JP2003509470A - 抗原に対するcd8+t細胞免疫応答を増強するための複製欠損性アデノウイルスベクターの使用 - Google Patents

抗原に対するcd8+t細胞免疫応答を増強するための複製欠損性アデノウイルスベクターの使用

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Abstract

(57)【要約】 初回免疫組成物を予め投与した後に、抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を個体において増強するための、該抗原または該抗原のCD8+T細胞エピトープをコードする複製欠損性アデノウイルスベクターの使用。初回免疫組成物は、抗原もしくはエピトープを含むか、または抗原もしくはエピトープをコードする核酸を含み、これはDNA、Ty-LVPまたは改変ウイルスアンカラ(MVA)でありうる。投与は皮内または筋内投与でありうる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、抗原に対するCD8+T細胞免疫応答の生成に関する。より具体的には
、本発明は、「初回免疫(prime)および追加免疫(boost)」の免疫計画に関し、該
計画においては、初回免疫(priming)組成物の投与により誘導された免疫応答
が、追加免疫(boosting)組成物の投与により増強される。本発明は、種々のタ
イプの初回免疫組成物のいずれかを用いた初回免疫の後に、複製欠損性アデノウ
イルスベクターを用いることにより有効な追加免疫が達成されうるという、本発
明者らが行った実験的検証に基づいている。
【0002】 いくつかの病原体に対する免疫応答の主要な防御性成分は、細胞傷害性Tリン
パ球(CTL)としても知られているCD8+型のTリンパ球により媒介される。CD8+細
胞の重要な機能はγインターフェロン(IFNγ)の分泌であり、これはCD8+T細胞
免疫応答の指標となる。
【0003】 CD8+T細胞応答は、いくつかの、寄生原虫を含む寄生虫、例えばトキソプラス
マ属(Toxoplasma)及びトリパノソーマ属(Trypanosoma)、熱帯熱マラリア原
虫(Plasmodium falciparum)(およびマウスにおける齧歯類のマラリア原虫(P
. berghei));ウイルス、例えばHIV、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、HBV、HCV
インフルエンザ、EBV、麻疹、デング熱およびHTLV-1;細菌、例えばヒト結核菌
(Mycobacterium tuberculosis)およびリステリア・エスピー(Listeria sp)
;並びに種々の癌、例えば黒色腫及び腎癌に対する防御において重要である。
【0004】 齧歯類のマラリア原虫(P.ベルゲイ)によるマウスの感染は、ヒトにおける熱
帯熱マラリア原虫によるマラリアの良好なモデルを提供するものであり、本発明
者らは、本発明が抗原に対する強力なCD8+T細胞免疫応答を提供できることを例
証するために上記モデルを選択した。マラリアは、世界中において重大な健康上
の問題であり、そのワクチン接種に有効な免疫組成物を見出すために鋭意努力が
重ねられてきた。
【0005】 前赤血球段階(pre-erythrocytic stage)の熱帯熱マラリア原虫によるマラリ
アを防御するために、免疫原性組成物は強力なCD8+T細胞応答を誘導する必要が
ある。一般的には、一過性の感染力があり、健常個体には無害である弱毒生ワク
チンがT細胞応答の誘導に有効である。放射線を照射したマラリア原虫スポロゾ
イトは、肝細胞感染能があるが血液段階の感染にまでは進行しないものであり、
これが、前赤血球抗原に対するT細胞応答を誘導することにより、マウスとヒト
の両方をマラリアから防御することが示された(NardinおよびNussenzweig (199
3) Annu. Rev. Immunol. 11: 687-727)。しかしながら、ヒトにおいては長期間
にわたって複数回免疫することが必要とされ、これらの実験的免疫によって価値
のある情報は得られたが、この手法は、ワクチン開発には有効ではない。
【0006】 組換えタンパク質サブユニットワクチンは、体液性応答を引き起こすが、弱い
CD8+T細胞応答である(Schirmbeckら(1995) Vaccine 13 (9): 857-865)。DNAワ
クチンは、P.ヨエリ(P. yoelii)のCSタンパク質に対して体液性及び細胞性応
答の両方を引き出すことが示されている(Sedegahら(1994) Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 91 (21): 9866-70)。しかしながら、P.ベルゲイのCS遺伝子を発現す
るDNAワクチンで免疫したマウスは、防御性CD8+T細胞エピトープpb9に対し弱いC
D8+T細胞応答しか示さず(Romeroら(1989) Nature 341 (6240): 323-6)、感染
性スポロゾイトによるチャレンジに対しては、免疫を繰り返した後でさえも防御
されなかった(Schneiderら(1998) Nat. Med. 4 (4): 397-402)。Tyウイルス様
粒子は、30nmの粒子へと集合した組換えタンパク質からなるものであり、より強
力なCD8+T細胞応答を誘導するが、感染を防御するものではない(Gilbertら(199
7) Nat. Biotechnol. 15 (12): 1280-4)。
【0007】 組換えウイルスはまたワクチンとしても使用しうる。改変ワクシニアウイルス
アンカラ(MVA)は、ヒト細胞において複製せず、ワクチンとして使用するのに
非常に安全なウイルスである(Mayrら(1978) Zentralbl. Bakteriol. 167 (5-6)
: 375-90;SutterおよびMoss (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. 89 (22): 10847-
51;Sutterら(1994) Vaccine 12 (11): 1032-40)。P.ベルゲイのCSを発現する
組換えMVAは、マウスにおいても試験されており、細胞傷害性アッセイにおいて
、Ty VLPで免疫したマウスの場合と同程度のレベルのペプチド特異的溶解をもた
らした(Gilbertら(1999) Biol. Chem. 380 (3): 299-303)。この場合も、これ
らのマウスは感染性チャレンジから防御されなかった。しかしながら、DNAワク
チン、Ty VLPまたはMVAのいずれを単独使用しても、マラリア感染を防御するこ
とができないという事実にも関わらず、T細胞応答の初回免疫にDNAまたはTy VLP
sを用い、追加免疫にMVAを用いると、IFN-γを分泌するCD8+T細胞の数が非常に
増大し、MVAを静脈内投与した場合に感染が完全に防御された(Schneiderら(199
8) Nat. Med. 4 (4): 397-402;WO98/56919号)。
【0008】 本発明は、複製欠損性アデノウイルスを利用するものであり、かかるウイルス
は、以下に記載する実験が示すように、種々の異なる初回免疫組成物のいずれか
を用いて抗原に対し引き出されたCD8+T細胞免疫応答を増強するための有効な手
段であることが見出された。
【0009】 ヒト第5血清型に由来する複製欠損性アデノウイルスは、Grahamらにより生ウ
イルスベクターとして開発された(GrahamおよびPrevec (1995) Mol. Biotechno
l. 3 (3): 207-20;Bettら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 (19): 8802-
6)。アデノウイルスは、およそ3600 bpの直鎖状二本鎖DNAゲノムを含有するエ
ンベロープを持たないウイルスである。組換えウイルスは、ウイルスの複製を可
能にする許容性細胞系において、アデノウイルスゲノムプラスミドと、目的の遺
伝子を強力な真核性プロモーターと共に含有するシャトルベクターとの間のin v
itro組換えにより構築しうる。許容性細胞系からは高いウイルス力価が達成され
うるが、得られるウイルスは、広範な細胞型に感染する能力を有するにもかかわ
らず、許容性細胞系以外のどの細胞においても複製することができず、そのため
安全な抗原送達系である。組換えアデノウイルスは、ダニ媒介脳炎ウイルスNS1
タンパク質(Jacobsら(1992) J. Virol. 66 (4): 2086-95)および麻疹ウイルス
核タンパク質(Fooksら(1995) Virology 210 (2): 456-65)などのいくつかの抗
原に対し防御性免疫応答を引き出すことが示されている。さらに、組換えアデノ
ウイルスの単回投与は、マウスにおけるP.ヨエリの肝寄生虫rRNAのレベルを93%
低減し、また40%防御をもたらし、これはCD8+T細胞によって媒介されることが
示された(Rodriguesら(1997) J. Immunol. 158 (3): 1268-74)。
【0010】 以下に記載する実験は、本発明の実施形態を使用することによって、抗原(具
体的な例としてプラスモディウム・ベルゲイ由来のCS遺伝子を挙げている)を発
現する組換え複製欠損性アデノウイルスが、DNAワクチン、Ty-VLPまたは組換え
改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)に対し引き出されたCD8+T細胞免疫応答
を増強しうることを顕著に示している。複製欠損性アデノウイルスは、皮内また
は筋内免疫後にCD8+T細胞応答を誘導することが見出された。初回免疫/追加免
疫トワクチン接種計画においては、複製欠損性アデノウイルスはまた、MVAによ
り増強されうる応答を引き出すことができた。
【0011】 複製欠損性アデノウイルスで免疫し、MVAで追加免疫したマウスは、P.ベルゲ
イのスポロゾイトによるチャレンジに対して完全に防御された。組換え複製欠損
性アデノウイルスおよび組換えMVAは両方ともヒトにおいて使用するのに安全な
ワクチンである。本発明者らは、都合よく、例えばヒトにおけるCD8+T細胞の誘
導に適した一般的な免疫法計画である、初回免疫および追加免疫の両方に皮内免
疫法を採用するワクチン接種計画を利用できることを見出した。
【0012】 本発明は、種々の態様および実施形態において、抗原または抗原をコードする
核酸を予め投与することにより引き出された抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を
増強するために抗原をコードする複製欠損性アデノウイルスベクターを利用して
いる。
【0013】 本発明の一般的な態様は、抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強するための
複製欠損性アデノウイルスベクターの使用を提供する。
【0014】 本発明の一態様は、個体において抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強する
方法を提供し、該方法には、核酸からの発現によって該個体において該抗原を産
生させるための、調節配列と機能しうる形で連結された該抗原をコードする核酸
を含有する複製欠損性アデノウイルスベクターを該個体に提供し、それにより該
個体において予め引き出された該抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強するこ
とが含まれる。
【0015】 抗原に対する免疫応答は、免疫することにより、病原体による感染により、ま
たは腫瘍もしくは悪性腫瘍の発生により刺激を受けて引き出される。
【0016】 本発明のさらなる態様は、個体において抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を誘
導する方法を提供し、該方法には、該個体に、抗原または該抗原をコードする核
酸を含む初回免疫組成物を投与し、続いて、該核酸からの発現により該個体にお
いて抗原を産生させるための、調節配列と機能しうる形で連結された該抗原をコ
ードする核酸を含有する複製欠損性アデノウイルスベクターを含む追加免疫組成
物を投与することが含まれる。
【0017】 さらなる態様は、開示するように、抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強す
るために哺乳動物に投与するための医薬の製造における、複製欠損性アデノウイ
ルスベクターの使用を提供する。かかる医薬は、一般的に抗原を含む初回免疫組
成物を先に投与した後で投与するためのものである。
【0018】 初回免疫組成物は、任意のウイルスベクターを含みうるが、一般的にはアデノ
ウイルス以外のウイルス、例えば、ワクシニアウイルスベクター、例として改変
ウイルスアンカラ(MVA)(Mayrら(1978) Zentralbl. Bakteriol. 167 (5-6): 3
75-90;SutterおよびMoss (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. 89 (22): 10847-51
;Sutterら(1994) Vaccine 12 (11): 1032-40)またはNYVAC(Tartagliaら、Vir
ology (1992) 118 (1): 217-32)などの複製欠損性株;鳥類痘ベクター、例とし
て鶏痘またはカナリア痘(例えばALVAC(Kanapox, Paolettiら、Dev Biol Stand
(1994) 82: 65-9)として知られる株);あるいはヘルペスウイルスベクターを
含みうる。初回免疫組成物は、組換え細菌ベクター、例えば組換えBCGまたはサ
ルモネラを含みうる。組換え鶏痘ウイルスを含む初回免疫組成物は、本発明にお
いて使用するのに好ましい具体例である。
【0019】 初回免疫組成物は、抗原をコードするDNA、好ましくは哺乳動物細胞において
複製できない環状プラスミド形態のDNAを含みうる。いずれの選択マーカーも、
臨床的に用いられる抗生物質に耐性でない方がよく、そのため例えばカナマイシ
ン耐性がアンピシリン耐性よりも好ましい。抗原発現は、哺乳動物細胞において
活性を有するプロモーター、例えばサイトメガロウイルス即時型(CMV IE)プロ
モーターにより駆動されるべきである。
【0020】 初回免疫組成物は、組換えTy-VLPであってもよい。これらは、S.セレビシエの
Ty1レトロトランスポゾン由来の単一のタンパク質種からなるタンパク質粒子で
あり、これは自然に粒子状に集合する。組換えTy-VLPは、必要なエピトープまた
は抗原をコードする配列とTyAタンパク質をコードする配列の3’末端とを融合し
、該融合タンパク質を発現させるために該コード配列を含有するベクターでS.セ
レビシエを形質転換し、続いてそこから精製することができる酵母細胞質におい
て粒子に集合させることにより産生しうる。Ty-VLPの粒状性質によって、抗原提
示細胞により該粒子が取り込まれ、該粒子に含まれるエピトープに対するCD8+T
細胞応答を引き出すことができる。
【0021】 他の好適な初回免疫組成物としては、末端脂質付加(lipid-tailed)ペプチド
、融合タンパク質、アジュバント組成物などが挙げられる。
【0022】 本発明の種々の態様の特定の実施形態において、初回免疫組成物の投与の後に
、第1および第2の追加免疫組成物による増強を行い、第1および第2の追加免
疫組成物は、それぞれ異なるもの、例えば以下に例示するものである。さらに他
の追加免疫組成物を、本発明から逸脱することなく使用してもよい。一実施形態
において、三種免疫法計画は、DNA、続いて第1の追加免疫組成物としてアデノ
ウイルス、そして次に第2の追加免疫組成物としてMVAを利用し、また場合によ
っては続いてさらなる(第3の)追加免疫組成物、またはその後に一方もしくは
他方のまたは両方の同一または異なるベクターの追加免疫投与を利用してもよい
。また場合により、DNA、続いてMVA、続いてアデノウイルス(Ad)、そして場合
により、続いてその後に一方もしくは他方のまたは両方の同一または異なるベク
ターの追加免疫投与を行ってもよい。
【0023】 各初回免疫および追加免疫組成物に含有させる対象となる抗原は、(どれほど
多くの追加免疫組成物を使用しても)、同一である必要はないが、少なくとも1
つのCD8+T細胞エピトープを共有するべきである。抗原は、標的病原体もしくは
細胞の完全な抗原、またはそれらの断片に相当するものとしうる。抗原中の不必
要なタンパク質配列およびベクター中のコード配列をより効率よく切り出して、
ペプチドエピトープまたはエピトープの人工配列を使用してもよい。1以上のさ
らなるエピトープを含有させてもよく、例えば、Tヘルパー細胞により認識され
るエピトープ、特に種々のHLA型の個体において認識されるエピトープ(例えば
破傷風エピトープ)を含有させうる。
【0024】 複製欠損性アデノウイルスベクター内には、コード化抗原を発現させるための
調節配列としてプロモーターが含まれる。「プロモーター」とは、下流に(すな
わち二本鎖DNAのセンス鎖上に3’配向で)機能しうる形で連結されたDNAの転写
を開始しうるヌクレオチド配列を意味する。「機能しうる形で連結された」とは
、転写がプロモーターから開始されるために適切に配置され配向された同じ核酸
分子の一部として連結されたことを意味する。プロモーターに機能しうる形で連
結されたDNAは、該プロモーターの「転写開始調節下」にある。他の調節配列と
しては、ターミネーター断片、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカ
ー遺伝子、および当業者の知識および実施の範囲内で適切なものとして含まれう
る他の配列が挙げられる。例えば、Molecular Cloning: a Laboratory Manual:
2nd edition, Sambrookら、1989, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照
のこと。核酸の操作に関する多くの公知手法およびプロトコール、例えば核酸構
築物の作製、突然変異誘発、配列決定、DNAの細胞への導入、および遺伝子発現
、ならびにタンパク質解析は、Current Protocols in Molecular Biology, Ausu
belら(編)John Wiley & Sons, 1994に詳述されている。
【0025】 本発明の態様および実施形態において使用するのに好適なプロモーターとして
は、イントロンAを含有するまたは含有しないサイトメガロウイルス即時型(CMV
IE)プロモーター、および哺乳動物細胞において活性を有する任意の他のプロ
モーターが挙げられる。
【0026】 初回免疫組成物および追加免疫組成物のいずれかまたは両方は、顆粒球マクロ
ファージ-コロニー刺激因子(GM-CSF)またはそれをコードする核酸などのアジ
ュバントを含有してもよい。
【0027】 追加免疫組成物の投与は、初回免疫組成物を投与した後、一般的に約10日〜4
週間後、好ましくは約2〜3週間後に行う。
【0028】 好ましくは、初回免疫組成物、追加免疫組成物、または初回免疫および追加免
疫組成物の両方の投与を、皮内または筋内へ免疫することにより行う。
【0029】 アデノウイルスおよびMVAワクチンの皮内投与は、ウイルス懸濁液を注入する
ための針を用いて行いうる。あるいは、ウイルス懸濁液(例えばBiojectorTM
使用する)、またはワクチンを含有する凍結乾燥粉末(例えばPowderjectの手法
および製品による)を投与するための無針注射装置を使用して、冷所保存する必
要のない、個々に調製された用量の製造を可能にする。これは、アフリカの農村
地帯において必要とされるワクチンにとっては重大な利点でありうる。
【0030】 アデノウイルスおよびMVAはいずれも、ヒトを免疫する際に優れた安全性が認
められているウイルスである。組換えウイルスの作製は、簡便に行うことができ
、再現性をもって大量に製造することが可能である。従って、組換え複製欠損性
アデノウイルス、続いて組換えMVAの皮内投与は、CD8+T細胞応答により調節され
うる疾患に対するヒトの予防上または治療上のワクチン接種に非常に適している
【0031】 個体は、疾患または障害を有しているため、抗原の送達、および抗原に対する
CD8+T細胞免疫応答の生成が有利であるか、または治療上有効な効果を有しうる
【0032】 もっとも有望なものとして、投与は、感染前または症状の発症前に病原体また
は疾患に対する免疫応答を生じさせる予防目的でありうる。
【0033】 本発明により治療または予防されうる疾患および障害としては、既に上述した
任意のもの、およびCD8+T細胞免疫応答が防御または治療的役割を果たす可能性
のあるものが挙げられる。
【0034】 本発明により投与される成分は、医薬組成物に製剤化しうる。これらの組成物
は、医薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知
の他の物質を含有しうる。かかる物質は、非毒性であり、有効成分の効力を干渉
しないものである必要がある。担体または他の物質の正確な性質は、投与経路、
例えば静脈内、皮内もしくは皮下、鼻腔内、筋内、腹腔内経路に応じて変わりう
る。
【0035】 上述したように、投与は、皮内、皮下または筋内経路が好ましい。
【0036】 液体医薬組成物は、一般的には、水、石油、動物もしくは植物油、鉱油または
合成油などの液体担体を含有しうる。生理学的食塩水、デキストロースもしくは
他の糖類溶液、またはグリコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリ
コールもしくはポリエチレングリコール)を配合してもよい。
【0037】 静脈内、皮内もしくは皮下注射、または罹患部位における注射に関しては、有
効成分を、発熱性物質不含であり適切なpH、等張性及び安定性を有する非経口投
与に許容される水溶液の形態としうる。当業者であれば、例えば塩化ナトリウム
注射液、リンゲル注射液、乳酸化リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて
適切な溶液を良好に調製することができる。保存剤、安定剤、緩衝剤、抗酸化剤
および/または他の添加剤は、必要に応じて配合しうる。
【0038】 徐放性製剤を利用してもよい。
【0039】 複製欠損性アデノウイルス粒子を製造し、かかる粒子を組成物に最適に製剤化
した後、該粒子を、個体、特にヒトまたは他の霊長類に投与しうる。投与は、他
の哺乳動物、例えばマウス、ラットもしくはハムスターなどの齧歯動物、モルモ
ット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ウシ、ロバ、イヌまたはネコに対し
行ってもよい。
【0040】 投与は、「予防上有効な量」または「治療上有効な量」で行うことが好ましく
、(場合によっては、予防が治療とみなされる場合もあるが)、これは個体に対
し利益を提示するのに十分なものである。投与される実際の量、ならびに投与の
割合および時間経過は、治療対象の性質および重篤度に依存しうる。治療の処方
箋、例えば用量の決定などは、一般医および他の医師または獣医学的内容に関し
ては獣医の責任の範囲内であり、典型的には、治療対象の疾患、個別の患者の状
態、送達部位、投与方法、および医師に公知の他の要因が考慮される。上記手法
およびプロトコールの例は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th edit
ion, Osol, A. (編), 1980に見出しうる。
【0041】 1つの好ましい手法においては、DNAを0.5 mg/注射の用量で(好ましくは筋
内)投与し、続いてアデノウイルスを5×107〜5×108ウイルス粒子/注射で(
好ましくは筋内または皮内)投与する。
【0042】 組成物は、治療対象の状態に応じて、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて
、同時または連続して投与しうる。
【0043】 非ヒト哺乳動物への送達は、治療目的である必要はないが、実験に関する用途
、例えば、目的の抗原に対する免疫応答機構の研究、例として癌、マラリア、他
の病原体などに対する防御の研究に使用しうる。
【0044】 当業者であれば、以上の開示内容、および限定ではなく例示目的の以下の実施
例を考慮し、添付の図面を参照して、本発明のさらなる態様および実施形態を理
解することができる。
【0045】実施例 実験説明 本発明者は、P.ベルゲイのCS遺伝子を発現する組換え複製欠損性アデノウイル
ス(Ad-PbCS)を構築し、このウイルスがマウスにおいて単独でまたは他のタイ
プのワクチンと組み合わせてCD8+T細胞応答を誘導する能力を試験した。
【0046】 単回免疫として用いた場合には、高レベルの抗原特異的CD8+T細胞が生成され
た。アデノウイルス初回免疫とそれに続くMVA追加免疫によって完全に防御され
た。
【0047】 注目すべきことに、アデノウイルスは、DNA、Ty-VLPまたはMVAにより初回刺激
された応答を十分に増強することができた。
【0048】材料および方法 DNAワクチン DNAワクチンpSG2.PbCSは、P.ベルゲイCSタンパク質の発現を駆動するイントロ
ンAを有するCMVプロモーターと、ウシ成長ホルモンポリA配列とから構成される
。このプラスミドは、カナマイシン耐性であり、真核細胞において複製できない
ものである。該プラスミドは、Qiagenカラムを用いて調製し、エンドトキシン不
含のリン酸緩衝化食塩水(PBS)中に希釈した。
【0049】組換え複製欠損性アデノウイルスの構築 pSG2.PbCSP由来のイントロンAを有するCMVプロモーター、P.ベルゲイCSタンパ
ク質遺伝子およびウシ成長ホルモンポリA配列を、アデノウイルスシャトルベク
ターpΔE1sp1Aのマルチプルクローニングサイトにライゲートした(Bettら(1994
) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 (19): 8802-6)。このベクターを用いて、E1
に欠失を有するアデノウイルス5型組換え株を構築しうる。組換えシャトルベク
ターを、アデノウイルスゲノムプラスミドpJM17と共に用いて許容細胞系293をト
ランスフェクトした(GrahamおよびPrevec (1995) Mol. Biotechnol. 3 (3): 20
7-20)。トランスフェクト細胞からのウイルスを293細胞において3回連続限定
希釈によりクローン精製し、単離したウイルスを感染した細胞におけるP.ベルゲ
イCSの発現を免疫蛍光により確認した。大量のウイルスを感染293細胞から調製
し、免疫を行なう前にArkloneで抽出して精製した(GrahamおよびPrevec (1995)
Mol. Biotechnol. 3 (3): 207-20)。
【0050】Ty VLP P.ベルゲイCS, SYIPSAEKIに由来するpb9エピトープを発現する組換えTy-VLPは
、Gilbertら(Gilbertら(1997) Nat. Biotechnol. 15 (12): 1280-4)に記載の
ように調製し、PBS中に懸濁した。
【0051】組換えMVA P.ベルゲイCSを発現するMVAは、ワクシニアP7.5プロモーターにより駆動され
るCS遺伝子を含有するシャトルベクターと、一次ニワトリ胚繊維芽細胞中のMVA
ウイルスとの間のin vitro組換えにより調製した(Sutterら(1994) Vaccine 12
(11): 1032-40)。組換え株は、大腸菌β-ガラクトシダーゼも発現し、繰り返し
プラーク精製して、組換え遺伝子の発現は免疫蛍光により確認した。免疫用ウイ
ルスは、スクロースクッションを介した超遠心分離により精製し、エンドトキシ
ン不含PBS中に懸濁した。
【0052】免疫法 4〜6週齢のメスBALB/cマウスを、個々の実験について記載するように麻酔し
て免疫した。筋内DNA免疫は、各脛骨筋に50μgのDNAを使用した。MVAおよびアデ
ノウイルス(それぞれ投与1回当たり106および107pfu)を耳介(ear pinae)に
皮内注射した。Ty VLP(投与1回当たり100μg)を足蹠に皮内注射するかまたは
尾の外側の静脈に静脈内注射した。
【0053】ELISPOTアッセイ 新鮮な脾細胞調製物中のIFN-γ分泌性pb9特異的T細胞数を、既に記載されてい
る通りに(Schneiderら(1998) Nat. Med. 4 (4): 397-402)、抗マウスIFN-γ抗
体(ETCCからのクローンR4)で96ウエルニトロセルロースプレートを被覆し、PB
Sで洗浄した後、10%FCS含有完全培地でブロッキングすることにより測定した。
免疫マウス由来の脾細胞を1〜2×107細胞/mlで再懸濁し、被覆したウエル中に2
連で入れ、段階希釈した。H2-Kd-制限ペプチドpb9(SYIPSAEKI)(Romero)を試
験ウエルに添加し、無関係のペプチドを対照ウエルに添加した。一晩インキュベ
ートした後、ウエルを洗浄し、第二のビオチン化抗IFN-γ抗体(Pharmingen Clo
ne)をウエルに添加した。ウエルを再度洗浄し、ストレプトアビジン-アルカリ
ホスファターゼを添加した。さらに洗浄した後、アルカリホスファターゼ基質を
添加してスポットを生じさせた。ウエルを洗浄して反応を停止し、立体顕微鏡下
でスポットを計数した。
【0054】P.ベルゲイによるチャレンジ P.ベルゲイのスポロゾイト(ANKA株クローン1)は、研究室で飼育された雌ア
ノフェレス・ステフェンシ(Anopheles stephensi)蚊から入手し、感染したマ
ウスを吸血させた後、18℃にて20〜25日間維持した。蚊から切開して唾液腺を採
取し、RPMI 1640(Sigma)を有する組織ホモジナイザーに入れ、スポロゾイトを
放出させた。続いてこれを血球計算器で計数した。尾の静脈に2000個のスポロゾ
イトを注射することによりマウスをチャレンジした。感染は、チャレンジの7日
および9日後に取得したギームザ染色血液塗抹標本における環形成の存在により
測定した。血液段階の寄生虫血症が2つの時点で観察された場合にマウスを屠殺
した。生存個体は、マラリア症状の発症に関して少なくともさらに3週間観察し
た。
【0055】結果 種々の投与経路を用いた単回アデノウイルス免疫法の免疫原性 最初に、Ad-PbCSがpb9特異的IFN-γ分泌T細胞を誘導する能力について、投与
経路の影響を試験した。
【0056】 Rodriguesら(1997) J. Immunol. 158 (3): 1268-74は、高レベルのマラリア特
異的CD8+T細胞が、筋内および皮下免疫後に誘導されたが、静脈内、腹腔内また
は鼻腔内免疫では誘導されなかったことを見出している。本発明者は、ヒトにお
いて使用しようとする予防用ワクチンに適切ではない経路のため、静脈内または
腹腔内免疫に関しては試験しなかったが、皮内免疫の群および「遺伝子塗布(ge
ne paint)」の群を含めた。組換えアデノウイルスを皮膚上に単に投与すること
は(遺伝子塗布として知られており)、ウイルスにより発現される抗原に対し免
疫応答を誘導できることが既に示されている(Tangら(1997) Nature 388 (6644)
: 729-30)。
【0057】 107 pfu Ad-PbCSの単回免疫を与えたマウス群および脾細胞を、14日後のペプ
チド特異的IFN-γ分泌T細胞について試験した。
【0058】 筋内または皮内免疫後に検出されたペプチド特異的IFN-γ分泌T細胞数(図1
)は、DNAを筋内に単回免疫した後で検出されたものよりもいくぶん高く、MVAを
筋内投与した後に検出されたものよりもわずかに低かった(Gilbertら(1999) Bi
ol. Chem. 380 (3): 299-303)。鼻腔内または皮下免疫によって、非常に少数の
ペプチド特異的IFN-γ分泌T細胞しか産生されず、また「遺伝子塗布」群におい
ては全く検出されなかった。以降行う全ての実験に皮内免疫を用いた。
【0059】種々の初回免疫/追加免疫法の免疫原性 図2は、0日目に初回免疫をし、14日目に追加免疫した免疫マウスの脾臓内で
検出されたペプチド特異的IFN-γ分泌T細胞数を示す。
【0060】 初回免疫および追加免疫に同じワクチンを使用すると、特異的なCD8+T細胞が
増大したが、異種の追加免疫後にはそれ以上の増大が認められた。DNAは、既存
の応答を増強しない。しかしながら、アデノウイルスの初回免疫とMVAの追加免
疫との組み合わせによって、極めて多数のペプチド特異的CD8+T細胞が生成され
た。高レベルにまで増強され得る応答を初回刺激することが可能なことに加えて
、Ad-PbCSは、DNAまたはMVAにより初回刺激された応答を増強することができた
【0061】三種組み合わせ免疫法の免疫原性 異種の初回免疫および追加免疫は、同じワクチンを反復して使用するよりもは
るかに有効であることが明らかである。3種の異なるワクチンを連続的に使用し
た。DNAワクチンは免疫を増強しないため、2つの組み合わせが可能であり、そ
れを採用した:すなわち、DNA/Ad/MVAおよびDNA/MVA/Adである。マウス群を10日
間隔で免疫し、脾細胞を最終免疫の10日後に試験した。
【0062】 前の実験と同様に、DNA/MVA、Ad/MVA、MVA/AdおよびDNA/Adの免疫後に多数の
ペプチド特異的IFN-γ分泌T細胞が検出された(図3)。しかしながら、これら
の数は、第三の異種の追加免疫を行った場合と同程度(3〜10倍)には増大しな
かった。
【0063】感染性チャレンジに対する防御 アデノウイルスを初回免疫剤または追加免疫剤のいずれかで使用するいくつか
の初回免疫/追加免疫の組み合わせによって、P.ベルゲイスポロゾイトによるチ
ャレンジに対してマウスを防御すると予測される、多数のペプチド特異的IFN-γ
分泌T細胞が生成された。従って、8〜11匹のマウス群を、種々の異種の初回免
疫/追加免疫の組み合わせで免疫し、追加免疫による免疫の2週間後に2000個の
感染性P.ベルゲイスポロゾイトでチャレンジした。結果を表1に示す。
【0064】 アデノウイルスの皮内投与、続いてMVAの皮内投与によって、免疫マウスは完
全に防御された。以前のP.ベルゲイチャレンジ実験においては、筋内DNA、続い
て皮内MVAの投与によって高レベルの防御がもたらされるが、完全な防御は、MVA
を静脈内投与した場合にのみ達成されることが見出されていた(Schneiderら(19
98) Nat. Med. 4 (4): 397-402)。しかしながらアデノウイルス初回免疫および
MVA追加免疫を利用した場合には、防御を欠損することなく両方のワクチンを皮
内に投与することができた。MVA初回免疫およびアデノウイルス追加免疫はまた
高レベルの防御をもたらしたが、その後行った2回のアデノウイルスによる免疫
は高レベルの防御をもたらすことはなかった。アデノウイルスはまた、DNAまた
はTy-VLPにより初回刺激された応答を増強することができ、その防御レベルは、
DNA初回免疫および皮内MVA追加免疫により得られるものに匹敵していた。
【0065】 表1: 種々の異種の初回免疫/追加免疫の組み合わせで免役したマウスの防御。DNAは
筋内投与(50μg用量)した。MVA(106 pfu用量)、アデノウイルス(107 pfu用
量)およびTy VLP(100μg用量)は、特に記載しない限り皮内投与した。初回免
疫による免疫は0日目に行い、追加免疫による免疫を14日目に行い、チャレンジ
を28日目に行った。
【0066】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ad-PbCSの単回投与により初回免疫されたペプチド特異的IFN-γ分泌T細胞を実
証する実験結果を示す。3匹のマウス群を、107pfuを用いて指示する経路で免疫
した。IFN-γ分泌pb9特異的T細胞を検出するためのELISPOTアッセイは、2週間
後に脾細胞において2連で行った。グラフは、各投与経路について脾細胞100万
個当たりのスポット形成細胞(SFC)を示す。
【図2】 初回免疫/追加免疫法による結果を示す。3匹のマウス群を、0日目に指示す
る第1のワクチン(D = pSG2. PbCS、A = Ad-PbCS、M = MVA-PbCS)で免疫し、1
4日目に第2のワクチンで免疫した。DNAは筋内注射し、アデノウイルスおよびMV
Aは皮内注射した。ELISPOTは、28日目に単離した脾細胞で実施した。グラフは、
初回免疫/追加免疫の免疫法計画それぞれについて脾細胞100万個当たりのSFCを
示す。
【図3】 三種組み合わせ免疫法の結果と、二種組み合わせ免疫法との比較を示す。3匹
のマウス群は、指示するワクチン(D = pSG2. PbCS、A = Ad-PbCS、M = MVA-PbC
S)で10日間隔で免疫し、二種組み合わせ法の第1ワクチンを三種組み合わせ法
の第2ワクチンと同じ日に投与した。ELISPOTアッセイを最終免疫の10日後の脾
細胞で2連で行った。グラフは、各免疫計画についての脾細胞100万個当たりのS
FCを示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年11月5日(2001.11.5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ギルバート,サラ,キャサリン イギリス国 オーエックス3 7イーキュ ー オックスフォード ヘディントン,デ ーン ロード 65 (72)発明者 ハンナン,キャロライン,マリー イギリス国 オーエックス4 3エーエー オックスフォード パーシー ストリー ト 42 (72)発明者 ヒル,アドリアン,ビビアン,シントン イギリス国 オーエックス3 9ディーエ ル オックスフォード セント アンドリ ューズ ロード 2 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA31 CA02 DA03 EA02 FA02 FA15 HA17 4C084 AA13 MA65 ZB092 ZB212 ZB312 4C085 AA03 BA01 EE01 GG04 GG05 4C087 AA02 BC83 MA65 ZB09 ZB21 ZB31

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 個体を処置するための医薬の製造における、抗原または該抗
    原のCD8+T細胞エピトープをコードする複製欠損性アデノウイルスベクターの使
    用であって、該抗原に対するCD8+T細胞免疫応答が治療上または予防上有効なも
    のであり、該医薬は、該抗原もしくはエピトープを含むかまたは該抗原もしくは
    エピトープをコードする核酸を含む初回免疫組成物を予め投与した後に、該個体
    において該抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強するために該個体に投与する
    ためのものである、上記使用。
  2. 【請求項2】 初回免疫組成物が抗原もしくはエピトープをコードするDNA
    を含む、請求項1記載の使用。
  3. 【請求項3】 初回免疫組成物が組換えTy-VLPを含む、請求項1記載の使用
  4. 【請求項4】 初回免疫組成物が改変ウイルスアンカラ(MVA)を含む、請
    求項1記載の使用。
  5. 【請求項5】 医薬が、抗原もしくはエピトープを含むもう1つの異なる追
    加免疫組成物の投与前に投与するための追加免疫組成物である、請求項1〜4の
    いずれか1項記載の使用。
  6. 【請求項6】 医薬が、抗原もしくはエピトープを含むもう1つの異なる追
    加免疫組成物の投与後に投与するための追加免疫組成物である、請求項1〜4の
    いずれか1項記載の使用。
  7. 【請求項7】 医薬が皮内投与用である、請求項1〜6のいずれか1項記載
    の使用。
  8. 【請求項8】 医薬が筋内投与用である、請求項1〜6のいずれか1項記載
    の使用。
  9. 【請求項9】 個体において抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強する方
    法であって、核酸からの発現によって該個体において該抗原または該抗原のCD8+
    T細胞エピトープを産生させるための、調節配列と機能しうる形で連結された該
    抗原または該抗原のCD8+T細胞エピトープをコードする核酸を含有する複製欠損
    性アデノウイルスベクターを該個体に提供し、それにより該個体において予め引
    き出された該抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を増強することを含む、上記方法
  10. 【請求項10】 個体において抗原に対するCD8+T細胞免疫応答を誘導する
    方法であって、該抗原もしくは該抗原のCD8+T細胞エピトープを含むかまたは該
    抗原もしくはエピトープをコードする核酸を含む初回免疫組成物を該個体に投与
    し、続いて、核酸からの発現によって該個体において該抗原またはエピトープを
    産生させるための、調節配列と機能しうる形で連結された該抗原またはエピトー
    プをコードする核酸を含有する複製欠損性アデノウイルスベクターを含む追加免
    疫組成物を投与することを含む、上記方法。
  11. 【請求項11】 初回免疫組成物が抗原もしくはエピトープをコードするDN
    Aを含む、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 初回免疫組成物が組換えTy-VLPを含む、請求項10記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 初回免疫組成物が改変ウイルスアンカラ(MVA)を含む、
    請求項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 抗原もしくはエピトープを含むもう1つの異なる追加免疫
    組成物を投与することをさらに含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 追加免疫組成物が皮内投与される、請求項9〜14のいず
    れか1項に記載の方法。
  16. 【請求項16】 追加免疫組成物が筋内投与される、請求項9〜14のいず
    れか1項に記載の方法。
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