JP2003509053A - プロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼ - Google Patents

プロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、プロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼ(PPHKP)と、PPHKPを同定及びコードするポリヌクレオチドとを提供する。本発明はまた、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、PPHKPの発現に関連する疾患の診断・治療・予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、プロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼの核酸配列及び
アミノ酸配列に関し、また、胃腸疾患、免疫系の疾患、神経疾患、および癌を含
む細胞増殖異常の診断・治療・予防におけるこれらの配列の利用に関する。
【0002】 (発明の背景) キナーゼおよびホスファターゼは細胞内シグナル伝達機構に必須の要素である
。キナーゼは、高エネルギーのリン酸基をアデノシン三リン酸(ATP)から様々
な標的タンパク質のヒドロキシアミノ酸への転移を触媒する。それとは対照的に
、ホスファターゼはタンパク質からリン酸基を除去する。可逆的なタンパク質の
リン酸化は、真核細胞においてタンパク質の活性を調節する主な方法である。一
般に、タンパク質は、ホルモン、神経伝達物質、成長因子、および分化因子など
の細胞外のシグナルに応答してリン酸化され、活性化される。シグナル伝達経路
のダウンレギュレーションが必要な場合に、タンパク質の脱リン酸化が起こる。
キナーゼの活性とホスファターゼの活性との組み合わせによって、細胞増殖、分
化、および細胞周期の進行などの重要な細胞内プロセスが調節されている。
【0003】 プロテインキナーゼ キナーゼは、既知の最も大きな酵素のスーパーファミリーを構成し、標的タン
パク質によって多種多様である。キナーゼは、チロシン残基をリン酸化するプロ
テインチロシンキナーゼ(PTK)と、セリン残基および/またはトレオニン残基
をリン酸化するプロテインセリン/トレオニンキナーゼ(STK)とに分類するこ
とができる。ある種のキナーゼは、セリン/トレオニン残基およびチロシン残基
の両方に対する特異性を有する。殆ど全てのキナーゼが、保存された250〜3
00個のアミノ酸触媒ドメインを含む。このドメインは、11のサブドメインに
分類することができる。N末端サブドメインI−IVは、ATP供与体分子と結合して
それを方向付ける二葉構造(two lobed structure)に折り畳まれ、サブドメイ
ンVは二葉に渡っている。C末端サブドメインVI−IXはタンパク質基質と結合し、
γリン酸をATPからセリン残基、トレオニン残基、またはチロシン残基のヒドロ
キシル基に転移させる。11のサブドメインのそれぞれは、そのサブドメインに
特徴的な特定の触媒残基またはアミノ酸モチーフを含む。例えば、サブドメイン
Iは、アミノ酸8個からなる高グリシンATP結合共通モチーフを含み、サブドメイ
ンIIは最大の触媒活性に極めて重要なリシン残基を含み、サブドメインVI−IXは
高度に保存された触媒中心を含む。STKおよびPTKはまた、ヒドロキシアミノ酸特
異性を与えうるサブドメインVIおよびVIIIにおける固有の配列モチーフを含む。
ある種のSTKおよびPTKは、両方のファミリーの構造的特性を有する。加えて、キ
ナーゼは、キナーゼドメインに隣接した或いはその中にある通常は5〜100個
の残基からなる追加のアミノ酸配列によって分類することができる。これらの追
加のアミノ酸配列が、キナーゼの活性を制御し、基質特異性を決定する(Hardie
, G. and Hanks, S. (1995) The Protein Kinase Facts Book, Vol I: 7-20 Aca
demic Press, San Diego, Caを参照)。
【0004】 セカンドメッセンジャー依存性プロテインキナーゼは主に、例えば、サイクリ
ックAMP(cAMP)、サイクリックGMP、イノシトール三リン酸、ホスファチジルイ
ノシトール、3,4,5-三リン酸、サイクリックADPリボース、アラキドン酸、ジア
シルグリセロール、およびカルシウム-カルモジュリンなどのセカンドメッセン
ジャーの効果を仲介する。サイクリックAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)は
、STKファミリーの重要なメンバーである。サイクリックAMPは、研究を行った哺
乳動物細胞において、ホルモン作用の細胞内メディエータである。ホルモン誘導
性細胞応答には、甲状腺ホルモン分泌、コルチゾール分泌、プロゲステロン分泌
、グリコーゲン分解、骨吸収、および心拍数や心筋収縮力の調節が含まれる。PK
Aは全ての動物細胞に見られ、これらの殆どの細胞におけるサイクリックAMPの効
果を仲介すると考えられている。PKAの発現の変化は、癌、甲状腺疾患、糖尿病
、アテローム性動脈硬化、および心血管疾患を含む様々な疾患や障害に関係する
(Isselbacher, K. J. 他 (1994) Harrison's Principles of Internal Medicin e , McGraw-Hill, New York, NY, pp. 416-431,1887)。
【0005】 カルシウム-カルモジュリン(CaM)依存性プロテインキナーゼはまた、STKフ
ァミリーのメンバーである。カルモジュリンは、標的タンパク質に結合して多く
のカルシウム調節性プロセスを仲介するカルシウム受容体である。これらのプロ
セスにおける主な標的タンパク質は、CaM依存性プロテインキナーゼ(CaMキナー
ゼ)である。CaMキナーゼは、平滑筋の収縮、グリコーゲン分解(ホスホリラー
ゼキナーゼ)、および神経伝達(CaMキナーゼIおよびCaMキナーゼII)の調節に
関与する。CaMキナーゼIは、神経伝達物質関連タンパク質であるシナプシンIお
よびII、遺伝子転写調節因子であるCREB、および嚢胞性線維症コンダクタンス制
御因子(cystic fibrosis conductance regulator)タンパク質であるCFTRを含
む様々な基質をリン酸化する(Haribabu, B. 他 (1995) EMBO Journal 14: 3679
-3686)。CaMキナーゼIIはまた、様々な部位でシナプシンをリン酸化し、チロシ
ンヒドロキシラーゼのリン酸化および活性化によって脳におけるカテコールアミ
ンの合成を調節する。多くのCaMキナーゼは、CaMのみならずリン酸化によっても
活性化される。例えば、CaMキナーゼは、それ自体が自己リン酸化したり、キナ
ーゼカスケードの一部として他のキナーゼによってリン酸化されたりしうる。カ
ルモジュリン結合プロテインキナーゼ様タンパク質をコードするmRNAが、哺乳動
物の前脳に多量に存在する。このタンパク質は、軸索および樹状突起における両
方の小胞に関連し、生後多量に蓄積される。このタンパク質のアミノ酸配列はCa
M依存性STKに類似しており、このタンパク質はカルシウムの存在下でカルモジュ
リンと結合する(Godbout, M. 他 (1994) J. Neurosci. 14: 1-13)。
【0006】 分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAP)は、細胞内のシグナル伝達を
調節する別のSTKファミリーである。MAPキナーゼは、リン酸化カスケードによる
細胞表面から核へのシグナル伝達を仲介する。幾つかの亜集団が同定され、それ
ぞれは明らかに異なる基質特異性を有し、特定の細胞外刺激に応答する(Egan,
S. E. and Weinberg, R. A. (1993) Nature 365: 781-783)。MAPキナーゼシグ
ナル伝達経路は、酵母はもちろん哺乳動物にも存在する。MAPキナーゼ経路を活
性化する細胞外刺激には、上皮成長因子(EGF)、紫外線、高浸透圧媒体、熱シ
ョック、内毒素性リポ多糖(LPS)、および腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイ
キン1(IL-1)などの炎症誘発性サイトカインが含まれる。MAPキナーゼの発現の
変化は、癌、炎症、免疫異常、および成長や発達に影響を及ぼす障害を含む様々
な疾患や障害に関係する。
【0007】 PTKは、膜貫通型受容体PTKと非膜貫通型非受容体PTKに分類することができる
。膜貫通型PTKは殆どの成長因子の受容体である。成長因子が受容体に結合する
ことによって、ATPから受容体及びその他の細胞内シグナル伝達タンパク質の選
択された細胞内チロシン側鎖へのリン酸基の転移を活性化する。受容体PTKに結
合する成長因子(GF)には、上皮成成長因子、血小板由来成長因子、線維芽細胞
成長因子、肝細胞成長因子、インスリンおよびインスリン様成長因子、神経成長
因子、血管内皮成長因子、マクロファージコロニー刺激因子が含まれる。非受容
体PTKは膜貫通領域を含まないが、その代わりに細胞表面受容体の細胞内領域と
複合体を形成する。非受容体PTKを介して機能する受容体には、サイトカインや
ホルモン(成長ホルモンおよびプロラクチン)の受容体、並びにTリンパ球上お
よびBリンパ球上の抗原特異的受容体が含まれる。
【0008】 多くのPTKは、活性化が正常な細胞制御の影響を受けないようになった癌細胞
の突然変異発癌遺伝子産物として初めに同定された。実際、既知の発現遺伝子の
約1/3がPTKをコードし、細胞の形質転換(発癌)にはチロシンリン酸化活性
の上昇を伴う場合が多いことが知られている(Charbonneau H. and Tonks N. K.
(1992) Annu Rev Cell Biol 8: 463-493)。従って、PTK活性を調節することが
、ある種の癌の抑制に重要な手段であると思われる。
【0009】 プロテインホスファターゼ ホスファターゼは、選択されるホスホアミノ酸基質に基づいたチロシン特異性
或いはセリン/トレオニン特異性の何れかによって特徴付けられる。しかしなが
ら、ある種のリン酸はホスホチロシン残基およびホスホセリン/トレオニン残基
の両方に対して特異性を有する。多くのセリン/トレオニン特異的ホスファター
ゼ(STP)は、生化学的に精製され詳細に特徴付けられた。STPは一般に、2つ以
上のサブユニットからなり、広範かつ重複するタンパク質基質特異性を有する。
STPはサイトゾル、核、ミトコンドリアに存在し、細胞骨格構造および膜構造に
関連する。ある種のPTKは、活性化のためにCa2+やMn2+などの二価の陽イオンが
要である。STPは、グリコーゲン代謝、筋収縮、タンパク質合成、卵成熟、およ
び肝代謝において重要な役割を果たしている(Cohen, P. (1989) Annu. Rev. Bi
ochem. 58: 453-508を参照)。
【0010】 プロテインホスファターゼ2A(PP2A)は、主に哺乳動物組織から精製され、十
分に特徴付けられたSTPである。三量体PP2Aホロ酵素は、ウサギ骨格筋から精製
された(Hendrix, P. 他 (1993) J. Biol. Chem. 268: 15267-15276)。PP2Aホ
ロ酵素の活性は、ポリカチオン巨大分子によって刺激される。PP2Aホロ酵素は、
36kDaの単一の触媒サブドメインと65kDaおよび72kDaの2つの調節サブユニット
とからなる。調節サブユニットは、基質特異性、酵素活性、およびホロ酵素の細
胞内局在化を決定していると思われる。特に、72kDaのサブユニット(PR72)は
、ポリカチオンの刺激効果を増大させ、カゼインキナーゼIおよびIIによってリ
ン酸化される。ヒトPR72をコードするcDNAがクローニングされ、PR72遺伝子転写
物が骨格筋および心臓においてのみ検出された。このことは、PR72がPP2Aホロ酵
素に組織特異性を与えたことを示唆するものである。55kDaの調節サブユニット
もまた、ウサギ骨格筋からの三量体型のプロテインホスファターゼ2Aから精製さ
れた。このPR55サブユニットは、αとβの2つの遺伝子によってコードされるこ
とが分かった。ヒトPR55とウサギPR55のアミノ酸配列の比較によって、高度に保
存されていることが分かった。ヒトPR55のβアイソフォームが神経芽細胞腫由来
細胞系において高いレベルで検出され、その他のヒト細胞系では極めて低いレベ
ルで検出された。このことは、このアイソフォームが神経特異的であることを示
唆するものである(Mayer, R. E. 他 (1991) Biochemistry 30: 3589-3597)。
【0011】 STPとは対照的に、チロシン特異的ホスファターゼ(YP)は、一般に単量体タ
ンパク質であって細胞膜を通過するシグナル伝達において主に機能する。YPは、
膜貫通型受容体様タンパク質或いは可溶性非膜貫通型タンパク質の何れかに分類
される。それぞれのYPは、活性部位を含む約250個のアミノ酸の保存された触
媒ドメインを有する。活性部位コンセンサス配列は、ホスファターゼ活性に必須
のシステイン残基を含む13個のアミノ酸からなる。YPはリンパ球の活性化およ
び細胞接着において重要な役割を果たす。さらに、少なくとも8種類のYPをコー
ドする遺伝子が、染色体領域にマッピングされた。この染色体領域は、リンパ腫
、白血病、小細胞肺癌、腺癌、および神経芽細胞腫を含む様々な腫瘍条件で転座
即ち再編されている(Charbonneau, H. and Tonks, N.K. (1992) Annu. Rev. Ce
ll Biol. 8: 463-493を参照)。
【0012】 新規のプロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼ、並びにそれらをコ
ードするポリヌクレオチドの発見によって、胃腸疾患、免疫系の疾患、神経疾患
、および癌を含む細胞増殖異常の診断・治療・予防において有用な新規の組成物
を提供することができるようになり、当分野におけるニーズが満たされる。
【0013】 (発明の要約) 本発明は、総称して「PPHKP」、個別にはそれぞれ「PPHKP-1」、「PPHKP-2」
、「PPHKP-3」、「PPHKP-4」、「PPHKP-5」、「PPHKP-6」、「PPHKP-7」、「PPH
KP-8」、「PPHKP-9」、「PPHKP-10」、および「PPHKP-11」と呼ぶプロテインホ
スファターゼ及びプロテインキナーゼである精製されたポリペプチドを提供する
。本発明の一実施態様では、(a)SEQ ID NO:1乃至11(SEQ ID NO:1−11)から
なる一群から選択されたアミノ酸配列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群か
ら選択されたアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配
列と、(c)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学
的に活性な断片と、(d)SEQ ID NO:1−11とからなる一群から選択されたアミノ
酸配列の免疫原性断片とで構成される一群から選択されたアミノ酸配列を含む単
離されたポリペプチドを提供する。別法では、SEQ ID NO:1−11のアミノ酸配列
を含む単離されたポリペプチドを提供する。
【0014】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID NO
:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成される
一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離されたポ
リヌクレオチドを提供する。別法では、このポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1
−11からなる一群から選択されたポリペプチドをコードする。別法では、このポ
リヌクレオチドは、SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択される。
【0015】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドと機能的に結合されたプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチドを
提供する。別法では、本発明は、この組換えポリヌクレオチドで形質転換された
細胞を提供する。更なる別法では、本発明は、この組換えポリヌクレオチドを含
む遺伝子組換え生物を提供する。
【0016】 また、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成さ
れる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの生産方法を提供する
。この方法は、(a)このポリペプチドの発現に好適な条件下で、このポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドと機能的に結合されたプロモーター配列を含
む組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養するステップと、(b)
このように発現したポリペプチドを回収するステップとを含む。
【0017】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成さ
れる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する単
離された抗体を提供する。
【0018】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌ
クレオチド配列と、(b)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌ
クレオチド配列と90%以上の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列
と、(c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(d)前記(b)に相補
的なポリヌクレオチド配列と、(e)前記(a)乃至(d)のRNA等化物とで構成さ
れる一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチ
ドを提供する。別法では、このポリヌクレオチドは、少なくとも60個の連続す
るヌクレオチドを含む。
【0019】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列と、(b)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列と90%以上の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と
、(c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(d)前記(b)に相補的
なポリヌクレオチド配列と、(e)前記(a)乃至(d)のRNA等化物とで構成され
る一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を有す
る標的ポリヌクレオチドをサンプルにおいて検出する方法を提供する。この方法
は、(a)前記サンプル内の標的ポリヌクレオチドと相補的な配列を構成する少
なくとも20個の連続するヌクレオチドを含むプローブと前記サンプルをハイブ
リダイズさせるステップであって、前記プローブと前記標的ポリヌクレオチドま
たはその断片とでハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で、前記プ
ローブが前記標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする、該ステップ
と、(b)前記ハイブリダイゼーション複合体の存在するか否かを検出し、存在
する場合には随意選択でその収量を測定するステップとを含む。別法では、前記
プローブは、少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含む。
【0020】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列と、(b)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌク
レオチド配列と90%以上の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と
、(c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(d)前記(b)に相補的
なポリヌクレオチド配列と、(e)前記(a)乃至(d)のRNA等化物とで構成され
る一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を有す
る標的ポリヌクレオチドをサンプルにおいて検出する方法を提供する。この方法
は、(a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅を用いて、前記標的ポリヌクレオチドまた
はその断片を増幅するステップと、(b)増幅された前記標的ポリヌクレオチド
またはその断片が存在するか否かを検出し、存在する場合には随意選択でその収
量を測定するステップとを含む。
【0021】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID NO
:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含む効果的な量のポリペプチド及び好適な
医薬用賦形剤を含む組成物を提供する。一実施例では、SEQ ID NO:1−11からな
る一群から選択されたアミノ酸配列を含む組成物を提供する。更に、本発明は、
患者にこの組成物を投与することを含む、機能的PPHKPの発現の低下に関連した
疾患やその症状の治療方法を提供する。
【0022】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID NO
:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのアゴニストとして効果
的な化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、(a)このポリ
ペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと、(b)このサンプルの
アゴニスト活性を検出するステップとを含む。別法では、本発明は、この方法に
よって同定されたアゴニスト化合物と好適な医薬用賦形剤とを含む組成物を提供
する。更なる別法では、本発明は、この組成物の患者への投与を含む、機能的PP
HKPの発現の低下に関連した疾患やその症状の治療方法を提供する。
【0023】 更に、本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸
配列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90
%以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11から
なる一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID
NO:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成さ
れる一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドのアンタゴニストとし
て効果的な化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、(a)こ
のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと、(b)このサン
プルのアンタゴニスト活性を検出するステップとを含む。別法では、本発明は、
この方法によって同定されたアンタゴニスト化合物と好適な医薬用賦形剤とを含
む組成物を提供する。更なる別法では、本発明は、この組成物の患者への投与を
含む、機能的PPHKPの過剰な発現に関連した疾患やその症状の治療方法を提供す
る。
【0024】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID NO
:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する化合
物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、(a)このポリペプチド
を好適な条件下で少なくとも1つの化合物と結合させるステップと、(b)この
ポリペプチドとこの試験化合物との結合を検出して、このポリペプチドと特異的
に結合する化合物を同定するステップとを含む。
【0025】 更に本発明は、(a)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配
列と、(b)SEQ ID NO:1−11からなる一群から選択されたアミノ酸配列と90%
以上の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、(c)SEQ ID NO:1−11からな
る一群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に活性な断片と、(d)SEQ ID NO
:1−11とからなる一群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断片とで構成され
る一群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの活性を調節する化合物
をスクリーニングする方法を提供する。このスクリーニング方法は、(a)この
ポリペプチドを、その活性が許容される条件下で少なくとも1つの化合物と結合
させるステップと、b)この試験化合物の存在下でのこのポリペプチドの活性を
評価するステップと、(c)この試験化合物の存在下でのこのポリペプチドの活
性と、この試験化合物の不在下でのこのポリペプチドの活性とを比較するステッ
プとを含み、この試験化合物の存在下でのこのポリペプチドの活性の変化が、こ
のポリペプチドの活性を調節する化合物の存在を示唆するという特徴を有する。
【0026】 更に本発明は、SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択された配列を含む標的
ポリヌクレオチドの発現を変化させるのに効果的な化合物をスクリーニングする
方法であって、(a)この標的ポリヌクレオチドを含むサンプルを化合物に曝露
するステップと、(b)この標的ポリヌクレオチドの発現の変化を検出するステ
ップとを含む、該スクリーニング方法を提供する。
【0027】 本発明はさらに、試験化合物の毒性を評価する方法を提供する。この方法は、
(a)核酸を含む生体サンプルを前記試験化合物で処置するステップと、(b)
処置した前記生体サンプルの核酸をプローブとハイブリダイズするステップと、
(c)ハイブリダイゼーション複合体の収量を測定するステップと、(d)前記
処置した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量を、未処置
の生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量とを比較するステ
ップとを含み、前記処置した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合
体の収量の差異が試験化合物の毒性を示唆する。この方法における前記プローブ
は、(1)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列
と、(2)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌクレオチド配列
と少なくとも90%の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、(3
)前記(1)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(4)前記(2)に相補的な
ポリヌクレオチド配列と、(5)前記(1)乃至(4)のRNA等価物とで構成さ
れる一群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの連続す
る少なくとも20個のヌクレオチドを含む。また、前記ハイブリダイゼーション
は、前記プローブと前記生体サンプルの標的ポリヌクレオチドとの間で特異的な
ハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で行わる。また、前記標的ポ
リヌクレオチドが、(1)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌ
クレオチド配列と、(2)SEQ ID NO:12−22からなる一群から選択されたポリヌ
クレオチド配列と少なくとも90%の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチ
ド配列と、(3)前記(1)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(4)前記(
2)に相補的なポリヌクレオチド配列と、(5)前記(1)乃至(5)のRNA等
価物とを含む。代替的に前記標的ポリヌクレオチドは前記ポリヌクレオチド配列
の断片である。
【0028】 (本発明の記載について) 本発明のタンパク質及び核酸配列、方法について説明する前に、本発明は、こ
こに開示した特定の装置及び材料、方法に限定されず、その実施形態を変更でき
ることを理解されたい。また、ここで用いられる用語は、特定の実施例のみを説
明する目的で用いられたものであり、後述の請求の範囲によってのみ限定され、
本発明の範囲を限定することを意図したものではないということも理解されたい
【0029】 本明細書及び請求の範囲において単数形を表す「或る」、「その(この等)」
は、文脈で明確に示していない場合は複数形を含むことに注意されたい。従って
、例えば「或る宿主細胞」は複数の宿主細胞を含み、その「抗体」は複数の抗体
は含まれ、当業者には周知の等価物なども含まれる。
【0030】 本明細書で用いた全ての科学技術用語は、別の方法で定義されていない限り、
本発明の属する技術分野の一般的な技術者が普通に解釈する意味と同じである。
本明細書で記述したものと類似、或いは同等の全ての装置及び材料、方法は本発
明の実施及びテストに使用できるが、好適な装置及び材料、方法をここに記す。
本明細書に記載の全ての文献は、本発明に関連して使用する可能性のある文献に
記載された細胞系、プロトコル、試薬、ベクターを記述し開示するために引用し
た。従来の発明を引用したからと言って、本発明の新規性が損なわれると解釈さ
れるものではない。
【0031】 (定義) 用語「PPHKP」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての種(特にウ
シ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ及びヒトを含む哺乳動物)から得られる実質的
に精製されたPPHKPのアミノ酸配列を指す。
【0032】 用語「アゴニスト」は、PPHKPの生物学的活性を強化したり、模倣する分子を
指す。このアゴニストは、PPHKPに直接相互作用するか、或いはPPHKPが関与する
生物学的経路の成分と作用して、PPHKPの活性を調節するタンパク質、核酸、糖
質、小分子、任意の他の化合物や組成物を含み得る。
【0033】 用語「アレル変異配列」は、PPHKPをコードする遺伝子の別の形を指す。アレ
ル変異配列は、核酸配列における少なくとも1つの変異によって生じ、変異mRNA
若しくは変異ポリペプチドになり、これらの構造や機能は変わる場合もあれば変
わらない場合もある。ある遺伝子は、天然型のアレル変異配列が存在しないもの
、1つ或いは多数存在するものがある。一般にアレル変異配列を生じる変異は、
ヌクレオチドの自然な欠失、付加、或いは置換による。これらの各変異は、単独
或いは他の変異と同時に起こり、所定の配列内で一回或いはそれ以上生じる。
【0034】 PPHKPをコードする「変異」核酸配列は、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、
或いは置換が起こっても、PPHKPと同じポリペプチド或いはPPHKPの機能特性の少
なくとも1つを備えるポリペプチドを指す。この定義には、PPHKPをコードする
ポリヌクレオチド配列の正常な染色体の遺伝子座ではない位置でのアレル変異配
列との不適当或いは予期しないハイブリダイゼーション、並びにPPHKPをコード
するポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出
可能な或いは検出困難な多形性を含む。コードされたタンパク質も変異され得り
、サイレント変化を生じPPHKPと機能的に等価となるアミノ酸残基の欠失、挿入
、或いは置換を含み得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的に
PPHKPの活性が保持される範囲で、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性
、及び/または両親媒性についての類似性に基づいて成され得る。例えば、負に
荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電した
アミノ酸にはリシン及びアルギニンが含まれ得る。類似の親水性の値をもち極性
非荷電側鎖を有するアミノ酸には、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオ
ニンが含まれ得る。類似の親水性の値をもち非荷電側鎖を有するアミノ酸には、
ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン及び
チロシンが含まれ得る。
【0035】 用語「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリ
ペプチド、タンパク質配列、或いはそれらの任意の断片を指し、天然の分子及び
合成分子を含む。「アミノ酸配列」が天然のタンパク質分子の配列を指す場合、
「アミノ酸配列」及び類似の用語は、アミノ酸配列を記載したタンパク質分子に
関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定するものではない。
【0036】 用語「増幅」は、核酸配列の複製物を作製することに関連する。一般に増幅は
、この技術分野で周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術によって行われる。
【0037】 用語「アンタゴニスト」は、PPHKPの生物学的活性を阻害或いは減弱する分子
である。アンタゴニストは、PPHKPに直接相互作用するか、或いはPPHKPが関与す
る生物学的経路の成分と作用して、PPHKPの活性を調節する抗体、核酸、糖質、
小分子、任意の他の化合物や組成物などのタンパク質を含み得る。
【0038】 用語「抗体」は、抗原決定基と結合可能なFab及びF(ab')2、及びそれらの断片
、Fv断片などの無傷の分子を指す。PPHKPポリペプチドと結合する抗体は、抗体
を免疫する小ペプチドを含む無傷の分子またはその断片を用いて産生可能である
。動物(例えば、マウス、ラット、若しくはウサギ)を免疫化するのに使用され
るポリペプチド或いはオリゴペプチドは、RNAの翻訳から、或いは化学的に合成
可能であり、必要に応じて担体タンパク質と結合させることも可能である。ペプ
チドと化学的に結合した一般に用いられる担体は、ウシ血清アルブミン、チログ
ロブリン、及びキーホールリンペットヘモニアン(KLH)を含む。次ぎに、この
結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0039】 用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の領域(即ちエピトープ)
を指す。タンパク質或いはタンパク質の断片が、宿主動物を免疫化するのに用い
られるとき、このタンパク質の種々の領域は、抗原決定基(タンパク質上の特定
の領域或いは三次元構造体)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。抗原
決定基は、抗体と結合するために無傷の抗原(即ち、免疫応答を引き出すために
用いられる免疫原)と競合し得る。
【0040】 本明細書において「アンチセンス」は、特定の核酸配列のセンス(コーディン
グ)鎖と塩基対を形成し得る任意の組成物を指す。アンチセンス成分には、DNA
と、RNAと、ペプチド核酸(PNA)と、ホスホロチオネートやメチルホスホネート
、ベンジルホスホネート(benzylphosphonate)などの修飾された骨格(backbon
e linkage)を有するオリゴヌクレオチドと、2'-メトキシエチル糖または2'-メ
トキシエトキシ糖などの修飾された糖を有するオリゴヌクレオチドと、5-メチル
シトシンまたは2'-deoxyuracil、7-deaza-2'-deoxyguanosineなどの修飾された
塩基を有するオリゴヌクレオチドを含み得る。アンチセンス分子は、化学合成や
転写を含む任意の方法で作り出すことができる。相補的アンチセンス分子は、一
度細胞に導入されると、細胞によって作られた天然の核酸配列と塩基対となって
二重鎖を形成し、転写や翻訳を阻害する。「負」または「マイナス」という表現
はアンチセンス鎖であり、「正」または「プラス」という表現はセンス鎖である
【0041】 用語「生物学的に活性」は、天然分子の構造的、調節的、或いは生化学的な機
能を有するタンパク質を指す。同様に、用語「免疫学的に活性」または「免疫原
性」は、天然或いは組換え体のPPHKP、合成のPPHKPまたはそれらの任意のオリゴ
ペプチドが、適当な動物或いは細胞の特定の免疫応答を誘発して特定の抗体と結
合する能力を指す。
【0042】 用語「相補的」は、塩基対合によってアニールする2つの一本鎖核酸配列間の
関係を指す。例えば、配列「5'AGT3'」が相補的な配列「3'TCA5'」と
対をなす。
【0043】 「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定のアミノ酸配列を
含む組成物」は広い意味で、所定のヌクレオチド配列若しくはアミノ酸配列を含
む任意の組成物を指す。この組成物は、乾燥した製剤或いは水溶液を含み得る。
PPHKP若しくはPPHKPの断片をコードするポリヌクレオチド配列を含む組成物は、
ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。このプローブは、凍結乾
燥状態で保存可能であり、糖質などの安定化剤と結合させることが可能である。
ハイブリダイゼーションにおいて、プローブは、塩(例えば、NaCl)及び界面活
性剤(例えば、SDS:ドデシル硫酸ナトリウム)、その他の物質(例えば、デン
ハート液、乾燥ミルク、サケ精子DNAなど)を含む水溶液に展開され得る。
【0044】 「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するためにDNA配列の解析を繰り
返し行い、XL-PCRキット(PE Biosystems,Foster City CA)を用いて5'及び/
または3'の方向に伸長され、再度シークエンシングされた核酸配列、またはGEL
VIEW 断片構築システム(GCG, Madison, WI)またはPhrap (University of Wash
ington, Seattle WA)等の断片構築用のコンピュータプログラムを用いて1つ或
いはそれ以上の重複するcDNAやEST、またはゲノムDNA断片から構築された核酸配
列を指す。伸長及び重複の両方によって構築されるコンセンサス配列もある。
【0045】 用語「保存的なアミノ酸置換」は、元のタンパク質の特性を殆ど変えない置換
を指す。即ち、置換によってそのタンパク質の構造や機能が大きくは変わらず、
そのタンパク質の構造、特にその機能が保存される。以下に、あるタンパク質の
元のアミノ酸が別のアミノ酸に置換される保存的なアミノ酸置換を示す。 元の残基 保存的な置換 Ala Gly, Set Arg His, Lys Asn Asp, Gln, His Asp Asn, Glu Cys Ala, Ser Gln Asn, Glu, His Glu Asp, Gln, His Gly Ala His Asn, Arg, Gln, Glu Ile Leu, Val Leu Ile, Val Lys Arg, Gln, Glu Met Leu, Ile Phe His, Met, Leu, Trp, Tyr Ser Cys, Thr Thr Ser, Val Trp Phe, Tyr Tyr His, Phe, Trp Val Ile. Leu, Thr 一般に、保存されたアミノ酸置換の場合は、a)置換された領域のポリペプチ
ドの骨格構造、例えば、βシートやαヘリックス高次構造、b)置換された部位
の分子の電荷または疎水性、及び/または、c)側鎖の大半が維持される。
【0046】 用語「欠失」は、1個以上のアミノ酸残基が欠如するアミノ酸配列の変化、或
いは1個以上のヌクレオチドが欠如する核酸配列の変化を指す。
【0047】 用語「誘導体」は、化学修飾されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指
す。ポリヌクレオチド配列の化学修飾には、例えば、アルキル基、アシル基、ヒ
ドロキシル基、或いはアミノ基による水素の置換がある。誘導体ポリヌクレオチ
ドは、自然分子(未修飾の分子)の生物学的或いは免疫学的機能の少なくとも1
つを維持するポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドとは、もとのポリ
ペプチドの生物学的機能、或いは免疫学的機能の少なくとも1つを維持する、グ
リコシル化、ポリエチレングリコール化、或いは任意の同様のプロセスによって
修飾されたポリペプチドのことである。
【0048】 「検出可能な標識」は、測定可能な信号を生成し得る、ポリヌクレオチドやポ
リペプチドに共有結合或いは非共有結合するレポーター分子や酵素を指す。
【0049】 用語「断片」は、PPHKPまたはPPHKPをコードするポリヌクレオチドの固有の部
分であって、その親配列(parent sequence)と同一であるがその配列より長さ
が短いものを指す。「断片」の最大の長さは、親配列から1つのヌクレオチド/
アミノ酸残基を差し引いた長さである。例えば、ある断片は、5〜1000個の
連続するヌクレオチド或いはアミノ酸残基を含む。プローブ、プライマー、抗原
、治療用分子、またはその他の目的に用いる断片は、少なくとも5、10、15
、16、20、25、30、40、50、60、75、100、150、250
若しくは500個の連続するヌクレオチド或いはアミノ酸残基の長さである。断
片は、優先的に分子の特定の領域から選択される場合もある。例えば、ポリペプ
チド断片は、所定の配列に示された最初の250若しくは500のアミノ酸(或
いは、ポリペプチドの最初の25%または50%)から選択された連続するアミ
ノ酸の所定の長さを含み得る。これらの長さは一例であり、配列表及び表、図面
を含む明細書に記載の任意の長さが、本発明の実施例に含まれ得る。
【0050】 SEQ ID NO:12−22の断片は、例えば、この断片を得たゲノム内の他の配列とは
異なる、SEQ ID NO:12−22を明確に同定する固有のポリヌクレオチド配列の領域
を含む。SEQ ID NO:12−22のある断片は、例えば、ハイブリダイゼーションや増
幅技術、またはSEQ ID NO:12−22を関連ポリヌクレオチド配列から区別する類似
の方法に有用である。ある断片と一致するSEQ ID NO:12−22の正確な断片の長さ
や領域は、その断片の目的に基づいて当分野で一般的な技術によって日常的に測
定できる。
【0051】 「完全長」ポリヌクレオチド配列とは、少なくとも1つの翻訳開始コドン(例
えばメチオニン)、それに続くオープンリーディングフレーム及び翻訳終止コド
ンを有する配列である。「完全長」ポリヌクレオチド配列は、「完全長」ポリペ
プチド配列をコードする。
【0052】 「相同性」は、2つ以上のポリヌクレオチド配列間または2つ以上のポリペプ
チド配列間の配列類似性である。この配列類似性は配列同一性と言い換えること
ができる。
【0053】 SEQ ID NO:1−11のある断片は、SEQ ID NO:12−22のある断片によってコード
される。SEQ ID NO:1−11のある断片は、特異的にSEQ ID NO:1−11を同定する固
有のアミノ酸配列の領域を含む。例えば、SEQ ID NO:1−11のある断片は、特異
的にSEQ ID NO:1−11を認識する抗体の作製用の免疫原性ペプチドとして有用で
ある。ある断片と一致するSEQ ID NO:1−11の正確な断片の長さや領域は、その
断片の目的に基づいて当分野で一般的な技術によって日常的に測定できる。
【0054】 用語「類似性」は相補性の程度を表す。これには、部分的類似性と完全な類似
性とがある。用語「同一性」を「類似性」とも言える。同一の配列と標的の核酸
とのハイブリダイゼーションが少なくとも部分的に阻止される部分的に相補的な
配列は、「実質的に類似」と呼ばれる。完全に相補的な配列と標的の配列とのハ
イブリダイゼーションの阻止は、緩いストリンジェントな条件の下、ハイブリダ
イゼーションアッセイ(サザンブロッティング或いはノーザンブロッティング法
、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて検査される。実質的に類似の配列或
いはハイブリダイゼーションプローブは、緩いストリンジェントな条件の下、完
全に類似(同一)の配列と標的の配列との結合に対して競合して抑制する。これ
は、緩いストリンジェントな条件下では非特異的な結合が許容されるということ
ではなく、緩いストリンジェントな条件では、2つの配列の互いへの結合が特異
的(即ち、選択的)に相互作用しなけらばならい。部分的な相補性ともいえない
(例えば、30%未満の類似性或いは同一性)第2の標的配列を用いて、非特異
的結合が存在しないことの検査が可能である。非特異的結合が存在しない場合は
、実質的に類似配列或いはプローブが第2の非相補的標的配列とハイブリダイズ
しない。
【0055】 ポリヌクレオチド配列についての用語「パーセントの同一性」又は「%の同一
性」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる、2つ以上
のポリヌクレオチド配列間の一致する残基の百分率のことである。このようなア
ルゴリズムは、標準化され再現できる方法で、2つの配列間のアラインメントを
最適化するべく、配列にギャップを挿入して、より意味をもつ2つの配列間の比
較を行うことができる。
【0056】 ポリヌクレオチド配列間の同一性のパーセントは、MEGALIGN version 3.12e配
列アラインメントプログラムに組込まれるCLUSTAL Vアルゴリズムのデフォルト
パラメータを用いて決定可能である。このプログラムはLASERGENEソフトウェア
パッケージの一部であり、分子生物学分析プログラム一式(DNASTAR, Madison W
I)である。このCLUSTAL Vは、Higgins, D.G. 及び P.M. Sharp (1989) CABIOS
5:151-153、Higgins, D.G. 他 (1992) CABIOS 8:189-191に記載されている。ポ
リヌクレオチド配列の対のアライメントの場合、デフォルトパラメーターは、Kt
uple=2、gap penalty=5、window=4、「diagonals saved」=4と設定する。「重み
付けされた」残基重み付け表が、デフォルトとして選択された。同一性のパーセ
ントは、アラインメントされたポリヌクレオチド配列間の「類似性のパーセント
」としてCLUSTAL Vによって報告される。
【0057】 別法では、一般に用いられ、無料で入手可能な配列比較アルゴリズム一式が、
NCBI、Bethesda、MD、及びインターネット(http://WWW.ncbi.nlm.nih.gov/BLAS
T/)などから入手できるNational Center for Biotechnology Information (NCB
I) Basic Local Alignment Search Tool (BLAST) (Altschul, S.F. 他 (1990) J
. Mol. Biol. 215:403-410)によって得られる。このBLASTソフトウェア一式には
、既知のポリヌクレオチド配列と様々なデータベースの別のポリヌクレオチド配
列とのアラインメントに用いられる「blastn」を含む、様々な配列分析プログラ
ムが含まれる。「BLAST 2 Sequences」と呼ばれるツールが入手可能であり、2
つのヌクレオチド配列の対を直接比較するために用いられる。「BLAST 2 Sequen
ces」は、http://WWW.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/b12.htmlにアクセスして、対話形
式で利用ができる。「BLAST 2 Sequences」ツールは、blastn 及び blastp(以
下に記載)の両方に用いることができる。BLASTプログラムは、一般的には、デ
フォルトを設定するギャップ及び他のパラメーターと共に用いられる。例えば、
2つのヌクレオチド配列を比較する場合、ある者は、デフォルトパラメータに設
定された「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12 (April-21-2000)でblast
nを使用するであろう。そのようなデフォルトパラメータは、例えば、以下のよ
うにする。
【0058】 Matrix: BLOSUM62 Reward for match: 1 Penalty for mismatch: -2 Open Gap: 5 及び Extension Gap: 2 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 11 Filter: on 同一性のパーセントは、例えば、特定の配列番号で決められた、所定の配列の
全長に対して測定してもよいし、それより短い長さに対して、例えば、ある大き
な所定の配列から得られた断片、例えば、連続する少なくとも、20または30
、40、50、70、100、200のヌクレオチドの断片の長さに対して測定
してもよい。このような長さは単なる例であり、配列表及び表、図面を含む明細
書に記載の配列の任意の長さの断片を用いて、同一性のパーセントが測定される
長さを示すことができる。
【0059】 高い同一性を示さない核酸配列でも、遺伝子コードの縮重によって類似のアミ
ノ酸配列をコードし得る。縮重を利用して核酸配列を変え、それぞれが実質的に
同じタンパク質をコードする様々な核酸配列を作製できることを理解されたい。
【0060】 ポリペプチド配列に用いられる用語「パーセントの同一性」又は「%の同一性
」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる2つ以上のポ
リペプチド配列間の一致する残基の百分率のことである。ポリペプチド配列アラ
インメントの方法は周知である。アラインメント方法の中には、保存的なアミノ
酸置換を考慮したものもある。詳細に上述したこのような保存的な置換は、一般
に、置換部位の電荷や疎水性が保存され、ポリペプチドの構造(従って機能も)
が保存される。
【0061】 ポリペプチド配列間の同一性のパーセントは、MEGALIGN バージョン3.12e配列
アラインメントプログラム(上記)に組込まれるCLUSTAL Vアルゴリズムのデフ
ォルトパラメータを用いて決定可能である。CLUSTAL Vを用いる対方式のポリぺ
プチド配列のアライメントの場合、デフォルトパラメーターは、Ktuple=1、gap
penalty=3、window=5、及び「diagonals saved」=5と設定する。PAM250マトリク
スが、デフォルトの残基重み付け表として選択される。ポリヌクレオチドアライ
ンメントと同様に、アラインメントされたポリペプチド配列の対の同一性のパー
セントは、「類似性のパーセント」としてCLUSTAL Vによって報告される。
【0062】 別法では、NCBI BLASTソフトウェア一式が用いられる。例えば、2つのポリペ
プチド配列を対で比較をする場合、ある者は、デフォルトパラメータで設定され
た「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12 (Apr-21-2000)でblastpを使用
するであろう。そのようなデフォルトパラメータは、例えば、以下のようにする
【0063】 Matrix: BLOSUM62 Open Gap: 11 及び Extension Gap: 1 penalties Gap x drop-off: 50 Expect: 10 Word Size: 3 Filter: on 同一性のパーセントは、例えば、特定の配列番号で決められた、所定のポリペ
プチド配列の全長に対して測定してもよいし、それより短い長さに対して、例え
ば、ある大きな所定のポリペプチド配列から得られた断片、例えば、連続する少
なくとも15、20または30、40、50、70、150の残基の断片の長さ
に対して測定してもよい。このような長さは単なる例であり、配列表及び表、図
面を含む明細書に記載の配列の任意の長さの断片を用いて、同一性のパーセント
が測定される長さを示すことができる。
【0064】 「ヒト人工染色体(HAC)」は、約6kb(キロベース)〜10MbのサイズのDNA
配列を含み得る、安定した有糸分裂染色体の分離及び維持に必要な全てのエレメ
ントを含む直鎖状の小染色体である。
【0065】 用語「ヒト化抗体」は、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せる
ために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変えられた抗体分子を指す。
【0066】 「ハイブリダイゼーション」とは、所定のハイブリダイゼーション条件下で、
ある一本鎖ポリヌクレオチドがある相補的な一本鎖と塩基対を形成するアニーリ
ングのプロセスである。特異的なハイブリダイゼーションとは、2つの核酸配列
が高い相同性を有することを意味する。アニーリングが許容される条件下で、特
異的なハイブリダイゼーション複合体が形成され、洗浄過程の後もハイブリダイ
ズしたままである。洗浄過程は、ハイブリダイゼーションプロセスの厳密性即ち
ストリンジェント(stringency)の決定において特に重要であり、よりストリン
ジェントな条件では、非特異的な結合、即ち完全には一致しない核酸鎖間の対の
結合が減少する。核酸配列間のアニーリングが許容される条件は、当業者によっ
て日常的に決定され、ハイブリダイゼーションの間は一定であるが、洗浄過程は
、目的のストリンジェントにするためにその最中に条件の変更が可能であり、ハ
イブリダイゼーション特異性が得られる。アニーリングが許容される条件は、例
えば、温度が68℃で、約6×SSC、約1%(w/v)のSDS、並びに約100μg
/mlのせん断して変性したサケ精子DNAが含まれる。
【0067】 一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、洗浄過程を行う際
の温度によっても左右される。この洗浄温度は通常、所定のイオン強度とpHに
おける特定の配列の熱融点(Tm)より約5〜20℃低く選択される。このTmは、
(所定のイオン強度とpHの下)標的の配列の50%が完全に一致するプローブ
とハイブリダイズする温度である。Tmを計算する式及び核酸のハイブリダイゼー
ションの条件は、周知であり、Sambrook, J. 他による, 1989, Molecular Cloni ng: A Laboratory Manual , 第2版の1-3巻, Cold Spring Harbor Press, Plainvi
ew NY; 特に2巻の9章に記載されている。
【0068】 本発明のポリヌクレオチド間の高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーシ
ョンでは、約0.2x SSC及び約1%のSDSの存在の下、約68℃で1時間の洗浄
過程を含む。別法では、65℃、60℃、55℃、42℃の温度で行う。SSCの
濃度は、約0.1%のSDSが存在の下、約0.1〜2x SSCの範囲である。通常は
、ブロッキング試薬を用いて非特異的なハイブリダイゼーションを阻止する。こ
のようなブロッキング試薬には、例えば、約100〜200μg/mlの切断さ
れ変性したサケ精子DNAが含まれる。約35〜50%v/vの濃度のホルムアミドな
どの有機溶剤が、例えば、RNAとDNAのハイブリダイゼーションなどの特定の場合
に用いることができる。これらの洗浄条件の有用な改変は、当業者には周知であ
る。特に高いストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションは、ヌクレオ
チド間の進化における類似性を示唆し得る。このような類似性は、それらのヌク
レオチド及びコードされたポリペプチドが類似の役割を果たしていることを強く
示唆する。
【0069】 用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的な塩基間の水素結合によっ
て、形成された2つの核酸配列の複合体を指す。ハイブリダイゼーション複合体
は溶液中(例えば、CtまたはRt分析)で形成されるか、或いは溶液中の
1つの核酸配列と固体の支持物(例えば、紙、膜、フィルター、チップ、ピン、
或いはスライドガラス、または細胞及びその核酸を固定する任意の適当な基板)
に固定されたもう一つの核酸配列とで形成され得る。
【0070】 用語「挿入」或いは「付加」は、1個以上のアミノ酸残基或いはヌクレオチド
がそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いは核酸配列の変化を指す。
【0071】 「免疫応答」は、炎症性疾患及び外傷、免疫異常、感染症、遺伝病などに関連
する症状を指す。これらの症状は、細胞系及び全身防衛系に影響を及ぼすサイト
カイン及びケモカイン、別の情報伝達分子などの様々な因子の発現という特徴を
もつ。
【0072】 用語「マイクロアレイ」は、基質上の複数のポリヌクレオチド、ポリペプチド
またはその他の化合物の構成を指す。
【0073】 用語「エレメント」または「アレイエレメント」は、マイクロアレイ上に固有
の指定された位置を有する、ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはその他の化
合物を指す。
【0074】 用語「変調」は、PPHKPの活性の変化を指す。例えば、変調によって、PPHKPの
タンパク質活性、或いは結合特性、またはその他の生物学的特性、機能的特性或
いは免疫学的特性の変化が起こる。
【0075】 用語「核酸」及び「核酸配列」は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリ
ヌクレオチド、或いはそれらの断片を指し、一本鎖若しくは二本鎖であって、セ
ンス鎖或いはアンチセンス鎖であるゲノム起源若しくは合成起源のDNA或いはRNA
、ペプチド核酸(PNA)、任意のDNA様物質、及びRNA様物質である。
【0076】 「機能的に結合した」は、第1の核酸配列と第2の核酸配列が機能的な関係に
ある状態を指す。例えば、プロモーターがコード配列の転写または発現に影響を
与える場合、そのプロモーターはそのコード配列に機能的に結合している。一般
に、機能的に結合したDNA配列は、同じ読み枠内で2つのタンパク質をコードす
る領域が結合する必要がある場合は、非常に近接或いは連続する。
【0077】 「ペプチド核酸(PNA)」は、末端がリシンで終わるアミノ酸残基のペプチド
骨格に結合した、少なくとも約5ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドを含
む、アンチセンス分子又は抗遺伝子剤を指す。この末端のリシンにより、この組
成物が溶解性となる。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優先的に結合して転写
物の伸長を止め、ポリエチレングリコール化して細胞における寿命を延ばし得る
【0078】 PPHKPの「翻訳後修飾」には、脂質化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化
、ラセミ化、蛋白分解性切断及びその他の当分野で既知の修飾を含まれ得る。こ
れらのプロセスは、合成或いは生化学的に生じ得る。生化学的修飾は、PPHKPの
酵素環境に依存し、細胞の種類によって異なり得る。
【0079】 「プローブ」とは、同一配列或いはアレル核酸配列、関連する核酸配列の検出
に用いる、PPHKPやそれらの相補配列、またはそれらの断片をコードする核酸配
列のことである。プローブは、検出可能な標識またはレポーター分子が結合され
単離されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドである。典型的な標識には、
放射性アイソトープ及びリガンド、化学発光試薬、酵素がある。「プライマー」
とは、相補的な塩基対を形成して標的のポリヌクレオチドにアニーリング可能な
、通常はDNAオリゴヌクレオチドである短い核酸である。プライマーがポリヌク
レオチドにアニーリングした後、あるDNAポリメラーゼ酵素によって、標的のDNA
一本鎖に沿って伸長される。プライマーの組は、例えば、PCR法における核酸配
列の増幅(及び同定)に用いることができる。
【0080】 本発明に用いられるプローブ及びプライマーは、既知の配列の少なくとも15
の連続するヌクレオチドを含む。特異性を高めるために、より長いプローブ及び
プライマーが用いることも可能である。例えば、開示した核酸配列の連続する少
なくとも20または25、30、40、50、60、70、80、90、100
、150のヌクレオチドを含む。プローブ及びプライマーは、上記した例より相
当長いものも用いることができ、本明細書の表及び図面、配列表に示された任意
の長さのヌクレオチドも用いることができることを理解されたい。
【0081】 プローブ及びプライマーの準備及び使用方法については、例えば、Sambrook,
J.他による、1989年、名称「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、第2
版の1-3巻(Cold Spring Harbor Press, Plainview NY)、またはAusubel, F.M.
他による、1987年、名称「Current Protocols in Molecular Biology」(Greene
Pubi. Assoc. & Wiley-Intersciences, New York NY)、並びに Innis他による、
1990年、名称「PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications」(Acade
mic Press, San Diego CA.)を参照されたい。PCR用のプライマーの組は、例えば
、Primer (Version 0.5, 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research
, Cambridge MA)などのそのような目的のためのコンピュータプログラムを用い
て、ある既知の配列から引き出すことができる。
【0082】 プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドは、当分野で周知のプライマー選
択用のコンピュータプログラムで選択される。例えば、OLIGO 4.06ソフトウェア
は、それぞれが最大100ヌクレオチドまでのPCR用のプライマーの対の選択、
及び32,000塩基までの入力ポリヌクレオチド配列から最大5,000ヌク
レオチドまでの大きなポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドの分析に有用で
ある。類似のプライマー選択用プログラムには、能力を拡大する追加の機能が含
まれている。例えば、PrimOUプライマー選択プログラム(Genome Center at Uni
versity of Texas South West Medical Center, Dallas TXより入手可能)は、
メガベース配列から特定のプライマーを選択できるため、ゲノムワイドスコープ
(genome-wide scope)におけるプライマーの設計に有用である。Primer3プライ
マー選択プログラム(Whitehead Institute/MIT Center for Genome Research,
Cambridge MA1より入手可能)によって、ユーザーは、プライマー結合部位とし
て避けたい配列を指定できる「非プライミングライブラリ(mispriming libaray
)」を入力できる。また、Primer3は、特にマイクロアレイのオリゴヌクレオチ
ドの選択に有用である(後の方の2つのプライマー選択プログラムのソースコー
ドは、それぞれのソースから得ることができ、ユーザーのニーズを満たすように
変更することもできる)。PrimerGenプログラム(UK Human Genome Mapping Pro
ject Resource Centre, Cambridge UK より入手可能)は、多数の配列アライン
メントに基づいてプライマーを設計するため、アラインメントされた核酸配列の
最も保存された領域或いは最も保存されていない領域のどちらかとハイブリダイ
ズするプライマーを選択することができる。従って、このプログラムは、固有及
び保存されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドの断片の同定に有用である
。上記した任意の選択方法で同定されたオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチド
の断片は、例えば、PCR法やシークエンシングプライマー、マイクロアレイエレ
メント、或いはサンプルの核酸の完全或いは部分的に相補的なポリヌクレオチド
を同定する特定のプローブなどの、ハイブリダイゼーション技術に有用である。
オリゴヌクレオチドの選択方法は、上記した方法に制限されるものではない。
【0083】 本明細書における「組換え核酸」は天然の配列ではなく、2つ以上の配列の離
れたセグメントを人工的に組み合わせた配列である。この人工の組み合せは、化
学合成によって作られる場合も多いが、前出のSambrook に記載されたような遺
伝子工学の技術を用いて核酸の離れたセグメントを人工的に操作する方がより一
般的である。この「組換え核酸」には、単に核酸の一部の追加または置換、欠失
によって変更された核酸も含む。組換え核酸は、あるプロモーター配列に機能的
に結合した核酸配列を含む場合もある。このような組換え核酸は、例えば、ある
細胞を形質転換するのに用いられるベクターの一部であり得る。
【0084】 別法では、このような組換え核酸は、この組換え核酸を発現する哺乳動物のワ
クチン接種に用いると、その哺乳動物の防衛的な免疫応答を誘発する、ワクシニ
アウイルスに基づいたウイルスベクターの一部であり得る。
【0085】 「調節エレメント」は、通常は遺伝子の非翻訳領域に由来する核酸配列であり
、エンハンサー、プロモーター、イントロン及び5'及び3'の非翻訳領域(UTR
)を含む。調節エレメントは、転写や翻訳、またはRNAの安定性を調節する宿主
またはウイルスタンパク質と相互作用する。
【0086】 「レポーター分子」は、核酸、アミノ酸または抗体の標識に用いられる化学的
または生化学的な部分である。レポーター分子には、放射性核種、酵素、蛍光剤
、化学発光剤、発色剤、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子及びその他の
当分野で既知の成分が含まれる。
【0087】 本明細書において、DNA配列に対する「RNA等価物」とは、基準となるDNA配列
と同じ直鎖の核酸配列から構成されるが、窒素性塩基のチミンがウラシルに置換
され、糖鎖の背骨がデオキシリボースではなくリボースからなる。
【0088】 用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている。PPHKPをコードす
る核酸若しくはその断片、PPHKP自体を含むと推定されるサンプルには、体液と
、細胞からの抽出物や細胞から単離された染色体や細胞内小器官、膜と、細胞と
、溶液中に存在する又は基板に固定されたゲノムDNA、RNA、cDNAと、組織又は組
織プリント等も含まれ得る。
【0089】 用語「特異的結合」及び「特異的に結合する」は、タンパク質若しくはペプチ
ドと、アゴニスト、抗体、アンタゴニスト、小分子、若しくは任意の天然若しく
は合成の結合組成物との間の相互作用を指す。この相互作用は、結合する分子に
よって認識される、例えば、抗原決定基つまりエピトープなどのタンパク質の特
定の構造の存在によって左右される。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して
特異的である場合、結合していない標識した「A」及び抗体を含む反応液に、エ
ピトープAを含むポリペプチド或いは結合していない無標識の「A」が存在する
と、抗体と結合する標識Aの量が減少する。
【0090】 用語「実質的に精製された」は、自然の環境から取り除かれてから、単離或い
は分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している組成物
が少なくとも約60%除去されたものであり、好ましくは約75%以上の除去、
最も好ましいくは90%以上除去されたものを指す。
【0091】 「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ
酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
【0092】 用語「基板」は、任意の好適な固体或いは半固体の支持物を指し、膜及びフィ
ルター、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁気または非磁気ビード、ゲ
ル、チューブ、プレート、ポリマー、微小粒子、毛細管が含まれる。この基板に
は、壁または塹壕、ピン、チャンネル、細孔などの様々な表面形態があり、そこ
にポリヌクレオチドやポリペプチドが結合する。
【0093】 「転写イメージ」は、所定条件下での所定時間における特定の細胞の種類また
は組織による集合的遺伝子発現のパターンを指す。
【0094】 「形質転換」とは、外来DNAが受容細胞に導入されるプロセスのことである。
形質転換は、当分野で周知の種々の方法により、自然或いは人工の条件下で起こ
り得り、原核宿主細胞若しくは真核宿主細胞の中に外来核酸配列を挿入する任意
の周知の方法によって行うことができる。この形質転換の方法は、形質転換され
る宿主細胞のタイプによって選択される。この方法には、バクテリオファージま
たはウイルス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、リポフェクション
、及び微粒子照射が含まれるが、これらに限定されるものではない。「形質転換
された」細胞には、導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは
宿主染色体の一部として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる
。さらに、限られた時間に一時的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含
まれる。
【0095】 本明細書における「遺伝子組換え生物」とは、当分野で周知の遺伝子組換え技
術などを用いて、人間が生物の1つ以上の細胞に異種の核酸を導入した任意の生
物であり、動物及び植物を含むが、それらに限定されるものではない。微量注入
や組換えウイルスに感染させるなどの慎重な遺伝子操作によって、細胞の前駆体
に直接或いは間接的に異種核酸を細胞に導入する。「遺伝子操作」とは、典型的
な交雑育種やin vitroでの受精ではなく、組換えDNA分子を導入することである
。本発明に従った遺伝子組換え生物には、細菌及びラン藻類、菌類、植物、動物
が含まれる。本発明の単離されたDNAは、当分野で周知の、例えば、感染、形質
移入、形質転換、トランス接合(transconjugation)などの方法によって、宿主
に導入することができる。本発明のDNAをそのような生物に導入する技術は周知
であり、前出のSambrook他(1989)に記載されている。
【0096】 特定の核酸配列の「変異配列」とは、デフォルトパラメーター設定の「BLAST
2 Sequences」ツールVersion 2.0.9 (May-07-1999)を用いるblastnによって、あ
る核酸配列のある長さに対する該特定の核酸配列の同一性が、少なくとも40%
と決定された核酸配列のことである。このような核酸の対は、ある長さにおいて
、例えば、少なくとも50%または60%、70%、80%、85%、90%、
95%、98%、或いはそれ以上の同一性を示し得る。ある変異配列は、例えば
、「アレル」変異配列(上述)または「スプライス」変異配列、「種」変異配列
、「多型」変異配列と表すことができる。スプライス変異配列は基準分子と同一
性が極めて高い可能性があるが、mRNAプロセッシング中のエキソンの択一的スプ
ライシングによってポリヌクレオチドの数が多くなったり、少なくなったりする
。対応するポリペプチドは、基準分子に存在する追加の機能ドメインを有したり
、基準分子に存在するドメインが欠落したりし得る。種変異配列は、種によって
異なるポリヌクレオチド配列である。得られるポリペプチドは、互いに高いアミ
ノ酸同一性を有する。多型変異配列は、所定の種と種における特定の遺伝子のポ
リヌクレオチド配列が異なる。多型変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1
つのヌクレオチドが異なる「1ヌクレオチド多型」(SNP)も含み得る。SNPの存
在は、例えば、或る集団、病態、病態の性向を示唆し得る。
【0097】 特定のポリペプチド配列の「変異体」とは、デフォルトパラメーター設定の「
BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.9 (May-07-1999)を用いるblastpによっ
て、ある核酸配列のある長さに対する該特定のポリペプチド配列の同一性が、少
なくとも40%と決定されたポリペプチド配列のことである。このようなポリペ
プチドの対は、ある長さにおいて、例えば、少なくとも50%または60%、7
0%、80%、85%、90%、95%、98%、或いはそれ以上の同一性を示
し得る。
【0098】 (発明) 本発明は、新規のヒトプロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼ(PP
HKP)及びPPHKPをコードするポリヌクレオチドの発見に基づいた、胃腸疾患、免
疫系の疾患、神経疾患、および癌を含む細胞増殖異常の診断、治療、及び予防に
おけるそれらの組成物の使用に関する。
【0099】 表1は、PPHKPをコードする完全長のヌクレオチド配列の構築に用いたインサ
イト社クローンを示す。列1及び列2はそれぞれ、ポリペプチド配列及びヌクレ
オチド配列の配列番号(SEQ ID NO)を示す。列3は、各PPHKPをコードする核酸
が同定されたIncyteクローンのクローンIDを示し、列4は、それらのクローンが
単離されたcDNAライブラリを示す。列5は、Incyteクローン及びそれらに対応す
るcDNAライブラリを示す。cDNAライブラリが示されていないインサイト社クロー
ンは、プールされたcDNAライブラリに由来する。場合によっては、GenBank配列
識別子が列5に示されている。列5に示されているインサイト社クローン及びGe
nBank cDNA配列は、各PPHKPのコンセンサスヌクレオチド配列の構築に用いられ
、ハイブリダイゼーション技術における断片として有用である。
【0100】 表2の各列は、本発明の各ポリペプチドの様々な特性を示す。列1は配列番号
(SEQ ID NO)、列2は各ポリペプチドにおけるアミノ酸残基の数、列3は潜在
的なリン酸化部位、列4は潜在的なグリコシル化部位、列5はシグネチャ(sign
ature)配列及びモチーフを有するアミノ酸残基、列6は、BLAST分析によって同
定された相同配列、及び相当する引用を示す。また、引用することを持って本明
細書のの一部とする。列7は、分析方法、場合によってはその分析方法が適用で
きる検索可能なデータベースを示す。列7の分析方法は、配列相同性及びタンパ
ク質モチーフによって各ポリペプチドを特長つけるために用いられた。
【0101】 表3の列は、PPHKPをコードするヌクレオチド配列に関連した組織特異性及び
疾患、異常症、症状を示している。表3の列1は、ヌクレオチドの配列番号(SE
Q ID NO)を示している。列2は、列1のヌクレオチド配列の断片を示している
。これらの断片は、例えば、SEQ ID NO:12−22を同定し、SEQ ID NO:12−22と関
連するポリヌクレオチド配列とを区別する、ハイブリダイゼーション若しくは増
幅の技術において有用である。これらの断片によってコードされるポリペプチド
は、例えば、免疫原性ペプチドとして有用である。列3は、PPHKPを発現する組
織名、及びPPHKPを発現する全組織におけるその割合を示す。列4は、PPHKPを発
現する組織に関連する疾患若しくは異常症、症状、並びにPPHKPを発現する全組
織におけるそれらの割合を示す。列5は、各cDNAライブラリのサブクローニング
に用いたベクターを示す。注目すべきは、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、および
SEQ ID NO:22の組織特異的な発現である。SEQ ID NO:14を発現するcDNAライブラ
リの約75%が、神経組織、特に脳および脊髄組織に由来する。SEQ ID NO:17を
発現するcDNAライブラリの約88%が、神経組織、特に脳組織に由来する。SEQ
ID NO:22を発現するcDNAライブラリの約82%が胃腸組織に由来する。
【0102】 表4の各列は、PPHKPをコードするcDNAのクローンが単離されたcDNAライブラ
リの作製に用いられた組織についての説明である。列1は、ヌクレオチドのSEQ
ID NOを示し、列2はそれらのクローンが単離されたcDNAライブラリを示し、列
3は列2のcDNAライブラリに対応する組織の由来及び詳細を示す。
【0103】 SEQ ID NO:12は、第7染色体の88.40〜90.30センチモルガン及び第11染色体
の89.80〜90.70センチモルガンの範囲にマッピングされる。この第7染色体の88
.40〜90.30センチモルガンの範囲には、B細胞 CC/リンパ腫7bに関連するESTが含
まれる。SEQ ID NO:16は、第20染色体の短腕(p)の末端〜6.20センチモルガ
ンの範囲にマッピングされる。この範囲には、非受容体型基質1であるタンパク
質チロシンホスファターゼに関連するESTが含まれる。SEQ ID NO:21は、第22
染色体の0.0〜40.20センチモルガンの範囲にマッピングされる。この範囲には、
白血病関連リンタンパク質p18に関連するESTが含まれる。このリンタンパク質p1
8は、種々のタイプのヒト急性白血病の細胞に高レベルで見られるサイトゾルリ
ンタンパク質である。
【0104】 本発明はまた、PPHKPの変異体も含む。好適なPPHKPの変異体は、PPHKPの機能
的或いは構造的特徴の少なくともどちらか一方を有し、かつPPHKPアミノ酸配列
に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約90%
のアミノ酸配列同一性、更には少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有す
る。
【0105】 本発明はまた、PPHKPをコードするポリヌクレオチドを提供する。特定の実施
例において、本発明は、PPHKPをコードするSEQ ID NO:12−22からなる一群から
選択された配列を含むポリヌクレオチド配列を提供する。配列表に示したSEQ ID
NO:12−22のポリヌクレオチド配列は、窒素系塩基のチミンがウラシルに置換さ
れ、糖鎖の背骨がデオキシリボースではなくリボースからなる等価RNA配列を含
む。
【0106】 本発明はまた、PPHKPをコードするポリヌクレオチド配列の変異配列を含む。
詳細には、このようなポリヌクレオチド配列の変異配列は、PPHKPをコードする
ポリヌクレオチド配列と少なくとも80%のポリヌクレオチド配列同一性、或い
は少なくとも90%のポリヌクレオチド配列同一性、更には少なくとも95%も
のポリヌクレオチド配列同一性を有する。本発明の特定の実施形態は、SEQ ID N
O:12−22からなる一群から選択された核酸配列と少なくとも80%のポリヌクレ
オチド配列同一性、或いは少なくとも90%のポリヌクレオチド配列同一性、更
には少なくとも95%ものポリヌクレオチド配列同一性を有するSEQ ID NO:12−
22からなる一群から選択された配列を含むポリヌクレオチド配列の変異配列を提
供する。上記したポリヌクレオチド変異配列は何れも、PPHKPの機能的或いは構
造的特徴の少なくとも1つを有するアミノ酸配列をコードする。
【0107】 遺伝暗号の縮重により作り出され得るPPHKPをコードする種々のポリヌクレオ
チド配列には、既知の自然発生する任意の遺伝子のポリヌクレオチド配列と最小
の類似性しか有しないものも含まれることを、当業者は理解するであろう。した
がって本発明には、可能なコドン選択に基づいた組み合わせの選択によって作り
出され得る可能なポリヌクレオチド配列の変異の全てが含まれ得る。これらの組
み合わせは、天然のPPHKPのポリヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプ
レット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮する。
【0108】 PPHKPをコードするヌクレオチド配列及びその変異配列は一般に、好適に選択
されたストリンジェントな条件下で、天然のPPHKPのヌクレオチド配列とハイブ
リダイズ可能であるが、非天然のコドンを含めるなどの実質的に異なった使い方
のコドンを有するPPHKP或いはその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作る
ことは有利となり得る。特定のコドンが宿主によって利用される頻度に基づいて
コドンを選択して、ペプチドの発現が特定の真核細胞又は原核宿主に発生する割
合を高めることが可能である。コードされたアミノ酸配列を変えないで、PPHKP
及びその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に変更する別の理由は、
天然の配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備える
RNA転写物を作ることにある。
【0109】 本発明はまた、PPHKP及びその誘導体をコードするDNA配列又はそれらの断片を
完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成配列を、当分野
で良く知られた試薬を用いて、種々の入手可能な発現ベクター及び細胞系の何れ
の中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、PPHKPまたはその任意の断
片をコードする配列の中に突然変異を導入することも可能である。
【0110】 更に本発明には、種々のストリンジェントな条件下で、請求項に記載されたポ
リヌクレオチド配列、特に、SEQ ID NO:12−22及びそれらの断片とハイブリダイ
ズ可能なポリヌクレオチド配列が含まれる(例えば、Wahl, G.M.及びS.L. Berger
(1987) Methods Enzymol. 152:399-407; and Kimmel. A.R. (1987) Methods En
zymol. 152:507-511.を参照)。アニーリング及び洗浄条件を含むハイブリダイゼ
ーションの条件は、「定義」に記載されている。
【0111】 当分野で周知のDNAのシークエンシング方法を用いて、本発明の何れの実施例
も実行可能である。この方法には、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SE
QUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(PE Biosystems,
Foster City CA)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech P
iscataway NJ)、或いはELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersbu
rg MD)にみられるような校正エキソヌクレアーゼとポリメラーゼとの組み合わせ
などの酵素が用いられる。好ましくは、MICROLAB2200液体転移システム(Hamilt
on, Reno, NV)、PTC200 Thermal Cycler200(MJ Research, Watertown MA)及
びABI CATALYST 800 (PE Biosystems) などの装置を用いて配列の準備を自動化
する。次に、ABI 373或いは377 DNAシークエンシングシステム(PE Biosystems)
、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Molecular Dynamics. Sunnyval
e CA)または当分野で周知の他の方法を用いてシークエンシングを行う。得られ
た配列を当分野で周知の様々なアルゴリズムを用いて分析する(例えば、Ausubel
, F.M. (1997) Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N
ew York NY, unit 7.7; Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechn ology , Wiley VCH, New York NY, pp. 856-853.を参照)。
【0112】 当分野で周知のPCR法をベースにした種々の方法で、部分的なヌクレオチド配
列を利用して、PPHKPをコードする核酸配列を伸長し、プロモーターや調節エレ
メントなどの上流にある配列を検出する。例えば制限部位PCR法を利用する1つ
の方法では、一般的なプライマー及び入れ子プライマー(nested primer)を用
いてクローニングベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する(例えば、S
arkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322を参照)。逆PCR法を用いる別
法では、広範な方向に伸長して環状化した鋳型から未知の配列を増幅するプライ
マーを用いる。この鋳型は、既知のゲノム遺伝子座及びその周辺の配列を含む制
限断片に由来する(例えば、Triglia, T.等(1988)Nucleic Acids Res 16:8186
を参照)。キャプチャPCR法を用いる第3の方法は、ヒト及び酵母菌人工染色体D
NAの既知の配列に隣接するDNA断片のPCR増幅を含む(例えば、Lagerstrom, M.他
(1991)PCR Methods Applic 1:111-119を参照)。この方法では、多数の制限酵
素による消化及びライゲ−ションを用いて、PCRを行う前に未知の配列の領域の
中に組換え二本鎖配列を挿入することが可能である。また、当分野で周知の別の
方法を用いて未知の配列を得ることも可能である。(例えば、Parker, J.D. 他 (
1991)Nucleic Acids Res. 19:3055-3060を参照)。更に、PCR、ネスト化プライマ
ー、PROMOTERFINDERライブラリ(Clontech, Palo Alto CA)を用いれば、ゲノム
DNA内の歩行が可能である。この方法ではライブラリをスクリーニングする必要
がなく、イントロン/エキソン接合部を探すのに有用である。全てのPCR法をベ
ースにした方法では、プライマーは、市販のOLIGO 4.06 Primer Analysis softw
are(National Biosciences, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムなどを
用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量が50%以上、約68℃〜7
2℃の温度で鋳型に対してアニーリングするよう設計される。
【0113】 完全長のcDNAをスクリーニングする場合は、大きなcDNAを含むようにサイズが
選択されたライブラリを用いるのが好ましい。更に、オリゴd(T)ライブラリが完
全な長さのcDNAを産生できない場合は、遺伝子の5'領域を有する配列を含むも
のが多いランダムに初回抗原刺激を受けたライブラリが有用である。ゲノムライ
ブラリは、5'非転写調節領域への配列の伸長に有用であろう。
【0114】 市販のキャピラリー電気泳動システムを用いて、シークエンシングまたはPCR
産物のヌクレオチド配列のサイズの分析、または確認が可能である。詳しくは、
キャピラリーシークエンシングには、電気泳動による分離のための流動性ポリマ
ー、及び4つの異なったヌクレオチドに特異的なレーザーで活性化される蛍光色
素、放出された波長の検出に利用するCCDカメラを使用することが可能である。
出力/光強度は、適切なソフトウェア(例えば、GENOTYPER及びSEQUENCE NAVIGA
TOR、PE Biosystems)を用いて電気信号に変換され、サンプルのローディングか
らコンピュータ分析までのプロセス及び電子データ表示がコンピュータ制御可能
である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しない場合
もあるDNAの小片のシークエンシングに特に適している。
【0115】 本発明の別の実施例では、PPHKPをコードするポリヌクレオチド配列またはそ
の断片を組換えDNA分子にクローニングして、適切な宿主細胞内にPPHKP、その断
片または機能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号固有の縮重によ
り、実質的に同じ或いは機能的に等価のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列
が作られ得り、これらの配列をPPHKPのクローン化及び発現に利用可能である。
【0116】 種々の目的でPPHKPをコードする配列を変えるために、当分野で一般的に知ら
れている方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を組換えることができる。こ
の目的には、遺伝子産物のクローン化、プロセッシング及び/または発現の調節
が含まれるが、これらに限定されるものではない。ランダムな断片によるDNAの
混合や遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドのPCR再組み立てを用いて、ヌクレ
オチド配列の組換えが可能である。例えば、オリゴヌクレオチド媒介性定方向突
然変異誘発を利用して、新しい制限部位を生成する突然変異の導入、グリコシル
化パターンの変更、コドン選択の変更、スプライスバリアントの作製等が可能で
ある。
【0117】 本発明のヌクレオチドを、MOLECULARBREEDING (Maxygen Inc., Santa Clara C
A; 米国特許第5,837,458号; Chang, C.-C. 他 (1999) Nat. Biotechnol. 17:793
-797; Christians, F.C. 他 (1999) Nat. Biotechnol. 17:259-264; Crameri, A
. 他 (1996) Nat. Biotechnol. 14:315-319)などのDNAシャフリング技術を用い
てシャフリングして、PPHKPの生物学的または酵素的な活性、或いは他の分子や
化合物と結合する能力などのPPHKPの生物学的特性を変更或いは改良することが
できる。DNAシャフリングは、PCR法による遺伝子断片の組換えで遺伝子変異体の
ライブラリを作製するプロセスである。次に、このライブラリを、目的の特性を
有する遺伝子変異体を同定するために選択或いはスクリーニングする。これらの
好ましい変異体をプールし、DNAシャフリング及び選択/スクリーニングを繰り
返す。従って、人工的な育種及び急速な分子の進化によって多様な遺伝子が作ら
れる。例えば、ランダムな位置に変異がある1つの遺伝子の断片を、目的の特性
が最適化するまで、組換え及びスクリーニング、シャフリングを実施することも
できる。別法では、所定の遺伝子の断片を、同じ或いは異なった種の同じ遺伝子
ファミリーの相同な遺伝子の断片で組換え、それによってプロトコルに従った調
節可能な方法で、多数の天然遺伝子の遺伝子多様性を最大にすることができる。
【0118】 別の実施例によれば、PPHKPをコードする配列は、当分野で周知の化学的方法
を用いて、全体或いは一部が合成可能である(例えば、Caruthers. M.H.等(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. Aci
ds Res. Symp. Ser.225-232を参照)。別法として、化学的方法を用いてPPHKP自
体またはその断片を合成することが可能である。例えば、ペプチド合成は種々の
固相技術を用いて実行可能である(例えば、Creighton, T. (1984) Proteins. S tructures and Molecular Properties , WH Freeman, New York NY, pp. 55-60;
Roberge, J.Y.等(1995) Science 269:202-204を参照)。また、合成の自動化は
例えばABI 431Aペプチドシンセサイザー(PE Biosystems)を用いて達成し得る
。更にPPHKPのアミノ酸配列または任意のその一部は、直接的な合成の際の変更
、及び/または化学的方法を用いた他のタンパク質または任意のその一部からの
配列との組み合わせにより、天然のポリペプチド配列を有するポリペプチドまた
は変異体ポリペプチドを作製することが可能である。
【0119】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィー(例えば、Chiez, R.M.
及び F.Z. Regnier (1990)Methods Enzymol. 182:392-421を参照)を用いて実質
的に精製可能である。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸分析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えば、Creighton、前出、pp28-53を
参照)。
【0120】 生物学的に活性なPPHKPを発現させるために、PPHKPをコードするヌクレオチド
配列またはその誘導体を好適な発現ベクターに挿入する。この発現ベクターは、
好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要なエレメ
ントを含む。これらのエレメントには、ベクター及びPPHKPをコードするポリヌ
クレオチド配列におけるエンハンサー、構成型及び発現誘導型のプロモーター、
5'及び3'の非翻訳領域などの調節配列が含まれる。このようなエレメントは、
その長さ及び特異性が様々である。特定の開始シグナルによって、PPHKPをコー
ドする配列のより効果的な翻訳を達成することが可能である。このようなシグナ
ルには、ATG開始コドン及びコザック配列などの近傍の配列が含まれる。PPHK
Pをコードする配列及びその開始コドン、上流の調節配列が好適な発現ベクター
に挿入された場合は、更なる転写調節シグナルや翻訳調節シグナルは必要なくな
るであろう。しかしながら、コーディング配列或いはその断片のみが挿入された
場合は、インフレームのATG開始コドンを含む外来性の翻訳調節シグナルが発
現ベクターに含まれなければならない。外来性の翻訳要素及び開始コドンは、自
然及び合成の様々なものから得ることが可能である。用いられる特定の宿主細胞
系に好適なエンハンサーを含めることで発現の効率を高めることが可能である。
(例えば、Scharf, D. 他 (1994) Results Probl. Cell Differ. 201−18-162.を
参照)。
【0121】 当業者に周知の方法を用いて、PPHKPをコードする配列、好適な転写及び翻訳
調節エレメントを含む発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法
には、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術が含ま
れる。(例えば、 Sambrook, J. 他. (1989) Molecular Cloning. A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview NY, 4章及び8章, 及び16-17章
; 及び Ausubel, F.M. 他. (1995) Current Protocols in Molecular Biology,
John Wiley & Sons, New York NY, ch. 9章及び13章1−4章を参照)。
【0122】 種々の発現ベクター/宿主系を利用して、PPHKPをコードする配列の保持及び
発現が可能である。これらには、限定するものではないが、組換えバクテリオフ
ァージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌な
どの微生物や、酵母菌発現ベクターで形質転換された酵母菌や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベ
クター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイル
ス、TMV)または細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で
形質転換された植物細胞系や、動物細胞系などが含まれる(前出のSambrook、前
出のAusubel、Van Heeke, G. and S.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5
503-5509、Bitter, G.A.他 (1987) Methods Enzymol. 153:516-544; Scorer、C.
A. ら (1994) Bio/Technology 12:18 1-184; Engelhard、E.K. 他 (1994) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227、Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther.
7:1937-1945、タカマツ, N. (1987) EMBOJ. 6:307-311、Coruzzi, G. 他 (1984
) EMBOJ. 3:1671-1680、Broglie, R. 他 (1984) Science 224:838-843、Winter,
J. 他 (1991) Results Probl. Cell Differ. 17:85-105、『マグローヒル科学
技術年鑑』(The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology) (1992) Mc
Graw Hill New York NY, pp.191-196、Logan, J. and T. Shenk (1984) Proc. N
atl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659、Harrington, J.J. 他 (1997) Nat. Genet.
15:345-355等を参照)。レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス
またはワクシニアウイルス由来の発現ベクター、または種々の細菌性プラスミド
由来の発現ベクターを用いて、ヌクレオチド配列を標的器官、組織または細胞集
団へ輸送することができる(Di Nicola, M. 他 (1998) Cancer Gen. Ther. 5(6)
:350-356、Yu, M. 他(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(13):6340-6344、B
uller, R.M. 他(1985) Nature 317(6040):813-815; McGregor, D.P. 他(1994) M
ol. Immunol. 31(3):219-226、Verma, I.M. and N. Somia (1997) Nature 389:2
39-242等を参照)。本発明は使用される宿主細胞によって限定されるものではな
い。
【0123】 細菌系では、多数のクローニングベクター及び発現ベクターが、PPHKPをコー
ドするポリヌクレオチド配列の使用目的に応じて選択可能である。例えば、PPHK
Pをコードするポリヌクレオチド配列の日常的なクローニング、サブクローニン
グ、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミ
ド(GIBCO BRL)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクター
の多数のクローニング部位にPPHKPをコードする配列をライゲーションするとlac
Z遺伝子が破壊され、組換え分子を含む形質転換された細菌の同定のための比色
スクリーニング法が可能となる。更に、これらのベクターを用いて、クローニン
グされた配列のin vitroでの転写、ジデオキシンスクリーニング、ヘルパーファ
ージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失を作り出すことが可能である(例え
ば、Van Heeke, G.及びS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509.
を参照)。例えば、抗体の産生のためなどに多量のPPHKPが必要な場合は、PPHKP
の発現をハイレベルで誘導するベクターが使用できる。例えば、強力に発現を誘
発するT5またはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを使用できる
【0124】 PPHKPの発現に酵母の発現系の使用が可能である。α因子やアルコールオキシ
ダーゼやPGHプロモーターなどの構成型或いは誘導型のプロモーターを含む多種
のベクターが、酵母菌サッカロミセス−セレビジエまたはPichia pastorisに使
用可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の分泌か細胞
内への保持のどちらかを誘導し、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来配
列を組み込む。(例えば、上記のAusubel.; 及びBitter, G.A. 他 (1987) Method
s Enzymol.153:51-794: Scorer. C. A. 他 (1994) Bio/Technology 121−181-18
4.を参照) 植物系もPPHKPの発現に使用可能である。PPHKPをコードする配列の転写は、例
えば、CaMV由来の35S及び19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターが単独で
、或いはTMV(例えば、Coruzzi, 前出、Broglie, 前出、Winter, 前出を参照)
由来のオメガリーダー配列と組み合わせて促進される。これらの作製物は、直接
のDNA形質転換或いは病原体を介したトランスフェクションによって、植物細胞
の中に導入可能である。(例えば、The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology (1992)McGraw Hill NY, pp.191-196を参照)。
【0125】 哺乳動物細胞では、多種のウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウ
イルスが発現ベクターとして用いられる場合、後発プロモーター及び3連リーダ
ー配列からなるアデノウイルス転写物/翻訳複合体にPPHKPをコードする配列を
結合し得る。ウイルスのゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入により、
感染した宿主細胞にPPHKPを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan
, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659を参照)。さ
らに、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用い
て、哺乳動物宿主細胞における発現を増大させることが可能である。タンパク質
を高レベルで発現させるために、SV40またはEBVを基にしたベクターを用いるこ
とが可能である。
【0126】 ヒト人工染色体(HAC)を用いて、プラスミドで発現しそれに含まれているも
のより大きなDNAの断片を供給可能である。治療のために約6kb〜10MbのHACs
を作製し、従来の輸送方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、または
ベシクル)で供給する。(例えば、Harrington. J.J. 他 (1997) Nat Genet.15:3
45-355.を参照)。
【0127】 哺乳動物系の組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、株化細胞にお
けるPPHKPの安定した発現が望ましい。例えば、発現ベクターを用いて、PPHKPを
コードする配列を株化細胞に形質転換することが可能である。このような発現ベ
クターは、ウイルス起源の複製及び/または内在性の発現要素や、同じ或いは別
のベクターの上の選択マーカー遺伝子を含む。ベクターの導入の後、細胞を選択
培地に移す前に、強化培地で約1〜2日の間増殖させる。選択マーカーの目的は
選択的な媒介物に対する抵抗性を与えるとともに、その存在により導入された配
列を確実に発現する細胞の増殖及び回収が可能となる。安定的に形質転換された
細胞の耐性クローンは、その細胞型に好適な組織培養技術を用いて増殖可能であ
る。
【0128】 任意の数の選択系を用いて、形質転換された細胞系を回収することが可能であ
る。選択系には、以下のものに限定はしないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれ
、それぞれtk又はapr細胞において使用される。(例えば、Wigler, M. 他 (1
977) Cell 11:223-232; 及びLowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823を参照)。また
代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択のベースとして用いること
ができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグ
リコシッドネオマイシン及びG-418に対する耐性を与え、als或いはpatはクロル
スルフロン(cPPHKPsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラー
ゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例えば、Wigl
er, M. 他. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570; Colbere-Garapin,
F. 他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14を参照)。さらに選択に利用できる遺伝子
、例えば、代謝のために細胞が必要なものを変えるtrpB及びhisDが文献に記載さ
れている(例えば、Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan(1988)Proc. Natl. Acad
. Sci. 85:8047-51を参照)。アニトシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clon
tech)、βグルクロニダーゼ及びその基質GUS,ルシフェラーゼ及びその基質ル
シフェリンなどの可視マーカーが用いられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)(Clon
tech, Palo Alto, CA)も使用できる。これらのマーカーを用いて、トランスフォ
ーマントを特定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性或いは安定
したタンパク質発現を定量することが可能である(例えば、Rhodes, C.A.他(19
95)Methods Mol. Biol. 55:121-131を参照)。
【0129】 マーカー遺伝子の発現の存在/不在によって目的の遺伝子の存在が示されても
、その遺伝子の存在及び発現の確認が必要な場合もある。例えば、PPHKPをコー
ドする配列がマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、PPHKPをコードする配
列を含む形質転換された細胞は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定可能であ
る。または、1つのプロモーターの制御下でマーカー遺伝子がPPHKPをコードす
る配列と一列に配置することも可能である。誘導または選択に応答したマーカー
遺伝子の発現は、通常タンデム遺伝子の発現も示す。
【0130】 一般に、PPHKPをコードする核酸配列を含み、PPHKPを発現する宿主細胞は、当
業者に周知の種々の方法を用いて特定することが可能である。これらの方法には
、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタン
パク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベー
スの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが
、これらに限定されるものではない。
【0131】 特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるPP
HKPの発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。こ
のような技法には、酵素に結合したイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジ
オイムノアッセイ(RIA)、蛍光標示式細胞分取器(FACS)などがある。PPHKP上
の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモ
ノクローナルベースイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay
)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。これらのアッセイ
及びその他のアッセイは、当分野では十分に知られている。(例えば、 Hampton.
R. 他.(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual. APS Press. St Pa
ul. MN, Sect. IV; Coligan, J. E. 他Current Protocols in Immunology, Gree
ne Pub. Associates and Wiley-Interscience, New York. NY; 及びPound, J.D.
(1990) Immunochemical Protocols, Humans Press, Totowa NJ)。
【0132】 種々の標識技術及び結合技術が当業者には周知であり、様々な核酸アッセイお
よびアミノ酸アッセイに用いられ得る。PPHKPをコードするポリヌクレオチドに
関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或
いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーショ
ン、末端標識化、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。
別法として、PPHKPをコードする配列、またはその任意の断片をmRNAプローブを
生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。当分野では周知
であり市販されているこのようなベクターを、T7,T3,またはSP6などの好適なR
NAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドの追加によって、in vitroでのRNA
プローブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えば、Amersham Pha
rmacia Biotech及びPromega(Madison WI)、U.S. Biochemical Corp(Clevelan
d OH)が市販する種々のキットを用いて行うことができる。容易な検出のために
用い得る好適なレポーター分子或いは標識には、基質、コファクター、インヒビ
ター、磁気粒子、及び放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色素産生剤など
が含まれる。
【0133】 PPHKPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培地
でのこのタンパク質の発現及び回収に好適な条件下で培養される。形質転換され
た細胞から産生されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用され
るその配列及び/またはそのベクターによる。PPHKPをコードするポリヌクレオ
チドを含む発現ベクターは、原核細胞膜及び真核細胞膜を透過するPPHKPの分泌
を誘導するシグナル配列を含むように設計できることは、当業者には理解されよ
う。
【0134】 更に、挿入した配列の発現調節能力または発現したタンパク質を所望の形にプ
ロセシングする能力によって宿主細胞株が選択される。このようなポリペプチド
の修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(
lipidation)、及びアシル化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質の「プレプロ」または「プロ」形を切断する翻訳後のプロセシングを
利用して、標的タンパク質、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能
である。翻訳後の活性のための特定の細胞装置及び特徴のある機構をもつ種種の
宿主細胞(例えば、CHO、HeLa、MDCK、MEK293、WI38)がAmerican Type Culture
Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手可能であり、外来のタンパク質の
正しい修飾及びプロセシングを確実にするために選択される。
【0135】 本発明の別の実施例では、PPHKPをコードする自然或いは変更された、または
組換えの核酸配列を上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配
列に結合させる。例えば、市販の抗体によって認識できる異種部分を含むキメラ
PPHKPタンパク質が、PPHKPの活性のインヒビターに対するペプチドライブラリの
スクリーニングを促進し得る。また、異種タンパク質部分及び異種ペプチド部分
が、市販の親和性基質を用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。このような
部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパ
ク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6
−His、FLAG、c−mc、赤血球凝集素(HA)が含まれるが、これらに限定されるも
のではない。GST及びMBP、Trx、CBP、6−Hisによって、固定されたグルタチオン
、マルトース、フェニルアルシン酸化物(phenylarsine oxide)、カルモジュリ
ン、金属キレート樹脂のそれぞれで同族の融合タンパク質の精製が可能となる。
FLAG、c−mc、及び赤血球凝集素(HA)によって、これらのエピトープ標識を特
異的に認識する市販のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用いた融合
タンパク質の免疫親和性の精製ができる。また、PPHKPをコードする配列と異種
タンパク質配列との間にあるタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が含むよ
うに遺伝子操作すると、PPHKPが精製の後に異種部分から切断され得る。融合タ
ンパク質の発現と精製の方法は、Ausubel. (1995、前出 ch 10).に記載されてい
る。市販されている様々なキットを用いて、融合タンパク質の発現及び精製を促
進できる。
【0136】 本発明の別の実施例では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽
出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したPPHKPの合成が可能である。こ
れらの系は、T7またはT3、SP6プロモーターと機能的に結合したタンパク質をコ
ードする配列の転写と翻訳をつなげる。翻訳は、例えば、35Sメチオニンである
放射能標識されたアミノ酸前駆体の存在の下で起こる。
【0137】 本発明のPPHKPまたはその断片を用いて、PPHKPに特異結合する化合物をスクリ
ーニングすることができる。少なくとも1つまたは複数の試験化合物を用いて、
PPHKPへの特異的な結合をスクリーニングすることが可能である。試験化合物の
例には、抗体、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えば受容体)または小分子
が挙げられる。
【0138】 一実施例では、このように同定された化合物は、例えばリガンドやその断片な
どのPPHKPの天然のリガンド、または天然の基質、構造的または機能的な擬態性
または自然結合パートナーに密接に関連している(Coligan, J.E. 他 (1991) Cu rrent Protocols in Immunology 1(2)の5章等を参照)。同様に、化合物は、PPH
KPが結合する天然受容体、或いは例えばリガンド結合部位などの少なくとも受容
体のある断片に密接に関連し得る。何れの場合も、既知の技術を用いてこの化合
物を合理的に設計することができる。一実施例では、このような化合物に対する
スクリーニングには、分泌タンパク質或いは細胞膜上のタンパク質の何れか一方
としてPPHKPを発現する好適な細胞の作製が含まれる。好適な細胞には、哺乳動
物、酵母、大腸菌からの細胞が含まれる。PPHKPを発現する細胞またはPPHKPを含
有する細胞膜断片を試験化合物と接触させて、PPHKPまたは化合物の何れかの結
合、刺激または阻害を分析する。
【0139】 あるアッセイは、単に試験化合物をポリペプチドに実験的に結合させ、結合を
、フルオロフォア、放射性同位体、酵素抱合体またはその他の検出可能な標識に
より検出することができる。例えば、このアッセイは、少なくとも1つの試験化
合物を、溶液中の或いは固体支持物に固定されたPPHKPと結合させるステップと
、PPHKPとこの化合物との結合を検出するステップを含み得る。別法では、標識
された競合物の存在下での試験化合物の結合の検出及び測定を行うことができる
。更にこのアッセイでは、細胞遊離剤、化学ライブラリまたは天然の生成混合物
を用いて実施することができ、試験化合物は、溶液中で遊離させるか固体支持体
に固定させる。
【0140】 本発明のPPHKPまたはその断片を用いて、PPHKPの活性を調整する化合物をスク
リーニングすることが可能である。このような化合物には、アゴニスト、アンタ
ゴニスト、或るいは部分的または逆アゴニスト等が含まれる。一実施例では、PP
HKPが少なくとも1つの試験化合物と結合する、PPHKPの活性が許容される条件下
でアッセイを実施し、試験化合物の存在下でのPPHKPの活性が試験化合物不在下
でのPPHKPの活性と比較する。試験化合物の存在下でのPPHKPの活性の変化は、PP
HKPの活性を調整する化合物の存在を示唆する。別法では、試験化合物をPPHKPの
活性に適した条件下でPPHKPを含むin vitroまたは細胞遊離系と結合させてアッ
セイを実施する。これらアッセイの何れかにおいて、PPHKPの活性を調整する試
験化合物は間接的に結合することが可能であり、試験化合物と直接接触する必要
がない。少なくとも1つから複数の試験化合物をスクリーニングすることができ
る。
【0141】 別の実施例では、胚性幹細胞(ES細胞)における相同組換えを用いて動物モデ
ル系内で、PPHKPまたはその哺乳動物相同体をコードするポリヌクレオチドを「
ノックアウト」する。このような技術は当技術分野において周知であり、ヒト疾
患動物モデルの作製に有用である(米国特許第5,175,383号及び第5,767,337号等
を参照)。例えば129/SvJ細胞株等のマウスES細胞は初期のマウス胚に由来し、
培地で増殖させることができる。このES細胞は、ネオマイシンホスホトランスフ
ェラーゼ遺伝子(neo: Capecchi, M.R. (1989) Science 244:1288-1292)等のマ
ーカー遺伝子で破壊した目的の遺伝子を含むベクターで形質転換する。このベク
ターは、相同組換えにより宿主ゲノムの対応する領域に組み込まれる。別法では
、Cre-loxP系を用いて相同組換えを行い、組織特異的または発生段階特異的に目
的遺伝子をノックアウトする(Marth, J.D. (1996) Clin. Invest. 97:1999-200
2; Wagner, K.U. 他 (1997) Nucleic Acids Res. 25:4323-43 30)。形質転換し
たES細胞を同定し、例えばC57BL/6マウス系等から採取したマウス細胞胚盤胞に
微量注入する。胚盤胞を偽妊娠メスに外科的に導入し、得られるキメラ子孫の遺
伝形質を決め、これを交配させてヘテロ接合性系またはホモ接合性系を作製する
。このようにして作製した遺伝子組換え動物は、潜在的な治療薬や毒性薬剤で検
査することができる。
【0142】 PPHKPをコードするポリヌクレオチドをin vitroでヒト胚盤胞由来のES細胞に
おいて操作することが可能である。ヒトES細胞は、内胚葉、中胚葉及び外胚葉の
細胞の種類を含む少なくとも8つの別々の細胞系統に分化する可能性を有する。
これらの細胞系統は、例えば神経細胞、造血系統及び心筋細胞に分化する(Thom
son, J.A. 他 (1998) Science 282:1145-1 147)。
【0143】 PPHKPをコードするポリヌクレオチドを用いて、ヒト疾患をモデルとした「ノ
ックイン」ヒト化動物(ブタ)または遺伝子組換え動物(マウスまたはラット)
を作製することが可能である。ノックイン技術を用いて、PPHKPをコードするポ
リヌクレオチドの或る領域を動物ES細胞に注入し、注入した配列を動物細胞ゲノ
ムに組み込ませる。形質転換細胞を胞胚に注入し、胞胚を上記のように移植する
。遺伝子組換え子孫または近交系について研究し、潜在的な医薬品を用いて処置
し、ヒトの疾患の治療に関する情報を得る。別法では、例えばPPHKPを乳汁内に
分泌するなどPPHKPを過剰発現する哺乳動物近交系は、便利なタンパク質源とな
り得る(Janne, J. 他 (1998) Biotechnol. Annu. Rev. 4:55-74)。
【0144】 (治療) PPHKPのある領域とプロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼのある
領域との間に、例えば配列及びモチーフの文脈における化学的及び構造的類似性
が存在する。更に、PPHKPの発現は、胃腸組織、炎症組織、神経組織、増殖組織
、および癌組織に密接に関連する。従って、PPHKPは、胃腸疾患、免疫系の疾患
、神経疾患、および癌を含む細胞増殖異常においてある役割を果たすと考えられ
る。PPHKPの発現若しくは活性の増大に関連する疾患の治療においては、PPHKPの
発現または活性を低下させることが望ましい。また、PPHKPの発現または活性の
低下に関連する疾患の治療においては、PPHKPの発現または活性を増大させるこ
とが望ましい。
【0145】 従って、一実施例において、PPHKPの発現または活性の低下に関連した疾患の
治療または予防のために、患者にPPHKPまたはその断片や誘導体を投与すること
が可能である。限定するものではないが、このような疾患には胃腸疾患、免疫系
の疾患、神経疾患、および癌を含む細胞増殖異常が含まれ、胃腸疾患の中には、
嚥下障害、消化性食道炎、食道痙攣、食道狭窄、食道癌、消化不良、消化障害、
胃炎、胃癌、食欲不振、悪心、嘔吐、胃不全麻痺、洞または幽門の浮腫、腹部ア
ンギナ、胸焼け、胃腸炎、イレウス、腸管感染、消化性潰瘍、胆石症、胆嚢炎、
胆汁うっ滞、膵臓炎、膵臓癌、胆道疾患、肝炎、高ビリルビン血症、硬変症、肝
臓の受動性うっ血、ヘパトーム、感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、
クローン病、ホイップル病、マロリー‐ヴァイス症候群、結腸癌、結腸閉塞、過
敏性腸症候群、短小腸症候群、下痢、便秘、胃腸出血、及び後天性免疫不全症候
群(AIDS)腸症、黄疸、肝性脳症、肝腎症候群、肝炎、肝脂肪症、血色素症、ウ
ィルソン病、α-1-アンチトリプシン欠損症、ライ症候群、原発性硬化性胆管炎
、肝梗塞、門脈循環閉塞及び血栓、小葉中心壊死、肝臓紫斑病、肝静脈血栓、肝
静脈閉塞症、子癇前症、子癇、妊娠性急性肝脂肪、妊娠性肝臓内胆汁うっ滞と、
結節性再生及び腺腫、癌腫を含む肝癌とが含まれ、免疫系の疾患の中には、炎症
及び日光性角化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び副腎機能不全、成人呼吸
窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘息、アテロー
ム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺
性内分泌カンジダ性外胚葉ジストロフィ(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮
膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒
素性一時性リンパ球減少症、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、
グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症
、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は心膜炎症、骨関節
炎、骨粗しょう症、膵炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、
シェ−グレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身
性硬化症、原発性血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群
、癌合併症、血液透析、体外循環、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、
寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、外傷が含まれ、神経の疾患の中には、
癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマー病、ピック病、
ハンチントン病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障害、筋萎縮性側策
硬化及びその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、色素性網膜炎、
遺伝性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及びウイルス性髄膜炎
、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎及び
神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイツフェルト‐ヤコ
ブ病、ゲルストマン症候群、Gerstmann-Straussler-Scheinker症候群を含むプリ
オン病と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、神経線維腫症、結
節硬化症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳
3叉神経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害、脳性麻痺、神経
骨格異常症、自律神経系障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多発性筋炎と、遺伝
性、代謝性、内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻
痺と、気分性及び不安性の障害、分裂病性疾患を含む精神病と、季節性障害(SA
D)と、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、錐体外路性終末
欠陥症候群、ジストニー、分裂病性精神障害、帯状疱疹後神経痛、及びトゥーレ
ット病と、進行性核上麻痺、皮質基部変性(corticobasal degeneration)及び
家族性の前頭側頭性健忘症とが含まれ、細胞増殖異常の中には日光性角化症及び
アテローム性動脈硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組織病(MCTD)、骨
髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症
、並びに腺癌及び白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、及び奇形癌、具体
的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓
、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚
、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌が含まれる。
【0146】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むPPHKPの発
現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、PPHKPまたはそ
の断片や誘導体を発現し得るベクターを患者に投与することも可能である。
【0147】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むPPHKP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精
製されたPPHKPを含む組成物を好適な医薬用担体と共に患者に投与することも可
能である。
【0148】 更に別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むPPHKP
の発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、PPHKPの活
性を調節するアゴニストを患者に投与することも可能である。
【0149】 更なる実施例では、PPHKPの発現または活性の増大に関連した疾患の治療また
は予防のために、患者にPPHKPのアンタゴニストを投与することが可能である。
限定するものではないが、このような疾患の例には、上記した胃腸疾患、免疫系
の疾患、神経疾患、および癌を含む細胞増殖異常が含まれる。一実施態様では、
PPHKPと特異的に結合する抗体が直接アンタゴニストとして、或いはPPHKPを発現
する細胞または組織に薬剤を運ぶターゲッティング或いは運搬機構として間接的
に用いられ得る。
【0150】 別の実施例では、限定するものではないが上に列記した疾患を含むPPHKPの発
現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、PPHKPをコード
するポリヌクレオチドの相補配列を発現するベクターを患者に投与することも可
能である。
【0151】 別の実施例では、本発明の任意のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニ
スト、相補的な配列、ベクターを別の好適な治療薬と組み合わせて投与すること
もできる。当業者は、従来の医薬原理にしたがって併用療法で用いる好適な治療
薬を選択可能である。治療薬との組み合わせにより、上に列記した種々の疾患の
治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法を用いて少ない量の各薬剤
で医薬効果をあげることが可能であり、広範囲な副作用の可能性を低減し得る。
【0152】 PPHKPのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可
能である。詳しくは、精製されたPPHKPを用いて抗体を作ったり、治療薬のライ
ブラリをスクリーニングしてPPHKPと特異的に結合するものを同定が可能である
。PPHKPの抗体も、当分野で一般的な方法を用いて製造することが可能である。
このような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、
一本鎖、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリによって作られたフラグメン
トが含まれる。但し、これらに限定されるものではない。治療用には、中和抗体
(即ち、二量体の形成を阻害するもの)が特に好ましい。
【0153】 抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト及びその他のも
のを含む種々の宿主が、PPHKPまたは任意の断片、または免疫原性の特性を備え
るそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々
のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。このようなアジュバン
トにはフロイントアジュバント、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュ
バント、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性
乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン、及びジニトロフェノールなどの界面
活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒトに用いられるアジ
ュバントの中では、BCG(bacilli Calmette-Guerin)及びCorynebacterium parv um が特に好ましい。
【0154】 PPHKPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド、
または断片は、少なくとも約5個のアミノ酸からなり、一般的には約10個以上
のアミノ酸からなるものが好ましい。これらのオリゴペプチド或いはペプチド、
またはそれらの断片は、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であるこ
とが望ましい。PPHKPアミノ酸の短いストレッチは、KLHなどの別のタンパク質の
配列と融合し、キメラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0155】 PPHKPに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗
体分子を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。これらの技術
には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びEBV−ハイブ
リドーマ技術が含まれるが、これらに限定されるものではない(例えば、Kohler
, G. 等. (1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D. 等. (1985) .J. Immunol. M
ethods 81−8-42; Cote, R.J. 等. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-20
30; Cole, S.P. 等. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120を参照)。
【0156】 更に、「キメラ抗体」作製のために発達したヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺伝
子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性及び生物学的活性を備
える分子を得るために用いられる(例えば、Morrison, S.L.他. (1984) Proc. N
atl. Acad. Sci. 81−4851−4855; Neuberger, M.S.他. (1984) Nature 312:604
-608; Takeda, S.等. (1985) Nature 314:452,454を参照)。別法では、当分野
で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、
PPHKP特異性一本鎖抗体を生成する。関連する特異性を備えるが別のイディオタ
イプの組成の抗体は、ランダムな組み合わせの免疫グロブリンライブラリから鎖
混合によって生成することもできる(例えば、Burton D.R. (1991) Proc. Natl.
Acad. Sci. 88:11120-3を参照)。
【0157】 抗体は、リンパ球集団の中のin vivo産生を誘発することによって、または免
疫グロブリンライブラリのスクリーニング又は文献に示されているような、高度
に特異的な結合試薬のパネルをスクリーニングすることによって、産生すること
もできる(例えば、Orlandi, R. 他. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. 86: 3833
-3837; Winter, G. 他. (1991) Nature 349:293-299を参照)。
【0158】 PPHKPに対する特異的な結合部位を含む抗体も産生することができる。例えば
、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab')に
断片と、F(ab')に断片のジスルフィド架橋を減じることによって生成されるFa
b断片が含まれるが、これらに限定されるものではない。別法では、Fab発現ライ
ブラリを作製することによって、所望の特異性とモノクローナルFab断片の迅速
且つ容易な同定が可能となる(例えば、Huse, W.D. 等. (1989) Science 254:12
75-1281を参照)。
【0159】 種々のイムノアッセイを用いてスクリーニングし、所望の特異性を有する抗体
を同定する。隔離された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナ
ル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫放射線活性のための数々のプ
ロトコルが、当分野では周知である。通常このようなイムノアッセイには、PPHK
Pとその特異性抗体との間の複合体調整の計測が含まれる。二つの非干渉性PPHKP
エピトープに対して反応性のモノクローナル抗体を用いる、2部位モノクローナ
ルベースのイムノアッセイが一般に利用されるが、競合的結合アッセイも利用す
ることができる(Pound、前出)。
【0160】 ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、P
PHKPに対する抗体の親和性を評価する。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは
、平衡状態の下でPPHKP抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原のモル濃度
で除して得られる値である。多数のPPHKPエピトープに対して親和性が不均一な
ポリクローナル抗体医薬のKaは、PPHKPに対する抗体の平均親和性または結合
活性を表す。特定のPPHKPエピトープに単一特異的なモノクローナル抗体医薬の
Kaは、親和性の真の測定値を表す。Ka値が10〜1012L/molの高親
和性抗体医薬は、PPHKP抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノ
アッセイに用いるのが好ましい。Ka値が10〜10L/molの低親和性抗
体医薬は、PPHKPが抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製
(immunopurification)及び類似の処理に用いるのが好ましい。(Catty, D. (19
88) Antibodies, Volume I: A Practical Approach. IRL Press, Washington, D
C; Liddell, J. E. and Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal A ntibodies , John Wiley & Sons, New York NY)。
【0161】 ある下流での適用におけるこのような医薬品の品質及び適性を調べるために、
ポリクローナル抗体医薬の抗体価及び結合活性を更に評価する。例えば、少なく
とも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的
な抗体を含むポリクローナル抗体医薬は一般に、PPHKP抗体複合体を沈殿させな
ければならない処理に用いられる。様々な適用例における抗体の特異性及び抗体
価、結合活性、抗体の品質や使用法の指針は一般に入手可能である。(例えば、C
atty, 前出, 及びColigan 他、前出を参照)。
【0162】 本発明の別の実施例では、PPHKPをコードするポリヌクレオチド、またはその
任意の断片や相補配列が、治療目的で使用することができる。ある実施態様では
、PPHKPをコードする遺伝子のコーディング領域や調節領域に相補的な配列やア
ンチセンス分子(DNA及びRNA、修飾ヌクレオチド)を設計して遺伝子発現を変更
することができる。このような技術は当分野では周知であり、センスまたはアン
チセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、PPHKPをコードする配列の制
御領域から、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能である。
【0163】 治療に用いる場合、アンチセンス配列を好適な標的細胞に導入するのに好適な
任意の遺伝子送達系を用いることができる。アンチセンス配列は、転写時に標的
タンパク質をコードする細胞配列の少なくとも一部に相補的な配列を発現する発
現プラスミドの形で細胞内に送達することができる(例えば、Slater, J.E. 他
(1998) J. Allergy Clin. Immunol. 102(3):469-475; and Scanlon, K.J. 他 (1
995)9(13):1288-1296.を参照 )。また、アンチセンス配列は、例えばレトロウ
イルスやアデノ関連ウイルスベクター等のウイルスベクターを用いて細胞内に導
入することもできる(例えば、Miller, A.D. (1990) Blood 76:271; Ausubel,
前出; Uckert, W. and W. Walther (1994) Pharmacol. Ther. 63(3):323-347を
参照)。その他の遺伝送達機構には、リポソーム系、人工的なウイルスエンベロ
ープ、及び当分野で周知のその他の系が含まれる(Rossi, J.J. (1995) Br. Med
. Bull. 51(1):217-225; Boado, R.J.他 (1998) J. Pharm. Sci. 87(11):1308-1
315; and Morris, M.C. 他 (1997) Nucleic Acids Res. 25(14):2730-2736.を参
照)。
【0164】 本発明の別の実施例では、PPHKPをコードするポリヌクレオチドを、体細胞若
しくは生殖細胞の遺伝子治療に用いることが可能である。遺伝子治療は、(i)
遺伝子欠損症(例えば、X染色体連鎖遺伝(Cavazzana-Calvo, M. 他 (2000) Sc
ience 288:669-672)によって特徴づけられる重度の複合型免疫欠損(SCID)-X1
)、遺伝性アデノシン−デアミナーゼ(ADA)欠損症(Blaese, R.M. 他 (1995) S
cience 270:475-480; Bordignon, C. 他 (1995) Science 270:470-475)に関連す
る重度の複合型免疫欠損、嚢胞性繊維症(Zabner, J. 他 (1993) Cell 75:207-2
16: Crystal, R.G. 他 (1995) Hum. Gene Therapy 6:643-666; Crystal, R.G.
他. (1995) Hum. Gene Therapy 6:667-703)、サラセミア(thalassamia)、家
族性高コレステロール血症、第VIII因子若しくは第IX因子欠損による血友病(Cr
ystal, 35 R.G. (1995) Science 270:404-410; Verma, I.M. and Somia. N. (1
997) Nature 389:239-242)を治療したり、(ii)条件的致死性遺伝子産物(例
えば、細胞増殖の制御不能による癌の場合)を発現させたり、及び(iii)細胞
内の寄生虫(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)(Baltimore, D. (1988) Na
ture 335:395-396; Poescbla, E. 他 (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:
11395-11399)や、B型若しくはC型肝炎ウイルス(HBV、HCV)、Candida albican s 及びParacoccidioides brasiliensis等の真菌寄生虫、Plasmodium falciparum
及びTrypanosoma cruzi等の原虫寄生体)に対する防御機能を有するタンパク質
を発現させて行うことができる。PPHKPの発現若しくは調節に必要な遺伝子の欠
損が疾患を引き起こす場合、導入した細胞の好適な集団からPPHKPを発現させて
、遺伝子欠損によって起こる症状の発現を緩和することが可能である。
【0165】 本発明の更なる実施例では、PPHKPの欠損による疾患や異常症は、PPHKPをコー
ドする哺乳動物発現ベクターを作製して、これらのベクターを機械的手段によっ
てPPHKP欠損細胞に導入することによって治療する。in vivo或いはex vitroの細
胞に用いる機械的な導入技術には、(i)個々の細胞内へのDNAのマイクロインジ
ェクション、(ii)金粒子の打ち込み、(iii)リポソーム仲介性トランスフェ
クション、(iv)受容体仲介性遺伝子導入、及び(v)DNAトランスポソン(Morg
an, R.A. and W.F. Anderson (1993) Annu. Rev. Biochem. 62:191-217; Ivics,
Z. (1997) Cell 91:501-510; Boulay, J-L. and H. Recipon (1998) Curr. Op
in. Biotechnol. 9:445-450)の使用が含まれる。
【0166】 PPHKPの発現に影響を及ぼし得る発現ベクターには、限定するものではないが
、PCDNA 3.1、EPITAG、PRCCMV2、PREP、PVAXベクター(Invitrogen, Carlsbad CA
)、PCMV-SCRIPT、PCMV-TAG、PEGSH/PERV (Stratagene, La Jolla CA)、PTET-OF
F、PTET-ON、PTRE2、PTRE2-LUC、PTK-HYG (Clontech, Palo Alto CA)が含まれる
。PPHKPを発現させるために、(i)恒常的に活性なプロモーター(例えば、サイ
トメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、SV40ウイルス、チミジ
ンキナーゼ(TK)、若しくはβ−アクチン遺伝子等)、(ii)誘導性プロモーター
(例えば、市販されているT-REXプラスミド(Invitrogen)に含まれている、テ
トラサイクリン調節性プロモーター(Gossen, M. and H. Bujard (1992) Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:5547-5551; Gossen, M. 他 (1995) Science 268:1
766-1769; Rossi, F.M.V. and H.M. Blau (1998) Curr. Opin. Biotechnol. 9:4
51-456))、エクジソン誘導性プロモーター(市販されているプラスミドPVGRXR
及びPINDに含まれている:Invitrogen)、FK506/ラパマイシン誘導性プロモー
ター、またはRU486/ミフェプリストーン誘導性プロモーター(Rossi, F.M.V. a
nd H.M. Blau, 前出)、または(iii)正常な個体に由来するPPHKPをコードする
内在性遺伝子の天然のプロモーター若しくは組織特異的プロモーターを用いるこ
とが可能である。
【0167】 市販のリポソーム形質転換キット(例えば、Invitrogenが販売しているPERFEC
T LIPID及びTRANSFECTION KIT)を用いれば、当業者は経験にそれほど頼らない
でもポリヌクレオチドを培養中の標的細胞に導入することが可能である。別法で
は、リン酸カルシウム法(Graham. F.L. and A.J. Eb (1973) Virology 52:456-
467)若しくは電気穿孔法 (Neumann, B. 他 (1982) EMBO J. 1:841-845)を用い
て形質転換を行う。初代細胞にDNAを導入するためには、これらの標準的な哺乳
動物トランスフェクションプロトコルを変更する必要がある。
【0168】 本発明の別の実施例では、PPHKPの発現に関連する遺伝子欠損によって起こる
疾患や異常症は、(i)レトロウイルス末端反復配列(LTR)プロモーター若しく
は独立したプロモーターのコントロール下でPPHKPをコードするポリヌクレオチ
ドと、(ii)好適なRNAパッケージングシグナルと、(iii)追加のレトロウイル
ス・シス作用性RNA配列及び効率的なベクターの増殖に必要なコーディング配列
を伴うRev応答性エレメント(RRE)とからなるレトロウイルスベクターを作製し
て治療することができる。レトロウイルスベクター(例えば、PFB及びPFBNEO)
はStratagene社から入手可能であり、公表データ(Riviere, I. 他. (1995) Pro
c. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92:6733-6737)に基づいている。上記データを引
用することをもって本明細書の一部とする。このベクターは、VSVg(Armentano,
D. 他 (1987) J. Virol. 61:1647-1650; Bender, M.A. 他 (1987) J. Virol. 6
1:1639-1646; Adam, M.A. and A.D. Miller (1988) J. Virol. 62:3802-3806; D
ull, T. 他 (1998) J. Virol. 72:8463-8471; Zufferey, R. 他 (1998) J. Viro
l. 72:9873-9880)等の乱交雑エンベロープタンパク質若しくは標的細胞上の受
容体に対する親和性を有するエンベロープ遺伝子を発現する好適なベクター産生
細胞系(VPCL)において増殖される。RIGGに付与された米国特許第5,910,434号
(「Method for obtaining retrovirus packaging cell lines producing high
transducing efficiency retroviral supernatant」)において、レトロウイル
スパッケージング細胞系を得るための方法が開示されており、引用することをも
って本明細書の一部とする。レトロウイルスベクターの増殖、ある細胞集団(例
えば、CD4+T細胞)の形質導入、並びに形質導入した細胞を患者に戻す方法は、
遺伝子治療の分野では周知であり、多数の文献に記載されている(Ranga, U. 他
. (1997) J. Virol. 71:7020-7029; Bauer, G. 他 (1997) Blood 89:2259-2267;
Bonyhadi, M.L. (1997) J. Virol. 71:4707-4716; Ranga, U. 他 (1998) Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95:1201-1206: Su, L. (1997) Blood 89:2283-2290
)。
【0169】 別法では、アデノウイルス系遺伝子治療の送達系を用いて、PPHKPの発現に関
連する1或いは複数の遺伝子異常を有する細胞にPPHKPをコードするポリヌクレ
オチドを送達する。アデノウイルス系ベクターの作製及びパッケージングは当分
野では周知である。複製欠損型アデノウイルスベクターは、免疫調節タンパク質
をコードする遺伝子を膵臓の無損傷の膵島の中に導入するために可変性であるこ
とが証明された(Csete, M.E. 他. (1995) Transplantation 27:263-268)。使
用できる可能性のあるアデノウイルスベクターが、米国特許第5,707,618号(「A
denovirus vectors for gene therapy」)に記載されており、引用することをも
って本明細書の一部とする。アデノウイルスベクターについてはまた、Antinozz
i, P.A. 他 (1999) Annu. Rev. Nutr. 19:511-544; and Verma, I.M. and N. So
mia (1997) Nature 18:389:239-242を参照し、引用することをもって本明細書の
一部とする。
【0170】 別法では、ヘルペス系遺伝子治療の送達系を用いて、PPHKPの発現に関連する
1或いは複数の遺伝子異常を有する標的細胞にPPHKPをコードするポリヌクレオ
チドを送達する。単純疱疹ウイルス(HSV)系のベクターは、HSV親和性の中枢神
経細胞にPPHKPを導入する際に特に重要である。ヘルペス系ベクターの作製及び
パッケージングは当分野では周知である。複製適格性の単純疱疹ウイルス(HSV
)I型系のベクターは、霊長類の眼にレポーター遺伝子を送達するために用いら
れてきた(Liu, X. 他 (1999) Exp. Eye Res.169:385-395)。HSV-1ウイルスベ
クターの作製は、DeLucaに付与された米国特許第5,804,413号(Herpes simplex v
irus swains for gene transfer)に記載されており、引用することをもって本明
細書の一部とする。米国特許第5,804,413号には、ヒト遺伝子治療を含む目的の
ために、好適なプロモーターのコントロールの下で、細胞に導入される少なくと
も1つの内在性遺伝子を含むゲノムからなる組換えHSV d92についての記載があ
る。また上記特許には、ICP4、ICP27及びICP22のために除去される組換えHSV株
の作製及び使用方法が開示されている。HSVベクターについては、Goins, W.F.
他 (1999) J. Virol. 73:519-532 and Xu, H. 他 (1994) Dev. Biol. 163:152-1
61を参照し、引用することをもって本明細書の一部とする。クローニングされた
ヘルペスウイルス配列の操作や、巨大ヘルペスウイルスのゲノムの異なった部分
を含む多数のプラスミドをトランスフェクトした後の組換えウイルスの継代、ヘ
ルペスウイルスの成長及び増殖、並びにヘルペスウイルスの細胞への感染は当分
野で周知の技術である。
【0171】 別法では、αウイルス(正の一本鎖RNAウイルス)ベクターを用いてPPHKPをコ
ードするポリヌクレオチドを標的細胞に送達する。プロトタイプのαウイルスで
あるセムリキ森林熱ウイルス(Semliki Forest Virus, SFV)の生物学的な研究
が広範に行われ、遺伝子伝達ベクター(gene transfer vector)がSFVゲノムに
基づいていることが分かった(Garoff, H. and K.-J. Li (1998) Cun. Opin. Bi
otech. 9:464-469)。αウイルスRNAの複製中に、通常はウイルスカプシドタン
パク質をコードするサブゲノムRNAが作り出される。このサブゲノムRNAが完全長
のゲノムRNAより高いレベルで複製されるため、酵素活性(例えばプロテアーゼ
及びポリメラーゼ)を有するウイルスタンパク質に対してカプシドタンパク質が
過剰に産生される。同様に、PPHKPをコードする配列をαウイルスゲノムのカプ
シドをコードする領域に導入することによって、ベクター導入細胞において多数
のPPHKPをコードするRNAが産生され、高いレベルでPPHKPが合成される。通常は
αウイルス感染は2〜3日以内の細胞溶解に関係するが、シンドビスウイルス(
SIN)の変異体を有するハムスターの正常な腎細胞(BHK-21)の持続的な感染を
確立する能力は、αウイルスの溶解性の複製が遺伝子治療に適用できるように好
適に変更することが可能であることを示唆している(Dryga, S.A. 他. (1997) V
irology 228 :74-83)。様々な宿主にαウイルスを導入できることから、様々な
タイプの細胞にPPHKPを導入することできる。ある集団における細胞のサブセッ
トの特定の形質導入には、形質導入する前に細胞のソーティングを必要とする場
合がある。αウイルスの感染性cDNAクローンの操作、αウイルスcDNA及びRNAの
トランスフェクション、並びにαウイルスの感染方法は当分野で周知である。
【0172】 例えば開始部位から約−10から約+10までの転写開始部位に由来するオリ
ゴヌクレオチドを用いて、遺伝子の発現を阻害することが可能である。同様に、
三重らせん塩基対合法を用いて阻害することができる。三重らせん構造は、二重
らせんがポリメラーゼ、転写因子、または調節分子の結合のために十分に広がる
のを阻止するため有用である。三重式DNAを用いる最近の治療の進歩は文献に記
載されている(例えば、Gee, J.E. 等. (1994) In: Huber, B.E. 及び B.I. Car
r, Molecular and ImmunologiPPHKPproaches, Futura Publishing Co., Mt. Kis
co, NYを参照)。相補的な配列またはアンチセンス分子もまた、転写物がリボソ
ームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳を阻止するように設計でき
る。
【0173】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒するために用いる
ことができる。リボザイム作用の機構には、相補的な標的RNAへのリボザイム分
子の配列特異性ハイブリダイゼーションが含まれ、ヌクレオチド鎖切断が続く。
例えば、PPHKPをコードする配列のヌクレオチド鎖切断を、特異的且つ効果的に
触媒する組換え型のハンマーヘッド型リボザイム分子が含まれる。
【0174】 任意の潜在的RNA標的内の特異的なリボザイム切断部位が、後続の配列GUA
、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位に対して、標的分子をスキャニ
ングすることによって初めに同定される。一度同定されると、切断部位を含む標
的遺伝子の領域に対応する15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列
を、オリゴヌクレオチドの機能を不全にする二次的な構造の特徴について評価す
ることが可能である。候補標的の適合性も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用
いて、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションの容易性をテス
トすることによって評価することが可能である。
【0175】 本発明の相補的なリボ核酸分子及びリボザイムは、当分野で周知の方法を用い
て、核酸分子の合成のために作製することができる。これらの方法には、固相ホ
スホラミダイト化合物などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法が含ま
れる。別法では、RNA分子がin vitro及びin vivoでPPHKPをコードするDNA配列の
転写によって生成され得る、このようなDNA配列はT7またはSP6等の好適なRNAポ
リメラーゼプロモータを用いて、種々のベクターの中に組み入れることが可能で
ある。別法では、相補的なRNAを構成的または誘導的に合成するこれらのcDNA作
製物は、細胞株、細胞、または組織の中に導入することができる。
【0176】 RNA分子を修飾することによって、細胞内の安定性を高め、半減期を長くする
ことができる。可能な修飾には、分子の5’及び/または3’端部でのフランキ
ング配列の追加、または分子のバックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合よ
りむしろホスホロチオネート又は2’Oメチルの使用が含まれるが、これらに限
定されるものではない。PNAの生成に固有のこの概念は、内在性のエンドヌクレ
アーゼによって容易には認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、
及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−、及び同様の修飾形態だけでなく
、イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)など
の従来のものでない塩基を含めることによって、これらの分子の全体に拡大する
ことができる。
【0177】 本発明の更なる実施例は、PPHKPをコードするポリヌクレオチドの発現の変化
に有効な化合物をスクリーニングする方法を含む。特定のポリヌクレオチドの発
現の変化に有効な化合物には、限定するものではないが、特定のポリヌクレオチ
ド配列と相互作用可能な非高分子化学物質、オリゴヌクレオチド、アンチセンス
オリゴヌクレオチド、三重らせん形成オリゴヌクレオチド、転写因子やその他の
ポリペプチド転写調節因子が含まれる。有効な化合物は、ポリヌクレオチド発現
のインヒビター或いはエンハンサーとして作用し、ポリヌクレオチドの発現を変
化させ得る。従って、PPHKPの発現または活性の増加に関連する疾患の治療にお
いては、PPHKPをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に阻害する化合物
が治療上有用であり、PPHKPの発現または活性の低下に関連する疾患の治療にお
いては、PPHKPをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に促進する化合物
が治療上有用であり得る。
【0178】 特定のポリヌクレオチドの発現の変化の有効性を調べるために、少なくとも1
個から複数個の試験化合物をスクリーニングすることができる。試験化合物は、
有効な化合物の化学修飾を含む当分野で周知の任意の方法で得ることができる。
このような方法は、ポリヌクレオチドの発現を変化させる場合、一般に市販され
ている或いは専売の天然または非天然の化合物ライブラリから選択する場合、標
的ポリヌクレオチドの化学的及び/または構造的特性に基づいて化合物を合理的
にデザインする場合、更に組合せ的にまたは無作為に生成した化合物のライブラ
リから選択する場合に有効である。PPHKPをコードするポリヌクレオチドを含む
サンプルは、少なくとも1つの試験化合物に曝露して得る。サンプルには、例え
ば無傷細胞、透過化処理した細胞、in vitro細胞遊離系または再構成生化学系が
含まれ得る。PPHKPをコードするポリヌクレオチドの発現における変化は、当分
野で周知の任意の方法でアッセイする。通常、PPHKPをコードするポリヌクレオ
チドの配列に相補的なヌクレオチド配列を有するプローブを用いたハイブリダイ
ゼーションにより、特定のヌクレオチドの発現を検出する。ハイブリダイゼーシ
ョンの収量を定量し、その値が1或いは複数の試験化合物に曝露される及び曝露
されないポリヌクレオチドの発現の比較における基準となり得る。試験化合物に
曝露されるポリヌクレオチドの発現の変化が検出される場合は、ポリヌクレオチ
ドの発現の変化に試験化合物が有効であることを示している。特定のポリヌクレ
オチドの発現の変化に有効な化合物を調べるために、例えばSchizosaccharomyce s pombe 遺伝子発現系(Atkins, D. 他 (1999) 米国特許第5,932,435号、Arndt,
G.M. 他 (2000) Nucleic Acids Res. 28:E15)またはHeLa細胞等のヒト細胞株(
Clarke, M.L. 他 (2000) Biochem. Biophys. Res. Commun. 268:8-13)を用いて
スクリーニングする。本発明の特定の実施例は、特異的ポリヌクレオチド配列に
対するアンチセンス活性を調べるための、各オリゴヌクレオチド(デオキシリボ
ヌクレオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核酸、及び修飾オリゴヌクレオチド
)の組み合わせライブラリのスクリーニングを含む(Bruice, T.W. 他 (1997)
米国特許第5,686,242号、Bruice, T.W. 他 (2000) 米国特許第6,022,691号)。
【0179】 ベクターを細胞又は組織に導入する多数の方法が利用でき、in vivoin vitr o 、及びex vivoでの使用に等しく適している。ex vivoでの治療の場合、患者か
ら採取された肝細胞の中にベクターを導入して、自家移植で同じ患者に戻すため
にクローニング増殖される。トランスフェクション、リボソーム注入またはポリ
カチオンアミノポリマーによる運搬は、当分野で周知の方法を用いて実行するこ
とができる(例えば、Goldman, C.K. 他. (1997) Nature Biotechnology 15:462
-66:を参照)。
【0180】 上記したいかなる治療方法も、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサ
ギ及びサルなどの哺乳動物を含む、治療が必要な全ての被験者に適用できる。
【0181】 本発明の別の実施例は、上記した全ての治療効果のために、医学上認められる
担体と共に医薬品或いは無菌組成物の投与に関連する。このような組成物は、PP
HKP、PPHKPの抗体、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、又はPPHKPのインヒビ
ターなどからなる。この組成物は、単体で、或いは安定剤などの1種類以上の別
の薬剤と共に、無菌の生体適合性医薬品担体に投与することができる。このよう
な医薬品担体には、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖、及び水などが含まれる
がこれらに限定されるものではない。この組成物は、単独或いは薬物又はホルモ
ンなどの別の薬剤と共に投与することができる。
【0182】 本発明に用いられる組成物は、様々な経路を用いて投与するが可能である。こ
の経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下、心室内、経皮
、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、または直腸が含まれるがこれらに
限定されるものではない。
【0183】 肺投与用の組成物は、液状または乾燥粉末状に調製することができる。このよ
うな組成物は通常、患者が吸入する直前にエアロゾル化する。小分子(例えば、
従来の低分子量有機薬剤)の場合には、速効製剤のエアロゾル輸送が当分野で周
知である。高分子(例えばより大きなペプチドやタンパク質)の場合には、肺の
肺胞領域を介する肺輸送の技術が近年向上したため、インスリン等の薬剤を実際
に血中に輸送することが可能となった(Patton, J.S. 他, 米国特許第5,997,848
号等を参照)。肺輸送は、針注射を用いないで投与できるという点で優れており
、潜在的に有毒な浸透エンハンサーが必要でなくなる。
【0184】 本発明に用いる好適な組成物には、目的を達成するため、効果的な量の活性処
方成分を含む組成物が含まれる。当業者は、十分に自身の能力で効果的な服用量
を決めることができる。
【0185】 組成物の特殊な形状は、PPHKPまたはその断片を含む高分子を直接細胞内に輸
送するべく調製される。例えば、細胞不透過性高分子を含むリポソーム製剤は、
細胞融合及び高分子の細胞内輸送を促進し得る。別法では、PPHKPまたはその断
片をHIV Tat-1タンパク質の陽イオンN末端部に結合することもできる。このよう
にして作製された融合タンパク質は、マウスモデル系の脳を含む全ての組織の細
胞に形質導入されることが確認されている(Schwarze, S.R. 他 (1999) Science
285:1569-1572)。
【0186】 どのような組成物であっても、治療に効果的な薬用量は、初めは、例えば腫瘍
細胞の腫瘍細胞アッセイで、或いは動物モデルのどちらかで推定することができ
る。通常、動物モデルには、マウス、ウサギ、イヌ、サル、またはブタなどが用
いられる。動物モデルはまた、好適な濃縮範囲及び投与の経路を決めるのに用い
ることができる。このような治療をもとに、ヒトへの有益な薬用量及び投与経路
を決定することができる。
【0187】 医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させる、たとえばPPHKP又はそ
の断片、PPHKPの抗体、PPHKPのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビター
などの活性処方成分の量に関連する。薬用有効度及び毒性は、たとえば、ED50 (服用に対して集団の50%に医薬的効果がある用量)またはLD50(服用に対
して集団の50%に致命的である用量)統計を計算するなど、細胞培養または動
物実験における標準的な薬剤手法によって決定することができる。毒性効果と治
療効果との薬用量比は治療指数であり、LD50/ED50と示すことができる。高
い治療指数を示す組成物が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られ
たデータが、ヒトへの適用のために、薬用量の範囲を調剤するのに用いられる。
このような組成物が含まれる薬用量は、毒性を殆ど或いは全く含まず、ED50
含む血中濃度の範囲であることが望ましい。薬用量は、用いられる投与形態及び
患者の感受性、投与の経路によって、この範囲内で様々である。
【0188】 正確な薬用量は、治療が必要な患者に関する要素を考慮して、実務者によって
決められるであろう。薬用量及び投与は、効果的なレベルの活性成分を与えるた
め或いは所望の効果を維持するために調節される。薬用量の要素として考慮され
るものには、疾患の重症度、患者の一般的な健康状態、年齢、体重、及び患者の
性別、投与の時間及び頻度、併用する薬剤、反応感受性、及び治療に対する応答
が含まれる。作用期間が長い組成物は、三日か四日に一度、一週間に一度、二週
間に一度、特定の製剤の半減期及びクリアランス率によって左右され、投与され
得る。
【0189】 通常の薬用量は投与の経路によって異なるが、約0.1〜100,000μgまでの最大
約1グラムまでである。特定の薬用量及び運搬の方法に関するガイダンスは文献
に記載されており、一般に当分野の実務者はそれを利用することができる。当業
者は、タンパク質またはインヒビターとは異なったヌクレオチドの製剤を利用す
るであろう。同様に、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの運搬は、特定の細胞
、状態、位置などに対して特異的であろう。
【0190】 (診断) 別の実施例では、PPHKPに特異的に結合する抗体が、PPHKPの発現によって特徴
付けられる疾患の診断、またはPPHKPやPPHKPのアゴニストまたはアンタゴニスト
、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用いら
れる。診断に有用な抗体は、治療のところで記載した方法と同じ方法で製剤され
る。PPHKPの診断アッセイには、抗体及び標識を用いてヒトの体液或いは細胞や
組織から採取されたものからPPHKPを検出する方法が含まれる。これらの抗体は
、修飾をして或いはしないで使用され、レポーター分子の共有結合性或いは非共
有結合性の接着によって標識化され得る。当分野で周知の種々のレポーター分子
が用いられるが、その内の幾つかは上記した。
【0191】 PPHKPを測定するためのELISA,RIA,及びFACSを含む種々のプロトコルは、当
分野では周知であり、変わった或いは異常なレベルのPPHKPの発現を診断する元
となるものを提供する。正常或いは標準的なPPHKPの発現の値は、複合体の形成
に適した条件の下、正常な哺乳動物、例えばヒトなどの被験者から採取した体液
または細胞とPPHKPに対する抗体とを結合させることによって決定する。標準的
な複合体形成の量は、測光法(photometric)などの種々の方法で定量され得る
。被験者のPPHKPの発現の量、制御及び疾患、生検組織からのサンプルが基準値
と比較される。基準値と被験者との間の偏差が、診断の指標となる。
【0192】 別の実施例によれば、PPHKPをコードするポリヌクレオチドを診断のために用
いることもできる。用いられるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列
、相補的なRNA及びDNA分子、及びPNAが含まれる。このポリヌクレオチドを用い
て、疾患と相関し得るPPHKPを発現する生検組織における遺伝子の発現を検出し
定量する。この診断アッセイを用いて、PPHKPの存在の有無、更に過剰な発現を
調べ、治療中のPPHKP値の調節を監視する。
【0193】 ある実施形態では、PPHKPまたは近縁の分子をコードする遺伝子配列を含むポ
リヌクレオチド配列を検出可能なPCRプローブを用いたハイブリダイゼーション
によって、PPHKPをコードする核酸配列を同定することが可能である。例えば5'
調節領域である高度に特異的な領域か、例えば保存されたモチーフであるやや特
異性の低い領域から作られているかのプローブの特異性と、ハイブリダイゼーシ
ョン或いは増幅のストリンジェントは、プローブがPPHKPをコードする自然界の
配列のみを同定するかどうか、或いはアレルや関連配列コードする自然界の配列
のみを同定するかどうかによって決まるであろう。
【0194】 プローブはまた、関連する配列の検出に利用され、PPHKPをコードする任意の
配列と少なくとも50%の配列同一性を有し得る。目的の本発明のハイブリダイ
ゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:12−22の配
列、或いはPPHKP遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含むゲノ
ム配列に由来し得る。
【0195】 PPHKPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプローブの作
製方法には、PPHKP及びPPHKP誘導体をコードするポリヌクレオチド配列をmRNAプ
ローブの作製のためのベクターにクローニングする方法がある。このようなベク
ターは市販されており、当業者には周知であり、好適なRNAポリメラーゼ及び好
適な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを
合成するために用いられる。ハイブリダイゼーションプローブは、例えば32
或いは35Sなどの放射性核種、或いはアビジン/ビオチン(biotin)結合系に
よってプローブに結合されたアルカリホスファターゼなどの酵素標識等の種々の
レポーターの集団によって標識され得る。
【0196】 PPHKPをコードするポリヌクレオチド配列を用いて、PPHKPの発現に関連する疾
患を診断することが可能である。限定するものではないが、このような疾患には
胃腸疾患、免疫系の疾患、神経疾患、および癌を含む細胞増殖異常が含まれ、胃
腸疾患の中には、嚥下障害、消化性食道炎、食道痙攣、食道狭窄、食道癌、消化
不良、消化障害、胃炎、胃癌、食欲不振、悪心、嘔吐、胃不全麻痺、洞または幽
門の浮腫、腹部アンギナ、胸焼け、胃腸炎、イレウス、腸管感染、消化性潰瘍、
胆石症、胆嚢炎、胆汁うっ滞、膵臓炎、膵臓癌、胆道疾患、肝炎、高ビリルビン
血症、硬変症、肝臓の受動性うっ血、ヘパトーム、感染性大腸炎、潰瘍性大腸炎
、潰瘍性直腸炎、クローン病、ホイップル病、マロリー‐ヴァイス症候群、結腸
癌、結腸閉塞、過敏性腸症候群、短小腸症候群、下痢、便秘、胃腸出血、及び後
天性免疫不全症候群(AIDS)腸症、黄疸、肝性脳症、肝腎症候群、肝炎、肝脂肪
症、血色素症、ウィルソン病、α-1-アンチトリプシン欠損症、ライ症候群、原
発性硬化性胆管炎、肝梗塞、門脈循環閉塞及び血栓、小葉中心壊死、肝臓紫斑病
、肝静脈血栓、肝静脈閉塞症、子癇前症、子癇、妊娠性急性肝脂肪、妊娠性肝臓
内胆汁うっ滞と、結節性再生及び腺腫、癌腫を含む肝癌とが含まれ、免疫系の疾
患の中には、炎症及び日光性角化症、後天性免疫不全症候群(AIDS)及び副腎機
能不全、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血
、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎
、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ性外胚葉ジストロフィ(APECED)、気管支炎
、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺
気腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃
炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎
、過好酸球増加症、過敏性大腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋又は
心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様
関節炎、強皮症、シェ−グレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテ
マトーデス、全身性硬化症、原発性血小板血症、血小板減少症、潰瘍性大腸炎、
ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環、ウイルス感染症、細菌感染
症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、外傷が含まれ、神経
の疾患の中には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、大脳新生物、アルツハイマ
ー病、ピック病、ハンチントン病、痴呆、パーキソン病及びその他の錐体外路障
害、筋萎縮性側策硬化及びその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症
、色素性網膜炎、遺伝性運動失調、多発性硬化症及び他の脱髄疾患、細菌性及び
ウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下蓄膿症、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静
脈炎、脊髄炎及び神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、クールー及びクロイ
ツフェルト‐ヤコブ病、ゲルストマン症候群、Gerstmann-Straussler-Scheinker
症候群を含むプリオン病と、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病及び代謝病、
神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管芽腫(cerebelloretinal hemangiobla
stomatosis)、脳3叉神経血管症候群、中枢神経系性精神薄弱及び他の発生障害
、脳性麻痺、神経骨格異常症、自律神経系障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎及び多
発性筋炎と、遺伝性、代謝性、内分泌性、及び中毒性ミオパシーと、重症筋無力
症、周期性四肢麻痺と、気分性及び不安性の障害、分裂病性疾患を含む精神病と
、季節性障害(SAD)と、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー
、錐体外路性終末欠陥症候群、ジストニー、分裂病性精神障害、帯状疱疹後神経
痛、及びトゥーレット病と、進行性核上麻痺、皮質基部変性(corticobasal deg
eneration)及び家族性の前頭側頭性健忘症とが含まれ、細胞増殖異常の中には
日光性角化症及びアテローム性動脈硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合型結合組
織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、
原発性血小板血症、並びに腺癌及び白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、
及び奇形癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経
節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立
腺、唾液腺、皮膚、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌が含まれる。PPHKPをコ
ードするポリヌクレオチド配列は、サザーン法やノーザン法、ドットブロット法
、或いはその他の膜系の技術、PCR法、ディップスティック(dipstick)、ピン
(pin)、ELISA式アッセイ、及び変異PPHKPの発現を検出するために患者から採
取した体液或いは組織を利用するマイクロアレイに使用することが可能である。
このような質的或いは量的方法は、当分野では周知である。
【0197】 ある実施態様では、PPHKPをコードするヌクレオチド配列は、関連する疾患、
特に上記した疾患を検出するアッセイにおいて有用であろう。PPHKPをコードす
るヌクレオチド配列は、標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション複
合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに加
えることができるであろう。好適な培養期間の後、サンプルを洗浄し、シグナル
を定量して基準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が、制御サンプル
と較べて著しく変わっている場合は、サンプル内のPPHKPをコードするヌクレオ
チド配列の変異レベルにより、関連する疾患の存在が明らかになる。このような
アッセイを用いて、動物実験、臨床試験、或いは個人の患者の治療を監視におけ
る、特定の治療効果を推定することが可能である。
【0198】 PPHKPの発現に関連する疾患の診断の基準となるものを提供するために、正常
あるいは標準的な発現の概要が確立される。これは、ハイブリダイゼーション或
いは増幅に好適な条件の下、動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出さ
れた体液或いは細胞と、PPHKPをコードする配列或いはその断片とを結合させる
ことにより達成され得る。標準的なハイブリダイゼーションは、正常な被験者か
ら得た値と周知の量の実質的に精製されたポリヌクレオチドが用いられる実験か
らの値とを比較することによって定量可能である。正常なサンプルから得た標準
的な値を、疾患の症状を示す被験者から得た値と比較可能である。基準値と被験
者の値との偏差を用いて罹患しているかどうを決定する。
【0199】 疾患の存在が確定され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーシ
ョンアッセイを通常ベースで繰り返して、被験者における発現のレベルが正常な
患者に示される値に近づき始めたかどうかを推定することが可能である。繰り返
し行ったアッセイの結果を、数日から数ヶ月の期間の治療の効果を見るのに用い
ることができる。
【0200】 癌では、個体からの生体組織における異常な量の転写物が、疾患の発生の素因
を示し、また実際に臨床的症状が出る前に疾患を検出する方法を提供することが
可能である。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防方法或いは積
極的な治療法を早くから利用して、癌の発生または進行を防ぐことが可能となる
【0201】 PPHKPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断へ
の利用には、PCRの利用が含まれ得る。このようなオリゴマーは、化学的な合成
、酵素を用いた生成、或いはin vitroで生成され得る。オリゴマーは、好ましく
はPPHKPをコードするポリヌクレオチドの断片、或いはPPHKPをコードするポリヌ
クレオチドと相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件の下、特定の
遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや緩いスト
リンジェントな条件の下、近縁のDNA或いはRNA配列の検出及び/または定量のた
め用いることが可能である。
【0202】 或る実施態様において、PPHKPをコードするポリヌクレオチド配列由来のオリ
ゴヌクレオチドプライマーを用いて、一塩基多型(SNP)を検出し得る。SNPは、
ヒトの先天性または後天性遺伝病の原因となる場合が多いヌクレオチドの置換、
挿入及び欠失である。限定するものではないが、SNPの検出方法には、一本鎖立
体構造多型(SSCP)及び蛍光SSCP(fSSCP)法が含まれる。SSCPでは、PPHKPをコ
ードするポリヌクレオチド配列由来のオリゴヌクレオチドプライマーを用いたポ
リメラーゼ連鎖反応(PCR)でDNAを増幅する。このDNAは、例えば病変或いは正
常な組織、生検サンプル、体液等に由来し得る。このDNA内のSNPは、一本鎖形状
のPCR産物の2次及び3次構造に差異を生じさせる。この差異は非変性ゲル中で
のゲル電気泳動法を用いて検出可能である。fSCCPでは、オリゴヌクレオチドプ
ライマーを蛍光標識することによって、DNAシークエンシング装置などのハイス
ループット機器でアンプリマー(amplimer)の検出をすることが可能になる。更
に、インシリコSNP(in silico SNP:isSNP)と呼ばれる配列データベース分析
法は、共通のコンセンサス配列の構築に用いられる個々の重複するDNA断片の配
列を比較することによって、多型を同定することができる。これらのコンピュー
タベースの方法は、DNA配列クロマトグラムの自動分析及び統計モデルを用いた
シークエンシングエラーや研究室でのDNAの調整に起因する配列のばらつきを排
除する。別法では、例えばハイスループットのMASSARRAYシステム(Sequenom, I
nc., San Diego CA)を用いた質量分析によりSNPを検出し、特徴付ける。
【0203】 PPHKPの発現を定量するために用いられ得る方法には、ヌクレオチドの放射標
識或いはビオチン標識、調節核酸の相互増幅(coamplification)、及び標準的
な曲線に結果が加えられたものが含まれる(例えば、Melby, P.C.等(1993) J. I
mmunol. Methods, 159:235-44;Duplaa, C.等(1993) Anal. Biochem. 229-236を
参照)。多数のサンプルの定量速度は、目的のオリゴマーやポリヌクレオチドが
種々の希釈液に含まれ、分光光度法或いは非色応答によって定量が迅速なハイス
ループット型のアッセイを用いることで加速された。
【0204】 更に別の実施例では、本明細書で記載した任意のポリヌクレオチド配列に由来
するオリゴヌクレオチドまたはより長い断片を、マイクロアレイにおける標的と
して用いることができる。マイクロアレイを転写イメージング技術に用いて、多
数の遺伝子の相対発現レベルを同時にモニタリングすることができる。これにつ
いては、Seilhamer, J.J.他に付与された米国特許第5,840,484号(名称「Compar
ative Gene Transcript Analysis」)に記載されており、この引用を以って本明
細書の一部とする。マイクロアレイはまた、遺伝子変異、突然変異及び多型の同
定に用いることができる。この情報を用いて、遺伝子機能を決定し、疾患の遺伝
的根拠を解明し、疾患を診断し、遺伝子発現に関連する疾病の進行/後退をモニ
タリングし、疾患の治療における治療薬の開発や活性のモニタリングを行うこと
ができる。特に、患者にとって最適かつ有効な治療法を選択するために、この情
報を用いて患者の薬理ゲノムプロフィールを作成することができる。例えば、患
者の薬理ゲノムプロフィールに基づいて、患者に対して極めて効果的でありなが
ら副作用を殆ど示さない治療薬を選択することができる。
【0205】 別の実施例では、PPHKPに特異的な抗体、PPHKPまたはその断片をマイクロアレ
イ上でエレメントとして用いることができる。マイクロアレイを用いて、上記の
ようにタンパク質間相互作用、薬剤−標的相互作用及び遺伝子発現プロフィール
をモニタリング及び測定することが可能である。
【0206】 或る実施例は、或る組織または細胞型の転写イメージを生成する本発明のポリ
ヌクレオチドの使用に関連する。転写イメージは、特定の組織または細胞型によ
り遺伝子発現の包括的パターンを表す。包括的遺伝子発現パターンは、所定の条
件下で所定の時間に発現した遺伝子の数及び相対存在量を定量することにより分
析される(Seilliamer 他、米国特許第5,840,484号の"Comparative Gene Transc
ript Analysis" を参照。この特許に言及することを以って本明細書の一部とす
る)。従って、特定の組織または細胞型の転写物全体または逆転写物全体に本発
明のポリヌクレオチドまたはその相補配列をハイブリダイズすることにより、転
写イメージが生成され得る。或る実施例では、本発明のポリヌクレオチドまたは
その相補配列がマイクロアレイ上に複数のエレメントのサブセットを構成するハ
イスループット型でハイブリダイゼーションさせる。結果として得られる転写イ
メージは、遺伝子活性のプロフィールとなり得る。
【0207】 転写イメージは、組織、細胞株、生検サンプル、またはその他の生体サンプル
から単離した転写物を用いて生成し得る。従って、転写イメージは、組織または
生検サンプルの場合にはin vivo、または細胞株の場合にはin vitroにおける遺
伝子発現を反映する。
【0208】 本発明のポリヌクレオチドの発現プロフィールを示す転写イメージはまた、合
成化合物または天然化合物の毒性試験のみならず、in vitroモデル系及び薬剤の
前臨床評価に関連して使用され得る。全ての化合物は、作用及び毒性の機構を示
唆する、頻繁に分子フィンガープリント若しくは毒性シグネチャと称されるよう
な特徴的な遺伝子発現パターンを引き起こす(Nuwaysir, E.F. 他 (1999) Mol.
Carcinog. 24:15 3-159、Steiner, S. and N.L. Anderson (2000) Toxicol. Let
t. 112-113:467-471、また言及することを以って本明細書の一部とする)。試験
化合物が、毒性を有する既知の化合物のシグネチャと同一のシグネチャを有する
場合には、毒性特性を共有している可能性が高い。フィンガープリンまたはシグ
ネチャが、より多くの遺伝子及び遺伝子ファミリーからの発現情報を含んでいれ
ば、より有用かつ正確になる。理想としては、発現のゲノム全域にわたって測定
し、最高品質のシグネチャを提供することである。任意の試験化合物によっても
発現が変化しない遺伝子も同様に重要である。それは、これらの遺伝子の発現レ
ベルを用いて残りの発現データを標準化することができるためである。標準化処
置は、異なる化合物で処理した後の発現データの比較に有用である。毒性シグネ
チャのエレメントへの遺伝子機能を割り当てることは毒性機構の解明に役立つが
、毒性の予測につながるシグネチャの統計的な一致には遺伝子機能の知識は必要
ではない(例えば2000年2月29日にNational Institute of Environmenta
l Health Sciencesより発行されたPress Release 00-02を参照されたい。これに
ついてはhttp://www.niehs.nih.gov/oc/news/toxchip.htmで入手可能である)。
従って、毒性シグネチャを用いる毒性スクリーニングにおいて、全ての発現した
遺伝子配列を含めることは重要でありまた望ましいことである。
【0209】 或る実施例では、試験化合物の毒性は、核酸を含有する生体サンプルをその試
験化合物で処置して評価する。処置した生体サンプル中で発現した核酸は、本発
明のポリヌクレオチドに特異的な1若しくは複数のプローブでハイブリダイズさ
せ、それによって本発明のポリヌクレオチドに対応する転写レベルを定量するこ
とができる。処理した生体サンプル中の転写レベルを、非処理生体サンプル中の
レベルと比較する。両サンプルの転写レベルの差が、処理されたサンプル中で試
験化合物が引き起こす毒性反応を示唆する。
【0210】 別の実施例は、本発明のポリペプチド配列を用いて組織または細胞型のプロテ
オームを分析することに関連する。「プロテオーム」という用語は、特定のある
組織または細胞型におけるタンパク質発現の包括的パターンを指す。プロテオー
ムを構成する各タンパク質は、更に個々に分析することができる。プロテオーム
発現パターン即ちプロフィールは、所定の条件下で所定の時間に発現したタンパ
ク質の数及びそれらの相対的な存在量を定量することにより分析する。従って、
ある細胞のプロテオームのプロフィールは、特定の組織または細胞型のポリペプ
チドを分離及び分析することにより作成し得る。或る実施例では、このような分
離は2次元ゲル電気泳動によって行う。この2次元ゲル電気泳動法では、まず、
1次元の等電点電気泳動によりサンプルからタンパク質を分離し、次に、2次元
のドデシル硫酸ナトリウムスラブゲル電気泳動により分子量に従って分離する(
前出のSteiner and Anderson)。これらのタンパク質は、通常クーマシーブルー
またはシルバーまたは蛍光染色などの染色剤を用いてゲルを染色して、分散した
個別の位置にあるスポットとしてゲル中で可視化される。各タンパク質スポット
の光学密度は、通常サンプル中のタンパク質レベルに比例する。異なるサンプル
、例えば試験化合物または治療薬で処置済みまたは未処置のいずれかの生体サン
プルから得られる等位置にあるタンパク質スポットの光学密度を比較し、処置に
関連するタンパク質スポット密度の変化を調べる。スポット内のタンパク質は、
例えば化学的または酵素的に切断した後、質量分析する標準的な方法を用いて部
分的にシークエンシングする。スポット内のタンパク質の同一性は、好適には少
なくとも5個の連続するアミノ酸残基であるその部分的な配列を、本発明のポリ
ペプチド配列と比較することにより決定し得る。場合によっては、決定的なタン
パク質同定のための更なる配列が得られる。
【0211】 プロテオームのプロフィールは、PPHKPに特異的な抗体を用いてPPHKP発現レベ
ルを定量することによっても作成可能である。或る実施例では、マイクロアレイ
上のエレメントとして抗体を用い、マイクロアレイをサンプルに曝露して各アレ
イエレメントへのタンパク質結合レベルを検出することによりタンパク質発現レ
ベルを定量する(Lueking, A. ら. (1999) Anal. Biochern. 270:103-111、Mend
oze, L.G. ら. (1999) Biotechniques 27:778-788)。検出は当分野で既知の様
々な方法で行うことができ、例えば、チオール反応性またはアミノ反応性蛍光化
合物を用いてサンプル中のタンパク質を反応させ、各アレイエレメントにおける
蛍光結合の量を検出し得る。
【0212】 プロテオームレベルでの毒性シグネチャも中毒学的スクリーニングに有用であ
り、転写レベルでの毒性シグネチャと並行して分析するべきである。或る組織に
おける或るタンパク質では、転写物の存在量とタンパク質の存在量との相関性が
低いことがあるため(Anderson, N.L. and J. Seilhamer (1997) Electrophores
is 18:533-537)、プロテオーム毒性シグネチャは、転写イメージにはそれ程影
響しないがプロテオームのプロフィールを変化させる化合物の分析において有用
たり得る。更に、体液中での転写の分析は、mRNAが急速に分解するため困難であ
る。しがたがって、このような場合にはプロテオームのプロフィール作成はより
信頼でき、情報価値がある。
【0213】 別の実施例では、試験化合物の毒性は、タンパク質を含む生体サンプルをその
試験化合物で処置して評価する。処置された生体サンプル中で発現したタンパク
質を分離して、各タンパク質の量が定量できるようにする。各タンパク質の量を
、未処置生体サンプル中の対応するタンパク質の量と比較する。両サンプル中の
タンパク質の量の差は、処置されたサンプル中の試験化合物に対する毒性反応を
示唆する。個々のタンパク質は、それらのアミノ酸残基をシークエンシングし、
これらの部分配列を本発明のポリペプチドと比較することで同定する。
【0214】 別の実施例では、試験化合物の毒性は、タンパク質を含む生体サンプルをその
試験化合物で処置することにより評価する。生体サンプルから得たタンパク質を
、本発明のポリペプチドに特異的な抗体と共にインキュベートする。その抗体に
より認識されたタンパク質の量を定量する。処置された生体サンプル中のタンパ
ク質の量を、未処置生体サンプル中のタンパク質の量と比較する。両サンプルの
タンパク質量の差が、処置サンプル中の試験化合物に対する毒性反応を示唆する
【0215】 当分野で周知の方法でマイクロアレイを準備して使用し、分析する。(例えば
、Brennan, T.M. 他 (1995) 米国特許第5,474,796号;Schena, M. 他 (1996) Pro
c. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619; Baldeschweiler 他(1995) PCT出願番号W
O95/251116; Shalon, D.他 (1995) PCT出願番号WO95/35505; Heller, R.A. 他(1
997) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155; 及び Heller, M.J. 他 (1997) 米
国特許第5,605,662号を参照)。様々なタイプのマイクロアレイが周知であり、詳
細については、DNA Microarrays: A Practical Approach, M. Schena, ed. (199
9) Oxford University Press, Londonに記載されている。また、この文献を引用
することを以って本明細書の一部とする。
【0216】 本発明の別の実施例ではまた、PPHKPをコードする核酸配列を用いて、天然の
ゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを作製
することが可能である。コーディング配列または非コーディング配列の何れかを
用いることができるが、或る例では、コーディング配列より非コード配列が好ま
しい。例えば、多重遺伝子ファミリーのメンバー間にコーディング配列が保存さ
れていることにより、染色体マッピング時に望ましくない交差ハイブリダイゼー
ションが生じる可能性がある。この配列は、特定の染色体、染色体の特定領域ま
たは人工の染色体、例えば、ヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、
細菌人工染色体(BAC)、細菌P1産物、或いは単一染色体cDNAライブラリに対し
てマッピングされる(Harrington, J.J. ら (1997) Nat Genet. 15:345-355、Pr
ice, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134、Trask, B.J. (1991) Trends Genet.
7:149-154等を参照)。一度マッピングすると、本発明の核酸配列を用いて、例
えば病状の遺伝と特定の染色体領域やまたは制限断片長多型(RFLP)の遺伝とが
相関するような遺伝子連鎖地図を作成可能である(Lander, E.S. and D. Botste
in (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:7353-7357を参照)。
【0217】 in sit蛍光ハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的及び遺伝子地図デ
ータと相関し得る(例えば、Heinz-Ulrich, 他による(1995) in Meyers, 前出,
pp. 965-968を参照)。遺伝子地図データの例は、種々の科学誌あるいはOnline
Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のワールドワイドウェブのサイトで見付
けることができる。物理的な染色体地図上のPPHKPをコードする遺伝子の位置と
特定の疾患との相関性、或いは特定の疾患に対する素因が、このような疾患と関
連するDNA領域の決定に役立つため、更なる位置を決定するクローニングが行わ
れる。
【0218】 染色体標本のin sitハイブリダイゼーション、及び確定した染色体マーカーを
用いた結合分析などの物理的マッピング技術を用いて、遺伝子地図を拡張するこ
ともできる。マウスなどの別の哺乳動物の染色体上に遺伝子を配置させることに
より、たとえ正確なヒト染色体の位置が分かっていなくても、関連するマーカー
が明らかになる場合が多い。この情報は、位置クローニング或いは別の遺伝子発
見技術を用いて遺伝的疾患の研究をしている研究者にとって価値がある。疾患や
症候群に関与する1つ或いは複数の遺伝子の位置が、例えば血管拡張性失調症の
11q22-23などの特定の遺伝子領域に遺伝子結合によって大まかに決定されると、
その領域に対するどの配列マッピングも、さらなる調査のための関連する遺伝子
或いは調節遺伝子を表す(例えば、Gatti, R.A.他による(1988)Nature 336:57
7-580を参照)。また、目的の本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、保
有者、即ち感染者の間の、転位置、反転などによる染色体位置の違いを検出する
こともある。
【0219】 本発明の別の実施例では、PPHKP、その触媒作用断片或いは免疫原断片または
そのオリゴペプチドを、種々の任意の薬剤スクリーニング技術における化合物の
ライブラリのスクリーニングに用いることができる。このようなスクリーニング
に用いる断片は、溶液に遊離、固体支持物に固定、細胞の表面上に保持、或いは
細胞内に存在する。PPHKPと検査する薬剤との結合による複合体の形成を測定し
てもよい。
【0220】 薬剤スクリーニングに用いる別の方法は、目的のタンパク質に対して、好適な
結合親和性を有する化合物のスクリーニング処理能力を高めるために用いられる
(例えば、Geysen,他による(1984) PCT出願番号 WO84/03564を参照)。この方法
では、相当な数の異なる小さな試験用化合物が、プラスチックピン或いは他の基
板の上に合成される。試験用化合物は、PPHKP、或いはその断片と反応してから
洗浄される。次ぎに、結合されたPPHKPが、当分野で周知の方法で検出される。
精製されたPPHKPはまた、前記した薬剤をスクリーニングする技術に用いられる
プレート上で直接被覆することもできる。別法では、非中和抗体を用いて、ペプ
チドを捕らえ、固体支持物に固定することもできる。
【0221】 別の実施例では、PPHKPと結合可能な中和抗体がPPHKPと結合するため試験用化
合物と特に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイを用いることができる
。この方法では、抗体が、PPHKPと1つ以上の抗原決定因子を共有するどのペプ
チドの存在も検出する。
【0222】 別の実施例では、発展途上の分子生物学技術にPPHKPをコードするヌクレオチ
ド配列を用いて、限定はされないが、現在知られているトリプレット暗号及び特
異的な塩基対相互作用などのヌクレオチド配列の特性に依存する新しい技術を提
供することができる。
【0223】 当分野の技術者であれば、更なる説明がなくても前述の説明だけで最大限に本
発明を利用できるであろう。したがって、以下に記載する特定の好適な実施例は
、例示目的であって本発明を限定するものではない。
【0224】 前述した及び以下に記載した全ての特許出願、特許、刊行物、特に米国特許出
願番号60/154,141に言及することをもって本明細書の一部とする。
【0225】 (実施例) 1 cDNAライブラリの作製 RNAは、Clontech社から購入、或いは表4に列記した組織から単離した。まず
、この組織の一部をホモジナイズしてグアニジニウムイソチオシアネート溶液に
溶解する一方、この組織の別の一部をホモジナイズしてフェノールに溶解するか
、或いはTRIZOL (Life Technologies)、グアニジニウムイソチオシアネート及び
フェノールの単相溶液などの好適な変性剤の混合液に溶解した。この溶解物を塩
化セシウムにおいて遠心分離によって、或いはクロロホルムで抽出した。イソプ
ロパノール或いは酢酸ナトリウムのどちらかとエタノール、或いは別の方法でこ
の溶解物からRNAを沈殿させた。
【0226】 RNAの純度を高めるためにRNAのフェノールによる抽出及び沈殿を必要な回数繰
り返した。場合によっては、DNA分解酵素でRNAを処理する。殆どのライブラリで
は、オリゴd(T)連結常磁性粒子(Promega)またはOLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN
. Valencia CA)、OLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いてポリ(A+)RNAを
単離した。別法では、POLY(A)PURE mRNA精製キット(Ambion, Austin TX)などの
別のRNA単離キットを用いて組織溶解物から直接単離した。
【0227】 ある場合には、Stratagene社にRNAを提供し、Stratagene社が対応するcDNAラ
イブラリを作製した。そうでない場合は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)
またはSUPERSCRIPT プラスミドシステム(Life Technologies)を用いて当分野で
周知の推奨方法または類似の方法でcDNAを合成してcDNAライブラリを作製した。
(例えば、Ausubel, 1997,前出,ユニット5.1-6.6を参照)。逆転写は、オリゴd(T)
またはランダムプライマーを用いて開始した。合成オリゴヌクレオチドアダプタ
ーを二本鎖cDNAに結合させてから、好適な1つの制限酵素或いは複数の制限酵素
でcDNAを消化した。殆どのライブラリでは、SEPHACRYL S 1000または SEPHAROSE
CL2B、SEPHAROSE CL4Bカラムクロマトグラフィー(Amersham Pharmacia Biotech
)、アガロースゲル電気泳動法によってcDNAの大きさ(300〜1000bp)を選択した
。PBLUESCRIPTプラスミド(Stratagene)またはpSPORT1プラスミド(Life Technolo
gies)、pcDNA2.1プラスミド(Invitrogen Carlsbad CA)、plNCYプラスミド(Incyt
e Pharmaceuticals, Palo Alto CA)などの好適なプラスミドのポリリンカーの適
合性制限酵素部位にcDNAを結合させた。この組換えプラスミドを、Stratagene社
のXL1-Blue, XL1-BIueMRF、SOLR、またはLife Technologies社のDH5αまたはDH
10B、ELECTROMAX DH 10Bを含むコンピテント大腸菌細胞に導入し組み込んだ。
【0228】 2 cDNAクローンの単離 上記実施例1で記載したように得たプラスミドは、UNIZAPベクターシステム(S
tratagene)或いは細胞溶解を利用したin vivo切除によって宿主細胞から回収し
た。MagicまたはWIZARD Minipreps DNA精製システム(Promega)、及びAGTC Minip
rep精製キット(Edge Biosystems, Gaithersburg MD)、QIAGEN社のQIAWELL 8 Pla
smid、QIAWELL 8 Plus Plasmid、QIAWELL 8 Ultra Plasmid 精製システム、REAL
Prep 96プラスミドキットの内の少なくとも1つを用いてプラスミドを精製した
。沈殿させた後、0.1mlの蒸留水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍結乾
燥しないで4℃で保管した。
【0229】 別法では、ハイスループットの直接結合PCR法によって宿主細胞溶解物からプ
ラスミドDNAを増幅した。(Rao, V.B. (1994) Anal. Biochem. 216:1-14)。宿主
細胞の溶解及び熱サイクリング過程を単一反応混合液で行った。サンプルを処理
してから384−ウェルプレートに移して保管し、増幅したプラスミドDNAの濃
度をPICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroskan II蛍光スキ
ャナー(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光定量的に測定した。
【0230】 3 シークエンシング及び分析 実施例2に記載したようにプラスミドにおいて回収したインサイト社cDNAは、
以下に示すようにシークエンシングした。cDNAのシークエンシング反応は、標準
的な方法で、或いはABI CATALYST 800 (PE Biosystems) thermal cyclerまたはP
TC-200 thermal cycler (MJ Research)とHYDRAマイクロディスペンサー(Robbins
Scientific) またはMICROLAB 2200 (Hamilton) 液体転移システムとの組み合わ
せなどのハイスループット装置で行った。cDNAのシークエンシング反応の準備に
は、Amersham Pharmacia Biotech社の試薬、またはABI PRISM BIGDYE Terminato
r cycle sequencing ready reactionキット(PE Biosystems)などのABIシークエ
ンシングキットに含まれる試薬を用いた。cDNAのシークエンシング反応の電気泳
動的な分離及び標識したポリヌクレオチドの検出には、MEGABACE 1000 DNAシー
クエンシングシステム(Molecular Dynamics)、標準ABIプロトコル及び塩基対呼
び出しソフトウェアを用いるABI PRISM 373または377シークエンシングシステム
(PE Biosystems)、当分野で周知のその他の配列解析システムを用いた。cDNA配
列の読み枠は、標準的な方法(Ausubel, 1997, 前出, unit 7.7)を用いて決定し
た。cDNA配列の幾つかを選択して、本実施例の6に記載した方法で配列を伸長し
た。
【0231】 cDNAのシークエンシングから得たポリヌクレオチド配列の構築及び解析は、当
分野の技術者に周知のアルゴリズムを利用したソフトウェアを組合せて行った。
表5は、利用したツール、ソフトウェア、アルゴリズム、それらの説明、引用文
献、閾値パラメーターの概要を示す。表5の列1は用いたツール及びプログラム
、アルゴリズム、列2はそれらの簡単な説明、列3は引用することで本明細書の
一部とした引用文献、列4の記載部分は2つの配列の一致度の評価に用いたスコ
ア及び確率値、他のパラメータを示す(確率値が高ければ高いほど配列間の相同
性が高くなる)。配列の解析には、MACDNASIS PROソフトウェア(Hitachi Softwa
re Engineering, S. San Francisco CA)及びLASERGENEソフトウェア (DNASTAR)
を用いた。
【0232】 ポリヌクレオチド配列の確証は、BLAST及び動的計画法、ジヌクレオチド最近
接分析に基づいたプログラム及びアルゴリズムを用いて、ベクター及びリンカー
、ポリA配列を取り除き、あいまいな塩基対をマスクすることで行った。次に、
BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムを用いて、公共のデータベースで
あるGenBankの霊長類及びげっ歯類、哺乳類、脊椎動物、真核生物のデータベー
スやBLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM及びPFAMなどのデータベースから選択した配
列に対してこれらの配列を問合わせて注釈を得た。Phred及びPhrap、Consedに基
づいたプログラムを用いて完全長のポリヌクレオチド配列の中にこれらの配列を
構築して、BLAST及びFASTA、BLIMPSに基づいたプログラムでオープンリーディン
グフレームのためにスクリーニングした。完全長のポリヌクレオチド配列を翻訳
して対応する完全長のアミノ酸配列を引き出し、GenBankデータベース(上記)及
びSwissProt、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM及びPrositeなどのデータベース、
またはPFAMなどの隠れマルコフモデル(HMM)に基づいたタンパク質ファミリーデ
ータベースに対して問い合わせてこれらの完全長の配列を分析した。HMMは、確
率を利用して遺伝子ファミリーのコンセンサス一次構造を解析する(例えば、Ed
dy, S.R. (1996) Curr. Opin. Struct. Biol. 6:361-365を参照)。
【0233】 完全長のポリヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の構築及び分析に用いる上記
のプログラムは、SEQ ID NO:12−22からのポリヌクレオチド配列の断片の同定に
も使用できる。約20〜4000個までのヌクレオチドの断片はハイブリダイゼ
ーション及び増幅に有用であり、上記の発明で説明した。
【0234】 4 ポリヌクレオチド発現の分析 ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技
術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識され
たヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(例えば、Sambrook,前出,
7章; 及び Ausubel. F.M. 他、前出, 4章及び16章を参照)。
【0235】 BLASTに用いる類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank或いはLIFESEQ(Inc
yte Pharmaceuticals)のようなcDNAデータベース内の同一或いは関連する分子
を検索する。この分析は多くの膜系ハイブリダイゼーションより非常に速度が速
い。さらにコンピュータ検索の感度を変更して、任意の特定の一致が、厳密な一
致或いは相同的一致の何れかとして分類されるかを確定することができる。検索
の基準は、
【0236】
【数1】 として定義される積スコアである。積スコアは、0〜100の標準化された値で
あり、以下のように求める。BLASTスコアにヌクレオチド配列の一致率を乗じ、
その積を2つの配列の短い方の長さの5倍で除する。高スコアのセグメントの対
(HSP)において一致する各塩基に+5のスコアを割り当て、各不適性塩基対に
−4を割り当てることにより、BLASTスコアを計算する。2つの配列は、2以上
のHSPを共有し得る(ギャップにより離隔される)。2以上のHSPがある場合には
、最高BLASTスコアの塩基対を用いて積スコアを計算する。積スコアは、BLASTア
ラインメントの断片的重複と質とのバランスを表す。例えば積スコア100は、
比較した2つの配列の短い方の長さ全体にわたって100%一致する場合にのみ
得られる。積スコア70は、100%の一致で一端が70%重畳しているか、或
いは88%一致で他端が100%重畳しているかの何れかの場合である。積スコ
ア50は、100%の一致で一端が50%重畳しているか、或いは79%の一致
で他端が100%重畳しているかの何れかの場合である。
【0237】 ノーザン分析の結果は、PPHKPをコードする転写物が発生したライブラリの分
布割合として報告される。分析には、器官/組織及び疾患によるcDNAライブラリ
の分類も含まれる。器官/組織のカテゴリーには、心血管、皮膚、発生、内分泌
、胃腸、造血/免疫、筋骨格、神経、生殖、泌尿器が含まれる。疾患のカテゴリ
ーには、癌、炎症、外傷、細胞増殖、神経、プール(pooled)が含まれる。カテゴ
リー別に、目的の配列を発現するライブラリの数を数えて、それを全ての範囲の
ライブラリの数で除した。各組織に特異的に発現する割合(パーセント)と各疾
患で発現する割合を表3に示した。
【0238】 5 PPHKPをコードするポリヌクレオチドの染色体マッピング SEQ ID NO:12−22を構築するために用いたcDNA配列を、BLAST及びSmith-Water
manアルゴリズムを用いて、インサイト社LIFESEQデータベース及び公共のドメイ
ンデータベースの配列と比較した。SEQ ID NO:12−22と一致するこれらのデータ
ベースの配列を、Phrap(表5)などの構築アルゴリズムを使用して、連続及び
重複した配列のクラスターに組み入れた。Stanford Human Genonse Center (SHG
C)、Whitehead Institute for Genome Research (WIGR)及びGenethonなどの公共
の情報源から入手できる放射線ハイブリッド(radiation hybrid)及び遺伝子マ
ッピングのデータを用いて、クラスター化した配列がすでにマッピングされてい
るかを調べる。クラスターにマッピングされた配列が含まれている場合は、その
クラスターの全ての配列(特定のSEQ ID NOを含む)をそのマッピング位置に割
り当てた。
【0239】 SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:16、及びSEQ ID NO:21の遺伝子地図の位置は、ヒト
染色体の区間即ち範囲として本明細書の発明の部分に記載した。SEQ ID NO:12に
対して2つ以上の遺伝子地図の位置が報告されるということは、SEQ ID NO:12に
類似性を有するが完全には同一でない以前にマッピングした配列がそれぞれの対
応するクラスターに組み入れられたことを示唆する。センチモルガンで示したマ
ッピング位置の範囲は、染色体の短腕(p)の末端から測定した(センチモルガ
ン(cM)は、同一染色体上の遺伝子間の乗換え率に基づいた距離を表す単位であ
る。平均すると、1cMはヒトの染色体の1メガベースに概ね等しいいが、組換え
率の高い部分と低い部分があるため、大きく変化し得る)。距離cMは、配列がそ
れぞれのクラスターに含まれている放射線ハイブリッドマーカーの境界を検出で
きるGenethonによってマッピングされた遺伝子マーカーに基づいている。示され
た区間内に位置する公共の配列及びインサイト社の配列に関連する疾患も、本明
細書の該当する発明の部分に記載した。
【0240】 6 PPHKPをコードするポリヌクレオチドの伸長 SEQ ID NO:12−22の完全長の核酸配列は、完全長分子の好適な断片から設計し
たオリゴヌクレオチドプライマーを用いてその完全長分子の好適な断片を伸長し
て作製した。一方のプライマーは既知の断片の5'の伸長を開始するために合成
し、他方のプライマーは既知の断片の3'の伸長を開始するために合成した。開
始プライマーは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは他の
適切なプログラムを用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで約5
0%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールす
るように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じない
ようにヌクレオチドを伸長した。
【0241】 選択されたヒトcDNAライブラリを用いてこの配列を伸長した。2段階以上の伸
長が必要な場合、若しくは望ましい場合は、追加或いはネスト化プライマーの組
を設計する。
【0242】 当分野で既知の方法を利用したPCR法で高い忠実度で増幅した。PCRはPTC-200
thermal cycler (MJ Research, Inc.)用いて96ウェルブロックプレートで行った
。反応混合液は、鋳型DNA及び200 nmolの各プライマー、Mg2+と(NH4)2SO4とβ
−メルカプトエタノールを含むバッファー、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pha
rmacia Biotech)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(St
ratagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメーター
で増幅を行った。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管 別法では、プライマーの組、T7とSK+に対して以下のパラメーターで増幅を行っ
た。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 57℃で1分間 ステップ4 68℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を20回繰り返す ステップ6 68℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。
【0243】 各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶解した
100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25% (v/v) PICOGREEN; Molecular Probes, Eugen
e OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各ウェルに分
配してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。このプレートをFluoroskan
II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンして、サンプルの蛍光を計
測してDNAの濃度を定量化する。反応混合物の5〜10μlのアリコットを1%のア
ガロースミニゲル上での電気泳動によって解析し、何れの反応物が配列を伸長す
ることに成功したかを決定する。
【0244】 伸長したヌクレオチドを脱塩及び濃縮してから384ウェルプレートに移し、Cvi
JIコレラウィルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison W
I)で消化し、pUC 18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech)に再連結する前に音
波処理またはせん断を行った。ショットガンシークエンシングのために、消化し
たヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上に分離して断
片を切断し、寒天をAgar ACE (Promega)で消化した。T4リガーゼ(New England B
iolabs, Beverly MA)を用いて伸長したクローンをpUC 18ベクター(Amersham Pha
rmacia Biotech)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で制限部位の延
び出しを処理してコンピテント大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した細胞を
選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB/2Xカ
ルベニシリン培養液の384ウェルプレートに37℃で一晩培養した。
【0245】 細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech)及びPfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。 ステップ1 94℃で3分間 ステップ2 94℃で15秒 ステップ3 60℃で1分間 ステップ4 72℃で2分間 ステップ5 ステップ2、3、及び4を29回繰り返す ステップ6 72℃で5分間 ステップ7 4℃で保管。 上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収
率の悪いサンプルは、上記した条件で再び増幅した。サンプルを20%のジメチル
サルホサイド(dimethysulphoxide)(1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC DIRECTキッ
ト(Amersham Pharmacia Biotech)またはABI PRISM BIGDYE Terminator cycle se
quencing ready reactionキット(PE Biosystems)を用いてシークエンシングした
【0246】 同様に上述の手順で、SEQ ID NO:12−22のヌクレオチド配列を利用し、この伸
長のために設計したオリゴヌクレオチドと好適なゲノムライブラリを用いて5′
調節配列を得た。
【0247】 7 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識化及び使用法 SEQ ID NO:12−22から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて
、cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からなる
オリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの
場合でも基本的に同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06ソフト
ウェア(National Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてデザイ
ンし、50pmolの各オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸(A
mersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、Bost
on MA)とを組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴヌクレ
オチドを、SEPHADEX G-25超精細排除デキストランビードカラム(Amersham Phar
macia Biotech)を用いて実質的に精製する。毎分10カウントの標識された
プローブを含むアリコットを、次のエンドヌクレアーゼ、Ase I、Bgl II、Eco R
I、Pst I、Xba1或いはPvu II(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒトゲノム
DNAの典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0248】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製メンブ
ラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に転写する。ハイブリ
ダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取り除くた
め、例えば、最大0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び0.5%ドデシル硫酸
ナトリウムの条件の下、ブロットを順次室温にて洗浄する。ハイブリダイゼーシ
ョンパターンをオートラジオグラフィー或いは別のイメージ化手段で視覚化して
比較する。
【0249】 8 マイクロアレイ マイクロアレイ上のアレイエレメントの連結または合成は、フォトリソグラフ
ィ、ピエゾプリント(インクジェットプリンター、前出のBaldeschweiler等を参
照)、機械的マイクロスポッティング技術及びこれらから派生したものを用いて
達成することが可能である。上記各技術において基板は、均一な非多孔性の固体
とするべきである(Schena (1999).前出)。推奨する基板には、シリコン、シリ
カ、スライドガラス、ガラスチップ及びシリコンウエハがある。別法では、ドッ
トブロット法またはスロットブロット法に類似のアレイを利用して、熱や紫外線
、または化学的或いは機械的な結合手段で基板の表面にエレメントを配置して結
合させることができる。通常のアレイは利用可能な方法や機械を用いて作製でき
、任意の適正な数のエレメントを含めることができる(Schena, M. 他 (1995) S
cience 270:467-470、Shalon. D. 他 (1996) Genome Res. 6:639-645、Marshall
, A. and J. Hodgson (1998) Nat. Biotechnol. 16:27-31.を参照)。
【0250】 完全長cDNA、発現遺伝子配列断片(EST)、或いはそれらの断片やオリゴマー
が、マイクロアレイのエレメントとなり得る。ハイブリダイゼーションに好適な
断片やオリゴマーを、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)などの当分野で周知の
ソフトウェアを用いて選択することが可能である。このアレイエレメントを、生
体サンプル中のポリヌクレオチドとハイブリダイズさせる。生体サンプル中のポ
リヌクレオチドは、検出を容易にするために蛍光標識またはその他の分子タグに
結合する。ハイブリダイゼーションの後、生体サンプルからハイブリダイズしな
かったヌクレオチドを除去し、蛍光スキャナを用いて各アレイエレメントにおけ
るハイブリダイゼーションを検出する。別法では、レーザー脱離及び質量スペク
トロメトリーを用いてもハイブリダイゼーションを検出し得る。マイクロアレイ
上のエレメントにハイブリダイズする各ポリヌクレオチドの相補性の程度及び相
対的存在量は、算定することができる。一実施例におけるマイクロアレイの調整
及び使用について、以下に詳述する。
【0251】 組織または細胞サンプルの準備 グアニジウムチオシアネート法を用いて組織サンプルから全RNAを単離し、オ
リゴ(dT)セルロース法を用いてポリ(A)+RNAを精製する。各ポリ(A)+RNAサンプル
は、MMLV逆転写酵素、0.05 pg/μlのオリゴ(dT)プライマー(21mer)、1×
第1鎖緩衝液、0.03単位/μlのRNアーゼインヒビター、500μM dATP、5
00μM dGTP、500μM dTTP、40μM dCTP、40μM dCTP-Cy3(BDS)また
はdCTP-Cy5(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて逆転写する。この逆転写反
応は、GEMBRIGHTキット(Incyte)を用いて、200 ngのポリ(A)+RNAを含む25 ml
容量で行う。特異的なコントロールポリ(A)+RNAは、in vitro転写により非コー
ディング酵母ゲノムDNAから合成する。370℃で2時間インキュベートした後
、各反応サンプル(一方はCy3標識、他方はCy5標識)は、2.5mlの0.5M 水酸
化ナトリウムで処理し、850℃で20分間インキュベートし、反応を停止させ
てRNAを変性する。サンプルは、2つの連続するCHROMA SPIN 30ゲル濾過スピン
カラム(CLONTECH Laboratories, Inc. (CLONTECH), Palo Alto CA)を用いて精
製する。結合後、2つの反応サンプルを、1mlのグリコーゲン(1mg/ml)、6
0mlの酢酸ナトリウム及び300mlの100%エタノールを用いてエタノール沈
殿させる。サンプルは次に、SpeedVAC(Savant Instruments Inc., Holbrook NY
)を用いて乾燥して仕上げ、14μl 5×SSC/0.2% SDS中で再懸濁する。
【0252】 マイクロアレイの準備 本発明の配列を用いて、アレイエレメントを作製する。各アレイエレメントは
、クローン化cDNA挿入断片を含むベクターを含有する細菌性細胞から増幅する。
PCR増幅は、cDNA挿入断片に隣接するベクター配列に相補的なプライマーを用い
る。30サイクルのPCRによって、1〜2ngの初期量から5μgを超える最終量ま
でアレイエレメントを増幅する。増幅されたアレイエレメントは、SEPHACRYL-40
0(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて精製する。
【0253】 精製したアレイエレメントを、ポリマーコートされたスライドガラス上に固定
する。顕微鏡スライドガラス(Corning)は、処理中及び処理後に大量の蒸留水
での洗浄と、0.1%のSDS及びアセトン中で超音波による洗浄を行う。スライド
ガラスは、4%フッ化水素酸(VWR Scientific Products Corporation (VWR), W
est Chester PA)中でエッチングし、蒸留水中で広範囲にわたって洗浄し、95
%エタノール中の0.05%アミノプロピルシラン(Sigma)でコーティングする
。コーティングしたスライドガラスは、110℃の天火で硬化させる。
【0254】 米国特許第5,807,522号に記載されている方法を用いて、コーティングしたガ
ラス基板にアレイエレメントを付加する。この特許に引用することを以って本明
細書の一部とする。平均濃度が100ng/μlのアレイエレメントDNA1μlを高速
機械装置により開放型キャピラリープリンティングエレメント(open capillary
printing element)に充填する。次にこの装置が、スライド毎に約5nlのアレ
イエレメントサンプルを分注する。
【0255】 マイクロアレイには、STRATALINKER UVクロスリンカー(Stratagene)を用い
てUV架橋する。マイクロアレイは、室温において0.2%SDSで1回洗浄し、蒸留
水で3回洗浄する。非特異的な結合部位は、リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)(Trop
ix, Inc., Bedford MA)における0.2%カゼイン中で60℃で30分間マイク
ロアレイをインキュベートし、その後上述したように0.2%SDS及び蒸留水で洗
浄することによってブロックする。
【0256】 ハイブリダイゼーション ハイブリダイゼーション反応液は、5×SSC、0.2%SDSハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液にCy3及びCy5標識したcDNA合成産物を各0.2μg含む9μlのサンプ
ル混合体を含めたものである。サンプル混合液を、65℃で5分間加熱し、マイ
クロアレイ表面上に一定量分注してから1.8cm2 のカバーガラスで覆う。この
アレイを、顕微鏡スライドより僅かに大きいキャビティを有する防水チェンバー
に移す。チャンバーの角に140μlの5×SSCを加えて、チャンバー内を湿度10
0%に保持する。このアレイを含むチャンバーを、60℃で約6.5時間インキュ
ベートする。アレイは、第1洗浄緩衝液中(1×SSC,0.1%SDS)において45
℃で10分間、第2洗浄緩衝液中(0.1×SSC)において45℃で10分間それ
ぞれ3回洗浄し、その後乾燥させる。
【0257】 検出 レポーター標識されたハイブリダイゼーション複合体は、Cy3を励起するため
の488nm、及びCy3を励起するための632nmのスペクトル線を生成し得るInn
ova 70混合ガス10 Wレーザー(Coherent, Inc., Santa Clara CA)を備えた顕微
鏡で検出する。20倍の顕微鏡対物レンズ(Nikon, Inc., Melville NY)を用い
て、アレイ上に励起レーザー光を集中させる。このアレイを含むスライドを顕微
鏡のコンピュータ制御X-Yステージに置き、対物レンズを通してラスタスキャン
する。本実施例で用いた1.8cm×1.8cmのアレイは、20μmの解像度でスキ
ャンする。
【0258】 2つの異なるスキャンにおいて、混合ガスマルチラインレーザーは2つの蛍光
体を連続的に励起する。放射された光は、波長に基づいて2つの蛍光体に対応す
る2つの光電子増倍管検出器(PMT R1477, Hamamatsu Photonics Systems, Brid
gewater NJ)に分割される。アレイと光電子増倍管との間に配設された好適なフ
ィルターを用いて信号をフィルタリングする。用いる蛍光体の最大発光は、Cy3
では565nm、Cy5では650nmである。装置は両方の蛍光体からのスペクトル
を同時に記録できるが、レーザー源に好適なフィルターを用いて、蛍光体1つに
つき1回スキャンし、各アレイを通常2回スキャンする。
【0259】 スキャンの感度は通常、既知濃度のサンプル混合体に添加されるcDNAコントロ
ール種により生成されるシグナル強度を用いて較正する。アレイ上の特定の位置
には相補的DNA配列を含め、その位置におけるシグナルの強度がハイブリダイズ
する種の重量比1:100,000に相関するようにする。異なる試料(例えば検査細胞
及びコントロール細胞を代表する)からの2つのサンプルを、各々異なる蛍光体
で標識し、他と異なって発現する遺伝子を同定するために単一のアレイにハイブ
リダイズさせる場合には、較正は2つの蛍光体を有する較正するcDNAのサンプル
を標識して、ハイブリダイゼーション混合液に各々等量を加えて行う。
【0260】 光電子増倍管の出力は、IBMコンパチブルPCコンピュータにインストールされ
た12ビットRTI-835Hアナログ−ディジタル(AID)変換ボード(Analog Device
s, Inc., Norwood MA)を用いてディジタル化される。ディジタル化されたデー
タは、リニア20色変換を用いてシグナル強度が青色(低シグナル)から赤色(
高シグナル)までの擬似カラー範囲にマッピングされるイメージとして表示され
る。データはまた、定量的に分析される。2つの異なる蛍光体を同時に励起して
測定する場合には、各蛍光体の発光スペクトルを用いて、先ずデータは蛍光体間
の光学的漏話(重複発光スペクトルに起因する)に対して補正される。
【0261】 グリッドを蛍光シグナルイメージ上に重畳して、各スポットからのシグナルが
グリッドの各エレメントに中央に位置するようにする。各エレメント内の蛍光シ
グナルを統合し、シグナルの平均強度に対応する数値を得る。シグナル分析に用
いるソフトウェアは、GEMTOOLS遺伝子発現分析プログラム(Incyte)である。
【0262】 9 相補的ポリヌクレオチド PPHKPをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、天然
のPPHKPの発現を低下させるため即ち阻害するために用いられる。約15〜約3
0個の塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、より小さな或い
はより大きな配列の断片の場合でも本質的に同じ方法を用いることができる。Ol
igo4.06ソフトウェア(National Biosciences)及びPPHKPのコーディング配列を
用いて、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も
独特な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモ
ーターがコーディング配列に結合するのを阻害する。翻訳を阻害するためには、
相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがPPHKPをコードする転写
物に結合するのを阻害する。
【0263】 10 PPHKPの発現 PPHKPの発現及び精製は、細菌若しくはウイルスを基にした発現系を用いて行
うことができる。細菌でPPHKPが発現するために、抗生物質耐性及びcDNAの転写
レベルを高める誘導性のプロモーターを含む好適なベクターにcDNAをサブクロー
ニングする。このようなプロモーターには、lacオペレーター調節エレメントに
関連するT5またはT7バクテリオファージプロモーター及びtrp-lac(tac)ハイブリ
ッドプロモーターが含まれるが、これらに限定されるものではない。組換えベク
ターを、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性をもつ
細菌が、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発されるとPPHKP
を発現する。真核細胞でのPPHKPの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に
一般にバキュロウイスルスとして知られているAutographica californica核多面
性ウイルス(AcMNPV)を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン
遺伝子を、相同組換え或いは転移プラスミドの媒介を伴う細菌の媒介による遺伝
子転移のどちらかによって、PPHKPをコードするcDNAと置換する。ウイルスの感
染力は維持され、強いポリヘドリンプロモータによって高いレベルのcDNAの転写
が行われる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合はSpodoptera frugiperda
(Sf9)昆虫細胞に感染に用いられるが、ヒト肝細胞の感染にも用いられることも
ある。後者の感染の場合は、バキュロウイルスの更なる遺伝的変更が必要になる
。(例えば、Engelhard. E. K.他 (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-
3227; Sandig, V. 他 (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945.を参照)。
【0264】 殆どの発現系では、PPHKPが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)
、またはFLAGや6-Hisなどのペプチドエピトープ標識で合成された融合タンパク
質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベース
の精製が素早く1回で行うことができる。Schistosoma japonicumからの26キ
ロダルトンの酵素GSTによって、タンパク質の活性及び抗原性を維持した状態で
固定されたグルタチオンで融合タンパク質の精製が可能となる(Amersham Pharma
cia Biotech)。精製の後、GST部分を特定の操作部位でPPHKPからタンパク分解的
に切断できる。アミノ酸8個のペプチドであるFLAGで、市販のモノクローナル及
びポリクローナル抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性の精製が可能
となる。6個の連続するヒスチジン残基のストレッチである6-Hisによって、金
属キレート樹脂(QIAGEN)で精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製の方法
は、Ausubel (1995,前出, ch 10, 16)に記載されている。これらの方法で精製し
たPPHKPを直接用いて以下の実施例11及び15のアッセイを行うことができる
【0265】 11 PPHKPの活性の実証 プロテインキナーゼの活性は、γ標識した32P-ATPの存在下でPPHKPによるタン
パク質基質のリン酸化を定量して測定する。PPHKPを、タンパク質基質、32P-ATP
、および好適なキナーゼバッファでインキュベートする。基質に組み込まれた32 Pを電気泳動によって遊離32P-ATPから分離し、組み込まれた32Pをラジオアイソ
トープカウンタでカウントする。組み込まれた32Pの量がPPHKPの活性に比例する
。リン酸化されたアミノ酸残基は、アミノ酸液のホスホアミノ酸分析(phosphoa
mino acid analysis)によって決定される。
【0266】 別法では、プロテインホスファターゼの活性は、p-ニトロフェニルリン酸塩(
PNPP)の加水分解によって測定する。PPHKPを、0.1%のb-メルカプトエタノール
の存在下で、HEPES緩衝液(pH 7.5)においてPNPPと共に37℃で60分間インキュ
ベートする。6 mlの10N NaOHを追加して反応を停止させ、PNPPの加水分解による
410 nmにおける反応混合液の吸光率の上昇を分光光度計で測定する。吸光率の上
昇が、PPHKPの活性に比例する。
【0267】 12 機能のアッセイ PPHKPの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理学的に高められたレベルで
のPPHKPをコードする配列の発現によって評価する。cDNAを、cDNAを高いレベル
で発現する強いプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターにサブクローニングす
る。このようなベクターには、pCMV SPORTTM (Life Technologies.)及びpCR 3.1
(Invitrogen, Carlsbad, CA)が含まれ、どちらもサイトメガロウイルスプロモ
ーターを含んでいる。5〜10μgの組換えベクターを、例えば内皮由来か造血
由来のヒト細胞株にリポソーム製剤或いは電気穿孔法によって一時的に形質移入
する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミドを
同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入された細胞と形質
移入されていない細胞とを区別できる。また、標識タンパク質の発現によって、
cDNAの組換えベクターからの発現を正確に予想できる。このような標識タンパク
質には、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、及びCD64またはCD64-GFP融合タ
ンパク質が含まれる。レーザー光学に基づいた技術を利用した自動流動細胞計測
法(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、
その細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。また、FCMで、先行し
た或いは同時の細胞死の現象を診断する蛍光分子の取り込みを検出して計量する
。これらの現象には、プロピジウムヨウ化物でのDNAの染色によって計測される
核DNA内容物の変化と、ブロモデオキシウリジンの取り込み量の低下によって計
測されるDNA合成の下方調節と、特異的な抗体との反応性によって計測される細
胞表面及び細胞内のタンパンク質の発現の変化と、蛍光複合アネキシンVタンパ
ク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変化とが含まれる。
流動細胞計測法は、Ormerod, M. G.による (1994) Flow Cytometry Oxford, New
York, NY.に記載されている。
【0268】 遺伝子発現におけるPPHKPの影響は、PPHKPをコードする配列とCD64またはCD64
-GFPのどちらかが形質移入された高度に精製された細胞集団を用いて評価するこ
とができる。CD64またはCD64-GFPは形質転換された細胞表面で発現し、ヒト免疫
グロブリンG(IgG)の保存された領域と結合する。形質転換された細胞と形質転換
されない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆された磁気ビ
ードを用いて分離することができる(DYNAL. Lake Success. NY)。mRNAは、当分
野で周知の方法で細胞から精製することができる。PPHKP及び目的の他の遺伝子
をコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析すること
ができる。
【0269】 13 PPHKPに特異的な抗体の産生 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G. (1990)
Methods Enzymol. 1816−3088-495を参照)または他の精製技術で実質的に精製
されたPPHKPを用いて、標準的なプロトコルでウサギを免疫化して抗体を作り出
す。
【0270】 別法では、PPHKPアミノ酸配列をLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて
解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合成してこれ
を用いて当業者に周知の方法で抗体を生産する。C末端付近の、或いは隣接する
親水性領域内のエピトープなどの適切なエピトープの選択については、当分野で
周知である(例えば、前出のAusubel, 1995,11章を参照)。
【0271】 通常、約15残基の長さのオリゴペプチドを、Applied BiosystemsのABI 431A
ペプチドシンセサイザー(PE Biosystems)を用いてfmoc法のケミストリにより
合成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(
MBS)を用いた反応によりKLH(Sigma-Aldrich, St. Louis MO)に結合させて、
免疫原性を高める(例えば、前出のAusubel, 1995を参照)。フロイントの完全ア
ジュバントにおいてオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。
得られた抗血清の抗ペプチド活性及び抗PPHKP活性を検査するには、ペプチドま
たはPPHKPを基板に結合し、1%BSAを用いてブロッキング処理し、ウサギ抗血清
と反応させて洗浄し、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応さ
せる。
【0272】 14 特異的抗体を用いる天然PPHKPの精製 天然PPHKP或いは組換えPPHKPを、PPHKPに特異的な抗体を用いるイムノアフィ
ニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィニティーカラ
ムは、CNBr-活性化SEPHAROSE(Amersham Pharmacia Biotech)のような活性化ク
ロマトグラフィー用レジンと抗PPHKP抗体とを共有結合させることにより形成す
る。結合の後、そのレジンを製造者の使用説明書に従ってブロッキング処理し洗
浄する。
【0273】 PPHKPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、PPHKPを優先的に吸
着できる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファ
ーで)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とPPHKPとの結合を切るよう
な条件で(例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシ
アン酸塩イオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、PPHKPを回収する
【0274】 15 PPHKPと相互作用する分子の同定 PPHKP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(例
えば、Bolton A.E.及びW.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529を参照)で標
識する。マルチウェルプレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したPP
HKPと共にインキュベートし、洗浄して、標識したPPHKP複合体を有する全てのウ
ェルをアッセイする。様々なPPHKP濃度で得られたデータを用いて、候補分子と
結合したPPHKPの数量及び親和性、会合についての値を計算する。
【0275】 別法では、PPHKPと相互作用する分子を、Fields, S.及びO. Song(1989, Natur
e 340:245-246)に記載の酵母2−ハイブリッドシステム(yeast two-hybrid sys
tem)やMATCHMAKERシステム(Clontech)などの2−ハイブリッドシステムに基づ
いた市販のキットを用いて分析する。
【0276】 PPHKPはまた、ハイスループット型の酵母2ハイブリッドシステムを使用するP
ATHCALLINGプロセス(CuraGen Corp., New Haven CT)に用いて、遺伝子の2つ
の大きなライブラリによってコードされるタンパク質間の全ての相互作用を決定
することができる(Nandabalan, K. 他 (2000) 米国特許第6,057,101号)。
【0277】 当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法
及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に基
づいて本発明を説明したが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に
制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連す
る分野の専門家には明らかな、本明細書に記載の本発明の実施例の様々な改変は
、特許請求の範囲に含まれる。
【0278】 (表の簡単な説明) 表1は、PPHKPをコードする完全長の配列を作り出すために用いた、ポリペプ
チド配列及びヌクレオチド配列の配列番号(SEQ ID NO)、クローン識別番号、cDN
Aライブラリ、及びcDNA断片を示す。
【0279】 表2は、潜在モチーフ及び相同配列を含む各ポリペプチド配列の特徴、並びに
PPHKPの解析に用いた方法、アルゴリズム、及び検索可能なデータベースを示す
【0280】 表3は、各核酸配列の選択された断片と、ノーザン分析によって決定された各
核酸配列の組織特異的発現パターンと、これらの組織に関連した疾患、異常症及
び症状と、各DNAがクローニングされたベクターとを示す。
【0281】 表4は、PPHKPをコードするcDNAクローンを単離したcDNAライブラリの作製に
用いた組織を示す。
【0282】 表5は、本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの分析に用いたツール、
プログラム、及びアルゴリズム、並びにその説明、引用文献、閾値パラメーター
を示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/00 A61P 37/00 4C084 35/00 43/00 101 4H045 37/00 C07K 16/40 43/00 101 C12N 1/15 C07K 16/40 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/12 1/21 9/16 B 5/10 C12Q 1/68 A 9/12 G01N 33/15 Z 9/16 33/50 Z C12Q 1/68 33/53 M G01N 33/15 33/566 33/50 33/574 33/53 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 A 33/574 A61K 37/54 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 バンドマン、オルガ アメリカ合衆国カリフォルニア州94043・ マウンテンビュー・アンナアベニュー 366 (72)発明者 ヒルマン、ジェニファー・エル アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#17・モンロードライ ブ 230 (72)発明者 ボーグン、マライア・アール アメリカ合衆国カリフォルニア州94577・ サンレアンドロ・サンティアゴロード 14244 (72)発明者 アジムザイ、ヤルダ アメリカ合衆国カリフォルニア州94545・ ヘイワード・ロックスプリングスドライブ 2045 (72)発明者 リュ、デュング・アイナ・エム アメリカ合衆国カリフォルニア州95136・ サンノゼ・パークベルモントプレイス 55 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 4B024 AA01 AA11 BA10 BA11 CA04 CA09 FA02 HA03 HA14 4B050 CC04 DD11 LL01 LL03 4B063 QA18 QA19 QQ27 QQ33 QR38 QR55 QR62 QS25 QS34 4B065 AB01 CA29 CA31 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 AA07 BA01 BA08 BA20 BA21 CA53 DC22 NA14 ZA01 ZA66 ZB01 ZB26 ZC19 ZC20 4H045 AA11 CA40 DA75

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単離されたポリペプチドであって、 (a)SEQ ID NO:1乃至SEQ ID NO:11(SEQ ID NO:1−11)からなる群から選択
    されたアミノ酸配列と、 (b)SEQ ID NO:1−11からなる群から選択されたアミノ酸配列と少なくとも
    90%の配列同一性を有する天然のアミノ酸配列と、 (c)SEQ ID NO:1−11からなる群から選択されたアミノ酸配列の生物学的に
    活性な断片と、 (d)SEQ ID NO:1−11からなる群から選択されたアミノ酸配列の免疫原性断
    片との前記(a)−(d)で構成される群から選択されたアミノ酸配列を含むこ
    とを特徴とする単離されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 SEQ ID NO:1−11からなる群から選択された請求項1の単
    離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  4. 【請求項4】 請求項2のポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
    レオチド。
  5. 【請求項5】 SEQ ID NO:12−22からなる群から選択された請求項4の単
    離されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドに機能的に結合されたプロモ
    ーター配列を含む組換えポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 請求項6の組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞
  8. 【請求項8】 請求項6の組換えポリヌクレオチドを含む遺伝子組換え生
    物。
  9. 【請求項9】 請求項1のポリペプチドを生産する方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件下で、請求項1のポリペプチドを
    コードするポリヌクレオチドに機能的に結合されたプロモーター配列を含む組換
    えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を培養するステップと、 (b)そのように発現したポリペプチドを回収するステップとを含むことを特
    徴とする請求項1のポリペプチドの生産方法。
  10. 【請求項10】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する単離された
    抗体。
  11. 【請求項11】 単離されたポリヌクレオチドであって、 (a)SEQ ID NO:12−22からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列と、 (b)SEQ ID NO:12−22からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列と少
    なくとも90%の配列同一性を有する天然のポリヌクレオチド配列と、 (c)前記(a)に相補的なポリヌクレオチド配列と、 (d)前記(b)に相補的なポリヌクレオチド配列と、 (e)前記(a)乃至(d)のRNA等価物とで構成される群から選択されたポ
    リヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 請求項11のポリヌクレオチドの少なくとも60個の連
    続するヌクレオチドを含む単離されたポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 サンプルにおいて、請求項11に記載のポリヌクレオチ
    ド配列を有する標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、 (a)前記サンプル内の前記標的ポリヌクレオチドと相補的な配列からなる少
    なくとも20個の連続するヌクレオチドを含むプローブで前記サンプルをハイブ
    リダイズするステップであって、前記プローブと前記標的ポリヌクレオチドまた
    はその断片とのハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で、前記プロ
    ーブが前記標的ポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズする、該ステップと
    、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体が存在するか否かを検出し、存在す
    る場合には随意選択でその収量を測定するステップとを含むことを特徴とする標
    的ポリヌクレオチドの検出方法。
  14. 【請求項14】 前記プローブが少なくとも60個の連続するヌクレオチ
    ドを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 サンプルにおいて、請求項11のポリヌクレオチド配列
    を有する標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって、 (a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅を用いて、前記標的ポリヌクレオチドまたは
    その断片を増幅するステップと、 (b)増幅された前記標的ポリヌクレオチドまたはその断片が存在するか否か
    を検出し、存在する場合には随意選択でその収量を測定するステップとを含むこ
    とを特徴とする標的ポリヌクレオチドの検出方法。
  16. 【請求項16】 有効量の請求項1のポリペプチド及び医薬的に容認でき
    る賦形剤を含む組成物。
  17. 【請求項17】 前記ポリペプチドが、SEQ ID NO:1−11からなる群から
    選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであることを特徴とする請求項16
    の組成物。
  18. 【請求項18】 機能的PPHKP(プロテインホスファターゼ及びプロテイ
    ンキナーゼ)の発現の低下に関連する疾患やその症状の治療方法であって、請求
    項16の組成物をそのような治療が必要な患者に投与することを含むことを特徴
    とする治療方法。
  19. 【請求項19】 請求項1のポリペプチドのアゴニストとして効果的な化
    合物をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと
    、 (b)前記サンプルのアゴニスト活性を検出するステップとを含むことを特徴
    とするスクリーニング方法。
  20. 【請求項20】 請求項19のスクリーニング方法によって同定されたア
    ゴニスト化合物及び医薬的に容認できる賦形剤を含む組成物。
  21. 【請求項21】 機能的PPHKPの発現の低下に関連する疾患やその症状の
    治療方法であって、請求項20の組成物をそのような治療が必要な患者に投与す
    ることを含むことを特徴とする治療方法。
  22. 【請求項22】 請求項1のポリペプチドのアンタゴニストとして効果的
    な化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと
    、 (b)前記サンプルにおけるアンタゴニスト活性を検出するステップとを含む
    ことを特徴とするスクリーニング方法。
  23. 【請求項23】 請求項22のスクリーニング方法によって同定されたア
    ンタゴニスト化合物及び医薬的に容認できる賦形剤を含む組成物。
  24. 【請求項24】 機能的PPHKPの過剰な発現に関連する疾患やその症状の
    治療方法であって、請求項23の組成物をそのような治療が必要な患者に投与す
    ることを含むことを特徴とする治療方法。
  25. 【請求項25】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する化合物をス
    クリーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを好適な条件下で少なくとも1つの試験化合物
    と結合させるステップと、 (b)請求項1のポリペプチドと前記試験化合物との結合を検出して、請求項
    1のポリペプチドと特異的に結合する化合物を同定するステップとを含むことを
    特徴とするスクリーニング方法。
  26. 【請求項26】 請求項1のポリペプチドの活性を調節する化合物をスク
    リーニングする方法であって、 (a)請求項1のポリペプチドを、その活性が許容される条件下で少なくとも
    1つの試験化合物と結合させるステップと、 (b)前記試験化合物の存在下での請求項1のポリペプチドの活性を評価する
    ステップと、 (c)前記試験化合物の存在下での請求項1のポリペプチドの活性と、前記試
    験化合物の不在下での請求項1のポリペプチドの活性とを比較するステップとを
    含み、 前記試験化合物の存在下での請求項1のポリペプチドの活性の変化が、請求項
    1のポリペプチドの活性を調節する化合物の存在を示唆すること特徴とするスク
    リーニング方法。
  27. 【請求項27】 請求項5の配列を含む標的ポリヌクレオチドの発現を変
    化させるのに効果的な化合物をスクリーニングする方法であって、 (a)前記標的ポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で、前記標的ポリヌク
    レオチドを含むサンプルを化合物に曝露するステップと、 (b)前記標的ポリヌクレオチドの発現の変化を検出するステップと、 (c)様々な量の前記化合物の存在下での前記標的ポリヌクレオチドの発現と
    、前記化合物の不在下での前記標的ポリヌクレオチドの発現とを比較するステッ
    プとを含むことを特徴とするスクリーニング方法。
  28. 【請求項28】 試験化合物の毒性を評価する方法であって、 (a)核酸を含む生体サンプルを前記試験化合物で処置するステップと、 (b)処置した前記生体サンプルの核酸を、請求項11のポリヌクレオチドの
    連続する少なくとも20個のヌクレオチドを含むプローブと、前記プローブと前
    記生体サンプルの標的ポリヌクレオチドとの間で特異的なハイブリダイゼーショ
    ン複合体が形成される条件下でハイブリダイズさせるステップであって、標的ポ
    リヌクレオチドが請求項11のポリヌクレオチドのポリヌクレオチド配列または
    その断片を含む、前記ステップと、 (c)ハイブリダイゼーション複合体の収量を測定するステップと、 (d)前記処置した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収
    量を、未処置の生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量とを
    比較するステップとを含み、 前記処置した生体サンプルにおけるハイブリダイゼーション複合体の収量の差
    が試験化合物の毒性を示唆することを特徴とする試験化合物の毒性評価方法。
JP2001523775A 1999-09-15 2000-09-14 プロテインホスファターゼ及びプロテインキナーゼ Pending JP2003509053A (ja)

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