JP2003344285A - 環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡 - Google Patents

環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡

Info

Publication number
JP2003344285A
JP2003344285A JP2002151504A JP2002151504A JP2003344285A JP 2003344285 A JP2003344285 A JP 2003344285A JP 2002151504 A JP2002151504 A JP 2002151504A JP 2002151504 A JP2002151504 A JP 2002151504A JP 2003344285 A JP2003344285 A JP 2003344285A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light beam
laser light
section
annular cross
optical component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002151504A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisao Fujisaki
久雄 藤崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP2002151504A priority Critical patent/JP2003344285A/ja
Publication of JP2003344285A publication Critical patent/JP2003344285A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料へ照射するレーザ光ビームの光軸と直交
する方向の解像度を維持しながら、光軸方向へ試料が多
少移動した場合であっても、試料を追いかけることなく
試料の観察を続行できるようにする。 【解決手段】 一様断面のレーザ光ビームを発生するフ
ェムト秒パルス赤外レーザ装置1と、レーザ光ビームを
試料11に集光させる対物レンズ6とを備え、これら両
者間の光路に、凹円錐面からなる入射面と凸円錐面から
なる出射面とを有し、入射面から入射した一様断面のレ
ーザ光ビームを環状断面レーザ光ビームに整形して出射
面から出射する環状断面レーザ光ビーム生成器を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医学あるいは生物
学等、一般に蛍光顕微鏡を利用する全ての分野において
使用される多光子顕微鏡およびそれに好適な環状断面レ
ーザ光ビーム生成器に関すものである。
【0002】
【従来の技術】生物試料を拡大観察できる光学顕微鏡は
300年以上の歴史を有しており、生物試料を生きてい
るまま観察できるという特長を生かして医学および生物
学において計り知れない貢献を果たしてきた。この光学
顕微鏡は、位相差法、偏光法、蛍光法、微分干渉法ある
いは暗視野法など種々の観察方法を取り入れて改良が進
められ、今や、蛍光修飾することによって、細胞内のタ
ンパク質や低分子まで観察できるようになっている。
【0003】光学顕微鏡のうち、通常の蛍光顕微鏡で
は、焦点面の上下の、励起光が十分に集光されていない
領域での励起や蛍光の散乱が蛍光像のボケを引き起こ
す。そこで、共焦点顕微鏡では、ピンホールを用いるこ
とにより蛍光像のボケを除去するようにしている。これ
により、蛍光顕微鏡像の鮮明度が飛躍的に向上してい
る。共焦点顕微鏡には、レーザ光を走査するのにガルバ
ノ鏡を用いる型、音響光学素子を用いる型およびニポウ
盤を用いる型がある。
【0004】上記の共焦点顕微鏡は、試料の焦点域外も
励起してしまうため、試料の未観察部分にまで損傷が起
こるという問題を有している。しかしながら、この問題
は、焦点域しか励起しない多光子顕微鏡の出現により解
決されている。
【0005】共焦点顕微鏡およびその改良型である多光
子顕微鏡は、共通して、面方向のみならず光軸方向の分
解能が高いという特長があり、観察の深さを変えた像を
何枚か集めることにより、三次元像を構築することがで
きる。
【0006】多格子顕微鏡のうち、2光子吸収の原理を
利用する2光子顕微鏡については、U. S. Patent 5,03
4,613に開示されている。図8には従来の多光子顕微鏡
の一例を示す。なお、同図は、G. Y. Fan, H. Fujisak
i, A. Miyawaki, R.-K. Tsay, R. Y. Tsien, and M. H.
Ellisman (1999) "Video-rate scanning two-photon e
xcitation fluorescence microscopy and ratio imagin
g with cameleon" Biophys J. 76, 2412-2420.に記載さ
れているものである。
【0007】図8に示す多光子顕微鏡において、フェム
ト秒パルス赤外レーザ装置101を出射したパルスレー
ザ光ビーム102は、反射鏡103にて折り曲げられ、
走査器104にてX,Y方向に適宜進行方向を振られ
る。その後、ダイクロイックミラー105にて試料11
1方向へ反射され、対物レンズ106にて試料111に
集光され、試料111に含まれる蛍光物質を励起する。
【0008】これにより試料111から出射した蛍光1
07は、対物レンズ106にて集められ、光路切り替え
ミラー108により反射されて接眼部109に送られ、
肉眼により観察される。あるいは、光路切り替えミラー
108を光路から待避させることにより、光検出器11
0に送られた後、コンピュータに取り込まれるととも
に、モニター上にて像として観察される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の多光子顕微
鏡において、観察対象物である試料111、例えば生き
ている生物試料におけるの面方向(照射するレーザ光ビ
ームの光軸と直交する方向)の動きを捉えることは、像
取得時間の短縮、すなわち走査の高速化により可能とな
りつつある。しかしながら、上記面方向と直交する光軸
方向の動きを捉えるには、上記従来の多光子顕微鏡では
複数の像を高速に取得する必要があり、これを達成する
ことが困難となっている。
【0010】したがって、本発明は、試料へ照射するレ
ーザ光ビームの光軸と直交する方向の解像度を維持しな
がら、光軸方向へ試料が多少移動した場合であっても、
試料を追いかけることなく試料の観察を続行することが
できる多光子顕微鏡およびそれに適した環状断面レーザ
光ビーム生成器の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の環状断面レーザ光ビーム生成器は、凹円
錐面からなる入射面と凸円錐面からなる出射面とを有
し、前記入射面から入射した一様断面、例えば円形の一
様断面のレーザ光ビームを環状断面レーザ光ビームに整
形して前記出射面から出射することを特徴としている。
【0012】上記の構成によれば、一様の断面のレーザ
光ビームをそのほぼ全ての光を使用して環状断面レーザ
光ビームに整形するので、レーザ光ビームの中央部に覆
いを設けてその部分の光を遮ることにより環状断面レー
ザ光ビームに整形する従来の構成と比較して、十分な光
量の環状断面レーザ光ビームを得ることができる。した
がって、この環状断面レーザ光ビーム生成器は、環状断
面レーザ光ビームを使用する多光子顕微鏡に好適なもの
となる。
【0013】また、本発明の環状断面レーザ光ビーム生
成器は、平面からなる入射面および凹円錐面からなる出
射面を有する第1光学部品と、凸円錐面からなる入射面
および平面からなる出射面を有する第2光学部品とを備
え、入射光における光軸方向の入射側位置に第1光学部
品が設けられ、出射側位置に第2光学部品が設けられ、
第1光学部品の入射面から入射した一様断面、例えば円
形の一様断面のレーザ光ビームを環状断面レーザ光ビー
ムに整形して第2光学部品の出射面から出射することを
特徴としている。
【0014】上記の構成によれば、一様の断面のレーザ
光ビームをそのほぼ全ての光を使用して環状断面レーザ
光ビームに整形するので、レーザ光ビームの中央部に覆
いを設けてその部分の光を遮ることにより環状断面レー
ザ光ビームに整形する従来の構成と比較して、十分な光
量の環状断面レーザ光ビームを得ることができる。した
がって、この環状断面レーザ光ビーム生成器は、環状断
面レーザ光ビームを使用する多光子顕微鏡に好適なもの
となる。
【0015】さらに、第2光学部品から出射される環状
断面レーザ光ビームの直径が、第1光学部品と第2光学
部品との距離に応じて変化するので、所望の直径を有す
る環状断面レーザ光ビームを容易に得ることができる。
【0016】上記の環状断面レーザ光ビーム生成器は、
第1光学部品と第2光学部品との光軸方向における距離
を変更可能である構成としてもよい。
【0017】上記の構成によれば、第1光学部品と第2
光学部品との光軸方向における距離を調整することによ
り、環状断面レーザ光ビームの直径を適宜変更すること
ができる。これにより、適宜視野深度の変更が可能とな
る。
【0018】本発明の多光子顕微鏡は、一様断面のレー
ザ光ビームを発生するレーザ光ビーム発生手段と、レー
ザ光ビームを試料に集光させる対物レンズとを備えると
ともに、これらレーザ光ビーム発生手段と対物レンズと
の間の光路に、前記何れかの環状断面レーザ光ビーム生
成器を備えていることを特徴としている。
【0019】上記の構成によれば、下記のように、これ
までの理論的な限界を超えた高い解像能を得ることがで
き、かつ観察対象(試料)が光軸方向に多少移動した場
合であっても、観察対象を追いかけることなく、観察を
続行することができる。
【0020】環状断面の光ビームをレンズで集光した場
合、一様な断面の光ビームをレンズで集光した場合と比
較して、焦点面での光軸と垂直な方向の強度分布は、中
央の強度が大きい部分の領域が狭くなり、その周辺に比
較的強度の大きいフリンジが生じる。このフリンジのた
め、環状断面の光ビームは、線形吸収による励起を行う
通常の顕微鏡の照射光として使用することができない。
一方、多光子顕微鏡では、非線形吸収による励起を行う
ため、上記フリンジが障害にならない。
【0021】即ち、多光子顕微鏡では、1個の蛍光物質
がn(=2,3,・・)個の光子を同時に吸収するた
め、吸収効率が照射光強度のn乗に比例する。したがっ
て、蛍光の発光の分布は、上記中央部分がより細くな
り、周辺のフリンジは相対的に小さくなり無視できるよ
うになる。
【0022】これにより、環状断面レーザ光ビーム生成
器を備え、環状断面レーザ光ビームを使用する多光子顕
微鏡において、環状断面レーザ光ビームを集光した場合
の光軸に垂直な面内の強度分布は、一様断面の光ビーム
を集光した場合よりも狭くなる。その上、非線形吸収で
の励起により励起領域すなわち蛍光発光領域がさらに狭
くなる。この結果、これまでの理論的な限界を超えた高
い解像能を得ることができる。
【0023】また、集光された環状断面レーザ光ビーム
の光軸方向の強度分布は、集光された一様断面レーザ光
ビームの光軸方向の強度分布よりも広がりが大きくな
る。これにより、環状断面レーザ光ビームを使用する多
光子顕微鏡では、光軸方向の分解能が低下するものの、
照射領域の光軸方向に広がりがあるため、観察対象(試
料)が光軸方向に多少移動した場合であっても、観察対
象を追いかけることなく、また観察対象を見逃すことな
く、観察を続行することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態を図1ないし図4に基づいて以下に説明する。本
実施の形態の多光子顕微鏡は、非常に高い解像能を有す
る超解像多光子顕微鏡であり、図1に示すように、フェ
ムト秒パルス赤外レーザ装置(レーザ光ビーム発生手
段)1、反射鏡3、環状断面レーザ光ビーム生成器12、
走査器4、ダイクロイックミラー5、対物レンズ6、光路
切り替えミラー8、接眼部9および光検出器10を備え
ている。
【0025】フェムト秒パルス赤外レーザ装置1として
は、例えばSpecraPhysics社製のものを使用可能であ
る。その装置は、ダイオードレーザ2個(波長800n
m,出力2×12W)、Nd:YVO4レーザMillenni
a (波長532nm,出力5W)、チタンサファイアレー
ザTsunamiにより構成されている。このフェムト秒パル
ス赤外レーザ装置1は、例えば、波長が600−105
0nmの範囲で可変であり、出力700mW、パルス幅
100フェムト秒、繰り返し80MHzのフェムト秒パ
ルス赤外レーザを出射する。
【0026】環状断面レーザ光ビーム生成器12は、図
2および図3に示すように、入射面12aが凹円錐面と
なっており、出射面12bが凸円錐面となっているほぼ
円盤形状を有する。これら入射面12aの凹円錐面と出
射面12bの凸円錐面とは、例えば、斜辺の長さおよび
角度が同一の円錐形となっている。この環状断面レーザ
光ビーム生成器12は、ガラス等の高誘電率の透明材質
からなる。
【0027】環状断面レーザ光ビーム生成器12では、
入射面12aから入射したパルスレーザ光ビーム2、即
ち円形の一様断面のレーザ光ビームを中空状の円形の環
状断面レーザ光ビーム13に整形し、出射面12bから
出射する。この場合、入射面12aは、パルスレーザ光
ビーム2をその光軸に対して斜め外方に広がる環状のレ
ーザ光ビームに整形し、出射面12bは、このレーザ光
ビームを光軸に対して平行な環状のレーザ光ビームに整
形する。
【0028】また、ほぼ円盤形状の環状断面レーザ光ビ
ーム生成器12は、その中心軸がパルスレーザ光ビーム
2の光軸と一致するように配されることにより、即ち入
射面12aにおける凹円錐面の頂部および出射面12b
における凸円錐面の頂部がパルスレーザ光ビーム2の光
軸と一致するように配されることにより、周方向におい
て均一な円形環状の環状断面レーザ光ビーム13が得ら
れる。
【0029】走査器4は、試料11に対する環状断面レ
ーザ光ビーム13の照射位置を、X,Y方向において変
化させるためのものである。対物レンズ6は、入射した
環状断面レーザ光ビーム13を試料11に集光させると
ともに、試料11からの蛍光7を集めてダイクロイック
ミラー5方向へ導く。光路切り替えミラー8は、蛍光7
の光路上に配される位置と光路から退避する位置とに移
動可能となっている。光検出器10は、入射した蛍光7
を電気信号に変換し、コンピュータ(図示せず)に出力
する。
【0030】上記の構成において、フェムト秒パルス赤
外レーザ装置1を出射したパルスレーザ光ビーム2は、
反射鏡3にて折り曲げられ、環状断面レーザ光ビーム生
成器12にて環状断面レーザ光ビーム13に整形され
る。この環状断面レーザ光ビーム13は、走査器4にて
X,Y方向に適宜進行方向を振られ、ダイクロイックミ
ラー5にて試料11方向へ反射され、対物レンズ6にて
試料11に集光され、試料11に含まれる蛍光物質を励
起する。
【0031】これにより、蛍光物質から出射した蛍光7
は、対物レンズ6にて集められ、光路切り替えミラー8
により反射されて接眼部9に送られ、肉眼により観察さ
れる。あるいは、光路切り替えミラー108を光路から
待避させることにより、光検出器110に送られた後、
コンピュータに取り込まれるとともに、モニター上にて
像として観察される。
【0032】上記構成の多光子顕微鏡では、環状断面レ
ーザ光ビーム生成器12を備え、この環状断面レーザ光
ビーム生成器12により整形した環状断面レーザ光ビー
ム13を試料11に照射するようにしている。したがっ
て、試料11に照射するレーザ光ビームのスポット径を
小さくして光軸方向と直交する方向の解像度を高めるこ
とができる。一方、光軸方向においては、その方向にお
ける試料11、例えば生きている生物試料の動きに対応
し、試料11が光軸方向に多少移動した場合であっても
試料11を追いかけることなく、観察を続行することが
できる。以下、その理由について説明する。
【0033】一様な断面を有するレーザ光ビーム(例え
ば断面が円形であり、その円形内において光量がほぼ一
様なレーザ光ビーム)をレンズで集光すると、焦点面
(光軸との直交方向)でのレーザ光ビームの強度分布
は、図4の曲線Aに示すものとなる。一方、例えば円形
の環状断面を有するレーザ光ビーム(環状断面レーザ光
ビーム13)を集光すると、焦点面での光ビームの強度
分布は、図4の曲線Bに示すものとなる。
【0034】この曲線Bの強度分布では、中央部分にお
いて曲線Aの強度分布よりも分布領域が狭くなっている
ものの、周辺部において比較的強度の大きいフリンジを
生じる。このため、環状断面のレーザ光ビームは、通
常、顕微鏡の照射光として用いられることはない。とこ
ろが、多光子顕微鏡では、曲線Bのような強度分布のレ
ーザ光ビームを使用した場合であっても、非線形吸収に
よる励起を行うため、周辺部の上記フリンジが障害にな
らない。
【0035】即ち、通常の蛍光顕微鏡等では線形吸収に
よって試料11が励起されるため、照射光の分布がその
まま蛍光の発光分布になる。したがって、環状断面の光
ビームの強度分布(曲線B)における前記フリンジが障
害となる。これに対して、多光子顕微鏡では、1個の蛍
光物質がn(=2,3,・・)個の光子を同時に吸収す
るため、吸収効率が照射光強度のn乗に比例する。した
がって、蛍光の発光の分布は、曲線Bをn乗した形にな
り、中央部分はより細くなり、周辺のフリンジは相対的
に小さくなり無視できるようになる。
【0036】このように、多光子顕微鏡において、試料
11に環状断面レーザ光ビーム13を集光させた場合に
は、環状断面レーザ光ビーム13の光軸に垂直な面内の
分布が、試料11に一様断面の光ビームを集光させた場
合よりも狭くなる。そして、解像度は、レーザ光が対物
レンズによって集光されるときのスポットのサイズに依
存する。その上、多光子顕微鏡では、非線形吸収により
試料11の励起を行うので、試料11での励起領域すな
わち蛍光発光領域がさらに狭くなる。これにより、本多
光子顕微鏡では、これまでの理論的な限界を超えた高い
解像能を得ることができる。
【0037】また、多光子顕微鏡において、試料11に
環状断面レーザ光ビーム13を集光させた場合の光軸方
向の強度分布は、一様断面の光ビームを集光させた場合
よりも光軸方向への広がりが大きくなる。これは、光軸
方向の分解能が低くなることを意味し、一般には忌避さ
れる。しかしながら、このような分解能の低下により、
光軸方向に観察対象である試料11(例えば生きている
生物試料)が多少移動した場合であっても、試料11を
追いかけることなく、観察を続行することができる。
【0038】また、従来の環状断面レーザ光ビーム生成
器では、光ビームの中央部に覆いを設けてその部分の光
ビームを遮り、通過可能な周辺部分の光ビームのみを使
用するものとなっており、この場合には、光強度が低下
し、光量不足を来たしていた。これに対し、環状断面レ
ーザ光ビーム生成器12では、入射光のほぼ全てを使用
して環状断面レーザ光ビーム13を整形するので、上記
のような問題が生じない。
【0039】〔実施の形態2〕本発明の実施の他の形態
を図5から図7に基づいて以下に説明する。本実施の形
態の多光子顕微鏡は、図5に示すように、図1に示した
環状断面レーザ光ビーム生成器12に代えて環状断面レ
ーザ光ビーム生成器21を備えたものとなっている。
【0040】この環状断面レーザ光ビーム生成器21
は、パルスレーザ光ビーム2の入射側位置に配される第
1光学部品22と出射側位置に配される第2光学部品2
3とを備えている。これら第1および第2光学部品2
2、23は、図6(a)(b)および図7に示すよう
に、ほぼ円盤形状をなし、第1光学部品22は、入射面
22aが平面となっており、出射面22bが凹円錐面と
なっている。第2光学部品23は、入射面23aが凸円
錐面となっており、出射面23bが平面となっている。
【0041】第1光学部品22の出射面22bにおける
凹円錐面と第2光学部品23の入射面23aにおける凸
円錐面とは、例えば、斜辺の長さおよび角度が同一の円
錐形となっている。この環状断面レーザ光ビーム生成器
21は、前記環状断面レーザ光ビーム生成器12と同
様、ガラス等の高誘電率の透明材質からなる。
【0042】環状断面レーザ光ビーム生成器21では、
第1光学部品22の入射面22aから入射したパルスレ
ーザ光ビーム2、例えば円形の一様断面のレーザ光ビー
ムが中空状の円形の環状断面レーザ光ビーム13に整形
されて、第2光学部品23の出射面23bから出射す
る。この場合、第1光学部品22(出射面22b)は、
パルスレーザ光ビーム2をその光軸に対して斜め外方に
広がる環状のレーザ光ビームに整形し、第2光学部品2
3(入射面23a)は、第1光学部品22から入射した
レーザ光ビームを光軸に対して平行な環状のレーザ光ビ
ームに整形する。
【0043】環状断面レーザ光ビーム生成器21では、
第1光学部品22と第2光学部品23との少なくとも一
方を移動させることにより、両者の光軸方向における間
隔を調整可能となっており、上記間隔を調整することに
より、環状断面レーザ光ビーム13の直径を調整可能と
なっている。
【0044】具体的には、図6(a)に示すように、例
えば第1光学部品22の入射面22aから第2光学部品
23の出射面23bまでの距離LがL1である場合、環
状断面レーザ光ビーム13の直径DはD1となる。一
方、図6(b)に示すように、上記距離LをL2(L2
>L1)に変更した場合、環状断面レーザ光ビーム13
の直径DはD1からD2(D2>D1)に変化する。
【0045】また、ほぼ円盤形状の第1光学部品22お
よび第2光学部品23からなる環状断面レーザ光ビーム
生成器21は、環状断面レーザ光ビーム生成器12と同
様、その中心軸がパルスレーザ光ビーム2の光軸と一致
するように配されることにより、即ち第1光学部品22
の出射面22bにおける凹円錐面の頂部および第2光学
部品23の入射面23aにおける凸円錐面の頂部がパル
スレーザ光ビーム2の光軸と一致するように配されるこ
とにより、周方向において均一な円形環状の環状断面レ
ーザ光ビーム13が得られる。
【0046】上記のように、本実施の形態の多光子顕微
鏡では、環状断面レーザ光ビーム生成器21において環
状断面レーザ光ビーム13の直径を変更可能であるの
で、環状断面レーザ光ビーム生成器12を備えた前期多
光子顕微鏡の機能に加えて、適宜視野深度を変更するこ
とができる。
【0047】また、環状断面レーザ光ビーム生成器1
2、21は、多光子顕微鏡のみならず、一般のレーザ光
ビーム走査型共焦点顕微鏡にも組み込むことが可能であ
り、その顕微鏡においても超解像を得ることができる。
【0048】さらに、環状断面レーザ光ビーム生成器1
2、21は、入射ビームの光強度を無駄なく利用するリ
ング照明装置としても使用することができる。
【0049】
【発明の効果】以上のように、本発明の環状断面レーザ
光ビーム生成器は、凹円錐面からなる入射面と凸円錐面
からなる出射面とを有し、前記入射面から入射した一様
断面のレーザ光ビームを環状断面レーザ光ビームに整形
して前記出射面から出射する構成である。
【0050】これにより、一様断面のレーザ光ビームを
そのほぼ全ての光を使用して環状断面レーザ光ビームに
整形するので、十分な光量の環状断面レーザ光ビームを
得ることができる。この結果、環状断面レーザ光ビーム
を使用する多光子顕微鏡に好適なものとなる。
【0051】また、本発明の環状断面レーザ光ビーム生
成器は、平面からなる入射面および凹円錐面からなる出
射面を有する第1光学部品と、凸円錐面からなる入射面
および平面からなる出射面を有する第2光学部品とを備
え、入射光における光軸方向の入射側位置に第1光学部
品が設けられ、出射側位置に第2光学部品が設けられ、
第1光学部品の入射面から入射した一様断面のレーザ光
ビームを環状断面レーザ光ビームに整形して第2光学部
品の出射面から出射する構成である。
【0052】これにより、一様断面のレーザ光ビームを
そのほぼ全ての光を使用して環状断面レーザ光ビームに
整形するので、十分な光量の環状断面レーザ光ビームを
得ることができる。この結果、環状断面レーザ光ビーム
を使用する多光子顕微鏡に好適なものとなる。
【0053】さらに、第2光学部品から出射される環状
断面レーザ光ビームの直径が、第1光学部品と第2光学
部品との距離に応じて変化するので、所望の直径を有す
る環状断面レーザ光ビームを容易に得ることができる。
【0054】上記の環状断面レーザ光ビーム生成器は、
第1光学部品と第2光学部品との光軸方向における距離
を変更可能である構成としてもよい。
【0055】上記の構成によれば、第1光学部品と第2
光学部品との光軸方向における距離を調整することによ
り、環状断面レーザ光ビームの直径を適宜変更すること
ができる。これにより、適宜視野深度の変更が可能とな
る。
【0056】本発明の多光子顕微鏡は、一様断面のレー
ザ光ビームを発生するレーザ光ビーム発生手段と、レー
ザ光ビームを試料に集光させる対物レンズとを備えると
ともに、これらレーザ光ビーム発生手段と対物レンズと
の間の光路に、前記何れかの環状断面レーザ光ビーム生
成器を備えている構成である。
【0057】環状断面レーザ光ビーム生成器を備え、環
状断面レーザ光ビームを使用する多光子顕微鏡におい
て、環状断面レーザ光ビームを集光した場合の光軸に垂
直な面内の強度分布は、円形の一様断面の光ビームを集
光した場合よりも狭くなる。その上、非線形吸収での励
起により励起領域すなわち蛍光発光領域がさらに狭くな
る。この結果、これまでの理論的な限界を超えた高い解
像能を得ることができる。
【0058】また、集光された環状断面光ビームの光軸
方向の強度分布は、集光された一様断面光ビームの光軸
方向の強度分布よりも広がりが大きくなる。これによ
り、環状断面レーザ光ビームを使用する多光子顕微鏡で
は、光軸方向の分解能が低下するものの、照射領域の光
軸方向に広がりがあるため、観察対象(試料)が光軸方
向に多少移動した場合であっても、観察対象を追いかけ
ることなく、また観察対象を見逃すことなく、観察を続
行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態における多光子顕微鏡の
構成を示す概略の模式図である。
【図2】図1に示した環状断面レーザ光ビーム生成器に
おける、環状断面レーザ光ビームの整形動作を説明する
縦断面図である。
【図3】図1に示した環状断面レーザ光ビーム生成器の
斜視図である。
【図4】レーザ光ビームを試料に集光した場合の強度分
布を示すグラフであって、一様な断面を有するレーザ光
ビームの強度分布(曲線A)および環状断面を有するレ
ーザ光ビームの強度分布(曲線B)を示すものである。
【図5】本発明の実施の他の形態における多光子顕微鏡
の構成を示す概略の模式図である。
【図6】図6(a)は、図5に示した環状断面レーザ光
ビーム生成器における、第1光学部品と第2光学部品と
の距離が狭い場合の環状断面レーザ光ビームの整形動作
を説明する縦断面図、図6(b)は、第1光学部品と第
2光学部品との距離が広い場合の同縦断面図である。
【図7】図5に示した環状断面レーザ光ビーム生成器の
斜視図である。
【図8】従来の多光子顕微鏡の構成を示す概略の模式図
である。
【符合の説明】
1 フェムト秒パルス赤外レーザ装置(レーザ光ビ
ーム発生手段) 2 パルスレーザビーム 3 反射鏡 4 走査器 5 ダイクロイックミラー 6 対物レンズ 7 蛍光 8 光路切り替えミラー 11 試料 12 環状断面レーザ光ビーム生成器 12a 入射面 12b 出射面 13 環状断面レーザ光ビーム 21 環状断面レーザ光ビーム生成器 22 第1光学部品 22a,23a 入射面 22b,23b 出射面 23 第2光学部品

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】凹円錐面からなる入射面と凸円錐面からな
    る出射面とを有し、前記入射面から入射した一様断面の
    レーザ光ビームを環状断面レーザ光ビームに整形して前
    記出射面から出射することを特徴とする環状断面レーザ
    光ビーム生成器。
  2. 【請求項2】平面からなる入射面および凹円錐面からな
    る出射面を有する第1光学部品と、凸円錐面からなる入
    射面および平面からなる出射面を有する第2光学部品と
    を備え、入射光における光軸方向の入射側位置に第1光
    学部品が設けられ、出射側位置に第2光学部品が設けら
    れ、第1光学部品の入射面から入射した一様断面のレー
    ザ光ビームを環状断面レーザ光ビームに整形して第2光
    学部品の出射面から出射することを特徴とする環状断面
    レーザ光ビーム生成器。
  3. 【請求項3】第1光学部品と第2光学部品との光軸方向
    における距離を変更可能であることを特徴とする請求項
    2に記載の環状断面レーザ光ビーム生成器。
  4. 【請求項4】一様断面のレーザ光ビームを発生するレー
    ザ光ビーム発生手段と、レーザ光ビームを試料に集光さ
    せる対物レンズとを備えるとともに、これらレーザ光ビ
    ーム発生手段と対物レンズとの間の光路に、請求項1か
    ら3の何れか1項に記載の環状断面レーザ光ビーム生成
    器を備えていることを特徴とする多光子顕微鏡。
JP2002151504A 2002-05-24 2002-05-24 環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡 Pending JP2003344285A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002151504A JP2003344285A (ja) 2002-05-24 2002-05-24 環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002151504A JP2003344285A (ja) 2002-05-24 2002-05-24 環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003344285A true JP2003344285A (ja) 2003-12-03

Family

ID=29769085

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002151504A Pending JP2003344285A (ja) 2002-05-24 2002-05-24 環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003344285A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275794A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Toshiba Corp 分析装置
CN102933953A (zh) * 2010-06-04 2013-02-13 赫姆洛克半导体公司 使用侧向光致发光测量半导体材料的遗漏杂质的方法
JP2016135316A (ja) * 2009-05-05 2016-07-28 ルミト・アーベー 散乱媒体の拡散ルミネセンスイメージングまたは断層撮影の改善のためのシステム、方法、およびルミネセンスマーカー
DE102015119737A1 (de) * 2015-11-16 2017-05-18 Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt e.V. Strahlformungseinrichtung
JP2018197881A (ja) * 2018-09-06 2018-12-13 浜松ホトニクス株式会社 誘導放射抑制顕微鏡装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006275794A (ja) * 2005-03-29 2006-10-12 Toshiba Corp 分析装置
JP4621524B2 (ja) * 2005-03-29 2011-01-26 株式会社東芝 分析装置
JP2016135316A (ja) * 2009-05-05 2016-07-28 ルミト・アーベー 散乱媒体の拡散ルミネセンスイメージングまたは断層撮影の改善のためのシステム、方法、およびルミネセンスマーカー
JP2018128470A (ja) * 2009-05-05 2018-08-16 ルミト・アーベー 散乱媒体の拡散ルミネセンスイメージングまたは断層撮影の改善のためのシステム、方法、およびルミネセンスマーカー
CN102933953A (zh) * 2010-06-04 2013-02-13 赫姆洛克半导体公司 使用侧向光致发光测量半导体材料的遗漏杂质的方法
US9261464B2 (en) 2010-06-04 2016-02-16 Hemlock Semiconductor Corporation Applying edge-on photoluminescence to measure bulk impurities of semiconductor materials
DE102015119737A1 (de) * 2015-11-16 2017-05-18 Deutsches Zentrum für Luft- und Raumfahrt e.V. Strahlformungseinrichtung
JP2018197881A (ja) * 2018-09-06 2018-12-13 浜松ホトニクス株式会社 誘導放射抑制顕微鏡装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU744136B2 (en) Signal enhancement for fluorescence microscopy
US7218446B2 (en) Imaging system having a fine focus
EP0500717B2 (en) Two-photon laser scanning microscopy
US6088097A (en) Point-scanning luminescent microscope
US5952668A (en) Resolution in microscopy and microlithography
US7755063B2 (en) Superresolution in microlithography and fluorescence microscopy
US5796112A (en) Laser scanning optical system and laser scanning optical apparatus
JP5547868B2 (ja) 顕微鏡系およびこれを用いた方法
US7071477B2 (en) Superresolution in microlithography and fluorescence microscopy
JP6145250B2 (ja) 走査顕微鏡および対象物を光学顕微鏡で結像させるための方法
US7474462B2 (en) Microscope with evanescent wave illumination
JP2007538289A (ja) 共焦点励起平面を有した広視野多光子顕微鏡のための方法およびシステム
JP4920918B2 (ja) 位相フィルタ、光学装置及びラスタ顕微鏡
JP2013545997A (ja) 断層撮影イメージを記録するための技術
JP2003028795A (ja) 試料検査方法及び走査型顕微鏡
WO2018011583A2 (en) Scanning microsphere lens nanoscope
US20040263959A1 (en) Scanning beam optical imaging system for macroscopic imaging of an object
US9229207B2 (en) Laser scanning microscope with focus-detecting unit
US20050111089A1 (en) Superresolving microscopy apparatus
JP2003344777A (ja) 光ファイバ顕微鏡および内視鏡
JP2003344285A (ja) 環状断面レーザ光ビーム生成器および多光子顕微鏡
KR101080382B1 (ko) 공초점 레이저 주사 현미경
JP2000227556A (ja) 顕微鏡
JP5652310B2 (ja) 顕微鏡装置
JP2010286799A (ja) 走査型顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040303

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050516

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20050516

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A977 Report on retrieval

Effective date: 20060914

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060919

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070130

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02