JP2003500649A - 薬剤耐性の新規機構の同定 - Google Patents

薬剤耐性の新規機構の同定

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JP2003500649A JP2000620346A JP2000620346A JP2003500649A JP 2003500649 A JP2003500649 A JP 2003500649A JP 2000620346 A JP2000620346 A JP 2000620346A JP 2000620346 A JP2000620346 A JP 2000620346A JP 2003500649 A JP2003500649 A JP 2003500649A
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cell
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シアン・シュ
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ライジェル・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、多剤耐性(MDR)に関与する細胞タンパク質に結合し調節する候補作用物質を同定する方法を提供する。本明細書中に概述したように、実行可能な二つの基本的なスクリーニングがある:1)多剤耐性表現型を付与する化合物のスクリーニング;および2)多剤耐性表現型を減弱させる化合物のスクリーニングである。XAPC7およびZetaの同定について本明細書中に概述したように、一旦標的分子が同定され、そして多剤耐性を付与するRGP8.5ペプチドで阻害されれば、XAPC7およびZeta分子を、それらに結合しそれらの活性を調整する候補薬剤のスクリーニングに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) この発明は一般的に、薬剤耐性、特に化学療法剤に対する腫瘍細胞の耐性に
関与する細胞のタンパク質に結合しおよび/もしくは調節する作用物質のスクリ
ーニング方法に関する。
【0002】 (背景技術) 病理学的表現型に関与する情報伝達経路の重要な側面を同定するために生化学
的および遺伝学的アプローチが通常用いられる。生化学的アプローチは細胞内タ
ンパク質の特徴づけを行い、一方において遺伝学的アプローチは細胞成分の変異
の特徴づけを行う。薬理学は、興味の対象である成分に結合する候補作用物質を
同定することによって長い間遺伝学的および生化学的アプローチを補完してきた
。候補作用物質はいかなる分子であってもよいが、それらは典型的には有機化合
物である。低分子有機化合物はポリペプチドの構造、安定性、もしくは機能にし
ばしば作用を及ぼす。これに加えて、低分子有機化合物はタンパク質が互いに作
用する様式に影響を与えることができる(Fabbrizio, E., et al., (1999) Oncog
ene, 18: 4357-63)。有機低分子のこのトランスエフェクター機能は情報伝達経
路を研究しもしくは修正することができる精妙な手段を与える。
【0003】 トランスエフェクターを求めて化合物の分子ライブラリーをスクリーニングす
ることは、情報伝達経路を特徴づけ得るもう一つの手段を提供する。多様な有機
分子のライブラリーを低分子ペプチドの形で細胞に送達することが可能であろう
。ペプチドは既知の標的タンパク質に対するインビトロスクリーニングにおいて
用いられてきた(Wong, D.W. & Robertson, G.H., (1998) Ann. N. Y. Acad. Sci
., 864, 555-557; Bremnes, T., et al., (1998) Immunotechnology, 4, 21-8)
。ファージに発現させたペプチドライブラリーは既知の標的分子に結合する高親
和性アプタマーを単離するために用いられてきている。そのような結合はインビ
トロでタンパク質の機能に影響を与えることが知られている。化学的に合成され
たペプチドのライブラリーも作成され、同様のレベルの効率で種々のインビトロ
アッセイでスクリーニングされている。しかしながら、生細胞中の全経路に対し
てペプチドをスクリーニングすることはこれまで可能ではなかった。
【0004】 全経路に対するペプチドのスクリーニングに基づくアプローチは、疾病および
表現型成果を活性化する刺激の知識を必要とする。例えば、刺激はサイトカイン
に対する応答のように環境によって決定され、もしくは構成的に変異原性反応の
シグナルを出して腫瘍表現型をもたらす変異タンパク質のように構成的に存在す
ることができる。表現型成果は、表現型の多数の代替指標のいずれかを遺伝的選
択の手段に用いることにより、疾病状態に向かうか、もしくは離れる、運動と考
えることができる。そのような試みに最も近い試みは哺乳動物細胞中において相
補性を求めて行うcDNAライブラリースクリーニングである。
【0005】 腫瘍細胞において化学療法薬に対する感受性の消失に導く経路に対するペプチ
ドを求めてスクリーニングを行うことは特に価値があるであろう。化学療法剤に
対する感受性の消失は結果として複数の化学療法剤に対する耐性をもたらす。こ
の耐性は多剤耐性(MDR)と呼称され、広範囲の悪性腫瘍において種々の治療剤
で出現する。多剤耐性、ならびにそれによる腫瘍細胞選択、増生および再発が癌
患者の発病および死亡へと導く。
【0006】 腫瘍細胞がMDRを獲得するために用いる1つのメカニズムはMDR−1遺伝
子生成物であるP−糖タンパク質(P−gp)の上方制御である。そのような上方
制御は、広範な種類の固形腫瘍(Kaye, S.B., (1998) Curr. Opin. Oncol., 10 S
uppl 1, S15-19)および特定の白血病およびリンパ腫 (Hart, S.M. et al, (1993
) Leuk. Lymphoma, 11, 239-248; Yamaguchi, M. et al., (1995) Cancer, 76,
2351-2356)を含むヒトの多くの癌のMDR表現型と関連している。P−gpは
エネルギー依存性排出ポンプとして機能する膜貫通タンパク質であり、その通常
の機能は代謝物を輸送し、また細胞毒性物質に対する保護を提供することである
(Bello-Reuss, E. & Ernest, S., (1994) Am. J. Physiol., 267, C1351-1358;
Chin, K.V., et al., (1990) Cell Growth Differ., 8, 361-365)。P−gpの
過剰発現は抗癌薬剤の細胞外への排除、またその結果としてのこれらの化合物に
対する耐性の確立をもたらす。そのような薬剤耐性は、タキソールのような細胞
毒性薬剤(Parekh, H., Wiesen, K. & Simpkins, H. (1997) Biochem. Pharmacol
., 53, 461-470)ならびにその他の多くの化学療法剤(Fardel, O., et al., (199
4) Eur. J. Biochem., 219, 521-528)に対する曝露により腫瘍細胞で実証されて
いる。MDRと関係があると考えられている他のタンパク質は、アポトシス調節
因子(即ち、Bcl−2およびBcl−xL)およびLRP(肺抵抗性タンパク質)
である。LRPタンパク質は卵巣癌、転移性悪性メラノーマ、および急性リンパ
性白血病と関係があると考えられている(Leith, C., (1998) Curr. Opin. Hemat
ol., 5, 287-291)。
【0007】 したがって、細胞を化学療法剤耐性にすることに関与している細胞成分は最も
興味のあるものであり、MDRに関与するタンパク質および関連分子を提供する
ことがこの発明の目的である。MDRに関与する組換え核酸、ならびMDRに関
与するタンパク質をコード化する核酸を含有する発現ベクターおよび宿主細胞を
提供することはこの発明のさらなる目的である。この発明のさらなる目的は、M
DRに関与しているタンパク質のアンタゴニストおよびアゴニストをスクリーニ
ングする方法を提供することである。
【0008】 (発明の要約) 上に概述した目的に沿って、本発明はMDRを付与し、もしくは減弱させる作
用物質をスクリーニングするための方法および組成物を提供する。したがって、
この発明は、MDR表現型を付与する耐性付与ペプチドおよびMDR表現型を減
弱させる薬剤候補のようなバイオ活性物生を提供する。
【0009】 一つの態様では、この発明は細胞に多剤耐性を付与するバイオ活性物生をスク
リーニングする方法を提供する。その方法は、a)ランダムな候補ペプチドのレ
トロウイルスによるライブラリーを複数の細胞に導入し、そこにおいては当該ペ
プチドのそれぞれは異なるペプチド配列を含み;b)複数の細胞をスクリーニン
グし、MDR表現型を表している細胞であって、MDR表現型がバイオ活性物生
の存在に因る細胞を探すステップを含む。この方法はまた、c)MDR表現型を
表している細胞を単離し;そして、d)その細胞から耐性付与ペプチドを単離す
るステップを含んでいてもよい。
【0010】 この発明はさらに、耐性経路のタンパク質を単離する方法を提供する。 さらなる態様では、この発明は多剤耐性経路のタンパク質に結合する能力を有
するバイオ活性物生をスクリーニングする方法を提供する。その方法は、a)多
剤耐性経路のタンパク質と候補バイオ活性物生とを結合させ;そしてb)候補作
用物質のタンパク質への結合を測定するステップを含む。
【0011】 この発明はさらに、a)多剤耐性経路のタンパク質と耐性付与ペプチドとを接
触させ;そしてb)候補薬剤存在下でのペプチドのタンパク質への結合の低下を
検出し、それによって薬剤候補を同定するステップを含む薬剤候補を同定する方
法を提供する。
【0012】 さらなる態様では、この発明は多剤耐性経路のタンパク質の活性を調整する能
力があるバイオ活性物生を同定する方法を提供する。この方法は、a)候補バイ
オ活性物生を、当該細胞のそれぞれが多剤耐性経路のタンパク質を発現している
複数の細胞に添加し;b)当該複数細胞に化学療法剤を添加し;そしてc)化学療
法剤への耐性に対する候補バイオ活性物生の効果を測定するステップを含む。
【0013】 一つの追加的態様では、本発明は多剤耐性経路のタンパク質のモデュレーター
の組成物を投与することを含む多剤耐性に関連する疾患を治療する方法を提供す
る。
【0014】図面の簡単な説明 図1はHeLa細胞にタキソール耐性を付与するペプチドのスクリーングを示
す。図1Aはペプチドライブラリースクリーニングを示す。ダイヤグラムの最上
段に示したベクターは、ペプチドとGFPインディケーター遺伝子を共発現でき
るオペロンをコード化する単一の長末端反復(LTR)により駆動されるRNA転
写物をコード化している。GFPの翻訳は内部リボゾーム侵入部位(IRES)か
ら開始される。Ψはウイルスパッケージング配列を表す。スクリーニングを開始
するためには、ベクター内にコード化されているペプチドライブラリー(複雑度
3x10)をウイルスパッケージング細胞株Phoenix−amphoにト
ランスフェクトする。ウイルス粒子を収穫し次いでこれを用いてHeLa細胞に
形質導入する。感染HeLa細胞を致死量のタキソールで処理する。ペプチド配
列をPT−PCRにより生存クローンから救出し、次いでTet調節可能な(T
ra)レトロウイルスベクターに再クローニングする。Traベクターは、テト
ラサイクリン応答性エレメント(TRE),サイトメガロウイルスの最小即時性初
期プロモーター(Pmin)、ならびにプロモーターおよびエンハンサー機能を取
り除き、転写がTER/Pminで駆動できるようにした3’SIN−LTRを
含む。次いで、タキソール耐性に対するこれらのペプチドの効果を未処理のHe
La細胞で再テストする。タキソール耐性表現型を確認した後、これらのペプチ
ドの細胞標的の機能を酵母の二ハイブリッドスクリーニングにより単離する。そ
れから、タキソール耐性におけるこれらの細胞タンパク質の機能をさらに検証す
る。
【0015】 図1Bは、ペプチドRGP8.5で感染したHeLa細胞のクローン原性生存
アッセイにおける増強された生存を示す。HeLa細胞をRGP8.5ペプチド
もしくはGFPコントロールを発現するtet−調節性レトロウイルスベクター
(Tra)で感染させた。感染後、2×10個の細胞を6穴プレートの一つのウ
エルに分注し、細胞の半分をDoxとインキュベートした。翌日、細胞を異なる
投与量のタキソールで48時間処理した。2週間後、生存するコロニーをギムザ
液で染色し、写真撮影した。Doxを加えた細胞は実験の間Dox中に維持した
。このアッセイをRGP8.5ペプチドについて数回繰り返した。同様の結果が
得られた(データは示していない)。
【0016】 図2は、HeLa細胞においてRGP8.5ペプチドがMDR1を上方調節す
ることを示している。図2Aは、RGP8.5ペプチドを発現しているタキソー
ル耐性HeLa細胞を示す。HeLa細胞を異なるレトロウイルスベクターに感
染させ、モノクローナル抗体MDR1(UIC2)PE複合体で染色し、蛍光活性
化セルソーター(FACS)機で解析した。左上のパネルはGFPコントロールベ
クターを発現する細胞を示しており、X軸にGFPの発現を、Y軸にMDR発現
を示す。左中央のパネルは8.2ペプチドコントロールであり、MDR発現に対
して影響を示していない。左下は8.5のプールであり、それはGFP発現(ペプ
チドの代替指標)と相関した有意なMDR発現を示す。右側のパネルは、選択さ
れたクローンRGP8.5.1が誘導されたベクター発現によってMDR発現を調
節していることを実証している。右上はHeLa細胞コントロール;右中央は推
定ペプチド発現の不在下におけるベクター発現;右下はペプチド発現の脱抑制後
であり、GFP(ペプチド)発現と相関する誘導されたMDR発現を示す。
【0017】 図2Bは、HeLa細胞中におけるベクター誘導の脱抑制後のタキソール耐性
を示す。RGP8.5ペプチドを発現する細胞(選択されたクローン)を200n
g/mlのDoxの存在下もしくは不在下に2日間インキュベートした。引き次
いて、細胞を100nMのタキソールで48時間インキュベートし、次いで視覚
化して細胞の生存を調べた。
【0018】 図2CはCsAによるMDR−1ポンプ阻害がRGP8.5ペプチドの活性に
拮抗することを示す。Doxを添加した細胞をドキシサイクリンで最初に2日間
インキュベートした後、96穴プレートに撒いた。その時点以後、細胞は全実験
期間の間Dox中で維持した。5×10個ずつの細胞を96穴プレートのウエ
ルに分注した。翌日、細胞を異なる濃度のタキソールのプラスもしくはマイナス
2μMのCsAをDoxと組み合わせて処理した。示したデータは、標準的XT
Tアッセイにおいてそれぞれの処理の3回の平均値である。誤差バーはグラフの
データポイントより小さく、それ故に図では見ることができない。実験試料はグ
ラフの挿入説明に示されている。
【0019】 図2Dは、RGP8.5ペプチドを発現するHeLa細胞クローンのローダミ
ン123エフラックスアッセイを示す。細胞を200ng/mlのDoxの存在
下もしくは不在下に4日間インキュベートした。次いで細胞を1nMのローダミ
ン123で染色しFACSで解析した。上段のパネルには、GFP陽性細胞(縞
模様をつけたピーク、左上)が細胞(縞模様をつけたピーク、右上)からローダミ
ン123を排出しているのが見られる。GFPを活性化しなかった細胞はポンプ
活性を活性化しなかった(黒塗り)。下段の2枚のパネルはtTAプロモーターが
Doxの存在下に遮断された細胞を示す。殆どの細胞はGFP域値未満であり、
ローダミン123を強く保持していることを示していた(黒塗りピーク)。
【0020】 図3は、RGP8.5ペプチドを発現しているHeLa細胞クローンのmdr
1mRNA発現のRT−PCR解析を示す。RGP8.5.1から全RNAを単離
し、等量のRNAを用いて半定量的RT−PCRを行った(25サイクル)。He
La細胞を先ず200ng/mlのドキシサイクリンと0、2、4、8、12時
間(レーン1、2、3、および4)および3日間(レーン5)インキュベートした後
RNAを収穫して精製した。等量のRT生成物をmdr1およびβ‐チュブリン
のPCR増幅に用いた。
【0021】 図4は、免疫沈降およびウエスタンブロットによるRGP8.5ペプチドとX
APC7およびZetaタンパク質との会合の解析を示す。図4Aは、細胞中の
発現されたRGP8.5とプロテアゾームサブユニットとの会合を示す。プラス
ミドにコード化されたGFP−RGP8.5(レーン1、2および3)ならびにG
FP−RGP56.1融合体(レーン4、5および6)を、ベクターのみ(レーン1
および4)、フラグタグをつけたZeta(レーン2および5)ならびにXAPC
7(レーン3および6)の発現ベクターとともにHeLa細胞に共トランスフェク
ションを行った。トランスフェクションの48時間後、細胞を収穫し、TNT緩
衝液中に溶解し、抗フラグ抗体をつけたビーズを用いた免疫沈降に付した。共沈
したタンパク質をSDS−PAGEで分離し、抗GFPタンパク質抗体で検出し
た。GFP−ペプチド融合体、ZetaおよびXAPC7の発現の検出には、等
量の細胞抽出物をゲルにロードし、タンパク質発現をGFPおよびフラグタグに
対する抗体で明らかにした。
【0022】 図4Bは、RGP8.5のアフィニティーカラムを用いたプロテアゾームサブ
ユニットの精製を示す。HeLa細胞抽出物をストレプトアビジンカラムで予め
澄明にした。次いで、ビオチニル化RG8.5ペプチドを細胞溶解物に添加し4
℃で一夜混合した。翌日、ストレプトアビジンアガローズビーズを細胞抽出物と
4℃で3時間インキュベートした。ビーズを溶解緩衝液で5回洗浄した後、会合
したタンパク質を2倍濃度のタンパク質試料緩衝液で溶出し、SDS−PAGE
で分離し、ZetaおよびXAPC7のプロテオゾームサブユニットに対するモ
ノクローナル抗体で検出した。
【0023】 図5は、プロテアゾームのプロキシ阻害による形質模写ペプチド発現がMDR
−1発現を誘導することを示す。図5Aは、RGP8.5ペプチドを発現してい
るHeLaクローンのmdr1mRNA発現のRT−PCR解析を示す。HeL
a細胞の全RNA(レーン1)およびRGP8.5HeLa細胞クローン(レーン2
、3および4)を単離し、等量のRNAを用いてRT−PCR (25サイクル)
を行った。HeLaクローンを200ng/mlのドキシサイクリン(レーン3)
プラス5μMのMG132(レーン4)と23時間先ずインキュベートした後、R
NA調製用に細胞を収穫した。等量のRT生成物をmdr−1およびβ‐チュブ
リンのPCR増幅に用いた。
【0024】 図5Bは、MG132によるプロテオゾーム阻害がMDR−1発現を誘導する
ことを示す。RGP8.5ペプチドを発現するクローンを200ng/mlのD
oxの有りもしくは無しで2日間インキュベートし、引き次いて細胞を5μMの
MG132の有りもしくは無しで21時間処理した。細胞をモノクローナル抗体
MDR1(UIC2)PE複合物で染色してFACSで解析した。
【0025】 図6は、RGP8.5によるプロテアゾーム活性阻害が細胞サイクルの進行を
停止させることを示す。図6Aは、RGP8.5ペプチドを発現するHeLaク
ローン中のGFP、hsp70およびサイクリンBタンパク質の内在性レベルの
ウエスタンブロット解析を示す。内在性タンパク質発現に及ぼすRGP8.5の
作用を調べるために、RGP8.5を発現しているHeLa細胞をドキシサイク
リン(200ng/ml)と4日間インキュベートした後、収穫してウエスタン分
析を行った。等量の細胞溶解物をそれぞれのレーンにロードし、SDS−PAG
Eで分離してGFP(Kodak)、hsp70およびサイクリンB1(Santa Cruz)に
対する抗血清でイムノブロットを行った。
【0026】 図6Bは、RG8.5ペプチドを発現する細胞の細胞サイクル分析を示す。R
G8.5ペプチドを発現する細胞は50%コンフルエンスまで生育していた。細
胞を収穫しDNAのサイトメトリーのための処理を行った。DNA含量プロファ
イルでは、太線はペプチド陰性細胞を表し、灰色の領域を示す曲線はRG8.5
プチド陽性細胞を表す。図6の上段に示すように細胞をGFP発現に関して分別
した。
【0027】 図7はRGP8.5のアミノ酸配列(配列番号1)およびRGP8.5のヌクレ
オチド配列(配列番号2)を示す。
【0028】 図8Aは、プロテアゾームサブユニットXAPC7のヌクレオチド配列(配列
番号3、GenBank受け入れ番号AFO22815)を示す。図8Bは、プ
ロテアゾームサブユニットXPAC7のアミノ酸配列(配列番号4、GenBa
nk受け入れ番号AAB81515)を示す。Huang, J., et al., (1996) J. Vi
rol., 70: 5582-5591を参照のこと。図8Cは、プロテアゾームサブユニットZ
etaのヌクレオチド配列(配列番号5、GenBank受け入れ番号NM_0
02790)を示す。図8Dは、プロテアゾームサブユニットZetaのアミノ
酸配列(配列番号6、GenBank受け入れ番号NM_002781。DeMarti
nio, G.N., et al., (1991) Biochim. Biophys. Acta, 1079: 29038を参照)を示
す。
【0029】 (発明の詳細な説明) 本発明は、多剤耐性(MDR)に関与する細胞タンパク質に結合し調節する候補
作用物質を同定する方法を提供する。上に概述したように、実行可能な二つの基
本的なスクリーニングがある:1)多剤耐性表現型を付与する化合物のスクリー
ニング;および2)多剤耐性表現型を減弱させる化合物のスクリーニングである
【0030】 したがって、好ましい実施態様では、多剤耐性表現型を付与する化合物を候補
作用物質のライブラリーを用いてスクリーニングを行う。化合物の標的分子を同
定し;そしてこれを用いて化合物存在下で標的分子に結合しおよび/もしくはそ
の活性を調整する候補薬剤をスクリーニングする。例えば、ここに概述したよう
に、MDR表現型を付与するRGP8.5ペプチドのような化合物を用いてMD
R経路内の標的分子を同定する。XAPC7およびZetaの同定についてここ
に概述したように、一旦標的分子が同定され、そして多剤耐性を付与するRGP
8.5ペプチドで阻害されれば、XAPC7およびZeta分子を、それらに結
合しそれらの活性を調整する候補薬剤のスクリーニングに用いることができる。
【0031】 したがって、開示された方法は遺伝子的スクリーニングを用いて、タキソール
、エトポシド、シスプラチン、その他のような化学療法剤に対する耐性を細胞に
付与する多剤耐性経路のタンパク質(即ち、以下に規定するPRPタンパク質)を
同定する。またPRPタンパク質の同定および分離の方法、抵抗性の経路を特徴
づける手段、およびMDRを治療するのに使用できる新規薬剤を同定するために
、PRPタンパク質に結合しその活性を調整する能力のある候補バイオ活性物生
のスクリーニング法も提供される。
【0032】 本発明は化学療法剤に耐性を付与する候補バイオ活性物生をスクリーニングす
る方法を提供する。これらの「耐性付与」作用物質は、化学療法剤への曝露によ
り細胞死を引き起こすかもしくは少なくともそれに貢献するところの細胞性タン
パク質に結合する能力がある。かくして、耐性付与作用物質は耐性経路のタンパ
ク質(PRPタンパク質、下記参照)を干渉しもしくは調整し、それによって化学
療法剤に対する耐性を誘導する。ランダムなペプチドもしくはオリゴヌクレオチ
ドを細胞に送達し、これらの細胞を化学療法剤を用いて選択圧の下に置き、そし
て生存している細胞を収穫することによって、細胞生存の役割を担っている作用
物質を同定する。加えて、本発明の方法は、作用物質が結合する細胞性タンパク
質の同定、およびバイオ活性物生、即ち、MDR表現型を減弱させるのに使用で
きる増感剤のスクリーニングにおけるその細胞性タンパク質の次の使用を可能に
する。
【0033】 これらの方法を用いることにより、耐性付与ペプチドRGP8.5および二つ
のRPPタンパク質XAPC7およびZetaが同定された。米国出願番号60
/136,018、特に出展明示により本明細書の一部とする、もまた参照のこ
と。
【0034】 XAPC7およびZetaはα型プロテアゾームサブユニット(Groettrup & S
chmidtke, (1999) Drug discovery Today, 4: 63-71)である。プロテアゾームは
細胞内におけるタンパク質の大量分解のための主要なシステムである。プロテア
ゾームにより調節される重要な生物学的過程は、細胞サイクルの調節、アポトシ
ス、形態発生、分化、代謝調節、および抗原提示を含む(Groettrup & Schmiddtk
e, I; Chen, Z. et al., (1995) Genes Dev., 9, 1586-1597; Tsurumi, C., et
al., (1996) Nippon Rinsho, 54, 861-869)。20Sプロテオゾームは、それぞ
れ7個のサブユニットをもつ4個のリングからなる樽形をしたコアタンパク質分
解複合体である。内側の2個のリングのサブユニットはベータ型をしており、樽
の内腔に向いたタンパク質分解活性センターをもっている;外側の2個のリング
はアルファー型をしており、プロテアゾームの内側の空間へのアクセスおよび調
節複合体との会合を制御している(Groettrup, M. & Schmidtke, G., (1999) Dru
g Research, 4, 63-71; Kania, M.A., et al., (1996) Eur. J. Biochem., 236,
510-516)。
【0035】 プロテオゾーム活性を阻害する薬剤は細胞サイクルの進行に影響を及ぼすこと
が示されている。p21およびサイクリンBのような多くの細胞サイクル調節因
子は極めて不安定であり、細胞サイクルの間プロテアゾーム仲介性のタンパク質
分解によって制御される細胞内濃度が迅速に変化する。26Sプロテアゾームに
よるサイクリンBの分解は中期から後期への細胞サイクルの移行に必要とされる
(Spataro, V., et al., (1997) J. Biol. Chem., 272: 30470-5)。
【0036】 耐性付与ペプチドのRGP8.5はMDR−1発現を上方調節する;以下の実
施例を参照のこと。理論に縛られることなしに、RGP8.5はXPAC7に結
合してプロテアゾーム活性を妨害し得る。この理論は、肝炎BウイルスのpXタ
ンパク質(X因子)がMDR1遺伝子を転写促進させるという観察(Doong, S.L. e
t al., (1998) J. Hepatol., 29, 872-878)によって支持される。酵母の二ハイ
ブリッドタンパク質相互作用のスクリーニングにおいてXAPC7はX因子と会
合し、XAPC7のアンチセンス発現はX因子によるトランス活性化の阻害をも
たらす(Huang, J., et al., (1996) J. Virol. 70, 5582-5591; Jorgensen, L.
& Hendil, K.B. (1999) Mol. Biol. Rep. 26, 119-123)。
【0037】 Zetaサブユニットは推定的リボヌクレアーゼであると示唆されており、構
成的に発現されたmdr−1転写物に結合したタンパク質に作用することにより
mRNA発現を調節するであろう(Fischer, M., Runkel, L. & Schaller, H., (
1995) Virus Genes, 10, 99-102; Petit, F. et al., (1997) Biochem. J., 326
, 93-98)。かくして、RGP8.5ペプチドはプロテアゾーム阻害剤として働く
ことによって化学療法剤タキソールに対する耐性を付与するのであろう。
【0038】 それ故に、理論に縛られることなく、癌細胞における薬剤耐性の一つの形は、
XPAC7もしくはZetaのプロテオゾームアルファサブユニットの変異もし
くは修飾またはそれらの作用の特異性を通して生じるのであろう。プロテアゾー
ムによる標的分子分解の変化は、直接MDR−1タンパク質産生の調節因子に影
響を及ぼし、MDR−1および化学療法剤に対する耐性状態の上方調節に導くこ
とになろう。
【0039】 かくして、XPAC7およびZetaタンパク質はMDRにおいて役割を有す
るものとして同定されており、そしてXPAC7および/もしくはZetaの活
性の選択的調整のための候補薬剤のスクリーニングを含む種々の方法において用
いることができる。 MDRにおいて役割を果たすXPAC7およびZetaのようなタンパク質を
ここでは「耐性経路のタンパク質」もしくは「PRPタンパク質」と規定する。
かくして、PRPタンパク質は細胞を化学療法剤に対して耐性にすることに関与
する細胞成分である。
【0040】 したがって、本発明はXAPC7およびZetaのようなPRPタンパク質に
結合し、もしくはそれらの活性を調整することのできる成分を求めて候補バイオ
活性物生をスクリーニングする方法を提供する。
【0041】 本明細書において「候補バイオ活性物生」または「候補薬物」または「外生化
合物」とは、例えば、タンパク質、小型の有機分子、炭水化物(多糖類を含む)
、ポリヌクレオチド、脂質などのいずれかの分子をいう。一般に、複数のアッセ
イ混合物を種々の薬物濃度を用いてパネルに並行して流し、種々の濃度に対して
の種々の示差応答を得る。典型的には、これらの濃度のうち1つ、すなわち0ま
たは検出レベルに満たない濃度が負の対照として用いられる。さらに、正の対照
も使用できる。例えば、細胞周期アッセイでは、細胞周期を変化させることが知
られている薬剤を使用してもよい。
【0042】 候補薬物は多くの化学クラスを包含するが、典型的にはそれらは有機分子、好
ましくは分子量が100ダルトンより大きく約2,500ダルトン未満の小型の
有機分子である。候補薬物はタンパク質との構造相互作用、特に水素結合に必要
な官能基を含んでなり、典型的には少なくとも1つのアミン、カルボニル、ヒド
ロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つの官能化学基を含む
。該候補薬物は環式炭素または複素環式構造および/または上記の1以上の官能
基で置換された芳香族もしくはポリ芳香族構造を含んでなる。候補薬物はまた、
ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似
体またはそれらの組合せを含む生体分子間に見出せる。特に好ましいのはペプチ
ドである。
【0043】 候補薬物は合成または天然化合物のライブラリーを含む多様な供給源から得ら
れる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドの発現をはじめ、多様な有機化合
物および生体分子のランダムな、また所定の合成には多くの手段が利用できる。
あるいは、細菌、真菌、植物および動物の抽出物形態における天然化合物のライ
ブラリーが入手可能であるか、または容易に作製できる。さらに、天然の、また
は合成により作製したライブラリーまたは化合物は従来の化学的、物理的、生化
学的手段により容易に修飾される。公知の薬理活性物質は、アシル化、アルキル
化、エステル化、アミド化などの所定のまたはランダムな化学修飾を受けて構造
類似体を形成し得る。
【0044】 好ましい態様では、該候補バイオ活性物生はタンパク質である。本明細書にお
いて「タンパク質」とは共有結合した少なくとも2つのアミノ酸を意味し、タン
パク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドが含まれる。該タンパク
質は天然に存在するアミノ酸およびペプチド結合または合成ペプチド模倣構造か
らなってもよい。従って本明細書において「アミノ酸」または「ペプチド残基」
とは、天然に存在するアミノ酸と合成アミノ酸の双方を意味する。例えば、ホモ
フェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは、本発明の目的のためのア
ミノ酸と考えられる。また「アミノ酸」には、プロリンおよびヒドロキシプロリ
ンなどのイミノ酸残基が含まれる。その側鎖は(R)配置または(S)配置のい
ずれであってもよい。好ましい態様では、該アミノ酸は(S)またはL配置であ
る。天然に存在しない側鎖を用いる場合は、例えばインビボ分解を妨げるまたは
遅延させるために非アミノ酸置換基を用いてもよい。また、化学ブロッキング基
またはその他の化学置換基を付加してもよい。
【0045】 好ましい態様では、候補バイオ活性物生は天然に存在するタンパク質または天
然に存在するタンパク質の断片である。従って、例えば、タンパク質またはタン
パク質性細胞抽出物のランダムなもしくは所定の消化物を含む細胞抽出物を用い
てもよい。このように、本明細書に記載の系のスクリーンのためには、原核生物
および真核生物のタンパク質ライブラリーを作製すればよい。本態様において特
に好ましいのは、細菌、真菌、ウイルスおよび哺乳類タンパク質のライブラリー
であり、後者が好ましく、ヒトタンパク質が特に好ましい。
【0046】 好ましい態様では、該候補バイオ活性物生は、約5ないし約30のアミノ酸か
らなるペプチドであり、約5ないし約20のアミノ酸からなるものが好ましく、
約7ないし約15のアミノ酸からなるものが特に好ましい。該ペプチドは上記に
概説したような天然に存在するタンパク質の消化物、ランダムペプチド、または
「偏りのある」ランダムペプチドであってもよい。本明細書において「ランダム
化された」または文法上の同義語は、核酸およびペプチドがそれぞれ実質的にラ
ンダムなヌクレオチドおよびアミノ酸からなることを意味する。一般にこれらの
ランダムペプチド(または以下に論じる核酸)は化学的に合成されるので、いず
れの位置にいずれのヌクレオチドまたはアミノ酸でも組み込める。この合成法は
、ランダム化されたペプチドまたは核酸を作製し、その長さおよび配列において
あり得る組合せのすべてまたは大部分の形成を可能にし、ランダム化されたタン
パク質性生理活性剤候補のライブラリーを形成するよう設計することができる。
【0047】 1つの態様では、該ライブラリーは十分にランダム化され、いずれの位置でも
優先のまたは一定の配列は存在しない。好ましい態様では、該ライブラリーには
偏りがある。すなわち、配列内のある位置では一定であるか、または限られた数
の可能性から選択される。例えば、好ましい態様では、ヌクレオチドまたはアミ
ノ酸残基は、例えば、疎水性アミノ酸、親水性残基、立体的に偏りのある(小さ
いまたは大きい)残基、架橋のためのシステイン、SH−3ドメインのためのプ
ロリン、リン酸化部位のためのセリン、トレオニン、チロシンもしくはヒスチジ
ンの作出などに対して、またはプリンに対してといった所定のクラス内でランダ
ム化される。
【0048】 好ましい態様では、該候補バイオ活性物生は核酸である。本明細書において「
核酸」もしくは「オリゴヌクレオチド」または文法上の同義語は、共有結合した
少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。本発明の核酸は一般にホスホジエス
テル結合を含むが、以下に概説されるいくつかの場合では、例えば、ホスホルア
ミド(Beaucage, et al., Tetrahedron, 49(10):1925 (1993)およびその参照文献
; Letsinger, J. Org. Chem., 35:3800 (1970); Sprinzl, et al., Eur. J. Bio
chem., 81:579 (1977); Letsinger, et al., Nucl. Acids Res., 14:3487 (1986
); Sawai, et al., Chem. Lett., 805 (1984); Letsinger , et al., J. Am. Ch
em. Soc., 110:4470 (1988); およびPauwels, et al., Chemica Scripta, 26:14
1 (1986))、ホスホロチオエート(Mag, et al., Nucleic Acids Res., 19:1437 (
1991);および米国特許第 5,644,048号)、ホスホロジチオエート(Briu, et al.,
J. Am. Chem. Soc., 111:2321 (1989))、O−メチルホスホロアミダイト結合(Ec
kstein , Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford Un
iversity Press参照)、ならびにペプチド核酸主鎖および結合(Egholm, J. Am. C
hem. Sci., 114:1895 (1992); Meier, et al., Chem. Int. Ed. Engl., 31:1008
(1992); Nielsen, Nature, 365:566 (1993); Carisson, et al., Nature, 380:
207 (1996)参照。なお、これらは出典明示により本明細書の一部とする)を含ん
でなる選択的主鎖を有し得る核酸類似体が含まれる。その他の核酸類似体として
は正電荷主鎖(Denpcy, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:6097 (1995))
;非イオン性主鎖(米国特許第5,386,023号、同第5,637,684号;
同第5,602,240号;同5,216,141号;および同第4,469,863
号; Kiedroeshi, et al., Angew. Chem. Intl. Ed. English, 30;423 (1991); L
etsinger, et al., J. Am. Chem. Sci., 110:4470 (1988); Letsinger, et al.,
Nucleoside & Nucleotide, 13:1597 (1994); Chapters 2 and 3, ASC Symposiu
m Series 580, "Carbohydrate modifications in Antisense Research", Ed. Y.
S. Sanghui and P. Dan Cook; Mesmaeker, et al., Bioorganic & Medicinal Ch
em. Lett., 4:395 (1994); Jeffs, et al., J. Biomolecular NMR, 34:17 (1994
); Tetrahedron Lett., 37:743 (1996))、ならびに米国特許第5,235,033
号、同5,034,506号、およびChapters 6 and 7, ASC Symposium Series 5
80, "Carbohydrate Modifications in Antisense Research", Ed. Y.S. Sanghui
and P.Dan Cookに記載のものをはじめとする非リボース主鎖を有するものが挙
げられる。1以上の炭素環式糖を含む核酸もまた本核酸定義内に含まれる(Jenki
ns, et al., Chem. Soc. Rev., (1995) pp. 169-176参照)。いくつかの核酸類似
体がRawls, C & E News, June 2, 1997, page 35に記載されている。これらの参
照文献はすべて出典明示して本明細書の一部とする。リボース−リン酸主鎖のこ
れらの修飾を行い、標識などの付加部分の付加を助けたり、あるいは生理学的環
境下でかかる分子の安定性を高め、半減期を延ばしてもよい。さらに、天然に存
在する核酸と類似体の混合物を作製することもできる。あるいは、種々の核酸類
似体の混合物や天然に存在する核酸と類似体の混合物を作製してもよい。該核酸
は明示したように一本鎖であっても二本鎖であってもよく、あるいは二本鎖また
は一本鎖配列の双方の部分を含んでもよい。該核酸は、デオキシリボヌクレオチ
ドとリボヌクレオチドのいずれかの組合せ、およびウラシル、アデニン、チミン
、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン
、イソグアニンなどを含む塩基のいずれかの組合せを含む限り、DNA(ゲノム
DNAおよびcDNAの双方)、RNAまたはハイブリッドであってもよい。
【0049】 一般にタンパク質に関して上記したように、核酸候補バイオ活性物生は天然に
存在する核酸、ランダム核酸、または「偏りのある」ランダム核酸であってよい
。例えば、タンパク質に関して先に概説したように原核生物ゲノムまたは真核生
物ゲノムの消化物を用いてもよい。
【0050】 好ましい態様では、該候補バイオ活性物生は有機化学部分であり、多様なもの
が文献から得られる。
【0051】 好ましい態様では、種々の候補バイオ活性物生のライブラリーを用いる。好ま
しくは、該ライブラリーはランダム化された物生の十分構造的に多様な集団を提
供して、特定の標的との結合を可能とするに見込みとして十分な範囲の多様性を
達成する。従って、相互作用ライブラリーは、メンバーの少なくとも1つがそれ
に標的に対する親和性を与える構造を持つよう十分大きくなければならない。相
互作用ライブラリーの必要とされる絶対的なサイズを測るのは難しいが、自然が
免疫応答でヒントを与えてくれる。すなわち、多様な107ないし108個の異な
る抗体は、生物が直面する大部分のあり得る抗原と相互作用するに十分な親和性
を有する少なくとも1つの組合せを与える。また、公表されているインビトロ選
択技術も、107ないし108のライブラリーサイズが、標的親和性を有する構造
を見出すに十分であることを示している。本明細書で一般に提案されるものなど
7ないし20アミノ酸長のペプチドのすべての組合せに関するライブラリー20 7 (109)ないし2020をコードする可能性を有する。従って、107ないし1
8の異なる分子のライブラリーを用い、本方法では理論的に完全な相互作用ラ
イブラリーの「実働」サブセットをアミノ酸7個とし、形態サブセットを2020 とする。このように好ましい態様では、主題の方法において少なくとも106
好ましくは107、より好ましくは少なくとも108、最も好ましくは少なくとも
109個の異なる配列が同時に解析される。好ましい方法はライブラリーのサイ
ズおよび多様性を最大にする。
【0052】 該候補バイオ活性物生は細胞または細胞集団に結合または付加される。種々の
態様に好適な細胞種は先に概説されている。該候補バイオ活性物生と細胞は結合
させる。当業者には理解されるであろうが、これは候補薬物を細胞表面へ、細胞
を含む培地へ、または細胞が増殖している、もしくは接触している表面へ該候補
薬物を添加する。例えば、薬剤を細胞に導入するベクターを用いることにより該
物生を細胞に付加する(ずなわち、物生が核酸またはタンパク質である場合)こ
とをはじめ、多くの方法のいずれで達成してもよい。
【0053】 好ましい態様では、該候補バイオ活性物生は、ウイルスベクターをはじめとす
るベクターを用いて宿主細胞へ導入される核酸またはタンパク質(この場合タン
パク質とはタンパク質、オリゴペプチドおよびペプチドを含む)のいずれかであ
る。ベクター、好ましくはウイルスベクターの選択は細胞種による。細胞が複製
する場合、以下にさらに十分記載されるようにレトロウイルスベクターを用いる
。細胞が複製しない場合(すなわちある増殖期で拘束されている場合)には、レ
ンチウイルスおよびアデノウイルスベクターをはじめとするその他のウイルスベ
クターを使用してもよい。
【0054】 好ましい態様では、細胞は複製するかまたは複製を誘導できるかのいずれかで
あり、PCT US87/01019およびPCT US87/01048に一
般に概説されているように、レトロウイルスベクターを使用して候補バイオ活性
物生を細胞に導入する。なおこの双方は出典明示により本明細書の一部とする。
一般に、レトロウイルスベクターのライブラリーはヘルパーは欠くが、gag、
polおよびenvをはじめとする必要なすべてのトランスタンパク質、ならび
にシスにψパッケージングシグナルを有するRNA分子を産生できるレトロウイ
ルスパッケージング細胞系統を用いて作製される。便宜には、レトロウイルスD
NA構築主鎖にライブラリーを作製し、当技術分野において十分に公知である技
術を用いて標準的なオリゴヌクレオチド合成を行い、候補薬物またはタンパク質
、例えばランダムペプチドをコードする核酸のいずれかを作製する。DNAライ
ブラリーを作製した後、該ライブラリーを第1のプライマーにクローン化する。
第1のプライマーはレトロウイルス構築物に挿入される「カセット」として機能
する。第1のプライマーは一般に、例えば、必要とされる調節配列(例えば、翻
訳、転写、プロモーターなど)、融合パートナー、制限エンドヌクレアーゼ(ク
ローニングおよびサブクローニング)部位、拘束コドン(好ましくは3フレーム
すべての)、第2鎖プライミングのための相補性領域(好ましくは停止コドン領
域の末端に小さな欠失または挿入としてランダムな領域に起こり得る)などをは
じめとするいくつかのエレメントを含む。
【0055】 次いで、第2のプライマーを加えるが、これは一般に相補性領域のいくつかま
たはすべてからなり、第1のプライマーおよびサブクローニングのための第2の
唯一の制限部位に必要な任意の配列をプライミングする。DNAポリメラーゼを
加えて二本鎖オリゴヌクレオチドを作製する。この二本鎖オリゴヌクレオチドを
適当なサブクローニング制限エンドヌクレアーゼで切断して以下に記載する標的
レトロウイルスベクターにサブクローン化する。
【0056】 いずれの数の好適なレトロウイルスベクターを使用してもよい。一般に、レト
ロウイルスベクターは、以下でさらに十分に記載される選択マーカー遺伝子、5
'LTRに対してセンスまたはアンチセンスに置かれた、第2の遺伝子を発現さ
せるプロモーター、SINにおけるCRUS(合成LTR)テトラサイクリン調
節エレメント、細胞特異的プロモーターなどを含み得る。
【0057】 好ましいレトロウイルスベクターとしては、ネズミ幹細胞ウイルス(MSCV
)(Hawley et al., Gene Therapy 1:136(1994)参照)および改変MFGウイル
ス(Rivere et al., Genetics 92:8733(1995))およびPCT US97/01
019に概説されたpBABEを基にしたベクターが挙げられる。
【0058】 レトロウイルスは候補薬物の発現のための誘導プロモーターおよび構成プロモ
ーターを含み得る。例えば選択過程のある相の間でのみ、またはある細胞相にお
いてのみペプチド発現を誘導する必要がある場合(すなわち、E2F応答プロモ
ーター、p53応答プロモーター、サイクリンプロモーターなどの相特異的プロ
モーターを用いる場合)がある。誘導プロモーターおよび構成プロモーター双方
の多数のもが知られている。
【0059】 さらに、標的細胞における単一ベクターの組み込み後にレトロウイルス挿入部
の誘導発現が可能となるようにレトロウイルスベクターを配置することができる
が、完全な系が単一のレトロウイルスに含まれていることが重要である。3’L
TRエンハンサー/プロモーターレトロウイルス欠失変異体の自己不活化(SI
N)特性を組み込んだTet誘導性のレトロウイルスが設計されている(Hoffma
n et al., PNAS USA 93:5185(1996))。細胞におけるこのベクターの発現はテト
ラサイクリンまたは他の有効な類似体の存在下では実質的には検出できない。し
かしながら、Tetの不在下では誘導後48時間以内に発現が最大を示し、誘導
可能なレトロウイルスを含む細胞の全集団の発現が一様に増加するが、このこと
は、感染細胞集団内では発現が一様に調節されるということを示す。同様に、関
連する系は、Tetの存在下でDNAに結合するが、Tetの不在下では除去さ
れるような変異TetDNA結合ドメインを使用する。これらの系はいずれも好
適である。
【0060】 好ましい態様では、候補バイオ活性物生は融合パートナーに結合している。本
明細書において「融合パートナー」または「機能的グループ」とは、候補バイオ
活性物生と会合し、そのクラスのライブラリーのすべてのメンバーに共通の機能
または能力を付与する配列を意味する。融合パートナーは異種(すなわち、宿主
にとり天然でない)、または合成のもの(いずれの細胞にとっても天然でない)
であり得る。好適な融合パートナーとしては、限定されるものではないが、a)
候補バイオ活性物生を立体配位上制限されまたは安定な形で提供される以下に定
義の提示構造、b)候補バイオ活性物生を細胞下または細胞外区画へ局在化させ
る、以下に定義される標的配列、c)候補バイオ活性物生かまたはそれらをコー
ドする核酸のいずれかの精製または単離を可能にする以下に定義のレスキュー配
列、d)候補バイオ活性物生またはそれをコードする核酸に安定性または分解か
らの保護、例えばタンパク質分解耐性を付与する安定配列、e)ペプチド二量化
を可能にする二量化配列、あるいはf)a)、b)、c)、d)およびe)なら
びに要すればリンカー配列のいずれかの組合せが挙げられる。
【0061】 好ましい態様では、融合パートナーは提示構造である。本明細書において「提
示構造」または文法上の同義語は、候補バイオ活性物生と融合した場合に候補薬
物に立体配位的上制限された形をとらせる配列を意味する。タンパク質は立体配
位上拘束されたドメインを介して互いに強く相互作用する。当技術分野で公知の
ように、自由に回転するアミノおよびカルボキシル末端を有する小さなペプチド
は強い機能を有していても、かかるペプチド構造の薬理活性剤への変換は、ペプ
チド模倣合成に関する側鎖の位置を予測できないために困難である。従って、立
体配位上拘束された構造でのペプチドの提示は、その後の医薬の製造にも有益で
あるし、またおそらくペプチドと標的タンパク質とのより高い親和性の相互作用
をもたらす。この事実は、細菌ファージ系において生物学的に作製した短いペプ
チドを用いる組合せライブラリー作製系において認められている。何人かの研究
者が、ランダム化されたペプチド構造を提示する小ドメイン分子を構築している
【0062】 候補バイオ活性物生は核酸またはペプチドのいずれであってもよいが、提示構
造はペプチド候補薬物とともに用いるのが好ましい。従って合成提示構造、すな
わち人工ポリペプチドはランダム化されたペプチドを立体配位上制限されたドメ
インとして提示できる。一般に、かかる提示構造は、ランダム化されたペプチド
のN末端に結合した第1の部分と、そのペプチドのC末端に結合した第2の部分
とを含んでなり、すなわち該ペプチドは、以下に概説されるように、変異体を作
製できるが提示構造に挿入されている。ランダム化された発現産物の機能的単離
を高めるには、標的細胞において発現された場合に最小の生物学的活性しか持た
ないように提示構造を選択または設計する。
【0063】 好ましい提示構造は、外側のループにそれを提示することにより、ペプチドへ
の接近性が最大となる。従って、好適な提示構造としては、限定されるものでは
ないが、ミニボディ構造、βシートターン上のループ、構造に重要でない残基が
ランダム化されている超らせん幹構造、ジンクフィンガードメイン、システイン
結合(ジスルフィド)構造、トランスグルタミナーゼ結合構造、環状ペプチド、
Bループ構造、らせんバレルまたはらせん束、ロイシンジッパーモチーフなどが
挙げられる。
【0064】 好ましい態様では、該提示構造は超らせん構造であり、外側のループでランダ
ム化ペプチドの提示を可能にする。例えば、出典明示により本明細書の一部とす
る、Myazka et al., Biochem. 33:2362-2373(1994)参照。この系を用いて、研究
者らは適当な標的と高い親和性の相互作用が可能なペプチドを単離している。一
般に、超らせん構造は6ないし20個の間のランダムな位置にある。
【0065】 好ましい超らせん提示構造は以下のとおりである。
【化1】 下線の領域はこれまでに定義された超らせんロイシンジッパー領域を示す(出典
明示により一部とする、Martin et al., ENBO J. 13(22):5303-5309(1994)参照
)。太字のGRGDMP領域は、ループ構造を示し、ランダム化されたペプチド
(すなわち、本明細書では概して(X)n(ここで、Xはアミノ酸残基であり、
かつ、nは少なくとも5または6の整数である)で示される候補バイオ活性物生
)で適当に置換された場合に可変の長さとなり得る。太字領域の置換は下線領域
に制限エンドヌクレアーゼ部位をコードすることによって促進されて、その位置
でのランダム化されたオリゴヌクレオチドの直接組み込みが可能となる。例えば
、好ましい態様は、二重下線のLE部位にXhoI部位を、また二重下線のKL
部位にHindIII部位を作り出す。
【0066】 好ましい態様では、該提示構造はミニボディ構造である。「ミニボディ」は実
質的に最小の抗体相補性領域からなる。該ミニボディ提示構造は一般に折り畳ま
れたタンパク質において三次構造の単一面に沿って提示される2個のランダム化
領域を提供する。例えば、Bianchi et al., J. Mol. Biol. 236(2):648-59(1994
)およびそこで引用されている文献参照、なお、すべて出典明示により本明細書
の一部とする。研究者らはこの最小ドメインが溶液中で安定であることを示し、
組合せライブラリーにおいて相選択系を使用して炎症性サイトカインIL−8に
Kd=10-7といった高い親和性を示すペプチド領域を用いてミニボディを選択
している。
【0067】 好ましいミニボディ提示構造は以下のとおりである。
【化2】 太字で下線の領域はランダム化され得る領域である。イタリック体のフェニルア
ラニンは第1のランダム化領域において不変でなくてはならない。完全なペプチ
ドが超らせんの態様の3つのオリゴヌクレオチドからなる可変部分にクローン化
され、従って2個の異なるランダム化領域の同時組み込みが可能となる。この態
様は末端の非パリンドロームBstXI部位を利用する。
【0068】 好ましい態様では、該提示構造は一般に2個のシステイン残基を含む配列であ
り、その結果ジスルフィド結合が形成され、立体配位上拘束された配列が得られ
る。この態様は分泌標的配列を用いる場合には特に好ましい。当業者には理解さ
れるであろうが、いずれの数のランダム配列でも、スペーサーまたは連結配列を
伴い伴わなくて、システイン残基でフランクされ得る。他の態様では、効果的な
提示構造はランダム領域自体によって作出され得る。例えば、ランダム領域は、
システイン残基で「処理」するが、適当な酸化還元条件下では提示構造に類似し
た高度に架橋した構造の立体配位をもたらし得る。同様に、ランダム化領域は制
御されてβシートまたはαへリックス構造を与える一定数の残基を含み得る。
【0069】 好ましい態様では、該融合パートナーは標的配列である。当業者には理解され
るであろうが、細胞内でのタンパク質の局在化は有効濃度を高め、かつ機能を決
定するための単純な方法である。例えば、RAF1はミトコンドリア膜に局在し
た場合にはBCL−2の抗アポトーシス作用を阻害し得る。同様に、膜に結合し
たSosはTリンパ球においてRas媒介性のシグナル伝達を誘導する。これら
の機構はリガンドの探索領域を限定する原理によるものと考えられ、すなわち、
タンパク質の原形質膜への局在化はそのリガンドの探索を細胞質の三次元空間に
対して膜付近の二次元空間に限定することとなる。あるいはまた、タンパク質の
濃度も局在化という性質により簡単に高められる。核へタンパク質を往復させる
ことによりそれらをより小さい空間に制限し、それにより濃度が高まる。最後に
、リガンドまたは標的は特定のコンパートメントに簡単に局在化され得るし、阻
害剤も適当に局在化するはずである。
【0070】 このように好適な標的配列としては、限定されるものではないが、発現産物の
生物活性を維持しつつ発現産物を所定の分子またはクラスの分子と結合させるこ
とができる結合配列(例えば、酵素阻害剤または基質配列を用いてある関連する
酵素クラスを標的化する);それ自体またはともに結合しているタンパク質の選
択的分解のシグナルを伝達する配列;ならびに、候補発現産物を、a)ゴルジ体
、小胞体、核、仁、核膜、ミトコンドリア、葉緑体、分泌小胞、リソソーム、お
よび細胞膜などの細胞下の位置、およびb)分泌シグナルを介する細胞外の位置
を含む、細胞の所定の場所へ構成的に局在化させ得るシグナル配列が挙げられる
。細胞下への局在化または分泌を介する細胞外への局在化のいずれかが特に好ま
しい。
【0071】 好ましい態様では、標的化配列は核局在化シグナル(NLS)である。NLS
は一般に、NLSが生じる完全なタンパク質を細胞核へ向かわせるように働く、
正電荷を有する(塩基性)短いドメインである。SV40(サルのウイルス)ラ
ージT抗原(
【化3】 )、Kalderon(1984), et al., Cell, 39:499-509;ヒトレチノイン酸受容体−β
核局在化シグナル (
【化4】 );NFkB p50(
【化5】 ;Ghosh et al., Cell 62:1019(1990);NFkBp65(
【化6】 ;Nolan et al., Cell 64:961(1991);およびその他(例えば出典明示により本
明細書の一部とするBoulikas, J. Cell. Biochem. 55(1):32-58(1994)参照)な
どの単一塩基性NL、ならびにツメガエル(アフリカツメガエル)タンパク質の
ヌクレオプラスミン(
【化7】 )、Dingwall, et al., Cell, 30:449-458 1982 and Dingwall et al., J. Cell
Biol., 107:841-849;1988)などの二塩基性NLSをはじめとする多数のNLS
アミノ酸配列が報告されている。多数の局在化研究では、合成ペプチドに組み込
まれたNLSまたは通常は細胞核に向かわないリレポータータンパク質につぎ足
されたNLSは、これらのペプチドおよびリポータータンパク質を核内に集中さ
せることが証明されている。例えば、Dingwall, and Laskey, Ann. Rev. Cell B
iol., 2:367-390, 1986; Bonnerot, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:
6795-6799, 1987; Galileo, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:458-462
, 1990参照。
【0072】 好ましい態様では、該標的化配列は膜固定シグナル配列である。多くの細胞内
事象が原形質で起こるということの他、多くの寄生虫および病原体が膜に結合す
るので、これは特に有用である。このように、膜結合ペプチドライブラリーは、
これらの過程における重要な要素の同定、ならびに有効な阻害剤の発見の双方に
有用である。本発明は、ランダムな発現産物を細胞外または細胞質空間で提示す
る方法を提供する。細胞外提示に関しては、ペプチド提示構造のカルボキシル末
端に膜固定領域が提供される。ランダムな発現産物領域は細胞表面で発現され、
細胞外空間に提示され、他の表面分子(それらの機能に影響する)または細胞外
媒体中に存在する分子と結合できるようになる。かかる分子の結合により、その
分子と結合するペプチドを発現する細胞に機能を付与できる。細胞質領域は、き
わだった特徴がなくてもよいし、または細胞外のランダムな発現産物領域が結合
する場合、細胞に機能(キナーゼ、ホスファターゼの活性化、機能を遂行するた
めの他の細胞成分との結合)を付与するドメインを包含することもできる。同様
に、ランダムな発現産物を含む領域は、細胞質領域に包含されることが可能で、
かつ、貫通膜領域および細胞外領域は不変のままであるか、または明らかな機能
を有する。
【0073】 膜固定配列は、当技術分野で十分公知であり、哺乳類の貫通膜分子の遺伝的幾
何学に基づく。ペプチドは、シグナル配列(本明細書ではssTMと表す)に基
づいて膜に挿入され、疎水性貫通膜ドメイン(本明細書ではTM)を必要とする
。この貫通膜タンパク質は、貫通膜ドメインの5'側にコードされる領域は細胞
外に、3'部分をコードする領域は細胞内になるように膜に挿入する。もちろん
、これらの貫通膜ドメインが可変領域の5'側に置かれた場合には、それらは細
胞内ドメインとしてそれを固定する働きをするであろうし、これはいくつかの態
様においては望ましいものであり得る。ssTMおよびTMは、多様な膜結合タ
ンパク質として公知であり、従ってこれらの配列は、特定のタンパク質由来の対
として、または各成分を異なるタンパク質から取って使用してもよく、あるいは
該配列は人工送達ドメインとして合成してもよいし、また全体が共通配列に由来
してもよい。
【0074】 当業者には理解されるであろうが、ssTMおよびTM双方を含む膜固定配列
は多様なタンパク質について公知であり、これらのうちいずれを用いてもよい。
特に好ましい膜固定配列としては、限定されるものではないが、CD8、ICA
M−2、IL−8R、CD4およびLFA−1が挙げられる。
【0075】 有用な配列としては、1)IL−2受容体β鎖(残基1−26はシグナル配列
、241−265は貫通膜残基;Hatakeyama et al., Science 244:551(1989) a
nd von Heijne et al., Eur. J. Biochem. 174:871(1988)参照)およびインスリ
ン受容体β鎖(残基1−27はシグナル配列、957−959は貫通膜ドメイン
、および960−1382は細胞質ドメイン;Hatakeyama, supra, and Ebina e
t al., Cell 40:747(1983)参照)などのクラスI内在性膜タンパク質;2)中性
エンドペプチダーゼ(残基29−51は貫通膜ドメイン、2−28は細胞質ドメ
イン;Malfroy et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 144:59(1987)参照)
などのクラスII内在性膜タンパク質;3)ヒトシトクロムP450 NF25(H
atakeyama, supra)などのタイプIIIタンパク質;ならびに4)ヒトP−糖タン
パク質(Hatakeyama, supra)などのタイプIVタンパク質由来の配列が挙げられ
る。特に好ましいのはCD8およびICAM−2である。例えば、CD8および
ICAM−2由来のシグナル配列は、転写物の最も5'末端に位置する。これら
は、CD−8の場合はアミノ酸1−32(
【化8】 ;Nakauchi et al., PNAS USA 82:5126(1985)を、ICAM−2の場合にはアミ
ノ酸1−21(
【化9】 ;Staunton et al., Nature(London) 339:61(1989))からなる。これらのリーダ
ー配列は、構築体を膜へと送達する一方で、ランダムな候補領域の3'に位置す
る疎水性貫通膜ドメインは構築体を膜に固定させる。これらの貫通膜ドメインは
CD8由来のアミノ酸145−195(
【化10】 ;Nakauchi, supra)およびICAM−2由来のアミノ酸224−256(
【化11】 ;Staunton, supra)に包含される。
【0076】 あるいは、膜固定配列はGPIアンカーを含み、その結果として例えばDAF
【化12】 、アンカー部位に太字のセリンを有する、Homans et al., Nature 333(6170):26
9-72(1968),およびMoran et al., J. Biol. Chem. 266:1250(1991)参照)におい
ては、グリコシル−ホスファチジルイノシトール結合を介して該分子と脂質二重
層の間の共有結合を形成する。これを達成するには、Thy−1由来のGPI配
列を貫通膜配列の代わりに可変領域の3'にカセットとして挿入できる。
【0077】 同様に、ミリスチル化配列は膜固定配列として働き得る。c−srcのミリス
チル化によりそれが原形質膜に補充されることが知られている。該タンパク質の
最初の14個のアミノ酸:
【化13】 (Cross et al., Mol.Cell. Biol. 4(9):1834(1984); Spencer et al., Science
262:1019-1024(1993)参照、双方とも出典明示により本明細書の一部とする)が
単にこの機能のみを担うと仮定すると、これは膜局在化の単純かつ有効な方法で
ある。このモチーフはすでにリポーター遺伝子の局在化に有効であることが示さ
れており、TCRのゼータ鎖を固定するために使用できる。このモチーフは、該
構築体を原形質膜に局在化させるには可変領域の5'側に置かれる。パルミトイ
ル化のような他の修飾を用いて原形質膜に構築体を固定することもができる;例
えば、Gタンパク質結合受容体キナーゼGPK6配列(
【化14】 ;太字のシステインがパルミトイル化されている;Stoffel et al., J. Biol. C
hem 269:27791(1994))由来;ロドプシン(
【化15】 ;Barnstable et al., J. Mol. Neurosci. 5(3):207(1994))由来;およびp2
1 H−ras1タンパク質(
【化16】 ;Capon et al., Nature 302:33(1983))のパルミトイル化配列がある。
【0078】 好ましい態様では、該標的化配列は、例えばLamp−2のようなリソソーム
分解配列(KFERQ;Dice, Ann. N.Y. Acad. Sci. 674:58(1992);またはL
amp−1由来のリソソーム膜配列(
【化17】 ;Uthayakumar et al., Cell. Mol. Biol. Res. 41:405(1995))、またはLa
mp−2(
【化18】 、Koneckl et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 205:1-5(1994)、双方ともイ
タリック体は貫通膜ドメイン、下線は細胞質標的シグナルを示す)をはじめとす
るリソソーム標的化配列である。
【0079】 あるいは、該標的化配列は、ミトコンドリア・マトリックス配列(例えば、酵
母アルコールデヒドロゲナーゼIII;
【化19】 ;Schalz, Eur. J. Biochem. 165:1-5(1987));ミトコンドリア膜内配列(酵母
シトクロムcオキシダーゼサブユニットIV;
【化20】 Schalz, supra);ミトコンドリア膜間空間配列(酵母シトクロムc1;
【化21】 ;Schalz, supra)またはミトコンドリア膜外配列(酵母70kD膜外タンパク
質;
【化22】
【0080】 該標的配列はまた、カルレチクリン由来配列(KDEL;Pelham, Royal Soci
etyLondon Transactions B; 1-10(1992))またはアデノウイルスE3/19Kタ
ンパク質由来の配列(
【化23】 ;Jackson et al., EMBO J. 9:3153(1990)をはじめとする小胞体配列であっても
よい。
【0081】 さらに標的配列はまた、ペルオキシソーム配列(例えば、ルシフェラーゼ由来
のペルオキシソームマトリックス配列;SKL;Ketler et al., PNAS USA 4:32
64(1987));ファルネシル化配列(例えば、P21 H-ras1;
【化24】 太字のシステインがファルネシル化されている;Capon, supra);ゲラニルゲラ
ニル化配列(例えば、タンパク質rab−5A;
【化25】 太字のシステインがゲラニルゲラニル化されている;Farnsworth, PNAS USA 91:
11963(1994));または分解配列(サイクリンB1;
【化26】 ;Klotzbucher et al., EMBO J. 1:3053(1996))を含む。
【0082】 好ましい態様では、該標的化配列は候補翻訳産物の分泌に作用できる分泌シグ
ナル配列である。可変ペプチド領域の5'側に置かれた公知の分泌シグナル配列
は多数あり、ペプチド領域から切断されて細胞外空間への分泌を果たす。分泌シ
グナル配列とそれらの関連のないタンパク質への転移能力は十分公知である。例
えば、Sllhavy, et al., (1985) Microbiol. Rev. 49, 398-418。これは、宿主
細胞以外の、例えば該ペプチドを発現する細胞のような標的細胞の表面に結合で
きる、またはその生理学に作用できるペプチドを作製するのに特に有用である。
好ましい試みにおいて、融合産物は一連の分泌シグナルペプチド−提示構造−ラ
ンダムな発現産物領域−提示構造を含むように配置する。この方法において、ペ
プチドライブラリーを発現した細胞の近傍で増殖した標的細胞は、分泌したペプ
チドに浸される。標的細胞はペプチドの存在に応答して、例えばペプチドが表面
受容体に結合するか、または取り込まれて細胞内の標的に結合することにより生
理学的変化を示し、種々の分泌スキームのいずれかによって分泌細胞が局在化し
、該ペプチドが所定の作用を引き起こす。作用の例としては、デザイナーサイト
カイン(すなわち、造血幹細胞を分裂させ、それらの全能性を維持できる幹細胞
因子)、癌細胞を自発的アポトーシスに導く因子、標的細胞の細胞表面に結合し
てそれらを特異的に標識する因子など様々なものが挙げられる。
【0083】 IL−2(
【化27】 ;Villinger et al., J. Immunol. 155:3948(1995))、成長ホルモン(
【化28】 ;Roskam et al., Nucleic Acids Res. 7:30(1979));プレプロインスリン(
【化29】 ;Bell et al., Nature 284:26(1980))およびインフルエンザHAタンパク質(
【化30】 ;Sekiwawa et al., PNAS 80:3563))由来のシグナルをはじめとする好適な分泌
配列が知られている。なおここで、非下線部と下線部の接点が切断される。特に
好ましい分泌シグナル配列は、分泌型サイトカインIL−4由来のシグナルリー
ダー配列であり、これは以下に示すIL−4の最初の24個のアミノ酸を含む:
【化31】
【0084】 好ましい態様では、該融合パートナーはレスキュー配列である。レスキュー配
列は、候補薬物またはそれをコードする核酸のいずれかを精製または単離するた
めに使用できる配列である。このようにペプチドレスキュー配列としては、例え
ば、Ni親和性カラムと併用するHis6タグ、および検出、免疫沈降またはF
ACS(蛍光活性化細胞分別)のためのエピトープ標識などの精製配列が挙げら
れる。好適なエピトープタグとしては、myc(市販の9E10抗体と併用)、
細菌酵素BirAのBSPビオチン化標的配列、fluタグ、lacZおよびG
STが挙げられる。
【0085】 あるいは、レスキュー配列は、PCR、関連技術またはハイブリダイゼーショ
ンによるレトロウイルス構築体の迅速かつ容易な単離を可能にするプローブ標的
部位として働く特異なオリゴヌクレオチド配列であってもよい。
【0086】 好ましい態様では、該融合するパートナーは、候補バイオ活性物生またはそれ
をコードする核酸に安定性を付与する安定配列である。このように、例えば、Va
rahavskyのN−End則に従い、ペプチドのユビキチン化を保護するため、開始
メチオニン(MGまたはMGG0)の後にグリシンを組み込むことによりペプチ
ドは安定化され、このようにして細胞質中での長い半減期が付与され得る。同様
に、C末端の2個のプロリンは、ペプチドにカルボキシペプチダ−ゼの作用に対
する強い耐性を付与する。プロリンの前に2個のグリシンが存在すると、可変性
が付与されるとともに、2個のプロリンで一連の事象が起こる構造候補ペプチド
構造へ伝わるのを防げる。このような好ましい安定配列を以下に示す:MG(X) n GGPP、ここでXはいずれかのアミノ酸であり、nは少なくとも4の整数で
ある。
【0087】 1つの態様では、該融合パートナーは二量化配列である。二量化配列により、
通常の生理学的条件下で結合を維持するに十分な親和性で、あるランダムなペプ
チドと別のランダムなペプチドとの非共有結合が可能となる。このことにより、
細胞あたり2個のペプチドが生じ、次いで二量化して108(104×104)の
有効なライブラリーが形成されるとすると、ランダムペプチドの小さなライブラ
リー(例えば、104)が効果的に大きなライブラリーとなる。それはまた、要
すればより長いランダムペプチドの形成も可能にし、あるいはより構造的に複雑
なランダムペプチド分子の形成も可能にする。この二量体は、ホモ二量体であっ
てもヘテロ二量体であってもよい。
【0088】 二量化の配列は、自己凝集する単一の配列、または2つの配列であってもよく
、各配列は異なるレトロウイルス構築体内で生成する。すなわち、二量化配列1
を持つ第一のランダムペプチドおよび二量化配列2をもつ第二のランダムペプチ
ド双方をコードする核酸は、細胞への導入と該核酸の発現に基づき、二量化配列
1が二量化配列2と会合して新らしいランダムペプチド構造を形成するようにし
たものである。
【0089】 適切な二量化配列は広範な配列を包含する。相当数のタンパク質−タンパク質
相互作用部位が知られている。さらに、二量化配列はまた酵母の2ハイブリッド
システム、伝統的な生化学的親和性結合研究法などの標準的方法、あるいは本発
明方法を用いても解明することができる。米国特許第09/285,912を参照。このす
べてを出典明示により本明細書の一部とする。
【0090】 加えて、該ペプチドは融合タンパク質の一部として作成され得る。PCT US99/2
3715参照。これを出典明示により本明細書の一部とする。
【0091】 融合パートナーは生物学と活性が許す限り、構造中のいずれの部分(すなわち
、N−末端、C−末端、内部)にあってもよい。
【0092】 好ましい態様において、融合パートナーは、PCT US97/01019に
一般的に記載されているように、リンカーまたはつなぎ鎖配列を包含して、妨害
されていない潜在的標的と候補薬物が相互作用するのを可能とする。例えば、候
補バイオ活性物生がペプチドである場合、有用なリンカーはグリシン−セリン・
ポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)nおよび(GGGS)nを包含
し、nは少なくとも1の整数である)、グリシン−アラニン・ポリマー、アラニ
ン−セリン・ポリマー、およびシェーカー型カリウムチャンネルのつなぎ鎖など
の他の柔軟性リンカー、さらに当業者が認める多様な他の柔軟性リンカーを包含
する。グリシン−セリン・ポリマーは、このアミノ酸の両方が比較的非構造的で
あり、それ故に成分間の中性的つなぎ鎖として働くことができるので、好適であ
る。第二に、セリンは親水性であり、したがって、球状のグリシン鎖であり得る
ものを可溶化することが可能である。第三に、同様の鎖は、例えば、一本鎖抗体
などの組換えタンパク質のサブユニットを連接するのに有効であることが示され
ている。
【0093】 さらに、提示構造を含む融合パートナーは、修飾、ランダム化、および/また
は成熟化してランダム化発現産物の提示方向を変えることもできる。例えば、ル
ープ塩基の決定因子を修飾し、ランダム化アミノ酸配列を保持した内部ループペ
プチドの三級構造を僅かに修飾することが可能である。
【0094】 好ましい態様においては、融合パートナーを合わせて用いる。このように、例
えば、提示構造、標的配列、レスキュー配列および安定配列の多様な合わせをリ
ンカー配列の存在下または不存在下に使用することができる。
【0095】 このように、候補薬物はこれらの成分を含むことが可能であり、したがって、
各断片が異なるペプチドをコードし得る異なるランダムヌクレオチド配列を含む
断片ライブラリーの生成に使用することができる。連結反応産物は次いで大腸菌
などのバクテリアに形質転換し、一般手法として概括されている(Kitamura, PN
AS USA 92: 9146-9150 (1996); 出典明示により本明細書の一部とする)ように
、得られるライブラリーからDNAを調製する。
【0096】 レトロウイルスパッケージシステムにライブラリーDNAを導入すると、感染
性ウイルスに転換する。適切なレトロウイルスパッケージシステムは、これらに
限定されるものではないが、ビング(Bing)およびBOSC23細胞株(WO9
4/19478;Soneoka et al., Nucleic Acid Res. 23 (4): 628 (1995); Fi
ner et al., Blood 83: 43 (1994)に記載)、フェオニックス(Pheonix)パッケ
ージ株、例えば、PhiNX−ecoおよびPhiNX−ampho(下記)、
292T+gag−polおよびレトロウイルスエンベロープ、PA317、お
よび細胞株(Markowitz et al., Virology 167: 400 (1988), Markowitz et al.
, J. Virol. 62: 1120 (1988); Li et al., PNAS USA 93: 11658 (1996); Kinse
lla et al., Human Gene Therapy 7: 1405 (1996)に概説)を包含する(これら
の文献すべてを出典明示により本明細書の一部とする)。好ましいシステムはP
CT/US97/01019に開示されたPhiNX−ecoおよびPhiNX
−amphoまたは類似の細胞株である。
【0097】 細胞が複製しない場合は、他のウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベ
クター、ネコ免疫ウイルス(FIV)ベクターなどを使用してもよい。
【0098】 好ましい態様において、候補薬物をウイルスベクターにより細胞に導入する場
合には、候補ペプチド薬剤を検出可能な分子に連結するが、本発明方法は少なく
とも1つの発現アッセイ法を包含する。発現アッセイ法は、候補バイオ活性物生
が発現されたかどうか、すなわち、候補ペプチド物生が細胞内に存在するかどう
かの決定を可能とするアッセイ法である。このように、標識などの検出可能な分
子の発現に候補薬物の発現を連結することにより、候補ペプチド物生の存在また
は不存在を決定し得る。したがって、この態様において、候補薬物は検出可能な
分子に操作可能に連結される。一般に、これは融合核酸を創製することにより実
施される。融合核酸は候補バイオ活性物生(上に概説したように融合パートナー
を含んでもよい)をコードする第一核酸と検出可能な分子をコードする第二核酸
を含んでなる。「第一」および「第二」という用語は、融合核酸の5’−3’方
向に関して配列の方向を付与することを意味するものではない。例えば、融合配
列の5’−3’方向を仮定すると、第二核酸に対し5’、または第二核酸に対し
3’に位置してもよい。本態様において好ましい検出可能な分子は、これらに限
定されるものではないが、蛍光タンパク質、例えば、GFP、YFP、BFPお
よびRFPなどを包含し、取分け前者が好ましい。
【0099】 候補核酸を細胞中に導入し、多薬剤耐性を除去する能力のあるバイオ活性物質
についてスクリーニングする。本明細書中の"〜中に導入する"または文法上の均
等語は、続いての核酸の発現に適切な方法で、核酸が細胞中に入ることを意味す
る。この導入方法は、下記のように標的化細胞型に大きく影響される。例示的な
方法に、CaPO4沈澱法、リポソーム融合、リポフェクチョン(登録商標)、エ
レクトロポレーション、ウイルス感染などが含まれる。候補核酸を宿主細胞のゲ
ノム中に安定に組み込むことができ(例えば、下記のレトロウイスル導入で)、ま
た候補核酸は細胞質中に一時的にまたは安定して存在し得る(すなわち、在来の
プラスミドの使用、標準的な制御配列の利用、マーカー選択などを介して)。医
薬的に重要なスクリーンの多くはヒトまたはモデル哺乳動物の細胞標的を必要と
するので、このような標的をトランスフェクトすることができるレトロウイルス
ベクターが好ましい。
【0100】 好ましい実施態様では、候補核酸は細胞に感染するレトロウイルス粒子の1部
である。一般的に、細胞の感染は感染増強試薬ポリブレン(標的細胞に対するウ
イルス性結合を促進するポリカチオンである)の適用に対して直接的である。感
染を、細胞数に対するウイルス粒子の割合を使用して、各細胞が一般的に単一の
構成を発現するように至適化することができる。感染はポアソン分布に従う。
【0101】 あるいは、核酸以外またはそれらによってコードされるペプチドの候補物質を
使用する場合、当業者には理解され得るであろうが、任意の方法で候補物質を細
胞に加えることができる。
【0102】 この候補物質を細胞に加える。当業者には理解され得るであろうが、本発明で
使用する細胞の型は広範に変えることができる。基本的に、任意の哺乳動物細胞
を使用することができるが、マウス、ラット、霊長類およびヒト細胞が特に好ま
しく、当業者には理解され得るであろうが、シュードタイプ化による系の変更で
全ての真核細胞(好ましくは高等真核生物)を使うことができる。
【0103】 従って、適切な細胞型は、限定するものではないが以下を含む:腫瘍細胞の全
ての型(特に黒色腫、髄球性白血病、肺、乳房、卵巣、大腸、腎臓、前立腺、膵
臓および精巣の癌)、心筋細胞、内皮性細胞、上皮細胞、リンパ球(T-細胞および
B細胞)、マスト細胞、好酸球、血管脈管内膜細胞、肝細胞、単核白血球を含む白
血球、血液(haemopoetic)、神経、皮膚、肺、腎臓、肝臓およびミオサイト幹細
胞などの幹細胞(分化および非分化ファクターに対するスクリーニングの使用)、
破骨細胞、軟骨細胞および他の結合組織細胞、ケラチノサイト、メラノサイト、
肝臓細胞、腎臓細胞、および含脂肪細胞。適切な細胞には、限定するものではな
いが、Jurkat T細胞s、NIH3T3細胞、CHO、Cos、H1299、MDMB435S、A549、HeLa、
など、知られた研究細胞も含まれる。ATCC細胞株カタログ参照、出典明示により
本明細書の一部とする。 ある実施態様では、この細胞を遺伝学的に操作する、つまり外因性核酸を含有
させたり、例えば標的分子を含有させたりすることができる。
【0104】 好ましい実施態様では、細胞の集合体(多数の細胞)をスクリーンする。つまり
、候補核酸を導入した細胞を、本明細書中で略記したようにスクリーンする。本
明細書中の"細胞の集合体(plurality of cells)"とは、おおよそ、約103ないし1
08または109の細胞を意味し、106ないし108の細胞が好ましい。この細胞の集合
体は細胞ライブラリーを含み、通常、ライブラリー中の各細胞はレトロウイルス
分子ライブラリーのメンバー、すなわち異なる候補核酸を含有するが、当業者に
は理解され得るであろうように、ライブラリー中のある細胞群はレトロウイルス
を含有しないこともあり、また、ある細胞群は1以上含有するであろう。あるい
は、非レトロウイルス候補物質を使用する場合は、各細胞は同一であり、そして
異なる細胞を異なる候補物質に曝される。レトロウイルス感染以外の方法を使用
して候補核酸を細胞の集合体中に導入する場合、一般にエレクトロポレーション
などの間に細胞に入る核酸の数を制御することが困難であるので、細胞ライブラ
リーの個々の細胞メンバー内の候補核酸の分布を広範に変えてもよい。
【0105】 好ましい実施態様では、候補核酸を細胞の集合体に導入し、そして候補バイオ
活性物生の防護効果を、下記のように、未処置のHeLa細胞中で再試験する。
【0106】 必要であれば、細胞を、候補核酸の発現に適切な条件で処置し(例えば誘導プ
ロモーターを使用する場合)、翻訳または転写生成物のいずれかの候補発現生成
物を調製する。
【0107】 本明細書中で略記したように、使用できる2つの基本型のスクリーンが存在す
る。好ましい実施態様では、候補物質のライブラリーを使用して、多種薬剤表現
型をもたらす化合物に対してスクリーンする;つまり、例えば、MDR表現型を与
えるペプチドを使用して、MDR経路内で標的分子を同定する。本明細書中に略記
したXAPC7およびZetaの同定のように、一旦これらを同定し、そして、RGP8.5ペ
プチドによる阻害(本明細書中でも同定)が多薬剤耐性を与える場合、XAPC7およ
び/またはZeta分子を、それらに結合し活性を調節する候補薬剤についてのスク
リーンに使用することができる。
【0108】 一般的に、この候補物質を、薬剤標的相互作用に有利な反応条件で、細胞に(
既に略述したように、細胞外または細胞間に)加える。一般的に、これは生理学
的条件であろう。インキュベーションを、最適の活性を促進する任意の温度、一
般には4から40℃、で行なうことができる。インキュベーションの時間を至適の
活性から選択することができるが、最適化して迅速な高速大量処理スクリーニン
グも促進する。一般には0.1から1時間の間で十分であろう。過剰な試薬は、通常
は取り除くか、または洗い流す。
【0109】 他の種々の試薬をアッセイに含めることができる。これらに、最適のタンパク
質-タンパク質結合の促進におよび/または非特異的またはバックグラウンド相互
作用の低減に使用することができる、塩、中性タンパク質(例えばアルブミン、
洗浄剤など)などの試薬を含めることができる。また、別の方法でアッセイの有
効性を改善する試薬(プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、
抗菌性薬剤など)を使用することができる。検出を提供する目的で、成分の混合
物を加えることができる。細胞の洗浄またはすすぎを、異なる時間に、当業者に
理解され得るように行ない、ここで濾過および濃縮の使用を含めることができる
。第2の標識部分(本明細書中で"第2次標識"とも指す)を使用する場合、非特異
的結合を低減するために、過剰の結合していない標的分子を取り除いた後に加え
るのが好ましい;しかしながら、ある事情下では、全ての成分を同時に加えるこ
とができる。
【0110】 従って、好ましい実施態様では、本発明は、多薬剤耐性を与えるまたは改良す
ることができる候補物質のスクリーンを提供する。本明細書中の"多薬剤耐性"ま
たは他の文法上の均等語は、複数の化学療法化合物に対する、同時に起こる感受
性の喪失を意味する。MDRを獲得する細胞を表現型の変化で検出することができ
る。適切な表現型の変化は、限定するものではないが以下を含む:細胞形態、細
胞増殖、細胞生存度、基質または他の細胞に対する付着、および細胞密度の変化
などの全体の物理的変化;1またはそれ以上のRNA、タンパク質、脂質、ホルモ
ン、サイトカイン、または他の分子の発現における変化;または1またはそれ以
上のRNA、タンパク質、脂質、ホルモン、サイトカイン、または他の分子の均衡
状態(すなわち半減期)における変化;1またはそれ以上のRNA、タンパク質、脂
質、ホルモン、サイトカイン、または他の分子の局在化における変化;1または
それ以上のRNA、タンパク質、脂質、ホルモン、サイトカイン、レセプター、ま
たは他の分子のバイオ活性または特異的活性における変化;イオン、サイトカイ
ン、ホルモン、成長因子、または他の分子の分泌における変化;細胞の膜電位、
分極、整合性または輸送の変性;ウイルスおよび細菌性病原体の、感染性、感受
性、潜伏性、接着性、および取り込みにおける変化;など。
【0111】 本明細書中の"MDR表現型を与えることができる"は、バイオ活性物生が細胞の
感受性を変化させること(細胞が化学療法化合物の処置で残存するなど)を意味す
る。
【0112】 以下に詳記する様に、MDR表現型を広範な方法で検出することができる。一般
的に、MDR表現型を、例えば:細胞形態の顕微分析;標準細胞生死判別アッセイ
、特定の細胞または分子の存在またはレベルについての蛍光指示薬アッセイなど
の標準標識化アッセイ(FACSまたは他の染料染色技術を含む);細胞を殺した後の
標的化合物の発現の生化学検出など、を使用して検出する。
【0113】 好ましい実施態様では、ランダム化した核酸を導入して、MDR表現型を細胞中
で検出する。MDR表現型は、細胞を致死量の化学療法化合物で処置し、そして生
存しているクローンを単離して検出される。本明細書中の"致死量"は、99.99%の
細胞を殺傷するのに十分な化学療法化合物の濃度を意味する。
【0114】 本明細書中の"処置した"は、細胞を、化学療法化合物と、MDR表現型を検出す
るのに十分な時間インキュベートすることを意味する。化学療法化合物の濃度を
、薬剤の本質に基づいて変えることができるが、1nmから100μMの範囲で変える
ことができる。本発明の方法に有用な化学療法化合物には、タキソール、エトポ
シド、シスプラチン、アドリアマイシン、ミトキサントロン、カンプトセシン、
ビンクリスチンなどが含まれる。Merck Indexの11版に略述されている任意の抗
腫瘍性薬剤(アルキル化薬剤および抗生物質を含む)も参照、参照して本明細書に
導入した。
【0115】 好ましい実施態様では、タキソールを使用する。一般的に、タキソールの使用
濃度は1nmから100μMの範囲である。好ましい実施態様では、細胞を100-200nMの
タキソールで48から72時間処置する。特に好ましい実施態様では、細胞を200nM
タキソールで、48時間処置する。 細胞の"MDR表現型"は、バイオ活性物生の存在を示す。
【0116】 好ましい実施態様では、一旦、MDR表現型を有する細胞を検出し、その細胞をM
DR表現型を有しない多数から単離する。これは、当業者に知られているように、
任意の方法で行なうことができ、 そしてある場合にはそのアッセイまたはスク
リーンによって決まる。適切な単離技術には、限定するものではないが、FACS、
補体を使用する溶菌の選択、細胞クローニング、蛍光定量によるスキャニング、
"生存"タンパク質の発現、細胞表面タンパク質のまたは蛍光のまたはタグを与え
ることができる他の分子の誘発性発現;非蛍光分子から蛍光分子へ変化する酵素
の発現;成長しないまたはゆっくりした成長のバックグラウンドに対する異常成
長;細胞死およびDNAまたは他の細胞活力指示染料の単離などが含まれる。
【0117】 好ましい実施態様では、生存しているクローンを単離し、そして同濃度の化学
療法化合物と再処置して、非遺伝性、確率論的、または一時的抵抗性による増殖
のクローンを除去する。
【0118】 好ましい実施態様では、候補核酸および/またはバイオ活性物生を陽性細胞か
ら単離する。これは種々の方法で行なうことができる。好ましい実施態様では、
レトロウイルス構成に、またはレスキュー配列などのライブラリーの特異的成分
に共通するDNA領域に相補的なプライマーを、"レスキュー"、特異なランダム配
列、に使用する。あるいは、バイオ活性物生を、レスキュー配列を使用して単離
する。従って、例えば、エピトープタグまたは精製配列を含むレスキュー配列を
使用し、免疫沈殿法またはアフィニティーカラムを使用してバイオ活性物生を取
り出す。ある場合は、以下に略述するように、バイオ活性物生と標的分子の十分
に強力な結合相互作用があれば、第1次標的分子を取り出すことができる。ある
いは、質量分析を使用してペプチドを検出することができる。
【0119】 バイオ活性物生および/またはバイオ活性核酸の配列を、一旦レスキューして
測定する。この情報を種々の方法で使用することができる。
【0120】 好ましい実施態様では、バイオ活性物生を再合成し、標的細胞中に再導入し、
効果を検証する。これは、レトロウイルスを使用して、あるいはHIV-1 Tat タン
パク質との融合、ならびに類似および関連タンパク質を使用して行なうことがで
き、標的細胞中に非常に高度にとり込ませることができる。例えば、Fawell et
al., PNAS USA 91:664 (1994);Frankel et al., Cell 55:1189 (1988);Savion
et al., J. Biol. Chem. 256:1149 (1981);Derossi et al., J. Biol. Chem.
269:10444 (1994);および Baldin et al., EMBO J. 9:1511 (1990)参照、これ
らすべては出典明示により本明細書に組込まれている。
【0121】 好ましい実施態様では、未処置のHeLa細胞中のクローン原性生存アッセイを使
用する。多薬剤耐性を与えるバイオ活性物生を再合成および再導入して、初期選
択工程で使用する、高濃度の化学療法化合物で成長できる構成についてスクリー
ニングする。これらの薬剤を、以下に記すさらなる研究で選択することができる
【0122】 従って、本発明の方法は、MDRを与えるまたは寛解させることができるバイオ
活性物生の同定および単離を含む。MDRを与えることができるバイオ活性物生を
、本明細書中で、上記定義のように、"抵抗性を与える"(RC)薬剤と定義する。MD
Rを寛解させることができるバイオ活性物生を、本明細書中で、下記定義のよう
に、"感作性"薬剤と定義する。
【0123】 ある実施態様では、RC薬剤は、PRPタンパク質と相互作用または調節し、化学
療法化合物の存在下でMDR表現型を与えるペプチドである。好ましい実施態様で
は、RCペプチドは、配列番号:1に示すアミノ酸配列を含む。
【0124】 他の実施態様では、バイオ活性物生は、配列配列番号:1に示す配列と少なく
とも90%同一であるRCペプチドである。
【0125】 幾つかの実施態様では、RCペプチドをコードし、そして好ましくはRC核酸によ
って発現される(例えば図7B参照)。
【0126】 好ましい実施態様では、バイオ活性物生の配列を使用して、さらなる候補バイ
オ活性物生を調製する。例えば、バイオ活性物生の配列は、(バイアス)ランダム
化の第2のラウンドの骨幹であり得、増幅されたまたは変化した活性を有するバ
イオ活性物生に発展させることができる。あるいは、第2のラウンドのランダム
化でバイオ活性物生のアフィニティーを変えることができる。さらに、望ましく
は、同定したバイオ活性物生のランダム領域を他の提示構造中へ入れることがで
き、または提示構造の定常領域の配列を変えて、バイオ活性物生の構造/形態を
変えることができる。望ましくは、ポテンシャル結合部位の周りの"ウオーク"は
、結合ポケットの変異生成と同様の方法で、リガンド領域の一方を定常に保ち、
そしてもう一方をランダム化して、ペプチド周辺の結合を移す。
【0127】 好ましい実施態様では、バイオ活性物生またはそれをコードするバイオ活性核
酸のいずれかを使用して、標的分子、すなわちバイオ活性物生と相互作用する分
子を同定する。当業者には理解され得るであろうが、第1次標的分子(バイオ活
性物生が結合するか、または直接的に作用する)があり、そして第2次標的分子(
バイオ活性物生によって影響されるシグナル経路の1部である)がある;これら
は"有効標的"とも指される。
【0128】 好ましい実施態様では、バイオ活性物生を使用して、標的分子(本明細書中のX
APC7およびZeta分子など)を取り出す。例えば、本明細書中で略記したように、
標的分子がタンパク質であれば、エピトープタグまたは精製配列を使用し、生化
学方法を介して第1次標的分子を精製することができる(共免疫沈殿法、アフィ
ニティー カラムなど)。あるいは、ペプチドは、細菌中で発現し精製される場合
は、標的細胞型のmRNAから作られた細菌性cDNA発現ライブラリーに対するプロー
ブとして使用することができる。または、酵母または哺乳動物2または3ハイブ
リッドシステムのいずれかで、ペプチドを"餌"として使用することができる。こ
のような相互作用クローニングアプローチは、DNA-結合タンパク質および他の相
互作用タンパク質成分を単離するのに非常に有用である。ペプチド(類)を他の薬
理活性化剤と組合せて、該当するシグナル形質導入経路の上位性関係を研究する
こともできる。標識化したペプチドバイオ活性物生を合成して調製し、そしてこ
れを使用して、バクテリオファージ中で発現するcDNAライブラリーを、ペプチド
と結合するcDNAについてスクリーンすることができる。さらに、これを、レトロ
ウイルスライブラリーを介するcDNAクローニングに使用して、ペプチドによって
誘発される効果を"補足する"こともできる。このようなストラテジーで、ペプチ
ドは、化学量論滴定に、特定のシグナル経路に対する重要なファクターとして必
要とされる。この分子または活性がcDNAの過剰発現によってcDNAライブラリー内
から補充される場合は、標的をクローンすることができる。同様に、任意の上記
の酵母またはバクテリオファージシステムによってクローンされるcDNAを、本方
法で哺乳動物細胞に再導入し、作用してペプチドが作用するシステムで機能を補
足することを確認することができる。
【0129】 一旦第1次標的分子を同定すれば、第2次標的分子も、第1次標的を"餌"とし
て使用して、同じ方法で同定することができる。この方法で、シグナル経路を解
明することができる。同様に、第2次標的分子に特異的なバイオ活性物生を検出
し、多くのバイオ活性物生を、例えば組合せ治療として単一の経路上で作用させ
ることができる。
【0130】 好ましい実施態様では、第1スクリーンで同定したPRPタンパク質(XPCA7など)
を、第2次スクリーンの候補物質として使用し、PRPタンパク質の活性を調節す
る薬剤化合物を、MDRの処置方法を使用して同定する。本実施態様では、PRP標的
分子を結合およびバイオ活性スクリーンで使用する。本明細書中の"標的分子"は
、細胞に化学療法化合物を与えるPRPタンパク質および核酸を意味する。好まし
い実施態様では、PRPタンパク質は、プロテアソームアルファ型サブユニットXAP
C7およびプロテアソームアルファ型サブユニットZetaである。
【0131】 本発明のPRPタンパク質を、幾つかの方法で同定することができる。この意味
で、"タンパク質"は、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを含む。PRP
核酸またはタンパク質を、図8に示す配列に対する、実質的な核酸および/また
はアミノ酸配列相同性で、最初に同定する。このような同一性は全体的な核酸ま
たはアミノ酸配列に基づき得る。
【0132】 本明細書中で使用したように、タンパク質配列の図8Bおよび8Dに示すアミノ
酸配列に対する全体の同一性が、好ましくは約50%を超える、さらに好ましくは
約60%を超える、より好ましくは約75%を超え、最も好ましくは80%を超える場合
は、タンパク質は"PRPタンパク質"である。幾つかの実施態様で、相同性は約90
から95%、または98%までに高い。
【0133】 この文脈における相同性は配列の類似性もしくは同一性を意味し、同一性が好
ましい。相同性は、Devereux et al., Nucl. Acid Res. 12:387-395 (1984)に述
べられたBest Fit配列プログラムを、好ましくはデフォルトの設定を用いて、ま
たはBLASTXプログラム(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-410)により
、測定される。このアラインメントには、アラインしようとする配列中にギャッ
プを導入することを含み得る。加えて、図8Bおよび8Dに示されるタンパク質
よりも多い、または少ないアミノ酸を有する配列については、相同性の割合は、
アミノ酸総数との関係において相同なアミノ酸の数に基づいて測定されることが
理解される。ゆえに、例えば、図8Bおよび8Dの配列より短い配列の相同性は
、後述するように、短い配列のアミノ酸の数を用いて測定する。
【0134】 類似性は技術上周知の標準的技法を用いて測定することができ、それらは、Sm
ith & Waterman, Adv. Appl. Math., 2: 482 (1981)のアルゴリズム、Needleman
& Wunsch, J. Mol. Biol., 48: 443 (1970)のアルゴリズム、Pearson & Lipman
, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85: 2444 (1988)の類似性検索法、これらの
アルゴリズムのコンピュータによる実行(Wisconsin Genetic
s Software Package、Genetics Computer Group, 575 Scien
ce Drive, Madison, WI、中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTF
ASTA)、またはDevereux et al., Nucl. Acid Res., 12: 387-395 (1984)に
記載のBest Fit配列プログラム、を非限定的に含む。
【0135】 好ましい実施態様では、、FstDBにより以下のパラメータに基づいてパー
セント同一性または類似性を計算する:ミスマッチペナルティー1.0;ギャッ
プペナルティー1.0;ギャップサイズペナルティー0.33;連結ペナルティ
ー30.0。(「Current Methods in Comparison and Analysis」 Macromolecul
e Sequencing and Synthesis, Selected Methods and Applications, pp 127-14
9 (1988), Alan R. Liss, Inc.)
【0136】 有用なアルゴリズムのもう一つの例はPILEUPである。PILEUPは、
漸進的対アラインメントを用いて関連配列からのグループから多重配列アライン
メントを創成する。それはまた、アラインメント創成に使用される、クラスタリ
ングの関係を示すツリーを描くことができる。PILEUPは、Feng & Doolitt
le, J. Mol. Evol. 35: 351-360 (1987)の漸進的アラインメント法の簡略化した
ものを用いる;この方法はHiggins & Sharp CABIOS 5: 151-153 (1989)記載の方
法と類似している。有用なPILEUPアラインメントはデフォルトギャップウ
ェイト3.00、デフォルトギャップ長ウェイト0.10、および重みつきエンド
ギャップを含む。
【0137】 有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-
410, (1990); and Karlin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90: 5873-5
787 (1993)に記載のBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプロ
グラムは、Altschul et al., Methods in Enzymology, 266: 460-480 (1996); h
ttp://blast.wustl/edu/blast/ README.html]から得られるWU−BLAST−
2である。WU−BLAST−2はいくつかの検索パラメータを使用するがその
殆どはデフォルト値に設定されている。調整可能なパラメータは以下の値で設定
する:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、
ワード域値(T)=11である。HSP SおよびHSP S2パラメータは動的
数値であり、特定の配列の組成および興味の対象である配列を検索する特定のデ
ータベースに依存してプログラム自身により決定されるが、値は感度を上げるよ
うに調整することができる。
【0138】 別の実施態様では、アミノ酸配列同一性パーセントが測定される。同一性パー
セントの計算では、相対的な重量は、挿入、欠損、置換などのような様々な配列
変化の顕れに起因するものとされない。同一性のみがプラスのスコアを与えられ
(+1)、あらゆる形の配列変化に「0」の値が与えられる。これにより配列類似
性計算について上述したような重みをつけた目盛りまたはパラメーターの必要性
がなくなる。それゆえに、同一性パーセントは、非常に厳密な配列比較の方法を
示す。
【0139】 配列同一性パーセントは、例えば、適合する同一残基数を、アラインメントを
行った領域中の「より短い」配列の総残基数で割り、100倍することにより計
算することができる。「より長い」配列はアラインメントを行った領域中に実際
の残基を最も多く有する配列である。
【0140】 本発明のPRPタンパク質は図8Bおよび8Dに示されるアミノ酸配列より短
くても長くてもよい。ゆえに、好ましい実施態様では、図8Bおよび8Dに示さ
れる配列の一部分もしくは断片はMDRタンパク質の定義に含まれる。例えば、
MDRの欠損変異体を作成し得る。
【0141】 好ましい実施態様では、このPRPタンパク質は、誘導型または変異型のPR
Pタンパク質である。つまり、より詳しく後で概説するように、誘導型PRPペ
プチドは、特に好ましいアミノ酸置換とともに、少なくとも一つのアミノ酸置換
、欠損または挿入を含む。アミノ酸置換、挿入または欠損は、PRPペプチド中
の任意の残基で起こり得る。
【0142】 さらに、より詳しく後で概説するように、例えばエピトープまたは精製用タグ
の付加、他の融合配列などの付加により、図8Bおよび8Dに示されるものより
も長いPRPタンパク質を作成し得る。
【0143】 PRPタンパク質はまた、PRP核酸にコードされているものとしても同定さ
れ得る。ゆえに、本明細書で概説するように、PRPタンパク質は、図8Aおよ
び8Cに示された配列またはその相補鎖とハイブリダイゼーションする核酸によ
ってコードされる。
【0144】 好ましい実施態様では、抗体を作成するためにPRPタンパク質を用いようと
するとき、PRPタンパク質は、図8Bおよび8Dに示されたそれぞれの完全長
タンパク質と、少なくとも一つのエピトープまたは決定因子を共有せねばならな
い。本明細書では、「エピトープ」または「決定因子」は、抗体を作成するであ
ろう、および/または、抗体と結合するであろうタンパク質の一部分を意味する
。ゆえに、ほとんどの例で、より小さいPRPタンパク質に対して作られた抗体
は、完全長タンパク質に結合できる。好ましい実施態様では、エピトープは無二
である。つまり、無二のエピトープに対して作成された抗体は、交差反応性をほ
とんど、または全く示さない。
【0145】 後述するように、好ましい実施態様では、PRPタンパク質に対する抗体は、
PRPタンパク質の生物学的機能を抑える、または除去することができる。例え
ば、抗PRP抗体(ポリクローナル抗体、または好ましくはモノクローナル抗体
のどちらでも)をPRP(またはPRPを含有する細胞)に加えることで、PRP
活性を抑えるか、または除去し得る。一般的に、少なくとも活性の25%の減少
が好ましく、少なくとも約50%が特に好ましく、約95−100%の減少がこ
とさら好ましい。
【0146】 本発明の抗体は、PRPタンパク質に特異的に結合する。本明細書では、「特
異的に結合する」は、少なくとも10−4−10−6−1の範囲の結合定数で
、好ましくは抗体が10−7−10−9−1の範囲で、抗体がタンパク質に結
合することを意味する。
【0147】 核酸の場合、核酸配列の包括的な相同性はアミノ酸の相同性と同一基準である
が、遺伝暗号の縮重と異なる生物間のコドンの偏りを考慮にいれる。従って、核
酸配列の相同性は、タンパク質配列のそれと比べて低くも高くもあり得る。ゆえ
に、図8Aまたは図8Cのいずれかの核酸配列と比較した核酸配列の相同性は、
好ましくは75%より大きく、より好ましくは約80%より大きく、特に約85
%より大きく、および最も好ましくは90%より大きい。いくつかの実施態様で
は、相同性は約93から95または98%ほどに高い。
【0148】 核酸の相同性は、例えば、BLASTN (Altschul et al. 1990. J. Mol. Biol. 14
7:195-197)を使って測定できる。BLASTNは、マッチを+5と数え、ミスマッチを
−4と数える単純なスコアシステムを使っている。コンピューター計算上の効率
を上げるために、デフォルトのパラメーターが、直接スコアコードに組み込まれ
ている。
【0149】 好ましい実施態様では、PRP核酸は、プロテオソームのアルファ型サブユニ
ットのXAPC7またはZetaのようなPRPタンパク質をコードする。当業
者には認識されるであろうように、遺伝暗号の縮重のために、すべて本発明のP
RPタンパク質をコードする、極めて多数の核酸を作り得る。ゆえに、特定のア
ミノ酸配列を同定すれば、この分野の技術を持つ者は、コードされるPRPタン
パク質のアミノ酸配列を変えないような方法で単純に一つまたはそれ以上のコド
ンの配列を変更することにより、いかなる数の核酸をも作り得る。
【0150】 ある実施態様では、核酸の相同性はハイブリダイゼーション調査により測定さ
れる。ゆえに、例えば、図8Aおよび/または8Cに示された核酸配列またはそ
の相補鎖と、高い厳密さのもとでハイブリダイゼーションする核酸は、PRP遺
伝子と考えられる。
【0151】 高い緊縮性条件は、当分野で知られている。例えば、Maniatis et al., Mole
cular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Edition, 1989, and Short Protocol
s in Molecular Biology, ed. Ausubel, et al.,を参照のこと。両者は出典明示
により本明細書の一部とする。
【0152】 高い緊縮性条件は、当業者に知られている。例えば、Maniatis et al., Molec
ular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Edition, 1989, and Short Protocols
in Molecular Biology, ed. Ausubel, et al., Hames and Higgins, eds. Nucl
eic Acid Hybridization, A Practical Approach, IL press, Washington, D.C.
, 1985; Berger and Kimmel eds. Methods in Enzymology, Vol. 52, Guide to
Molecular Cloning Techniques, Academic press Inc., New York, N.Y., 1987;
and Bothwell, Yancopoulos and Alt, eds, Methods for Cloning and Analysi
s of Eukaryotic Gene, Jones and Bartlett Publishers, Boston, Mass. 1990,
を参照のこと。以上全部を出典明示により本明細書の一部とする。
【0153】 ハイブリダイゼーション条件の選択は当分野の技術を持つ者には明らかであり
、一般的にはハイブリダイゼーションの目的、ハイブリダイゼーションのタイプ
(DNA-DNA, DNA-RNA, RNA-RNA, オリゴヌクレオチド‐DNA、等)、配列間に求める
関連性のレベルに応じる。ハイブリダイゼーションの方法は文献でよく確立され
ている。例えば、当業者または当分野で通常の技術を持つ者は、ミスマッチの塩
基の数と近接さが増すに従って、核酸二本鎖の安定性は減少する、と認識してい
る。ゆえにハイブリダイゼーションの緊縮性は、そのような二本鎖の安定性を最
大に、または最小にするために用いられ得る。ハイブリダイゼーションの緊縮性
は、例えば、ハイブリダイゼーション溶液の温度の調整、ハイブリダイゼーショ
ン溶液中の、ホルムアミドのようならせんを不安定にする薬剤の割合の調整、洗
浄液の温度と塩濃度の調整により、変わり得る。一般的に、ハイブリダイゼーシ
ョンの緊縮性は、ハイブリダイゼーション後の洗浄中に、塩濃度および/または
温度を変えることによって調整される。ハイブリダイゼーションの緊縮性は、例
えば、i)ハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの割合を増やす、ii)洗
浄液の温度を上げる、またはiii)洗浄液のイオン強度を下げる、ことにより高め
られ得る。高い緊縮性条件は、高温(例えば、Tmを下回る5℃−25℃)かつ低塩
濃度(例えば、0.1xSSC)の洗浄と組み合わされた高温のハイブリダイゼーシ
ョン(例えば、4−6xSSCを含む水溶液中で65℃−68℃、50%のホルムア
ミド中で42℃)を含み得る。低い緊縮性条件は、より高塩濃度(例えば、2−6
xSSC)中で中間的な温度(40℃−60℃)の洗浄と、より低温のハイブリダイゼ
ーション(20−50%のホルムアミド中で35℃−42℃)を含み得る。50℃
−55℃の間の温度でのハイブリダイゼーションおよび50℃−55℃の間で0
.1xSSC、0.1%SDS中での洗浄を含む穏かな条件が用いられ得る(Maniatis a
nd Ausubel, 前出、参照)。好ましい実施態様では、本明細書中の核酸にハイブ
リダイゼーションする核酸は、本明細書に記すように生物学的活性を有する。
【0154】 本発明のPRPタンパク質および核酸は好ましくは組換え体である。ここで用
いられる「核酸」はDNAもしくはRNAのいずれを意味してもよく、もしくは
デオキシおよびリボヌクレオチドの両者を含む分子を意味してもよい。核酸は、
ゲノムのDNA、cDNAおよびオリゴヌクレオチドを含み、センスおよびアン
チセンス核酸を含む。このような核酸はまた、生理的環境におけるそのような分
子の安全性および半減期を増加させるためにリボース‐リン酸バックボーンに修
飾を含んでいてもよい。
【0155】 核酸は二本鎖、単鎖であってもよく、または二本鎖もしくは単鎖の配列の両方
の部分を含んでいてもよい。当業者により認識されるであろうように、単鎖(「
ワトソン」)を描けばもう一つの鎖(「クリック」)の配列が規定され、ゆえに図
8Aおよび8Cに示された配列は、それらの配列の相補鎖もまた含む。ここで「
組換え核酸」という用語は、元々一般的に核酸のエンドヌクレアーゼによる操作
によりインビトロで自然界には存在しない形に生成した核酸を意味する。かくし
て、単離されたPRP核酸は線状のものも、もしくは通常は結合していないDN
A分子を連結することによりインビトロで生成した発現ベクターも、共にこの発
明の目的には組換え体と考える。一旦組換え核酸が作成され宿主細胞もしくは生
物に再導入されれば、それは非組換え的に、即ちインビトロの操作ではなく宿主
のインビボの細胞機構を用いて増幅すると理解される;しかしながら、そのよう
な核酸は一旦組換え的に生産されれば、以後は非組換え的に複製しても本発明の
目的にはなお組換え体と考えられる。
【0156】 同様に、「組換えタンパク質」は組換え技術を用いて、即ち上述のように組換
え核酸の発現を通して作成されたタンパク質である。組換えタンパク質は、少な
くとも一つもしくはそれ以上の特性に関して天然に存在するタンパク質から識別
される。例えば、このタンパク質は、野生型宿主中で通常会合しているタンパク
質の一部もしくは全てから単離もしくは精製し得る。例えば、単離されたタンパ
ク質は、自然状態では通常会合している物質の少なくとも一部を伴わないで、所
定の試料中の総タンパク質重量の好ましくは少なくとも約0.5%、より好まし
くは少なくとも5%を構成している。実質的に純粋なタンパク質は、総タンパク
質重量の少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、そして特に好ま
しくは少なくとも約90%を含む。この定義には、一つの生物由来のMDRタン
パク質を異なる生物もしくは宿主で生産することが含まれる。これに代えて、タ
ンパク質がより増加した濃度レベルで作られるように誘導性プロモーターもしく
は高発現ベクターを使用することにより、タンパク質を通常見られるよりも有意
に高濃度で作ることができる。これに代えて、以下に考察するように、該タンパ
ク質は、エピトープタグの付加またはアミノ酸の置換、挿入および欠失を含むよ
うな、自然界に通常見いだされない形であり得る。
【0157】 PRPタンパク質のアミノ酸配列変異体もまた、本発明のPRPタンパク質の
定義の中に含まれる。これらの変異体は置換、挿入もしくは欠失した変異体の3
つのクラスの一つもしくはそれ以上に相当する。これらの変異体は通常、カセッ
トもしくはPCR変異誘発もしくは技術上周知の他の技術を用いて、PRPタン
パク質XAPC7およびZetaをコード化するDNA中のヌクレオチドの部位
特異的変異によって変異体をコード化するDNAを生産し、そして次いでDNA
を上に略述した組換え培養細胞中で発現させることにより調製する。しかしなが
ら、約100〜150残基までを有する変異PRPタンパク質断片は、確立され
た技術を用いてインビトロ合成により調製することができる。アミノ酸配列変異
体は変化が予め決定されているという特徴を有し、この特徴はこれらの変異体を
PRPタンパク質のアミノ酸配列に対する天然の対立遺伝子変異体もしくは種間
変異体から区別する。変異体は典型的に、天然アナログと定性的に同じ生物活性
を発揮するが、ただし、以下にさらに十分に略述するように、修飾された特性を
有する変異体を選択することもできる。
【0158】 アミノ酸配列変異を導入する部位もしくは領域は予め決定されるが、変異自身
は予め決定しておく必要はない。例えば、所定の部位における変異能を最適化す
るために、標的コドンもしくは領域にランダム変異を起こし、発現したPRP変
異体をスクリーニングして所望の活性の最適な組み合わせを有するものを探して
もよい。既知の配列を有するDNA中の予め定められた部位に置換変異を作成す
る技術は周知であり、例えば、M13プライマーによる変異誘発およびPCRに
よる変異誘発がある。変異体のスクリーニングはPRPタンパク質の活性の生存
アッセイ、例えば、タキソールへの耐性、を用いて行われる。
【0159】 アミノ酸置換は典型的には単一の残基置換である;かなり大きな挿入も耐えら
れるが、挿入は通常、約1〜20アミノ酸の単位で行われよう。欠失は、より大
きな場合もあるが、約1から約20残基の範囲である。
【0160】 最終誘導体に到達するために、置換、欠失、挿入またはそれらのいずれの組み
合わせを用いてもよい。一般的に、これらの変化は、分子の変化を最小限にする
ために少数のアミノ酸について行われる。しかしながら、より大きな変化も一定
の状況では耐えられる。PRPタンパク質の特徴について小さな変化が望まれる
場合は、置換は一般的に次のチャートに従ってなされる。
【表1】 チャートI
【0161】 機能もしくは免疫学的同一性における実質的な変化は、チャートIに示された
ものよりより保存性の低い置換を選択することによって行われる。例えば、より
大きく影響する置換を行うことができる:それらは、変化する区域のポリペプチ
ドバックボーンの構造、例えばアルファ-ヘリックス構造もしくはベータ‐シー
ト構造;標的部位の分子の電荷もしくは疎水性;または側鎖の大きさである。一
般的にポリペプチドの性質に最も大きな変化を生じると期待される置換は(a)親
水性残基、例えばセリルもしくはスレオニルを、疎水性残基、例えばロイシル、
イソロイシル、フェニルアラニル、バリル、もしくはアラニルに変える(もしく
は、それにより)、(b)システインもしくはプロリンを他のいずれかの残基に変
える(もしくは、それにより)、(c)正電荷を持つ側鎖、例えばリシル、アルギニ
ル、もしくはヒスチジルを負電荷を持つ側鎖、例えばグルタミル、アスパルチル
に変える(もしくは、それにより)、(d)嵩高い側鎖を持つ残基、例えばフェニル
アラニンを側鎖を持たない残基、例えばグリシンに変える(もしくは、それによ
り)置換である。
【0162】 別の実施態様では、全体的、非特異的、無作為的な変異導入法により、変異体
のライブラリーを作成する。これらの技術は、当分野で知られており、変えよう
とする特異的部位や領域の選択を要しない。例えば、Stemmer. Nature 370:389-
391 (1994) and Stemmer. PNAS USA 91:10747-10751 (1994)に記されたDNA
シャッフリングは、クローン化され、発現され、所望の特性を求めてスクリーニ
ングされる変異体を作成するために用いられる。例えば、PRPタンパク質の細
胞内での活性を、上げ得る、または下げ得る。
【0163】 変異体は典型的には天然産生の類似体と定性的に同じ生物活性を発揮し、同じ
免疫応答を誘起するが、ただし、必要に応じてPRPタンパク質の特性を修飾す
るような変異体もまた選択される。これに代えて、変異体をPRPタンパク質の
生物活性が変わるようにデザインすることができる。例えば、グリコシル化部位
を変えたりもしくは除去したりすることができる。
【0164】 PRPタンパク質の共有結合による修飾は、本発明の範囲内に含まれる。共有
結合による修飾の一つのタイプは、PRPポリペプチドの標的アミノ酸残基を、
PRPポリペプチドの選択された側鎖またはN−もしくはC−末端と反応できる
有機誘導体化試薬と反応させることを含む。二官能性試薬による誘導体化は、以
下に詳述するように、例えば、抗PRPタンパク質抗体の精製法もしくはスクリ
ーニングにおいて使用する水不溶性の支持マトリックスもしくは表面に、PRP
タンパク質を架橋するために有用である。一般的に用いられる架橋試薬としては
、例えば、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアル
デヒド、例えば4−アジドサリチル酸とのエステルのようなN−ヒドロサクシン
イミドエステル類、3,3’−ジチオビス(サクシニミジルプロピオン酸エステ
ル)のようなジサクシニミジルエステルを含むホモ二官能イミドエステル類、ビ
ス‐N−マレインイミド‐1,8−オクタンのような二官能マレインイミド類お
よびメチル‐3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデートのような試
薬が挙げられる。
【0165】 他の修飾としては、グルタミニルおよびアスパラギニル残基からそれぞれ対応
するグルタミルおよびアスパルチル残基への脱アミド化、プロリンおよびリシン
の水酸化、セリルもしくはスレオニル残基の水酸基のリン酸化、リシン、アルギ
ニン、およびヒスチジン側鎖の "−アミノ基のメチル化[T.E. Creighton, Prote
ins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Franci
sco, pp. 79-86 (1983)]、N末端アミンのアセチル化、およびC末端カルボキシ
ル基のアミド化が挙げられる。
【0166】 この発明の範囲内に含まれるPRPポリペプチドのもう一つのタイプの共有結
合的修飾は、ポリペプチドの天然に存在するグリコシル化パターンを変えること
より成る。「天然のグリコシル化パターンを変える」とは、ここでの目的には、
天然に存在するPRPポリペプチドの配列の中に見出される1個もしくはそれ以
上の炭水化物部分を取り除くこと、および/または天然に存在するPRPポリペ
プチドの配列に存在しない1個またはそれ以上のグリコシル化部位を附加するこ
とを意味する。
【0167】 PRPポリペプチドへのグリコシル化部位の附加はその配列のアミノ酸を変化
させることにより達成される。変化は例えば、一個もしくはそれ以上のセリンも
しくはスレオニン残基をPRPポリペプチドの天然配列に添加もしくは置換する
ことによって行うことができる(O−グリコシル部位)。PRPアミノ酸配列は、
DNAレベルでの変化を通して任意に変え得るが、特に、所望のアミノ酸中に翻
訳されるであろうコドンを作成するように予め選択した塩基において、PRPポ
リペプチドをコード化するDNAを変異させることによって変え得る。
【0168】 PRPタンパク質上の炭水化物部分の数を増加させるもう一つの方法は、ポリ
ペプチドにグリコシドを化学的もしくは酵素的にカップルさせることによる。こ
のような方法は、技術上で、例えば、1987年9月11日に公告されたWO 8
7/05330におよびAplin and Wriston, CRC Crit. Rev. Biochem., pp. 25
9-306 (1981)に記述されている。
【0169】 PRPポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的にもしくは酵
素的にまたはグリコシル化の標的となっているアミノ酸残基をコード化するコド
ンの変異による置換により達成される。化学的脱グリコシル化の手法は技術上周
知であり、例えば、Hakimuddin, et al., Arch. Biochem. Biophys., 259: 52 (
1987)およびEdge et al., Anal. Biochem., 118: 131 (1981)に記述されている
。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakura et al., Meth. En
zymol., 138: 350 (1987)に記述されているように種々のエンド−およびエキソ
−グリコシダーゼ類の使用により達成することができる。
【0170】 もう一つのタイプのPRPタンパク質の共有結合的修飾は、米国特許第4,6
40,835、4,496,689、4,301,144、4,670,417、4,7
91,192もしくは4,179,337号に示されている方法で、PRPポリペ
プチドを種々の非タンパク質ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、もしくはポリオキシアルキレン類に結合することである。
【0171】 本発明のPRPタンパク質はまた、もう一つの、異種のポリペプチドもしくは
アミノ酸配列に融合したPRPポリペプチドを含むキメラ分子を形成するように
修飾し得る。一つの実施態様においては、そのようなキメラ分子は、PRPポリ
ペプチドと、抗タグ抗体が選択的に結合できるエピトープを提供するタグポリペ
プチドとの融合より成る。エピトープタグは一般的に、PRPポリペプチドのア
ミノ−もしくはカルボキシ−末端に置かれる。PRPポリペプチドにそのような
エピトープタグが付いた形のものの存在はタグポリペプチドに対する抗体によっ
て検出することができる。また、エピトープタグをつけることにより、PRPポ
リペプチドが抗タグ抗体、もしくはエピトープタグに結合するもう一つのタイプ
のアフィニティーマトリックスによる精製を容易ならしめる。別の実施態様では
、キメラ分子は、PRPポリペプチドと免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの
特定の領域との融合を含むことができる。2価形態のキメラ分子について、この
ような融合はIgG分子のFc領域に対してなし得る。
【0172】 種々のタグポリペプチドおよびその各々の抗体は技術上周知である。例として
は、ポリ−ヒスチジン(poly-his)もしくはポリ−ヒスチジン−グリシン(poly-hi
s-gly)タグ、flu HAタグポリペプチドおよびその抗体12CA5[Field e
t al., Mol. Cell. Biol. 8: 2159-2165 (1988)];c−mycタグおよびそれに
対する8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10抗体[Evan et al.
, Molecular and Cellular Biology, 5: 3610-3616 (1985)];ならびに単純ヘル
ペスウイルスの糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体[Paborsky et al., Pr
otein Engineering, 3(6): 547-553 (1990)]が挙げられる。その他のタグポリペ
プチドとしては、Flag−ペプチド[Hopp et al., BioTechnology 6: 1204-12
10 (1988)];KT3エピトープペプチド[Martin et al., Science 255: 192-194
(1992)];チューブリンエピトープペプチド[Skinner et al., J. Biol. Chem.
266: 15163-15166 (1991)];およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ[Lut
z-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87: 6393-6397 (1990)]
が挙げられる。
【0173】 一旦あるPRP核酸が同定されると、それをクローン化し、必要ならばその成
分部分をPRP核酸全長を形成するために再結合させ得る。一旦、その天然の供
給源、例えばプラスミドまたは他のベクターに含まれる、またはそこから直線状
の核酸断片として切り出して、単離すると、組換えPRP核酸を、他のPRP核
酸を同定および単離するためのプローブとしてさらに用い得る。それをまた、修
飾された、または変異型のPRP核酸およびタンパク質を作成するためにも用い
得る。
【0174】 PRPタンパク質をコード化する本発明の核酸を用いて、種々の発現ベクター
が作られる。発現ベクターは、自己複製的な染色体外ベクターでも宿主ゲノムに
組み込まれるベクターでもよい。一般的に、これらの発現ベクターは、PRPタ
ンパク質をコード化する核酸に機能し得るように結合された転写および翻訳の調
節核酸を含む。「調節配列」という用語は、特定の宿主生物内で機能し得るよう
にに結合されたコーディング配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核生
物に適した調節配列は、例えば、プロモーター、任意にオペレーター配列、およ
びリボゾーム結合部位を含む。真核生物はプロトマー、ポリアデニル化シグナル
、およびエンハンサーを使用することが知られている。
【0175】 核酸は、それが他の核酸配列と機能的な関係に置かれている場合に「機能し得
るようにに結合されて」いる。例えば、前配列もしくは分泌リーダー配列に対す
るDNAは、もしそれがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発
現されるならば、ポリペプチドに対するDNAに機能し得るようにに結合されて
いる;プロモーターもしくはエンハンサーは、もしそれが配列の転写に影響を与
えるならば、コーディング配列に機能し得るようにに結合されている;もしくは
、リボゾーム結合部位は、もしそれが翻訳を促進するように位置しているならば
、コーディング配列に機能し得るようにに結合されている。一般的に、「機能し
得るようにに結合された」とは、結合しているDNAは隣接しており、そして、
分泌リーダー配列の場合においては、隣接しかつ読みとり段階にある。しかしな
がら、エンハンサーは隣接している必要はない。結合は都合のよい制限部位にお
ける結合で達成される。もしそのような部位が存在しないならば、合成オリゴヌ
クレオチドアダプターもしくはリンカーを従来の実施法に従って使用する。転写
および翻訳調節核酸は、PRPタンパク質の発現に使用する宿主にとって一般的
に適当であるであろう;例えば、Bacillus由来の転写および翻訳の調節核酸配列
はBacillusにおいてPRPタンパク質を発現するために好ましく使用される。夥
しい数の適当な発現ベクターおよび適切な調節配列が様々な宿主細胞に関して技
術上公知である。
【0176】 一般的に、転写および翻訳の調節核酸はプロモーター配列、リボゾーム結合部
位、転写開始および終結配列、翻訳開始および終結配列、およびエンハンサーも
しくはアクチベーター配列を非限定的に含む。好ましい実施態様では、調節配列
はプロモーターおよび転写の開始および終結配列を含む。
【0177】 プロモーター配列は構成的もしくは誘導的プロモーターをコード化する。プロ
モーターは天然に存在するプロモーターでもハイブリッドプロモーターでもよい
。一個より多くのプロモーターの要素を組み合わせたハイブリッドプロモーター
も技術上公知であり、本発明において有用である。
【0178】 加えて、発現ベクターは付加的要素を含み得る。例えば、発現ベクターは二つ
の複製システムを有し、これにより二種の生物、例えば発現のために哺乳動物も
しくは昆虫の細胞で、およびクローニングおよび増幅のために前核宿主で維持す
ることができる。さらに、発現ベクターを組み込むために、発現ベクターは宿主
ゲノムと相同な配列を少なくとも一個、また好ましくは発現構築物に隣接する二
個の相同配列を含む。組込まれるベクターは、ベクターに取り入れる適当な相同
配列を選択することにより宿主細胞の特定の座位を目指して組み込ませ得る。組
み込み用ベクターの構築は技術上周知である。
【0179】 加えて、好ましい実施態様では、発現ベクターは形質転換した宿主細胞の選択
を可能にする選択マーカー遺伝子を含む。選択遺伝子は技術上周知であり、用い
る宿主により異なる。
【0180】 好ましい発現ベクターは一般的にPCT/US97/01019および PC
T/US97/01048、両者とも特に出典明示により本明細書の一部とする
、に記述されているレトロウイルスベクター系である。
【0181】 本発明のPRPタンパク質は、PRPタンパク質をコード化する核酸を含む発
現ベクターで形質転換した宿主細胞を、コードされるタンパク質の発現を誘導も
しくは誘起する適当な条件下で培養することによって生産される。PRPタンパ
ク質の発現に適当な条件は発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって異なるが
、当業者はルーチンの実験により容易に確かめることができる。例えば、発現ベ
クター中に構成的プロモーターを使用している場合には、宿主細胞の生育および
増殖を最適化することが要求されるだろうし、一方、誘導性プロモーターを使用
している場合には、誘導に適した生育条件が要求される。加えて、いくつかの実
施態様では、収穫のタイミングが重要である。例えば、昆虫細胞での発現に用い
られるバキュロウイルスシステムは溶原性ウイルスであるので、収穫時期の選択
は生産物の収量にとって極めて重要である。
【0182】 適当な宿主細胞としては、酵母、細菌、古細菌、真菌、および昆虫並びに哺乳
動物細胞を含む動物細胞が含まれる。特に興味の持たれるのはDrosophila melan
ogaster細胞、Saccharomyces cerevisiaeおよび他の酵母、E. coli, Bacillus s
ubtilis、SF9 cells、C129 cells、293 cells、Neurospora、BHK、CHO、COS、He
la細胞、繊維芽細胞、シュワン腫細胞株、不死骨髄およびリンパ細胞株、Jurkat
細胞、マスト細胞並びに他の内分泌および外分泌細胞、並びに神経細胞である。
【0183】 好ましい実施態様では、PRPタンパク質は哺乳動物細胞で発現される。哺乳
動物の発現系はまた技術上公知であり、レトロウイルスシステムが含まれる。哺
乳動物のプロモーターは、哺乳動物のRNAポリメラーゼを結合し、PRPタン
パク質をコード化する配列を下流(3’側)に転写を開始できる、如何なるDNA
でもよい。プロモーターは、通常コーディング配列の5’末端に近接して配置さ
れている転写開始領域、および転写開始部位の25〜30塩基対上流を用いるT
ATAボックスを有しているであろう。TATAボックスは、RNA合成を正し
い部位から開始するようにRNAポリメラーゼIIを誘導すると考えられている
。哺乳動物のプロモーターはまた、典型的にTATAボックスの100〜200
塩基対以内の上流に位置している上流のプロモーターエレメント(エンハンサー
エレメント)を含有しているであろう。上流のプロモーターエレメントは転写開
始速度を決定し、そしてどちら向きにも作用する。哺乳動物プロモーターで特に
有用なのは哺乳動物ウイルスの遺伝子由来のプロモーターであるが、これはウイ
ルスの遺伝子はしばしば高度に発現され、また宿主範囲が広いためである。例と
しては、SV40の初期プロモーター、マウス乳癌ウイルスのLTRプロモータ
ー、アデノウイルスの主要後期プロモーター、単純ヘルペスウイルスのプロモー
ター、およびCMVのプロモーターが挙げられる。
【0184】 典型的には、哺乳動物細胞によって転写終結配列およびポリアデニレーション
配列は転写終結コドンの3’側に位置する調節領域であり、したがって、プロモ
ーターエレメントと共にコーディング配列に隣接している。成熟mRNAの3’
末端は、部位特異的な翻訳後切断およびおよびポリアデニル化により形成される
。転写ターミネーターおよびポリアデニレーションシグナルの例としてはSV4
0由来のものが含まれる。
【0185】 外来性核酸を哺乳動物宿主およびその他の宿主中に導入する方法は技術上周知
であり、用いる宿主により異なるであろう。この手技としては、デキストラン仲
介性トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン仲介性トランス
フェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、ウイルス感染、
ポリヌクレオチド(類)のリポソームへの封入、およびDNAの核内への直接マイ
クロインジェクションが挙げられる。
【0186】 好ましい実施態様では、PRPタンパク質は細菌のシステムで発現される。細
菌の発現システムは技術上周知である。
【0187】 適当な細菌のプロモーターとしては、細菌のRNAポリメラーゼを結合し、P
RPタンパク質のコーディング配列を下流(3’側)に転写開始できる如何なる核
酸配列でもよい。細菌のプロモーターは転写開始領域を有し、これは通常コーデ
ィング配列の5’末端に隣接している。この転写開始領域は典型的に、RNA結
合部位および転写開始部位とを含んでいいる。代謝経路上の酵素群をコード化す
る配列は、特に有用なプロモーター配列を提供する。例としては、ガラクトース
、乳糖および麦芽糖のような糖を代謝する酵素群由来のプロモーター配列、およ
びトリプトファンのような物質の生合成にかかわる酵素群由来の配列が挙げられ
る。バクテリオファージ由来のプロモーターも使用し得て、技術上公知である。
加えて、合成プロモーターおよびハイブリッドプロモーターも有用である;例え
ば、tacプロモーターはtrpおよびlacプロモーター配列のハイブリッド
である。さらに、細菌のプロモーターとしては、細菌起源でないが細菌のRNA
ポリメラーゼを結合し転写を開始する能力のある天然に存在するプロモーターを
含むことができる。
【0188】 機能的プロモーター配列に加えて、効率の良いリボゾーム結合部位が望ましい
。E. coliでは、リボゾーム結合部位はシャイン・ダルガルノ(SD)配列と呼ば
れ、開始コドン、および開始コドンの3〜11ヌクレオチド上流にある3〜9ヌ
クレオチド長の配列を含む。
【0189】 発現ベクターも細菌中のPRPタンパク質の分泌を起こさせるシグナルペプチ
ド配列を含有していてもよい。技術上周知のように、シグナル配列は典型的に、
細胞からのタンパク質の分泌を指令する疎水性アミノ酸よりなるシグナルペプチ
ドをコード化する。タンパク質は、増殖培地中(グラム陽性細菌)、もしくは細胞
の内膜と外膜の間に位置する周辺腔内(グラム陰性細菌)に分泌される。
【0190】 細菌の発現ベクターはまた、形質転換した細菌株の選択を可能にするために、
選択マーカー遺伝子を含んでよい。適当な選択遺伝子は、アンピシリン、クロラ
ムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシン、ネオマイシンおよびテトラ
サイクリンのような薬剤に対して細菌を耐性にする遺伝子を含む。選択マーカー
はまた、ヒスチジン、トリプトファンおよびロイシンの生合成経路上の遺伝子の
ような生合成遺伝子を含む。
【0191】 これらの成分は組み立てて発現ベクターに入れる。細菌用の発現ベクターは技
術上周知であり、なかんずくBacillus subtilis、E. coli、Streptococcus crem
oris、およびStreptococcus lividans用のベクターが含まれる。
【0192】 細菌の発現ベクターは、塩化カルシウム処理、エレクトロポレーション、その
他のような技術上周知の手技を用いて細菌宿主細胞に形質転換される。
【0193】 一つの実施態様では、PRPタンパク質は昆虫細胞中に生産される。昆虫細胞
の形質転換用発現ベクター、特にバキュロウイルスに基づく発現ベクターは技術
上周知である。
【0194】 好ましい実施態様では、PRPタンパク質は酵母細胞中に生産される。酵母の
発現システムは技術上周知であり、Saccharomyces cerevisiae、Candida albica
nsおよびC. maltosa、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces fragilisおよびK.
lactis、Pichia guillerimondiiおよびP. pastoris、Schizosaccharomyces pom
be、 ならびにYarrowia lipolytica用の発現ベクターを含む。酵母での発現用に
好ましいプロモーター配列としては、誘導性GAL1、10プロモーターおよび
アルコール脱水素酵素、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース‐6リン酸イ
ソメラーゼ、グリセルアルデヒド‐3リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ホス
ホフラクトキナーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、
および酸ホスファターゼ遺伝子由来のプロモーターが挙げられる。酵母の選択マ
ーカーとしては、ツニカマイシン耐性を付与するADE2、HIS4、LEU2
、TRP1、およびALG7、G418に対する耐性を付与するネオマイシンホ
スホトランスフェラーゼ遺伝子、および銅イオン存在下における酵母の生育を可
能にするCUP1遺伝子が挙げられる。
【0195】 PRPタンパク質は、当分野で周知の技術を用いて、融合タンパク質としても
作成され得る。ゆえに、例えば、モノクローナル抗体作成のために、もし目的の
エピトープが小さければ、そのPRPタンパク質を、キャリアータンパク質と融
合させて免疫原を形成させ得る。あるいは、PRPタンパク質を、発現の増加、
または他の目的のために、融合タンパク質としても作成され得る。例えば、PR
Pタンパク質がペプチドであるとき、そのペプチドをコードする核酸は、発現の
目的のために、他の核酸と連結され得る。
【0196】 一実施態様では、本発明のPRP核酸、タンパク質および抗体を標識化する。
本明細書中で「標識化する」とは、ある化合物が、、その化合物の検出を可能に
するように付加した少なくとも一成分、同位元素または化合物、を有することを
意味する。一般的に、標識は次の3つの分類に分けられる。a)放射活性を有する
、または重同位元素であり得る、同位元素標識;b)抗体または抗原であり得る、
免疫標識;c)有色または蛍光染料。これらの標識は化合物のどの位置にでも組み
込まれ得る。
【0197】 好ましい実施態様では、PRPタンパク質は発現後精製もしくは単離される。
PRPタンパク質は、どのような他の成分が試料中に存在するかに依存して、当
業者周知の種々の方法で単離もしくは精製し得る。標準的な精製法としては、電
気泳動的、分子的、免疫学的技法ならびにイオン交換、疎水、アフィニティー、
および逆相HPLCクロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー技法、ならび
にクロマトフォーカシングが挙げられる。例えば、PRPタンパク質は、PRP
タンパク質に特異的な抗体を用いた標準的なアフィニティーカラムを用いて精製
することができる。限外ろ過およびダイアろ過技法とタンパク質濃縮との組合わ
せも有用である。適当な精製技法の一般的手引書としては、Scopes, R., Protei
n Purification, Springer-Verlag, NY (1982)を参照のこと。必要な精製の程度
はPRPタンパク質の用途に依存して変わるであろう。場合によっては精製は不
要であろう。
【0198】 一旦発現され、必要により精製されると、PRPタンパク質および核酸は、多
数の応用において有用である。
【0199】 好ましい実施態様では、PRPタンパク質、核酸、修飾タンパク質、および天
然または修飾PRPタンパク質を含む細胞がスクリーニングアッセイで用いられ
る。重要なPRPタンパク質の同定は、PRP活性を調整する化合物の薬剤スク
リーニングアッセイのデザインを可能にする。かくして、この実施態様では、そ
れらの方法はPRPタンパク質試料と候補バイオ活性物生とを結合させ、多剤耐
性に対する影響を評価することを含む。ここで「PRP活性」もしくは文法的同
等語はMDRの減少もしくは消失を意味する。好ましい実施態様では、PRP活
性はMDRの消失である。
【0200】 好ましい実施態様では、PRPタンパク質の活性が増加する。もう一つの好ま
しい実施態様では、PRPタンパク質の活性が減少する。かくして、アンタゴニ
ストであるバイオ活性物生が或る実施態様では好ましく、そしてアゴニストであ
るバイオ活性物生が他の実施態様では好ましいことがあり得る。
【0201】 スクリーニングは、先ずPRPタンパク質に結合できる候補作用物質を見つけ
るようにデザインし、次いでこれらの作用物質を、候補作用物質のPRP活性調
整能を評価するアッセイに用いてもよい。かくして、当業者により認識されるで
あろうように、実行できる多数の異なるアッセイ、即ち、結合アッセイおよび活
性アッセイ、が存在する。
【0202】 かくして、一つの実施態様では、それらの方法は、PRPタンパク質と候補作
用物質とを結合させ、候補作用物質のPRPタンパク質への結合を測定すること
を含む。好ましい実施態様はヒトPRPタンパク質を利用するが、げっ歯類(マ
ウス、ラット、ハムスター、モルモット、その他)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタ、
ウマ、その他)、霊長類および酵母を含む他の真核動物のタンパク質を用いても
よい。これら後者の実施態様はヒトの疾患の動物モデルの開発においては好まし
いことがあり得る。ここに概述するように、ある実施態様では、上に概述したよ
うに、欠失PRPタンパク質を含む変異もしくは誘導PRPタンパク質を用いて
もよい。
【0203】 さらに、PRPタンパク質の部分もPRPタンパク質の定義の中に含まれる;
即ち、フルレングスタンパク質を用いてもよく、もしくはその機能部分を用いて
もよい。加えて、ここに記述したアッセイは、単離PRPタンパク質を使用して
も、もしくはPRPタンパク質を含む細胞を利用してもよい。
【0204】 一般的に、ここにおける方法の好ましい実施態様では、PRPタンパク質もし
くは候補作用物質は、隔離された試料受容区域(例えば、マイクロタイタープレ
ート、アレイ、その他)を有する不溶性支持体に非拡散的に結合している。不溶
性支持体は、組成物が結合可能で、可溶性物質から容易に分離でき、そしてその
他の点に関してスクリーニング法全体と適合性のある、いかなる組成物でできて
いてもよい。それぞれの支持体の表面は均質もしくは多孔性でもよく、そしてい
かなる便利な形状でもよい。適切な不溶性支持体の例としては、マイクロタイタ
ープレート、アレイ、メンブラン、およびビーズが挙げられる。これらは典型的
にガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、多糖類、ナイロンもしくはニ
トロセルローズ、テフロン[登録商標]、その他でできている。マイクロタイター
プレートおよびアレイは、少量の試薬および試料を用いて多数のアッセイが同時
に行えるので、特に便利である。組成物の特定の結合様式は、それが試薬および
この発明の全体的方法と適合性があり、組成物の活性を維持し、非拡散性である
かぎり重要ではない。結合の好ましい方法は、抗体(タンパク質が支持体に結合
するときに、リガンド結合部位もしくは活性化配列を立体的に阻止しない)、「
粘着性」もしくはイオン性支持体への直接結合、化学的架橋、表面でのタンパク
質もしくは作用物質の合成、その他を含む。タンパク質もしくは作用物質の結合
後、過剰の未結合物質を洗浄により除去する。次いで、試料受容区域をウシ血清
アルブミン(BSA)、カゼイン、またはその他の無害のタンパク質もしくはその
他の成分とのインキュベーションにより阻止してもよい。
【0205】 好ましい態様では、PRPタンパク質は支持体に結合され、候補バイオ活性物
生がアッセイに加えられる。これに代えて、候補作用物質が支持体に結合され、
PRPタンパク質が加えられる。新規結合剤は特異的抗体、化学ライブラリーの
スクリーニングで同定された非天然結合剤、ペプチド類似体、その他を含む。特
に興味あるのは、ヒトの細胞に対して低い毒性を有する作用物質のスクリーニン
グアッセイである。この目的のために、標識インビトロタンパク質‐タンパク質
結合アッセイ、電気泳動移動度シフトアッセイ、タンパク質結合検出用の免疫ア
ッセイ、機能アッセイ(リン酸化アッセイ、その他)等を含む広範なアッセイを用
い得る。
【0206】 PRPタンパク質への候補バイオ活性物生の結合の測定は多数の様式で行うこ
とができる。好ましい実施態様では、候補バイオ活性物生を標識し、結合を直接
測定する。例えば、これは、PRPタンパク質の全てもしくは一部を固相支持体
に付着させ、標識された候補作用物質(例えば、蛍光標識)を加え、過剰の試薬を
洗浄して除去し、そして標識が固相支持体上に存在するかどうかを測定すること
により行い得る。技術上既知であるように、種々のブロッキングおよび洗浄ステ
ップを利用してもよい。
【0207】 ここで「標識された」とは、化合物が、例えば、ラジオアイソトープ、蛍光体
、酵素、抗体、マグネチック粒子のような粒子、化学発光体、もしくは特異的結
合分子、その他のような検出可能なシグナルを与える標識体で直接的にもしくは
間接的に標識されることを意味する。特異的結合分子は、ビオチンとストレプト
アビジン、ジゴキシンとアンチジゴキシン、その他のような対を含む。特異的結
合メンバーについては、通常、上に概述したように既知の処理に従って、相補的
メンバーを検出をもたらす分子で、標識するであろう。標識は直接的もしくは間
接的に検出可能なシグナルを提供することができる。
【0208】 ある態様では、成分の一つだけが標識される。例えば、タンパク質(もしくは
タンパク性候補作用物質)は、125Iを用いてもしくは蛍光体でチロシン部位
において標識してもよい。これに代えて、1つ以上の組成物は、例えば、タンパ
ク質については125Iを用いて、候補作用物質については蛍光体を用いて、異
なる標識体で標識してもよい。
【0209】 好ましい実施態様では、候補バイオ活性物生の結合は競合的結合アッセイの使
用により測定される。この実施態様では、競合体は、抗体、ペプチド、結合パー
トナー、リガンド、その他のような標的分子(即ち、PRPタンパク質)に結合す
ることが知られている結合成分である。好ましい態様では、競合体は配列番号1
のペプチドである。特定の状況下では、バイオ活性物生と結合成分との間で競合
的結合があり、結合成分がバイオ活性物生を置換する。
【0210】 一つの実施態様では、候補作用物質が標識される。候補バイオ活性物生、もし
くは競合体、または両者を、在るとすれば、結合を起こすに十分な時間で先ずタ
ンパク質に加える。インキュベーションは最適な活性を促進するいずれの温度で
行ってもよく、典型的には4および40℃の間である。インキュベーション期間
は最適な活性が得られるように選択されるが、迅速なハイスループットスクリー
ニングを促進するように最適化してもよい。典型的には0.1および1時間の間
で十分である。過剰の試薬は一般的に、除去もしくは洗浄して除かれる。次いで
2番目の組成物を加え、結合を示す標識成分の存在もしくは不在を追跡する。
【0211】 PRPタンパク質の活性を調整する作用物質のスクリーニングもまた行い得る
。好ましい実施態様では、PRPタンパク質の活性を調整する能力のあるバイオ
活性物生をスクリーニングする方法は、上述のように、候補バイオ活性物生をP
RPタンパク質の試料に加え、PRPタンパク質の生物活性の変化を測定するス
テップを含む。「PRPタンパク質の活性の調整」は活性の上昇、活性の低下、
または存在する活性のタイプもしくは種類の変化を含む。かくして、候補作用物
質はPRPタンパク質に結合し(これは必要ではないこともあり得るが)、そして
ここに規定する生物学的もしくは生化学的活性を変化させるべきである。これら
の方法は、上に一般的に概述したようなインビボスクリーニング法、およびPR
Pタンパク質の存在、分布、活性もしくは量の変化を限定されることなしに含む
PRPタンパク質の表現型の変化を探すための、細胞のインビボスクリーニング
の両者を含む。
【0212】 好ましい実施態様では、競合体が最初に加えられ、次いで候補バイオ活性物生
が加えられる。競合体の置換は、候補バイオ活性物生がPRPタンパク質に結合
しつつあること、したがって、それに結合し、潜在的にPRPタンパク質の活性
を調整する能力を有することの指標である。この実施態様では、いずれの成分も
標識することができる。かくして、例えば、もし競合体が標識されていれば、洗
浄溶液中の標識の存在は作用物質による置換を示す。これに代えて、もし候補バ
イオ活性物生が標識されていれば、支持体上の標識の存在が置換を示す。
【0213】 好ましい実施態様では、候補バイオ活性物生による調整は競合的アッセイの使
用によって測定される。この実施態様では、候補バイオ活性物生を最初に加え、
インキュベーションおよび洗浄を行い、次いで競合体を加える。競合体によるP
RPタンパク質の調整の不在は、バイオ活性物生がPRPタンパク質に高親和性
で結合したことを示し得る。かくして、もし候補バイオ活性物生が標識されてい
るならば、支持体上の標識の存在は競合体結合の欠如と相俟って、候補作用物質
がPRPタンパク質に結合する能力を有していることを示し得る。
【0214】 好ましい実施態様では、これらの方法は、PRPタンパク質の活性を調整する
能力のあるバイオ活性物生を同定するための異なるディファレンシャルスクリー
ニングを含む。この実施態様では、これらの方法はPRPタンパク質と第一の試
料中の競合体との結合を含む。第二の試料はバイオ活性物生、PRPタンパク質
、および競合体を含む。競合体の結合を両試料について測定すると、二つの試料
間における結合の変化もしくは差は、PRPタンパク質に結合する能力を有し、
潜在的にその活性を調整する能力を有する作用物質の存在を示す。即ち、もし競
合体の結合が第一の試料に比して第二の試料で異なれば、作用物質はPRPタン
パク質に結合する能力を有する。
【0215】 これに代えて、もう一つの実施態様は、天然のPRPタンパク質に結合するが
、修飾されたPRPタンパク質には結合できない薬物候補を同定するためのディ
ファレンシャルスクリーニングを利用する。PRPタンパク質の構造モデルを作
成し、その部位と相互作用する作用物質を合成するランダムドラッグデザインに
用い得る。PRPの生物活性に影響を与える薬剤候補はまた、薬物をこのタンパ
ク質の活性を促進もしくは減少させる能力に対するスクリーニングにかけること
によっても同定される。
【0216】 ここに記述するように、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロー
ルをこれらのアッセイで用いてもよい。好ましくは、全てのコントロールおよび
試料は統計的に有意な結果を得るために少なくとも3回実施する。全ての試料の
インキュベーションは、作用物質のタンパク質への結合に十分な時間行う。イン
キュベーション後、全ての試料を洗浄して非特異的に結合した物質を除去し、そ
して結合された、一般的には標識された作用物質の量を測定する。例えば、放射
能標識を使用する場合は、試料はシンチレーションカウンター中で計測して結合
した化合物の量を測定し得る。
【0217】 他の様々な試薬をスクリーニングアッセイに含み得る。これらは、最適なタン
パク質‐タンパク質結合を促進および/または非特異的もしくはバックグラウン
ド相互作用を低減するために使し得る塩、中性タンパク質、例えばアルブミン、
界面活性剤、その他のような試薬を含む。また、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレア
ーゼ阻害剤、抗微生物剤、その他のような、別にアッセイの効率を増加させる試
薬を用い得る。組成物の混合物は、必要な結合を起こすいずれの順序で加えても
よい。
【0218】 好ましい態様では、この発明は、細胞内のPRPタンパク質の表現型を調整す
る能力を有するバイオ活性物生のスクリーニング法を提供する(Mirski, et al.,
(1987) Cancer Res., 47, 2594-2598)。ここでPRPタンパク質の表現型を調
整するとは、例えば、PRPタンパク質の存在、分布、活性もしくは量の変化を
意味する。好ましい実施態様では、PRPタンパク質の活性の変化が測定される
。これらの方法は、候補バイオ活性物生を、上で規定したように、PRPタンパ
ク質を含む細胞に加えることを含む。好ましい細胞の種類は、ここに記述するよ
うに、殆どいかなる細胞を含む。細胞は内在性遺伝子由来もしくは組換え核酸由
来のPRPタンパク質を発現する。好ましい実施態様では、候補作用物質のライ
ブラリーが細胞集合体で試験される。これに代えて、スクリーニングは競合的阻
害剤の存在下もしくは不在下で行い、PRPの表現型を測定する。
【0219】 一旦同定されれば、PRPタンパク質およびバイオ活性物生は多剤耐性に関連
した疾患の治療に用いられる組成物で治療剤としての用途を見出すことがあり得
る。治療剤としての用途を見出すバイオ活性物生をここで「増感剤」という。「
増感剤」は、細胞に加えたときに化学療法剤に対する抵抗性を阻害するいかなる
分子でもよい。増感剤は個別に、もしくは化学療法剤との組み合わせで加えても
よい。
【0220】 多剤耐性におけるPRPタンパク質の役割と関連する本発見は、MDRを軽減
もしくは消失させる方法を提供する。好ましい実施態様では、PRPタンパク質
、特にXPAC7およびZetaならびに/もしくはそれらの断片は、MDRで
仲介される状態の研究もしくは治療、即ち、MDR関連疾患を診断、治療、もし
くは予防するために有用である。かくして、「MDR」または「MDR関連疾患
」もしくは「疾患状態」は、細胞がMDR−1の上方調節を含む、いかなる数の
機構により仲介されて化学療法剤に対する感受性を消失する状態を含む。
【0221】 ここに提供される組成物および方法は特に、皮膚、乳房、脳の固形癌、子宮頚
癌、睾丸癌、その他を含む癌に関連した多剤耐性の治療に有用であると思われる
。より特には、この発明の組成物および方法によって治療し得る癌は、心臓につ いては :肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、
線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺については:気管支原生癌(扁平上皮細胞、未
分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞腺(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、
リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;消化器については:食道(扁平上皮癌、腺
癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、
インシュリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、類癌腫、ビポーマ)、小
腸(腺癌、リンパ腫、類癌腫、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線
維腫、線維腫)、大腸(腺癌、腺管腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿路性
器については:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫、リンパ腫、白血病]、
膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(
精上皮腫、奇形腫、胎性癌、奇形癌、絨毛膜癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線
維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓については:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽
細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨については:骨原性肉腫(骨肉腫)、
線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細
網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良
性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨腫および巨細胞腫;神経系につ いては :頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、
髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、
胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘腫、網膜芽細
胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系につ いては :子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、腫瘍前子宮頚部異形成)、卵巣(
卵巣癌)[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫
、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平
上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、悪性黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、
ブドウ状肉腫[胎児性横紋筋肉腫]、卵管(癌腫);血液系については:血液(骨髄
性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、
骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキン
リンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚については:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮
癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、蟹足腫、乾癬;お
よび副腎については:神経芽細胞腫を限定されることなしに含む。かくして、こ
こに規定する「癌性細胞」という用語は上に同定された状態のいかなるものに罹
っている細胞をも含む。
【0222】 かくして、一つの実施態様では、細胞もしくは生体内でMDRを調整する方法
を提供する。一つの実施態様では、この方法は、対応する内在性PRPタンパク
質の生物活性を減少させるかもしくは除去するところの抗−PRP抗体を細胞に
投与することを含む。これに代えて、この方法は、PRPタンパク質をコード化
する組換え核酸を細胞もしくは生体に投与することを含む。当業者により認識さ
れるであろうように、これは数多くの様式で達成し得る。好ましい実施態様では
、遺伝子療法技法は、例えば、PCT/US93/03868、これは全体的な
出典明示により本明細書の一部とする、に記載されているように、増強された相
同的組換え(EHR)を用いる外因性遺伝子の取り込みを含む。
【0223】 一つの実施態様では、この発明は、個人においてMDR関連状態を診断する方
法を提供する。これらの方法は、個人もしくは患者からの組織中においてPRP
タンパク質の活性を測定することを含むが、PRPタンパク質であるXAPC7
およびZetaの量もしくは特異的活性の測定を含み得る。この活性は、影響を
受けていない第二の個人もしくは第一の個人からの影響を受けていない組織のど
ちらかかのXAPC7およびZetaの活性と比較される。これらの活性が異な
るときには、第一の個人はMDR媒介障害に対する危険性を持っているであろう
【0224】 一つの実施態様では、本発明のPRPタンパク質は、PRPタンパク質に対す
るポリクローナルおよびモノクローナル抗体を生成するために用い得るが、これ
らはここで記載するように有用である。同様に、PRPタンパク質は、標準的な
技法を用いて、アフィニティークロマトグラフィーカラムに結合させることがで
きる。これらのカラムはそれから、PRP抗体を精製するために使用し得る。好
ましい実施態様では、PRPタンパク質に特異的なエピトープに対して生成する
;即ち、これらの抗体は、他のタンパク質に対して殆んどもしくは何も交差反応
性を示さない。これらの抗体は、数多くの応用に使用を見出す。例えば、PRP
抗体は、標準的なアフィニティークロマトグラフィーカラムに結合させて、PR
Pタンパク質を精製するために使用し得る。これらの抗体はまた、上で概述する
ように、PRPタンパク質に特異的に結合するので、阻止ポリペプチドとしても
使用し得る。
【0225】 一つの実施態様では、治療的有効用量の増感剤を患者に投与する。ここでは、
「治療的有効用量」とは、そのために投与する効果を産生する投与量を意味する。
正確な投与量は、治療目的に依存し、公知の技術を用いて当業者により確認し得
るであろう。技術上公知であるように、増感剤の分解、全身性対局所性の送達お
よび新しいプロテアーゼの合成速度、ならびに年齢、体重、一般的健康状態、性
別、規定食、投与時間、薬剤相互作用および症状の重篤度に対する調節が必要で
あるだろうし、そして当業者により日常的な実験で確認し得るであろう。
【0226】 本発明の目的のための「患者」には、ヒトおよび他の動物の両者ならびに実験動
物のような生物が含まれる。かくして、これらの方法はヒトの治療および家畜へ
の応用の両者に適用可能である。に好ましい実施態様では、患者はヒトである。
【0227】 本発明の組成物の投与は種々の様式でなされ得るが、これらには、経口投与、
皮下投与、静脈投与、鼻腔内投与、経皮投与、腹腔内投与、筋肉内投与、肺内投
与、膣内投与、直腸内投与、もしくは眼内投与が非限定的に含まれる。ある例に
おいては、例えば、傷および炎症の治療においては、組成物を溶液もしくはスプ
レーとして直接に塗布してもよい。導入様式次第で、化合物は種々の様式で製剤
化され得る。この製剤において治療的に活性な化合物の濃度は約0.1%から1
00%で変わり得る。
【0228】 本発明の医薬組成物は、患者に投与するために適した形態における化合物を含
む。好ましい実施態様では、この医薬組成物は、医薬的に許容される塩として存
在するような、水溶性の形態にあるが、これは酸および塩基の両者の付加塩を含
むことを意味する。「医薬的に許容される酸の付加塩」とは、遊離塩基の生物学的
有効性を保持し、かつ生物学的にもしくは他の点でも望ましくないことは無い塩
を言い、それらは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ならび
に酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マ
ロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデ
ル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サルチ
ル酸等の有機酸と形成される。「医薬的に許容される塩基の付加塩」は、ナトリウ
ム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛
、銅、マンガン、アルミニウム塩等のような無機塩基から誘導される塩を含む。
特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、および
マグネシウム塩である。医薬的に許容される、無毒な有機塩基から誘導される塩
は、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヂエチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンのような第一級、第二級、お
よび第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、
ならびに塩基性イオン交換樹脂を含む。
【0229】 これらの医薬組成物はまた、一つもしくはそれ以上の以下のものを含んでもよ
い:血清アルブミンのような担体タンパク質;緩衝剤;微結晶性セルロース、乳
糖、トウモロコシおよび他のデンプンのような賦形剤;結合剤;甘味剤および他
の嬌味剤;着色剤;ならびにポリエチレングリコール。添加物は技術上周知であ
り、種々の製剤に使用される。
【0230】 以下の実施例は、上記の発明を用いる様式をさらに十分に記述するために、な
らびにこの発明の種々の態様を実施するために意図する最良の形態を示すために
供する。これらの実施例はこの発明の真の範囲を限定するために供することは決
してなく、むしろ例示的な目的のために提供されることは言うまでもない。ここ
で引用される全ての特許、特許出願、出版物および参考資料は、特に出典明示に
より本明細書の一部とする
【0231】 (実施例) 実施例1:Hela細胞中でタキソール耐性を付与するペプチドの分離実験のプロトコール: 細胞培養およびベクター構築 Phoenix−ampho細胞(組み込みウイ
ルス性パッケージング遺伝子を持つ293T)(Pear, W. S., et al., (1993) Pr
oc. Natl. Acad. Sci. U S A, 90, 8392-8396)およびHela tTA細胞(t
etアクチベーターを発現するHela)(Clontech)をレテロウイルスの形質導
入およびタキソール感受性の実験にそれぞれ使用した。Phoenix−amp
hoに関する情報は、<http://www.stanford.edu/group/nolan>で得られる。図
1Aに示すように、レテロウイルスのベクターをペプチドライブラリーの構築に
用いた。図1Aに示すように、GEP−ペプチド融合体をTraベクター内にク
ローン化して、GFPを融合タンパク質と置換し第一次発現位置にはペプチドが
無いようにした。
【0232】ランダムなペプチドライブラリーの構築 MGEFLIVIKS(X18)EFL
IVIKSGPPでフランクしたランダムな18マーを含むペプチドライブラリ
ーを構築した。FLIVIKS配列は、SKVILFE配列が溶液中で二量体を
形成すると知られた研究(Bodenmuller, H., et al., (1986) EMBO J., 5, 1825-
29)から誘導される。われわれの研究は、FLIVIKS配列は自己的アニール
をしてプロテアーゼ耐性のスカホールド構造を創生する強い能力を示すことを実
証する。二つのオリゴ体、RG221(5‘−GATCCCACCACCATG
GGCGAGTTCTTGATCGTGAAGTCAGG−G(NNK)18GG
AGAATTCCTTATCGTC)およびRG203(GATCCCAATTT
AATGGG−AATCAGGTTTTAAGGAGGCCCTGATTTGA
CGATAAGGAATTCTCC−3’)、をアニールして拡張した。二本鎖
生成物を精製しそして引き続き、図1Aに示すように、BstXI−消化のレテ
ロウイルスのベクター内に連結した。
【0233】ペプチド合成 完全に自動化したRainin Symphony/MultiplexTmペプチド合成装
置(Tucson, AZ)上でFmoc−Pro−Novasyn−TGT樹脂を用いる古
典的なFmoc化学にしたがって、RG8.5のペプチド合成を実施した。標準
的なFmoc−適合性な側鎖保護基を使用し、BOP/DIPEA仲介カップリ
ング法(Castro, B., et al,, (1975) Tetrahedron Lett., 14, 1219-1222)を採
用して、5倍過剰量のFmoc保護アルファアミノ酸でカップリングを二回実施
した。N−末端に、全てのアミノ酸に続けてスペーサー(Acap、アミノカプ
ロン酸)およびビオチンを取り付けた後で、ペプチドを樹脂から切断し、RP−
HPLCによって精製し、そしてその完全性を、先に記載したように(Gururaja,
T.L., and Levine, M.J., (1996) Peptide Res., 3, 283-289)、電気スプレー
イオン化質量分析(ESI−MS)により確認した。
【0234】ペプチドライブラリーのスクリーニング ペプチドライブラリーをリン酸カルシ
ウム沈澱(Ausubel, F.M., et al., (1994). "Transfection of DNA into eukary
otic cells", In Curr. Prot. Mol. Biol. 1, 9.1.1-9.1.3)によりPhoeni
x−ampho細胞内にトランスフェクションを行った。24時間後に、ウイル
スの上澄液を用いて4×10のHela細胞を48時間感染させた。それから
、細胞を15−cmのディシュ(ディシュあたり4×106)中で平板培養した。
24時間後に、細胞を200nMのタキソールで48時間処理した。タキソール
処理に続いて、細胞をPBSで一回洗浄し、3日毎に新しい培地を再供給し、そ
れから40%Hela増殖培地を含有する調整培地に変更した。2週間後に、個
々の生存クローンを単離しそして同一投与量のタキソールで再処理して、その増
殖が非遺伝的な、確率的な、もしくは過度的な耐性によるクローンを除去した。
【0235】ペプチド救出のためのRT−PCRおよびMDR1 mRNAレベルアッセイ
ペプチド配列をRT−PCRによりタキソール耐性細胞から救出し、その後にT
raベクター(その中では、ペプチド発現はテトラサイクリン制御下にあった)内
にクローン化した。それぞれのペプチドを未処理のHeLa細胞中でクローン原
性の生存アッセイにより再テストした。MDR1 mRNAレベルを測定する半
定量的PCRのために、RiboGreen RNA定量キット(Molecular Probes)およ
び0.5mgの全RNAを逆転写に用いた。MDR1 mRNAの増殖のための
オリゴヌクレオチドは以前に記載されていた(Chen, G. et al., (1997) J. Bio
l. Chem., 272, 5974-5982)。
【0236】クローン原性生存アッセイ 救出したペプチドを保有するウイルスを用いて、上
述のように、HeLa細胞を感染した。感染後、培地中にドキシサイクリン(2
00ng/ml)を含有する6穴プレートの単一ウエル内に2×105の細胞を撒
いた。24時間後、細胞を48時間タキソールで処理した。タキソール処理後2
週間してから、タキソール耐性クローンをギムザ液で染色し、写真撮影しそして
数えた。
【0237】結果 機能的スクリーニングを、潜在的に発現したペプチドの大きいライブラリーの
創成をもってレトロウイルスの送達構築体中で、開始した。短いペプチド(材料
および方法を参照)をオリゴヌクレオチドにより発現カセット内にコード化した
。3×10以上の異なるペプチドからなるペプチドライブラリーを構築した。
図1Aに発現構成体を示す。逆転写および送達したレトロウイルスの組み込みの
後、レトロウイルスのプロモーターの制御下で、ペプチドインサートを発現する
。内部翻訳開始部位(IRES)を共発現したGFPマーカーの翻訳に用いるが、
このマーカーは、ペプチド発現レベルおよび感染効率の代替指標として作用する
。目標は、十分に多量の異なるペプチドモチーフ(アプタマー)を細胞内に発現し
、そして、興味の経路に優性効果を持つような珍しいペプチドに向かう細胞のた
めの遺伝子選択基準を設定することである。図1Aに、この報告で実施する選択
のために遺伝子スクリーニングの概要を概述する。
【0238】 組換えウイルスを作るために、DNAライブラリーをレトロウイルス生成者細
胞株Phoenix−ampho内にトランスフェクションを行った。感染性の
ウイルスの上澄液を48時間後に収穫した。新鮮な上澄液を直ぐに用いて、4×
10のHela細胞を感染させた。レトロウイルスの組込みが完了し、ペプチ
ド発現が最高レベルに達する2日間の期間後に、細胞を「タキソール選択圧」に付
した。99.99%以上の感染した細胞が、48時間200nMのタキソールに
よる処理の後で死滅した。新鮮な培地中で2週間の生育後に、150個の生存ク
ローンを拾い上げて同一投与量のタキソールで再処理をして、その元来の増殖が
擬陽性のブレークスルー(即ち、ペプチド発現に無関係な非遺伝的機構によりタ
キソールに耐性である珍しい細胞)によるものであったクローンをテストして除
去した。タキソール耐性のままであるクローンからのペプチド配列をRT−PC
Rにより救出して、図1Bに示すように、テトラサイクリンで調節したレトロウ
イルスベクター(Tra)内に再クローニングした。それぞれのタキソール耐性ク
ローンは平均して二つの異なるペプチド配列を救出した。このことは、高度に効
率的な感染が起こっていたことおよび完全ライブラリーは感染および選択の間に
恐らく提供されていたことを示唆する。我々は、それぞれの生存体から唯一つの
ペプチドが耐アポトーシス的効果を潜在的に誘発させる能力を実際に持っていた
ことを期待した。
【0239】 これらのペプチドの保護効果を未処理のHeLa細胞中でクローン原性アッセ
イにより再調査をした。ドキシサイクリン(Dox)の不在下におけるペプチド配
列をGFPレポーターの発現により推論した(図1Aの構築体を参照)。150個
のクローンをテストした。幾つかのペプチドは、目標細胞内に再導入したときに
、Doxの存在下(ペプチド発現はオフ)におけるよりはDoxの不在下(ペプチ
ド発現はオン)においてタキソールとチャレンジしたとき、著しくより多くの数
の生存体を与えるところの構築体を与える(図1B)。コントロールとして、GF
Pのみを発現した細胞は、Doxの不在下に比較してDoxの存在下においては
より多くの生存クローンを産生しなかった(データは示していない)。この生存は
タキソールの濃度に依存することが示されたが、薬剤の濃度が高いほどより少な
く生存体が成育した。RGP8.5と呼ぶ一個のレトロウイルスクローンのイン
サートをその効果の強度による研究をさらにするために選択した。RGP8.5
は40のアミノ酸ペプチド、MGEFLIVKVWGRMVCWV−LVVRR
FVLVIVLENSLSSNQGPP、を含むが、これはフレーム外の停止コ
ドンの使用をひき起こすフレームシフトを含む。
【0240】 実施例2:RGP8.5、MDRを与えるペプチド、の特徴づけ実験のプロトコール: 免疫染色およびフローサイトメトリー 2.5×105のHela細胞をPBSで
一回洗浄し、それから、0.1%BSAプラス20mlのモノクローナルMDR−
1抗体 (UIC2)−フィコエリトリン(PE)複合体(Immunotech)を含有するP
BS緩衝液80mlと室温で15分間インキュベートした。引き続いて、細胞を
PBS緩衝液2mlで一回洗浄し、PBS緩衝液0.5ml中に再懸濁しFAC
Sで分析した。
【0241】ローダミン123エフラックスアッセイ 2.5×105のHela細胞を1mM
ローダミン123を含有する無色素MEM1mL中で15分間37℃でインキュ
ベートした。細胞を遠心分離し、ローダミン123の無いMEM1mL中に再懸
濁し、さらに15分間インキュベートした。ローダミン123の保持をFACS
で分析した(Lee, J.S. et al., (1994) Mol. Pharmacol., 46, 627-638)。
【0242】細胞増殖アッセイ tetアクチベーターの制御下でRGP8.5ペプチドを発
現する細胞を200ng/mlのDoxの添加の有りもしくは無しで2日間生育
した。それから、5×103の細胞を96穴プレートの単一ウエル中に撒いた。
翌日、細胞を2mMCsAの存在下もしくは不在下でタキソールで48時間処理
した。タキソールで処理した細胞の生存度を細胞増殖キットII(Cell Prolifer
ation Kit II)(XTT, Boehringer Mannheim)により分析した。
【0243】細胞内DNA含量のフローサイトメトリー分析 RG8.5発現細胞を対数期に
おいて生育させた。細胞を収穫し、PBSで一回洗浄し、そして2%パラホルム
アルデヒド中でpH7.4、4℃において30分間固定した。1%BSA−PB
Sで洗浄後、細胞を、0.1%クエン酸ナトリウムのpH7.4緩衝液中に250
mg/mlRNase、50μg/mlPI、0.1%トリトンX100を含有
するPI染色緩衝液中に室温で30分間再懸濁し、FACSで分析した。
【0244】酵母の二ハイブリッドスクリーニング 二ハイブリッドスクリーニングに使用し
たエサは、3個グリシンのリンカー/スペーサーを含むGal4 DNA結合領
域に融合したRGP8.5であった。複数のヒトの組織(脳、リンパ球、胃、膵臓
、肝臓、腸)の組合せから作ったcDNAライブラリーをスクリーニングに用い
た。2億個の形質転換体をスクリーニングした。27個のHis+/LacZ+
ロニーをさらに分析するために取り出した。
【0245】トランスフェクション、免疫沈澱およびウェスターンブロット リン酸カルシウ
ムトランスフェクション法を、テスト構築体の293T細胞内へのトランスフェ
クションの全てに使用した。細胞を、1mM DTTおよびプロテアーゼカクテ
ル(Boehringer Mannheim)を補充したTNT緩衝液(20mMトリス−HCl、p
H7.5、200mM NaClおよび1%トリトン−X100)200ml中で
溶解した。細胞抽出物を30mlの抗フラグ抗体結合ビーズ(Babco)と共に
4℃でインキュベートした。ビーズを遠心分離し、TNT緩衝液800mlで4
回洗浄した。ビオチニル化RG8.5ペプチドとの免疫沈澱のために、3×10
のHela細胞を20mM HEPES、pH7.4、150mM塩化ナトリ
ウムおよび1%NP40を含有する緩衝液中で溶解させ、ストレプトアビジンカ
ラム(Pierce, Rockford, IL)で予め清浄にして非特異的結合を減少させた。ビオ
チニル化RG8.5ペプチド(1mg/ml)のDMSO溶液3mlを細胞溶解物
に添加し4℃で一夜混合させた。それから、ストレプトアビジンアガローズビー
ズ3mlを混合液に加え、4℃で3時間混合させた。ビーズを溶解緩衝液で5回
洗浄した。沈澱したタンパク質を、2倍濃度のタンパク質試料緩衝液中で5分間
95℃で煮沸することによりビーズより取り離し、10%SDS−PAGEで分
離した。ウェスターンブロットのために、細胞抽出物15μlを5倍濃度のタン
パク質試料緩衝液5mlとインキュベートし、煮沸し、ゲル上で分離してタンパ
ク質レベルを検出した。
【0246】 それから、このタンパク質をPVDF膜へ転移した。5%の無脂肪ミルクを含
有するPBS-Tween(Calbiochem)中でブロットを阻止し、それから、ウサギの抗G
FP(Molecular Probe)、モノクローナル抗フラグ抗体(Kodak)もしくはモノクロ
ーナル抗Zetaおよびヒト20Sプロテアソームサブユニットの抗XAPC7
(Affiniti, United Kingdom)と4℃で一夜インキュベートした。洗浄後、ブロッ
トを、ウサギ一次抗体に対するタンパク質A結合HRP(Bio-Rad)もしくはマウ
ス一次抗体に対するヤギ抗マウス結合HRP(Santa Cruz)で1時間室温でインキ
ュベートした。タンパク質を増強した化学発光基質(Pierce)により視覚化した。
【0247】結果: RGP8.5ペプチドはHeLa細胞中でmdr−1遺伝子発現を上方調節する 発現したペプチドはアポプトシスの既知の調節体上への作用を含めた、種々の
様式でHeLa細胞の生存を促進するかもしれない。それ故に、我々は、RGP
8.5ペプチドを発現する細胞中でDoxの存在下もしくは不在下において、内
因性の抗アポプトシスのタンパク質であるBcl−2およびBcl−XLのレベ
ルを検討した。Bcl−2およびBcl−XLの両者は、どちらの場合でも同一
の発現レベルに留まり(データは示していない)、RGP8.5ペプチド仲介タキ
ソール耐性はこのレベルの抗アポプトシスの経路には関与しないこと示唆する。
かくして、このペプチドは、Bcl群タンパク質発現レベルでの直接作用による
よりは異なるレベルで作用する。
【0248】 細胞がタキソールに耐性になる一つの様式はP−糖タンパク質MDR−1の上
方制御によることである。それ故に、我々はmdr−1遺伝子がペプチド発現構
築体の送達後に上方調節されたかどうかを検討した。我々は、RGP8.5ペプ
チドのレトロウイルス発現ベクターを未処理のHeLa細胞集団中に転移した。
タキソール選択後、耐性クローンをプールした。我々はFACSによりMDR−
1の発現をペプチド発現の関数として(GFPを代替ペプチド発現指標として用
いて)測定した。図2Aに示すように、MDR−1発現は明らかにRGP8.5ペ
プチドの発現により調節されている。コントロールのペプチドRGP8.2およ
びGFPはMDR−1発現に何の効果も持たなかった。RGP8.5.1と呼称さ
れる、RGP8.5ペプチドを発現するタキソール耐性クローンを、Doxの存
在下および不在下において検討して誘導性のシステムの有効性を実証した。見ら
れるように、MDR−1タンパク質の発現はペプチド発現構築体の誘導と高度に
関連している。タキソール耐性表現型を付与する幾らかの他のペプチドの検査に
おいて、他のペプチドはどれも細胞表面におけるMDR−1タンパク質の誘導を
(ポリクローナルもしくはクローナル検査のどちらによっても)与えなかった。か
くして、我々は、観察されたMDR−1誘導への効果はインサートの発現による
と結論する。
【0249】 我々はテストをして、タキソールのチャレンジに対する生存がDox誘導を用
いるペプチド発現の誘導に関連したかどうかを決定した。図2Bに示すように、
細胞はドキシサイクリンの不在下で(ペプチド発現をオンにする)タキソール処理
に対して強い耐性を示し、クローンは、48時間100nMのタキソール処理の
後でも正常な拡散および生育を保持した。非常に対照的に、ペプチド発現をオフ
にしたときには、細胞はアポプトシスの正常な特徴を示して死滅した(図2B、
左のパネル)。
【0250】 MDR−1タンパク質が観察した耐性機構に関与したことを示すために、我々
は、MDR−1機能の公知な阻害剤、サイクロスポリンA(CsA)(Volm, M, (1
998) Anticancer Res., 18, 2905-2917)、を用いてMDR−1ポンプ機能を薬理
学的に遮断した。レトロウイルス的に送達したペプチドを発現する細胞をDox
の添加の有りもしくは無しで2日の間生育した後に、96穴平板に継代培養した
。それから、細胞を高レベルのCsAと組み合せて48時間の間タキソールで処
理した。細胞生育に対するXTTアッセイにより、CsAは薬剤耐性表現型を強
度に抑圧し(図2C)そしてタキソールで処理すると細胞死に至ることができたこ
とを明らかにした(図2B)。この結果は、薬剤ポンプ活性はこのクローン中に存
在し、観察した耐性効果に対して主要に寄与するものであったことを示した。
【0251】 我々は、この効果をローダミン123エフラックスアッセイを用いて視覚的に
確認した。ローダミン123、蛍光指示色素、は機能的MDR−1タンパク質を
発現する細胞から能動的に汲みだされ、それ故に、MDR−1仲介の薬剤エフラ
ックス活性(Krishan, A.., et al., (1997) Cytometry, 29, 279-285)を反映す
る。感染しなかったHeLa細胞は、ローダミン123染色保有により測定する
と(データは示していない)、非常に小さいエフラックスポンプ活性を有する。し
かしながら、RGP8.5ペプチドを含むクローンはローダミン123を明白に
押し出すことができたしかつ、ペプチド発現をDoxの添加によりオフにしたと
きには、この効果は著しく消滅した(図2D)。R6G,ローダミン123の類似
体、をエフラックスアッセイを用いて、我々は、GFP陽性集団はポンプ陽性ピ
ークと関連することを見出した(データは示していない)。Dox単独では他のタ
キソール耐性クローンのエフラックス活性に影響しなかったが(データは示して
いない)、これは向上した薬剤ポンプ効果はペプチドの発現に単に依存したこと
を示唆する。
【0252】 P−gp(MDR−1)に加えて、多剤耐性関連タンパク質(MRP)および肺耐
性−関連タンパク質(LRP) のような他のタンパク質はまた、多剤耐性に包含
されている(Leith, C., (1998) Curr. Opin. Hematol., 5, 287-291)。MRPタ
ンパク質はHeLaのtTA細胞株中で発現する。しかしながら、P−gpと対
照的に、RGP8.5ペプチドはこれらの細胞中におけるMRP発現のレベルに
何の効果も持たない(データは示していない)。以前の研究はまた、MRPの過剰
発現はタキソールに対する耐性を付与しないことを示唆している(Huang, Y., et
al., (1997) Leukemia, 11, 253-257)。このタキソール耐性クローン中でLR
Pの発現は検出されなかった(データは示していない)。このデータを一緒にする
と、ペプチド発現は、GFPにより示すように、MDR1発現と相関しているこ
とが示される。これは、RGP8.5ペプチドはmdr−1遺伝子の調節に投与
量効果を有し、タキソール耐性に至ることを示唆する。それ故に、我々はこれが
起こる機構を決定した。
【0253】RGP8.5ペプチドはRNAレベルでmdr−1遺伝子発現を調整する RGP8.5ペプチドの効果を解析して、P−gp発現がRNAもしくはタン
パク質レベルで調節されるかどうかを決定した。定常状態のmdr−1mRNA
レベルを半定量的RT−PCRを用いる時間経過実験で検討した。タキソール耐
性細胞を異なる時間間隔でドキシサイクリンと共にインキュベートし、それらの
RNAの等量をRT−PCRに用いた。ペプチドを発現する細胞中のmdr−1
mRNAを、コントロールHeLa細胞中の発現レベルと比較して著しくより高
いレベルで検出した。我々は、ドキシサイクリンを含有する培地中で8時間の間
成育しつつある細胞によりペプチド発現を下方調節した時には、mdr−1mR
NAレベルのレベルが減退したこと(図3、レーン3および4)を観察した。細胞
を7日間以上の間Doxに曝露したときには、mdr−1mRNAは完全に検出
不能であった(図3、レーン5)。しかしながら、Doxにより影響されないコン
トロールmRNA(チューブリン)は全ての場合に一定のレベルに留まった。これ
は、RGP8.5がMDR−1タンパク質の発現をmRNAレベルにおいて調節
することを示唆する。
【0254】RGP8.5ペプチドはインビボでプロテアソームサブユニットと関連する RGP8.5ペプチドの細胞性標的タンパク質を同定するために、我々は、エ
サとしてRGP8.5のペプチド配列に融合したGal4 DNA結合領域を用
いて酵母の二ハイブリッドスクリーニングを実施した。スクリーニングした2億
個の形質転換体から、我々は26個の陽性クローンを単離し、そのうちの25個は
プロテアソームアルファ型サブユニットのXAPC7をコード化し、残りの一つ
はプロテアソームアルファ型サブユニットのZetaをコード化した。両方のサ
ブユニットは、プロテアソームの内部チャンバーにアクセスする基質およびプロ
テアソームの他の調節複合体との会合を制御するために必要である(Groettrup,
M. & Schmidtke, G., (1999) Drug Research, 4, 63-71; Kania, M.., et al.,
(1996) Eur. J. Biochem., 236, 510-516)。哺乳動物の細胞中でRGP8.5ペ
プチドとこれらのサブユニットの間の結合を確認するために、GFP−RGP8
.5融合体を、フラグタグをつけたXAPC7もしくはZetaと共にHeLa
細胞内にトランスフェクションを行った。もう一つのコントロールペプチド(M
EFLIVKSGHSSGIPVGVGWCWNSAGGGEFLIVKS
PP)に融合したGFPをコントロールとして使用した。RGP8.5とこれらの
プロテアソームサブユニットとの間の相互作用を共免疫沈降およびウエスタンブ
ロットにより解析した。GFP−RGP8.5融合タンパク質をそれぞれのトラ
ンスフェクションにおいて同一レベルで発現させた(図4A)。XAPC7および
Zetaタンパク質に対する抗体はGFP−RGP8.5融合体を引き降ろした(
図4A、レーン2および3)。対照的に、コントロールのGFP−RGP56.1
融合タンパク質はXAPC7もしくはZetaと共沈澱しなかった(図4A、レ
ーン5および6)。GFP−RGP8.5発現ベクターをZeta発現プラスミッ
ドと共トランスフェクションさせたときには、我々はGFP−RGP8.5融合
タンパク質ペプチドへの修飾を観察した。しかしながら、修飾していない形態の
みがZetaサブユニットと相互作用をした。
【0255】 RGP8.5ペプチドが内因性のヒトのプロテアソームサブユニットと結合す
ることをさらに証明するために、RGP8.5ペプチドをインビトロで合成し、
生化学カラム用のビーズに結合した。それから、HeLa細胞抽出物をこれらの
ビーズの端から端まで通過させて、RGP8.5ペプチド結合タンパク質を精製
した。XAPC7およびZetaタンパク質に対する抗体を用いて、RGP8.
5ペプチドが内因性プロテアソームおよびこれらのサブユニットをアフィニティ
ー選択をすることができたかどうかを検出した。図4Bに示すように、両方のX
APC7およびZetaサブユニットはRGP8.5ペプチドに等量で結合する
と示された。かくして、酵母中では遺伝子的にそして哺乳動物細胞中では生化学
的に、我々はRGP8.5ペプチドとこれらのプロテアソームサブユニットとの
会合を観察する。RGP8.5ペプチドに対する抗体
【0256】プロテアソーム仲介のタンパク質分解はMDR−1遺伝子発現を調整する 真核生物の細胞においては、NF−kB活性化および細胞サイクル進行のよう
な多くの生化学的に重要な経路は、それらが相互作用をする特異的因子の調節を
経て、ならびにユビキノンの作用を通してのプロテアソーム分解により調節され
る(Chen, Z. et al., (1995) Genes Dev., 9, 1586-1597; Tsurumi, C., et al.
,(1996) Nippon Rinsho, 54, 861-869)。RGP8.5がMDR−1発現を調節し
、哺乳動物細胞中でプロテアソームサブユニットに結合すると仮定して、我々は
、このペプチドがMDR−1発現の調節に必要な特異的因子のプロテアソーム仲
介分解を阻害することにより機能するかもしれない可能性を検討した。
【0257】 RGP8.5のプロテアソーム阻害剤活性が、増強したMDR−1発現の原因
であったことを確認するために、我々は、既知のプロテアソーム阻害剤MG13
2(Lee, D.H. & Goldberg, A.L., (1998) Trends Cell. Biol. ,8, 397-403)の
存在下でRT−PCRによりMDR−1mRNAのレベルを検査した。MDR−
1mRNAレベルはDoxの添加によりRGP8.5ペプチドの発現をオフにし
た後で減少した(図5A、レーン3)。しかしながら、MDR−1mRNAのレベ
ルは、MG132を培地に添加したときには、同一の条件下で著しく増強した(
図5A、レーン4)。チューブリンコントロールに対するmRNAレベルはDo
xもしくはMG132によって影響されなかった。同様な結果が、MG132の
存在下で細胞表面上のP−gpタンパク質を検出するMDR−1抗体を用いて得
られた(図5B)。これらの結果は、RGP8.5がプロテアソームに結合し次い
でプロテアソーム仲介のタンパク質分解を阻害することによりMDR−1発現を
調整するという仮説を支持する。興味深いことに、このペプチドはMG132と
比較すると、MDR−1発現レベルを特異的に調節する点でさらに効果的である
。これは多分、MG132がプロテアソーム機能の広範囲な阻害剤であり、そし
てこのペプチドは特定の標的タンパク質が分解されることを阻止するのにさらに
特異的であるかもしれないという事実に因るであろう。
【0258】RGP8.5ペプチドはプロテアソーム阻害剤活性をしめす RGP8.5クローンの発育は我々の実験では遅いものであったが、これは、
細胞の生理機能上でペプチドのより広範な影響があることを示唆する。我々はこ
れらの実験の間に、組み入れたウイルスの発現を失ったGFP陰性集団はGFP
陽性集団よりも速い生育速度を持っていたことを観察した。これは、ペプチドが
細胞の生育に陰性の影響を持ったこと(データは示していない)を示唆する。この
効果は、IRES下にGFPをまた発現する他のクローンはこの表現型を示さな
かったので、GFPの発現に因るものではない。我々は、ライブラリーからの他
の殆んどのペプチドの細胞への送達は、それ自体は、観察可能な細胞の生理機能
に陰性的に影響しないことを観察しているけれども、プロテアソーム機能に作用
するペプチドは細胞の生育に悪影響を及ぼすかもしれないことが考えられた。
【0259】 プロテアソーム活性を阻害する薬剤は細胞サイクル進行に影響すると示されて
いる(Machiels, B.M. et al., (1997) Cytometry, 28, 243-252; Wojcik, C., e
t al., (1996) Eur. J. Cell Biol., 70, 172-178)。p21およびサイクリンB
のような多くの細胞サイクル調節因子は極度に不安定であり、細胞サイクルの間
にプロテアソーム仲介のタンパク質加水分解により制御されるところの細胞内レ
ベルを迅速に変化させる(Blagosklonny, M.V.,et al., (1996) Biochem. Biophy
s. Re.s. Commun., 227, 564-569; Shirane, M. et al., (1999) J. Biol. Che
m., 274, 3886-3893)。26SプロテアソームによるサイクリンBの分解は、細
胞サイクルが中期から後期へトランジションするために必要である(Parekh, H.,
et al., (1997) Biochem. Pharmacol., 53, 461-470)。プロテアソーム仲介の
タンパク質分解の阻害へのRGP8.5ペプチドの効果をさらに実証するために
、我々は、RGP8.5を発現するおよび発現しない細胞中において内因性サイ
クリンBタンパク質のレベルを比較した。サイクリンBはG2/Mでピークに達
すると知られている。図6Aに見られるように、RGP8.5ペプチドを発現す
る細胞は、RGP8.5ペプチドを欠いたGFP陰性細胞と比較するとサイクリ
ンBタンパク質のレベルを僅かに上昇させていた。コントロールとして、我々は
、内因性hsp70タンパク質はRGP8.5ペプチドの発現に無関係に同一レ
ベルで発現することを見ている。
【0260】 ペプチド効果のさらに感受性のアッセイは、それ故に、細胞サイクルの分析で
あり得たが、そこでは調節タンパク質のレベルにおける僅かな変動がさらに劇的
な遠位細胞の表現型に至るかも知れない。細胞サイクル分析により、RGP8.
5ペプチドを持つ細胞はG2/Mで蓄積することを確認した(図6B)。これは、
RGP8.5がプロテアソームの活性を減衰させて、サイクリンBタンパク質の
幾らかの蓄積をもたらし、それ故に、細胞サイクルの進行を穏やかに阻止するこ
とを強く示唆する。ペプチドが我々のスクリーニングで選択されているためには
、細胞サイクルへのこの効果は適度でなければならない。このペプチドは、それ
故に、後の実験で探求され得るところのプロテアソーム特異性を持つ興味あるク
ラスの阻害剤を潜在的に規定する。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 ペプチドライブラリースクリーニングを示す。
【図1B】 ペプチドRGP8.5で感染したHeLa細胞のクローン原性
生存アッセイにおける増強された生存を示す。
【図2A】 RGP8.5ペプチドを発現しているタキソール耐性HeLa
細胞を示す。
【図2B】 HeLa細胞中におけるベクター誘導の脱抑制後のタキソール
耐性を示す。
【図2C】 CsAによるMDR−1ポンプ阻害がRGP8.5ペプチドの
活性に拮抗することを示す。
【図2D】 RGP8.5ペプチドを発現するHeLa細胞クローンのロー
ダミン123エフラックスアッセイを示す。
【図3】 RGP8.5ペプチドを発現しているHeLa細胞クローンのm
dr1mRNA発現のRT−PCR解析を示す。
【図4A】 細胞中の発現されたRGP8.5とプロテアゾームサブユニッ
トとの会合を示す。
【図4B】 RGP8.5のアフィニティーカラムを用いたプロテアゾーム
サブユニットの精製を示す。
【図5A】 RGP8.5ペプチドを発現しているHeLaクローンのmd
r1mRNA発現のRT−PCR解析を示す。
【図5B】 MG132によるプロテオゾーム阻害がMDR−1発現を誘導
することを示す。
【図6A】 RGP8.5ペプチドを発現するHeLaクローン中のGFP
、hsp70およびサイクリンBタンパク質の内在性レベルのウエスタンブロッ
ト解析を示す。
【図6B】 RG8.5ペプチドを発現する細胞の細胞サイクル分析を示す
【図7】 RGP8.5のアミノ酸配列(配列番号1)およびRGP8.5の
ヌクレオチド配列(配列番号2)を示す。
【図8A】 プロテアゾームサブユニットXAPC7のヌクレオチド配列(
配列番号3、GenBank受け入れ番号AFO22815)を示す。
【図8B】 プロテアゾームサブユニットXPAC7のアミノ酸配列(配列
番号4、GenBank受け入れ番号AAB81515)を示す。
【図8C】 プロテアゾームサブユニットZetaのヌクレオチド配列(配
列番号5、GenBank受け入れ番号NM_002790)を示す。
【図8D】 プロテアゾームサブユニットZetaのアミノ酸配列(配列番
号6、GenBank受け入れ番号NM_002781)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/00 C07K 14/00 4H045 C12N 15/09 ZNA C12Q 1/02 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/566 33/566 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA, ZW Fターム(参考) 2G045 AA40 CB02 DA12 DA13 DA36 DA78 FB02 4B024 AA11 BA80 CA05 DA02 EA02 GA11 HA12 4B063 QA01 QA18 QQ08 QQ20 QR41 QR77 QR80 QS24 QS28 QS36 4C084 AA16 DC32 DC50 4C086 BA02 4H045 BA10 BA19 EA51 FA34 FA58 FA74 【要約の続き】

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞に多薬剤耐性を与えるRCペプチドのスクリーニング方
    法であって、以下の各段階:a)無作為化した候補ペプチド群をコードするレトロ
    ウイルスベクター群の分子ライブラリーを細胞集合体中で発現させる段階、但し
    、該ペプチド群は、異なるペプチド配列群を有する;b)該細胞集合体から、多薬
    剤耐性形質を示す細胞をスクリーニングする段階、但し、該多薬剤耐性は、該ペ
    プチドにより与えられるものである、を含む方法。
  2. 【請求項2】 さらに、c)該多薬剤耐性形質を示す細胞を単離する段階を含
    む、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 さらに、d)該細胞からRCペプチドを単離する段階を含む、
    請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 さらに、e)RCペプチドをコードする核酸を該細胞から単離
    する段階を含む、請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 さらにf)該RCペプチドを用いて標的分子を同定する段階を
    含む、請求項2または請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 該ライブラリーを該細胞中で発現させるためにレトロウイル
    スベクターを用いる、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 該細胞が哺乳動物細胞である、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 該哺乳動物細胞が癌細胞である、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 該癌細胞がHeLa細胞である、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 該スクリーニングが、化学療法化合物で細胞を処置するこ
    とを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 該化学療法化合物がタキソールである、請求項10に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 配列番号1に示す配列と少なくとも90%の配列同一性を
    有するRcペプチド。
  13. 【請求項13】 配列番号1に示すアミノ酸配列を含む、請求項12に記載
    のRcペプチド。
  14. 【請求項14】 PRPタンパク質との結合能があるバイオ活性物生のスク
    リーニング方法であって、該PRPタンパク質を候補のバイオ活性物生と結合さ
    せ、そして該候補物生と該PRPタンパク質との結合を測定することを含む方法
  15. 【請求項15】 該方法がさらに:c)該物生の存在下および非存在下で、該
    PRPタンパク質と配列番号1のペプチドとを接触させること、および、d)該物
    生の存在下に該ペプチドと該PRPタンパク質の結合の減少を検出し、それによ
    り医薬品の候補を同定すること、を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 PRPタンパク質活性の調節能があるバイオ活性物生のス
    クリーニング方法であって、以下の各段階:a)候補のバイオ活性物生を細胞集合
    体に加えること、但し、該各細胞はPRPタンパク質を発現するものである;b)
    化学療法化合物を該集合体に加えること;および、c)候補のバイオ活性物生の該
    化学療法化合物に対する耐性への効果を測定すること、を含む方法。
  17. 【請求項17】 該PRPタンパク質がXAPC7である、請求項14、請
    求項15、または請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 該PRPタンパク質がZetaである、請求項14、請求
    項15、または請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 PRPタンパク質をコードする組換え核酸を含む細胞の集
    合体に、候補のバイオ活性物生群のライブラリーを加える、請求項16に記載の
    方法。
  20. 【請求項20】 PRPタンパク質のモジュレーターを患者に投与すること
    を含む、多薬剤耐性関連疾患の処置法。
  21. 【請求項21】 該PRPタンパク質がXAPC7である、請求項20に記
    載の方法。
  22. 【請求項22】 該PRPタンパク質がZetaである、請求項20に記載
    の方法。
  23. 【請求項23】 該疾患が癌である、請求項20に記載の方法。
  24. 【請求項24】 該方法がさらに化学療法薬を共に投与することを含む、請
    求項20に記載の方法。
  25. 【請求項25】 該薬がタキソールである、請求項24に記載の方法。
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