SNPは、多くの場
合にヒトの先天性または後天性遺伝病の原因となるような置換、挿入及び欠失で
ある。限定するものではないがSNPの検出方法には、制限酵素切断法(SSCP)及
び蛍光SSCP(fSSCP)がある。SSCPでは、PPIMをコードするポリヌクレオチド配
列由来のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応法(PC
R)を用いたDNAの増幅を行う。DNAは例えば、病変組織または正常組織、生検サ
ンプル、体液その他に由来し得る。DNA内のSNPは、一本鎖形状のPCR生成物の2
次及び3次構造に差異を生じさせる。差異は非変性ゲル中でのゲル電気泳動法を
用いて検出可能である。fSCCPでは、オリゴヌクレオチドプライマーを蛍光性に
標識する。それによってDNAシークエンシング機などの高処理機器でアンプリマ
ー(amplimer)の検出が可能になる。更に、インシリコSNP(in silico SNP, is
SNP)と呼ばれる配列データベース分析法は、一般的なコンセンサス配列に配列
されるような個々の重畳するDNA断片の配列を比較することにより、多型を同定
し得る。これらのコンピュータベースの方法は、DNAの実験室での調整及び統計
モデル及びDNA配列クロマトグラムの自動分析を用いたシークエンシングのエラ
ーに起因する配列の変異をフィルタリングして除去する。別の態様では、例えば
高処理MASSARRAYシステム(Sequenom, Inc., San Diego CA)を用いた質量分析
によりSNPを検出し、特徴付ける。
【0207】 PPIMの発現を定量するために用い得る方法には、ヌクレオチドの放射標識また
はビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)及び標準曲線から得
た結果の補間もある(Melby, P.C.ら (1993) J. Immunol. Methods, 159:235-24
4、Duplaa, C.ら (1993) Anal. Biochem. 212:229-236等を参照)。目的のオリ
ゴマーが種々の希釈液中に存在し、分光光度法または非色応答によって定量が迅
速になるような高処理フォーマットのアッセイを行うことによって、複数のサン
プルの定量速度を加速することができる。
【0208】 更に別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列由来の
オリゴヌクレオチドまたはより長い断片を、マイクロアレイにおける標的として
用いることができる。多数の遺伝子の関連発現レベルを同時にモニターする転写
イメージング技術にマイクロアレイを用いることが可能である。これについては
、米国特許第5,840,484号のSeilhamer, J.J. らの"Comparative Gene Transcrip
t Analysis"に記載されており、この引用を以って本明細書の一部となす。マイ
クロアレイはまた、遺伝変異体、突然変異及び多型の同定に用いることができる
。この情報を用いることで、遺伝子機能を決定し、疾患の遺伝的根拠を理解し、
疾患を診断し、遺伝子発現の機能としての疾病の進行/後退をモニターし、疾病
治療における薬剤の活性を開発及びモニターすることができる。特に、患者にと
って最もふさわしく、有効的な治療法を選択するために、この情報を用いて患者
の薬理ゲノムプロフィールを開発することができる。例えば、患者の薬理ゲノム
プロフィールに基づき、患者に対して高度に有効的で副作用を殆ど示さない治療
薬を選択し得る。
【0209】 別の実施例では、PPIMに特異的な抗体、PPIMまたはその断片をマイクロアレイ
上で要素として用い得る。マイクロアレイを用いて、上記のようなタンパク質間
相互作用、薬剤−標的相互作用及び遺伝子発現プロフィールをモニターまたは測
定し得る。
【0210】 一実施例は、組織または細胞タイプの転写イメージを生成する本発明のポリヌ
クレオチドの使用に関係がある。転写イメージは、特定の組織または細胞タイプ
による遺伝子発現の全体的なパターンを表す。全体的な遺伝子発現パターンは、
複数の発現された遺伝子及びその相対存在量を所与の条件及び時間で定量するこ
とにより分析する(Seilliamerらの米国特許第5,840,484号 "Comparative Gene
Transcript Analysis" を参照。該特許の引用を以って本明細書の一部となす)
。従って、特定の組織または細胞タイプの転写または逆転写の全体に本発明のポ
リヌクレオチドまたはその相補体をハイブリダイズすることにより転写イメージ
を生成し得る。一実施例では、本発明のポリヌクレオチドまたはその相補体が複
数のマイクロアレイ上のエレメントのサブセットを有し、高処理フォーマットで
ハイブリダイゼーションが行われる。結果として生じる転写イメージは、遺伝子
活性のプロフィールを提供することになる。
【0211】 転写イメージは、組織、株化細胞、生検または生物学的サンプルから単離した
転写物を用いて生成し得る。転写イメージは、組織または生検サンプルの場合に
in vivoで、株化細胞の場合にはin vitroで遺伝子発現を反映し得る。
【0212】 本発明のポリヌクレオチドの発現プロフィールを作成するような転写イメージ
は、工業的及び天然の環境化合物の毒性試験のみならずin vitroモデルシステム
及び医薬品の前臨床評価と併せて用い得る。全ての化合物は、しばしば分子フィ
ンガープリントまたは毒物サインと名付けられるような、作用及び毒性のメカニ
ズムを示す特性遺伝子発現パターンを誘導する(Nuwaysir, E.F. ら (1999) Mol
. Carcinog. 24:153-159; Steiner, S. and N.L. Anderson (2000) Toxicol. Le
tt. 112-113:467-471、特別に引用を以って本明細書の一部となす)。試験化合
物が、既知の毒性を有する化合物のサインと類似のサインを有しているのであれ
ば、毒性の特性を共有している可能性がある。これらのフィンガープリントまた
はサインは、複数の遺伝子及び遺伝子ファミリーからの発現情報が含まれている
場合には、最も有益且つ洗練されたものである。理想的には、発現をゲノム全体
で測定することにより、最高品質のサインが与えられる。任意の試験化合物によ
り発現が変異された遺伝子であっても、これらの遺伝子の発現レベルを用いて発
現データの残りを規準化し得るので、同様に重要である。規準化手法は、異なる
化合物で処理した後で発現データを比較するのに役立つ。毒物サインのエレメン
トに対する遺伝子機能の割当は毒性メカニズムの解釈に役立つが、毒性の予測を
導くサインを統計学的に一致させるために遺伝子機能の知識は必ずしも必要では
ない(例えば米国環境健康科学研究所(National Institute of Environmental
Health Sciences)から2000年2月29日に発行され、http://www.niehs.nih.gov/o
c/news/toxchip.htmで利用可能なPress Release 00-02を参照)。従って、毒物
サインを用いた毒物学的スクリーニングにおいては、発現された遺伝子配列を全
て含めることは重要且つ望ましいことである。
【0213】 一実施例では、試験化合物内で核酸を含有する生物学的サンプルを処理するこ
とにより、試験化合物の毒性を算定する。処理生物学的サンプル中で発現された
を、本発明のポリヌクレオチドに特異的な1若しくは数個のプローブにハイブリ
ダイズし、それによって本発明のポリヌクレオチドに対応する転写レベルを定量
し得る。処理生物学的サンプルにおける転写レベルを非処理の生物学的サンプル
のレベルと比較する。両サンプルの転写レベルの差は、処理サンプル中において
試験化合物により引き起こされる毒性反応を示す。
【0214】 別の実施例は、組織または細胞タイプのプロテオームを分析するための本発明
のポリペプチド配列の使用に関連する。プロテオームの語は、特定の組織または
細胞タイプにおけるタンパク質発現の全体パターンを指す。プロテオームの各タ
ンパク質成分は、更なる分析のために個別に対象にすることができる。プロテオ
ーム発現パターン即ちプロフィールは、所与の条件下で所与の時間で発現された
タンパク質の数及びその相対存在度を定量することにより分析する。従って、特
定の組織または細胞タイプのポリペプチドを分離及び分析することにより、細胞
のプロテオームのプロフィールを作成し得る。一実施例では、1次元でサンプル
から得たタンパク質を等電点電気泳動により分離し、次に分子量に従って2次元
でドデシル硫酸ナトリウムスラブゲル電気泳動により分離するような2次元ゲル
電気泳動を用いて分離を達成し得る(前出のSteiner and Anderson)。タンパク
質は、通常、クーマシーブルーまたはシルバーまたは蛍光染色などの物質でゲル
を染色することにより、ゲル中で離散して独自に位置するスポットとして可視化
される。各タンパク質スポットの光学密度は通常、サンプル中のタンパク質のレ
ベルに比例する。異なるサンプル(例えば試験化合物または治療薬で処理した生
物学的サンプル或いは非処理の生物学的サンプルのいずれか)から得た同等に位
置するタンパク質スポットの光学密度を比較し、処理に関連するタンパク質スポ
ット密度における任意の変化を同定する。スポットにおけるタンパク質は、例え
ば化学的または酵素的開裂を利用した標準的な方法を用いて部分的に配列し、質
量分析する。スポットにおけるタンパク質の同定は、その部分配列(少なくとも
5つの連続するアミノ酸残基が好ましい)を本発明のポリペプチド配列と比較す
ることにより決定し得る。場合によっては、最終的なタンパク質同定のための配
列データを更に得ることができる。
【0215】 PPIMに特異的な抗体を用いてプロテオームのプロフィールを生成し、PPIM発現
のレベルを定量することもできる。一実施例では、マイクロアレイ上でエレメン
トとして抗体を用い、マイクロアレイをサンプルに曝して各アレイエレメントと
のタンパク質結合のレベルを検出することによって、タンパク質発現レベルを同
定する(Lueking, A. ら (1999) Anal. Biochem. 270:103-111; Mendoze, L.G.
et al. (1999) Biotechniques 27:778-788)。検出は、当分野において知られて
いる様々な方法により実行し得る。例えば、サンプル中のタンパク質をチオール
反応性またはアミノ反応性蛍光化合物に反応させて各アレイエレメントでの蛍光
結合の量を検出し得る。
【0216】 プロテオームレベルでの毒性サインはまた、毒物学的スクリーニングに有益で
あり、転写レベルでの毒性サインと平行して分析すべきである。組織中のタンパ
ク質には転写とタンパク質存在度との貧弱な相互関係があるものがあるので(An
derson, N.L. and J. Seilhamer (1997) Electrophoresis 18:533-537)、転写
イメージに著しく影響するものではないがプロテオームのプロフィールを変化さ
せるような化合物を分析する際には、プロテオーム毒性サインが有用であり得る
。更に、mRNAの分解が速いために体液中の転写物の分析は困難であり、そのため
プロテオームのプロフィールはそのような場合により信頼でき、情報価値がある
【0217】 別の実施例では、タンパク質を含む生物学的サンプルを試験化合物で処理する
ことにより試験化合物の毒性を算定する。処理済みの生物学的サンプル中で発現
されたタンパク質を分離し、各タンパク質の量を定量できるようにする。各タン
パク質の量は、非処理の生物学的サンプルにおける対応するタンパク質の量と比
較する。両サンプルのタンパク質量の差は、処理サンプル中の試験化合物に対す
る毒性反応を示す。個々のタンパク質の同定は、個々のタンパク質のアミノ酸残
基をシークエンシングし、これら部分配列を本発明のポリペプチドと比較するこ
とにより行う。
【0218】 別の実施例では、タンパク質を含む生物学的サンプルを試験化合物で処理する
ことにより試験化合物の毒性を算定する。生物学的サンプルから得たタンパク質
は、本発明のポリペプチドに特異的な抗体を用いてインキュベートする。抗体に
より認識したタンパク質の量を定量する。処理済みの生物学的サンプルにおける
タンパク質の量を非処理の生物学的サンプルの量と比較する。両サンプルのタン
パク質量の差は、処理サンプル中の試験化合物に対する毒性反応を示している。
【0219】 マイクロアレイは、当分野でよく知られている方法を用いて調製し、使用し、
そして分析する(Brennan, T.M. ら (1995) の米国特許第5,474,796号、Schena,
M. ら (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614-10619、Baldeschweiler
らの (1995) PCT出願第WO95/251116号、Shalon, D.らの (1995) PCT出願第WO95/
35505号、Heller, R.A. ら (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155
、Heller, M.J. らの (1997) 米国特許第5,605,662号等を参照)。様々なタイプ
のマイクロアレイが公知であり、詳細については、DNA Microarrays: A Practic al Approach , M. Schena, ed. (1999) Oxford University Press, Londonに記載
されている。該文献は、特別に引用することを以って本明細書の一部となす。
【0220】 本発明の別の実施例では、天然のゲノム配列をマッピングする際に有効なハイ
ブリダイゼーションプローブを産出するため、PPIMをコードする核酸配列を用い
ることが可能である。コード配列または非コード配列のいずれかを用いることが
でき、或る例では、コード配列全体で非コード配列が好ましい。例えば、多重遺
伝子ファミリーのメンバー内でのコード配列の保存により、染色体マッピング中
に望ましくないクロスハイブリダイゼーションが生じる可能性がある。核酸配列
は、特定の染色体、染色体の特定領域または人工形成の染色体、例えば、ヒト人
工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1産
物、或いは単一染色体cDNAライブラリに対してマッピングされる(Harrington,
J.J. ら (1997) Nat Genet. 15:345-355、Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:12
7-134、Trask, B.J. (1991) Trends Genet. 7:149-154等を参照)。一度マッピ
ングされた本発明の核酸配列は、例えば病状の遺伝を特定の染色体領域の遺伝ま
たは制限断片長多型(RFLP)と相関させるような遺伝子連鎖地図を発生させるの
に用い得る。
【0221】 蛍光原位置ハイブリッド形成法(FISH)は、他の物理的及び遺伝地図データと
相関し得る(前出のHeinz-Ulrich, ら (1995) in Meyers, pp. 965-968.等を参
照)。遺伝地図データの例は、種々の科学雑誌あるいはOnline Mendelian Inher
itance in Man(OMIM)のウェブサイトに見ることができる。物理的染色体地図
上のPPIMをコードする遺伝子の位置と特定の疾患との相関性或いは特定の疾患に
対する素因は、その疾患に関係するDNAの領域を画定するのに役立ち得るもので
あり、従って更に位置クローニングする試みとなり得る。
【0222】 確証された染色体マーカーを用いた結合分析等の物理的マッピング技術及び染
色体標本原位置ハイブリッド形成法を用いて、遺伝地図を拡張することができる
。例えばマウスなど別の哺乳動物の染色体上に遺伝子を配置することにより、特
定のヒト染色体の数或いはアームが分かっていない場合でも関連するマーカーを
明らかにし得る。この情報は、位置クローニングその他の遺伝子発見技術を用い
て遺伝的疾患を調査する研究者にとって価値がある。疾患または症候群が、血管
拡張性失調症の11q22-23領域等、特定の遺伝子領域への遺伝的結合によって大ま
かに位置決めがなされると、該領域に対するいかなるマッピングも、更なる調査
のための関連遺伝子或いは調節遺伝子を表すことができる(Gatti, R.A.ら (198
8) Nature 336:577-580等を参照)。転座、反転等に起因する、健常者、保有者
、感染者の三者間における染色体位置の相違を発見するために、本発明のヌクレ
オチド配列を用いてもよい。
【0223】 本発明の別の実施例では、種々の薬剤スクリーニング技術を以って化合物のラ
イブラリをスクリーニングするために、PPIM、PPIMの触媒作用断片、免疫原断片
、またはそのオリゴペプチドを用いることができる。薬剤スクリーニングに用い
る断片は、溶液中に遊離しているか、固体支持物に固定されるか、細胞表面上に
保持されるか、細胞内に位置することになろう。PPIMとテストされる薬剤との結
合複合の形成は計測できる。
【0224】 別の薬剤スクリーニング方法は、目的のタンパク質に対して好適な結合親和性
を有する化合物を高い処理能力でスクリーニングするために用いられる(Geysen
,らの (1984) PCT出願第WO84/03564号等を参照)。この方法においては、多数の
異なる小さな試験用化合物を固体基質上で合成する。試験用化合物は、PPIM或い
はその断片と反応させ、洗浄する。次に、当分野でよく知られている方法で、結
合したPPIMを検出する。精製したPPIMはまた、上記した薬剤のスクリーニング技
術において用いるプレート上で直接コーティングすることもできる。別の実施例
では、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、ペプチドを固体支持物に固定する
こともできる。
【0225】 別の実施例では、競合薬スクリーニングアッセイを用いることができる。この
アッセイでは、PPIMを結合することができる中和抗体が、PPIMを結合するための
試験化合物と特異的に競合する。この方法では、抗体が、1若しくは数個の抗原
決定因子をPPIMと共有するペプチドの存在を検出する。
【0226】 別の実施例では、新規技術が現在知られているヌクレオチド配列の特性(限定
するものではないがトリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対の相互作用等を含む
)に依存するのであれば、依然として発展すべきいかなる分子生物学技術におい
ても、PPIMをコードするヌクレオチド配列を用いることができる。
【0227】 更に詳細に説明せずとも、当業者であれば以上の説明を以って本発明を最大限
に利用できるであろう。従って、これ以下に記載する実施例は単なる例示目的に
すぎず、いかようにも本発明を限定するものではない。
【0228】 本明細書において開示した全ての特許、特許出願及び刊行物、特に米国特許第
60/147,986号及び60/160,807号は、言及することをもって本明細書の一部となす
【0229】 (実施例) 1 cDNAライブラリの作製 RNAは、Clontech社から購入し、或いは表4に列記した組織から単離した。ホ
モジナイズしてグアニジニウムイソチオシアネート溶液に溶解した組織もあり、
また、ホモジナイズしてフェノールまたは好適な変性剤の混合液に溶解した組織
もある。変性剤の混合液は、例えばフェノールとグアニジニウムイソチオシアネ
ートの単相溶液であるTRIZOL(Life Technologies)等である。結果として得ら
れた溶解物は、塩化セシウムにおいて遠心分離するかクロロホルムで抽出した。
イソプロパノールか、酢酸ナトリウムとエタノールか、いずれか一方、或いは別
の方法を用いて、溶解物からRNAを沈殿させた。
【0230】 RNAの純度を高めるため、RNAのフェノール抽出及び沈殿を必要な回数繰り返し
た。場合によっては、DNアーゼでRNAを処理した。殆どのライブラリでは、オリ
ゴd(T)連結常磁性粒子(Promega)、OLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN, Valenci
a CA)またはOLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いて、ポリ(A+) RNAを単
離した。別法では、別のRNA単離キット、例えばPOLY(A)PURE mRNA精製キット(A
mbion, Austin TX)を用いて組織溶解物からRNAを直接単離した。
【0231】 場合によってはStratagene社にRNAを提供し、対応するcDNAライブラリを同社
が作製することもあった。そうでない場合は、当分野で公知の推奨方法または類
似の方法を用いて、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)またはSUPERSCRIPT
プラスミドシステム(Life Technologies)を用いてcDNAを合成し、cDNAライブ
ラリを作製した(前出のAusubel, 1997, unit 5.1-6.6等を参照)。逆転写は、
オリゴd(T)またはランダムプライマーを用いて開始した。合成オリゴヌクレオチ
ドアダプターを二本鎖cDNAに連結反応させ、好適な制限酵素でcDNAを消化した。
殆どのライブラリに対して、cDNAのサイズ(300〜1000bp)選択は、SEPH
ACRYL S1000、SEPHAROSE CL2BまたはSEPHAROSE CL4Bカラムクロマトグラフィー
(Amersham Pharmacia Biotech)、或いは調製用アガロースゲル電気泳動法を用
いて行った。cDNAは、好適なプラスミドのポリリンカーの適合性制限酵素部位に
連結反応させた。好適なプラスミドは、例えばPBLUESCRIPTプラスミド(Stratag
ene)、pSPORT1プラスミド(Life Technologies)またはplNCY(Incyte Pharmac
euticals, Palo Alto CA)等である。組換えプラスミドは、Stratagene社のXL1-
Blue、XL1-BIueMRFまたはSOLR、或いはLife Technologies社のDH5α、DH10Bまた
はELECTROMAX DH10Bを含むコンピテント大腸菌細胞に形質転換した。
【0232】 2 cDNAクローンの単離 実施例1で説明したようにして得たプラスミドは、UNIZAPベクターシステム(
Stratagene)を用いたin vivo切除によって、或いは細胞溶解によって宿主細胞
から回収した。MagicまたはWIZARDミニプレップDNA精製システム(Promega)、A
GTCミニプレップ精製キット(Edge Biosystems, Gaithersburg MD)、QIAGEN社
のQIAWELL 8 Plasmid、QIAWELL 8 Plus Plasmid及びQIAWELL 8 Ultra Plasmid
精製システム、R.E.A.L. Prep 96プラスミドキットの中から少なくとも1つを用
いて、プラスミドを精製した。沈殿させた後、0.1mlの蒸留水に再懸濁して、
凍結乾燥して或いは凍結乾燥せずに、4℃で保管した。
【0233】 別の実施例では、高処理フォーマットにおいて直接結合PCR法を用いて宿主細
胞溶解物からプラスミドDNAを増幅した(Rao, V.B. (1994) Anal. Biochem. 216
:1-14)。宿主細胞の溶解及び熱サイクリング過程は、単一反応混合液中で行っ
た。サンプルを処理し、それを384穴プレート内で保管し、増幅したプラスミ
ドDNAの濃度をPICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroskan
II蛍光スキャナ(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光分析的に定
量した。
【0234】 3 シークエンシング及び分析 実施例2で説明したようにして回収したIncyte cDNAは、以下のように配列決
定した。cDNAのシークエンス反応は、標準的方法或いは高処理装置、例えばABI
CATALYST 800 サーマルサイクラー(PE Biosystems)またはPTC-200 サーマルサ
イクラー(MJ Research)をHYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific
)またはMICROLAB 2200(Hamilton)液体転移システムと併用して処理した。cDN
Aのシークエンス反応は、Amersham Pharmacia Biotech社が提供する試薬またはA
BIシークエンシングキット、例えばABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequen
cing ready reaction kit(PE Biosystems)に与えられた試薬を用いて準備した
。cDNAのシークエンス反応の電気泳動的分離及び標識したポリヌクレオチドの検
出には、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics)
か、標準ABIプロトコル及び塩基対呼び出しソフトウェアを用いるABI PRISM 373
または377シークエンシングシステム(PE Biosystems)か、或いはその他の当分
野でよく知られている配列解析システムを用いた。cDNA配列内のリーディングフ
レームは、標準的方法(前出のAusubel, 1997, unit 7.7に概説)を用いて決定
した。幾つかのcDNA配列を選択して、実施例6で開示した方法を用いて配列を伸
長させた。
【0235】 cDNA配列に由来するポリヌクレオチド配列を構築し、当業者によく知られたア
ルゴリズムを利用するソフトウェアの組合せを用いて解析した。利用したツール
、プログラム及びアルゴリズムの概略、適用可能な説明、引用文献、閾値パラメ
ータを表5に示す。用いたツール、プログラム及びアルゴリズムを表5の列1に
、それらの簡単な説明を列2に示す。列3は好適な引用文献であり、全ての文献
はそっくりそのまま引用を以って本明細書の一部となす。適用可能な場合には、
列4は2つの配列が一致する強さを評価するために用いたスコア、確率値その他
のパラメータを示す(スコアが高ければ高いほど2配列間の相同性が高くなる)
。配列の解析は、MACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリ
ング, South San Francisco CA)及びLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用い
て行った。ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列アラインメントは、整列させ
た配列間の一致率をも計算するようなMEGALIGNマルチシーケンスアラインメント
プログラム(DNASTAR)に組み入れられた際に、clustalアルゴリズムにより特定
されたデフォルトパラメータを用いて生成した。
【0236】 ポリヌクレオチド配列は、ベクター、リンカー及びポリA配列を除去すること
により、またあいまいな塩基対をマスクすることによって有効性を確認した。そ
の際、BLAST、動的プログラミング、及び隣接ジヌクレオチド頻度分析に基づく
アルゴリズム及びプログラムを用いた。次に、BLAST、FASTA及びBLIMPSに基づく
プログラムを用いて、プログラム中の注釈を得るべく、公共のデータベース、例
えばGenBankの霊長類及びげっ歯類、哺乳動物、脊椎動物、真核生物のデータベ
ースと、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM及びPFAMの選択に対する配列を問い合わ
せした。配列はPhred、Phrap及びConsedに基づくプログラムを用いて完全長のポ
リヌクレオチド配列に構築し、GenMark、BLAST及びFASTAに基づくプログラムを
用いてオープンリーディングフレームに対してスクリーニングした。対応する完
全長アミノ酸配列を誘導するべく完全長ポリヌクレオチド配列を翻訳し、その後
、GenBankデータベース(上記)、SwissProt、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM及
びProsite等のデータベース、PFAM等の隠れマルコフモデル(HMM)ベースのタン
パク質ファミリーデータベースに対する問合せによって完全長配列を分析した。
HMMは、遺伝子ファミリーのコンセンサス1次構造を解析する確率的アプローチ
である(Eddy, S.R. (1996) Curr. Opin. Struct. Biol. 6:361-365等を参照)
【0237】 完全長ポリヌクレオチド及びアミノ酸配列の構築及び分析に用いる上記のプロ
グラムは、配列番号28乃至54からのポリヌクレオチド配列の断片を同定する
ためにも使用できる。ハイブリダイゼーション及び増幅に有用な約20〜約40
00のヌクレオチドの断片は、上記「発明」の項で説明した。
【0238】 4 ポリヌクレオチド発現の分析 ノーザン分析は、転写された遺伝情報の存在を検出するために用いられる実験
技術であり、標識されたヌクレオチド配列の、特定の細胞種または組織からのRN
Aが結合される膜へのハイブリダイゼーションに関与している(前出のSambrook,
7章、同Ausubel. F.M. ら, 4章及び16章等を参照)。
【0239】 BLASTに適用する類似のコンピュータ技術を用いて、GenBankやLifeSeq(Incyt
e Genomics)等のヌクレオチドデータベースにおいて同一または関連分子を検索
する。ノーザン分析は、多数の膜系ハイブリダイゼーションよりも断然速い。更
に、特定の同一を厳密な或いは相同的なものとして分類するか否かを決定するた
め、コンピュータ検索の感度を変更することができる。検索の基準はプロダクト
スコアであり、次式で定義される。
【0240】
【数1】
【0241】 プロダクトスコアは、2つの配列間の類似度及び配列が一致する長さの両者を考
慮している。プロダクトスコアは、0〜100の規準化された値であり、次のよ
うにして求める。BLASTスコアにヌクレオチドの配列一致率を乗じ、その積を2
つの配列の短い方の長さの5倍で除する。高スコアリングセグメント対(HSP)
に一致する各塩基に+5のスコアを割り当て、各不適性塩基対に−4を割り当て
ることにより、BLASTスコアを計算する。2つの配列は、2以上のHSPを共有し得
る(ギャップにより離隔され得る)。2以上のHSPがある場合には、最高BLASTス
コアの塩基対を用いてプロダクトスコアを計算する。プロダクトスコアは、断片
的重畳とBLASTアラインメントの質とのバランスを表す。例えばプロダクトスコ
ア100は、比較した2つの配列の短い方の長さ全体にわたって100%一致す
る場合のみ得られる。プロダクトスコア70は、一端が100%一致し、70%
重畳しているか、他端が88%一致し、100%重畳しているかのいずれかの場
合に得られる。プロダクトスコア50は、一端が100%一致し、50%重畳し
ているか、他端が79%一致し、100%重畳しているかのいずれかの場合に得
られる。
【0242】 ノーザン分析の結果は、PPIMをコードする転写物が作出されたライブラリの分
布パーセンテージとして報告される。分析は、器官/組織及び疾患によるcDNAラ
イブラリのカテゴリー分類に関与している。器官/組織のカテゴリーには、心血
管、皮膚、発生、内分泌、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖及び泌尿器が
ある。疾患/病状のカテゴリーには、癌、炎症、外傷、細胞増殖、神経、貯留(
pooled)が含まれる。カテゴリー毎に目的の配列を発現するライブラリ数を数え
、それを全カテゴリーのライブラリ数で除した。組織特異発現及び疾患/病状特
異発現のパーセント値を表3に示す。
【0243】 5 ポリヌクレオチドをコードするPPIMの染色体マッピング 配列番号28乃至54を配列するために用いたcDNA配列は、BLAST及びその他
のスミス‐ウォーターマンアルゴリズムのインプリメンテーションを用いて、In
cyte LIFESEQのデータベース及びパブリックドメインのデータベースから得た配
列と比較した。配列番号28乃至54に適合するデータベースから得た配列は、
Phrap(表5)等のアセンブリアルゴリズムを用いて隣接する配列及びオーバー
ラップする配列のクラスタに配列した。スタンフォード・ヒトゲノムセンター(
SHGC)、ホワイトヘッド・ゲノム研究所(WIGR)、Genethon等の公的な情報源か
ら入手可能な放射線ハイブリッド及び遺伝地図データを用いて、クラスタ化され
た配列が予めマッピングされたかを測定した。マッピングされた配列がクラスタ
に含まれている結果、個々の配列番号を含めてそのクラスタの全配列が地図上の
位置に割り当てられた。
【0244】 配列番号30、配列番号37及び配列番号47の遺伝地図上の位置については
、ヒト染色体の範囲または間隔として「発明」の項に記載されている。センチモ
ルガン間隔の地図上の位置は、染色体のpアームの末端に関連して測定する(セ
ンチモルガン(cM)は、染色体マーカー間の組換え頻度に基づく計測単位である
。平均すると、1cMはヒト中のDNAの1メガベース(Mb)にほぼ等しい。尤も、
この値は、組換えのホットスポット及びコールドスポットに起因して広範囲に変
化する)。cM距離は、配列が各クラスタ内に含まれるような放射線ハイブリッド
マーカーに対して境界を提供するようなGenethonによってマッピングされた遺伝
マーカーに基づく。指示された間隔内に配置された公開配列及びIncyte配列に関
連する疾病は、利用可能な場合には「発明」においても報告されている。
【0245】 6 ポリヌクレオチドをコードするPPIMの伸長 配列番号28乃至54の完全長の核酸配列は、完全長分子の適切な断片から設
計したオリゴヌクレオチドプライマーを用いて該断片を伸長させて生成した。一
方のプライマーは既知の断片の5'伸長を開始するべく合成し、他方のプライマ
ーは既知の断片の3'伸長を開始するべく合成した。開始プライマーの設計は、
長さが約22〜30ヌクレオチド、GC含有率が50%以上となり、約68〜72
℃の温度で標的配列にアニーリングするように、OLIGO 4.06ソフトウェア(Nati
onal Biosciences)或いは別の適切なプログラムを用いて、cDNAから設計した。
ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体を生ずるようなヌクレオチドの
伸長は全て回避した。
【0246】 選択したヒトcDNAライブラリを用いて配列を伸長させた。2段階以上の伸長が
必要または望ましい場合には、付加的プライマー或いはプライマーのネステッド
セットを設計した。
【0247】 当業者によく知られている方法を利用したPCR法によって、高忠実度の増幅が
得られた。PCRは、PTC-200サーマルサイクラー(MJ Research, Inc.)を用いて
96穴プレート内で行った。反応混合液には、DNA鋳型、各プライマー200nmo
lと、Mg2+、(NH4)2SO4 及びβ-メルカプトエタノールを含む反応緩衝液と、Taq
DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)と、ELONGASE酵素(Life Tech
nologies)と、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)が含まれていた。プライマ
ー対PCI A、PCI Bに対して用いたパラメータは次の通りである。 ステップ1: 94℃で3分間 ステップ2: 94℃で15秒 ステップ3: 60℃で1分間 ステップ4: 68℃で2分間 ステップ5: ステップ2、3、4を20回繰り返す ステップ6: 68℃で5分間 ステップ7: 4℃で保存 プライマー対T7、SK+に対しては、上記パラメータに代えて以下のパラメータを
用いた。 ステップ1: 94℃で3分間 ステップ2: 94℃で15秒 ステップ3: 57℃で1分間 ステップ4: 68℃で2分間 ステップ5: ステップ2、3、4を20回繰り返す ステップ6: 68℃で5分間 ステップ7: 4℃で保存 1X TEに溶解したPICOGREEN定量試薬(0.25%(v/v) PICOGREEN、Molecular
Probes, Eugene OR)100μlと、希釈していないPCR産物0.5μlとを不透明
な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各穴に分配し、DNAを試薬
と結合可能なようにさせることによって各穴内のDNA濃度の測定を行った。サン
プルの蛍光を計測してDNAの濃度を定量するべくプレートをFluoroskan II(Labs
ystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンした。反応混合物のアリコート5〜
10μlを1%アガロースミニゲル上で電気泳動法によって解析し、どの反応が
配列の伸長に成功したかを決定した。
【0248】 伸長させたヌクレオチドは、脱塩及び濃縮して384穴プレートに移し、CviJ
Iコレラウイルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison W
I)を用いて消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)への再連
結反応前に音波処理またはせん断した。ショットガン・シークエンシングのため
に、消化したヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上で分
離し、断片を切除し、寒天をAgar ACE(Promega)で消化した。伸長させたクロ
ーンをT4リガーゼ(New England Biolabs, Beverly MA)を用いてpUC 18ベクタ
ー(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratag
ene)で処理して制限部位のオーバーハングを満たし、コンピテント大腸菌細胞
に形質移入した。形質移入した細胞を抗生物質含有培地上で選択し、個々のコロ
ニーを選択してLB/2x carb液体培地の384穴プレート内において37℃で一晩
培養した。
【0249】 細胞を溶解し、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いてPCRによってDNAを増幅した。その際用
いたパラメータは次の通りである。 ステップ1: 94℃で3分間 ステップ2: 94℃で15秒 ステップ3: 60℃で1分間 ステップ4: 72℃で2分間 ステップ5: ステップ2、3、4を29回繰り返す ステップ6: 72℃で5分間 ステップ7: 4℃で保存 DNAは、上記のPICOGREEN試薬(Molecular Probes)によって定量した。DNAの回
収率が低いサンプルは、上記と同一の条件を用いて再増幅した。サンプルは20
%ジメチルスルホキシド(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC energy transfer
sequencing primer及びDYENAMIC DIRECT kit(Amersham Pharmacia Biotech)ま
たはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reaction kit(PE
Biosystems)を用いてシークエンシングした。
【0250】 同様に、伸長のために設計されたオリゴヌクレオチド及び適切なゲノムライブ
ラリと共に上記手順を用いて5'調節配列を得るために、配列番号28乃至54
のヌクレオチド配列が用いられる。
【0251】 7 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識化及び使用 配列番号28乃至54由来のハイブリダイゼーションプローブを利用して、cD
NA、ゲノムDNAまたはmRNAをスクリーニングする。約20塩基対からなるオリゴ
ヌクレオチドの標識について特に記載するが、より大きなヌクレオチド断片に対
しても事実上同一の手順が用いられる。オリゴヌクレオチドは、OLIGO 4.06ソフ
トウェア(National Biosciences)等の最新ソフトウェアを用いて設計し、50
pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ-32P]アデノシン3リン酸 (Amersham
Pharmacia Biotech)と、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN, Boston MA
)とを結合することにより標識する。標識したオリゴヌクレオチドは、SEPHADEX
G-25超細繊分子サイズ排除デキストランビードカラム(Amersham Pharmacia Bi
otech)を用いて実質的に精製する。Ase I、Bgl II、Eco RI、Pst I、Xba Iまた
はPvu II(DuPont NEN)のいずれか1つのエンドヌクレアーゼで消化されたヒト
ゲノムDNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において、毎分1
7カウントの標識されたプローブを含むアリコットを用いる。
【0252】 各消化物から得たDNAは、0.7%アガロースゲル上で分画してナイロン膜(Ny
tran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に移す。ハイブリダイゼーショ
ンは、40℃で16時間行う。非特異的シグナルを除去するため、例えば0.1
×クエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸ナトリウムに一致する条
件下で、ブロットを室温で順次洗浄する。オートラジオグラフィーまたはそれに
代わるイメージング手段を用いてハイブリダイゼーションパターンを視覚化し、
比較する。
【0253】 8 マイクロアレイ マイクロアレイの表面上でアレイエレメントの連鎖または合成は、フォトリソ
グラフィ、圧電印刷(インクジェット印刷;前出のBaldeschweiler等を参照)、
機械的マイクロスポッティング技術及びこれらから派生したものを用いて達成す
ることが可能である。上記各技術において基質は、均一且つ非多孔性の固体とす
るべきである(前出のSchena (1999).)。推奨する基質には、シリコン、シリカ
、スライドガラス、ガラスチップ及びシリコンウエハがある。或いは、ドットブ
ロット法またはスロットブロット法に類似のアレイを利用して、熱的、紫外線的
、化学的または機械的結合手順を用いて基質の表面にエレメントを配置及び結合
させてもよい。通常のアレイは、手作業で、または利用可能な方法や機械を用い
て作製でき、任意の適正数のエレメントを有し得る(Schena, M. ら (1995) Sci
ence 270:467-470、Shalon. D. ら (1996) Genome Res. 6:639-645、Marshall,
A. and J. Hodgson (1998) Nat. Biotechnol. 16:27-31.を参照)。
【0254】 完全長cDNA、発現遺伝子配列断片(EST)、またはその断片またはオリゴマー
は、マイクロアレイのエレメントを構成し得る。ハイブリダイゼーションに好適
な断片またはオリゴマーを、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)等の当分野で公
知のソフトウェアを用いて選択することが可能である。アレイエレメントは、生
物学的サンプル中でポリヌクレオチドを用いてハイブリダイズされる。生物学的
サンプル中のポリヌクレオチドは、検出を容易にするために蛍光標識またはその
他の分子タグに接合される。ハイブリダイゼーション後、生物学的サンプルから
ハイブリダイズされていないヌクレオチドを除去し、蛍光スキャナを用いて各ア
レイエレメントにおいてハイブリダイゼーションを検出する。或いは、レーザ脱
着及び質量スペクトロメトリを用いてもハイブリダイゼーションを検出し得る。
マイクロアレイ上のエレメントにハイブリダイズする各ポリヌクレオチドの相補
性の度合及び相対存在度は、算定し得る。一実施例におけるマイクロアレイの調
整及び使用について、以下に詳述する。
【0255】 組織または細胞サンプルの準備 グアニジウムチオシアネート法を用いて組織サンプルから全RNAを単離し、オ
リゴ(dT)セルロース法を用いてポリ(A)+RNAを精製する。各ポリ(A)+RNAサンプル
は、MMLV逆転写酵素、0.05 pg/μlのオリゴ(dT)プライマー(21mer)、1×
第1鎖緩衝液、0.03unit/μlのRNアーゼ阻害因子、500μMのdATP、500
μMのdGTP、500μMのdTTP、40μMのdCTP、40μMのdCTP-Cy3(BDS)また
はdCTP-Cy5(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて逆転写する。逆転写反応は
、GEMBRIGHTキット(Incyte)を用いてポリ(A)+RNA含有の25体積ml内で行う。特
異制御ポリ(A)+RNAは、370℃で2時間インキュベートした後、in vitro転写
により非コード酵母ゲノムDNAから合成する。各反応サンプル(1つはCy3、もう
1つはCy5標識)は、2.5mlの0.5M水酸化ナトリウムで処理し、850℃で2
0分間インキュベートし、反応を停止させてRNAを分解する。サンプルは、2つ
の連続するCHROMA SPIN 30ゲル濾過スピンカラム(CLONTECH Laboratories, Inc
. (CLONTECH), Palo Alto CA)を用いて精製し、結合させた後に、1mlのグリコ
ーゲン(1mg/ml)、60mlの酢酸ナトリウム及び300mlの100%エタノー
ルを用いて両反応サンプルをエタノール沈殿させる。次に、SpeedVAC(Savant I
nstruments Inc., Holbrook NY)を用いてサンプルを乾燥して仕上げ、14μl
の5×SSC/0.2%SDS中で再懸濁する。
【0256】 マイクロアレイの準備 本発明の配列を用いて、アレイエレメントを作成する。各アレイエレメントは
、クローン化cDNAインサートによりベクター含有細菌性細胞から増幅する。PCR
増幅は、cDNAインサートの側面に位置するベクター配列に相補的なプライマーを
用いる。30サイクルのPCRで1〜2ngの初期量から5μgより大きい最終量まで
アレイエレメントを増幅する。増幅したアレイエレメントは、SEPHACRYL-400(A
mersham Pharmacia Biotech)を用いて精製する。
【0257】 精製したアレイエレメントは、ポリマーコートされたスライドガラス上に固定
する。処理中及び処理後に、大量の蒸留水洗液を用いて、0.1%のSDS及びアセ
トン中で、超音波により顕微鏡スライドガラス(Corning)を洗浄する。スライ
ドガラスは、4%フッ化水素酸(VWR Scientific Products Corporation (VWR),
West Chester PA)中でエッチングし、蒸留水中で広範囲にわたって洗浄し、9
5%エタノール中で0.05%アミノプロピルシラン(Sigma)を用いてコーティ
ングする。
【0258】 米国特許第5,807,522号で説明されている方法を用いて、コーティングしたガ
ラス基板にアレイエレメントを付加する。該特許は、引用を以って本明細書の一
部となす。平均濃度が100ng/μlのアレイエレメントDNA1μlを高速ロボット
装置により開口キャピラリープリントエレメントに充填する。装置はここで、ス
ライド毎に約5nlのアレイエレメントサンプルをデポジットする。
【0259】 マイクロアレイには、STRATALINKER UV架橋剤(Stratagene)を用いてUV
架橋する。マイクロアレイは、室温において0.2%SDSで1度洗浄し、蒸留水で
3度洗浄する。リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)(Tropix, Inc., Bedford MA)中の
0.2%カゼイン中において60℃で30分間マイクロアレイをインキュベート
した後、前に行ったように0.2%SDS及び蒸留水で洗浄することにより、非特異
結合部位をブロックする。
【0260】 ハイブリダイゼーション ハイブリダイゼーション反応には、5×SSC,0.2%SDSハイブリダイゼーショ
ン緩衝液中にCy3及びCy5標識したcDNA合成生成物を各0.2μg含む9μlのサン
プル混合液を用いる。サンプル混合液は、65℃まで5分間加熱し、マイクロア
レイ表面上で等分して1.8cm2 のカバーガラスで覆う。アレイは、顕微鏡スラ
イドより僅かに大きいキャビティを有する防水チェンバーに移行させる。チェン
バーのコーナーに140μlの5×SSCを加えることにより、チェンバー内部を湿
度100%に保持する。アレイを含むチェンバーは、60℃で約6.5時間イン
キュベートする。アレイは、第1洗浄緩衝液中(1×SSC,0.1%SDS)において
45℃で10分間洗浄し、第2洗浄緩衝液中(0.1×SSC)において45℃で1
0分間各々3度洗浄して乾燥させる。
【0261】 検出 レポーター標識ハイブリダイゼーション複合体は、Cy3の励起のためには48
8nm、Cy3の励起のためには632nmでスペクトル線を生成し得るInnova 70混合
ガス10Wレーザ(Coherent, Inc., Santa Clara CA)を備えた顕微鏡で検出す
る。20×顕微鏡対物レンズ(Nikon, Inc., Melville NY)を用いて、アレイ上
に励起レーザ光を集中させる。アレイを含むスライドを顕微鏡のコンピュータ制
御X-Yステージに置き、対物レンズを通過してラスタスキャンする。本実施例で
用いた1.8cm×1.8cmのアレイは、20μmの解像度でスキャンした。
【0262】 2つの異なるスキャンのうち、混合ガスマルチラインレーザは2つの蛍光体を
連続的に励起する。放射された光は、2つの蛍光体に応じて波長に基づき2つの
光電子増倍管検出器(PMT R1477, Hamamatsu Photonics Systems, Bridgewater
NJ)に分割される。アレイと光電子増倍管間に設置された好適なフィルタを用い
て、シグナルをフィルタリングする。用いる蛍光体の最大発光は、Cy3では56
5nm、Cy5では650nmである。装置は両蛍光体からのスペクトルを同時に記録
し得るが、レーザ源において好適なフィルタを用いて各アレイを通常2度スキャ
ンし、蛍光体1つにつき1度スキャンする。
【0263】 スキャンの感度は通常、既知濃度のサンプル混合液に添加されたcDNA対照種が
発するシグナル強度を用いて較正する。アレイ上の特定の位置には相補的DNA配
列が含まれ、その位置におけるシグナルの強度をハイブリダイジング種の重量比
1:100,000に相関させる。異なる源からの2つのサンプル(例えば代表的な試験
細胞及び制御細胞)であって各々異なる蛍光体で標識したものを単一のアレイに
ハイブリダイズし、他と異なって発現された遺伝子を同定する場合には、2つの
蛍光体を有する較正cDNAの標識サンプルを標識し、各々等量をハイブリダイゼー
ション混合液に加えて較正を行う。
【0264】 光電子増倍管の出力は、IBMコンパチブルPCコンピュータにインストールされ
た12ビットRTI-835Hアナログ−ディジタル(A/D)変換ボード(Analog Device
s, Inc., Norwood MA)を用いてディジタル化される。ディジタル化されたデー
タは、或るイメージとして表示され、シグナル強度は、リニア20色変換を用い
て、青色(低シグナル)から赤色(高シグナル)までに及ぶ擬似カラー範囲にマ
ッピングされる。データは、定量的にも分析される。2つの異なる蛍光体の励起
及び測定を同時に行う場合には、先ず、各蛍光体の発光スペクトルを用いて両蛍
光体間の(重複発光スペクトルに起因する)光学クロストークにデータを補正す
る。
【0265】 グリッドは蛍光シグナルイメージ上に重ねられ、それによって各スポットから
のシグナルはグリッドの各エレメントに集められる。各エレメント内の蛍光シグ
ナルは統合され、シグナルの平均強度に応じた数値が得られる。シグナル分析に
用いるソフトウェアは、GEMTOOLS遺伝子発現分析プログラム(Incyte)である。
【0266】 9 相補的ポリヌクレオチド PPIMをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的配列は、天然のPP
IMの発現を検出し、低下させ、または阻害するために用いられる。約15〜30
塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、これより小さな或いは
大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる。Oligo4.0
6ソフトウェア(National Biosciences)、及びPPIMをコードする配列を用いて
、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な
5' 配列から相補的オリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーターが
コーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するためには、PPIMをコ
ードする転写物にリボソームが結合しないように相補的オリゴヌクレオチドをデ
ザインする。
【0267】 10 PPIMの発現 PPIMの発現及び精製は、細菌またはウイルスをベースにした発現系を用いて行
うことができる。細菌でPPIMを発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写レ
ベルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクローニ
ングする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節エレメントに関
連するT5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp-lac(tac)ハイブリッ
ドプロモーターが含まれるが、これらに限定するものではない。組換えベクター
を、BL21(DE3)等の好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ細菌
が、イソプロピルβ-Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘導されるとPPIMを発
現する。真核細胞でのPPIMの発現は、一般にバキュロウイルスとして知られてい
Autographica californica核多面性ウイルス(AcMNPV)を昆虫細胞株または哺
乳動物細胞株に感染させて行う。バキュロウイルスの可欠ポリヘドリン遺伝子を
、相同的組換え、或いは転移プラスミドの媒介に関与する細菌媒介遺伝子転移の
どちらかによって、PPIMをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感染力は維持
され、強いポリヘドリンプロモーターによって高いレベルのcDNAの転写が行われ
る。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda(Sf9)昆
虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることもある。後
者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる。(Enge
lhard. E. K.ら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227、Sandig, V
. ら (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.等を参照)。
【0268】 殆どの発現系では、融合タンパク質としてPPIMを合成するのに例えばグルタチ
オンSトランスフェラーゼ(GST)またはペプチドエピトープ標識、例えばFLAGや
6-Hisを用いる。これらを用いることにより、未精製細胞溶解物から組換え融合
タンパク質の親和性ベースの精製を迅速に1ステップで行うことができる。GST
は日本住血吸虫からの26kDaの酵素であり、タンパク質の活性及び抗原性を維持
した状態で、固定化グルタチオン上で融合タンパク質の精製を可能とする(Amer
sham Pharmacia Biotech)。精製後、GSTの部分を特定の開発部位においてPPIM
からタンパク分解的に切断することが可能である。FLAGは8アミノ酸のペプチド
であり、市販されているモノクローナル及びポリクローナル抗FLAG抗体(Eastma
n Kodak)を用いて免疫親和性精製を可能にする。6ヒスチジン残基が連続して
伸長した6-Hisは、金属キレート樹脂(QIAGEN)上での精製を可能にする。タン
パク質の発現及び精製の方法は、前出のAusubel(1995)10章、16章に記載され
ている。これらの方法で精製したPPIMを直接用いて実施例11及び15のアッセ
イを行うことができる。
【0269】 11 PPIM活性の実証 種々の色素生産性分子に結合する好適な合成ペプチド基質の加水分解によりPP
IMのプロテアーゼ活性を測定する。加水分解の程度は、放出された発色団の分光
光度(蛍光定量)吸収により定量する(Beynon, R.J. and J.S. Bond (1994) Pr oteolytic Enzymes: A Practical Approach , Oxford University Press, New Yo
rk NY, pp. 25-55)。ペプチド基質は、プロテアーゼ活性のカテゴリーに従って
、エンドペプチダーゼ(セリン、システイン、アスパラギン酸プロテアーゼ)、
アミノペプチダーゼ(ロイシンアミノペプチダーゼ)またはカルボキシペプチダ
ーゼ(カルボキシペプチダーゼA及びB、プロコラーゲンCプロテイナーゼ)とし
てデザインする。通常用いられる色素原は、2-ナフチルアミン、4-ニトロアニリ
ン及びフリルアクリル酸(furylacrylic acid)である。アッセイは、PPIMのア
リコート及び適切な緩衝液中の好適な基質を用いて外界温度で実行する。光キュ
ベット中で反応を行い、ペプチド基質の加水分解中に放出された色素原の吸光度
の増加/減少を測定する。アッセイにおける吸光度の変化はPPIM活性に比例する
【0270】 12 機能的アッセイ PPIM機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルでのPP
IMをコードする配列の発現によってアッセイする。cDNAを、cDNAを高いレベルで
発現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングする
。選り抜きのベクターには、pCMV SPORTプラスミド(Life Technologies)及びp
CR 3.1プラスミド(Invitrogen)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロ
モーターを有する。リポソーム製剤或いは電気穿孔法を用いて、5〜10μgの
組換えベクターをヒト細胞株、例えば内皮由来または造血由来の細胞株に一時的
に形質移入する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプ
ラスミドを同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入細胞と
非形質移入細胞を区別する手段が与えられる。また、標識タンパク質の発現によ
って、cDNAの組換えベクターからの発現を正確に予想できる。標識タンパク質は
、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、CD64またはCD64-GFP融合タン
パク質から選択できる。自動化された、レーザ光学に基づく技術であるフローサ
イトメトリー(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細
胞を同定し、その細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。FCMは、
細胞死に先行するか或いは同時に発生する現象を診断する蛍光分子の取込を検出
して計量する。このような現象として挙げられるのは、プロピジウムヨウ化物に
よるDNA染色によって計測される核DNA内容物の変化、ブロモデオキシウリジンの
取込量の低下によって計測されるDNA合成の下方調節、特異抗体との反応性によ
って計測される細胞表面及び細胞内におけるタンパンク質の発現の変化、及び蛍
光複合アネキシンVタンパク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜
組成の変化とがある。フローサイトメトリー法については、Ormerod, M. G. (19
94) Flow Cytometry Oxford, New York, NY.に記述がある。
【0271】 遺伝子発現におけるPPIMの影響は、PPIMをコードする配列とCD64またはCD64-G
FPのいずれかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価すること
ができる。CD64またはCD64-GFPは、形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫
グロブリンG(IgG)の保存領域と結合する。形質転換細胞と非形質転換細胞は、
ヒトIgGまたはCD64に対する抗体(DYNAL, Lake Success. NY)で覆われた磁気ビ
ーズを用いて有効に分離することができる。mRNAは、当分野で公知の方法で細胞
から精製することができる。PPIMその他の目的の遺伝子をコードするmRNAの発現
は、ノーザン分析或いはマイクロアレイ技術で分析することができる。
【0272】 13 PPIM特異抗体の産生 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;Harrington, M.G. (1990) Method
s Enzymol. 182:488-495等を参照)または他の精製技術を用いて実質上精製され
たPPIMを用いて、ウサギを免疫化し、標準プロトコルを用いて抗体を産出する。
【0273】 或いは、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いてPPIMアミノ酸配列を解析
し、免疫抗原性の高い領域を決定する。そして対応するオリゴペプチドを合成し
、このオリゴペプチドを用いて当業者によく知られている方法で抗体を生成する
。適切なエピトープ、例えばC末端付近或いは隣接する親水性領域にあるエピト
ープの選択については、当分野で公知である(前出のAusubel, 1995, 11章等を
参照)。
【0274】 通常は、長さ約15残基のオリゴペプチドを、Fmocケミストリを用いるABI 43
1A ペプチドシンセサイザ(PE Biosystems)を用いて合成し、N-マレイミドベン
ゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)を用いた反応によってKLH
(Sigma-Aldrich, St. Louis MO)に結合させて、免疫抗原性を高める(前出のA
usubel, 1995 等を参照)。完全フロイントアジュバントにおいてオリゴペプチ
ド-KLM複合体を用いてウサギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性及
び抗PPIM活性を検査するには、ペプチドまたはPPIMを基質に結合し、1%BSAを
用いてブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素で標
識したヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0275】 14 特異抗体を用いた天然のPPIMの精製 天然または組換えPPIMを、PPIM特異抗体を用いたイムノアフィニティークロマ
トグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティーカラムは、抗PPIM抗
体を活性化クロマトグラフィー用樹脂、例えばCNBr活性化セファロース(Amersh
am Pharmacia Biotech)と共有結合させることにより構築する。結合後に、製造
者の使用説明書に従って樹脂をブロックし、洗浄する。
【0276】 PPIMを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、PPIMを優先的に吸着
する条件下(例えば洗浄剤が存在する高イオン強度緩衝液)でカラムを洗浄する
。抗体とPPIMの結合を破壊する条件(例えばpH2〜3の緩衝液、或いは尿素また
はチオシアン酸塩イオン等の高濃度のカオトロープ剤)でカラムを溶出させ、PP
IMを回収する。
【0277】 15 PPIMと相互作用する分子の同定 PPIMまたは生物学的に活性であるPPIM断片を125Iボルトンハンター試薬で標識
する(Bolton A.E.and W.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529-539等を参照
)。マルチウェルプレートの穴の中に予め配列しておいた候補分子を、標識した
PPIMと共にインキュベートして洗浄し、標識したPPIM複合体を有する任意の穴を
アッセイする。PPIM濃度を変えて得たデータを用いて、候補分子とのPPIMの数、
親和性及び会合の値を計算する。
【0278】 或いは、PPIMと相互作用する分子は、Fields, S. and O. Songの文献(1989,
Nature 340:245-246)に記載されているような酵母2ハイブリッドシステムを用
いて分析するか、またはMATCHMAKERシステム(Clontech)等の2ハイブリッドシ
ステムに基づく市販のキットを用いて分析する。
【0279】 高処理の方法で酵母2ハイブリッドシステムを利用し、遺伝子の2大ライブラ
リにコードされるタンパク質間の全ての相互作用を決定するようなPATHCALLING
プロセス(CuraGen Corp., New Haven CT)にもPPIMを用い得る(Nandabalan, K
. ら (2000) 米国特許第6,057,101号)。
【0280】 当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法
及びシステムの種々の改変を行い得る。本発明について説明するにあたり特定の
好適実施例に関連して説明を行ったが、本発明の範囲が、そのような特定の実施
例に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学ま
たは関連分野の専門家には明らかな、本明細書に記載されている本発明の実施方
法の様々な改変は、特許請求の範囲内にあるものとする。
【0281】 (表の簡単な説明) 表1は、PPIMをコードする完全長の配列をアセンブルするために用いた、ポリ
ペプチド配列及びヌクレオチド配列の配列番号(SEQ ID NO)、クローン識別番
号(クローンID)、cDNAライブラリ及びcDNA断片を示す。
【0282】 表2は、潜在モチーフと、相同配列と、PPIMの解析に用いた方法、アルゴリズ
ム及び検索可能なデータベースとを含む各ポリペプチド配列の特徴を示す。
【0283】 表3は、各核酸配列の選択された断片と、ノーザン分析によって決定された各
核酸配列の組織特異的発現パターンと、これらの組織に関連した疾患、異常症ま
たは症状と、各DNAのクローニング先のベクターとを示す。
【0284】 表4は、cDNAライブラリの作製に用いた組織を示す。PPIMをコードするcDNAク
ローンはここから単離した。
【0285】 表5は、PPIMの分析に用いたツール、プログラム、アルゴリズムを、適用可能
な説明、引用文献及び閾値パラメータと共に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 9/64 Z 4C084 5/10 C12Q 1/02 4H045 9/64 1/37 C12Q 1/02 1/68 A 1/37 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 33/566 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 タング、ワイ・トム アメリカ合衆国カリフォルニア州95118・ サンノゼ・ランウィックコート 4230 (72)発明者 バンドマン、オルガ アメリカ合衆国カリフォルニア州94043・ マウンテンビュー・アンナアベニュー 366 (72)発明者 ボーグン、マライア・アール アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンティアゴロード 14244 (72)発明者 アジムザイ、ヤルダ アメリカ合衆国カリフォルニア州94545・ ヘイワード・ロックスプリングスドライブ 2045 (72)発明者 リュ、デュング・アイナ・エム アメリカ合衆国カリフォルニア州95136・ サンノゼ・パークベルモントプレイス 55 (72)発明者 ヤング、ジュンミング アメリカ合衆国カリフォルニア州95129・ サンノゼ・バークレーン 7125 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 4B024 AA01 AA11 BA14 CA04 CA09 CA20 DA02 DA03 DA06 EA02 EA04 FA02 GA11 GA13 HA03 HA04 HA11 HA13 HA14 4B050 CC01 CC04 CC05 DD11 FF14E LL01 LL03 LL05 4B063 QA01 QA05 QA13 QA17 QQ21 QQ41 QQ43 QQ53 QQ61 QQ79 QQ89 QQ95 QQ99 QR08 QR16 QR24 QR32 QR35 QR40 QR42 QR56 QR58 QR62 QR77 QR80 QR84 QS16 QS25 QS28 QS34 QS36 QX01 QX02 QX10 4B065 AA26X AA58X AA72X AA90X AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 BA05 CA33 CA44 CA46 4C084 AA17 ZC202 4H045 AA11 CA40 DA75 EA20 EA50 FA74 GA26

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)乃至(d)を有する群から選択した実質上単
    離されたポリペプチド。 (a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配
    列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列
    番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27を有す
    る群から選択したアミノ酸配列 (b)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配
    列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列
    番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27を有す
    る群から選択したアミノ酸配列と少なくとも90%が同一であるようなアミノ酸
    配列を有する天然のアミノ酸配列 (c)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配
    列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列
    番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27を有す
    る群から選択したアミノ酸配列を有するアミノ酸配列の生物学的活性断片 (d)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列
    番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、
    配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配
    列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列
    番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27を有す
    る群から選択したアミノ酸配列を有する免疫抗原性断片
  2. 【請求項2】 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列
    番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配
    列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列
    番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番
    号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番
    号27を有する群から選択した請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  4. 【請求項4】 請求項2のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  5. 【請求項5】 配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号3
    1、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36
    、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、
    配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配
    列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列
    番号53及び配列番号54を有する群から選択した請求項4に記載の単離された
    ポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載のポリヌクレオチドに機能的に結合したプ
    ロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の組換えポリヌクレオチドを用いて形質転
    換した細胞。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の組換えポリヌクレオチドを含む遺伝形質
    転換体。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載のポリペプチドを製造する方法であって、 (a)組換えポリヌクレオチドを用いて形質転換した細胞を前記ポリペプチド
    の発現に適した条件下で培養する過程と、 (b)そのように発現した前記ポリペプチドを受容する過程とからなり、 前記組換えポリヌクレオチドが、請求項1に記載の前記ポリペプチドをコード
    するポリヌクレオチドに機能的に結合したプロモーター配列を有することを特徴
    とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載のポリペプチドと特異結合するような単
    離された抗体。
  11. 【請求項11】 以下の(a)乃至(e)を有する群から選択した実質上
    単離されたポリヌクレオチド。 (a)配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号
    32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号3
    7、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号43
    、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、
    配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び
    配列番号54を有する群から選択したポリヌクレオチド配列 (b)配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号
    32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号3
    7、配列番号38、配列番号39、配列番号41、配列番号42、配列番号43
    、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、
    配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53及び
    配列番号54を有する群から選択したポリヌクレオチド配列と少なくとも70%
    が同一であるような天然のポリヌクレオチド配列 (c)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド配列 (d)(b)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド配列 (e)(a)〜(d)のRNA等価物
  12. 【請求項12】 請求項11に記載のポリヌクレオチドの少なくとも60
    の連続したヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 請求項11に記載のポリヌクレオチドの配列を有する標
    的ポリヌクレオチドをサンプル中から検出する方法であって、 (a)前記サンプル中の前記標的ポリヌクレオチドに相補的な配列を有する少
    なくとも20の連続したヌクレオチドを含むプローブを用いて前記サンプルをハ
    イブリダイズする過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体の存在・不存在を検出し、該複合体
    が存在する場合にはオプションでその量を検出する過程からなり、 前記プローブと前記標的ポリヌクレオチドの間でハイブリダイゼーション複合
    体が形成されるような条件下で、前記プローブが前記標的ポリヌクレオチドに特
    異的にハイブリダイズすることを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】 前記プローブが少なくとも60の連続したヌクレオチド
    を含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項11に記載のポリヌクレオチドの配列を有する標
    的ポリヌクレオチドをサンプル中から検出する方法であって、 (a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅を用いて前記標的ポリヌクレオチドまたはそ
    の断片を増幅する過程と、 (b)前記標的ポリヌクレオチドまたはその断片の存在・不存在を検出し、該
    標的ポリヌクレオチドまたはその断片が存在する場合にはオプションでその量を
    検出する過程を含むことを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 有効量の請求項1のポリペプチドと、薬剤として許容で
    きる賦形剤とを有することを特徴とする成分。
  17. 【請求項17】 前記ポリペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番
    号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番
    号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号14、配列番号1
    5、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20
    、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、
    配列番号26及び配列番号27を有する群から選択したアミノ酸配列を含むこと
    を特徴とする請求項16に記載の成分。
  18. 【請求項18】 機能性PPIMの発現低下に関連する疾患又は病状を治療す
    る方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項16に記載の
    成分を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
  19. 【請求項19】 請求項1に記載のポリペプチドのアゴニストとして有効
    性を確認するために化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1に記載のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝す過程と、 (b)前記サンプル中のアゴニスト活性を検出する過程とを含むことを特徴と
    する方法。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の方法によって同定したアゴニスト化
    合物と、薬剤として許容できる賦形剤とを含むことを特徴とする成分。
  21. 【請求項21】 機能性PPIMの発現低下に関連する疾患又は病状を治療す
    る方法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項20に記載の
    成分を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
  22. 【請求項22】 請求項1に記載のポリペプチドのアンタゴニストとして
    有効性を確認するために化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1に記載のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝す過程と、 (b)前記サンプル中のアンタゴニスト活性を検出する過程とを含むことを特
    徴とする方法。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の方法によって同定したアンタゴニス
    ト化合物と、薬剤として許容できる賦形剤とを含むことを特徴とする成分。
  24. 【請求項24】 機能性PPIMの過剰発現に関連する疾患又は病状の治療方
    法であって、そのような治療を必要とする患者に対して請求項23に記載の成分
    を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
  25. 【請求項25】 請求項1に記載のポリペプチドに特異結合する化合物を
    スクリーニングする方法であって、 (a)適切な条件下で請求項1に記載のポリペプチドを少なくとも1つの試験
    化合物に結合させる過程と、 (b)請求項1に記載のポリペプチドの試験化合物との結合を検出し、それに
    よって請求項1に記載のポリペプチドに特異結合する化合物を同定する過程とを
    含むことを特徴とする方法。
  26. 【請求項26】 請求項1に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物
    をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1に記載のポリペプチドの活性が許容された条件下で、請求項1
    に記載のポリペプチドを少なくとも1つの試験化合物に結合させる過程と、 (b)請求項1に記載のポリペプチドの活性を試験化合物の存在下で算定する
    過程と、 (c)試験化合物の存在下での請求項1に記載のポリペプチドの活性を、試験
    化合物の不存在下での請求項1に記載のポリペプチドの活性と比較する過程とを
    含み、 試験化合物の存在下での請求項1に記載のポリペプチドの活性の変化が、請求
    項1に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物を標示することを特徴とする
    方法。
  27. 【請求項27】 請求項5に記載の配列を有する標的ポリヌクレオチドの
    変異発現の有効性を確認するために化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)前記標的ポリヌクレオチドの発現に適した条件下で、該標的ポリヌクレ
    オチドを含むサンプルを化合物に曝す過程と、 (b)前記標的ポリヌクレオチドの変異発現を検出する過程とを含むことを特
    徴とする方法。
  28. 【請求項28】 試験化合物の毒性を算定する方法であって、 (a)核酸を含む生物学的サンプルを前記試験化合物で処理する過程と、 (b)請求項11に記載のポリヌクレオチドの少なくとも20の連続したヌク
    レオチドを含むプローブと、請求項11に記載のポリヌクレオチドまたはその断
    片のポリヌクレオチド配列を有する前記生物学的サンプルの標的ポリヌクレオチ
    ドとの間に、特定のハイブリタイゼーション複合体が形成されるような条件下で
    、前記処理されたサンプルの核酸を前記プローブでハイブリタイズする過程と、 (c)前記ハイブリタイゼーション複合体の量を定量する過程と、 (d)前記処理された生物学的サンプル中の前記ハイブリタイゼーション複合
    体の量を、処理されていない生物学的サンプル中の前記ハイブリタイゼーション
    複合体の量と比較する過程とを含み、 前記処理された生物学的サンプル中の前記ハイブリタイゼーション複合体の量
    の差が、前記試験化合物の毒性を標示することを特徴とする方法。
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