JP2003504079A - 感染症および免疫系疾患の治療用組成物とその使用方法 - Google Patents

感染症および免疫系疾患の治療用組成物とその使用方法

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アラン デルケア、
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、バッケー菌(Mycobacterium vaccae)のタンパク質の免疫原性エピトープを含むポリペプチドと、かかるポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つのかかるポリペプチドを含む融合タンパク質を、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクトとともに提供する。かかるポリペプチド、ポリヌクレオチド、融合タンパク質、および/またはDNAコンストラクトを含む組成物は、感染症および免疫疾患の治療に用いるものであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的には、感染症の検出、治療および予防に関する。具体的には
、本発明は、マイコバクテリウム・バッケー菌(バッケー菌、Mycobact
erium vaccae)から単離された免疫原性のあるエピトープを含む組
成物と、結核菌およびトリ型結核菌の感染のようなマイコバクテリウム属の細菌
感染を含む感染症に対するワクチン接種または免疫療法並びに免疫疾患および癌
のある種の治療法におけるかかる組成物の利用とに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的には、本発明は、感染症の治療および予防と、ある種の免疫疾患および
癌の治療とに関する。具体的には、本発明は、結核菌またはトリ型結核菌(My
cobacterium avium)の感染を含むマイコバクテリウム属の細
菌感染の治療および予防のための組成物および方法に関する。
【0003】 結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)
の感染を原因とする慢性感染症である。結核は、開発途上国での主要な疾患であ
るとともに、世界の先進地域で増加中の問題でもあり、毎年約800万人の新患
が発生し、300万人が死亡する。この感染はかなり長期間無症状で、発熱と呼
吸の症状を起こす肺の慢性炎症として発症することが最もありふれている。未処
置のままだと非常に重い症状となり死に至ることもある。
【0004】 結核は長期の抗生物質療法を用いて管理できるのが一般的であるが、かかる治
療は本疾患の蔓延を防止するには十分ではない。感染者は一定期間無症状であっ
ても伝染する場合がある。さらに、治療方式の遵守が決定的に重要だが、患者の
行動を監視することは困難である。一部の患者は一連の治療を途中で止めるため
、治療効果がみられず、薬剤耐性のマイコバクテリウム属の細菌の発生につなが
ることがある。
【0005】 結核の蔓延を阻止するためには、有効なワクチン接種およびこの疾患の正確な
初期診断が必要である。現在のところ、生きた細菌でのワクチン予防接種が保護
免疫を誘導するために最も有効な方法である。この目的のために最も慣用される
マイコバクテリウム属の細菌は、ウシ型結核菌(Mycobacterium
bovis(M.bovis))の無毒化株のカルメット−ゲラン菌(BCG)
である。しかし、BCGの安全性および有効性には議論があり、アメリカ合衆国
のような一部の国では、一般大衆に対してワクチン接種を実施していない。結核
菌感染の診断は、通例は、精製ツベルクリンタンパク(ツベルクリンPPD)の
皮内曝露を伴う皮膚試験を用いて行われる。抗原特異的なT細胞反応により、穿
刺から48−72時間後に測定可能な硬結部が穿刺部位に生じるので、マイコバ
クテリウム抗原に曝露されていることが示される。しかし、感度および特異性が
この試験で問題とされており、BCGではワクチン接種をした者と感染した者と
を区別することができない。
【0006】 結核およびらい病の免疫療法に用いられてきたあまり良く知られていないマイ
コバクテリウムに、ヒトでは非病原性であるマイコバクテリウム・バッケー菌(
バッケー菌、M.vaccae)がある。しかし、BCGと比較するとバッケー
菌の有効性に関する情報は少なく、一般大衆のワクチン接種に広く用いられては
こなかった。ウシ型結核菌BCGおよびバッケー菌は、結核菌感染者の免疫系に
よって認識される抗原性の化合物を含むと信じられている。
【0007】 複数の特許その他の刊行物には、バッケー菌を含むマイコバクテリウム属の細
菌か、マイコバクテリウム属の細菌の一定の分画かの投与によるさまざまな症状
の治療法が開示されている。米国特許第4,716,038号明細書は、バッケ
ー菌を含むマイコバクテリウム属の細菌を投与することによる、関節炎疾患を含
むさまざまなタイプの自己免疫疾患の診断法と、ワクチン接種法と、治療法とを
開示している。国際公開第WO91/02542号公報には、患者がIL−6お
よび/またはTNFの異常に高い放出を示すか、患者のIgGに無ガラクトース
IgGが異常に高い割合を占めるかしている慢性炎症疾患の治療法を開示してい
る。この公報に言及された疾患の中には、乾癬、リウマトイド関節炎、マイコバ
クテリウム属の細菌による疾患、クローン病、原発性胆管性肝硬変症、サルコイ
ドーシス、潰瘍性大腸炎、全身性ループス・エリテマトーデス、多発性硬化症、
ギラン・バレー症候群、原発性真性糖尿病および移植片拒絶反応の一部の局面が
含まれる。この治療薬には、1回の注射により投与されるオートクレーブ(高圧
滅菌)したバッケー菌を含むことが好ましい。
【0008】 米国特許第4,716,038号明細書は、バッケー菌を含むマイコバクテリ
ウム属の細菌を投与することによる、関節炎疾患を含むさまざまなタイプの自己
免疫疾患の診断法と、ワクチン接種法と、治療法とを開示している。米国特許第
4,724,144号明細書は、マイコバクテリウム属の細菌性疾患、特に結核
およびらい病の治療のためおよび化学療法のアジュバントとしてのバッケー菌由
来の抗原性物質を含む免疫療法剤を開示している。国際公開第WO91/017
51号公報には、バッケー菌由来の抗原性のおよび/または免疫調節的な物質を
AIDSの進行を遅延しおよび/または阻害するための免疫予防薬として使用す
ることが開示されている。国際公開第WO94/06466号公報には、バッケ
ー菌由来の抗原性の物質および/または免疫調節的な物質を、AIDSを発症し
ているかまたは発症していない、かつ、結核を併発しているかまたは併発してい
ない、HIV感染の治療に使用することが開示されている。
【0009】 伝統的なワクチンには、弱毒化あるいは死菌のいずれかの形状の病原体生物(
またはその成分)が含まれる。伝統的なワクチンに代替するアプローチとして、
DNAワクチンが、AIDS、インフルエンザ、癌およびマラリアのように多様
な疾患について開発されてきた。DNAワクチンの臨床治験はこれらの疾患の多
くについて進行中である。典型的なDNAワクチンは、不活性なプラスミド担体
にクローニングされた、抗原をエンコードするDNAからなる。このワクチンD
NAにエンコードされる抗原の発現は、通常は、ヒトβ−アクチン、ラウス肉腫
ウイルス(RSV)またはCMVのプロモーターのような、強力なプロモーター
の支配下にある(Ramsay AJら、Immunology and Ce
ll Biology、75巻、360−363頁、1997年)。DNAワク
チンが所望の免疫反応を誘発できるという最初の実験的な証拠は、Tangら(
Tang D−Cら、Nature、356巻、152−154頁、1992年
)によって得られた。これらの実験では、ヒト成長ホルモンをエンコードする遺
伝子を含むプラスミドを接種したマウスが特異的な抗体の一次反応をした。
【0010】 結核菌由来の遺伝子を含む2つのDNAワクチンに対する免疫反応が、動物モ
デルで評価された。1番目のワクチンはストレスタンパク質のGroEL(65
kDaタンパク質)をコードする遺伝子を含むものであった(Tascon R
Eら、Nature Med.、2巻、888−892、1996年)。このD
NAワクチンを注射されたマウスは、伝統的なBCGワクチンを接種されたマウ
スと同等のレベルで保護された。結核菌に対する2番目のDNAワクチンは、抗
原85複合体由来の抗原をエンコードするDNAを含むものであり、Tangら
による研究と同様の結果が得られた(Huygen Kら、Nature Me
d.、2巻、893−898頁、1996年)。米国特許第5,736,524
号明細書は、操作可能に転写制御エレメントと連結された結核菌抗原85遺伝子
を含むポリヌクレオチドの結核ワクチンを投与することによる、結核菌またはウ
シ結核菌の感染に対する飼育哺乳類あるいは家畜のワクチン接種を開示している
【0011】 最近、最初のヒトのDNAワクチン治験が報告された(Wang Rら、Sc
ience、282巻、476−80頁、1998年)。この治験では、マラリ
アの病原体である熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falcipa
rum)由来の抗原が健康な志願者に注射された。細胞障害(CD8)Tリン
パ球(CTL)の存在により証明されるとおり、所望の免疫反応が誘発され、免
疫系が感染した患者から寄生虫を除去しうることが示唆された。HIV−1に対
するヒトDNAワクチンに安全性および免疫原性があることは、McGrego
rらによって行われた治験で決定された(J.Infect.Dis.、178
巻、92−100頁、1998年)。他のDNAワクチンの実験からの実験デー
タも、抗体と、MHCクラス1−拘束CD8CTLと、クラスII−拘束CD
ヘルパーT細胞とがDNAワクチン注射後に産生されることが示唆された(
Ramsay AJら、Immunology and Cell Biolo
gy、75巻、360−363頁、1997年)。
【0012】 DNAワクチンには、より伝統的な、死菌または弱毒化菌を含むワクチンに比
べて、著しい長所がある。DNAワクチンは、長期間有効な免疫反応を誘発する
ので、1回の接種だけしか必要ない。多数の抗原をエンコードするDNAを単一
のプラスミドに取り込むことができるので、多数の疾病に対する保護を与えるこ
とができる。DNAワクチン作製のための技術は比較的簡単であり、同一の技術
が全てのワクチンを作製するために利用することができ、生産コストを低廉にす
ることができる。有効な伝統的なワクチンを患者に配達するためには、製造者か
ら診療所までの「コールド・チェーン」が途切れずに維持される必要がある。液
状または乾燥状態で出荷されるDNAワクチンは、保存条件に敏感ではない。
【0013】 最近、DNAワクチンを構築し適用する代替的な方法が開発された。それらの
技術の1つで、体細胞トランスジーン免疫(Somatic Transgen
e Immunisation、STI)という技術では、組織特異的な調節エ
レメントの制御の下にある免疫グロブリン重鎖遺伝子を有するプラスミドDNA
がマウスの脾臓に直接接種され、この抗原はその後B細胞の表面に発現した(X
iong Sら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94巻、6
352−6357頁、1997年)。このB細胞は発現された抗原に対する抗体
を産生し、免疫反応を起こすことになった。その後の研究から、STIは2年以
上にわたる持続的な免疫学的な記憶を誘導することが示された(Gerloni
Mら、Vaccine、2−3巻、293−297頁、1998年)。
【0014】 発現ライブラリ免疫法(Expression Library Immun
ization、ELI)はDNAワクチンを用いる別の技術である(Barr
y MAら、Nature、377巻、632−635頁、1995年)。この
技術では、病原体の全ゲノムの断片をベクターにクローニングしてワクチンとし
て用いる。保護的な抗原、特にCTLを誘発する抗原の選択は、単一クローンが
同定できるまでクローンのプールをスクリーニングし再スクリーニングすること
によってなされる。同定されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、証明さ
れた送達システムに取り込むことができる。
【0015】 HIV感染の治療および予防のためのエピトープに基づくワクチンのEpim
mune Inc.(San Diego、カリフォルニア州)の科学者による
開発の進行状況が、最近発表された(Ishioka GYら、Journal
of Immunology、162巻、3915−3925頁、1999年
)。
【0016】 ヒトおよび飼育哺乳類または家畜における結核菌その他のマイコバクテリウム
属の細菌感染のような感染症を予防し治療するためと、ある種の免疫系に関連し
た疾患の治療のためとの有効な組成物および方法の需要が、本発明の技術分野に
おいては存在する。
【0017】 発明の概要 簡潔には、本発明は、マイコバクテリウム属の細菌感染のような感染症の予防
および治療のためと、免疫疾患および癌の治療のためとの組成物および方法を提
供する。
【0018】 第1の局面では、バッケー菌のゲノム由来の単離されたポリヌクレオチドが提
供される。これらのポリヌクレオチドは、複数の免疫学的なアッセイの結果示さ
れたとおりの免疫原性に基づいて選択されるポリペプチドのエピトープをエンコ
ードする。特定の実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、(a)配列番号
8−21に提供される配列と、(b)配列番号8−21の配列に対してコンピュ
ーターアルゴリズムBLASTNを使用して決定される同一性が少なくとも50
%、75%または90%ある残基を有する配列と、(c)前記(a)および(b
)の配列の相補体とからなるグループから選択される配列を含む。
【0019】 第2の局面では、本発明は、バッケー菌抗原の免疫原性のあるエピトープを含
む単離されたポリペプチドを提供する。特定の実施態様では、本発明のポリペプ
チドは、(a)配列番号61−77に提供される配列と、(b)配列番号61−
77の配列に対してコンピューターアルゴリズムFASTXを使用して決定され
る同一性が少なくとも50%、75%または90%ある残基を有する配列とから
なるグループから選択される配列を含む。
【0020】 本発明のポリヌクレオチドの少なくとも1つを含むDNAコンストラクトと、
かかるDNAコンストラクトで形質転換またはトランスフェクションされた宿主
細胞も提供される。
【0021】 別の局面では、本発明は、本発明の少なくとも1つのポリペプチドを含む融合
タンパク質を提供する。
【0022】 別の局面では、本発明は、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、融合タ
ンパク質またはDNAコンストラクトの少なくとも1つと、生理的に受け入れら
れる担体とを含む組成物を提供する。本発明は、上記のポリペプチド、ポリヌク
レオチド、融合タンパク質またはDNAコンストラクトの少なくとも1つと、免
疫賦活剤とを含む組成物をも提供する。
【0023】 さらに別の局面では、上記の1以上の組成物の有効量を患者に投与することを
含む、患者における免疫反応を増強するための方法が提供される。1の実施態様
では、前記免疫反応はTh1反応である。
【0024】 本発明の更なる局面では、患者に本発明の組成物を投与することを含む患者の
疾患の治療のための方法が提供される。ある種の実施態様では、前記疾患は、免
疫疾患、感染症および癌からなるグループから選択される。
【0025】 これらおよび他の本発明の局面は、以下の詳細な説明を参照することにより明
らかとなる。ここに開示される全ての参照文献は、引用により、その全体がそれ
ぞれが個別にとりこまれたのと同様に取り込まれている。
【0026】 発明の詳細な説明 上記のとおり、本発明は、一般的には、感染症、ある種の免疫疾患および癌を
含む疾病の予防および治療のための組成物および方法を目的とする。かかる疾病
の例には、結核菌およびトリ型結核菌の感染を含むマイコバクテリウム属の細菌
感染と、感染およびアレルギー鼻炎を含む(がこれらに限定されない)Th1免
疫反応の刺激が有益な疾病とを含むが、これらに限定されない。
【0027】 結核菌のようなある種の病原体とある種の癌とは、細胞性免疫として知られる
CD4T細胞が指揮する免疫的な攻撃によって有効に封じ込めることができる
。ポリオウイルスのような他の病原体は、封じ込めにはB細胞によって産生され
る抗体も必要である。これらの異なるクラスの免疫的な攻撃(T細胞またはB細
胞)は、通例、Th1およびTh2として言及されるCD4T細胞の異なるサ
ブポピュレーションによって制御される。
【0028】 これらの2つのタイプのTh細胞のサブセットはマウスのモデルでは良く特徴
が調べられており、これらの細胞が活性化されたときに放出するサイトカインに
よって定義づけられている。Th1サブセットは、IL−2、INF−γおよび
腫瘍壊死因子を分泌し、マクロファージの活性化および遅延型過敏反応に介在す
る。Th2サブセットは、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10を放
出し、B細胞の活性化を刺激する。IL−4はTh1タイプ反応を阻害し、IF
N−γはTh2反応を阻害するというように、Th1およびTh2サブセットは
相互に阻害する。同様のTh1およびTh2サブセットはヒトでも見つけられて
おり、マウスモデルで観察されたのと同一のサイトカインの放出が見られる。T
h1タイプの免疫反応の増幅は、結核、サルコイドーシス、喘息、アレルギー鼻
炎および肺癌のような呼吸器系疾患を含む多くの疾患の病状の進行を逆転させる
うえで中心となる。
【0029】 1の局面では、本発明の組成物には、少なくとも1つの免疫原性のあるバッケ
ー菌のエピトープを含むポリペプチドまたはその変異体が含まれる。特定の実施
態様では、本発明のポリペプチドは、配列番号61−77に提供される配列を含
む。かかるポリペプチドは、T細胞の増殖および/または結核菌に曝露された個
体のT細胞からのインターフェロン・ガンマの分泌を刺激する。
【0030】 ここで使用された「ポリペプチド」という用語は、アミノ酸残基が共有結合で
連結された、完全長を含むいかなる長さのアミノ酸鎖(例えば抗原)をも含む。
したがって、上記の抗原の1つの免疫原性のあるエピトープを含むポリペプチド
は、前記免疫原性のあるエピトープだけからなるものであってもよく、追加の配
列を含むものであってもよい。この追加の配列は、本来のバッケー菌由来であっ
ても異種由来のものであってもよく、かかる配列が免疫原性を有するものであっ
てもよい(がその必要はない)。
【0031】 ここで用いられるところの「免疫原性がある」とは、ヒトのような患者におい
て、あるいは生物学的なサンプルにおいて、免疫反応を誘発できる能力をいう。
特に、免疫原性のあるエピトープとは、マイコバクテリウム属の細菌に免疫があ
る個体由来の細胞であって、T細胞、NK細胞、B細胞およびマクロファージの
グループから選択される1以上の細胞を含む生物学的なサンプルにおいて、細胞
増殖、インターロイキン−12産生またはインターフェロン−γ産生を刺激する
ことができるポリペプチドの部分をいう。一般に、免疫原性のあるエピトープは
、実施例1に詳細に示したアッセイ技術を用いて決定することにより、マイコバ
クテリウム属の細菌に免疫がある個体由来のPBMCの増殖を、対照実験のPB
MCで観察された増殖に比べて少なくとも2倍以上高いレベルで刺激する。代替
的には、あるいは追加的には、免疫原性のあるエピトープは、実施例1に詳細に
示したELISAアッセイ法においてODが少なくとも2倍以上増加させること
によって決定される、マイコバクテリウム属の細菌に免疫がある個体由来のPB
MCにおけるインターフェロン−γ産生を、コントロールの細胞で観察されたイ
ンターフェロン−γの産生に比べて少なくとも2倍以上高いレベルで刺激する。
マイコバクテリウム属の細菌に免疫がある個体とは、結核菌、環境的な非病原菌
またはBCGに対して有効なT細胞反応を開始したために、マイコバクテリウム
属の細菌感染の発症に対して耐性があると考えられる個体をいう。かかる個体は
、結核タンパク質(PPD)に対する皮内皮膚試験が強陽性(すなわち直径約1
0mm以上の硬化)であり、かつ、結核感染の徴候を全く示さないことに基づい
て同定できる。1以上のバッケー菌抗原の少なくとも1つの免疫原性のあるエピ
トープを含むポリペプチドは、一般に、患者における結核に対する保護免疫を誘
導するため、および/または患者における免疫反応を刺激するために用いること
ができる。
【0032】 別の局面では、本発明の組成物は、バッケー菌の免疫原性のあるエピトープを
エンコードする単離されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様では、本発
明のポリヌクレオチドは、配列番号5−21の配列を含む。本発明の単離された
ポリヌクレオチドの相補体と、かかる単離されたポリヌクレオチドの逆相補体と
、かかる単離されたポリヌクレオチドの逆配列も、かかる配列の変異体とともに
提供される。本発明は、開示された配列とは異なるが、遺伝暗号の縮重の結果、
ここに開示された本発明のポリヌクレオチドにエンコードされるポリペプチドと
同一のポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドも含む。
【0033】 ここで用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオ
チドまたはリボヌクレオチドの塩基の1本鎖または2本鎖のポリマーを意味し、
DNA分子およびこれと対応する、HnRNAとmRNA分子を含めた、センス
鎖とアンチセンス鎖の両方のRNA分子を含み、全合成または部分合成されたポ
リヌクレオチドとともに、cDNAとゲノムDNAと組み換えDNAとを含む。
HnRNAは、イントロンを含み、DNA分子と一般的に1対1に対応する。m
RNAは、イントロンが切り出されたHnRNAおよびDNA分子に対応する。
ポリヌクレオチドは、遺伝子全体またはその部分を含む。操作可能なアンチセン
スポリヌクレオチドは、対応するポリヌクレオチドの断片を含み、それゆえに「
ポリヌクレオチド」の定義には全てのかかる操作可能なアンチセンス断片が含ま
れる。アンチセンスポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドが関
与する技術は当業者に周知であり、例えば、Robinson−Benionら
、「Antisense techniques(アンチセンス技術)」、Me
thods in Enzymol.、254巻、23号、363−375頁、
1995年およびKawasakiら、Artific.Organs、20巻
、8号、836−848頁、1996年に記載されている。
【0034】 ここで使用される「相補体」、「逆相補体」、および「逆配列」という用語の
定義は、以下の例で最も良く示されている。5’AGGACC3’という配列に
対して、相補体、逆相補体および逆配列は以下のとおりである。 相補体 3’TCCTGG5’ 逆相補体 3’GGTCCT5’ 逆配列 5’CCAGGA3’
【0035】 ここで記載されたポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、全て当業者に慣用
される条件で単離精製される。
【0036】 本発明の組成物および方法には、上記のポリペプチドおよびポリヌクレオチド
の変異体も含まれる。変異体は、天然に存在する対立遺伝子の変異体でも、天然
に存在しない変異体でもよい。ここで用いられるところの「変異体」という用語
は、本発明の配列に対して、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約
50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約
90%の(ヌクレオチドまたはアミノ酸のいずれかの)残基の同一性を示すもの
をいう。残基の同一性の百分率は、比較する2つの配列のアライメントをとり(
align)、アライメントがとれた部分の同一残基数を決定し、該同一残基数
を本発明の、あるいはクエリーの、配列中の全残基数で除算し、その結果を10
0倍したものをいう。
【0037】 公開され入手可能なコンピューターアルゴリズムを使用して、ポリヌクレオチ
ドおよびポリペプチド配列のアライメントをとることができ、特定の領域のヌク
レオチドの同一性の百分率を別のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に対
して決定することができる。ポリヌクレオチド配列のアライメントおよび類似性
同定のための2つの代表的なアルゴリズムは、BLASTNおよびFASTAア
ルゴリズムである。ポリペプチド配列の類似性は、BLASTPおよびFAST
Xアルゴリズムを使用して調べることができる。前記BLASTNおよびBLA
STPの両方のプログラムは、NCBIの匿名FTPサーバー(ftp://n
cbi.nlm.nih.gov)上の/blast/executables
/で入手可能である。説明書に記載され、前記アルゴリズムとともに配布された
、デフォルトのパラメーター値に設定したBLASTNアルゴリズムバージョン
2.0.6(1998年9月16日)を、本発明による変異体の決定に用いるの
が好ましい。BLASTN、BLASTPおよびBLASTXを含むBLAST
ファミリーのアルゴリズムの使用法は、NCBIのウェッブサイトのURL(h
ttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/new
blast.html)と、Altschul、Stephen Fらによる「
Gapped BLAST and PSI−BLAST: a new ge
neration of protein database search
programs(ギャップ入りのBLASTおよびPSI−BLAST:新世
代のタンパク質データベース検索プログラム)」、Nucleic Acids
Res.、25巻、3389−3402頁、1997年という刊行物とに記載
されている。コンピューターアルゴリズムのFASTAは、インターネット上の
ftpサイトftp://ftp.virginia.edu/pub/fas
ta/で入手可能である。説明書に記載され、プログラムとともに配布されたデ
フォルトのパラメーター値に設定した、FASTAおよびFASTXアルゴリズ
ムのバージョン3.1t11(1998年8月)を、本発明による変異体の決定
に用いることができる。FASTAアルゴリズムの使用法は、例えば、Pear
son WRおよびLipman DJ、Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA、85巻、2444−2448頁、1988年と、Pearson
WR、Methods in Enzymol.、183巻、63−98頁、1
990年とに記載されている。FASTXアルゴリズムの使用法は、例えば、P
earson WRら、Genomics、46巻、24−36頁、1997年
に記載されている。
【0038】 以下のランニングパラメーターを、ポリヌクレオチド配列の以下に説明するE
値(E values)および同一性の百分率に寄与する、BLASTNを使う
アライメントおよび類似性の決定に用いるのが好ましい。Unix(登録商標)
のランニングコマンド:blastall −p blastn −d emb
ldb −e 10 −G 0 −E 0 −r 1 −v 30 −b 30
−i queryseq −o results」で、パラメーターの初期設
定値は以下のとおりである:−p プログラムの名称[文字列];−d デ
ータベース [文字列];−e 期待値 (E)[実数];−G ギャップ
を空けるためのコスト (ゼロはデフォルトの行動を呼び起こす) [整数];
−E ギャップを拡張するためのコスト (ゼロはデフォルトの行動を呼び起
こす) [整数];−r ヌクレオチドの適合の報酬 (blastnのみ)
[整数];−v 1行説明(one−line descriptions
)の数 (V) [整数];−b 表示するアライメントの数 (B) [整
数];−i クェリーファイル [File In(入力ファイル)];−o
BLASTレポートアウトプットファイル [File Out(出力ファ
イル)] 任意。BLASTPについては、以下のランニングパラメーターが好
ましい:blastall −p blastp −d swissprotd
b −e 10 G0E 0 −v 30 −b 30 −i queryse
q −o results;−p プログラムの名称 [文字列];−d
データベース [文字列];−e 期待値 (E) [実数];−G ギャ
ップを空けるためのコスト (ゼロはデフォルトの行動を呼び起こす) [整数
];−E ギャップを拡張するためのコスト (ゼロはデフォルトの行動を呼
び起こす) [整数];−r ヌクレオチドの適合の報酬 (blastnの
み) [整数];−v 1行説明の数 (V) [整数];−b 表示する
アライメントの数 (B) [整数]; −i クェリーファイル [Fil
e In];−o BLASTレポートアウトプットファイル [File
Out] 任意。
【0039】 FASTXを用いるアライメントおよび類似性の決定のためには、UNIX(
登録商標)のコマンド:fastx −E 10 −b 30 −H quer
yseq > outputが好ましい一方、FASTAについては、UNIX
(登録商標)コマンド:fasta −E 2 −b 30 −H −n qu
eryseq > outputが好ましい。
【0040】 BLASTN、BLASTP、FASTA、FASTXまたは同様のアルゴリ
ズムにより作成された、クエリー配列による1以上のデータベース配列への「ヒ
ット」は、配列の類似部分のアライメントをとって同定される。前記のヒットは
、類似性の程度と重複する配列の長さの順に並べられる。データベース配列への
ヒットは、前記クエリー配列の配列長の一部としか重複しないことを意味するの
が一般的である。
【0041】 アルゴリズムBLASTNおよびFASTAは、アライメントの「E値(期待
値)」をも算出する。E値は、一定の規模のデータベースを検索したときに偶然
一定数の隣接した配列にわたって発見が「期待」できるヒットの数を示す。E値
は、好ましいEMBLデータベースのようなデータベースへのヒットが真の類似
性を表すかどうかを決定するための、有意性の閾値として用いられる。例えば、
あるヒットに付与されたE値が0.1であることは、EMBLデータベースの規
模のデータベースにおいて、同様のスコアの配列のアライメントをとった部分に
わたって、偶然0.1回適合することが期待できると解釈される。この判定基準
により、前記ポリヌクレオチド配列のアライメントがとれて適合した部分は、9
0%が同一である確率を有することになる。アライメントがとれて適合した部分
にわたって0.01以下のE値を有する配列については、アルゴリズムBLAS
TNまたはFASTAを用いてEMBLデータベースで偶然適合するものを見つ
ける確率は、1%以下である。
【0042】 1の実施態様によると、本発明のポリヌクレオチドのそれぞれに関して、「変
異体(variant)」のポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドの
それぞれよりも核酸の数が同じか少ない配列で、かつ、本発明のポリヌクレオチ
ドと比べて0.01未満のE値となる配列を含むのが好ましい。すなわち、変異
体ポリヌクレオチドとは、デフォルトのパラメーターでBLASTNまたはFA
STAアルゴリズムを用いてE値が0.01以下と計測され、本発明のポリヌク
レオチドと同一である確率が少なくとも99%である、いかなる配列をもいう。
好ましい実施態様に従うと、変異体ポリヌクレオチドとは、デフォルトのパラメ
ーターに設定されたBLASTNまたはFASTAアルゴリズムを用いてE値が
0.01以下であると評価され、本発明のポリヌクレオチドと同一である確率が
少なくとも99%である、本発明のポリヌクレオチドのそれぞれよりも核酸の数
が同じか少ない配列をいう。
【0043】 ある種の実施態様では、変異体ポリヌクレオチド配列は、列挙されたポリヌク
レオチド配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションをす
る。ここで使用されるところの「ストリンジェントな条件」とは、6X SSC
および0.2% SDSの溶液で前洗浄し、65°C、終夜(overnigh
t)、6X SSCおよび0.2% SDSの溶液中で雑種形成させ、その後6
5°C、1X SSCおよび0.1% SDSで各30分ずつ2回洗浄し、65
°C、0.2X SSCおよび0.1% SDSで各30分ずつ2回洗浄するこ
とを指す。他の実施態様では、列挙されたポリヌクレオチドおよび/またはポリ
ペプチドの変異体はマイコバクテリウム属の種の細菌から単離されるものであっ
てもよい。ある種の好ましい実施態様では、列挙されたポリペプチドの変異体は
、例えば、以下に詳細に説明するように測定される、細胞増殖および/またはヒ
トPBMCにおけるサイトカインまたはインターフェロン−γの産生を刺激する
能力によって決定される前記列挙されたポリペプチドと同様の活性を有する。
【0044】 本発明のポリペプチドは、翻訳されると同時か(cotranslation
ally)または翻訳された後かにタンパク質の移送を指示するシグナル(また
はリーダー)配列にタンパク質のN末端で結合されていてもよい。前記ポリペプ
チドは、(例えばポリ−ヒスチジンのように)前記ポリペプチドの合成、精製ま
たは同定を容易にするために、あるいは固相支持体への前記ポリペプチドの結合
を促進するために、リンカーその他の配列と結合されることもある。例えば、ポ
リペプチドは免疫グロブリンのFc領域と結合されることもある。
【0045】 ここで用いられるところの「x量体」という用語は、「x」の特定の値に関し
て、配列番号5−21として同定されたポリヌクレオチドの、少なくとも特定さ
れた数(x)の連続した残基を含む配列を指す。好ましい実施態様によると、x
の値は、特定の配列に応じて約20から約600までである。
【0046】 本発明のポリヌクレオチドは、配列番号5−21として同定されたポリヌクレ
オチド配列とかかる配列の変異体とのうちのいずれかの、少なくとも特定の数の
連続した残基を含むポリヌクレオチド(x量体)を含むポリヌクレオチドを含む
。好ましい実施態様によると、xの値は、少なくとも20が好ましく、少なくと
も40がより好ましく、少なくとも60がさらに好ましく、少なくとも80が最
も好ましい。よって、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号5−21として同
定されたポリヌクレオチドと、配列番号5−21として同定されたポリヌクレオ
チドの1つの変異体との、20量体、40量体、60量体、80量体、100量
体、120量体、150量体、180量体、220量体、250量体、300量
体、400量体、500量体または600量体を含むポリヌクレオチドを含む。
【0047】 一般に、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、さまざまな手順の
うちのどれを使って調製してもよい。例えば、ポリペプチドは、該ポリペプチド
をエンコードするポリヌクレオチドを発現ベクターに挿入して、前記ポリペプチ
ドを適当な宿主で発現させることによって、組み換え法により生産してもよい。
本発明の技術分野の通常の技量を有する者に知られたさまざまな発現ベクターの
うちいずれを用いてもかまわない。組み換えポリペプチドをエンコードするDN
A分子を含む発現ベクターで形質転換またはトランスフェクションされたいかな
る適当な宿主細胞においても発現は達成できる。適当な宿主細胞には、原核生物
、酵母および高等な真核細胞が含まれる。用いられる宿主細胞は、大腸菌か、昆
虫か、酵母か、COSあるいはCHOのような哺乳類株細胞かであることが好ま
しい。この方法で発現されたDNA配列は、天然に存在する抗原、天然に存在す
る抗原の部分またはこれらのその他の変異体をエンコードできる。
【0048】 本発明のポリヌクレオチドは、実施例1に説明するとおり、バッケー菌のゲノ
ムDNAライブラリをスクリーニングすることにより、単離することができる。
代替策としては、バッケー菌のエピトープをエンコードするポリヌクレオチドは
、単離されたエピトープのアミノ酸配列に由来する縮重したオリゴヌクレオチド
に対してハイブリダイゼーションをするDNA配列について、適当なバッケー菌
のcDNAまたはゲノムDNAライブラリをスクリーニングすることによって得
ることができる。例えば、Sambrookら、Molecular clon
ing:a laboratory manual(分子クローニング:実験室
マニュアル)、CSHL Press、Cold Spring Harbor
、ニューヨーク州、1989年に記載されたとおりに、適当な縮重したオリゴヌ
クレオチドを設計し、合成し、そしてスクリーニングを行うことができる。当業
者に周知の技術を用いて、ゲノムDNAか、cDNAまたはゲノムDNAのライ
ブラリかから核酸プローブを単離するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
を用いることができる。
【0049】 調製方法の如何によらず、ここで記載するエピトープには、免疫原性反応を誘
発する能力がある。より具体的には、上記のとおり、エピトープには、マイコバ
クテリウム属の細菌に免疫がある個体に由来するT細胞、NK細胞、B細胞また
はマクロファージにおいて、細胞増殖および/またはサイトカインの産生(例え
ば、インターフェロン−γおよび/またはインターロイキン−12の産生)を誘
導する能力がある。
【0050】 あるエピトープに対する免疫原性反応を評価するのに用いる細胞タイプの選択
は所望の反応に依存する。例えば、インターロイキン−12の産生は、マイコバ
クテリウム属の細菌に免疫がある個体に由来し、当業者に周知の方法を用いて調
製された、T細胞、NK細胞、B細胞および/またはマクロファージを含む調製
物を用いると、最も容易に評価される。例えば、末梢血単核細胞(PBMC)の
調製物は、それ以上の構成要素の細胞を分離することなく用いることができる。
PBMCは、例えば、Ficoll(登録商標)(Winthrop Labo
ratories、ニューヨーク州)による密度遠心法を用いて、調製すること
ができる。ここで説明されたアッセイ法に用いるT細胞は、直接PBMCから精
製できる。代替策として、マイコバクテリウム属の細菌のタンパク質に反応する
濃縮されたT細胞株か、個々のマイコバクテリウム属の細菌のタンパク質に反応
するT細胞クローンかを用いてもよい。かかるT細胞クローンは、例えば、マイ
コバクテリウム属の細菌に免疫がある個体由来のPBMCをマイコバクテリウム
属の細菌のタンパク質と2−4週間培養することによって、作製することができ
る。これにより、マイコバクテリウム属の細菌のタンパク質に特異的なT細胞の
みを増殖することが可能となり、かかる細胞のみからなる株細胞ができる。これ
らの細胞は、その後にクローニングして、当業者に周知の方法を用いて、個々の
T細胞の特異性をより正確に定義するために、個々のタンパク質について試験す
ることもある。T細胞、NK細胞、B細胞またはマクロファージにおける細胞増
殖またはサイトカイン産生についてのアッセイ法は、例えば、以下に説明する手
順を用いて実行してもよい。
【0051】 本発明の免疫原性エピトープ、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド
のうち治療特性が優れたものは、上記のアッセイ法における反応の程度および反
応が見られた個体の百分率に基づいて、区別することができる。さらに、優れた
治療特性を有するエピトープは、マイコバクテリウム属の細菌に免疫がない個体
の約25%以上に由来する細胞における試験管内での細胞増殖またはサイトカイ
ン産生を刺激することはないため、マイコバクテリウム属の細菌に反応する細胞
に特異的ではない反応を除くことができる。したがって、マイコバクテリウム属
の細菌に免疫がある個体由来のT細胞、NK細胞、B細胞またはマクロファージ
の調製物において高い割合で反応を誘発する(他の個体由来の細胞調製物におい
て反応の発生率が低い)抗原は、とりわけ優れた治療特性がある。
【0052】 優れた治療特性があるエピトープは、ワクチンとして投与されたときに、実験
動物における結核菌その他のマイコバクテリウム属の細菌感染の程度を軽減する
能力に基づいて同定してもよい。実験動物において使用するための適当なワクチ
ン調製物は以下に詳細に説明する。
【0053】 本発明のポリペプチドの部分その他の変異体は、人工合成法または組み換え法
により作成してもよい。約100個未満のアミノ酸であって、一般には約50個
未満のアミノ酸を有する合成ポリペプチドは、本発明の技術分野の通常の技量を
有する者に周知の技術を用いて作成できる。例えば、かかるポリペプチドは、ア
ミノ酸が次々に伸長中のアミノ酸鎖に付加されていくMerrifield固相
合成法のような、商業的に利用可能ないずれかの固相技術を用いて合成すること
が可能である。Merrifield、J.Am.Chem.Soc.、85巻
、2149−2146頁、1963年を参照せよ。ポリペプチド自動合成装置は
、Perkin Elmer/Applied BioSystems、Inc
.(Foster City、カリフォルニア州)のような供給者から商業的に
入手可能であり、製造者の指示書に従って操作することができる。天然のエピト
ープの変異体は、オリゴヌクレオチド指令型(oligonucleotide
−directed)部位特異的突然変異生成のような標準的な突然変異生成技
術を用いて調製される。DNA配列のセクションは、トランケートされた(tr
uncated)ポリペプチドの調製を可能にするために、標準的な技術を用い
て切除される。
【0054】 本発明は、第1および第2の本発明のポリペプチドを含む融合タンパク質か、
あるいは代替策として、本発明のポリペプチドとAndersenおよびHan
sen、Infect.Immun.、57巻、2481−2488頁、198
9年に記載された38kDa抗原のような既知の結核菌の抗原とを含む融合タン
パク質かを、かかる融合タンパク質の変異体とともに提供する。関連する局面で
は、第1および第2の本発明のポリヌクレオチドを含むDNAコンストラクトも
提供される。本発明の複数のエピトープを含むコンストラクトの調製と、対応す
る組み換え蛋白質の発現とは、以下の実施例4に詳細に示されている。一般に、
本発明の融合タンパク質をエンコードするポリヌクレオチドは、第1および第2
のポリペプチドをエンコードする別々のDNA配列を適当な発現ベクターに組み
込むために、既知の組み換えDNA技術を用いて構築される。第1のポリペプチ
ドをエンコードするDNA配列の3’末端を、ペプチドリンカーを用いて、ある
いは用いずに、第2のポリペプチドをエンコードするDNA配列の5’末端に連
結して、これら2つのDNA配列のmRNAの翻訳物が前記第1および第2のポ
リペプチドの両方の生物活性を保持する単一の融合タンパク質になるように、読
み枠をそろえる。
【0055】 第1および第2のポリペプチドを分離して、それぞれのポリペプチドが固有の
二次構造および三次構造をとってフォールディングすることを確保するのに十分
な間隔を空けるために、ペプチドリンカー配列を用いてもよい。かかるペプチド
リンカー配列は、当業者に周知の標準的な技術を用いて融合タンパク質に取り込
まれる。適当なペプチドリンカー配列は、(1)屈曲可能な細長いコンフォメー
ションをとることができること、(2)第1および第2のポリペプチド上の機能
的なエピトープと相互作用しうる二次構造をとることができないこと、(3)こ
れらのポリペプチドの機能的なエピトープと反応しうる疎水性または荷電した残
基がないことという要因に基づいて選ぶことができる。好ましいペプチドリンカ
ー配列には、グリシン、アスパラギンおよびセリン残基が含まれる。スレオニン
およびアラニンのような他の中性に近いアミノ酸も、リンカー配列に用いること
ができる。リンカーとして有効に用いることができるアミノ酸配列には、Mar
ateaら、Gene、40巻、39−46頁、1985年と、Murphyら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、83巻、8258−826
2、1986と、米国特許第4,935,233号明細書と、米国特許第4,7
51,180号明細書とに開示されたものが含まれる。リンカー配列は、1から
約50個までの長さのアミノ酸であってもよい。第1および第2のポリペプチド
が、機能的なドメインを隔てて立体障害を防ぐのに用いることのできる非本質的
なN末端アミノ酸領域を有するときには、ペプチドリンカー配列は必要でない。
融合されたタンパク質をエンコードする連結されたDNA配列は、本発明の技術
分野の通常の技量を有する者に知られた技術を用いて適当な発現システムにクロ
ーニングされる。
【0056】 別の局面では、本発明は、1以上の本発明のポリペプチドまたは融合タンパク
質(あるいはかかるポリペプチドまたは融合タンパク質をエンコードするポリヌ
クレオチド)を用いて、結核のような疾患に対する保護免疫を患者に誘導するた
めの方法を提供する。ここで用いられる「患者」とは、いかなる温血動物をも指
し、好ましくはヒトを指す。患者は、疾病に苦しんでいても、あるいは検出可能
な疾病または感染がなくてもよい。換言すると、保護免疫は疾患を予防または治
療するために誘導されるものであってもよい。
【0057】 関連する局面では、本発明のバッケー菌のポリヌクレオチドおよびポリペプチ
ドは、T細胞およびNK細胞を活性化するため、ヒトPBMCにおけるサイトカ
イン(特にTh1クラスのサイトカイン)の産生を刺激するため、抗エピトープ
抗体を産生するためおよび/または長期記憶細胞を誘導するために用いられる。
【0058】 かかる方法に用いるためには、ポリペプチド、融合タンパク質またはポリヌク
レオチドは、医薬品組成物またはワクチンの中に存在しているのが一般的である
。医薬品組成物には、1以上のポリペプチドが含まれ、そのそれぞれには1以上
の上記の配列(あるいはその変異体)と、生理的に受け入れられる担体とが含ま
れる。ワクチンは、1以上の上記のポリペプチドと、その中に前記ポリペプチド
が取り込まれるアジュバントまたはリポソームのような免疫賦活剤とを含む。か
かる医薬品組成物およびワクチンは、融合タンパク質に取り込まれるか、あるい
は別個のポリペプチドの中に存在するかしている、他のマイコバクテリウム属の
細菌の抗原を含むものであってもよい。
【0059】 代替策としては、本発明のワクチンは、ポリペプチドが局部で(in sit
u)生成するように、上記の1以上のポリペプチドをエンコードするポリヌクレ
オチドを含むものであってもよい。かかるワクチンにおいては、ポリヌクレオチ
ドは、核酸発現システム、細菌およびウイルスの発現システムを含む本発明の技
術分野の通常の技量を有する者に知られたさまざまな送達システムのいずれかに
存在していてもよい。適当な核酸発現システムには、(適当なプロモーターおよ
びターミネーターのシグナルのような)患者において発現させるために必要なD
NA/RNA配列が含まれる。細菌による送達システムには、その細胞表面上に
ポリペプチドの免疫原性のあるエピトープを発現する(カルメット−ゲラン菌の
ような)細菌を投与することを伴う。好ましい実施態様では、このDNAおよび
/またはRNAは、ウイルスの発現システム(例えば、ワクシニアその他のポッ
クスウイルス、レトロウイルスまたはアデノウイルス)を用いて導入してもよい
が、このウイルスによる送達システムは、非病原性または欠損のある、複製可能
なウイルスを用いることを伴うこともある。かかる発現システムにDNAおよび
/またはRNAを取り込むための技術は当業者に周知である。DNAは、例えば
Ulmerら、Science、259巻、1745−1749、1993年に
記載され、Cohen、Science、259巻、1691−1692頁、1
993年によって総説されるとおり、「裸」であってもよい。裸のDNAの取り
込みは、該DNAを生分解性ビーズ上にコーティングすることにより増大するこ
ともあるが、前記生分解性ビーズは細胞内に効率的に輸送される。DNAおよび
/またはRNAを含むポリヌクレオチド配列の投与方法には、米国特許第5,5
80,859号明細書および米国特許第5,589,466号明細書に開示され
たものが含まれる。
【0060】 上記のポリヌクレオチドワクチンは、本発明のポリペプチドか、上記の38k
Da抗原のような既知のマイコバクテリウム属の細菌の抗原かのいずれかと同時
に、あるいは連続的に(sequentially)、投与してもよい。例えば
、ワクチンの保護免疫効果を増強するために、本発明のポリペプチドをエンコー
ドするDNAの投与の後に、抗原を投与してもよい。
【0061】 投薬の経路および頻度は、投与量と同様に、個体ごとに異なり、現行のウシ型結
核菌BCGを用いる免疫に使用されるものと平行することもある。一般に、医薬
品組成物およびワクチンは、注射により(例えば、皮内、筋注、静注または皮下
)、経鼻的に(例えば、吸入)、皮上的に(epicutaneously、皮
膚の上に局部的に適用する)または経口的に投与してもよい。1回から3回まで
の間の投与回数を1ないし36週間の期間内に投与してもよい。3ないし4箇月
の間隔で3回投与して、その後定期的にブースターの接種を行うのが好ましい。
代替となるプロトコールが個々の患者については適切なこともある。適当な投与
量は、上記のとおり投与したときに少なくとも1ないし2年間マイコバクテリウ
ム属の細菌感染から患者を保護するのに十分な免疫反応を患者に起こしうるポリ
ペプチドまたはポリヌクレオチドの量である。一回の投与に含まれる(あるいは
一回の投与のポリヌクレオチドによって局部で産生される)ポリペプチドの量は
、宿主の体重1kgあたり約1pgから約100mgの範囲が一般的であり、約
10pgから約1mgの範囲が典型的であり、約100pgから約1μgの範囲
が好ましい。適当な投与サイズは患者のサイズによって異なるが、約0.1ml
から約5mlまでの範囲が典型的である。
【0062】 本発明の技術分野の通常の技量を有する者に知られたいかなる適当な担体でも
本発明の医薬品組成物に用いることができるが、担体のタイプは投与方法に応じ
て異なる。皮下注射のような非経口的投与には、担体は、水、生理食塩水、アル
コール、脂肪、ワックスまたは緩衝液を含むのが好ましい。経口投与には、上記
のいずれかの担体か、マニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネ
シウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース
および炭酸マグネシウムのような固形担体かを用いてもよい。(例えばポリ酪酸
ガラクチドのような)生分解性ミクロスフェアを本発明の医薬品組成物に用いて
もよい。適当な生分解性ミクロスフェアは、例えば米国特許第4,897,26
8号明細書および米国特許第5,075,109号明細書に開示されている。
【0063】 さまざまなアジュバントのいずれかを本発明の組成物に用いて、免疫反応を増
強することができる。大抵のアジュバントには、水酸化アルミニウムか鉱物油か
のような、迅速な異化作用から抗原を保護するために設計された物質と、リピド
Aか百日咳菌か結核菌か以下に説明するバッケー菌かのような、免疫反応の非特
異的賦活剤とが含まれる。適当なアジュバントは、例えばフロイント不完全アジ
ュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laborator
ies、Detroit、ミシガン州)と、メルクアジュバント65(Merc
k and Company、Inc.、Rahway、ニュージャージー州)
とのように、商業的に入手可能である。他の適当なアジュバントには、ミョウバ
ン、生分解性ミクロスフェア、リピドAモノリン酸およびQuil Aが含まれ
る。
【0064】 以下の実施例は例示の目的で提供されるのであって、限定が目的ではない。
【0065】
【実施例】
実施例1 免疫原性のあるバッケー菌のエピトープのクローニングおよび選択 バッケー菌(ATCC番号第15483号)はメディウム90(2.5g/l
酵母エキス、5g/l トリプトン、1g/l グルコース)培地中37°C
で培養された。ゲノムDNAはこれらの細胞から標準的なプロトコールに従って
単離し、制限エンドヌクレアーゼSau3Aで、約0.25kbのDNA断片が
生成される条件下で消化した。断片は、QIAquick PCR クリーン・
アップ・システム(Qiagen、Venlo、オランダ)を用いて精製した。
【0066】 これらのクローニングされたバッケー菌DNAを3つの異なる読み枠で発現さ
せるために、pcDNA3発現ベクター(Invitrogen、Carlsb
ad、カリフォルニア州)を、3つの異なる3’プライマーで増幅した(組み換
えタンパク質の分泌を容易にするための)ヒト成長ホルモンのシグナルペプチド
を挿入することにより改変した。これらのプライマーにより、発現されたポリペ
プチドの読み枠をずらすために、1個または2個の余分な塩基対をPCR産物に
挿入することが可能になった。前記プライマーは、AD105(ヒト成長ホルモ
ン5’プライマー、配列番号1)と、3つのヒト成長ホルモン(hGH)3’プ
ライマーであるAD106、AD107およびAD108(それぞれ配列番号2
−4)とであった。これらのPCR断片から、リーダー配列の切断部位の下流の
hGH配列の大半が、制限エンドヌクレアーゼBsgIIでの消化により除去さ
れた。このhGHのPCR断片は、制限エンドヌクレアーゼHindIIIおよ
びBamHIで消化した後、pcDNA3発現ベクターにクローニングされた。
挿入された断片のヌクレオチド配列は配列番号5−7に与えられ、対応するアミ
ノ酸配列は配列番号61−63にそれぞれ提供される。3つの発現ライブラリ(
前記3つの読み枠のそれぞれについて1つずつ)は、上記のとおり調製した0.
25kbのバッケー菌のPCR断片を、pcDNA3/ヒト成長ホルモンキメラ
ベクター(pcDNA3−1’、pcDNA3−2’およびpcDNA3−3’
)のBamHIクローン化部位にクローニングすることにより構築した。レプリ
カをリフトするためのマスター・プレートは、前記ライブラリのコンストラクト
で形質転換された細菌のコロニーからなり、保存された。これらのコロニーから
調製されたプラスミドDNAは、40個ないし50個のプラスミドからのDNA
をそれぞれ含む500個のプールに分割された。このDNAはリポフェクタミン
(lipofectamine、BRL Life Technologies
、Gaithersburg、メリーランド州)を用いてCOS7細胞にトラン
スフェクションされ、それぞれのグループの産物の免疫原性は、熱殺菌されたバ
ッケー菌で初回抗原刺激を受けたマウスから得られた脾臓細胞の培養下でのIF
N−γ産生が以下に説明するELISA法によって測定される脾臓細胞アッセイ
法によって決定された。
【0067】 (前記脾臓細胞アッセイ法においてIFN−γ産生を増加させる能力により決
定された)免疫反応を誘発する組み換えポリペプチドをエンコードするプラスミ
ドのプールは、それぞれ10個のプラスミドを含む、より小さなプールに細分さ
れ、これらのプールを再度COS7細胞にトランスフェクションした。これらの
細胞の培養上清は上記の脾臓細胞アッセイ法に供された。
【0068】 3回のスクリーニングの後、熱殺菌されたバッケー菌で免疫したマウスを刺激
してIFN−γを産生させる組み換えポリペプチドをエンコードするプラスミド
は120個同定された。これらのプラスミドでトランスフェクションされたCO
S7細胞の120種の上清は、2つの追加のアッセイ、すなわち、マウスの記憶
アッセイ法およびヒト末梢血単核細胞(PBMC)アッセイ法によりスクリーニ
ングされた。マウスの長期記憶アッセイ法では、マウスに結核菌を半致死量の1
コロニー形成単位(CFU)注射した。4週間後から、前記マウスを結核菌
感染の治療のために4週間抗生物質で処理し、さらに4週間休ませた。2度目の
結核菌生菌注射の4日後、前記プラスミド産物の免疫原性を上記の脾臓細胞アッ
セイ法を用いて測定した。
【0069】 PBMCアッセイ法では、プラスミドでトランスフェクションされたCOS7
細胞の120種の上清は、マイコバクテリウム属の細菌に免疫があるヒトの供血
者由来の末梢血細胞においてT細胞増殖およびIFN−γ産生を誘導する能力に
ついてスクリーニングされた。これらの供血者はPPD(結核菌由来精製タンパ
ク)陽性であることが知られており、彼らのT細胞はPPDに反応して増殖しI
FN−γを産生することが示された。供血者のPBMCおよびCOS7の上清は
、10%(v/v)の同種血清と、ペニシリン(60μg/ml)と、ストレプ
トマイシン(100μg/ml)と、グルタミン(2mM)とを添加したRPM
I1640を含む培地中で培養された。3日後、培養液50μlをそれぞれのウ
ェルから上記のとおりIFN−γレベルを決定するために採取した。プレートは
さらに4日間培養し、その後ウェルあたりトリチウムチミジン1μCiで18時
間パルスし、細胞を回収して、シンチレーションカウンターを用いてトリチウム
の取り込みを測定した。2つのレプリカにおいて、培地のみで培養された細胞で
見られた増殖よりも2倍以上のレベルで増殖を刺激した上清が陽性とされた。
【0070】 IFN−γは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法を用いて以下の通り
測定された。ELISA法のプレートは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の
1μg/mlの抗体で4時間4°Cでウェルをインキュベーションすることによ
り、ヒトIFN−γに対するマウスモノクローナル抗体(Endogen、Wo
bural、マサチューセッツ州)でコーティングした。ウェルは0.2%のT
ween20を含むPBSで1時間室温でブロックした。プレートはPBS/0
.2% Tween20で4回洗浄して、このELISAプレート中に培養液で
1:2に希釈されたサンプルを室温で終夜インキュベーションした。このプレー
トはさらに洗浄して、PBS中に1μg/mlに希釈されたビオチン化されたポ
リクローナルウサギ抗ヒトIFN−γ血清(Endogen)を各ウェルに添加
した。このプレートを室温で1時間インキュベーションし、洗浄して、西洋ワサ
ビペロキシダーゼ結合アビジンA(Vector Laboratories、
Burlingame、カリフォルニア州)をPBS中に1:4,000倍に希
釈して添加した。さらに室温で1時間インキュベーションした後、プレートを洗
浄して、オルトフェニレンジアミン(OPD)基質を添加した。反応は10分後
に10%(v/v)の塩酸で停止させた。吸光度(OD)は490nmで測定し
た。2つのレプリケートの両方において、培養液のみで培養された細胞からのO
Dの平均値よりも2倍以上のODを示す上清が、陽性とされた。
【0071】 これら2つのアッセイの結果から、免疫原性がある決定基またはエピトープを
含む組み換えポリペプチドをエンコードするプラスミドが59個同定された。こ
れらのエピトープは、マウスおよびヒトで免疫反応を誘発することがわかり、長
期反応を誘導する結核菌の免疫原性のある決定基と交差反応性がある。これらの
プラスミドは、マウスの結核モデルにおいて保護免疫を誘導する能力について、
以下のとおりテストされた。それぞれのプラスミド(DNA100μg)を麻酔
マウスの前脛骨筋に3週間ごとに3回筋注した。9週間後、マウスを結核菌(5
x10CFU)で攻撃した。肺および脾臓からの器官のホモジェネートを第1
2週に調製して、オレイン酸−アルブミン−デキストロース−カタラーゼ(OA
DC)を添加した7H9培地に播いて、それぞれのホモジェネートに存在するC
FUの数を決定した。結果は2週間のインキュベーション期間の後に記録した。
【0072】 上記のプロトコールを用いて、免疫原性のあるエピトープを含むプラスミド8
つが選ばれた。これらのコンストラクトの推定オープン・リーディング・フレー
ム(ORF)を同定した後、ORF部分のみを含むバッケー菌の断片が前記pc
DNA−hGH’にサブクローニングされた。これらのプラスミドは、DNA5
、DNA9、DNA26、DNA27、DNA29、DNA37、DNA44お
よびDNA45と呼ばれた。DNA9には、A、BおよびCと呼ぶ3つのORF
が同定された。オープン・リーディング・フレームBおよびCは逆方向に向いて
いたので放棄した。ORF Aは別個にクローニングされ、得られたプラスミド
をDNA9Aと名付けた。配列が決定されたDNA5、DNA9A、DNA26
、DNA27、DNA29、DNA37、DNA44およびDNA45のインサ
ートのゲノムDNAは、配列番号13−21にそれぞれ示され、対応するORF
の予測アミノ酸配列は配列番号69−77にそれぞれ提供されている。DNA5
およびDNA27のプラスミドのインサートには2以上のエピトープが同定され
た。これらのエピトープはクローニングによって分離されないで、全てのアッセ
イにおいて複数のエピトープとしてテストされた。DNA5のエピトープ1、エ
ピトープ2およびエピトープ3とDNA27のエピトープ1およびエピトープ2
との決定されたゲノムDNA配列は配列番号8−12にそれぞれ示され、対応す
る予測アミノ酸配列は配列番号64−68にそれぞれ提供されている。これらの
決定されたエピトープのDNA配列を、EMBLDNAデータベース中の配列に
対してコンピューターアルゴリズムFASTAを用いて比較した。対応する予測
タンパク質配列(6つの読み枠のそれぞれでタンパク質に翻訳されたDNA)を
、SwissProtデータベース中の配列に対してコンピューターアルゴリズ
ムFASTXを用いて比較した。配列番号8−21に提供されたDNA配列のE
MBLDNAデータベース中の配列に対する(FASTAを用いる)比較と、配
列番号64−77に提供されたアミノ酸配列のSwissProtデータベース
中の配列に対する(FASTXを用いる)比較とは、1999年3月21日に行
われた。
【0073】 (配列番号65、67、70、73、74、76および77にそれぞれ提供さ
れる)DNA5のエピトープ2、DNA27のエピトープ1、DNA9A、DN
A26、DNA27、DNA29、DNA37、DNA44およびDNA45の
予測アミノ酸配列は、SwissProtデータベース中の配列に対してFAS
TXを用いて上記のとおり決定された同一性が50%未満であった。(配列番号
64および66にそれぞれ提供される)DNA5のエピトープ1およびエピトー
プ3の予測アミノ酸配列は、SwissProtデータベース中の配列に対して
FASTXを用いて上記のとおり決定された同一性が75%未満であった。(配
列番号68および71にそれぞれ提供される)DNA27のエピトープ2および
DNA26の予測アミノ酸配列には適合するものがなかった。以下の表1に、本
発明のアミノ酸配列とSwissProtデータベース中の配列との上記のとお
りFASTXを用いた比較の結果を示すが、ここで、「同一残基数」とは、アラ
イメントがとれた部分の中の同一の残基の数を表す。
【0074】
【表1】
【0075】 実施例2 原核および真核細胞における組み換えエピトープの発現 エピトープDNAは細菌および真核生物の細胞でポリペプチドを発現させるた
めのベクターにサブクローニングされた。細菌での発現ベクターは改造したpE
T16ベクター(Novagen、Madison、ウィスコンシン州)であっ
た。DNA9を除く全てのプラスミドからのインサートはプライマーAD136
およびAD133(それぞれ配列番号22および23)を用いて増幅し、ブラン
トエンド・ライゲーションにより、EcoRIで消化してDNAポリメラーゼP
fuI(Stratagene、La Jolla、カリフォルニア州)でエン
ドフィルしたpET16ベクターにクローニングされた。DNA9Aのインサー
トはAD250およびAD251(それぞれ配列番号24および25)で増幅さ
れ、上記のとおりpET16ベクターにクローニングされた。
【0076】 真核細胞においてポリペプチドを発現するためには、前記pcDNA3ベクタ
ー(Invitrogen)をクローン化部位の3’末端にヒスチジンタグを含
むように改造した。これは、2本鎖のオリゴヌクレオチドのAD180/AD1
81をBamHIおよびEcoRIで消化したpcDNA3にクローニングする
ことによりなされた。オリゴヌクレオチドAD180およびAD181の配列は
配列番号26および27にそれぞれ示されている。プラスミドのインサートは、
pcDNA3−hGH’コンストラクトをDNAの鋳型として、hGH特異的な
N末端5’プライマーのAD134(配列番号28)とエピトープ特異的な3’
末端プライマーとにより増幅された。エピトープ特異的な3’プライマーのAD
151(DNA5)、AD153(DNA26)、AD154(DNA27)、
AD155(DNA29)、AD158(DNA42)、AD159(DNA4
4)、AD160(DNA45)、AD167(DNA37)およびAD182
(DNA9)の配列は、配列番号29−37にそれぞれ掲げられている。
【0077】 このベクターは、前記hGHリーダー配列と発現された配列との間の余分な配
列(42ヌクレオチド)を除去するために更に改造され、このコンストラクトの
前記hGH’配列がリーダー配列とhGH配列の最初の5個のN末端のアミノ酸
だけに削減された。このpcDNA3−hGH3’コンストラクトをDNAの鋳
型として用いて、短縮された融合のパートナーがAD105(配列番号1)およ
びAD222(配列番号38)のプライマーを用いたPCRで増幅された。pc
DNA−HisへのクローニングはHindIIIおよびBamHI部位で行い
、得られたコンストラクトをpcDNA3−hGHls/Hisと名付けた。p
cDNA3−hGHls/HisにクローニングされたhGH融合のパートナー
の決定されたDNA配列は配列番号39に示され、対応するアミノ酸配列は配列
番号78に示されている。DNA9A由来のインサートからなるコンストラクト
は、AD223およびAD226(それぞれ配列番号40および41)のプライ
マーを用いてPCR増幅により調製された。
【0078】 実施例3 組み換えエピトープコンストラクトの免疫原性 この実施例は、8つの選択された組み換えエピトープについて、DNAか組み
換えポリペプチドかのいずれかの形状で行われた免疫原性の研究の結果を記載す
る。
【0079】 A 増殖およびインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)の試験管内での分泌
のためのヒト末梢血単核細胞(PBMC)の刺激 pET16細菌発現システムにより発現された組み換えエピトープ(1および
10μg)は、ヒトPBMCと37°Cで培養された。48時間後、IFN−γ
分泌は、標準的な手順に従って、酵素結合免疫アッセイ法(ELISA)法によ
り測定された。並行する培養をトリチウムチミジンでパルス標識して、DNA合
成がPBMC増殖を評価するために用いられた。比較のために、細胞は、結核菌
由来精製ツベルクリンタンパク(PPD)と、陰性のコントロールとしてのPB
Sとともに培養された。
【0080】 表2に示すとおり、全ての組み換えエピトープには、少なくとも一部のPBM
CのサンプルにおいてIFN−γ産生を刺激する能力がある。テストした12人
分のPBMCのサンプルのうち、10人分は精製ツベルクリンタンパク陽性、す
なわちこれらのサンプルからのPBMCは精製ツベルクリンタンパクとともに培
養するとIFN−γを産生したが、2人分は精製ツベルクリンタンパク陰性であ
った。PBMC反応は、産生されたIFN−γの量がPBSのコントロールのサ
ンプルで産生されたIFN−γより少なくとも3倍多いとき陽性とされた。(D
NA5に対応する)組み換えエピトープ5と(DNA44に対応する)組み換え
エピトープ44とは、前記PPDサンプルの100%でIFN−γ産生を刺激
した。(DNA27に対応する)組み換えエピトープ27は、PPDサンプル
の80%でIFN−γ産生を刺激した。(DNA26およびDNA37にそれぞ
れ対応する)組み換えエピトープ26および37はPPDサンプルの70%に
おいてIFN−γ産生を刺激したが、(DNA45に対応する)エピトープ45
はPBMCサンプルのPPDの20%を刺激した。PPDサンプル由来のP
BMCは前記組み換えエピトープのいずれにも有意に反応しなかった。このこと
は、これらのエピトープがヒトにおいて免疫原性があり、マイコバクテリウム属
の細菌に以前に曝露された供血者由来のサンプルに免疫学的な記憶を想起させる
反応の引き金を引くことを証明している。
【0081】 組み換えエピトープによるヒトPBMCでのIFN−γ産生の刺激
【表2】 結果はIFN−γの量をng/mlの単位で表した。
【0082】 ヒトにおけるエピトープの免疫原性は、さらにPPDおよび組み換えエピトー
プに対するヒトPBMCサンプルの増殖反応によって証明された。組み換えエピ
トープがPBMCの増殖を刺激する能力は刺激指数として表された。培養液のみ
のコントロールで産生されるバックグランドの増殖の平均値より5倍以上高いと
きに、増殖刺激は陽性とされる。表3に示すとおり、全ての組み換えエピトープ
はヒトPBMCサンプルのうち少なくとも一部でPBMCの増殖を刺激する能力
があることがわかった。組み換えエピトープ26および27はサンプルの92%
でPBMCの増殖を刺激したが、組み換えエピトープ5、37および44はサン
プルの83%で増殖を刺激した。エピトープ45はサンプルの17%でPBMC
の増殖を刺激した。PPDによるPBMCの刺激は83%であった。
【0083】 PBMC増殖の刺激
【表3】 ヒトPBMC増殖の結果は増殖指数で表される。
【0084】 B DNAエピトープでのマウスの免疫 pcDNA−hGH’/HisまたはpcDNA3−hGHls/Hisのコ
ンストラクト中の組み換えエピトープの8つをエンコードするDNAの注射後に
、BALB/cByJマウスにその後の結核菌感染に対する保護免疫が誘導され
た。
【0085】 保護免疫の誘導は、免疫されないコントロールのマウスからのCFUの平均値
と比較した肺ホモジェネート中のCFUの平均して0.5logの減少がその後
の結核菌感染後に観察されたとき、陽性とされた。インサートなしのプラスミド
がコントロールとして用いられた。エピトープのDNA免疫後のCFUの減少は
、ウシ型結核菌のBCGの既知の免疫原性とも比較された。結果は、テストした
全てのマウスにおいてCFUの減少を示し、組み換えエピトープDNAにより保
護免疫が誘導されたことを示唆した。グループのうち6つでは、CFUの減少は
50%以上であり、グループのうち3つでは、減少はウシ型結核菌BCGの注射
により誘導される減少と比肩できるものであった。
【0086】 pcDNA−hGH’/HisおよびpcDNA3−hGHls/Hisのコ
ンストラクト8つを用いた遺伝子免疫により誘導されたマウスにおける保護免疫
【表4】
【0087】 pcDNA−hGH’/HisおよびpcDNA3−hGHls/Hisのコ
ンストラクト8つを用いた遺伝子免疫による、細胞障害Tリンパ球(CTL)と
、サイトカイン(IFN−γ、IL−4、IL−6およびIL−10)と、増殖
および抗体反応との誘導は、以下のとおり評価した。
【0088】 CTLアッセイ: DNA免疫されたBALB/cByJマウスの脾臓細胞における細胞溶解(C
TL)活性は、MHCハプロタイプが適合する標的細胞であるBALB−3T3
(ATCC番号CRL−163、American Type Culture
Collection、Manassas、バージニア州)を用いた標準的な
2段階の手順に従って測定された。標的細胞は、BALB/3T3細胞に8つの
pcDNA−hGH’/HisまたはpcDNA3−hGHls/Hisのエピ
トープDNAコンストラクトをトランスフェクションすることにより調製された
。安定にトランスフェクションされた細胞株はジェネティシン選択(G418、
BRL Life Technologies)により作製され、単一細胞は限
界希釈法により単離された。エピトープを発現するクローンはプライマーAD1
05およびAD181(それぞれ配列番号1および27)を用いるRT−PCR
により選択された。DNA免疫されたマウスの脾臓細胞は、適合するエピトープ
のDNAをトランスフェクションし、マイトマイシン処理したBALB/3T3
細胞の存在下で、10%FCSを添加したcDMEM中で培養して、試験管内で
細胞障害T細胞を再刺激した。培養は10%COの下、37°Cで6日間イン
キュベーションした。細胞溶解活性は、それぞれの刺激された細胞培養の一部を
、DNAが適合する51Crでパルス標識した標的細胞と共存培養して、細胞培
養上清中への51Crの放出を測定することにより監視した。表5に示すとおり
、特異的なCTL活性は、テストしたDNAコンストラクトのうち4つで免疫さ
れたマウスの脾臓において検出された。
【0089】 サイトカインおよび増殖反応: DNA免疫されたBALB/cByJマウス由来の脾臓細胞のサイトカイン産
生および増殖反応は、組み換えエピトープで試験管内で再刺激した後評価した。
サイトカインおよび増殖反応は、それぞれ上記のELISA法およびトリチウム
H)チミジンパルス標識法により測定された。表5に示すとおり、テストし
た6つのグループ由来の脾臓細胞はTh1サイトカインのIFN−γを産生した
。Th2サイトカイン(例えばIL−4、IL−6およびIL−10)は刺激さ
れた細胞の上清には検出されなかった。増殖反応は弱く、免疫したグループのう
ち2つに由来した脾臓細胞にだけ検出された。
【0090】 抗体反応 3匹のDNA免疫されたBALB/cByJマウス由来の血液サンプルを最後
のDNA注射の2週間後に採取し、標準的な手順に従って血清を調製した。抗エ
ピトープ抗体の存在はELISA法によって決定した。マイクロタイタープレー
トのウェルを組み換えエピトープ500ngでコーティングした。抗体力価は前
記ウェルに血清の系列希釈を添加することによって測定した。結合した抗体は上
記のELISA法の手順に従って検出した。表5に示すとおり、抗エピトープ抗
体は、テストした血液サンプルの2つで検出された。ELISA法のアッセイは
、標準的なプロトコールを用いて、前記抗体がIgG1またはIgG2aのどち
らのサブクラスに属するかを決定するためにも行った。その結果、前記抗体はI
gG2aサブクラスに属することが明らかとなったが、このサブクラスはTh1
抗体反応に特徴的なものである。
【0091】 表5に要約されたデータは、エピトープDNAでの免疫がマウスに免疫反応を
誘導することを示す。さらに、前記DNA免疫されたマウスで検出された細胞性
および液性の反応から、Th1反応が起こったことが証明された。
【0092】 8つのpcDNA−hGH’/HisまたはpcDNA3−hGHls/Hi
sで遺伝子的に免疫することによりマウスに誘導された細胞障害リンパ球誘導、
サイトカイン反応、増殖とおよび抗体産生
【表5】 示されたデータは、マウス3匹の脾臓細胞からの溶解の百分率の平均値である
。コントロールの細胞の非特異的な溶解は差し引いた。** 示されたデータはマウス3匹からの脾臓細胞の培養のトリプリケートから得
られたIFN−γのng/ml単位の平均値である。コントロールの細胞が産生
するバックグランドのIFN−γは5−7ng/mlであった。*** NTはテストしなかったことをいう。
【0093】 実施例4 バッケー菌のマルチ・エピトープ・コンストラクトのためのクローニング戦略 実施例4において検定された8つのエピトープは、マルチ・エピトープ・コン
ストラクトになるように組み立てられた。具体的には、DNAはBglII部位
を5’拡張配列に、BamHI部位を3’拡張配列に含むプライマーで増幅され
、順次pcDNA3−hGHls/HisのBamHI部位にクローニングされ
た。プライマーは、AD223、AD226、AD229、AD230、AD2
31、AD232、AD233、AD234、AD235、AD236、AD2
56、AD258、AD259、AD260、AD261およびAD262(そ
れぞれ配列番号40−55)であった。
【0094】 プラスミドDNA9Aのインサートが、最初にpcDNA3−hGHls/H
isのBamHI部位にクローニングされた。前記ベクターのBamHI部位は
クローニングの結合部分の3’末端のみが再生され、他の全てのインサートは、
DNA5を除いて、順次同じ部位にクローニングされた。プラスミドDNA5の
インサートは、最後に、pcDNA3−hGHls/Hisのエンドフィル(e
ndfill)されたBamHI部位をブラントエンド・ライゲーションをする
ことによりクローニングされた。このプロトコールに従って、エピトープのさま
ざまな組合せがpcDNA3−hGHls/Hisベクターにクローニングされ
た。8重の複数エピトープからなる3つのマルチ・エピトープ・コンストラクト
(ME/A、ME/BおよびME/Dという)の決定されたDNA配列は配列番
号56−58にそれぞれ示され、対応する予測アミノ酸配列はそれぞれ配列番号
79−81に示されている。これらのマルチ・エピトープ・コンストラクトのそ
れぞれには、前記の8つのエピトープのそれぞれが、異なる順序で含まれている
【0095】 細菌において複数のエピトープの組み換えタンパク質を発現させるために、プ
ラスミドME/A、ME/BおよびME/Dのインサートは前記改造された発現
ベクターpET16にサブクローニングされた。全ての8重のエピトープDNA
の組合せで、DNA9AおよびDNA5がそれぞれ5’および3’末端にあった
。プラスミドインサートはプライマーAD272およびAD273(それぞれ配
列番号59および60)を用いて増幅され、増幅された断片の精製物は、ブラン
トエンド・ライゲーションにより、EcoRIで消化されDNAポリメラーゼP
fuI(Stratagene)でエンドフィルされたpET16ベクターにク
ローニングされた。組み換えタンパク質は大腸菌宿主細胞を用いて製造者のプロ
トコールに従って発現され、標準的なプロトコールを用いて精製された。
【0096】 実施例5 バッケー菌のマルチ・エピトープ・コンストラクトによるマウスの免疫 本実施例は、DNAか組み換えタンパク質かのいずれかの形状でマルチ・エピ
トープ・コンストラクトを注射した後のBALB/cByJマウスにおける結核
菌の感染に対する保護免疫を示す。
【0097】 BALB/cByJマウスは、異なる処置を受ける6匹ずつ3つのグループに
分けられた。第1グループのマウスは、500μgのウシBCGまたはPBSに
より腹腔内に1回の投与で免疫された。第2グループは、100μgのME/D
のDNAまたは空のベクターのDNAにより前脛骨筋に3週間の間隔を置いて3
回筋注して免疫された。第3グループのマウスは、IFAにした組み換えME/
D50μgまたはIFAにしたコントロールのタンパク質50μgを1回か2回
のいずれか3週間の間隔を置いて腹腔内に免疫した。このコントロールのタンパ
ク質のGV14Bは、マイコバクテリウム属の細菌の伸長因子Gのバッケー菌で
のホモログをエンコードするDNAに由来し、pET16g3に逆方向にクロー
ニングされた自然界に存在しないタンパク質からなる。
【0098】 最後の免疫の3週間後にマウスは結核菌の生菌(5x10CFU)で攻撃さ
れた。さらに3週間後に肺および脾臓の器官のホモジェネートが調製され、オレ
イン酸−アルブミン−デキストロース−カタラーゼ(OADC)を添加した7H
9培地に播いてそれぞれのホモジェネートに存在するCFU数を決定した。結果
は2週間のインキュベーション期間の後に記録された。
【0099】 保護免疫の誘導は、免疫されないコントロールのマウスからのCFUの平均値
と比較して、肺および脾臓のホモジェネートのCFUについて平均で0.5lo
gの減少が結核菌の感染後に観察されたときに、陽性とされた。ME/DのDN
Aまたは組み換えME/Dポリペプチドの免疫後のCFUの減少が、ウシ型結核
菌BCGの既知の免疫原性と比較された。結果(図1)は、組み換えME/Dコ
ンストラクトとともにME/DのDNAで免疫されたマウス由来の肺および脾臓
においてCFUの減少を示している。肺および脾臓の両方のCFUの減少によっ
て証明されたME/DのDNAおよびrME/Dポリペプチドの保護免疫は、単
一エピトープのコンストラクトで免疫後の肺のCFUの減少よりも大きかった(
表4)。
【0100】 実施例6 バッケー菌のマルチ・エピトープ・コンストラクトの免疫原性 本実施例は、DNAか組み換えポリペプチドかのいずれかの形状における3つ
のマルチ・エピトープ・コンストラクトについて行われた免疫原性の研究の結果
を記載する。
【0101】 A 組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトME/A、ME/Bおよび
ME/Dは、マウスリンパ節細胞を刺激して、試験管内で増殖しIFN−γを分
泌させる。 組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトME/A、ME/BおよびME
/Dを、マウスリンパ節細胞におけるT細胞増殖およびIFN−γを誘導する能
力についてスクリーニングした。このアッセイでは、BALB/cByJマウス
を、等体積のIFAに希釈した組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトの
rME/A、rME/BおよびrME/D10μgで、それぞれのフットパッド
(footpad)の皮下に免疫した。コントロールのグループのマウスにはI
FAにしたPBSを注射した。マウスは9日後に屠殺され、リンパ節を除去した
。リンパ節細胞は、10%(v/v)の同種の血清と、ペニシリン(60μg/
ml)と、ストレプトマイシン(100μg/ml)と、グルタミン(2mM)
とを添加したDMEMを含む培養液中で、0μM、0.125μM、0.25μ
Mまたは0.5μMのrME/A、rME/BおよびrME/Dとコントロール
のGV14Bタンパク質との存在下で培養した。3日後、培養液50μlを各ウ
ェルから除去して上記のとおりIFN−γレベルの測定を行った。培養プレート
はさらに4日間培養して、ウェルあたりトリチウムチミジン1μCiで18時間
パルス標識した。細胞を回収してトリチウムの取り込みをシンチレーションカウ
ンターを用いて測定した。培養液だけで培養された細胞で見られる増殖よりも2
倍以上高レベルの増殖を2回の重複で刺激した上清が陽性とされた。
【0102】 マウスの増殖実験の結果を図2AないしDに示す。組み換えマルチ・エピトー
プ・コンストラクト3つ全てが免疫マウス由来のリンパ節細胞で増殖反応を誘導
した。rME/A、rME/BおよびrME/Dのこれら3つの組み換えマルチ
・エピトープ・コンストラクトによって誘導された増殖のレベル(それぞれ図2
A、BおよびC)は同程度で、これらのコンストラクトは抗原としては同一であ
ることを示す。PBSで免疫したコントロールのマウスからは増殖は見られなか
った。
【0103】 rME/A、rME/BおよびrME/Dで免疫されたマウス由来の刺激され
たリンパ節細胞によって分泌されたIFN−γのレベルをそれぞれ図3Aないし
Cに示す。組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクト3つ全てがリンパ節細
胞によるIFN−γ分泌を刺激したが、rME/Bで刺激されたもののレベルが
最も高かった(図3B)。PBSで刺激されたコントロールのマウス由来の細胞
は検出不能な量のIFN−γしか分泌しなかった(図3D)。これらの結果は、
マルチ・エピトープ・コンストラクトによる免疫がTh1免疫反応をマウスに誘
導したことを示唆している。
【0104】 B 組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトME/Dと、ME/DのD
NAとは、異なる経路で免疫されたマウス由来のリンパ節および脾臓細胞を刺激
して、試験管内で増殖およびIFN−γの分泌を起こす。 これらの実験では、組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトrME/D
かマルチ・エピトープ・コンストラクトME/DのDNAかで、皮下、腹腔内ま
たは筋注で免疫されたマウスに由来するリンパ節または脾臓細胞が、T細胞増殖
およびIFN−γ産生を誘導するように刺激された。BALB/cByJマウス
は、それぞれのフットパッドに10μgのrME/DをIFAにして1回皮下注
射するか、50μgのrME/DをIFAにして1回腹腔注射するか、100μ
gのME/DのDNAを3週間の間隔を置いて3回筋注するかのいずれかによっ
て免疫した。コントロールのマウスは、PBSをこれらの3つの異なる経路で免
疫した。9日後、皮下注射および腹腔内注射で免疫したマウスは屠殺され、リン
パ節(皮下注射の場合)または脾臓細胞(腹腔内注射の場合)を除去した。筋注
により免疫されたマウス由来の脾臓細胞は最後の免疫の15日後に回収した。こ
れらの細胞の増殖およびIFN−γ産生は上記のとおり測定した。
【0105】 これらの実験の結果を図4および図5に示す。図4Aは、rME/DまたはM
E/DのDNAで免疫されたマウス由来のリンパ節および脾臓の細胞の特異的な
増殖反応を示す。比較すると、図4Bは、コントロールのマウス由来の細胞の増
殖反応が弱いことを示す。同様に、rME/DかME/DのDNAかで免疫され
たマウス由来のリンパ節および脾臓の細胞はIFN−γを分泌するように刺激さ
れるが(図5A)、PBSで免疫されたコントロールのマウス由来のリンパ節お
よび脾臓の細胞が分泌するIFN−γのレベルは低い。
【0106】 C マルチ・エピトープ・コンストラクトからの単一エピトープは、組み換え
マルチ・エピトープ・コンストラクトのrME/DかME/DのDNAかで免疫
されたマウス由来のリンパ節および脾臓の細胞を異なる経路で刺激して、試験管
内で増殖させ、IFN−γを分泌させる。 これらの実験では、組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトのrME/
Dかマルチ・エピトープ・コンストラクトME/DのDNA型かにより、異なる
経路で免疫されたマウス由来のリンパ節および脾臓の細胞が、DNA5、DNA
9、DNA26、DNA27、DNA29、DNA37、DNA44およびDN
A45の単一エピトープの組み換え型で再度刺激された。実験の手順はこれまで
に概説したのと同じであった。これらの実験の結果を図6A−Bおよび図7A−
Bに示す。特異的な増殖反応およびIFN−γ分泌が、DNA5、DNA9A、
DNA26、DNA37およびDNA44のエピトープで再刺激された細胞で検
出された(図6Aおよび図7A)。DNA27、DNA29およびDNA45の
エピトープによる増殖およびIFN−γ産生は少なくとも1つの免疫グループで
見られた。低いレベルの増殖およびIFN−γ産生が、PBSで免疫されたコン
トロールのマウス由来の細胞で観察された(図6Bおよび図7B)。このデータ
は、多成分免疫原の一部として免疫システムに提示されるときには、前記のエピ
トープが全て個別に抗原性があることを示している。
【0107】 D サイトカイン産生 マルチ・エピトープ・コンストラクトのME/DのDNA型で免疫され、rM
E/Aで再刺激されたマウス由来の脾臓細胞によるサイトカイン産生は、以下の
とおり測定された。BALB/cByJマウスは、100μgのME/DのDN
Aを3週間の間隔を置いて3回筋注で免疫された。最後の注射の15日後、マウ
スを屠殺して、脾臓細胞を除去した。この脾臓細胞をrME/A、rME/Dま
たはコントロールのGV14Bタンパク質で再刺激し、標準的な手順に従って、
上清をサイトカイン産生についてスクリーニングした。この脾臓細胞によるサイ
トカイン産生を表6に示す。
【0108】 MEのDNAで免疫されたBALB/cByJマウス由来の脾臓細胞によって
分泌されたサイトカイン
【表6】 サイトカインの濃度はpg/ml単位で測定され、標準誤差は10%以内であ
った。
【0109】 表6に示すとおり、IL−2およびIL−6がrME/AおよびrME/Dで
刺激された脾臓細胞によって分泌された。IL−2は、Th1タイプの免疫反応
の際に分泌されるサイトカインであり、マルチ・エピトープ・コンストラクトが
Th1タイプの免疫反応を誘発することの更なる証拠を提供している。サイトカ
インのIL−6は結核に対するマウスの免疫において重要な役割を果たしている
(Ladelら、Infec.Imm.、65巻、4843−4849頁、19
97年)。Th2タイプのサイトカインであるIL−4の分泌は検出されなかっ
た。
【0110】 E 抗体産生 ME/Dで免疫されたBALB/cByJマウス由来の血液サンプルは、最後
のDNA注射の2週間後に採取され、標準的な手順に従って血清が調製された。
抗ME/D抗体の存在はELISA法によって決定された。図8Bに示すとおり
、rME/AおよびrME/Dと反応する高力価のIgG2a抗体は検出された
が、IgG1抗体は検出されなかった(図8A)。IgG2a抗体の存在はTh
1タイプの免疫反応に特徴的である。
【0111】 F 組み換えエピトープおよび組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクト
rME/Dによるマウスの長期記憶反応の誘導 結核菌に感染して、rDNA5、rDNA9A、rDNA26、rDNA27
、rDNA37、rDNA44またはrDNA45のいずれかの組み換えエピト
ープで免疫されたマウスにおける長期記憶反応の誘導は、以下のとおり決定され
た。マウスの長期記憶のアッセイ法では、BALB/cByJマウスに結核菌を
10のコロニー形成単位(CFU)という半致死量で感染させた。4週間後か
ら、マウスは結核菌感染を治療するためにその後4週間にわたって抗生物質で処
理して、その後8週間の休養期間を置いた。結核菌の生菌(5x10CFU)
での第2回目の注射の3日後、組み換えコンストラクトの免疫原性が、上記の脾
臓細胞アッセイ法を用いて測定された。脾臓細胞は2μMの組み換えエピトープ
または1、0.33、0.11、0.03または0.01μMのrME/Dで刺
激した。脾臓アッセイ法で測定されたIFN−γ産生レベルは図9A−Cに示さ
れている。コントロールのマウス由来の脾臓細胞は無関係なGV14Bタンパク
質で刺激した(図9B)。この実験の他のコントロールには、培養液のみと、2
μg/mlのConAと、10μg/mlのPPDと、10μg/mlのバッケ
ー菌とによる刺激が含まれる(図9A)。組み換えME/Dは、結核菌に感染し
たマウス由来の記憶T細胞を刺激して、大量のIFN−γを投与量依存的に産生
させた(図9B)。このアッセイ法でのIFN−γ産生は、長期記憶反応を誘導
する結核菌抗原とME/Dとの交差反応性を示すものである。結核菌抗原と交差
反応性がある抗原決定基は、DNA5、DNA9A、DNA26、DNA27お
よびDNA44のエピトープに位置するようである(図9B)。
【0112】 実施例7 組み換え単一エピトープおよび組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクト によるヒト末梢血単核細胞(PBMC)の刺激の効果 A 試験管内で増殖させインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)を分泌させ
るためのヒト末梢血単核細胞(PBMC)の刺激 pET16細菌発現システムによって発現された組み換えエピトープおよび組
み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトを、ヒトPBMCと37°Cで培養
した。48時間後、IFN−γの分泌を酵素結合免疫アッセイ(ELISA)法
で測定した。並行した培養をトリチウムチミジンでパルス標識して、DNA合成
をPBMCの増殖を評価するために用いた。これらの実験の結果は図10A−B
および図11A−Bに示される。組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクト
はヒトPBMCを刺激して、IFN−γを分泌させ、増殖させた(それぞれ図1
0AおよびB)。これらの反応は、投与量依存性があり、個別の組み換えエピト
ープによって誘導された反応よりも大きかった(図11AおよびB)。
【0113】 B 組み換え単一エピトープおよび組み換えマルチ・エピトープ・コンストラ
クトrME/AおよびrME/Dによる、試験管内でサイトカインを分泌させる
ためのヒトPBMCの刺激 ヒトPBMCのサイトカイン産生は、組み換え単一エピトープまたは組み換え
rME/AまたはrME/Dによる試験管内での再刺激の後に、以下のとおり評
価された。細胞は、rDNA5、rDNA9A、rDNA26、rDNA27、
rDNA29、rDNA37、rDNA44またはrDNA45の組み換え単一
エピトープ2μMか、rME/AまたはrME/D0.5μMかで刺激された。
コントロールのグループの細胞はGV14B2μMまたは10μg/mlのPP
Dで刺激された。サイトカイン反応は、標準的な手順に従ってELISA法によ
って測定された。表7に示すとおり、組み換え単一エピトープか、rME/Aま
たはrME/Dで刺激されたヒトPBMCは、Th1サイトカインのIFN−γ
およびTNF−αを産生した。これらの組み換えエピトープは、IL−10の分
泌も誘導した。Th2サイトカインのIL−5は、刺激された細胞の上清中に検
出されなかった。低レベルのサイトカインがコントロールの抗原での刺激に対し
て分泌され、テストした全てのサイトカインが、PPDによる刺激の後ヒトPB
MCによって分泌された。
【0114】 組み換え単一エピトープおよびrMEで試験管内で刺激後にヒトPBMCによ り分泌されたサイトカイン
【表7】
【0115】 実施例8 組み換えrME/Dによる免疫後のカニクイザルにおけるリンパ球増殖の刺激 組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトrME/Dの免疫原性をテスト
するために、4匹ずつのカニクイザルからなる3つのグループを免疫した。リン
パ球の増殖はPBMC増殖アッセイ法で測定した。グループIのサルにはPBS
を不完全フロイントアジュバント(IFA)にして全量0.1mlを皮内に免疫
した。グループIIのサルには33μgのrME/DをIFAにして(全量0.
1ml)皮内に免疫し、グループIIIのサルには10μgのrME/DをIF
Aにして(全量0.1ml)皮内に免疫した。0週と6週の2回免疫した。血液
サンプルはそれぞれのサルから免疫して12週間後に採取した。
【0116】 それぞれのサル由来の全血液は、1:5に希釈して、陽性のコントロールのフ
ィトヘマグルチニン(PHA、10μg/ml)、PPD(10μg/ml)、
バッケー菌10μg/ml、rME/D 1μg/mlまたはコントロールの組
み換えタンパク質GV−14B 1μg/mlのいずれかを含む、コントロール
の培養液(10%(v/v)の同種血清と、ペニシリン(60μg/ml)と、
ストレプトマイシン(100μg/ml)と、グルタミン(2mM)とを添加し
たRPMI1640)を全培養液量1mlで刺激した。プレートは72時間培養
して、トリチウムチミジンをウェルあたり1μCiで18時間パルス標識して、
回収して、トリチウムの取り込みをシンチレーション・カウンターを用いて測定
した。リンパ球増殖の結果は表8に示した。
【0117】 PHA、PPD、バッケー菌、rME/DまたはrGV−14で刺激されたカ ニクイザルの血液サンプル中のリンパ球の増殖
【表8】 PBMCの増殖の結果は刺激指数で表す。
【0118】 表8に示すとおり、組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトrME/D
は、グループIIおよびIIIの免疫されたサル由来のPBMC細胞において、
陽性のコントロール(PHA)と比肩できる増殖反応を誘導した。PPD、バッ
ケー菌またはrGV−14での刺激後には増殖は記録されなかった。
【0119】 本発明は、明瞭な理解を目的として例示のためにある程度詳細に説明されてい
るが、特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する本発明の範囲から
逸脱することなく、変更および改変を行うことができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 BALB/cByJマウスの肺および脾臓のホモジェネートにおける結核菌C
FUの減少として測定された、ウシ型結核菌(それぞれ図1AおよびD)と、M
E/DのDNA(それぞれ図1BおよびE)と、rME/D(それぞれ図1Cお
よびF)とを接種することによる保護免疫の誘導を示す。
【図2】 rME/A(図2A)か、rME/B(図2B)か、rME/D(図2C)か
で皮下に免疫されたBALB/cByJマウス由来のリンパ節細胞の増殖反応を
示す。コントロールのマウスはPBSで免疫された(図2D)。
【図3】 組み換えマルチ・エピトープ・コンストラクトのrME/A(図3A)か、r
ME/B(図3B)か、rME/D(図3C)かで皮下に免疫されたBALB/
cByJマウス由来のリンパ節細胞によるIFN−γの分泌を示す。コントロー
ルのマウスはPBSで免疫された(図3D)。
【図4】 rME/Aか、rME/Dか、ME/DのDNAかを3つの異なる経路で免疫
したBALB/cByJマウス由来のリンパ節細胞の増殖反応を示す(図4A)
。PBSで免疫したコントロールのマウス由来のリンパ節細胞の増殖反応は図4
Bに示す。
【図5】 rME/Aか、rME/Dか、ME/DのDNAかを3つの異なる経路で免疫
したBALB/cByJマウス由来のリンパ節細胞によるIFN−γ分泌レベル
を示す(図5A)。PBSで免疫したコントロールのマウス由来のリンパ節細胞
によるIFN−γ分泌のレベルは図5Bに示す。
【図6】 rME/Aか、rME/Dか、ME/DのDNAかを3つの異なる経路で免疫
したBALB/cByJマウス由来のリンパ節細胞の増殖反応に対する単独のエ
ピトープの寄与を示す(図6A)。PBSで免疫したコントロールのマウス由来
のリンパ節細胞の増殖反応は図6Bに示す。
【図7】 rME/Aか、rME/Dか、ME/DのDNAかを3つの異なる経路で免疫
したBALB/cByJマウス由来のリンパ節細胞によるIFN−γ分泌のレベ
ルに対する単独のエピトープの寄与を示す(図7A)。PBSで免疫したコント
ロールのマウス由来のリンパ節細胞によるIFN−γ分泌のレベルは図7Bに示
す。
【図8】 試験管内でrME/AおよびrME/Dと反応したME/DのDNAで免疫さ
れたマウスの血清中の抗ME抗体の力価およびサブクラスを示す。IgG1抗体
の力価は図8Aに示し、IgG2a抗体の力価は図8Bに示す。
【図9】 組み換え単一エピトープ(図9B)またはrME/D(図9C)で免疫された
BALB/cByJマウス由来の記憶脾臓細胞によるIFN−γ分泌を示す。コ
ントロールで刺激された脾臓細胞によるIFN−γ分泌は図9Aに示す。
【図10】 試験管内でrME/A、rME/BおよびrME/Dで刺激された後のヒトP
BMCによるIFN−γ分泌(図10A)および増殖反応(図10B)を示す。
【図11】 試験管内で8つの組み換え単一エピトープで刺激した後のヒトPBMCによる
IFN−γ分泌(図11A)および増殖反応(図11B)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 37/00 37/00 37/04 37/04 C07K 14/35 C07K 14/35 19/00 19/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 15/00 ZNAA 5/10 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA13 BA31 CA03 CA07 CA20 DA02 DA06 EA04 GA13 GA25 GA27 HA17 4B065 AA26X AA36Y AA58X AA72X AA90X AB01 AC14 BA02 BA05 BA16 BA24 CA24 CA45 CA46 4C084 AA13 MA52 MA66 NA14 ZA592 ZB092 ZB132 ZB262 ZB352 4C085 AA03 BA09 BB11 CC07 DD62 EE01 EE06 FF03 FF20 GG02 GG03 GG04 GG05 GG08 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA11 DA86 EA22 EA52 FA74

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号61−77に提供された配列からなるグループから
    選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 (a)配列番号61−63、65および67−77のいずれ
    かに列挙される配列に対してコンピューターアルゴリズムFASTXによって決
    定される同一性が少なくとも約30%ある残基を有する配列と、(b)配列番号
    61−63、65および67−77のいずれかに列挙される配列に対してコンピ
    ューターアルゴリズムFASTXによって決定される同一性が少なくとも約50
    %ある残基を有する配列と、(c)配列番号61−77に列挙される配列に対し
    てコンピューターアルゴリズムFASTXによって決定される同一性が少なくと
    も約75%ある残基を有する配列と、(d)配列番号61−77に列挙される配
    列に対してコンピューターアルゴリズムFASTXによって決定される同一性が
    少なくとも約90%ある残基を有する配列とからなるグループから選択されるア
    ミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1および2のいずれかに記載のポリペプチドをエンコ
    ードする、単離されたポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 配列番号8−21に列挙された配列とその相補体とからなる
    グループから選択される配列を含む、請求項3に記載の単離されたポリヌクレオ
    チド。
  5. 【請求項5】 (a)配列番号8−21のいずれかに列挙される配列に対し
    てコンピューターアルゴリズムBLASTNによって決定される同一性が少なく
    とも約30%ある残基を有する配列と、(b)配列番号8−21のいずれかに列
    挙される配列に対してコンピューターアルゴリズムBLASTNによって決定さ
    れる同一性が少なくとも約50%ある残基を有する配列と、(c)配列番号8−
    21に列挙される配列に対してコンピューターアルゴリズムBLASTNによっ
    て決定される同一性が少なくとも約75%ある残基を有する配列と、(d)配列
    番号8−21に列挙される配列に対してコンピューターアルゴリズムBLAST
    Nによって決定される同一性が少なくとも約90%ある残基を有する配列と、(
    e)前記(a)、(b)、(c)または(d)の配列の相補体とからなるグルー
    プから選択される配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3ないし5のいずれかに記載の少なくとも1つのポリ
    ヌクレオチドを含むDNAコンストラクト。
  7. 【請求項7】 配列番号56−58からなるグループから選択される配列を
    含む、請求項6に記載のDNAコンストラクト。
  8. 【請求項8】 請求項6および7のいずれかに記載のDNAコンストラクト
    で形質転換された宿主細胞。
  9. 【請求項9】 請求項1および2のいずれかに記載の少なくとも1つのポリ
    ペプチドを含む融合タンパク質。
  10. 【請求項10】 配列番号79−81からなるグループから選択される配列
    を含む、請求項9に記載の融合タンパク質。
  11. 【請求項11】 請求項1および2のいずれかに記載の少なくとも1つのポ
    リペプチドと生理的に受け入れ可能な担体とを含む組成物。
  12. 【請求項12】 請求項3ないし5のいずれかに記載の少なくとも1つのポ
    リヌクレオチドを含む組成物。
  13. 【請求項13】 請求項9に記載の少なくとも1つの融合タンパク質と生理
    的に受け入れ可能な担体とを含む組成物。
  14. 【請求項14】 請求項6に記載の少なくとも1つのDNAコンストラクト
    と生理的に受け入れ可能な担体とを含む組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1および2のいずれかに記載の少なくとも1つのポ
    リペプチドと免疫賦活剤とを含む組成物。
  16. 【請求項16】 請求項3ないし5のいずれかに記載の少なくとも1つのポ
    リペプチドと免疫賦活剤とを含む組成物。
  17. 【請求項17】 請求項9に記載の少なくとも1つの融合タンパク質と免疫
    賦活剤とを含む組成物。
  18. 【請求項18】 請求項6に記載の少なくとも1つのDNAコンストラクト
    と免疫賦活剤とを含む組成物。
  19. 【請求項19】 請求項11ないし18のいずれかに記載の組成物を患者に
    投与することを含む、患者の免疫反応を増強するための方法。
  20. 【請求項20】 前記免疫反応はTh1反応である、請求項19に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 前記組成物はT細胞とNK細胞とからなるグループから選
    択される少なくとも1つの細胞を活性化する、請求項19に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記組成物はサイトカインの産生を刺激する、請求項19
    に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記組成物は長期記憶細胞を誘導する、請求項19に記載
    の方法。
  24. 【請求項24】 患者の免疫疾患、感染症および癌からなるグループから選
    択される疾病の治療のための方法であって、請求項11ないし18のいずれかに
    記載の組成物を患者に投与することを含む方法。
  25. 【請求項25】 前記疾病は結核である、請求項29に記載の方法。
JP2001509749A 1999-07-12 2000-07-10 感染症および免疫系疾患の治療用組成物とその使用方法 Pending JP2003504079A (ja)

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