JP2003342757A - ミリング方法およびミリング装置 - Google Patents

ミリング方法およびミリング装置

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JP2003342757A JP2002153869A JP2002153869A JP2003342757A JP 2003342757 A JP2003342757 A JP 2003342757A JP 2002153869 A JP2002153869 A JP 2002153869A JP 2002153869 A JP2002153869 A JP 2002153869A JP 2003342757 A JP2003342757 A JP 2003342757A
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Hiroto Yamaguchi
裕人 山口
Katsunori Oya
克典 大矢
Atsushi Koike
淳 小池
Masahiro Kanai
正博 金井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミリング処理時に被処理物、特にその基体が
加熱されるのを防ぐ。 【解決手段】 熱電子を発生するフィラメントを含むイ
オン化機構2は、基体ホルダー6によって保持された基
体5に面する面の中心に開口部20jを有するケース2
0dを有しており、フィラメントは、基体ホルダー6に
よって保持された基体5へと延びる直線がケース20d
によって遮られる位置に配置されている。イオン化機構
2の周りには、フィラメンとから開口部20jを通って
基体5へと延びる磁力線を生じさせる磁場を発生する電
磁石31,32が配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイスな
どの製造において使用されるミリング方法およびミリン
グ装置に関するものであり、特に、熱電子放出型のイオ
ン化機構を用いて希ガスイオンを生成し、基板に入射さ
せて基体をミリング処理するミリング方法およびミリン
グ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子顕微鏡用の試料作製、および光デバ
イスや磁気バブルメモリなどの微細パターンの加工手段
として、従来からミリング法が用いられている。このミ
リング法においては、最近、低温処理性、すなわち被処
理物をあまり高温にすることなく処理を行うことが求め
られるようになってきている。
【0003】このミリング処理を適用することができる
具体的な製造工程として、特開平2001−16747
9号公報に開示されている、磁壁移動型の光磁気ディス
クの製造工程を例に取って説明する。この文献に開示さ
れた製造方法では、記録媒体の基体の情報トラック面
に、情報トラック面に対して非平行な面を有する傾斜部
を挟んで、それぞれがトラックとなるランドとグルーブ
を交互に形成している。そして、情報トラック面に記録
膜を形成した後、傾斜部に堆積した記録膜を除去してい
る。
【0004】このように傾斜部の堆積膜を除去すること
によって、レーザービームを照射して記録または再生を
行った時に、照射されたレーザービーム、または磁壁移
動を生じさせるための加熱手段によって発生する熱が、
隣接するトラックに拡散するのを低減して、隣接するト
ラックの記録情報に影響を与える、すなわちクロスイレ
ーズ/ライトが生じるのを防止している。したがって、
このようにして作製された光磁気ディスクは、クロスイ
レーズ/ライトの問題を生じることなく、トラックの間
隔を狭くし、すなわちトラック密度を高くして記録容量
を大きくすることができる。
【0005】この光磁気ディスクの製造工程において、
傾斜部の記録膜を除去するのにミリング法を適用するこ
とが考えられる。この光磁気ディスクには、ポリカーボ
ネイト、およびガラス上に樹脂を形成したものなど、低
耐熱性の基体が好適に用いられる。一方、一般にミリン
グ法は高エネルギーのイオンを基体に入射させてスパッ
タエッチングするため、基体が受けるエネルギーが大き
い。このため、ミリング処理によって基体が高温にな
り、基体に変形などの悪影響が生じないようにするため
に、低温処理が可能なミリング法が求められている。
【0006】従来のミリング法では、基体面に対向する
位置に配置された、電子衝撃型のイオンガンからイオン
を基体に向かって放射して処理を行い、この際、基体が
高温にならないように、基体を保持する基体ホルダーを
水冷しながら処理を行うのが一般的である。また、特開
平1−301870号公報には、用いるイオン源は前述
の一般的なミリング法と同様であるが、基体の温度上昇
を防止するために水冷式の基体冷却機構を備えた基体ホ
ルダーを設け、この基体ホルダーを予備室と処理室の間
で移動させてミリング処理を行う装置が提案されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
主流のミリング法では、イオンガン内部のフィラメント
からの輻射が直接基体に入射し、それが基体の温度上昇
の一因となる。また、従来のミリング法では、通常、基
体がチャージアップされるのを防止するためにイオンビ
ーム中性化用電子放出源を基体の近傍に設けており、そ
のフィラメントからの輻射も基体の温度上昇の一因とな
る。また、照射されたイオンガスを基体上へと導くの
に、一定の電圧を印加した引き込み電極との間に働く静
電力を利用しており、イオンを効率良く基体上に導くた
めにはこの印加電圧を比較的高くする必要がある。この
ように引き込み電圧を高くすると、基体に入射するイオ
ンのエネルギーが大きくなり、基体がより加熱されやす
くなってしまう。
【0008】以上のような要因のため、従来のミリング
法では、基体ホルダーを水冷し基体を間接的に冷却して
いるものの、基体がある程度温度上昇してしまうのを避
けられない。そして、この温度上昇は、上述の光磁気デ
ィスクにおけるように、耐熱性が著しく低い基体を用い
る場合、基体が変形するなどの悪影響を生じさせない程
度に低く抑えるのは困難である。
【0009】また、特開平1−301870号公報に記
載されたミリング装置は、従来主流のミリング法におい
て装置を簡素化することを主要な目的として、基体の載
置および搬送手段の構成を工夫したものであり、基体を
冷却する方法については従来のミリング法とさほど変わ
らない。基体を冷却する機能に関しては、大気圧条件下
で基体ホルダーにセットされた基体に対して、他のホル
ダーなどにセットし直すことなく、そのままの状態でミ
リング処理を行うことから、基体が強く基体ホルダーに
押し付けられることになり、それによって冷却効果の若
干の向上は見込まれるが、大きな改善は望めない。
【0010】本発明は、上記課題に鑑み、ポリカーボネ
イト、およびガラス上に樹脂を形成した基体などの低耐
熱性基体を含む被処理物に処理を行う場合であっても、
基体が変形するなどの悪影響を生じさせることなくミリ
ング処理を行うことができるミリング方法およびミリン
グ装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明によるミリング方法は、被処理物を真空雰囲
気中に保持する工程と、真空雰囲気中にガスを導入する
工程と、真空雰囲気中で熱電子を生成する工程と、熱電
子をガスに衝突させてイオン化する工程と、イオン化し
たガスを被処理物に入射させて被処理物をエッチングす
る工程とを有するミリング方法であって、熱電子は、被
処理物へ延びる直線上に遮蔽物を配置した領域内で発生
させ、熱電子の生成部から被処理物へと、遮蔽物から離
れた領域を通って延びる磁力線を生じさせる磁場を発生
して、イオン化したガスを、両極性拡散作用を利用し、
磁場によって案内して被処理物へ向かう方向に導く工程
をさらに有することを特徴とする。
【0012】このミリング方法によれば、熱電子を発生
する領域と被処理物とを結ぶ直線上に遮蔽物を配置して
も、上記のような磁場を発生することによって、生成し
たガスイオンを被処理物へと効率的に導くことができ
る。そして、この遮蔽物によって、熱電子放出源から被
処理物へ向かう輻射を遮蔽し、輻射によって被処理物、
特にその基体が加熱されるのを防止することができる。
【0013】より具体的には、遮蔽物として、中心に開
口部が設けられたものを用い、磁場として、熱電子の生
成部から遮蔽物の開口部を通って被処理物へと延びる磁
力線を生じさせる磁場を発生させる構成とすることがで
きる。そしてさらに、この磁場は、開口部が設けられた
中心部にカプス磁場を含む磁場とすることができ、それ
によって、電子の閉じ込め作用を働かせ、この中心部
に、イオン化されたガスからなる高密度のプラズマを発
生することができる。このように高密度のプラズマを発
生することによって、イオン化されたガスを効率的に生
成することができる。
【0014】発生する磁場は、イオン化したガスからな
る高密度のプラズマを生じさせ、イオン化したガスを効
率的に被処理物上へと導くために、被処理物の、エッチ
ングする面の中心部における磁束密度の、被処理物の表
面に対して垂直方向の成分を30G(3mT)以上と
し、遮蔽物の開口部の縁における磁束密度を50G(5
mT)以上とすることが好ましい。
【0015】また、遮蔽物内に冷却媒体を循環させるこ
とによって、熱電子放出源で発生する熱を冷却媒体に吸
収させ、被処理物に伝わるのを防止することができる。
【0016】また、イオン化されたガスを被処理物上へ
と引き込む電界の強さを周期的に変化させることによっ
て、被処理物、特にその基体として誘電体からなるもの
を用いた場合でも、チャージアップ現象が生じるのを抑
えることができる。このため、従来技術において用いら
れているイオンビーム中性化用電子放出源を設けなくて
も済み、この電子放出源によって被処理物が加熱される
のを防ぐことができる。
【0017】本発明によるミリング装置は、内部を減圧
可能なチャンバーと、チャンバー内に被処理物を保持す
る基体ホルダーと、チャンバー内にガスを導入するガス
導入手段と、発熱して熱電子を放出するフィラメント
と、放出された熱電子を加速してガスに衝突させる電界
を発生するグリッドとを有し、熱電子との衝突によって
イオン化されたガスを被処理物に入射させて被処理物を
エッチングするミリング装置であって、フィラメント
と、基体ホルダーに保持された被処理物とを結ぶ直線上
に配置された遮蔽物と、フィラメントからグリッドを通
り、遮蔽物から離れた領域を通って、基体ホルダーに保
持された被処理物へと延びる磁力線を生じる磁場を発生
する複数の磁場発生手段とをさらに有し、イオン化され
たガスを、両極性拡散作用を利用し、磁場によって案内
して被処理物へと導くことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。
【0019】図1,2に、本実施形態のミリング装置の
模式的断面図を示す。図2は、図1の紙面に垂直な面に
沿って切断した、イオン化機構2部分の断面図であり、
図2(b)は図2(a)の紙面に垂直な方向に切断した
断面図である。
【0020】本実施形態のミリング装置は、イオン化機
構2内部またはその近傍に導入されたガスを熱電子解離
およびペニングイオン化法によりイオン化して、イオン
化空間20hを発生させる。そして、イオン化したガス
イオンを、両極性拡散作用を利用して、磁場発生手段3
1,32が形成する磁場によってイオン化空間20から
基体5方向に飛翔させ、基体5近傍に形成された電界9
によって加速して基体5に入射させ、基体5を含む被処
理物をミリング処理するものである。
【0021】このミリング装置は、内部を気密に保つこ
とができるチャンバー1を有している。チャンバー1は
金属からなり、電気的に接地されている。チャンバー1
には、大気圧から1×10-5Pa程度の内圧になるまで
排気を行うことができる複合排気システムである排気系
12が接続されている。排気系12には、不図示の排気
速度調整器、例えばコンダクタンスバルブが設けられて
おり、それによって排気速度の制御が可能となってい
る。また、チャンバー1には、不図示のゲートバルブが
設けられており、それを介して基体5を出し入れするこ
とができる。
【0022】チャンバー1内には、基体5を所定の位置
に保持可能な基体ホルダー6が設けられている。基体ホ
ルダー6は、チャンバー1の内壁上に絶縁体を介して固
定されている。基体5の保持面には、基体5上へとイオ
ンを引き込む電界9を発生する引込電極8が設けられて
いる。引込電極8には、印加電圧を所定のパターンの信
号に調整する信号発生器(ファンクションシンセサイザ
ー)11と電力増幅器10を含む電圧印加手段が接続さ
れている。基体ホルダー6と引込電極8内には、基体冷
却用の冷却水(冷却媒体)の導入手段(不図示)に接続
された冷却水循環路7が設けられている。
【0023】また、チャンバー1内には、ガスイオンを
生成する、熱電子放出型のイオン化機構2が基体ホルダ
ー6の基体保持面に対面する位置に設けられている。イ
オン化機構2と基体ホルダー6との間には、両者間を遮
蔽する、開閉可能な基体シャッター13が設けられてい
る。
【0024】イオン化機構2は、図示する例では六角柱
状の外形を有し、高さ方向の両端面の中心に円形の開口
部20j,20kが設けられたケース20dを有してい
る。ケース20dは、開口部20jが設けられた一方の
端面が基体ホルダー6の保持面と実質的に平行に配置さ
れている。ケース20d内には、開口部20j,20k
が位置する中心部に向かって開口している3つの部屋が
設けられている。これら3つの部屋を形成する壁は、冷
却水循環路20iが内部に形成されたジャケット構造に
なっており、冷却水循環路20iには不図示の冷却水導
入手段が接続されている。
【0025】3つの部屋内には、電流を流すことによっ
て発熱し、熱電子を放出するフィラメント20bがそれ
ぞれ配置されている。各フィラメント20bの、開口部
20j,20k寄りには、プラスの電圧が印加され、放
出された熱電子を中心部に向かって加速する電界を発生
する、網目構造のグリッド20cが配置されている。さ
らに、各部屋内には、グリッド20cの、開口部20
j,20k寄りの位置にガスを導入するガス導入手段2
0aが設けられている。
【0026】ケース20dの、開口部20j,20kが
設けられた端面には、中心部分が空洞のドーナツ型の電
磁石31,32がそれぞれ設けられている。各電磁石3
1,32には、電磁石用電源30a,30bがそれぞれ
接続されている。
【0027】各フィラメント20bは互いに直列に接続
され、フィラメント用直流電源20eに接続されてい
る。フィラメント用直流電源20eの一端側には、フロ
ーティング用直流電源20gが接続され、すなわち、直
列に接続されたフィラメント20bの末端の端子はフロ
ーティング用直流電源20gに接続されている。この末
端の端子はケース20dに接続されており、したがっ
て、ケース20dは、フローティング用直流電源20g
によって所定の電位に保持される。グリッド20cの一
端には、フローティング用直流電源20gによって印加
される電圧をベースとして所定の電圧を印加するグリッ
ド用直流電源20fが接続されている。グリッド20c
の他端は、ケース20dに接続されており、したがって
ケース20dと同電位に保持される。
【0028】このイオン化機構2において、各フィラメ
ント20bは、基体ホルダー6の基体保持面から見るこ
とができない位置に配置されている。すなわち、各フィ
ラメント20bはケース20dの開口部20jから離れ
た、奥の方に配置されており、各基体ホルダー6の基体
保持面上の点と、各フィラメント20bとを結ぶ線は、
ケース20dの壁によって遮られている。
【0029】電磁石31,32には、電磁石31によっ
て発生する磁場と、電磁石32によって発生する磁場と
が互いに反対向きの極性の磁場を発生するように、電磁
石用電源30a,30bによって所定の電流が流され、
それによって開口部20j,20kが設けられた中心部
にはカプス磁場が発生する。動作時には、この磁場によ
って、中心部付近に電子の閉じ込め作用を働かせ、この
部分を高密度のプラズマが発生するイオン化空間20h
とすることができる。このような電子の閉じ込め作用を
効果的に働かせるために、電磁石31,32は、特に、
イオン化機構2の、基体5側の開口部20jの外周にお
ける磁束密度が50G(ガウス,5mT)以上である磁
場を発生するように構成することが好ましい。
【0030】また、電磁石31,32は、フィラメント
20bからグリッド20cを通り、ケース20dおよび
電磁石31の筐体を通ることなく、イオン化機構2の開
口部20jを通って基体5へと延びる磁力線4を生じさ
せる磁場を発生するように構成されている。この構成に
よれば、イオン化空間20h内でイオン化されたガスイ
オンを、両極性拡散作用を利用し、電磁石31,32に
よって発生する磁場によって案内して基体5方向に飛翔
させることができる。このように、ガスイオンの軌道補
正作用を生じさせ、生成されたガスイオンを効率よく基
体方向に飛翔させるために、電磁石31,32は、基体
5表面の中心部おける磁束密度の、基体5表面に対して
垂直方向の成分が30G(3mT)以上である磁場を発
生するように構成すること好ましい。
【0031】次に、このミリング装置の動作について説
明する。まず、基体5を不図示のゲートバルブを介して
チャンバー1内に入れ、基体ホルダー6にセットする。
次に、排気系12によってチャンバー1内を5×10-5
Pa程度まで排気する。次に、基体ホルダー6と引込電
極8内の冷却水循環路7、およびイオン化機構2のケー
シング20d内の冷却水循環路20iに冷却水を導入し
循環させる。
【0032】次に、電磁石31,32に通電し磁場を発
生させる。この際、電磁石用電源30a,30bによっ
て流す電流は、前述のように、イオン化空間20hの中
心部付近にカプス磁場を生じるように設定する。また、
前述のように、基体5表面の中心部における磁束密度
の、基体5表面に垂直な方向の成分が30G以上であ
り、イオン化機構2の開口部20jの外周部における磁
束密度が50G以上となるように設定することが好まし
い。
【0033】また、フローティング用直流電源20g、
グリッド用直流電源20fを動作させ、ケース20d、
グリッド20cをそれぞれ所定の電位に設定する。そし
て、フィラメント用直流電源20eを動作させフィラメ
ント20bに電流を流して発熱させ、熱電子を放出させ
る。放出された熱電子は、グリッド20cの発生する電
界によってイオン化空間20hに向かう方向に加速され
る。
【0034】次に、信号発生器11と電力増幅器10を
動作させて引込電極8にバイアス電圧を印加する。それ
によって、基体5表面に垂直な方向に、引込み用の電界
が形成される。
【0035】この時、引込電極8に印加するバイアス電
圧は、基準電位である接地電位に対して負極性であり、
周期的に変動する矩形波、台形波、鋸波などの電圧とす
る。このバイアス電圧の波形の一例を図3に示す。図3
に示すバイアス電圧は、所定の周期で、0または負極性
の最小電圧(基準電位に対して振幅が最小になる電圧)
V1と、負極性の最大電圧(基準電位に対して振幅が最
大となる電圧)V2とに変化する矩形波の電圧である。
【0036】次に、ガス導入手段20aよりガスを導入
し、排気系12の不図示の排気速度調整器を制御してチ
ャンバー1内の圧力を所定の圧力に調整する。導入され
たガスは、フィラメント20bから放出され、グリッド
20cの発生する電界によって加速された熱電子がイオ
ン化機構2の内部およびイオン化空間20h内で衝突す
ることによってイオン化され、またさらにペニグイオン
化によってイオン化される。これによって、イオン化空
間20hには高密度のプラズマが発生する。
【0037】この状態のまま数分間プレミリングを行っ
た後、基体シャッター13を開ける。すると、イオン化
空間20hから両極性拡散作用によって拡散するガスイ
オンは、電磁石31,32の発生する磁場に案内されて
基体5に向かって飛翔する。そして、基体5付近に到達
したガスイオンは、引込電極8の発生する電界9によっ
て加速され、基体5に、その表面に向かって実質的に垂
直に入射する。それによって基体5のミリング処理が開
始される。
【0038】所定の時間が経過した後、または所定の処
理量だけミリングを行った後、シャッター13を閉じ、
信号発生器11、電力増幅器10、ガス導入手段20
a、イオン化機構2のフィラメント電源20e、グリッ
ド電源20f、フローティング電源20g、電磁石用電
源30a,30bを停止させる。数分後、基体ホルダー
6内の冷却水循環路7に冷却水を導入する不図示の冷却
水導入手段を停止して、冷却水の循環を停止させる。最
後に不図示のゲートバルブを開いてチャンバー1をリー
クさせ、基体5を基体ホルダー6から取り外す。
【0039】以上説明した本実施形態のミリング装置で
は、従来の装置におけるように、熱電子発生源から基体
に向かって熱電子を放出させ、それによってガスイオン
を基体に向かって飛翔させる代わりに、両極性拡散作用
を利用し、電磁石31,32によって発生する磁場によ
って案内して、イオンガスを基体5に向かって飛翔させ
ている。したがって、本実施形態によれば、高温に加熱
されるフィラメント20bを基体5に対面させて配置す
る必要はなく、前述のように、基体5から見ることがで
きない位置に配置することができる。この構成によれ
ば、フィラメント20bからの輻射をケース20dによ
って遮り、基体5が輻射によって加熱されるのを抑える
ことができる。さらに、冷却水循環路20i内を循環す
る冷却水によってケース20dを冷却することによっ
て、フィラメント20bの発生する熱を冷却水に吸収さ
せ、基体5へは実質的に伝わらないようにすることがで
きる。
【0040】また、本実施形態では、引込電極8には、
前述のように、0または負極性の最小電圧と、負極性の
最大電圧との間で周期的に変化する電圧を印加してい
る。これによって、基体5として誘電体からなるものを
用いたとしも、チャージアップ現象が発生するのを抑え
ることができる。このため、本実施形態のミリング装置
では、従来技術におけるイオンビーム中性化用電子放出
源(フィラメント)を設けなくても済む。したがって本
実施形態によれば、イオンビーム中性化用電子放出源を
設けた場合に、その輻射によって生じる、基体5の温度
上昇の発生を防止することができる。
【0041】このように引込電極8に、周期的に変化す
る電圧を印加しても、負極性の最小電圧を、その電圧が
印加されている時でもガスイオンが基体5上に入射可能
な電圧に設定し、また、負極性の、比較的高い電圧が印
加される時間が比較的長くなるようにし、比較的低い電
圧が印加される期間が長期間継続されないようにするこ
とによって、ガスイオンを効率的に基体5上に入射させ
ることができる。より具体的には、最小電圧は、電気的
に絶縁された基体がプラズマ中に置かれた場合にプラズ
マにより発生する基体の電位である浮遊電位(本実施形
態においては引込電極8に電圧を印加しない場合に基体
5に発生する電位に相当する。)とプラズマ電位の間の
電位に設定する。この最小電圧は、概して、0Vから−
10Vの範囲から選択するのが好ましい。また、図3に
示すような矩形波を用いる場合、その周波数は100K
Hz以上とし、波形のデューティーを1対50以上、す
なわち、V2を印加している時間に対するV1を印加し
ている時間の比が50分の1以下となるように設定する
ことが望ましい。なお、矩形波の負の最大電圧V2は基
体5の材質および基体5表面に堆積している被処理物に
応じて適当に設定することができるが、−100Vから
−250Vの範囲から選択することが望ましい。
【0042】なお、本実施形態において、チャンバー1
としては、ステンレス鋼またはアルミなどの材質からな
るものが用いられ、特殊な場合を除き、20リットルか
ら500リットル程度の容積のものが使用される。ガス
導入手段20aによって導入するガスとしては、イオン
化したときに高いスパッタ率が得られる、Ar、Kr、
Xeなどの希ガスが好適に使用される。フィラメント2
0bは、ReW、Wなどの熱電子放出係数の大きな材質
から形成するのが好適である。グリッド20cの網目
は、幅1mm、ピッチ3mm程度が好適である。
【0043】また、本実施形態においては、磁場発生手
段として、電磁石31,32を用いているが、同様の磁
場を形成可能な永久磁石を用いることも可能である。ま
た、引込電極8にバイアス電圧を印加する手段として
は、信号発生器11を含むものを示し、それによって基
体5として誘電体を用いた場合でも、チャージアップ現
象を防止できることを示した。しかし、基体5として導
電体のもののみが用いられる場合には、引込電極8にバ
イアス電圧を印加する手段として、単純な直流電源を用
いてもよい。この場合でも、チャージアップ現象は発生
せず、イオンビーム中性化用電子放出源は設けなくても
済む。
【0044】
【実施例】以下に、本発明のミリング装置を用いてミリ
ング処理を行った具体例を示す実施例、およびその比較
例について説明する。
【0045】以下の実施例においては、ミリング装置内
のイオン化空間20hおよび基体5近傍の磁場分布を設
定するにあたり、有限要素法を用いてシミュレーション
を行った。このシミュレーションは、基体5、磁場発生
手段31,32、イオン化機構2の開口から基体5まで
の寸法などの各部の寸法や、磁場発生手段31,32の
コイルのターン数およびコイルに流す電流値などを入力
することによって、その場合の磁場分布を求めるもので
ある。図4に、このシミュレーションによって得られた
磁場分布の一例を示す。
【0046】そして、このシミュレーションを用いて以
下の手順で所望の磁場分布が得られるように設定を行っ
た。
【0047】まず、電磁石31,32に流す電流値を変
えた何通りかの場合についてシミュレーションを行い、
コイル電流を変化させた各場合について、主要各部の磁
場強度および磁場分布を求めた。次に、実際にミリング
装置内に設置されている電磁石31,32にシミュレー
ションで設定したのと同様の電流を流して磁場を発生さ
せ、ガウスメーターにより主要各部の磁場強度を測定し
た。磁場の測定にあたっては、X軸方向とY軸方向の磁
束密度を同時に測定できる2軸タイプのプローブを使用
し、基体5の表面に対して平行な方向および垂直な方向
の磁束密度を主要各部で測定した。
【0048】また、イオン化機構2の開口部20jが設
けられた端面から基体5までの距離を20mm〜50m
mまで変化させて、上記のシミュレーションおよび測定
を行った。主要各部の磁場強度についてシミュレーショ
ンで得られた値と実測した値を比較したところ、両者の
誤差は±10%以内であった。このことから、シミュレ
ーションで得られる磁場分布は実際の装置内の磁場分布
とほぼ同じであることが分かった。
【0049】そこで、下記の実施例においては、まず、
所望の磁場分布になる、電磁石31,32に流す電流値
をシミュレーションによって求めた。そして、その電流
を流した状態で、実際にガウスメーターを用いて基体5
表面中央部およびイオン化機構2の開口部20jの外周
部の磁束密度を測定し、これらが所望の値になるように
電磁石31,32に流す電流値を調節した。
【0050】(実施例1)ポリカーボネイトからなる、
寸法φ2”(50.8mm)の基体5に、SiN x:5
0nm、Fe:40nmの順でスパッタにより堆積膜を
形成したものをサンプルとして複数枚用意した。このサ
ンプルを、前述の実施形態において示したのと同様の構
成のミリング装置内にセットし、10分間ミリングを行
って上層のFe層を除去した。この際のミリングの条件
は下記とした。 ・チャンバー1の内圧:0.1Pa ・ミリング用ガス種:アルゴン ・イオン化機構2の開口部20jが設けられた端面と基
体5間の距離:20mm ・イオン化機構2の開口部の寸法:φ100mm ・基体5の中心部における磁束密度の、基体5表面に垂
直な方向の成分:50G ・イオン化機構2の開口部20j外周部の代表点におけ
る磁束密度:80G(この値は、実計測では、基体5に
平行な方向の磁束密度と垂直な方向の磁束密度を計測
し、これらを合成して求めた。) ・グリッド20cの印加電圧:50V ・グリッド20cに流れる電流:20A ・ケーシング20dに印加するフローティング電圧:−
40V ・引込電極8の印加電圧:最小値0V、最大値−130
V、周波数500KHz、電圧デューティー1対100
の矩形波電圧 ・基体5に入射する希ガスイオンの電流密度:1mA/
cm2 複数枚のサンプルについて、ミリング処理を行った後
に、変形の有無を判定するために、チルト測定器を用い
て中心から23mmの位置においてサンプルの反りを測
定した。また、微視的変形を顕微鏡およびSEMにて測
定した。これらの結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1から、本実施例では、全てのサンプル
について、反りは許容値の6mRad以下であり、微視
的変形も見られず、有意な変形が生じない、良好な結果
であったことが分かる。
【0053】(比較例1)従来型のミリング装置を用
い、実施例1で使用したのと同様の複数枚のサンプルを
ミリングし、上層のFe層を除去した。この際のミリン
グの条件は下記とした。 ・チャンバーの内圧:0.1Pa ・ミリング用ガス種:アルゴン ・引込電極の印加電圧:400V ・基体5に入射する希ガスイオンの電流密度:1mA/
cm2 その後、実施例1と同様にサンプルの変形の有無を判定
するために、チルト測定を行おうとしたが、全てのサン
プルにおいて大きな変形が生じており、チルト測定を実
施することはできなかった。また、SEMにてサンプル
表面を観察したところ、SiNx膜が剥がれてポリカー
ボネイトが溶けているのが確認された。
【0054】(比較例2)フィラメント20bおよびグ
リッド20cを基体5の位置から直接見ることができる
位置に配置した以外は、実施例1と同様にして、複数の
サンプルをミリングした。そして、実施例1と同様にサ
ンプルの変形を測定した結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】表2から分かるように、全てのサンプルに
ついて目視でわかるほどの反りが発生した。また、部分
的にポリカーボネイトが溶けているのが確認された。
【0057】(実施例2)Siウェハーの基体5上にス
パッタによりAl膜を200nm形成したものをサンプ
ルとして複数枚用意した。本実施例では、引込電極8に
は、信号発生器11、電力増幅器10を含む電圧印加手
段の替りに直流電源を接続し、−250Vの固定電圧を
印加した。そして、フィラメント20bに流す電流値を
変化させ、したがってグリッド20cに流れる電流値を
変化させてミリングを行った。その他の条件は実施例1
と同様にした。この際、基体5に入射するイオンの電流
値およびAl膜のミリングレートを測定した。
【0058】また、上記のミリングと対比させるため、
フィラメント20bの位置を基体5側へ向かう方向に移
動させ、フィラメント20bからグリッド20cを通り
基体5方向に向かう磁力線がイオン化機構2のケース2
0dを通ってしまうようにした場合について、同様にミ
リングを行った。この場合についても、同様に、基体5
に入射するイオンの電流値およびAl膜のミリングレー
トを測定した。
【0059】これらの測定を行った結果を図5,6に示
す。図5は、グリッド20cに流れる電流値の変化に対
する、基体5に入射するイオンの電流密度の変化、図6
は、Al膜のミリングレートの変化を示すグラフであ
る。
【0060】図5,6から、フィラメント20bからグ
リッド20cを通り基体5方向に向かう磁力線がイオン
化機構2のケース20dに遮られないようにした場合
に、フィラメント20bに流す電流を変化させた全ての
ケースにおいて、サンプルに入射する電流密度およびA
l膜のミリングレートを大幅に大きくなっていることが
分かる。すなわち、このように発生磁場を調節すること
によって、ガスイオンを効率的に基体5に入射させ、効
率的にミリングを行うことができる。
【0061】(実施例3)本実施例では、電磁石31,
32のコイルの直上および直下に磁場補正用のコイルを
さらに配置し、これら4個のコイルに流す電流値を変化
させて発生する磁場を変化させた。その他の条件は実施
例2と同様にし、グリッド20cの電流値は15Aで一
定とした。
【0062】そして、フィラメント20bからグリッド
20cを通り、イオン化機構2および電磁石31の筐体
を通ることなく、イオン化機構2の開口部を通って基体
5へと延びる磁力線が生じるようにしながら、基体5表
面の中心部における磁束密度の、基体5表面に対して垂
直方向の成分、およびイオン化機構2の開口部20jの
外周部の磁束密度を変化させてミリングを行った。この
際、それぞれのミリング条件においてサンプルに入射す
るイオン電流値およびサンプルのAl膜のミリングレー
トを測定した結果をそれぞれ図7,8に示す。
【0063】図7,8から分かるように、基体5表面の
中心部における磁束密度の、基体5表面に対して垂直方
向の成分を30G以上に設定し、イオン化機構2の開口
部20jの外周部の磁束密度を50G以上に設定するこ
とにより、サンプルに入射するイオン電流密度が大幅に
上昇し、Al膜のミリングレートが大幅に高くなってい
る。すなわち、磁場をこのように設定することによっ
て、ミリング処理を効率的に行うことができる。
【0064】(実施例4)本実施例では、本発明のミリ
ング方法および装置を特開2001−167479号公
報に開示されている、情報記録媒体の製造に適用した例
を示す。製造する情報記憶媒体の基体としては、深さ1
60nmのグルーブを1.2μmピッチで成形した、φ
50.8mmの、ポリカーボネイト製のディスク基板を
用いた。このディスク基板は、グルーブ間のランドとグ
ルーブの底面部にそれぞれ0.5μm程度の幅の、基板
表面に平行な平面を有するフラット部を設け、このラン
ドとグルーブとの間の傾斜部の、基板表面に対する傾斜
角度が約60度になるように成形した。
【0065】スパッタ室、ミリング室を備えたマルチチ
ャンバータイプの複合処理装置にディスク基板を投入
し、途中でディスクを大気にさらすことなく真空中に保
って次の順に各処理を行った。 1 SiNx膜スパッタ:80nm 2 TbFeCo膜スパッタ:40nm 3 TbFeCo膜ミリング:20nm 4 SiNx膜スパッタ:20nm 5 Al膜スパッタ:50nm これら各処理のうち、3のミリング処理を本発明のミリ
ング方法を用いて実施した。ミリング条件については実
施例1と同様の条件とした。このミリング処理は、ラン
ド面上およびグルーブ面上のTbFeCo膜が所定の厚
さ、この例では20nmになるまで行った。この際、特
開2001−167479号公報に開示されているよう
に、傾斜部ではフラット部よりも速いレートでミリング
が行われ、ランドとグルーブとの間の傾斜部上のTbF
eCo膜は完全に除去され、下地膜のSiNx膜が露出
される。
【0066】そして、上記の各処理終了後、ディスク基
板を装置から取り出し膜面上にUV樹脂をコートした。
このようにして作製したサンプルをチルト測定したとこ
ろ反り量は許容範囲内の2mRadであった。
【0067】次に、作製したディスクをレーザー波長6
80nm、対物レンズNA0.55の光学ヘッドを持つ
ドライブ装置にセットし、50Hzの一定の周期で回転
させ、半径20mmの位置で記録再生特性の測定を行っ
た。具体的には、記録バイアス磁界を300Oe(2
3.7kA/m)とし、記録パワーを変えて、(1−
7)RLLランダムデータをマークエッジ記録した。記
録用のレーザー波としては、入力信号に応じたnTの幅
のパルスの代わりに、立ち上がりを1T遅らせて、(n
−1)Tの幅のレーザーパルスを照射した。クロック周
波数は25MHzとし、最短マーク長が0.75μmに
なるようした。
【0068】このランダムデータを再生パワー1.5m
Wで再生し、得られたアナログ信号波形をDCレベルで
スライスして2値化し、立ち上がりのエッジのインター
バルを測定した。そして、全てのデータパターンに対す
る105サンプルでのジッター分布を導出し、ジッター
マージンの記録パワー依存性を測定した。図9に結果を
示す。同図から分かるように、本実施例によって作成し
た情報記録媒体では、広い記録パワー範囲で十分な大き
さのジッタ−マージンを得ることができた。
【0069】次に、クロスイレーズ/ライトに関する特
性を測定した。まず、ランド上にマーク長0.75μm
の繰り返しパターンを記録して初期のキャリアレベルを
測定した。次に、隣接するグルーブ上にトラッキングサ
ーボをかけてDCレーザーを照射した後、ランド上にト
ラッキングを戻して再びキャリアレベルを測定した。キ
ャリアレベルの初期レベルからの変化の、隣接グルーブ
上で照射したDCレーザーパワーに対する依存性を図1
0に示す。同図から分かるように、隣接グルーブ上にレ
ーザーを照射しても、キャリアレベルは初期値からほと
んど変化することはなかった。すなわち、本実施例によ
って作成した情報記録媒体は、クロスイレーズ/ライト
が生じにくい、良好な特性を有していることが確認でき
た。
【0070】これらの結果は、本実施例によって、傾斜
部のTbFeCo膜を良好に除去できたことを示してい
る。
【0071】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のミリング
方法およびミリング装置によれば、熱電子発生源からの
輻射によって被処理物が加熱されるのを防止できる。し
たがって、本発明によれば、ミリング処理を行う際に被
処理物を比較的低温に保つことができ、ポリカーボネイ
ト、およびガラス上に樹脂を形成した基体などの、耐熱
性の低い基体を含む被処理物に対しても、基体を変形さ
せることなくミリング処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のミリング装置の構成を示す
模式的断面図である。
【図2】図1のミリング装置のイオン化機構部分の模式
的断面図である。
【図3】図1のミリング装置において、引込電極に印加
する電圧の波形の一例を示すグラフである。
【図4】図1のミリング装置についての、磁場分布のシ
ミュレーション結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の評価結果を示すグラフであ
り、グリッド電流に対するイオン電流密度の依存性を、
フィラメントから基体へと延びる磁力線がイオン化機構
のケースを通る場合と、通らない場合について示してい
る。
【図6】本発明の実施例2の評価結果を示すグラフであ
り、グリッド電流に対するミリングレートの依存性を、
フィラメントから基体へと延びる磁力線がイオン化機構
のケースを通る場合と、通らない場合について示してい
る。
【図7】本発明の実施例3の評価結果を示すグラフであ
り、基体表面の磁束密度およびイオン化機構の開口部の
外周部の磁束密度に対するイオン電流密度の依存性を示
している。
【図8】本発明の実施例4の評価結果を示すグラフであ
り、基体表面の磁束密度およびイオン化機構の開口部の
外周部の磁束密度に対するミリングレートの依存性を示
している。
【図9】本発明の実施例5の評価結果を示すグラフであ
り、記録パワーに対する、ディスクのジッターマージン
の依存性を示している。
【図10】本発明の実施例5の評価結果を示すグラフで
あり、隣接するグルーブ上に照射したDCレーザーパワ
ーに対する、ディスクのランド上におけるキャリアレベ
ル変化の依存性を示している。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 イオン化機構 4 磁力線 5 基体 6 基体ホルダー 7,20i 冷却水循環路 8 引込電極 9 電界 10 電力増幅器 11 信号発生器 12 排気系 13 基体シャッター 20a ガス導入手段 20b フィラメント 20c グリッド 20d ケース 20e フィラメント用直流電源 20f グリッド用直流電源 20g フローティング用直流電源 20h イオン化空間 20j,20k 開口部 31,32 電磁石 30a,30b 電磁石用電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 546 G11B 11/105 546C (72)発明者 小池 淳 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 金井 正博 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4K057 DA11 DA12 DB06 DD04 DE14 DG06 DG13 DM21 DN01 5D075 EE03 GG16 5D121 AA09 GG04 GG28

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理物を真空雰囲気中に保持する工程
    と、前記真空雰囲気中にガスを導入する工程と、前記真
    空雰囲気中で熱電子を生成する工程と、該熱電子を前記
    ガスに衝突させてイオン化する工程と、イオン化した前
    記ガスを前記被処理物に入射させて前記被処理物をエッ
    チングする工程とを有するミリング方法であって、 前記熱電子は、前記被処理物へ延びる直線上に遮蔽物を
    配置した領域内で発生させ、前記熱電子の生成部から前
    記被処理物へと、前記遮蔽物から離れた領域を通って延
    びる磁力線を生じさせる磁場を発生して、イオン化した
    前記ガスを、両極性拡散作用を利用し、前記磁場によっ
    て案内して前記被処理物へ向かう方向に導く工程をさら
    に有するミリング方法。
  2. 【請求項2】 前記遮蔽物として、中心に開口部が設け
    られたものを用い、前記磁場として、前記熱電子の生成
    部から前記遮蔽物の前記開口部を通って前記被処理物へ
    と延びる磁力線を生じさせ、前記開口部が設けられた中
    心部にカプス磁場を含む磁場を発生する、請求項1に記
    載のミリング方法。
  3. 【請求項3】 前記磁場として、前記被処理物の、エッ
    チングする面の中心部における磁束密度の、前記被処理
    物の表面に対して垂直方向の成分が30G(3mT)以
    上であり、前記遮蔽物の前記開口部の縁における磁束密
    度が50G(5mT)以上である磁場を発生する、請求
    項2に記載のミリング方法。
  4. 【請求項4】 前記遮蔽物内に冷却媒体を循環させる工
    程をさらに有する、請求項1から3のいずれか1項に記
    載のミリング方法。
  5. 【請求項5】 イオン化された前記ガスを前記被処理物
    上へと引き込む電界を発生する工程をさらに有し、該電
    界の強さを周期的に変化させる、請求項1から4のいず
    れか1項に記載のミリング方法。
  6. 【請求項6】 内部を減圧可能なチャンバーと、該チャ
    ンバー内に被処理物を保持する基体ホルダーと、前記チ
    ャンバー内にガスを導入するガス導入手段と、発熱して
    熱電子を放出するフィラメントと、放出された前記熱電
    子を加速して前記ガスに衝突させる電界を発生するグリ
    ッドとを有し、前記熱電子との衝突によってイオン化さ
    れた前記ガスを前記被処理物に入射させて前記被処理物
    をエッチングするミリング装置であって、 前記フィラメントと、前記基体ホルダーに保持された前
    記被処理物とを結ぶ直線上に配置された遮蔽物と、 前記フィラメントから前記グリッドを通り、前記遮蔽物
    から離れた領域を通って、前記基体ホルダーに保持され
    た前記被処理物へと延びる磁力線を生じる磁場を発生す
    る複数の磁場発生手段とをさらに有し、 イオン化された前記ガスを、両極性拡散作用を利用し、
    前記磁場によって案内して前記被処理物へと導くミリン
    グ装置。
  7. 【請求項7】 前記遮蔽物は中心に開口部を有し、複数
    の前記磁場発生手段は、前記フィラメントから前記グリ
    ッドを通り前記遮蔽物の前記開口部を通って前記被処理
    物へと延びる磁力線を生じさせ、前記開口部が設けられ
    た中心部にカプス磁場を含む磁場を発生する、請求項6
    に記載のミリング装置。
  8. 【請求項8】 複数の前記磁場発生手段は、前記被処理
    物の、エッチングする面の中心部における磁束密度の、
    前記被処理物の表面に対して垂直方向の成分が30G
    (3mT)以上であり、前記遮蔽物の前記開口部の縁に
    おける磁束密度が50G(5mT)以上である磁場を発
    生する、請求項7に記載のミリング装置。
  9. 【請求項9】 前記遮蔽物内に冷却媒体を循環させる手
    段をさらに有する、請求項6から8のいずれか1項に記
    載のミリング装置。
  10. 【請求項10】 イオン化された前記ガスを前記被処理
    物上へと引き込む電界を発生する引込電極と、該引込電
    極に、周期的に大きさの変化する電圧を印加する手段と
    をさらに有する、請求項6から9のいずれか1項に記載
    のミリング装置。
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