JP2003343338A - 自動適合用ノック自動検出装置 - Google Patents
自動適合用ノック自動検出装置Info
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Abstract
狙いのノックレベルを自動検出可能にして、自動適合を
可能にした自動適合用ノック自動検出装置を提供するこ
と。 【解決手段】 各気筒のブロック振動センサ出力を、気
筒毎にノックサイクルとノイズサイクルに分けて抽出す
る(S1300)。抽出した任意サイクル分の各ブロッ
ク振動センサ出力をFFT処理して1ノックサイクル毎
のFFT結果aと1ノイズサイクル毎のFFT結果t-
bを計算する(S1400)。各ノックサイクルに対し
て、そのサイクル以前でかつ前回の判定結果「ノック」
以降のノイズサイクル全てのFFT結果t-bの加算平
均値bを算出する(S1500)。S1600で差分
(a−b)に基づきノックサイクル毎にノック強度ci
を算出し、S1700で任意サイクルのノックレベルを
算出する。
Description
期等を自動適合する装置に適用される自動適合用ノック
自動検出装置に関する。
生するノック波形の周波数(ノック周波数)は、エンジ
ン毎に異なり、シリンダのボア径で決まる。そのため、
筒内圧センサの出力或いはブロック振動センサの出力か
らノック波形を抽出するのにバンドパスフィルタ等のフ
ィルタを使う方法が主流である。
ジンのシリンダブロックに直接取り付けるタイプの非共
振或いは共振型ブロック振動センサでノックを検出する
場合、機械ノイズ等のノック以外の振動成分とノックに
よる振動発生成分とを分離しなければならない。このた
め、事前に、ノック周波数の選定と、その周波数に応じ
たフィルタ中心波長をもつバンドパスフィルタの設定
(共振型のセンサはセンサそのものの設定)と、センサ
出力と比較されるノック判定のしきい値の設定とを行な
う必要がある。なぜなら、ブロック振動センサでは、シ
リンダブロックに伝わるあらゆる振動を拾ってしまうた
め、ノック振動のみを分離する必要があるが、ノック周
波数はエンジン毎に異なるとともに、機械ノイズの発生
周波数も異なるからである。
の設定や前記しきい値の設定をする際には、まずはその
エンジンで実際に聴覚で聞えるノックを発生させて、そ
の時のセンサ出力のFFT解析によりノック共振周波数
がどこに有るのかを特定する必要がある。しかし、ノッ
ク共振周波数には機械ノイズ周波数のピークが重なるこ
とも有り得るため、必ずしもS/Nが良いとは限らな
い。したがって、ノック判定のためのしきい値も一義的
には決まらず、エンジン毎の適合が必要となる。
ラグ一体型の筒内圧センサでノックを検出する場合、筒
内圧最大値の直後に発生するノック特有の圧力振動を捕
らえることにより、機械ノイズ等とは無縁でノック検出
が可能になる。しかし、あくまでも筒内で発生している
ノック起因の異常燃焼を捕らえてしまうため、ノックに
よる圧力振動がシリンダブロックやシリンダヘッドを伝
わって外部へ振動音を伝えているとは限らず、聴感で捕
らえるノックとは強度、頻度共に合わない。これは、筒
内圧では逆にエンジンの機械振動を取り込まないため、
ノックがこれらバックグラウンドノイズにかき消される
分まで検出してしまっているからである。これをしきい
値等を設定して聴感と合わせようとすると、結局人間に
よる合わせ込みが必要となってしまう。
値、VVT進角等を自動適合化する場合、そのエンジン
での最適燃費、最適出力、最適エミッション性能を求め
たい。このため、狙いの点火時期は、MBT(Minimum
advance for the Best Torque)かMBTより遅角側で
ノックが発生する場合は、聴感上許容可能なノックレベ
ルとなる。前記各適合を自動的に求めようとした場合、
ノック検出を自動で行なうことが必須となるが、現状の
ノック制御(KCS制御)では、ノックを検出させるた
めに人間による合わせ込みが必須である。
うとした際に、エンジン損傷防止も含めて狙いのノック
レベルを検出しようとした場合には、ブロック振動セン
サ、筒内圧センサ共に、各々単体では完全自動化は不可
能である。
してなされたもので、その目的は、内燃機関の点火時期
等を自動適合する際に、狙いのノックレベルを自動検出
可能にして、自動適合を可能にした自動適合用ノック自
動検出装置を提供することにある。
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1に係る発明は、内燃機関の点火時期等を自動適合す
る装置に適用され、各気筒の筒内圧センサ出力を高周波
サンプリングした筒内圧データに基づき気筒毎およびサ
イクル毎にノックかノイズの判定をするノック判定手段
を備える自動適合用ノック自動検出装置であって、前記
各気筒の筒内圧センサ出力と同時計測する各気筒のブロ
ック振動センサ出力を、前記ノック判定手段によりノッ
ク有りと判定されたノックサイクルとノック無しと判定
されたノイズサイクルに分けて抽出する振動センサ出力
抽出手段と、前記ノックサイクルと前記ノイズサイクル
に分けて抽出した各気筒のブロック振動センサ出力をそ
れぞれFFT処理して1ノックサイクル毎のFFT結果
(a)と1ノイズサイクル毎のFFT結果(t -b)を
算出するFFT処理手段と、各ノックサイクルに対し
て、そのノックサイクルと前回ノックと判定されたノッ
クサイクルとの間のノイズサイクル全ての前記FFT結
果(t-b)を加算平均したFFT加算平均値(b)を
算出する加算平均値算出手段と、前記FFT結果(a)
と前記FFT加算平均値(b)との差分に基づき、ノッ
クサイクル毎にノック強度を算出するノック強度算出手
段とを備えることを要旨とする。
出力と同時に各気筒のブロック振動センサ出力を計測す
ることで、筒内圧情報をもとにノック有り無しの層別を
自動的に行なうことができる。すなわち、人間の聴感で
ノック判定をする必要がない。
グラウンドノイズ以上の振動が含まれていれば、間違い
なく音としてノックが発生していることになる。このよ
うなノックの強度を、各ノックサイクルのFFT結果a
とFFT加算平均値bとの差分に基づき、ノックサイク
ル毎に算出することができる。すなわち、そのFFT加
算平均値bは、各ノックサイクルに対して、そのノック
サイクルと前回「ノック」と判定されたノックサイクル
との間のノイズサイクル全てのFFT結果t-bを加算
平均した値であり、これらノイズサイクル全てのバック
グラウンドレベルを表している。各ノックサイクルのF
FT結果aとそのノックサイクルに対して算出したバッ
クグラウンドレベルとの差分(a−b)に基づいて、ノ
ック強度をノックサイクル毎に算出することができる。
その結果、人間の聴感でノック判定する場合は、ある一
定時間エンジン近傍で音を聞き、その時のバックグラウ
ンド音とノック音を聞き分けてノックレベルを決定す
る。この場合、人による差や、聞く方向の違いにより、
レベルが異なってしまうが、こうした自動適合をする上
で妨げとなる要因を排除できる。したがって、内燃機関
の点火時期等を自動適合する際に、狙いのノックレベル
を自動検出可能になり、点火時期等の自動適合が可能に
なる。
毎にノック強度を算出するのに、FFT結果aとFFT
加算平均値b(バックグラウンドレベル)の差分(a−
b)をノックとしている。これにより、各ブロック振動
センサ出力にバックグラウンドノイズ以上の振動が含ま
れていれば、間違いなく音としてノックが発生している
ことになる。このようなシリンダヘッド、シリンダブロ
ックを通して外部へノック音として伝わるノックを、F
FT結果aとFFT加算平均値bの差分で表すことがで
きる。
自動適合用ノック自動検出装置において、前記ノック強
度算出手段は、前記差分を所定の周波数区間で積分して
ノックサイクル毎のノック強度を算出することを要旨と
する。
ノックレベルは聴感上許容可能なノックレベルであり、
このような狙いのノックレベルを自動検出するために
は、ノックレベルを定量的に扱う必要がある。聴感上許
容可能なノックレベルは、1回当たりに聞えるノック強
度とその頻度により決まる。そのうちのノック強度を算
出できる。つまり、ノックサイクル毎のノック強度を、
人間によりしきい値を設定することなく、前記差分を所
定の周波数区間で積分して求めることができる。
自動適合用ノック自動検出装置において、前記所定の周
波数区間は可聴帯であることを要旨とする。この構成に
よれば、シリンダブロックを通して外部へ音として伝わ
るノックの強度を算出することができる。
ずれか一項に記載の自動適合用ノック自動検出装置にお
いて、前記ノック強度算出手段により算出したノック強
度毎に任意サイクル中のノック頻度を算出するノック頻
度算出手段と、前記ノック強度と前記ノック頻度から任
意サイクルでのノックレベルを算出するノックレベル算
出手段とを備えることを要旨とする。
ック頻度を算出し、ノック強度とその頻度からノックレ
ベルを算出することで、任意サイクルでのノックレベル
を自動的に検出することができる。
自動適合用ノック自動検出装置において、前記ノック頻
度算出手段は、前記ノック強度を任意の強度段階に分け
て各段階の頻度を算出し、前記ノックレベル算出手段
は、前記ノック頻度算出手段により算出した頻度が最も
高い強度段階のノック強度を任意サイクルのノックレベ
ルと決定することを要旨とする。
に扱うことができ、聴感上許容可能なノックレベルを自
動的に検出することができる。
ック自動検出装置を具体化した一実施形態を図面に基づ
いて説明する。
動適合用ノック自動検出装置の全体構成を模式的に示し
ている。この自動適合用ノック自動検出装置は、エンジ
ンの点火時期、燃料増量値、VVT進角等を自動適合化
するための装置であり、筒内圧を利用してノックを自動
検出するものである。ここにいう「VVT」とは、エン
ジン21の吸気カムシャフト(図示略)のクランクシャ
フト(図示略)に対する相対角を連続的に変化させるた
めの可変バルブタイミング機構をいう。
2、ブロック振動センサ23、および筒内圧センサ24
が取り付けられている。筒内圧センサ24は、4気筒エ
ンジン21の各気筒に設けられている。クランク角セン
サ22は、クランクシャフトの1回転につき所定角度毎
(例えば15度毎)にパルス状の信号(クランク角信
号)を出力する。このクランク角信号は、各気筒の圧縮
上死点位置TDCを算出するのに用いられる。ブロック
振動センサ23は、各気筒のシリンダブロック(図示
略)に取り付けられており、各シリンダブロックに伝わ
る振動を検出し、ブロック振動センサ信号を出力する。
そして、各筒内圧センサ24は、気筒毎の筒内圧(燃焼
圧)をそれぞれ検出し、筒内圧信号を出力する。図12
は、各気筒の筒内圧センサ24の出力(筒内圧センサ出
力)が表す1/2サイクル分の筒内圧波形(指圧線)を
示している。この指圧線には、筒内圧が最大値Pmax
となる位置付近(破線65で囲んだ領域)に、ノック波
形が含まれている。
に「ノック自動検出装置」という。)は、増幅回路25
と、高速データ収録手段としての高速データロガー26
と、筒内圧解析用パソコン(パーソナルコンピュータ)
27とを備える。増幅回路25は、4つの気筒の各筒内
圧センサ24からそれぞれ出力される筒内圧センサ出力
を増幅して高速データロガー26に出力する。
より増幅された各筒内圧センサ出力を高周波サンプリン
グして、気筒毎およびサイクル毎に単位期間毎の筒内圧
データPdata[i]を収録する。なお、高速データ
ロガー26による高周波サンプリングは、時間ベースま
たはクランク角ベースのいずれでも良い。本実施形態で
は、高速データロガー26は、各筒内圧センサ出力(各
気筒の筒内圧波形)に含まれるノック波形(振動周波数
が12〜14KHz程度の振動成分)を精度良く解析し
て抽出するのに十分高い周波数、例えば200KHzで
各気筒の筒内圧センサ出力をサンプリングする。
圧センサ出力の他に、クランク角センサ22から出力さ
れるクランク角信号と、各気筒のブロック振動センサ2
3から出力されるブロック振動センサ信号(ブロック振
動センサ出力)とがそれぞれ入力されている。これによ
り、高速データロガー26は、デジタル信号にそれぞれ
変換したクランク角信号および各気筒のブロック振動セ
ンサ信号と、各気筒の筒内圧データPdata[i]と
を同期して筒内圧解析用パソコン27へ出力するように
なっている。
データロガー26にデータ計測指示を与えて、同データ
ロガーから各気筒の筒内圧データPdata[i]、各
気筒のブロック振動センサ信号、およびクランク角信号
のデータを任意サイクル分(例えば、100サイクル
分)一括して取り込むようになっている。
「ノックレベル算出処理」用のプログラムが組み込まれ
ている。このノックレベル算出処理では、各気筒の筒内
圧データとクランク角信号とに基づき、各筒内圧センサ
出力に含まれるノック波形等の振動成分の振幅相当量A
mp[i](図13に示す振動波形)を気筒毎およびサ
イクル毎に算出し、気筒毎およびサイクル毎にノック判
定を行なう。そして、各筒内圧センサ出力と同時計測の
各ブロック振動センサ出力に基づき、ノック強度とノッ
ク頻度を算出して現在の運転条件でのノックレベルを自
動的に検出する。
いて図2〜図15を参照して説明する。まず、図2に示
すフローチャートのステップS10で、エンジン21の
運転状態を定常状態に設定し、所定の運転条件および所
定の点火時期にてエンジン21を運転する。つまり、エ
ンジン21を、エンジン回転数、吸入空気量および空燃
比をそれぞれ一定に設定するとともに、点火時期を一定
値に設定して運転する。
タロガー26により気筒毎にそれぞれ収録された筒内圧
データPdata[i]とクランク角信号を、上記任意
サイクル分取り込む。ここで、高速データロガー26に
よる1サイクル当たりの筒内圧データのサンプリングデ
ータ数をsizeとすると、筒内圧データPdata
[i]は、i=0(吸気工程下死点付近の基準点で、ク
ランク角0度)〜i=size(クランク角720度)
である。また、筒内圧解析用パソコン27は、取り込ん
だクランク角信号に基づき、各気筒の圧縮上死点位置T
DCを算出する。
S100で取り込んだ各気筒の筒内圧データに基づき、
気筒毎およびサイクル毎に筒内圧最大値Pmaxとその
位置imaxを算出する。このステップS200が最大
値算出手段に相当する。
よびサイクル毎に、筒内圧波形(指圧線)の形から点火
時期の大遅角状態を検出する。具体的には、気筒毎およ
びサイクル毎に、ステップS200で算出した筒内圧最
大値Pmaxと圧縮上死点位置での筒内圧P[i=TD
C]との差が所定のしきい値を超えているか否かを判定
する。その差がしきい値を超えている場合には大遅角状
態ではないと判定されてステップS400に進み、その
差がしきい値以下の場合には、大遅角状態であると判定
されてステップS310に進み、分析を終了する。
S400に進むと、筒内圧データに基づき気筒毎および
サイクル毎に筒内圧最小値Pminとその位置imin
を算出する。
よびサイクル毎に指圧線全体の変曲点の数を算出する。
ここにいう、「指圧線全体」とは、1サイクルの指圧線
をいう。このステップS500では、図5に示すよう
に、ステップS400で算出した筒内圧最小値Pmin
とステップS100で算出した圧縮上死点位置での筒内
圧P[i=TDC]を比較し、両者が等しい場合には指
圧線全体の変曲点が1つであると判定し、そうでない場
合には変曲点が3つであると判定する。つまり、筒内圧
が圧縮上死点位置TDCの前後で上昇し続けて筒内圧最
大値Pmaxに達し、この位置imaxから筒内圧が下
降し続ける場合には、指圧線全体の変曲点が1つである
と判定される。この判定がなされると、ステップS51
0に進み、1つの変曲点の位置をimaxとして設定す
る。
値を持つ場合には、指圧線全体の変曲点が3つであると
判定される。この判定がなされると、ステップS520
に進み、3つの変曲点の位置をそれぞれTDC、imi
nおよびimaxとして設定する。なお、指圧線の圧縮
上死点位置TDC近傍に極大値(変曲点)ができる場合
には、その変曲点はTDCの近傍にできるので、TDC
をその変曲点に代えて1つの変曲点に設定している。こ
れにより、圧縮上死点位置TDC近傍の変曲点を算出す
る処理を省略でき、処理速度を早くすることができる。
全体の変曲点の数を算出した後、図2のステップS60
0に進む。このステップS600では、気筒毎およびサ
イクル毎に、筒内圧データPdata[i]に基づき筒
内圧波形(指圧線)に含まれる振動波形を抽出し、その
振動成分の振幅相当量Amp[i]を算出する。
ステップS600で実行される振幅相当量Amp[i]
の計算処理を図6および図7に基づいて説明する。上記
ステップS500で変曲点が1つと判定された場合、気
筒毎およびサイクル毎に、筒内圧Pの上昇中(0<i<
imax)と、筒内圧Pの下降中(imax<i<si
ze)とに分けて振幅相当量Amp[i]を計算する。
ータ数iが0〜imaxまでの筒内圧上昇中(0<i<
imax)、すなわち図12で筒内圧PがPmaxに達
するまでのクランク角区間では、上記ステップS510
から図6のステップS610に進み、同図に示す計算処
理を実行する。
〜imaxまでのクランク角区間で計算処理がなされる
ように、ゲートをかけている。すなわち、このステップ
S610では、最初にiを0に設定し、iがimaxに
なるまでの間、ステップS614以下の処理を繰り返し
つつ、データ数iを1ずつインクリメント(i←i+
1)する。
610の判定結果はYESになり、ステップS614に
進む。このステップS614では、筒内圧データの単位
期間当たりの変化量DLP[i](DLP[i]=Pd
ata[i]−Pdata[i−1])を算出し、DL
P[i]が負または0であるか否かを判定する。DLP
[i]が正の場合、すなわち筒内圧データの今回値Pd
ata[i]がその前回値Pdata[i−1]より大
きい場合、ステップS614の判定結果はNOになり、
ステップS616に進み、振幅相当量Amp[i]およ
びt-ampを共に0に設定する。
データのデータ数iを1だけインクリメントし(i←i
+1)、iがimaxより小さいか否かを判定する。i
<imaxでかつDLP[i]が正の間は、ステップS
610の判定結果はYESでかつステップS614の判
定結果はNOであるので、ステップS610,S614
およびS616が繰り返し実行される。その間、ステッ
プS610でデータ数iが1ずつインクリメントされて
いくとともに、Amp[i]およびt-ampは共に0
のままに維持される。
よびS616が繰り返される間に、図10の符号90で
示すように筒内圧が低下すると、筒内圧データの今回値
DLP[i]がその前回値Pdata[i−1]より小
さくなり、DLP[i]が負になるので、ステップS6
14からステップS618に進む。
DLP[i]の加算値をt-ampとして設定する。こ
のとき、t-ampは上記ステップS616で0に設定
されているので、このステップS618で設定されるt
-ampはDLP[i]に等しい。
データの今回値と次回値の変化量DLP[i+1](D
LP[i+1]=Pdata[i+1]−Pdata
[i])が正であるか否かを判定する。図10の区間9
0で示すようにその変化量DLP[i+1]が負の場合
には、ステップS622に進み、振幅相当量Amp
[i]を0に維持する。
プS614に進む。このとき、ステップS614では、
前回算出した変化量DLP[i]よりデータ数が1つ増
えたデータ数iの筒内圧データ(今回値)とその前回値
の変化量DLP[i]を算出し、その変化量が負または
0であるか否かについて判定する。つまり、図10の区
間90で、DLP[i+1]が負または0であるか否か
を判定する。DLP[i+1]は負であるので、ステッ
プS614の判定結果はYESになり、ステップS61
8に進む。このとき、t-amp=DLP[i]である
ので、ステップS618で設定されるt-ampはDL
P[i]にDLP[i+1]を加算した値に設定され
る。
データの今回値と次回値の変化量DLP[i+1]が正
であるか否かを判定する。ここでは、図10の場合でい
うと、その今回値に相当する区間90のi+1位置の筒
内圧と、その次回値であるi+2位置の筒内圧の変化量
が正であるか否かを判定する。同図の場合、筒内圧はi
+1位置からi+2位置の間で上昇に転じているので、
ステップS620の判定結果がYESになり、ステップ
S624に進む。
18で設定したt-amp(負の値)の絶対値を振幅相
当量Amp[i]として設定する。こうして、筒内圧上
昇中には(データ数iが0〜imaxまでのクランク角
区間では)、図10の区間90、91、92のように筒
内圧データの変化量DLP[i]が負である各区間内で
の同変化量の総和の絶対値を振幅相当量Amp[i]と
して算出する。
と、ステップS610の判定結果がNOになるので、ス
テップS612に進み、図6の計算処理を終了する。ま
た、i=imaxの位置では、変化量DLP[i]は0
に設定される。
筒毎およびサイクル毎に、筒内圧Pの下降中(imax
<i<size)に、図7の計算処理が実行される。筒
内圧データPdata[i]のデータ数iがimax〜
sizeまでの筒内圧下降中、すなわち図12で筒内圧
PがPmaxから低下し続けるクランク角区間では、上
記ステップS510から図7のステップS630に進
み、図7に示す計算処理を実行する。
max〜sizeまでのクランク角区間で計算処理がな
されるように、ゲートをかけている。すなわち、このス
テップS630では、最初にiをimax+1に設定
し、iがsizeになるまでの間、ステップS634以
下の処理を繰り返しつつ、データ数iを1ずつインクリ
メント(i←i+1)する。
630の判定結果はYESになり、ステップS634に
進む。このステップS634では、筒内圧データの単位
期間当たりの変化量DLP[i]を算出し、DLP
[i]が正または0であるか否かを判定する。DLP
[i]が負の場合、ステップS634の判定結果はNO
になり、ステップS636に進み、振幅相当量Amp
[i]およびt-ampを共に0に設定する。
データのデータ数iを1だけインクリメントし(i←i
+1)、iがsizeより小さいか否かを判定する。i
<sizeでかつDLP[i]が負の間は、ステップS
630の判定結果はYESでかつステップS634の判
定結果はNOであるので、ステップS630,S634
およびS636が繰り返し実行される。その間、ステッ
プS630でデータ数iが1ずつインクリメントされて
いくとともに、Amp[i]およびt-ampは共に0
のままに維持される。
よびS636が繰り返される間に、図11の符号95で
示すように筒内圧が上昇すると、筒内圧データの今回値
Pdata[i]がその前回値Pdata[i−1]よ
り大きくなり、DLP[i]が正になるので、ステップ
S634からステップS638に進む。
DLP[i]の加算値をt-ampとして設定する。こ
のとき、t-ampは上記ステップS636で0に設定
されているので、このステップS638で設定されるt
-ampはDLP[i]に等しい。
データの今回値と次回値の変化量DLP[i+1](D
LP[i+1]=Pdata[i+1]−Pdata
[i])が負であるか否かを判定する。図11の区間9
5で示すようにその変化量DLP[i+1]が正の場合
には、ステップS642に進み、振幅相当量Amp
[i]を0に維持する。
プS634に進む。このとき、ステップS634では、
前回算出した変化量DLP[i]よりデータ数が1つ増
えたデータ数iの筒内圧データ(今回値)とその前回値
の変化量DLP[i]を算出し、その変化量が正または
0であるか否かについて判定する。つまり、図11の区
間95で、DLP[i+1]が正または0であるか否か
を判定する。DLP[i+1]は正であるので、ステッ
プS634の判定結果はYESになり、ステップS63
8に進む。このとき、t-amp=DLP[i]である
ので、ステップS638で設定されるt-ampはDL
P[i]にDLP[i+1]を加算した値に設定され
る。
データの今回値と次回値の変化量DLP[i+1]が負
であるか否かを判定する。ここでは、図11の場合でい
うと、その今回値に相当する区間95のi+1位置の筒
内圧と、その次回値であるi+2位置の筒内圧の変化量
が負であるか否かを判定する。同図の場合、筒内圧はi
+1位置からi+2位置の間で下降に転じているので、
ステップS640の判定結果がYESになり、ステップ
S644に進む。
38で設定したt-amp( 正の値)を振幅相当量Amp
[i]として設定する。こうして、筒内圧下降中には
(データ数iがi〜sizeまでのクランク角区間で
は)、図11の区間94、95、96のように筒内圧デ
ータの変化量DLP[i]が正である各区間内での同変
化量の総和を振幅相当量Amp[i]として算出する。
そして、データ数iがsizeに達すると、ステップS
630の判定結果がNOになるので、ステップS632
に進み、図7の計算処理を終了する。
つの場合、気筒毎およびサイクル毎に、筒内圧データP
data[i]に基づき筒内圧波形(指圧線)に含まれ
る振動波形を抽出し、その振動成分の振幅相当量Amp
[i]を算出することができる。こうして気筒毎および
サイクル毎に算出される振幅相当量Amp[i]を、図
13で示してある。
が3と判定された場合に、ステップS600で実行され
る振幅相当量Amp[i]の計算処理について説明す
る。 (1)まず、筒内圧P上昇中のクランク角区間(0<i
<TDC)では、気筒毎およびサイクル毎に、筒内圧デ
ータの変化量DLP[i]が負である各区間内での同変
化量の総和の絶対値を振幅相当量Amp[i]として算
出する。
C)では、振幅相当量Amp[i]を0に設定する。 (3)次に、筒内圧P下降中のクランク角区間(TDC
<i<imin)では、気筒毎およびサイクル毎に、筒
内圧データの変化量DLP[i]が正である各区間内で
の同変化量の総和を振幅相当量Amp[i]として算出
する。
(i=imin)では、振幅相当量Amp[i]を0に
設定する。 (5)次に、筒内圧P上昇中のクランク角区間(imi
n<i<imax)では、気筒毎およびサイクル毎に、
筒内圧データの変化量DLP[i]が負である各区間内
での同変化量の総和の絶対値を振幅相当量Amp[i]
として算出する。
(i=imax)では、振幅相当量Amp[i]を0に
設定する。 (7)そして、筒内圧P下降中のクランク角区間(im
ax<i<size)では、気筒毎およびサイクル毎
に、筒内圧データの変化量DLP[i]が正である各区
間内での同変化量の総和を振幅相当量Amp[i]とし
て算出する。
つの場合、気筒毎およびサイクル毎に、筒内圧データP
data[i]に基づき筒内圧波形(指圧線)に含まれ
る振動波形を抽出し、図13で示すその振動成分の振幅
相当量Amp[i]を算出することができる。上記ステ
ップS600が振動成分抽出手段に相当する。
幅相当量Amp[i]を計算した後、図2のステップS
700に進む。このステップS700では、気筒毎およ
びサイクル毎に、1サイクル中の第1ゲート区間内での
振幅相当量Amp[i]の最大値Ampmaxを算出す
る。その第1ゲート区間は、図12で示すように、上記
ステップS200で算出したimax前後のα+βのク
ランク角区間である。
ャートに基づいて説明する。まず、ステップS710で
は、データ数iがimax−αからimax−βまでの
第1ゲート区間で計算処理がなされるように、ゲートを
かけている。すなわち、このステップS710では、最
初にiをimax−αに設定し、iがimax−βにな
るまでの間、ステップS710、S720およびS73
0の処理を繰り返しつつ、データ数iを1ずつインクリ
メント(i←i+1)する。
プS710の判定結果はYESになり、ステップS72
0に進む。このステップS720では、振幅相当量Am
p[i]の今回値が最大値Ampmaxを超えているか
否かを判定する。その今回値がAmpmax以下の場合
には、ステップS710に戻る。一方、その今回値がA
mpmaxを超えている場合には、ステップS720に
進み、振幅相当量Amp[i]の今回値をAmpmax
として設定する。この後、ステップS710に戻る。
imax−βまでの第1ゲート区間において、振幅相当
量Amp[i]の今回値が最大値Ampmaxを超える
度にその今回値でAmpmaxを更新していくことで、
第1ゲート区間内での最大値Ampmaxを算出する。
なお、上記ステップS700が、振幅最大値算出手段に
相当する。
気筒毎に、しきい値1としきい値2を設定する(図14
参照)。このステップS800では、ステップS700
で算出した最大値Ampmaxの任意サイクル(例えば
100サイクル)分の加算平均値と、その標準偏差σを
3倍した値との加算値(任意サイクル平均値+3σ)を
しきい値1として算出する。また、最大値Ampmax
の任意サイクル分の加算平均値(任意サイクル平均値)
をしきい値2として算出する。なお、このステップS8
00が、しきい値算出手段に相当する。
気筒毎およびサイクル毎にノック判定を行なう。このス
テップS900では、上記ステップS700で算出した
振幅相当量Amp[i]の最大値Ampmaxと、振動
成分の繰り返し性の有無とに基づき、気筒毎およびサイ
クル毎にノック判定を行なう。
イズ判定処理」)を図9のフローチャートに基づいて説
明する。まず、ステップS910では、ステップS70
0で算出した振幅相当量Amp[i]の最大値Ampm
axがステップS800で設定したしきい値1を超えて
いるか否かについて判定する。この判定結果がNOの場
合、すなわち最大値Ampmaxがしきい値1以下の場
合、ステップS960に進み、「ノイズ」と判定され
る。こうして、気筒毎に最大値Ampmaxがしきい値
1以下のサイクルについては、「ノイズ」と判定され
る。
Sの場合、すなわち最大値Ampmaxがしきい値1を
超えている場合には、振動が大きくノックである可能性
が高いので、次のステップ920に進む。このステップ
S920では、データ数iが最大値Ampmaxの位置
であるiampmaxからiampmax+γまでの第
2ゲート区間(図14参照)で計算処理がなされるよう
に、ゲートをかけている。すなわち、このステップS9
20では、最初にiをiampmaxに設定し、iがi
ampmax+γになるまでの間、ステップS920〜
S970の処理を繰り返しつつ、データ数iを1ずつイ
ンクリメント(i←i+1)する。
ステップS920の判定結果はYESになり、ステップ
S930に進む。このステップS930では、振幅相当
量Amp[i]の今回値がステップS800で設定した
しきい値2を超えているか否かを判定する。この判定結
果がNOの場合にはステップS920に戻る。一方、そ
の判定結果がYESの場合にはステップS940に進
む。
mp[i]がしきい値2を超える回数である振幅繰り返
し数Nを1だけインクリメントする。なお、ステップS
940では、iampmaxでの最大値Ampmaxを
含めて振幅繰り返し数Nをカウントする。つまり、図9
の処理が開始されたときのiampmaxの位置で、ス
テップS940において振幅繰り返し数Nが1に設定さ
れるようになっている。この後、ステップS920に戻
る。
での第2ゲート区間内に、最大値Ampmaxを含めて
振幅相当量Amp[i]がしきい値2を超えた振幅繰り
返し数Nをカウントする。
と、ステップS920の判定結果がNOになり、ステッ
プS950に進む。このステップS950では、ステッ
プS940で設定した振幅繰り返し数Nがしきい値3を
超えているか否かを判定する。振幅繰り返し数Nがしき
い値3以下の場合には、ステップS950の判定結果が
NOになり、上記ステップS960に進み、「ノイズ」
と判定される。すなわち、ノック無しサイクルであるノ
イズサイクルと判定される。一方、振幅繰り返し数Nが
しきい値3を超えている場合には、ステップS950の
判定結果がYESになり、ステップS970に進み、
「ノック」と判定される。すなわち、ノック有りサイク
ルであるノックサイクルと判定される。
件が成立したサイクルについては、「ノック」と判定さ
れる(ステップS970)。(条件1)図14で示すよ
うに、第1ゲート区間内での最大値Ampmaxがしき
い値1を超えている(ステップS910でYES)。
(条件2)第2ゲート区間内での振幅繰り返し数Nがし
きい値3を超えている(ステップS950でYES)。
すなわち、振動成分の繰り返し性が有ると判定される。
い値1以下(ステップS910でNO)となる各気筒の
サイクル、或いは振幅繰り返し数Nがしきい値3以下
(ステップS950でNO)となる各気筒のサイクル
は、いずれもノック無し、すなわち「ノイズ」(ノイズ
サイクル)と判定される。なお、上記ステップS900
が、ノック判定手段に相当する。
に進み、「ノイズ」と判定された場合には、図3のステ
ップS1000に進む。このステップS1000では、
図2の上記ステップS800で算出したしきい値1,し
きい値2を再計算する。すなわち、任意サイクルのうち
ステップS900でノック無しと判定されたノイズサイ
クルだけの最大値Ampmaxの加算平均値と、その標
準偏差σを3倍した値との加算値(「ノイズ」サイクル
のAmpmaxの平均値+3σ)をしきい値1として算
出する。また、ノイズサイクルだけの最大値Ampma
xの加算平均値(ノイズサイクルのAmpmaxの平均
値)をしきい値2として算出する。このステップS10
00も、しきい値設定手段に相当する。
い値の収束判定を行なう。すなわち、ステップS100
0で再計算したしきい値2の今回値が前回のしきい値2
(しきい値2の前回値)と同じになったか否かを判定す
る。しきい値2の今回値がその前回値と同じになるまで
は、ステップS900、S960およびS1000が繰
り返されるので、しきい値1,しきい値2がそれぞれ徐
々に下がっていく(図12参照)。また、その間にステ
ップS900の判定結果がYESになる場合には、ステ
ップS970に進み「ノック」と判定される。こうし
て、しきい値2の今回値がその前回値と同じになるまで
は、「ノック」と判定されるサイクルを除外しながら
(図15参照)、ノック無しと判定されたノイズサイク
ルだけの最大値Ampmaxの加算平均値とその標準偏
差σとに基づき両しきい値1,2が再計算される。
と同じになり、ステップS1100の判定結果がYES
になると、ステップS1200に進み、ステップS90
0〜S1100の繰り返し判定を終了する。これによ
り、気筒毎およびサイクル毎に「ノック」か「ノイズ」
の判定結果(k,cycle)=「ノック」OR「ノイ
ズ」が得られる。ここで、kは気筒番号であり、cyc
leはサイクル番号である。例えば、気筒#1の4サイ
クル目が「ノック」の場合には、(1,4)=「ノッ
ク」という判定結果が得られる。こうして、ステップS
1100の判定結果がYESになった時点でノック無し
と判定されていたサイクルが最終的に「ノイズ」とな
り、それ以外のサイクルは「ノック」となる。
進む。このステップS1300では、高速データロガー
26から取り込んだ各気筒のブロック振動センサ出力
(任意サイクル分のブロック振動データ)を、気筒毎に
ノックサイクルとノイズサイクルに分けて抽出する。つ
まり、このステップS1300では、上記ステップS1
200で得られた気筒毎およびサイクル毎の「ノック」
か「ノイズ」の判定結果に基づき、任意サイクル分の各
ブロック振動センサ出力をノックサイクルとノイズサイ
クルとに層別する。例えば、任意サイクルの2サイクル
目では、気筒#1,#3,#2の各ブロック振動センサ
出力はそれぞれノイズサイクル、気筒#4のブロック振
動センサ出力はノックサイクル、というように任意サイ
クル分のブロック振動データを層別する。なお、このス
テップS1300が、振動センサ出力抽出手段に相当す
る。
ステップS1400では、ノックサイクルとノイズサイ
クルに分けて抽出した任意サイクル分の各ブロック振動
センサ出力をそれぞれFFT処理する。これにより、1
ノックサイクル毎のパワースペクトル(FFT結果a)
と1ノイズサイクル毎のパワースペクトル(FFT結果
t-b)とが算出される。なお、このステップS140
0がFFT処理手段に相当する。
ステップS1500では、各ノックサイクルに対して、
そのノックサイクルと前回「ノック」と判定されたノッ
クサイクルとの間のノイズサイクル全ての前記FFT結
果t-bを加算平均したFFT加算平均値bを算出す
る。すなわち、各ノックサイクルに対して、そのサイク
ル以前でかつ前回の判定結果「ノック」以降のノイズサ
イクル全てのFFT結果t-bの加算平均値を算出す
る。
ックサイクルのFFT加算平均値をbiとすると、bi
は、(i−1)回目のノックサイクルと、i回目のノッ
クサイクルとの間のノイズサイクル全てのFFT結果t
-bを加算平均した値である。4気筒エンジンの判定結
果(ノック判定結果)およびbiの計算例をステップS
1500で示してある。ここでは、判定結果「ノイズ」
を×で、判定結果「ノック」を○でそれぞれ示してあ
る。また、ここでは、気筒#4の2サイクル目が1回目
のノックサイクルであり、気筒#4の3サイクル目が2
回目のノックサイクルであり、そして、気筒#3の5サ
イクル目が3回目のノックサイクルであることを示して
いる。また、ここでは、i回目のノックサイクルの前記
FFT結果をaiで、1回目のノックサイクルのFFT
結果をa1で、2回目のノックサイクルのFFT結果を
a2で、そして、3回目のノックサイクルのFFT結果
をa3でそれぞれ示している。
ノックサイクル以前のノイズサイクル全て、すなわち気
筒#1の1サイクル目から気筒#3の2サイクル目まで
のノイズサイクル全てのFFT結果t-bを加算平均し
たFFT加算平均値b1がステップS1500で算出さ
れる。同様に、2回目のノックサイクルに対しては、気
筒#2の2サイクル目から気筒#3の3サイクル目まで
のノイズサイクル全てのFFT結果t-bを加算平均し
たFFT加算平均値b2が算出される。また、3回目の
ノックサイクルに対しては、気筒#2の3サイクル目か
ら気筒#1の5サイクル目までのノイズサイクル全ての
FFT結果t-bを加算平均したFFT加算平均値b3
が算出される。
クサイクル毎に、(i−1)回目のノックサイクルとi
回目のノックサイクルとの間のバックグラウンドレベル
を表すi回目のノックサイクルのFFT結果biを算出
している。なお、このステップS1500が加算平均値
算出手段に相当する。
ステップS1600では、上記ステップS1500で算
出したi回目のノックサイクルのFFT結果aiと、i
回目のノックサイクルのFFT加算平均値をbiとの差
分(ai−bi)に基づき、ノックサイクル毎にノック
強度ciを算出する。すなわち、このステップS160
0では、差分(ai−bi)を所定の周波数区間で積分
してノックサイクル毎のノック強度を算出する。例え
ば、差分(ai−bi)をノック波形の振動周波数に相
当する12〜14KHz程度の可聴帯で積分する。な
お、このステップS1600がノック強度算出手段に相
当する。
ステップS1700では、任意サイクルのノックレベル
を、次の手順で算出する。 (1)まず、ステップS1600で算出したノック強度
ciに対して3つのしきい値A,B,Cを設け、ノック
強度を4領域に分割する(4つの強度段階に分ける)。
つまり、0<ci<しきい値Aの場合、ノック強度ci
はTK(トレースノック)であると判定する。また、し
きい値A≦ci<しきい値Bの場合、ノック強度ciは
小ノックであると判定する。また、しきい値B≦ci<
しきい値Cの場合、ノック強度ciは中ノックであると
判定する。そして、しきい値C≦ciの場合、大ノック
であると判定する。
Nサイクル)中のノック強度の分布、つまりノック強度
毎に任意サイクル中のノック頻度を算出する。算出した
ノック強度の分布を、ステップS1700のグラフで示
している。このグラフの横軸はノック強度を、その縦軸
は頻度をそれぞれ表している。ここでは、小ノックの頻
度が一番大きい(最も高い)ことを示している。
階に分けて求めた各段階のノック頻度のうち、頻度が最
も高い強度段階のノック強度を任意サイクルのノックレ
ベルとして算出する(決定する)。ここでは小ノックの
頻度が最も高いので、任意サイクルの(現在の)ノック
レベルとして小ノックが算出される。なお、ステップS
1700の(1)および(2)の処理がノック頻度算出
手段に相当し、また、その(3)の処理がノックレベル
算出手段に相当する。
時期等を自動適合するには、ステップS10で定常状態
と点火時期の設定を変えながら、各設定条件でエンジン
21を任意サイクル運転して得たデータに基づき、上記
ノックレベル算出処理を行う。これにより、各設定条件
でのノックレベルをそれぞれ自動的に検出することがで
きる。
ば、以下の作用効果を奏する。 (イ)各気筒のブロック振動センサ23の出力を、ノッ
ク有りと判定されたノックサイクルとノック無しと判定
されたノイズサイクルに分けて抽出する(ステップS1
300)。これにより、筒内圧を利用して1サイクル毎
に、絶対にノックの発生していないサイクルと、少なく
とも筒内ではノックが発生しているサイクルとに層別で
きる。このため、各筒内圧センサ出力と同時に各ブロッ
ク振動センサ出力を計測することで、筒内圧情報をもと
にノック有り無しの層別を自動的に行なうことができ
る。すなわち、人間の聴感でノック判定をする必要がな
い。
グラウンドノイズ以上の振動が含まれていれば、間違い
なく音としてノックが発生していることになる。このよ
うなノックの強度を、各ノックサイクルのFFT結果a
とFFT加算平均値bとの差分(a−b)に基づき、ノ
ックサイクル毎に算出することができる(ステップS1
600)。すなわち、そのFFT加算平均値bは、各ノ
ックサイクルとそのサイクル以前に「ノック」と判定さ
れたサイクルとの間のバックグラウンドレベルを表して
いる。各ノックサイクルのFFT結果aとそのノックサ
イクルに対して算出したバックグラウンドレベルとの差
分(a−b)に基づいて、ノック強度をノックサイクル
毎に算出することができる。その結果、人間の聴感でノ
ック判定する場合は、ある一定時間エンジン近傍で音を
聞き、その時のバックグラウンド音とノック音を聞き分
けてノックレベルを決定する。この場合、人による差
や、聞く方向の違いにより、レベルが異なってしまう
が、こうした自動適合をする上で妨げとなる要因を排除
できる。したがって、エンジンの点火時期等を自動適合
する際に、狙いのノックレベルを自動検出可能になり、
点火時期等の自動適合が可能になる。
合する際に、ステップS10で定常状態と点火時期の設
定を変えながら、各設定条件でエンジン21を任意サイ
クル運転して得たデータに基づき、上記ノックレベル算
出処理を行う。これにより、各設定条件でのノックレベ
ルをそれぞれ自動的に検出することができる(ステップ
S1700)。
狙いのノックレベルは聴感上許容可能なノックレベルで
あり、このような狙いのノックレベルを自動検出するた
めには、ノックレベルを定量的に扱う必要がある。聴感
上許容可能なノックレベルは、1回当たりに聞えるノッ
ク強度とその頻度により決まる。そのうちのノック強度
をステップS1600で算出できる。つまり、ノックサ
イクル毎のノック強度を、人間によりしきい値を設定す
ることなく、前記差分を所定の周波数区間で積分して求
めることができる。
とする。 (ニ)任意サイクル中のノックサイクル毎にノック強度
を算出するのに、FFT結果aとFFT加算平均値b
(上記バックグラウンドレベル)の差分(a−b)をノ
ックとしている。これにより、各ブロック振動センサ出
力にバックグラウンドノイズ以上の振動が含まれていれ
ば、間違いなく音としてノックが発生していることにな
る。このようなシリンダヘッド、シリンダブロックを通
して外部へノック音として伝わるノックを、FFT結果
aとFFT加算平均値bの差分で表すことができる。
ク強度毎に任意サイクル中のノック頻度を算出する(ス
テップS1700の処理(1),(2))。こうして求
めたノック強度とノック頻度からノックレベルを算出す
る(ステップS1700の処理(3))。このように、
ノック強度に加えてノック頻度を算出し、ノック強度と
その頻度からノックレベルを算出することで、現在の運
転条件でのノックレベルを自動検出することができる。
け、各段階の頻度を算出し(ステップS1700の処理
(1),(2))、算出した頻度が最も高い強度段階の
ノック強度を現在のノックレベルと決定する(ステップ
S1700の処理(3))。これにより、ノックレベル
を定量的に扱うことができ、聴感上許容可能なノックレ
ベルを自動的に検出することができる。(請求項5) (ト)ステップS1600では、差分(ai−bi)を
所定の周波数区間、例えば、ノック波形の振動周波数に
相当する12〜14KHz程度の可聴帯で積分する。こ
のため、シリンダブロックを通して外部へ音として伝わ
るノックの強度を算出することができる。
イクル毎に、(i−1)回目のノックサイクルとi回目
のノックサイクルとの間のバックグラウンドレベルを表
すi回目のノックサイクルのFFT結果biを算出して
いる。このバックグラウンドレベルと各ノックサイクル
のパワースペクトル(FFT結果a)の差分(ai−b
i)を積分してノック強度を算出する(ステップS16
00)。このため、各ノックサイクルのノック強度とし
て、ノックサイクル毎に異なるバックグランドレベルに
応じた最適な値を算出することができる。
変更して具体化することもできる。 ・上記一実施形態では、任意サイクル運転して得られる
任意サイクル分の各ブロック振動センサ出力を、2つの
サイクルに層別して(ステップS1300)、FFT処
理する(ステップS1400)ようにしているが、本発
明はこのような構成に限定されない。例えば、任意サイ
クルの運転中に、各ブロック振動センサ出力を順次取得
しながら、ステップS1300〜S1600およびS1
700の処理(1)をリアルタイムで行なうようにして
もよい。これにより、任意サイクルの運転が終了した時
点では、ステップS1700の処理(2)と(3)を行
なえだけでよく、ノックレベルを迅速に算出することが
できる。
0で差分(ai−bi)を所定の周波数区間で積分する
ようにしているが、その周波数区間は上記可聴帯に限ら
ず、適宜の積分範囲を設定可能である。
0の処理(1)で、ノック強度ciに対して3つのしき
い値A,B,Cを設け、ノック強度を4つの強度段階に
分けるようにしているが、その強度段階の数は「4」に
限らず、適宜設定可能である。
00で算出するしきい値1を、最大値Ampmaxの任
意サイクル分の加算平均値と、その標準偏差σを3以外
の整数倍した値との加算値としてもよい。
エンジン21に適用した例を示したが、本発明は多気筒
の内燃機関に広く適用可能である。 ・上記一実施形態では、指圧線の圧縮上死点位置TDC
近傍に極大値(変曲点)ができる場合には、その変曲点
はTDCの近傍にできるので、TDCをその変曲点に代
えて1つの変曲点に設定しているが、その変曲点の位置
を算出して、この変曲点を1つの変曲点として設定する
ようにしても良い。
26は、各筒内圧センサ出力を例えば200KHzでサ
ンプリングしているが、そのサンプリング周波数は適宜
変更可能である。
第1ゲート区間を図14に示す第2ゲート区間と同じに
しても良い。以下、上記一実施形態から把握できる技術
思想について説明する。
内圧センサを備えた自動適合用ノック自動検出装置にお
いて、前記複数の筒内圧センサからそれぞれ出力される
各筒内圧センサ出力を高周波サンプリングして、気筒毎
およびサイクル毎に筒内圧データを収録する高速データ
収録手段と、前記筒内圧データに基づき、前記各筒内圧
センサ出力に含まれる振動成分の振幅相当量を気筒毎お
よびサイクル毎に算出する振動成分抽出手段と、気筒毎
およびサイクル毎に、前記振幅相当量の最大値或いは積
分値を算出する振幅最大値算出手段と、前記最大値或い
は積分値の任意サイクル分の加算平均値と標準偏差とか
らしきい値を算出するしきい値算出手段と、前記最大値
或いは積分値と前記振動成分の繰り返し性の有無とに基
づくノック判定を気筒毎およびサイクル毎に行い、同最
大値或いは積分値がしきい値を超えかつ前記繰り返し性
が有る場合にノックと判定するノック判定手段と、前記
各気筒の筒内圧センサ出力と同時計測する各気筒のブロ
ック振動センサ出力を、前記判定結果に基づきノックサ
イクルとノイズサイクルに分けて抽出する振動センサ出
力抽出手段と、前記ノックサイクルと前記ノイズサイク
ルに分けて抽出した各気筒のブロック振動センサ出力を
それぞれFFT処理して1ノックサイクル毎のFFT結
果(a)と1ノイズサイクル毎のFFT結果(t-b)
を算出するFFT処理手段と、各ノックサイクルに対し
て、そのノックサイクルと前回ノックと判定されたノッ
クサイクルとの間のノイズサイクル全ての前記FFT結
果(t-b)を加算平均したFFT加算平均値(b)を
算出する加算平均値算出手段と、前記FFT結果(a)
と前記FFT加算平均値(b)との差分に基づき、ノッ
クサイクル毎にノック強度を算出するノック強度算出手
段とを備えることを特徴とする自動適合用ノック自動検
出装置。
ク自動検出装置において、前記ノック強度算出手段は、
前記差分を所定の周波数区間で積分してノックサイクル
毎のノック強度を算出することを特徴とする自動適合用
ノック自動検出装置。
ク自動検出装置において、前記所定の周波数区間は可聴
帯であることを特徴とする自動適合用ノック自動検出装
置。 (4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の自動適合
用ノック自動検出装置において、前記ノック強度算出手
段により算出したノック強度毎に任意サイクル中のノッ
ク頻度を算出するノック頻度算出手段と、前記ノック強
度と前記ノック頻度から任意サイクルでのノックレベル
を算出するノックレベル算出手段とを備えることを特徴
とする。自動適合用ノック自動検出装置。
ク自動検出装置において、前記ノック頻度算出手段は、
前記ノック強度を任意の強度段階に分けて各段階の頻度
を算出し、前記ノックレベル算出手段は、前記ノック頻
度算出手段により算出した頻度が最も高い強度段階のノ
ック強度を任意サイクルのノックレベルと決定すること
を特徴とする自動適合用ノック自動検出装置。
装置の全体を模式的に示す構成図。
ト。
ローチャート。
ローチャート
ローチャート。
の場合で筒内圧上昇中の振幅相当量の計算処理を示すフ
ローチャート。
の場合で筒内圧下降中の振幅相当量の計算処理を示すフ
ローチャート。
ローチャート。
ローチャート。
当量の計算処理を示す説明図。
当量の計算処理を示す説明図。
を示すグラフ。
センサ、24…筒内圧センサ、26…高速データ収録手
段としての高速データロガー、27…筒内圧解析用パソ
コン。
Claims (5)
- 【請求項1】 内燃機関の点火時期等を自動適合する装
置に適用され、各気筒の筒内圧センサ出力を高周波サン
プリングした筒内圧データに基づき気筒毎およびサイク
ル毎にノックかノイズの判定をするノック判定手段を備
える自動適合用ノック自動検出装置であって、 前記各気筒の筒内圧センサ出力と同時計測する各気筒の
ブロック振動センサ出力を、前記ノック判定手段により
ノック有りと判定されたノックサイクルとノック無しと
判定されたノイズサイクルに分けて抽出する振動センサ
出力抽出手段と、 前記ノックサイクルと前記ノイズサイクルに分けて抽出
した各気筒のブロック振動センサ出力をそれぞれFFT
処理して1ノックサイクル毎のFFT結果(a)と1ノ
イズサイクル毎のFFT結果(t-b)を算出するFF
T処理手段と、 各ノックサイクルに対して、そのノックサイクルと前回
ノックと判定されたノックサイクルとの間のノイズサイ
クル全ての前記FFT結果(t-b)を加算平均したF
FT加算平均値(b)を算出する加算平均値算出手段
と、 前記FFT結果(a)と前記FFT加算平均値(b)と
の差分に基づき、ノックサイクル毎にノック強度を算出
するノック強度算出手段とを備えることを特徴とする自
動適合用ノック自動検出装置。 - 【請求項2】 前記ノック強度算出手段は、前記差分を
所定の周波数区間で積分してノックサイクル毎のノック
強度を算出することを特徴とする請求項1に記載の自動
適合用ノック自動検出装置。 - 【請求項3】 前記所定の周波数区間は可聴帯であるこ
とを特徴とする請求項2に記載の自動適合用ノック自動
検出装置。 - 【請求項4】 前記ノック強度算出手段により算出した
ノック強度毎に任意サイクル中のノック頻度を算出する
ノック頻度算出手段と、前記ノック強度と前記ノック頻
度から任意サイクルでのノックレベルを算出するノック
レベル算出手段とを備えることを特徴とする請求項1〜
3のいずれか一項に記載の自動適合用ノック自動検出装
置。 - 【請求項5】 前記ノック頻度算出手段は、前記ノック
強度を任意の強度段階に分けて各段階の頻度を算出し、
前記ノックレベル算出手段は、前記ノック頻度算出手段
により算出した頻度が最も高い強度段階のノック強度を
任意サイクルのノックレベルと決定することを特徴とす
る請求項4に記載の自動適合用ノック自動検出装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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