JP2003347049A - 薄膜製造装置およびそれを用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

薄膜製造装置およびそれを用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子

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JP2003347049A
JP2003347049A JP2002157536A JP2002157536A JP2003347049A JP 2003347049 A JP2003347049 A JP 2003347049A JP 2002157536 A JP2002157536 A JP 2002157536A JP 2002157536 A JP2002157536 A JP 2002157536A JP 2003347049 A JP2003347049 A JP 2003347049A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートや基板上に薄膜を形成する場合の生産
効率を向上させることができる薄膜製造装置を提供する
こと。 【解決手段】 薄膜製造装置は、複数の基板を重ねて収
容するための1対のカセットと、基板に塗布液を用いて
成膜する塗布装置と、1対のカセットの間で基板を移し
替える移替部材とを備え、一方のカセットは基板の表面
が露出するように成膜すべき基板を収容し、塗布装置は
露出する基板に対して成膜を行い、移替部材は基板を成
膜される毎に他方のカセットへ移し替える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、薄膜製造装置お
よびそれを用いて製造された有機エレクトロルミネッセ
ンス(有機EL)素子に関し、特に有機EL素子の連続
生産または有機EL素子の製造に用いられる薄膜形成用
ドナーシートの連続生産に適した薄膜製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】基板上に有機薄膜を形成する方法の1つ
として、薄膜形成用ドナーシートの転写層を基板上に熱
転写する熱転写法が知られている(例えば、特開平11
−260549号公報参照)。
【0003】薄膜形成用ドナーシートとは、ポリエチレ
ンテレフタレートなどからなるシート上に、カーボン粒
子が混合されたエポキシ樹脂などからなる光熱変換層
と、所望の有機薄膜の積層からなる転写層が順に形成さ
れたものである。このような薄膜形成用ドナーシートを
基板に密着させ、シート裏面からレーザーを照射して転
写層を基板に熱転写し、その後シートを取り除くと基板
上に所望の有機薄膜を得ることができる。
【0004】このように、熱転写法では、熱転写によっ
て基板上に所望の有機薄膜を形成するので、上記転写層
には欠損がなく膜厚・膜質が均一であることが求められ
る。なお、転写層の膜厚は、おおよそ数nm〜数百nm
程度である。シート上に転写層である有機薄膜を形成す
る方法としては、所望の有機材料を溶解させた溶液をシ
ート上に塗布して有機薄膜を成膜する湿式法が知られて
いる(例えば、特開2001−237070号公報およ
び特開2001−232251号公報参照)。湿式法に
は、ブレードコート法、ロールコート法、スピンコート
法、ディッピング法、スプレー法などの塗工法や、スク
リーン法、マイクログラビア法、凸版印刷法、凹版印刷
法などの印刷法、インクジェット法がある。このような
湿式法は、シート上に転写用の有機薄膜を成膜する場合
だけでなく、基板上に有機薄膜を直接成膜する場合にも
用いることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】湿式法でシート上や基
板上に有機薄膜を成膜する場合、均一な膜厚・膜質で成
膜できる面積は限られている。また、均一な膜厚・膜質
で成膜するためには、温度、湿度、雰囲気などの条件を
一定に保った塗布室で成膜する必要があるが、シートや
基板を塗布室へ搬入・搬出するのに要する時間は生産効
率を低下させる要因となる。このため、有機EL素子を
利用したディスプレイなどを量産する場合に、一度に製
造できるディスプレイの数が少なくなり、生産効率を高
める上での課題となっていた。
【0006】この発明は以上のような事情を考慮してな
されたものであり、シートや基板上に薄膜を成膜する場
合の生産効率を向上させることができる薄膜製造装置を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、複数の基板
を重ねて収容するための1対のカセットと、基板に塗布
液を用いて成膜する塗布装置と、1対のカセットの間で
基板を移し替える移替部材とを備え、一方のカセットは
基板の表面が露出するように成膜すべき基板を収容し、
塗布装置は露出する基板に対して成膜を行い、移替部材
は基板を成膜される毎に他方のカセットへ移し替える薄
膜製造装置を提供するものである。
【0008】つまり、この発明による薄膜製造装置は、
一方のカセットに成膜すべき複数の基板が重ねて収容さ
れ、移替部材はカセットから露出する基板に対して成膜
がなされる毎にその基板を他方のカセットへ移し替える
という工程を一方のカセットに収容された全ての基板が
成膜されるまで繰り返す。このため、成膜を要する複数
の基板を連続的に成膜することができ、複数の基板に成
膜を行う際の生産効率が向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明の1つめの形態による薄
膜製造装置は、複数の基板を重ねて収容するための1対
のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する塗布装置
と、1対のカセットの間で基板を移し替える移替部材と
を備え、一方のカセットは基板の表面が露出するように
成膜すべき基板を収容し、塗布装置は露出する基板に対
して成膜を行い、移替部材は基板を成膜される毎に他方
のカセットへ移し替えることを特徴とする。
【0010】ここで、この発明の1つめの形態に係る薄
膜製造装置は、塗布装置、2つのカセットおよび移替部
材をそれぞれ収容しその中で基板が成膜される塗布室を
さらに備えてもよい。このように構成すると、温度、湿
度、雰囲気などの成膜条件を一定に保った塗布室内で成
膜が行われるので、均一な膜厚・膜質の薄膜を製造でき
るようになる。
【0011】また、この発明は、別の観点からみると2
つめの形態として、複数の基板を重ねて収容するための
1対のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する塗布
装置と、1対のカセットと塗布装置との間で基板を搬送
する搬送部材とを備え、一方のカセットは成膜すべき基
板を収容し、搬送部材は一方のカセットに収容された基
板を取り出して塗布装置へ搬送し、塗布装置によって成
膜されるとその基板を他方のカセットへ収容する薄膜製
造装置を提供するものでもある。
【0012】この発明の2つめの形態に係る薄膜製造装
置では、一方のカセットに成膜すべき複数の基板が重ね
て収容され、搬送部材は成膜すべき基板を一方のカセッ
トから取り出して塗布装置へ搬送し、成膜がなされると
その基板を他方のカセットへ収容するという工程を、一
方のカセットに収容された全ての基板が成膜されるまで
繰り返す。このため、成膜を要する複数の基板を連続的
に成膜することができ、複数の基板に成膜を行う際の生
産効率が向上する。
【0013】また、この発明の2つめの形態に係る薄膜
製造装置は、塗布装置を収容しその中で基板が成膜され
る塗布室をさらに備えてもよい。このように構成する
と、温度、湿度、雰囲気などの成膜条件を一定に保った
塗布室内で成膜が行われるので、均一な膜厚・膜質の薄
膜を製造できるようになる。
【0014】また、この発明は、別の観点からみると3
つめの形態として、複数の基板を重ねて収容するための
1対のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する複数
の塗布装置と、塗布装置をそれぞれ収容しその中で基板
が成膜される複数の塗布室と、1対のカセットを各塗布
室へ順次搬入・搬出するための搬送部材と、各塗布室に
収容され1対のカセットの間で基板を移し替える移替部
材とを備え、一方のカセットは基板の表面が露出するよ
うに成膜すべき基板を収容し、搬送部材は1対のカセッ
トを任意の1つの塗布室へ搬入し、露出する基板が成膜
され移替部材によって他方のカセットへ移し替えられる
と、1対のカセットを塗布室から搬出し、一対のカセッ
トを別の塗布室へ搬入して再び成膜を繰り返す薄膜製造
装置を提供するものでもある。
【0015】この発明の3つめの形態に係る薄膜製造装
置では、一方のカセットに成膜すべき複数の基板が重ね
て収容され、搬送部材は1対のカセットを任意の1つの
塗布室へ搬入し、その中で成膜と他方のカセットへの移
し替えが完了すると、塗布室から搬出して別の塗布室へ
搬入するという工程を所望の数の薄膜が積層されるまで
繰り返す。このため、各塗布室において成膜を要する複
数の基板を連続的に成膜することができ、複数の基板に
多層の薄膜を成膜する際の生産効率が向上する。
【0016】また、この発明の3つめの形態に係る薄膜
製造装置は、搬送部材を収容し複数の塗布室間を接続す
る搬送室をさらに備えてもよい。このように構成する
と、1対のカセットを搬送室と各塗布室との間で効率よ
く搬送できるので、より短時間で多層の薄膜を成膜でき
るようになり、生産効率がより一層向上する。
【0017】また、この発明は、別の観点からみると4
つめの形態として、複数の基板を重ねて収容するための
1対のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する複数
の塗布装置と、塗布装置をそれぞれ収容しその中で基板
が成膜される複数の塗布室と、1対のカセットと各塗布
室との間で基板を搬送する搬送部材とを備え、一方のカ
セットは成膜すべき基板を収容し、搬送部材は一方のカ
セットに収容された基板を取り出して任意の1つの塗布
室へ搬入し、成膜された基板を塗布室から搬出して他方
のカセットに収容し、成膜された基板を別の塗布室へ搬
入して再び成膜を繰り返す薄膜製造装置を提供するもの
でもある。
【0018】この発明の4つめの形態に係る薄膜製造装
置では、一方のカセットに成膜すべき複数の基板が重ね
て収容され、搬送部材は成膜すべき基板を一方のカセッ
トから取り出して任意の1つの塗布室へ搬送し、成膜が
なされるとその基板を塗布室から搬出して他方のカセッ
トへ収容し、別の塗布室へ搬入するという工程を、所望
の数の薄膜が積層されるまで繰り返す。このため、各塗
布室において成膜を要する複数の基板を連続的に成膜す
ることができ、複数の基板に多層の薄膜を成膜する際の
生産効率が向上する。
【0019】また、この発明の4つめの形態に係る薄膜
製造装置は、1対のカセットと搬送部材を収容し複数の
塗布室間を接続する搬送室をさらに備えてもよい。この
ように構成すると、成膜すべき基板を搬送室と各塗布室
との間で効率よく搬送できるので、より短時間で多層の
薄膜を成膜できるようになり、生産効率がより一層向上
する。
【0020】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、塗布装置は成膜すべき基板を
回転させる回転部を備えていてもよい。このように構成
すると、基板を回転させた状態で成膜が行われるので、
より均一な膜厚・膜質の薄膜を製造できるようになる。
【0021】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、塗布装置は塗布液を基板表面
に向かって噴射するスプレーノズルを備えていてもよ
い。このように構成すると、少量の塗布液を大きな面積
に塗布することができるので、塗布液の使用効率が向上
し、無駄になる成膜材料も削減できる。
【0022】なお、スプレーノズルの形態は特に限定さ
れるものではなく、基板表面に向かって塗布液を逆円錐
状に噴射できるものであればよい。例えば、複数の小穴
が形成されたスプレーノズルを用いることができる。
【0023】このようなスプレーノズルと窒素ガス等の
加圧源とを成膜材料の塗布液を収容する塗布液容器を介
して接続する。スプレーノズルと塗布液容器は流量調節
を行うニードルバルブ等を介して接続し、塗布液容器と
加圧源はバルブ付きの気体流入管などを介して接続す
る。スプレーノズルには塗布液容器から塗布液が供給さ
れ、その各小穴は毛細管現象の働きによって塗布液が充
填される。このような状態において、加圧源と塗布液容
器との間のバルブを開き、塗布液容器に窒素ガス等の気
体を流入させると、その圧力で小穴内の塗布液がスプレ
ーノズルの各小穴から微細な液粒として噴射され基板表
面に付着する。
【0024】噴射された塗布液が基板表面に付着する形
とそこで広がる大きさは、小穴の開口部の形状、小穴の
深さ、流入させる気体の圧力と時間などによって変化す
るが、例えば、小穴の開口部が円形であれば、基板表面
にほぼ円形に付着する。また、小穴から噴射される塗布
液は、微粒化された塗布粒として基板表面に当たり広が
るため、加圧源から供給される気体の圧力を高めて噴射
速度を上げると、基板表面に広がる面積が大きくなる。
【0025】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、基板は基板ホルダーに予め保
持されてなり、基板ホルダーは保持する基板の表面を覆
うパターニングマスクを有していてもよい。このように
構成すると、成膜と同時にパターニングが行われるの
で、成膜後にパターニング処理を行う必要が無くなり、
1つの塗布装置または塗布室で成膜された基板を連続し
て次の塗布装置または塗布室に搬送できるようになる。
また、成膜を必要とする基板の損傷を防止できるように
なり、歩留まりが向上する。従って、特に有機EL素子
を応用したディスプレイ等を量産する場合における生産
効率が向上する。
【0026】なお、上記パターニングマスクは成膜パタ
ーンを決めるものであり、各カセットの下部に取り付け
られていてもよい。また、上記パターニングマスクは、
マスクの開口部以外の部分にマスクのたるみを防ぐため
の補強材を設けていてもよい。補強材を設けると、マス
クのたわみに起因する溶液の回り込みを防止できるよう
になる。
【0027】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、塗布装置はインクジェット方
式を用いた装置であってもよい。インクジェット装置を
用いて、インクジェットヘッドより溶液を画素部に付与
する。インクジェット方式は、連続式、オンデマンド式
のいずれでもよいが、液の吐出方式は、エネルギー発生
素子として電気熱変換体を用いたサーマル方式、或いは
圧電素子を用いたピエゾ方式等が使用可能である。
【0028】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、塗布装置は印刷方式を用いた
装置であってもよい。印刷方式としては特に限定しない
がスクリーン法、マイクログラビア法、凸版印刷法、凹
版印刷法、などが使用できる。インクジェット法又は印
刷法を用いることにより、パターニングマスクを用いる
ことなく成膜と同時に微細なパターニングができる。
【0029】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置は、成膜された基板を加熱・乾燥させる
ための乾燥室をさらに備えていてもよい。なお、この発
明の3つめおよび4つめの形態に係る薄膜製造装置にお
いて、搬送室を備えるように構成した場合は、搬送室が
乾燥室を兼ねていてもよい。
【0030】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、基板は、正孔注入電極または
電子注入電極が予め表面に形成された有機エレクトロル
ミネッセンス素子用の基板であってもよい。このように
構成すると、基板に予め正孔注入電極および電子注入電
極のいずれか一方が形成されている基板に対して成膜を
行うので、有機EL素子を応用したディスプレイ等を製
造する際の生産効率が向上する。
【0031】また、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置において、基板は、光熱変換層が予め表
面に形成された有機エレクトロルミネッセンス素子用の
薄膜形成用ドナーシートであってもよい。このように構
成すると、この発明による薄膜製造装置を用いて薄膜形
成用ドナーシートの転写層を形成できるので、熱転写法
を用いて基板上に薄膜を形成する際の生産効率が向上す
る。
【0032】また、この発明は、この発明による上記4
つの形態に係る薄膜製造装置を用いて製造された有機エ
レクトロルミネッセンス素子を提供するものでもある。
また、この発明は、この発明による上記4つの形態に係
る薄膜製造装置によって形成された薄膜形成用ドナーシ
ートを用いて製造された有機エレクトロルミネッセンス
素子を提供するものでもある。
【0033】しかし、この発明による上記4つの形態に
係る薄膜製造装置の用途は有機EL素子の製造に限定さ
れるものではなく、有機EL以外の素子や装置の薄膜製
造において幅広く用いることができる。
【0034】この発明による上記4つの形態に係る薄膜
製造装置において、成膜できる基板としては、特に限定
されず、例えば、ガラス、アルミニウムなどの金属や、
ポリエステル、ポリアクリル、ポリエポキシ、ポリエチ
レン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリサルホン
などのプラスチックからなる基板を挙げることができ
る。
【0035】しかし、通常、低分子系材料を用いた有機
EL素子は、透明な基板上に正孔注入電極、正孔注入輸
送層、発光層、電子輸送層、電子注入電極が順に積層さ
れて構成される。また、高分子系材料を用いた有機EL
素子は、透明な基板上に正孔注入電極、高分子バッファ
層、発光層、電子注入電極が順に積層されて構成され
る。このため、この発明による上記4つの形態に係る薄
膜製造装置を用いて有機EL素子を製造する場合に好適
な基板としては、例えば、ガラス基板などを挙げること
ができる。また、通常、有機EL素子は発光した光を取
り出すので、上記正孔注入電極又は電子注入電極のいず
れか一方は透明ないし半透明の電極が好ましい。
【0036】透明電極としては、ITO(錫ドープ酸化
インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、
ZnOなどが挙げられるが、なかでもITOまたはIZ
Oが好ましいものとして挙げられる。正孔注入電極の膜
厚は、正孔注入を十分行える一定以上の膜厚であればよ
く、その上限は特に限定されないが、厚すぎると剥離な
どを生じる恐れがあり、薄すぎると成膜時の膜強度、正
孔輸送能力、抵抗値などの点で問題がある。従って、正
孔注入電極の好ましい膜厚は約50〜500nmの範囲
であり、さらに好ましくは約50〜300nmの範囲で
ある。正孔注入電極としてはITOやIZOの単層膜、
仕事関数の大きい金属の単層膜、これらの積層膜等が使
用可能であるが、素子構造や光の取りだし方向により適
宜選択することができる。
【0037】低分子系有機EL素子における正孔注入輸
送層の正孔注入輸送材料としては、従来から光伝導材料
において、正孔の電荷輸送材料として慣用されているも
のや、有機EL素子の正孔注入輸送材料に使用される公
知のものの中から任意のものを選択して用いることがで
きる。例えば、低分子化合物としてトリアゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポ
リアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、フェニ
レンジアミン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルア
ントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘
導体、スチルベン誘導体などを挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0038】また、高分子系有機EL素子において、上
記高分子バッファ層は正孔の注入を高める層であり、そ
の材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポ
リシラン、ポリチオフェン誘導体、PEDOT/PSS
(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリエチレンスル
ホン酸の混合物)などを挙げることができる。また、高
分子バッファ層に正孔注入輸送能力を高める働きのある
添加物を加えてもよい。通常、高分子バッファ層の膜厚
は約1nm〜1μm程度の範囲内であることが好まし
く、必要であれば2層以上で構成してもよい。
【0039】なお、この発明では主に高分子型有機EL
素子を対象にしており、上記低分子系正孔注入輸送層を
用いる場合は、高分子バインダーに溶解させて用いるこ
とができる。高分子バインダーとしては特に限定されな
いが、例えば、上述の高分子バッファ層の材料として挙
げたポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリチオフ
ェン誘導体、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキ
シチオフェンとポリエチレンスルホン酸の混合物)など
を用いることができる。
【0040】発光層の発光材料としては、共役系高分子
有機化合物またはその前駆体があるが、例えば、PPV
(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))誘導体またはそ
の前駆体、ポリフルオレン誘導体が好ましい。PPVま
たはPPV誘導体の前駆体としては、例えば、PPV
(ポリ(パラ−フェニレンビニレン))およびその前駆
体、MO−PPV(ポリ(2,5−ジメトキシ−1,4
−フェニレンビニレン))およびその前駆体、PPV誘
導体(ポリ(2,5−ビスヘキシルオキシ−1,4−フ
ェニレン−(1−シアノビニレン)))、MEH−PP
V(ポリ(2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキシル
オキシ))−パラ−フェニレンビニレン)等が挙げられ
る。ポリフルオレン誘導体としては、例えば、ポリ
(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)等
が挙げられる。
【0041】特に、PPV誘導体は強い蛍光を有し、ま
た二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化している
導電性高分子でもある。また置換基の導入による分子構
造の変更によってπ−π*エネルギーギャップを変える
ことができる。つまり発光色も変えることができ、高性
能の有機EL素子を得ることができる高分子材料を溶か
す溶媒としては、トルエン、キシレン、テトラヒドロフ
ラン、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンな
どが挙げられるがこれらに限定されない。高分子材料の
構造、分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1
重量%以上溶解させることができる。
【0042】これらの発光材料は単独で用いても、他の
化合物と混合して用いてもよい。また上記発光材料に低
分子材料をドーピングして用いてもよい。低分子材料と
しては、金属オキシノイド化合物(8−ヒドロキシキノ
リン金属錯体、ブタジエン誘導体、クマリン誘導体、ジ
シアノメチレンピラン誘導体、フルオレッセイン誘導
体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、アミノピレン誘
導体、ベンズオキサゾール誘導体、トリススチルベンゼ
ン誘導体などを挙げることができるがこれらに限定され
るものではない。通常、発光層の膜厚は約1nm〜1μ
m程度の範囲内であることが好ましく、必要であれば2
層以上で構成してもよい。
【0043】電子輸送層の電子輸送材料としては、従来
から光伝導材料において電子の電荷輸送材料として慣用
されているものや、有機EL素子の電荷輸送材料に使用
される公知の物の中から任意のものを選択して用いるこ
とができる。この発明では、高分子バインダー材料に低
分子電子輸送材料を溶解して用いてもよい。電子輸送材
料としては、例えば、有機化合物としてオキサジアゾー
ル誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、
ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシ
アノアントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導
体、フルオレノン誘導体、シロール誘導体、金属オキシ
ノイド化合物などを挙げることができるがこれらに限定
されるものではない。
【0044】また、これらの電子輸送材料に電子注入輸
送能力を高める働きのある添加物を加えてもよい。高分
子バインダー材料としては特に限定されないが、上記高
分子バッファ層の材料や発光材料を挙げることができ
る。通常、電子輸送層の膜厚は約1nm〜1μm程度の
範囲内であることが好ましい。
【0045】電子注入電極としては、低仕事関数の物質
が好ましく、例えば、K、Li、Na、Mg、La、C
e、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Z
n、Zrなどの金属元素単体、または安定性を向上させ
るためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いる
ことが好ましい。合金系としては、例えば、LiF/A
l、Li2O/Al、Ca/Al、Ca/Ag、Ba/
Ag、Mg・Ag共蒸着層、Li・Al共蒸着層、Mg
・In共蒸着層などが好ましい。なお、電子注入電極は
蒸着法やスパッタ法でも形成できる。電子注入電極の膜
厚は、電子注入を十分行える一定以上の膜厚であればよ
く、約0.1nm以上、好ましくは約1nm以上であれ
ば特にその上限は限定されない。しかし、通常は約1〜
500nm程度の膜厚となるように成膜すればよい。透
光性の電子注入電極としては、非常に薄い金属層とIT
O等の透明電極との積層膜が使用でき、素子構造や光の
取りだし方向により適宜選択することができる。この場
合も有機層に接する薄い金属層は上記の低仕事関数の金
属を使用することが好ましい。
【0046】また、この発明は、この発明による上記4
つの形態に係る薄膜製造装置を用いて薄膜形成用ドナー
シートを作成し、さらにこの薄膜形成用ドナーシートを
用いて有機EL素子を製造するものでもあるが、ここ
で、薄膜形成用ドナーシートとはドナーシート全体を支
持する基材シートの上に光熱変換層と転写層が形成され
たものである。そこで、この発明において、上記基材シ
ートとしては、透明な高分子材料からなるものを用いる
ことができる。
【0047】このような高分子材料としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル、ポ
リアクリル、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、ポリサルホンなどの大抵の樹脂
を挙げることができる。また、上記光熱変換層は、レー
ザー光を効率よく熱に変換できる層であればよく、例え
ば、アルミニウム、その酸化物および/又はその硫化物
からなる金属層や、カーボンブラック、黒鉛または赤外
線吸収染料などが添加された高分子からなる有機層など
を光熱変換層とすることができる。光熱変換層に照射す
るエネルギー源としてはレーザー光が好ましいが、さら
にはYAGレーザーが特に好ましい。
【0048】また、転写層としては、光熱変換層の上に
上述の電子輸送層、発光層および正孔注入輸送層、或い
は、発光層および高分子バッファ層を順に積層したもの
を転写層とすることができる。
【0049】以下に図面に示す実施の形態に基づいてこ
の発明を詳述する。なお、この実施の形態によってこの
発明が限定されるものではない。また、以下に説明する
複数の実施の形態において共通する部材には同じ符号を
用いて説明する。
【0050】実施の形態1 この発明の実施の形態1による薄膜製造装置について図
1に基づいて説明する。図1は実施の形態1による薄膜
製造装置の構成を概略的に示す説明図である。
【0051】図1に示されるように、この発明の実施の
形態1による薄膜製造装置1は、複数の基板を重ねて収
容するための第1および第2カセット(1対のカセッ
ト)3a、3bと、基板2に塗布液を用いて成膜する塗
布装置4と、第1カセット3aと第2カセット3bとの
間で基板2を移し替える移替部材5とを備え、第1およ
び第2カセット3a、3bのいずれか一方は基板2の表
面が露出するように成膜すべき基板2を収容し、塗布装
置4はカセットから露出する基板2に対して成膜を行
い、移替部材5は基板2が成膜される毎に他方のカセッ
トへ移し替えるように構成されている。
【0052】塗布装置4と移替部材5は塗布室6に収容
され、塗布室6に隣接して搬送室9が設けられている。
搬送部材8は、搬送室9と塗布室6との間で第1および
第2カセット3a、3bを搬出搬入口10を介して搬送
することができる。なお、図示はされないが、搬送室9
の周囲には塗布室6以外にもそれぞれ塗布装置と移替部
材を収容する複数の塗布室、並びに、蒸着を行う成膜室
が設けられており、搬送部材8は任意の塗布室又は蒸着
室へ第1および第2カセット3a、3bを搬入・搬出で
きる。
【0053】成膜を必要とする基板2は基板ホルダー7
にそれぞれ保持されたうえで第1および第2カセット3
a、3bのいずれか一方に収容され、空の他方のカセッ
トと共に搬送部材8によって搬送室9から塗布室6へ搬
入搬出口10を介して搬入される。塗布室6に収容され
た塗布装置4は、窒素ガス等の気体を充填した加圧源1
6、加圧源16とバルブを介して接続された塗布液容器
15、塗布液容器15とニードルバルブを介して接続さ
れたスプレーノズル11とから構成される。スプレーノ
ズル11は、第1カセット3aの最下位に位置してカセ
ットから露出する基板2に対して塗布液を噴射・塗布し
て成膜を行う。なお、塗布装置4によって成膜される
際、成膜される基板2は第1カセット3aごと回転手段
(回転部)14によって回転させられる。
【0054】なお、スプレーノズル11の上方にはシャ
ッター12が設けられている。仮に、スプレーノズル1
1が基板2より上方に配置される場合には、シャッター
12がスプレーノズル11の下方に設けられることにな
る。また、スプレーノズル11は、成膜する基板2の大
きさによって個数や配置を変えることが好ましい。
【0055】以下、実施の形態1による薄膜製造装置の
作用について図1を参照しつつ説明する。初期状態にお
いて、第1および第2カセット3a、3bは搬送室9内
にあり、成膜を必要とする基板2は第1カセット3aに
収容され、第2カセット3bは空にされているものとす
る。搬送部材8は、第1および第2カセット3a、3b
を搬出搬入口10を介して塗布室6へ搬入する。
【0056】塗布室6では、搬入された第1カセット3
aの最下位に位置してカセットから露出する基板2に対
して塗布装置4が成膜を行う。成膜が完了すると、移替
部材5(例えば、直線導入端子の先端に基板ホルダー1
枚分の厚さの平板を取り付けたスライダー)5は、最下
位に位置する基板2のみを第1カセット3aから押し出
して横にスライドさせ、第2カセット3bへ基板ホルダ
ー7ごと収容する(移し替える)。
【0057】その後、塗布装置4は、新たに最下位とな
りカセットから露出する基板2に対して成膜を行い、成
膜が完了すると同様に移替部材5が第1カセット3aか
ら押し出して横にスライドさせる。このとき、上下搬送
部材(例えば、直線導入端子の先端に取り付けられた基
板ホルダーと同じ大きさの平板と、その平板に取り付け
られたリーフスプリングとから構成される部材)13
は、第2カセット3bに既に収容されている成膜済みの
基板2を基板ホルダー7ごと上方へ押し上げ、移替部材
5は、押し上げられた基板2の下に成膜済みの基板2を
基板ホルダー7ごとスライドさせて収容する。このよう
にして、第2カセット3bには成膜済みの基板2が垂直
方向に順次重なって収容されていく。
【0058】上記の工程が繰り返され、第1カセット3
aに収容された全ての基板2の成膜と第2カセット3b
への移し替えが完了すると、搬送部材8は第2カセット
3bを搬送室9へ搬出する。搬送室9はヒーター(図示
せず)を備えており、搬出された第2カセット3bに収
容された成膜済みの基板2を加熱・乾燥させる。搬送室
9で加熱・乾燥された後、搬送部材8は、第2カセット
3bを次の塗布室(図示せず)へ搬入し、その塗布室の
塗布装置が先に成膜された薄膜の上に新たな薄膜を積層
する。成膜が完了した基板2は、上述の手法と同様の手
法にて別のカセット(図示せず)に移し替えられる。
【0059】ここで、別のカセットは、先の塗布室6で
用いられ、既に空となっている第1カセット3aを搬送
部材8によって次の塗布室へ搬入して用いてもよいし、
新たに用意された第3カセットを用いてもよい。以降
は、所望の数の薄膜(多層の薄膜)が積層されるまで上
記の工程が繰り返され、所望の数の薄膜が積層されると
搬送室9から装置外へ搬出されて薄膜製造装置1による
薄膜の製造が終了する。
【0060】実施の形態2 この発明の実施の形態2による薄膜製造装置について図
2に基づいて説明する。図2は実施の形態2による薄膜
製造装置の構成を概略的に示す説明図である。
【0061】図2に示されるように、この発明の実施の
形態2による薄膜製造装置21は、複数の基板を重ねて
収容するための第1および第2カセット3a、3b(一
対のカセット)と、基板2に塗布液を用いて成膜する塗
布装置4と、第1および第2カセット3a、3bと塗布
装置4との間で基板2を搬送する搬送部材8とを備え、
第1および第2カセット3a、3bのいずれか一方は成
膜すべき基板を収容し、搬送部材は第1および第2カセ
ット3a、3bのいずれか一方から基板2を取り出して
塗布装置4へ搬送し、塗布装置4によって成膜されると
その基板2を他方のカセットへ収容するように構成され
ている。
【0062】塗布装置4は塗布室6に収容され、塗布室
6に隣接して搬送室9が設けられている。搬送室9は第
1および第2カセット3a、3bを収容する。搬送部材
8は、搬送室9の第1および第2カセット3a、3bと
塗布室6との間で成膜を要する基板2を搬出搬入口10
を介して搬送することができる。なお、図示はされない
が、搬送室9の周囲には塗布室6以外にもそれぞれ塗布
装置を収容する複数の塗布室、並びに、蒸着を行う成膜
室が設けられており、搬送部材8は任意の塗布室又は蒸
着室へ基板2を搬入・搬出できる。
【0063】成膜を必要とする基板2は基板ホルダー7
にそれぞれ保持されたうえで第1および第2カセット3
a、3bのいずれか一方に収容され、他方のカセットは
空とされる。搬送部材8は成膜を必要とする基板が収容
されたカセットから基板2を基板ホルダー7と共に1枚
ずつ取り出し、搬出搬入口10を介して任意の塗布室6
へ搬入する。
【0064】塗布室6に収容された塗布装置4は、窒素
ガス等の気体を充填した加圧源16、加圧源16とバル
ブを介して接続された塗布液容器15、塗布液容器15
とニードルバルブを介して接続されたスプレーノズル1
1とから構成される。スプレーノズル11は、搬入され
た基板2に対して塗布液を噴射・塗布して成膜を行う。
なお、塗布装置4によって成膜される際、成膜される基
板2は基板ホルダー7ごと回転手段(回転部)14によ
って回転させられる。
【0065】なお、スプレーノズル11の上方にはシャ
ッター12が設けられている。仮に、スプレーノズル1
1が基板2より上方に配置される場合には、シャッター
12がスプレーノズル11の下方に設けられることにな
る。また、スプレーノズル11は、成膜する基板2の大
きさによって個数や配置を変えることが好ましい。
【0066】以下、実施の形態2による薄膜製造装置2
1の作用について図2を参照しつつ説明する。初期状態
において、成膜を要する基板2は第1カセット3aに収
容され、第2カセット3bは空にされているものとす
る。搬送部材8は成膜を要する基板2を第1カセット3
aから取り出し、搬出搬入口10を介して塗布室6へ搬
入する。塗布室6では、搬入された基板2に対し塗布装
置4が成膜を行う。
【0067】成膜が完了すると、搬送部材8は基板2を
基板ホルダー7ごと塗布室6から搬出し、搬送室9の第
2カセット3bに収容する。搬送部材8は、その後再び
第1カセット3aから成膜を要する基板を塗布室6へ搬
入し、成膜が完了すると塗布室6から搬出して第2カセ
ット3bへ収容する。搬送室9はヒーター(図示せず)
を備えており、塗布室6から搬出され第2カセット3b
に収容された成膜済みの基板2を加熱・乾燥させること
ができる。以降は、第1カセット3aに収容された全て
の基板2の成膜が完了するまで上記の工程が繰り返され
る。
【0068】成膜済みの基板2が全て第2カセット3b
に収容され、搬送室9で加熱・乾燥させられると、搬送
部材8は、再び基板2を別の塗布室(図示せず)へ搬入
し、その塗布室の塗布装置が先に成膜された薄膜の上に
新たな薄膜を積層する。
【0069】成膜が完了した基板2は上記と同様にして
塗布室から搬出され、既に空となっている第1カセット
3aへ収容される。この工程は上記と同様に第2カセッ
ト3bに収容された全ての基板2の成膜が完了するまで
繰り返される。以降は、所望の数の薄膜(多層の薄膜)
が積層されるまで上記の工程が繰り返され、所望の数の
薄膜が積層されると搬送室9から装置外へ搬出されて薄
膜製造装置21による薄膜の製造が終了する。
【0070】
【実施例】以下に上述の実施の形態1および2による薄
膜製造装置を用いた実施例について説明する。なお、以
下の複数の実施例において、共通する部材には同じ符号
を用いて説明する。
【0071】実施例1 実施例1は、図1に示される上述の実施の形態1による
薄膜製造装置を用いて有機EL素子を製造する実施例で
ある。なお、図3に実施例1によって製造された有機E
L素子の概略的な断面図を示す。
【0072】まず、厚さ約150nmの正孔注入電極
(ITO透明電極)33が形成された厚さ約0.7mm
のガラス基板32を16×16画素(1画素=1×1m
m)が得られるようにパターニングする。その後、ガラ
ス基板32を中性洗剤、水、イソプロピルアルコールを
用いて超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコール
蒸気中から引き上げて乾燥させ、表面を紫外線照射装置
(エキシマランプ:約172nm、放射照度:約10m
W/cm2)によって約30分間洗浄する。
【0073】塗布室6を窒素雰囲気下に保った後、5枚
のガラス基板32を5枚の基板ホルダー7にそれぞれ固
定したうえで、搬送室9の第1カセット3aに収容す
る。その後、図1に示すように、搬送部材8(搬送ロボ
ット)によって第1および第2カセット3a、3bを塗
布室6へ搬入する。塗布室6内では、スプレーノズル1
1の中心とガラス基板32の中心とを結ぶ線が基板表面
に対して垂直となる位置に配置する。また、スプレーノ
ズル11の開口部から基板表面までの距離は約10cm
とする。
【0074】次いで、第1カセット3aを収容済みの基
板2と共に回転手段14によって回転させながら、固形
分約1.2wt%のPEDOT/PSS(ポリエチレン
スルホン酸をドープしたポリエチレンジオキシチオフェ
ン)溶液をスプレーノズル11から噴射させ、膜厚約1
00nmの高分子バッファ層(PEDOT/PSS層)
34をITO基板上に成膜する。次いで、成膜が完了し
たガラス基板32を、移替部材5によって基板ホルダー
7ごと横にスライドさせ、第2カセット3bに収容す
る。同様の工程を繰り返し、5枚とも成膜と第2カセッ
ト3bへの移し替えが完了した後、第2カセット3bご
と搬送室9へ搬出する。そこで5枚の成膜済み基板2を
窒素雰囲気下で加熱・乾燥させる。
【0075】その後、第2カセット3bを次の塗布室
(図示せず)へ搬入し、PPV誘導体約5gをキシレン
1Lに溶かした組成物からなる溶液をスプレーノズルか
ら噴射させ、膜厚約100nmの発光層(PPV誘導体
層)35を成膜する。次いで、成膜が完了したガラス基
板2を、移替部材5によって基板ホルダー7ごと横にス
ライドさせ、移し替え用に次の塗布室へ搬送しておいた
第1カセット3aに収容する。同様の工程を繰り返し、
5枚とも成膜と第1カセット3aへの移し替えが完了し
た後、第1カセット3aごと搬送室9へ搬出して加熱乾
燥させた。
【0076】その後、第1カセット3aを搬送室9に隣
接して設けられ蒸着を行う成膜室(図示せず)へ搬入
し、Ca:約2〜3Å/sec.、Al:約4〜5Å/
sec.の条件で膜厚約200nmの電子注入電極36
を成膜する。次いで、成膜が完了したガラス基板32を
移替部材5によって基板ホルダー7ごと横にスライドさ
せ、移し替え用に成膜室へ搬送しておいた第2カセット
3bへ収容する。同様の工程を繰り返し、5枚とも成膜
と第2カセット3bへの移し替えが完了した後、第2カ
セット3bごと搬送室9へ搬出し、さらに装置外へ搬出
して図3に示される有機EL素子31(16×16画
素)を得る。
【0077】このようにして得られた5枚の有機EL素
子31について、約0.03mAの低電流で全ての画素
を点灯させたときの輝度を測定した結果、各サンプルに
おける平均輝度は約90cd/m2であり、その分布は
±5%以内であった。つまり、この発明の実施の形態1
による薄膜製造装置1を用いることにより、ガラス基板
32上に均一な膜厚・膜質の有機薄膜を成膜することが
でき、その結果、平均輝度のばらつきが少ない有機EL
素子を作製することができた。
【0078】比較例 比較例は、成膜を必要とする基板を1枚ずつ各塗布室ま
たは成膜室へ順に搬入して成膜を行う従来の薄膜製造装
置(図示せず)によって5枚の有機EL素子を製造する
ものである。なお、有機EL素子としての構成は上述の
実施例1によるものと変わらず、その構成は図3に示す
通りである。
【0079】まず、厚さ約150nmの正孔注入電極
(ITO透明電極)33が形成された厚さ約0.7mm
のガラス基板32を16×16画素(1画素=1×1m
m)が得られるようにパターニングする。その後、ガラ
ス基板32を中性洗剤、水、イソプロピルアルコールを
用いて超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコール
蒸気中から引き上げて乾燥させ、表面を紫外線照射装置
(エキシマランプ:約172nm、放射照度:約10m
W/cm2)によって約30分間洗浄する。
【0080】塗布室を窒素雰囲気下に保った後、塗布室
内に洗浄済みのガラス基板32を搬入する。塗布室内で
は、スプレーノズルの中心とガラス基板32の中心とを
結ぶ線が基板表面に対して垂直となる位置に配置する。
また、スプレーノズルの開口部から基板表面までの距離
は約10cmとする。
【0081】次いで、基板を回転させながら、固形分約
1.2wt%のPEDOT/PSS溶液をスプレーノズ
ルから噴射させ、膜厚約100nmの高分子バッファ層
(PEDOT/PSS層)34をITO基板上に成膜す
る。次いで、成膜が完了したガラス基板32を次の塗布
室へ搬入し、PPV誘導体約5gをキシレン1Lに溶か
した組成物からなる溶液をスプレーノズルから噴射さ
せ、膜厚約100nmの発光層(PPV誘導体層)35
を成膜、搬送室9へ搬出して加熱乾燥させた。次いで、
発光層35が成膜されたガラス基板32を蒸着を行う成
膜室へ搬入し、Ca:約2〜3Å/sec.、Al:約
4〜5Å/sec.の条件で膜厚約200nmの電子注
入電極36を成膜し、比較例による有機EL素子31
(図3参照)を得る。
【0082】以上のような工程を5回繰り返すことによ
り得られた5枚の有機EL素子31について、約0.0
3mAの定電流で全ての画素を点灯させたときの輝度を
測定した結果、各サンプルにおける平均輝度は約90c
d/m2であって、その分布は±5%以内であり、平均
輝度のばらつきが少ない有機EL素子31を作製するこ
とができた。
【0083】ここで、実施例1と比較例とを比較する
と、実施例1では基板の搬送・搬出に要する時間が5分
の1に短縮され、比較例よりも短い時間で5枚の有機E
L素子を製造できることが分かった。また、実施例1の
方法では、蒸着法による電子注入電極の成膜において、
目標蒸着温度に達するまでに消費される成膜材料の量が
1/5に減少し、比較例よりも無駄になる成膜材料を削
減できることが分かった。以上のことから、この発明の
実施の形態1による薄膜製造装置は有機EL素子を量産
するうえで好都合であるとの結論が得られた。
【0084】実施例2 実施例2は、図2に示される上述の実施の形態2による
薄膜製造装置21を用いて有機EL素子を製造する実施
例である。なお、有機EL素子としての構成は上述の実
施例1によるものと変わらず、その構成は図3に示すと
おりである。
【0085】まず、厚さ約150nmの正孔注入電極
(ITO透明電極)33が形成された厚さ約0.7mm
のガラス基板32を16×16画素(1画素=1×1m
m)が得られるようにパターニングする。その後、ガラ
ス基板32を中性洗剤、水、イソプロピルアルコールを
用いて超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコール
蒸気中から引き上げて乾燥させ、表面を紫外線照射装置
(エキシマランプ:約172nm、放射照度:約10m
W/cm2)によって約30分間洗浄する。
【0086】塗布室6を窒素雰囲気下に保った後、5枚
のガラス基板32を5枚の基板ホルダーにそれぞれ固定
したうえで搬送室9の第1カセット3aに収容する。そ
の後、図2に示すように、第1カセット3aに収容され
た5枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7
と共に搬送部材8(搬送ロボット)によって塗布室6へ
搬入する。塗布室6内では、スプレーノズル11の中心
とガラス基板32の中心とを結ぶ線が基板表面に対して
垂直となる位置に配置する。また、スプレーノズル11
の開口部から基板表面までの距離は約10cmとする。
【0087】次いで、基板ホルダー7を回転手段14に
よって回転させながら固形分1.2wt%のPEDOT
/PSS溶液をスプレーノズル11から噴射させ、膜厚
約100nmの高分子バッファ層(PEDOT/PSS
層)34をITO基板上に成膜する。次いで、成膜が完
了したガラス基板32を搬送部材8によって基板ホルダ
ー7ごと搬送室9へ搬出し、搬送室9に配置された第2
カセット3bに収容する。残りの4枚のガラス基板32
についても同様の工程を繰り返して第2カセット3bに
収容する。
【0088】その後、第2カセット3bに収容された5
枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7と共
に次の塗布室(図示せず)へ搬入し、PPV誘導体約5
gをキシレン1Lに溶かした組成物からなる溶液をスプ
レーノズルから噴射させ、膜厚約100nmの発光層
(PPV誘導体層)35を成膜する。次いで、発光層3
5が成膜されたガラス基板32を搬送部材8によって基
板ホルダーごと搬送室9へ搬出し、空となっている第1
カセット3aに収容する。残りの4枚のガラス基板32
についても同様の工程を繰り返して第1カセット3aに
収容する。そして搬送室9で加熱乾燥させた。
【0089】その後、第1カセット3aに収容された5
枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7と共
に蒸着を行う成膜室(図示せず)へ搬入し、Ca:約2
〜3Å/sec.、Al:約4〜5Å/sec.の条件
で膜厚約200nmの電子注入電極36を成膜する。次
いで、成膜が完了したガラス基板32を、搬送部材8に
よって基板ホルダー7ごと搬送室へ搬出し、空となって
いる第2カセット3bに収容する。残りの4枚のガラス
基板32についても同様の工程を繰り返して第2カセッ
ト3bに収容し、さらに装置外へ搬出して図3に示され
る有機EL素子31(16×16画素)を得る。
【0090】このようにして得られた5枚の有機EL素
子31について、約0.03mAの低電流で全ての画素
を点灯させたときの輝度を測定した結果、各サンプルに
おける平均輝度は約90cd/m2であり、その分布は
±5%以内であった。つまり、この発明の実施の形態2
による薄膜製造装置21を用いることにより、ガラス基
板32上に均一な膜厚・膜質の有機薄膜を成膜すること
ができ、その結果、平均輝度のばらつきが少ない有機E
L素子31を作製することができた。
【0091】ここで、実施例2と上記比較例とを比較す
ると、実施例2においても基板の搬送・搬出に要する時
間が短縮されており、比較例よりも短い時間で5枚の有
機EL素子を作製できたことが分かった。以上のことか
ら、この発明の実施の形態2による薄膜製造装置21は
有機EL素子を量産するうえで好都合であるとの結論が
得られた。
【0092】実施例3 実施例3は、実施例2と同様に図2に示される上述の実
施の形態2による薄膜製造装置21を用いて有機EL素
子を製造する実施例である。ただスプレーノズル方式の
装置の替わりにインクジェット装置を導入した。なお、
有機EL素子としての構成は上述の実施例1によるもの
と変わらず、その構成は図3に示すとおりである。
【0093】まず、厚さ約150nmの正孔注入電極
(ITO透明電極)33が形成された厚さ約0.7mm
のガラス基板32を16×16画素(1画素=1×1m
m)が得られるようにパターニングする。その後、ガラ
ス基板32を中性洗剤、水、イソプロピルアルコールを
用いて超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコール
蒸気中から引き上げて乾燥させ、表面を紫外線照射装置
(エキシマランプ:約172nm、放射照度:約10m
W/cm2)によって約30分間洗浄する。そして予め
膜厚約100nmの高分子バッファ層(PEDOT/P
SS層)34を各ITO基板上に成膜した。
【0094】塗布室6を窒素雰囲気下に保った後、5枚
のガラス基板32を5枚の基板ホルダーにそれぞれ固定
したうえで搬送室9の第1カセット3aに収容する。そ
の後、図2に示すように、第1カセット3aに収容され
た5枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7
と共に搬送部材8(搬送ロボット)によって塗布室6へ
搬入する。塗布室6内では、搬送部材8(搬送ロボッ
ト)がガラス基板32をインクジェット装置に搬送・搬
出できるように配置する。
【0095】PPV誘導体約5gをキシレン1Lに溶か
した組成物からなる溶液をインクジェット装置から各画
素を覆うように噴射させ、膜厚約100nmの発光層
(PPV誘導体層)35を高分子バッファ層(PEDO
T/PSS層)34が成膜されたITO基板上に成膜す
る。次いで、発光層35が成膜されたガラス基板32を
搬送部材8によって基板ホルダー7ごと搬送室9へ搬出
し、搬送室9に配置された第2カセット3bに収容す
る。残りの4枚のガラス基板32についても同様の工程
を繰り返して第2カセット3bに収容する。そして搬送
室9で加熱乾燥させた。
【0096】その後、第1カセット3bに収容された5
枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7と共
に蒸着を行う成膜室(図示せず)へ搬入し、Ca:約2
〜3Å/sec.、Al:約4〜5Å/sec.の条件
で膜厚約200nmの電子注入電極36を成膜する。次
いで、成膜が完了したガラス基板32を、搬送部材8に
よって基板ホルダー7ごと搬送室へ搬出し、空となって
いる第2カセット3aに収容する。残りの4枚のガラス
基板32についても同様の工程を繰り返して第2カセッ
ト3aに収容し、さらに装置外へ搬出して図3に示され
る有機EL素子31(16×16画素)を得る。
【0097】このようにして得られた5枚の有機EL素
子31について、約0.03mAの低電流で全ての画素
を点灯させたときの輝度を測定した結果、各サンプルに
おける平均輝度は約80cd/m2であり、その分布は
±5%以内であった。つまり、この発明の実施の形態2
による薄膜製造装置21(スプレーノズル方式をインク
ジェット方式に替えた)を用いることにより、ガラス基
板32上に均一な膜厚・膜質の有機薄膜を成膜すること
ができ、その結果、平均輝度のばらつきが少ない有機E
L素子31を作製することができた。
【0098】ここで、実施例3と比較例でスプレーノズ
ルの替わりにインクジェット装置を用いた場合とを比較
すると、実施例3では基板の搬送・搬出に要する時間が
5分の1に短縮され、比較例よりも短い時間で5枚の有
機EL素子を製造できることが分かった。また、実施例
3の方法では、蒸着法による電子注入電極の成膜におい
て、目標蒸着温度に達するまでに消費される成膜材料の
量が1/5に減少し、比較例よりも無駄になる成膜材料
を削減できることが分かった。以上のことから、この発
明の実施の形態2による薄膜製造装置は有機EL素子を
量産するうえで好都合であるとの結論が得られた。
【0099】実施例4 実施例4は、実施例2と同様に図2に示される上述の実
施の形態2による薄膜製造装置21を用いて有機EL素
子を製造する実施例である。ただスプレーノズル方式の
装置の替わりにマイクログラビア印刷装置を導入した。
なお、有機EL素子としての構成は上述の実施例1によ
るものと変わらず、その構成は図3に示すとおりであ
る。
【0100】まず、厚さ約150nmの正孔注入電極
(ITO透明電極)33が形成された厚さ約0.7mm
のガラス基板32を16×16画素(1画素=1×1m
m)が得られるようにパターニングする。その後、ガラ
ス基板32を中性洗剤、水、イソプロピルアルコールを
用いて超音波洗浄し、次いで、イソプロピルアルコール
蒸気中から引き上げて乾燥させ、表面を紫外線照射装置
(エキシマランプ:約172nm、放射照度:約10m
W/cm2)によって約30分間洗浄する。そして予め
膜厚約100nmの高分子バッファ層(PEDOT/P
SS層)34を各ITO基板上に成膜した。
【0101】塗布室6を窒素雰囲気下に保った後、5枚
のガラス基板32を5枚の基板ホルダーにそれぞれ固定
したうえで搬送室9の第1カセット3aに収容する。そ
の後、図2に示すように、第1カセット3aに収容され
た5枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7
と共に搬送部材8(搬送ロボット)によって塗布室6へ
搬入する。塗布室6内では、搬送部材8(搬送ロボッ
ト)がガラス基板32をマイクログラビア印刷装置に搬
送・搬出できるように配置する。
【0102】PPV誘導体約5gをキシレン1Lに溶か
した組成物からなる溶液をマイクログラビア印刷装置で
各画素を覆うよう塗布して、膜厚約100nmの発光層
(PPV誘導体層)35を高分子バッファ層(PEDO
T/PSS層)34が成膜されたITO基板上に成膜す
る。次いで、発光層35が成膜されたガラス基板32を
搬送部材8によって基板ホルダー7ごと搬送室9へ搬出
し、搬送室9に配置された第2カセット3bに収容す
る。残りの4枚のガラス基板32についても同様の工程
を繰り返して第2カセット3bに収容する。そして搬送
室9で加熱乾燥させた。
【0103】その後、第1カセット3bに収容された5
枚のガラス基板32のうちの1枚を基板ホルダー7と共
に蒸着を行う成膜室(図示せず)へ搬入し、Ca:約2
〜3Å/sec.、Al:約4〜5Å/sec.の条件
で膜厚約200nmの電子注入電極36を成膜する。次
いで、成膜が完了したガラス基板32を、搬送部材8に
よって基板ホルダー7ごと搬送室へ搬出し、空となって
いる第2カセット3aに収容する。残りの4枚のガラス
基板32についても同様の工程を繰り返して第2カセッ
ト3aに収容し、さらに装置外へ搬出して図3に示され
る有機EL素子31(16×16画素)を得る。
【0104】このようにして得られた5枚の有機EL素
子31について、約0.03mAの低電流で全ての画素
を点灯させたときの輝度を測定した結果、各サンプルに
おける平均輝度は約90cd/m2であり、その分布は
±5%以内であった。つまり、この発明の実施の形態2
による薄膜製造装置21(スプレーノズル方式をマイク
ログラビア印刷装置に替えた)を用いることにより、ガ
ラス基板32上に均一な膜厚・膜質の有機薄膜を成膜す
ることができ、その結果、平均輝度のばらつきが少ない
有機EL素子31を作製することができた。
【0105】ここで、実施例4と比較例でスプレーノズ
ルの替わりにマイクログラビア印刷装置を用いた場合と
を比較すると、実施例4では基板の搬送・搬出に要する
時間が5分の1に短縮され、比較例よりも短い時間で5
枚の有機EL素子を製造できることが分かった。また、
実施例4の方法では、蒸着法による電子注入電極の成膜
において、目標蒸着温度に達するまでに消費される成膜
材料の量が1/5に減少し、比較例よりも無駄になる成
膜材料を削減できることが分かった。以上のことから、
この発明の実施の形態2による薄膜製造装置は有機EL
素子を量産するうえで好都合であるとの結論が得られ
た。
【0106】実施例5 実施例5は、図1に示される上述の実施の形態1による
薄膜製造装置1を用いて薄膜形成用ドナーシートを作製
し、さらにその作製された薄膜形成用ドナーシートを用
いて有機EL素子を製造する実施例である。なお、図4
に実施例5によって作製された薄膜形成用ドナーシート
の概略的な断面図を示し、図5にその薄膜形成用ドナー
シートの転写層を基板上に熱転写する様子を示す。ま
た、有機EL素子としての構成は上述の実施例1と変わ
らず、その構成は図3に示すとおりである。
【0107】基材シート42としては、膜厚約0.2m
mのポリエチレンテレフタレートシートを用いる。この
基材シート42にレーザー光を熱に変換する光熱変換層
43としてカーボンブラックを混合した熱硬化型エポキ
シ樹脂を膜厚約5μmでコーティングして硬化させる。
塗布室を窒素雰囲気下に保った後、5枚の基材シート4
2を5枚の基板ホルダー7にそれぞれ固定したうえで搬
送室9の第1カセット3aに収容する。その後、図1に
示すように、搬送部材8によって第1カセット3aを塗
布室6へ搬入する。
【0108】塗布室6内では、スプレーノズル11の中
心と基材シート42の中心とを結ぶ線が基板表面に対し
て垂直となる位置に配置する。また、スプレーノズル1
1の開口部から基板表面までの距離は約10cmとす
る。次いで、第1カセット3aを収容済みの基材シート
42と共に回転手段14によって回転させながら、PP
V誘導体約5gをキシレン1Lに溶かした組成物からな
る溶液をスプレーノズル11から噴射させ、膜厚約10
0nmのPPV誘導体層44aを成膜する。次いで、成
膜が完了した基材シート42を、移替部材5によって基
板ホルダーごと横にスライドさせ、第2カセットに収容
する。同様の工程を繰り返し、5枚とも成膜と第2カセ
ット3bへの移し替えが完了した後、第2カセット3b
ごと搬送室9へ搬出する。そこで5枚の成膜済み基材シ
ート42を窒素雰囲気下で加熱・乾燥させる。
【0109】その後、第2カセット3bを次の塗布室
(図示せず)へ搬入し、固形分約1.2wt%のPED
OT/PSS溶液をスプレーノズルから噴射させ、膜厚
約100nmのPEDOT/PSS層44bを成膜す
る。次いで、成膜が完了した基材シート42を、移替部
材5によって基板ホルダー7ごと横にスライドさせ、移
し替え用に次の塗布室へ搬送しておいた第1カセット3
aに収容する。同様の工程を繰り返し、5枚とも成膜と
第1カセット3aへの移し替えが完了した後、第1カセ
ット3aごと搬送室9へ搬出し、さらに装置外へ搬出し
て図4に示される薄膜形成用ドナーシート41を得る。
【0110】なお、以上のようにして成膜されたPPV
誘導体層44aとPEDOT/PSS層44bが、図4
に示される薄膜形成用ドナーシート41の転写層44と
なる。
【0111】その後、図5に示されるように、ITO透
明電極を予め64本のストライプ状にパターニングして
形成された正孔注入電極33を有するガラス基板32
(図3参照)に、作製した薄膜形成用ドナーシート41
を密着させる。次いで、光熱変換用の光源45を薄膜形
成用ドナーシート41側から正孔注入電極33と平行に
照射して正孔注入電極33上に転写層44を熱転写し、
その後、基材シート42及び光熱変換層43を剥離す
る。なお、光源45としては、ビームの大きさが約10
0μm(1/e2)で約15WのNd−YAGレーザー
を用いる。
【0112】その後、熱転写によって転写された発光層
(PPV誘導体層)35の上に膜厚約200nmのCa
/Alを正孔注入電極33に対して64本のストライプ
状で直交するように成膜して電子注入電極36とし、図
3に示される有機EL素子(64×64画素)を得る。
【0113】このようにして得られた5枚の有機EL素
子について、約0.03mAの定電流で全ての画素を点
灯させたときの輝度を測定した結果、各サンプルにおけ
る平均輝度は約90cd/m2であり、その分布は±5
%以内であった。つまり、この発明の実施の形態1によ
る薄膜製造装置1を用いることにより、基材シート42
上に均一な膜厚・膜質の転写層44を形成することがで
き、その結果、平均輝度のばらつきが少ない有機EL素
子を作製することができた。
【0114】このような実施例5によれば、従来の薄膜
製造装置を用いて複数の薄膜形成用ドナーシートを作製
する場合よりも、より短時間で薄膜形成用ドナーシート
を作製できることは明らかである。従って、この発明の
実施の形態1による薄膜製造装置は薄膜形成用ドナーシ
ートを量産するうえで好都合であり、ひいては有機EL
素子を量産するうえで好都合であるとの結論が得られ
た。
【0115】
【発明の効果】この発明によれば、一方のカセットに成
膜すべき複数の基板が重ねて収容され、移替部材はカセ
ットから露出する基板に対して成膜がなされる毎にその
基板を他方のカセットへ移し替えるので、成膜を要する
複数の基板を連続的に成膜することができ、複数の基板
に成膜を行う際の生産効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による薄膜製造装置の
構成を概略的に示す説明図である。
【図2】この発明の実施の形態2による薄膜製造装置の
構成を概略的に示す説明図である。
【図3】実施例1〜5に係る有機EL素子の構成を概略
的に示す断面図である。
【図4】実施例5によって作製された薄膜形成用ドナー
シートの構成を概略的に示す断面図である。
【図5】実施例5によって作製された薄膜形成用ドナー
シートの転写層を基板上に熱転写している様子を示す説
明図である。
【符号の説明】
1・・・薄膜製造装置 2・・・基板 3a・・・第1カセット 3b・・・第2カセット 4・・・塗布装置 5・・・移替部材 6・・・塗布室 7・・・基板ホルダー 8・・・搬送部材 9・・・搬送室 10・・・搬出搬入口 11・・・スプレーノズル 12・・・シャッター 13・・・上下搬送部材 14・・・回転手段 15・・・塗布液容器 16・・・加圧源
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FB01 3K007 DB03 FA01 4F041 AA02 AA05 AB01 BA05 BA35 4F042 AA02 AA06 AB00 CB03 CB08 DB17 DF03 DF04 DF07 DF25 DF29 DF32 DF34 ED05

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の基板を重ねて収容するための1対
    のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する塗布装置
    と、1対のカセットの間で基板を移し替える移替部材と
    を備え、一方のカセットは基板の表面が露出するように
    成膜すべき基板を収容し、塗布装置は露出する基板に対
    して成膜を行い、移替部材は基板を成膜される毎に他方
    のカセットへ移し替える薄膜製造装置。
  2. 【請求項2】 塗布装置、2つのカセットおよび移替部
    材をそれぞれ収容しその中で基板が成膜される塗布室を
    さらに備える請求項1に記載の薄膜製造装置。
  3. 【請求項3】 複数の基板を重ねて収容するための1対
    のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する塗布装置
    と、1対のカセットと塗布装置との間で基板を搬送する
    搬送部材とを備え、一方のカセットは成膜すべき基板を
    収容し、搬送部材は一方のカセットに収容された基板を
    取り出して塗布装置へ搬送し、塗布装置によって成膜さ
    れるとその基板を他方のカセットへ収容する薄膜製造装
    置。
  4. 【請求項4】 塗布装置を収容しその中で基板が成膜さ
    れる塗布室をさらに備える請求項3に記載の薄膜製造装
    置。
  5. 【請求項5】 複数の基板を重ねて収容するための1対
    のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する複数の塗
    布装置と、塗布装置をそれぞれ収容しその中で基板が成
    膜される複数の塗布室と、1対のカセットを各塗布室へ
    順次搬入・搬出するための搬送部材と、各塗布室に収容
    され1対のカセットの間で基板を移し替える移替部材と
    を備え、一方のカセットは基板の表面が露出するように
    成膜すべき基板を収容し、搬送部材は1対のカセットを
    任意の1つの塗布室へ搬入し、露出する基板が成膜され
    移替部材によって他方のカセットへ移し替えられると、
    1対のカセットを塗布室から搬出し、一対のカセットを
    別の塗布室へ搬入して再び成膜を繰り返す薄膜製造装
    置。
  6. 【請求項6】 搬送部材を収容し複数の塗布室間を接続
    する搬送室をさらに備える請求項5に記載の薄膜製造装
    置。
  7. 【請求項7】 複数の基板を重ねて収容するための1対
    のカセットと、基板に塗布液を用いて成膜する複数の塗
    布装置と、塗布装置をそれぞれ収容しその中で基板が成
    膜される複数の塗布室と、1対のカセットと各塗布室と
    の間で基板を搬送する搬送部材とを備え、一方のカセッ
    トは成膜すべき基板を収容し、搬送部材は一方のカセッ
    トに収容された基板を取り出して任意の1つの塗布室へ
    搬入し、成膜された基板を塗布室から搬出して他方のカ
    セットに収容し、成膜された基板を別の塗布室へ搬入し
    て再び成膜を繰り返す薄膜製造装置。
  8. 【請求項8】 1対のカセットと搬送部材を収容し複数
    の塗布室間を接続する搬送室をさらに備える請求項7に
    記載の薄膜製造装置。
  9. 【請求項9】 塗布装置は成膜すべき基板を回転させる
    回転部を備える請求項1〜8のいずれか1つに記載の薄
    膜製造装置。
  10. 【請求項10】 塗布装置は塗布液を基板表面に向かっ
    て噴射するスプレーノズルを備える請求項1〜9のいず
    れか1つに記載の薄膜製造装置。
  11. 【請求項11】塗布装置はインクジェット方式を用いた
    装置であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1
    つに記載の薄膜製造装置。
  12. 【請求項12】塗布装置は印刷方式を用いた装置である
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の
    薄膜製造装置。
  13. 【請求項13】 基板は基板ホルダーに予め保持されて
    なり、基板ホルダーは保持する基板の表面を覆うパター
    ニングマスクを有する請求項1〜10のいずれか1つに
    記載の薄膜製造装置。
  14. 【請求項14】成膜された基板を加熱・乾燥させるため
    の乾燥室を備えていることを特徴とする請求項1〜13
    のいずれか1つに記載の薄膜製造装置。
  15. 【請求項15】 基板は、正孔注入電極または電子注入
    電極が予め表面に形成された有機エレクトロルミネッセ
    ンス素子用の基板である請求項1〜14のいずれか1つ
    に記載の薄膜製造装置。
  16. 【請求項16】 基板は、光熱変換層が予め表面に形成
    された有機エレクトロルミネッセンス素子用の薄膜形成
    用ドナーシートである請求項1〜14のいずれか1つに
    記載の薄膜製造装置。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の薄膜製造装置を用
    いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載の薄膜製造装置を用
    いて製造された有機エレクトロルミネッセンス素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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