JP2003507063A - 融合ライブラリを構築及び使用するための方法及び組成物 - Google Patents

融合ライブラリを構築及び使用するための方法及び組成物

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JP2003507063A
JP2003507063A JP2001518853A JP2001518853A JP2003507063A JP 2003507063 A JP2003507063 A JP 2003507063A JP 2001518853 A JP2001518853 A JP 2001518853A JP 2001518853 A JP2001518853 A JP 2001518853A JP 2003507063 A JP2003507063 A JP 2003507063A
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リ,ミン
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ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ スクール オブ メディシン
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
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    • C12N15/1075Isolating an individual clone by screening libraries by coupling phenotype to genotype, not provided for in other groups of this subclass

Abstract

(57)【要約】 本発明は、各々核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸、及び候補タンパク質をコードする核酸を含む融合核酸のライブラリを提供する。また、核酸修飾(NAM)酵素及び候補タンパク質を含む融合ポリペプチドのライブラリも提供される。各々(i)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸、及び候補タンパク質をコードする核酸を含む融合核酸、並びに(ii)EASを含む発現ベクターのライブラリが提供される。候補タンパク質のうちの少なくとも2つは異なる。好ましくは、NAM酵素はRepタンパク質である。また、好ましくは、EASは長さが20ヌクレオチドを上回る。同様に、好ましい態様は、提示構造をコードする核酸、標識をコードする核酸又はターゲッティング配列をコードする核酸を含む融合核酸を利用する。また、本発明は、NAM酵素及び候補タンパク質を含有する融合ポリペプチドを各々含む核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリも提供する。このNAPコンジュゲートは、NAM酵素をコードする核酸、候補タンパク質をコードする核酸、及びNAM酵素によって認識される酵素結合配列(EAS)を含む融合核酸を含有する融合核酸を含む発現ベクターをも含む。EAS及びNAM酵素は共有結合する。宿主細胞のライブラリ及びスクリーニング方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本願は、1999年8月20日出願の米国仮特許出願60/150,004号、及び2000年6月2
日出願の60/209,130号に対する優先権を主張する。
【0002】発明の分野 本発明は、NAM酵素融合タンパク質をコードする遺伝子ライブラリ及び目的と
する核酸の同定への使用方法に属する。
【0003】発明の背景 DNA技術及びバイオインフォマティクスにおける改善は、2、3の微生物の未加
工遺伝子配列を科学団体が利用することを可能にし、高級真核生物及び哺乳動物
のゲノムの配列決定はほぼ完了している。様々な生物に由来するDNA配列の急速
な蓄積は膨大な潜在的科学的及び商業的機会を提示する。しかしながら、多くの
場合、これらの利用可能な未加工配列をそれらのコードされた生物学的、薬学的
又は産業的有用性の知識に変えることはできない。したがって、天然及び合成の
両者の源に由来するDNA配列の機能及び有用性を効率的、組織的、及び最大限に
実現する技術に対する必要性が当該技術分野に存在する。
【0004】 所定のDNA配列の潜在的機能を実現する幾つかの一般的なアプローチが報告さ
れている。遺伝子及び標的の発見において主要なアプローチでもあるアプローチ
の1つはバイオインフォマティクス的ツールを頼りにする。バイオインフォマテ
ィクスのソフトウェアは、配列データをコンピュータ・データベースに組織化す
ることに特化している幾つかの企業から入手可能である。研究者は特徴付けられ
ていない核酸配列をデータベース内の既知遺伝子の配列と比較し、それによりコ
ードされた遺伝子産生物の核酸配列の機能に関して理論を提唱することが可能で
ある。しかしながら、バイオインフォマティクスのソフトウェアは高価なもので
ある可能性があり、有意義に使用するのにしばしば膨大な訓練を必要とし、コー
ドされた遺伝子産生物の可能性のある機能に関して研究者が推定することのみを
可能にする。さらに、既知機能を有する遺伝子との配列の関連性を示さない、同
定されているDNA配列の数は増加しつつあり、新たな特性が多くのいわゆる「既
知」遺伝子について発見されている。したがって、バイオインフォマティクスは
、慎重に用いなければならない限られた量の情報を提供する。全ての情報科学が
予測する特性は実験的な承認を必要とする。
【0005】 機能を配列データと関連付けるための他のアプローチは、孤立遺伝子の機能の
実験的試験を追求する。従来記載されていた方法においては、核酸配列を幾つか
の発現構築体のいずれかを用いて発現させてコードされたペプチドを得、次にそ
れを所望の特性を有するペプチドを同定するためのアッセイにかける。従来記載
されていた方法の多くに固有の困難は、標的の特性をそのコーディング核酸配列
と関連付けることである。換言すると、核酸及びペプチド配列の巨大な収集を集
め、それらのコードされた機能を探索するため、所望の機能の原因となるコーデ
ィング配列を同定及び単離することはますます困難となる。
【0006】 遺伝子ライブラリのような核酸配列の巨大な収集を用いる作業に関連する基本
的な困難は、発現したペプチドをそれをコードする遺伝的物質と関連付けること
によって緩和される。ペプチドをそのコーディング核酸と関連付けるアプローチ
はポリソーム・ディスプレイの使用である。ポリソーム・ディスプレイ法は、本
質的に、in viroでRNAを翻訳し、その新生タンパク質をその対応RNAと複合体化
することを含む。複合体は、リボソームが新生タンパク質又はRNAを放出しない
ようにコーディング配列を操作することによって構築される。関心のあるタンパ
ク質を検索することによって研究者は対応するRNAを検索し、それにより、逆転
写酵素結合PCRのような公知法によってRNAをDNAに変換した後、コーディングDNA
配列を得る。さらに、ポリソーム・ディスプレイ法はin vitroのみで実施するこ
とが可能であり、実施が困難であり、かつRNase非含有環境を必要とする。代替
出発メチオニンコドン及びin vitro翻訳機構の完全とは言えない処理性のため、
この方法は巨大タンパク質には適用できない。加えて、RNA−タンパク質−リボ
ソーム複合体は不安定であり、そのためポリソーム・ディスプレイ複合体と共に
用いるのに適するスクリーニング法及びツールが制限される。
【0007】 遺伝子ライブラリと共に用いるためにタンパク質をコーディング核酸分子に連
結させる他の一般的に用いられる方法は、タンパク質を細胞、ウイルス、ファー
ジ、及び酵母の外面に提示することを含む。様々なタンパク質を、例えば、ウイ
ルス外殻タンパク質の成分として発現させることにより、そのタンパク質はウイ
ルス粒子又は細胞宿主内に位置するそのコーディングDNAと自然に連結し、それ
は容易に単離することができる。その後、そのDNAを精製して解析する。タンパ
ク質を遺伝子ライブラリ構築体内のDNA分子と関連付けるための他のシステムは
、例えば、国際特許出願WO93/08278、WO98/37186及びWO99/11785に記載され
ている。さらに、これらのアプローチは、最も望ましいものではない特徴を有す
る。第1に、発現したタンパク質及び対応するcDNAは非共有結合性の結合をする
。生じる複合体は安定ではなく、すなわち、多くの選択手順に適するものではな
い。第2に、これらの計画的な提示システムはin viro又は原核生物異種発現系の
いずれかに制限されており、これは真核生物のペプチドを研究するのに必要なタ
ンパク質修飾又は折り畳み機構を提供することができない。不正確に折り畳まれ
、又は修飾されたタンパク質は、しばしば、所望のタンパク質の本来の機能を欠
き、しばしば非常に不安定である。第3に、生物学的粒子の表面上に提示された
場合、発現したタンパク質は、しばしば、提示された系に固有の望ましくない生
物学的選択を受ける。例えば、バクテリオファージなどの細菌ウイルス上の提示
タンパク質の場合、発現したタンパク質は細菌ウイルスの外殻タンパク質の一部
として組み立てられ、細菌ウイルスの表面に提示される。この細菌ウイルス結合
変異タンパク質と周囲環境との相互作用及びそのタンパク質の細菌ウイルス外殻
への組み込みはその変異タンパク質のコンフォメーション及び活性に損傷を与え
る可能性がある。さらに、このタンパク質が細菌ウイルスのカプシドに組み込ま
れるとしても、提示タンパク質はその活性に必要な正しい幾何学的又は化学量論
的形態にはないことがある。第4に、生物学的粒子を用いる巨大表面提示ライブ
ラリの構築は時間集約的であり、研究者はその生物学的粒子、すなわち、ウイル
ス又はファージが生存可能なままであることを確実にするよう注意しなければな
らない。第5に、タンパク質の翻訳を実施する際、異なる宿主は異なるコドン優
先度を有することが知られている。例えば、細菌ウイルスの提示に用いられる発
現系である原核生物系においては、タンパク質翻訳の過程で細菌によって容易に
認識されることのない、哺乳動物細胞において通常認識される少なくとも5つの
コドンが存在する。したがって、これらのコドンを有する哺乳動物の配列は細菌
においては翻訳されないか、又は非常に非効率的に翻訳され、重大なネガティブ
選択を引き起こす。
【0008】 上記の観点から、変異又は未知ペプチド及びそのコーディング配列の容易な結
合を可能にする遺伝子ライブラリ並びに使用方法に対する当該技術分野における
必要性が残っている。本発明はそのようなライブラリ及び方法を提供する。加え
て、本発明は本来の細胞環境における関連タンパク質の同定を可能とし、これは
真核生物系を用いる大きな利点である。本発明のこれらの、及び他の利点に加え
てさらなる発明の特徴は、本明細書に提供される本発明の説明から明らかであろ
う。
【0009】発明の要約 本明細書に概説される目的に従い、本発明は、融合核酸のライブラリであって
、各々核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸、及び候補タンパク質をコードす
る核酸を含むライブラリを提供する。候補タンパク質のうちの少なくとも2つは
異なる。好ましい実施形態において、NAM酵素はRepタンパク質である。同様に、
好ましい実施形態は提示構造(presentation structure)をコードする核酸、標識
をコードする核酸又はターゲッティング配列をコードする核酸を含む融合核酸を
用いる。
【0010】 さらなる実施形態において、本発明は、融合ポリペプチドのライブラリであっ
て、各々NAM酵素及び候補タンパク質を含み、候補タンパク質のうちの少なくと
も2つが異なるライブラリを提供する。好ましい実施形態において、NAM酵素はRe
pタンパク質である。同様に、好ましい実施形態は、提示構造、標識又はターゲ
ッティング配列を含む融合ポリペプチドを用いる。
【0011】 さらなる実施形態において、本発明は、発現ベクターのライブラリであって、
各々NAM酵素をコードする核酸、候補タンパク質をコードする核酸、及びNAM酵素
によって認識される酵素結合配列(EAS: enzyme attachment sequence)を含有
する融合核酸を含むライブラリを提供する。候補タンパク質のうちの少なくとも
2つは異なる。好ましい実施形態において、NAM酵素はRepタンパク質である。同
様に、好ましい実施形態は、提示構造をコードする核酸、標識をコードする核酸
又はターゲッティング配列をコードする核酸を含む融合核酸を用いる。また、好
ましい実施形態は、少なくとも20のヌクレオチドを含むEASをも用いる。
【0012】 さらなる実施形態において、本発明は、核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲ
ートのライブラリであって、各々NAM酵素及び候補タンパク質を含む融合ポリペ
プチドを含むライブラリを提供する。このNAPコンジュゲートは、NAM酵素をコー
ドする核酸、候補タンパク質をコードする核酸、及びNAM酵素によって認識され
る酵素結合配列(EAS)を含有する融合核酸を含む融合核酸を含む発現ベクター
をも含む。EAS及びNAM酵素は共有結合する。候補タンパク質のうちの少なくとも
2つは異なる。好ましい実施形態において、NMA酵素はRepタンパク質である。同
様に、好ましい実施形態は、提示構造をコードする核酸、標識をコードする核酸
又はターゲッティング配列をコードする核酸を含む融合核酸を用いる。また、好
ましい実施形態は、少なくとも20のヌクレオチドを含むEASをも用いる。
【0013】 さらなる側面において、本発明は、本発明の組成物を含む宿主細胞を提供する
【0014】 さらなる側面において、本発明は、真核宿主細胞のライブラリであって、各々
NAM酵素をコードする核酸、候補タンパク質をコードする核酸、及びNAM酵素によ
って認識される酵素結合配列(EAS)を含有する融合核酸を含む発現ベクターを
含むライブラリを提供する。候補タンパク質のうちの少なくとも2つは異なる。
好ましい実施形態において、NMA酵素はRepタンパク質である。同様に、好ましい
実施形態は、提示構造をコードする核酸、標識をコードする核酸又はターゲッテ
ィング配列をコードする核酸を含む融合核酸を用いる。また、好ましい実施形態
は、少なくとも20のヌクレオチドを含むEASをも用いる。
【0015】 さらなる側面において、本発明は、真核宿主細胞のライブラリであって、各々
核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートを含むライブラリを提供する。各々のN
APは、NAM酵素及び候補タンパク質を含む融合ポリペプチドを含む。また、NPAコ
ンジュゲートは、NAM酵素をコードする核酸、候補タンパク質をコードする核酸
、及びNAM酵素によって認識される酵素結合配列(EAS)を含有する融合核酸を含
む発現ベクターをも含む。EAS及びNAM酵素は共有結合する。候補タンパク質のう
ちの少なくとも2つは異なる。好ましい実施形態において、NMA酵素はRepタンパ
ク質である。同様に、好ましい実施形態は、提示構造をコードする核酸、標識を
コードする核酸又はターゲッティング配列をコードする核酸を含む融合核酸を用
いる。また、好ましい実施形態は、少なくとも20のヌクレオチドを含むEASをも
用いる。
【0016】 さらなる側面において、本発明は、NAPコンジュゲートのライブラリを少なく
とも1つの標的分子に添加し、及びNAPコンジュゲートの標的への結合を決定する
ことを含むスクリーニング方法を提供する。
【0017】 さらなる側面において、本発明は、各々少なくとも1つのNAPコンジュゲートを
含む宿主真核細胞のライブラリを提供し、及びそれらの細胞を表現型の変化につ
いてスクリーニングすることを含むスクリーニング方法を提供する。
【0018】 さらなる側面において、本発明は、各々少なくとも1つの発現ベクターを含む
真核宿主細胞のライブラリを提供し、及びそれらの宿主細胞を表現型の変化につ
いてスクリーニングすることを含むスクリーニング方法を提供する。
【0019】 さらなる側面において、本発明は、各々少なくとも1つの発現ベクターを含む
真核宿主細胞のライブラリを、融合ポリペプチドが産生される条件下で提供し、
候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なるスクリーニング方法を提供する
。この方法は細胞を溶解することをさらに含み、ここで、前記EAS及びNAM酵素は
共有結合してNAPコンジュゲートを形成する。標的分子を添加し、標的のNAPコン
ジュゲートへの結合を決定する。
【0020】詳細な説明 シグナル伝達経路及び疾患状態に関連するタンパク質を同定することができる
スクリーニング技術、並びにこれらの経路及び疾患状態をもたらし得る化合物に
関して多大な努力がなされている。これらの技術の多くは、結合又は機能アッセ
イのようなアッセイにおける、合成もしくは天然のタンパク質もしくはペプチド
のいずれかを含む巨大ライブラリーのスクリーニングに依存する。今日のハイス
ループットスクリーニング技術が直面する問題の1つは、「ヒット」、すなわち
、所望の効果を引き起こす分子の正体を、所望の特性を示さない多くの候補のバ
ックグラウンドに対して解明する困難さである。
【0021】 本発明は、これらの「ヒット」の迅速かつ容易な同定を可能にする新規方法に
かかる。本発明は、それらをコードする配列を含む核酸分子に共有結合的に、か
つ特異的に結合する核酸修飾酵素の使用に基づく。対象のタンパク質(例えば、
疾患関連タンパク質への結合又は表現型の効果のいずれかについてスクリーニン
グしようとする候補)は核酸修飾(NAM)酵素に融合する(以下に概説されるよ
うに、直接又は間接的のいずれか)。NAM酵素はそれ自体対応するNAM結合配列(
酵素結合配列(EAS)と呼ばれる)に共有結合する。したがって、NAM酵素のコー
ディング領域並びに候補タンパク質及びNAM酵素結合配列を含むベクターを用い
ることにより、候補タンパク質は翻訳時にそれをコードする核酸に共有結合する
。したがって、スクリーニングの後、PCR増幅のような様々な方法を用いて所望
の特性を示す候補を迅速に単離することができる。これは、有用な候補タンパク
質の迅速な同定を容易にし、迅速なスクリーニング及び検証を可能にする。
【0022】 したがって、本発明は、核酸修飾酵素及び候補タンパク質をコードする融合核
酸をコードする核酸配列を含む核酸分子のライブラリーを提供する。「核酸」又
は「オリゴヌクレオチド」又は文法上の等価な語によって、本明細書においては
、一緒に共有結合する少なくとも2つのヌクレオシドを意味する。本発明の核酸
は一般にはホスホジエステル結合を含むが、幾らかの場合、特に標的分子が核酸
分子であるとき、例えば、ホスホロアミド(Beaucageら、Tetrahedron 49(10):1
925 (1993)及びその参考文献;Letsinger, J.Org.Chem. 35:3800 (1970);Sprin
zlら、Eur.J.Biochem. 81:579 (1977);Letsingerら、Nucl.Acids Res. 14:3487
(1986);Sawaiら、Chem.Lett. 805 (1984);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc. 110
:4470 (1988);及びPauwelsら、Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチ
オエート(Magら、Nucleic Acids Res. 19:1437 (1991);及び米国特許第5,644,
048号)、ホスホロジチオエート(Briuら、J.Am.Chem.Soc. 111:2321 (1989))
、O-メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein, 「オリゴヌクレオチドと類似体
:実践的アプローチ」(Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approac
h), Oxford University Pressを参照)、並びにペプチド核酸主鎖及び結合(Egh
olm, J.Am.Chem.Soc. 114:1895 (1992);Meierら、Chem.Int.Ed.Engl. 31:1008
(1992);Nielsen, Nature, 365:566 (1993);Carlssonら、Nature 380:207 (199
6)を参照、これらの全ては参照することにより組み込まれる)を含む代替主鎖を
有していてもよい核酸類似体が含まれる。他の核酸類似体には、正に荷電した主
鎖を有するもの(Denpcyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097 (1995);非イオ
ン性主鎖を有するもの(米国特許第5,386,023号、第5,637,684号、第5,602,240
号、第5,216,141号及び第4,469,863号;Kiedrowshiら、Angew.Chem.Intl.Ed.Eng
lish 30:423 (1991);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc. 110:4470 (1988);Letsing
erら、Nucleoside & Nucleotide 13:1597 (1994);ASCシンポジウム シリーズ5
80、第2章および第3章「アンチセンス研究における炭水化物の修飾」(Carbohy
drate Modifications in Antisense Reseach)、Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編
;Mesmaekerら、Bioorganic & Medicinal Chem.Lett. 4:395 (1994);Jeffsら、
J.Biomolecular NMR 34:17 (1994);Tetrahedron Lett. 37:743 (1996))並びに
米国特許第5,235,033号及び第5,034,506号、並びにASCシンポジウム シリーズ5
80、第6章および第7章「アンチセンス研究における炭水化物の修飾」(Carbohy
drate Modifications in Antisense Reseach)、Y.S.SanghuiおよびP.Dan Cook編
に記載されるものを含む非リボース主鎖を有するものが含まれる。1つ以上の炭
素環式糖を含む核酸も核酸の定義に含まれる(Jenkinsら、Chem.Soc.Rev. (1995
) pp169-176を参照)。幾つかの核酸類似体がRawls, C&E News June 2, 1997 第
35頁に記載されている。これらの参考文献の全ては参照することによりここに明
白に組み込まれる。これらのリボース−ホスフェート主鎖の修飾を行い、他の要
素、例えば、標識の付加を容易にし、又は生理学的環境におけるそのような分子
の安定性及び半減期を増加させることができる。
【0023】 当業者に理解されるように、これらの核酸類似体の全てに本発明における用途
を見出し得る。加えて、天然核酸及び類似体の混合物を作製することができ、又
は、その代わりに、異なる核酸類似体、並びに天然核酸及び類似体の混合物の混
合物を作製することができる。
【0024】 核酸は特定される通りに一本鎖でも二本鎖でもよく、又は二本鎖もしくは一本
鎖配列の両者の部分を含んでいてもよい。核酸はDNA(ゲノム及びcDNAの両者)
、RNA又はハイブリッドであり得、ここで、核酸はデオキシリボ−及びリボ−ヌ
クレオチドのあらゆる組合せ、及びウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グ
アニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニン
等を含む塩基のあらゆる組合せを含む。本明細書で用いられる場合、「ヌクレオ
シド」という用語はヌクレオチド及びヌクレオシド及びヌクレオチド類似体、及
び修飾ヌクレオシド、例えば、アミノ修飾ヌクレオシドを含む。加えて、「ヌク
レオシド」は非天然類似体構造を含む。したがって、例えば、各々塩基を含むペ
プチド核酸の個々の単位は本明細書ではヌクレオシドと呼ばれる。
【0025】 本発明は、融合核酸をコードする核酸配列を含む核酸分子のライブラリを提供
する。「融合タンパク質」が意味するところは、本明細書では、一緒に結合され
る複数の核酸成分(例えば、ペプチドコーディング配列)である。融合核酸は、
必須要件ではないが、好ましくは、融合ポリペプチドをコードする。「融合ポリ
ペプチド」又は「融合ペプチド」又は文法的に等価な語が意味するところは、本
明細書では、本来の状態においては典型的には結合はしていないものの、ペプチ
ド結合によってそれぞれのアミノ及び/又はカルボキシル末端で結合して単一の
連続ポリペプチドを形成する複数のタンパク質成分を含んでなるタンパク質であ
る。この文脈における複数とは少なくとも2つを意味し、好ましい実施形態は一
般には2つの成分を利用する。タンパク質成分が直接結合しても、以下に概説さ
れるようにペプチドリンカー/スペーサーを介して結合してもよいことは理解さ
れよう。加えて、幾つかの実施形態においては、以下により完全に概説されるよ
うに、融合核酸が融合していないタンパク質成分をコードし得ることは注意する
べきである;例えば、一般に各成分をコードする核酸は融合しているが、融合核
酸はイントロンを含むことができ、これは除去されて2つの非会合タンパク質成
分を残す。さらに、以下に概説されるように、ターゲッティング配列等を含む融
合パートナーのような追加成分を用いることができる。
【0026】 融合核酸は核酸修飾(NAM)酵素及び候補タンパク質をコードする。「核酸修
飾酵素」又は「NAM酵素」が意味するところは、本明細書では、核酸、特にDNAを
基質として用い、それ自体核酸酵素結合(EA)配列に共有結合する酵素である。
この共有結合は塩基、リボース部分又はホスフェート部分に対するものであり得
る。NAM酵素には、限定されるものではないが、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ
、ポリメラーゼ、ギラーゼ、リコンビナーゼ、トランスポサーゼ、制限酵素及び
ヌクレアーゼが含まれる。以下に概説されるように、NAM酵素には天然及び非天
然変異体が含まれる。多くのDNA結合ペプチド、例えば、核酸圧縮(compaction)
に関与するもの、転写調節因子等が公知であるが、核酸、すなわちDNAに共有結
合する酵素、特に複製に関与するペプチドが好ましい。幾つかのNAM酵素は、DNA
にニックを形成することなくDNAと共有結合を形成できる。例えば、DNA修復に関
与する酵素は核酸領域(これは二本鎖であっても一本鎖であってもよい)を認識
して共有結合すると考えられる。このようなNAM酵素は融合酵素ライブラリにお
いて用いるのに適する。しかしながら、DNAにニックを形成して共有結合を形成
するDNA NAM酵素、例えばウイルス複製ペプチド、が最も好ましい。
【0027】 好ましくは、NAM酵素は、核酸基質の特定の配列又は立体配置を認識し、その
核酸基質との共有結合性複合体が形成されるようにその酵素活性を発揮するタン
パク質である。好ましくは、この酵素は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、Z型DNA等を含
むがこれらに限定されない種々の立体配置の核酸、特にDNAに対して作用する。
【0028】 適切なNMA酵素には、限定されるものではないが、複製に関与する酵素、例え
ば、アデノ随伴ウイルス(AAV)のRep68及びRep78、パルボウイルスのNS1及びH
−1、バクテリオファージphi-29末端タンパク質、55Kdアデノウイルスタンパク
質、及びそれらの誘導体が含まれる。
【0029】 好ましい実施形態において、NMA酵素はRepタンパク質である。Repタンパク質
には、限定されるものではないが、Rep78、Rep68、及び関連ウイルスにおいて見
出されるそれらの機能的相同体が含まれる。Repタンパク質(それらの機能的相
同体を含む)は、パルボウイルス、エリスロウイルス、ヘルペスウイルス、及び
他の関連ウイルスを含む様々な源から単離することができる。当業者は、天然Re
pタンパク質を、その活性を改良するか、又はその潜在的毒性を低下させるため
、当該技術分野において公知の技術で変異又は遺伝子操作できることを認めるで
あろう。そのような実験的改良は、それらの対応EASの未変性体又は変異体と関
連させて行うことができる。好ましいRepタンパク質の1つはAAV Repタンパク質
である。アデノ随伴ウイルス(AAV)Repタンパク質はウイルスゲノムの左側のオ
ープンリーディングフレームにコードされている。AAV Repタンパク質、例えば
、Rep68及びRep78はAAVの転写を調節し、AAVの複製を活性化し、かつ異種プロモ
ーターの転写を阻害することが示されている(Chioriniら、J.Virol., 68(2), 7
97-804 (1994)、参照によりその全文を本明細書に組み入れる)。Rep68及びRep7
8タンパク質は、部分的には、AAV逆方向末端反復に共有結合することによって作
用する(Prasadら、Virology, 229, 183-192 (1997);Prasadら、Virology, 214
:360 (1995);これらはいずれも参照により全文を本明細書に組み入れる)。こ
れらのRepタンパク質は、部位特異的及び鎖特異的エンドヌクレアーゼが末端分
解部位のAAV起点にニックを生成し、そのニック生成部位の5’末端に推定チロシ
ン結合によって共有結合することによって作用する。Rep68及びRep78は転写物の
変異スプライシングから生じる。Rep68の核酸配列は図15に示され、そのタンパ
ク質配列は図16に示される;様々な供給源から単離されたRep78タンパク質の核
酸及びタンパク質配列が図1、2、7、8、13、及び14に示される。以下でさら
に概説されるように、Repタンパク質の機能的断片、変異体、及び相同体もRepタ
ンパク質の定義に含まれる;この場合、変異体は、好ましくは、核酸結合活性及
びエンドヌクレアーゼ活性を含む。以下で論じられるRep68及びRep78の対応酵素
結合部位は図47及び48に示され、実施例1に記載される。
【0030】 好ましい実施形態において、NAM酵素はNS1である。NS1はパルボウイルスにお
ける非構造性タンパク質であり、Rep78の機能的相同体であり、かつDNAに共有結
合もする(Cotmoreら、J.Virol., 62(3), 851-860 (1998)、参照することにより
本明細書に明白に組み込まれる)。様々な供給源から単離されたNS1タンパク質
のヌクレオチド及びアミノ酸配列が図9〜12、29〜34、37、及び38に示される。
以下にさらに概説されるように、NS1タンパク質の断片及び変異体もNS1タンパク
質の定義に含まれる。
【0031】 好ましい実施形態において、NAM酵素はパルボウイルスH−1タンパク質であり
、これもDNAと共有結合を形成することが知られる(例えば、Tsengら、Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA, 76(11), 5539-5543 (1979)を参照、これは参照することにより
本明細書に明白に組み込まれる)。以下にさらに概説されるように、H−1タンパ
ク質の断片及び変異体もH−1タンパク質の定義に含まれる。
【0032】 好ましい実施形態において、NAM酵素はバクテリオファージphi-29末端タンパ
ク質であり、これもDNAと共有結合を形成することが知られる(例えば、Germend
iaら、Nucleic Acid Research, 16(3), 5727-5740 (1988)を参照、これは参照す
ることにより本明細書に明白に組み込まれる)。以下でさらに概説されるように
、phi-29タンパク質の断片及び変異体もphi-29タンパク質の定義に含まれる。
【0033】 NAM酵素はアデノウイルス55Kd(a55)タンパク質であってもよく、これもまた
DNAと共有結合を形成することが知られる;DesiderioおよびKelly, J.Mol.Biol.
, 98, 319-337 (1981)を参照、これは参照することにより本明細書に明白に組み
込まれる。以下でさらに概説されるように、a55タンパク質の断片及び変異体もa
55タンパク質の定義に含まれる。
【0034】 NAM酵素として用いるのに適する他のRep相同体の核酸配列及びアミノ酸配列は
図3〜6、17〜28、35、36、及び39〜46に示される。
【0035】 幾つかのDNA結合酵素は物理的又は化学的刺激によって共有結合を形成し、例
えば、DNAと結合タンパク質とのUV誘導架橋、又はDNA−トポイソメラーゼI共有
結合複合体のカンプトセシン(CPT)関連化学的誘導トラッピング(例えば、Her
tzbergら、J.Biol.Chem., 265, 19287-19295 (1990))。誘導される共有結合を
形成するNAM酵素が本発明の幾つかの対応において用いるのに適する。
【0036】 生物学的活性(例えば、核酸分子に共有結合する能力)を保持するアミノ酸配
列変異体も本発明のNAM酵素の定義に含まれる。これらの変異体は3つのクラス:
置換、挿入又は欠失(例えば、断片)変異体のうちの1つ以上に入る。これらの
変異体は、通常、本明細書に概説されるように、カセットもしくはPCR変異誘発
又は当該技術分野において公知の他の技術を用いて、NMAタンパク質をコードす
るDNA内のヌクレオチドの部位特異的変異誘発を行って変異体をコードするDNAを
産生させ、その後、その組換えDNAを細胞培養において発現させることによって
調製する。しかしながら、約100〜150までの残基を有する変異体NAMタンパク質
断片を、確立された技術を用いるin vitro合成又はペプチドライゲーションによ
って調製することができる。アミノ酸変異体は、その変異体の予め決定された性
質の変異、それらをNAMタンパク質アミノ酸配列の天然対立形質もしくは種間変
異からかけ離れたものにする特色を特徴とする。これらの変異体は、以下でより
完全に概説されるように改変された特徴を有する変異体を選択することもできる
が、典型的には、天然類似体と同じ質の生物学的活性を示す。
【0037】 アミノ酸配列の変異を導入するための部位又は領域は予め決定されているが、
突然変異それ自体を予め決定する必要はない。例えば、突然変異の性能を所与の
部位で最適化するため、標的コドン又は領域で無作為突然変異誘発を実施し、発
現したNAM変異体を所望の活性の最適な組合せについてスクリーニングすること
ができる。既知配列を有するDNAにおいて予め決定された部位に置換変異を作製
するための技術、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発が公知である
。突然変異体、変異体、相同体等のスクリーニングは、定型的な方法、例えば、
結合アッセイ、親和性アッセイ、ペプチド立体配置マッピング等を用いるNAMタ
ンパク質活性のアッセイを用いて達成される。
【0038】 アミノ酸置換は、典型的には、1残基のものである;挿入は、かなり多数の挿
入も許容され得るが、通常、約1〜20アミノ酸のオーダーである。欠失は、場合
により、例えば、不必要なドメインが除去されるときには大幅に多くてもよいが
、約1〜約20残基の範囲である。
【0039】 最終誘導体に到達するのに置換、欠失、挿入又はそれらのあらゆる組合せを用
いることができる。一般には、これらの変更は、分子の変化を最小限に留めるた
め、2、3のアミノ酸に対して行う。しかしながら、特定の環境においてはより多
数の変更も容認され得る。NAMタンパク質の特徴において小さな変化が望ましい
場合、一般には、以下のチャートにしたがって置換を生成する:チャート1 本来の残基 例示置換 Ala Ser Arg Lys Asn Gln、His Asp Glu Cys Ser Gln Asn Glu Asp Gly Pro His Asn、Gln Ile Leu、Val Leu Ile、Val Lys Arg、Gln、Glu Met Leu、Ile Phe、Ser Met、Leu、Tyr Thr Thr Trp Ser Tyr Tyr Val Trp、Phe Ile、Leu
【0040】 機能又は免疫学的同一性における実質的な変更はチャート1に示されるものよ
りも保存性が低い置換を選択することによって行う。例えば、より大きな影響を
:その変更の領域におけるポリペプチド主鎖の構造、例えば、α-へリックスも
しくはβ-シート構造;標的部位でのその分子の電荷もしくは疎水性;又は側鎖
の大きさに及ぼす置換をなすことができる。一般には、ポリペプチドの特性に最
も大きな変化を生じることが期待される置換は、(a)親水性残基、例えば、セ
リルもしくはトレオニルが疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェ
ニルアラニル、バニルもしくはアラニルに(もしくはそれにより)置換されてい
る;(b)システインもしくはプロリンがあらゆる他の残基に(もしくはそれに
より)置換されている;(c)正に荷電した側鎖を有する残基、例えば、リジル
、アルギニル、もしくはヒスチジルが負に荷電した残基、例えば、グルタミルも
しくはアスパルチルに(もしくはそれにより)置換されている;(d)嵩高い側
鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが側鎖を持たないもの、例えば、グ
リシンに(もしくはそれにより)置換されているものである。
【0041】 変異体は、必要に応じてNAMタンパク質の特徴を改変するようにも選択される
が、典型的には、天然類似体と同じ質の生物学的活性を示す。あるいは、変異体
は、NAMタンパク質の生物学的活性が変更されるように設計し得る。例えば、グ
リコシル化部位を変更又は除去することができる。同様に、エンドヌクレアーゼ
ドメイン又は核酸認識部位内での機能的突然変異を誘発することができる。さら
に、不必要なドメインを欠失してNAM酵素の断片を形成することができる。
【0042】 加えて、幾つかの実施形態はコンカテマー構築物を用いて多価性を生じさせ、
結合動態又は効率を高める。例えば、複数のNAMコーディング領域又は複数のEAS
を含む構築物を作製することができる。
【0043】 また、NAMタンパク質の定義には、他のNAM相同体、および当業者に公知の方法
でクローニングおよび発現された、ウイルスを含む他の生物体由来のNAMタンパ
ク質が含まれる。そこで、プローブまたは縮重したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
プライマー配列を、他の関連するNAMタンパク質を見いだすために用いることが
できる。当業者に理解されるように、特に有用なプローブおよび/またはPCRプラ
イマー配列にはNAM核酸配列のユニークな領域が含まれる。当業者に一般的に知
られているように、好ましいPCRプライマーは、約15から約35ヌクレオチドの長
さであり、約20から約30が好ましく、必要に応じてイノシンを含んでいてよい。
PCR反応の条件は当業者に公知である。
【0044】 NAM酵素をコードする核酸に加えて、本発明の融合核酸は候補タンパク質をも
コードする。本明細書において、「タンパク質」は、共有結合により結合した少
なくとも2つのアミノ酸を意味し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド
およびペプチドを含む。タンパク質は、天然のアミノ酸およびペプチド結合、ま
たは合成のペプチド様の構造から作られていてよく、後者は標的分子がタンパク
質である場合に特に有用である。同様に、本明細書において、「アミノ酸」また
は「ペプチド残基」はどちらも天然および合成のアミノ酸を意味する。たとえば
、ホモフェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは本発明の目的のため
のアミノ酸であるとみなされる。「アミノ酸」はまた、プロリンおよびヒドロキ
シプロリンのようなイミノ酸残基をも含む。側鎖は(R)または(S)立体配置のいず
れであってよい。好ましい実施形態において、アミノ酸は(S)またはL-立体配置
である。天然でない側鎖が用いられる場合、たとえば、ex vivoの分解を防止ま
たは遅くするために、アミノ酸でない置換基が用いられる。化学的保護基または
他の化学的置換基を加えてもよい。このように、本発明は、鋳型を基礎とした合
成系に用いることができる。
【0045】 本明細書において、「候補タンパク質」は、in vitro(たとえば、細胞を含ま
ない系)またはex vivo(細胞内)の両方を含む、結合、会合または本発明のア
ッセイにおける効果を試験されるタンパク質を意味する。候補ペプチドは少なく
とも1つの望まれる標的の特性を有する。望まれる標的の特性は本発明の個々の
実施形態によって決まる。「標的の特性」は対象の活性を指す。必要に応じて、
標的の特性を融合タンパク質発現ベクターコンジュゲートのサブセットを同定す
るために直接的または間接的に用いることにより、融合タンパク質ライブラリー
からの所望のNAPコンジュゲートの回収が可能となる。標的の特性には、たとえ
ば、コードされるディスプレーペプチドの相手との結合を仲介する能力、酵素活
性、与えられた要素をまねる能力、細胞生理、およびこれに限定されないがペプ
チドの電磁気的反応または分光的反応のような構造または他の物理的特性を変え
る能力が含まれる。一般的に、下に記載するように、候補タンパク質のライブラ
リーは融合に用いられる。当業者に理解されるように、候補タンパク質のライブ
ラリーの供給源は、特に系の最終用途に依存して変化し得る。
【0046】 好ましい実施形態において、候補タンパク質はcDNAライブラリーに由来する。
cDNAライブラリーは、多くの異なる細胞、特に本明細書において宿主細胞として
記載するものに由来してよく、真核細胞および原核細胞、ウイルス、ウイルスま
たは他の病原体に感染した細胞、遺伝子を変化させた細胞等から作られたcDNAラ
イブラリーを含む。下に記載するように、好ましい実施形態には、異なる個体、
たとえば、異なる患者、特にヒト患者から作られたcDNAライブラリーが含まれる
。cDNAライブラリーは完全なライブラリーまたは部分的なライブラリーであって
よい。さらに、候補タンパク質のライブラリーは単一のcDNA供給源または多数の
供給源に由来してよく、多数の供給源に由来する場合、多数の細胞型または多数
の個体または多数の病原体に由来するcDNAをスクリーニングの際に組み合わせる
ことができる。 cDNAライブラリーは、cDNA構築物全体、またはランダムまたは
標的分画を含む分画された構築物を利用してよい。好ましい分画技術には酵素的
、化学的または機械的分画が含まれる。
【0047】 好ましい実施形態において、候補タンパク質はゲノムライブラリーに由来する
。上記のように、ゲノムライブラリーは多くの異なる細胞、特に本明細書におい
て宿主細胞として記載するものに由来してよく、これには真核細胞および原核細
胞、ウイルス、ウイルスまたは他の病原体に感染した細胞、遺伝子を変化させた
細胞等から作られたゲノムライブラリーが含まれる。好ましい実施形態には、下
記のように、異なる個体、たとえば、異なる患者、特にヒト患者から作られたゲ
ノムライブラリーが含まれる。ゲノムライブラリーは完全なライブラリーまたは
部分的なライブラリーであってよい。さらに、候補タンパク質のライブラリーは
、単一のゲノム供給源または多数の供給源に由来してよく、多数の供給源に由来
する場合、多数の細胞型または多数の個体または多数の病原体に由来するゲノム
DNAをスクリーニングの際に組み合わせることができる。ゲノムライブラリーは
ゲノム構築物全体、またはランダムまたは標的分画を含む分画された構築物を利
用してよい。好ましい分画技術には酵素的、化学的または機械的分画が含まれる
【0048】 この点に関しては、NAM酵素と、遺伝子ライブラリーベクター中のゲノムDNAに
由来する核酸との組み合わせは新規である。したがって、本発明はさらに、ゲノ
ムDNAから単離された核酸配列に融合したNAM酵素をコードする核酸配列からなる
、単離および精製された核酸分子を提供する。このような単離および精製された
核酸分子は、本明細書に記載する本発明の方法に特に有用である。好ましくは、
単離および精製された核酸分子はさらに、NAM酵素をコードする核酸配列とゲノ
ムDNAの間に位置するスプライスドナー配列またはスプライスアクセプター配列
からなる。スプライスドナーおよび/またはスプライスアクセプター配列の単離
および精製された核酸配列への取り込みによって、NAM酵素およびゲノムDNA断片
のエクソンをコードする転写物の形成が可能になる。先行技術の方法では、ゲノ
ムDNAの生産物がそれをコードする核酸分子に会合することができるように、ゲ
ノムDNAをNAM酵素に機能し得る形で連結する可能性を認識していなかった。当業
者は、適当な調節配列もまた、単離および精製された核酸分子に取り込むことが
できることを理解するであろう。
【0049】 好ましい実施形態において、本発明はまた、ゲノムDNA中のオープンリーディ
ングフレームを決定する方法を提供する。この実施形態において、ゲノム核酸に
よりコードされる候補タンパク質は、好ましくはNAM酵素のC-末端ではなく、N-
末端に直接融合している。このように、機能的NAM酵素が生産される場合、ゲノ
ムDNAは正しいリーディングフレームに融合された。同様に、これは標識を使用
すると特に有用である。
【0050】 さらに、ライブラリーはまた、公知の技術(突然変異誘発物質への曝露、誤り
がちなPCR、誤りがちな転写、結合的スプライシング(たとえば、cre-lox組換え
))を用いて実質的に突然変異を起こされてもよい。この方法で、本明細書に記
載される系におけるスクリーニングのために原核生物および真核生物のタンパク
質のライブラリーを作ることができる。この実施形態において特に好ましいのは
、細菌、真菌、ウイルス、植物および動物(たとえば哺乳動物)のタンパク質の
ライブラリーであって、中でも動物が好ましく、ヒトタンパク質が特に好ましい
【0051】 候補タンパク質は大きさが変化し得る。cDNAまたはゲノムライブラリーの場合
、タンパク質は20または30アミノ酸〜数千までの範囲であり、約50〜1000(たと
えば、75、150、350、750またはそれ以上)が好ましく、100〜500(たとえば、2
00、300、または400)が特に好ましい。候補タンパク質がペプチドである場合、
ペプチドは約3〜約50アミノ酸であり、約5〜約20アミノ酸が好ましく、約7〜
約15が特に好ましい。ペプチドは、上に記載したような天然のタンパク質の消化
物、ランダムペプチド、または「バイアスをかけた」ランダムペプチドであって
よい。本明細書において、「ランダム化された」または文法的に同義の用語は、
それぞれの核酸およびペプチドが、それぞれ本質的にランダムなヌクレオチドお
よびアミノ酸からなることを意味する。一般的にこれらのランダムペプチド(ま
たは下で論じる核酸)は化学的に合成されるので、これらはいかなるヌクレオチ
ドまたはアミノ酸をいかなる位置にでも取り込むことができる。合成過程はラン
ダム化されたタンパク質または核酸を作るように設計することができ、配列の長
さ全体にわたって全てのまたはほとんどの可能な組み合わせを形成することがで
き、それによりランダム化された生体活性タンパク質性試薬候補のライブラリー
を形成することができる。
【0052】 好ましい実施形態において、候補タンパク質のライブラリーは、ライブラリー
のそれぞれのメンバーが異なる候補タンパク質を含むように、NAM酵素に融合し
ている。しかし、当業者に理解されるように、ライブラリーの異なるメンバーは
再生産または複製されて、いくつかのライブラリーのメンバーは同一となる。ラ
イブラリーは、蓋然的に十分な範囲の細胞応答に作用して、望まれる応答を示す
1以上の細胞を与えるために、十分に構造的に多様な発現生産物の集団を供給し
なければならない。したがって、相互作用ライブラリーは、そのメンバーの少な
くとも1つが、タンパク質および非タンパク質標的の両方を含むいずれかの分子
、またはその活性が対象のアッセイの中で必要または有効であるような他の因子
に対して親和性を与えるような構造を有するように、十分に大きくなくてはなら
ない。相互作用ライブラリーの要求される絶対的な大きさを測定するのは困難で
あるが、天然の免疫反応がヒントとなる:107〜108の異なる抗体の多様性が、生
物体が直面する可能性のあるほとんどの抗原と相互作用するのに十分な親和性を
有する少なくとも1つの組み合わせを与える。in vitro選択技術に関する出版物
にも、107〜108のライブラリーサイズが標的に対する親和性を有する構造を見い
だすのに十分であることが示されている。7〜20アミノ酸の長さのペプチドの全
ての組み合わせのライブラリーは、207(109)から2020をコードする能力を有する
。このように、107〜108のライブラリーによって、本発明の方法は、7アミノ酸
の理論的に完全な相互作用ライブラリーの「作用する」サブセット、および2020 ライブラリーの輪郭のサブセットを可能にする。そこで、好ましい実施形態にお
いて、少なくとも106、好ましくは少なくとも107、より好ましくは少なくとも10 8 、最も好ましくは少なくとも109の異なる発現産物を本発明の方法で同時に分析
する。しかし、より複雑さ(complexity)の少ない(たとえば、102、103、104
または105の異なる発現産物)またはより複雑さの大きい(たとえば、1010、101 1 、または1012の異なる発現産物)ライブラリーが本発明における使用に適して
いる。好ましい方法はライブラリーサイズおよび多様性を最大化する。
【0053】 オリゴヌクレオチド合成によりコードされるいかなるライブラリー系において
も、最後にはペプチド構造に取り込まれるコドンに対する完全な制御は難しい。
これは、特に終止シグナルをコードするコドン(TAA、TGA、TAG)の場合に当て
はまる。ランダム領域としてNNNを用いた合成において、コドンが終止コドンで
ある可能性は3/64または4.69%である。このように、10残基のペプチドにおいて
、46.7%のペプチドが未成熟終結をする可能性がある。これを緩和する1つの方
法は,NNK(K=TまたはG)とコードされたランダム残基を有することである。こ
れにより、全ての可能性のあるアミノ酸をコードすることができるが(その相対
的表現を少し変化させる)、重要なことは2つの終止残基TAAおよびTGAをコード
することを防止することができる。これにより、10アミノ酸ペプチドをコードす
るライブラリーが、未成熟終結をする可能性は15.6%となる。あるいは、候補タ
ンパク質をNAM酵素のC-末端に融合してもよい。しかし、いくつかの例においてN
-末端への融合は、未成熟で終結するタンパク質がNAM酵素の欠如をもたらし、こ
れらのサンプルをアッセイから除外することになることを意味する。
【0054】 1つの実施形態において、ライブラリーは配列の優先がなく、または全ての位
置が一定となるように、完全にランダム化されている。好ましい実施形態におい
て、ライブラリーはバイアスをかけられている。すなわち、配列内のいくつかの
位置が、不変に保たれるか、限られた数の可能性から選択されるかのいずれかで
ある。たとえば、好ましい実施形態において、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基
は定義されたクラス内、たとえば、疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的にバイ
アスをかけた(小さいまたは大きいのいずれかで)残基、システインの生成を目
的とするもの、架橋を目的とするもの、SH-3ドメイン、PDZドメインのためのプ
ロリン、リン酸化部位のためのセリン、スレオニン、チロシンまたはヒスチジン
等、またはプリン等の中でランダム化される。
【0055】 好ましい実施形態において、バイアスは公知のクラスの分子と相互作用するペ
プチドまたは核酸に対するものである。たとえば、候補タンパク質がペプチドで
ある場合、多くの細胞間信号が、小さいペプチドドメインを通して他のポリペプ
チドと相互作用するポリペプチドの短い領域を介して行われることが知られてい
る。例として、HIV-1エンベロープ細胞質ドメインに由来する短い領域は、細胞
カルモジュリンの作用を遮断することが以前に示されている。ハチ(wasp)に由来
するマストパラン毒素との相同性を示すFas細胞質ドメインの領域は、死を誘導
するアポトーシス機能またはGタンパク質誘導性機能を有する短いペプチド領域
に限定することができる。アフリカツメガエルに由来する天然のペプチドである
マガイニン(magainin)は、強力な抗腫瘍および抗菌活性を有し得る。タンパク質
キナーゼCアイソザイム(βPKC)の短いペプチド断片は、刺激した後、アフリカツ
メガエルの卵母細胞におけるβPKCの核トランスロケーションを遮断することが
示されている。また、短いSH-3標的ペプチドは、SH-3タンパク質への特異的結合
に対する擬基質として用いられてきた。この分野において文献は多数あるので、
これはもちろん生物学的活性を有する利用可能なペプチドの一部のリストである
。以上のように、細胞間信号カスケードに対する活性を有する小さいペプチドの
可能性には多くの先例がある。さらに、多くの分子のアゴニストおよびアンタゴ
ニストも、同様に候補タンパク質のバイアスをかけたランダム化の基礎として用
いることができる。
【0056】 上記のように、多くの分子またはタンパク質ドメインは、バイアスをかけたラ
ンダム化した候補タンパク質の作製のための出発点として適している。共通の機
能、構造または親和性を与える非常に多くの小分子ドメインが知られている。さ
らに、当業者に理解されるように、アミノ酸相同性の低い領域は強い構造上の相
同性を有し得る。多くのこれらの分子、ドメイン、および/または相当する共通
配列が知られており、たとえば、これらに限定されないが、SH-2ドメイン、SH-3
ドメイン、プレクストリン(Pleckstrin)、死亡ドメイン、プロテアーゼ開裂/認
識部位、酵素阻害剤、酵素基質、Traf等が挙げられる。同様に、本発明への使用
に適したドメインを含む多くの公知の核酸結合タンパク質が存在する。たとえば
、ロイシンジッパー共通配列が知られている。
【0057】 好ましい実施形態において、バイアスをかけられたSH-3ドメイン結合オリゴヌ
クレオチド/ペプチドが作られる。SH-3ドメインは、標的のSH-3ドメインに対し
て高い親和性を有する短いペプチドとしてコードされ得る線状の配列中の約10〜
12残基の、短い標的モチーフ(SH-3ドメイン結合ペプチド)を認識することが示
されている。SH-3ドメイン結合タンパク質の共通配列が提案されている。そこで
、好ましい実施形態において、オリゴ/ペプチドは以下のバイアスを加えて作ら
れる。
【0058】 1. XXXPPXPXX、ここで、Xはランダム化された残基、 2. (11〜-2位の残基の位置内で) 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 Met Gly aa11 aa10 aa9 aa8 aa7 Arg Pro Leu Pro Pro hyd 0 -1 -2 Pro hyd hyd Gly Gly Pro Pro STOP atg ggc nnk nnk nnk nnk nnk aga cct ctg cct cca sbk ggg sbk sbk gga ggc cca cct TAA1。
【0059】 この実施形態において、N-末端隣接領域は、結合親和性に最も大きい効果を有
すると言われており、そのため全体としてランダム化される。「hyd」は疎水性
残基、すなわちVal、Ala、Gly、Leu、Pro、Argに対するバイアスを示す。疎水性
にバイアスをかけられた残基をコードするために、「sbk」コドンバイアス化構
造を用いる。遺伝子コード内のコドンを試験することにより、これが一般的に疎
水性残基をコードすることが確認される。s=g,c; b=t,g,c; v=a,g,c; m=a,c; k=
t,g; n=a,t,g,c。
【0060】 そこで、好ましい実施形態において、候補タンパク質はその構造を有する標的
タンパク質の単離を可能にする構造タグである。すなわち、ロイシンジッパーの
場合、NAM酵素のロイシンジッパー配列への融合により、他のロイシンジッパー
を有する「ジップアップ」への融合が可能になり、多くのロイシンジッパータン
パク質の迅速な単離が可能になる。さらに、構造タグ(単にタンパク質そのもの
であってもよい)により異種多量体タンパク質複合体の形成が可能になり、次い
でその複合体としての活性をアッセイされる。すなわち、多くの真核転写因子の
ような多くのタンパク質は、本発明を用いてアッセイできる異種多量体複合体と
して機能する。
【0061】 さらに、候補タンパク質のライブラリーは、cDNA、ゲノム、またはランダムラ
イブラリー以外の構築されたライブラリーであってよく、すなわち、これは定義
されたクラス、またはクラスの組み合わせのメンバーのみを含むように作ること
ができる。たとえば、免疫グロブリンのライブラリーを作ることができ、または
、G-タンパク質結合受容体、腫瘍サプレッサー遺伝子、プロテアーゼ、転写因子
、ホスファターゼ、キナーゼ等のライブラリーを作ることができる。
【0062】 融合核酸はNAM酵素および候補タンパク質を直接および間接融合などの多様な
立体構造で含み、また、N-およびC-末端融合および内部融合を含むことができる
【0063】 好ましい実施形態において、NAM酵素および候補タンパク質は直接融合される
。この実施形態において、NAM酵素および候補タンパク質をコードする核酸の直
接のインフレームの融合を遺伝子工学的におこなう。融合ペプチドのライブラリ
ーを、N-および/またはC-末端融合および内部融合として構築することができる
。このように、NAM酵素コード領域は候補タンパク質コード領域の3'または5'で
あるか、または候補タンパク質コード領域はNAM酵素のコード領域内の適当な位
置に挿入される。この実施形態において、候補タンパク質を、直接挿入またはNA
M酵素残基のいくつかの置換のいずれかにより、NAM酵素の外部ループに挿入する
のが望ましい。これはランダムな候補タンパク質の場合に、これらにコンフォメ
ーションを制限された構造を与えるためにしばしばある種の足場(scaffold)また
はプレゼンテーション構造を必要とするので、特に好ましい。ランダムペプチド
ライブラリーの発現のための足場としてグリーン蛍光タンパク質(GFP)を用いる
この一般的なアイディアの例については、たとえば、WO99/20574を参照されたい
。この文献を参照により本明細書に組み入れる。
【0064】 好ましい実施形態において、NAM酵素および候補タンパク質は間接的に融合さ
れる。これは、リンカーの使用等によって、融合の構成要素が結合した状態に留
まるように、あるいは、結果的に融合の構成成分が分離するような方法で実施さ
れる。当業者に理解されるように、使用することができるさまざまな異なるタイ
プのリンカーが存在する。これには、開裂および非開裂リンカーが含まれるが、
この開裂は核酸のレベルまたはタンパク質のレベルで生じ得る。
【0065】 好ましい実施形態において、リンカーはNAM酵素と候補タンパク質を機能的に
分離するために用いられる。すなわち、直接融合システムは、候補タンパク質と
その結合パートナーと考えられるものとの相互作用を構造的または機能的に妨げ
得るので、自由度をより大きくすることのできる融合コンフィギュレーションが
有用である。単鎖抗体の分野でも同様であり、リンカーを組み入れることで機能
性が得られる。
【0066】 好ましい実施形態において、柔軟性を与えることが知られているリンカーが用
いられる。たとえば、有用なリンカーには、、グリシン-セリンポリマー(たと
えば、(GS)n、および(GGGS)nを含む、ここでnは1以上の整数)、グリシン-アラ
ニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、およびシェーカーカリウムチャンネ
ルのためのつなぎ鎖(tether)などの他の柔軟なリンカー、および当業者に理解さ
れるさまざまな他の柔軟なリンカーが含まれる。グリシン-セリンポリマーは、
これらのアミノ酸の両方が比較的構造的でなく、そのため構成要素間の中性的な
つなぎ鎖として働くことができるので好ましい。第2に、セリンは親水性で、そ
のため、球状になりがちなグリシン鎖を可溶化することができる。第3に、同様
の鎖が単鎖抗体のような組換えタンパク質のサブユニットをつなぐのに有効であ
ることが示されている。
【0067】 間接的な融合酵素を構築するために用いるリンカーは、開裂可能なリンカーで
あってもよい。開裂可能なリンカーは核酸またはタンパク質のレベルで機能する
ことができる。すなわち、開裂(ここではNAM酵素と候補タンパク質が分離する
ことを意味する)は転写の間、または翻訳の前もしくは後におこり得る。
【0068】 開裂可能なリンカーについて考えると、開裂は核酸の中に組み入れた開裂基の
結果として生じる。この実施形態において、たとえば、開裂可能な核酸配列、ま
たは核酸を崩壊させる配列を使用することができる。たとえば、細胞が除去する
ようなイントロン配列をNAM酵素と候補タンパク質のコード領域の間に置く。好
ましい実施形態において、リンカーは異種二量体化ドメインである。この実施形
態において、NAM酵素および候補タンパク質の両方が異種二量体化ドメイン(ま
たは、多量体が望まれる場合には多量体ドメイン)に融合され、翻訳後にこれら
の2つのタンパク質が会合できるようにする。
【0069】 好ましい実施形態において、開裂可能なタンパク質リンカーを用いる。この実
施形態において、融合核酸は、後に通常プロテアーゼによって開裂するタンパク
質配列のコード配列を含む。当業者に理解されるように、遍在するプロテアーゼ
、たとえば、系のほとんどまたは全ての宿主細胞に構成要素として存在するもの
に向けた開裂部位を用いることができる。あるいは、細胞特異的プロテアーゼに
対応する開裂部位を用いることができる。同様に、特定の細胞周期または相の間
のみ誘導される、またはシグナル特異的事象で誘導されるプロテアーゼのための
開裂部位も同様に用いることができる。
【0070】 さまざまな可能性のあるタンパク質開裂部位が知られている。たとえば、プロ
テアーゼにより認識され開裂される配列、またはある種の化学物質に曝した後に
開裂する配列は、開裂可能なリンカーであるとみなされる。これは、外因性の酵
素を環境に加える、またはNAPコンジュゲートを精製して開裂試薬を加えること
により、下に記載するようなin vitro系において特有の使用法を見いだす。たと
えば、開裂可能なリンカーには、ウシキモシンのプロ配列、ズブチリシンのプロ
配列、2a部位(Ryanら、J. Gen. Virol. 72:2727(1991); Ryanら、EMBO J. 13:9
28(1994); Donnellyら、J. Gen. Virol. 78:13(1997); Hellenら、Biochem, 28(
26):9881(1989); およびMattionら、J. Virol. 70:8124(1996))、ヒト免疫不全
ウイルスプロテアーゼを含むレトロウイルスプロテアーゼのプロ配列およびトリ
プシンにより認識され開裂される配列(EP578472, Takasugaら、J. Biochem. 11
2(5)652(1992))、Xa因子(Gardellaら、J. Biol. Chem. 265(26):15854(1990), W
O9006370)、コラゲナーゼ(J03280893, Tajimaら、J. Ferment. Bioeng. 72(5):3
62(1991), WO9006370)、クロストリパイン(EP578472)、ズブチリシン(突然変異
体H64Aズブチリシンを含む、Forsbergら、J. Protein Chem. 10(5):517(1991))
、キモシン、酵母KEX2プロテアーゼ(Bourbonnaisら、J. Bio. Chem. 263(30):15
342(1988))、トロンビン(Forsbergら、上記;Abathら、BioTechniques 10(2):17
8(1991))、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)V8プロテアーゼまたは同様のエ
ンドプロテイナーゼ-Glu-Cで、Glu残基の後ろで開裂するもの(EP578472, Ishiza
kiら、Appl. Microbiol. Biotechnol. 36(4):483(1992))、タバコエッチウイル
スのNIaプロテイナーゼによる開裂(Parksら、Anal. Biochem. 216(2):413(1994)
)、エンドプロテイナーゼ-Lys-C(米国特許第4,414,332号)およびエンドプロテ
イナーゼ-Asp-N、Neisseriaタイプ2IgAプロテアーゼ(Pohlnerら、Bio/Technolo
gy 10(7):799-804(1992))、可溶性酵母エンドプロテイナーゼyscF (EP467839)、
キモトリプシン(Altmanら、Protein Eng. 4(5):593(1991))、エンテロペプチダ
ーゼ(WO9006370)、リゾスタフィン(lysostaphin)、ポリグリシン特異的エンドプ
ロテイナーゼ(EP316748)等が含まれるが、これらに限定されない。たとえば、Ma
rston, F.A.O. (1986) Biol. Chem. J. 240, 1-12を参照されたい。化学的開裂
部位として働く特定のアミノ酸部位には、臭化シアンにより開裂するメチオニン
(Shen, PNAS USA 81:4627(1984); Kempeら、Gene 39:239(1985); Kuliopulosら
、J. Am. Chem. Soc. 116:4599(1994); Moksら、Bio/Technology 5:379(1987);
Rayら、Bio/Technology 11:64(1993))、Asp-Pro結合の酸開裂(Wingenderら、J.B
iol. Chem. 264(8):4367(1989); Gramら、Bio/Technology 12:1017(1994))、お
よびAsn-Gly結合のヒドロキシルアミン開裂(Moks、上記)が含まれるが、これら
に限定されない。
【0071】 NAM酵素、候補タンパク質、およびリンカーに加えて、融合核酸は他の機能性
をコードする配列をさらに含んでいてよい。当業者に理解されるように、この説
明は、これらの他の構成要素の本明細書に記載される融合核酸への融合を示すも
のである。しかしながら、これらの他の構成要素はまた、融合タンパク質とは連
結していなくてもよく、むしろ、下に一般的に記載するように、融合核酸を含む
発現ベクターの構成要素であってよい。
【0072】 そこで、好ましい実施形態において、融合は融合パートナーと連鎖される。本
明細書において、「融合パートナー」または「官能基」という用語は、候補タン
パク質と結合させられる配列であって、そのクラスのライブラリの全てのメンバ
ーに共通の機能または能力を与える配列を意味する。融合パートナーは異種性(
すなわち、宿主にとって生来のものではない)または合成性(全ての細胞にとっ
て生来のものでない)であってよい。適切な融合パートナーには、a) 下記で定
義するような提示構造であり、候補タンパク質を、異種もしくは同種二量体化ま
たは多量体化配列を含むコンホメーションが制限されたかまたは安定な形態とし
て提供するもの;b) 下記で定義するようなターゲティング配列であり、候補タ
ンパク質を細胞小器官または細胞外区画に局在化させるか、またはウイルスまた
は病原体に感染したもの等の感染した生物中に取り込まれるようにするもの;c)
下記で定義するようなレスキュー配列であり、NAPコンジュゲートの精製または
単離を可能にするもの;d) 安定性配列であり、候補タンパク質もしくはそれを
コードする核酸に対し、安定性または分解からの保護、たとえばタンパク質加水
分解による分解に対する抵抗性、を与えるもの;e) リンカー配列;あるいはf)
としてa)、b)、c)、d)およびe)、ならびに必要に応じてリンカー配列の、任意の
組み合わせ、が含まれるがこれらに限定されない。
【0073】 好ましい実施形態において、融合パートナーは提示構造である。本明細書にお
いて、「提示構造」または文法的に同義の表現は、候補タンパク質と融合した場
合、候補タンパク質にコンホメーションが制限された形態を取らせるようなアミ
ノ酸配列を意味する。これは候補タンパク質がランダムペプチド、偏りのあるラ
ンダムペプチド、または擬似ランダムペプチドである場合に特に有用である。タ
ンパク質は主としてコンホメーションが制約されたドメインを通じて互いに相互
作用する。自由に回転するアミノおよびカルボキシル末端を有する小ペプチドは
、当業者に公知のように潜在的機能を有し得るが、このようなペプチド構造物を
薬物に変換することは、ペプチド模倣体合成について側鎖位置の予測が不可能で
あるために難しい。したがって、コンホメーションが制約された構造としてペプ
チドを提示することは、後の医薬品の製造に有利であると同時に、おそらくペプ
チドと標的タンパク質とのより高い親和性を示す相互作用をもたらすであろう。
この事実は、細菌ファージ系で生物学的に生成した短いペプチドを用いるコンビ
ナトリアルライブラリ生成系において認められた。
【0074】 上記のように、合成提示構造、すなわち、人工のポリペプチドは、ランダム化
されたペプチドをコンホメーションが制限されたドメインとして提示することが
できる。一般的に、このような提示構造は、ランダム化されたペプチドのN-末端
に連結される第1の部分および該ペプチドのC-末端に連結される第2の部分を含
む。すなわち、下に記載するように、ペプチドは提示構造の中に挿入されるが、
さまざまな変更は可能である。ランダム化された発現産物の機能上の単離を増加
させるために、提示構造は標的細胞中に発現されたときに最小限の生物活性を有
するように選択または設計される。
【0075】 好ましい提示構造は、ペプチドを外部ループ上に提示することによりペプチド
に対する到達しやすさを最大化するものである。したがって、好ましい提示構造
には、ミニボディー構造、二量体化配列、βシートターンおよびコイルドコイル
ステム構造のループであってそれらの構造に決定的でない残基がランダム化され
ているもの、ジンクフィンガードメイン、システイン結合(ジスルフィド)構造
、トランスグルタミナーゼ連結構造、環状ペプチド、B-ループ構造、ヘリカルバ
レルまたはバンドル、ロイシンジッパーモチーフ等が含まれるが、これらに限定
されない。
【0076】 好ましい実施形態において、提示構造は、ランダム化されたペプチドを外部ル
ープ上に置くことを可能にする、コイルドコイル構造である。たとえば、Myszka
ら、Biochem. 33:2362-2373(1994)(この文献を参照により本明細書に組み入れ
る)および図3を参照されたい。この系を用いて、研究者らは、適当な標的との
高親和性の相互作用が可能なペプチドを単離した。一般的に、コイルドコイル構
造には6から20のランダム化位置が見込まれる。好ましいコイルドコイル提示構
造は、たとえば、Martinら、EMBO J. 13(22):5303-5309(1994)に記載されており
、この文献は参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0077】 好ましい実施形態において、提示構造はミニボディー構造である。「ミニボデ
ィー」は、最小限の抗体相補性領域を本質的に含む。一般的にミニボディー提示
構造は、折りたたまれたタンパク質において3次構造の単一面に沿って存在する
2つのランダム化領域を与える。たとえば、Bianchiら、J. Mol. Biol. 236(2):
649-59(1994)およびこの文献に引用された参照文献を参照されたい。これらの文
献の全てを参照により本明細書に組み入れる。研究者らは、この最小ドメインが
溶液中で安定であることを示し、コンビナトリアルライブラリにファージ選択系
を用いて前炎症サイトカインIL-6に対して高い親和性、Kd=10-7を示すペプチド
領域を有するミニボディーを選択した。
【0078】 好ましいミニボディー提示構造は下記の通りである:MGRNSQATSGFTFSHFYMEWVR
GGEYIAASRHKHNKYTTEYSASVKGRYIVSRDTSQSILYLQKKKGPP(配列番号1)。太字の下
線を引いた領域はランダム化され得る領域である。イタリック体のフェニルアラ
ニンは第1のランダム化領域中で不変でなければならない。ペプチド全体を、コ
イルドコイル実施形態である3つのオリゴヌクレオチド変異体にクローン化する
ことにより、2つの異なるランダム化領域を同時に取り込むことが可能になる。
この実施形態は末端の回文式でないBstXI部位を利用する。
【0079】 好ましい実施形態において、提示構造は一般的にジスルフィド結合を形成しう
るような2つのシステイン残基を含み、その結果コンホメーションが制約される
配列となるような配列である。この実施形態は、分泌ターゲティング配列を用い
る場合に特に好ましい。当業者に理解されるように、多くのランダム配列が、ス
ペーサーまたは連結配列を用いて、または用いずに、システイン残基に隣接し得
る。他の実施形態において、有効な提示構造はそれ自体のランダム領域によって
作られる。たとえば、ランダム領域にシステイン残基を「添加」すると、適当な
酸化還元条件下で提示構造に類似した高度に架橋した構造配座が得られる。同様
に、ランダム化領域を、β-シートまたはα-らせん構造を与える一定数の残基を
含むように制御することができる。
【0080】 1つの実施形態において、提示構造は二量体化または多量体化配列である。二
量体化配列は、通常の生理的条件下で結合した状態を保つのに十分な親和性を有
する、ある候補タンパク質の別の候補タンパク質(たとえばペプチド)への非共
有結合性の結合を可能にする。1細胞につき2種のタンパク質が生成した後二量
体化して108(104×104)の有効なライブラリを形成するとすれば、これにより候
補タンパク質の小さなライブラリ(たとえば、104)を効果的に大きなライブラ
リにすることができる。これはまた、必要ならばより長いタンパク質またはより
構造的に複雑な分子の形成を可能にする。二量体は同種または異種二量体である
【0081】 二量体配列は、自己集合する単一の配列または2種の配列である。すなわち、
二量体化配列1を有する第1の候補タンパク質、および二量体化配列2を有する
第2の候補タンパク質の両方をコードする核酸は、細胞に導入されて該核酸が発
現される際に、二量体化配列1が二量体化配列2と結合して新しい構造体を形成
するというものである。
【0082】 好適な二量体化配列にはさまざまな配列が包含される。多くのタンパク質-タ
ンパク質相互作用部位が知られている。さらに、二量体化配列はまた、酵母2ハ
イブリッドシステム、伝統的な生化学的親和性結合研究のような標準的な方法を
用いて、または本発明の方法を用いて解明され得る。
【0083】 好ましい実施形態において、融合パートナーはターゲティング配列である。当
業者に理解されるように、細胞内でのタンパク質の局在化は有効濃度を増加させ
、機能を決定するための簡単な方法である。たとえば、RAF1はミトコンドリア膜
に局在化すると、BCL-2の抗アポトーシス効果を阻害することができる。同様に
、膜結合SosはT-リンパ球においてRas媒介シグナリングを誘導する。これらのメ
カニズムはリガンドを探す空間を限定する原理に依存すると考えられている。言
い換えれば、形質膜にタンパク質を局在化すると、そのリガンドの捜索は細胞質
の3次元空間ではなく、膜の近くの限られた次元空間に限定される。あるいは、
タンパク質の濃度も、局在化の性質により簡単に増大させることができる。タン
パク質を核の中にシャトル輸送することにより、それらはより小さい空間に限定
され、その結果濃度が増大する。最終的に、リガンドまたは標的は特定の区画に
局在化されればよく、また阻害剤は適切に局在化されなければならない。
【0084】 そこで、適切なターゲティング配列には以下のものが含まれるが、これらに限
定されない。すなわち、発現産物の生物活性を保持しながらあらかじめ決められ
た分子または分子のクラスに発現産物を結合させることができる結合配列(たと
えば、酵素阻害剤または基質配列を用いて、問題の酵素のクラスを標的化するこ
とによる);それ自体または共結合タンパク質の選択的分解をシグナリングする
配列;および所定の細胞の位置に候補発現産物を構成的に局在化することができ
るシグナル配列で、そのような所定の細胞の位置には、a) ゴルジ体、小胞体、
核、核小体、核膜、ミトコンドリア、葉緑体、分泌小胞、リソソーム、および細
胞膜のような細胞小器官部位、または細胞に感染している病原体またはウイルス
内、およびb) 分泌シグナルを利用する細胞外の位置が含まれる。細胞小器官部
位または分泌を利用する細胞の外側へのいずれかに局在化することは特に好まし
い。
【0085】 好ましい実施形態において、ターゲティング配列は核局在化シグナル(NLS)で
ある。NLSは一般的に短く、正に荷電した(塩基性)ドメインであり、それらが
生じている全体タンパク質を細胞の核に向ける働きをする。多くのNLSアミノ酸
配列が報告されており、これらには、SV40(サルのウイルス)ラージT抗原(Pro
Lys Lys Lys Arg Lys Val)、Kalderon(1984)ら、Cell, 39:499-509;ヒトレチ
ノイン酸受容体-β核局在化シグナル;NFkB p50(たとえば、Ghoshら、Cell 62:
1019(1990)参照);NFkB p65(たとえば、Nolanら、Cell 64:961(1991)参照);
およびその他(たとえば、Boulikas, J. Cell. Biochem. 55(1):32-58(1994)を
参照されたい。これらの文献を参照により本明細書に組み入れる)等の単一塩基
性NLS、および、ゼノパス(アフリカツメガエル)タンパク質、ヌクレオプラス
ミン(たとえば、Dingwallら、Cell, 30:449-458, 1982およびDingwallら、J. C
ell Biol., 107:641-849; 1988を参照されたい)等のものにより例示される二重
塩基性NLSが含まれる。多くの局在化研究により、NLSは、合成ペプチドに組み込
まれるか、または通常は細胞核に標的化されないレポータータンパク質に融合さ
れることによって、これらのペプチドおよびレポータータンパク質を核中へ集合
させることが証明された。たとえば、DingwallおよびLaskey, Ann, Rev. Cell B
iol., 2:367-390, 1986; Bonnerotら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:6795-6
799, 1987; Galileoら、Proc. Natl. Acd. Sci. USA, 87:458-462, 1990を参照
されたい。
【0086】 好ましい実施形態において、ターゲティング配列は膜に固定されているシグナ
ル配列である。これは、多くの細胞内事象は形質膜で生ずるという事実に加えて
、多くの寄生虫および病原体は膜に結合することから、特に有用である。このよ
うに、膜結合ペプチドライブラリは、これらのプロセスの重要な要素の同定およ
び効果的な阻害剤の発見の両方に有用である。さらに、多くの薬物は膜結合タン
パク質と相互作用する。本発明は、候補タンパク質を細胞外または細胞質空間に
提示する方法を提供する。細胞外に提示するために、膜固定領域を候補タンパク
質のカルボキシル末端につける。候補タンパク質の領域は、他の表面分子に結合
(それらの機能に影響を与える)するか、または細胞外環境に存在する分子に結
合することができるように、細胞表面に発現されて細胞外空間に提示される。こ
のような分子の結合は、該分子を結合するペプチドを発現する細胞に機能を与え
る。細胞質領域は、中立であるか、または細胞外の候補タンパク質領域が結合し
た場合に、細胞に機能を与える(キナーゼ、ホスファターゼの活性化、他の細胞
成分に結合して機能に影響を与える)ドメインを含む。同様に、候補タンパク質
を含む領域は細胞質領域内に含まれ得るが、膜貫通領域および細胞外領域は不変
であるか、または規定の機能を有する。
【0087】 さらに、この実施形態において、本明細書に記載される他のものと同様に、ス
クリーニングの後にNAPコンジュゲートの形成がおこる可能性がある、すなわち
、細胞外表面上に発現された融合タンパク質を有することは、それを核酸への結
合には利用できないことを意味することに注意すべきである。けれども、これは
後に細胞の溶解により実施することができる。
【0088】 膜固定配列は当技術分野で周知であり、哺乳類の膜貫通分子の遺伝子幾何学構
造に基づいている。ペプチドは、シグナル配列(本明細書においてはssTMで示さ
れる)に基づいて膜に挿入され、疎水性膜貫通ドメイン(本明細書においてTM)
を必要とする。膜貫通タンパク質は、膜貫通ドメインの5'側にコードされる領域
が細胞外に、3'側の配列が細胞内になるように膜に挿入される。もちろん、これ
らの膜貫通ドメインが可変領域の5'側に置かれた場合、それらはこれを細胞内ド
メインとして固定するように働くが、これはある実施形態において望ましい。ss
TMおよびTMはさまざまな膜結合タンパク質について知られており、したがって、
これらの配列は、特定のタンパク質由来の対として、または異なるタンパク質由
来のそれぞれの成分と共に、上記のように使用できるが、あるいは、配列は合成
されたものであって、全体として人工の送達ドメインとしての共通配列に由来す
るものでもよい。
【0089】 ssTMおよびTMの両方を含む膜固定配列はさまざまなタンパク質について知られ
ており、これらのいずれのものを用いてもよい。特に好ましい膜固定配列には、
CD8、ICAM-2、IL-8R、CD4およびLFA-1に由来するものが含まれるが、これらに限
定されない。
【0090】 有用な膜固定配列には、たとえば、1) クラスI内在性膜タンパク質、たとえば
、IL-2受容体β鎖(残基1-26はシグナル配列、241-265は膜貫通残基である;Hat
akeyamaら、Science 244:551(1989)およびvon Heijneら、Eur. J. Biochem. 174
:671(1988)を参照されたい)およびインシュリン受容体β鎖(残基1-27はシグナ
ル、957-959は膜貫通ドメイン、および960-1382は細胞質ドメインである;Hatak
eyama、上記、およびEbinaら、Cell 40:747(1985)を参照されたい);2) クラス
II内在性膜タンパク質、たとえば、中性エンドペプチダーゼ(残基29-51は膜貫
通ドメイン、2-28は細胞質ドメインである;Malfroyら、Biochem. Biophys. Res
. Commun. 144:59(1987)を参照されたい);3) タイプIIIタンパク質、たとえば
、ヒトチトクロムP450 NF25(Hatakeyama、上記);および4) タイプIVタンパク
質、たとえば、ヒトP-糖タンパク質(Hatakeyama、上記)由来の配列が含まれる
。特に好ましいのは、CD8およびICAM-2である。たとえば、CD8およびICAM-2由来
のシグナル配列は転写物の5'末端の先端に位置する。これらは、CD8の場合アミ
ノ酸1-32(たとえば、Nakauchiら、PNAS USA 82:5126(1985)を参照されたい)、
ICAM-2の場合1-21(たとえば、Stauntonら、Nature(London) 339:61(1989)を参
照されたい)からなる。これらのリーダー配列が構築物を膜に送達し、ランダム
な候補領域の3'に存在する疎水性膜貫通ドメインが、構築物を膜に固定する働き
をする。これらの膜貫通ドメインはCD8のアミノ酸145-195(Nakauchu、上記)お
よびICAM-2の224-256(Staunton、上記)に含まれる。
【0091】 あるいは、膜固定配列は、GP1アンカーを含み、たとえばDAF中で、グリコシル
-ホスファチジルイノシトール結合を介した、分子と脂質二重膜との間の共有結
合をもたらす(たとえば、Homansら、Nature 333(6170):269-72(1988)およびMor
anら、J. Biol. Chem. 266:1250(1991)を参照されたい)。これをおこなうため
に、Thy-I由来のGPI配列を、膜貫通配列の代わりに可変領域の3'側に挿入するこ
とができる。
【0092】 同様に、ミリスチル化配列は膜固定配列として働くことができる。c-srcをミ
リスチル化すると、これが形質膜に集められることが知られている。これは、タ
ンパク質の最初の14アミノ酸がもっぱらこの機能に関与していることがわかって
おり、膜局在化の簡単で有効な方法である(Crossら、Mol. Cell. Biol. 4(9):1
834(1984); Spencerら、Science 262:1019-1024(1993)を参照されたい。これら
2つの文献を参照により本明細書に組み入れる)。このモチーフは、既にレポー
ター遺伝子の局在化に有効であることが示され、TCRのζ鎖を固定するために用
いることができる。構築物を形質膜に局在化するために、このモチーフを可変領
域の5'側に配置する。構築物を形質膜に固定するために、パルミトイル化のよう
な他の修飾を用いることができる。たとえば、Gタンパク質共役型受容体キナー
ゼGRK6配列(たとえば、Stoffelら、J. Biol. Chem 269:27791(1994)を参照され
たい);ロドプシン(たとえば、Barnstableら、J. Mol. Neurosci. 5(3):207(1
994)を参照されたい);およびp21 H-ras 1タンパク質(たとえば、Caponら、Na
ture 302:33(1983)を参照されたい)由来のパルミトイル化配列を用いることが
できる。
【0093】 好ましい実施形態では、ターゲティング配列は、例えば、Lamp-2(KFERQ;Dic
e、Ann. N.Y. Acad. Soci. 674:58 (1991))などのライソソーム分解配列;又は
Lamp-1由来のライソソーム性膜配列(例えば、Uthayakumarら、Cell. Mol. Biol
. Res. 41:405 (1995)を参照されたい)若しくはLamp-2(例えば、Koneckiら、B
iochem. Biophhys. Res. Comm. 205:1-5 (1994)を参照されたい)由来のライソ
ソーム性膜配列を含むライソソームターゲティング配列である。
【0094】 あるいは、ターゲティング配列は、ミトコンドリア基質配列(例えば、酵母ア
ルコール脱水素酵素III;Schatz、Eur. J. Biochem. 165:1-6 (1987));ミトコ
ンドリア内膜配列(酵母チトクロームc酸化酵素サブユニットIV;前記Schatz)
;ミトコンドリア膜間腔配列(酵母チトクロームc1;前記Schatz)又はミトコ
ンドリア外膜配列(酵母70kD外膜単;前記Schatz)を含むミトコンドリアの
局在化配列が挙げられる。
【0095】 また、ターゲティング配列は、カルレティキュリン(Pelham、Royal Society
London Transactions B: 1-10 (1992))又はアデノウイルスE3/19Kタンパク質(
例えば、Jacksonら、EEMBO J. 9:3153 (1990)を参照されたい)由来の配列を含
む小胞体配列を含むことができる。
【0096】 さらに、ターゲティング配列は、ペルオキシソーム配列(例えば、ルシフェラ
ーゼ由来のペルオキシソーム基質配列;Kellerら、PNAS USA 4:3264 (1987));
ファルネシル化配列(例えば、P21 H-ras 1;前記Capon);ゲラニルゲラニル
化配列(例えば、タンパク質rab-5A;Farnsworth、PNAS USA 91:11963 (1994))
;又は破壊(destruction)配列(サイクリンB1;Klotzbucherら、EMBO J. 1:30
53 (1996))も含むことができる。
【0097】 好ましい実施形態では、ターゲティング配列は、候補タンパク質の分泌を起こ
させることができる分泌シグナル配列である。可変ペプチド領域の5’に位置し
、そのペプチド領域から開裂されて、細胞外空間に分泌される多数の既知の分泌
シグナル配列がある。分泌シグナル配列及び無関係のタンパク質へのそれらの輸
送機能(transferability)は、十分に知られている(例えば、Silhavyら、(198
5) Microbiol. Rev. 49, 398-418)。これは、宿主細胞以外の標的細胞の表面に
結合できるか又は標的細胞の生理機能に影響を及ぼすことができるペプチドを生
産するために特に有用である。このように、ペプチドのライブラリを発現させる
細胞の近傍で増殖した標的細胞は、分泌されたタンパク質に浸される。ペプチド
の存在に応答して(例えば、ペプチドが表面レセプターに結合することによって
、又は吸収されて細胞内標的に結合することによって)生理学的変化を示す標的
細胞、及び分泌細胞は、多様な分泌機構及び所定の効果を引き起こすペプチドの
いずれかによって局在化される。例示的な効果としては、広く、デザイナーサイ
トカイン(すなわち、造血幹細胞の分裂を引き起こし、それらの分化全能性を維
持しうる幹細胞因子)、癌細胞に自発的アポトーシスを起こさせる因子、標的細
胞の細胞表面に結合し、それらを特異的に標識する因子などの効果が挙げられる
【0098】 膜固定された実施形態と同様に、NAPコンジュゲートの形成はスクリーニング
の後で起こりうる。つまり、融合タンパク質を分泌させることは、それが核酸へ
の結合に利用できないことを意味している。しかしながら、これは細胞の溶解と
共に、後で行うことができる。
【0099】 例えば、IL-2(例えば、Villingerら、J. Immunol. 155:3946 (1995)を参照さ
れたい)、成長ホルモン(例えば、Roskarnら、Nucleic Acids Res. 7:30 (1979
)を参照されたい);プレプロインシュリン(例えば、Bellら、Nature 284:26 (
1980)を参照されたい);及びインフルエンザHAタンパク質(例えば、Sekiwawa
ら、PNAS 80:3563を参照されたい)由来のシグナルを含む、好適な分泌配列は公
知である。特に好ましい分泌シグナル配列は、分泌されたサイトカインIL-4由来
のシグナルリーダー配列である。
【0100】 好ましい実施形態では、融合パートナーは、レスキュー配列(本明細書におい
て、「精製タグ」又は「検索特性」ということもある)である。レスキュー配列
は、候補タンパク質又はNAPコンジュゲートのいずれかを精製又は単離するため
に用いることができる配列である。すなわち、例えば、ペプチドのレスキュー配
列としては、例えば、Ni親和性カラムと共に用いるためのHis6タグ、及び検出、
免疫沈降又はFACS(蛍光発色セルソーティング)のためのエピトープタグなどの
精製配列が挙げられる。好ましいエピトープタグとしては、myc(商業的に入手
可能な9E10抗体と共に用いる)、細菌酵素BirA、fluタグ、lacZ及びGSTのBSPビ
オチン化ターゲティング配列が挙げられる。レスキュー配列は結合イベント、酵
素イベント、物理的性質又は化学的性質に基づいて利用することができる。
【0101】 あるいは、レスキュー配列は、プローブ標的部位として働き、PCR、関連方法
又はハイブリダイゼーションによって、構築物の迅速且つ容易な単離を可能にす
る固有のオリゴヌクレオチド配列を含むことができる。
【0102】 好ましい実施形態では、融合タンパク質は、候補タンパク質又はそれをコード
する核酸に安定性を与える安定性配列である。すなわち、例えば、ワルシャフス
キーのN末端規則(Varshavsky's N-End Rule)によりペプチドのユビキチン化に
対する保護のための、開始メチオニン後のグリシンの組み込みによって、ペプチ
ドが安定化され、こうして細胞質中での長い半減期が与えられる。同様に、C末
端の2つのプロリンは、主としてカルボキシペプチダーゼ作用に対して非常に抵
抗性のペプチドを与える。プロリンの前の2つのグリシンの存在は、柔軟性をも
たらし、候補タンパク質構造中に増殖されるジプロリン(di-proline)への構造
により開始されるイベントを妨げる。このように、好ましい安定性配列は、次の
とおりである:MG(X)nGGPP(ここで、Xは任意のアミノ酸であり、nは4以上の
整数である)。
【0103】 さらに、上記定義のリンカー配列は、必要に応じて任意の構成で用いることが
できる。
【0104】 さらに、提示構造を含む、融合パートナーは、改変され、無作為化され、及び
/又は成熟化されて、無作為化された発現産物の提示方向を改変することができ
る。例えば、ループの塩基の決定基(determinants)は改変されて、無作為化さ
れたアミノ酸配列を維持する、内部ループペプチドの三次構造をわずかに改変す
ることができる。
【0105】 所望ならば、融合パートナーの組み合わせを用いることができる。すなわち、
例えば、提示構造、ターゲティング配列、レスキュー配列及び安定性配列の任意
の数の組み合わせを、リンカー配列によって又はそれ無しで用いることができる
。同様に、本明細書で考察したように、融合パートナーを、本明細書中に記載さ
れた発現ベクターの任意の構成成分と結合させることができ、それらはNAM酵素
、候補タンパク質、又は後述するEASのいずれかと直接融合できるか、又はこれ
らの構成成分から分離し、発現ベクター内に含有させることができる。
【0106】 NAM酵素及び候補タンパク質をコードする配列、並びに任意の融合パートナー
に加えて、本発明の核酸は、酵素結合配列を含むことが好ましい。本明細書にお
いて「酵素結合配列」又は「EAS」は、NAM酵素との結合を仲介する選択された核
酸配列を意味する。そのようなEAS核酸配列は、特定配列、又はNAM酵素とEASと
の結合を可能にする特定の化学的若しくは構造的コンフィギュレーションを含む
。EASは、その天然のコンフォメーションをとるDNA若しくはRNA配列、又はハイ
ブリッドを含むことができる。また、EASは、改変された核酸配列又は本発明の
核酸分子中に挿入された合成配列を含むことができる。また、EASは、非天然塩
基又はハイブリッドの非天然及び天然(すなわち、自然に見出される)塩基を含
むことができる。
【0107】 当業者であれば理解できるであろうが、個々のNAM酵素は、特異的配列を認識
し、それ故それらはペアで用いられるので、EASの選択はNAM酵素に依存するであ
ろう。すなわち、好ましいNAM/EASペアは、Repタンパク質によって認識される
配列(本明細書中において、「Rep EAS」ということもある)とRepタンパク質、
及びH-1認識配列とH-1、などである。さらに、野生型又は天然に存在するEASに
比べてNAM酵素との改善された共有結合を仲介するEASを利用することができる。
【0108】 好ましい実施形態では、EASは2本鎖である。一例として、好ましいEASは、対
応するNAM酵素と相互作用する特定の機能を含む二本鎖核酸配列である。例えば
、Rep68及びRep78は、実施例1にその配列を示したAAVITR内に含まれるEASを認
識する。さらに、これらのRepタンパク質は、図48にその配列が示されている
ヒトの第19染色体中のITR様領域も同様に認識することが示されている。
【0109】 また、EASは、トポイソメラーゼと相互作用し、共有結合中間体複合体を形成
するスーパーコイル化されたDNAを含むことができる。あるいは、EASは、共有結
合を形成しうる改変された制限酵素によって認識される制限酵素部位である。最
後に、EASは、RNA配列及び/又は特異的タンパク質と相互作用し、安定な複合体
を形成する構造を含むことができる(例えば、Romaniuk及びUhlenbeck、Biochem
istry, 24, 4239-44 (1985)を参照されたい)。
【0110】 本発明は、融合酵素の核酸分子への結合を仲介するために、NAM酵素のEASへの
特異的結合に依存している。当業者であれば、小さな核酸配列からなるEASの使
用が、接近しやすいEASモチーフがベクター又は宿主ゲノム中に出現する頻度に
依存して、NAM酵素の発現ベクター及び宿主細胞ゲノムへの非特異的結合を生じ
ることを理解できるであろう。従って、本発明のEASは、特異的な融合タンパク
質をコードする核酸分子の結合が生じるように、十分な長さを有する核酸配列か
らなることが好ましい。例えば、EASは、長さ5ヌクレオチドより大きいことが
好ましい。EASは、長さ10ヌクレオチドより大きいことがより好ましい。例え
ば、12、15、20、25、30、35、40、45又は50以上のヌクレオ
チドからなるEASが好ましい。
【0111】 さらに、EASは、多くてもたった1個又は2個のNAM酵素がゲノムに対して結合
できるように(例えば、ヒト細胞ゲノム中でたった1回)、宿主細胞ゲノム中に
非常に限定されて存在することが好ましい。EASが宿主細胞(例えば、ヒト細胞
ゲノム)内に多数回存在する状況では、発現ベクターによってコードされる融合
タンパク質が発現ベクターではなく宿主細胞ゲノムに結合する確率が増加し、そ
れ故望ましくない。例えば、バクテリオファージP2 Aタンパク質は、比較的短い
DNA認識配列を認識する。このように、哺乳動物細胞中でのP2 Aタンパク質の使
用は、宿主ゲノムの全体に渡るタンパク質結合をもたらすであろうし、所望の核
酸配列を同定することは困難であろう。従って、好ましい実施形態は、NAM酵素
としてのP2 Aの使用を除外する。
【0112】 当業者であれば、本発明で用いられるNAM酵素又は対応するEASを、融合タンパ
ク質−核酸分子複合体の安定性を増加させるために、操作できることが理解でき
るであろう。そのような操作は、NAM酵素が、それに対応するEASとの共有結合を
形成する限り、本明細書において意図されるものである。
【0113】 従って、好ましい実施形態では、本発明の核酸は、(i)NAM酵素及び候補タンパ
ク質をコードする配列を含む融合核酸、及び(ii)EASを含む。これらの核酸は、
発現ベクター中に組み込まれていることが好ましく、これによって本明細書中で
「NAM酵素発現ベクター」と呼ぶことがある、発現ベクターのライブラリを提供
する。
【0114】 発現ベクターは、自己複製型染色体外ベクター、宿主ゲノムに組み込まれたベ
クター、又は自己複製しうる若しくは自己複製できない線状の核酸のいずれかで
ありうる。従って、発現ベクターの定義に特定的に含まれるのは、線状の核酸分
子である。すなわち、発現ベクターとしては、プラスミド、プラスミド−リポソ
ーム複合体、ファージベクター、及びウイルスベクター(例えば、アデノ関連ウ
イルス(AAV)系ベクター、レトロウイルスベクター、単純ヘルペスウイルス(H
SV)系ベクター、及びアデノウイルス系ベクター)が挙げられる。核酸分子及び
これらの発現ベクターのいずれかは、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning,
a Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring
Harbor, N.Y. (1989)、及びAusubelら、Current Protocols in Molecular Biolo
gy, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York, N.Y. (
1994)に記載されている標準的な組み換えDNA技術を用いて調製できる。一般的に
は、これらの発現ベクターは、NAMタンパク質をコードする核酸に機能可能に連
結された転写及び翻訳調節核酸配列を含んでいる。語句「調節配列」とは、特定
の宿主生物中で機能可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列をいう
。原核生物に好適な調節配列は、例えば、プロモーター、場合によりオペレータ
ー配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞がプロモーター、ポリアデニ
ル化シグナル、及びエンハンサーを利用することは公知である。
【0115】 核酸は、それが別の核酸配列と機能的な関係に配置されるとき、「機能可能に
連結」されている。例えば、プレ配列(presequence)又は分泌リーダーのため
のDNAは、もしそれがポリペプチドの分泌に関与する前駆体タンパク質として発
現されるなら、ポリペプチドをコードするDNAに機能可能に連結されており;プ
ロモーター又はエンハンサーは、その配列の転写に影響を及ぼすなら、コード配
列に機能可能に連結されており;又はリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進
するように位置しているなら、コード配列に機能可能に連結されている。一般に
、「機能可能に連結されている」は、結合されているDNA配列が隣接しており、
そして、分泌リーダーの場合には隣接し、且つリーディングフェーズにあること
を意味する。しかしながら、エンハンサーは必ずしも隣接していなくてもよい。
連結は便利な制限部位での連結反応によって達成される。そのような部位が存在
しない場合、従来の慣行に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリン
カーを用いる。転写及び翻訳調節核酸は、当業者であれば理解できるように、NA
Mタンパク質を発現するために用いられる宿主細胞に一般的に適切であろう。例
えば、バシラス属由来の転写及び翻訳調節核酸配列は、バシラス属におけるNAM
タンパク質の発現に好ましく用いられる。多様な宿主細胞に対して適切な発現ベ
クター及び好適な調節配列の多数のタイプが、当業界で公知である。
【0116】 一般に、転写及び翻訳調節配列としては、以下に限定されないが、プロモータ
ー配列、リボソーム結合部位、転写開始及び停止配列、翻訳開始及び停止配列、
並びにエンハンサー、サイレンサー又はアクティベーター配列が挙げられる。好
ましい実施形態では、調節配列は、プロモーター並びに転写開始及び停止配列を
含む。
【0117】 「プロモーター」は、RNAポリメラーゼの結合を指令し、それによってRNA合成
を促進させる核酸配列である。プロモーター配列は、構成的プロモーター配列及
び誘導性プロモーター配列を含む。例示的な構成的プロモーターとしては、以下
に限定されないが、CMV前初期プロモーター、RSV長末端反復配列、マウス乳癌ウ
イルス(MMTV)プロモーター等が挙げられる。好ましい誘導性プロモーターとし
ては、以下に限定されないが、IL-8プロモーター、メタロチオネイン誘導性プロ
モーター系、細菌性lacZYA発現系、テトラサイクリン発現系、及びT7ポリメラー
ゼ系が挙げられる。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、ハイブリッ
ドプロモーター、又は合成プロモーターのいずれでもよい。ハイブリッドプロモ
ーターは、1種以上のプロモーターの要素を組み合わせたものであり、当業界で
も公知であり、本発明に有用である。
【0118】 さらに、発現ベクターは、追加的な要素を含んでいてもよい。例えば、発現ベ
クターは、2つの複製系(例えば、複製起点)を有していてもよく、それによっ
て、2つの生物中で(例えば、発現のための動物細胞中及びクローニング及び増
幅のための原核宿主中で)維持することが可能になる。さらに、発現ベクターの
組込みのために(殆どの実施形態において一般に好ましくないが)、発現ベクタ
ーは、宿主細胞ゲノムに相同な少なくとも一つの配列、そして好ましくは発現構
築物と隣接する2つの相同な配列を含む。組込みベクターは、ベクター中に包含
させるための適切な相同配列を選択することによって、宿主細胞中の特異的な遺
伝子座に導くことができる。ベクターを組込むための構築物並びに適切な選択及
びスクリーニングのためのプロトコールは、当業界で周知であり、例えば、Mans
ourら、Cell, 51:503 (1988)及びMurray、遺伝子導入及び発現プロトコール、分
子生物学における方法(Gene Transfer and Expression Protocols, Methods in
Molecular Biology)、第7巻(Clifton: Humana Press, 1991)に記載されて
いる。
【0119】 なお、本発明の組成物及び方法は、特定の染色体の単離を可能にするものであ
る。例えば、ヒト第19染色体は、Rep結合配列(例えば、EAS)を含有するので
、NAM酵素がRepである場合には、NAP複合体は第19染色体によって形成される
であろう。Repタンパク質それ自身に対する抗体(例えば、候補タンパク質を必
要としない)又は融合された候補タンパク質若しくは精製タグに対する抗体のい
ずれかを用いる、免疫沈降の前の細胞溶解は、染色体の精製を可能にする。この
ことは、現在の染色体精製技術に対して顕著な進歩である。すなわち、選択的に
又は非選択的に染色体中にEAS部位を組み込むことによって、異なる染色体を精
製することができる。
【0120】 さらに、好ましい実施形態では、発現ベクターは、選択遺伝子を含有し、発現
ベクターを含有する形質転換された宿主細胞の選択を可能にし、特に哺乳動物細
胞の場合には、ベクターを含有しない細胞は一般に死滅するので、ベクターの安
定性を確保する。選択遺伝子は当業界で周知であり、用いられる宿主細胞によっ
て変わるであろう。本明細書中で「選択遺伝子」は、そのベクターを含有する細
胞の新たな表現型を与える遺伝子産物をコードする任意の遺伝子を意味する。ま
た、これらの表現型は、例えば、増強された細胞増殖又は低減された細胞増殖を
含む。また、表現型は、選択試薬に対する抵抗性を含みうる。好ましい選択試薬
としては、以下に限定されないが、ネオマイシン(又はその類似体G418)、ブラ
ストサイジンS、ヒスチニドールD、ブレオマイシン、プロマイシン、ハイグロマ
イシンB、及び他の薬物が挙げられる。また、発現ベクターは、マーカータンパ
ク質(例えば、形質導入の成功した細胞の迅速な同定を可能にする緑色蛍光タン
パク質など)に対するコード配列を含むことができる。
【0121】 好ましい実施形態では、発現ベクターは、遺伝子発現レベルを増加させるため
に、発現されるべき遺伝子の上流若しくは下流のRNAスプライシング配列を含有
する。Barretら、Nucleeic Acids Res. 1991;Groosら、Mol. Cell. Biol. 1987
;及びBudimanら、Mol. Cel. Biol. 1988を参照されたい。
【0122】 一つの発現ベクター系は、Mannら、Cell, 33:153-9 (1993);Pearら、Proc. N
atl. Acad. Sci. U.S.A., 90(18):8392-6 (1993);Kitamuraら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U.S.A., 92:9146-50 (1995);Kinsellaら、Human Gene Therapy, 7:14
05-13;Hofmannら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 93:5185-90;Choateら、H
uman Gene Therapy, 7:2247 (1996);国際特許出願第PCT/US97/01019号及び第PC
T/US97/01048号、並びにこれらの中で引用されている文献(これら全ての文献は
、参照によって本願明細書に明白に組み入れられている)に一般的に記載されて
いるようなレトロウイルスベクター系である。
【0123】 本発明の融合タンパク質は、適切な条件下で、核酸、好ましくは本明細書中で
概説した発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を培養することによって
融合タンパク質の製造を誘導又は引き起こすことによって製造できる。融合タン
パク質製造に適切な条件は、発現ベクター及び宿主細胞の選択によって変動し、
そして当業者であれば、日常的な方法を用いて容易に確認することができるであ
ろう。例えば、発現ベクター中の構成的プロモーターの利用は、宿主細胞の成長
及び増殖の最適化を必要とするであろうが、誘導性プロモーターの利用は、誘導
のために適切な成長条件を必要とする。さらに、幾つかの実施形態では、回収の
タイミングが重要である。例えば、昆虫細胞で用いられるバキュロウイルス系は
溶菌性ウイルスであり、それ故回収時期の選択は、生成物収量にとって決定的で
ある。
【0124】 外因性のDNAの導入及び続くタンパク質産生に耐えられる任意の宿主細胞が本
発明に好適である。宿主細胞の選択は、実施されるアッセイにある程度依存する
であろう。例えば、in vitro系は、原核生物又は真核生物をいくらでも使用でき
るが、ex vivo系は、動物細胞、特に哺乳動物細胞(ヒト細胞は特別に)を利用
することが好ましい。従って、適切な宿主細胞としては、酵母、細菌、古細菌、
植物、並びに昆虫及び哺乳動物細胞及び特にヒト細胞を含む動物細胞が挙げられ
る。宿主細胞は、天然の細胞、一次細胞(病気の組織又は器官から単離した細胞
を含む)、細胞系(これも病気の組織に由来するものを含む)、遺伝子的に改変
された細胞などが挙げられる。特に興味深いのは、ドロソフィラ・メラノガスタ
ー(Drosophila melanogaster)細胞、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharom
yces cerevisiae)及び他の酵母、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、SF9
細胞、C129細胞、293細胞、アカパンカビ(Neurospora)、BHK、CHO、COS、及び
HeLa細胞、線維芽細胞、シュワノマ(Schwanoma)細胞系などである。(参照に
よって明白に本明細書中に組み入れられているATCC細胞系カタログを参照された
い。) 好ましい実施形態では、融合タンパク質は、哺乳動物細胞中で発現される。ま
た、哺乳動物発現系は、当業界で公知であり、例えば、レトロウイルス系及びア
デノウイルス系が挙げられる。哺乳動物プロモーターは、哺乳動物RNAポリメラ
ーゼに結合でき、融合タンパク質に対するコード配列のmRNAへの下流(3')転写
を開始させることができる任意のDNAの配列である。プロモーターは、通常、コ
ード配列の5'末端に隣接して配置されている、転写開始領域、及び転写開始部位
の25〜30塩基対上流に位置するTATAボックスを有するであろう。TATAボック
スは、RNA合成を正しい位置で始めることをRNAポリメラーゼIIに指令すると考え
られている。また、哺乳動物プロモーターは、通常TATAボックスの100〜20
0塩基対上流に位置する上流プロモーターエレメント(エンハンサーエレメント
)を含む。上流のプロモーターエレメントは、転写が開始される速度を決定し、
いずれの方向へも作用できる。ウイルス遺伝子は、非常に高い頻度で発現され、
広い宿主範囲を有するので、哺乳動物プロモーターとして特に用いられるのは、
哺乳動物ウイルス遺伝子由来のプロモーターである。例としては、SV40初期プロ
モーター、マウス乳癌ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期プロ
モーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、及びCMVプロモーターが挙げら
れる。
【0125】 通常、哺乳動物細胞に認識される転写終結配列及びポリアデニル化配列は、翻
訳停止コドンの3'に位置する調節領域であり、従って、プロモーターエレメント
と共に、コード配列と隣接している。成熟mRNAの3'末端は、部位特異的翻訳後開
裂及びポリアデニル化によって形成される。転写ターミネーター及びポリアデニ
ル化シグナルの例としては、SV40から誘導されたものが挙げられる。
【0126】 哺乳動物宿主、並びに他の宿主への外因性核酸の導入方法は、当業界で周知で
あり、用いる宿主細胞によって変わる。方法としては、デキストラン仲介トラン
スフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介トランスフェクション
、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、ポリヌクレオ
チドのリポソームへの封入、及びDNAの核への直接マイクロインジェクションが
挙げられる。
【0127】 好ましい実施形態では、NAM融合体は、細菌系で製造される。細菌発現系は、
広く利用可能であり、例えば、プラスミドが挙げられる。
【0128】 好適な細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼに結合でき、融合物のコー
ド配列のmRNAへの下流(3')転写を開始させることができる任意の核酸配列であ
る。細菌プロモーターは、コード配列の5'末端に通常隣接して位置する転写開始
領域を有する。この転写開始領域は、一般に、RNAポリメラーゼ結合部位及び転
写開始部位を含む。代謝経路酵素をコードする配列は、特に有用なプロモーター
配列を提供する。例としては、糖代謝酵素から誘導されたプロモーター配列(ガ
ラクトース、ラクトース及びマルトースなど)、及び生合成酵素から誘導された
配列(トリプトファンなど)が挙げられる。また、バクテリオファージ由来のプ
ロモーターも用いられ、当業界で公知である。さらに、合成プロモーター及びハ
イブリッドプロモーターも有用であり;例えば、tacプロモーターは、trp及びla
cプロモーター配列のハイブリッドである。さらに、細菌プロモーターは、細菌R
NAポリメラーゼに結合し、転写を開始させる能力を有する非細菌起源の天然に存
在するプロモーターを挙げることができる。
【0129】 機能性プロモーター配列に加えて、有効なリボソーム結合部位が望まれる。大
腸菌では、リボソーム結合部位は、シャイン−ダルガルノ(SD)配列と呼ばれ、
開始コドン及び開始コドンの3〜11ヌクレオチド上流に位置する長さ3〜9ヌ
クレオチドの配列を含む。
【0130】 また、発現ベクターは、細菌又は他の細胞中で融合タンパク質の分泌を与える
シグナルペプチド配列を含んでいてもよい。このシグナル配列は、当業界で周知
のように、細胞からのタンパク質の分泌を指令する疎水性アミノ酸を含むシグナ
ルペプチドを通常コードしている。このタンパク質は、増殖培地(グラム陽性細
菌)中又は細胞の内膜と外膜の間にあるペリプラスム間隙(グラム陰性細菌)中
のいずれかに分泌される。
【0131】 また、細菌性発現ベクターは、形質転換されている細菌株の選択を可能にする
選択マーカー遺伝子を含んでいてもよい。好ましい選択遺伝子としては、アンピ
シリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシ
ン及びテトラサイクリンなどの薬物に対する耐性を細菌に付与する遺伝子が挙げ
られる。また、選択マーカーとして、ヒスチジン、トリプトファン及びロイシン
生合成経路中の遺伝子などの生合成遺伝子が挙げられる。
【0132】 好ましい細菌細胞は、例えば、枯草菌、大腸菌、ストレプトコッカス・クレモ
リス(Streptococcus cremoris)、及びストレプトコッカス・リビダンス(Stre
ptococcus lividans)、他のベクターを含む。細菌性発現ベクターは、塩化カル
シウム処理、エレクトロポレーションなどの当業界で周知の方法を用いて細菌宿
主細胞中に形質転換されうる。細菌細胞を用いる一つの利点は、発現ベクターを
含み、それ故クローン集団を生産する細胞を増殖させる能力である。
【0133】 また、NAM融合タンパク質は、Sf9細胞などの昆虫細胞中で産生されうる。昆虫
細胞の形質転換のための発現ベクター、特にバキュロウイルス系発現ベクターは
、当業界で周知であり、例えば、O'Reillyら、バキュロウイルス発現ベクター:
実験室マニュアル(Baculovirus Expression Vectors: A Laboratory Manual)
(New York: Oxford University Press, 1994)に記載されている。
【0134】 さらに、NAM融合タンパク質は、酵母細胞中で製造することができる。酵母発
現系は当業界で周知であり、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomy
ces cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)及びカンジダ
・マルトーサ(C. maltosa)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorp
ha)、クルイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)及びクルイベ
ロミセス・ラクチス(K. lactis)、ピキア・ギレリモンディー(Pichia guille
rimondii)及びピキア・パストリス(P. pastoris)、シゾサッカロミセス・ポ
ンベ(Schizosaccharomyces pombe)、並びにヤロウィア・リポリチカ(Yarrowi
a lipolytica)に対する発現ベクターが挙げられる。酵母中での発現に好ましい
プロモーター配列としては、誘導性GAL1,10プロモーター、アルコール脱水素酵
素、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース−6−リン酸イソメラーゼ、グリ
セルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナ
ーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ由来のプロモータ
ー及び酸性ホスファターゼ遺伝子が挙げられる。酵母選択マーカーとしては、ツ
ニカマイシンに対する耐性を付与するADE2、HIS4、LEU2、TRP1、及びALG7;G418
に対する耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子;及び銅
イオン存在下での酵母の増殖を可能にするCUP1遺伝子が挙げられる。酵母細胞を
用いる一つの利点は、ベクターを含む細胞を増殖させ、それによってクローン集
団を生産させる能力にある。
【0135】 好ましい発現ベクターを図49A〜49Nに示す。
【0136】 NAM酵素−候補タンパク質融合物、EAS、リンカー、融合パートナー等を含む、
本明細書中で概説した構成成分に加え、発現ベクターは、本明細書中で概説した
選択遺伝子(特に成長促進又は成長阻害機能を含む)、活性化可能エレメントイ
(activatible elements)、組み換えシグナル(例えば、cre及びlox部位)及び
標識を含む多数の付加的構成要素を含んでいてもよい。
【0137】 本発明の融合ペプチド、融合核酸、コンジュゲート等は、さらに標識構成成分
を含んでいることが好ましい。また、本明細書中での融合パートナーに関しては
、標識は、1以上の他の構成成分、例えば、NAM酵素及び候補タンパク質が結合
したままの場合にはNAM融合タンパク質に、若しくは切断が起きる場合にはいず
れかの構成成分に融合させることができ、又はそれ自身のプロモーターの下で別
個に存在しうる。さらに、後述するように、アッセイ系の他の構成成分を標識し
てもよい。
【0138】 標識は、直接又は間接検出標識のいずれかであり、本明細書中で「一次」及び
「二次」標識ということがある。本明細書中で「検出標識」又は「検出可能な標
識」は、検出を可能にする部分を意味する。これは一次標識又は二次標識であっ
てよい。従って、検出標識は、一次標識(すなわち、直接的に検出可能)又は二
次標識(間接的に検出可能)でありうる。
【0139】 一般に、標識は、a)放射性同位体又は安定同位体である同位体標識;b)磁気、
電気、熱標識;c)着色若しくは蛍光染料又は部分;及びd)結合パートナーの4つ
に分類される。また、標識として、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼなど)及
び磁性粒子が挙げられる。好ましい実施形態では、検出標識は一次標識である。
一次標識は、蛍光団などの直接的に検出できるものである。
【0140】 好ましい標識としては、例えば、発色団又は蛍光体が挙げられるが、蛍光染料
又は蛍光部分が好ましい。蛍光団は、「小分子」蛍光体(fluors)又はタンパク
質様蛍光体のいずれかでありうる。好ましい実施形態では、特に標的分子の標識
には、後述するように、本発明で用いるのに好ましい染料としては、以下に限定
されないが、ユウロピウム及びテルビウムの錯体を含む蛍光ランタニド錯体、フ
ルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン
、クマリン、メチル−クマリン、量子ドット(「ナノクリスタル」とも呼ばれる
)、ピレン、マラカイトグリーン(Malacite green)、スチルベン、ルシファー
イエロー(Lucifer Yellow)、カスケードブルー(Cascade Blue;商標)、テキ
サスレッド(Texas Red)、Cy染料(Cy3、Cy5など)、アレキサ(alexa)染料、
フィコエリトリン、ボディピー(bodipy)、及び参照によって本明細書中に明白
に組み入れられている、Richard P. Hauglandによる「分子プローブハンドブッ
ク(Molecular Probes Handbook)」の第6版に記載されている他のものが挙げ
られる。
【0141】 好ましい実施形態では、例えば、標識が融合ポリペプチドに結合されているか
又は発現ベクターの構成成分として発現されるべき場合には、タンパク質様蛍光
体が用いられる。好ましい自己蛍光タンパク質としては、以下に限定されないが
、Aequorea由来の緑色蛍光タンパク質(GFP)及びその変異体(以下に限定され
ないが、GFP(Chalfieら、Science 263(5148):802-805 (1994));強化型GFP(E
GFP;Clontech-Genbank受託番号U55762)を含む)、青色蛍光タンパク質(BFP;
Quantum Biotechnologies, Inc. 1801 de Maisonneuve Blvd. West, 8th Floor,
Montreal (Quebec) Canada H3H 1J9;Stauber、R. H. Biotechniques 24(3):46
2-471 (1998);Heim, R.及びTsien, R. Y.、Curr. Biol. 6:178-182 (1996))、
及び強化型黄色蛍光タンパク質(EYFP;Clontech Laboratories, Inc., 1020 Ea
st Meadow Circle, Palo Alto, Ca 94303)が挙げられる。さらに、レニラ(Ren
illa)種由来の自己蛍光タンパク質が最近報告されている。WO92/15673;WO95/0
7463;WO98/14605;WO98/26277;WO99/49019;米国特許第5,292,658号;米国特
許第5,418,155号;米国特許第5,683,888号;米国特許第5,741,668号;米国特許
第5,777,079号;米国特許第5,804,387号;米国特許第5,874,304号;米国特許第5
,876,995号;及び米国特許第5,925,558号を参照されたい。そしてこれら全ての
文献は、参照によって本明細書中に明白に組み入れられている。
【0142】 好ましい実施形態では、標識タンパク質は、Aequorea緑色蛍光タンパク質又は
その変異体の1種である。Codyら、Biochemistry 32:1212-1218 (1993);及びIn
oue及びTsuji、FEBS Lett. 341:277-280 (1994)を参照されたい。そして両文献
は、参照によって本明細書中に明白に組み入れられている。
【0143】 好ましい実施形態では、二次検出標識を用いる。二次標識は、間接的に検出さ
れる標識であり;例えば、二次標識は検出のための一次標識と結合又は反応でき
るか、付加的生成物に作用して一次標識(例えば、酵素)を生産させることがで
きるか、又は非標識物質等から二次標識を含む化合物の分離を可能にすることが
できる。二次標識としては、以下に限定されないが、結合パートナーペアの一方
;化学的に修飾可能な部分;西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファ
ターゼ、ルシフェラーゼなどの酵素;及び細胞表面マーカーなどが挙げられる。
【0144】 好ましい実施形態では、二次標識は結合パートナーペアである。例えば、標識
はその結合パートナーと結合するハプテン又は抗原であり得る。好ましい実施形
態では、結合パートナーは固体支持体に結合して、標識を含有する成分と含有し
ないものとの分離を可能にすることができる。例えば、好ましい結合パートナー
ペアとしては、以下に限定されないが、抗原(タンパク質(ペプチドを含む)な
ど)と抗体(その断片(FAbなど)を含む);ビオチン/ストレプトアビジンを
含むタンパク質と小分子;酵素と基質又は阻害剤;他のタンパク質−タンパク質
相互作用ペア;レセプター−リガンド;及び炭水化物とそれらの結合パートナー
が挙げられる。核酸−核酸結合タンパク質ペアも有用である。全ての実施形態で
必要ではないが、一般に、ペアの小さい方がアッセイに組み入れられるための系
の構成成分に結合する。好ましい結合パートナーペアとしては、以下に限定され
ないが、ビオチン(又はイミノビオチン)とストレプトアビジン、ジゲオキシニ
ン(digeoxinin)とAbs等が挙げられる。
【0145】 好ましい実施形態では、結合パートナーペアは、一次検出標識(例えば、アッ
セイ構成成分に結合されている)と一次検出標識に特異的に結合するであろう抗
体とを含む。本明細書中において「特異的に結合する」は、パートナーがペアと
系の他の成分又は汚染物質との間を区別するために十分な特異性をもって結合す
ることを意味する。結合は、非特異的結合を除去するための洗浄工程を含む、ア
ッセイ条件下で結合したままでいるのに十分なものでなければならない。幾つか
の実施形態では、ペアの解離定数は、約10−4〜10−6M−1未満、約10
−5〜10−9M−1未満が好ましく、約10−7〜10−9−1未満が特に
好ましい。
【0146】 好ましい実施形態では、二次標識は化学的に修飾しうる部分である。この実施
形態では、反応性官能基を含む標識がアッセイ成分に組み込まれる。そして、こ
の官能基は、次いで一次標識で標識されうる。好ましい官能基としては、以下に
限定されないが、アミノ基、カルボキシ基、マレイミド基、オキソ基及びチオー
ル基が挙げられ、アミノ基及びチオール基が特に好ましい。例えば、アミノ基を
含有する一次標識は、例えば、当業界で公知のリンカー;例えば、周知の同種又
は異種の二官能性リンカー(1994 Pierce Chemical Companyカタログ、架橋剤に
関する技術セクション、155-200頁を参照されたい。この文献は参照によって本
明細書中に組み入れられる)を用いてアミノ基を含む二次標識に結合できる。
【0147】 発現ベクターを構築し、融合酵素のEASへの結合を制御する選択肢をさらに提
供できることは有利でありうる。例えば、EASは、酵素仲介又は酵素非仲介同種
組み換え(cre-lox組み換えによって仲介されるものなど)によって一緒になっ
て機能性EASを形成する、2つの非機能性パートナーとして核酸分子中に導入でき
る。同様に、言及したcre-lox組換えを用いて機能性融合酵素の形成を制御する
こともできる。cre-lox組み換えの制御は、誘導性プロモーターの制御下でリコ
ンビナーゼ遺伝子を、同じ核酸分子又は別の発現ベクターのいずれかの発現系に
導入することによって仲介することが好ましい。
【0148】 一般に、一旦、本発明の発現ベクターが作られれば、それらは2つの宿命のう
ちの一つ(単なる例示であるが:それらは無細胞の翻訳系に導入され、in vitro
でアッセイされる核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリーを作
り出すか、又は、好ましくはそれらはNAPコンジュゲートが形成される宿主細胞
中に導入される;細胞は任意に溶解され、それに応じてアッセイされてもよい。
)に従うことができる。
【0149】 好ましい実施形態では、発現ベクターが作られ、無細胞翻訳系に導入され、次
いでNAP酵素のEASへの結合、核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートの形成が
行われる。本明細書中において「核酸/タンパク質コンジュゲート」又は「NAP
コンジュゲート」は、EASを含む発現ベクターがNAP酵素に共有的に結合されるよ
うな、NAP酵素とEASの間の共有結合を意味する。好ましい無細胞翻訳系は、当業
界で公知である。NAPコンジュゲートは一旦作られると、下記に概説するアッセ
イで用いられる。
【0150】 好ましい実施形態では、本発明の発現ベクターは、本明細書中で概説するよう
に宿主細胞に導入される。本明細書中において、「中に導入される」又は文法上
の同等表現は、続く核酸の発現に好適なように細胞中に核酸が入ることを意味す
る。導入方法は、下記に考察する標的とされた細胞のタイプによって大きく影響
される。例示的な方法としては、CaPO4沈殿、リポソーム融合、リポフェクチン(
登録商標)、エレクトロポレーション、ウイルス感染、遺伝子銃などが挙げられ
る。(例えば、本明細書中で概説するレトロウイルス導入によって)候補核酸を
宿主細胞のゲノム中に安定に組み込むことができるか、又は(すなわち、標準的
な調節配列、選択マーカーなどを利用する伝統的なプラスミドの使用によって)
候補核酸は細胞質中に一時的に若しくは安定に存在することができる。好ましい
宿主細胞は上記で説明したものであるが、真核細胞、哺乳動物細胞及びヒト細胞
全てが好ましい。
【0151】 これまで述べた多くの方法は、細菌細胞中でのペプチドライブラリー発現を伴
う。しかし、例えば、哺乳動物ペプチドのコドン選択(codon preference)など
の翻訳機構、タンパク質折り畳み機構、及び翻訳後修飾は細菌細胞中で達成でき
ないか又は多少なりともそのような修飾がおきるとすれば、細菌細胞中で改変さ
れることは当業界で理解されている。細菌細胞中のペプチドライブラリースクリ
ーニングは、その天然の立体配置のタンパク質を模倣できない、短いアミノ酸配
列の発現をしばしば伴う。例えば、そのレセプターに対する小さなリガンドの認
識に対する必要条件が天然のコンフォメーションを持たない小さな配列によって
容易に達成されるため、これらの小さい、副部分的配列のスクリーニングによっ
ては、天然のタンパク質の機能を効果的に決定することはできない。三次構造の
複雑さが原因ではなく、それによって結合の必要条件が緩和される。
【0152】 本発明の一つの利点は、天然の環境及び天然のタンパク質コンフォメーション
において未知のペプチドを発現させ、スクリーニングする能力である。融合酵素
と、その対応する発現ベクターとの共有結合により、細菌以外の生物におけるペ
プチドのスクリーニングが可能になる。真核宿主細胞に導入されると、核酸分子
は複製及び転写が起こる核に輸送される。転写産物は、翻訳及び翻訳後修飾のた
めに細胞質に移動する。しかし、産生されたペプチド及び対応する核酸分子は、
結合が起こるために出会わなければならず、これは真核細胞の区画化によって妨
害される。NAM酵素-EAS認識は4つの方法で起こり得るが、これは単に例示的なも
のであり、いかなる点においても本発明を限定するものではない。第1に、宿主
細胞を、核膜が崩壊する間、1回の分裂を受けるようにすることができる。第2に
、宿主細胞を、核膜を貫通するウイルスに感染させることができる。第3に、特
異的核局在化又は輸送シグナルを融合酵素中に導入することができる。第4に、
宿主細胞のオルガネラを、当業界で公知の方法を用いて粉砕することができる。
【0153】 上記手法の最終的な結果は、融合酵素と同じ環境への発現ベクターの移動であ
る。DNA結合タンパク質と、以前に記載された発現ライブラリーの結合部位との
間の非共有的相互作用は、真核細胞において融合タンパク質とその発現ベクター
とを結合させるのに必要とされる手順を乗り切ることができない。細菌のP2 A D
NA結合ペプチドを用いるものなどの当業界で記載された他のDNA-タンパク質結合
は、該結合ペプチドが、結合が起こるようにそのコード鎖DNAとの直接的接触を
維持することを必要とする、すなわち、翻訳が該コード配列の近くで起こる必要
がある(例えば、Lindahl, Virology, 42, 522-533(1970)を参照されたい)。その
ような結合は、原核系においてのみ達成可能であり、真核細胞においては作り出
すことができない。
【0154】 NAM酵素発現ベクターを宿主細胞に導入すると、該細胞は場合によっては溶解
される。細胞溶解は、当業界で公知の様々な技術(例えば、Sambrookら、Molecul
ar Cloning, a Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Press, Cold S
pring Harbor, N.Y. (1989)、及びAusubelら、Current Protocols in Molecular
Biology, Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York,
N.Y.(1994)を参照されたい。これらは特に参照により本明細書に組み入れられる
ものとする)のうちのいずれかなどの任意の好適な技術によって達成される。細
胞溶解のほとんどの方法は、化学的、酵素的、又は機械的ストレスへの曝露を含
む。融合酵素とそのコード核酸分子との結合は共有結合であり、従って、非共有
結合よりも多くの条件に耐性を有し得るが、融合酵素-核酸分子複合体が無傷の
まま維持される、すなわち、融合酵素が発現ベクターとの会合を維持することを
確実にするためには、注意を払うべきである。
【0155】 好ましい実施形態においては、細胞の溶解後にNAPコンジュゲートを精製又は
単離することができる。理想的には、標的との相互作用を容易にするために、大
部分の得られた細胞粉砕物から融合タンパク質-核酸分子複合体を含有する溶解
物を分離する。例えば、通常は発現後に見出されるタンパク質及び化合物のうち
のいくつか又は全てからNAPコンジュゲートを単離又は精製することができ、従
って、実質的に純粋であり得る。例えば、単離されたNAPコンジュゲートを、所
与のサンプル中における全タンパク質のうち好ましくは少なくとも約0.5重量%
、より好ましくは少なくとも約5重量%を構成する、通常はその天然の(未精製の
)状態で会合する材料のうちの少なくともいくつかと分離する。実質的に純粋な
タンパク質は、全タンパク質の少なくとも約75重量%以上を含み、少なくとも約
80重量%以上が好ましく、少なくとも約90重量%以上が特に好ましい。
【0156】 NAPコンジュゲートは、サンプル中に他の成分が存在するか否かに応じて、当
業界で公知の様々な方法で単離又は精製することができる。標準的な精製方法と
しては、電気泳動法、分子的技術、免疫学的技術及びクロマトグラフィー技術、
例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニ
ティークロマトグラフィー、及び逆相HPLCクロマトグラフィー、ゲル濾過、並び
にクロマトフォーカシングが挙げられる。タンパク質濃縮と共に、限外濾過及び
透析濾過技術も有用である。好適な精製技術の一般的な案内のためには、Scopes
, R., Protein Purification, Springer-Verlag, NY (1982)を参照されたい。精
製度は、当然、NAPコンジュゲートの使用に応じて変わる。精製が全く必要のな
い場合もある。
【0157】 かくして、本発明は、溶液中にある、場合によっては精製もしくは単離された
、又は宿主細胞内に含まれるNAPコンジュゲートを提供する。必要に応じて発現
させ、精製した場合、該NAPコンジュゲートは多くの用途において有用であり、
その例としてはin vitro及びex vivoスクリーニング技術が挙げられる。当業者
であれば、本発明の方法のin vitro及びex vivoの双方における実施形態が多く
の分野の研究に有用であることを理解できるであろう。例えば、本発明は診断ア
ッセイに有用であり、限定されるものではないが、臨床薬理学、機能遺伝学、薬
理遺伝学、農芸化学、環境安全評価、化学センサー、栄養生物学、化粧品研究、
及び酵素学などの多くの研究分野の研究に用いることができる。
【0158】 好ましい実施形態においては、NAPコンジュゲートをin vitroにおけるスクリ
ーニング技術に用いる。この実施形態においては、NAPコンジュゲートを作製し
、標的分子の結合及び/又は生物活性の調節についてスクリーニングする。本発
明の強みの一つは、候補タンパク質に結合する標的分子の同定が可能となること
である。以下により詳細に説明するように、これには広範な用途があり、例えば
、シグナル伝達経路のメンバーの解明、目的の薬剤又は他の化合物の結合パート
ナーの解明などが挙げられる。
【0159】 かくして、標的分子と共に、NAPコンジュゲートをアッセイに用いる。本明細
書における「標的分子」又は文法的等価物とは、相互作用が模索される分子を意
味する:当業者であればこの用語を一般的に理解できるであろう。標的分子は、
生物学的標的及び非生物学的標的の双方を含む。生物学的標的とは、任意の定義
された、及び定義されていない生物学的粒子、例えば、細胞における生物学的反
応の結果として産生されるウイルス、細胞、組織及びその組合せなどの巨大分子
複合体を指す。非生物学的標的とは、ヒト又は非ヒトの活性のいずれかの結果と
して細胞の外側で作られる分子又は構造物を指す。本発明のライブラリーを、化
学的に定義された標的及び化学的に定義されていない標的の双方に適用すること
もできる。「化学的に定義された標的」とは、既知の化学的性質及び/又は組成
を有する標的を指し、「化学的に定義されていない標的」とは、未知又は部分的
に既知の化学的性質/組成を有する標的を指す。
【0160】 従って、好適な標的分子は、限定されるものではないが、細胞、ウイルス、タ
ンパク質(特に、酵素、細胞表面受容体、イオンチャンネル、及び転写因子、並
びに疾患を引き起こす遺伝子によって産生されるか、又は疾患状態中に発現され
るタンパク質)、炭水化物、脂肪酸及び脂質、核酸、小分子、農薬、薬剤、イオ
ン(特に、金属イオン)などの化学的部分、ポリマー並びに他の生物材料などの広
範な異なるクラスを包含する。従って、例えば、ポリマー(天然及び合成の双方)
、又は他の生物材料への結合を、本発明の方法及び組成物を用いて行うことがで
きる。
【0161】 一態様において、標的は核酸配列であり、所望の候補タンパク質は該核酸配列
に結合する能力を有する。本発明は、DNA結合ペプチド及びそのコード配列、並
びに該DNA結合ペプチドによって認識され、結合される標的核酸の同定に適して
いる。DNA-タンパク質相互作用は遺伝子発現及び染色体構造の制御に重要な役割
を果たし、これによって所与の細胞における遺伝子プログラム全体を決定するこ
とが知られている。たったの5%のヒトゲノムがコードタンパク質に関与してい
ると見積もられている。従って、残りの95%はDNA結合タンパク質が相互作用す
る部位であり、該部位が遺伝子発現の調節などの種々の遺伝子プログラムを制御
する。ヒトゲノム中に存在するいくつかのDNA結合ペプチドが未知であるが、多
くのゲノムに現在利用可能な完全な配列情報は完全な「基質」、すなわち、DNA
結合ペプチドが相互作用し得るDNA配列の全レパートリーを示した。従って、(1)
DNA結合ペプチドをコードする核酸配列を同定し、(2)これらのDNA結合ペプチド
の基質を決定することが、遺伝子研究において有利である。
【0162】 タンパク質-DNA相互作用の決定に用いる現在の手法は、DNAと、特定のタンパ
ク質標的との個々の相互作用の研究に焦点を当てたものである。DNAフットプリ
ンティング、ヌクレアーゼ保護、ゲルシフト、及びアフィニティークロマトグラ
フィー結合などの種々の生物化学的及び分子的アッセイを、タンパク質-DNA相互
作用の研究に用いる。これらの方法は個々のDNA-タンパク質相互作用を検出する
のには有用であるが、ゲノムレベルのこれらの相互作用の大規模分析には適して
いない。従って、当業界には、DNA結合タンパク質及びその相互作用するDNA配列
の大規模分析を実施する必要がある。本発明の方法及びライブラリーは、そのよ
うな分析に有用である。例えば、可能性のあるDNA結合ペプチドをコードする融
合酵素ライブラリーを、標的DNAセグメントの集団に対してスクリーニングする
ことができる。標的DNAセグメントの集団は、例えば、ランダムDNA、断片化ゲノ
ムDNA、縮重配列、又は様々な一次、二次、もしくは三次構造のDNA配列であり得
る。必要に応じて、標的DNAの認識配列の長さを変えることにより、DNA結合ペプ
チド-基質結合の特異性を変化させることができる。標的DNAセグメントの集団の
メンバーへの可能性のあるDNA結合ペプチドの結合を検出し、さらに該DNA結合ペ
プチドによって結合された特定のDNA認識配列の研究を行うことができる。融合
酵素-標的核酸複合体の同定を容易にするために、DNAセグメントの集団を、例え
ば、ビーズに結合させるか、又はマイクロチップ上のDNAアレイとして構築する
ことができる。従って、当業者であれば、本発明の方法を用いて、DNA結合ペプ
チドを同定し、該DNA結合ペプチドのコード配列を同定し、該DNA結合ペプチドが
どの核酸配列を認識し、これに結合するかを決定することができる。かくして、
一実施形態においては、本発明は、タンパク質及び配列を用いて注解された染色
体地図を提供するための、DNA結合配列及びその関連する位置に対応するDNA結合
タンパク質の地図を作製する方法を提供する。その後、そのような情報を含むデ
ータベースは、遺伝子発現プロフィール、疾患の表現型、薬理遺伝学的データな
どと相関させることができる。
【0163】 従って、標的分子への結合をアッセイするため、及び/又は標的分子の活性を
調節する能力について候補薬剤を探索するためのスクリーニングにおいて、NAP
コンジュゲートを用いる。
【0164】 一般的には、まず、標的分子に結合し得る候補タンパク質を見出すためのスク
リーニングを設計した後、これらのタンパク質を、標的の生物活性を調節する候
補タンパク質の能力を評価するアッセイに用いる。従って、行うことができる多
くの異なるアッセイ(結合アッセイ及び活性アッセイ)が存在する。当業者には理
解されるように、溶液に基づくアッセイ及び支持体に基づく系の利用などの様々
な形態でこれらのアッセイを行うことができる。
【0165】 好ましい実施形態においては、該アッセイは、本発明のNAPコンジュゲートと
標的分子とを混合し、標的分子へのNAPコンジュゲートの候補タンパク質の結合
を測定することを含む。好ましくは、NAPコンジュゲートのライブラリー(例えば
、異なる候補タンパク質のライブラリーを含む)を、1つの型の標的分子、複数の
標的分子、又は標的分子の1つ以上のライブラリーのいずれかに接触させる。
【0166】 一般的に、本発明の方法の好ましい実施形態においては、本発明の成分の1つ
、NAPコンジュゲート又は標的分子のいずれかを、サンプルを受容する領域と隔
てられた不溶性支持体(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)に非拡
散的に結合させる。この不溶性支持体は、アッセイ成分が結合し得る任意の組成
物から作製することができ、可溶性材料から容易に分離し、さもなければスクリ
ーニングの方法全体と両立可能である。そのような支持体の表面は固体であって
もよいし、多孔性であってもよく、任意の便利な形状であってよい。好適な不溶
性支持体の例としては、マイクロタイタープレート、アレイ、メンブラン及びビ
ーズが挙げられる。これらのものは、典型的にはガラス、プラスチック(例えば
、ポリスチレン)、ポリサッカリド、ナイロン又はニトロセルロース、テフロン
(商標)などから作製される。マイクロタイタープレート及びアレイは、少量の
試薬及びサンプルを用いて多数のアッセイを同時に実行できるので特に有用であ
る。あるいは、特に蛍光標示式細胞分取器(FACS)を用いて、ビーズに基づくアッ
セイを用いることができる。アッセイ成分への特定の結合様式は、それが試薬及
び本発明の方法全体と適合可能であり、該組成物の活性を維持し、非拡散的であ
る限り、重要ではない。結合の好ましい方法は、抗体(タンパク質が支持体に結
合された場合にリガンド結合部位又は活性化配列を立体的に阻害しないもの)の
使用、「粘着性」又はイオン性の支持体への直接的結合、化学的架橋、標識成分
(例えば、アッセイ成分はビオチン化されており、表面はストレプトアビジンを
含む、など)の使用、表面上での標的の合成などを含む。NAPコンジュゲート又は
標的分子の結合の後、例えば、化学的、物理的、及び生物学的な分離技術などの
好適な方法によって、過剰の未結合材料を除去する。次いで、ウシ血清アルブミ
ン(BSA)、カゼイン又は他の無毒のタンパク質又は他の部分と共にインキュベー
ションすることによりサンプル受容領域を阻害することができる。
【0167】 好ましい実施形態において、標的分子を支持体に結合させ、NAPコンジュゲー
トをアッセイに添加する。あるいは、NAPコンジュゲートを支持体に結合させ、
標的分子を添加する。新規な結合剤としては、特異的抗体、化学的ライブラリー
のスクリーニングで同定された非天然の結合剤、ペプチド類似体などが挙げられ
る。特に興味深いのは、ヒト細胞に対して毒性の低い薬剤のスクリーニングアッ
セイである。限定するものではないが、標識されたin vitroにおけるタンパク質
-タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合の
免疫アッセイ、標識の検出、機能的アッセイ(リン酸化アッセイなど)などの様々
なアッセイを用いて、標的及び候補タンパク質の結合の測定を行う。
【0168】 標的分子への候補タンパク質の結合の測定を、いくつかの方法で行うことがで
きる。好ましい実施形態においては、成分の1つ、好ましくは可溶性の成分を標
識し、該標識の検出により結合を直接的に測定する。例えば、これはNAPコンジ
ュゲートを固相支持体に結合させ、標識された標的分子(例えば、蛍光標識を含
む標的分子)を添加し、過剰の試薬を除去し、該標識が固相支持体上に存在する
か否かを決定する。この系は、好ましくは一次又は二次標識を添加することを含
み、標的(又は標的のライブラリー)を支持体及びNAPコンジュゲートに結合させ
ることにより、逆方向に行うこともできる。例えば、GFP又は変異体との融合物
を含むNAPコンジュゲートが特に有用である。当業界で公知のように、様々なブ
ロッキング及び洗浄工程を用いることができる。
【0169】 当業者には理解されるように、支持体上での固定の前にNAPコンジュゲート及
び標的を接触させることも可能である。
【0170】 好ましい実施形態においては、該固相支持体はアレイ形式のものである。すな
わち、アレイに結合させた標的又はNAPコンジュゲートの1つ以上のライブラリー
を含むバイオチップを用いる。核酸バイオチップは当業界で公知であるので、こ
れは核酸結合タンパク質のアッセイに特に有用である。この実施形態においては
、核酸標的はアレイ上にあり、NAPコンジュゲートを添加する。同様に、標的タ
ンパク質のライブラリーのタンパク質バイオチップを用いると共に、標識された
NAPコンジュゲートを添加することができる。あるいは、核酸を介して、又は系
のタンパク質成分を介して、NAPコンジュゲートをチップに結合させることもで
きる。
【0171】 これはビーズに基づく系を用いて行うこともできる。例えば、核酸結合タンパ
ク質の検出には、標準的な「分離及び混合(split and mix)」技術、又は任意の
標準的なオリゴヌクレオチド合成スキームを、配列のライブラリーを作製するよ
うに、ビーズ又は他の固相支持体を用いて行うことができる。次いで、NAPコン
ジュゲートライブラリーの添加により、特異的配列に結合する候補タンパク質の
検出が可能となる。
【0172】 いくつかの実施形態においては、該成分のうちの1つのみを標識する。あるい
は、2つ以上の成分を異なる標識を用いて標識してもよい。
【0173】 好ましい実施形態においては、候補タンパク質の結合を、競合的結合アッセイ
の使用によって決定する。この実施形態においては、競合剤は、抗体、ペプチド
、結合パートナー、リガンドなどの標的分子に結合することが知られる結合部分
である。特定の環境下では、標的と結合部分との間には競合的結合が存在し、該
結合部分は標的を置換する。
【0174】 従って、本発明の好ましい利用法は、薬剤が結合する成分を決定することであ
る。すなわち、作用する標的が未知のものであるか、又は部分的にしか知られて
いない薬剤が多く存在する。
【0175】 薬物、及び該薬物が作用する細胞型に由来するcDNA発現産物のライブラリーを
含むNAPコンジュゲートから始めることにより、該薬物が結合するタンパク質の
解明を行うことができる。シグナル伝達経路における他のタンパク質又は標的を
同定することにより、カウンタースクリーニングのためのツールとして、又は化
学的に誘導される事象を描写するためのツールとして、これらの新規に同定され
るタンパク質をさらなる薬剤スクリーニングに用いることができる。さらに、こ
れと同じ方法を用いて毒性試験を行うことができる;特定の薬剤が望ましくなく
結合するタンパク質を同定することにより、この情報を用いて、これらの望まし
くない副作用を有さない薬剤の誘導体を設計することができる。さらに、これら
の型のスクリーニングに薬剤候補を用いることで、望ましくない結合反応を含む
いかなる型の相互作用をも探索することができる。同様に、標的としての薬剤誘
導体のライブラリーを用いることで二次元分析を提供することが可能である。
【0176】 該アッセイにおいては、陽性対照及び陰性対照を用いることができる。全対照
及び試験サンプルを少なくとも3回実施して、統計学的に有意な結果を取得する
のが好ましい。サンプルのインキュベーションは全て、タンパク質への薬剤の結
合に十分な時間行う。インキュベーションの後、全てのサンプルを洗浄して非特
異的に結合した材料を除去し、結合した量、一般的には標識された薬剤の量を測
定する。例えば、放射標識を用いる場合、サンプルをシンチレーションカウンタ
ーで計測して、結合した化合物の量を測定する。同様に、一般的にはELISA技術
を行う。
【0177】 スクリーニングアッセイには、様々な他の試薬が含まれる。これらのものとし
ては、限定されるものではないが、塩、例えば、最適なタンパク質-タンパク質
結合を容易にし、及び/又は非特異的な相互作用もしくはバックグラウンドの相
互作用を低減させるために用いることができるアルブミン、界面活性剤などの中
性タンパク質などの試薬が挙げられる。プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害
剤、抗生物質、cAMP、ATPなどのコファクターなどの、アッセイの効率を改善す
る試薬も用いることができる。必要な結合を提供するような任意の順序で成分の
混合物を添加してもよい。
【0178】 標的分子の活性を調節する薬剤のスクリーニングを行うこともできる。当業者
には理解されるように、実際のスクリーニングは標的分子の同一性に依存するで
あろう。好ましい実施形態においては、標的分子の活性を調節し得る候補タンパ
ク質のスクリーニング方法は、上記のように、標的のサンプルにNAPコンジュゲ
ートを添加し、該標的の生物活性の変化を測定する工程を含む。この文脈におけ
る「調節」又は「変化」は、活性の増加、活性の減少、又は存在する活性の型も
しくは種類の変化を含む。従って、この実施形態においては、候補タンパク質は
標的に結合する(これは必ずしも必要というわけではないが)と共に、本明細書で
定義されるその生物学的活性又は生化学的活性を変化させるべきである。該方法
は、上記に一般的に概略されるin vitroスクリーニング方法、及び標的の存在、
分布、活性又は量の変化についての細胞のex vivoスクリーニングの双方を含む
。あるいは、標的の活性を阻害しない候補ペプチドを同定することができ、これ
は薬剤-薬剤相互作用を決定するのに有用となり得る。
【0179】 従って、この実施形態においては、該方法は、標的分子と、好ましくはNAPコ
ンジュゲートのライブラリーとを混合し、標的分子の生物活性に対する効果を評
価することを含む。当業者には理解されるように、これは様々な方法で行うこと
ができる。
【0180】 無細胞系などのこれらのin vitro系、in vitro結合アッセイもしくは活性アッ
セイなどのいずれかの実施形態において、一度「ヒット」を見出せば、NAPコン
ジュゲートを回収して、候補タンパク質の同定が可能となる。当業者には理解さ
れるように、NAPコンジュゲートの回収は様々な方法で行うことができ、用いる
系の型及び形態にも依存するであろう。
【0181】 好ましい実施形態においては、本明細書に概略されるように、レスキュータグ
又は「回収特性」を用いる。上記に概略されるように、「回収特性」は、標的に
結合させた場合に融合酵素の単離を可能にする特性である。例えば、ビオチンと
会合するように標的を構築することができ、これによりストレプトアビジンで被
覆したアフィニティーカラムを用いて標的-結合した融合酵素の複合体の単離が
可能になる。あるいは、標的を磁気ビーズに結合させることができ、周囲の磁場
を変化させることにより、結合しない候補タンパク質から標的を採集し、分離す
ることができる。あるいは、標的がレスキュータグを含まない場合、NAPコンジ
ュゲートはレスキュータグを含んでもよい。例えば、アフィニティータグを融合
タンパク質自身に組み込むことができる。同様に、酵素-核酸融合分子複合体を
、免疫沈降法によって回復してもよい。あるいは、レスキュータグは、候補タン
パク質をコードする核酸をPCR増幅するのに用いることができるユニークなベク
ター配列を含んでもよい。後者の実施形態においては、この領域の外側(この領
域に広がらない)のPCR配列を用いる場合、核酸とタンパク質との共有結合を破壊
する必要がない。
【0182】 好ましい実施形態においては、目的のNAPコンジュゲートを単離した後、例え
ば、ヌクレアーゼを含まないプロテアーゼ、非特異的核酸の添加、又はタンパク
質を優先的に消化するが、核酸は消化しない任意の他の条件を用いて、融合酵素
とそれをコードする核酸分子との共有結合を切断することができる。
【0183】 当業界で公知の方法などの任意の好適な方法を用いて該核酸分子を精製した後
、所望の候補タンパク質をコードする核酸配列のさらなる増幅、配列決定又は進
化に利用することができる。好適な増幅技術としては、あらゆる形態のPCR、OLA
、SDA、NASBA、TMA、Q-βRなどが挙げられる。「ヒット」の情報の次の使用は以
下に考察されている。
【0184】 好ましい実施形態においては、ex vivoスクリーニング技術にNAPコンジュゲー
トを用いる。この実施形態においては、本発明の発現ベクターを宿主細胞に導入
して、例えば、細胞の表現型を変化させ得る所望の特性を有する候補タンパク質
をスクリーニングする。本発明の方法の利点は、融合酵素ライブラリーのスクリ
ーニングを細胞内で達成することができることである。当業者であれば、in vit
roでスクリーニングするために細胞を溶解させることに対して、天然の環境内で
候補タンパク質をスクリーニングすることが有利であることを理解できるであろ
う。ex vivo又はin vivoでのスクリーニング方法においては、変異ペプチドをそ
の天然のコンホメーションで展示し、阻害又は増強する可能性のある他の細胞性
因子の存在下でスクリーニングする。従って、スクリーニングは候補タンパク質
の実際の活性について、より正確な像を細胞内的に提供し、それ故、ex vivo又
はin vivoで該ペプチドの活性をよく示す。さらに、細胞生理に対する候補タン
パク質の作用を観察することができる。かくして、本発明は真核細胞のスクリー
ニングに特に有用である。
【0185】 いくつかの方法でex vivo及び/又はin vivoでのスクリーニングを行うことが
できる。好ましい実施形態においては、標的は既知のものである必要はなく、む
しろ、表現型の変化について本発明の発現ベクターを含む細胞をスクリーニング
する。変化した表現型を示す細胞を単離し、以下に概略するが、当業者に理解さ
れ、本明細書に概略されるようにNAPコンジュゲートが結合した標的を同定し、
融合ポリペプチドと標的とを結合させた後、NAPコンジュゲートを形成すること
もできる。あるいは、標的を細胞に外因的に添加し、標的の活性の結合及び/又
は調節についてスクリーニングを行う。後者の実施形態においては、例えば、以
下に記載するように、直接的貫通によるか、もしくは膜輸送タンパク質を介して
、又は脂質部分もしくはHIV-tatなどの輸送部分との融合物によって、標的は膜
を貫通することが可能であるべきである。
【0186】 一般的には、実験条件によってはスクリーニングの前に細胞内でのNAPコンジ
ュゲートを形成させるが、これは必要ではない。すなわち、EASへのNAM融合酵素
の結合は、該条件が、異なる融合核酸を含む細胞又は細胞溶解物の混合の前に結
合が起こるようなものである限り、スクリーニングの前であっても、スクリーニ
ングの間であっても、またスクリーニングの後であっても、任意の時点で起こり
得る。
【0187】 当業者には理解されるように、この実施形態で用いる細胞の型は様々である。
基本的には、任意の真核又は原核細胞を用いることができるが、哺乳動物細胞が
好ましく、特に、マウス、ラット、霊長類及びヒトの細胞が好ましい。宿主細胞
は単一の細胞であってもよく、又は細胞培養、組織、器官、器官系、もしくは生
物(例えば、昆虫、植物もしくは動物)などの細胞集団中に存在してもよい。以下
により完全に説明するように、候補タンパク質の存在下で細胞が選択可能な表現
型を示すようにスクリーニングを設定することができる。以下により完全に説明
するように、細胞内の候補物質の存在の結果として変化した表現型を示す細胞の
選択を可能にするように適当なスクリーニングを設計することができる限り、様
々な疾患状態に関与する細胞型が特に有用である。
【0188】 従って、好適な細胞型としては、限定されるものではないが、あらゆる型の腫
瘍細胞(特に、黒色腫、骨髄性白血病、肺、乳房、卵巣、結腸、腎臓、前立腺、
膵臓及び精巣の癌)、心筋細胞、内皮細胞、上皮細胞、リンパ球(T細胞及びB細胞
)、肥満細胞、好酸球、血管内膜細胞、肝細胞(hepatocyte)、単核白血球などの
白血球、造血、神経、皮膚、肺、腎臓、肝臓及び筋細胞などの肝細胞(分化及び
脱分化の因子のスクリーニングに使用する)、破骨細胞、軟骨細胞、及び他の結
合組織細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、肝細胞(liver cell)、腎細胞、並
びに脂肪細胞が挙げられる。好適な細胞としては、限定されるものではないが、
Jurkat T細胞、NIH3T3細胞、CHO、Cosなどの公知の研究用細胞も挙げられる。AT
CC細胞系のカタログを参照されたい。これらは特に参照により本明細書に組み入
れられるものとする。
【0189】 一実施形態においては、外因性の核酸、例えば、標的分子を含有するように、
これらの細胞を遺伝子工学的に操作することができる。
【0190】 好ましい実施形態においては、第1の複数の細胞をスクリーニングする。すな
わち、発現ベクターを導入した細胞を、変化した表現型についてスクリーニング
する。従って、この実施形態においては、候補タンパク質が作られる同一の細胞
中の該候補タンパク質の作用、すなわち、オートクライン作用が認められる。
【0191】 本明細書で用いる「複数の細胞」とは、大まかには約103〜108もしくは109
の細胞を意味し、106〜108個が好ましい。この複数の細胞は細胞ライブラリーを
含み、該ライブラリー内の各細胞は、一般的にはNAPコンジュゲート分子ライブ
ラリーのメンバー、すなわち、種々の候補タンパク質を含んでもよいが、当業者
には理解されるように、該ライブラリー内のいくつかの細胞は発現ベクターを含
まず、またいくつかの細胞は2個以上の発現ベクターを含んでもよい。
【0192】 好ましい実施形態においては、発現ベクターを第1の複数の細胞中に導入し、
第1の複数の細胞とは異なる第2又は第3の複数の細胞、すなわち、一般的には別
の細胞型で、候補タンパク質の作用をスクリーニングする。すなわち、該候補タ
ンパク質の作用は、第2の細胞に対する細胞外の作用、すなわち、エンドクライ
ン又はパラクライン作用による。これは標準的な技術を用いて行う。1種類の培
地の中又はその上で第1の複数の細胞を増殖させることができ、該培地は第2の複
数の細胞に接触することができ、その作用を測定する。あるいは、該細胞間に直
接的接触が存在してもよい。従って、「接触」は機能的接触であり、直接的接触
及び間接的接触の双方を含む。この実施形態においては、第1の複数の細胞をス
クリーニングしてもよいし、しなくてもよい。
【0193】 必要に応じて、融合核酸の発現(例えば、誘導性プロモーターを用いる場合)に
適した条件で細胞を処理して、候補タンパク質を産生させる。
【0194】 従って、好ましくは、本発明の方法は、融合核酸又は発現ベクターの分子ライ
ブラリーを複数の細胞中に導入することにより、細胞ライブラリーを作製するこ
とを含む。好ましくは、2種以上の核酸は異なる候補タンパク質をコードする異
なるヌクレオチド配列を含む。次いで、以下により完全に説明するように、変化
した表現型を示す細胞について、複数の細胞をスクリーニングする。その変化し
た表現型は、候補タンパク質の存在による。
【0195】 本明細書で用いる「変化した表現型」又は「変化した生理」又は他の文法的等
価物は、いくつかの方法、好ましくはいくつかの検出可能な、及び/又は測定可
能な方法で細胞の表現型を変化させることを意味する。当業者には理解されるよ
うに、本発明の強みは、広範な細胞型であり、本発明の方法を用いて試験するこ
とができる表現型の変化の可能性である。従って、観察、検出、又は測定できる
表現型の変化は、本明細書に記載されるスクリーニング法に基づく。好適な表現
型の変化としては、限定されるものではないが、細胞の形態、細胞増殖、細胞の
生存能力、基質もしくは他の細胞への接着及び細胞密度の変化などの著しい物理
的変化、1種以上のRNA、タンパク質、脂質、ホルモン、サイトカイン、もしくは
他の分子の発現の変化、1種以上のRNA、タンパク質、脂質、ホルモン、サイトカ
イン、もしくは他の分子の平衡状態(すなわち、半減期)の変化、1種以上のRNA、
タンパク質、脂質、ホルモン、サイトカイン、もしくは他の分子の局在の変化、
1種以上のRNA、タンパク質、脂質、ホルモン、サイトカイン、受容体、もしくは
他の分子の生物活性又は比活性の変化、イオン、サイトカイン、ホルモン、増殖
因子、もしくは他の分子の分泌の変化、細胞膜の電位、極性、完全性もしくは輸
送の変化、ウイルス及び細菌性病原体の感染性、感受性、潜伏期間、接着性、及
び取込み率の変化などが挙げられる。本明細書で用いる「表現型を変化させ得る
」とは、候補タンパク質がいくつかの検出可能な、及び/又は測定可能な方法で
細胞の表現型を変化させることができることを意味する。
【0196】 以下により完全に記載するように、様々な方法で変化した表現型を検出するこ
とができ、それは一般的には変化させる表現型に依存し、対応するであろう。一
般的には、例えば、細胞形態の顕微鏡分析、増加した細胞死及び増強した細胞生
存能力などの標準的な細胞生存能力アッセイ(例えば、ウイルス、細菌、又は細
菌性毒素もしくは合成毒素を介する細胞死に対して耐性を示すようになった細胞
)、FACS又は他の染色技術などの特定の細胞もしくは分子の存在又はレベルに関
する蛍光計アッセイなどの標準的な標識アッセイ、細胞を殺傷した後の標的化合
物の発現の生化学的検出などを用いて、変化した表現型を検出する。
【0197】 本発明は、例えば癌の用途に有用である。腫瘍細胞を迅速かつ特異的に殺傷す
る能力は、癌の化学療法の基礎である。一般的には、本発明の方法を用いて、ラ
ンダムライブラリー又は指向性ライブラリー(cDNAライブラリーなど)を任意の腫
瘍細胞(初代細胞又は培養細胞)中に導入し、アポトーシス、細胞死、細胞分裂の
損失又は減少した細胞増殖を誘導するペプチドを同定することができる。これは
、de novoで行ってもよいし、又は血管壁の増殖を阻害するアンジオスタチンな
どの公知のペプチド剤に対する偏向無作為化によって行ってもよい。あるいは、
本明細書の方法を他の癌治療法(例えば、薬物療法又は放射線療法)と組合せて細
胞を感作し、従って、第2の薬剤に曝露した後、迅速で特異的なアポトーシス、
細胞死、細胞分裂の損失又は減少した細胞増殖を誘導することができる。同様に
、本発明の方法を公知の癌治療法を組合せて用いて、該治療法をより効果的に、
又は毒性をより低くするためのアゴニストについてスクリーニングすることがで
きる。これは、タキソールなどの化学療法剤を製造するのに非常に費用が高い場
合には特に好ましい。
【0198】 好ましい実施形態においては、本発明は感染性生物に関与するアッセイに有用
である。マイコバクテリア、リステリア、サルモネラ、ニューモシスティス、エ
ルジニア、リーシュマニア、T. cruziなどの細胞内生物は、細胞内で生存し、複
製することができ、免疫抑制された患者において活発になる。現在、上市されて
おり、また開発中にある薬剤は、これらの生物に対して部分的にのみ有効である
か、又は無効である。これらの生物に感染した特定の細胞に候補ライブラリーを
挿入し(感染の前後に)、マガイニンと同様の細胞内「抗生ペプチド」と類似した
様式でこれらの生物の細胞内破壊を促進する候補タンパク質を選択することがで
きる。さらに、既に調査中の薬剤の殺傷特性を増強するペプチドを選択すること
ができ、該ペプチドはそれ自身によっては十分な効力を持たないが、候補ライブ
ラリーに由来する特定のペプチドと組合わせた場合、相乗作用的な機構を介して
劇的により強力になる。最終的には、鍵となる生物的事象を阻害することによっ
てそれらの細胞内の生活環を終結させるような方法で、これらの細胞内生物の代
謝を変化させる候補タンパク質を単離することができる。
【0199】 好ましい実施形態においては、本発明の組成物及び方法を用いて、2-ハイブリ
ッドスクリーニングの使用と同様、タンパク質-タンパク質相互作用を検出する
ことができる。これは様々な方法及び様々な形式で行うことができる。当業者に
は理解されるように、この実施形態及び本明細書に概略される他の実施形態を、
「一次元」分析又は「多次元」分析として行うことができる。すなわち、単一の
標的又は標的のライブラリーに対して、1つのNAPコンジュゲートライブラリーを
作動させることができる。あるいは、2つ以上のNAPコンジュゲートライブラリー
を、互いに対して作動させることもできる。
【0200】 好ましい実施形態においては、本発明の組成物及び方法を、タンパク質薬剤の
探索、特に細胞表面上で標的と相互作用するタンパク質薬剤の探索に用いる。
【0201】 好ましい実施形態においては、上記に概略したように、本発明の組成物及び方
法を用いて、標的としての核酸を用いて、DNA又は核酸に結合するタンパク質を
探索する。
【0202】 好ましい実施形態においては、本発明の組成物及び方法を用いて、毒性が低下
したNAM酵素について宿主細胞をスクリーニングする。例えば、本発明のRepタン
パク質はいくつかの宿主細胞にとっては有毒である。本発明の方法を用いて、毒
性が低下したRepタンパク質を同定するか、又は作製することができる。この特
定の実施形態においては、Rep変異体、又はランダムペプチドを本発明のコンジ
ュゲートに用いて、細胞毒性及びEASに対する結合親和性を観察する。
【0203】 EASについては、本発明の方法を用いて、本発明の発現ベクターに用いるため
の新規な、又は改良されたEASを同定することもできる。目的の特定のNAM酵素の
ためのEASを、本発明の方法を用いて同定することもできる。NAM酵素とEASの共
有構造の形成を、当業界に存在する好適な方法、例えば、米国特許第5,545,529
号に記載された方法を用いて決定することができる。一般的には、細菌又は哺乳
動物細胞などの様々な宿主を用いて、候補NAM酵素を発現させることができる。
次いで、NAM酵素がクローニングされたゲノムから取得された断片のライブラリ
ーなどの候補DNA配列を用いて、発現させたタンパク質を試験することができる
。適当な条件下(コファクターの包含など)で、NAM酵素とDNA断片のライブラリー
とを接触させることにより、共有的なNAM酵素-DNAコンジュゲートを形成させる
ことができる。次いで、種々の技術を用いて、混合物を分離することができる。
次いで、単離された結合核酸配列を同定し、配列決定することができる。これら
の配列を、さらに種々の突然変異誘発技術を用いて試験することができる。次い
で、確認された配列モチーフをEASとして用いることができる。
【0204】 好ましい実施形態においては、薬理遺伝学的研究に本発明の組成物及び方法を
用いる。例えば、様々な表現型を有する個体に由来するライブラリーを構築し、
標的に対してそれらを試験することにより、ディファレンシャル結合プロフィー
ルを作製することができる。従って、好ましい実施形態においては、標的に対す
るNAPコンジュゲートのディファレンシャル結合プロフィールを用いて、疾患遺
伝子、SNP又はタンパク質を解明する。
【0205】 好ましい実施形態においては、一度、変化した表現型を有する細胞が検出され
ると、変化した表現型を有さない複数のものから該細胞を単離する。当業界で公
知のように、多くの方法でこれを行うことができ、アッセイ又はスクリーニング
に依存する場合もある。好適な単離技術としては、限定されるものではないが、
FACS、補体を用いる溶解選択、細胞クローニング、蛍光イメージャー(Fluorima
ger)による走査、「生存」タンパク質の発現、物理的単離のために蛍光性又は
タグ付け可能にされた細胞表面タンパク質又は他の分子の誘導された発現、非蛍
光分子を蛍光分子に変える酵素の発現、非増殖、又はゆっくりした増殖のバック
グラウンドに対する過増殖、細胞死、及びDNA又は他の細胞の生命力を指示する
染料の単離などが挙げられる。
【0206】 好ましい実施形態においては、上記に概略したように、陽性細胞からNAPコン
ジュゲートを単離する。いくつかの方法でこれを行うことができる。好ましい実
施形態においては、NAP構築物、又は上記に定義された、レスキュー配列などの
ライブラリーの特定の成分に共通なDNA領域に相補的なプライマーを用いて、ユ
ニークな候補タンパク質配列を「レスキュー」する。あるいは、レスキュー配列
を用いて候補タンパク質を単離する。従って、例えば、エピトープタグ又は精製
配列を含むレスキュー配列を用いて、免疫沈降又はアフィニティーカラムにより
、候補タンパク質を引き出すことができる。例えば、以下に概略するように、候
補タンパク質と標的分子との間に十分強い相互作用が存在する場合、これは一次
標的分子を引き出すこともできる。あるいは、質量分析装置を用いて該ペプチド
を検出することができる。一度レスキューされると、候補タンパク質及び融合核
酸の配列を決定することができる。次いで、この情報をいくつかの方法、すなわ
ち、ゲノムデータベースに用いることができる。
【0207】 in vitro、ex vivo、及びin vivoにおけるスクリーニング方法のために、「ヒ
ット」を同定した後、好ましくはその結果を確認する。当業者には理解されるよ
うに、用いることができる種々の好適な方法が存在する。好ましい実施形態にお
いては、候補タンパク質を再合成させ、標的細胞中に再導入して、効果を確認す
る。これは、組換え法を用いて、例えば、未処置の細胞を発現ベクター(もしく
は改変型のもの、例えば、もはや融合物の一部ではない候補タンパク質)で形質
転換することにより、又はHIV-1 Tatタンパク質、並びに標的細胞中への非常に
高い取込みを可能にする類似体及び関連タンパク質への融合物を用いて行うこと
ができる。例えば、Fawellら、PNAS USA 91:664 (1994); Frankelら、Cell 55:1
189 (1988); Savionら、J. Biol. Chem. 256:1149 (1981); Derossiら、J. Biol
. Chem. 269:10444 (1994);及びBaldinら、EMBO J. 9:1511 (1990)を参照された
い。これらの文献は全て参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0208】 さらに、in vitro及びex vivoにおけるスクリーニング方法のために、プロセ
スを反復的に用いることができる。すなわち、1個の候補タンパク質の配列を用
いて、より多くの候補タンパク質を作製する。例えば、該タンパク質の配列は、
増加した、又は変化した活性を有する薬剤を開発するための、第2回目の(偏向)
無作為化の基礎となり得る。あるいは、第2回目の無作為化は、該薬剤の親和性
を変化させ得る。さらに、候補タンパク質がランダムペプチドである場合、候補
タンパク質のコンフォメーション/形状を変化させるために、該薬剤の同定され
たランダム領域を他の提示構造にするか、又は提示構造の定常領域の配列を変化
させるのが望ましい。
【0209】 本発明のライブラリーを用いる方法は、目的の核酸を同定するための多数回の
スクリーニングを含んでもよい。例えば、一度、核酸分子を同定すれば、異なる
標的を用いて該方法を繰り返すことができる。正確な結果を確実に得るために、
複数のライブラリーを、平行して、もしくは連続的に、及び/又は組合せてスク
リーニングすることができる。さらに、該方法を繰り返して、次のラウンドのス
クリーニングに標的として同定された候補タンパク質を含ませることにより、経
路又は代謝プロセスをマッピングすることができる。
【0210】 好ましい実施形態においては、候補タンパク質を用いて、標的分子、すなわち
、該候補タンパク質が相互作用する分子を同定する。当業者には理解されるよう
に、該タンパク質が直接的に結合するか、又は作用する一次標的分子があり、該
タンパク質因子により影響されるシグナル伝達経路の一部である二次標的分子が
ある。これらは「有効な標的」と呼ばれる。
【0211】 好ましい実施形態においては、候補タンパク質を用いて標的分子を引き出すこ
とができる。例えば、本明細書に概略されるように、標的分子がタンパク質であ
る場合、エピトープタグ又は精製配列の使用により、生化学的手段(共免疫沈降
、アフィニティーカラムなど)を用いて一次標的分子の精製が可能になる。ある
いは、細菌中で発現させ、精製した場合、標的細胞型のmRNAから作製された細菌
のcDNA発現ライブラリーに対するプローブとして、該ペプチドを用いることがで
きる。又は、酵母又は哺乳動物の2-又は3-ハイブリッド系で「ベイト」としてペ
プチドを用いることができる。そのような相互作用クローニング手法は、DNA結
合タンパク質及び他の相互作用タンパク質成分を単離するのに非常に有用であっ
た。該ペプチドを他の薬理活性化因子と組合せて、問題のシグナル伝達経路の上
位の関係を研究することができる。標識ペプチドを合成的に調製して、それを用
いて、該ペプチドに結合するcDNAについて、バクテリオファージ中で発現された
cDNAライブラリーをスクリーニングすることもできる。
【0212】 一度、一次標的分子を同定すれば、「ベイト」として該一次標的を用いて、同
じ様式で二次標的分子を同定することができる。この様式で、シグナル伝達経路
を解明することができる。同様に、二次標的分子に特異的なタンパク質因子を探
索して、例えば、組合せ療法のために、いくつかのタンパク質因子を単一の経路
上で作用させることができる。
【0213】 好ましい実施形態においては、本発明の方法及び組成物を、ロボットシステム
を用いて実施することができる。多くのシステムは一般的には96(又はそれ以上)
穴マイクロタイタープレートに向けられているが、当業者には理解されるように
、任意の数の異なるプレート又は配置を用いることができる。さらに、本明細書
に概略されるステップのうちのいずれか、又はその全てを自動化することができ
る。従って、例えば、該システムを完全に、又は部分的に自動化することができ
る。
【0214】 種々の自動化構成要素を用いて、本発明の方法を実施するか、又は本発明の組
成物を製造することができ、そのような構成要素としては、限定されるものでは
ないが、1個以上のロボットアーム、マイクロプレートを配置させるためのプレ
ート操作装置、クロスコンタミネーションのないプレート上のウェルのためのフ
タを取り除き、置き換えるための自動化されたフタ操作装置、使い捨て可能なチ
ップを用いてサンプルを分配するためのチップの集合、サンプルの分配のための
洗浄可能なチップの集合、96穴の装填区画、冷却した試薬ラック、マイクロタイ
タープレートのピペット配置(場合によっては冷却される)、プレート及びチップ
のための積み上げ塔、及びコンピューターシステムが挙げられる。
【0215】 完全にロボット化されたシステム又はミクロ流体システムとしては、スクリー
ニング用途の全工程を実施するための高効率のピペッティングを含む、自動化流
体-、粒子-、細胞-及び生物-操作システムが挙げられる。これは、吸引、分配、
混合、希釈、洗浄、正確な容量の移動、回収、及びピペットチップの廃棄、並び
に単一のサンプル吸引に由来する複数の送達物のための同一の容量の反復的なピ
ペッティングなどの、流体、粒子、細胞、及び生物の操作を含む。これらの操作
はクロスコンタミネーションのない流体、粒子、細胞、及び生物の移動である。
この機器は、フィルター、メンブラン、及び/又は娘プレート、高密度トランス
ファー、フルプレートの連続的希釈、並びに高容量操作に対するマイクロプレー
トのサンプルの自動化された反復を実施するものである。
【0216】 好ましい実施形態においては、アッセイ成分に対する特異性を有する化学的に
誘導体化された粒子、プレート、チューブ、磁気粒子、又は他の固相マトリック
スを用いる。マイクロプレート、チューブ又は任意の固相マトリックスの結合表
面としては、非極性表面、高極性表面、共有結合を促進するための改変デキスト
ランコーティング、抗体コーティング、融合タンパク質又はペプチドを結合させ
るための親和性媒体、組換えプロテインA又はGなどの表面固定化タンパク質、ヌ
クレオチドの樹脂又はコーティングが挙げられ、他の親和性マトリックスも本発
明において有用である。
【0217】 好ましい実施形態においては、マルチウェルプレート、マルチチューブ、ミニ
チューブ、深皿ウェルプレート、微小遠心チューブ、低温バイアル、角型ウェル
プレート、フィルター、チップ、光ファイバー、ビーズ及び他の固相マトリック
スのためのプラットフォーム、又は種々の容積を有するプラットフォームを、さ
らなる能力のためにアップグレード可能なモジュラープラットフォーム上に設置
する。このモジュラープラットフォームは、速度可変軌道振とう装置、電気穿孔
装置、並びに供給サンプル、サンプル及び試薬希釈物のための複数配置のワーク
デッキ、アッセイプレート、サンプル及び試薬の貯蔵装置、ピペットチップ、並
びに活発な洗浄ステーションを含む。
【0218】 好ましい実施形態においては、サンプルを4〜100℃でインキュベートする正確
な温度制御を提供するための制御された区画又はプラットフォームなどの熱交換
器の温度を安定化させるために、サーマルサイクラー及び熱調節システムを用い
る。
【0219】 好ましい実施形態においては、1個以上の磁気プローブ、親和性プローブ、又
はピペッターを有する互換性ピペット頭部(1個以上のチャンネル)が、液体、粒
子、細胞、及び生物をロボット的に操作する。マルチウェルもしくはマルチチュ
ーブの磁気分離装置又はプラットフォームが、1個以上のサンプルの形式で、液
体、粒子、細胞、及び生物を操作する。
【0220】 いくつかの好ましい実施形態においては、該機器は検出器を含み、それは標識
及びアッセイに応じて、様々な異なる検出器であってもよい。好ましい実施形態
において、有用な検出器としては、複数の蛍光チャンネルを有する顕微鏡;単一
及び二重の波長の終点及び動的能力を有する蛍光、紫外線及び可視光線の吸光光
度検出、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、ルミネッセンス、クエンチング、2-光
子励起、並びに強度再分布を提供するためのプレートリーダー;データ及び画像
を捕捉し、定量可能な形式に変換するためのCCDカメラ;並びにコンピューター
ワークステーションが挙げられる。これらにより、細胞、組織、及び生物上の特
異的マーカーの大きさ、増殖及び表現型発現のモニタリング;標的の確認;リー
ド最適化;データ分析、マイニング、組織化、並びに公共及び私設のデータベー
スを用いた高効率スクリーニングの統合が可能になる。
【0221】 これらの機器は、滅菌された層流もしくは換気フードに適しているか、又はマ
ルチウェルプレートもしくはチューブ中での細胞培養増殖及び形質転換並びに危
険な操作のための、封入された自己包含型システムである。生細胞アッセイの時
系列のための温度、湿度、及びガスの制御と共に、制御された増殖条件下で、生
細胞を増殖させることができる。自動化された細胞の形質転換及び自動化された
コロニーピッカーにより、所望の細胞の迅速なスクリーニングが容易になる。
【0222】 磁気その他のビーズ、粒子、細胞、及び生物の個々の捕捉のために、フローサ
イトメトリー又はキャピラリー電気泳動形式を用いることができる。
【0223】 フレキシブルなハードウェア及びソフトウェアにより、複数の用途に機器を適
応させることができる。ソフトウェアプログラムモジュールにより、方法の作成
、改変、及び作動が可能になる。システム診断モジュールにより、機器の配列、
正確な接続、及びモーターの操作が可能になる。カスタマイズされたツール、実
験器具、並びに液体、粒子、細胞及び生物の移動パターンにより、異なるアプリ
ケーションを実行することができる。データベースにより、方法及びパラメータ
ーの保存が可能になる。ロボット及びコンピューターのインターフェースにより
、機器間の通信が可能になる。
【0224】 好ましい実施形態においては、ロボットワークステーションは1種以上の加熱
又は冷却コンポーネントを含む。反応及び試薬によっては、冷却又は加熱を必要
とし、Peltierシステムなどの任意の数の公知の加熱及び冷却システムを用いて
行うことができる。
【0225】 好ましい実施形態において、ロボット装置は、バスを介してメモリー及び入力
/出力デバイスのセット(例えば、キーボード、マウス、モニター、プリンター
など)と通信する中央演算ユニットを含む。中央演算ユニット、メモリー、入力
/出力デバイス、及びバズの間の一般的な相互作用は当業界で公知である。従っ
て、行うべき実験に応じて、種々の異なる手順をCPUメモリーに保存することが
できる。
【0226】 所望の候補タンパク質をコードする核酸について、融合酵素-核酸分子複合体
のプールをスクリーニングする上記方法は、単に、該候補タンパク質の所望の標
的特性に基づいている。候補タンパク質の配列又は構造は公知である必要はない
。本発明の重要な利点は、同定されたコード核酸配列の産物が標的化された化学
的又は構造的部分との特異的結合などの生物活性を有する限り、スクリーニング
中に候補タンパク質についての予備情報を必要としないことである。次いで、標
的との候補タンパク質の相互作用の結果としての細胞プロセス、及び、おそらく
その後の治療活性又は毒性活性を理解するために、同定された核酸分子を用いる
ことができる。
【0227】実施例 以下の実施例は、上記の発明の使用方法をより完全に記述するための、また本
発明を種々の態様を実施するために考慮された最良の様式を示すための助力とな
るものである。これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、例示す
る目的で提供されることは理解されよう。
【0228】実施例1 本実施例は、発現された融合タンパク質のコード核酸分子への結合を示す。
【0229】 組換えRep78-コードDNA融合断片をコードするプラスミドpML2000を、当技術分
野で知られた方法により構築した(例えばSambrookら、前掲を参照)。プラスミド
pML200は以下の主要成分を含むものであった: 大腸菌(E.coli)において機能的で
あるDNA複製開始点;哺乳動物細胞において機能的であるSV40複製開始点;宿主細
胞において活性である構成的プロモーター、特にCMVプロモーター;および1コピ
ーのAAV血清型2の逆方向末端反復(ITR)配列。ITRの方向は、他の成分を基準と
すると重要ではなかった。AAV ITRの供給源である核酸配列は以下の配列を有し
ていた:5'-AGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCC
GCCCGGGCAAAGCCCGGGCG-3'。ITR配列の二本鎖(duplex)は、これまでにRep68の変
異体と十分に相互作用することが示されている(Chioriniら、1994、前掲)。
【0230】 得られたプラスミドDNAをE.coli中で増幅し、DNA maxiprepキット(Promega In
c., Wl)を用いて精製した。精製したDNAを、組織培養したHEK 293細胞(ATCC, MD
)中へ、リン酸カルシウム共沈法またはエレクトロポレーション法によりトラン
スフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞を集め、標準的なリン
酸緩衝生理食塩水(PBS)中の1%のTriton X-1OOを用いて溶解させた。50OO×g、3
0分間の遠心分離の後、上清を引き続いての生化学的特性決定に用いた。
【0231】 宿主細胞中でのpML2000の発現により、(i)参照されたパートナーとの融合タン
パク質としての改変Rep78タンパク質の発現、および(ii)融合タンパク質のウイ
ルスベクターまたはプラスミドベクター中の結合シグナルへの共有結合が可能と
なった。組換えeREPの発現は、抗-HA抗体または抗-REP抗体のいずれかを用いた
イムノブロット分析により決定した。特異的抗体結合は、ECL化学発光システム(
Amersham-Pharmacia Biotech, IN)により視覚化した。機能性Rep78タンパク質の
発現は、以前に哺乳動物細胞培養系において示されている(Liら、J. Virol., 71
, 5236-5243 (1997))。
【0232】 DNA-eREP複合体を形成する能力は以下の実験により試験した。宿主細胞を2種
類のプラスミドpML2000およびpML200O(ΔITR)を用いて別々に、また組み合わせ
てトランスフェクトした。参照した各トランスフェクションについて、同レベル
のeREPタンパク質発現がなされるように全量で10μgのDNAを添加した。トランス
フェクションの48時間後に、細胞を集め、タンパク質溶解物を調製した。発現さ
れたeREPとプラスミドDNAとの間の共有結合を試験するため、溶解物を最初に5
分間沸騰させ、直ちに氷冷した。各サンプルに由来する沸騰させた溶解物のアリ
コートを、抗REP抗体と混合し、続いて過剰量のプロテインAアガロース(Sigma.
MO)とともにインキュベートした。十分に洗浄した後、プロテインAアガロースビ
ーズをPCR用チューブに移し、結合したプラスミドの存在を、ポリメラーゼ連鎖
反応によりいずれかのプラスミドに特異的な領域を増幅して試験した。トランス
フェクトしたプラスミドpML2000はプロテインAアガロースにより沈殿した一方で
、pML2000 (ΔITR)は沈殿しなかった。形成されたeREP-pML2000複合体は耐熱性
を有しており、これはeREPと発現プラスミドpML2000とが共有結合していること
と一致する。さらに、相互作用は以前のin vitroおよびin vivoデータ(Yangら、
J. Virol., 66, 6058-6069, (1992); Chioriniら、J. Virol., 68. 797-804 (19
94))と類似して、ITR配列特異的であった。
【0233】 この実施例は、本発明の方法における使用に適したベクターの構築を示す。こ
の結果から、Repタンパク質の発現に続いて酵素-ベクター複合体が形成され、Re
pタンパク質のそのコードベクターへの結合が共有結合であることが示される。
【0234】実施例2 以下の実施例は、ターゲットの特性を有する遺伝子産物をコードする核酸分子
を、アフィニティーカラムを用いて同定および単離する方法を示す。
【0235】 所望の性質を有するタンパク質を回収するために、化学成分、例えばFK506(Ca
lBiochem Inc., CA)を購入し、市販の化学結合試薬を用いてビオチンに結合した
。コンジュゲートした後、合成物を標準的なクロマトグラフィー技術により精製
し、NMRにより確認した。合成物を固定化するために、immobilon-4 96ウェルプ
レートを最初に10μg/mlストレプトアビジン(SA)でコーティングした。コーティ
ングに続き、PBS中のビオチニル化FK506を添加して全ての結合部位を飽和させた
。過剰のビオチニル化FK506を除去した後、続いてコーティングしたウェルをPBS
中の1% BSAによりブロッキングした。洗浄後、固定化した合成物は、即座にア
フィニティー選択を行い得る状態にあった。
【0236】 融合酵素-発現ベクター複合体を含む溶解物のライブラリーを、ルーチンの分
子生物学的手法によりマウスRNAから調製されたcDNAライブラリーで約108個の哺
乳動物HEK細胞をトランスフェクトして作製した。トランスフェクションの48時
間後、細胞を採取し、遠心分離により集めた。細胞をプロテイナーゼ阻害剤の存
在下で、実施例1に記載の溶解手順により溶解させた。粗製溶解物全体の不純物
は、5000×g、30分間の遠心分離によって取り除いた。調製した細胞溶解物は、-
80℃で貯蔵するか、またはビオチニル化FK506でコーティングしたimmobilon-4の
ウェルとともに直ちに使用した。ビオチニル化FK506とのインキュベーションの
後で、溶解物をimmobilon-4プレートから除去した。続いてウェルを、12ウェル
のNuncハンドヘルド洗浄機(Corning, NY)を用いてPBSで十分に洗浄した。結合し
た融合酵素-発現ベクター複合体を、1%トリプシンとともにインキュベートして
ビオチニル化FK506から放出させた。回収したDNAをTris-緩衝フェノールで2回
抽出し、標準的なエタノール沈殿法により1μgのグリコーゲンの存在下で沈殿
させた。沈殿したDNAを70%エタノールで1回洗浄し、エレクトロポレーションに
より細菌中へ形質転換した。所望の場合には、さらに単離したDNAをさらなるア
フィニティー選択のラウンドにかけることができる。
【0237】 この実施例は、本発明の方法を用いた、所望の特性、FK506に結合する能力を
有するペプチドをコードする核酸の単離を示す。
【0238】実施例3 以下の実施例は、発現ベクター中に挿入して融合酵素ライブラリーを作成した
cDNA断片の特性決定の方法を示す。
【0239】 所望の特性を有するペプチドをコードするcDNAは、標準的な手法とNAM酵素(Re
p78など)に対して特異性を有する抗体を用いるELISA手法を採用して特性決定で
きる。このように、cDNAクローンがFK506と相互作用するペプチドをコードする
場合には、上述のプラスミドDNAを含む細胞溶解物はFK506でコーティングしたウ
ェルに特異的であるが、ストレプトアビジン(SA)でコーティングしたウェルまた
は他の陰性対照でコーティングしたウェルには特異的でないことが予測される。
同様に、対照プラスミドはELISAシグナルを誘導する溶解物をもたらさないであ
ろう。
【0240】 2ラウンドのアフィニティーパンニング(panning)を実施例2に記載の通りに
行った後、細菌形質転換体の個々のコロニーをランダムに選択した。シングルコ
ロニーを3mlのLBアンピシリン(lOOμg/ml)中で一晩培養した培養物を用いて、標
準的なminiprep DNAキット(Promega, WI)によりDNAを単離した。eREP-変異体ペ
プチド融合タンパク質の発現は、HEK 293細胞への一過性トランスフェクション
によりなされた。トランスフェクションの48時間後、細胞溶解物を実施例2に記
載の通り調製した。不純物を除いた溶解物は、直ちにELISAに用いるかまたは-70
℃で保存した。ELISAの準備のために、96ウェルプレートを最初にSA単独またはS
A+ビオチン-FK506でコーティングした。続いてウェルを、pH 7.4のリン酸緩衝生
理食塩水(PBS)中の1% BSAでブロックした。SAでプレコーティングした後、ウェ
ルをO.05% Tween-20 (PBT)を補充したPBSで3回洗浄した。融合酵素-発現ベクタ
ー複合体のウェル表面への結合を開始させるため、1:10で希釈した溶解物1OOμ
lを各ウェルに添加した。4℃、60分間のインキュベーションの後、プレートをP
BTにより4回洗浄した。融合酵素のeREP DNA-結合部分のペプチドの結合を、ウ
サギ-REP抗体を用いて検出した。PBTで4回洗浄した後、プレートを、アルカリ
ホスファターゼが結合したヤギ抗ウサギ抗体(GIBCO-BRL, MD)をPBS/0.1% BSA(ウ
ェルあたり1OOμl、25℃で1時間)中に添加し、続いて6〜100分間、1M ジエタ
ノールアミン塩酸塩、pH 9.8/0.24 mM MgC12中のp-ニトロフェニルホスフェート
(4 mg/ml)により処理(ウェルあたり200μl)して発色させた。結合量は、405 nm
の光学密度(O.D.)をE-maxプレートリーダー(Molecular Devices Inc., CA)によ
りモニターして定量した。陰性対照は、対照グルタチオンS-トランスフェラーゼ
(GST)融合体または記載された他の対照でコーティングされたウェルからなるも
のであった。対照プラスミド、例えばFK506結合ペプチドのコード配列を含まな
いプラスミドは、ELISAアッセイにおいてシグナルを誘導し なかった。ターゲットの特性であるFK506結合性を有するペプチドを含む融合酵
素タンパク質をELISAアッセイにより同定した。全ての実験を少なくとも1回繰
り返したところ、同様の結果が得られた。
【0241】 この実施例は、融合酵素ライブラリーを用いて、所望の活性を有するペプチド
を同定する方法および融合酵素と発現ベクターとの結合によりターゲットの機能
をコードする核酸を同定する方法を示す。
【0242】 実施例4 以下の実施例は、融合酵素ライブラリーを用いて、DNA結合ペプチド、DNA結合
ペプチドをコードする核酸分子、およびDNA結合ペプチドによって認識される核
酸配列を同定する方法を示す。
【0243】 融合酵素ライブラリーを実施例1に記載の通り構築する。ランダムDNA配列の
集団を作製し、融合酵素ライブラリーがコードするDNA結合ペプチドに対するDNA
結合基質を提供する。DNA合成樹脂(ビーズ)を使用して、Not I制限酵素部位を含
む25塩基のリードオリゴヌクレオチド(カセットI)を作製する。合成後、樹脂を
4個のアリコートに分け、A、T、G、またはCを付加する次の合成ステップへ進め
ることができるようにする(各アリコートには異なる塩基の型を付加した)。1サ
イクルを行った後、樹脂を混合し、各アリコートへさらにA、T、GまたはCを個別
に付加する次のサイクルのために4個のアリコートへ分ける。上述の混合および
分配を12回繰り返し、12merのランダムオリゴヌクレオチドカセット(ROC)を作製
する。続いてこの樹脂を混合し、さらに20塩基のカセット(カセットII)を付加す
る。この分配-混合合成手順により、ランダムオリゴヌクレオチドDNA断片の作製
が可能となる。この断片においては、樹脂の混合物は「ビーズ1個あたり1つの
配列」を有する。換言すると、各ビーズ上には1種類のオリゴヌクレオチドの多
数のコピーが結合されている。
【0244】 二本鎖DNA結合基質を取得するために、得られた樹脂混合物をクレノー酵素用
のバッファーで洗浄する。洗浄した樹脂を、合成オリゴヌクレオチド、およびカ
セットIIと相補的な伸長プライマーと混合する。この混合物を80℃まで加熱し、
ゆっくりと25℃まで冷却し、4℃で冷蔵して伸長プライマーがテンプレートとハ
イブリダイズできるようにする。得られた樹脂混合物を、伸長反応が進行するよ
うに、dNTPの存在下、クレノー用バッファー中で標準的な条件でインキュベート
する。続いて、得られた二本鎖DNAを有する樹脂を標準的なPBSバッファーで洗浄
し、アジ化ナトリウムの存在下で4℃で保存する。
【0245】 DNA結合タンパク質の遺伝子またはコード配列を同定するために、結合されたD
NA断片を有する樹脂を、推定DNA結合ペプチドをコードする融合酵素ライブラリ
ーとともに4℃で12時間インキュベートする。ビーズ-REP融合酵素複合体を、RE
Pに対する一次抗体でマークする。インキュベーションに続いて混合物を、予め
コンジュゲートされた二次抗体を含むマグネチックビーズとともにインキュベー
トする。インキュベーション後、ビーズ樹脂混合物を加熱してタンパク質を変性
させ、マグネチックビーズ-オリゴヌクレオチド樹脂複合体を分離する。マグネ
チックビーズを標準的な手順により除去し、それによりともに沈殿した磁気を有
しないDNA-樹脂を単離する。この物質は、PCR増幅、および、プールとしてもし
くはシングルビーズ分析手順を介しての配列決定分析のために使用できる。場合
によっては得られた混合物を、5000×g、10分間の遠心分離によりペレットとし
、PBSで十分に洗浄する。樹脂上の、結合したタンパク質-cDNA複合体をプロテイ
ナーゼKにより処理する。所望の融合酵素をコードする核酸を、標準的なDNA調製
の手順により回収する。所望の場合は、回収したプラスミドを哺乳動物宿主に導
入し、引き続きアフィニティー選択のラウンドで使用してもよい。DNA結合ペプ
チドによって認識される結合配列は、特定のNAM酵素-DNA結合ペプチド融合物に
結合したDNAのPCR産物を配列決定して決定できる。DNA結合ペプチドは、当技術
分野で公知のタンパク質分析法により同定し得る。
【0246】 総括すると、本明細書で使用した方法により、DNA結合タンパク質をコードす
る一連のcDNA、およびそれらの対応する結合配列を作製することが可能となる。
例えば、ランダムオリゴヌクレオチドを用いて結合配列を同定した後は、ホモロ
ジーサーチにより、所与のDNA結合タンパク質についての潜在的な結合部位を提
示するヒトゲノムにおける全ての候補部位を決定できる。続いて想像されるよう
に、組み込まれたタンパク質-DNA相互作用マップ/データベースをヒトゲノムに
関して作製できる。
【0247】 本明細書で引用した全ての参考文献は、特許公報、特許出願明細書および公開
公報を含めて、参照により全体として本明細書に組み入れる。
【0248】 本発明は、好適な実施形態に重点をおいて記述されてきたが、好適な実施形態
を変形して使用することができ、また本明細書に具体的に記述されている以外の
本発明を実施できることが意図されている。従って本発明には、特許請求の範囲
による定義としての本発明の本質および範囲内に含まれる全ての改変を包含する
【図面の簡単な説明】
【図1】 アデノ随伴ウイルス2から単離されたRep78のヌクレオチド配列を示す図である
【図2】 アデノ随伴ウイルス2から単離されたRep78のアミノ酸配列を示す図である。
【図3】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質Aのヌクレオチド配列
を示す図である。
【図4】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質Aのアミノ酸配列を示
す図である。
【図5】 アデノ随伴ウイルス4から単離されたRepタンパク質のヌクレオチド配列を示す
図である。
【図6】 アデノ随伴ウイルス4から単離されたRepタンパク質のアミノ酸配列を示す図で
ある。
【図7】 アデノ随伴ウイルス3Bから単離されたRep78のヌクレオチド配列を示す図であ
る。
【図8】 アデノ随伴ウイルス3Bから単離されたRep78のアミノ酸配列を示す図である。
【図9】 アデノ随伴ウイルス3から単離された非構造タンパク質のヌクレオチド配列を
示す図である。
【図10】 アデノ随伴ウイルス3から単離された非構造タンパク質のアミノ酸配列を示す
図である。
【図11】 アデノ随伴ウイルス1から単離された非構造タンパク質のヌクレオチド配列を
示す図である。
【図12】 アデノ随伴ウイルス1から単離された非構造タンパク質のアミノ酸配列を示す
図である。
【図13】 アデノ随伴ウイルス6から単離されたRep78のヌクレオチド配列を示す図である
【図14】 アデノ随伴ウイルス6から単離されたRep78のアミノ酸配列を示す図である。
【図15】 アデノ随伴ウイルス2から単離されたRep68のヌクレオチド配列を示す図である
【図16】 アデノ随伴ウイルス2から単離されたRep68のアミノ酸配列を示す図である。
【図17】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質A’(alt.)のヌクレ
オチド配列を示す図である。
【図18】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質A’(alt.)のアミノ
酸配列を示す図である。
【図19】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質A”(alt.)のヌクレ
オチド配列を示す図である。
【図20】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質A”(alt.)のアミノ
酸配列を示す図である。
【図21】 アデノ随伴ウイルス5から単離されたRepタンパク質のヌクレオチド配列を示す
図である。
【図22】 アデノ随伴ウイルス5から単離されたRepタンパク質のアミノ酸配列を示す図で
ある。
【図23】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質Aa(alt.)のヌクレ
オチド配列を示す図である。
【図24】 アデノ随伴ウイルス2から単離された主要外殻タンパク質Aa(alt.)のアミノ
酸配列を示す図である。
【図25】 バーバリーダック(Barbarie duck)パルボウイルスから単離されたRepタンパ
ク質のヌクレオチド配列を示す図である。
【図26】 バーバリーダック・パルボウイルスから単離されたRepタンパク質のアミノ酸
配列を示す図である。
【図27】 ガチョウ・パルボウイルスから単離されたRepタンパク質のヌクレオチド配列
を示す図である。
【図28】 ガチョウ・パルボウイルスから単離されたRepタンパク質のアミノ酸配列を示
す図である。
【図29】 バリケン(muscovy duck)パルボウイルスから単離されたNS1のヌクレオチド
配列を示す図である。
【図30】 バリケン・パルボウイルスから単離されたNS1のアミノ酸配列を示す図である
【図31】 ガチョウ・パルボウイルスから単離されたNS1のヌクレオチド配列を示す図で
ある。
【図32】 ガチョウ・パルボウイルスから単離されたNS1のアミノ酸配列を示す図である
【図33】 シマリス・パルボウイルスから単離された非構造タンパク質1のヌクレオチド
配列を示す図である。
【図34】 シマリス・パルボウイルスから単離された非構造タンパク質1のアミノ酸配列
を示す図である。
【図35】 ブタオザル・パルボウイルスから単離された非構造タンパク質のヌクレオチド
配列を示す図である。
【図36】 ブタオザル・パルボウイルスから単離された非構造タンパク質のアミノ酸配列
を示す図である。
【図37】 シミアンパルボウイルスから単離されたNS1のヌクレオチド配列を示す図であ
る。
【図38】 シミアンパルボウイルスから単離されたNS1のアミノ酸配列を示す図である。
【図39】 アカゲザル・パルボウイルスから単離されたNSタンパク質のヌクレオチド配列
を示す図である。
【図40】 アカゲザル・パルボウイルスから単離されたNSタンパク質のアミノ酸配列を示
す図である。
【図41】 B19ウイルスから単離された非構造タンパク質のヌクレオチド配列を示す図で
ある。
【図42】 B19ウイルスから単離された非構造タンパク質のアミノ酸配列を示す図である
【図43】 エリスロウイルスB19から単離されたorf1のヌクレオチド配列を示す図である
【図44】 エリスロウイルスB19から単離されたorf1の産生物のアミノ酸配列を示す図で
ある。
【図45】 ヒトヘルペスウイルス6Bから単離されたU94のヌクレオチド配列を示す図であ
る。
【図46】 ヒトヘルペスウイルス6Bから単離されたU94のアミノ酸配列を示す図である。
【図47】 Repタンパク質の酵素付着部位を示す図である。
【図48】 染色体19に見出されるRep68及びRep78酵素付着部位を示す図である。
【図49】 A〜Nは、本発明の発現ベクターの好ましい態様を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 BA07 CA04 DA02 HA08 4B050 CC05 DD20 GG06 LL03 4B063 QA08 QA13 QA18 QQ08 QQ44 QR58 4B065 AA90 AB01 BA02 CA27 CA46 4H045 AA10 AA30 BA41 CA01 EA50

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融合核酸のライブラリであって、各々 a)Repタンパク質をコードする核酸;及び b)候補タンパク質をコードする核酸; を含み、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なるライブラリ。
  2. 【請求項2】 融合ポリペプチドのライブラリであって、各々 a)Repタンパク質;及び b)候補タンパク質; を含み、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なるライブラリ。
  3. 【請求項3】 発現ベクターのライブラリであって、各々 a)i)Repタンパク質をコードする核酸;及び ii)候補タンパク質をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なる融
    合核酸;並びに b)該Repタンパク質によって認識される酵素結合配列(EAS)、 を含むライブラリ。
  4. 【請求項4】 核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリであって、各々 a)i)Repタンパク質;及び ii)候補タンパク質; を含む融合ポリペプチド; b)i)1)該Repタンパク質をコードする核酸;及び 2)該候補タンパク質をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なる融
    合核酸;並びに b)酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクター; を含み、該EAS及び該Repタンパク質が共有結合するライブラリ。
  5. 【請求項5】 発現ベクターのライブラリであって、各々 a)(i)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列: (ii)候補タンパク質をコードする核酸配列; を含む融合核酸分子;並びに b)該NAM酵素によって認識される、20ヌクレオチドを上回る酵素結合配列
    、 を含むライブラリ。
  6. 【請求項6】 核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリであって、各々 a)i)NAM酵素;及び ii)候補タンパク質; を含む融合ポリペプチド; b)i)1)該NAM酵素をコードする核酸;及び 2)該候補タンパク質をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なる融
    合核酸;並びに b)20ヌクレオチドを上回る酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクター; を含み、該EAS及び該NAM酵素が共有結合するライブラリ。
  7. 【請求項7】 融合核酸のライブラリであって、各々 a)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列; b)候補タンパク質をコードする核酸配列;及び c)提示構造をコードする核酸配列、 を含むライブラリ。
  8. 【請求項8】 融合ポリペプチドのライブラリであって、各々 a)核酸修飾(NAM)酵素; b)候補タンパク質;及び c)提示構造、 を含むライブラリ。
  9. 【請求項9】 発現ベクターのライブラリであって、各々 a)i)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列; ii)候補タンパク質をコードする核酸配列;及び iii)提示構造をコードする核酸配列、 を含む融合核酸;並びに b)該NAM酵素によって認識されるEAS、 を含むライブラリ。
  10. 【請求項10】 核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリであって、各々 a)i)NAM酵素; ii)候補タンパク質; iii)提示構造; を含む融合ポリペプチド; b)i)1)該NAM酵素をコードする核酸;及び 2)該候補タンパク質をコードする核酸; 3)該提示構造をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なる融
    合核酸;並びに ii)酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクター; を含み、該EAS及び該NAM酵素が共有結合するライブラリ。
  11. 【請求項11】 融合核酸のライブラリであって、各々 a)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列; b)候補タンパク質をコードする核酸配列;及び c)ターゲッティング配列をコードする核酸配列、 を含むライブラリ。
  12. 【請求項12】 融合ポリペプチドのライブラリであって、各々 a)核酸修飾(NAM)酵素; b)候補タンパク質;及び c)ターゲッティング配列、 を含むライブラリ。
  13. 【請求項13】 発現ベクターのライブラリであって、各々 a)i)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列; ii)候補タンパク質をコードする核酸配列;及び iii)ターゲッティング配列をコードする核酸配列、 を含む融合核酸;並びに b)該NAM酵素によって認識されるEAS、 を含むライブラリ。
  14. 【請求項14】 核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリであって、各々 a)i)NAM酵素; ii)候補タンパク質; iii)ターゲッティング配列; を含む融合ポリペプチド; b)i)1)該NAM酵素をコードする核酸;及び 2)該候補タンパク質をコードする核酸; 3)該ターゲッティング配列をコードする核酸; を含む融合核酸を含む発現ベクターであって、該候補タンパク質のうちの少なく
    とも2つが異なる発現ベクター;並びに C)酵素結合配列(EAS); を含み、該EAS及び該NAM酵素が共有結合するライブラリ。
  15. 【請求項15】 融合核酸のライブラリであって、各々 a)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列; b)候補タンパク質をコードする核酸配列;及び c)標識をコードする核酸配列、 を含むライブラリ。
  16. 【請求項16】 融合ポリペプチドのライブラリであって、各々 a)核酸修飾(NAM)酵素; b)候補タンパク質;及び c)標識、 を含むライブラリ。
  17. 【請求項17】 発現ベクターのライブラリであって、各々 a)i)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列; ii)候補タンパク質をコードする核酸配列;及び iii)標識をコードする核酸配列、 を含む融合核酸;並びに b)該NAM酵素によって認識されるEAS、 を含むライブラリ。
  18. 【請求項18】 核酸/タンパク質(NAP)コンジュゲートのライブラリであって、各々 a)i)NAM酵素; ii)候補タンパク質; iii)標識; を含む融合ポリペプチド; b)i)1)該NAM酵素をコードする核酸;及び 2)該候補タンパク質をコードする核酸; 3)該標識をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なる融
    合核酸;並びに ii)酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクター; を含み、該EAS及び該Repタンパク質が共有結合するライブラリ。
  19. 【請求項19】 前記候補タンパク質をコードする核酸配列がcDNAから誘導される、請求項1、
    3、4、5、6、7、9、10、11、13、14、15、17又は18記載の
    ライブラリ。
  20. 【請求項20】 前記候補タンパク質をコードする核酸配列がゲノムDNAから誘導される、請求
    項1、3、4、5、6、7、9、10、11、13、14、15、17又は18
    記載のライブラリ。
  21. 【請求項21】 前記核酸が直接融合する、請求項1、3、4、5、6、7、9、10、11、
    13、14、15、17又は18記載のライブラリ。
  22. 【請求項22】 前記核酸が間接的に融合する、請求項1、3、4、5、6、7、9、10、1
    1、13、14、15、17又は18記載のライブラリ。
  23. 【請求項23】 前記NAM酵素がRepタンパク質である、請求項5、6、7、8、9、10、11
    、12、13、14、15、16、17又は18記載のライブラリ。
  24. 【請求項24】 前記Repタンパク質がRep68である、請求項1、2、3、4又は23記載のライ
    ブラリ。
  25. 【請求項25】 前記Repタンパク質がRep78である、請求項1、2、3、4又は23記載のライ
    ブラリ。
  26. 【請求項26】 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
    、15、16、17又は18のライブラリを含む宿主細胞。
  27. 【請求項27】 真核宿主細胞のライブラリであって、各々: i)1)NAM酵素;と 2)候補タンパク質; を含む融合ポリペプチド;並びに ii)1)A)NAM酵素をコードする核酸;と B)該候補タンパク質をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくも2つが異なる融合
    核酸;及び 2)酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクター; を含むライブラリ。
  28. 【請求項28】 前記真核性宿主細胞が哺乳動物のものである請求項27記載のライブラリ。
  29. 【請求項29】 a)NAPコンジュゲートのライブラリを少なくとも1つの標的分子に添加し、こ
    こで、 該NAPコンジュゲートの各々は: i)1)NAM酵素;と 2)候補タンパク質; を含む融合ポリペプチド;並びに ii)1)A)該NAM酵素をコードする核酸;と B)該候補タンパク質をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくとも2つが異なる融
    合核酸;及び 2)20ヌクレオチドを上回る酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクター; を含み、該EAS及び該NAM酵素は共有結合し;さらに b)NAPコンジュゲートの該標的への結合を決定する、 ことを含むスクリーニング方法。
  30. 【請求項30】 前記方法を細胞非含有系において行う請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記方法をex vivoで行う請求項29記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記標的が標識されている請求項29記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記NAPコンジュゲートが標識されている請求項29記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記NAM酵素がRepタンパク質である請求項29記載の方法。
  35. 【請求項35】 a)宿主真核細胞のライブラリであって、各々: i)1)A)NAM酵素;と B)候補タンパク質; を含む融合ポリペプチド;並びに 2)A)i)該NAM酵素をコードする核酸;と ii)該候補タンパク質をコードする核酸; を含む融合核酸であって、該候補タンパク質のうちの少なくも2つが異なる融合
    核酸;及び iii)酵素結合配列(EAS); を含む発現ベクターであって、前記EASと前記NAM酵素は共有結合している発現ベ
    クター; を含む少なくとも1つのNAPコンジュゲート; を含むライブラリを提供し;さらに b)該細胞を表現型の変化についてスクリーニングする、 ことを含むスクリーニング方法。
  36. 【請求項36】 a)真核宿主細胞のライブラリであって、各々: i)1)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列;及び 2)候補タンパク質をコードする核酸配列; を含む融合核酸;並びに ii)該NAM酵素によって認識されるEAS; を含む少なくとも1つの発現ベクター; を含むライブラリを、融合ポリペプチドが産生される条件下で提供し;さらに b)該宿主細胞を表現型の変化についてスクリーニングする、 ことを含むスクリーニング方法。
  37. 【請求項37】 a)真核宿主細胞のライブラリであって、各々: i)1)核酸修飾(NAM)酵素をコードする核酸配列;及び 2)候補タンパク質をコードする核酸配列; を含む融合核酸;並びに ii)該NAM酵素によって認識されるEAS; を含む少なくとも1つの発現ベクター; を含むライブラリを融合ポリペプチドが産生される条件下で提供し、ここで、該
    候補タンパク質のうちの少なくとも2つは異なり;さらに b)該細胞を溶解し、ここで、該EAS及び該NAM酵素は共有結合してNAPコンジ
    ュゲートを形成し; c)少なくとも1つの標的分子を添加し; d)該標的のNAPコンジュゲートへの結合を決定する、 ことを含むスクリーニング方法。
  38. 【請求項38】 前記標的を前記溶解の前に添加する、請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 前記標的を前記溶解の後に添加する、請求項37記載の方法。
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