JP2003502010A - 産 物 - Google Patents

産 物

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JP2003502010A JP2000582419A JP2000582419A JP2003502010A JP 2003502010 A JP2003502010 A JP 2003502010A JP 2000582419 A JP2000582419 A JP 2000582419A JP 2000582419 A JP2000582419 A JP 2000582419A JP 2003502010 A JP2003502010 A JP 2003502010A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細菌タンパク質、とくに116〜158kDaの分子量を有する細菌糖タンパク質ポリマーに関する。該タンパク質は特異な免疫原性および生物活性を示し、ワクチン、具体的には腫瘍を治療する製剤組成物、さらに抗増殖薬剤、ヌクレアーゼといった生物的作用剤として利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、免疫原性および生物活性を示す細菌タンパク質、ワクチン及び製剤
組成物におけるその利用、抗増殖薬剤、酵素といった生物的作用剤としてのその
利用に関する。
【0002】
【発明の具体的説明】
ワクチンの開発は、病原微生物および強力な病原体による感染に起因する死亡
の減少に重要な要素でありつづけてきた。強力な病原性を有する微生物は、その
発病力が、特定の真核細胞に侵入することができ、真核細胞内で生存でき、しか
も増殖できる能力に帰着することができるが、長期間にわたり宿主動物(たとえ
ばヒト)に気づかれないままに過ぎ、結果として「遅延的であり」、「認識され
ず」、「病気の徴候のない」感染となるかもしれない。これらの微生物による生
体の重要な細胞への作用は、細胞の死を招き、生体の器官およびシステムに結果
として障害または不全という結果になる。しかしながら、大抵の場合、病原微生
物に対する有効なワクチンに対する必要性がいまだに存在する。
【0003】 現在、生ワクチンは、50年以上も前から発展させられ承認されているが、ペス
ト、ブルセラ症(brucellosis)、野兎病(tularaemia)、結核および他のいくつか
の感染の原因として働く微生物に対して入手できる。しかし、これらのワクチン
を長期間に臨床的に適用したところ、いくつかの重要な欠陥が明らかにされた。
(1)生菌を弱めたワクチンは、一般に高レベルの短期免疫を発生できることか
ら(ノウサギ症に対するLVSワクチンは例外である)、ある期間経過のあとで
は、特定の病原菌に対する動物またはヒトの保護について不充分なものになるた
め、結果的に繰り返しワクチン接種を必要とする。 (2)生菌を弱めたワクチンは、残余の病原性を保持しているためにワクチン接
種の反応体原性(reactogenicity)であることの帰結は、ワクチン投与の後、一
般的な体温上昇の発生をみることの著しい増大となる。 (3)多くの生ワクチンは、動物やヒトにより急速に排泄されることから、特定
の細胞内感染から生体を防御する際の主要な要因である、T細胞免疫を充分に生
起することができない。
【0004】 しかしながら、今のところ、ワクチンに代わるものがなく、また上述した欠陥
を持たない新規なワクチンを開発することを可能とするような公知の方法も存在
しない。そこで本発明は、ワクチン接種(特に生ワクチン)の目的に、とりわけ
病原菌、とくに極めて発病力の強い細胞内細菌により引き起こされる疾病を制御
するもしくは予防する場合の防御的免疫原として使用することができるような新
規な細菌抗原を提供することを求めんとするものである。
【0005】 驚くべきことに、以前は認識されていなかった糖タンパク質が細菌表面に存在
し、その糖タンパク質は存在するその細菌の固有のものであり、しかも特異な免
疫調節性の生物的特性を有していることが今や見出されてきた。この糖タンパク
質は、宿主生物の真核細胞に細菌が結合し、その細胞の細胞質に侵入し、その中
で生存し増殖することができる能力に少なくとも部分的に関わっていると信じら
れている。このためこれらの糖タンパク質は、ワクチン(特に生ワクチン)の開
発に、ならびにとくに極めて発病力の強い細菌による感染に起因する疾病の診断
、制御および予防する目的の診断用製品を開発することを可能とするものである
【0006】 上記糖タンパク質は、本明細書では「トリン(tolins)」として呼称する新し
い部類の生物活性化合物である。トリンは、いくつかのモノマーから構成され、
以前は同定されていなかった糖タンパク質ポリマーである。該モノマーは、細胞
質で産生され、ペリプラスム(periplasmic)空間に進入する。そこで非共有結
合により多糖類と結合して、糖タンパク質ポリマーは「熱ショック」糖タンパク
質ポリマーの構造形態を有するものに形成される。次いでこの糖タンパク質は、
カプセルに収容される。したがって、糖タンパク質は細菌細胞の外膜カプセル内
に存在することになる。
【0007】 本明細書では「トリン」とは、グリコシル化されたポリマー構造を言うことに
なる。生物活性なトリンポリマーを構成するモノマーは、本明細書では、トリン
モノマーと言い、グリコシル化されていても、グリコシル化されていなくてもよ
い。 モノマーとともに一緒にグリコシル化ポリマートリンを構成する多糖類は、本
明細書では「トリン多糖類」という。
【0008】 トリンは、それが存在する細菌に特異的なものであり、特異的な酵素的、免疫
調節性、抗増殖性の性質を有する。これらの糖タンパク質は、ポリマーの形態で
は抗原性でありカプセルの構成員であるが、ペリプラスム空間に見出され、新規
であり、たとえばその出所源およびその関係する細菌に対するワクチン製造にも
利用することができる。
【0009】 したがって、本発明の一つの観点からすると、変性SDS−PAGEディスク
電気泳動法(0.5Mトリス-塩酸、pH6.8、7%SDS、30%グリセリン、1%ブロモフェノ
ールブルー、15% 2-メルカプトエタノールを含有するBNB緩衝液中)により評
価された分子量が12〜25kDa、たとえば約17kDaを有し、自然界に存在する形
態では、細菌細胞のカプセル内に存在する細菌糖タンパク質ポリマーの一部を構
成しており、好ましくは、該モノマーは、少なくとも単糖類のグルコース、キシ
ロース、ラムノースおよびリボースでグリコシル化されている細菌タンパク質モ
ノマー;あるいはそれの機能的に等価な変異体、フラグメント、前駆体を提供す
る。
【0010】 好ましくは、単糖類誘導体のグルコサミンおよびガラクトサミンは存在しない
。本発明に係る糖タンパク質のまさにその多糖類部分は可変的である。非変性条
件下でのゲルろ過により、トリンの多糖類部分は共有結合として結合していない
ことが確立されている。一般に、タンパク質:多糖類部分の比率は、1:2であ
ることが観察されているが、分離方法に依存するものであり、多糖類部分は、存
在するタンパク質量の0.01X(HPLCによる単離)から2X(セファロースG2
00を使用して分離し、次いでDEAEセルロースでの精製)の間である。
【0011】 しかしながら多糖類が低いレベルでは低い安定性となるようであり、このため
、より高い多糖類含量を保持するような分離方法が好ましい。部分的に脱グリコ
シル化されたトリンは、機能的な活性を保持している。 グリコシル化されていないトリンは、グリコシル化トリンに帰着される機能(
たとえば、本明細書で記載されるヌクレアーゼの、細胞毒性のおよび免疫保護的
な活性など)のいくつかを喪失していることが見出されたが、驚くべきことに、
この形態はDNA結合活性を示す(実施例2.10を参照)。この活性はグリコシル
化トリンでは、その形態のヌクレアーゼ活性によりマスクされているだろうけれ
ども、見られないものである。このことは、トリンのグリコシル化のレベルを評
価するのに好都合な手段を与え、さらにグリコシル化の程度を調節することによ
り潜在的活性の修飾、遅延または解除を可能とするものである。本明細書におい
て記載するDNA結合性質を有する非グリコシル化モノマーおよびポリマーは、
本発明の好ましい局面を形成する。
【0012】 さらに本発明に係るポリマーの糖タンパク質は、ガスクロマトグラフィー研究
(実施例2.3参照)およびクロロホルムを使った処理に対する糖タンパク質の
耐性(実施例2.3参照)から立証されたように、何ら脂質成分を結合していな
いことが観察されている。しかしながら、多糖類が低含量である糖タンパク質は
、高圧クロマトグラフィーにおけるその挙動から示されたように疎水性である。
【0013】 トリンモノマー(12と25kDa間の分子質量をもつ)は、HPLCにおいて、さら
に最初の45アミノ酸配列をデコードすることにより示されるように疎水性である
。このことは145全部のアミノ酸配列を決定することにより確認されている。
pHを調整すると生起する二次および三次構造の喪失により、ポリマートリンも
また疎水性である。
【0014】 本明細書において使用される「機能的に等価」とは、本明細書で定義されるよ
うに自然界で産生される細菌タンパク質モノマーと関係するか、あるいはこれに
由来するタンパク質と定義され、そのアミノ酸配列は単一または多重のアミノ酸
の置換、付加および/または欠失により修飾を受けており、および/またはその
モノマーはグリコシル化されており、そのグリコシル化の程度もしくは型は変わ
るのであるが、それにもかかわらず機能的な活性は保持されている。
【0015】 自然界で産生される細菌タンパク質モノマーは、グリコシル化されてもよいが
、修飾を受けていない細菌に(モノマー、二量体、三量体またはポリマーのいず
れかで)見出されるタンパク質であり、該細菌から単離されてもよく、あるいは
合成的に産生されてもよく、たとえば、適当な宿主内で該タンパク質のアミノ酸
配列を少なくともコード化する適当な発現ベクターの発現によってである。そう
したモノマーは、グリコシル化された形で単離されてもよく、あるいはトリン多
糖類から分離されていてもよい。本発明のポリマー糖タンパク質による細胞殺傷
作用の結果として、必ずしもすべての宿主がポリマー形態の糖タンパク質の発現
を支援できるものでもない。無毒性のまたは病原性微生物、たとえばグラム陰性
細菌は、本発明のポリマー糖タンパク質の発現を生き抜く機構を有しており、モ
ノマーもしくはポリマー形態の細菌タンパク質を合成的に生産するための好適な
宿主を形成する。宿主として病原性微生物を使用する場合、宿主内に導入された
挿入体により付与される毒性により置換されるべき病原性は一般には失われてい
る。
【0016】 一般的に上述したように機能的な等価体(すなわち自然界で産生される細菌タ
ンパク質モノマーと関係するか、あるいはこれに由来する)は、本明細書に記載
される諸機能の1つまたはそれ以上を保持する(すなわち機能的な活性を保持す
る)変異体、誘導体、前駆体およびフラグメントを含む。本発明に係る細菌タン
パク質は、少なくともポリマーでグリコシル化した形で存在する場合には、本明
細書に記載するように多くの異なる機能を有しており、たとえば細菌に対する宿
主の防御的抗体および/または機能的免疫を亢進させる能力を有している。細菌
タンパク質はまた、抗増殖性効果を引き起こし、かつ細胞を殺傷することができ
るかぎり、サイトカイン様の様式で振舞う。さらに細菌タンパク質は、酵素活性
、すなわちヌクレアーゼ活性を示す。グリコシル化されていないポリマーまたは
モノマーの形態は、DNAに結合する特性を示す。したがって、後で議論する応用
において、本発明に係る細菌タンパク質およびその機能的に等価な変異体その他
に言及がある場合、議論する応用に依存するものだが、そうした応用を実施する
ために適切な機能を保持する、具体的にはワクチン適用に防御的抗原の性質を保
持する、変異体などのみが、そのような変異体などの範囲内に含まれるものであ
る。
【0017】 さらに、本明細書の議論から明らかになるように、少なくとも3つ、具体的に
は本明細書で定義されたモノマータンパク質の4つを含むポリマー構造が、言及
した機能的作用を達成するために一般的に要求される。この場合、細菌性モノマ
ータンパク質と機能的な等価体は、修飾を受けていないモノマーと同様の機能を
形成する、すなわちポリマー構造に形成されると、所望の機能が示される等価体
を含むものである。(このことの例外は、モノマーおよびポリマー両方の形態に
示されるDNA結合活性である。) 「付加」の意味の範囲内において、変異体にはアミノおよび/またはカルボキ
シル末端融合タンパク質またはポリペプチドが含まれ、細菌タンパク質モノマー
配列に融合した付加的なタンパク質もしくはポリペプチドを含有する。
【0018】 上記のそうした機能的に等価な変異体は、自然界の生物的変異体(たとえば、
対立形質変異体、地理的変異体、または種もしくは株内のアロタイプ変異体)お
よび公知の技術を用いて調製した変異体を含む。たとえば機能的に等価なタンパ
ク質は、化学的なペプチド合成または部位特異的突然変異、ランダム突然変異ま
たは酵素的開裂、および/または核酸の連結(ligation)といった公知の技術を
利用した組換え体において調製することができる。本発明による機能的に等価な
変異体は、とくに細菌の異なる属、種または株における類縁体を含む。
【0019】 細菌タンパク質の誘導体は、機能性に影響を与えることなく糖タンパク質の合
成/単離後の修飾、たとえば特定残基のグリコシル化、メチル化その他によって
調製することができる。上記のようにグリコシル化の程度は、機能に影響を与え
るかもしれないため、所望する特定の活性に関してそれを評価すべきである。 本発明による機能的に等価なフラグメントは、截断(truncation)により、具
体的には、Nおよび/またはC末端からのペプチドの除去、適切な二次的および三
次的折りたたみに基づくその機能(たとえば抗原性の特性)を保持している適切
な活性ドメイン領域の選択により、あるいは脱グリコシル化により作成すること
ができる。
【0020】 本明細書に記載の前駆体は、たとえばタンパク質分解により加工されて細菌糖
タンパク質モノマーそのものを産生する、より大きいタンパク質であってもよい
。そのような前駆体は、チモーゲン、すなわち酵素の不活性な前駆体の形態をと
ってもよく、それはタンパク質分解的な開裂により活性化される。さらに、この
術語は、本発明のモノマータンパク質から構成されるポリマー構造(トリンを含
む)、具体的には二量体、三量体、3より多い、具体的には4つのモノマーを有
するポリマーを包含することを意図するものである。実際、本発明の細菌タンパ
ク質は、好ましくはポリマー形態からなるものであり、その構造は、少なくとも
3、具体的には4モノマー、たとえば6個から10個のモノマーを含むものであ
り非変性SDS-PAGEディスク電気泳動法により評価されるように116から158kDa
の分子量を有するものである。ポリマー構造は、たとえばゲルろ過により調製さ
れる場合、好ましくは上述したようにグリコシル化されるものである(実施例2
.2参照)。多糖類で低レベルにグリコシル化されるポリマーは、HPLC分離によ
り得ることができる。本質的には、グリコシル化されていないポリマーは、HPLC
のある条件下で、あるいは非変性ゲル電気泳動法(以下を参照)によって調製す
ることができる。モノマーとは対照的に、ポリマーは上記の機能的特性を、その
グリコシル化の状態に応じて示すものである。同様にモノマーから構成される二
量体、三量体は、上記の機能的および酵素的な特性を試験したところ、欠いてい
ることが見出されている。
【0021】 ポリマー形の本発明の細菌タンパク質は熱安定性であることが見出され、さら
に水浴上で1分間、BNB緩衝液中で加熱することにより、それらのモノマーと多糖
類に分解されることがSDS-PAGEディスク電気泳動法により検出されている(実施
例2.1参照)。モノマーは、SDS-PAGEの非変性条件下で(多糖類を付着しない
まま)分離され、ゲルから抽出された後に、再構成することができ(実施例1.
2.3および2.10参照参照)、濃縮されて、本明細書で記載されるようなDNA
結合性質を有する、グリコシル化されていないポリマーを形成することができる
【0022】 トリンは良い抗原としてふるまい、ウサギの免疫によれば、特異的な高い力価
の抗体が産生される。トリン(本明細書では抗原複合体とも呼ぶ)と抗体との相
互作用は、1%アガロース中の免疫電気泳動により容易に検出される。トリンは
、弱い負電荷を有し、したがって陽極領域で免疫沈澱を形成する。トリンと動物
血清抗体との相互作用は、pH8.6のトリスバルビツール酸塩緩衝液中の1%アガ
ロースを、0.1%のTriton X-100とともに用いるOchterlonyの方法(実施例2.4参
照)にしたがって、放射免疫拡散法によって検出することもできる。
【0023】 トリンは、該タンパク質と多糖類部分が等価の量で存在する場合には、親水性
化合物である。これらは、水溶液中で安定な形で維持される場合もあるが、容易
に特定の凝集体を形成する。これらは、pH、化学的添加物の存在、温度、溶液の
濃度および組成における変化、親水性の喪失をもたらすような変化および溶解性
および機能特性の不可逆的な喪失による固体沈殿物の形成に対し非常に敏感であ
る。たとえば、ヌクレアーゼ活性のような機能的活性が示される至適pHは、7.0
〜8.0である。
【0024】 抗原複合体(トリン)は、弱い負電荷を有し、動物の免疫血清抗体と相互作用
する。 したがって、好ましい面においては、本発明は、同一でも異なっていてもよい
、少なくとも3つ、具体的には4つのモノマータンパク質を含み、少なくとも一
つのモノマー、好ましくは全てのモノマーが、前述したように、非変性SDS-PAGE
で評価されたときに、116〜158kDaの分子量、具体的には125〜135kDaの範囲の分
子量を有するポリマー構造を形成することができる細菌の糖タンパクポリマー、
あるいは、それと機能的に等価な変異体、その誘導体、フラグメントまたは前駆
体に関するものである。前記本文より、非変性SDS-PAGEによる分離によってトリ
ンのタンパク質成分から多糖類部分を取り除けるということは高く評価されるで
あろう。しかしながら、この糖部分は、分子量に有意に影響を及ぼさない。した
がって、上述の分子量は、代わりに、ゲルろ過によって決定されてもよい。
【0025】 各糖タンパク質ポリマーは、同一でも異なっていてもよい、5以上のモノマー
単位、たとえば6〜10単位、具体的には6単位を有することが好ましい。実施され
た実施例におけるある調製物は、SDS-PAGEで116〜158kDaの範囲で単一バンドよ
り多いバンドを有することがわかった。これらの調製物もまた、上述した細菌糖
タンパク質ポリマーの定義の範囲内にあると考えられる。
【0026】 本発明は、たとえば、非変性SDS-PAGEゲルより得られるグリコシル化されてい
ないポリマーまたはモノマー型にも拡張される。 細菌タンパク質(または糖タンパク質)ポリマーの場合、機能的に等価な変異
体などは、機能的活性が保持されるかぎり、モノマータンパク質について先に定
義したのと同様である。変異体、誘導体、フラグメントまたは前駆体は、先に定
義したのと同様の、同一でも異なっていてもよい、1以上のモノマー単位の修飾
によって製造されてもよい。このようなポリマー構造中のモノマーは、必要とさ
れる活性をそれ自身では独立して有していなくてもよく、上述したように本発明
の範囲内に含まれる。
【0027】 R型の野兎病菌(Francisella tularensis)から得られ、また、悪性の細菌由
来のDNAが挿入されたその組換え型から得られるポリマー構造体を精製し、非変
性SDS-PAGEによって分離し、17kDaのバンドを単離し、部分的に配列を決定した
。細菌(R型Francisella tularensis)のモノマーのタンパク質部分は、下記に
示すアミノ酸配列を有することがわかった(実施例2.7参照):
【0028】
【数3】
【0029】 悪性の細菌から得られるDNA断片が、R型のFrancisella tularensis(15NIIEG
)、RB7およびRM32に挿入された組換え細菌において、最初の45個のアミノ酸が
調べられ、同一であることがわかった。 上記の配列は、MELタンパク質データベースまたは他の利用可能なデータベー
スにおけるいかなる配列にも緊密に関連していないこと、すなわち、可変のpamf
actorおよび12.0に設定されたギャップ開始(creation)のペナルティ、4.0に設
定されたギャップ延長のペナルティで、FASTA pep. cmpを用いて、SWISS-PROTタ
ンパク質配列データバンクを使用して評価した場合、いずれの既知の配列に対し
ても相同性が50%より少ないことがわかった。
【0030】 したがって、別の見方をすれば、本発明は、下記のアミノ酸配列または(上述
のテストによれば)これらに対し60%よりも多い、好ましくは80%よりも多い、
具体的には90%よりも多い配列相同性を有する配列を含む細菌タンパク質モノマ
ーを提供するものである:
【0031】
【数4】
【0032】 ある特定の残基における配列の同一性には、単純に誘導体化された同一の残基
を含めることを意図している。 上記配列の細菌タンパク質は、上述したような分子量および/またはグリコシ
ル化特性を有することが好ましい。 好ましい局面では、本発明は、同一でも異なっていてもよい、少なくとも3つ
、具体的には4つのモノマータンパク質を含み、少なくとも一つのモノマー、好
ましくは全てのモノマーが、先に定義した配列を含むタンパク質である、細菌の
タンパク質ポリマーに拡張される。
【0033】 さらに、SDS-PAGEから得られる17kDaのタンパク質の配列は、追加的な配列を
生じた。R型のFrancisella tularensisから調製された調製物において、以下の
部分的配列が得られた:
【0034】
【数5】
【0035】 14位の残基は、グルタミン酸残基であると思われる。 この配列は、主要配列と比較して、約17%の収率で存在していた。BCG(RB7)ま
たは類鼻疽(melioidosis)(RB32)由来のDNA断片を含む組換え細菌から得られ
る17kDaの調製物は、下記の部分的配列を有するタンパク質を含んでいた:
【0036】
【数6】
【0037】 34、36および39位の残基は、それぞれ、アスパラギン、ロイシンならびにアル
ギニン残基であると思われる。 この配列は、主要配列と比較して、10〜25%の収率で存在した。 上記配列で”Xxx”は、知られていない残基または可変的な残基を示し、後者
の場合は、いずれのアミノ酸であってもよい。
【0038】 上述のタンパク質に加え、トリンが濃縮されたR型のFrancisella tularensis
の抽出物をSDS-PAGEで分離したときに、約12kDaのバンドが同定された。このタ
ンパク質のN-末端配列が決定され、この配列は、下記のとおりである:
【0039】
【数7】
【0040】 この配列は、Swissprotデータベース中のDNA結合タンパク質の配列、HU:7/98
AC PO5384と非常に類似しており、イソロイシン残基を有する7位でのみ変化し
ている。この配列はまた、本明細書で記載した組換え株中にも存在することがわ
かった。理論に縛られることは望まないが、このタンパク質は、本発明のポリマ
ーの一以上のモノマーであってもよい。
【0041】 一以上の上述の配列および(上述のテストによれば)それらに対し60%よりも
多い、好ましくは80%よりも多い、具体的には90%よりも多い配列相同性を示す
配列を含むタンパク質は、本発明の好ましい面を形成する。同様に、本発明は、
同一であっても異なっていてもよい、少なくとも3つ、具体的には4つのモノマ
ーのタンパク質を含み、少なくとも一つのモノマーが上記した配列のうちの一つ
を含む細菌のタンパク質ポリマーに拡張される。
【0042】 本発明の糖タンパク質ポリマーはまた、インビトロでヌクレアーゼ活性を有す
ることもわかった。この作用は、インビトロで、細菌のおよび真核生物のDNAお
よびtRNAの両方で確認されている。したがって、本発明は、先に定義したような
、インビトロでDNAおよびRNAサンプルに対しヌクレアーゼ活性を示す細菌糖タン
パク質ポリマーを提供するものである。本明細書において使用されるように、ヌ
クレアーゼ活性とは、たとえば、DNAを0.8〜1.2μg/μlの濃度で、細菌糖タンパ
ク質ポリマーを0.8〜1.6μg/μlの濃度で用いて37℃で60〜90分間かけたときの
該DNAの50%以上の切断(実施例2.5AおよびB参照)によって、あるいは、tRNAを
1.5〜2.0μg/μlの濃度で、細菌糖タンパク質ポリマーを0.8〜1.6μg/μlの濃度
で用いて37℃で90〜120分間かけたときの該RNAの50%以上の切断(実施例2.5C参
照)によって立証されるような、核酸物質を切断する能力をいう。糖タンパク質
ポリマーはまた、後述するような細胞殺傷特性または抗増殖特性を有することも
判明した。
【0043】 さらに、本明細書に記載された細菌糖タンパク質モノマー(ならびに2量体型
および3量体型もまた)は、ヒト腫瘍壊死因子(TNFα)に対するモノクローナ
ル抗体により認識される。本実験では、3つの異なる部類のモノクローナル抗体
を用い、トリンのタンパク質部分との相互作用を可能にした(実施例2.4参照)
。しかしながら、これらのモノクローナル抗体は、これらが抗原の構造的または
機能的部分などに結合したか否かを決定することのために、特性を決定されてい
ない。したがって、別な方法で見れば、本発明は、ヒトTNFαに向けられるモノ
クローナル抗体に結合する細菌糖タンパク質モノマーを提供するものである。さ
らに、単量体、2量体および3量体型における細菌糖タンパク質は、動物または
ヒトの正常血清抗体によって認識されるのに対し、ポリマー構造は、このような
血清によって認識されない。
【0044】 TNF-αおよび正常血清抗体に対するモノクローナル抗体へのモノマー(ならび
に2量体および3量体型)の広い範囲の結合は、この特性が非特異的であっても
よいことを示唆している。このことは、このような抗体がポリマー構造に結合し
ないという事実によってさらに確認されるであろう。 本発明のトリンが単離される細菌に対する特異的なバクテリオファージは、特
に、精製されたトリンに結合することもまた判明した。したがって、トリンはバ
クテリオファージに対するレセプターとして作用する。このことは、本明細書に
記載された脱グリコシル化されたトリンのDNA結合活性によって説明されるであ
ろう。
【0045】 本発明のタンパク質ポリマーの精製により、pH7.5の10mMのトリス中、DEAEセ
ルロースカラムでクロマトグラフィーを行ったとき、150mMのNaClで、ポリマー
複合体が溶離することが明らかにされた。本発明のタンパク質ポリマーはまた、
ヌクレオシル(Nucleosil)-C18カラム上でのゲルろ過にかけて、0.1%のTFAを
含むアセトニトリル/水の混合物中で行うと、51〜52%のアセトニトリルで溶離
されることも判明した。
【0046】 上述したいくつかのまたはすべての構造的または機能的特徴を追加的に示して
いる本発明の細菌タンパク質ポリマーは、本発明の好ましい観点を形成する。た
とえば、好ましい態様においては、本発明は、同一でも異なっていてもよい、少
なくとも3つ、たとえば4つのモノマータンパク質を含む細菌糖タンパク質ポリ
マーであって、少なくとも一つのモノマー、好ましくはすべてのモノマーが、本
明細書で定義されているように、非変性SDS-PAGEによる評価がされたときに、11
6〜158kDaの分子量を有するポリマー構造を形成することができ、該ポリマーがD
EAEセルロース上で150mMのNaClで溶離し、また、ヌクレオシル-C18上で51〜52%
のアセトニトリルで溶離し、さらに、インビトロでヌクレアーゼ活性を示す細菌
の糖タンパク質ポリマーを提供するものである。さらに、このようなポリマーお
よび/またはこれらの構成モノマーは、グリコシル化されていないときは、DNA
結合活性を有していてもよい。
【0047】 本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、バクテリオファージの結合研究によっ
て示されるように、(自然界に発生するおよび組換え株中の)細菌表面上で発現
される。本発明の細菌タンパク質(たとえば糖タンパク質)モノマーまたはポリ
マーは、したがって、細菌の溶解物から精製されることによって得ることができ
る。溶解物からの純粋な細菌タンパク質(たとえば、糖タンパク質)の単離は、
たとえば、以下の方法、すなわち、HPLC、古典的ゲルおよびイオン交換クロマト
グラフィー、または密度勾配(gradient)超遠心分離のいずれかによって行って
もよい。細菌の粗抽出物は、たとえば、細菌のホモジナイゼーションまたは適当
な緩衝液中でそのタンパク質 キャプシド/膜 エンベロープ/細胞壁を粉砕し
得る他の適当な機械装置によるといった従来の生化学的および外科的技術を用い
て調製してもよく、具体的には、溶解物を調製するために、界面活性剤(deterg
ent)または他の化学的生物学的に活性な成分を適用することなく、超音波を用
いて細菌をホモジナイズしてもよい。
【0048】 その後、遠心分離によって溶解物を清澄化させ、無傷の細胞および大きな断片
を取り除いてもよい。さらに、本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、調製の際
、(NH4)2SO4を50%になるまで加え、続けて(NH4)2SO4を100%になるまで加え、
タンパク質を塩析することによって濃縮してもよい。その後、得られる沈殿物(
トリンが濃縮された溶解物画分)を、pH7.5の10mMのトリス-HCl緩衝液中で透析
してもよく、また、この沈殿物を用いて、先に示した、たとえばHPLCのような分
離技術により、純粋状態の(グリコシル化されてなくてもよい)トリンを回収し
てもよい。精製のさらなる段階において、従来の生化学的方法を利用してもよい
。ただし、回収の全段階が、氷点下で、界面活性剤を使用することなく、一定の
pH下で行われるという条件のもとでである。
【0049】 具体的には、トリンが濃縮されたサンプル画分(実施例1のポイント10にした
がって得られる。ゲルクロマトグラフィー参照)を、トリフルオロ酢酸(TFA)
を加えることによってpH2.2にまで酸性化する。沈殿物を発生させる際には、サ
ンプルを10分間、12,000rpmで遠心分離する。その後、上澄み液を、充填剤とし
てヌクレオシル-C18を含むカラム(粒径7μm、孔径100Å)に適用し、(グリコ
シル化されてなくてもよい)トリンを、アセトニトリル(0〜70%)を用いる勾
配溶離によって分離する。”Gilson”HPLC装置が用いられる。
【0050】 したがって、本発明のさらなる面は、本発明の細菌タンパク質(好ましくは糖
タンパク質)を調製しまたは単離する方法であって、少なくとも、たとえば遠心
分離(清澄化)および硫酸アンモニウム沈殿によって、細菌の粗抽出物を濃縮工
程にかける段階、および適切なクロマトグラフィーの技術または密度勾配超遠心
分離によって細菌タンパク質ポリマー含有画分を回収する段階を含む方法を提供
するものである。上記方法は、少なくとも(i)遠心分離(清澄化のための)段階
、(ii)関心のあるタンパク質の硫酸アンモニウム沈殿段階、(iii)サイズ排除ク
ロマトグラフィー段階および(iv)イオン交換クロマトグラフィー(実施例1参照
)段階を含むことが好ましい。
【0051】 その後、(グリコシル化されてなくてもよい)濃縮トリン含有抽出物を、たと
えば、遠心分離、選択的沈殿、電気泳動、クロマトグラフィーなどといった従来
の手法を用いるさらなる精製にかけてもよい。本発明の細菌タンパク質ポリマー
含有画分は、グリコシル化の状態に応じて、たとえば、急速に成長する細胞に与
える抗増殖/細胞殺傷効果、ヌクレアーゼ活性、特異的抗体を用いた免疫電気泳
動法(たとえば、ウェスタンブロッティング)、ヒトTNFに対する抗体への結合
、バクテリオファージの特異的吸収(実施例2参照)、および/またはDNA結合
活性を同定するためのアッセイによって同定されてもよい。生成物の純度は、SD
S-PAGEディスク電気泳動ならびに電子顕微鏡による二次構造および三次構造の保
持によって決定されてもよい。
【0052】 本発明の本質的にグリコシル化されていないポリマーを得るためには、上述し
た1以上の段階の後に、たとえば、酸性条件下で、非変性SDS-PAGEまたはHPLCを
利用することによって多糖類から該ポリマーを分離してもよい。ポリマーは、直
接単離されてもよく、または単離されたグリコシル化されていないモノマーより
調製されてもよい(実施例1.2.3および2.10参照)。本明細書に記載されている
ようなモノマーから本発明のポリマーを調製する方法は、本発明のさらなる面を
形成する。このような方法は、少なくとも、適切な技術により本発明の糖タンパ
ク質ポリマーを精製し、残った任意の多糖類から(たとえば非変性SDS-PAGEによ
って)モノマーを分離する段階、該モノマーを単離する段階、該モノマーを、ポ
リマー構造を形成にさせるのに充分な、たとえば10倍以上に濃縮する段階を含む
【0053】 上記したように、細菌タンパク質(たとえば糖タンパク質)ポリマーは、細菌
に向けられるバクテリオファージに対するレセプターとして作用する。このよう
なバクテリオファージは、したがって、関心のある細菌糖タンパク質ポリマーを
含む画分を同定するのに使用されてもよい。 細菌の粗溶解物を調製する別な方法として、細菌糖タンパク質ポリマーは、た
とえば、タンパク質分解酵素で処理することにより、截断形(truncated form)
で細菌表面から離されてもよい。トリプシンまたはエンドヌクレアーゼGlu-Cの
ような酵素は、もし完全な消化がなされる場合には、これらの生成物は本発明の
ポリマーの持つ特徴的活性を有しないフラグメントを生じることから、この点に
関して有用ではない。
【0054】 他の調製方法では、特異的リガンドが固相マトリックス上に固定化されている
アフィニティークロマトグラフィー系を用いることにより、細菌タンパク質の結
合活性の利点を利用してもよい。最適な結合パートナーには、細菌タンパク質(
好ましくは糖タンパク質)に結合するバクテリオファージおよび抗体が含まれ、
具体的には、本発明の細菌糖タンパク質を用いた抗原投与により作られる抗体ま
たはヒトTNFに対する抗体(モノマー型が単離され得るか、または多重結合型が
単離され得るかに依存する)である。
【0055】 したがって、本発明はまた、本発明の細菌タンパク質(好ましくは糖タンパク
質)を調製または単離する方法を提供するものであり、該方法は、少なくとも該
細菌の抽出物を調製する段階、細菌タンパク質に対して特異的に結合する相手を
担う固定化相に該細菌タンパク質を結合させ、そして、その後に該細菌のタンパ
ク質を該固定化相から溶離させることにより抽出物から該細菌タンパク質を精製
する段階を含んでいる。
【0056】 細菌タンパク質は、そのポリマー型、すなわち、自然界に発生する形態で単離
されることが好ましい。実施例1は、これを実施するための適切な技術を提供す
るものである。 上述の方法によって得られる細菌タンパク質(好ましくは糖タンパク質)は、
本発明のさらなる面を形成する。
【0057】 上記抽出技術および単離技術の他に、細菌タンパク質は、たとえば、Sambrook
ら, 1989,(分子クローニング、実験室マニュアル、第2版(Molecular cloning,
a laboratory manual 2nd Edition), Cold Spring Harbor Press)により記載さ
れているような標準的手法を用いる組換えDNA技術によって調製されてもよい。 本発明の細菌タンパク質をコード化するヌクレオチド配列を含む核酸分子は、
このように、本発明のさらなる局面を形成する。ある態様においては、本発明は
、このように、本発明の細菌タンパク質をコード化する核酸分子、あるいは先に
定義したようなそれと機能的に等価な変異体、その誘導体、フラグメントまたは
前駆体を提供するものである。
【0058】 本発明による核酸分子は、一本鎖または二本鎖DNA、cDNAまたはRNA、好ましく
はDNAであってもよく、縮退した、実質的に相同で、かつハイブリッド形成する
配列であって、これには細菌タンパク質または関連ある細菌タンパク質のフラグ
メントまたは前駆体をコードし得る配列を含む。「実質的に相同」とは、少なく
とも60%、好ましくは少なくとも70%または80%の配列相同性を示す配列を意味
する。特定塩基における配列相同性は、誘導体化された同一の塩基を含むことを
意図している。本発明の範囲に含まれるハイブリッド形成する配列とは、非緊縮
(non-stringent)条件下(室温で、6×SSC/50%ホルムアミド)で結合するもの
、コードの縮退(degeneracy)がなければ、上記条件下でハイブリッド形成する
であろうものだけでなく、低緊縮の条件下(2×SSC、室温、好ましくは、2×S
SC、42℃)またはたとえば2×SSC、65℃(SSC=0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナ
トリウム、pH7.2)の高緊縮調節下で洗浄されるものである。
【0059】 機能的に等価な細菌タンパク質、具体的には、本発明による抗原活性な細菌タ
ンパク質または細菌タンパク質変異体をコード化し得るヌクレオチド配列の誘導
体は、当該技術分野において公知の従来の方法を用いることによって得られるこ
とができる。 本発明による細菌タンパク質は、組換えDNA分子、またはこのような組換えDNA
分子を含む組換えDNAクローニング・ビークルまたはベクターを含有する宿主細
胞で発現させることにより組換え体中で調製されてもよい。該組換えDNA分子は
先に広く定義され、作動的に発現調節配列に結合するヌクレオチド配列を含んで
いる。上記したように、全ての宿主が、多糖類部分に結合すると同時にヌクレア
ーゼ活性を獲得する本発明のポリマー細菌タンパク質の発現を許容するわけでは
ないであろう。したがって、このような宿主は、たとえばグラム陰性菌といった
、無毒性または病原性の微生物であることが好ましい。この方法で発現される合
成ポリペプチドは、本発明のさらなる局面を形成する(「ポリペプチド」という
用語は、本明細書では、完全長の(full-length)タンパク質およびこれより短
い長さのペプチド配列の両方を含むように用いられる)。
【0060】 このように発現される細菌タンパク質は、本発明の細菌タンパク質のすべてま
たは一部と、組換え分子のDNAによってコードされるポリペプチド(追加的にそ
れに融合される)とを含む融合ポリペプチドであってもよい。これは、たとえば
、β-ガラクトシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、肝炎コア抗原、
あるいは当該技術分野の融合タンパク質に通常採用される他のポリペプチドのい
ずれかであってもよい。
【0061】 本発明の他の観点は、本発明の細菌タンパク質をコードするDNAを含む、ク
ローンベクターおよび発現ベクター、および(適切な真核細胞または原核細胞に
挿入されると、細菌タンパク質をコード化する)ヌクレオチド配列をベクターの
核酸、たとえばベクターDNAに挿入することを含んだ、本発明に係る組換え核
酸分子を調製する方法を包含する。このような発現ベクターとしては、本発明の
核酸分子とリーディングフレームのマッチングの際に連結する、適切な制御配列
、たとえば翻訳制御要素(たとえば開始および終結コドン、リボソーム結合部位
など)および転写制御要素(たとえばプロモータ−オペレータ領域、末端終結配
列(termination stop sequences))が挙げられる。
【0062】 本発明に係るベクターは、この分野において公知であり、文献に記載された技
術に基づくプラスミドおよびウィルス(バクテリオファージおよび真核ウィルス
を含む)を包含してもよいし、この分野において公知であり、文献に記載された
様々な異なる発現系において発現させてもよい。好適なウィルスベクターとして
は、バキュロウィルス、アデノウィルスおよびワクシニアウィルスが挙げられる
。多くの他のウィルスベクターが、この分野において文献に記述されている。
【0063】 様々な技術が知られ、このようなベクターを原核細胞または真核細胞に発現の
ために導入する目的に使用してもよいし、または生殖細胞系または体細胞に導入
してトランスジェニック動物を形成してもよい。好適な形質転換またはトランス
フェクション技術は文献に充分に記載されている。 本発明は、形質転換された、またはトランスフェクションされた、原核または
真核宿主細胞、あるいは上述したような本発明に係る核酸分子を有するトランス
ジェニック生物体をも包含する。先に述べたように、必ずしも全部の原核および
真核細胞が、細胞殺傷特性の帰結として、本発明の細菌性糖タンパク質ポリマー
の発現を支援するわけではない。
【0064】 細胞内の病原菌(たとえば、野兎病、スニーブ(snive(鼻疽))、結核およ
び他の疾患の病原菌)のみが、グリコシル化されていないポリマー(またはモノ
マー)を、続けてまたは同時にペリプラズマ空間、そしてカプセルへの移動とと
もにヌクレアーゼ活性を有するグリコシル化されたポリマーへと処理するための
適切な細胞機構を有する。この能力は、非病原菌(ガットバチルス(gut bacill
i)、ビフィズス菌など)においては、それらがトリン様のモノマーまたはポリ
マーを含まないため、欠けており、したがってトリンの発現には好適ではない。
同様に、真核細胞は好適でない。これは、生成されたトリンが周囲の非トリン発
現細胞を殺すため、特にそうである。
【0065】 したがって、充分に機能的な細菌タンパク質ポリマーの発現に関して、発現は
無毒性のまたは病原性の微生物、たとえばグラム陰性細菌において好ましい。こ
れらの宿主は、細菌タンパク質のポリマー形態への組み立てのための必要な機構
をも提供する。しかしながら、これらの問題は、ヌクレアーゼ活性を示さない細
菌タンパク質モノマーの発現とともに、またはDNA結合活性を有するポリマー
(またはモノマー)の発現に関しては存在しない。このような場合において、適
切な宿主細胞としては、原核細胞、たとえばE. Coli、真核細胞、たとえば酵母
またはバキュロウィルス昆虫細胞系、形質転換哺乳類細胞、およびトランスジェ
ニック動物および植物を挙げることができる。
【0066】 本発明のタンパク質を細菌細胞中で発現させたときに、自然界に生じる、これ
らの細胞に特異的なトリンは、この細菌細胞中に予め存在することは想起するべ
きである。しかしながら、上述したように、適切な外来DNAを挿入することに
より、自然界に産生されるタンパク質とは(たとえば特定のバクテリオファージ
または抗体に対する反応性によって)区別される、本発明のタンパク質が発現さ
れる。
【0067】 市販されているR-型のFrancisella tularensisに病原菌からのDNAフラグメ
ントが挿入された、多くの組換え生物体が生産されている(そして、寄託番号VK
PM B-6854にて、ロシア国立産業微生物収集庫(Russian National Collection o
f Industrial Microorganisms)に寄託されている)。これらの組換え微生物体
は、本発明の細菌タンパク質を発現するのであるが、ブダペスト条約のもと、Ru
ssian National Collection of Industrial Microorganisms (VKPM)に寄託さ
れている。スニーブ(鼻疽)細菌からの挿入を含むRTC16、スニーブの原因とな
る伝染性剤からの挿入を含むRRCC207、類鼻疽の原因となる細菌からの挿入を含
むRM32および類鼻疽細菌からの挿入を含むRM28は、1998年11月16日に、Bioscan
Ltdという名前で、それぞれ付与された受託番号VKPM B-7673、VKPM B-7672、VKP
M B-7671、およびVKPM B-7670にて寄託された。さらに、Francisella tularensi
s subsp. Holarcticaは、同じ寄託所に1994年8月8日に、それぞれ受託番号VKPM
B-6853、VKPM B-6855、およびVKPM B-6852で寄託された、Francisella tularens
is nearctica Shuからの挿入を含むR5S、Pseudomonas (Burkholderia)pseudom
allei C-141からの挿入を含むRN4、Francisella tularensis nearctica B-399A
Coleからの挿入を含むR1Aを形成するのに用いられた。
【0068】 さらに、Francisella tularensis subsp. Holarcticaは、受託番号VKPM B-738
1、VKPM B-7383、VKPM B-7382、VKPM B-7384、VKPM -7776およびVKPM -7775にて
寄託された、類鼻疽細菌からの挿入を含むRM2、結核菌からの挿入を含むRB7、結
核菌からの挿入を含むRB26およびスニーブ(鼻疽)細菌からの挿入を含むRC117
(それぞれ同じ寄託所に1997年4月8日に寄託)、およびそれぞれ結核菌からの挿
入を含むRVT-1およびRVT-2(それぞれ同じ寄託所に1999年5月7日に寄託)を形成
するのに用いられた。
【0069】 さらなる本発明の観点は、上記で定義した本発明の細菌タンパク質を調製また
は単離する方法であって、これらは前記細菌タンパク質の全体または一部をコー
ド化する核酸分子を含む宿主細胞を、前記細菌タンパク質が発現するような条件
で培養すること、およびこうして得られた細菌タンパク質を回収することを含む
。このような細胞は、寄託され、およびここで記載されたものであることが好ま
しい。本発明の細菌タンパク質は、このような細胞から、実施例1に記載した方
法に従って単離することができる。
【0070】 本発明の細菌タンパク質、および機能的に等価な細菌タンパク質変異体、誘導
体、フラグメントまたはその前駆体も、化学的手段、たとえばよく知られている
Merrifield固相合成手順により調製できる。 本発明に係る細菌タンパク質は、病原性の細胞内細菌およびその変種から得る
ことができ、またはそれらの細菌糖タンパク質の誘導体から得ることができる。
グラム陰性およびグラム陽性細菌が特に好ましく、Pseudomonas(Burkholderia
)属、(たとえばP. mallei, P. pseudomalleiおよびMycobacteriaceaeファミリ
ー(Mycobacterium属;BCG、M. bovis, M. tuberculosis)の細菌であることが
とりわけ好ましい。Francisella (sp. F. tularensis、ワクチン株15NIIEGのR-
型)が、特に好ましい。
【0071】 細菌糖タンパク質ポリマーが、BおよびT細胞応答の両方を創造する、すなわち
液性および細胞免疫性の両方を生じさせる、有効な免疫調節剤であることはすで
に見いだされている。トリンは、病原菌の病毒性に大いに原因があることが信じ
られており、これは、以前には不可能であった、または弱いワクチン組成物、た
とえば弱毒化した細菌によるものに頼っていた、細菌に対するワクチンを調製す
ることの可能性を提案する初めてのものである。本発明の抗原は、弱毒化を必要
とせず、および本発明の細菌タンパク質を含む(および/またはコードする)生
きたワクチンの使用を可能にし、これによりワクチンの細菌タンパク質を体内に
充分な長さの時間だけ留まらせて、充分な免疫応答を発揮させる。
【0072】 したがって、さらなる観点において、本発明は、一つ以上の本発明の細菌タン
パク質(好ましくは糖タンパク質)、好ましくは細菌タンパク質ポリマーを、少
なくとも一つの製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤とを一緒に含むワク
チン組成物を提供する。さらには、本発明は、本発明の細菌タンパク質、および
それと機能的に等価な変異体、その誘導体、前駆体またはフラグメントの、ヒト
またはヒト以外の動物における前記細菌または関連する細菌(たとえば同属の)
に対する免疫応答を刺激する際に用いるワクチン組成物の調製のための使用を提
供する。先にも述べた通り、糖タンパク質ポリマー形態は、モノマーおよびグリ
コシル化されていないポリマーには欠けている様々な機能を示すことが見いださ
れている。同様に、糖タンパク質ポリマーは、モノマーまたはグリコシル化され
ていないポリマーよりも実質的に大きな防御効果を示すため、ワクチンにおいて
有利に使用される。
【0073】 好ましい態様において、前記細菌糖タンパク質は、生きたワクチン中で形成さ
れ、すなわち、ワクチンされた動物、たとえばヒトの体内で生成される。これは
、ワクチンを投与された体内で自己複製することが可能な宿主細胞における発現
、たとえば宿主微生物体、たとえば上述したようにグラム陰性細菌の使用により
達成することができる。
【0074】 異なった細菌由来の本発明の細菌糖タンパク質ポリマーが、生きた病原菌を免
疫原として用いて調製された免疫血清を用いた反応により示されるように、その
生物体について特異性を示すことが見いだされている。しかしながら、ここで記
載したモノマーは、様々な細菌において高度に保存されていて、いくらかの交差
反応を呈する。異なる病原菌からの本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、関連
する細菌に対する防御を提供することが見出されている。したがって、異なる細
菌由来の細菌タンパク質は、その細菌または密接に関連した細菌から生じる感染
に対してワクチンとして用いることができる。
【0075】 さらに、ヒトまたはヒト以外の動物における細菌に対する免疫応答を刺激する
ためのワクチン組成物であって、上記で定義した、一つ以上の細菌タンパク質、
またはそれと機能的に等価な変異体、その誘導体、抗体フラグメントまたは前駆
体を、製薬上許容される担体または希釈剤と一緒に含むワクチン組成物、および
ヒトまたはヒト以外の動物における細菌に対する免疫応答を刺激する方法であっ
て、前記動物またはヒトに上記で定義したワクチン組成物を投与することを含む
方法が、本発明に従って提供される。
【0076】 処置される動物は、哺乳類であることが好ましく、特にヒトであることが好ま
しい。 上述したように、本発明に係る細菌タンパク質は、いかなる細菌からも得るこ
とができる。しかしながら、ワクチンとしての使用に関して、この細菌タンパク
質は、グラム陰性細胞内細菌、特にPseudomonas(Burkholderia)属、sp. F. tu
larensis属およびMycobacterium属から得ることのできる細菌糖タンパク質から
得られるか、あるいはこれらから誘導されることが好ましく、これらは、これら
の菌または関連する細菌に対して防御する免疫応答を刺激するのに用いられる。
ある範囲の細菌に対するワクチンを調製するのに用いることができる、「広範ス
ペクトル性の(broad spectrum)」細菌タンパク質抗原と呼ばれる(すなわち、
その細菌タンパク質が単離される細菌の他に、他の細菌の広い範囲に対する宿主
の防御的免疫応答を刺激することができる)細菌タンパク質が、特に好ましい。
しかしながら、「広範スペクトル性の」ワクチンに開発する際に、万能ワクチン
が開発されるその対象となる病原菌のスペクトル性が広くなればなるほど、この
スペクトルに包含される各々の特定の病毒株に対して達成される防御の指数は低
くなることを考慮に入れるべきである。
【0077】 ワクチンにおける使用のための本発明の細菌糖タンパク質は、ポリマー形態に
あるもの、たとえば分子量が116〜158kDaであり、かつ、4以上のモノマーを含
み、かつ、タンパク質:多糖類の比が1:1以下(たとえば、1:2)で存在す
る多糖類部分を含有するものが特に好ましい。上述したように、前記細菌タンパ
ク質は、生きた、自己複製形で、たとえば病原微生物体中で存在することが好ま
しい。今まで、単一のモノマーが、テストされた系において有効な防御性を有す
ることは見いだされていない。
【0078】 ここで言及するように、免疫応答を刺激することのできる(たとえば細菌また
は他のキャリアにて存在する)細菌タンパク質は、宿主による応答であり、宿主
防御の、すなわち免疫原性の免疫応答を発生し、これは細菌もしくは関連する細
菌に損傷を与え、阻害または殺傷する免疫エフェクター分子、抗体または細胞の
発生を導く。これにより臨床性または無症性(すなわち無症候の)疾患から宿主
を防御する。このような防御的免疫応答は、抗体の発生および細菌の代謝機能を
抑圧することができる遅延性の、または即時型の過敏症の出現によって普通に明
示される。
【0079】 上述したように、本発明の細菌タンパク質がそれらの宿主の防御を発揮するこ
とのできる方法の一つは、ヒトまたはヒト以外の動物の細胞内における病原菌の
数の維持または減少により示されるように、細菌の発育、維持および/または発
展を阻害するマクロ生物体の免疫の活性化によるものである。 阻害性血清抗体の数を増大させることが、常に細胞内細菌の発育、生存活性(
vital activity)および/または発展を抑圧するわけではないが、病原菌の存在
の非常に特異的な診断的な兆候になりうる。モノまたはポリクローナルであって
もよい、そのような抗体およびそれらの抗原結合フラグメント(たとえば、F(ab
)2、FabおよびFvフラグメント、すなわち抗原結合部位を有する抗体の「可変」
領域のフラグメント)は、前記抗体を含むワクチン組成物および細菌に対して受
動免疫を行う宿主における使用のためのワクチン組成物の調製におけるそれらの
使用がそうであるように、本発明のさらなる観点を形成する。このような阻害性
抗体は、イデオタイプの抗体の使用により生じる。抗イデオタイプ抗体は、ワク
チンにおける免疫原として用いることができる。
【0080】 ワクチン組成物は、本発明に従って、ワクチン製造の分野における公知の方法
により調製することができる。伝統的なワクチン処方は、一つ以上の抗原(細菌
タンパク質)または本発明に係る抗体を、適切な場合には、一つ以上の好適なア
ジュバント、たとえば水酸化アルミニウム、サポニン、quil A、またはそれらの
さらに精製された形態、ムラミルジペプチド、鉱油または野菜油、Novasomeまた
は非イオン性ブロックコポリマーまたはDEAEデキストランと一緒に、一つ以上の
製薬上許容される担体または希釈剤の存在下で含む。好適な担体としては、液体
媒体、たとえばビークルとして使用して本発明の細菌タンパク質を動物または患
者に導入するのに好適な生理食塩水が挙げられる。追加の成分、たとえば保存剤
が含有されていてもよい。
【0081】 他のワクチン処方は、生きたもの、死んだものまたは弱毒化されたものであっ
てもよい、そこに挿入された本発明に係る核酸分子(たとえば、DNA分子)(
挿入された核酸分子によりコード化されたポリペプチドに対して向けられた免疫
応答を刺激するためのもの)を有するウィルスまたは宿主細胞、たとえば微生物
体(たとえばワクシニアウィルス、アデノウィルス、細菌、たとえばMycobacter
ium Bovis(BCG)のBacillus Calmette-Guerin株またはSalmonella spp)を含ん
でいてもよい。この方法は、抗原(細菌タンパク質)が体内で持続的に生成され
て、これにより充分な免疫応答の発展を許容することができるという利点を提供
する。
【0082】 ワクチンは、前述した一つ以上の寄託された組換え微生物体またはそれらから
誘導されたトリン(好ましくはグリコシル化された形態)を含むことが特に好ま
しい。特に、RB32およびRB28と称する組換え株またはそれから精製されたトリン
(実施例1の方法による)を用いたワクチンが好ましい。 ワクチン組成物の投与は、従来の経路のいずれか、たとえば経口、経直腸また
は腸管外によっても、たとえば筋肉内、皮下、腹腔内または静脈内注射により、
必要に応じ間隔をおいて、たとえば7-35日間隔での二回の注射で行うことができ
る。組成物の皮膚への局所的適用、たとえば軟膏剤により免疫することも可能で
ある。
【0083】 細菌タンパク質抗原は、本発明に従って、同一または異なる細菌から得られた
他の防御抗原と組み合わせて用いることができる。このような組合せワクチン組
成物は、ちょうど問題となっている細菌タンパク質抗原を含む、個々のワクチン
調製物よりも少ない量の様々な抗原を含有する。 本発明の細菌タンパク質は、細菌表面に存在するため、それらの存在は前記細
菌の存在を同定するのに用いることができる。これは、明らかに、このような細
菌に感染された患者の診断における適用を有するもので、また生物的または非生
物的な試料、たとえば細胞培養の上澄み中の、あるいは汚染検査を行う水試料中
の細菌の存在を同定するのに用いることができる。
【0084】 したがって、本発明は、さらに、試料中の細菌またはその部分の存在を同定す
る、または量を測定する方法であって、少なくとも前記試料中の本発明の細菌タ
ンパク質またはそのフラグメント、あるいはこのタンパク質またはそのフラグメ
ントをコードする核酸分子の量を評価することを含む方法を提供する。ここで用
いたように、「部分」は、本発明の細菌タンパク質またはそれをコードする核酸
物質、あるいはここで記載した方法の一つにより該細菌タンパク質またはそれを
コードする核酸物質の同定を可能にする細菌タンパク質のまたはそのコードする
核酸物質のフラグメントを有する細菌の部分を指す。ここで用いたように、「フ
ラグメント」とは、それが起源を発するタンパク質の独特な同定を許容する、具
体的には100残基未満、たとえば5〜20残基の領域のタンパク質の部分を指
す。ここで用いられる「評価する」という語は、試料中の細菌の量についての絶
対量を得る意味における定量、および試料中の細菌の量についての半定量的な評
価または他の指標、たとえば指数または比を得るという意味における定量の両方
を包含する。便宜的には、存在する細菌の量を測定するために、特定の試料型に
おける細菌のレベルに対して細菌タンパク質(またはコードする核酸物質)の存
在を関係付ける標準曲線を、前記細菌またはその部分の異なった量を添加したコ
ントロール試料を用いて用意することができる。サンプルの試験結果を、この標
準曲線と比較して、存在する細菌の量を測定することができる。
【0085】 アッセイ方法の評価工程を実施するために、細菌タンパク質またはそのフラグ
メント、あるいはコードする核酸物質の同定/視覚化(シグナル化する手段)を
可能にする技術を実施する必要がある。ここで述べたように、本発明の細菌タン
パク質は、いくつかの独特な性質を有しており、これらの性質は、調査する試料
中の細菌タンパク質の存在の指標として用いることができる。細菌タンパク質の
抗原特性は、細菌タンパク質の存在に関するマーカーの調製に利用することがで
きる。たとえば、特定の細菌タンパク質に対して向けられた抗体、好ましくはモ
ノクローナル抗体(高いバックグラウンドレベルを避けるために前記細菌タンパ
ク質に対して本質的に特異的である)を調製することができ、使用することがで
きる。
【0086】 細菌タンパク質に結合した抗体の量の評価を可能にするために、抗体を直接ま
たは間接的にラベル(標識)することができる。このようなラベルまたはラベル
化手段としては、たとえば酵素、蛍光性化合物、放射性標識および化学リン光化
合物が挙げられる。酵素活性、たとえばアルカリホスファターゼを用いて分光光
度計評価のための色を発生させるラベルも用いることができる。細菌タンパク質
に結合するこれらの抗体のみを同定するために、未結合の抗体を除去すべきであ
り、この目的のために適切な洗浄段階を用いてもよい。たとえば、細菌タンパク
質を発生させる細菌を固体支持体上に(たとえば、抗体を介して)固定化して、
次いで該細菌タンパク質に対する抗体(標識を生じさせる)と接触させる、サン
ドウィッチアッセイを用いることができる。未結合の抗体(およびラベル)は、
単に洗い去ってもよい。したがって、本発明のアッセイ方法は、たとえばELISA
として行うことができる。
【0087】 あるいは、細菌タンパク質の異なる性質を評価することができる。したがって
、たとえば試料中のヌクレアーゼ活性のレベルを、細菌タンパク質ポリマーの存
在の指標として評価することができる。前述したように、バクテリオファージは
、このようなバクテリオファージが向けられる細菌に由来する本発明の細菌タン
パク質ポリマーを認識し、および結合する。したがって、バクテリオファージを
、試料中の本発明の細菌タンパク質ポリマー、したがって細菌の存在を同定する
ために用いることができる(実施例2.6を参照)。
【0088】 あるいは、DNA結合活性を、このタンパク質から多糖類部分を剥がすことに
より(たとえば酸加水分解により)評価することができる。核酸プローブ、たと
えばここで記載したアミノ酸配列の一つをコード化するDNA配列と相補的なD
NAプローブの使用は、細菌DNA、ゆえにその細菌の存在を同定するさらなる
方法を提供する。
【0089】 本発明は、さらに、本発明のアッセイ法を行うためのキットにもわたる。そし
て本発明は、試料中の特定の細菌またはその部分の存在の特定またはその量の測
定のための、少なくとも以下のものを含むキットを提供する; i)シグナル手段、たとえば、該細菌に特異的な本発明の細菌タンパク質また
はそのフラグメントに結合する標識担持抗体、または該細菌タンパク質の酵素活
性に適切である基質、あるいは、本発明の細菌タンパク質またはそのフラグメン
トをコードする核酸分子と結合する標識された核酸プローブなど。
【0090】 好ましくは、そのキットは、たとえば、該細菌タンパク質またはそのフラグメ
ントに結合でき、該細菌またはその一部の固定に用いられる細菌タンパク質結合
部分、たとえば、第二抗体などをも含むことが望ましい。好都合なことには、該
キットは、シグナル手段からの同定できるシグナルの発現に必要な化合物または
溶液をもまた含んでいる。
【0091】 さらに、該キットは、アッセイの標準化のためのまたは比較目的のための手段
を含んでもよい。 上記アッセイは、たとえば水あるいは食品試料の品質コントロール試験、生物
的試料の汚染のための試験など、患者以外に由来する試料中の細菌の、レベル/
存在の評価に用いることができるけれども、該アッセイが、病気の兆候と関係す
るか否かを示す、動物体内における細菌もしくはその一部の存在を決定するため
に、主に用いられれば高く評価されるであろう。このように本方法は、病態を診
断し、あるいは感染のタイプを特徴化したり血清より型を決めることに用いるこ
とができる。
【0092】 このように、さらなる観点で見れば、本発明は、細菌によるヒトあるいはヒト
以外の動物の感染を診断する方法を提供し、該方法は少なくとも、ヒトあるいは
ヒト以外の動物からの試料中における、本発明の細菌タンパク質またはそのフラ
グメントもしくは該タンパク質をコードする核酸分子の存在あるいはその量を評
価する段階を有している。
【0093】 この診断テストは、患者が感染しているかどうか、感染の範囲の確定するため
、または、治療の効果および/または疾病の進展を監視するために用いることが
できる。診断される患者は、診断の際に兆候がないこともある。 試験に適切な試料は、細菌と、その生体内において感染した/局在した部位に
よる。しかしながら、簡便には、たとえば尿、便、血液、精液、髄液、唾液、リ
ンパ液、吐瀉物(肺の患者)、胎盤、生検物などの、患者の排泄物や体液が試料
として用いられる。
【0094】 細菌による感染の診断は、たとえば該細菌の過敏性の試験などにより、インビ
ボにおいても行うことができる。これは、表面、皮内または皮下における、遅延
したあるいは即時の過敏性の測定により測定することができる。たとえば、遅延
タイプの過敏性が生じるかどうかを測定するには、最初の抗原投与から6週間後
に、0.1から0.2mlの抗原を動物の皮内(たとえば背骨に沿って剃毛した部位、脇
腹、腹膜など)に注射する。この抗原は、精製した形態または生きた組換え型細
菌として投与される。そしてその結果は、24−48時間の間に確認される。陽性反
応は、直径5mmあるいはそれ以上の範囲の投与部位における赤変、腫れもしくは
壊死により確認される。
【0095】 このように本発明のさらなる観点によれば、ヒトあるいはヒト以外の動物の細
菌による感染を、その細菌から得られる本発明の細菌タンパク質の呈示に対する
、該動物の反応の評価により診断する方法を提供する。該呈示は局部的または全
身的であって、評価される反応も、通常、たとえば炎症、かゆみなどといった過
敏症と関係するいずれかの反応である。
【0096】 本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、驚くべきことに、急速に成長する細胞
に対して、抗増殖性、細胞毒性効果を示すことも見出された(実施例2.8参照)
。この点において、本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、免疫系の調整に重要
な役割をし、薬として使われるいくつかのマクロ生物体由来のサイトカイン(た
とえばTNF−αまたはインターフェロンなど)と類似性を示す。組換え微生物
は、薬剤開発の目的で産出される遺伝子工学サイトカインおよび免疫調節体に用
いられる。これらのサイトカインの配列には、しかしながらここに示すトリンと
同じ配列はない。
【0097】 実施例に記載のように、本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、不死の細胞系
中の細胞増殖を抑制し、最終的に(3,4日中に)それらを死滅させたことが見出
された。トリンがインビトロでヌクレアーゼ活性と、グリコシル化された際のDN
A結合活性を示す事実により、それらは真核細胞中においても、緩慢的な細胞の
死へ続く、染色体DNAの破壊を行うと信じられる。
【0098】 このトリンの細胞殺傷効果は、毒素による効果とは区別される。公知の毒素は
通常1つあるいはそれ以上の酵素反応を妨げ、即時の細胞破壊を引き起こすこと
により効果を発揮する。これに対して、トリンは、他の機能に影響することなく
染色体DNAを破壊するようである。ひとたびDNAが破壊されると、細胞は増殖を中
断するがすぐに死滅するのではなく、存在する細胞間質からRNAなどの必要とさ
れる物質を生産し続ける。細胞は、全ての内部資源を使い果たしたとき、たとえ
ば10時間から2−3日で、最終的に死ぬ。細胞の急速な破壊がないことは、毒素の
使用にともなう通常の併発症、すなわち、細胞の多量の崩壊物による重大な毒性
の、非特異的炎症の併発性を避ける。
【0099】 さらに、たとえばF. tularensisまたはM.bovisのようなグラム陰性の細胞内病
原細菌などの、異なる細菌から得られた細菌糖タンパク質ポリマーは、異なる真
核細胞に対し異なる抗増殖効果を示す。たとえば、試験された本発明の細菌糖タ
ンパク質ポリマーは、異なる細胞タイプに異なる濃度で細胞毒性を示す。このよ
うに、異なるトリンは、抗増殖剤としてトリンを用いるときに明確な適応性を有
する、異なる細胞タイプに特異性を示す。
【0100】 本発明の細菌糖タンパク質ポリマーの変化する特異性(それらの細菌に特定の
バクテリオファージが結合した能力により証明されたように)は、ヒトおよび動
物器官及び組織系に関しては、細胞内病原菌の異なる選択性によるものであろう
。たとえば、野兎病、鼻炎(鼻疽)および類鼻疽の病原体は、はじめに造血組織
を攻撃し、結核の病原体ははじめに肺、卵巣、骨格組織を攻撃し、淋病の病原体
ははじめに粘膜上皮(膣、結膜)を攻撃し、髄膜炎の病原体ははじめに脳の漿液
嚢を攻撃し、腸チフス熱の病原体ははじめに腸内の粘膜を攻撃するなど。もし病
原菌間によるこれらの違いがトリンの特異性によるものであるならば、このこと
は、それらの抗増殖および細胞毒性効果の帰結としての腫瘍を治療し、予防する
ための、特定トリンの使用の基盤を提供する。
【0101】 実際、トリンを発現している本発明の組換え微生物で過敏な実験動物を感染さ
せた場合、該微生物は、組換え微生物が産出された細菌の特異性と互いに関連す
るそれらの動物の内部器官と組織に関して特異性を示すことが見出された。(実
施例2.9参照)。 本発明の異なる細菌タンパク質ポリマーが、腫瘍部内の正常組織および治療さ
れるべき腫瘍型との両方に関して、それらの選択性と特異性に応じて異なる腫瘍
の治療に用いることができる。細菌タンパク質ポリマーは、このため、阻害また
は除去される増殖細胞の型に従って試験され、選択されるであろう。
【0102】 このようにさらなる観点で見れば、本発明は、たとえば、腫瘍細胞などの、特
定の細胞タイプのための細胞殺傷剤など、抗増殖剤として用いるのに適切な本発
明の細菌タンパク質ポリマーを特定する、少なくとも以下の工程を含む方法を提
供する; a)本発明の異なる細菌タンパク質ポリマーの非存在下および存在下において
該細胞を発育させる工程、b)ある時間経過後残っている生細胞数を比較する工
程、c)上記時間間隔の間に大規模に細胞増殖を阻害する細胞タンパク質ポリマ
ーを同定する工程。
【0103】 周縁の正常組織の損傷を避けるため、選択した細菌タンパク質ポリマーによる
該組織に及ぼす可能性のある損傷を決定することは明らかに有利である。このよ
うに、研究下にある細菌蛋白ポリマーの存在において、周辺組織の細胞、または
比較の細胞を成長させる並行したアッセイを行ってもよい。理想的には、高い比
率の(残存する正常組織細胞の生存量%:残存する急速に成長する細胞、たとえ
ば腫瘍細胞の生存量%)を示す細菌タンパク質ポリマーは、増殖を低減させるの
に最も望ましい特性を有しており、好ましくは研究下にある急速に成長する細胞
を排除する。さらに、適切とされるその投与は上記試験を利用して最適化される
【0104】 好都合には、該試験は、細胞培養において適当な細胞(たとえば1×104−1×1
06数の細胞)の2−10日、たとえば5日間、1から10μg/mlのオーダーの投与量で
たとえば5から50μg/mlの量の培養液中で処理することにより行うことができ
る。 上記の抗増殖/細胞殺傷効果は、インビトロまたはインビボで、正常に増殖す
るおよび/または増殖しない細胞を、急速に成長する細胞から分離するのに用い
ることができる。たとえば、リンパ球幼若化反応(Surcel et al., 1989, Micro
bial Pathogenesis, 7:p411-419)で、特定の細胞集団の幼若化をもたらす突然
変異原(抗原、細菌または真核細胞)が、試験管内あるいは動物体内に導入され
る。この種の反応へのトリンの導入は、急速に分裂している形質変換細胞を専ら
排除する(殺す)ことにより突然変異原の効果を無効にする。インビトロでのこ
の効果は、たとえば、適当な細菌タンパク質ポリマーを用いて、正常の細胞培養
または外植片の、急速に成長する細胞による感染を制御するのに用いることがで
きる。一方、急速に成長する細胞は、要求される接触時間がごく短時間であるた
めに(分単位)、たとえば転移を防ぐために、体内から、たとえば患者にもどさ
れるべき血液から、排除され得る。
【0105】 本発明はこのように、抗増殖剤として用いるための本発明の細菌タンパク質ポ
リマー、および細胞の増殖を変更する本発明の細菌タンパク質ポリマーの使用を
提供する。インビボでは、ヒトまたはヒト以外の動物内において、この細菌タン
パク質ポリマーはいずれの急速に成長する細胞、特に異常なもの、たとえば腫瘍
(特に癌などの悪性のもの)または白血病の治療にも適応する。
【0106】 このように広い面で見ると、本発明は、ヒトまたはヒト以外の動物内で、該動
物に本発明の細菌タンパク質ポリマーを施すことを含む、急速に成長する細胞に
関係する病態、たとえば腫瘍などの治療または予防の方法を提供する。別の見方
をすれは、本発明は、薬物として用いるための、特に急速に成長する細胞に関係
した病態よる状態、たとえば腫瘍などの治療または予防に用いる本発明の細菌タ
ンパク質ポリマーを提供する。さらに本発明は、特に急速に成長する細胞に関係
した病態、たとえば腫瘍などの治療または予防のための薬品を調製するために用
いる、本発明の細菌タンパク質ポリマーの使用を提供する。
【0107】 ここで用いるように、「治療」とは、たとえば増殖を停止させるなど、急速に
成長する細胞の増殖速度を減少させること、分化をひきおこすこと、または、あ
る細胞の死をひきおこすことに関する。腫瘍に関しては、「治療」は、腫瘍の状
態を改善することに関し、また、その成長速度を変えること、好ましくはさらな
る成長を妨げること、特に好ましくは該腫瘍を減少または排除することに関する
。白血病に関しては、「治療」は、血液の構成物を正常化すること、好ましくは
未熟血液細胞の数を減少させるかまたは除去することに関する。
【0108】 上記病態の「予防」とは、急速に成長する細胞に関係した病態の病歴またはそ
のリスクを特に有する個人の予防処理のための、特に腫瘍の発達、白血病の状態
、または免疫反応または不全を防ぐための本発明の細菌タンパク質ポリマーの使
用に関する。 ここで用いるように、急速に成長する細胞とは、たとえば周辺組織または造血
組織など、同様のタイプの細胞と比較して加速された増殖を示すいずれの細胞を
も含む。特に本発明は、異常に急速に成長する細胞(すなわち、比べ得る正常の
個体には通常見受けられないもの)の治療あるいは予防を目的とする。この急速
に成長する細胞は、病気によって生じるかもしれないし、また、特定の事象への
身体の反応、たとえば体内への異物の導入などにより生じるかもしれない。好ま
しくない物体による感染への身体の自然な免疫反応は、感染していないが比較さ
れ得る個体において比べ得る事象が欠如するにもかかわらず、細胞(免疫細胞)
の異常な成長を引き起こすとは思われない。
【0109】 特に腫瘍の成長と白血病は、そのような異常成長を示す。さらに、本発明の細
菌タンパク質ポリマーは、たとえば自己免疫疾患などの活性化された免疫応答の
治療または予防、または移植手術の拒絶の予防に用いられる。このように、本発
明の細菌タンパク質ポリマーは免疫抑制剤として用いることができる。トリンは
、たとえば、血液の全細胞成分の過度の増殖が見られる赤血球増加症および偽赤
血球増加症などに効果的である。
【0110】 上述のように、治療される腫瘍は、乳房、消化管、前立腺、肺および卵巣の癌
を含む癌、たとえば癌腫、肉腫、神経膠腫、黒色腫およびホジキン病などである
かもしれない。一方、治療される腫瘍は良性のもの、たとえば乳頭腺腫および線
維腫であるかもしれない。 上記のように、異常成長の細胞を治療するためのトリンを選択する作戦は、病
理形態学的兆候、主に病原性の細胞内菌に起因した特定器官(組織)の障害によ
って決定される。たとえば、赤痢あるいは腸チフス熱の病原体から単離されたト
リンは、悪性および良性の消化管の腫瘍の治療に好ましく用いられ、結核、髄膜
炎および野兎病、鼻炎(鼻疽)および類鼻疽の病原体から単離されたトリンは、
肺および卵巣癌、大脳の癌および各種白血病の治療にそれぞれ好ましく用いられ
る。最後の分類のトリンは免疫抑制剤としても用いられる。インビボにおいて異
常成長細胞を治療するための適切な投与量の決定においては、上述のように、最
大限の細胞毒性効果が好ましくない細胞上に生じ、周辺の正常組織への悪影響が
最小限となるように決定される必要がある。悪影響は、冒された部位への局所的
投与により最小化されるかもしれない。
【0111】 トリンは、腫瘍細胞の細胞質に取り込まれ、これはそれらの細胞上の受容体と
結合を生じることによるものでトリンは、該細胞の染色体DNAを破壊して、増殖
を妨げ、数日中に細胞の死を引き起こす。もし適切な標識を行ったならば、それ
らは、たとえば腫瘍の診断における、急速に成長する細胞のマーカーとして用い
られるであろう。トリンの該細胞への結合部分(受容体部位)に依存して、トリ
ンフラグメント(たとえばグリコシル化されていないポリマーまたはモノマー)
がマーカーとして使用するに充分であることが認識されるであろう。
【0112】 本発明は、このように、ヒトまたはヒト以外の動物において、たとえば腫瘍細
胞などの急速に成長する細胞の存在または位置を、少なくとも本発明の細菌タン
パク質と該動物の細胞との結合を評価する段階を含む上述の方法により、診断す
る方法をも提供する。 ここで用いるように、「結合」とは、真核細胞の表面上での受容体(それらの
存在するところ)との結合、または、該細胞中への吸収を表す。
【0113】 上述した臨床的方法に用いる本発明の細菌タンパク質ポリマーは、機能的に等
価な変異体、誘導体、フラグメントおよび前駆体を含有し、特に製薬上許容され
るそれらの塩を含む。製薬上許容される塩は、対イオンおよび従来の公知の技術
を用いて容易に調製することができる。 本発明はさらに、一つまたはそれ以上の本発明の細菌タンパク質ポリマーを含
む、少なくとも一つの製薬上許容される担体、希釈剤あるいは賦形剤とともに含
有する薬剤組成物、およびその上記病態の治療または予防への使用にも拡張され
る。
【0114】 本発明の薬剤組成物に関連する以下の試論は、適切な賦形剤等および組成物の
処方に関して、さらに本明細書に記載のワクチン組成物にも適用されることが認
識されるだろう。 これらの組成物中の活性成分は、その処方の約0.01から約99重量%、好ましく
は0.1から約50%、たとえば10%含有される。「製薬上許容される」とは、該成
分が組成物の他の成分と相性の良いものでなくてはならないとともに、受容者に
生理学的に受け入れられることを意味する。
【0115】 本発明による薬剤組成物は、容易に入手できる構成成分を用いて、常法により
処方することができる。こうして、錠剤、丸薬、粉剤、薬用ドロップ、包剤、カ
シェ剤、エリクシル剤、懸濁剤、乳化剤、溶液剤、シロップ、エアロゾル剤(固
体または液体媒体)、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、座薬、無菌注射用溶
液剤、無菌梱包粉剤など、通常のガレヌス調製剤を製造するために、活性成分が
、必要であれば、他の活性物質、1以上の通常の担体、希釈剤および/または賦
形剤とともに組み入れられる。
【0116】 適切な担体、賦形剤、および希釈剤の例としては、ラクトース、ブドウ糖、シ
ョ糖、ソルビトール、マンニトール、でんぷん質、リン酸カルシウム、アラビア
ゴム、リン酸カリシウム、アグリネート(aglinates)、トラガカント、ゼラチ
ン、カルシウムケイ酸塩、微結晶化セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロ
ース、水シロップ、水、水/エタノール、水/グリコール、水/ポリエチレング
リコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、メチルヒロドキシ安息香
酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱
油または硬質脂肪などの脂肪物質、またはこれらの適当な混合物が挙げられる。
この組成物は、付加的に潤滑剤、加湿剤、乳化剤、懸濁剤、保存料、甘味料、香
料などを含有してもよい。本発明の組成物は、患者への投与の後で、即時の、継
続したまたは遅延した活性成分の放出をもたらすために、公知技術のやり方を採
用して処方することができる。
【0117】 腫瘍学的疾病および異常状態を治療あるいは予防するための組成物は、好まし
くは、単位投与形態で、たとえば一回分の投薬量に、約0.01mgから約1g、具体的
には0.05mgから0.5g、ヒトに対しては1−100mgの活性成分を含有するよう処方さ
れる。薬学的適用物と同様の投薬量を供給するワクチン用の調合物は、複数用量
の形態(ヒトには3−5から20投与、動物には5−10から50投与)であるのが好ま
しい。上記用量は、精製した細菌タンパク質の投与、または生ワクチン(たとえ
ば組換え微生物)の投与にあてはまる。
【0118】 投与される活性化合物の正確な投薬量、および治療の経過期間は、もちろん、
たとえば、患者の年齢および体重、治療を要する特定の状態およびその重篤度、
および投与の経路を含む要素の数に依存する。しかしながら通常、効果的な投与
は、治療される動物により、一回の投与で、約1μg/kgから約10mg/kg、たとえ
ば1日あたり1mgから0.2gの範囲にある。このように、たとえば、大人への適切な
毎日の投与は、1日あたり0.5mgから0.5g、たとえば1日あたり1から100mgである
【0119】 ワクチン組成物の投与に関して、前述したように、投与は、全身的あるいは局
部的であってもよく、医療技術において公知である任意の適切な方法により行わ
れてもよい。 前述したように、本発明の細菌糖タンパク質ポリマーは、さらに、インビトロ
で作用する非特異的DNAおよびRNAヌクレアーゼ活性を有することが示されている
。本発明はこのように、核酸分子たとえば粗DNA調製物をインビトロで切断する
ための、本発明の細菌タンパク質ポリマーの使用を提供し、また別の見方をすれ
ば、該核酸物質が本発明の細菌タンパク質ポリマーと、ある時間、部分的にまた
は完全に該核酸分子が切断するために適切な濃度で接触させることにより、イン
ビトロにおいて核酸分子を切断する方法を提供する。
【0120】 本発明を、限定されない以下の実施例によって、より詳細に説明する。
【0121】
【実施例】
【0122】
【実施例1】本発明の細菌糖タンパク質ポリマーの単離 1.1 一般的方法 単離は以下のようにして行う: 1.固体栄養培地(60ペトリ皿)からの細菌細胞の3日培養物を、冷却した脱イオ
ン水(水8ml/ペトリ皿)を用いて洗浄する。 2.細胞を集める(懸濁濃度1011−1012細胞/ml)。 (このバイオマスは−55℃で冷凍、保管してもよい。) 3.この細胞懸濁物を、3−5回破壊する。たとえば冷却下(4−8℃)で毎回1分
間音波処理することによる。 4.この溶解物を、4−8℃において50分間7000rpmで遠心分離することにより上
澄化する。(この溶解物中のタンパク質濃度は2から5mg/mlの間。) 5. 8℃で16−18時間、乾燥(NH42SO4を50%飽和に達するまで加えることに
より溶解タンパク質を沈殿させる。 6.この溶解物を4−8℃において50分間7000rpmで遠心分離することにより、沈
殿したタンパク質を分離する。トリンは上清に集まる。 7. 4−8℃で16−18時間、乾燥(NH42SO4を100%飽和に達するまで加えるこ
とにより上清中のタンパク質を沈殿させる。 8.この上清を4−8℃において50分間7000rpmで遠心分離することにより、沈殿
したタンパク質を分離する。 9.この沈殿物を、pH7.5、8℃で、10mMトリス緩衝液20−25mlに再懸濁する。 10.この懸濁物を、100倍容量のpH7.5の10mMトリス緩衝液に対して、8℃で16
−18時間(1回緩衝液交換)透析する(タンパク質濃度は5から10mg/mlの間)。
11.この懸濁物を、100倍容量の、50mMトリス緩衝液、100mM NaCl、pH7.5に対
して、8℃で16−18時間透析し、同じ緩衝液でSephadex G-200をに平衡化させる
。 12.この標品を該ゲルを通して20−22時間かけて周囲温度でろ過する。 13.このトリン含有画分を、10mMトリス緩衝液、pH7.5に対して、8℃で16−18
時間透析し、同じ緩衝液でDEAEセルロースカラムを平衡化させる。 14.この標品を、段階的なNaClの勾配、10mMトリス、pH7.5で、周囲温度で2−
3時間かけて該カラムのイオン交換クロマトグラフィーにかける。
【0123】 このトリンの濃度および活性は、上記4,6,10,13および14の段階で点検する
。 上記方法を用いて、60から75%(全タンパク質量の)の間の純度を有するトリ
ンを含有する画分が得られ、実験に用いることができる。1.2 上記一般的方法を用いて行った実施例 1.2.1 RB7からの精製 ゲルろ過は、Sephadex G200(84×2.6cm)上で、50mMトリス、pH7.5、100m
M NaCl中、タンパク質濃度2.7mg/mlのRB7標品(上記工程10の後のもの)24mlを
用いて行った。この結果を図1に示す。トリン濃縮物が画分20−35に現れた。
【0124】 上記画分(21ml、0.7mg/ml)は、次いで10mMトリス、pH7.5中、DEAEセルロー
スカラム(5×1.6cm)にかけ、50、100、150、250および500mMの濃度NaClで
段階的に溶離した。この結果を図2に示す。このトリン含有画分は斜線で表され
ている。 このトリンの純度とポリマー形の保存状態は、SDS-PAGE電気泳動法により確か
められ、タンパク質濃度はLowry法により測定された。1.2.2 選択的な精製技術 トリンに富んだ画分(上記の10ステップ後)を以下に述べるようにしてゲル濾
過にかけた。
【0125】 サンプルのタンパク質量をC18カラム(4×150mm I.D.)を使用して分析HPLC
−系で評価した。 得られたサンプルの分析をGilsonモデル液体クロマトグラフィー装置(フラン
ス)を使用する逆相HPLCにより実施した。前記カラム(4.5×250mm I.D., ステ
ンレス鋼)に粒子サイズ7μm、孔サイズ100Åを有するNucleosil-C18("Biotron
ik", ドイツ)を充填した。サンプルを0.15%TFA(容量で)中で水/アセトニト
リル0-70%の直線勾配にかけた。
【0126】 分光光度的な検出は220nmであった。溶離液の流速は1ml/minであった。分析的
な分離のために注入したサンプルの容量は100μl、微量分取の分離(microprepa
rative separations)においてはタンパク質濃度に依存して1.5-2mlであった。 精製の最初の段階において、Diacard C8/tカラム(16×250mm)を使用した。
その特性は:結合したオクチルシラン-相、粒子サイズ6μm、孔サイズ130Åであ
った。0.1%TFAを添加したアセトニトリル/水の勾配中で分離を実施した。溶離
液の流速は5ml/分であった。集めた画分を所望のタンパク質について分析した。
その後、アセトニトリルを蒸発させた。トリンの純度およびそのポリマー形態の
保存をLaemmliの方法を用いてBNB緩衝液中でのSDS-PAGE電気泳動法によって評価
した。タンパク質含量をLowry法により測定した。
【0127】 最終的な精製に関し、7μmの粒子サイズ、100Åの孔サイズを有するNucleosil
-C18を充填したカラム(4.6×250mm I.D.,ステンレス鋼)を使用した。移動相お
よび勾配は、精製の最初の段階と同じであった。検出は220nmであった。トリン
はアセトニトリル51-52%の単一画分で溶出した。集めた画分の分析はSDS-PAGE
電気泳動法を用いて実施した。得られたタンパク質の品位を30-70%アセトニト
リルの勾配で40分にわたり確認した。
【0128】 トリン純度とポリマー形態の保存を上述したようにして測定した。 上記の方法から純度95%(総タンパク質と比較して)のトリンという結果にな
った。トリン(0.1と1.0%の間の多糖類含量を有し、これは生物活性については
充分である)を得るためにこの方法を使用するが、精製条件(pH2.0から3.0)は
、トリンの最適pH(トリンの最適な生物的、免疫的、酵素的な活性はpH7.4-7.5
で示される)にあるのではないタンパク質となる。活性な形態のトリンを得るた
めに溶液を中和した。タンパク質の90%にもなる同量の沈殿が生じる(図3参照
)。酵素的、抗原的、生物的に活性である残りのおよそ10%を図4に示す。1.2.3非グリコシル化単量体の単離 ステップ10の後、実施例1.1に記載した精製により、糖タンパク質ポリマーをF
.tularensisのR-型から得た。その後さらに実施例1.2.1に記載したようにして精
製を行った(代わりの技術も使用することができ、特にそれらは精製標品中の多
糖類を最小限レベルとするような方法である)。
【0129】 次いで、調製物をBNB緩衝液中で100℃に加熱し、サンプルを15%SDS-PAGEゲル
(50V、14時間)に適用した。17kDaに相当する細長いゲル片を切除し、乳鉢内
ですり潰し、10mM tris-HCl、150mM NaCl、pH7.5の緩衝液中に入れた。8-10℃で
12時間振とうした密封容器内で、モノマーがゲルから溶出した。 生じた溶離液を同じ緩衝液の100倍容量での透析によって、SDSとポリアクリル
アミド汚染物質を除去し、精製した。
【0130】 分子量40kDaを有するポリエチレングリコールを用いて、このタンパク質モノ
マー溶液を最初の容量の1/10にまで濃縮した。 生じたトリンタンパク質モノマーは多糖類を有さず、クロマトグラフィー的に
純粋であるとわかった。ポリマー形態もまた同定した(実施例2.10参照)。
【0131】
【実施例2】本発明の細菌糖タンパク質ポリマー(トリン)の特性 2.1 分子量測定 例として、さまざまな精製トリンのPAGE非変性ゲル(実施例1で述べた方法に
よる)を図5に示す。116から158kDaの範囲でトリンを観察できる。図6は、15%
SDS-PAGE変性ゲル上での溶解物の分離を示し、トリンはその溶解物から精製され
る。精製トリンは変性条件下でおよそ17kDaの一つのバンドとして移動する。2.2 炭水化物分析 糖タンパク質の加水分解的切断:R-型F.tularensis、ワクチン株15NIIEGおよ
び組換え株RVT-1からのタンパク質サンプル(実施例1のステップ4の後で得られ
た0.1から0.5mg=細菌溶解物)を1.0N硫酸中で加熱するか(5時間101℃)、精製
タンパク質に関しては1.1N塩酸1mlに溶解し、101℃で5時間加熱した。
【0132】 結果として生じる混合物を蒸発させ乾燥した(SpeedVac)。不明瞭な場合には
、さらに厳しい処理条件(2N塩酸、5時間)での並行実験を要した。 "通例の"炭水化物(アルドース、ケトース)の化学的誘導体化:乾燥残渣を10
0ml の2%ピリジンHONH2.HClで処理し、カルボニル基をオキシム基に変えた(30
分、75℃)。その後、1mlのシリル化(sylilating)混合物(トリメチルクロロ
シラン、ヘキサメチルジシラザンおよびピリジン、1:3:9)を添加し、サンプ
ルを40分間加熱した(75℃)。結果として生じる炭水化物オキシム/TMS−エ
ーテル溶液を分析した。溶媒、水をコントロールとして分析した。
【0133】 アミノ糖の化学的誘導体化:乾燥した加水分解物を、ビス(トリメチルシリル
)アセトアミド、トリメチルクロロシランおよびアセトニトリル(100:1:400
)からなる"強力な"シラン化混合物500mlで15分間、75℃で処理した。全ての6位
置における活性な水素の置換が起こり、これはピークのテーリングおよび幅広に
なることを防ぐ。
【0134】 ガスクロマトグラフィー分析:以下の条件を使用した:-溶融シリカカラム、3
0m×0.53mm、固定相-固定化メチルフェニルシリコーンHP-5、キャピラリーガス
クロマトグラフHP5890(Hewlett-Packard)、検出器FID、295℃。 注入は冷時のカラムに2mlで行った。 温度プログラム- a)100℃(1分)から285℃(10分)まで6℃/分(アルドー
スおよびケトースに関して);b)150℃(1分)から285℃(10分)まで7℃/分
(アミノ糖に関して)。データを積分器HP3396Aを用いて調べた。各糖類の1.0か
ら7.0mg/ml標準溶液を用いて標定を行った。実験的検出限界は、各単糖類の0.3
から0.5mgであった(もとの糖タンパク質中の各単糖類含量0.1から1.0%w/wに相
当する)。細菌溶解物および精製トリンの炭水化物組成を調べた。
【0135】 結果:細菌溶解物からの試料は、すべてのパラメータについて実質的には一致
し、かなりの量のグルコース(≧80%)を含有していた。キシロース、リボース
、ラムノースおよびグルコサミンもまた検出された。ある種のデオキシアルドヘ
キソースおよびケトグルコースの少量(各5-7%)の混入は理論的に可能である
。これは精製した多糖類画分の精査により、一層確実に確立できることだけであ
る。
【0136】 精製した糖タンパク質中で単糖類であるグルコース、キシロース、ラムノース
およびリボースが検出された。単糖類誘導体であるグルコサミン、ガラクトサミ
ンはなかった。2.3 脂質分析 クロマトグラフによる調査 精製したトリンに加えてF.tularensisのR-型、ワクチン株15 NIIEGおよび組換
え株RVT-1の清澄化した溶解物(実施例1のステップ4に従い生成した)のサンプ
ルを、C16-18またはC14-20間隔の脂肪族酸の存在について調べた。公知技術に
従いサンプルを乾燥し、メタノール中で0.5N NaOHでケン化し、メタノール中で2
%H2SO4を用いてメチル化し、水に溶解して分析グレードのヘキサン0.5mlでエス
テルを抽出した。脂質の同定のためにガスクロマトグラフィー装置HP5890を使用
した。使用したカラムは溶融シリカ(30m×0.53mm)、固定相は固定化メチルフ
ェニルシリコーンHP-5であった。サンプル2mlを冷時のカラムに注入した。分析
は240℃で行った。標定は3.5mgのパルミチン酸および1.7mgのステアリン酸で行
った。コントロールブランクの分析も行った。
【0137】 結果:C16-18は全ての溶解物サンプル中に存在したが、タンパク質および多
糖類のレベルと比較して無視できるレベルであった。トリンについては、トリン
からのC14-C20脂肪酸はないことがわかった。 クロロホルム処理 トリンに富んだ溶解物および上澄み(実施例1のステップ4および11に従って生
成)を調査した。クロロホルムを室温でサンプルに加え(1:10)、注意深く混
合し、均一な不透明溶液を得た。結果として生じた混合物を5000rpmで15分間遠
心分離した。上澄みを除去した。これを2度繰り返した。トリンを含む脂質フリ
ーサンプルを4℃に一晩保ち、クロロホルムを完全に蒸発させた。その後、これ
らのトリンの特定の血清と反応する能力、そのヌクレアーゼ活性、およびポリマ
ーなどの形態の存在を、免疫電気泳動法およびタンパク質電気泳動法ならびに本
明細書で述べた方法によって調査した。
【0138】 結果:クロロホルム処理によっては、トリンのポリマー形態および免疫活性、
ヌクレアーゼ活性ならびに生物活性は失われない。2.4 抗原性 特定のトリンに対して調製したウサギ血清との相互作用 トリン-特異的な抗血清の調製: 実施例1のステップ14に従い、生成したトリンを抗原として用いた。抗血清は
体重3-4kgのウサギ内で調製した。最初の感作を後肢リンパ節の部分に皮下投与
して行った。100mM NaClおよび10mM Tris-HClを有するpH7.5の緩衝液中の1mlの
トリン調製物(約160μg)は、1mlのFreudsの不完全アジュバントと混合して注
入した。7日後、同一混合物を同じサイズで筋肉注射することにより動物に対す
る2回目の感作を行った。7日後、同じ調製物を他の後肢リンパ節の部分に筋肉注
射することにより3回目の感作を行った。7日後、4回目の感作を、上述の緩衝液
において、アジュバントを有さないトリン含有溶液2mlで後肢リンパ節部におい
て行った。7日後、30-50mlの血液サンプルをウサギの耳の静脈から取り出した。
血液をガラス棒で撹拌し、37℃で20分間、さらに8℃で14-16時間インキュベート
し、完全な層分離を強化することによって、血清を調製した。血清をドロッパー
で取り出し、3000rpmで10分間遠心分離した。上澄みを-20℃で保存した。この血
清中の特異的な抗体の存在をOchterlony免疫拡散分析で確認した。
【0139】 Ochterlony-実験方法および血清応答のアッセイをルーチンに行った。 結果:拡散沈降反応の間に血清は1:16〜1:32の範囲においてトリンと特異的
な反応を示した。図7は異なるトリンを用いる抗原投与により調製した血清の特
異性と交差反応を示す。いくつかの交差反応が生じていることが観察されるだろ
う。 正常なウサギ血清抗体と単量体、二量体、三量体状態のトリンとの相互作用 トリンを含有する15NIIEGワクチン株の細胞溶解物を、正常なウサギ血清抗体
を用いた免疫ブロット分析法により調べた。結果を図8に示す、ここで正常なウ
サギ血清抗体のトリン単量体、二量体、三量体に対する結合を観察できる。 トリンとTNF-アルファ抗体との相互作用 精製したトリンを2つの異なった起源から得られたTNF-アルファ抗体とともに
免疫ブロット分析した(上記の図9の説明参照)。結果を図9に示す、ここで単量
体型および二量体型のトリンに対するTNF-アルファ抗体の結合が観察されるだろ
う。2.5 ヌクレアーゼ活性 A.中程度塩類制限緩衝液(medium saline restriction buffer)(×10)を、
タンパク質(トリン)0.8μgを含む溶液5μlとMycobacterium bovis(BCG)の染
色体DNA 0.8μgを含む溶液10μlを有する反応混合物の1/10容量まで添加した。
温度を水浴中で90分間37℃に維持した。染色体DNAの分解は>50%であった。未変
性のDNAは部分的に存在した。 B.中程度塩類制限緩衝液(×10)を、タンパク質(トリン)1.6μgを含む溶液
10μlとMycobacterium bovis(BCG)の染色体DNA 1.2μgを含む溶液10μlを有す
る反応混合物の1/10容量まで添加した。温度を水浴中で60分間37℃に維持した。
未変性の染色体DNAはなかった。染色体DNA断片の"尾部"はゲルの中間部で観察さ
れた。発見物を0.7%アガロースゲルでの電気泳動によって分析した。コントロ
ールとして、同様の緩衝液においてM. bovis(BCG)の未変性染色体DNAを同量使
用した。タンパク質濃度を、Bradfordに従って測定した。(制限緩衝液:50mM N
aCl、10mM MgCl2、10mM Tris-HCl、pH7.5、1mMジチオスレイトール。) C. RNAアーゼ活性を上述した方法により、1.5から2.0μg/μlの濃度の真核tRNA
溶液10μlを使用して測定した。2.6 バクテリオファージの特異的結合 TBトリンを発現しているM.bovis(BCG)DNA断片を含むF.tularensis(RB7, RB
26)の組換え細胞を低Mg2+(10mM tris-HCl,1-mM MgCl2,pH7.0)を含む塩類緩衝
剤を用い蒸留水中で洗浄し、ファージを結合させた。その後、MTPH2(DS6A)フ
ァージを細胞:バクテリオファージ比が1:30-50となるように加えた。この混合
物を37℃で20分間インキュベートした。その後、ファージ結合を公知技術に従い
、電子顕微鏡により調べた。結果を図10に示す。2.7 配列決定 R-型、RB7-Itol、15RtolおよびR32tolから精製標品の(HPLCから得られ、変性
SDS-PAGEと質量分析により純度を確認した)17kDaタンパク質を配列決定した。
(SDS-PAGEにより単離した単量体を使用し、最初の45アミノ酸に関して同じ結果
を得た。)本文で述べた2つの部分配列を同定した。アミノ酸配列決定を標準技
術により行った(これに関連してOmtvedtら,1997,Scand.J.Immunol.,45,p551-55
6を参照)。17kDaタンパク質の全配列をトリプシン切断の後、エンドプロテイナ
ーゼとCNBrでの切断後に決定した。該方法を以下に充分に述べる。
【0140】 方法: タンパク質の精製- 17kDaタンパク質を、Aquapore RP-300カラム(10×200mm
)を用いたRP-HPLCにより、10-50%のアセトニトリル直線勾配で、流速1ml/分で
60分にわたって精製した。タンパク質を、容器幅10mm、214nmで分光光度計で検
出した。タンパク質画分をSppedVac内で乾燥した。
【0141】 ゲル電気泳動- 12.5%ゲルでのSDS-PAGEをmini-proteinセル(Bio-Rad)でLa
emmliの方法に従って行った。 システイン残基の測定- 17kDaタンパク質中のシステイン残基の数または存在
を質量分析により、4−ビニルピリジンによるアルキル化前後のタンパク質の質
量差によって測定した。
【0142】 アミノ酸分析- タンパク質サンプル(2)をトリフルオロ酢酸で蒸気加水分
解し、Hitachiアミノ酸アナライザー モデル835(ニンヒドリン法)で分析した
。 N-末端配列分析- 自動N-末端配列分析をモデル120A PTHアナライザーを備え
たモデル810 Kanuerタンパク質/ペプチドシークエンサー(Perkin-Elmer/Applie
d Biosystems)で行った。
【0143】 タンパク質およびペプチドの質量分析- タンパク質のナノエレクトロスプレ
イ(ナノESI-MS)を、ナノエレクトロスプレイイオン源を備えたQ-TOFマススペ
クトロメーター(Micromass Ltd, UK)で得た。ペプチドのマススペクトルをVoy
agerモデルMALDI-TOFマススペクトロメーターで得た(PerSeptive Biosystems)
【0144】 トリプシンでの消化- 約400μgのタンパク質を、0.1M Tris緩衝液中pH8で4μ
gのトリプシンにより37℃で4時間消化した。ペプチドをAquapore RP-300(4.6×
220mm)を用いたRP-HPLCにより、0-50%のアセトニトリル勾配で、流速0.7ml/分
、50℃で150分にわたり分離した。ペプチドを迅速スペクトル検出器(LKB)を用い
て210nmで検出した。
【0145】 エンドプロテイナーゼGlu-Cでの消化- 約200μgのタンパク質を0.1mM炭酸水
素塩緩衝液pH7.8中で10μgのエンドプロテイナーゼGlu-Cにより室温で16時間消
化した。0-50%のアセトニトリル勾配で、流速0.7ml/分、50℃で120分をかけて
行った以外は、上記に示したようにしてペプチドを分離した。 CNBr分解- 約300μgのタンパク質を室温で18時間、アセトニトリル中の5M CN
Br 3μlとともに80%TFA中で切断した。反応混合物をSpeedVac(Savant)で蒸発さ
せて乾燥し、5M Gnd-HCl pH7.5中の0.1M Trisに再溶解した。5-50%のアセトニ
トリル勾配で、流速0.7ml/分、50℃で90分をかけて行った以外は、上記に示した
ようにしてペプチドを分離した。
【0146】 結果: 17kDaタンパク質は、アミノ酸145からなる以下の配列を有することがわかった
【0147】
【数8】
【0148】 システイン残基は同定されなかったことが注目される。この配列から計算され
た分子質量は16804.38Daであり、観察された16810.27Daとよく関連する。翻訳後
修飾は同定されなかった。2.8 トリンの抗増殖作用 細胞障害活性を評価するためにトリン調製物を培養培地(RPMI1640、Sigma、0
.05%HEPES Naで緩衝した10%FCSとグルタミンを有する)に溶解し、100μg/ml
のタンパク質濃度を得た。この調製物をBio-Radフィルターを通すマイクロフィ
ルトレーションによって滅菌した。CHO細胞およびミエローマP3X63-Ag8.653(M
α)株の細胞を細胞障害活性の試験に使用した。Mα細胞は、免疫グロブリンを
生産せず、懸濁培地で増殖する。それらは著しい潜在的増殖活性を有し、動物へ
の接種に使用することができ、腹部増殖の場合には腹水症となる。特に免疫した
マウス脾細胞との融合のために使用され、ハイブリドーマを形成する。
【0149】 CHO細胞を3日間、培養培地で培養した。結果として生じた単層の細胞をクエン
酸三ナトリウム等張溶液中に取り出し、10分間の遠心分離によって沈降させた。
細胞を培養培地中に1mlあたり66,000細胞までの濃度で再懸濁した。 CHOまたはMα細胞調製物150μl(細胞数10,000)を得て、マイクロタイターウ
ェルの接種に用い、2時間インキュベートするためにCO2-含有雰囲気で静置し、
ウェル表面に接着させた。トリンを加え、100μl容量の連続した希釈物を得た。
細胞を毎日観察しながらCO2-雰囲気のインキュベーター内で5日間培養した。
【0150】 丸くなった細胞と細胞内部の粒状構造の出現は細胞障害作用の指標である。こ
れらの特徴は、処理のわずか1日後に観察された。 その後、増殖しないことが観察された。位相差顕微鏡で細胞障害作用をモニタ
ーした。細胞は丸くなった形態と目立った粒状の形態を有し、プラスチックに対
する接着の喪失は明白である。細胞障害活性を有するトリン濃度閾値は、細胞障
害効果が観察される最後のウェルに基づいて決定できる。
【0151】 典型的な実験の結果を図11に示す。2.9 さまざまなトリンを産生するF.tularensis細胞感染後の脾臓およびリンパ
節における変化の疾病生理学的(pathophysiological)評価 ハムスターにF.tularensisの組換え体を感染させ、脾臓とリンパ節の変化を評
価した。動物に106-108の細胞を皮下注射し、感染後9日間サンプルを集めた。F.
tularensisワクチン株NIIEGの感染は、ハムスター脾臓において浮腫、壊死した
小結節、中心部の粘液様および線維腫様腫脹という結果になった。F.tularensis
組換え株RB26の感染は、ハムスター脾臓の過形成という結果になり、核の多形性
および濃色性を示した。F.tularensis組換え株RB26の感染は、リンパ様細胞およ
び上皮様細胞に起因するハムスターのリンパ節の過形成という結果になった。節
の壊死帯から遠位のリンパ様細胞および上皮様細胞によりビーズ(小塊)が生成
した。2.10 非グリコシル化トリンのDNA結合活性 精製したモノマーを実施例1.2.3に記載したようにして調製した。モノマーの
精製および濃縮の過程を通じて、ポリマーが形成されたことが分かった。ポリマ
ーが116-158kDaの分子量を有することを非-変性SDS-PAGEで同定した。これらの
非-変性条件下において、モノマー、二量体などは低濃度で存在できるにもかか
わらず同定されなかった。
【0152】 実施例2.5で述べたヌクレアーゼ活性を測定するための方法に従って、トリン
の代わりにむしろ非グリコシル化ポリマーを使用して、DNA-結合試験を行った。
混合物を室温で18時間インキュベートした。染色体DNAに対するポリマーの結合
を走査型電子顕微鏡を用いて評価した。トリンと染色体DNAとの混合物に加えて
、コントロールとして、染色体DNAだけを同様に試験した。2%の酢酸ウラニルを
コントラスト化のために用いた。
【0153】 結果:非グリコシル化ポリマーだけが染色体DNAと結合すること、一方、トリ
ンはDNAと分離することが分かった。
【0154】
【実施例3】ワクチン活性 3つの組換え微生物(RM2、RM28およびRM32)をワクチン候補として白ラット、
白マウス、ゴールデンハムスターおよびテンジクネズミにおいて試験し、これら
の動物は病原性細菌Pseudomonas pseudomallei(C141)で抗原投与した。
【0155】 テンジクネズミと白ラットには動物あたり1×108の微生物(RM28)を感染させ
、ゴールデンハムスターとマウスには動物あたり1×106の微生物(RM32)を感染
させた。 ゴールデンハムスターは10×致死量(1×致死量は1つの細胞と同等である)
の悪性(virulent)病原性菌で抗原投与を行った。テンジクネズミ、白ラット、
白マウスは100×致死量の悪性病原性菌で抗原投与を行った。
【0156】 RM32は、テンジクネズミ内で60%の保護をもたらした(9匹の動物のうち皆無
だったコントロール群と比較して10匹のうち6匹の動物が生存した)。ワクチン
接種群の平均寿命は、コントロール群の18日と比較して21日だった。 RM28は、ゴールデンハムスター内で66%の保護をもたらした(5匹の動物のう
ち皆無だったコントロール群と比較して6匹のうち4匹の動物が生存した)。ワク
チン接種群の平均寿命は、コントロール群の6日と比較して10日だった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、RB7のトリン濃縮溶解物タンパク質のゲルろ過分離を示す。
【図2】図2は、図1由来のトリン含有画分のイオン交換クロマトグラフィーを
示す。
【図3】図3は、2%の酢酸ウラニル溶液でコントラスト化させた、x50,000の
スケールでの電子顕微鏡により示される、pHを2.0から7.5まで変化した場合の低
レベルグリコシル化トリンの非特異的凝集を示す。
【図4】図4は、2%の酢酸ウラニル溶液でコントラスト化させたEMにおける、F
rancisella TularensisのR型からの精製トリン標品を示す(x50,000のスケール
)。
【図5】図5は、ポリマー形のトリンが矢印で示される、各種精製トリン標品の
15%非変性ゲルPAGEを示す;レーン1は、ゲルろ過とイオン交換クロマトグラフ
ィーにより単離したF. tularensisのR型からのトリンであり、レーン2は、ゲル
ろ過とイオン交換クロマトグラフィーにより単離した15 NIIEGワクチン株からの
トリンであり、レーン3は、HPLCにより単離した15 NIIEGワクチン株からのトリ
ンであり、レーン4は、マーカーのレーンである。
【図6】図6は、溶解物または精製形態に存在するトリンの15%非変性ゲルS
DS−PAGEを示す;Aにおいて、レーンaはタンパク質マーカーであり、レ
ーンb、cは、R型Francisella tularensisの細胞溶解物であり、レーンdはR
型F. tularensisの個々のタンパク質溶解物であり、レーンeはR型F. tularens
isの精製トリンである。Bにおいて、レーンaはタンパク質マーカーであり、レ
ーンbはR型F. tularensisの精製トリンであり、レーンdはF. tularensisワク
チン株の精製トリンである。
【図7】図7は、拡散沈降反応(DPR)における特定のウサギ血清とのトリンの
相互作用を示す;Iにおいて、AはRB26に対する特定血清であり、BはRB7に対する
特定血清であり、1はR型F. tularensisからのトリンであり、2は15 NIIEGワクチ
ン株からのトリンであり、3はRB26からのトリンである。IIにおいて、AはRB26へ
の特定血清であり、BはRB7への特定血清であり、CはRM28への特定血清であり、D
はR株への特定血清であり、1はR型からのトリンであり、2は15 NIIEGワクチン株
からのトリンであり、3はRB26からのトリンである。
【図8】図8は、正常なウサギ血清抗体で探査した15 NIIEG株ワクチン溶解物の
イムノブロットを示す。単量体、二量体および三量体型との結合は矢印で示す。
【図9】図9は、TNF−アルファ抗体で探査した精製トリンのイムノブロット
を示し、Aは抗体1であり、Bは抗体2(Research Institute of Gematology、the
Laboratory of Cell and Molecular Immunology, Dolginovsky Trakt 160, 2230
59, Minsk, Belorussiaより入手(製品名:TNF−α定量用テストシステム)
)であり、レーン1はTNF−アルファ(対照として)であり、レーン2はF. tulare
nsis R型からのトリンであり、レーン3は15 NIIEGワクチン株からのトリンであ
る。
【図10】図10は、結核菌起源のトリンを含有するF. tularensis細胞のカプ
セル(A,B)および外膜(C,D)への結核バクテリオファージMTPH2の結
合を示す。酢酸ウラニルでコントラスト化させ×50,000スケールでの電子顕微鏡
で調べたものである。
【図11】図11は、CHO細胞におけるトリンの抗増殖および細胞毒性効果を示
し、Aは正常細胞であり、Bは抗増殖効果を示すRB26(タンパク質濃度5.0μg/ml
)からの精製トリンで処理した細胞であり、Cは細胞毒性効果を示すRB26(タン
パク質濃度10μg/ml)からの精製トリンで処理した細胞である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C07K 16/40 4C084 35/02 C12N 1/15 4C085 C07K 16/40 1/19 4H045 C12N 1/15 1/21 1/19 9/16 Z 1/21 9/22 5/10 C12Q 1/02 9/16 1/68 A 9/22 G01N 33/53 D C12Q 1/02 M 1/68 V G01N 33/53 33/58 A C12R 1:38 1:32 33/58 C12N 15/00 ZNAA //(C12N 9/16 5/00 A C12R 1:38) A61K 37/02 (C12N 9/16 C12R 1:32) (C12N 9/22 C12R 1:38) (C12N 9/22 C12R 1:32) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA25 DA12 DA13 DA14 DA36 DA44 4B024 AA01 AA11 BA11 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 HA15 4B050 CC05 DD02 LL01 LL03 4B063 QA01 QA18 QQ42 QQ52 QR56 QS34 4B065 AA01Y AA26X AA36Y AA41Y AB01 AC14 BA02 CA31 CA45 4C084 AA02 AA07 BA01 BA08 BA19 BA21 BA23 CA04 ZB26 ZB27 4C085 AA03 BB12 CC07 DD23 DD43 EE01 4H045 AA11 CA11 DA76 EA50 FA71

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変性SDS−PAGEディスク電気泳動法により評価された、分子量12〜25k
    Daを有し、自然界に存在する形態では、細菌細胞のカプセル内に存在する細菌
    糖タンパク質ポリマーの一部を構成し、好ましくは、該モノマーは、少なくとも
    単糖類のグルコース、キシロース、ラムノースおよびリボースでグリコシル化さ
    れている細菌タンパク質モノマー;あるいはそれの機能的に等価な変異体、その
    フラグメント、または前駆体。
  2. 【請求項2】 次のアミノ酸配列: 【数1】 を含むか、その配列と60%を超える、好ましくは80%を超える配列相同性を有する
    配列を含む請求項1に記載の細菌タンパク質モノマー;あるいはそれの機能的に
    等価な変異体、そのフラグメント、または前駆体。
  3. 【請求項3】 次のアミノ酸配列: 【数2】 (上記においてXxxは、知られていない残基または可変残基を表し、可変残基の
    場合には任意のアミノ酸であり得る。) を含む配列を1以上包含するか、その配列と60%を超える、好ましくは80%を超え
    る配列相同性を示す配列を含む請求項1に記載の細菌タンパク質モノマー;ある
    いはそれの機能的に等価な変異体、そのフラグメント、または前駆体。
  4. 【請求項4】 少なくとも4個のモノマーを包含し、該モノマーは、同一でも異なってもよく
    、少なくとも1個のモノマー、好ましくはすべてのモノマーが、請求項1〜3の
    いずれかに定義されるものであり、好ましくはグリコシル化され、非変性SDS-PA
    GEディスク電気泳動法により評価された116〜158kDaの分子量を有する細菌タ
    ンパク質ポリマー。
  5. 【請求項5】 インビトロでDNAおよびRNAサンプルに対しヌクレアーゼ活性を示し、グリコシ
    ル化されていることを特徴とする、請求項4に記載の細菌タンパク質ポリマー。
  6. 【請求項6】 DEAEセルロースから150mM NaClで溶出され、Nucleosil-C18から51〜52%ア
    セトニトリルで溶出されることを特徴とする、請求項4または5に記載の細菌タ
    ンパク質ポリマー。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに定義される細菌タンパク質をコード化する核酸分子
    、あるいはそれの機能的に等価な変異体、誘導体、そのフラグメント、または前
    駆体。
  8. 【請求項8】 請求項7で定義される核酸分子を含むクローニングまたは発現ベクター。
  9. 【請求項9】 形質転換された、またはトランスフェクションされた原核もしくは真核の宿主
    細胞、あるいは請求項7で定義される核酸分子を、または請求項8で定義される
    クローニングもしくは発現ベクターを含むトランスジェニック生物。
  10. 【請求項10】 上記原核細胞がブダベスト条約のもとにロシア国立産業微生物収集庫(VKPM)
    に寄託され、寄託番号VKPM B-7673, VKPM B-7672, VKPM B-7671, VKPM B-7670(
    1998年11月16日に寄託), VKPM B-6853, VKPM B-6855, VKPM B-6852(1994年8月
    8日に寄託), VKPM B-7381, VKPM B-7383, VKPM B-7382, VKPM B-7384(1997年4
    月8日に寄託), VKPM-7776, VKPM-7775(1999年5月7日に寄託)をそれぞれ付与
    されたRTC16, RRCC207, RM32, RM28, R5S, RN4, R1A, RM2, RB7, RB26, RC117,
    RVT-1, RVT-2に対応する微生物であることを特徴とする、請求項9に記載された
    宿主細胞。
  11. 【請求項11】 請求項9もしくは10で定義される宿主細胞を前記細菌タンパク質が発現され
    る条件下で培養すること、および産生した該細菌タンパク質を回収することを含
    むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の細菌タンパク質、好まし
    くは糖タンパク質を単離する方法。
  12. 【請求項12】 細菌の粗抽出物をクロマトグラフィーまたはグラジエント超遠心分離法による
    細菌タンパク質ポリマー含有画分の濃縮および回収操作にかける工程を少なくと
    も含む、請求項1〜6のいずれかに定義される細菌タンパク質、好ましくは糖タ
    ンパク質を単離する方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれかに定義される細菌タンパク質、好ましくは糖タンパク
    質を単離する方法であって、該方法は、該細菌の抽出物を調製し、該細菌タンパ
    ク質を、そのタンパク質のための特別の結合相手を含んでいる固定化相に結合さ
    せ、次いで該固定化相から該細菌タンパク質を溶出することにより、該抽出物か
    ら該タンパク質を精製する工程を少なくとも含むものである単離方法。
  14. 【請求項14】 前記細菌タンパク質、好ましくは糖タンパク質が、グラム陰性またはグラム陽
    性の細菌、好ましくはPseudomonas (Burkholderia)またはMycobacterium属の細
    菌から単離されることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 【請求項15】 請求項11〜14のいずれかに定義される方法により得ることが可能な細菌タンパ
    ク質、好ましくは糖タンパク質。
  16. 【請求項16】 少なくとも1つの製剤的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とともに、請
    求項1〜6もしくは15のいずれかに定義される細菌タンパク質、好ましくは糖タ
    ンパク質ポリマー、あるいはそれと機能的に等価な変異体、その誘導体、その抗
    原性フラグメントまたは前駆体を1以上含有するワクチン組成物。
  17. 【請求項17】 請求項9または10において定義される宿主細胞を含み、その細胞内で上記細菌
    タンパク質がインビボで産生される、請求項16に記載のワクチン組成物。
  18. 【請求項18】 ヒトまたはヒト以外の動物に細菌に対する免疫応答を刺激する方法であって、
    その細菌または関連細菌からの細菌タンパク質、またはそれと機能的に等価な変
    異体、そのフラグメントまたは前駆体を含有するか、もしくは発現している、請
    求項16または17において定義されるワクチン組成物を該ヒトまたはヒト以外の動
    物に投与することを含む方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜6または15のいずれかにおいて定義される細菌タンパク質に結合する
    抗体または抗原に結合するそのフラグメント。
  20. 【請求項20】 サンプル中の細菌またはその部分の存在を同定するかあるいはその量を決定す
    る方法であって、該サンプル中に、請求項1〜6または15のいずれかにおいて定
    義される細菌タンパク質、またはそのフラグメント、あるいは該タンパク質また
    はそのフラグメントをコード化する核酸分子の存在またはその量を評価する工程
    を少なくとも含む方法。
  21. 【請求項21】 サンプル中の特定細菌またはその部分の存在を同定するかあるいはその量を決
    定するキットであって、 請求項1〜6または15のいずれかにおいて定義され、該細菌に特異的な細菌タ
    ンパク質、またはそのフラグメントに結合する標識担持抗体、あるいは該細菌タ
    ンパク質の酵素的活性に適切である基質、あるいは請求項1〜6または15のいず
    れかにおいて定義される細菌タンパク質またはそのフラグメントをコード化する
    核酸分子に結合する標識された核酸プローブを含むシグナル手段を少なくとも含
    有するキット。
  22. 【請求項22】 ヒトまたはヒト以外の動物からのサンプル中に、請求項1〜6または15のいず
    れかにおいて定義される細菌タンパク質、またはそのフラグメント、あるいは該
    タンパク質またはそのフラグメントをコード化する核酸分子の存在またはその量
    を評価する工程を少なくとも含むことを特徴とする、ヒトまたはヒト以外の動物
    の細菌感染を診断する方法。
  23. 【請求項23】 ヒトまたはヒト以外の動物からのサンプル中に、請求項1〜6または15のいず
    れかにおいて定義される、該細菌から得ることが可能な細菌タンパク質の存在に
    対する該ヒトまたはヒト以外の動物の反応を評価することにより、ヒトまたはヒ
    ト以外の動物の細菌感染を診断する方法。
  24. 【請求項24】 少なくとも次の工程: a)請求項4〜6のいずれかにおいて定義される種々の細菌タンパク質ポリマー
    が存在する場合および存在しない場合に該細胞を発育させること b)ある時間間隔の後に残っている生細胞数を比較すること c)上記時間間隔の間に細胞増殖を最大規模に阻害する細菌タンパク質ポリマー
    を同定すること を含み、抗増殖剤として使用するのに好適な本発明の細菌タンパク質ポリマーを
    同定する方法。
  25. 【請求項25】 抗増殖剤として、あるいは細胞の増殖を変更させるために、請求項4〜6のい
    ずれかにおいて定義される細菌タンパク質ポリマーの使用。
  26. 【請求項26】 ヒトまたはヒト以外の動物に、請求項4〜6のいずれかにおいて定義される細
    菌タンパク質ポリマーまたは請求項16または17において定義されるワクチン組成
    物を投与することを含む、ヒトまたはヒト以外の動物において急速に発育する細
    胞に、好ましくは腫瘍もしくは白血病に関係する状態を治療または予防する方法
  27. 【請求項27】 請求項1〜6のいずれかにおいて定義される細菌タンパク質もしくはそのフラ
    グメントと、ヒトまたはヒト以外の動物の細胞との関係を評価する工程を少なく
    とも含むことを特徴とする、ヒトまたはヒト以外の動物において急速に発育する
    細胞の存在または位置を診断する方法。
  28. 【請求項28】 核酸物質を、適切な時間および濃度で請求項4〜6のいずれかにおいて定義さ
    れる細菌タンパク質ポリマーと接触させることにより、該核酸分子の部分的また
    は完全な切断をもたらすことを特徴とする、核酸分子のインビトロでの切断方法
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