JP2005511028A - 疾患検出および治療用分子 - Google Patents
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Abstract
本発明の様々な実施様態は、ヒトの疾患検出および治療用分子(MDDT)および、MDDTを同定しコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明の実施例はまた、発現ベクター、宿主細胞、抗体、アゴニストおよびアンタゴニストをも提供する。他の実施様態は、MDDTの異常発現に関連する疾患を、診断、治療または予防する方法をも提供する。
Description
本発明は、新規の核酸類、およびこれらの核酸によりコードされた、疾患検出および治療用分子類に関する。本発明はまた、これらの核酸類またタンパク質類を利用した、細胞増殖異常、自己免疫/炎症性疾患、発達障害、および神経障害の診断・治療・予防に関する。本発明はまた、核酸類と、疾患検出および治療用分子類の発現への、外因性化合物の効果のアセスメントに関する。
推定では、哺乳類DNAの2%のみがタンパク質をコードしており、どの時点でも、タンパク質をコードする遺伝子群の僅かな部分のみが特定細胞内で実際に発現される。多細胞生物における種々のタイプの細胞は構造も機能も劇的に異なっており、特定細胞の個性を授けるものは、その独自パターンの遺伝子発現である。また、異なる細胞タイプは、オーバーラップするが特有のセットの遺伝子群を、発生期を通じて発現する。生物の発達と生存とに寄与する、細胞成長、細胞増殖、細胞分化、免疫応答、アポトーシス及び他のプロセスは、遺伝子発現の調節によって支配される。適切な遺伝子調節はまた、細胞を効率よく機能させる。これを確実にするため、その機能が要求される遺伝子群のみが所定の時期に発現される。遺伝子発現に影響を与える因子の例には、細胞間伝達を仲介し、様々な細胞型の作用を協調させる細胞外シグナルを含む。遺伝子発現は、DNAとRNAとの転写レベル、および、mRNA翻訳のレベルにおいて調節される。
遺伝子と遺伝子産物とに異常な発現または突然変異があると、種々のヒト疾患(例えば癌その他の細胞増殖異常など)を起こしたり、またはそれらに対する感受性を増加させることがある。これらの遺伝子と遺伝子産物の同定は、疾患の早期検出用マーカーと、疾患の予防と治療との為の標的とを見出すために、常に拡大しつつある努力の基礎となる。例えば癌は、身体のほぼ全ての組織に影響する細胞増殖異常の或るタイプを言う。癌の発生すなわち発癌は、しばしば、異常発現または突然変異を通じた、正常遺伝子の、癌を起こす遺伝子すなわち癌遺伝子への転換と相関する。腫瘍性タンパク質(癌遺伝子の産物)の例には、細胞増殖に影響する種々の分子を含む。このような分子とは例えば成長因子、成長因子受容体、細胞内シグナル伝達因子、核内転写因子、および、細胞周期制御タンパク質である。一方、腫瘍抑制遺伝子は、細胞増殖抑制に関係する。腫瘍抑制遺伝子の機能を低減または抑止する突然変異の結果、異常な細胞増殖と癌とが起こる。このように、多種多様な遺伝子と遺伝子産物とが細胞増殖異常(癌など)に関連することが見出されているが、まだ発見されていない多くの遺伝子と遺伝子産物が存在する可能性がある。
DNAベースのアレイは、遺伝子発現と遺伝的変異性とを試験する、効率的で高処理の方法を提供できる。例えばSNP(すなわち一塩基多型)は、最も多いタイプのヒト遺伝的変異である。DNAベースのアレイは、数百、数千もの遺伝子群におけるSNPの発見を劇的に加速できる。同様に、このようなアレイを用いて、SNP遺伝子型解析(SNP genotyping)をなしうる。この解析では、個体群または集団群からのDNAサンプルのアッセイを、選択したSNPの存在について行う。これらのアプローチは、ヒトゲノムにおける全ての遺伝的変異の体系的同定や、特定の遺伝的変異と、疾患感受性、薬物治療応答性その他の医学的関連情報との相関の体系的同定を最終的にもたらすだろう(例えばWang, D.G.他(1998) Science 280:1077-1082を参照)。
DNAベースのアレイ技術は、全体的な遺伝子発現パターンの迅速な分析に特に重要である。例えば遺伝子的疾病素質、疾患、または治療処置は、直接または間接に、或る組織における多数の遺伝子の発現に影響することがある。この場合、発現される全ての遺伝子と、それらの遺伝子がその特定組織において発現されるレベルとのプロファイルすなわち転写イメージ(transcript image)を作製することは有用である。或る疾患を患う個体または集団、または特定の治療を受けている個体または集団から作製されたプロファイルが、対照の個体または集団から作製されたプロファイルと比較されうる。このような分析には、遺伝子機能の知識を必要としない。理由は、発現プロファイルを数学的に分析でき、この分析では各遺伝子を単にマーカーとして扱うからである。更に遺伝子発現プロファイルは、例えば或る発生段階や特定組織において、または疾患や処置に応答して発現される、全ての遺伝子を同定することによって、生物学的経路の詳細な分析を補助しうる(例えばLander, E.S.他(1996) Science 274:536-539を参照)。
数種の遺伝子は疾患と関連することが染色体上の位置から知られている。その例に、マウスとヒトとの筋強直性ジストロフィー(DM)領域にある遺伝子群がある。DMの根底にある突然変異はDMキナーゼ蛋白をコードする或る遺伝子に限局されているが、別の活性遺伝子であるDMR-N9は、このDMキナーゼ遺伝子に非常に近接した位置にある(Jansen, G.他(1992) Nat. Genet. 1:261-266)。DMR-N9がコードする650アミノ酸タンパク質が持つWDリピートは、細胞シグナル伝達タンパクに見られるモチーフである。DMR-N9は全ての神経組織と睾丸とに発現されるので、重篤例のDMにおける精神症状と睾丸症状との出現でのDMR-N9の役割を示唆する(Jansen, G.他(1995) Hum. Mol. Genet. 4:843-852)。
別のタイプのシグナル伝達タンパク質にはWWドメインが含まれ、これは35-40アミノ酸から成り、4つのよく保存された芳香族残基(その内の2つはトリプトファン)により特徴付けられる。WWドメインの二次構造は、わずかに曲がった3つのストランド逆平行シートから成る。このドメインは、ヒトのPin1およびRasGAP関連タンパク質を含む多様なタンパク質において報告されている。多様なタンパク質におけるWWドメインの存在は、シグナル伝達、調節、そして細胞骨格機能に関与する。WWドメイン含有タンパク質における欠陥には、リドル症候群等のヒトの疾患が関係する(Pirozzi, G. 他(1997) J. Biol. Chem. 272:14611-14616)。テトラトリコペプチドリピート(TPR)は、多様なタンパク質で存在する、縮退した34アミノ酸配列によって構成されている。複数のモチーフとしてのこれらの列が、タンパク質間相互作用およびタンパク質複合体の構築を仲介する足場の形成を可能にする(Das, A.K. 他. (1998) EMBO J. 17:1192-1199)。CheBメチルエステラーゼは、受容体グルタミンまたはメチルグルタミン酸側鎖のグルタミン酸への加水分解を触媒する。またN末端調節ドメインがC末端エフェクタードメインの活性を制御する応答調節タンパク質の大きなファミリーに属する。
他の遺伝子群の同定が、その発現パターンに、または疾病症候群との関連に基づいて成される。例えば細胞内オルガネラに対する自己抗体は、全身性リウマチ性疾患の患者に見られる。最近同定されたタンパク質であるgolgin-67はゴルジ自己抗原の或るファミリーに属しており、αヘリックスのコイルドコイルドメインを持つ(Eystathioy, T.他(2000) J. Autoimmun. 14:179-187)。Stac遺伝子は脳に特異的で、発達に応じて調節される遺伝子として同定された。Stac蛋白質は1つのSH3ドメインを持つ。また、ニューロン特異的シグナル伝達に関わると思われる(Suzuki, H.他(1996) Biochem. Biophys. Res. Commun. 229:902-909)。
発現プロファイル作成
マイクロアレイは、生物分析に用いる分析ツールである。マイクロアレイには複数の分子を有し、それらは或る固体支持体の表面で空間的に分布し、その表面と安定して結合している。ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/または抗体のマイクロアレイが開発され、その種々の用途には例えば遺伝子配列決定、遺伝子発現モニタリング、遺伝子マッピング、細菌同定、創薬、コンビナトリアルケミストリがある。
マイクロアレイは、生物分析に用いる分析ツールである。マイクロアレイには複数の分子を有し、それらは或る固体支持体の表面で空間的に分布し、その表面と安定して結合している。ポリペプチド、ポリヌクレオチド、および/または抗体のマイクロアレイが開発され、その種々の用途には例えば遺伝子配列決定、遺伝子発現モニタリング、遺伝子マッピング、細菌同定、創薬、コンビナトリアルケミストリがある。
特にマイクロアレイを用いる領域は遺伝子発現分析である。アレイ技術は、単一の多型遺伝子の発現や、多数の関連遺伝子または無関係の遺伝子の発現プロファイルを探求する簡単な方法を提供し得る。単一遺伝子の発現を試験するときは、アレイを用いて或る特定遺伝子又はその変異体の発現を検出する。発現プロファイルを試験するときは、アレイは次のような遺伝子を同定するプラットフォームを提供する。即ちどの遺伝子が組織特異的か、毒性アッセイにおいてテストされる物質に影響されるか、シグナル伝達カスケードの一部であるか、ハウスキーピング機能を実行するか、又は、特定の遺伝的素因や、条件、疾患、又は障害に、特異的に関連する遺伝子であるかの同定である。
当分野では新規の組成物群を必要とする。これら新規の組成物には、細胞増殖異常、自己免疫/炎症疾患、発達障害、および神経系疾患の診断・予防・治療のための核酸とタンパク質が含まれる。
本発明の種々の実施態様は、総称して「MDDT」、個別にはそれぞれ「MDDT-1」、「MDDT-2」、「MDDT-3」、「MDDT-4」、「MDDT-5」、「MDDT-6」、「MDDT-7」、「MDDT-8」、「MDDT-9」、「MDDT-10」、「MDDT-11」、「MDDT-12」、「MDDT-13」、「MDDT-14」、「MDDT-15」、「MDDT-16」、「MDDT-17」、「MDDT-18」、「MDDT-19」、「MDDT-20」、「MDDT-21」、「MDDT-22」、「MDDT-23」、「MDDT-24」、「MDDT-25」、「MDDT-26」、「MDDT-27」、「MDDT-28」、「MDDT-29」、「MDDT-30」、「MDDT-31」、「MDDT-32」、「MDDT-33」、「MDDT-34」、「MDDT-35」、「MDDT-36」、「MDDT-37」、「MDDT-38」、「MDDT-39」、「MDDT-40」、「MDDT-41」、「MDDT-42」、「MDDT-43」、「MDDT-44」、「MDDT-45」、「MDDT-46」、「MDDT-47」、および「MDDT-48」と呼ぶ、疾患検出および治療用分子である、精製されたポリペプチドを提供し、またこれらのタンパク質およびそれらをコードするポリヌクレオチドを使って病気および症状の検出、診断および治療を行う方法を提供する。幾つかの実施態様はまた、精製した疾患検出および治療用分子、並びに/またはそれらをコードするポリヌクレオチドを用いて創薬過程を促進する方法、例えば効力、用量、毒性、および薬理の決定の方法を提供する。関連する幾つかの実施態様は、精製した疾患検出および治療用分子、並びに/またはそれらをコードするポリヌクレオチドを用いて疾患と病状との病原を調査する方法を提供する。
或る実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択されたアミノ酸配列を持つポリペプチドと、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択されたアミノ酸配列と90%以上同一であるあるいは少なくとも約90%同一である天然アミノ酸配列を持つポリペプチドと、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドの生物学的活性断片と、(d)SEQ ID NO:1-48とからなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドの免疫原性断片、とで構成される群から選択された単離したポリペプチドを提供する。別の実施態様は、SEQ ID NO:1-48のアミノ酸配列を持つ単離したポリペプチドを提供する。
また別の実施態様は(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を持つ或る天然アミノ酸配列を有するポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片、または(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリヌクレオチドの免疫原性断片、からなる群から選択した或るポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。一実施態様では、該ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るポリペプチドをコードする。別の実施態様では、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:49-96からなる群から選択される。
また別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する或る天然アミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を有するポリペプチドの生物学的活性断片、および(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択した或るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと機能的に連結したプロモーター配列を持つ組換えポリヌクレオチドを提供する。別の実施態様は、この組換えポリヌクレオチドを用いて形質転換した細胞を提供する。更に別の実施態様は、この組換えポリヌクレオチドを持つ遺伝形質転換生物を提供する。
別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドと、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%以上の同一性を有する或る天然アミノ酸配列を持つポリペプチドと、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片と、(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、とからなる群から選択したポリペプチドを製造する一方法を提供する。製造方法は、(a)或る細胞を該ポリペプチドの発現に適した条件下で培養し、この細胞を組換えポリヌクレオチドを用いて形質転換する過程と、(b)そのように発現したポリペプチドを回収する過程からなる。この組換えポリヌクレオチドは、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対し機能的に連結したプロモーター配列を持つ。
更に別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する或る天然アミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片、および(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択した或るポリペプチドに特異結合する、単離された抗体を提供する。
また更に別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択したポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(b)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列との少なくとも90%の同一性を有する或る天然ポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(c)(a)に相補的なポリヌクレオチド、(d)(b)に相補的なポリヌクレオチド、および(e)(a)〜(d)のRNA等価物、からなる群から選択した、単離されたポリヌクレオチドを提供する。別の実施態様で該ポリヌクレオチドは、少なくとも約20、30、40、60、80、または100の連続したヌクレオチド群からなる場合がある。
また別の実施態様は、サンプル中に標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって該標的ポリヌクレオチドが(a)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択したポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(b)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列との少なくとも90%の同一性を有する或る天然ポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(c)(a)に相補的なポリヌクレオチド、(d)(b)に相補的なポリヌクレオチド、および(e)(a)〜(d)のRNA等価物、からなる群から選択される方法を提供する。検出方法は、(a)サンプル中の上記標的ポリヌクレオチドに相補的な或る配列からなる少なくとも20の連続したヌクレオチド群からなる或るプローブを用いて該サンプルをハイブリダイズする過程と、(b)該ハイブリダイゼーション複合体の有無を検出する過程からなる。該プローブと該標的ポリヌクレオチドあるいはその断片との間でハイブリダイゼーション複合体が形成されるような条件下で、プローブは、該標的ポリヌクレオチドに対し特異的にハイブリダイズする。或る関連した実施態様で本法は、該ハイブリダイゼーション複合体の量の検出を含みうる。また別の実施態様で該プローブは、少なくとも約20、30、40、60、80、または100の連続したヌクレオチド群からなる場合がある。
また更に別の実施態様は、サンプル中に標的ポリヌクレオチドを検出する方法であって該標的ポリヌクレオチドが(a)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択したポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(b)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列との少なくとも90%の同一性を有する或る天然ポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(c)(a)に相補的なポリヌクレオチド、(d)(b)に相補的なポリヌクレオチド、および(e)(a)〜(d)のRNA等価物、からなる群から選択される方法を提供する。検出方法は、(a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅を用いて標的ポリヌクレオチドまたはその断片を増幅する過程と、(b)該増幅した標的ポリヌクレオチドまたはその断片の有無を検出する過程からなる。或る関連した実施態様で本法は、該増幅した標的ポリヌクレオチドまたはその断片の量の検出を含みうる。
別の実施態様は、或る有効量のポリペプチドと薬物として許容し得る或る賦形剤とからなる、或る組成物を提供する。有効量のポリペプチドは、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する天然のアミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片、および(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択される。一実施様態では、組成物はSEQ ID NO:1-48からなる群から選択されたアミノ酸配列を含み得る。他の実施様態は、機能的MDDTの発現の低下または異常発現に関連する疾患や症状の治療方法を提供し、そのような治療の必要な患者にこの組成物を投与することを含む。
また別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する天然アミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片、および(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択したポリペプチドのアゴニストとしての有効性を確認するために、或る化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニング方法は、(a)該ポリペプチドを有するサンプルを或る化合物に曝す過程と、(b)サンプル中のアゴニスト活性を検出する過程からなる。別の実施態様は、この方法で同定したアゴニスト化合物と許容される医薬用賦形剤とを有する、或る組成物を提供する。また別の実施態様は、機能的MDDTの発現の低下を伴う疾患や症状の治療を要する患者への、この組成物の投与方法を提供する。
また更に別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列との少なくとも90%の同一性を有する天然アミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片、および(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択したポリペプチドのアンタゴニストとしての有効性を確認するために、或る化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニング方法は、(a)該ポリペプチドを有するサンプルを或る化合物に曝す過程と、(b)サンプル中のアンタゴニスト活性を検出する過程からなる。別の実施態様は、この方法で同定したアンタゴニスト化合物と許容される医薬用賦形剤とを有する、或る組成物を提供する。また別の実施態様は、機能的MDDTの過剰発現を伴う疾患や症状の治療を要する患者への、該組成物の投与方法を提供する。
別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列に少なくとも90%同一であるあるいは少なくとも約90%同一である天然アミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を有するポリペプチドの生物学的活性断片、または(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を有するポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択されたポリペプチドに特異結合する化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニング方法は、(a)ポリペプチドを適切な条件下で少なくとも1つの試験化合物と混合する過程と、(b)試験化合物とのポリペプチドの結合を検出し、それによって、該ポリペプチドに特異結合する化合物を同定する過程とを含む。
また別の実施態様は、(a)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチド、(b)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列との少なくとも90%または少なくとも約90%の同一性を有する或る天然アミノ酸配列を持つポリペプチド、(c)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの生物学的活性断片、および(d)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を持つポリペプチドの免疫原性断片、からなる群から選択した或るポリペプチドの活性をモジュレートする或る化合物をスクリーニングする方法を提供する。スクリーニング方法は、(a)該ポリペプチドの活性にとり許容し得る条件下で、該ポリペプチドを少なくとも1つの試験化合物と混合する過程と、(b)該ポリペプチドの活性をこの試験化合物の存在下で算定する過程と、(c)この試験化合物の存在下での該ポリペプチドの活性をこの試験化合物の不存在下での該ポリペプチドの活性と比較する過程からなり、この試験化合物の存在下での該ポリペプチドの活性の変化は、該ポリペプチドの活性をモジュレートする化合物を標示する。
また更に別の実施態様は、SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列を持つ標的ポリヌクレオチドの発現を改変する効果に関し、或る化合物をスクリーニングする一方法を提供する。この方法は、(a)この標的ポリヌクレオチドを有するサンプルを或る化合物に曝露する過程と、(b)この標的ポリヌクレオチドの発現の改変を検出する過程と、(c)可変量のこの化合物の存在下でのこの標的ポリヌクレオチドの発現と、この化合物の不在下での発現とを比較する過程とからなる。
別の実施態様は、試験化合物の毒性の算定方法を提供する。この方法には、以下の過程がある。(a)核酸群を有する生体サンプルを試験化合物で処理する過程。(b)処理済み生体サンプルの核酸群をハイブリダイズする過程。この過程には、次のようなプローブを用いる。(i)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(ii)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列との少なくとも90%の同一性を有する天然ポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(iii)(i)に相補的な配列を持つポリヌクレオチド、(iv)(ii)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、(v)(i)〜(iv)のRNA等価物、からなる群から選択した或るポリヌクレオチドの少なくとも20の連続したヌクレオチド群からなるプローブである。ハイブリダイゼーションは、上記プローブと生体サンプル中の標的ポリヌクレオチドとの間に特異的ハイブリダイゼーション複合体が形成されるような条件下で生じる。上記標的ポリヌクレオチドは、(i)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(ii)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列との少なくとも90%または少なくとも約90%の同一性を有する天然ポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド、(iii)(i)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、(iv)(ii)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、(v)(i)〜(iv)のRNA等価物、からなる群から選択する。あるいは標的ポリヌクレオチドは、上記(i)〜(v)からなる群から選択したポリヌクレオチド配列の断片を持つ場合がある。毒性の算定方法には更に、以下の過程がある。(c)ハイブリダイゼーション複合体の量を定量する過程と、(d)処理済み生体サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の量を、非処理の生体サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の量と比較する過程である。処理済み生体サンプル中のハイブリダイゼーション複合体の量の差異が、試験化合物の毒性を示す。
(本発明の記載について)
本発明のタンパク質、核酸、および方法について説明するが、その前に、説明した特定の装置、材料および方法に本発明の実施態様が限定されるものではなく、修正され得ることを理解されたい。また、ここで使用する専門用語は特定の実施態様を説明する目的で用いたものに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことも併せて理解されたい。
本発明のタンパク質、核酸、および方法について説明するが、その前に、説明した特定の装置、材料および方法に本発明の実施態様が限定されるものではなく、修正され得ることを理解されたい。また、ここで使用する専門用語は特定の実施態様を説明する目的で用いたものに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことも併せて理解されたい。
補足請求および明細書中で用いている単数形の「或る」および「その(この)」の表記は、文脈から明らかにそうでないとされる場合を除いて複数のものを指す場合もあることに注意されたい。したがって、例えば「或る宿主細胞」と記されている場合にはそのような宿主細胞が複数あることもあり、「或る抗体」と記されている場合には1個以上の抗体、および、当業者に公知の抗体の等価物などについても言及している。
本明細書中で用いる全ての技術用語および科学用語は、特に定義されている場合を除き、当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書で説明するものと類似あるいは同等の任意の装置、材料および方法を用いて本発明の実施または試験を行うことができるが、ここでは好適な装置、材料、方法について説明する。本発明で言及する全ての刊行物は、刊行物中で報告されていて且つ本発明の種々の実施態様に関係して用い得る、細胞株、プロトコル、試薬およびベクターについて説明および開示する目的で引用しているものである。本明細書のいかなる開示内容も、本発明が先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられていないことを認めるものではない。
(定義)
用語「MDDT」は、天然、合成、半合成或いは組換え体などの、全ての種(特にウシ、ヒツジ、ブタ、ネズミ、ウマ及びヒトを含む哺乳動物)から得られる実質的に精製されたMDDTのアミノ酸配列を指す。
用語「MDDT」は、天然、合成、半合成或いは組換え体などの、全ての種(特にウシ、ヒツジ、ブタ、ネズミ、ウマ及びヒトを含む哺乳動物)から得られる実質的に精製されたMDDTのアミノ酸配列を指す。
用語「アゴニスト」は、MDDTの生物学的活性を強める、或いは模倣する分子を指す。アゴニストの例としては、タンパク質、核酸、糖質、小分子その他の任意の化合物や組成物の内、MDDTと直接に相互作用することによって、或いはMDDTが関与する生物学的経路の種々の構成成分に作用することによってMDDTの活性を調節するものを含みうる。
「対立遺伝子変異体」は、MDDTをコードする遺伝子の、別の形態である。対立遺伝子変異体群は、核酸配列における少なくとも1つの突然変異から生じ得る。また、変容したmRNA群を生じ得る。また、この変異体が生じ得るポリペプチドの構造または機能は、変容することもしないこともある。或る遺伝子は、その天然型の対立遺伝子変異体を全く持たない場合もあり、1個以上持つこともある。対立遺伝子変異体を生じさせる通常の変異性変化は一般に、ヌクレオチドの自然な欠失、付加または置換による。これら各種の変化は、単独であるいは他の変化と共に、或る配列内で1回以上、生じ得る。
MDDTをコードする「変容した/改変された」核酸配列としては、様々なヌクレオチドの欠失、挿入、あるいは置換がありながら、MDDTと同じポリペプチド、あるいはMDDTの機能特性の少なくとも1つを備えるポリペプチドをもたらす配列もある。この定義には、MDDTをコードするポリヌクレオチドにとって正常な染色体の遺伝子座ではない位置での、対立遺伝子変異配列との不適当あるいは予期しないハイブリダイゼーションを含み、また、MDDTをコードするポリヌクレオチドの或る特定オリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能なあるいは検出困難な多型性を含む。コードされるタンパク質も「変容する/改変される」ことがあり、また、サイレント変化を生じて機能的には等価なMDDTと成るような、アミノ酸残基の欠失、挿入、あるいは置換を持ち得る。意図的なアミノ酸置換は、生物学的或いは免疫学的にMDDTの活性が保持される範囲で、残基の、極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/または両親媒性、についての1つ以上の類似性に基づいて成され得る。例えば負の荷電アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸があり、正の荷電アミノ酸にはリジンおよびアルギニンがありうる。親水性値が近似した極性無電荷側鎖を持つアミノ酸としては、アスパラギンとグルタミン、およびセリンとトレオニンを含みうる。親水性値が近似した無電荷側鎖を持つアミノ酸としては、ロイシンとイソロイシンとバリン、グリシンとアラニン、およびフェニルアラニンとチロシンを含みうる。
用語「アミノ酸」および「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質配列、あるいはそれらのいずれかの断片を指し、天然分子または合成分子を指し得る。ここで「アミノ酸配列」は天然のタンパク質分子のアミノ酸配列を指すものであり、「アミノ酸配列」及び類似の語は、アミノ酸配列を、列挙したタンパク質分子に関連する完全な本来のアミノ酸配列に限定しようとするものではない。
「増幅」は、或る核酸配列の付加的複製物を作製する行為に関する。増幅には、当該分野で公知の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術または他の核酸増幅技術を用いうる。
用語「アンタゴニスト」は、MDDTの生物学的活性を阻害あるいは減弱する分子を指す。アンタゴニストとしては、MDDTと直接相互作用すること、あるいはMDDTが関与する生物学的経路の各成分に作用することによってMDDTの活性をモジュレートする、抗体などタンパク質、anticalin、核酸、糖質、小分子、または任意の他の化合物や組成物があり得る。
「抗体」の語は、抗原決定基と結合することができる、無傷の免疫グロブリン分子やその断片、例えばFab,、F(ab')2 及びFv断片を指す。MDDTポリペプチドと結合する抗体は、免疫抗原として、無傷のポリペプチドを用いて、または、目的の小ペプチドを持つ断片を用いて作製可能である。マウス、ラット、ウサギなどの動物を免疫化するために用いるポリペプチドまたはオリゴペプチドの由来は、RNAの翻訳の場合や、または化学合成があり得る。また、それらは所望により、担体タンパク質に抱合し得る。通常用いられる担体であってペプチドと化学結合する担体の例は、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、および、スカシガイのヘモシアニン(KLH)などがある。結合したこのペプチドは、前記動物を免疫化するために用いる。
「抗原決定基」の語は、特定の抗体と接触する、分子の領域(即ちエピトープ)を指す。タンパク質またはタンパク質断片を用いて宿主動物を免疫化する場合、該タンパク質の多数の領域が、抗原決定基(タンパク質の特定の領域または3次元構造)に特異結合する抗体の産生を誘発し得る。抗原決定基は、或る抗体への結合について、無傷の抗原(すなわち免疫応答を引き出すために用いられる免疫原)と競合し得る。
用語「アプタマー」は、特定の分子標的に結合する核酸またはオリゴヌクレオチドを指す。アプタマーはin vitroでの進化プロセスに由来する(例えば、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential Enrichmentの略、試験管内選択法)、米国特許第5,270,163号に記述)。これは、大規模なコンビナトリアルライブラリ群から標的特異的アプタマー配列を選択するプロセスである。アプタマーの組成は二本鎖または一本鎖であり、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ヌクレオチド誘導体または他のヌクレオチド様分子を含み得る。アプタマーの各ヌクレオチド成分は修飾された糖基を持つことがあり(例えば、リボヌクレオチドの2'-OH基は2'-Fまたは2'-NH2によって置換され得る)、これは、ヌクレアーゼへの抵抗性または血中でのより長い寿命など、所望の特性を向上し得る。アプタマーを他の分子(例えば高分子量キャリア)と抱合させることにより、循環系からのこのアプタマーのクリアランスを遅らせ得る。アプタマーは、たとえば架橋剤の光活性化によって各々の同族リガンドと特異的に架橋させうる(Brody, E.N.およびL. Gold (2000) J. Biotechnol. 74:5-13)。
「intramer」の用語はin vivoで発現されるアプタマーを意味する例えば、ワクシニアウイルスに基づく或るRNA発現系を用いて、白血球の細胞質内で特定のRNAアプタマー類が高レベルに発現されている(Blind, M.他(1999) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3606-3610)。
「スピーゲルマー(spiegelmer)」の語はL-DNA、L-RNAその他の左旋性ヌクレオチド誘導体またはヌクレオチド様分子を含むアプタマーを指す。左旋性ヌクレオチド群を持つアプタマー類は、右旋性ヌクレオチド群を持つ基質に通常は作用する、天然酵素類による分解に耐性がある。
用語「アンチセンス」は、或る特定の核酸配列を有するポリヌクレオチドの「センス」(コーディング)鎖との塩基対を形成し得る任意の組成物を指す。アンチセンス組成物としては、DNAや、RNAや、ペプチド核酸(PNA)や、修飾された主鎖結合たとえばホスホロチオ酸、メチルホスホン酸またはベンジルホスホン酸などを有するオリゴヌクレオチドや、修飾された糖基たとえば2'-メトキシエチル糖または2'-メトキシエトキシ糖などを有するオリゴヌクレオチドや、あるいは修飾された塩基たとえば5-メチルシトシン、2'-デオキシウラシルまたは7-デアザ-2'-デオキシグアノシンなどを有するオリゴヌクレオチドがあり得る。アンチセンス分子は、化学合成または転写など、任意の方法で製造することができる。相補的アンチセンス分子は、細胞に導入されると、細胞が産生した天然核酸配列との塩基対を形成し二重鎖を形成して転写または翻訳を妨害する。「負」または「マイナス」という表現は、ある参考DNA分子のアンチセンス鎖を意味し、「正」または「プラス」という表現は、ある参考DNA分子のセンス鎖を意味しうる。
「生物学的に活性」の語は、天然分子の構造的機能、調節機能または生化学的機能を有するタンパク質を指す。同様に、用語「免疫学的に活性」または「免疫原性」は、天然あるいは組換え体のMDDT、合成のMDDT、またはそれらの任意のオリゴペプチドが、適当な動物の或いは細胞の特異的免疫応答を誘発して特異抗体群と結合する能力を指す。
「相補(的)」または「相補性」の語は、塩基対形成によってアニーリングする2つの一本鎖核酸の間の関係を指す。例えば、配列「5'A-G-T3'」は、相補配列「3'T-C-A5'」と対を形成する。
「〜のポリヌクレオチドを含む(持つ)組成物」または「〜のポリペプチドを含む(持つ)組成物」は、所定のポリヌクレオチド配列若しくはポリペプチドを持つ、任意の組成物を指す。この組成物には、乾燥製剤または水溶液が含まれ得る。MDDTをコード、若しくはその断片をコードするポリヌクレオチドを持つ組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。これらプローブは、凍結乾燥形態で貯蔵でき、また、糖質などの安定化剤と結合させ得る。ハイブリダイゼーションにおいては、塩(例えばNaCl)、界面活性剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム;SDS)および他の成分(例えばデンハート液、粉乳、サケ精子DNAなど)を有する水溶液中に、プローブを分散させ得る。
「コンセンサス配列」は、不要な塩基を分離するためにDNA配列の解析を繰り返し行い、XL-PCRキット(Applied Biosystems,Foster City CA)を用いて5'及び/または3'の方向に伸長され、再度シークエンシングされた核酸配列、またはGELVIEW 断片アセンブリシステム(Accelrys, Burlington MA)、あるいはPhrap (University of Washington, Seattle WA)等の断片アセンブリ用のコンピュータプログラムを用いて1つ以上の重複するcDNAやEST、またはゲノムDNA断片からアセンブリされた核酸配列を指す。伸長及びアセンブリの両方を行ってコンセンサス配列を作製する配列もある。
「保存的なアミノ酸置換」は、置換がなされた時に元のタンパク質の特性を殆ど損なわないと予測されるような置換、即ちタンパク質の構造と特に機能が保存され、そのような置換による大きな変化がない置換を指す。下表は、タンパク質中で元のアミノ酸と置換可能で、保存的アミノ酸置換と認められるアミノ酸を示している。
保存アミノ酸置換では通常、(a)置換領域におけるポリペプチドのバックボーン構造、例えばβシートやα螺旋構造、(b)置換部位における分子の電荷または疎水性、及び/または(c)側鎖の大部分を保持する。
「欠失」は、結果的に1個若しくは数個のアミノ酸残基またはヌクレオチドが失われてなくなるようなアミノ酸またはヌクレオチド配列における変化を指す。
「誘導体」の語は、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの化学修飾を指す。例えば、アルキル基、アシル基、ヒドロキシル基またはアミノ基による水素の置換は、ポリヌクレオチドの化学修飾に含まれ得る。誘導体ポリヌクレオチドは、天然分子の生物学的または免疫学的機能を少なくとも1つは保持しているポリペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドは、次のようなプロセスによって修飾されたポリペプチドである。すなわち、グリコシル化、ポリエチレングリコール化(pegylation)、あるいは任意の同様なプロセスであって、誘導元のポリペプチドの少なくとも1つの生物学的若しくは免疫学的機能を保持するプロセスである。
「検出可能な標識」は、測定可能なシグナルを生成することができ、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに共有結合または非共有結合するようなレポーター分子または酵素を指す。
「差次的発現」は少なくとも2つの異なったサンプルを比較することによって決められる、増加(上方調節)、あるいは減少(下方調節)、または遺伝子発現またはタンパク発現の欠損を指す。このような比較は例えば、処理済サンプルと不処理サンプル、または病態サンプルと健常サンプルとの間で行われ得る。
「エキソンシャフリング」は、異なるコード領域(エキソン)の組換えを意味する。或るエキソンは、コードするタンパク質の1つの構造的または機能的ドメインを意味し得るため、安定した下部構造群の新たな組合せによって新規のタンパク質群をアセンブリすることが可能であり、新たなタンパク質機能の進化を促進できる。
用語「断片」は、MDDTの又はMDDTをコードするポリヌクレオチドの固有の部分であって、その親配列(parent sequence)と配列は同一であり得るが親配列より長さが短いものを指す。或る断片は、最長で定義された配列の全長から1ヌクレオチド/アミノ酸残基を差し引いた長さを有し得る。例えば或る断片は、約5〜約1000の連続したヌクレオチドまたはアミノ酸残基を有し得る。プローブ、プライマー、抗原、治療用分子として、或いはその他の目的のために用いられる断片は、少なくとも5、10、15、16、20、25、30、40、50、60、75、100、150、250若しくは500の、連続したヌクレオチド或いはアミノ酸残基の長さであり得る。断片は、或る分子の特定領域から優先的に選択し得る。例えば、或るポリペプチド断片は、定義された或る配列内に見られるような或るポリペプチドの最初の250または500アミノ酸(または最初の25%または50%)から選択した、或る長さの連続したアミノ酸を持ち得る。これらの長さは明らかに例として挙げているものであり、本発明の実施態様では、配列表、表および図面を含む本明細書が支持する任意の長さであり得る。
SEQ ID NO:49-96の断片は、例えば、この断片を得たゲノム内の他の配列とは異なる、SEQ ID NO:49-96を特異的に同定する固有のポリヌクレオチド配列の領域を持ちうる。SEQ ID NO:49-96の或る断片を本発明の方法の1つ以上の実施態様、例えばハイブリダイゼーションおよび増幅技術に、またはSEQ ID NO:49-96を関連ポリヌクレオチドから区別する類似の方法に用い得る。SEQ ID NO:49-96の断片の正確な長さ及び断片に対応するSEQ ID NO:49-96の領域は、断片に対する意図した目的に基づき当業者が慣例的に決定することが可能である。
SEQ ID NO:1-48の或る断片は、SEQ ID NO:49-96の或る断片によってコードされる。SEQ ID NO:1-48の或る断片は、SEQ ID NO:1-48を特異的に同定する固有のアミノ酸配列の領域を持ち得る。例えばSEQ ID NO:1-48の或る断片を、SEQ ID NO:1-48を特異的に認識する抗体の開発における免疫原性ペプチドとして用い得る。SEQ ID NO:1-48の或る断片の正確な長さは、また、この断片が対応するSEQ ID NO:1-48の領域は、その断片に意図する目的に基づき、本明細書に記載する、または当分野で既知の1つ以上の分析法で判定し得る。
「完全長」ポリヌクレオチドとは、少なくとも1つの翻訳開始コドン(例えばメチオニン)と、それに続く1オープンリーディングフレームおよび翻訳終止コドンを有する配列である。或る「完全長」ポリヌクレオチド配列は、或る「完全長」ポリペプチド配列をコードする。
「相同性」の語は、2つ以上のポリヌクレオチド配列または2つ以上のポリペプチド配列の配列類似性、選択性、または配列同一性を意味する。
ポリヌクレオチド配列に適用される「一致率」または「〜%同一」の語は、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされた少なくとも2つ以上のポリヌクレオチド配列間で一致する同一残基の割合を意味する。標準化アルゴリズムは、2配列間のアラインメントを最適化するため、標準化された再現性のある方法で比較対象の2配列内にギャップ群を挿入し得るので、2つの配列をより有意に比較できる。
ポリヌクレオチド配列間の一致率(同一性)を判定するには、当分野で既知の、または本明細書に記載の、1つ以上のコンピュータアルゴリズムまたはプログラムを用い得る。例えば一致率を判定するには、MEGALIGN version 3.12e配列アラインメントプログラムに組込まれているようなCLUSTAL Vアルゴリズムの、デフォルトのパラメータ群を用い得る。このプログラムは、LASERGENEソフトウェアパッケージ(一組の分子生物学的分析プログラム)(DNASTAR, Madison WI)の一部である。CLUSTAL Vは、Higgins, D.G.およびP.M. Sharp (1989; CABIOS 5:151-153)、並びにHiggins, D.G.他(1992; CABIOS 8:189-191)に記載がある。ポリヌクレオチド配列を2つ1組でアラインメントする際のデフォルトパラメータは、Ktuple=2、gap penalty=5、window=4、「diagonals saved」=4と設定する。デフォルトとして「重みづけされた」残基の重みづけ表を選択する。
あるいは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)が、一般的に用いられ且つ入手自由な用い得る配列比較アルゴリズム一式を提供している(Altschul, S.F.他(1990)J. Mol. Biol. 215:403-410)。BLASTアルゴリズムは幾つかの情報源から入手可能であり、メリーランド州ベセスダにあるNCBIおよびインターネット(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)からも入手可能である。BLASTソフトウェア一式には様々な配列分析プログラムが含まれており、既知のポリヌクレオチド配列を種々のデータベースから得た別のポリヌクレオチド配列とアラインメントする「blastn」もその1つである。その他にも、2つのヌクレオチド配列をペアワイズで直接比較するために用いる「BLAST 2 Sequences」と称されるツールも利用可能である。「BLAST 2 Sequences」は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlにアクセスして、対話形式で利用ができる。「BLAST 2 Sequences」ツールは、blastn 及び blastp(以下に記載)の両方に用いることができる。BLASTプログラムは、一般的には、ギャップ(gap)などのパラメータをデフォルト設定にセットして用いる。例えば、2つのヌクレオチド配列を比較するには、デフォルトパラメータに設定した「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12(2000年4月21日)を用いてblastnを実行し得る。デフォルトパラメータの設定例を以下に示す。
Matrix: BLOSUM62
Reward for match: 1
Penalty for mismatch: -2
Open Gap: 5 and Extension Gap: 2 penalties
Gap x drop-off: 50
Expect: 10
Word Size: 11
Filter: on
Reward for match: 1
Penalty for mismatch: -2
Open Gap: 5 and Extension Gap: 2 penalties
Gap x drop-off: 50
Expect: 10
Word Size: 11
Filter: on
一致率は、ある定義された配列の全長(例えば特定のSEQ IDナンバーで定義された配列)について測定し得る。或いは、より短い長さ、例えば、定義された、より大きな配列から得られた断片(例えば少なくとも20、30、40、50、70、100または200の連続したヌクレオチドの断片)の長さについて一致率を測定してもよい。ここに挙げた長さは単なる例示的なものに過ぎず、表、図および配列表を含めた本明細書に記載された配列が支持する任意の断片長を用いて、一致率を測定し得る或る長さを説明し得ることを理解されたい。
高度の同一性を示さない核酸配列が、それにもかかわらず遺伝暗号の縮重が原因で、類似のアミノ酸配列をコードする場合がある。この縮重を利用して核酸配列内で変化を生じさせて、全ての核酸配列が実質上同一のタンパク質をコードするような多数の核酸配列を生成し得ることを理解されたい。
ポリペプチド配列に用いられる用語「一致率」または「〜%一致」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる2つ以上のポリペプチド配列間の一致する同じ残基の百分率のことである。ポリペプチド配列アラインメントの方法は公知である。保存的アミノ酸置換を考慮するアラインメント方法もある。既に詳述したこのような保存的置換は通常、置換部位の電荷および疎水性を保存するので、ポリペプチドの構造を(したがって機能も)保存する。ポリペプチド配列に用いられる用語「類似率」または「〜%類似」とは、標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされる2つ以上のポリペプチド配列間の同じ残基の一致および保存的置換を含む残基の一致率を意味する。一方、保存的置換は、ポリペプチド配列間の一致率の計算には含まれない。
ポリペプチド配列間の一致率は、MEGALIGN version 3.12e配列アラインメントプログラムに組込まれているようなCLUSTAL Vアルゴリズムのデフォルトのパラメータを用いて決定できる(既に説明したのでそれを参照されたい)。CLUSTAL Vを用いてポリペプチド配列をペアワイズアラインメントする際のデフォルトパラメータは、Ktuple=1、gap penalty=3、window=5、「diagonals saved」=5と設定される。PAM250マトリクスが、デフォルトの残基重み付け表として選択される。
あるいは、NCBI BLASTソフトウェア一式を用い得る。例えば、2つのポリペプチド配列をペアワイズで比較する場合、「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.12(2000年4月21日)のblastpをデフォルトパラメータに設定して用い得る。デフォルトパラメータの設定例を以下に示す。
Matrix: BLOSUM62
Open Gap: 11 and Extension Gap: 1 penalties
Gap x drop-off: 50
Expect: 10
Word Size: 3
Filter: on
Open Gap: 11 and Extension Gap: 1 penalties
Gap x drop-off: 50
Expect: 10
Word Size: 3
Filter: on
一致率は、ある定義されたポリペプチド配列の全長(例えば特定のSEQ IDナンバーで定義された配列)について測定し得る。或いは、より短い長さ、例えば、定義された、より大きなポリペプチド配列から得た断片(例えば少なくとも15、20、30、40、50、70、または150の連続した残基の断片)の長さについて一致率を測定しうる。ここに挙げた長さは単なる例示的なものに過ぎず、表、図および配列表を含めた本明細書に記載された配列が支持する任意の断片長を用いて、一致率を測定し得る或る長さを説明し得ることを理解されたい。
「ヒト人工染色体(HAC)」は、約6kb(キロベース)〜10MbのサイズのDNA配列を含み得る、染色体の複製、分離及び維持に必要な全ての要素を含む直鎖状の微小染色体である。
用語「ヒト化抗体」は、もとの結合能力を保持しつつよりヒトの抗体に似せるために、非抗原結合領域のアミノ酸配列が変えられた抗体分子を指す。
「ハイブリダイゼーション」とは、所定のハイブリダイゼーション条件下で、ある一本鎖ポリヌクレオチドがある相補的な一本鎖と塩基対を形成するアニーリングのプロセスである。特異的ハイブリダイゼーションは、2つの核酸配列が高い相補性を共有することの指標である。特異的ハイブリダイゼーション複合体は許容されるアニーリング条件下で形成され、1回以上の「洗浄」ステップ後もハイブリダイズされたままである。洗浄ステップは、ハイブリダイゼーションプロセスのストリンジェンシーを決定する際に特に重要であり、よりストリンジェントな条件では、非特異結合(すなわち完全には一致しない核酸鎖対間の結合)が減少する。核酸配列のアニーリングに関する許容条件は、当業者が慣例的に決定できる。アニール条件はどのハイブリダイゼーション実験でも一定であり得るが、洗浄条件は、所望のストリンジェンシー、したがってハイブリダイゼーション特異性を得るように、実験ごとに変更し得る。アニーリングが許容される条件は、例えば、温度が68℃で、約6×SSC、約1%(w/v)のSDS、並びに約100μg/mlのせん断して変性したサケ精子DNAが含まれる。
一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは或る程度、洗浄ステップを実行する温度を基準にして表すことができる。このような洗浄温度は通常、所定のイオン強度及びpHにおける特定の配列の融点(Tm)より約5〜20℃低くなるように選択する。このTmは、所定のイオン強度およびpHの条件下で、完全一致プローブに標的配列の50%がハイブリダイズする温度である。Tmを計算する式および核酸のハイブリダイゼーション条件はよく知られており、Sambrook , J.およびD.W. Russell (2001; Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, 1-3巻, Cold Spring Harbor NYに記載されており、特に9章を参照されたい。
本発明のポリヌクレオチド間の高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションでは、約0.2xSSC及び約0.1%のSDSの存在の下、約68℃で1時間の洗浄過程を含む。別法では、約65℃、60℃、55℃、または42℃の温度で行う。SSC濃度は、約0.1%のSDS存在下で、約0.1〜2×SSCの範囲で変更し得る。通常は、ブロッキング剤を用いて非特異ハイブリダイゼーションを阻止する。このようなブロッキング剤には、例えば、約100〜200μg/mlの、せん断した変性サケ精子DNAがある。特定条件下で、例えばRNAとDNAのハイブリダイゼーションでは、有機溶剤、例えば約35〜50%v/vの濃度のホルムアミドを用いることもできる。洗浄条件の有用なバリエーションは、当業者には自明であろう。ハイブリダイゼーションは、特に、高ストリンジェント条件下では、ヌクレオチド間の進化的な類似性を示唆し得る。進化的類似性は、ヌクレオチド群、およびヌクレオチドがコードするポリペプチド群について、或る同様の役割を強く示唆する。
用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的な塩基間の水素結合の形成によって形成された、2つの核酸配列の複合体を指す。ハイブリダイゼーション複合体は、溶解状態で形成し得る(C0tまたはR0t解析など)。あるいは、一方の核酸が溶解状態で存在し、もう一方の核酸が固体支持体(例えば紙、膜、フィルタ、チップ、ピンまたはガラススライド、あるいは他の適切な基板であって細胞若しくはその核酸が固定される基板)に固定されているような2つの核酸間に形成され得る。
用語「挿入」或いは「付加」は、1個以上のアミノ酸残基或いはヌクレオチドがそれぞれ追加されるアミノ酸配列或いはポリヌクレオチド配列の変化を指す。
「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫異常症、伝染性疾患または遺伝性疾患に関連する症状を指し得る。これらの症状は、細胞及び全身の防御系に作用し得る種々の因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、その他のシグナル伝達分子の発現によって特徴づけることができる。
用語「免疫原性断片」は、例えば哺乳動物など生物に導入すると免疫応答を引き起こし得る、MDDTのポリペプチド断片またはオリゴペプチド断片を指す。用語「免疫原性断片」にはまた、本明細書で開示するまたは当分野で既知のあらゆる抗体生産方法に有用な、MDDTの任意のポリペプチド断片またはオリゴペプチド断片をも含む。
用語「マイクロアレイ」は、基板上の複数のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体またはその他の化合物の構成を指す。
用語「マイクロアレイ」は、基板上の複数のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体またはその他の化合物の構成を指す。
用語「エレメント」または「アレイエレメント」は、マイクロアレイ上に固有の指定された位置を有する、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体またはその他の化合物を指す。
用語「モジュレート」または「活性を調節」は、MDDTの活性を変化させることを指す。例えば、モジュレートによって、MDDTのタンパク質活性の増減が、或いは結合特性の、またはその他の生物学的特性、機能的特性或いは免疫学的特性の変化が起き得る。
「核酸」および「核酸配列」の語は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドまたはこれらの断片を指す。「核酸」および「核酸配列」の語はまた、ゲノム起源または合成起源のDNAまたはRNAであって一本鎖または二本鎖であるかあるいはセンス鎖またはアンチセンス鎖を意味し得るようなDNAまたはRNAや、ペプチド核酸(PNA)や、任意のDNA様またはRNA様物質を指すこともある。
「機能的に連結した」は、第1の核酸配列と第2の核酸配列が機能的な関係にある状態を指す。例えば、或るプロモーターが或るコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合には、そのプロモーターはそのコード配列に機能的に連結している。機能的に連結したDNA配列群は非常に近接するか連続的に隣接することがあり、また、2つのタンパク質コード領域を結合するために必要な場合は同一リーディングフレーム内にあり得る。
「ペプチド核酸(PNA)」は、末端がリジンで終わるアミノ酸残基のペプチドのバックボーンに結合した、少なくとも約5ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドを含む、アンチセンス分子または抗遺伝子剤を指す。末端のリジンは、この組成に溶解性を与える。PNAは、相補的一本鎖DNAまたはRNAに優先的に結合して転写の伸長を停止させる。ポリエチレングリコール化することにより、細胞におけるPNAの寿命を延長し得る。
MDDTの「翻訳後修飾」としては、脂質化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ラセミ化、蛋白分解的切断及びその他の当分野で既知の修飾を含み得る。これらのプロセスは、合成或いは生化学的に生じ得る。生化学的修飾は、MDDTの酵素環境に依存し、細胞の種類によって異なることとなる。
「プローブ」とは、核酸の内、MDDTやそれらの相補配列、またはそれらの断片をコードし、同一や対立遺伝子核酸、または関連する核酸の検出に用いる核酸を指す。プローブは、単離されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであって、検出可能な標識またはレポーター分子に付着した配列である。典型的な標識には、放射性同位元素、リガンド、化学発光剤、および酵素がある。「プライマー」は、短い核酸、通常はDNAオリゴヌクレオチドであり、相補的塩基対を形成することで標的ポリヌクレオチドにアニーリングされ得る。プライマーは次に、DNAポリメラーゼ酵素により、標的DNA鎖に沿って伸長され得る。プライマー対は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、核酸の増幅(および同定)に用い得る。
本発明に用いるプローブおよびプライマーは通常、既知の配列の、少なくとも15の連続したヌクレオチド群からなる。特異性を高めるため、長めのプローブおよびプライマー、例えば開示した核酸配列の少なくとも20、25、30、40、50、60、70、80、90、100または少なくとも150の連続したヌクレオチドからなるようなプローブおよびプライマーも用い得る。これよりもかなり長いプローブおよびプライマーもある。表、図面および配列表を含む本明細書が支持する、任意の長さのヌクレオチドを用い得るものと理解されたい。
プローブ及びプライマーの調製及び使用方法については、Sambrook, J.およびD.W. Russell (2001; Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第3版, 1-3巻, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor NY)、Ausubel, F.M. 他(1999; Short Protocols in Molecular Biology, 第4版, John Wiley & Sons, New York NY),およびInnis, M.他(1990; PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Academic Press, San Diego CA)などの参照文献に記載がある。PCRプライマー対を既知の配列から得るには、例えば、そのためのコンピュータプログラム、例えばPrimer(Version 0.5, 1991, Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge MA)を用い得る。
プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドの選択は、そのような目的のために本技術分野で既知のソフトウェアを用いて行う。例えばOLIGO 4.06ソフトウェアは、最大で各100ヌクレオチドのPCRプライマー対の選択に有用であり、オリゴヌクレオチドおよび、最大5,000までの大きめのポリヌクレオチドであって最大32キロベースのインプットポリヌクレオチド配列から得た配列を分析するのにも有用である。類似のプライマー選択プログラムには、拡張能力のための追加機能が組込まれている。例えば、PrimOUプライマー選択プログラム(テキサス州ダラスにあるテキサス大学南西部医療センターのゲノムセンターから一般向けに入手可能)は、メガベース配列から特定のプライマーを選択することが可能であり、したがってゲノム全体の範囲でプライマーを設計するのに有用である。Primer3プライマー選択プログラム(Whitehead Institute/MIT Center for Genome Research(マサチューセッツ州ケンブリッジ)より入手可能)によって、ユーザーは、プライマー結合部位として避けたい配列を指定できる「非プライミングライブラリ(mispriming library)」を入力できる。Primer3は特に、マイクロアレイのためのオリゴヌクレオチドの選択に有用である(後二者のプライマー選択プログラムのソースコードは、それぞれの情報源から得てユーザー固有のニーズを満たすように修正し得る)。PrimerGenプログラム(英国ケンブリッジ市の英国ヒトゲノムマッピングプロジェクト-リソースセンターから一般向けに入手可能)は、多数の配列アラインメントに基づいてプライマーを設計し、それによって、アラインメントされた核酸配列の最大保存領域または最小保存領域のいずれかとハイブリダイズするようなプライマーの選択を可能にする。従って、このプログラムは、独自のものであれ保存されたものであれ、オリゴヌクレオチドとポリヌクレオチド断片との同定に有用である。上記選択方法のいずれかによって同定したオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド断片は、ハイブリダイゼーション技術において、例えばPCRまたはシークエンシングプライマーとして、マイクロアレイエレメントとして、あるいは核酸のサンプルにおいて完全または部分的相補的ポリヌクレオチドを同定する特異プローブとして有用である。オリゴヌクレオチドの選択方法は、上記の方法に限定されるものではない。
本明細書における「組換え核酸」は天然の配列ではなく、2つ以上の配列の離れたセグメントを人工的に組み合わせた核酸である。この人為的組合せはしばしば化学合成によって達成するが、より一般的には核酸の単離セグメントの人為的操作によって、例えばSambrookおよびRussellの文献(前出)に記載されているような遺伝子工学的手法によって達成する。組換え核酸の語は、単に核酸の一部が付加、置換または欠失により改変された核酸も含む。しばしば組換え核酸には、プロモーター配列に機能的に連結した核酸配列が含まれる。このような組換え核酸は、例えばある細胞を形質転換するために使用されるベクターの一部と成し得る。
或いはこのような組換え核酸は、ウイルスベクターの一部と成すことができ、ベクターは例えばワクシニアウイルスに基づくものであり得る。そのようなベクターは哺乳類に接種され、その組換え核酸が発現されて、その哺乳類内で防御免疫応答を誘導するように使用することができる。
「調節因子」は、通常は遺伝子の非翻訳領域に由来する核酸配列であり、エンハンサー、プロモーター、イントロン及び5'及び3'の非翻訳領域(UTR)を含む。調節エレメントは、転写、翻訳またはRNA安定性を制御する宿主タンパク質またはウイルスタンパク質と相互作用する。
「レポーター分子」は、核酸、アミノ酸または抗体の標識に用いられる化学的または生化学的な部分である。レポーター分子には、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色原体、基質、補助因子、阻害因子、磁気粒子およびその他の当分野で既知の成分がある。
DNA分子に対する「RNA等価物」は、基準となるDNA分子と同じ直鎖の核酸配列から構成されるが、全ての窒素性塩基のチミンがウラシルで置換され、糖鎖のバックボーンがデオキシリボースではなくリボースからなる。
用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている。MDDT、それをコードする核酸群、またはその断片群を含むと推定されるサンプルとしては、体液と、細胞や細胞から単離した染色体や細胞内小器官(オルガネラ)や膜からの抽出物と、細胞と、溶液中に存在するまたは基板に固定されたゲノムDNA、RNA、cDNAと、組織と、組織プリントなどがあり得る。
用語「特異的結合」及び「特異的に結合する」は、タンパク質若しくはペプチドと、アゴニスト、抗体、アンタゴニスト、小分子、若しくは任意の天然若しくは合成の結合組成物との間の相互作用を指す。この相互作用は、タンパク質の特定の構造(例えば抗原決定基すなわちエピトープ)であって結合分子が認識する構造の有無に依存する。例えば、抗体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、遊離した標識A及びその抗体を含む反応において、エピトープA(つまり遊離した、標識されていないA)を含むポリペプチドの存在が、抗体に結合する標識されたAの量を低減させる。
用語「実質的に精製された」は、自然の環境から取り除かれてから、単離或いは分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している組成物が少なくとも約60%除去されたものであり、好ましくは約75%以上の除去、最も好ましくは約90%以上除去されたものを指す。
用語「実質的に精製された」は、自然の環境から取り除かれてから、単離或いは分離された核酸配列或いはアミノ酸配列であって、自然に結合している組成物が少なくとも約60%除去されたものであり、好ましくは約75%以上の除去、最も好ましくは約90%以上除去されたものを指す。
「置換」とは、一つ以上のアミノ酸またはヌクレオチドをそれぞれ別のアミノ酸またはヌクレオチドに置き換えることである。
用語「基板」は、任意の好適な固体或いは半固体の支持物を指し、膜及びフィルター、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁気または非磁気ビーズ、ゲル、チューブ、プレート、ポリマー、微小粒子、毛細管が含まれる。基板は、ウェル、溝、ピン、チャネル、孔など、様々な表面形態を有することができ、基板表面にはポリヌクレオチドやポリペプチドが結合する。
「転写イメージ(transcript image)」または「発現プロファイル(プロフィール)」は、所定条件下での所定時間における特定の細胞の種類または組織による集合的遺伝子発現のパターンを指す。
「形質転換(transformation)」とは、外来DNAが受容細胞に導入されるプロセスのことである。形質転換は、当該分野で公知の種々の方法に従って自然条件または人工条件下で生じ得るものであり、外来性の核酸配列を原核宿主細胞または真核宿主細胞に挿入する、任意の既知の方法を基にし得る。形質転換の方法は、形質転換する宿主細胞の種類によって選択する。限定するものではないが形質転換方法には、バクテリオファージあるいはウイルス感染、電気穿孔法(エレクトロポレーション)、熱ショック、リポフェクションおよび微粒子銃を用いる方法がある。「形質転換された細胞」には、導入されたDNAが自律的に複製するプラスミドとして或いは宿主染色体の一部として複製可能である安定的に形質転換された細胞が含まれる。さらに、限られた時間に一過的に導入DNA若しくは導入RNAを発現する細胞も含まれる。
ここで用いる「遺伝形質転換生物体(transgenic organism)」とは任意の生物体であり、限定するものではないが動植物を含み、生物体の1個以上の細胞が、ヒトの関与によって、例えば本技術分野でよく知られているトランスジェニック(transgenic)技術によって導入された異種核酸を有する。核酸の細胞への導入は、直接または間接的に、細胞の前駆物質に導入することによって、計画的な遺伝子操作によって、例えば微量注射法によって或いは組換えウイルスでの感染によって行う。別の実施態様で核酸の導入は、組換えウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターを感染させて成し得る (Lois, C. 他(2002) Science 295:868-872)。遺伝子操作の語は、古典的な交雑育種あるいは体外受精を指すものではなく、組換えDNA分子の導入を指す。本発明に基づいて企図される遺伝形質転換生物には、細菌、藍藻、真菌、および動植物がある。本発明の単離されたDNAは、本技術分野で知られている方法、例えば感染、形質移入、形質転換またはトランス接合によって宿主に導入することができる。本発明のDNAをこのような生物体に移入する技術はよく知られており、前出のSambrookおよびRussellなどの参照文献に提示される。
特定の核酸配列の「変異体」は、核酸配列1本全部の長さに対して特定の核酸配列と少なくとも40%の相同性を有する核酸配列であると定義する。その際、デフォルトパラメータに設定した「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.9(1999年5月7日)を用いてblastnを実行する。このような核酸対は、所定の長さに対して、例えば少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を示し得る。或る変異体は、例えば「対立遺伝子」変異体(前述)、「スプライス」変異体、「種」変異体または「多型性」変異体として記載し得る。スプライス変異体は参照分子との顕著な同一性を有し得るが、mRNAプロセシング中のエキソン群の選択的スプライシングによって通常、より多数またはより少数のヌクレオチドを有することになる。対応するポリペプチドは、追加機能ドメイン群を有するか、あるいは参照分子には存在するドメイン群が欠落していることがある。種変異体は、種によって異なるポリヌクレオチドである。結果的に生じるポリペプチドは通常、相互に有意のアミノ酸同一性を持つ。多型変異体は、或る種の個体間における、或る特定遺伝子のポリヌクレオチド配列内での変異である。多型変異配列はまた、ポリヌクレオチド配列の1つのヌクレオチドが異なる「1塩基多型性」(SNP)も含み得る。SNPの存在は、例えば特定の集団、病態または病態性向を示し得る。
特定のポリペプチド配列の「変異体」は、ポリペプチド配列の1本の長さ全体で特定のポリペプチド配列に対して少なくとも40%の配列相同性または配列類似性を有するポリペプチド配列として定義される。定義づけには、デフォルトパラメータに設定した「BLAST 2 Sequences」ツールVersion 2.0.9(1999年5月7日)を用いてblastpを実行する。このようなポリペプチド対は、そのポリペプチドの一方の所定の長さに対して、例えば少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性または配列類似性を示し得る。
(発明)
本発明の様々な実施様態は、新規のヒト疾患検出および治療用分子群(MDDT)および、MDDTをコードするポリヌクレオチド群の発見、また、これらの組成物を用いた、細胞増殖異常、自己免疫/炎症性障害、発達障害、および神経障害の、診断、治療、および予防の開発を含む。
本発明の様々な実施様態は、新規のヒト疾患検出および治療用分子群(MDDT)および、MDDTをコードするポリヌクレオチド群の発見、また、これらの組成物を用いた、細胞増殖異常、自己免疫/炎症性障害、発達障害、および神経障害の、診断、治療、および予防の開発を含む。
表1は、本発明の完全長ポリヌクレオチド実施態様およびポリペプチド実施態様の命名の概略である。各ポリヌクレオチドおよびその対応するポリペプチドは、1つのIncyteプロジェクト識別番号(IncyteプロジェクトID)に相関する。各ポリペプチド配列は、ポリペプチド配列識別番号(ポリペプチドSEQ ID NO:)とIncyteポリペプチド配列番号(IncyteポリペプチドID)によって表示した。各ポリヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド配列識別番号(ポリヌクレオチドSEQ ID NO:)とIncyteポリヌクレオチドコンセンサス配列番号(IncyteポリヌクレオチドID)によって表示した。列6は、本発明のポリペプチド配列とポリヌクレオチド配列とに対応する物理的完全長クローン群のIncyte ID番号を示す。完全長クローンは、列3に示すポリペプチド配列に対して少なくとも95%の配列同一性を持つポリペプチドをコードする。
表2は、GenBankタンパク質(genpept)データベースとPROTEOMEデータベースとに対するBLAST分析で同定した、本発明のポリペプチド群に相同な配列群を示す。列1および列2はそれぞれ、本発明の各ポリペプチドに対するポリペプチド配列識別番号(ポリペプチド SEQ ID NO:)と、それに対応するIncyteポリペプチド配列番号(IncyteポリペプチドID)を示す。列3は、最も近いGenBank相同体のGenBank識別番号(GenBank ID NO:)と、最も近いPROTEOMEデータベース相同体のPROTEOMEデータベース識別番号(PROTEOME ID NO:)とを示す。列4は、各ポリペプチドとその相同体1つ以上との間の一致に関する確率スコアを示す。列5はGenBankおよびPROTEOMEデータベースの相同体の注釈を示し、更に該当箇所には関連する引用文献も示す。これらすべては特にこの参照により開示に含まれる。
表3は、本発明のポリペプチドの多様な構造的特徴を示す。列1および列2はそれぞれ、本発明の各ポリペプチドに対するポリペプチド配列識別番号(SEQ ID NO:)と、それに対応するIncyteポリペプチド配列番号(IncyteポリペプチドID)を示す。列3は、各ポリペプチドのアミノ酸残基数を示す。列4は潜在的なリン酸化および列5はグリコシル化部位を示すが、これはGCG配列分析ソフトウェアパッケージ(Accelrys, Burlington MA)のMOTIFSプログラムによって決定された。列6は、シグネチャ配列、ドメイン、およびモチーフを持つアミノ酸残基を示す。列7はタンパク質の構造/機能の分析のための分析方法を示し、該当箇所には更に、分析方法に用いた検索可能なデータベースを示す。
表2および表3は共に、本発明の各ポリペプチドの特性を要約しており、それら特性が、請求の範囲に記載されたポリペプチドが疾患検出および治療用分子であることを確立している。例えば、SEQ ID NO:26は、M1残基からP210残基までが、WWドメイン結合タンパク質2に類似のヒトのタンパク質(GenBank ID g13938601)と74%の同一性を有することが、Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)によって示された(表2参照)。BLAST確率スコアは2e-73であり、これは観測されたポリペプチド配列アラインメントが偶然に得られる確率を示している。SEQ ID NO:26は亜細胞領域に局在し、結合タンパク質機能を持ち、ヒトWWドメイン結合タンパク質であると、BLAST解析にPROTEOMEデータベースを用いて判定した。SEQ ID NO:26はまた、1つのGRAMドメインを有するが、これは隠れマルコフモデル(HMM)を基にした保存されたタンパク質ファミリードメイン群のPFAMデータベースにおいて、統計的に有意な一致を検索して決定された(表3参照)。PRODOMデータベースのBLAST-PRODOM解析からのデータは、SEQ ID NO:26がWWドメイン結合タンパク質である、さらに補強証拠を提供する。
別の例でSEQ ID NO:40は、M1残基からR227残基およびR228残基からK342残基までが、ヒトのNYD-SP6(GenBank ID g13508446、それぞれ残基M1から残基R227までと残基R267から残基K381までと100%の同一性を有することがBasic Local Alignment Search Tool(BLAST)によって示された(表2参照)。BLAST確率スコアは1.1e-195であり、これは観察されたポリペプチド配列アラインメントが偶然に得られる確率を示している。BLIMPS解析よりのデータは、SEQ ID NO:40がPHDフィンガ−含有タンパク質である、さらに補強証拠を提供する。SEQ ID NO:1-25、 SEQ ID NO:27-39、および SEQ ID NO:41-48は同じような方法で解析し、注釈を付けた。SEQ ID NO:1-48の解析のためのアルゴリズム及びパラメータが表7で記述されている。
表4に示すように、完全長ポリヌクレオチド実施態様は、cDNA配列またはゲノムDNA由来のコード(エキソン)配列を用いて、あるいはこれら2種類の配列を任意に組合せてアセンブリした。列1は本発明の各ポリヌクレオチドに対するポリヌクレオチド配列識別番号(ポリヌクレオチドSEQ ID NO)および対応するIncyteポリヌクレオチドコンセンサス配列番号(Incyte ID)、および塩基対の各ポリヌクレオチド配列の長さを示している。列2は、完全長ポリヌクレオチド実施態様のアセンブリに用いたcDNA配列および/またはゲノム配列の開始ヌクレオチド(5')位置および終了ヌクレオチド(3')位置、また、例えばSEQ ID NO:49-96を同定するため、或いはSEQ ID NO:49-96と関連するポリヌクレオチド群とを区別するためのハイブリダイゼーション技術または増幅技術に有用なポリヌクレオチドの断片の開始ヌクレオチド(5')位置および終了ヌクレオチド(3')位置を示す。
表4の列2に記載したポリヌクレオチド断片は、特に例えば組織特異的cDNAライブラリ群やプールしたcDNAライブラリ群に由来するIncyte cDNA群を指す場合もある。或いは列2に記載のポリヌクレオチド断片は、完全長ポリヌクレオチドのアセンブリに寄与したGenBank cDNAまたはESTを指す場合もある。さらに、列2のポリヌクレオチド断片は、ENSEMBL(The Sanger Centre、英国ケンブリッジ)データベースから由来した配列(即ち「ENST」命名を含む配列)を同定し得る。或いは、列2で記述されたポリヌクレオチド断片は、NCBI RefSeq Nucleotide Sequence Records データベースから由来する場合もあり(即ち「NM」または「NT」の命名を含む配列)、またNCBI RefSeq Protein Sequence Recordsから由来する場合もある(即ち「NP」の命名を含む配列)。または列2のポリヌクレオチド断片は、「エキソンスティッチング(exon-stitching)」アルゴリズムにより結び合わせたcDNA及びGenscan予想エキソンの両方のアセンブリ体を意味する場合がある。例えば、FL_XXXXXX_N1_N2_YYYYY_N3_N4 と同定されるポリヌクレオチドは、アルゴリズムが適用される配列のクラスターの識別番号がXXXXXXであり、アルゴリズムにより生成される予測の番号がYYYYY であり、(もし存在すれば)N1,2,3..が解析中に手動で編集された可能性のある特定のエキソンであるような「縫合された(stitched)」配列である(実施例5参照)。または、列2のポリヌクレオチド断片は「エキソンストレッチング(exon-stretching)」アルゴリズムにより結び合わせたエキソンのアセンブリ体を指す場合もある。例えば、FLXXXXXX_gAAAAA_gBBBBB_1_Nとして同定されるポリヌクレオチド配列は、「ストレッチされた」配列である。XXXXXXはIncyteプロジェクト識別番号、gAAAAAは「エキソンストレッチング」アルゴリズムを適用したヒトゲノム配列のGenBank識別番号、gBBBBBは一番近いGenBankタンパク質相同体のGenBank識別番号またはNCBI RefSeq 識別番号であり、Nは特定のエキソンを指す(実施例5を参照)。あるRefSeq配列が「エキソンストレッチング」アルゴリズムのためのタンパク質相同体として使用された場合では、RefSeq識別子(「NM」、「NP」、または「NT」によって表される)が、GenBank識別子(即ち、gBBBBB)の代わりに使用される場合もある。
あるいは、接頭コードは、手動で編集された構成配列、ゲノムDNA配列から予測された構成配列、または組み合わされた配列解析方法に由来する構成配列を同定する。次の表は、構成配列の接頭コードと、接頭コードに対応する配列分析方法の例を列記する(実施例4と5を参照)。
場合によっては、最終コンセンサスポリヌクレオチド配列を確認するために、表4に示すような配列の適用範囲と重複するIncyte cDNA適用範囲が得られたが、該当するIncyte cDNA識別番号は示さなかった。
表5は、Incyte cDNA配列を用いてアセンブリされた完全長ポリヌクレオチドのための代表的なcDNAライブラリを示している。代表的なcDNAライブラリとはIncyte cDNAライブラリであり、これは、最も頻繁にはIncyte cDNA配列群によって代表されるが、これら配列は、上記ポリヌクレオチドをアセンブリおよび確認するために用いられた。cDNAライブラリを作製するために用いた組織およびベクターを表5に示し、表6で説明している。
本発明には、また、MDDTの変異配列群をも含む。MDDT変異体の種々の実施態様は、MDDTの機能的或いは構造的特徴の少なくとも1つを持ちうる他、該MDDTアミノ酸配列に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、または少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を持ちうる。
種々の実施態様もまた、MDDTをコードするポリヌクレオチド類をも含む。特定の実施態様において、本発明は、MDDTをコードする、SEQ ID NO:49-96からなる一群から選択された1配列を持つポリヌクレオチド配列を提供する。配列表に示したSEQ ID NO:49-96のポリヌクレオチド配列は等価RNA配列を含むが、窒素塩基チミンの出現はウラシルに置換され、糖のバックボーンはデオキシリボースではなくリボースから構成されている。
本発明はまた、MDDTをコードするポリヌクレオチドの変異体を含む。詳細には、このような変異体ポリヌクレオチドは、MDDTをコードするポリヌクレオチドとの、少なくとも約70%のポリヌクレオチド配列同一性、あるいは少なくとも約85%のポリヌクレオチド配列同一性、更には少なくとも約95%ものポリヌクレオチド配列同一性を持つこととなる。本発明の特定の実施形態は、SEQ ID NO:49-96からなる一群から選択された核酸と少なくとも約70%のポリヌクレオチド配列同一性、或いは少なくとも約85%のポリヌクレオチド配列同一性、更には少なくとも約95%ものポリヌクレオチド配列同一性を有するSEQ ID NO:49-96からなる一群から選択された配列を含む変異ポリヌクレオチドを提供する。上記したポリヌクレオチド変異配列は何れも、MDDTの機能的或いは構造的特徴の少なくとも1つを有するポリペプチドをコードする。
更に別の例では、本発明の或るポリヌクレオチド変異配列は、MDDTをコードするポリヌクレオチドのスプライス変異配列である。或るスプライス変異体はMDDTをコードするポリヌクレオチドとの顕著な配列同一性を持つ部分を有し得るが、mRNAプロセッシング中のエキソン群の選択的スプライシングによって生ずる、配列の数ブロックの付加または欠失により、通常、より多数またはより少数のヌクレオチドを有することになる。或るスプライス変異体には、約70%未満、または約60%未満、あるいは約50%未満のポリヌクレオチド配列同一性が、MDDTをコードするポリヌクレオチドとの間で全長に渡って見られるが、このスプライス変異体の幾つかの部分には、MDDTをコードするポリヌクレオチドの各部との、少なくとも約70%、あるいは少なくとも約85%、または少なくとも約95%、なおまたは100%の、ポリヌクレオチド配列同一性を有することとなる。例えば、SEQ ID NO:61の配列を持つ或るポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:56の配列を持つポリヌクレオチドのスプライス変異体である。上記のスプライス変異体は何れも、MDDTの機能的或いは構造的特徴の少なくとも1つを有するポリペプチドをコードすることができる。
遺伝暗号の縮重により、MDDTをコードする種々のポリヌクレオチド配列が作り出され、中には、既知のいかなる天然遺伝子のポリヌクレオチド配列群とも最小の類似性しか有しない配列もあることは、当業者には理解されよう。したがって本発明には、可能コドン選択に基づく組合せの選択によって産出し得るあらゆる可能なポリヌクレオチド配列のバリエーションを企図する。これらの組合せは、天然MDDTのポリヌクレオチド配列に適用される標準トリプレット遺伝暗号を基に成されるものであり、このような変異は全て明確に開示されていると考慮されたい。
MDDTとその変異体とをコードするポリヌクレオチドは一般に、好適に選択されたストリンジェンシー条件下で天然MDDTのポリヌクレオチドとハイブリダイズ可能であるが、非天然コドン群を含めるなどの実質的に異なるコドン使用を有するMDDT或いはその誘導体をコードするポリヌクレオチドを作り出すことは、有益であり得る。宿主が特定コドンを利用する頻度に基づき、特定の真核宿主または原核宿主に発生するペプチドの発現率を高めるようコドンを選択し得る。コードされるアミノ酸配列を改変せずに、MDDTおよびその誘導体をコードするヌクレオチド配列を実質的に改変する別の理由には、天然配列から作られる転写物より例えば長い半減期など好ましい特性を備えるRNA転写物を作ることもある。
本発明はまた、MDDT及びその誘導体をコードするポリヌクレオチドまたはそれらの断片を完全に合成化学によって作り出すことも含む。作製後にこの合成ポリヌクレオチドを、当分野で公知の試薬を用いて、多くの入手可能な発現ベクター及び細胞系の何れの中にも挿入可能である。更に、合成化学を用いて、MDDTまたはその任意の断片をコードするポリヌクレオチドの中に突然変異を導入することも可能である。
本発明の実施態様には、種々のストリンジェンシー条件下で、請求項に記載のポリヌクレオチド、特に、SEQ ID NO:49-96に示す配列を持つポリヌクレオチド、及びそれらの断片群にハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド群が含まれる(Wahl, G.M.およびS.L. Berger (1987) Methods Enzymol.152:399-407、Kimmel, A.R.(1987)Methods Enzymol.152:507-511)。アニーリングおよび洗浄条件を含むハイブリダイゼーションの条件は、「定義」に記載した。
DNAシークエンシングの方法は当分野では周知であり、本発明のいずれの実施態様にも、DNAシークエンシング方法を用い得る。DNAシークエンシング方法には酵素を用い得る。例えばDNAポリメラーゼ1のクレノウ断片、SEQUENASE(US Biochemical, Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Applied Biosystems)、熱安定性T7ポリメラーゼ(Amersham Biosciences, Piscataway NJ)を用い得る。あるいは、例えばELONGASE増幅システム(Invitrogen, Carlsbad CA)において見られるように、ポリメラーゼと校正エキソヌクレアーゼとを併用し得る。好適には、MICROLAB2200液体転移システム(Hamilton, Reno, NV)、PTC200サーマルサイクラー(MJ Research, Watertown MA)およびABI CATALYST 800サーマルサイクラー(Applied Biosystems)などの装置を用いて配列の準備を自動化する。次に、ABI 373或いは377 DNAシークエンシングシステム(Applied Biosystems)、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Amersham Biosciences)または当分野でよく知られている他の方法を用いてシークエンシングを行う。結果として得られた配列を当分野でよく知られている種々のアルゴリズムを用いて分析する(Ausubel 他, 前出, 7章、Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley VCH, New York NY, 856-853ページ)。
当分野で周知の、PCR法をベースにした種々の方法と、部分的ヌクレオチド配列とを利用して、MDDTをコードする核酸を伸長し、プロモーターや調節エレメントなど、上流にある配列を検出し得る。例えば、使用し得る方法の1つである制限部位PCR法は、ユニバーサルプライマー及びネステッドプライマーを用いてクローニングベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する方法である(Sarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322)。別の方法にインバースPCR法があり、これは多岐の方向に伸長するプライマー群を用いて、環状化した鋳型から未知の配列を増幅する方法である。鋳型は、或る既知のゲノム遺伝子座およびその周辺の配列群からなる制限酵素断片群から得る(Triglia, T.他(1988) Nucleic Acids Res.16:8186)。第3の方法としてキャプチャPCR法があり、これにはヒトおよび酵母人工染色体DNAの既知の配列群に隣接するDNA断片群をPCR増幅する方法を含む(Lagerstrom, M.他(1991) PCR Methods Applic.1:111119)。この方法では、PCRを行う前に、複数の制限酵素の消化およびライゲーション反応を用い、未知の配列領域内に組換え二本鎖配列を挿入し得る。未知の配列群を検索するために用い得る、他の複数の方法も当分野で既知である(例えばParker, J.D.他(1991) Nucleic Acids Res.19:30553060)。更に、PCR、ネステッドプライマー類、およびPROMOTERFINDERライブラリ類(Clontech, Palo Alto CA)を用いて、ゲノムDNAをウォーキングし得る。この手順は、ライブラリ類をスクリーニングする必要がなく、イントロン/エキソン接合部の発見に有用である。全てのPCRベースの方法では、市販ソフトウェア、例えばOLIGO 4.06プライマー分析ソフトウェア(National Biosciences, Plymouth MN)或いは別の好適なプログラムを用いて、長さが約22〜30ヌクレオチド、GC含有率が約50%以上で、温度約68℃〜72℃で鋳型に対してアニーリングするように、プライマー群を設計し得る。
完全長cDNA群をスクリーニングする際は、より大きなcDNA群を含むようにサイズ選択されたライブラリ群を用いるのが好ましい。更にランダムプライマーのライブラリは遺伝子群の5'領域を有する配列群をしばしば含んでおり、オリゴd(T)ライブラリが完全長cDNAを作製できない状況に対して好適である。ゲノムライブラリ群は、5'非転写調節領域への、配列の伸長に有用であろう。
市販のキャピラリー電気泳動システム群を用いて、シークエンシングまたはPCR産物のサイズを分析し、またはそのヌクレオチド配列を確認し得る。具体的には、キャピラリーシークエンシングは、電気泳動分離のための流動性ポリマーと、4つの異なるヌクレオチド特異的な、レーザーで刺激される蛍光色素と、発光された波長の検出に利用するCCDカメラとを有し得る。出力/光の強度は、適切なソフトウェア(Applied Biosystems社のGENOTYPER、SEQUENCE NAVIGATOR等)を用いて電気信号に変換し得る。サンプルのロードからコンピュータ分析及び電子データ表示までの全プロセスがコンピュータ制御可能である。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプルに少量しか存在しないようなDNA小断片のシークエンシングに特に適している。
本発明の別の実施例では、MDDTをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を組換えDNA分子にクローニングして、適切な宿主細胞内にMDDT、その断片または機能的等価物を発現させることが可能である。遺伝暗号に固有の縮重により、実質的に同じ或いは機能的に等価のポリヌクレオチドをコードする別のポリヌクレオチドが作られ、これらの配列をMDDTの発現に利用可能である。
種々の目的でMDDTがコードする配列を変えるために、本発明のヌクレオチドを当分野で通常知られている方法を用いて組み換えることができる。ここで目的には、限定するものではないが遺伝子産物のクローニング、プロセッシング、発現の調節がある。遺伝子断片と合成オリゴヌクレオチドとの、ランダムな断片化およびPCR再アセンブリによるDNAシャッフリングを用い、ヌクレオチド配列を組換え得る。例えば、オリゴヌクレオチドを介した部位特異的変異導入を利用して、新規な制限部位の作製、グリコシル化パターンの改変、コドン選択性の変更、スプライス変異体の生成などを起こす突然変異を導入し得る。
本発明のヌクレオチドは、MOLECULARBREEDING(Maxygen Inc., Santa Clara CA, 米国特許第5,837,458号、Chang, C.-C.他(1999) Nat. Biotechnol. 17:793-797; Christians, F.C. 他(1999) Nat. Biotechnol. 17:259-264; Crameri, A. 他(1996) Nat. Biotechnol. 14:315-319)などのDNAシャッフリング技術の対象となり得る。これにより、生物活性または酵素活性、あるいは他の分子や化合物と結合する能力など、MDDTの生物学的特性を改変あるいは改良し得る。DNAシャッフリングは、PCRを介する遺伝子断片組換えを用いて遺伝子変異体のライブラリを作製するプロセスである。ライブラリはその後、所望の特性を持つ遺伝子変異体群を同定する、選択またはスクリーニングの手順を経る。続いて、これら好適な変異体をプールし、更に反復してDNAシャッフリングおよび選択/スクリーニングを行い得る。従って、「人工的な」育種及び急速な分子の進化によって遺伝的多様性が生み出される。例えば、ランダムな点突然変異を持つ単一の遺伝子の断片を組換えて、スクリーニングし、その後所望の特性が最適化されるまでシャッフリングし得る。あるいは、所定の遺伝子の断片群を同種または異種のいずれかから得た同一遺伝子ファミリーの相同遺伝子の断片と組換えて、自然に生じる複数遺伝子の遺伝的多様性を、定方向の、制御可能な方法で最大化できる。
別の実施態様によれば、MDDTをコードするポリヌクレオチドは、当分野で周知の1つ以上の化学的方法を用いて、全体あるいは一部が合成可能である(Caruthers, M.H. 他. (1980) Nucleic Acids Symp. Ser. 7:215-223; Horn, T.他(1980) Nucleic Acids Symp. Ser. 7:225-232)。或いはMDDT自体またはその断片の合成に、当分野で既知の化学的方法を用い得る。例えば種々の液相または固相技術を用いてペプチド合成を行い得る(Creighton, T. (1984) Proteins, Structures and Molecular Properties, WH Freeman, New York NY,55-60ページ; Roberge, J.Y.他(1995) Science 269:202-204)。自動合成はABI 431Aペプチドシンセサイザ(Applied Biosystems)を用いて達成し得る。更に、MDDTのアミノ酸配列、または任意のその一部を、直接合成の際に改変することにより、及び/または他のタンパク質からの配列群または任意のその一部と組み合わせることにより、変異体ポリペプチドを作製、または、或る天然ポリペプチドの1配列を有するポリペプチドを作製し得る。
ペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーを用いて実質上精製可能である(Chiez, R.M.及び F.Z. Regnier (1990) Methods Enzymol. 182:392-421)。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析またはシークエンシングによって確認することができる(前出のCreighton, 28-53ページ)。
生物学的に活性なMDDTを発現させるために、MDDTをコードするヌクレオチドまたはそれらの誘導体を好適な発現ベクターに挿入することができる。好適な発現ベクターとは、好適な宿主に挿入されたコーディング配列の転写と翻訳との制御に必要なエレメント群を持つベクターである。必要なエレメントとしては、ベクター内およびMDDTをコードするポリヌクレオチドにおける調節配列(例えばエンハンサー、構成型および発現誘導型のプロモーター、5'および3'の非翻訳領域など)が含まれる。必要なエレメント群は、強度および特異性が様々である。特定の開始シグナル類によって、MDDTをコードするポリヌクレオチドの、より効果的な翻訳を達成することも可能である。開始シグナルの例には、ATG開始コドンと、コザック配列など近傍の配列とが含まれる。MDDTをコードするポリヌクレオチド配列、およびその開始コドンや、上流の調節配列が好適な発現ベクターに挿入された場合は、更なる転写制御シグナルや翻訳制御シグナルは必要ないこともある。しかしながら、コード配列あるいはその断片のみが挿入される場合は、インフレームATG開始コドンなど外来性の翻訳制御シグナルが発現ベクターに含まれるようにすべきである。外来性の翻訳エレメント及び開始コドンは、様々な天然物及び合成物を起源とし得る。用いられる特定の宿主細胞系に好適なエンハンサーを含めることで発現の効率を高めることが可能である(Scharf, D.他(1994) Results Probl.Cell Differ. 20:125162)。
当業者に周知の方法を用いて、MDDTをコードするポリヌクレオチドと、好適な転写および翻訳制御エレメントとを持つ発現ベクターを作製することが可能である。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝的組換えがある(SambrookおよびRussell,前出、1-4,および8章; Ausubel他、前出、1、3,および15章)。
種々の発現ベクター/宿主系を利用して、MDDTをコードするポリヌクレオチドの保持および発現が可能である。限定するものではないがこのような発現ベクター/宿主系には、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換させた細菌や、酵母菌発現ベクターで形質転換させた酵母菌など微生物や、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系や、ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMVまたはタバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(例えばTiプラスミドまたはpBR322プラスミド)で形質転換させた植物細胞系、動物細胞系がある(SambrookおよびRussell前出; Ausubel他前出; Van Heeke, G.およびS.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509; Engelhard, E.K.他(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227、Sandig, V.他(1996) Hum.Gene Ther.7:1937-1945、Takamatsu, N. (1987) EMBO J. 6:307-311;『マグローヒル科学技術年鑑』(The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology) (1992) McGraw Hill, New York NY, 191-196ページ、Logan, J.およびT. Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659、Harrington, J.J. 他(1997) Nat. Genet. 15:157-355)。レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスまたはワクシニアウイルス由来の発現ベクター、または種々の細菌性プラスミド由来の発現ベクターを用いて、ポリヌクレオチドを標的器官、組織または細胞集団へ送達することができる(Di Nicola, M.他(1998) Cancer Gen. Ther. 5:350-356; Yu, M.他(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6340-6344; Buller, R.M.他(1985) Nature 317:813-815; McGregor, D.P.他(1994) Mol. Immunol. 31:219-226; Verma, I.M.およびN. Somia (1997) Nature 389:239-242)。本発明は使用する宿主細胞によって限定されない。
細菌系では、MDDTをコードするポリヌクレオチドの使用目的に応じて多数のクローニングベクターおよび発現ベクターを選択し得る。例えばMDDTをコードするポリヌクレオチドの慣例的なクローニング、サブクローニング、増殖には、PBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはPSPORT1プラスミド(Invitrogen)などの多機能の大腸菌ベクターを用いることができる。ベクターのマルチクローニング部位に、MDDTをコードするポリヌクレオチドをライゲーションするとlacZ遺伝子が破壊され、組換え分子を持つ形質転換された細菌の同定のための比色スクリーニング法が可能となる。更にこれらのベクターは、クローニングされた配列におけるin vitro転写、ジデオキシのシークエンシング、ヘルパーファージによる一本鎖のレスキュー、入れ子欠失の生成にも有用であろう(Van Heeke, G. および S.M. Schuster (1989) J. Biol. Chem. 264:5503-5509)。例えば抗体類の産生などに多量のMDDTが必要な場合は、MDDTの発現をハイレベルで指示するベクター類が使用できる。例えば、強力な誘導SP6バクテリオファージプロモーターまたは誘導T7バクテリオファージプロモーターを持つベクターが使用できる。
酵母の発現系を使用してMDDTを産出することもできる。α因子、アルコールオキシダーゼ、PGHプロモーター等の構成的プロモーターまたは誘導的プロモーターを有する多数のベクターが、出芽酵母菌(Saccharomyces cerevisiae) またはピキア酵母(Pichia pastoris)に使用可能である。更に、このようなベクターは、発現したタンパク質の、分泌か細胞内での保持かのどちらかを指示するものであり、安定した増殖のために宿主ゲノムの中に外来ポリヌクレオチド配列群を組み込むことを可能にする(Ausubel他、前出; Bitter, G.A.他(1987) Methods Enzymol.153:516-544; Scorer, C.A.他(1994) Bio/Technology 12:181-184)。
植物系もMDDTの発現に使用可能である。MDDTをコードするポリヌクレオチドの転写は、ウイルスプロモーター、例えば単独或いはTMV(Takamatsu, N. (1987) EMBO J 6:307-311)由来のオメガリーダー配列と組み合わせて用いられるような、CaMV由来の35Sおよび19Sプロモーターによって駆動し得る。あるいは、RUBISCOの小サブユニットなどの植物プロモーター、または熱ショックプロモーターを用い得る(Coruzzi, G.他(1984) EMBO J. 3:1671-1680; Broglie, R.他(1984) Science 224:838-843; Winter, J.他(1991) Results Probl.Cell Differ. 17:85105)。これらの構成物は、直接DNA形質転換または病原体を媒介とする形質移入によって、植物細胞内に導入可能である(『マグローヒル科学技術年鑑』(The McGraw Hill Yearbook of Science and Technology) (1992) McGraw Hill New York NY, 191-196ページ)。
哺乳類細胞においては、多数のウイルスベースの発現系を利用し得る。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、後期プロモーターと3連リーダー配列とを持つアデノウイルス転写/翻訳複合体に、MDDTをコードするポリヌクレオチドを結合し得る。アデノウイルスゲノムの非必須のE1またはE3領域への挿入することにより、感染した宿主細胞にMDDTを発現する生ウイルスを得ることが可能である(Logan, J.及びShenk, T.(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655-3659)。更に、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用いて、哺乳類宿主細胞における発現を増大させ得る。SV40またはEBVをベースにしたベクターを用いてタンパク質を高レベルで発現させることもできる。
また、ヒト人工染色体(HAC)類を用いて、或るプラスミドに含まれ得る断片やプラスミドから発現し得る断片より大きなDNA断片群を送達し得る。治療のために約6kb〜10MbのHACsが作製され、従来の送達方法(リポソーム、ポリカチオンアミノポリマー、またはベシクル)で送達されている(Harrington, J.J.他(1997) Nat. Genet. 15:157-355)。
哺乳動物系の組換えタンパク質の長期産生のためには、細胞株におけるMDDTの安定した発現が望ましい。例えば、MDDTをコードするポリヌクレオチドを細胞株に形質転換するために、発現ベクター類と、同じ或いは別のベクター上の選択可能マーカー遺伝子とを用い得る。用いる発現ベクターは、複製のウイルス起源、および/または内因性の発現エレメント群を持ち得る。ベクターの導入後、選択培地に移す前に強化培地で約1〜2日間、細胞を増殖させ得る。選択可能マーカーの目的は選択剤への抵抗性を与えることであり、選択可能マーカーの存在により、導入した配列の発現に成功するような細胞の成長および回収が可能となる。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞型に適した組織培養技術を用いて増殖できる。
任意の数の選択系を用いて、形質転換細胞株を回収できる。限定するものではないがこのような選択系には、tk−細胞のために用いられる単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子と、apr−細胞のために用いられる単純ヘルペスウイルスのアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子がある(Wigler, M.他(1977) Cell 11:223-232; Lowy, I. 他(1980) Cell 22:817-823)。また、選択の基礎として代謝拮抗物質、抗生物質あるいは除草剤への耐性を用いることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはアミノグリコシドであるネオマイシンおよびG-418に対する耐性を与え、alsはクロルスルフロンに対する耐性を、patはホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を各々与える(Wigler, M. 他(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:3567-3570; Colbere-Garapin, F.他(1981) J. Mol. Biol. 150:1-14)。この他の選択可能な遺伝子、例えば、代謝のための細胞の必要条件を変えるtrpB及びhisDは、文献に記載されている(Hartman, S.C.及びR.C. Mulligan (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8047-8051)。可視マーカー、例えばアントシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、βグルクロニダーゼ及びその基質βグルクロニド、またはルシフェラーゼ及びその基質ルシフェリン等を用いてもよい。これらのマーカーを用いて、形質転換体を同定するだけでなく、特定のベクター系に起因しうる一過性或いは安定したタンパク質発現を定量することも可能である(Rhodes, C.A. (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131)。
マーカー遺伝子発現の有無によって当該の遺伝子の存在が示唆されても、その遺伝子の存在および発現の確認が必要な場合もある。例えば、MDDTをコードする配列が或るマーカー遺伝子配列の中に挿入された場合、MDDTをコードするポリヌクレオチド群を有する形質転換された細胞群は、マーカー遺伝子機能の欠落により特定できる。または、1つのプロモーターの制御下で、或るマーカー遺伝子が、MDDTをコードする配列とタンデムに配置されることも可能である。誘導または選択に応答したマーカー遺伝子の発現は通常、タンデム遺伝子の発現も示す。
一般に、MDDTをコードするポリヌクレオチドを持ち、MDDTを発現する宿主細胞は、当業者に周知の種々の方法を用いて特定できる。これらの方法には、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリダイゼーションや、PCR法、核酸或いはタンパク質の検出及び/または数量化のための膜系、溶液ベース、或いはチップベースの技術を含むタンパク質生物学的試験法または免疫学的アッセイが含まれるが、これらに限定されるものではない。
特異的ポリクローナル抗体または特異的モノクローナル抗体を用いてMDDTの発現の検出と計測とを行うための免疫学的方法は、当分野で既知である。このような技術の例としては、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)などが挙げられる。MDDT上の2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモノクローナルベースイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好ましいが、競合結合試験を用いることもできる。これらのアッセイおよび他のアッセイは、当分野で周知である(Hampton, R.他(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual, APS Press, St. Paul MN, Sect.IV; Coligan, J.E.他(1997) Current Protocols in Immunology, Greene Pub.Associates and Wiley-Interscience, New York NY; Pound, J.D. (1998) Immunochemical Protocols, Humana Press, Totowa NJ)。
多岐にわたる標識方法および抱合技術が当業者に知られており、様々な核酸アッセイおよびアミノ酸アッセイにこれらの技術を用い得る。MDDTをコードするポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ或いはPCRプローブを生成する方法には、オリゴ標識化、ニックトランスレーション、エンドラベリング(末端標識化)、または標識されたヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれる。別法として、MDDTをコードするポリヌクレオチド、またはその任意の断片を、mRNAプローブを生成するためのベクターにクローニングすることも可能である。このようなベクターは、当分野において知られており、市販もされており、T7、T3またはSP6などの好適なRNAポリメラーゼおよび標識されたヌクレオチドを加えて、in vitroでRNAプローブの合成に用いることができる。これらの方法は、例えばAmersham Biosciences、Promega(Madison WI)、U.S. Biochemicalなどの種々の市販キットを用いて実行できる。検出を容易にするために用い得る好適なレポーター分子あるいは標識には、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子のほか、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、色原体などがある。
MDDTをコードするポリヌクレオチドで形質転換した宿主細胞を、細胞培地での該タンパク質の発現と回収とに好適な条件下で培養しうる。形質転換細胞から製造されたタンパク質が分泌されるか細胞内に留まるかは、使用される配列、ベクター、あるいはその両者に依存する。MDDTをコードするポリヌクレオチドを持つ発現ベクターは、原核細胞膜または真核細胞膜を通してのMDDTの分泌を誘導するシグナル配列群を持つように設計できることは、当業者には理解されよう。
更に、宿主細胞株の選択は、挿入したポリヌクレオチドの発現をモジュレートする能力、または発現したタンパク質を所望の形に処理する能力によって行い得る。限定するものではないがこのようなポリペプチドの修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化がある。タンパク質の「プレプロ」または「プロ」形を切断する翻訳後のプロセシングを利用して、タンパク質の標的への誘導、折りたたみ及び/または活性を特定することが可能である。翻訳後の活性のための、特定の細胞機構および特徴的な機序を持つ、種々の宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、HEK293、WI38など)は、American Type Culture Collection(ATCC, Manassas, VA)から入手可能であり、外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実にするように選択し得る。
本発明の別の実施様態では、MDDTをコードする天然のポリヌクレオチド、修飾されたポリヌクレオチド、または組換えのポリヌクレオチドを上記した任意の宿主系の融合タンパク質の翻訳となる異種配列に連結させ得る。例えば、市販されている抗体を用いて認識可能な異種部分を含むキメラMDDTタンパク質は、MDDT活性阻害剤に対するペプチドライブラリのスクリーニングを促進し得る。異種タンパク質部分および異種ペプチド部分はまた、市販されている親和性マトリックスを用いて融合タンパク質の精製を促進し得る。限定されるものではないがこのような部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、6-His、FLAG、c-myc、赤血球凝集素(HA)がある。GSTは固定化グルタチオン上で、MBPはマルトース上で、Trxはフェニルアルシンオキシド上で、CBPはカルモジュリン上で、そして6-Hisは金属キレート樹脂上で、同族の融合タンパク質の精製を可能にする。FLAG、c-mycおよび赤血球凝集素(HA)は、これらのエピトープタグを特異的に認識する市販のモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いた、融合タンパク質の免疫親和性精製を可能にする。また、MDDTをコードする配列と異種タンパク質配列との間にタンパク質分解切断部位を融合タンパク質が持つように遺伝子操作すると、MDDTが、精製の後に異種部分から切断され得る。融合タンパク質の発現および精製方法は、前出のAusubel他(前出、10および16章)に記載がある。市販されている種々のキットを用いて融合タンパク質の発現および精製を促進することもできる。
別の実施様態では、TNTウサギ網状赤血球可溶化液またはコムギ胚芽抽出系(Promega)を用いてin vitroで放射能標識したMDDTの合成が可能である。これらの系は、T7、T3またはSP6プロモーターに機能的に連結したタンパク質コード配列群の、転写と翻訳とを共役させる。翻訳は、例えば35Sメチオニンのような放射能標識したアミノ酸前駆体の存在下で起こる。
MDDTまたはその断片またはその変異体を用いて、MDDTに特異結合する化合物をスクリーニングすることができる。MDDTに対する特異的結合について、一つ以上の試験化合物をスクリーンすることができる。種々の実施例において、MDDTに対する特異結合について、1、2、3、4、5、10、20、50、100または200の試験化合物をスクリーンすることができる。試験化合物の例として、抗体、アンティカリン(anticalins)、オリゴヌクレオチド、タンパク質(例えばリガンドや受容体)、または小分子が挙げられる。
関連の実施態様で、MDDT変異体を用いて試験化合物たとえば抗体の、MDDTへの結合や、MDDT変異体へ、または組み合わせたMDDTおよび/または1つ以上のMDDT変異体への結合をスクリーニングできる。ある実施様態においては、SEQ ID NO:1-48の配列の正確な配列を有するMDDTではなく、MDDTの変異体に結合する化合物のスクリーニングにMDDTの変異体を用いることができる。このようなスクリーニングを行うために使うMDDT変異体はMDDTに約50%から約99%の範囲で配列同一性を有し得る。また、種々の実施様態で60%、70%、75%、80%、85%、90%,および95%の配列同一性を有することができる。
或る実施態様でMDDTへの特異結合スクリーニングで同定された化合物は、MDDTの天然リガンドに密接に関連する場合があり、例えばリガンドやその断片であり、または天然基質や、構造的または機能的な擬態物質(mimetic)、あるいは自然結合パートナーである(Coligan, J.E.他(1991) Current Protocols in Immunology 1(2):5章)。別の実施様態では、こうして同定した化合物は、受容体MDDTの天然リガンドであり得る(Howard, A.D. 他.(2001) Trends Pharmacol.Sci.22:132-140; Wise, A. 他(2002) Drug Discovery Today 7:235-246)。
別の実施態様でMDDTへの特異結合スクリーニングで同定した化合物は、MDDTが結合する天然受容体に、或いは少なくとも該受容体の或る断片に、または例えばリガンド結合部位や結合ポケットの全体または一部を含む該受容体の或る断片に、密接に関連し得る。例えば該化合物は、シグナルを伝播可能なMDDT受容体の場合や、シグナルを伝播できないMDDTデコイ(おとり)受容体の場合がある(Ashkenazi, A. およびV.M. Divit (1999) Curr. Opin. Cell Biol.11:255-260、Mantovani, A. 他(2001) Trends Immunol. 22:328-336)。該化合物は既知の技術を用いて合理的に設計できる。こうした技術の例としては、化合物エタネルセプト(etanercept)(ENBREL; Amgen Inc., Thousand Oaks CA)作製に用いた技術を含む。エタネルセプトは、ヒトのリウマチ様関節炎の治療に有効である。エタネルセプトは遺伝子操作されたp75腫瘍壊死因子(TNF)受容体ダイマーであり、ヒトIgG1 のFc部分に連結されている(Taylor, P.C. 他(2001) Curr. Opin. Immunol. 13:611-616)。
一実施様態においては、類似または異なる特異性を有する2つ以上の抗体のMDDT、MDDTの断片、またはMDDTの変異体への特異的結合についてスクリーニングし得る。このようにしてスクリーニングされた抗体の結合特異性は、その特異的結合によって、MDDTの特定の断片または変異体を同定することができる。1つの実施態様で、MDDTの特定の断片または変異体を優先的に同定できる結合特異性を持つ抗体を選択できる。別の実施態様で、MDDT産生の増加、低下、或いは異常を有する特定の疾患または病状を優先的に診断できる結合特異性を持つ抗体を選択できる。
1つの実施態様で、anticalinを、MDDTまたはその断片あるいは変異体への特異結合につきスクリーニングできる。anticalinはリポカリン足場に基づいて作成されたリガンド結合タンパク質である(Weiss, G.A. 及び H.B. Lowman (2000) Chem. Biol. 7:R177-R184、Skerra, A. (2001) J. Biotechnol. 74:257-275)。リポカリン類のタンパク構造には8本鎖逆平行βストランドを持つ或るβバレルを含むことがあり、このバレルはその開放端で4つのループを支持する。これらのループはリポカリンの天然リガンド結合部位を形成し、この部位はin vitro でアミノ酸置換によって再度人工操作して、新規な結合特異性を与えることができる。このアミノ酸置換は当分野で既知の方法または本明細書に記載の方法を用いて行うことができる。また、保存的置換(例えば、結合特異性を変えないような置換)、あるいは、結合特異性を少し、中等度、または大きく変えるような置換を行うこともできる。
一実施態様では、MDDTに特異的に結合、もしくは刺激または阻害する化合物のスクリーニングには、分泌タンパク質或いは細胞膜上のタンパク質の何れか一方としてMDDTを発現する適切な細胞の作製が含まれる。好適な細胞には、哺乳動物、酵母、ショウジョウバエ、または大腸菌からの細胞が含まれ得る。MDDTを発現する細胞またはMDDTを含有する細胞膜分画を試験化合物と接触させて、MDDTまたはこの化合物のどちらかの結合、刺激、または活性の阻害を分析する。
或るアッセイでは単に試験化合物がポリペプチドに結合するのを試験でき、結合を、フルオロフォア、放射性同位体、酵素抱合体または他の検出可能な標識により検出する。例えば、このアッセイは、少なくとも1つの試験化合物を、溶液中の或いは固体支持物に固定されたMDDTと混合するステップと、MDDTとこの化合物との結合を検出するステップを含み得る。別法で該アッセイは、標識された競合物の存在下での試験化合物の結合の検出または測定を行うことができる。更にこのアッセイは、無細胞再構成標本、化学ライブラリ、または、天然物の混合物を用いて実施でき、試験化合物(群)は、溶液中で遊離させるか固体支持体に固定する。
アッセイを用いて、或る化合物が、その天然リガンドに結合する能力、および/または、その天然リガンドの、その天然受容体への結合を阻害する能力を評価しうる。こうしたアッセイの例としては、米国特許第5,914,236号および第6,372,724号に記載されたような放射ラベルアッセイを含む。関連した実施態様では、1つ以上のアミノ酸置換が或るポリペプチド化合物(受容体など)に導入され、その天然リガンドに結合する能力を向上または改変しうる(Matthews, D.J. および J.A. Wells. (1994) Chem. Biol. 1:25-30)。別の関連した実施態様では、1つ以上のアミノ酸置換が或るポリペプチド化合物(リガンドなど)に導入され、その天然受容体に結合する能力を向上または改変しうる(Cunningham, B.C.およびJ.A. Wells (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3407-3411; Lowman, H.B.他(1991) J. Biol. Chem. 266:10982-10988)。
MDDTまたはその断片、あるいはMDDTの変異体を用いて、MDDTの活性を変調する化合物をスクリーニングすることができる。このような化合物としては、アゴニスト、アンタゴニスト、部分的アゴニストまたは逆アゴニストなどが含まれ得る。一実施例では、MDDTが少なくとも1つの試験化合物と結合する、MDDTの活性が許容される条件下でアッセイを実施し、試験化合物の存在下でのMDDTの活性を、試験化合物不在下でのMDDTの活性と比較する。試験化合物の存在下でのMDDTの活性の変化は、MDDTの活性をモジュレートする化合物の存在を示唆する。別法では、試験化合物を、MDDTの活性に適した条件下で、DMEを有するin vitro系すなわち無細胞系と混合してアッセイを実施する。これらアッセイの何れにおいても、MDDTの活性をモジュレートする試験化合物は間接的にモジュレートする場合があり、その際は試験化合物と直接接触する必要がない。少なくとも1つ、または複数の試験化合物をスクリーニングすることができる。
MDDTまたはその断片、あるいはMDDTの変異体を用いて、MDDTの活性を変調する化合物をスクリーニングすることができる。このような化合物としては、アゴニスト、アンタゴニスト、部分的アゴニストまたは逆アゴニストなどが含まれ得る。一実施例では、MDDTが少なくとも1つの試験化合物と結合する、MDDTの活性が許容される条件下でアッセイを実施し、試験化合物の存在下でのMDDTの活性を、試験化合物不在下でのMDDTの活性と比較する。試験化合物の存在下でのMDDTの活性の変化は、MDDTの活性をモジュレートする化合物の存在を示唆する。別法では、試験化合物を、MDDTの活性に適した条件下で、DMEを有するin vitro系すなわち無細胞系と混合してアッセイを実施する。これらアッセイの何れにおいても、MDDTの活性をモジュレートする試験化合物は間接的にモジュレートする場合があり、その際は試験化合物と直接接触する必要がない。少なくとも1つ、または複数の試験化合物をスクリーニングすることができる。
別の実施例では、胚性幹細胞(ES細胞)における相同組換えを用いて動物モデル系内で、MDDTまたはその哺乳動物相同体をコードするポリヌクレオチドを「ノックアウト」する。このような技術は当技術分野において周知であり、ヒト疾患動物モデルの作製に有用である(例えば米国特許第5,175,383号および第5,767,337号を参照)。例えば129/SvJ細胞系などのマウスES細胞は初期のマウス胚に由来し、培地で増殖させることができる。このES細胞は、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo: Capecchi, M.R.(1989)Science 244:1288-1292)などのマーカー遺伝子で破壊した、当該の遺伝子を持つベクターで形質転換する。このベクターは、相同組換えにより、宿主ゲノムの対応する領域に組込まれる。或いは、Cre-loxP系を用いて相同組換えを行い、組織特異的または発生段階特異的に目的遺伝子をノックアウトする(Marth, J.D. (1996) Clin. Invest. 97:1999-2002、Wagner, K.U.他(1997) Nucleic Acids Res.25:4323-4330)。形質転換したES細胞を同定し、例えばC57BL/6マウス株などから採取したマウス細胞胚盤胞に微量注入する。これらの胚盤胞を偽妊娠メスに外科的移植し、得られるキメラ子孫の遺伝子型を決定し、これらを交配させてヘテロ接合性系またはホモ接合性系を作製する。このようにして作製した遺伝子組換え動物は、潜在的な治療薬や毒物で検査されうる。
MDDTをコードするポリヌクレオチドを、in vitroでヒト胚盤胞由来のES細胞において操作することも可能である。ヒトES細胞は、内胚葉、中胚葉および外胚葉の細胞タイプを含む、少なくとも8つの別々の細胞系統に分化する可能性を有する。これらの細胞系統は、例えば神経細胞、造血系統および心筋細胞に分化する(Thomson, J.A.他(1998) Science 282:1145-1147)。
MDDTをコードするポリヌクレオチドを用いて、ヒト疾患をモデルとした「ノックイン」ヒト化動物(ブタ)または遺伝子組換え動物(マウスまたはラット)を作製することも可能である。ノックイン技術を用いて、MDDTをコードするポリヌクレオチドの或る領域を動物ES細胞に注入し、注入した配列を動物細胞ゲノムに組み込ませる。形質転換細胞を胞胚に注入し、胞胚を上記のように移植する。遺伝子組換え子孫または近交系について試験し、潜在的医薬品を用いて処理し、ヒトの疾患の治療に関する情報を得る。別法で例えばMDDTを乳汁中に分泌するなどMDDTを過剰発現する哺乳類近交系は、このタンパク質の簡便な源泉となり得る(Janne, J. 他(1998) Biotechnol. Annu. Rev. 4:55-74)。
(治療)
MDDTの各領域と疾患検出および治療用分子類との間には、例えば配列およびモチーフに関して、化学的および構造的類似性が存在する。またMDDTを発現する組織の数例は、表6と実施例11とを見られたい。したがってMDDTは細胞増殖異常、自己免疫/炎症疾患、発生障害、神経疾患において役割を果たすと考えられる。MDDTの発現または活性の増大に関連する疾患の治療においては、MDDTの発現または活性を低下させることが望ましい。また、MDDTの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては、MDDTの発現または活性を亢進させることが望ましい。
MDDTの各領域と疾患検出および治療用分子類との間には、例えば配列およびモチーフに関して、化学的および構造的類似性が存在する。またMDDTを発現する組織の数例は、表6と実施例11とを見られたい。したがってMDDTは細胞増殖異常、自己免疫/炎症疾患、発生障害、神経疾患において役割を果たすと考えられる。MDDTの発現または活性の増大に関連する疾患の治療においては、MDDTの発現または活性を低下させることが望ましい。また、MDDTの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては、MDDTの発現または活性を亢進させることが望ましい。
したがって、一実施態様において、MDDTの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、被験者にMDDTまたはその断片や誘導体を投与し得る。限定するものではないが、このような疾患には細胞増殖異常、自己免疫/炎症疾患、発達障害、および神経障害が含まれ、細胞増殖異常の中には日光角化症、動脈硬化、アテローム硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合性結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、および奇形癌など癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、および子宮の癌が含まれる。自己免疫/炎症疾患には、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アジソン病(慢性原発性副腎機能不全)、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ症外胚葉ジストロフィー(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球傷害因子性偶発性リンパ球減少症、新生児溶血性疾患(胎児赤芽球症)、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋または心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、外傷が含まれる。発達障害には尿細管性アシドーシス、貧血、クッシング症候群、軟骨形成不全性小人症、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー、癲癇、性腺形成異常、WAGR症候群(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、尿生殖器異常、精神遅滞)、スミス‐マジェニス症候群(Smith- Magenis syndrome)、骨髄異形成症候群、遺伝性粘膜上皮異形成、遺伝性角皮症や、シャルコーマリーツース病および神経線維腫症などの遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症や、Syndenham舞踏病(Syndenham's chorea)および脳性小児麻痺などの発作障害、二分脊椎、無脳症、頭蓋脊椎披裂、先天性緑内障、白内障、感音難聴が含まれる。神経障害には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、痴呆、パーキンソン病およびその他の錐体外路障害、筋萎縮性側索硬化およびその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、網膜色素変性症(色素性網膜炎)、遺伝性運動失調、多発性硬化症および他の脱髄疾患、細菌性およびウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下膿瘍、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎および神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、プリオン病(クールー、クロイツフェルト‐ヤコブ病、およびGerstmann-Straussler-Scheinker症候群を含む)、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病および代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管腫症(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳三叉神経血管症候群、ダウン症など中枢神経系性精神遅滞その他の発達障害、脳性麻痺、神経骨格異常症、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄疾患、筋ジストロフィー他の神経筋障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎および多発性筋炎と、遺伝性、代謝性、内分泌性、および中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺、精神障害(気分性、不安性の障害、統合失調症/分裂病)、季節性感情障害(SAD)、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、遅発性ジスキネジア、ジストニー、パラノイド精神病、帯状疱疹後神経痛、トゥーレット病、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性(corticobasal degeneration)、および家族性前頭側頭型痴呆とが含まれる。
別の実施態様では、限定するものではないが上記した疾患を含む、MDDTの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、MDDTまたはその断片や誘導体を発現し得るベクターを被験者に投与しうる。
更に別の実施態様では、限定するものではないが上に列記した疾患を含む、MDDTの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、実質的に精製されたMDDTを有する組成物を、好適な医薬用キャリアと共に被験者に投与し得る。
更に別の実施態様では、限定するものではないが上に列記した疾患を含む、MDDTの発現または活性の低下に関連した疾患の治療または予防のために、MDDTの活性を調節するアゴニストを被験者に投与し得る。
更なる実施例では、MDDTの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防のために、被験者にMDDTのアンタゴニストを投与し得る。限定するものではないが、このような疾患の例には、上記した細胞増殖異常、自己免疫/炎症疾患、発達障害、および神経障害が含まれる。一実施態様では、MDDTと特異的に結合する抗体が直接アンタゴニストとして、或いはMDDTを発現する細胞または組織に薬剤を運ぶターゲッティング機構或いは送達機構として間接的に用いられ得る。
別の実施例では、MDDTをコードするポリヌクレオチドの相補配列を発現するベクターを被験者に投与して、限定するものではないが上記した疾患を含む、MDDTの発現または活性の増大に関連した疾患の治療または予防を成し得る。
別の実施態様では、任意のタンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、相補配列、またはベクター実施態様を、別の適切な治療薬と組合せて投与できる。併用療法で用いる好適な治療薬は、当業者が従来の医薬原理に従って選択し得る。治療薬と組合せることにより、上記した種々の疾患の治療または予防に相乗効果をもたらし得る。この方法により、少量の各薬物で治療効力を得ることが可能となり、それによって副作用の可能性を低減し得る。
MDDTのアンタゴニストは、当分野で一般的な方法を用いて製造できる。詳しくは、精製されたMDDTを用いて抗体を作ったり、治療薬のライブラリ群をスクリーニングしてMDDTと特異結合する薬物を同定できる。MDDTに対する抗体も、本技術分野で公知の方法を用いて製造することが可能である。限定するものではないがこのような抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fab断片、およびFab発現ライブラリによって作られた断片が含まれ得る。或る実施様態では、中和抗体(すなわち二量体の形成を阻害する抗体)は治療用に用いることが可能である。一本鎖抗体(例えばラクダまたはラマに由来する)は強力な酵素インヒビターであり得る。またペプチド擬態物質の設計及び免疫吸着剤とバイオセンサーの開発に用途を有し得る(Muyldermans, S. (2001) J. Biotechnol. 74:277-302)。
抗体の産生のためには、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、ヒトその他の種々の宿主が、MDDTまたは任意の断片の注入、または免疫原性の特性を備えるそのオリゴペプチドの注入によって免疫化され得る。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを用いて免疫応答を高めることもできる。限定するものではないがこのようなアジュバントには、フロイントアジュバントと、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲルアジュバントと、リゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、スカシガイのヘモシアニン(KLH)、ジニトロフェノールなどの界面活性剤とがある。ヒトに用いられるアジュバントの中では、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)およびコリネバクテリウム‐パルバム(Corynebacterium parvum)が特に好ましい。
MDDTに対する抗体を誘導するために用いるオリゴペプチド、ペプチド、または断片は、少なくとも約5個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を持つものが好ましく、一般的には約10個以上のアミノ酸からなるものとなる。これらのオリゴペプチド、ペプチドまたは断片はまた、天然のタンパク質のアミノ酸配列の一部と実質的に同一であることが望ましい。MDDTアミノ酸類の短いストレッチ群は、KLHなど他のタンパク質の配列と融合され、このキメラ分子に対する抗体群が産生され得る。
MDDTに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって抗体分子群を産生する、任意の技術を用いて作製できる。限定するものではないがこのような技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBV-ハイブリドーマ技術がある(Kohler, G.他(1975) Nature 256:495-497; Kozbor, D.他(1985) J. Immunol. Methods 81:31-42; Cote, R.J.他 (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030; Cole, S.P.他(1984) Mol.Cell Biol. 62:109-120)。
更に、「キメラ抗体」作製のために開発された技術、例えば、ヒト抗体遺伝子にマウス抗体遺伝子をスプライシングするなどの技術が、好適な抗原特異性および生物学的活性を有する分子を得るために用いられる(Morrison, S.L. 他(1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855、Neuberger, M.S. 他 (1984) Nature 312:604-608; Takeda, S.他(1985) Nature 314:452-454)。別法では、当分野で既知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、MDDT特異的一本鎖抗体を生成し得る。関連した特異性を有するがイディオタイプ組成が異なるような抗体を、ランダムな組合せの免疫グロブリンライブラリからチェーンシャッフリングによって産生することもできる(Burton D.R. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10134-10137)。
抗体の産生は、リンパ球集団におけるin vivo産生の誘導によって、或いは文献に開示されているように非常に特異的な結合試薬の免疫グロブリンのライブラリまたはパネルのスクリーニングによっても行い得る(Orlandi, R. 他(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:3833-3837; Winter, G.他(1991) Nature 349:293-299)。
MDDTに対する特異結合部位を持つ抗体断片をも産生し得る。例えば、限定するものではないが、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって作製されるF(ab')2 断片と、F(ab')2 断片のジスルフィド架橋を還元することによって作製されるFab断片とがある。あるいは、Fab発現ライブラリを作製することによって、所望の特異性を持つモノクローナルFab断片を迅速且つ容易に同定することが可能となる(Huse, W.D.他(1989) Science 246:1275-1281)。
種々の免疫学的検定(イムノアッセイ)を用いてスクリーニングすることにより、所望の特異性を有する抗体を同定し得る。確立された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の何れかを用いる免疫放射定量測定法または競合結合試験に対する数々のプロトコルは、本技術分野において公知である。このようなイムノアッセイは通常、MDDTとその特異抗体との間の複合体形成の計測を含む。2つの非干渉性MDDTエピトープに対して反応性を持つモノクローナル抗体群を用いる、2部位モノクローナルベースのイムノアッセイが一般に利用されるが、競合結合試験も利用できる(Pound、前出)。
ラジオイムノアッセイ技術と共にScatchard分析などの様々な方法を用いて、MDDTに対する抗体の親和性を評価し得る。親和性を結合定数Kaで表すが、このKaは、平衡状態下でのMDDT-抗体複合体のモル濃度を遊離抗体と遊離抗原とのモル濃度で除して得られる値である。ポリクローナル抗体類は多様なMDDTエピトープに対して親和性が不均一であり、或るポリクローナル抗体製剤に関して判定したKaは、MDDTに対する抗体群の平均の親和性または結合活性を表す。モノクローナル抗体は或る特定のMDDTエピトープに単一特異的であり、モノクローナル抗体の或る製剤について判定したKaは、親和性の真の測定値を表す。Ka値が109〜1012liter/molの高親和性抗体製剤は、MDDT抗体複合体が激しい操作に耐えなければならないイムノアッセイに用いるのが好ましい。Ka値が106〜107liter/molの低親和性抗体試薬は、MDDTが抗体から最終的に活性化状態で解離する必要がある免疫精製(immunopurification)及び類似の処理に用いるのが好ましい(Catty, D. (1988) Antibodies, Volume I: A Practical Approach. IRL Press, Washington, DC、Liddell, J. E.およびCryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Antibodies, John Wiley & Sons, New York NY)。
ポリクローナル抗体製剤の抗体価および結合活性を更に評価して、後に使う或る適用例に対するこのような製剤の品質および適合性を決定することができる。例えば、少なくとも1〜2mg/mlの特異的な抗体、好ましくは5〜10mg/mlの特異的な抗体を含むポリクローナル抗体製剤は一般に、MDDT抗体複合体を沈殿させなければならない処理に用いられる。抗体の特異性、抗体価、および結合力の評価手順、並びに、様々な適用例における抗体の品質と使用に対する指針については、一般に入手可能である(Catty, 前出; Coligan他、前出)。
本発明の別の実施態様では、MDDTをコードするポリヌクレオチド、またはその任意の断片や相補配列を、治療目的で使用できる。ある実施態様では、MDDTをコードする遺伝子のコーディング領域や調節領域に相補的な配列やアンチセンス分子(DNA、RNA、PNA、または修飾したオリゴヌクレオチド)を設計して遺伝子発現を変更することができる。このような技術は当分野では周知であり、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは大きな断片が、MDDTをコードする配列の制御領域、またはコード領域に沿ったさまざまな位置から設計可能である(Agrawal, S., 編集 (1996) Antisense Therapeutics, Humana Press Inc., Totawa NJ等を参照)。
治療に用いる場合、アンチセンス配列を適切な標的細胞に導入するのに好適な、任意の遺伝子送達系を用いることができる。アンチセンス配列は、転写時に標的タンパク質をコードする細胞配列の少なくとも一部に相補的な配列を作製する発現プラスミドの形で、細胞内に送達し得る(Slater, J.E.他(1998) J. Allergy Clin. Immunol. 102:469-475、Scanlon, K.J.他(1995) 9:1288-1296)。アンチセンス配列はまた、細胞内に、ウイルスベクター例えばレトロウイルスおよびアデノ随伴ウイルスのベクターを用いて導入しうる(Miller, A.D. (1990) Blood 76:271; Ausubel他、前出; Uckert, W.およびW. Walther (1994) Pharmacol. Ther. 63:323-347)。その他の遺伝子送達機構には、リポソーム系、人工的なウイルスエンベロープおよび当分野で公知のその他のシステムが含まれる(Rossi, J.J. (1995) Br. Med. Bull. 51:217-225; Boado, R.J.他(1998) J. Pharm. Sci. 87(11):1308-1315、Morris, M.C.他(1997) Nucleic Acids Res. 25:2730-2736)。
本発明の別の実施態様では、MDDTをコードするポリヌクレオチドを、体細胞若しくは生殖細胞の遺伝子治療に用いることが可能である。遺伝子治療により、(i)遺伝子欠損症を治療し(例えばX染色体連鎖遺伝(Cavazzana-Calvo, M.他(2000) Science 288:669-672)により特徴付けられる重症複合型免疫不全(SCID)-X1病の場合)、先天性アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症に関連する重症複合型免疫不全症候群(Blaese, R.M. 他(1995) Science 270:475-480; Bordignon, C.他(1995) Science 270:470-475)、嚢胞性繊維症(Zabner, J.他(1993) Cell 75:207-216; Crystal, R.G.他(1995) Hum.Gene Therapy 6:643-666; Crystal, R.G.他(1995) Hum.Gene Therapy 6:667-703)、サラセミア(thalassamia)、家族性高コレステロール血症や、第8因子若しくは第9因子欠損に起因する血友病(Crystal, R.G. (1995) Science 270:404-410、Verma, I.M. および N. Somia (1997) Nature 389:239-242)、(ii)条件的致死性遺伝子産物を発現させ(例えば無秩序な細胞増殖に起因する癌の場合)、(iii)細胞内の寄生体、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)(Baltimore, D. (1988) Nature 335:395-396、Poeschla, E.他(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:11395-11399)などヒトレトロウイルス、B型若しくはC型肝炎ウイルス(HBV、HCV)、Candida albicansおよびParacoccidioides brasiliensis等の寄生真菌、並びに熱帯熱マラリア原虫およびクルーズトリパノソーマ等の寄生原虫に対する保護作用を与えるタンパク質を発現できる。MDDTの発現若しくは調節に必要な遺伝子の欠損が疾患を引き起こす場合、導入した細胞の好適な集団からMDDTを発現させて、遺伝子欠損によって起こる症状の発現を緩和することが可能である。
本発明の更なる実施例では、MDDTの欠損による疾患や異常症を、MDDTをコードする哺乳類発現ベクターを作製して、これらのベクターを機械的手段によってMDDT欠損細胞に導入することによって治療する。in vivoあるいはex vitroの細胞に用いる機械的導入技術には、(i)個々の細胞内への直接的なDNA微量注射法、(ii)遺伝子銃、(iii)リポソームを介した形質移入、(iv)受容体を介した遺伝子導入、および(v)DNAトランスポゾンの使用がある(Morgan, R.A.およびW.F. Anderson(1993)Annu. Rev. Biochem. 62:191-217、Ivics, Z.(1997)Cell 91:501-510、Boulay, J-L.およびH. Recipon(1998)Curr. Opin. Biotechnol. 9:445-450)。
MDDTの発現に有効たりうる発現ベクターは、限定するものではないが、PCDNA 3.1、EPITAG、PRCCMV2、PREP、PVAX、PCR2-TOPOTAベクター(Invitrogen, Carlsbad CA)、PCMV-SCRIPT、PCMV-TAG、PEGSH/PERV (Stratagene, La Jolla CA)、PTET-OFF、PTET-ON、PTRE2、PTRE2-LUC、PTK-HYG (Clontech, Palo Alto CA)がある。MDDTを発現させるために、(i)恒常的に活性なプロモーター(例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、SV40ウイルス、チミジンキナーゼ(TK)、若しくはβ−アクチン遺伝子等)、(ii)誘導性プロモーター(例えば、市販されているT-REXプラスミド(Invitrogen)に含まれている、テトラサイクリン調節性プロモーター(Gossen, M.及びH. Bujard (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:5547-5551、Gossen, M. 他(1995) Science 268:1766-1769、Rossi, F.M.V. および H.M. Blau (1998) Curr. Opin. Biotechnol. 9:451-456))、エクジソン誘導性プロモーター(市販されているプラスミドPVGRXRおよびPINDに含まれている:Invitrogen)、FK506/ラパマイシン誘導性プロモーター、またはRU486/ミフェプリストーン誘導性プロモーター(Rossi, F.M.V. および H.M. Blau, 前出)、または(iii)正常な個体に由来する、MDDTをコードする内因性遺伝子の天然のプロモーター若しくは組織特異的プロモーターを用いることが可能である。
市販のリポソーム形質転換キット(例えばInvitrogen社のPerFect Lipid Transfection Kit)を用いれば、当業者は実験の各パラメータを最適化する努力をさほど要さず、ポリヌクレオチド群を、培養中の標的細胞群に送達し得る。別法では、リン酸カルシウム法(Graham. F.L. および A.J. Eb(1973)Virology 52:456-467)若しくは電気穿孔法(Neumann, E. 他 (1982) EMBO J. 1:841845)を用いて行う。初代培養細胞にDNAを導入するためには、これら標準化された哺乳類形質移入プロトコルの修正が必要である。
本発明の別の実施態様では、MDDTの発現に関連する遺伝子欠損によって起こる疾患や障害は、(i)レトロウイルス末端反復配列(LTR)プロモーター若しくは独立したプロモーターの調節の下でMDDTをコードするポリヌクレオチドと、(ii)好適なRNAパッケージングシグナルと、(iii)追加のレトロウイルス・シス作用性RNA配列及び効率的なベクターの増殖に必要なコード配列を伴うRev応答性エレメント(RRE)と、からなるレトロウイルスベクターを作製して治療することができる。レトロウイルスベクター(例えばPFBおよびPFBNEO)はStratagene社から市販されており、刊行データ(Riviere, I. 他(1995)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:6733-6737)に基づく。上記データは参照により開示に含まれる。このベクターは、好適なベクター産生細胞株(VPCL)において増殖される。VPCLは、各標的細胞上の受容体への向性を持つエンベロープ遺伝子を、またはVSVgなど汎親和性エンベロープタンパク質を発現する(Armentano, D. 他(1987) J. Virol. 61:1647-1650; Bender, M.A.他 (1987) J. Virol. 61:1639-1646; Adam, M.A. および A.D. Miller (1988) J. Virol. 62:3802-3806; Dull, T.他(1998) J. Virol. 72:8463-8471; Zufferey, R.他 (1998) J. Virol. 72:9873-9880)。Riggに付与された米国特許第5,910,434号(「Method for obtaining retrovirus packaging cell lines producing high transducing efficiency retroviral supernatant」)において、レトロウイルスパッケージング細胞株を得るための方法が開示されており、引用することをもって本明細書の一部とする。レトロウイルスベクター類の繁殖や、細胞集団(例えばCD4+T細胞群)の形質導入、および形質導入した細胞群の患者への戻しは、遺伝子治療分野では当業者に周知の手法であり、多数の文献に記載がある(Ranga, U.他(1997) J. Virol. 71:7020-7029; Bauer, G.他 (1997) Blood 89:2259-2267; Bonyhadi, M.L. (1997) J. Virol. 71:4707-4716; Ranga, U.他(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:1201-1206; Su, L. (1997) Blood 89:2283-2290)。
1つの実施様態では、アデノウイルス系遺伝子治療の或る送達系を用いて、MDDTの発現に関連する1つ以上の遺伝子異常を有する細胞群に、MDDTをコードするポリヌクレオチド群を送達する。アデノウイルス系ベクター類の作製およびパッケージングについては、当業者に周知である。複製欠損型アデノウイルスベクター類は、種々の免疫調節タンパク質をコードする遺伝子群を、無損傷の膵島内に導入する目的で多様に利用し得ることが証明された(Csete, M.E.他(1995) Transplantation 27:263-268)。使用できる可能性のあるアデノウイルスベクターは、Armentanoに付与された米国特許第5,707,618号(「Adenovirus vectors for gene therapy」)に記載されており、引用することをもって本明細書の一部とする。アデノウイルスベクター類については、Antinozzi, P.A. 他(1999; Annu. Rev. Nutr. 19:511-544)並びにVerma, I.M.およびN. Somia (1997; Nature 18:389:239-242)を参照されたい。
別の実施様態では、ヘルペス系遺伝子治療の送達系を用い、MDDTの発現に関連する1つ以上の遺伝子異常を持つ標的細胞群に、MDDTをコードするポリヌクレオチド群を送達する。単純疱疹ウイルス(HSV)系のベクターの利用は、HSVが向性を持つ中枢神経細胞にMDDTを導入する際に特に有用たり得る。ヘルペス系ベクター類の作製およびパッケージングは、当業者に公知である。或る複製適格性単純ヘルペスウイルス(HSV)1型系のベクターが、或るレポーター遺伝子の、霊長類の眼への送達に用いられている(Liu, X. 他(1999) Exp.Eye Res.169:385395)。HSV-1ウイルスベクターの作製についても、DeLucaに付与された米国特許第5,804,413号(「Herpes simplex virus strains for gene transfer」)に開示されており、該特許の引用をもって本明細書の一部とする。米国特許第5,804,413号には、ヒト遺伝子治療を含む目的のために好適なプロモーターの制御下において細胞に導入される少なくとも1つの外在性遺伝子を有するゲノムを含む組換えHSV d92の使用についての記載がある。上記特許はまた、ICP4、ICP27及びICP22を欠失した組換えHSV系統の作製及び使用について開示している。HSVベクター類については、Goins, W.F. 他(1999; J. Virol. 73:519-532)および Xu, H.他(1994; Dev. Biol. 163:152-161)。クローン化したヘルペスウイルス配列群の操作、大ヘルペスウイルスゲノム(large herpesvirus genomes)の様々なセグメントを持つ複数のプラスミドを形質移入した後の組換えウイルスの産生、ヘルペスウイルスの成長および増殖、並びに細胞群へのヘルペスウイルスの感染は、当業者に公知の技術である。
別の実施様態では、或るαウイルス(正の一本鎖RNAウイルス)ベクターを用いて、MDDTをコードするポリヌクレオチド群を標的細胞群に送達する。プロトタイプのαウイルスであるセムリキ森林熱ウイルス(Semliki Forest Virus, SFV)の生物学的研究が広範に行われており、遺伝子導入ベクター類はSFVゲノムに基づく(Garoff, H. 及び K.-J. Li (1998) Cun. Opin. Biotech. 9:464-469)。αウイルスRNAの複製中に、ウイルスのカプシドタンパク質群を通常はコードする、サブゲノムRNAが産生される。このサブゲノムRNAは完全長ゲノムRNAよりも高レベルに複製するので、酵素活性(例えばプロテアーゼおよびポリメラーゼ)を持つウイルスタンパク質に比べてカプシドタンパク質群が過剰産生される。同様に、MDDTをコードする配列をαウイルスゲノムのカプシドをコードする領域に導入することによって、ベクター導入細胞において多数のMDDTをコードするRNAが産生され、高いレベルでMDDTが合成される。通常、αウイルスの感染は、数日以内の細胞溶解を伴う。一方、シンドビスウイルス(SIN)の或る変異体を有するハムスター正常腎臓細胞(BHK-21)群が持続的な感染を確立する能力は、αウイルス類の溶解複製を、遺伝子治療に応用し得るように好適に改変可能であることを示唆する(Dryga, S.A.他(1997) Virology 228:74-83)。αウイルスの宿主域は広いので、様々なタイプの細胞にMDDTを導入できることとなる。或る集団における或るサブセットの細胞群の特異的形質導入は、形質導入前に細胞の選別を必要とし得る。αウイルスの感染性cDNAクローンの操作方法、αウイルスのcDNAおよびRNAの形質移入方法およびαウイルスの感染方法は、当業者に公知である。
転写開始部位(transcription initiation site)由来のオリゴヌクレオチドを用いて遺伝子発現を阻害することも可能である。この位置は、例えばスタート部位(start site)から数えて約−10と約+10の間である。同様に、三重らせん塩基対の形成方法を用いて阻害が可能となる。三重らせん対合は、ポリメラーゼ、転写因子または制御分子と結合できるように十分に開こうとする、二重らせんの能力を阻害するので有用である。三重鎖DNAを用いる最近の治療の進歩については文献に記載がある(Gee, J.E.他(1994) in Huber, B.E.およびB.I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishing, Mt. Kisco NY, 163-177ページ)。相補配列またはアンチセンス分子もまた、転写物がリボソームに結合するのを阻止することによってmRNAの翻訳を妨害するように設計することができる。
リボザイムは酵素的RNA分子であり、RNAの特異的切断を触媒するためにリボザイムを用いることもできる。リボザイム作用の機序は、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションと、その後に起こるヌクレオチド鎖切断に関与している。例えば、人工的に作製されたハンマーヘッド型リボザイム分子が、MDDTをコードするRNA分子の内ヌクレオチド鎖分解性の切断を特異的且つ効果的に触媒できる可能性がある。
任意の潜在的RNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、GUA、GUU、GUC配列を含めたリボザイム切断部位について標的分子をスキャンすることによって先ず同定される。一度同定されると、切断部位を持つ標的遺伝子の領域に対応する15〜20リボヌクレオチドの短いRNA配列が、そのオリゴヌクレオチドを機能不全にするような2次構造の特徴をもっていないかを評価することが可能になる。候補標的の適合性の評価も、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイを用いて相補的オリゴヌクレオチド群とのハイブリダイゼーションへの到達性をテストすることによって行い得る。
相補リボ核酸分子およびリボザイムは、核酸分子合成のための当分野で既知の任意の方法を用いて作製し得る。作製方法には、固相ホスホラミダイト化学合成など、オリゴヌクレオチドを化学的に合成する方法がある。或いは、MDDTをコードするDNA分子のin vitro及びin vivo転写によってRNA分子を産出し得る。このようなDNA配列は、T7やSP6などの好適なRNAポリメラーゼプロモーターを用いて多様なベクター内に取り込むことが可能である。あるいは、相補的RNAを構成的あるいは誘導的に合成するこれらのcDNA構築物を、細胞株、細胞または組織内に導入できる。
細胞内の安定性を高め半減期を延ばすためRNA分子を修飾し得る。限定するものではないが可能な修飾としては、分子の5'末端、3'末端、あるいはその両方において隣接配列群を追加することや、分子の主鎖内においてホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエートまたは2' O-メチルを使用することが含まれる。この概念は、本来はPNA群の産出におけるものであるが、これら全ての分子に拡張できる。そのためには、内因性エンドヌクレアーゼによって容易には認識されない、アデニン、シチジン、グアニン、チミン、およびウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−および同様の修飾型や、非従来型塩基、例えばイノシン、クエオシン(queosine)、ワイブトシン(wybutosine)を含める。
本発明の別の実施様態では、本発明の1つ以上の選択されたポリヌクレオチドの発現を、当分野で知られているRNA干渉(RNAi)または転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)方法を用いて改変、阻害、低減、または沈黙させ得る。RNAiは、遺伝子サイレンシングの転写後モードであり、標的細胞に導入された二本鎖RNA(dsRNA)が相同遺伝子(即ち、dsRNAに相補的な配列を有する遺伝子)の発現を特異的に抑制する。これは効果的に標的遺伝子の発現をノックアウトするか、実質的に低下させる。PTGSはまた、DNAあるいはDNA断片の使用によっても達成され得る。RNAiの方法はFire, A. 他.(1998; Nature 391:806-811)およびGura, T. (2000; Nature 404:804-808)によって記述されている。PTGSはまた、本明細書に記載された、または当分野で既知である遺伝子送達法そして/またはウイルスベクター送達方法を用いてDNAの相補的なセグメントを選択された組織に導入することによっても開始することができる。
RNAiは、低分子干渉RNA(small interfering RNA、siRNAとも呼ばれる)の使用により哺乳動物細胞に導入し得る。siRNAはdsRNAの短いセグメント(通常は長さが約21から23ヌクレオチドである)であり、in vivoで、導入したdsRNAが内因性リボヌクレアーゼの作用で切断されて生じる。SiRNAは哺乳動物でRNAi効果のメディエーターのように思われる。最も効果的なsiRNAは、2ヌクレオチドの3'でのオーバーハングを有する21ヌクレオチドdsRNAであると思われる。哺乳動物細胞へのRNAiの導入のためのsiRNAの利用は、Elbashir, S.M. 他. (2001; Nature 411:494-498)に記述されている。
siRNAはdsRNAの標的細胞への導入により間接的に生成されるか、あるいは本明細書で記述されているまたは当分野で既知の、哺乳類の形質移入方法と試薬(リポソームを介した形質移入、ウイルスベクター方法、または他のポリヌクレオチド送達/導入方法等)により直接的に生成される。好適なsiRNAは、AUG開始コドンから下流ののヌクレオチド配列ための標的ポリヌクレオチド(例えばmRNA)の転写物を試験し、および各ヌクレオチドそして3’に隣接する19から23ヌクレオチドを潜在的なsiRNA標的部位(好ましくは21ヌクレオチド長を有する配列をもつ)としての存在を記録することにより選択され得る。標的siRNA部位のために避けられる領域には、5'および3'の非翻訳領域(UTR)また開始コドンに近くの領域(75塩基内)が含まれるが、その理由は、これらが調節タンパク質結合部位に関して豊富であり得るからである。UTR-結合タンパク質そして/または翻訳開始複合体は、siRNPエンドヌクレアーゼ複合体の結合と干渉し得る。siRNAの選択された標的部位は、当分野で既知のBLASTあるいは他の配列比較アルゴリズム一式を用いて適切なゲノムデータベース(例えばヒト等)と比較し得る。他のコード配列に対して有意な相同性を有する標的配列は、考慮から排除することができる。選択されたSiRNAは、当分野で既知の化学的合成方法または市販の方法とSILENCER siRNA作成キット(Ambion, Austin TX)等キットを用いてin vitro転写によって生成され得る。
別の実施様態では、長期の遺伝子サイレンシングそして/またはRNAi効果は、siRNAを連続的に発現する発現ベクタ―を用いて選択された組織に導入され得る。これは、当分野で既知の方法を用いてヘアピンRNA(shRNA)を発現するよう遺伝子操作された発現ベクターを用いて達成される(Brummelkamp, T.R. 他. (2002) Science 296:550-553、Paddison, P.J. 他. (2002) Genes Dev. 16:948-958)。これらの実施様態とそれらに関連する実施様態では、shRNAは当分野で既知の発現ベクターを用いて標的細胞に送達され得る。siRNAの送達のための好適な発現ベクターの一例は、PSILENCER1.0-U6 (circular)プラスミド(Ambion)である。一旦標的組織に送達されると、shRNAは遺伝子特異的サイレンシングを実行可能なsiRNA様分子へとin vivoで処理される。
様々な実施様態で、RNAiまたはPTGS方法により標的にされた遺伝子の発現レベルは、mRNAそして/またはタンパク質分析のためのアッセイにより測定され得る。標的遺伝子のmRNAの発現レベルは、例えばNORTHERNMAX-GLYキット(Ambion)を用いたノーザン分析法、マイクロアレイ法、PCR法、リアルタイムPCR法、そして当分野で既知または本明細書に記載の他のRNA/ポリヌクレオチドアッセイにより測定され得る。標的遺伝子によってコードされたタンパク質の発現レベルは、当分野で既知の標準技術を用いるウェスタン分析により測定され得る。
本発明の更なる実施例には、MDDTをコードするポリヌクレオチドの発現の改変に有効な化合物をスクリーニングする方法を含む。限定するものではないが特異ポリヌクレオチドの発現改変を起こすのに有効であり得る化合物には、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重らせん形成オリゴヌクレオチドや、転写因子などのポリペプチド転写制御因子、および、特異ポリヌクレオチド配列と相互作用し得る非高分子化学物質がある。有効な化合物は、ポリヌクレオチド発現のインヒビターまたはプロモーターのいずれかとして作用することによりポリヌクレオチド発現を改変し得る。したがって、MDDTの発現または活性の増加に関連する疾患の治療においては、MDDTをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に阻害する化合物が治療上有用であり、MDDTの発現または活性の低下に関連する疾患の治療においては、MDDTをコードするポリヌクレオチドの発現を特異的に促進する化合物が治療上有用であり得る。
多様な実施様態において、特異ポリヌクレオチドの発現改変における有効性に対して、1つ以上の試験化合物をスクリーニングし得る。試験化合物を得るには、当分野で公知の任意の方法を用い得る。取得方法としては、以下の場合に有効な既知化合物の化学修飾がある。ポリヌクレオチドの発現を改変する場合と、既存の、市販のまたは私的な、天然または非天然の化学物質のライブラリから選択する場合と、標的ポリヌクレオチドの化学的および/または構造的特性に基づく化合物を合理的にデザインする場合と、組合せ的にまたは無作為に生成した化学物質のライブラリから選択する場合とである。MDDTをコードするポリヌクレオチドを持つサンプルを、このようにして得た試験化合物の少なくとも1つに曝露する。サンプルは例えば、無傷細胞、透過化処理した細胞、あるいはin vitro 無細胞系すなわち再構成生化学系があり得る。MDDTをコードするポリヌクレオチドの発現における改変は、当分野で周知の任意の方法でアッセイする。通常は、MDDTをコードするポリヌクレオチドの配列に相補的なヌクレオチド配列を有するプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、特定のヌクレオチドの発現を検出する。ハイブリダイゼーション量を定量することにより、1つ以上の試験化合物に曝露される、または曝露されないポリヌクレオチドの発現の比較のための基礎を形成し得る。試験化合物に曝露されるポリヌクレオチドの発現における変化の検出は、ポリヌクレオチドの発現を改変する際に試験化合物が有効であることを示す。或る特定ポリヌクレオチドの改変発現に有効な化合物のためのスクリーニングを実行でき、例えば分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)遺伝子発現系(Atkins, D. 他(1999) 米国特許第5,932,435号、Arndt, G.M. 他(2000) Nucleic Acids Res.28:E15)またはHeLa細胞等のヒト細胞株(Clarke, M.L. 他(2000) Biochem. Biophys. Res. Commun. 268:8-13)を用いて行い得る。本発明の或る特定の実施態様は、或る特定ポリヌクレオチド配列に対するアンチセンス活性について、オリゴヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ペプチド核酸、修飾したオリゴヌクレオチド)のコンビナトリアルライブラリをスクリーニングする過程に関する(Bruice, T.W. 他(1997) 米国特許第5,686,242号、Bruice, T.W.他(2000) 米国特許第6,022,691号)。
ベクターを細胞または組織に導入する多数の方法が利用可能であり、in vivo、in vitro及びex vivoの使用に対して同程度に適している。ex vivo治療の場合、ベクターを、患者から採取した幹細胞内に導入し、クローニング増殖して同患者に自家移植で戻すことができる。トランスフェクションによる、またはリポソーム注入やポリカチオンアミノポリマーによる送達は、当分野で周知の方法を用いて実行することができる(Goldman, C.K.他(1997) Nat. Biotechnol. 15:462-466)。
上記の治療方法はどれも例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サルなどの哺乳類を含め、そうした治療が必要な任意の被験体に適用できる。
本発明の或る更なる実施態様は、薬剤的に許容される或る賦形剤と共に処方される或る活性成分を一般に有する、或る組成物の投与に関する。賦形剤には例えば、糖、でんぷん、セルロース、ゴムおよびタンパク質がある。様々な剤型が広く知られており、詳細はRemington's Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing, Easton PA)の最新版に記載されている。このような組成物は、MDDT、その抗体、擬態物質、アゴニスト、アンタゴニスト、またはインヒビターなどからなる。
多様な実施様態において、医薬品成分等の本明細書で記載されている組成物は、任意の数の経路によって投与することができ、限定するものではないが経路には、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、クモ膜下腔内、心室内、肺、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下または直腸がある。
肺から投与する組成物は、液状または乾燥粉末状で調製し得る。このような組成物は通常、患者が吸入する直前にエアロゾル化する。小分子(例えば伝統的な低分子量有機薬)の場合には、速効製剤のエアロゾル送達は当分野で公知である。高分子(例えばより大きなペプチドおよびタンパク質)の場合には、当該分野において肺の肺胞領域を介しての肺送達が最近発達したことにより、インスリンなどの薬物を実用的に血液循環へ輸送することを可能にした(Patton, J.S. 他, 米国特許第5,997,848号などを参照)。肺送達は、針注射なしに投与することが可能であり、有毒な可能性のある浸透エンハンサーの必要性をなくす。
本発明での使用に適した組成物には、所定の目的を達成するために必要なだけの量の活性成分を含有する組成物が含まれる。有効投与量の決定は、当業者の能力の範囲内で行う。
MDDTまたはその断片を含む高分子を直接細胞内に輸送するべく、特殊な種々の形状の組成物が調製され得る。例えば、細胞不透過性高分子を有するリポソーム製剤は、その高分子の細胞融合と細胞内送達とを促進し得る。別法では、MDDTまたはその断片を、HIV Tat-1タンパク質の陽イオンN末端部に結合することもできる。このようにして生成された融合タンパク質類は、或るマウスモデル系の、脳を含む全ての組織の細胞群に形質導入することがわかっている(Schwarze, S.R. 他(1999) Science 285:1569-1572)。
任意の化合物に対して、先ず細胞培養アッセイ例えば新生物細胞の細胞培養アッセイにおいて、或いは動物モデル例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルまたはブタ等において、治療有効用量を推定できる。動物モデルはまた、好適な濃度範囲および投与経路を決定するためにも用い得る。このような情報を用いて、次にヒトに対する有益な投与量および投与経路を決定することができる。
治療有効量とは、症状や容態を回復させる、たとえばMDDTまたはその断片、MDDTの抗体、アゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビターなど活性処方成分の量を指す。治療有効性及び毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬剤手法によって、例えばED50(集団の50%の治療有効量)またはLD50(集団の50%の致死量)の統計を計算するなどして決定することができる。毒性効果の、治療効果に対する用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示すような組成物が望ましい。細胞培養アッセイと動物実験とから得られたデータは、ヒトに用いる投与量の範囲の策定に用いられる。このような組成物に含まれる投与量は、毒性を殆どあるいは全く持たず、ED50を含むような血中濃度の範囲にあることが好ましい。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性および投与の経路によってこの範囲内で変わる。
正確な投与量は、治療が必要な被検者に関する要素を考慮して、実務医が決定することになる。充分なレベルの活性成分を与え、あるいは所望の効果を維持すべく、用法および用量を調整する。被検者に関する要素としては、病態の重症度、被検者の全身健康状態、患者の年齢、体重及び性別(ジェンダー)、投与の時間及び頻度、併用薬、反応感受性及び治療に対する応答等を考慮しうる。長時間作用性の組成物は、特定の製剤の半減期及びクリアランス速度によって3〜4日毎に1度、毎週、或いは隔週の間隔で投与し得る。
通常の投与量は、投与経路にもよるが約0.1〜100,000μgで、合計で約1gまでとする。特定の投与量および送達方法に関するガイダンスは文献に記載されており、当該分野の実務医は通常それを利用することができる。当業者は、ヌクレオチドの処方では、タンパク質またはそれらのインヒビター類とは異なる処方を利用することになる。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの送達は、特定の細胞、症状、部位などに特異的なものとなる。
(診断)
別の実施態様で、MDDT特異結合抗体を、MDDT発現で特徴付けられる障害の診断に、または、MDDTやそのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用い得る。診断目的に有用な抗体は、上記の治療の箇所で記載した方法と同じ方法で作成される。MDDTの診断アッセイには、ヒトの体液から、あるいは細胞や組織の抽出物から、抗体および標識を用いてMDDTを検出する方法が含まれる。この抗体は、修飾して、または修飾せずに使用される。また、レポーター分子との共有結合または非共有結合で標識化できる。レポーター分子としては広くさまざまな種類が本分野で知られており、また使用可能であるが、そのうちのいくつかは上記で説明されている。
別の実施態様で、MDDT特異結合抗体を、MDDT発現で特徴付けられる障害の診断に、または、MDDTやそのアゴニストまたはアンタゴニスト、インヒビターで治療を受けている患者をモニターするためのアッセイに用い得る。診断目的に有用な抗体は、上記の治療の箇所で記載した方法と同じ方法で作成される。MDDTの診断アッセイには、ヒトの体液から、あるいは細胞や組織の抽出物から、抗体および標識を用いてMDDTを検出する方法が含まれる。この抗体は、修飾して、または修飾せずに使用される。また、レポーター分子との共有結合または非共有結合で標識化できる。レポーター分子としては広くさまざまな種類が本分野で知られており、また使用可能であるが、そのうちのいくつかは上記で説明されている。
MDDTを測定するための、ELISA,RIA,及びFACSなど、種々のプロトコルは、当分野では周知であり、変容した或いは異常なレベルのMDDT発現を診断するための基盤を提供する。正常或いは標準的なMDDTの発現の値は、正常な哺乳動物、例えばヒトなどの被験体から採取した体液または細胞とMDDTに対する抗体とを複合体の形成に適した条件の下で結合させることによって決定する。標準複合体形成量は、種々の方法、例えば測光法で定量できる。被験体、対照および生検組織からの疾患サンプルで発現するMDDTの量を標準値と比較する。標準値と被験体との偏差が、疾患を診断するパラメータを確定する。
本発明の別の実施態様によれば、MDDTをコードするポリヌクレオチドを診断のために用いることもできる。用い得るポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド、相補的RNAおよびDNA分子、そしてPNAが含まれる。これらのポリヌクレオチドを用いて、MDDTの発現が疾患と相関し得る生検組織における遺伝子発現を検出し定量し得る。この診断アッセイを用いて、MDDTの存在の有無、更には過剰な発現を判定し、治療時のMDDTレベルの調節を監視する。
一実施形態では、MDDTをコードまたは近縁の分子をコードするポリヌクレオチド(例えばゲノム配列)を検出可能なPCRプローブ類とのハイブリダイゼーションによって、MDDTをコードする核酸配列を同定できる。プローブが高度に特異的な領域(例えば5'調節領域)から作られているか、或いはやや特異性の低い領域(例えば保存されたモチーフ)から作られているかにかかわらず、プローブの特異性と、ハイブリダイゼーション或いは増幅のストリンジェンシーとによって、そのプローブがMDDTをコードする天然配列のみを同定するかどうか、或いは対立遺伝子変異配列や関連配列を同定するかどうかが決まることとなる。
プローブはまた、関連する配列の検出に利用でき、また、MDDTをコードする任意の配列との少なくとも50%の配列同一性を有し得る。目的の本発明のハイブリダイゼーションプローブには、DNAあるいはRNAが可能であり、SEQ ID NO:49-96の配列、あるいはMDDT遺伝子のプロモーター、エンハンサー、イントロンを含むゲノム配列に由来し得る。
MDDTをコードするポリヌクレオチド群に対して特異的なハイブリダイゼーションプローブ群の作製方法としては、MDDTをコードまたはその誘導体群をコードするポリヌクレオチド群を、mRNAプローブ群の作製のためのベクター類にクローニングする方法を含む。mRNAプローブ作製のためのベクターは当該分野で既知であり、市販されており、適切なRNAポリメラーゼ及び適切な標識されたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを合成するために用いられ得る。ハイブリダイゼーションプローブは、種々のレポーター基によって標識され得る。レポーター基の例としては、32Pまたは35S等の放射性核種、或いはアビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合されたアルカリホスファターゼ等の酵素標識などが挙げられる。
MDDTをコードするポリヌクレオチドは、MDDTの発現に関係する疾患の診断の為に用い得る。限定するものではないが、このような疾患には細胞増殖異常、自己免疫/炎症疾患、発達障害、および神経障害が含まれ、細胞増殖異常の中には日光角化症、動脈硬化、アテローム硬化、滑液包炎、硬変、肝炎、混合性結合組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、真性多血症、乾癬、原発性血小板血症、並びに、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、および奇形癌など癌、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、頚部、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、および子宮の癌が含まれる。自己免疫/炎症疾患には、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アジソン病(慢性原発性副腎機能不全)、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド症、貧血、喘息、アテローム性動脈硬化、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性多腺性内分泌カンジダ症外胚葉ジストロフィー(APECED)、気管支炎、胆嚢炎、接触皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球傷害因子性偶発性リンパ球減少症、新生児溶血性疾患(胎児赤芽球症)、結節性紅斑、萎縮性胃炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋または心膜炎症、骨関節炎、骨粗しょう症、膵炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ様関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、ウェルナー症候群、癌合併症、血液透析、体外循環、ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、原虫感染症、蠕虫感染症、外傷が含まれる。発達障害には尿細管性アシドーシス、貧血、クッシング症候群、軟骨形成不全性小人症、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー、癲癇、性腺形成異常、WAGR症候群(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、尿生殖器異常、精神遅滞)、スミス‐マジェニス症候群(Smith- Magenis syndrome)、骨髄異形成症候群、遺伝性粘膜上皮異形成、遺伝性角皮症や、シャルコーマリーツース病および神経線維腫症などの遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症や、Syndenham舞踏病(Syndenham's chorea)および脳性小児麻痺などの発作障害、二分脊椎、無脳症、頭蓋脊椎披裂、先天性緑内障、白内障、感音難聴が含まれる。神経障害には、癲癇、虚血性脳血管障害、脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、痴呆、パーキンソン病およびその他の錐体外路障害、筋萎縮性側索硬化およびその他の運動ニューロン障害、進行性神経性筋萎縮症、網膜色素変性症(色素性網膜炎)、遺伝性運動失調、多発性硬化症および他の脱髄疾患、細菌性およびウイルス性髄膜炎、脳膿瘍、硬膜下膿瘍、硬膜外膿瘍、化膿性頭蓋内血栓性静脈炎、脊髄炎および神経根炎、ウイルス性中枢神経系疾患と、プリオン病(クールー、クロイツフェルト‐ヤコブ病、およびGerstmann-Straussler-Scheinker症候群を含む)、致死性家族性不眠症、神経系性栄養病および代謝病、神経線維腫症、結節硬化症、小脳網膜血管腫症(cerebelloretinal hemangioblastomatosis)、脳三叉神経血管症候群、ダウン症など中枢神経系性精神遅滞その他の発達障害、脳性麻痺、神経骨格異常症、自律神経系障害、脳神経障害、脊髄疾患、筋ジストロフィー他の神経筋障害、末梢神経疾患、皮膚筋炎および多発性筋炎と、遺伝性、代謝性、内分泌性、および中毒性ミオパシーと、重症筋無力症、周期性四肢麻痺、精神障害(気分性、不安性の障害、統合失調症/分裂病)、季節性感情障害(SAD)、静座不能、健忘症、緊張病、糖尿病性ニューロパシー、遅発性ジスキネジア、ジストニー、パラノイド精神病、帯状疱疹後神経痛、トゥーレット病、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性(corticobasal degeneration)、および家族性前頭側頭型痴呆とが含まれる。MDDTをコードするポリヌクレオチドは、変容したMDDT発現を検出するために患者から採取した体液或いは組織を利用する、サザーン法やノーザン法、ドットブロット法、或いはその他の膜系の技術や、PCR法や、ディップスティック(dipstick)、ピン(pin)、およびマルチフォーマットのELISA式アッセイ、およびマイクロアレイに使用可能である。このような定性方法または定量方法は、当分野で公知である。
或る特定の実施態様では、MDDTをコードするポリヌクレオチド群は、関連する疾患、特に前記したこれらを検出するアッセイにおいて有用であり得る。MDDTをコードする配列に相補的なポリヌクレオチド群を、標準的な方法で標識化し、ハイブリダイゼーション複合体の形成に好適な条件の下、患者から採取した体液或いは組織のサンプルに加えることができる。好適なインキュベーション期間が経過したらサンプルを洗浄し、シグナルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルのシグナルの量が対照サンプルに比較して有意に変化している場合は、そのサンプル内のMDDTをコードするポリヌクレオチド群のレベル変化の存在により、関連する疾患の存在が明らかになる。このようなアッセイは、動物実験、臨床試験における特定の治療効果を評価するため、あるいは個々の患者の治療をモニターするために用いることもできる。
MDDTの発現に関連する疾患の診断の基準を提供するために、発現の正常すなわち標準的なプロファイルが確立される。これは、ハイブリダイゼーションあるいは増幅に好適な条件の下、動物あるいはヒトのいずれかの正常な被験者から抽出された体液あるいは細胞と、MDDTをコードする配列あるいはその断片とを混合させることにより達成され得る。実質的に精製されたポリヌクレオチドを既知量で用いて行った実験から得た値を正常な被検体から得た値と比較することにより、標準ハイブリダイゼーションを定量することができる。このようにして得た標準値は、疾患の徴候を示す患者から得たサンプルから得た値と比較することができる。標準値からの偏差を用いて疾患の存在を確定する。
障害の存在が確定されて治療プロトコルが開始されると、患者の発現レベルが正常な被検者に観察されるレベルに近づき始めたかどうかを測定するため、ハイブリダイゼーションアッセイを定期的に繰り返し得る。経時的なアッセイから得られた結果を用いて、数日から数ヶ月の期間にわたる治療の効果を示し得る。
癌に関しては、個体からの生検組織における異常な量の転写物(過少発現または過剰発現)の存在は、疾患の発生素質を示したり、実際に臨床症状が現れる前に疾患を検出する方法を提供し得る。この種のより明確な診断により、医療の専門家が予防処置または積極的な治療法を早くから利用し、それによって癌の発生または更なる進行を防止することが可能となる。
MDDTをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドのさらなる診断への利用には、PCRの利用が含まれ得る。これらのオリゴマーは、化学的に合成するか、酵素により生産するか、あるいはin vitroで産出し得る。オリゴマーは、好ましくはMDDTをコードするポリヌクレオチドの断片を、或いはMDDTをコードするポリヌクレオチドに対し相補的なポリヌクレオチドの断片を含み、最適な条件下で、特定の遺伝子や条件を識別するために利用される。また、オリゴマーは、やや緩いストリンジェンシー条件下で、近縁のDNAあるいはRNA配列の検出、定量、あるいはその両方のため用いることが可能である。
或る特定態様で、MDDTをコードするポリヌクレオチド群に由来のオリゴヌクレオチドプライマー類を用い一塩基多型(SNP)を検出し得る。SNPは、多くの場合にヒトの先天性または後天性遺伝病の原因となるような置換、挿入及び欠失である。限定はされないがSNPの検出法は、SSCP(single-stranded conformation polymorphism:一本鎖高次構造多型)と蛍光SSCP(fSSCP)がある。SSCPでは、MDDTをコードするポリヌクレオチド群に由来のオリゴヌクレオチドプライマー類とポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を用いDNAを増幅する。このDNAは例えば、患部組織または正常組織、生検サンプル、体液などに由来し得る。DNA内のSNPは、一本鎖形状のPCR生成物の2次及び3次構造に差異を生じさせる。差異は非変性ゲル中でのゲル電気泳動法を用いて検出可能である。fSSCPでは、オリゴヌクレオチドプライマーを蛍光性に標識する。それによってDNAシークエンシング機などの高処理機器でアンプリマー(amplimer)の検出が可能になる。更に、インシリコSNP(in silico SNP, isSNP)と呼ばれる配列データベース分析法は、共通のコンセンサス配列へアセンブリされるような個々のオーバーラップするDNA断片群の配列を比較することにより、多型性を同定し得る。これらのコンピュータベースの方法は、DNAの実験室での調製に、または統計モデルとDNA配列クロマトグラムの自動分析とを用いたシークエンシングのエラーに起因する配列変異を、フィルタリングして除去する。別の態様では、例えば高処理MASSARRAYシステム(Sequenom, Inc., San Diego CA)を用いた質量分析によりSNPを検出し、特徴付ける。
SNPを利用して、ヒト疾患の遺伝的基礎を研究しうる。例えば少なくとも16種の一般的SNPが、インスリン非依存型糖尿病と関連している。SNPはまた、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、慢性肉芽腫症等の単一遺伝子病の転帰の違いを研究するために有用である。例えば、マンノース結合レクチンであるMBL2における変異体群は、嚢胞性線維症における有害な肺の転帰との相関が示されている。SNPはまた、薬理ゲノム学においても有用性を持つ。薬理ゲノム学は、患者の薬物への応答(例えば命を脅かす毒性)に影響する遺伝的変異体の同定を行う。例えばNアセチル転移酵素における或る変異は、抗結核薬であるイソニアジドに応答しての末梢ニューロパシーの高い発症率と関連する。一方、ALOX5遺伝子のコアプロモータにおける或る変異の結果、5-リポキシゲナーゼ経路を標的とする或る抗喘息薬での治療に対する臨床応答が低下する。異なる集団群におけるSNPの分布の分析は、遺伝的浮動、突然変異、遺伝子組換え、遺伝子選択の調査に有用であり、集団の起源とその移動との追跡にも有用である(Taylor, J.G.他(2001) Trends Mol. Med. 7:507-512、Kwok, P.-Y.およびZ. Gu (1999) Mol. Med. Today 5:538-543、Nowotny, P. 他(2001) Curr. Opin. Neurobiol. 11:637-641)。
MDDTの発現を定量するために用い得る別の方法の例としては、ヌクレオチド群の放射標識またはビオチン標識、対照核酸の共増幅(coamplification)、および、標準曲線から得た結果の補間もある(Melby, P.C 他(1993) J. Immunol. Methods 159:235-244、Duplaa, C.他(1993) Anal. Biochem. 212:229-236)。当該のオリゴマーまたはポリヌクレオチドが種々の希釈度で存在し、分光応答または比色反応によって定量が迅速になるような高処理フォーマットのアッセイを行うことによって、複数サンプルの定量速度を加速できる。
更に別の実施態様では、本願に記載した任意のポリヌクレオチドに由来するオリゴヌクレオチドまたはより長い断片を、或るマイクロアレイにおけるエレメント群として用いることができる。多数の遺伝子の相対発現レベルを同時にモニターする転写イメージング技術にマイクロアレイを用いることが可能である。これについては、以下に記載する。マイクロアレイはまた、遺伝変異体、突然変異および多型性の同定に用いることができる。この情報を用いることで、遺伝子機能を決定し、疾患の遺伝的根拠を理解し、疾患を診断し、遺伝子発現の機能としての疾病の進行/退行をモニターし、疾病治療における薬物の活性を開発およびモニターすることができる。特に、患者にとって最もふさわしく、有効な治療法を選択するために、この情報を用いて患者の薬理ゲノムプロファイルを開発することができる。例えば、患者の薬理ゲノムプロファイルに基づき、患者に対して高度に効果的で副作用の最も少ない治療薬を選択することができる。
別の実施態様では、MDDT、その断片群または、MDDTに特異的な抗体類を、或るマイクロアレイ上のエレメント群として用い得る。マイクロアレイを用いて、上記のようなタンパク質間相互作用、薬物−標的相互作用および遺伝子発現プロファイルをモニターまたは測定できる。
或る実施態様は、或る組織または細胞タイプの転写イメージを作製する、本発明のポリヌクレオチドの使用に関連する。転写イメージは、特定の組織または細胞タイプによる、遺伝子発現の包括的パターンを表す。包括的遺伝子発現パターンは、所与の条件下で所与の時間に発現した遺伝子の数および相対存在量を定量することにより分析し得る(Seilhamer 他の米国特許第5,840,484号 「Comparative Gene Transcript Analysis」は特に引用することを以って本明細書の一部となす)。従って、特定の組織または細胞タイプの転写物または逆転写物全体に本発明のポリヌクレオチドまたはその相補体をハイブリダイズすることにより、転写イメージを生成し得る。一実施態様では、本発明のポリヌクレオチドまたはそれらの相補体が1マイクロアレイ上に複数エレメントの1サブセットを持つような高処理フォーマットでハイブリダイゼーションを発生させる。結果として得られる転写イメージは、遺伝子活性のプロファイルを提供するであろう。
転写イメージは、組織、細胞株、生検、または他の生体サンプルから単離した転写物を用いて作製し得る。転写イメージはしたがって、組織または生検サンプルの場合にはin vivo、細胞株の場合にはin vitroでの遺伝子発現を反映する。
本発明のポリヌクレオチドの発現のプロファイルを作製する転写イメージはまた、in vitroモデル系および医薬品の前臨床評価に、あるいは工業的または天然の環境化合物の毒性試験に関連して使用し得る。全ての化合物は、作用および毒性のメカニズムを標示し、しばしば分子フィンガープリントまたは毒性シグネチャ(toxicant signatures)と称される、特徴的な遺伝子発現パターンを惹起する(Nuwaysir, E.F. 他(1999) Mol. Carcinog. 24:153-159、Steiner, S.およびN.L. Anderson (2000) Toxicol. Lett. 112-113:467-471)。試験化合物が、既知の毒性を有する化合物のシグネチャと同様のシグネチャを有する場合には、毒性特性を共有している可能性がある。フィンガープリントまたはシグネチャは、多数の遺伝子および遺伝子ファミリからの発現情報を含んでいる場合に、最も有用且つ精緻である。理想的には、ゲノム全域にわたる発現の測定が、最高品質のシグネチャを提供する。たとえ発現が任意の試験された化合物によって変容しない遺伝子があったとしても、それらの発現レベルを残りの発現データをノーマライズするために使用できるため、それらの遺伝子も重要である。ノーマライズ手順は、種々の化合物で処理した後の発現データの比較に有用である。或る毒性シグネチャのエレメント群に遺伝子機能を割り当てることは毒性機序の解釈に役立つが、毒性の予測につながる、シグネチャ群の統計的マッチングには、遺伝子機能の知識は必要でない(例えばNational Institute of Environmental Health SciencesのPress Release 00-02、2000年2月29日, http://www.niehs.nih.gov/oc/news/toxchip.htm参照)。したがって、毒性シグネチャを用いる中毒学的スクリーニングの際に、全ての発現した遺伝子配列を含めることは、重要且つ望ましい。
或る実施態様では、核酸を有する生体サンプルを試験化合物で処理することにより、この試験化合物の毒性を算定しうる。処理した生体サンプル中で発現した核酸は、本発明のポリヌクレオチドに特異的な1つ以上のプローブでハイブリダイズし、それによって本発明のポリヌクレオチドに対応する転写物レベルを定量し得る。処理した生体サンプル中の転写レベルを、無処理生体サンプル中のレベルと比較する。両サンプルの転写物レベルの差は、処理されたサンプル中で試験化合物が引き起こす毒性反応を示す。
別の実施態様は、本発明で開示するポリペプチド群を用いた、或る組織または細胞タイプのプロテオームの分析に関する。プロテオームの語は、特定の組織または細胞タイプでのタンパク質発現の包括的パターンを指す。プロテオームの各タンパク質成分は、個々に更なる分析にかけることができる。プロテオーム発現パターンすなわちプロファイルは、所与の条件下で所与の時間に発現したタンパク質の数および相対存在量を定量することにより分析する。したがって、或る細胞のプロテオームのプロファイルは、特定の組織または細胞タイプのポリペプチドを分離および分析することにより作成し得る。或る実施態様では、1次元等電点電気泳動によりサンプルからタンパク質を分離し、2次元ドデシル硫酸ナトリウムスラブゲル電気泳動により分子量に応じて分離するような2次元ゲル電気泳動により、分離が達成される(前出SteinerおよびAnderson)。タンパク質は、通常はクーマシーブルー、あるいは銀染色液または蛍光染色液などの物質を用いてゲルを染色することにより、分散した、独自の位置にある点としてゲル中で可視化される。各タンパク質スポットの光学密度は、通常、サンプル中のタンパク質レベルに比例する。異なるサンプル、例えば試験化合物または治療薬で処理または未処理のいずれかの生体サンプルからの、同等に位置したタンパク質スポットの光学密度を比較し、処理に関連するタンパク質スポット密度の変化を同定する。スポット内のタンパク質は、例えば化学的または酵素的切断とそれに続く質量分析を用いる標準的な方法を用いて部分的にシークエンシングする。或るスポット内のタンパク質の同一性は、その部分配列を、好適には少なくとも5個の連続するアミノ酸残基を、当該のポリペプチド配列と比較することにより決定し得る。場合によっては、決定的なタンパク質同定のための更なる配列データが得られる。
プロテオームのプロファイルは、MDDTに特異的な抗体を用いてMDDT発現レベルを定量することによっても作成可能である。或る実施態様では、マイクロアレイ上のエレメントとしてこれら抗体を用い、マイクロアレイをサンプルに曝して各アレイエレメントへのタンパク質結合レベルを検出することにより、タンパク質発現レベルを定量する(Lueking, A. 他(1999) Anal. Biochem. 270:103-111、Mendoze, L.G.他(1999) Biotechniques 27:778-788)。検出は当分野で既知の様々な方法で行うことができ、例えば、チオール反応性またはアミノ反応性蛍光化合物とサンプル中のタンパク質を反応させ、各アレイエレメントにおける蛍光結合の量を検出し得る。
プロテオームレベルでの毒性シグネチャも中毒学的スクリーニングに有用であり、転写レベルでの毒性シグネチャと並行に分析するべきである。いくつかの組織のいくつかのタンパク質については、転写物の存在量とタンパク質の存在量との相関が乏しいので(Anderson, N.L. および J. Seilhamer(1997)Electrophoresis 18:533-537)、転写イメージにはそれ程影響しないがプロテオームのプロファイルを改変するような化合物の分析において、プロテオーム毒性シグネチャは有用たり得る。更に、体液中の転写物の分析はmRNAの急速な分解のために困難なので、プロテオームのプロファイル作成はこのような場合により信頼でき、情報価値があり得る。
別の実施態様では、タンパク質を含有する生体サンプルを試験化合物で処理することにより試験化合物の毒性を算定する。処理された生体サンプル中で発現したタンパク質は、各タンパク質の量を定量し得るように分離する。各タンパク質の量を、未処理生物学的サンプル中の対応するタンパク質の量と比較する。両サンプルのタンパク質の量の差は、処理サンプル中の試験化合物に対する毒性反応を標示する。個々のタンパク質は、個々のタンパク質のアミノ酸残基をシークエンシングし、これら部分配列を本発明のポリペプチドと比較することにより同定する。
別の実施態様では、タンパク質を含有する生体サンプルを試験化合物で処理することにより試験化合物の毒性を算定する。生体サンプルから得たタンパク質は、本発明のポリペプチドに特異的な抗体を用いてインキュベートする。抗体により認識されたタンパク質の量を定量する。処理された生物学的サンプル中のタンパク質の量を、未処理生物学的サンプル中のタンパク質の量と比較する。両サンプルのタンパク質の量の差は、処理サンプル中の試験化合物に対する毒性反応を標示する。
マイクロアレイは、本技術分野で既知の方法で調製、使用し、分析しうる(Brennan, T.M. 他(1995)米国特許第5,474,796号、Schena, M. 他(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614-10619、Baldeschweiler 他(1995)PCT出願第WO95/251116号、Shalon, D.他(1995)PCT出願第WO95/35505号、Heller, R.A. 他(1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155; Heller, M.J.他(1997) 米国特許第5,605,662号)。様々なタイプのマイクロアレイが公知であり、詳細については、Schena, M 編集(1999; DNA Microarrays:A Practical Approach, Oxford University Press, London)に記載されている。
本発明の別の実施態様ではまた、MDDTをコードする核酸配列を用いて、天然のゲノム配列をマッピングするのに有用なハイブリダイゼーションプローブを作製することが可能である。コード配列または非コード配列のいずれかを用いることができ、或る例では、コード配列より非コード配列の方が好ましい。例えば、多重遺伝子族のメンバー内でのコード配列の保存により、染色体マッピング中に望ましくないクロスハイブリダイゼーションが生じる可能性がある。核酸配列は、特定の染色体、染色体の特定領域または人工染色体構成、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1構成、或いは単一染色体cDNAライブラリに対してマッピングされる(Harrington, J.J.他(1997) Nat. Genet. 15:345-355、Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127134、Trask, B.J. (1991) Trends Genet.7:149154)。一度マッピングすると、核酸配列群を用いて、例えば或る病状の遺伝を特定染色体領域の遺伝とまたは制限酵素断片長多型(RFLP)と相関させるような遺伝子連鎖地図を開発し得る(Lander, E.S.およびD. Botstein (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:7353-7357)。
蛍光切片上ハイブリッド形成(FISH)は、他の物理地図および遺伝地図データと相関し得る(Heinz-Ulrich他(1995) in Meyers, 前出、965-968ページ)。遺伝地図データの例は、種々の科学雑誌あるいはOnline Mendelian Inheritance in Man(OMIM)のウェブサイトに見られる。物理的染色体地図上の、MDDTをコードする遺伝子の位置と、特定の疾患との相関性、あるいは特定の疾患に対する素因との相関性は、この疾患と関連するDNAの領域の決定に役立ち得るため、ポジショナルクローニングの作業を促進し得る。
確定した染色体マーカー類を用いた連鎖解析などの物理的マッピング技術、および染色体標本の切片上ハイブリッド形成法を用いて、遺伝地図を拡張することができる。例えばマウスなど別の哺乳類の染色体上に遺伝子を配置することにより、正確な染色体上の遺伝子座が未知でも、関連するマーカー類をしばしば明らかにし得る。この情報は、ポジショナルクローニングなどの遺伝子発見技術を用いて疾患遺伝子を探る研究者にとって価値がある。いったん疾患または症候群に関与する遺伝子(群)が、血管拡張性失調症の11q22-23領域など、特定のゲノム領域へ遺伝連鎖によって大まかに限局されると、該領域にマップされる任意の配列は、更なる調査のための関連遺伝子あるいは制御遺伝子を提示している可能性がある(Gatti, R.A.他(1988) Nature 336:577-580)。転座、反転などに起因する、健常者、保因者、罹病者の三者間における染色体位置の相違を検出する場合にも、本発明のヌクレオチド配列を用い得る。
本発明の別の実施態様では、MDDT、その触媒作用断片、或いは免疫原断片、またはそのオリゴペプチドを、種々の任意の薬物スクリーニング技術での、化合物群のライブラリ類のスクリーニングに用い得る。薬物スクリーニングに用いる断片は、溶液中に遊離しているか、固体支持体に固定されるか、細胞表面上に保持されるか、細胞内に位置しうる。MDDTと試験する薬剤との結合による複合体の形成を測定し得る。
別の薬物スクリーニング技術は、当該のタンパク質に対して好適な結合親和性を有する化合物を高い処理能力でスクリーニングするために用いられる(Geysen他(1984)PCT出願WO84/03564)。この方法においては、多数の様々な低分子の試験用化合物を固体基板上で合成する。試験用化合物は、MDDT、或いはその断片と反応してから洗浄される。結合したMDDTを次に、当分野で周知の種々の方法で検出する。精製したMDDTはまた、上記した薬物スクリーニング技術に用いるプレート上に直接コーティングもできる。別法では、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、ペプチドを固体支持体に固定することもできる。
別の実施例では、MDDTと特異結合可能な中和抗体がMDDTとの結合について試験化合物と競合する、競合的薬物スクリーニングアッセイを用いることができる。この方法では、抗体を用いて、1つ以上の抗原決定基をMDDTと共有するどのペプチドの存在をも検出できる。
別の実施態様では、MDDTをコードするヌクレオチド配列群を、将来に開発される分子生物学技術であり、現在知られているヌクレオチド配列群の諸特性(限定はされないが、トリプレット遺伝コード、特異的な塩基対相互作用等を含む)に依存するあらゆる新技術に用い得る。
更に詳細説明をしなくとも、当業者であれば以上の説明を以って本発明を最大限に利用できるであろう。したがって、これ以下に記載する実施例は単なる例示目的にすぎず、いかようにも本発明を限定するものではない。
本明細書において開示した全ての特許、特許出願および刊行物、特に米国特許出願第60/328,944号、第60/332,430号、第60/343,880号、第60/345,143号および第60/345,384号は、言及することをもって本明細書の一部となす。
1 cDNAライブラリの作製
Incyte cDNA群の由来は、LIFESEQ GOLDデータベース (Incyte Genomics, Palo Alto CA)に記載されたcDNAライブラリ群である。幾つかの組織はホモジナイズしてグアニジニウムイソチオシアネートに溶解し、他の組織はホモジナイズしてフェノールにまたは変性剤群の好適な混合液に溶解した。混合液の1例であるTRIZOL(Invitrogen)は、フェノールとグアニジンイソチオシアネートとの一相溶液である。結果として得た溶解物は、塩化セシウムのクッション液の上に重層して遠心分離するか、クロロフォルムで抽出した。イソプロパノールか、酢酸ナトリウムとエタノールか、いずれか一方、あるいは別の慣例的方法で、溶解物からRNAを沈殿させた。
Incyte cDNA群の由来は、LIFESEQ GOLDデータベース (Incyte Genomics, Palo Alto CA)に記載されたcDNAライブラリ群である。幾つかの組織はホモジナイズしてグアニジニウムイソチオシアネートに溶解し、他の組織はホモジナイズしてフェノールにまたは変性剤群の好適な混合液に溶解した。混合液の1例であるTRIZOL(Invitrogen)は、フェノールとグアニジンイソチオシアネートとの一相溶液である。結果として得た溶解物は、塩化セシウムのクッション液の上に重層して遠心分離するか、クロロフォルムで抽出した。イソプロパノールか、酢酸ナトリウムとエタノールか、いずれか一方、あるいは別の慣例的方法で、溶解物からRNAを沈殿させた。
RNAの純度を高めるため、フェノールによるRNAの抽出および沈殿を、必要な回数繰り返した。場合によっては、DNアーゼでRNAを処理した。殆どのライブラリでは、オリゴd(T)連結常磁性粒子(Promega)、OLIGOTEXラテックス粒子(QIAGEN, Chatsworth CA)またはOLIGOTEX mRNA精製キット(QIAGEN)を用いて、ポリ(A)+RNAを単離した。別法では、別のRNA単離キット、例えばPOLY(A)PURE mRNA精製キット(Ambion, Austin TX)を用いて、組織溶解物からRNAを直接単離した。
場合によってはStratagene社にRNAを提供し、同社が、対応するcDNAライブラリ群を作製した。そうでない場合は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)またはSUPERSCRIPTプラスミドシステム(Invitrogen)を用いて本技術分野で既知の推奨方法または類似の方法でcDNAを合成し、cDNAライブラリを作製した(前出Ausubel他、5章)。逆転写は、オリゴd(T)またはランダムプライマーを用いて開始した。合成オリゴヌクレオチドアダプターを二本鎖cDNAに連結し、好適な制限酵素または酵素群でcDNAを消化した。殆どのライブラリに対しcDNAのサイズ選択(300〜1000bp)は、SEPHACRYL S1000、SEPHAROSE CL2BまたはSEPHAROSE CL4Bカラムクロマトグラフィ(Amersham Biosciences)、あるいは分取用アガロースゲル電気泳動法を用いて行った。cDNAは好適なプラスミドのポリリンカーの、適合する制限酵素部位にライゲーションされた。好適なプラスミドは、例えばPBLUESCRIPTプラスミド(Stratagene)、PSPORT1プラスミド(Invitrogen, Carlsbad CA)、PCDNA2.1プラスミド(Invitrogen)、PBK-CMVプラスミド(Stratagene)、PCR2−TOPOTAプラスミド(Invitrogen)、PCMV-ICISプラスミド(Stratagene)、pIGEN(Incyte Genomics, Palo Alto CA)、pRARE (Incyte Genomics)、またはplNCY(Incyte Genomics)、またはこれらの誘導体である。組換えプラスミドは、Stratagene社のXL1-Blue、XL1-BIueMRFまたはSOLR、あるいはInvitrogen社のDH5α、DH10BまたはElectroMAX DH10Bなど適格な大腸菌細胞に形質転換した。
2 cDNAクローンの単離
実施例1のようにして得たプラスミドの、宿主細胞からの回収は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)を用いたin vivo切除によって、あるいは細胞溶解によって行った。プラスミドを精製する方法は、MagicまたはWIZARD Minipreps DNA精製システム(Promega)、AGTC Miniprep精製キット(Edge Biosystems, Gaithersburg MD)、QIAGEN社のQIAWELL 8 Plasmid、QIAWELL 8 Plus PlasmidおよびQIAWELL 8 Ultra Plasmid 精製システム、R.E.A.L. Prep 96プラスミド精製キットの中から少なくとも1つを用いた。プラスミドは、沈殿させた後、0.1mlの蒸留水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍結乾燥しないで4℃で保管した。
実施例1のようにして得たプラスミドの、宿主細胞からの回収は、UNIZAPベクターシステム(Stratagene)を用いたin vivo切除によって、あるいは細胞溶解によって行った。プラスミドを精製する方法は、MagicまたはWIZARD Minipreps DNA精製システム(Promega)、AGTC Miniprep精製キット(Edge Biosystems, Gaithersburg MD)、QIAGEN社のQIAWELL 8 Plasmid、QIAWELL 8 Plus PlasmidおよびQIAWELL 8 Ultra Plasmid 精製システム、R.E.A.L. Prep 96プラスミド精製キットの中から少なくとも1つを用いた。プラスミドは、沈殿させた後、0.1mlの蒸留水に再懸濁して、凍結乾燥して或いは凍結乾燥しないで4℃で保管した。
別法ではハイスループットフォーマットで直接結合PCRを用い、宿主細胞溶解物からプラスミドDNAを増幅した(Rao, V.B.(1994)Anal. Biochem. 216:1-14)。宿主細胞の溶解および熱サイクリング過程は、単一反応混合液中で行った。サンプルをプロセスして384穴プレート内で保管し、増幅したプラスミドDNAの濃度をPICOGREEN色素(Molecular Probes, Eugene OR)およびFLUOROSKAN II蛍光スキャナ(Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光分析的に定量した。
3 シークエンシング及び分析
実施例2に記載したようにプラスミド中に回収したIncyte cDNAを、以下に示すようにシークエンシングした。シークエンス反応は、標準的方法あるいは高処理装置、例えばABI CATALYST 800 サーマルサイクラー(Applied Biosystems)またはPTC-200 サーマルサイクラー(MJ Research)を、HYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific)またはMICROLAB 2200(Hamilton)液体転移システムと併用して処理した。cDNAのシークエンス反応は、Amersham Biosciences社が提供する試薬、またはABIシークエンシングキット、例えばABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reaction kit(Applied Biosystems)の試薬を用いて準備した。cDNAのシークエンス反応の電気泳動的分離と、標識したポリヌクレオチドの検出とには、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Amersham Biosciences)か、標準ABIプロトコルとベースコーリングソフトウェアとを用いるABI PRISM 373または377シークエンシングシステム(Applied Biosystems)か、あるいはその他の本技術分野で既知の配列解析システムを用いた。cDNA配列内のリーディングフレームは、標準的方法(前出Ausubel他、7章)を用いて同定した。いくつかのcDNA配列を選択し、実施例8に開示する技術で配列を伸長させた。
実施例2に記載したようにプラスミド中に回収したIncyte cDNAを、以下に示すようにシークエンシングした。シークエンス反応は、標準的方法あるいは高処理装置、例えばABI CATALYST 800 サーマルサイクラー(Applied Biosystems)またはPTC-200 サーマルサイクラー(MJ Research)を、HYDRAマイクロディスペンサー(Robbins Scientific)またはMICROLAB 2200(Hamilton)液体転移システムと併用して処理した。cDNAのシークエンス反応は、Amersham Biosciences社が提供する試薬、またはABIシークエンシングキット、例えばABI PRISM BIGDYE Terminator cycle sequencing ready reaction kit(Applied Biosystems)の試薬を用いて準備した。cDNAのシークエンス反応の電気泳動的分離と、標識したポリヌクレオチドの検出とには、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(Amersham Biosciences)か、標準ABIプロトコルとベースコーリングソフトウェアとを用いるABI PRISM 373または377シークエンシングシステム(Applied Biosystems)か、あるいはその他の本技術分野で既知の配列解析システムを用いた。cDNA配列内のリーディングフレームは、標準的方法(前出Ausubel他、7章)を用いて同定した。いくつかのcDNA配列を選択し、実施例8に開示する技術で配列を伸長させた。
Incyte cDNAに由来のポリヌクレオチド配列は、ベクター、リンカーおよびポリ(A)配列を除去し、あいまいな塩基をマスクして検証した。その際、BLASTと、動的プログラミングと、隣接ジヌクレオチド分析(dinucleotide nearest neighbor analysis)とに基づく、アルゴリズムとプログラムとを用いた。次に、Incyte cDNA配列またはそれらの翻訳の問い合わせを、以下のデータベース群に対して行った。すなわち、選抜した公共のデータベース群(例えばGenBankの霊長類、げっ歯類、哺乳類、脊椎動物、真核生物のデータベースと、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOM)と、ヒト、ラット、マウス、線虫(Caenorhabditis elegans)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)およびCandida albicansからの配列群を持つPROTEOMEデータベース群(Incyte Genomics, Palo Alto CA)、および、隠れマルコフモデル(HMM)ベースのタンパク質ファミリーデータベース群、例えばPFAM、INCY、およびTIGRFAM (Haft, D.H. 他(2001) Nucleic Acids Res.29:41-43)、並びにHMMベースのタンパク質ドメインデータベースたとえばSMART(Schultz. J.他(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:5857-5864; Letunic, I. 他(2002) Nucleic Acids Res.30:242-244)。(HMMは、遺伝子ファミリーのコンセンサス1次構造を分析する確率的アプローチである。例えば、Eddy, S.R. (1996) Curr. Opin. Struct. Biol. 6:361-365を参照)。問合せは、BLAST、FASTA、BLIMPS、およびHMMERに基づくプログラムを用いて行った。Incyte cDNA配列をアセンブリし、完全長のポリヌクレオチド配列を産出した。あるいは、GenBank cDNA群、GenBank EST群、スティッチされた配列群、ストレッチされた配列群、またはGenscan予測コード配列群(実施例4および5を参照)を用い、Incyte cDNAのアセンブリ体群を完全長まで伸長させた。PhredとPhrapとConsedとに基づくプログラムを用いてアセンブリし、GenMarkとBLASTとFASTAとに基づくプログラムを用いて、cDNAのアセンブリ体を、オープンリーディングフレームについてスクリーニングした。完全長ポリヌクレオチド配列を翻訳し、対応する完全長ポリペプチド配列を得た。あるいは、或るポリペプチドは、完全長翻訳ポリペプチドの任意のメチオニン残基で開始し得る。完全長ポリペプチド配列群の続いての分析としての問い合わせを、GenBankタンパク質データベース群(genpept)、SwissProt、PROTEOMEデータベース群、BLOCKS、PRINTS、DOMO、PRODOMおよびProsite等のデータベースや、PFAM、INCY、およびTIGRFAM等の隠れマルコフモデル(HMM)ベースのタンパク質ファミリーデータベース群、並びにSMART等のHMMベースのタンパク質ドメインデータベース群に対し行った。完全長ポリヌクレオチド配列はまた、MACDNASIS PROソフトウェア(MiraiBio, Alameda CA)およびLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて分析する。ポリヌクレオチドとポリペプチドとの配列アラインメントは、MEGALIGNマルチシークエンスアラインメントプログラム(DNASTAR)に組込まれたCLUSTALアルゴリズムが指定する、デフォルトパラメータを用いて作製する。これは、アラインメントした配列間の一致率も計算する。
表7は、Incyte cDNAと完全長配列との分析とアセンブリとに用いたツールとプログラムとアルゴリズムとの概略と、適用可能な説明、参照文献、閾値パラメータを示す。用いたツール、プログラム及びアルゴリズムを表7の列1に、それらの簡単な説明を列2に示す。列3は好適な参照文献であり、全ての文献の全体が、この参照により開示に含まれる。適用可能な場合には、列4は2つの配列が一致する強さを評価するために用いたスコア、確率値その他のパラメータを示す(スコアが高いほど、または確率値が低いほど、2配列間の相同性が高くなる)。
完全長ポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列のアセンブリ及び分析に用いる上記のプログラムは、SEQ ID NO:49-96のポリヌクレオチド配列断片の同定にも利用できる。ハイブリダイゼーション及び増幅技術に有用である約20〜約4000ヌクレオチドの断片を表4の列2に示した。
4 ゲノムDNAからのコード配列の同定及び編集
推定上の疾患検出および治療用分子類の同定は、先ずGenscan遺伝子同定プログラムを、公共のゲノム配列データベース(例えば、gbpriやgbhtg)に対して実行した。Genscanは汎用遺伝子同定プログラムであり、様々な生物からのゲノムDNA配列を分析する(Burge, C. および S. Karlin(1997)J. Mol. Biol. 268:78-94、Burge, C. および S. Karlin(1998)Curr. Opin. Struct. Biol. 8:346-354)。このプログラムは予測されたエキソン群を連結し、メチオニンから終止コドンに及ぶ、アセンブリされたcDNA配列を形成する。Genscanの出力は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列のFASTAデータベースである。Genscanが一度に分析する配列の最大範囲は、30kbに設定した。これらのGenscan予測cDNA配列の内、どの配列が疾患検出および治療用分子をコードするかを決定するために、コードされるポリペプチドを、PFAMモデル群に対し疾患検出および治療用分子について問合せて分析した。潜在的な疾患検出および治療用分子はまた、既に疾患検出および治療用分子として注釈が付けられたIncyte cDNA配列群に対する相同性により、同定した。これら選択したGenscan予測配列を、次にBLAST分析により、公共データベースgenpeptおよびgbpriと比較した。必要であれば、genpeptからのトップBLASTヒットと比較することによりGenscan予測配列を編集し、余分なまたは省略されたエキソンなど、Genscanが予測した配列におけるエラーを補正した。BLAST分析はまた、Genscan予測配列の、いかなるIncyte cDNAまたは公共cDNA適用範囲の発見にも用いられ、したがって転写の証拠を提供した。Incyte cDNAカバレッジが利用できた場合には、この情報を用いてGenscan予測配列を補正または確認した。完全長ポリヌクレオチド配列は、実施例3に記載のアセンブリプロセスを用い、Incyte cDNA配列および/または公共cDNA配列でGenscan予測コード配列をアセンブリして得た。あるいは、完全長ポリヌクレオチド配列は、編集後または非編集のGenscan予測コード配列に、完全に由来する。
推定上の疾患検出および治療用分子類の同定は、先ずGenscan遺伝子同定プログラムを、公共のゲノム配列データベース(例えば、gbpriやgbhtg)に対して実行した。Genscanは汎用遺伝子同定プログラムであり、様々な生物からのゲノムDNA配列を分析する(Burge, C. および S. Karlin(1997)J. Mol. Biol. 268:78-94、Burge, C. および S. Karlin(1998)Curr. Opin. Struct. Biol. 8:346-354)。このプログラムは予測されたエキソン群を連結し、メチオニンから終止コドンに及ぶ、アセンブリされたcDNA配列を形成する。Genscanの出力は、ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列のFASTAデータベースである。Genscanが一度に分析する配列の最大範囲は、30kbに設定した。これらのGenscan予測cDNA配列の内、どの配列が疾患検出および治療用分子をコードするかを決定するために、コードされるポリペプチドを、PFAMモデル群に対し疾患検出および治療用分子について問合せて分析した。潜在的な疾患検出および治療用分子はまた、既に疾患検出および治療用分子として注釈が付けられたIncyte cDNA配列群に対する相同性により、同定した。これら選択したGenscan予測配列を、次にBLAST分析により、公共データベースgenpeptおよびgbpriと比較した。必要であれば、genpeptからのトップBLASTヒットと比較することによりGenscan予測配列を編集し、余分なまたは省略されたエキソンなど、Genscanが予測した配列におけるエラーを補正した。BLAST分析はまた、Genscan予測配列の、いかなるIncyte cDNAまたは公共cDNA適用範囲の発見にも用いられ、したがって転写の証拠を提供した。Incyte cDNAカバレッジが利用できた場合には、この情報を用いてGenscan予測配列を補正または確認した。完全長ポリヌクレオチド配列は、実施例3に記載のアセンブリプロセスを用い、Incyte cDNA配列および/または公共cDNA配列でGenscan予測コード配列をアセンブリして得た。あるいは、完全長ポリヌクレオチド配列は、編集後または非編集のGenscan予測コード配列に、完全に由来する。
5 cDNA配列データを使ったゲノム配列データのアセンブリ
スティッチ配列(Stitched Sequence)
部分cDNA配列群を伸長させるため、実施例4に記載のGenscan遺伝子同定プログラムが予測したエキソン群を用いた。実施例3に記載したようにアセンブリした部分cDNA群を、ゲノムDNAにマッピングし、また、関連するcDNA群と、1つ以上のゲノム配列からGenscan予測されたエキソン群とを有するクラスター群に分解した。cDNAとゲノムとの情報を統合すべく、グラフ理論および動的プログラミングに基づく或るアルゴリズムを用いて各クラスタを分析し、潜在的スプライス変異体群を生成した。配列群を続いて確認、編集または伸長し、完全長配列を創出した。区間の全長が、2つ以上の配列に在るような配列区間群をクラスター内で同定し、そのように同定された区間群は、推移性により、等しいと考えた。例えば、或る区間が、1つのcDNAと2つのゲノム配列とに在る場合、3つの区間は全て等しいと考えた。このプロセスにより、無関係だが連続したゲノム配列群を、cDNA配列で結び合わせて架橋し得る。このようにして同定された区間を、親配列(parent sequence)に沿って現われる順にステッチアルゴリズムで縫い合わせ、可能な最も長い配列および変異配列を作製する。1種類の親配列に沿って続く区間間の連鎖(cDNA−cDNAまたはゲノム配列−ゲノム配列)は、親の種類を変える連鎖(cDNA−ゲノム配列)より優先した。結果として得たスティッチ配列群を翻訳し、BLAST分析で公共データベースgenpeptおよびgbpriと比較した。Genscanが予測した不正確なエキソン群は、genpeptからのトップBLASTヒットとの比較により補正した。必要な場合、追加cDNA配列群を用いるかゲノムDNAの検査により、配列群を更に伸長させた。
スティッチ配列(Stitched Sequence)
部分cDNA配列群を伸長させるため、実施例4に記載のGenscan遺伝子同定プログラムが予測したエキソン群を用いた。実施例3に記載したようにアセンブリした部分cDNA群を、ゲノムDNAにマッピングし、また、関連するcDNA群と、1つ以上のゲノム配列からGenscan予測されたエキソン群とを有するクラスター群に分解した。cDNAとゲノムとの情報を統合すべく、グラフ理論および動的プログラミングに基づく或るアルゴリズムを用いて各クラスタを分析し、潜在的スプライス変異体群を生成した。配列群を続いて確認、編集または伸長し、完全長配列を創出した。区間の全長が、2つ以上の配列に在るような配列区間群をクラスター内で同定し、そのように同定された区間群は、推移性により、等しいと考えた。例えば、或る区間が、1つのcDNAと2つのゲノム配列とに在る場合、3つの区間は全て等しいと考えた。このプロセスにより、無関係だが連続したゲノム配列群を、cDNA配列で結び合わせて架橋し得る。このようにして同定された区間を、親配列(parent sequence)に沿って現われる順にステッチアルゴリズムで縫い合わせ、可能な最も長い配列および変異配列を作製する。1種類の親配列に沿って続く区間間の連鎖(cDNA−cDNAまたはゲノム配列−ゲノム配列)は、親の種類を変える連鎖(cDNA−ゲノム配列)より優先した。結果として得たスティッチ配列群を翻訳し、BLAST分析で公共データベースgenpeptおよびgbpriと比較した。Genscanが予測した不正確なエキソン群は、genpeptからのトップBLASTヒットとの比較により補正した。必要な場合、追加cDNA配列群を用いるかゲノムDNAの検査により、配列群を更に伸長させた。
ストレッチ配列(Stretched Sequence)
部分DNA配列群を、BLAST分析に基づく1アルゴリズムで完全長まで伸長した。先ず、BLASTプログラムを用い、GenBankの霊長類、げっ歯類、哺乳類、脊椎動物および真核生物のデータベースなどの公共データベースに対し、実施例3に記載のようにアセンブリした部分cDNAを問い合わせた。次に、最も近いGenBankタンパク質相同体を、BLAST分析により、Incyte cDNA配列または実施例4に記載のGenScanエキソン予測配列のいずれかと比較した。得られた高スコアリングセグメント対(HSP)を用いてキメラ蛋白質を産出し、翻訳した配列をGenBank蛋白質相同体上にマッピングした。元のGenBankタンパク質相同体に対し、キメラタンパク質内では挿入または欠失が起こり得る。GenBankタンパク質相同体、キメラタンパク質またはその両方をプローブとして用い、公共のヒトゲノムデータベースから相同ゲノム配列を検索した。このようにして、部分的なDNA配列を、相同ゲノム配列の付加によりストレッチすなわち伸長した。結果として得られるストレッチ配列を検査し、完全遺伝子を有するか否かを判定した。
部分DNA配列群を、BLAST分析に基づく1アルゴリズムで完全長まで伸長した。先ず、BLASTプログラムを用い、GenBankの霊長類、げっ歯類、哺乳類、脊椎動物および真核生物のデータベースなどの公共データベースに対し、実施例3に記載のようにアセンブリした部分cDNAを問い合わせた。次に、最も近いGenBankタンパク質相同体を、BLAST分析により、Incyte cDNA配列または実施例4に記載のGenScanエキソン予測配列のいずれかと比較した。得られた高スコアリングセグメント対(HSP)を用いてキメラ蛋白質を産出し、翻訳した配列をGenBank蛋白質相同体上にマッピングした。元のGenBankタンパク質相同体に対し、キメラタンパク質内では挿入または欠失が起こり得る。GenBankタンパク質相同体、キメラタンパク質またはその両方をプローブとして用い、公共のヒトゲノムデータベースから相同ゲノム配列を検索した。このようにして、部分的なDNA配列を、相同ゲノム配列の付加によりストレッチすなわち伸長した。結果として得られるストレッチ配列を検査し、完全遺伝子を有するか否かを判定した。
6 MDDTをコードするポリヌクレオチドの染色体マッピング
SEQ ID NO:49-96をアセンブリするために用いた配列を、BLAST及びSmith-Watermanアルゴリズムを用いて、Incyte LIFESEQデータベース及び公共のドメインデータベースの配列と比較した。SEQ ID NO:49-96 と一致するこれらのデータベースの配列を、Phrapなどのアセンブリアルゴリズム(表7)を使用して、連続及びオーバーラップした配列のクラスターにアセンブリした。スタンフォード・ヒトゲノムセンター(SHGC)、ホワイトヘッド・ゲノム研究所(WIGR)、Genethonなどの公的な情報源から入手可能な放射線ハイブリッドおよび遺伝地図データを用いて、いずれかのクラスター化された配列が既にマッピングされているかを判定した。マッピングされた配列が或るクラスターに含まれている場合、そのクラスターの全配列が、個々の配列番号と共に、地図上の位置に割り当てられた。
SEQ ID NO:49-96をアセンブリするために用いた配列を、BLAST及びSmith-Watermanアルゴリズムを用いて、Incyte LIFESEQデータベース及び公共のドメインデータベースの配列と比較した。SEQ ID NO:49-96 と一致するこれらのデータベースの配列を、Phrapなどのアセンブリアルゴリズム(表7)を使用して、連続及びオーバーラップした配列のクラスターにアセンブリした。スタンフォード・ヒトゲノムセンター(SHGC)、ホワイトヘッド・ゲノム研究所(WIGR)、Genethonなどの公的な情報源から入手可能な放射線ハイブリッドおよび遺伝地図データを用いて、いずれかのクラスター化された配列が既にマッピングされているかを判定した。マッピングされた配列が或るクラスターに含まれている場合、そのクラスターの全配列が、個々の配列番号と共に、地図上の位置に割り当てられた。
地図上の位置は、ヒト染色体の範囲または区間として表される。センチモルガン単位での或る区間の地図上の位置は、染色体の短腕(p-arm)の末端に対して測定する(センチモルガン(cM)は、染色体マーカー間の組換え頻度に基づく計測単位である。平均して、1cMは、ヒトDNAの1メガベース(Mb)にほぼ等しい。尤も、この値は、組換えのホットスポットおよびコールドスポットに起因して広範囲に変化する)。cM距離は、各クラスタ内に配列が含まれる放射線ハイブリッドマーカー類に対して境界を提供するGenethonによってマッピングされた遺伝マーカー群に基づく。NCBI「GeneMap'99」(http://www.ncbi.nlm.nih.gpv/genemap/)などの一般個人が入手可能なヒト遺伝子マップおよびその他の情報源を用いて、既に同定されている疾患遺伝子群が、上記した区間内若しくは近傍に位置するかを決定できる。
7 ポリヌクレオチド発現の分析
ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識されたヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(SambrookおよびRussell,前出, 7章、Ausubel 他、前出, 4章)。
ノーザン分析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験用技術であり、特定の細胞種或いは組織からのRNAが結合されている膜への標識されたヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションを伴う(SambrookおよびRussell,前出, 7章、Ausubel 他、前出, 4章)。
類似の、BLASTを応用したコンピュータ技術を用いて、GenBankやLIFESEQ(Incyte Genomics)などのデータベースにおいて、同一または関連分子を検索した。ノーザン分析は、多数の膜系ハイブリダイゼーションよりも非常に速い。更に、任意の特定の一致を厳密なあるいは相同的なものとして分類するか否かを決定するため、コンピュータ検索の感度を修正できる。検索の基準は積スコアであり、次式で定義する。
積スコアは、2つの配列間の類似度と、配列が一致する長さとの両方を考慮している。積スコアは、0〜100のノーマライズされた値であり、次のようにして求める。BLASTスコアにヌクレオチドの配列一致率を乗じ、その積を2つの配列の短い方の長さの5倍で除する。BLASTスコアを計算するには、或る高スコアリングセグメント対(HSP)内の一致する各塩基に+5のスコアを割り当て、各不一致塩基に−4を割り当てる。2つの配列は、2以上のHSPを共有し得る(ギャップにより隔離される)。2以上のHSPがある場合には、最高BLASTスコアのセグメント対を用いて積スコアを計算する。積スコアは、断片的オーバーラップとBLASTアラインメントの質とのバランスを表す。例えば積スコア100は、比較した2つの配列の短い方の長さ全体にわたって100%一致する場合のみ得られる。積スコア70は、一端が100%一致し、70%オーバーラップしているか、他端が88%一致し、100%オーバーラップしているかのいずれかの場合に得られる。積スコア50は、一端が100%一致し、50%オーバーラップしているか、79%一致し、100%オーバーラップしているかのいずれかの場合に得られる。
或いは、MDDTをコードするポリヌクレオチドを、由来する組織に対して分析する。例えば幾つかの完全長配列は、少なくとも一部は、オーバーラップするIncyte cDNA配列群を用いてアセンブリする(実施例3を参照)。各cDNA配列は、ヒト組織から作製されたcDNAライブラリに由来する。各ヒト組織は、以下の臓器/組織カテゴリーの1つに分類される。すなわち心血管系、結合組織、消化器系、胎児構造、内分泌系、外分泌腺、女性生殖器、男性生殖器、生殖細胞、血液および免疫系、肝、筋骨格系、神経系、膵臓、呼吸器系、感覚器、皮膚、顎口腔系、非分類性/混合性または尿路である。各カテゴリーのライブラリ数を数えて、全カテゴリーの総ライブラリ数で除する。同様に、各ヒト組織は、以下の疾患/条件カテゴリー、すなわち癌、細胞株、発達、炎症、神経性、外傷、心血管、プール、その他の1つに分類される。各カテゴリーのライブラリ数を数えて、全カテゴリーの総ライブラリ数で除する。得られるパーセンテージは、MDDTをコードするcDNAの、組織特異的発現および疾患特異的発現を反映する。cDNA配列およびcDNAライブラリ/組織の情報は、LIFESEQ GOLD データベース(Incyte Genomics, Palo Alto CA)から得ることができる。
8 ポリヌクレオチドをコードするMDDTの伸長
完全長ポリヌクレオチドを、完全長分子の適切な断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマー群を用いて該断片を伸長させ産生する。或るプライマーは既知の断片の5'伸長を開始するべく合成し、別のプライマーは既知の断片の3'伸長を開始するべく合成した。開始プライマーは、長さが約22〜30ヌクレオチド、GC含有率が約50%以上となり、約68〜72℃の温度で標的配列にアニーリングするように、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは別の適切なプログラムを用いて、cDNAから設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体を生ずるようなヌクレオチドの伸長は全て回避した。
完全長ポリヌクレオチドを、完全長分子の適切な断片から設計したオリゴヌクレオチドプライマー群を用いて該断片を伸長させ産生する。或るプライマーは既知の断片の5'伸長を開始するべく合成し、別のプライマーは既知の断片の3'伸長を開始するべく合成した。開始プライマーは、長さが約22〜30ヌクレオチド、GC含有率が約50%以上となり、約68〜72℃の温度で標的配列にアニーリングするように、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)或いは別の適切なプログラムを用いて、cDNAから設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体を生ずるようなヌクレオチドの伸長は全て回避した。
選択したヒトcDNAライブラリ群を用い、配列を伸長した。2段階以上の伸長が必要または望ましい場合には、付加的プライマーあるいはプライマーのネステッドセットを設計した。
高忠実度の増幅を当業者に周知の方法でのPCRで得た。PCRはPTC-200サーマルサイクラー(MJ Research, Inc.)での96穴プレートで行った。反応混合液は、鋳型DNA及び200nmolの各プライマーを有する。また、Mg2+と(NH4)2SO4と2−メルカプトエタノールを含む反応バッファー、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Biosciences)、ELONGASE酵素(Invitrogen)、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含む。プライマーの組、PCI AとPCI Bに対して以下のパラメータで増幅を行った。ステップ1:94℃で3分間、ステップ2:94℃で15秒間、ステップ3:60℃で1分間、ステップ4:68℃で2分間、ステップ5:ステップ2、3および4を20回繰り返す、ステップ6:68℃で5分間、ステップ7:4℃で保存。別法では、プライマー対であるT7とSK+とに対して以下のパラメータで増幅を行った。ステップ1:94℃で3分間、ステップ2:94℃で15秒間、ステップ3:57℃で1分間、ステップ4:68℃で2分間、ステップ5:ステップ2、3および4を20回繰り返す、ステップ6:68℃で5分間、ステップ7:4℃で保存。
各ウェルのDNA濃度は、1×TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶解した100μlのPICOGREEN定量試薬(0.25(v/v) PICOGREEN; Molecular Probes, Eugene OR)を不透明な蛍光光度計プレート(Corning Costar, Acton MA)の各ウェルに分配してDNAが試薬と結合できるようにして測定した。サンプルの蛍光を計測してDNAの濃度を定量すべく、プレートをFluoroskan II (Labsystems Oy, Helsinki, Finland)でスキャンした。反応混合物のアリコット5〜10μlを1%アガロースゲル上で電気泳動法によって解析し、どの反応が配列の伸長に成功したかを判定した。
伸長したヌクレオチドは、脱塩および濃縮して384穴プレートに移し、CviJIコレラウイルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison WI)を用いて消化して音波処理またはせん断し、pUC 18ベクター(Amersham Biosciences)への再連結を行った。ショットガン・シークエンシングのために、消化したヌクレオチドを低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上で分離し、断片を切除し、寒天をAgar ACE(Promega)で消化した。伸長したクローンをT4リガーゼ(New England Biolabs, Beverly MA)を用いてpUC 18ベクター(Amersham Biosciences)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で処理して制限部位オーバーハングを満たし、大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した細胞を抗生物質含有培地上で選択し、個々のコロニーを選択してLB/2x carb液体培地の384穴プレート内において37℃で一晩培養した。
細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(Amersham Biosciences)及びPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。ステップ1:94℃で3分間、ステップ2:94℃で15秒間、ステップ3:60℃で1分間、ステップ4:72℃で2分間、ステップ5:ステップ2、3および4を29回繰り返す、ステップ6:72℃で5分間、ステップ7:4℃で保存。上記したようにPICOGREEN試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNA回収率が低いサンプルは、上記同一条件で再増幅した。サンプルは20%ジメチルスルホキシド(1:2,v/v)で希釈し、DYENAMICエネルギー移動シークエンシングプライマー、およびDYENAMIC DIRECT kit(Amersham Biosciences)またはABI PRISM BIGDYEターミネーターサイクルシークエンシングレディ反応キット(Terminator cycle sequencing ready reaction kit)(Applied Biosystems)を用いてシークエンスした。
同様に、上記手順を用いて完全長ポリヌクレオチドを検証した。あるいは、完全長ポリヌクレオチドを用い、上記手順で、そのような伸長のために設計したオリゴヌクレオチド類と、或る適切なゲノムライブラリとを用いて5'調節配列を得た。
9 MDDTをコードするポリヌクレオチドの一塩基多型の同定
1塩基多型(SNP)として知られる一般的なDNA配列変異体が、SEQ ID NO:49-96において、LIFESEQデータベース(Incyte Genomics)を用いて同定された。同じ遺伝子からの配列群は共にクラスター化され、実施例3に述べたようにアセンブリされて、その遺伝子における全ての配列変異体の同定を可能にした。一連のフィルタからなるアルゴリズムを使って、SNPを他の配列変異体から区別した。前段フィルタは、最小限Phredクオリティスコア15を要求することにより大多数のベースコールのエラーを除去し、また、配列アライメントエラーや、ベクター配列、キメラおよびスプライス変異体の不適当なトリミングにより生じるエラーを取り除いた。染色体の高度解析の自動化手順により、推定SNPの近傍におけるオリジナルのクロマトグラムファイルが解析された。クローンエラーフィルタは統計的に生み出されたアルゴリズムを用いて、逆転写酵素、ポリメラーゼ、または体細胞突然変異によって引き起こされるエラーのような、実験処理時に導入されるエラーを識別した。クラスターエラーフィルターは、統計的に生み出されたアルゴリズムを用いて、近縁の相同体または偽遺伝子のクラスター化に起因するエラー、または非ヒト配列によるコンタミネーションにより生じたエラーを同定した。最後のフィルター群によって、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に存在する重複(duplicates)とSNPが除去された。
1塩基多型(SNP)として知られる一般的なDNA配列変異体が、SEQ ID NO:49-96において、LIFESEQデータベース(Incyte Genomics)を用いて同定された。同じ遺伝子からの配列群は共にクラスター化され、実施例3に述べたようにアセンブリされて、その遺伝子における全ての配列変異体の同定を可能にした。一連のフィルタからなるアルゴリズムを使って、SNPを他の配列変異体から区別した。前段フィルタは、最小限Phredクオリティスコア15を要求することにより大多数のベースコールのエラーを除去し、また、配列アライメントエラーや、ベクター配列、キメラおよびスプライス変異体の不適当なトリミングにより生じるエラーを取り除いた。染色体の高度解析の自動化手順により、推定SNPの近傍におけるオリジナルのクロマトグラムファイルが解析された。クローンエラーフィルタは統計的に生み出されたアルゴリズムを用いて、逆転写酵素、ポリメラーゼ、または体細胞突然変異によって引き起こされるエラーのような、実験処理時に導入されるエラーを識別した。クラスターエラーフィルターは、統計的に生み出されたアルゴリズムを用いて、近縁の相同体または偽遺伝子のクラスター化に起因するエラー、または非ヒト配列によるコンタミネーションにより生じたエラーを同定した。最後のフィルター群によって、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に存在する重複(duplicates)とSNPが除去された。
幾つかのSNPは、更なる特徴付けの為に選択された。選択は高処理MASSARRAYシステム(Sequenom, Inc.)を用いた質量分析によって行い、4群の異なるヒト集団におけるSNP部位での対立遺伝子頻度を分析した。白人集団は92個体(46名の男子、46名の女子)からなり、83名はユタ出身、4名はフランス人、3名はベネズエラ人、2名はアーミッシュの人々である。アフリカ集団は194個体(97名の男子、97名の女子)からなり、全員がアフリカ系アメリカ人である。ヒスパニック集団は324個体(162名の男子、162名の女子)からなり、全員がメキシコのヒスパニックである。アジア集団は126個体(64名の男子、62名の女子)からなり、報告された親の内訳は43%が中国人、31%が日本人、13%がコリアン、5%がベトナム人、8%が他のアジア人である。対立遺伝子頻度の分析は先ず白人集団においてなされ、幾つかの場合、SNPの内、対立遺伝子変異をこの集団において示さなかったSNPは、更に他の3集団においてテストされることは無かった。
10 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識化及び使用
SEQ ID NO:49-96から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記載するが、より大きなヌクレオチド断片に対しても本質的に同一の手順が用いられる。オリゴヌクレオチドは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)等の最新ソフトウェアを用いて設計し、各オリゴマー50pmolと、[γ-32P]アデノシン3リン酸(Amersham Biosciences)250μCiと、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN, Boston MA)とを化合させることにより標識する。標識したオリゴヌクレオチドは、SEPHADEX G-25超細繊分子サイズ排除デキストラン ビーズカラム(Amersham Biosciences)を用いて実質的に精製する。Ase I、Bgl II、Eco RI、Pst I、Xba IまたはPvu II(DuPont NEN)のいずれか1つのエンドヌクレアーゼで消化されたヒトゲノムDNAの、典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において、毎分107カウントの標識されたプローブを有するアリコットを用いる。
SEQ ID NO:49-96から導き出されたハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNA、mRNA、またはゲノムDNAをスクリーニングする。約20塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記載するが、より大きなヌクレオチド断片に対しても本質的に同一の手順が用いられる。オリゴヌクレオチドは、OLIGO 4.06ソフトウェア(National Biosciences)等の最新ソフトウェアを用いて設計し、各オリゴマー50pmolと、[γ-32P]アデノシン3リン酸(Amersham Biosciences)250μCiと、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN, Boston MA)とを化合させることにより標識する。標識したオリゴヌクレオチドは、SEPHADEX G-25超細繊分子サイズ排除デキストラン ビーズカラム(Amersham Biosciences)を用いて実質的に精製する。Ase I、Bgl II、Eco RI、Pst I、Xba IまたはPvu II(DuPont NEN)のいずれか1つのエンドヌクレアーゼで消化されたヒトゲノムDNAの、典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において、毎分107カウントの標識されたプローブを有するアリコットを用いる。
各消化物から得たDNAは、0.7%アガロースゲル上で分画してナイロン膜(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)に移す。ハイブリダイゼーションは、40℃で16時間行う。非特異的シグナル群を除去するため、最大で例えば0.1×クエン酸ナトリウム食塩水および0.5%ドデシル硫酸ナトリウムの条件下で、ブロット群を室温で順次洗浄する。オートラジオグラフィーまたはそれに代わるイメージング手段を用いてハイブリダイゼーションパターンを視覚化し、比較する。
11 マイクロアレイ
或るマイクロアレイ上でのアレイエレメント群の連接または合成は、フォトリソグラフィ、ピエゾ式印刷(インクジェット印刷、前出のBaldeschweiler他などを参照)、機械的マイクロスポッティング技術およびこれらから派生した技術を用いて達成し得る。上記各技術において基板は、均一な、無孔の表面を持つ固体とすべきである(Schena, M., 編集 (1999) DNA Microarrays:A Practical Approach, Oxford University Press, London)。推奨する基板には、シリコン、シリカ、スライドガラス、ガラスチップおよびシリコンウェハがある。あるいは、ドットブロット法またはスロットブロット法に類似した手順を利用し、熱的、紫外線的、化学的または機械的結合手順を用いて基板の表面にエレメントを配置および結合させてもよい。通常のアレイは、利用可能な、当業者に公知の方法と機械とを用いて作製でき、任意の適正数のエレメントを有し得る(Schena, M. 他(1995) Science 270:467-470; Shalon, D.他(1996) Genome Res.6:639-645; Marshall, A. および J. Hodgson (1998) Nat. Biotechnol. 16:27-31)。
或るマイクロアレイ上でのアレイエレメント群の連接または合成は、フォトリソグラフィ、ピエゾ式印刷(インクジェット印刷、前出のBaldeschweiler他などを参照)、機械的マイクロスポッティング技術およびこれらから派生した技術を用いて達成し得る。上記各技術において基板は、均一な、無孔の表面を持つ固体とすべきである(Schena, M., 編集 (1999) DNA Microarrays:A Practical Approach, Oxford University Press, London)。推奨する基板には、シリコン、シリカ、スライドガラス、ガラスチップおよびシリコンウェハがある。あるいは、ドットブロット法またはスロットブロット法に類似した手順を利用し、熱的、紫外線的、化学的または機械的結合手順を用いて基板の表面にエレメントを配置および結合させてもよい。通常のアレイは、利用可能な、当業者に公知の方法と機械とを用いて作製でき、任意の適正数のエレメントを有し得る(Schena, M. 他(1995) Science 270:467-470; Shalon, D.他(1996) Genome Res.6:639-645; Marshall, A. および J. Hodgson (1998) Nat. Biotechnol. 16:27-31)。
完全長cDNA、発現配列タグ(EST)、またはその断片またはオリゴマーが、マイクロアレイのエレメントと成り得る。ハイブリダイゼーションに好適な断片またはオリゴマーを、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)など本技術分野で公知のソフトウェアを用いて選択することが可能である。アレイエレメント群を、生体サンプル中のポリヌクレオチド群とハイブリダイズする。生体サンプル中のポリヌクレオチドは、検出を容易にするために蛍光標識などの分子タグに抱合させる。ハイブリダイゼーション後、生体サンプルからのハイブリダイズされていないヌクレオチドを除去し、蛍光スキャナを用いて各アレイエレメントでのハイブリダイゼーションを検出する。あるいは、レーザー脱離および質量スペクトロメトリを用いてもハイブリダイゼーションを検出し得る。マイクロアレイ上の或るエレメントにハイブリダイズする各ポリヌクレオチドの、相補性の度合と相対存在度とを算定し得る。一実施態様におけるマイクロアレイの調製および使用について、以下に詳述する。
組織または細胞サンプルの調製
総RNAを組織サンプルから単離するためグアニジニウムチオシアネート法を用い、ポリ(A)+RNA精製にオリゴ(dT)セルロース法を用いる。各ポリ(A)+RNAサンプルを逆転写するため、MMLV逆転写酵素を用い、また、0.05pg/μlのオリゴ(dT)プライマー(21mer)、1×第一鎖バッファ、0.03unit/μlのRNアーゼ阻害因子、500μMのdATP、500μMのdGTP、500μMのdTTP、40μMのdCTP、40μMのdCTP-Cy3(BDS)またはdCTP-Cy5(Amersham Biosciences)を用いる。逆転写反応は、GEMBRIGHTキット(Incyte Genomics)を用い、200ngのポリ(A)+RNAを含有する体積25mlで行う。特異的対照ポリ(A)+RNAは、非コード酵母ゲノムDNAからin vitro転写により合成する。37℃で2時間インキュベートした後、各反応サンプル(1つはCy3、もう1つはCy5標識)は、2.5mlの0.5M水酸化ナトリウムで処理、85℃で20分間インキュベートし、反応を停止させてRNAを分解させる。サンプルを精製するため、2つの連続するCHROMA SPIN 30ゲル濾過スピンカラム(Clontech, Palo Alto CA)を用いる。混合後、2つの反応サンプルをエタノール沈殿させるため、1mlのグリコーゲン(1mg/ml)、60mlの酢酸ナトリウム、および300mlの100%エタノールを用いる。サンプルは次に、SpeedVAC(Savant Instruments Inc., Holbrook NY)を用いて乾燥して仕上げ、14μl 5×SSC/0.2% SDS中で再懸濁する。
総RNAを組織サンプルから単離するためグアニジニウムチオシアネート法を用い、ポリ(A)+RNA精製にオリゴ(dT)セルロース法を用いる。各ポリ(A)+RNAサンプルを逆転写するため、MMLV逆転写酵素を用い、また、0.05pg/μlのオリゴ(dT)プライマー(21mer)、1×第一鎖バッファ、0.03unit/μlのRNアーゼ阻害因子、500μMのdATP、500μMのdGTP、500μMのdTTP、40μMのdCTP、40μMのdCTP-Cy3(BDS)またはdCTP-Cy5(Amersham Biosciences)を用いる。逆転写反応は、GEMBRIGHTキット(Incyte Genomics)を用い、200ngのポリ(A)+RNAを含有する体積25mlで行う。特異的対照ポリ(A)+RNAは、非コード酵母ゲノムDNAからin vitro転写により合成する。37℃で2時間インキュベートした後、各反応サンプル(1つはCy3、もう1つはCy5標識)は、2.5mlの0.5M水酸化ナトリウムで処理、85℃で20分間インキュベートし、反応を停止させてRNAを分解させる。サンプルを精製するため、2つの連続するCHROMA SPIN 30ゲル濾過スピンカラム(Clontech, Palo Alto CA)を用いる。混合後、2つの反応サンプルをエタノール沈殿させるため、1mlのグリコーゲン(1mg/ml)、60mlの酢酸ナトリウム、および300mlの100%エタノールを用いる。サンプルは次に、SpeedVAC(Savant Instruments Inc., Holbrook NY)を用いて乾燥して仕上げ、14μl 5×SSC/0.2% SDS中で再懸濁する。
マイクロアレイの調製
本発明の配列を用いて、アレイエレメントを作製する。各アレイエレメントは、クローン化したcDNAインサート群と、ベクター群とを含有する細菌細胞群から増幅する。PCR増幅は、cDNAインサートに隣接するベクター配列群に相補的なプライマー類を用いる。30サイクルのPCRによって、1〜2ngの初期量から5μgを超える最終量までアレイエレメントを増幅する。増幅したアレイエレメントは、SEPHACRYL-400(Amersham Biosciences)を用いて精製する。
本発明の配列を用いて、アレイエレメントを作製する。各アレイエレメントは、クローン化したcDNAインサート群と、ベクター群とを含有する細菌細胞群から増幅する。PCR増幅は、cDNAインサートに隣接するベクター配列群に相補的なプライマー類を用いる。30サイクルのPCRによって、1〜2ngの初期量から5μgを超える最終量までアレイエレメントを増幅する。増幅したアレイエレメントは、SEPHACRYL-400(Amersham Biosciences)を用いて精製する。
精製したアレイエレメントは、ポリマーコートされたスライドグラス上に固定する。顕微鏡スライドグラス(Corning)は、0.1%のSDSおよびアセトン中で超音波洗浄し、処理の間および処理後に充分に蒸留水で洗浄する。スライドグラスは、4%フッ化水素酸(VWR Scientific Products Corporation(VWR), West Chester PA)中でエッチングし、充分に蒸留水中で洗浄し、95%エタノール中で0.05%アミノプロピルシラン(Sigma)を用いてコーティングする。コーティングしたスライドは、110℃のオーブンで硬化させる。
米国特許第5,807,522号に記載されている手順を用いて、コーティングしたガラス基板にアレイエレメント群を付加する。この特許は、引用を以って本明細書の一部とする。平均濃度100ng/μlのアレイエレメントDNA1μlを、高速ロボット装置(robotic apparatus)により、開放型キャピラリープリンティングエレメント(open capillary printing element)に充填する。装置はここで、スライド毎に約5nlのアレイエレメントサンプルを置く。
マイクロアレイに、STRATALINKER UVクロスリンク機(Stratagene)を用いてUV架橋する。マイクロアレイは、室温において0.2%SDSで1度洗浄し、蒸留水で3度洗浄する。非特異結合部位をブロックするため、マイクロアレイのインキュベートをリン酸緩衝食塩水(PBS)(Tropix, Inc., Bedford MA)中に0.2%カゼイン、60℃で30分間行った後、前記のように0.2%SDSおよび蒸留水で洗浄する。
ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーション反応に用いる9μlのサンプル混合体には、Cy3またはCy5で標識したcDNA合成産物群の各0.2μgを、5×SSC,0.2%SDSハイブリダイゼーション緩衝液中に含む。サンプル混合体は、65℃まで5分間加熱し、マイクロアレイ表面上へ等分して1.8cm2のカバーガラスで覆う。アレイは、顕微鏡スライドより僅かに大きい空洞を有する防水チャンバーに移す。チェンバーのコーナーに140μlの5×SSCを加えることにより、チェンバー内部を湿度100%に保持する。アレイを入れたチェンバーは、60℃で約6.5時間インキュベートする。アレイは、第1洗浄緩衝液中(1×SSC,0.1%SDS)において45℃で10分間洗浄し、第2洗浄緩衝液中(0.1×SSC)において45℃で10分間ずつ3回洗浄して乾燥させる。
ハイブリダイゼーション反応に用いる9μlのサンプル混合体には、Cy3またはCy5で標識したcDNA合成産物群の各0.2μgを、5×SSC,0.2%SDSハイブリダイゼーション緩衝液中に含む。サンプル混合体は、65℃まで5分間加熱し、マイクロアレイ表面上へ等分して1.8cm2のカバーガラスで覆う。アレイは、顕微鏡スライドより僅かに大きい空洞を有する防水チャンバーに移す。チェンバーのコーナーに140μlの5×SSCを加えることにより、チェンバー内部を湿度100%に保持する。アレイを入れたチェンバーは、60℃で約6.5時間インキュベートする。アレイは、第1洗浄緩衝液中(1×SSC,0.1%SDS)において45℃で10分間洗浄し、第2洗浄緩衝液中(0.1×SSC)において45℃で10分間ずつ3回洗浄して乾燥させる。
検出
レポーター標識したハイブリダイゼーション複合体を検出するには、Cy3の励起のために488nm、Cy5の励起のために632nmでスペクトル線を発生し得るInnova70混合ガス10Wレーザー(Coherent, Inc., Santa Clara CA)を備えた顕微鏡を用いる。励起レーザー光の焦点をアレイ上に置くため、20×顕微鏡対物レンズ(Nikon, Inc., Melville NY)を用いる。アレイを有するスライドを、顕微鏡の、コンピュータ制御のX-Yステージに置き、対物レンズを通してラスタースキャンする。本実施例で用いる1.8cm×1.8cmのアレイは、解像度20μmでスキャンする。
レポーター標識したハイブリダイゼーション複合体を検出するには、Cy3の励起のために488nm、Cy5の励起のために632nmでスペクトル線を発生し得るInnova70混合ガス10Wレーザー(Coherent, Inc., Santa Clara CA)を備えた顕微鏡を用いる。励起レーザー光の焦点をアレイ上に置くため、20×顕微鏡対物レンズ(Nikon, Inc., Melville NY)を用いる。アレイを有するスライドを、顕微鏡の、コンピュータ制御のX-Yステージに置き、対物レンズを通してラスタースキャンする。本実施例で用いる1.8cm×1.8cmのアレイは、解像度20μmでスキャンする。
2回の異なるスキャンで、混合ガスマルチラインレーザは2つのフルオロフォアを連続的に励起する。発光された光は波長に基づき分割され、2つのフルオロフォアに対応する2つの光電子増倍管検出器(PMT R1477, Hamamatsu Photonics Systems, Bridgewater NJ)に送られる。好適なフィルタ群をアレイと光電子増倍管との間に設置して、シグナルをフィルタする。用いるフルオロフォアの最大発光の波長は、Cy3では565nm、Cy5では650nmである。装置は両方のフルオロフォアからのスペクトルを同時に記録し得るが、レーザー源において好適なフィルタを用いて、フルオロフォア1つにつき1度スキャンし、各アレイを通常2度スキャンする。
通常、各スキャンの感度を較正するため、cDNA対照種を或る既知濃度でサンプル混合体に添加し、対照種が発生するシグナル強度を用いる。アレイ上の或る特定の位置には或る相補DNA配列が含まれ、その位置におけるシグナルの強度をハイブリダイゼーション種の重量比1:100,000と相関させる。異なる源泉(例えば代表的な試験細胞および対照細胞など)からの2つのサンプルを、各々異なるフルオロフォアで標識し、異なる発現をする遺伝子群を同定するために単一のアレイにハイブリダイズする場合には、較正するcDNAのサンプルを2種のフルオロフォアで標識し、ハイブリダイゼーション混合液に各々等量を加えることによって較正を行う。
光電子増倍管の出力をディジタル化するため、IBMコンパチブルPCコンピュータにインストールした12ビットRTI-835Hアナログディジタル(A/D)変換ボード(Analog Devices, Inc., Norwood MA)を用いる。ディジタル化したデータは、青色(低シグナル)から赤色(高シグナル)までの擬似カラースケールへのリニア20色変換を用いて、シグナル強度がマッピングされたイメージとして表示される。データは、定量的にも分析される。2つの異なるフルオロフォアを同時に励起および測定する場合には、各フルオロフォアの発光スペクトルを用いて、データは先ずフルオロフォア間の光学的クロストーク(発光スペクトルの重なりに起因する)を補正される。
グリッドが蛍光シグナルイメージ上に重ねられ、それによって各スポットからのシグナルはグリッドの各エレメントに集められる。各エレメント内の蛍光シグナルが次に統合され、シグナルの平均強度に応じた数値が得られる。シグナル分析に用いるソフトウェアは、GEMTOOLS遺伝子発現分析プログラム(Incyte Genomics)である。発現が少なくとも約2倍変化したアレイエレメント、シグナル/バックグラウンド比が少なくとも約2.5であるもの、およびエレメントスポットサイズが少なくとも約40%であるものは差次的に発現しているとみなされた。
発現
SEQ ID NO:58は差次的発現を軽度のアルツハイマー病(AD)において示し、これはマイクロアレイ解析で判定した。アルツハイマー病(AD)は進行性痴呆であり、神経病理学的な特徴は、アミロイドβペプチドを含むプラークの存在と、特定の脳領域における神経原線維変化である。更に、ニューロンとシナプスは失われ、炎症反応は小膠細胞と星状細胞において活性化する。正常な後部帯状脳組織と軽度のADを示す後部帯状脳組織との交差比較が実施された。SEQ ID NO:58の発現は軽度のADを患う68才の女性由来の組織において、ADを患わない61才の女性提供者由来の組織に比べると少なくとも2倍上昇した。SEQ ID NO:58はADの診断アッセイおよび疾病段階決定に、またAD治療での潜在的生体マーカーおよび治療薬として有用であることをこの実験は示す。
SEQ ID NO:58は差次的発現を軽度のアルツハイマー病(AD)において示し、これはマイクロアレイ解析で判定した。アルツハイマー病(AD)は進行性痴呆であり、神経病理学的な特徴は、アミロイドβペプチドを含むプラークの存在と、特定の脳領域における神経原線維変化である。更に、ニューロンとシナプスは失われ、炎症反応は小膠細胞と星状細胞において活性化する。正常な後部帯状脳組織と軽度のADを示す後部帯状脳組織との交差比較が実施された。SEQ ID NO:58の発現は軽度のADを患う68才の女性由来の組織において、ADを患わない61才の女性提供者由来の組織に比べると少なくとも2倍上昇した。SEQ ID NO:58はADの診断アッセイおよび疾病段階決定に、またAD治療での潜在的生体マーカーおよび治療薬として有用であることをこの実験は示す。
例えば、SEQ ID NO:82は差次的発現を乳癌組織で示し、これはマイクロアレイ分析で判定した。乳癌の組織学および分子的評価によると、乳癌の発生・発達は複数の段階を通じて進み、これらの段階を通じて悪性になる前の乳房表皮細胞が比較的順序の決まったイベントを経て腫瘍を形成することが明らかになった。腫瘍発達の早期に導管過形成が観察されている。急速な新生物成長中の細胞は次第に浸潤性の癌に進行し、肺、骨、そして潜在的には他の臓器へ転移するようになる。限定するわけではないが、環境因子から遺伝因子に至るまで、幾つかの因子が腫瘍進行と悪性転換との過程に影響する。異なる段階の乳癌と関連する分子的特徴と表現型の特徴のより良い判定のために、腫瘍進行の様々な段階の乳癌細胞株が、初代ヒト乳房上皮細胞と比較された。MDA-mb-231は51才の女性の胸水から得られた乳房腫瘍細胞株であり、ヌードマウスにおいて低分化型腺癌を形成し、Wnt3発癌遺伝子、EGF、TGF-αを発現するが、2つの非癌細胞株であるHMECおよびMCF-10Aと比較された。初代乳腺上皮細胞株HMECは、正常なヒト乳腺組織に由来する(Clonetics, San Diego, CA)。MCF10Aは、36才の繊維嚢胞性疾患の女性から単離された乳腺細胞株である。SEQ ID NO:82の発現は、HMECおよびMCF-10A細胞と比較して、MDA-mb-231細胞において少なくとも2倍増加した。したがって、SEQ ID NO:82は、乳癌の診断アッセイおよび段階決定アッセイ、また乳癌治療の潜在的な生物学的マーカーおよび治療薬として有用であり得る。
別の例でSEQ ID NO:86は差次的発現を炎症応答で示し、これはマイクロアレイ分析で判定した。ヒトの末梢血単核球類(PBMC)(52%のリンパ球、20%のNK細胞、25%の単球、および3%の種々の細胞(樹状細胞と前駆細胞等)は、炎症誘発性サイトカインインターロイキン-1β、インターロイキン-2、インターロイキン-6、インターロイキン-8、インターロイキン-12、インターロイキン-18、腫瘍壊死因子α、インターフェロン-γで、2時間と4時間処理された。SEQ ID NO:86の発現は、未処理のPBMCと比較して両時点において少なくとも2倍増加した。したがってSEQ ID NO:86は、炎症応答の診断アッセイに、また炎症応答治療での潜在的生体マーカーおよび治療薬として有用である。
SEQ ID NO:86はまた差次的発現をアルツハイマー病(AD)において示し、これはマイクロアレイ解析で判定した。ADは進行性神経変性障害であり、特徴は、アミロイドβペプチドを含有する、老人斑と神経原線維変化との形成である。これらの斑は、脳の辺縁皮質と連合皮質で見られる。海馬は辺縁系の一部であり、学習と記憶で重要な役割を果たす。AD患者では、蓄積する斑が、辺縁領域の神経細胞構造を損傷し、最終的に、記憶プロセスを不自由にする。軽度ADの68歳女性からの後部帯状脳組織を正常な61歳女性からの前海馬脳組織と比べると、SEQ ID NO:86の発現は少なくとも4倍増加した。したがってSEQ ID NO:86は、ADの診断アッセイに、またAD治療での潜在的生体マーカーおよび治療薬として有用である。
SEQ ID NO:96はまた、マイクロアレイ分析が実証するように、正常な前立腺上皮細胞に比較して前立腺癌細胞株において差次的発現を示した。前立腺癌細胞株には、DU 145、LNCaP、PC-3がある。DU 145は広範な転移性前立腺癌の69才の男性の脳転移部位から単離した。DU 145には検出可能なホルモン感応性がなく、半固形培地でコロニーを形成する。そして酸性ホスファターゼに対してほんの弱陽性であり、細胞は前立腺特異抗原(PSA)に対して陰性であるLNCaPは、転移性前立腺癌を有する50才男子のリンパ節生検から単離された前立腺癌細胞株である。LNCaPはPSAを発現し、前立腺の酸性ホスファターゼを生成する。またアンドロゲン受容体を発現する。前立腺癌細胞株であるPC-3は、グレード4の前立腺癌の62才男性の骨内転位部位から単離された。正常上皮細胞株であるPrECは初代前立腺上皮細胞株であり、或る正常ドナーから単離された。この実験が示したところではSEQ ID NO:96の発現が、PrEC細胞と比較して、DU 145およびLNCaP両細胞で少なくとも2分の1に減少した。したがってSEQ ID NO:96は、或る種の前立腺癌の診断マーカーとして、または潜在的治療標的として有用である。
12 相補的ポリヌクレオチド
MDDTをコードする配列群或いはその任意の部分に対する相補配列群を用いることにより、天然MDDTの発現が検出、低減、または阻害される。約15〜30塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、これより小さなあるいは大きな配列の断片の場合でも、本質的に同じ手順を用いる。適切なオリゴヌクレオチドを設計するため、Oligo 4.06ソフトウェア(National Biosciences)およびMDDTのコーディング配列を用いる。転写を阻害するためには、最も独特な5'配列から相補的オリゴヌクレオチドを設計し、これを用いて、プロモーターがコード配列に結合するのを防止する。翻訳を阻害するには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、MDDTをコードする転写物にリボソームが結合するのを防ぐ。
MDDTをコードする配列群或いはその任意の部分に対する相補配列群を用いることにより、天然MDDTの発現が検出、低減、または阻害される。約15〜30塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用について記すが、これより小さなあるいは大きな配列の断片の場合でも、本質的に同じ手順を用いる。適切なオリゴヌクレオチドを設計するため、Oligo 4.06ソフトウェア(National Biosciences)およびMDDTのコーディング配列を用いる。転写を阻害するためには、最も独特な5'配列から相補的オリゴヌクレオチドを設計し、これを用いて、プロモーターがコード配列に結合するのを防止する。翻訳を阻害するには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、MDDTをコードする転写物にリボソームが結合するのを防ぐ。
13 MDDTの発現
MDDTの発現および精製は、細菌若しくはウイルスを基にした発現系を用いて行うことができる。細菌内でMDDTを発現するには、cDNAを好適なベクターにサブクローニングする。ベクターは、抗生物質耐性遺伝子と、cDNA転写レベルを高める誘導性プロモーターとを持つものを用いる。このようなプロモーターとしては、lacオペレーター調節エレメントと併用するT5またはT7バクテリオファージプロモーター、およびtrp-lac(tac)ハイブリッドプロモーターが含まれるが、これらに限定するものではない。組換えベクターを、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性細菌にMDDTを発現させるには、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発する。真核細胞でのMDDTの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に、一般にバキュロウイルスとして知られるAutographica californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)の組換え型を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺伝子をMDDTをコードするcDNAと置換するには、相同組換えを行うか、或いは、転移プラスミドの媒介を伴う、細菌の媒介による遺伝子転移を行う。ウイルスの感染力は維持され、強力なポリヘドリンプロモーターによって高レベルのcDNA転写が行われる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合は夜蛾の1種Spodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞への感染に用いるが、ヒト肝細胞への感染に用いることもある。後者の感染の場合は、バキュロウイルスへの更なる遺伝的修飾が必要になる(Engelhard, E.K 他、(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227、Sandig, V.他(1996) Hum.Gene Ther. 7:1937-1945)。
MDDTの発現および精製は、細菌若しくはウイルスを基にした発現系を用いて行うことができる。細菌内でMDDTを発現するには、cDNAを好適なベクターにサブクローニングする。ベクターは、抗生物質耐性遺伝子と、cDNA転写レベルを高める誘導性プロモーターとを持つものを用いる。このようなプロモーターとしては、lacオペレーター調節エレメントと併用するT5またはT7バクテリオファージプロモーター、およびtrp-lac(tac)ハイブリッドプロモーターが含まれるが、これらに限定するものではない。組換えベクターを、BL21(DE3)などの好適な細菌宿主に形質転換する。抗生物質耐性細菌にMDDTを発現させるには、イソプロピルβ−Dチオガラクトピラノシド(IPTG)で誘発する。真核細胞でのMDDTの発現は、昆虫細胞株または哺乳動物細胞株に、一般にバキュロウイルスとして知られるAutographica californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)の組換え型を感染させて行う。バキュロウイルスの非必須ポリヘドリン遺伝子をMDDTをコードするcDNAと置換するには、相同組換えを行うか、或いは、転移プラスミドの媒介を伴う、細菌の媒介による遺伝子転移を行う。ウイルスの感染力は維持され、強力なポリヘドリンプロモーターによって高レベルのcDNA転写が行われる。組換えバキュロウイルスは、多くの場合は夜蛾の1種Spodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞への感染に用いるが、ヒト肝細胞への感染に用いることもある。後者の感染の場合は、バキュロウイルスへの更なる遺伝的修飾が必要になる(Engelhard, E.K 他、(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-3227、Sandig, V.他(1996) Hum.Gene Ther. 7:1937-1945)。
殆どの発現系では、MDDTが、例えばグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)と、またはFLAGや6-Hisなどのペプチドエピトープ標識と合成された融合タンパク質となるため、未精製の細胞溶解物からの組換え融合タンパク質の親和性ベースの精製を、迅速に1ステップで行い得る。GSTは日本住血吸虫からの26kDaの酵素であり、タンパク質の活性および抗原性を維持した状態で、固定化したグルタチオン上での融合タンパク質の精製を可能とする(Amersham Biosciences)。精製の後、GST部分を、特異的に操作した部位でMDDTからタンパク分解的に切断できる。FLAGは8アミノ酸のペプチドであり、市販されているモノクローナルおよびポリクローナル抗FLAG抗体(Eastman Kodak)を用いた免疫親和性精製を可能にする。6ヒスチジン残基が連続して伸長した6-Hisは、金属キレート樹脂上での精製を可能にする(QIAGEN)。タンパク質の発現および精製の方法は、Ausubel他(前出、10および16章)に記載がある。これらの方法で精製したMDDTを直接用いて、以下の実施例17および18の、適用可能なアッセイを行える。
14 機能的アッセイ
MDDTの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理的に高められたレベルでの、MDDTをコードする配列の発現によって算定する。cDNAを高いレベルで発現する強いプロモーターを持つ哺乳動物発現ベクターにcDNAをサブクローニングする。選択されるベクターとしては、PCMV SPORTプラスミド(Invitrogen, Carlsbad CA)およびPCR 3.1プラスミド(Invitrogen)があり、どちらもサイトメガロウイルスプロモーターを持つ。リポソーム製剤あるいは電気穿孔法を用いて、5〜10μgの組換えベクターをヒト細胞株、例えば内皮由来または造血由来の細胞株に、一過的に形質移入する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミドを同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入細胞と非形質移入細胞を区別する手段が与えられる。また、標識タンパク質の発現によって、組換えベクターからのcDNA発現を正確に予想できる。標識タンパク質は、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、CD64またはCD64-GFP融合タンパク質から選択できる。自動化された、レーザー光学に基づく技術であるフローサイトメトリー(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、それらの細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。FCMは、細胞死に先行するか或いは同時に発生する現象を診断する蛍光分子の取込を検出して計量する。このような現象として挙げられるのは、ヨウ化プロピジウムによるDNA染色によって計測される核DNA含量の変化、前方散乱光と90°側方散乱光によって計測される細胞サイズと粒度の変化、ブロモデオキシウリジンの取込量の低下によって計測されるDNA合成の下方調節、特異抗体との反応性によって計測される細胞表面及び細胞内におけるタンパク質の発現の変容、及びフルオレセイン抱合したアネキシンVタンパク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変容とがある。フローサイトメトリー法については、Ormerod, M.G. (1994; Flow Cytometry, Oxford, New York NY)に記述がある。
MDDTの機能は、哺乳動物細胞培養系において生理的に高められたレベルでの、MDDTをコードする配列の発現によって算定する。cDNAを高いレベルで発現する強いプロモーターを持つ哺乳動物発現ベクターにcDNAをサブクローニングする。選択されるベクターとしては、PCMV SPORTプラスミド(Invitrogen, Carlsbad CA)およびPCR 3.1プラスミド(Invitrogen)があり、どちらもサイトメガロウイルスプロモーターを持つ。リポソーム製剤あるいは電気穿孔法を用いて、5〜10μgの組換えベクターをヒト細胞株、例えば内皮由来または造血由来の細胞株に、一過的に形質移入する。更に、標識タンパク質をコードする配列を含む1〜2μgのプラスミドを同時に形質移入する。標識タンパク質の発現により、形質移入細胞と非形質移入細胞を区別する手段が与えられる。また、標識タンパク質の発現によって、組換えベクターからのcDNA発現を正確に予想できる。標識タンパク質は、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP;Clontech)、CD64またはCD64-GFP融合タンパク質から選択できる。自動化された、レーザー光学に基づく技術であるフローサイトメトリー(FCM)を用いて、GFPまたはCD64-GFPを発現する形質移入された細胞を同定し、それらの細胞のアポトーシス状態や他の細胞特性を評価する。FCMは、細胞死に先行するか或いは同時に発生する現象を診断する蛍光分子の取込を検出して計量する。このような現象として挙げられるのは、ヨウ化プロピジウムによるDNA染色によって計測される核DNA含量の変化、前方散乱光と90°側方散乱光によって計測される細胞サイズと粒度の変化、ブロモデオキシウリジンの取込量の低下によって計測されるDNA合成の下方調節、特異抗体との反応性によって計測される細胞表面及び細胞内におけるタンパク質の発現の変容、及びフルオレセイン抱合したアネキシンVタンパク質の細胞表面への結合によって計測される原形質膜組成の変容とがある。フローサイトメトリー法については、Ormerod, M.G. (1994; Flow Cytometry, Oxford, New York NY)に記述がある。
遺伝子発現におけるMDDTの影響は、MDDTをコードする配列と、CD64またはCD64-GFPのどちらかとが形質移入された、高度に精製された細胞集団を用いて評価できる。CD64またはCD64-GFPは、形質移入された細胞表面で発現し、ヒト免疫グロブリンG(IgG)の保存された複数の領域に結合する。形質移入された細胞と形質移入されない細胞とは、ヒトIgGかCD64に対する抗体のどちらかで被覆した磁気ビーズで効率的に分離できる(DYNAL, Lake Success NY)。mRNAは当業者に周知の方法で細胞から精製できる。MDDTと、目的とする他の遺伝子とをコードするmRNAの発現は、ノーザン分析やマイクロアレイ技術で分析できる。
15 MDDTに特異的な抗体の作製
実質的に精製されたMDDTを、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G.(1990)Methods Enzymol.182:488-495を参照)または他の精製技術で行い、これを用いて標準的なプロトコルで動物(例えばウサギ、マウスなど)を免疫化して抗体を作り出す。
実質的に精製されたMDDTを、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE;例えば、Harrington, M.G.(1990)Methods Enzymol.182:488-495を参照)または他の精製技術で行い、これを用いて標準的なプロトコルで動物(例えばウサギ、マウスなど)を免疫化して抗体を作り出す。
あるいは、LASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いてMDDTアミノ酸配列を解析し、免疫原性の高い領域を決定する。そして対応するオリゴペプチドを合成し、このオリゴペプチドを用いて当業者によく知られている方法で抗体を生成する。C末端付近あるいは親水性領域などの、適切なエピトープの選択方法については、当分野に記述が多い(前出Ausubel他, 11章)。
通常は、長さ約15残基のオリゴペプチドを、FMOCケミストリを用いるABI 431Aペプチドシンセサイザ(Applied Biosystems)を用いて合成し、N-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)との反応によってKLH(Sigma-Aldrich, St. Louis MO)に結合させて、免疫原性を高める(前出Ausubel他)。完全フロイントアジュバントにおいて、オリゴペプチド-KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。得られた抗血清の抗ペプチド活性および抗MDDT活性を検査するには例えば、ペプチドまたはMDDTを基板に結合し、1%BSAを用いてブロッキング処理し、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さらに、放射性ヨウ素標識したヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
16 特異的抗体を用いる天然MDDTの精製
天然MDDTあるいは組換えMDDTを実質的に精製するため、MDDTに特異的な抗体類を用いるイムノアフィニティー(免疫親和性)クロマトグラフィーを行う。イムノアフィニティーカラムは、CNBr-活性化したSEPHAROSE(Amersham Biosciences)のような活性化クロマトグラフィー用レジンと抗MDDT抗体とを共有結合させることにより形成する。結合後に、製造者の使用説明書に従ってこのレジンをブロックし、洗浄する。
天然MDDTあるいは組換えMDDTを実質的に精製するため、MDDTに特異的な抗体類を用いるイムノアフィニティー(免疫親和性)クロマトグラフィーを行う。イムノアフィニティーカラムは、CNBr-活性化したSEPHAROSE(Amersham Biosciences)のような活性化クロマトグラフィー用レジンと抗MDDT抗体とを共有結合させることにより形成する。結合後に、製造者の使用説明書に従ってこのレジンをブロックし、洗浄する。
MDDTを有する培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、MDDTを優先的に吸着できる条件で(例えば、界面活性剤の存在下において高イオン強度のバッファで)そのカラムを洗浄する。そのカラムを、抗体とMDDTとの結合を切るような条件で(例えば、pH2〜3のバッファ、或いは高濃度の尿素またはチオシアン酸イオンのようなカオトロープで)溶出させ、MDDTを収集する。
17 MDDTと相互作用する分子の同定
MDDTまたはその生物活性断片を、125Iボルトンハンター試薬で標識する(Bolton A.E.及びW.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529)。マルチウェルプレートの各ウェルに予め配列しておいた候補の分子群を、標識したMDDTと共にインキュベートし、洗浄して、標識されたMDDT複合体を有する全てのウェルをアッセイする。様々なMDDT濃度で得られたデータを用いて、候補分子と結合したMDDTの数量、親和性、および会合についての値を計算する。
MDDTまたはその生物活性断片を、125Iボルトンハンター試薬で標識する(Bolton A.E.及びW.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529)。マルチウェルプレートの各ウェルに予め配列しておいた候補の分子群を、標識したMDDTと共にインキュベートし、洗浄して、標識されたMDDT複合体を有する全てのウェルをアッセイする。様々なMDDT濃度で得られたデータを用いて、候補分子と結合したMDDTの数量、親和性、および会合についての値を計算する。
別法では、MDDTと相互作用する分子を、Fields, S.および O. Song(1989, Nature 340:245-246)に記載の酵母2−ハイブリッドシステム(yeast two-hybrid system)や、MATCHMAKERシステム(Clontech)などの、2−ハイブリッドシステムに基づく市販のキットを用いて分析する。
MDDTはまた、ハイスループット型の酵母2ハイブリッドシステムを使用するPATHCALLINGプロセス(CuraGen Corp., New Haven CT)に用いて、遺伝子の2大ライブラリによってコードされるタンパク質間の全ての相互作用を決定し得る(Nandabalan, K. 他(2000) 米国特許第6,057,101号)。
18 MDDT活性の実証
MDDTのホルボールエステル結合活性の測定に、蛍光ホルボールエステルサピノトキシン(sapinotoxin)D(SAPD)ベースのアッセイを用いる。MDDTとSAPDとの結合の定量には、MDDTトリプトファンからホルボールエステルの2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルフルオロフォアへの共鳴エネルギー移動をSlater他((1996) J. Biol. Chem. 271:4627-4631)の記載どおり測定する。
MDDTのホルボールエステル結合活性の測定に、蛍光ホルボールエステルサピノトキシン(sapinotoxin)D(SAPD)ベースのアッセイを用いる。MDDTとSAPDとの結合の定量には、MDDTトリプトファンからホルボールエステルの2-(N-メチルアミノ)ベンゾイルフルオロフォアへの共鳴エネルギー移動をSlater他((1996) J. Biol. Chem. 271:4627-4631)の記載どおり測定する。
当業者には、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない限りの、記載した本発明の、組成物、方法およびシステムの、種々の修正および変更については自明であろう。本発明が、新規かつ有用なタンパク質群およびそれらをコードするポリヌクレオチド群を提供し、これらを創薬過程に利用しうること、また本発明が、これらの組成を用いた、疾患と病態との検出、診断、および治療の方法を提供することは理解されよう。本発明について説明するにあたり幾つかの実施態様に関連して説明を行ったが、本発明の請求の範囲が、そのような特定の実施態様に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。このような実施態様の記載は完全であると考慮されるべきでなく、また本発明を開示したとおりの形態に限定するものでもない。更に、1つの実施態様の要素は、他の1つ以上の実施態様の要素と容易に組み換え得る。このような組み合わせにより、本発明の範囲にある多数の実施態様を形成し得る。本発明の範囲は、添付した請求の範囲およびそれらの等価物によって規定されるよう意図される。
(表の簡単な説明)
表1は、本発明の完全長のポリヌクレオチド実施態様およびポリペプチド実施態様の命名の概略である。
表1は、本発明の完全長のポリヌクレオチド実施態様およびポリペプチド実施態様の命名の概略である。
表2は、本発明のポリペプチド実施態様のGenBank識別番号と、最も近いGenBank相同体の注釈(annotation)と、PROTEOMEデータベース識別番号と、PROTEOMEデータベース相同体群の注釈とを示す。また、各ポリペプチドとその相同体(1つ以上)が一致する確率スコアも併せて示す。
表3は、予測されるモチーフおよびドメインなど、ポリペプチド実施態様の構造的特徴を、ポリペプチドの分析に用いた方法、アルゴリズムおよび検索可能なデータベースと共に示す。
表4は、ポリヌクレオチド実施態様をアセンブリするために用いたcDNAやゲノムDNA断片を、該ポリヌクレオチドの選択された断片と共に示す。
表5は、ポリヌクレオチド実施態様の代表的cDNAライブラリを示す。
表6は、表5に示したcDNAライブラリの作製に用いた組織およびベクターを説明する付表である。
表7は、ポリヌクレオチドとポリペプチドの分析に用いたツール、プログラム、アルゴリズムを、適用可能な説明、参照文献および閾値パラメータと共に示す。
Claims (151)
- 以下からなる群から選択した単離されたポリペプチド。
(a)SEQ ID NO:1-48(配列番号1乃至48)からなる群から選択したアミノ酸配列を含むポリペプチド
(b)SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4-6、SEQ ID NO:8-9、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:13-22、SEQ ID NO:24-27、SEQ ID NO:29-33、SEQ ID NO:35-36、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:41-43、SEQ ID NO:46-48から成る群から選択したアミノ酸配列と少なくとも90%が同一であるような天然のアミノ酸配列を含むポリペプチド
(c)SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:7からなる群から選択したアミノ酸配列に対して少なくとも95%が同一であるような天然アミノ酸配列を含むポリペプチド
(d)SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:23からなる群から選択したアミノ酸配列に対して少なくとも99%が同一であるような天然アミノ酸配列を含むポリペプチド
(e)SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:34からなる群から選択したアミノ酸配列に対して少なくとも91%が同一であるような天然アミノ酸配列を含むポリペプチド
(f)(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列に対して少なくとも98%が同一であるような天然アミノ酸配列を持つポリペプチド
(g)SEQ ID NO:37のアミノ酸配列に対して少なくとも93%が同一であるような天然アミノ酸配列を含むポリペプチド
(h)SEQ ID NO:44からなる群から選択したアミノ酸配列と少なくとも97%が同一であるような天然のアミノ酸配列を含むポリペプチド
(i)SEQ ID NO:38およびSEQ ID NO:40からなる群から選択した或るアミノ酸配列に対して少なくとも90%が同一であるような天然アミノ酸配列から基本的になるポリペプチド
(j)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を有するポリペプチドの生物学的活性断片、および
(k)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を有するポリペプチドの免疫原性断片 - SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
- 請求項1のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項2のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
- SEQ ID NO:49-96からなる群から選択したポリヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドへ機能的に連結したプロモーター配列を有する組換えポリヌクレオチド。
- 請求項6に記載の組換えポリヌクレオチドを用いて形質転換した細胞。
- 請求項6に記載の組換えポリヌクレオチドを有する遺伝形質転換生物。
- 請求項1のポリペプチドを生産する方法であって、
(a)前記ポリペプチドの発現に好適な条件下で、請求項1のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結したプロモーター配列を含む組換えポリヌクレオチドで形質転換される細胞を培養する過程と、
(b)そのように発現した前記ポリペプチドを回収する過程とからなる方法。 - 前記ポリペプチドが、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択した或るアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
- 請求項1に記載のポリペプチドと特異結合するような単離された抗体。
- 以下からなる群から選択した単離されたポリヌクレオチド。
(a)SEQ ID NO:49-96からなる群から選択したポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
(b)SEQ ID NO:49-50、SEQ ID NO:52-54、SEQ ID NO:56-70、SEQ ID NO:73-88、SEQ ID NO:90-92、SEQ ID NO:94-96からなる群から選択した或るポリヌクレオチド配列に対して少なくとも90%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、
(c)SEQ ID NO:51のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも91%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
(d)SEQ ID NO:55のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも94%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
(e)SEQ ID NO:71のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも95%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
(f)(b)SEQ ID NO:72のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも96%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を持つポリヌクレオチド
(g)SEQ ID NO:89のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも97%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
(h)SEQ ID NO:93のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも99%が同一であるような天然ポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド
(i)(a)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(j)(b)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(k)(c)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(l)(d)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(m)(e)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(n)(f)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(o)(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
(p)(h)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、および
(q)(a)〜(p)のRNA等価物 - 請求項12に記載のポリヌクレオチドの少なくとも60の連続したヌクレオチドを持つ、単離されたポリヌクレオチド。
- 請求項12に記載のポリヌクレオチドの配列を有する標的ポリヌクレオチドをサンプル中から検出する方法であって、
(a)前記サンプル中の前記標的ポリヌクレオチドに相補的な配列を持つ少なくとも20の連続したヌクレオチドを持つプローブを用いて前記サンプルをハイブリダイズする過程と、
(b)前記ハイブリダイゼーション複合体の有無を検出し、該複合体が存在する場合にはオプションでその量を検出する過程とを含む方法。 - 前記プローブが少なくとも60の連続したヌクレオチドを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 請求項12に記載のポリヌクレオチドの配列を有する標的ポリヌクレオチドをサンプル中から検出する方法であって、
(a)ポリメラーゼ連鎖反応増幅を用いて前記標的ポリヌクレオチドまたはその断片を増幅する過程と、
(b)前記の増幅した標的ポリヌクレオチドまたはその断片の有無を検出し、該標的ポリヌクレオチドまたはその断片が存在する場合にはオプションでその量を検出する過程を含むことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載のポリペプチドと、薬剤として許容できる賦形剤とを含むことを特徴とする組成物。
- 前記ポリペプチドが、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択されたアミノ酸配列を持つことを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
- 機能的なMDDTの発現の低下に関連する疾患や病態の治療方法であって、そのような治療を要する患者への請求項17に記載の組成物の投与を含む治療方法。
- 請求項1に記載のポリペプチドのアゴニストとしての有効性を確認するために化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)請求項1に記載のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝すステップと、
(b)前記サンプルにおいてアゴニスト活性を検出する過程を含むことを特徴とする方法。 - 請求項20に記載の方法で同定したアゴニスト化合物と、薬剤として許容できる賦形剤とを含むことを特徴とする組成物。
- 機能的なMDDTの発現の低下に関連する疾患や病態の治療方法であって、そのような治療を要する患者への請求項21に記載の組成物の投与を含む治療方法。
- 請求項1に記載のポリペプチドのアンタゴニストとしての有効性を確認するために化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)請求項1に記載のポリペプチドを含むサンプルを化合物に曝すステップと、
(b)前記サンプルにおいてアンタゴニスト活性を検出する過程とを含むことを特徴とする方法。 - 請求項23に記載の方法で同定したアンタゴニスト化合物と、薬剤として許容できる賦形剤とを有する組成物。
- 機能的MDDTの過剰発現に関連する疾患や病態の治療方法であって、そのような治療を要する患者への請求項24に記載の組成物の投与を含む治療方法。
- 請求項1に記載のポリペプチドに特異結合する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)請求項1に記載のポリペプチドを適切な条件下で少なくとも1つの試験化合物と混合する過程と、
(b)請求項1に記載のポリペプチドの試験化合物との結合を検出し、それによって請求項1に記載のポリペプチドに特異結合する化合物を同定する過程を含む方法。 - 請求項1に記載のポリペプチドの活性をモジュレート(調節)する化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)請求項1に記載のポリペプチドの活性が許容される条件下で、請求項1のポリペプチドを少なくとも1つの試験化合物と混合する過程と、
(b)請求項1に記載のポリペプチドの活性を試験化合物の存在下で算定する過程と、
(c)試験化合物の存在下での請求項1に記載のポリペプチドの活性を、試験化合物の不存在下での請求項1に記載のポリペプチドの活性と比較する過程を含み、試験化合物の存在下での請求項1に記載のポリペプチドの活性の変化が、請求項1に記載のポリペプチドの活性を調節する化合物を標示することを特徴とする方法。 - 請求項5に記載の配列を持つ標的ポリヌクレオチドの発現を改変するのに効果的な化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)前記標的ポリヌクレオチドの発現に好適な条件下で、該標的ポリヌクレオチドを含むサンプルを化合物に曝露する過程と、
(b)前記標的ポリヌクレオチドの発現改変を検出する過程と、
(c)可変量の前記化合物の存在下と前記化合物の不存在下で、前記標的ポリヌクレオチドの発現を比較する過程とを含むことを特徴とする方法。 - 試験化合物の毒性を算定する方法であって、
(a)核酸を含む生物学的サンプルを前記試験化合物で処理する過程と、
(b)処理した前記生物学的サンプルの核酸と、請求項12に記載のポリヌクレオチドの少なくとも20の連続するヌクレオチドを持つプローブをハイブリダイズさせる過程であって、このハイブリダイゼーションゼーションが、前記プローブと前記生物学的サンプル中の標的ポリヌクレオチドとの間で特異的なハイブリダイゼーション複合体が形成される条件下で行われ、前記標的ポリヌクレオチドが、請求項12のポリヌクレオチドまたはその断片のポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである、前記過程と、
(c)ハイブリダイゼーション複合体の収量を定量する過程と、
(d)前記処理された生物学的サンプル中のハイブリタイゼーション複合体の量を、処理されていない生物学的サンプル中のハイブリタイゼーション複合体の量と比較する過程とを含み、前記処理された生物学的サンプル中のハイブリタイゼーション複合体の量の差が、前記試験化合物の毒性を標示するような方法。 - 生物学的サンプル中のMDDTの発現に関連する症状または疾患に対する診断試験法であって、
(a)前記生物学的サンプルと請求項11に記載の抗体との混合を、前記抗体が前記ポリペプチドに結合し、抗体とポリペプチドとの複合体を形成するのに適した条件下で行う過程と、
(b)前記複合体を検出する過程とを含み、前記複合体の存在が、前記生物学的サンプル中の前記ポリペプチドの存在と相関することを特徴とする方法。 - 請求項11に記載の抗体であって、
(a)キメラ抗体
(b)単鎖抗体
(c)Fab断片
(d)F(ab')2 断片
(e)ヒト化抗体のいずれかである抗体。 - 請求項11に記載の抗体と、許容できる賦形剤とを有する組成物。
- 被検者におけるMDDTの発現に関連する症状又は疾患の診断方法であって、請求項32に記載の組成物の有効量を前記被検者に投与する過程を含むことを特徴とする方法。
- 前記抗体が標識されることを特徴とする、請求項32に記載の組成物。
- 被検者におけるMDDTの発現に関連する症状又は疾患の診断方法であって、請求項34に記載の組成物の有効量を前記被検者に投与する過程を含むことを特徴とする方法。
- 請求項11に記載の抗体の特異性を持つポリクローナル抗体を調製する方法であって、
(a)抗体反応を誘発する条件下で、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列またはその免疫原性断片を含むポリペプチドを用いて動物を免疫化する過程と、
(b)前記動物から抗体を単離する過程と、
(c)前記単離された抗体を前記ポリペプチドでスクリーニングし、それによって、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異結合するポリクローナル抗体を同定する過程とを含むような方法。 - 請求項36に記載の方法で産生したポリクローナル抗体。
- 請求項37に記載のポリクローナル抗体と好適なキャリアとを有する組成物。
- 請求項11に記載の抗体の特異性を有するモノクローナル抗体を作製する方法であって、
(a)抗体反応を誘発する条件下で、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列またはその免疫原性断片を含むポリペプチドを用いて動物を免疫化する過程と、
(b)前記動物から抗体産出細胞を単離する過程と、
(c)前記抗体産出細胞と不死化した細胞とを融合して、モノクローナル抗体を産出するハイブリドーマ細胞を形成する過程と、
(d)前記ハイブリドーマ細胞を培養する過程と、
(e)SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異結合するようなモノクローナル抗体を前記培養物から単離する過程とを含むことを特徴とする方法。 - 請求項39に記載の方法で産出したモノクローナル抗体。
- 請求項40に記載のモノクローナル抗体と適切なキャリアとを有する組成物。
- Fab発現ライブラリのスクリーニングによって前記抗体を産出することを特徴とする、請求項11に記載の抗体。
- 組換え免疫グロブリンライブラリをスクリーニングすることにより産出される、請求項11に記載の抗体。
- SEQ ID NO:148を有する群から選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドをサンプル中で検出する方法であって、
(a)請求項11に記載の抗体と前記ポリペプチドとの特異結合を許容する条件下で、前記抗体と1サンプルとをインキュベートする過程と、
(b)特異結合を検出する過程とを含み、該特異結合が、SEQ ID NO:148からなる群から選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドがサンプル中に存在することを標示することを特徴とする方法。 - SEQ ID NO:1-48 からなる群から選択したアミノ酸配列を有するポリペプチドを精製する方法であって、
(a)請求項11に記載の抗体と前記ポリペプチドとの特異結合を許容する条件下で、前記抗体と1サンプルとをインキュベートする過程と、
(b)前記サンプルから前記抗体を分離し、SEQ ID NO:1-48からなる群から選択したアミノ酸配列を含む精製ポリペプチドを得る過程とを含むことを特徴とする方法。 - マイクロアレイの少なくとも1つのエレメントが請求項13に記載のポリヌクレオチドであるマイクロアレイ。
- ポリヌクレオチド群を有する或るサンプルの発現プロファイルを作製する方法であって、
(a)サンプル中のポリヌクレオチドを標識化する過程
(b)ハイブリダイゼーション複合体が形成されるのに適した条件下で請求項46のマイクロアレイのエレメントとサンプル中の標識化ポリヌクレオチドとを接触させる過程と、
(c)サンプル中のポリヌクレオチドの発現を定量する過程を含む方法 - 固体基板上の固有の物理的位置に付着された種々のヌクレオチド分子を有するアレイであって、少なくとも1つの前記ヌクレオチド分子が、或る標的ポリヌクレオチドの少なくとも30の連続したヌクレオチド群と特異的にハイブリダイズ可能な最初のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列を含み、前記の標的ポリヌクレオチドが請求項12に記載のポリヌクレオチドであることを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、前記の最初のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの配列が前記の標的ポリヌクレオチドの少なくとも30の連続したヌクレオチドに完全に相補的であることを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、前記の最初のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの配列が前記の標的ポリヌクレオチドの少なくとも60の連続したヌクレオチドに完全に相補的であることを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、前記のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの最初の配列が前記の標的ポリヌクレオチドに完全に相補的であることを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、マイクロアレイであることを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、前記のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの最初の配列を有するヌクレオチド分子にハイブリダイズした前記の標的ポリヌクレオチドを有することを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、或るリンカーが少なくとも1つの前記のヌクレオチド分子と前記の固体基板とを連結していることを特徴とするアレイ。
- 請求項48に記載のアレイで、該基板上の固有の物理的位置の各々が複数のヌクレオチド分子を含み、任意の単一の固有の物理的位置でのその複数のヌクレオチド分子は同一の配列を有し、該基板上の固有の物理的位置の各々は、該基板上の別の固有の物理的位置でのヌクレオチド分子群の配列とは異なる或る配列を有するヌクレオチド分子群を含むことを特徴とするアレイ。
- SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:3のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:5のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:7のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:9のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:10のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:36のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:42のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:43のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:44のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:45のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:46のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:47のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:48のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のポリペプチド。
- SEQ ID NO:49のポリヌクレオチド配列を有する請求項12に記載のポリヌクレオチド。
- SEQ ID NO:50のポリヌクレオチド配列を有する請求項12に記載のポリヌクレオチド。
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